第15回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)

日時

令和5年5月25日(木) 13:00~16:00

開催方法

WEB開催

議事

議事内容
○青木室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第15回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます、厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室の青木と申します。
 本日、辻井委員及び宮野委員より御欠席の連絡をいただいております。そのほかは全ての委員に御出席いただいております。
 参考人につきましては、時間の関係で御紹介は割愛させていただきますので、「参考資料2 委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。
 参考人の先生方におかれましては、御発表もしくは御発言時のみ画像をオンにしていただくようにお願い申し上げます。
 なお、5月1日付でがん・疾病対策課の課長として新たに西嶋が着任いたしましたが、本日、公務のため、欠席しております。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。議事次第、資料1から資料2、参考資料1から6までございますので御確認ください。
 また、本委員会はYouTubeにて配信をしておりますので、御承知おきください。
 事務局からは以上でございます。
 これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○中釜委員長 それでは、皆様、本日もよろしくお願いいたします。
 時間がありませんので、早速本日の議事に従って進めさせていただきたいと思います。
 では、議題1「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」、厚生労働省医政局研究開発政策課の医療イノベーション推進室より、資料1-1と資料1-2の説明をお願いいたします。
○市村室長 厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室長の市村です。
 本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
 それでは早速、資料1-1を御覧ください。
 今年度初の専門委員会となります。今年度からは、次第に記載してありますとおり、厚生労働省からの発表と準備室からの発表の二本立てとすることといたしました。
 それでは、次のページを御覧ください。
 全ゲノム解析等実行計画の推進、政府の方針などとなっております。こちらにつきましては、従来どおり、昨年度2022年度の骨太の方針においては、しっかりとした情報基盤を構築して、その利活用に係る環境を早急に整備するとされており、この骨太の方針にのっとって本プロジェクトを進めているところです。
 次のスライドを御覧ください。
 3ページ目、全ゲノム解析と実行計画2022の全体像となっております。全ゲノム解析等の推進によって目指す医療の姿としましては、質の高い情報基盤の構築を行いながら、解析結果の日常診療への導入、新たな個別化医療の実現、そして、蓄積されたデータを用いた研究・創薬等を通じて患者へしっかりと還元していくとともに、がん・難病等の克服を目指し、国民に質の高い医療を届けるというのが我々の目指す医療の姿であると考えております。
 次のページを御覧ください。
 全ゲノム解析等実行計画2022の概要となっております。令和4年度までの研究成果に関しましては、最終報告を現在作成中であります。次回の専門委員会にて報告をしていただく予定となっております。
 また、令和5年度から新たな研究体制で本格解析を現在継続しているところです。令和7年度中の事業実施組織発足に向けて、準備室が昨年度末にスタートいたしました。引き続き今年度も準備室が本格的に稼動いたしますので、今回は準備室について様々な点を御議論していただきたいと考えております。
 次のページ、5ページ目を御覧ください。
 全ゲノム解析等実行計画に係る事業実施組織の事業概要となっております。本事業の組織名称がまず決まっていないということがありまして、今後、準備室を中心としたPPI活動の一環として、事業実施組織の名称等も決定していっていただきたいと考えております。
 事業背景や事業目的、基本戦略については、実行計画2022に記載してあるとおりです。
 事業内容につきましては、右側に記載してありますとおり、6本の事業内容を想定しております。特に1)から3)が本プロジェクトにおける三本柱となる事業内容と考えております。1)は全ゲノム解析等の結果及び成果の速やかな患者還元支援、医療機関の体制整備等の支援やICTや技術を用いた患者支援を想定しております。2)は個別化医療の推進支援、これは臨床試験や治験等の支援をしていくことを想定しております。そして、3)質の高い情報基盤の構築と運用、こちらは戦略的なデータの収集とセキュアな管理をしながら、同時にAPIを用いた自動的な臨床情報の収集を行い、質の高い情報基盤を構築して、それをいかにうまくアカデミアや産業界の皆様に利活用していただくかというところで、迅速かつ公平で安全性の担保されたデータ等の共有システムの構築と利活用支援をしていきたいと考えております。また、4)患者市民参画の促進や5)ELSIの支援、6)の人材育成等の支援もしっかりと行っていきたいと考えております。
 次のページを御覧ください。
 これが事業実施組織のビジョンとなります。右下にあります戦略的なデータ蓄積を行いながら、質の高い情報基盤を構築し、そして、その情報基盤を研究・創薬等へ用いて利活用を促進することで、その成果を速やかに新たな個別化医療の推進として患者さんに届ける。そして、日常診療へ速やかに導入することで、患者還元と情報基盤の2つの大循環、この2つをしっかりと結びつけることが、国民へ質の高い医療を届けて、将来的ながん。難病等の克服を目指す好循環の実現となると考えております。
 では、この好循環の実現を具体的にどういった形で、どういった情報を用いて実現していくかといいますと、次のページを御覧ください。
 これからはビッグデータのコアとなるのが全ゲノム解析と考えております。この好循環を具体的に実現するためには、全ゲノム解析をコアとした情報の多層化が必要であり、その多層化した情報を用いて、出口を見据えた戦略的な応用研究であったり、日本国発の新規研究開発としての基礎研究であったり、そういった研究開発を進めることで情報基盤の構築をしっかり行いながら、また、同時に患者さんにしっかりと還元していきながら、最終的には国民へ質の高い医療を届け、将来的ながん・難病等の克服を目指していきたいと考えております。
 そして、こういった流れを実際に具体的にどのような形で進めていくかというのが次のスライドになります。
 具体的には、国民へ質の高い医療を届け、がん・難病等の克服を目指すためには、産学のコンソーシアムが中心となって創薬等の出口を見据えた戦略コホートの提案をして、それが最終的に創薬プロセス等の格段の加速・効率化につながると考えております。つまり、出来上がったデータベースを使ってくださいと言われても、戦略を持って構築されたものでない限りは速やかな利活用ができない、創薬プロセスの格段の加速・効率化に結びつかないという観点から、まずは産学コンソーシアムで創薬等の出口を見据えた戦略コホートをしっかりと提案していただいて、そして、その出口を見据えた基本戦略コホートをしっかりとつくった上で、医療機関のほうで臨床試験や治験未診断等の患者さんをしっかりと対象を絞り込んだ上で全ゲノム解析等を行って、質の高い情報基盤の構築を行って、事業実施組織を通してほかの様々なバイオバンク等と連携して、産学コンソーシアムが最終的に利活用して創薬プロセスを加速していっていただきたいと考えております。
 次のページを御覧ください。
 今年度のスケジュールについて御説明をいたします。
 本日が第15回の専門委員会となります。本日は、事業実施準備室のボードの承認、そして、リーダーの報告等を行わせていただきたいと思います。
 7月には次回の専門委員会を想定しておりまして、ここでは、先ほど申し上げましたとおり、令和4年度までのAMED研究班の最終報告を考えております。
 そして、8月にはAMED研究のサイトビジットとしまして、国民に開かれた研究成果報告会も行うこととしております。
 そして、年度末にかけて中間報告、最終報告という形で、昨年度と同様の回数で専門委員会の開催を想定しております。
 次のページを御覧ください。
 令和5年度の全ゲノム解析等の実施体制となります。昨年度末に承認をいただいたものとなっておりまして、案が取れた形になっております。全ゲノム解析等の推進に関する本専門委員会が最高意思決定機関として方針を決定し、それに基づいて事業実施組織発足に向けた体制整備を事業実施準備室がAMED研究班及び厚労科研班を取りまとめて推進していくという体制となっております。
 次のページを御覧ください。
 では、具体的にどういう形かといいますと、少し細かくしたものがこちらになります。専門委員会が一番上にあり、その下に準備室がございます。準備室の中にはボード(運営委員会)がありまして、専門的な助言を行うテクニカルアドバイザリーグループを設置する予定です。そして、事業部門には準備室長をはじめとする必要なチームを設置し、利活用審査委員会を設置していく予定となっております。
 それでは、このボードメンバーにつきまして本日承認をしていただきたいと思っており、メンバーの案を提案させていただきます。厚生労働省が準備室長である中釜先生と有識者ヒアリングの上、候補者を選定し、全ての第1候補者から快諾をいただきました。また、メンバーにつきましては現時点案ですので、今後追加になる可能性がございます。
 また、ボードメンバーの責務、役割等については、今後詳細を準備室で検討することとしておりまして、本日承認されましたら、6月早々には第1回のボードを開催したいと考えております。
 では、この後時間を設けまして、協議、承認のプロセスに進めさせていただきたいと思いますので、ここでは先に進めさせていただきます。
 準備室の運営方法は次のページを御覧ください。13ページです。
 先ほどのボードにつきましては、事業実施準備室の事業内容の決定・変更等に関する最終的な意思決定を行う役割を有していると考えております。そして、具体的な準備室の運営方針、重要な論点に関する方針を決定していくのが準備室の定例会議。そして、AMEDの研究案の進捗把握及び管理をするのが研究進捗会議。そして、各テーマの検討の推進を行うのが各チームの定例会議と考えております。
 今年度からAMEDの進捗会議管理につきましては、準備室内の研究進捗会議において月1でしっかりと行っていくこととしておりますので、昨年度まではAMED研究班の報告を本専門委員会で行っておりましたが、今年度以降は概要の報告にとどめて、AMEDの進捗管理は準備室のほうで行っていくこととしたいと思っております。
 次のページを御覧ください。
 14ページ目、昨年度はまだ暫定版でございましたが、AMED研究班の契約も済みましたので、今回確定版としていて提示させていただきたいと思います。がん領域におきましては、A班、B班、C班、特に昨年度からと変更はございません。
 具体的な採択された研究班の先生方の一覧が次の15ページになります。
 基本コホートチームが国がん中央の山本先生、患者還元の戦略コホートチームが国がんの角南先生、静がんの浦上先生、有明の上野先生となっております。また、分担医療機関につきましては一部増加となっていると考えております。
 B班につきましては、今後、コンソーシアム設置に際しまして協力いただきたいと考えております。
 C班につきましては、解析データセンター班として引き続き東京大学の井元先生が責任者となっております。
 次のページを御覧ください。
 難病のAMED研究班につきましても、今年度から新しい國土班となっております。こちらにつきましては、これまで分野別の割り振りになっていたところですけれども、全体で進めるということで、参加の先生方は一つの枠組みの中に記載されているということになっております。
