第88回がん対策推進協議会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和5年4月28日(金)16:00~18:00

場所

オンライン開催

議題

  1. (1)第4期がん対策推進基本計画について
    • ロジックモデルについて
  2. (2)個別事項について
    • 患者・市民参画について
    • 患者体験調査について
    • 診断・治療が特に困難ながんについて
  3. (3)その他
    • がん研究10か年戦略の見直しについて

議事

議事内容
○原澤がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第88回「がん対策推進協議会」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます健康局がん・疾病対策課、原澤でございます。よろしくお願いいたします。
 なお、本協議会はYouTubeにて配信をしておりますので、その点を御承知おきください。
 また、健康局長は公務のため欠席とさせていただいておりますので、御了承願います。
 まず初めに、委員の出席状況について確認させていただきます。本日は、佐谷委員より御欠席の御連絡を、木澤委員、谷口委員より途中での御退席との御連絡をいただいております。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございます。
 議事次第、資料1から資料11まで及び参考資料1から参考資料4までがございますので、御確認ください。
 また、本日は参考人としまして、国立がん研究センターがん対策研究所副所長の祖父江友孝参考人、国立がん研究センターがん対策研究所医療政策部長、東尚弘参考人に御出席いただいておりますので、御承知おき願います。
 以上で冒頭の事務局からの御説明とさせていただきます。
 また、以上をもちまして撮影は終了とさせていただきますので、これ以降の映像等の使用はお控えいただくように御協力をお願いいたします。
 それでは、ここからの進行について、土岐会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土岐会長 皆様、よろしくお願いいたします。
 本日は、第4期のがん対策推進基本計画が閣議決定されてから初回の協議会となります。
 それでは、早速お手元の議事次第に従って会議のほうを進めていきたいと思います。
 また、今日は資料5にロジックモデルにつきまして、皆様から非常に多数の意見を頂戴しております。こちらも踏まえてできる限り多くの委員から意見を頂戴したいと思っております。簡潔に御発言いただきますよう、よろしく協力をお願いいたします。
 それでは、議論に先立ちまして、資料1、資料5について事務局より簡潔に説明をよろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 それでは、資料1を御用意いただければと思います。「第4期がん対策推進基本計画について」という資料でございます。
 1枚お進みいただいて1ページ目を御覧ください。今、土岐会長から触れていただきましたように、おかげさまをもちまして令和5年3月28日に第4期がん対策推進基本計画が閣議決定されました。先生方に御尽力いただきましたがん対策推進基本計画の案を基にして策定されたものでございますので、この場をお借りして厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 この内容に沿いまして今後6か年で対策をしっかり進めていくということが我々事務局での課題だと認識してございます。こちらの概要紙につきましては、先生方は既に御存じのところなので、念のための確認程度ですが、全体目標として、一番上に記載しております全体目標を掲げた上で、3つの柱を立てて、基盤とともに、各分野別の施策として位置づけているという構造になっていますので、御承知おきください。
 2ページ目にはがん対策推進基本計画の見直しのポイントということで、予防、医療、共生、基盤のところでそれぞれポイントを示させていただいていますので、御参照いただければと思います。
 そこから先の3ページ目から6ページ目までには4つのセクションです。最初の3つの柱、がん予防、医療、共生という順番でそれぞれ1枚紙をまとめているのと、基盤の部分についても6ページ目に1枚紙としてまとめておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 本日御議論いただきたいのは7ページ目のところになります。このスケジュール自体を御議論いただくというよりも、御覧いただきますとおり、令和4年度中に第4期がん対策推進基本計画を閣議決定しておりまして、今後6か年でお示しのようなスケジュール感で進めていくものと考えています。まず最初にポイントになりますのは、令和8年度を目途に中間評価に関する議論を行って、中間評価報告書を今回やっていただいたように整理して、次期の計画策定に向けた議論を進めるというのが大きな流れとして存在しています。その前提となります中間評価のときに用いる指標と、その指標を用いて作成しているロジックモデルについて、現時点では年末まで御議論いただいた暫定版という状況になっておりますので、こちらを御議論いただいて、今、固められる部分までしっかり固めて、現時点でのロジックモデルと指標というものを確定させるということを本日より実施したいと思っています。その御議論をしていただきたいと考えているところでございます。
 資料そのものの御説明はいたしませんが、資料2にがん対策推進基本計画、第4期の本文と、資料3、資料4として基本のロジックモデルと指標一覧をお示ししておりますので、こちらは御議論の中で御参照いただければと思います。恐らく既に全体をお目通しいただいているものと思いますので、説明そのものは割愛させていただきます。
 それでは、資料5の御紹介でございます。資料5につきましては「ロジックモデル・指標(案)に対する事前提出意見一覧」という形で頂戴してございます。こちらも全て御紹介することはいたしませんが、2ページ目よりロジックモデル・指標全体に関する御意見から始まりまして、3ページ目以降、「がんの1次予防・2次予防について」といった形で、予防、医療、共生、基盤という順番で各領域のロジックモデルや指標に関する事前にいただいた御意見を整理してお示ししておりますので、議論の御参考としていただければと思います。
 資料1と資料5に関する御説明は以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、資料6につきまして祖父江参考人より御説明をよろしくお願いいたします。
○祖父江参考人 紹介いただきました国立がん研究センター副所長の祖父江です。
 本日、「ロジックモデルの目標と評価の考え方(案)」を説明させていただきます。本年度から厚労科研で「がん対策推進基本計画におけるロジックモデルの構築・改善に関する研究班」というのが立ち上がりまして、その研究代表者をやっておりますので、その立場での説明をさせていただきます。
 最初は、昨年の11月にロジックモデルの紹介をしたときに使用したスライドです。ロジックモデルの目的としては、全体を図示して把握するということ。それからアウトカムを重視して共通認識として共有するということ。個別施策とアウトカムのつながりを確認することで個別施策の適切さを検討する。最終的に指標を設定して、評価につなげるということが目的であります。
 今回のロジックモデルの要素としては、個別施策とアウトプット指標、中間アウトカム、分野別アウトカム、最終アウトカムというコンポーネントにしています。こちらが施策の直接成果。それから対象者に起こった変化としてのアウトカムを提起すると。それぞれ個別施策ごと、分野ごと、対策全体のアウトカムというふうに位置づけます。
 特に重要なのが指標というものでありまして、これを公開されたデータソースから基本持ってきます。適切な目標値が設定可能なものはそれを中心に検討します。指標のデータソースとしては、通常、死亡、罹患、喫煙、検診受診、こういったものの率でいきますと、がん登録とかその他の既存統計をデータソースといたしますけれども、患者体験指標等については、特別にこの目的で調査をするという患者体験調査、あるいは遺族調査というものは実は国立がん研究センターが委託を受けて独自で行っているものです。ですから、ここに関しては割と指標を新しく設定することに関して対応可能な調査であります。
 都道府県単位で評価ができる指標が望ましい。必要に応じて格差を検討するということで、今、二次公募で研究班を公募しております。全体の指標数については管理可能な数にとどめたいというところであります。ここまでが前回の資料でした。
 先ほどもスケジュール案に出ていましたが、今までの1期、2期、3期と中間評価というのがおおむね3年目以降といいますか、4年目にかかるところで行われています。3期目がちょっと遅れて、ほぼ最終評価のところで行われてしまいましたが、今回できるだけ従来の中間評価のタイミングで行いたい。早速ですけれども、指標の確定とか、ベースライン値のデータの収集とかいうことが今年度始まりますし、中間評価の前の1年間にかけてはデータの収集・分析が必要ですし、最終のところでも、さらにそのときの最新値を用いての評価を行うということが想定されます。
 ですから、評価のタイミングとしてはおおむね3年後、それから最終年度というところでの実施を計画しますし、その際の評価の方法としては、計画期間における個別施策の効果を図るために、アウトプット・アウトカムの指標についてベースライン値、最新値と比較して、それが改善しているのか、不変なのか、悪化しているのか、その変化の方向を評価する。目標値がある場合は、それを達成できたかどうかということも評価します。必要に応じて性・年齢、がん種別ということもありますし、アウトプット・アウトカムで時間的なずれがあると。アウトプットのほうが先に来ますので、そのことも考慮し、それを踏まえて、分析上の課題、関連するデータの動向も踏まえて総合的に分析をする。先ほどありましたけれども、格差に関しては別途研究班と連携して対応するということであります。
 ベースライン値に関する考え方ですけれども、計画開始時点で収集可能な最新値をベースライン値としますが、新規データソースが必要で、ちょっと遅れるというものは最も近い値を採用しますし、第3期のときに中間評価をしたときの最新値からの継続性というのも考えるということが必要になってくるかと思います。
 目標値というのが、基本的には計画における進捗状況のモニタリングのために利用するわけですが、目標値が明確にできるもの。これは実は基本計画の中では検診受診率と精検受診率、60%、90%というのが明確に示されていますけれども、その他のものについては今のところはできていないという状況ではあります。
 当面の対応としては、明確にできるものは設定する。その他、明確にできないものは、目標値の設定を行わないで、その方向性の検討をするということにとどめてはどうか。目標値を設定する場合も「管理可能な数」にしたいというところであります。
 さらに、ロジックモデルを活用したPDCAというのが、3年目途の中間評価を実施するわけですが、その際に科学的・総合的な評価をするわけで、それをどのように施策に反映するかというところが一番ポイントなのですけれども、現状においてがん対策推進協議会で国レベルの評価を行うわけですが、それを都道府県が実施するがん施策、あるいは拠点病院における状況に対応するような直接反映させること、リンクをする手だてがあまりないので、難しい点があります。ここのところを何とか中間評価までに仕組みの構築を始めるということが必要で、そのためにはまずは国と都道府県及び都道府県間の評価の結果の共有を準備的に行うところが必要ですし、今、がんセンターで行っている都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会、あるいはPDCAフォーラムといったものを活用して、できるだけ情報の共有ということを進めたいと思います。
 各目標の達成状況及び計画の進捗状況の把握に当たっては、適切な指標が設定されているか、必要に応じて見直しをするということを計画していると思います。
 ですから、今年度前半においてロジックモデルの指標の確定、それから定義、目標の整理ということをした上で、年度内には順次ベースライン値の測定を開始するということを進めたいと思っております。
 以上です。
○土岐会長 祖父江参考人、どうもありがとうございました。
 それでは、事務局の説明とただいまの祖父江参考人の御発表を踏まえて、委員の皆様より御意見を頂戴したいと思います。今回は、ただいま説明いただいた資料6「評価や各指標の目標値設定の考え方案」、そして実際のロジックモデルの中身を5つのパートに分けて議論したいと思います。5つのパートは、「全体について」「がん医療」「がんとの共生」「これらを支える基盤」「がん予防」の順。ちょっと順序を変えて「がん予防」を一番最後にさせていただいておりますけれども、この5つのパートに分けて議論を進めたいと思っております。資料5に皆様から意見を頂戴しておりますが、これにない意見でも結構ですので、活発な御意見を頂戴したいと思います。
