第54回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省

健康局 予防接種担当参事官室

日時

令和5年6月14日(水)10:00~12:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール14E
(東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング)

議題

(1)予防接種基本計画等について
(2)その他

議事

議事内容
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第54回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
本日の議事は公開、頭撮り可としております。
また、前回と同様、議事の様子につきましてはユーチューブにて配信をしておりますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りにつきましては議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力の旨、お願いいたします。
また、傍聴される方におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、併せて御留意ください。
続きまして、本日の出欠状況について御報告をいたします。
本日は、磯部委員から御欠席の連絡を受けております。
現在、委員12名のうち11名の先生方に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定によりまして本日の会議は成立いたしましたことを御報告申し上げます。
続きまして、本部会の資料でございますが、先生方にはあらかじめ送付させていただいた電子ファイルを用いて議事を進めるという方式で実施をさせていただきます。番号1の01の議事次第及び委員名簿から、番号07の利益相反関係書類まで用意しております。
資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局までお申し出ください。
なお、大変申し訳ございませんが、冒頭の頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力のほどをよろしくお願いいたします。
(カメラ頭撮り終了)
それでは、ここからの進行につきましては脇田部会長にお願いしたいと思います。
○脇田部会長 皆さん、おはようございます。それでは、よろしくお願いいたします。
まず、事務局から審議の参加に関する遵守事項について御報告をお願いいたします。
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
審議参加の取扱いについて、御報告を申し上げます。
本日、御出席の委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取状況、薬事承認等の申請書類への関与について申告をいただいております。各委員からの申告内容につきまして、番号07の利益相反関係書類を御覧いただければと思います。
なお、本日は議事内容に関しまして「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいませんでした。
引き続き、各委員におかれましてはお手数ではございますが、講演料等の受取について、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容について申告いただきますよう引き続き御協力のほどよろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入ってまいりますが、今日の議題は「予防接種基本計画等について」ということで、コロナ対応等々がありまして、しばらくこの予防接種基本計画の見直しについて議論はできていませんでしたが、ここからまた議論をスタートするということになるので、委員の皆様どうぞよろしくお願いします。
それで、しばらく議論が止まっていましたので、これまでの背景等を御理解いただくために事務局から議論の状況を説明していただければと思います。よろしくお願いします。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
では、今回議論を再開するに当たりまして部会での御議論は初めてとなりますので、少し背景を補足させていただきます。
参考資料1にワクチン分科会で3月に御議論いただいた資料を御用意しております。こちらを御参照いただければと思います。
8ページ目にお進みいただきますと、これまでの経緯という形で記載をさせていただいておりまして、先生方は数年前にこの会議体で4回にわたって御議論いただいたという経緯がございましたが、脇田部会長に御指摘いただいたように新型コロナの検討等で議論が中断していたところでございます。
15ページ目までお進みいただきますと、分科会におきまして改めて検討を再開するといった形で御指示をいただいておりまして、各部会、基本方針部会、副反応検討部会、そして研究開発及び生産・流通部会において具体的な議論を深めることとしてはどうかという形の事務局案を御了承いただいたところでございます。
16ページ目にお進みいただきますと、今後の進め方ということでざっくりとしたものではございますが、スケジュール感をお示ししておりまして、順次各議論について深めさせていただければという状況でございます。
事務局からは簡単でございますが、背景の補足でございます。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そういうところが背景ということになりますが、何か御質問ございますか。よろしいですか。
それでは、先に進めてまいりたいと思います。
まず資料1のほうですね。こちらは予防接種法と接種類型と公的関与ということになっていまして、いろいろな議論のポイントがあるのですけれども、それぞれ個別に議論を進めていきたいということで、今日は2点準備がされています。
まず最初に接種類型と公的関与というところで、コロナのワクチン接種においてもかなり議論をされたところになりますが、こちらについて議論をしたいと思います。
では、まず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○橋本予防接種担当参事官室室長補佐 事務局、予防接種室の橋本と申します。よろしくお願いいたします。
資料1を御覧いただければと思います。
「予防接種法における接種類型と公的関与について」という体系になっております。大きく分けると5つのパートに分かれておりますが、順次説明させていただければと思います。
1番のところは背景というか、経緯と体系についてというところでございます。
3ページにいっていただきまして、「予防接種制度と社会状況の変化」というところでございます。今、計画の概略を御説明させていただきましたけれども、以前、平成25年の法改正によって予防接種基本計画の策定ということで法に位置づけられたということになっております。それに基づいて、平成26年度から施行という形になっております。これの初めての改訂ということを今年度はやっていただきたいので御議論いただければと思っています。
予防接種基本計画の策定ですが、前回おつくりいただいてからワクチンギャップの解消というのを順次やっておりまして、水痘、肺炎球菌、B肝とか、ロタとか、その辺を入れてきたというような経緯がございます。A類、B類に指定の上、定期接種ということで入れていただく。そういった経緯がございました。
前回の基本計画施行後、今に至るまで9年超経過しておるわけですけれども、基本計画を規定した法改正含め3回法改正がございました。平成25年のその計画を入れたときの法改正においては、疾病分類として、1類、2類という分け方だったのをA類、B類ということに改正したというような法改正がございました。
おめくりいただいて5ページでございますけれども、昨年度の法改正におきましては臨時接種の見直しということで、この間に1回、令和2年度にコロナの特例臨時接種の類型を規定した法改正がございましたが、それを改めて臨時接種の類型に直したというような法改正が昨年度ございました。
6ページは現行の法体系でございますけれども、これが現行の予防接種法上の法体系ということになっております。通常に行ういわゆる定期接種というものと、臨時に行う臨時接種ということでございます。それで、通常に行うものはA類、B類に分かれているということと、臨時接種は改めて昨年度整理されまして3つの体系に分かれたということになっております。特に臨時接種マル3というような、A類疾病のうち全国的かつ急速なまん延により国民の生命・健康に重大な影響を与えるような疾病というものに対する臨時接種の体系が規定されるという形になっております。
7ページは、昨年度の法改正によって臨時接種の体系というものが見直されましたということの参考でございます。
8ページは今日御議論いただきたい論点が全て網羅されているというようなものでございまして、4つ論点があるかと思っております。
1つは、平成25年改正によって整理をされたA類、B類というような疾病の区分というものです。
それから、視点マル2というところで右側にございますけれども、定期接種と臨時接種という区分で分けておりますが、これの視点ということの妥当性です。
視点マル3というところで言うと、今、予防接種法に基づかない定期接種、臨時接種以外のものについて任意接種という形で予防接種を受けられるものも当然ございますけれども、これの扱いというものもございます。
