2022年11月28日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和4年11月28日(月)17:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)五十音順
行政機関出席者
  • 八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  • 山本史 (大臣官房審議官)
  • 中山智紀(医療機器審査管理課長)
  • 中井清人(医薬安全対策課長)
  • 鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査センター長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多用中御出席いただき、誠にありがとうございます。本会議はWeb会議形式にて開催いたします。また、本部会ではWeb会議の様子をYou Tubeにおいてライブ配信しておりますので、御了承願います。なお、配信における留意事項ですが、本配信の著作権は厚生労働省に帰属しますので、配信している動画あるいは内容を許可なくほかのウェブサイトや著作物等へ掲載することを禁止します。
 本日の委員の出欠につきましては、現時点で医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち18名に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。なお、荒井部会長と宮川委員におかれましては、本省にお越しいただいているところでございます。
 議事に入る前に、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。今回、全ての委員の皆さまより、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。
委員の皆さまには、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて事務局から説明いたします。
○事務局 事務局でございます。本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日予定している全ての議題について公開といたします。
 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。本日、あらかじめお送りした資料1~2及び当日配布資料1を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。なお、本日の会議は公開で行うため、資料につきましては全てウェブ掲載しております。タブレットの操作について御不明点等ございましたら、お近くの事務局員までお声掛けいただければと思います。
 次に、Web会議で御参加される委員の先生方へ、注意事項を説明いたします。審議中はマイクミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンでお願いいたします。御発言の際は、右下の「リアクション」から手挙げ機能を御利用いただき、部会長に指名されましたら、画面の左下にあるマイクのボタンを押していただき、部会長から指名された後にマイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に御発言いただきますようお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで御一報いただければと思います。
 次に、本日御出席の委員の方々につきまして、議題1の影響企業とされた製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金の受取状況を御報告いたします。資料2「影響企業リスト」を御覧ください。影響企業については、事前にリストを各委員にお送りして確認を頂いておりますが、後藤委員より、富士レビオ株式会社より500万円超のお受取と御申告を頂いております。
本議題につきましては、薬事分科会審議参加規程第18条において、申告対象期間中の受取額を自己申告し、申告書を厚生労働省ホームページにて公表することで、全ての委員は審議・議決に加わることができるとされておりますので、追って、ホームページで公表させていただきます。以上、報告いたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以後の進行につきましては、荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは、よろしくお願いいたします。まず、ここまでの事務局からの説明について、何か御意見はございますでしょうか。よろしいですか。よろしければ、これより議題を始めさせていただきます。本日は審議事項の議題一つのみとなっております。
