医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(第8回)の議事録

日時

令和5年6月16日(金) 16:00~18:00

場所

AP虎ノ門11F C+Dルーム
(東京都港区西新橋1-6-15 (NS虎ノ門ビル))

議題

1.(1)医療用医薬品の安定供給について
2.(2)その他
  1.  

議事

議事内容
○山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第8回「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
 厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課ベンチャー等支援戦略室長の山本でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず会議の初めに、構成員の先生方の御出欠について御報告いたします。
 本日、16名の構成員が会場での御参加、また、関構成員はオンラインでの参加となっており、17名全構成員の皆様の御出席をいただいております。
 また、本日は、参考人として、日本製薬団体連合会安定確保委員会供給不安解消タスクフォースリーダーの國廣吉臣様にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
 次に、構成員の交代がございましたので、御報告いたします。
 国立医薬品食品衛生研究所薬品部長伊豆津健一構成員に替わりまして、国立医薬品食品衛生研究所所長本間正充構成員に御参加いただくこととなりました。よろしくお願いいたします。
 以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。
 清田座長、よろしくお願いいたします。
○清田座長 清田でございます。
 それでは、まず最初に事務局から資料の確認と議事進行における留意点に関する御説明をお願いいたします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 本日の会議資料を確認させていただきます。
 会場におられる構成員の皆様のお手元にあるタブレットには、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1から資料3、参考資料1~5まで、御準備をしております。
 端末の不具合や資料の不足等がございましたら、事務局までお知らせいただければと存じます。
 次に、議事に入る前に、本日の会議の進め方の留意点をお知らせいたします。
 オンラインで参加の先生におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただき、御発言がある際にはチャット機能等を使っていただき、また、会場で御参加の先生は、手を挙げるなどしてお知らせください。
 御発言いただく際には、マイクを御利用いただき、発言の最初にお名前をお知らせいただいた上で御発言をお願いします。御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
 会議中、マイクの調子が悪くなるなど、ほかの出席者にとって聞き取りづらい状況が続く場合には、音声の代わりにメッセージで御意見等を記入いただくことがありますので、事務局または座長からお願いさせていただくことがございます。
 そのほか、システムの動作不良などございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局まで御連絡をお願いいたします。
 また、事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局からメールで御連絡いたしますので、御確認いただきますと幸いです。御理解、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 なお、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
○清田座長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の議題は、資料1「サプライチェーン強靱化」、資料2「医薬品供給情報の共有」、資料3「業界の取組について」となっております。
 本日の議事進行ですが、それぞれの議題の切り分けが難しいところもございますので、資料1~3まで御説明いただいた後に、まとめて質疑応答の時間を取らせていただきたいと思います。
 では、事務局より、資料1~2につきまして御説明をお願いいたします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、事務局より資料の御説明をさせていただきます。
 初めに、資料1「サプライチェーン強靱化」について御覧ください。
 まず最初に、「1.これまでの議論」としまして、3ページですが、前回の3月の会議にてお示しをしておりました資料を振り返りとして記載をしております。安定確保に向けた大きな方針を3つ挙げさせていただいておりまして、まず、「潜在的な供給不安の調査」として、個別医薬品ごとの供給リスクの調査・確認を行うこと。そして、真ん中の「脆弱なサプライチェーン構造への対策」として、品目横断的な、構造的な課題を整理して、対策の検討を行うこと。さらに、「関係者間の情報共有と連携強化」を行うこと。大きくこの3点を取組の方針として挙げておりました。
 このうち、資料1では、左側の「個別医薬品のリスク評価」の調査を行う中で、真ん中の安定供給上の構造的な課題の整理を行いましたので、その結果を次の4ページから記載を行っております。
 さらにおめくりいただきまして、5ページを御覧ください。こちらも前回3月の会議でお示ししているものでございますが、昨年実施しました調査の概要をお示ししておりまして、外部業者に委託しまして、安定確保医薬品のカテゴリBとカテゴリCの成分、全部で485成分につきまして、これらのメーカーであります製造販売業者220社に対して、各医薬品について、供給不安につながり得るサプライチェーン上のリスク要因が、過去の発生実績も含め、ないかどうか、どの程度該当しているか等について、アンケート調査をしたものでございます。
 その次の6ページには、この調査の結果の概要として、前回3月の会議でお示ししたものを掲載しておりますけれども、前回3月の時点ではまだ集計中だったこともありまして、このような簡易な集計した結果のみをお示ししておりました。今回は、調査結果の分析・整理を含めまして、次の7ページに記載しておりますが、調査結果から得られた供給上のリスクの背景となる課題を大きく6種類記載をさせていただいております。
 次の8ページ以降、一つずつ御紹介をしておりまして、まず1つ目の課題が、特定の国あるいは特定のサプライヤへの依存、原材料の供給元が集中してしまっているという問題でございます。左下の四角囲みにございますように、サプライヤの統廃合が進み、生産性の高いサプライヤのみが残るという傾向、人件費や原材料の安価な特定の国の少数の企業に原材料の製造が集中してしまっていること、また、さらに下の囲みは、製造上の制約から新規サプライヤの参入が進みにくい。医薬品の製造は特殊な技術や設備等が求められ、参入障壁が高いことが指摘されております。
 その結果として、右側の四角にありますように、サプライヤの数が限られ、供給途絶の際に回復が困難となることや、特定の国の情勢に影響を受けやすいといったリスクが指摘されております。
 次の9ページには、調査結果のデータをお示ししておりまして、今回、調査しましたカテゴリB、Cの品目について、輸入原薬を使用しているかどうかを調査しております。真ん中の灰色が、輸入した原薬を用いているもの、左の赤い部分が製剤化まで海外で行っているものでありまして、合計すると7割近い品目が原薬の製造を海外に依存しているという結果が得られております。
 続いて、10ページですが、複数ソース化に係る情報を記載しております。原材料の供給ルートの複線化・複数ソース化が推奨されておりますが、それが技術的な原因によりできないケースがあるかを調査しておりまして、左側は、製造工程において特別な技術が必要であるもの、右側は、特別な理由でほかの医薬品と設備の共用ができないものについて、中間体・原薬・製剤のそれぞれの段階において、赤い部分が該当しますが、一部の医薬品について、技術的な理由により複数ソース化ができないという回答が得られております。
 具体的な事例としましては、下のコメント欄にございますように、抗がん剤の製造を行うために、従業員の被曝を防ぐ設備が必要であったり、βラクタム系抗菌薬を製造する場合に、環境中への漏えいを防ぐための封じ込め設備が必要など、一部の医薬品では複数ソース化が難しいといったケースが報告されております。
 続いて、11ページでございます。こちらは、モダリティ別の海外依存の背景を記載したものでございまして、前回の会議資料にも記載をさせていただいたものでございます。左側の低分子医薬品につきましては、大量生産が容易で生産規模の優位性が働くため、大規模工場への集約化が進んだことにより、生産コストが低い国への製造移管が進み、国内製造所の撤退が進んだという背景がございます。
 一方で右側のバイオ医薬品につきましては、製造に当たって高度な技術と工程管理が必要となるため参入障壁が高く、欧米を中心とした製薬企業やCMOによる製造が主となっていることにより海外依存が大きくなっております。
 続きまして、12ページに参りまして、課題の2つ目でございます。「変動するコスト等の影響」ということで、左下の四角囲みの中にございますように、医薬品についても、ほかの工業製品と同様に、物価高や為替変動、人件費の増加、輸送に係る燃料費の高騰等によって、製造に係るコストが上昇する傾向がございます。
 それに対しまして、右側にありますように、薬価が決まっていることによりコストの増大を製品価格に転嫁できず、不採算が生じる。原材料の調達にかけられる費用を上げることができず、調達が困難となるといった影響が指摘されております。
 次の13ページには、関連するデータとしまして、不採算となっている品目の割合をお示ししております。一番左の濃い赤い色の部分が不採算となっている品目、これが28%、その隣の明るい赤の部分が、不採算までは至っていないものの採算性が低いとされている品目として24%、合計しますと半数以上の品目が、採算性が低いという回答が得られております。
 続いて14ページ、課題の3つ目でございます。「日本に特有の規制対応」でございます。日本特有の規制事項や品質の上乗せ基準等が必要となる場合がありますが、それに対しまして、左下にございますように、サプライヤ、海外製造所における必要なリソースが増加してしまうこと。具体的には、さらに下にありますように、日本向けの原材料について、上乗せの工程や試験等が必要となるなど、追加の対応が必要となる場合がございまして、その場合、右にありますように、日本が重要な輸出先ではない、言わば購入量が少ないなどの重要な顧客ではないようなケースの場合ですと、例えば供給を途絶される、上乗せ要件への対応が劣後となる、または、追加の費用を要求されるようなケース、または、追加の対応に時間を要して出荷が遅れてしまうようなケースが指摘されております。
 次の15ページには、1例でございますが、医薬品の規格・基準集であります日本薬局方への適合を依頼したことよる影響について調べておりまして、数としては非常に少なく、一番左の赤い部分、0.3%、0.2%と、数は非常に少ないものでございますが、海外製造所に対して、製造する原材料について、日本薬局方への適合を依頼した結果、供給を断られたり、遅れたりする事例があったことが報告されております。こちらは薬局方によるものでございますが、ほかにも、日本のみの上乗せの基準があった場合も、同様の事例が生じている可能性があると考えられます。
 続きまして、16ページでございます。課題の4つ目「サプライチェーン管理の複雑化」ということで、日本の医薬品メーカーは1社当たりの製造販売品目数が多くなる傾向にございますが、その取り扱う品目が増加することによって、企業内の管理業務も煩雑になる。それとともに委託先企業等も増えていくことになりますので、左下の四角にありますように、契約管理や日常管理業務が増えていくこと、それに対して、下の四角のように、必要となる管理リソースが増加する一方で、それに対応する十分な人材や体制が構築できていないことが指摘されております。
