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第1回公的職業訓練の在り方に関する研究会議事録
人材開発統括官付訓練企画室
日時
令和5年5月31日(水) 13:00~
場所
厚生労働省専用第14会議室(12階)
議題
- (1)研究会の開催について
- (2)公的職業訓練の現状と研究会における今後の議論について
- (2)その他
議事
○松村訓練企画室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから「第1回公的職業訓練の在り方に関する研究会」を開催いたします。構成員の皆様におかれましてはお忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございます。座長が選出されるまで、本研究会の事務局を担当しております、厚生労働省訓練企画室室長補佐の松村が議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
本来であれば、まず初めに人材開発統括官の奈尾より、本研究会の開催に当たっての御挨拶を申し上げるべきところではありますが、所用により欠席となりましたので、大臣官房審議官の原口より代読いたします。
○原口大臣官房審議官 大臣官房審議官の人材開発担当をしております原口と申します。以後、よろしくお願いいたします。
本日は皆様お忙しい中、公的職業訓練の在り方に関する研究会に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。また、この場をお借りいたしまして、日頃より人材開発行政に多大なる御尽力をいただき、御協力をいただいていることに関しまして、感謝申し上げる次第でございます。
DX、GXをはじめ、経済社会が急速に変化する中で、労働者に求められる職業能力につきましても、大きく変化しているところでございます。それに従いまして、公的職業訓練に期待される役割は、ますます高まっているという状況にございます。このため、有識者の皆様にお集まりいただきまして、今行われている公的職業訓練の検証・検討を行い、制度面における見直しを検討する本研究会を開催することといたしました。
私どもといたしましては先般、新しい資本主義実現会議で決定されました三位一体の労働市場改革の指針を踏まえまして、我が国の労働市場の重要なインフラである公的職業訓練の今後の在り方につきまして、皆様の立場や御見識から、幅広い御意見を期待しているところでございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 恐縮ではございますが、公務のため、原口はここで退席とさせていただきます。また、報道関係者の方々の撮影はここまでとなりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、構成員の皆様を順番に御紹介させていただきます。構成員の方々は一言、御挨拶をいただければ幸いです。まず学習院大学名誉教授の今野浩一郎様。
○今野構成員 今野です。よろしくお願いします。
○松村訓練企画室長補佐 続いて、リクルートワークス研究所主任研究員の大嶋寧子様。
○大嶋構成員 大嶋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 続いて、政策研究大学院大学理事・副学長 教授の黒澤昌子様。
○黒澤構成員 よろしくお願いします。黒澤です。
○松村訓練企画室長補佐 続いて、法政大学キャリアデザイン学部教授の武石惠美子様。
○武石構成員 武石です。どうぞよろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 続いて、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の職業能力開発総合大学校 職業能力開発原理ユニット准教授の宮地弘子様。
○宮地構成員 宮地と申します。よろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 続いて、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 求職者支援訓練部次長の宇佐美明伸様。
○宇佐美構成員 宇佐美と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 最後に、東京都産業労働局雇用就業部能力開発課長の櫻庭拓也様。
○櫻庭構成員 櫻庭です。よろしくお願いします。
○松村訓練企画室長補佐 どうぞよろしくお願いいたします。次に、研究会の運営についてお諮りいたします。資料1の開催要綱を御覧ください。まずは1の目的についてです。技術の進展、経済的環境の変化、個人の働き方や職業キャリアに対する考え方の多様化などを踏まえ、企業や個人のニーズに適切に対応した公的職業訓練を提供する必要があるということで、この公的職業訓練制度の検証・検討に資するため、本研究会を開催させていただいたところです。
2の検討事項についてです。本研究会では次の検討事項を中心に、幅広く意見交換を行うものとします。(1)として、公的職業訓練の適正かつ効果的な運営の在り方に関すること。(2)として、新しいニーズに対応した公的職業訓練の制度の在り方に関すること。(3)として、公的職業訓練制度の検証に関すること。(4)として、その他です。
4の運営についてです。(2)ですが、研究会の座長は、構成員の互選により選出することとします。(4)は、後ほど改めて御説明させていただきますが、研究会は原則として公開することとしております。開催要綱の概要については以上です。
続いて開催要綱の4の(2)に基づく座長の選任です。研究会の座長は、構成員の互選により選出することとなります。皆様、いかがでしょうか。
○櫻庭構成員 今野先生を推薦いたします。
○松村訓練企画室長補佐 ただいま、今野構成員を座長にという御推薦がありました。皆様、いかがでしょうか。
(異議なし)
○松村訓練企画室長補佐 ありがとうございます。それでは、本研究会の座長を今野構成員にお願いいたします。ここからの進行は、今野座長にお願いいたします。すみませんが、中央の座長席にお移りいただきますよう、お願いいたします。
○今野座長 御指名ですので、司会役をさせていただきます。この研究会の成果は、言ってみれば構成員の皆さんからアイディアが出るかどうかに掛かっておりますので、是非とも忌憚のない御意見をいただくとともに、貴重な、そして有効な多くのアイディアを出していただきたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、議事次第に従って進めていきたいと思います。まずは議事の公開の申合せについてです。事務局からお願いします。
○松村訓練企画室長補佐 議事の公開について説明いたします。資料2を御覧ください。先ほども少し申し上げましたが、本研究会の議事は、原則として公開することとさせていただきたく存じます。例外として①から④にあるとおり、個人情報や企業秘密に関する情報を保護する必要があるなどの場合は、座長の御判断により非公開とすることもあります。その場合であっても理由とともに、議事要旨を公開するという取扱いとさせていただきます。なお、この取扱いは、厚生労働省が定める「審議会等会合の公開に関する指針」の考え方に準拠したものとなっていることを申し添えます。説明は以上です。
○今野座長 何か御意見はありますか。よろしいですね。では、そのように進めさせていただきます。
次は議題(2)「公的職業訓練の現状と研究会における今後の議論について」です。事務局から説明をお願いします。
○鶴谷訓練企画室長 皆様、今日はお疲れさまでございます。お越しいただきありがとうございます。訓練企画室の鶴谷と申します。よろしくお願いいたします。私からは議論の参考までにということで、公的職業訓練の概要と論点等について、御説明させていただきます。
まずはお手元の資料の中から、資料3「公的職業訓練の概要」の1ページを御覧ください。公的職業訓練、ハロートレーニングには職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練と、求職者支援法に基づく求職者支援訓練があります。この2つについて、御説明させていただきます。
まず、職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練です。対象者別に離職者向け、在職者向け、学卒者向けの訓練があります。訓練を提供している実施機関は国と都道府県で、更に離職者訓練の中には都道府県からは民間への委託という形で、訓練実施を民間の教育訓練機関にお願いしているものもあります。右側の求職者支援法に基づく求職者支援訓練は、もともと第二のセーフティネットとして出来上がった制度で、雇用保険を受給できない離職者向けの支援ですので、対象者は離職者向けの訓練しかありません。訓練を実施している機関は民間の教育訓練機関で、高齢・障害・求職者雇用支援機構により認定するという方法で訓練を実施していただいています。
訓練の規模を御覧いただきたいと思います。右下の表を御覧ください。これは令和3年度の受講者数の実績です。上の四角の中は公共職業訓練の実績で、離職者訓練の1年間の受講者数が11万人程度いらっしゃいました。在職者訓練については9万2,000人程度、学卒者向けの訓練については1万6,000人程度で、公共職業訓練全体では21万6,000人強の方に御利用いただいているものです。その下の四角の中が求職者支援訓練の実績で、こちらの受講者数は年間で2万8,260人でした。先ほど申し上げたとおり、離職者向けの訓練は、公共職業訓練と求職者支援訓練なので、両方を足して離職者向けでは年間13万6,000人程度の方に御利用いただいている状況です。
次に、これまでの公的職業訓練の経緯について御説明したいと思います。2ページを御覧ください。まず、職業訓練の基本的な法律について御説明します。最初に職業訓練の基本法ができたのが昭和33年(1958年)で、その頃はまだ職業訓練法というものでした。国の発展のためには技能労働者が必要だというコンセプトから、技能労働者の養成・確保を中心とした法律体系になっておりました。さらに1969年には経済の高度成長を背景に、新職業訓練法に全面的に改正されています。さらに時代は進み、事業主が行う職業訓練の推進というコンセプトも出てきました。職業能力開発の促進は職業生活の全期間を通じて、段階的かつ体系的に行われるようにという基本的理念が明確化してきたのも、1980年代のことです。職業訓練法ではなく、名前も職業能力開発促進法に変わったのが、1985年のことでした。少し時代が戻るのですが、1974年には雇用保険法が制定され、雇用保険三事業というものができております。これは事業主拠出による事業で、その中には能力開発事業もあります。
さらに時代は現代に近づいて1990年代、バブルの頃とバブルがはじけた頃です。この頃になりますと、高付加価値化を担う高度人材の育成の必要性が叫ばれてきました。1990年代には2回、職業能力開発促進法が改正されております。まず1992年(平成4年)です。それまで「職業訓練校」と呼んでいたものを「職業能力開発校」というように名称変更し、かつ単なる訓練施設ではなく、情報提供や相談援助の業務も総合的に行える施設に生まれ変わっております。1997年に、もう一回職業能力開発促進法が改正されております。それまでは職業能力開発短期大学校しかなかったのですけれども、高度な職業訓練の必要性がありましたので、新たに高度職業訓練を行える施設ということで、職業能力開発大学校が整備され、全国に10校設置されることとなりました。さらに時代が現代に近づきますと、だんだんと労働者が行う主体的なキャリア形成への支援が必要という時代に入ってきます。1998年には能力開発法ではなく、雇用保険法の改正になるのですが、教育訓練給付制度が創設されています。
3ページを御覧ください。2008年にはリーマンショックが起こりました。ここでは大量の長期失業者が発生してしまい、生活保護受給者が増えるのではないかということがあり、第二のセーフティネットの必要性が出てきました。そういうことで、2009年には雇用保険の失業等給付を受給できない方が、早期再就職を図るための第二のセーフティネットとして、緊急人材育成・就職支援基金により基金訓練等が創設されています。ただ、これは時限措置でしたので、法律の整備をして次の2011年に求職者支援法が作られ、現在の求職者支援制度が出来上がったところです。
さらに進みますと2020年代、トピックス的にはやはり新型コロナウイルス感染症の蔓延です。シフト制で働く方がシフトを減らされてしまうという状況がありました。そういった方々が少ない時間をやり繰りして訓練ができるように、通常の訓練よりも短時間・短期間の訓練コースの設定を可能とする特例措置を、2021年から始めています。最後に、直近の2022年には職業能力開発促進法を改正して、地域のニーズに応じた職業訓練の推進等のために、都道府県単位の協議会を展開しているところです。
次の4ページからは今申し上げた経緯に、参考となるような資料を付けています。全部説明すると長いので、必要な箇所だけ御説明させていただきます。まずは5ページを御覧ください。最初に御説明した公的職業訓練には、在職者向け、学卒者向け、離職者向けと、対象者別に3つのカテゴリーがありました。どうやって受講していただいているかという流れについて御説明いたします。まずは右側です。離職者については全て一旦、ハローワークに求職の申込みをして、御相談の上で訓練を受けていただくような形を取っております。ですから皆さん、ハローワークで受講のあっせん・推薦を受けて、訓練施設に申し込むような流れで訓練を受けていただいております。在職者と学卒者は左側にありますように、直接、能力開発施設にお申込みいただくような方法で受けていただいています。ただ在職者の場合は、在職者個人が直接申し込むというよりは、企業が自分の会社の労働者にスキルアップを図ってほしいということで、企業経由でお申込みいただいているところです。
6ページを御覧ください。先ほど、ハロートレーニングのうち、離職者向けの訓練が年間13万6,000人程度いたというお話をいたしましたが、どういった分野の訓練を受けていたかというのを表したものです。左側の円グラフを御覧いただきたいと思います。一番多いのが営業・販売・事務の訓練です。それ以外にもIT関連、製造関連、介護と、かなり多様な訓練を御提供させていただいているところです。
7ページを御覧ください。今申し上げた公的職業訓練のうち、離職者向けの訓練は年間13万6,000人の方に受講いただいておりますが、どこで訓練を受けたかという施設、実施していた場所についてお示ししたものです。受講者ベースでみて約77%の方は、民間の教育訓練機関の実施する訓練コースを受講いただいております。その他、いろいろと資料を付けておりますので、御参考にしていただければと思います。
それでは、本日御議論いただきたい事項について、資料4に基づいて御説明いたします。「ご議論いただきたい事項と論点案」の1ページを御覧ください。まずは本研究会で当面御議論いただきたい事項として、2点お示ししております。1点目が、非正規雇用労働者等が働きながらでも学びやすい職業訓練の具体的な制度設計についてです。先ほど申し上げたとおり、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、特例措置として在職者でも受けやすいように、短時間・短期間の訓練も御用意していたところですけれども、実際に蓋を開けてみますと、在職者の受講はなかなか増えなかったという状況です。このため、在職されている方であっても、働きながらでも学びやすい職業訓練の在り方を検討してはどうかと考えております。
