2023年5月19日 第7回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ 議事録

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和5年5月19日(金) 15:58~16:47

場所

厚生労働省仮設第3会議室

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:主査)
  •  稲葉 由之
  •  風神 佐知子
  • ◎加藤 久和
  •  高橋 陽子
  •  樋田 勉
構成員以外の関係者
  •  西郷 浩(早稲田大学政治経済学術院教授)
  •  眞子 武久 (東京都総務局統計部人口統計課)
事務局
  •  岸本政策統括官
  •  田中政策立案総括審議官
  •  牧野参事官(企画調整担当)
  •  飯島統計企画調整室長
  •  渡邉審査解析室長
  •  角井統計管理官
  •  前原雇用・賃金福祉統計室長補佐
  •  松原雇用・賃金福祉統計室長補佐

議題

  1. 1 季節調整法について
  2. 2 その他

議事

議事内容

○飯島統計企画調整室長
 定刻より少し早いですが、ただいまから、第7回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中御出席いただき誠にありがとうございます。
 私は本年4月に統計企画調整室長を拝命しました飯島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の委員の出席状況ですが、全ての委員が御出席でございます。また、本日は審議協力者として、早稲田大学政治経済学術院教授の西郷先生、東京都総務局統計部人口統計課の眞子課長に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、審議に入ります前に、事務局に異動がありましたので御紹介させていただきます。雇用・賃金福祉統計室の角井伸一です。
 それでは、以後の進行につきましては、加藤主査にお願いいたします。
 
