2022年11月21日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和4年11月21日(月)14:00~

出席者

出席委員(20名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人2名出席

欠席委員(3名)五十音順
行政機関出席者
  • 八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  • 山本史(大臣官房審議官)
  • 中山智紀(医療機器審査管理課長)
  • 中井清人(医薬安全対策課長)
  • 鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
  • 池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医療機器審査管理課長 定刻となりました。医療機器審査管理課長の中山でございます。ただいまから、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御出席いただきまして、どうもありがとうございます。本日の委員の出欠状況についてですが、現時点で医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち19名の先生に御出席いただいております。大島委員が遅れて御出席ということで、大島委員が加わりますと20名ということになります。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしていることを御報告させていただきます。なお、11名の委員におかれまして、Webシステムにて御出席いただいている状況です。
 次に、本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介いたします。議題1につきましては、国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科皮膚科学教授の藤本学先生に、議題2につきましては、医療法人社団高邦会福岡山王病院血管外科部長の星野祐二先生に、Webシステムにて出席いただきます。なお、星野先生におかれましては、議題2開始時点で御入室いただくということになっております。
 次に、議事に入る前に、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。
 委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をお掛けしますが、引き続き御理解と御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、本日の議題の公開、非公開の取扱いについて、事務局から説明いたします。
○事務局 事務局でございます。本日の議題の公開、非公開の取扱いについて説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日予定している全ての議題については、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。
 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。会場の皆様のお手元には資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料1~7をお手元に御用意ください。タブレットの操作について御不明点等がありましたら、お近くの事務局員までお声掛けいただければと思います。
 次に、Web会議で御参加される委員の先生方へ注意事項を説明いたします。審議中はマイクミュート、通信環境等に支障がない限りカメラオンでお願いいたします。御発言の際は、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後にマイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に御発言いただきますようお願いします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで御一報いただければと思います。
 次に、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について御報告させていただきます。資料6、競合品目・競合企業リストを御覧ください。まず、1ページに「デュオリス SD1 ウルトラ」について、2ページに「Zilver Vena静脈用ステント」についてリストがありますので、必要に応じて御覧ください。
 委員の皆様から寄附金、契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、議題1~5のいずれの議題につきましても、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」に基づく審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。また、薬事分科会審議参加規程第13条に基づく議決に御参加できない委員は、議題2において松宮委員が該当しております。以上、報告いたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上でございます。以後の進行につきましては、荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 よろしくお願いいたします。まず、ここまでの事務局からの説明につきまして、何か御質問や御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは早速ですが、議題に入らせていただきます。今日は議題1と2が審議事項、議題3~5までが報告事項となっております。
 議題1「医療機器「デュオリス SD1 ウルトラ」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、製造販売承認事項一部変更承認の可否及び使用成績評価の要否について」を始めさせていただきます。先ほど御紹介いただきましたように、本議題につきましては、参考人として藤本学先生に御出席いただいております。藤本先生、よろしくお願いいたします。それでは、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題1につきまして事務局より説明いたします。まず、資料1-2のファイルをお開きください。本議題では、医療機器「デュオリス SD1 ウルトラ」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認事項一部変更承認の可否及び使用成績評価の要否について御審議をお願いいたします。
 ファイル1ページを御覧ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対しては、部会の御意見を伺いまして、新たに一般的名称を新設することになります。今回、「デュオリス SD1 ウルトラ」に対応して新設を予定する一般的名称は「体外衝撃波皮膚潰瘍治療装置」です。定義は「体外から衝撃波を照射し、皮膚潰瘍の治療に使用する装置をいう。」としております。本品はクラスIII、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、必要と考えております。一般的名称の新設に関する御説明は以上となります。
 次に、審議品目及び審査の概要につきまして、機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1「デュオリス SD1 ウルトラ」について、機構より御説明いたします。資料1-1を御覧ください。
まずはじめに、これまでの経緯について御説明いたします。資料1-1の6/251ページ、審査報告書では5ページをお開きください。本品は、既に難治性の足底腱膜炎患者に対する除痛を目的として承認されている体外衝撃波疼痛治療装置です。本申請は、全身性強皮症患者における四肢の難治性潰瘍の治療に関わる適応を使用目的に追加し、また、それに伴い、当該治療に使用する専用ハンドピースを構成品に追加するための医療機器製造販売承認事項一部変更承認申請です。
本品は、本年9月の医療機器・体外診断薬部会において、継続審議となった品目です。前回の部会においては、手に難治性潰瘍を有する全身性強皮症患者を対象に本邦で実施された医師主導治験における衝撃波治療の再現性や、潰瘍に対する有効性評価の適切性等について御指摘を頂きました。このため、まずは本品の衝撃波の特性やハンドピースに取り付けるスタンドオフを併用する目的、次に本治験における治験機器の使用方法、さらに潰瘍に対する有効性評価の適切性に関する情報等を整理した上で、改めて本品の有効性について考察を追加することといたしました。
 はじめに、本品の衝撃波の特性とスタンドオフを併用する目的について御説明いたします。資料1-1の7/251ページ、審査報告書の6ページの図1を御覧ください。衝撃波についての御説明です。本品のハンドピース内に発生させた衝撃波はパラボラ型反射体にて収束され、ハンドピース先端から照射されますが、C-ACTORハンドピースの場合は、衝撃波の焦点がハンドピース先端から28.5mmの位置になるよう設計されております。また、ハンドピース先端に取り付けるスタンドオフIIの役割ですが、これは適切な焦点距離を使用者に示すための構成品です。ハンドピースだけでは、使用者が衝撃波の焦点を視覚的に把握することができないため、スタンドオフIIを取り付けることで、スタンドオフIIの先端付近に衝撃波の焦点が存在することが客観的に分かるよう工夫されております。スタンドオフIIは弾力性のあるポリエーテルウレタン製であり、先端部分を皮膚に強く押し付けるのではなく、軽く接触させることを意図して使用されます。その使用方法は、既承認の足底腱膜炎患者に対する適用から差分はありません。なお、本品については、焦点距離から数ミリメートル離れた位置でも衝撃波による圧力が大きく減衰しないことが非臨床試験により評価されており、本治療方法は衝撃波の焦点を皮膚表面と完全に一致させるほどの厳密性が求められるものではありません。
