中央社会保険医療協議会薬価算定組織 資料令和5年度第1回

日時

第1回:令和5年4月18日(火)

場所

オンライン開催

出席者

<委員>
第1回
前田愼委員長、小方賴昌委員、弦間昭彦委員、幸原伸夫委員、齋藤信也委員、下井辰徳委員、田﨑嘉一委員、深山治久委員、眞野成康委員、森山光彦委員、諸井雅男委員
池上博泰専門委員、小林一女専門委員、古田淳一専門委員
         
<事務局>
安川薬剤管理官 他

議題

新薬の薬価改定について
市場拡大再算定の要件該当性等について

 

議事

 
ドプテレット錠20mg
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「ドブテレット錠20mg」です。特に意見を伺う委員として、森山先生、諸井先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 特に事務局案どおりで問題ないと思います。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 事務局案で特に問題ないと思います。類似薬効比較方式を一治療薬価合わせにしているという点でも、それでいいと思います。
○薬価算定組織委員長
 それでは、他の委員から何か御意見があれば御発言をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 事務局か□□先生にお聞きしたいのですけれども、治験で60mgが投与された例数が63%なので、投与開始前の血小板数が40,000/μL未満の例数が約3分の2なんですけれども、ムルプレタを使っているときはこんなものですか。
○□□委員
 肝疾患でそこまで低いというのは、私は経験があまりないんですけれども、そんなものでしょうか。委員長がおっしゃるとおりかと思います。
○薬価算定組織委員長
 何となくこの患者割合について、本当に日常、リアルワールドでこの割合なのかなと思ったのですけれども、それで平均の恐らく一治療薬価を算出しているのですが、事務局から何か御意見ございますか。
○事務局
 今回、一治療薬価を合わせるに当たって臨床試験での使い方を加重平均して持ってきているところでございまして、実臨床と多少の乖離はあり得るのかなとは思うのですけれども、先生方からも御意見をいただきましたとおり、大体この程度ではないかなという感覚ではいるところでございます。
○薬価算定組織委員長
 分かりました。よろしいでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
オファコルカプセル50mg
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
「オファコルカプセル50mg」です。特に意見を伺う委員として、弦間先生、眞野先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 基本的にやはり一番問題となるのは有用性加算のところかと思いますけれども、「ハ」については今の国際的な状況で標準的治療になれるとは思うのですが、「ロ」についてはこれが類似薬に比して高い有効性、安全性というふうなことを示している試験ではないので、そこはちょっと無理があるのと、「イ」についてはやはり類似する薬は、適用が違うわけでありますけれども、存在しているということを踏まえて、事務局案でいいと思いました。
○薬価算定組織委員長
 それでは、□□先生いかがでしょうか。
○□□委員
 事務局案で妥当だと思います。今の□□先生の御指摘にも全く賛同するところです。
○薬価算定組織委員長
 それでは、その他の委員の先生からいかがでしょうか。
○□□委員
 この病気を私はよく存じ上げないのですが、患者数が7人と書いてありますが、この病気でその7人の方々が何年も生き長らえてというようなイメージなのでしょうか。それとも、毎年例えば少しずつ増えていくということなのでしょうか。
○事務局
 7人は現在存在している患者数と聞いています。この疾患は、これから先どの程度患者数が増えるか予測しづらい疾患と伺っておりまして、基本的には今いる患者の方に投与され続けると考えているところでございます。
○薬価算定組織委員長
 新たには発生しないという言い方は変ですけれども、それなりに何年かに1人は発生するくらいの疾患なのでしょうか。
○事務局
 申請者からは、10年に1人増えるか、増えないかというようなペースだと伺っております。
○薬価算定組織委員長
 なるほど、分かりました。
 それでは、いかがでしょうか。有用性加算5%と市場性加算10%になりますが、そもそも市場性加算20%がつくような品目は、例としてどういうものがあるんですか。事務局、いかがですか。
○事務局
 市場性加算20%が過去についた例としては、サレドカプセルがございますが、かなり特殊な背景を持ったお薬ということもありまして、なかなか参考にしづらいとは考えております。
○薬価算定組織委員長
 分かりました。
 小児加算も20%というのはほとんどつかないですか。これは、もともと7人しかいなくて、そのうち3人が小児だったということなのでしょうか。なかなか厳しい試験だと思うのですけれども、仕方ないですかね。もう少し多数例にやらないと小児加算10%というのはつかないということですかね。
○事務局
 ルール上は小児加算最大で20%までつくものでございますけれども、これまでの事例では最大でも15%までしか認めたことがございません。
 本疾病につきましてはかなり試験が難しいだろうということは重々承知をしているところではあるのですけれども、ほんの数例で10%というふうに認めてしまうのは、過去の例との整合もございますし、また、本剤は、小児加算と市場性加算の合わせての加算はしないというルールに当たりますので、小児加算5%と市場性加算10%で比べて、より高い市場性加算10%を適用しようと考えているところでございました。
○薬価算定組織委員長
 そういうことですね。分かりました。
 よろしいでしょうか。
 それでは、特に御意見もないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
ヴィアレブ配合持続皮下注
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「ヴィアレブ配合持続皮下注」です。特に意見を伺う委員として、幸原先生、田﨑先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 この製剤はパーキンソン病に対してはやはりドーパが一番今でも有効な薬なんですけれども、長期間使っているとオン、オフというか、時間によって2時間ほどで効果が切れてしまうということが起こるわけです。
 それに対して今、一番有効な方法はPEG、胃瘻をつくってそこから持続的に十二指腸にポンプでドーパを継続して送るという方法で、これはなかなか有効なんですけれども、その手技は煩雑だし、トラブルもしょっちゅう起こるし、侵襲が大きいですから、それに代わる方法としては皮下から持続でやるという意味ですごく期待されている薬です。そういう意味で新規性はすごく高いとは思いますので、有用性加算の10%というのはすごく妥当だろうと思います。
 論点になっているのは剤形間比ですが、これについて企業側から言っているエビリファイの筋注用と内服のものを持ってくるというのは、はっきり言ってこれは全く無理だと思いますので、適当な剤形間比がないというときに1とするというルールがあるんだったらそれに従うしかないかなというのは私もそう思います。英国の価格とも大体同じくらいになっていますから、1にしたことが大きな問題にはならないのかなというふうにも思います。
 ただ、英国はまだ未発売と書いてあるんですけれども、これは薬価がついているけれども未発売という意味なのでしょうか。それだけ聞いておきたいと思ったのですけれども、全体としては事務局の見解を支持します。賛成です。
○薬価算定組織委員長
 事務局、英国では価格はついているけれども未発売ということでよろしいのでしょうか。
○事務局
 企業から聞いている情報では、本剤と一緒に使う医療機器がございまして、そちらの手続の関係でまだ発売まで至っていないという状況だそうです。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
 それでは、□□先生いかがでしょうか。
○□□委員
 私も□□先生と全く同じ意見です。剤形間比については先ほど説明があったとおり、注腸するものと内服する液剤は、これは違うと考えて剤形間比1を採用するのは適当だと考えます。
 有用性加算についても、「ニ」については製剤工夫によるものであって、これ自体はリン酸化したドーパでございまして成分の違いということになりますので、「ニ」は当てはまらない。「ハ」は、非常にいい薬だということで、「ハ」は当てはまるということで、総合的には事務局案と一緒でございます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、委員の先生方からほかに意見があればお願いいたします。
 よろしいでしょうか。先ほどの剤形間比と補正加算のところで、剤形間比について、これはルール上1ということで、事務局、企業も理解しているということでよろしいのでしょうか。
○事務局
 本剤は剤形間比1を取った場合でも、外国価格、英国の1万3,721円と大きく変わらない値段もついてございますところから考えますと、企業としましても受け入れられる額だろうとは考えております。
○薬価算定組織委員長
 それでは、よろしいでしょうか。
 では、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
エンタイビオ皮下注108mgペン、エンタイビオ皮下注108mgシリンジ
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「エンタイビオ皮下注108mgペン、同皮下注108mgシリンジ」です。特に意見を伺う委員として、深山先生、山口先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 投与方法が少しでも変わることで、より多くの患者さんがよくなればいいかと思いますので、特に意見はありません。
○薬価算定組織委員長
 それでは、その他の委員から御意見があればお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 特に御意見もないようですので、それでは薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
オンボー点滴静注300mg、オンボー皮下注100mgオートインジェクター、オンボー皮下注100mgシリンジ
日時:令和5年4月18日(火)※企業陳述あり
 