また、5月16日に新しい資本主義実現会議で決定された、「三位一体の労働市場改革の指針」の中でも、企業内でも訓練機会に乏しい非正規雇用労働者等について、働きながらでも学びやすく、自らの希望に応じたキャリアアップにつながる柔軟な日時や実施方法によるリ・スキリング支援を実施することについて御指摘をいただいています。これも踏まえ、議論をいただければと考えております。
2点目は職業訓練による労働者、受講された方の賃金の変化を把握する手法についてです。現行上の職業訓練の効果の測定指標としては、離職者訓練であれば修了後の就職した人の割合、就職率で、在職者訓練については、事業主からの評価を用いています。しかし訓練を受けられたら、受講された労働者の賃金の変化、あるいは就職された後の賃金の変化を把握してはどうかという御意見もいただいているので、こういった面について御議論をいただきたいと思っております。ただし、最初から2つはなかなか難しいと思いますので、まずは議論の順番として、1番目の働きながらでも学びやすい職業訓練の具体的な制度設計から開始してはどうかと考えております。
そこで、働きながらでも学びやすい訓練について、現状と論点を御説明したいと思います。資料の2ページを御覧ください。まずは現状についてです。1つ目の○を御覧ください。企業の中におけるスキルアップについてです。「能力開発基本調査」によりますと、企業が行うoff-JTを見ても、正規と非正規を比べますと、非正規の方はなかなか対象になりにくいという結果が出ております。それとは別に個人調査でも、小さなポツの2つ目にありますように、自己啓発を行った割合を見ても、正社員と正社員以外では正社員のほうが多く、正社員以外の方は半分ぐらいしか自己啓発を行っていなかったという結果があります。現状での非正規雇用労働者は、企業内におけるスキルアップの機会が少ないという結果が出ております。
それから、○の2つ目です。現在、公的職業訓練に在職者訓練はありますけれども、スキームとしては企業が申し込んで、労働者に必要なスキルを身に付けさせるためのものです。訓練の費用も企業が負担しています。働きながら学びたいけれども、自主的に申し込むというスキームのものではありません。
3つ目の○です。在職者が自主的に受講されたい場合の支援策としては、教育訓練給付制度というのが別途ありますけれども、対象となるのは、例えば看護師や行政書士など、一定水準以上の資格取得を前提としたもので、極めて対象が限られています。
○の4つ目です。離職者向けの訓練であっても、在職者の方が受講することも可能ではあります。ただ、離職を前提にハローワークで求職の申込みが必要なスキームになっています。現状をみてみますと、例えば離職者向けの訓練という性格上、平日の昼間や決まった時間の受講が基本なので、在職している方が受けやすいかというと、そういうものでもない状況です。実際に一番下の○を御覧いただきたいと思います。受講されている方に占める在職者の割合をみ見たところ、全体の10%程度しか在職者の方はいらっしゃらなくて、ハローワークの新規求職者に占める在職者の割合よりも、かなり低い状況でした。
こうした現状を踏まえて、論点として3ページに挙げておりますので御覧ください。論点は大きく分けて4つあります。1つ目は受講の対象層と、それに関することです。論点1の①を御覧ください。まずは正社員と正社員以外という観点です。能力向上意欲というのは、どちらも同じように持っているのですけれども、先ほど御覧いただいたように、実際に自己啓発を行った者の割合は、正社員以外の方のほうが少ない状況です。そういった現状を踏まえて、もし対象にするなら正社員、正社員以外をどう扱うかというところです。正社員以外の方に支援をすべきではないかということも、検討していただければと思います。
②ですが、それに関連して、どのような仕上がり像を求めるかというところです。現在の教育訓練給付制度の場合は先ほど申し上げたとおり、一定水準以上の資格取得を目指すものです。こうしたものを適切とするか、それとも現状の離職者訓練のように、再就職を目指す程度と同程度とするか、どこが適切かというところも考える必要があります。
③は、仕上がり像とも関連するのですけれども、必ずしも転職を目指していないとすると、就職が最終ゴールではないので、職業訓練の効果測定を何で測るか、指標についての検討が必要になってきます。
論点の2番目は職業訓練コースの工夫というか、実施方法に関連することです。まずは①です。働きながら学ぶという特性を考えて受講日程の柔軟化、あるいはオンライン訓練のような通所しない方法も検討すべきかどうかというところです。
②です。働きながら学ぶということを考えると、途中で受講をやめてしまったりすることもあるかもしれませんので、受講の継続勧奨や知識の習得度合の確認をどうするかという検討が必要です。
③です。現在の公的職業訓練のうち、離職者向けの訓練については法律で無料にすることと決まっておりますので無料ですけれども、それ以外の訓練は、基本的に有料としております。働きながら学べる訓練の場合、費用負担をどうするかという検討も必要です。
論点の3つ目は、周知方法や申込みの方法についてです。①は、在職者の場合は転職の意思がないとすると、ハローワークを御利用にならないことから、周知や募集方法をどうするかという検討が必要です。同じくハローワークでお申込みになるわけではないので、どういった申込方法が適切かということも検討が必要です。
最後に4つ目です。訓練を実施する機関についてです。①にあるように、幅広い分野の訓練をニーズに合わせて機動的に提供していくためには、民間教育訓練機関を活用すべきかどうかということに加え、②にもあるとおり、仮に民間教育訓練機関を活用する場合、現在は都道府県による委託又は独立行政法人による認定で訓練を決めているところ、どのような選定、決め方をすればよいかという検討が必要になってきます。御説明は以上です。
○今野座長 それでは、ここから議論していただきます。資料3で、公共職業訓練の概況についてお話いただいたので、この点について何か御質問があれば、まずそれからお受けいたします。大丈夫ですか。皆さん、もう頭に入っているということで、よろしいですか。
次に資料4で論点について説明をいただきました。最初に働きながら学びやすい職業訓練について議論してほしいということです。働きながら学ぶということの現状についての説明が資料の2ページ目にあります。この現状について、何か御質問はありますか。よろしいですか。これも、もう頭に入っていますか。
○黒澤構成員 その点で質問です。前のことにも関連するのですが、資料3の経年的な変遷についての所で、在職者等に対し、通常よりも短時間や短期間の訓練コースの設定を可能とするという特例措置を取っていただいたわけですよね。しかし資料4の2ページでは求職者支援制度ですから、ちょっと違うのですね。また、離職者に対する訓練も確か短期間にしてくださったのですよね。
○鶴谷訓練企画室長 特例措置では、離職者訓練を短期間・短時間にしています。
○黒澤構成員 それは、具体的にはどのぐらいの短時間からOKということにしてくださったのですか。
○鶴谷訓練企画室長 期間でいいますと、2週間のコースも作れるようにしています。通常大体2、3か月というものを、2週間でもいいようにしています。時間に関して言いますと、受講時間が月100時間以上必要なところを、60時間まで短縮できるようにしております。
○黒澤構成員 とはいえ、やはりなかなか働きながらだと、非常に難しい面もあると。
○鶴谷訓練企画室長 そうですね、60時間ですので、基本的に週で割ると15時間ぐらい必要になるというような計算になります。
○黒澤構成員 ありがとうございます。
○今野座長 どうぞ。
○宇野人材開発政策担当参事官 今の説明に補足しますと、資料3の3ページの下から3つ目が先ほど御質問いただいた所です。要は問題意識としては、在職者の方々がシフト制で苦しい中で、本来は離職者向けの訓練なのだけれども、在職者の方々にも受けられるようにしましょうということで、先ほど説明した特例措置です。にもかかわらず、資料4の2ページの「現状」の下から2つ目の○に、先ほど室長が説明した特例措置の内容が書いてありますが、一番下にありますとおり、我々がターゲットとして想定していた在職者が実際に受講しなかったというのが、ここに書いてある現状です。
○今野座長 黒澤構成員、よろしいですか。
○黒澤構成員 すみません、先ほどの10%程度というのは、求職者訓練のうちですか、それとも離職者訓練のうちということですか。重箱の隅をつつくようなことを言って、すみません。
○鶴谷訓練企画室長 申し訳ないです。離職者訓練ではなくて、求職者支援訓練で書かせていただいております。
○宇野人材開発政策担当参事官 特例措置自体は、確か離職者訓練も求職者支援訓練も両方やったのですが、データが取れるのは求職者支援訓練です。ですので、今回お示ししているデータは求職者支援訓練のみとなっております。
○黒澤構成員 分かりました。ありがとうございます。
○大嶋構成員 この求職者支援訓練の中の短時間コースは、在職しながら学びやすい新しい訓練の参照になる部分があると思って伺います。短時間になったことで、コースの中身や領域の違い、例えば介護の分野が増えたといった学ぶ内容の違いやレベル感の差で、何かお気付きのことがあったら教えていただけないでしょうか。
○鶴谷訓練企画室長 短時間と短期間ともに中身はそんなに変わっていないと思うのですが、最終的に就職率をみると、通常の訓練よりも短期間や短時間のほうが低くなっているものもありました。そこは今いろいろと分析しているところです。
短時間といっても、60~100まで短時間になってしまうので、通常よりもかなり短いものと少し短いものとあります。
○今野座長 60~100は、単位は何ですか。
○鶴谷訓練企画室長 すみません、時間です。通常が月100時間の受講時間なのですが、一番短くしようと思ったら60時間にできます。訓練によっては、例えば80時間で設定するものもあって、それも我々としては短時間に含めて数えています。それを、さらに区分して見ていくと、中でも短い60時間に設定したもののほうが就職率は低いけれども、80時間ですとそこまで低くないというような結果があります。
○宇野人材開発政策担当参事官 もし座長がお許しいただければ、次回、短期間・短時間コースの分析資料を出させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○今野座長 ほかにいかがですか。私は内容ではないのですが、久しぶりに公共訓練の話を聞いたのですが、まだ「仕上がり像」と言うんだと思って。訓練の専門家の人たちは仕上がり像と言うけれども、第三者からすると言葉が感じ悪いような。これが表に出たときに仕上がり像と言われると、ちょっと感じ悪いなと思ったということだけです。ほかにいかがですか。
○宇佐美構成員 機構の宇佐美です。先ほど論点整理の中で、非正規労働者に対する職業訓練や訓練受講に関する説明がありました。我々機構においては、職業能力開発総合大学校の基盤整備センターが設置されており、そこで職業能力開発に関する調査開発事業をやっております。過去に、その事業で参考となりそうな調査報告が2件あります。1つが、「若年非正規雇用労働者に対する在職者訓練コースの設定、実施プロセスに関する調査研究報告書」と、もう1つは「全国の求職者を対象としたオンラインによる職業訓練(IT分野)の訓練効果及び課題に関する調査研究」の2点を過去に実施しております。
前者については、若年の非正規の方、わかものハローワークに通っていらっしゃる方にアンケート調査をしながら、コース設定やプロセスを検討しながら試行実施したもので、受講料や訓練時間、訓練期間といった調査結果をまとめております。後者のITの分野については、フルオンラインで実施する訓練を試行的に実施させていただいており、そのときに在職者に対して、いろいろとアンケートを取らせていただいております。もしかしたらこの研究会で何かの参考になるかと思いますので、こちらについても、次回簡単な資料をお持ちできればと考えております。
○今野座長 是非とも次回お願いします。資料についての質問は、もうこのあたりでなさそうですので、あとはもうフリーです。思っていることなど何でも結構です。では、私が口火を切りますが、訓練に来たときに、訓練時間が短いほうがいいだろう、長いほうがいいだろう、お金がかからないほうがいいだろう、かかったほうがいいだろうということを検討してほしいという内容になっていましたけれども、その前に訓練の場にどう持ってくるかというのもすごく難しい。もしかしたら、それが一番難しいのではないかと思うのですが。
その気になって訓練の場に来れば、ちょっとぐらい長かろうが、お金が余り高いとまずいですが、ちょっとかかりそうでもやるぞということになるのですが、そこに持ってくるのがすごく大変ではないかと思うのですが、それはどうですか。そのように私は思ったのですが。この点について実務のプロとしてはどうですか。
○櫻庭構成員 東京都の櫻庭です。おっしゃるとおり、我々も職業訓練を知っていただくところから、まずは大変だなと思っております。現状、ハローワークにお越しになる離職者の方は、失業給付を受け取る際に職業訓練を案内されて、そこで初めて知るという方が非常に多いと思っております。今回対象にしようとしている非正規雇用の方々は、やはりハローワークに来るという機会がありませんので、なかなか職業訓練自体を知っていただく機会が少ないと思っています。ただ、そうした中で転職やキャリアアップを検討される場合には、やはりインターネットで検索をする機会が非常に多いだろうと思います。
実は我々も非正規雇用の方も対象にしたような職業訓練をやらせていただいているのですが、広報の仕方としてはインターネットの検索のリスティング広告や、ターゲットをある程度決めたSNSを使った広告などをやらせていただいております。やはり広報としては、そういったインターネットを活用した広報、周知のほうが効果的かなとは思っているところです。
○武石構成員 私も、本人が自分のスキルをアップしたいというモチベーションがないと何も始まらないので、そこをどうするのかなというのは、今野座長と同じことを思っています。インターネットの広告も、多分ある一定のモチベーションがないと、その情報を見ても自分が対象だと思わないと思うので、動機付けをどうするのかなというのはすごく重要だというのが1つです。
それから別の視点なのですが、要はスキルアップしたいという人で、普通に簿記学校に行ったりする人もいるけれども、行く所が分からなくて困っている人たちをここで救うというイメージなのかなと思っています。そういう人に国からお金か何らかの支援が出るのだと思うのですが、自分でお金を払って行ける人たちと、どこでそこの線を引けばいいのか。非正規でしたら皆こっちで受けますというのともちょっと違うような気がするので、そこの対象層をどのように考えればいいのかというのも気になっています。問題提起しかできないのですが。
○今野座長 今の点について、何かありますか。
○宇野人材開発政策担当参事官 今、武石先生がおっしゃった点が正に論点1の部分のあたりで、やはり国がある程度公的なお金を使っていく以上は、対象をある程度絞りたいとは思っております。次の論点3のほうが周知方法、アクセスということで、先ほど、先生がおっしゃったものもあるのですが、ここの問題点は私どももいろいろ見聞きしている中で、1つはもちろんどうスキルアップしたい人をアクセスさせるかという問題もあるのですが、実は本来このあたりの層の人たちがスキルアップしたいと思っているのかどうか。スキルアップをしたいと思っていない人たちに、いや、実はスキルアップしたほうがいいですよというのを、どのように知らせるのか。そのために、それに対して公的なものがどう関与していくのかというのも含めて、論点1としては御議論いただきたいと思っております。