○加藤主査
 皆様、本日はお忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。それでは、早速議事を進めてまいりたいと思います。本日の議題ですが、1.季節調整法について、2.その他となっております。なお、本日のワーキンググループは17時までを予定しておりますが、予定を若干過ぎる可能性もあるかと思います。そのような場合、御予定がある方は御退席いただいても結構です。
 それでは、議事1の「季節調整法について」審議を行いたいと思います。毎月勤労統計調査に適用する季節調整法については、前回第6回ワーキンググループにおいて検討の方向性について御議論をいただきました。今回は、前回ワーキンググループでの御議論を踏まえ、事務局のほうで検証の結果を取りまとめ、具体的な季節調整値作成の手順の案などの資料を準備していただきました。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○角井統計管理官
 雇用・賃金福祉統計室の角井と申します。資料に沿って説明したいと思います。お手元の資料を御覧ください。季節調整法の検討結果についてです。前回から少し時間が経ったものですから、前回の資料を付けております。1ページ目につきましては、X-12-ARIMAの概要です。御覧いただいたとおり、丸1、丸2、丸3の3つのパートに分かれておりまして、事前調整パート、X-11による移動平均パート、事後診断パートというパートに分かれております。
 2ページ目です。そもそもX-12-ARIMAにするということについてですが、左下に書いてありますX-11についての課題があります。X-11につきましては、データが追加されるたびに少し改訂が大きくなるということがありました。それから、異常な変動が含まれている場合については、前後に引き延ばして山や谷を作り出してしまう場合があるということがありました。こちらについてはX-12-ARIMAで改善されるということです。
 3ページ目です。REGARIMAというモデルを使うのですけれども、後から出てきますp, d, q, P, D, Qという変数についての数式が書いてあります。ここでは説明は割愛しますけれども、こういう形のモデルを使いまして、計算していくということです。ここまでは前回WGの資料でした。
 4ページ目です。先ほど申しました検証作業の概要としまして、パートに分けて説明したいと思います。最初の事前調整パートにつきましては、丸1回帰変数の設定、丸2ARIMAモデル(p d q)(P D Q)の設定を踏まえた上で、X-11による移動平均パートに移ります。こちらで計算した結果を事後診断パート、丸4で実際に検証作業をしていくということです。
 5ページ目です。今回の検証における試算内容の概要です。最初に4つのチェックマークがあると思いますが、これを説明します。検証につきましては、センサス局からダウンロードされた最新版のX-13ARIMA-SEATSを使っております。X-13ARIMA-SEATSの中のX-12-ARIMAのパート部分を使うということです。検証に用いるデータにつきましては、2022年12月までとしました。3番目が系列数ですが、現在我々が扱っております972系列全てで行っております。4つ目ですけれども、専門的なところが多いものですから、先行している労働力調査、あるいは鉱工業指数の調査担当者へのヒアリングを行っております。こちらのヒアリングを行った上で、参考になるものについては取り入れながら今回検証しております。
 下にあるボックスですが、順番にSTEP1からSTEP5まで順に検証しています。STEP1につきましては、ここは結構重要なポイントである外れ値の設定です。丸2にありますとおり、X-12-ARIMAにつきましては、“outlier”コマンドというコマンドで外れ値については検出されるということですが、一部検出ができないものもあるので丸1にあります職員が目視で外れ値を確認したいと考えております。STEP2につきましては、曜日変動の設定で、こちらは機械的に検出されます。STEP3の祝日変動についても機械的に検出されます。STEP4は、先ほど申しましたARIMAモデル、p, d, q, P, D, Qの選定で、X-12-ARIMAについては、丸1にありますとおり“automdl”コマンドで自動的に選定されます。一方で、我々としては“automdl”コマンドを使いたいのですけれども、労働力調査で行っております方法が丸2にあります。d, Dのところを1に固定しまして、p, q, P, Qの所を0、1、2の3通りで計81通りで計算します。これを行った上で、赤池情報量基準(AIC)が最小となるものを選ぶというやり方もありましたので、一応これも検証の中に入れてあります。最後のSTEP5ですが、回帰期間の設定で、これも難しいのですが、今回、ここでは12年、20年、28年という形で行っております。
 具体的な検証作業です。6ページのSTEP1の外れ値についてです。先ほど申し上げました“outlier”コマンドについて検出されるということですが、下段にあります外れ値の4つのパターンがありますが、丸1から丸4のうちの丸4「RP」という傾斜的水準変化については、“outlier”コマンドでは検出されないので、こちらはどうしても職員が目視で確認する必要があります。もう1つ丸のところで、外れ値につきまして、特に大きい事象としまして、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナについては外れ値として出てくると考えておりますので、こちらについても職員がきちんと説明できるような形で外れ値が出ているかを検証したいと考えております。
 7ページはもう少し具体的に書いたものです。「“outlier”コマンドの出力結果、職員が選定する際の基準について」の所にチェックマークが3つ書いてあります。“outlier”コマンドにつきましては、t-値がおおむね4以上、これを外れ値として自動検出するという基準になっていますので、まずこれを検出します。2番目の“outlier”コマンドを使うに当たってARIMAモデルを設定しないといけないのですが、ここでは特に当てはまりのよい(0 1 1)(0 1 1)で、こちらを使用しております。それから、職員が外れ値を選定する場合については、まずt-値がおおむね4以上、これは変わりませんが、それにプラスして、理由がきちんと説明できるようなもの、こちらはどうしても職員がやらなければならないと考えています。なお書きで書いてありますとおり、ここは結構時間がかかったところです。