○薬価算定組織委員長
 「オンボー点滴静注300mg、同皮下注100mgオートインジェクター、同皮下注100mgシリンジ」です。特に意見を伺う委員として、齋藤先生、森山先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
 なお、本件は企業の意見陳述がございます。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 有用性加算及び新薬創出等加算の考え方は、事務局案が妥当だと思います。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 私も、事務局案が全く妥当だと思います。特にステラーラ、スキリージという違う経路のバイオ製剤を含めて値段がほぼ横並びというのは、納得できる額かと思います。
 あとは、排便回数は数字として出るんですけれども、切迫感というのはちょっと難しいのかなという気がしておりまして、その点でも事務局案は妥当だと思います。
○薬価算定組織委員長
 それでは、委員の先生方からほかに意見があればお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 それでは、企業から意見の聴取を行いたいと思います。事務局は、企業を入室させてください。
(申請者入室)
○薬価算定組織委員長
 最初に、「オンボー点滴静注、オンボー皮下注」について御意見を5分以内で御説明をお願いいたします。なお、終了1分前にベルを1回、終了時にベルを2回鳴らします。続いて委員側から質問をさせていただきますので、御回答をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。
○申請者
 日本イーライリリーでございます。よろしくお願いします。
 2ページ目を御覧ください。
 オンボー点滴静注及び皮下注は、難治性の潰瘍性大腸炎(UC)に対するそれぞれ寛解導入療法及び維持療法を効能とするIL-23抗体製剤であり、世界に先駆け日本で承認されました。
 本薬につきましては、Bio/JAK製剤の不応例に対する有用性及び「便意切迫性」に対する有用性に基づき、加算を希望させていただいております。
 ここからは、□□□□□□□の□□先生のほうから説明いただきます。
 □□先生、よろしくお願いいたします。
○申請者(専門家)
 □□でございます。
 では、3ページ目を御覧ください。
 まず、2つの点を強調させていただきたいと思います。
 第1に、本薬はUCの治療薬として初めての抗IL-23p19の抗体製剤であります。
 第2に、難治性UCに対する治療選択肢というのは非常に広がってまいりましたけれども、依然としてBio/JAK阻害薬に対する不応例が存在することから、新たな治療選択肢、特に新しい作用機序の薬剤が必要とされているのが現状です。
 既存のBio/JAK製剤については、承認時の試験においてBio製剤の不応例が組み入れられてきていましたが、本剤は初めてJAK阻害薬を含めた異なる3つの作用機序の薬剤に対する不応例を第Ⅲ相試験に組み入れられたUCの治療薬になります。
 その試験結果を次のページでお示しいたします。4ページ目を御覧ください。
 本薬につきましてはグラフに示されておりますとおり、既存のBio/JAK製剤に不応のUC患者に対して導入期時期における臨床的寛解等有効性が確認されております。
 続いて5ページ目、こちらで3つ目の点として「便意切迫感に対する有用性」についてお示ししたいと思います。
 UC患者を対象とした国内調査におきまして「便意切迫感」というのは、よく言われる下痢、血便、腹痛といった代表的な症状以上に、実は最も多くのUC患者さんが改善を希望するとても重要な症状であるということが示されました。
 加えまして、排便回数や血便といったほかのUC症状が見られない患者さんですら、4割程度で「便意切迫感」を持っているということも新しく示されました。
 また、このような背景を基に米国消化器病学会のガイドラインにおきましては、治療目標として「便意切迫感」の改善を目指すべきという、この重要性が言及されております。
 このように、「便意切迫感」は重要な症状であるにもかかわらず、これまで既存のBio/JAK製剤で「便意切迫感」の特に重症度の改善が検証されて、薬事承認審査で評価された薬剤はこれまでございませんでした。
 6ページ目を御覧ください。
 こうした中で、本薬につきましては第Ⅲ相試験において、Numeric rating scale(NRS)というスコアを用いまして「便意切迫感」の重症度改善効果が評価され、こちらのグラフに示しているとおり、このNRSの減少や「便意切迫感」の寛解達成率に対してプラセボに対する効果が示され、その効果はBio/JAK不応例の患者でも示されております。
 本薬は「便意切迫感」の重症度改善が検証され、薬事承認審査で評価されて初めてのUC治療薬であり、この有効性に対するエビデンスがある強みはもちろんですけれども、これをきっかけに「便意切迫感」に対する認識が高まることも期待しております。
 私からの説明は以上となります。
○申請者
 □□先生、ありがとうございました。
 7ページ目、再度繰り返しになりますが、本薬はUC治療として初めてのIL-23抗体でJAK阻害剤を含めた3種の薬理作用の薬剤に対する不応例を第Ⅲ相試験に組み入れられて有効性が検証された初めての薬剤になります。
 加えて、「便意切迫感」に対して重症化改善が示された初めての薬剤であることから、有用性加算(Ⅱ)を要望させていただきます。
 以上、意見陳述になります。御清聴ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 それでは、委員の先生方から何か御意見があればお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 私は専門外なのですけれども、便意切迫感というのが非常に重要というのは分かるのですが、Numeric rating scaleでやって有意差は出ているんですけれども、Minimally Important Differenceと言うんでしょうか、何点動いたら臨床的に意味があるのかというような検討はされているのでしょうか。
○申請者(専門家)
 こちらに関しましては、別の研究で予備研究としてそういった患者さんが改善と感じたものがどれぐらいかということで、バリデーションのような試験が実は別で行われておりまして、その結果として3点以上の改善を臨床的な意味のある改善だろうということで、今回の試験でも3点を意味のある改善というふうに捉えております。
○□□委員
 ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 それでは、□□先生いかがでしょうか。
○□□委員
 教えてほしいのですが、便意切迫感が改善するという一番有意なファクターというのはどういう点になるんでしょうか。
 要するに、IL-23p19を使って何が改善されたので便意切迫感というのが軽くなるのか、それをちょっと教えていただければと思ったんですけれども。
○申請者(専門家)
 大変重要な御指摘ありがとうございます。
 これも正直、私もすごく興味がある部分ではありますけれども、便意切迫の機序に関しましてはもちろん炎症があるので炎症を取ることですね。そちらが非常に重要だということは言われているんですが、その他にも非常にたくさんの要因があるというふうに考えられています。
 例えば、線維化による直腸のコンプライアンスの低下であったり、もしくはこの炎症の経験による精神的な要因であったりとか、そういった意味でのファンクショナルな要因もかなり関与しているだろうというふうには言われております。
 そのために、もちろんこのお薬によって改善する大きな要因は炎症を取るところだというふうには思われますけれども、その他の要因に関しても複合的に関与している可能性はありますし、だからこそこのエビデンスがはっきり示されているということが非常に重要なのではないかと私としては考えております。
○□□委員
 もう一つお聞きしたいのですが、排便に関する神経系への影響がこのお薬を使うことによって何らかの影響をして切迫感がなくなるということはないんでしょうか。
 逆に、そうなるとほかの神経系への影響というのもないのかなと一瞬思ったので、いかがでしょうか。
○申請者(専門家)
 やはりそこに関しましては、IL-23、17といったような経路が主に阻害される経路になるわけですけれども、そこが神経系、特に末梢神経のことになってくると思うのですが、そこに関しての詳細なメカニズムというのは分かっていないというのが現状ではございます。
 その有害事象とか、そういった意味での新たなシグナルというのは全く出てきておりませんので、現時点では臨床的な意味のあるそういった他の意味での神経への影響ということは懸念する必要はさほどないのではないかと考えております。
○□□委員
 最後に申請者にお聞きしたいんですけれども、市場規模予測の数字ですね、1万1,800人というのは何を基にして出されたのか、見落としていたらすみませんが、教えてください。
○申請者
 既存のBio/JAK製剤が現在市販されておりまして、それらの物量から大体の患者数といいますか、新規患者数というものが予測されまして、それが年々伸びているという、その成長度合いから将来のBio/JAK全体の患者数を予測しまして、そのうち弊社のオンボーのほうが何%シェアを奪うかというところで、□□□□を予測しておりまして、そうしますと大体新規患者数としては3,000人強程度を見込んでおります。
 それで、1万人というのは皮下注の患者さんのほうだと思いますけれども、そちらは維持期の患者さんですので、その新規の患者さんが積み重なって大体1万人程度になるというモデルを組んで予測しております。
○□□委員
 ありがとうございました。私からは以上です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、どうぞ。
○□□委員
 大変重要なお薬の臨床試験結果を教えていただきましてありがとうございました。大変よく分かったのですけれども、2点御質問がございます。
