第11回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和5年4月21日(金)14:00~

場所

AP虎ノ門Aルーム(11F)
東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル

議題

(1)これまでの議論の整理
(2)引き続き検討すべき論点について
(2)その他

議事

議事内容
○船井調査官 本日は大変お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただ今より第11回「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」を開催いたします。
 本検討会の会議の資料及び議事録は原則公開ですが、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 なお、本日、外の気温が高くなっておりますので、適宜、上着は取っていただいて御参加いただければと思います。
 本日は大木委員、中村委員、森委員の3名が御欠席で、鹿野委員、高山委員、三柴委員の3名がオンラインでの参加となっております。
 それでは、以降の議事進行につきましては、土橋座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 それでは、よろしくお願いいたします。前回までの検討会におきましては、各論点について、事務局が整理しました論点整理に基づいてフリーディスカッションを行っていただきました。今回はこれまでの議論を踏まえて事務局が整理を行った資料を基に議論を行っていただくことを予定しております。
 それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いします。
○船井調査官 お手元に資料を配布させていただいております。1枚目が「議事次第」、その裏側に「資料一覧」です。資料1、2と参考資料のマル1、マル2、マル3という形になっておりまして、資料1がワードの青や赤の字がある資料です。資料2が横長のパワーポイントのスライドの資料になっております。
 参考資料マル1、マル2は毎回お付けさせていただいているものです。参考資料マル3については今回、新しく配布させていただいたものですが、いわゆるフリーランス新法の関係、今、法律が国会に提出されて審議をされておりますが、その概要になります。簡単にこの参考資料マル3について説明させていただきます。その上で議題についての議論をいただければと思います。
 まず、このいわゆるフリーランス新法が提出されるに至った背景といたしましては、御案内のこととは思いますが、働き方改革などの影響によりまして、近年フリーランスの人口が増えていて、今後も増える見込みであるという状況があります。フリーランスと一口に言ってもいろいろな方がいらっしゃいますけれども、取引上、立場が弱いような方々も多く、場合によっては業務を委託する側の事業者さんの資本金の規模によっては既存の下請法といったような、現行法令の適応がないような状態も多いという状況です。こういう状況を踏まえまして、下請法を補完しつつ、個人であるフリーランス特有の問題、ハラスメントといったような問題がありますが、そういうものにも対応するということで、新法として法律を制定して国会に提出するに至ったというものです。
 内容につきましては、参考資料マル3に記載の通りですが、かいつまんで御説明させていただきますと、まず取引の適性化の観点、2.に書いてありますが、委託内容とか報酬額といったものを、書面等によって交付する義務や、報酬の支払いの期日、60日以内といったような義務、あとは一定期間以上の取引に際してのフリーランスに対する禁止行為を幾つか決め、マル1からマル7まで書いております。
 更には3.にありますように、フリーランスの就業環境の整備の観点から、募集時における表示内容の適性化でありますとか、申し出に基づく育児・介護等への配慮、ハラスメントに関する相談対応等の体制整備、中途解約や更新しない場合の事前予告といった内容を定めております。
 この新法案には直接的には安全衛生関係の規定というものは盛り込まれておりませんが、先ほど説明したハラスメントの関係などは、メンタルヘルス不調対策にもつながってきますので、こういった内容については本検討会でも議論しておりまして、こういった新法の動き、また新法に基づいて今後制定されるであろう指針の動きなども見つつ、検討若しくは施行段階における連携なども、考えていかなければならないということになっております。
 資料を配布させていただいた関連で、少し御説明させていただきました。資料確認につきましては以上です。
○土橋座長 それでは、議題の(1)「これまでの議論の整理」に関しまして、資料1に基づいて御議論いただきたいと思います。まずは議論に先立ちまして、事務局から資料説明をお願いします。
○船井調査官 資料1に基づいて御説明をさせていただきます。これまでの議論の整理ということでまとめさせていただきました。これまでそれぞれ論点1、論点2、論点3という形で論点ごとに論点の整理というパワーポイントの資料を用いて、フリーディスカッションで議論を深めてきていただいたわけですが、個々の論点につきましては大分議論が深まりましてコンセンサスが得られている部分と、まだ詳細も含めて引き続き議論が必要な部分がくっきりと分かれてきましたので、この際、これまでの論点の整理ということで、全体を、報告書の取りまとめも見据えた形で、資料1のようにまとめさせていただきました。黒い字で書いてある部分については、基本的にはおおむねコンセンサスが得られていて、更に前回、前々回の議論の辺りで、追加で出た建設的な意見を赤字で追記させていただく、若しくは趣旨が不明確であった部分を赤字で補足させていただくという形でまとめております。
 一方、議論が尽くされていない部分については青字の斜体で、例えばですが、1の(1)にあります「業務上災害の報告の仕組み」の部分については、「報告主体、報告対象、罰則等について引き続き詳細を検討中」ということで、別紙マル1として、のちほど御説明させていただきます資料2にひも付いている状況です。こういった形でひも付いている箇所が別紙で言うとマル7まで7カ所あります。それ以外の部分については、基本的にこれまで議論してきたものを黒字でこちらに写した上で、必要な追記をしたという位置付けになっております。
 この資料1は、赤字で追加した部分を中心に御説明させていただきます。まず1の(2)ですが、これは脳・心及び精神の場合の報告です。こちらにつきましては被災者自身が監督署に報告できるような仕組みを整備する。その上で関係団体がこれを支援するということですが、その支援の中身として具体的な例示を書いて分かりやすくしたものです。
 次のページ、2ページ、2の(1)の○の2つ目は、個人事業者自身による取組ですが、安衛法第45条に規定する特定の機械等については、事業者であれば労働者に使用させる時に定期の実施検査を行わなければならないということになっているのですが、これについては個人事業者についても同様の義務を課すということで御議論いただいておりました。なぜ、そのような義務を個人事業者に課す必要があるのかというところで、この赤字の部分を追記したものです。個人事業者が点検されていない機械を自ら持ち込んで、労働者と混在するような場面で使用した場合には、自らの危険だけでなくて周りで働く労働者の方にも危害を及ぼす可能性がある。そういう趣旨です。
 次の「安全衛生教育の受講」等のところ、1つ目の○は、今申し上げたのと同じような趣旨で、教育を受けていなければ自身だけでなく、周りで作業する方にも害を及ぼすおそれがあるので、この特別教育を義務付けるという趣旨です。
 次の○は特殊健診を受けることを促す。更に受けるだけではなくて、その結果に基づいた必要な精密検査等も促すということを記載しております。
 3ページの2つ目の○は、混在作業による労働災害を防止するための統括管理の対象に「個人事業者等自身が含まれることを明確化することに併せて」ということで、5ページに出てきます1つ目の○で今申し上げましたことを手当しようとしております。この5ページの上に書いてある○と、3ページの上から2つ目の○が表裏一体の関係にありますので、その関係が分かりやすくなるように表現を追記いたしました。
 続きまして5ページ、2つ目の○で、「混在作業による労働災害を防止するための措置を義務づけることとする」ということで、この趣旨が分かりやすくなるように追記をしております。
 6ページ、(3)の2つ目の○です。この部分については、前回の検討会においても、これはリースに着目した規制ですが、「移動式クレーン」や「車両系建設機械」といった限定的な機械が対象になっているという点について、委員の方から明確にフォークリフトについても危険があるということで、追加してほしいという御指摘もいただきましたので、「災害の実態も踏まえつつ」ということになると思いますが、こういう危険性が高い機械についても規制対象に含めてそういう機械を追加するのであれば、それに応じたような措置がある場合には、追加するということで書かせていただいております。
 次の「建築物貸与者の効ずべき措置」につきましても、7ページの1つ目の○、2つ目の○に追記をさせていただきました。これは規制対象としては現在事務所と工場に限定されておりますが、災害が起きている場所として、スーパーのバックヤードですとか、物流センター、倉庫、車庫、駐車場といったところでも、陸運業界の委員の御指摘におきましては、荷役作業中の災害も発生しているという実態もあるということですので、追加してはどうか。こういった部分を追加するに際しましては、作業場となる場合の通路の保持、墜落危険箇所の防護等、現在定められている措置以外の措置も災害につながるものであれば、追加してもいいのではないかということです。
 7ページのプラットフォーマー等の部分の○につきましては、趣旨が明確になるように文言を少し追加させていただいたものです。
 8ページ以降、「国は、」とか、「国は、個人事業者等に対し」ということで赤字で追記しております。この部分につきましては、検討会におきましても語尾の「促すこととする」というのが、「誰が誰に対して促すのか」という御質問が何度も出ましたので、その趣旨が明確になるように主語を記載したものです。8ページ、9ページの辺りはその修正でして10ページにも1か所あります。
 11ページの「支援」の部分について、その支援メニューの例示について分かりやすくなるように、より具体的に記載したことに加えまして、2つ目の○にあります「また」書き以下、「優良な取組を行っている団体に対して、表彰などのインセンティブの付与について検討することとする」ということで、これは前回の議論でも、国が団体を通じた支援をするということに加えて、その団体にブランディングをすることによって、いい団体というのはもっと伸ばすべきだというお話もありましたので、このような追記をさせていただきました。
この資料1、青字で書いてあります部分はのちほどの(2)のほうで御議論させていただきたいと思います。資料1の説明については以上です。
○土橋座長 それでは、ただ今の資料1に基づき御議論いただきたいと思います。御発言いただく際は該当部分を明示していただきますようにお願いいたします、いかがでしょうか。御発言ございませんか、よろしいでしょうか。
それでは青字部分以外のところ、前回まとまってきたものを、更に今回書いていただきましたので、その部分について御確認いただいたということかと思います。議題(1)のほうはよろしいですか。
 それでは、議題(2)のほうに進ませていただきます。議題の(2)としまして、「引き続き検討すべき論点について」ということで資料2について御議論いただきたいと思います。まずは議論に先立ちまして事務局から資料説明をお願いいたします。