それでは、議題1「一般用SARSコロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原キットに係る一般用検査薬ガイドライン(案)について」に入ります。それでは事務局から説明をお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 はじめに、本日御審議いただくガイドライン(案)についての作成の経緯を御説明するのですが、それに先立ちまして、新型コロナウイルス感染症対策本部から、11月22日に開催された厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおける議論について御説明いたします。新型コロナウイルス感染症対策本部、お願いいたします。
○参事官 本部の松岡より説明させていただきます。皆さまのお手元には当日配布資料1というものがあると思いますので、それを参考にしながら説明させていただきます。
今年の8月に、新型コロナ抗原定性検査キットについてOTC化をしていただきまして、インターネット等での販売が可能となっております。新型コロナとインフルエンザが、この冬同時期に流行することに備えた対応としまして、限りある医療資源の中で適切な医療を提供できるよう、重症化リスクの低い方は新型コロナの抗原定性検査キットで自己検査を行っていただき、陽性の場合には健康フォローアップセンターに登録して自宅で療養していただく。陰性の場合には、受診を希望する場合は電話・オンライン診療・かかりつけ医等を受診していただくような診療のフローを作り、対応しようとしているところです。
そうした対策を講じている中、今国会の質疑におきまして、同時期に流行することを想定した対策を講じる中でも、新型コロナとインフルエンザの同時検査キットのOTC化が必要ではないかという御指摘を頂いたところです。
 このような御指摘を頂いたこともありまして、関係学会の先生方にいろいろなお話を伺うこととなり、それをまとめたのが下の表のような形。肯定的な意見、否定的な意見と、いろいろな意見を頂いたところです。賛否両論はあるものの、医療ひっ迫の回避に資することも考えられるということで、この冬、同じ時期に流行することに備えた対応として、自己検査用キットにつきましては、新型コロナの抗原定性検査キットを使うことを基本としながらも、一つの選択肢として、同時検査キットの一般向け販売を可能とすることも考えられるのではないだろうかということを、11月22日のアドバイザリーボードの場に提示しまして、皆さまの御意見を伺ったところです。
 アドバイザリーボードの委員の皆さまからは様々な意見がありました。例えば、コロナ、インフルの同時期流行といった緊急時の対応であるということを理解して、やるべきであるということ。感染症診療において検査戦略は根幹となるものなので、恒久化はやめておいたほうがいいのではないかという御意見。今回の取組をきちんと評価して今後にいかすべきであるという御意見。インフルの陽性軽症者の受診増によって、外来がかえってひっ迫するのではないかということを懸念するような声。また、インフルの検査結果は、新型コロナとは異なり、発症直後は陰性になりがちであることに留意して使うことが必要といったような御意見がございました。
このような御意見が見られたところではありますが、大きな反対はなかったこともあり、OTC化に向けた議論を開始していただくということで、本部としてはお願いをしていいという次第でございます。私からは以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの新型コロナウイルス感染症対策本部からの説明内容につきまして、御質問等ございますでしょうか。委員の方々、いかがでしょう。ないようですので、事務局から説明を進めていただけますか。もし何かお気付きのことがありましたら、後でもう一度挙手いただいても結構ですので、先に進ませていただきます。事務局からお願いいたします。
○事務局 医薬・生活衛生局医療機器審査管理課より、本日御審議いただく「一般用SARSコロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原キットに係る一般用検査薬ガイドライン(案)」について、御説明いたします。
はじめに、これまでの経緯と概要についてです。資料1-1を御覧ください。1ポツ目「経緯」についてです。新型コロナウイルス抗原定性検査キット、いわゆる「コロナ単独キット」については、令和4年8月10日、アドバイザリーボードにおける、OTC化に向けて具体的に検討を進める方向についての議論を受けて、令和4年8月17日、本部会での議論を経まして、ガイドライン(案)が策定され、これまで計9品目のOTCが承認されているところであり、インターネットでの販売が可能となっております。
その一方で、先ほどコロナ本部から御説明がありましたが、新型コロナウイルス及びインフルエンザウイルスの両方の抗原を同時に検査できる抗原定性検査キット、いわゆる「同時検査キット」について、令和4年11月22日、同じくアドバイザリーボードにおいて、「様々な意見があるものの、医療ひっ迫の回避に資するといったことも考えられるため、今年の冬、新型コロナとインフルエンザの同時期流行があることに備えた対応としての自己検査キットについて、新型コロナの抗原定性検査キットを基本としつつも、一つの選択肢として、同時検査キットの一般向け販売を可能とすること」との方針について議論が行われました。なお、ADBにおいては、インフルエンザの検出感度や陽性が出るタイミング等に留意が必要などの御指摘を頂いたものの、大きな反対意見はなかったと承知しております。
