2022年7月29日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和4年7月29日(金)16:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
   他参考人4名

欠席委員(3名)五十音順
行政機関出席者
  •  八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他

議事

○医薬品審査管理課長 ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催させていただきます。本日はお忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。この度の医薬品部会につきましても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 まず、本日のWeb会議における委員の出席状況です。亀田委員、小崎委員、登美委員より、御欠席との御連絡を頂いています。このほか宮川委員、渡辺委員が後ほど参加いただけるものと認識しております。したがいまして、現在のところ、当部会委員数21名のうち、16名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続きまして、事務局に人事異動がありましたので、御報告いたします。機構審査センター長の鈴木洋史ですが、この度、執行役員、再生医療製品・ワクチン等審査等部門担当を併任となっております。また、同じく機構審査マネジメント部長の清原宏眞です。同じく機構新薬審査第四部長の小池恒です。機構新薬審査第五部長の柳沼宏です。よろしくお願いいたします。
 なお、本日ですが、審議事項議題5に関して、参考人の先生方をお呼びしております。まず、国立感染症研究所ウイルス第一部部長の海老原秀喜先生です。同じく国立感染症研究所感染病理部部長の鈴木忠樹先生です。同じく国立感染症研究所品質保証・管理部主任研究官の木所稔先生です。自衛隊横須賀病院医療安全評価官一等海佐の田中徹平先生です。以上、4名の先生を参考人としてお呼びしております。
 続きまして、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますけれども、引き続き、御理解、御協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
 それでは清田部会長、以後の進行をよろしくお願いします。
○清田部会長 本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告をお願いいたします。
○事務局 本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日は予めお送りさせていただいていた資料のうち、資料No.1~資料No.14-4と製剤写真を用いますので、お手元に御用意ください。このほか、資料15「審議品目の薬事分科会における取扱い等(案)」、資料No.16「専門委員リスト」、資料No.17「競合品目・競合企業リスト」を、事前に電子メールにてお送りさせていただいております。なお、システムの動作不良などがごさいましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて、御報告させていただきます。資料No.17の1ページを御覧ください。まず、「ナノゾラ皮下注」です。本品目は既存治療で効果不十分な関節リウマチを予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページを御覧ください。「スペビゴ点滴静注」です。本品目は膿疱性乾癬における急性症状の改善を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページを御覧ください。「フィラジル皮下注」です。本品目は遺伝性血管性浮腫の急性発作を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページを御覧ください。「リムパーザ錠」です。本品目はブラカ遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページを御覧ください。「乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16」です。本品目はサル痘の予防を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
○清田部会長 今の事務局からの御説明について、特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解を頂いたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく、各委員からの申出状況、第5条に基づく取扱いについては、次のとおりです。
