第47回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局 予防接種担当参事官室

日時

令和5年6月16日(金) 18:00~20:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 省議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事内容
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、定刻となりましたので、第47回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ、委員、参考人の方々には、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開となっております。また、前回と同様、議事の様子につきましては、ユーチューブで配信させていただきますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りにつきましては、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力のほど、お願いいたします。
また、傍聴される方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議の冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
次に、本日の出欠状況について、御報告申し上げます。
伊東亜矢子委員から御欠席の連絡、清元委員より、遅れての参加と連絡を受けております。
また、本日は、高橋宣聖、国立感染症研究所治療薬・ワクチン開発研究センター長に参考人として参加のお願いをしております。
現在、委員17名、参考人3名のうち、委員15名に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議が成立したことを御報告いたします。
続きまして、本分科会の資料につきましては、あらかじめ送付させていただいた電子ファイルで閲覧する方式で実施させていただきます。番号01の議事次第及び委員名簿から07の利益相反関係書類までを用意しております。
資料の不足等、御不明点な等がございましたら事務局員にお申し出ください。
なお、大変申し訳ございませんが、冒頭のカメラの頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力のほど、お願いいたします。
(カメラ頭撮り終了)
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、ここからの進行につきましては、脇田分科会長にお願いいたします。
○脇田分科会長 それでは、今日も6時の開始ということですけれども、構成員の皆様、よろしくお願いいたします。
まず、審議参加に関する遵守事項の報告を、事務局からお願いいたします。
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 引き続き、事務局でございます。
利益相反の関係であります、審議参加の取扱いについて、御報告をいたします。
本日御出席の委員、参考人より、予防接種ワクチン分科会審議参加規定に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告をいただきました。
各委員及び参考人からの申告内容につきましては、番号07の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
また、本日は、議事内容に関しまして「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
引き続き、各委員、参考人におかれましては、講演料等の受け取りにつきまして、通帳や源泉徴収などの書類も確認いただくことにより、正しい内容について申告をいただきますようお願いいたします。
事務局からは、以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、本日の議事に入ってまいりたいと思います。
今日の議事は、新型コロナワクチンの接種に関してということでありますので、まず、事務局のほうから、新型コロナワクチン接種の現状についての説明をいただいた上で、議題についての説明をお願いいたします。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
では、まず資料1-1に基づきまして、事務局から御説明をさせていただきます。
資料1-1の3ページ目までお進みください。
「我が国におけるオミクロン株亜系統の流行状況」ということで、国立感染症研究所からのデータをお示ししております。
現在、我が国ではXBB.1.16の系統が多く占めているデータがございます。
続けてお進みいただきまして、4ページ目でございます。
諸外国との比較でございまして、これは海外からのホームページから抜粋したものでございますが、一番下が日本でございまして、こちらですと、XBB.1.5が多くなってございます。
続きまして、本日の論点にまいります。6ページ目までお進みいただけますでしょうか。
本日の論点といたしまして、(1)令和5年、秋冬の接種に用いるワクチンについてと、(2)有効性等に係る知見についてというところで、御用意しております。
まず(1)の内容から御説明をさせていただきます。
8ページ目までお進みいただけますでしょうか。
8ページ目は、今年の3月に分科会におきまして御議論いただきまして、お諮りした内容でございます。
一番下の「4)2023年秋冬の接種について」というところで、今年の秋冬に用いるワクチンにつきましては、2023年度早期に結論を得るという形で御指示をいただいてございました。
続きまして、9ページ目にお進みください。
ここから諸外国の状況をざっと整理させていただきましたので、御紹介いたします。
10ページ目でございますけれども、WHOのCOVID-19ワクチンの抗原構成についての声明ということで、概要をお示ししております。
2つ目の○でございますけれども、症候性疾患への防御を改善するために、新しい構成について声明が出ておりまして、XBB系統を中和する抗体応答を誘発することを目指すべきであると。例えば、1価のXBB.1系統、XBB.1.5や1.6の抗原の使用が考えられる。
あるいは、次の○でございますけれども、現在、承認されているワクチンは、重症化に対する保護を提供し続けているものの、将来のワクチンには、従来株を含めないといった助言をしている状況がございます。
さらにお進みいただきまして、11ページ目でございます。
この声明の背景となったエビデンス、知見に関しまして、少しおまとめしております。
XBB.1系統についてでございますが、図にございますように、従来株から徐々に派生をしてまいりまして、右下の緑あるいは水色の形で示されております場所にいるというところで報告がございます。
また、XBB系統のうちXBB.1あるいは1.5及び1.16に対する中和抗体価というものについて、右側の図でお示ししたように、動物モデルにおける免疫応答を評価したものによりますと、中和抗体価の上がりが同等であるといったような評価がなされていると報告されております。
また、12ページ目でございますけれども、2価ワクチンにおける各株に対する中和抗体価の上昇というものを見たものでございまして、XBB.1系統は抗原性の差が大きく、BA.4-5を含むオミクロン株2価ワクチンの接種後、XBB.1に対する中和抗体価の上昇率は、BA.4-5や従来株と比較して、相当程度低いということが、こういったデータから示されているというところでございます。
引き続きまして、13ページ目でございますが、こちらは、欧州の新たな変異体を標的とするCOVID-19ワクチンの更新に関する声明というところで、内容としては、WHOと同等でございまして、下側のボックスにございますように、従来株の成分については、今後のワクチン構成に必ずしも含める必要性はない。
あるいは、次の○でございますけれども、XBB.1.5の株を含むことは、XBB系統に対する免疫の幅を増加させるのに妥当な選択だと考えられる等々の声明が発表されているところでございます。
また、14ページ目にお進みいただきますと、昨日の夜から今朝にかけて開催されました、米国FDAの諮問会議におきまして、株の検討がなされたというところで、情報を整理してございます。
検討内容といたしましては、現在の2価ワクチンにより、XBB系統を含むオミクロン株に対して効果が持続しているといった状況ではあるが、接種後時間が経過すると、有効性が低減すること。また、現行の2価ワクチンで誘導されるXBB.1.5系統に対する中和抗体価が、BA.4-5に対する抗体価より低いと指摘しております。
また、世界的にもXBB.1.5系統が支配的になっているというところ。あるいはオミクロン株と比べて抗原的に異なるところが、XBB系統であるといったところが指摘されているところでございます。
最終的に下のボックスにございますとおり、株構成の推奨に関しましては、2023-2024年における株構成について、1価のXBB系統を推奨するといったところが、ボーティングで賛成となったと承知しております。
また、開発状況等を踏まえて、XBB.1.5を選択する形で合意がなされたと承知をしております。
引き続きまして、15ページ目以降で株の一覧を示しております。
こちらは、再掲になりますので割愛いたしますが、国としては、米国が方針を出しているといった状況でございます。
16ページ目以降は、接種プログラムの整理でございまして、各国春の接種として重症化リスクの高い方に、2価ワクチンを接種しているところをまとめたものでございます。16ページ目から18ページ目までが各国でございまして、19ページ目が組織の推奨等でございます。
20、21は、参考として国内の抗N抗体陽性割合等々のデータをお示ししております。
以上が、諸外国や国内の状況でございます。