○今野座長 今の点に関連してちょっと思ったのですが、将来こういう仕事に移りたいなと思えば、訓練につくインセンティブというかモチベーションが生まれる。そういう点からすると、在職者が企業内で仕事を変えていくというのが一番分かりやすくて明確で間違いがないのですよね。そうすると、非正規の人が個人で訓練にアクセスすることが想定されていますが、何か上手に事業主媒介という手がないのかなと思ったのですが、いかがですか。
○大嶋構成員 今野先生がおっしゃったことは、正にそうだなと思っております。今はインターネット上ですごく柔軟で安価で質の高い訓練機会が、しかも10分単位みたいな形でたくさん出てくる中で、学ぶこと自体のハードルは下がっているけれども、そこにアクセスしないという問題があります。もう1つは、本当に勤め先でのステップアップにつながる学びが何か分からない、あるいは転職でのスキルアップにつながる学びが分からないということが、最大の問題ではないかと思っています。非正規の方向けに訓練スキームをつくるときも、学びの手前で学びへの導線を作ったり、本当にスキルアップにつながる訓練を示す行程がすごく大事なのではないかなと思っています。
その中で、訓練について上司や管理職が何か主体的に動いてくれる方と、動いてくれない方がいらっしゃると思います。後者に関して、労働市場の求人ニーズを把握している地域の人材事業者に委託して、その委託した所の方と地域の状況を踏まえて話す中で、この地域でステップアップするのだったら、このスキルがあなたの経験には役立つということをアドバイスするようなことが有効ではないか。あるいは深刻な人手不足の中で、特に問題意識がある経営者の方に至っては、非正規社員の方のステップアップを通じてつなぎ止めたいという方もいらっしゃると聞いています。ですので、上司の方に相談して、うちの職場でステップアップするのだったら、こういうスキルがいいのではないかという内容をメニューから選ぶなり、書くなりしてもらったシートに基づいて学ぶような、出口や実践と結びついたスキームにすることが必要ではないか。つまり、何のために学ぶのかを働き手も分かっており、学ぶ内容が企業のニーズと結びついている仕組みがあり得るのではないかと考えます。
○今野座長 今回のテーマは、あくまでも非正規等の在職者個人が訓練を受けるということなので、事業主が媒介するということは議論の対象外であれば議論から外すのですが。それも含めていいというのであれば、それも含めて議論することになるのですが。どう思っておりますか。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。確かに労働者の方、働いている方がどうやって学ぶかということについて、事業主ないし上司、管理職というところについての役割は非常に重要だというのは、実は今日お越しの武石先生が分科会長をやっていらっしゃいます人材開発分科会の中でガイドラインを作りました。それが学び直し促進ガイドラインというもので、企業内における事業主や企業の上司の役割の重要性が、やはり学びにつながるという話は御議論いただいて文章はまとまっております。ただ聞いていますと、まず日本の場合、正社員でさえ実は学ぶ人は少ない。ましてや、正社員と非正社員の間でもますます差が大きい。そのときに果たして、我々の理想と言っていいかどうか分かりませんが、事業主の方々や管理職の方々が正規、非正規に関係なく、正に同一労働同一賃金とありますが、そのような考え方で責任を持っていただくというのが一番理想ではあるのですが、やはりそうは言っても、いろいろな事情で、まず正社員でさえもまだ不十分なところに正規、非正規も含めて一緒にという話になってくると、この格差自体が是正しないのではないかなと思っています。
そういう意味では、今回の指針を踏まえてお題をいただいている中では、全体がどう学ぶかという話プラスこの差をどう埋めるかという話、この差異にはやはり公的な面、部分が必要なのではないかというように思っています。そういう意味では、事業主の方の重要性などを御議論いただいて、それが一種の報告書や取りまとめとして、出てくること自体は全く問題ない、むしろウェルカムなのですが、何かしらの非正規対策の中のアウトプットとして我々が考えているのは、事業主媒介ではない方法として、どういう形がいいのかということを、最終的には御議論いただきたいと思っています。
○黒澤構成員 何故正社員と非正社員とで、いわゆる人的投資の量が少ないかというと、それは非正社員のほうが同じだけコストをかけて投資をしても、そのリターンが得られにくいという状況があるからですよね。でも、それは決して事業主の立場からみて、非正社員だからスキルがなくていいわけではなく、もっと非正社員のスキルは高めてほしいわけですよね。それを例えば国が支援して高めてあげるよということを言ったら、それはもう事業主としてみたら、自分たちが雇っている非正社員に知らしめて、こういうスキームが今度できたからこういうものをやってこいと。その中で事業主としては、例えばオファーされたプログラムの中にコースはいろいろあるとして、その中で、この企業ではこういうのがいいよというのを言ってくれたらますますいいのですが。いずれにしても、そういうインセンティブは事業主には生じると思うので、例えば、それを事業主団体さんや経団連も含め、いろいろな所にお声掛けして、そこから広く従業員に活用してほしいとやることは、もちろん可能性としてはあると思います。そういう形での事業主からのインセンティブというのは、こういったスキームを考えていく上で生じてくると思うので、それを最大限に活用するというのがよいのではないかと思います。そこに先ほどおっしゃったように、地域での取組ができればますますよいですし、そのあたりは、いろいろ考える余地があるのではないかなと思います。
もう1つは、今は無償でMOOCやedXなど、大変質の高い訓練プログラムがあるのですが、やはり、特に非正社員の方々で、多くがまだ英語だというのもあると思うのですけれども、なかなかどれをやっていいのか分からないという状況があります。その中で、例えばコロナになってすぐに英国でボリス元首相がなさった、政府のポータルにおける無償のeラーニング、そういったことも考えてよいのではないかなと。とにかくボトムアップ。先ほど御紹介いただいた調査結果にもありますが、やはりITのベーシックなスキルというのは、今やもう全ての人が持たないといけないボトムラインであって、それは既に皆さんお分かりだと思うのですけれども、いろいろあって何をやっていいか分からないというときに、これをやろうねというものを、クオリティコントロールをして、政府が整理して提供すれば、非常に宣伝効果もあり、日本中に行きわたるのではないかと思ったりするのですけれど、いかがでしょうか。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。国がそのITのスキル標準を効果的なものに整理整頓してお示しできればいいのでしょうけれど、果たして、そこまできちんとお示しできるかという課題があります。
もう1つ、やはり重要なこととしては、学ぼうという意欲というのは、幾ら無償にしても、サイトにしても、結局ポータルサイトでアクセスしなければできないわけですから、やはりその際に、今回の御議論の中の少し外へ出るかもしれませんが、意欲喚起という意味では、みんなもっと学ぼうよというような国民運動、ある種の啓発的なものも必要かもしれませんし、実際学べと言われても、私は何を学んでいいか分かりませんというときに、では、それに対して無償でコンサルティングに行けるといった場も併せて調整する。その上で多様な選択肢を御用意する。その中には、もしかしたら私はITというよりは、エッセンシャルワーカーではないですが、自分のほかのメリットを使って働きたいんですという方もいらっしゃるでしょうし。いろいろな場面、いろいろな方、いろいろな御要望がありますので、その中でどうやって選択肢を増やしていくのかなというところが重要ではないかなと思います。そういう意味では、事業主の関与というところは我々も非常に重要だと思っています。
一方で、さっき黒澤先生がおっしゃっていた、これは国がやっていくのだから、もう企業は非正規の方の面倒を見なくてもいいんですよみたいなことを言い始めると、これは逆効果みたいになりますよね。
○黒澤構成員 いや、面倒を見なくていいとは言ってないですけれども。私自身、管理職の立場からですが、うちの場合は非正規の方も学ぶ意欲が大変高いです。けれども、何をどこで学べばよいのか分からないというのが問題です。例えば先ほどのイギリスの場合、アクセンチュアやGoogle、Amazonやリーズ大学など、その辺が中心になって訓練プログラムを作っているわけですけれども、基本的にWordやExcelというのは、グローバルスタンダードとしてやり方が決まっていますので、その辺は税金で皆さんに提供しましょうというような、そのぐらいの大盤振舞をやってもいいのではないかというように思ってしまいます。
先ほどおっしゃったように、個人によってもちろん好みはあると思いますし、皆さんのキャリアによって必要なスキルも様々ですが、先ほどのイギリスのSkills ToolkitでオファーされているコースはベーシックなITだけでなく、リーダーシップやコミュニケーションスキル、プロジェクトマネジメント、簿記、それからデジタルデザインやマーケティング、コンピュータサイエンス、サイバーセキュリティとAIクラウドコンピューティングなど、本当に多岐にわたるのですね。そこまでを全部国が無償で提供をするという、すごいことですよね。もちろん、おっしゃるとおり、訓練と補完的な、相談やコンサルティングの部分をやるというのは、大変重要なことだと思います。やりっ放しではなく。しかしながら、やはり学びというのは、最初のきっかけがあってこそ、これで何か自分が学べたということを知ってこそ次の学びにつながっていくわけで、そこの世界にまずは引き入れる。考えてみると、コロナのときは、ほかの国はもっと日本よりシビアなロックダウンを経験したので、日本より多くの国民が在宅勤務で、オンラインで仕事をしなければならない状態になったわけです。そういう意味では、ほかの国の国民のITレベルはそのことで高められざるを得ないような状態になった。しかし日本はそうではなかったので、諸外国と比べても非常に遅れを取ったというように私は感じてしまうのですよね。ですので、ここはもうちょっと、そのぐらい踏み込んでいいのではないかというように思ってしまいました。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。すみません、私が先ほど言った事業主うんぬんというのは、むしろ事業主の関与を否定するわけではないのですが、先ほど、大嶋先生がおっしゃった地域の取組というところに非常に関心というものがありまして、日本の場合は、どうしても企業経由というのが1つの大きな柱でありました。今回の指針でも、企業経由から個人経由というのが方針に出ていますけれど、ただ、そうは言っても個人が全て選択できるわけではありませんので。そういう意味で地域の取組は、さっき大嶋先生がおっしゃった点が、むしろ何か御参考になれる部分があるのか。あとは、先ほど櫻庭先生がおっしゃった、東京都でも非正規の対策をやっているのかという取組があったと思いますので、是非その辺も、またちょっとこの研究会の場でもお示ししていただけると有り難いと思ったということです。
○今野座長 議論を聞いていると、今回提示されている論点は訓練をどうしたらいいかという「How to」に関わる論点が多いのですが、実はその前に、やる気になってもらうとか、やる気になったときに、どういうような能力を付けたらいいのだろうかと考えてもらうとか、その次には訓練機関にどうアクセスしたらいいのだろうかという訓練の前段が大切なのではないかということだと思うのです。ですから、ここでの議論の範疇として、その前段のほうもどうしたらいいかということを考えたほうがいいかなというように思いました。ということで、提示していただいた論点を越えてもいいですよね。
○事務局 越えていただいても差し支えありません。
○武石構成員 資料4の現状の所で、正社員以外が一番能力を高めたいというのがIT、OAプラス一般的な知識、能力、いわゆるオフィスソフトウェア操作などというのは、さっきの黒澤先生がイギリスでやっているというところと重なり、多分、かなり初歩的なところはここに入ると思うのです。こういうものだったら結構簡単にそんなにコストが掛からないで提供できて、部下がWordは使えてもExcelのグラフが作れないみたいな人がいたら、ちょっとこれあるから行ってこいみたいなことで、手軽にできるのかなということがあります。ただ一方で、やはりもう少し、スキルアップといってもレベルはどこまで考えますかというのもあって、そこでいいのか、何かレベルの高いものまで考えなくてはいけないのかというと、そこはどうなのかなと思っています。
要は初歩的なもので、10時間ぐらいeラーニングを聞けば一応のものはできるということであれば、そのコンテンツ作成自体はそれほどお金は掛からないし、やり方も簡単だし、無料でやってもいいのかなと思うのです。一方で、リーダーシップとか対面でやるようなものまで必要になると、結構コストが掛かって、無料でいいのかなということになるので、そこら辺のプログラムの中身もどうするかというあたりについて、どう議論するかなというのがちょっと気になっています。
○今野座長 今のお話を聞いていると、先ほどの言葉でいうと「仕上がり像」、私は余り好きではない言葉ですが、仕上がり像と関係するのですが、ここで我々が想定している非正社員の人というのは、職業能力上、どのレベルの人と考えているのだろうかということを決めないと仕上がり像は決まらないですよね。この点については、多様だからそんなことは設定しないという考え方があります。けれども、それでは政策を作れないので、大勢としてはこんな感じだから、それに合わせてこういう訓練が必要かなということを想定するという考え方があります。この場合には、大勢とは何かについて共通理解しておかないと議論が混乱してしまうかなというように思ったのですけれど。いかがですかね、武石さん。
○武石構成員 私もどこを目指すのかなという、本当に底上げというか、もうある程度のところまで、そのある程度がどこだか分からないですけれども、取りあえず日本で働く人は、これぐらいは知っていると日本としてはいいというぐらいのところなのか、もうちょっとスキルアップを目指すのかというものはどうなのですかね。
○櫻庭構成員 今の仕上がり像の話になると、そもそも非正規をどう捉えるかというところなのですが、正規で雇用するか非正規で雇用するかについては、それこそ事業主によりいろいろなお考えがあるかなと思います。我々が今回、訓練をテーマに議論するのであれば、基本的には、例えばスキルがあれば正社員として事業主は雇うのではないか。要はスキルがあれば正社員、余りスキルがなければ非正規みたいな、仮ですが、それぐらいの設定をしておいたほうが、我々としては議論をするときには1つ目安になるかなとは思います。もちろん、一般的にはそれと違うということはたくさんあるとは思いますけれども。最初は一旦それぐらいの目安を設定しておいたほうがいいではないかなとは思います。
