2022年9月16日 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録

日時

令和4年9月16日(金)14:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

 (注)◎分科会長 ○分科会長代理

欠席委員(4名)五十音順
行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  衣笠秀一(総務課長)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中山智紀(医療機器審査管理課長) 他

議事

○総務課長 定刻を過ぎておりますので、ただいまから、薬事・食品衛生審議会薬事分科会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして誠にありがとうございます。医薬・生活衛生局総務課長の衣笠秀一でございます。よろしくお願いいたします。
 この度、薬事分科会につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 本日の委員の出欠についてですが、荒井委員、田島委員、戸部委員、半田委員から御欠席との連絡を頂いております。また、南委員より遅れて参加するとの御連絡を頂いております。現在のところ、委員数22名のうち17名の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
 分科会を開始する前に、委員の先生方の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定しております。本分科会におきましては、会議開催の都度、薬事分科会規程の適合状況を書面に御署名いただく形で御申告いただく運用を開始させていただいており、今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には毎度御負担をおかけしておりますが、御理解を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の方法について事務局より御説明させていただきます。
○事務局 事務局でございます。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、御自身のお名前と発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、分科会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した場合には、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員につきましては、メッセージにお名前と御質問がある旨を御記入していただくよう、事務局又は分科会長からお願いをする場合がございます。その場合には、記入されたメッセージに応じて分科会長より発言者を御指名いただきます。
○総務課長 よろしいでしょうか。本日の議題は報告事項が8件となっており、そのうち公開案件が2件、非公開案件が6件ございます。それでは太田分科会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○太田分科会長 それでは始めさせていただきます。最初に、これまでの事務局からの御説明に、委員の方々から御質問はございませんか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。資料番号1~2-2が公開案件に係る議題、資料番号3~25は非公開案件に係る議題の資料となっております。また、資料20の説明の後に、追加で御説明させていただきたい資料として、当日配布資料を昨日、委員の皆様へメールにてお送りしております。資料番号101~122につきましては文書報告に係る資料となっておりますので、適宜御確認をお願いいたします。非公開案件の各議題については、議題概要を作成しておりますので、こちらも併せて御参照のほどよろしくお願いいたします。
○太田分科会長 よろしいでしょうか。
それでは議事に入ります。本日の公開案件は、報告事項2件が予定されています。
まず、議題1「日本薬局方部会について」の御説明をお願いいたします。
○事務局 資料No.1に基づきまして、日本薬局方部会について御報告させていただきます。本件は、令和4年7月26日開催の日本薬局方部会におきまして、第十八改正日本薬局方の第一追補の案について御審議いただいたものです。
 日本薬局方につきましては、薬機法の第41条の規定に基づきまして、医薬品の性状及び品質の適正化を図るために作成されている規格・基準書でございます。近年では5年ごとに全面的な改正を行っており、その全面改正の間で、2回追補として一部改正を行っております。今回は、第十八改正日本薬局方の一部を改正する1回目の部分改正ですので、第十八改正日本薬局方第一追補になっております。
 改正の概要は1ページ以降に記載しております。改正につきましては、一般試験法、医薬品各条と続いておりますけれども、ポイントを絞って幾つか御紹介をさせていただきます。
まず、一般試験法です。基本的には最新の技術や知見の導入や国際調和などに対応した改正を行っているものです。例えば1ページの(1)の「2.00 クロマトグラフィー総論」は、日米欧三薬局方で調和合意されました内容を、クロマトグラフィー総論として新規に設定しているものです。
 続きまして、医薬品各条にまいります。2ページから医薬品各条がございますが、今回、新規の収載品目として、表に示しています11品目を追加する予定となっております。3ページの中段からは改正品目となっていますが、今回82品目を改正する予定です。また、863品目について、ICH-Q3D ガイドラインに基づく元素不純物管理の適用に伴い、試験の目的が重複する重金属試験、ヒ素試験、鉛試験等の削除を予定しております。4ページの下の方ですが、市場に流通していない2品目を今回の改正で削除する予定です。これにより、日本薬局方の収載品目数は2,042品目となります。
 5ページからは参考情報の改正について記載しております。新たに5項目を新規に収載し、5項目の改正を行っております。また、6ページの最後ですが、一般試験法への収載に伴い、近赤外吸収スペクトル測定法は参考情報から削除されます。
 続きまして、日本薬局方部会の議事概要です。7ページを御覧ください。概要欄にありますように、当部会におきましては、参考情報について修正意見があったため、参考情報の一部の修正がなされておりますけれども、告示の本体部分について修正や反対意見は特段なく、了承されております。8ページ以降は新旧や改正箇所をまとめたものですので、御参照いただければと思います。
 以上の内容について、日本薬局方部会におきましては、改正に係る反対意見は特になく、了承されているところです。