 1点目は、今回御主張されていらっしゃる便意切迫感というところがNRSベースラインからの変化量と、あとは寛解達成率ということでNRSが0か1という頻度がどうであったかという御評価をされていたかと思うのですけれども、この便意切迫感の評価というのはどちらが主流で評価されているものなのか、まずその点に関して教えてください。
○申請者(専門家)
 そちらも非常に重要な御質問かと思いますけれども、現時点ではこの評価法が既に既存の確立したスタンダードというものは、実際はございません。本当にこれが重要だということが数年、国際的に言われてきて、今まさにこのミリキズマブとともに日本でも非常に認識が高まっているという状態ではございます。
 それで、NRSを用いたやはり重要なところは、個人によってこのつらさをどれぐらいに考えているかは主観によって非常に大きく違うだろう。ですから、個々の人の中で、NRSの数の中で改善を見ていくという意味で、やはりそこがこの試験でNRSを採用した意味であって、またユニークかつ恐らくこちらのほうが有用になっていくだろうというふうに専門家の多くは考えているのが現状でございます。
○□□委員
 もう一点お伺いしたいのは、今回類似薬効比較方式ということで、スキリージに対して今回類似薬だということで主張されているわけなのですけれども、そうしましたらスキリージに対してこのNRSベースラインからの変化量、もしくは寛解達成率に関して本剤のほうがより有効性というか、達成率、変化量が高いのだというような根拠はございますでしょうか。これが2点目でございます。
○申請者(専門家)
 スキリージに関しましては、もちろん直接比較ではそもそも行われておりませんので、どちらがと言うことは難しいかというふうには思います。
 また、スキリージに関してはまだ申請の段階まで至っておりませんので、最終的なデータもきちんと公表されている状況ではないかと思いますが、NRSにおける評価というのは行われておりません。
 ですので、そういった個々の患者さんの中での改善、効果をしっかり見たという意味では、現在開発中のレイトフェーズにあるものを含めてもこのお薬しかないというのが現状ですので、そういったところではどちらが優れてとは言えないんですが、エビデンスとしてしっかりした形で市場にという意味で言うと、やはりこのお薬のユニークさであり、長所ということが強調できるかなというふうに思います。
○□□委員
 ありがとうございます。よく分かりました。
○薬価算定組織委員長
 それでは、その他の委員からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 私も最後の□□委員の質問で、結局、類似薬にスキリージを選んでいるので、スキリージは恐らく治験がされてこれから同じ薬効なのでUCにも通ってくるというふうに考えますけれども、やはりその薬剤がもう既に値段がついていて今回類似薬として選ばれているので、その薬よりも優れているという点をやはり出していただかないと、この薬に対して、より高いお金をつけるというのは難しいんじゃないかと思っている次第ですけれども、今の□□先生のお話だと、スキリージと比較して明らかな優越性みたいなものはなかなか今の状態では難しいというお話でよろしいですよね。
○□□委員
 プラセボでもこれだけ改善しているというのはどういうふうに見るのかなというのはちょっと思ったのですが、それは聞かなかったんですけれども。
○薬価算定組織委員長
 まだ企業の方はいらっしゃいますので、お聞きしたいと思います。
○申請者(専門家)
 先ほども私は申し上げましたけれども、確かに便意切迫感というのは患者さんの不安の元になる非常に重要な症状でありまして、それがゆえにプラセボ効果は出得る症状ということの想定はある程度できるかなと思いますけれども、そこに関しましてもやはり有意に改善が優れているというところは大きいんじゃないかと思います。
 あともう一つ付け加えさせていただけるんだとすると、その直接比較はないということは申し上げましたけれども、この領域には非常に多くのお薬があって、直接比較というのはほとんどの薬でされていない中で我々は実臨床で使っていく。
 そういったときに非常に重要視されるのが、例えば重症例に関してどんなお薬もいろいろ効くだろうという中でも、インフリキシマブとシクロスポリンだけが重症例にフォーカスした試験が行われて、エビデンスがあるからということで第1選択にされる。
 そういった中で、便意切迫感に関してエビデンスがあるということ、しっかりしたエビデンスがあるということは差別化としてはあるんじゃないかなということと、実臨床で使うに当たってはやはりそのエビデンスがあるということは重視できるんじゃないかなというふうに私自身は考えております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
それでは、その他の委員からいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 事務局、よろしいでしょうか。
○事務局
 事務局からは特にございません。
○薬価算定組織委員長
 それでは、これで企業の意見聴取を終了したいと思います。企業の方、御退室をお願いいたします。
(申請者退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、□□先生、企業の意見を踏まえ、御意見をお願いいたします。
○□□委員
 おっしゃるように直接比較は難しいので、今、企業と一緒に来られた先生がおっしゃっていたようにそれはちょっと酷なことかもしれませんけれども、一方で委員長が言われるようにやはり比べる類似薬に対して何か上乗せがあるというのをはっきり、それも企業の責任で示してくださらないと基本的につかないということでしょうから、そういうロジックで加算は難しいという判断でいいと思います。
○薬価算定組織委員長
 □□委員、いかがでしょうか。
○□□委員
 聞いたとおりで、やはり便意切迫感というものを改善するのは、どの因子を抑えるとか賦活するからというものが分からないと、炎症だけだとほかのバイオや抗体製剤はみんな炎症を抑えるので、これが特徴的だという理由になりにくいのかなと思うんですね。だから、やはり有用性加算とかは事務局案どおりでいいと思います。
○薬価算定組織委員長
 それでは、委員の先生方からほかに御意見があればお願いいたします。
 □□委員、いかがでしょうか。
○□□委員
 委員長のおっしゃるとおりで、やはり類似薬効比較方式なので仕方ないかなというふうに思いましたし、ちょっとハードなエンドポイント等もなかなか難しいところで御評価されているところかと思いました。事務局案に賛成です。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 企業の専門家として出席された□□先生のお話からは、学問的な便意というのは面白いと思いますし、今後、多分これが評価項目に入ってくるのかなという気はしましたけれども、現時点ではなかなかこれをエビデンスと言われても難しいかなというのが、私としての感想でございます。
 それでは、その他の委員からいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 事務局、特に御意見ございませんか。
○事務局
 事務局からはございません。
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
パリンジック皮下注2.5mg、パリンジック皮下注10mg、パリンジック皮下注20mg
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「パリンジック皮下注2.5mg、同皮下注10mg、同皮下注20mg」でございます。特に意見を伺う委員として、下井委員、眞野委員にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□委員、いかがでしょうか。
○□□委員
 事務局から御説明いただいた内容で概ね理解はしているところではございまして、有用性加算に関しては事務局の御指摘がよいのかなと思っておりました。
 ただ、一方で、バイオ医薬品とそうでない医薬品の薬価合わせというところ、類似薬の選定という部分、そこのところが少し珍しいなと思いまして、普通はバイオ医薬品のほうが高いでしょうから、あえてそうじゃないものを選んできているというところからすごく違和感を覚えて、原価計算方式の価格を教えていただいたというところになっています。
 それで、今回事務局の御指摘だと、企業が言う通常のバイオ医薬品でなく化成品というか、既存の薬剤のものというのも一定程度の妥当性があること、薬の作用部位も同じような酵素か、補酵素かみたいな点での類似薬の選定はそれなりに合理性があること、原則として類似薬効比較方式での算定が優先されるべきということでございました。一方で原価計算方式では駄目だと言えるほどに今回の類似薬を選定するのがいいのかどうかが、私には判断が難しく感じました。何となく企業が高い価格となるから類似薬効比較方式のほうで提出された可能性はどうか、とも思っております。どちらでも説明がつく場合に、安いほうを選択するというのは全然ありではないかと思ったのですが、その点に関して事務局の御意見はいかがでしょうか。
○事務局
 御指摘いただきましたとおり、類似薬効比較方式で計算すると、本剤につきましては有用性加算5%、それに加えて市場性加算で10%で、計15%の加算が乗りますが、原価計算方式で計算すると加算係数が0となるため、その分だけ差が出るものと考えており、原価計算方式に比べ、類似薬効比較方式のほうが、やや高い薬価がつくのではないかとは考えてございます。
 本剤につきましては、類似薬効比較方式が原価計算方式よりも優先されるという大原則があり、それに加えまして、企業のほうが、一般的に安くなるであろう化成品合わせを希望していること、それから本剤につきましてはフェニルケトン尿症というかなり患者数の限られている疾病でもございまして、希少疾病用医薬品であるというところも加味しまして、ある程度、算定においては評価をしてもよいのかなというふうに考えてございます。