 議題1「ナノゾラ」、退室委員:なし、議決に参加しない委員:川上委員。
 議題2「スペビゴ」、退室委員:なし、議決に参加しない委員:南委員、山本委員。
 議題3「フィラジル」、退室委員:なし、議決に参加しない委員:川上委員、松下委員、南委員。
 議題4「リムパーザ」、退室委員:山本委員、議決に参加しない委員:南委員、横幕委員。
 議題5「乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16」、退室委員:なし、議決に参加しない委員:なし。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は審議事項が5議題、報告事項が6議題、その他事項が2議題となっております。審議事項の議題に移ります。なお、議事進行の都合上、議題5から入ります。
 議題5、医薬品乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16「KMB」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定についてです。議題5について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16「KMB」の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.5のフォルダを開き、★の01審査報告書、乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16「KMB」のファイルをお開きください。本説明中にお示しするページ数は、各ページの下段に青色で記載されたページ番号を使用いたします。
 本剤は、生ワクチニアウイルスLC16m8株を、初代ウサギ腎臓細胞で増殖させたウイルス液を希釈し、安定剤を加えて分注した後、凍結乾燥した用時調製の注射剤です。本剤は1980年8月7日に、痘そうの予防を効能・効果として製造販売承認されました。海外での承認はありません。本申請はサル痘の予防の効能を追加するために、2022年7月6日に、承認事項一部変更承認申請が行われました。本申請については、厚生労働省より機構宛てに、2022年7月13日付けで、本剤のサル痘に係る効能又は効果の追加に関する審査上の取扱い及び迅速処理に関する通知が発出されており、1999年2月1日付け研第4号・医薬審第104号の「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」に基づく承認申請、いわゆる公知申請と同様に取り扱うとともに、迅速な処理が求められています。
 審査内容の説明に先立ち、サル痘及び痘そうワクチンについて、背景を御説明いたします。サル痘は、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属に分類されるサル痘ウイルス、審査報告書では「MPXV」と記載しております。それによる感染症で、主にアフリカ中央部から西部にかけて発生が報告されています。サル痘ウイルスは、自然界ではげっ歯類、サル等が宿主と考えられており、サル痘は、これらの動物との接触によりヒトへ伝播する人畜共通感染症です。
 サル痘ウイルスはヒトからヒトへの感染も報告されており、主な感染経路は皮膚病変、体液、汚染された衣類等を介した接触感染、又は飛沫感染とされています。
 サル痘の臨床像は、通常6日~13日の潜伏期間の後、発熱、頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛等の症状が現れ、その後に発疹が発現します。発疹は、顔、手掌及び足底、口腔粘膜、生殖器等に認められ、初期は平坦ですが徐々に隆起して、水疱、膿疱、痂皮化します。多くは2週間~4週間で自然軽快しますが、小児やウイルスの曝露量が多い場合に重症化することがあり、サル痘の致命率は報告により異なり、0~11%とされています。
 2022年5月以降、サル痘流行国への渡航歴のないサル痘患者が欧米等で相次いで報告され、WHOは2022年7月23日に、今般のサル痘の急速な感染拡大は、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に該当すると発表し、各国で緊急的に疫学調査や対策の検討が進められています。
 WHOによると、7月22日時点のサル痘患者数は、75か国で1万6,016例、死亡者数は5例と報告されています。さらに7月25日には、国内でも海外からの帰国者において初めての患者が報告され、7月28日には2例目の患者が報告されています。
