2022年12月15日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

日時

令和4年12月15日(木)16:00~

場所

新橋8E会議室

出席者

出席委員(8名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理 
 

欠席委員(3名)五十音順

行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  佐藤大作(監視指導・麻薬対策課長)
  •  木村剛一郎(監視指導・麻薬対策課監視指導室長)
  •  小野原光康(監視指導・麻薬対策課薬物取締調整官) 他

議事

○監視指導・麻薬対策課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから令和4年度第3回薬事・食品衛生審議会指定薬物部会を開催させていただきます。委員の先生方には、年末の御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 それでは、はじめに事務局の紹介をさせていただきます。本年6月の人事異動で、八神局長、木村室長がこちらに着任しています。今回から御出席ということですので、改めて紹介をさせていただきます。引き続きまして、10月1日付けの人事異動で着任しております危険ドラック監視専門官の緒方でございます。
 本日は対面開催ですが、現在のところ当部会の委員数11名のうち、合川委員、北中委員、松本委員が御欠席。また、青山委員は、少々遅れるとの御連絡を頂いております。現時点で7名の先生方の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続きまして、部会を開催する前に、本部会の公開・非公開の取扱いについて説明いたします。審議会総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことから、本部会の審議につきましては非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで、発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶ恐れが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと存じます。
 それでは、以後の議事進行は、関野部会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○関野部会長 それでは、本日の部会の資料の確認及び注意点につきまして、事務局よりお願いいたします。
○事務局 本日の資料の確認をさせていただきます。委員は、タブレットで資料の確認をお願いいたします。マル1部会資料フォルダ、マル2文献フォルダ、マル3参考資料フォルダと3つがあると思います。それぞれに資料がNo.1からNo.3、文献フォルダの中には文献1から文献20、参考資料フォルダの中には参考資料1から参考資料3が入っております。また、当日資料フォルダには本部会に関する規定、確認事項を記載したものを付けております。
説明については以上になります。資料や操作等について御不明な点がありましたら、事務局までお申し付けください。以上です。
○関野部会長 ありがとうございました。本日の議題は、「指定薬物の指定について」です。それでは、審議に入りたいと思います。審議物質について事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 ではマル1部会資料フォルダをお開きください。資料No.1は、各物質の名称、通称名、構造式を記載しております。資料No.2は、御審議いただく物質の他、構造が類似する指定薬物や麻薬等について、一覧表にまとめたものです。資料No.3は、各審議物質の動物実験の結果等について、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。
 それでは、カンナビノイド系である物質1について説明します。資料No.2-1、2-2を御覧ください。資料No.2-1、2-2は、カンナビノイド系である物質1、通称名APP-BINACA及びこれに構造が類似する指定薬物について、カンナビノイド受容体に対する影響、中枢神経系への作用等をまとめております。APP-BINACAは、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を特にS体が有しており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しております。資料No.2-1は以上です。
 続いて、資料No.3について説明します。資料No.3の1ページです。APP-BINACAですが、指定薬物であるAPP-CHMINACAと構造が類似する化合物です。
 続いて、2ページ目の(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。APP-BINACAのS体及びR体等量混合物15mgを添加したマーシュマローリーフ0.25gを燃焼させることで、マウスを薬物にばく露させて、燃焼後15、30、60分後の行動及び中枢・自律神経症状について観察された症状を記載しております。また、3ページ、4ページの表1から3にAPP-BINACAに関する行動、及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値でございます。また、観察された特徴的な症状を示した写真を5ページに載せております。
 ここで、写真と併せて実際の動画も御確認ください。正面のスクリーンに動画を提示します。動画は2つあります。これは、燃焼終了後約2分経過後のマウスですが、仕切り網に登る行動が収まり、身体を低くして静止。口を開けての荒い呼吸が見られることが確認されました。これは、燃焼終了後約30分経過したマウスですが、指間離開が観察されました。動画は以上です。
 続きまして、6ページ目の(2)カタレプシー試験の結果を御覧ください。カタレプシー試験の結果は、燃焼終了後15、60分のいずれにおいても、5匹全てが陰性でした。続いて、(3)ヒトカンナビノイド受容体機能評価を御覧ください。ヒトカンナビノイド受容体(CB1及びCB2受容体)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を載せております。CB1受容体は、S体で2.30×10-7mol/L、R体では算出することができませんでした。また、CB2受容体は、S体で1.78×10-8mol/L、R体では3.69×10-6mol/Lでした。これらの結果から、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性があることが報告されております。
 以上から、APP-BINACAは、中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続いて、(4)海外での流通状況についてです。2018年から欧州、アメリカ、モーリシャスにおいて流通が確認されております。最後に、(5)海外での規制状況についてです。既にフィンランドで規制されていることを確認しております。