 以上で資料1の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、資料1-2の説明に移らせていただきます。
 資料1-2を御覧ください。
 こちらは、昨年度末に提案させていただいた、全ゲノム解析と実行計画に係るコンソーシアムに求められる機能等についての資料となっております。こちらは、前回の専門委員会で先生方に御指摘いただいた部分を修正した修正案となっております。
 具体的には、まず水澤先生から御指摘のあった「参画」という表現を「参加」に修正してあります。
 また、「対価」という表現については「代わりに」という形で修正をしております。
 また、人材育成の部分につきまして、「5.人材育成」のところで「産学、アカデミアの参画を促進するため」という文言を追記しております。
 また、「2.機微情報・個人情報管理」のところにつきましては、上野先生に御指摘いただいた部分、つまり、企業・アカデミア等の参加組織の情報の保護の視点、そして、国民患者自身の機微情報・個人情報保護の視点から、全体的な修文をさせていただいております。
 こちらの修正案に基づきまして、昨年度発足した準備室の中の利活用推進チームの中にコンソーシアム発足支援委員会を設置しまして、その発足支援委員会の中でこの方針に基づいてコンソーシアムを今年度中に立ち上げていきたいと考えております。
 以上で資料1-2の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、まず資料1-1の7ページ目を御覧になりながら協議をしていただきたいと思います。
 本年度最初の専門委員会となりますので、本年度、国家プロジェクトとして全ゲノム解析等実行計画において特に注力すべき分野について、委員の先生方から忌憚のない意見を伺いたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 委員の先生方からぜひ御意見を伺えたらと思います。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。意見のある方は挙手のサインを送っていただければ、私のほうで指名させていただきます。
 では、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 中村です。
 今議論すべきなのは、ボードメンバーの承認なのか、内容についてなのか、どちらなのかはっきりさせていただきたいと思うのです。
○市村室長 
 今回、今年度初の専門委員会となりますので、まずは本プロジェクトで特に注力すべき分野について先生方からの意見を伺った後、ボードメンバーについての協議をしていただきたいと思いますので、まずは先生方がどういった分野に特に注力すべきお考えかというところの御意見を伺いたいと思います。いただいた御意見を基に、今後のプロジェクト、戦略を進めていきたいと考えております。予算確保を含めて考えていきたいと思いますので、ぜひ先生方の御意見をまず伺いたいと思います。その後にまた改めてボードメンバーについての御承認のプロセスに移らせていただきたいと思います。
○中村委員 では、ついでですのでよろしいでしょうか。
○中釜委員長 お願いいたします。
○中村委員 研究内容というか、このシステムをつくる上において、以前から言っていますように、どんな形で臨床データを集めてくるのかが、どんな形で患者さんに還元できるかのキーになると思います。情報の分野、特にAI技術というのが急速に進んでいますので、データベースとデータを使ったAI活用、あるいは患者さんに還元する段階でのAIの活用というのは切り離せない状況になってきています。どんなストラクチャーのデータベースをつくるかがどんな形で応用できるかに関わってきますので、そこはもっと議論を深めていっていいと思います。エキスパートパネルというのが必須な要件になっていますけれども、現在のようにChatGPTが対話型でいろいろなことができるような状況になってきて、しかも、文章を読み上げることが普通になってきたので、いろいろなQ&Aとか患者さんの説明に対して、本当に人工知能あるいは人工知能アバターを使ったシステムづくりというのが必要だと思います。令和7年から発足すると、今から2年間の間で大きな進歩があると思いますので、それを前提にした医療現場での活用を見据えた人工知能の開発とデータベースの構築というのは、やはり急いでやるべきだと思います。
 それから、もう一点は、2週間ほど前の『Nature』にも出ていましたけれども、膵臓がんに対してネオアンチゲン療法を追加した場合、免疫反応があると再発予防効果が高いのではないかということを示唆する論文が出ています。やはり全ゲノムの最も近い薬剤開発というか、患者さんに届ける方法としては、ネオアンチゲン療法が避けられないような状況になっておりますし、海外ではどんどん開発も進んでいますので、ネオアンチゲンをどう見つけてどう活用するのかということは、本当にゲノム解析そのものが活用される最も有用なものだと思いますので、ぜひもっとこの中で応用として推進していく方向を定めてもいいのではないかと思います。国際的にはネオアンチゲンをターゲットとしたT細胞療法などの開発も進んでいますので、やはり全ゲノムの最大の利点を生かす上での研究の推進というのは不可欠になってくると思います。
 もう一点追加で言いますと、ロングリードのシークエンスが調整費でついていましたけれども、その後の報告はありません。これは大切なので、そこをどう考えていくのか、技術論から含めて議論していただく必要があるのではないかと思います。
 取りあえず以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 まず私のほうから、情報の集め方やITのストラクチャーの環境につきましては、準備室の中でIT・情報基盤・セキュリティチームでIT環境の構築の議論を行っています。その元となる成果はAMEDの研究成果を利用しながら、どういうストラクチャーをつくっていくかということを準備室の中で積極的に議論していきたいと思います。それに合わせてデータ構築についても、患者還元の視点からどのようなデータをつくっていくのかということを、これまでの成果を基に議論していきたいと思います。
 それから、免疫療法を含めた新しい治療法開発については、準備室の中の臨床・患者還元支援チームの中で具体的に議論していくわけですが、これはAMEDの研究課題として立ち上げてもらうような働きかけなども恐らく準備室の役割かなと考えています。
 先ほど厚労省からロングリードを含めた新しい研究成果についての報告も説明がありましたけれども、月1回の月次のAMEDとの研究の内容を要約する形でこの専門委員会に報告させていただきたいと思います。恐らく次回にはある程度の成果、進捗が御説明できるかなと考えています。
 私からは以上です。
○市村室長 ありがとうございます。
 ほかの先生方もぜひ御意見をいただけたらと思います。
○中釜委員長 それでは、続きまして、天野委員、お願いいたします。
○天野委員 では、私から申し上げさせていただきます。
 特に重点的な項目ということについては、今、中村先生がおっしゃってくださったところに賛同するところでございますが、1点追加でお願いしたいのが、これ自体、この中にほかの図で出ていたいわゆるELSIであるとかPPIといった項目が全く抜け落ちてしまっていまして、恐らくそれは情報基盤と同時に、全ゲノム解析が広く進み、また、今後、患者や家族だけでなく、例えば予防医学などの面において、いわゆる健常な方も巻き込んだ形で進んでいくことが予想されていく中で、国民の理解というものは不可欠になってきますので、そういった意味で、どこかに基盤という点においてPPIもしくはELSIという言葉を入れておいていただきたいと思いました。
 以上です。
○中釜委員長 この点につきまして、厚労省からコメントはありますか。
○市村室長 ありがとうございます。
 患者報告アウトカム、いわゆるPROだとかウェアラブルな機器からの動的な生体情報の収集というのも、ある意味PPIの観点でも技術的なことは言えるのですが、御指摘のとおり、明確にPPI、ELSIの観点を追記できるようにしたいと思います。
○中釜委員長 よろしくお願いいたします。
 他はよろしいでしょうか。
 では、続きまして、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 松原です。お願いします。
 私は今出ている図のことについて少しお話ししたいと思います。
 今回は全ゲノム解析等実行計画ということで、一番真ん中に全ゲノム解析というのがあるわけですけれども、ここの丸が異様に小さいというのがすごく気になっております。周辺の例えばヘルスケアとかデジタルメディシンとか、そういった丸のほうがでっかいのです。全ゲノム解析そのものは、まだ技術的には完成されたものではありません。企業に外注してそれで終わりというものではないです。ウェアラブル技術革新、機器の革新も進んでおりますし、それから、今、特許で抑えられている部分も特許がそろそろ切れてきているということで、これからここの技術部分は非常に大きく変革してくるだろうと思います。そういった点で、今回はやはり全ゲノム解析が中心であるという一番の根本のところを示すためにも、真ん中の丸をもうちょっと大きく描いていただきたいというのが私の個人的な考えです。よろしくお願いします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 この点については工夫をしていただき、2次元ではなくて3次元で描くなど、いろいろな方法があると思いますので、御検討いただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 では、続きまして、葛西参考人、お願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
 私は2点ありまして、中村先生と同じところではあるのですが、図中にあるAI開発というのが、逆に言うとこれは一つのツールのようになってしまっているのです。医療機器・AI開発という。世界的には、ChatGPTもそうですけれども、先日Google I/Oもそうでしたが、今、情報基盤とAIが一緒になっています。AIにFHIRという医療の標準化コードを書いてくれと頼むと、AIがプログラミングしてくれるような状態なのです。なので、情報基盤とAIがまず一緒で、逆に言うと今、この事業ではAIの利用面というのは多様にあるのです。決して一部の例えば論文の検索だけとか自然言語処理だけということではなくて、全ての領域にAIが活用する可能性があるのに、どうしても医療機器とAIという厚労省でいうと科学課という領域の中で収まってしまっているような感じがします。なので、基本的には情報基盤、むしろ情報基盤・AIでいいはずですし、AIというのは開発だけではなくて、AIのサービスを活用するという方法もありますから、御検討いただければと。
 それから、もう一つが右側の応用研究という矢印なのですが、研究、研究と、私も研究機関で研究員をやっていますので、研究はもちろん大事です。ただ、この事業は社会実装が必ず前提になっていると思うのです。患者還元と社会実装が前提になっている。そうすると、右側に出口を見据えた戦略的研究というのはエクスキューズが多いというか、出口を見据えて応用的に研究をするというと目的がはっきりしないと思います。これは企業参加いただくような企業さんも含めて、ちゃんと社会実装に資するようなものを作ってくださいというメッセージが強調される必要があるのではないかなというのが一つ気になりました。
 あと、テクニカルなことだけで言うと、実はぜひやってもらいたいなというのは、患者還元とか基礎研究とか応用研究、情報基盤に中のデジタルソースから矢印がたくさん伸びているのですが、ここは全てAPIというもの、インターフェース技術を使うのですけれども、例えばウェアラブルのインターフェース技術と患者報告のアウトカムのインターフェース技術では全く違う技術を使います。なので、基本的にそういったAPIの開発というのはすごく負担が大きくて大変な作業なので、そういったものにちゃんと注力できるように研究資源が今、割かれていないです。エフォートも割かれていないです。なので、そこは少し重点的にAIとAPIの開発、いわば標準化というこの2つにエフォートを割く必要があるのではないかなというのが一つ、私はエンジニアなのでそういう意見を出しました。
 以上でございます。