 取りまとめまでの期間が一応7月を目標ということで、特に修正・追記などの御意見についてはできる限り具体的な御意見を頂戴できればありがたいと思っております。
 それでは、まずはただいま祖父江参考人より説明していただきました「評価や各指標の目標値設定の考え方案」について、御意見を頂戴したいと思います。ただいま祖父江先生から説明していただいた資料について御意見のある委員がおられましたら、ウェブ上での挙手をよろしくお願いしたいと思います。石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 東北大学の石岡です。
 まず、中間評価の時期について、5ページに説明がございました。3期は非常に遅れたということですが、4期の暫定計画では2026年の後半に中間評価が出るような絵になっていますが、私はもう少し半年。1年はちょっと難しいかもしれませんけれども、半年ぐらい前倒しをしないと、中間評価の結果をうまく第5期に反映させるというのが難しいのではないか。今回のように1年もない状況で、第4期の計画策定とほぼ同時進行になるような形というのはまずいのではないかなと思います。それが1点です。
 もう一点は、中間評価報告や4期の策定のときにも何度も発言しましたが、格差については、今回のロジックモデルにおいても祖父江参考人から検討するということで、これは研究班で検討するというお話で、大変結構なことだと思いますが、格差を評価するという上で、それを早くやらないと。今の令和5年度に一体どういうデータがあるのかということをある程度集めておかないと、その格差を後日評価するというのはなかなか難しくなるのではないかという懸念があるということでございます。
 今日、各論でも数で、基本的になっているのは何々の数というふうになっていて、ごく一部は都道府県における何とかというふうに書いていますけれども、数は国全体でよくなったということを言うためにこれまでもずっと使ってきましたが、格差は広がっている部分もたくさんあります。例えば専門医の数みたいなところがあります。あれは前と同じで、それをやってもほとんど格差は評価できないわけですから、そういったところを具体的にどういうふうにやるのかということをある程度決めておく必要があると思います。研究班に任せるというのでなくて、ある程度最初の段階でアウトカム評価に格差を入れる。どういうやり方というのはいろいろあるのでしょうけれども、そこがちょっと気になったところです。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 ほかにございますでしょうか。
 では、早速でございますけれども、石岡先生に指摘していただいた点。1つは中間評価の時期についてのお話ですね。もう一つは格差をどの時点で評価するのか。例えば格差も、今回ベースライン値も取っていって、それを中間評価では評価できるような、そういうスピード感でいくのかという御質問だったように思いますが、事務局のほうから何かコメントがございますでしょうか。
○原澤がん対策推進官 それでは、事務局からお答えさせていただきます。まず、1点目の時期のご提案についてですが、こちらの祖父江先生の資料でもそうですし、資料1の7ページ目を御覧いただいてもよいかと思いますが、資料1の7ページ目を御覧いただきますと、令和7年度が終わってから中間評価の議論をするという形にさせていただいています。こちらについては、整理上、一応中間評価ということになっていることもありますので、第4期が始まってから3か年分の取組の結果ということで、そこの3か年分のデータがある程度収集できる環境になってから、そのデータを踏まえて御議論いただくというのがよろしいかと考えて今のスケジュールをつくっているというところでございます。
 他方で、2か年分のデータでもいいので、先んじて議論をしておいたほうがよいのではないかという今の石岡委員の発言のような御意見もあろうかと思いますので、その辺りは先生方と御相談させていただきながらスケジュールの調整というのはあり得るとは思いますが、どの時点でやるほうが望ましいのかというのは、御意見がある先生がいらっしゃればいただきたいと思います。
 事務局からスケジュールについての御説明は以上でございます。
○土岐会長 今の御意見ですけれども、技術的には不可能ではないということでよろしいのでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 技術的にはという観点で言えば、3か年分の情報を使って御議論いただこうとすると、現在お示ししているデータになるという御説明になります。
○土岐会長 石岡委員、いかがでしょうか。
○石岡委員 おっしゃることは分かるのですけれども、4期の計画を策定するときの議論のスタートというのは、基本的には3期の中間評価報告書をつくるプロセスとある程度オーバーラップしていたので、3年分のデータが出そろってからそれをスタートするのはちょっと遅いと思うのです。3年目の結果が出る、そういう準備段階で、半年前ぐらいから、あるいは3か月前とか、そういうところから第4期の中間評価をどうするかという集まりをやって、その途中で3か年のデータが確定するというようなプロセスでやらないと、半年遅れになってしまう。そうすると、中間評価の報告書が出たときに、残りあと1年ぐらいで5期の議論をスタートするというのは、時間がちょっと短いのではないかなと。そういう意見です。
○土岐会長 決して2年というのではなくて、3年を見据えてという形で、3年たてば、できる限り早い時期に結果を出すべきであると。そういうふうに理解をさせていただきました。
 もう一点、格差です。現在のロジックモデルでは都道府県格差という項目は少なかったように思いますけれども、これを今後どのようにやっていくか。スケジュール等がもし分かりましたら、いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。御指摘いただきありがとうございます。
 今、お示ししている指標をどう使ってその格差を評価していくかというところを、まさに研究班の先生方に御協力いただきながら整理してまいりたいと思っているというところなのですが、現在の指標の中でももうちょっとこういうことを評価すると書き切っておけば、格差の評価によりつながるのではないかという具体的な御提案が頂戴できれば、それを反映するかどうかという議論ができるのではないかと思います。
 他方で、格差を評価するべきではないかという御意見自体は、この協議会の皆様は反対されるものではないと思うので、具体的な手法ができないので難しい部分がございますというのがこれまでの議論でもあると思いますし、技術的なコメントなり補足・訂正があれば祖父江先生からもいただければと思いますが、そういった具体的御提案がもしあれば、その御意見を踏まえてロジックモデル及び指標を修正できるかどうかを改めて検討させていただいて、また本協議会にお諮りして、今回直近で確定する確定版に反映できるかどうかということだと思っております。
 以上でございます。
○土岐会長 祖父江先生、御意見を伺えるでしょうか。
○祖父江参考人 今、格差に関しては検討可能なという提案をいただければ、それを指標に盛り込むということは可能ですし、全体の格差をどのように評価するかということを基本方針と決めて対応するということも必要だと思うので、県間であるのか、市町村間であるのか、二次医療圏単位であるのか、あるいは施設であるのか、あるいは特性別であるのかということで、各指標に適した分類というのがあると思いますので、そこを系統的に研究班で検討して、また提案させていただくということがまず大事なことではないかなと思います。
 以上です。
○土岐会長 これに関しましてほかの委員の先生方も御意見等ございましたらお願いします。格差に関しては御意見を持っておられる委員の先生が非常に多いと思いますが。
 研究班で検討されるということですけれども、その研究班の結果が3年後に出ていますということでは、そこから始めたのではちょっと遅いのではないかという印象を各委員とも持っていると思います。なので、現時点でもし取れるものがあれば幾つかでも始めてみたいという御意見の委員の先生が多いように。今回事前の御意見を拝見すると、私はそういう印象を持っております。
 格差の評価のタイミングについて、ほかに御意見のある先生はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、先ほどの資料6についてはこれでディスカッションを終わらせていただきます。
 続きまして、ロジックモデルのほうに移りたいと思います。ロジックモデルの表と皆様の御意見をお手元によろしくお願いいたします。
 まず、ロジックモデルの「全体について」でございます。資料3の1ページが基本ロジックモデルになっておりますけれども、こちらにつきまして御意見のある先生がいらっしゃいましたら、挙手をよろしくお願いいたします。全体につきましてはよろしいですか。谷島委員、どうぞ。
○谷島委員 確認させていただきたいことが2点ございます。
 今回ロジックモデルに関して皆さんから出ている意見を見させてもらったら、ざっと139個出ていました。その中で今回ロジックモデルに反映されることが決まっているものはどのくらいあるのかということを1点目お聞きしたい。
 2点目として、今回139個意見が出ているのですが、今回この場でコンセンサスが得られなかった項目に関しては、その後そのままになってしまうのか、というところをお伺いしたいのですが、この2点、いかがでしょうか。
○土岐会長 それでは、事務局からよろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。御質問いただきありがとうございます。
 まず、意見をたくさんいただいていますのはそのとおりで、決まっているものはありますかというと、ございませんという答えになるので、既に頂戴している資料5に存在している御意見と、本日御議論でいただきました御意見も併せて、実装可能かどうかという点も含めて研究班の先生方とも少し詰めさせていただいて、反映が現時点で可能か、今後検討になるのかといった形で対応の方向性を今後お示ししたいと思っているというのが1点目でございます。
 なので、2点目につきましても、今回採用されなかったから、それが据え置きかといいますと、そういうわけではなくて、実装可能になるためにはどういうことが必要かということも含めて、研究班の先生方にはもんでいただいて、順次検討を進めていただきたいと思っています。そのような交通整理の仕方をさせていただきたいと考えてございます。
 事務局からの回答は以上でございます。
○土岐会長 谷島委員、よろしいでしょうか。
○谷島委員 ありがとうございます。
 懸念しているのは、引き続きやっていくということなのですけれども、委員の皆様の御意見を見させていただいたら、すごく大事な視点ばかりで、代替案というのがテクニカルな部分や仕組み上難しいからといって、そのままにしてしまうと、そこに示されたがん対策を推進する上での課題が依然として残ったままになってしまうなと思っているのです。それに関して今後様々な検討会や部会で整理しながら進めていくとおっしゃっていただいたのですが、指標の見直しとか追加を含めてどの課題をどこで議論していくかというのを国民に分かるように明示したほうがいいのではないかなと思っています。専門家の皆さんの中で共有されているのも大事なのですけれども、患者の立場からすると、あれはどうなったのかな、これはどこかで取り残されてしまっているのではないかなと不安に思う部分がやはりありますので、今回委員の皆様から挙げられたロジックモデルに対する御意見というのが、引き続きどこでどのように議論されていくのかというのを明確にして、国民に分かるように建設的な議論を進めていっていただきたいなと思っていますので、そこについて御意見をさせていただければと思いました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 そのほか、全体につきまして何か御質問ございますでしょうか。全体及び基本ロジックモデルについて御質問ございますでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、次に移りたいと思います。次は順番を変えまして、「がん医療」でございます。ですので、ロジックモデルのページで言いますと、6ページ目からになります。そして、皆様の御意見は5ページ目からが「がん医療」になっております。こちらにつきまして御意見、御質問等ございます委員の先生がいらっしゃいましたら、ウェブでの挙手をよろしくお願いしたいと思います。既に述べられている意見でも構いません。より具体的に分かりやすいように説明していただけたらよいと思います。よろしいでしょうか。
