2022年12月1日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録

日時

令和4年12月1日(木)10:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

 (注)◎部会長
  他参考人1名出席
 

欠席委員(7名)五十音順

(注)○部会長代理
 

行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史 (大臣官房審議官)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  髙橋暁子(安全使用推進室長)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬安全対策課長 それでは、定刻になりましたので、令和4年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会を開催いたします。
 本日御出席の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
 本日の部会の公開につきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、YouTubeによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどをお願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
 また、今回もWeb開催としており、対面での進行と一部異なる部分がございます。前回同様ではありますが、議事に先立ちまして、議事の進行方法等について事務局より説明させていただきます。
○事務局 御説明申し上げます。まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御意見、御質問いただく際はミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。御発言のタイミングが重なったりした場合は、部会長から順に発言者を御指名いただきます。
 会議中、マイクの調子が悪い場合などは、音声の代わりにメッセージに御記入いただくようお願いをする場合がございます。システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
 また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認をお願いいたします。
 事務局からは以上になります。以降の議事進行は、岡部会長にお願いいたします。
○岡部会長 それでは、議事に入る前に、委員の出欠状況、審議への参加等について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 最初に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。石井委員、後藤委員、小宮根委員、戸部委員、舟久保委員、三村委員、萬委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、多賀谷委員から遅れて御参加との御連絡を頂いております。清水委員、滝田委員におかれましては、御出席予定ですが、少し遅れていらっしゃるかと思います。本部会の委員25名中、現時点で15名の委員に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 また、本日、参考人として御参加いただく先生を御紹介いたします。議題3「緊急承認された医薬品の市販後安全対策について」の関係で、国立研究開発法人国立国際医療研究センター臨床研究センターデータサイエンス部臨床疫学研究室長の石黒智恵子先生に御出席をいただいております。
 引き続きまして、議事参加について御報告をいたします。本日御出席の委員の方々の過去3年度における関連企業、対象品目及び競合品目の製造販売業者からの寄附金・契約金などの受取状況を御報告いたします。本日の議題に関して、対象品目・競合品目の製造販売業者については、事前にリストを各委員にお送りして確認いただいておりますが、織田委員より、富士レビオ株式会社及びMSD株式会社より50万円以下のお受け取り、柿崎委員より、塩野義製薬株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、ギリアド・サイエンシズ株式会社より50万円以下のお受け取り、清水委員より、ファイザー株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、MSD株式会社より50万円以下のお受け取り、滝田委員より、塩野義製薬株式会社より50万円を超えて500万円以下のお受け取り、MSD株式会及びファイザー株式会社より50万円以下のお受け取り、舟越委員より、ファイザー株式会社より50万円以下のお受け取り、宮﨑委員より、MSD株式会社より50万円以下のお受け取りと御申告を頂いております。柿崎委員、清水委員、滝田委員におかれましては、議題3の審議中、意見を述べることはできますが、議決に加わることはできません。その他の委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わることができます。また、参考人につきましても意見陳述が可能なことを確認しております。なお、これらの御申告につきましては、追ってホームページで公表させていただきます。
 最後に、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告をさせていただきます。薬事分科会規程第11条には「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。今回、全ての委員より、適合している旨を御申告いただいております。
 報告は以上になります。
○岡部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの御説明に御意見、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、続いて事務局から配付資料について御説明をお願いします。
○事務局 資料はあらかじめメールにてお送りさせていただいておりますが、議題1に関して資料1-1-1から1-1-4及び1-2-1から1-2-2、また、参考資料として1-1-1、1-2-1から1-2-5、議題2に関して資料2-1から2-2、参考資料2-1から2-2、議題3に関して資料3-1及び参考資料3-1から3-2、議題4に関して資料4-1から4-7、議題5に関して資料5-1から5-7、議題6に関して資料6-1から6-2がございます。このほか、議事次第・資料一覧、委員名簿、参考資料として薬効分類表と、競合品目・競合企業リストをお送りしております。お手元に御用意のない方がいらっしゃいましたら、事務局までお知らせください。また、資料につきましては、厚生労働省ホームページに掲載しておりますので、傍聴の方はそちらを御覧ください。以上です。
○岡部会長 それでは、議題1「一般用医薬品のリスク区分について」に入りたいと思います。それでは、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 資料1-1-1「製造販売後調査の終了に伴うリスク区分の検討について」を御覧ください。表に記載されている品目は、現在、第1類医薬品に分類されており、この度製造販売後調査の終了に伴い、一般用医薬品として第1類医薬品から第3類医薬品のいずれのリスク区分とするか、検討をお願いするものです。
 まず、一般用医薬品のリスク区分の変更手順について御説明いたします。2ページの「一般用医薬品のリスク区分の変更手順について」を御覧ください。
 手順としましては、3.(1)として、安全対策調査会の調査審議に当たり、必要に応じ関係学会等の有識者等の出席を求め、意見を聴取し、事前整理を行い、その結果、リスク区分等の変更を行う必要があるとされた場合、厚生労働省は変更案についてパブリックコメントを行います。(2)として、安全対策調査会における事前整理の結果、パブリックコメントの結果等について医薬品等安全対策部会で調査審議を行い、リスク区分の変更の要否について答申を得るといった手続をすることになっており、本日はこの(2)の位置づけです。
 続いて、一般用医薬品のリスク区分を御説明いたします。6ページを御覧ください。
 第1類医薬品は、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品であって、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの、又は新一般用医薬品として承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないものとされており、薬剤師により販売され、患者に対する文書による情報提供の義務がございます。
 第2類医薬品は、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品で、第1類医薬品を除くものであって、厚生労働大臣が指定するものとされております。薬剤師又は登録販売者により販売され、情報提供については努力義務とされております。
 第2類医薬品のうち、特別な注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものについては、指定第2類医薬品とされており、販売は第2類医薬品と同様、薬剤師又は登録販売者により行われ、情報提供についても努力義務ですが、薬局開設者等は、情報を提供するための設備から7メートル以内の範囲に陳列する、指定第2類医薬品を購入する場合は、禁忌を確認すること及び専門家に相談することを勧める旨を、購入者が確実に認識できるようにするなどの措置をとることとされております。
 第3類医薬品は、第1類医薬品、第2類医薬品に分類されないもので、薬剤師又は登録販売者により販売されます。
 リスク区分の変更手順についての説明は以上です。
 フルニソリドについて説明いたします。資料1-1-2を御覧ください。販売名は「ロートアルガードクリアノーズ 季節性アレルギー専用」です。効能・効果は、花粉による季節性アレルギーの鼻づまり、鼻水、くしゃみのような症状の緩和です。用法・用量は、18歳以上の成人に1日2回朝夕、左右の鼻腔内にそれぞれ1回1度ずつ噴霧します。1年間に1か月を超えて使用しないこととされています。