 以上から、先生から御指摘いただいたとおり、どちらをという決め手があるところではないのですけれども、このお薬につきましてはある程度算定において評価をしてもよいものではないかと考えていたところもございまして、今回は企業の希望を尊重する形で、類似薬効比較方式(Ⅰ)での算定案を御提示させていただいたものでございます。
○□□委員
 疾病もかなり希少で、なかなか開発の部分は難しいというところも踏まえてという御意見で承知いたしました。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 今、□□先生が御指摘のところは、お話を伺っていてなるほどと思いました。確かに酵素と補酵素なので作用機序が違うということで加算をつけるということですけれども、当然ですが、構造は類似性がないということになりますので、そこの矛盾をどう解決するのだろうというところはお話を伺っていて少し混乱した感じはあります。
 希少疾病だということから少し幅広に捉えて今回加算をつけるという話も分からなくはないですけれども、それが今後の薬価算定に影響しかねないと聞いていて思いましたので、何かうまく整理がつくといいと思います。
 全体としては最初に回答したとおりで、事務局案が適当と思います。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 事務局、それでよろしいですか。
○事務局
 □□先生に御指摘いただきましたとおり、今回新規の作用機序で臨床的有用性があるというところを評価して加算はつけているけれども、一方で類似薬の選定に際しては似たような薬理作用も持っているだろうというところで一つの矛盾があるということを御指摘いただいているところではございます。
 本剤はフェニルケトン尿症という疾病も考えますと、その代謝におけるカスケードの全体の中で個々の作用する部位が違うというところでは一定の評価をしてもいいのかなと、治療の選択肢が増えるという意味では評価ができるのではないかと。
 ただ、一方でその治療をする上でのカスケードの中での影響ということを考えますと、結果的には同じところを目指しているというところもありまして、一定の類似性があるということでひとつ整理ができるのではないかとは考えてございます。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、よろしいですか。
○□□委員
 分かりました。ありがとうございました。
○薬価算定組織委員長
 それでは、その他の委員から御意見があれば御発言をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。今回、化成品とバイオの製品が横に並んだわけですけれども、こういうのは今回が特殊だということで多分よろしいのかなと思います。こういうことはあまりないのと、こういうのが普通になってしまうと逆パターンも出てくるのではないか。バイオのほうが一般的に高いのでということだったと思うのですけれども、何か普通に抗体製剤といわゆるちょっとブロードな分子標的薬みたいなものが並んでしまう可能性もあるかなということで、後々、こういう例がありましたというようなことを言われてしまうと痛いところを突かれるのかなという気はしますけれども、今回は、説明があったように疾患の特異性とかということを考えていって、これでお認めしていいのかなと個人的には思いますけれども、今の事務局からの説明で□□委員も□□委員も一応納得ということだと思いますが、特に御反対の委員はおりませんでしょうか。
 よろしいでしょうか。
○事務局
 事務局でございます。1点補足をさせていただければと思います。
 先生方から御指摘いただいていますとおり、基本的にバイオはバイオ、化成品は化成品で合わせるのが基本でございます。この原則と違う方法で算定した例としまして、JAK阻害薬のゼルヤンツが生物製剤のヒュミラ合わせの類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定をしているという事例がございました。
 ただ、JAK阻害薬とヒュミラですので、比べる理屈も一定程度あるだろうというところもございまして、当時はこちらで算定がなされたものかと思います。全く過去に例がないということではございませんけれども、御指摘のとおり、バイオ医薬品のほうが一般に高くなりますので、我々といたしましても企業の申請で希望のほうが化成品であって合わせる相手がバイオ医薬品というときには少し厳しい目で見ざるを得ないのかなというふうには考えてございます。補足でございました。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
ベスレミ皮下注250µg、ベスレミ皮下注500µgシリンジ
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「ベスレミ皮下注250μg、同皮下注500μgシリンジ」です。特に意見を伺う委員として、諸井先生、谷本先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 まず算定方式は原価計算方式でいいと思いますが、議論の論点となっております補正加算ですね。これは標準治療で効果不十分、または不適当な真性多血症患者に対して既にルキソリチニブという本剤と同じ効果・効能を有している薬が承認されているということで、こことの比較のエビデンス、あるいは審査報告書での記述が算定に重要であると思われます。
 臨床試験で直接比較したものがないということ、それから審査報告書で述べられているようですが、本剤とルキソリチニブの臨床での有用性を比較した場合になかなか明確に使い分けについての結論づけは困難という記載がございますし、これを踏まえてこの有用性加算はなしとすることが妥当であると思われます。
 それから、新薬創出等加算の該当性についても、同じように既に承認されている薬があるということ、これが臨床試験で直接比較の臨床試験がないということと、今、申しました現時点での比較、使い分けについて明確に結論づけが難しいということをもって該当しないとすることが妥当ではないかと思われます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、他の委員からほかに御意見があれば御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。ほかに御意見もないようですが、事務局案と今の□□先生のお話で有用性加算はなしということで、特に反対意見もないようですので、事務局はよろしいですね。特に意見はございませんね。
○事務局
 事務局からは特にございません。
○薬価算定組織委員長
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
アトガム点滴静注液250mg
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「アトガム点滴静注液250mg」です。特に意見を伺う委員として、深山委員、谷本委員にお願いしております。
 それでは、事務局から事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 有用性加算の「ハ」の③-bだと思うんですけれども、□□先生も同じことをコメントされているので、これは納得ができると思いますので、事務局案でよろしいと思います。
○薬価算定組織委員長
 それでは、その他の委員から御意見いかがでしょうか。
○□□委員
 「ハ」の③-bに関して1点教えていただきたく存じます。
 これまで海外の主要なガイドライン、メインとなるようなグレードシステム等にのっとったしっかりとしたガイドラインで記載されている第1推奨のものがあれば標準治療と位置づけられるというふうに評価されてきたところかと思いますけれども、今回に関しては日本のガイドラインで記載されていないから標準治療としては評価しないというような記載ぶりに読めております。
 それで、ここのところの今までとの齟齬があるのかなと思っていまして、例えばの話で、個々のエビデンスというか、データから考えると、海外ではそうは言っても実質的に標準治療となり得ない何かしらの理由があるとか、もしくは日本を優先するという、これまでに海外では推奨されている、具体的にはNCCNのガイドラインとかでがんにおいては第1推奨と書かれていたりすることもあるわけなのですけれども、そういうものが評価されてきた中でこれだけ評価されないというところにちょっと違和感を覚えておりまして、日本ですと保険適用になっていないとガイドライン上記載しないというようなスタンスのガイドラインもあったりしたものですから、そういうところの補足のためにも海外で推奨されているというところを評価してきたのかなと思っております。
 この齟齬というか、過去との整合性という点で御意見を教えていただけませんでしょうか。
○薬価算定組織委員長
 事務局、いかがですか。
○事務局
 御指摘のガイドラインの取扱いのところでございますけれども、基本的にガイドラインにつきましては日本のガイドライン、国内のガイドラインというものがまずは評価のポイントというふうに考えているところでございます。こちらにつきましては、当然国内の学会のガイドラインでございますので、本邦での医療環境、医療実態、これらを踏まえて作成されたもので、当該薬剤がどのような位置づけになるのかというのが客観的に示されていることを外形的に確認できるというところで判断基準にしているものでございます。
 ただ、一方で□□先生から御指摘がありましたとおり、当然上市されていない品目ですとか、上市されて間もない品目につきましては、なかなか保険適用との兼ね合いもあってガイドライン上に記載がなされていないことがあります。本邦でのガイドライン上に記載がなされていないというのは御指摘のとおりでございまして、特にこの③-bの評価については、課題があるものというふうに事務局としても認識をしているところでございます。