 では、私から先に言わせていただきますと、6ページのところで均てん化・集約化が大きな目標になっておりますけれども、こちらも都道府県もしくは医療圏で患者が流出している場合、もしくは流入している場合、そういったものを指標として出すことはできないのだろうかという意見を述べさせていただきました。
 表はなかなか見方が難しいのですが、資料3の6ページのところです。こちらはいかがでしょうか。均てん化・集約化のところで格差を表現していくというのが可能かどうか、事務局にお伺いしたかったのですが。
○原澤がん対策推進官 患者さんの流出入の辺りですか。
○土岐会長 そうですね。患者さんの数として集まってくる医療圏、もしくは流出の多い医療圏。都道府県ごとというのもあるのですけれども、都道府県の中で県庁所在地があるところは流れてくるけれども、ほかからは流出するとか、そういった傾向を出せるのでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 現時点で把握している事項を参考にしての回答になりますが、患者さんの流出入の情報については、一定、医療計画を定めるときに、医政局、別の部局から提供しているデータの中で、患者さんの疾病等の区分をどこまで区切っていたかは今、にわかに覚えていないのですが、患者さんの流出入がどの程度起こっているかを、二次医療圏ごとに分析するという手法はございます。ただ、それががんの患者さんに限定した形で可能か、もしくは例えばより精緻にがん種別に可能かとか、そういったところについては技術的な部分がにわかに分からないので、分析手法について検討が必要ではないかということは御意見として承って、現時点で対応可能かどうかと、今後そういった検討も可能かどうかという点も含めて、研究班の先生方とも相談していきたいと思います。
 一旦以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 医療のところで指標につきまして、ほかに御意見はいかがでしょうか。谷島委員、どうぞ。
○谷島委員 主に希少がん対策の部分になるのですけれども、僕は何個か書いているのですが、その中で総じて数字を見られる場所というのでしょうか、「希少がんホットライン」への問合せ数とか、がん登録での治療開始件数とか、そういうのを見ることで患者に対して情報公開と集約化に進めていくという形になっていると思うのですが、患者からすると、いろんなところにいろんな数字を見に行くというのはなかなか難しいなと思っています。なので、数字が出てくる場所、指標を掲示する場所をがん情報サービスにもっと集約化していくことはできないのかなと思うのですが、その点はいかがなのでしょうか。
○土岐会長 事務局のほうからいかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。ありがとうございます。
 今の御質問は、指標そのものの設定というよりは、この指標がそれぞれどのような数値になっているかを可視化するために、その情報をどこかに集約するべきではないかという御質問であるという理解でよろしいでしょうか。
○谷島委員 そうですね。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 今いただいた御意見は、現時点でこの指標が一覧化して、データセットとしてどこかに掲示されているわけではございませんで、そもそもデータセットというか、このデータの項目が固まっていないので、その項目の推移をできるだけ見える化するべきではないかという御意見として一旦承って、どのような手法が可能かということは考えさせていただきたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 ありがとうございます。
 提供医療体制全般に当たると思うのですけれども、例えば今、医療体制の中で議論が行われている都道府県の数ということでアウトプット指標になっているのですが、議論が行われている都道府県の数となってしまうと、話題が少しでも出ただけでそれがなされたということになってしまうのです。自分の県のことを言って申し訳ないのですけれども、私たちの県は、妊よう性温存の体制整備がすごく遅れていて、それは協議会の先生方が、妊よう性温存療法をよく知らない先生方が担当しておられるためになかなか進まないというのがあったりします。そうなると、地域格差が生まれてしまうので、例えば項目ごとにアピアランスであったり妊よう性であったり、小児のゲノムとかゲノムであったり、AYAの在宅療養体制など、項目別の県ごとの網羅度などを追加して、例えばこの項目の中でどれだけ達成されているかのような到達度を見える化するという形の評価をしないと、なかなか現在の医療体制が変わらないのではないかとすごく危惧しているのですが、いかがでしょうか。
○土岐会長 了解しました。後ほどお答えしたいと思います。
 続きまして、森内委員、どうぞ。
○森内委員 ありがとうございます。
 8ページになります。放射線療法と薬物療法、どちらも同様なのですけれども、がん領域の専門看護師や認定看護師などの専門性の高い看護師が薬物療法、放射線療法では相談や療養支援、意思決定の支援なども含めて様々な面で患者さんを支えています。そのようなことから考えますと、アウトプット指標に専門的な看護人材の配置に関する指標をぜひ追加していただきたいと考えております。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 続きまして、大井委員、どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。
 先ほど樋口委員からもお話があったように、都道府県という点について、都道府県だけでいいのかという議論があると思うのです。要するに、均てん化とか集約化について議論をするときに、先ほど谷島委員からもお話があったように、希少がんとか小児がんについては、集約化されている部分もあるわけです。そうすると、その県だけで全部カバーできるのかという議論になってきたり、それは県ごとに議論されていればいいのか、それとも隣接する都道府県が地域としてそれがカバーされていればいいのかというような検討はあるのでしょうか。全ての都道府県が同じように進んでいかなければいけないのか、それともある地域の中でそれが達成されるということがいいのか、その辺は目標の数値としてどうなのでしょうか。
○土岐会長 分かりました。大井委員、ありがとうございます。
 それでは、順番に事務局のほうからお答えをお願いしたいと思います。
 まず、樋口委員からは、議論をしている都道府県の数という指標が何か所かあったと思いますけれども、「議論」は1行でも書いてあれば議論になってしまって、いわゆる現況報告書で「議論」という項目でいいのか、もう少し具体的なものが設定できないかという御質問だったと思います。
 それに関連しまして、大井委員からは、都道府県を越えるようなディスカッションは、今、小児拠点とかがんゲノムとかはされていますけれども、それ以外のものについてはどうでしょうかという御質問がございます。まず、その2点をお願いします。
○原澤がん対策推進官 御質問いただきありがとうございます。
 今いただいている2点については、具体的な到達目標なり取組の成果として見えるアウトプットが設定できるものについては、今おっしゃっていただいたように設定して指標化していくということが重要だと思っています。
 一方で、何を指標にしていけばよいのかということが整理し切れなかった部分、もしくは具体的な提案が難しかった部分について、そういった議論が少なくともなされているかというものを現時点で置いているというような項目もございます。
 ですので、樋口委員にもしお願いできるとすれば、具体的にここについてはこういう項目に置き換えればよいのではないかという御提案が追加的にあればいただきたいということ。既に事前に御意見等でいただいているということであれば、それが実現可能かどうかということも含めて検討して、またお返しするということだと思っています。
 大井委員がおっしゃっていただいた都道府県単位だけでよいのかという御指摘については、この指標をどの単位で見ていくべきかという論点になるので、祖父江参考人から御説明いただいたどの範囲で分析をしていくのかということと関連してくることだと思いますので、おっしゃっていただいたように、例えば希少がんや難治がん・難治性がんとか、そういったところの領域について、各都道府県単位で完結させるべきなのか、仮に固有の都道府県で症例や実績が少なかったときに、そのときに直ちによくないという結果ではないのではないかということが例えばあると思いますので、そういったことは個別具体的に評価の考え方も併せて整理していくということだと思っています。
 一旦以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 そして、森内委員からは看護師に関する指標について、それを加えることはできないかという御希望だったように思います。いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 そちらについては御意見として一旦承って、また検討させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 委員の先生方、よろしいでしょうか。
 続いて御質問ございますでしょうか。前田委員、どうぞ。
○前田委員 ありがとうございます。
 がんと診断された時からの緩和ケアの推進についてなのですが、こちらが指標として現状報告などになっておりますが、どれだけの数が相談に来たのかというよりも、例えばステージ4の患者さんが何日で相談にたどり着いたのかどうか、緩和ケアにたどり着いたのか、そういった具体的なデータの指標が必要かなと思いますが、それについてはいかがでしょうか。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、石岡委員、いかがでしょうか。
○石岡委員 医療提供体制については7か所ぐらいコメントしましたけれども、それと多少オーバーラップしますが、先ほどの議論で、私も議論をしたかと都道府県に聞くというのはあまり意味がないと思います。私の担当している宮城県と関連する地方のほかの県を見ても、同じ質問に対して全く違う基準で答えたりしているのです。ですから、こちらで厚労のほうにデータを集めるときに、厚労側は同じような質問を1つしたので、同じ基準で回答しているだろうと考えているのだと思うのですが、実際は温度差が非常にあって、このレベルだったら、この県だと「やっていない」というものも、ある県ではちょっとやっただけで「やった」と回答していると。
 例えばがん拠点病院の現況調査などを見ても全くそうで、私は協議会の会長を昨年度までやっていましたので、宮城県の調査データを全部チェックしました。そうすると、ある病院はほとんどやっていないのに「やっている」、ある病院はちょっとしかやっていないのに「やっていない」というふうに回答したという状況です。ですから、こういった曖昧な質問というのはほとんど意味をなさないので、クオリティーをちゃんと担保できるような形の指標にするというのが非常に重要だと思います。これは一般論であります。
 あと、先ほど看護師のところの話題が出ました。私はもちろん賛成ですけれども、では、具体的に誰のことを言っているのかということになると思うのです。例えば私が専門とする化学療法のことですが、「がん薬物療法に専門的な知識を有する、技能を有する医師の数」と書いてあるのです。こういうふうに書いてしまうと、誰のことを言っているのかというのは、回答者によって全く解釈が違う。こういう指標はよくない。
 その少し上には「遺伝医学に関する専門的な知識及び技能を有する医師数(臨床遺伝専門医)」と書いてあるのです。こう書けば、もう限定されますので。私は何を言いたいかというと、例えば「がん薬物療法に専門的な知識・技能を有する医師の数(がん薬物療法専門医)」とすればいいわけですし、先ほどの看護師のところも例えば「がん看護専門看護師」といった書き方にする。ですから、具体性を持たせるというのは非常に重要だということをコメントさせていただきます。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 では、もうお一方、大井委員までお伺いしたいと思います。大井委員、どうぞ。
○大井委員 元に戻る形の議論ですが、冒頭のところで石岡委員からお話があったような、計画を3年のところで見直すのだったら、もう少し前倒して検討を始めないと今回の第4期がん対策推進基本計画を立てるときの段階のような状況が起こるのではないかということが危惧されると思うのです。現在、指標をどうするかということの議論が始まってくると、例えば設定されてない指標というものが出てきたときに、新たに検討されるというお話を先ほど事務局からいただいたと思うのですが、そうしますと、まず数値はこういうものがいいですねということが提案されて、それを新たに探し始めるということになります。6年間の計画の中の半分のところを見直しの目安としますと現に1年目が走ってきているわけですから、その数値が集まってこないのではないでしょうか、実際にそれが具現化できるのでしょうか。新たな数値を持ってきたとき、3年目のところで本当に評価ができるのでしょうか、数値目標の計画が立つのかというところに関して、見通しを教えていただけたらと思います。