これを踏まえて、厚生労働省として、供給量に制約はあるものの、同時検査キットについてOTC化の検討を進めることとしたところです。
 続きまして、2ポツ目のガイドラインに係る「概要」です。体外診断用医薬品の一般用検査薬への転用については、いわゆる「一般原則」にのっとり、一般用検査薬として取り扱う際の使用上の注意、使用方法、性能等を盛り込んだ評価の指針、すなわちガイドライン(案)を作成し、本部会でその妥当性を議論することとしております。
今般、通常は業界からガイドライン(案)が提案されるものなのですが、手続としては例外的に、医療機器審査管理課でガイドライン(案)を作成しましたので、その妥当性について御審議をお願いしたいと考えております。
 最後に「その他」についてです。ガイドライン(案)については、本部会で了承されれば、ガイドラインとして速やかに通知する予定でおります。なお、当該一般用検査薬のリスク区分、いわゆる第1類、第2類、第3類のどれに該当するかについては、当該使用者に提供すべき情報等を踏まえ、医薬品等安全対策部会において議論することとしております。資料1-1については以上です。
 続いて、ガイドライン(案)について御説明いたします。資料1-2を御覧ください。まず、ガイドライン全体の構成についてです。1ページから2ページにかけてガイドラインの本体。続いて、3ページに判定方法の例示として別紙1。4ページ以降に、添付文書の例として別紙2。9ページからは、製造販売業者から販売者に対する説明資料の例として別紙3-1。更にページを進んで、12ページから販売者向け使用者への説明資材、及び使用者向け使用の手引きの例として、別紙3-2を設けております。
 それでは1ページに戻っていただきまして、ガイドラインの本体についてです。本ガイドライン(案)については、コロナに加えてインフルエンザも検査できるものですが、基本的には、8月の本部会で御審議いただいたコロナ単独検査キットのOTC化に係るガイドラインと同じ内容としておりますので、本ガイドライン(案)の中でコロナ単独のものと異なっている点を中心に御説明させていただこうかと思います。
まず、1ポツ目の一般的名称は、「一般用SARSコロナウイルス抗原」の後に、「・インフルエンザウイルス抗原キット」を追記したものとしております。また、2ポツ目の定義の記述では、コロナに係る記述の後ろに、「及びインフルエンザウイルス抗原の検出」など、インフルエンザに係る記載を追記している点がございますが、これ以降も、基本的には、コロナ単独キットのOTC化に係るガイドラインとほぼ同じ内容を踏襲しております。
 ページを進みまして、2ページ、9ポツの備考についてです。こちらもコロナ単独のものと同じ内容ですが、同時検査キットについても、医療用の検査キットで承認時に「臨床性能」に係る承認条件が付されていない又は満たしたものを対象とすることとしました。
 続きまして、別紙1の判定方法の例示です。コロナの判定ラインの説明に加え、A型インフルエンザとB型インフルエンザの判定ラインの説明についても追記しております。
 次に、別紙2は添付文書の例です。冒頭に記載しています「この検査の使用について」ですが、こちらの記述は同時検査キットのガイドライン(案)を作成するに当たって、コロナ単独のガイドラインから大きく変更した点になります。まず、前提として、「本キットは、新型コロナウイルス抗原及びインフルエンザウイルス抗原を同時に検査するキットですが、ウイルス量が最大になる時期が異なる等、それぞれのウイルスの性質が異なることが知られています。そのため、本キットは以下の点に留意の上、判定結果を活用してください。」とした上で、二つの留意事項を記載しました。
まず、一つ目のポツは、コロナ単独のものは「体調が気になる場合等のセルフチェック」として本キットを使用することとしていたのに対し、同時検査キットは、「発熱等の感冒症状がみられた場合にセルフチェックとして本キットを使用」とすることとしました。ただし、判定結果を踏まえて、自治体からの案内に従い適切に医療機関を受診等することの原理原則は変わらないと考えていますので、この記載としております。続いて2ポツ目、冒頭の前提のところでも少し言及していますが、「発症から経過時間によって判定結果が変わりうるため、症状が出てから本キットを使用するまでの時間を記録し、医療機関の受診時に本キットの結果とあわせて医師に伝えてください。」としています。その下に記載している「※」についてですが、一つ目の「※」は、コロナ単独キットにおいても記載している、いわゆる偽陰性の可能性があることについての注意を促す内容です。また、二つ目の「※」は、特にインフルエンザにあっては、発症初期はウイルス抗原を検出できない可能性があることが知られていますとして、事実ベースの脚注を二つ記載しております。