 現在、本邦ではサル痘に対する治療法は対症療法のみで、承認された治療薬はなく、WHOより、2022年6月14日に発出されたサル痘に係るワクチン及び予防接種の暫定ガイダンスにおいて、サル痘の予防法として、天然痘の予防に使用される痘そうワクチンの接種が挙げられています。また、公表文献等において、痘そうウイルス、サル痘ウイルス、痘そうワクチンの有効成分であるワクチニアウイルスに対しては、免疫応答がほぼ完全に交差するため、痘そうワクチンの接種によりサル痘ウイルスに対しても、一定の免疫が得られるとされています。
 1980年代のザイール共和国での疫学データから、痘そうワクチンの接種により、約85%のサル痘の発症が予防されることが示唆されており、当該データは米国CDCのガイダンス等で引用されています。
 痘そうワクチンは、WHOにおいて、三つの世代に分類されています。第一世代は天然痘根絶プログラム中に使用され、天然痘根絶に寄与したLister株ワクチンやNYCBH株を用いたDryvaxがあり、第二世代は第一世代のワクチンから製造されたワクチン、第三世代は天然痘根絶プログラム後期に開発された弱毒ウイルス株のワクチンです。本剤は、この第三世代のワクチンに該当し、WHOの暫定ガイダンスにおいて、サル痘の予防のために使用を考慮すべき、痘そうワクチンの選択肢の一つに挙げられています。
 続いて、主な審査内容について御説明いたします。本申請は、1999年2月1日付け、研第4号・医薬審第104号の「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」に基づく承認申請、いわゆる公知申請と同様、非臨床試験及び臨床試験ともに評価資料は提出されておらず、公表文献が資料として提出されました。
 本剤の有効性について説明いたします。本剤の有効性は、カニクイザルを用いた免疫原性試験及び発症防御試験の公表文献、並びにヒトでのサル痘ウイルスに対する免疫原性を検討した、臨床試験の公表文献を基に評価を行いました。なお、本剤と同じ第三世代の痘そうワクチンであるBarvarian Nordic社製の痘そうワクチンは、サル痘に対する有効性に関する臨床試験成績はなく、主に霊長類モデルにおける発症防御試験成績、及びヒトでのワクチニアウイルスに対する中和抗体価の試験成績に基づき、2019年に米国、2020年にカナダ、本年7月にEUにより、サル痘の予防の効能追加が承認されています。
 次に、非臨床試験についてです。審査報告書の5ページの3.1.1.1の項を御覧ください。カニクイザルに本剤、第一世代の痘そうワクチンであるDryvax、又は陰性対照を単回経皮接種し、接種60日後にサル痘ウイルスを静脈内接種し、サル痘の予防効果及び免疫原性が検討されました。ワクチン接種後、本剤群において、Dryvax群と同等のサル痘ウイルスに対する中和抗体及び細胞性免疫の誘導が確認されました。サル痘ウイルスの静脈内投与後、陰性対照群では、全身に多数の皮膚病変が認められ、投与後12日までに全ての動物が死亡又は安楽殺されました。
 一方、本剤群では、Dryvax群と比較して皮膚病変が多く認められたものの、本剤群及びDryvax群で、死亡例は認められませんでした。また、本剤群及びDryvax群の血中ウイルスゲノム量は、陰性対照群に比べ著しく低く、サル痘ウイルス投与9日後以降は、検出限界以下でした。そのほか、3.1.1.2及び3.1.1.3の項に記載した二つの非臨床薬理試験においても、カニクイザルを用いた免疫原性試験及び感染防御試験により、サル痘ウイルスに対する本剤の免疫原性及びサル痘関連病変の発症予防効果が認められました。
 次に、臨床試験についてです。7ページの7.1.1の項を御覧ください。米国において、痘そうワクチンの接種歴のない18~34歳の健康成人を対象に、ワクチン接種30日後のサル痘ウイルスを含む、各オルソポックスウイルス属のウイルスに対する中和抗体価をDryvaxと比較するランダム化二重盲検比較試験が実施され、ワクチン接種後30日目のサル痘ウイルスに対する中和抗体の誘導が確認されました。
 以上より、カニクイザルを用いた免疫原性試験及び感染防御試験において、第一世代の痘そうワクチンと比較して低い傾向ではありますが、本剤のサル痘ウイルスに対する免疫原性、ウイルス感染後のウイルス血症の抑制効果及びサル痘関連病変の発症予防効果が認められており、また、臨床試験において、本剤接種によりサル痘ウイルスに対する中和抗体の誘導が認められていることから、本剤の接種によりサル痘ウイルスに対する交差免疫が誘導され、サル痘の発症予防効果を期待することは合理性があると考えました。
 続いて、本剤の安全性について説明いたします。8ページの7.3.1の項を御覧ください。本邦において、18~55歳の健康な自衛隊員3,221例を対象に、本剤の安全性を評価する臨床研究が行われました。本剤接種後、10日~14日間の観察期間に、重篤な有害事象は報告されませんでした。接種後30日間に、ワクチン接種との因果関係が否定されない2例の重症な有害事象が報告され、1例はアレルギー性皮膚炎、もう1例は多形紅斑でした。
