第28回 厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会 議事録

日時

令和5年2月9日(木) 17:08~18:06

場所

オンライン開催

出席者

委員

議題

  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)感染症等に関する新たな専門家組織について
    2. (2)その他
  3. 閉会

配布資料

感染症等に関する新たな専門家組織について

議事

第28回 厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会

○大臣官房厚生科学課国立高度専門医療研究センター支援室武藤室長補佐
 ただいまから第28回厚生労働省国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会を開催いたします。接続の問題で、定刻よりお時間が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。また新型コロナウイルス感染症対策の観点から、ウェブ会議とさせていただいております。
 委員の皆様には大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。議題に入るまでの間、議事進行役を務めます、厚生労働省大臣官房厚生科学課の武藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は花井委員より御欠席との御連絡を頂いております。なお、出席委員に関しては過半数を超えておりますので、会議は成立することを報告いたします。
 本日のオンライン会議の進め方について説明いたします。マイクの設定についてですが、発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。発言の際はZoomサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックいただき、部会長の指名を受けた後に発言をお願いいたします。その際はマイクのミュートを解除してくださいますようお願いいたします。また御発言の際には必ず冒頭にお名前を述べていただき、資料を用いて御説明される際には該当ページをお示しいただきますようお願いいたします。また御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。音声の不調などありましたら、事務局までお申し付けください。
 続いて本日の議題を説明いたします。本日は、「感染症等に関する新たな専門家組織について」、委員の皆様に御審議を頂きます。今回の御審議は、昨年9月2日の新型コロナウイルス感染症対策本部決定を受けて、感染症等に関する科学的知見の基盤・拠点となる新たな専門家組織として、国立国際医療研究センターと国立感染症研究所を統合し、「国立健康危機管理研究機構」を創設することについて、今回委員の皆様に御審議いただきます。本日御議論いただく趣旨は参考資料3に付けているとおり、本部会については6つのナショナルセンターに係る事項を処理することとされております。このため、国立国際医療研究センターが国立感染症研究所と統合されて新機構になることについて、組織や機能の点から今後期待されることなども含めて、今回御意見を頂ければ幸いです。議事の流れとしては、この後事務局から説明を行った後、委員の皆様から御意見、御質問を頂きたいと存じます。
 それでは、本日の会議資料の確認をお願いいたします。委員の皆様におかれましては、議事次第、それから資料が手元に準備されているかと思います。よろしいでしょうか。それでは、以降の進行は祖父江部会長にお願いいたします。