物質1については以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を伺いたいと思います。最初に、流通実態について□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物につきまして、□□□□での検出事例はございませんでした。以上です。
○関野部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。カタレプシー試験は余り強くはない、全部陰性ということと、ただ、CP-55940に比べて10分の1ですね。S体のほうが、作用が強いということです。このバインディングの結果を見て蓋然性が高いということでよろしいかと思いますが、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、御意見がないようですので審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質1は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、同じくカンナビノイド系である物質2について説明いたします。先ほどと同じものになりますが、資料No.2-1及び2-2を御覧ください。資料No.1と2は同じ合成カンナビノイド系ですので、同じ資料としてお示ししております。カンナビノイド系である物質2、通称名ADB-HEXINACA及びこれに構造が類似する指定薬物についてカンナビノイド受容体に対する影響、中枢神経系への作用等をまとめております。ADB-HEXINACAはカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物と同種の作用を有することを確認しています。資料No.2-2は以上です。
 続いて、資料No.3について説明いたします。7ページを御覧ください。ADB-HEXINACAですが、指定薬物であるADB-BUTINACAと構造が類似する化合物です。続いて、8ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。ADB-HEXINACA 15mgを添加したマーシュマローリーフ0.25gを燃焼させることで、マウスを薬物にばく露させて、燃焼後、15、30、60分後の行動及び中枢・自律神経症状について観察された症状を記載しております。
 また、9、10ページの表1~3に、ADB-HEXINACAに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を11ページに載せております。
 ここで、写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は2つございます。これは、燃焼終了後、約6分経過したマウスですが、伏臥位姿勢にて静止、しゃっくり様の症状が観察されました。これは、燃焼終了後約30分経過したマウスですが、後肢に指間離開が確認されました。動画は以上です。
 12ページの(2)カタレプシー試験の結果を御覧ください。カタレプシー試験の結果は、燃焼終了後、15、60分のいずれでも5匹全てが陰性でした。続いて、(3)ヒトカンナビノイド受容体機能評価を御覧ください。ヒトカンナビノイド受容体(CB1及びCB2受容体)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を載せています。CB1受容体は、3.55×10-9mol/L、CB2受容体は2.33×10-9mol/Lでした。これらの結果から、カンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性があることが報告されています。
 以上から、ADB-HEXINACAは,中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
続いて、(4)海外での流通状況についてです。2021年から欧州、アメリカにおいて流通が確認されています。最後に、(5)海外での規制状況についてです。アイスランド、フィンランドで規制されていることを確認しております。
物質2は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はありませんでした。以上です。
○関野部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、御意見がないようですので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質2は、医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、引き続き、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、ケタミン系である物質3について説明いたします。資料No.2-3を御覧ください。資料No.2-3はケタミン系、フェンサイクリジン系である物質3、通称名MXiPr並びにこれらに構造が類似する麻薬、指定薬物について、自発運動への影響、NMDA受容体に対する影響、マイクロダイアリシスのデータ等をまとめております。
 MXiPrは、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、オピオイド受容体への影響も過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しております。資料2-3の説明は以上です。
 それでは、資料No.3の13ページを御覧ください。MXiPrですが、指定薬物であるMXPrと構造が類似する化合物です。続いて、14ページの(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにMXiPrを2mg/kg、20mg/kg、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、15、16ページの表1~3にMXiPrに関する行動及び中枢・自律神経症状観察における評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値でございます。また、観察された特徴的な症状を示した写真を17ページに載せております。
ここで、写真と併せて実際の動画とともに御確認ください。動画は3つあります。これは20mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスです。スニッフィングやグルーミングなど、やや忙しい行動が確認されました。これは100mg/kg投与群の投与後約18分経過したマウスですが、挙尾、眼裂の拡大、後肢の指の乖離、忙しい旋回行動、頭部を左右に振る異常行動、激しい飛び跳ね、転倒が確認されました。これは、100mg/kg投与群の投与後約60分経過したマウスですが、スニッフィングや掻痒感様作用、旋回行動など忙しい行動が確認されました。動画は以上です。
