2022年8月29日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和4年8月29日(月)18:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(3名)五十音順
行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。この度の医薬品部会についても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 まず、本日のWeb会議における委員の出席状況ですが、小崎委員、田島委員、山本委員より御欠席との御連絡を頂いております。また、亀田委員から遅れての御参加との御連絡を頂いているほか、川上委員、島田眞路委員がまだ参加されておりませんが、後ほど御参加いただけるものと考えております。したがいまして、本日は現在のところ、当部会委員数21名のうち15名の委員がこのWeb会議に御出席されておりますので、定足数に達していることを御報告します。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいていますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をおかけしていますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
 それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 皆様こんばんは。清田です。それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.1~No.24と製剤写真を用いますのでお手元に御用意いただけますか。このほか、資料No.25として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料No.26として「専門委員リスト」を、資料No.27として「競合品目・競合企業リスト」を事前に電子メールにてお送りさせていただいています。また、直前の送付となりましたが、当日配布資料として、「チキサゲビマブ及びシルガビマムの併用投与に関する日本感染症学会ガイドライン案」を本日お送りしております。そちらも御準備をお願いいたします。なお、システムの動作不良などございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。
 資料No.27の1ページを御覧ください。「テゼスパイア皮下注」です。本品目は、気管支喘息を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページを御覧ください。「ソーティクツ」です。本品目は、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページを御覧ください。「メンクアッドフィ」です。本品目は、髄膜炎菌による侵襲性髄膜炎菌感染症の予防を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 4ページを御覧ください。「バクニュバンス」です。本品目は、高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人における肺炎球菌による感染症の予防を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページを御覧ください。「ベリナート」です。本品目は、遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 6ページを御覧ください。「エザルミア」です。本品目は、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 7ページを御覧ください。「ベバシズマブBS」です。本品目は、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌、扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、手術不能又は再発乳癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 8ページを御覧ください。「Luspatercept」です。本品目は、骨髄異形成症候群に伴う貧血を効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 9ページを御覧ください。「トラスツズマブ デルクステカン」です。本品目は、HER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 10ページを御覧ください。「オテズラ」です。本品目は、局所療法で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬及び局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 11、12ページはいずれも共通しております。「エバシェルド」です。本品目は、SARS-CoV-2による感染症及びその発症抑制を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に特段の御意見はありませんか。よろしいですか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものといたします。それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況、第5条に基づく取扱いについては次のとおりです。
 議題1、テゼスパイア、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、中野委員、松下委員です。
 議題2、ソーティクツ、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、南委員です。
 議題3、メンクアッドフィ、退室委員なし、議決に参加しない委員は川上委員、中野委員、松下委員です。
 議題4、バクニュバンス、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、横幕委員です。
 議題5、ベリナート、退室委員なし、議決に参加しない委員は川上委員、松下委員、南委員です。
 議題6、エザルミア、退室委員は川上委員、山口委員、議決に参加しない委員は大隈委員、亀田委員、中野委員、南委員です。
 議題7、ベバシズマブBS、退室委員は川上委員、松下委員、議決に参加しない委員は大隈委員、亀田委員、中野委員、南委員、山口委員です。
 議題8、Luspatercept、退室委員は山口委員、議決に参加しない委員は亀田委員、南委員です。
 議題9、トラスツズマブ デルクステカン、退室委員は川上委員、松下委員、南委員、山口委員、議決に参加しない委員は大隈委員、亀田委員、中野委員、横幕委員です。
 議題10、オテズラ、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員です。
 議題12、エバシェルド、退室委員は松下委員、議決に参加しない委員は亀田委員、川上委員、南委員、横幕委員です。
 また、議題11についても、各委員より寄附金、契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページに申告書を公開することをもって審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明について、特段の御意見はございますか。よろしいですか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。本日は審議事項12議題、報告事項10議題、その他事項2議題となっております。
 それでは、審議事項の議題に移ります。審議事項1とその他事項議題1は関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。まず、議題1について機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、始めさせていただきます。議題1、資料No.1、テゼスパイア皮下注210mgシリンジの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、各ページの下段に50分の幾つで記載している数字を使用します。
 本剤の有効成分であるテゼペルマブ(遺伝子組換え)は、気管支喘息の炎症カスケードの上流に位置するサイトカインの一種である胸腺間質性リンパ球新生因子、TSLPに対するモノクローナル抗体であり、今般、既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の気管支喘息に係る効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本剤は、本年8月現在、米国、カナダ、スイス及びブラジルで承認されております。
 本申請の専門委員として、資料No.26に記載されている9名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。なお、審査報告書42ページ、10.その他に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性について、審査報告書25ページの表28を御覧ください。ここには、中用量又は高用量の吸入ステロイド薬及びその他の1剤以上の長期管理薬を使用してもコントロール不良な喘息患者を対象とした国際共同試験であるD5180C00007試験の有効性の結果を示しております。主要評価項目とされた投与52週時までの年間喘息増悪発現率について、プラセボ群と本剤210mgQ4W群との対比較で統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤210mgQ4W群の優越性が検証されました。また、日本人部分集団において、全体集団と同様の傾向が認められました。
 また、審査報告書30ページの表36、31ページの図1及び図2には、先ほどのD5180C00007試験における主要評価項目以外の有効性に係る結果を示しており、いずれの評価項目においても、プラセボ群と比較して、本剤210mgQ4W群で改善する傾向が認められました。以上の結果を踏まえ、気管支喘息患者に対する本剤の有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性について、本剤の主要な臨床試験における安全性の概要を審査報告書33ページの表38に、認められた主な有害事象を審査報告書34ページの表39及び表40に示しております。また、審査中に主要な臨床試験に組み入れられた海外被験者を対象とした海外継続投与試験において、本剤投与例で死亡及び重篤な心臓障害が多く認められたとの情報が提出され、審査報告書44、45ページに、当該試験も含めた本剤の安全性の概略を表48に、重篤な心臓障害の発現状況を表49に示しています。以上の安全性について、総合的な検討の結果、本薬の薬理作用、臨床試験における事象の発現状況、試験薬との因果関係等を踏まえますと、本剤投与時には、重篤な過敏症に注意が必要であり、感染性、心臓障害等の潜在的な発現リスクはあるものの、気管支喘息の治療に精通した医師の下で使用すること、添付文書や資材を用いた注意喚起及び情報提供、特定使用成績調査による情報収集等の適切な安全対策を実施することにより、本剤の安全性は許容可能と考えております。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 また、事前に渡辺委員、南委員より御指摘いただいておりますので、御回答申し上げます。