○船井調整官 それでは、資料2につきまして御説明させていただきます。2ページのスライドは、いつも用いております論点1、2、3です。これを先ほど資料1で全体を作ったと。その資料1の中で別途、別紙で検討と言っていた部分について、3ページ以降にそれぞれ別紙マル1からマル7まであります。まず、別紙マル1、「業務上災害の報告の仕組みについて」で、これは何枚かにわたっておりますので、(その1)から(その3)まで順に説明させていただきます。
 災害報告の仕組みについては、やはり網羅的に把握するような仕組みが新たに必要だということは、この検討会のコンセンサスだと思いますが、それを実施するに当たりまして、前回事務局案として出させていただいた報告対象といたしましては、事業場又はその附属建設物内で発生した、「個人事業者等の死亡又は重度な負傷を伴う事故」ということでした。この「死亡又は重度な負傷」という部分につきまして、具体的な範囲が明確になっていないと議論できないということで、今回は「具体的な範囲」というものを御提示させていただいたということです。
 この範囲といたしまして、やはりその報告者、現在の案では災害発生場所を管理する事業者の方にお願いしようということですが、そういった方の負担でありますとか、その実効性、ちゃんと把握して必要な事項を報告できるかという実効性や、あとは労働災害の場合、大体年間15万件ぐらい、休業4日以上の災害が発生しているのですが、そういったボリュームを踏まえて、どの程度で「重度な」というところの線引きをするのがいいのか。そういったシミュレーションなどもやらせていただいた上で、1つは死亡災害、もう1つは休業1か月以上が見込まれる負傷災害ということで、まずは御提案させていただきたいと思っております。
 先ほどのシミュレーションの話ですが、労働災害でいうとこの休業1か月で線を引くと、大体半分強ぐらいが対象になってくる。ここ数年はコロナの関係が入ってきてしまっているので、コロナは休業1か月になる割合というのはそんなに高くないので、コロナ以前の状況で見ると、大体52%ぐらいがカバーできるという形となっておりますので、全体像を把握して対策につなげるという意味では、この辺りで線引きをしても問題はないのではないかという判断です。
 脳心・精神につきましては、別途被災者が報告できるという仕組みを考えておりますので、対象にしないということと、被災者の方が業務と関係ない行為をして被災したことが明らかな事案については、報告対象にしなくてもよいのではないかと考えております。
 あと、報告主体につきましては、「災害発生場所を管理する事業者」の方ということですが、基本的にはその事業者の方が災害発生場所全体を管理する人であるべきだとは思いますが、ただ一概にそうも言えない、一律に求めることは適当ではない場合も考えられる状況ですので、例えば下のポツにありますように、報告主体は原則として、災害発生場所の全体を管理する者にするのですが、その災害発生場所となった事業場の一部を、ほかの誰かの管理に委ねていたりとか、その部分については独立した管理がなされているといったような場合については、その部分を管理する方が報告主体になる。その全体を管理する人ではなくて、その部分を管理する方が主体になるというような取扱いにしてもよいのではないか。
 例示としては下に書いてありますような、工場の一角で改修工事が行われる場合とか、大規模な商業施設のバックヤードといった部分、その場合はその工事の現場であったりとか、バックヤードを管理しているような方が出せばいいのではないか。それが災害の把握報告の観点から、一番効率的で合理的ではないかという、そういう趣旨です。
 あとは前回も御説明させていただきましたが、下の○にありますのが、必ずしもその報告者が災害について全責任を負うものではない。この発生場所を管理する事業者に報告していただくというのは、業務上の災害を効率的に把握するためのものですので、必ずしもその災害防止の責任とは一致しないといったことを、ちゃんと解釈で示していってはどうかということです。
 次の○については、前回も申し上げておりますが、この報告対象以外の災害については、個人事業者等が監督署に情報提供できるような仕組み、それを併せてつくることが必要ではないかということです。
 次の報告時期は、今回初めてお示しさせていただきますが、報告対象が死亡であるとか重度な負傷を伴うものです。そういったことも踏まえますと、やはりかなりのスピードで出していただく必要があるということで、労働者傷病報告の休業4日以上で求めているような、「遅滞なく」といったような期限を設けてはどうかと考えております。
 5ページ、罰則の適用です。今回は災害報告の対象は、報告主体にとっては雇用関係や請負関係にない方の災害であるといった特殊性もありますので、今回は報告対象は一定の重篤度の災害には限定しておりますが、仮にそうだとしても罰則を適用するということは、なかなか難しいのではないかということで、「罰則なしの義務規定」という形にさせていただきたいと思います。それに加えまして、今、御説明した個人事業者等による情報提供といった仕組みを設けることによって、報告制度の実効性を高めていきたいと考えております。
 報告事項につきましては、労働者死傷病報告について、現状は行政のほうで分析・集計を行っている状況も踏まえまして、今回新たにつくる仕組みにつきましても、個人事業者の業務上の災害を集計・分析して、それを対策に結び付けるためには、最低限どういう事項が必要なのかというのを考えますと、下のマル1からマル5に書いてありますような事項になるのではないかと考えております。
 あともう一個、最後、前回にこれは書いていなかったのですが、「個人事業者等による報告への協力」ということで、報告が漏れなく円滑に行われるようにするためには、死亡災害の場合は難しいと思いますが、それ以外の部分については、個人事業者等自身が被災した旨を、報告主体になります「災害発生場所を管理する事業者」に伝えていただく。それに加えてこの報告者が報告を行うに当たって、ちゃんと必要な協力をしてくださいということを明確化したいと思っております。以上が別紙マル1報告関係です。
 続きまして6ページ、別紙マル2で過重労働やメンタルの関係の報告の部分です。過重・
メンタルの報告に当たりまして、この被災者である個人事業者が、片や労働者として兼業しているような場合、労働の場とそうではない場合にまたがって働かれている場合、これはアンケート調査の結果からは、いろいろな調査がありますが、この検討会で報告した結果の中でも、フリーランスの人の2割ぐらいが労働者としても働いているというようなデータもありましたので、こうしたまたがる兼業・副業というのはあるのではないか。そういう方が過重労働やメンタルになったときに、どういう形で報告していただくかということです。
 こちらにつきましては、下の赤字の所に書いてありますように、兼業がないような場合と同じように、まずは個人事業者自身が監督署に報告できる仕組みを用いて報告をしていただく。その際に兼業・副業先である事業場の事業者さんが、支援をするということができるようにしてはどうか。もっとも所属している、労働として働いている事業場において労災申請を行って、過重労働やメンタルだということで認定を受けた場合については、この新しいものとは別に、労働者死傷病報告の提出義務が生じますので、それはそちらで出していただいて、この新しい報告制度において出していただく必要はないという整理がよいのではないかということです。
 続きまして7ページ、別紙マル3、「保護具や作業方法の周知を行う場合の対応について」ですが、これは最高裁判決を踏まえて改正した省令に基づいて、作業の一部を請け負わせる請負人に対しては、事業者は保護具や作業方法について周知しなければならないという義務が新たに義務付けられて、この4月から施行されている。
 この周知について、この検討会におきましては、「単なる周知では徹底されないのではないか」、若しくは、「そこまでやるのは指揮命令関係がないと難しいので、周知した内容を実施していない者には作業させないといったような措置が必要なのではないか」、このような議論がありました。そういった議論も踏まえまして、内部で精査をした結果を赤字で書いております。周知義務を負う事業者と個人事業者等の間には指揮命令関係がありませんので、周知内容を義務として徹底させるというのは、なかなか難しいということが1つ。
 あとは「周知内容を実施していない者に作業をさせない」ということですが、これは実際、作業現場のルールとして徹底することは、実態として多くやられていると思いますし、災害防止上、例えば「ヘルメットを付けていないやつは入ってくるな」というようなことは、災害防止上、どちらかといえば望ましいことではあると思います。ただ、これを罰則付きで一律に規制するというのは、なかなか難しいのではないかということです。
 あと、事業者から必要な情報の周知を受けた個人事業者が、その措置を講ずるかどうかというのは個人事業者自身が、個人事業者とはいえ、ちゃんとした事業者ですので、自身で判断すべきものであると思われます。こういったことを踏まえますと、前回に御提示させていただいた内容のように、事業者に対しては周知した内容が徹底されるように、個人事業者等に対して必要な指導等を行っていただく。個人事業者は事業者から周知された事項をしっかり守っていただく。この「守っていただく」という部分については、下の※に書いてありますように、労働者向けに規定されております安衛法第4条のような災害防止上必要な事項の遵守、こういったものと同じような構成の規定というのを、個人事業者についても遵守すべき事項ということで、併せて定めてはどうかと考えております。
 続きまして8ページ、別紙のマル4です。安衛法第22条以外の条文に基づく措置につきましては、論点1、2、3で言うところの論点2になります。この論点2の関係については、黒字で書いているように、この検討会においても、これまで御議論いただきまして、いろいろな意見がありました。最高裁判決を理由に、省令改正ありきで進めるのではなくて、ちゃんと改正することによって効果があるものについて議論すべきだという御意見。
 また、災害が発生した場合の退避については、労働者と労働者以外で違いはない。ただ、危険性と有害性は分けて考えるべきという御意見もありました。一方で、危険性と有害性というだけで分けるのではなくて、例えば有害性であっても、急性中毒を招くような有害物というのもありますので、これは危険性と中身的には変わらないのではないか。なので、同じ発想で対応すべきというような意見がありました。
 いろいろな意見がありましたが、そういった意見も踏まえまして、事務局の内部で整理した結果について、赤字で書かせていただいております。まず、「退避」や「立入禁止」といったものについては、場所の管理権限に着目した規制なのではないか。例えば法第25条に基づいて「災害発生時等の作業場所からの退避」というような規定があります。
 一方で法律の第20条や21条に基づいて、ある場所において「立入禁止等」であったり、火気を使用してはならないというような禁止規定があります。これは本質的には請負関係とか雇用関係とかに余り関係なく、ある作業場所の管理権限に着目した措置ですので、その場所で作業に従事する方は全て対象としてしかるべきなのではないかということです。
 したがいまして、こういった規定については、立入禁止の「なぜか」という部分が、有害性だろうが危険性だろうが、差を設ける合理性はないと思われますので、速やかに所要の省令改正に着手してはどうかということで、書かせていただいております。