 これによって、右側にございますように、日本の規制要件に準拠しているサプライヤを探し出したり、選定したりすることが難しく、時間とコストを要すること、契約先の状況をタイムリーにモニタリングすることができず、突然供給停止が発生するようなケース、または、製造所において問題が発生した場合に、速やかに原因究明や対策ができずに、影響が広がることなどが想定されております。
 続いて、17ページには、「原材料供給元の把握状況」としまして、各企業が、当然ながら自社と取引のある企業は把握しておりますけれども、さらに上流の原材料のサプライヤを各企業が把握しているかということを聞いたものでございまして、一番左の濃い赤色の部分のとおり、47%の品目において原材料のサプライヤの所在国を把握できていないという結果が得られております。
 また、その次の18ページは別の資料でございますけれども、「承認書と異なる製造工程についての事後連絡の有無」についてでございます。製造所において、製造販売承認書に記載されている製造工程を変更した場合には、製造所からのその旨の事前の連絡が必要となりますが、その連絡が漏れていた、あるいは、対応に遅れが生じたというケースを質問しておりまして、左端のとおり、約1割の品目において、そのような事例があった旨が報告されております。こういった製造所の対応に不備や遅れがあったというケースは、本来であれば、製薬メーカー側からの管理等が適切に行われていれば、発生を防げた事例も含まれていると考えられます。
 続きまして、19ページでございます。課題の5「供給情報の取得」についてございます。こちらは先ほどの課題4と似ておりますが、各サプライヤ、製造所の情報をリアルタイムに把握することができないこと、それから、左下の四角については、市場流通におきましても、各地域での供給と在庫の状況を把握することができないことが指摘されており、その結果、右側のとおり、医療機関や薬局の不安の増幅により、在庫確保のための発注等が進み、在庫の偏在や品薄に拍車がかかること、さらに、代替薬の需要が増加して、連鎖的に供給不安が発生してしまうといった影響が想定されております。
 次の20ページ、最後の課題6でございますが、安定供給への投資不足でございまして、これまでに御説明したような各課題、安定供給上のリスクに対しては、本来は、各企業において、例えば先ほどの複数ソース化や製造量・備蓄量の増強といった生産体制の増強のほか、安定供給上のリスクに対応するための体制整備を行うことにより、リスクを低減するための措置を行うことが求められますが、収益性や採算性向上につながらないこともありまして、特に左下の四角にありますように、後発品、長期収載品といった製造原価率の高い製品の場合には、収益性の観点から追加投資を行うことが難しいことなどが指摘されております。その下、安定供給に対する法的な規制や罰則がないこともありまして、そのための投資が劣後してしまうという指摘もございます。
 その結果、右にございますように、体制の不足については、問題発生時の市場への影響防止ができない、予防策が不十分となるといった影響が想定されております。
 次の21ページには、1例としまして、製造所に対するGMP上の指摘の影響について記載をしておりまして、過去5年以内に製造所に対する行政の査察が行われた結果、GMPに関する指摘によって、製造が遅延または停止したことがある品目を調べたところ、6%の品目において、そのような事態が発生したことがあるとの指摘がございました。こちらも、適切な体制整備によって防げた可能性がある事例も含まれていると考えております。
 続きまして、22ページ目以降には、これらを踏まえました「論点」でございます。
 23ページの基本的考え方につきましては、こちらは前回3月の会議でもお示ししたものでございます。安定確保に対する考え方としまして、「リスクに応じた対応」「供給リスクの監視の強化」「安定確保のためのインセンティブ」「供給情報の共有と連携」と、大きく4つの観点に留意しながら、対策を進めてはどうかとしておりました。
 この基本的考え方や、先ほど御説明しました各課題を踏まえまして、論点の案をお示ししたものが次の24ページでございます。まず、一番上の論点、下線部分でございますが、製造技術の海外依存など、供給源の複数化などの短期的な施策の実施が困難である場合なども考慮した取組が必要なのではないか。
 次に、先ほど御説明しました企業内の体制について、人材や体制整備が不十分であることを踏まえた取組が必要ではないか。
 次の供給情報の共有と連携につきましては、こちらは、次の資料2において、別途、対応を整理しておりますので、こちらでは割愛させていただきまして、さらに、一番下ですが、安定確保のためのインセンティブについて、現状では、安定確保に向けた追加投資にはつながっていないことを踏まえて、根本的な問題解決を目指す観点での取組が、併せて必要なのではないかとしております。
 これらの主な論点を踏まえまして、右側の「具体例」の欄に、これは事務局の案でございますけれども、具体的な施策を例示として挙げさせていただいております。例えば、各企業における取組の強化としては、安定供給への責任の在り方や、事業継続管理計画(BCP)の整備等、こういった形で様々な具体例を挙げさせていただいております。
 本日は、この24ページの冒頭、上の部分に記載しておりますとおり、今後の安定供給のための取組を検討していくに当たり、方向性を整理するため、不足している論点や視点がないか。あるいは、こういった取組も考えられるのではないか、必要ではないかといったような大きな観点で、広く先生方から御意見をいただきたいと考えております。
 その上で、2つ目の○にございますように、今後の論点や個別の施策の検討につきましては、いただいた御意見も踏まえて、事務局で検討いたしまして、次回以降の本会議におきまして、改めて、御議論をいただきたいと考えております。
 また、ここで、補足資料の御説明をさせていただきたいと存じますので、参考資料5の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会報告書」を御覧いただければと思います。こちらは、前回3月の会議におきましても、概要を御紹介させていただいておりましたが、昨年の9月から、別途開催しておりました検討会の報告書でございまして、こちらの検討会では、革新的新薬の迅速導入から医薬品の安定供給まで幅広いテーマ、特に現在の医薬品産業の課題を対象として御議論いただいておりまして、ちょうど1週間前の6月9日に報告書を取りまとめていただいております。
 今回、参考資料として配付させていただいておりまして、御覧いただいている資料の表紙の次のページ、2枚目に目次のページがございますので、そちらを御覧いただければと思います。この報告書は、前半の1章が現状と課題の分析、そして、後半の2章がそれに対する対策の提言という構成になっておりまして、この安定確保会議の内容にも一部関連いたします、医薬品の安定供給上に係る問題、産業構造上の問題やサプライチェーン上の課題等についても、御議論をいただいております。
 こちらの報告書に記載されております様々な提言につきましては、今後、それぞれ担当する会議体や部署で検討を進めていく予定としておりまして、例えば薬価制度に関しては、中医協とか、流通上の課題については、流通改善懇談会、また、この報告書の中で記載されておりますけれども、後発医薬品産業の構造的な課題につきましては、新しい会議体を立ち上げて、今後、詳細を議論していくこととしております。
 そのため、戻ってしまって恐縮ですが、先ほど資料1の最終ページでお示ししておりましたような論点や具体策の例示につきましても、本日の御意見を踏まえつつ、同様に検討を進めていきたいと考えておりまして、必要に応じて、ほかの会議体との連携も行いながら、検討を進めていきたいと考えております。
 すみません。長くなりまして恐縮ですが、資料1は以上でございます。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 ちょっとすみません。資料1についてですが、タブレット上は、恐らく16ページまでしか格納されてないと思いますので、こちらで手違いがありまして、今、ちょっと印刷させていただいておりますので、後ほど、紙でお配りさせていただきます。
 申し訳ございませんでした。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 大変失礼いたしました。
 それでは、資料2は、正常なファイルが格納されているということですので、資料2の説明に移らせていただきたいと思います。
 おめくりいただきまして、2ページからです。「供給情報緊急調査事業」について御紹介をしております。
 3ページに概要をお示ししておりますが、こちらは前回もお示ししました資料で、従来、おおよそ3か月に1回実施しておりました日本製薬団体連合会(日薬連)、業界の皆様による供給状況の全体調査について、この4月から、頻度を上げて毎月実施をすることとしたものでございます。
 次の4ページは、その調査の概要をお示ししておりまして、下にございますように、薬価収載されている全ての医薬品を対象に、供給状況や回復の見込み、また、実施の理由なども調査するものでございまして、調査項目については、今後も必要に応じて見直しを行っていくこととしております。
 続いて、5ページ目以降が、今回の調査の結果をお示ししておりまして、こちらは4月に行われました調査の結果をお示ししております。現時点では、4月の調査結果につきましては、ウェブサイト上では、各医薬品のデータのラインリスト、いわゆるエクセルデータといいますか、生データを掲載しているのみとなっておりますけれども、今後は、こちらのページ以降に記載しておりますような、グラフでの集計結果も併せて掲載をしていきたいと考えております。
 集計結果の御説明に参ります。まず、全体の対応状況ですが、円グラフのとおり、通常どおり出荷できている品目が青い部分77%、ピンク色の限定出荷が15%、赤い色の供給停止品目が8%となっております。品目別に見ますと、左下の表のとおり、やはり後発品による影響が大きい傾向がございます。
 続いて、6ページでございます。今回の調査では、新しい調査項目としまして、供給停止や限定出荷の理由についても調査をしておりまして、左側の供給停止については、原材料調達トラブル、製造トラブル、品質トラブル等が多いという傾向がございました。また、一番下のその他の回答が最も多くなってしまっておりますが、こちらですと、具体的な理由が分からないということになりますので、次回以降の調査では、こちらの理由が適切に把握できるように、質問の方法を改善することを予定しております。
 一方、右側の限定出荷については、一番上の需要増が突出して多くなっておりますが、これは、多くの事例が、例えば他社の製造が止まってしまったことで、自社への注文が増加して、それに応え切れないといった、他社からの影響によるものが多く含まれていると考えられます。
 続きまして、7ページでございます。供給停止品目について、その解消、回復の見込み時期が分かっているかどうかということを調査しておりまして、左のグラフのとおり、残念ながら、回復時期が分かっているものは12%と限られてしまっており、残りの品目は、時期が未定、不明となっております。
 また、右のグラフのとおり、時期が分かっているものの内訳で見ましても、1~3か月以内が3割、3か月以上が6割と、長期間を要する品目が多くなっております。
 さらに、次の8ページは、限定出荷が行われている品目につきまして、同様に、解消見込み時期を調査しておりまして、こちらは他社の影響によるものが多いこともあり、解消時期が分かっているものは8%と非常に少なくなっております。
 右側の時期の見込みにつきましても、1か月以内が2割程度でございまして、出荷停止に比べますと、若干短い傾向にございます。
 そして、次の9ページでございます。こちらは別の切り口で、品目ごとに出荷量が平時に比べて増えているか減っているかという観点で調査をしたもので、左のグラフのとおり、濃い青の部分2割程度の品目については、通常時よりも出荷量を増やしている、増産している品目、水色の部分が通常の出荷量、平時と同じ出荷ができている品目が64%、出荷量減少が6%、出荷停止が4%、薬価削除を行っている販売中止、終了品目が6%となっておりました。
 これらの結果を踏まえました今後の取組方針の案について、10ページに記載しております。先ほど申し上げましたとおり、供給停止の理由としては、品質トラブル、製造トラブル等が多いことが明らかになっておりますが、今回のアンケート調査結果では、それ以上詳細な情報、具体的なトラブルの内容については調査できておりませんので、今後、例えば各企業に個別に確認するなどによって、対応状況を確認させていただきたいと考えております。