 渡辺委員からは、「本剤の効能・効果にも付されているが、デュピルマブなどの既承認の生物製剤の効能・効果にある既存治療とは、吸入ステロイド薬、β2刺激薬、抗コリン薬、テオフィリン等を指しており、これらの薬剤を適切に使用した後に、本剤や他の生物製剤を使用することが推奨されているとの理解でよいか」との御趣旨で指摘を頂いております。本剤を含む気管支喘息に対する生物製剤は、御指摘のとおり、吸入ステロイド薬、β2刺激薬、抗コリン薬、テオフィリン等による適切な治療が行われても、喘息症状をコントロールできない場合に使用する薬剤と考えております。
 南委員からは、「審査報告書25ページ、表28の成績から、本剤の有効性は示されていると判断でき、承認できると考えるが、効果の大きさが小さいようにも感じるため、効果の大きい集団、例えばベースライン時に、より頻回に増悪を発現している集団などを特定できなかったのか」との御趣旨で御指摘を頂いております。ベースライン時の患者背景による部分集団解析として、審査報告書37ページの表41に吸入ステロイド薬の用量別、審査報告書38ページの表43に血中好酸球数等のバイオマーカーの区分別の成績を示しており、高用量吸入ステロイド薬を使用している集団や、バイオマーカー高値の集団で効果が大きい傾向が認められておりますが、それ以外の集団でも年間喘息増悪発現率のプラセボ群との比は1未満であり、いずれの部分集団においても本剤の有効性は期待できると考えております。
 また、審査報告書にはデータを記載しておらずに申し訳ないのですが、D5180C00007試験における過去1年間の喘息増悪回数、すなわちベースライン時の年間喘息増悪回数が2回の集団では、年間喘息増悪発現率のプラセボ群との比は0.51、3回以上の集団では0.37であることを確認しており、いずれの集団においても有効性は期待できると考えております。御指摘に対する回答は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 続きまして、その他事項議題1について、事務局から概要の御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。本品目については、最適使用推薦ガイドラインを作成しておりますので、そちらについても併せて御説明いたします。
 資料No.23-1を御覧ください。テゼスパイアについては、気管支喘息を対象とする抗体医薬品ですので、これまでと同様に最適使用推進ガイドラインの案を作成しております。資料No.23-1の3/9ページから、適応となる効能・効果、用法・用量等を記載し、4ページからは臨床成績等を記載しております。施設要件等については7/9ページに記載しておりますが、この施設についての所に、成人と小児のそれぞれについて医師の要件を記載しております。また、8/9ページには、投与対象となる患者の要件について記載をしております。9/9ページにおいては、投与に際して留意すべき事項として、おおむね添付文書と同様の内容ですが、記載をしております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。
○渡辺委員 先にお尋ねしたように、既存治療が終了したという位置付けで本剤が承認されているわけですが、おっしゃったようなβ2刺激剤とか、抗コリン剤とか、吸入ステロイド剤を使うというのは言わずもがなですが、既に四つの抗体製剤が承認されているわけですよね。そういうものも使った上でということの位置付けになるのか、それとも本剤を含めた既承認されている4種類の抗体製剤を含めて、「抗体vs既存の治療」という位置付けなのか、その辺を明確にしていただかないと混乱するのではないかと思うのですが、いかがですか。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 説明が不十分で申し訳ありません。御指摘いただいたうちの後者で、抗コリン薬や吸入ステロイド薬などを使っても効果不十分な場合に、本剤も含め、生物製剤を使っていくという位置付けとなると考えております。
○渡辺委員 そうしたら、そういうふうな既存治療という表現ではなくて、おっしゃったように明確に、例えばβ2刺激剤、抗コリン剤等々と記載することはできないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書の5.1項の効能又は効果に関連する注意の部分で、最新のガイドライン等を参考に、吸入ステロイド薬とその他の長期管理薬を併用しても効果が不十分な場合に使用する旨を記載しております。また、詳細については資材などでも情報提供する予定です。
○清田部会長 渡辺先生、よろしいですか。
○渡辺委員 それで現場が混乱しなければいいかと思います。
○島田(眞)委員 山梨大学の島田です。今の渡辺先生の御意見は、新しく出てきている要は抗体製剤ですよね。モノクローナル抗体がIL-4とかIL-5とか、IgEそのものに対する抗体薬は既にもう出ていまして、これを使っても効かないものというと、非常にハードルが高くなり過ぎると私は思います。「等」にそういうものが入るとしたらです。ステロイドとかβ2刺激薬はもういいのです。それはもう何十年も使われている薬で、それが効かないものに対してこれが効いたというようなことで、今回認めようという意味ではないかと思います。
 モノクローナル抗体を全部使った後、それでもというような考えとは少し違うのではないかと私は考えます。これは要はTh2が喘息に関係しているということで、TSLPというのはTh2に分化する元のサイトカインです。我々も、アトピーとかはTh2の病気なので、そちらの方が効いてくれるかなと思ったら、全然効かなくて、これはほとんど死んでいたような薬なのですが、喘息では、これを見させていただく限り効果があるということで、TSLPはついにここで活躍したなということで、本当に新規薬剤としてTh2に分化させるところのエフェクターサイトカインではなくて、分化を流動するようなサイトカインが効果があったということで、非常に意義のある薬剤だとは思います。
○清田部会長 島田先生、ありがとうございます。島田先生のおっしゃっていることでよろしいかと思いますが、機構はそれでよろしいですよね。先ほどそれを言っていましたよね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、説明が不十分で申し訳ありませんでした。
○清田部会長 島田先生、よろしいですか。
○島田(眞)委員 はい、結構です。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 今、お話になったように、5.1の添付文書の記載の所がもう少し親切であってもいいのかなと思っています。今のお二人の意見がきちんと反映できるように、5.1の最後の所の文章で「投与等が必要な喘息増悪をきたす患者さん」、そこに「その他の抗体薬と同様に」とか、何かそういうような文章が入るだけでも理解がしやすいのではないかと思いますので、可能かどうか御配慮いただければ幸いです。
○清田部会長 機構の方、よろしいですよね。誤解のないような表現でしていただけるのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 現場で混乱なく使用いただけるよう、資材等の記載も含め、どのような情報提供がよいか、検討したいと思います。
○清田部会長 期待している回答と違いまして、「そのような方向で是非検討していただきたい」ということなのです。よろしくお願いしたいと思います。ほかに御質問はございますか。ないようですので、議決に入ります。審議事項議題1については、亀田委員、川上委員、中野委員、松下委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について承認を可としてよろしいですか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。また、その他事項議題1についても御確認いただいたものといたします。
 続きまして、議題2に移ります。議題2について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、ソーティクツ錠6mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明します。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、下段にある75分の幾つで記載している数字を使用します。
 本剤の有効成分であるデュークラバシチニブは、JAKファミリーに属するTYK2の阻害薬であり、今般、実施された臨床試験成績等を踏まえ、尋常性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症に係る効能・効果で製造販売承認申請がなされました。なお、2022年8月現在、本剤が承認された国又は地域はありません。
 本申請の専門委員として、資料26に記載されている9名の委員を指名しました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明します。なお、審査報告書68ページ、10.その他の項に有効性の評価方法の詳細を示していますので、適宜御参照ください。
 有効性について、尋常性乾癬に関して、中等症から重症の局面型皮疹を有する乾癬患者を対象とした国際共同第III相試験であるIM011-046試験の成績に基づき説明します。審査報告書40ページの表46を御覧ください。本試験では、投与16週時の二つの臨床評価指標によるco-primary endpointが設定されており、一つは医師による乾癬病変の重症度スコアであるsPGAスコアが、ベースラインより2以上改善し、かつ「0(無症状に該当)」又は「1(ほぼ無症状に該当)」と判定された被験者の割合である「sPGA(0/1)達成率」となります。もう一つは、全身の皮膚症状をスコア化したPASIスコアが、ベースラインより75%以上改善した被験者の割合であるPASI75達成率となります。表46に示しますとおり、いずれの評価項目についても本剤群とプラセボ群との対比較において、統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されています。また、日本人部分集団において、全体集団と顕著な差異は認められませんでした。
 次に、膿疱性乾癬(以降、GPPという)及び乾癬性紅皮症(以降、EPという)に関しまして、審査報告書53ページの表60を御覧ください。これらの病型の国内患者数は極めて限られており、海外では開発予定がないことから、国内試験であるIM011-066試験にGPP及びEPの患者も組み入れ、評価することとされました。表60に示しますとおり、GPP及びEPにおける検討例数は限られていますが、いずれの患者においても複数の有効性評価指標に改善傾向が認められており、GPP及びEPと同様の皮膚症状を主症状とする局面型皮疹を有する乾癬患者に対する有効性が検証されていることを勘案し、日本人GPP及びEP患者に対する本剤の有効性は一定程度期待できると判断しました。
