第40回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和5年3月17日(金)9:30~12:00

場所

厚生労働省人材開発統括官南側会議室(オンライン併用)

議題

(1)雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)求職者支援訓練の特例措置の今後の在り方について
(3)職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(4)独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構第5期中期目標について(報告)
(5)2022年度の年度目標の中間評価について
(6)令和5年度予算案の概要等について
(7)その他

議事

議事内容
○武石分科会長 定刻となりました。ただいまから、第40回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。本日、本分科会はオンライン併用での開催といたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、資料とともに、皆様に「人材開発分科会の開催・参加方法について」という紙を送付させていただいております。これを御覧いただいて、御発言等を頂けますようお願いいたします。
本日の出欠状況ですが、公益代表の海老原委員、堀委員が御欠席です。また、使用者代表の平田委員が11時過ぎに、それから労働者代表の篠原委員が11時50分で中途退席される予定です。また、議題に先立ちまして、配布しております委員名簿のとおり、本開催より労働者代表委員として小林委員が新たに就任されましたので、小林委員におかれましては御挨拶をお願いいたします。
○小林委員 皆さん、おはようございます。御紹介いただきました全建総連の小林でございます。前任の小倉から引き継いで就任いたしました。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 よろしくお願いいたします。なお、事務局の出席者について、業務により一部遅れての御参加、また、中途退室がありますので、御了承いただきたいと思います。
それでは議事に入ります。議題1「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。資料1について、企業内人材開発支援室長より御説明をお願いいたします。
○和田山企業内人材開発支援室長 おはようございます。企業内人材開発支援室長の和田山でございます。よろしくお願いいたします。私のほうからは、議題1、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について御説明させていただきます。資料1-1の6ページを御覧ください。
当分科会でお諮りするのは人材開発支援助成金となります。人材開発支援助成金は、事業主が労働者に対して職務に関連する訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度でございます。この人材開発支援助成金について、令和5年度において、改正概要にあるとおり①から③の改正を予定しております。
1点目は、これまで雇用形態により対象となるコースを分けていた3つのコースについて1つに統合するということ、2点目は加算要件について「生産性要件」から「賃金要件」へ切り替えるとともに、「資格等手当要件」を新設させていただくこと、3点目については、人への投資促進コースの時限措置の延長をさせていただくものです。具体的な内容について御説明します。
1点目についてですが、左下の図を御覧ください。人材開発支援助成金は、昨年4月に人への投資促進コースを創設し、12月には事業展開とリスキリング支援コース、図でいうと④と⑤でございますが、こちらを新設したところです。これにより、現在6つのコースで運用しているところであります。
一方、既存コースとして①から③でございますが、これまで正規雇用労働者向けとして一般訓練コース及び特定訓練コースの①②がありまして、③に非正規雇用労働者向けとして、特別育成コースによる支援を行っていたところでございます。今般、利用する事業主の利便性向上の観点から、この3つのコースを右側の見直し案でございますが、人材育成支援コースに統合するとともに、最低訓練時間を10時間に統一し、非正規を正社員化した場合の助成については引き続き高率助成とするなど、幅広い訓練の受講を可能とすることといたします。これが1点目でございます。
2点目についてですが、その右側です。雇用関係助成金につきましては、平成28年度から生産性向上の取組を支援するということで、生産性要件を導入しております。人材開発助成金においても生産性要件を導入したところでして、この生産性要件ですが、訓練実施3年後に生産性が向上している場合に割増助成をするため、その要件の確認や執行に長期間を要するという、そういった制度設計になっているなどの非効率な面も見受けられたところでございます。このため、リスキリングによる賃上げ支援としまして、他の雇用関係の助成金と同様に、生産性要件から賃上げに係る要件に切り替えるとともに、この助成金が労働者の人材育成支援ということに鑑み、資格取得手当などにより賃金が増額した場合にも加算する仕組みを新設することとします。こちらが2点目でございます。
最後、3点目でございます。人への投資促進コースですが、こちらは令和4年度に新設し、令和6年度までの時限措置でございましたが、これを2年間延長して、令和8年度までとすることとします。以上、3点でございます。
施行期日等につきましては、省令改正の上、3月末の公布、4月1日施行の予定とさせていただきます。以上、簡単ですが、私からの説明は以上になります。どうぞよろしくお願いします。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がございましたら、こちらで参加されている場合は挙手、オンライン参加の方はZoom機能のリアクションから「手を挙げる」マークを押していただき、指名されてからマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。私からは、助成金のコース統合の件と生産性要件から賃金要件への切り替えについて、2点御意見を申し上げたいと思います。
まず、1点目のコースの統合についてでございます。これは今回、統合するということで、制度のスリム化によって事業主の利便性の向上を図るだけではなくて、非正規の方もきちんと正規同様の訓練を受けられるようにするということや、助成率は引き続き高助成ということで、非正規で働く方たちにも目配りをしているというような見直しだというふうに思っております。
皆様も御存知のように、非正規の方たちに対するOJTやOFF-JTを実施する割合は正社員に比べて非常に低いというような実態でございますので、ここはしっかりと、非正規への支援ということを引き続きやっていただきたい、むしろ強化をしていただきたいと思っておりまして、今回の見直しの趣旨ということは適当だというふうに思っておりますけれども、一方で、非正規・正規のコースを統合することで、逆に非正規で働く方への支援策が分かりづらくなるということ、また、それによって訓練の抑制につながらないようにという形で、周知等は是非工夫をしていただきたいと思っております。雇用形態にかかわらず、希望する労働者がその機会を確保されることが重要だと思っておりますので、事業者に対してしっかりと丁寧な周知をしていただきたいというふうに思っておりますので、お願いいたします。
もう1点、生産性要件から賃金要件への切り替えについてでございます。こちらにつきましては、事務的に非効率な部分があっての見直しということもあるかと思いますし、政策的なシフトというところもあるのかなとは思いますけれども、切り替えるにしても、やってきた内容がどうだったかという検証をしっかりやっていただきたいというところでございます。今回の賃金要件ですが、例えば、定期昇給や昇格昇給などのような訓練受講を理由とする賃金増額ではなくても、助成金の支給対象になりうるのではないかというようなことであったり、また、具体的な要件というのは個別要領で規定をするということだというふうに思いますけれども、本当に制度趣旨に沿った運用がされるのかどうかということは懸念されるところであり、そこは是非、認定に当たってはそういう趣旨に沿った運用がされるように努めていただきたいと思います。
特に要件の確認に当たっては、労働者の年収総額でも増額しているのかというようなこともしっかり見ていただく必要があるのではないかと思いますので、そういった検討もお願いしたいと思います。また、先ほども申し上げましたけれども、引き続き制度趣旨に沿った運用がされているかどうかということは、これ以外のものも含めて、引き続きやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございます。御要望が中心だったと思いますが、事務局から何かあればお願いいたします。
○和田山企業内人材開発支援室長 御意見ありがとうございます。1点目、非正規の方への支援でございますが、今回、統合したことによって、非正規の方と正規の方で変わりなく訓練が受けられる環境というものを作っていくことが大事だと思いますし、我々としても、非正規から正規への正社員転換ということを支援していくところについては、引き続き努めてまいりたいと思っております。そういった中で、周知ということが大事だと思っておりますので、引き続きこちらについては取り組んでまいりたいと思っております。