 一方、9ページ、作業の一部を請け負わせた場合における「保護具」や「作業方法の周知」という部分については、法第22条に基づく「有害性」とは少し異なる状況があるのではないかということで、書かせていただいております。例えば法第20条や第21条で規制している、「高所からの墜落による危険」でありますとか、「機械による挟まれ、巻き込まれの危険」といったものは、視覚によって作業者が容易に、その危険というのを把握できる場合が多いわけです。有害物の場合だと見て、その有害性というのはなかなか分からないというところはあります。
 一方で危険性についても、「高圧電路への接触による感電の危険」だとか、一見ちゃんと堅固な床に見えるのですが、実はそれが薄いスレートのようなもので、そこに乗ってしまうと踏み抜いて落ちてしまうといったようなもの。こういったものはなかなか目で見ただけでは把握できない危険性がありまして、これは教えていただかないと、個人事業者の方は対処のしようがないものもあると思います。
 こういった状況がありますので、災害実態も含めて、個々の規制について、十分に精査する必要があるのではないかと考えております。したがいまして、今後の対応方針といたしましては、マル1、マル2にありますように、今回、御審議いただいております新たに創設する災害報告の仕組みといったものも活用しながら、個人事業者等による災害の実態を、まず把握して、20条や21条に基づく個々の規制、立入禁止とか退避の部分は別口で優先的にやりますが、それ以外の規制について改正の必要性というのを精査して、必要なものについて手当てをしていくという方針でいかがかということです。
 ただ、このマル1をやるには、災害を集めるのにそれなりの期間を要しますので、年単位でやっていく中で、何も手当てをしなくてよいのかということがありますので、この部分、「所要の改正が行われるまでの間は、ガイドライン等により、事業者等に対して「保護具」や「作業方法の周知」を推奨していく、これを併せてやってはどうかと考えております。
 続きましてマル5です。「長時間の就業による健康障害防止に係る発注者等の対応について」ということです。これだけ読むと少し分かりにくいかもしれませんので、先ほどの資料1のほうに戻っていただきまして、9ページをご覧ください。
 9ページに(2)、「個人事業者等に対して健康リスクを生み出す者等による措置」で、「長時間の就業による健康障害の防止」の所です。発注者等の業務の内容によっては、その性質上、就業時間が特定されてしまう場合がある。例えばアマゾンの配送でありますとか、映画の撮影現場だとか、ITで期限が切られたようなプログラム開発といったものが参考になる。これは普遍的なものではなくて、限定的なケースだとは思いますが、こういう場合については、健康管理は個人事業者自身が基本だというところはありますが、発注者等に対しても一定の措置を求めていいのではないかと、こういう議論でした。
 これを考えたときに、次のページにありますように、就業時間が特定される場合は、今、申し上げましたが、「特定されない場合にどうなのか」というのをまとめたものが別紙のマル5になります。これは就業時間自体は特定されない場合であっても、その発注者等のお願いした業務によって、非常にボリュームがある仕事を、一定の短い期日でやってくださいということになると、作業時間帯は指定されなくても、かなり厳しい長時間就業を強いるようなことにもなり兼ねない。
 こういうことを踏まえますと、赤字に書いてありますように、発注者等から依頼される業務の性質上、就業時間が特定される場合に限定せずに、発注者等が個人事業者に業務を委託するときは、就業時間が長くなり過ぎないように、長時間就業による健康への影響を防止する観点から、安全衛生を損なうような長時間就業とならないような期日設定の対応をすることを求めてはどうかということです。
 簡単に言いますと、就業時間を限定してしまう、してしまわないに限らず、非常にボリュームがある仕事をお願いするときには、それに応じたような期日にするような配慮というのを求めてはどうかという趣旨です。
 続きまして別紙マル6、「メンタル不調予防に関わる発注者等の対応について」ということです。こちらも基本的な考え方は、長時間就業と変わらないのですが、まずは個人事業者等が就業によって心身に不調を来すことがないように、発注者等に対してメンタル不調を予防する観点から、ガイドライン等で安全衛生を損なうような就業環境や就業条件にならないように配慮を求める。これがベースになると思います。
 これをガイドライン等で働きかけるに際しましては、ほかの法令で、メンタルと関連が深いようなパワーハラスメントの防止といったことを求めているような仕組みがあります。こういう仕組みもうまく紹介させていただきながら、整合性を持ってパワハラはじめメンタルにつながるようなことが行われないように働きかけていく、そういう趣旨です。
 最後、別紙マル7、「健診費用を安全衛生経費として契約に盛り込むことについて」ということです。これまではこの部分についても賛否両論ありました。それを踏まえて整理をいたしました。まず、その健診の目的でありますとか、あとは注文者が仕事を注文する際、その仕事内容というのが、個人事業者の健康に影響を及ぼすのかどうなのか。それとも一般的な健康管理なのかどうかとか、あとは仕事をお願いするときの反復・継続性なども踏まえて整理をさせていただいたのが、以下の赤字の所になります。まず、その仕事の内容に由来しているのかどうかという観点で切り分けますと、特殊健診、安衛法で言うところの特殊健診なのか、一般健診なのかというのは、一つ大きな線引きになるのではないかということで、そのような切り口で分けて考えております。
 まず、上のほうの特殊健診について、安衛法の第3条3項におきましては、「安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない」。これを注文者に訓示規定として求めているのですが、その解釈として「請負金の費目等」も配慮しなければならない事項に入るのだということが示されております。
 そういったような状況も踏まえまして、労働者であれば特殊健診が必要になるような業務というのを反復・継続して個人事業者に注文している。その結果、その個人事業者が常時、そういった健診が必要になるような業務に就くようになる場合については、これは契約に特殊健診の費用を、安全衛生経費という位置付けで盛り込んではどうか。これをガイドライン等で示して、注文者に対して促していくということが適切ではないかと思っております。
 一方、一般健診につきましては、これは前のところの論点でも出てきましたように、健康管理は基本的には個人事業者自身で行うことが基本であるということです。ただ、そういう前提であるものの、個人事業者の方が健康に就業していただくということは、個人事業者の健康だけではなくて、その個人事業者と取引をしている業者さんにとっても、事業継続の観点からも望ましいのではないかと考えられます。
 したがいまして、契約期間が1年を超えるような契約でありますとか、単発の契約は1年を越えないのですけれども、継続してやって事実上1年を超えるようなやり方をしているような場合は、一般健診の費用も安全衛生経費として盛り込むことが望ましいのではないか。こういうことをガイドラインで示してはどうかと考えております。
 ただし書の所に書いてありますのは別の法律で、特定健診が40歳以上の方には義務付けられておりますので、こういった部分についてまで盛り込む必要はないのではないかということを示してはどうかということです。資料2についての説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 それでは、ただいまの資料2に基づき御議論を頂きたいと思います。御発言の際は、該当部分を明示してくださいますようにお願いいたします。それではいかがでしょうか。小野委員、お願いいたします。
○小野参集者 小野でございます。資料2のほうで確認までということで。まず5ページ、別紙のマル1になります。その前の4ページで、報告主体については、実は個人事業者が加入する業種あるいは業種・職種別の団体も可能な範囲で情報提供するようなことは書いてありますので、5ページにおいても、個人事業者等への報告への協力については2行目のところ、「災害発生場所(事業場等)を管理する事業者」に伝えるとともに加えて、そこに平行して、やはり個人事業者が加入している場合にはその加入する業種・職種別の団体にも伝えるようにしていかないと、その団体がその情報を把握することはできなくなりますので、是非ともここは、その管理事業のみならず団体にも伝えるというような、平行して書いていただければと思います。
 それが1つと、2つ目については10ページ、別紙のマル5になります。「長時間の就業による健康障害の防止に係る」ということなのですが、言葉としてここで出て来るのが「発注者等」というのが出ているのです。「発注者等から依頼される業務の性質上」となりますが、これについては特に運送に限らないと思いますが、実際の発注者、そして下請、その元請、下請、孫請という構造が、運送業界では特に多くございまして、一般的に「発注者」となると、「真の荷主」ということで使うのですが、元請・下請と、構造が多層化しておりますので、この場合の使い方としては、「注文者」というのが使われておりますので、「発注者等」の中に注文者が入るかどうかということについて、これは質問です。もしも、「発注者等」の中に注文者が入っていない場合には、「発注者及び注文者にも、これは配慮を求めていったほうがいいのかというところです。「等」のほうに入っていたら、特に問題ありません。
 同じことなのですが、12ページ、別紙マル7です。これについては、健康診断等のその費用を安全衛生経費として契約に盛り込んで、ある意味その注文者に対しても流すということになっていますが、これも多層構造の中で、直近上位の注文者に対して促しても、真の発注者、発注者ですよね、真の荷主に対してそれがいってなければ、その経費の出どころと、基本的に曖昧になってきますので、これについても、注文者のほか、発注者に対しては促す必要性がないのかどうかということを検討願えたらと思います。以上、3点でございます。
○土橋座長 御意見と御質問でございました。事務局側からございますか。
○船井調査官 御質問ありがとうございました。1点目については、また詳細を検討していく中で考えさせていただきたいと思います。災害が起きた場合の被災者自身がどこに対して情報提供するか。これは、被災者に自分が被災したものをちゃんと行政に届けるのだという自覚を持っていただくという意味でも、誰が届けるのかというのを分かって、ちゃんとそこに情報を伝えていただくというのも重要だと思いますので、そこら辺の全体も踏まえて考えたいと思います。
 2点目ですが、「発注者等」に「注文者」が入るかということですが、ここで言っている「発注者等」の「等」は、請負関係にないのだけれども、実際その場をコントロールしているような、例えば撮影現場であれば現場監督さんみたいなニュアンスで使っております。ただ、趣旨としては、別に最上位の注文者には限っておりませんので、もしかしたら、ここは「注文者等」みたいな言い方が正しかったのかなという気がします。趣旨としては、当然最上位の注文者以外の中間の注文者というのも入る趣旨です。それが言葉として表現できているかというと、ちょっと見直しが必要かもしれませんので、また精査したいと思います。