○中釜委員長 有用な御指摘ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、森正樹委員、お願いいたします。
○森(正)委員 ありがとうございます。
 先ほど中村先生が客観的なお立場から意見を述べられましたので、私が考えることを申し上げたいと思います。
 今、この図にあるように、真ん中の丸と、それから、周りに8つの丸がありますけれども、これは現在考えられるほぼ全てのことがここに書かれている。大事なことが書かれているように思います。左上の丸の2つは診断・創薬、新規治療法ということですけれども、全ゲノム解析によって例えば診断のところは何ができるか、新規治療法としてどういうところか。先ほど中村先生はネオアンチゲンが非常に大事だとおっしゃいましたけれども、私ももちろんアグリーなのですが、ただ、ここは例えば何か重点的にテーマを絞るとした場合、それぞれ研究をやっている先生方は自分のところが一番大事だという気持ちでやっておられる方が多いと思うのです。そうすると、それをやはり客観的にある程度の優先順位をつけるという作業をしないと、多くの人がこの順位にほぼアグリーできますというような形のことを考えないといけないかなと思います。
 ですので、あれもこれもできるというわけでは多分ないだろうと思いますし、それから、世界的な動向の中で日本としての立ち位置が示せるようなプロジェクトがあれば、それを積極的に推し進める。日本オリジナルという観点から言えば、例えば坂口志文先生のTregを使ったようなTregに対するものとか、そういうものというのも非常に重要ではないかと思います。ですので、いろいろなアイデア、研究テーマがあると思いますけれども、とにかくそれぞれやっている人はそれが一番ということになるのですけれども、私たちとしては、この中でまずは一般的なことをやりながら、重点的にはここをやろうという優先順位を決めるということは非常に重要だろうと思いますので、そういう機会を持っていただければなと思います。
 それから、もちろん診断のところでは、全ゲノムから例えばmRNAあるいはエクソソームというところまで行けるかどうか分かりませんけれども、そういったところというのは外せないところだろうと思います。一方で、ここに絡むことか分かりませんけれども、一番左側に基礎研究とありますので、今回のCOVID-19でも一般的に広く知られるようになったのは、ウイルスが増えていくときにどんどん変異していく。このことはすなわちがん細胞にも当然同様のことが考えられるだろうと思いますので、そうしますと、そこには数理解析といいますか、数学的なアプローチというのは必要ですし、その都度その都度、例えばネオアンチゲンを見つけていくのかとか、あるいは最初のものを見つければそこから想定されるネオアンチゲンが世代を経て予想されるかどうかとか、そういう研究というのも非常に重要ではないかなと思いますので、いずれにしましても研究テーマというのを、まずは全ゲノムをやって、それから患者さんに返して、新しい診断治療の方向性を探るということですけれども、その中でまた重点的にということであれば、その重点的にやる領域というのはここでぽっと出して決めるようなものではなくて、かなり熱心な議論が必要ではないかなと思いました。
 以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
 1点追加すると、研究に関しては事業計画の推進に当たって準備室とAMEDとの相談を丁寧に進めながら、議論の推移においては専門委員会から御意見をいただくことも踏まえた上で優先順位をつけ、AMED及び厚労科研との連携を深めながら進めていくものだと理解します。御指摘ありがとうございました。
 ほかに御意見はございますか。
 先ほど栗原委員から手が挙がっていたと思うのですが、大丈夫ですか。
○栗原委員 ありがとうございます。
 この目指す未来というところとは関係ないので、また準備組織のほうで発言させていただければ結構です。
○中釜委員長 分かりました。
 ほかに御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 では、事務局。
○市村室長 難病領域の御発言がなかったような気がするのですけれども、水澤先生とか森幸子様とかいかがですか。
○水澤委員 ありがとうございます。
 細部の問題とか位置の問題は多少あるかもしれませんけれども、かなり項目的には網羅されているのかなとは思います。
 私は、今せっかく機会をいただいたのでもし申し上げるとすると、先ほど天野さんがおっしゃったことに近いのですけれども、これは患者さんというか病気のことのほうになりますけれども、この事業を進めるためには、一般の国民の方の理解が非常に重要だと思います。先月も日本医学会総会で難病の患者さんたちと話ができるチャンスがありましたけれども、やはり一般の方々の御理解がないとなかなか研究は進まないという状況だと思いますので、全体的なゲノムのリテラシーを上げるような工夫、努力も並行して進めたほうがいいと私も思っております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 森幸子委員、何か御発言はございますか。
○森(幸)委員 ありがとうございます。森です。
 先ほども天野委員がおっしゃったように、やはりELSIの部分ですとかPPIの部分は患者団体としても非常に大事だと思います。今、水澤先生もおっしゃいましたけれども、まだまだ患者団体にしても非常に温度差もありますし、また、疾病によって随分理解度も違うかと思います。また、社会の中において、やはり難病が与えているイメージといいますか、なかなか御理解いただけていないところが非常に多くて、またこういった全ゲノム解析のほうからどんどんいろいろなことが分かってきて、さらにそれが社会に向けて発信することができるようになっていくと、難病領域のイメージといいますか、難病そのものが持つ社会的な課題というのにも影響してくるなと思っているので、期待しております。特に患者さんたちが協力できるような体制になるように、コンソーシアムのほうにもありましたけれども、やはりしっかりとした啓発から私たちも努力していきたいと思いますので、この辺り、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございました。重要な御指摘と思います。
 ほかはよろしいでしょうか。
 では、事務局、お願いいたします。
○市村室長 ありがとうございます。
 そうしましたら、いただいた御意見を基に今後のプロジェクトをしっかりと進めさせていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、準備室のボードメンバーについて御承認をいただきたく、協議をお願いしたいと思います。
 資料1-1の12ページを御覧ください。
 こちらは準備室長である中釜先生をはじめとして、各分野の先生方を挙げさせていただいております。それぞれの先生方の背景等についての御説明は、時間の都合上割愛させていただきたいと思います。
 委員の先生方から何か御質問、御意見等はございますでしょうか。
○中釜委員長 では、まず最初に天野委員、お願いいたします。
○天野委員 ありがとうございました。
 まず、私個人としましては、ここに挙げていただいているボードメンバー、個々人の方々についてはそれぞれ貴重な知見をお持ちで全く問題ないと考えていますが、ただ、1点指摘を申し上げたいのは、前回中釜先生が準備室長に選任された際も同様の御意見があったかと思うのですけれども、多額の国費が入るプロジェクトでもありますし、また、恐らくこの準備室がそのまま実施組織そのものの横滑りになっていく面もあるかと思いますので、ここに挙げていただいている方々がどういった経緯で名前を挙げていただいているのかについて改めて御説明いただいたほうがよろしいかと思います。例えば厚生労働省が指名してこの専門委員会が承認するのか、あるいは準備室長である中釜先生が指名されていてこの専門委員会が承認するのか、その辺りのプロセスははっきりと一般の方にも見える形にしておいたほうが望ましいかと思いました。
 以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 では、この点について、厚労省、お願いいたします。
○市村室長 厚生労働省の市村です。
 先ほども本ボードメンバーの選出の過程については簡単に説明させていただきましたけれども、基本的には厚生労働省が準備室長である中釜先生と有識者のヒアリングを行った上で候補者を選定しました。そして、その第1候補者から連絡を厚労省が取らせていただいて、全ての第1候補者から快諾をしていただいたという経緯となっております。
○中釜委員長 あと1点、私の理解では、ボードメンバーは準備室としてのボードメンバーと理解しています。その点については。
○市村室長 ボードメンバーは準備室のボードメンバーですので、事業実施組織が発足した後にはまた新たに組織形態が変わりますので、ボードメンバーというのはまたその時点で再考する必要ありますので、今回のボードメンバーについては準備室のボードメンバーという形になります。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。
○天野委員 厚生労働省が選定されて、この専門委員会で承認するというプロセスだと理解しました。大丈夫です。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 ほかに。
 中村委員、お願いいたします。
○中村委員 今、天野委員が指摘された問題は非常に大事な問題だと思っています。結局、実施組織ができたときに、誰が最終的に一番上位で権限を持って進めていくのかということが曖昧なままではいけないと思います。今、準備段階なので、中釜先生をはじめ、私も両方併任しているような形になっていますけれども、最終的には誰がガバリングをやっていくのか不明です。ボードメンバーなのか、専門委員会なのかということはっきり定めた上で、最終的に専門委員会がガバリングの一番重要な役割をするのであれば、専門委員会の委員とボードメンバーの併任というのはあり得ないと思いますので、それも含めて、今、過渡期的で準備委員会だからこうなのだけれども、実際に発足したときに誰が最上位に来るののでしょうか。最上位の人間というか審判役が自分が相撲を取るというのはおかしなわけで、そこで線引きがされるべきだと思いますので、そこは厚労省のほうからもはっきりと誰がガバリングをつかさどっていくのかということも含めて言っていただけるほうがありがたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の御指摘に関して、厚労省、お願いします。
○市村室長 御指摘ありがとうございます。
 事業実施組織としての最高意思決定としてはこのボード、そして、専門委員会というのはあくまでも大所高所、政府としての方針を伝える、大きな方針を決めていただくのが専門委員会となりますので、組織の中で最終的な責任を負って最終的なディシジョンメイキングをしていただくのがこのボードという役割分担になると考えております。ですので、御指摘のとおり、法人がしっかりと発足した後には、専門委員会とボードメンバーというものの併任はできないものと考えております。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。
○中村委員 ちょっと引っかかるのが、結局、方針は決めるけれども、実行部隊のボードメンバーがそれに従わなかったら、どちらのほうが強い権限を持つのですか。
○中釜委員長 今の御指摘について。
○市村室長 一般的な回答になるかと思いますが、政府の方針に従わないボードがいた場合には、そのボードを政府の方針に従うボードメンバーに変更するというような形になると思うのですが、その辺りのボードメンバーの果たすべき役割、ボードメンバーの細かい要件、法人が設置された後のボードメンバーに求められる役割であったり、ボードメンバーがもし不適切だった場合の対応については、準備室で今後しっかりとルールを決めていくべきことだと考えております。
○中村委員 今の話はずっと税金で運営していく場合にはいいかもしれないですけれども、運営形態が決まっていません。公的なものからイギリスのように半官半民のようになったときに、誰が最終的な権限を持って運営していくのかということは、この場でやるのがふさわしいかどうか分かりませんので、ぜひどこかで議論しておいていただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございます。
