第10回外国人雇用対策の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和5年3月29日(水)13:30~15:00

開催方法

オンライン開催

出席者

  • 天瀬 光二
  • 大下 英和
  • 九門 大士
  • 是川 夕
  • 酒井 正
  • 佐久間 一浩
  • 友原 章典
  • 新田 秀司
  • 山川 隆一(座長)

議題

  1. (1)外国人雇用状況について
  2. (2)外国人の雇用労働に係る統計調査の実施について
  3. (3)外国人雇用対策の最近の取組について
  4. (4)その他

議事

議事内容
○山川座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第10回外国人雇用対策の在り方に関する検討会を開催いたします。皆様方には御多忙のところ、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。では、開催に際しまして田中職業安定局長から御挨拶がございます。

○職業安定局長 職業安定局長の田中です。本日は年度末のお忙しい中、第10回外国人雇用対策の在り方に関する検討会に御参集いただきまして誠にありがとうございます。昨年3月以降、水際措置が順次緩和されており、外国人の方の新規入国が再開されております。外国人労働者数を見ましても令和4年10月現在で過去最高を記録しており、引続き多くの外国人労働者が我が国に入国し、就労している状況にあります。国内における外国人労働者の労働条件の確保、雇用環境の改善、こういった対策への取組の重要性が、より高まっていると考えております。
 さて、外国人の雇用状況に関する統計調査につきましては、新たな公的統計を令和5年度から調査開始いたします。本日は、有識者による研究会での議論を踏まえた統計調査計画の概要を御報告させていただきます。新たな統計調査は昨年度、本検討会の中間とりまとめで、エビデンスに基づく外国人雇用対策の立案の基盤整備を目差すべきとの御提言を頂きまして、これを具体化したものです。今後、エビデンスベースでの外国人雇用対策の政策立案に活用できるよう、初年度である来年度はしっかりと対応してまいりたいと考えております。また、事業主団体など関係者の皆様におかれましては、調査の周知などについて御協力をお願いしたいと思っております。
 そのほかに、外国人雇用に関する取組の内容として、受入れ開始から1年を経過しましたウクライナ避難民の方々への就労支援、留学生の国内就職支援の取組、事業主団体やNPO法人との連携した取組なども本日、御報告させていただきます。委員の皆様には限られた時間ではありますが、是非、忌憚のない御意見をいただけますと幸いです。以上、簡単ではありますが、冒頭の御挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。

○山川座長 ありがとうございました。田中局長は別途、公務の都合がありまして退室されます。
 本日の検討会はこちらの会場とオンラインで開催いたします。今回も検討会の様子をYouTubeで配信する予定であるということですので、事務局から説明をお願いします。

○国際労働力対策企画官 事務局です。オンラインで御参加いただいております皆様からの御発言についてお願いがあります。オンライン参加の方は、事前にお送りしております「(Zoom)外国人雇用対策の在り方に関する検討会の開催・参加方法について」を御参照いただきますようお願いいたします。座長が御発言を希望される方を募ります。会場の方は挙手を。オンラインの方は「手を挙げる」機能を使用してください。座長により御発言される方を指名いたしますので、指名された後に、まずお名前を名乗っていただき、御発言を開始してください。オンラインでの御発言後は、必ずマイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。操作などの御質問がある場合には、事務局までお問い合わせください。円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
また、事前に登録した方に限り、本検討会をYouTubeで配信することとしておりますが、現時点で機材の関係の準備が整っておりません。整い次第、配信したいと存じます。申し訳ございません。
 続きまして、資料の確認です。本日の資料は、議事次第と資料1~6、参考資料1及び2です。これらの資料に不備がありましたら事務局にお申し付けください。事務局からは以上です。

○山川座長 ありがとうございました。議事に先立ちまして、本検討会の構成員の交代がありましたので、御報告させていただきます。資料1を御覧ください。山脇委員が退任され、代わりまして、日本労働組合総連合会労働法制局局長 菅村委員に御就任いただいております。本日は御欠席と伺っております。なお、佐久間委員は所用のため、14時頃からの御出席となります。それでは議事に入ります。最初の議題は議題1「外国人雇用の状況について」ですが、事務局から説明をお願いします。