○土岐会長 一旦まとめたいと思いますけれども、まず最初に前田委員からは緩和の相談のタイミング、インターバル的なことがございましたが、こちらはいかがですか。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 具体的な指標にしていくべきというのは、後段で頂戴した石岡委員からのコメントも併せてそのとおりかと思います。
 他方で、どうやったらデータが取れるかというのと、具体的な項目をどう設定するかという論点はあろうかと思いますので、前田委員からいただいた御意見は、どうやって実装できるかという点も含めて検討させていただくということかと思っています。
 続けてお答えしてよければ。
○土岐会長 どうぞ。
○原澤がん対策推進官 石岡委員からいただいた、定性的なコメントは粒度がばらばらになって、あまり比較可能なものにならないということはおっしゃるとおりかと思います。
 定義が分からない項目については、その定義が分かるようにしないと回答のばらつきが出る。それはおっしゃるとおりかと思います。ですので、定義を置きたいとは思っておりまして、その定義に関して、石岡委員から先ほど頂戴したような具体的にこうしたらよいのではないかという御意見があれば、ぜひいただきたいと思います。
 最後に大井委員からいただいた見通しについてでございますが、おっしゃるとおり、新しくデータを収集し始めなければならないというような項目が出現した場合には、それはその指標が提案された時点からのものでしかできないということになろうかと思います。一方で、既存の統計データ等から算出できる項目に設定することができれば、そちらは後方視的にこの計画の開始時点から見ることが可能となりますので、そこはどのような項目を具体的に指標として設定する、指標の定義をどう設定して見るというふうになるかによると思いますので、一義的にお答えすることは難しいですが、今のような考え方だと思っています。
 事務局からの回答は一旦以上です。
○土岐会長 よろしいでしょうか。
 私のほうから、石岡先生がおっしゃるようながん薬物療法専門医というのも分かるのですが、何せ医者に関しては数が決まっているところもございまして、例えば我々外科医を増やすと言われても、絶対数が減っているのに増えるはずがない話になってしまって、そのように必ずしもマンパワーだけではなくて、いかに有効に人材を使っているかという指標も入れたほうがより有効かなという印象も持ちました。
 それでは、続きまして、阿久津委員、いかがでしょうか。
○阿久津委員 ありがとうございます。
 ここから先、いろんなところの文章にそういう文章があるので悩ましいところではあるので、1つだけ例で申し上げると、がんゲノム医療のところです。事前のアンケートを見させていただいて、谷島委員、土岐先生、石岡先生も御指摘されているのですけれども、がんゲノムの医療体制の整備を引き続き推進すると。既存制度の見直しも含め検討するというところのアウトプットが、果たしてこの数を数えるだけでいいのかどうか。具体的に本当にこの施策が進んだのか、進まなかったのかということ。数ではない、きちんと具体策が出たというような指標というのは、こういうロジックモデルのときにはどのように加えていくと評価がされるのでしょうか。こういった項目が非常に多くて、これからの検討課題という項目で戻ってきているものが私自身のアンケートでも多かったのですけれども、こういったものはどのように評価していくのがいいのでしょうか。我々患者からすると、もちろんがんゲノム医療は全ての人が受けられるようになって、すぐ薬に行き着くというところが絶対的なゴールだとは思うのですが、それが保険の医療体制の中でかなわない中、果たしてどういう項目、アウトプットにすればこれが進んだと評価ができるのかというところが悩ましいところなのですが、事務局のお考え等をお聞かせいただければと思います。
○土岐会長 谷島委員、いかがでしょうか。
○谷島委員 今の阿久津委員の御意見にちょっと関連しまして、特にがんのパネル検査の対象者のパネル検査実施数の項目のところに関しては、誰一人取り残さないがん対策というものを推進する上で、本当にそれが患者に届いたのかどうかというのを見ていくことが重要だと思っているのです。なので、例えばパネル検査の対象となる患者を分母に、どれくらいの患者がそのパネル検査を受けることができたのかなどを、例えば遺伝子のパネル検査というのは地域格差や医療機関格差が出ているというお話が協議会の中でもあったと思うので、そういうものを地域別、医療機関別に見ていくことが必要ではないかなと思っています。
 全般的に言えることですが、今後都道府県が各がん対策推進基本計画をつくっていく中で、地域格差を知ることによって力を入れていくべきところを変えていくというか、それを参考にしていくということがすごく大事だと思うので、このパネル検査においても地域格差、医療機関格差などを見ていくことが重要だと思うのですが、この辺りはいかがでしょうか。
○土岐会長 まず、谷島委員のほうから非常に具体的な、対象となる患者さんのうちパネル検査を実施された患者さんの割合を都道府県別に出すことはできるでしょうかという御質問だったように思いますけれども、それはいかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 技術的な実現可能性と、あとは分析したときにどうすれば適切なお示しの仕方になるかという観点もあろうかと思いますので、そちらは御意見として承って、どういうふうに対応が可能かも含めて検討させていただきたいと思います。
 阿久津委員から頂戴したほうについても併せてお答えしますと、制度改正に関する文章について、ロジックモデルというものを制度改正そのものがされる前に構築できるかと言われれば、その答えはできませんという答えになって、出口が分からない道を今から書くことはできない。他方で、それが実装された場合にということを考えたときであったとしても、これが結果的に目指すことは、先ほど来触れていただいているように、また谷島委員からコメントもいただいたように、この検査の結果、治療にたどり着いた患者さんがいらっしゃるのか、もしくはその治療の結果、さらにアウトカムとしてその治療の質が改善されたのかとか、生存率や死亡率の減少とか、そういった影響があったのかということに結びついてくると思いますので、このロジックモデルの構造そのものに影響を与えるものではないと理解しています。
 ですので、制度改正がどのようになされたかといったことについて、個別にそういう制度改正に関する議論が行われた場合や、その結果、こういう見直しがありましたということについては、協議会において個別にその内容に応じて御報告なり御議論なりをいただくものと思っておりますので、今、阿久津委員からいただいたものは必ずしもロジックモデルになじむ構造のものではないというお答えになろうかと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 制度改正、我々は大変期待しておりますので、制度改正の前後でしっかり比較していただいて、その効果が数字に出ることを期待しております。
 ほかはいかがでしょうか。かなり具体的なことでも構いませんが。小原委員、どうぞ。
○小原委員 日本社会事業大学の小原でございます。
 今回からこのロジックモデルを使われるということで、私としてはきちっと評価ができるという点では非常に評価しております。
 今、拝見させていただいて、これはアウトプット指標、分野別のアウトカム、最終アウトカムというのは、ロジックモデルから言うときちっと相関を出すということが必要になってくると思うのですけれども、特に最終アウトカムのところのがんの死亡率、死亡の減少とか生存率の向上というのは、それぞれの数値で評価というのができるかと思うのですが、もう一つのところも非常に重要で、様々な分野のところにもあるところなのですけれども、現在自分らしい日常生活を送れると感じられている患者の割合というところが、厚労省が前回なさっていただいたデータソースの体験調査のどの項目をお考えなのかというのが1点質問させていただきたいことです。
 それから、「自分らしい日常生活」という文言ですけれども、これに対して定義というのをきちっと明確化しておかないと、かなりいろんなところに入っているので、ここのところをどういうふうに考えているのかというところを少しお伺いできればと思います。
 以上です。
○土岐会長 大変重要なポイントでございます。自分らしい生活を送れているというところに関する御質問ですが、こちらのほうは体験調査の項目ということでよろしいのですか。
○小原委員 はい。体験調査のどこに該当するのか。もう一つが「自分らしい日常生活」というのを厚労省としてどういうふうに定義づけているかというのを教えてください。
○土岐会長 いかがでしょうか。体験調査にその項目がありますね。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今、御質問いただいた内容については、患者体験調査にその質問項目がそのまま「自分らしい日常生活を送れていると感じるかどうか」というのが現時点で質問項目として設定されていますので、それがそのまま入ってくるというイメージでございます。
 他方で、「自分らしい生活」というものをどう定義するかということ自体をこうであると厚労省で一義的に決めているわけではないので、そこについての回答のぶれが存在するのではないかというような疑義が発生するかと思います。他方で、そこはどこまで厳密に定義づけができるかといった論点もあろうかと思いますので、ある種の調査限界のような部分があろうかと思います。そこは例えばこうしたほうがいいのではないかとか、こういう議論を加えていくことでより精緻化できるのではないかといった御意見がもしあるようであれば、いただけると今後の調査の設計とか分析の参考とさせていただきたいと思っていますので、もしあればよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
○小原委員 ありがとうございます。
 このところが1項目だけで本当にこれが評価できるのかという点と、それから質的なところになるので、それぞれの置かれている立場でもかなり変わってくるかなと思うのですけれども、例えば久村委員も書いておりますが、主観的幸福感の尺度を使われるか、それとも包括的なウェルビーイングの尺度等々もありますので、この尺度を用いて数値化していくというような、主観的ではなくて、もう少し丁寧に調査ができるといいのではないかなと。もしも今後患者体験調査をやるという方向に行くならば、そういったことも加えられるといいのではないかなと思いました。
 以上です。
○土岐会長 大変重要なポイントを御指摘いただいたように思います。「現在自分らしい日常生活を送れていると思いますか」というのは、多くの質問の中でも順位が高いというか、これが共生の部分の評価の本当に基軸になっている質問になっております。それに対しまして、1つの質問ではなくて、幾つかの質問。確かにQOL調査でもよく似た質問、例えばおなかが痛いというのを2つも3つもしつこく表現を変えて聞いているようなときもありますので、確かにそういう工夫があってもいいかなと感じるところでございます。
 これに関しまして、御意見等ございます委員の先生はいらっしゃいますでしょうか。
 では、こちらのほうは引き続き事務局のほうで検討させていただきたいと思います。
 医療のほうはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。谷島委員、どうぞ。
○谷島委員 1点だけ、すみません。希少がん及び難治性がん対策であったり、新規医薬品、医療機器及び医療技術の速やかな医療実装のところに、新規薬剤の開発を加速したり、海外への動きを強めていくということが新たに書き加えられたと思います。要は、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの問題をより解決していくための文言が書き加えられていると思うのですが、その中で国際的な動きを強めていく中で、日本での未承認薬の数であったり、国際共同治験の参加数であったり、新規に承認された薬剤数などを新たに指標として加えることはどうなのかと思っているのですが、その妥当性等について伺えたらと思います。いかがでしょうか。
○土岐会長 事務局のほうからいかがでしょうか。新しく国際共同治験に参画するようにというメッセージも加えられましたけれども、それに関しまして指標はどのようにしますか?