 安全性について、審査報告書の54ページの表62に本剤の安全性の概要を、審査報告書の55ページの表63に本剤の臨床試験において認められた主な有害事象を示しています。また、本剤の薬理作用、乾癬患者における疾患特性等を踏まえた本剤投与時の注目すべき有害事象についても検討した結果、審査報告書の56ページ以降に記載しておりますとおり、乾癬患者における本剤の安全性上の重大な懸念は示されていないと考えるものの、感染症や悪性腫瘍等の重篤な副作用が発現する可能性が考えられることから、本剤に関する十分な知識と乾癬に対する薬物治療の知識・経験を持つ医師の下で使用するとともに、本剤投与前に感染症のスクリーニング等を十分に行い、リスク・ベネフィットを判断した上で投与する必要があると判断しました。
 続いて、審査報告書の64ページ、7.R.3、臨床的位置付け及び効能・効果についてを御覧ください。安全性の項でも述べたとおり、本剤と類似のシグナル伝達経路を阻害する生物製剤と同様に、重篤な感染症等の発現リスクがあること、既承認の乾癬治療薬である生物製剤と同様に、投与に先立ち結核感染の有無の確認を行う等の適切な患者選択が必要であると考えられること等から、本剤の投与対象は尋常性乾癬に対して承認されている生物製剤と同様の患者とすることが適当と判断し、効能・効果は既存治療で効果不十分な下記疾患、尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症とすることが適切と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。
 また、南委員より事前に次のような趣旨の御質問を頂いております。「CPK上昇が、プラセボあるいはアプレミラストより高頻度に見られていることが、表67に示されていますが、CPKのアイソザイムを確認し、心筋由来か否かは分かっているのでしょうか。また、CPK上昇に加えて、筋肉痛や骨格筋の圧痛を伴っていた人の頻度はどのくらいだったのでしょうか。引き続き情報収集を行うと報告書にはございますが、現場が一番目にする添付文書の副作用にCPK上昇に関する記載がないことから、どのように情報提供と情報収集を行うつもりでしょうか」ということでございます。
 まず、由来等については、臨床試験ではCPK値が基準値上限の2.5倍を超えた場合に、CK-MB、心筋型のクレアチンキナーゼ及びトロポニンIの測定を行う規定がなされており、当該規定に基づきCK-MB及びトロポニンIの測定が行われたのは、第III相併合集団の本剤投与例1,519例のうち120例、8.0%で、日本人安全性統合解析対象集団の本剤投与の例119例のうち5例、4.2%でした。これらの症例のうち、CK-MB又はトロポニンIの上昇が報告された症例は第III相併合集団の2例でしたが、いずれも心血管系事象の徴候は認められませんでした。なお、日本人安全性解析対象集団では、CK-MB及びトロポニンIの上昇は認められませんでした。
 また、CPK上昇と筋肉痛や骨格筋の圧痛を伴っていた頻度についての解析は実施されておらず、現時点では不明です。こちらについては、申請者に確認の上、後日回答を差し上げたいと考えています。
 続いて、CPK上昇に関する臨床現場への情報提供については、RMPにおいて追加のリスク最小化活動に設定している医療従事者向け資材、いわゆる適正使用ガイドにおいて、横紋筋融解症、ミオパチーの項を設け、臨床試験における発現状況とともに注意事項及び対処法を記載し、情報提供することとしています。現時点では、臨床試験におけるCPK上昇の発現状況を踏まえて、添付文書において注意喚起の設定が必要とは考えておりませんが、今後、市販後に得られる調査や自発報告、公表文献に基づき、注意喚起の要否について適宜検討していきたいと考えています。御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 南先生、いかがですか。
○南委員 ありがとうございます。恐らくそういう回答になるのだろうとは思っていたのですが、ランダム化比較試験での頻度は明らかに差があるようですので、適切な情報提供をお願いしたいと思います。私はこのくらいの差があれば、添付文書に記載してもいいのかなと考えました。現場では添付文書をしっかり見ながら処方するとは思いますが、それ以外資材に関しては、開始する前は目を通すと思いますが、常に繰り返し目を通すかどうか、ちょっと疑問だったものですから、しっかりとCPKが上がることがあるということを意識しないと、CPKは測定しない可能性もございますので、しっかりと情報提供をお願いできればと思います。市販後に情報収集するためには、現場で測定するということがまず第1条件だと思います。測定するためには、医師が常に意識をしているということが必要だと思いますので、私はできれば添付文書で情報提供するのががいいと思うのですが、しっかりと情報提供して情報収集できるような体制を是非作っていただければと思います。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。機構はいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘いただきまして、ありがとうございます。南委員から御指摘いただいたとおり、市販後にCPKの情報が適切に医療現場に伝達されるよう、申請者に指示申したいと考えています。ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御質問、御意見はありませんか。
○登美委員 登美です。よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○登美委員 添付文書の薬物動態の所で、途中から突然、活性代謝物であるBMT-153261というものが出てくるのですが、それが全体の資料の中でどれぐらいの割合を示すかというところが明確になっていないように思います。肝機能、腎機能が悪い患者さんにおいてとか、あと薬物相互作用において、それぞれ何倍に増えたかということは分かるのですが、そもそも、もともとはどれぐらいの割合で存在するのかということが明確になってないと、ちょっとこの辺のデータが読み取れないと思ったので、改善いただければなと思います。
 あと、文章の書きぶりとしても、3種類が測定されているのですが、デュークラバシチニブとBMT-153261、活性成分と三つ並んでいて、活性成分が「及び」でつながっていると、では、上の二つは活性成分と何が違うのだというのが、よく読めば分かるのですが、そこもちょっとよく分からないので、少し御検討いただければなと思います。できれば、その活性代謝物がどういうふうに生成されるかということについても、情報を付け加えていただけると、その活性代謝物の取扱いをどうしたらいいのかということが、添付文書からだけだと読み取れないなと思ったので、コメントいたしました。よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。機構の方はいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。添付文書の記載についてより適切な形での記載にできるか検討させていただきたいと考えます。
○登美委員 よろしくお願いします。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくこととします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題3に移ります。議題3について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、メンクアッドフィ筋注の製造販売承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。資料No.3のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。本説明中にお示ししますページ数は、各ページの下段に青色で記載の34分の幾つという数字を使用いたします。
 審査報告書3ページの一番下の段落を御覧ください。本剤は、侵襲性髄膜炎菌感染症の原因となる髄膜炎菌のうち、血清群A、C、W及びYの莢膜多糖体を、それぞれ破傷風トキソイドに結合させた4価髄膜炎菌ワクチンです。本剤は、本邦で唯一承認されている髄膜炎菌ワクチンであるメナクトラと含まれる血清群は同一であり、莢膜多糖体に結合するタンパク質がメナクトラはジフリテアトキソイドであるのに対して、破傷風トキソイドが用いられています。申請された効能・効果はメナクトラと同様であり、申請者は今後メナクトラを本剤に置き換える予定としています。2022年8月時点で、本剤は米国、欧州を含む海外40以上の国又は地域で製造販売承認されています。
 本品目の専門委員として、資料No.26に記載されている5名の委員を指名しました。
 主な審査内容について御説明させていただきます。有効性は2~55歳の日本人を対象とした国内第III相試験(MEQ00068試験)及び、海外第III相試験(MET43試験)の免疫原性の結果に基づき審査を行いました。
 まず、国内第III相試験の結果を御紹介させていただきます。審査報告書18ページを御覧ください。上から2段落目、「免疫原性の主要評価項目は」から始まる段落です。本試験では、髄膜炎菌に対するヒト補体介在性の殺菌抗体の活性を評価するhSBAワクチン抗体応答率が主要評価項目とされており、表17にその結果が示されています。いずれの血清群におきましても、本剤群のメナクトラ群に対する非劣性が示されています。
 次に、海外第III相試験の結果を御紹介させていただきます。審査報告書20ページを御覧ください。上から2段落目、「ロット間の免疫原性」から始まる段落になります。海外第III相試験の主要評価項目は、国内臨床試験と同じくhSBAワクチン抗体応答率であり、表20にその結果が示されています。いずれの血清群においても、本剤群のメナクトラ群に対する非劣性が示されました。
 以上により、機構は、メナクトラと同様、本剤の有効性は期待できると判断しました。また、本剤はメナクトラと同様の臨床的位置付けであり、本剤の効能・効果はメナクトラと同様の髄膜炎菌(血清群A、C、W及びY)による侵襲性髄膜炎菌感染症の予防と設定することが適切と判断しました。
 続いて、安全性について御説明させていただきます。審査報告書の19ページ、表19を御覧ください。国内第III相試験の接種後7日目までに発現した特定有害事象の発現率になります。本剤の忍容性は良好であり、メナクトラと同様の安全性プロファイルが示されました。次に、審査報告書27ページの表26及び27を御覧ください。これらの表は、2歳以上の米国人を対象とした海外無作為化比較6試験(MET35、MET43、MET44、MET49、MET50及びMET56試験)を併合解析し、本剤の安全性の評価を行った結果になります。本剤群及びメナクトラ群の安全性プロファイルに違いは認められませんでした。以上より、機構は、本剤の安全性はメナクトラと同様であり、認容は可能と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、本剤を承認して差し支えないと判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、御質問、御意見がございましたら承ります。中野先生、どうぞ。
○中野委員 中野です。確認させてください。もともとこれは免疫原性に関しては非劣性を見る試験ということで理解していましたが、抗体応答率、hSBA抗体とも、どちらかというと、従来品のメナクトラより本ワクチンの方が良好な免疫原性があるかなと読みました。一方、安全性に関しては、軽微なものなのでしょうが、恐らく局所反応、全身反応とも、n数を増やすとそれほど差はないみたいですが、こちらのワクチンの方が重篤な有害事象は多くないですが、少し頻度としては高いものもあると。この原因をいろいろ考えていたのですが、従来品は抗原がそれぞれ4μgで、こちらは10μgということで、多糖体の量として少し増えている、抗原成分として増えているので、これが導かれているのかなと考えたのですが、そのような推測で間違いがないかということをお教えいただきたいです。
