第38回がん検診のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和5年6月2日(金)9:00~12:00

場所

オンライン

議題

(1)第4期がん対策推進基本計画を踏まえた今後のがん検診に関する検討事項について
(2)子宮頸がん検診へのHPV検査の導入について
(3)職域におけるがん検診について
(4)その他
 

議事

議事内容
○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第38回「がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます厚生労働省健康局がん・疾病対策課の原澤でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、本日の検討会はYouTubeで配信しておりますので、その点を御承知おきください。
 委員の皆様方におかれましては、参加中は基本的にマイクをミュートにしていただき、御発言いただく際にミュートを切って、まず初めにお名前を頂戴してから御意見、御発言をいただくようにお願い申し上げます。
 それでは、冒頭ですが、事務局に異動がございましたので御紹介させていただきます。
 5月1日付でがん・疾病対策課長になりました西嶋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず初めに構成員の出欠状況について確認させていただきます。現時点の検討会構成員の定数11名に対して、出席構成員11名全員の御参加をいただいております。
 また、本日は参考人といたしましてお二方、国際医療福祉大学大学院、赤坂山王メディカルセンターの青木大輔参考人と、横浜市立大学医学部産婦人科、宮城悦子参考人をお招きしておりますので御承知おきください。
 それでは、以降の進行を大内座長にお願いしたいと思います。
 大内座長、よろしくお願いいたします。
○大内座長 皆様、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、事務局より資料の確認をお願いします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料は、構成員の皆様には事前にメールでお送りさせていただいておりますが、厚生労働省のウェブサイトに掲載されておりますので、適宜御参照ください。
 資料は、議事次第、資料1、資料2、資料3、資料4-1、4-2と、参考資料1から参考資料7までがございますので、御確認ください。万一資料の不足や落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。
 それでは、大内座長、議題のほうをよろしくお願いいたします。
○大内座長 それでは、議題(1)「第4期がん対策推進基本計画を踏まえた今後のがん検診に関する検討事項について」に移ります。
 資料1について、事務局から報告をお願いします。
○がん対策推進官 事務局でございます。それでは、資料1を御覧ください。「第4期がん対策推進基本計画を踏まえた今後の検討事項について」でございます。
 2ページ目、本議題の検討の背景でございます。これまで本検討会では、令和元年度に策定された「がん検診のあり方に関する検討会」における議論の中間整理、ここから先は「中間整理」と単に申し上げさせていただきますが、そちらに基づく形で課題への対応について検討していただいておりました。
 今般、第4期がん対策推進基本計画がおかげさまで3月28日に閣議決定と相なりましたので、その点に関してまず皆様の御協力に御礼申し上げるとともに、その内容を踏まえて今後の検討を進めていく必要がございますので、本日、中間整理において提示された課題に対する対応状況と、第4期がん対策推進基本計画における取り組むべき施策を網羅的に御紹介して、今後の議論の進め方ですとか、特にこういった議論が必要だといった御意見をいただければと思っております。
 3ページ目を御覧ください。以降、中間整理の課題に沿って御紹介をさせていただきます。中間整理の項目の1つ目の「指針の見直しの方向性について」というところでございます。
 4ページ目でございます。こちらは、「がん検診の利益(メリット)・不利益(デメリット)について」ということで、中間整理の記載事項を全て読み上げることはしませんが、例えば、下の段にある利益・不利益に関する理解が深まるような資料の整備といったところについては、資材の開発等を研究班において進めてきましたので、その普及方法についての検討が必要であろうというようなことが書いてございます。
 次のページお願いします。こちらは、「がん検診の種類・検査方法について」というところで、指針に定めるがん検診の種類・検査方法の選定基準について、がん種ごとの有効性評価に関する科学的根拠については、ガイドラインを基本としつつ、検討会で包括的に議論を行っていくことが望ましいといったような記載があって、それを受けて、引き続き必要に応じて指針の見直しを含めた検討を本検討会において行っていただくといったような対応の方針を書いております。各項目について、記載事項とこれまでの議論の経緯、今後の予定というような構成で御紹介しております。
 6ページ目を御覧ください。「がん検診の種類・検査方法について(その2)」ということで、ガイドラインに定められていないがん種についても必要に応じて検討する必要があるといったような記載をいただいておりますので、そちらも必要に応じて検討ということかと承知しております。
 7ページ目を御覧ください。「がん検診の対象者について」ということで、こちらについては必要に応じて指針の見直しを含めた検討を実施といったところでございます。
 続いて「がん検診の対象者について(その2)」8ページ目でございます。こちらは、がん検診の必要性や優先順位について検討する必要がある旨を周知することも重要であるといったことで、こちらはそれを踏まえた指針改正等、既に対応しておりますというようなことも書いてございます。
 続いて、9ページ目を御覧ください。「対象者のリスクに応じたがん検診のあり方について」ということで、対象者や受診間隔の適正化による利益や、偽陰性の増加等の不利益を生むか等についての科学的根拠の集積を行っていく必要があるということで、こういった研究班での取組なども進めていただいており、引き続きリスク層別化の利益・不利益に関する検討を実施といった形で書いております。
 続いて、10ページ目でございます。こちらも「対象者のリスクに応じたがん検診のあり方について」ということで、リスク層別化を今後導入した場合における各層ごとの効果の大きさの違いについても検討が必要だといったような御指摘をいただいております。
 続いて、こちらのページからは、「2021年度以降のがん検診の実施について」というところで、中間整理において整理された内容について御紹介します。
 12ページ目を御覧ください。まず「対象者等について」ということで、対象者の年齢を適切に見直していくために、科学的根拠の整理を含めて議論に必要な情報の整理に努めていくべきであるといったような御指摘を頂戴しております。こういったことについても、引き続き必要に応じてガイドラインの更新を含めた検討を実施できるようにしていきたいと考えてございます。
 続いて、13ページ目を御覧ください。こちらは、「対象者等について(その2)」ということで、対象者のうち、特に推奨する者に該当しない者についても受診が可能であるといったことには十分留意が必要ということについて、それを分かるように指針改正等を行っておりますが、こういったことも必要に応じて引き続き指針の見直しを現場の実態等を踏まえて検討していく必要があるとあろうと考えてございます。
 続いて、14ページ目を御覧ください。「精度管理について」ということでございます。例えば一番上のところで、検診実施機関にがん検診事業を委託する際には、仕様書に記載されている内容の確認に努めることなどの市町村や検診実施機関が取り組むべき事項について御指摘を頂戴しておりますので、そういった内容を踏まえてチェックリストの改定等をこれまでも行ってきておりますので、引き続き精度管理に向けた取組をやっていきましょうということを書いてございます。
 続いて、15ページ目を御覧ください。「受診率向上のための取組について」ということでございますが、がん検診の受診を特に推奨する者への必要な取組を進めていくべきだということで、がん検診のアクセシビリティ向上等の実証事業、いわゆる大規模実証事業をこれまで取り組んでまいりましたが、こちらはそういった内容を踏まえまして新たにがん検診の受診勧奨策等の実行支援事業を今年度から実施する予定としておりますので、こういった取組の状況も適宜検討会のほうにも御紹介させていただきたいと考えてございます。
 続いて、16ページ目を御覧ください。「受診率向上のための取組について(その2)」というところでございますが、検診無関心層等の未受診者に対するより効果的なアプローチや、仕事との両立という観点で、勤務時間中にがん検診を受けられる体制づくりなども検討が必要であろうということで、先ほど御紹介した実証事業の中でも触れておりますので、こういった内容も引き続き検討していきたいと考えてございます。
 続いて、3つ目の項目でございます。「新たな検査項目の指針への導入の検討に当たっての基本的な考え方について」ということでございます。
 18ページ目を御覧ください。こちらは総論でございますが、基本的に科学的根拠の収集や医療資源の充足状況や費用対効果等について、どのような形で対応していくか検討が必要であるということで、この方向性については研究を取り組んでいただいていますので、ちょうど昨年度末で一旦終了という形になっていますが、その内容について今後まとまったところで御報告いただきたいと考えています。
 続いて、19ページ目でございます。「新たな検査項目の指針への導入を検討するに当たっての基本的な考え方について」、こちらは疫学的な考え方について触れていただいている項目でございますが、基本的には「当該がん種が死亡の重大な原因であること」というのが重要であり、それに加えて「当該がん種に罹患する人が多いこと」といったものも考慮する必要があるということがあります。こういったことについては、新たな検査項目を指針に導入する際に適宜参照していくということかと思っております。
 続いて、20ページ目を御覧ください。こちらは、検査方法の各論についてでございます。代替指標の在り方について検討を行うことが必要といったことがございまして、前回の検討会においても一定御議論いただきました。こういったところは引き続き各がん種について、また新しいデータがないか等も含めて検討していく必要があろうと考えております。
 続いて、21ページ目を御覧ください。新たな検査項目の運用方法の各論部分についてでございます。運用方法等について、例えば検査の対象となる集団や受診間隔、フローチャート等の明確化、といったことが新たな検査項目の導入に当たっては必要であるということで研究等を進めていただいていますので、エビデンスが出てきたものについて運用方法等も含めて整理していくということは今後もやっていくということだと思います。本日の資料2のところで青木先生からお話しいただく内容と少し関連しておりますので、各論については後ほど触れさせていただきます。
 続いて、22ページ目を御覧ください。こちらは、その他事項ということで、費用対効果等に関する分析・評価なども進めるべきだということで、先ほど御紹介した研究班でも検討を進めていただいていますので、こちらは進捗等も今後御紹介できればと考えております。