それから、4点目が接種類型に関する課題ということで、全体をこれらに含めてどう考えるかというようなことでございます。
おめくりいただいて、ここからはそれぞれの論点を見ていくわけですけれども、まずはA類、B類と公的関与の在り方についてということでございます。先ほどの8ページの視点マル1に近いところでございますけれども、10ページにいっていただきまして、A類、B類の疾病についてということでポンチ絵があるかと思います。
A類、B類の疾病について、伝統的にはヒト・ヒト感染のまん延予防というA類疾病と、個人の重症化予防、個人予防というようなことに力点を置かれているB類疾病という分け方が伝統的な分け方だったと思いますが、平成25年の法改正におきまして、A類疾病にはヒト・ヒトの伝染することによるその発生及びまん延予防という観点と、もう一つはかかった場合の病状の程度が重篤になり、もしくは重篤になるおそれがあることから、その発生及びまん延を予防するためと、こういう視点が法律上明記されております。
こういった中で、日本脳炎とか、破傷風とか、HPV感といったヒト・ヒト感染はしないんだけれども、A類疾病に位置づけられているというようなものがございます。こういった中で、A類とB類の区分というのがなされているということでございます。
おめくりいただきまして11ページでございます。これがB類の説明に近いと思うのですけれども、集団予防と、個人予防と、間接的な集団予防ということで、直接的な集団予防と間接的な集団予防を説明しているものでございます。
それで、ワクチンの接種によりまして上の黄色い部分でございますけれども、接種しなかった方に感染予防の効果が及ぶことは直接的な集団予防というふうにされておりまして、A類はこういったものを目的として接種をしているということがございます。
他方、接種した人に重症化予防とか感染予防の効果が及んで、それの積み重ねで集団の感染率の低下を目指すというのは間接的な集団予防ということで、B類疾病はこういったものを目標としているというようなことでイメージ図を設けさせていただいております。
A類、B類の法的な整理としましては、接種勧奨努力義務がA類はある。それで、B類はなしということが大きく違うわけですけれども、12ページにいっていただきまして、A類についてはヒト・ヒトの伝染を防止する観点から努力義務や接種勧奨が課されている。B類は個人の発病やその重症化予防に力点が置かれているので、個人の判断に委ねられているという観点から、努力義務や接種勧奨というのが課されていないというような整理がなされております。
そういった差もございますので、概してA類については9割を超える接種率があるということに対して、B類についてはやや低い傾向というのはあるかとは思います。
13ページにいっていただきまして、A類の効果ということで申し上げますと、ロタとか水痘、最近A類に指定されたものでございますけれども、これらは定期接種後、感染者数が激減しているということが確認されておりまして、A類にした効果というのは確認できたかと思っております。
続きまして、定期接種と臨時接種という区分でございます。
定期接種につきましては今、申し上げたとおりで15ページに現在対象となっている一覧と、16ページに実施率というものが載っております。
「臨時接種について」、17ページでございますけれども、昨年度法改正で整理されたところでございますが、まん延予防上、緊急の必要性があるときに厚生労働大臣又は都道府県知事の指示に基づきまして、都道府県又は市町村が行われる臨時接種のこと、ということで、社会経済機能に与える影響、緊急性、病状、病原性の強さに応じて3つの類型に分かれているということでございまして、法6条1項から6条3項まで3つの類型に分かれております。
それで、6条1項が一番弱いという言い方は適切かどうか分かりませんけれども、一番弱いもの、社会経済に与える影響としては小さいものということでございまして、これらはA類、B類疾病で厚生労働大臣が定めるもののうちまん延予防上、緊急の必要があるものと認める時ということで、臨時接種を指示する主体が都道府県知事ということで、都道府県知事が自ら又は市町村長に対して臨時接種を指示するものというふうに整理されております。
それで、法6条2項はそれが厚生労働大臣に替わる。厚生労働大臣も指示主体になれるということで、厚生労働大臣が都道府県知事または都道府県知事を通じて市町村長に実施を指示するというものが法6条の2項です。
法6条の3項は新しく類型化されたものでございまして、A類疾病のうち全国的かつ休息なまん延により国民の生命・健康に重大な影響を与える疾病として厚生労働大臣が定めるものということで、指示者は厚生労働大臣ということでございます。これは、全額国負担というような類型ができたということでございます。
ここまでが法の現行の枠組みの説明でございまして、おめくりいただきましてマル4というところがございます。予防接種法に基づく接種と、基づかない接種、任意接種についてということでございます。
19ページにいっていただきまして、日本国内においては定期接種以外にも接種可能なワクチンというものはございます。予防接種法に基づく接種でない予防接種というようなことだと思うのですけれども、主に2つ類型がありまして、国内の感染予防や重症化予防を図るワクチン、次の定期接種化を目指すようなグループという言い方が正しいかどうか分かりませんけれども、そういうグループと、あとは特定の方、海外渡航の方を中心に感染の流行地に行くような方を対象にするワクチンというものがそちらに載っております。
それ以外にも様々な主体が推奨するワクチンということがございまして、予防接種法に基づく予防接種以外にも国の指針とか学会等に基づいて特定の集団を対象として推奨されている予防接種がございます。そちらは20ページを御覧いただいているもので、予防接種法に基づかない接種を国が推奨している麻疹、風疹で医療関係者とか、空港関係者とか、そういうような方に対して打ったらどうですかといったようなものを推奨しているようなものですとか、学会が特定の年齢層や職種に接種を推奨しているというものもございますし、海外で特定の対象者に対して推奨している例というのもございます。こういったものについて、法的にどう考えるかというのも論点としてはあるかと思います。
5番目は、接種類型に関するその他の課題についてということでございまして、これもトピックでございますけれども、22ページでWHOに“Immunization Agenda”というようなものがございます。その中で「生涯を通じたワクチン接種」というようなことが述べられており、目標に掲げられておりまして、そこの<目標>のところで、全ての人が生涯を通じて推奨されるワクチンの恩恵を他の必須の保健サービスとかと効果的に組み合わせて受けられるということで、<目的>のところで適切なキャッチアップ接種、あるいは追加接種を含めて生涯にわたる予防接種政策、サービスの提供を強化する。様々な年齢層に対して予防接種と、それ以外の公衆衛生上の介入の間で統合的なサービス提供の窓口を確立するというような論点も提示されているところでございます。
現在、予防接種法上、それは指定をしているということではありますけれども、法的にはお子様の乳幼児期と高齢期で基本的には定期接種の年齢がありますが、こういった視点もあるということで御紹介でございます。
23ページにいっていただきまして、最後に論点のまとめということでございますけれども、「経緯及び現状」というところでございまして、予防接種法に基づく接種類型は、「定期接種」と「臨時接種」に分類されているということが1つ目のポツです。
2つ目は、定期接種は、感染力や重篤性の大きいことからまん延予防に比重を置いた「A類疾病」と、個人の発病や重症化予防に比重を置いた「B類疾病」に分類されているということで、接種の努力義務、自治体からの勧奨の有無、救済水準、公的関与の度合いが異なっているということがございます。
また、接種の時期については、A類では小児期に行われることが多く、B類については高齢期に行われているというようなことがございます。
臨時接種は3類型に分かれたということは御説明させていただきましたけれども、社会経済機能に与える影響、緊急性、病原性の強さということで3類型に分かれているということで、指示主体や費用負担等が異なっているということ。
あとは、4つ目のポツで「任意接種」、予防接種法の対象となるワクチンはいわゆる任意接種と呼ばれているということでございまして、任意接種の中には感染症対策におけるまん延防止等の観点から、特定の対象者等に学会や国から推奨しているものがあるというようなことと、あとはWHOで議論されている今後の予防接種の課題については「アウトブレイクへの対応の強化」ということと、「生涯にわたる予防接種」といった視点が盛り込まれているということ。
「検討の視点」としましては、予防接種法の対象とする疾病・ワクチンの範囲及びその類型の在り方について、次のような観点を含め、どう考えるかというのが1点目。
2つ目は、A類、B類の疾病区分の在り方についてどう考えるか。
3点目は、予防接種法上の定期接種と臨時接種という類型、あるいは任意接種の在り方についてどう考えるか、あるいはその他の論点としてどのようなものが考えられるかということで書かせていただいております。
事務局からの説明は以上になります。
○脇田部会長 御説明ありがとうございました。
そういうところで、まず最初の論点、接種類型と公的関与ということで、「検討の視点」というところでまとめていただきましたけれども、類型の在り方、A類、B類、それから定期接種、臨時接種、任意接種、それからその他ということです。これはかなりコロナのワクチンのときにも議論しましたが、努力義務と接種勧奨についてどう考えるかといったところが論点になるかと思いますので、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。手挙げでお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