○宮地構成員 あと現状、教育訓練給付金や求職者支援訓練という制度がある中で、あえての新しい制度ということですので、現状の制度がカバーしていないところを公共で作っていくということになると思うのです。そうすると、教育訓練給付金は、ある一定の資格というレベルを基にしていますので、恐らくそうではない。求職者支援訓練と同等ではあるのだけれども、短時間・短期間の訓練で捕まえきれなかった方々をカバーしていくというところが、またどんな設定になるのかなという気がしております。
あとは、先ほどの全体の議論なのですが、確かに、広く非正規の方に周知できれば一番いいのですけれども、なかなか難しいかなというところも実感しておりまして、非正規の方々は、職種ごとに実は緩やかなネットワークを持っていらっしゃって、同じ職種の方がスキルアップの訓練を受けた経験というのを聞くことが、実は私にもできるんだという自己効力感を最も効果的に喚起するということを言われているのです。ですので、もちろん広く周知するということをやりつつも、まずはこの捕まえきれていない意欲のある方々をきちんとキャッチして、そこからネットワークを通じて広げていくという、まずは小さく始めて、そこから広げていくという手もあるのかなというように考えております。
○今野座長 私も知らなかったのですが、今のお話で、非正規の人で同じ職種の人は何かグループがあるというお話でしたが。
○宮地構成員 例えば、ITのオフィスソフトの講師の方々とかですと、講習に行った現場で、いろいろな派遣会社の講師の方が来ていて情報交換をされるらしいのです。私はこういうスキルアップをしましたとか、こういう転職先があるよとか、それが非常にスキルアップの意欲と実行の乖離を埋めているという話を聞いたことがありまして、やはり身近で同じ境遇にある方々の経験というのは、すごく効果的な動機付けになっているということです。
○今野座長 私は今のお話を聞いていて思ったことは、我々は一言で非正規と言うけれど、その現状は多様ということです。今、宮地さんがおっしゃられたのは研修講師でしょ。私がイメージしているのは、スーパーのパートの人。全然違うよね。それをちょっと感じました。でも、今おっしゃられた、取りあえず非正規の人を、正社員というのをどういう意味かというのはまた考えないといけないのだけれど、正社員に上がるぐらいにするというように考えてしまおうというのは1つのやり方かもしれないですよね。大嶋さん、何かしゃべりたそうですね。
○大嶋構成員 ありがとうございます。以前、3年以上離職期間があって、再就職された方の研究をしたことがあります。再就職される女性はパートなど短時間で働き始めることが多く、一定期間を経た後に正社員というような形でジャンプしていくのですが、これを踏まえると訓練を受けた後すぐ正社員というのではなくて、比較的長いパスの中で正社員を目指すような姿のほうが、もしかしたらリアリティに近づいてくるかもしれないと思いながら聞いておりました。
○今野座長 先ほどの非正社員が正社員になるということを、取りあえず想定しようということになったときに、正社員のどのレベルを考えていらっしゃいますか。
○櫻庭構成員 経験を基に転職してきた方、即戦力の方というほどではなく、今後企業として育てて、ある程度の仕事を中核として、管理職ではないにしろ、現場でリーダーシップを発揮することが期待できる人材ぐらいのイメージをしております。
○今野座長 ほかにいかがですか。今日は、次回もそうかもしれませんが、余り司会者としてはまとめる気はないので、どんどん言いたいことを言っていただいて、個別でもいいので、何かいろいろなアイディアをいただければと思います。
○櫻庭構成員 すみません、よろしいですか。
○今野座長 どうぞ。
○櫻庭構成員 ちょっと話が戻る部分もあるのですが。
○今野座長 よろしいですよ。
○櫻庭構成員 今回、訓練を企画するに当たって、この論点に基づいてというか、まず手法としては、私としては、やはりeラーニング中心がいいかなと思っているところです。我々も、非正規の方々のスキルアップを個人向けに支援する場合は、どうしても働きながらということで、当然、事業主経由でない支援となりますと、事業主の理解を得て勤務時間中することはできませんので、例えば平日働かれている、日中働かれている方が、平日の夜や土日に、お時間があるときに学ばれるということなので、やはり、自分の好きなときにできるeラーニングが非常に有効であるかなと思っております。もし今回も対象が非正規で、かつ事業主を経由しないで支援するのであれば、やはりeラーニングがいいかなとは思っております。あと非正規の場合だと、やはり勤務時間も様々ですので、そういった意味では、それがふさわしいかなと思っております。
併せて、仕上がり像についてもですが、今回どういう方を対象にするかというのもあるのですが、お話にあったような、例えばこの先自社内で当然スキルアップをして、正社員として賃上げというのを目指す方も当然いらっしゃるとは思いますし、そういう方のスキルアップの機会もやはりあるべきだとは思っている一方で、我々も、そういう方も当然支援はしているのですが、難しいと思ったのは、スキルアップした後の正社員化ですとか賃上げというのは、従業員がどんなに頑張っても、やはり事業主側の理解がないと、どうしてもできるものではないと思っているので、訓練の目的は最終的に自社内での正社員とか、自社内の賃上げというふうにもし設定をしようというのであれば、逆に、個人向けの訓練とか支援というスキームではなくて、事業主を巻き込んだ形の事業として、そちらについては検討したほうが効果は上がるのではないかと思っています。
もし今回、非正規の個人の方を対象にするのであれば、例えば同じ分野で別の会社に転職をして正社員を目指す方、そのために必要なスキルや必要な資格を取得する方もいると思います。また、全く違う職種に行くという方もいるかと思いますが、。そういう方には、レベルとしては離転職者向けぐらいの水準のスキルアップできる訓練を実施するのが良いと思います。このように、2パターンがあってもいいかなと思います。同じ分野の方には、ある程度の資格なり、ちょっとプラスαの、ミドルからハイレベルぐらいのスキルを習得できる訓練を実施してもいいかなと。様々な対象と様々な目的がありますので、なかなかターゲットを絞るのも難しいと思いますが、同じ分野での正社員の転職を目指すか、違う分野での正社員の転職を目指すか。正社員でなくても場合によってはいいかもしれないですが、別の分野、成長産業分野に促すというのも1つかなと思っております。すみません、まずはここまで。
○今野座長 櫻庭さんはあれですよね、既にこれまでに、そういう事業をされているのですよね。
○櫻庭構成員 そうです。自分の紹介とか余りしないで、すみません。実は私どもも、非正規の方と求職者も含めてなのですが、そういった方を多くの対象として、eラーニングで資格の取得を目指すとか、あとはデジタルのスキルを修得するとか、そういう10個ぐらいのコースを設けていて、転職を希望する方には求人開拓や求人紹介もしていて、要は、身に付けたスキルと企業とのマッチングをして、転職を支援したいという形で事業を実施しております。
○今野座長 それは、非正社員の人が対象ですか。
○櫻庭構成員 対象は非正規の方、若しくは求職中の方とさせていただいています。
○今野座長 では、次回にでも詳しくお話をいただいて。
○黒澤構成員 すみません、櫻庭さんに御質問です。非正社員でお示しの訓練に御参加されている方というのは、非正社員だけれどもフルで働きながらという感じですか。どういう方が多くいらっしゃいますか。
○櫻庭構成員 すみません、手元にデータがないので分からないのですが。
○黒澤構成員 大体でいいのですが。
○櫻庭構成員 多分非正規の方では、勤務時間は様々かなと思っております。我々としても、例えば40時間とか20時間とか、特にそういう時間制限は設けていなくて、非正規の方で、自社内でのキャリアアップとか、別の会社での正社員としての就職を目指すとか、そういった方を主な対象にしております。
○黒澤構成員 オンラインのeラーニングではないのですね。
○櫻庭構成員 eラーニングで全部やらせていただいております。
○黒澤構成員 eラーニングでやっている。では、自分の好きなときに学べるという。
○櫻庭構成員 そうです。おっしゃるとおり、そうです。
○黒澤構成員 そうなのですね。
○黒澤構成員 ではもう、そういう訓練がオファーされているということなのですね。すみません。
○櫻庭構成員 講座が80時間とか100時間で設定されていて、訓練期間も本当に人によってまちまちで、2か月で終わる方もいれば4か月かかる方もいる。そういった形で、人に合わせてできるような柔軟なコース設定をしております。
○今野座長 どうぞ。
○大嶋構成員 すみません、何度もお話させていただいて。櫻庭さんに少しだけ御質問させていただきたいのです。私も地方で学びとキャリア支援を一緒にやるような取組をされている方にお話をお伺いしているのですが、やはりオンラインで学ばせる場合に、脱落率みたいなものが深刻で、出口を見せるというか、学ぶから展望が開けるというよりは、ちゃんと出口の展望が何かしらあるから学ぶのだということを、よく聞いています。今、東京都のお話を伺ったときに、多分、求人開拓までされてということをおっしゃっていたので、出口の展望をちゃんと入れられているのだなと思ったのですが、このプログラムでオンライン化をする場合も、いかに出口が少しでも見えている仕組みにするのかというのが大事かなと思っていまして、そのあたりについて、少し補足的にあれば伺えればなと思いました。
○今野座長 余り詳しく質問されると、次回にすることがなくなるので。
○大嶋構成員 すみません。
○今野座長 ちょっとだけ話をして、触りだけ。詳しくしゃべっては駄目ですよ。
○櫻庭構成員 はい。次のネタがなくなってしまうので。
○大嶋構成員 すみませんでした。
○櫻庭構成員 この事業は、おっしゃったように、eラーニングの場合は、やはり離脱率という問題がありますので、まず応募の段階で、キャリアカウンセラーが目的を聞かせていただいて、どういう業界で、どういった働き方がしたいのかというのを伺うようにしています。実際に訓練を始めてみると、やはり働きながら学ぶというのは、皆さん時間的にも相当な御負担ということで、なかなか進捗が悪い方もいます。そういった方に対しては、実はメンターと言いまして、それぞれ個人別に伴走して支援する体制も取らせていただいて、離脱しないようにお声掛けをしたりして、割と手厚くさせていただいております。
○宮地構成員 よろしいですか。
○今野座長 どうぞ。
○宮地構成員 離職者の方を対象にした話でないので、御参考までにということなのですが。当大学校では、職業訓練指導員の免許のオンライン講座をやっておりまして、施設から受講指示が都道府県の指導員の先生方、あるいは機構の指導員の先生方、あとは民間の方で指導員免許を目指される方も受講していらっしゃるのです。ただやはり、民間の方の脱落率が非常に高くて、先生方は勤務時間中に受講できるのですが、民間の方は勤務時間外ということになるのです。この講座は指導員免許の取得の目的がありますから、出口はかなり見えているのですが、それでもかなり民間の方は脱落されます。時間設定としては、名目として1日4時間なのですが、実際には難しいだろうということで、2時間以内程度で終わる設定にはなっているのです。ですので週10時間ぐらいなのです。それでも、出口が見えていても、民間の方はやはり働きながらというのはなかなか難しいということです。御参考までに。以上です。
○今野座長 今、大嶋さんのお話を聞いていると、大嶋さんは、何か地域でそういうことをされているのですよね。
○大嶋構成員 そうですね。これはデジタル領域の訓練の事例なのですが、佐賀県の取組や兵庫県の豊岡市の取組は、少し詳しく伺ったりしてお話を聞いております。佐賀県さんの取組は200名規模でやられて、オンラインもかなり取り組んでいるのですが、修了率が約8割だったと聞いていまして、どのように受講者に働きかけているのかは、参考になるのではないかと考えています。
○今野座長 では大嶋さんにも、次回に詳しくお話をいただくことを宿題にしたいと思います。今日はもうこれ以上しゃべる必要はないですから。ほかにいかがですか。もう少し時間がありますので、自由に議論したいと思います。どうぞ。
○武石構成員 すみません。私は次回に話すことは何もないので、何を言っても大丈夫だと思います。話を聞いていて、要は、eラーニングでできるようなものを提供して、お好きにどうぞというやり方で、とても手軽にやるやり方もあれば、2か月間、6か月間、このコースをやりなさいとかっちり決めて、それを受講させるというのと、いろいろなやり方があるなと思いました。私は発言する度に言ってかき回しているだけなのですが、つまり両方をイメージするのか、どうなのですかねという。何となくこの論点も、自己啓発が非正規の人たちは低いというようなデータがあって、自己啓発をもう少しやってくれみたいな話だと。ユーチューブを見て、簿記の勉強をしようかなというのも1つの自己啓発だと思うので、そのレベルでもいいのか。やはりある程度2か月ぐらいのコースを最後まで何回か取ったものを修了、認定か何かをするイメージなのか、いろいろな話がまた混ざっていて、ちょっと私自身が混乱しているということを申し上げました。
○今野座長 今、まだ上手に整理できていない理由はいくつかあると思うのですが、その中の1つは、非正社員と言っても、どんな人を想定しているのというのが、まだ全然共有化できていないということ。ですから、想定した層によって言うことが全く違うということになりますね。あともう1つは、またこの言葉が嫌いなのですが、仕上がり像みたいなものも共有化できていないので、高めで設定してしゃべっている人もいるし、低めで設定してしゃべっている人もいるし、最も低いのは、先ほどのITリテラシーみたいなものもあるし、その辺もやはりまだ共有化できていないということです。ですから、その辺を追い追い整理していけば、少しそういう混乱はなくなる。そうすると、eラーニングがいいのか、がっちりした対面のものがいいのか。これはHOW-TOの問題なので、最初からeラーニングでなければならないということにはならないですよね。こういう人にこういうことをしたときにはeラーニングの手がありますということなので、そういう点からすると、先ほど私が言ったようなことが整理されてくると、もう少し全体として整理されてくるかなとは思います。どうぞ。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。もうそろそろ時間なので。伺ったお話を踏まえまして、事務局としましても、この論点のあたりをブラッシュアップしていきたいと思っています。その際に今日の一番の問題は、一体誰を対象にするのか。それをどういう仕上がり像にするのかというのを、明確にしなければいけないという部分がありました。そこは我々も整理したいと思いますし、その際、どうしても役所というか、その辺のあれかもしれませんが、先ほど宮地先生がおっしゃったとおり、既存制度との重複というのは、我々は避けなければいけないものですから、そういうところの観点も踏まえつつ、どういうところが今足りなくて、どういうふうにすればより良いのかという部分で、今日の御議論も踏まえて整理させていただいて、次回またお示ししたいと思います。
○今野座長 ということで、もう事務局は完全にまとめに入りましたので、ちょっと早いけれど終わろうかなと思っているのですが、何か言い残したことございますか。私の今日の最大の成果は、3人の方に宿題を出せたことかなと思っています。何かこれだけは言い残したということがあれば、よろしいですか。では、今日の議論は、先ほど宇野さんが言われたように、新たな論点として整理していただけるということなので、次回の議論につなげていけたらと思います。