 今後のスケジュールとしましては、9月1日まで実施しておりましたパブリックコメントを現在集約しているところです。今後は、12月上旬をめどに公布するための必要な手続を進めていく予定です。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。委員の方々から御意見、御質問等はございませんか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただけたものといたします。
 続いて、議題2「医薬品等安全対策部会について」の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局医薬安全対策課でございます。まず、資料No.2-1について御説明させていただきます。「令和4年度第1回医薬品等安全対策部会について」となっております。6月22日に開催した部会で、一般用医薬品のリスク区分について御審議をいただいておりまして、その結果を御報告させていただきます。
 一般用医薬品については、リスクに応じ、第1類から第3類医薬品に分類をして、販売規制が行われています。そのうち、いわゆるスイッチOTCにつきましては、当初、要指導医薬品として販売され、その間に製造販売後調査が行われ、この調査の終了後1年間は第1類医薬品に分類された後、調査の結果に基づいて分類の見直しを行うという運用を行っています。
 第1類医薬品に分類されていたクロトリマゾール(膣カンジダ治療薬のクリーム剤に限る。)につきまして、6月の部会に先立ち、本年4月26日の令和4年度第2回安全対策調査会において、製造販売後調査の終了に伴うリスク区分の検討を行いました。安全対策調査会においては、参考人として産科婦人科の専門家にも御参加いただきまして、本剤について、副作用として重篤なものは報告されていないが注意すべきものは報告されているということ、それから、第1類医薬品である類薬と同等だろうということで、御意見を頂きました。6月の部会におきましても、パブリックコメントの意見を踏まえた上で、本剤に関しては、類薬であるイソコナゾールやミコナゾールと同様に、第1類医薬品に分類することが適当ということで議決されまして、7月12日付けで答申を頂きました。
 続いて、資料No.2-2「第2回医薬品等安全対策部会について」を御説明いたします。8月23日に開催した当部会におきまして、一般用SARSコロナウイルス抗原キットのリスク区分について御審議いただきましたので、その結果を御報告させていただきます。
 コロナ抗原定性キットについては、これまで医療用医薬品という形で販売されてきましたが、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでの議論を踏まえて、本年8月17日に開催されました当審議会、医療機器・体外診断薬部会におきまして、一般用検査薬としての要件や販売時に説明すべき事項等を示したガイドライン案について審議を行っていただいて、了承されました。そのガイドラインにつきましては、本日、参考資料1としてお付けしています。これを踏まえまして、同日、安全対策調査会を開催して、本剤の使用方法や結果の解釈について、薬剤師の説明の必要性や説明において重要な点について指摘があり、第1類医薬品に分類することが適当と、妥当と判断されました。これを踏まえて、8月23日の部会で審議を行った結果、第1類医薬品に分類することが妥当ということで議決していただいて、同日付けで答申を頂いております。なお、新型コロナウイルスの感染拡大の防止に万全を期す観点から、迅速に対応する必要があるということで、本件についてはパブリックコメントは省略しています。
資料2の報告は以上になります。よろしくお願いいたします。
○太田分科会長 ありがとうございました。医薬品等安全対策部会長の岡委員から追加の御発言等はありますか。
○岡委員 いえ、特にありません。よろしくお願いします。
○太田分科会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々から、御意見、御質問などはありませんか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただけたものといたします。
 以上で公開案件を終了いたします。別室で傍聴されている方におかれては、退室をお願いいたします。
 それでは、非公開案件の議事に入りたいと思います。本日の非公開案件は、報告事項6件が予定されております。事務局及び御担当の部会ごとに区切って説明いただくこととします。
それでは、資料No.3、副作用・感染等被害判定第一・第二部会について御説明をお願いいたします。
○事務局 御説明させていただきます。令和4年6月、7月、及び8月に開催されました判定第一部会及び判定第二部会の結果について、御報告させていただきます。
資料についてはNo.3を御用意ください。1~2ページに、3回分の判定結果をまとめたものをお示しております。3ページ以降に、各回の判定結果とその一覧表を添付しております。
 1ページにお戻りいただきまして、「副作用被害判定について」は、「請求等の内訳」のとおり、新規291件、継続30件、現況69件、改定1件の計391件の請求があり、判定が行われております。
判定結果については2.になりますが、「支給決定することが適当であると考えられるもの」が335件となっており、その内訳はその下の(1)~(3)にお示ししているとおりでして、全体の約86%が支給となっていて、これまでから大きな変動はありません。
 2ページ真ん中辺りに「不支給決定することが適当であると考えられるもの」とありますが、こちらが56件となっており、その内訳としては、多いもので、「マル1疾病、障害又は死亡が医薬品の副作用により発現したと認められないため、不支給とすることが適当である。」が26件、「マル2医薬品の使用が適正であったと認められないため、不支給とすることが適当である。」が9件などとなっております。保留となっている案件はありません。
 3ページ以降は各回の判定結果ですので、説明は割愛させていただきますが、御参照いただければと思います。
副作用・感染等被害判定結果の御報告については以上となります。
○太田分科会長 ありがとうございました。副作用・感染等被害判定第一・第二部会長の滝川委員から、追加の発言はありますか。
○滝川委員 滝川です。特に追加することはありません。
○太田分科会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々から御意見、御質問等はありませんか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただけたものといたします。
 続いて、医薬品第一部会・第二部会について、御説明をお願いいたします。
○事務局 医薬品審査管理課です。それでは、医薬品第一部会及び第二部会関係の報告事項について、御説明させていただきます。
資料は横表の資料、薬事分科会議題概要【非公開案件】に沿って御説明をさせていただきます。資料4~資料20-2についても適宜御参照ください。それでは、横表議題概要の記載の順序に沿って御説明します。
まず、資料4の「マンジャロ皮下注」ですが、本剤はチルゼパチドを有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「2型糖尿病」となっています。部会における御議論ですが、例えば一つ目の○において、糖尿病性網膜症、胆のう・胆道疾患に関して、注意喚起の必要性について御指摘があり、実際に添付文書の記載を変更しています。