続きまして、賃金要件の点でございますが、こちらは検証をしっかりしていきたいと思っておりますので、そういう検証方法も今後考えていかなければならないと思っておりますが、定期昇給のところはなかなか、御指摘のとおり難しいところがあるのは我々としても認識しております。定期昇給のタイミングや昇給対象の労働者の範囲、これは企業によって様々でありまして、なかなか区別も付かないという企業もあることから、定期昇給だけ除くというのはなかなか難しいところであったので、今回そのような対応をさせていただくということになっておりますが、制度趣旨に沿った運用は大事なことでございますので、我々としてもそこは取り組んでまいりたいと思っております。以上でございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。冨髙委員、よろしいでしょうか。
○冨髙委員 はい。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。音声は大丈夫でしょうか。いつもと環境が違うのですけれども。
○武石分科会長 大丈夫です。
○平田委員 ありがとうございます。人材開発支援助成金ですけれども、いろいろな経緯があってコースが複雑化していて、利便性の面で課題があるということを言っておりましたので、定期的に見直していくことは必要だと思っておりまして、そうした中での今回のコースの統合ということでございますので、施設の効率化や利便性向上に資するというものとして評価をしたいと思います。
それから、生産性要件から賃金要件への切り替えですが、事務的な効率化という観点では理解できますけれども、現行の生産性要件というのは多分、企業が生み出した付加価値全体を評価する考え方で、これに対して、改正後の賃金要件は付加価値のうち賃金として配分した部分を評価するということになってくると思いますので、丁寧に説明していくことが重要なのではないかと思っておりますし、要件の変更の影響や効果も今後検証していくことが必要だろうというふうに思っておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。以上でございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。2点目は先ほどの冨髙委員の御指摘とも重なりますが、事務局から何かあれば。
○和田山企業内人材開発支援室長 ありがとうございました。おっしゃるとおり、生産性要件についても一定の評価といいますか、企業の付加価値のインセンティブというところでは考えられるところでございます。これを今回、賃上げ要件に切り替えることにさせていただきますが、企業の付加価値の向上を労働者に賃上げとして直接還元できるようになると考えておりまして、今回の見直しをさせていただきました。いずれにしましても、今年度創設された新たなコースや見直し内容につきまして、利用者の意見を聞きながら、引き続き利便性向上に努めてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。制度が変わりますと、混乱というか丁寧な御説明が必要であると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。特にほかに御意見等がないようであれば、議論はここまでとさせていただきます。
議題1の「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」は、本分科会としておおむね妥当と認める旨を労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思います。御意見等ございますでしょうか。特に御異議がないようですので、事務局から報告文(案)の共有をお願いいたします。
                  (事務局より報告文(案)をZoomにおいて資料を共有)
○武石分科会長 今、報告文(案)が共有されていると思います。共有された報告文(案)により労働政策審議会会長宛てに御報告することとしてよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただくこととし、この議題についてはここまでといたします。
次に、議題2「求職者支援訓練の特例措置の今後の在り方について」です。内容について、訓練企画室長より資料の説明をお願いいたします。
○鶴谷訓練企画室長 おはようございます。訓練企画室の鶴谷と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、私からは議題2、求職者支援訓練の特例措置の今後の在り方について、資料2に基づきまして御説明させていただきます。資料2を御用意ください。前回11月の人材開発分科会でも求職者支援訓練の特例措置についてお示しさせていただいたところです。前回、様々なデータで、どのような特例措置、今後どうしていくかについて、皆様から御意見を頂きました。ありがとうございます。その特例措置が今年の3月31日で切れてしまいますので、それをどうするかについて御意見を頂きたいと思います。
資料2の1ページ目を御覧ください。重ねてになるのですが、現在どのような特例措置があるかについて簡単に振り返りたいと思います。特例措置については、大きく分けて3つありました。まず一番上ですが、訓練のコースについて訓練期間、訓練時間、それぞれ短いものでも大丈夫というように、弾力的に設定できるようになっています。この短期間や短時間の訓練については、訓練実施期間に就職率に応じてお支払いします付加奨励金の就職率の要件、それからコースを認定する場合の欠格の要件の就職率について、通常よりも5%引き下げるという措置を取っていました。
それから真ん中、特例の2つ目ですが、オンライン訓練、これは同時双方向型のオンライン訓練なのですが、訓練期間中ずっとオンラインで受講できるわけではなく、一定期間のスクーリングが必要になっています。その時間が総訓練時間40%以上を原則としているところ、特例措置下では20%以上でもいいというように引き下げていました。
特例措置の3つ目ですが、訓練の認定基準について、過去の訓練の実績を見て認定してもいいかどうかということを判断しているのですが、通常は過去3年間分の中で実績を拝見するところ、緩和して、3年よりも前の実績でもよいというふうに弾力化していました。
これら3つの措置については、先ほど申し上げましたとおり、令和5年3月31日までの期限となっています。
続きまして、2ページ目を御覧ください。前回の人材開発分科会では、途中の段階ではありますが、特例措置下において就職率などにどのような影響があったかについて、データに基づき御説明させていただきました。その際に皆様から頂いた御意見を2ページ以降に簡単にまとめています。
まず、短期間・短時間訓練に関する主な御意見です。短期間・短時間は様々な事情を抱える方を含め、受講者を拡大するということでは寄与していたというような御意見が多かったかと思います。ですが、就職率がどうしても通常の訓練よりも低くなってしまいますので、更なる分析、精査が必要というようなお話もあったかと思います。このような御意見を踏まえまして、今後の方向性ですが、2ページの四角枠の下側です。短期間・短時間訓練は、令和5年度においても引き続き特例措置として実施させていただければと考えています。訓練の裾野を広げる観点からも、恒久化も視野に令和5年度中に必要な検討を行わせていただければと思います。その際には、例えば属性別であるなど、訓練期間や時間を総合的に見るなど、多角的な精査、分析を実施したいと考えています。
続きまして、3ページを御覧ください。オンライン訓練について通所割合を引き下げていた件についてです。人材開発分科会での御意見としては、遠隔地の方など様々な事情を抱える方の受講機会の拡大に役立ったのではないかというようなお話があったかと思います。また、通所割合を引き下げたとしても、通常の場合と就職率に余り差がありませんでしたので、一番下にあるのですが、通所割合が20%以上のものでも効果がしっかりと維持されているのであれば、それでよいのではないかといった御意見も頂きました。
これらの御意見を踏まえまして、四角枠の下ですが、オンライン訓練について、通所割合の違いによる就職率に顕著な差はありませんでしたので、通所割合の下限を引き下げる措置の恒久化をしてはどうかと考えています。ただ、そうは言っても、20%の通所が必要となってきますので、やはり遠隔地の方など、本当に通所できない方の受講機会の拡大にはつながらないことから、通所を不要とするオンライン訓練も令和5年度末までの時限措置として試行的に実施させていただきたいと考えています。
それから、訓練の認定基準の緩和についてです。本要件の活用実績は極めて少ない状況でしたので、一旦廃止や取りやめの方向で検討するのが妥当というような御意見も頂きました。これらの御意見を踏まえまして、今後の方向性ですが、令和4年度末をもって廃止とさせていただければと思っております。
今、申し上げました内容を踏まえて令和5年度をどうしていくかについて御説明する前に、まずデータを少し整理しましたので、一旦そちらについて御説明させていただきます。
8ページを御覧ください。こちらは前回の人材開発分科会でお示しさせていただいた資料でして、短期間・短時間訓練の区分別に就職率を比較したものです。一番左の全分野で御覧いただきたいのですが、白色の「通常の訓練」に比較して、赤の「短期間かつ短時間」、青色の「短期間のみ」、黄色の「短時間のみ」は、就職率が下がってしまうということをお示しさせていただきました。しかしながら、これで見ますと、短期間といってもどのくらいの短期間だったのか、あるいは短時間もどのくらいの時間だったのかが分からないままの比較となっていましたので、更なる詳細なデータを出しましたので御紹介させていただきます。