 海外のガイドラインにつきましては、海外での上市が早ければ当然載っているということもあり得ますし、メーカーさんのほうもそちらを集めて持ってきて加算を主張するということは往々にしてあるところでございます。
 御指摘いただいたとおり、かなりしっかりしたと言うと語弊がありますけれども、そのようなガイドラインであれば一定の評価は可能というふうに考えているところではございます。
 ただ、あくまでも日本においてどのような位置づけになるのかという観点も大事になってくるかとも考えてございまして、本剤につきましては海外のガイドラインにおきましては、本剤はウマ由来のATGでございますけれども、こちらが第1選択というふうに推奨がなされているものではございます。
 国内における診療ガイドラインにおきましては、このATGの選択につきましてウマ由来なのか、ウサギ由来なのかというところには言及がないところでございます。そちらの使い分けがいま一つはっきりしないということです。
 それから、背景情報になりますけれども、ウマ由来のATGにつきましては実は過去承認されたものがございまして、そちらは供給できなくなって一旦承認が整理されていたという背景もございまして、全く過去に物がなかったという状況でもなかったわけでございますので、日本におけるガイドラインの位置づけも少し曖昧な書き方になっているのかなということは推察するところではございますけれども、そこも踏まえまして海外のほうでは明確にウマと書かれていますが、日本においては使い分けがはっきりしないということもあり、今回は加算はつけられないと考えていたところでございます。いかがでしょうか。
○□□委員
 今の御指摘の中で、海外のガイドラインのクオリティーの評価が低いとか、そこに疑義があるというところが1点あったのかなと思うんですけれども、そこは正しいでしょうか。
○事務局
 海外のガイドラインにつきましては、当然先生からも御指摘いただきましたとおり、きちんと国際的に広く使われているものもあれば、一部の地域でのみ使われているようなものもございます。そういった中で何を拾ってくるのか、何を採用するのかというところでは、一律に海外のガイドラインに書いてあるからということで認めるのは難しいかなというふうには考えてございます。
○□□委員
 ドイツのガイドラインとか、しっかり出そうだなと個人的には思ったものですから、どういうものだったら採択してもよい、標準治療として位置づけられるというふうに考えてもいいというのが、すごく難しいところだなというふうにだけ今回は感じております。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
○事務局
 まさにこのガイドラインの取扱いというのは、度々論点になるところで、難しいところではあるのですが、新薬算定上の課題のあるところだと認識してございます。今後制度の見直しの際に検討させていただければというふうに考えてございます。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
 どうぞ、□□先生。
○□□委員
 □□先生の話も、私も専門の肺がんなどでいくと毎年改訂しているのですが、いっぱい多くの薬剤が開発されて、実はそのタイミングによって評価が変わった場合があって、これは一定のルールを決めるしかないなというふうに思ったこともありました。
 毎年変えているガイドラインでもそういったタイミングがあって、例えば何年かに1度というのはさすがに日本を優先すると問題となる場合もあると思いましたが、恐らくその辺りは考えていただいているかもしれないとは思っています。
○薬価算定組織委員長
 いかがでしょうか。なかなか海外のガイドラインの最新版と質を評価するというのはかなり難しいと思うんですけれども、事務局も恐らく難しいと思っていて、今後それをどういうふうに情報を得るかということなんだと思いますので、今回だからといってこれがどうかというのも私たちには判断ができないということなので、事務局から何か御意見ございますか。今後の課題という感じでしょうか。
○事務局
 まず御指摘いただいたとおり、ガイドラインの改定のタイミング等々もありまして、算定のタイミングに合わなかった品目というのも実際にございます。その上で、どのようにガイドラインへの記載というものを評価していくのかというのは大変難しいと我々も考えているところでございますので、その方法については検討させていただければと考えてございます。
 いずれにしましても、ガイドラインでの記載というところは外形的に判断できる一つの要素ではあるのかなとは思いまして、これをどのように評価していくのかというところは課題というふうに考えてございますので、また先生方にも御相談をさせていただきながらどのような考え方ができるかというのを検討していきたいと考えております。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは御意見もないようです。いろいろあるとは思うのですけれども、現時点ではガイドラインの評価自体がなかなか難しいということで、評価できないということは評価しないということにせざるを得ないかなとは思いますので、今回は課題を残したままですけれども、算定案をお認めさせていただくという方向にしたいと思います。
 それでは、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
アポハイドローション20%
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「アポハイドローション20%」です。特に意見を伺う委員として、田﨑先生、古田先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 まず、最初の最類似薬の選定についてですけれども、こちらは事務局から説明があったとおり、効能・効果はぴったりするものはないかもしれませんが、御説明のとおりで類似薬を選定してエクロックゲルにして算定するということでよろしいかと思っております。
 また、有用性加算については企業側の主張は理解できる部分もあるのですけれども、算定で加算をつけるほどのところではないということでよろしいかなと思います。
 また、製剤工夫についても類似薬効比較方式(Ⅰ)ということで、加算は該当しないということでいいと思います。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 まず、最類似薬をエクロックゲルとして算定するという考え方は妥当だと思います。原発性局所多汗症は腋窩と手掌で病態は同一ですので、外用剤の形態とか考えても妥当だと考えます。
 1点、事務局に考え方を確認したいのですけれども、腋窩と手掌というのはやはり病気は一緒でも腋窩のほうはいつもふやけていて皮膚が薄くてかぶれやすい。手のひらはかぶれにくい代わりに薬剤の吸収が悪いということで、やはり別の薬剤を開発するのは必要だろうと思いますし、腋窩と違って手は初ということで、それはそれで有用性があるのはそうなんだろうと思っています。
 ですから、そこを評価する必要があるのかということで、原発性の腋窩多汗症の外用薬としてエクロックゲルを収載するときに有用性加算がついていないのですけれども、これが塩化アルミニウム液外用とか、水道水イオントフォレーシスなどの既存療法があるから有用性加算に値しないということだったのでしょうか。そうなのであれば、今回手掌についても塩化アルミニウム液や水道水イオントフォレーシスがあるから、手掌だからといって有用性はつかないのですよというので整合性が取れるのかなと思ったのですが、簡潔に教えていただければありがたいです。
○薬価算定組織委員長
 事務局、いかがでしょうか。
○事務局
 まず、エクロックゲルの当時の算定につきまして御指摘をいただいたところでございます。エクロックゲルにつきましては、まず算定方法は、当時、最類似薬がないと判断されまして原価計算方式にて算定がなされております。当時、検討された比較薬として□□□□ですとか、□□□□□がございましたけれども、いずれも収載から10年以上前であったということでございまして、そちらは採用せずに原価計算方式で算定がなされたところでございます。
 その上で、原価計算方式で計算した薬価に有用性加算をつけるかどうかという論点でございますけれども、当時、申請者のほうは要件の「ハ 対象疾患・負傷の治療方法の改善」という点と、要件の「ニ 製剤工夫による高い医療上の有用性」ということを希望していたところでございます。
 ただ、こちらの評価につきましては、ボツリヌス毒素等々と比較して侵襲性が軽減されるということと、検査等が不要になるという理由で希望していたところでございますが、原発性腋窩多汗症の治療薬としまして第1選択で塩化アルミニウム外用療法というものがあること、または外用剤が基本治療とされていましてそもそも比較するべき治療法というのは侵襲性が低くて発汗部位の同定検査も不要であるというようなところもありました。
 また、多汗症の治療薬として、当時、飲み薬として抗コリン薬、プロパンテリン臭化物の内服薬も存在していたという状況がありまして、加算が認められなかったというところでございます。
 今、申し上げましたとおり、原発性局所多汗症診療ガイドラインにおきまして、外用での処置である塩化アルミニウム外用療法が第1選択であること、それから内用のお薬が存在していることを理由に加算を認めなかったというところでございます。
 当時の判断も参考にいたしまして、本剤のアポハイドローションについてガイドラインにおいては塩化アルミニウム外用療法が推奨されているということに加えまして、水道水イオントフォレーシス療法も推奨されていること、または原発性腋窩多汗症に対してはエクロックゲルなどの抗コリン薬と塩化アルミニウム外用療法というのは同じような位置づけで推奨がなされているところで、そこに差がないということにも言及いたしまして、今回は加算に当たらないと考えたところでございます。
 また、算定方式が類似薬は原価計算方式でございましたけれども、本剤は類似薬効比較方式であることを踏まえまして、まずエクロックゲルと比較してエクロックゲルを算定した額にさらに上乗せする必要があるかという観点が必要かと考えてございます。
