第356回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2023年(令和5年)4月21日(金) 10時00分~

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
職業安定局第1会議室(12階)

出席者

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員

議題

  1. (1)職業安定法に基づく労働条件明示等について(公開)
  2. (2)優良募集情報等提供事業者認定制度について(報告)(公開)
  3. (2)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
  4. (3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容
○山川部会長 おはようございます。それでは、ただいまから第356回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会を開催いたします。本日は、原委員、小野委員、相羽委員、奈良委員、田尻委員及び佐藤委員が、オンラインでの御参加となっております。原委員におかれましては、所用により途中退席されると伺っております。
 本日は、議題(1)「職業安定法に基づく労働条件明示等について」を御議論いただきました後、議題(2)「優良募集情報等提供事業者認定制度について」の報告がございます。その後、許可の諮問に係る審査を行います。許可の諮問に係る審査につきましては、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当しますので、非公開となっております。
 では、議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。では、議題(1)「職業安定法に基づく労働条件明示等について」、事務局から説明をお願いいたします。
○増田補佐 事務局です。議題1について説明します。今回御議論いただきたい事項は2つあります。資料1の1枚目を御覧ください。労働条件明示の追加について説明します。職業安定法では、労働者の募集等に当たり、業務内容等の労働条件を明示しなければならないこととしています。また、労働基準法においても、労働契約締結時の義務として労働条件の明示が義務付けられています。この明示すべき事項について、両者は完全に重複するものではありませんが、業務内容、就業場所、労働契約の期間など、主要な事項については共通しています。これは、労働基準法に基づく労働条件の明示とともに、労働条件が不明確なことに起因する紛争の防止や、適切なマッチングの一助とするものです。今般、労働基準法施行規則が改正され、令和6年4月1日から労働契約締結時における労働条件の明示について、明示すべき事項が追加されることとなりました。また、厚生労働省が取りまとめました「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージにおきましても、労働市場の強化・見える化を図っていくこととされています。そこで、これらの動きを踏まえまして、職業安定法施行規則においても、従事すべき業務の変更の範囲、就業の場所の変更の範囲及び有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算の契約期間や更新回数の上限を含む)を、明示すべき事項として追加してはどうかと考えております。対応案につきましては、御説明しましたとおりですが、補足説明として参考資料を御覧ください。
 参考資料の1枚目です。労働基準法と職業安定法の労働条件明示の対応関係の現状を整理したものです。左側が労働基準法、右側が職業安定法となっております。また、上の段の赤字の部分が、労働基準法施行規則の改正で、令和6年4月1日から追加される部分を示したものです。今回の改正は、労働基準法における明示事項としての有期労働契約の項目、就業場所や業務内容の変更の範囲について、職業安定法施行規則でも対応しようというものです。
 続きまして、参考資料の9枚目を御覧ください。こちらは説明資料の労働市場の強化・見える化の推進の補足説明です。こちらにありますとおり、政府そして厚生労働省としまして、労働市場の機能の強化などに取り組んでいるところです。雇用・労働総合政策パッケージというものを取りまとめ、具体的にはこの資料の最後のページに様々な施策を盛り込んでいますが、右上の3の(1)労働市場の強化・見える化としては、日本版O-NETの整備や職場情報の開示に関するガイドラインの策定などに取り組むこととしており、求職者だけではなく職業紹介事業者としても活用できる情報が、今後整備されていく環境にあると考えております。労働条件明示に関する説明は以上です。