 進んでいただきまして7ページ、「判定に関する注意」についてです。1ポツ目の後半部分に、「症状が出た時刻」と「キットを使用した時刻」と一緒に判定部分の写真を撮影することをおすすめするという旨の記載を追記しています。この背景としましては、同時検査キットに限ったことではないのですが、抗原定性検査キットを使用した直後は判定ラインが出ていなかったのにもかかわらず、使用後何時間か経過すると、それまでになかった判定ラインが出現するという現象があるためです。ここでは主にオンライン診療に本キットが活用されることを想定したものですが、対面で受診する場合であっても、本キットの結果を写真に収めておいて、いつでも提示できるようにしておくことは、適正かつ円滑な診療に資すると考えております。
その他の記載事項については、「廃棄に関する方法」を含めて、コロナ単独のものと同趣旨の内容としています。
 続きまして、別紙3-1~3-2で示す各種説明資料の例です。コロナ単独のガイドラインでもOTC化の際に同様の各種説明資料を御用意していましたので、今回もそれにならい用意しました。これらの資料は基本的には添付文書にある情報をその説明目的に応じて抜粋して記載するとともに、説明を受ける者が理解しやすいように表現を工夫しているものです。
まず、別紙3-1については、タイトルにもあるとおり、製造販売業者から販売者向け、すなわち薬局・販売店への解説書であり、専門的な情報も記載されているほか、添付文書で説明されている背景事情に係る情報についても「解説」として追記しております。また、11ページに「Q&A よくあるご質問」を設けており、今回は、例示として、添付文書の冒頭に記載のある「それぞれのウイルスの性質が異なる」ことについて、使用者から質問があった場合を想定した回答について、必要に応じてグラフや図等を用いて分かりやすく記載することとしています。
 最後の別紙3-2については、タイトルにもあるとおり、製造販売業者のホームページに記載されるなどして、情報提供されることを想定したものです。添付文書に説明されている情報のうち、使い方に関する情報を分かりやすく記載するよう意識していただく必要があるほか、できるだけ簡易な表現を用いて記載することとしています。
なお、事前に共有させていただきました部会資料においては、「※」の内容が、インターネットを介して提供されることを想定としていましたが、今回は画面で共有させていただいている資料にお示ししているとおり、冒頭部分の「※」、製造販売業者のホームページに掲載等をすることで、情報提供されることを想定、というように内容を修正させていただく予定でおります。ガイドラインに関する説明は以上です。
 続きまして、資料1-3を御覧ください。ガイドラインを発出する通知の概要です。通知のタイトルは、「一般用SARSコロナウイルス抗原・インフルエンザウイルス抗原キットに係る一般用検査薬の製造販売承認申請の取扱いについて」としており、ガイドラインには記載しきれない承認申請に当たって遵守すべき事項を記載する予定です。こちらについても、基本的にはコロナ単独のときに発出した通知と同じ内容を記載することとしています。
まず、一つ目の矢羽根については、通知に別添として付けるガイドラインを満たす必要があること。次に、二つ目の矢羽根については、販売名は一般用と医療用とでは異なるものとすること。そして三つ目の矢羽根については、承認申請に当たって申請区分、すなわちどういった資料を添付しなければならないかを規定しており、コロナ単独のものと同様に、申請区分の中で最も添付資料をディスカウントできる「承認基準品目」で申請することとしました。最後の四つ目の矢羽根については、三つ目とも関連した内容ですが、今回OTC化されるものは、基本的には、既に医療用の検査キットとして承認されたものをそのまま一般用にスイッチすることを想定しているものの、スイッチではない、すなわちダイレクトに一般用検査キットとして承認申請をすることを妨げているわけではありませんので、その場合の申請区分を示しております。この場合、「承認基準外品目」、すなわち医療用の新規申請と同等の添付資料を要求するとともに、臨床性能試験成績の提出を必須とすることにしました。こちらについても、コロナ単独のときの取扱いと同様のものです。
長くなりましたが、資料の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは委員の方々から御意見、御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか。小西先生、どうぞ御発言ください。
○小西委員 専門の方に教えていただきたいのですけれども、今年の冬はインフルエンザがはやると予想されているわけですが、インフルエンザも陽性で、同時にコロナも陽性というのはあるのでしょうけれども、どれぐらいの頻度とか、ありうるのかどうか、その辺のことを御存じの先生はいらっしゃいますでしょうか。お教えいただきたいと思います。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。今の小西先生のお尋ねですけれども、非常にまれだと思います。一人の方がインフルエンザにかかっていて、同時にコロナにかかることはほとんどありません。非常に免疫のレベルの低い方、若しくは特殊な病態の方しかありえません。同一の人に短い期間でかかる可能性はありますけれども、同時は非常にその可能性は低いと考えていただければよろしいかなと思います。以上です。