 同じページ下の製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査とは、個別に薬局と契約して、モニター店舗でアンケート調査票を配って、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査は、調査症例数1,177症例で、副作用が2例3件ございました。このうち重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として鼻乾燥、口渇が各1件報告されました。使用者若しくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査においては、副作用は報告されませんでした。
 次に、参考資料1-1-1を御覧ください。本製品については、昨年10月に開催した令和3年度第21回医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、リスク評価について御審議いただいておりますが、その際に提出された中間報告書の不適正使用に関する記載が不十分であったことが判明しており、顛末書の提出がありましたので、御報告します。
 「2.中間報告において不適正使用に関する記載が不十分であった経緯」ですが、中間報告書では「適正使用状況(「してはならないこと」「相談すること」「用法・用量」「効能・効果」等の遵守)については、本調査期間内においても逸脱するような過量使用及び漫然とした長期間使用等も行われておらず、適正使用状況は遵守されていたことから、新たな安全対策の必要性はないと判断した。」と記載されておりました。しかし、企業が報告内容を見直したところ、中間報告において不適正使用の集計結果を示しておらず、また、実際には一部不適正使用があり、「適正使用状況は遵守されていた」との報告は事実から外れる表現であったとのことでした。
 具体的な不適正使用は、2ページ表1のとおり、季節性アレルギー以外への使用が認められたことや、禁忌とされている高血圧や緑内障への使用例がありましたが、季節性アレルギー以外への使用に関しては、1か月を超えた使用事例は確認されなかったこと、禁忌対象への使用例に関しては、使用者と販売店に文書による注意喚起を行ったこと等から、企業は本剤の不適正使用による安全上の懸念はないと考えています。
 なお、3ページの今後の対応については、本製品は2022年1月より販売を休止していますが、販売を再開する際には、社内体制における不適正使用への対応の強化や安全管理実施部門への教育の徹底を実施することとされています。
 続きまして、安全対策調査会での審議の概要を御説明させていただきます。資料1-1-2の2ページを御覧ください。調査会は耳鼻咽喉科の専門家の参加の下で審議を行い、参考人からは、本剤について医療用として実臨床での使用経験が多数あり、副作用として重篤なものは報告されておらず、安全性が高いことから、3ページの表に記載している類薬と同様に、指定第2類医薬品としての販売については問題がないとの意見が出ました。参考人の意見も踏まえ、本剤は類薬であるベクロメタゾンプロピオン酸エステル及び塩酸テトラヒドロゾリン・プレドニゾロンと同様に、指定第2類に分類することが妥当との結論となりました。
 パブリックコメントに寄せられた御意見は、資料1-1-4を御覧ください。今回、1通の意見がございました。2ページに御意見の内容及び回答案を記載していますので、こちらも踏まえ、御審議のほどをよろしくお願いいたします。
御説明は以上です。
○岡部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の御説明、あるいはパブリックコメントに関して、御意見、御質問等がありましたら、頂きたいと思います。いかがでしょうか。
 類薬に関しては、もう既に承認済みという範疇に入ろうかと思いますけれども、先ほどの御説明のような審議内容となりました。
 それでは、フルニソリドのリスク区分について、特段の御意見はないようですので、議決に移りたいと思います。事務局から御提案がありましたように、下の調査会の方では指定第2類医薬品が適当ということで結論を報告させていただきましたけれども、フルニソリドについては、指定第2類医薬品ということでよろしいでしょうか。何かコメント等がございましたら、御発言いただくか、メッセージでコメントいただけますでしょうか。よろしいでしょうか。そうしましたら、本件については、御異議なしとさせていただきます。ありがとうございます
 それでは、今後の予定について、事務局から御説明ください。
○事務局 ありがとうございました。御審議いただいた結果に基づき、リスク区分の変更に係る手続を進めさせていただきます。
○岡部会長 それでは、続いて、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-2-1「一般用SARSコロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原キットのリスク区分について」を御準備ください。
 まず「1.経緯」から御説明いたします。新型コロナウイルス抗原定性検査キットにつきましては、令和4年8月10日に開催されました新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおけるOTC化に向けた具体的に検討を進める方向性についての議論を踏まえ、ガイドラインが策定されております。
 これを踏まえ、一般用SARSコロナウイルス抗原キットのリスク区分につきましては、8月17日の安全対策調査会、同23日の安全対策部会において審議いただき、第1類医薬品に指定され、流通しているところでございます。
 新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの両抗原を同時に検査できる抗原定性検査キットにつきましては、令和4年11月22日開催のアドバイザリーボードにおいて「様々な意見があるものの、医療逼迫の回避に資するといったことも考えられるため、今冬、新型コロナとインフルエンザが同時期に流行することに備えた対応としての自己検査用キットについて、新型コロナの抗原定性検査キットを基本としつつも、一つの選択肢として、同時検査キットの一般向け販売を可能とすること」との方針について議論が行われ、インフルエンザの検出感度や陽性が出るタイミング等に留意が必要等の指摘はあったものの、大きな反対意見はございませんでした。
 これを踏まえ、厚生労働省としては、供給量に制約はあるものの、同時に検査できるキットのOTC化の検討を進めることといたしました。
 令和4年11月28日に開催いたしました令和4年度第8回薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会における審議を踏まえ、同時検査キットを一般用検査薬として取り扱う際のガイドラインが11月29日に発出されております。
 ガイドラインにつきましては、参考資料1-2-2としてお付けしておりますが、その中で添付文書の例が記載されておりますので、簡単に御説明をいたします。参考資料1-2-2、別添のガイドラインの4ページを御覧ください。こちらのガイドラインにつきましては、基本的に一般用SARSコロナウイルス抗原キットと同様の内容が盛り込まれておりますが、4ページの「この検査の使用について」の項では、両ウイルスの「ウイルス量が最大になる時期が異なる等、それぞれのウイルスの性質が異なることが知られています。」として留意点をお示ししております。また、真ん中辺りの「※」のところですが、「特にインフルエンザは、発病初期はウイルス量が少なくウイルス抗原を検出できない場合があることが知られています。」といった記載もなされることとしております。
 資料1-2-1に戻っていただけますでしょうか。2ページ2.に記載しております、今般、ガイドラインが取りまとめられました同時検査キットの定義について御説明いたします。一般的名称は「一般用SARSコロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原キット」で、鼻腔ぬぐい液中のウイルス抗原の検出を目的としたキットであり、使用者が自ら検体を採取し、SARS-Cov-2感染疑い又はインフルエンザウイルス感染疑いの判定補助として使用されるものを指します。なお、SARSコロナウイルス抗原及びインフルエンザウイルス抗原以外も同時検出可能な製品につきましては、対象外となっております。
 また、11月29日に開催されました安全対策調査会におきましては、資料の下の方に記載しておりますとおり御意見を頂いておりまして、使用者に対して、使用方法、各ウイルスの特徴の違い、結果の解釈等について十分な説明が必要なため、第1類医薬品とすることが妥当であるといった御意見を頂いております。
 本日は、一般用SARSコロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原キットの一般用医薬品としてのリスク区分をどのように設定すべきか、御意見を頂ければと考えております。
 なお、一般用医薬品のリスク区分につきましては、先ほどフルニソリドのリスク区分の審議の中で御説明をしておりますので、説明は割愛いたしますが、参考資料1-2-1の5ページに第1類医薬品から第3類医薬品につきましての説明を載せておりますので、御参考としていただければと思います。
事務局からの説明は以上になります。
○岡部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局の御説明に対して、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。いかがでしょうか。橋場委員、お願いいたします。
○橋場委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の橋場です。今回の、コンボキットと言わせていただきますけれども、こちらにつきましては、やはり実薬局であっても、ネットであっても、薬剤師による説明により適切な使用が必要であると考えますので、1類が妥当であると思います。
