第13回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の議事録

日時

令和5年6月6日(火) 18:00~20:00

場所

AP虎ノ門 Aルーム
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル(日本酒造虎ノ門ビル))

議題

  1. (1)検討会報告書(案)について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催させていただきます。
 初めに、本日の構成員の先生方の御出欠について御報告いたします。
 本日、5名の構成員が会場での御参加、井上構成員、小黒構成員、香取構成員、坂巻構成員、菅原構成員、堀構成員はオンラインでの御参加となってございます。また、成川構成員からは御欠席との御連絡をいただいております。
 また、本日は、伊佐副大臣が公務のため遅れて出席、途中で退席される予定となってございます。
 なお、本会議の模様は、ユーチューブ配信形式による公開にて行わせていただきます。
 次に、本日の会議資料を確認させていただきます。
 本日の議事次第のほか、資料1として検討会報告書(案)、資料2として成川構成員からの意見、参考1として報告書(案)のポイント、参考2として開催要綱、参考3として構成員名簿を御用意させていただいております。不足等がありましたら、事務局までお伝えください。
 また、会場におられる構成員の皆様方のお手元にあるタブレットには、これまでの検討会の資料を御用意させていただいております。適宜御参照いただければと思います。
 それでは、以降の議事進行につきましては、遠藤座長によろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。皆様、こんばんは。本日もよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入りたいと思いますが、カメラの頭撮りにつきましては、これまでとさせていただきたいと思います。これ以降の撮影につきましては御遠慮いただきます。また、マスコミの皆様におかれましては、あらかじめ傍聴の御登録をいただいた方以外は御退室をお願いしたいと思います。以降の傍聴につきましては、会場外でユーチューブでお願いしたいと思います。
(報道関係者退室)
○遠藤座長 それでは、議題1に入らせていただきます。議題1、報告書(案)でございます。事務局から関連資料の説明をお願いいたします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、事務局より報告書(案)の御説明をさせていただきます。資料1を御覧ください。今回は参考資料としてポイントペーパーも作成しておりますが、本日は資料1、報告書(案)の本体を用いてポイントを絞って御説明をさせていただきます。
 1ページ目には目次を掲載しておりまして、前回の検討会で報告書の骨子の案をお示ししておりましたけれども、そちらで御覧いただきましたとおり大きく2章に分けて作成をしておりまして、前半1章で医薬品産業の現状と課題を、後半の2章ではそれらの課題に対する対応について提言としてまとめております。
 続いて、3ページ目からが第1章本文でございます。まずは後発品を中心とする供給不安について、柱書き部分には現在の状況について記載をしております。その背景の一つとしまして、1.1.1、後発品産業構造上の課題について記載をしておりまして、3ページ目から4ページ目にかけて、現在の供給不安の端緒となりました一連の行政処分と対象となった企業のガバナンス、コンプライアンスの問題、さらにその背景となりました後発医薬品の使用促進策について触れております。
 そして、その下、後発品の産業構造の課題としまして、比較的小規模の企業が多いこと、5ページに参りまして少量多品目の構造が広がっており、それが効率の低さや管理監督体制のリソース不足などにつながるおそれがあり、それらに十分対応できない企業における法令違反などが供給問題の原因の一つとなったということを記載しております。
 次の6ページ目に参りまして、低収益構造としまして、マル1、流通慣行において後発医薬品については、総価取引の際の調整弁として活用されること。また、マル2の製品特性として価格以外での差別化がしにくく、価格競争が繰り返されることにより薬価が引き下がり低収益となりやすく、それを補うために新規品目を上市することでさらに品目数が増加していくという悪循環が指摘されております。
 さらにその下の1.1.2の薬価基準制度上の課題におきましては、薬価を下支えする制度の対象となる医薬品が限定されているなどの課題が指摘されていること。また、7ページに参りまして、その他安定供給に配慮が必要な品目としまして、後発品以外にも、血液製剤や輸液について、その製造方法や原料の特殊性などから安定供給を担保するための配慮が求められる旨を記載しております。
 さらに、1.1.3、サプライチェーン上の課題に参りまして、サプライチェーンの断絶リスクとして、医薬品製造の水平分業の進展による地政学上のリスクが発生しており、原薬の調達や製造工程を海外に依存している事例が多く、輸入超過となっていることを記載しております。
 さらに、8ページ目に参りまして、企業だけではリスクへの十分な対処が困難な場合も考えられることから、リスクの顕在化に対して公的関与が求められるとしております。
 続いて、サプライチェーン情報の共有化に向けた現状の取組としまして、買い占め等による在庫の偏在を防止するため、サプライチェーン情報の関係者間での適切な共有が重要であるとしつつ、必ずしも必要な情報が迅速に共有されているとは言い難い状況にあるとしております。
 続いて、9ページに参りまして、もう一つの大きな問題であります新薬に関する現状と課題でございますが、まず国内の問題として、1.2.1の日本の創薬力の低下についてでございます。最初に、世界の潮流と日本の現状としまして、日本の医薬品産業の国際競争力が低下していることをデータとともにお示ししております。これに対して4つ目の○にございますが、これまでも医薬品産業ビジョン等を打ち出してきたものの、産業育成やグローバル展開の観点、中長期的なKPIの設定などの不足を課題として挙げております。
 続いて、モダリティの変化としまして、日本の創薬力低下の大きな要因の一つとして、創薬のモダリティの変化に立ち後れてきたことが挙げられるとしております。
 10ページ目に参りまして、研究開発型のビジネスモデルへの転換促進の必要性としまして、研究開発力や薬価制度上の課題もあり、結果として長期収載品による収益に依存している先発品企業が多い傾向にあることを指摘しつつ、次の一番下でございますが、長期収載品の置換えにおきましては、後発品への置換えを進めてきたものの、次の11ページに参りますが、置換えが進みにくいケースがあることを記載しつつ、こうした実態も踏まえつつ、引き続き研究開発型のビジネスモデルへの転換を図る必要があるとしております。
 次に、下に参りまして、開発主体の変化として、近年の医薬品開発の中心がベンチャー企業中心となっており、大手製薬企業との協業によるエコシステム構築が必要とされているところ、12ページの2つ目の○でございますけれども、日本国内におけるベンチャー企業の開発品目数の実績は海外と比較すると少ない状況であり、その背景として、下に箇条書きで記載しておりますが、人材の流動性が低く、人材確保は困難であること。アセットの少なさ、資金調達の困難性、グローバル化の遅れの4点を指摘しております。
 続いて、13ページ目に参りまして、次に1.2.2、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの懸念でございます。冒頭に現状を記載しておりますが、2つ目の○にございますように、近年は、欧米では承認されているが国内では未承認の医薬品が拡大する兆候が見られており、4つ目の○にございますが、この背景としまして、企業経営に影響を与える薬価引下げや薬価制度の予見可能性、日本市場への成長期待の低さが外資系企業から見た際に日本市場の敬遠につながっていることが指摘されております。
 また、開発環境等につきましても、次の臨床試験、薬事制度において記載しておりますが、日本における臨床試験の実施コストが比較的高いことや、次の14ページに参りまして、日本での追加的な臨床試験の実施コストに見合った市場性が認められず、日本で開発を行わない場合があること。3つ目の○では、欧米の薬事承認申請で使用した資料が日本ではそのまま使用できないことや、日本の薬事制度の情報が海外で得にくいこと、ベンチャー企業の場合は知見のリクルーティングに時間を要することなどにより、コストが高くなっている状況を記載しております。
 さらに、患者団体からの意見としまして、日本の希少疾病用医薬品指定制度は使いづらいのではないかといった意見をいただいております。
 続きまして、15ページの1.2.3、薬価基準制度上の課題についてでございます。こちらは各種薬価制度の課題について記載をしておりまして、まず原価計算方式でございますが、2つ目の○のとおり、水平分業による医薬品開発が広がり、原価の算出が困難となっており、原価計算の透明性を求めることに限界があること。創薬に係るリスク負担が十分に考慮されていないといった指摘がございます。
 次に、補正加算の妥当性についてですが、16ページの3つ目の○にございますが、希少疾病や小児など患者数が少ない医薬品につきましては、比較試験が実施困難な場合で既存治療との比較はできず、結果として有用性に係る補正加算を取りにくい傾向があることを記載しております。