続きまして、令和5年秋冬の接種に我が国で用いるワクチンにつきましては、昨年度と同様、検討会を立ち上げさせていただきまして、専門家の先生方に御議論をいただきまして、取りまとめをいただいてございます。こちらを、資料1-2におつけしてございます。
まず、これについてよろしければ、検討会の構成員である高橋参考人から御報告をいただければと存じますが、座長、よろしいでしょうか。
○脇田分科会長 承知しました。
それでは、高橋参考人、御説明をお願いできますでしょうか。
○高橋参考人 感染研の高橋です。
それでは、資料1に沿って検討会での取りまとめについて、御報告させていただきます。
まず「1.前提」であります。
令和5年度の新型コロナワクチンの接種については、「2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針について」、以下、方針と略させていただきますが、それを踏まえて実施しております。
2つ目の○として、方針において、新型コロナワクチンの有効性に関する科学的知見から、重症化予防効果の1年程度の持続が期待されることを踏まえ、重症化予防効果を第一の目的とし、令和5年秋冬には全ての者を対象として接種を実施することとし、高齢者等の重症化リスクの高い者については、効果の持続が短い可能性を考慮し、秋冬を待たず、春夏に追加で接種することとされています。
3つ目の○として、令和5年秋冬の接種に使用するワクチンについて、これまでに検討に用いた知見のほか、現時点までに新たに得られた科学的知見等を踏まえ、以下の論点について検討いたしました。
なお、最新のワクチン株に関する知見については、現時点で得られた限られたデータの中で議論を行ったことには留意が必要となります。
2つ目の「2.各論点に関する検討及び結論」です。
(1)ワクチン株について、まず、御説明いたします。
現在、我が国における流行の主流はXBB.1系統に移行しつつあります。
2つ目は、オミクロン株対応2価ワクチン、こちらは、武漢株及びBA.4-5の成分を含む2価ワクチンとなりまして、以下は既存2価ワクチンと略させていただきますが、これを追加接種した人における中和抗体の反応を評価した研究では、XBB.1系統に対する中和抗体の上昇は、BA.4-5に対する上昇と比べて低いとされております。
3つ目ですが、XBB.1系統を含むワクチンに関する知見は限られていますが、製薬企業から提出された非臨床試験、マウスを用いた試験となりますが、これによりますと、XBB.1.5に対する中和抗体価の上昇率は、当然ながら既存2価ワクチン接種後よりXBB.1.5を含むワクチン接種のほうが高いことが確認されています。
以下、括弧の中に、詳細な非臨床試験の内容が補足で説明されております。
次のページを御覧ください。
オミクロン対応ワクチンについて、第二次取りまとめにおきまして検討しましたように、流行株の成分を含むワクチンは、流行株に対してより高い中和抗体価の上昇とともに、より強い記憶リンパ球の誘導をもたらすことにより、重症化予防効果はもとより、発症予防効果への寄与も期待されます。
なお、中和抗体価は短期間で減衰するものの、重症化予防効果に寄与する他の免疫機構(記憶リンパ球等)は、1年程度保たれることが、これまでに報告されております。
以上を踏まえ、最初のワクチン株に関する結論につきまして、現在の流行の主流であるXBB.1系統に対しては、既存2価ワクチンでは、中和抗体価の上昇が低く、移行しつつある主流流行株に対して、より高い中和抗体価を誘導するためには、最も抗原性が一致したワクチンを選択することが妥当であると結論されております。
続きまして「(2)XBB系統ワクチンの構成について」を御説明します。
流行株の主流は既にXBB.1系統へ移行しつつあることや、BA.4-5の抗原により誘導される免疫は、XBB.1.5に対する中和抗体を誘導しにくいこと、これまで我が国では既存2価ワクチンの導入により、BA.4-5に対する免疫が既に付与されており、XBB.1.5の抗原により誘導される免疫によって、BA.4-5に対する中和抗体を誘導し得ること等を踏まえると、今後のワクチン構成にあえてBA.4-5を含むことの有意性はないと考えられます。
2つ目のポイントとして、XBB.1系統にはXBB.1.5、XBB.1.16、XBB.1.9等が報告されているが、XBB.1.5とXBB.1.16のスパイクタンパクの間には2つのアミノ酸の違いしかないことが知られていること等、抗原性の差は小さいと考えられることから、XBB.1系統のうち、いずれの成分を含むとしても期待される有効性に大きな差はないものと考えられます。
以上、結論としまして、XBB.1系統を含有するワクチンを用いることが妥当であると考えられます。
「(3)従来株成分の必要性について」を御説明します。
従来株成分による免疫刷り込み現象は、以前から免疫学的な理論として提唱されているものの、現時点で、さらなる知見は得られておりません。
現在流行している新型コロナウイルスは、1年半以上にわたってオミクロン株の中で亜系統や組換え体を生じている状況でありまして、ウイルスが今後どのように変異するかは不確実であるものの、従来株への回帰が生じる可能性は極めて低く、引き続きオミクロン株の中で変異を起こすことが想定されます。ただし、令和5年秋にはオミクロンであってもXBB系統ではない新たな亜系統等が発生する可能性があることに留意が必要です。
最後、3ページ目に移りまして、結論としまして、免疫刷り込み現象を理由として従来株成分を排除すべき状況ではないものの、現時点においては、今後にわたり、従来株を含める必要性はないものと考えられます。
なお、現行の令和5年春開始接種で実施している重症化リスクが高い者に対する接種は、重症化予防の観点から現在入手可能なワクチンである既存2価ワクチンを用いて、引き続き実施するべきであるということになりました。
「(4)その他の議論」を御紹介させていただきます。
既存2価ワクチンの有効性を評価した疫学研究によると、流行株とワクチン株の抗原性が一致していない場合であっても一定の有効性が確認されているが、現時点では利用可能なエビデンスが限られ、結果の解釈には留意が必要となります。引き続き、非臨床のみならず、疫学的知見も含めた臨床における科学的知見の収集、分析及び評価が必要と考えられます。
最後の○にありますが、現時点における新型コロナワクチンに関する安全性や有効性に関する知見に基づくと、高齢者等の重症化リスクの高い者に対する接種がリスクに対するベネフィットが最も大きいと考えられ、1.で既に述べたとおり、令和5年度以降の接種の方針と軌を一にするものであります。本検討はこうした前提の下で、今後の接種プログラムの検討に当たり参照されるべきと考えられます。
私からは、以上となります。
○脇田分科会長 高橋先生、どうも御説明ありがとうございました。
そうしましたら、事務局から、引き続き説明をお願いできますか。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。高橋先生、ありがとうございました。
資料1-1の22ページ目までお戻りいただけますでしょうか。まとめを記載してございます。
「令和5年秋冬に用いるワクチンについて」ということで、先ほど高橋参考人から御報告いただきました検討会の取りまとめが記載されてございます。
これを受けまして、下の事務局案でございますが、令和5年秋冬の接種に使用するワクチンについては、この検討会からの報告等を踏まえまして、XBB.1系統を含有する1価のワクチンを用いることとしてはどうかということでございます。
また、具体的なワクチン株について、先ほどの御報告でXBB.1系統の中の差というのは大きくないという御議論、御指摘もございましたけれども、その中で、その時々における流行の状況等に応じて選択することができるのか、あるいは、具体のワクチン株について指定することができるのかといった点についても、御指摘をいただければと思っております。
2つ目の○でございますけれども、今後、最新の知見や諸外国の動向等も踏まえまして、秋冬の接種対象者については、改めて分科会にお諮りして確認を行い、秋までに結論を得ることとしてはどうかということでございます。
以上、事務局からの御説明でございます。
○脇田分科会長 御説明ありがとうございました。
それでは、今、高橋参考人からも株検討会のまとめについて説明をしていただきました。
それから、事務局のほうからは、論点といいますか、事務局案というところで、資料1-1の22ページですか、ここで事務局案をいただきました。
ですので、それについて、御質問、御意見等を委員の皆様からお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
坂元委員から、まず、お願いいたします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
先ほど、説明いただいた高橋先生にお聞きしたいのですが、仮にXBB.1-5を秋口から採用するとなったときに、このXBB.1-5というのは、その前に、いわゆるオミクロンのBA.4-5、野生株、それを受けてという上での積み重ねでやるということなのか、いわゆるXBB.1-5は単価なので、例えば、刷り込み現象ということを考慮すると、もう秋口からは、初回からXBBでもいいのではないと、少し素人的な考えになるのですが、これは、多分、製造承認のときのデータによると思うのですけれども、高橋先生は、その辺、どのようにお考えでしょうか。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
まず、質問、御意見を先に伺っていこうと思いますので、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
1価でXBBの系統が効果的であろうということを、いろいろデータをお示しいただいて分かりました。ありがとうございました。
ただ、22ページの「なお」のところで、現行の春夏接種で実施している重症化リスクが高い者に対する接種は、2価を用いてというようなことが書いてありますので、春に打った人は、秋も2価ということなのか、秋冬の方だけを1価にするのか、その辺、現場のオペレーションが混乱するのではないかという懸念がありますので、どういう形で実施し、1価が使えるようになったときには、どのような形になるのかなということで、助言をいただきたいなと思っています。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