 その上で、関連することにつきまして、少し発言させていただきます。今回、もし承認されて発売になった場合、世の中にOTC診断薬単体のキット、今回のコンボキット、医療用のキットが存在するということになります。したがいまして、国民が混乱しないように、できるだけシンプルに同じような使用方法にすることが求められるのではないかと考えます。あまり場合づけをしてしまいますと、国民が混乱することにもなりますので、その辺りは気をつけていただきたいと思っております。
 あと、今回、承認になって発売になったとしても、今、ネット上を含めて、研究用の検査キットについて非常に目立っているという状況でございます。研究用につきましては、前回も御指摘させていただきましたけれども、今はなかなか本来のOTC検査キットにたどり着けないという状況になっております。それどころか、承認される前からコンボキットの研究用というものが売られているという始末になっているところもございますので、今回の安全対策課の所管とは違うというのは重々理解をしておりますけれども、消費者庁、厚生労働省、若しくはコロナ対策室、こちらが協力して実効性のある対策をとってもらいたいと考えております。
 また、これもちょっと場違いかもしれませんけれども、当初は流通量が少ないと聞いております。したがいまして、販売される場所、方法など、これらが隔たらないような形で販売されるということを要望いたします。私からは以上です。
○岡部会長 ありがとうございます。何か事務局からございますか。
○事務局 ありがとうございます。1点目につきましては、現場での混乱がないように、適切な部署と連携しながら情報提供に努めたいと思います。二つ目につきましては、関係部署より御説明させていただきます。
○監視指導・麻薬対策課 医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課でございます。研究用と称するキットにつきまして、回答いたします。
 疾病の診断、セルフチェックに使用するという医薬品的な使用目的又は効果の表示をした検査キット、これは研究用と称していても同様でございますが、これを広告・販売する行為につきましては、現在も薬機法の規制対象であり、薬機法に基づき監視・指導をしているところです。
 前回、コロナの単独検査キットがOTC化された以降、消費者の方々が誤って研究用検査キットを購入しないよう、これまで承認された一般用検査キットの一覧を写真付きで厚生労働省ホームページに掲載したほか、消費者庁とともに、承認された医薬品である抗原検査キットの見分け方、例えば承認された医薬品には第1類医薬品又は体外診断用医薬品と表示がありますといったことにつきまして、消費者に分かりやすく理解していただけるようなリーフレットを作成し、周知に努めているところです。今後も引き続き、体外診断用医薬品と誤認を与える研究用検査キットの監視・指導、また、消費者に対する周知・啓発を行うなど、消費者が適切に薬機法に基づく承認を受けた医薬品である検査キットを選択できる環境整備に努めていきたいと考えております。また、消費者が感染対策のために誤って研究用検査キットを購入することを防ぐため、研究用キットを販売する事業者に対し販売自粛等も呼びかけておりましたけれども、引き続き販売自粛の働きかけを続けていきたいと考えておりまして、日本薬剤師会の先生方におかれましても、引き続き御協力をよろしくお願いいたします。以上です。
○事務局 3点目につきましては、流通についての御指摘を頂いていたかと思います。御指摘のとおり、流通量につきましては、限られるものになるかと承知しておりますが、御指摘いただいた点も踏まえて、関係部局と協力して必要な対応を行っていきたいと思います。事務局からは以上になります。
○岡部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○橋場委員 橋場です。どうもありがとうございます。研究用につきましては、是非とも実効性のある対策をよろしくお願いいたします。
○岡部会長 続きまして、脇田委員、お願いいたします。
○脇田委員 ありがとうございます。新型コロナのアドバイザリーボードで、先週、この件が参考資料1-2-1に基づいて、厚生労働省のほうからOTC化について進めるという方向性が説明されました。そのときに出た議論というのは、おおむね委員からは賛成の意見が出たわけですけれども、もう既に論点として整理されているところが懸念点として多く出されました。
 例えば、このキットは新型コロナの検査キットよりも感度が劣るということ、あと、陽性になるタイミングも発熱から少し遅れて陽性になる等々、そういったことはしっかり消費者の方に説明する必要があるのではないかといった論点がありました。それから、もう一つは、これも資料1-2-1の安全対策調査会での議論のところにもありますが、このキットがOTC化されることによって、本当に受療行動が、よくなるというのはおかしいのですけれども、結局、このキットをOTC化しようということの発端は、本当に新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行によって発熱外来が逼迫するということで、少しでも重症化リスクのない方々を発熱外来に殺到しないようにしていこうと。自己検査、自己療養に導こうということですので、むしろこのキットが利用されることによって、診療行為の方に誘導してしまうのではないかといったところが問題点として挙げられたところなので、そこは引き続き検討していくことが必要ではないかといったところでありましたが、おおむね賛成というところでありました。以上です。
○岡部会長 ありがとうございました。アドバイザリーボードでの御議論を御紹介いただいたと思います。
 そのほか、委員の先生方から何か御質問等はございますか。よろしいでしょうか。
 そうしますと、調査会の方でも第1類が適当ではないかということで御報告させていただいたとおりですけれども、先ほどの御意見でも第1類でよろしいのではないかということだったかと思います。
 議決に移りたいと思いますけれども、一般用SARSコロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原キットにつきましては、第1類医薬品とするということでよろしいでしょうか。何かコメント等がございましたら、御発言いただくか、メッセージでコメントをお送りいただければと思いますけれども、よろしいですか。ありがとうございます。そうしましたら、御異議なしとさせていただきます。
 それでは、今後の予定について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 御議論いただきまして、ありがとうございました。本件は、新型コロナウイルス感染拡大の防止に万全を期す観点から、迅速に対応する必要のあるものと認識しております。パブリックコメントは経ずに、本日、部会で御審議いただきました結果に基づいて、リスク区分の指定に係る告示改正の手続を進めさせていただきます。
○岡部会長 事務局からのただいまの御説明について、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本議題は終了して、次に移らせていただきます。
 議題2「濫用等のおそれのある医薬品について」でございます。それでは、事務局の方から御説明をお願いします。
○事務局 説明させていただきます。資料2-1「一般用医薬品の「濫用等のおそれのある医薬品」の範囲見直しについて」を御覧ください。
 まず「1.経緯」についてです。平成25年薬事法改正におきまして医薬品販売制度の見直しが行われ、「濫用等のおそれのある医薬品」として、1ページの「(参考)」に記載しておりますとおり、エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、ブロムワレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリンの6種類を指定しました。これらのうち、コデイン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリンは鎮咳去痰薬に限り、メチルエフェドリンは鎮咳去痰薬のうち内用液剤に限り、指定されています。
また、これらの成分を含む一般用医薬品を販売等する際には、リスク区分に応じた情報提供等に加えて、購入者が若年者である場合の氏名・年齢の確認や、原則として1人1包装単位といった販売時の数量の制限を行っています。
 令和元年度に、国立精神・神経医療研究センターの嶋根卓也先生を研究代表者として実施した厚生労働科学特別研究事業「民間の依存症支援団体利用者を対象とする依存実態の再解析及び追加調査」において、一般用医薬品の濫用による薬物依存が報告されました。
2ページの「2.一般用医薬品の濫用による薬物依存の実態について」を説明いたします。「●」の一つ目が、ただいま御説明した令和元年度厚労科研についてです。薬物依存の民間支援団体であるダルク利用者を対象としまして、一般用医薬品の依存症例の実態を把握することを目的とした調査を実施しています。参考資料2-1の10ページからが当該研究の報告書ですので、併せて御覧ください。
本調査では、一般用医薬品のうち、主たる依存の対象として、ジヒドロコデイン及び/又はメチルエフェドリンが含まれる鎮咳去痰薬のみならず、同成分を含んだ総合感冒薬の依存症例が報告されています。なお、解熱鎮痛剤が1件報告されていますが「濫用等のおそれのある医薬品」の成分であるブロムワレリル尿素を含むものでした。これらの結果は参考資料2-1の23ページ「表5.調査対象者の主たる依存対象となっていた製品名および成分」にございます。
また、本調査では、一般用医薬品の入手しやすさや合法性が高い再使用率につながっていると考察されているほか、大麻などの違法薬物の使用歴があることも特徴として挙げられています。
 続いて、「●」の二つ目「公益財団法人日本中毒情報センターの分析について」です。報告書は参考資料2-2になります。依存症患者に限らない実態を広く把握することを目的としまして、2017年から2021年に急性中毒に関する電話相談等を応需している公益財団法人日本中毒情報センターに寄せられた相談のうち、一般用医薬品を意図的に過量摂取した事例について、集計及び分析を行いました。