 資料5の「コセルゴカプセル」ですが、セルメチニブ硫酸塩を有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」となっています。部会における御議論ですが、ボトルについて子供が開けにくいように工夫されているのかとの御質問があり、チャイルドレジスタンス機能が施されている旨の回答をしています。
 資料6の「アムヴトラ皮下注」は、ブトリシランナトリウムを有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」となっています。
 資料7の「フィンテプラ内用液」は、フェンフルラミン塩酸塩を有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないDravet症候群患者におけるてんかん発作に対する抗てんかん薬との併用療法」となっています。部会における御議論ですが、例えば三つ目の○において、添付文書における心エコー検査の記載について、投与開始前と投与期間中に項を分けて記載したほうが分かりやすいのではないかとの御指摘があり、添付文書の記載を修正しています。
 資料8の「カブリビ注射用」ですが、本剤はカプラシズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「後天性血栓性血小板減少性紫斑病」となっています。部会における御議論ですが、成人と小児で病態自体に差はないとのことだが、小児特有の基礎疾患はあるかとの御質問があり、特段ないといった回答をしています。
 資料9の「ナノゾラ皮下注」は、オゾラリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」となっています。部会における御議論ですが、例えば二つ目の○において、臨床的寛解が得られた後も本剤は投与を継続されるのかとの御質問があり、関節リウマチを根治させる薬剤ではないため、得られた臨床的寛解を維持するため、投与の継続も想定されるといった回答をしています。
 資料10の「スペビゴ点滴静注」は、スペソリマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「膿疱性乾癬における急性症状の改善」となっています。
 資料11の「テゼスパイア皮下注」は、テゼペルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「気管支喘息」となっています。部会における御議論としては、効能・効果にある「既存治療」には生物製剤は含まれるのかといった御指摘があり、既承認の他の生物製剤は効能・効果の「既存治療」には該当しないといった回答をしています。
 資料12の「ソーティクツ錠」は、デュークラバシチニブを有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」となっています。部会における御議論ですが、一つ目の○の臨床試験で認められたCPK上昇や二つ目の○の活性代謝物について、添付文書において記載を適切にすべきではないかとの御指摘を頂き、添付文書の記載を整備しています。
 資料13の「メンクアッドフィ筋注」は、4価髄膜炎菌ワクチンであり、効能・効果は「髄膜炎菌(血清群A、C、W及びY)による侵襲性髄膜炎菌感染症の予防」となっています。部会における御議論ですが、例えば二つ目の○において、メナクトラ筋注は、添付文書で56歳以上の高齢者に対する有効性、安全性は確立していないことが記載されているが、本剤はどうかとの御質問があり、本剤は56歳以上の高齢者においても有効性、安全性が確認されているといった回答をしています。
 資料14の「バクニュバンス水性懸濁注シリンジ」は、沈降15価肺炎球菌結合型ワクチンであり、効能・効果は「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人における肺炎球菌による感染症の予防」となっています。部会における御議論ですが、例えば一つ目の○において、既承認製剤である23価肺炎球菌ワクチンとの違いは何かとの御質問があり、23価肺炎球菌ワクチンはキャリアタンパク質に結合させておらず、免疫応答の原理が異なるといった回答をしています。
 資料15の「エザルミア錠」は、バレメトスタットトシル酸塩を有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」となっています。
 資料16の「エバシェルド筋注セット」は、チキサゲビマブ(遺伝子組換え)及びシルガビマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「SARS-CoV-2による感染症及びその発症抑制」となっています。部会における御議論ですが、BA.5系統に対する有効性は不明であること等について御指摘がありましたが、他の中和抗体薬においても臨床試験では直接は確認されていないといった回答をしています。
 以上、13品目について、本年7月から8月までに開催された医薬品第一部会及び医薬品第二部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論を頂いています。
 なお、ここまでの品目のうち、テゼペルマブ、資料11のテゼスパイアについて、事前に佐藤委員から御質問を頂いています。具体的には、資料11の審査報告書の22ページ、表28などの記載においてですが、第III相国際共同試験「07試験」では、主要評価項目の年間喘息増悪発現率のプラセボ群との比を両側有意水準1%で検討すると定めていることから、この表28などの主要評価項目に係る信頼区間は95%ではなく99%とすることが整合しているのではないかと、御指摘を事前に頂いています。信頼区間は精度を表す指標ですので、解析によらず95%信頼区間で示すこととした申請者の考えも理解できるところではありますが、頂いた御指摘を踏まえまして、審査報告書、最適使用推進ガイドライン及び添付文書の信頼区間の記載を、99%信頼区間に変更させていただきたいと考えています。以上の回答とさせていただければと思います。
 続きまして、資料No.17以降について御説明させていただきます。資料No.17、生物学的製剤基準の一部改正についてです。今般、新しく承認される「4価髄膜炎菌ワクチン」と「沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン」の基準を医薬品各条に追加するという、新設に関する改正をしています。これに併せて所要の改正もしているところです。それから、さらに資料No.17の中ほどの所、52/62ページですが、今回、この新たに追加するワクチンのほかに、「細胞培養痘そうワクチン」「乾燥細胞培養痘そうワクチン」の基準について、所要の改正を行うといった、記載整備に関する改正についても、併せて対応を行う予定です。
 続きまして、資料No.19について御説明します。希少疾病用医薬品の指定についてですが、資料No.19の2ページ、今回指定する品目は「Luspatercept」「トラスツズマブ デルクステカン」の2品目です。これらの品目については、本年8月に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、指定して差し支えない旨の結論を頂いています。