 先ほど厚労省から説明がありましたけれども、非常に重要な点ですので、準備室と厚労省で議論をして、その辺りのルールづくりについても検討していきたいと思います。また、この専門委員会でも御審議いただきたいと考えています。
 今回、準備室のボードメンバーを決めるに当たって、先ほどご指摘された専門委員会メンバーとボードメンバーの重複は、当初、当然気にしていたのですけれども、現在はまだ準備室段階であるということで、ある程度の重複は厚労省にも了承いただき、このメンバーに決まったという経緯であります。
 よろしいでしょうか。
 それでは、葛西参与、お願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
 ここのボードメンバーの案について私は何もないのですけれども、その前のページです。今の議論の中で整理をしなければいけないことがあるなと思っていまして、まず現行法が今ここであるはずなのです。何でこのページの前の11ページ目の話をする必要があると思っているかというと、まず厚労科学審議会というのは、もともと厚生労働大臣の諮問に対応するように重要事項を決定する組織体のはずなのです。今の時点では、多分国費でやっている限り、厚生労働大臣の実行でやっているのか。例えば私が別に所属しているデータヘルス改革推進本部ですと、本部長は厚生労働大臣ですというような形になっています。この一番上のまず専門委員会というのは、少なくとも何らかの法律に基づいて設置されているはずです。その前提に立って、その専門委員会に対して報告を上げているということは、実は諮問の諮問をしていることになるのですね。事業実施組織準備室というのは一体全体では誰の指示系統なのかというと、本当は大臣なのかなみたいな気もするし。そうでなければ、厚生労働省でやっているのであれば課長なのか誰か。現行法に基づく整理はまず行政ですから、ちゃんとされたほうがいいのではないかなと。私はその辺真面目なほうで、例えば何らかの本部、いろいろな本部に所属したりするのですけれども、この本部は大臣に対しての助言をする参与なのだな、これは課長に対する参与なのだなと立場が結構違ったりするので、そういったところはまず前提に設定しなくてはいけないと思います。
 それから、もう一個が、今日御説明いただいたこのボードメンバーは、事業実施準備室ボードメンバーであれば事業実施準備室ボードメンバーと書かれたほうがいいですし、事業準備実施準備室が必ず事業実施組織のメンバーになるわけではまずないですというのを冒頭きちんと説明しないと混乱されるのではないかなと。私はそういう認識を持っています。その上で、事業実施準備という執行は誰のラインでやっているのかというのは、やはり明確にする必要があると思います。国費を使ったり、いろいろなお金を使うでしょうから。
 それから、もう一個は、事業実施準備室の中で、事業自治体を決めるときに、これはお金の組成にもよると思うのです。例えば特別民間法人で半分国費が入っていて半分例えば保険者さんが持っているような事業はたくさんありますので、そういった他の事業で事業実施組織というものがどういう類型で行われていると、一番全ゲノムの事業をするのに適切なのか。特別民間法人、民間法人、それから、もしかすると独法とか、そういう組織形態とファンドの在り方というものを先に整理していただかないと、ボードメンバーというのは何の役割なのかというのは分からないと思います。なので、基本的に法治国家ですから、まず現行法との整理をしていただかないと、多分皆さんあまりすっきりしないのではないかなというのが私の個人的感想です。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の御指摘点、主に3点、組織の法人形態についてもありました。この点について厚労省からお願いします。
○市村室長 厚生労働省の中でどのような形でこのプロジェクトを進めているかということに関しましては、厚生労働大臣の指示の下に設置された事務次官をヘッドとするゲノム医療推進チームが厚生労働省としての最終判断を行っております。それは今までの事業実行計画の最終的な策定の承認もそのチームで行っているというところとなっております。ですので、厚生労働省としては、そのチームが最終意思決定として働いているということになります。
 御指摘のとおり、本ボードメンバーについては準備室のボードメンバーということになります。
○中釜委員長 専門委員会の法的な根拠という御指摘に関してはどうですか。
○市村室長 専門委員会の法的な根拠は、厚生科学審議会の下の科学技術部会の中の専門委員会という設置になっていますので、御指摘のとおり、厚生労働大臣の諮問委員会という形になると理解しております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の回答でよろしいでしょうか。
○葛西参考人 それをちゃんと紙に書かれたほうがいいかなと。今見ていると、私は何となく厚生労働省の中にいるので、このゲノムのチームというのがあって、事務次官も含めていろいろ大変な思いされているのは承知しているのですけれども、そういう体系がやはり皆さんに伝わっていないので、厚生労働省内の意思決定はこういうチームでやっていますということを言わないと、厚生労働省が決めたというのは何だろうなとみんな思うのではないかなと思っただけです。
 以上です。今の説明を紙にされたほうがいいのではないでしょうかというあくまで助言です。私は参与ですから、助言です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 他にこのボードメンバーに関して御意見はございますでしょうか。
 栗原委員、一旦手を挙げられたようですけれども、この件ではなかったですか。
○栗原委員 何度もすみません。メンバーの件ではなくて、このメンバーが属することになる、設置される準備室組織のことでコメントをしようと思っていたことがありまして、後ではなく今コメントしてしまいます。、先ほど葛西さんのほうからもお話がありましたが、今回のボードが設置される事業実施準備室は、あくまでも、現時点ですとJHの中の一部門になると思いますので、ここ自体が何か法人格があるとか、機関として公的に存在しているわけではないと思いますので、それと最終的にできる実施組織との間で必ずしもイコールで移っていくわけではないということはおっしゃるとおりだと思いますし、そのときにボードが兼務できるできないというところは、事業実施準備室とは一線を画す問題だろうと思っています。
 ただ、いずれ実施組織に移行する準備室ができて、この段階でも、専門委員会が何の方針を伝えて何の報告をもらっていくのか、そして、実際の組織になったときに、同じようにどういう方針を伝え、どういう報告をもらっていくのかについては、我々、専門委員会としてきちんと決めていかなければいけないことだと思いますので、その辺をコメントさせていただきました。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。御指摘の点を踏まえて進めていくべきだと理解いたします。
 他にこのボードメンバーに関して御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 では、事務局、お願いします。
○市村室長 そうしましたら、特にボードメンバーにつきましては全会一致で御承認いただけたと判断いたしました。ありがとうございます。
 それでは、今後、ボードメンバーにつきましては必要に応じて追加も検討したいとは考えておりますので、またその際は再度専門委員会で承認をしていただきたいと考えております。
 それでは、中釜先生のほうに司会をまたお願いいたしたいと思います。
○中釜委員長 了解しました。
 それでは、今のボードメンバー以外で説明がありました資料1-1、1-2の説明につきまして、そのほかに何か御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
 よろしいでしょうか。既にいろいろ御意見をいただいていますので、またもし後ほどお気づきの点がありましたら御意見をください。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。
 議題2「全ゲノム解析等に係る事業実施準備室の検討状況等について」、これは事業実施準備室の青木先生より資料2、資料2-1、資料2-2、資料2-3等を用いて説明をお願いしたいと思います。
 では、青木先生、よろしくお願いいたします。
○青木参考人 よろしくお願いします。
 本年3月に事業実施準備室、通称JHと言っておりますが、医療連携研究推進本部に設置されまして、活動の準備が進められてまいりました。
 本日は、準備室としてプロジェクトの推進体制とプロジェクトのスケジュール、それから、利活用するに当たって重要な利活用ポリシー案等の作成の進捗状況について御報告させていただきます。
 次のスライドをお願いいたします。
 これが全ゲノム解析等に係る検討体制の全体像を示しております。
 マル1がこの専門委員会ということで、全体の最高意思決定機関ということは変わりません。
 その下にある点線で囲ってある四角のところが事業実施準備室となります。先ほど厚生労働省からの説明にもありましたが、マル2で書いてあるボード(運営委員会)がございます。ここのボードでは、専門委員会の方針に基づいて、アドバイザリーグループからの助言などを得ながら、全ての事業内容を決定・変更する最高意思決定の権限を有するということでございます。
 このテクニカルアドバイザーグループと申しますのは、専門的事項について適宜検討し、ボードに助言をするということでありまして、患者還元、ELSIなどのテーマごとに複数人を任命いたします。このグループが整うまでは、厚生労働科学研究班の専門ワーキンググループに助言を求めます。
 そして、実際に4と書いてあるところ、これが検討チームであります。参考資料の19ページにありますように、昨年度の専門委員会でお示ししましたように、準備室が発足当初はこの6つのチームで検討をまず開始するということになっておりまして、6つのチームが下に書いてあります。臨床・患者還元支援チーム、利活用支援チーム、解析データセンター運営チーム、IT・情報基盤・セキュリティチーム、ELSIチーム、総務チームであります。
 それで、令和7年度、事業実施組織が発足するときには、PPIは独立した部門になるということが決まっておりますが、チームの段階ではPPIはELSIチームの中で検討していただくということになっております。
 それから、ガバナンスに関連する部門も最終の令和7年度のときには独立しますけれども、このチームのときには総務チーム等で検討していただく形になっております。
 各チームは、厚生労働科学研究、AMED研究班とそれぞれ連携し、調査などをしていただきながら連携して検討を進めてまいります。厚生労働科学あるいはAMED研究班は、必要に応じて各種会議に参加して、プロジェクト進行に必要な意見交換などを実施するということになっております。
 次をお願いいたします。
 これは検討チーム体制の詳細を示しております。6つの検討チームで、臨床・患者関連支援チームはがん研究会有明病院の上野先生、利活用支援チームは国立がん研究センターの吉田先生、解析・データセンター運営チームは東京大学医科学研究所の井元先生がチームリーダーとなっていただく予定となっております。IT・情報基盤・セキュリティに関しましては、葛西参与あるいは中釜準備室長などがチーム体制について検討しているということでございます。ELSIに関しましては大阪大学の加藤先生、それから、総務に関しましては国立精神・神経医療研究センターの樋山部長がそれぞれチームリーダーを務めていただく予定になっております。
 各リーダーはチームでの検討状況を把握・管理しまして、種々の会議等で検討内容を報告していただくということになっております。
 次をお願いいたします。
 これが各会議の概要を示しています。先ほどの厚生労働省の資料でも示されたものでありますが、4つのフェーズに分かれていて、運営委員会では事業実施準備室の事業内容の決定・変更等に関する最終的な意思決定ということで、月1回程度行います。準備室長をはじめとするボードメンバーに参加していただくとともに、検討チームも必要に応じて参加いたします。