 その上で、右上にございますけれども、回復の見込みが未定となってしまっている品目が多数ございますので、その解消の見込み時期が少しでも早められるような対応ができる部分がないかという観点で、具体的なトラブルの内容を、品目横断的、企業横断的に整理をしまして、行政側でも企業の取組を支援するようなことができないか検討をさせていただきたいと考えております。具体的に、どのぐらいの品目に、あるいは、どのようなことができるのかというところについては、これからの検討になりますけれども、状況については、次回以降の会議でも御報告をさせていただきたいと考えております。
 続きまして、11ページからは別のお話になりまして、感染症法等の改正についてでございます。
 こちらについても、前回の会議でも御説明させていただいておりますが、12ページの資料に基づきまして、御説明させていただいておりましたとおり、令和6年度─来年4月から、改正感染症法及び改正医療法が施行されることを踏まえまして、その施行準備を進める必要がございます。
 次の13ページは、改正法全体の概要でございまして、このうち、医薬品等の供給情報の収集に関する規定については、次の14ページに記載しております。こちらも、前回会議で御説明をした資料でございますので、詳細な御説明は割愛させていただきますが、左側が感染症に基づく感染症対策物資等に対する生産等の指示、生産計画の届出等の規定、右側が医療法に基づく医薬品の供給情報等の収集・公表に関する規定について記載をしてございます。
 これらにつきまして、具体的には、次の15ページにございますように、医薬品の供給状況の収集、提供等の規定に関しまして、今後、「感染症対策物資等の確保等に関するガイドライン」や医薬品や医療機器におきまして、情報収集の手引きを来年4月の施行に向けて作成をしていきたいと考えております。
 このガイドライン等の作成に当たりましては、次の17ページ以降に記載をしておりますとおり、安定確保会議の下にワーキンググループを設置いたしまして、構成員についてはこれからの調整となりますが、少人数の先生にお集まりいただきまして、機動的に検討を進めていきたいと考えてございます。
 また、これらのガイドラインの作成に当たりましては、18ページ目以降に記載しております、現状の情報共有の問題点等を踏まえながら進められればと考えております。18ページでは、現在の情報提供の問題点のイメージをお示ししておりまして、情報提供の内容、手段、報告相手等にばらつきがあって、医療機関や薬局等のニーズが満たせていないといった課題を記載しております。
 また、19ページでは、左下のメーカーから右側の医療機関等への情報提供のルートが様々であり、右側の課題の欄に記載しておりますように、情報の内容や迅速性等も含めて整理が必要としておりまして、前回の会議にて、坂巻先生からも研究班の成果を御報告いただきましたとおり、様々な課題が指摘されているところでございます。
 20ページには、課題と考え方を記載しておりまして、供給情報についてどのような手段や方法が適切か、報告内容については不安解消につながるような報告の項目が必要で、報告内容や対象医薬品のカテゴリ分けを標準化するべき、3番目は、各企業にどのように情報提供や報告を実施させるかという課題、4番目は、迅速性の観点から望ましい報告や情報更新の頻度の整理など、それぞれ課題として挙げております。
 今、申し上げたのは、メーカー側の供給情報の共有に関する課題でございますけれども、これに加えまして、次の21ページには、その他の課題としまして、供給情報が不透明であることにより、市場在庫の偏在や供給不安が解消されていないといった現状を踏まえた取組が必要ではないかとしまして、市場流通における適正在庫の考え方も課題として挙げております。適正在庫の考え方を整理することや、メーカーに加えて卸売業者や医療機関や薬局等の需要側も含めた在庫状況を把握することにより、供給不安を防止するような取組についても検討するべきではないか。また、在庫情報の共有に当たっては、緊急時に限るなどの条件設定、それから、対象とする医薬品など、適用範囲の検討も併せて必要ではないかとしております。
 これらにつきまして、最後の22ページでございます。ワーキンググループにおきましては、今、御説明しましたような課題に対する考え方や情報提供のガイドライン、手引き等の案の作成を進めることとしまして、具体的なスケジュールとしましては、本日の安定確保会議の後、ワーキンググループでの検討を進めていただきまして、11月から12月頃、年末頃に、この安定確保会議を再度開催させていただきまして、検討の中間報告をさせていただきます。その後、令和5年度中としておりますので、年度末頃になるかと思いますが、もう一度安定確保会議を開催させていただきまして、ワーキンググループの検討結果を報告させていただくと、このような形で進めたいと考えております。
 長くなりまして、申し訳ございません。事務局からの資料の御説明は以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
 続きまして、資料3につきまして御説明をいただきたいと思います。日本製薬団体連合会の土屋構成員、お願いいたします。
○土屋構成員 ただいま御紹介いただきました日薬連の安定確保委員会の土屋でございます。資料3に基づきまして、取組を御紹介いたします。
 2ページを御覧ください。本日は、この2つの点について、私から御紹介をさせていただきます。
 3ページを御覧ください。まず1つ目の「4月度 医薬品供給状況調査」の結果について御報告をさせていただきます。
 4ページを御覧ください。これまでの供給不安解消の一助するために、昨年5月から3か月に1回のペースで銘柄別のいわゆる医薬品の供給状況調査を実施し、公表してまいりました。このたび、よりタイムリーにかつ詳細な情報を公表していくために、3か月に1回から月に1回の調査頻度を高めて実施することにしております。また、さらに詳細な情報を公表するために、調査項目を見直すとともに、項目も追加しております。これによりまして、医療関係者の皆様方に対しまして、これまでよりも見える化を進める、情報を提供する形で確認しやすくなると考えておりますし、また、私ども供給側としましても、製販として、他社の状況が月1回確認できますので、他社品の影響によって限定出荷に陥った際に、通常出荷への移行判断の一助ということも考えているところでございます。
 5ページを御覧ください。こちらが先ほど申し上げました従来の調査からの変更点・項目とございます。中段2つ目の○を御覧ください。製造販売業者の「出荷量」についてですが、出荷量に関しては、これまで、Aの「出荷量通常」が最上段に位置づけておりましたけれども、これでは他社の限定出荷に対応するために、各社がリカバーのため供給量を増加させているのかが分からないという御意見もいただいておりましたので、改めて、Aプラス「出荷量増加」という上のステータスを追加しております。また、これまで「販売中止」という項目がありませんでしたので、今回、調査から「販売中止」という項目を追加しているところでございます。
 続きまして、6ページを御覧ください。さらなる情報の公開目的に、赤字で記載されております調査項目も追加しております。限定出荷あるいは出荷停止の解消見込み時期、さらには、限定出荷や出荷停止に至った、その理由の分類等を追加いたしまして、より詳細な情報を調査、公開するようにしているところでございます。
 次のページでございます。7ページを御覧ください。見えづらくて恐縮でございます。先ほど御説明をさせていただきました調査項目を加えることによりまして、供給状況について、従来よりも詳細に分類することが可能となっております。これまでよりも、より様々な視点での可視化が可能になってまいります。特に、出荷停止や限定出荷の理由について、その要因が明らかとなりまして、先ほども、山本室長からもお話がありましたけれども、品目横断的に共通する要因等が把握できれば、当局と連携して対策を立て、取り組んでまいることができるのではないかと考えているところでございます。
 次のページを御覧ください。こちらは、先ほども御説明ありましたが、本年4月度の供給実態の概要でございます。上段の図の赤枠を御覧ください。ちょっと上のところですが、通常出荷は75.7%、一方、限定出荷と供給停止の品目は、合わせて全体の23.2%でございまして、後発品は34.2%でございます。後発品が多い状況は、これまでと同様でございます。
 下段の図の赤枠を御覧いただければと思います。製販業者の出荷量については、Aプラスの出荷量が増加、20.2%、それから、Aの出荷量増加が64.3%、合わせて84.5%でございまして、出荷量は一定確保できていることが分かります。特に後発品については、その横のほうを見ていただければと思うのですが、Aプラスの出荷量増加が28.3%でございまして、リカバーのため増産や在庫放出等を行って供給量を増加していることが、これで分かるかと思います。ただ、安定確保医薬品全体の通常出荷の割合は、上段の右側の枠の(参考)というところに書いてございますが、72.9%となってございまして、全体と比べて低い状況であることが分かりました。
 さらには、カテゴリAでは58.1%ということで、低い状況でございました。これは、安定確保医薬品、カテゴリAでは、セファゾリンやセフメタゾール、メロペネム等の抗生物質の注射、それから、アセトアミノフェン等が限定出荷となっておりまして、その要因は、急激な需要増が、まだ続いている状況でございました。
 また、基礎的医薬品では、新型コロナの影響で需要増が増えました漢方製剤とか抗生物質、この辺の注射剤が該当しているような状況でございます。
 次に9ページをご御覧ください。これは、今、御説明しました全医療用医薬品の個々の医薬品について、1か月に1回、その結果を日薬連のホームページに、このような形で公開をしているところでございます。
 次の10ページを御覧ください。こちらは、今まで御説明いたしました調査結果を、改めて分析し、限定出荷の要因について取りまとめたものでございます。限定出荷で、自社事情、他社品の影響、その他全てにおいて最も多い要因は、先ほども説明ありましたが、需要増でございました。ただ、その他という理由も多く挙がっており、これは、各社様々な理由が存在すると思いますが、このあたりにつきましては、次回の調査より、要因をより正確に選択できるように検討してまいりたいと考えております。
 それから、左側の図の限定出荷(自社の事情)に至った理由におきましては、製造トラブル、原材料調達等トラブルが多い状況となっておりまして、また、ここについても、限定出荷の解消見込みについても、ほとんどが未定となっている状況でございます。
 次に、真ん中の限定出荷(他社品の影響)でございますが、最も需要増が多い結果で、1,513成分規格でございました。その理由は、他社品の限定出荷または出荷停止の影響を受けて、急激な需要増により通常の出荷ができなくなったことを推察しております。また、この解消見込みの時期についても、同様に、他社の解消見込み時期が不明なため、未定となるケースが多いのではないかと推察しているところでございます。
 次のページを御覧ください。これは、同様に、出荷停止の要因をまとめたものでございます。出荷停止で最も多い要因としましては、品質トラブル、それから、続いて製造トラブル、行政処分でございました。また、カテゴリは後発品が多いことも、これでお分かりいただけると思います。ここの部分についても、その他の項目が非常に多い状況でございますので、次回の調査から、要因をより正確に選択するように働きかけていきたいと考えているところでございます。
 そして、限定出荷同様、出荷停止においても、この解決の見込み時期については、未定が多い状況でございました。この未定となっている状況につきましては、推察するに、例えば製造設備の老朽化、故障等によって、特殊な部品の調達時期が不明とか、あるいは、原材料、例えば賦形剤等が不足した際に、その原材料の復旧見込み時期が読めないとか、あるいは、これまでに経験したことのないトラブルで、原因究明に時間がかかっているとか、そのようなケースが多々あるように聞いておりますので、そういう背景があり、未定というケースがあるのではないかと推察をしているところでございます。いずれにしましても、この辺については、今後、その他の部分については、より詳細に分かるようなことを検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次のページを御覧ください。12ページでございます。限定出荷・出荷停止に至る要因について、主な事例と、各社の取組を少しまとめたのがこちらのスライドでございます。左上のほうから、原材料調達トラブルの主な事例といたしましては、例えば、添加物や容器、包装資材等の不足あるいは調達遅延等が挙げられます。ここ最近で申し上げますと、コロナ禍におけるワクチン製剤の資材の優先供給において、バイアルやフィルター等が不足する問題も発生しておりました。また、原材料の返却、または、廃棄等で不足した事例もありますし、異物混入もございます。