 続いて、新薬創出等加算の企業要件についてでございます。こちらは17ページに参りまして、薬価を維持できる品目数が減少し、日本市場の魅力低下を招いていること。また、企業要件がベンチャー企業等の少数品目を扱う企業にとっては加算を取りづらい仕組みとなっていることを記載しております。
 続いて、市場拡大再算定の対象品目につきましては、このページの最後の○のとおり、類似品、いわゆる共連れによる予見可能性の低さが問題として顕在化しており、こちらも結果として日本への上市の魅力を低下させている懸念が指摘されております。
 18ページに参りまして、外国平均価格調整につきましては、薬価引上げルールがあるのが新規収載時のみとなっており、日本より海外で先に上市することを助長するとの指摘があること。また。次の薬価制度改革の頻度につきましては、大きな薬価制度改革が頻繁に行われると、投資コスト回収が困難となるリスクが高くなってしまい、結果として日本市場はリスクが高いとして医薬品の開発が先送りされることなどが懸念されるとしております。
 続きまして、19ページ、1.3、医薬品流通における課題についてでございます。
 初めに、1.3.1、薬価基準制度と医薬品流通の変遷につきましては、これまでの薬価基準制度がどう変わってきたか、昭和20年代のバルクライン方式から記載をしてございまして、その中で現在も続く総価取引や未妥結・仮納入などが発生してきた経緯などを19ページから20ページにかけて記載をしております。
 20ページの下の部分でございますが、薬価差が発生する要因と現状としまして、薬価差が発生する要因としてマル1、取引条件や競争条件の違いから必然的に発生するものと、次のページのマル2、薬価差を得ることを目的とした値下げ交渉や販路拡大のための値下げ販売を挙げつつ、3番目の○でございますが、近年では、チェーン薬局や価格交渉代行業者が大規模化することで価格交渉力を強めるとともに、ベンチマークを用いた価格交渉が行われるなど、薬価差を得ることを目的とした取引が増加し、結果として過度な薬価差の偏在が生じていることを指摘しております。
 次の調整幅につきましては、従来から流通経費のばらつきを吸収されているものとしているとされておりますが、一律2%とされてきた調整幅について、実態と整合が取れなくなってきているとしております。
 続いて、1.3.2の医薬品取引と医薬品卸売販売業者の実態につきましては、まず、価格交渉の実態としまして、2つ目の○のとおり、長期収載品や後発品は品目数が多いため、総価取引が行われることが多く、その結果として、次の22ページにかけてでございますが、医療上の必要性に関わりなく、薬価の下落幅が大きくなっていること。また、22ページの2つ目の○にありますように、毎年薬価改定によって価格交渉の機会とそれによる負担が増加し、結果として価格交渉代行業者の事業規模が拡大し、医薬品の価格形成にも影響を与えるとしております。
 また、次の配送等の実態につきましては、2つ目の○にございますように、近年の供給不安で出荷調整や欠品による調整業務が増加し、卸売り販売業者に過度な負担がかかっていること。その結果、次の23ページ、医薬品卸売販売業者の経営実態にございますように、毎年薬価改定や物価高騰の影響もあり、収益構造が悪化し、その経営が厳しくなっていることを指摘しております。
 ここまでが前半第1章でございまして、次の24ページから対策の方向性を示した第2章となります。
 まず、医薬品の安定供給の確保に関する対策としまして、2.1.1、後発品産業構造の見直しを記載しております。柱書きの一番下、705行目でございますけれども、こちらではこれ以降に記載する方策をさらに具体化するために会議体を新設し、速やかに検討に着手すべきとしてございます。
 具体的な取組としましては、次の上市に当たって十分な製造能力等を求める仕組みの構築の部分でございますけれども、必ずしも十分な製造能力を確保できない企業が価格競争による薬価の引き下げなどを招いてきたという実態が結果として後発品の不安定供給につながったという経緯を踏まえまして、次の25ページにありますように、十分な製造能力を確保しているといった安定供給を担保するための一定の要件を求めて、これらを満たさない企業は結果として新規品目を上市することができなくなるような仕組みを検討すること。また、次の安定供給を行う企業の評価におきましては、2つ目の○、製造能力などの医薬品の安定供給等に係る企業情報の可視化を行った上で、これらの情報を踏まえた薬価の在り方を検討するべきであるとしております。
 続いて、品目数の適正化、業界再編に向けた取組として、業界再編も視野に入れつつ、まずは品目数の適正化を進める観点から、薬価の在り方や製造ラインの増設等への支援などを検討するとともに、ロードマップを策定した上で期限を設けて集中的な取組を行うべきとしております。
 さらに、次の医薬品安定供給の確保に向けた政府による基盤整備としては、2つ目の○のとおり、都道府県における薬事監視体制を強化するとともに、質的な向上を図る必要があること。また、製造効率の向上についても検討すべきであるとしております。
 次に、2.1.2の薬価基準制度における対応についてですが、2つ目の○にありますように、最低薬価、不採算品再算定、基礎的医薬品といった制度やその運用の改善を検討すること。次の26ページに参りまして、中長期的には採算性を維持するための新たな仕組みの検討を進めるべきとしております。
 2.1.3、サプライチェーンの強靱化につきましては、各企業における安定供給に向けた取組を支援し、サプライチェーン強靱化に向けた体制を構築することが必要とした上で、3つ目の○でございますが、一連のサプライチェーン上の供給状況を関係者がより迅速に把握することが可能な仕組みの構築を検討すべきであるとしております。
 続きまして、新薬関係に移りまして、2.2.1の創薬力の強化でございます。具体的な取組は次の27ページから記載をしておりまして、まずこの創薬力の強化を目指した政府一丸となった総合的な戦略を作成すべきとしてございます。
 さらに、次の新規モダリティの創出に向けた取組でございますが、税制優遇や新薬候補探索支援、バイオ医薬品の製造に係る支援等について記載するとともに、その下のベンチャー企業の育成・支援につきましては、ベンチャー企業がより活躍できるよう、MEDISO等による取組を進め、環境整備を行い、また、CROやCMOなどの機関の育成を図ることにより、次の28ページにございますように、人材の流動化やエコシステムの構築を推進していくことが必要との指摘を記載してございます。
 また、下のほうでございますけれども、あわせて電子カルテ情報やゲノム情報などのデータの利活用を促進すべき旨も記載をしております。
 次に、ページの一番下、革新的創薬に向けた研究開発への経営資源の集中化についてですが、次の29ページにございますように、後発品への置換えを引き続き進めていくべきとしており、その際には3つ目の○にございますように、新薬の研究開発に注力する環境を整備する観点や、長期収載品の様々な使用実態に応じた評価を行う観点から、選定療養の活用や薬価上の措置の見直しを含めて対応を検討すべきとしております。
 また、次のバイオシミラーにつきましても、使用促進に係る政府目標が設定されたことを踏まえて置換え推進策を検討すべきとしております。
 続いて、2.2.2のドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消についてですが、下の国際共同治験の推進や治験環境の整備としまして、こちらは次の30ページにかけて、日本人データの必要性の整理や治験DXの実装など、治験環境の整備を推進することも必要としております。
 また、30ページの薬事関係としましては、希少疾病用医薬品指定制度の運用見直しを検討するとともに、小児用医薬品の開発計画策定の促進、新たにインセンティブを検討すべきとしており、また、海外へのプロアクティブな情報発信として日本の制度の海外向けの発信の強化についても必要としております。
 現に発生しているドラッグ・ラグ等への対応強化としましては、先進医療や患者申出療養等による治療の速やかな実施が可能な体制を構築すること。
 また、次の31ページに参りまして、医薬品開発への患者参画の取組の推進、また、次の項目としては、薬剤耐性(AMR)の研究開発の必要性についても記載を行っております。
 続いて、2.2.3の薬価基準制度における対応としましては、新規収載時薬価については、新規モダリティや革新的医薬品について、既存の枠組みにとらわれず、新たな評価方法を検討すべきであること。次の○では、革新的新薬の迅速な導入に向けて新たなインセンティブを検討すべきとしております。
 また、改定時薬価につきましては、新薬創出加算制度についてベンチャー企業開発品目の適切な評価の在り方を検討すべき。
 次の32ページに参りまして、医療上必要な革新的医薬品について、特許期間中の薬価を維持する仕組みの強化を検討すべき。
 また、市場拡大再算定につきましては、類似品の考え方の見直し。
 最後の薬価制度改革につきましては、予見可能性の低下に対しても考慮が必要と、それぞれ指摘を行っております。
 次の33ページに参りまして、適切な医薬品流通に向けた取組についてでございます。まず、医薬品特有の取引慣行や過度な薬価差・薬価差偏在の是正としまして、流通関係者全員が流通改善ガイドラインを遵守し、適切な取引が行われる環境を整備していくべきとしつつ、2つ目の○にございますように、流通改善に関する懇談会等で検討の上、流通改善ガイドラインを改訂して対処していくとしております。