 第一世代のワクチンで問題となっていた心筋炎・心膜炎等について評価するため、血清トロポニンTの測定が行われましたが、測定が行われた全参加者で、ワクチン接種前後の血清トロポニンT値は検出限界未満でした。
 また、本邦において、1973年~1974年にかけて実施された、小児約5万例に本剤を接種した研究班による調査では、問題となる副反応は認められず、接種後14日間以上の観察が可能であった8,544例中、接種4日~14日後に37.5℃以上の発熱を認めた者は7.8%であり、脳波検査を行った調査では、大きな懸念は認められませんでした。
 以上より、サル痘の予防の効能追加に伴う本剤の安全性プロファイルに変更はなく、小児を含めた安全性は許容可能と判断いたしました。しかしながら、本剤は製造販売後の接種実績に限りがあり、二叉針を用いたワクチン接種は本剤以外に行われていないこと、本剤接種後の自己伝播(自家接種)等について、積極的な安全性監視が必要と考えられることから、製造販売後調査により情報収集することが必要であると判断いたしました。
 総合評価について御説明いたします。12ページの9項を御覧ください。提出された公表文献におけるサル痘への有効性に関するエビデンス、WHOの暫定ガイダンスにおいて臨床的有用性が支持されていること等から、本品目のサル痘の予防に対する有効性は期待でき、また、サル痘の予防の効能追加に伴う本剤の安全性プロファイルに変更はなく、公表文献の安全性情報から、本剤の安全性に特段の懸念はないと判断いたしました。
 以上、臨床試験において有効性が評価された痘そうワクチンが世界的に存在しない中、今般のサル痘の世界的な感染拡大において、各国がワクチンの使用等、具体的な保健衛生上の対策を取るべき旨の声明がWHOから出されていることに鑑み、本剤接種によるベネフィットを踏まえますと、機構は本剤の効能にサル痘の予防を追加することについて、承認して差し支えないと判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しています。
 次に、川上委員から事前に頂いている御質問について、機構から御回答いたします。「添付文書に、本剤のサル痘への有効性についての追記が必要ではないか。また、添付文書以外に、医療現場への情報提供を予定しているか」との御質問を頂いております。
 本剤のサル痘への有効性については、主に非臨床試験の発症防御試験の成績に基づいていることから、当該成績を添付文書の「薬効薬理」の項で情報提供したいと考えます。また、医療現場への情報提供についてですが、医療従事者向け情報提供資材において、サル痘への有効性に関する情報を追記するよう、申請者に依頼したいと思います。議題5の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 続けて、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 補足で御説明申し上げます。この度の審議事項に関して、再審査期間の指定についてということを挙げておりますが、今回、この品目については、再審査期間の設定は要しないのではないかと考えております。痘そうウイルスとサル痘ウイルスというのが、非常に似通っておりまして、同じくそれらと類縁のワクチニアウイルスを有効成分とする本剤は、いわゆる痘そう及びサル痘に対する交差免疫を誘導するというところで有効性を示すことから、痘そうとサル痘の効能というのは類似しているものだというように考えています。そのため、今回のサル痘の効能追加に関しては、既存の薬機法第14条の承認を与えられている医薬品と明らかに効能が異なるとまでは言えず、いわゆる新医薬品に該当するほどのものではないという扱いが妥当ではないかと考えまして、再審査期間の設定は行わなくてもよいのではないかと考えていますので、こちらに関しましても併せて御確認をお願いいたします。
 また、先ほど機構からの説明にもありましたが、本剤に関するサル痘予防の効能追加した後の一般使用成績調査についてです。本剤をサル痘予防の目的で今後使うといった場合、当面、国家備蓄しているワクチンを必要な医療機関に配布して使うことが想定されます。その場合に、どのような枠組みで接種するのか、どの医療機関で接種を行うのか、そういった接種体制については、別途、健康局の感染症部会等で議論されて決まることになると思います。したがいまして、KMB社として一般使用成績調査を行うに当たっても、そういった接種体制を踏まえて、国と協力して実施していただくことになると考えていますので、御承知おきをお願いいたします。
○清田部会長 それでは、参考人の先生方から、本議題について御発言をお願いします。まず、海老原先生からお願いいたします。