 3点目については誰に対して促すかという部分ですけれども、これは別途、別紙マル1のほうでも随分前に出てきておりましたが、結局誰が何をコントロールしているかというので、誰に働きかければ効果があるのかというのは、それぞれの注文や請負の状況によってくると思うのです。なので、そこら辺はちゃんとガイドラインとか、通達で示す際に明確にして、いわゆる健診の費用と言っても、ではその健診が必要になるような業務を発生させているのは誰なのでしょうかと。一番上位の発注者が、そういう危険有害な業務を発生させて、それが順繰りに行っているのだったら、やはり一番上の人にそういったことを働きかけないと、本当に意味がないのではないか。そういう趣旨だと思いますので、そういう趣旨が伝わるように、我々として促す、周知していくことに配慮したいと思います。お答えになっておりますでしょうか、以上です。
○土橋座長 それでは、オンラインから2件発言がございますが、鹿野委員が途中退席ということですので順番先にさせていただいて、鹿野委員、発言をお願いいたします。
○鹿野参集者 ありがとうございます。別紙マル1の「業務上災害の報告の仕組みについて」に関して、意見を述べさせていただきたいと思います。今回の資料の2の3ページ以下のところですが、結論から言いますと、基本的には、ここに記載され、先ほど御説明頂いたところに賛成でございます。
 まず出発点として、ここにも書いてありますように、やはり将来的な対策を考える上では、災害の実態を把握するということが極めて大切であります。今までは、その情報が十分でないということがあったところ、その情報を集めるための仕組みを作ることが必要だということは、恐らくこの会での大方のコンセンサスが得られているのではないかと思います。その上で、個人事業者自身に報告をさせるということについては被災をしている方でもありますので、いろいろな意味でそれではうまくいかない可能性があるので、実態を把握できるような立場にある者に報告をしてもらうという仕組みを作ることが提案されていると理解しております。
 その上で、ここでは報告義務と、それ以外の情報提供の取扱いということで分けて、段階的に位置付けられているという理解であります。まず報告義務について、これは4ページに報告主体として災害発生場所事業者、事業場等を管理する事業者に報告義務を負わせるという御提案が書かれています。これも先ほどの繰り返しになりますけれども、業務上の災害に関する実態を効率的に把握できるような仕組みという点から考えると、このような者に報告の義務を課することがやはり必要なのではないかと思っております。
ただ、そのときに、前回若干質問させていただいたところとも関連するのですが、罰則無しの報告義務というものにどれだけ実効性があるのかということについて、少し個人的には懸念がないわけではありません。しかし、5ページにも書いてありますように、やはり今回は、このような仕組みを新たに設けるということでありますし、しかも報告主体として想定された先ほどの管理事業者というものは、その個人事業者との間で雇用関係にあるわけではなく、直接の請負関係にもないということがあるわけですね。そういう者に報告義務を新たに課すということであるとすると、いきなり罰則付きということではなく、まずは罰則なしの義務規定として定めるということが、バランスの問題として1つの落ち着きどころなのかなというふうに考えているところです。
バランスという意味では、その報告義務の対象となる、報告対象という3ページに書いてあることについても、全てということではやはり負担が大きすぎるということで、重大なものとしてこのように限定をかけた上で、それで罰則なしの報告義務を課するということで、バランスを取られたのだろうというふうに理解をしました。
 その上で4ページにも書いてありますように、報告義務を課すると言っても、災害防止上の責任は別問題であり、報告義務を負う者がその災害防止上の責任を負うというように責任問題と直結するわけではないということを明らかにして、報告義務を捉えたほうがよいと考えております。責任問題とは一応切り離した上で、実態が把握できるところについて報告をさせ、そのことによって効率的な業務災害の情報を収集できるような仕組みを設けるのだということで整理することができるのではないかと思っているところです。
 なお、報告義務とは別に情報提供できるとする者について、資料の4ページの下から2番目の○に書いてあるところですが、これについても、別個にこのような切り分けをした上で、報告義務と情報提供とを併せて実態把握を図るという、まずはそのような仕組みを作って、様子を見るのがよいのではないかと感じた次第です。以上です。
○土橋座長 御意見いただきました。それではオンラインから高山委員、お願いします。
○高山参集者 ITフリーランス支援機構の高山です。まず、ITの場合は働くエンジニアさんが労働者として働くか、もしくはそのフリーランスとして働くかというのは、働く側のエンジニアが自身で選択するケースが多いです。あと発注、注文側も、いわゆる労働者が来る前提で会社に発注する場合と、フリーランスをあえて選択する場合、こちらも、発注側も選択によって発注するという、そういった業界のまず特殊性、そういう状況があるというのを前提にしてお話していきたいと思っています。
 まず別紙マル1で、報告の仕組みのところではあるのですが、実効性を高めるために一定分化するというのは理解はするものの、余り過度な報告義務を課すということをすれば、フリーランスの活用自体を消極的にするような危険性があるのかなというふうに思っておりますので、そこは1点配慮をしていかなくてはいけないとは思っております。
 続きまして、こちらのほうは別紙マル5の「長時間就労による健康障害防止に関わる発注者等の対応について」のところで、こちらのほうも注文発注側に配慮を求めるということ。考え方としては問題ございません。ただ、先ほどと同じように、やはりフリーランスへの発注理解につながらないようなことは、考えなくてはいけないかなと思っています。フリーランスの場合はある期間、一定期間においては意図的に高い報酬を確保したいという思いだったりとか、自身のスキルの向上を目的で、あえて高稼働を選択する。長い時間を働いて、その分自身のスキルだったりとか、報酬を確保するといったような、そういった働き方を選択するケースもございますので、そういったフリーランスの働き方の選択肢というのを狭めないような配慮も必要かなというふうには思いました。
 あとは別紙マル6、こちらメンタル関係ですが、もちろん配慮を求めることは重要だと思っていますが、こちらも同様な理由で、フリーランスの活用自体が消極的にならないような配慮が必要かなと思っています。当業界では仲介事業者がかなり多数存在していて、一応今200社ぐらいは日本で存在すると言われています。そういった仲介事業者の存在ですとか、あるいは業界団体などを相談窓口としながら、フリーランスのメンタルヘルスに関するケアをしていくという、そういった取組も合わせながら考えていくという観点が非常に重要かというふうに思っています。
 最後の別紙マル7になりますが、安全衛生経費を契約に盛り込むということなのですが、これをやってしまうと、発注側というのはコストアップにつながっていくという部分がありますので、こちらのほうは発注金額に含めるということはしないほうがいいのではないかなというふうには考えています。現状では仲介事業者ですとか業界団体から、健診を促すというふうな取組でやっていくというところが、ベターではないかなというふうには考えています。以上でございます。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。それでは、御発言はありますか。出口委員、お願いします。
○出口参集者 出口です。よろしくお願いいたします。資料2の別紙マル1について発言させていただきます。報告対象として、「死亡又は重度な負傷を伴う事故」の範囲で、休業1か月以上が見込まれる負傷については、建設業のみならず、他の業界においても災害の実態等の把握が難しいのではないでしょうか。負傷の程度と休業日数は、ある程度比例はしますが、被災者の健康状態又は年齢、生活環境に大きく起因します。休業1ヶ月以上の骨折でも、部位によっては休業せず生活のために働く個人事業者の方もおられます。年齢によっては、補償があれば十分な休業を望まれる方もおられ、負傷の範囲を限定しての報告は難しいと感じました。
 また、報告主体は、「災害発生場所を管理する事業者」とされていますが、こちらは従来から発言していますが、個人事業者が主体となるべきと考えています。付け加えるならば、昨今、個人事業者の労働者性がよく聞こえてまいります。独自に稼いで、自分の意思で就労の可否を決める個人事業者の方々ですが、ある一定の事業者との契約が継続的にある個人事業者も多いと認識しています。信頼がある個人事業者を確保するために継続的に契約する上位の事業者が、一番、個人事業者を把握しているのではないでしょうか。元請では、契約も取引もない状態で、個人従業者の被災に関して死傷病報告を提出することになりますと、非常に合理性に欠けると考えています。
 当然、今後も死傷病報告を提出する際には、事業者の方々が、死傷病報告の書き方が分からない等についても、代筆を含め、指導及びアドバイスを行い、これからも元請の統括管理責任として役割を果たしてまいります。
 更に付け加えさせていただけるならば、今まで検討会で何度か発言させていただいておりますが、労災の特別加入制度を義務化することによって、病院に行き、治療を要する負傷、休業を要する負傷が、療養補償給付や休業補償給付等の請求により、全ての負傷に関する情報を把握できるのではないでしょうか。既存の内容に一部必要な項目を足すことで、報告事項や報告時期も大きく変える必要はありません。また、療養補償給付や休業補償給付も、現状罰則はありません。既にあるものを利用・活用することで、全てに近い災害や負傷に関するデータが把握できるとともに、個人事業者の方々が補償を安心して受けながら、就業できると考えています。新たな施策であれば、検討していくべきではないでしょうか。提示された事務局案を見せていただくと、この報告の仕組みでは数年後に状況把握が行き詰まる感じがいたします。これについては御検討よろしくお願いいたします。
○土橋座長 ありがとうございます。事務局は何かありますか。
○船井調査官 頂いた御意見は2つあるかと思うのですが、1つは特別加入団体等が関与するという部分ですが、今時点の案は、把握の効率性の観点から、災害発生場所を管理する方に出していただきたいということでお願いしていて、それ以外の部分について、情報提供できるという意味では関与していただいているので、そこを積極的に運用していただくというのは望ましいことかなというように思っております。
ただ、特別加入を義務化して、そこを通じてというのは、ちょっとこの検討会で結論を出すのはなかなか難しいですし、担当部署にはお伝えしますが、もともとの特別加入の制度からすると、そこを義務化してというのはちょっと難しいのかなという印象は受けます。ただ、特別加入に多くの人が入っていただいて、こういった災害報告の支援や、それ以外にも、情報提供や教育、幅広い災害防止に関する活動やサービスを提供していく団体が増える、そこに多くの人が入るというのが望ましいサイクルだと思いますので、支援の所にも出てきますが、そういったサイクルになるように、別途、いろいろと支援策は考えていきたいと思っております。
 あと、このやり方だと、数年後、行き詰まるのではないかという御指摘ですが、そうならないように、個人事業者自身も、自分が被災したということをしっかり国に把握してもらって、それを国が講じる対策に役立てさせてもらうということに協力していただくという意識は強く持っていただくべきだというように我々も思っております。そういう意味で、今時点の案は災害場所を管理する事業者の方に出していただく。その報告が円滑にいくように、被災した個人事業者の方も、亡くなってしまった場合はどうしようもないとは思いますが、御存命で、まだ生きていらっしゃる場合には報告者に対して災害が起きた事実であるとか、その災害がどういう状況だったのかも含めて、しっかり協力してくださいと、そこら辺はどういう強度で求めるかというのは今後の議論だと思いますが、そういったところも含めてしっかり機能していくように、もう少し時間を掛けて検討をさせていただきたいと思いますので、次回以降、またよろしくお願いいたします。