 エクロックゲルでは加算が認めらなかったという中で、アポハイドローションについて加算を検討する場合には、エクロックにはないアポハイドの有用性というのを評価する必要があると考えておりますし、その差異につきましては腋窩か、手掌かというところになろうかと思います。
 申請者の主張を確認いたしましても、手掌用で初めてということを除いて、この差異に基づく加算の説明はなされていないと事務局としては捉えておりますので、当時、腋窩用で初のエクロックゲルのときには評価をしていない以上、本剤についても手掌用で初であるということのみを評価するのは難しいのではないかと今は考えているところでございます。
 以上でございます。
○□□委員
 よく理解いたしました。その考え方で妥当だと思いました。
○薬価算定組織委員長
 それでは、その他の委員の先生から御意見があれば御発言をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 ほかに意見がないようですので、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
コムレクス耳科用液1.5%
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「コムレクス耳科用液1.5%」です。特に意見を伺う委員として、小方先生、小林先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。□□先生、お願いいたします。
○□□委員
 最類似薬としてラスビック錠を選んで類似薬効比較方式で算定することは事務局案でよろしいのかなと思いますし、有用性加算に関しましては「ハ」の③-cはプラセボ対照試験であるということから有用性は認められないということは事務局案でいいと思うんですけれども、例えば薬剤上の工夫に関して溶解補助剤とかpHを工夫することで濃度が高まるということは有用性として認められないのでしょうか。それをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○薬価算定組織委員長
 事務局、いかがでしょうか。
○事務局
 御指摘いただきました製剤工夫というところでございますけれども、要は濃度を単に高めるだけですとか、高めるために少しpHを調整する、溶解補助剤を入れるといったようなものにつきましては、工夫の仕方としましてはかなり簡易な方法と考えてございまして、過去にこの要件で加算を認めた事例などと比べますと、その工夫の度合いというものがやや劣ると考えているところでございます。
 具体的には過去、認めた例といたしましては、2型糖尿病治療薬のリベルサス錠といったものでございまして、こちらは添加剤の工夫によりまして同一成分であるペプチドで経口投与が可能になったというところでございまして、同じような添加剤の工夫ではあるのですけれども、注射で今まで使われていた成分がこの添加剤を工夫することで経口投与ができるお薬になったということで、その侵襲性が著しく軽減もされているというところも評価して加算が認められた事例がございます。
 また、もう一つ、統合失調症の治療薬としてインヴェガ錠というものがございましたけれども、こちらもこれまで類似薬では効果が現れる用量まで数週間かけて増量するという投与方法であったのですが、このインヴェガ錠につきましては製剤上の工夫によって投与開始時から効果が現れる用量での治療を可能にしたというところで、治療方法の改善が認められるということで加算を認めた事例がございました。
 これらの例と並べてみますと、やはりその工夫の程度といいますか、得られるメリット、濃度が高くなるという結果についてはやや評価が劣るのではないかと事務局としては考えたところでございます。
○□□委員
 私は工夫の程度というよりも、効能・効果が上がったことが有用性加算につながるかなと思ったものですから質問させていただきました。ありがとうございます。
○薬価算定組織委員長
 それでは、□□先生いかがでしょうか。
○□□委員
 事務局の御説明は拝聴してよく理解できました。類似薬の選定とか算定方式については賛成いたしております。
 あとは効能・効果ですが、もともと中耳炎の抗菌薬への移行というのは非常に悪いということは先生方よく御存じだと思います。多くても2割くらいなので、局所でいかに抗菌薬の濃度を高くするかということが中耳炎の治療には大切なので、この新しい抗菌薬がこれまでのタリビットなどに比べてプラセボとの比較しかありませんけれども、菌の消失率が高かったということで有用性があるというふうに考えました。
 それで、あまり工夫とは認められないような今のお話だったのですけれども、多少でも局所の濃度が高くなるということは治療効果に非常に結びつくのではないかと思っています。経口薬でもなかなか中耳炎は移行しませんので、こういう局所治療薬は耳鼻科にとっては大切だと思っております。
○薬価算定組織委員長
 事務局、この辺はいかがでしょうか。先ほどから、この工夫はそんなに難しくないということなのでしょうけれども、結果としては局所の濃度が高くなって恐らく効果があるだろうと、現場ではかなり使われるのではないかというお話だったと思うのですが、いかがでしょうか。
 それでは、その他の先生から御意見はいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。事務局、今の御意見等を聞いても、やはり工夫としては加算の評価に当たるようなものではないということで御意見はよろしいですか。
○事務局
 □□先生からも御指摘をいただきましたところでございますけれども、特に外耳炎、中耳炎、こちらの治療の疾病領域ということを踏まえて本剤の製剤上の工夫というのがどれほど評価できるものなのかというところの価値判断になろうかとは考えてございます。
 一方で、本剤につきましては類似薬効比較方式で比較薬として持ってこられるものがラスビック錠75mg、経口のものですが、こちらしかないというところでございました。こちらに合わせて算定をしました結果、1,584.50円という価格がついているところも踏まえて、さらに上乗せする必要が出てくるかどうかがひとつの論点かと考えます。
 要は、ラスビック錠75mg由来の価格にさらに評価を追加する必要がある品目なのかどうか。また、点耳のお薬はほかにも存在している中で、本剤について点耳、直接局所に投与するということがどこまで評価できるのかというところの御評価になろうかと考えてございます。
 事務局といたしましては、やはり過去の事例等々を踏まえますと、少しその加算というところまでは難しいのではないかと考えているところではございます。疾病領域、また、その他の治療方法等々、全体の中でどのように評価すべきかということで御意見をいただければと思います。
○薬価算定組織委員長
 □□先生、いかがでしょうか。なかなか直接比較をしたデータではないので、濃度が高くなることは理論的にはいいかもしれないですけれども、本当にいいかどうかというエビデンスはまだなのかなというふうには思いますので、そのエビデンスがあればという感じかなと私は思うんですけれども、いかがでしようか。
○□□委員
 よく理解しております。
 ただ、中耳炎だと抗菌薬に移行が悪いということだけは御理解いただきまして、私たちは局所治療というのは非常によくしますので、中耳炎の場合は局所の洗浄などもして、その後、抗菌薬を点耳するというような治療をしておりますので、この新しい抗菌薬にはその点では期待しております。
○薬価算定組織委員長
 恐らく、現場ではかなり使われるようになるだろうということかと思います。
○□□委員
 そうですね。今まで出ていたお薬が非常に古いもので、もう10年、20年たっていますので、新しい抗菌薬としては期待されると思います。
○薬価算定組織委員長
 その他の委員からいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。事務局、いかがですか。耳鼻科領域では非常に貴重なお薬で、今後耳鼻科領域でかなり使われるようなると思うのですけれども、今回加算をつけるに当たっては、類似薬効比較方式での算定と言うことを踏まえると、恐らく使われた結果、本当に効いたかどうかというエビデンスまでは示されていないということがございますので、薬価をつける点においては加算はちょっと難しいかなというような感じかと私は思うのですけれども、事務局いかがですか。
○事務局
 事務局といたしましても、本剤がこの領域でかなり久しぶりのお薬ということは承知しておりますけれども、上市されるまでのスパンといいますか、そういった期間を評価する軸というものが薬価算定上においてはなかなかないというところもございますし、やはり加算という形で薬価に上乗せをするという意味ではそれなりに根拠が必要になるとも考えてございますので、本剤について加算までは難しいのではないかと考えております。
 ただ、一方で本剤につきましては経口薬との値段というところも合わせてございますので、今の価格でも一定程度の評価がなされているのではないかとも考えているところでございます。
○薬価算定組織委員長
 よろしいでしょうか。
 それでは、その他御意見がないようでしたら、薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
ネキソソブリッド外用ゲル5g
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「ネキソブリッド外用ゲル5g」です。特に意見を伺う委員として、小方先生、池上先生にお願いしております。
 事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局算定案に対する御意見をお願いいたします。□□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 事務局の説明はよく分かりました。本日の他の薬剤でも話題に出ましたように、ガイドラインに関して欧州のガイドラインでは標準治療として認められているけれども、日本のガイドラインでは記載されていないということで、そこが課題ということだと思います。その点をもし認めるのであれば違ってくるのかなと思いました。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、いかがでしょうか。