 続きまして資料20、再審査期間の延長について御説明します。資料20-1の「モイゼルト軟膏」は、ジファミラストを有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「アトピー性皮膚炎」となっています。資料20-2は「オテズラ錠」です。こちらはアプレミラストを有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「尋常性乾癬、関節症性乾癬、局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍」となっています。以上2品目は、小児患者における有効性及び安全性を検討するための治験を行うため、再審査期間を延長することについて、本年8月に開催された医薬品第一部会及び医薬品第二部会で御審議いただいて、御了承いただいています。
 部会審議品目についての御報告事項は以上ですが、今回御報告した品目を含め、最適使用推進ガイドラインを作成した品目がありますので、御説明します。資料No.18を御覧ください。まず資料No.18-1ですが、こちらはキイトルーダ点滴静注100mgに関する最適使用推進ガイドラインです。今回、腎細胞癌、乳癌、子宮頸癌、それから悪性黒色腫に関して、効能・効果の変更等に伴ってガイドラインの内容を変更しています。また、資料No.18-2ですが、こちらはテゼスパイア皮下注210mgシリンジに関する最適使用推進ガイドラインを新たに策定するというものです。これらについては、本年7月及び8月に開催された医薬品第二部会において、御報告した内容です。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。ただいまの御説明に続けて、新型コロナウイルス感染症のワクチン及び治療薬の副反応・副作用疑い報告の状況について、御説明をお願いいたします。
○事務局 医薬安全対策課です。ファイル名が「当日配布資料 コロナワクチン及び治療薬の副作用について」となっている資料に沿って御説明させていただきます。
 まず、ワクチンの副反応に関しては、今月9月2日に行いましたワクチンに関する合同部会においてお示ししている資料の抜粋版を、本日、資料とさせていただいています。
2ページ、12歳以上の死亡例についてということになっていますが、上の方にそれぞれのワクチンにおける副作用疑いの報告数、それから4回目接種後の報告について右側にお示ししているところです。
 3ページです。こちらは心筋炎・心膜炎に関する副反応疑い報告の報告状況ということになっていまして、ブライトン分類の1-3が心筋炎又は心膜炎と評価された事例ということになります。武田社のノババックスのワクチンについては、心筋炎・心膜炎に関する注意喚起の追加を行っていますので、御参考としてお伝えさせていただきます。国内外の副反応の発生状況や海外の添付文書等を参考にして現時点において得られている知見は限られているということでしたが、心筋炎・心膜炎が報告されていることから、被接種者の方々に対して、疑われる症状が認められた場合には速やかに医師の診察を受けるように事前に知らせることを注意喚起することとし、7月8日付けで当課より通知を発出し、注意喚起がなされているところです。
 続きまして4ページ、小児における副反応疑い報告について、資料としてお示ししています。
5ページには、4回目接種後における副反応についてもお示ししています。
最後、6ページです。総論として、ワクチン接種によるベネフィットがリスクを上回ると考えられ、ワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、引き続き国内外の情報を収集しながら、新型コロナワクチンの接種を継続していくということで取りまとめられているところです。引き続き注視していきたいと思います。
 続きまして、治療薬の方になります。経口剤の2剤について、市販直後調査の資料を、前回の分科会と同様に付けさせていただいています。
 まず「ラゲブリオカプセル」、一般名はモルヌピラビルになりますが、こちらについては、前回の分科会において、5月27日までの市販直後調査の状況を報告させていただいています。その後、6月23日までにまとまった情報を、本日お付けしているところです。8ページですが、推定患者数は約20万人とされています。認められている副作用については、従来から本剤の特徴的なものである、10ページ辺りにある浮動性めまい、それから11ページ、胃腸障害として、悪心、下痢、嘔吐など、そういったものが報告されており、13ページ、発疹といった副作用も報告されているところです。重篤な副作用としては、アナフィラキシーが添付文書でも注意喚起されていますが、報告頻度等について特に顕著な状況は認められないというところで、こちらについても、引き続き自発報告等を踏まえながら、適切な安全対策を講じていきたいと思っています。
 続きまして17ページ、「パキロビッドパック」の市販直後調査の結果の速報というものをお付けしています。こちらについては、前回、5月22日分までの取りまとめられた情報を分科会にて報告させていただいたところですが、今回、その後の8月13日までの結果が示されています。推定使用患者数については、17ページの下にありますように、約3万人となっています。こちらについても、先ほどと同様ですが、18ページ、味覚障害、味覚不全、それから胃腸障害の悪心、下痢、次のページでは嘔吐といった副作用が報告されているところです。また、重篤な副作用として挙げられています、肝障害、SJS、TEN、アナフィラキシーについて、特に発生の報告が顕著に増加しているといった傾向は見られないというところです。引き続き安全対策をしっかりと対応していきたいと思います。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。それでは、医薬品第一部会・第二部会の内容全般について、医薬品第一部会長の森委員から追加の御発言等はありますか。
○森委員 森です。特にありません。
○太田分科会長 ありがとうございました。それでは、医薬品第二部会長の清田委員から追加の御発言等はありますか。
○清田分科会長代理 清田です。特にございません。
○太田分科会長 それでは、委員の方々から、御意見、御質問等はありませんか。
○遠藤委員 遠藤です。1点よろしいでしょうか。資料16のエバシェルド筋注セットに関してなのですが、こちらの添付文書では、効能・効果に「SARS-CoV-2による感染症及びその発症抑制」、今回の、部会での回答の所には「曝露前の発症抑制の適応が他の薬剤にはないので、本剤を承認する意義はあると考える」というふうな記述があります。しかし、この添付文書の臨床成績の所を拝見しますと、3ページの所なのですが、PROVENT試験、いわゆる感染源へのばく露前投与に関しては、有意差が認められているということなのですが、STORM CHASER試験、ばく露後の投与に関しては、審査報告書においても、有効性が示されたと結論付けることは困難と考えるという位置付けだと思います。その部分がちょっと、添付文書上なかなか読み取るのが難しいのではないのかなと懸念されるのですが。いわゆるこの記載、PROVENT試験が、感染源へのばく露前投与という記述がないことで、何かその効能・効果の部分の発症抑制というものが、ばく露前、後においても、両方とも効果が認められているような誤解を招かないかなという懸念を感じたのですが、その辺りはいかがでしょうか。