○祖父江部会長
 皆さん、大変お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。本日は今お話がありましたように、報道などでも最近いろいろな所でお聞きになっているかと思いますが、感染症等に関する新たな専門家組織について、御意見を賜りたいと思っております。はじめに、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 厚生科学課長の伯野です。それでは資料に沿って説明いたします。今、画面上に出ておりますが、「感染症等に関する新たな専門家組織について」という資料を御覧ください。1ページはコロナの対応等を踏まえ、課題と対応の方向性など、これまで内閣官房の有識者会議や政府対策本部決定等での指摘事項等を整理しております。
 2ページは、昨年の内閣官房有識者会議でまとめられている課題です。全て説明する時間はありませんので、特に下から2番目の○、政府における専門家組織を強化すること、あるいは国内外の情報・データや専門知の迅速な収集、共有、分析、評価等を図っていくこと。あるいは国内の疫学・臨床研究を行う能力の向上を図っていくことが指摘されております。
 3ページは、政府対策本部決定の内容の抜粋です。対応の方向性の1つ目の○にありますとおり、政府の司令塔機能を強化していくために、内閣官房に新たな庁を設置することが示されております。今般、内閣官房に感染症危機管理統括庁を設置する方向で議論が進められております。2つ目の○にありますとおり、こちらが本日御議論いただく内容です。国立感染症研究所と国立研究開発法人国立国際医療研究センターを統合し、感染症に関する科学的知見の基盤・拠点となる新たな専門家組織を創設するという方向性が示されております。また具体策として、9月の政府対策本部決定の抜粋です。少し具体的に機能を記載しておりますが、[1]感染症等に関する科学的知見の基盤・拠点、[2]国際保健医療協力の拠点、[3]これら2つの機関が現在担っている事業等を着実に実施していくことが言われている状況です。
 4ページは、こうした有識者会議等の提言等を踏まえ、2つの機関を統合してシナジー効果を発揮していくものです。新機構は危機対応、国際協力、研究、医療提供等の機能を一体的・包括的に持つ組織ですので、新法人の名称は「国立健康危機管理研究機構」としております。
 統合後の姿として、法人の業務としてまず重要な点は、国立感染症研究所が行っている感染症の情報分析、研究、危機対応の観点と、NCGMの総合診療、臨床研究機能をつないで一体的に科学的知見を得ていくこととしたいと考えております。その科学的知見を、先ほど申し上げた内閣官房にできる予定の感染症危機管理統括庁、あるいは厚生労働省に提供していただくことを想定しております。
 また、医療に関する国際医療協力の中で、人材育成、あるいは国際知見のネットワークなども作っていくことになり、これらが有機的に連携して事業を行っていくことが、新法人の核となると考えております。こうした部門間の連携を横串で統括するために、総合調整を行う部門を設け、理事長、副理事長の下で協力に統括していく形となります。また、エイズ治療・研究開発センターや、国立看護大学校などNCGMの機能は、新機構が全て引き継いでいくこととしたいと考えております。
 5ページです。現在、国の組織である国立感染症研究所と、既に独法化されているNCGMを統合しますので、まず法人の形態は「特殊法人」としたいと考えております。理由は、新機構は国の責任の下、科学的知見の収集・分析、調査研究、高リスク患者等への入院治療の提供、強毒性の病原体の検体採取等の行政的な業務を行うために、大臣による広範な監督権限を規定することが必要だと考えております。一方で高度人材の確保のため、海外の研究機関等との人材確保競争を見据え、人事・組織などの運営については柔軟に行える組織であることが必要であると認識しております。こうしたことから、独立行政法人よりも強い国の関与ができ、かつ柔軟に運用できる特殊法人としたいと考えております。
 またガバナンスについてですが、新機構は国に代わって行政的な業務を行うなど、国民の健康、権利、義務に大きく関わる組織ですので、大臣によるガバナンスが必要となると考えております。具体的には、理事全員の任命に大臣の認可を必要とします。また、通常の報告徴収・立入検査に加え、大臣に広範な監督命令権を付与すると。こうしたことにより、ガバナンスの強化に取り組んでいきたいと思っております。
 6ページです。新法人の設立に伴い、多くの関係法令の改正が必要となると考えております。その中で主な内容を3つ挙げております。1つ目は感染症法の改正です。現在、国立感染症研究所の職員は国の職員として感染症法に基づいて行っている事務等がありますが、それを新機構に引き続き行わせるために、厚生労働大臣の事務や権限の委任規定を設けるものです。
 2つ目は、インフル特措法の改正です。先ほど、新機構が科学的知見を内閣官房の危機管理統括庁、あるいは厚労省に提供していくと申し上げました。併せて、政府対策本部は総理がトップで各閣僚が入っている所ですが、こちらにおいて科学的知見に基づいて意見を述べることができるよう、政府対策本部の本部長が必要に応じて機構の代表者を本部に呼ぶことができるようにする等の規定を整備するものです。
 3つ目は、地域保健法の改正です。新機構の業務として、地方衛生研究所等に対する情報提供、あるいは人材育成の支援を規定して、併せて地方衛生研究所等が新機構と情報提供及び人材育成において連携することに関する規定を整備したい。こうしたことにより、全国的な検査、サーベイランス能力の向上を図っていくこととしております。資料の説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