 続いて、本治験における治験機器の使用方法について御説明いたします。資料1-1の8/251ページ、審査報告書の7ページの2)を御覧ください。本治験では、患者が訴える疼痛により治療継続が困難となること等の理由から、潰瘍に対して直接衝撃波を照射してはおりません。以前の審査報告書に記載したとおり、手指に対する衝撃波の照射部位の目安としては、片手につき20か所の位置をあらかじめ規定しております。もし、照射予定位置に潰瘍が存在していた場合には、照射位置をずらして、潰瘍周囲に衝撃波を照射しております。
なお、ハンドピースの焦点距離については、使用者が任意に変更することはできず、本治験ではスタンドオフの種類としてタイプIIのみをハンドピースと併用するよう統一されておりました。さらに、本治験開始前には、本品群の治験実施施設において、試験機器の操作方法と手技についての確認を実施し、皮膚表面に沿って接触させる程度でスタンドオフIIを当てることの確認を行っております。そのため、潰瘍周囲に軽く接触させるというスタンドオフの皮膚への当て方を含めた治療の手技は統一されており、本治験における手技の相違が有効性に与える影響は最小化されていると考えます。
以上より、本治験においては、一定の使用方法に基づく臨床成績が収集されており、衝撃波治療の再現性が担保されていると判断しました。
 次に、医師主導治験の潰瘍に対する有効性評価の適切性について御説明いたします。資料1-1の9/251ページ、審査報告書の8ページの(2)を御覧ください。本治験の主要評価項目は、治験責任医師又は分担医師の目視による潰瘍数の減少として設定されております。その設定理由は主に三つあります。
 まず、全身性強皮症の症状としても一般的な指先の虚血性潰瘍の治癒に対する確立した画像評価方法が現在ないこと、それから手指のむくみやこわばりの症状から、指を開く動作が難しい症例も存在し、比較的小さい潰瘍が手指に複数発現するといった全身性強皮症患者特有の特徴を踏まえると、統一した条件下で写真を撮影することが難しいこと、それから全身性強皮症患者の新規潰瘍発生の抑制を効能・効果として国内外で承認されている医薬品の臨床試験において、担当医師の目視による潰瘍数の評価が主要評価項目として設定されていたことです。
これらの背景を踏まえて、本試験を計画した経緯については、一定の理解が可能と考えております。
 さらに、非ランダム化試験のデザインを採用するに当たって、少なくとも両群間での評価バイアスを最小限に抑える対策として、本治験において両群の診療に関与した担当医師はおらず、両群の実施医療機関で登録された各症例における潰瘍数の推移等について、治験期間中に、他の実施医療機関には共有されていないことが申請者より説明されております。
 また、資料1-1の10/251ページ、審査報告書9ページの上段を御覧ください。参考情報としてですが、本治験と過去に実施したフィージビリティ試験との試験成績にある程度の一貫性が認められていることも確認しております。
 最後に、潰瘍に対する有効性評価について、機構の判断をまとめます。資料1-1の10/251ページ、審査報告書の9ページの中段を御覧ください。皮膚潰瘍に対する治験においては、可能な限り客観的な指標に基づき有効性評価を行うべきと考えます。しかしながら、全身性強皮症患者の皮膚潰瘍は、主に指先に発現する虚血性潰瘍であり、潰瘍面積が比較的小さい一方で、潰瘍数が多いことを特徴とし、引用文献においても画像評価が困難であることが報告されており、本治験の計画時のみならず、現時点においても潰瘍面積や潰瘍数の画像評価方法の指標が確立されているとは言えません。このような疾患特性を踏まえると、本治験の主要評価項目を担当医師の目視による潰瘍数の評価とすることは受入れ可能であり、本品の有効性について、本治験成績に基づく一定の評価は可能であると判断しました。
 その上で、本治験は非盲検下で実施され、その評価には限界がありますが、全身性強皮症の皮膚潰瘍に対する治療の選択肢は限られていること、全身性強皮症の患者数は限られ、医師主導治験の実施可能性も考慮せざるを得ないこと、既承認の医薬品の臨床試験を十分に考慮した上で本治験は実施されていること、フィージビリティ試験においても一定の有効性が示唆されていることを勘案し、本品の一定の有効性は示されていると判断しました。
 以上の審査を踏まえ、審査報告書10ページに記載の使用目的により、機構は、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。また、使用成績評価の対象として指定し、使用成績評価期間は5年とすることが妥当と判断しました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、参考人として御参加いただいております藤本先生から追加の御発言、御説明を頂きたいと思います。御存じかと思いますが、この製品につきましては、前回のこの部会で、今日特に説明いただいた2点につきまして、検討が必要ではないかということで持ち越しとなった経緯があります。先生からこの点につきまして追加の御発言を頂ければ有り難いです。よろしくお願いいたします。
○藤本参考人 ありがとうございます。大阪大学皮膚科の藤本でございます。機器については私は見たこともないため、機器の使用方法についてのコメントはできかねますので、そこのところは割愛させていただきます。
 評価方法に関しては、写真撮影等が難しいということでは必ずしもないと思いますけれども、目視によって数を判断すること自体はほかの治験でもやっておりますし、強皮症の場合には特段おかしな評価法ではないので、それについては認めてよいというか、一般的なやり方と考えていただいてよろしいと思います。
 この治験に関しては、本品群と通常治療群の患者背景が違う、潰瘍数が随分違うので、要するに全く違うポピュレーションの患者さんを比較して有効と判断していいかという点が若干の懸念が残るというのが、私自身の本治験に関する最大の懸念点でございます。以上でございます。
○荒井部会長 藤本先生、ありがとうございます。それでは、委員の方々からの御意見、御質問を受けたいと思いますが、この前議論になりましたのは、大きく分けまして、いわゆるスタンドオフIIですか、ハンドピースに付ける部分のことに関してで、衝撃波が定まって当たるのかという点、もう一つは、藤本先生が言及された試験デザイン、この2点でした。もしよろしければ、まずは機器としてのスタンドオフIIというものをくっ付ける構造等について、前回ここは少し議論になりましたけれども、これについて御意見、御発言はいかがでしょうか。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 宮川でございます。前回、衝撃波をどのように患部周辺、つまり潰瘍の周囲に当てることによって、その潰瘍の回復を早めるという意味で、焦点の当て方についていろいろ疑問がありましたので御質問させていただきましたけれども、今回のそのような説明で十分理解できたと思っております。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それではまず、この機器の先端の衝撃波が一定の距離を保って、ほかにバリエーションがあるわけではないという部分につきまして、そのほかの委員の方々からはいかがでしょうか。Webの先生方もよろしいですか。では、ハンドピースにくっ付けるスタンドオフIIの部分に関しては、一応今回の説明で御理解いただいたということとさせていただきます。
 それでは、後段の試験デザインについて、要するに、客観性が担保できているのかということ、あるいは先ほど藤本先生からも御発言がありましたが、二つの群の患者さんのバックグラウンドが必ずしも同じではないと、特にこういった機器の場合、場合によっては右手と左手とかいろいろなパターンがあると思われますが、背景が大きく異なる患者さんを対象に評価するという点について、先ほど機構からも説明がありましたように、この疾患特有の評価の難しさという点も踏まえて、何か御意見、御発言はありますでしょうか。永井先生、どうぞ御発言ください。
○永井委員 先ほど藤本先生がおっしゃったように、通常群と試験群は背景が違うというのは、全くそのとおりだと思います。それに加えて、潰瘍数を数えることはよくあるという御説明で、それもそうかと思います。ただ、一つ気にしないといけない点は、医薬品の場合は飲んだらしまいですが、今回の場合は、術者が評価者を兼ねている、つまり、やった人が自分で評価しているという点です。今更言っても仕方ないですが、やった人と評価する人、すなわち数える人を分けていた、あるいは数える人が複数いた、そういったやり方が取られていれば、なおよかったと思います。ただ、だからと言って、今回の方法が全く駄目ということでもないので、市販後にきちんと評価してもらえばいいと思います。以上です。
○荒井部会長 永井先生、ありがとうございます。永井先生の御指摘でまとめていただいたような形ですが、委員の方々も多分同じような感想をお持ちかと思います。特に御発言はいかがでしょうか。よろしいですか。前回紛糾しましたときに申し上げましたが、医薬品等の審査と同じレベルでなかなか語れないところが医療機器にはあります。だからいいというわけではないのですが、その中で少しでもフェアに科学的に評価を行っていこうという姿勢の問題のように思われます。正に永井先生に今御指摘いただいたような、本来だったらば評価者は別の人間がやるべきではないかというのは、全く私もそのとおりだと思うのですが、既に医師主導という形で治験が行われた後のこの段階で、試験の方法が駄目だから最初からもう一回全部やり直しましょうという話にはなかなかもっていきにくい、この点については委員の方々も理解していただいているように思います。そのほかの方は御意見ございませんか。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 前回も申し上げましたように、こういうような機器の臨床試験をやっている間は、つまり現病歴と周辺の、例えば糖尿病であれば糖尿病の治療、その治療薬、そういうものは変更していないというのが前提です。例えばHbA1cや血糖値の変動など臨床のバックグラウンドが変わっていないということが前提条件です。本来からすると、治療が進展すれば当然その潰瘍も良くなってくるということもありますので、そういうところがしっかりと書き込めていけるように、これからそういうことを指導していただくよう、機構も含めてですけれども、試験者、申請者に対して、しっかりと教育するようにしていただければと思っております。以上です。