 次に、真ん中の製造トラブルの主な事例でございますが、工場の設備とか機器・システムの故障、それから、工場の人員不足、それから、製造工程での逸脱等が挙げられます。それらに対しましては、右のほうに書いてございますが、予備部品の装置の確保とか、定期メンテナンス期間の見直し、人員の増強、他社への委託、こういうことで対応しているところでございます。
 一番下段の品質トラブルの主な事例といたしましては、長期の安定性試験等の規格の不適合、それから、出荷規格への不適合が挙げられてございます。これらに対しましては、GMP省令における品質システムの実践、例えば逸脱や品質不良時の原因究明、是正・予防措置の対応を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後、当局と連携しまして、この品目横断的事案に合致した対応を検討していきたいと考えているところでございます。
 13ページを御覧ください。この需要増に対しまして、供給側、製販としての対応していく「限定出荷」解除促進の取組でございます。左のチャートを御覧ください。この4月調査では、全成分規格、この6,659のうち、同一成分内において、全ての品目が「通常出荷」の成分規格の割合は68.3%でございました。右のチャートを御覧ください。一つの事例を示しておりますが、同一成分内の製品数、例えば5品目におきまして、この場合、「通常出荷」が3品目、「限定出荷」が2品目の事例でございます。この場合に、同一成分内の製品数の過半数である3品目が「通常出荷」となっておりますので、一定程度の供給が確保できることを推察し、残りの2品目の「限定出荷」の解除を促すことで、成分規格全体で「通常出荷」とできる可能性があると考えているところでございます。
 そういった成分規格数は、この709で10.6%ぐらいが存在していると算出しております。今後、日薬連加盟会社の製販業者に対して、これらの「通常出荷」に切り替える可能性がある成分規格リストを提供しまして、「限定出荷」の解除を促進していきたいと考えているところでございます。
 次のページを御覧ください。次に、話は大きく変わりまして、「医薬品の安定供給確保について」の御紹介でございます。
 15ページを御覧ください。こちらは、安定供給に関する業界全体の自己点検の実施状況でございます。前回のこの会議でも御報告させていただきましたが、昨年11月に、このチェックリストの更新版を発出しております。加盟会社のさらなる自己点検の実施を推進すべく、本年6月5日に、この同チェックリストの利用のオンラインセミナーも実施したところでございます。当日、従来のこの通知内容の説明にとどまらず、自己点検の実施で、サプライチェーンのリスクを少しでも低減することが、ステークホルダー、何よりも、患者様の利益につながることを強調した上での内容としたところでございます。
 また、当日参加できなかった方々も含めまして、現在、YouTubeにアップするなどして、周知徹底を進めているところでございます。
 なお、この自己点検チェックにつきましては、本年8月に、活用状況について、点検状況調査を実施する予定としておりますので、供給状況調査等を踏まえ、今後、また、チェック項目の見直しも含めて検討してまいりたいと考えているところでございます。
 次のページを御覧ください。続きまして、局方品の国際整合化プロジェクトについて少し御紹介をさせていただきます。先ほども、当局の山本室長から御紹介ございましたが、日本薬局方の独自に設定されている品質規格とか試験項目が一つの要因となりまして、安定供給に支障を来す事例が発生しておりました。このような状況を踏まえまして、安定供給の観点から、業界として、日本薬局方と欧米の薬局方との整合性を考慮した課題の整理が必要と判断いたしまして、今、日薬連内において、プロジェクトを発足したところでございます。また、この本課題の解決につきましては、課題整理後、当局と連携して進めたいと考えております。
 次の17ページを御覧ください。また、検討に当たりましては、現状の把握、ファクトが必要ですので、本年5月に、日局の適合品の調達に課題があったり、医薬品の安定供給に支障を来す恐れのある原薬について、今、調査依頼を発出しているところでございます。今後、これらの課題が顕在化した個々の原薬について、実態を踏まえて、対策を検討し、当局と相談して、進めていくことを考えているところでございます。
 以上、日薬連の主な取組について、説明させていただきました。
○清田座長 ありがとうございました。
 それでは、御説明は以上でそろいましたので、ここからは、お時間の許す限りディスカッションをしていきたいと思います。構成員の皆様におかれまして、御質問等がございましたら、お手を挙げていただければと思います。いかがでしょう。
 どうぞ。
○平川構成員 日本精神科病院協会の平川と申します。
 非常に詳細に問題点を明らかにしていただいて、その辺については非常に納得をしたのですが、今現在、薬が足りないという点についての提案がなくて、これからどうしようかという話ばかりのような気がします。
 現在、私ども精神科の領域は、割と古い薬、安い薬を多く飲んでいらっしゃる方が多くて、例えば鬱病の薬で、トリプタノールみたいな三環系の抗鬱薬などは、安くて、割と飲み心地がよくて、もう何十年も飲んでいらっしゃる方がいらっしゃるのですけれども、そういうお薬が手に入らないとなると、結局、最近のSSRIなどに替えるわけですけれども、1錠が5円から100円に変わってくると、単価が全然違うので、飲んでみたら、吐き出して、こんなお薬飲みませんということで、高いわ副作用はあるわということで、患者さんの不信感とか、その生活に与える影響が非常に大きくなっていて、一日も早く回復していただきたいと思うのですけれども、優先順位が低いのか、精神科まで薬の供給がなかなか回らないということ。それから、ほかの薬に、同じようなアミトリプチリンなどにトリプタノールを替えようかというと、これは、前年度の購入実績がないから売らないということで、いろいろ製造工程を見させていただくと、110%とか、いろいろ増えているようにも思うのですけれども、そこでは増えても、ほかの代替薬に替えられないという、また障壁が出て、問屋さんに問い合わせますと、非常に冷たい対応をされまして、「そういうふうになっていますから、無理です」と。「いつになるのですか」「いつになるか分かりません」と、物すごい紋切り調の回答で、今、医療機関、各薬局、小さい薬局さんと問屋さんの間の関係が非常に悪化しています。
 その辺、本当に今すぐ何とかしていただきたいというのが現場の思いですので、それについて、何か明るい御意見もしくはいただけるものがあったら、教えていただきたいのです。
○清田座長 これは、どなたがお答えになりますか。
 土屋さん。
○土屋構成員 日薬連でございます。
 先生、今、御紹介いただいた、医療現場で患者さんの非常に困っている現状について、御紹介いただき、ありがとうございます。
 その部分につきましては、私も、日々、そのようなお話を伺っておりまして、今、その部分を少しでも解消すべく、業界団体で取り組んでおります。一時的には、供給不足、いわゆる医薬品の量が足らないというものと、あと、もう一つの観点としましては、医薬品の供給不安といいますか、どの商品が足りて足らないのかとか、そういうことが見えないので、過剰に発注が起こってしまって、さらなる供給不安が起こっていると、2つの視点があろうかと思っております。
 業界団体としましては、一刻も早くこの供給不安の解消するため、現在、見える化に力を入れ、御説明をさせていただいた点で進めておるわけですが、この供給不足のところにつきましては、各社が、一致団結してといいますか、在庫放出と供給のアップ、製造量のアップ、そういうことに取り組んでいく必要があると考え、その辺りについては、業界団体と通知を出すなりさせていただいているところでございます。
 ただ、突然の供給不足に対して、それに迅速に対応するのは、1年間の供給計画を各社立てている中で、なかなか厳しい現状があるというのも聞いておりますので、その辺につきましては、例えば、先生がおっしゃった優先順位もつけながら、製造の部分について各社が検討して、我々業界としても、見える化を進めることによって、何が今本当に足らないのかを、各社に対して情報発信をしていきたいなと思っております。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○國廣参考人 日薬連で供給不安解消のタスクを担当させていただいております國廣でございます。土屋に加えて、一点補足説明させていただきます。
 先ほど、13ページで御覧いただきましたが、7割ぐらいの成分規格は、全ての品目が正常に流れている。過半の品目数は正常に流れているという成分規格は700品目。5月の調査も既に集計を終わっていますが、約800品目が、促せば限定出荷が外れるのではないかと。これを毎月繰り返せば、そこのところの成分規格は供給不安が解消するのだと思っておるのですが、今、先生がおっしゃったように、問題は、数の点で、50%未満の品目が正常に流れてない成分規格が非常に問題だと思っておりまして、この中身についても、全部の品目のデータを細かく見ておりまして、本当に、言い方は変なのですが、代替が可能で、問題がないものもあれば、今、先生おっしゃったようなものがございます。
 ですから、このグラフのパイチャートで言いますと、ねずみ色の部分を掘り下げて、医療との関係で見ていかなければいけないと、そういう意識は持っております。現在見える化は進んでおりますので、早い段階で、その対応を考えていきたいとは思っております。もちろん、データを見ただけで解決できないところもありますので、いろいろ御相談しなければいけないとは思っております。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○平川構成員 トイレットペーパー騒ぎなどでもあるように、我々、医療機関側もしくは薬局側にストックがあるようなところがあるのではないかと、供給側のことばかりでなくて、前年度に実績があるからといって大量に持っていっている医療機関がもしあるのであれば、そういうのは、逆に、それもはっきり見える化していただければ、そこに頼めば、多少分けてもらえるのではないかという話もありますので、その辺の何か仕組みをお願いできればと。いつも供給側ばかりたたかれてしまうのもどうかと思いますので、よろしくお願いします。
○清田座長 流通の問題ですよね。
 どうぞ。原さん、先に答えますか。
○原構成員 大きな薬局という定義が難しいのですけれども、患者さんがたくさん来る薬局なのか少ない薬局なのか、それとも、チェーンで何店舗も持っている薬局なのが、大きな薬局とか、いろいろあると思うのですけれども、多分、どちらも薬はないと思っています。そんなに余裕がある感じではないですし、大変な思いをしているのはもう間違いないと思っています。
 それに関して、比例配分で、過去の実績で配分するということが、是か非かは、非常に難しい問題ですけれども、卸さんはそれしか持っていきようがないということで、卸さんが偏在をさせているとは思ってないのですし、それしか方法がないのだろうなと思っております。
 ここですごく大事なことは、1つは、見える化をしたときに、本当に余っている薬をみんなで地域で配分しようとするときに、今の法律だと、病院さんとか薬をほかのところに渡すことがなかなかできない状況になっています。薬局においては、分割販売できるのですけれども、そういうところも考えなければならないので、見える化と同時に、そういう供給できる体制をつくらなければいけないということはあると思っています。