○祖父江部会長
 どうもありがとうございました。今、資料に基づいて御説明を頂きましたが、今日は今の御説明、あるいはこの資料に基づいて、あるいはもう少しこれら全般的な考え方のようなものでも結構だと思いますが、忌憚のない御意見、御質問、あるいはコメントのようなものでも結構ですが、ここからはフリートーキングに近い状態で、それぞれの委員から御発言いただけるといいかなと思っていますが、いかがでしょうか。今、この資料で非常に細かいというか、沿った御説明いただきましたが、まず、何か厚労省に対する直接関係するような御質問はありませんか。
 私から1つ、いいですか。これの立ち上げに向けての行程というのはどうなっていますか。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 厚生労働省です。まずこれは2つの組織、国の組織である感染研と独法化されている国際医療研究センターを統合して新たな特殊法人を設置するというものですので、まず法律、設置法が必要です。今国会での法律の成立を目指しているということです。その上で施行については、国の組織である感染研と独法化されているNCGMを統合するわけですので、職員の処遇等々を含めていろいろなことを考えていかないといけないということで、少し時間を頂きます。具体的には令和7年度以降の施行を考えているところです。以上です。

○祖父江部会長
 ありがとうございます。すみません、もう1つ関連して、クイッククエスチョンですが、今、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの2つが合体する、一体的統合と書いてありますが、国際医療研究センターは今まで私どもいろいろ議論してきたところなのですが、ここに書いてあるように、これは資料の4ページです。病院を含めたいろいろな国際協力、考えられる先はちょっと出ましたが、これら全部を統合するのか、あるいは感染の部分を統合して、後は残った形で何かやるのか、分離しないで全体を一体的統合にしてやっていこうということですか。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 おっしゃられたとおりです。全体を統合してやっていくということです。

○祖父江部会長
 なるほど。そうすると、これは中には糖尿病の研究や肝臓の臨床部門など、そういうところもあるのですが、その辺も一緒になってこの中に入ってくるのですね。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 はい、御指摘のとおりです。

○祖父江部会長
 分かりました。ありがとうございます。ちょっとアウトライン的な質問をさせていただきましたが、では土岐先生、よろしくお願いします。

○土岐部会長代理
 この新しい特殊法人は、コロナの経験を踏まえて国が強い指導力で、これに対応するために是非、必要な組織ですばらしいと思います。
 質問というのは、我々はこの研究開発法人の評価をする、そういう委員会だったのですが、ここをちょっと外れてしまうと、国立国際医療研究センターが外れてしまった場合、その評価は誰かがしていくのか。研究開発という側面はあると思いますが、そこはどこかほかのところが評価をしていく、我々とは違う組織がまた評価をしていくのでしょうか。

○大臣官房厚生科学課梶野参事官
 参事官の梶野と申します。お答え申し上げます。研究機構になった後も、研究開発に関する審議会に評価をお願いするということです。それまでは、その7年の施行までは今の審議会で御審議いただくと思います。7年以降の審議会の在り方は、またそれに向けて検討するということです。以上です。

○土岐部会長代理
 了解しました。

○祖父江部会長
 よろしいでしょうか。そうしましたら、順番に前村先生、よろしくお願いします。

○前村委員
 前村です。感染症対策が合併するのは、非常に喜ばしいことだと思っています。4ページです。国立感染症研究所と国立国際医療研究センターで、病院や大学の部分は国立国際医療研究センターしかないのですが、私も細かいところまでは分からないのですが、研究部門の中で両機構をオーバーラップしている部分はあるのではないかと思いますが、合併したらその辺の再編も行われるのでしょうか。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 具体的には今後ですが、両機関が正に重複しているようなところは、効率化を図っていくということも考えるべきだと思います。一方で、この部分は強化していくというところも併せて今後、考えていく必要があると思っています。

○前村委員
 地理的にも臨接している研究所ではありますが、移動するということも考えているのでしょうか。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 御指摘いただいた内容も今後ですが、組織を具体的にどうしていくかということを含める検討をしていく過程の中で、そういった実運営をどうしていくかということも併せて検討が必要であると思います。

○前村委員
 ありがとうございます。

○祖父江部会長
 どうもありがとうございました。それでは次は大西先生、よろしくお願いします。聞こえますか。

○大西委員
 失礼しました。大西です。先日もお伺いしたのですが、ワクチンなどを開発していく辺りに関してはPMDAという組織がありますが、そのPMDAとの権限の複雑さが気になりますが、その辺りは御検討いただいているのでしょうか。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 先生、今、御指摘いただいた内容は、こちらは比較的、開発関係をやっていくということかと思いますが、一方でPMDAは御案内のとおり医薬品等の審査をやっていくという部門です。もし可能であればもう少し具体的な御懸念を御教授いただければと思います。

