第128回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和5年4月17日(月)10:00~12:00

場所

オンライン・対面による開催(厚生労働省職業安定局第1・2会議室)

議事

○山川分科会長 おはようございます。それでは定刻となりましたので、ただいまから、第128回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところ御参集いただき、誠にありがとうございます。本日は小西委員が御欠席です。また、竹下委員は本日会場にお越しです。小原委員は、途中から参加される御予定とお伺いしています。竹下委員は途中で御退席の予定とお伺いしています。
それから、小西委員の代理として、社会福祉法人 日本身体障害者団体連合会 常務理事兼事務局長の菊地通雄様にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
○菊地代理 よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 それから議事に先立ち、事務局の職業安定局に異動がありましたので、御紹介します。榧野主任障害者雇用専門官が就任されております。
○榧野主任障害者雇用専門官 よろしくお願いします。
○山川分科会長 本日の分科会はZoomによるオンラインでの開催と、会場からの参加と両方になっております。開催に当たり、事務局から説明があります。
○川端調査官 おはようございます。障害者雇用対策課調査官の川端です。本日も多くの方にZoomを使ったオンライン参加を頂いております。開催に当たり、簡単ですが操作方法のポイントを御説明申し上げます。本日、分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際にはサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、分科会長の許可があった後にマイクをオンにして、お名前をお名乗りいただいてから御発言いただきますようお願いいたします。会議進行中、トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしている電話番号まで御連絡を頂きますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議の説明については以上です。
○山川分科会長 それでは議事に入ります。頭撮りはここまでとなっておりますので、よろしくお願いいたします。
本日の議題(1)は新設助成金の設定及び既存助成金の拡充について、議題(2)はその他になっております。では、議題(1)について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。議題1につきまして資料1-1、資料1-2で御説明を申し上げたいと思います。
資料1-1です。令和6年度からの納付金助成金の充実につきまして、これまで御議論いただいてきております。特に、御指摘いただいた分かりやすさにも考慮いたしまして、今回御説明申し上げます。新たな助成金、既存の助成金、それらを含めた具体的な制度検討を内部で行ってまいり、諮問に先立ちまして、現在の検討状況を御説明した上で、御意見を賜りたいと思っております。
まず、「基本的な考え方」に書いておりますが、これまでにも分科会の意見書、それから個別のヒアリングなども通じて、納付金助成金につきましては相談援助に係る新設の助成金、それから加齢に対応する部分の新設の助成金、併せて定着支援の拡充などを行うといった方向性で取りまとめていただいております。
これらの基本的な考え方に基づきまして、今回、事業主の皆様が目的に応じて助成金を適切に活用していただけるように、分かりやすさ等も考慮いたしまして、助成金のメニュー等の拡充、整理を行いたいと考えております。
特に、新たに加齢に伴う課題に対する支援を充実させていく中におきましては、可能な限り切れ目のない支援、そして分かりやすい制度設計が重要であるというように考えまして、既存の助成金の枠組みを活用して、整理を行ってはどうかというように考えております。その際に、既存の助成金につきましても、それぞれのメニューによってばらつきなどがありますので、支援の充実の方向で統一化を図りまして、より分かりやすく、シンプルな形で御提案をしたいと思っております。
少し飛びますが、資料4ページを御覧いただければと思います。特に今回、中高年齢等雇用継続支援の充実を考えて、「中高年齢等障害者職場適応助成金(仮称)」を新設しております。この助成金につきましては、35歳以上の方の加齢に伴い、職場適応が困難になった課題に対して、事業主が取り組むものについて支援を行うものですが、大きくは3つのメニューがございます。1つが能力開発、2つ目が業務遂行に必要な方の配置又は委嘱、3つ目が業務の遂行に必要な施設の設置等、これらについての助成ということで御検討いただいてきました。
資料の2ページを御覧いただければと思います。今、御説明しました中高年齢等雇用継続支援、これが一番右から2番目、クリーム色の線です。もう1つ、雇用相談援助に係る新設の助成金がございます。今回、この中高年齢等雇用継続支援につきましては、既存の助成金の中で、切れ目のない支援ということでの設定をしてはどうかということで、それぞれの既存の助成金の中に加齢による対応として、メニュー立てをして組み入れる形を整理しております。
上から御説明申し上げます。まず1点目が「業務上必要な介助等を行う者の配置・委嘱」ということで、既存の助成金の介助等助成金の中に、まず視覚、四肢機能に対しての職場介助者の配置又は委嘱というもの。それから聴覚の障害の方に対しての手話通訳等の委嘱というもの。身体、知的、精神等の方々に対しての職場支援者の配置又は委嘱というような3つのメニュー立てとなっております。そして、これに対しての継続の支援がございます。これらにつきまして、それぞれ加齢に伴う職場への適応が困難になった場合の対応ということで、メニュー立てを組み入れております。
その際、まず職場介助者の既存の助成金につきましては、事務的業務とそれ以外の業務と、それぞれ分かれた支援になっておりまして、例えば事務的業務の場合は配置・委嘱がありますが、事務的以外の業務につきましては委嘱のみでありまして、配置というメニュー立てがありません。実態といたしましては、事務的業務のほうが運用上はよく使われているのかと思いますが、ここの区分につきまして、業務自体の区分を設けずに、統一的なメニュー立てとして統合を図っていきたいと思っております。
次に、聴覚の方に対する手話通訳等のメニューです。既存の部分につきましては委嘱のみしかありませんので、職場介助者等と統一いたしまして配置を新設した上で、これまで御提案申し上げております、介助等助成金並びでの単価の引上げ(6,000円から1万円)という形で、委嘱の単価の引上げをしてまいりたいと考えております。また、職場支援者の配置又は委嘱につきましては、雇入れ等から6か月以内に支援をスタートするということになっておりますが、今、御説明したまるいちまるににつきましては雇入れ等から1年ということで、ここも少し人の配置・委嘱につきましてのバラつきがありますので、一定期間というところの統一化を図りたいと思っております。この「雇入れから一定期間」というところを統一した上で、一番下の欄外に書いてありますが職務内容の変更等、あるいは障害の重度化といった場合につきましても、運用上対応しておりますことを明確化する形で整理をしていきたいと考えております。