○□□委員
 事務局の説明で非常によく分かったと思うのですけれども、私もガイドラインを作成しているときに本邦で保険適用のないものは議論の俎上から外れるということが割と多いものですから、実際のガイドライン作成にあたっては、特に保険診療が認められていないものはどうしても外されます。内容からしてもこの製品は多分採用されれば標準治療として早々に当たると思ったものですから、一応そういうふうに書かせていただきました。
 ただ、今回は薬価算定での加算率が0%ですから、もし仮にこれを認めたとしても薬価の算定には寄与しないということもよく分かりましたので、特に事務局の説明に異存はありません。
○薬価算定組織委員長
 それでは、他の委員から御意見いかがでしょうか。今日、ガイドラインの取扱いについては議論になったと思うんですけれども、ガイドラインというのは学会がつくることが多いのですが、特に国が同じ基準でつくっているわけではないので、なかなか新規治療に関して入れるガイドライン、入れないガイドライン、あとはガイドラインの作成・改訂の頻度もかなりまちまちで、数年に1回しかつくられないものはなかなか新しい治療が入ってこないということもあります。
 ガイドラインというのは薬剤が発売されたとしてもリアルワールドで使ってからガイドラインに載るというものも結構あると思うんですね。ですので、薬価算定上の日本の発売されていない薬剤のガイドライン上の取扱いというのは少し考えたほうがいいのかなとは思いますけれども、今のところこの時点でどうしたらいいかというのは決められないと思いますので、事務局として課題になるかと思います。
 本案件に関しましてはいかがでしょうか。この扱いが決まっていない限り、恐らく今の□□先生の御意見は仕方ないという言い方はあれですけれども、お認めせざるを得ないかなという御意見だと思うんです。
 いかがでしょうか。事務局から何かございますか。
○事務局
 今回は欧州のガイドラインでというところもございますけれども、こちらをどのように評価するのかというのはやはり今の時点では難しいかなとも考えてございます。
 □□先生からも御指摘いただきましたけれども、本剤の算定につきましては既に5%の加算というのは認めているところでもございますし、5%にさらに10%、15%と上乗せしたところで、本剤の加算係数が0ですので算定薬価については影響がないということでございますので、先ほどから繰り返しで大変恐縮でございますけれども、この論点につきましては今後の課題ということで、薬価改定のルールの見直しの際に検討させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○薬価算定組織委員長
 それでは、ほかに御意見ございますでしょうか。
○薬剤管理官
 先ほど担当から話した内容に尽きるのですけれども、ガイドラインの取扱いは確かにごもっともで、一律に全部評価していいのかという話はあるにしても、現状の取扱いであれば海外のガイドラインをそのまま参考にはできません。
 ただ、国内ガイドラインだと収載のタイミングではまず記載されることはないということであれば、この有用性加算の規定がなかなか使われないところは我々も課題として認識しています。恐らく、次期改定に向けてということで薬価算定組織からの意見をこれからまとめることになると思いますので、その中でもしっかり言及いただいて、それを受けてどういうふうに判断するかということになります。
○薬価算定組織委員長
 ありがとうございます。
 □□先生、どうぞ。
○□□委員
 まさに本当にそのとおりで、特に整形外科で外科的な手術手技で使う薬剤の場合には、外される場合が多いですね。本剤も壊死組織の除去ということですよね。また例えばデュピュイトラン拘縮という索状物を酵素で融解していくというような治療、こういった外科的な治療も少し加わるようなケースで使うお薬は、保険適用されるまではガイドラインに記載されないことが多いということを付け加えておきます。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、御意見いかがでしょうか。
 □□委員、どうぞ。
○□□委員
 我々は製薬会社さんとの関連性というのは非常に厳しくチェックしていますね。つまり、米国や欧州のガイドラインにこの薬剤が載っていたとしても、この薬剤の作成に関連した医師がそのガイドラインに関係していた場合にはどのようになるのですか。それは全然問題なく、海外のガイドラインに載っているから問題ないんだよというふうにしてよろしいものなのでしょうか。それとも、やはり何か関連性があるということで外すべきなのでしょうか。そこはどうなのかなとちょっと思ったので。
○薬価算定組織委員長
 ガイドライン作成のときには、やはりそのガイドラインに載るような薬剤に関してのCOIは必ずガイドライン作成委員は出させられていると思うんです。一応そこで担保はされていると思うんですけれども、それは例えば海外のガイドラインを持ってくるに当たってのCOI関係がはっきりしているかどうかは分かりませんし、なかなかそこまで詳細に載せられるかどうかは分からないですけれども、もちろん必要なことだとは思います。
○□□委員
 有用性加算の5%というのは結構大きいと思うので、やはり慎重にこの問題は考えていったほうがいいのではないかと思いました。
○薬価算定組織委員長
 分かりました。
 事務局、よろしいでしょうか。ガイドラインを参考にするにも、そこに対するCOIをきちんと考慮するべきということだと思います。
○薬剤管理官
 この辺りの扱いはまさに先生方の今の御議論もそうですけれども、今後どうするかは検討の課題にはなるのですが、海外のガイドラインに記載されているからといって必ずしもそれが全て評価に値するというわけでもない。こういったCOIの関係とかもあるので、そういったことは海外のガイドラインも参考にしながらDPOでどのように判断するかというようなことを最終的に決めていくということが自然なのかなと思っていますが、運用面も含めてこれらは検討課題と認識しています。
○薬価算定組織委員長
 そのほか、御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、この案件に関しましては薬価算定組織としての意見をまとめていきたいと思います。算定概要における算定結果について、算定薬価、最類似薬、算定方式、補正加算等、いずれの項目においても事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
タリージェ錠2.5mg、タリージェ錠5mg、タリージェ錠10mg、タリージェ錠15mg
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「タリージェ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg、同錠15mg」及び「その他類似品」です。
 退室委員は森山委員です。
(森山委員退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局から事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、本日御出席の委員で御意見があれば御発言をお願いいたします。
 特によろしいでしょうか。特に御意見ないでしょうか。ルールどおりだと思うのですけれども、これは多くのジェネリック医薬品が出ているんですね。
○事務局
 今回、対象の類似品目につきまして後発品が発売されており、かなり量がかさんでおります。
 ただ、再算定をした薬価よりも既に令和5年4月の改定後薬価のほうが、後発品については低い薬価となってございますので、値段については現行の薬価と変動はないということになってございます。
○薬価算定組織委員長
 御意見はよろしいでしょうか。
 特別ないようですので、まず薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。資料の事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
エンレスト錠50mg、エンレスト錠100mg、エンレスト錠200mg
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「エンレスト錠50mg、同錠100mg、同錠200mg」です。事務局から、事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 本日御出席の委員で御意見があれば、御発言をお願いいたします。
 よろしいでしょうか。50mg錠に高血圧の適用がないですけれども、一緒にということだと思いますが、高血圧で使われている量がすごく多いのでしょうか。
 事務局、これは適応症ごとでどれくらい使われているかというのは分かるのですか。
○事務局
 こちらにつきましては額のみで判断をしてございまして、その内訳といいますか、疾病ごとに、効能ごとにどの程度使われているかというデータは持ち合わせていないところでございます。
○薬価算定組織委員長
 分からないですよね。
 ただ、恐らく□□とか考えていて350億を超えて売れているということは、この差額は結構高血圧症の適応によるものが大きいのでしょうかね。
 何か御意見ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 特に御意見ないようですので、それでは薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。資料の事務局の見解が適当ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。
 