ここは、少しオペレーションの問題もあるのかなというところがありますが、ほかに、まだ手が挙がっていないので、先にレスポンスをいただいていきましょうか。
それでは、まず、坂元先生からは、高橋参考人にXBB.1-5を採用する場合に、BA.4-5の2価ワクチンの接種を受けてのことなのかといった御質問だったと思いますが、いかがでしょうか。
○高橋参考人 ありがとうございます。
まず、今回の検討会では、BA.4-5等の接種を受けて、あるいは武漢株での接種を受けた方に対するブースターのところを、まず、念頭に置いて議論が進められてきたところであります。
免疫刷り込みという現象を坂元先生から御指摘をいただきましたけれども、これがあるということで、XBB.1-5等の系統のワクチンを追加で接種した場合にも、逆にBA.4とか、それより以前の免疫もバックブーストといいますか、さらに再起されるということも期待はできると、今、想定されているところかなと思います。
免疫がない方に、この単価ワクチンを使うかどうかというところは、承認等も関わることだと思いますので、私からは、そこのコメントは、難しいところかなと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
続いて、白井先生のほうの御質問は、事務局にレスポンスをしていただければと思います。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。ありがとうございます。
お尋ねいただいたのが、春の接種は、2価ワクチンで接種していくということで、方向性をいただいておりまして、実施させていただいているところですが、秋も2価なのかと、お尋ねいただいたかと思いますが、今、御議論をお諮りしたところは、秋のワクチンを改めて選択していく必要があるという形で、3月に方向性をいただいておりまして、秋の使用ワクチンを検討しているところでございまして、春に2価で打った方であっても、秋冬には、今回お諮りして、お認めいただけるのであれば、1価のワクチンを打っていただくという形になるのかなと思っております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
ということでありますので、春夏といいますか、春夏の接種というのは、2価で行われていますが、それを接種された方も秋、冬には1価のワクチンでどうだろうかといったまとめだったと思いますね。
そのほか、いかがでしょうか。御質問、御意見等あれば。
では、伊藤先生、お願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
一応確認させていただきたいのですけれども、春の接種で2価を打たれた方は、次に1価を打つ接種間隔はどれぐらいでお考えになられているのかを教えていただけますでしょうか。
○脇田分科会長 それでは、事務局からお願いできますか。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。伊藤先生、ありがとうございます。
薬事承認の間隔のところによると思っておりますけれども、現行の2価ワクチンは、3か月以上ということになっておりますけれども、新しいワクチンも、ちょっとどうなるかというところはございますが、薬事に沿った形になるかと思っております。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
薬事が通らないと分からないというところもありますが、それほど違うこともないかもしれないというところでしょうか。
伊藤先生。
○伊藤(澄)委員 すみません、しつこいのですけれども、今回秋冬を1価にするという話になって、間隔がはっきりしないと、今の春の2価の接種をする人が、例えば、夏近くなったときに、打ち控えとかが発生するのではないかということについて、多少懸念を持っているのですが、例えば、2価を8月いっぱいまで使って、9月から1価にするとかの大体の見通しが立っているのかどうかを教えていただけますでしょうか。
○脇田分科会長 これは、秋冬の接種が9月から始まるかというところでしょうか。
事務局、いかがでしょうか。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
3月に御議論いただきましたところでございますので、今後の議論の状況にもよるところではあるかと思うのですけれども、資料の8ページの4)の秋冬の接種というところで、目安としての時期を記載してございますので、それまでは、春の接種ということで、実施していくものかなと思っております。
打ち控えについては、周知等も取り組んでまいりたいと思っておりますが、接種のキャンペーンの時期については、記載のとおりとイメージしているところでございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
初回シリーズなのですけれども、今、オミクロンBA.4-5で、初回から打てるという申請が行われていると聞いたことがあるのですが、そうすると、今後、BA.4-5で初回を打ってからXBBになるのか、はたまたXBBで初回から行けるように、そういう申請が今後出てくるのか、その辺、多分まだ不明な部分も多いと思うのですけれども、もし何かお分かりになれば、教えていただければと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
現在、主に議論をしているのは、ブースターに何を使うかということなのですけれども、当然まだ未接種の方もいらっしゃるということなので、その場合、初回接種で何が使えるかということが当然問題になってくるという問題意識ですね。
事務局のほうから、レスポンスをいただけますか。
○大坪大臣官房審議官 事務局であります。
3回目までの接種のときには、先生方にも御議論いただきましたように、まず初回で、従来株で免疫をつけた上で、3回目という間隔でシリーズをやっていたと思いますが、令和4年の秋の接種、オミクロンが開始されましてからは、追加接種という回数制の考え方ではなくて、抗原の免疫力が落ちた段階で、そこを補うという形で接種を進めてきたと思っています。
ですので、イニシャルの初回の接種の上で、追加という間隔は、秋の4回目の接種以降は取っていないと考えています。
ですので、今、従来株でまずイニシエーションしてから、オミクロンのワクチンということにつきましては、既に諸外国では、最初からオミクロンで初回免疫が始まっていますし、これは我が国でも申請をしているところでありますので、従来株というものに関して、最初に、まず免疫をつけてから、追加で変異株を追っていくという発想は、既に従来株というものが、ここでサーキュレートしていないので、そういう間隔は、今はないのだろうと思っています。
したがいまして、その時々で流行している株に対して、免疫力の持続期間を考慮して補足していくということで、先生方におまとめをいただいたと思っておりますので、基本的に令和5年のワクチンは、年に一度ということで去年9月20日から始めていますので、秋の接種ということで御用意をしつつ、高齢者におきましては、免疫保持の期間が短いということで、前倒しで春を追加したということで考えておりますので、4-5を打った後に追加でということでは、もう既に去年の秋のオミクロンから以降は、そういう考え方を取っていないと考えています。
○脇田分科会長 ということでありました。
釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 現時点で、今日特に議論をしなければならないことは、秋以降の接種について、XBBの系統の単価のワクチンを採用するということについて、合意するかどうかということだろうと思います。
その点からしますと、ヨーロッパからも、また、FDAからも単価のワクチンでXBBのものというので、選択が出てきていることからすれば、我が国においても、XBBの単価のワクチンが入手可能であれば、それを希望される国民に接種するという方法が適切、妥当だろうと思います。
今日の22ページの事務局案の一番下に書いてあるところですけれども、接種対象者をどうするかというのが、今後の議論になるということだろうと思います。それは、今後のXBBのワクチンの薬事承認がどういう形で出てくるかによるので、それは、現時点では、まだ分かりませんから、薬事承認も踏まえて、接種対象者をどうするのかということになるのだろうと思います。
その接種対象者の中には、年齢の低い人たちもあります。現状では、これまでの方針では、6か月から4歳の子供については、従来株のものしかないのですが、それを令和5年度中はずっと希望者に対しては、初回接種を行うという方針で、今、来ているわけです。
それから、5歳から11歳の者については、2価のワクチンが追加用として接種可能になっている。
それで、12歳以上については、みんな一緒ということに、12歳以上については、今回、もしXBBのものが採用されるのであれば、それを使えばいいのだろうなとは思いますが、下の年齢については、そのときにどういうワクチンが提供されるかというのは、今、分かりませんから、その辺りのところを今後の状況を見ながら決めていくと、それによって、秋冬の接種対象者について、改めて確認作業が必要になるのだろうと思いますので、その方向に、私は賛成を申し上げます。
以上です。
○脇田分科会長 釜萢先生、ありがとうございます。
まさに、今、釜萢先生がおっしゃったとおり、事務局案にも書いてあるわけですけれども、この令和5年度秋冬に用いるワクチンに関して、抗原性が、今、流行株になるべく近いものを使うべきであるということ、そして、単価のワクチンを用いるという結論でよいのかに関して、さらに御意見をいただければと思います。
日野参考人、福島委員の順番でお願いします。
○日野参考人 ありがとうございます。
実は質問しようと思ったことを、今、ちょうど先生に言っていただいてしまったのですけれども、やはり、すごく子供たちの接種、18未満の子とか、また、本当5歳から11歳とか、やはり子供の接種がどういうパターンで、また、いつ頃からできるのかというのを、こういうのは早目に出しておいていただくと、やはり保護者は、こういうところはすごく敏感に気にするものなので、その辺り、できるだけ早くに出していただけるといいなと思いましたので、よろしくお願いします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