 それと、今、一応メーカーさんのほうは見える化していただいているのですけれども、我々にとっては、お薬はいつ入るかが全てで、供給不安が解消したとか言っても、実際、卸さんに頼んでみたら入ってこなかったらないのと一緒なので、いつ入ってくるかが分かれば、不安も起きないし、偏在もしないのではないかなと思っています。毎月毎月、患者さんが100人来て、1000錠買っているような薬があるとしても、次、来月入りますよと卸さんに言われたら、多分、2,000錠も3,000錠も買わないです。いつ入るか分からないと卸さんに言われて、変な話、卸さんも自分たちが、いつメーカーさんから入るか分からない状況で、今あるものを比例配分したときに、今なら2,000錠ありますよと薬局に言われますと、じゃ、2,000錠くださいと言うのが、薬局なのではないかなと。医療機関もそうなのではないかなと思っています。
 特に精神科の先生のお話でもありましたけれども、我々もてんかんのお薬がなくなったときは大変苦労しました。特にお子さんを持っているお母さんから見たら、とんでもない話で、お薬が足りないから、例えば普通3か月分とかてんかんは処方日数がある中で1ヶ月分でと先生にお願いして、今足りないので何とかしようと努力している。それが2か月後、3か月後に入るか入らないか分からない状況で、患者さんに説明している。非常につらい怖い思いをしているのは、我々薬局でも同じことで。薬がないので、ついつい卸さんにわーっと言っちゃうと、卸さんのMSが大変だとか、残業が増えたとか、人が辞めてしまうというのですけれども、薬剤師や医師は、現場から逃げるわけにいかないので、ずっと戦っているのですけれども、そこにいるスタッフの皆さん方もすごく苦労していると思っていますし、そういう意味では、この会の一番最初で、一條構成員が言ったように、みんなが力を合わせて何とかするのだというところが、今、必要なのではないかなと思っていますし、見える化は非常に重要だと思っています。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○一條構成員 卸売業連合会の一條でございます。
 冷たい卸と言われて、大変つらいのですけれども、今、実際には、MSが、出荷調整品目の朝一時間ぐらい注文いただいたもので、品切れのものを出荷調整する。それで、帰ってきて、夕方今頃、また、1時間ですね、そういうふうに出荷調整をかなりばらけさせております。対外品をやったり、あと、処方元の先生のところへ行って、「先生、これがちょっとないから、お願いします」と言う時間が、1日最低2時間は取られている状況です。
 それで、メーカーさんから入ってくる・入ってこないというのがありますが、本当にトリプタノールの問題は大変大きくて、常に、これに対しては毎日言われる。特に薬局さんの中で、個店さんが大体35%、広域さんが22%、地域の大きな調剤薬局が17%あるのですけれども、薬剤師の先生が相談できるのは卸だけなのですね。薬局さんに対して、全てジェネリックメーカーさんが回れるわけではないので、MRさんは回っていませんから。大きな病院、それで、先生と話しましたけれども、大きな病院で張りついているMRさんがいるところは、情報が早いですけれども、いない、普通の薬局さんのところは全て、卸が情報を供給しなければいけないという形になっております。そうすると、そこに対しても、今、原さんが言ったとおり、わーっといったいろいろなことがあるのですが、そこで、今、一番調整をやるためには、1日2時間以上費やしているというのが毎日の状況です。
 ですから、この供給が、1万8,000種類のアイテム数が、今、調整になっていますけれども、これを減ってきたかと思ったのですが、今、全く高止まりしている状況。それに対しまして、今、アンケートを土屋さんのほうで言ってもらって、大変ありがたかったです。よく分かるアンケートなのですが、ジェネリック協会に入ってない受託生産先があまりにも多過ぎる。実際には、そこの36社でほとんどのものを売っていらっしゃると思うのですが、そのほかに140社ぐらい受託生産している、本当に1品目、2品目。ここが止まると、それが一気に影響が出てくるというので、何とかそこまでのラインをつないでいけないのかなと。全ての受託生産先を、そのアンケートを取りながら、連絡がつながるようになれば、多分、もうちょっとできるのではないか。さっきのその他が三百四十幾つもアンケートであったものですから、そこがはっきりして、その情報が来るようになれば、それが、全部メーカーさんから卸、そして、薬局さんに行くようになれば、もうちょっとよくなるのかな。
 いつも言っているとおり、我々はチームですから、全てがチームなので、皆さんでこれを話し合って、みんなで対策をしていくということが、本当一番大事だと、最初から私はと思っていますので、ぜひ、そういう意味での情報公開がもっともっとできたらいいのかなと思っておりました。冷たくならないように頑張っていきたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 この点につきまして、山本室長から何かございますでしょうか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 ありがとうございます。
 見える化の部分につきましては、資料2でも御説明さしあげましたとおり、供給側といいますか、メーカー側からの供給状況の見える化とともに、今後の検討の課題の1つとしまして、今、先生方から御指摘いただきました市場流通上での在庫の偏在についての課題ですね。こちらについても、テーマとして挙げて、検討を進めていきたいと考えております。まずは、御指摘いただきましたように、実態の調査も含めて、取り組ませていただきたいと考えております。
○清田座長 ぜひ、はっきりするといいですね。今後の検討課題ですね。
 平川先生、よろしいでしょうか。
○平川構成員 はい。
○清田座長 どうぞ。
○原構成員 在庫の偏在も全部出した上で、あそこ3,000錠もある、ここは100錠しかないとか言っても、来ている患者さんが違えば、当然在庫数が違うので、使用量と在庫数と両方見ていかなければいけないところはすごく重要なところだと思っています。
 それと同時に、お薬がなくなったときに、例えば、骨粗鬆症領域はそうだったのですが、これは骨粗鬆症には使わないようにしましょう、ほかに代替薬があるから。これはそれ以外の代替が利かない適応症の患者さんに使いましょう。そうなると今ある薬自体も、学会の指示によって使い方を変わり、実はうちの持っている薬は、全然そこに該当しない薬ですよとなったら、周りに放出できますし、逆に、使用量が少ないところに関しても、そういう患者さんばかりだというところには渡すべきだし、そういう全体像を捉えてやらないと、決して効率のいい在庫偏在の解消にはならないと私は思っております。
 もう一点、先ほど、日薬連から出ましたけれども、お薬が5種類あるうちの4種類が供給不安が解消されたとしても、残り1種類がどえらいシェアを占めていたら、それは大変だろうなとわかるので、シェアが分かると、我々もちょっと見やすくなるというか、逆に1社が供給不安になったとしても、それはあんまりシェアないから影響ないよねと安心できることもあるので、シェアを入れてくれると、見える化は進むのではないかなと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 ぜひ、その点につきましても、検討していただければと思います。
 どうぞ。
○安部構成員 安部でございます。
 医薬品供給情報の共有は、今の議論で非常に重要だということ、もう皆さん認識されているところでありますけれども、現場としても、先ほどからあったように、不安心理であるとか、見込みが立たないことによる過剰な市場在庫の買い急ぎ、こういったことが起きないようにすることは非常に重要かと思っています。
 本日の資料2の3ページに、令和5年度1,500万円の予算を取ってこの事業を進めたことが記載されておりますが、過去にも、こういった予算要望をして、財務省の理解が得られなかったという経緯があったように思います。令和5年度については事業を進められたわけですが、この単年度の事業が終わった後は、今後、医療法に基づいて、様々な国の取組がある資料には書いています。もちろん医薬品の安定供給は、企業の方々の努力が欠かせないわけでありますが、そこは国がしっかりと音頭を取ってというか、指導をしていただけるような事業を行う予算等がしっかりと確保できるように、この会議でも議論をしていって、財務省に十分理解してもらえるような仕組みをつくっていくことが必要と思っております。
 以上であります。
○清田座長 ありがとうございます。
 安藤さん、大丈夫ですね。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございました。
 まさに御指摘のとおり、ちょっとこれまでの2年間でございましたけれども、当時、予定しておりましたのは、いわゆるシステム化ができないかというところで、この場だから、もう今となってはということかもしれませんけれども、やや軽率に、ちょっと予算要求してしまったかなというところがあって、今回は3回目になりますので、そういう意味では、きちんと現場ニーズとか議論を踏まえて、今日、まさにいろいろな有効な御指摘いただきましたが、そういったことを踏まえて、それで、しっかりと要求していくという方針でおりますので、先ほどもちょっと御説明させていただきましたけれども、ワーキンググループを立ち上げて、そこでしっかり議論した上で、その上で、必要な対策につなげていきたいと考えてございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 坂巻先生と宮川先生からさっきから手が挙がっていますが、坂巻先生からどうぞ。
○坂巻構成員 坂巻でございます。発言の機会をありがとうございます。
 今、一條構成員、原構成員から、非常に情報提供に対しては、前向きな決意表明をいただいたところで、やや後ろ向きな質問を事務局にさせていただくところを、お許しいただきたいのですけれども、資料2の14ページ、前回も資料の説明をいただきましたけれども、ちょっと法律の立てつけで確認をしたいのですが、14ページの右下のところが太字になっておりますけれども、「国から製造販売業者への聴取を可能とする」と。それに対する回答の義務と書かれているわけですけれども、これは、企業のほうから自主的に報告するのではないのですかということを、まず1つ目の確認。
 それから、法律においては、製造販売業者と書いてあることは、今、卸さん、薬局のほうからお話がありましたけれども、流通在庫に関しては、これは義務ではないと読めてしまうのですけれども、これはそういった理解でよろしいのかどうかということを、念のためちょっと確認させてください。事務局に対する質問でございます。
○清田座長 山本さん、お願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。
 今、坂巻構成員から御質問いただいた点につきましては、まず1点目が、自主的なものかどうかという観点につきましては、御指摘のとおり、法律上の規定は、国から製造販売業者に対して聴取を行うという形でございますので、自主的に、業者のほうから能動的に提出がされるというものではないということになります。
 それから、2点目が、こちらは、対象が製造販売業者だけかという点でございますけれども、こちらも御指摘のとおり、製造販売業者、いわゆるメーカーが対象となっておりまして、卸業者とか医療機関等、薬局は含まれていないということになります。
 以上でございます。
○清田座長 よろしいでしょうか。
○坂巻構成員 一応確認だけですが、それだと、実効性という点では大丈夫かなという不安を感じるところございます。
 批判的なことを申し上げているわけではなくて、例えば、諸外国を先ほど御紹介いただきましたが、厚労科研で調べた中では、実際はメーカーに対する報告義務なのですよね。ですから、そういう意味では現実的なのかなという気はしますが、医療現場のニーズとしては、流通に対する情報のニーズがかなり高いことを考えると、次のステップとしては、ちょっと法律を超えて、その流通在庫の情報提供をどのように考えるか、そこら辺は、今後の議論として考えればいいのかなと考えております。
○清田座長 ありがとうございます。
 では、宮川先生。
○宮川構成員 私も、今、坂巻先生と同じようなことを考えていたのですが、どこに何があるのかということも含めて、全部分からなければいけない。それが本当の見える化だと思うのですね。それを置いておいても、これは喫緊の問題としてやらなければいけない。先ほど、平川先生から口火を切っていただいたわけですけれども、医療機関にとっては、薬がないということは非常に死活問題であるということの中で、様々な方々が努力されてここまできたわけです。3年前はほとんど見えなかった中で、見えないけれども、何とかやっていたというところが、いろいろな事象が起こってきて、それで、急激に現在のような状況がやってきた。