○大西委員
 ワクチンの開発が進まなかったというのが1つの、我々の欠点だと思います。それについては、どうやって対応していくのかということを考えたときに、その承認をしている権限を持っているPMDAと健康危機管理研究機構というものの関係はどうなのかということです。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 ワクチン以外の医薬品の開発等も含めて、当然PMDA、審査側は事前相談から密に連携していく必要があると思っています。特にアカデミア等が、企業ではないところが、相談する場合にはいろいろな減免等のこともありますし、特にコロナのワクチンであれば優先的に相談するようなシステムも今、PMDAのほうで組んでいただいていると認識していますが、そこは開発した上で最後、やはりこれでは駄目ですと言われては元も子もありませんので、先生の御指摘のとおり、開発と規制というのは両輪で一緒に寄り沿いながらやっていく必要があると思っていますので、そういった観点を非常に大切にして進めていく必要があると思います。

○大西委員
 治験のネットワークというものがありますが、治験については先日、申し上げたのですが、海外では分散型治験というのが普通であって、多分、NCは病院のカルテの管理がしっかりしているので、そのカルテのデータを使えばエンドロールすることがすごく早くなると思うのですが、そういう開発を作って、かつ医薬品機構で薬剤の新薬の、機構で検討していますが、そのときに指摘があった病院が薬剤を買って、それを患者さんに与えるということが条件にありますが、それをメーカーが研究所が開発した薬剤を直接、患者さんに渡せるようにしないとうまくいかないと思います。その辺りも含めて、対応していただければ開発期間が短くなって、かつ効能・効果が検証できるということが、実現することができると思います。それをちょっと検討していただきたいとところであります。よろしくお願いします。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 ありがとうございます。先生から御指摘いただいた分散型治験ですが、コロナの初期の頃、御指摘のとおりホテル、宿泊療養している患者さんに治験できないかという議論はありました。そういった認識があります。これまでの治験のやり方とは若干異なるということで、企業のほうからも留意点、あるいは解釈のようなものを厚労省側がしっかり出してほしいというような御要望を頂いていると伺っています。これはちょっと関係部局にしっかりお伝えをして、引き続き前向きに検討を進めるよう議論を進めていきたいと思います。以上です。

○大西委員
 よろしくお願いします。

○祖父江部会長  
 どうもありがとうございます。それでは、次は中野先生、よろしくお願いします。

○中野委員
 中野です。今回の新型コロナのパンデミックによって、感染症の脅威というものは、誰にでも、これは非常に共通のものであるということは、私たちは思い知ったかと思います。その中で、先ほども御指摘のあったワクチンのお話や治療薬のお話など、日本から発信できるということが十分にできなかったという側面はあると思いますから、そういったことを踏まえて、今でも非常にアクティビティの高い感染症領域、あるいは診療の領域がアクティビティの高い国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合して、国立健康危機管理研究機構という特殊法人を作られるということは、私は妥当だと思います。非常にサポートできるアイディアだと思います。
 そこで確認させていただきたいのですが、確かに健康危機管理というと非常に幅広い意味になると思いますが、あくまでこれのスタートは感染症であって、感染症からスタートした健康危機管理を扱う。そういう理解で特殊法人というのは、そういう使命を持った法人として作られるという理解でよいですかということが1点目の御質問です。
 もう1点は、先ほどから少しお話が出ています、例えば、今NCGMはフィールド機能、国際保健医療協力の拠点という側面を持っています。もちろんこれもすばらしい成果を挙げておられると思いますし、外務省やJICAと共同して非常にいいお仕事をやっておられると思いますが、恐らく今、低中所得国というのは、かつて感染症が猛威を奮っていたという時代から、生活習慣病やほかの疾病がかなり問題となってきているところです。ですから、現在、フィールドのアクティビティとしては様々な分野があって、きっと私がアフリカなどで暮らしていた30年前や40年前と比べますと、どちらかというと日本より海外は感染症が多いと、必ずしもそういう時代でもなくなってきていると思いますので、まだこれが発足するまでには2年ほどというお話も先ほどありました。
 これから整備していく段階だと思いますが、是非、この新しくできる特殊法人が日本の感染症のナショナルデータの発信もできるし、薬剤ももちろん開発できるし、さらには海外のフィールドで国際共同治験なども行えるような、そのように目的に特化した研究機構として、成熟できるようにうまくサポートしていただけると、非常に日本国民のためにもなるし、ひいては世界中のためにもなるのではないかと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