 続きまして、資料1の2枚目を御覧ください。手数料等の書面掲示義務、いわゆるアナログ規制についての説明です。職業安定法施行規則第24条の5第4項におきましては、有料職業紹介事業者に対し、手数料表や返戻金制度に関する事項を記載した書面及び事業の運営に関する規程について、事業所内に掲示することを義務付けています。今般、書面掲示に関する規制が、デジタル臨時行政調査会において策定された見直しプランにおいて、見直しの対象とされています。また、インターネットの普及等により、求職者や求人者等の職業紹介事業の利用者にとっても、事業所内への掲示以外の方法でも、特段利便性が損なわれない状況になっているものと認識しております。そこで、有料職業紹介事業者に対し、手数料表や返戻金制度に関する事項及び事業の運営に関する規程について、事業所内での掲示に限らず、インターネット等によっても情報提供を可能としてはどうかと考えております。
 以上が、今般御議論いただきたいと考えている事項です。いずれにつきましても、周知や準備の期間等を勘案しまして、令和6年4月1日から施行とすることが妥当ではないかと考えております。説明は以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御質問等がありましたら挙手をお願いします。ズームで参加の委員は、ズーム内の「手を挙げる」機能を使うか、画面上に映るように挙手をお願いします。御質問等はありますか。田尻委員、お願いします。
○田尻委員 田尻です。御説明ありがとうございます。私から労働条件の明示に関する周知に対しての要望を申し上げます。職業安定法における労働条件明示事項の追加については、既に労働基準法にて定められている内容に対応する見直しのため、異論はありません。
 ただ、実際に企業が労働者の採用を行う上で、募集の段階と面接等の選考を行った後で、従事してもらいたい業務や就業場所といった労働条件に、変更が生じる場合もあります。また、就業後においても、事業所の統廃合や事業内容の見直しなど、いろいろな場面で労働条件の変更を検討いただきたい場面も生じてまいります。そのような将来の変更の可能性も踏まえて、どのように雇用条件を明示したらいいのか、また、企業側の労使コミュニケーションの在り方など、企業に対して丁寧に事前に周知していただけるようにお願いしたいと思います。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。では、佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。私も今回の改正について異議はありません。ただ、労働基準法や職業安定法に記載される要望とか、こちらのほうは法律によって表記の仕方が若干変わると思いますので、この辺りについて、分かりやすいようにといったら失礼ですけども、なるべく統一を図っていただくということをお願いしたいと思っています。
 もう1点ですが、手数料等の書面掲示義務、アナログ規制についてということで御提示いただいたのですが、利用者側からすると、こういうネットなどの関係で表示の方法が1つ増えたということは、事業者又は閲覧するというか、見るほうにとっても、どこかに書かれているのだなと見る機会が出てくるのは、好ましいとは思うのですが、実際に店舗に行って、どこに統一的に記載がされているのか、表記がされているのかが分かりにくいことがあります。統一的に見やすい場所にといいますか、ここに少し目をやれば必ず分かるというような位置が、何かあったほうがいいと思います。ネットだったら、必ずネットという表記を頂ければいいのですが、方法としての義務はなかなかできないと思うのですが、閲覧しやすいよう、見やすいような方法でお願いしたいと思っています。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。では、冨高委員、お願いします。
○冨高委員 ありがとうございます。先ほど田尻委員からもありましたが、募集の段階と実際の契約の段階で、労働条件の内容が違うということは、実際に現場でも起きており、連合の労働相談にもそういった事例が幾つか寄せられているところです。実際の契約の段階では、それでは違うではないかということは、なかなか言いづらいということもありますので、こういったトラブルが起きないように、周知の段階で丁寧な掲示を是非お願いしたいと思っています。以上です。
○山川部会長 ありがとうございます。平田委員、どうぞ。
○平田委員 ありがとうございます。労働者の募集時の労働条件明示の追加については、紛争の未然防止やミスマッチの回避に寄与すると理解しており、雇用のマッチング機能の強化につながるのことを期待しております。