資料の9ページを御覧ください。短期間訓練について期間を分けて、期間別の就職率についてお示しさせていただいています。一番左の全分野を御覧ください。白色の棒グラフが通常の訓練で3か月以上のもの、赤色が2週間以上1か月未満、青色が1か月以上2か月未満、黄色が2か月以上3か月未満です。こちらを見ますと、黄色の2か月以上については通常の訓練に比べて4%程度低くなるくらいなのですが、赤と青色の2週間から2か月の訓練の期間に関しては、通常の訓練よりも10%以上も下がってしまうということで、期間によってもバラつきがあるということが分かりました。
10ページを御覧ください。今度は短時間の訓練について、時間別で就職率を比較したものです。同じように、左側の全分野を御覧ください。白色が通常の訓練で月100時間以上のものです。赤が月60時間以上80時間未満、青色が月80時間以上100時間未満となります。これを御覧いただきますと、月80時間以上100時間未満については、通場の訓練と余り差がないのですが、赤色の月60時間以上80時間未満となりますと、14%程度下がってしまうというような結果でした。
11ページを御覧ください。短期間や短時間訓練については、訓練実施機関にお支払いする付加奨励金の就職率の要件や欠格の要件について、就職率を引き下げるという措置を取っていました。一番上の四角の小さい字になっている所を御覧いただきたいのですが、例えば付加奨励金については原則35%以上でお支払いするところを30%以上にしてしたり、欠格の要件も原則が35%未満のところ、特例下では30%未満と5%ずつ引き下げていました。
これがどのくらいのコースに影響を与えるかについて比較したものです。まず、左側が特例措置の適用下にある現在の状況です。円グラフのうち、就職率が30%未満、緑色でお示ししていますが、全体の17.8%については欠格に該当して、かつ、付加奨励金が出ない部分となります。青色は付加奨励金が1万円でして、全体の36%程度になります。赤色の55%以上に該当する部分が、付加奨励金2万円に当たる所となります。
もしも、これで特例措置がなかったらどうなったかについては、右側の円グラフです。30%以上35%未満、少し緑がはみ出した部分なのですが、全体の8.2%のコースが欠格にも該当し、付加奨励金が支払われないという部分になります。それから、青色のはみ出した部分、55%以上60%未満の9コース、2.1%ですが、こちらについては付加奨励金が特例下では2万円だったのですが、もし特例がなくなると1万円に減ってしまうというような状況でした。こうした更なるデータを踏まえまして、今後どうしていくかについて御検討いただきたいと思います。
資料を戻っていただいて、4ページを御覧ください。左側が課題、それから右側が5年度の在り方についてお示しさせていただいております。まず、特例措置の1つ目、短期間・短時間訓練です。こちらについては、コース設定数を増やすという点では意味があったのですが、コース設定自体は過大な状況でして、応募倍率は通常と比較して低調でした。また、通常の訓練に比べまして、やはり就職率がどうしても低くなってというようなこともありました。それを踏まえて、令和5年度ですが、まず付加奨励金や欠格要件について就職率を引き下げています。これは、コース設定の促進には寄与したのですが、反面、就職実績を引き下げる要因になったとも考えられますので、この引下げ措置自体は廃止させていただいた上で、短期間・短時間訓練自体は特例として1年延長させていただきたいと考えています。この延長している間に更なる効果検証を行いたいと思っています。
続きまして、その下のオンライン訓練でございます。オンライン訓練の通所割合の下限の引下げについては、就職率に与える影響は軽微でした。そういったことで、右側ですが、通所割合の下限を引き下げる措置自体は恒久化させていただければと考えています。そして、更なる受講機会の拡大を念頭に、通所を不要とするオンライン訓練というものも、令和5年度末までの時限措置として試行的に実施させていただきたいと考えています。
5ページを御覧ください。認定基準の要件緩和についてです。こちらについては活用状況を見ますと、申請数、認定数、いずれにおいても全体の約1%と極めて低調でした。そういったことで、右側ですが、令和4年度末をもって廃止とさせていただければと思います。
ここまでが、前回の人材開発分科会でお示しさせていただいたデータなどに基づく特例措置ですが、もう1つ特例がありますので、御説明させていただきます。
12ページを御覧ください。新型コロナウイルス影響下で、離職者の方がたくさん出てしまったことから、早期再就職を支援する必要性と、それから介護・福祉分野の人材確保を念頭に、ハローワークや社会福祉部局の機関と連携して、介護・障害福祉分野への就職支援パッケージということを実施していました。我々職業訓練の部局においては、求職者支援訓練と公共職業訓練の委託訓練において、訓練実施機関に支給する奨励金などの上乗せ措置を実施し、介護・福祉分野の訓練を増やそうと取り組んでいました。どういったときに上乗せをするかというと、訓練の実施期間中に介護の現場などを御覧いただいたほうが、より就職に近付くのではないかということで、職場見学や職場体験を訓練に組み込んだ場合は、訓練実施機関に対する奨励金(1人当たり月1万円)を上乗せするということを、令和5年3月31日まで時限的に実施しています。
こちらについても、今後どうしていくかを検討する前に、まず実績をお示しさせていただきます。真ん中の表を御覧ください。この表の数は、求職者支援訓練と公共職業訓練(委託訓練)の合計値となっています。さらに、介護・障害福祉分野について人数を示しております。まず、訓練の設定促進で、定員が増えたかどうかについて見てみたいと思います。開始されたのが令和3年に入ってからですので、影響が出るとすると令和3年度になりますので、令和3年度と令和2年度を比較しています。令和3年度を見ますと、令和2年度よりも2,000人近く、9.7%の増加となっています。しかしながら、この年については全体的に定員数が増えていまして、実績の一番下側を御覧いただきたいのですが、括弧内が全分野でして、全分野としては15.4%の伸びとなっていますので、それに比較しますと伸びが小さいような状況でした。
それから先ほど申し上げたとおり、職場見学等々を組み込むことによって就職に近付くのではないかといった効果も期待していました。令和3年度の就職率については、これは介護・福祉分野全体では82.0%なのですが、職場見学や職場体験を含んだ上乗せしたもの、上乗せコースについては79.1%と、ほかのものよりも低いような状況で、就職促進につながったという効果は見られないような状況でした。また、見学等にどのくらい日数を要していたかについても調べてみたのですが、平均すると4.4日程度というような結果も出ていました。
こういった実績を踏まえまして、今後どうするかについては一番下の四角の下の矢印を御覧いただきたいのですが、訓練枠の拡大という意味では効果は一定程度見込めたかもしれないので、令和5年度の奨励金の上乗せ自体は継続させていただきたいのですが、就職率などに影響を与えたかというと、そうとも言えないことや、職場見学等の日数が4日程度ということも踏まえまして、上乗せの仕方を「受講者1人当たり月1万円」ではなく「1人、1コース当たり1万円」に見直しをさせていただければと考えています。議題2については、御説明は以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。大きく求職者支援訓練の特例措置、それからもう1つは今の上乗せ、この2つのテーマがあって、求職者支援訓練については幾つかの論点がありました。4ページと5ページが前者のほうの提案で、12ページに上乗せについての御提案がありましたので、これについてどこでも結構ですので、御意見、御質問がある方はお願いしたいと思います。会場にいらっしゃる方は挙手、オンライン参加の方はZoom機能のリアクションから「手を挙げる」マークを押していただいて、指名されてからマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。岡野委員、お願いいたします。
○岡野委員 おはようございます。岡野です。ありがとうございます。私からは資料2の2ページ、3ページに記載いただいた内容について、少し触れさせていただきたいと思います。前回、11月の分科会においても、私ども労働側から短期間・短時間訓練並びにオンライン訓練の特例措置において、それぞれ一定の効果があったことは理解しつつも、より精緻な効果検証が必要であると発言させていただきました。今回、御提案いただいた特例措置の見直し内容について限定して申し上げますと、短期間・短時間訓練において前回、要請させていただいた通常訓練との比較を実施していただいたことも踏まえまして、各種データなども根拠を一定程度踏まえたものだと受け止めています。
一方、求職者支援訓練全体の受講者数は年間目標の5万人に及ばない状況であることや、引き続き短期間・短時間訓練やオンライン訓練において時限措置が継続される内容があることからも、訓練内容の妥当性や利用促進に向けた周知の在り方も含めて、ほかの審議会との連携を踏まえて適宜検証し、必要に応じた見直しを行っていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。今後に向けての御意見と承りました。よろしいですか。
○鶴谷訓練企画室長 いろいろいと御理解いただきありがとうございます。受講者数についてはおっしゃるとおり、必要とされる方がいらっしゃる限りはできる限り受講者数を増やしていきたいと思います。その一方で、おっしゃるとおりなのですが、訓練の質の向上というか、下げるということはあってはならないと思っていますので、職業能力開発促進協議会での御意見なども踏まえまして、質の向上等にも努めていきたいと思います。ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございました。岡野委員、よろしいでしょうか。では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 御説明ありがとうございました。御提案があった今後の方向性ですが、効果や。