○海老原参考人 先ほど御説明があったように、非臨床試験の最も厳しい条件で行われた、いわゆる交差防御の試験において、サル痘に対する防御効果が認められているという、私の方としては、純粋にウイルス学的な方からの発言にはなりますが、そういう部分と、いわゆるこのような状況で、交差免疫による感染拡大抑止効果というところから、非常に厳しいようなチャレンジをしたところで、はっきりとした効能が見られるということで、私としては、そのような古典的なサル痘に関して非常に有用なデータが得られているというように考えております。私からは、今のところは以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、鈴木先生から御発言をお願いいたします。
○鈴木参考人 先ほど海老原先生からあったのと同様ですけれども、一般的に痘そうワクチンがオルソポックスウイルス属の感染症に対して有効であるということは、古くから広く知られていることですので、そこに関しての異議はないというように考えております。その観点におきまして、このLC16の有効性は大変期待できるところではあると考えております。
 安全性プロファイルについては製造販売後調査で十分に情報が得られていることが期待できますけれども、一方で、サル痘の感染は世界でもまだ1万6,000人程度ということで、日本においても非常に症例数が限られておりますので、実際のリアルワールドでの有効性については、調査は簡単ではないと考えています。国際的な枠組みの中で調査が実施されて、実際にどの程度の有効性であるのかということについて、情報が共有されていくべきというように考えています。
 もう一点ですが、本剤の添付文書を見ますと、接種不適当者の中に免疫不全の方が入っております。よって、今回、接種を希望される方の中にHIV感染者等が入ってきた場合に、そのような方に接種が難しいということが現実にあるかもしれません。そのような方に対する安全性プロファイルについても製造販売後の調査で明らかになっていくことが望ましいのではないかと考えております。
○清田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、木所先生から御発言をお願いいたします。
○木所参考人 私は、特に痘そうワクチンの安全性に関する点で参加させていただいたと認識しております。私は、このLC16m8株が開発された千葉県血清研究所に以前に所属しておりまして、当時からこのウイルスを扱っておりました。その中で、復帰変異が起こるという現象を発見しまして、それがワクチンの中に多少入ってくるということで、それが副反応に影響を及ぼすのではないかということを懸念しておりました。
 そこで、感染研に移ってからは、復帰変異株の性状解析であるとか、試験法の確立にかかわりました。その結果、現在では、復帰変異株はコントロールされた状態で製造が行われており、自衛隊の臨床試験でも示されておりますように、開発当時のワクチンと同程度の安全性が担保されていると認識しております。
○清田部会長 ありがとうございました。
 最後に田中先生から御発言をお願いいたします。
○田中参考人 私は、今回の参加に当たり、実際に接種したことがある医師という立場での発言ということだろうと認識しているところです。私の背景としては、精神科ですので、ワクチンの研究をしてきたとか、感染症のスペシャリストという立場ではありません。一般の精神科の臨床医という立場で、ちょうど2年前に7名ぐらいの隊員に対して、接種する機会を得ました。
 その中で、善感したのが5名で、2人は残念ながら付かなかったというところです。
 初めて接種しましたので、5回ワクチンを二叉針を使って押し付けたというところです。手技が悪かったのか、個体要因があったのかというのは分からないところではございますが、大きな副反応はなく接種を終えているというところです。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の先生方からの御質問を承りたいと思います。中野先生、どうぞ。
○中野委員 一つ質問と言うか、コメントをさせていただきます。先ほど来出ていますように、オルソポックスウイルス属、天然痘ウイルス、サル痘ウイルス、ワクシニアウイルス、牛痘ウイルスもだと思いますが、臨床的には交差免疫性のあるウイルスとずっと言われております。天然痘ワクチン、ワクシニアウイルスで、これらの疾患を予防できるという、本当にクラシカルな古いデータですが、アフリカ、西アフリカ、あるいは旧ザイールでサル痘の流行があったときに、天然痘の種痘の跡があるかないかで、重症化がどれぐらいだとか、そういうデータもございます。それに加えて、今回お示しいただいた中和抗体のデータなどもあって、有効性に関しては、それが裏付けているかなと私は思っています。
 また、安全性に関しましては、1970年代の小児のデータに始まり、自衛隊の方々に接種したという記録があったかと思いますので、そこには安全性のデータも出ており、「許容範囲だ」という御意見に異論はなくて、私はこの薬剤について、サル痘を効能・効果に追加することに異論はございません。