○太田分科会長 それでは事務局から。
○事務局 事務局です。御指摘ありがとうございます。御指摘の部分は、添付文書で申し上げますと、資料16の一番最後に付いている添付文書の1ページの「効能又は効果に関連する注意」、5.の関連する注意という項、ここを見ていただけますか。このうちの5.4の注意喚起ですが、ここでは「SARS-CoV-2による感染症患者の同居家族又は共同生活者等の濃厚接触者ではない者に投与すること。濃厚接触者における有効性は示されていない。」という注意喚起はなされています。この記載をもって、御指摘のばく露後の発症抑制については有効性が示されていないということを注意喚起している状況です。確かに御指摘のとおり、効能・効果そのものの中ではその点は明示されていない形にはなっているのですが、細かい注意喚起として5.4の所に記載させていただいているという状況です。
○遠藤委員 この部分というのは、一応、添付文書以外にも、ほかの伝達方法などで、しっかり周知されるということでしょうか。
○事務局 はい、御指摘のとおりです。この点は、感染症学会のガイドラインなどでも、詳細な投与対象については記載がされますし、また、添付文書以外、企業の作成する資材のようなところでも明確化されると考えています。
○遠藤委員 分かりました。どうもありがとうございます。
○太田分科会長 ありがとうございました。それでは、ほかの委員からは、いかがでしょうか。
○佐藤委員 佐藤ですが、よろしいでしょうか。最適使用推進ガイドラインについてお聞きしたいのですが、今更で恐縮なのですが、この最適使用推進ガイドラインの周知の仕方はどうなっていますか。
○事務局 事務局です。最適使用推進ガイドラインについては、発出した場合には、行政通知として各都道府県等に周知するとともに、その内容については企業の作成する資材などにおいても記載されることとなるかと思います。
○佐藤委員 ありがとうございます。例えばですが、先ほど私から質問させていただいたテゼスパイアの添付文書には、「効能又は効果に関連する注意」の最初の所に、「最新のガイドライン等を参考に投与すること」という記載があるのですが、例えば添付文書のこういった所に、最適使用推進ガイドラインがあるものについては、「最新の最適使用推進ガイドライン等を」というような形で、添付文書に書く必要まではないでしょうか。
○事務局 御指摘ありがとうございます。「ガイドライン」として指すものとして、もちろん最適使用推進ガイドラインもありますが、そのほかの一般的な診療ガイドラインなども含まれますので、それぞれを包括する形として、添付文書においては「ガイドラインを参照する」といった表示になっていると理解しています。当然、その中には最適使用推進ガイドラインも含まれるものとは考えています。
○佐藤委員 やはり最適使用推進ガイドラインを作っているので、ちょっとその辺のところは記載も含めて検討していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○事務局 周知の仕方については、引き続き検討させていただければと思います。
○太田分科会長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただけたものとします。
 続きまして、資料21、医療機器・体外診断薬部会について、御説明をお願いいたします。
○事務局 医療機器について説明いたします。議事概要の4ページを御覧ください。資料21、医療機器「放射性医薬品合成設備MPS200Aβ」の使用成績評価の調査期間延長の可否について、説明いたします。
 本品は、サイクロトロンを有する医療施設に設置され、遠隔操作により自動的にPET用トレーサのフロルベタピル(18F)を合成する医療機器であり、院内合成したフロルベタピルをアルツハイマー型認知症患者に注射してPET検査を行うことで、脳内に蓄積されるアミロイドβプラークの可視化に用いるものです。
 本品は平成27年6月の部会において御審議いただき、調査期間3年間で○症例の安全性を確認する使用成績調査を実施することとされました。当該調査期間において、本機器の導入施設が○施設にとどまり、症例登録も認められなかったことから、平成30年6月の部会で、令和4年9月までの4年間の延長を認めていただいたところ、現時点で登録者数は○例にとどまることから、再度、使用成績評価の調査期間を4年間延長することについて御審議いただいたところです。
部会においては、使用成績調査の症例登録が遅れている理由について御質問があり、本品を用いたPET検査が保険適用となっていないことから、施設への導入が遅れており、現在までに○施設のみが導入されていること、導入後も稼働に向けた院内での内部調整に時間を要する中、新型コロナウイルスが蔓延したことにより、症例登録が遅れている旨を御回答しております。
本品は、御審議の結果、調査期間を4年間延長することが適当との結果を頂いております。
以上、令和4年7月11日に開催しました医療機器・体外診断薬部会における御審議の結果を報告いたしました。
○太田分科会長 ありがとうございました。委員の方々から御意見、御質問等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただけたものといたします。
 続いて、再生医療等製品・生物由来技術部会について、御説明をお願いいたします。
○事務局 8月3日に開催されました再生医療等製品・生物由来技術部会で議論されました2品目について、御報告いたします。
まず1品目目、資料22-1、再生医療等製品「カービクティ点滴静注」について、説明いたします。本製品は、遺伝子組換えレンチウイルスベクターを用いて、B細胞成熟抗原(BCMA)を特異的に認識するキメラ抗原受容体(CAR)の遺伝子を患者由来のT細胞に導入した再生医療等製品です。適応疾患は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」です。部会での主な意見としては、二次性の悪性腫瘍のリスクに注意すべきとの御意見がありました。それに対して、製造販売後に二次性悪性腫瘍に関する情報を収集し、安全性に関して必要な対策を講じる旨を回答し、御了承を頂いております。本品は、10年間の再審査期間を付与した上で、承認して差し支えない旨の結論を頂いております。