手話通訳等の対応につきましては企業単位、ここだけが10年の単位が企業単位になっておりますので、その他のメニューと同等に障害者ごとに着目いたしまして、10年という単位を捉えていきたいと考えております。
そして、2点目が「職場適応援助者に対する支援」です。ここにつきましても既存の助成金に合わせまして、加齢に対する対応というものを組み入れております。次の3ページ、「作業の施設等」についての対応です。これにつきましても、既存の作業施設設置等助成金がございますので、この中に加齢対応ということで組み入れていきます。
最後が能力開発の部分です。能力開発に対しての支援といたしましては、既存のところで申し上げますと、中途障害者に対しての支援に限定されておりまして、中途障害の方が職場復帰をする際に、まず職場復帰の対応に関する助成金があります。職場復帰に際しまして、時間の変更ですとか職務開発等を行った場合に、例えば中小企業であれば月6万円という形で、職場復帰支援に対して助成を行い、この職場復帰支援を行った上で復帰に際して研修を行う場合に、この研修に掛かる費用をみているということであり、能力開発の場面が非常に限定されております。これにつきまして、まず職場復帰支援についての助成金はそのまま残した上で、ここから研修等の対応について切り離して、中途障害の方に対して職場復帰支援などを行わない場合であっても、研修を行った場合に、まず能力開発に係るコスト支援をしていきたいこと、また、ここに加齢に係る対応について、メニュー立てとして組み入れていくというような形で見直してはどうかというように考えております。
この中高年齢等雇用継続に係る支援ではありませんが、1つ付言をしておきますと、2ページ目の一番下のほうに、障害者相談窓口担当者の配置というメニューがあります。これにつきましては合理的配慮義務化に際しまして、合理的配慮に係る相談に対しての相談者の配置について措置をしてきた助成金で、ここを「廃止」としておりますが、この「相談についての援助」につきましては、今回、既存助成金の拡充といたしまして、介助等助成金の中で専門職員の配置について措置をしております。雇用管理全般に係る専門的な専門職を配置して相談体制を取った場合に、これを措置することにしておりますので、発展的にこの中に移管をしていくというようなことで、機能的には拡充をして残していくという形になっております。資料1につきましては以上になります。よろしくお願いいたします。
続きまして、資料1-2を御説明申し上げます。今の助成金の御説明の中で、雇用相談援助につきましては、そのまま新設をする形で資料上記載をしております。この雇用相談援助助成金につきましては、これまでも審議会の中で「相談援助の質の担保について留意すべきである」といったような御意見を賜っておりました。相談援助の質の担保につきましては、相談支援を実施いたします事業者の要件等について具体化する中で対応してはどうかというように考えておりますので、検討状況について御説明を申し上げたいと思います。
まず、今回の相談援助に対応いたします事業者につきましては、労働局の認定を受けていただいた上で、事業を行った場合に助成金を支給することといたしまして、この認定に際して一定の相談援助の実績等を確認すること、併せて認定後につきましても事業を適正に行っていない場合には、認定の取消しを行うことなどとする方針で考えてはどうかと思っています。具体的には認定主体(労働局長)ということでありますけれども、事業者につきましては一定の質を担保するという意味で、まず法人であるということを前提といたしまして、その法人が障害者の雇入れ及びその雇用の継続を図るための一連の雇用管理に関しての相談援助の業務経験を有すること、若しくはこれらについての実務の経験がある法人であること、としたいと考えております。
その上で、その法人の中に事業実施責任者及び事業実施者の配置を要件といたしまして、事業実施者につきましては、障害者の雇用に関する相談援助等を行う事業所の中で、このような援助の業務に従事した経験、特例子会社等で、実際に雇用管理についての実務に従事した経験という形で問うてはどうかというように考えております。併せて、これらの方につきまして、総括的管理指導した経験を有する者ということで、事業実施責任者を置いていただくというように考えております。
そのほか、高齢・障害・求職者雇用支援機構が助成金の支給などを行いますので、調査への協力や事業の適正な実施に関する対応、個人情報の適正な管理といったことを求めていきたいと考えております。
2ページです。欠格事由について、認定事業者となることができないことといたしまして、以下の欠格事由を設けてはどうかというように考えております。まず1点目、この事業につきまして認定の取消しを受けてから5年を経過しない者、それから労働関係法令に違反する重大事実等があると認められる者、あるいは不正受給など行ったことに基づきまして、雇用関係助成金等の支給要件を満たさない者などを考えております。
それから、認定の申請に際しまして、障害者の雇入れ及び雇用の継続を図るための一連の雇用管理を行う能力を有する者ということを確認する意味で、一般的に、一連の相談援助に係る具体的な経験内容というように捉えて、各ステージに分けまして、※1にありますように、まるいちからまるはちといったそれぞれの相談の中身につきまして、具体的な経験を問いたいというように考えております。例えば経営陣の理解促進、それから、組織内で障害者雇用を推進する上での推進体制の構築や、一緒に働く方々の理解促進。また、その事業所内におきまして、障害者の方に従事していただく職務の創出・選定、採用・雇用計画の策定であったり、求人を実際出す上での様々な支援、それから採用活動そのものに対しての支援、雇い入れる上での社内の支援体制の構築であったり、採用後の雇用管理、職場定着等に係る相談ということを考えております。
こうした認定に際しまして、申請に当たって御報告いただきました経験内容につきましては、認定事業者一覧としてホームページ等を通じて公表する際に、併せて公表してまいりたいと考えております。この公表に際しましては、相談支援事業者内での実施体制や具体的な支援事例などのお示し、また、事業者に対してアンケートなどを取りまして、利用企業の方々から頂いている評価等につきましても、公表してまいりたいと考えております。