○荒井部会長 宮川先生、ありがとうございます。本当にこれからの機器の審査を、よりきちんとクオリティを高めるという上で、大変貴重な御意見だと思います。そのほかの委員の方々はよろしいでしょうか。Webで御参加の先生方もよろしいですか。それでは、特に御意見がないようですので、本日機構から御説明いただいた点等を踏まえて、更に今、何人かの先生に御指摘いただいたように、本来ならばサイエンスとしての立場から見ると、特に臨床試験の方法論としては、今後改善すべきという点もあったということを十分踏まえて、特に今後の機器、これから試験を始めるというものに関しては、こういった点も含めて御指導いただくということを前提というか、踏まえた上で、本品に関しての判断をこの部会として決めたいと思いますが、よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、議決に入らせていただきます。まず、一般的名称の方からです。「体外衝撃波皮膚潰瘍治療装置」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定するということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようです。
 次に、正にこの医療機器ですが、医療機器「デュオリス SD1 ウルトラ」につきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品としては指定しないということでよろしいでしょうか。また、使用成績評価は、期間を5年として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。
 本件は、分科会にて報告をさせていただく予定となっております。それでは、これで議題1を終了いたします。藤本先生、どうもありがとうございました。
○藤本参考人 ありがとうございました。
藤本参考人退室、星野参考人入室
○事務局 議題2に向けまして、参考人の星野先生に御入室いただいたこと確認できました。
○荒井部会長 それでは、議題2に進みます。「医療機器「Zilver Vena静脈用ステント」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否」を始めます。本議題については、今御紹介いただきましたように星野祐二先生に御出席いただいております。星野先生、よろしくお願いいたします。それでは、まず機構から説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料2の冒頭、本品目の専門協議委員を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする3名の専門委員の御意見を頂きました。
 まず、品目概要を説明いたします。通し番号7/666ページ、審査報告書6ページ、「1.審議品目の概要」を御覧ください。本品は、既存療法では治療困難な症候性腸骨大腿静脈流出障害に対し、腸骨大腿静脈の内腔を確保するために用いる静脈用ステントです。本品は、ナイチノール製の自己拡張型ステントと、ステントを病変部位に送達させるデリバリーシステムから主に構成されます。ステントサイズラインナップは表1に示すとおりです。
 次に、開発の経緯を説明いたします。審査報告書通し番号7/666ページの下段、「(1)開発の経緯」を御覧ください。腸骨大腿静脈流出障害は、下肢からの主要な静脈流出路である腸骨大腿静脈が閉塞又は狭窄することにより生じる静脈の血流障害です。一般的に、急性深部静脈血栓症(以降「急性DVT」という)、慢性深部静脈血栓症(以降「慢性DVT」という)及び腸骨静脈に対する解剖学的な外部圧迫が原因で発生します。下肢からの流出が制限されると、静脈高血圧症及び続発性筋ポンプ機能不全となり、静脈弁が有効に機能せず、下肢静脈に血液が貯留することで、血栓後症候群(以降「PTS」という)を引き起こします。症候性の場合、急性DVTでは主に疼痛や腫脹、PTSでは浮腫、腫脹、静脈瘤、脂肪皮膚硬化症、色素沈着及び潰瘍形成等の症状を認めます。
 本邦におけるガイドラインでは、DVTに対する治療方針は、肺血栓塞栓症の合併を防ぎ、速やかに静脈血栓を除去・溶解させて再発を防ぐことにより、静脈開存性を確保して静脈弁機能を温存することとされています。したがって、急性DVTに対しては、抗凝固療法や圧迫療法等の保存療法が標準療法となりますが、動脈虚血を伴う重症例では、カテーテル的血栓溶解療法や外科的な血栓摘除術による迅速な血流再開が必要とされます。また、慢性DVTやPTSに対しても、まずは保存療法等が行われ、奏効しない場合、カテーテル治療が試みられる場合がありますが、バルーン血管形成術単独での治療成功はまれとされています。外部圧迫を受けて狭窄している場合にも、バルーン血管形成術単独では静脈内腔を長期にわたり確保することは困難であり、本来は金属ステントの留置が必要と考えられています。本品は、このように症候性腸骨大腿静脈流出障害の患者の腸骨大腿静脈に留置し、内腔を広げ、血管の開存性を確保することで血流を改善し、静脈流出障害による臨床症状を軽減することを目的として開発されました。
本品を含む腸骨大腿静脈用ステントについては、第32回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会において、早期導入すべき医療機器に指定されています。
 続いて、通し番号9/666ページの中段、「(2)外国における使用状況」を御覧ください。本品は、欧州で2010年10月、米国で2020年10月に許認可を取得しており、2021年12月末時点でその他の国や地域と合わせて約○○○○○個の販売実績があります。
 本品の非臨床試験についてですが、特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について説明いたします。通し番号16/666ページの下段、「ヘ.臨床試験の試験成績に関する資料又はこれに代替するものとして厚生労働大臣が認める資料」を御覧ください。本品の臨床試験成績として、VIVO試験(以降「本臨床試験」という)の試験成績が提出されました。本臨床試験は、症候性腸骨大腿静脈流出障害における本品留置による有効性及び安全性を検証することを目的に、米国29施設及び台湾1施設で実施されました。
 続いて、通し番号18/666ページを御覧ください。有効性主要評価項目は、「手技後12か月の定量的一次開存率」が設定されました。定量的一次開存率は、「治療した静脈部分の最小内腔径が初回手技後連続して、インターベンションを受けることなく、ステント留置直後の最小内腔径の50%を超えていることが、コアラボ評価された静脈造影で示されていること。」と定義されました。安全性主要評価項目は、「手技後30日の主要有害事象(以降「MAE」という)の非発生率」が設定されました。性能目標値は、対象疾患に対し動脈用又は胆管用ステントを用いた治療成績に関する文献に基づき設定されました。
 試験結果については、通し番号21/666ページ中段、「3)試験結果」の「マル1有効性主要評価項目」を御覧ください。有効性主要評価項目である「手技後12か月の定量的一次開存率」は89.9%、95%信頼区間の下限値は85.1%となり、事前に設定された性能目標値である76%を上回りました。
 続いて、通し番号24/666ページの中段、「マル2副次評価項目」を御覧ください。本品による臨床症状の改善に関する評価項目である「ベースラインに対する手技後1か月及び12か月の静脈疾患臨床重症度スコアの変化」について、ベースラインから手技後1か月で-3.0、12か月で-4.2と有意に減少し、この臨床症状の改善は手技後3年までおおむね維持されることが確認されました。
 安全性主要評価項目については、審査報告書25ページ、通し番号26/666ページの「マル4安全性主要評価項目」を御覧ください。手技後30日のMAE非発生率は96.7%、95%信頼区間の下限値は93.5%となり、事前に設定された性能目標値である87%を上回りました。
 次に、本品の審査における四つの論点について説明いたします。審査報告書29ページ、通し番号30/666ページを御覧ください。まず、本品の臨床的位置付けについてです。本品が対象とする症候性腸骨大腿静脈流出障害の原因として、急性DVT、PTS及び非血栓性の腸骨静脈病変であるNonthrombotic Iliac Vein Lesions(以降「NIVL」という)の三つの病型が想定されます。NIVLについては、本邦では急性DVT症例の圧迫性病変として認識されているため、急性DVTと合わせて取り扱うことにしました。現在、急性DVTの患者に対しては、基本的に抗凝固療法などが標準療法として実施され、症状が継続する又は重症の場合にはカテーテル的血栓溶解療法(CDT)や血栓摘除が選択されます。これら既存療法でも回復せず、病変を拡張する臨床上の必要性が高いと判断される場合に、本品のようなステントが必要となると考えられます。PTSに対しては、圧迫療法等の保存療法を実施しても重症な臨床症状が改善しない患者に対し、その静脈内腔を確保するためにステントが必要になります。
 いずれの病型においても、本品のようなステント治療の対象となるのは既存療法では治療することが困難な重症患者であると考えます。ただし、当該疾患に対するステント留置術による臨床症状の改善や、金属ステントの長期埋植に伴うリスクに関するエビデンスは現時点では限られていることから、既存療法では治療することが困難であり、ステント留置術のリスクベネフィットバランスが保たれる症候性腸骨大腿静脈流出障害に対する新しい治療選択肢の一つとして、本品の臨床的意義があると判断しました。
 審査報告書28ページ、通し番号29/666ページの表18を御覧ください。現在、関連学会が作成中の適正使用指針において、本品の具体的な対象患者については本臨床試験の対象患者のうちの重症患者とされています。