福島委員、お願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
本日のスライドの22ページ目にお示しいただいている事務局案について、私は、異存はございません。
その上でなのですけれども、去年の秋冬接種から、決まった期間に一回接種機会を提供するという考えに移行してきておりまして、まさにインフルエンザと同じようなパターンになってきていると思います。今のところ、今年の秋冬接種は、9月から12月とスライド8ページに書いておられたのですけれども、インフルエンザワクチンのことを考えますと、大体10月ぐらいに流通して、年が明けてもワクチンが余っていれば打てますので、コロナワクチンについても「年が明けても打てる」というような誤解が生じないかというのを懸念しています。
また、開発段階ではあると思うのですけれども、インフルエンザワクチンとコロナワクチンの混合ワクチン等も将来的には流通すると思います。もし、8ページ目の秋冬接種の方針を採られるのでしたら、接種機会は9月から12月であることをしっかり周知するということも、重要なのではないかと感じました。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そうしましたら、今、日野参考人、そして福島委員からの御質問といいますか、御意見といいますか、それに事務局からレスポンスをいただければと思います。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
日野参考人から御質問いただいた件ですけれども、XBBのワクチン自体は、まだ薬事上もかかっておりませんので、状況をお伝えすることが難しいのですけれども、足元の状況といたしましては、私どものほうで、現在の2価のワクチンについて、生後6か月以上のところで薬事申請がなされているところは、情報として承知をしております。
その審査の状況等は、ここで申し上げることはなかなか難しいところでございますが、そうした中で、どこまで対象になっていくかというところを見据えながら、情報提供はしっかりとさせていただきたいと思ってございます。
また、福島委員から御指摘をいただきました接種期間等々については、御指摘のとおりと存じまして、具体の対象者あるいは期間等々については、また、秋を前に御議論をいただく機会がございますので、そちらも踏まえて、適切に周知をしてまいりたいと思っております。
混合ワクチン等も情報を収集しながら、何か情報提供すべきことは、対応してまいりたいと思ってございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
そうしましたら、さらに御意見、御質問はいかがでしょうか。
大体よろしゅうございますか。高橋参考人からも株検討会の資料の説明をしていただきました。また、事務局案として提案がございます、XBB.1系統を含有する1価ワクチンを用いることにしてはどうかと。
つまり、今、2価のワクチンが、この秋冬の接種に使われているわけですけれども、そちらから、やはり流行株に抗原性が近いものを使うべきであろうと。
ただし、今行っている接種については、重症化予防の観点から、引き続き実施をするという方向性になっているわけです。ただ、秋冬の接種に関しては抗原性が近いものがアベイラブルになるので、それで使ってはどうかと。
さらに、その場合はXBB.1系統を含む、1価のワクチンを用いることとするということで、事務局の御提案に関しては、おおむね反対の御意見がなかったと思いますが、皆様、いかがですか。
(異議なしの意思表示あり)
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
そうしますと、令和5年の秋冬に用いるワクチンにつきましては、この検討会の結果も踏まえて、事務局案を基に、今年の秋冬の接種に向けて準備を進めていくと。また、具体的なところに関しては、議論の場があるということだと思います。
それでは、ありがとうございました。事務局におかれましては、今日の議論も踏まえまして、秋冬の接種に向けての準備を進めていただくように、引き続きよろしくお願いいたします。
では、事務局から次の論点「(2)ワクチンの有効性等に係る新たな知見等について」というところを御説明していただければと思います。よろしくお願いします。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
引き続き、資料1-1の23ページ目の(2)の論点から御説明をさせていただきます。
24ページ目が、直近の知見をざっとまとめたマトリックスになってございまして、従来型ワクチンあるいは2価ワクチンの比較的長期のデータも出てきたところもございますので、もろもろ御紹介させていただきたいと思います。
まず、有効性に関するデータでございます。少し幅広に御紹介をさせていただきますが、25ページ目でございます。
タイトルにございますとおり、免疫不全の方という集団に対するモデルナのワクチンあるいはファイザーのワクチンにおける有効性ということでございます。
海外の知見でございますが、免疫不全の方におけるモデルナとファイザーのワクチン、この中和抗体価、抗体応答率等について、RCTのデザインで研究されたデータにおいて、モデルナのファイザーに対する同等性が示されたというデータでございます。
また、26ページ目でございますけれども、追加接種の有効性ということで18歳以上の方において、従来型ワクチンの追加接種3回目接種をモデルナで実施した群というのが、ファイザー実施した群と比較して、感染予防と入院予防効果については、有意に高い効果が認められた一方で、死亡予防効果については、有意な差はなかったというデータでございます。
具体的な数値については、左下のほうの数字で記載をしているところでございます。
おめくりいただきまして、27ページ目でございます。
免疫状態に応じた新型コロナワクチン従来型の追加接種の有効性というところでございます。
従来型ワクチンの2回目接種後14日以上の入院予防効果について、免疫正常者においては、モデルナ及びファイザーいずれも効果に差はなかったところですが、免疫不全の方においては、モデルナのほうが高い入院予防効果を示したということでございます。
特に免疫不全の方というフォーカスを置いてデータをお示ししたことがございませんでしたが、このスライドの左下のところに、免疫不全の方のグループにおけるデータをお出ししておりまして、モデルのほうが点推定値で高い成績を得たところでございます。
また、28ページ目にお進みいただきまして、悪性腫瘍等の患者さんにおける新型コロナワクチン、従来型の追加接種の有効性というところでございます。
少し古いデータになってございますが、アルファ株の流行期における初回接種後の悪性腫瘍の患者さんのコホートにおけるブレークスルー感染に関連する因子を評価したところ、モデルナ社製ワクチンの接種は、ファイザー社製ワクチンの接種と比較して、有意に高い感染予防効果を示したということでございます。
また、血液悪性腫瘍を患者に限定した解析では、多発性骨髄腫の患者さんにおいて、モデルナ社ワクチン、ファイザー社ワクチンと比べて、有意に高い発症予防効果を示したということでございます。
図のほうにオッズ比のほうをお示ししておりますが、こうしたデータもあるところでございます。
続きまして、29ページ目でございますが、有効性の持続期間に関するデータを御紹介させていただきます。
30ページ目でございます。
オミクロン株2価ワクチンの有効性の持続期間に関するデータでございます。
少しずつ長期のデータが出てきつつあるところでございまして、記載してございますとおり、BA.5及びXBB/XBB.1.5、いずれに対しても2価ワクチンは同等のVEを示すといったような結果でございました。
右下の図の赤く囲ったところの左側が、BA.5関連の感染、右側がXBB関連の感染で、それぞれVEが比較的同等であったという形で報告がございました。
続きまして、31ページ目でございます。
オミクロン株に2価ワクチンによる追加接種の有効性の持続期間ということでございます。
12歳以上の方において2価ワクチン追加接種の新型コロナウイルス感染症による入院または死亡に対する予防効果が、2週間後では67.4%、20週後では38.4%ということでございました。
mRNAワクチンの製品ごとの有効性の持続期間の違いについては、発症予防効果については、モデルナ社のほうで有意に長く持続したが、入院・死亡予防効果では差がなかったということでございます。
Figureに示しておりますとおり、感染予防効果については、短期間で下がってくるといったところ、入院・死亡予防効果については、比較的横ばいで推移するといったところ、また、下のFigureですけれども、各製品ごとにおいて持続期間に差があるもの、あるいは右側は差がなかったものという形でお示しをしております。
32ページ目でございますが、2価ワクチンの有効性の入院、重症化予防効果に関する持続期間のデータでございます。
被接種者との比較でございますが、2価ワクチンの接種による入院予防効果については、接種後180日で大幅に低下をしたということでございますが、重症化予防、すなわちICU入室あるいは死亡の予防といったところについては、接種後180日までで50%以上維持したということで、比較的長期に保たれるといったデータも出ているというところでございます。
続きまして、33ページ目以降は、mRNAワクチンの安全性に関するデータでございます。
34ページ目は、米国におけるデータでございますけれども、いわゆる我が国における副反応疑い報告と同様の報告に基づく安全性評価の結果、接種後の有害事象について、従来型ワクチン等々変化はないというところで評価をされてございます。
製品ごとに見たデータもございますが、非重篤、重篤いずれも、製品ごとの比較はなかなか難しいところではございますが、こういった形で大きな懸念はないということで評価をなされております。
おめくりいただきまして、35ページ目でございます。