○土橋座長 ほかに、御発言はありますか。本多委員、お願いします。
○本多参集者 日本建設業連合会の本多でございます。事務局修正案の多くについては賛同できておりますが、別紙マル1の3ぺージ、4ページと別紙マル4の8ページの一部に関して、少々意見を申し述べたいと思います。
 まず、3ページの報告対象です。「死亡又は重度な負傷を伴う事故」の範囲として、死亡災害及び休業1か月以上が見込まれる負傷とされていますが、死亡災害については異論はありません。一方で、休業1か月以上が見込まれる負傷については、現場の実状や災害の実態など現実にそぐいませんので、好ましくないと思っております。そもそも、重度な負傷という概念は、休業日数の長短ではなく、例えば、頭を強打し意識が薄れている、明らかな骨折や大きく流血している。あるいは一定の障害が残る可能性があるかなど、負傷の内容を意味すると解するのが適当であると思われます。特に高齢者の災害にあっては、つまずきで転倒して打撲や軽い捻挫であっても休業が1か月どころか3か月を超えることは多く、その意味で、単に日数だけを基準とすることは妥当ではないと思います。また、参考までに、建設業の個人事業者等については、自分で稼げる、独自に稼ぐ分野の方々ですので、御本人は自らの意思で就労するかどうかを決めることが多く、治療のための休業であるかどうかは判然としない場合があります。
 続いて、4ページ、報告の主体です。修正案では、発生場所を管理する事業者としていますが、被災者災害の状況を把握しているのは個人事業者等御本人であり、災害発生場所を管理する事業者は、休業見込み日数や傷病名等について、個人事業者等あるいは直近上位の注文者の現場代理人を通じてでなければ把握することはできません。よって、報告の主体は従来から主張してまいりましたように、あくまでも、原則として個人事業者等とすべきです。そもそも労災保険の特別加入は、御本人で加入申請する中、災害事故の報告は発生場所を管理する者に第一義的に義務化するというのは、理屈的にも矛盾があるのは明らかです。もちろん、死亡や意識不明であったり、救急車で搬送されたり、あるいは入院しているなど、報告が困難な状況が生じることも想定し、直近上位の注文者が報告を代行する等の支援を認める方式とするのが適切であり、それは当然ではあります。
 また、災害発生場所を管理する事業者が、書類の作成など所定の手続を支援することについては、現在の労働者の被災であっても、雇用する事業者が物理的あるいは能力的に対応できない場合には、その労働者傷病報告の作成等に関して、建設業の場合、特定元方事業者が全面しているのが実情ですので、それはあってしかるべきだと思います。
 その意味で、建設業の場合ですが、「事故と弁当は自分持ち」との感覚が強い一人親方の人たちの災害を減少させていくには、何よりも御本人の安全意識を高め、かつ必要な教育を受講し資格を取得してもらうことが先決ですので、比較的に薄い安全意識を今後高めるためにも、被災したときの報告主体は御本人を原則とすることが求められます。併せて、御本人が報告できない、しない場合は、自らの采配で、個人事業者等に仕事を委ねる直近上位の注文者の役割や支援を明確にすることは肝要だとは思っております。
 ここで申し上げたいのは、個人事業者等の災害発生状況を広く網羅的に把握するという目的は、参集者の皆様や厚労省の皆様とは全く同じですが、その収集するための方法論について、事務局修正案とは見解の相違がございます。すなわち、合理性や効率性という表面的な手法に基づいて、報告主体を個人事業者等との間に、何ら契約関係がない管理者に義務化するのか、それとも、事実上は経営者の立場である個人事業者等の安全意識や危険感受性を高めていくという本質論で、報告主体を原則御本人に求めるのかというところが認識の違いであると考えます。
 当方の結論的な考え方を改めて申し上げると、報告の主体は第一義的、すなわち義務者は原則として個人事業者御本人、第二義的には仕事を委ねた立場にある直近上位の注文者の支援、それが実現できない場合は、建設業でいうと、特定元方が支援することが最良であり、この形式が災害を減少するための本質論であると確信をしております。
 最後に8ページですが、第22条以外の条文に基づく措置の所で、法第25条に基づく災害発生場所等の作業場所からの「退避」については異論はございません。しかしながら、法第20条と第21条に基づく「立入禁止」については、複数の災害防止対策の1つのうちの1つが立入禁止であり、必ずしも立入禁止のみが義務付けられているわけではないことなどの条文が多いこと、さらに、例外規定や適用方法、除外規定などが設けられている条文もありますので、個別的な検討が必要である旨を主張してきたところです。その意味で、厚労省さんのほうでは、様々なお考えであると思いますので、この「立入禁止」について、一律に求める改正はいかがなものかという見解があります。
○土橋座長 ありがとうございます。事務局から何かありますか。
○船井調査官 災害報告の部分ですが、被災程度の所は、先ほど本多委員から御指摘がありました後遺症が残る、残らないとかといった切り口というのも指標としてあり得ると思うのですが、今回の報告制度を遅滞なく出していただくという意味で、労働者死傷病報告でもそうですが、災害の重さを測る指標としては休業見込み日数というのをベースに考えております。それは労災の部分、労働者死傷病報告と同じ考えでやらせていただきたいなということで現時点の案になっております。1か月程度がいいのかどうかというのは、またちょっと御議論があるところかなとは思いますので、引き続き御議論いただければと思います。
 報告主体については、先ほどの出口委員からも御指摘がありましたとおり、個人事業者自身の安全に対する意識を高めなければいけないという部分については、これは全くそうだと思っておりまして、別途の論点でもあるように、例えば、危険な機械であるとか、その使用、若しくは自主点検といった部分については、新たに義務もやりますし、特別教育も義務化するといったような形で、事業者としての側面もあるので、そこはしっかり守ってくださいということはやりたいと思います。あと、労働者的な測面としても、事業者が周知したものをしっかり守りましょうということも、法令上で規定することについても検討したい。そういったことで意識を高めるための措置というのは、今回の検討の中においても、たくさん盛り込まれているというように認識しております。
 この報告については、意識を高めるという意味で、個人事業者に義務を課すというやり方も否定しませんが、効率的に把握するという観点というのを考えた場合に、災害発生場所を管理する事業者に、一定の災害に限定したとしても出していただく、その報告にちゃんと協力してもらうということで意識を高めてもらうというやり方もあるのではないかということで、先ほどの出口委員の御質問に対して回答させていただいたところです。今日、結論を出す話でもないと思いますので、引き続きそこは議論させていただければと思います。
 もう1つ、直近上位の注文者にという話もあったのですが、その議論をしだすと、報告対象が、今はある場所で事業上で起きた災害というものに限定しているのですが、注文になってくると、では道路上の災害とかも出せるのではないかという話になって、また対象が広がるような話にもなってしまって、ちょっとそこら辺も併せての兼ね合い、どうバランスを取っていくかという話になってくるかと思いますので、またちょっと少しお時間を頂戴して再検討させていただければと思います。
 最後の別紙マル4の所です。退避の並びで、法第20条や21条に基づく立入禁止等の措置について速やかに対応するという部分ですが、これは今、手元に条文がありませんし資料としても配布しておりませんが、例えば、立入禁止に関する規定を設けている条文について、もう立入禁止だけを規制している条文もあれば、Aという措置、Bという措置、又は立入禁止と言っている措置があります。今回、手当しようとしているのは、立入禁止措置を講じる場合の条文によっては、労働者の立入りを禁止するとしか書いていない部分について、労働者に限定する必要はないのでしょうと、なので、その「労働者限定」は外そうという議論なので、立入禁止以外の選択肢があるものについて、その選択肢をなくしてしまえという議論ではありません。選択肢としての立入禁止措置を講じるときに、労働者限定というのはやめましょうということですので、御理解いただければと思います。事務局からは以上です。
○土橋座長 よろしいでしょうか。それでは、田久委員、お願いします。
○田久参集者 報告ありがとうございました。まず最初に、今回、こういった検討会の議論に当たっての前提として、最高裁判決がある中で、最高裁判決は「経済優先より命と健康を思う」という、健康が大事だという結論で判決が出されたというように思っているので、それに対しての、今回の厚生労働省のほうの案が出されてきているというような受止めをしています。実態がそうだからということではなく、議論はしていったほうがいいかなというのは聞いていて改めて思いました。
 私はこの方向で是非進めていっていただきたいということもありますが、別紙マル1の関係では、今、用語としては、報告対象として労働者と同様の死傷病報告のほうにしていただきたいということはありますが、当面こういった状況では進めていただきたいし、休業1か月以上見込みの判断ができる、できないということは、もちろん個人事業主でもありますが、現状とすると、そこまで判断しきれる、若しくは1か月休めば生活苦になってくるというのは明らかになりますから、そういう状況にならないようにするためというのも1つ、健康を守るという点でも、しっかり把握をしていくためには、やはりこの条件というのは最低限必要ではないかなというようにも思っています。
 それと、7ページの関係で、方向的にはこの方向で進めていただくということですが、必要な指導というところで、やはり、今後きちっとガイドラインや通達等と書いてあるので、そういった点では、きちっと契約書に記載をして、それを見ているから大丈夫だよねとか、掲示をしたからそれを見ておいてくれで、指導は終わりですということではなくて、やはり、しっかりとした指導ということを明記していただきたいなというのが要望です。
 あと、別紙マル4の第22条以外というところで言うと、やはり、そういった危険性というか、命と健康重視というか、それは労働者や一人親方、中小零細事業主を関係なく守るべきものだという結論に達しているのが今回の最高裁判決だというように思っているので、そういう点でもこの方向性で是非進めていただきたいというように、私自身は感じているところです。以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。それでは、山脇委員、お願いいたします。
○山脇参集者 まず、別紙マル1の業務上災害の報告の仕組みについてです。報告対象についてですが、今回、休業1か月以上が見込まれる負傷災害とされています。前回、事務局からは、休業4日以上が検討のスタート地点という発言があったと理解しており、この後出てくる罰則を設けないということ自体も疑問がありますが、仮に罰則を設けないのであれば尚更、休業1か月以上に限定する必要がないのではないかと考えています。
 先ほどの説明では、休業1か月以上とした場合のカバー率は50%強という話でしたが、そもそも50%という数字が適切なのかどうかを含めて、次回エビデンスを出していただいた上で、議論を更に深めてはどうかと思っています。また、管理者に個人事業者の災害防止の一翼を担ってもらうという本検討会の趣旨に鑑みると、ヒヤリハットを含む事例の収集に努めるということが大事だと思っています。休業が1日でも発生する場合については、仮に義務化が難しいということであれば、努力義務を課すことも含めて検討する必要があるのではないかと思います。