 手数料の書面掲示義務に関しては、デジタル化の流れの中でインターネット等による情報提供が可能になるということですので、時宜に適っていると思っています。また、事業者の選択肢を広げるものであると理解しています。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。幾つか運用ないし周知に関する御要望がありました。内容については、御異議は特にないかと思いますが、事務局から何かありますか。
○篠崎課長 需給調整事業課長です。まず1つ、丁寧な周知というお話がありました。労働基準法でも、例えば変更の範囲の例を示したりしておりますし、今後もどういう周知をしていくかという工夫が、基準法でもなされると思います。また、基準法と全く同じではない可能性もあるではないかという御指摘もありましたので、職業安定法としてもどのようにしていけばいいかというところは示しながら、必要な例を追加したりしたほうがいいということであれば、見直しをしながらするという姿勢で臨みたいと思っております。
 それから、この周知に当たりましては、御指摘ありましたように、紛争の未然防止ということですので、もともと平成29年法の職業安定法で、まず募集時に明示をする。また、変更があったら、その変更した部分も明示してくださいというルールにしておりますので、そういったことと併せて御理解いただくようにしたいと思います。
 また、入った後の変更の可能性について、そこを明示するのですが、当然、採用した後にいろいろな変化があるということは、労働基準法、労働契約法の世界でも当然想定されている部分ですし、それはあり得るという前提ですが、募集時で分かっていることは明示するということですので、基準法、労働契約法と併せて職業安定法を適切に周知、履行していただくことによって、紛争を減らすように努めていきたいと思っています。
 それから、掲示のことについて御提案もいただきました。今でも見やすいところに掲示ということで、具体的にこういう場所となかなか細かく定めにくいことではありますが、例えばインターネットといっても、自社のホームページであるとか、そういうところで、当然分かりやすいというところはあると認識していますので、単に掲示といっても、分からないところに掲示するということであれば、ルールを満たしていることにならないと思いますので、そういったところは、特定のものを決めるのも難しいかもしれませんが、指導・監督するに当たっては、十分留意しながらやっていくべきことかと考えております。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。今の御説明も含めて何かありますか。よろしいでしょうか。それでは、内容そのものは御異論ありませんでしたので、こちらの対応案に沿って法令案等の改正の要綱の準備を、次回までにお願いしたいと思います。
 それでは、議題(2)「優良募集情報等提供事業者認定制度について」、こちらも事務局から説明をお願いします。
○小川補佐 事務局の小川と申します。よろしくお願いします。私からは、優良募集情報等提供事業者認定制度について御説明します。資料2を御覧ください。この制度につきましては、求人者・求職者がより安心してサービスを利用していただけますよう、法令遵守や募集情報等の的確表示などの、一定の基準を満たす募集情報等提供事業者を優良事業者として認定することにより、優良な事業者の利用促進とか、募集情報等提供事業者の事業改善意欲の醸成による業界全体の質の向上・活性化を図るものです。
認定基準については、資料にあるとおり、必須項目と準項目に分かれております。まず、必ず満たさなければならない必須項目については28項目(非特定募集情報等提供事業者については24項目)の基準の全てをクリアする必要があります。また、満たすことが望ましい準項目については、11項目中7項目以上の基準をクリアする必要があります。それぞれの項目について、例にありますように、法令遵守に関すること、個人情報の適切な運用に関すること、労働者の募集に関する的確な表示に関すること、苦情等の受付窓口の設置に関することなどの基準が設定されているところです。
 この認定制度に申請された募集情報等提供事業者は17社あります。うち、1社に申請の取下げがありまして、もう1社が不認定となりました。認定を受けた募集情報等提供事業者は、資料の右にありますとおり15社で、令和5年3月31日付けで認定をしたところです。この優良募集情報等提供事業者には、認定書のほかに、資料の真ん中下にあります認定マークが付与されます。自社のホームページ等でPRすることなどを通じて、求職者にとって優良な事業者であることの見える化が可能となりまして、求人者の優良募集情報等提供事業者の利用促進が図られると考えているところです。また、ハローワーク等でも、チラシを配布することで周知するとともに、厚生労働省が運営する人材サービス総合サイトでも、事業者情報の欄にこの認定マークが表示されまして、同サイト上では、優良募集情報等提供事業者を検索することも可能となっているところです。引き続き、周知に努めてまいりたいと思っております。