 1点、それに関してお伺いしたいことがございまして、例えば医療従事者とか、あるいは医療従事者以外の方でも、曝露後免疫です。この病気は先ほど来出ているように、潜伏期間が10日前後ございますので、たまたま患者に曝露されたといったケースがあった場合、他のワクチンで申しますと、水疱瘡とか麻疹とかは、潜伏期間が長いウイルス血症を示す病気で、曝露後免疫としてワクチンが使われることがございます。また、先立っての予防接種・ワクチン分科会では、枠組みは特定臨床研究だったかもしれませんが、恐らく医療従事者の曝露も想定してではないかと思うのですが、曝露後免疫のことにも一言触れていました。今回、審査報告書とか添付文書を拝見すると、曝露後免疫に関しては、私が拝見した限りでは記載がないわけなのですが、そういった使い方の想定というのはされているのかどうかについて、お話を聞かせていただければ有り難く存じます。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 ワクチン等審査部です。先生のおっしゃるような、曝露後免疫に関する試験成績というのは、公表論文の中に含まれていなかったので、審査の中ではそういったことに触れることが難しかったというのが実情ではございます。ただ、そういった使われ方を想定していないのかと言われれば、WHOの暫定ガイダンス等でも記載がございますので、そういった考え方も実際の接種としてはあり得るのではないかと考えております。
○中野委員 再興感染症ということで、いろいろな意味で混乱が起きては困ると思いまして、何らかの対処策があるということのほうが望ましいと思いましたので、発言させていただきました。どうもありがとうございました。
○清田部会長 事務局から追加がございます。
○事務局 現在、臨床研究で結核感染症課の方で実施しているNCGMでは、いわゆる曝露後接種の検討も行われている状態ですし、今後の承認後の接種の体制の中でも、一定程度そういった形で使われるということが想定されているところかと思いますので、事務局の方で、省内でも調整しまして、必要な情報を添付文書等でお示しするといったところで対応させていただければなと思いますが、中野先生、いかがでしょうか。
○中野委員 ほかのワクチンの例で言うと、麻疹なども最初から効能・効果に曝露後免疫というのは記載されていなかったわけですけれども、感染研などもいろいろなコメントを発していただいて、その後、臨床の現場では使われているということもございますので、是非そのような、エビデンスに基づいた記載ができれば、やっていただけると、我々現場の者としては助かります。どうぞよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。
○宮川委員 今の中野先生の御提案なのですが、曝露後免疫ですが、今後、医療従事者等の問題が出てくるのであれば、どこでどのような議論をするのか、ここでこういうことを議論して、そして宿題ではないですけれども、今後そういう所に上げて、ある程度一定の時期がきたら、それに対して書き込みをするのだというような、何かこの会で決議というわけではないのですが、そういう議論をしたのだということが必要なのかどうか、今後の建付けのために、厚生労働省を含めてお聞きしたいと思います。
○医薬品審査管理課長 先ほど機構の方からありましたけれども、WHOが先般作成したガイダンスにおいては、正に曝露後予防についての使い方といったことについての情報も入っておりますので、そういったことも想定されるということであれば、それに関して添付文書の中に具体的に、薬事の方としても反映させるということで対応させていただくということでいかがかと思っております。
○宮川委員 そうすると、そういう意味では、いつ添付文書に反映するかということに関しては。
○医薬品審査管理課長 今回です。
○宮川委員 この議論として入れ込むという形で、そういうことをするということを、この中で議論して、書き込みをするということで了承していかないといけないのではないかと思ったので、御質問させていただきました。
 もう一つ、先ほどお話がありましたように、免疫機能に異常のある疾患というところが、接種不適当者にあるということで、先ほど参考人から提言がありましたが、これは何とかそこが明瞭に分かるような、何らかの工夫が必要ではないかと思いますので、それも議論していただければと思います。
 それから、これは小児に対してはどうなのかということで、年齢的なことを教えていただきたいと思います。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 接種不適当者については、こちらのワクチンについては生ワクチンとなっておりますので、その観点から接種不適当者に免疫不全の方を書いております。
 ただ、使用につきましては、当然有益性を考えた上での投与というのが考えられますので、不適当者という形にはなっておりますが、そのときの患者の状況に応じて、使用は考えられるのではないかと思っております。