 なお、今回、被災者が業務と関係ない行為で被災した場合は、報告対象外となっていますが、その判断自体は誰がどのように行うのか事務局にお伺いします。現在でも労災隠しといえる事案が多数起きている実態を踏まえると、この記載があることで抜け道になってしまうことを懸念しています。
 続いて、報告主体についてです。報告主体については、これまでも申し述べてきているとおり、事業者に負ってもらうべきというのが基本的なスタンスです。その上で、4ページでは、管理する事業所に一律に報告を求めるということは適当でないということが記載されており、そのこと自体は理解します。ただ、報告主体となり得る者が複数にまたがると、両者が報告を押し付け合う、あるいは当該事項について誰も報告を行わないことが起こる可能性も否定できません。誰かが必ず報告を行う仕組みとなるように、管理者の定義について明確にしていただきたいと思います。
 罰則の関係は、実効性の確保が一番重要だと考えています。今回、情報提供の仕組みを設けることが実効性の確保につながるという文脈で資料が記載されていますが、私自身の理解が十分に進まなかったので、もう少し御説明いただきたいと思います。
 次に、別紙マル3の「保護具や作業方法の周知」の関係です。これまでの議論を踏まえて、「周知内容を実施していない者には作業させない」ことについて、実態として多くの作業場で行われているとしたうえで、災害防止上望ましい旨を記載いただいたことは前向きに受け止めたいと思います。実態として多くの作業場で既に実施されているのであれば、罰則を設けるかは別として、義務化することは可能ではないでしょうか。義務化が不適当とされる理由、背景について改めて伺いたいと思います。仮にどうしても義務化が困難であるならば、まずは努力義務からスタートするという方法もあり得ると思います。
 続いて別紙マル4の「第22条以外の条文に基づく措置について」です。今回、事務局案マル1では、「災害報告制度に基づいて改正の必要性を別途精査する」とされています。ただ、それぞれ見ていくと、「高所からの墜落」、「挟まれ、巻き込まれ」、「高圧電路への接触による感電」など、ここに記載されている事故は決して新しい類のものではなく、従来から起こっている災害ばかりです。改めて今回の災害報告制度に基づく分析を行わなくとも、これまでの蓄積で十分に分析・判断は可能だと思います。この災害報告制度に基づかなければ次に進めないとする事務局の考え方を改めて伺いたいと思います。仮に事務局から提示されているやり方で見直しをするならば、一定期間というのはどの程度をイメージしているのかについても教えていただきたいと思います。
 別紙マル5「長時間の就業による健康障害について」ですが、就業時間が特定されない場合であっても、発注者に対応を求めていくとする方向性については賛成の立場です。その上で、実効性をいかに確保するかが大変重要だと考えています。資料としてお配りいただいたフリーランス新法の附帯決議第3項において、「安全と衛生に配慮し、心身の健康を害する就業時間とならない日数を設定するよう必要な措置を講ずること」とされておりますので、ここについては配慮義務ではなく措置義務とすることも含めて御検討いただきたいと思います。
 続いて、別紙マル6の「メンタルヘルス不調」です。ここも、先ほど申し述べたフリーランス新法の附帯決議の第11項では、ハラスメント再発防止対策は特定業務委託事業者の義務であることを指針等で明確化するとされていますので、こちらの検討会でも是非そのことを検討していくべきと思います。
最後、別紙マル7の「健診費用を安全衛生経費とすること」については、事務局からお示しいただいている契約に盛り込むことに大いに賛同の立場です。その上で、今回、事務局からは、経費に盛り込む条件として反復・更新を要件として課すとしていますが、反復・更新を誰がどのように判断するのかという点を伺いたいと思います。要件の設定によっては、結果として経費計上につながらない可能性もあるのではないかと思います。
 また、ここでは健診費用に限定して安全衛生経費の計上について記載されていますが、そもそも何が安全衛生経費に当たるのかということ自体も改めて示していくことが重要ではないかと考えます。フリーランス新法の附帯決議第2項でも、「安全及び衛生に係る必要な経費が確保されるよう、本法に基づき必要な対応を検討すること」とされており、本検討会においても措置義務も含めて検討していく必要があると考えています。以上です。
○土橋座長 御意見を頂きました。質問もございましたので、事務局からお願いいたします。
○船井調査官 御質問ありがとうございました。多岐にわたるので、もし漏れがあったら言っていただければと思います。まず、災害報告の部分で、報告対象について50%以上は確保できているのでというお話をさせていただきました。次回以降エビデンスをということでして、どこまで出せるかというのはあるのですが、言ってしまうと決めの問題のようなところもありますので、少し考えるお時間を頂ければと思います。何か建設的な議論ができるベースが出せればなと思っておりますので、ちょっとお時間をください。
 被災者が業務と関係ない行為でというのを誰がどのように判断するのかという部分ですが、業務と関係ないことが明らかなものは出さなくていいという言い方をあえてさせていただいたのは、ちょっと迷いがあるというか、微妙な所は基本出していただくのがいいのではないかなと。出すときに、例えば死亡災害という形になると、被災者の方から情報が上がってこなくてもおのずと分かると思うのです。その際に、どういう状況だったのかというのは、周りから聞こえてくる中で出す、出さないという判断ができると思います。そうではない部分については、被災者からどういう状況でという報告が上がってくるような仕組みにしたいと思っておりますので、それを見て御判断ということになると思います。そこで疑義があれば双方で話してということになるのかなと思っております。
 報告を押し付け合う、報告しないということがないように、報告主体が複雑にならないようにということですが、まずは災害が発生した事業場全体を管理する方がというのをお示しさせていただいた上で、こういうケースはこうですよというケースを分かりやすく示すことによって、そういう誤解がないようにできるのかなと思っております。そこら辺はまだ議論の途中ですが、こういう形になったということであれば詳しくお示しさせていただきたいなと思っております。
 報告制度とは別に情報提供の仕組みを設けていることが、報告制度の実効性向上に資するという部分ですが、ここのロジックというか、いろいろなケースがあると思うのです。例えば、被災者自体は業務が原因で被災してしまった、これを監督署とかにもちゃんと知ってもらって、その実態を調べてほしいと思うと。だけれども、たまたま発生場所が管理する事業者が注文者であったとすると、それを隠されてしまうということがあると。隠されることがないように、被災者自体も監督署に直接情報提供できるのだよと、そういう仕組みがちゃんと法令若しくは通達など、どういう形かは別にして明文化されていることによって、余り言い方は良くないですが、それなりのプレッシャーを報告主体というのは感じていただけるのではないか。自分が出さなくても情報提供されて、場合によっては監督署が来る可能性もあるのだと、そういう形で、どうせ出さなくても分かってしまうのだったら、しっかり正しく出しておこうというモチベーションが働けばよいかなということで、書かせていただいております。
 あとは、周知の所、作業方法とか保護具の周知について、罰則付きは難しくてもなぜ義務化できないのかということです。もともとこの周知については、最高裁判決を踏まえて改正した省令で義務化したわけですが、この省令というのは、全文安衛法第22条に根拠を持っており、その時点で罰則付きになってしまうのです。その条文を何かいじろうとすると罰則付きになってしまうというところがあって、これはテクニカルな話ではあるのですが、まずそういう事情があると。
 もう1つは、論点のペーパーにも書かせていただきましたが、個人事業者と指揮命令関係がないというのが1つと、個人事業者も事業者としての立場をお持ちなので、周知された事項について、守る、守らないも含めて御判断というのがあるのだと思うのです。安全衛生、自分の身を守るという部分においては、事業者の立場としてもしっかりやっていただかなければいけないと思っております。ただ、今現在の安衛法には、そういった規定は特にありませんので、マル2の所にあるように、自分の身を守るために、しっかりやるべきことはやってくださいということを併せて書くことによって、御自身の判断というのはあるのでしょうけれども、守るべきことは守ってくださいというのを後押ししたいなと思っております。
 9ページの、災害報告を踏まえて精査して必要なものを改正していくという部分についてですが、御指摘のように、ここに書いてある高所からの墜落、転落という災害は従来型の災害でして、労働災害であれば我々もたくさん把握しております。ただ、こと、個人事業者ということになると、この検討会立ち上げのときにもいろいろ御指摘いただきましたが、一部は把握できているのですけれども、全体的には余り把握できていないという部分があって、それゆえ報告制度を作ったというところもあります。
 では、墜落した災害というのは、今把握している個人事業者の死亡災害だけでいいのかという話もあって、そこは程度問題というのはあるのかもしれませんが、新しい報告制度で一応、幅広に把握して、その結果を踏まえてというスタンスで考えております。期間については、今時点で何年というのははっきり申し上げられませんが、過去のこういう実態把握して結果を踏まえてというやり方でいうと、例えば3年とか、その3年の状況を見てもう少しとか、過去の例を踏まえるとそういった形があり得るかなと考えている程度です。今時点で決まった年数というのは考えておりません。
 フリーランス新法若しくはその附帯決議を踏まえたという部分ですが、フリーランス新法の附帯決議を踏まえて安衛法で何か義務化するとか、そういったところまで踏み込めるかというのは、なかなか難しいかなと思っております。というのも、参考資料マル2でお配りしておりますが、何回かのフリーディスカッションを踏まえて、この検討会の結果をどのように形にしていくかという観点でいうと、まず最高裁の判決とか、安衛法の立て付けというのを踏まえて、基本は労働者保護という形でやってきたのですけれども、雇用に着目した規制以外の規制も幾つか存在すると。一方で最高裁においては、労働者と同じような場所で働く労働者以外も、作業に従事する方については保護する趣旨なのだというのが示された。これを踏まえてどう捉えていくかというと、労働者と同じ場所で働く人を守っていくということです。
 労働者と異なる場所で働く人についても、保護すべき水準、享受すべき水準というのは労働者と変わらないでしょう。では、その水準を誰がどう役割分担して確保していくかということになると、個人事業者自身が健康を確保するというのは新たな視点なので、安衛法の法制でやるのは難しいのでガイドラインでやりましょうと。注文者とかに何かを求めていくという部分についても、安衛法というのがフリーランスとかを普遍的に守る法律だとまではなかなか言えないので、既存の枠組み、発注者注文対策の中で、そういったツールをうまく使って対応していきたいと考えております。ということになると、今ある第3条第3項を活用するとか、それにひも付けたガイドラインとかで指導していくなど、そういった形になるのかなと現時点では考えております。検討会の中でも少し触れましたが、もうちょっと先の将来的な検討課題という意味では、こういったフリーランスの動きなどもしっかりウォッチしていきたいと思っております。その旨も論点には書いていたところです。ちょっと漏れがあるかもしれませんが、以上です。