                                   (音声中断)
○武石分科会長 平田委員、すみません、音声がちょっと聞こえなくなってしまいました。最初は大丈夫だったのですが、途中から聞こえなくなってしまいました。
○平田委員 今は大丈夫ですか。こちらは音声が聞こえているのですが。
○武石分科会長 今は大丈夫です。
○平田委員 分かりました。では、異論はないということと、それから効果や利用状況は引き続き注視をしていて、令和5年度までの期間での暫定措置などもありますが、場合によっては、必要があれば原則の見直しなども検討していくことは今後必要なのではないかと思っていますので、意見として申し上げておきたいと思います。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。今後も引き続き注視していただきたいという御要望でしたので、承りたいと思います。ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はありませんか。特にないようであれば、この案件はここまでとさせていただきます。
続きまして、議題3「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。資料3について、訓練企画室長より説明をお願いいたします。
○鶴谷訓練企画室長 ありがとうございます。訓練企画室です。それでは、私から特定求職者就職支援法の施行規則の一部を改正する省令案につきまして、こちらは諮問案件ですが、御説明いたします。資料3-1を御覧ください。先ほど御説明させていただきました特例措置の令和5年度につきまして省令事項がありますので、これをどのようにするかについて御説明いたします。
資料3-1の表側、まずは短期間・短時間訓練です。こちらですが、左側が令和4年度末までの取扱いで、令和5年度の取扱いが右側になっております。訓練期間、訓練時間ともに、短期間・短時間の訓練につきましては、右側にありますとおり、令和6年3月31日まで特例を延長させていただきたいと思います。しかしながら、これらに付随してあった付加奨励金と欠格要件の就職率につきましては引き下げ措置を取っておりましたが、こちらについては今年の3月31日をもって廃止とさせていただきたいと思っております。
資料3-1の裏面を御覧ください。オンライン訓練の通所割合の関係につきましては、業務取扱要領での対応となりますので、ここにはありません。
3つ目で御紹介していた訓練の認定基準の実績の要件緩和ですが、こちらについても活用実績が非常に少ないということもありますので、右側にありますとおり、令和5年3月31日の期限をもって廃止とさせていただきたいと思います。
最後に、介護福祉分野の職場見学などを含んだ場合の奨励金の上乗せですが、現行は受講者1人につき1か月当たり1万円ずつ上乗せしておりましたが、この措置自体は令和5年度は廃止とさせていただきまして、その上で新たに受講者1人につき1コースで1万円というような支給の仕方とさせていただければと思います。施行期日は令和5年4月1日です。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。先ほど御説明いただいた内容について、省令案となりますので、諮問という形になります。ただいまの御説明に対する御質問、御意見がありましたら、こちらで参加されている場合は挙手、オンライン参加の方はZoom機能のリアクションから「手を挙げる」マークを押していただいて、指名されてからマイクをオンにして御発言をお願いいたします。
いかがでしょうか。特に御意見等ございませんか。特にないようであれば、議論はここまでとさせていただいて、議題3の「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱(諮問)」については、本分科会としておおむね妥当と認める旨を労働政策審議会会長宛てに御報告を申し上げたいと思いますが、御意見等はございますでしょうか。特にないようであれば、事務局から報告文案の共有をお願いいたします。
                  (事務局より報告文(案)をZoomにおいて資料を共有)
○武石分科会長 今、共有いただいておりますが、この文面になります。共有された報告文案により労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○武石分科会長 御異議がないようであれば、そのように報告させていただくこととし、この議題についてはここまでといたします。ありがとうございました。
次に、議題4「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構第5期中期目標について(報告)」です。内容について、訓練企画室長より資料の説明をお願いいたします。
○鶴谷訓練企画室長 ありがとうございます。訓練企画室です。私から議題4について御説明いたします。
資料4-1を御覧ください。令和5年2月28日付けで、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の中期目標を定めましたので御報告いたします。独立行政法人就職法第29条第1項の規定におきまして、主務大臣は3年以上5年以下の期間において、対象の独法が達成すべき業務運営に関する目標を定め、独立行政法人に指示するとともに、公表しなければならないとしております。高齢・障害・求職者雇用支援機構につきましては、現在は第4期中期目標下にありますが、その目標が3月31日で切れてしまいますので、これからについての中期目標を定めておりまして、その御報告でございます。
次は第5期の中期目標でして、期間は令和5年度から令和9年度までの5年間となっております。資料4-1にありますように、高齢・障害・求職者雇用支援機構ですので、業務は大きく3つの柱があります。1つは高齢者のための就業確保措置に関することでして、高齢者雇用関係の業務です。
2つ目の大きな柱は、障害の有無に関係なく希望や能力に応じて活躍できる社会の実現ということで、障害者関係の業務を実施しております。我々、人材開発統括官部局と一番関係が深いのが職業能力開発業務ですので、そこだけかい摘んで御説明いたします。まず、1番上の四角枠ですが、次期中期における主な課題です。1つ目が離職者の方の早期再就職など、公共職業訓練等を通じた雇用のセーフィティーネットの維持です。2つ目の課題につきましてはデジタル・トランスフォーメーションやグリーン・トランスフォーメーションに取り組む中小企業様のために、着実な事業展開や生産性向上が図れるよう、人材の確保、育成で支援するということです。こうした課題を踏まえた対応としては、例えばなのですが、地域職業能力開発促進協議会の議論を踏まえて、受講者の方それから企業の方のニーズにあった職業訓練コースを設定、提供していくということになります。それから、DXやGXに対応した職業訓練コースの開発をしたり、職業訓練指導員自体のスキルアップも図るようにというようなことを考えております。
さらに、業務についてはそれぞれ目標値を掲げております。例えばなのですが、離職者訓練につきましては、修了者が修了後3か月時点で就職率82.5%以上にするようにという目標を掲げております。これは現在の実績を鑑みまして、今は80%の目標としておりましたが、少し引き上げております。それから、DX、GXに対応するための訓練を、離職者向け、学卒向け、在職者向けとそれぞれ実施しているのですが、各対象ごとに受講者数の目標も定めております。
また、先ほど訓練指導員のスキルアップもお話させていただきましたが、そのための研修を毎年実施しておりまして、こちらの受講者数も5年間で2万5,000人以上とするようにという目標を定めております。こういった目標下におきまして、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構におきましては、着実に運営していくこととしております。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がございましたら、こちらで参加されている場合は挙手、オンライン参加の方はZoom機能のリアクションから「手を挙げる」マークを押していただき、指名されてからマイクをオンにして御発言をお願いいたします。滝澤委員、お願いいたします。
○滝澤委員 滝澤でございます。御説明ありがとうございました。ただいまの説明の中で特に次期の中期目標の主な課題ということで、DX、GXに取り組む中小企業等の着実な事業展開ということで、私ども中小企業にフォーカスをしていただいておりますことは誠にありがとうございます。一方、中小企業はDX人材、GX人材の確保が難しく、また、事業に消極的な企業も少なくありません。現在、慢性的な人手不足の状況が続いておりますので、是非効果的な訓練を検討いただきまして、中小企業への就職支援を頂きますようお願いを申し上げます。以上です。
○武石分科会長 ありがとうございます。中小企業も視野に入れた効果的な訓練ということの御要望でした。ありがとうございます。ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。特にないようであれば、この案件は以上とさせていただきます。
次に、議題5「2022年度の年度目標の中間評価について」です。内容について、人材開発総務担当参事官より資料の御説明をお願いいたします。