 二つ目の論点は、海外試験の外挿性についてです。審査報告書30ページ、通し番号31/666ページの上段を御覧ください。機構は、本品の対象疾患について、遺伝的要因や生活習慣の違いなどにより、症候性腸骨大腿静脈流出障害の原因となるDVTの発生率や、急性DVT、PTS及びNIVLといった病型の割合の民族差はあると考えます。しかしながら、追加解析として実施された病型ごとの成績により、本邦の対象患者に該当する症例の成績を評価可能であること、術前における保存療法の実施率の違いが本品による血管開存性に与える影響は少ないと考えられることから、海外で実施された本臨床試験成績により、国内における本品の有効性及び安全性を評価することは受入れ可能と判断しました。
 三つ目の論点は、本品の有効性及び安全性についてです。まず、有効性について、審査報告書32ページ、通し番号33/666ページを御覧ください。中段の「マル1本臨床試験において示された本品の有効性について」を御覧ください。本臨床試験の有効性主要評価項目である定量的一次開存率は達成されており、腸骨大腿静脈病変部の血管内腔を確保し維持できることが示されました。臨床症状についても、ベースラインに対する手技後1か月及び12か月で改善しており、それが手技後3年まで維持されたことから、本品により病変部の血管内腔を確保することで臨床的意義のある有効性が確認されたと考えました。
 続いて、審査報告書33ページ、通し番号34/666ページ、「マル2本邦における対象患者に対する本品の有効性について」を御覧ください。先ほど御説明したとおり、適正使用指針において、本臨床試験の対象患者のうち、より重症の患者が本邦での本品の治療対象とされていることから、当該患者における本品の有効性について検討を行いました。その結果、これらの患者に対しても、図8のとおり、定量的一次開存率はITT集団と同等であり、審査報告書34~36ページの表20~22に示すとおり、疼痛、浮腫、潰瘍等を含む臨床症状の改善も認めたため、本邦における本品の臨床的有効性はあると、専門協議での議論も踏まえて判断しました。
 安全性については、審査報告書37ページ、通し番号38/666ページ、「2)安全性について」を御覧ください。本臨床試験の安全性主要評価項目は達成されました。審査報告書38ページ、通し番号39/666ページの中段、「総合機構は」から始まる段落を御覧ください。本臨床試験全体と国内で想定される対象患者におけるMAE発生率は同等であり、生じた事象の内容にも特段の違いは認められていないことから、本品の安全性は許容可能と判断しました。ただし、本邦における対象患者に該当する症例数は本臨床試験では限られていたことから、後述するとおり、使用成績調査等で継続的に本邦における本品の有効性及び安全性を評価し、適正使用及び安全対策を徹底していくことが重要と考えます。
 審査報告書41ページ、通し番号42/666ページを御覧ください。下段「以上の」から始まる段落を御覧ください。以上より、機構は本臨床試験から本品の有効性及び安全性が示され、症例数は十分ではないものの、本邦での対象患者における有効性及び安全性も示唆されたと考えました。本品の対象となる患者は、ステント治療以外に有効な治療手段がなく、現在動脈用ステントを適応外使用せざるを得ない症候性の重症患者です。これらの患者に対して、動脈用ステントを使用した場合と比べ、静脈用ステントを使用したほうが合併症が少ないとの研究報告があり、本品が早期導入すべき医療機器に指定されていることも踏まえると、国内における本品の有用性は高いと判断いたしました。
 四つ目の論点は、本品の適正使用を含めた製造販売後安全対策についてです。審査報告書42ページ、通し番号43/666ページ、「(5)本品の適正使用を含めた製造販売後安全対策について」を御覧ください。本品は、腸骨大腿静脈用として本邦で初めて導入されるステントです。したがって、本品を有効かつ安全に国内導入するためには、症候性腸骨大腿静脈流出障害に関連する治療に精通し、本品の適応となる患者を適切に選択すること、本品を安全かつ適切に留置するための診断及び手技関連の知識、技術を有すること、術後の抗凝固療法及び抗血小板療法について適切に判断、実施できる知識と経験を有すること、本品を用いた治療に伴う合併症や有害事象に適切に対応可能であること等が必要と考えます。現在予定されている表25のトレーニング内容及び表26の関連学会が作成中の施設要件と医師要件は、前述した本品を国内に安全に導入するために必要な内容を満たすと考えられることから、これらを承認条件として付すことが妥当と判断しました。
 続いて、使用成績評価についてです。審査報告書43ページ、通し番号44/666ページ、<総合機構における審査の概要>を御覧ください。次の三つの理由から、本品を使用した全症例について、目標症例数に達するまで情報を収集し、安全性及び有効性を評価するとともに、本品の適正使用についても確認を行った上で、必要に応じて追加のリスク低減化措置を講ずる必要があると考えました。1、本邦で本品の対象となる患者の症例数は本臨床試験では限られていたことから、国内における本品の有効性及び安全性を確認する必要があること。2、動脈へのステント留置とは異なる特徴や技術を要する本品を用いた腸骨大腿静脈用ステント術の手技の安全性を確認する必要があること。3、日本人における本品留置後の抗凝固療法及び抗血小板療法のプロトコルは確立していないことから、その安全性を確認し、速やかに使用状況を情報提供する必要があること。表27にお示しするとおり、使用成績調査の計画概要は腸骨大腿静脈用ステント留置術の評価として重要となるMAEを一定の確度で収集可能な症例数が設定されており、抗凝固薬及び抗血小板薬や、ステントの移動であるマイグレーションに関する情報等も調査項目として設定されていることから、受入れ可能と判断し、これを承認条件として付すことが妥当と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、機構は本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。また、本品は使用成績評価の対象に指定し、使用成績評価の評価期間を7.5年とすることが妥当と判断し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、まず参考人として御参加いただいております星野祐二先生に追加の御発言を頂きたいと思います。星野先生、よろしくお願いいたします。
○星野参考人 よろしくお願いします。画面共有でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 タブレットの中に補足資料、「医療機器「Zilver Vena静脈用ステント」の製造販売承認の可否等について」のPDFファイルが入っています。そちらを御覧いただければと思います。
○事務局 星野先生、Web参加の先生方はタブレット資料をお持ちでないので、是非画面共有でお願いしたく存じます。
○星野参考人 承知しました。見えていますでしょうか。
○事務局 こちら見えています。ありがとうございます。
○星野参考人 よろしくお願いします。福岡山王病院の血管外科の星野と申します。この度はよろしくお願いします。では早速ですが、始めさせていただきます。
 今、機構さんからもお話があったとおりですが、実際の症例がどんなものかなのですが、まずこれが典型的な症例です。89歳の女性の方で、左の総腸骨静脈の所に血行障害で詰まっている状態になっていて、結果的にそこで行き止まりになって、その下方で静脈の血流が鬱滞してしまって、この写真にありますように、左下肢のむくみ、重だるさ、それから皮膚炎になって所々から汁が出ているような皮膚病変まで起こしてしまっているような状態が、もう何十年と続いている状態でした。こういった方の場合は、やはり詰まっている静脈の所を、これはPTSの症例なのですが、ステントを用いて血行再建し、血流を再開させてあげることで、症状が劇的に改善します。こちらの方は、いわゆる静脈ステントという治療選択肢が、今はまだ保険適用外なので、ない状況で、十数年この状態でずっと苦しんで悩んでいたのですが、当院で、とりあえず動脈用のステントしかないのですが、そこを開けてあげることで、保険外適用だったのですが、一応治療をやりました。結果としては、長年、何十年と悩んでいた症状が4日後ぐらいにはかなり改善して、ほぼ正常な状態になり、実はその後の外来で診ていますが、その後の経過もとても良い状態です。
 静脈ステント留置術は、日本ではまだ保険収載されていないのですが、海外ではその良好な治療成績が既に広く認められていまして、スライドの上の部分は米国の血管外科学会、静脈フォーラムより報告されたガイドライン、下はヨーロッパの血管外科から報告されているガイドラインでして、いずれにしても高いグレードで認可されている状態です。もう既に海外では多く使われていて、昔は動脈用ステントしかなかったというのは日本と同じ状況で、その後、大体4、5年前ぐらいから静脈用のステントが使われるようになって、そういった報告も徐々に出てきている状態です。
 こちらのスライドはシステマティックレビューなのですが、以前の静脈専用ステントがない時期の動脈用ステントを用いて行った3,072例でも、一次、二次開存率、要はステントが急に詰まったりしない、ちゃんと開存している率がかなり高い7割、9割で、症状の改善率は8割以上です。それから、先ほど言った皮膚炎、皮膚がただれてしまったりとか潰瘍治癒率も71%と高い症状の改善率です。これは動脈ステントでも、そこそこできる感じになりました。ただ、やはり静脈専用ステントは合併症も少ないということもあるので、後半で出てきているので症例数は740例なのですが、それでもほぼ同じぐらいの良好な成績を認めている状態です。
 静脈用ステントの場合は、動脈用とちょっと違う部分があります。まず、その太さなのですが、かなり太いものが必要とされます。下大静脈領域は20~24mm、腸骨静脈領域は14~16mmの太さ、それから総大腿静脈領域は12~14mmです。日本で今、使える動脈用で最大が14mmなので、やはり静脈用のステントが必要な状態です。