 また、取引価格や交渉の状況を調査した上で、海外でクローバックや公定マージンが導入されていることも踏まえて、薬価差の偏在の是正に向けた方策を検討していくべきとしております。
 その下、流通コストの状況を踏まえた対応につきましては、薬剤流通安定のためとされております調整幅について、配送コストが多様化している状況を踏まえて、どのような対応を取り得るか検討を続ける必要があるとしております。
 さらに、ページを進みまして35ページでございます。こちらではその他の課題としまして、医薬品の迅速・安定供給に関する御意見をいただいておりますので、そちらをまとめて記載をしております。
 1つ目は、今後、医療保険制度の下で、薬価上の対応を行うに当たっての指摘として、長期収載品の薬価上の措置や選定療養の活用など、患者負担の在り方について議論が必要であること。
 次のポツですが、2つ目は毎年改定について、日本市場の魅力を引き下げている一因だと指摘されていることなどを踏まえ、在り方を検討すべき。
 3つ目は、財源に関する議論とは別に、創薬力強化やドラッグ・ロス/ドラッグ・ラグの対応に向けた政策を進めるべき。
 4つ目は、中長期的な経済成長率に沿うように、最低限薬剤費を伸ばしていくべき。
 5つ目は、それに対して仮にGDPの成長率の範囲に収まったとしても、世界市場から比べれば見劣りするのではないかとの御指摘。
 下から2番目は、医薬品産業育成を公的保険の枠内だけでなく、例えばOTC産業を育成するなど、全体で検討するべき。
 最後は、薬価調査のデジタル化や薬剤費等のデータ収集を政府が主導して実施するべきといった様々な御意見をいただいております。
 資料1に関する御説明は以上でございまして、続いて、資料2につきましても御紹介をさせていただきます。
 本日御欠席の成川構成員より報告書(案)に対するコメントをいただいておりますので、あわせて御紹介をさせていただきます。
 御意見の部分のみ御紹介させていただきます。
 1点目、オーソライズド・ジェネリックに対する対応についても今後検討が必要であること。
 2点目、日本の制度の海外への積極的な発信は重要であり、今後の対応を期待するとともに、薬事だけでなく医療保健や薬価に関する情報も含めることが適切。
 3点目は、革新性の高い製品について、新たな評価方法を検討することは重要。これと合わせて、市販後のエビデンス収集を強化して、それに基づいた償還価格の見直しを積極的に行う仕組みを設けることを検討していくべき。
 4点目は、流通改善ガイドラインの改訂に向けた検討が行われることを歓迎。法的拘束力がないことから、遵守状況などのフォローや対応に期待する。このような御意見をいただいてございます。
 また、資料の説明は以上でございますけれども、追加しまして、資料がなく恐縮でございますけれども、今回の報告書を踏まえました今後の行政側の検討の進め方につきまして、簡単に口頭で御紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、先ほどの報告書でも記載がありましたように、後発品医薬品産業につきましては、議論を深めるための新たな会議体を新設して、より具体的な検討を進めていくこととしております。それに加えまして、ほかの項目につきましても、例えば薬価制度に関しましては中医協、流通問題に関しましては流通改善懇談会など、それぞれの個別の会議体におきまして、また、新薬の創薬力の向上に関しましても報告書の中でございましたように省庁横断的な戦略を策定しつつ議論を行うなど、報告書の提言を踏まえた議論をそれぞれのテーマごとに行っていくことを予定してございます。
 さらに、本検討会につきましては、今後も開催を継続しまして、それらの検討状況、進捗状況の全体のフォローアップをお願いしたいと考えてございます。
 長くなりまして申し訳ございません。事務局からの御説明は以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御報告のあった内容につきまして、皆様から御意見、御質問等をいただきたいと思いますけれども、報告書の中身が第1章、第2章と分かれております。したがいまして、これは2つ分けて議論をしたほうがよろしいかと思います。まずは、第1章、医薬品産業を取り巻く現下の諸課題について御意見等があれば承りたいと思います。いかがでございましょうか。
 それでは、香取構成員、お願いいたします。
○香取構成員 行数でいくと、82行から84行にかけてのところなのですが、これは会議でもちょっと議論になったのですけれども、後発品の安定供給義務の話です。読み方なのかもしれませんけれども、この書き方だと、薬価収載後少なくとも5年間の安定供給を義務づけていることが限定出荷に走らせた、と書いてあるのですが、実は問題は5年間の安定供給義務ではなくて、在庫保有義務をかけたことにあったわけですね。在庫保有義務をかけたので、在庫を保有していることがいわば安定供給義務を果たしたことになっているというふうになったことが、こういう企業行動を生んだということになるので、安定供給義務をかけたから供給ができなかったというふうに書いてしまうと、意味が通じないような気がするのです。安定供給義務がかかっているのだったら、義務を果たしていれば安定供給できたはずですから、供給不安の中で在庫消尽を防ぐためにと書いてあるのですけれども、これは議論をしたり制度を知っている人は分かると思うのですが、要は安定供給義務の中身が問題だったわけで、この書き方だと、安定供給義務の中身が分からないと意味が通らないのではないかと思うので、ここは書きぶりを工夫したほうがいいのではないかという気がします。
 そのこととの関係で言うと、143行とか145行の辺りで一部退出する企業もいるということで、残った企業がばばを引くような形になって不公平だという記述もあるのですけれども、2章のほうで参入企業数の制限の話が出てくるので、ある程度方向性は示されると思うのですけれども、ここの記述に関しては、会議の中でも議論があったように、それぞれの後発品の薬効群の中で、全体としてどれぐらいの供給量が確保できていればいいのかという個別後発品の市場規模みたいなものを頭に置いた供給義務のかけ方をしてこなかったということが問題としてあったのだと思うのです。そこのところは先ほどの83行、84行の書きぶりと関係しているのですけれども、そこはちょっとはっきり書いたほうがいいのではないかという気がします。
 それから、168、169行目ですが、薬価の下落と書いてあって、薬価は原則として市場実勢価格に合わせる形で改定されているので、上記のような価格メカニズムが働くことで、後発品の薬価は早期に下落する傾向があると書いてありますけれども、薬価は原則として市場実勢価格に合わせる形で改定が行われており、というのはそのとおりですけれども、実は市場実勢価格に合わせるから薬価が下がる、ということの大前提に、まさに薬価制度のメカニズム自体、価格が循環的に下がるような仕組みになっているということがあるのだ、ということは、私も言いましたし、何人かの方が指摘したと思っているのですが、ここでさらっと市場実勢価格に合わせるから下がるというふうに2行でまとめてしまうというのは、ちょっとどうかと思います。間違ってはいないのですけれども、やはり現行薬価制度の構造的な問題をあれだけ議論したのですから、その指摘が当検討会としてあったということがちゃんと分かるような記述にならないでしょうかねという気がします。
 3つ目、長期収載品のところなのですが、これは事務局に考え方を整理してお聞きしたいのですけれども、長期収載品についてどういうふうに考えるのかということなのです。つまり、新薬メーカーが、新薬が出ないので長期収載品に依存をしていると。なので、依存にならないような体制にしないといけないと書いてあって、それはそのとおりなのですけれども、そのために後発品の置換えを進めるようにすると書いてあるのですが、一方で、長期収載品というのは後発品がなかなか入ってこないから長期収載品なのだというようにも書いてあったり、長期収載品というのは患者がそれを選択するから残っているものもあるのだと書いてあったりして、そもそも長期収載品をどういうふうに考えるのかということと、新薬メーカーの長期収載品依存をどういうふうに考えるのかという考え方が全体としてあまり整理されていない気がするので、そこはちょっと頭の整理、どうなっているのかというのをお聞きしたい。
 それから、同様に309行目のところですけれども、数量ベースで目標8割だけれども、金額ベースでは4割で他国と比較しても低いと書いてあって、先発品が依然として長期収載品による収益に依存した体質から抜け切れていない状況にあると考えられると書いてあるのですけれども、金額ベースで4割しかないということと、先発メーカーが長期収載に依存する体質から抜け切れていないというのはロジカルにつながらないような気がします。
 さらに言えば、長期収載品が8割なのに金額が4割だということは、それなりに金額が下がっているということになっているので、その意味でもちょっとここの記述は、4割だったということを言うことで何を問題にしようとしているのかが整理できていないような気がします。