 1つの例ですが、製造業・所定外労働時間の外れ値の状況です。下のグラフを見ていただくと、赤が“outlier”コマンドで出てきたものです。左側にLS、LS、LSが出ていますが、こういう形で出てきます。職員が確認した外れ値につきましては、どれが正解ということではないのですけれども、ただ1つの例としまして、LSはレベルシフトで比較的短期間にガタッと落ちるとか上がるとかという水準変化ですけれども、ここはグラフから、RP(Ramp)ではないかということで、青字で書いてありますとおりRPに変更しています。例ですけれども、こういうことをやらなければいけないと考えています。
 8ページ目はSTEP2で曜日変動についてです。こちらは自動的に出てくるものなので職員が何かするということではありません。内容について紹介すると、曜日変動については4つの種類があります。“td”というものが、曜日構成の相違により引き起こされる変動と閏年による変動の調整です。2番目が、そのうちの閏年を行わないもの。3番目が、平日の数の相違により引き起こされる変動と閏年での変動。最後、“lpyear”というのは閏年による変動のみということです。各系列それぞれこの4つのものを適用し、その上で有意かどうかの判定については下段に書いてありますが、ここもt-値というものが出るので、いずれかが2以上のもの、又は、曜日変数をグループ全体で見た場合に有意か検定するカイ二乗検定でp-値が0.05以下になっているかで判定をするということです。
 9ページはSTEP3です。こちらが祝日の変動です。祝日の変動については、「日本型の祝日変数について」という所で3つチェックマークがあります。まず、作成方法については、先行している鉱工業指数の方法と同じにしております。祝日については、「国民の祝日に関する法律」による祝日です。こちらも判定についてはt-値が出るので、絶対値が2以上で判定します。右側に黒いボックスで書いてありますが、こういう形で出力されるということです。作成方法の下にボックスがありますが、これの意味するところは、例えば1月でいうと、これは28年間の回帰期間なので、28年の1月の祝日数の平均値は1.8621になります。そのうち、各年の祝日数は、通常1月は2で、2引く1.8621で0.1379という数字が出てきます。2022年については、祝日数が1日ですから-0.8621、6月については祝日数が0なので、0となっています。このような形で、マトリックスになっているこの数値を設定していくということです。
 STEP2とSTEP3の結果、どういう形になったのかというのが10ページになります。左側の下段のボックスがSTEP2の曜日変数が有意となった頻度、これが全体で56.1%です。多い系列では、総実労働時間が97.8%です。STEP3については右側で、全体が26.6%、やはり総実労働時間が多くて90.8%となっており、労働時間について少し有意性が高い結果になっています。
 続いて11ページ、ARIMAモデルの設定です。ARIMAモデルについては、“automdl”コマンドというものがあるので、基本はこれでやりたいと考えているのですが、一方で、81通りのAIC最小モデルについても行い、実際に、どれくらい一致するのかという頻度を検証してみました。赤字で書いている「試算の前提」の下にある対象については972系列、回帰期間は12年と28年。外れ値については“outlier”で検出されたもの。曜日・祝日はt-値が有意となったもの。このように機械的に置いて行っています。また後で出てきますが、「“automdl”コマンドについて」ということで参考で記載しました。そもそも“automdl”コマンドとAICの最小となるモデルの選定のやり方は違いがありますので、ここでは“automdl”コマンドについて少し触れております。専門的なものですから、ちょっと大雑把になりますが、基本的に、この“automdl”コマンドについては丸1にあるとおり、デフォルトモデルである(0 1 1)(0 1 1)、これが決まっています。これと、あらゆるほかのモデルで比較していくということのようです。比較については丸4に少し書いてあるのですが、攪乱項の独立性というものを審査、検定しているようです。したがって、後で出てきますが、結果的には、このデフォルトモデルが選ばれるケースが多いようです。
 試算結果は12ページです。実際にどういうモデルで出てきたかということです。下段の上側の回帰期間は28年、下側が12年になっています。左側がこの“automdl”によって選ばれたもので、(0 1 1)(0 1 1)が42.6%になっています。一方で、81通りのうちAICが最小のモデルについては(0 1 1)(0 1 1)が多いのですが全体の13.5%ほどになっています。矢印の右側にありますが、“automdl”と81の最小モデルが一致した頻度、これが全体で16.2%です。下側の12年の期間で見ると21.1%ということで、2割前後になっています。次に、“automdl”で選ばれたモデルで(3 1 1)(0 1 1)がありますが、通常3という数字は珍しいのですが、実際、“automdl”コマンドではこういうモデルも出てくるということで、ここはもう少し掘り下げて確認したいと思いまして、(3 1 1)(0 1 1)というものと、“automdl”とAICの最小モデルが異なる場合、異なった場合にどれくらいの差が出てくるのだろうということを実際のデータで検証してみたものが13ページと14ページになります。
 13ページについては、左側は総実労働時間指数(産業計)ですが、赤線が“automdl”である(0 1 1)(0 1 1)、青線が(2 1 1)(2 1 2)になっています。これを見ると、ほぼ重なっている感じです。右側は青線が(1 1 2)(0 1 1)ですが、ほぼ一致しているかなという感じです。
 14ページは、(3 1 1)(0 1 1)という“automdl”でのモデルに対して、AICで出てきたものは(2 1 2)(0 1 1)です。大分モデルは違うのですが、これをグラフにすると、若干、先ほどよりも乖離が出てきていますが、多くても0.2ポイントぐらいの差になっております。右側が(3 1 1)(0 1 1)で、AICのほうは(2 1 2)(1 1 2)です。これで見ても、ほぼ一致しているかなという感じです。このように“automdl”コマンドでのモデルと変わることもあるのですが、我々としては、見てのとおり、それほど大きな差がないこと、また職員の作業負担はかなり大きいということで、“automdl”コマンドで行いたいと考えております。