 それから、従来品は56歳以上の者への使用経験が少ないということでしたが、今回は各年齢に十分に検討を行ったということで、添付文書からも56歳以上の者への使用経験が少ないという一文は消えていますが、そういう理解でいいかということの2点確認させてください。
○医薬品医療機器総合機構 お答えさせていただきます。まず最初の御質問です。改善としては、多糖体の量と結合するタンパク質を変えることによって、免疫原性を上げる工夫がされています。これが1点目のお答えになります。
 2点目の56歳以上ですが、もともとこの剤を導入するに当たって、申請者のサノフィは幅広い年齢層に対して本剤が効くようにということを念頭に開発していまして、先生が御指摘されたとおり、56歳以上についても使用可能というふうに判断しています。以上でございます。
○中野委員 ありがとうございます。理解できました。
○清田部会長 ほかに御質問はありませんか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思います。川上委員、中野委員、松下委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして議決への参加を御遠慮いただくこととします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題4に移ります。議題4について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、バクニュバンス水性懸濁注シリンジの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.4のフォルダを開き、審査報告書のファイルをお開きください。本説明中にお示しするページ数は、各ページの下段に青色で記載の49分の幾つの数字を使用いたします。
 本剤は、肺炎球菌の重要な病原性因子である莢膜ポリサッカライドにキャリアタンパク質である無毒性変異ジフテリア毒素を結合させ、アジュバントとしてリン酸アルミニウムを添加した15価肺炎球菌結合型ワクチンです。本剤は、15種類の血清型の肺炎球菌莢膜ポリサッカライドを含んでおり、国内で承認されている肺炎球菌結合型ワクチンであるプレベナー13水性懸濁注(以下、PCV13という)に含まれる13種類の血清型の莢膜ポリサッカライドと、それに追加して2種類の血清型の莢膜ポリサッカライドを含みます。今般、高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人における肺炎球菌による感染症の予防に係る効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本剤は、2022年5月時点で、米国、欧州を含む海外20以上の国又は地域で製造販売承認されています。
 本品目の専門委員として、資料No.26に記載の6名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について御説明いたします。審査報告書の13ページの表8を御覧ください。申請に当たり提出された有効性及び安全性に関する主な臨床試験の概要をお示ししています。このうち有効性は、高齢者などを対象とした国際共同第III相試験である019試験と、肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人(以下、ハイリスク者という)を対象とした海外第III相試験である017試験と018試験の免疫原性の結果に基づき審査しました。
 審査報告書の22ページを御覧ください。上から3段落目の「13共通血清型について」で始まる段落です。高齢者を対象とした019試験において、本剤とPCV13に共通して含まれる13種類の血清型については、主要評価項目とされた血清型特異的オプソニン化貪食活性の幾何平均抗体価(以下、OPAGMTという)について、PCV13に対する本剤の非劣性が示されました。また、その次の段落、「2非共通血清型について」で始まる段落ですが、本剤のみに含まれる2種類の血清型については、主要評価項目とされた血清型特異的OPAGMT及び血清型特異的OPA応答率について、PCV13に対する本剤の優越性が示されました。
 また、ハイリスク者を対象とした017試験と018試験の免疫原性に関する成績は、審査報告書の25ページの表21及び27ページの表24などに示していますが、ハイリスク者においても、本剤接種により各血清型に対する免疫応答が確認されています。これらの成績などから、本剤の肺炎球菌感染症に対する予防効果は期待できると判断しました。
 続いて、安全性について御説明いたします。審査報告書の37ページの7.R.2、安全性についての項を御覧ください。健康高齢者における安全性は、37ページの表33及び38ページの表34に示しており、こちらは019試験を含む複数の臨床試験の併合解析の結果を示しています。また、ハイリスク者に対する安全性として、017試験と018試験の有害事象の発現状況を、38ページの表35と39ページの表36、表37にそれぞれ示しています。各試験において、本剤接種後に注射部位疼痛、筋肉痛、疲労などの一般的なワクチン接種で認められる局所性又は全身性の反応が多く発現していましたが、ほとんどがグレード1又はグレード2で回復性が認められること、また、類薬であるPCV13とも安全性プロファイルは類似していることを確認し、本剤の安全性は許容可能と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は劇薬に該当すると判断いたしました。分科会では報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方から御質問、御意見がございましたら承ります。いかがでしょうか。宗林先生、どうぞ。
○宗林委員 23価の肺炎球菌のワクチンもあったと思うのですが、これとの違いが明確にあるのであれば、教えていただきたいと思います。それと、これは5年ごとの定期接種になると思っていましたが、この場合は13価でも15価でも、あるいは23価でもいいというような扱いになっているのでしょうか。教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。本剤は無毒性変異ジフテリア毒素というキャリアタンパク質に結合させたワクチンですが、23価のワクチンはキャリアタンパク質に結合させていないワクチンになります。こちらは本剤よりも多い血清型を含んでおりますけれども、免疫応答が違いまして、本剤とは異なる位置付けのものになります。
 2点目の定期接種の件ですが、今回対象とされている高齢者については、23価のワクチンが使用されております。13価のワクチンについては、高齢者の定期接種では現在は使われておりません。本剤が定期接種の対象になるかというのは、また別の検討事項かと思いますけれども、今のところ23価のワクチンが使われているという状況でございます。
○宗林委員 ありがとうございました。23価のものが定期接種に使われていると思っていましたので、新しいものはどのように使うのかと思いましてお聞きしました。使われるかどうかというのは、まだこれからという理解でよろしいですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのように理解しております。
○宗林委員 分かりました。ありがとうございました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員、横幕委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、先に議題11に移ります。議題11につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より、議題11、生物学的製剤基準の一部改正について御説明いたします。資料No.11-1及び資料No.11-2を御覧ください。この度の生物学的製剤基準の一部改正は、大きく分けて二つございます。一つは、先ほど御審議いただいたメンクアッドフィ筋注及びバクニュバンス水性懸濁注シリンジの2品目に関連して、髄膜炎菌ワクチンと肺炎球菌ワクチン周りの所要の改正を行うものになります。また、もう一つは痘そうワクチンに関係する生物学的製剤基準の整備を行うものとなります。
 まず、髄膜炎菌ワクチンと肺炎球菌ワクチン関連について御説明いたします。資料No.11-1を御覧ください。1ページに改正の概要を記載しております。(1)として、メンクアッドフィ筋注及びバクニュバンス水性懸濁注シリンジの各医薬品に対応する基準を新設するもの、(2)として、(1)の基準新設に伴い関連する既存の基準の記載整備を実施するもの、(3)として、品目の承認整備に伴い既存の基準を削除するもの、この3点の改正を予定しております。
 また、痘そうワクチン関連については、資料No.11-2を御覧ください。こちらも1ページに概要を記載しております。(1)として、既存の痘そうワクチンの基準について貯法等の個別の承認の中で規定している事項を削除するといった記載整備をするもの、(2)として、安全性の観点から国内での流通が見込まれない痘そうワクチン2種類の基準を削除するもの、この2点を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問はございますか。よろしいでしょうか。特にないようですので、議決に入りたいと思います。
 本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題5に移ります。議題5について、機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、医薬品ベリナート皮下注用2000の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.5のフォルダの審査報告書のファイルをお開きください。審査報告書の3/34ページを御覧ください。
 遺伝性血管性浮腫(以降、HAEという)は、人C1-インアクチベーターの量的低下や質的異常により、ブラジキニンや補体の産生亢進等が生じる先天性疾患です。臨床症状としては、顔や手足の皮膚、消化管などに血管性浮腫発作を生じます。この発作を以降、HAE発作といいます。
 本剤は、人血漿由来の人C1-インアクチベーターを有効成分とする製剤であり、本邦では、本剤と同じ有効成分を含有する静注用製剤が、HAE発作発症時の治療薬として1990年に承認されています。本剤は、定期的な投与により、HAEの急性発作の発症を抑制する皮下注製剤として開発され、今般承認申請が行われました。なお、本剤は、海外では米国、欧州を含む34の国又は地域で承認されています。
 本剤の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.26に記載した5名の委員です。
 審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。審査報告書の15/34ページの表18の右側、申請用法・用量である60IU/kg投与シークエンスの列を御覧ください。有効性について、HAE患者を対象とした海外3001試験において、HAE発作頻度が評価され、プラセボ投与時と比較し、本剤投与時において発作頻度が有意に低下いたしました。続いて、19/34ページの表22を御覧ください。HAE患者を対象とした国内3003試験では、本剤投与前の導入期と比較して、本剤治療期でHAE発作頻度が低下しました。また、審査報告書の20/34ページの7.R.2の有効性についての6行目を御覧ください。国内試験でのHAE発作頻度は海外試験と同様でした。以上の臨床試験成績等から、本剤の定期的投与によるHAE発作の発症抑制に対する有効性は期待できると判断いたしました。