それでは、今日は大変貴重な、かつ活発な御議論をしていただきまして、ありがとうございます。ということで、終わっていいのですよね。それでは、事務局にお返しします。よろしく。
○松村訓練企画室長補佐 今野座長、ありがとうございました。また、本日御参加の皆様、長時間ありがとうございました。本日の議事録につきましては、皆様に御確認いただいた後に、資料とともにホームページで公開することとしているところです。次回の開催につきましては、別途、事務局から御連絡させていただきます。本日はどうもありがとうございました。
本来であれば、まず初めに人材開発統括官の奈尾より、本研究会の開催に当たっての御挨拶を申し上げるべきところではありますが、所用により欠席となりましたので、大臣官房審議官の原口より代読いたします。
○原口大臣官房審議官 大臣官房審議官の人材開発担当をしております原口と申します。以後、よろしくお願いいたします。
本日は皆様お忙しい中、公的職業訓練の在り方に関する研究会に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。また、この場をお借りいたしまして、日頃より人材開発行政に多大なる御尽力をいただき、御協力をいただいていることに関しまして、感謝申し上げる次第でございます。
DX、GXをはじめ、経済社会が急速に変化する中で、労働者に求められる職業能力につきましても、大きく変化しているところでございます。それに従いまして、公的職業訓練に期待される役割は、ますます高まっているという状況にございます。このため、有識者の皆様にお集まりいただきまして、今行われている公的職業訓練の検証・検討を行い、制度面における見直しを検討する本研究会を開催することといたしました。
私どもといたしましては先般、新しい資本主義実現会議で決定されました三位一体の労働市場改革の指針を踏まえまして、我が国の労働市場の重要なインフラである公的職業訓練の今後の在り方につきまして、皆様の立場や御見識から、幅広い御意見を期待しているところでございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 恐縮ではございますが、公務のため、原口はここで退席とさせていただきます。また、報道関係者の方々の撮影はここまでとなりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、構成員の皆様を順番に御紹介させていただきます。構成員の方々は一言、御挨拶をいただければ幸いです。まず学習院大学名誉教授の今野浩一郎様。
○今野構成員 今野です。よろしくお願いします。
○松村訓練企画室長補佐 続いて、リクルートワークス研究所主任研究員の大嶋寧子様。
○大嶋構成員 大嶋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 続いて、政策研究大学院大学理事・副学長 教授の黒澤昌子様。
○黒澤構成員 よろしくお願いします。黒澤です。
○松村訓練企画室長補佐 続いて、法政大学キャリアデザイン学部教授の武石惠美子様。
○武石構成員 武石です。どうぞよろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 続いて、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の職業能力開発総合大学校 職業能力開発原理ユニット准教授の宮地弘子様。
○宮地構成員 宮地と申します。よろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 続いて、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 求職者支援訓練部次長の宇佐美明伸様。
○宇佐美構成員 宇佐美と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○松村訓練企画室長補佐 最後に、東京都産業労働局雇用就業部能力開発課長の櫻庭拓也様。
○櫻庭構成員 櫻庭です。よろしくお願いします。
○松村訓練企画室長補佐 どうぞよろしくお願いいたします。次に、研究会の運営についてお諮りいたします。資料1の開催要綱を御覧ください。まずは1の目的についてです。技術の進展、経済的環境の変化、個人の働き方や職業キャリアに対する考え方の多様化などを踏まえ、企業や個人のニーズに適切に対応した公的職業訓練を提供する必要があるということで、この公的職業訓練制度の検証・検討に資するため、本研究会を開催させていただいたところです。
2の検討事項についてです。本研究会では次の検討事項を中心に、幅広く意見交換を行うものとします。(1)として、公的職業訓練の適正かつ効果的な運営の在り方に関すること。(2)として、新しいニーズに対応した公的職業訓練の制度の在り方に関すること。(3)として、公的職業訓練制度の検証に関すること。(4)として、その他です。
4の運営についてです。(2)ですが、研究会の座長は、構成員の互選により選出することとします。(4)は、後ほど改めて御説明させていただきますが、研究会は原則として公開することとしております。開催要綱の概要については以上です。
続いて開催要綱の4の(2)に基づく座長の選任です。研究会の座長は、構成員の互選により選出することとなります。皆様、いかがでしょうか。
○櫻庭構成員 今野先生を推薦いたします。
○松村訓練企画室長補佐 ただいま、今野構成員を座長にという御推薦がありました。皆様、いかがでしょうか。
(異議なし)
○松村訓練企画室長補佐 ありがとうございます。それでは、本研究会の座長を今野構成員にお願いいたします。ここからの進行は、今野座長にお願いいたします。すみませんが、中央の座長席にお移りいただきますよう、お願いいたします。
○今野座長 御指名ですので、司会役をさせていただきます。この研究会の成果は、言ってみれば構成員の皆さんからアイディアが出るかどうかに掛かっておりますので、是非とも忌憚のない御意見をいただくとともに、貴重な、そして有効な多くのアイディアを出していただきたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、議事次第に従って進めていきたいと思います。まずは議事の公開の申合せについてです。事務局からお願いします。
○松村訓練企画室長補佐 議事の公開について説明いたします。資料2を御覧ください。先ほども少し申し上げましたが、本研究会の議事は、原則として公開することとさせていただきたく存じます。例外として①から④にあるとおり、個人情報や企業秘密に関する情報を保護する必要があるなどの場合は、座長の御判断により非公開とすることもあります。その場合であっても理由とともに、議事要旨を公開するという取扱いとさせていただきます。なお、この取扱いは、厚生労働省が定める「審議会等会合の公開に関する指針」の考え方に準拠したものとなっていることを申し添えます。説明は以上です。
○今野座長 何か御意見はありますか。よろしいですね。では、そのように進めさせていただきます。
次は議題(2)「公的職業訓練の現状と研究会における今後の議論について」です。事務局から説明をお願いします。
○鶴谷訓練企画室長 皆様、今日はお疲れさまでございます。お越しいただきありがとうございます。訓練企画室の鶴谷と申します。よろしくお願いいたします。私からは議論の参考までにということで、公的職業訓練の概要と論点等について、御説明させていただきます。
まずはお手元の資料の中から、資料3「公的職業訓練の概要」の1ページを御覧ください。公的職業訓練、ハロートレーニングには職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練と、求職者支援法に基づく求職者支援訓練があります。この2つについて、御説明させていただきます。
まず、職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練です。対象者別に離職者向け、在職者向け、学卒者向けの訓練があります。訓練を提供している実施機関は国と都道府県で、更に離職者訓練の中には都道府県からは民間への委託という形で、訓練実施を民間の教育訓練機関にお願いしているものもあります。右側の求職者支援法に基づく求職者支援訓練は、もともと第二のセーフティネットとして出来上がった制度で、雇用保険を受給できない離職者向けの支援ですので、対象者は離職者向けの訓練しかありません。訓練を実施している機関は民間の教育訓練機関で、高齢・障害・求職者雇用支援機構により認定するという方法で訓練を実施していただいています。
訓練の規模を御覧いただきたいと思います。右下の表を御覧ください。これは令和3年度の受講者数の実績です。上の四角の中は公共職業訓練の実績で、離職者訓練の1年間の受講者数が11万人程度いらっしゃいました。在職者訓練については9万2,000人程度、学卒者向けの訓練については1万6,000人程度で、公共職業訓練全体では21万6,000人強の方に御利用いただいているものです。その下の四角の中が求職者支援訓練の実績で、こちらの受講者数は年間で2万8,260人でした。先ほど申し上げたとおり、離職者向けの訓練は、公共職業訓練と求職者支援訓練なので、両方を足して離職者向けでは年間13万6,000人程度の方に御利用いただいている状況です。
次に、これまでの公的職業訓練の経緯について御説明したいと思います。2ページを御覧ください。まず、職業訓練の基本的な法律について御説明します。最初に職業訓練の基本法ができたのが昭和33年(1958年)で、その頃はまだ職業訓練法というものでした。国の発展のためには技能労働者が必要だというコンセプトから、技能労働者の養成・確保を中心とした法律体系になっておりました。さらに1969年には経済の高度成長を背景に、新職業訓練法に全面的に改正されています。さらに時代は進み、事業主が行う職業訓練の推進というコンセプトも出てきました。職業能力開発の促進は職業生活の全期間を通じて、段階的かつ体系的に行われるようにという基本的理念が明確化してきたのも、1980年代のことです。職業訓練法ではなく、名前も職業能力開発促進法に変わったのが、1985年のことでした。少し時代が戻るのですが、1974年には雇用保険法が制定され、雇用保険三事業というものができております。これは事業主拠出による事業で、その中には能力開発事業もあります。
さらに時代は現代に近づいて1990年代、バブルの頃とバブルがはじけた頃です。この頃になりますと、高付加価値化を担う高度人材の育成の必要性が叫ばれてきました。1990年代には2回、職業能力開発促進法が改正されております。まず1992年(平成4年)です。それまで「職業訓練校」と呼んでいたものを「職業能力開発校」というように名称変更し、かつ単なる訓練施設ではなく、情報提供や相談援助の業務も総合的に行える施設に生まれ変わっております。1997年に、もう一回職業能力開発促進法が改正されております。それまでは職業能力開発短期大学校しかなかったのですけれども、高度な職業訓練の必要性がありましたので、新たに高度職業訓練を行える施設ということで、職業能力開発大学校が整備され、全国に10校設置されることとなりました。さらに時代が現代に近づきますと、だんだんと労働者が行う主体的なキャリア形成への支援が必要という時代に入ってきます。1998年には能力開発法ではなく、雇用保険法の改正になるのですが、教育訓練給付制度が創設されています。
3ページを御覧ください。2008年にはリーマンショックが起こりました。ここでは大量の長期失業者が発生してしまい、生活保護受給者が増えるのではないかということがあり、第二のセーフティネットの必要性が出てきました。そういうことで、2009年には雇用保険の失業等給付を受給できない方が、早期再就職を図るための第二のセーフティネットとして、緊急人材育成・就職支援基金により基金訓練等が創設されています。ただ、これは時限措置でしたので、法律の整備をして次の2011年に求職者支援法が作られ、現在の求職者支援制度が出来上がったところです。
さらに進みますと2020年代、トピックス的にはやはり新型コロナウイルス感染症の蔓延です。シフト制で働く方がシフトを減らされてしまうという状況がありました。そういった方々が少ない時間をやり繰りして訓練ができるように、通常の訓練よりも短時間・短期間の訓練コースの設定を可能とする特例措置を、2021年から始めています。最後に、直近の2022年には職業能力開発促進法を改正して、地域のニーズに応じた職業訓練の推進等のために、都道府県単位の協議会を展開しているところです。
次の4ページからは今申し上げた経緯に、参考となるような資料を付けています。全部説明すると長いので、必要な箇所だけ御説明させていただきます。まずは5ページを御覧ください。最初に御説明した公的職業訓練には、在職者向け、学卒者向け、離職者向けと、対象者別に3つのカテゴリーがありました。どうやって受講していただいているかという流れについて御説明いたします。まずは右側です。離職者については全て一旦、ハローワークに求職の申込みをして、御相談の上で訓練を受けていただくような形を取っております。ですから皆さん、ハローワークで受講のあっせん・推薦を受けて、訓練施設に申し込むような流れで訓練を受けていただいております。在職者と学卒者は左側にありますように、直接、能力開発施設にお申込みいただくような方法で受けていただいています。ただ在職者の場合は、在職者個人が直接申し込むというよりは、企業が自分の会社の労働者にスキルアップを図ってほしいということで、企業経由でお申込みいただいているところです。
6ページを御覧ください。先ほど、ハロートレーニングのうち、離職者向けの訓練が年間13万6,000人程度いたというお話をいたしましたが、どういった分野の訓練を受けていたかというのを表したものです。左側の円グラフを御覧いただきたいと思います。一番多いのが営業・販売・事務の訓練です。それ以外にもIT関連、製造関連、介護と、かなり多様な訓練を御提供させていただいているところです。
7ページを御覧ください。今申し上げた公的職業訓練のうち、離職者向けの訓練は年間13万6,000人の方に受講いただいておりますが、どこで訓練を受けたかという施設、実施していた場所についてお示ししたものです。受講者ベースでみて約77%の方は、民間の教育訓練機関の実施する訓練コースを受講いただいております。その他、いろいろと資料を付けておりますので、御参考にしていただければと思います。
それでは、本日御議論いただきたい事項について、資料4に基づいて御説明いたします。「ご議論いただきたい事項と論点案」の1ページを御覧ください。まずは本研究会で当面御議論いただきたい事項として、2点お示ししております。1点目が、非正規雇用労働者等が働きながらでも学びやすい職業訓練の具体的な制度設計についてです。先ほど申し上げたとおり、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、特例措置として在職者でも受けやすいように、短時間・短期間の訓練も御用意していたところですけれども、実際に蓋を開けてみますと、在職者の受講はなかなか増えなかったという状況です。このため、在職されている方であっても、働きながらでも学びやすい職業訓練の在り方を検討してはどうかと考えております。
また、5月16日に新しい資本主義実現会議で決定された、「三位一体の労働市場改革の指針」の中でも、企業内でも訓練機会に乏しい非正規雇用労働者等について、働きながらでも学びやすく、自らの希望に応じたキャリアアップにつながる柔軟な日時や実施方法によるリ・スキリング支援を実施することについて御指摘をいただいています。これも踏まえ、議論をいただければと考えております。