○国際労働力対策企画官 それでは、資料2を御覧いただきますようお願いします。画面共有をお願いします。資料2と合わせて、資料3により外国人雇用の状況について御説明します。
 まず、資料2です。外国人雇用状況届出に関しては、例年1月に前年10月末現在のものを公表しており、本年は1月27日に公表しました。そちらの御報告です。2ページを御覧ください。外国人労働者の総数として、右上にあるように約182万3千人で、過去最高を更新しております。続いて3ページ、2008年以降の推移です。赤線が外国人労働者の総数ですが、リーマンショック、コロナを通して、ほぼ一貫して増加を続けております。青線が増加率となり、直近は5.5%ということです。コロナの1年目、2年目を上回っておりますが、それ以前の10%~20%という水準までは戻っていない状況です。在留資格別でみると、「専門的・技術的分野の在留資格」は前年比20%以上の増加です。次いで、「特定活動」は前年比11.3%増、「身分」が2.6%増となっております。「技能実習」は微減です。
続いて4ページ、業種別の推移です。伸びているのは、オレンジ色の「サービス業」、青色の「製造業」、緑色の「卸売業、小売業」となっております。続いて5ページは、直近の昨年の状況を業種別に詳しくお示ししたものです。製造業が最大で約48万5千人です。これはコロナ前の水準を超えて過去最大となっております。
続いて6ページは、国籍別の推移です。中程の赤い斜線がベトナムですが、国籍別では最大の約46万2千人となります。伸び率そのものは記載しておりませんが、伸び率では、インドネシアが最大で47.5%、ミャンマーが37.7%、ネパールが20.3%等となっております。続いて7ページです。昨年の状況を在留資格別・国籍別にまとめたものです。真ん中辺りにベトナムがありますが、ベトナムの場合はマル3技能実習が最も多く、約18万3千人となります。次いで、専門的・技術的分野、資格外活動などとなっております。国籍別でいうと、2位が中国になりますが、最も多いのはマル1専門的・技術的分野で約13万3千人、次いでマル5身分系が約13万人となっております。このほか、主なところでは、インドネシアは「技能実習」が最も多くなっており、ネパールは「資格外活動」、フィリピンやブラジル、ペルーは「身分系」が最も多くなっております。
続いて8ページは、外国人を雇用している事業所数です。一貫して増加を続けている状況です。続いて9ページです。参考として、外国人雇用事業所を規模別に分類したものです。御覧のとおり、30人未満の小規模事業所の占める割合が高くなっており、10年前と比較すると割合が徐々に増加している状況です。資料2の御説明は以上です。
 続いて、資料3です。こちらはハローワークで把握している外国人の求職者と外国人向けの求人状況をまとめたものになります。4ページは、外国人の新規求職者数の推移です。昨年は年初から9月ぐらいまで1万人程度で推移しておりましたが、年末は季節的に落ち込む傾向があり、新年に入って戻ってきましたが、9千人を少し超えるところでとどまっております。引き続き、状況を注視する必要があると考えております。
続いて、5ページです。外国人の非自発的離職の割合を日本人と比較したものです。青の実線が外国人です。2022年の初めから、コロナ前の同時期の水準と比較して低い傾向が出ておりました。直近の2023年1月に逆転していて、再びコロナ前の水準を上回っております。引き続き、推移を注視する必要があると考えております。
続いて、6ページです。外国人の非自発的離職の割合を在留資格別に見たものとなります。若干の変動がありますが、紫色の「定住者」が最も高い水準です。次いで、「永住者」、「日本人の配偶者」が同じようなグループで、最も低いのが「技・人・国」というのが一般的な状態であると認識しております。昨年に入って以降、「技・人・国」と、それ以外のグループの差が広がっておりましたが、昨年の秋以降、この差が縮まってきて、直近では「技・人・国」と「日本人配偶者等」との差が6.3ポイントまで接近しております。この傾向についても、今後、注視してまいりたいと存じます。
続いて7ページ、就職率の推移です。赤の実線が日本人、青の実線が外国人です。日本人の就職率のほうが15~20ポイントほど高いというのが多いのですが、直近では日本人が急落していて、外国人がそこまで落ちなかったこともあり、その差が7.6ポイントまで縮まっております。こちらも状況を注視していきたいと存じます。
続いて9ページ、外国人向け求人に関するものです。新規求人数は、コロナにより落ち込んで以降、ほぼ一貫して上昇しております。直近は、コロナ前と比較しても1.85倍という状況です。十分に高い水準ですが、その中で、ここ2か月ほどは伸び率が鈍っている状況ですので、今後の動きを注視していきたいと存じます。続いて、10ページ、有効求人数の推移です。新規求職が3か月間有効になるので、先ほどのグラフをなだらかにしたような形になっております。
続いて11ページ、有効求人数の推移です。左側のグラフは、専門的・技術的分野だけを取り出したものです。右側は、専門的・技術的分野以外です。左のグラフですが、前回の検討会の御説明の際には、2019年のコロナ前の同時期と比較して、ほぼ同じぐらいの水準でした。その後、上昇して1.45倍ほどにまで上がってきております。右のグラフは、ほぼ一貫して伸び続けており、2019年の同時期と比較して2倍を超える水準となりました。割合が大きく占めているのは、オレンジ色の「サービスの職業」です。これが昨年11月をピークに若干減少していますので、こちらについても動向を注視していきたいと考えております。
続いて12ページは、外国語使用求人の推移を示したものとなります。左のグラフが言語別、右のグラフが職業別です。前回の御報告以降、いずれも上昇基調です。コロナ前の6割以上の水準にまで回復しております。今後、インバウンドが更に回復すれば、サービス、販売などの求人が増加してくるものと推測しております。資料2及び資料3の説明は以上です。

○山川座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明内容について御質問、御意見等がありましたら御発言をお願いいたします。御発言の際は、挙手又は画面上の「手を挙げる」ボタンをクリックしていただくようお願いいたします。御質問、御意見等ございますか。是川委員、お願いします。

○是川構成員 ありがとうございます。まず最初に、こうした形で継続的にデータを見ていくことで、コロナ以降、どういう形で外国人の雇用状況が変化していったかということが改めてよく分かるなと思っております。こうした取組は重要だと思っているところです。各データについて気付いたことを述べさせていただければと思います。
まず、資料2の「外国人雇用状況」の届出状況のほうですが、3ページ目の在留者数別に見た外国人労働者数の推移です。前年からの伸び率がまだ5.5%ということで、コロナ前に比べると弱いという説明があったところですが、同時に御説明があったこととして、在留資格別でみると、「専門的・技術的分野の在留資格」が非常に伸びているとか、そういう伸びもあります。一方、まだ「資格外活動」と「技能実習」が全体的な水準としてコロナ前の水準に戻っていないということがありますので、そこが全体を押し下げているということなのかなと思いました。それを除くと、「専門的・技術的分野の在留資格」に代表されるようにコロナ前から堅調な伸びを引続き示しているのかなという印象を持っています。
 次のページの4ページ目についても、産業別に見た結果ですが、「宿泊業、飲食サービス業」は、数の上ではコロナ前の数を越えているようですけれどもインバウンドがまだ戻っていない中で、このくらいの水準にきているということは、今後、更に増えていく余地があるのかなというように見ています。
 次に、6ページ目の国籍別に見た推移の表ですが、やはり足元の特徴としてあるのが、ベトナムは相変らず数の上でもシェアの上でも大きいわけですが、それに加え、インドネシア、ミャンマーが増えているということが、ひとつ特徴としてあるのかなと思います。これは2022年に技能実習生としてミャンマー、インドネシア、フィリピンから、非常にたくさん入って来ているという結果が入管庁の統計からも確認されていますので、これも新しい動きとして今後、見ていく必要があるのかなというように思っているところです。
 すみません、ちょっと長くなって恐縮ですが、次の資料3についてですが、5ページ、6ページの雇用状況をみると、やはりコロナ直後の2020年5月、6月をピークとして、その後順調に回復してきているのかなというような印象を持って見ております。また一方で、就職率のところ、7ページの資料にもございますが、日本人と外国人の就職率の差というのは、ある程度固定的なものとして見えているというところもありますので、こうしたスプレッド、格差が、どういう要因に基づくものなのかなど実際に現場レベルの、ハローワークでの情報を是非これからも収集していただいて、これがどういう性質のものなのか、縮めていけるものであるのか、そういう点についても今後、見ていければいいのではないかと思います。
 最後に、円安で2022年の初頭ぐらいから、もう外国人労働者は来ないと言われていたわけですが、こうして1年たってみると、かなり力強く伸びているということですし、また先週の金曜日に入管庁から出された「在留外国人統計」にも、年間の在留外国人の人口増加幅が初めて30万人を越えたという状況もあります。コロナの直近で20万人がピークでしたから、プラス10万人が上積みされる形で入国が加速しているという状況がありますので、今後も引続きしっかり見ていっていただければと思います。長くなりましたが、以上です。