 準備室定例会議では、プロジェクト進捗状況の管理やプロジェクト運営上の重要な論点に関する方針決定を行います。週1回ほど行いまして、準備室長と各チームリーダー、副チームリーダーなどが参加いたします。
 研究進捗会議、これは主にがんと難病、AMED研究班の進捗の把握や管理についてで、月1回程度行いまして、準備室長、各チームリーダー、副リーダー、AMED研究班などが参加いたします。
 それから、各チームごとに定例会を行っていただくという立てつけになっております。
 次をお願いいたします。
 これはこのプロジェクトのスケジュール案を示したものです。前回の専門委員会で提示した活動スケジュールを、それぞれのチームごとに再構築してそれぞれを詳細化、具体化しているといったものであります。チーム別取組内容の縦に書いてあるところ、これが前回の専門委員会でお示ししたような検討内容となっております。
 臨床・患者還元支援では、データ・検体提供を担う医療機関の審査・承認の仕組みの構築や同意管理体制の構築、解析レポートのルール・基準の作成など。
 利活用支援チームでは、試験的な利活用の結果を整理する。あるいはユースケース実現に向けた必須要件の構築やユースケースの実現。そして、この利活用支援チームはコンソーシアムの構築という役割も担っております。コンソーシアムの事業計画や組織体制を策定する。あるいは外部組織との連携案を策定いたします。
 解析・データセンター運営チームは、解析・データセンターの構築や将来的な事業実施組織の移行に係る各種課題の件、業務内容の定義、人員規模の策定、品質管理体制の構築などを行います。
 IT・情報基盤・セキュリティは、事業実施組織全体のITインフラの基盤、あるいはセキュリティを担っていますが、システム全体あるいは個別システムの検討を行います。
 ELSIチームはELSI・PPIに関する事項を検討して、実行計画を策定します。
 総務で組織設計に関しましては、事業実施組織の目指す姿の策定や人員・予算の確保に向けた計画を行う。また、人材育成に関しましても、実行計画を策定いたします。
 事務局と書いたのは事務局機能のことでありますが、全体的に進捗状況を把握して、プロジェクトのマネジメントを行っております。
 次をお願いいたします。
 データ利活用推進の仕組みの構築に関しましてですが、データ利活用を行うに当たってはポリシーあるいは利活用審査委員会の設置ということが大変重要な課題となっておりまして、昨年度より検討してまいりました。現在、専門委員の先生方のコメントなどをいただいて、それに対応しているところであります。
 昨年度はデータ利活用ポリシーとデータシェアリングポリシーをそれぞれ別々につくるということでありましたが、これは一緒にしたほうが分かりやすいのではないかという複数の御意見をいただきまして、それらを一本化したデータ利活用ポリシーとして本日資料2-1として提示させていただいております。
 それから、データ利活用審査委員会設置・運用規程案を資料2-2として提示させていただいております。
 いただいた御指摘や御意見などは、それぞれ追記したり修正したりしているところでありますが、まだ現時点でこれで完成という状況ではございません。
 次のスライドをお願いいたします。
 まだ検討しなくてはいけないところがありまして、データ利活躍ポリシー案については、起始ポイントの設定、特に希少難病と希少がんについてどうするか。データの取得・管理・保存の役割分担やフローの整理をどうするか。公的データベースの登録についての手続、詳細をどうするか。データの利活用手続の運用プロセス・手順の策定についてどうするか。知的財産権に至っていない成果の帰属についてどうするか。それから、コンソーシアムの立てつけや利活用に係る会員費用、それから、利用料の設定。これらが課題となっております。
 さらには、恐らく専門家を交えた法的解釈が必要だろうと思われるものとしては、この全ゲノムの解析のデータの利活用承認をするわけですけれども、その権限の根拠についてどう整理するか。あるいは利用者がポリシーを違反した場合の対応措置についてどうするかなどがございます。
 データ利活用審査委員会の設置・運用規程案につきましては、運用プロセスや手順の作成が必要となります。
 それから、これまでデータの利活用のポリシーというのを作成してまいりましたが、検体についても必要ではないかという御意見もありまして、データと検体を一つのポリシーとするのか、別々ポリシーとしてつくるのか、ここら辺の検討が必要となってまいります。
 令和5年度は準備室の利活用支援チームが立ち上がり、活動しますので、引き続き利活用支援チームで検討していただきたいと思っております。チームリーダーの吉田先生は、大変お手数をおかけすると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、全ゲノム解析等実行計画のがん領域の説明文書用モデル文案の改定案について、ELSIのチームの横野先生より説明をお願いいたします。
○横野参考人 横野です。よろしくお願いいたします。
 改定案本文のほうは資料2-3になってございます。
 こちらのほうはクリアコピーになっておりまして、改定箇所がここからだけだと分かりづらいと思いますので、先ほどの資料の8ページに戻っていただけますでしょうか。
 青木先生の先ほどの御説明の中にもございましたが、検体の取扱いということについて、今後、ポリシー等を含めて具体化されるということですけれども、実行計画2022の中に検体について従来よりも方針が明確に記載されておりますので、そのことを踏まえて、ある程度の記載が必要と考え、現時点で記載できる範囲で資料の取扱いについて記載を追加いたしました。
 主な改定箇所はここにお示しした3か所です。
 1つ目は、全ゲノム解析等を用いた診療・研究開発という全体に関する説明の部分で、データだけではなく試料を御提供いただくということを改めて明記しました。さらに、試料とデータを一元的に管理し、様々な形で研究開発に利活用するということを記載しております。
 次に、資料2-3で言いますと4ページに当たりますが、試料・情報の取扱いということで、ここは基本的には、各医療機関ごとの試料の取扱いの実態に即した記載を主に書いていただくような箇所ではありますが、事業全体としての検体の利活用に関して、御提供いただいた試料の一部を多様な疾患に関する研究・創薬等の目的で利用させていただく場合、また、これらの目的で国内外の医療機関等に提供させていただく場合がありますということを記載しております。
 さらに、外部への提供に関しましては新たに項目を設けました。外部機関への試料の提供という8ページにある項目になります。試料の提供に関する具体的な手続については検討している段階ではありますが、データの場合と同様に試料の利用を希望する研究機関、医療機関、企業等には、研究計画を立案し、倫理審査委員会の承認を得るとともに、試料の利用を申請して利活用審査を受けることが求められます。また、審査により、適切な利用を行うと認められた場合にのみ試料が提供されますということを追記しております。
 また、ICF等に関連してお願いがございます。準備室の中での話ではあると思うのですが、厚労省も含めてぜひ共有いただきたいこととして、今、御紹介がありましたポリシーや規程類に関しましては、利活用が社会の信頼を得て行われるという点に直結する問題です。これから確定に向けて具体的な議論が進められていくと思いますが、ELSI・PPIの観点から見て適切な議論がなされているのか、社会から信頼を得ることができるような内容になっているのかという部分が非常に重要になってくると考えておりますので、ぜひELSIのチームに情報を共有いただいて、検討をさせていただければと思っております。また、具体的にそこでの検討については、必要に応じてこうした形でICFを含め患者さんへの情報提供にも反映していく必要がございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 では、続きまして、全ゲノム事業における情報システムの基本構成案について、葛西参与より説明をお願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
 資料を1枚めくっていただきまして、事業実施準備室のほうで検討している、これはまだ検討で、こういうデザインになるのではないかなというものにすぎませんので、これだけを見ると、システムの設計図というのはこういうふうに出来上がるのかと誤解されてしまうのですが、これから実際に事業実施組織が出来上がるに至って変わるところもありますし、さらに付け加わるところもあるなと感じています。あくまで昨年までのAMED研究の動向、それの報告を受けたものを一度整理した上で書いたシステムのデザインになります。
 その前提でお話を聞いていただければと思うのですが、まず主に5個データを扱う領域があります。
 まず、臨床情報を集めて管理する領域、Aです。これは電子カルテから自動的にデータを登録する。マル2のところがデータベースになるのですが、そこに臨床情報をためる領域があります。
 次に、検体を預かるバイオバンクであるとか、それから、検体の情報を管理している領域というのがBという上のほうの領域になります。
 次に、そこで検体の情報を受け取って、臨床情報と合わせて、かつその検体の結果からVCファイルが出たりして、今度はマッピングをして、QCを行って解析をするという領域がマル4になります。これが解析パイプラインで、これはいろいろなクラウドを使うわけなのですが、そのマル4を経た上でデータの提供になるのですけれども、提供の前に一つはエキスパートパネルのレポートを管理するところ、これがマル5のところにあります。これは臨床に返すところです。
 それともう一つが、患者情報としてリコンタクトであるとか、例えば遺伝カウンセリングにAIを活用するであるとか、そういった部分を含めた患者との接点になる領域がEという患者の情報領域になります。
 そして、産業コンソーシアムや企業にデータを提供する領域という大体5つの領域で構成されています。
 今、原則どこかのデータセンターを借りたり、どこにも建物も設置されていませんので、ほとんどが全部クラウド上に構成されています。ただ、昨今の技術動向を考えると、基本的に全部クラウド上、まずクラウドを前提に考えていいのではないかなというのが私の基本的な意見ではあるのですけれども、一つだけ、ゲノムデータは大きいので全部クラウドに載せ切らないところがあって、コールドで管理するところはストレージに入れて秘密分散で管理をするということになるのではないかなと思っています。
 もう一つ、例えば先ほど途中で私が説明したマル8にある患者ポータルのところで、例えば遺伝カウンセリングであるとか、イーコンセントでAIを使うとかというところを含めた、こういうAIというものを開発する領域というのはマル10に、これはまだ全く未着手なのですが、エキスパートパネルレポート向けに論文を検索するもよし、いろいろな領域でAIの利用の可能性がありますので、これはこれから必要になるかなというので今特出しにしています。
 基本的には井元先生の班がソフトウェアをやっていまして、私の班はどちらかというとインフラストラクチャーを見ているところになるのですが、そのインフラストラクチャーの一番ベースにあるのはセキュリティになるのですが、セキュリティはマル9というところにネットワークオペレーションセンター、もしくはセキュリティオペレーションセンターという、これはGenomics Englandであろうと他国であろうといろいろなところに必ず置いてあるのですけれども、監視をするような仕組みですね。システムの運用監視をするセンターがあるという構成になっています。
 システムのおのおのの名称は次のページを見ていただければと思うのですけれども、ページをめくりつつ見てもらうと思うのですが、まず一つ、電子カルテを今回使いますが、電子カルテ、それから、臨床情報を集めるEDCと言われる領域は、今、国を挙げて電子カルテの在り方を標準化しようという動向が一個動いております。そういったものにらみながら、どうやってETCに自動的に取り込むか。ここはHISM FHIRなどを使ってAPIで自動的に収集するということは必ず求められるのではないかなと思います。