 なお、今回の認定については、職業安定法第4条第6項に掲げる行為のうち、第1号に該当するものです。いわゆる、労働者の募集を行う者等の依頼を受けて、労働者の募集に関する情報を労働者になろうとする者等に提供する行為を対象としているところです。今年度は、残りの2号~4号までの認定基準を策定しまして、1号~4号までの全ての行為を認定の対象とする予定です。より一層、認定制度の普及に努めてまいりたいと思っているところです。簡単ではありますが、報告は以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御質問等がありましたら、同様の方法で挙手をお願いします。冨高委員、お願いします。
○冨高委員 質問ではないのですが、今回、優良募集情報等提供事業者に認定された15社を見てみると、比較的、企業規模やサービス分野に関わらず、様々な事業者が申請をして認定を受けているのかなと見ております。これは、より良いサービスを様々なところで提供するという意味で、業界全体の質の向上・活性化を図るという意味で、非常に好ましいかなと思っておりますので、周知をしっかりしていただきまして、この取組が広がることで業界全体の底上げにつながるように、是非、取組を進めていただければと思います。以上です。
○山川部会長 ありがとうございます。それでは、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 御説明ありがとうございました。今回の認定制度は、先ほどの資料にも書いてあったのですが、この趣旨、優良な事業者の利用促進であるとか、業界全体の質の向上・活性化という趣旨においては、今回、認定された事業者が出てきたことはとてもよかったと思いますし、今後、更にこの数が大きくなって増えていくといいと思っています。
 ここから2つ質問というか、以前の議論の確認になるのですが、1つ目としては、数を増やしていく、周知をしていくこととともに、一度認定された事業者の質の確保・維持の観点で、今後、どのようにモニタリング等を行っていくのかという、その辺りの方針みたいなものがあれば伺いたいと思います。あと1つ細かいのですが、28項目とか11項目の所は、各事業者のセルフチェックでしょうか、それとも、申請を受けた側がチェックをする、判定をしていくような形でしょうか。以上2点を確認させてください。
○山川部会長 ありがとうございます。それでは、御質問でしたので、事務局からお願いします。
○林室長 ありがとうございます。労働市場基盤整備室長の林です。今、御質問いただいた認定事業者を増やしていくことが重要だということは、私どもも同じ考えでありますし、この質を担保していくことについては、非常に大事だと考えております。認定期間は3年間ですので、次回更新時についても、同じように基準をクリアしていただく必要があるということが1つあります。また、認定事業者として適正ではないということが認定期間中ありましたら、取消しという可能性もありますので、その点で担保していきたいと考えております。
 また、冨高委員から、周知の関係について御意見等をいただきました。周知については、今回、15事業者を認定しましたが、ハローワーク等での周知というのも重要ですので、厚生労働省において約2.6万枚のチラシを作成して、全国のハローワークで配布していただくなど周知をしているところですが、引き続き、周知の徹底をしていきたいと考えております。あと、今回の認定に係る審査については審査機関として第三者機関にお願いをしました。第三者機関においてチェックを受けているということですので、事業者によるセルフチェックという形ではなくて、第三者機関によるチェックを経ております。以上です。
○山川部会長 佐藤委員、何かございますか。
○佐藤委員 ありがとうございます。よく分かりました。
○山川部会長 ありがとうございます。ほかに御質問や御意見等はございますでしょうか。田尻委員、どうぞ。
○田尻委員 田尻です。御説明ありがとうございました。皆様と同様に、こういった認定制度については、今後もどんどん拡大して活用されていけばと考えております。制度の更なる周知というのももちろんなのですが、募集情報等提供事業者の方が、申請や認定を行う機会などの回数の増加についても今後検討いただいて、一層の普及・促進をお願いできればと思いました。以上です。
○山川部会長 ありがとうございます。ほかに何かございますでしょうか。それでは、こちらも議題1と同様に、労働市場の見える化や強化につながるものとして位置付けられるのではないかと思います。これから、1号以降、2号~4号についても徐々に認定を進めていくということですので、よろしくお願いします。ほかはよろしいでしょうか。
 では、特にありませんでしたら、以上が報告事項となります。公開の議題はここまでとさせていただきます。