 それからずっと行って、452、453、454、455の辺なのですけれども、原価計算方式について、後段のほうで原価計算方式に代わる新しい方式を導入すべしということを一応は書いてあるので、それはそうなのだと思うのですが、やはり今のバイオのような薬になって低分子薬ではなくなってきているということ、それから、パイプラインが非常に多様化している、水平分業が進んでいるということを考えると、原価計算方式は透明性の問題というよりは、原価計算という考え方そのものに問題があるということなのだと思うのです。それは会議の議論の中でも出たし、後段でもそういう記述が出てくるので、原価計算方式に対する課題というのはもうちょっと踏み込んで、その方式自体に課題があるということをきちんと言ったほうがいいような気がします。
 あとは、これは全体の記述なのですけれども、539、540のところで、これもさっきの長期収載品のところなのですけれども、例えば利益への依存を誘導する一因となることが懸念されるとか、その上の外国平均薬価調査のところでも助長するとの指摘もあるとか、何かちょっと割と書き方がふわっとしているのですね。懸念もあるとか、指摘もあるとかいうのではなくて、そういう問題があるということを明確にきちんと言ったほうがいいような気がするので、あまりこういう語尾をふわっとさせる言い方はどうかと思います。
 それから、一番大きいのは599の薬価差が発生する要因と現状というところなのですが、一つ目に取引条件や競争条件の違いから必然的に発生する、2つ目に薬価差を得ることを目的とした値下げ交渉云々と書いてあるのですが、これは薬価差の発生要因ではなくて、市場における取引価格がばらつくということの要因を言っているのであって、薬価差を言っているのではないのではないかと思うのです。なぜかというと薬価差というのは、この会議の最初の方の会合でも言いましたが、公定価格を決めるから市場取引価格との差が出る、それを薬価差と言う、ということなのであって、薬価制度があろうとなかろうと市場の取引の状態、取引条件によって価格がばらつくということのはずなのです。なので、1はまさに取引条件や競争条件が違うから価格がばらつく、つまり薬価制度のあるなしとは関係ない、ということだし、2つ目は、まさに薬価制度があることによって薬価差が生まれる、であるが故に取引において価格引下げの圧力が働くということなので、これをひとまとめにして薬価差が発生する要因、という表題は違うのではないかと思うのです。薬価差自体、薬価制度が生み出しているものなので、そこがきちんと分かるように書かないと、医薬品は市場ごとに競争条件が違うわけだから調整幅が一律なのはおかしいという議論をさんざんしたと思うのですけれども、そういう議論があったことがちゃんと見えるようにするためには、ふわっと薬価差が発生する要因と現状、と書いてしまうと、制度上の問題と取引上の問題とがごちゃごちゃに書かれていることになるので、ここはロジカルに整理をしてほしいです。
 その意味で言うと、618、619で調整幅のことについても書いてあるのですけれども、調整幅の話というのは、価格のばらつきの問題ではなくて、薬価と実際の取引価格の差をどういうふうに容認するかという話なのであって、薬価と市場取引価格とが乖離している、という話と、同じ医薬品の取引価格にばらつきがある、と言う話は違う話です。市場における薬効群ごとの競争条件の違いによってばらつきの幅は大きくなってくるわけなので、全体の乖離幅と調整幅のばらつきの差をごちゃごちゃに書いてしまうと、話が見えてこないのではないかと思います。
 私から申し上げるコメントは以上です。すみません。
○遠藤座長 ありがとうございます。特に表記上の少し注意をしたほうがいいということを具体的に御指摘いただきました。基本的には御指摘として受け止めたいと思います。事務方からももしコメントがあればいただきますが、その前に、今、副大臣がお見えになりまして、またこの後も公務がおありになるということですので、ちょっとこのディスカッションを中断いたしまして、副大臣から御挨拶をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○伊佐厚生労働副大臣 座長、ありがとうございます。厚生労働副大臣の伊佐進一です。
 議論の途中で申し訳ありません。今日私がここに来させていただいた目的は一つです。それは、去年の9月からにわたりまして全部で13回、遠藤座長をはじめ構成員の先生方の皆様には本当にお忙しい中で時間を割いていただいて、急なスケジュール変更も様々ありましたけれども、こうして真摯に議論を重ねていただいて、真剣な議論を積み重ねていただいたことに心より御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
 今回、いよいよ今日は報告書の取りまとめということでございますが、私も去年の9月以降、関係各界のいろいろな会合であったり意見交換に出させていただきましたが、どの方々からも、この有識者検討会に対する期待をたくさんいただきました。非常に期待感があると。それだけにより大変な皆さんのお仕事だというふうには思いますが、またこれは併せて、私はもとより加藤大臣も非常に関心を持たれて、また、私も見る限り、何度も事務方とこの有識者検討会のことで意見交換を重ねてきたというのも目の前で見てまいりました。この報告書の中には、最後に取りまとめていただいて、現状を見させていただいても、すぐに取りかかれるものもありますが、また時間がかかるものもあります。しかし、どれも皆さんの本当の血と汗の結晶といいますか、御努力だと思いますので、しっかりと行政としても受け止めて対応してまいりたいと思っております。
 また、この議論の中でも私もずっと感じておりますのは、今、産業界あるいはこの業界の置かれた様々な状況というものも、もう少ししっかり我々のほうからも国民の皆さんにしっかりと知っていただく。御理解をいただく。そしてまた、これからの取組も御理解をいただくことが非常に大事だと思っておりますので、政府としてもしっかりとまたこうした広報にも力を入れていきたいと思っております。
 今日の取りまとめ、今後もまた引き続き先生方には様々、厚労省に対してお力添えいただきますようよろしくお願いをして、私の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、議論を続けたいと思いますけれども、香取委員から様々な、特に表記上の問題、内容も含めて重要な御指摘をいただきました。いろいろな先生方からまたいろいろとあると思いますので、取りあえず御意見を承りたいと思うのですけれども、もし何か事務局でコメントがあればいただきますが、いかがでしょうか。
 それでは、恐らくいろいろな先生方から文言、表記上のもの、内容についていろいろ御意見があると思いますので、一つ一つ質疑応答ということよりも、ここまでまとまっております報告書ですので、それの修正の議論をしていると考えますので、取りあえず御意見を全部いただいて、その後、必要であれば事務局からコメントをいただくという形にさせていただきたいと思います。
 香取委員、ありがとうございました。ほかの方でいかがでございましょうか。
 それでは、三浦構成員、お願いいたします。
○三浦構成員 ありがとうございます。副大臣もありがとうございます。また、遠藤座長も本当に、厚労省の皆様、しっかりしたものをまとめていただきありがとうございます。
 私は1点だけなのですけれども、まさに香取先生と同じところを感じておりまして、さっきの話ですと、20ページの600行のところです。薬価差が発生する要因という話なのですが、これは私も最初から思っておりましたけれども、これは薬価差の差を生み出す原因、薬価差の偏在、薬価差のばらつきを生み出す原因で、香取先生もおっしゃったように、薬価差は前半が市場取引で、最後が公定価格なので、これは必然的に生まれるわけでして、そこが問題ではなくて、やはり偏在。特に大手チェーンが多くの薬価差を取るというところが問題になっておりますので、そういった意味ではこれは薬価差の差を生み出す原因、もしくは薬価差のばらつき、もしくは薬価差の偏在を生み出す要因と書いていたいだいたほうがすごく分かりやすいかと思います。
 2点挙げていらっしゃるわけですけれども、それについて一言だけなのですが、最初の取引条件などに違いがあるのでばらつきが生じるということももちろんあるでしょうけれども、多分2番のほうが決定的な感じがありまして、2番で大手業者がかなり価格交渉でバイイングパワーを使って過大な薬価差を取っているところが問題なものですから、そういった意味では、私の感覚としましては、順番は変えていただいたほうがよくて、2番のほうが大きな問題なものですから、2番を1番に格上げしていただくというのも御検討いただければと思います。
 それに関わってなのですけれども、値下げ競争、値下げ交渉という話なのですが、やはり総価取引というのが一番の問題だと思います。言葉は悪いですけれども、どこの業界でも大手業者が買いたたく、これは必然の原理なわけでして、それはOTCでも食品でも全部何でもあるわけですけれども、特に医薬品流通の場合には、総価取引というのが決定的で、その結果、過大な薬価差、薬価差のばらつき、偏在を生み出しているわけですから、そういった意味では単なる値下げ交渉ではなくて、総価取引による値下げ交渉などみたいな、やはり総価取引が一番問題だということを明確にしていただいたほうがありがたいなという感じがしておりまして、御意見まで申し上げます。御検討いただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょう。
 菅原構成員、お願いいたします。
○菅原構成員 ありがとうございます。これだけ広範な内容を手際よくまとめていただきまして、本当に事務局の方々、ありがとうございました。ほかの先生からも既に私と問題意識の重なる部分の御指摘がありましたので、その部分は省かせていただきまして、ごく単純な注記上の問題点を1点と、もう一つ確認事項を指摘させていただきたいと思います。