○祖父江部会長
 厚労省側から何かありますか。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 ありがとうございます。先生、御指摘のとおり、感染症をきっかけに作る法人です。ただ、先ほど少し申し上げましたが、感染症だけではなくて、やはり感染症の医療等を行う上では合併症等、ほかの総合診療機能も重要ですので、幅広い分野の診療、研究、危機管理を行っていくという法人です。
 また大変サポーティブなコメントを頂きまして、ありがとうございます。医薬品等の開発については、先生の御指摘のとおり、国際共同の治験や臨床研究も行えるように、普段からネットワークをしっかり組んでいくということが大切だと思いますので、そういったことを取り組んでいく必要があると思っています。ありがとうございます。

○祖父江部会長
 どうもありがとうございました。それでは、次は深見先生、よろしくお願いします。

○深見委員
 深見です。国の組織と独法化した組織を合わせて、特殊法人ということなのですが、この特殊法人というものは、もう既に同様の組織がどこかにあるのか、それともこれが初めてのものなのかということをまず質問させてください。
 またこれから政府の方針としてはこういう形で、国の管理と柔軟性というものを加えた特殊法人というものを増やしていく、その中のトップランナーというふうに位置付けているのか、その位置付けについて教えてください。それが1つです。
 もう1つ伺いたいと思います。まずお願いします。

○大臣官房厚生科学課梶野参事官
 特殊法人については、定義は特別な法律に基づいて作られた法人ということで、例で言いますと日本年金機構や、確かこの4月にできる福島国際研究教育機構などが最近ではあります。昔からあるものとしては、日本政策金融公庫やNHKなど、そういったものも特殊法人ということであります。政府全体の方向性について、責任を持って答えられる立場にはないのですが、基本的な流れとしては、政府としては、特殊法人をたくさん作るという方向ではございません。今回は特別に先ほど申し上げたとおり、やはり病原性の高い検体の採取など、そういったものが必要で、要は公権力の行使が必要だということで、独立行政法人では例えばそういう監督機能のようなものを持たすことが難しいということもあって、特別に特殊法人ということで設立をする方向で今きています。以上です。

○深見委員
 そうしますと、もう法律の基盤というものはあるということですか。

○大臣官房厚生科学課梶野参事官
 はい。この法律の名前が、正に国立健康危機管理研究機構法案ということになります。その特殊法人は、それぞれの法律、その名前を冠した法律案を作ることによって、それを法的根拠としています。

○深見委員
 分かりました。2つ目ですが、令和7年から施行と伺いましたが、それまでの間にいろいろな2つの組織の再編、いろいろな異動、また一番聞きたいところなのですが、ナショナルセンターとして、今、横串で行うような事業を国際医療研究センターがまとめ役を担っているというところがあると思いますが、そういったところの移行も、令和7年までに行うと理解してよろしいのでしょうか。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 先生、御指摘いただいた恐らくJHと呼んでいるものかと思いますが、横串のものですが、これはNCの中で任意で連携をしながら取り組んでいるものです。この新たな法人になったときに、これをあえてもう連携しませんというのかどうかというのは、私自身はせっかく作り上げたものを、切り離していくというのはどうかなというふうに思うところはありますが、先生の御指摘のとおり、今後、しっかり議論していくということだと思っています。

○深見委員
 それは令和7年をめどに、そういうところまでいろいろ準備していくという理解でよろしいですか。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 はい。もちろんその新しい法人が立ち上がるまでには、しっかり整理をしていくということだと思っています。