○荒井部会長 宮川先生、ありがとうございます。
○小西委員 続けてよろしいでしょうか。
○荒井部会長 どうぞ。
○小西委員 今回のキットの発売は賛成ですけれども、一人一人の国民が自分の健康をきちんと自分で把握するという意味で、非常に意義があると思っておりまして、賛成なのですが、このキットの発売以降、インフルエンザ陽性の方が近くの開業医の先生のところに結構行かれると思うのですね。ですから、日本医師会の対応が非常に重要になってくると思っております。この点についても、よろしくというか、お願いしたい。偽陰性のことも含めて周知徹底をよろしくお願いしたいと思っております。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。これは宮川先生にお願いします。
○宮川委員 小西先生、ありがとうございます。事前にこの同時のキットでインフルエンザが陽性で、コロナが陰性であるということが分かっていれば、日本において過去に最大限感染が起こったのが1日30万人という事実があります。しかしながら、そのときに医療がひっ迫したということはありません。ですから、インフルエンザのみの対応のときは、これは問題なく従来どおりの診療ができるということでございます。ただし、新型コロナの場合、医療機関としては防護服はじめ様々な感染防御策をしなければいけないというのが国からの通達でございますので、それに対応せざるを得ないということがあります。これは御存じない方がいらっしゃいますが、開業医等対応をしていないという方もいますが、開業医の中には内科専門だけではなくて、精神科、皮膚科、眼科の方がいらっしゃいます。実際にビル診等で他の店舗のことを考えて、ビルのオーナーがコロナ患者の受け入れをしては困ると言われ、発熱外来をできないという医療機関もありますので、どうしても制約がかかるということは認識していただければと思います。実際には、懸命に今努力をされているという医療機関がありますので、この冬の流行の際には、ある程度対応できるということは目鼻が付いておりますので、一生懸命活動したいと思っております。小西先生、ありがとうございます。
○荒井部会長 宮川先生、ありがとうございます。明快に御説明いただきました。そのほかの委員の方々、御質問、御意見等いかがでしょうか。北澤先生、どうぞ。
○北澤委員 北澤です。一つ質問と、一つは意見です。質問は、この2種類を同時に測るキットをOTC化するというのは今シーズンに限ったことで、来年になると、それは取りやめられると考えてよいのかという点です。意見は、OTC化されれば一般の方も購入しやすくなると思いますけれども、その一方で、旅行支援などでいろいろなイベントや旅行に出掛ける際に、過剰にこの検査で陰性を求めるとか、「念のために」をやりすぎるということがないようにしていただきたいという点です。
○荒井部会長 北澤委員、ありがとうございます。前半ですが、対応が今回に限っての話なのかそれとも、時期のリミットをつけるかなどについてはいかがでしょうか。お願いいたします。
○医療機器審査管理課長 まず、前半についてお答えいたします。今回の承認にあたっては、期限の条件を付けることは考えていないところであります。今シーズンに限らず、まだ更に来シーズンという可能性もありうると思いますし、期限付きという条件は付けないということで、今のところは考えています。以上です。
○荒井部会長 北澤委員、前半の方はよろしいでしょうか。
○北澤委員 はい。
○荒井部会長 今、北澤委員が指摘された2番目の方は、かなり社会的には影響が大きそうです。過剰な反応をしてしまう、要するに陰性証明がないと何かができないとかといった対応が出てしまうと、世の中的にはかなり影響が大きいと思われます。過剰な反応を抑制するというか制御するような対応は、何かとられるのでしょうか。とる予定があるかなど、どうですか。
○参事官 コロナ本部でございます。コロナ単体に関しましては、確かに、全国旅行支援とかそういったもので、今、社会経済を動かすために陰性を見てくださいとか、若しくはワクチンを3回打ってくださいというようなことは実際やられておりますが、インフルエンザとの同時検査キットということは、つまり、インフルも陰性を求めるという動きになるかどうかという話だと思います。私ども、少なくとも私が知っている限りでは、コロナ本部もそうですし、それから内閣官房のコロナ室もそうですけれども、インフルまでこの話を広げていく、社会経済活動を回すためにインフルのネガティブを求めるという動きにはなっておりませんし、多分ならないと思います。コロナの検査についても、今後旅行支援のようなものがどこまで続くのかということは分かりませんが、徐々に緩んでいくのではないかと私どもとしては期待をしているところですし、先生がおっしゃるような過剰な対応を、この検査キットがOTC化することによって求めるとか、若しくは求めようという動きにならないように、私どもとしてはよく注意しながらやっていきたいと思います。ありがとうございます。
○北澤委員 ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。結構これはデリケートなところですし、いきなり抑制をかけるというのも難しいのかもしれませんが、今のような御意見についても考慮していく必要があると思われます。高松委員どうぞ。