 続いて、「職域におけるがん検診について」というふうにまとめていただいた箇所の御紹介です。
 24ページ目を御覧ください。「マニュアルの普及・活用について」というところでございますが、こちらは実態調査等を行って、あと保険者への個別ヒアリング等も行っておりますので本日御紹介したいと思いますが、引き続き、職域マニュアルの普及について必要な検討を実施したいと考えております。
 続いて、25ページ目を御覧ください。「検診状況の把握等について」ということで、こちらは第4期がん対策推進基本計画の中でも御議論いただいて、取り組むべき施策の中に位置づけていただいているかと思いますが、データの収集や一元的な管理の方法について引き続き検討というところかと思っております。
 26ページ目を御覧ください。「保険者や事業主等との連携について」ということで、今申し上げたようなデータの集約等を含めた職域におけるがん検診の在り方のところについては、保険者や事業主、検診団体等の関係者を交えた議論を行っていくことが必要というふうに御指摘をいただいており、これまでも検討会で適宜報告等、御協力いただいているところでございますが、引き続き関係各所と連携して取組を進めていきたいと考えています。
 続いて、最後に、「第4期がん対策推進基本計画における取り組むべき施策について」として記載した内容を御紹介させていただきます。
 皆さんはもう御案内かと思いますので読み上げることはしませんが、次のページから、28ページ目には「がんの2次予防」のセクションを3つの小項目に分けて書いておりますが、1つ目の「受診率向上対策について」というところで、特に検討会からも御指摘をいただいているのは、一番上の○の、受診率の向上に向けてがん検診受診率をより正確かつ精緻に、また個人単位で把握することができるよう検討するといったことですとか、あとは、職域におけるがん検診についても記載を行っているところでございます。
 続いて、29ページ目を御覧ください。次は、「がん検診の精度管理等について」というところで、こちらは精度管理で、国として、レセプトやがん登録情報を活用したがん検診の精度管理について、技術的支援等を行うといった今後の取組の方向性について記載していますので、こういった内容も今後整理を進めて、必要に応じて検討会のほうで御議論いただければと考えております。
 最後のページでございます。30ページ目ですが、こちらは「科学的根拠に基づくがん検診の実施について」というところで、諸外国における取組との比較調査を実施するような仕組みについて検討していくといったことや、指針に基づくがん検診の科学的根拠に基づいた効果検証を進めるとともに、対策型検診の項目の導入に係るプロセスの明確化等についても検討したいと思っておりますので、先ほど整理していただいた中間整理の内容とも一部重複するところはありますが、こういった方向性を踏まえて引き続き御議論、検討いただけるように事務局して整理を進めていきたいと思っております。
 長くなりましたが、資料1の御説明は以上でございます。
○大内座長 ありがとうございました。
 それでは、資料1について、御質問、御意見のある方はお願いいたします。
 祖父江構成員、どうぞ。
○祖父江構成員 何点かあります。続けて言ってしまいますと、まず4ページ目の利益・不利益の資材を検討しているというので、濱島班のほうでされているようなのですけれども、ぜひこの内容をこの検討会の中で紹介していただきたいのが一つ要望です。
 それから、5ページにガイドラインの更新の加速化ということが書いてありますけれども、御承知のように、子宮頸がんが令和3年に出ていますけれども、それ以降、加速化というよりも今停滞していますので、ここのところをどのように進めるのかを、中山構成員がおられますので、そこのところを説明していただきたいということが一つ。
 ばらばらになってもいいですか。
○大内座長 一旦止めますか。
○祖父江構成員 止めたほうがいいですね。職域のところはまた言います。
○大内座長 まず、5枚目のガイドラインの加速化に関しまして、中山構成員のほうから現状を御説明いただけますか。
○中山構成員 御説明しますと、大腸がん検診ガイドラインと肺がん検診ガイドラインを並行して進めまして、大腸がんに関しましてはドラフトを公開して構成を直しているところです。一番引っかかっているのは、祖父江先生から御意見が出ているところに関しての修正案に関して時間がかかっているというところでございます。
 肺がん検診に関しましては、それも外部の委員から出ているところなのですけれども、放射線による超過死亡について計算せよというところですので、そこは内部ではできないので、外部にお願いしてやっていただいているところですけれども、なかなかそれが進んでないというところになっております。
 以上です。
○大内座長 祖父江構成員、続けてください。
○祖父江構成員 職域のほうですけれども、私どもの研究班のことを25ページにリファーしていただいていて、班のほうで検討しているのが保険者が有するレセプトを用いた精度管理の推進ということなのですけれども、保険者が多くある中で、特異な存在としては協会けんぽというものがあります。
 規模が非常に大きいということ。それから、中小企業を対象としていて、がん検診の実施状況に関して恐らくいろいろな問題点があるということ。それから、組織全体でデータが統一化されていて、本部で全てがん検診の1次スクリーニングの結果とレセプトのデータが中央管理されていること。
 こういうことがあって、協会けんぽを一つのモデル的な保険者としてがん検診の精度管理を進めると、非常に効果的なことができると思うのですね。なので、国を通じて何かモデル事業のようなものを計画していただくと非常にありがたいと思いました。
 以上です。
○大内座長 ありがとうございました。
 協会けんぽのフォーマットは提供可能なのでしょうか。
○祖父江構成員 レセプトを用いたがん検診の精度管理に関しては、レセプトというのは別に協会けんぽに限らず全て統一されていますので、プログラム自身は全ての保険者に適用できます。
○大内座長 ありがとうございました。
 では、若尾構成員、どうぞ。
○若尾構成員 ありがとうございます。若尾直子と申します。
 私も幾つかあるのですが、まず4ページです。これは、受ける立場として申し上げる形になります。利益・不利益、メリット・デメリットという言葉なのですけれど、がん検診を受ける立場でこの文字を見るとちょっと混乱するかなと思うのですね。
 先ほど祖父江構成員もおっしゃいましたが、がん検診を受ける立場で申し上げると、がん検診は受けるか受けないかということを根拠もなく思い込んでしまうというのが現実ですので、国と各都道府県で情報共有をするものと、それから、各都道府県が基礎自治体にそれをつなげるときには少し調整が必要かと思っています。
 基礎自治体は地域の住民にがん検診のことを詳しく伝えるわけですけれども、そのときに利益・不利益、メリット・デメリットというものをよく考えて自分で決めてくださいというふうになると混乱を招くので、ここの情報提供に対する検討というのは、どういうふうにしたらうまく伝わるかということをしっかり考えていただきたいなと思っています。
 次に、5ページの中間整理の中で、子宮頸がんや大腸がんに関しては皆さんおっしゃると思うのですけれども、乳がん検診の超音波の導入に関してはずっと引き続きになっているのですよね。
 今、10人に1人ぐらいが乳がんに罹患すると言われていて、乳がんに罹患した人は片方全摘という方も結構多いのですよね。マンモグラフィができませんので、こういった点も踏まえて、乳がん検診の超音波導入に関しても、ずっと引き続きというような感じではなく、一定のスピード感を持って検討していただきたいなと思っています。
 次に、12ページ、胃部エックス線ですけれども、「当分の間」というような扱いになっています。「当分の間」というものに対しては、胃部エックス線と胃カメラのそれぞれにいいところがあるのであれば、「当分の間」は取り除いて、2年に1回か1年に1回という選択を受診者に任せるという方法もあるのかなと思うのですけれども、この「当分の間」の取扱いというものに対しては早く決着というのか、情報確認、共有をしっかりしていただきたいなと思います。
 次に、16ページになります。女性のがん検診なのですが、子宮頸がんにしても乳がん検診にしても検診の受診率がとても低いのですよね。それのもともとの原因は、国が推奨する、死亡率が減少することが分かっている5つのがん検診ですけれども、これは5つがパックになっているわけではなく、胃がん、大腸がん、肺がんのオプションとして乳がん検診、子宮頸がん検診があることが問題かなと思っています。女性のがん検診というものに対する考え方をオプション的な扱いではない形にしていただきたいと思っています。
 最後、もう一点、26ページです。職域なのですが、これはきっと後からも出てくるかと思うのですけれども、職域で従業員のための健康管理を労働安全衛生法でするわけですけれども、この中にはがん検診という言葉が入っていないと思います。なので、職域の中でがん検診に対する理解はちょっと低いと思うのですね。特に女性特有のがん検診に関しては、法的な根拠がないので理解が少ないなと思っています。労働安全衛生法の改正は簡単ではないと思いますけれども、ここに入れ込むという形ではないにしても、従業員の健康を守るという点で、何らかの形で職域でのがん検診の位置づけをしっかりしてほしいなと思います。
 以上です。
○大内座長 ありがとうございました。
 たくさん御指摘いただきましたが、それぞれこの検討会において議論を重ねているところでありまして、受診者への説明性についてもう少し分かりやすくということですね。それが第1点。
 あと、乳がん検診の超音波検査導入に関する課題につきましては、本検討会で近々また議題に上ることと伺っておりますので、そこで踏み込んだ議論をしていただければと思います。
 それから、胃がん検診における「当分の間」という文言ですが、皆様御承知のように、これは平成27年、2015年9月にこの検討会において中間整理をしまして、胃エックス線に加えて内視鏡が入って、2016年4月に本格導入されたわけですが、それから7年が経過しております。
 この「当分の間」という言葉の定義については様々御意見があろうかと思いますが、当時、この整理に当たった我々としましては、この期間はおおむね10年ではないかと考えておりまして、既に7年たちますので、ここで議論したいと思います。全国的な内視鏡検診の動向、胃がん罹患率、死亡率の動向等を踏まえまして、それから今回のコロナ感染症における検診の状況も含めまして、データを基にもう一度議論したいと思っております。
 この件については、松田構成員にも、後で御意見をいただければと思いますが、そういった観点から本検討会で議論を重ねていくことになっておりますので、今般の整理の仕方については私どもが議論しましたところのおさらいということで御理解いただければと思います。
 よろしいでしょうか。
○若尾構成員 大丈夫です。
○大内座長 続きまして、黒瀨構成員、お願いします。
○黒瀨構成員 おはようございます。よろしくお願いいたします。
 先ほど御説明いただきました今後の検討事項についてということでは、特に異論はございません。
 その中で、最後の30ページ目にお示しいただいた組織型検診のことですけれども、これももうずっと前からいろいろ議論が重ねられてきて、実感としては前に進んでいないと感じております。
 その中で、今後課題をさらに整理して対応を検討するということでございますけれども、そろそろ実現のためのある程度の工程表みたいなものをしっかりと明示することによって、お尻をちゃんと決めて、1歩でも2歩でも前に進めることも必要ではないか、そういう時期に来てるのではないかと感じておりますので、その点について御考慮いただければと思います。