最後に、認定の取消要件です。事業者要件を満たさなかった場合ほか、実施した相談援助事業の多くで求人票の提出に至っていないなど、事業を適正に行っていないと認められる場合には、認定を取り消す方向で考えております。このような形で、入口の部分で認定に際しまして、相談支援に係るそれぞれの具体的な経験内容でその質を確認するということと、事業を運営した結果に基づきまして、認定の取消しなども行っていくということで、相談支援事業者なり相談支援の質の担保を図っていきたいと考えています。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問や御意見がありましたら、Zoom参加の方は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただいて、会場参加の竹下委員には挙手をしていただいて、こちらで指名した後に聴覚・視覚障害者の方々への情報保障の観点からお名前をおっしゃっていただいて、御発言をお願いいたします。御質問、御意見等はありませんか。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 日視連の竹下です。ありがとうございます。この内容で全て了解なのですが、それなりに改善点もたくさんあるので、そうした内容を周知するためのパンフレット等の作成、あるいは地域ごとでの説明会のようなものは予定されているのかどうかについて、お聞かせ願いたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは御質問でしたので、事務局からお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。まずパンフレットについてですが、これまでにもこの審議会の中で分かりやすいリーフレットなど、活用のイメージがつかめるような形での周知ということで、御意見を賜っていますので、工夫をしてパンフレットの作成をしていきたいと考えています。併せて説明会のほうは、労働局もさることながら高齢・障害・求職者雇用支援機構とも連携して、全国の支部を通じての説明会なども積極的に実施していきたいと考えています。以上です。
○山川分科会長 竹下委員、何かありますか。
○竹下委員 ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、次に亀田委員、どうぞ。
○亀田委員 おはようございます。労働者代表の亀田です。よろしくお願いいたします。私からは2点、述べさせていただきます。資料1-1から1点、1-2から1点ということで2点申し上げます。まず1-1ですが、今回、中高年齢等雇用継続支援助成金は既存の助成金に付加する形とされており、切れ目のない支援を行っていくという観点では理解できます。既存制度との接続の点を含め、是非、分かりやすく周知するよう努めていただきたいと思います。その上で、これまでも申し述べてきたように、必要な方が必要なときに支援される制度となるよう、助成金については実態やニーズに合ったものへと不断の見直しをお願いしたいと考えています。
続いて、資料1-2ですが、雇用相談援助助成金の活用に当たっては、事業者の質を担保することが重要であると考えています。全国どこでも同じ水準を確保していくためには、申請時に報告される具体的な経験内容について、一定の基準をもって審査を行うなどの対応も必要ではないかと考えています。認定に当たって、必要となる基準の設定について御検討いただければと考えます。
また、実際の支援事例や利用した企業の評価等を公表することによって、良質な相談援助事業者の確保及び更なる質の向上につなげていただきたいと考えています。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、大谷委員、お願いいたします。
○大谷委員 お世話になります。育成会の大谷です。1-2のほうですが、申請についてのことでお尋ねします。認定主体が都道府県の局長さんということになるわけですが、ばらつきが出ないようにしていただきたいということ、それに伴ってですが、申請の内容についてどの程度この項目をクリアすればいいのか、年数など、そういうものをきちんとやっていただかないと、都道府県によっては1年でいい、2年でいい、申請だけでいいというような形になりかねないので、ある程度のルール的なものを作っていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。先ほどの亀田委員の御発言にも同様の趣旨が含まれていたかと思いますが、事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。今、御指摘のあった認定申請に際して、具体的な経験内容を問うていますが、ここについて例えば年数や、どのくらいの割合をクリアしていればいいのかといったような具体的な基準について、あまりにもそのハードルが高くなってしまいますと、相談支援事業者の確保自体が厳しくなってきます。ただ一方で、質を担保する意味で、どこまで設定をしていったらいいのかというところ、実際に今、相談支援を行っている事業者などにも引き続きヒアリングなどもしながら、その具体的な設定について検討していきたいと考えています。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。特段、今の点についてなければ、山口委員、お願いいたします。
○山口委員 おはようございます。使用者代表の愛知県中央会の山口です。私からは意見が2点と要望が1点あります。
まず1点目の意見ですが、中高年齢等の障害者の雇用継続のために事業者が行う能力開発、それから必要な人員配置、設備の設置等に対する助成金は、既存の助成金制度の中に新たに助成対象として追加されると御説明いただきました。雇用継続を前向きに検討する中小企業には後押しになりますので、中小企業が複数の助成金の中から選び、活用できるよう施行に向けて分かりやすく整理をお願いいたします。
もう1点、新設予定の雇用相談援助助成金については、第125回分科会でも質問しましたが、ジョブコーチを抱える企業がジョブコーチの同一の相談援助活動により、現行助成金と重ねて、雇用相談援助助成金を受給できるようなことは生じないでしょうか。相談援助事業者の認定には、労働局で十分な審査をしていただくのはもちろんですが、認定を受けた相談援助事業者による支給申請に対しても、高齢・障害・求職者雇用支援機構は報告された事業等内容の詳細を確認し、重複支給や不適正な支給を回避するようチェック体制の整備をお願いいたします。
それから、もう1つ要望ですが、初めて雇用を行う中小・小規模事業者が自社の課題やニーズに対し、的確な援助を受けられるよう適正な相談援助事業者の一覧の公表は、是非、お願いしたいと思います。私からの意見は以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ジョブコーチ支援との関係は、一部御質問の趣旨も含まれていたかと思いますが、事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。ジョブコーチ支援と今回の相談支援というのは、基本的には見ている支援内容が違うかなと考えております。具体的に雇入れ後に生じてくる課題などに対して、対応していくのがジョブコーチ支援ですので、その助成金の支給対象が重なるということは想定し得ないと思っているところですが、必要な併給調整については、その他の助成金も含めまして、適切な対応を図りたいと思っています。以上です。
○山川分科会長 山口委員、何かありますか。
○山口委員 いいえ、ありがとうございました。
○山川分科会長 では倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。まず資料1-1ですが、非常に分かりやすくなったと思います。資料1-2の所で確認をさせていただきたいのですが、事業者要件に事業実施責任者と事業実施者を配置しているということになっています。恐らく地方になりますと、この事業者というのは大体、社会福祉法人などの障害福祉サービス事業者や障害者生活・就業支援センターが中心になっていくのではないかと思いますが、先般、事業実施者については、いわゆる公定で決められたサービスプラスαの人員を配置するということになっていたと思いますが、事業実施責任者についても同じなのか、それとも責任者は本来の障害者福祉サービスやナカポツセンターの業務と兼務していてもいいのか、この辺りをちょっと教えていただきたいと思います。