 また、拡張力の強いステントも必要となります。このスライドのように、ちょうどこの総腸骨静脈の所というのは上の動脈と椎体で圧排されていますので、そのステント自体が、これは動脈用のステントがこのようにひしゃげてしまったり、血管内エコーで見るとつぶれてしまったりするので、拡張力の強いステントでないとステント変形がおきます。やはり、静脈専用ステントである程度拡張力が保たれた強いものが必要とされています。また、部位によっては屈曲に耐えるデザインのステントが必要なことも分かってきています。一応、動脈用のステントを用いても、そこそこの治療成績は出るのですが、やはり理想的なステント、静脈専用ステントの使用というものが、患者さんに対してより良い治療法を提供できることにつながるものと考えています。
 これは最後のスライドになります。この手技を安全に行うためには、まず適正使用指針の作成というのが必須なものと思われます。また、その実際としては、静脈に関する正しい知識を持った医師、かつ、カテーテル手技に慣れた医師が行うことが理想的だと思います。技術的な面では、もう既に一般的に行われている動脈に関するカテーテル治療に慣れているドクターということが一つの基準になると思います。
 ただ、問題としては静脈に関する知識、こちらの方が実は問題でありまして、実際には動脈疾患と静脈疾患はまるで違う病態になりますので、動脈の知識は、正直静脈の世界では余り役に立ちません。残念ながら、現在静脈疾患における十分な知識を有する医師はさほど多くはない現状にありますので、認定施設、認定医師に関しては、特定の講習や講義を受けていただくなどの対応が必要だと考えます。
以上です。ありがとうございました。
○荒井部会長 星野先生、どうもありがとうございました。それでは、委員の皆さまから御意見、御質問はいかがでしょうか。松宮先生、お願いいたします。
○松宮委員 非常に有効性も高いですし、ほかの治療法も確かに限られているので、是非臨床で使えるようになってほしいと思うのですが、マイグレーションに懸念が残るかと思います。サイズを、オーバーサイジングや長いものを使うことによって予防できるのではないかということはよく分かるのですが、幾つか手術的に摘出したということが書いてありましたが、外国では肺動脈に引っ掛かって開胸手術をしたというのもありました。多くの場合はそのようにすごくずれるということなのか、ちょっとIVCに顔を出すようなものでも血流障害が起こって摘出しないといけなくなったりするのかとか、マイグレーションという定義、どれぐらいずれたことを言っているのかというのを、まず教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より、まず御説明させていただきます。今回の臨床試験では、臨床的マイグレーションという定義が、追加的に、外科的であったり血管内治療の追加的処置を要したものについて、臨床的マイグレーションとして定義をしています。
 そのほか、臨床的に重要なマイグレーションに関しても、審査報告書39ページ、通し番号40/666ページの表23として一覧にしています。上の2例が本臨床試験で認められたマイグレーションです。1例目のものに関しては、ステント摘出術が追加的に必要となっており、臨床的マイグレーションとして判定されています。
○松宮委員 もう1点よろしいですか。ある程度再狭窄や閉塞が起こることは当然あり得ると思いますが、開存率が、24ページの図4を見ると、これは超音波で3年で90%というすばらしい成績が出ているのですが、この時点のpatient at riskが83ということで、かなり少ないので、この臨床試験は3年終わった時点で報告、解析されたものとなると、そこまで打切りがものすごく起こっているということなのですが、打切り事象が多い理由は何かあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。御質問ありがとうございます。こちらに関しては、コアラボでの評価を行っていますので、コアラボで定義された必要な画像が得られた症例のみカウントされて、この症例となっています。
○松宮委員 そうすると3年時点では、かなりの症例は画像として分からない、解析できなかったということですか。
○医薬品医療機器総合機構 プロトコルで定義された画像のしっかりとした、必要な画像が撮れている症例数に関しては、この症例になってしまっていたという状況になります。
○荒井部会長 これはよくある、打切りが多いと、カプラン・マイヤーで出すと、一定期間ちゃんと見ている患者さんが少ないので、ものすごく良い成績になってしまうという現象が、数字の魔術なのですけれど、もろに出ている表ですね。ですから、これは今、機構からも説明がありましたが、先生がおっしゃるように、きちっとした画像での評価というものをどこまで要求しているかということで、結果的には集まったものが少なかったので、このような結果が出てきたということですよね。だから、すごく悪いかどうかは分かりませんが、ほとんどプラトーになっているグラフ自体は、実際の臨床とは結構かけ離れていることが多いというのが、多分実情ではないかと思います。どうぞ、お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構としても、そこはかなり問題視しましたので、一応文献などの報告で長期フォローがきちんとされているものを調べたところ、やはり先ほど星野先生からも御発表があったとおり、7割から8割程度の開存率は保っていることを確認できました。ただ、確かに臨床試験では先生のおっしゃるとおり、患者さんが高齢とか、プロトコルどおりの測定がされなかったなどの理由で、脱落が多いということは事実ですので、きちんと使用成績評価の方では3年間フォローアップしますので、そこで確認する方向で進めたいと考えています。
○荒井部会長 松宮先生、よろしいですか。そのほかに御意見、御質問はいかがでしょうか。
○梅津委員 梅津です。全く説明に対して異論はありません。星野先生が言われた、腸骨静脈部の治療を今まで認可されていた動脈ステントで代用せざるを得なかったというところの話の中で、動脈拍動が静脈を圧迫するという部分に関してコメントします。ちょっと手前味噌で申し訳ないのですが、早稲田大学の研究室でかつて静脈圧迫の所をin-vitroの装置で再現実験をやったことがあるのです。そうしたら、本当に新たな静脈ステント特性の有効性の科学的根拠が示され静脈用新ステントを世の中に出すということはとても意味があることだなと感じていました。
○荒井部会長 梅津先生、ありがとうございます。Webで御参加の小西先生、どうぞ御発言ください。
○小西委員 小西です。星野先生の説明は本当によく分かりました。早くこれを認めていいただいて、患者さんのために役立ててもらったら有り難いと思いました。
 一つ質問は、静脈ですので壁を作って、長期というよりも、これを入れるときのリスクが一番高いのかなという印象を持っています。機構の調査でも、入れるときの出血の死亡、あるいはインターベンションが必要で開腹しないといけないなど、何かそういうトラブルがあったか、なかったかということが一番気になっているのですが、その点はいかがでしょうか。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきまして、ありがとうございます。機構からお答えします。今回の臨床試験で、言っていただきましたような手技中のトラブルといったことは認められていません。一部、血管穿孔等は画像上は認められたのですが、その後、臨床的に重要な状況には至っていません。
 実際のデータについては、審査報告書の25ページ、通し番号26/666ページの表14、手技以後30日のMAE非発生率の所に記載をしていますが、そのうち項目を細かく記載しているのですが、下から3番目、あるいは下から2番目、手技又は機器に関連する死亡、外科手術を要する手技関連の穿孔は、いずれも0件となっています。
○小西委員 手技中に血栓が飛んでしまうというようなことはないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 新たな症候性肺塞栓症についても、30日以内に1例は発生しているのですが、こちらは手技中のものではありませんので、今回の臨床試験では発生していません。
○小西委員 ありがとうございました。
○荒井部会長 永井先生、どうぞ御発言ください。
○永井委員 先ほど議論になった脱落症例に関するコメントが一つと、別の観点のコメントが一つあります。静脈造影をエンドポイント評価に使っているので、どうしても欠損が増えるというのは、そのとおりだと思います。それをカプラン・マイヤーで書くと、確かによく見えるというのもそのとおりだと思います。ただ、一つディフェンドできるとすれば、これは多重代入法というやり方で欠測値補完を使って、ちゃんと数字の上では出しているので、一定のディフェンドはできるのかと思いました。それが前半です。
 それと、もう一つは安全性の評価項目についてです。この試験では、安全性のプライマリーエンドポイントをMAE(Major Adverse Event)としているのですが、これは意図的に選択したものであって、起こった有害事象を全て拾っているわけではないのです。恐らく、過去の臨床試験や臨床医が予測できる項目を集めて、それをいわゆるcomposite endpointにしているわけで、それはそれで問題はありません。ただ、審査報告書の27ページ、表16を見ると、MAE以外のSAEが結構出ているのです。279件出ています。そのうち、実施機関で因果関係ありと判定されたものが、表16で29件と出ています。そうすると、そこから二つの疑問が出てきました。一つは、因果関係が否定された有害事象が250件、すなわち、9/10で因果関係を否定されたわけで、実際にどんなものがあったかという疑問です。恐らく一般的なもので、送っていただいた膨大な資料の方に書いてあるのかもしれませんが、それが一つの疑問です。もう一つは、市販後調査の安全性の主な評価項目がMAEでいいのかということです。実際、MAE以外の因果関係が否定できない有害事象が結構起こっていますので、MAEの非発生率を評価項目に置くのはいいですが、それに加えて、機器又は手技と関連を否定できない重篤な有害事象もきちんと見ていかないと、真の意味での安全性評価はできないと思います。以上です。