 それと、15ページ、16ページ目に受診率向上のための取組ということで、16ページ目にはPHRの状況等についても少し触れられているのですけれども、せっかく受けられたがん検診のデータはしっかりと日常臨床に応用していきたい、利用していきたいと我々も思っていますし、そのためには今後、オンライン資格確認のシステムの中にデータを取り込んでいき、その方その方がどういう検診をいつ受けたのか、その後どれぐらいのスパンが空いているのか、そういったことをかかりつけ医がしっかりと把握することによって、またそれを受診勧奨にもつなげていくこともできますし、さらには例えば、その方その方のリスクを一番理解しているのは多分かかりつけ医だと思いますので、適切な受診につなげていけると考えています。
 その中で、例えば先日特定健診の指針の改定が行われましたけれども、そこでは、できるだけ早く結果を入力していただく、もちろんデータを統一化していただいて、できるだけ早く入力していただくことで、よりリアルタイムに近い形のそれぞれの受診者あるいは患者さんの状況を把握することができるようになりますので、そういった入力までのプロセスみたいなことも含めたデータの取り方、集め方も検討していただければ幸いと思います。
 以上でございます。
○大内座長 ありがとうございました。
 今、黒瀨構成員から御指摘のありました組織型検診の構築についてなのですけれども、今日事務局のほうで用意していただいております資料4-1でございますが、この説明はされるのですか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 資料4-1は、本日は内容についての御説明というよりは報告事項と考えてございました。
○大内座長 私のほうから、これについてかいつまんで付け加えますと、「がん検診事業のあり方について」という資料4-1がありますので、それを一旦出していただけますか。本日付で、本検討会からの報告となっております。
 ここに、第2章の2.3、「日本の目指すべきがん検診の実施方法」の(2)の「日本でOrganized screeningを目指すための取組(がん対策推進基本計画の目標)」とあります。これが組織型検診についての計画で、この中に検討項目あるいは体制について詳しく書いてありまして、後で読んでいただければよろしいのですけれども、どういったことを検討する、どの部署で、科学的根拠の整理とか、あるいは組織型検診の体制づくりのためにどういった関係機関があるかとかいったことを整理しておりますが、この点を皆さんで共有していただければと思うのです。
 この表6が非常に大事でして、「対策型検診として推奨決定」、これも組織型検診になるわけですけれども、「国(厚生労働省)」とあります。これが本検討会に該当するかと思いますが、様々な観点で取組事項と関係組織を明記しております。
 これについて、さらに踏み込めば、工程表をつくる必要があると思うのですね。構成員の皆様からも御意見をいただきながら、日本でのよりよいがん検診の在り方についてもう少し進めていただければと思っております。
○黒瀨構成員 ありがとうございます。
 この取組自体は特に反対するものではありませんし、重要な項目だと思いますから、やはり御指摘のとおり、タイムスケジュールというか、時間軸をはっきりさせていくことがさらに前に進むために必要かなと感じておりましたので、お話しさせていただきました。
○大内座長 ありがとうございました。
 それでは、井上構成員、お願いします。
○井上構成員 井上と申します。
 もう半分ぐらいは皆様のコメントとオーバーラップしていまして、今回のこの内容自体に特に異存があるというものではありませんけれども、私のほうからは19ページの疫学的な視点から2点です。
 新しい指針へ導入する検査項目があった場合に、当該がん種が死亡の重大な原因であることと、もう一つは罹患する人が多いことを考慮するという、当たり前のことがここに記されているのですが、これは我が国では特に忘れがちになってしまうということもありますので、これについてはしっかりどっしり構えて、導入する最初の段階でこれらの事項に関して確認をしていくことが必要だなと再認識いたしました。
 もう一つは、前の先生方のコメントともかぶりますけれども、28ページの最初の○のところに、「国は、受診率向上に向けて、がん検診受診率をより正確に精緻に、また、個人単位で把握することができるよう検討する」とあります。これも先ほど出ていましたように、こういうことが必要であるということはかなり醸成されてきたと思いますので、本当に計れるような仕組みを具体的につくっていく必要があると思いました。
 何年かのコロナ禍で、ワクチン接種の接種歴を実は管理できることが分かったということもありまして、検診もできないことはないと思っております。
 職域、市町村、いろいろな検診の提供方法がありますので大変だと思いますけれども、コロナウイルス感染症のときの経験も踏まえて、できないことはないということが分かっていますので、ぜひこれを前に進めていけたらいいなと思いました。
 以上です。
○大内座長 ありがとうございました。
 では、松田構成員、お願いします。
○松田構成員 福井県健康管理協会の松田でございます。
 第4期がん対策推進基本計画の目的なのですが、30ページを出していただけますでしょうか。誰一人取り残さないということが目的になっております。
 実は、私はがん対策推進協議会でたびたび発言しているのですが、残念なことに、がん検診においては、多くとは言いませんが、少なからず取り残されている人がいることが問題だろうと思います。
 今後、私たちは、地域・職域を問わず誰もが科学的根拠に基づいたがん検診を受けられる体制にしないといけないと思います。職域においては、がん検診を受けられない人たちがいる。とりわけ女性のがん検診は受けられない。このような状況が問題であります。
 職域におけるがん検診の受診状況が分からないために、日本においては正確な受診率が把握できません。一番上の○に諸外国との比較という文言が出ているのですが、結果として諸外国と比べて年齢調整死亡率が高いという状況にあることを認識すべきです。諸外国の成功事例にも学び、HPV検査による子宮頸がん検診が後から出てきますが、私たちが現状を把握して次にどうするかが問われます。誰もが科学的根拠に基づくがん検診を受けられる体制、利益・不利益バランスを考えると現時点で基本的に受けるべきがん検診は市区町村が行っている5つのがん検診であり、その対象年齢とその検診間隔であると思っております。
 以上です。
○大内座長 ありがとうございました。
 重要なポイントの確認ですね。
 では、中野構成員、お願いします。
○中野構成員 中野でございます。
 このたびの資料につきましては、事務局で精力的にまとめていただき、おおむね今後の方向について、皆さん御同意できていると思っています。今後の展開として、優先順位を考えつつ進めていきたいと思います。
 2~3点細かい内容も含めて確認させていただきたいと思います。先ほどの胃がんのところの「当分の間」について考え方は理解できましたが、これを検討するのはこの検討会ということでよろしいでしょうか、事務局に確認したいと思います。
 それから、15ページの「受診率向上のための取組について」、引き続き令和5年度の受診勧奨施策等実行支援事業を実施と書いてありますが、これは具体的に事務局としてどんなものを展開していくか考えているかどうか、今分かっていることがあれば教えていただきたいと思います。
 そしてこの結果をもって、また次なるものを考えていくということでよろしいのか確認したいと思います。
 同じく15ページ、市町村におけるコール・リコールの関係で、この勧奨を着実に取り組むべきと整理されているのですが、これも長きにわたって市町村が実施している内容であり、さらに推進するということですが、今まで行われた内容について、事務局はどう判断し、どう今後展開していくのかお考えがあったら教えていただきたいと思います。
 最後のまとめの28ページ以降ですが、まず28ページの1つ目の○、受診率向上に向けて個人単位で把握できるようにするわけですが、個人単位で把握というのは分かりにくいと思うので表現に工夫が必要かなと思いました。
 それから、30ページ、松田委員のほうからも出ましたが、諸外国における取組や、仕組みについて検討するという表現があり、疫学等、日本と違う点が当然あるわけで、どこまで諸外国の取組を整理して検討していくかレベル感を事務局に確認したいと思います。
 それから、29ページの1つ目の○、精度管理について国が技術的支援等を行うとなっていますが、具体的に技術的支援等は何を表しているかを教えていただけたらと思います。
○大内座長 ありがとうございました。
 幾つか意見を求められておりますが、事務局のほうから答えられる範囲でお願いできますか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 中野構成員、最初の御質問項目が声がくぐもっていて聞き取れなかったので、もう一度だけお願いできますか。
○中野構成員 胃がんのところですよね。「当分の間」というところですが、考え方は分かったのですが、検討実施と書いてある、検討するのはこの検討会のことでしょうかということです。
○がん対策推進官 ありがとうございました。御質問は把握できました。
 1点目のところから可能な範囲でお答えということで、まず今おっしゃっていただいた「当分の間」の整理については、先ほど大内座長も触れていただきましたとおり、これまでの検討の経緯もありますので、本検討会において御議論いただくものと考えています。
 そのための情報の整理等は事務局においてある程度実施していくということと、もし必要であれば研究班の協力も必要になるかもしれませんので、それは今後こちらで整理させていただきます。
 続いて、P15の2点についての御質問ですが、大規模実証事業で得られた成果にどのようなものがあるかという御質問に近いかなと思っております。こちらについては、昨年度末の段階で、大規模実証事業の成果物としてガイドブックの作成をしておりますので、そちらにおいてある程度有効な受診勧奨策ですとか、受診率向上に寄与する取組の整理ですとか、それをチェックリスト化するような形の資料の作成を行っているので、そういったところで内容を今後御紹介できればと思っています。
 最後にいただいたがん対策推進基本計画に関連する記載ぶりについては、こちらは閣議決定文書なのでなかなかあれなのですが、今後の取組ということにつきましては、諸外国における取組をどのような階層で整理していくかというところは、研究班の先生方とも今後御相談しながらやっていくということかなと思っていて、現時点でどこまでをやるというような明確な線を事務局として引いているわけではないので、もし何か御意見があれば、併せていただければというところだと思っています。
 29ページ目のレセプトやがん登録情報を活用したがん検診の精度管理については、こちらは研究班で現在どのような精度管理ができそうかといったような御報告をまとめていただいているところもありますので、そういったところが整理されて、この検討会にも必要に応じて御報告させていただいた上で、市町村へも情報提供等をしていくということかなと考えております。段取りとしてはそのようなことで考えてございます。
 事務局から現時点で回答できる範囲では以上でございます。
○大内座長 ありがとうございました。
 では、祖父江構成員。
○祖父江構成員 祖父江です。