○山川座長 ありがとうございました。それでは、続きまして酒井委員、どうぞ。

○酒井構成員 御説明ありがとうございました。今ほど是川委員からもございましたけれども、このような形で、外国人を取り巻く労働市場の状況、特にハローワークにおける外国人求人の状況がこの検討会において定期的に報告されることで、外国人労働者が置かれている状況ということに関して見通しがよくなったのではないかなと、非常に高く評価しております。
 それで、私からは、この資料について細かい点で恐縮なのですが、1点ほど質問させていただきたいことがあります。資料3で、外国人の非自発的離職が着実に減ってきているという状況が示された後に、就職率ということが示されているかと思います。今お示しいただいているものかと思いますけれども、確認なのですが、この就職というのは、雇用保険適用職への就職なのでしょうか。それとも、そういうことにかかわらず、全ての就職ということなのでしょうか。
といいますのは、最近では職業訓練の就職などは雇用保険適用職を示すようになっていると認識しておりますけれども、この資料がどちらかであれ、その雇用保険適用職への就職と、それ以外も含めた就職というものを示すことによって見えてくるものもあるのではないかというふうに思います。特に、こういう労働市況が回復しているような状況においては、その労働市場の回復というのが、求人の質の変化にも現われてくることがあります。そうすると今回のように、例えば外国人と日本人との比較あるいは在留資格別の比較ということも、また違う角度から捉えられるのではないかと思い、質問させていただく次第です。以上です。

○山川座長 ありがとうございました。御質問ですが、事務局から何かございますか。

○外国人雇用対策課長 酒井先生、ありがとうございました。まず、データの数字ですが、これはハローワークで把握した就職ということであり、雇用保険に入っているか入っていないか両方を含めたものです。今、先生からありました、雇用の質をはかるメルクマールとして、雇用保険の適用か適用でないかというところについては、この資料では、そういう意味では出ておりませんので、我々の宿題ということにさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○酒井構成員 ありがとうございます。

○山川座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。両先生から、大変有益なコメントを頂きまして大変ありがとうございました。それでは、特段ないようですので、次の議題に移ります。議題2「外国人の雇用労働に係る統計調査の実施について」です。では、事務局から説明をお願いします。

○国際労働力対策企画官 それでは資料4について御説明いたします。本外国人検討会の中間とりまとめを受けまして、外国人の雇用労働に関する統計調査について検討してきました。昨年度、統計の研究会では、統計の基本的な考え方について取りまとめを行いました。今年度は、具体的な統計の方法論から実際に使用する調査票まで、幅広い事項について御検討いただいております。検討結果は、研究会の報告書としてまとめており、公表の予定です。そこに示されている調査計画をまとめたものが、資料4です。この統計については、総務省の一般統計として実施する予定で、先日、総務省に承認申請を行いまして、本日、承認が下りたという状況です。
 それでは3ページです。統計の名称は、外国人雇用実態調査ということにしています。調査目的ですが、外国人労働者の雇用形態、賃金等の雇用管理の状況、学歴、入職経路等について、産業別、規模別、在留資格別に明らかにするとともに、今後の外国人雇用対策立案の基礎資料とするというものです。
 調査対象としては、事業所と外国人労働者の2種類の調査対象があります。事業所に関しては、約9,200の事業所を想定しています。労働者は、抽出した事業所に雇用されている外国人を想定しており、約4万3,500人の想定です。ほかの統計との並びもありまして、調査対象の事業所は雇用保険の被保険者数が5人以上で、なおかつ、これは外国人の統計ですので、外国人を1人以上雇っている民営の事業所ということにしています。
 業種では、18産業大分類ということで、労働関係の統計では対象外としていることの多い農業や漁業の分野においても外国人が活躍している実態がありますので、調査対象として含めています。
 4ページ、4.抽出の方法です。基本的には産業、それから事業所規模による層化無作為抽出を行います。ただし、規模に関しては外国人の500人というところで線を引いて、500人未満が層化無作為抽出、500人以上の事業所に関しては悉皆調査(全数調査)を行います。これは500人以上の事業所は外国人の規模が文字どおり500人程度の所から数千人という所まで非常に幅が広くなっていて、どこを抽出するかで結果に大きな影響が出てくるということがありますので、数がそれほどないこともあり、全数を取るということとしています。
 労働者については、抽出された事業所に所属する外国人労働者ということにしています。事業所ごとに外国人9人までの所は全員、10人以上の所は10人を上限として抽出をするということにしています。
 次いで、5.目標精度です。事業所に関しては、産業別では原則5%以内、事業所規模別では原則5%以内という設定の仕方をしています。労働者に関しては、同じく産業別で原則6%以内、事業所規模別では原則6%以内としています。原則としていますが、これは母集団の中に該当する事業所、労働者が限られていますので、区分によっては目標精度を達成するために必要なサンプルサイズが得られない可能性があるということで、原則と入れているものです。
 続きまして、6.回収率です。事業所に関しては50%、労働者は外国人であるということも踏まえて30%と低めの設定をしています。ほかの統計ではないような障害が予想されますので、低めに設定した上で、それでも一定の目標精度は達成できるような設定としています。
 続きまして、5ページです。こちらは報告を求める事項、いわゆる調査項目です。詳細は次のページに記載していますので、後で御説明したいと思います。7.報告を求める事項の一番下の※の所です。次の8の所とも関連しますが、労働者のほうは回答いただく調査項目が大変多いので、回答者の負担軽減という観点から、基幹的な項目を選んで、それは毎年、調査をする。それ以外の項目は、3つに分類して、3年周期で回していくという形にしています。
 続きまして、調査方法です。事業所に関しては、対象事業所に調査票を郵送し、回収は郵送又はオンラインで行うということとしています。労働者に関しては、調査票の配布は事業所経由ということにして、回収は郵送又はオンラインということです。この紙で明示はしていませんが、労働者票の回収に関しては事業者を間に仲介することなく、直接回収するという調査計画を作っています。この労働者の調査票は、外国人対象ですので、やさしい日本語、英語、中国語、ベトナム語、ポルトガル語の5言語で、調査票を作成するという計画です。設問数については、事業所票が11問で、これは賃金構造基本統計調査とほぼ同じです。労働者票は、毎年行う基幹的な調査項目が23問、それから先ほど申し上げたように、3年周期で回していく項目は1年目が8問、2年目が9問、3年目が4問ということになっています。9.実施時期は、今年の10月から11月の間に最初の調査を行います。その後、1年以内に公表する予定です。
 6ページです。こちらが調査項目の概要となっています。左側が事業所票の調査項目、右側のピンク色になっている所が労働者票です。労働者票は2列ありますが、左側は毎年調査するもの、右側は3年周期で入れ替えていくものという構成になっています。毎年の調査項目としては、性別、出生年月、在留資格といった基本的な情報に加え、この統計でなければなかなか取れないような学歴や母語、日本語能力なども調査いたします。また下のほうの入職経路としては、入職前の居住地、入国の費用負担なども毎年調査する予定です。3年周期の調査としては、1年目に前職との比較をするための情報を聴取します。2年目には家族の状況や仕送りの状況に関すること、3年目には転職希望などを調査する予定です。
 7ページに、実際の事業所の調査票の一部ですが、掲載しています。右側のほうですが、賃金構造基本統計調査と内容的にはほぼ同じ調査票です。在留資格が追加されている程度の違いです。
 続きまして8ページ、労働者調査票です。全体はもっと長いのですが、イメージとして抜粋して記載しています。今、御覧いただいているのは、やさしい日本語のバージョンになります。やさしい日本語については、ある程度、体系化されたルールがあります。基本的に、それに沿って作成しています。また、やさしい日本語をチェックするツールなどもありますので、こういったものも活用した上で最終的に日本語学校の先生などにも目を通していただいて、できる限り分かりやすいものにしたということです。
 最後になりますが、次のページは委員名簿です。御説明は以上です。