○山川分科会長 ありがとうございます。御質問でしたが、事務局、いかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。事業実施者、それから事業実施責任者についても、基本的には例えば障害者生活・就業支援センターでしたら委託事業の中で措置をしている方がこれを兼ねるというのは、やはり委託事業としての運用として認められないと考えています。福祉サービスにおいても、前回、御説明したとおりで、ここで措置されている以外のところで御対応いただくということかと思っています。ただ、これについて、今回の特に専任という形での要件を課すということは考えていませんので、その他のものと兼務されていくということについては、対応可能と考えています。以上です。
○山川分科会長 倉知委員、何かありますか。
○倉知委員 事業実施責任者も別にいなくてはいけないということですね。分かりました。
○山川分科会長 ありがとうございます。では長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 おはようございます。福島大学の長谷川です。私からは資料1-2について、質問を1つさせていただきます。相談援助事業を行う事業者としての欠格事由の中で、労働関係法令に違反する重大な事実等があると認められる者について、欠格事由となるということなのですが、具体的にはどのような重大な事実がある場合に、欠格となるのでしょうか。
○山川分科会長 ありがとうございます。労働関係法令違反の具体的内容については、現段階で事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。重大な事案としては、二事業の助成金などと並びで考えています。基本的には法違反があって、送検されたことがある場合、是正指導を受けて企業名が公表された場合など、これらを含んでいます。以上です。
○山川分科会長 長谷川委員、いかがでしょうか。
○長谷川委員 ありがとうございます。ほかの助成金との並びで考えた場合に、そういった欠格事由を置いておくのは必要だと思いますが、この助成金は障害者雇用に関しての援助や相談ができる資質を、ちゃんと持っている事業所だということだとすれば、何か障害者雇用促進法上で企業名の公表にまで至らなくても、指導を受けた、勧告を受けた、あるいは、その相談援助事業所の中で働いている従業員の人が差別を受けたり、合理的配慮を提供してもらえていないというような事実があって、そういったことに関して指導を受けたといった場合にも、何らかの対応をすべきというふうにはならないでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。説明が不十分でした。申し訳ありませんでした。重大な事由としては、今、申し上げたような送検された事案などということで御説明しましたが、「等」の所で読んでいます障害者雇用促進法の中での、例えば雇用率を達成していないといったことについては、この事業者からは除外をしていこうと考えています。今、長谷川委員から御指摘のあったような形での促進法上での対応について、どこまでこれに含めていくかということについては、引き続き検討していきたいと考えています。以上です。
○山川分科会長 長谷川委員、よろしいでしょうか。
○長谷川委員 はい。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、山内委員、お願いいたします。
○山内委員 御指名ありがとうございます。使用者側委員の山内です。私からは御説明いただいた2件について、意見を述べさせていただきたいと思います。まず、新設助成金の設定及び既存助成金の拡充ですが、今回の助成金の拡充については、これまで障害者雇用の経験やノウハウが十分でない中小企業主の方に対して、前向きに検討する良い機会作りに役立てられるだけでなく、これまで積極的に雇用を進めてきた事業主の継続雇用の施策をサポートするという面においても、非常に有効であると受け止めています。先ほど小野寺課長様から御説明がありましたように、是非、いずれの事業主に対しても積極的なPR、これを図っていただきたいと思います。これが1点です。
もう1点は、雇用相談援助助成金についてです。障害者雇用の経験やノウハウ、これを広めることを目的とした、その相談援助の質を担保することを目的とした本施策は、新規採用のみならず、既に雇用されている方の継続雇用、あるいは定着化に大きく貢献するものと思われます。ちなみに私どもの会社にも特例子会社というものがあります。今回、新たに法定雇用率2.7%に向けて、この経験やノウハウを広くグループ会社に伝播して、限られた期間の中で新規採用と定着化、早急にこの取組を開始しました。このようなことを、同じく広く中小企業の皆様方にも伝えることが、今回の施策の根幹にあると思います。今回、新設される雇用相談援助助成金が関係者に広く伝播され、認識されて、活用、検討する事業主がある程度見込まれることを念頭に置いた検討も、是非、併せてお願いしたいと思います。以上、2点です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありませんか。それでは、特にないようでしたら、有益な御指摘を頂きましたので、事務局で実施に向けて更に作業を進めていただきたいと思います。
では、次に議題2について、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。本日、「その他」としては、参考資料3でお示ししている、「いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について」御報告申し上げます。参考資料3を御覧ください。いわゆる障害者雇用ビジネスについては、運用上は令和3年下半期から重点対応事項として、現場に指示し実態を把握するとともに、法令違反などの疑いがある場合には、労働局の基準部や、需給調整部などとも連携をしながら迅速に対応するとともに、法令違反が疑われない場合であっても、法の理念につきまして理解を求めていくという対応を指示したところですが、令和4年1月以降については、これらの実態把握の報告について、統一のフォーマットを示して対応してきたところです。
そういった意味で、令和4年1月以降と記載しております。これらの指示に基づいて、実態把握を行う際に、例えば、業務内容・業務量・雇用期間・労働時間などの労働条件、雇用管理の状況などについて、主に把握をするような様式になっております。必要に応じて労働局関係部局、関係機関とも連携しながら、就業場所や利用している企業についても訪問を重ねて、不適切な事案については改善、指導を既に実施しているところですが、不適切ではない場合におきましても、先ほど冒頭で申し上げたように、法の理念や事業主の責務についての理解を図ってきたところです。
障害者雇用について、自社内で取り組みをということであれば、業務の選定等についても支援を引き続きやってきたところです。今後についても、実態把握等については継続して実施をしていくとともに、利用企業に対して必要な助言、支援を行っていきたいと考えております。令和5年3月末、昨年度末までの状況を、本日共有させていただきたいと思っております。この審議会におきましても、何度か障害者雇用ビジネスについては、問題提起を受けているところですが、その際に、念頭に置かれていたのは、欄外の※に書いてあるように、障害者の就業場所となる施設・設備及びそこで働く障害者の業務の提供についても、併せて行う事業ということだったかと考えております。今回の実態把握については、更に広い範囲を含めて、業務の提供等が行われていない場合も含めて対象としております。