 だから、先ほど1年という言葉が出てびっくりしてしまったのですが、もう2年以上たっているよと。その中で、どれだけきちんとしてきたのかなという思いがあって。そういうことからすると、今、土屋さんからいろいろなお話があって、生産はこれだけできていますよと言うけれども、これじゃ不安なのですね。何が起こっているのかというと、少しの余剰がなければいけない。余剰のプラスがあることによって、平川先生のような不安とかが起こらないわけですよ。それをどこまで積み上げたらいいのかということも、きちんとその当事者間で議論していけなければいけない。だから、先ほど坂巻先生が言ったように、メーカーの話だけでもなく、卸だけでもなく、そして、薬局だけでもないけれども、そこの見える化まで一気通貫していかないと、この問題は最終的には解決がつかない。そういう問題をこういう場で、しっかりとした議論で、そして、国がしっかりと関わっていく中で、見える化をきちんとしていただかなければいけないということで、ぜひ、この形にお願いしたい。
 しかしながら、先ほど言ったように、どこかが隠しているということは、もうこの時期ではありませんよ。だから、それはそうだとすれば、申し訳ないけれども、メーカーがもう少し頑張っていただいて、どうやったらこれを解決できるのか、その余剰のところまでしっかりと積み上げるということで、この今の数字ではやはり駄目なのです。もう少し上げなければいけない。それでやっと目的が達成されると考えていただかないと、これは無理な話だろうと私は思っています。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○一條構成員 今、宮川先生に話していただいたとおりで、アストミンの例でいきますと、今、卸の支店の在庫まではそろってきたのですね、医療機関。ところが、メーカーさんも、今、倉庫はすっからかんという状況です。ですので、メーカーさんの倉庫に3か月最低、3か月、6か月、プラス卸に1か月、プラス医療機関の方々に1か月分があると、やっと安定すると。そのぐらいなのですね。ですから、その余裕がどこまであるのかというところで、アストミンもまだまだメーカーさんでも全然ないという、やっと現場まで来たよという状況が今です。ですので、メーカーさんのほうで、それをどこまで供給不安になったときに、卸があって、それから、自分のところの在庫がどのぐらいあるかというのは多分分かると思うのですよね。それをある程度出してもらえれば、分かるのではないかなと思います。
○清田座長 どうぞ。
○安部構成員 在庫の状況ですが、製販業の場合は全国単位になるでしょうし、卸売業の場合はセンター在庫、支店の在庫がある。我々の場合は、自薬局にどのぐらい在庫があるか、地域の中で近隣の薬局が在庫を持っているかによって処方箋が来たときに対応できる・できないに差が生じるわけですので、薬局の場合は、全体の在庫量を知るという他に、その地域の中の状況を知ることが非常に重要であります。そういった意味では、もちろん物が全然なければ対応は難しいわけでありますが、地域の中の様々な連携の中で、在庫の状況を確認したり、その地域の中でしっかり対応できるような工夫も今後していく必要がありますので、ワーキンググループの中で、そのような視点での議論をしていただければと考えています。
○清田座長 ありがとうございます。
 これは、配られました有識者検討会の中でもよく書いてありまして、どうやら、無尽蔵に生産できるわけではなさそうなのですね。ですから、そういう点も含めて、今後、別の会議で検討されていくのであろうと思います。
 山本さん、よろしいですか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 御指摘のとおり、それぞれの課題ごとに合わせた会議体で議論をさせていただきたいと考えております。ありがとうございます。
○清田座長 つくれない理由というのがあるのですよね。無尽蔵にはつくれないという感じでしょうかね。そこら辺も困ってしまいますね。私も、トリプタノール止められたことがありますけれども、しようがないという感じでしょうかね。
 ほかに御意見ございますか。
 どうぞ。
○蛭田構成員 蛭田でございます。
 今、情報の透明化のことで議論が行われているところを、腰を割ってしまうようで申し訳ないのですけれども、この安定確保会議の中で、基本的な原因としては2つあったと思っていて、1つが原薬の安定調達の問題、もう一つが不正製造に端を発して、ジェネリック医薬品の製剤製造のキャパシティの問題と、2つあると思っています。
 その中で、まず原薬の安定確保の問題に関しては、当初の1年で、結構深く、根本的なところまで議論ができたのかなと思っているのですけれども、ジェネリック医薬品の安定確保の問題に関しては、この会議の結論が出た後から挙がってきた問題ということもあるのかもしれませんけれども、基本的な、根本的な原因については、全く議論ができていなくて、現状の情報を透明化しましょうというところの議論が主になっているのかなと感じています。そういうこともあって、その議論に少し温度差が生じているのかなと思いますので、そこら辺のところをもっとお考えいただく。逆に、その件になってくると、産業振興・医療情報企画課にお願いするというよりも、監視指導・麻薬対策課なのかもしれませんけれども、そういった議論も必要なのかなと思っております。
 もう一つ、最初に議論をしました原薬の安定調達という観点に関しては、前回会議にて補正予算も確保され他とのご報告もございまして、原薬の国内製造に関する検討も開始され、ある意味第一歩を踏み出したということで、非常に感謝をしています。それに関しては、もう事業がスタートしたということで安心してしまったのか、今日の議題のこの課題の中には載ってないのですけれども、それとも、感染症法のほうに行ってしまったのかなという思いがあるのですけれども、今後、何年後かに国内で生産するキャパシティは確保してきましたと言っても、その時点で、中国産の安い原薬が流通していたら、通常、ビジネスの原則から言って、医薬品企業は、国内産の原薬よりも、中国産の安い原薬を使ってしまうことになります。そうすると、幾ら製造設備ができたからといっても、なかなかそれが稼働できない。いざ、有事が起こって、国内原薬を供給しましょうといったときに、いや、立ち上げるのに半年かかりますよというのではしようがないので、そういうときにスムーズに移行できるような形で、ある程度日常から稼働を確保できるような施策が必要なのかなと思っています。今日のこの施策の具体例を見ても、そこら辺のところがちょっと欠けではないでしょうか。
 私自身、例えば、以前に提案したことがあるのですけれども、以前米穀にて行われていたように国が一定の価格で買い上げたものを、世間相場の価格で製薬会社に卸すというような方法も1つあるのかなと思いますけれども、それ以外にも適切な方法もあると思うので、そのような議論も是非お願いしたいと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 藤井さん、どうぞ。
○藤井課長補佐 監視指導・麻薬対策課の藤井と申します。当課は薬事監視等を所管している部門ですので、ただいまコメントいただきました薬事監視の部分で、お答えしたいと思っております。
 薬事監視の観点としましても、これまで、行政処分の事例の報告を受けまして、我々、業界あるいは薬事監視を行う自治体とも連携しまして、様々な対応を行ってきたところでございます。恐らく懸念としては、依然としてそういった事例があるのではないかということだと思っております。我々もそれは重く受け止めておりまして、引き続き、例えば国と都道府県の監視の連携をしたりとか、そういった取組を考えているところでございます。
 そういった議論も必要ではないかというのはおっしゃるとおりでして、ただ、議論する場がどこかというのは、また、検討が必要だと思っております。薬事監視の検討については、我々、厚生労働省の別の会議の場を持っておりますし、あるいは、厚生労働科学研究も活用して、しかるべき場で、薬事監視のお話もしっかりと議論していきたいと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
 この会議を通して働きかけるのもよろしいかと思いますので、ぜひやっていきたいと思います。
 松本先生、どうぞ。
○松本構成員 松本でございます。
 本日、御説明いただいた厚生労働省の方の現状把握と、それから、今後取り組まなければいけない内容については、私は本当に的確に捉えられていると思いますし、ここの部分をそれぞれ解決していただきたいと思うのですけれども、ただ、短期的に解決できるものではもちろんございませんので、いろいろな課題が多々あると思います。
 前回もお話しさせていただきましたけれども、やはり薬価の問題はかなり大きいかと思います。結局は、企業側からしてみれば、収益につながらないから、そこに対してあまり十分には補充ができない、積極的にはあんまりつくりたがらない。であれば、供給する部分もそれだけなかなか回らないという点はあるかと思いますので、薬価は、改めて、もう一度ぜひ訴えておきたい点だと思います。
 あと、もう一つの点についてですが、先ほどからずっと見える化というところがありました。1つは質問になるのかもしれませんけれども、出荷という部分に関しては確かにそうなのかもしれませんが、実際、私も処方もいろいろやって、薬局から、これはありません、これはありませんというふうになってきたのは、三十数年医者をやって、ここ一、二年ぐらいではないかと思います。これまで、本当に、ここまでの薬がない、ないと言われたことは初めての経験でもあります。
 ということは、別にどの薬がというよりも、製薬が全体的に安定では全然ないと。少なくとも余剰がない。余剰といいますか、余裕がないといいますか、それがないから、ちょっと足りなくなると、すぐ大げさになってしまって、誰かがすごく買い占めようとすると、どこかがすぐ簡単になくなるということで、今、非常に不安定な部分は多々あると思いますので、そういう意味では、供給の見える化も大事かと思いますけれども、実際使われている調剤薬局で、本当にどれが足りないのかとかいうところまで把握を的確にしていただければと思っております。
 何か注文をつけるばかりで申し訳ないのですけれども、ただ、先ほどありましたように、原薬の製造を国内で始めていただけるような体制をつくっていただいたことは、本当にありがたく思っておりますし、そういう意味では、厚生労働省の方も非常に頑張ってやっていただいていると思います。ただ、現場は結構大変な思いなので、本当に頑張っていただいている部分ももちろん分かるのですけれども、現場の医療は、薬が足りなくなって、かなり困っていることを、改めて、もう一度話しておきたいと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 状況は悪くなっているのですよ。これはもう確実に。ですから、それに対してどうしましょうという話なのですね。ですから、状況は、出荷停止とか多くなっているので、必ずしも上向きにはなってないかもしれませんね。それは、この資料で一目瞭然だろうと思います。そこを何とかしましょうというところでしょうかね。薬価に関しましては、中医協なども入ってまいりますので、別の場で、こちらの意見を出して、検討をしていただくということになろうかと思います。
 どうぞ。
○原構成員 すみません。素人発言なのですけれども、もともとは、この会議の1回目や2回目のときに、それこそおっしゃっていた、国際規格ではない原薬は受け入れが大変だとかいうお話もされていましたし、その原薬を国内でつくったとしても、国内で使われなくなったら大変だという話も出ていましたし、同じ話を繰り返して聞いております。そこで深掘りしたいのは、セファゾリンナトリウムは、何となく今回復活したような形の記事を読みましたけれども、本当に薬価が下がって、だから、国内のバルクではなくて海外の安いものを使おうとしたのか。国内で使っていても、十分利益があるのに、さらなる利益を求めて、海外のものを使ったのか。その辺のところもはっきりしていませんし、そういう意味合いでは、今、お話が出たように、国内でお金を使ってきちんとやりましょうと、これが地政学リスクに耐えられるのだからということで、せっかくお金を投資しても、みんなが使わなかったら駄目になってしまうのです。それが薬価なのか何なのかは分かりませんけれども、何らかの措置をしなければいけないのは、素人から見てもそうなのかなと思いますし、ハーボニーの偽薬事件が起きたときに、PIC/SGDPで行きましょうとか、国際基準で頑張りましょうという話が出たように、どうして、原薬だけがそういった国際的なものにいかないのかな。日本の高温多湿のためには、こんな規格でなければいけないとか何か理由があるのかなと、私は薬剤師ですが、そこは素人なのでちょっと分かりませんけれども、もし分かる方がいらっしゃったら、教えていただきたい。