○高松委員 日本薬剤師会の高松です。このコンボキットについては、有用性は高いと思います。ただし、先ほど来ありましたように、検体採取の仕方やそのタイミング、判定の時期、それから、その後の陽性だった場合の対処方法というのは、必ず責任を持って説明をして、その方に伝わるよう、理解していただけるような対応が必要です。前にも申しましたけれども、単に説明して終わりではなく、しっかりそこをフォローするような販売の仕方にしていただきたいと思っており、そのためには、やはり薬剤師が、販売時に様々な確認を取りながら販売をして、適正に使っていただくような関わりができればと考えております。是非そのような対応を担保するため、リスク区分につきましては第1類という形でお願いできたらと思っています。
 1点、質問ですが、以前のコロナ単独キットの場合は、医療用の流通を確保した上で一般用の販売に至ったわけですが、今回のコンボキットの場合ですと、現在需要はこのような状況ではありますが、医療用はちゃんと確保。
○荒井部会長 高松委員、今、後半の所がちょっと音声が乱れたので、もう一度御発言いただけますか。
○高松委員 コロナ単独キットの場合は、医療用の流通を確保した上で一般用を認めるということになりましたが、今回のコンボキットについても、医療用をきちんと確保しているのかどうか。その上で、OTC化した場合にも一般用としてキットを供給できる体制ができているか。そこを確認させていただきたいと思います。以上です。
○荒井部会長 お願いします。
○医療機器政策室長 医政局産情課の鶴田です。コンボキットの流通、またキットの確保について、御質問を頂きました。まず、足下の状況ですが、今コンボキット自体は医療用のキットが3,900万回分、メーカーの在庫として確保されている状況です。この量は、十分な量が現時点では確保できていると考えております。各社、コンボキットの増産に今取り組んでいるところではありますけれども、今回OTC化することによって、何が変わるかというところではありますが、メーカーに対しては、医療用のキットをしっかり優先して作るように働き掛けを行います。余裕のある範囲内で、一般用、OTC用のキットを製造していただくということになります。したがいまして、OTC用の製造につきましては、当面の間は量としては限りがあると思っております。各社、時間を掛ければ生産量を増やしていくことは可能かと思いますが、当面の間は生産量が限られるものと捉えております。以上です。
○高松委員 ありがとうございます。加えて、コロナ単独キットの際に「研究用」と称するキットの問題が出ましたが、コンボキットで研究用と称するものは、現在流通はしているのでしょうか。
○参事官 我々が公式に何かを見ているわけではないのですけれども、私が例えばアマゾンなどを見た場合には、若干売っているような形跡があります。
○高松委員 そうであれば、コロナキットの場合にも研究用は使わないようにという周知をされましたけれども、是非また同様の対応を国にお願いしたいと思います。以上です。
○荒井部会長 今の御指摘はよろしいですか。特に意見は必要ないですか。
○参事官 分かりました。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか御意見はいかがでしょうか。福山委員、どうぞ御発言ください。
○福山委員 福山です。よろしくお願いします。今回の検査キットに関しましては、基本的には消費者の選択肢が増えるということで賛成しておりますけれども、やはり消費者心理としては、こういった検査キットで陰性と出てしまいますと、逆に、先ほどもいろいろ出ていますけれども、医療にかかる機会を逸してしまうという可能性がありますので、当キットの使用方法ですとか位置付けについては、改めて周知をしてほしいと考えております。
 また、その上で、こういったOTCの検査キットの承認情報は、まだ1類とか決まっているわけではないのであれですけれども、今までのコロナの検査キットと同様に、承認されたら厚労省のホームページに掲載したりとか、あとはネット販売等そういったことまで視野に入れているとか、今分かっている段階でありましたら、教えていただきたいと思います。
○荒井部会長 どうでしょうか。
○医療機器審査管理課長 一つ目の情報提供は、使用される方に適切な情報がしっかり伝わるようにということは留意してやっていきたいと思っています。二つ目は、もう一度確認させていただいてもよろしいですか。
○福山委員 今後こういったOTCで承認されていくものが出てくると思いますけれども、そうすると、今までのコロナの検査キットと同様に、同じ所にホームページでこういった商品が承認されましたということで情報を出す予定でいるのか、また、こういったものをインターネット通信販売等を利用して購入できるようになるのかということを、今のところどのように考えているのかということを、お聞きしたいのですけれども。
○医療機器審査管理課長 分かりました。承認された品目については、コロナの場合と同様に、厚労省のホームページでも確認できるようにしっかり措置したいと考えています。あと、インターネットによる販売というのは、今のところ、どの会社が申請されてどのような販売形態をとるのかというのは未定ですので、今のところ何とも申し上げられないかなという状況です。