○山川座長 ありがとうございました。樋口先生が座長である研究会においても、充実した御検討を頂きまして、いよいよ実施の段階に入るということで、何よりかと思います。
 では、ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたら皆様から御発言をお願いしたいと思います。先ほどのような方法で、挙手、又は「手を上げる」ボタンをクリックしていただければと思います。御質問、御意見等はありますか。九門委員、お願いいたします。

○九門構成員 亜細亜大学の九門です。ありがとうございました。外国人の雇用状況を把握する上で、こうした外国人の雇用労働に係る統計整備というのは、非常に有意義な取組だと思っています。また、労働者調査では、やさしい日本語を含めて多言語での言語設定もされているということで、かなり外国人の方々も回答しやすくなっていると思っています。今後より外国人労働者の実態が明らかになってくると思いますので、今後の結果に期待しております。非常に意義深い取組だと思います。ありがとうございます。

○山川座長 ありがとうございます。それでは、佐久間委員、お願いいたします。

○佐久間構成員 佐久間です。いつもありがとうございます。御説明ありがとうございました。いよいよ調査票が出来上がりつつあって、それから調査に入るということで、結果を楽しみにしていますが、先生方でかなり詰めていただいたので、私から指摘させていただくことはないのですが、気づいた点を申し上げます。まず、QRコードが付いていますが、外国人の方はスマホでの回答ということが可能かどうか、お伺いしたいと思います。あとは調査票に記載されている漢字ですが、表題の一番最初を拝見させていただくと、調査の結果、これからの政策を考えるためとか、また調査計画(3)で、基本的には9月30日現在の時点の実態など、この辺の単語が分かるかなということが疑問でした。多分、日本語をある程度できる外国人の方が回答することになるので、この程度の単語は大丈夫だと思いますが、この2点が心配だなと思います。
 また、今回の調査と趣旨が違ってしまうのですが、これから毎年、予算化がされ調査の実施が仮に可能であるとすると、雇用している企業に外資が入っているなど、あるいは、役員としてかなり外国人の方が占められているなど、そのようなことが分かればと。多分、そういう企業は外国人の方の雇用が多いのではないかと思いますが、外国人投資や外国人が経営する企業の分類ということも検討していくこともいいのかなと思いました。ありがとうございます。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。コメントと、御質問もありましたが、事務局からはいかがでしょうか。

○外国人雇用対策課長 ありがとうございます。今の佐久間委員からの御質問、御指摘について事務局から回答します。まず、スマホについては、労働者調査票にQRコードがあるとおり、このQRコードにスマホのカメラの機能をかざしていただくことを考えております。基本的にスマホの画面の縦長に沿ったような分かりやすいレイアウトにしたいと思っていますが、まだそこは来年度、受託事業者にお願いしてやっていただくことですので、細かいことは決まっていませんが、その方向でやりたいと思っています。
 日本語が難しくないかということと、企業属性について、外国人の役員の方がいらっしゃるかどうかについてですが、日本語については、例えば日本に長くいらっしゃる永住の方なども、この調査の対象になっています。日本に来たばかりの方と、10年以上日本にいて永住権を持っている方もいらっしゃる中で、どの辺りのバランスにするかというのは少し議論があったところです。結果として、このような形になっていますが、例えば回収率などでみて、日本語の回収率が低いようでしたら、また工夫するなど、その辺はトライアルアンドエラーをしたいと思っています。また質問についても、やはり最初の統計ですので企業の調査負担というものを考慮して、基本的に賃金センサスと同様という説明をしたところです。また調査事項の追加については、そうした負担や回収率とのバランスなどをみて、今後、検討したいということです。検討については、来年度の調査の経費の中に、有識者の先生方の研究会というものも設けられるようにしていますので、そこで先生方にいろいろと御指導いただければと思っています。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。佐久間委員、何かありますか。