その結果として、把握状況の所に書いてありますが、雇用ビジネス実施事業者として把握できているのは23法人です。就業場所、いわゆる農場やサテライトオフィスが125か所、うち45か所について、実態を見るために訪問させていただいております。当該就業場所の利用企業については、延べ1,000社以上と捉えております。ここについては、※にも書いてありますが、把握した就業場所ごとに利用企業数を計上しておりますが、一部利用企業として把握ができていない就業場所もありますので、1,081社以上という記載になっております。そのうち251社について社名を把握しておりますので、このうち42社利用企業についても訪問させていただいております。これらの就業場所において、就業している障害者の数は6,568人以上としております。これも聴取又はビジネス実施事業者のホームページに記載された数などに基づいて集計をしておりますので、6,568人以上という表記になっております。数としての把握は以上です。
2ページに移ります。把握した事例、あるいは課題等に対して、またそこに対して求められる望ましい取組についてまとめております。ここで「把握した事例」とあるのは、必ずしも全就業場所において把握できたものでもなく、一定の非常にレアなケースのものも含まれております。ですので、一律の評価ということではないということを冒頭で申し上げておきたいと思います。
把握した事例については、利用のきっかけ・目的について、これは数としてはかなり多かったかと思いますが、公表に向けた、例えば特別指導という雇用率達成指導中に利用を決定しているというケースが多く見られました。
併せて、ビジネスを利用する際、決定時点においては、そこで作る野菜・ハーブなど、成果物についてどのような形で企業として活用していくかといった方針が、明確に定まっていないというケースがありました。併せて、成果物について活用している例でも、売却益などを得るというよりは、福利厚生の一環や子ども食堂へ寄付することを通じて、社会貢献といった位置付けが多く見られたかと考えております。
こういったことで懸念される課題としては、単に、雇用率達成のみを目的とした利用となっていないかという懸念や、法に掲げられている経済社会を構成する労働者の一員として、能力を発揮する機会を与えていると言えるのかという疑義が残る事例も見て取れたところです。
こういったことを踏まえて、望ましい取組のポイントとしては、障害のある方であっても、組織の一員として持てる能力を発揮して、自社の事業活動に参画することで組織に貢献することができるように、まず雇入れに際しては、雇用の方針を検討していただくことが重要かと考えております。
こうした必要な合理的配慮を行いながら、障害者の能力を引き出した上で活躍をしているような企業については、例えば、障害者の特性を踏まえて、職務とマッチングして戦略化するというノウハウが企業の中に蓄積していき、他の従業員の能力を引き出すことにもいかすことができて、経営改善に貢献したような事例も見られるということを御紹介しております。
3ページに移ります。業務内容について把握した事例です。企業自らが事業として切り出しているという例も見られましたが、大部分はビジネス実施事業者のほうが、選定した業務に障害者が携わっているという例が多く、この業務内容としては、野菜の栽培、ハーブティーの栽培・加工などが見られました。これに加えて、業務量が足りないという場合に、ビジネス実施事業者のほうから委託する軽作業、あるいはビジネス事業者が実施する研修の受講などを業務として捉えているケースもありました。
こういったことで、利用企業は業務の切り出しや創出に係る検討を行う必要がないといった事例が散見されたところです。利用企業自体が主体的に業務の選定・創出をしていないこういった場合には、障害者が能力を発揮するような仕事になっているのか、あるいは採用後においても、御本人のニーズ等も踏まえながら、社内での職域拡大等の機会が十分なのかといった懸念が生じたところです。こうしたことから、雇入れに当たっては、まず自社の事業活動におきまして、障害者が持てる能力を発揮できるような業務の選定・創出に努めていただくことが望ましいと考えております。その職務の選定・創出に当たりましては、例えば、職務整理表の作成、従業員に対するアンケートやヒアリングなどの実施を通じて、自社に合った方法を工夫しながら選定・創出をしていただくことが望ましいということです。人事担当部門が対応するケースが多くありますが、部署横断的に従業員が幅広くこの検討に参画することが効果的ではないかと考えております。
併せて、採用後についても、御本人の希望や能力に対応するような形で、継続的な職域開発、業務配置方法の見直しなども実施されることが重要であると考えております。
4ページに移ります。募集・採用に当たりまして把握した事例として、ビジネス実施事業者自らが募集・採用に当たって実施を行って、障害者の選定なども行いながら紹介をしているケースということ。あるいはこういった紹介を受けた場合に、採用を断われないといったような利用企業の声も聞かれたところです。こうした形でビジネス提供事業者が職業紹介を行っているケースが多く見られたかと思いますが、一方で、利用企業自らがハローワークを通じて採用を募集しているケースについては、ビジネス実施事業者が求人提出の際にハローワークに同行する、応募書類の受付けなどの事務を代行しているというケースも見られました。
懸念される課題としては、採用選考に当たって、利用企業が主体的に対応していない場合においては、雇入れに際して、障害者の適性や必要な配慮について確認等が十分行われているかどうかといった懸念が生じたところです。こういったことから、選定した業務に求められる知識・スキルなどをしっかりと整理して、能力や特性、合理的配慮などをしっかり明確化した上で、募集・採用を行っていただく。これらについて求人内容に盛り込んでいただくとともに、調整ができる余地がある場合には、求人内容にも明示していただくといった工夫が効果的であると考えております。雇入れに際しては、やはり、企業が主体的に職場見学の実施や、職場実習を行っていただくことが望ましいと考えております。
5ページに移ります。労働者の配置・業務量についてです。障害者の配置については、その人数や管理者の配置に条件を付しているような事業者もありましたが、その業務量については、現場を見に行かせていただいた際に、障害者の就業時間等に照らし合わせても、業務量が十分に確保されているかという疑問が残る例も散見されております。こういったことから、業務が限定されている場合に、障害者の能力や適性を踏まえた配置や業務量になっているのかということや、あるいは採用後についても、様々な配置転換等の機会が十分与えられているのかという課題認識を持つところです。このようなことから望ましい対応の取組のポイントとしては、採用後についても、業務量の確保に向けて、継続的な業務の選定・創出することが重要と考えております。
6ページに移ります。雇用形態・雇用期間・労働条件等について把握した事例です。非常にレアなケースでしたが、採用した後、利用企業からビジネス事業者が在籍型出向として障害者を受け入れたようなケースもありました。あるいは1年ごとに同一就業場所の中にある他の利用企業に、障害者を入れ替えるということを謳い、無期雇用転換ルールの適用を回避できるような形での資料上の表記のケースがありましたが、これについては指導を行って、是正をしているところです。