2点目は職業訓練による労働者、受講された方の賃金の変化を把握する手法についてです。現行上の職業訓練の効果の測定指標としては、離職者訓練であれば修了後の就職した人の割合、就職率で、在職者訓練については、事業主からの評価を用いています。しかし訓練を受けられたら、受講された労働者の賃金の変化、あるいは就職された後の賃金の変化を把握してはどうかという御意見もいただいているので、こういった面について御議論をいただきたいと思っております。ただし、最初から2つはなかなか難しいと思いますので、まずは議論の順番として、1番目の働きながらでも学びやすい職業訓練の具体的な制度設計から開始してはどうかと考えております。
そこで、働きながらでも学びやすい訓練について、現状と論点を御説明したいと思います。資料の2ページを御覧ください。まずは現状についてです。1つ目の○を御覧ください。企業の中におけるスキルアップについてです。「能力開発基本調査」によりますと、企業が行うoff-JTを見ても、正規と非正規を比べますと、非正規の方はなかなか対象になりにくいという結果が出ております。それとは別に個人調査でも、小さなポツの2つ目にありますように、自己啓発を行った割合を見ても、正社員と正社員以外では正社員のほうが多く、正社員以外の方は半分ぐらいしか自己啓発を行っていなかったという結果があります。現状での非正規雇用労働者は、企業内におけるスキルアップの機会が少ないという結果が出ております。
それから、○の2つ目です。現在、公的職業訓練に在職者訓練はありますけれども、スキームとしては企業が申し込んで、労働者に必要なスキルを身に付けさせるためのものです。訓練の費用も企業が負担しています。働きながら学びたいけれども、自主的に申し込むというスキームのものではありません。
3つ目の○です。在職者が自主的に受講されたい場合の支援策としては、教育訓練給付制度というのが別途ありますけれども、対象となるのは、例えば看護師や行政書士など、一定水準以上の資格取得を前提としたもので、極めて対象が限られています。
○の4つ目です。離職者向けの訓練であっても、在職者の方が受講することも可能ではあります。ただ、離職を前提にハローワークで求職の申込みが必要なスキームになっています。現状をみてみますと、例えば離職者向けの訓練という性格上、平日の昼間や決まった時間の受講が基本なので、在職している方が受けやすいかというと、そういうものでもない状況です。実際に一番下の○を御覧いただきたいと思います。受講されている方に占める在職者の割合をみ見たところ、全体の10%程度しか在職者の方はいらっしゃらなくて、ハローワークの新規求職者に占める在職者の割合よりも、かなり低い状況でした。
こうした現状を踏まえて、論点として3ページに挙げておりますので御覧ください。論点は大きく分けて4つあります。1つ目は受講の対象層と、それに関することです。論点1の①を御覧ください。まずは正社員と正社員以外という観点です。能力向上意欲というのは、どちらも同じように持っているのですけれども、先ほど御覧いただいたように、実際に自己啓発を行った者の割合は、正社員以外の方のほうが少ない状況です。そういった現状を踏まえて、もし対象にするなら正社員、正社員以外をどう扱うかというところです。正社員以外の方に支援をすべきではないかということも、検討していただければと思います。
②ですが、それに関連して、どのような仕上がり像を求めるかというところです。現在の教育訓練給付制度の場合は先ほど申し上げたとおり、一定水準以上の資格取得を目指すものです。こうしたものを適切とするか、それとも現状の離職者訓練のように、再就職を目指す程度と同程度とするか、どこが適切かというところも考える必要があります。
③は、仕上がり像とも関連するのですけれども、必ずしも転職を目指していないとすると、就職が最終ゴールではないので、職業訓練の効果測定を何で測るか、指標についての検討が必要になってきます。
論点の2番目は職業訓練コースの工夫というか、実施方法に関連することです。まずは①です。働きながら学ぶという特性を考えて受講日程の柔軟化、あるいはオンライン訓練のような通所しない方法も検討すべきかどうかというところです。
②です。働きながら学ぶということを考えると、途中で受講をやめてしまったりすることもあるかもしれませんので、受講の継続勧奨や知識の習得度合の確認をどうするかという検討が必要です。
③です。現在の公的職業訓練のうち、離職者向けの訓練については法律で無料にすることと決まっておりますので無料ですけれども、それ以外の訓練は、基本的に有料としております。働きながら学べる訓練の場合、費用負担をどうするかという検討も必要です。
論点の3つ目は、周知方法や申込みの方法についてです。①は、在職者の場合は転職の意思がないとすると、ハローワークを御利用にならないことから、周知や募集方法をどうするかという検討が必要です。同じくハローワークでお申込みになるわけではないので、どういった申込方法が適切かということも検討が必要です。
最後に4つ目です。訓練を実施する機関についてです。①にあるように、幅広い分野の訓練をニーズに合わせて機動的に提供していくためには、民間教育訓練機関を活用すべきかどうかということに加え、②にもあるとおり、仮に民間教育訓練機関を活用する場合、現在は都道府県による委託又は独立行政法人による認定で訓練を決めているところ、どのような選定、決め方をすればよいかという検討が必要になってきます。御説明は以上です。
○今野座長 それでは、ここから議論していただきます。資料3で、公共職業訓練の概況についてお話いただいたので、この点について何か御質問があれば、まずそれからお受けいたします。大丈夫ですか。皆さん、もう頭に入っているということで、よろしいですか。
次に資料4で論点について説明をいただきました。最初に働きながら学びやすい職業訓練について議論してほしいということです。働きながら学ぶということの現状についての説明が資料の2ページ目にあります。この現状について、何か御質問はありますか。よろしいですか。これも、もう頭に入っていますか。
○黒澤構成員 その点で質問です。前のことにも関連するのですが、資料3の経年的な変遷についての所で、在職者等に対し、通常よりも短時間や短期間の訓練コースの設定を可能とするという特例措置を取っていただいたわけですよね。しかし資料4の2ページでは求職者支援制度ですから、ちょっと違うのですね。また、離職者に対する訓練も確か短期間にしてくださったのですよね。
○鶴谷訓練企画室長 特例措置では、離職者訓練を短期間・短時間にしています。
○黒澤構成員 それは、具体的にはどのぐらいの短時間からOKということにしてくださったのですか。
○鶴谷訓練企画室長 期間でいいますと、2週間のコースも作れるようにしています。通常大体2、3か月というものを、2週間でもいいようにしています。時間に関して言いますと、受講時間が月100時間以上必要なところを、60時間まで短縮できるようにしております。
○黒澤構成員 とはいえ、やはりなかなか働きながらだと、非常に難しい面もあると。
○鶴谷訓練企画室長 そうですね、60時間ですので、基本的に週で割ると15時間ぐらい必要になるというような計算になります。
○黒澤構成員 ありがとうございます。
○今野座長 どうぞ。
○宇野人材開発政策担当参事官 今の説明に補足しますと、資料3の3ページの下から3つ目が先ほど御質問いただいた所です。要は問題意識としては、在職者の方々がシフト制で苦しい中で、本来は離職者向けの訓練なのだけれども、在職者の方々にも受けられるようにしましょうということで、先ほど説明した特例措置です。にもかかわらず、資料4の2ページの「現状」の下から2つ目の○に、先ほど室長が説明した特例措置の内容が書いてありますが、一番下にありますとおり、我々がターゲットとして想定していた在職者が実際に受講しなかったというのが、ここに書いてある現状です。
○今野座長 黒澤構成員、よろしいですか。
○黒澤構成員 すみません、先ほどの10%程度というのは、求職者訓練のうちですか、それとも離職者訓練のうちということですか。重箱の隅をつつくようなことを言って、すみません。
○鶴谷訓練企画室長 申し訳ないです。離職者訓練ではなくて、求職者支援訓練で書かせていただいております。
○宇野人材開発政策担当参事官 特例措置自体は、確か離職者訓練も求職者支援訓練も両方やったのですが、データが取れるのは求職者支援訓練です。ですので、今回お示ししているデータは求職者支援訓練のみとなっております。
○黒澤構成員 分かりました。ありがとうございます。
○大嶋構成員 この求職者支援訓練の中の短時間コースは、在職しながら学びやすい新しい訓練の参照になる部分があると思って伺います。短時間になったことで、コースの中身や領域の違い、例えば介護の分野が増えたといった学ぶ内容の違いやレベル感の差で、何かお気付きのことがあったら教えていただけないでしょうか。
○鶴谷訓練企画室長 短時間と短期間ともに中身はそんなに変わっていないと思うのですが、最終的に就職率をみると、通常の訓練よりも短期間や短時間のほうが低くなっているものもありました。そこは今いろいろと分析しているところです。
短時間といっても、60~100まで短時間になってしまうので、通常よりもかなり短いものと少し短いものとあります。
○今野座長 60~100は、単位は何ですか。
○鶴谷訓練企画室長 すみません、時間です。通常が月100時間の受講時間なのですが、一番短くしようと思ったら60時間にできます。訓練によっては、例えば80時間で設定するものもあって、それも我々としては短時間に含めて数えています。それを、さらに区分して見ていくと、中でも短い60時間に設定したもののほうが就職率は低いけれども、80時間ですとそこまで低くないというような結果があります。
○宇野人材開発政策担当参事官 もし座長がお許しいただければ、次回、短期間・短時間コースの分析資料を出させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○今野座長 ほかにいかがですか。私は内容ではないのですが、久しぶりに公共訓練の話を聞いたのですが、まだ「仕上がり像」と言うんだと思って。訓練の専門家の人たちは仕上がり像と言うけれども、第三者からすると言葉が感じ悪いような。これが表に出たときに仕上がり像と言われると、ちょっと感じ悪いなと思ったということだけです。ほかにいかがですか。
○宇佐美構成員 機構の宇佐美です。先ほど論点整理の中で、非正規労働者に対する職業訓練や訓練受講に関する説明がありました。我々機構においては、職業能力開発総合大学校の基盤整備センターが設置されており、そこで職業能力開発に関する調査開発事業をやっております。過去に、その事業で参考となりそうな調査報告が2件あります。1つが、「若年非正規雇用労働者に対する在職者訓練コースの設定、実施プロセスに関する調査研究報告書」と、もう1つは「全国の求職者を対象としたオンラインによる職業訓練(IT分野)の訓練効果及び課題に関する調査研究」の2点を過去に実施しております。
前者については、若年の非正規の方、わかものハローワークに通っていらっしゃる方にアンケート調査をしながら、コース設定やプロセスを検討しながら試行実施したもので、受講料や訓練時間、訓練期間といった調査結果をまとめております。後者のITの分野については、フルオンラインで実施する訓練を試行的に実施させていただいており、そのときに在職者に対して、いろいろとアンケートを取らせていただいております。もしかしたらこの研究会で何かの参考になるかと思いますので、こちらについても、次回簡単な資料をお持ちできればと考えております。
○今野座長 是非とも次回お願いします。資料についての質問は、もうこのあたりでなさそうですので、あとはもうフリーです。思っていることなど何でも結構です。では、私が口火を切りますが、訓練に来たときに、訓練時間が短いほうがいいだろう、長いほうがいいだろう、お金がかからないほうがいいだろう、かかったほうがいいだろうということを検討してほしいという内容になっていましたけれども、その前に訓練の場にどう持ってくるかというのもすごく難しい。もしかしたら、それが一番難しいのではないかと思うのですが。
その気になって訓練の場に来れば、ちょっとぐらい長かろうが、お金が余り高いとまずいですが、ちょっとかかりそうでもやるぞということになるのですが、そこに持ってくるのがすごく大変ではないかと思うのですが、それはどうですか。そのように私は思ったのですが。この点について実務のプロとしてはどうですか。
○櫻庭構成員 東京都の櫻庭です。おっしゃるとおり、我々も職業訓練を知っていただくところから、まずは大変だなと思っております。現状、ハローワークにお越しになる離職者の方は、失業給付を受け取る際に職業訓練を案内されて、そこで初めて知るという方が非常に多いと思っております。今回対象にしようとしている非正規雇用の方々は、やはりハローワークに来るという機会がありませんので、なかなか職業訓練自体を知っていただく機会が少ないと思っています。ただ、そうした中で転職やキャリアアップを検討される場合には、やはりインターネットで検索をする機会が非常に多いだろうと思います。
実は我々も非正規雇用の方も対象にしたような職業訓練をやらせていただいているのですが、広報の仕方としてはインターネットの検索のリスティング広告や、ターゲットをある程度決めたSNSを使った広告などをやらせていただいております。やはり広報としては、そういったインターネットを活用した広報、周知のほうが効果的かなとは思っているところです。
○武石構成員 私も、本人が自分のスキルをアップしたいというモチベーションがないと何も始まらないので、そこをどうするのかなというのは、今野座長と同じことを思っています。インターネットの広告も、多分ある一定のモチベーションがないと、その情報を見ても自分が対象だと思わないと思うので、動機付けをどうするのかなというのはすごく重要だというのが1つです。
それから別の視点なのですが、要はスキルアップしたいという人で、普通に簿記学校に行ったりする人もいるけれども、行く所が分からなくて困っている人たちをここで救うというイメージなのかなと思っています。そういう人に国からお金か何らかの支援が出るのだと思うのですが、自分でお金を払って行ける人たちと、どこでそこの線を引けばいいのか。非正規でしたら皆こっちで受けますというのともちょっと違うような気がするので、そこの対象層をどのように考えればいいのかというのも気になっています。問題提起しかできないのですが。
○今野座長 今の点について、何かありますか。
○宇野人材開発政策担当参事官 今、武石先生がおっしゃった点が正に論点1の部分のあたりで、やはり国がある程度公的なお金を使っていく以上は、対象をある程度絞りたいとは思っております。次の論点3のほうが周知方法、アクセスということで、先ほど、先生がおっしゃったものもあるのですが、ここの問題点は私どももいろいろ見聞きしている中で、1つはもちろんどうスキルアップしたい人をアクセスさせるかという問題もあるのですが、実は本来このあたりの層の人たちがスキルアップしたいと思っているのかどうか。スキルアップをしたいと思っていない人たちに、いや、実はスキルアップしたほうがいいですよというのを、どのように知らせるのか。そのために、それに対して公的なものがどう関与していくのかというのも含めて、論点1としては御議論いただきたいと思っております。