 
ベージニオ錠50mg、ベージニオ錠100mg、ベージニオ錠150mg
日時:令和5年4月18日(火)
 
○薬価算定組織委員長
 「ベージニオ錠50mg、同錠100mg、同錠150mg」及び「その他類似品」です。
 退室委員は下井委員です。
(下井委員退室)
○薬価算定組織委員長
 それでは、事務局から事務局算定案について欠席委員の御意見も含め、簡単に説明をお願いいたします。
○事務局
(事務局より、薬価算定原案について説明。)
○薬価算定組織委員長
 それでは、御意見があればお願いいたします。
 これは、類似品には補正加算がつかないで、類似品のほうがより下がるという少し不思議な感じがするのですけれども、あとはこの類似品の市場規模□□億円とあるのですが、こういうのは高いほうが対象品目になるのですか、それともこれはもう薬価収載の時期が1年ずれていますので、もう既に何か行われているのですか。
○事務局
 まず今回の対象品となっているのがベージニオでございます。こちらはNDBのデータに基づいてその金額、350億円を超えたというところで対象になってございます。
 また、類似品の選定につきましては、薬理作用が類似しているという点が一つの要件になってございまして、類似品についてはその市場規模というのは特段勘案しないことになってございます。
 また、補正加算のところについても御指摘をいただきましたけれども、今回ベージニオは一定のデータが出されたということで5%認めてございますけれども、類似品につきましては根拠とできるデータが出てこなかったということで、加算率の適用は難しいと事務局としては考えているところでございます。現状ルールどおりに運用するとこのようになろうかと考えてございます。
○薬価算定組織委員長
 分かりました。ルールなので仕方がないかなと思いますけれども、何か御意見ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 特にないようですので、それでは薬価算定組織としての意見をまとめたいと思います。資料の事務局の見解が適当であるということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○薬価算定組織委員長
 それでは、算定案どおりといたします。当該企業が了承すれば、中医協に報告いたします。