○福山委員 分かりました。ありがとうございます。
○荒井部会長 そのほかの委員、御意見いかがでしょうか。ございませんか。
私から、感想というか、質問ではないのですが、このガイドラインの中の例えばセルフチェックという言葉。この言葉が理解できない人は決して少なくないだろうと思います。時間がたつと結果が変わってしまうので、写真を撮って持ってきてくださいということですが、これも多分スマホで撮りなさいという意味ですよね。確かに、そのとおり対応できる人が大部分なのかもしれませんが、できない方も必ずおられるはずです。そういったIT弱者というと極端な表現かもしれませんが、こういったものに必ずしも対応できないお年寄りなども対象になるわけですから、そういった方々にも適切に情報を提供していただかないと具合が悪いと思います。その辺も含めて配慮していただければと思います。これは意見です。そのほか御意見は。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 宮川ですが、今、部会長がおっしゃったように、それは非常に重要なことだと思います。その方が正しい使い方、そして正しい判定の仕方、その後の医療にどうやってつなぐかということを、しっかりと理解してこのキットを使っていくということが大事です。先ほど高松委員が薬剤師の方がしっかりとした対応をとっていくとおっしゃっていました。それを見ながら、これをどのように取り扱っていけばいいのかという、語句に対しても様々な注釈、それからそれに対して肉付けがされていくのではなかろうかと思います。ですから、最善の語句を選んで丁寧に書き込み、それでよいのではなくて、その後も皆さんのいろいろな御意見を頂きながら、そこに肉付けをしていって、更に役立つようなものにしていくということが非常に重要なのかなと思います。また、現場の薬剤師の方々からの御意見等も伺いながら、そして私たち医師から見て、どのようなところで困ることがあるのかということを意見として加えながら、しっかりとした使用の仕方を考えていければいいのかなと思っております。
どちらにしても、いずれの判定の場合が陰性であっても、偽陰性という可能性がある。つまり、本当は陽性なのに、採取の仕方が悪い、鼻腔の奥に綿棒を入れることができないなど、患者さん自身が躊躇してしまう例があります。特にインフルエンザの場合には、その発症、つまり熱が出た後すぐの場合ですと、そのウイルス量が少ないので、12時間以上たってからやっと陽性になっていくということもあります。そうすると、二つの病気を同時期にみるということが、かえって医療の中で判断の際に、困惑させてしまう例が多くなることが想定されます。
コンボキットは、便利だ、いいのだという主張もありますけれども、本来からすると、二つの病気は別な病気ですので、別な病気を同じでみるということは、本当はできません。一つ一つの病態を見ながら、一つ一つを別にみるのが本来の姿であるということを、私たち医療者も含めて、もう一回再確認することが必要であろうと思います。冬の時期ですと、細菌感染症が非常に多くて、コロナ禍にも、やはり細菌感染症の方が非常に増えています。この両方のキットを別々に使ったとしても治療にならないことを理解しなければなりません。はじめて血液検査をして、白血球等が上がっていて、これは細菌感染症だなと理解して、抗生物質等を投与しなければならないという形で、時期が遅れて点滴までしなければいけないという事案も出ています。しっかりとした検査というものが重要であるということを御理解いただく説明の文書というのは大事であろうかなと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○荒井部会長 宮川先生、ありがとうございます。かなり重要なポイントですし、ここは委員の方々皆さん同じ考えをお持ちだと思います。一色先生、どうぞ御発言ください。
○一色部会長代理 今、宮川先生のお話を伺っていて、ちょっと気になったのですけれども、医療の現場で、例えばこのキットを患者さんが使われて受診された場合、結局もう一回検査をやるのですかね。私はこのキットの意味を否定するつもりは全くありませんが、フォールスネガティブかもしれない、フォールスポジティブかもしれないと思いながら、陽性化の時期の違う病気を診るという話になると、結局医療側は必ずもう一回確認しましょうということになり、キットの導入に手間やお金をかけたことが無駄になってしまうことを危惧したのですけれども。この辺、宮川先生臨床現場のお立場としてはいかがでしょうか。
○荒井部会長 これは臨床現場における判断ですね。ここは、御指名の宮川先生、御発言ください。