 15ページのSTEP5の回帰期間の設定です。ここも難しいところなのですが、先ほど少し申し上げました12年、20年、28年としています。これは、ほかの調査が参考になると思いまして、中ほどにあるボックスを見ると、まず、短期間(10年程度)については、経産省の鉱工業指数で8年、これは今後12年になる予定だそうです。財務省の貿易統計で10年、厚生労働省の職業安定業務統計で10年です。一方、長期間のものについては、労働力調査が29年、日銀は56年とあり、少し長めです。データ系列の全期間のもの、これが家計調査、消費者物価指数ということでした。これらを参考に、かつ閏年があるものですから4という数字の倍数ということで12年、労働力調査に近い28年、その間の20年、この3つで検証をしました。下段に留意点がありますが、この期間は余り長くても短くても良くないのではないかとしています。それから、一番下については、週休2日制の普及がありますが、公務員が1992年5月からということで、なるべくそれをまたがないような1992年以降の期間がいいかなと考えております。
 16ページは回帰期間の設定に関する試算です。これは、下段のイメージで説明したほうが分かりいいと思いますが、例えば、12年の回帰期間の下段のほうについて、2010年~2021年の12年間で季節調整を算出すると2022年の予測の季節要素が出ます。この2022年の予測とその上段、2011年~2022年までの季節調整を算出し実際の2022年の季節調整値との比較をするというような作業をしております。これは、季節調整値というのは、末端のほうが結構ばたつくということがありますので、なるべくばたつかないような期間がいいのではないかという趣旨で考えました。
 17ページです。今、説明したものを書いたものです。2段目の「回帰変数、ARIMAモデルの設定」ですが、今回対象としたのは872系列です。3つポツがありますが、これも先ほどと同じように、外れ値については“outlier”コマンドに検出されたもの、曜日・祝日についてはt-値により有意になったもの、ARIMAモデルは“automdl”コマンドで選定されたものということで機械的にやったものです。その下に差の平均と差の標準偏差を数式で書いています。
 18ページが試算結果となります。回帰期間28年、長い所が比較的差が小さかったという結果が出ています。どうしてこうなったかというのはなかなか難しいのですが、例えば、28年で差の平均値が比較的少ないというのは、季節要素が大きく違うようなデータというのは過去には余りなかった可能性があるのではないかということで、長ければ長いほど比較的に安定してくるということなのかなということが考えられます。したがって、今回、28年の回帰期間にしたいと考えております。
 19ページは事後診断機能です。こちらも、事後診断機能である、Revision History分析というコマンドがあります。このコマンドについては安定性を検証するものです。それから、下側の黒いボックスがパワースペクトルです。こちらは、職員が目で確認して適切性を確認するというものです。具体的には、下側にあるとおり、Revision History分析については、MAPRという数字が出てきます。この数字が、おおむね1~2%未満になっているかということでまず安定性を見ます。もう1つはパワースペクトルですが、これは例で書いてあるこの黒いボックスのデータは原系列のものです。見てのとおり、Sという数字とTというもの、こちらが検出されているということなのですが、Sが季節性で、Tのほうが曜日変動です。こちらをX-12-ARIMAでの季調値のパワースペクトルでみて、ちゃんとSとTが下がっているかどうかというのを目で確認するということです。以上のことを踏まえて、実際どうなったかというのは20ページ以降になります。
 20ページがきまって支給する給与の産業計、規模5人以上です。ちょっとこれは細かいので、21ページを御覧ください。こちらのほうが見やすいと思います。青線がX-11で現行のもの、赤線が今回試算したものです。ここは、似たような動きになっていますが、青線の方が少し滑らかになっているかなという感じです。
 22ページは、これの製造業です。こちらも23ページのほうが分かりやすいと思いますが、若干、赤線のほうが少し滑らかかなという感じです。
 24ページが所定外労働時間です。こちらのほうが動きが大きいので比較しやすいかと思いますが、25ページを御覧ください。これは結構、赤線が青線の間に入っているような感じになっています。26ページが、これの製造業です。これも27ページのほうが分かりやすいと思いますが、比較的、赤線のほうが安定しているかなという感じがしております。
 28ページです。こちらについては、これまでの説明をまとめたものですが、今後、我々が季節調整値を作成する手順です。丸1が外れ値の設定です。こちらが結構重要ですが、ここはどうしても職員が見ないといけないところがあるので、特に(2)に書いてありますが、リーマンショック、東日本大震災、コロナ、こちらでまず外れ値を確認します。これ以外にも今後新たな事象が出てくることになると思いますので、こちらについて、またそれらを設定するかどうかというのは検討したいと考えています。丸2、丸3、丸4についてはコマンドを使って機械的に出していく。最後の丸5については、ここも職員が目で確認するというような作業が入ってくるということです。
 29ページです。これが今後の実務面における方針で、1つの提案です。X-12-ARIMAへの移行については、申し上げたように、結構手間が掛かるということもあるので、まず対象系列ですが、現行e-Statに季節調整値の長期時系列表として主要32系列が掲載されていますがこの32系列のみとしたい。それが下段にあるボックスです。系列名、就業形態、産業、事業所規模とあります。こちらは我々としては主要ということで、これら32系列について長期時系列表で掲載しています。そのほかの季調値についてもあるのですが、別のところに格納されています。具体的な期間についても、今までの検討した結果、28年間分でいいのではないかということで、今後、この32系列の直近28年分ということにしたいと考えています。またこれらに用いたスペックファイルについては、ほかの調査と同様にホームページに掲載していくということです。
 30、31ページについては、結構よく使われる労働力調査の作業、手順なども参考に付けております。これは後で御覧ください。駆け足になりましたが、私の説明は以上です。
 