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 今の点はどちらかというと追加すべきではないかという御意見をいただいて、それに関して協議会の先生方からどういった御意見があるか。もしあればいただいて、それを参考にして追加するべきかどうかを検討させていただくということだと思うので、現時点で私のほうからその項目そのものの妥当性について回答する類いのものではないと理解しています。なので、そのほかの先生方から今の谷島委員の御意見を踏まえて、何か追加の御発言等があればいただけたら幸いです。
 以上でございます。
○土岐会長 谷島委員、既に意見として加えられていましたか。まだこれは検討していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○谷島委員 はい。
○土岐会長 医療のほうはほかによろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、「がんとの共生」のほうに移りたいと思います。こちらのほうは資料3の23~25ページになります。こちらにつきまして御意見のある方は挙手のほうをよろしくお願いしたいと思います。久村委員、どうぞ。
○久村委員 久村です。
 私からは2点話したいと思います。1点目は資料3の20ページ、資料5の14ページの一番下にも当たりますが、サバイバーシップ支援のその他の社会的な問題についての経済的な課題に関する指標についてです。現時点では検討段階のために指標の設定がないというふうになっていて、この問題に関連したアウトプット指標も中間評価指標というものもございません。今回の基本計画では、がんの患者さんの経済的な格差について取り組むということがとても重要な施策の一つだと思いますので、やはり何らかの指標を設定しておく必要があるのではないかと考えています。
 この部分は中間評価指標も分野別の評価指標もがんに対する偏見に関連する指標というものが入っているのですけれども、ここに患者体験調査の項目の一つである「がんの治療費負担による治療の変更・断念」という指標、指標の番号で言うと、300008というものが中間または分野別の評価指標としてあってもいいのではないかなと思っています。
 また、アウトプット指標については非常に悩ましいのですけれども、基本計画の本文中の46ページのほうにも「障害年金等の制度が十分に利用できていない」と書かれていますので、障害年金の受給者数というものを提案いたしました。事前のレクチャーのほうでも数を増やすということが目標ではない、該当する方で希望する方が適切に受給できていればいいというふうに厚労省の方からは御指摘を受けましたが、そのとおりだと思います。ただ、この制度については、現時点では制度の存在自体を知らない患者さんも多いですし、申請自体が複雑で、申請できていない患者さんが多いというのも現状ですので、現時点では数の問題というのは実は重要で、受給者数を明らかにする必要があるのではないかなと考えています。
 もう一つは、資料3の17ページの持続可能な相談支援体制というところです。持続可能な相談支援体制については評価指標がないということになっています。今後、集約化と役員分担という観点での評価というのもとても大事だと思っているのですけれども、相談員の労働負荷の観点というのも同じぐらい重要だと思っています。相談支援センターの相談員が心身の健康とかモチベーションを保ちながら勤務できているのかと。労働負荷とかメンタルヘルスがどうなっているのか。残業時間がどうなっているのか。そして、現在の人員ではとてもやり切れないと思っているかもしれませんし、人員配置に無理はないのかという観点からも持続可能性という評価もとても必要ではないかと思っています。あまりにも忙しそうな相談員には患者さんや御家族は相談しづらいと思います。これは相談員に限ったことではなくて、がん医療分野における医療従事者の業務に関しての持続可能性の評価についても同じようなことが言えるのではないかなと思っていて、労働負荷とか人員不足の問題というのは、がんの患者さんのケアの質というものに直結すると思っています。
 現時点では評価指標になるようなデータはないのかもしれないのですけれども、将来的には患者さんだけではなくて、医療従事者を対象とした実態調査も行って、労働管理の観点からも持続可能性について評価していく必要があると考えています。
 以上です。
○土岐会長 大きく2つのことですね。前半のほうは患者さんの経済的な格差の問題で、久村委員のほうからは具体的に患者体験調査のほうに項目があるのではないかという御指摘も受けましたが、こちらにつきまして、事務局のほう、いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 事前の御意見でも書いていただいています内容だと思いますので、そちらについては本日のコメントも踏まえましてまた検討させていただきたいと思います。
 後段の持続可能性のほうですが、そちらについても、今、私どものほうでもにわかにどのような項目を設定するべきかというのと、具体的に何を見るのかというのは分からないところでありますが、おっしゃっていただいたとおり、現場の負荷が過剰になっていて、それがゆえに相談を遠慮されるというお話もあり得るかと思いましたので、どういったことが対応可能かということについては引き続き本日の御意見を踏まえて検討したいと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 しかし、病院を管理していた側から言いますと、残業時間というのはかなりいろんなファクターがあって、それをもって単純に仕事の負荷とはなかなか言いづらいところもあって、できればかなり慎重に指標を設定していただきたいと思います。本当に医療関係者の方は残業が多くて申し訳ないと思っているところでございます。
 共生につきまして、ほかに御意見ございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、次のほうに移らせていただきます。次は「これらを支える基盤」でございます。こちらのほうは、資料3についてはロジックモデルの23ページからになっております。御意見のある方は「挙手ボタン」にて挙手をよろしくお願いいたします。御意見等ございますでしょうか。石岡先生、どうぞ。
○石岡委員 「これらを支える基盤」は、全ゲノム、人材育成、がん教育、がん登録利活用、患者・市民参画、デジタル化だと思うのですけれども、「人材育成の強化」というところは、ロジックモデル、23ページと、それから二十、この指標があるのかが見つけることができなかったのですが。「人材育成の強化」のところです。
○土岐会長 事務局からよろしくお願いします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 資料の構成の問題かと思いますが、資料3の23ページ目の右側半分にございます。真ん中の線で分かれている。
○石岡委員 分かりました。
○土岐会長 阿久津委員、どうぞ。
○阿久津委員 ありがとうございます。
 先ほど都道府県のお話が出たので、お願いしたいという形で発言させていただきますと、がん教育のところでございます。24ページのところですが、「外部講師を活用してがん教育を実施した学校の割合」というのは、完全に都道府県で取れるはずなので、都道府県のデータというのを、今回ロジックモデルが全部決まってからデータが出るとは思うのですけれども、例えば検診率とか、二次の受診率とか、学校教育の実施状況調査というのは、多分今でも現存するデータが存在するのではないかと思うのですけれども、そうしたデータを早めに見せていただいて、また次の検討ができるような余地というのはあるのでしょうか。特にがん教育とか、拠点辺りの連携している患者数がもしかすると物すごい少ないのではないかという気がしてなりませんけれども、こうした数は多分都道府県比較をすると非常に格差が出てくるデータのような気がするのですが、いかがでしょうかという質問でございました。
○土岐会長 ありがとうございます。
 続きまして、大井委員、どうぞ。
○大井委員 患者・市民参画のところになります。25ページです。新たに入った項目です。そこの一番左の個別施策のアウトプット指標のところで「都道府県がん対策推進計画の策定過程におけるがん患者を代表する者の参加割合」ということで書かれているのですが、患者・市民参画の更なる推進に向けた仕組みを検討するということなのですが、人が参加していればいいということになれば、参加する人の数は、47都道府県なら47人いればそれでいいという話になってしまうのか、そうではなくて、具体的に参画できる人がいるのかということが数字にならなければ、議論ができているかどうかということは評価できないと思うのです。人がいるということであれば、現在のこの構成員の中でも患者、家族、遺族を代表する者ということで参画されていれば、いるという事実で、ああ、できているということに評価されてしまうので、そうではなくて、そういったものが地域の中でどれだけ参画できるような要件が整えられているのかとか、情報として事前に説明があったり、評価があったり、情報提供としての様々な指標の説明があったり、そういったものがなされているかということにならないと、患者とか市民が積極的に参加できたかということは評価できないのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○土岐会長 では、ここで一旦まとめたいと思います。阿久津委員のほうからは教育の都道府県別の数字ということですが、具体的には教育の何の数ですか。
○阿久津委員 がん患者さんが参画した数というのが指標に一応なってはいるのですけれども。
○土岐会長 外部教員ですか。
○阿久津委員 はい。外部教員ですね。
○土岐会長 いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 いただいた御質問は、それを例にしてという形で、ここで収集した指標について、今後どのようにお示しして御議論いただくかという御質問かと思います。そこは具体的にこういうふうにしますというのが固まっているわけではないので、今後、今いただいた御意見も踏まえてどのような形で御議論いただくかは事務局のほうで検討させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 比較的容易に都道府県別の数字が出せるものがあれば、そのうちどれを指標として採用していくか、また検討していかなければいけないと考えております。
 2つ目は、大井委員から市民参画についてですけれども、こちらは単純に1人ずつ入っていればいいというものではないので、仕組みを評価するのはなかなか難しいと思うのですけれども、大井委員、指標としてはどういうものを具体的に。どのような市民に参画していただくか、そういう仕組みを評価するということでしょうか。
○大井委員 ありがとうございます。
 例えばこの協議会でもそうだと思うのですが、私たちが参画させていただくときに、こういう資料で議論しますということで事前に資料を提供いただいたり、この資料はこういうことで示させていただいていますと事前に説明をしていただいたりすることもあります。さらに、この議論の中でも質問させていただいたように、法律がこういう経緯で成立していますとか、健康増進法とはこういう関係にありますということは、患者さんや市民の立場ではその関係性とか相関というのはなかなか理解できないのではないかと思うのです。事前に参加するために最低限こういうものが関係しているといった情報の提供がされているのかとか、あるいは厚生労働省からこの協議会参加前に、行われているような事前のレクチャーというものが例えば各都道府県内では実施されて、これまでの政策はこういうふうに進んできました、今後こういうことを計画しているので資料を見ていただけますかというような形のものがあるのかとか、具体的な協議会への参画の手続とかそういったものの仕組みが評価の中で捉えられないのかということです。
○土岐会長 例えば市民参画している患者さんに具体的な情報提供プログラムを実施している都道府県の割合とか、そういうことになるのでしょうか。
○大井委員 そうですね。あと、実際の代表性を担保するために患者さんや市民の選抜はどうしているのかとか、例えば公募性を取っていますとか、その地域の患者さんあるいは市民の声なき声も拾い上げる仕組みがあるのかということを評価できるような仕組みが組み込まれてもいいのではないかと思うのですが、制度上の話です。
○土岐会長 いかがですか。検討できそうですか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。ありがとうございます。
 今いただいた御指摘は非常に大事だと思いますし、あと、新しい領域でもあるので、どういう項目を設定するかというのは非常に議論が大きいと思います。現状の100%になってしまうのではないかという大井委員の御質問ですが、これは参加割合と書いてあるので、恐らく協議会の委員に占める患者、家族、遺族を代表する者の構成割合のことを言っているのだと思います。中間評価でもその指標が用いられていました。なので、各都道府県でどれぐらいの参加比率なのかというのが見えるという項目の設定になっているということをまず御説明した上で、他方で、それだけで十分なのかという御質問はあり得ると思います。