 28ページの受診率の把握というところですけれども、正確に精緻に把握するということですが、現在、検診のスクリーニングのほうの受診率は国民生活基礎調査で全国民ということですけれども、精検受診率のほうは地域保健事業報告なのですね。市町村が行うがん検診のみなので、恐らく問題がもっと大きいほうが職域のがん検診の精検受診率、ここの指標を地域保健事業報告でなく、全体をカバーするような形で計測できるものをぜひこの検討会で検討してほしいと思います。
 ロジックモデルを担当しているのですけれども、目標値が設定されている唯一の指標でもありますし、それを60%、90%というわけですけれども、90%というのが本当に職域も含めての形で実現したら物すごくいいことなのですけれども、地域保健事業報告に限られているのが今の欠点だと思います。
 以上です。
○大内座長 大変貴重な意見をありがとうございました。そのようにできればと思いますので、よろしくお願いします。
 では、ほぼ意見が出そろいましたので、議題(1)についてはこれにて閉じます。
 続きまして、議題(2)「子宮頸がん検診へのHPV検査の導入について」に移ります。
 資料につきましては、青木参考人から説明をお願いいたします。
○青木参考人 それでは、画面共有をさせていただきたいと思います。
 それでは始めさせていただきます。私に与えられた今回のプレゼンテーションのタイトルは、ここに示すとおりであります。
 皆さん御承知のとおりだと思いますが、イントロダクションを簡単にさせていただきたいと思います。
 まず、子宮頸がんの自然史でありますが、正常細胞、頸部の細胞にHPVが感染すると、その多くは一過性感染ということになりますが、それが持続感染に移行することによって、CIN1、CIN2、CIN3、そして浸潤がんに移行します。このCINという段階は、前がん病変に位置づけられますが、これは自然退縮という現象もありますので、多くは経過観察という形で医療の中で取り組まれているということです。原則としてCIN3以上の病変が治療対象となります。
 がん検診に関しましては、従来行われていました細胞診による検診、これは死亡率を減少させるという科学的根拠が示されております。しかしながら、前がん病変、CINと呼ばれている病変に対する感度が低い。ただし、特異度は高いとされています。
 もう一つは、HPVの検査です。これは、細胞の形に変化が起こる前から、感染している段階から分かりますので、細胞診単独よりさらに早い段階でCINを発見できて、感度が高い方法として注目されている。ただし、特異度は低いという問題点があるということでございます。したがって、HPVの検査を用いた子宮頸がん検診に関しては、もう既に国立がん研究センターのほうからガイドラインが発出されているということでございます。
 対策型がん検診として新しい検診手法が国で推奨されるまでということを我々なりに考えてみまして、このようなスキームをつくってみました。先ほどのお話で、がん対策推進基本計画の個別目標の中で、対策型検診の項目の導入に関するプロセスの明確化ということがございましたが、それと大きく異なることではないと思いますが、その明確化については今後私どもも期待をしたいと思います。
 大まかに我々が考えているところを示しますと、まず有効性の評価。これはガイドラインの担当だと考えています。ガイドラインの中では、具体的にはHPV検査は子宮頸がん検診の手法として有効か、あるいは何歳から何歳まで、そして検診間隔がどのぐらいが適切かということを議論していただいて推奨を出していただいたということでありますので、これだけでできるということではなくて、検診の運用、そしてアルゴリズム等々は別途検討しないといけないということになると思います。
 それを我々が今研究班として、左下に書いてある研究班ですが、厚生労働省の科学研究費補助金を頂きまして、ガイドラインで検討されている検診のアルゴリズムのパターンであるとか実現可能なアルゴリズムの検討といったことを議論してまいりました。これを検討会への資料提供ということで、本日もこのプレゼンテーションはその位置づけだと考えています。このあり方の検討会で議論してゴーサインが出ると、初めて指針に導入されると考えているところでございます。
 子宮頸がん検診の科学的根拠です。これは、子宮頸がん検診のガイドラインの2019年度版はもう既に出ておりますので、その中の抜粋であります。細胞診単独法、従来のものですが、年齢は20~69歳、推奨度がA、HPV検査の単独法は30~65歳、5年に1回で、グレードAであります。両方合わせてやるということに関しては、グレードCという判定をされています。
 これを見ますと、もし併用法を考えたときにはCでありますので、これを採用するなら今までとおりグレードAの細胞診単独法をやればいいわけであります。そうなりますと、もしHPVの検査を検診に導入することを考えるのであれば、このHPVの単独の検査ということに必然的になるだろう。これは推奨グレードAであります。したがって、この先、HPV検査単独法ということで議論をしてまいりましたので、それをお示ししたいと思います。
 まず、諸外国におけるアルゴリズムに関しまして、スクリーニング方法としてはHPVの検査ということでそれほど差はないのですが、その後の取扱いに関して各国まちまちであります。代表的なところで、イギリス、オランダといったようなところをここに例示させていただきました。
 まず、HPVの検査をやって、それだけでは先へ進みませんので、陽性であれば細胞診でトリアージを行うということです。トリアージ陽性ならば、コルポ診・組織診の確定精検です。この部分を研究班の中では「トリアージ精検」と名づけさせていただきました。HPVが陽性だけど細胞診が陰性の場合は、1年後のHPV検査をもう一度やるというのがイギリス式であります。ここから以降は、リスクの高い者に対しては同じ検査を続けるということになります。これを「追跡精検」と呼ぶことにいたしました。
 オランダのほうは、トリアージまでは一緒でありますが、トリアージが陰性ということになりますと、これはHPV陽性の受診者ですので、6か月後の細胞診を行うということであります。したがって、我々の班会議の中で呼んでおる追跡精検という部分に関しての取組は、まちまちだということが分かりました。
 そこで、HPV陽性/細胞診陰性者を管理するというのが一つの大きなポイントになりますので、これに関して文献検索をしたということであります。文献検索のポイントは、HPV陽性/細胞診陰性のその後の対応です。アルゴリズムに関する記載があるもの、CIN3の発生状況に関して記載があるかどうかということをポイントにして、文献を調査したということです。
 結果的には、アルゴリズムは検診実施主体によっても様々であります。何種類もある。どれがいいかというのはなかなか難しいということになりますが、600以上の文献をまず候補として選びまして、アルゴリズムの記載が確認できたものが56文献で、56文献の中に87種類のアルゴリズムが入っていたということでありまして、この内容について分析をしました。
 まず、87のアルゴリズムの中のスクリーニング方法は何かといったことを見たときには、66%、57のアルゴリズムで、ハイリスクHPV、すなわちHPV検査単独を用いていたということであります。
 そして、この57アルゴリズムの中をさらに見てみて、トリアージの方法は何を使っているかということですが、84%のアルゴリズムで細胞診でありました。細胞診をトリアージとしてやっているのでありますが、その中で、細胞診が陰性だった場合に追跡精検に回っていますが、その中で56%がやはりHPVの検査を用いていたという結果になったわけです。
 整理をしてみますと、文献上で最も頻度の高いアルゴリズムは、検診の方法としてはHPV検査、トリアージの方法としては細胞診、追跡精検の方法としてはHPVの検査ということになります。
 こういったことを念頭に置きまして、自治体で実施するということなので、なるべくシンプルで運用上の負担の少ないアルゴリズムを考案してみるということで、班会議の中で進めてまいりました。
 そのときに、自治体の方々がどう考えているのかというのは大変重要なポイントになりますので、実はAMEDのほうでもう一つの班会議を持っております。ここに書いてある班会議でありますが、ここに参加していただいている39自治体にアンケート、調査を行いました。
 目的は、HPV検査単独での子宮頸がん検診が導入された場合、現時点で想定される自治体での対応が可能かどうかの感触を自治体担当者の視点で確認をするということであります。調査内容としては、5年間隔は大丈夫か、トリアージ精検、すなわち細胞診ですが、この実施はできるか、異常があった場合に対応できるか、異常がない場合にも対応できるか、追跡精検で異常があると確定精検が大事になりますので、これが実施可能かといったようなことを調査いたしました。
 結果です。1つは、トリアージ精検、追跡精検の受診勧奨及び結果の把握に関して、「異常あり」に対して、確定精検の受診勧奨、結果把握が可能かということが65.5%で可能と答えています。トリアージ精検「異常なし」に対して、追跡精検の受診勧奨・結果把握が可能なのは37.9%。追跡精検「異常あり」で確定精検ができるかということに関しては、48%が可能と答えています。
 もう一つの大きな検診間隔5年ですが、これは受診勧奨をするとともに5年以内の受診の制限が可能かと。2、3、4年目には受けることができないことの仕組みづくりが可能かということに関しては、約40%の自治体で可能と答えています。
 これらの感触を踏まえて、我々の研究班の中でこういった方法を考えてみました。すなわち、スクリーニング検査はHPV検査、それに加えて細胞診のトリアージを行うということです。陰性ならば5年後、細胞診が陽性ならば確定精検、そして細胞診が陰性ならばもう一度同じことをやります。すなわち、HPV検査をやり、陽性ならば細胞診、細胞診が陽性ならば確定精検、細胞診が陰性ならば次の年にまた同じこと、そして、HPVが陰性ならば5年後に合流をするという方法を繰り返すということであります。
 そうしますと、ここの部分、HPV検査+細胞診トリアージというのを1つのセットのように考えますと、それを1年ごとに繰り返していくという方法であります。
 従来、この部分を追跡精検と呼んでいましたけれども、受診者にとってみますと、5年おきに検診を受けていただく方、それからちょっとリスクが高いから毎年受けていただく方の2種類がある、という形で、検査自体は全く同じで判定方法も同じでありますので、外枠で大きく太い青い線で囲った部分については自治体で行う。自治体が結果を把握して受診勧奨を行い、結果を把握するということで、きちっとできるのではないかということを考えています。ここの結果は全部検査機関等から返ってくるということですので。
 そして、確定精検に行った場合には、医療としての確定精検を実施していただいて、コルポスコープ下の狙い組織診を行うことになります。
 問題は、ここのHPV検査をやって細胞診トリアージをいかにスムーズに行うかということです。HPV検査を受けて陽性だったら、また医療機関に行きなさいというのは不可能に近いのではないか。100%をここで達成しないと意味がありませんので、ここの部分、HPV+トリアージを1つのセットのような形で考える。これが実現可能でありまして、液状化検体を使うということであります。
 子宮頸部から細胞を採取してバイアルの中に拡散し、保存液の中で保存することができます。この特徴としては、保存液の中で保存ができて、1つの検体で複数の検査ができます。すなわちHPV検査も細胞診もできるということになります。液状検体法による細胞診に関しては、感度・特異度は従来法の細胞診と同等と評価をされています。