○長良人材開発総務担当参事官 それでは、資料5について私から御説明いたします。人材開発分科会所管の主要施策のPDCAサイクル機能の充実強化を図るという観点で、例年、年度の目標の設定とその達成度をモニタリングをして、この分科会等に御報告を差し上げているものでございます。
今回は、昨年設定いたしました2022年度目標の目標設定につきまして、資料5に基づき進捗状況を御説明させていただきます。施策に関しましては、全部で7つ柱を立てています。それぞれに関して目標と中間評価という形で、一定の年度途中の時点における指標を記しているところです。
まず1点目、地域若者サポートステーションの就職等率です。2022年度目標が65.8%と設定をしていたところ、2月末時点ですが、実績は72.7%となっています。
2点目、わかものハローワーク、こちらはフリーターの対策でして、正社員就職の割合を指標に掲げています。2022年度は64%以上としたところ、1月末時点の実績が69.5%となっていまして、年度目標は上回っております。
次のページ、3点目です。こちらは学卒対策の就職支援ナビゲーターの支援でして、正社員の就職者数を目標値設定しています。2022年度は15万7,000人と設定したところ、1月末時点の実績は13万8,922人となっているところです。こちらは、あと2か月ということになり、おおむね年度目標は達成できるのではないかと考えていますが、年度後半に特に取組強化というものを各労働局に指示していまして、例えばSNSの活用、大学のキャリアセンターとの連携、未内定学生の新卒応援ハローワークなどへの誘導等の取組を強化しているということです。
4番目、ジョブ・カードの作成者数です。こちらは2022年度目標として28.2万人としたところ、12月末時点の実績18.0万人ということでして、目標の達成ペースあるいは昨年同期比で見ても、やや下回っている状況にあります。年度末に向けまして、就職活動などで作る機会が例年増えてくる見込みではありますが、予算事業でもやっているキャリア形成サポートセンター等でセミナーを開催したり、昨年10月末に稼働開始したオンラインでジョブ・カードを作成・管理できるWebサイト「マイジョブ・カード」の周知広報を行って、普及を図っていきたいと思っています。
5点目、離職者訓練の就職率です。2022年度は施設内訓練80%、委託訓練75%としたところです。施設内訓練は、10月末までに終了した訓練コースの終了3か月後の実績ということで取っていまして、こちらは87.3%となっており、目標を上回っていると思います。委託訓練につきましては、9月末の終了訓練コースの3か月後の実績ということで、こちらは72.4%となっています。前年同期比と比べますと若干上回ってはおりますが、年度目標は下回っているという状況です。雇用情勢などの影響も出てくるところではありますが、何とか年度目標の達成のため、訓練終了までに就職が決まらないような方のハローワークの誘導など、訓練実施機関とハローワークの連携を強めていきたいと考えています。
6番目、求職者支援制度の職業訓練の雇用保険適用就職率です。2022年度は基礎コース58%、実践コース63%と設定したところ、こちらは5月末までの終了した訓練コースの終了3か月後の実績を取っていますけれども、基礎コース53%、実践コース59.1%でして、どちらも年度目標を下回っているところです。こちらは中間値が若干早いタイミングのものとなっていまして、そういう意味では年度の推移をもう少し見ていく必要がありますが、先ほどの公共職業訓練と同様に雇用情勢の影響、あるいは先ほど御説明しました短期間・短時間訓練の就職率の関係が、全体の指標を少し下げているというようなことが見受けられます。対応としましては、先ほどの公共職業訓練などと同じで、訓練実施機関とハローワークの連携強化ということが肝心かと考えているところです。
7番目、4ページになりますけれども、技能検定の合格者数です。2022年度目標は合格者数28万人としていますが、10月時点の中間実績として17万人ということです。恐らく、年度目標は達成できるのではないかというペースで推移をしていると思います。私からの説明は以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がありましたら、こちらで参加されている場合は挙手、オンライン参加の場合はZoom機能のリアクションから「手を挙げる」マークを押していただき、指名されてからマイクをオンにして御発言をお願いしたいと思います。それでは、増田委員、平田委員、田村委員の順でお願いします。増田委員、お願いします。
○増田委員 TOMOE株式会社の増田です。御説明ありがとうございました。地域若者サポートステーションや公共職業訓練などの就職率について中間報告を頂きましたけれども、目標達成する見込みが高いものが多くて、成果を上げられていることはすばらしいことかと思います。
さて、中小企業において人手不足感は更に更に強まっていまして、採用意欲はますます高まっていますので、企業における人材確保の支援の充実が求められます。目標の達成に留まらず、引き続き公共職業訓練やマッチング支援を強化していただきますようにお願い申し上げます。
加えて、もう1点申し上げますと、求職者の支援について、就職までではなくて、就職後も定着を見据えた支援があれば望ましいと思います。私が所属しております川口商工会議所の企業様は中小、特に小規模が多くございまして、新卒含めて1年程度で離職する若者が非常に多く、若者の定着に課題を感じているとの声を多く聞きます。中小、取り分け小規模の製造業では、技能の習得に時間が掛かるために、人材が定着しないことによる影響を非常に大きく受けることになります。
人材の定着には、企業の自助努力はもちろんのことですが、若手求職者への職業観の醸成や社会人としての基礎力、こういったことに資する指導も、企業とのマッチングの段階から定着を見据えた丁寧な御支援をお願いしたいと考えています。以上です。
○武石分科会長 増田委員、ありがとうございます。事務局から今のコメントに関して、何かありますか。
○長良人材開発総務担当参事官 ありがとうございます。人材確保の関係、それから定着の御意見だと承りました。特に若い方に関しまして人手不足感ということもありますので、ハローワークが主体となった取組となっていますけれども、御指摘のような対応をしっかりとやっていきたいと思っています。
定着に関しましては、職業観の醸成とか社会人としての基礎力といったところは、新卒応援ハローワークなどの場でもやっておりますし、あるいは先ほど紹介させていただきました、求職者支援訓練などのコースでも設定していて、メニューは充実を図っているところです。より実効ある仕組みとしていきたいと思っています。ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。増田委員、よろしいでしょうか。
○増田委員 ありがとうございました。
○武石分科会長 では、平田委員、お願いします。
○平田委員 ありがとうございます。中身のことではなく、全体のことですけれども、こうやって目標を立ててきちんと事業とか施策を回しているということは評価したいと思いますけれども、これは職業安定分科会や障害者雇用分科会でも恐らく同じ意見を我々経団連として申し上げていると思いますが、この中間評価が例年2月とか3月に実施されているのですけれども、この年度の施策の進捗状況を評価して改善を図っていこうということであれば、もう少し早い時期に実施する必要もあるのではないかと考えています。
データを集約してその分析に時間を要する場合があれば、早めにデータだけ共有するとか、いろいろな改善の方法があると思いますので、この分科会だけではなくて全体、省としてというか、労働の分野だと思いますけれども、そういった中間評価の在り方を改善していただきたいと思っていますので、御検討いただければと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
○武石分科会長 ありがとうございます。中間評価のタイミング、厚労省全体としてもう少し早くということでしたけれども、何か事務局からありますでしょうか。
○長良人材開発総務担当参事官 御意見ありがとうございます。データの収集あるいは報告の時期などに関しまして、少し何ができるのかを考えていきたいと思っています。
○武石分科会長 よろしくお願いいたします。平田委員、よろしいでしょうか。
○平田委員 はい、大丈夫です。ありがとうございました。
○武石分科会長 ありがとうございます。それでは、田村委員、お願いします。
○田村委員 ありがとうございます。まず、2ページ目のジョブ・カード作成者数ということで申し上げますと、ジョブ・カードの普及促進は重要なことであると思っている一方で、そのカード作成後にどのように利活用してもらうかということも大事な視点ではないかと思っています。現在もマイジョブ・カードのサイトを活用した取組を行っていると思いますけれども、その取組状況を踏まえつつ、企業内の労働者のキャリア形成等の場面でジョブ・カードをどう活用してもらうかについて、国として更に検討を重ねて取組を進めていただければと思っています。
それともう1点、4ページ目の技能検定受検合格者数についてですけれども、技能検定は働く上で身に付ける又は必要とされる技能の習得レベルを評価する試験であることを踏まえますと、技能検定を普及促進し受検者数を増やすためには、産業動向や現場ニーズ等を踏まえた検証が必要であって、職種ごとに随時試験の内容を見直していただければと考えています。私からは以上です。
○武石分科会長 田村委員、ありがとうございます。御要望ですが、事務局のほうからいかがですか。