 寄せられた相談内容を薬効分類ごとに整理した結果、解熱鎮痛剤が389件と全体の33%を占めましたが、風邪薬が210件18%、鎮咳去痰薬についても176件15%と多く確認されています。参考資料2-2の9ページ、10ページに薬効分類ごとに整理した結果を示させていただいています。これらの風邪薬の中には、鎮咳去痰薬に限り「濫用等のおそれのある医薬品」として指定しているジヒドロコデイン及び/又はメチルエフェドリンを含むものが見られました。また、メチルエフェドリンを含有する製剤については、内用液剤以外の剤型の鎮咳去痰薬及び総合感冒薬が含まれました。参考資料2-2の15ページからの表において、相談内容の詳細を薬効分類・製品ごとに整理しています。
 資料2-1にお戻りいただきまして、3ページの「3.対応(案)」になります。鎮咳去痰薬に限っているコデイン、ジヒドロコデイン及びメチルエフェドリンについては、鎮咳去痰薬に限らず総合感冒薬の依存症例が報告されていることから、鎮咳去痰薬に限るとの限定を外してはどうか。加えて、メチルエフェドリンを含有する製剤については、内用液剤以外の剤型においても濫用の実態が報告されたことから、内用液剤に限るとの限定も外してはどうか、としております。また、局方改正に伴うブロモバレリル尿素の名称変更も、併せていたしたく考えております。改正案としましては、表に示したとおりです。
 続きまして、安全対策調査会での審議の概要を御説明させていただきます。調査会では、薬物依存研究の専門家として令和元年度厚労科研研究代表者の嶋根卓也先生、及び業界関係者として日本OTC医薬品協会の参加の下で審議を行っており、次のような意見が出ました。薬物依存研究の専門家より、鎮咳去痰薬のみならず総合感冒薬なども依存の対象になっていることが分かってきているため、現行の例外規定を設けていること自体が実態に即していないのではないかとの意見が出ました。業界関係者より、濫用の対象が同成分を含む総合感冒薬まで広がっており、何らかの措置をとる必要があるだろうとの御意見が出ました。また、メチルエフェドリンについて、外用剤まで規制を広げることが効果的な措置であるのかも含め議論されたいとの提案もありました。
 一般用医薬品の濫用が社会的に問題になっていることから、濫用等のおそれのある医薬品については、コデイン、ジヒドロコデイン及びメチルエフェドリンを含有する製剤について、薬効分類が鎮咳去痰薬以外の製品についても対象とすることが妥当とされました。メチルエフェドリンを含有する製剤については、患者さんのアクセス等の不都合が考えられないことから、抜け穴を作らないように、外用剤を含め成分全体に制限をかけるべきとの意見がまとまっています。
 そのほか関連して、販売方法、表示、成分の見直し、周知等の御意見も頂いています。
参考人の意見も踏まえまして、調査会の結論としては「3.対応(案)」の表のとおり改正することが妥当とされています。
 パブリックコメントに寄せられた御意見につきましては、資料2-2を御覧ください。今回、30通の御意見がございました。2ページ目以降に御意見の内容を記載しておりますので、こちらも踏まえ、御審議のほどをよろしくお願いいたします。
御説明は以上です。
○岡部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の御説明、パブリックコメントに対して、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。橋場委員、お願いいたします。
○橋場委員 ありがとうございます。今回の「濫用等のおそれのある医薬品」の指定範囲の見直しにつきましては、日本薬剤師会では、医薬品はその製品に含有される成分を軸に考えることが重要であるということでありますので、これまでの鎮咳去痰薬に限るという例外規定にかかわらず、指定成分を含有する製品につきましては、全てに対して「濫用等のおそれのある医薬品」と同様の販売対応を行うよう、会員に向けて周知をしております。
 その上で、濫用の実態を鑑みますと、指定範囲を見直すことにつきましては、必要であると考えております。したがいまして、今回の見直しは妥当と考えます。
 その上で、今回の改正に当たって国にお願いしたいことが3点ございます。
 一つ目といたしまして、今回の改正により対象の製品が多くなりますので、国民及び関係者に対してしっかりと周知をしていただきたい。併せまして、使用者にも、販売者にも「濫用等のおそれのある医薬品」であることが分かりやすい表示などを行いまして、そのような形になるよう、製販業者に対しまして御指導いただきたいと思います。
 二つ目といたしまして、正しい目的で使用するために、医薬品を必要とする人のアクセスを阻害すべきではないと思っております。しかしながら、意図的な濫用につきましては、次のような対策を御検討いただきたいと思っております。
 一つ目といたしまして、現場では購入希望者に対しまして、販売時にほかの店舗での購入状況を確認しております。意図的に濫用を目的とする人は、販売者からの確認に対し虚偽の回答をすることや、同じ店舗には期間を空けて訪問したり、複数の店舗で買い回りをするなど、巧みに入手しているという実態がございます。その上で、インターネットでの販売では、対面と比較いたしまして心理的にも虚偽の回答をしやすく、買い回りにつきましても、実際に複数の店舗を訪問するのとは異なりまして、非常に簡単に複数のWebサイトを行き来することも可能であるということになっております。したがいまして、意図的な濫用をする人への対策につきましては、対面での販売であっても苦慮しているとなっておりまして、このことを鑑みまして、これらの懸念点については、具体的な対応を検討していただきたいと思っております。
 二つ目として、現在、販売時の数量につきましては、原則として1人1包装単位と制限されております。今回、指定範囲の見直しにより新たな対象となる製品の中には大容量の包装の製品もございます。したがいまして、容量、包装単位の在り方についても御検討いただきたいと思います。
 次に、意図しない濫用を防ぎ、意図的な濫用をなくすためには、教育や啓発が重要であるということは当然でございますが、関係者も巻き込んでより一層展開していただきたいと思います。
 最後になりますけれども、我々薬剤師は、引き続き国民が適切に医薬品を使用できるよう、販売時の相談ですとか、確認の際には購入しようとする人の心情に寄り添いながら、濫用のゲートキーパーとなるよう適正販売を徹底していくという考えでおります。私からは以上です。
○岡部会長 ありがとうございました。そうしましたら、頂いた御意見について、事務局のほうで何かございますか。周知、表示、インターネット販売、大容量も含めた意図的な濫用に対する対策等についての御意見だったかと思いますけれども。いかがでしょうか。
○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。橋場先生、御意見を頂きありがとうございました。今回、区分の見直しを実施するとなると、対象製品が広がりますので、まずはその対応の徹底から実施させていただければと思いますが、頂いた御意見を踏まえまして、必要な対応について引き続き検討させていただきたいと思います。
○岡部会長 ありがとうございます。調査会のほうでもやはり同様の御意見を頂いておりますので、御検討ください。そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、議決に移りたいと思います。一般用医薬品の「濫用等のおそれのある医薬品」の範囲の見直しについては、事務局の提案どおりでよろしいでしょうか。皆さんうなずいておられると思いますので、御異議なしとさせていただきます。また、頂いた御意見は、調査会のほうでも意見がございましたけれども、その点については、引き続き厚労省の方で御対応ください。
 それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただきありがとうございました。本日御審議いただきました結果に基づいて、告示改正の手続を進めさせていただきます。
○岡部会長 それでは、ただいまの事務局の御説明について、御質問等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本議題は終了したいと思います。
 それでは、議題3「緊急承認された医薬品の市販後安全対策について」に入りたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 資料3-1「緊急承認された医薬品(ゾコーバ錠)に係る対応について」を御覧ください。今般、ゾコーバ錠が緊急承認されたことから、ゾコーバ錠の安全対策について検討をお願いするものです。参考資料3-1として、ゾコーバ錠の添付文書をお付けしております。
 「1.経緯」を御覧ください。対応方針の検討に当たって、通常の医薬品の審議会への報告内容、特例承認医薬品の状況及び法改正の検討の中でお示しした緊急承認の安全対策について御説明いたします。
 通常の医薬品は、医薬品医療機器等法に基づき、国へ報告された副作用等報告の状況を定期的に本部会へ報告しています。特例承認医薬品では、市販直後調査における副作用集積状況を製造販売業者が公表しており、その内容については、医薬安全対策課及び機構においても確認しています。製造販売業者における公表は、現時点では自主的に行っていただいているもので、2ページの参考欄に製品ごとにリンクをお示ししております。なお、ベクルリー点滴静注用については、公表を終了しています。
 緊急承認された医薬品等の安全対策は、法改正の検討の中で、マル1からマル3のとおり、マル1のリスク管理計画であるRMPの設定、マル2高頻度な審議会の開催による専門家の評価、マル3リアルワールドデータの活用を行うとしています。
 マル1のリスク管理計画については、ゾコーバ錠の緊急承認時に既に設定されていることから、マル2、マル3の対応について「2.医薬品等安全対策部会/安全対策調査会における対応(案)」でお示ししています。
 まず、「1)安全対策調査会における評価」についてです。緊急承認された医薬品は、高頻度に専門家の評価を行い、必要に応じて安全対策措置を講ずるとしています。そのため、ゾコーバ錠については、安全対策調査会において、月1回を目途として、当面の間、副作用等報告の状況を確認することとしてはどうかとさせていただいています。当面の間とは、副作用の集積状況も踏まえつつ、例えば、ゾコーバ錠が改めて通常の承認を取るまでの間などが想定されると考えています。また、必要に応じて、感染症の専門家である本部会委員の多賀谷先生、宮﨑先生を安全対策調査会の参考人としてお招きし、御意見をお伺いしたいと考えております。