○佐久間構成員 ありがとうございました。是非、よろしくお願い申し上げます。

○山川座長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はありませんか。よろしいでしょうか。いろいろ工夫をしていただいていまして、回収率がどうなるのかが先ほども御説明がありましたように注目すべき点になろうかと思います。では、特段ないようでしたら次の議題に移ります。
 議題3、「外国人雇用対策の最近の取組について」です。事務局から説明をお願いいたします。なお、今回、資料6の(独)労働政策研究・研修機構の調査については、調査を担当された山口研究員から御説明いただけるということで、御参加いただいております。よろしくお願いいたします。それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○国際労働力対策企画官 それでは、まず事務局から資料5について御説明します。2ページを御覧ください。今回の資料の中では大きく4つあります。ウクライナ、留学生、地域外国人材受入れ・定着モデル事業、それから関係者との連携という4つです。
 まず4ページ、ウクライナ避難民から御説明します。ウクライナ関係について、この1年の対応をまとめています。中段の左にありますが、ハローワークにおける職業相談件数は1,186件です。ウクライナ避難民の就職者数では474件ということですが、これはハローワーク以外を介したものも含んでおり、ハローワークに限定すると147名ということになります。この数字は3月15日時点の実績ですが、この時点で避難民の方が2,223人、うち特定活動に切り替えて住民登録等ができるようになっている方が2,029人という状況です。
この避難民の方々の就職先は多岐に渡っていますが、例えば保育サービスで、英語による保育の補助を行っている方とか、社会福祉法人で担当者が付いて翻訳アプリを使ってサポートしながら業務に取り組んでいただいている例、あるいは小売店で、避難民が3人同じ店舗に就職していて、人によってフルタイム、人によっては1日4時間勤務というような多様な働き方をしている例などがあります。
 下段のほうに、これまでの実績をまとめています。ハローワークの評価ですが、就職経路として一定の役割を果たしているものと認識しています。また、職業紹介だけではなく、幅広い情報提供や相談に対応する役割を果たしていると考えています。
 一方で、避難民の方々の日本語能力の問題、それから避難民の方が持っている専門性との関係で、ミスマッチが見られます。このために、就職・定着が容易ではないという場合も聞いています。また、日本での就労のイメージが持てないことから、仕事探しに関心を持たない方がいらっしゃる可能性についても御指摘を頂いています。厚生労働省では、NPO等の民間支援者を含む関係者とも連携して、効果的な就労支援や広報動画の作成など、新たな情報提供・アプローチを進めていきたいと考えています。
 5ページですが、こちらがNPOとの連携の例です。上のほう名古屋の外国人雇用サービスセンターが、ウクライナ文化協会と連携しているものです。日本で働くためのセミナーを開催しています。また下段のほうは、神戸定住外国人センター等との連携です。このセンターの職員が、避難民に同行して、ハローワークでの職業相談、職業紹介等を実施しています。こちらの実績は、相談に関してが41件、職業紹介についてが8件、就職に至ったものが4件となっています。
 続いて6ページです。こちらが広報動画についてです。民間の業者の支援を頂いて短い動画を作成して、スマートフォン等で閲覧ができるように提供しています。もちろんセリフや字幕はウクライナ語で用意をしています。この場で御覧いただきたいと思いますが、配信の準備はよろしいでしょうか。では、お願いいたします。
                                  (動画上映中)
○国際労働力対策企画官 こういったものも活用しまして、引き続きウクライナの方々の支援を継続していきたいと存じます。
 それでは資料に戻り、7ページです。御参考として、避難民の方々の就労意向について、18歳以上の方々を対象として、日本財団がアンケートを行っていますので御紹介しています。左の円グラフは、避難民で働いている方が4割、この4割の方の内訳が右上のグラフです。パートで働いている方が約8割、フルタイムが2割ということです。一方で、働いていない方が全体で約6割いらっしゃいます。この内訳が右下の円グラフになります。約45%程度の方は、働いてはいないものの、仕事を探しており、日本語教育や職業訓練を受けているということですが、4割程度の方は仕事を探していないという状況です。中には、年齢の問題や健康状態、小さいお子さんのお世話、介護といった事情があって働きづらいという場合もあるかと思います。そういった方々も含めて、職業紹介等の支援をしていくのかなと思っています。
 8ページは、日本での滞在の意向です。日本に滞在したいという方が、上位2つを合わせますと大体6割以上という状況です。日本の環境によって判断したいという方を含めますと、9割ぐらいの方に長期滞在の可能性があるということです。そうなると就労支援が、より重要になってくると認識しています。ウクライナについては以上です。
 続きまして、10ページです。留学生の支援です。今年度の下半期についても、大学との協定に基づき、ガイダンス・セミナー、個別相談等を実施しているところです。
 11ページですが、前回の検討会でも御紹介しましたが、教育未来創造会議についての御説明です。この3月17日に会議があり、第二次提言に向けた論点整理案が提示されています。その中で、私どもの関係するところとして、「外国人留学生等の高度人材の定着率の向上」というテーマがあります。一番下の※の所です。留学生の数ですが、以前、30万人計画というものがありました。これを38万人にしようという指標が示されています。また、国内就職率についても、直近のデータで48%という数字がありますが、これを60%まで引き上げようという指標が記載されています。
 12ページです。ハローワークと大学の協定の状況です。これまで御覧いただいているものと同じものです。13ページも、前回、御説明したものと同様ですが、単年度の大学及び短大等の卒業生のうち、国内進学者を除くと、約40%の2万1,000人が国内で就職しているという状況です。一方で、国内就職の希望者は55%程度いらっしゃるということですので、ギャップがある状況です。14ページは、参考として、教育未来創造会議の開催状況、委員構成などを記載しておりますが、御説明は省略させていただきます。
 続いて、大きなテーマの3点目のモデル事業です。16ページ、今年は、モデル事業の3年計画の3年目になっています。北海道、群馬、福井、岐阜、鹿児島の5道県をモデル地域として390人の外国人を迎えて、定着のための施策を実施してきました。17ページですが、この経験を踏まえて、事業者向け受入れ・定着マニュアル、自治体向け事例集などを作成しています。長くなりますので説明は省略いたしますが、今回の資料の一番後ろの参考資料2のマル1とマル2になります。
 その概略だけを、次の18ページにまとめています。1点目は、職場の定着の関係です。異文化理解の研修の重要性が指摘されており、受入事業所側の意識改革の必要性が強く求められています。2点目は、外国人に限った話ではありませんが、就労環境の整備として、「働きやすい職場」を作ることや処遇の改善を図ることがポイントとされています。このほかに、キャリアパスの整備として、技能の育成とその評価、それから評価に応じて適切な処遇を行う人事制度の整備など、外国人労働者と明示的に共有することが有効であると提言されています。
 続きまして19ページは、地域への提言です。地域によっては、住居を非常に探しにくいということがありますので、空き屋や公営住宅の活用といった自治体側の取組を促しています。また、地方はクルマ社会になっている所も多いので、車は通常、技能実習生などはありませんが、買物をするのもなかなか大変ということがありますので、事業者のほうで買物ツアーのようなものを休日にやっているというケースもありますが、行政がコミュニティバスなどの支援策を講じるということも有効であるとしています。
 このほかに地域住民との交流として、イベントの開催には大規模から小規模までありますが、これも有効としています。大規模、小規模なりに、それぞれのメリット、デメリットがありますので、こういったことを踏まえて目的を明確にして、企画・実施することが有効であるとしています。
 続いて21ページ、関係者との取組です。上段は埼玉労働局の例、下のほうは大阪労働局(大阪外国人雇用サービスセンター)の例です。埼玉のほうですが、経営者協会などと連携して、留学生向けの企業説明会と参加企業向けの雇用管理セミナーを実施しました。企業からは29社、44名が参加し、外国人留学生は258名の参加があったということです。大阪のほうでは、こちらも商工会議所等と連携して、初めて外国人の雇用を考えている事業者に向けて、毎月セミナーを開催したということです。このほかに、12月に神戸商工会議所のオンラインセミナーがあり、そこに参加して連携したと聞いています。
 続きまして22ページ、外国人就労定着支援事業です。静岡県ですが、就労定着支援事業の研修対象者で興味があった場合には、県が実施する定住外国人向けの公共職業訓練につなぐという取組を行っています。このケースでは、最終的にハローワーク浜松において、食品スーパーのスタッフの求人を紹介して就職に至ったということです。
 続いて23ページは、NPO等との連携です。外国人向けのフードパントリーでの機会をとらえて、厚労省から仕事の探し方、履歴書や自己PRの書き方、面接での大切なこと、社会保険などについて説明を行ったということです。この機会に関しては、特定技能での在留を希望する参加者が複数名いるという事前情報があり、業界団体の職業紹介機関の紹介などを当日行ってつないでいるところです。こういった取組を続けて、引き続き外国人雇用対策の充実を図っていきたいと存じます。以上です。