同一事業者内にある他の利用企業と、労働条件等の格差が生じないような形での助言・推奨を行っているような例も見られました。こういったことで、雇用主が主体的に労働条件を決定しているのかということ。あるいは在職型出向や無期雇用転換ルールについて、適切な対応となっているのかという疑念が生じるケースがありました。そういうことで、望ましいポイントとしては、雇用形態や雇用期間など、労働者が従事する業務や職務の継続性などを踏まえて、適切に判断をしていただく必要があると考えております。
併せて、在籍出向や無期転換ルールなどについても適切に対応する必要があるということと、最低賃金については、実態としては把握しておりませんが、取り扱いとして疑義が生じるようなことが起きているということを、関係者から聞き取ったようなこともありますので、一般的なルールとして、しっかりと啓発をしていく必要があると考えております。
7ページに移ります。勤怠管理・業務指示・障害特性に配慮した措置等についてです。まず、利用企業が雇用する管理者を配置していないというケースも見受けられております。そういった際には、メールやオンラインなどで勤怠管理・業務指示を行っているという事例もありました。また、こうしたケースにおきましては、ビジネス実施事業者自体が指示の伝達を受託しているようなケースもあります。利用企業の雇用する管理者が、勤怠管理、あるいはそれらについての本社報告、障害者への業務指示を行っているケースも、もちろんありました。障害者の就業場所への送迎や健康チェックなどについて、ビジネス実施事業者が行っているということ。あるいは本社からの担当者の定期的な訪問を求めているケースもありましたが、必須でないということもありまして、訪問を行っていない利用企業もあったということです。こうしたことから、雇用主が自ら雇用管理に十分な責任を持っているかということについて疑念が生じたところです。これらについても、自らの事業活動において労働者を使用する雇用主として、しっかりと主体的な雇用管理を行っていただく必要があると考えております。
最後に、8ページです。職業能力の開発・向上について、農園から利用企業を本社の人事担当に異動したケースは、極めて少ないケースでしたが、これも確認しております。あるいは利用企業の中においては、将来的には、自社内の配置転換を検討したいといったお答えの企業もありました。こうしたサテライトオフィス、あるいは農園といったような所から、そこを1つのステップとして捉えて、能力開発・向上の取組が行われる例も出てきておりますので、こうした好事例について、横展開をしていくことが期待されるところです。こうした事例については、私どもとしても積極的に周知をしながら横展開を支援してまいりたいと思っております。以上、御説明した事例、そこから懸念される課題等に対して求められる望ましいポイント、あるいは必要な対応ということで御説明を申し上げました。先ほど冒頭で申し上げたとおり、今後についても、このような実態調査については、継続的に行っていくということと併せて、必要な支援や助言、もちろん指導について適切に対応してまいりたいと考えております。その際に、今日御報告した「望ましい取組のポイント」に記載した内容を中心にして、周知啓発用のリーフレットなども作りながら取り組んでまいりたいと考えております。御報告としては以上です。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問や御意見がありましたら、先ほどと同様の方法で、お名前を名乗って御発言いただくようお願いいたします。御質問、御意見等はありますか。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 日視連の竹下です。私も福祉と農業の連携という名の下のビジネスが横行していることは、幾つかの情報として聞いています。2つだけ、非常に気になることがあります。1つは、最後に課長がおっしゃったように、好事例までが悪質な業者と同視されることの危険性です。非常に丁寧にと言いますか、農業を十分に活用しながら働く場を確保している事例を、私も京都などで見ているわけです。他方で私のほうにマスコミを通じて、悪質な例の質問が来たりするわけです。そうすると、好事例と悪質な雇用ビジネスとの区別が、一般的にはなかなかされにくいという要素を持っているというように懸念しています。そういう意味では典型的な、良質な好事例を十分に宣伝するということが大事ではないかというのが1点です。
それから、こういう悪質なビジネスというのは、非常に多種多様なやり方をしてくるというように、幾つか聞いております。そういう意味では立入調査というものを相当丁寧にやっていかないと、抜け道が防げないという事態が発生すると思いますので、引き続き十分な立入調査もお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では冨高委員、お願いします。
○冨高委員 労働側、連合の冨高です。障害者雇用ビジネスの実態把握に関する取組については、この間も要望してきたところなので、大変意義があるというように考えているところです。その上で、先ほどレアケースも含まれているという御発言でしたけれども、把握した事例を見ますと、法違反と特定するに至っていないとしても、法違反が疑われる事例や継続的な指導により改善が必要な事例も、一定程度含まれると考えております。また、障害者雇用の趣旨に沿った取組とは、なかなか言い難い事例も御報告いただいたところかと思っております。今般、リーフレットを作成されるということであったかと思いますけれども、改めて今の御報告を聞いて、障害者雇用ビジネスの実施事業者や利用企業に対して、労働関係法令の遵守だけでなく、障害者雇用の趣旨やノーマライゼーションの理念を、しっかりと理解してもらうことが重要であることを再認識したところです。
一方で今、好事例のお話もありました。参考資料3の8ページにあるような能力開発・向上の取組というのは今後、好事例も増えてくるところかと考えています。不適切な内容については、こういうことをやってはいけないということを、しっかりとくぎを刺していただきつつ、好事例は水平展開していただきたいと考えております。そういった意味で、策定要件のリーフレットも含め、周知徹底をお願いしたいと考えております。また引き続き、こういった実態把握に努めていただき、定期的にこの分科会でも御報告いただきたいと考えておりますし、実態把握をした内容を検証し、必要に応じて更なる対策の要否についても、是非検討いただきたいと考えております。また、当然のことながら、先ほど御報告いただいたとおり、不適切な事案があれば、監督行政との連携の下で、適切に指導をしていただきたいと考えておりますので、お願い申し上げたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では大谷委員、お願いします。