 安全対策調査会における資料構成(案)については、3ページの別紙1を御覧ください。「1)製造販売業者からの副作用報告の状況について」は、副作用名別の集計結果と症例の経過も含めた報告症例の一覧をお示しする案としています。「2)医薬関係者からの副作用報告の状況について」は、副作用名別の集計結果をお示しする案としています。通常、医薬品では、製造販売業者からの副作用報告が多い状況にあり、また、今回、医薬関係者からの副作用報告は全て製造販売業者において調査いただくこととしているため、その詳細は製造販売業者からの報告1)又は3)に含まれると考えています。「3)製造販売業者による公表情報」において、特例承認医薬品で公表されている非重篤の副作用発生の状況に加え、RMPの重要な潜在的リスクと設定されている催奇形性に関連して、妊娠中の曝露状況及び重要な不足情報と設定されている中等度以上の肝機能障害患者での安全性に関して、市販後に情報を把握した場合は公表されると承知しております。
 なお、仮に今回お示しする方針で御了承いただいた場合、第1回目の安全対策調査会においては、ゾコーバ錠の特性やこれまでの特例承認医薬品の副作用情報も含め御説明させていただく予定です。
 次に、「2)リアルワールドデータの活用について」です。こちらは資料の2ページにお示ししております。緊急承認された医薬品は、MID-NETを用いた解析のうち、医薬品の安全性に関するシグナルの有無について迅速に解析結果を得ることを目的とした「早期安全性シグナルモニタリング」を実施し、その解析データを安全性の評価に用いることとしてはどうかとしています。また、その解析データの報告については、解析データの解釈に一定の症例数を集める必要があるため、ゾコーバ錠については、令和5年度第1回の部会に解析結果を報告することとしてはどうかとさせていただいています。ただし、安全対策上、特に留意すべきシグナルが検出された際には、速やかに直近の部会等にお諮りするものと考えています。
 引き続き事務局より、参考資料3-2について、医薬品医療機器総合機構医療情報活用部宇山部長より補足説明をさせていただきます。
○医療情報活用部長 ありがとうございます。では、機構のほうから、補足として参考資料3-2を御説明させていただきたいと思います。今事務局より御説明がありました、MID-NETを活用した早期安全性シグナルモニタリングについてです。
1枚おめくりいただきまして「MID-NETの概要」と書かせていただいているところがあるかと思います。MID-NETにつきましては、ビッグデータ活用による安全対策の高度化の推進を目的にして構築されました医療情報データベースでございまして、現在、機構が管理運営しているデータベースでございます。平成30年度より本格運用を開始しておりまして、現在、我々行政に加えて、製薬企業、あるいはアカデミアの方々による利活用が可能となっているところでございます。
 MID-NETについては、簡単にその下に概要を御説明しておりますが、全国10拠点23病院の医療機関に御協力をいただきまして、現在、570万人を超える患者さんのデータが集積されているということ。それから、このMID-NETにおきましては、電子カルテのデータ、特に臨床検査結果の利用が可能でして、それに加えて、レセプト、あるいはDPCのデータも利用可能となっております。また「高いリアルタイム性」と書かせていただいていますが、データ項目によって頻度は異なりますけれども、例えば、電子カルテのデータについては、週1回データを更新するなどをしておりまして、比較的即時性の高いデータベースとなっております。
 データの信頼性ということでは、元データとの一致性が保証されていることなど、薬機法に基づくGPSPの基準に従った運用を行っておりまして、データベースそのものの信頼性も確認できているという状況でございます。
 次のページに行っていただきまして、今回御提案しているのは、MID-NETを活用した、早期安全性シグナルモニタリングでございます。これは何が違うのかというと、これまで機構としては、比較的安全性情報が集積している安全性検討事項について、医薬品との因果関係があるのかないのか、あるいは既存の標準薬とリスク比が高いのか低いのか、そういったことを確認する意味で、ここに書かせていただいておりますシグナルの検証段階、あるいは、具体的な安全対策措置をとったものに対しての効果の評価、そういった段階で、個別の調査計画に基づく調査をこれまで主に実施しております。
 今回はゾコーバ錠が緊急承認されたということで、まだ十分な安全性情報が集積されていない段階ですので、MID-NETの特徴を生かしまして、この検査結果が主ですけれども、そういったものを指標としたシグナル検出というところでの利用を考えております。
 次のページをおめくりいただきまして、実際にどういった調査を考えているかというのを「ゾコーバ錠に関するシグナル検出の調査実施計画」として概要をお示ししております。実際、この調査では、ゾコーバ錠が処方された患者さんにおいて、アウトカム4系統を考えておりますが、そういったものの発現があるかないかということを対照薬と比較しながら評価していくことを想定しております。
 デザインとしてはコホートデザインで、実際のアウトカムとしては、現在利用可能な全てのアウトカムとして、肝機能関係、腎機能、血液、その他の安全性に関するバイオマーカーというようなものが利用可能ですので、こういったアウトカムを活用しながら評価を進めていくことを考えております。
 現在、令和3年度におきましては、シグナル強化については16件程度実施しておりますが、シグナル検出はこれまで実施している実績がございませんので、今回、ゾコーバ錠において、こういったシグナル検出についても新たに取組を開始させていただこうと考えているところでございます。
 次のページを見ていただきますと、あくまでもイメージですが、実際にどんな結果が得られると想定しているのかというのをお示ししております。例えば、肝機能系ですと、ASTとALTを組み合わせたCTCAEのGrade2以上のイベントが起こった患者さんを特定することを想定しておりまして、対照薬と比べてハザード比が高いのか低いのかといったことは結果として得られると思っておりますし、腎機能系ですと、eGFRの変化を捉えることが可能だと思っております。
 その下に書かせていただいている留意点ですが、この調査はシグナルの有無を迅速かつ効率的に得ることを目的としておりますので、群間での患者背景の調整というのは、一般的な薬剤疫学調査ですと、様々な患者背景を調整しながら解析しておりますが、今回は共通する因子として、年齢、性別について調整させていただいておりますけれども、それ以外の併用薬、合併症、重症度等については、厳密な調整ができていないという状況で調査を行う予定です。したがって、あくまでも探索的な結果として位置づけた上で評価を行っていきたいと考えております。
 二つ目は、今回、MID-NETのリアルタイム性というものを利用しまして、準リアルタイムに定期的に繰り返しながら調査を行っていこうと考えておりますが、こういった調査を実施する場合、早期の段階では十分な患者数が得られないということで、母数が少ない段階でアウトカムの発現を見ていくことになります。したがって、こういった比を出した場合には精度が低くなるという傾向が一般的に知られておりますので、開始後早期に認められたシグナルについては、慎重に評価していく必要があるだろうと思っております。
 その上の方に図2と書かせていただいているものがあるかと思いますが、これもあくまでもイメージですが、こういった繰り返しの調査を行っていくときに、早期の段階で得られているハザード比というのは、信頼区間が非常に広く精度が低いという状況ですので、こういった繰り返しを行うことによって、ハザード比の真の値が徐々に落ち着いてきてリスク評価可能になる。こういった継続的な検討を行うことによって、より早い段階で安全性のシグナルがあるかどうかということを確認できるのではないかと期待しているものでございます。
 本シグナル検出の取組は、これまで安全対策で活用しております副作用報告等の従来の情報源に加えて、今回、新たな情報源として医薬品安全性監視に活用するものでございまして、今回の結果がどのようになるかは、実際に検討しつつ評価をしていきますけれども、たとえここで早期の段階でシグナルが認められたということであっても、それが直ちに医薬品のリスクそのものを示しているものではございませんので、シグナルが検出された場合には、その他の情報源等も活用しながら、それが本当にリスクとしてあるのかないのかといったことを評価していくことを考えておりますし、必要に応じて、厳密に計画した患者背景等をさらに調整した上での薬剤疫学調査の実施も想定しながら、今回の取組を進めてまいりたいと考えております。
 結果につきましては、しばらく先になりますけれども、得られた段階でまた改めて御報告をさせていただきたいと思っております。なお、対照薬につきましては、現在のところ、臨床的な位置づけが近いということで、モルヌピラビルといったようなものを想定しながら検討を進めております。ただし、この薬も、特例承認されて日本において十分に安全性情報が集積されていない段階での対照薬になりますので、一般的にはより安全性の情報が集積されている薬を想定して、別の感染症ですけれども、同じ経口投与製剤であるタミフル、オセルタミビルリン酸塩といったものも対照薬として考えながら検討して、得られた情報を総合的に評価し、今回のゾコーバ錠の市販後安全対策に活用していきたいと考えているところでございます。
私からの御説明は以上です。
○岡部会長 ありがとうございます。続いて、石黒参考人より御意見を頂けますでしょうか。
○石黒参考人 ありがとうございます。NCGMの石黒です。今回は参考人ということでコメントさせていただきたいと思います。機構が今回実施されるシグナル検出にデータベースを使われるということで、従来のシグナル検出が副反応報告、副作用報告等の自発報告などの情報源に大きく依存していたところを、今回は定量的な評価をシグナル検出として用いることにより、多角的な視点でシグナルを見つけにいけることになります。従来の受動的な情報源を待つだけではなくて、能動的に規制当局のほうからシグナル検出を、自らのデータソースを使って、定量的なアプローチで違う視点で見られていくという点については、非常に有意義なことだなと感じて伺っておりました。