○荒井部会長 永井先生、ありがとうございます。二つポイントを頂きました。最初の方の先ほどの打切りのカプラン・マイヤーとの関係に関しては、私も詳しくないのですが、多重代入法という方法で一応許容できるかといった御意見を頂きました。
 後段の安全性の評価の所については、今日の資料ではメジャーなアドバースイベントを拾っていますが、御指摘のようにざっくり9割ぐらいを因果関係なしで落としているわけですが、どんなものがあったのかについて、今後の市販後調査では、メジャーなものに限らずアドバースイベントとしてきちっと拾ったほうがいいのではないかという御指摘かと思いますが、これについてはいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきまして、ありがとうございます。機構よりお答えします。SAEに関しては、やはり背景情報として血栓性の事象を有する患者さんが多いということで、それに関連する事象が起こっていると思います。ただ、本品に特有の事象というものはないというところと、非常に重篤なものというのは特別認められていないということがあります。例えば、下大静脈フィルターの回収に関する事象等はかなり多くいろいろな症例に対して認められています。
 もう一つ、PMSに関してなのですが、こちらに関しての評価項目は、審査報告書の43ページ、通し番号44/666ページの表27に記載しています。そちらの中のその他の評価項目の中で有害事象は全て拾うことになっています。
○永井委員 分かりました。ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。今の永井先生の御指摘は、大切なところで、私もほかの領域は知らないのですが、インターベンション系でも有害事象を拾うときに、海外の学会の基準を使ったりとか、どちらかというと、分かっているものは拾うけれど、全く未知で誰も関係があると思わなかったものが引っ掛からないようなシステムを使うことが多く、結構メジャーな雑誌などもそれで受け入れているようなところがあります。今後のこういった試験のときの拾い方について、大変貴重な御意見を頂けたと思いますので、また御検討いただければ有り難いと思います。清水先生、どうぞ御発言ください。
○清水委員 清水です。小さい点について二つほど確認があります。今、御説明の中に出てきた表27なのですが、安全性主要評価項目の性能目標値が88%となっています。そのほかの添付文書も含めて性能目標値が87%という記載になっているのですが、これはどちらが正しいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明します。御指摘ありがとうございます。まず、表27の88%に関しては、本臨床試験の成績も含めて、現在までの臨床報告、文献報告を考えた性能目標値として88%と計算をされています。一方で、添付文書の87%に関しては、本臨床試験の性能目標値となっていますので、基準となった文献や成績等が少し異なるということで、数値的にはほぼ一緒なのですが、少し意味合いの違う数値となっています。
○清水委員 これは安全性主要評価項目と書いてありますが、そもそも表しているものが違うということですね。分かりました。
 もう一つ、同じ表の非劣性マージンについてなのですが、この7%という数値についての何か御説明、コメント等がありましたらお願いします。どのようにして決められたのかという点についてお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。その点は、申請者に確認したところ、現在までに得られている動脈のステントを用いたステント留置術、あるいは静脈専用のものを用いた成績等を踏まえて、この7%というものが臨床上許容可能な値として設定したと説明を受けています。
○清水委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○荒井部会長 そのほかの委員の方、御質問いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
冒頭で松宮委員が質問なさったマイグレーションの件、多分皆さん結構気になっているところがあると思うのです。星野先生、参考にお聞きしたいのですが、いわゆるミリ単位でちょっとずれたということは、多分臨床的にはあると思いますが、大きくずれてしまう、あるいは本当に下大静脈、あるいは右房の方までいってしまうというようなことは、ほぼ考えなくてもいいということでしょうか。それとも、先生がおっしゃった教育ということをよほど徹底しないと、こういうことは十分起こり得るというレベルのものなのか、いかがでしょうか。教えていただけますか。
○星野参考人 ありがとうございます。先生がおっしゃるように、マイグレーションは二つありまして、ちょっとずれたぐらいだったら大丈夫なのですが、やはり右房まで飛んでいってしまって、実際には死亡例も出ています。正直これは、海外でやられて、マイグレーションが言われ始めたのは、実はここ最近、数年なのです。我々も結構びっくりして、こんなことが起こるんだということになっていて、ヨーロッパやアメリカの学会も早急に対応を取らざるを得ない状況になっているというのが、今の現状なのです。
 それに対しては、今いろいろ議論されていて、今までのマイグレーション、要は心臓などに飛んでいって大きく動いてしまったものに関しては、大体傾向がつかめてきています。余り太くないステント、14mm以下のステントで長さが6cm以下を単独使用したものは、飛んでいる率が高いらしいのです。逆に、長さが10cm以上のもので飛んでいってしまうのは0ということが、今までの報告で分かってきています。ですので、実はもう既にアメリカやヨーロッパなどの学会から、そういうようなステントの使用に関する注意点というものが、もう出てきています。
 残念ながら、やはりこういうインターベンション系はやってみないと分からない部分があるのですが、先ほども議論でありましたが、幸か不幸か日本はこれが分かった時点で導入を考えるので、それに対してこういう点は注意して、マイグレーションはこういう場合にリスクが高いことがありますよということをちゃんと通達しながらやるということが必要ではないかなと考えています。ただ、これは本当に最近のアップデートされた報告なので、やはり事前の講義や講習で、全員に周知しながら安全にやっていくということが大事なのではないかなと考えています。
○荒井部会長 星野先生、大変明確に御説明いただきありがとうございます。是非、日本でそういったことが起こらないような形での御指導を、学会の方でお願いしたいと思います。永井先生、どうぞ御発言ください。
○永井委員 しつこいようで申し訳ないのですが、先ほどのPMSの評価項目の件なのですが、有害事象がその他に挙がっているからいいというようなコメントを頂きましたが、その直後に思ったのは、これは承認目的のための臨床試験ではなく、市販後調査ですので、やはり機器や手技と関係を否定できないSAEをきちんと抜き出して、エンドポイント、主な評価項目に加える必要がある、むしろそれが一番大事ではないかと思いました。有害事象という形でちょっと書いてあればいいというようなものではないと思います。コメントです。
○荒井部会長 ありがとうございます。どうぞお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、誠にありがとうございます。では、そのように申請者には指示いたします。御指摘、御礼申し上げます。
○荒井部会長 そのほかの委員の方々、御発言よろしいですか。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 この44ページに書いてあるように、ここの一番問題点というのは、これからの問題点もあると思うのですが、結局はこの抗凝固療法とか抗血小板療法のプロトコルを確立していないということです。これは非常に問題が大きいので、マイグレーションの問題と絡んできたり、それから現病歴であったり、留置する場所の問題であったりとか、長さの問題や径の問題以上に、それがここにかかってくるというところが非常にあるのではないかなと思うのです。非常に不確かなところがあって、それがある程度臨床経験の長い間で分かってきたから、そういう諸問題が起こってくるのかなという懸念があるわけです。
 そうすると、この後の治療というか、付加する治療の凝固療法や抗血小板療法、これは非常に重要な選択肢になってきます。それが分からなければ、かなり危ういことになってくる懸念があります。これはかなり議論が必要だし、今後どのような体制を作っていくのかということが重要になってくるのではなかろうかなと思うのですが、その辺はいかがなのでしょうか。
○荒井部会長 どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 先生、御質問ありがとうございます。こちらとしても、その点すごく重要な事項だと考えていまして、ただ一方で、海外と日本人では、やはり血液の性状がちょっと違うということがあるので、やはり日本独自のプロトコルを模索していかなければならないと考えています。ですので、普通の使用成績調査とは違って、一定期間若しくは1か月後とか2か月後、若しくは症例数が例えば30例、40例集まっていくごとに、機構と学会と企業も含めて、そこの検討を行った上で、もし何かハザードのようなものが見られた際にはすぐ情報提供することと、実際に臨床現場で使用された国内での抗血小板薬、抗凝固療法の使用状況をアップデートをすぐにしていくような形で、まずは確認していきたいと考えています。
 もう一つ、使用成績調査は今120例ぐらいしかないので、これだけでは恐らく抗血小板薬、抗凝固療法のプロトコルに関する情報としては不足すると考えていますので、ここに関しては、学会御協力の下、市販後レジストリを全例対象にしてやるということで、学会の方に御協力いただくことになっていますので、そのデータも活用した上で、継続的にその点については確認していきたいと考えています。
○宮川委員 ありがとうございました。私が言いたかったのはそこでして、その立て付けがしっかりできていないと、これに関して了承できるという言い方はできないのではないかなと考えました。今後の問題点の方が非常に大きくなるので、学会等を含めて御協力いただきながら、しっかりとした立て付けを作っていくということが本来筋ではないかなと考えたので、御質問させていただきました。以上です。