 続いて、18ページの(2)を御覧ください。自発運動における運動量について、マウスにMXiPrを20mg/kg経口投与し、投与後3時間までの10分ごとの自発運動量を測定しています。マウス4匹を使用し、総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について測定したものです。対照群と比べて有意な差は示されませんでした。続いて、19ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。MXiPr約24mg/kg経口投与群を6匹、コントロール群を6匹用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれに対しても増加作用が確認されました。
 続いて、20、21ページの(4)モノアミントランスポーターに対する機能影響評価を御覧ください。MXiPrのモノアミントランスポーターに対する阻害作用の評価のため、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対する50%阻害濃度(IC50)を算出しました。結果は、表及び21ページの図のとおり、ノルアドレナリントランスポーターについては、MXiPrのIC50が6.5×10-6Mで、コカイン塩酸塩のIC50の約1.3倍、ドパミントランスポーターについては、IC50が1.4×10-5Mでコカイン塩酸塩のIC50の約7.8倍、セロトニントランスポーターについては、IC50が1.7×10-5Mでコカイン塩酸塩のIC50の4.5倍でした。
 続いて、22ページの(5)MXiPrのグルタミン酸NMDA受容体に対するIC50を算出した結果です。Phencyclidine siteで5.9×10-7mol/Lでした。
以上から、MXiPrは中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えています。
 (6)海外での流通状況についてですが、2020年から、欧州、カナダ、アメリカで流通が確認されております。最後に、(7)海外での規制状況についてですが、ハンガリー、フィンランドで規制されていることを確認しております。
物質3は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いいたします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例が4件あります。2021年5月に2件、2022年6月に2件、いずれも白い粉として検出されております。以上です。
○関野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。流通実態が4件と結構ありますが、何かに混ざっている形でしたか。
○□□委員 粉単独というか、試薬みたいな感じで、本当に粉末で来ています。
○関野部会長 分かりました。ほかに御意見はいかがでしょうか。ありがとうございました。それでは、御意見がないようですので審議をまとめたいと思います。ただいま御審議いただきました物質3は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、引き続き、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、オピオイド系である物質4について説明いたします。資料No.2-4を御覧ください。資料No.2-4は、オピオイド系である物質4、通称名Etazene並びにこれらに構造が類似する麻薬、指定薬物について、自発運動への影響、オピオイド受容体に対する影響、モノアミントランスポーターへの影響等のデータをまとめております。
 Etazeneは、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、オピオイド受容体に対する影響についても、過去に指定した指定薬物と同程度の活性を有することを確認しております。資料No.2-4の説明は以上です。
 資料No.3の23ページを御覧ください。Etazeneは、指定薬物であるProtonitazeneに構造が類似する化合物です。続いて、24ページ、(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスにEtazeneを0.2、1.0、10.0mg/kgを腹腔内投与し、投与後、30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。また、25、26ページの表1~3に、行動及び中枢・自律神経症状観察における平均評価値を載せており、数値は各群マウス5匹のスコアの平均値でございます。また、観察された特徴的な症状を示した写真を27ページに載せております。
 ここで、写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は3つあります。これは、1.0mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、旋回行動、立ち上がり動作、スニッフィングなど、忙しい自発行動が確認されました。これは10.0mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、腹這いでの忙しい旋回行動、挙尾反応が確認されました。これは、10.0mg/kg投与群の投与後約30分経過したマウスですが、忙しい旋回行動及び右眼球の白色化が確認されました。動画は以上になります。
 続いて、28ページの(2)自発運動における運動量の測定結果について御覧ください。マウスにEtazene 1.0mg/kgを腹腔内投与し、投与後3時間までの10分ごとの総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について測定したところ、下図のとおり、総運動量、大きい運動量及び総移動距離は、投与初期では対照群と比べて増加傾向を示しましたが、それ以外は測定期間を通して対照群と比べて有意な差は示しませんでした。
 続いて、29ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。Etazene約3.0mg/kg腹腔内投与群を6匹、コントロール群を6匹用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、いずれに対しても増加作用が確認されました。
 続いて、30ページの(4)ヒトオピオイド受容体(μ及びκ)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。Etazeneのヒトオピオイド受容体μで8.48×10-10mol/L、κで9.15×10-6mol/Lでした。
以上から、Etazeneは中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続いて、(5)海外での流通状況については、2020年から欧州、カナダ、アメリカにおいて流通が確認されております。また、(6)海外での規制状況についてですが、アメリカ、ポーランドで規制されていることを確認しております。最後、(7)海外での乱用事例ですが、これはアメリカ、カナダでの報告になりますが、死亡事例9例を含む10例の血液を分析したところ、Etazeneが検出され、うち5例はEtazeneを単独検出したとの報告があります。