○深見委員
 ありがとうございました。

○祖父江部会長
 それでは藤川先生、よろしくお願いします。

○藤川委員
 藤川です。よろしくお願いします。去年、一昨年の審議会の中でも、国立感染症研究所と国際医療研究センターの役割はどう違うのですかという議論はあったと思いますので、一緒になるということに関してはすっきりするなと思う反面、今まで国際医療研究センターがやってきた感染症以外の部分に関して、やはりどう定義するのかという点は、何となくまだもやもやしているような気がします。  
 先ほど深見先生もおっしゃった6NCの取りまとめとJHに関しても、本部を国際医療研究センターに置いていたし、取りまとめ役も国際医療研究センターが実施し、6NC一緒にやることの意義を見いだしてそうやってきたのに、では今度、国際医療研究センターの中にこういうことの機能を置くとすると、何となくすっきりしない部分もあるので、この辺りはどう整理するのかということをかなり考えなければいけないのかなというふうに思いました。
 それから、病院に関しては今まで国際医療研究センターの研究に対して、病院がどう貢献するのかというようなこともあったと思うのですが、一緒になるに当たって、この病院をどういう位置付けとするのかということについても整理が必要であると思います。
 それから看護大学校に関しても、やはり6NCに対しての看護師育成という部分があったと思いますが、これを統合したときに、この看護大学校がどういう位置付けなのかということも、整理が必要かなと思いました。
 それから、新しい機構において、今、考えているのは医学の面を中心とした役割を考えていらっしゃるのかと思うのですが、ただ感染症に対するいろいろな施策というのは、社会科学的な研究もかなり必要な話だなと思いましたので、そういう感染症に係る知見やデータをこの機構に蓄積していくに当たって、例えば感染症に係る法律、歴史、経済的な効果、海外がやっている施策に対してどういう効果があったのかなど、そういう研究も蓄積していく必要があるのかなと思うので、それをここでやるのかどうかということも、気になるところと考えました。以上です。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 厚生労働省です。先生、御指摘いただいた点、しっかり施行までに議論、整理をしていく必要があるものが大変多いなと改めて認識をさせていただきました。現行では、先ほど政府対策本部決定等で、少し御指摘いただいた点を御説明させていただきましたが、今、担っている機能はしっかり施行のタイミングでは継続して行っていくということは、指摘されていますので、現在、担っている医療の部分、研究の部分というのは引き続き施行のタイミングで継続していく必要があるかなと思っています。
 一方で、看護師の育成の点、これは恐らく感染症に少し強い看護師のようなことも含めてのお話だったのかなと思っていますので、そういった点もどういう育成を今後していくのか、よりこの法人の役割を踏まえて、比較的、感染症に強い看護師というものを作っていく、そういったことも引き続き考えていく必要があると思っています。以上です。

○祖父江部会長
 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。大体、一巡して御発言していただいたような気がしますが、ほかにはいかがでしょうか。今、大体、論点を出していただいたような気がしますが、何かほかに追加の御質問はありますか。中野先生、お願いいたします。

○中野委員
 手短に1点、教えてください。関係法令の改正ということで、感染症法とインフル特措法というのはかなり深く関係するというのは、非常に理解できますし、今、感染研が担っていただいた地域の保健所、衛生研究所との関係を考えますと、地域保健法ももちろんなのですが、感染症ということですと日本が島国ですので、検疫法など、そちらは余り関係はしてこないのでしょうか。ちょっとそれについて教えていただければと思います。

○大臣官房厚生科学課梶野参事官
 実態としては検疫法も関係するのですが、今回、法律上は検疫法の改正は必要ないということです。例えば感染症法では、今、厚生労働大臣と法律に書いてあるわけですが、これが本省がやっているものと、今、感染研がやっているものがありますので、今、感染研がやっている事務を新機構というふうに法律上書き換えるというのが、技術上必要で、そういう感じになります。検疫法については、その手当が必要ないので、実態としては非常に関係があります検疫のデータも、この研究機構は分析することになります。以上です。