伊藤先生、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
最後に座長からもお言葉がありましたけれども、リスクコミュニケーションと関係すると思うのですが、努力義務の義務という言葉に対する世間の人たちのイメージというのは大変悪いのですけれども、海外ではこういう接種勧奨と、努力義務みたいな2つの枠組みはつくられているのでしょうか。義務という言葉を外してしまうことが可能であれば、そういった方向性を打ち出すのも一つではないかと思います。もちろん義務があるので手厚い保障ができるという話なのかなと思ったりもするのですけれども、それが多分枠組みとして議論する一番大きなことではないかと思いました。
他のA類、B類とかということに関しては、特段意見はございません。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
ここもかなり議論があったところだと思います。接種勧奨とか、接種の推奨という言葉に両方の意味を包含してしまえば特段いいのではないかという気もしますが。
それでは、順番にお願いいたします。まず坂元委員お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
A類とB類の分類で、我々接種主体の市町村としては、国からの地方交付税の在り方、A類に関しては概ね9割程度、B類に関しては概ね3割程度と、実際に本当にもらえているのかどうかというのは色がついているわけではないので分からないのですが、やはり我々としてはその辺の費用の問題というのはいつも懸念があると思います。A類とB類で費用が違うというところの問題ですね。
それから、先ほど伊藤先生がおっしゃいました努力義務というのも今回コロナでちょっと浮彫りになった面があるのですが、我々市町村として受ける方に強制したこともなければ、実際にそういうことは全く行っていないということです。この法律上の努力義務というのが一体どこまで実効性があるのかというのは確かに私も大きな疑問だと思います。
ただ、日本の法律をたくさん見ていると、今回の自転車のヘルメットも努力義務がついていて、もともとそういう国なのかなとも思います。今回のコロナのワクチンの接種に関してはそこが非常に浮彫りになってしまったという面があるので、やはりここの努力義務というのは今後しっかり議論をしていく必要があるだろうと思います。
それからもう一点、いわゆる臨時接種の類型ということで、現在コロナワクチンは予防接種法6条3項で行われておりますが、この臨時接種を、いわゆる5条の定期接種のA類、B類にするのかを考えるに当たって、今後のコロナワクチンの接種で、特に2024年からの接種の議論というのは、本来ここで議論する話ではないのかもしれないけれども、類型を考える上においてコロナをどう考えるかというのは、私は一つの大きな議論になると思います。依然として6条3項か、2項か、1項のどれかでいくのか、はたまた5条のB類にしてしまうのか、一切努力義務は何もないという形で一定の年齢以上の人は市町村によっては補助を出すとか、そういう形で、あとは個人の自由にしてくださいという形でやるのかだと思います。
だから、コロナの現在のワクチンをどう考えるかというのと、この類型の見直しというのは、私は密接に関係してくるのではないかと思いますので、そこの議論もしっかりやっていくべきだと思っております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして釜萢委員お願いします。
○釜萢委員 今、お二人が御指摘くださった内容について、私も賛成申し上げるところです。
それで、脇田先生がおっしゃったように、コロナの最中にこのことについてもいろいろ議論をしてきましたけれども、私も一貫して申し上げているつもりですが、我が国の予防接種法の現在の考え方は国が、あるいは自治体が予防接種を国民のために準備をするという中で、接種を受ける本人又は保護者が積極的に受けようという同意をして接種をするという原則があって、これは無理に強制されたり罰則規定があったりするわけでは決してないという中ですから、そこでまた努力義務が課されるとか、課されないとかというのは伊藤先生が言われるように、私は何か国民にとっては非常に分かりにくいし、努力義務ということで義務の文字が入ることに対する国民の反発もあるということを考えると、そこのところがもう少し今回の議論によって整理できていくといいなと思っています。
また、一方で、努力義務がかかるか、かからないかを国が判断する場合にどういう根拠で、あるいはその疾病の重症度とか、流行の度合いがどのレベルにあるから、これは努力義務を課す、課さないというようなところを数値化して表現することなどは不可能なので、そのときの全体の流れの中で総合的に見ているということからしますと、努力義務ということはなくてもいいのではないか。
そして、接種勧奨ということの程度、国がどのくらいその接種を国民に求めているかということを示す指標として、接種勧奨の有無というのは公的関与の有無という形であってもいいのかなとは思っております。
それで、確かにまたこれも坂元先生が既に指摘されましたが、今後このコロナのワクチンをどういうふうに位置づけていくかということは非常に大事になるわけで、その中で国民の理解を得ながら、必要な人にきちんと適切に接種が行われるということを実現するためにどういう枠組みが最もよいのかという視点で議論を進めていくのがいいと思います。
私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、宮入委員お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
少し違う話になりますが、診療を行っていますとA類、もともと定期接種の対象だったワクチンでもその対象の年齢や適用を外れた途端に定期でなくなってしまうというような状況があり、そういった方は社会的な弱者であったり、あるいは基礎疾患を持っていて、個人予防が必要な重視されるような患者さんだったりしますが、そのようなものを拾う枠組みがこの中にないというのが一つの問題かと思っています。
具体的には、今回とは別の話で造血細胞移植を受ける患者さんに対する話がありますが、それをもう少し拡充したような体制が大枠として必要ではないかと思っています。
もう一点は、様々なワクチンがあって、今はB類に位置づけられているようなワクチン、あるいは任意という形で位置づけているワクチンに関しても、定期接種化に向けての議論やその場合に、A類、B類、どこに属するのかというのを検討するような場がもう少しクリアに定期的にあってもよいかと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、白井委員お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いいたします。
私は3点申し上げたいのですが、1つはワクチンギャップの解消が若い人たちというか、新たに生まれた方々についてはかなり解消してきたと思うのですけれども、今までの制度のはざまの中でチャンスがなかったような方々、MRであっても男性について、特に風疹の予防とかも勧奨はしていますけれども、なかなかその辺がうまくいかなかったり、または麻疹も今は問題になっていますが、30代、40代の方の2回接種が十分でなかったりといった問題があり、今までも日本脳炎のワクチン不足の段階ではいろいろと移行措置はありましたけれども、隙間で受けられなかった方々の追加接種ということをどのように捕捉していくかという考え方が要るかと思いました。
2点目はA類、B類のことなのですけれども、今、改めて直接的な被害予防と間接的な集団予防の分け方ということを考えてみたときに、現在重症化予防としても、B類なのですが、特に高齢者の肺炎球菌ワクチンとか、インフルエンザですとか、そういう形で高齢者がかかったとしても自分の問題でしょうというだけではなくて、重症化したら医療費がかかったり、高齢化ということでは終末期医療にかかってしまったりとか、介護負担もかなり大きくなりますので、これは集団予防、感染予防だけではなくて社会的、社会経済機能にかなり影響する問題ではないかと、この高齢化社会においては医療費の問題についても思いましたので、これは基本方針部会の枠にとどまらないかもしれませんけれども、健康保険の活用をするとか、全ての人に予防接種を生涯にわたるサービスを適用することにすると、公的関与とか公的負担、公費負担についての課題はあるかと思います。
また、先ほど宮入先生のおっしゃったような臓器提供者とか、特に今は既に脾臓の摘出者の方については健康保険を活用しての医療としての予防接種が可能だと思いますので、そういった形での予防接種の枠ということが類型の中に入るかどうかですが、そういうことも必要かと思いました。
今、生活保護の方については予防接種は医療扶助に入らないんですね。そうすると、全ての方へ予防接種の機会ということが十分でなかったりすることもありますので、行政としてはセーフティーネットとしてそのような意見を申し上げたいと思います。
3点目は、以前の議論の中で十分私も申し上げましたけれども、自治体にヒアリングをしていただきたいということがありましたので、これらについてのヒアリングもぜひ丁寧によろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続いて、伊東亜矢子委員お願いします。
○伊東委員 お世話になります。