 対照薬については、いろいろ御検討されているようなのですが、完全にフィットするような対照薬というのはなかなか難しそうなイメージはあります。対照薬を複数置かれるということで、いろいろな視点、いろいろな角度で網羅的に比較し、シグナルとして上がっているかどうかを見ていかれるということでしたので、その点については、十分検討されているという印象を受けました。
 アウトカムに関しましても、肝機能値、腎機能値、血液系のもの、あと、その他バイオマーカー等々、検査値でかなり広い事象や異常を網羅的に見ていかれるということで、もしかしたら、すごくたくさんシグナルが上がってきてしまうものなどもあるかもしれないのですけれども、その辺の精査のリソースというところも機構の方で御検討されているというお話もありました。その点については、ちょっと大変な部分もあるかもしれないのですけれども、今回、そういうデータベースを使ったシグナル検出の試みということで、大変有意義なのではないかと考えております。
 私の意見としては以上となります。
○岡部会長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして、委員の皆様から御意見、御質問等はございますでしょうか。緊急承認された薬剤の安全対策ということですが。舟越委員、お願いいたします。続いて、橋場委員、お願いいたします。舟越委員、どうぞ。
○舟越委員 舟越です。まず、機構の宇山部長に教えていただきたいのですが、MID-NETの登録施設は23施設ですが、ゾコーバは、そのうちのパキロビッドパックの処方実績を有する施設での限定処方になると思います。こちらのMID-NETの23施設の中で、パキロビッドパックを処方された実績のある登録施設は幾つになるのでしょうか。
○岡部会長 いかがでしょうか。
○医療情報活用部長 ありがとうございます。現在確認できているところでは、14施設においてパキロビッドパックが処方されておりますので、今回の薬についても、患者数は十分見込めるのではないかと想定しております。
○舟越委員 岡先生、もう一つお聞きしてよろしいですか。
○岡部会長 どうぞ。
○舟越委員 あと、同じく宇山部長にですが、層別化には、年齢、性別のみならず、一般的に、体重、合併症を組み入れると思います。ただ、今回は、お話しいただいたように、早期シグナル検出ですので、調整が難しくて、併用薬、合併症、重症度等の違いについては調整できないとありますが、ゾコーバについては、第III相パートで18歳未満は体重40キロ以上に限られていたと思います。やはり現状、カルテから抜くのに、BMIや体重といったものでの調整は検討できなかったのでしょうか。
○医療情報活用部長 ありがとうございます。早期安全性シグナルモニタリングについては、結果を迅速に得られるという観点から、解析プログラムについては、あらかじめ固定をさせていただいて、それに対して対照薬なり、検討する薬を見ていくというアプローチをとらせていただいています。御指摘の点は十分考慮する必要があると考えておりますが、今回のアプローチについては、あくまでもシグナルを検出するということでありますので、ここで何らかのシグナルが認められれば、先ほど申し上げたように、それが本当のリスクとしてあるのかないのか、追加の検討はどういったことが必要なのかということで、改めて薬剤疫学調査の実施等も考えておりますので、まずは、こういった取組を進めさせていただきつつ、今後、このプロセスについても、さらなる改善等を考えていきたいと思っております。
○舟越委員 ありがとうございます。最後に、コメントですが、MID-NETでは四つの検査値を抽出するということで、リスクマネジメントプランでも中等度以上の肝機能障害の患者さんについては、情報が不足しているので、意義は高いと思います。また、HDLコレステロールの低下とか、他の検査値の異常も評価されると思いますが、MID-NETの活用はまだ探索的な目的で使ってみるということでしたら、下痢等の自覚症状について、院外処方等での重要な有害事象を、薬局の薬剤師の先生方や院内の医薬関係者から自発報告していただくこと、また、服薬フォローアップからトレーシングレポートを適切に対応していただくことで、医療機関側でも電子カルテに登録できます。先々、将来的なことかと思いますが、そうしていただけますと、今後、自覚症状等の医療情報を抽出できるようになった際には、服薬情報等と有害事象の関連性も評価でき、精度が高まると期待されていますので、是非その点は前向きに捉えて、各職能団体への啓発をお願いできたらと思います。最後はコメントです。以上になります。
○岡部会長 ありがとうございます。大事な御指摘かと思います。そうしましたら、続きまして橋場委員、お願いいたします。その後、宮﨑委員、伊藤委員といきたいと思います。よろしくお願いします。
○橋場委員 橋場です。ありがとうございます。今回のゾコーバですけれども、緊急承認という位置づけになっております。このことから、定められた制度にのっとって、安全性をしっかりと確認しながら使用していくという体制の構築及び周知をしっかりしていただきたいと要望いたします。あと、ただいま舟越委員からも御意見がございましたけれども、薬剤師も安全性の情報に関しましては、機構、メーカー、医療機関といったところに適切に情報提供をしっかりと行っていきたいと考えております。私からは以上です。
○岡部会長 御意見ということで、ありがとうございます。そうしましたら、宮﨑委員、お願いいたします。
○宮﨑委員 ありがとうございます。宮﨑でございます。先ほどのMID-NETの活用はすばらしいことだと思います。ただ、今お伺いした範囲では、臨床検査値などの数値化できるものをシグナル検出の項目として用いるということなのですけれども、この薬が外来でも使われるということを考えると、一般の方からすると、死亡の数とか、そういうものが気になるところかなと思いました。そこで、例えば、処方から4週間以内の死亡があったかないかということをプラスマイナスとしてこの中に取り入れていくということも、もし可能であれば、将来的なことかもしれませんけれども、検討していただければと思いましたので、コメントです。以上となります。
○岡部会長 ありがとうございます。御意見として伺いたいと思います。伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。MID-NETの情報に関しましては、併用薬については調整できないということなのですが、このゾコーバ錠は併用注意、併用禁忌の薬が非常に多くて、報道とかを見ていますと、併用できない薬が36種類あるということだけが強調されているようなのですけれども、それ以外にも併用注意の薬は非常に多くあると思いますので、その辺りは実際に現場で注意して使っていく必要があると思うのですが、例えば、今後の安全対策調査会での検討の中で「資料構成(案)」を資料3-1の別紙のところに頂いていますけれども、製造販売業者からの情報としまして、妊娠中とか中等度以上の肝機能障害患者とあるのですが、今後、併用の情報などについても得ることができるのでしょうか。
○岡部会長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 症例一覧の中の結果に併用薬の記載が入っているものがあれば、お示しすることはできると考えているところです。併用薬の注意喚起については、患者同意の資料でしたり、企業から併用薬について注意するように、資材を配布しているものがありますので、医療現場の皆様で注意していただけると考えているところです。
○伊藤委員 ありがとうございます。併用薬についても、是非検討していけるといいなと考えております。ありがとうございます。
○岡部会長 ありがとうございます。そのほか、本件につきまして、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいですか。
 そうしますと、緊急承認されたゾコーバ錠に係る対応について、議決に移りたいと思いますけれども、まず、柿崎委員、清水委員、滝田委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。今頂いた御意見としては、MID-NETに関するいろいろな御希望等も頂戴いたしましたが、基本的には安全対策の方針ということでの御意見はあまりなかったと思いますけれども、緊急承認された医薬品(ゾコーバ錠)に係る対応については、事務局の提案どおり進めるという形でよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議なしとさせていただきます。それでは、本議題は終了したいと思います。
 石黒参考人におかれましては、貴重な御意見をありがとうございました。これ以降、御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席いただいても差し支えございません。ありがとうございました。
── 石黒参考人退室 ──
○岡部会長 それでは、議題4以降の報告事項に移りたいと思います。議題4「医薬品等の市販後安全対策について」に入りたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料4-1、医薬品の使用上の注意の改訂について御説明いたします。令和4年6月に開催されました令和4年度第1回医薬品等安全対策部会終了後から本日までの間に改訂指示通知を発出した品目の一覧をお示ししております。資料には、改訂内容、改訂理由、直近3年度の国内外の副作用症例の集積状況などをまとめております。これらの使用上の注意の改訂につきましては、本部会の先生方に御確認いただいたものであり、また、改訂時にPMDAメディナビで配信するとともに、機構のホームページと「医薬品・医療機器等安全性情報」にも掲載しております。No.22-24、ヌバキソビッド筋注につきましては、資料4-2にて詳細をお示ししております。資料4-1については以上です。
○事務局 続いて、資料4-2について御説明させていただきます。「ワクチンの安全性に関する評価について」です。令和4年7月8日、同8月5日、9月2日、9月14日、10月7日、10月21日及び11月11日に開催されました安全対策調査会と厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会との合同部会におきまして、ワクチンの安全性について評価いただいております。