我が国における副反応疑い報告の状況について、随時副反応検討部会等で御審議をいただいているところでございますが、直近の4、5回目接種の報告状況を4月にいただいておりまして、こちらは抜粋させていただいております。
製品ごとも含めて評価をいただいておりまして、下の赤枠のとおり、現時点では重大な懸念が認められないと考えてよいという形で御審議をいただいております。
また、ほかのデータではございますが、研究班あるいは海外のデータも踏まえて御議論をいただきまして、接種後の死亡リスク等については、有意な上昇はなかったということも、合わせて御議論をいただいておると承知をしております。
36ページ目でございますが、今日も御参加いただいている伊藤先生の研究班における、新型コロナワクチン接種後の安全性等の評価に関する研究によりますと、接種後に発現した発熱や接種部位の反応等の症状について、モデルナ社の2価ワクチンの発現頻度が高い傾向が示唆されたということでございます。
こちらは、年齢等の背景因子を調整したデータではございませんで、事務局で御用意したものでございますけれども、少しその背景因子が調整されておりませんので、単純な比較は難しいところでありますが、症状を見ますと、やや発現頻度が高いところが、見て取れるかなと思ってございます。
以上、幅広に御紹介させていただきまして、37ページ目がまとめでございます。
ワクチンの有効性について、様々御紹介させていただきました。また、持続期間につきましても、2価ワクチンのデータあるいはメーカーごとのデータも御案内いたしました。安全性のデータについても、国内外の情報を御提供させていただきました。
「諸外国の状況について」というところで、少し補足させていただきますが、カナダにおきまして、生後6か月から4歳の乳幼児については、モデルナ社のワクチンを推奨する、あるいは11歳以下の小児、乳幼児のうち、中等度から重度の免疫不全の方における初回接種についても、モデルナ社のワクチンのほうが有益となり得るといった考え方を示している国もあると承知しております。
こうした科学的知見あるいは諸外国の状況などを踏まえまして、事務局案でございますけれども、接種の対象者の特性、上記に記載しておりますのは、免疫不全の方等でございますけれども、こうした特性に応じたワクチンの使い分けといったものは、現状の知見を踏まえて考え得るかといったところを、ぜひ先生方の専門的な見地でコメントをいただければと思って、御紹介した次第でございます。
以上、事務局からの御説明でございます。
○脇田分科会長 御説明ありがとうございました。
というところで、まとめは、今の37ページのところです。様々な、例えば免疫不全の方に対するファイザー社とモデルナ社ワクチンの効果の比較であったり、あと安全性の比較というものがあって、あとカナダにおいては、モデルナ社、特定の年齢であったりというところで、あるいは免疫不全の方に対する接種において、モデルナ社が推奨されているとか、あるいは有益となり得るといったコメントがついているという考え方があるところであります。
ですので、我が国においても、ワクチンの接種対象者の特性に応じた使い分けというものが考えられるかどうかということだろうと思います。
これは、特に自治体のほうで、こういった方が、できるのかどうかと、実施可能かという運用ができるか、そういった観点もあろうかと思いますので、ぜひコメントをいただければと思いますが、早速、坂元委員から、お願いいたします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
まず、ワクチンの種類が多いことは、市民の選択性が増えるという考えもありますが、実際に自治体としては、ワクチンの種類が多いと、そのハンドリングというのが非常に大変だということがあります。もちろん、今、多くのところで集合接種会場というのがなくなってきてしまっているので、実際に開業されている先生のところにワクチンを送るときに、基本的に2種類のワクチンを置くというのは、あまり好まれないということです。接種間違いが起きたりとか、そういうことがあるので、そういう意味で、実際に、先生方のところに送って打ち分けてもらえるかというのは、かなり私は難しいかと、2種類のワクチンを置いてやるというのは、あまり現実的ではないのかなと思う。
もし考えるならば、こういう免疫不全という人に対しては、確かにモデルナのほうは50マイクロ、ファイザーは30マイクロなので、量が多いということを考えると、特殊な病院に限ってですね、そういう免疫不全患者がいるところとか、いわゆる国立がんセンターとか、そういう特殊なとこに、例えば、モデルナを配送してとか、そういうぐらいの使い分けならば、ある程度できるのでしょうけれども、自治体が今やっている、実際に打っていただいている先生のところに2種類送って、それで来た患者さんについて使い分けてくださいというのは、ハンドリングとしては、私はあまり現実的ではないと思っております。
私からは、以上です。
○脇田分科会長 坂元先生、ありがとうございました。
かなり実効性の面で難しいかもしれないといったところですかね。
清元委員、お願いします。
○清元委員 自治体の長として、やはり先ほどの御意見と同じように、今、どんどん接種率も下がってきているので、集団接種をやめていこうという形で、一応今、兵庫県と共同の集団接種会場は置いているのですけれども、今の保健所の能力とか、これまでのことも考えると、やはり民間病院主体で、個別接種でやってもらおうと。
そのときに、やはり、地元の医師会の方々に手を挙げてもらうのに、どちらでやりますかというのを、医師会の先生方の中ですみ分けてもらえたらいいのですけれども、我々がそれぞれロットを、例えば、今日は100打つという予約が入っているところに、52と48でというのは、もう無理かなと。
逆に、あまりどちらも差がないという結論にして、推していただくのだったら、どちらを打っても、交差接種は大丈夫ですよというようなことをキャンペーンにしていただいて、ガチャガチャではないですけれども、モデルナが出ましたとか、ファイザーでやりましょうかとか、結構聞いてみると、ファイザーがいいと言っている人と、モデルナのほうで副反応が少なかったという人と、それぞれ思い込みの部類もあって、今日の前段の議論でも、我々現場としてはよく分からないのだったら、ぶれないで推してほしいということです。
ですから、今までのワクチン配送体制ができているものであれば、個別接種で進めたいので、どちらかというか、どちらも同じという結論に近いのであれば、混乱しないように、そのままやってもらえたほうがいいかなというのが、現場の意見です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
続きまして、森尾委員、福島委員、鈴木委員の順番でお願いいたします。
○森尾委員 ありがとうございます。
質問も込みですけれども、事務局のほうから、がん患者さんに対しては、感染予防効果という点でモデルナのほうが、若干いいようだと。
また、免疫不全の患者さんに関しては、入院予防効果ということで、モデルナが若干有利だと、そういう論文があるという中で、カナダで小児に対してモデルナを推奨しているということで、これは免疫不全を対象という形では出していないですね。そこら辺、何か理由があれば、教えていただきたい。これが質問であります。
2点目の質問が、やはり有効性に関してなのですけれども、この間のVRBPACで、14ページ目に出していらっしゃいました、XBB.1.5含有1価ワクチンによって、1.5のみならず、1.16、2.3の中和抗体価も上昇すると書いていまして、これは、モデルナもファイザーも両方ともヒトにおける臨床試験で中和抗体価が上がっていたのかどうか、こちらは、製品ごとでしっかりしたエビデンスが出ているかどうか、もしデータがあれば、教えていただけたらと思います。これが2点目です。
あと、コメントなのですけれども、XBB.1関連ワクチンで、免疫不全症に対して、今の株に対して重症化予防の効果があるとか、入院予防の効果があるかという、そこら辺のデータというのは、間違いなくまだないというか、これから出ていかなくてはいけないので、私、個人的には、免疫不全で分けるというところは、なかなか難しいのかなという気がしております。
一方、やはりオペレーション上は、1つのワクチンにするという考えもあるかと思うのですけれども、リスク回避という点で、供給先が1社のみとしていいのかどうかということに関して、厚労省様などの御意見をいただければと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
福島委員、お願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
私も最初は質問と、それを踏まえた私の意見になるのですけれども、まず質問は、事務局案の「接種対象者の特性に応じたワクチンの使い分けを行うことは考えられるか」という問いなのですが、これは行政側が、「このワクチンは、このような対象者の方にお勧めですよ」という使い分けをすることは可能かということなのか、それとも、このような情報を提供した上で、接種を受けられる方が、「私はこのワクチンにしよう」と使い分けをすることは可能かということなのか。どちらを問いかけておられるのかということを、お聞きしたいと思います。
その上での意見ですが、このような情報提供をされた上で、接種対象者の方が御自身の特性を踏まえて、こちらのワクチンにしようと決められることは、それは当然、あり得ることだし、そうすべきだと思います。今までも当然そういう傾向があったと思うのです。このメーカーさんのワクチンよりも、こっちのメーカーさんのワクチンにしようというのを個人で決められてきた。
逆に行政側が、今、お示しいただいた最新のエビデンス、これは科学的には、とても興味深いものであるのですけれども、これらのエビデンスだけで、「この特性の方には、こちらのワクチンをお勧めする」と言えるかについては、まだまだ難しいのではないかと思います。