 続いて2品目目、資料23-1、再生医療等製品「キムリア点滴静注」について、説明いたします。本品は、遺伝子組換えレンチウイルスベクターを用いて、CD19陽性のB細胞を特異的に認識するキメラ抗原受容体(CAR)の遺伝子を患者由来のT細胞に導入した再生医療等製品です。既にこちらについては、「再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病」及び「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を適応として承認されているものです。今回、新たに「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を【効能、効果又は性能】に追加することについて御審議をいただきました。部会での主な意見として、本品の輸送に関する不具合の有無と、当該不具合に対する責任の所在について問題にならなかったかという御質問を頂きました。それに対して、輸送に関する不具合報告としては5件ありましたが、○○○○○○○○○○○輸送容器の変更等が行われたこと、また責任の所在について特に問題になった事例の報告はなかったという旨回答し、御了承を頂いております。本品は、10年間の再審査期間を付与した上で、承認して差し支えない旨の結論を頂いております。
 続いて、先に説明いたしましたカービクティ及びキムリアについては、最適使用推進ガイドラインを策定しておりますので、併せて説明いたします。まずカービクティについてですが、こちらは新規承認がなされたことに伴い、各学会においてガイドラインが検討されております。その中で、施設の要件、又は医師の要件等を具体的に記載しております。一方で、キムリアに関しては既にガイドラインが存在しておりますので、今回追加になった適応について、それに関連する記述を追記する改訂を行っております。両者に共通することとしては、投与に際して留意すべき事項において、「サイトカイン放出症候群(CRS)」への措置について、添付文書よりも詳細な記述として、アルゴリズムの表を記載しております。カービクティ、キムリアともに、本ガイドラインについては、医薬品と同様に、保険適用上の留意事項として活用を御検討いただくこととしております。御説明は以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。再生医療等製品・生物由来技術部会の合田委員から、追加の御発言等はありますか。
○合田委員 特にありません。今までの説明で結構です。
○太田分科会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々から、御意見、御質問等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただけたものといたします。
 続いて、指定薬物部会について、御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、指定薬物部会について説明いたします。資料No.24を御覧ください。
まず、指定薬物の指定については、危険ドラッグに含まれる成分のうち、中枢神経系に作用する蓋然性があるものを医薬品医療機器等法に基づき指定することにより、医療等の用途を除き、その販売や製造、使用などを禁止するものです。
 令和4年度第1回指定薬物部会が令和4年6月27日に、第2回が8月29日に開催されており、第1回の部会で、カンナビノイド系1物質とオピオイド系1物質、フェンサイクリジン系1物質の計3物質について、第2回の部会では、カンナビノイド系1物質とカチノン系1物質、LSDアナログ1物質の計3物質について、指定薬物に指定するか否かを御審議いただいた結果、いずれの物質も指定薬物とすることが適当であるとされております。指定薬物に指定した物質の名称、構造式等については、資料No.24の2ページ以降に記載しております。
 部会で審議いただいた第1回の3物質については、令和4年6月28日に指定薬物に追加する省令を公布し、7月8日に施行、第2回の3物質については、8月30日に省令を公布し、9月9日に施行されております。報告は以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。指定薬物部会長の関野委員から、追加の御発言等はありますか。
○関野委員 追加の発言はありません。
○太田分科会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々から、御意見、御質問等はありますか。
○合田委員 合田ですが、よろしいですか。前回の分科会でも一度話をしたのですが、今回の物質5ですね。LSDアナログで、これはキラルな炭素が4か所あり、基本的には様々なキラルの化合物、物質をまとめて指定してしまっています。正確には12の化合物をまとめて指定しているのですね。このうちエルゴリン骨格というのは、基本的には天然物からきています。天然物のエルゴリン骨格の、そこの名称で言いますと5位の位置というのは、立体が動くということは基本的になくて、普通に合成をすると、この5位の位置というのは、現実的には天然物の骨格を持ってきて行います。そこを逆側に合成しようとすると、非常に大変なのです。このようなものの場合には、基本的には天然物の骨格は維持をして、ほかの部分で構造が動く可能性があるものについては、そこは立体を規定しないけれども、というのが規制の普通ではないかと思います。
 このようなものについて、実は中枢神経性の蓋然性があるかどうかということがまず最初の議論になるだろうと思いますが、このもの自身の最終的な細かい薬理活性は出ているわけではないのですが、LSDについては、そこの立体を反転したもの、それから、もう一つ天然物で骨格の立体が規定されている8位が反転したものについて、アッセイ結果が論文で出ているわけです。そういうものですと、最も弱いものですと、LSDの4万分の1ぐらいの活性になるのではないかなということが分かります。そのぐらいの活性ですと、まず普通は活性があると言えないし、それよりも活性がもう少し強いものも、天然物で存在していますが、そういうものは規制していないのです。そういう意味から言うと、このような立体を持つものについて中枢神経性を持つ蓋然性があり、それを規制するというのはすごく言いにくいのではないかなと思いました。
 それから、海外の規制を考えてみても、海外はエルゴリン骨格で構造を規定していますので、その場合には天然物の骨格を維持した形で「もの」を規制しています。一方で、今回はキノリン骨格という名前で、全ての立体を外して規制をかけているのです。全ての立体を外して規制をかけてしまうと、実際には、今みたいに化合物で多分活性がないだろうなというようなものも規制にかかってしまいます。もう一つ、我々のところは分析をしますが、分析をしようとすると、その全ての異性体について分析する標品を持っていないと分析ができないのです。それを考えると、そこがなぜ規制されるのだろうかと、私にとっては全く理解できません。従来から、いろいろなものについて、立体を規定しないで規制をするというのは、昔はそういうことがあったのですが、特にこういう天然物系というのは具体的にその立体構造が活性に直接関係しますし、わざわざ活性がないものを天然と逆側の構造を作ってそのものについて指定薬物として流通させる人は、活性がないのですから、やらないですよね。それを考えると、どうしても私は納得できないので、今回質問させていただきました。以上です。
○太田分科会長 それでは、事務局からお願いします。