1ページの1の(1)は、新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況等についてです。コミナティ筋注総数、コミナティRTU筋注(起源株/BA.1株)、コミナティ筋注5~11歳用、スパイクバックス筋注総数、スパイクバックス筋注(起源株/BA.1株)、バキスゼブリア筋注及びヌバキソビッド筋注の報告状況を表1に示しております。いずれの開催回においても、ワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと評価されています。続いて、(2)はアナフィラキシーの評価についてです。各新型コロナワクチンの報告状況について、表2に示しております。(3)はTTSについてです。こちらも表3にお示ししております。3ページの(4)は心筋炎及び心膜炎についてで、心筋炎については表4を、心膜炎については表5を御確認ください。5ページの(5)は死亡症例についてです。表6を御確認ください。
5ページの2は、添付文書改訂に関する令和4年7月8日の合同部会の報告になります。ヌバキソビッド筋注接種後の心膜炎、心筋炎について、国内における副反応疑い事例の報告はなく、また、海外での知見も限られている状況ではありましたが、副反応疑いの事例の集積やそれを踏まえた安全対策措置の検討には、今後相当な時間が必要となることも考慮し、添付文書について「重要な基本的注意」の項にて注意喚起を行うこととされました。詳細は別添1、2を御確認ください。
 6ページの3は、副反応への対応に関する令和4年9月14日、同10月21日及び11月11日の合同部会の報告になります。9月14日の合同部会では、2価の変異株、起源株/オミクロン株BA.1対応ワクチンであるコミナティRTU筋注及びスパイクバックス筋注の副反応疑い報告基準について、ほかの新型コロナワクチンと同様に扱うことが、副反応検討部会委員によって議決され、10月21日の合同部会では、起源株/オミクロン株BA.4-5対応ワクチンであるコミナティRTU筋注についても、ほかの新型コロナワクチンと同様の副反応疑い報告基準を取り扱うことが議決されました。また、コミナティ筋注6か月~4歳用の接種開始に当たり、接種後に発生した熱性けいれんについて、より広く情報収集すべきとの議論を踏まえ、全ての新型コロナワクチンの副反応疑い報告基準について、熱性けいれんを追加することが副反応検討部会委員によって議決されました。詳細については、別添3を御確認ください。また、11月11日に開催された合同部会においては、起源株/オミクロン株BA.4-5対応ワクチンであるスパイクバックス筋注の副反応疑い報告基準について、ほかの新型コロナワクチンと同様に取り扱うことが副反応検討部会委員によって議決されました。
 6ページの4からは新型コロナワクチン以外の各ワクチンの報告状況についてです。(1)は報告状況の概要です。各ワクチンの報告状況について、表7及び表8に示しています。これまでと比べて大きな変化はなく、新たな安全対策措置をとる必要はないとされています。9ページの(2)は死亡症例についてで、死亡症例については、令和4年1月から3月末までの期間に1例、令和4年4月から6月末までの対象期間に1例報告され、「ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの」とされた症例はありませんでした。
 9ページの5はインフルエンザワクチンの報告状況についてです。(1)は報告状況の概要です。令和3年10月1日から令和4年3月31日までの報告状況について、集計した結果を表9に示しています。2020/2021シーズンの報告と比べて報告頻度の増加は見られず、新たな措置をとる必要はないとされています。(2)は死亡症例についてです。対象期間中に7例報告され、「ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの」とされた症例はありませんでした。
 10ページの6はHPVワクチンの報告状況です。HPVワクチンの安全性については、合同部会の議論に基づき、積極的勧奨の再開直後の6か月の間、合同部会の開催頻度を上げて評価を行うこととされておりました。令和4年7月8日、8月5日、9月2日、10月7日の合同部会にて審議され、報告状況はそれぞれ表10~13のとおりになります。死亡症例の報告はなく、いずれの開催回においても、これまでの報告状況と比べて大きな変化はなく、新たな措置をとる必要はないとされています。
 ワクチンの安全性に関する評価については以上です。
○事務局 資料4-3「要指導医薬品のリスク評価について」を御覧ください。要指導医薬品のリスク評価については、製造販売後調査及び副作用報告に基づいて、重篤な副作用の発生状況を評価し、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認するものですが、この手続の確認は安全対策調査会で行い、その結果を本部会に報告することとなっております。
 本日は、この手続にのっとり、フルチカゾンプロピオン酸エステルについて、確認結果を部会に報告するものです。販売名は「フルナーゼ点鼻薬 季節性アレルギー専用」です。効能・効果は、花粉による季節性アレルギーの鼻づまり、鼻水、くしゃみのような症状の緩和です。用法・用量は、15歳以上の成人に1日2回朝夕、左右の鼻腔内にそれぞれ1回1度ずつ噴霧します。1日最大4回まで使用してよいが、使用間隔を3時間以上おくことや、1年間に3か月を超えて使用しないこと等とされています。
 製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査とは、個別に薬局と契約して、モニター店舗でアンケート調査票を配って、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査では、調査症例数1,002症例で、副作用が14例18件ございました。このうち重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、異常感2件、無嗅覚、眼瞼けいれん、ぜんそく、鼻閉、鼻漏、口内炎、口唇炎、腹部不快感、酩酊感、疼痛、心拍数増加及び気道内異物各1件が報告されました。使用者若しくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、6例9件の報告がございました。このうち重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、異常感、無気肺、鼻漏及び鼻臭各1件が報告されました。
 以上の内容について、9月27日の安全対策調査会において、参考人として耳鼻咽喉科の専門家の参加の下で審議を行った結果、製造販売後調査において、特段懸念される副作用が発現していないことなどを踏まえ、要指導医薬品から一般用医薬品へ移行することは問題ないと評価されました。資料4-3の御説明は以上です。
○事務局 続きまして、資料4-4及び資料4-5について御説明させていただきます。
資料に入る前の冒頭の御説明となりますが、ニトロソアミン類については、数年前からバルサルタン、ラニチジン、メトホルミンなどの医薬品からニトロソアミン類の一種であるNDMAなどが検出されたこと受けまして、国内外で大部分の医薬品を対象としたニトロソアミン類混入リスクの自己点検が行われております。
糖尿病薬であるシタグリプチン及び抗うつ薬であるアモキサピンから、ニトロソアミン類が検出されたことを受けまして、その対応に関する事務連絡を本年9月及び11月に発出しておりますため、報告いたします。
 まず、糖尿病薬シタグリプチンについて、資料4-4を御覧ください。シタグリプチン製剤からはNTTPというニトロソアミン類が検出されました。1.のとおり、こちらはシタグリプチン製剤の原薬の製造で用いる原料物質がニトロソ化した物質となります。ニトロソアミン類は、アミンの窒素にニトロソ基が結合した化合物の総称でありまして、先般、バルサルタンなどから検出されたNDMAのように、動物において発がん性が認められているものも少なからずありますが、全てのニトロソアミン類の発がん性リスクが明らかになっているわけではありません。今回のNTTPについては、動物試験の結果がなく、発がん性の有無は不明です。現在、製販業者により追加の動物試験の実施が検討されておりまして、その試験の結果も踏まえて、リスク評価がなされる予定です。1.の末尾で触れておりますとおり、米国FDAが本件に関する公表を行っていることなどを踏まえまして、本邦においても事務連絡を発出し、情報提供を行っております。
 当面の対応につきましては、2.を御覧ください。FDAは、現時点で患者が医療の専門家に相談せずに服用を止めることは危険な可能性があるとして、臨床上適切な場合には同剤の使用継続を推奨しているため、その旨を記載し情報提供しています。その上で、患者の自己判断で服用を中止しないよう説明いただきたいことや、患者から本件に関する問合せがありまして、ほかの薬剤への切替えなどの対応を希望される場合には、ほかの治療選択肢について、医師などに相談していただくよう記載しています。また、今後リスク評価が行われる予定であるため、本対応は今後必要に応じて見直しを行う旨も記載しております。追加の動物試験の結果などの情報が得られましたら、健康影響評価を実施したいと考えております。シタグリプチンについては以上です。
 続きまして、資料4-5を御覧ください。こちらは抗うつ薬アモキサピンについてになります。アモキサピンでは、製剤中の有効成分がニトロソ化したニトロソアミン類であるN-ニトロソアモキサピンが検出されています。こちらも動物における発がん性は不明であり、シタグリプチンと同様に当面の対応等を周知する事務連絡を本年9月に発出していますが、アモキサピン製剤については、製販業者が今後の対応を検討した結果、同剤の出荷を停止する予定としておりまして、N-ニトロソアモキサピンの発がん性に関する追加の試験は行われません。そこで、N-ニトロソアモキサピンの健康影響評価については、この物質が発がん性を有すると仮定した場合の発がんリスクの程度について、構造が一定程度類似し、かつ発がんリスクに関するデータのあるニトロソアミン類を参考にして実施されました。その結果について、本年11月に追加の事務連絡を発出しており、情報提供を行っております。