既に先生方がおっしゃったところと重複なので短時間でと思いますが、勧奨と努力義務のところにつきまして、私も現行の法文をもう一度確認させていただいて、ちょっと過去の経過はいろいろあってのことだと思うのですが、今は勧奨あり、なしと、努力義務のあり、なしとがほぼ一致するところになっていると思いますので、これを2枠で残しておく意味はどういうところにあるのかというのはちょっと疑問に思いまして、整理をしてもいいのではないか。
逆に、勧奨はするけれども努力義務は課さない、あるいは逆ということがあるべきものがあるということであれば、そこを丁寧に議論した上で残すならば残すというふうにしないといけないのではないかと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
次に、中野委員お願いします。
○中野部会長代理 中野です。ありがとうございます。
まず、多くの委員の方が触れておられる公的関与に関して、ワクチンという予防手段に接種勧奨という言葉を使うのは賛成です。諸外国でもレコメンデーションという言葉かと思いますが、広く使われていて、これはユニバーサルな考え方であると思います。
一方、努力義務という言葉は1948年に予防接種法ができたときは義務であって、94年の法改正で努力義務という言葉になったわけですけれども、これは個人の判断を尊重するという社会的な流れと、あとは恐らくは1992年12月の東京高裁の司法判断を含め、予防接種に関する多くの司法判断が影響してこのような言葉になったものであると私は理解しています。
ただし、現在、努力義務という言葉が接種勧奨の強さ、弱さを示す言葉のように使われている印象があって、それがいろいろな意味でしっくりいかないというか、すとんと腑に落ちないというところにつながっているのではないかと考えております。
もう一点申し上げさせていただきたいのは、ライフコースイミュニゼーションという言葉が出ておりました。基礎疾患をお持ちの方とか、造血細胞移植後に免疫を失った方のワクチンは疾患ということでもあるので別枠で考えなければいけないですが、もっと広く考えたライフコースイミュニゼーションというのはきっと乳幼児期を超えて全ての世代に当てはまることだと思います。それで、現在風疹の第5期が行われているように、風疹だけではなくてほかのワクチンを受けられなかった世代の人もいます。うっかり忘れた人もいます。あとは、今日少し触れていただきましたが、海外渡航に出かける人もいます。医療従事者もいます。いろんな職種のエッセンシャルワーカーが我が国内にはいらっしゃいます。
そういった方々、健康な方、病気の方を含めて、ライフスタイルも価値観も個人によって違います。誰にとっても予防という手段はとても大切な手段だと考えているので、極論ですけれども、1枚5,000円のクーポン券が人生の間に何十枚あって、その人のライフスタイルと価値観に応じたワクチンを費用もカバーされて法律の手厚い保護の下に使えるシステムがあると、とても予防というのがこの国で浸透するのではないかと期待しております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
先ほど努力義務のところで言い忘れたのですが、よく我々市町村として、特にA類のお子様の接種を受けるお母様など保護者の方から聞くのは、接種回数が非常に多いので、働いている方はその都度仕事を休まなければいけないというものです。
しかし、雇用者にその予防接種を受ける必要性という理解がなかなかないということで非常に苦慮している方もおられます。今、少子化対策をやる中において私は以前から言っているのですが、この努力義務をむしろ雇用者側に接種を受けさせる機会を与えるべきものに、私は、この予防接種の努力義務に関してはやはりつくり替えるべきだと思っています。そして、一人でも多くの受けたい方はちゃんとお休みを取って受けるということの社会的認知を上げる意味でも、従来どおりの何となくよく分からない努力義務というものをこの際そういう方法に改めて、受けたい人がちゃんとお休みを取って受けられる。しかも、場合によっては勤め先が公の休みとして認めてくれるようになる。そういう配慮が今後ないと、これも子育ての一貫だと思うので私は改めるべきだと思っております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
清元委員、お願いします。
○清元委員 ありがとうございます。
議論が少し戻ってしまうかも分からないんですけれども、10ページのA類の疾患で、人から人に感染することによる予防という意味ですが、11ページのところにある集団の免疫を、集団を守っていくという意味で努力義務と勧奨との言葉の遊びみたいになってしまっているのですが、人類の一つの目標が公衆衛生的に疾病を撲滅していくといいますか、天然痘の撲滅も全ての人が協力したから天然痘が撲滅されたのではないかという意味で、人類に対する義務ではないのかな。それに努力をつけることにちょっと違和感があることと、医者であって重篤な例えば破傷風とか日本脳炎で亡くなる人を臨床的に見てきた人間からすると、破傷風とか、特に日本脳炎は人から人へうつらないんですけれども、これはA類の中のコンセプトで、この10ページの図を出していくよりも、本当に若い人が日本脳炎で亡くなるという悲惨なことを防止していくという意味ではまたちょっとニュアンスが違ってくるのではないか。
私としては、努力とかでなく義務にして、義務の代わりに保障はしっかりする。一方で、本当に日本脳炎とかはしっかりと、特に私は四国にいたときにそういう患者さんを見たんですけれども、悲惨な若い人の命が亡くなるというのを何人か見ると、やはり日本もこれから熱帯化していくわけで、こういったものはA類というカテゴリーがいいのかどうか分かりませんけれども、本当に悲惨な病気だからこそ打ちましょうという意味では義務というよりも勧奨に近いのかな。その辺りで、何となくすっきりとこの分類で受け入れられないというのが現場の直感です。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
神谷先生、どうぞ。
○神谷委員 ありがとうございます。感染研の神谷です。
ほとんどの先生が御発言されて一緒ではあるのですけれども、1つは宮入先生や白井先生も触れられていましたが、任意接種の中に入っていても集団によっては非常にリスクが高くて、そういった人たちが定期接種で受けられないということが問題かなと思いまして、やはりリスクベースである程度定期接種という形に入っていけるような仕組みがあってもいいのかなというのと、もう少し言うと、任意接種がどういうふうなことになると定期になるのかというのはもう少し明確になっておいたほうがいいのかなという感じが1つあります。
それから、ライフコースイミュニゼーションは非常に大事だと思うんです。その際に、接種をした記録というものがしっかりと今後つけられていく必要があって、例えば任意だとその記録がないとかということではなくて、打たれたワクチンは全て記録としてしっかりと残していくことでその時点、その時点のリスク評価も可能となりますので、そういったワクチンの精度がよくなるにつれて周りのサポートするシステムをもっと充実させていくということを検討していただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。様々な御意見をありがとうございます。
まずは自治体へのヒアリングとか、それから地方交付税の在り方等々の自治体との問題がございました。
それから、努力義務であったりとか、公的関与の在り方ですね。ここの努力義務が分かりにくいので、ここはやはり議論をしていくべきではないかということです。
あとは、ワクチンギャップの解消は進んでいるんだけれども、定期から外れてしまってそのはざまにいるような人、そこには社会弱者が多いということもあり、生活保護の人もいる。医療費に入らないというようなところも、セーフティーネットをちゃんと拾っていく仕組みが必要ではないかというようなことがありました。
A類、B類というところも、私もちょっと意見を申し上げると、やはりA類、B類で、A類のほうにはまん延防止ですね。いわゆる集団免疫を狙うようなものと、それから重篤化と言っているのですけれども、これは重症化を防止するというところで、そこがB類との切り分けが非常に分かりにくいのではないか。これは重症化の程度によって分けているのか、そこが少し分かりにくい。
ただ、パピローマとかB型肝炎というのは、これは慢性疾患を起こすものですね。そこで重篤な疾患を起こすというところなので、ここも少し違うところがあるというようなことの分け方の問題ですね。
それから、ライフコースイミュニゼーションのお話がありました。ここは今後、非常に重要だと思っていて、既に麻疹の接種だとか、それから水痘もそうなんですけれども、接種が進むことによって逆に成人の疾病負荷が増えてくることになるわけで、そうした場合に成人の予防接種をどういうふうに考えていくか。ここは医療従事者等には接種を推奨するというようなところはあるわけですけれども、そこをどう考えていくかということもあると思います。
それで、熱帯化であったり環境破壊ということで、やはり疾病が関わってくるということですね。もちろん日本脳炎の媒介蚊が北上していることもあって、北海道でも日本脳炎の接種が始まっているということもありますが、さらにデング熱等が侵入してくる可能性もある。
あとは、最後に神谷先生がおっしゃったように、接種の記録を乳幼児から成人までしっかり取って残していく。これは定期だけではなくて任意接種も必要だということですね。
等々の御意見、ありがとうございました。私の意見も少しまとめの中に挟んだところであります。
まずは事務局から何かコメントがあればいただきましょうか。