○大谷委員 育成会の大谷です。雇用ビジネスについては、特に私たち知的の方が多く雇われているという実態があると思われます。この間、事務局のほうに企業のほうから「見学に来てください」という事例がありました。しかし皆さん、なかなか時間等が合わず、役員等数人しか行けなかったのですが、やはり実態の中で、本当に障害者雇用として農園をやっている方々もあります。そういう方とはまた違う部分として、企業として本当に障害者雇用をどのように考えているかという、大きなプライアンスの問題があるわけです。障害者を雇用すること自体は1つの意味として、障害者を理解するという大きなものもあると思われますが、この部分が欠けている部分ではないかと思います。好事例もあるということなので、できる限り、そちらのほうへ進んでいただけるような施策を取っていただきたい。ビジネスという形にはならずに、やはり障害者雇用に向いていくような言葉になるように、頑張っていただきたいと思います。
もう1点ですけれども、この資料についてです。私たち役員の中での資料として提出させていただいてもいいかということです。全員に配るのではなく、役員だけの間で資料を共有したいと思っております。その辺は1点確認してからでないと出せませんので、お願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 資料については御質問なので、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。この資料については、この分科会をもって公表されているものなので、適宜、御活用いただければと考えております。以上です。
○大谷委員 ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。では長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。このような形で実態把握のために調査をしていただいたことは、非常に有益だと思いますし、この結果を踏まえて今後、対策を取られるということも、とても重要だと感じています。その上で質問です。望ましいポイントとしていろいろと挙げてくださっているところは、そのとおりだと感じつつ、今後の方針というのは、こういった障害者雇用の代行ビジネスがあるということを前提に、それはそれとして認めつつ、望ましい方向に進めていくという方針を取られているということなのでしょうか。以上です。
○山川分科会長 御質問なので事務局、いかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今の御質問ですけれども、民間が民間として民間の障害者雇用の受皿をつくっていく支援を行うということについては、否定するものではないと考えております。それであれば尚のこと、縷々御説明申し上げたように、望ましいポイントや取組の方向性なども踏まえながら、より良い形での雇用の場をおつくりいただくことは、行政としても御支援なり周知啓発をしていきたいと考えているところです。以上です。
○山川分科会長 長谷川委員、何かありますか。
○長谷川委員 そういう方向性だというように理解しました。ありがとうございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。小原分科会長代理、どうぞ。
○小原分科会長代理 大阪大学の小原です。議題1に少し戻るところもあるのですけれども、議題1、2に共通する点として、1つ意見を申し上げます。
既に多くの方がおっしゃっていたように、国の支援政策や制度については、周知が大切だと思っています。近年の研究で、積極的な採用を行ってないとか、雇用に関する環境改善が進みにくい企業の人的資源管理部門は、自分たちが政策を理解していないのではないか、損をしているのではないかと不安を感じていることが多いという統計分析の結果を見ました。ポイントは、こういう企業が政策を実態として理解していないかどうかではなくて、理解していないのではないかという不安だという理由で企業のパフォーマンスが落ちる可能性があるということです。この不安は、恐らくコロナ後にますます大きくなっているのではないかと考えています。それは横のつながりが減ったためです。労働政策を周知させることの重要性は、単にその政策を利用する企業を増やすということではなく、もっと大きな点で価値があるかもしれないと思っています。ですので、周知に力を入れることは大事だと思います。
その際、相談窓口でパンフレットを配布といった既存の方法だと、申請したい人や相談したい人しかつかまえられないと思います。本当に障害者雇用の意欲を高めてもらいたいのは、恐らくそうでない企業というか、申請したいとすら思わない企業である可能性が高いと思います。特に障害者雇用に消極的な産業や企業規模、事業所に届くような媒体での周知があるとよいと思います。採用や雇用の改善に力を入れてほしい企業とか、雇用が難しいと考えられる企業を把握するためには、議題2の実態把握で出していただいたような実態を使えたらいいと思いました。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。労働政策一般にも関わる御指摘かと、個人的にも思ったところです。では新田委員、どうぞ。
○新田委員 使用者側、経団連の新田です。御説明等、ありがとうございました。今回御紹介いただいた障害者雇用ビジネスについては、もちろん、全ての実施事業者が悪質というようには考えておりませんが、今回御報告いただいた内容を見ても、やはり問題意識を強く持たざるを得ないと思ったところです。特にこれまで雇用の質の向上ということで、分科会等を通じて皆さんと議論してきましたが、今後雇用率が引き上がっていくことが、障害者雇用ビジネスのうち不適切なものを助長することにつながるのではないかという懸念を強くしたところです。いずれにしても今後も厚労省におかれましては是非、実態等の把握を行って、この分科会でも、適宜、御報告いただきたいと思います。今後、周知啓発に向けたリーフレットを作成されるということでしたので、経団連としてもしっかりとその周知を図っていきたいと考えているところです。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では山内委員、お願いします。
○山内委員 使用者側委員の山内です。今回御紹介いただいた、いわゆる代行ビジネスについては、以前から使用者側としても問題意識を強く持っている点です。ただ一方で、新型コロナによって働き方改革が進む中で、障害者の方々に提供する業務が変化してきていること、また先ほどからもお話があるように、法定雇用率を達成するため等々の選択肢の1つとして検討する、あるいは検討せざるを得ない企業も多いのではないかと考えております。
正直、弊社も法定雇用率を達成することを念頭に置くと、社内での職務開拓にも限界を感じ始めており、農園ビジネスの調査を実際に行っている現状にあります。ただ、今回の調査の懸念点にもお示しいただいたとおり、障害者の適性や必要な配慮に関する確認ができているかどうか、あるいは障害者がやりがいを持って働ける環境になっているかどうかなど、幾つかの懸念点がある場合が散見されているため、代行ビジネスでお願いするのではなく、新たな事業として独自に我々で農園ビジネスをやらざるを得ないかということで、依然として課題が多いと感じているところです。
先ほどより御意見を頂いているように、好事例の共有は是非ともお願いしたいのと併せて、何がいけないのかという良くない事例、この明確な区分けをお願いしたいと思います。今後とも厚生労働省において、実態等の把握を行っていただくことになると思いますが、この分科会でも随時、その報告を共有させていただければ有り難いと考えております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では下屋敷委員、お願いします。