○加藤主査
 御説明ありがとうございました。ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたら、委員の先生方から御発言いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。では風神委員、よろしくお願いいたします。
 
○風神委員
 STEP1の外れ値について教えてください。傾斜的水準変化などはコマンドでは出ないということですけれども、この“outlier”コマンドでは検出されなくて、職員の方が目視で見つけて外れ値になることというのはどのくらいあったのかということ。反対に、ヒューマンエラーということも考えられますので、実際の運用面では機械と目視の両方で行うということですけれども、参考にしたいので、行っている過程でヒューマンエラーというのはどの程度あったのかということを教えていただければと思います。また、実際に運用されるようになった際には、職員の変更の傾斜に変えるとか、先ほどの御説明の中でもありましたけれども、それがどう妥当的であるのか、恣意的な変更ではないのかということが、何らかの形で説明ですとか、そちらの策定基準の中で何かガイドラインみたいなのがあるといいのかなと思いました。
 また11ページからの試算では、今回は“outlier”についてはコマンドを使っていて、試算の中では職員の方による変更ということは行っていないということでしたけれども、どこかの過程でこのコマンドで行ったときと、実際に職員の方が根拠があるようなものだけにしたときとで、どれだけ値が変わってくるのかというものも、一度どこかの時点で確認すると、妥当性ですとか、あるいは作業の負担としても1系列に1、2時間がかかるということなので、行ってみるといいのかなと思いました。STEP1については以上です。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。
 