○橋本予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
たくさんの貴重な御意見ありがとうございました。すごく多く貴重な御意見をいただきましたので、全部お答えできるかどうか分かりませんが、可能な限り網羅して回答できればと思います。
まず自治体ヒアリングというお話でしたけれども、これは今、都道府県にはアンケートをしておりますが、それとは別にというか、何かしらの方法で御意見を伺えたらと思っております。
それから、記録の話が最後にありました。記録の話はまた別途、この部会の中で議論の場を設けたいと思っております。
それから、努力義務と勧奨の話はかなり多くの委員の方から御意見をいただきました。ありがとうございます。やはり努力義務の分かりづらさというのはおっしゃるとおりなのかなと思います。
他方、これも御案内のことかとも思うのですけれども、もともと努力義務になったという経緯がございまして、これは何人かの委員の方は触れられていたかと思いますが、もともと罰則つきの義務が課せられていたというものが、この予防接種法はあって、それが罰則なしの義務化になり、平成6年のタイミングで「規制」から「条件整備」というような施策の考え方の転換の中で、その背景としては集団訴訟で負けてしまった。健康被害があって訴訟で国が負けてしまったというようなこともあっての法改正だったわけですけれども、一律に必ず義務にするのではなくて個人に選択の余地を残すべきではないかというような中で、義務というものを外して努力義務というようなものにワントーン落としたというような歴史がございます。
そういったものの中で、努力義務というのは確かに法的には受けなさいと言われているのかどうか、微妙なところで、なかなか分かりづらさというのはもちろんあるとは思っているのですけれども、現行そういった整理の中で可能な限り、努力義務がかかったものに関しては我々、国としては公衆衛生上の視点で考えれば接種率を高めるという責務は当然ありますので、そういったものの中で努力義務をこれから外す、あるいはなくすという議論は現行としては難しいかなとは思いつつ、どういったやり方が考えられるのか、接種率を維持しながら、個人の選択も可能にするというようなやり方がうまくできるかということは考えていかなければいけないかと思います。
それで、努力義務と接種勧奨の役割分担が重複しているのではないかというようなお話が何人かの委員の方からあったかと思います。これも、もともと法的には接種勧奨というのは後で入っている規定で、努力義務の中に一律に包含されていたというのが法的な歴史でいうと長い期間あったというようなことがございます。
ただ、他方、努力義務は御本人、又は保護者の方にかかっている。それで、接種勧奨はワクチン接種主体である市町村であったり、都道府県であったり、自治体、接種主体にかかるという中で法的には役割分担されているということで、その中で改めてまた再統一みたいな形にするとしたら、誰にそれをかけるのかというような議論はまた整理が要るかと思います。論点としては、そういう論点があるなと思います。
それから、宮入先生とか白井先生がおっしゃっていたような定期接種の年齢から外れた場合に定期じゃなくなるというか、拾う枠組みが必要だという話があったかと思います。この辺は法体系というか、施策の中身なのか、法体系なのか、微妙なところですけれども、おっしゃるとおりかなと思いまして、この辺も研究が要るかと思います。
法的には、年齢とか、こういう対象者ということを指定すれば対象として拾えるわけですが、法体系として柔軟に拾えるような枠組みになっているかどうかというのもまた検証が要るのかと思います。
それから、B類の話で、特に現行は高齢者の予防接種ですので、医療費との関係というお話もあったかと思いますが、現行では当然別の制度にはなってしまうのですけれども、広い意味では関連するような事項ですので、この辺も研究をしながらどういう形ができるかというのは考えていかなければいけないのかなと思います。
それから、ライフコースイミュニゼーションの話で、水痘の話だったり、成人の疾病という話があったかと思います。風疹、麻疹の話もあったかと思いますけれども、この辺の法体系としてもどういう形か。これも、ぎりぎり言うと政令で追加をしたりという形ですれば、当然その対象層は拾えるわけですけれども、ただ、柔軟に拾える仕組みというか、もともとここがそういうことを想定しているかどうかというのはありますので、その辺も研究をしながらどういう形で何ができるかというのは今後考えていかなければいけないかと思います。
取りあえず、一旦、以上になります。漏れていれば御指摘いただければと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
今、事務局のほうからレスポンスをいただきましたけれども、さらに追加で先生方から御意見がございましたらお願いします。
今日は結論を出すというところではないので、皆さんの御意見を聞いて、またどういったことができるかということは事務局とも議論しながらということになると思いますが、取りあえずよろしいですか。
どうもありがとうございました。そうしましたら、事務局におかれましては今日委員の皆様から様々な御意見が出ましたので、今、一応レスポンスいただきましたけれども、様々な研究が必要ということもありましたので、整理していただくようにお願いしたいと思います。
では、次の議題にまいりたいと思います。次は資料2のほうにいきますが、「予防接種におけるコミュニケーションについて」ということで、こちらもコロナのパンデミックでワクチンに関するコミュニケーションは非常に重要だということがあり、それからパピローマワクチンの際にもコミュニケーションの問題は非常にクローズアップされたと思っております。
まず、資料2について事務局から説明をしていただけますか。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。よろしくお願いいたします。
資料2「予防接種におけるコミュニケーションについて」を基に御説明をさせていただきます。
2ページ目にお進みいただきますと、「予防接種に関する基本的な計画」の具体的な記載内容をお示ししております。
今、公的関与の規定等に係る御議論をいただきましたが、まさにこれとも呼応する形と存じますけれども、第一の1の基本的理念の中のパラグラフの2つ目に記載がありますとおり、利益をもたらしてきた一方、まれではあるが、副反応による被害をもたらしてきたといったような事実に関する十分な認識を踏まえて、国民の予防接種及びワクチンに関する理解と認識を前提として予防接種施策の基本的理念は、等々と書かれているところでございます。
歴史的な経緯の中で、個人に対する義務接種から努力義務及び接種の勧奨という形に変わってきて、今の御議論にございましたとおり、接種の環境を整備していくというようなスタンスに変わりつつある中で、このコミュニケーションないし普及啓発、知識の普及というところが非常に重要になってきているというような前提認識の下で取り組んでまいるというところかと存じます。
3ページ目も引き続き記載がございますが、各主体における役割ということで、記載がございます。
4ページ目に、具体的な取組についておまとめをしております。
基本計画においては、各関係者がそれぞれの立場からコミュニケーションを図っていく必要性が示されております。こうした基本計画を踏まえまして、各主体それぞれのツールを使って情報発信等を工夫していただいているものと存じます。
国におきましても、記載のとおり様々な媒体等々でお知らせをしているところでございますが、都道府県、市町村、医療機関等におきましても様々な方法で周知等々をしていただいているというところをおまとめしております。
5ページ目にお進みいただけますでしょうか。
こういった背景がある中で、特に新型コロナワクチンの接種に関しては、国民の皆様がワクチンについて求めている情報を勘案したリスクコミュニケーションの観点も念頭に置きながら、特に重点的に周知・広報を行ってまいりました。
この新型コロナワクチンを取り巻く状況として、上の箱にございますような認識をしているところでございます。コロナワクチンにつきましては新しいワクチンであるということもございまして、有効性・安全性等について特に丁寧な説明が必要であった。また、国民の御関心も非常に高くありまして、正しい知識、情報に基づいて接種の判断を行える環境の整備といったものが必要であったという認識でございます。
一方で、様々な媒体、現代的な現象としてソーシャルメディア等も含めた媒体等におきまして、例えば「ワクチンの接種が原因で多くの方が亡くなっているのではないか」といった、ある種、国民のワクチンに対する御心配を背景としたような様々な言説も存在したというふうに認識しております。
こうした言説の背景には、1つには科学的に十分な検証がまだなされていないような情報、あるいは科学的知見の一部切り取り、ないし不正確な引用等の情報などがあったかというふうに理解しております。こうした科学的に誤った受け取られ方がなされ得る情報というものが、非常に早く拡散したといったような状況があったかと思います。
これらを踏まえまして、私ども国としてもワクチンに関する情報発信に当たって、国民のワクチンに対する御認識、あるいはどういった情報を求めているかといったようなものを勘案した対応が重要だと認識して、以下のような取組をさせていただきました。
有効性・安全性に関する説明書を随時作成してまいりましたし、あるいは制度が非常に変わっていくといった中でリーフレットを随時作成してまいりました。また、効果とか、あるいは安全性副反応に関して、特に国民の皆様の関心が高いものについてはQ&Aサイトを設置しまして、なるべく分かりやすい内容で説明してまいりました。