 4ページの注6なのですけれども、先ほどからお話がありますように、これだけ様々な問題をかなり包括的にまとめられていると思うのですけれども、この注6の付け方が「あくまでも限定的な内容であり」というふうに書かれています。どちらかというと私は「あくまで全体的な状況や課題の概観であって全てには当てはまらない」という書き方のほうがよりいいのではないかという気がいたします。限定的な内容というよりはかなり包括的な内容になっていますので、全体を概観、課題の概観をしていると。全体的な状況や課題の概観であって、全ての実態に当てはまらないという書き方のほうがより適切ではないかなという気がいたしましたので、もし御検討いただければ幸いでございます。
 それから、もう一点は事実の確認なのですけれども、199から203行目のところなのですが、供給不安の非常に象徴的な例として抗菌薬のセファゾリンの例が挙げられていて、これは私も非常に深く記憶をしているわけですけれども、これは今、国内の原薬が製造されていなくて全て中国に依存しているという注記がございます。この事件のときに私が記憶しているのは、たしか最初、イタリアの原薬メーカーが異物混入で止まって、その後、その出発物質である原末をつくっている中国も止まってしまったというような流れだったと思います。実際に原薬そのものは、もしかしたら今もイタリアの原薬メーカーのものが入っているのではないかなというのが私の認識なのですけれども、ほぼ全て中国に依存しているというこの原薬の書き方がそうなのかどうかという点については、一度きちんと確認をしていただきたいなと思っております。
 簡単でありますけれども、以上でございます。
○遠藤座長 重要な御指摘をありがとうございました。
 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
 事務局のコメントは2章も聞いてからにしますか。1章としてまとめてやりますか。では、第1章で幾つか御意見が出ましたので、可能な範囲でコメントをお願いしたいと思います。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 御意見ありがとうございました。我々の整理が必ずしも整理が十分行き届いていないところがあって、また御指摘を踏まえて修正案を含めて検討させていただければというふうに、まず総括的には考えているところでございます。
 その上で2点。まず1点目、香取構成員のほうから長期収載品の考え方についてのお尋ねがあったと思います。1章ではないのですけれども、28ページの858行目のところを御覧いただければと思うのですが、いずれにしても、ここについても整理をきちんとさせていただきたいと思います。私どもの頭の整理としては、まずこれはあるべきビジネスモデルということになりますが、研究開発型企業については、革新的創薬に向けた研究開発への経営資源の集中化をとにかく図るべきではないかというのがまずあって、そのためには、これは現行の薬価制度上の課題ということで見直しの方向性も含めて書かせていただいておりますけれども、特許期間中にしっかりと、いわゆる研究開発費の回収を行うという、そういった薬価制度の見直しを行っていくことが必要だというのがまず大前提としてあります。
 その上で、逆に今度は特許が切れた段階には、いわゆる後発品のほうに道を譲って、後発品として安定供給を図っていくというのがあるべきビジネスモデルだと思っておりますので、そういう意味で長期収載品についてはできる限り後発品への置換えを進めていくことが政策として必要なのではないかというのが基本的な考え方でございます。
 ただ、その際に、この検討会の中でも御議論がありましたように、現状、数量ベースでは少なくとも8割まで進んでいるという中で、実際に置き換わらないのは置き換わらない理由がそれぞれにあるということだったと記憶しておりますので、それらを踏まえて、実際にそういった様々な実態を踏まえた形で、実際の置換えの推進策を考えるべきではないかというのが基本的な考え方です。
 そこまで十分に反映できていなければ、そこは修正をさせていただきたいと思いますけれども、基本的な考え方としては以上でございます。
 それともう一点、菅原構成員のほうから事実関係のお話で199行目、セファゾリンの話について御指摘ございました。これはすみません。実際に中国に依存しておりますのは原材料でございます。原薬は確かに、まさに菅原構成員御指摘のとおりイタリアとかほかの国からも実際に輸入してございますので、これは多分誤記だと思いますので、事実関係を確認の上、修正をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、第1章につきましてはそのような御意見が出たということで、それを何らかの形で反映するのに対応させていただくことになるかと思いますけれども、それでは、第2章につきまして、御意見等があればいただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
 失礼しました。それでは、三村構成員、お願いいたします。
○三村構成員 お時間もありますので、早めにコメントさせていただきます。
 最初の1章につきましては、私は全体としてはよく整理されていると思います。語彙については少し修正していただければと思います。
 まず、後発薬を巡る供給不安と安定化サイクルについてということなのですけれども、何よりも供給不安発生の複合的要因ということを明記していただいたのは大変よかったと思います。産業構造の脆弱性とか、セファゾリンの例にございました原薬、原材料の特定国偏在の地政学的リスク、それから薬価制度上の課題というものを全て併せ、さらにそこにサプライチェーンとしての脆弱性と流通取引上の問題も入れていただきました。
 そのことを踏まえてということなのですが、当然のことながら、総価取引を含め流通の取引の在り方が非常に大きな問題であるということを認識しつつ、サプライチェーン全体としての脆弱性に対して国としてきちんと対応すべきということをここで明記していただいたのは大きな政策の流れの変化だと思います。医薬品産業政策の一つの新しい視点、切り口を入れていただいたと思います。企業の努力の範囲を超えた部分についてもしっかり国としても取り組むということを入れていただきました。
 その過程の中で、後発薬の産業構造の見直しとともに、何よりも医療上必要性の高い医薬品ということ、これがこれから重要な定義になりますし、むしろこれをどのように具体化されるかということが、これからの検討の中で重要だと思います。何よりも25ページから26ページのところで基礎的医薬品と安定確保医薬品のある意味での位置付けの強化、あるいは整合性の高い仕組みをつくるということをここのところで明示していただいたのは大変よかったのではないかと思います。
 また、26ページにおいてですが、これはこれからどのような法制度をつくるかという将来的、中長期的な課題であると思いますけれども、現状でまずやれることが何かということの中で、サプライチェーン強靱化に向けて国の主導とか、緊急時における国のイニシアチブのもとでということを書いていただきました。これは流通関係者にとっては非常に重要な、あるいは励ましとなる言葉になると思います。とにかくメーカーも、卸も、医療や調剤の現場を担当されている方々が、皆さんで協力しながら何ができるかということについて、基本的に相談し検討を進めていくべきですし、恐らくその過程の中で、今の制度の中に欠けていることも見えてくると思います。新しい仕組みを今後つくる可能性も含めて、これについては具体的な検討が進むということになります。大変いいことだと思います。その点について評価したいと思います。
 それから、もう一つ、ドラッグ・ラグとドラッグ・ロスに関する施策ということで、これは私の専門ではないのですけれども、総合的施策、環境整備の必要についてしっかりと書き込んでいただいたことは、よかったのではないかと思います。
 ただ、1つ、やはりこれがこれから流通をどう考えるかということとも関係しますけれども、流通の視点からいたしますと、実は新薬創出加算制度が非常に大きな意味を持つと感じております。
 これにつきましては、489から491のラインのところで提示していただいたのですけれども、遠藤先生から、新薬創出加算制度が平成30年に見直しをされたこと。つまり、品目要件の明示、明確化が行われたということの御説明がございました。非常に重要な御説明であったと思います。
 実はこれは、薬価制度の従来の考え方に対してある意味で考え方が少しずつ変わってきたということを示されたのではないかと思います。正直言いまして、私も理解不足でした。つまり、川上の変化と川中と川下とが連動していなかった。ある意味で相互に意思疎通ができていなかったというような感じも受けております。それがある意味で、今日抱えている問題の一つの原因ではないかと思います。
 今回、川上、川中、川下を通して、全体として検討していただいたことの意義は大変大きかったと思っております。特許期間中になぜ薬価が下がるのかという、海外から寄せられるある意味での常識的な疑問に対してなかなか答えられなかったということも、意外とこの辺りに理由があるのかもしれないという感じがいたしました。
 今回、非常によく分かりましたのは、モダリティの多様化とか創薬リスク負担が非常に高まっていること。こういう状況の中で、新しいタイプの医薬品が基本的に登場する中で流通も変わるべきだと思います。