 実際には、検診施設で検体を採取し、検査機関に運ばれHPVの検査を行う。陽性のときだけ細胞診を行う。そして、細胞診の判定に基づくと、細胞診が陽性の場合と陰性の場合があるということになりますし、HPVの検査が陰性であれば、そのまま報告を返すということになります。
 ここで大事なのは、併用はグレードCでありますので、HPVが陰性ならば細胞診を行わないという運用手順を組むというのが大切だと思っています。
 先ほどの自治体からの感触を合わせますと、そして、液状検体を使うということになりますと、先ほどの絵ですが、HPV検査+トリアージに関しては、液状検体を使えば、トリアージを受診勧奨する必要がなく、オートマティックに結果を把握することができます。
 それから、細胞診が陰性であった場合は1年後ということでありますが、この人たちをピックアップすることは、検査センターの結果を見れば分かることになりますので、受診勧奨も容易になります。同じような理由で、確定精検も受診勧奨をする方のリストアップもそう難しいことではないだろうということであります。
 それから、5年間隔の問題です。これについては、やはり年齢を固定することを考えざるを得ないのかなということでありまして、30歳スタートだとすると、それから5歳刻みで検診を受診勧奨していくことになります。こういう方法を考えてみました。
 ただし、HPVが陽性で細胞診が陰性の場合は同じ検査をずっと繰り返すことになりますが、HPVというのは通常感染しても2~3年で排除される方が多いわけでありまして、すなわち3年目ぐらいまでずっとHPVの感染が持続している方はそれなりにハイリスクでありますので、この方々は細胞診の結果にかかわらず確定精検を受けていただく可能性も考慮せねばなりません。これに関してもう少しアルゴリズムをチューンナップする必要があるかどうかについて今後検討してまいりたいと思います。
 同じようなことはフィンランドでやっていまして、この例を見てみますと、フィンランドも自治体ベースです。この国ではRCTが行われ、引き続いてパイロット的な事業が行われ、きちっとできる自治体からHPVの検診が導入されてきて、最近になって急激に上がってきて半分を超えたところです。RCTあるいはパイロット的なこういう事業が行われてから約10年かかって半分強に達しているということでありますので、この検診を導入する上では相応の準備期間が非常に大切だろうということを強調しておきたいと思います。
 以上をまとめまして、「HPV単独検診を目途とした場合の目下の課題」ということで、ここに列挙させていただきました。
 まず、年齢によって方法が異なるということに対応しなければいけません。今、HPVの検診をメインに説明しましたけれども、20~30歳は指針によると細胞診です。30歳以上でHPVの単独法をやる。こういう内容になりますので、この方法に対応できるか。
 それから、先ほど述べました実施体制の整備にはそれなりの時間が必要だろうということが考えられると思います。
 それから、液状検体を導入する際には、検診実施機関と検査機関との間での検体のやり取りあるいは情報のやり取り、そういった流れの確立をする必要があります。
 それから、追跡精検「異常あり」、すなわちトリアージで細胞診をやって陽性と判定された者は確定精検をしなければいけません。これは非常に大切ですので、受診勧奨、結果の把握はしっかりやらねばなりませんので、これには医師の理解あるいは協力が不可欠になります。
 それから、検診間隔が5年です。5年以内の受診を制限する仕組みが構築できるかといった点が問題です。医師、医療関係者、それから受診者の理解あるいは協力が不可欠と考えています。
 これらを含めまして大きく変化をいたしますので、ぜひ国からの医師を含めた医療関係者、医療機関への十分な説明と協力要請ということに期待をしたいと思います。
 それから、運用に関する課題の抽出をするためのパイロット的な事業はやはり必要と考えています。もしパイロットをやって、できない場合は修正をすればいいわけでありますが、それでもできない場合は導入をしないという選択肢も残されていると考えているところであります。
 以上です。
○大内座長 ありがとうございました。
 青木参考人から、HPV単独検診を目途とした場合の検討課題についても最後に示されました。
 では、皆さんからの御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 まず、黒瀨構成員、どうぞ。
○黒瀨構成員 ありがとうございます。また、青木先生、詳細な御説明をありがとうございました。
 このスキームは非常に参考になりますし、いいスキームだなと感じて聞いておりましたが、まず1点、例えば14ページないしは16ページの図ですけれども、これでいくと5年スパンという長い単位で見ていくことになっていると思うのですが、こういう年代の方々、30~50歳、60歳となると、引っ越しがかなりある可能性が高いと思うのですが、自治体をまたいだ場合に、ちゃんと情報が共有されて、受診勧奨がきちんとなされていくための仕組みづくりというのも重要になってくるのかなということと、例えば1年目はちゃんとフォローアップを受けたのだけれども、2年目は例えばスキップした、そういった場合に3年目、4年目にまたそれをフォローできるかどうか、そういったところも考慮しながらフォローアップ体制をつくっていただくのが重要かなと思いました。
 もう一つ、18ページ目の追跡精検「異常あり」と判定された者にというところで、医師の理解あるいは受診者の理解と協力が不可欠というところでございますが、先ほどの5年間のフォローアップのこととも絡むのですけれども、オンライン資格確認等のPHRによってデータをきちんと管理して、医師がそれを確認しながら受診勧奨ができる、あるいは無駄な検査をしないで済むというところもお考えいただけるとよろしいのかなと思いました。
 本当にありがとうございました。
○青木参考人 コメントしてよろしいでしょうか。
○大内座長 どうぞ。
○青木参考人 転入・転出の問題は、現時点でのがん検診でも大きな問題だと考えています。5年間が空くとそういう確率が高くなる。それは当然のことだと思います。
 理想的には、転出してくる元の場所の受診の結果を把握するというのが理想だと思いますが、個人情報保護法云々というようなことでまず難しいのではないかと思っています。
 ですので、転入してきた方に関しては、エイジベーストということで5歳刻みということを提案させていただきましたけれども、それにかかわらず、まず検診を受けていただくということで、このスキームの中に入っていただくことで解決できるのではないかと具体的には考えているところです。
 それから、こういう仕組みづくり、それから理論的なHPVの自然史を併せての考え方等々については、医療関係者、場合によっては被検者のしっかりとした理解が必要なので、この理解を推進する部分に関して、自治体にお任せするのはちょっと難しいのではないかと考えているので、最後のところで国にお願いをしたいということを考えさせていただいたということでございます。
 以上です。
○大内座長 では、中山構成員。
○中山構成員 意見というよりは、青木参考人の研究班で分担研究者として一緒にお仕事させていただいていますので、補足コメントという形で御紹介したいと思います。
 要するに、この検診はほかの臓器の検診と違って、がんという診断に至るまでが相当年数がかかるという話なのです。胃がんとか大腸がんとかは、要精密検査になって、精密検査を受ければ、恐らくその日ぐらいにがんという診断がついて治療に流れていくのですけれども、HPV検査は発がんをしそうな人を全部含めて要精密検査としているので、そこから、将来発がんする、前がん病変に至るというのは、5年、10年という長い年数がかかるということなので、その5年、10年の間経過観察をするためにはどんなやり方がいいのかという方法を青木先生の研究班で議論をしていただいたということなのです。
 それも、諸外国で導入に当たっては相当苦労をして取り決めたということなので、日本版の診断までのアルゴリズムと呼ばれるものを今考えたということですが、問題は医療関係者がこういうものを構築したとして、受診者の方々がそれに沿って受けていただくかどうかが一番大きな問題です。
 私は以前の検討会でも報告をさせていただきましたけれども、デンマークでHPV検査を導入するときの1年後の細胞診受診率は50%前後だった。北欧でもそのぐらいなので、日本国民でこういうものがちゃんとできるかどうかを検証することが必要ですよということを申し添えたいと思います。
 以上です。
○大内座長 では、松田構成員、お願いします。
○松田構成員 青木先生、ありがとうございました。
 14ページのスライドを出していただきたいのですが、青木先生の御指摘にあったように、HPV+トリアージは液状検体であれば同時にできるということで、それはクリアできると思います。今、中山構成員も御指摘になったように、ほかのがん検診で言うと、要精検になって精検を受けた後は、異常がなければ通常検診に戻す、もしくは経過観察というものが発生します。HPV単独による子宮頸がん検診においては、追跡精検も含めて、全て結果が登録されたがん検診システムによって、市区町村がそれぞれの受診者に対しそれぞれの検診間隔で案内を出すということでよろしいでしょうか。例えばイギリスやフィンランドもそのような形でやっているということなのか、教えていただければと思います。
○青木参考人 今、松田構成員が言われたとおりであります。受診者にしてみますと、5年おきに受ける方と毎年受ける方の2通りしかないので、それに応じて受診勧奨をしていくということになります。やる検査は全て同じです。
○松田構成員 分かりました。ありがとうございます。
 そのような体制ができれば非常に分かりやすいと思いますが、ほかのがん検診では保険診療による経過観察が結構行われているので、その辺りが混乱するかなと思いました。受診者にも医療機関にも分かりやすくしていただければと思います。ありがとうございます。
○青木参考人 ここに書いてある、CINの診断が確定精検された方は医療の中で観察ということになりますが、HPVだけが陽性の方に関しては、いわばリスクの層別化ということにつながりますが、そういった形の中で検診の枠組みの中で取り扱うのがいいのではないかなということでございます。
○松田構成員 分かりました。ありがとうございます。
○大内座長 では、若尾構成員。
○若尾構成員 若尾直子です。
 今、青木先生がお示しくださった14ページの図なのですけれども、これは非常にありがたいなと思いました。受ける立場としては、なるべく正確で、なるべく合理的で、間隔が少なくて、しかも早く見つけてほしいというようなことがあると思います。
 ですが、子宮頸がんの検診の特徴を考えると、頻繁に受けやすいものではないので、これは教育から必要かなと思うのですね。今までと違って2年おきでいいですよというのではなく、液状検体を使ってウイルスと細胞の形を両方見ます、そこでこういう方の場合は5年間大丈夫ですけれども、異形成が見つかった場合にはチェックしていきましょうねというようなところから情報提供をしていくと、受ける側としては年齢刻みも含めて理解しやすいのではないかなと思いました。
 ですから、実施に向けるまでには非常に長い時間はかかると思いますけれども、こういった科学的な根拠に基づいたアルゴリズムを考えて行っているということも含めた情報提供を女性に向けて発信していただきたいなと思います。
 その際は、それぞれの都道府県の医師会の先生方なんかにも協力していただき、行政と一緒に啓発活動をしていったら納得しやすいのではないかなと思います。自分の健康は自分で守るというようなことの啓発も含めてとても大切なことだと思います。これは本当にありがたいです。
 以上です。
○大内座長 では、中川構成員。