 もしそうでなければ、本当に供給しやすくなるような、そういうものをつくっていただけたらいいなと、我々は1年でも半年でもいいから、早くこの供給不足を解決してほしいので、あらゆる手を打ってほしいと思っているのが、現場の意見だと思っています。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 薬事に関しましては、GMPなども含めて、PMDAのほうで、今後、議論を立ち上げるみたいなので、ぜひお伝えしたいと思います。
 どうぞ。
○藤川構成員 藤川ですけれども、セファゾリンが何で海外に行ったかというのは、ちょっと詳しくは私も分からないですけれども、恐らくお金の問題であろうと思いますが、ちょっと細かくなってしまいますが、原薬に関して、資料1で2つほどコメントさせていただきたいのです。
 今の規格の話にもありますが、まず、日局とか上乗せ規格の話で、資料1の15ページを見ると、日局の対応についてはあんまり困ってなさそうなというか、問題なさそうな雰囲気のアンケート結果になっているのですけれども、これはちょっと違和感があるというか、もうちょっと問題があると我々は思っていて、その1つは、局方の規格とか試験方法の差異はあるのですけれども、そもそも輸入業者が原薬を選ぶときに、日局に適合するものしか持ってこないので、実は、日局が、海外で試験するかどうかはあんまり問題ではなくて、海外のメーカーはEPとかESPとか、持っている自分の規格で出してもいいのですね。日本に流通するときに、誰かが日局を担保しなければいけないというのが、実は正しい言い方になっていて。日本の場合には、輸入業者が試験をし、あと、製販さんも受入試験を日局でするということで、日局で使えるというのが、実は実態なのですね。
 なので、海外の原薬メーカーが、日局の試験をしてくれたらいいのですけれども、必ずしもそれはしてもらう必要はなくて、日本で誰かがすればいいということです。ただ、海外で、EPで試験して適なものが、日局でも適になるかどうかというのは、やってみないとちょっと分からないというところがあって、そこは、輸入業者が合うものを探してきますし、輸入したときに試験をして、日局のものしか国内で流通させないというふうにしているので、想像ですけれども、製販さんも困ってないのは、多分、我々が、日局ではないものは最初からはねてしまっているというのもあって、日局の差異については、皆さんそんなに困ってないのかなというのが1つあります。
 上乗せについては2つ種類があると認識していまして、1つは、ユーザーニーズというか、例えば、やっぱり白いほうがいいよねとか、臭いがないほうがいいよねとか、あるいは、焦げみたいなものでも、異物は少ないほうがいいよねというような、そういうニーズですよね。
 もう一つは、我々、原薬のマスターファイルの審査なんかは受けるのですけれども、審査の過程で、どうしても安全サイドに振って規格が厳しくなるというのが、もう一つあります。それは、例えば不純物なんかだと、審査のときに実測値を出して、これだけ低い不純物であるならば、管理値も低く設定して管理してくださいというようなことを審査されて、結果的にもちろん安全サイドに振っているから、正しいと言えば正しいのですけれども、安定供給上どうかと言われると、そこは相反するところが出てきてしまうということにも1つあります。
 それから、もう一つは、ちょっと全般的な話で、安定供給の確保のためのいろいろな投資とかがなかなかしづらいとか、あるいは、原薬の複数ソースが案外進んでないことについては、これは製販さんのマンパワーの問題があるのではないかなという印象を持っています。新しいソースを足すときは、結構手間がかかって、原薬の評価をして、試作をして、いけそうだったら、メーカー監査して、PVやって、安定性を取って、それから、薬事の対応をするという、そんなことが非常にありますので、QAとかQCとかRA、要するに、品質管理・品質保証・薬事は、マンパワーをすごい食うのですよね。我々は、実際、製販さんに、こういう原薬があるので、追加したらどうですかとか、そういう話をするのですけれども、今、製造現場もぱんぱんで、QAとかQCの方ももうぱんぱんということになると、優先順位がよほど高くないと、それはちょっと今できませんということになるのが実は実情なので。そこのマンパワーも必要だと思いますし、それを雇ってしまうと、人件費がかかるということなので、もしインセンティブ的なもので見るのであれば、不採算という中で、単純に製造原価との比較でどうかということだけではなくて、QA、QC、RAの管理コストも見てあげないと、なかなか進まないのかなと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 これについては、今後、どこで議論をしていきますでしょうかね。
○林課長補佐 医薬品審査管理課でございます。
 日本薬局方につきましては、局方の国際調和の関係で御指摘いただいたことかと思います。日本薬局方については、19局に向けての作成基本方針の中で、医薬品各条についても、国際調和を進めていくとうたっているところでございます。ご指摘いただいた欧州や米国の薬局方と異なっている部分についても、局方の改正要望等をいただいた上で、原案検討委員会で検討をさせていただく。そういった日局の改正をしていくことは可能でございますので、このような枠組みを通じて取り組んでまいりたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 検討委員会が始まりますので、ぜひ反映していただけると思います。
 今のと関連する方ありますか。
○宮川構成員 宮川ですが、以前、藤川先生から教えていただいて、その問題が非常に大きいと。だから、日本の規制ではなくて規格の問題、先ほどお話しになったようなところが欧州等を含めてあるのです。そこを、どのようにこれから取り扱っていくのか。今、検討すると言ったのですが、これは喫緊の問題なので、ある程度期限を区切って、しっかりとした対応を取っていただきたい。これは昔から問題になっているところなので、はっきり言って、もう検討するという段階ではないような状況だと私は思っています。早く解決していただかないと困る問題だなと、私は認識しております。よろしくお願いします。
○清田座長 了解しました。
 どうぞ。
○蛭田構成員 1つは今と同じ意見なのですけれども、局方の改正のタイミングで、各条を見直すとすると、今から3年ぐらい後になってしまいます。本当に喫緊の問題で、解決するということは困難かと思います。その局方の各条を見直すという件と平行して、運用面においても早急に対応できるような方法論を考えていただければなと思います。
 それと、もう一つ各条の見直しについて少し細かい話になってしまいますけれども、原薬の規格の国際調和の必要性についてはまず、先発の判断が優先される、更に改正案を作成する企業が費用負担をしなければならない、というような現在の日局各条の改正の仕組み自体を見直す必要があると思います。すなわち業界全体で現在のニーズや環境を勘案して、あるべき枠組みも考えていただく必要があると思います。すなわち業界として、このような視点も考慮して、受益者負担の原則に基づく日局各条の見直しの枠組みについて御検討いただきたくお願いします。
 
○清田座長 具体的な配慮をいただければ、ありがたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
 坂巻先生のほうからは。
○坂巻構成員 先ほどの藤川構成員の御発言ですが、「サプライチェーンの強化」という言葉を日本で使うのですけれども、ヨーロッパなどですと、レジリエンシーという言葉を使うのですね。それは日本語だと、柔軟性とか回復力とかということになるのだと思うのですけれども、要するに、ダブルソース化しろと幾ら言っても、なかなかコストの問題もあるのでなかなか全て対応できない。恐らくほとんどが輸入の問題になるわけですけれども、原薬の調達先で何か問題があったときに、次、別の供給元の原薬に替えるときに、いかに迅速に替えられるのか。その中には、薬事承認の在り方とか、もちろん企業の中でもやるべきことはあると思うのですけれども、そういった薬事承認も含めた全体的なレジリエンシーを高めるような取組が、もう少し議論されてもいいのかなと私は考えております。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○安部構成員 安部でございます。
 サプライチェーンの強靱化の観点で、本日の参考資料の有識者検討会の報告書、それから資料1で論点が示されているわけでありますが、現在の課題を非常にうまく整理していただいていると思っております。一方、論点で示されている対応を見ますと、いずれも、その実現には相当な努力というか、対応とコストが発生するものと感じております。
 先ほど一條構成員からもありましたが、後発医薬品の供給については、上位8社ぐらいで50%のシェアを占めているということでありますが、残り50%を百数十社、小さい規模でやっています。それも、現在の新規の後発医薬品の薬価収載の半分ぐらいは共同開発品目でありますので、こういった規模の小さな製販業が、ここに示されているような様々な対応に取り組むことが現実的に可能かというところは、私は企業の人間ではありませんが、薬局薬剤師の立場からも、懸念されるところであります
 今日の資料1の13ページに、不採算品目の状況が示されています。なぜ、このような状況で供給を維持できるのかということでありますが、もちろん、日本の薬価制度は市場実勢価格の加重平均値調整幅方式でありますので、特に後発医薬品の市場や競争原理からすると、後発医薬品の価格は引き下げが大きくなることは事実でありますが、それを支えていたのが恐らく後発医薬品シェアの80%目標であり、過去15年間でその目標に達する中で市場が急成長したこと。また、この30年間はデフレであったこともこれを可能とした原因なのかなと思っています。しかしながら、今回の様々な問題で、公定価格の薬価で不採算でも一定の医薬品供給を維持できた現状は、なかなか続かないであろうことが予測されるわけであります。
 今後も、政府は賃金と物価の好循環を目指すということでありますので、公定価格である薬価の在り方は、今後、インフレに振れたときのことも踏まえて考えないと、従来の経済状況における対応では間に合わないこともあろうかと思いますので、そこはしっかり検討する必要があると思っております。
 現在の後発医薬品の使用による医療費の抑制効果は1.9兆円と言われており、社会保障費を一定のレベルにしっかり抑えるためには、これは維持しなければならいわけでありますので、本日、具体的に示されたような企業努力のほかに、国としても優良な後発医薬品が必要量きちんと供給できるよう、バックアップをしていただければと思っておりますし、そのための施策・予算確保も、厚生労働省にはお願いしたいというところであります。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 ほかに。
 どうぞ。
○三村構成員 御説明ありがとうございました。
 正直言いまして、非常に問題はかなり深刻であると認識いたしました。有識者検討会では、私なりには発言したつもりですけれども、かなり落ちていた、あるいは、見えてない問題もあったのかなという感じはいたしました。ただ、2つの視点が必要かと思いました。サプライチェーンの強靱化という議論、これはある意味で世界的な議論であり、EUもアメリカも特に非常に強く意識している問題です。そのときの議論の中心は、もちろん、原薬・原材料調達問題であるとともに、非常に重要な成分について、焦点を合わせて、それを国としてサプライチェーンを強化していくという、そういう明確な方針を基本的に出しているという感じがいたします。
 そうしますと、安定確保医薬品のこの会議で議論してきた制度上の対策は、それに近い考え方をしていたと思います。ただ、今日、いろいろな形で後発薬全般として、精神科の薬が大変足りなくて非常に御苦労されているという話もあるわけですが、これだけ非常に大きな広がりがあったこと、これ自体が、なぜなのかということについて、今日は本当によく情報を整理していただいたのですけれども、まだ、そこがよく見えていない感じがします。