○中野委員
 ありがとうございます。了解しました。

○祖父江部会長
 それでは、今からちょっと1つ、2つ質問させていただきます。大体、皆さんから出された質問、あるいはコメントと、ほぼ一致する内容ですが、これは感染症のときに実際の委員会の中でも議論が出たことなのですが、国立国際医療研究センターはどちらかというと臨床的な感染のアスペクトと言いますか、そういう情報を解析しながら発信していく。もちろんそういうようなベーシックな研究も入ってくるわけですが、がん研究センター等が行っているような全国的な拠点化した病院からシステマティックに情報を集めるというような、非常にパンデミックな疾患などの場合は、エンデミックな疾患とパンデミックな疾患とゆっくり起こってくる疾患とでは、全然、状況が違うと思いますが、そういう臨床情報収集のオールジャパンの仕組みなども、もちろん考えていかれるということだと思いますが、何かその辺はどうですか。国際医療研究センターの中には、そういう仕組みは今のところはないような感じがするのですが、その辺はどうかということです。
 それから、もう1つはやはり先ほど来、質問としても出ていましたが、国際医療研究センターの中で感染症以外の部分です。これが結構6NCの中で重要な位置を占めていて、今までこの部分が非常にたくさんのことをやっておられるわけですが、重要だという認識が委員の先生方にもおありになって、これが合併した場合にどういう位置付けで今後やっていくのかというところが、ちょっと違うフェーズに入るのかなという感じはするのですが、その辺のNCの考え方ですね。これは全部入れたので、感染症の所に救急医療も、それから病院も、大学も全部やっていくというような考え方になるのか。その2点をまずお聞きしたいなと思ったのですが。

○大臣官房厚生科学課梶野参事官
 それでは最初のほうを梶野からお答えさせていただきます。全国的な臨床情報の収集については、2つのポイントがあります。1つは、今回、感染症の発生届などですが、これがシステマティックではない、電磁的ではないということがありましたので、昨年の感染症法の改正でこれは電磁化しましたので、さらに情報も発生届だけではなく、退院届、入院情報みたいなものも各医療機関から都道府県保健所等、それからこの厚労省のサーベイランスシステム、一体的に同時に共有するシステムというものを作りました。
 2点目は、今の1点目というのは基本的には受動的な情報になるのですが、2点目はREBINDという事業をもう2つの機関で進めていただいていますが、これは患者さんの本人の同意を取って、その臨床情報、それから検体など、正に薬の開発などに資するように、積極的に個人の同意を取って必要な情報を得ているということを、今、進めているところです。

○祖父江部会長
 是非、それは非常に大きなエビデンスとして、今後、発信していく上でベースになると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから後半の2つ目のことは、皆さん既に御質問が出ていますが、いかがでしょうか。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 全て包含してやっていくのかという御指摘です。若干、繰り返しの御説明になってしまうかもしれませんが、やはり感染症診療を行う上で、合併症の対応、あるいは既往歴がある患者さんもたくさんいらっしゃいます。そういった意味で総合診療機能というのは、引き続き必要かなと思っています。
 また、この救急医療についても、その地域で今、現に非常に必要とされているような実態がありますので、そこは引き続き行っていくこととしていますが、少し将来的な観点、より特徴付けていくのかという点については、継続的に検討が必要かなというふうに思っています。ありがとうございます。

○祖父江部会長
 ありがとうございます。それにちょっと関連するかもしれませんが、この評価をどこがやるかという話は最初に土岐先生から御質問があったのですが、7年からは新しいシステムですが、それまでは今、我々がしているところで評価をしていくというお話のように聞こえたのですが、その辺はどういう経過で、新しい評価の部会のようなものができるのかどうか、ちょっと教えていただけますか。

○大臣官房厚生科学課梶野参事官
 基本的には7年度のできるまでは、この部会で評価を頂きます。7年、設立した後も必ずこの研究開発に関する審議会には評価をお願いしますが、どの部会なのか、今、この部会がNCの部会になっていますので、この部会の権限をさらに増やすのか、または別の部会を作るのかも含めて、その7年の創設までに整理していくということになります。いずれにしても評価は必ずお願いさせていただきます。

○祖父江部会長
 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。これは確か18時まででしたか、予定の時間を多少前後してもいいとは思いますが、何か今までちょっと漏れていたことで、お聞きになりたい点は、大西先生、どうぞ。