 次に、安全性について、審査報告書の23~24/34ページを御覧ください。臨床試験で主に認められた有害事象は注射部位反応であり、注射部位反応の大部分は因果関係が認められましたが、転帰は全て回復でした。その他、海外製造販売後安全性情報も含め、特段の問題となる有害事象等は認められていないことから、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。
 審査報告書の25~26/34ページを御覧ください。臨床試験及び海外製造販売後で認められた血栓塞栓性事象及びショック・アナフィラキシーについては、既承認の静注用製剤と同様に、添付文書等で注意喚起を行う予定です。
 以上の審査の結果、機構は本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
 本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年、特定生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。特にないようですので、議決に入りたいと思います。川上委員、松下委員、南委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくものといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議事進行の都合上、議題の順番を変更し、議題12に移りたいと思います。松下委員におかれましては、利益相反のお申出に基づきまして、議題12、議題7、議題9の審議の間は、会議から御退室いただき待機していただくものといたします。松下委員には御退室をお願いいたします。
松下委員退室
○清田部会長 議題12について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題12、資料No.12、医薬品エバシェルド筋注セットの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。特例承認に係る報告書のファイルをお開きください。
 エバシェルド筋注セット(以下、本剤という)は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質上の異なるエピトープを認識する2種類の遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体を有効成分とする筋肉内投与注射剤であり、スパイクタンパク質とアンジオテンシン変換酵素2の結合を阻害することで、宿主細胞へのSARS-CoV-2の侵入を阻害すると考えられています。今般、SARS-CoV-2による感染症の曝露前予防について、米国FDAによるEmergency Use Authorizationが得られていること等を踏まえて、SARS-CoV-2による感染症の発症抑制及び治療について、特例承認に係る承認申請が行われました。
 本申請の専門委員として、資料No.26に記載した7名の委員を指名しました。
 審査の概要について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。SARS-CoV-2による感染症の発症抑制に対する有効性について、通し番号の57ページの表44を御覧ください。表44の左列、感染源への曝露前投与の有効性を検討した海外第III相試験(PROVENT試験)において、主要評価項目である治験薬投与後183日目までにSARS-CoV-2による感染症の症状が認められ、かつRT-PCR陽性が確認された被験者に基づく相対リスク減少率は、本剤群とプラセボ群との比較において統計学的な有意差が認められました。日本人における有効性は検討されておりませんが、国内外でSARS-CoV-2による感染症で発現する症状は同様であること、本剤が外来性因子に対する抗体製剤であること、日本人と外国人との間でPKに明らかな差異は認められていないことなどから、PROVENT試験の成績に基づき、日本人における有効性は期待できると判断しました。
 一方、表44の右列を御覧ください。感染源への曝露後投与の有効性を検討した海外第III相試験(STORM CHASER試験)では、曝露前投与と同様の主要評価項目において、統計学的な有意差は認められず、SARS-CoV-2感染症患者に濃厚接触した者における発症抑制については、本剤の有効性が示されたと結論付けることは困難と判断しました。
 SARS-CoV-2による感染症の治療に対する有効性について、通し番号60ページの表46を御覧ください。酸素投与を要しないSARS-CoV-2感染症患者を対象とした国際共同第III相試験(TACKLE試験)において、主要評価項目である治験薬投与後29日目までのSARS-CoV-2による感染症の重症化又は理由を問わない死亡が認められた被験者に基づく相対リスク減少率は、本剤群とプラセボ群との比較において、統計学的な有意差が認められました。
 日本人における有効性について、TACKLE試験の日本人集団における主要評価項目の結果では、いずれの投与群でもイベントの発現は認められませんでしたが、SARS-CoV-2感染症について国内外で流行株、診断基準、重症度分類及び治療選択肢に大きな差異はないこと、本剤は外来性因子に対する抗体製剤であること、PKが日本人と外国人で大きく異なる可能性は低いと考えられることなどを踏まえて、日本人においても一定の有効性は期待できると判断しました。以上を踏まえ、酸素投与を要しないSARS-CoV-2による感染症の治療に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
 安全性について、通し番号63ページの表49を御覧ください。第III相試験において、プラセボ群と比較して、本剤群で有害事象や副作用の発現割合に大きな差異は認められませんでした。また、通し番号の64ページの表50を御覧ください。SARS-CoV-2感染症患者を対象とした国際共同第III相試験(TACKLE試験)における日本人集団での安全性を示しています。日本人集団では、全体集団と比較して有害事象の発現割合が高い傾向が認められましたが、特定の有害事象の発現割合が増加する傾向は認められませんでした。
 次に、通し番号の65ページの表51を御覧ください。PROVENT試験における心臓障害に分類される重篤な有害事象の発現割合は、プラセボ群と比較して本剤群で高い傾向が認められ、これらの事象が認められた被験者は、いずれもベースライン時に心血管疾患のリスク因子又は既往歴を有していました。しかしながら、いずれの事象も治験薬との因果関係が否定されたこと、本剤はヒト組織に交差性を示さず、カニクイザルにおいて心血管系に対する影響は認められなかったこと等を踏まえると、本剤による心臓障害に関連する事象の発現リスクは、現時点では明確ではないと考えます。
 以上より、SARS-CoV-2による感染症及びその発症抑制に対する本剤の安全性リスクは許容可能と判断しました。ただし、日本人における安全性、特に臨床試験で認められたアナフィラキシーを含む過敏症や本剤による心臓障害に関連する事象の発現リスクについては、適切に注意喚起するとともに、製造販売後に引き続き情報収集し、医療現場に適切に情報提供する必要があると考えます。
 臨床的位置付けについて、通し番号67ページの1行目を御覧ください。まず、SARS-CoV-2感染症の発症抑制に関してですが、機構は、感染症の予防はワクチン接種が基本であり、本剤はワクチンの代替となるものではなく、ワクチン接種が推奨されない者又はワクチン接種による十分な免疫応答が得られない可能性がある者における選択肢であると考えます。また、本剤投与はSARS-CoV-2感染症患者の濃厚接触者ではない者、すなわち感染源への曝露前のみに限られる旨を注意喚起する必要があると考えます。
 SARS-CoV-2感染症の治療に関しては、本剤は軽症から中等症Ⅰの患者に対する治療選択肢の一つになると考えます。なお、国際共同第III相試験(TACKLE試験)では、SARS-CoV-2感染症の重症化リスク因子の有無にかかわらず被験者が組み入れられ、全体集団で本剤の有効性が示されているものの、試験途中で重症化リスク因子を有する患者に組入れを限定する変更等が行われた結果、重症化リスク因子を有しない患者集団の割合は全体集団の1割程度であったことなどを踏まえて、SARS-CoV-2感染症の治療における投与対象は、ほかの中和抗体薬と同様に、重症化リスク因子を有する患者とすることが適切と考えます。
 次に、通し番号70ページ、1.1項の用法・用量についてを御覧ください。本邦における主なSARS-CoV-2の流行株であるomicron株に対する本剤の臨床的有効性について、直接検討可能な臨床試験成績は得られていないものの、in vitroでの検討において、一部のomicron株で本剤の中和活性の低下が認められました。これに関して、本剤の承認申請時のSARS-CoV-2感染症の発症抑制に対する用法・用量は、臨床試験での設定に基づき、チキサゲビマブ150mg及びシルガビマブ150mgを併用で筋肉内注射(以下、各150mgIMという)とされていましたが、国内のSARS-CoV-2変異株の流行状況等を踏まえ、申請者より、用法・用量を、SARS-CoV-2感染症の治療と同じく、チキサゲビマブ300mg及びシルガビマブ300mgを併用で筋肉内注射(以下、各300mgIMという)とすることが可能と考える旨の説明がなされました。
 機構は、発症抑制に対する臨床試験で各300mgIMの投与は実施されておらず、現在、国内で流行中のSARS-CoV-2変異株に対する臨床的有効性は明らかではないものの、米国において各300mgIMの用法・用量でEmergency Use Authorizationが得られていること、各300mgIM投与時の安全性に特段の問題は認められていないこと等を考慮すると、特例承認品目である本剤のSARS-CoV-2感染症の発症抑制に係る用法・用量に、各150mgIMに加えて、各300mgIMを設定することは許容可能と判断しました。なお、SARS-CoV-2感染症の発症抑制に対して複数の用法・用量が使用可能になる点については、臨床現場における混乱を避けるための情報提供等の方策を講じる必要があると考えます。
 最後に、通し番号72ページを御覧ください。以上の審査を踏まえ、機構はここに記載した承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品目は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間を8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。続きまして、資料No.12-2について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料No.12-2、エバシェルド筋注セットの変異株への対応についての資料を御覧ください。今、機構からも御説明があったとおり、現在、omicron株が主として流行しているところですが、その下位系統の割合について、こちらの背景の一つ目の○に記載しておりますが、7月18日から24日までの間では、BA.5系統が82.4%という状況で、BA.5系統に置き換わった状況と考えております。今般、本品目を御審議いただくに当たりまして、最近の変異株の流行状況も踏まえて、変異株への対応を整理する必要があると考えております。