 それから、もう一個、これは先ほどの利活用ポリシーにも影響が出てくるのですけれども、まず本人の情報の特定です。この事業で管理する患者さんのプロファイルであるとかデータを特定するときに、これは間違ったら大事件になりますので、そういった間違いがないようにするという情報管理の領域というのは必ず必要になります。臨床情報でまず取り出すときには、各医療機関の個別のIDが振ってあって、検体も今、IDの管理がまだ整然とされていませんので、一個を全部串刺しにするように、データ提供に至るまでIDの管理をするシステムというのがバックボーンで動いている。これがマル7にあります。データの利用管理というところがあります。
 解析システムは、実は去年の研究班でかなり井元先生の班で進めておりまして、クラウドの利用、クラウドはマルチクラウドを使っていて、どのクラウドを使うと一番パフォーマンスが速いかというものはかなり厳密に計測をしております。その結果で最適なクラウドのデザインの構成というのを決めた上で、かなりクラウドは都度都度使い方が変わるのですけれども、解析の仕方によってそこを使い分けるというのがまず解析システムの特徴になっているかなというところでございます。
 次のページなのですけれども、今後、まだまだ実はできていないところが山盛りありまして、最終的に何らかの形できちんと設計を終えて実装に至るところをして、そして、事業実施組織にお渡ししなければいけないと思っているのですが、似て非なるページが13ページ目にあります。
 ちょっとだけ変わっているところがありまして、まずマル1の電子カルテから収集するところ。この辺り、テンプレートを今多用して、FHIRでもFHIR Questionnairesという質問形式でデータを集める方法なのですが、そのパターンでやっているのですけれども、例えば電子処方箋も今、国を挙げてやっているのですが、電子カルテの回収とリポジトリにデータを収集するところでなかなか広まらなかったり、電子カルテの回収がうまく進まなかったり、課題が多くあります。なので、そういったところを検証しないと、まず今の段階でこのテンプレートがそのまま利用できるという状態にはないかな。
 それから、特徴的な問題点としては、先ほどはマル5だったのですが、マル6にあるエキスパートパネルレポートです。これが私自身は要件がまだちゃんと定まっていないと思います。その上で、エキスパートパネルレポートを作成する業務をアウトソースするのか、それともキュレーションをどこかでどういう人がどのようにキュレーションするのかということもまだ明確ではないので、マル6というのは実は業務要件がまだ定まっていない状態です。取りあえずシステムができるのだなということを書いてあるだけです。
 それから、もう一つがマル5、こちらはGenomics Englandは仮想ブラウザ、デスクトップを通してデータを提供しているわけなのですけれども、日本も同様な仕組みは結構あるのですが、この辺り、ゼロトラストセキュリティといういわば通常のデスクトップで使うセキュリティではなくて、データのデータ層ですね。ネットワーク層ではなくてデータ層を守る形をつくり上げないと、そのまま仮想ブラウザでブラウザ越しにデータを提供することはできなかったりするので、この辺りのセキュリティが優先されないとマル5がまだうまく稼動しないという問題があったりします。
 今のような問題をさらに細分化すると、次のページに出てくるのは、もう一個産業コンソーシアム側にデータを提供する形です。これは図がちょっと難しいのですけれども、左側がまず事業実施組織です。そして、データを提供すると、NDBとか日本の公的データベースは結構多いのですが、ただデータを渡されても、企業の方も研究者もデータのクレンジングであるとかデータのハンドリングの仕方が分からないということで、どこかでそのデータ自体を扱う、データ提供をハンドリングする企業が介在することが多いです。なので、そういったところというのは、場合によっては企業との間に入っていただいてデータ提供のサポートをする形になるのではないかなという想定で書いています。ただ、この辺りの要件も決まっていませんし、実際にもしかするとデータハンドリングを事業実施組織がやるという話になるかもしれないですし、産業コンソーシアムもやるかもしれない。この辺りはまだ明確ではないのですが、ここでもう一度例えば二次的な所見を出すであるとか、場合によってはオミックスのパイプラインを別に用意するであるとかという可能性があるのではないかなというところが別の領域であるということを記載しています。
 次のページ以降は、読んでいただいてもなかなか分かりにくいと思うのですが、テクニカルなことでかなり問題が多々ありまして、今のところ、例えばマル4の1症例のパイプラインは全部検証が終わっていませんので、1症例だけやってもしょうがなくて、40症例やっていかなければいけない。これは当然井元先生が進められるのではないかなと思うのですが、そういった課題であるとか、EDCの比較検証ですね。どういうEDCがいいのかということも考えなければいけなかったり、その次のページではネットワークですね。ネットワークを全部専用線で運用するというのは高いコストになってきますので、そういったところのネットワークをインターネットファーストでVPNで提供するという方法であるとか、それから、ややインテリジェンスなセキュリティ監視の仕組みが必要になるかなとか、マル9、マル10のところはAIの利用というのが全く未着手です。今のところ、想定される問題を全部羅列している段階です。当然これを一つのインフラストラクチャーのチームだけでやるというのはどう見ても不可能でございまして、いろいろな他の班、他のグループリーダーの方の協力を得ながらシステムを皆さんで作っていただくということになるのではないかなということで、私の場合は、どちらかというとそれを整理して、設計図に落とし込んで、何とかプロジェクトとしてシステム開発の事業がうまく進むようにコーディネートしていくところが仕事になるかなということで、一つのシステム設計の素案として今回御報告を申し上げる次第です。
 私は以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま説明いただきました資料2及び資料2-1から2-3につきまして、何か御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
 それではまず、天野委員、お願いいたします。
○天野委員 御説明ありがとうございました。
 葛西参与から御説明いただいたパートになるのですが、そもそもとしてこういったシステム全体を受注する組織というか企業といったものは既に決まっているのでしょうか。もし決まっていれば教えていただきたいと思いました。
○葛西参考人 まだまだ全然決まっていません。昨年、AMEDの研究班、今年も研究班はあられるのですが、研究班で研究事業として個々個別に協力いただいている企業はありますけれども、正式なこういった調達が行われているわけではございません。これからになります。
○天野委員 分かりました。ありがとうございます。
○中釜委員長 では、続きまして、安川参考人、お願いいたします。
○安川参考人 製薬協の安川でございます。
 前回まで当専門委員会には上野副会長が製薬協を代表して参加させていただいておりましたけれども、本日に製薬協の体制変更がございますので、今回から私が参考人を引き継がせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 また、先ほど事業実施準備室のボードにもご承認いただきましたので、その立場から幾つか質問をさせていただきます。
 資料の2ページでございますけれども、テクニカルアドバイザリーグループからボードのほうに1本だけ線が引いてありますけれども、今後はボードからこちらのテクニカルアドバイザーグループに対して調査や報告の依頼も想定されると思いますので、もしそうであれば線を双方向に引っ張っていただければと思っております。
 それから、7ページ目でございますが、利活用ポリシーの課題についてまとめていただきましてありがとうございます。詳細は今後利活用支援チームで検討が行われると理解しておりますけれども、以下の点について今後深掘りをしていただきたいと思っております。
 利活用ポリシーを拝見しますと、第5条の2で同意について書かれておりまして、非常に重要なことでございますけれども、今後作成されるデータベース上で各々の患者さんの同意の取得の有無や、同意がどのようなバージョンで行われたのかが登録されていると便利だと思います。
 同じく、5条の3では患者さんの同意の取下げについての記載がございますが、併せて変更という事態もあると思いますので、そのような場合には、患者さんの同意内容にどういう変更があったのかが分かるようにしていただくのがよろしいと思います。
 それから、第10条の8号には不適切な利活用という文言がございますが、これはどういうことが不適切なのかを例示していただくとよろしいかと思っております。
 最後に、利活用の料金の設定についてでございますけれども、産業界としては会社同士で相互利用するかもしれませんし、あるいはアカデミアの方々、その他の方々と共同研究をする場合もあるかと思っておりますので、この場合の料金の在り方も御検討いただけるとありがたいです。
 以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 今の御指摘の点、特に不適切な利活用についての具体的な例示等については、現状で何か検討されていることはありますか。
 これは青木先生、何かコメントはございますか。
○青木参考人 いえ、特にまだこういうケースの場合は不適切だろうというところまで深く検討しているわけでございませんので、実際にどういうもの不適切に当たるのだろうかということも検討して、例示できるようにしたいと思います。
 それから、最初のページのテクニカルアドバイザリーグループは、確かに専門的な助言を一方的に助言するわけではないと思いまして、ボードからの依頼があると思いますので、これは矢印が来るのではないかと思います。
 その認識でよろしいでしょうか。
○中釜委員長 今の回答で現時点でよろしいでしょうか。御指摘の点を検討しながら進めていただきたいと思います。
 続きまして、森正樹委員、お願いできますか。
○森(正)委員 ありがとうございます。
 葛西参与にお聞きしたいのですけれども、情報システムの基本構成を完成させていくというのは大変高度で難しい作業がたくさんあるのだなというのを改めて実感させていただきましたが、一番最初の電子カルテからのデータ収集なのですけれども、ここのところは、具体的には各病院の担当医師が必要な事項、要するに、病院にある、現在使っている電子カルテにもちろん画像も含めた情報が入っていると思いますが、それをそのまま使えるのか、あるいは何らかピックアップなりなんなりが必要になるのか。それで、もしピックアップして、決まった書式があって、それに入れ込んで送るのかというときに、もし改めてやり直してするというところであれば、それは各病院の担当する方がされるのか、あるいは素データを送ってシステムの中でやっていただけるのかとか、その辺はどんなふうになっているのでしょうか。
○葛西参考人 まず、標準的な項目であるとか、これはデジタルですね。デジタル面での標準化というものというのは、お示しは当然するのです。その上で、病院側が実装されている状態がまちまちでございまして、できれば私としては、今、主に使われている病院によっては、この絵で言うとデータウェアハウスを置いてあって、そのデータをウェアハウスから取ったほうが楽だという病院もあります。それは電子カルテに触らないので、病院側の負担はほぼないということになります。
 一方、データウェアハウスではなくて電子カルテから直にマル2のデータベースに取り込むとなると、現状でやはりテンプレートに入れなくてはいけないというパターンとバックエンドにAPIを直接つなぐ方法と一応2つあって、もう一つ、実は全世界ではFHIRファサードと言われる、テンプレートとはまた違うFHIRの標準的な技術があるのですが、これですと、結構スムーズにいくのではないかなと思うのですが、日本はどうしても電子カルテがガラパゴスでございまして、やはり電子カルテメーカーさんによっては内部情報を明かさないというのが実態でございます。なので、その場合、最も負担が少ない方法でデータを取り出すという方法を検証した上で、できるだけお手を煩わさないようにしたいなと。