○中川構成員 ありがとうございます。
 青木先生のおまとめいただいたアルゴリズムは、科学的には非常にすばらしいと思います。受ける側の方々がこれをきっちりやっていただく、それで非常に成果が上がると思うのですが、一方で、健康増進法の定めから見ると、やはり市区町村がやっていかざるを得ないということですよね。
 そのときに、例えば今の細胞診は20代前半の受診率は15%程度だと思うのですね。これは非常にシンプルながん検診でもそれぐらいしか行われない中、果たして自治体がこれをどれぐらいできるのか。そういう意味では、青木先生が言われたパイロットを少し、慣れたところ、慣れないところ、その中間辺りで自治体ごとにやっていただいて、御指摘のように、かえって混乱して細胞診ベースのものよりも実効性が上がらないリスクもゼロではないと思いますので、その辺を見極める必要があると感じています。
 もう一つ、HPVワクチンとの兼ね合いなのですが、一時ほぼゼロになった接種率がかなり上がってきているようです。全国的な数字は分かりませんが、自治体によっては3割、4割です。仮に接種率が上がってくると、スウェーデンの2価ワクチンのデータのように、日本の小学校6年、高校1年という世代がきちっと打てば、1割以下になる可能性もあるわけですね。そうなってきたときに、果たしてここまで大規模な変革をするべきなのかというのは少し慎重さも必要なのかなと思っています。
 以上です。
○大内座長 では、福田構成員お願いします。
○福田構成員 ありがとうございます。
 青木先生、ありがとうございました。具体的なアルゴリズムをお示しいただいたので、こうやっていけばいいのだというイメージが分かって大変参考になりました。
 1つはコメントなのですけれども、最後のスライドに課題ということでまとめていただきましたが、これだけイメージが湧くと、実際に導入していくに当たっては、さらに検討すべき課題、実施体制とか精度管理をいろいろ挙げていただいていますし、私の関連からはコスト的なところも若干気になるのですが、いずれにしても、今日の先生の御意見を踏まえて、今後導入に向けた課題等を整理していって、個別に対応を議論していくというのがこの検討会でも重要ではないかと考えます。
 もう一点は、実は今、中川先生から御指摘があったワクチンとの関係が私も気になっていて、今後接種率が上がっていくと、当然、ワクチン接種をしたからといって検査をなくしていいということはないというのは理解をしているのですけれども、全体としては罹患率が下がっていくことは相当期待できると思いますので、そういう観点から言うと、HPV検査をやってくというのは感度・特異度等の観点から見ると有益ということなのでしょうか。その辺がちょっと理解できなかったので、コメントをいただければ助かります。
○青木参考人 HPVのワクチンは国が対策として行っているわけでありますので、大変重要なことだと理解をしています。
 日本は、実質今年から始まったということでありますので、その効果が現れるのは何年か先になると思います。ですので、その動向はもちろんきちっと把握をして、検診に与える影響は当然考えなければいけませんし、恐らく先進的に行っている北欧諸国に関しては検診もいじってくると思います。
 そういったところを参考にしながら、それこそ精緻なデータが上がってくることになれば、検診の対象者を変更する、あるいは検診の間隔を変更する等々の変更というか、修正が必要になってくると思いますので、そういったことは常々織り込んでいかなければいけないなと思っています。
 しかしながら、その基になるものがないと話が先に進みませんので、今日はその部分をお話しさせていただいたということでございます。もちろん考えていかなければいけないことだと思っています。
○福田構成員 ありがとうございます。将来に向けてはまた一つの検討課題かと思いますので、ありがとうございました。
○大内座長 では、河本構成員、お願いします。
○河本構成員 ありがとうございます。倉敷市保健所の河本でございます。
 先日、青木先生と厚生労働省の方とHPVについての情報交換会をさせていただきました。今日のお話を聞いて、アルゴリズムはとても分かりやすくてありがたいなと思っています。
 その中で、現場の考えとしましては、先ほど先生方もおっしゃられていたのですけれども、転出入の方や、受診間隔が5年に1回の方と1年に1回の方があることで、対象者の方に一律に案内ができないということです。私どもの市では検診を受けてくださいというお知らせのはがきを、今だったら子宮がん検診は20歳以上の女性の方に送っているのですけれども、その送り方に様々な種類が入ってくるということで大きなシステム改修も必要になりますので、それに伴う準備とか経費のことが心配です。
 もう一つ、スライドの15番の液状化検体を使われるということで、HPV検査と細胞診のトリアージ精検を同じ検体で受けていただけるということで、これだったら受診者の方は受診が1回で済むということで負担が少なくていいなと思ったのですけれども、これは先生というより厚生労働省の方になるのかもしれないのですが、そうなると、HPVマイナスの方には細胞診を検査会社がされないということなので、検診実施医療機関が検査会社にお支払いをする経費が変わるのではということも気になります。受診者の方は初めに1回しか受診に行かれませんので、そうなるとトリアージ精検の追加料金を後日受診者本人に請求するというのはかなり難しいと思いますので、検診の料金設定というか、基準単価の設定の仕方とか、その辺はどうしていく必要があるのかと思っています。
 以上になります。分かりやすい御説明をありがとうございました。
○大内座長 具体的なコスト計算を含めて、自治体関係者との協議も既に始まっていますので、その辺が整理されていけばいいと思います。
 では、中山構成員、お願いします。
○中山構成員 課題のところに、「これらを含めて、国からの医師・医療機関への十分な説明と協力要請に期待」というところがあるのですけれども、これまで子宮頸がん検診は細胞診の判定基準を日母分類という日本のみがずっと使ってきた基準から、ベセスダ分類という国際標準に切り替える際に、関連団体、学会等はベセスダを強く推奨して切り換えますという話になりましたが、実際に現場でそれが切り替わるまでは3~4年かかったと記憶しています。ひどいところでは、細胞診のラボがベセスダ分類で判定をして返すのでは分からない、だから、日母分類と両方判定をつけて返せ、1つの細胞診に対して2つの考え方で判定をつけるという矛盾した要求を多くの医療機関でしてきたことを記憶しています。
 HPVの検査に変わりますと、その後の診療体制が大幅に変化するということなのですが、これが産婦人科の業界で普及をするのに一体どのぐらいの期間が必要なのか、また、その方策というのは青木先生にはおありでしょうか。
○青木参考人 学会ベースでコンセンサスを得ることが大事かなと思っています。その動きが始まったばかりだと思っていますけれども、もしお許しいただければ、この点を非常に取り組んでいただきました、今日は参考人として参加している宮城先生からの御発言をいただければと思います。
○大内座長 もちろんです。構成員の皆さんの御意見が出たところで宮城参考人に意見をいただくことになっておりましたので、宮城先生、よろしいでしょうか。
○宮城参考人 宮城です。
 今日資料におつけしましたのは、現段階での関連する各学会の意見なのですけれども、クリニックベースの先生たちからの御理解を受けたり、あるいは臨床細胞学会のほうへのきちっとした説明などは今後必要だと思っております。
 それから、国民への御懸念という話も当然挙がってきますが、HPV感染と子宮頸がんのこと、あるいは症状がある場合には、検診ではなく、きちっと保険診療で受診することなどなどの説明が必要であります。課題は山積ですけれども、少なくとも今日青木先生が示されたアルゴリズムについては、日本産科婦人科学会としては理事長以下、理事会でアプルーブされたものであることを申し添えます。一つずつやることはありますけれども、不可能ではないと考えております。
 以上です。
○大内座長 ただいま、宮城参考人が述べられました件について、参考資料5がございまして、ここに日本産婦人科学会の令和4年度HPV検診導入方法提言のためのワーキンググループ議事録サマリーがございます。
 青木先生、簡単でいいのですが、これを説明していただけますか。
○青木参考人 関連5学会だったと思いますが、取りまとめ役として日本産科婦人科学会が各学会からの代表の人間を集めまして各課題に関して議論を行ったということで、その経過がその資料に含まれていると思います。
 HPV単独という方法で行くというのは、必ずしも全団体がアグリーしているわけではないと思いますが、大方の学会についてはその方向性で進めてもいいだろうということのコンセンサスは得られたと考えているところでございます。
 よろしいでしょうか。
○大内座長 はい。
 では、宮城参考人、この点につきまして御説明と追加発言をお願いします。宮城先生にも御意見をいただきたいと思います。
○宮城参考人 日本産科婦人科学会の考え方の中でも、きちっとした精度管理ができなければ、2年ごとの細胞診の受診率を上げる、そして精度管理をきちっとやるほうがメリットがあるということになってしまう可能性もあるので、自治体で導入される場合には入念な準備が必要だということが前提での日本産科婦人科学会の考え方であります。
 今、青木先生がおっしゃられたように、思った以上にいろいろな学会がHPV検査単独法導入の方向でよいのではないかという意思は示しておられました。
 以上です。
○大内座長 ありがとうございました。
 様々な意見が出ましたので、これからHPV検査の導入のための指針改正に向けてさらに議論が進められるよう、事務局のほうで論点を整理していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 今、先生方に様々御意見、御議論いただきました、その内容を一旦整理して、どのようなことの検討が必要かといったところも含めて整えて、また今後の検討会にお諮りできるように準備してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○大内座長 続きまして、議題(3)「職域におけるがん検診について」に移ります。
 事務局から説明をお願いいたします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 それでは、資料3を御用意いただければと思います。「職域におけるがん検診について」ということで資料を準備いたしております。
 2ページ目を御覧ください。今般、第4期がん対策推進基本計画が閣議決定されましたが、そちらにおいても職域におけるがん検診に関連して取り組むべき施策としてお示しのような言及がございます。
 国は、実施主体によらずがん検診を一体的に進めることができるよう、職域におけるがん検診について、実施状況の継続的な把握及び適切な実施に向けた課題の整理を行い、必要に応じて、その法的な位置づけも含め、がん検診全体の制度設計について検討するということです。
 こちらはかなり大きなことも記載していただいているので、これの検討は具体的にしっかりやっていきたいと思いますが、その手前の部分として、当課でまず職域におけるがん検診の実施状況を把握するという観点で、お示しの一部非公表というものもございますが、健康保険組合等からのヒアリングを個別に実施させていただきました。
 その中で、保険者のお立場からいただいた御意見が、ヒアリングの範囲内ではございますが、ある程度整理できましたので、2項目に分けて、それぞれについて事務局のほうで考えた対応の方向性として、こういうことは足元の対応としてやり得るのではないかということをお示ししておりますので、そちらについて御議論いただきたいと思います。