 2番目の中和活性の変化については、審査報告書に記載のとおりで、機構からの説明もあったとおりですが、BA.2については変化倍率は3.2倍あるいは5.4倍という状況ですが、BA.4/BA.5に対しては、33~65倍程度の中和活性の低下が認められている状況です。
 こういった下位系統のomicron株に対して、海外でどういった対応が取られているのかということを3番目に記載しております。まず、FDAにおいては、2022年2月24日に、BA.1、BA.1.1、BA.2系統に対するin vitroのデータの評価がなされて、BA.1、BA.1.1系統に対する中和活性が低下することに基づいて、用量としては各300mgに変更がなされております。
 二つ目の○ですが、その後、2022年6月29日に、BA.2.12.1系統、BA.4/5系統に対するデータがファクトシートに追記されておりますが、用量の変更はなされず、各300mgのままという状況です。また、EMAについてですが、抗ウイルス効果については、BA.1系統、BA.1.1系統で中和活性が低下するとされていますが、BA.2系統では野性株と同程度と評価されており、曝露前予防における用量は各150mgとされております。なお、BA.2.12.2とBA.4/5系統の評価結果は示されておりません。
 4番目は、こういった状況も踏まえて、本邦における対応案です。エバシェルド筋注セットは、BA.2系統に対する有効性は維持されていると考えられますが、BA.4/5系統に対しては、一定程度の中和活性の低下が認められておりまして、著しい低下が認められているものではございませんが、有効性が減弱するかどうかについては必ずしも明らかではないという状況と考えております。また、医療現場においては、現時点は医薬品の投与前に感染株の系統を正確に特定することは困難であり、BA.2系統であるか、BA.4/5系統であるかを区別して使用を図ることはできないと理解しております。さらに、BA.4/5系統について、現時点で得られているデータからは、他の中和抗体薬と比較して使用の優先度を検討するということも困難と考えています。このため、本剤については、他の中和抗体薬と同様に、他の治療薬が使用できない場合に投与を検討するということを添付文書などで注意喚起することとしてはどうかと考えています。また、発症抑制については、同様の対象者に使用可能な他の治療薬がないことから、慎重に投与を検討するよう併せて注意喚起することとしたいと考えております。
 こうした状況を踏まえて、発症抑制の用量についても、各300mgを基本とすることが望ましいと考えられることから、それについても併せて注意喚起をすることとしたいと考えております。具体的には、この下に「具体的な注意喚起のイメージ」として記載しておりますが、こちらにお示ししている添付文書案の冒頭の黒い枠囲みに書いてあるものと同じでして、こういった形の注意喚起をしてはどうかと考えております。こちらについても、併せて御議論いただければと思っております。
 加えまして、感染症学会のガイドラインの案についても御紹介させていただきます。本日、メールにてお送りさせていただいた日本感染症学会のガイドライン案の資料、当日配布資料ですが、御確認いただけますでしょうか。本剤について、現在、日本感染症学会において、COVID-19に対する薬物治療の考え方において、本剤の項を追加して、この四角枠の中の記載を追記する方向で検討中だと伺っております。
 上から順に、臨床報告や投与方法については、添付文書に記載のものと同様の内容となっており、投与時の注意点の1)が、今、御紹介したomicron株に対する内容となっております。1ページの一番下の「発症後の投与後の注意点」についてもおおむね添付文書と同じ内容ですが、その下の「発症抑制での投与時の注意点」の所の、特に3)に、本剤の投与対象となる具体的な方が列挙されているという状況です。具体的には、本剤の発症抑制における投与対象は、添付文書においてはこちらに記載のような方とされておりますが、これは具体的には、次に掲げる方が中和抗体薬を投与する意義が大きいと考えられるといった案になっております。具体的に、抗体産生不全あるいは複合免疫不全を呈する原発性免疫不全症の患者など、幾つか列挙しておりますが、こういった方が本剤の投与対象として意義が大きいといった案になっていると伺っております。併せて御確認いただければと思います。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。島田先生、どうぞ。
○島田(眞)委員 余りにも効きがよく分からないというのが、私の正直な印象です。今はBA.5が主流で、BA.5の患者さんを対象にどうなのかというのを一番知りたいのですが、よく分からないということなのです。
 この製品を許可して、現場に混乱をもたらさないかということの方が心配です。ほかの治療は考えられないということより、こちらを本当は追求すべきで、ほかの抗体薬は2剤あるのですけれども、この2剤、ロナプリーブとソトロビマブですけれども、これも効果の減弱がかなり予想されるということで、基本的に余り使われなくなってしまったのではないかと思います。この2剤に関しては、こういう置き換わりがある前までは、我々もよく使っていましたが。
 でも、今はBA.5で、本当にどれぐらい効くかよく分からないものをまた出して、現場を混乱させることはないのではないかと思います。もうちょっとエビデンスがあれば、非常に有効な薬として、新しい夢のある治療という感じでいいのですが、効きにくいものをまた出して、どうなのかなというように思います。今の御説明では、機構側として、このようなものを承認されると言われたのがよく分かりませんでした。
○事務局 事務局でございます。御指摘いただいたとおり、BA.5系統に対する有効性というのは、臨床試験においては直接は確認されていない状況です。それは、ほかの中和抗体薬についても同様の状況でして、この感染症は早いスピードで変異が進んでいきますので、最新の変異株に対して臨床試験のデータを得ることは難しい状況にあると理解しております。
 ですので、既に承認されているロナプリーブとソトロビマブについても、同様にin vitroの結果に基づいて効果は減弱するおそれがあり、なので、他の治療薬が使用できない場合に投与を検討するといった注意書きがなされている状況ですので、本剤についても、同様の注意喚起をした上で、承認を可とすることができるのではないかというように判断されているものでございます。
 それから、本剤の特徴としましては、曝露前の発症抑制に関する適応も申請されておりまして、これについては、ほかに治療薬がないという状況ですので、そういった意味でも一定の意義があるものと考えております。
○島田(眞)委員 その発症予防というのはワクチンで代替されるものなのですね。というのも、ちょっと発症したら濃厚接触者にはもう効かないという薬ですよね。
○清田部会長 そのとおりでしょうね。
○島田(眞)委員 今、皆さんが非常にナーバスになっているところで、こういう薬を出すのはどうかと思います。ほかの2剤に関しては、ロナプリーブとソトロビマブは、omicron以外では効いたという実績があるのです。これは本当に効果があるから使うということで使われてきたのが駄目になったのだけれども、ほかのものが全く駄目だったら、ひょっとして使えるかもしれないけれども、これは効く保証は全然ありませんよということで、今、承認取消しにはなっていないというだけの話で、結構危ない薬という感じで、普通は現場ではもう使いませんよね、多分。それで、使われないものを新たに承認しようという発想が、ちょっとよく分かりません。こういう判断して申し訳ないのですけれども、私はそういう意見なので、使えないものをまた新たに承認してどうするのというのがございます。
○清田部会長 効果は予測できないけれども、取りあえず武器として持っていようというような感じだろうと思いますが。
○島田(眞)委員 いやいや、それは本当に効果が予測できるようになったときに承認すればいいと思いますよ。BA.5に本当に効くということが分かったとか、そういうことであれば。臨床試験は難しいからといって、そういう逃げを打っている。だから、もっと早く出して、効くと分かったときにすればいいのです。どうなのかなと私は思いますけれども。以上です。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。よろしいでしょうか。そうしましたら、反対意見もございますようですが、議決をさせていただきまして、前に進みたいと思います。亀田委員、川上委員、南委員、横幕委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。島田先生は。
○島田(眞)委員 私は反対です。
○清田部会長 分かりました。ありがとうございます。それでは、島田先生以外の先生方は賛成のようですので、本議題につきまして承認を可とするようにいたします。どうぞよろしくお願いいたします。薬事分科会には報告とさせていただきます。
 続きまして、議題7に移ります。川上委員におかれましては利益相反のお申出に基づきまして、議題7、議題9、議題6の審議の間、会議から退室していただくことといたします。川上委員は御退室をお願いいたします。
川上委員退室
○清田部会長 それでは、審議事項議題7及び報告事項議題3について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から、審議事項の議題7と報告事項の議題3について御説明いたします。資料番号はNo.17及びNo.15です。まず、審議事項の議題7、医薬品ベバシズマブBS点滴静注100mg「CTNK」及び同点滴静注400mg「CTNK」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び毒薬又は劇薬の指定の要否について説明いたします。資料No.7の別紙(3)毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ、別紙(4)生物由来製品又は特定生物由来製品の指定資料のまとめを適宜御覧ください。
 本剤は、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体であるベバシズマブ(遺伝子組換え)ベバシズマブ後続4を有効成分とする製剤であり、アバスチンを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、日本化薬株式会社より製造販売承認申請がなされました。先行バイオ医薬品のアバスチンは、原体・製剤ともに劇薬に指定されていることから、アバスチンと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに劇薬とすることが適当と考えております。また、本剤は、チャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。審議事項議題7、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
 同一品目に係る報告事項議題3についても、併せて御説明いたします。機構における審査の結果、本剤とアバスチンの同等性/同質性が確認されたことから、本剤をアバスチンのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。御質問がないようですので、議決に入りたいと思います。大隈委員、亀田委員、中野委員、南委員、山口委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、生物由来製品に指定し、原体及び製剤をいずれも劇薬に指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、生物由来製品に指定し、原体及び製剤をいずれも劇薬に指定することを可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。また、報告事項議題3についても御確認いただいたものといたします。