 あと、これは全体にも言えると思いますが、先生方からいただいている、より精緻に分解して項目を設定して、指標を課していくということが重要であるという考え方がある一方で、指標全体の項目数の管理可能な範囲というものもございますので、その辺りはバランスを見ながら考えていく必要があるのと、新しい領域については、このロジックモデルの構成とは別に、より詳細な実態の分析とか、そういったことが必要ではないかという御指摘等はあり得ると思いますので、そこはどこにどういう形で手当てをしていくかというのは、事務局でもしっかり考えていきたいと思います。
 一旦以上でございます。
○土岐会長 ありがとうございます。
 それでは、石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 先ほど人材育成のところでちょっと見落としてしまいましたが、そこに関してです。23ページのそこの部分です。個別施策の「拠点病院を中心に、専門的人材の育成及び配置に積極的に取り組む」のところ。そこの指標が3期と全く同じ4022から4024になっていますが、中間評価報告書と、それに対応した4期の計画ではそういうことでなくて格差について評価が必要だと考えます。格差問題というのは、もともと1期から3期までの育成のところに強調して書かれており、手術、放射線、薬物療法、についても格差の要因になっているということをわざわざ記載したのです。それが完全に落ちているなと思いました。
 一方、右側の中間アウトカムのところですが、2行目のところには「専門人材の適正配置」「※各分野で設定した人材の指標。列挙は割愛」と書いてあるのですけれども、この辺のところが具体的に何をどういうふうに調査しようとしているのかよく理解できなかったのですが、説明していただけないでしょうか。
○土岐会長 続きまして、前田委員、どうぞ。
○前田委員 ありがとうございます。
 2点あります。啓発事業者のところです。「がん教育及びがんに関する知識の普及啓発」のところです。一番下の「がん対策推進企業アクションの参加企業数」について、事前の質問でも阿久津委員が書いておられますように、企業の数というだけでは足りないのかなと思っています。実際これは厚生労働省がデータを持っておられるということですけれども、どういった内容のものを調べておられるのか。そこの調べておられるものが分かれば、そこについての妥当性というか、もう少しこういうものを調べてほしいとか、そういったことも言えると思いますので、ただ単にこの数を調べるだけでなくて、もう少し何か突っ込んだものを知っておられるのかなと思うので、どういったことを調べておられるのか教えていただきたいというのが1点です。
 それと全体に関わることですけれども、私たちが出した事前の質問に対して、自分の質問には厚労省の回答を事前のレクチャーでいただいていますが、皆さんの答えに対してどういうふうなレスポンスをされたのかというのを知りたいなと思います。同じような疑問を持った質問がすごく出ているのですが、それに対してどういうふうに答えられているのか。それを私たちも知りたいし、それを皆さんと共有されるのかを教えていただきたいです。
○土岐会長 まず最初に石岡委員から御指摘がございました専門的人材の適正配置のところでございます。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 今、石岡委員がおっしゃっていただいたアウトプット指標のところと中間アウトカム指標との関連性が分からないという御質問だと思います。ここは右側の専門的人材の適正配置の※書きの具体的なところは、今、手元で即座に分からない部分があるので、確認した上で、また追って回答させていただきたいと思います。
 その上で、左側の項目、アウトプット指標は、仮に不十分なのではないかという御意見が石岡委員におありのようでしたら、具体的にこういう項目が加えられるべきではないかというコメントをもしいただけるようであれば、いただけたらと思っています。
 以上でございます。
○土岐会長 それから、前田委員の1点目は、企業のアクションはどういう形で厚生労働省が数を数えているのかということでございます。
○原澤がん対策推進官 企業アクション自体は、企業アクションというプロジェクトに御賛同いただいて参加している企業の数をそのまま計上しているという性質のものですので、ただ、具体的に個別に取組がどうだとか、どういうことをされているかというのは多少聞いてはいますが、網羅的に数字としてお示ししているような構造にはなっていないものと現時点では理解しています。もう少し正確に確認をした上で、何らか御回答ができるようであれば、また個別に回答させていただきたいと思います。
 2点目でいただいた全体のこの指標に関する整理でございますが、先ほど来少し御説明しているとおり、いただいた御意見は、本日の御議論も踏まえて、改めて事務局のほうで研究班の先生方とも実現可能性も含めて整理をさせていただいた上で、今後の協議会において、現状での対応方針について整理してお示ししたいと考えています。
 一旦以上でございます。
○土岐会長 それでは、続いて大井委員、どうぞ。
○大井委員 ありがとうございます。
 教育のところの24ページになりますが、「がん教育及びがんに関する知識の普及啓発」のところで、「1拠点病院あたりの、連携している患者団体の数」というのがアウトプットの指標ということになっているのですけれども、これは地域によってその患者団体の数というのは格差があり、都市部や地方部でかなり違うと思うのです。数が多ければいいという話ではなく、実態としてそういったものが取り組まれているかということが指標になるべきではないかと思うのです。
○土岐会長 いかがでしょうか。確かに地域によって存在する患者団体の数が違うので、それが多い、少ないでは指標になりにくいのではないかという御指摘ですけれども。
○原澤がん対策推進官 ありがとうございます。
 今いただいた御意見は、資料の24ページの左側の部分に相当する点だと思います。おっしゃっていただいたとおり、「1拠点病院あたりの、連携している患者団体の数」というよりは、具体的な取組の中身についてのクエスチョンが取れないかということだと思いますが、どのような取組であればよいのかといった、先ほど来いろいろ御指摘いただいている質的な整理ができるかというところと、あと、どうやったらそれが調査可能かというところも論点としてあろうかと思いますので、そういった点を含めて御意見として一旦承りたいと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、「予防」のほうに戻ります。「予防」のところにつきまして御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。大井委員、どうぞ。
○大井委員 予防のところで受診率向上対策について、啓発のキャンペーンの実施状況というのがあるのですが、実際のキャンペーンだけではなくて、実際それが届いているのかどうかということだと思うので、ぜひそういう数字は取れないのでしょうか。「受診率対策について」というところで、上から3段目のところに「普及啓発キャンペーンの実施状況」とあります。都道府県での実施数を調べるということになっていますが、実際実施しているということの事実だけではなくて、それがどう市民とか国民とか患者さんたちに届いているのかということが重要になるので、実施しているというだけでは実施した事実が伝わるだけで、どれぐらいの人たちに届いているのかはわかりません。例えばフライヤーであったり、そういった啓発の冊子だったり、そういったものがどれぐらい作られて、それがどれぐらい市民の方たちに配布されているのかとかを指標にできないでしょうか。ただ印刷した枚数になってしまうと、何万枚刷りましたという事実での評価になってしまいますので、それがどれだけ届けられているのかということを評価に使うことはできないのでしょうか。
○土岐会長 ありがとうございます。
 引き続きまして、松田委員、よろしくお願いします。
○松田委員 ありがとうございます。
 がんの予防に関して言うと、非常に重要なのは禁煙と子宮頸がんのHPVワクチンだと思います。ワクチンの接種率は地域保健・健康増進事業報告で把握できると書いてありました。積極的な接種の勧奨が始まりましたので、その数字はぜひ今後見ていくべきだと思います。
 あと、がん検診に関してお話をさせていただきます。今回の第4期の基本計画の最大の目標が「誰一人取り残さない」ということですが、多くの人ががん検診から取り残されていると思います。現時点で受診率を国民生活基礎調査で求めるということは、異論はありません。ただし、このアンケート調査による受診率算定をいつまでも続けていいのかについては、考えないといけないと思います。この調査による受診率は正確性に欠けると思っているのです。ですから、もっとより正確な、具体的に言うと、職域におけるがん検診の状況もしっかり把握できるような受診率の調査が必要であろうと思っております。
 あとは、先ほど申し上げた、受診できない理由です。格差のことですが、がん検診を受けない理由に関する内閣府の調査などがありますので、そのようなデータを用いながら、がん検診に格差がないのかどうかをぜひ見ていく必要があるだろうと思います。
 それと、受診率は国民生活基礎調査で求めています。地域で行われたがん検診、職域のがん検診、両方とも合わせて数を見ているわけですが、精度管理の精検受診率に関しては職域のデータが全く出てこないわけです。地域保健・健康増進事業報告なので。それはやはり片手落ちで、今のところ職域のデータはなかなか分からないということもあろうかと思いますが、職域におけるがん検診の精検受診率をこれから、あるいは過去に遡って、ぜひ今後は職域のがん検診の状況を把握することを考えていっていただきたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
 事務局のほう、いかがでしょうか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 大井委員、松田委員から御意見をいただきました。今いただいた具体的な指標の項目に関する御意見については、いただいた御意見を踏まえて検討したいと思います。
 あと、松田委員からいただいた受診できない理由等についても同様に御意見として承って検討していきたいと思います。
 以上でございます。
○土岐会長 よろしいでしょうか。
 特に検診受診率は大きな目標値になっていますので、こちらのほうを引き続き精度を高めていただきたいと思います。
 検診に関しまして、ほかに御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 よろしければ、議題(2)のほうに移りたいと思います。議題(2)「個別事項について」の「患者・市民参画について」に移りたいと思います。資料7につきまして、事務局より簡潔に説明をよろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 それでは、資料7を御用意ください。「第4期がん対策推進基本計画における『患者・市民参画の推進』の今後の進め方について(案)」というものでございます。「現状・課題」のところから全て読み上げることはいたしませんが、患者・市民参画に係る記載について取り組むべき施策等が示されているという状況でございます。
 具体的に現状患者・市民参画について取り組まれている内容として、がん研究の分野では、患者・市民参画のガイドブックが公開されて、研究開発提案書に患者・市民参画についての記載を求める等の取組を行っています。
 また、国立がん研究センターでは、平成20年度より「患者・市民パネル」というものを募集して、委員ががん情報サービスのコンテンツ策定等に参画していただいているという取組もございます。
 第3期の中間報告書におきましては、都道府県ごとでの取組の状況とかそういったところに触れられておりますが、実際にどのような取組が行われているかというのは、先ほど来の議題(1)の御議論でもいただいていたとおり、具体的な部分が明らかでないという状況もございます。
 そういった点を踏まえまして、対応方針(案)として、今後本協議会において、都道府県協議会に参画実績のある関係団体へのヒアリングを実施して、その内容なども踏まえて、今後の具体的な取組について議論していただくというふうにしてはどうかと考えてございます。関係団体の例としては、例というほど具体的ではないですが、患者団体や患者支援団体の方々にヒアリングをしてはどうかと考えてございます。
 2枚目には患者・市民参画に係るがん対策基本法及び基本計画の中間報告書の記載内容をお示ししておりますので、適宜御参照ください。
 事務局からは以上でございます。
○土岐会長 それでは、ただいまの御説明を踏まえて、委員の先生から御意見を頂戴したいと思います。御意見のある方は挙手でよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。特に御意見ございませんか。
 それでは、次に移らせていただきます。次は「患者体験調査について」でございます。それでは、資料8につきまして、東参考人より説明を簡潔によろしくお願いいたします。
○東参考人 貴重な機会をいただきましてありがとうございます。国立がん研究センター医療政策部の東と申します。患者体験調査についてお話をさせていただきます。
 まず、調査の全体象をお話しした上で、今回の方法についてということで、御説明を差し上げたいと思います。最後に少し質問紙における課題が残っておりますので、その説明もさせていただきます。