○JILPT山口研究員 労働政策研究・研修機構の山口と申します。本日はお時間を頂きましてありがとうございます。今年度、当機構で特定技能1号外国人の受入れ・活用に関するヒアリング調査を実施しましたので、その調査結果について簡単に御報告いたします。調査の概要については、第9回の当検討会において当機構の天瀬委員から御報告いただいているとおりです。
マル1調査の目的としては、特定技能1号外国人の受入れ・活用について、企業ヒアリング調査をもとに基礎的な検討を行うこととしております。マル2特定技能外国人に関する実態については調査報告書であったり、各受入れ協議会が出している優良事例集等で把握できるのですが、今回の調査では、特に雇用・労働研究の知見を活かす形での総合的な検討を目指しました。マル3主な着眼点としては、他の外国人労働者カテゴリーや雇用形態との関連や異同に注目をすることとしております。
 3ページ、調査対象の概要ですが、全19社にヒアリング調査を実施しております。19社の産業分野と事業内容は表のとおりになります。受入れルートに関してですが、今回の調査の特徴としては、全19社のうち17社は技能実習修了者を受入れています。このうち14社は、自社の技能実習修了者を移行させています。また17社のうち10社は他社の技能実習修了者を受入れています。他社の技能実習修了者については同一分野の修了者が多いのですが、他分野の修了者も若干名いました。これとは別に、Q、R、S社が属する「宿泊、外食業」の場合は、留学生の新卒採用、特に専門学校卒を受入れているところが特徴となっています。また今回の調査では、初来日の特定技能1号外国人を受入れる企業はありませんでした。
こういった事例企業の特徴に引きずられる形とはなるのですが、得られた知見を3点にまとめております。1点目は、特定技能1号と技能実習制度との関係になります。特定技能1号は「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を有する人材と定義されておりますが、こういったスキルを持った人材をつくるのは、これは技能実習制度であると言えると思います。自社の技能実習修了者であれば職場に固有の知識・スキルを有し、他社・同一分野の技能実習修了者であれば仕事に関する基礎的な知識・スキルを有している。他社・他分野の修了者であっても、一定の日本語能力、日本社会に対する理解を期待できる人材だとみることができます。
 2つ目に、特定技能1号外国人の活用に関する類型をまとめています。まず前提として、特定技能1号外国人は現場を支える即戦力として、おおむね好意的に受入れられております。彼らには、特に技能実習生を指導する点に活路が見いだされていると言えます。
 一方で処遇に注目すると、これは職場においてもともと誰が「深刻な人手不足」にあるのかによって決まってくるところが大きいともいえます。A.月給制の場合、B.時給制の場合と、おおまかに2つに分けることができます。月給制の場合は、主に正社員に準拠した処遇であって、技能実習時からの一貫した育成を重視しているといえます。技能実習時と比べて賃金は大幅に上昇することになりますので、特定技能1号外国人として非常にモチベーションが高まる、かつ彼らが職場で担う役割も大きくなる、というところも指摘できます。
 その一方で、時給制の場合は主にパート社員に準拠しています。この場合、他社の技能実習修了者も積極的に採用している場合が多く、技能実習時から比較すると賃金は段階的に上がっていき、特定技能1号に移行した本人にとっても分かりやすい処遇であるといえます。また他社の技能実習修了者を受入れる場合も時給の刻むところに当てはめていくことになりますので、自社の技能実習生を含めて納得を得やすくなるという特徴もあります。ただし、住まいの準備ということで申し上げますと、上の類型にかかわらず、おおむね技能実習生と同程度の配慮やコストが必要となってくるといえます。
 最後に、特定技能1号から特定技能2号へ、というところもまとめています。現在、特定技能制度ができてから4年が経っていますが、事例企業のなかにはかなり初期に受入れを始めたた企業もありますし、一方で、まだ特定技能1号外国人を受入れ始めてから1年というところもあります。その先、中長期的な活用というところは受入れ企業もはっきりは分からないところはあるということを前提として、ヒアリング調査の全体の印象からにはなりますが、月給制と時給制の2つの分類から、どういったパターン、中長期的な活用と処遇のタイプが出てくるのかというところで要約しました。
 Aの月給制の場合は、A-1として熟練タイプ、これは特定技能2号の「熟練した技能を要する業務」に従事する、という定義とも合致するというところかと思います。一方で、A-2として「技人国」タイプ、人手不足の現場を離れての活用もあり、技術・人文知識・国際業務の外国人に近くなるような活用も出てくるかと予想ができます。
 一方で、Bの時給制ですが、B-1として正社員登用タイプと書いていますが、特定技能2号に移行する時点で正社員と同等の処遇になると予想されます。そして、B-2として基幹パートタイプと分類しておりますけれども、そのまま段階的に賃金が上がっていくような特定技能2号、あるいは中長期的な活用も考えられるかと思います。一番右側に、仕事や分野のイメージとして、今回の調査で把握できる限りにおいて、こういったイメージで当てはめられるかということで幾つか挙げております。
政策的示唆として、2点挙げております。まず、特定技能外国人の受入れルートは、今回、技能実習修了者が多かったという特徴はあるのですが、それ自体は多様であってよいと思います。ただし、「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる」特定技能外国人を持続的に受入れ、活用していくことを考えるのであれば、こういった人材をどのようにつくっていくかといった「人づくり」については、技能実習制度、留学制度がありますので、こういったところの機能が有効に発揮されるような制度設計が必要なのではないかというのが1点です。
 2点目は、特定技能1号外国人の活用について、基本的に彼らは好ましく受入れられていくことが前提なのですが、処遇に注目すれば、今後、活用の方向は分岐していく可能性が示唆されます。特定技能外国人の中長期的な滞在とその活用を考えるに当たっては、まず特定産業分野別の人材活用の在り方を、それぞれの産業政策として示す必要があるだろうと考えます。加えて、労働行政及び労働政策研究には関連する知見の蓄積がありますので、特定産業分野別での検討に、そういった蓄積を活かしながら、外国人材と日本企業の双方にとって有益な外国人人材政策の在り方を議論していく必要があると思います。
 最後に、調査・研究上での今後の検討課題を挙げました。1番目に、今回はヒアリング調査ですので、全体としてどういった傾向にあるのかというところは確認できておりません。量的な把握を通した傾向の確認をしていく必要があります。2番目に、より詳細な検討を要する課題として、今回は関東、中部地方の受入れ企業が調査対象ですので、地方部あるいは小零細企業において、どういった活用が行われていくのか。3番目に、特定技能2号と他の在留資格がどのように重なってくるのか。そして最後に、今回は、まだコロナ禍が収束しきっていない時期のヒアリング調査ですので、アフターコロナ期に特定技能外国人の受入れと活用がどのように変化していくのか。これは継続的に確認していく必要があるかと考えております。以上になります。