○土橋座長 よろしいでしょうか。それでは、オンラインから三柴委員、お願いいたします。
○三柴参集者 聞こえていますか。
○土橋座長 お願いいたします。
○三柴参集者 事務局案ですが、よく練られていると思います。今後の状況に応じた検討を前提に、全体に賛成いたします。まず、資料2の別紙マル1ですが、重篤度については、特にフリーランスについては完全なデータを取ることは困難な中で、最大限報告の実効性を高めるという点で事務局案は妥当であろうと思います。個人事業者等特有の事情というのはいろいろあると思いますが、個人事業者等のそのレベルでの災害傾向をつかむためにも、制度としては休業1か月は妥当だろうと思います。建設業界から出された高齢労働者の例も、それはそれとしてデータをつかむ必要があると思います。災害報告と法的責任というのは異なるものですし、罰則を付けなくても義務にすれば行政上の措置は可能です。結局、鹿野委員がおっしゃっていたように、制度としてのバランスの問題だろうということで妥当だろうと思います。
 個人が権利として報告する場合の基準について、事務局案が示されていたかはちょっと記憶がないのですが、基本は休業4日以上でいいのかなと思います。それより軽い場合にも、監督署等に相談はできると通知されてはいかがかなと思っております。それから、報告主体ですが、報告を個人事業者等のみに課せば、報告によって仕事を得られなくなる、または面倒と考えるなどから、実効性の観点でも難しいだろうと思います。場の管理者による統括管理というのは、現段階でも制度でも実態でも存在するということは、建設業界から以前、御報告を頂いたところでもあると思います。また、外国の制度例でもあるということで、事務局案を妥当と考えます。
別紙マル3です。ガイドラインでも民事上は事案によっては限りなく義務になることを踏まえますと、スタートラインとして強行的な措置を取らないということについては、制度的なバランスとして賛成いたします。最後に、別紙マル7です。IT業界から、安全費用を盛り込むことで仕事を得にくくなってはいけないという御発言がありましたが、事務局がおっしゃったように、安衛法第3条の解釈指針にも既にありますし、制度としての普及によって常識を変えていく必要もあるだろうということから、事務局案を妥当と考えます。以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木参集者 御指名ありがとうございます。私からは、別紙マル1の業務上災害の報告の仕組みについて発言いたします。4ページにございます事務局の修正案については、これまでの議論を踏まえて配慮を重ねていただいているものとは理解しております。しかしながら、私どもが複数の業界団体にヒアリングをさせていただいたところ、災害発生場所を管理する事業者が、個人事業者の災害の状況や原因を把握することが難しいと考える業界は少なくありません。また、一部の業界では、個人事業者が被災した場合に、直接契約している事業者が災害状況を聞き取り、必要な範囲での協力を行っている事業者もあると聞いております。業種・業態によって多種多様な実態がある中で、個人事業者の被災状況を広く把握する仕組みをワークさせるためには、個人事業者自身を報告主体とすることが適当と考えておりますし、先ほど他の委員から発言のあった1か月未満の努力義務についても反対いたします。
 最後に全体的なコメントとなりますが、制度というものは、実効性を確認した上で適宜見直すべきものだとは思っております。ただし、3ページの枠囲みの上の最後の文章に、「まずは、以下のような内容としてはどうか」と、「まずは」という言葉が入っております。また、先ほど田久委員からも、当面はこの案で進めてはどうかという趣旨の御発言があったところです。報告の義務化という議論がある中で、今の時点で将来的な見直しを含む形で議論が進むことについては、少々違和感があるということを申し添えたいと思います。私からは以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。そのほかの御発言はございますか。清水委員、お願いします。
○清水参集者 資料2の6ページの労働者が個人事業者として兼業を行っている場合の取扱いについての所で、事務局案の個人事業者が労働者としても就業している場合の過重労働により脳・心臓疾患及びという所で、業種・職種別団体に加入をさせる。事業者が当該個人事業者による報告を代行する等の支援をすることができるという案は非常にいいと思います。ただし、運送の場合だと、EC物流によく個人事業主は対応されて、今後もECの物流、個人事業主に対する規制が緩和されるということで、ますますこの事業者が増えてくるのですけれども、団体にも属さないし、個人で企業と契約を結んで請け負っていくという形が多い中で、どこまで本当に管理ができるかなと。あとは、その加入させるというのも、義務化とか法制化をしていかないと、もう間に合わないぐらい業者が増えていくのかなというように思います。
 2024年問題に差し掛かって労働時間の短縮がされる、特に重く伸し掛かってくるのは法人事業者になるのですけれども、やはり個人事業主の場合は、ほとんど時間も管理されないで健康問題、健康診断とかも管理されない中でやっていくので、EC物流の荷主というのが個人事業主に加担していく、もっとニーズが広がると思うのですね。
 基本的な運輸行政の中で運行管理における労働時間管理や点呼、健康診断等の義務がなされていない事業者と同じ公道で商売をしていくというのは、ちょっと不公平だなと。事務局案もあるのですけれども、速効性という意味では、やはり荷主側が配車のダイヤグラムを組んでいるということも考えて、荷主側が責任を持って管理することが重要であると考えます。
 それからマル3、「保護具や作業方法の周知」を行う場合の措置についてですが、事務局案は非常にいい考えだと思います。ただし、運送の場合で言うと、そもそも法人事業者における保護具や作業方法の周知を行うというよりも、実際には契約の中にない付帯作業が行われているということが多い。待機時間であるとか、フォークリフトによる作業、機械運搬群による作業というのが発生しております。標準的な運賃の制定もありますので、この付帯作業をそもそもなくしていけば労働災害も発生しないと思いますし、あるいは標準的な運賃の制定にのっとって有償化をして、作業を行って、正しい作業方法を周知していただくということが大事なのかと思います。ここが実際に運ぶ荷主と着荷主という関係、要は、荷主のお取引先なわけですけれども、そこに規制が図れないということが今のジレンマを生んでいることになっているので、そこの着荷主側の付帯作業というのも罰則付きとは言いませんけれども、法制化をしていただいて、早期解決を望みます。以上です。
○土橋座長 運送事業関係から御意見を頂きました。ほかはいかがでしょうか。青木委員、お願いします。
○青木参集者 住宅生産団体連合会の青木と申します。今回の案に関しましては非常によく練られた形で、全般的には賛成という形で表明したいのですが、ただ、別紙マル1の3ページですけれども、もともとの災害の実態把握ということに目的を考えるとすると、休業1か月以上という形で切ってしまうというところがちょっと、やはり気になります。全体の52%をカバーというようにおっしゃっていましたが、先ほども御意見がありましたように、本当に52%でいいのかという感覚もいたします。
 また、災害の発生件数というか、その、いわゆるピラミッドの頂点が死亡だとすれば、それ以下に非常にたくさんの細かなところがあって、やはりそういったところを拾って初めて実態というものが全般像として見えるような気がいたします。そういった意味合いでは一般的な4日以上でもいいのではないかという感じがいたしまして、先ほどもお話がありましたように、罰則規定もなしにしていただいたのであれば、4日以上で、なおかつ、どれだけ把握できるか、若干、漏れがあったとしても、やはり軽微なものも含めて集めたほうがいいのではないかと思います。
我々として懸念していたのは、漏れがあると罰則で、若しくは指導でやられるのではないかというところであります。もし、それがないのであれば、全て網羅できなくても、把握できる範囲で、細かいものも含めてというように考えてもいいのではないかなと思いました。住団連では去年の災害状況を今、集計中ですけれども、細かいところの災害がかなりあって、それが結果として死亡事故になるかならないかというのは、本当にたまたま大丈夫だったとか、たまたま亡くなってしまったとかということが結構あるかと思います。したがって結果だけで見るのではなく、その過程を検討できるような多くの情報を集めて、その上で、明確な対策が打てるような形にしたほうがいいのではないかと感じました。以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野参集者 ページで言うと、3、4ページについてです。1つは、災害の事例の把握報告につきましては、改善あるいは対策ということに結び付けていくのが当然でございまして、ある意味、先ほどの御説明では、約4日以上で、年間15万件でしたでしょうか、という御説明がありました。1か月というように今度、条件を付けますと、半分強が、対象になるということでしたけれども、基本的に余暇のハインリッヒの法則とありますように、重大事故にやはり小さい事故というものを潰していくのが最大の防御になっていきますので、この1か月というのは相当の重症だということを考えれば、もう少し対象を広げて、細かな事故でも集めていくほうが全体の災害を減らす術になってくるのではないかという気がします。
 4ページです。報告の主体でございますけれども、それは、まず、当人というのは当然あるのですけれども、それはここに書いてございます。そのほか、基本的にその災害が起きた場合の状況や、あるいはその設備だったり、あるいは改善点に結び付けるということであれば、その現場を管理する人たちが報告してもらわないと、どうにもならないと。特に運送の場合にはそう思います。例えば荷主の工場での出荷施設であったり、あるいは届出先地であったり、納品店舗先であったり、そういった所につきましては、本当に運送からみると、手出しができない部分になってきますので、そういう点で見ると、本人のほか、やはりその場所を管理する人たちが、その実情をよく知っているという点がありますので、そういう点では、そこでしっかり罰則なしですが、報告義務を持っていただくというのがいいのかなと、一番の効果があるのかな。改善の意欲も出てくるのかなと思いますので、これはこれでいいのかなと思います。以上でございます。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。ほかに御発言はございますでしょうか。安井対策課長どうぞ。
○安井化学物質対策課長 事務局の立場ではなくて、特に別紙マル1につきまして、報告者について意見の隔たりが大きいものですから、ちょっとそれを解きほぐす観点で建設業のことでお聞きしたいのですが、今まで、ずっと御議論されている中で、例えば事業場に入るときにはヘルメットだとか、安全帯とか入っていない人が現場に入れないとかというのはもちろん、一人親方さんであろうがなかろうが変わらない、それは仲間としてやっているのだというような御発言もありましたので、もちろんそういう意味において管理権限の行使されているというのは、そういう認識はあると思いますけれども、ただ、今までの御発言を伺っていると、その管理というのが、ものすごく外形的な管理にとどまっていて、ヘルメットを付けているかどうかとか、あるいは出口さんもおっしゃっていましたけれども、どなたが個人事業主なのであるかも分からないと、一見しては分からないと。そういった状態でそのレベルの管理をしているという範囲の責任と比べて、いきなりその報告をするという、その義務の重さというのが見合わないという御主張のように捉えつつあるのですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