○大西委員
 大西です。今般のパンデミックと言いましたように、入院ができないなど、入院患者が手術が受けられないという問題がありましたが、そういった点にはこの国立健康危機管理機構、研究機構というのは対処していくのでしょうか。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 厚生科学課長です。全国的な医療提供体制のことですので、当然この1つの機構だけで全国の患者さんを全て解決するということは難しいというふうに考えていますので、そこは全体の医療提供体制をどうしていくかということを、引き続きしっかり検討していく必要があると思っています。

○大西委員
 ここからの意見が、尊重されていくという可能性はあるのですね。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 ここでの科学的知見を踏まえて、医療をどうしていくか、どういった医療が最適なのかということは、ここでしっかりいろいろな提案を出していくということは非常に、正にミッションだというふうに思っていますので、そういったことはしっかり取り組めるように考えていきたいと思います。

○大西委員
 よろしくお願いします。

○祖父江部会長
 ありがとうございます。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 先生、すみません。今、実は根岸委員がうまく接続ができずに、今、携帯のほうでちょっと聞いていただいていまして、コメントのほうで根岸委員から意見を頂いていますので。

○祖父江部会長
 是非、お願いします。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 根岸委員から「感染症対策の推進に向け、十分な機能を果たせる新機構の誕生を心から期待します」とコメントを頂いています。以上です。

○祖父江部会長
 ありがとうございます。そうですね、根岸先生からは、また御意見いただくかなという感じはしていましたので、ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。そろそろ最初に聞いていた時間は近付いているというか、ほぼ時間になりますが、よろしいでしょうか。
 これはまだ始まったところで、これからこの2年間掛けていろいろ議論しながら、いいものを作っていただくということが非常に重要ではないかと思っています。これは国民からの期待が大きいミッションになるのではないかというふうに思っています。今までこういうところはなかったので、なかなかエビデンスベイスドで世界に向けて、あるいは国民全体に向けて発言する場所がなくて、右往左往していたというところがやはりあったのだと思います。これが非常にきれいに十分に機能していくと、そういうことに対応できる、それこそ危機管理、健康維持というふうになってくるのではないかと期待していますので、是非、よろしくお願いしたいと思います。これは引き続きこの議論は今後、我々としては何か機会があるのですよね。ですから、今日、話し足りなかったところは、おっしゃっていただく機会は作れると思いますので、とりあえず今日はこの辺でと思います。事務局から御連絡があると伺っていますので、厚労省からよろしくお願いいたします。

○大臣官房厚生科学課国立高度専門医療研究センター支援室武藤室長補佐
 事務局です。ありがとうございます。ただいまをもちまして、本日の国立研究開発法人審議会高度専門医療研究評価部会については、閉会とさせていただきますが、閉会に当たりまして厚生科学課長の伯野、それから危機管理・医務技術総括審議官の浅沼より御挨拶を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○大臣官房厚生科学課伯野課長
 厚生科学課長の伯野です。本日、大変御多忙の中、長時間にわたり御議論、そして貴重な御意見いただきまして誠にありがとうございます。我々、せっかくこういった新しい組織を作るということですので、よりよい体制ができるよう、しっかり引き続き議論をしてまいりたいと思っています。どうぞ、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。以上です。

○大臣官房厚生科学課浅沼危機管理・医務技術総括審議官
 厚生労働省の医務技術総括審議官の浅沼です。本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。御案内のとおりで、さらなる感染症危機に備えまして、感染症に対するより質の高い科学的知見を迅速に収集し、各方面に提供できるようにこの新たな専門家組織を構築したい、創設したいと考えています。これによりまして国民の皆様に対する生命及び健康をより強く守ることができるのではないかというふうに期待しているところです。
 この専門家組織の創設に当たりまして、コンセプトとすると革新と継承ということで、新たにやらなくてはいけないこと、ただし引き継がなくてはいけないこと、これ両面やっていかなくてはいけませんが、本日の御意見を頂きました委員の皆様におかれましては、引き続き御指導を賜りますようよろしくお願いを申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

○祖父江部会長
 どうもありがとうございました。それでは、本日の集まりは以上とさせていただきます。非常に重要だと思いますし、また先ほども申し上げたように我々もいろいろ意見を発信していく必要があると思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。これで終わりたいと思います。