また、私どもも厚労省、あるいはその他の政府の関係の様々な媒体を活用しまして、そうした科学的に正確でない受け取り方がなされる情報というものをキャッチしまして、そうした情報に対してQ&Aサイト等で科学的な知見に基づくなるべく正しい情報を解説していくといったような取組を行ってまいりました。
ホームページに関しましても、特にコロナワクチンに特化したページを作成して、各関係者の皆様にとって必要な情報にアクセスしやすいよう、なるべく情報を整理しまして随時更新を行ってまいりました。
6ページ目以降が、具体的な内容でございます。
リーフレットや説明書等ですが、リーフレットに関しましては、例えばワクチン分科会のほうにもお諮りをしながら、どのような発信が必要かというところで見ていただきながら作成をしてまいったところでございます。
おめくりいただきまして7ページ目でございますが、令和5年の春の接種等々でございますけれども、接種の対象となる方が変わっていくというところもございましたので、なるべくビジュアライズしてお示しをするといったところとか、接種が一区切りして終了するといった段階では、この機会を提供するという観点で随時その情報をお知らせしてきたというところでございます。
続きまして、8ページ目はホームページの作成でございまして、アクセスいただいた先生方もおられるかもしれませんが、様々なトピックに応じてなるべく分かりやすく情報を整理してお示ししてきたところでございます。
続きまして、9ページ目のところでございますけれども、Q&Aのサイトもコロナワクチンに関しましては知見も新たに出てくるところもございますし、ニーズもあるというところで、なるべく操作性に視認性が高いものとしてアクセスできるよう工夫してまいりました。内容について、様々なソーシャルメディア等も含めて情報発信をさせていただいたというところでございます。
10ページ目にお進みいただきますと、先ほど冒頭で少し申し上げた、やや科学的に正確でない受け取り方がなされ得る情報といったものへの対応ということで記載をさせていただいております。
左下にございますように、「これは本当ですか?」といったようなトピックで、様々に流通している情報を踏まえて、私ども専門の先生に教えていただきながら、正しい情報をなるべく発信していくといったようなところに取り組んでまいったところでございます。
引き続きまして11ページ目でございますが、こちらは実はコロナではないそのほかのワクチンに関する情報の周知でございますけれども、先ほども多数のワクチンを接種しなければならないという話もございましたが、様々なワクチンがあって、新しいワクチン等を中心にリーフレット等での情報提供であったり、小児期ではない御高齢の方への肺炎球菌ワクチンというのもございますけれども、これもある種キャッチアップ接種というものをしておりますが、そういった制度の説明になるリーフレット等、あるいはその他ポスター、動画等も随時行っているというところでございます。
12ページ目にお進みいただきますと、先ほど脇田部会長からも少し言及いただきましたHPVに関しまして様々な御議論がある中で積極的勧奨の再開というところもございましたけれども、そうしたところで御本人及び家族の方に適切に御判断をいただけるような形で、本人・保護者向けの概要であったりとか、詳細な情報であったりとか、あるいはキャッチアップに関するものであったりとか、内容を丁寧に精査しながら様々な情報を提供してまいりましたというところでございます。
さらにお進みいただきますと、9価HPVというものも過日御議論いただきまして導入することとなったところでございますけれども、こういったものの違いであったり、接種の回数等々の情報であったりも随時提供してきたところでございます。
14ページ目はホームページでございますけれども、最近ホームページを通じて情報収集される方も多いということで、こういった情報も整理をしてお示ししてきたというところでございます。
これまでが主に国のほうで取り組ませていただいてきたものでございまして、15ページ目にお進みいただきますと、こちらは公表されているものを中心として自治体における取組として動画、ポスター等々で周知・広報ないし関係機関への働きかけ等をいただいていたケースというのをオープンな情報でおまとめたしたものでございます。これ以外にも恐らく多々あるかと思いますけれども、若い方への接種の情報発信であったりとか、先ほど坂元委員からも御指摘をいただいたことに関連するものかと思いますけれども、休暇取得への協力依頼であったりとか、その他、様々な外国人へ向けた情報発信であったりとか、こういったことも自治体の中で取り組んでいただいているということでございます。
16ページ目はまとめでございますけれども、これまでの経緯と現状でございますが、予防接種におけるコミュニケーションについては国、都道府県、市町村、医療機関その他関係者がそれぞれ取り組んでいただいてきたというふうに認識しております。
特にコロナワクチンの接種については様々な、ある種教訓といいますか、経験を積ませていただいたところもございまして、有効性・安全性の周知に加えまして、そういった科学的に正確でない受け取り方がなされ得る情報、こうしたものへの対応にも注力したところでございます。こうした経験を踏まえて、予防接種における情報発信であったり、リスクコミュニケーションの重要性というものを改めて認識したというところでございます。
今後の対応の方針といたしまして、御提案というか、私どもで考えているところとして、予防接種におけるリスクコミュニケーションに関する取組として、引き続きではございますが、国においてもホームページやSNS等を活用した積極的な情報発信を行ってはどうか。
また、国民のワクチンに対する御認識、様々な御心配も含めた御認識、そして国民の皆様が求めている情報を勘案した対応が重要であるということを念頭に、正しい知識をお持ちいただいた上で接種を御判断いただけるよう、科学的に正確でない受け取り方がなされ得る情報への対応も含めて、国民の皆様の理解の促進に資する情報発信に努めてはどうかということでございます。
そして、今回、自治体の委員の先生方もおられますので、ぜひ国との役割分担も踏まえながら、自治体においてどのような取組を行うことができるかといったところについてもコメントをいただければと思っております。
事務局からの説明は以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
コミュニケーションについて、これまで特に新型コロナワクチンの接種の取組を中心に御紹介いただいたということで、かなり様々な努力をされて情報発信をしてきたということをまとめていただきました。
ただ、かなり一方的な情報発信ということはあるわけですけれども、そのフィードバックがどうだったのか、あるいはその評価はどうなのかというところが少し私としては気になると思いましたが、さて、委員の先生方から今、論点を示していただきましたので、コミュニケーションに関して様々な御意見があると思いますので、また手挙げ方式で御意見をいただければと思います。
まず、池田委員お願いします。
○池田委員 池田でございます。
今、様々な情報の発信について国、自治体でいろいろな取組をされて非常に成果があったというふうに説明を聞きながら改めて感じたところでございます。
ただ、脇田先生が御指摘のように、本当にこれが国民のニーズ、特に若い方のニーズに合った情報発信の形なのかどうかということを少し実際の国民の方からも意見を聴取したり、あるいはその評価ですね。これがどのくらい分かりやすかったとか、響いたのか、あるいはそもそもこういう紙媒体のものがどこまできちんと必要な方に届いたのかとか、そういったことも含めて一回評価をした上での必要に応じた改善が必要だというふうに、お話を伺いながら感じておりました。
もう一つは、外国人に対する外国での発信の事例も少し御紹介いただいたのですが、他国、例えばアメリカなどに比べますと、まだこの辺りの情報が外国人の方にとっては入手しにくいというところが私としては気になるところでございます。こちらに関しても、さらなる充実を御検討いただければと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続いて、坂元委員お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
今回の、特にコロナワクチンに関しまして、我々川崎市の議会にもいわゆるコロナワクチンをやめるべきだとか、そういう陳情が出されて議論されました。大体その根拠としては、死者がたくさん出ているのになぜやるのかというところだと思います。確かに厚労省のホームページを見ると時間性だと思うのですけれども、接種からの時間的な関係から言うと、死者の数は一定数、つまりかなりいるというのは事実ですが、その因果関係が必ずしも十分分からないということで、その表現に関して何がだましているんじゃないかとか、そういういわゆる不信感に基づいて我々の議会へも意見が出されております。
ある程度、医療関係者であれば、死因不明ということが起こり得るということは、多分、長い間、臨床の先生においてはそういうことは感覚的に分かっているところもあるのですが、一般の方にとっては死因が分からないということは即、隠しているんじゃないかとか、今回ワクチンに対する反対の意見の中で一番多かったところが私はそこだったというふうに思います。
強いて言えば、日本は監察医制度というのが非常に限られたところにしかなくて、もともと死因究明という概念が非常に成熟していないという背景の中でこういう問題が起きてくるのかなということも含めて、もうちょっと根本的なところも見ていかないと、医療従事者の目線と一般の人の死亡原因ということに関する恐れというのはかなり乖離があるのかなというところで、やはりそれは予防接種に限らず国としてそういう努力をしていく必要があるだろうと思います。