物質4については以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○関野部会長 委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例はありませんでした。以上です。
○関野部会長 それでは、委員の先生方に御意見を頂きたいと思います。いかがですか。よろしいですか。御意見がないようですので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質4は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが妥当であると決議してよろしいですか。ありがとうございました。
それでは、引き続き、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 続きまして、審議物質の最後となりますカチノン系である物質5について説明いたします。資料No.2-5を御覧ください。資料No.2-5は、カチノン系である物質5、通称名5-MMPA並びにこれらに構造が類似する指定薬物について、自発運動への影響、モノアミントランスポーターへの影響等のデータをまとめております。
 5-MMPAは、マイクロダイアリシス試験ではモノアミンを有意に増加させており、モノアミントランスポーターへの影響も過去に指定した指定薬物と同程度有することを確認しております。資料No.2-5の説明は以上です。
 それでは、資料No.3の31ページを御覧ください。5-MMPAは、指定薬物である2-Thiothinoneに構造が類似する化合物です。
 続いて、32ページ、(1)行動及び中枢・自律神経症状の観察を御覧ください。マウスに5-MMPAを2、20、100mg/kgを経口投与し、投与後30、60、120分の行動及び中枢・自律神経症状を観察し、用量ごとに観察された症状を記載しております。33、34ページの表1~3に、行動及び中枢・自律神経症状観察における平均評価値を載せております。数値は、各群マウス5匹のスコアの平均値です。また、観察された特徴的な症状を示した写真を35ページに載せております。
 ここで、写真と併せて実際の動画も御確認ください。動画は2つあります。これは20mg/kg投与群の投与後約10分経過したマウスです。伏臥位姿勢にて、静止状態が確認されました。これは100mg/kg投与群投与後約30分経過したマウスですが、餌かごへの寄りかかり立ちやスニッフィングなど忙しい行動が確認されました。動画は以上です。
 続いて、36ページ(2)自発運動における運動量の測定結果について御覧ください。マウスに5-MMPAを20mg/kg経口投与し、投与後、3時間までの10分ごとの総運動量、大きい運動量、立ち上がり回数、総移動距離について測定したところ、下図のとおり、総運動量及び総移動距離は、投与後110分では対照群と比べて有意に増加し、立ち上がり回数は、投与後10~30分で対照群と比べて有意に減少する一方で、投与後110分では対照群と比べて有意に増加しました。それ以外は測定期間を通して対照群と比べて有意な差は示しませんでした。
 続いて、37ページの(3)マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化を御覧ください。5-MMPA約16mg/kg経口投与群を5匹、コントロール群を6匹用いて、マウス線条体内神経シナプス間隙のモノアミンの増加率の有意差を、ウェルチのt検定で求めたところ、セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれに対しても増加作用が確認されました。
 続いて、38、39ページの(4)モノアミントランスポーターに対する機能影響評価を御覧ください。5-MMPAのモノアミントランスポーターに対する阻害作用の評価のため、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニントランスポーターに対するIC50を算出しました。結果は、下の表及び39ページの図のとおり、5-MMPAのノルアドレナリントランスポーターに対するIC50は4.9×10-6Mで、コカイン塩酸塩の約1.1倍でした。ドパミントランスポーターに対するIC50は、7.8×10-6Mで、コカイン塩酸塩の約3.5倍でした。セロトニントランスポーターに対するIC50は、5.3×10-5Mで、コカイン塩酸塩の約14倍でした。
 続いて、40ページの(5)ヒトセロトニン受容体(2A及び2C)に対するアゴニスト活性EC50を算出した結果を御覧ください。5-MMPAのヒトセロトニン2A受容体では算出されませんでしたが、セロトニン2C受容体に対するアゴニスト活性は、4.40×10-6mol/Lでした。
以上から、5-MMPAは中枢神経に作用する物質であり、法律第2条第15項に規定する「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高い」と考えております。
 続いて、40ページの(6)海外での流通状況についてです。2020年から欧州、アメリカにおいて流通が確認されております。最後に、(7)海外での規制状況についてですが、ハンガリー、フィンランドで規制されていることを確認しております。
物質5については以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○関野部会長 それでは、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。まず、最初に流通実態について、□□委員、お願いします。
○□□委員 本化合物について、□□□□での検出事例が4件あります。2021年5月、2022年1月、2022年3月、2022年7月、いずれも白い粉として検出されております。以上です。
○関野部会長 こちらも随分流通実態があるのですね。先生方、御意見いかがですか。それでは、御意見がないようですので、審議をまとめます。ただいま御審議いただきました物質5は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいですか。ありがとうございました。
それでは、事務局から今後の手続について御説明をお願いします。
○事務局 今後のスケジュール等について御説明します。本件の結果については、来年開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。
 また、本日御審議いただいた物質に関する、いわゆる正規用途については、今のところ確認されておりません。いずれにしても、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応いたします。以上です。
○関野部会長 以上で、本日の議題は全て終了いたしました。事務局から次回の予定について連絡をお願いします。
○事務局 次回の部会日程については、正式に決まり次第御連絡いたします。以上です。
○関野部会長 以上をもちまして、令和4年度第3回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

監視指導・麻薬対策課 課長補佐 竹内(2779)