○土橋座長 建設関係の方で、何かございますか。
○本多参集者 御質問の意味がよく分かりません。
○安井化学物質対策課長 要は、管理をするという、現場の管理は当然、元請さんはされているではないですか、しますよね。だから管理をするということについては、もちろん権限を行使するわけなので、要するに、場合によっては事業場に入場させないということも含めてやっているので、その権限を行使する範囲内において、一定責任が発生するのは通常ですよね。ですので、実際に行使している権限と、実際に発生する責任というのは、ある意味、対のものになるということだと思うのです。では、その実際、行使している権限のレベルが、今、元請さんとしては重層下請構造の中で限られていると。例えばヘルメットとか、それをちゃんと付けているとか、そういう程度の管理になっている中で、そういう実態と、その権限の行使に関する責任と比べて、個人事業主の災害を報告するという義務が見合わないということ、マッチしないというか、そういう御主張のように受け止めてきたのですけれども、そういう感じですか。
○本多参集者 日建連の本多でございます。御質問の回答になるかどうか分かりませんけれども、現状でも多くの特定元方は一人親方のけがであっても、監督署に報告に行くのは一般的に比較的やっております。ですから、報告することを否定しているわけではないのです、元請として。それをなぜ法令で主体を元請にしなくてはいけないのかというところですね。
 先ほど発言した内容の繰り返しになりますけれども、本質は被災した方が報告をすることにするのが妥当ではないかということなのですよ。支援するのは今までも同じようにやっているわけです、労働者に関して。なぜ個人事業者の場合は、自らを守るために労災加入も御自身でやられているのに、報告について、それをなぜ第一義的にできないのだろうなという話を申し上げております。拒否しているわけではないのです、先ほども申し上げましたように。普段の安全管理の話とは別ですね。
○安井化学物質対策課長 今の御発言、私の考えと、実は遠くないのですけれども、要するに、一般の下請の方であれば、事業者が当然報告するのに、個人事業主になったら、なぜ突然、その責任が元請にくるのかという、そういうことですよね。
○本多参集者 そう。罰則がなくても、防御体制です。省令改正ですので。
○安井化学物質対策課長 実際に自分たちが行っている管理権限と管理のあり方と、相容れないという、重層下請というのを前提にしてということですよね。だから、それは建設業について、ある意味独特というか、建設業の状況を前提にした御意見ということですよね。
○本多参集者 もちろんです。
○安井化学物質対策課長 分かりました。
○土橋座長 よろしいでしょうか。青木委員、お願いします。
○青木参集者 住団連の青木です。住宅業界の場合のお話になりますけれども、住宅業界では、元請である、いわゆる大手ハウスメーカーは直接、当然一人親方を雇用していませんので、下請の工務店さんがやっているということになりますが、ただ、一人親方の4日以上と言わなくても、1日以上でもいいのですけれども、被災状況は全て把握しています。したがって、その把握しているものを報告するということは全く問題ないのですけれども、ただ、その把握しているものが100%かというと、それは、正直、分からないというのがあります。それは個人事業者が隠していたら、結局、上がってこないということになりますので、その辺りで個人事業者の報告が上がらないがために、例えば報告を元請が義務化されるということになってしまうと、分からないのに義務化されたということで、報告がないから、例えば先ほど申し上げたように罰則だとか、指導だというように言われると困るなというところがあるだけなのですね。分かっているものを単純に報告するだけでよければ、それは全く問題ないというように考えております。ですから、そういった意味合いでは必ずしも報告主体が個人事業者でなければいけないとか、若しくは元請でなければいけないとか、そういったところは、どちらでもいいかなと考えております。
○土橋座長 御意見ありがとうございます。
○船井調査官 事務局から1点補足でございますが、やはり建設現場特有の問題なのかもしれないのですけれども、まず1つは、誰が報告しなければならないというのは、これはこの検討会も大分議論しましたけれども、個人事業者の災害報告という意味では、決まっていないというところがスタート地点にありまして、では、その中で誰に報告してもらうのが一番効率的かというのを考えたときに、個人事業者とか、元請とかそういう形ではなくて、個人事業者が被災した場所を管理している事業者なのではないか、建設業の場合はそれが元請にたまたま業態として一致してしまうので、これは語弊があったらあれですけれども、元請の責任を強化するとか、そういう意味合いでは全くないので、そこは御理解いただきたいと思います。
一番しっくりいくのは陸運業の場合で、着荷主で起きた災害を着荷主の事業場を管理する事業者に出してもらうというのは、これは先ほど御意見がありましたとおり、非常にすっきりしているというような御意見だったと思いますので、個人事業者の義務を元請が肩代わりするとかということではなくて、災害発生場所を管理する事業者さんに出していただくということなので、そこはちょっと誤解がないようにしていただければなと思います。同じことではないかと言われたら、建設業界にとっては同じことなのかもしれませんけれども。
○土橋座長 本多委員、お願いします。
○本多参集者 今、事務局から御説明があったとおりでして、私どもとしては、同じことという認識はします。幾ら罰則がなかったとしても、改正されるわけですね。そうすると、報告、是正勧告の対象にももちろんなるのですね。指導だけでは済まない、是正勧告だ、ということはコンプライアンスを違反しているという認識立たざるを得ないのですよ、それが1つと。もう1つは、鈴木委員も先ほどおっしゃいましたけれども、「まずは」というところはとても引っ掛かります。「まずは」、何なのだろう。非常に大きいです。
○船井調査官 もう一点補足をさせていただきますと、「まずは」というように書いたのは、これは非常にいろいろな御意見があったのですが、全く新しい仕組みなので、それぞれのお立場でいろいろなやり方の御提案をされたのですけれども、「まずは」といったのは、これから先、何かもっと強化することを見据えているとかということではなくて、今、置かれた現状の中で、いかに効率的にやるかということを考えたときに、落としどころ、妥協点と言ったら言葉が悪いかもしれませんけれども、現実的なところとしては、これなのではないかという意味で使わせていただいております。ですので、何か先があるというような、かんぐりと言ったらあれですけれども、そのように言われると、ちょっと、つらいところがあるかなというところです。
 もう1つは、個人事業者の方が実際に被災されて、罰則ということをおっしゃったのですけれども、被災されたときに何も上がってこなくて、非常に重い災害なのだけれども、独りで帰ってしまって、災害発生事業場を管理する人は全く知らなかったと。それがどこかで分かったといったときに、そのようなときにまで是正勧告をきるだとか、違反を問うということまでは考えておりませんので、では、それを外形的にどう担保するかみたいな話があると思うので、今、考えているのは、先ほど被災した個人事業者が報告に協力するといったようなことも決めたいというように申し上げたものは、もうちょっと外形的にその協力の形が残るような形が何かできないのかな。例えば災害発生場所を管理している人に災害があった旨を伝達する、若しくは報告事項に協力するような何かフォーマットみたいなのを示して、それを渡していただくとか、そういうようなものももらっていなくて、何も情報がないのですという事業者さんに対して、何か強力に指導するとかということは考えていませんので、そういうのが外形的に分かるような形にしておけば運用上うまくいくのかなと、担当レベルでは思っているので、また、ちょっと時間を頂いて、少し詰めたいなと思っていますけれども。
○土橋座長 田久委員、お願いします。
○田久参集者 先ほど鈴木委員から、当面という言い方というか、先ほど言ったように、全く事務局で言われたように、実態というか、調査することがなくて、建設でも建設職人基本法ができる際に初めて死亡災害が出てきたというぐらいで、労働交渉などしても、全然把握していなかったというのが実態でありました。今回もヒアリングを聞きながらもそういった意味では、多くの団体がそういった把握ができていない部分であれば、一定ルールをつくってということの中では、実効性あるものとしてやっていくということでは、この案で私はいいのではないかという意味で答えをさせていただいたということであります。なかなかそういった意味では、要望とすれば、私自身も労働者と同様の4日以上ということがあるのですが、着地点も含めた皆さんの御意見を頂く中では、事務局案で出されたところで進めていき、実態把握をして、どう対策をするかということを、まずやっていくべきではないかということで意見を言わせていただいたということです。
○土橋座長 ほかに御発言はございますでしょうか。日下部委員、お願いいたします。
○日下部参集者 今までの御議論を聞いていて、項目マル1~マル6は、実効性を高めるために、業界の御意見を伺いながらまとまっていくのかなと思いましたが、別紙マル7の議論については、今の事務局案だけでうまくまとまるのかなと多少疑問に思うところがございまして、例えば業務実態として個人事業者が複数の有期の契約をパラレルにやっている場合、この2つの区切りだけでうまく整理できるのかなという気がします。さらに詳細な検討を進めていただきたいいう印象を持ちました。以上です。
○土橋座長 御意見ありがとうございます。そのほかの御発言はございますでしょうか。今日もいろいろ御議論できまして、いずれにしても、今、枠組みがないところに新たに制度をつくろうというお話ですので、いろいろな立場から、いろいろな御意見があるというのは当然でございまして、かなりまとまってきたとは思いますが、更に議論、検討を進めていきたいというように思います。議事(2)は以上でよろしいでしょうか。それでは、他方面から様々な御意見を頂きまして、ありがとうございました。事務局におきましては、本日の議論を踏まえた整理をお願いいたします。それでは最後になりますが、「その他」として事務局からございますか。
○船井調査官 連絡事項ですけれども、正式には後日、改めて御案内させていただきますが、次回は5月29日の午後に開催を予定しております。本日、いろいろ御議論を頂きまして、次回以降、議論する際の追加の観点も示してほしいというようなこともありましたので、次回に向けて、また準備をさせていただきます。その段階でまた御相談させていただくこともあると思いますが、委員の皆様におかれましては、よろしくお願いします。最後に、本日の議事録につきましては、委員の皆様に御確認いただいた上で、公開することとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。
○土橋座長 本日は長時間にわたりまして活発な御議論を頂き、ありがとうございました。それでは以上で、第11回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を閉会いたします。どうもありがとうございました。