○荒井部会長 宮川先生、ありがとうございました。私は、全く別領域で静脈系のステントの抗凝固療法、抗血小板療法についてごく最近調べたのですが、循環器系、冠動脈系は山ほどあるのですが、実は本当にデータが少なくて、ちゃんとした臨床試験自体も組むのがなかなか難しい状況です。確かにこの辺はデータがなくて、かなり経験論に基づいて、それぞれの判断で使われているというのが現状だと思いますので、大変貴重な御指摘だと思います。是非そういう方向でデータを集めていただければと思います。
そのほかの委員の方々、御発言はよろしいでしょうか。Webの先生方もよろしいですか。では、特に御意見がないようでしたら、議決に入らせていただきたいと思います。なお松宮委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになっています。よろしくお願いいたします。
 それでは、医療機器「Zilver Vena静脈用ステント」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品並びに特定生物由来製品としては指定しないということでよろしいでしょうか。また、使用成績評価は調査期間を7.5年として指定することとしてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、そのようにさせていただきます。本件は分科会にて報告させていただきます。
 それでは、これで議題2を終了します。星野先生、どうもありがとうございました。
星野参考人退室
○荒井部会長 よろしいですか。それでは議題3、医療機器の再審査結果に入らせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。まず1品目目、「エキシマレーザー角膜手術装置」の再審査結果の報告についてお伝えさせていただきます。
再審査は、平成25年改正以前の薬事法第14条の4の規定に基づき、新医療機器等を対象として再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査結果に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。
 資料3-1の1ページを御覧ください。販売名は、「エキシマレーザー角膜手術装置 EC-5000」及び「エキシマレーザー角膜手術装置 EC-5000CXIII」です。申請者は株式会社ニデックです。この品目は、角膜屈折矯正手術、治療的角膜切除術、レーザー角膜内切削形成術(LASIK)にて使用される機器です。LASIKについては、既に近視及び近視性乱視の矯正については再審査を終えており、今回は遠視及び遠視性乱視の矯正についての再審査報告となります。
 「エキシマレーザー角膜手術装置 EC-5000」については平成20年12月22日に初回承認されており、「エキシマレーザー角膜手術装置 EC-5000CXIII」については平成21年7月24日に初回承認されております。遠視LASIKに関する性能・機能は2品目で同一であることから、当該2品目の調査は統合して行いました。前者の「エキシマレーザー角膜手術装置 EC-5000」について、再審査期間が承認日より3年間設けられており、「エキシマレーザー角膜手術装置 EC-5000CXIII」についても、再審査期間終了日をそろえる形で再審査を行っております。
 遠視LASIKの使用目的追加における一変申請時には、米国臨床試験成績をピボタル試験として提出していたことから、国内での使用実態下における不具合発現状況、安全性・有効性等を確認することを目的として、承認時に再審査期間中の使用成績調査が課せられております。以降、使用成績調査の概要について御説明いたします。
 資料3-1の3ページの表1-1を御覧ください。当該表は使用成績調査において調査対象となった患者背景を示しております。安全性評価については全243眼158名を対象とし、有効性評価については、有効性評価除外症例を除いた、231眼152名を対象といたしました。調査結果について御説明いたします。
 まず、安全性について御説明いたします。6ページを御覧ください。表2が有害事象の発現状況をまとめた表です。評価の対象となった243眼において、有害事象は29眼に認められ、うち矯正視力低下を17眼に認めました。発現した有害事象は、いずれも既知の事象であり、添付文書で情報提供されていることと、重篤な有害事象はなかったことを確認しております。米国臨床試験成績において、層間の光沢を原因とする一過性の矯正視力低下を7眼2.4%に認めており、その発生機序が不明であったため、重点調査項目として設定していましたが、本調査においては当該事象の報告はありませんでした。以上から、安全性に対して特段の対応は不要と判断しております。
 続いて、有効性について御説明いたします。有効性は、目標屈折矯正度数に対する誤差及び裸眼視力により評価しております。目標屈折矯正度数に対する誤差については、8ページの表3を御覧ください。術後6か月時の当該誤差分布について、米国臨床試験で設定された目標基準を上回ること、また、米国臨床試験成績と同等の結果を確認しております。裸眼視力については、米国臨床試験と同様に目標屈折度を正視に設定した場合には、米国臨床試験の目標基準を上回ること、また、米国臨床試験成績と同等の結果を確認しております。したがって、有効性に対しても特段の対応は不要と判断しております。
 以上を踏まえ、10ページに記載のとおり、総合評価として、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について、変更の必要がないカテゴリー1と判断しています。
以上、「エキシマレーザー角膜手術装置」の再審査の報告とさせていただきます。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの説明について、御質問、御意見はいかがでしょうか。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 この中に6名でしたか、70歳以上が入っているということで、多分これからもっと増えてくる状況ではないかなと考えます。これを認めていくと、小児よりは高齢者がどんどん適応に入ってくる可能性があるので、それについて今後どのような取扱いをしていくのか。6名で問題ないだろうということなので、私もそんなに気にはしていないのですが、しかしながら高齢者がこれを使用していくということになりますと、問題をいろいろ起こしてくるでしょうから、その辺のところの立て付けだけはしっかりとしていただければと思います。以上です。
○事務局 コメントくださり、ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
○荒井部会長 お願いいたします。そのほか、御意見はよろしいですか。Webの先生方もよろしいですか。では、特に御意見はないようですので、資料3-2の方を進めてください。
○事務局 「スーパーフィクソーブ」30及びMX40及びMX30の再審査結果について御説明いたします。資料3-2の1ページを御覧ください。販売名は「スーパーフィクソーブ30」です。申請者は帝人メディカルテクノロジー株式会社です。この品目は、30wt%ハイドロキシアパタイト粒子及び70wt%ポリL乳酸からなる吸収性体内固定用ネジであり、骨折の接合、移植骨の固定、骨片の固定等に使用される機器です。
「スーパーフィクソーブ30」については平成15年8月28日に初回承認されており、再審査期間が承認日より3年間の平成18年8月27日までの期間で調査を行っております。以降、使用成績調査の概要について御説明いたします。
 2ページの表1を御覧ください。当該表は使用成績調査において調査対象となった患者背景を示しております。安全性評価については全79例症例79名を対象とし、有効性評価について、有効性評価除外症例はなく、79症例全例を対象としております。調査結果について御説明いたします。
 まず、安全性について御説明いたします。3ページを御覧ください。表2が有害事象の発生状況をまとめている表です。市販後の使用成績調査において、こちらのとおり有害事象は発生しませんでした。なお、承認時の臨床試験においては、不具合・有害事象の発生率は23.3%となっております。この傾向の違いについて申請者に照会したところ、承認時の臨床試験での不具合・有害事象は、特段治療の要しない血液検査における軽度の異常でしたが、使用成績調査では特段報告が認められなかったこと、術中・術後の破損についても、適切なトルク管理や術後管理により発生しなかったことと考えられました。
 また、使用成績調査では、対象疾患がほぼ変形性股関節症であり、当該症例に対する寛骨臼回転骨切り術が多くを占める一方で、承認時の臨床試験では、骨折症例による骨接合術が1/3、移植骨の固定である骨移植術が1/3であり、年齢、性別、使用構成品の状況に差ができたと考えられるもので、違いはあるものの、骨の固定による維持という使用目的は同等であることや、本調査の症例は既承認の適応例であること、原材料の違いに係る評価が主な論点であること等から、既承認品と同等の安全性を有しているものと判断されました。
 続いて、有効性について御説明いたします。4ページの表3を御覧ください。有効性は、発赤・腫脹・熱感・圧痛及び感染からなる局所所見のスコアと骨片の転位・骨癒合の状態・インプラント周囲の骨吸収及び術後のインプラントの折損(変位)からなるX線所見のスコアから評価しております。局所所見については、発赤が軽度3件が見られた以外は所見なしとなっております。X線所見については、5ページの表5を御覧ください。X線所見について、骨癒合良好が3件、軽度の骨吸収が4件、軽度の所見1件以外はいずれも良好でした。上記の結果から、79症例全例について著効と判断され、有用性についても極めて有用と判断されております。
 以上を踏まえて、8ページをお願いいたします。記載のとおり、総合評価として、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。なお、本品については、承認時に承認条件は付されておらず、今後も承認条件は必要ないものと判断しております。