私は、やはりインフルエンザと比べてしまうのですけれども、国内では不活化スプリットインフルエンザワクチンしか、今、使えない状態ですが、例えば米国などでは、もっと多様な製剤が使えます。弱毒生インフルエンザワクチンであったり、アジュバント添加のインフルエンザワクチンであったり、高齢者に対してはハイドーズ、高用量のインフルエンザワクチンも使えるわけですけれども、最近まで米国のACIPは、どのワクチンも割と横並びのレコメンデーションで、とにかく入手できたワクチンから打ってくださいと、待たないでくださいという考え方でした。最近ようやく、高齢者に対してはハイドーズを推奨するようなステートメントになりましたが、ハイドーズワクチン、高用量のインフルエンザワクチンが流通してから、かなり長い時間が経ってからのレコメンデーションでした。インフルエンザワクチンですらそういう状況ですので、行政から、この情報だけで個別に、特性に応じてお勧めするというのは難しいのではないかと思う次第です。
以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
それから、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 もう既に森尾先生と福島先生が、質問と意見を言われたことと重なってしまいますけれども、ここで問われているのが、文章は、特性に応じたワクチンの使い分けを行うことは考えられるのかという問いになっているのですが、事務局資料としてお示しいただいた幾つかの研究は、モデルナとファイザーを比較した場合に、どうやらモデルナのほうが、少し効果がいいかもしれないといったデータをお示しいただいて、この問いかけなのですけれども、これは、モデルナだけにしてはどうかという問いかけのようにも感じるのですが、そうではないのかどうか、この問いかけを、まず明確にしていただきたいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 市町村でワクチンをやっていますが、基本市町村は、どのワクチンがいいですよとか、こっちのほうがこういうデータがあって、こう効果があるかもしれないというのは、基本的には市町村ではやっていません。例えば、過去で言うHPVのときにも、2価と4価が出ましたけれども、製造承認が取れて、予防接種委員会で決まったのだから同じですという形でお勧めしてます。市町村は何か国のほうが、適応症の中で、例えば、免疫不全はモデルナをやるとか、そういうきっちりしたものがない限り、市町村が、どっちがいいとか、どっちがどういう効果があるかということは、実際には言わないということなのです。これだけの論文データで、現場の市町村が接種される方に説明することはないということです。
あとは、やはり考えていかなければいけないのは、実際の使用実績云々を考えて、ワクチンの無駄を出さないということも、やはり考えていかなくてはいけないなと思います。製造承認されたものなら何でもいいよという形であれば、当然打つ方の好みとか、それから打たれる接種医の好みとか、いろいろな場合があるので、当然無駄が出てしまうという形になります。やはりこれまでは非常に緊急事態で、なかなかワクチンも入手できなくて、いろいろな国の奪い合いということもあったので選択の余地がなかったが、やはりこれからは無駄ということも一つ考えていかないといけないなと思っております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
一応、中野先生までで一旦区切りたいと思いますので、中野先生、お願いいたします。
○中野委員 中野です。ありがとうございます。
事務局案ということに対するコメントと質問ということで、今までの委員の先生方と少し違う、現場で接種している者の感覚からお話をさせていただこうと思います。
特性に応じてワクチンを使い分けるかどうかということに関しては、福島委員が少し触れられましたけれども、正直、行政のほうで、このような特性の方々は、このワクチンと決めてしまうのは、結構難しいのではないかなと。推奨は出すことはできても、それ以上は難しいのではないかなと思います。
そうなりますと、ある特定の疾患とか、ある特性の方は、この医療機関に行ってくださいということを指示しなければならなくて、そこが難しいかなと思っています。
そのことを以前の段階として、私は現場から申し上げたいと申し上げたことは、特性によってワクチンを使い分けるというのは非常に大切なことで、目の前の患者さんには、その目の前の患者さんに一番よく効くワクチンで、一番安全なワクチンを使ってあげたいと思って、医師はやはり接種するべきだと思います。それが本質だと思います。
そうであれば、今の1バイアル、5人分ですか、両社ともmRNAワクチンは、これはなかなか現場での運用は難しくて、これが特性によって、また製剤をという話になってくると、5人だと本当にどうしようもなくなってくるような気がいたします。
もう一点、一社のワクチンは12歳以上だけで、乳幼児、学童のワクチンはまだないですが、一社のワクチンは、乳幼児、学童のワクチンがございますけれども、これは要望としてできれば、同じ種類のワクチンで抗原量が異なるからワクチンを変えなければならないのであれば、製剤そのものを変えるよりも接種量で調節できる、インフルエンザワクチンとかB型肝炎ワクチンのようにしていただいたほうが、現場では接種しやすいでしょうし、ワクチンはいい形で普及するのではないかと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
様々な御意見、それから御質問がありましたので、事務局にレスポンスをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。お答えさせていただきます。ありがとうございます。
前提的なところからお答えさせていただくと、鈴木先生から御指摘いただいたモデルナだけを選ぶのかというところについては、だけというよりは、今、少なくとも2社は開発しているということを耳にしますが、そのうち、どちらかが、どなたかの対象に応じて使ったほうがよいというところが、科学的に言えるかどうかというところで、投げかけをさせていただいたところでありますので、片方だけということではないという前提でございます。説明が不足しておりまして失礼いたしました。
あと、背景のところを少し補足させていただくと、森尾先生に御質問いただきましたカナダの小児に対する接種の推奨というところで、御質問としては6か月から4歳については、免疫不全等の縛りといいますか、条件がないのにモデルナ社を推奨しているのはなぜかという御質問だったかと思っておりますが、そのステートメントを読む限りという形になってしまうのですけれども、カナダにおいては、ファイザー社製の乳児用のワクチンというのが、少し利用が難しいと、ステートメント上、書かれておりまして、そのために実用上、モデルナ社のものを使うということが合理的といったような形で記載がございました。ですので、医学的背景なのかというところは定かではないというところでございました。
また、カナダにおける11歳以下の小児の免疫不全の方に推奨しているベネフィットがあり得るといったような記載ぶりについては、ステートメントを読みますと、成人におけるデータで、免疫原性が高いといったデータを活用して、こうしたステートメントに至っているように拝察されておるといったような状況でございました。補足をさせていただきます。
あと、森尾先生から加えて、XBBのヒトにおけるデータがあるかということで、どちらかというと、論点の(1)のほうの関連かと存じますけれども、今日、参考資料2のほうにFDAの資料もおつけしております。膨大なので説明は割愛させていただきますが、モデルナ社のほうから、クリニカルのデータとして、ヒトにおける免疫原性というのが、XBB.1.5に関して出ていると承知しております。ファイザーのほうは、非臨床試験という形で出ていると承知しております。
福島先生からお尋ねをいただいた、そもそも行政目線なのか、あるいは本人の情報提供なのかといったところにつきましては、厚生科学審議会にお諮りしているところでございますので、私ども行政として、どのような形でお示しできるかといったところでございまして、行政の目線で、こういったことが言えるのかというところをお諮りするところかと思っております。
まさに、科学的な知見に基づいて推奨ないしその方向性を出す必要があると考えて、知見等を整理してお諮りしたという次第で、御紹介いただいたインフルエンザのワクチンのように、知見の蓄積に時間がかかったということであろうと思いますけれども、私ども事務局として最大限集めさせていただいたデータを御覧いただいて、御検討いただいたという次第でございます。
というところで、お答えになっておりましたでしょうか、すみません、もし漏れておりましたら御指摘いただければと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 ワクチンの無駄を出さないというような論点、視点も重要ではないかという問いかけもありましたが。
○大坪大臣官房審議官 事務局でございます。
我々も初回の接種のときには、そのワクチンの特性というものが分からない中で、両方のワクチン、なるべくいろいろなバラエティーに富んで、それは接種後のリスク回避もありますし、供給とかの制限、こういったことのリスクもございます中で用意をしてまいりました。
ただ、累次にわたって行っていく中で、ある程度従来株から推察するようなリスクですとか、あとは供給に関しても状況が変わってきておりますので、あれもこれもということが、そこまで必要ではないだろうとは、今、思っているところであります。
なるべく効率的なワクチン接種、そして、自治体の先生、皆様においては、シンプルなロジでなるべく進めさせていただきたいとは考えているところであります。
ただ一方で、中野先生から御指摘がありましたように、目の前の患者様にベストなチョイスということについて、どこまで科学的な、今、和泉が申し上げましたように、データとしてはそんなに多くはございませんけれども、この中で、どこまでものが言えるかということを科学的にサジェスチョンいただきたいという意味で、今回申し上げさせていただいております。
ですので、まず基本的には、これまでかなりたくさんのワクチンを、複数種類御用意をしながら進めてきたところでありますけれども、大体供給のペースがどうなってくるかですとか、そこは、どれくらいパンクシャルに行けるかということは、もう見えてきておりますので、あまりそこに対してリスク回避ということは、行政としては考えていない。