 続いて、議題9に移ります。南委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、会議から御退室いただき、待機していただくことといたします。また、山口委員におかれましては、議題9及び議題8については利益相反のお申出に基づき、議題6については薬事分科会審議参加規程第5条に基づいて、審議の間、会議から御退室いただき、御待機いただくことといたします。南委員、山口委員には御退室をお願いいたします。
南委員、山口委員退室
○清田部会長 それでは、議題9について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題9、資料No.9、トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書の最初のページの中段を御覧ください。申請者は第一三共株式会社、予定される効能・効果は、HER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌です。以下、非小細胞肺癌をNSCLCと略させていただきます。
 まず、対象者数について、本邦におけるHER2遺伝子変異陽性のNSCLCの患者数は約8,400人と推測されることから、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、医療上の必要性についてです。現時点では、HER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者に対しては、HER2遺伝子変異陰性の患者と同一の化学療法等が行われていますが、HER2遺伝子変異は当該変異を有するNSCLC細胞における生存・増殖に大きく寄与すると考えられており、HER2を標的としている本剤は、当該患者に対して高い有効性が期待されます。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性についてです。白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法における治療歴のあるHER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象とした国際共同第II相試験が実施され、主要評価項目とされた奏効率について、標準的治療における奏効率を大きく上回りました。また、化学療法歴のない患者を対象とした国際共同第III相試験も実施中であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。ございますか。ないようですので、議決に入りたいと思います。大隈委員、亀田委員、中野委員、横幕委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されています松下委員、南委員をお呼びください。
松下委員、南委員入室
○清田部会長 続いて、議題6に移ります。議題6について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料No.6、医薬品エザルミア錠50mg他の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの60分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 ヒストン等のタンパクのメチル化を触媒するEZH1とEZH2は、クロマチン構造を凝集させ、遺伝子の転写を抑制すること等により、T細胞の分化、増殖等に関与すると考えられています。本剤の有効成分であるバレメトスタットトシル酸塩は、このEZH1/2に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、EZH1/2のメチル化活性を阻害することで、アポトーシス誘導を引き起こすこと等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
 今般、本剤は、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫を効能・効果として承認申請されました。令和4年5月時点において、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫に係る効能・効果で本剤が承認されている国又は地域はありません。なお、本剤は希少疾病用医薬品に指定されています。
 本品目の専門協議には8名の専門委員に御参加いただきました。詳細は資料No.26を御覧ください。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第II相試験であるJ201試験が提出されました。有効性については、審査報告書34ページの表21を御覧ください。再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫、ATLLの患者を対象としたJ201試験において、主要評価項目とされた奏効率は48.0%であり、事前に設定された有効性の判断基準を満たしました。以上の結果等から、再発又は難治性のATLL患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書36ページの7.R.3の安全性についての項を御覧ください。本剤投与時において特に注意を要する有害事象は、骨髄抑制、感染症及び二次性悪性腫瘍であり、これらの有害事象については、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は、いずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しています。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等を承りたいと思います。御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。大隈委員、亀田委員、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されている川上委員をお呼びください。
川上委員入室
○清田部会長 続いて、議題8に移ります。議題8について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題8、資料No.8、Luspaterceptを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。報告書の最初のページの中段を御覧ください。申請者はブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社、予定される効能・効果は、骨髄異形成症候群に伴う貧血です。以下、骨髄異形成症候群はMDSと略させていただきます。
 まず、対象者数について、本邦におけるMDSの総患者数は、約2万2,000人と報告されていることから、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、医療上の必要性についてです。MDSに伴う貧血に対しては、支持療法として赤血球輸血が実施されるものの、赤血球輸血依存は患者の生命予後に悪影響を及ぼすこと等から、必要最低限とすべきとされております。しかしながら、輸血以外の治療については効果が限定的であり、MDSに伴う貧血に対する新たな治療薬の開発が望まれております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性についてです。環状鉄芽球を伴い、赤血球輸血依存かつ赤血球造血刺激因子製剤に対して不応、不耐又は不適格の低リスクMDS患者を対象とした海外第III相試験が実施され、主要評価項目についてプラセボ群と比較して、本剤群で統計学的に有意な差が認められました。また、日本人患者を含む国際共同第III相試験及び国内第II相試験も実施中であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがって、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されています山口委員をお呼びください。
山口委員入室
○清田部会長 続いて、議題10に移ります。議題10について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題10について御説明いたします。資料No.10を御覧ください。医薬品オテズラ錠の再審査期間の延長についてです。品目の概要の資料を御覧ください。アムジェン株式会社から申請されたオテズラ錠について、小児の治験が開始されているということで、再審査期間の延長を行う希望がなされております。当初の再審査期間は8年間付与されていますが、これを2年間延長して10年間とする希望がなされております。根拠として、この下に記載しておりますが、中等症から重症の小児尋常性乾癬患者を対象とした国内第III相試験の治験計画届が、令和4年3月28日に提出されたということでして、その組入期間等も踏まえて、初回承認から10年間とすることが適当と考えております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等はございますか。よろしいでしょうか。ないようですね。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、延長を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、延長を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。事務局から1点補足がございます。
○事務局 事務局です。申し訳ございません。議題11に関係して説明が不足していた部分がございますので、この場で補足をさせていただけませんか。
○清田部会長 どうぞ。
○事務局 では、説明させていただきます。
 説明に1点抜けがありましたので補足させていただきます。議題11についてですので、議題11-1の資料を御覧いただければと思います。石井先生より事前に頂いていた御質問で、「髄膜炎菌ワクチン及び肺炎球菌ワクチンに係る生物学的製剤基準の改正で、製剤化工程の工程管理により小分け製品の品質の恒常性を確保できる場合は、原液の無菌試験に代えて、微生物限度試験を準用して試験することもできるという改正案を示していただいていますが、現在、無菌試験で原液の無菌性を担保している既承認の2製剤について、無菌管理のレベルが緩くなることはないのか」という御質問を頂いておりました。
 これに対する回答としまして、既収載の2品目については、無菌試験で管理することを承認書で規定しており、仮に生物学的製剤基準の改正を踏まえて微生物限度試験に変更する場合には、製剤化工程の工程管理により小分け製品の品質の恒常性を確保できることを示して一部変更申請を行う必要があり、新規収載品目と同レベルの製造品質管理体制が取られていることを確認する必要があると認識しています。先ほど御説明が漏れていて大変恐縮でしたが、以上、御質問と回答の御紹介とさせていただければと思います。