 ただ1点だけ、FHIRでも標準化されていない領域がありまして、例えばHPOみたいな領域はもう一度HPO用のマッピングという整理をし直さなくてはいけなかったりするのです。そういったAPIの整理作業というのは、できれば医療機関でやるのは無理だろうなと私は考えていまして、どこか準備室側でその標準化作業というのをした上で、その標準のデータタグに合わせて、FHIRの場合はリソースと言うのですけれども、リソースに合わせて電子カルテから取り出すということになると思いますので、もう少し簡単な方法で収集できる方法というのをできるだけ考えたいと思います。基本情報とかペイシェントとかは大体一緒なので、これは自動的に入るのではないかなということで、領域によって違っているところが現状の状態です。
○森(正)委員 ありがとうございます。
 外科のほうは電子カルテと別に手術に関してナショナルクリニカルデータベースというものに入れるためにまた別途いろいろやっている。
○葛西参考人 テンプレート。
○森(正)委員 それで、電子カルテとの連結というのは一つ問題になっていると思うのですけれども、ですので、要は現場の医師が働き方改革もあって困らないようにしていただければ大変ありがたいなということで発言させていただきました。
○葛西参考人 最大限、国全体が実は電子カルテごとやはりモダナイズという標準化をしないと、標準電子カルテにしては無理だろうという意見もあるのですが、それは実はこの事業とは別ですので、併せてできるだけエンドエンドで負担がないようにやりたいと思います。全部手で入力するということはまずないかなと思っています。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 追加でコメントしますと、臨床情報の収集に関しては、今、AMEDの研究班でモデルとなる病院での収集システムを検証的に行いながら、課題等を抽出し、それを準備室チームの中で、検索までの成果を踏まえながら、自動化や、より簡便になるような方法を検討していただき、システムとして構築するという流れになるのかなと思いますので、御理解ください。
 それでは、続きまして、上野委員、お願いいたします。
○上野委員 利活用ポリシーに関しまして、資料2の7ページに関連して、1点質問とコメントなのですが、まず質問は、こちらに書いてある23条の知的財産権に至っていない成果の帰属についての検討というのが、問題意識がどういうところにあるのか説明していただければと思うのですが。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 これにつきましては。
○上野委員 登録に至っていないみたいな御趣旨なのですか。
○中釜委員長 御質問に関しては、横野参考人、お願いできますか。
○横野参考人 先ほどお伝えしたように、こちらの検討にはほぼ関与しておりません。申し訳ありません。
○中釜委員長 分かりました。
 では、青木先生。
○青木参考人 これはこういう質問があったということなのですけれども、まだ特許取得の段階に至っていなくても成果が出ているというような場合、その場合の帰属についてはどうするかということについても検討してほしいという趣旨の御質問がありましたので、これについても検討しようかと思っております。
○上野委員 理解いたしました。
 特許とか登録や出願に至っていなくても、これは知的財産権をそもそも定義したほうがいいのかもしれないですけれども、そういう未登録、未出願のものでも少なくとも広義の意味では知的財産権に入ると一般的には理解されていると思いますので、細かいことはさておき、その辺りも含めた知的財産権という意味であったり、あるいは概念、理解の法的制度を進めていただく方針ということでどうぞよろしくお願いいたします。
 というのが一点と、あともう一点コメントは、この利活用ポリシーの中に契約というのがところどころ言及されておりまして、例えば15条の中に承認がされたら契約書を作って署名して、各1通保有するみたいな微妙に細かいことも書いてあったり、あるいはほかですと23条にも知財に関して契約で定めるようなことが書いてありますし、24条4項で論文発表等の提出時期等について契約書で定めるとか、ところどころ言及されているのですけれども、こういった利活用者との間で締結する予定の契約書についても、いずれはテンプレートみたいな形でドラフトを持っていたほうがよいのだと思いますが、その検討を、完成するのは後の段階でいいと思うのですけれども、こういった契約書に利活用者との間に契約内容としてどういったことを定めるかということの骨子の検討を早めに始めていただくと、この資料の2ページの7に書いてあるような検討項目をより詰めて、具体的に議論していただくのに役に立つのではないかなと思います。骨子の中ではきっと利用者に何をさせてあげることができて、逆に何を守ってもらわなければいけなくて、違反したらどうしましょうというようなことも骨子の中に定めたり、それを検討することを通じてより見えてくる検討点というのが浮かび上がってくるので、その辺の作業もぜひ早めに並行して進めていただければと思います。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
 青木先生、よろしいでしょうか。
○青木参考人 ありがとうございます。上野先生には全般に立ってとても丁寧に見ていただきまして、今後ともどうぞよろしくお願いします。先ほどの契約の骨子ですかね。それについても検討を進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 続きまして、中村委員、お願いできますか。
○中村委員 この利活用ポリシーというのはすごく大事なのだと思いますけれども、結局、これが単独で動くものではなくて、要するに、企業側から見れば、どんな臨床データがどれだけあるのか、あるいは付随したオミックスデータがどうあるのかカップルすることで、恐らく利用できる範囲によっていろいろ制約もついてくると思います。そこを考えながらやっていかないと難しいなという気はしますし、使った場合、使ったデータのトレーサビリティーというのはどうなるのですか。まず1点目に聞いておきたいのはそれです。
○中釜委員長 では、今の御指摘について、青木参考人、お願いいたします。
○青木参考人 使ったデータのトレーサビリティーに関しては、まだそこまで議論はやっていないところでありますけれども、先ほどの不適切な事例ではありませんけれども、どんどんデータが流れていってしまうというのは困りますので、どこかできちんと見ておく必要があると思います。そこら辺も検討課題かと思います。
○中村委員 だから、どんなデータを使うかと同時に、やはり誰がどう使って、その後どうなったのかということをちゃんとシステムとして組み込んでいかないと、結局不適切かどうかも分からないままデータを使ってしまうということにもなるので、ぜひその点は配慮していただきたいと思います。
 それから、葛西さんにお伺いしたいのは10ページですけれども、私から見ると、コンフュージングなのが2番、Bですか。検査・検体情報というのは、一般的に病院でやる血液検査とか画像データとか病理検査というのは、みんな臨床情報のAのほうに入ってくると思うのですけれども、その検査という言葉の定義、これは研究としてゲノムを調べる、プロテオミクスを調べるという、オミックスとそれに付随する検体がBという理解でよろしいのでしょうか。
○葛西参考人 正確にはこの検査というのは単にそういうことではなくて、検査会社の分、検査会社から、衛生検査所からデータをもらっているので、衛生検査所の検査のシステムに対する要件も示すという意味です。なので、必要であれば検査会社、検体情報領域でも構わないのですが、検体情報は、今、私が知る限り、衛生検査場からもらっている検体の情報が今の去年までの計研究ですとまだ項目も定まっていない上に、IDも的確に整理されていなさそうなので、まだこれから議論されるぽいなと感じていますが、こういう領域が必要なのだなということを示しているにすぎない状態です。
○中村委員 恐らくこれから研究が進めば、いろいろなオミックス情報が検査会社だけではなくて大学とかでも、あるいは医療機関でも生み出されるので、そこはどういうものなのかという定義はここでは必要だと思います。
○葛西参考人 私自身は何となく承知していて、臨床情報以外に、検査会社は1つではないので、オミックスも含めて別の企業が参加する可能性はあるなとは意識していますが、今のところ、去年の研究をそのまま一旦整理した段階であるというだけでございます。承知しました。
○中村委員 これは同じ質問ですけれども、やはりデータ活用のところでどこから入ってくるか分からないですが、先ほど秘密分散とか言われましたけれども、やはりブロックチェーン方式で誰がどう使ったのかという管理をしていくというのはここには入っていないのですか。システムを構築するところだけなのですか。
○葛西参考人 いえ、私自身はデータ利用管理というマル7のところに一応データを、実はブロックチェーンも含めて、ブロックチェーンは実はゲノムデータのサムチェーンという技術ですとゲノムデータの喚起的なチェックができるのですけれども、サムチェーンは日本でまだなかなか実装しにくい状態なのです。エンジニアもいない。通常のブロックチェーンですと、臨床情報と遺伝子情報はブロックチェーンそのものは日本ではサイズが小さいものしか扱えないので、そのまま利用できないのですけれども、少なくともデータのり活用で誰にどの産業コンソーシアムのどの企業にデータを渡して、そのデータが改ざんされたりしていないかということを集中的に管理する仕組みというのはマル7に必ず必要だと思っていまして、そのことは表現しているつもりです。なので、ここでデータトレーサビリティーをしなければいけないということは意識しているところでございます。
○中村委員 どうもありがとうございました。
 3つ目の質問は、インフォームドコンセントを取る場合に、確かに書式はいいと思うのですけれども、患者さんや家族のリテラシーによってそこに書かれている文面が必ずしもすっと入っていくかどうか分からないと思うのです。先ほど言いましたけれども、ChatGPTでも質問の仕方によって答えが変わってくる。だから、聞く側のリテラシーに配慮して用語を使い分けるとか、これから人工知能が広がってくると可能になってくると思うのですけれども、紙に書いて説明したらいいというのではなくて、やはり新しい技術を用いて、より患者さんに分かりやすく、納得していただけるような説明の仕方というのを考えていただきたいと思います。これはコメントです。
 以上です。
○葛西参考人 承知しました。
 一応マル8のところに小さく人工知能を私なりにも書いていて、同じ意見です。
○中村委員 これはどちらかというと横野先生に対するお願いですので、よろしくお願いします。
 失礼します。
○中釜委員長 今の御指摘の点についても、各チームあるいはチームの連携において取り組んでいっていただければと思います。ありがとうございます。
 では、続きまして、先に神里委員ですか。
○神里委員 ありがとうございます。
 利活用ポリシーとICF、両方にまたがる点について2点コメントさせていただきます。
 1つ目は小さな話なのですけれども、両方とも研究計画の立案という言葉がところどころに出てまいります。これは研究ではなくて開発の場合もあると思いますので、そこは研究・開発計画とか、ちょっと工夫をしていただいたほうがよろしいかなと思います。
 もう一点が、例えばICFを拝見していて、診療や研究・創薬等に役立てるというフレーズだったり、医薬品や診断技術等の開発ということが出てきます。それで、診療や研究・創薬ということに対しては患者さんだとか国民の理解というのは得られやすいのですけれども、その「等」の中に何が入るかというのは結構大きい問題かなと思っていまして、先ほど冒頭のところで皆様御議論された、資料1-1の目指す未来の図の中にヘルスケアというのが入っていました。ヘルスケアは本当に幅広な概念だと思いますが、私が前にアンケート調査をしたときに、自分のゲノム情報を何に使っていいと思いますかという質問をすると、創薬だとかは高い支持を得るのですけれども、ヘルスケアになるとたちまち低くなります。ですので、やはりヘルスケアについても、どういうヘルスケアなのかというのはこの事業の信頼性維持のためにもすごく重要になってくると思いますので、利活用ポリシーの目的のところ、そして、それに伴って説明文書にも書き込んでいただくということになろうかと思いますが、その際には患者さん、国民がどういうことに利用してもよいと思っていて、何についてはあまり望まないかということも踏まえながら、社会との対話というのも通して利活用の目的の範囲を決めていただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 御指摘の点も踏まえて、文章をもう少しきちんと見直す必要があるかと思いますけれども、現時点で事務局のほうからありますか。あるいは、ポリシーの作成に関わりました青木先生からありますか。