○今野座長 今の点に関連してちょっと思ったのですが、将来こういう仕事に移りたいなと思えば、訓練につくインセンティブというかモチベーションが生まれる。そういう点からすると、在職者が企業内で仕事を変えていくというのが一番分かりやすくて明確で間違いがないのですよね。そうすると、非正規の人が個人で訓練にアクセスすることが想定されていますが、何か上手に事業主媒介という手がないのかなと思ったのですが、いかがですか。
○大嶋構成員 今野先生がおっしゃったことは、正にそうだなと思っております。今はインターネット上ですごく柔軟で安価で質の高い訓練機会が、しかも10分単位みたいな形でたくさん出てくる中で、学ぶこと自体のハードルは下がっているけれども、そこにアクセスしないという問題があります。もう1つは、本当に勤め先でのステップアップにつながる学びが何か分からない、あるいは転職でのスキルアップにつながる学びが分からないということが、最大の問題ではないかと思っています。非正規の方向けに訓練スキームをつくるときも、学びの手前で学びへの導線を作ったり、本当にスキルアップにつながる訓練を示す行程がすごく大事なのではないかなと思っています。
その中で、訓練について上司や管理職が何か主体的に動いてくれる方と、動いてくれない方がいらっしゃると思います。後者に関して、労働市場の求人ニーズを把握している地域の人材事業者に委託して、その委託した所の方と地域の状況を踏まえて話す中で、この地域でステップアップするのだったら、このスキルがあなたの経験には役立つということをアドバイスするようなことが有効ではないか。あるいは深刻な人手不足の中で、特に問題意識がある経営者の方に至っては、非正規社員の方のステップアップを通じてつなぎ止めたいという方もいらっしゃると聞いています。ですので、上司の方に相談して、うちの職場でステップアップするのだったら、こういうスキルがいいのではないかという内容をメニューから選ぶなり、書くなりしてもらったシートに基づいて学ぶような、出口や実践と結びついたスキームにすることが必要ではないか。つまり、何のために学ぶのかを働き手も分かっており、学ぶ内容が企業のニーズと結びついている仕組みがあり得るのではないかと考えます。
○今野座長 今回のテーマは、あくまでも非正規等の在職者個人が訓練を受けるということなので、事業主が媒介するということは議論の対象外であれば議論から外すのですが。それも含めていいというのであれば、それも含めて議論することになるのですが。どう思っておりますか。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。確かに労働者の方、働いている方がどうやって学ぶかということについて、事業主ないし上司、管理職というところについての役割は非常に重要だというのは、実は今日お越しの武石先生が分科会長をやっていらっしゃいます人材開発分科会の中でガイドラインを作りました。それが学び直し促進ガイドラインというもので、企業内における事業主や企業の上司の役割の重要性が、やはり学びにつながるという話は御議論いただいて文章はまとまっております。ただ聞いていますと、まず日本の場合、正社員でさえ実は学ぶ人は少ない。ましてや、正社員と非正社員の間でもますます差が大きい。そのときに果たして、我々の理想と言っていいかどうか分かりませんが、事業主の方々や管理職の方々が正規、非正規に関係なく、正に同一労働同一賃金とありますが、そのような考え方で責任を持っていただくというのが一番理想ではあるのですが、やはりそうは言っても、いろいろな事情で、まず正社員でさえもまだ不十分なところに正規、非正規も含めて一緒にという話になってくると、この格差自体が是正しないのではないかなと思っています。
そういう意味では、今回の指針を踏まえてお題をいただいている中では、全体がどう学ぶかという話プラスこの差をどう埋めるかという話、この差異にはやはり公的な面、部分が必要なのではないかというように思っています。そういう意味では、事業主の方の重要性などを御議論いただいて、それが一種の報告書や取りまとめとして、出てくること自体は全く問題ない、むしろウェルカムなのですが、何かしらの非正規対策の中のアウトプットとして我々が考えているのは、事業主媒介ではない方法として、どういう形がいいのかということを、最終的には御議論いただきたいと思っています。
○黒澤構成員 何故正社員と非正社員とで、いわゆる人的投資の量が少ないかというと、それは非正社員のほうが同じだけコストをかけて投資をしても、そのリターンが得られにくいという状況があるからですよね。でも、それは決して事業主の立場からみて、非正社員だからスキルがなくていいわけではなく、もっと非正社員のスキルは高めてほしいわけですよね。それを例えば国が支援して高めてあげるよということを言ったら、それはもう事業主としてみたら、自分たちが雇っている非正社員に知らしめて、こういうスキームが今度できたからこういうものをやってこいと。その中で事業主としては、例えばオファーされたプログラムの中にコースはいろいろあるとして、その中で、この企業ではこういうのがいいよというのを言ってくれたらますますいいのですが。いずれにしても、そういうインセンティブは事業主には生じると思うので、例えば、それを事業主団体さんや経団連も含め、いろいろな所にお声掛けして、そこから広く従業員に活用してほしいとやることは、もちろん可能性としてはあると思います。そういう形での事業主からのインセンティブというのは、こういったスキームを考えていく上で生じてくると思うので、それを最大限に活用するというのがよいのではないかと思います。そこに先ほどおっしゃったように、地域での取組ができればますますよいですし、そのあたりは、いろいろ考える余地があるのではないかなと思います。
もう1つは、今は無償でMOOCやedXなど、大変質の高い訓練プログラムがあるのですが、やはり、特に非正社員の方々で、多くがまだ英語だというのもあると思うのですけれども、なかなかどれをやっていいのか分からないという状況があります。その中で、例えばコロナになってすぐに英国でボリス元首相がなさった、政府のポータルにおける無償のeラーニング、そういったことも考えてよいのではないかなと。とにかくボトムアップ。先ほど御紹介いただいた調査結果にもありますが、やはりITのベーシックなスキルというのは、今やもう全ての人が持たないといけないボトムラインであって、それは既に皆さんお分かりだと思うのですけれども、いろいろあって何をやっていいか分からないというときに、これをやろうねというものを、クオリティコントロールをして、政府が整理して提供すれば、非常に宣伝効果もあり、日本中に行きわたるのではないかと思ったりするのですけれど、いかがでしょうか。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。国がそのITのスキル標準を効果的なものに整理整頓してお示しできればいいのでしょうけれど、果たして、そこまできちんとお示しできるかという課題があります。
もう1つ、やはり重要なこととしては、学ぼうという意欲というのは、幾ら無償にしても、サイトにしても、結局ポータルサイトでアクセスしなければできないわけですから、やはりその際に、今回の御議論の中の少し外へ出るかもしれませんが、意欲喚起という意味では、みんなもっと学ぼうよというような国民運動、ある種の啓発的なものも必要かもしれませんし、実際学べと言われても、私は何を学んでいいか分かりませんというときに、では、それに対して無償でコンサルティングに行けるといった場も併せて調整する。その上で多様な選択肢を御用意する。その中には、もしかしたら私はITというよりは、エッセンシャルワーカーではないですが、自分のほかのメリットを使って働きたいんですという方もいらっしゃるでしょうし。いろいろな場面、いろいろな方、いろいろな御要望がありますので、その中でどうやって選択肢を増やしていくのかなというところが重要ではないかなと思います。そういう意味では、事業主の関与というところは我々も非常に重要だと思っています。
一方で、さっき黒澤先生がおっしゃっていた、これは国がやっていくのだから、もう企業は非正規の方の面倒を見なくてもいいんですよみたいなことを言い始めると、これは逆効果みたいになりますよね。
○黒澤構成員 いや、面倒を見なくていいとは言ってないですけれども。私自身、管理職の立場からですが、うちの場合は非正規の方も学ぶ意欲が大変高いです。けれども、何をどこで学べばよいのか分からないというのが問題です。例えば先ほどのイギリスの場合、アクセンチュアやGoogle、Amazonやリーズ大学など、その辺が中心になって訓練プログラムを作っているわけですけれども、基本的にWordやExcelというのは、グローバルスタンダードとしてやり方が決まっていますので、その辺は税金で皆さんに提供しましょうというような、そのぐらいの大盤振舞をやってもいいのではないかというように思ってしまいます。
先ほどおっしゃったように、個人によってもちろん好みはあると思いますし、皆さんのキャリアによって必要なスキルも様々ですが、先ほどのイギリスのSkills ToolkitでオファーされているコースはベーシックなITだけでなく、リーダーシップやコミュニケーションスキル、プロジェクトマネジメント、簿記、それからデジタルデザインやマーケティング、コンピュータサイエンス、サイバーセキュリティとAIクラウドコンピューティングなど、本当に多岐にわたるのですね。そこまでを全部国が無償で提供をするという、すごいことですよね。もちろん、おっしゃるとおり、訓練と補完的な、相談やコンサルティングの部分をやるというのは、大変重要なことだと思います。やりっ放しではなく。しかしながら、やはり学びというのは、最初のきっかけがあってこそ、これで何か自分が学べたということを知ってこそ次の学びにつながっていくわけで、そこの世界にまずは引き入れる。考えてみると、コロナのときは、ほかの国はもっと日本よりシビアなロックダウンを経験したので、日本より多くの国民が在宅勤務で、オンラインで仕事をしなければならない状態になったわけです。そういう意味では、ほかの国の国民のITレベルはそのことで高められざるを得ないような状態になった。しかし日本はそうではなかったので、諸外国と比べても非常に遅れを取ったというように私は感じてしまうのですよね。ですので、ここはもうちょっと、そのぐらい踏み込んでいいのではないかというように思ってしまいました。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。すみません、私が先ほど言った事業主うんぬんというのは、むしろ事業主の関与を否定するわけではないのですが、先ほど、大嶋先生がおっしゃった地域の取組というところに非常に関心というものがありまして、日本の場合は、どうしても企業経由というのが1つの大きな柱でありました。今回の指針でも、企業経由から個人経由というのが方針に出ていますけれど、ただ、そうは言っても個人が全て選択できるわけではありませんので。そういう意味で地域の取組は、さっき大嶋先生がおっしゃった点が、むしろ何か御参考になれる部分があるのか。あとは、先ほど櫻庭先生がおっしゃった、東京都でも非正規の対策をやっているのかという取組があったと思いますので、是非その辺も、またちょっとこの研究会の場でもお示ししていただけると有り難いと思ったということです。
○今野座長 議論を聞いていると、今回提示されている論点は訓練をどうしたらいいかという「How to」に関わる論点が多いのですが、実はその前に、やる気になってもらうとか、やる気になったときに、どういうような能力を付けたらいいのだろうかと考えてもらうとか、その次には訓練機関にどうアクセスしたらいいのだろうかという訓練の前段が大切なのではないかということだと思うのです。ですから、ここでの議論の範疇として、その前段のほうもどうしたらいいかということを考えたほうがいいかなというように思いました。ということで、提示していただいた論点を越えてもいいですよね。
○事務局 越えていただいても差し支えありません。
○武石構成員 資料4の現状の所で、正社員以外が一番能力を高めたいというのがIT、OAプラス一般的な知識、能力、いわゆるオフィスソフトウェア操作などというのは、さっきの黒澤先生がイギリスでやっているというところと重なり、多分、かなり初歩的なところはここに入ると思うのです。こういうものだったら結構簡単にそんなにコストが掛からないで提供できて、部下がWordは使えてもExcelのグラフが作れないみたいな人がいたら、ちょっとこれあるから行ってこいみたいなことで、手軽にできるのかなということがあります。ただ一方で、やはりもう少し、スキルアップといってもレベルはどこまで考えますかというのもあって、そこでいいのか、何かレベルの高いものまで考えなくてはいけないのかというと、そこはどうなのかなと思っています。
要は初歩的なもので、10時間ぐらいeラーニングを聞けば一応のものはできるということであれば、そのコンテンツ作成自体はそれほどお金は掛からないし、やり方も簡単だし、無料でやってもいいのかなと思うのです。一方で、リーダーシップとか対面でやるようなものまで必要になると、結構コストが掛かって、無料でいいのかなということになるので、そこら辺のプログラムの中身もどうするかというあたりについて、どう議論するかなというのがちょっと気になっています。
○今野座長 今のお話を聞いていると、先ほどの言葉でいうと「仕上がり像」、私は余り好きではない言葉ですが、仕上がり像と関係するのですが、ここで我々が想定している非正社員の人というのは、職業能力上、どのレベルの人と考えているのだろうかということを決めないと仕上がり像は決まらないですよね。この点については、多様だからそんなことは設定しないという考え方があります。けれども、それでは政策を作れないので、大勢としてはこんな感じだから、それに合わせてこういう訓練が必要かなということを想定するという考え方があります。この場合には、大勢とは何かについて共通理解しておかないと議論が混乱してしまうかなというように思ったのですけれど。いかがですかね、武石さん。
○武石構成員 私もどこを目指すのかなという、本当に底上げというか、もうある程度のところまで、そのある程度がどこだか分からないですけれども、取りあえず日本で働く人は、これぐらいは知っていると日本としてはいいというぐらいのところなのか、もうちょっとスキルアップを目指すのかというものはどうなのですかね。
○櫻庭構成員 今の仕上がり像の話になると、そもそも非正規をどう捉えるかというところなのですが、正規で雇用するか非正規で雇用するかについては、それこそ事業主によりいろいろなお考えがあるかなと思います。我々が今回、訓練をテーマに議論するのであれば、基本的には、例えばスキルがあれば正社員として事業主は雇うのではないか。要はスキルがあれば正社員、余りスキルがなければ非正規みたいな、仮ですが、それぐらいの設定をしておいたほうが、我々としては議論をするときには1つ目安になるかなとは思います。もちろん、一般的にはそれと違うということはたくさんあるとは思いますけれども。最初は一旦それぐらいの目安を設定しておいたほうがいいではないかなとは思います。
○宮地構成員 あと現状、教育訓練給付金や求職者支援訓練という制度がある中で、あえての新しい制度ということですので、現状の制度がカバーしていないところを公共で作っていくということになると思うのです。そうすると、教育訓練給付金は、ある一定の資格というレベルを基にしていますので、恐らくそうではない。求職者支援訓練と同等ではあるのだけれども、短時間・短期間の訓練で捕まえきれなかった方々をカバーしていくというところが、またどんな設定になるのかなという気がしております。