そうでないと、やたら医療に関する不信だけがきてしまって、また何か隠しているなと、こういう大きな問題が私は予防接種に限らず医療全般にあるのかなと思います。今回コロナを通して現場の人間としてそのような一般の人の不信を強く感じた次第でございます。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続いて、伊藤委員お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
少し論点が違うのかもしれないですけれども、新型コロナとHPVのワクチンに関して大変手厚い資料をおつくりになられて、特にHPVのものに関しては大変うまくいって、実際の副反応の頻度とか不安も少なくなっているのは広報の成果だと思います。
ただ、一方で、新型コロナとHPVに関しては大変手厚くおやりになられているのですけれども、他のワクチンに関してはそれほど手厚くないので、今後、水平展開をどうするのか。それを分科会の仕事にするのか、それとも脇田先生の感染研の仕事にするのか。今後の見通しをどういうふうにお考えになっているのか分かれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
白井委員、お願いします。
○白井委員 枚方市の保健所長の白井です。
私は、自治体ができることは何かというふうに考えてみたんですけれども、特に勧奨につきましては個別案内をしたりとか、そういう意味では個別案内をすることで、あなたのために、あなた自身が考えてほしいということの勧奨ができるかと思っています。
また、各論にはなりますけれども、集団的な案内というのは国が作っていただいたようなポスターであるとか、リーフレットとか、またはQRコードとか、いろいろな特設サイトを使うことで若い人たちにスマートフォンとか、そういう形で情報が提供できるということはすごく効果的だなと思っています。
また、政府公共広告というか、ACとか、そういうものについてはよくテレビで流れていますが、そういうふうな大多数の方への情報提供というもの、その中でも勧奨だけではなくてやはりリスクについても広く伝えていただく必要があるかと思いました。
また、総論的な話になるのですが、やはりワクチンというか、その辺のリテラシーを高めていく必要があると思いますので、これが小中学校であるとか就学前でも、もちろん実際は妊婦さんになったときに母子手帳にいろいろなこととか、または子育ての情報をたくさん入れることで、むしろそこでようやく予防接種のことが分かっていくというような方々もいらっしゃるのですが、それが子供の頃からも分かるようなリテラシーというか、そういうことが必要かと思いました。
それらのいろいろな情報ツールやコンテンツの違いはあると思うんですけれども、方針は統一していかないと、情報の目的とか、いろいろなことが違っているとやはり信頼関係がなくなるというか、情報の信頼がなくなるということがありますので、その辺は国と自治体と、前回の議論になるかもしれませんけれども、坂元先生がおっしゃったような企業というか、働く人たちへの提供ということについても必要かなと思いました。
先ほども御説明の中では情報発信をやっていきたいというお話だったのですが、やはりコミュニケーションは情報交換のはずなので、双方向で情報交換のできる仕組みも希望したいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
HPVにしても、新型コロナにしても、厚労省から出していただいた資料は非常に分かりやすくて、短時間ですごい努力をなされていることが分かります。そこは大変評価しておりますが、それにもかかわらず、乳幼児の新型コロナワクチンの接種率は非常に低く、また、インターネットの記事をのぞくと、ワクチンの話題が出ると、物すごい数の反対意見がずらずらと書かれています。ワクチンヘジタンシーすなわちワクチンに対する忌避感が今回のコロナをきっかけに醸成されたかなと思っております。
これに対抗するのは、一方的な情報発信では多分立ち行かないのかなと思っておりまして、脇田先生が先ほどおっしゃったように評価が必要だということが一つ、諸外国と比べて日本の施策はどうなのかという評価が必要で、その評価に対するPDCAサイクルを回していくということが必要だと思います。これはものすごいエネルギーを要する事業だと思いますが、こちらについては専用の部署の創設など抜本的な対応策が必要ではないかと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
清元委員お願いします。
○清元委員 ありがとうございます。
本当に皆さんすごく頑張っておられて、私どももワクチン行政を進めていったりするときに、今回コロナのことについては助かりました。こういうリーフレットとか、動画とか、SNSということは重要だと思うんですけれども、私はまた別の視点で、とはいえ、医者とか看護師の中にカルト的な意見を持っている人もいて、10年くらいかけてでもいいんですけれども、医学部とか、看護学部とか、薬学部とか、そういったところにもう少しワクチンだけではなくて、科学のことだけではなくて、ELSIですね。エシックスとか、リーガル、ソーシャルイシューについての教育体系をちゃんと整備していただいて、少なくとも専門家として活動する人たちが変なカルト的な動きをしないようなことをやっていただかないと、多分ワクチンだけではなくて、ゲノムを使った先制医療とか、そういったことについて正しく判断できない変な医療人が増えてくるというのも大きな問題ではないかと思います。
これは厚生労働省だけではなくて文部科学省とかにも関係してくることだと思うんですけれども、ELSIの研究者が日本でも少な過ぎて、そういったことをきちんと発信してくれる人が増えればよいかなと思う次第です。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
中野委員、お願いします。
○中野部会長代理 中野でございます。
まずは、新型コロナワクチンとか、あとはヒトパピローマウイルスのワクチンに関する国の作っていただいたいろいろな資材がすばらしいというのは私も全く同感です。非常に中立的ないろいろなデータを深く吟味されて、結論としてこういう状況だということをおっしゃっていただいているのは私は非常に高く評価されるべきものだと思っています。
そして、新型コロナとHPVに関してそのような資料が出来上がったというのは、作成された側の御努力はもちろんなのですが、ワクチンの効果とか安全性に異議を唱える声が非常に高かった、強かったということも、こういった資料が吟味されていいものが出来上がる道のりになっていると私は思います。
新型コロナのQ&Aは私も2回くらい書かせていただきましたが、小児へのワクチンの接種が始まったときとか、接種対象年齢が下がったときとか書かせていただきましたけれども、正直、それが世に出ると非常に辛辣な御意見を頂戴いたします。ですから、書くほうもとても気を遣います。たかだかすごく少ない文字数で、ほかの科学論文に比べればすごく少ない文字数なのですが、とても気も遣うし、どう書こうかなと悩むと思います。
先ほど教育の話が出ていましたけれども、確かにワクチンのことだけではなくて、人間の健康というものを考える上で、そういったコミュニケーションとか、いろいろな立場の人のやり取りというのを大学とか専門の学校はもちろんですけれども、小学校、中学校の頃からそんな機会をつくっていかなければならないのではないかと思っています。
コミュニケーションというのは双方向であるべきであって、相手を説得しようと思ってもうまくいかないことのほうが多いですから、お互い正しい意見を出し合って、本当に正しいところに集約させていくことが大事で、それに関して言えば、ワクチンというのは健康な人に対して薬剤を使って行う健康のための手段ですから、それの最終的な評価が下るのは結構時間がかかって、正直、新型コロナのワクチンの有効性とか安全性に関して人類が最終的な判断を下してみんなが情報共有できるのはちょっと時間がかかるだろう。
まだ、全然これは法律上の位置づけが変わっても終わりではない、続けていかなければならないと思っています。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
伊東委員、お願いします。
○伊東委員 今、先生方の御議論をお聞きしていて、そうだなと思っていて、私はスクールロイヤーということで公立の小中幼の教育委員会の御相談などを受けているのですが、親御さんの中に非常に強固なお考えがある方がいらっしゃって、結構、運動というか、ワクチンなんか絶対駄目みたいなことで対応に苦慮されているようなことがあったりするので、大学教育に至るまでのところでも、どういうことを議論して、どういうことを信じていくのか、信じていかないのかというところをやはり学校教育ということでもしていく必要性があるのかなというふうに感じていたことを今、先生方の御議論をお聞きしてちょっと思い起こしたものですから意見させていただきました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
一通り御意見をいただいたかと思いますけれども、様々な御意見がございました。
ちょっと私も気になったのは、宮入先生がコロナのワクチンの接種を通してむしろワクチンヘジタンシーというものが醸成されてしまったのではないかというところで、これはやはりこれからしっかりと対応していかなければいけないと思います。