○國分キャリア形成支援室長 ありがとうございます。キャリア形成支援室でございます。ジョブ・カードについて御指摘を頂きましてありがとうございます。御指摘いただいたとおり、昨年10月末にマイジョブ・カードということで、オンラインでジョブ・カードを作成管理できる新たなサイトを運営しまして、2月末で登録者1万5,000人を超えるということで、一定活用が進んできているかなと思っています。
また、その利用者の属性を見ますと、従来ジョブ・カードは求職者のイメージが多いかと思いますけれども、55%ほどは在職者の方に利用していただいているということで、御指摘いただいたとおり、企業の中で、特に中小企業などにおいてどういうふうに活用されていくのか、我々も利用状況を見据えながら、また、次の資料にも出てきますけれども、キャリア形成サポートセンターを次年度に機能拡充したいと考えていまして、こういったことを含めて、キャリア形成支援の充実強化、実態を踏まえた利用の分析促進に努めてまいりたいと思います。以上です。
○安達能力評価担当参事官 能力評価担当参事官の安達でございます。技能検定の部分についてお答えいたします。おっしゃるとおり、まず技能検定の普及のところが重要だと思っておりまして、引き続き企業さん、あるいは工業高校さんを始めとする教育機会の普及等も含めてしっかりやっていきたいと思います。
また、産業動向の変化等を踏まえた試験の在り方については、引き続き試験実施機関である職業能力開発協会や指定試験機関とも連携を取りつつ、随時検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございます。田村委員、よろしいでしょうか。
○田村委員 ありがとうございました。
○武石分科会長 ありがとうございます。では、会場から小林委員、お願いいたします。
○小林委員 ありがとうございます、小林でございます。私からも4ページの技能検定の目標に対する中間報告について要望を1点差し上げたいと思います。ものづくりを支える重要な制度ということで、今後の推進が非常に重要だと思っています。この目標数、それから10月時点の17万人という数ですけれども、これは外国人技能実習で求められる随時級についても含まれた数字だと考えています。この随時級については、御案内のとおり、目標数を上回るペースということですけれども、その中でも少なくない割合がこの中に含まれることになると認識しています。
目標値については、随時級も含めて28万人ということでよろしいのかなとは思いますけれども、今回は中間ということですが、実績ではトータル数のうちどのぐらいが随時級なのか、こういったものも一緒に示していただいたほうが、結果に対する評価もよりしやすくなるのではないかと思います。特に国内人材といったところの技能検定の活用状況ということを見ていく上では、ちょっと随時級とは分けたデータもお示しいただけるとよろしいのではないかと思っています。以上です。
○武石分科会長 小林委員、ありがとうございます。もし現時点でお分かりになれば、お願いします。
○安達能力評価担当参事官 能力評価担当参事官の安達でございます。ありがとうございました。まず、数字の事実関係ですが、この28万人という数字については随時級を含んでいます。一方で、17万人という数字自体は、これは集計の関係上間に合っていませんので、入れていない数字となっています。
この記載の在り方については、また検討させていただきたいと思いますが、事実関係として、随時級の推移は入国制限等の関係で変動があるのですけれども、手元にある数字だけ申し上げますと、令和元年度で約10万人ほどいらっしゃったのが、令和2年度は8万4,000人、令和3年度は4万9,000人ということで、入国制限等もあって大きく減ってきているところ、足下の入国者数はおっしゃるとおり増えてきているので、今増えてきていると見込まれています。
粗い推計ですけれども、大体今年度で7万人ぐらいになるのではないかという状況です。今後も、おっしゃるとおり、技能実習の活用状況等によっては、この技能検定を随時級で受ける方は増えてくると見込まれていますので、記載ぶりと併せて受入体制の部分についてもしっかりと対応を講じていきたいと思います。ありがとうございました。
○小林委員 ありがとうございます。
○武石分科会長 貴重な御意見ありがとうございます。ほかに御意見等ございますか。よろしいですか。特にないようであれば、この案件は以上とします。
次に、議題6「令和5年度予算案の概要等について」です。内容について、人材開発総務担当参事官より資料の御説明をお願いします。
○長良人材開発総務参事官 引き続き、私から御説明いたします。資料6を御覧ください。人材開発統括官部門の予算案の重点をまとめております。1ページが統括表です。一般会計、労働保険特別会計とあって、労働保険特別会計は労災勘定と雇用勘定に分けて令和4、5年度をお示しし、比較増減をまとめております。一般会計は約125億円程度でして、前年比で98.7%です。労災勘定については、ほぼ漸増です。それから、一番割合の高い雇用勘定は約2,168億円で、前年比は99.7%でして、おおむねどの勘定においても一定の予算は確保できたと考えております。
2ページを御覧ください。重点事項をポイントでまとめております。全体の思想としては、「人への投資」と多様な人材の活躍促進といえるのではないかと考えております。左側の「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージは、職業安定分科会にも御報告をした雇用労働政策の全体像ですけれども、その中で人材開発統括官部門の主要予算をまとめたものが下になります。
1点目は人材開発支援助成金です。本日も制度の見直しをお諮りいたしましたが、重点を置いているのは、企業におけるデジタル人材などの育成、あるいは事業展開などに伴う労働者のスキル習得支援ということで、これは昨年の補正予算で新たに措置したコースもありますけれども、こうしたコースと合わせて約500億円の予算措置をしているところです。
続いて、学び直しを後押しするキャリアコンサルティング機能を拡充したキャリア形成・学び直し支援センター、まだ予算案は成立していないので仮称と書いておりますけれども、現在、キャリア形成サポートセンター事業を実施しておりますが、これを拡充して、キャリア形成支援に学びに関する助言機能を強化したいということと、拠点に関しても現在は19か所ですが、全ての都道府県に整備し、キャリアコンサルタントの増員を行っていきたいという予算となっております。予算額も22億円と、対前年度で大幅な増としているところです。
次が公的職業訓練の関連です。ITあるいはWebデザインなどのデジタル分野の資格取得を目指す訓練コース、企業実習を組み込んだ訓練コースについて、委託費などの増額をしているところでして、対前年度比の増を見込んでいるところです。
その下の受講者の特性に対応した新たな教育訓練手法のコンテスト方式による選定、開発・試行ですが、これは新規事業として計上しており、正にモデル的に訓練を民間の事業者などから募集をしてトライアルで行って、それを検証して、必要な訓練メニューに反映させるというイメージです。ポイントは受講者の特性に対応したということでして、例えば典型的には就職氷河期世代の方に効果的な職業訓練は何かとか、育児などで離職をした方が再び労働市場に戻っていただくといったところでどういう訓練が効果的かとか、テーマ的にはいろいろ考えられるわけですけれども、そういった内容を皆さんから募集をして、訓練の質の向上につなげていきたいという趣旨の事業です。
右上です。外国人の関係です。外国人技能実習機構に関しては交付金を交付しており、対前年度と同額程度の予算を確保しております。加えて、技能実習制度に基づいた見直しの検討に当たって、制度の施行状況を把握するための調査事業の予算も一部計上しているところです。
次は若年者・新規学卒者等の支援です。先ほど、紹介した地域若者サポートステーション、フリーター対策として、わかものハローワーク、新卒応援ハローワークなどについて、それぞれ所要の予算を計上しているところです。
一番下、非正規雇用労働者への支援ということで、求職者支援制度が骨格の事業となっています。求職者支援制度全体の予算額は268億円で、この求職者支援制度の予算はいわゆる職業訓練受講給付金、御本人への給付と、訓練機関に対してお支払いするいわゆる職業訓練実施奨励金、それぞれがあります。人材開発統括官部門は、その後者である認定職業訓練実施奨励金を所管しておりますが、こちらに関しては、全体の268億円のうち約113億円程度を予定しているところです。3ページ以降が、今の個別の関係の資料となっております。
続いて、14ページの税制改正についてです。令和5年度税制改正により、表題のとおり、学び・学び直し促進のための特定支出控除における特例措置の創設を予定しているところです。御案内のとおり、給与所得者に関しては、必要経費として給与所得控除という概算控除の仕組みがありますけれども、一定の支出については、特定支出控除という形で給与所得控除と別に計上することができる仕組みが従来からあります。この特定支出控除の中に、研修費あるいは資格取得費を計上できる仕組みがあるのですが、税制手続上、この特定支出控除を判定するために、まず研修費についてが職務に関連するものであるということが要件となってきます。この職務に関連するということを誰が判断しているのかというと、給与などの支払者、つまり会社になりますが、会社の証明を受けた上でこの手続を行っていただく必要があるというのが今の仕組みです。
ただ、近年、特に個人基点の学び直しというものが着目される中で、会社の証明ということが特定支出控除の普及に当たってボトルネックとなっているのではないかというような御議論、御指摘などもありました。したがって今回、税制改正において、それに加えて、厚生労働大臣指定の教育訓練給付指定講座を受講した場合には、給与などの支払者に代わり、国家資格であるキャリアコンサルタントが証明を行うことを認めるという内容となっているところです。