 これから、流改懇での検討も進められるということでありますけれども、基本的にこのような状況変化を踏まえて、従来のような流通の枠組み、従来の取引体系、従来の考え方では基本的に適切ではないということについてしっかりと伝えていく必要があるのではないかと感じました。これは、これまで流通取引に関わってきた者としての一つの反省でもございます。
 医薬品流通はあくまで供給安定の責任を持つということ、これはしっかり今回書き込んでいただいているのですけれども、実はもう一つ重要な役割がありまして、医薬品の価値をしっかりと医療現場とか患者に届ける、その仕組みを担うのが医薬品流通です。もちろん関係者はそういうことを理解されているのですけれども、この辺りが現場までしっかりと意識をされていなかったのではないかと思います。
 ガイドラインを今後強化する、ガイドラインの趣旨を明確化するということですけれども、その過程の中で改めて医薬品の特性分化に適合する取引体系は異なるのだということを書いていただきました。これは医薬品の特性分化という言葉で表現されていますが、もう少し踏み込んで考えると、医薬品の価値体系が分化している。それに併せて当然供給体系とか取引体系の在り方は変わるということです。医薬品の価値というのは患者にとっての価値であるとともに、当然特許、知財としての価値が非常に大きいこと。そのことを十分に流通の現場まで理解が浸透していたのだろうかという感じもいたします。
 その理解がない限りは総価取引というものをやめてくださいと言っても、なかなかやめていただくことはできないかもしれない。そのことについて関係者の理解と認識を今後しっかりと深めていただくための重要な出発点になったのではないかと思います。
 まだまだ今後検討すべき点は多いのですけれども、非常に重要な一歩になったと思っております。厚労省の事務局の御努力、また座長の遠藤先生の御努力に感謝いたします。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに何か御意見ございますか。
 それでは、オンラインで小黒構成員が手を挙げておられるようなので、小黒構成員、お待たせいたしました。
○小黒構成員 すみません。画面が映らないようです。
○遠藤座長 音声は聞こえております。
○小黒構成員 すみません。では、これでお願いします。
 2つございます。1つは17ページと32ページの市場拡大再算定のところにつながるものですけれども、いわゆる共連れについての見直しについては記載いただいたので、これは非常に画期的な提案になっていると思います。他方で、かなり検討会の中でも議論がありましたけれども、通常の再算定については、やはり見直しの対象外になっているのがちょっと気になっていまして、いわゆる効能追加とか用法用量の再算定を維持するのは当然ですけれども、検討会でも議論がありましたように、通常の再算定についても見直しをしていく余地があるのではないかと思います。もし可能であれば、その辺を記載していただければというのが1点です。
 もう一つは35ページの冒頭の「その他の課題」のところなのですけれども、遠藤先生がおっしゃられた例のデータの話もございますが、この部分は引き続きその他の課題として検討していくことが非常に重要だと思います。現在の案ですと、「本検討会においては、前述のほか、以下のような意見があった」という記載になっておりますけれども、「本検討会においては、前述のほか、以下のような課題の提起がなされた。これらを踏まえ、今後、検討を行うとともに、必要な対応をすべきである」という記載に修正をお願いできないでしょうか。委員の間でも途中バージョンの報告書が流れていましたけれども、これは、それと似たような表現で、元に戻していただくということを御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
○遠藤座長 御意見として承りました。ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、芦田構成員、お願いいたします。
○芦田構成員 座長、発言の機会をいただきましてありがとうございます。また、事務局の皆様、短期間にこれだけの内容を整理してまとめていただきましてありがとうございます。
 私からは、第2章の2.2.1、創薬力の強化のところで3点ほどコメントをさせていただきたいと思います。
 まず1点目ですけれども、803行目です。こちらで、アカデミアにおける創薬研究の推進、強化について述べられています。日本オリジンの医薬品の開発において、一番川上に当たるアカデミアにおける研究開発の推進、強化ということを入れていただきました。その点は非常に必要なことであると認識しております。
 日本のアカデミアの創薬研究の課題の一つとして、アカデミアが収集しているデータやアカデミアから出願されている特許のクレームの範囲が、製薬業界から見て十分ではないということが指摘されています。この点については、政府の健康・医療戦略本部の医薬品開発協議会においても、アカデミアと企業のギャップを埋める仕組みということが課題として認識されております。昨今、AMEDではそれに対する解決の方策が始まっているというふうに認識しています。そこをさらに進めるべきだと私は考えております。アカデミアが、製薬業界が求める水準のデータの収集であるとか特許出願が行えるように、政府としても伴走支援をより強化する必要があると思います。また、そのためには製薬業界からの協力をさらに仰いでいくということも必要ではないかと考えております。これが1点目です。
 2点目ですけれども、この報告書の中でたびたびバイオ医薬品という用語が出てまいります。例えば27ページの797行目に、遺伝子組換え型のバイオ薬品、遺伝子治療系の再生医療等製品といった新規モダリティ、というように出てきます。バイオ医薬品は再生医療等製品を含まない、というようにここで書かれているわけです。一方、同じページの812行目には、バイオ医薬品の開発であるとか、国内におけるバイオ医薬品全般の開発という用語が出てきます。それから、824行目はCROやCMO、CDMOについて書かれているところですけれども、ここでもバイオ医薬品という言葉が出てきます。
 今申し上げた812行目と824行目のところは、文脈から考えますと、狭い定義でのバイオ医薬品というよりは、遺伝子治療を含む、再生医療等製品を含む、そういった新規モダリティ全般についての開発のケーパビリティであるとか、その推進ということを論じているように思われます。
 また、核酸医薬のような化学合成品も重要な新規モダリティと考えられていますので、そういったことも含めて議論されているのだと考えます。
 そう考えますと、このバイオ医薬品という言葉をもう少し整理して使っていただいて、新規モダリティという言葉に置き換えるべきところをそのように換えていただいたほうが適切ではないかと考えます。
 3点目です。全般を通じてベンチャー企業という用語が使われていますけれども、28ページのところだけなのですが、何か所かスタートアップという用語が使われています。これは意図して区別して使われているのかどうかというところなのですが、文脈から考えると、どちらかに統一して書かれたほうがよろしいのではないかと思います。
 私からのコメントは以上です。
○遠藤座長 重要な御指摘をありがとうございました。
 後でまとめて事務局からコメントがあればいただきますが、香取構成員がオンラインで手を挙げておられますので、香取構成員、お願いいたします。
○香取構成員 1つは質問というか見解です。今、芦田構成員の御指摘のところの新規モダリティの800行目の頭の辺りですけれども、デュアルユースの話が書いてありますね。デュアルユース製造拠点の構築とあるのですけれども、これはちょっと私の理解なのですが、実際の製造現場で、平時は通常のバイオ医薬品を作って、それで感染時にワクチンを作るというラインの切り替えをするというのがデュアルユースのコンセプトなのですけれども、これって本当に機能すると厚労省はお考えなのか。私の知る限り、デュアルユースって実際はそんなにうまくいかないというか、あまりうまくいっている例を知らない。諸外国の例も含めて私は知らないので、例示としてここでデュアルユースを一つバイオの新規モダリティ対応のやり方として書くというのは、たしかあまりそんなに議論になっていなかったような気もするので、そこはお考えを聞きたいというのが質問です。
 あとは2つありまして、1つは先ほど第1章の600行目のところで調整幅の話が出てきていましたね。あのときにちょっと申し上げたのですけれども、調整幅をどう考えるかというのは大問題で、この検討会でも大分議論したと思うのですが、そもそも2%がばらつきを吸収できているかどうかという問題ももちろんあるのですけれども、そもそも調整幅というのはばらつきだけではなくて、薬価と加重平均価格との乖離が実は問題になる。今は8%で0.625を掛けて改定をしたわけですけれども、それぞれの薬効なり何なりで競争条件というか、市場環境が違っている。これも随分指摘があったと思うのですが、医薬品というのは一様なマーケットではなくて、先発品、後発品、薬効群、剤型、基礎的医薬品、それぞれ条件が違うので、それぞれごとにいわゆる薬価と取引価格との間の差という意味での薬価差は相当違いがある。それを一律の2%で調整幅で切るのはどうかという議論は随分したと思うのですが、調整幅のことが1章には出てくるのですけれども、2章では調整幅をどう考えるかということについての方向性が私の見るところ明確に書かれていない気がするのですけれども、これは書かないということなのでしょうか。ある程度問題提起をする必要があるのではないかと私は思っているのでどうかということです。