○角井統計管理官
 ありがとうございました。資料7ページで確認しますけれども、先生御指摘のとおり、職員がやって、それが本当に正しいかどうかというのは難しいということが、今回やってみてよく分かりました。ヒューマンエラーということで言いますと、確かにそういう部分はあるかもしれませんが、実際今回、いろいろやってみたのですが、基本的には、“outlier”で出てきたもの、こちらをまず確認しまして、これはt-値がおおむね4以上なので、これが1つの候補といたしまして、その後に人がチェックするということが多かったです。逆に人が、“outlier”以外のところ、ここがそうじゃないかというのはそれほど多くはなかったように思います。またRPにするかどうかというところも、正直、我々の経験値もまだ少ないですから、これは少しずついろいろな専門家の意見も聞きながらやっていきたいなと考えております。それと、恣意的な部分になってしまう可能性もなくはないので、複数の目で見て、組織の中でしっかりやっていきたいと考えております。
 
○風神委員
 ありがとうございます。
 
○加藤主査
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。樋田先生お願いいたします。
 
○樋田委員
 説明、ありがとうございました。1点目ですが、LSと判定されたものをRampに直して処理をするというお話だったのですけれども、そのような処理をした場合と、その判定されたLSで処理を行った場合とでは、結果にはどのような変化があるのでしょうか。
 2点目ですが、“automdl”の利用というのを最終的には行うという方針だと思います。“outlier”で全て外れ値の処理もできると思うのですが、先ほどのRampの部分が判定できないというようなところから、“outlier”で全てを処理せずに人手を使うという理解でよろしいのかなということ。
 3点目ですが、他の統計で“automdl”を使っている所があると思うのですが、他の統計の場合にもそのような人手を使って回帰変数を決定し、その後で“automdl”を適用しているのかというところを教えてください。
 最後ですが、16ページで、28年分のデータを使って季節調整するというお話でしたので、季節調整に利用する28年が、毎年1月に1年ずれることになると思うのですね。そうすると、“automdl”で選ばれるモデルも毎年変わっていくことがあり得ると思うのです。このようなモデルの変更については他の統計でどうしているのかということと、毎勤ではどうするのかということについて、教えてください。以上です。
 
○角井統計管理官
 ありがとうございます。最初に、LSをRampにしたときの変化ですけれども、7ページでやったものを例に取りますが、確かにここはLSのものをRampに変更して実際にやってみましたけれども、正直、この動きについてはほぼ一緒でございました。なので、LSをRPにしたからといって、何かこう動きが目に見えるような形で出るかというと、そこまでは見ることができませんでした。ただ、LSをRPにするということで計算の方法が少し変わるようでして、全く同じというわけではないということでございます。
 次に、“automdl”コマンドを使うとしても、外れ値については“outlier”コマンド以外に目視で確認して人が設定するということです。
 あと、“automdl”で他の調査のところですが、こちらで調べたところ、“automdl”を使用している調査はありましたが、人手を使っているのかは確認できていません。
 それからSTEP5の期間のところですが。すみません、期間のところの御質問をもう一度確認したいのですが。
 
○樋田委員
 28年の期間を固定したときに、毎年1月に新たな1年が加わることによって、28年の期間がずれていきますよね。そのときに“automdl”を適用すると毎年モデルが変わる可能性があると思うのです。その扱いをどうするのかということです。
 
○角井統計管理官
 おっしゃるとおり、当然変わってくると思いますので、そこは毎年、今年はこのモデルでやりますよということを公表いたしまして、それの結果を更新していくというような形で考えております。
 
○樋田委員
 分かりました。先ほどの“outlier”コマンドと人手の作業の部分は、ほかの統計はどうされているかなというのを、是非、ヒアリング等をされて、その扱い方について検討していただければと思います。以上です。
 
○角井統計管理官
 ありがとうございました。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問等はいかがでしょうか。
 
○稲葉委員
 稲葉です。よろしいでしょうか。
 
○加藤主査
 どうぞ。よろしくお願いします。
 
○稲葉委員
 私から3点ほど意見を述べさせていただきます。資料の順番どおりいきます。1つ目は、STEP2とSTEP3に関わる事項です。STEP2とSTEP3の10ページに提示されてある、設定状況として有意となった頻度といったものを見ますと、日本型の祝日変数が有意となった頻度のほうを確認いたしますと、総実労働時間指数といったもので90%有意になっているということで、こういった変数を取り入れたことに対する有効性が表現できているのではないかと思いました。これが1点目です。
 2点目ですが、STEP4に関わる事項です。私どもにとって採用されたモデルがどのぐらい違いがあるのかということは非常に興味深いことですが、今回、参考の資料として示していただいた13、14ページの状況で見ますと、モデルが異なっていたとしても、季節調整値としてはそれほど大きな違いがないということを確認することができました。こういったことですので、STEP2、3、4に関わる検討について異論はありません。
 最後、3点目については、樋田先生の御質問と関係している回帰についてです。先ほど御説明がありましたように、毎回遡及改定をしていくと数値が異なってくるかと思います。私ども統計ユーザーにとって興味があるのは、どういったモデルが採用されたかということと、改定の際にどの系列のモデルが変更されたのかということ。もう1つは、計算された季節調整値がどの程度改定によって変化したのかということです。3点目の意見としては、毎年どういうモデルが採用されたのか、変更されたモデルは何であるのか、そして各系列が計算されて更新されたときに、どのぐらいの値になっているのかということは、できましたら、資料として提示していただければ大変助かると。以上、3つの意見です。よろしくお願いします。
 
○角井統計管理官
 ありがとうございました。先生、御指摘の部分、3点目は、こちらは我々もどのぐらい毎年変化するかは調べてみたいと思っております。できましたら、ホームページ等で掲載できればと考えております。
 