 また、年齢に関してですが、こちらのワクチンは小児に対して5万例の接種経験がありまして、そちらで安全性が確認されており、また、善感反応が誘導されることも確認されております。また、抗体誘導についても見られておりますので、海外のワクチンについては18歳以上で使われているものになりますけれども、本剤については小児への接種実績もございますので、小児への使用も可能というように考えております。
○宮川委員 そういう意味で、添付文書上に、接種不適当者の中に含めるのか、接種注意とか、そういうほかの表現で、免疫異常のある疾患というような形で入れるのか、その辺の建付けはどうなのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 免疫不全でも、いろいろと状況に応じてリスクが異なると思いますので、その辺の情報については、医療従事者向けの資材において丁寧に説明させていただけたらと考えております。
○宮川委員 ありがとうございました。医師向けとか、医療者向けの資材の中にきちんと書き込みがあれば、全然問題はないと思います。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。海老原参考人、鈴木参考人、木所参考人、田中参考人、本当にありがとうございました。
 続きまして、議題1に移ります。医薬品ナノゾラ皮下注30mgシリンジにつきまして、機構より概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、ナノゾラ皮下注30mgシリンジの製造販売承認の可否等について、機構より御説明します。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に、「45分の」という形で記載している数字を使用します。
 本剤の有効成分であるオゾラリズマブ(遺伝子組換え)は、二つのヒト化抗ヒトTNFαラマ抗体の可変部とヒト化抗HSAラマ抗体の可変部をグリシン-セリンリンカーでつないだ三量体構造を有するTNFα阻害薬であり、今般、実施された臨床試験成績等を踏まえ、既存治療で効果不十分な関節リウマチに関する効能・効果で製造販売承認申請がなされました。なお、2022年7月現在、本剤が承認された国又は地域はありません。本申請の専門委員として、資料16に記載されております9名の委員を指名しました。主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明します。なお、審査報告書39ページの「10.その他」の項に、有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜、御参照ください。
 有効性について、MTX効果不十分な関節リウマチ患者を対象とした国内第II/III相試験である3000-JA試験の成績を中心に説明します。審査報告書23ページ表24を御覧ください。まず、関節リウマチの臨床症状に対する有効性について、3000-JA試験に設定された二つの主要評価項目の一つである投与16週時におけるACR20%改善率について、本剤30mg群及び80mg群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、群間差は、本剤30mg群と80mg群で同程度でした。また、非盲検下ではあるものの、MTXを含むcDMARDsで効果不十分又は不耐容な関節リウマチ患者を対象としたMTX非併用下の3001-JA試験においても、3000-JA試験と同様に、おおむね投与期間に伴い有効性が上昇する傾向が認められていることから、本剤の関節リウマチの臨床症状に対する有効性は、MTXの併用にかかわらず期待できると判断しました。
 一方、関節の構造的損傷の進展抑制効果について、3000-JA試験のもう一つの主要評価項目である投与24週時におけるmTSSのベースラインからの変化量について、本剤30mg及び80mg群とプラセボ群との対比較において、統計学的に有意な差は認められませんでした。審査報告書30ページ、表31の下の文章に記載しておりますとおり、このような結果となった主な原因としては、近年の関節リウマチ治療の向上等により、プラセボ群においても、関節破壊の進展度が低下した可能性が考えられます。また、投与24週時までに関節の構造的破壊が進行しなかった被験者の割合は、プラセボ群と比較して、本剤群が高い傾向が認められております。1ページ戻り、審査報告書29ページの表30を御覧ください。DAS28-CRPの寛解割合や将来的な構造的寛解及び機能的寛解をもたらす臨床評価指標として作成されたSDAI及びBooleanの寛解割合がプラセボ群に対して本剤群で高かったこと等も考慮し、投与24週時におけるmTSSのベースラインからの変化量に統計学的な有意差は認められなかったものの、本剤は、関節リウマチ患者における関節の構造的損傷の進展を一定程度抑制しうるものと判断しました。