続いて、15ページは地方財政措置の関係です。先般、総務省から令和5年度地方財政対策の概要が示されているところですが、その中で、地域におけるリスキリング推進に関連して、特別交付税措置の創設が公表されたところです。概要にありますように、内容としては地域に必要な人材確保のために、地方公共団体が行う①から③までの一定の事業を行う経費に関して、特別交付税措置を講ずるとなっております。これは令和8年度までの時限措置となっております。
この要件として、参考にもありますが、特別交付税措置の対象となるため、地域職業能力開発促進協議会での協議を経て、地域職業訓練実施計画に位置付ける必要があるということです。地方財政措置自体は総務省なのですが、厚生労働省の施策、法律とも連携して実のあるものにしていきたいと考えているところです。
それから、参考資料に別冊を付けております。職場における学び・学び直し促進ガイドライン、これは昨年の夏にこの分科会で取りまとめていただいたものですけれども、今御説明をした関連の予算を受けて、このガイドラインの施策集の公的な支援策の部分の更新をしたところです。令和5年度の予算成立を待って周知の予定をしているところですので、こちらも御報告をいたします。掛け足ですが、以上です。
○武石分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対する御質問、御意見がございましたら、こちらで参加されている場合は挙手、オンライン参加の方はZoom機能のリアクションから「手を挙げるマーク」を押していただき、指名されてからマイクをオンにして御発言をお願いいたします。では、小林委員、お願いします。
○小林委員 ありがとうございます。全建総連の小林でございます。予算に関連して、2点御要望を差し上げたいと思います。
1点目はものづくりマイスター制度です。若者の技能離れということが言われて久しいわけですが、学生、若年技能者、労働者への教育、育成、訓練がますます重要になっていると認識しております。そういう中で技能検定の1級、特級、そして長い期間活躍される熟練の技を持ったものづくりマイスター、こうした方の技能継承といったことを積極的に行うものづくりマイスター制度は、重要な施策、取組だと思っています。近年、ますますその重要性は高いのではないかと思っているところです。
一方で、コロナの影響で、ものづくりマイスターも含めた予算は大幅な削減を余儀なくされてきているところですが、来年度の予算案を拝見すると、取り分けものづくりマイスターの予算では、今年度の当初予算比で増額ということで承知しています。ただ、コロナ前の予算水準と比較すると、まだまだ大きな乖離があるということ、その影響でコロナ前と同じようなものづくりマイスター制度の活用が一部しづらくなっているという状況も、地域で出てきているものと認識しております。令和6年度以降の予算に向けた御議論の中では、各地域で企業や団体や学校をはじめとした教育機関が、きめ細かなキャリア教育とか、若年者の育成といったことに、この仕組みを積極的に活用できるような、それに必要な予算措置の検討を進めていただきたいということが1つです。
もう1つは、公共職業訓練とともに、職種、企業、地域で、それぞれ行っている認定職業訓練の補助についての要望です。認定職業訓練の補助金の制度ですが、大枠でいくと、都道府県を通じた間接補助ということで、実施主体が1/3で、2/3については国と都道府県の補助ということになっております。一方で、算定基準というものが作られていまして、実際には補助額が2/3に満たないという実施主体も一定数あると認識しています。若者の技能離れの中で、訓練生の確保も難しい中で、財政運営はかなり厳しい運営が長く続いているというのが現状です。
若年技能者の確保と育成というのは重要な課題であって、現在、政府が進めている、人を育てていくのだという人への投資といった観点からも、公共職業訓練とともに認定職業訓練の支援も大事ではないかと考えております。現在も補助金の制度で支援を頂いているわけですが、引き続き実施していただくとともに、今後に向けて支援の拡充、具体的には基準の見直しによる補助額の拡充の御検討を、是非ともお願いしたいと思います。
○武石分科会長 ありがとうございます。ものづくりマイスター、認定職業訓練への御要望でした。事務局から何かあればお願いいたします。
○安達能力評価担当参事官 能力評価担当参事官でございます。ものづくりマイスターについては、先ほど御指摘のあったとおり、コロナ禍で活動が難しく事業の縮小を余儀なくされてきましたが、コロナ禍から活動が再開されてきている中で、令和5年度は予算を増額するとともに、工業高校なり、特に中小企業等からのニーズが非常に大きな事業ですので、しっかりと活動できるように準備を行っているところです。まずは足元の活動をしっかりとできるように支援をしてまいりたいと思いますし、この制度の周知、コロナ禍で活動が活動が止まっていたところも相当程度ありましたので、そこを再開できるように支援をしていきたいと思っております。それを踏まえて、令和6年度はどうするかというのは、これから検討ということになろうかと思います。
○長良能力開発総務参事官 補足いたします。2つの事業にとどまらず、特に雇用勘定の事業に関しては、コロナの影響というのもありますが、いわゆる財政的な影響もあって、かなり厳しい運営を余儀なくされているという実情がございます。今、御指摘いただいた制度もその例外ではないわけですが、特に地域における産業を支える人材をどう育てていくかということが大事なところだと思っておりますして、その在り様をどう考えていくかということと併せて、必要な予算額についてもしっかりと検討していきたいと考えております。
○小林委員 よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 ありがとうございました。滝澤委員、どうぞ。
○滝澤委員 中小企業団体中央会の滝澤でございます。予算の重点事項の中で、外国人に対する支援の2項目について要望させていただきます。
1点目は、外国人技能実習機構についてです。機構は監理団体への実地検査、あるいは技能実習生に対する相談や援助を行っていただいていると思いますが、この指導方針や指摘事項の共有化など、機構内部の研修にも力を入れていただいて、全国各地で同じ水準の支援を受けられるようにしていただきますように要望を申し上げます。
2点目は、技能実習制度の適正化に向けた調査研究事業です。こちらは令和5年度は3,300万円という限られた予算ではありますが、政府においては現在、技能実習制度、特定技能制度の在り方に関する有識者会議が開催されているということもありますので、技能実習制度の見直しの重要な資料になると思われます。監理団体、あるいは実習実施者にとって高い関心を持つであろう事業ですので、関係機関へのヒアリングとか、紙面やWebを駆使した調査表の作成など、是非効果的な調査研究を行っていただきますよう、お願い申し上げます。
○武石分科会長 ありがとうございます。技能実習関係で2つの御要望でした。事務局から何かありますか。
○長良能力開発総務参事官 御指摘ありがとうございます。御案内のとおり、外国人の技能実習制度などについては法律の附則に基づく検討が進められているところです。特に調査に関しては、今後の制度の在り様を考えていく基礎資料ということもありますので、しっかりとやっていきたいと思っているところです。
○武石分科会長 ありがとうございました。滝澤委員、いかがですか。
○滝澤委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○武石分科会長 では、松補委員、お願いいたします。
○松浦委員 2点述べさせていただきます。1点目は、人への投資全体の予算についてです。現在、政府では今後の能力開発や人材育成に関して、個人への直接支援に軸足を移していくような議論も行われているものと受け止めております。しかしながら今後、企業がDX等の社会変化に対応し、持続的な成長を果たしていくためには、DXに精通し、同時に自社の状況を把握している人材が必要でありますので、企業がDX人材を育成する目的や人材ビジョンを明確にして共有した上で、まずは企業の責任で人材を育成していくことが重要であると考えております。そのことからも、個人への直接支援の拡充だけに限らず、企業を通じた能力開発支援も同様に拡充すべきであり、人材開発支援助成金の維持と拡充は当然のことながら、更なる活用促進の取組をお願いしたいと考えております。
2点目は、キャリア形成・学び直し支援センターについてです。既存の能力開発システムを活用しづらい個人の方とか、人材育成に関するノウハウを必要とする中小企業など、支援を必要としている個人や企業に必要な支援がきちんと行き届くよう、周知徹底を図っていただきまして、相談支援の充実に努めていただきたいと考えております。
○武石分科会長 ありがとうございます。御要望ということで承りました。事務局から御発言はございますか。
○長良能力開発総務参事官 御意見ありがとうございます。現在、新しい資本主義の実現会議という所で様々な議論がされているところで、委員がおっしゃった個人への直接の支援に着目した議論というのは、そちらでも登場してきていると理解しております。ただ、前回に予算の説明をしたところですが、全体的に企業の人材育成などについても、かなり目配りをした形での予算編成に努めているところです。
個人への支援に関して課題として考えられるところは、新しい資本主義での議論を少し紹介しますと、在職者に関してのアプローチが少し不足しているのではないかという問題意識ではないかと捉えているところです。したがって、予算の問題もさることながら、支援のメニューなり、御指摘いただいたアクセスの在り様なり、そういったところを含めて何ができるかを考えていくことになるのかなと思っているところです。