○清田部会長 石井先生、よろしいでしょうか。
○石井委員 ありがとうございました。
○清田部会長 これでよろしいですか。答えになっていますか。
○石井委員 はい。ありがとうございました。
○清田部会長 それでは、石井先生に御確認いただきましたので、これも確認済みということでよろしいですね。
 それでは、続いて報告事項に移ります。報告事項議題1~10及びその他事項議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 まず、報告事項議題1、それから併用して用いる議題5と議題6について御説明いたします。資料No.13、17、18が該当いたします。
 まず、議題1に関して、資料No.13のキイトルーダですが、こちらはPD-1に対するヒト化モノクローナル抗体であるペムブロリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在はPD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌等に係る効能・効果で承認されております。
 それから、議題5、資料No.17のカルボプラチンですが、こちらは白金系抗悪性腫瘍剤であり、乳癌等に係る効能・効果で承認されております。
 議題6、資料No.18のパクリタキセルですが、こちらはタキサン系抗悪性腫瘍剤であり、現在は進行又は再発の子宮頸癌等に係る効能・効果で承認されております。
 今般、キイトルーダについては、MSD株式会社から進行又は再発の子宮頸癌の効能効果の追加並びにホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術前・術後薬物療法の効能・効果、用法・用量を追加する一部変更の申請がなされました。また、カルボプラチンについては、マイラン製薬株式会社から乳癌に対するキイトルーダとパクリタキセルとの併用療法に係る用法・用量を追加する一部変更の申請がなされました。また、パクリタキセルについては、日本化薬株式会社から子宮頸癌に対する本剤の175mg/mの3時間投与に係る用法・用量を追加する一部変更の申請がなされました。機構における審査の結果、以上の品目を承認して差し支えないと判断しております。
 これに関連して、その他事項の最適使用推進ガイドラインの変更がございますので、その他事項の資料No.23-2を御覧いただけますか。まず、子宮頸癌について、この度の一部変更に伴って1ページから17ページにかけて最適使用推進ガイドラインを作成しております。乳癌については18ページ以降に記載しており、主な記載箇所はグレーのハイライトの部分となっております。記載の形式等はこれまでと同様に、審査において確認された内容を追記しております。また、37ページ以降について、今般、悪性黒色腫に対する術後補助療法に係る新たな臨床試験成績が得られており、この内容についても記載しているところです。
 続いて、報告事項議題2、アービタックスについて御説明いたします。資料No.14を御覧ください。本剤は、上皮増殖因子受容体(EGFR)に対するモノクローナル抗体であり、現在はRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌及び頭頸部癌を効能・効果として、本剤を1週間間隔で点滴静注する用法・用量が承認されております。今般、メルクバイオファーマ株式会社から2週間間隔投与に対する用法・用量を追加する一部変更申請がなされ、機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 議題4、医薬品メトジェクト皮下注について御説明いたします。資料No.16を御覧ください。本剤はメトトレキサートを有効成分とする皮下注製剤です。メトトレキサートを有効成分とする経口製剤が関節リウマチに対して承認されておりますが、皮下投与による治療選択肢を提供することを目的に開発が進められ、今般、日本メダック株式会社より関節リウマチ患者を対象とした国内第III相試験成績等から、本剤の関節リウマチに対する有効性・安全性が確認されたとして、製造販売承認申請がなされました。機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて、報告事項議題7、医薬品コミナティ筋注の一部変更承認について御説明いたします。資料No.19を御覧ください。こちらについては、報告事項ではございますが、特例承認に係る品目ですので、少し内容の御説明をさせていただければと思います。資料No.19の審査報告書をお開きいただけますか。審査報告書の4/21ページに背景を記載しております。4ページの1ポツの2段落目ですが、成人等を対象とした臨床試験や各国の報告から、初回免疫によるワクチンの予防効果は時間経過に伴い減弱することが指摘されており、また、ワクチンの予防効果を減弱させる変異株も出現したことから、初回免疫完了者に対する追加免疫の必要性がこれまで議論されておりました。本邦で追加免疫として使用可能なSARS-CoV-2ワクチンは、12歳以上に対してはコミナティ、18歳以上に対してはスパイクバックスとヌバキソビッド筋注がございますが、5~11歳の小児に対する追加免疫として使用可能なワクチンはないという状況です。
 今般、申請者から海外第Ⅰ/II/III相試験に基づいて、5~11歳の小児における追加免疫に係る用法・用量を追加する一部変更の申請が行われたものです。
 臨床試験成績について、5/21ページの7.1項を御覧ください。海外第Ⅰ/II/III相試験のII/III相パートとして、本試験は、初回免疫として本剤2回接種を受けた5~11歳の健康小児を対象として、本剤3回目接種をしたときの安全性、免疫原性が非盲検非対照で検討されております。用法・用量は、本剤10μgを1回、筋肉内接種することとされております。試験の結果を6/21ページの表2に記載しておりますが、SARS-CoV-2参照株に対する血清中和抗体価は、感染歴なしの場合、また感染歴を問わない場合のいずれにおいても、2回目接種後よりも3回目接種後の方が抗体価が高いという結果となっております。
 安全性について、11/21ページを御覧いただけますか。表6に、各回接種後7日間における反応原性事象をまとめております。この結果においては、多くの被験者で反応原性事象、局所反応及び全身反応が認められたものの、ほとんどが軽度又は中等度であり回復性が認められていること、反応原性事象以外の有害事象の発現割合は低く、ほとんどは軽度又は中等度であること等を確認しております。こういった結果に基づいて、5~11歳の小児に対する本剤3回目接種後の安全性に重大な懸念は認められていないと判断されております。以上、機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断しております。
 続いて、議題8、医療用医薬品の承認条件について御報告いたします。資料No.20の2/28ページを御覧ください。タルグレチンカプセル75mgは、平成28年1月22日に皮膚T細胞性リンパ腫の効能・効果で承認され、その際、全例調査に係る承認条件が付されております。この度、株式会社ミノファーゲン製薬から、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 議題9、優先審査について御報告いたします。資料No.21を御覧ください。今回、優先審査の対象となった品目は、販売名がエンハーツ点滴静注用100mg、一般名がトラスツズマブ デルクステカン、申請者は第一三共株式会社です。申請された効能・効果は、化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌です。優先審査の該当性については、7/9ページを御覧ください。まず、適応疾患の重篤性については、本適応疾患は「生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)」に該当すると判断されております。また、医療上の有用性については、今般、化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌を対象とした国際共同第III相試験が行われ、既存の治療法に対する本剤の全生存期間等の有意な延長が認められていること等から、医療上の有用性はあるものと判断されております。以上を踏まえて、優先審査品目に該当すると判断いたしました。
 続いて、再審査結果について御報告いたします。資料No.22-1~資料No.22-3までを御覧ください。今回、御報告する再審査の対象となったのは、資料No.22-1がキュビシン静注用、資料No.22-2がソマチュリン皮下注、資料No.22-3がユニタルク胸膜腔内注入用懸濁剤です。これらの品目について、製造販売後調査等に基づいて再審査申請が行われ、機構における審査の結果、承認拒否事由のいずれにも該当しない、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断されております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問などはございますか。よろしいでしょうか。それでは、報告事項議題1~10及びその他事項議題1については、御確認いただいたものといたします。
 続いて、その他事項2に移ります。その他事項2について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項2について、事務局より御説明いたします。資料番号24を御覧ください。本日の部会でも御確認いただいた最適使用推進ガイドラインですが、「2.改定の背景と方針」の項にもございますとおり、2017年から作成を開始し、これまで40本を超えるガイドラインを作成してきました。本ガイドラインは、新規の効能追加のみならず、添付文書の改訂の際にもこのガイドラインの改訂をしてきました。今般、再審査期間を終え、有効性及び安全性に関する情報が蓄積され、再審査の評価が終了した品目の効能・効果については、一部変更承認等のガイドラインの改訂のタイミングにおいて、簡略版に切り替える方針とできないかということを考えております。方針の項の表を御覧いただければと思います。基本的には、臨床成績等の添付文書の記載と重複する部分について削除することを基本としており、あくまでも最適使用推進ガイドラインの位置付けは、これまでと変わらないことを想定しております。
 2ページを御覧いただければと思いますが、簡略版ガイドラインとなった場合にも、本部会においての取扱いも、従前どおり、対象品目の承認時に併せて本ガイドラインを御説明する予定です。
 本件については、先日開催された医薬品第一部会でも報告し、御了承いただいたところです。今後、中医協でも御説明する予定ですが、本部会も含めて御了承いただけましたら、既存の通知に簡略版のガイドラインに関する内容を盛り込んだ改正通知を発出することを検討しております。参考までに、主な変更箇所に下線を付した通知の改正案について、3ページ以降に付けておりますので御確認いただければと思います。説明は以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問はございますか。よろしいですか。それでは、その他事項の議題2については御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はございますか。
○事務局 次回の部会は、10月31日(月)午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。お疲れさまでした。ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)