その上で、シンプルなロジを心がける中で、少しでもそういう発信、福島先生がおっしゃったように、これにはこういう特性がございますといったことを提供するだけのエビデンスのパワーがあるかどうか、こういったことをサジェスチョンいただきたいというのが、今日の趣旨でございます。
○脇田分科会長 ということなのですが、御意見がありますね、鈴木委員、そして坂元委員、順番にお願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
先ほどの私の質問にもクリアに答えていただきまして、ありがとうございます。
それで、実際に今ここで取り上げられている2つのワクチン、ファイザー社製とモデルナ社製のワクチンの違いですけれども、今日の資料でも御紹介いただいた研究結果でも、限られているデータではあるけれども、若干モデルナ社製のほうが、有効性が高そうだというようなデータは、これまでも言われてきたものと思います。
国内においても研究班で、長崎大学と感染研がワクチンの有効性をモニタリングしていますが、サンプルサイズが限られているので、信頼区間も重なっていますし、結論はできないのですけれども、やはり毎回若干ですけれども、モデルナ社製のほうがファイザー社製よりも有効性が高い傾向にあるということは確認されています。
ただ、現状でこれだけのデータで、どちらか一方に特定の集団に対して、疫学的に有意性があると判断することは難しいのではないかと、私は考えます。これが私の見解です。
もちろん、ロジとかコストとか、その辺りは、また別に論ずる必要があると思いますが、少なくとも疫学的には、現状の限られたデータから、この2つのワクチンを使い分けるという根拠は、乏しいのではないかと考えます。
以上です。
○脇田分科会長 鈴木先生、ありがとうございます。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 坂元でございます。
ただいま、大坪審議官のほうからシンプルと言われましたが、市町村は、本当にシンプルを望んでおります。複雑な方法というのは、非常に職員の負担疲弊も招きますし、また、打つ側にも混乱を招くという形でございますので、市町村としては、こういうデータを見て、何度も言いますけれども、どっちがいいとかは言えない。あくまでも市町村は、法律どおりに業務を行う機関でありますので、添付文書の中に、そういうことがきっちり記載されて、こういう方には、こっちのワクチンを使ってくれということが書かれていない以上、我々市町村の現場において、どのワクチンをどう使ってくれということは言えないと思います。
私も、やはりワクチンはシンプルということ、そして無駄を出さないということを、やはり、今後はしっかり考えていくべきだと思っております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
中野委員、伊藤委員の順番でお願いします。
○中野委員 中野です。ありがとうございます。
鈴木委員がおっしゃったように、現状のデータをもってして、有効性で優劣あるいは安全性で優劣、これは確かに非常に難しいと思います。
多分だからこそ、今日事務局は、2つのメーカーのワクチンを比べた、こういったデータがあるというのを、やはり透明性を持って紹介することは大事だと思うので、御紹介いただいたのだと思います。
ですから、有効性とか安全性に関する優劣というのは、ずっと議論が続いていくものであるような気がしています。
それと、例えば、ファイザー社のワクチンは、mRNAで30マイクロですか、モデルナ社は、当初100マイクロ使っておられたけれども、今は、追加免疫は50マイクロですね。ただ、ファイザー社の30マイクロと、モデルナ社の50マイクロを単純に比べることは、私はその数値だけで比べることはできないと思います。
mRNAの量だけではなくて、例えば、脂質、ナノ粒子にどのようにそれが包含されているのかとか、それぞれのワクチンで異なると思いますから、そういった視点は、やはりずっと持っていなければならないので、どっちがよりよい、どっちがより悪いというコメントを出すには、確かに、これは非常に慎重でなくてはいけなくて、できれば、こういう方法で検討したら、こういう結果だったというのを継続して発信していくしかないのかなと思っています。
それに基づいて、医療者なり、国民の皆さんが、私はこのほうがいいのだ、私はこっちのほうがいいのだ、もしかしたら、mRNAワクチンではなくて、今日はあまり議論に上っていませんが、組換えタンパクワクチンとか、あと国内で開発が進んでいる他のモダリティーのワクチン、私たちはインフルエンザワクチンの歴史を振り返れば、最初全粒子のワクチンから始まって、HAワクチンになって、今また組換えワクチンとか経鼻生とか、いろいろなワクチンのモダリティーが出てきているわけなので、きっと健康な方を予防する薬剤というのは、ずっとそのように毎回振り返りながら、ベストのものを目指してくしかないのかなと、そんなふうに思っています。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
次に、伊藤委員、お願いします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
36ページにデータを出させていただいておりまして、安全性の部分では、発熱の頻度などはモデルナ社の方が、多少高いという話は提出させていただいておりますが、それに加えて、副反応検討部会で継続的に、抗S抗体価と、それからBA.5も含めた中和抗体価も提示させていただいております。
モデルナ社のほうが多少抗S抗体価は高く出ているのは、お示ししておりますし、中和抗体も例数が少ないので、有意差が出ていませんが、中和抗体価で見ると、モデルナ社のほうが高く出るというデータは提示しております。
ただ、一方で、抗N抗体で見る健常人の感染予防効果に関しては、それほどはっきりとした差が、今までのところ残念ながら、出てきていないのが現状です。
ただ、免疫不全の方々におかれては、やはり抗体価の上がりが悪いので、少しでも高く上げるという意味でモデルナ社のワクチンを選択するのはどうかという議論をされているのかと思っていますが、そういう免疫不全の方についての有効性については、幾つか成績が出てきているということから考えれば、そういう一部の方で、抗体価を少しでも高く上げるという意味で、このモデルナ社のワクチンというのは、使用する可能性があるかもしれないということについての事務局の提案に関しては、そうかもしれないなとは思います。
ただ、疫学的なデータとして、はっきりしたデータがない状況下で、どこまで推奨できるかについては、今の段階では結論が出しにくいのではないかというのが、研究班として、今までデータを作って、副反応検討部会で報告をさせていただいた中での印象です。。
以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
なかなか難しい問いかけであるなということは、私も感じるところですけれども、様々な御意見をありがとうございました。
このモデルナ社のワクチンについて、免疫不全の選択肢として、あり得るかということに関して言えば、あり得るのだけれども、ただ、鈴木基先生がおっしゃったように、現状のデータから、疫学的な有効性という判断が、全体で若干の有効性の差はあると。
免疫不全者に限って言っても若干の差があるという状況で、それを本当に坂元先生がおっしゃるような、自治体にしっかりそれをやっていただけるようなところまで落とし込める推奨ができるのかというところですね。
ですから、こういった議論の中で、今、我々はワクチン分科会として、事務局が問われるようなところに対する、はっきりとしたお答えを結論として、この接種対象者の特性に応じた使い分けで打つことが可能かというところに、はっきりとした判断が、今、出せる状況ではないといったところが結論かなと思います。
ですから、我々として、そこまでの判断ができるところまでのエビデンスは、まだ十分ではないのではないかといったところと思いますが、事務局いかがでしょうか。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。様々な御意見ありがとうございます。
いただいた御趣旨で問題ないかと思っております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
一応、今、私が申し上げたようなところが、皆さんの総意としてのコンセンサスなのかなと思いましたので、そういった議論も踏まえて、事務局におかれましては、この秋冬の接種におけるワクチンの準備を進めていただければと思いました。
少し歯切れが悪いのですけれども、そういったところであります。
では、一応用意しました議事は以上になりますが、皆様あるいは事務局から何かございますでしょうか。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元です。
今日の本筋の議論ではないのですけれども、2点お願いという形で、1点は、初回シリーズなのですが、やはりまだ初回シリーズが終わっていない方で、ぽつぽつ打ちに来る方がいらっしゃいます。
そして、初回シリーズの、いわゆる野生株のファイザーが、今月いっぱいで有効期限が終わってしまうとの話です。今、国のほうでは延長を計画しているということなのですが、その辺の見通しがある程度立たないと、開業医の先生たちからは、初回シリーズの予約を入れるのを、今、ストップしなくてはいけないと言われております。それはいつ分かるのと、市町村のほうから問い合わせが私に来ております。
それから、ノババックスのほうに関しては、追加配付という形で、国のほうからも通知をいただいておるのですが、いわゆるノババックスの接種を初回シリーズやってくれる医療機関、これは市町村によって全くないところもあって、やはり、ファイザーが延長になるのか、また新たに供給されるのかというのは、市町村にとっては、やはり関心が高いところなので、その辺を早い段階で、市町村のほうに連絡いただければというのが一点です。