 もう一つは、中間年改定の話なのですが、中間年改定は価格形成を相当ゆがめているということや、流通のところで頻回の価格改定交渉をすることが卸に非常に大きな負荷になっている。あるいは薬価調査も非常に負荷になっているということが書かれているわけですけれども、中間年改定についてどこに書いているか探したら、その他のところで書いてあるのですね。これはその他のところに書くよりは、流通のところで書くのか、後発品のところで書くのか分かりませんけれども、新薬のところで書くということもあるのかもしれませんが、やはり中間年改定というか、改定頻度をどう考えるかというのはかなり大きい問題なので、一定の方向性を指摘として出すということが要るような気がします。これは結構大きいことなので、この時点で申し上げるのもどうかと思ったのですが、ちょっとあるのではないか。
 3点目は感想ですけれども、薬価に関するところは言葉の表現ぶりがちょっと弱いような気がします。弱いと言ったら申し訳ないですけれども、例えば、研究開発の経営資源の集中化という850行目の後ぐらいのところでは、特許期間中に投資コストの回収が可能になるように薬価制度の見直しを行う、と明確に書き切っているのですが、後段の新規収載薬価の話だとか改定時薬価のところだと、新たな評価方法を検討するとか、見直しを検討するとか、見直しを行うべきというふうに書き切っていないのですけれども、後段は提言のところなので、書き切れるところはできれば書き切るような表現にならないかなという気がいたします。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。
 それでは、三浦構成員、お願いいたします。
○三浦構成員 ありがとうございました。1点だけなのですけれども、最後の適切な医薬品流通に向けたというところの7行目ぐらいでしょうか。医薬品特有の取引慣行や過度な薬価差の話のところなのですが、やはり総価取引というのは一番大きな問題だと思っておりまして、2つ目の○のところにそれをどう改善していくかというお話とか、3つ目のところで過度な薬価差をどうするかというお話があるのですが、できましたらという感じなのですが、私の感覚としましては、もう一歩踏み込んでいただきまして、総価取引減算制度、例えばですけれども、それぐらい踏み込んでもいいかなという感じがしております。
 未妥結減算制度がございますけれども、やはり三村先生がおっしゃったみたいに医薬品流通はなかなか古い体質が残っていたものですから、未妥結減算制度で、未妥結・仮納入、ちょっと古い取引をしたところに対しては、それがある程度、一定以上になった場合には、そういったところに対しては医療点数を下げるという仕組みが今できておりますけれども、同じように総価取引減算制度で総価取引をやっている場合にはそういった医療点数を下げる。もちろん簡単な話ではないかと思うのですけれども、やはり総価取引というのは、過度な薬価差を取っているというだけではなくて、その結果、ジェネリックのメーカーの方々がしわ寄せで本当に値段が下がってしまうので、その結果、新製品を出さざるを得なくて多品種少量生産の悪循環に入られている感じがいたします。そういうふうに考えますと、総価取引はかなり重要な大きな問題ですので、一つの可能性としては、未妥結減算制度があるならば、総価取引減算制度みたいなことも可能性があるかなという感じがいたしまして、クローバックとかいろいろな可能性も御検討されているわけですので、そういった意味では総価取引減算制度みたいなことも考える余地があるみたいなことも書いていただければという感じがいたしておりました。
 御検討いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 具体的な御提案をありがとうございます。
 オンラインで井上構成員がお手を挙げておられますので、井上構成員、よろしくお願いいたします。
○井上構成員 どうも発言の機会をいただきありがとうございます。私自身は読ませていただいて、これまでの議論をうまくまとめ、私の視点からは非常にインパクトがある報告書になっていると受け止めています。特に業界再編の必要性については集中的な取組等のロードマップも策定するとなっており、734行目から736行目等の表現はかなり踏み込んでいただいているのではないかと思いますので、こうしたことを示す上で、企業にもやはりインパクトがあるでしょうし、こうした検討がこれから進んでいくということで、大変そこに期待するところでございます。
 もう一つ、734から736で、これはいわゆる創薬側といったことになるわけですけれども、その次にサプライチェーンの強靱化があって、情報共有の仕組みということも765行目から769行目にかけてご指摘いただき、そうした情報共有のより迅速な共有体制の構築というところが書かれておりまして、ここもサプライチェーンの強靱化に非常に資するものと思っております。
 そういう意味では全体に全く違和感ないですし、非常によく事務局の方に書いていただいていると認識しているのですが、やはり創薬側、製薬企業側がこうした形で業界再編という形をしていったときに、どうしてもサプライチェーンのほうも影響を受けてくるので、どこに書くかというのは微妙ですけれども、業界再編に向けた取組について、今後そうした集中的な取組を政府において行うべきであるというところに付随して、その場合には流通のほうも影響を受けるということを前提に、流通業界のサプライチェーン側の業界強化というか、その中での再編も含めた支援策、インセンティブ、そうしたものも一緒に議論していかないといけないのではないかと感じております。川上だけ業界再編を進めながら、川中の中堅企業が再編に取り残されていくということを若干懸念しておりますので、全体的な取組としてのサプライチェーンの強靱化の一部としての業界再編というところも併せて記載してもよいのではないかと思いまして、2.1.3に書くべきなのか、それとも総合的なということで、その前のページ、730行目から736行目のところにそうした場合にはサプライチェーンの影響も考慮し、そして、サプライチェーンにおいても必要な施策を取るというような形で付記するのか、その辺は事務局にお任せします。この辺はやはりあまり再編の分野のスコープが狭くなると、バリューチェーン全体を通した全体最適に行かない可能性があるのではないかということで、この1点だけ気になりました。
 以上でございます。
○遠藤座長 重要な御指摘をありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょう。
 川原構成員、どうぞ。
○川原構成員 このたびは広範な課題と方向性について適切にまとめていただいてありがとうございます。すばらしい報告書になるのではないのかなと考えております。
 私も今回必要と思われる課題と方向性につきましては、適切に記載していただいていると考えております。その中で1点だけ文言の部分ですが、1,017行目に、全国にあるグループ店舗の本部一括交渉と、いきなりグループ店舗といった文言が出てきています。第1章においては、チェーン薬局や価格交渉を代行する業者という形で定義されていますので、そちらになるべく平仄をそろえたほうがいいのではないのかと思っております。
 以上でございます。
○遠藤座長 御指摘ありがとうございました。
 それでは、菅原構成員、お願いいたします。
○菅原構成員 ありがとうございます。発言の機会をいただきましてありがとうございます。私のほうから第2章に関して、また若干文言についての検討のお願いが3点と、それから全体のコメントをさせていただきたいと思っております。
 まず文言のほうなのですけれども、690行目でございます。その最後のところに、非常事態に対応できる「余力を持った製造」が求められるというふうにあるのですけれども、余力を持った製造というのが少し分かりづらいので、恐らくこれは余力を持った製造体制を構築すべきであるとかそういう話だと思うのです。ここの部分は、製造という言葉だけが置いてあるのは違和感があるので、ちょっと考えていただいたほうがいいかなと思います。
 それから、781行目から783行目ですが、先発品企業に求められるところ、第1章で記載したとおり、日本の製薬産業の現状としてはそのような創薬力を有しているとは言えないというふうにほぼ断言してしまっているのですけれども、一部頑張っているというか、ポテンシャルのある企業はありますので、「必ずしも有しているとは言えない」とか、「いまだ十分有しているとは言えない」とか、もうちょっと文言を考えたほうがいいかなと思いました。
 それから、1,050行目から1,053行目です。ここは恐らく私の発言を反映していただけたところだと思うのですけれども、公的保険の枠内でというか、枠内のみで考えるのではなくという、「のみ」というのを入れていただけるとありがたいなと。枠内のみで考えるのではなくというところと、あと、枠外を含めて考える視点も必要であるというふうに、若干、発言者の趣旨としてもう少し広く捉えていただけるとありがたいです。
 すみません。細かい話でしたけれども、以上が文言修正に関する御検討のお願いでございます。
 全体の第2章、それからその他の課題に関するコメント、要望をお願いしたいと思います。まず、この検討会は非常に幅広い課題について議論がなされた中で、私も自分の主張を本当に幅広に取り上げていただきまして、ありがとうございました。特にドラッグ・ラグ/ロスに迅速に対応するための新たなインセンティブの導入だとか、「新たな評価方法の検討」という形ですけれども、新薬の値付けの検討についても新たな評価方法という形で表現をされているのだなと。若干踏み込み不足というような不満もないわけではないですけれども、そういう形で反映されていると思っております。