 まず考え方としては、先ほど、原薬・原材料調達トラブルと、製造トラブル、品質トラブルと、3つの問題があるという御指摘があり、どちらかというと国内問題として起こった問題と、それから、原薬・原材料調達トラブルとして出てきた問題の二次元がある。これは、先ほどの話になりますと、ある一定の段階から先は、メーカーとしても掌握できないという、かなり深刻な話が出てくる。そういったことが解消しない限りやはり無理なのかというところと、いや、そうではなくて、国内に非常に多くのメーカーがあることで業界全体としては少し体力が弱っている。そこで1社が駄目になると、混乱が雪だるま式に広がっていくという現象が起こっている。そのあたりを少し整理しておかないと、どのように解決していけばいいかということについて対策がしづらいかなという感じがいたします。
 今日、日薬連から、いろいろないい資料を出していただいたのですけれども、拝見しますと、解決見込みの有無ということでは、実は残念ながら、出荷停止の解消見込みの多くが未定となっている。なぜ未定となっているのかということについても、少しヒアリング等を進めていただかないと、そこのところが根本的に見えてこないということでありますので、問題をもう少し精査していただくという形の中で、やっていただく必要があるのではないかと思います。
 それから、サプライチェーンの見える化、在庫情報については、お互いにできるだけ共有していきましょうという考え方は、既にいろいろな先生方がおっしゃっているとおりで、私も賛成でございます。
 
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 それを宿題として、ぜひ御検討いただければと思います。
 ほかに御意見ございますか。
 どうぞ。
○原構成員 先ほど、資料1の13ページの不採算品の割合が出ているところで、よく分からないのが、例えば、同じ成分で10社出しているジェネリックの場合、不採算ではないメーカーさんもあったり、不採算のメーカーがあったり、ばらつきがあるのかどうかあるのならば、なぜそれがばらつくのだろうかと。薬価のA、B、Cで、薬価が高いとか低いの影響があったり、あるいは、製造量が多くて、コストが削減できているとか、そういうことがあったりするのかということと、20ミリ錠、50ミリ錠、100ミリ錠とかあった場合に、例えば20は不採算だけど、50は採算が合うとか、それが、また、メーカーによって逆転したりするのかとか、その辺の組み合わせとかが何かいろいろあるとすると、国民目線で見ると、何か変な話だよねと思われるのではないでしょうか。何でもうかってないところが作っているのか、儲かっているところが作ればいいのではないかとか、そういう議論になりかねないので、その辺のところも、ある程度整理をするとか何かしたほうがいいのかなと、思ってしまいました。
 以上です。
○清田座長 そこまで調査できますか。
 できるだけ把握していただくということでやってみていただければと思います。
 ほかに御質問はございますか。
 どうぞ。
○宮川構成員 宮川ですが、今、三村先生がおっしゃったことの意味では深層というか深いところには、私も昔から少しきついことを言っていますけれども、業界の再編がないから、いろいろなものが見えにくくなっているという状況が見えてくるわけです。
 これは、最終的な目標はそこにあるのだろうと思います。なるべくその業界の中で、しっかりとしたつくり手が残っていって、そして、そこが情報を開示する。ですから、100のものを開示しましょうと言ったって、開示をしにくいところは開示しないし、そのトレーサビリティーが全然追えない、何をやっているのか分からない、情報を出さない、そういうことが多いわけですよね。
 ですから、三村先生がおっしゃったことは、そこに根本があるのだと思っています。国がこの医薬品産業というものを、人間の安全保障に関わることなので、しっかりとした考え方の中でやっていかなければいけない。そういう意味で、無駄とかそういうものをなくしていくためには、ある程度の集約は考えていただきたい。そのロードマップをしっかり考えていただければ、幸いかなと思います。よろしくお願いします。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○坂巻構成員 すみません、今までの議論と全く関係ないのですけれども、バイオシミラーに関しても、供給不足の事例が何件かありました。これは、韓国のキャパシティが小さかったことが要因だと思うのですけれども、今後、バイオシミラーの使用促進の議論がありますので、念のため、ちょっと確認しておきたいのですけれども、バイオシミラーに関しては、どこの業界団体が責任というのか、厚生労働省からいくとカウンターパートになるのでしょうか。これは、厚生労働省と業界団体の両方にお聞きしたいのです。
○清田座長 では、厚生労働省から。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 御質問ありがとうございます。
 バイオシミラーにつきましては、基本的に、原則としましては、バイオシミラーを専門に担当しております日本バイオシミラー協議会がございますので、そちらに安定供給の観点も含めて、カウンターパートといいますか、対応する業界団体として動いていただくということはあり得るかなと考えております。
 業界の皆様から、何か補足がございますでしょうか。
 今、後発品については、ジェネリック製薬協会の皆様にお答えをいただいておりますけれども、同じような形で、バイオシミラー協議会の皆様に対応をしていただくことになるかなと考えております。
○坂巻構成員 それはそれで結構なのですけれども、バイオシミラー協議会に入ってない会社もございますし、それで、そもそも協議会というのが企業の業界団体という認識でよろしいのかなというのは、ちょっと気になるところがございます。業界団体のほうも御検討いただくべきだと考えております。
○清田座長 よろしくお願いいたします。
 ほかに御意見はございますか。
 どうぞ。
○成川構成員 成川です。
 ちょっと簡単な確認ですけれども、日薬連さんの供給状況調査について、調査の頻度が一月に1回になって、かつ、調査項目も増えて、それはすごく望ましいことだと思うのですけれども、その各企業の協力状況といいますか、どれくらい報告企業に負荷をかけているかが分からないものですから。情報の信頼性とか、あるいは、調査としての持続可能性みたいなことについて、ちょっと御意見をいただきたいと思います。
○國廣参考人 成川先生、御質問ありがとうございます。
 現在の回答状況ですが、まず、全体で約三百三、四十医療用医薬品の薬価収載をしている製販企業がございます。多少は変動するのですが、そのうちで日薬連に入っている会社以外の会社が数十社あるのですが、それは、個別に厚生労働省からアプローチをしていただいて、基本的には、全製版企業に依頼がかかるような状態にしております。
 まず、分かりやすく言うと、品目数から申しますと、現在、4月も5月もそうですけれども、94%程度の品目の回答が得られている状況でございます。残りの6%はどういう会社のものなのかということがございます。それについて、大雑把に言いますと、例えば生薬では100品目以上持っている会社がたくさんいらっしゃって、これは日薬連外の会社が多いのですが、こういったところにも協力をいただいているところはあるのですが、実情として、実は廃業されているとか、需要がほとんどないとかということで、御回答いただいてない会社が結構数としてありまして、薬価収載はされているのですが、大半が自由診療で使われているような、そういったところが、実はその6%の中に入っております。そのような会社を取り除くと、500品目ぐらいは回答いただいてないのですが、それは1品目ずつお持ちだとか、10品目特殊なものをお持ちの50社ぐらい御回答いただいてないところがあるということで、大半の会社は御回答いただいております。2回ぐらいのうちで、依頼の説明を補足したりしてきちんと御回答をいただくようにして、かなり精度が上がっています。全部とは言いませんが、通常流通をしている品目では九十七、八%の品目は、皆さんきちんと御協力いただき、御回答いただいていると思っています。
 以上です。
○清田座長 よろしいでしょうか。
○宮川構成員 宮川です。
 以前から、坂巻先生も含めて、問題視していることに、この有識者会議の報告書の中の11ページに書いてあるように、「先発企業がAGの製造販売業者からライセンス料等を得るケースが多く、形を変えた先発企業の長期収載品依存になっているのではないかと指摘されている」と、そこまでは記載されているのですが、その後、何も対策に関する記載がない。
 AGそのものは、一物二価であるということは、ずっと昔から申し上げているのですけれども、この点も、医薬品の流通を複雑にして、供給不安になることにつながるのではないかと私は思っております。AGに関しては、製剤製造所が、ほとんどは明らかになっていないことが問題であります。ですから、報告書の24ページにあるように、非常事態に対応できる余力を持った製造体制を確保することについて、可能になっているとは思えないということが、AGの一番の問題点だろうと思います。
 というようなことを考えれば、長期収載品だけではなくて、AGに関しては、何らかの措置が必要であることはもう明らかで、昔からこの問題はしっかりと検討しなければいけないと、ある程度私も坂巻先生もずっと申し上げているのですが、これは、厚生労働省はどうやって考えていくのか。そして、有識者会議の中でこれを問題点として提起しているだけで、解決策というか、そういうものをきちんと示していかないと、今後の問題点となるのではないかなと思うので、ぜひ、これに関して御回答いただければと思います。
○坂巻構成員 宮川先生、私も同意見でございます。
○清田座長 どうぞ。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 御指摘ありがとうございます。
 有識者検討会の報告書での記載につきましては、御指摘のとおりで、課題としてのみ、記載がされている状況でございますけれども、それを受けての対応につきましては、すみません、今この場で、どういう方針というところまでは申し上げることが難しいのですけれども、本日いただきました御指摘を踏まえまして、しっかりと検討をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○宮川構成員 よろしくお願いします。
○清田座長 多分、ほかの場で議論が進んでいくのではないかと思います。
 ほかに御意見はございますか。
 よろしいでしょうか。
 厚生労働省からございますか。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 本日は、多岐にわたる御意見ありがとうございました。
 会議の中でもございましたけれども、私も、有識者検討会をほぼ1年やってきまして、今日いただいた御意見と、有識者検討会で出された課題と大分かぶっているところもありますし、今後、検討をしていかなければいけない課題は多々あったと思っております。
 一方では、先ほど三村先生もおっしゃっていましたけれども、有識者検討会の中では、必ずしも出てなかった、もっと深掘った論点も本日提示いただいたかなと思っておりますので、一回、論点についてはきちんと整理をさせていただいて、その上で、冒頭にありましたように、これは実際にはいろいろな分野に分かれて検討を進めていくことになります。もちろん関係があるので、横のつながりについては十分配慮しながら、それぞれで検討を進めていくことになってくると思いますので、一回その全体の鳥瞰をした上で、次回のこの場でということになりますけれども、その上で、要するに、安定確保会議の中で、さらに御議論いただきたい論点について、きちんと明確化した上で、引き続き、この会議の中で御議論をいただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。
○清田座長 ありがとうございます。
 山本室長から何かございますか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 ありがとうございます。
 では、事務的な御連絡としまして、次回の日程等につきましては、まだ決まっておりませんので、詳細が決まり次第、改めて、御連絡をさせていただきます。
○清田座長 ありがとうございます。
 それでは、本日の会議は以上となります。活発な御議論、どうもありがとうございました。
 また、次回のお知らせをお待ちしております。
 どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。