 その結果については、同資料中の11月9日の事務連絡を御覧ください。1.では、アモキサピン製剤が三環系抗うつ薬であり、服用の中止により離脱症状等を生じる可能性があるため、患者の自己判断で服用を中止しないよう御説明いただきたいことや、現在服用中の患者には、ほかの治療選択肢について、医師等に御相談いただきたい旨を記載しています。2.では、N-ニトロソアモキサピンが発がん性を有すると仮定した場合の発がんリスクの程度について、構造が類似した物質のデータを参考にした検討結果を記載しています。アモキサピン製剤75mg及び300mgを一生涯70年間毎日服用したときの理論上の発がんリスクは、75mg投与ではおよそ20万人に1人が、300mg投与ではおよそ5万人に1人が、一生涯70年間の曝露により、過剰にがんを発症する程度のリスクに相当すると評価されています。
 なお、医薬品規制調和国際会議「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理ガイドライン」(ICH-M7ガイドライン)においては、おおよそ10万人に1人の増加のリスクは許容可能とされています。アモキサピンについては以上です。
○事務局 続きまして、資料4-6を御覧ください。7月21日付けで厚生労働省医薬・生活衛生局長通知「緊急承認等された医薬品等の電子化された添付文書の記載要領の改正について」及び医薬安全対策課長通知「緊急承認等された医薬品等の電子化された添付文書上での取扱いについて」を発出しましたので、御報告させていただきます。
 令和4年法律第47号の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」によりまして、緊急時において安全性の確認を前提に医薬品等の有効性が推定された際、条件や期限付きの承認を与えることができる緊急承認制度が創設されました。これに伴い、緊急承認制度の対象となる医薬品等の添付文書の記載方法を設定するため、添付文書の記載要領通知を改訂しました。例えば、緊急承認制度を受けた医薬品は、特に最新の情報を参照して使用する必要があるため、添付文書の上部に緊急承認制度を受けた旨を赤枠で記載し注意を促すこととしています。報告は以上です。
 続きまして、資料4-7を御覧ください。9月13日付けで医政局医薬産業振興・医療情報企画課長及び医薬・生活衛生局安全対策課長の連名通知「医療用医薬品を特定するための符号の容器への表示等について」を発出しましたので、御報告させていただきます。
医療用医薬品については、取り違え事故の防止及びトレーサビリティの確保並びに医薬品の流通の効率化を推進するため、通知により、元梱包装単位及び販売包装単位について、ロット番号等の変動情報のバーコード表示を必須としておりました。このような取組をさらに推進するため、令和元年薬機法改正において、医薬品・医療機器等の販売包装単位へのトレーサビリティに資するバーコード表示を義務づけ、令和4年12月1日より施行することとしました。これに伴い、令和4年9月13日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令」を公布し、表示の例外等を示しています。本通知では、これまでの医療用医薬品を特定するための符号のこれら容器への表示方法に関する通知について、省令事項等を踏まえて改訂しております。報告は以上です。
○岡部会長 ありがとうございました。ただいま七つの資料について、事務局から御説明いただきましたけれども、何か御意見、御質問等、委員の先生方からございますでしょうか。事前にはその都度お送りいただいていた内容かと思いますけれども、よろしいでしょうか。それでは、議題4の報告は以上となります。
 それでは、議題5「医薬品等の副作用等報告の状況について」に入りたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 資料5-1を御覧ください。医薬品医療機器等法第68条の12の規定に基づき、厚生労働大臣は、副作用等の報告状況について、薬事・食品衛生審議会に報告することとされておりますので、本資料に基づき御説明いたします。
 今回の報告期間は令和4年4月1日から令和4年7月31日まででございます。資料の1.には、製造販売業者からの副作用報告と感染症報告の状況を示しております。(1)には国内症例、(2)には外国症例の報告件数をお示ししており、国内症例については、副作用報告、感染症報告のいずれも前回と比べて増加しておりますが、2万5,027件のうち約2,400件はコロナワクチンに関する報告であり、コロナワクチンの報告に関しては、前回から減少しています。(1)の国内症例の内訳は資料5-2にまとめてお示ししております。(3)には、医薬品たるコンビネーション製品における機械器具等に係る部分の不具合報告件数をお示ししております。医薬品たるコンビネーション製品とは、インスリンペン注等、機械器具等と一体的に販売するものとして承認を受けた医薬品をいうものであり、例えば、インスリンペンのペン部分の故障といった不具合の報告件数を示したものとなります。医療機器・再生医療等製品安全対策部会への報告件数を再掲していることから、本資料の中で、この箇所のみ報告期間が異なることに御留意ください。この内訳についても、(1)と同じく資料5-2にまとめてお示ししております。(4)には外国での新たな措置の報告件数をお示ししており、前回と比べ件数は減少しておりますが、年単位では横ばいであり、その変動の範囲と理解しています。内容については資料5-3にお示ししております。(5)には研究報告の報告件数をお示ししており、こちらは前回と比べ微増となっていますが、年単位では横ばいであり、その変動の範囲と理解しています。報告された文献等のリストは資料5-4にお示ししております。
 続いて「2.医薬関係者からの医薬品等の副作用等報告」について御報告いたします。ワクチン類を除く医薬品の副作用報告とワクチン類の副反応報告とに分けてお示ししており、これらのうち重篤症例については、企業若しくは独立行政法人医薬品医療機器総合機構が詳細調査を行うこととしておりますので、重篤なものの件数及びそのうち機構が詳細調査を行った報告の件数についてもお示ししております。このうちワクチン類の副反応報告及び予防接種後副反応疑い報告の件数は、前回から約1,500件減少しておりますが、コロナワクチンに係る報告が前回と比較して約1,500件減少したことによると考えられます。また、ほかのワクチン類の報告件数はほぼ横ばいでした。なお、機構が詳細調査を行った報告の内訳については、資料5-5にまとめてお示ししております。
 最後に「3.副作用救済給付又は感染救済給付に係る疾病、障害及び死亡の報告」について御報告いたします。報告期間内に救済給付に関する決定がなされたものの件数を、副作用救済給付、感染症救済給付についてお示ししております。なおその内訳は、資料5-6にまとめてお示ししております。
資料5-1から5-6については以上です。
○事務局 続きまして、資料5-7「患者からの医薬品副作用報告の状況について」を御説明いたします。資料5-7を御覧ください。患者からの医薬品副作用報告の状況については、今回報告分は令和4年4月1日から令和4年7月31日までの分となります。今回の報告期間中の総受付症例数は214例でした。そのうち、未回復、後遺症がある、又は死亡したと報告された症例は72例でした。214例の内訳として、医療用医薬品を一つでも含む報告は213例であり、要指導・一般用医薬品を一つでも含む報告は3例ございました。全症例の副作用報告の状況は、医療用医薬品については別紙1に、要指導・一般用医薬品については別紙2にそれぞれラインリストを示しております。医療用医薬品について報告された副作用のうち、報告の多い薬効分類は、上からワクチン類、精神神経用剤、解熱鎮痛消炎剤、消化性潰瘍用剤でした。資料5-7につきましては以上でございます。
○岡部会長 資料5-7も御説明いただいたところです。それでは、委員の先生方から何か御意見、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議題5の報告は以上となります。
 それでは、議題6「医薬品の感染症定期報告の状況について」に参りたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題6の感染症定期報告について御報告いたします。資料は6-1と6-2になります。
 まず、感染症定期報告について、制度の概要について御説明させていただきます。医薬品医療機器等法に基づく副作用等報告におきましては、製造販売業者から、その製造販売をする医薬品によるものと疑われる副作用・感染症を報告することが義務づけられております。他方で、血液製剤やワクチン等の生物由来製品につきましては、その原料はヒトその他の生物に由来するため、細菌、ウイルス等が含まれている可能性が完全には否定できません。また、その感染症自体の性質として、時間の経過に伴い、軽減することなく一定期間後に症状が顕在化してくるという可能性もございます。このような性質も踏まえまして、生物由来製品につきましては、製品への直接的な影響が不明であるものも含め、定期的に製品の原料、材料による感染症に関する報告を行うことを義務づけられており、これが感染症定期報告でございます。なお、感染症定期報告で寄せられたものにつきましては、本医薬品等安全対策部会のほか、血液事業部会運営委員会においても報告を行っております。以上が感染症定期報告の概要でございます。
 資料については6-1と6-2がございますが、資料6-2が重複を含む期間中の全ての報告になります。そのうち重複や過去に報告されたものを整理し、今回の期間に新規に報告されたものをまとめたものが資料6-1になります。
 資料6-1を御覧ください。今回の報告は令和4年4月1日から令和4年7月31日までに報告されたものをまとめております。詳細な説明は省略いたしますが、今回新たに報告された文献は29件ございました。これらの報告について、国立感染症研究所の脇田委員と宮﨑委員、国立医薬品食品衛生研究所の澤田委員に事前に御確認いただいております。この場で御紹介すべき御意見は特段頂いておりません。議題6については以上です。
○岡部会長 ありがとうございます。議題6の御報告は以上となりますけれども、御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、予定した議題は以上となります。事務局から何かございますか。
○事務局 特にございません。本部会の次回の開催は、委員の先生方に改めて御連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
○岡部会長 それでは、本日の部会を閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬安全対策課 課長補佐 浦(内線2752)