○稲葉委員
 分かりました。ありがとうございます。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。私も同じ気持ちであります。こういった形で変更があった場合、できる限り多くの情報を提供していくことが大事だろうと思いますので、是非お願いできればと思います。ほかにいかがでしょうか。高橋先生、お願いいたします。
 
○高橋委員
 私は29ページについてお聞きします。公表の点についてですが、2つ目のチェックのところの、「季節調整値の利活用は、季節調整値でない原系列と比べ少ないと考えられる」というのは、これは事実なのかを確認させていただきたいのが1点目です。
 2つ目ですが、産業ですが、私は最初、非製造業があったらすごく便利だと思ったのです。ただ、非製造業を作るとなると、非常に作業量が増えるのと、地方について、都道府県間で産業にばらつきがあって、集計しても値が安定しないなどの問題もあるのかと考え、産業は調査産業計と製造業でいいのではないかと考えました。
 一方で、就業形態ですが、賃金や労働時間の指数について、例えば、一般労働者だと所定外労働時間とか、パートだと賃金指数について関心があるユーザーもいらっしゃると思いますので、あってもいいのではないかと考えました。この作業をすると、やはりすごく作業量が増えてしまうのかを教えていただければと思います。
 
○角井統計管理官
 ありがとうございました。1番目についてですが、これは我々の問合せとか、あとはホームページのアクセス数などで確認したものでして、こういう原系列と比べて少ないと考えられるというような書き方をしております。
 2番目は、32系列のみでいいのかというところについては、おっしゃるとおりいろいろな御意見があるかと思っております。我々としては、この32系列で固めるということではなくて、いろいろな御意見をくみ取り、まずは個別での対応になるかと思うのですが、必要だということになりましたら、この32系列に限らず、今後もう少し増やしてもいいのかを検討したいと考えておりますので、あくまでもここは、今回、第1段目としては32系列の28年という形で書かせていただいております。以上です。
 
○加藤主査
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。いかがでしょうか。風神先生、お願いいたします。
 
○風神委員
 追加で質問ですが、私も今の32系列についてお伺いしたいと思います。原数値から季節調整を自分で計算できるような人たちではなく、季節調整値をそのまま実務として使っているような人たちが、この32系列をよく使っているのか、あるいは、見つけにくいと言われている他の系列のほうが実際、利用頻度が高いのかというのも、何らかの形で、ヒアリングなり何なりで一度調べていただけるといいかなと思いました。以上です。
 
○角井統計管理官
 ありがとうございました。実際に32系列、28年とするときには、毎勤の利活用リストというのがありまして、行政組織についてはそれで利活用状況は確認はできると思っております。一方で、外部の研究者とか一般の方、こちらについては我々も情報が取りにくいものですから、それは先ほど申しました、まずは32系列をやってみて、その後、要望等が多いものについては対応していきたいと考えております。
 もう1点、実はこれはプログラムを含めて全てオープンになったものです。ですので、原系列があれば、一応誰でも季節調整値は掛けられるようにはなっておりますので、自分でできるような人については、その辺を案内できればと考えております。
 
○風神委員
 ありがとうございます。
 
○加藤主査
 よろしいでしょうか。ほかに御意見、コメント等はありますか。ありがとうございます。今、委員の皆様方から、幾つかの御意見あるいは宿題等を頂きました。これについては、再度、担当のほうで御検討いただければと考えております。
 以上をもちまして、季節調整値の作成方法については、このような形で進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。お認めいただけたと思います。
 それでは、議題2として「その他」となっておりますが、事務局から何かありますか。
 
○飯島統計企画調整室長
 事務局からは特段ございません。
 
○加藤主査
 ありがとうございました。それでは、ここまでで本日予定をしておりました議題は以上となりますが、まだ全体を通して言い足りないこと、あるいは言い忘れたこと等、御意見、御質問等がありましたらお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。ないようです。それでは、本日の議題は全て終了となります。
 次回の予定について、事務局からお願いします。
 
○飯島統計企画調整室長
 皆様、本日はお忙しい中御出席いただきましてありがとうございました。次回の開催日程は、事務局から追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。これをもちまして、第7回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを閉会させていただきます。お忙しいところ、ありがとうございました。

 
(了)
 

照会先

政策統括官付参事官付統計企画調整室

電話:03-5253-1111(内線7373)