 続いて、「スーパーフィクソーブMX40」及び「スーパーフィクソーブMX30」について御説明させていただきます。資料3-2の9ページを御覧ください。販売名は、「スーパーフィクソーブMX40」及び「スーパーフィクソーブMX30」です。申請者は、同じく帝人メディカルテクノロジー株式会社です。MX40は、40wt%ハイドロキシアパタイト粒子及び70wt%ポリL乳酸からなる吸収性体内固定用ネジであり、スクリュー及びタックから構成され、骨折の接合、移植骨の固定、骨片の固定等に使用される機器です。「スーパーフィクソーブMX30」については、30wt%ハイドロキシアパタイト粒子及び70wt%ポリL乳酸からなるものです。
 「スーパーフィクソーブMX40」及び「スーパーフィクソーブMX30」については、平成18年5月10日に初回承認されております。再審査期間については、先ほどの「スーパーフィクソーブ30」の承認日より3年間と設定されており、平成18年5月10日の初回承認から「スーパーフィクソーブ30」の承認日の3年後である平成18年8月27日までの短期間となっていたことから、自主的に使用成績調査に準じた調査が平成19年4月から平成27年3月までの期間に実施されました。以降、自主的な使用成績調査を本調査と呼び、概要について御説明いたします。
 12/17ページの表1を御覧ください。当該表は本調査において調査対象となった患者背景を示しております。安全性評価については全536症例を対象とし、有効性評価について未記載項目があり評価できなかった4例を除いて、532症例を対象といたしました。調査結果について御説明いたします。
 まず、安全性について御説明いたします。13/17ページを御覧ください。表2が有害事象の発現状況をまとめた表です。536症例のうち10例で不具合の発生が認められ、うち因果関係が否定できないものが7例ありました。なお、承認時の臨床試験における不具合・有害事象の発生率は0%でした。この傾向の違いについて申請者に照会したところ、本調査では対象領域を顎顔面外科領域としており、承認時の臨床試験では、高齢者が多いと推測される脳腫瘍等の閉頭を行う脳外科領域が対象になっていることで、承認時の臨床試験よりも本調査の方で平均年齢が低下したということが考えられること、本調査では術後3か月以上、臨床試験では最終6か月が評価時期となっており、評価期間に差異があったということでした。
 一方で、使用方法は骨接合術及び骨切りが大半であること、骨癒合の期間は一般的に8~12週を要することから、本調査における骨癒合の観察が十分にできていること、不具合が発生した場合は評価時期でなくとも報告されること、本調査で認められた不具合は、全て注意事項等情報の不具合・有害事象欄に記載されているものであり、未知の不具合はなかったということから、十分な評価が行われ、既存のポリL乳酸製の吸収性骨接合剤との差分に係る評価が主な論点であること等から、本調査結果より安全性に特段の対応が必要となる問題はないものと判断しております。
 有効性について御説明いたします。14ページの表3からですが、有効性は、発赤・腫脹・熱感・圧痛及び感染からなる局所所見のスコアと骨片の転位・骨癒合の状態・インプラント周囲の骨吸収及び術後のインプラントの折損(変位)からなるX線所見のスコアから評価しております。局所所見について、ほとんどの事例では所見なしとなっておりますが、皮膚への突出について重度の例が1例あります。X線所見については、下部の表5を御覧ください。こちらについても基本的に良好な結果とはなっているものの、骨片転位1件、骨癒合不良3件、インプラント折損の重度の所見が2件ありました。これらの結果から、上記529症例が著効、2例が有効、1例が無効となっており、有用性について524例が極めて有用、4例が有用、4例がどちらともいえないと判断されております。これらの結果について、一部重度の所見が少数見られるものの、発生率は低く、大多数において問題が認められなかったこと、当該所見について未知の事象ではないこと等から、有効性に特段の対応が必要となる問題はないものと判断しております。
 以上をもって、17/17ページですが、総合評価として、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。なお、本品については、承認時に承認条件が付されておらず、今後も承認条件は必要ないものと判断しております。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの説明について、御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。特に御意見はないようですので、これで議題3を終了させていただきます。
 それでは、引き続いて議題4の部会報告品目に入らせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料4、横向きの資料を御覧ください。こちらの資料では、令和4年7月1日から令和4年9月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要な医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品等、本部会への報告対象となっている品目の概要を記載しております。
 医療機器については52品目が該当しております。まず、1ページからは、「臨床試験の試験成績が提出され、審査し承認した医療機器」16品目について、それらの一般的名称、販売名、クラス分類等とともに概要をお示ししており、7ページまで続いております。
 8ページからは、臨床試験成績を必要とせず、審査・承認した34品目の一覧で、19ページまで続いております。
20ページでは、再製造単回使用医療機器2品目をお示ししております。
最後に21ページから、該当する体外診断用医薬品16品目をお示ししております。新規検査項目、コンパニオン診断薬、新規の使用目的の追加に該当するもの等については、一般的名称欄にそれらの別を記載しております。
 これら報告品目については、事前送付をもって報告とさせていただいておりますので、この場での個別の説明は割愛させていただきます。資料4の説明は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。内容的には、実はたくさんあるのですが、御質問、御意見等はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見はないようですので、なければ、これで議題4を終了させていただきます。
 続いて、議題5に入らせていただきます。プログラム医療機器調査会における審議結果についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局です。プログラム医療機器調査会の審議結果については、医療機器・体外診断薬部会で報告させていただくことになっております。そのため、8月22日に開催されたプログラム医療機器調査会における審議結果について御報告いたします。
 議題は、医療機器である「ロボット麻酔用シリンジポンプ制御ソフトウェア」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否についてです。
 本品は、静脈麻酔薬で全身麻酔を施す手術において、麻酔科医の監視の下、併用するシリンジポンプを制御することにより、鎮静薬(プロポフォール)、鎮痛薬(レミフェンタニル塩酸塩)及び筋弛緩薬(ロクロニウム臭化物)の投与量を制御するプログラムです。
 プログラム医療機器調査会における主な御意見としては、アメリカ麻酔科学会の術前身体状態(ASA-PS)で、全6分類中の分類4以上の患者を本品の対象患者から除外することは、今後のプログラム医療機器開発の阻害になるのではないかという御意見がありました。御意見に対し、本品の制御モデルが一般的な手術手技における麻酔管理の手法に基づき構築されていること、臨床試験で対象となった症例が限定的であることから、通常の麻酔管理の対象とならない患者は除外する必要がある旨を回答しております。
 また、申請された販売名「ロボット麻酔用シリンジポンプ制御ソフトウェア」について、「ロボット」という言葉が一般人に誤解を与えるのではないかという御意見がありました。販売名については、審査の過程においても議論となったこと、申請者を含めて再度検討すると回答しており、最終的な販売名を「全静脈麻酔支援シリンジポンプ制御ソフトウェア」と変更しております。
 使用成績評価については4年8か月を指定しております。本品は、審議の結果、プログラム医療機器として承認することが適当との審議結果を頂きました。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございました。冒頭でお話がありましたように、プログラム医療機器に関しては内容が結構特殊ですので、調査会で審議を行って、その結果をここで御報告させていただいて、お認めいただければそのまま結論にするという形になっております。特に御意見などはいかがでしょうか。よろしいですか。先ほどもちょっと説明に出ましたが、ロボットという言葉に関してはかなり抵抗感が委員の方々からも多くあって、最終的にはロボットという呼び名は外しております。よろしいでしょうか。よろしければ、これで議題5を終了させていただきます。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か連絡事項等はありますか。
○医療機器審査管理課長 委員の皆様方、本日はお忙しいところ御参加いただき、どうもありがとうございます。次回なのですが、緊急で調整をさせていただき、御協力いただきましてどうもありがとうございます。来週の月曜日の5時から1時間の予定で開催させていただきたいと思っています。詳細については、またメールで御連絡させていただきたいと思います。連絡は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。私の知る限りでは、同月内に2度の部会というのは多分なかったのではないかと思いますが、よろしく御協力のほどお願いいたします。それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高畑(内線4226)