○武石分科会長 松浦委員、いかがでしょうか。
○松浦委員 ありがとうございます。承知いたしました。
○武石分科会長 ありがとうございました。では、早川委員、お願いいたします。
○早川委員 ありがとうございます。私からは3点発言させていただきます。1点目は、4ページ目のキャリア形成・学び直し支援センター(仮称)についてです。これに関しては、現行のキャリア形成サポートセンターの後継機関であろうと推察いたします。全国的に施設を設置するということで、拡大していくのだろうということは拝察いたしました。
一方で、現行のキャリア形成サポートセンターについては、委託先の受託者が代わって、その代わる際にタイムラグが発生したり、サービスの一時的な低下が起こっている気もします。それが先ほどの中間評価で、ジョブ・カードの数値が低くなっていることにも影響しているのではないかと思われるのですが、よろしければその辺りも教えていただきたいと思います。
その上でお願いしたいのは、競争入札で事業者を決めるのでしょうから、変更があるのは構わなくて、むしろやっていただいたほうがいいのですが、前の受託者から後の受託者にしっかりと引継ぎができるように、逆に言うと、そのセンターを受託しているときの事業に関しては厚生労働省のほうで引き上げるという形にして、後の事業者にしっかりとつながるようにしないと、利用者側からすれば不安定な印象があります。これはマイジョブ・カードでホームページなども活用されているわけですが、マイジョブ・カードなども含めて成果が上がるようにしていただければと願って止みません。これが1点目の発言です。
2つ目は、技能実習制度適正化に向けた調査研究事業についてです。これが新規に挙がっていて、この委託先も株式会社への委託が想定されております。技能実習制度については、制度を理解するに当たって複雑な部分もありますので、そういったことがちゃんと分かる事業者に委託していただきたいと思います。それと、本来ならば、このような重要な制度に関しての調査研究に関しては、厚生労働省内で研究会を立ち上げるほうがいいのではないかという気がいたしますが、先ほど委員の方が言われたように、制度の見直しに関する有識者会議にも提出される資料だと思いますので、しっかりとした事業者に委託していただきますようお願い申し上げます。
3点目は、14ページの学び・学び直し促進のための特定支出控除における特例措置の創設についてです。これは所得税に関する内容、税制上のことでして、この特定支出控除については関心を持って自分の論文でも書いたことがあるのですが、その際に使用者が証明を書かなくてはいけないということでハードルがあると感じていました。その中で、キャリアコンサルタントが証明を行うことを認める方向になるということで、そういうこともあるということに気付かされたこともありました。その際に、教育訓練給付指定講座ということで、入口の所でもキャリアコンサルタントを利用されると思いますので、この給与等の支払者に代わってのキャリアコンサルタントというのは、その教育訓練指定講座のときの受講の前のキャリアコンサルタントと同じコンサルタントが証明を出すのか、どうなっているのかを教えていただきたいと思います。
あと、その職務に関連するという解釈についてですが、キャリアコンサルタントによって解釈が違うと、これは税法上のことなのでかなり公正にやる必要があると思いますので、キャリアコンサルタントに対する講習の機会というか、証明をするキャリアコンサルタントに対する指導的なことを厚生労働省がされる必要もあるのかなと思いますが、そういう構想があるのでしたら教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。
○武石分科会長 ありがとうございます。御質問を含めて大きく3つの御発言でした。事務局からお答えいただきたいと思います。
○國分キャリア形成支援室長 キャリア形成支援室から、早川委員の1点目と3点目について御説明いたします。まず、学び直し支援センターですが、こちらは松浦委員からも御指摘いただきましたが、機能を拡充して47か所で展開いたします。そして、企業の中でキャリア形成支援の機会が少ない方、非正規雇用の労働者の方、中小企業の方、個人と企業に対する支援もセットで行うというのが特徴です。来年度は学び直しの部分も拡充するということで、従来より拡充していきたいということです。
実際の事業の運営ですが、令和4年度については早川委員から御指摘があったとおりで、事業者が代わって、ジョブ・カードの作成なども伸びなかったということがあります。令和5年度は入札を行って、まだ契約の段階ではありますが、令和2年度、令和3年度に実施していただいた事業者に実施していただくことで進めています。国会で予算の審議中ですので、令和5年度に入って円滑に事業を開始できるように準備を進めている状況です。
引継ぎについても御指摘いただきましたが、事業者が代わることによって情報が途絶えることがないよう、支援の遅れがないよう、次年度については令和2年度と令和3年度で実績のある所ですので、そういったことがないように円滑に事業を進めていきたいと考えているところです。
3点目の特定支出控除のキャリアコンサルタントの関わりについてですが、これは所得税法の関係もありまして、どういう形で運用するかといのは財務省、国税庁を含めて調整をさせていただいているところです。キャリアコンサルタントの関わりについては御指摘のとおりで、キャリアコンサルタント向けのQ&Aやマニュアルの整備を進めています。それから、学び直し支援センターでも証明ができるように取り扱うという方向で進めております。それから、研修についても、厚生労働省でやっているオンライン研修の中に盛り込むということ、キャリアコンサルタントの養成講習あるいは更新講習の中でも、この特定支出控除の特例についても扱っていただくということで、準備を進めているところです。まだ調整中の段階ではありますが、年度が明けたら、速やかにキャリアコンサルタント向けの周知は徹底して行っていきたいと思っております。
○武石分科会長 ありがとうございます。技能実習制度の適正化に向けた調査研究事業についての御要望もありましたが、これに関してはいかがでしょうか。
○長良能力開発総務参事官 私からお答えいたします。調査研究事業については、必ずしも多くはない額ですが、予算として確保したところです。もちろん、外国人技能実習機構で日頃の業務を進めていく中で、一定のデータなどの把握をしているところですが、送出機関、監理団体、実習実施者のそれぞれに対して、より深いところを向上させていきたいという観点で制度の事業を立ち上げたところです。その運用に当たっても、しっかりと厚生労働省が関わっていく形で、より実のあるものにしていければと思っているところです。
○早川委員 御解答いただきましてありがとうございます。
○武石分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問等はございますか。よろしいでしょうか。特にないようであれば、この案件は以上とさせていただきます。
次に、議題7「その他」です。報告事項が1つありますので、能力評価担当参事官より御報告をお願いいたします。
○安達能力評価担当参事官 資料7「卓越した技能者の表彰制度における障害者部門の新設について」を御覧ください。卓越した技能者の表彰制度、いわゆる現代の名工というものですが、厚生労働大臣表彰ということで、表彰対象者は各職種での国内の第一人者の技能を有する方であって後継者育成を行っている方なのですが、毎年11月に表彰しており、表彰の際にはマスコミ等でも大きく取り上げていただいているところです。
今回の経緯ですが、表彰者を最終的に決定する総合審査会において、審査会の有識者の先生から「障害者の雇用が進んでいる中で、障害者の技能者の表彰という部分にも取り組むべきではないか」という御指摘を受けたことを踏まえて検討してきたところです。まず、推薦を頂く都道府県や障害者を雇用する事業主団体の方にヒアリングをしたところ、「障害者であっても名工に値するような優れた技能を有する方は一定程度存在するのではないか」、「こういう形の部門を設けていただいたほうが推薦も行いやすい」という声を頂いたところですので、今回、障害者である技能者にとっての審査を扱う部門として、障害者部門を新設させていただきたいと思っているところです。
具体的な内容ですが、この部門の対象者は、身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方ということです。また、その他の要件として、障害特性に配慮しつつも、現行の審査とほぼ同等ということで、技能が卓越し、企業の職員への指導や助言を行い、企業の業績に貢献し、ほかの技能者の模範となるような現役の技能者を対象とするものです。なお、この障害部門の審査とほかの部門の併願は認めているところです。また、この話については、障害者雇用分科会の障害者団体の方々にも事前に説明させていただいて、各団体とも「是非進めてほしい」という形でサインを頂いたことも、併せてお伝えいたします。
○武石分科会長 ありがとうございます。その他として御報告いただきました。議題については以上となりますが、全体を通して委員の皆様から何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。特にないようであれば、本日は以上といたします。次回の開催日程については、決まり次第、事務局から御連絡させていただきます。
それでは、以上をもちまして、第40回労働政策審議会人材開発分科会を終了いたします。皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。