それから、秋口の接種がXBB.1.5という形で行う方向性が決まったのですが、もう一つ市町村として関心が高いのが、2024年の4月1日からの接種、これがどういう形になるかというのもです。例えば、国のほうが、予防接種法6条3項で、このままやってくれるならば、市町村は予算を立てなくてもいいのですけれども、これが、例えば5条のAかBになってしまうと、市町村は真夏の終わりぐらいまでに、単価とかを考えて予算を立てなくてはいけないのです。あと時間が本当に限られてきて、市町村としてはその辺どうなるのということです。やはり2024年から、XBBの話も秋口に出てきますけれども、こっちの話も、ぜひ考えていただきたいと。
それで、市町村としてはやはり準備に1か月、2か月とか、かかりますので、できるだけ早く、その辺、市町村のほうに通知をいただければと思っております。
今日の議論とは、少しそれますが、厚生労働省のほうに、よろしくお願いいたしますという形で、これは、あくまでもお願いでございます。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
一個一個行きますかね。今、坂元委員から2つのポイントがありましたが、そこは事務局として、何かお答えできることはございますか。
○大坪大臣官房審議官 事務局でございます。
問題点は我々も認識しておりまして、初回シリーズのワイルドタイプのワクチン、これの有効期限延長については、昨日、事務連絡を出させていただいたと思っております。有効期限が、その他のものについて延長している中で、これについてもさらなる延長、これは、現在検討中でありますという御案内をさせていただきました。何か月になるかというところが、まだはっきり伺っていないものですから、そこは分かり次第、お知らせしたいと思います。
ですので、今の期限が切れたものも、そのまま保管してくださいという事務連絡を出させていただいたところでございます。
また、来年以降のワクチンにつきましても、早い段階で議論を始めさせていただきたいと思っております。
まず、この秋のワクチンですとか、秋の接種、これの滑り出しが見えてまいりましたら、速やかに議論を始めたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
○脇田分科会長 すぐにまた次の議論を始めなくてはいけないということですから、よろしくお願いいたします。
それでは、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
私も今日の論点ではないのですが、関連してというか、これから、また議論というか、秋冬に向けてということなのですが、今までお示ししていただいたような流行の状況というのは、定点での把握になると思うのですが、定点によってどのような流行があるかというようなデータも、ぜひ併せてお示しいただきながら、どのタイミングで、また国民の皆様が接種するかの判断もできるような材料を提供していただけたらなと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
ちょうどこの分科会の直前に、久しぶりにアドバイザリーボードを開催いたしまして、定点の情報であるとか、あるいは今日は、5月にまた抗体保有率の調査がありまして、その情報もアドバイザリーボードで紹介をされたところです。
ただそれを見ると、2月の抗体保有率の調査で、全国民全体でいうと、N抗体の陽性率が40%程度だった。今回5月のデータが出てきましたが、やはり42%程度というところで、非常に2月から5月の間で、抗体保有率の進み具合は非常に遅いというところが紹介されたということになりますので、まだまだ、自然感染が広がってといいますか、それもいいのか悪いのかというのがありますけれども、まだまだ免疫の状況というのは、欧米に比べると低い、自然感染の免疫については低いという状況ですので、やはりワクチン接種というのは、ある程度進めていく必要が、今後もあるということが示唆されると、ごめんなさい、今日、私はアドバイザリーボードのほうで座長をしましたので、そういったポイントがあるかなと感じたところを御紹介しました。
ですので、そういった流行の状況というのは、アドバイザリーボードもありますし、それから感染研のほうからも、定点のデータは週報として出していますので、また、こちらのワクチン分科会であったり、適切な場面で御紹介をしていただくということは、事務局にもお願いをしていきたいと思います。
事務局、それでいいですかね。
○大坪大臣官房審議官 はい、承知いたしました。
○脇田分科会長 よろしくお願いします。
次に、丹下参考人、お願いします。
○丹下参考人 ありがとうございます。よろしくお願いします。
今、脇田先生のほうからも少しお話があったようなのですが、やはり子供を持つ親といたしましては、子供の接種の割合が低いというのは、とても気になるのです。
私の周りでも聞いてみますと、多くの親御さんが、子供には打たせていないという方が非常に多いのですね。ただ、いろいろな情報を見ていくと、やはりお子さんの間でもどんどんコロナが広がりつつあるという話も聞いてきていますので、今一度、もう少し行政のほうから、コロナのワクチンを、親御さんにもう少し検討していただけませんかということで呼びかけていただきたいのです。といって、あまりを脅すようなことになってしまうと、逆に親御さんは不安になってしまいますので、やはりやんわり勧奨するようなことをしていただけたらなと思っております。
すみません、よろしくお願いします。
以上です。ありがとうございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
こちらも本当に行政だけではなくて、アカデミアのほうであったりとか、そういったところからも働きかけをしなければいけないところだと思います。
そこは本当に、厚生労働省、それから感染研、様々なところ、あるいは学会ですね、小児科学会であったりというところで、働きかけを進めていく必要があるというのは、おっしゃるとおりだと思います。
こちらも事務局、よろしくお願いいたします。
そろそろもう最後にしようかなと思いますけれども、清元委員、お願いします。
○清元委員 先ほどの小児の接種率が上がってこないというのは、本当に我々行政のほうから、もう少し上げたいと思っているのですけれども、現状、姫路市は生後6か月を超えている方に、努力義務の対象ということで全員に接種券を送っています。
先日の市議会でも、特に一人だけ参政党の議員が、ずっとそのことにかみついてくるのです。
我々は、月並みな答弁をするだけなのですけれども、やはり子供さんの健康に対して推奨になっているなら、もう一回厚生労働大臣令とか、定期的に、子供さんでも重症化したケースはこうだとか、公的にアカデミア、また、厚生労働省のほうからも通達等を出していただいたほうが、本当に接種を頑張ってやっていこうというところにおいては、非常に接種率が低いというのは、重く受け止めているのですけれども、逆に言うと、もう世の中の風潮がそうなのだったら、あえて強くはやらずに、接種券だけを送っているということなのですけれども、子供さんたちにも蔓延しないように打ちたいというニーズあるのだったら、やはり本気を出して言ってもらったほうが、我々としてはありがたいということをお伝えしております。
○脇田分科会長 御意見ありがとうございます。
小児の接種に関する問題提起ですね。今、丹下参考人と清元委員のほうから御意見がございました。
この件に関して、何かございますか。委員の先生方からまずは、特にはいいですかね。
事務局のほうから、何かございますか。
○大坪大臣官房審議官 ありがとうございます。
ワクチン接種の対象者は、一旦2月に決めていただいているものでありますけれども、また秋の接種の前に、もう一度最近の状況などを踏まえて御検討いただきたいと思っておりまして、その際に、また改めて、勧奨の在り方などについても御相談したいと思っております。
御案内のとおりですけれども、3月にWHOのほうの推奨のガイドラインが改定されております。そういった中で、健康な生後6か月から17歳のお子様、乳幼児、こういった方に関しての推奨レベルというのが落ちています。一番低いレベルになっております。
各国において検討すべきということで、推奨していないわけではないのですけれども、推奨レベルが下がったということで、大分誤解を招いていたりとか、そういった報道もあったことも影響しているかと思います。
また、こういったことのエビデンスを示しながら、また、次回に御相談をさせていただければと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
日野参考人、どうぞ。
○日野参考人 ありがとうございます。
子供の関係で、すごく昨年いい取組だったなと思ったことがあって、結構周りでも、インフルエンザと同時接種がいいですよということで推奨してもらっていたおかげで、結構インフルエンザとコロナのワクチンを同時に打っていたお子さんが多かったので、そちらのほうをよろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 そちらは、また秋冬の接種ということになりますかね。そういった取組も参考になるということの御意見でありました。
それでは、そのほかございますでしょうか。
どうぞ。
○大坪大臣官房審議官 すみません、1点だけ、先ほど私が、坂元先生の御質問に対して申し上げました、有効期限の延長の安定試験の事務連絡、昨日の夜に出したと思っていましたけれども、今日出しますので、すみません、よろしくお願いします。
○脇田分科会長 では、発出をぜひよろしくお願いいたします。
そのほか、大丈夫ですか。よろしければ、今日は本当に活発に御議論をいただきまして、ありがとうございました。
私のほうからは以上になりますが、事務局、いかがでしょうか。
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 本日も委員、参考人の皆様から活発な御議論や様々な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡等をさせていただきます。
事務局からは、以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様、今日も本当に活発な御議論をありがとうございました。
それでは、これで今日の会議は終了とさせていただきます。失礼いたします。