○山川座長 有益な調査の御報告をありがとうございました。これまでの説明について、御意見、御質問等がありましたら、同様の方法で御発言をお願いいたします。

○天瀬構成員 今程、当機構の山口研究員から報告のあった特定技能1号に関しては、御報告のとおりですので、本検討会に限らず、質問等がある場合はメール等で頂ければと思います。私のほうから、少しコメントをしたいと思います。
 冒頭に御説明いただいたウクライナ避難民への就労支援についてですが、難民の受入れということに関して、日本の場合はヨーロッパ諸国と比較してボリューム自体が小さいということもあり、経験の蓄積が非常に少ないと考えています。今回のウクライナ避難民に対する支援というのは、ある種、特殊なケースと言えるかもしれませんが、今後のことを考えると、この経験というのは非常に重要になってくるのではないかと考えます。
 御紹介いただいた中では、就労支援に関して、ハローワークを中心にして非常に木目細かく工夫した点が見てとれると考えています。数量自体は少ないのかもしれませんが、こういう細かい工夫が非常に重要になってくるのではないかと思うので、ここは高く評価できると思います。
 特に、NPOとの連携についてですが、こういったことは、例えばヨーロッパではキリスト教会とか、こういった所が重要な役割を担っているわけです。文化背景が違いますので、日本の場合はNPOとの連携ということも、一つ重要になってくるのではないかと思います。今回のウクライナ避難民の就労支援は、もちろん人道的な支援という側面が強いわけですけれども、今後の難民あるいは庇護申請者の雇用対策、就労支援ということを考えれば、経験の蓄積という視点で非常に重要ではないかと考えます。感想だけですけれども、以上です。

○山川座長 九門委員、お願いします。

○九門構成員 亜細亜大学の九門です。ウクライナ人への支援、地方自治体や企業への支援など、様々な意義深い取組がなされていると感じております。
 私のコメントと、1点は御質問があります。まず、報告の中で教育未来創造会議での外国人人材の定着という点については、今後の外国人留学生の国内インターンシップ促進などを発表されていましたが、それに関して少し情報共有させていただければと思います。
 留学生の企業での雇用についての事例研究を中国地方で進めておりましたが、自治体と大学と地元の企業が連携したコンソーシアムのプログラムで、留学生が2週間コンソーシアム企業でインターンをするという事例があります。それは、実際に地元企業への就職に結び付いているということが結果として分かっています。
 ただし、3年から5年程度で離職するケースが結構見られており、インターンをした上で、更に人事関連の整備やキャリアへの支援をどう進めていって、今後、定着率を向上させるかという点は地方でも課題になっていると感じております。
 質問ですが、最後の特定技能の御発表に関して、技能実習制度や留学制度が持つ人づくりの意義は大きいということで、正にそのとおりだと思っております。その上で、そうした機能が有効に発揮されるような制度設計を行っていくには、例えばどういった点がポイントになるかということを少し教えていただければと思います。よろしくお願いします。

○JILPT山口研究員 御質問ありがとうございます。7ページの「政策的示唆」の所で、「機能が有効に発揮されるような制度設計」という書き方をしましたが、一つ、技能実習制度との関わりにおいては、現在、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議が開かれておりますので、そちらでの議論に期待をしたいというのが1点です。
 もう1つは、留学制度について申し上げると、今回、ヒアリング調査の中では、技術・人文知識・国際業務との使い分けが受入れ企業側にとっては難しそうであるというところも把握しております。この点は今後の検討課題として挙げましたが、特に元留学生を特定技能外国人として採用するケースについて、他の在留資格との関係を、もう少し丁寧にみていく必要があると考えております。