○事務局 御質問ありがとうございます。今回、指定を平面でさせていただくことに関しては、指定薬物部会でも委員の先生方で御議論いただき、最終的には平面で指定するというところに至ったものです。と申しますのも、先ほど合田先生もおっしゃいましたように、指定薬物への中枢神経系への作用を有する蓋然性が高いというところではありますが、今回LSDアナログということで、LSDの活性に関して論文等調査をして、それらを参考に、各異性体のデータはなかなか集めるのは難しいので、LSDやアナログの活性のデータを踏まえて、実際指定するかどうかを御議論いただいた結論として、指定薬物としては平面で指定するという結論に至ったものです。こういったものについて、やはり指定薬物というのが、国内での流通を抑制し、保健衛生上の危害拡大を防止するという観点から、やはり幅広く指定ができるように、なおかつ、できる限り迅速にできるようにというところで、平面で指定することに至ったものです。
 また、もう一つ御指摘いただいております分析に対する標準品等については、引き続きではありますが、実際捜査や鑑定の現場、麻取等も含めて、支障がないように相談しながら調整して進めていきたいと考えております。以上です。
○合田委員 多分、我々のところで合成しろとかという話があるのだろうと思いますけれども、結局無駄なものを合成しなければいけなくなります。
それはさておき、実際的にこの指定されたものの根拠となる論文を見せてくださいというように事前にお話をしましたけれども、やはりそれを見ても、著者は、そのものが活性があるという具合には書いていないのですね。そのような形で、蓋然性があるというのは、やはりサイエンティストとしてそれを言っていいのだろうかというのはすごく気になります。
 迅速に指定すると言っても、海外はちゃんとエルゴリン骨格で普通に指定していますし、それから実際上の規制において、その部分の立体を決めても何も困らないと思うのですよね。
なぜわざわざ立体を外すかというのが、私には全く理由が分かりません。これは、そのことについて説明がちゃんとあるのだったら、なるほどなと思うのですがね。
 普通の合成化合物において、キラル炭素の場合には、多くの場合、基本的には不斉合成をしないので、その逆側も指定しておくというのは非常に重要だし、そういうものに関して分析をする際に、そこまで右手系なのか左手系なのかということを区別しないで分析をするというのは、現場側では非常によくありますから、それは全く問題ないと思うのですけれども、こういうような複雑な構造を持っているもので立体を外してしまうと、より逆に混乱するのです。
海外がわざわざ立体を規定しているのになぜその箇所の立体を外すというのも私は分からないし。それよりも活性が強いもの、要するに4万倍活性が低下というのはほとんどないのと同じなので、それよりもある程度活性があるものも、その理屈では規制していないのですね。どうしてそういうことをするのですかね。今の部分は、私が思うに、過去の立体が規定されなかったものに引っ張られて、無理やりそうされているのではないかという感じが私はします。内部の先生方に議論を聞いても、そこを反対しても難しいのだというような話がありまして、私はそこが不思議だなと思うのです。
 非常に特殊な例ですけれども、要するに、こういう天然物については、地球上では、頑張ってその部分の骨格を合成で作らなかったら逆側の骨格が出てこないのですね。ですから、そういうものに対して規制してしまう感覚というのが、やはり分からないですね。
○関野委員 すみません、ちょっと発言よろしいでしょうか。御指摘の点、非常によく分かりますが、ただ、合成できないというのが、平面指定に対する疑義の理由であるのでしょうか。
○合田委員 合成できなくはないのです。合成系の論文は出ていますから。簡単には合成できない、というのですね。だから合成しようと思えばできます。だけど、そこを合成しない限りは。例えば液クロで分析するとして、そのもののエピマーだからこれは指定薬物だよということは言えないのです。だから誰かが合成をしなければいけないです。それはかなりのステップですね、不斉合成ですから。だから、それをしなければいけなくなります。それを指定しても、実際にはその効果は、多分活性はないだろうというような答えにはなりますよね。それを、そこまで含めて規制をかけるというのが分からない。
○関野委員 あと生体内での代謝で変化する可能性はないでしょうか。
○合田委員 そこの立体は代謝されても動かない、そこは動かないです。エルゴリンの5位のところですが動かないです。
○関野委員 我々の試験では、分からない部分です。
○合田委員 化学的なセンスを持って考えたら、それは普通に分かるのだけれど。そこのところがどうしてなのかなと思うのです。ましてや国際調和的な、国際的にこうしているからというのだったらまだ分かるのですが、そうでもない。
○関野委員 すみません、分かりました。御指摘の点については引き続き検討をさせていただこうとは思っているところですけれども、今回に限って言いますと、問題になって議論させていただいた化合物については、翌日にはちゃんと指定してということもありましたので、その意味で迅速性を要すると思っています。
○合田委員 迅速性を要するのは、そこはエルゴリンでかけても迅速性は有するわけですよ。実際に負担は。
○関野委員 はい、分かりました。それで、エルゴリン骨格なのでこのように規制をかけるということを、指定薬物部会の中で決めることができるのかどうかということの、過去の経験がありませんので、その辺の命名の仕方、表記の仕方、それから官報にどのように記載して表記するのかということも含めますと、我々のこの段階で、すぐに部会の中で判定できるものではないと私自身は判断しました。
○合田委員 サルビノリンAは立体を規定しているのではないですか。
○関野委員 過去にはありましたけれども、そこのいきさつ等はよく記憶しておりません。
○合田委員 要するに天然物は立体を規定していると思うのです。
○関野委員 それは決まっていることなのでしょうか。
○合田委員 科学的に正しいものを規制するのが必要だと思うのです。
○関野委員 ただ、私の経験では、包括指定などを考えますと、すべての化合物に対して合成物を使った薬理試験をしてから指定しているわけではありません。それから、全くこれに活性がないということをちゃんとテストした状態が必要なのではないかという判断もあります。例えば、そういう可能性をちゃんと検討した上での「活性がない」、「活性がない」とした場合でも、その言葉の定義が曖昧です。薬理で動物試験をやったり細胞試験をやったりしている立場の人間としては、「活性」という言葉の理解に専門分野の違いによる齟齬があると考えますので、その辺でもう少し時間が必要かなと思います。天然物の場合は立体でということが慣例としてあるということであれば、そこはもう一回振り返って検討し直すということはあるかと思います。しかし、今回に限って言いますと、迅速性ということを優先しましたし、それから各委員にちゃんとヒアリングもしましたし、部会としての総意ということに、今回の指定に関しては部会員の先生方にも十分に議論していただき、平面での指定で問題はないということですし、むしろ平面の指定の方がより好ましいのではないかというような外部の御意見も頂いたということで、今回の指定はこれにさせていただきます。ただ、引き続き御意見を伺うことと、それから、もう少し薬理学的な何か活性の方の検討もできたらやっていきたいと考えている、これは部会としてというよりは個人的にはそう考えていて、引き続きの検討事項としては挙げているということで御理解いただければと思います。