○宮川委員 一色先生、非常に難しいお答えをしなければいけないかなと思いますが、実際には、なかなか熱が下がらないとか、具合が悪いと言って、もう一回検査して陽性だったとか、違う診断だったということはよくあります。ですから、やはり医療につなげるセルフチェックという認識は重要です。あくまでも、自分が何か困ったことが起こっているのだということをしっかり認識するということのためにセルフチェックをするので、それが直接全て診断になるということはなかなかない場合があります。医療現場は、その検体の採取、それからその判定に関しては、医療機関において、再検査をするということは間々あります。そのことによって、正確な診断をして、正確な治療に向かうということが結構あるというのが今のところの現状だろうと思います。それは採取の仕方が悪いということが非常に多いのが現状だろうと思います。それからキットの精度が高くないという問題もあります。ですから、先ほど御懸念がありましたように、研究用というものがたくさん出回っていて、それが邪魔をしているというのがありますので、それは絶対なくしていただくというのが、重要なポイントの一つになってくるのだろうと思います。以上です。
○一色部会長代理 よろしいですか。
○荒井部会長 どうぞ。
○一色部会長代理 コロナ専用のキットのときは、発熱した方が、あるいは熱はないけれども気になるという方がチェックをするというスクリーニング的な意味があったと思いますが、このキットの条件に「発熱等」と書いてありますから、結局熱がある人がキットで見て、医療機関に行くわけですので、その辺が少し前提として気になったところでした。
○宮川委員 一色先生、ありがとうございます。つまり、陰性証明を求めてやっていたということは、全くこれからは通用しないと考えます。そういうことをしてはいけないという条件の中で、適切に治療に結び付けるというツールの一つになるのだとすれば、もう少し精度も含めて高いものがあったほうがいいなと思います。国民の方々が困窮することを少しでも避けるためにOTC化をするというのはやむを得ないとしても、その使い方が問題で、薬剤師の先生方の御協力も含めて、しっかりとしたやり方で行っていくのがよろしいのではないかなと思っております。
○荒井部会長 よろしいですか。永井先生、どうぞ御発言ください。
○永井委員 今出ていた、もう一回検査するのかということに関する単なるコメントです。やはり、陽性だったと言って病院に来られても、しっかりしている人もいれば、そうでない方もいらっしゃいますので、自己申告をすぐにそのまま信用するわけにはいかないと思うのです。現場ではそのようなことも結構あるので。やはりもう一回検査せざるを得ない場合が多いのではないかと思います。陰性だったと言われても、それこそタイミングの問題もありますから、改めて検査せざるを得ないのが現状かと思います。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。多分、共通して委員の方々がお持ちの不安ではないかと思います。今、一色先生、宮川先生、永井先生にいろいろ御発言を頂きましたが、OTC化というのは、利便性とか、いわゆるセルフチェックという点で、いい方に働く部分は当然あるのでしょうが、まずはしっかりと理解していただくための説明というのが大前提ですし、更にはその後、実際にどうなったかというフォローアップをしていかないと、オーバーオールとしてこういったシステムが本当に医療としていい結果をもたらしたかは、評価できません。今まで経験がないわけですから、真実の結果というのは私たちは知らないわけで、ただ単に、現状の様々な状況を鑑みると、そういうものがあったほうが多分利便性としてはいいだろうという判断だという認識は重要だと思います。大きな反対の御意見は頂いていませんが、部会長としてはこのように感じております。
この点については、恐らく皆さん共通に御理解いただいているかと思われます。改めてここで、何かそのほかの御意見とかはいかがですか。よろしいでしょうか。ほかに御意見がなければ、ここで一応、今日のこの部会としての議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは議決に入らせていただきます。事務局から提示されたガイドライン(案)を、本部会として妥当なものとして了承してよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、このように議決させていただきます。御審議ありがとうございました。では、本部会で御提示したとおりガイドラインとして策定し、速やかに通知をさせていただくことになりますね。
○医療機器審査管理課長 通知をさせていただくことになります。
○荒井部会長 よろしくお願いいたします。本日の議題はこの点だけですので、以上ですけれども、事務局から何か連絡事項はありますでしょうか。
○医療機器審査管理課長 委員の先生方におかれましては、本日御多忙のところ御参加いただきまして、誠にありがとうございました。また、次回の部会もございますが、その件に関しましては、後日メール等で御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。連絡事項は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。2週連続というか、七日以内に2度の部会をさせていただきました。初めての経験であり、本当に委員の方々を含め皆様に感謝申し上げる次第です。それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高畑(内線4226)