○九門構成員 分かりました。ありがとうございます。

○山川座長 それでは是川委員、お願いします。

○是川構成員 資料5の最近の取組についてですが、毎回こうした形で御紹介いただいて、様々な事業が行われて、結果を出してきていることが分かると思いました。
 これは個別というよりは全体的なお願いになりますが、毎回、検討会議の資料はWebに載っているわけですが、一方で、こうした様々な事業については多岐にわたりますので、何らかの形で一覧性があるようなというか、白書というのは本来そういうものなのかもしれないのですが、そういった形で、いろいろな事業が一覧できるような情報発信も今後はされていくといいのではないかと思いました。これが全体的な点です。
 個別のことについては、まず、ウクライナについて、ハローワークも避難民の就職に対して、1,186件中ハローワーク系が147件ということで一定程度貢献していると、私も思います。こういった避難民の受入れなどに関して、ハローワークが実績の数字を伴って貢献していることについては、今後の難民の受入れ等についても、こういった経験を活かしていけるのではないかと思いました。
 あと、ウクライナ避難民の滞在意向について、帰国意思が必ずしも高いわけではないという点については、日本に限らず他の欧州諸国においても同じような状況がみられるようです。むしろ、ウクライナに一番近くて、たくさん受け入れているポーランドにいる人というのは、割と日帰りでも帰ったりできるらしいのですが、ヨーロッパでも距離が遠くなっていくと、定住意思がもともと強い人が遠くに逃げてきていることもあるようですので、そういう意味で言いますと、日本にわざわざ来ている人というのは、そのパターンからいくと定住意思が強いという結果も頷けるのかなと思った次第です。
 続いて、国内の留学生の就職に関する部分ですが、11ページ目の教育未来創造会議で、留学生の数を38万人という目標が新しく掲げられたという点について、感想になりますが、2022年末の時点で、30万人の水準を回復していますし、また、留学生も入国の月次のデータを見ていくと、どんどん戻ってきていますので、この目標は、想定より大分早く達成されるのではないかと思っています。それと併せて、留学生の定着率の向上といったときに、これまでは大学を卒業した後に、「技人国」でというところが注目されてきたわけですが、現在、特定技能1号の試験ルートができてきましたので、専門学校を終えた後、特定技能1号試験を受けて就職するというルートが今後大きくなっていくのではないかと思います。
 そういう意味で言いますと、そうしたルートから入ってくる留学生のマッチングや、恐らく専門学校等でも特定技能1号試験の対策といったこともしていく可能性もあると思いますので、そういった部分についても、しっかりと目を向けた上で、質の担保や向上に取り組んでいくことが重要ではないかと思っています。資料5については以上です。
 資料6についても、大変興味深い研究の御報告をありがとうございました。私自身も特定技能については、内訳が多様なものになっていくことや、特に技能実習から特定技能1号への切り換え者や、このケースには入っていないということですが、今後は試験で、受験して海外から入ってくる人たちの給与査定というか、最初の格付けのところですが、それについては非常に大きな論点になってくるだろうと思っています。資料の4ページですが、技能実習生が特定技能1号の労働者の持つスキルが、雇用者側には、どのような形に見えているかということについて非常に示唆に富んだ結果が示されたのではないかと思いますし、私がデータで見ている結果も、この区分によって、おおむね説明できるのかなという印象を持ったところです。
 また、6ページの所になりますが、月給制・時給制というところで大きく分けて、そこから「中長期的な活用と処遇のタイプ」という図をお示しいただいておりますが、恐らく今後のポイントになってくるところの1つとして、B-1がA-2やA-1のほうにいくのかどうか、そして、雇用者側がA-2とB-1の評価について、迷うところがあってB-1にしているとか、もう少しきちんと個別の能力が査定できて格付けがしっかりとできれば、最初からA-2でいきたいというような労働者がいるのかとか、そういった点について、今後、調査等を続けると同時に政策的にも支援していければいいのではないかと思った次第です。長くなりましたが、以上です。

○山川座長 佐久間委員、どうぞ。

○佐久間構成員 地域外国人材の受入れ定着モデル事業について、お話したいと思います。まず、この事業ですが、令和2年から開始されて、コロナの関係で、特定技能の外国人がなかなか入り込めなかったという状況の中で、今回は5地域、北海道から鹿児島まで取り組んでいただいて、実施された地域に受け入れながら、どうやって地域の生活者と外国人が共生していくか、その有効な方策等を検討していただいたということであると思います。逆に、入ってこられる外国人が少ない状況があった中でも、皆さん方の地域の地場の企業に受け入れながら非常に有効な方策を模索しながら出てきたのではないかと思います。
 ですから、この共生等に有効と考えられるを取組みを各県の御担当の課にも共有していただいて、例えば18ページ~19ページにまとめていただいたように、受入事業所の意識改革やキャリアパスの関係とか、こういう6項目を中心にした項目でノウハウ的なものを共有し、是非これを有効活用し、全国の都道府県、また、市町村単位でも取組を広げていただきたいと思いました。是非、この事業を広く普及していただく方策に使っていただきたいと思います。

○山川座長 友原委員、どうぞ。

○友原構成員 資料5の就労定着支援についてです。就労定着支援というのは、今後とも期待される取組の1つとなると思っております。そこで、この事業はフォローアップなどを行っているのかということと、もし行っていれば、その状況について教えていただくことはできますでしょうか。

○外国人雇用対策課長 この事業については、ビジネススマナーや面接、その後、職場で最初に必要となるような日本語のコミュニケーションも含めて、委託事業者に研修をしていただいていますが、そこへのつなぎであるとか、研修が終わった後の就職支援はハローワークが行っています。22ページの図では、ハローワークをハブにして研修の実施事業者と企業と更にここにNPOが実施している職業訓練を組み合わせています。

○友原構成員 もしよければ、その何箇月後にフォローアップをしているとか、もし分かれば、それによって見えてきた課題なども分かっていればと思ったのですが、なければ結構です。

○外国人雇用対策課長 今、分かっている範囲でお答えいたします。まず、フォローアップについては、3か月後と6か月後に実施しております。こちらについては、研修の効果測定ということもありますので、受託事業者のほうで把握して、それをハローワークにフィードバックしていただいております。残念ながら、いろいろなミスマッチが理由で辞めてしまう方もいらっしゃるというケースありますので、研修に問題があれば研修の中身をブラッシュアップするというように、反省を活かしたいということはもちろんです。
 あと、やはり条件のよい所があれば転職される方が多いという話も聞いていますので、その条件面については、最初のマッチングの段階で企業にお願いするということで、少しでも定着につながるようにしたいという報告を受けているところです。

○友原構成員 ありがとうございました。

○山川座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 大変有益なコメント等を頂きまして、ありがとうございました。まとめというよりは個人的な感想ですけれども、種々の取組については、非常に有益な取組をしていただいており、これは将来に向けて情報共有して、いろいろと活かせるような形にというコメントも頂きましたが、そのとおりだと思いました。
 それから、留学生についても同じようなことがあるかと思いますが、キャリアコースとか、キャリアパスの重要性、留学生も含めて、特に外国人の方に、それをある種の見える形で示すということで、必ずしも唯一の回答があるわけではないのでしょうけれども、それが見える形で外国人の方々に示すと、いろいろな意味で長期的な展望の形成に役立つのかなと思った次第です。
 いろいろな御意見を頂きまして大変ありがとうございます。ほぼ時間になっておりますので、この辺りで終了したいと思います。事務局から何かありますか。

○国際労働力対策企画官 本日は御多忙の中、委員の皆様には御議論いただきまして大変ありがとうございました。本日頂いた御意見を踏まえまして、引き続き取り組んでいきたいと存じます。
 また、本日のYouTubeの配信ですが、機材の関係で配信開始が遅れたことにつきましてお詫びしたいと存じます。後ほど議事録を公開しますので、恐れ入りますが、そちらを御参照いただければと思います。大変申し訳ございませんでした。

○山川座長 本日の検討会は、これで閉会といたします。皆様、大変ありがとうございました。