 また、原価計算方式の是正については私も随分コメントしましたけれども、明確にどうすべきという話ではありませんけれども、やはり問題点があるということを指摘していただいて、今後の検討課題になったことはありがたい話でございます。
 また、患者参画やチャレンジ申請の導入検討、それから調整幅や薬価の偏在に関する今後の検討の方向性の中で、クローバックだとか公定マージンという言葉を織り込んでいただけたのも大変ありがたく感じております。
 以上が大変ありがたかった部分なのですけれども、1点要望といいますか、御検討いただきたい点は、977行目の市場拡大再算定の記述です。ここの議論については、やはり市場拡大再算定制度そのものの問題点として、特に市場拡大再算定品目だけで薬剤費の適正化が非常に広範囲に行われているという現状認識だとか、そういったこともかなり言われてきたと思います。今回の市場拡大再算定に関する対策、課題については、先ほど出ていた共連れ、特に類似品の考え方についてのみに課題が集約されてしまったような気がいたしますけれども、可能であれば、やはり市場拡大再算定の対象品目の考え方だとか、現状のやり方そのものについても、共連れとともにやはり検討すべきではないのかなと思いますので、御検討いただければ幸いであります。
 それから、「その他の課題」につきまして、先ほど他の委員からも御指摘ございましたけれども、ここに挙げられた課題は、特に最後の遠藤座長自ら御発言になった薬剤データがそもそもない中で議論するのはどうなのかということを含めて非常に重要な問題を含んでいると思います。各意見、非常に大事だと思っております。ですので、やはり意見があったという記述だけではなくて、これは恐らく1,062行目のところで、今後、これを受けて、もちろんここだけの議論ではなくてほかの関係の会議の中でしっかりやるんだというメッセージは書かれているというふうに私自身は解釈をしておりますけれども、しかし、書きぶりとして1,022行目のところ、意見があったというだけではなくて、やはり今後その他の意見についても各会議体でしっかりとした継続的な議論が行われることを少なくとも期待するだとか、継続されるべきであるというような文言を入れるべきだと思っております。
 途中、薬剤費の適正化に関する課題等々がここに書かれておりますけれども、実際に2月8日の中医協の中でも、実際にこういった様々な議論が既に行われていて、財政審等々の資料なども引きながら、今後、中医協や医療保険部会でもちゃんとこういった議論をすべきだというふうに中医協委員の御発言があったと記憶しております。
 したがいまして、これに関しましては、その他の課題の中で意見があったというだけではなくて、もう少し踏み込んだ議論を喚起するような記述をお願いしたいと思っております。
長くなりましたけれども、以上でございます。ありがとうございました。失礼いたします。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。貴重な御意見だと受け止めさせていただきました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、様々な御意見が出ましたので、コメントできる範囲で事務局から御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。まず、個別で細かいお話で恐縮でございますけれども、香取構成員より御質問をいただきましたデュアルユース事業に関しましてお答えをさせていただきます。こちらは経済産業省で実施している事業でございますけれども、まさに今、各受託事業者のほうでどのような平時の生産を行うのかといった取組の具体化を進めているところと私どものほうでは聞いてございます。現時点で事業に当たって何か支障が生じているというお話は聞いておりませんけれども、我々としましても、状況につきましては注視をしているところでございますので、御指摘いただきました点も踏まえながら、経済産業省と共に協力して進めてまいりたいと考えてございます。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 続きまして、全体を通じてということで、一つ一つの御回答は控えさせていただきたいと思いますけれども、まず、様々な御意見をありがとうございました。事実関係に関するものについては、こちらでも確認をさせていただいた上で、必要な修正等を考えたいと思います。
 その上で、特に対策の方向性のところについては、正直申し上げると、御意見として承って、省内に持ち帰って調整をさせていただきたいと思いますが、ここに至る過程でも様々調整を経た上で、本日この報告書の案になっているということでございますので、もちろん委員の皆様方からいただいた御指摘については、できる範囲で反映できるように我々も努力させていただきましたけれども、現時点での到達点がここであると。その上で、本日いただいた御意見も踏まえまして、再度調整をさせていただきたいと思いますが、対策の方向性のところは特に影響がかなり大きいということもございますので、全部書き切れるかどうかというところでは申し訳ございません。なかなか難しいものもあるのかなという感じがしてございます。
 その点、御了承いただいた上で、いずれにしても反映できるところについては反映していきたいですし、あと、検討会のここに書くかどうかは別にして、問題提起いただいた論点についてはしっかりと事務局のほうで受け止めさせていただいて、引き続き、この後の様々な検討は続きますので、そういったものの中できちんと課題提起なり議論を継続させていただきたいと考えているところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 そのような形でこの報告書につきましては対応させていただければと思います。具体的には、この文言の修正ですが、今のようなプロセスも経まして、必要に応じてまた御発言された先生にも調整をさせていただくということを前提にして、全体としましては、座長預かりという形でひとつまとめさせていただければなと思いますけれども、そのような対応でよろしゅうございますか。
 ありがとうございます。それでは、そのように対応させていただきたいと思います。本当にどうもありがとうございました。
 当検討会につきましては、冒頭、事務局から説明がありましたように、各事項のフォローアップ等を行うために、まだ継続をしております。ある意味、今後ますます重要なポジションになるということも考えられますので、ぜひ先生方におかれましては、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 この報告書の取りまとめについては、そのようなことでよろしゅうございますね。
 それでは、最後に、城審議官から一言いただければと思います。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 担当審議官の城でございます。皆様、本当にありがとうございました。13回にわたりまして、まずはファクトの確認と課題の整理ということで、この検討会自体は、今まで多分厚生労働省でやったことのない、産業であったりユーザーの視点から分野横断的にファクトを整理し、課題を整理し、対応策を提言するという形のものでございまして、相当幅広い分野にわたって御専門の立場からいろいろ御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。技術進歩への対応でありますとか、様々な最近の変化、トレンド、こういったものをどのように各制度に生かすかという観点だったのだろうなと私自身は考えております。
 本日、対策の方向性の提示をいただきました。本日の御意見も踏まえて、さらに直せるところは直してということでありますが、ここに反映できたもの、できないものを含めまして、今後それぞれの舞台といいますか、場といいますか、検討して決めるべき場がほかにあるものもございます。そういったところにきちんと共有をし、各方面と、それは省内、省外を含めて協力を得て、実現すべく、しっかりと対応してまいりたいと私どもは考えております。引き続きの御協力をいただきたいと思いますし、まずはここまでの取りまとめに御尽力いただきまして感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。引き続きよろしくお願いを申し上げます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、本日の検討会につきましては、これをもって終了したいと思いますけれども、事務局から何か連絡事項はございますか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 次回検討会の開催につきましては、未定でございますので、詳細につきましては、厚生労働省事務局より改めてメール等にて御連絡をさせていただく予定でございます。
 また、本日の検討会の議事録につきましては、後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としております。
 事務局からの連絡事項は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、これをもちまして本検討会は終了したいと思います。本日は長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。