 まず、患者体験調査は皆さん御存じかと思いますけれども、そもそものところでお話を簡潔にさせていただきますと、第2期のがん対策推進基本計画で「患者の視点を含めたがん対策の評価をする」という記載が入ったことがきっかけで開始されたものです。その後、成人に対する調査が2回、小児に対する調査が1回行われております。今回コロナ禍等あり、少し間が空いてしまっておりますけれども、今年度、成人に対する第3回の調査を行いたいと考えております。
 患者体験調査の特徴は大きく分けて2つ挙げさせていただいております。1つは、患者さんの体験を直接収集するということで、これを実態把握しようということ。もう一つは、がん患者さん全体を代表するような無作為抽出等のサンプリングの工夫をしているということです。さらには、がん以外の患者さんの体験と一定の比較を行いたいということで、調査対象にはがん以外の方も少数でありますけれども含めさせていただいております。
 調査方法でありますが、これまでとおおむね同様でありますけれども、対象の母集団は院内がん登録の実施施設で初回治療を開始された患者さんを母集団という形で設定しております。手順といたしましては、国立がん研究センターより各施設に対しまして調査の協力依頼をさせていただいて、協力いただける施設において患者さんをさらに抽出するということで考えております。
 それぞれの段階でありますが、まず「病院の抽出」というところです。現時点での計画では国の指定するがん診療連携拠点病院等といったところは、全部の施設を対象としようと考えております。また、その拠点病院以外であっても、都道府県が独自に指定しておりますがん診療協力病院とか、いろんな名称が存在しますが、そちらのほうの院内がん登録をやっている施設に関しましても、こちらのほうは無作為抽出で50~100施設辺りを抽出する予定です。なお、抽出した部分については当然全体より少ないわけですから、集計時には重みづけをして全体値を出すという形を考えております。
 次に、選ばれた協力施設における対象患者さんの抽出でありますけれども、本調査の主な対象としては、診断時年齢が40歳未満の方と40歳以上の方をそれぞれ分けて、40歳未満の方というのは非常に少ないわけですが、それをある程度確保するということで、それぞれ15名、85名を抽出するということを考えております。前回は希少がんも分けてしておりましたけれども、今回は事後的に分類をするということで、最初は分けないという形を考えております。加えて、前回の調査との比較をするための群、一部の社会背景に関する質問を追加する群、がん以外で病院にかかっていらっしゃる患者さん、こちらのほうをそれぞれ少数で抽出させていただいて、総計115名でやっていこうと考えております。ただ、これだと予算が少しオーバーしておりまして、それを今、どうしようかと。予算によっては少し削らなければいけない可能性があるということで、検討中です。
 このスライドは質問項目で、かなり細かいのですけれども、一言ずつで表したというものです。適宜御参照いただければと思います。
 ここからは課題についてお話をしますが、9枚目のスライドについては、既に調査設計で反映した課題をまとめておりますので、これは適宜御覧になっていただければと思います。
 質問紙については、1つ大きな質問の改訂をしておりまして、これは希少がんの問題を捉えるということで、本協議会でも以前から話題になっておりますけれども、専門的な医療が受けられたのかという項目について、これをより直接的に「担当医が、あなたのがんについて十分な知識や経験を持っていましたか」というふうな質問に変えようと考えております。また、希少がんの患者さんで専門施設を探す困難をより的確に捉えるための、治療開始前の受診施設の数、もしくは実感としての困難というものを問う質問も追加しております。
 次に、少し残っている課題といたしましては2つあります。1つは妊よう性に関する質問ですけれども、治療による妊よう性への影響ということの説明があったかどうか。これを質問しておりますけれども、「妊よう性」という言葉がどうしても特殊な言葉で、一般に対しての質問では少しイメージがしづらいのではないかということで、第1回、第2回でやったときには、不妊の影響があると言われておりますが、その説明がありましたかと。「不妊の影響」という言葉を使ってきましたけれども、少し違和感があるという指摘を受けましたので、「生殖機能(妊よう性)への影響」という言葉を使おうかということを考えております。
 ただ、一方で、この言葉が生々しいという指摘があったりして、ほかの言葉も考えているというところで、「卵巣機能、精巣機能」という言葉を使うというのも一つの手かなと考えてはいるのですが、ちょっと長くなるとか、いろいろ問題、課題があって、まだ考えているというのが現状です。
 次に、「病気のことや療養生活に関して誰かに相談することができましたか」という質問があって、これは指標にも入っているわけですが、ただ、前回の調査においては誰に相談したのかという質問がありまして、かなり多くの回答者が「主治医」を挙げていたという現状があります。主治医に相談したというのが適切な、誰かに相談ということで挙げられるものなのかということがちょっと不明だということで、第2回は同じ質問だったのですけれども、第1回で「相談できる場があると思いますか」という質問をしておりまして、そちらのほうがいいかもしれないということで、まだ検討しているところです。その辺がまだ何とも言えないところがあるのですが、それが固まり次第、倫理審査を行って作業を進めていこうと考えている次第です。
 私からの説明は以上です。ありがとうございます。
○土岐会長 東参考人、ありがとうございます。
 ただいまの御説明につきまして御質問等ございますでしょうか。久村委員、どうぞ。
○久村委員 ありがとうございます。
 東先生、分かりやすい説明をありがとうございます。相談支援に携わる者としても、患者体験調査はとても貴重な示唆をいただいていますので、大変関心を持って聞いておりました。
 私からは2点です。1点目、先生が改訂事項として挙げてくださっている問13ですが、「いくつの診療所や病院を受診しましたか」ということで、「受診」という言葉の意味にはセカンドオピニオンを受けた病院もカウントするというふうに考えての回答なのかということについて、私自身もこういうふうに聞かれたらちょっと迷うかなと思ったので、それが1点。
 もう一つは回答者の性別なのですけれども、前回の調査では回答者の性別については、男性か女性かという選択肢だったと思いますが、今回これに加えて、その他などの性的なマイノリティーの方の回答にもちょっと配慮した選択肢というものの追加について検討していただくということはどうでしょうか。実際にそういった選択肢を選ぶ方がどのぐらいいるのかということは分かりませんけれども、性的なマイノリティーの方々ががん医療の中でどういう体験をしているのかということを、僅かなデータであったとしても知る機会があればいいなと思っています。
 以上です。
○土岐会長 どうぞ。
○東参考人 2番目の性別については、「その他」という項目を設けております。御指摘は伺っておりまして、それを加えさせていただきました。
 その前の問13、今、画面に出ているものですが、確かにセカンドオピニオンを受けたからといって、それはアクセスに関する問題ではないと考えたほうがいいと思いますので、ここは検討事項ではありますけれども、今の感触では「セカンドオピニオンを除く」というふうに注釈を入れるべきではないかと思いました。
 ありがとうございます。
○土岐会長 松田委員、どうぞ。
○松田委員 御説明ありがとうございました。
 今日は格差ということが冒頭から非常に大きな問題になっているわけですが、この患者体験調査では格差に関してどういう質問がなされ、それに対してどういう答えが得られそうでしょうか。お教えいただければと思います。
○東参考人 ありがとうございます。
 格差についての直接的な、患者さんに何か聞くということは今回しておりません。偏見であるとか、そういった個人が感じるところについてはしております。ただ、全国の調査をしておりますし、今回都道府県別に集計ができるような形で考えておりますので、そういう意味では、都道府県地域格差というものは、この内容として集計は出ると考えていただいてよいかと思います。
○松田委員 ありがとうございます。
 先生、経済的な格差、経済的な理由で治療が受けられなかった、あるいは変更したという点に関してはどうでしょうか。
○東参考人 この質問も入っております。経済的なものに関しては、金銭的な負担が原因で治療を変更・断念したことはありますかという質問がありまして、それが実際に保険診療だったのかというのが次、さらに金銭的な負担によって次のことがありましたかと。それによって何かが起きるということについての候補を10個挙げて、そういうものが起きたかということは、前回から引き続き聞く予定です。
○松田委員 分かりました。ありがとうございます。
○土岐会長 続いて、樋口委員、どうぞ。
○樋口委員 説明ありがとうございました。
 先生が御提案いただいた検討事項の不妊の影響のことについて、私は普段がんの専門看護師として生殖外来を担当しているので、ちょっとお話をさせていただけたらなと思っています。ここに「不妊の影響」とありますが、多分今までそのような形でされていたということで、今は薬物療法や手術療法の合併症・副作用として卵巣機能とか精巣機能への影響をお話しするのが、まだ完璧ではないですけれども一般的になっていて、そのような流れの中で話をされるものになっていると思います。それで卵子保存、妊よう性温存をされるということに関しては、もちろん不妊になるからということもあるのですが、可能性を残しておくためでもあって、100%不妊というわけでもないですし、ただ、早く閉経になる可能性もあったり、ライフプランに影響を及ぼすために選択する。妊よう性に影響があるから選択されるという方法かと思います。なので、現状としては完全に不妊だからという形でお話をするような形ではないのです。なので、「生殖機能」だったり、「妊よう性」という言葉で自然なのかなと思ったりしていました。
 「生々しい」という表現に関しては、今、各県に生殖ネットワークという形で置くということが決められていて、各都道府県に置いてあるということと、患者さんは治療の中でその生々しいことに必ず向き合っていかないといけないので、そこは患者さんにとっては自然であるというか、必ず考えていかないといけないことなのかなと感じました。
 以上です。
○土岐会長 ありがとうございます。
○東参考人 表現としては「生殖機能(妊よう性)」ということでよいという御意見ですか。
○樋口委員 以前、その意味に関しては補足説明をされるということを聞いたので、確かに「妊よう性」という言葉は難しい面もあるのですけれども、補足があるのであればよろしいかなという形で思っています。
○東参考人 ありがとうございます。
○土岐会長 では、今、「生殖機能(妊よう性)」でよいのではないかというお話でしたけれども、ほかの御意見の方はいらっしゃいますでしょうか。
 では、こちらに関してはそういうことで、東参考人、よろしくお願いします。
○東参考人 ありがとうございます。
○土岐会長 石岡委員、どうぞ。
○石岡委員 基本的な質問をさせてください。病院の抽出で、総数は約600施設ということでよろしいですね。
○東参考人 はい。
○石岡委員 そうすると、各施設115名ですから、規模としては6,000名とかそういう。対象者の抽出というのは115掛ける600ということですか。
○東参考人 そういうことです。6万とかになってしまうので、それはかなりオーバー。予算がちょっと苦しいのです。
○石岡委員 分かりました。
 質問項目がいろいろあって、今、議論が行われているわけですけれども、これは基本的には患者さんがどう考えるかということで、患者の主観によるところだと思うのですが、それをインタープリテーションするときに、例えば患者の経済的負担が大変だというものを、例えば年収が1000万ぐらいある人でも経済的負担が大変だと答える人もいるし、それから年収がほとんどないので大変だと答える人もいる。それは当たり前と言えば当たり前なのですけれども、それを利用するときにどういうふうに利用するのか。
 私はどこかに書きましたが、患者調査というのは客観性があまりないので、評価するときにそれをどこまで評価に使うのかというところはどうされるのか。あと、これは病院側が手紙をランダムに患者側に送るのですね。
○東参考人 そうです。
○石岡委員 これをどういう方法で送るのかというのは、本当にランダムに送れるのかという問題とか、それはバイアスがないのかということ。あとは、先ほどの質問のところで、患者の主観で回答するのだけれども、送った患者さんの臨床データ、病院が持っているデータというのは精度が高いか裏を取らないのか。その点を教えてほしいのですけれども。
○東参考人 たくさんあったので全部一遍に答えられるかあれなのですけれども、まず最後の質問、裏を取るのかということについては、病院から別途の情報をいただくということを一応説明させていただいて、主に院内がん登録で書いてある内容の診断名とステージといったものは使わせていただくということを考えております。それ以上のことを何かしら新たにデータとして病院からもらうかということについては、今のところはあまり考えていないというのが現状です。
○石岡委員 すみません。いいですか。そうすると、例えば生保の人なのかとか、社保の人なのかとか、そういうデータというのは大分違うと思うのですけれども、先ほど言ったように、経済的なところというのは、私の患者だって年収1000万でも経済的負担が大変だと言う人もいるし、それは受けた医療によっても全然違うと思うのです。6000万円かかる医療を受ける人もいれば、50万の医療を受けている人もいるわけですから、そういったところというのは、全体を見ればその傾向というのはある程度使えるという発想だとは思うのですが、患者の主観によるデータというのはかなりばらつきが多いので、その中間を取るということは、実際に患者さんがどう思っているかということを評価する上で、自分たちが期待するデータが出てくるのかということは担保できないのではないかという疑念です。