○合田委員 法律の文章には「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く」と書いてあるのです。そこは立体が逆転すると蓋然性はないと思います。それをどうして強引にそこの部分について指定されるのでしょうか。
○関野委員 強引にしているということよりは、慣例に従って、ということになり、
○合田委員 そうじゃない、そこがなければいいのですけれども。5位の立体が反転したら、少なくともそういう活性が4万倍下がるのです。これは数字ですからね。論文で示しているのは、LSD上なので、このものLSZでどうかということは正確には分かりません。けれども、類縁体であっても、重要な立体が反転すれば活性は明確に落ちるし、その4万倍という量を考えたときに、まずそれよりももっと活性があるものについても普通に規制をしていないので。
○関野委員 薬理学的に申しますと、生体内での代謝とかも考えますと活性がないとは言い切れません。
○合田委員 そこまでいったら、全てのものについて蓋然性があるとかありますよ。
○関野委員 4万分の1という、もともとの活性と比較して全く何もないかどうか分からないと思います。
○合田委員 もともと活性なので、確かに一定量どのぐらいあるかというのはあるのですよ。LSDがかなり活性が強いということは知っています。けれども、ほかのものとか規制していないものがあるときに。
○太田分科会長 合田委員、事務局からコメントを出したいと思いますので、よろしくお願いします。
○事務局 監視指導・麻薬対策課です。いろいろ御意見を頂きましてありがとうございます。今回先生から御意見を頂いた、先ほどの御発言の中でありましたような論文につきましても、今回、指定薬物部会の中で御議論いただきまして、先ほど関野部会長ですとか事務局の方から御説明させていただいたような結果になったところではありますが、改めて今回の先生の御意見を踏まえまして、指定薬物としてどのように指定していくかという部分につきましては、頂いた御意見も踏まえながら引き続き検討していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○合田委員 はい。
○太田分科会長 合田委員、よろしいでしょうか。
○合田委員 分かりました。
○太田分科会長 いろいろ御議論いただきましてありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただけたものとします。また、この件に関しては引き続き御審議いただくということで、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは続いて、動物用医薬品等部会について御説明をお願いします。
○事務局 農林水産省から御報告します。資料No.25を御用意ください。
動物用生物学的製剤につきましても、人用生物学的製剤と同様、医薬品医療機器等法に基づき製剤基準を定めているところですが、本基準につきまして、医薬品各条への新たな基準の追加及び既存の基準の一部改正を行います。
 表紙を用いて御説明します。まず、各条を追加するものが4製剤あります。再審査終了に伴い、「ニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎2価・鶏伝染性コリーザ(A・C型組換え融合抗原)混合(油性アジュバント加)不活化ワクチン」、「ニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎2価・鶏伝染性コリーザ(A・C型組換え融合抗原)・マイコプラズマ・ガリセプチカム感染症混合(油性アジュバント加)不活化ワクチン」、「ニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎2価・産卵低下症候群-1976・鶏伝染性コリーザ(A・C型組換え融合抗原)・マイコプラズマ・ガリセプチカム感染症混合(油性アジュバント加)不活化ワクチン」、「鶏大腸菌症生ワクチン(シード)」を追加することとし、それぞれの製剤について、定義、製法、各段階での試験法、貯法及び有効期間を規定しています。
 次に、各条の一部を改正するものが1製剤あります。製剤のシードロット化に伴い、既存の「ニューカッスル病・鶏伝染性気管支炎・鶏伝染性コリーザ(A・C型)・マイコプラズマ・ガリセプチカム感染症混合(油性アジュバント加)不活化ワクチン(シード)」を改正し、製法のうち一部の菌株の不活化の方法を変更し、一部の試験方法の削除等を行います。以上、御報告いたします。
○太田分科会長 ありがとうございました。動物用医薬品等部会長の山田委員から追加の御発言はありますでしょうか。
○山田委員 私からは特にございません。
○太田分科会長 ありがとうございました。それでは、委員の方々から、御意見、御質問等はありますか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただけたものとします。
 以上で本日の議題は全て終了しましたが、今回の薬事分科会全体を通じまして、御意見、御質問はございますか。
○事務局 事務局です。先ほど佐藤俊哉委員から御指摘のあった点について補足させていただきます。資料11のテゼスパイアにつきまして、佐藤委員から、添付文書上で最適使用推進ガイドラインに関する記載をするべきではないかという御指摘を頂きましたが、現在、記載が一応ありまして、資料の一番最後の添付文書の1ページの右上の所に、「最適使用推進ガイドライン対象品目」という記載をしています。このガイドラインを作っている品目については、共通してこういった記載をしていますので、この点を補足させていただきます。
 それからもう一点、医療現場への周知という意味では、最適使用推進ガイドラインが作成された品目は、保険診療で使用される場合には、通常、保険上の取扱いとして、ガイドラインに記載する内容に関連する事項を診療報酬明細書に記載することなど、そういう取扱いになることが多くありますので、そういった意味でも、保険診療下においては十分な認知がされていると思っています。いずれにしましても、御指摘を踏まえまして、周知の仕方については引き続き検討させていただければと思います。以上です。
○太田分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかに全体を通じて、何か御意見、御質問等がありましたら御発言いただければと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、最後に事務局から報告事項はありますか。
○事務局 次回の薬事分科会の開催日程につきましては、追って御連絡させていただきます。よろしくお願いします。
○太田分科会長 それでは、以上をもちまして、薬事分科会を閉会いたします。ありがとうございました。
( 了 )
備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

総務課 薬事審議会係 (内線2785)