○下屋敷委員 みんなねっとの下屋敷です。私が4点ほど感じたことです。1つは、精神障害者のハローワークでの相談というのが多く、すごく伸びてきているわけですけれども、社会全体としていろいろな心の悩みを持った方が職場復帰、あるいはまた社会に出て行くというときには、やはりいろいろな形態やいろいろな段階があると思うのです。単純に職業訓練をやるだけではなく、いろいろな動機付け、あるいは社会への参加意欲が非常に大事ではないかと思っているのです。それで今までの制度の議論の中で、例えば本人がどのような形で今思っているだとか、職場においての適応力について私は満足しているとか、こういうことを改善したいというような、御本人の立場に立った意向把握というのが、やはりベースとして持っておく必要があるのではないかということを1つ感じました。
それから農業ビジネスについては、今、確か、農水省と農福連携のビジョンが出ています。地方では、社会福祉協議会などが入った橋渡し機能などが出てきています。これは首都圏だけのことなのか分かりませんが、農福連携という形での中間的な社会福祉法人団体が、チェックに入るということもあってもいいのではないかと。「農福連携は結構良かった」という声もきているので、農業サイドと厚生労働省サイドで調整を図る必要もあるかと思いました。
あと、パンフレットの話も出ているのですが、どこかの県で、もにす認定のものを見たことがあるのですが、秋田県だったかな。非常に変革の時代だと思うので、むしろ動画のようなDVDみたいなものを作って、福祉団体や障害者団体に学習資料として配るとか、そちらのほうが私はずっといいのではないかと思います。パンフレットを置いたからといって、果たしてどの程度認識するのかと思いました。
最後に、各都道府県は共生社会づくりに向けて、例えばバリアフリー委員会とか、人にやさしいまちづくり委員会とか、いろいろな委員会や審議会を持っています。これは福祉部門の話ですけれども、共生社会づくりの審議会がどういう状況になっているか。その中に雇用促進というものを、1つ項目として入れたほうがいいと思います。その中で職業安定局の人や障害者生活・就業支援センターの人も参加して、指標として都道府県民に見せる。そういう形でないと、ジョブ機関のほうだけで話をしているという形になると思います。都道府県の審議会の中に障害者雇用というものも入れていったほうがいいのではないかという感じで、今聞いていました。以上、4点です。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はありますか。よろしいでしょうか。非常に有益な御指摘と御示唆を頂きました。好事例が見られるというところからも分かりますように、非常に実態が多様であるという一方で、そもそもこの問題は雇用率制度ないし障害者雇用制度そのものの趣旨を、どのように考えるかというところと関連しているという感じがしました。事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。今回の実態把握については、これまで取り組んできたところを一旦、第一報的にまとめて共有させていただいたものです。今後については、やはり事例の中においても少し精査して、例えば法違反に近いもの、継続的な指導が必要なものから、趣旨に沿ったものとは言えないということで、趣旨の御理解をしていただく必要があるもの、あるいは好事例といったことで、次回御報告する際には、少しそういった区分ごとに整理をした上で御提示していきたいと考えているところです。いずれにしても各委員の皆様方の御関心も高いテーマですので、引き続き実態把握を進めるとともに、御報告の機会を設けて、必要な対応等についてまた御意見を賜れればと思っております。
併せて、先ほどの議題1に少し戻りますが、制度の周知等については、繰り返し御要望や御意見を頂きました。私どもとしても、窓口にリーフレット等を置いてそれでいいとは思っておりません。例えば、雇用状況報告を求める様式をお送りする際には、必ずそういった周知も載せていますし、先ほど下屋敷委員からあったように、各労働局においては動画やSNSなども活用しながら、様々なチャンネルを使って周知を図っております。こういった労働局での好事例も横展開しながら、積極的な周知に努めていきたいと考えております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに特にないようでしたら、議題2は以上になります。全体として、委員の皆様方から何かありますか。よろしいでしょうか。それでは、本日の議題については全て終了いたしました。本日の障害者雇用分科会が、現在のメンバーで行う最後の分科会になります。田中誠二職業安定局長から御挨拶があります。
○田中職業安定局長 職業安定局長の田中です。本日も重要なテーマについて、大変御熱心な御議論を頂き、誠にありがとうございました。今、山川分科会長からもありましたように、本日が現在の委員構成で行う最後の障害者雇用分科会です。この任期の2年間を振り返りますと、雇用施策と福祉施策の更なる連携、障害者雇用促進法の改正等に向けた各種論点について検討いただき、昨年6月に意見書を取りまとめていただきました。また、改正法の成立後は、その施行に向けて議論を進めていただくとともに、新たな法定雇用率の設定などについても御議論いただいたところです。
このように、今後の障害者雇用政策を進める上で、非常に重要な局面において通常と異なり、オンラインの開催となるとともに、例年と比較して大変高頻度での開催となりました。委員の皆様におかれましては御負担をおかけしましたが、精力的に御議論を頂いたところで感謝申し上げます。また、事務局として至らぬ点も多くあったことと存じますが、大変御協力を賜りましてありがとうございました。
厚生労働省といたしましては、労働者が障害の有無にかかわらず、適切な雇用機会が確保され、適切な労働条件や雇用環境が設定・提供され、充実したキャリア形成が可能となるよう、引き続き関係者の皆様方と連携しながら、また御指導いただきながら、諸施策の充実に努めてまいります。委員の皆様方におかれましては、これまでの御尽力に重ねて感謝申し上げるとともに、引き続き障害者雇用行政につきまして、御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。大変ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 竹下です。すみません。長年にわたって、雇用分科会で委員を務めさせていただきました。本当に十分な役割は果たせなかったかもしれませんが、その都度、山川分科会長には丁寧に意見を拾っていただくなどして、これまで自分がこの委員会で発言してきたことに、自分なりの役割に満足して役を終わりたいと思います。皆様、いろいろと御迷惑をおかけしたことをおわびして、私は今日で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。大変お疲れさまでした。それでは、これで本日の障害者雇用分科会は終了とさせていただきたいと思います。委員の皆様、大変ありがとうございました。最後に、事務局から連絡事項がありましたらお願いします。
○川端調査官 障害者雇用対策課調査官の川端です。次回の日程については分科会長と御相談の上、皆様方に御連絡をさせていただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 本日はお忙しい中、大変ありがとうございました。終了させていただきます。