様々な資材を作っていただいて、それが十分に効果があったということは確かにそうなのですけれども、そこに本当にどのような効果があり、これから何をやっていかなければいけないのか。つまり、コミュニケーションの戦略ですね。戦略性を持ったコミュニケーションをどう構築していくのかということになると、やはりELSIという問題もございましたけれども、コミュニケーションであったり、ELSIの専門家に入っていただいて、これからの予防接種に関するコミュニケーション戦略をどう構築していくのかということをしっかりやっていくべきで、PDCAを回していくべきだという御意見もありました。
そのほかには、外国人への対応はどうだったかとか、それから医療不信につながるというところで教育の問題がございました。小中高ですね、そういったところからワクチンリテラシーを高める教育が必要だし、あるいは医療人の中にもかなり偏った意見を持っている人がいるというところで、医学部であったり、看護学部であったり、そういったところでELSIについてしっかりと教育をしていくこと、それからもうちょっとブロードな教育をしっかりやっていくべきじゃないかと、中野先生、伊東先生からも御意見がありました。
あとは、自治体の役割、情報提供等々もワンボイスでやっていくというようなところだったかなと思いますが、事務局から何かございますか。
○和泉予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
先生方、御意見をいただきまして誠にありがとうございます。可能な範囲でリアクションをさせていただければと思います。
冒頭、脇田先生、あるいは池田先生からも御指摘いただき、ほかの先生からもいただきました、実施する中でどうフィードバックを得ていくかというところでございますが、まさにそれは課題かと認識しております。
現状、様々なものを発信させていただいて、少しずつ感想、意見等をいただくという機会はあるのですけれども、それを系統立てて得ていくという体制がまだ十分でないというのは率直な状況でございますので、どういったことができるかというところも含めて検討させていただきたいと思っております。
今回、一方的にならないようにというところも念頭に置きながら、様々などんな情報が流れているかというところを捉えた上で、それに対する必要な情報をこちらからも出していくといったようなことを取り組んでまいりました。
まだまだ発展途上といいますか、すべきことはたくさんあるという御指摘だったと思っておりますけれども、様々な関係者の先生、先ほど脇田先生もおっしゃっていただいたように、専門の先生も含めて御指導いただきながら、周知広報、コミュニケーションの戦略というところを検討していきたいとは思っております。
あとは、外国の方への発信というのは全体として十分かというところはございますけれども、コロナに関しましてはまさに我が国の予防接種の接種プログラムが徐々に変わってきたというところもございまして、その接種プログラムに関しましてはなるべく英語の対応等もして情報発信をさせていただいて、接種が進んでまいりますと英語圏での安全性とか有効性の情報がかなりリッチになってきておりますので、どちらかというとその制度的なフォローというのはなるべく国のほうからお知らせするように取り組んでまいったところでございます。
一方で、まだ不足があるというところは受け止めさせていただいて、ぜひ取り組んでいきたいと思っております。
ほかの委員から、コロナとHPVはある程度手厚い情報発信がなされたが、それ以外についてというところもございました。ここもまさに私ども問題意識を持っておりまして、ワクチンヘジタンシーに直接的にお答えできるかというところはありますが、その他の既に定期の接種に入っているものというところも、私どもの厚労省のホームページはよく言えばクラシックなものがございまして、ちょっと分かりにくいところも正直あるかと思っておりますので、ぜひ今回の学びを生かして分かりやすい情報発信に取り組んでいきたいと思っております。
それから、伊藤先生からは今後の見通しというところを御指摘いただきました。ちょっと個別の機関、感染研かどうかというところは私どもから述べられませんが、国としては今日いただいた御意見も踏まえてぜひ取り組んでいきたいと思っておりまして、現に感染研の先生方にスーパーバイズいただいて様々な情報発信の御指導をいただいているところでございます。
引き続き感染研の先生方も含めて様々、あとは外部の研究班の先生方にもリーフレットの御指導をいただいたりすることもございましたので、私ども国のほうから様々な関係機関の先生方に御指導いただきながら取り組んでいきたいと思っております。
宮入先生から、専門の部署というところの御指摘をいただきました。これは大きな話でございまして、私どももぜひ検討をさせていただくという現状ではございますけれども、今回得た教訓を生かしてしっかり取り組んでいきたいというところでございます。
あとは、教育等々のお話を頂戴いたしました。今回、国の役割のところで直接的に教育というところには現状記載は必ずしもないところではございますが、この基本計画を検討するに当たっては関係省庁とも連携をしていくということが基本でございますので、どういったことができるかということを含めて、ELSIというところも御指摘をいただきましたけれども、考えていきたいということでございます。
中野先生にも、かなりQ&Aサイト等で御指導賜りました。ありがとうございました。
各先生方の御負担も踏まえながら、御協力をいただきながら取り組んでまいりたい次第でございます。
そういうところで、いかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
委員の皆様からさらに追加の御意見、御質問等あればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
いろいろ研究をしていただくとか、評価についてどうするかということなんですけれども、例えば厚労科研の指定をしていただくとか、この部会の中でそういうことをまた議論させていただくとか、そういうような方向性があればいいのか、そこまでがどうなのかということで、ちょっと思いつきましたので発言させていただきました。
○脇田部会長 ありがとうございます。
必要があれば、厚労科学研究でこの課題について研究班を立ち上げていただくということも検討していただきたいということだと思いますので、そこは検討をお願いしたいと思います。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元です。
本来ここの場ではないかと思いますが、予防接種の計画ということも踏まえまして、先ほどコロナワクチンのことを申し上げたのですが、やはりコロナワクチンも含めた今後の接種の在り方というのを至急検討していただきたいというのは多くの市町村から言われているのですが、類型によってはもう8月の終わりぐらいから予算というのをそれぞれの市町村で立てないといけないのです。それから、すぐに夏が明けたら予算議会ということで、これは待ったなしでございますので、そこは皆様方にぜひ御理解をいただきたいと思います。もちろん、この会議での本質的な議論ではないということは重々承知しておりますが、そこはひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
秋冬の接種に向けてのコロナワクチン、次の接種の在り方はぜひ検討をお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、ありがとうございました。こちらのコミュニケーションの案件に関しましても、本日委員の皆様からいただいた御意見を踏まえて、事務局で検討をしていただくようによろしくお願いします。
○釜萢委員 脇田先生、ごめんなさい。最後に一言よろしいですか。
○脇田部会長 釜萢先生、どうぞ。
○釜萢委員 もう既に皆様から御意見が出たとおりなのですが、コロナワクチンの接種を通じて、ワクチンに対して非常に不安を感じる方が増えたという面はどうも拭えないことのようです。
今後、我が国において適切に予防接種が行われ、そしてなるべくしっかり多くの方にワクチンを納得して受けていただくということがぜひ必要ですので、それをどのように実現していくかということは、厚労省は大変いろいろおやりになることが多くてお忙しいのは分かっていますけれども、そこのところをやはりしっかり戦略を考えて、そこを補強していかないと、国民に理解を求めるということがますます難しくなるのではないかということを懸念しておりまして、その点を最後に指摘させていただきました。
ありがとうございます。
○脇田部会長 釜萢先生、どうもありがとうございます。
先ほどワクチンヘジタンシーという言葉もありましたけれども、そこまでいかなくても、そのワクチンに対する不安感というものが国民の間にかなり広くなったのではないか。そこを乗り越えていくための取組というのは今後必要なのではないか。
そのためには厚労省だけではもちろんできませんので、我々アカデミアであったりとか、感染研も含めて学会、それから医師会の先生方、自治体、様々な方面から取り組んでいく必要があるということだろうと思いますので、我々基本方針部会、それからワクチン分科会のほうもそういったことに関して議論を進めていきたいと感じるところであります。ありがとうございました。
それでは、さらに御意見がなければ本日の議事は以上になりますので、事務局から何かありますでしょうか。
○溝口予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
本日は、多くの先生方より様々な視点から活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
委員の先生方、今日も本当に活発な御意見、御議論ありがとうございました。これで今日の会議を終了したいと思います。また次回よろしくお願いいたします。