○東参考人 ありがとうございます。
 調査の限界という意味で、主観的な、こう思ったかどうかということを聞くことについては、先生がおっしゃる主観をもろに受けるというところで、ある程度調査の限界というものかとは思います。ただ、患者の主観的な感想を改善するのもがん対策の立派な目的でありますので、そこのところは項目を見ていただいて、これは主観で答えるよねというものをどう捉えるのかというのは、結果を見ながら、過信は禁物かもしれませんが、そういうふうに皆さんが思っていただくというのが大事かなと。そのバランスを取っていただくというのが恐らく結果の解釈で重要なのかなと思います。
 一方で、主観でない事柄が聞ける場合、例えば経済的な苦しさという意味では、先ほど少し触れさせていただいた経済的な理由でこういったことが起きましたかということについては、もちろんそういうことが起きるかどうか。例えば借金をしたかとか、何か仕事を諦めたとかあったかな。そういった何が起きたのかということは聞いておりますので、そこは確かに人の背景とか主観でそういったことが起きたかどうかが変わることはあるのですけれども、回答自体がそこの部分にはなるべくそこの影響を受けないような質問、工夫をしているというところで努力をしております。
○石岡委員 分かりました。評価をするときにそこのところを十分注意した評価をするということは可能かなと思います。
○東参考人 ありがとうございます。
○土岐会長 宇野委員、よろしくお願いします。
○宇野委員 大変詳細な調査だと思います。ただ、初回治療を開始された患者さんを対象とするということですので、そもそも格差や地域、あるいは治療機器へのアクセス等を考えて治療が受けられなかったと。そういう方を何とかこれに加えるということは今後考えられませんでしょうか。
○東参考人 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりで、治療を受けられなかった患者さんに対してどういうふうに到達するのかということについては、恐らくこういった病院のデータを基にした患者調査、患者さんのサンプルではなくて、地域ベースであるとか住民ベースの調査が必要になるのではないかと思います。ここは患者さんになった方々の調査ですので、そこのところが限界です。ただ、患者さんが病院にかかって経過観察をされたという方は、院内がん登録上、初回治療が開始されたものと同じというふうに定義してコード化されますので、その患者さんに関しては質問紙が行く、サンプルフレームには入るということになります。
○土岐会長 ありがとうございます。
 小原委員、よろしくお願いします。
○小原委員 ありがとうございます。
 1点だけ確認させていただきたいのがありまして、予算の関係でも百何人という数というのは非常に重要な数になると思うのですが、この中で診断時の40未満の患者さんと40以上と2群に分けていますね。多分40未満が少ないだろうということで15、85という形にされていると思うのですけれども、前回された対象者の平均の年齢を見ていると、実際は60代後半ぐらいになっていたかと思うのです。そうすると、この中で予想されるのが、40歳以上といっても高齢者もかなり交じるのではないかという予想はできるかと思うのです。2群に分けた理由というのが1つ知りたいということ。
 それから、私がなぜこれを申し上げるかというと、ライフステージによって、特に就労のこととか地域とのつながりとか、高齢の場合は例えば家族の介護とか、先ほどから話になっている経済間格差のところとか、そういったところの相関というか、関係性みたいなものを見るに当たって、せっかく限られた人数の中で、後で補正されるとは思うのですけれども、それにしても70、80という方々が多くなってしまうと非常にもったいないなと思うものですから、そこのところをどういうふうに調査設計されているのかなというところを教えていただいてよろしいでしょうか。
○東参考人 ありがとうございます。
 40歳未満と40歳以上と分けたのは、AYA世代とそれ以外という定義に従ったということです。ただ、AYA世代と言っても未成年のほうは入らないですけれども、調査という意味では、未成年には特別な配慮が必要ということがありますので、成人を対象にしているというところです。
 御指摘のミドルの方々をどう考えるのかということについては、そこを取り立てて分けて何かしらの解析というのは今まではしていないのですけれども、ただ、超高齢者、75歳以上とかのを取り立てて解析というのは今後していこうかと思っております。
 ちゃんとは見ていないですが、大体45から75まで、もしくは65までであってもそれなりの患者さんの数はいらっしゃいますので、そこを分けて計算するということであれば、一緒にどんとサンプルをしていっても、後で分けて比較をすることは可能ではないか。逆に申しますと、40歳未満というのは母集団では数%しかいませんので、ここでオーバーサンプルしてあげないと恐らく非常に少ないということになってしまうので、そこはオーバーサンプルをわざわざしたと。そういう調査設計です。
○小原委員 ありがとうございました。
 40歳未満というのは、それが非常に重要な観点だと。逆に言えば、40代、ミドルの世代というのは、今、就労の問題とか、社会とのつながりとか、経済的な問題で非常に大きな課題を抱えていると思うのです。ですから、そこのところを「40代以上」というところで全部くくるのか、もしくは3つに分けるということもありなのかなとちょっと思ったものですから、そこも御検討いただけたらありがたいなと思います。
 以上です。
○東参考人 母集団の数も見て、必要かどうかということも検討させていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
○土岐会長 よろしいでしょうか。
 それでは、次に移りたいと思います。続きまして、資料9の「診断・治療が特に困難ながんについて」、資料10の「がん研究10か年戦略の見直しについて」、この2つにつきまして事務局のほうから説明をよろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 時間の関係もございますので、資料9と資料10をまとめて御説明させていただきます。
 まず、資料9を御覧ください。「診断・治療が特に困難ながんについて」ということで、背景のところに記載してございますが、診断・治療が特に困難ながんを指す用語として「難治がん」や「難治性がん」という用語が使用されています。第3期がん対策推進基本計画からは「難治性がん」という用語を用いていますが、第4期においても同様の用語を用いた上で、注釈として「特定のがん種に限定されず、治療が奏功しない抵抗性のがんをいう」というふうに一旦整理しています。
 他方で、協議会においても、「難治性がん」よりも「難治がん」という用語のほうが一般的ではないかといった御意見もいただいておりました。そういった点を踏まえて、明確な定義が定められていないという実態と、それに加えて、定義のことだけではなく、診断・治療が特に難しいとされる要因については、がん種や病理組織像、臨床進行期、がんゲノム情報等、様々であって、具体的な実態の把握と対応方針の検討が必要であると考えていました。
 そこで、令和5年度の厚生労働科学研究費補助金における公募課題として、資料9の次のページを見ていただければと思うのですが、「診断・治療が特に困難ながんの実態把握と治療成績の向上に資する研究」というものを設けて、今、公募のプロセスに乗っている状況でございますので、こういった研究結果なども踏まえて、本協議会においても、言葉の整理だけではなくて、具体的な課題の整理とその解決に向けた取組の検討というふうに今後御議論を続けていただければと思っていますので、御報告させていただきますというものでございます。
 続いて、資料10を御覧ください。こちらは「有識者会議の開催と議論の進め方について」ということの資料でございます。「がん対策10か年戦略」についてでございます。資料3枚目までお進みいただければと思います。がん研究の総合的な戦略についてどのように定められてきたかと申しますと、平成26年に「がん研究10か年戦略」というものが定められておりまして、令和5年度でその戦略の期間が終了するという形になっています。
 次の4ページ目を御覧いただければと思いますが、第4期がん対策推進基本計画におきましても、御承知のことかと思いますが、がん研究の分野の記載の中で、「国は、『がん研究10か年戦略』の中間評価報告書や本基本計画を踏まえ、がん研究の更なる充実に向け、戦略の見直しを行う」とされています。それを踏まえまして、今回この資料をもともと使っていますのは、有識者会議というものを改めて立ち上げまして、そちらの中で今後御議論いただきたいと思っています。
 具体的なスケジュール感としては、9枚目までお進みいただいて、「スケジュールと議論の進め方について」ということで、4月12日にキックオフをさせていただいて、6月の上旬から具体的な研究のこれまでの取組状況や有識者の先生方からのヒアリングをした上で、秋頃を目途に取りまとめをしたいと考えているところでございます。こちらはこのような検討を進めていきますという御報告でございます。
 事務局から資料9と資料10の説明は以上でございます。
○土岐会長 それでは、資料10のほうは報告ですが、資料9、難治がんのほうにつきまして御質問等、よろしいでしょうか。石岡先生、どうぞ。
○石岡委員 私が何を言うのか、皆さん想像のとおり、「難治がん」という言葉は、アカデミアではほぼコンセンサスが得られているということです。私の学会では理事全員が「難治性がん」というのは使わないという意見です。癌治療学会の理事長の土岐先生、座長も学会の役員等に調査をちょっとしていただけるのがいいのではないかなと思います。
○土岐会長 はい。
○石岡委員 「難治性がん」というのは、定義もないのに独り歩きをしている状況をつくると、例えば地方の。私はインターネットでは結構調べています。ある県では「難治性がん」という言い方をもう使い始めているのです。そうしますと、「難治がん」という言葉と「難治性がん」、2つが同時に走る。がん情報サービスには一貫して患者さん向けには「難治がん」と書いてある。用語の定義で。そうすると、患者も市民も非常に混乱する。「難治性がん」と国は言っていると。だけど、がん情報サービスには「難治がん」と書いてある。学会等でも「難治がん」と言っている。「難治性がん」と「難治がん」というのは一体何がどう違うのだと。今から定義を検討するのだったら、一般的に使われる「難治がん」としておいて、それでもなおかつ「難治性がん」という定義を別につくる必要があるなら、その後で「難治性がん」をつくればいいわけで、定義がないので、両方パラレルにしておく、放っておくというのは非常に無責任なので、絶対やめてほしいと思います。
○土岐会長 ありがとうございます。
 事務局のほう、いかがですか。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 御意見ありがとうございます。私どものほうではいろいろ御議論もさせていただきましたところ、「難治がん」「難治性がん」共に明確な定義が定まっていないという理解をしています。先生がおっしゃっていただいたように、アカデミアのほうで、学会の中で「難治がん」という言葉が使われるようになっているということは事実として理解した上で、それぞれの使い分けというか、どちらかに統一しましょうという動きになり得るのだと思いますが、そういったところも含めてしっかり整理していきたいと考えています。
 また、がん対策推進基本計画の連続性という文脈の中で言えば、「難治性がん」というものが第3期の推進基本計画から使われていたということもございましたので、そちらを踏まえて、「難治性がん」という用語で整理をさせていただいたというところがございます。
 あとは、現場でお困りのことが生じないようにというのは、しっかり今の御意見を踏まえて考えていきたいと思います。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○土岐会長 石岡先生、前から御意見を伺っていますので、「難治性」か、「難治」かという問題も含めて、そもそもどちらも定義が決まっていないので、まずその病気のイメージをしっかりつくっていきたいと考えております。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、今日は時間をオーバーしましてすみません。まだ御発言をしていない委員もいらっしゃるかもしれませんけれども、全体を通じまして御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事は以上とさせていただきます。
 進行を事務局のほうにお返しいたします。よろしくお願いいたします。
○原澤がん対策推進官 事務局でございます。
 本日は活発に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
 次回以降の日程につきましては、また改めて事務局より御連絡をさせていただきます。
 それでは、本日はここまでとさせていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線2066)