 次の3ページ目を御覧ください。こちらは、精度管理の向上についてという観点で整理をしてみたものでございます。まず、保険者側でお持ちの課題意識として、お示しのとおり、検診結果の判定区分や検診の結果を記載するフォーマットにばらつきがあるというような御意見がございました。そういったことがあると、検診結果や委託業者によって判定区分、フォーマットにばらつきがあって、それで検診の受診率や精検受診率の算出を行うのが難しいというようなことをいただいているところでございます。
 あとはレセプトを用いた精度管理体制というような観点での御指摘として、レセプト情報と精密検査受診を照らし合わせる作業を行うとして、そこは人的資源を確保するのがなかなか難しいですねというコメントとか、あとはレセプト情報から精密検査を実施したと判断するためのその基準が不明確であって、実装するという観点ではそこが整理されていないと難しいのではないかというような声をいただいているという状況でございます。
 それぞれについての対応のイメージとしては、検診結果の判定区分やフォーマットを今後整えて作成した上でお示しするといったようなことで、上記のような課題の解決に少しつながっていくのではないかということ。
 また、厚労科研でも、先ほど祖父江先生にも触れていただいたかもしれませんが、祖父江先生を代表者とする研究班があって、そちらでレセプトを用いた精度管理体制に関する研究を実施していただいていますので、その進捗状況を見つつ、順次できる対応ですとか御提案できることについては保険者側にも情報共有していくといったことはあり得るのではないかと思っていますので、研究班の研究の進捗状況を見つつ引き続き検討ということでいかがでしょうかということでございます。
 続いて、4ページ目を御覧いただければと思います。こちらは、がん検診の科学的根拠や精度管理の好事例の横展開ということで、マニュアルの普及・啓発に関するヒアリングの内容がございました。
 マニュアルは作成したされたものの十分に活用されていないというような御意見をいただきました。科学的根拠に基づくがん検診について理解できないまま検診内容を決定している保険者もまま見られるのではないかといったお声が聞こえてきたということですとか、あとは内容について一定理解していても、実施に当たってそれどおりにできていないというようなこともあると伺っています。特に、精度管理の観点で実施が不十分だという認識もおありだというようなお声がございました。
 こちらについて具体的に解決していくためには、まずは保険者とも連携して企業向けの研修の実施といったことで、具体的に実務を担っていただく方にしっかりマニュアルの内容を御理解いただいて、実践できるようにお手伝いするということはあり得るのではないかということです。
 あとは、自治体での好事例の横展開という観点で、保険者が主催する勉強会等もございますので、先ほど来話題に上がっていますが、自治体での精度管理は職域に比べるとうまくできている部分があるのではないかというようなお声もございましたので、自治体の職員を講師としてお招きして御協力いただいて、ノウハウとか、どういうふうにすると精度管理がうまくできるようになるのか、より向上に向けてやっていけるのかということを御紹介いただくなど、そういった形で場をつくっていくことをやってもいいのではないかということを考えているという御紹介でございます。
 5ページ目と6ページ目は参考資料として、各組織からいただいた御意見、コメント等を整理してお示ししているので、適宜御参照いただければと思います。
 事務局から資料3の御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○大内座長 ありがとうございました。
 では、資料3につきまして御意見がある方はお願いいたします。
 中山構成員。
○中山構成員 資料の3ページ、精度管理の向上についての対応案というところで、検診結果の判定区分及びフォーマットを作成・通知してはどうかというようなお話なのですけれども、今、10団体、日本医師会などが中心になって検診標準フォーマットというのはもう既にできているところなのですけれども、その中で中核の役割を果たされた日本人間ドック学会と日本肺癌学会の間でワーキングをつくって、判定区分を統一できないだろうかというような話合いを何回かやらせていただいたのです。
 そこで、人間ドック学会の中でも、参加施設の中で判定区分がこれまで歴史的にばらばらだったので、それを新たに一つのやり方にするのに相当苦戦をして、現時点でも必ずしもうまくいっていないというお話を聞いておりますので、ここでいきなり検討会でつくりますという話よりかは、もう既につくられているような団体の方の御意見をこの検討会でまずはお聞きしてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。
○大内座長 重要な御指摘なのですけれども、具体的な事例として意見をいただくということでよろしいですか。
 事務局のほうでいかがでしょうか。
○がん対策推進官 御指摘、ありがとうございます。
 今のような状況の共有も含めて、今後具体的に何ができるかということはぜひ先生方の御意見を伺いながらやっていきたいと思いますので、今の御提案は一つ御意見として承りました。ありがとうございます。
○大内座長 では、祖父江構成員、お願いします。
○祖父江構成員 祖父江です。
 検診結果の判定部分の意見に関しては、中山構成員の意見と同様で、きちんとステークホルダーを含めた意見聴取をしないとうまくいかないと思います。これは結構大変な作業だと思います。
 一方で、3ページ目の「レセプトを用いた精度管理体制について」というところで、レセプトのほうからのアプローチはあまり人手が要りません。レセプトのフォーマットは全国統一ですし、プログラムさえしっかりしていれば、がんがあるかないかの判断と精密検査受診状況の判断が可能である。
 ただ、がんに関してはそれなりに妥当性を検討しましたけれども、精検受診状況については、がんありの人での精検受診状況はレセプトから恐らく判断できない。要は、確定診断的なものが精密検査としてカウントされるので、ほとんどの人が精検受診になってしまいます。なので、精検受診率をがんなしの人から判断するということになりますけれども、それでいいのかというところを研究班のほうで今後検討する予定です。
 ですから、精検受診判断のところが基準が不明であるということは今後きちんと検討したいと思いますが、レセプトを用いた精度管理体制というのは、一番いい点はとにかくデータがそろっていて、人手がかからないところだと思います。あとは、検診結果の判定区分が統一されれば、感度・特異度が統一的に計算できるということであります。
 以上です。
○大内座長 祖父江先生、今の件なのですが、精検受診の結果が分からない、したがって、確定診断まで結びつかないということが問題点だということですか。
○祖父江構成員 そうではないです。精検を受ける対象の人はほとんどはがんなしです。その中で、精検を受けたかどうかの判断は恐らくできます。今の保健師さんがやっているよりもむしろ正確に、精検受診行為の有無をレセプトから判断することは可能です。
 ところが、がんありの人、がんと診断された人に関しては、精検に相当する診療行為をほぼ全員がやっていますので、タイミングだけで区別することになります。それが難しいということですね。
○大内座長 では、中川構成員、お願いします。
○中川構成員 祖父江先生が言われましたように、私もかつて祖父江班に入れていただいたりして少し自分でも取り組んでみたのですが、レセプトを介したデータの取得は非常に有効だと思うのですね。ただ、それが現場でまだ理解されていないだけなのかな。
 それこそ、祖父江先生が言われたように、プログラムさえしっかりしていれば非常にオートマティックにできる話なので、むしろここは職域でのがん検診にフィットしているのではないかなと思います。
 先ほど来、職域での精検受診率の問題が出ているのですが、私もがん対策推進企業アクションに関わらせていただいて、職域での精検受診率が恐らく職域がん検診の最大の問題だろうなと思っています。
 そもそもデータがないわけですよね。平成27年にがん・疾病対策課と保険局保険課でやられた健保組合での精検受診率のデータでは、恐らくあれしか多分ないのだと思うのですが、胃がん・肺がん・大腸がんでは45%ですね。ですから、住民検診と比べてはるかに低いのです。
 その背景に何があるかというと、精検受診というのは、会社から見ると、あるいは健保もそうですが、機微な個人情報なのですね。よほど慎重に同意を取っていないと、そこに踏み込むことができないです。実際に、がん対策推進企業アクションのアンケート調査でも、要精密検査に関わる受診勧奨を行っている企業は1割程度なのですね。そこの背景には、職域がん検診に関する法律の裏づけがないということ。要するに、福利厚生事業としてやっているので、情報の管理がなかなか徹底しないというところがあって、そういう意味でも職域がん検診の法的裏づけを進める必要があると思います。そこがないと、恐らくなかなか進まないと思います。
 その中で、レセプトは医療行為の全てが記載されているわけですから、これらを使っていくというのは非常に重要な方法だと思います。
 以上です。
○大内座長 では、中野構成員、お願いします。
○中野構成員 
 私も、レセプトに関してはより使いやすいという方向で定まると思っています。
 また、ヒアリングに基づいて今回まとめていただいていますが、ヒアリングのみで今後の対応が決まるわけではないと思います。今回、多くの健保組合の中から5組合を選んでヒアリングされていますが、この選定について何か基準等ございますでしょうか。規模とかいろいろあると思いますので、参考までに教えてください。
○大内座長 この辺りはどなたに。
○事務局 事務局でございます。
 選定基準につきましては、明示的にこういったところでというところではないのですけれども、国立がん研究センターの高橋先生から御推薦いただいたところですとか、我々のほうで日頃よりお付き合いがあるところに、まずは現状把握と足元でできることというところでヒアリングさせていただいたところでございます。
 以上です。
○中野構成員 ありがとうございます。
 特に規模ということより、聞きやすいところみたいな感じのイメージですね。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 おっしゃるとおりですので、まず入り口としてそういうことをやらせていただいたという理解ですので、例えばもう少し規模とかを整えて広めにヒアリングをするとか、アンケートに御協力いただいて、皆様方と一緒に、それこそ健保連の皆様や協会けんぽの皆様に御協力いただいてそういう調査をやっていく。もしくは、既にやっていただいている調査の中でこういう要素も組み込んで情報を取らせていただいて、一般的な御意見として本当にこういう課題が課題認識として正しいのかというチェックをするというようなことも必要に応じて対応し得ると思いますので、そこは御相談かと思っております。
 以上でございます。
○中野構成員 御説明、ありがとうございました。
○大内座長 では、河本構成員お願いします。
○河本構成員 お世話になります。河本でございます。
 ヒアリングの結果を見せていただいてありがとうございます。
 私どもの市のほうでも産業看護職の方と定例会でお話をする機会がありますので、この件についても少し聞いてみたのですけれども、皆さん口々に言われていたのが、法的根拠がないので、やはり労働安全衛生法に基づく定期健診のフォローとか、メンタル不調の方のケアとか、そういうことに人的資源が取られてしまうので、がん検診のことはなかなかやりにくい面があるとおっしゃられたのが1点。