○青木参考人 ありがとうございます。
 研究計画立案を計画・開発にすることに関しては、承知いたしました。
 また、目的の範囲をどのように設定するかも重要な課題だと思います。その後の全ゲノム解析事業全体に関わることかと思いますので、全体とほかのチームと連携しながらそこら辺も決めていって、最終的にはどういうふうな形で入れ込むか、Q&Aみたいにするのか、「等」の内容について、またそこを検討させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ヘルスケアの定義に関して、事務局、現時点で何かございますか。
○市村室長 厚生労働省のイノベ室の市村です。
 特に定義を厳密に決めているわけではないのですけれども、現状としては創薬とヘルスケアの間に隔たりがあるということであれば、創薬とヘルスケアを分けて同意を取るというのが一つ選択肢としてはあるかなというのと、あとは、今後、患者さんがどこまで自分のデータを使いたいかというのは、やはり患者さん自身が本当に判断できるような、例えば患者ポータル経由でいろいろなデータの使い方をしたいという企業からの申出があったときに、患者さん自身が適宜判断できるようなシステムであったり、とにかく患者さんが主体的に参加できるようなポータルサイトのようなものを構築できるような形で、ICT技術を用いて解決できる部分もあるかなと今は考えているというか、個人的な意見にもなりますけれども、考えているところです。御指摘としては配慮しながらやっていきたいと考えております。
○中釜委員長 現時点で今の答えでよろしいでしょうか。
○神里委員 ぜひきめ細かい対応を患者様が取れるような形で進めていただければと思います。ありがとうございます。
○中釜委員長 それでは、続きまして、栗原委員、お願いできますか。
○栗原委員 ありがとうございます。
 3点あります。まず資料2の2ページ目、3ページ目のところにもありますが、今は準備室になっていますが、いずれ実施組織になったとき、5にあります厚労科研あるいはAMEDの研究、これは今、国の予算でやっていますが、ここは将来的に実施組織ができたときに、その組織が研究という位置づけでやるのかどうかは分かりませんが、症例やデータを集めてくるのは実施組織の一つの機能になっていくと理解してよろしいのでしょうか。4ページ目に準備組織の月次の研究進捗会議がありますけれども、将来的に実施組織でこうした機能が担われるのではないかと思いましたので、そこを確認させていただきたいというのが1点目です。
 それから、2点目は資料2-2で、今回配られただけで説明はなかったのですけれども、ここに関して3つございます。
 一つは、利活用審査委員会というのは非常に重要な役割を果たすと思っていまして、その規程案が出ていますけれども、組織長が事業実施組織等に審査委員会を設置するとありまして、「等」とありますので、実施組織の中に審査委員会を設置するのか、それとも、外に第三者的に設置するというようなことまでお考えになっているのか、現時点での考え方を確認させていただきたい。私は、基本的に実施組織が利活用の主体といいますか機能を果たすわけなので、実施組織の中にある程度独立した審査委員会を設けると理解しております。
 それから、後ろのほうで、利活用審査委員会にぜひ求めたいこととして、一つは独立性、これは委員の人的な独立性も含めてということと、それから迅速性、この2つを確保するような形で利活用審査が進められるように設計していただきたいと思います。例えば審査が1年も待たされるようなことがないよう、この委員会を迅速に進めていただきたいと思います。
 独立性の観点で、第8条で審査意見への関与等が書いてありますが、審査委員になる人が申請機関とどう独立しているかというのもとても重要だと思いまして、したがって、従前申請機関にいた人あるいはプロジェクトに関わった人でないという独立性も必要ですし、逆に審査委員であった人がお辞めになってすぐに申請やデータを利活用するような企業に行くなどして、実質そこで情報がその方を通じて漏れるということをどの程度防ぐか。人的に防ぐか、あるいは守秘義務を課して遮断するかという、離れた後の制限も一つ議論になるのではないかと思いますので、その辺も考えていただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 4点ほど御意見をいただきました。まず研究との連携に関して、私からコメントをさせていただきます。現在、準備室において、AMEDの研究あるいは厚労科研の研究成果を基に、いかに事業組織として構築いけるかということをきちんと整理しながら、各チームで検討しています。この連携、活動をどこまで続けるかということですけれども、まず準備室の間は当然AMED研究は続きます。ただ、事業実施組織が立ち上がった後にこの研究成果あるいはその課題を研究としてどう落とし込めるかという意味では、AMEDあるいは厚労科研との連携は引き続き行うと思うのですけれども、位置づけをどうするか、いつまで続くかということに関しては、今後の議論を詰めていく必要があると思います。現時点での回答は以上ですが、厚労省から。
○市村室長 御指摘ありがとうございます。
 研究的な部分と事業的な部分というのは、今後、予算、背景も含めて整理していきたいと考えております。ただ、研究的要素というのは最終的にはゼロにはできないと考えております。つまり、最先端の研究を全ゲノムのベースでやっていくという必要があるという背景があります。先ほど松原先生のほうからも御指摘がありましたが、全ゲノムのその解析手法自体も現在どんどん進歩している状況ですので、研究という要素というのは今後もゼロにはできないと考えております。
○中釜委員長 先ほどのご質問は、その研究を実施組織の中でやるのかどうかということも含まれていたかと思うのですけれども、研究は事業実施組織の外で行うのか、必要なことに関しては事業実施組織の中で議論し、必要な研究をAMED研究あるいは他の研究として展開するのか、その辺りの連携をどうするかというふうに整理できるかなと思いますが、その辺りはどうですか。
○市村室長 それは、今まで御議論があったと思うのですが、事業実施組織自体に魅力がないと人が集まらないということもありますので、所属にかかわらず研究はできる。ただし、研究については公平性を担保しなくてはいけないので、しっかりとした審査委員会が必要と。そして、その審査委員会の議論にも結びつくところもあるのですが、事業実施組織内外の研究者の所属にかかわらず、公平にできるようなシステムを構築していきたいと考えております。
○中釜委員長 今のお答えでよろしいでしょうか。
 事業実施組織の中に所属していても、研究自体は外部からの申請と承認という形を踏んで行っていくというお答えと理解しましたが、そういう理解でよろしいですか。
○市村室長 厳密にはまだ決まっていないです。例えばインハウスの研究費を今後獲得するという可能性もゼロにはならないと思いますので、まさにそこは予算の観点からも引き続き検討していきたいとは思っております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 御指摘の点を踏まえて、今後も引き続き検討すべき課題と理解しました。ありがとうございます。
 それから、他の課題として独立性、迅速性、さらには守秘性の問題に関しても重要な問題と思いますので、その辺りを明確にしながら、利活用の仕組みをつくり込んでいく必要があると理解しました。それも合わせて準備室の中で検討させていただきたいと思いますが、そのお答えでよろしいでしょうか。
○青木参考人 青木から1点、先ほどの「等」の話なのですけれども、事業実施組織等と書いてある「等」は事業実施組織及び事業実施準備室のことでありまして、いずれも事業実施組織あるいは準備室の中に活用審査委員会をつくるということに関しましては同じでありまして、外につくるということは想定しておりません。「等」と入っているのは準備室が入っているので、「等」が入っているということになります。
○栗原委員 分かりました。ありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
 続きまして、葛西参考人、お願いいたします。
○葛西参考人 私は意見なのですけれども、ポリシーというか審査委員会についてなのですが、審査する内容に情報管理であったり、特にどちらかというと情報管理セキュリティ、いわゆる高度標的型攻撃とかではなくて、情報管理面のセキュリティに関しては書かれているのですけれども、そういった方がこの審査委員会の構成員に今いないように見えるのです。なので、やはり情報の取扱いということ、情報管理セキュリティに関して知識がある方を1人入れる必要があるのではないかなというのがまず一つ意見です。
 それともう一つがポリシーのほう、これは内部で検討していけばいいことなのか、準備室内で検討していけばいいことなのかもしれないのですが、別紙のほうにかなり細かな臨床情報からいろいろな検体、データインポート情報とか項目が書かれています。当然なのですが、多分変更されるところもあるなというのが、まずIDですね。IDとか、先ほど議論が出ていましたけれども、産業コンソーシアムやいろいろな方が利活用していくときに、利活用がどこにされているのかということを管理する必要があるはずで、その管理的なIDがどこにもないのです。情報がどこに行ったのかということを確認するための属性情報がどこにもないので、それは追加しなければいけないかなということが今の中で何となく気づいていますということでございます。
 そのほか、細かいのはいろいろあると思うので、それはまた準備室内でいろいろ検討が必要なのではないかなということだけ申し添えておきたいと思います。
 以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 利用者等のID管理に関して、現時点でどういう議論があるのか、青木先生、コメントはございますでしょうか。
○青木参考人 ありがとうございます。
 先ほどもトレーサビリティーの話があったと思うのですが、そこに関してはまだ議論が十分進んでいないところもありますので、別紙の内容なども含めて、管理IDなどに関しても準備室の中で議論していきたいと思います。どうもありがとうございます。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
 他に御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございました。
 それでは、以上で本日用意させていただきました資料に関しては御意見、御議論をいただきましたが、全体を通して御質問、御意見等、改めてございますでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、特にご意見はないようですので、今回の議論につきましてはおおむね合意いただいたと思います。もちろん色々な御意見をいただきましたので、御指摘点を踏まえながらさらに議論を深めていきたいと思いますが、必要な修正に関しては委員長預かりとさせていただき、微修正等につきましては先生方の御意見を反映させていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、以上で本委員会を終了したいと思います。
 追加の意見等がございましたら、適宜事務局までお寄せいただけばと思います。
 委員の皆様にはスムーズな議事進行に御協力いただき、ありがとうございました。
 それでは、事務局にお渡しいたします。
○青木室長補佐 次回の専門委員会の日程調整につきまして、事務担当より御連絡があるかと思いますので、専門委員の先生方におかれましては、御回答のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了したいと思います。ありがとうございました。