あとは、先ほどの全体の議論なのですが、確かに、広く非正規の方に周知できれば一番いいのですけれども、なかなか難しいかなというところも実感しておりまして、非正規の方々は、職種ごとに実は緩やかなネットワークを持っていらっしゃって、同じ職種の方がスキルアップの訓練を受けた経験というのを聞くことが、実は私にもできるんだという自己効力感を最も効果的に喚起するということを言われているのです。ですので、もちろん広く周知するということをやりつつも、まずはこの捕まえきれていない意欲のある方々をきちんとキャッチして、そこからネットワークを通じて広げていくという、まずは小さく始めて、そこから広げていくという手もあるのかなというように考えております。
○今野座長 私も知らなかったのですが、今のお話で、非正規の人で同じ職種の人は何かグループがあるというお話でしたが。
○宮地構成員 例えば、ITのオフィスソフトの講師の方々とかですと、講習に行った現場で、いろいろな派遣会社の講師の方が来ていて情報交換をされるらしいのです。私はこういうスキルアップをしましたとか、こういう転職先があるよとか、それが非常にスキルアップの意欲と実行の乖離を埋めているという話を聞いたことがありまして、やはり身近で同じ境遇にある方々の経験というのは、すごく効果的な動機付けになっているということです。
○今野座長 私は今のお話を聞いていて思ったことは、我々は一言で非正規と言うけれど、その現状は多様ということです。今、宮地さんがおっしゃられたのは研修講師でしょ。私がイメージしているのは、スーパーのパートの人。全然違うよね。それをちょっと感じました。でも、今おっしゃられた、取りあえず非正規の人を、正社員というのをどういう意味かというのはまた考えないといけないのだけれど、正社員に上がるぐらいにするというように考えてしまおうというのは1つのやり方かもしれないですよね。大嶋さん、何かしゃべりたそうですね。
○大嶋構成員 ありがとうございます。以前、3年以上離職期間があって、再就職された方の研究をしたことがあります。再就職される女性はパートなど短時間で働き始めることが多く、一定期間を経た後に正社員というような形でジャンプしていくのですが、これを踏まえると訓練を受けた後すぐ正社員というのではなくて、比較的長いパスの中で正社員を目指すような姿のほうが、もしかしたらリアリティに近づいてくるかもしれないと思いながら聞いておりました。
○今野座長 先ほどの非正社員が正社員になるということを、取りあえず想定しようということになったときに、正社員のどのレベルを考えていらっしゃいますか。
○櫻庭構成員 経験を基に転職してきた方、即戦力の方というほどではなく、今後企業として育てて、ある程度の仕事を中核として、管理職ではないにしろ、現場でリーダーシップを発揮することが期待できる人材ぐらいのイメージをしております。
○今野座長 ほかにいかがですか。今日は、次回もそうかもしれませんが、余り司会者としてはまとめる気はないので、どんどん言いたいことを言っていただいて、個別でもいいので、何かいろいろなアイディアをいただければと思います。
○櫻庭構成員 すみません、よろしいですか。
○今野座長 どうぞ。
○櫻庭構成員 ちょっと話が戻る部分もあるのですが。
○今野座長 よろしいですよ。
○櫻庭構成員 今回、訓練を企画するに当たって、この論点に基づいてというか、まず手法としては、私としては、やはりeラーニング中心がいいかなと思っているところです。我々も、非正規の方々のスキルアップを個人向けに支援する場合は、どうしても働きながらということで、当然、事業主経由でない支援となりますと、事業主の理解を得て勤務時間中することはできませんので、例えば平日働かれている、日中働かれている方が、平日の夜や土日に、お時間があるときに学ばれるということなので、やはり、自分の好きなときにできるeラーニングが非常に有効であるかなと思っております。もし今回も対象が非正規で、かつ事業主を経由しないで支援するのであれば、やはりeラーニングがいいかなとは思っております。あと非正規の場合だと、やはり勤務時間も様々ですので、そういった意味では、それがふさわしいかなと思っております。
併せて、仕上がり像についてもですが、今回どういう方を対象にするかというのもあるのですが、お話にあったような、例えばこの先自社内で当然スキルアップをして、正社員として賃上げというのを目指す方も当然いらっしゃるとは思いますし、そういう方のスキルアップの機会もやはりあるべきだとは思っている一方で、我々も、そういう方も当然支援はしているのですが、難しいと思ったのは、スキルアップした後の正社員化ですとか賃上げというのは、従業員がどんなに頑張っても、やはり事業主側の理解がないと、どうしてもできるものではないと思っているので、訓練の目的は最終的に自社内での正社員とか、自社内の賃上げというふうにもし設定をしようというのであれば、逆に、個人向けの訓練とか支援というスキームではなくて、事業主を巻き込んだ形の事業として、そちらについては検討したほうが効果は上がるのではないかと思っています。
もし今回、非正規の個人の方を対象にするのであれば、例えば同じ分野で別の会社に転職をして正社員を目指す方、そのために必要なスキルや必要な資格を取得する方もいると思います。また、全く違う職種に行くという方もいるかと思いますが、。そういう方には、レベルとしては離転職者向けぐらいの水準のスキルアップできる訓練を実施するのが良いと思います。このように、2パターンがあってもいいかなと思います。同じ分野の方には、ある程度の資格なり、ちょっとプラスαの、ミドルからハイレベルぐらいのスキルを習得できる訓練を実施してもいいかなと。様々な対象と様々な目的がありますので、なかなかターゲットを絞るのも難しいと思いますが、同じ分野での正社員の転職を目指すか、違う分野での正社員の転職を目指すか。正社員でなくても場合によってはいいかもしれないですが、別の分野、成長産業分野に促すというのも1つかなと思っております。すみません、まずはここまで。
○今野座長 櫻庭さんはあれですよね、既にこれまでに、そういう事業をされているのですよね。
○櫻庭構成員 そうです。自分の紹介とか余りしないで、すみません。実は私どもも、非正規の方と求職者も含めてなのですが、そういった方を多くの対象として、eラーニングで資格の取得を目指すとか、あとはデジタルのスキルを修得するとか、そういう10個ぐらいのコースを設けていて、転職を希望する方には求人開拓や求人紹介もしていて、要は、身に付けたスキルと企業とのマッチングをして、転職を支援したいという形で事業を実施しております。
○今野座長 それは、非正社員の人が対象ですか。
○櫻庭構成員 対象は非正規の方、若しくは求職中の方とさせていただいています。
○今野座長 では、次回にでも詳しくお話をいただいて。
○黒澤構成員 すみません、櫻庭さんに御質問です。非正社員でお示しの訓練に御参加されている方というのは、非正社員だけれどもフルで働きながらという感じですか。どういう方が多くいらっしゃいますか。
○櫻庭構成員 すみません、手元にデータがないので分からないのですが。
○黒澤構成員 大体でいいのですが。
○櫻庭構成員 多分非正規の方では、勤務時間は様々かなと思っております。我々としても、例えば40時間とか20時間とか、特にそういう時間制限は設けていなくて、非正規の方で、自社内でのキャリアアップとか、別の会社での正社員としての就職を目指すとか、そういった方を主な対象にしております。
○黒澤構成員 オンラインのeラーニングではないのですね。
○櫻庭構成員 eラーニングで全部やらせていただいております。
○黒澤構成員 eラーニングでやっている。では、自分の好きなときに学べるという。
○櫻庭構成員 そうです。おっしゃるとおり、そうです。
○黒澤構成員 そうなのですね。
○黒澤構成員 ではもう、そういう訓練がオファーされているということなのですね。すみません。
○櫻庭構成員 講座が80時間とか100時間で設定されていて、訓練期間も本当に人によってまちまちで、2か月で終わる方もいれば4か月かかる方もいる。そういった形で、人に合わせてできるような柔軟なコース設定をしております。
○今野座長 どうぞ。
○大嶋構成員 すみません、何度もお話させていただいて。櫻庭さんに少しだけ御質問させていただきたいのです。私も地方で学びとキャリア支援を一緒にやるような取組をされている方にお話をお伺いしているのですが、やはりオンラインで学ばせる場合に、脱落率みたいなものが深刻で、出口を見せるというか、学ぶから展望が開けるというよりは、ちゃんと出口の展望が何かしらあるから学ぶのだということを、よく聞いています。今、東京都のお話を伺ったときに、多分、求人開拓までされてということをおっしゃっていたので、出口の展望をちゃんと入れられているのだなと思ったのですが、このプログラムでオンライン化をする場合も、いかに出口が少しでも見えている仕組みにするのかというのが大事かなと思っていまして、そのあたりについて、少し補足的にあれば伺えればなと思いました。
○今野座長 余り詳しく質問されると、次回にすることがなくなるので。
○大嶋構成員 すみません。
○今野座長 ちょっとだけ話をして、触りだけ。詳しくしゃべっては駄目ですよ。
○櫻庭構成員 はい。次のネタがなくなってしまうので。
○大嶋構成員 すみませんでした。
○櫻庭構成員 この事業は、おっしゃったように、eラーニングの場合は、やはり離脱率という問題がありますので、まず応募の段階で、キャリアカウンセラーが目的を聞かせていただいて、どういう業界で、どういった働き方がしたいのかというのを伺うようにしています。実際に訓練を始めてみると、やはり働きながら学ぶというのは、皆さん時間的にも相当な御負担ということで、なかなか進捗が悪い方もいます。そういった方に対しては、実はメンターと言いまして、それぞれ個人別に伴走して支援する体制も取らせていただいて、離脱しないようにお声掛けをしたりして、割と手厚くさせていただいております。
○宮地構成員 よろしいですか。
○今野座長 どうぞ。
○宮地構成員 離職者の方を対象にした話でないので、御参考までにということなのですが。当大学校では、職業訓練指導員の免許のオンライン講座をやっておりまして、施設から受講指示が都道府県の指導員の先生方、あるいは機構の指導員の先生方、あとは民間の方で指導員免許を目指される方も受講していらっしゃるのです。ただやはり、民間の方の脱落率が非常に高くて、先生方は勤務時間中に受講できるのですが、民間の方は勤務時間外ということになるのです。この講座は指導員免許の取得の目的がありますから、出口はかなり見えているのですが、それでもかなり民間の方は脱落されます。時間設定としては、名目として1日4時間なのですが、実際には難しいだろうということで、2時間以内程度で終わる設定にはなっているのです。ですので週10時間ぐらいなのです。それでも、出口が見えていても、民間の方はやはり働きながらというのはなかなか難しいということです。御参考までに。以上です。
○今野座長 今、大嶋さんのお話を聞いていると、大嶋さんは、何か地域でそういうことをされているのですよね。
○大嶋構成員 そうですね。これはデジタル領域の訓練の事例なのですが、佐賀県の取組や兵庫県の豊岡市の取組は、少し詳しく伺ったりしてお話を聞いております。佐賀県さんの取組は200名規模でやられて、オンラインもかなり取り組んでいるのですが、修了率が約8割だったと聞いていまして、どのように受講者に働きかけているのかは、参考になるのではないかと考えています。
○今野座長 では大嶋さんにも、次回に詳しくお話をいただくことを宿題にしたいと思います。今日はもうこれ以上しゃべる必要はないですから。ほかにいかがですか。もう少し時間がありますので、自由に議論したいと思います。どうぞ。
○武石構成員 すみません。私は次回に話すことは何もないので、何を言っても大丈夫だと思います。話を聞いていて、要は、eラーニングでできるようなものを提供して、お好きにどうぞというやり方で、とても手軽にやるやり方もあれば、2か月間、6か月間、このコースをやりなさいとかっちり決めて、それを受講させるというのと、いろいろなやり方があるなと思いました。私は発言する度に言ってかき回しているだけなのですが、つまり両方をイメージするのか、どうなのですかねという。何となくこの論点も、自己啓発が非正規の人たちは低いというようなデータがあって、自己啓発をもう少しやってくれみたいな話だと。ユーチューブを見て、簿記の勉強をしようかなというのも1つの自己啓発だと思うので、そのレベルでもいいのか。やはりある程度2か月ぐらいのコースを最後まで何回か取ったものを修了、認定か何かをするイメージなのか、いろいろな話がまた混ざっていて、ちょっと私自身が混乱しているということを申し上げました。
○今野座長 今、まだ上手に整理できていない理由はいくつかあると思うのですが、その中の1つは、非正社員と言っても、どんな人を想定しているのというのが、まだ全然共有化できていないということ。ですから、想定した層によって言うことが全く違うということになりますね。あともう1つは、またこの言葉が嫌いなのですが、仕上がり像みたいなものも共有化できていないので、高めで設定してしゃべっている人もいるし、低めで設定してしゃべっている人もいるし、最も低いのは、先ほどのITリテラシーみたいなものもあるし、その辺もやはりまだ共有化できていないということです。ですから、その辺を追い追い整理していけば、少しそういう混乱はなくなる。そうすると、eラーニングがいいのか、がっちりした対面のものがいいのか。これはHOW-TOの問題なので、最初からeラーニングでなければならないということにはならないですよね。こういう人にこういうことをしたときにはeラーニングの手がありますということなので、そういう点からすると、先ほど私が言ったようなことが整理されてくると、もう少し全体として整理されてくるかなとは思います。どうぞ。
○宇野人材開発政策担当参事官 ありがとうございます。もうそろそろ時間なので。伺ったお話を踏まえまして、事務局としましても、この論点のあたりをブラッシュアップしていきたいと思っています。その際に今日の一番の問題は、一体誰を対象にするのか。それをどういう仕上がり像にするのかというのを、明確にしなければいけないという部分がありました。そこは我々も整理したいと思いますし、その際、どうしても役所というか、その辺のあれかもしれませんが、先ほど宮地先生がおっしゃったとおり、既存制度との重複というのは、我々は避けなければいけないものですから、そういうところの観点も踏まえつつ、どういうところが今足りなくて、どういうふうにすればより良いのかという部分で、今日の御議論も踏まえて整理させていただいて、次回またお示ししたいと思います。
○今野座長 ということで、もう事務局は完全にまとめに入りましたので、ちょっと早いけれど終わろうかなと思っているのですが、何か言い残したことございますか。私の今日の最大の成果は、3人の方に宿題を出せたことかなと思っています。何かこれだけは言い残したということがあれば、よろしいですか。では、今日の議論は、先ほど宇野さんが言われたように、新たな論点として整理していただけるということなので、次回の議論につなげていけたらと思います。
それでは、今日は大変貴重な、かつ活発な御議論をしていただきまして、ありがとうございます。ということで、終わっていいのですよね。それでは、事務局にお返しします。よろしく。
○松村訓練企画室長補佐 今野座長、ありがとうございました。また、本日御参加の皆様、長時間ありがとうございました。本日の議事録につきましては、皆様に御確認いただいた後に、資料とともにホームページで公開することとしているところです。次回の開催につきましては、別途、事務局から御連絡させていただきます。本日はどうもありがとうございました。