 それから、法的根拠がないということで、大きな企業の方がほとんどなのですけれども、検診の項目も5がん検診以外の検診をされているところも多いですし、腫瘍マーカーをされていたり、年齢が若い方にもいろいろな検診をされていたり、本当に様々な方法を取られています。さっき協会けんぽさんの話も出ましたけれども、いろいろな企業さんとか、様々な規模の企業さんに現状を聞いていただくのがまず大事なのかなと思います。
 あと、そもそも1次検診の受診もなかなか進んでいかないところも多くあると思いますので、1次検診と精密検診の精度管理と両輪で進めていかないといけないと思った次第です。
 以上です。
○大内座長 では、祖父江構成員。
○祖父江構成員 ちょっと言い忘れたのが、2番目の職域におけるがん検診のマニュアルの話なのですけれども、これは2018年に出た段階ではあまり保険者を意識しているわけではなくて、レセプトを使った精度管理ということもあまり記述されてなくて、精度管理の手法としては市町村がやっているやり方をそのまま踏襲しましょう、同じようなやり方をしましょうということを記述されていますけれども、企業側で市町村がやっていることをそのままやるということに関しては、個人情報的な扱いもあってなかなか難しいですね。
 ですから、企業と保険者がタイアップして、保険者のレセプトを有効活用する形で精度管理を進めるという具体的な方法を、マニュアルを改訂して追記したほうがいいと思うのです。それを提案します。
 それから、一つ質問なのですけれども、参考資料1に「保険者インセンティブ制度について」というのがあるのですけれども、これは一体何のことなのか、説明をお願いしたいと思います。
 以上です。
○大内座長 事務局の方、答えられますか。
○がん対策推進官 今、祖父江先生から御質問いただいたのは、参考資料1のところでよろしいでしょうか。
○祖父江構成員 「主なご意見」の下のところに「保険者インセンティブ制度について」というところがあるのですけれども。
○がん対策推進官 ありがとうございます。この資料の5ページ目のことですね。
○祖父江構成員 そうです。5ページ目のことです。
○がん対策推進官 右から3列目の「保険者インセンティブ制度について」というところですね。
 こちらは、保険者の健康増進のための取組を評価するためのインセンティブを付与するための制度でございまして、がん検診の受診率とか精度管理について取り組んでいるところを一定評価するというような仕組みが実装されているのですが、そこについて、こうなるといいよねというような御意見があった保険者さんがいらっしゃったので、そこを書いているというような趣旨でございます。
 回答になっているでしょうか。
○祖父江構成員 拠出金の加点のことですか。
○がん対策推進官 制度そのものの御説明ということですよね。
○祖父江構成員 はい。
○がん対策推進官 おっしゃっていただいたように、制度の設計のもともとの趣旨や性質としては、後期高齢者支援金の加算・減算制度の中で特定健診の実施率等というのが例示としてよく使われるのですが、それによって後期高齢者支援金の額の一定程度の加算や減算を行う制度のことでございまして、そこの加減算のルールの中にがん検診の話が入っているということでございます。
○祖父江構成員 ありがとうございました。
○大内座長 よろしいですか。
 ほかに御意見がなければ、職域におけるがん検診について様々な御意見がありますので、整理したいと思います。
 では、その他に移りますが、資料4-1と4-2について御説明をお願いいたします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 資料4-1について御説明をさせていただきたいと思います。先ほど一度大内座長に内容を触れていただきましたが、「がん検診事業のあり方について(案)」というものを御用意しております。
 こちらにつきましては、作成された経緯といいますのが、がん検診事業の評価に関する委員会という会議体がございまして、そちらから各都道府県・市町村の担当部局宛てに発出している「今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について(報告書)」という文書がもともとございました。そちらの文書の内容を更新したものを作成して示していくべきというような文脈から、がん検診事業の評価に関する研究班において、本文書、「がん検診事業のあり方について(案)」の素案を作成していただいて、そちらを前回第37回のがん検診の検討会においてお諮りし、内容について一定の御了解をいただいていたというところが現状のステータスでございました。
 そちらについて御指摘をいただいた点も踏まえて、形式的な修正もして、本日成案として、がん検診の検討会からこちらの文書を作成したものとして、厚生労働省からの事務連絡もしくは通知等を添えて発出したいと考えているところでございます。
 変更点につきましては、更新日修正といった形式的な修正で、内容についての修正はほぼないという状況でございます。
 加えまして、こちらについて一部、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」というものの改正も必要になりますので、資料4-2に新旧対照表の形でお示しをしておりますが、そちらについても一部形式的な修正がありますので御紹介させていただいております。そのような形で、問題がなければ発出したいと考えているところでございます。
 事務局から、資料4-1及び4-2の御説明は以上でございます。
○大内座長 資料4-2は新旧対照表ですね。
○がん対策推進官 そのとおりです。4-2の特に最後の6ページ目のところで「ブレスト・アウェアネス」という表記に変わっていますので、その点の修正等でございます。
○大内座長 本検討会で既に議論を重ねてきた件でございますので、皆さん、よろしいでしょうか。御意見のある方はどうぞ。中野構成員。
○中野構成員 中野でございます。御説明ありがとうございました。
 今日示された資料4-1は検討会に表題が変わっています。40ページに作成いただいた研究班の構成員の名簿があり、実際は、厚生労働行政推進調査事業費補助金が出ているがん対策推進総合研究事業の「がん検診事業の評価に関する研究」班のほうでおまとめいただいたものと認識しています。
 私どもの検討会に対し先ほど御説明があったとおり、前回、まだ研究班という名前の下で示されたものを見せていただいたわけです。改めて事務局に確認しますが、私どもの検討会とこの研究班との関係がどういうものであるのか。
 要するに、検討会が研究班に対して諮問というのか、そういうのをつくってくださいと依頼した経緯があれば表紙を変えてもということになるかもしれませんが、あくまでもこれは研究班がまとめたものであって、表紙だけ検討会の名前になっているのはいかがなものかと思います。
○がん対策推進官 事務局でございます。御質問をいただき、ありがとうございます。
 先ほど御説明の中でも一部触れさせていただきましたが、本文書の位置づけそのものが「がん検診事業の評価に関する委員会」という場所で御議論いただき、作成いただいた報告書のリバイズという性質であるものという前提で、その内容の修正について、ただ技術的な部分も多分に含まれているので、これまでの研究班において、もともと「がん検診のあり方に関する検討会」にその整理した内容を御報告いただくという前提で実施していただいていた研究がございましたので、その研究班の中で得られた成果物を検討会にお諮りしたというのが前回のものでございます。
 ですので、お諮りするスキームとしては、内容の精査についてこの研究班において実施していただいたということで、発出する主体としては、経緯も含めて本検討会でお願いするというのがいいのではないかということでお伝えしているものでございます。
 事務局からの御説明は以上でございます。
○大内座長 中野構成員、よろしいですか。
○中野構成員 今、発出は検討会と御説明があったのですが、発出は厚労省ではないのですか。
○がん対策推進官 失礼いたしました。
 発出という事務的手続は当然私どものほうからで、別添の資料もしくは別紙というような形で本資料の「案」が取れたバージョンをお送りするというイメージでお願いしたいと考えてございます。
○中野構成員 表紙は「検討会」ですね。
○がん対策推進官 そのとおりです。
○中野構成員 検討会の皆様がそれでよいということであれば、事務局提案のとおりに進めるということになろうと思います。
○大内座長 では、改めて構成員の皆様にお尋ねしますけれども、4-1の資料につきましては、先ほど事務局から説明ありましたように、がん検診事業の評価に関する研究班に関しましては、本検討会と密接な連携を取りまして、このような調査を行っていただいた上で、このメンバーにも本検討会の構成員が数多く入っておられますが、取りまとめた報告書につきましては第37回の検討会で報告いただいております。それを本検討会として了承をしてきた経緯がございますので、先ほど事務局から説明ありましたとおり、これを厚生労働省の中の本検討会の名前で発出するということになりますが、よろしいでしょうか。
 特に異議がないということですね。ありがとうございました。
 では、そのほか、御意見のある方はいらっしゃいますか。
 中川構成員。
○中川構成員 事務局にちょっと教えていただきたいのですが、第4期の基本計画にありました職域がん検診の法的な位置づけを含めという部分で、今後の制度設計の検討について何かお考えがありましたら教えていただければと思っています。
○がん対策推進官 事務局です。御質問をいただきありがとうございます。
 本日も冒頭の資料1のほうで、今後の検討するべき課題の網羅的な整理をさせていただいたところですので、その中でも職域におけるがん検診についての論点を様々いただいたと思っております。また、資料3の議論の中でも色々頂戴しているところだと思っておりますので、そういった足元の課題と今後の制度設計に向けた課題の整理ということで、論点をしっかり整理していかないと議論が交錯する可能性もありますので、その論点整理からまずはさせていただいて、検診の検討会において御議論いただけるよう準備していきたいと考えております。
 現時点でお答えできるところは以上でございます。
○中川構成員 分かりました。
○大内座長 職域のがん検診についての提言は、冒頭の議題の中でも最後のほうに、科学的根拠に基づくがん検診の実施の対象を、職域を含めて日本全体にするということが基本かと思います。その上で、中川構成員の御質問は、法的観点も含めてどのように進められますかということでよろしかったですか。
○中川構成員 そうですね。もっと言うならば、どのような法律というところもありますが、それはまた今後の議論かなという気がします。
○大内座長 ほかに御意見はございますか。
 それでは、本日の議論は以上といたします。
 事務局から連絡事項をお願いします。
○がん対策推進官 事務局でございます。
 活発な御議論をいただき、ありがとうございました。
 次回の検討会の日程等詳細につきましては、調整の上、また事務局より御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 事務局から以上でございます。
○大内座長 今日はこれにて終了いたします。お疲れ様でした。
○がん対策推進官 ありがとうございました。
 

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