 以上より、機構は、本剤の申請効能である既存治療で効果不十分な関節リウマチ、こちら、他剤では、括弧書きとして、関節の構造的損傷の防止を含むというものを記載しているのですが、こちらは含まない形での本剤の有効性が示されていると判断しております。
 安全性について、審査報告書31ページの表33に本剤の安全性の概略を、続いて、審査報告書34ページの表39に、本剤の臨床試験における有害事象の発現状況、本剤の薬理作用、既承認のTNF阻害薬で知られている安全性プロファイル等を踏まえ設定した注目すべき有害事象の発現状況を示しております。これらから、機構は、本剤の臨床試験における安全性プロファイルは、既承認のTNF阻害薬における安全性プロファイルと明らかな違いを示すものはないこと等から、既承認TNF阻害薬と同様に、本剤に関する十分な知識と関節リウマチに対する薬物療法の知識・経験を持つ医師の下で使用されること等の注意喚起及び安全対策を講じることで、本剤の安全性は許容可能と判断しました。また、本剤は長期投与が想定される薬剤であることから、使用実態下における長期にわたる本剤使用時の安全性及び有効性について、製造販売後の調査を実施し、収集された情報については、医療関係者等に対して、適切かつ速やかに情報提供をする必要があると判断しました。
 用法・用量について、審査報告書36ページ、7.R.6項を御覧ください。3000-JA試験及び3001-JA試験において、本剤30mg群及び80mg群の有効性が同程度であった点を踏まえ、本剤の用法・用量を、1回30mgを4週間間隔投与と設定することは適切と判断しました。以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。
 また、本議題につきまして、島田美樹委員より事前に御質問いただいておりますので、御紹介します。まず御質問の内容を読み上げさせていただきます。「審査報告書17ページ、5.R.2項、「胚・胎児及び出生児への影響」について、本薬は、胎盤移行性を示し、本薬を妊娠カニクイザルへ投与した場合に認められた細菌感染に起因すると考えられる流産及び胎児死亡は、他の既承認のTNF阻害薬では認められていない変化であり、本薬の低用量群で認められた細菌感染に伴う出生児の死亡について、本薬投与の影響を明白に否定できない、とございます。これを受けて、添付文書の9.5.1の妊婦の欄の記載となっているかと存じますが、母体並びに出生児への影響はもっと深刻に捉えるべきと考えます。記載する場所を再考するか、添付文書の記載の要件で難しい場合は、現文章に「他のTNF阻害薬を使用しても症状が改善しない場合」という文章を追加して、警告を強めるべきと考えます」という御質問を頂いております。
 こちらの御質問に対する御回答を申し上げます。御指摘の所見については、機構も特に注目して審査を行い、審査報告書に記載のとおり、当該所見は、本薬が胚・胎児発生や妊娠維持に対して、TNF阻害に基づく直接的な毒性によるものではなく、本剤投与による過剰な免疫抑制に伴う易感染性に関連した妊娠カニクイザルへの細菌等の感染に起因するものと判断しております。したがいまして、感染症のリスクについて、十分な安全対策を行うことを前提に、生殖発生毒性の観点からは、既承認のTNF阻害薬でも有効成分の胎盤移行性が報告されていることも踏まえ、既承認のTNF阻害薬と同様の注意喚起を記載することで差し支えないと考えております。感染症のリスクについては、本薬の臨床試験における感染症に係る有害事象の発現状況等も踏まえ、本剤投与時に重要なリスクであり、既承認のTNF阻害薬と同様、妊婦か否かにかかわらず、厳重な安全対策が必要と判断しております。そのため、本剤が使用される患者全体を対象に、添付文書の警告欄、禁忌、重要な基本的注意、その他の項目において、重篤な感染症、結核のリスクについて厳重に注意喚起をいたしました。また、これらの注意喚起等を踏まえ、本剤使用前に抗リウマチ薬等による治療を勘案する旨、及び本剤についても十分な知識と関節リウマチ治療の経験を持つ医師が使用する旨等を記載することにより、本剤の適正使用を求める記載としました。御回答は以上になります。よろしく御審議のほどお願いします。
○清田部会長 島田美樹委員、いかがでしょうか。
○島田(美)委員 ありがとうございます。妊婦に対する警告ということは一応、添付文書上の妊婦の欄に記載されていることと、今までの既存のTNFα阻害剤でも易感染胎児等がこのような状況に晒される可能性があることは承知しておりますが、ここについては、今後もきっちりと監視をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。機構の方はそれでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現在予定しております特定使用成績調査において、妊婦等への投与が認められた場合には、十分な情報収集をするよう申請者に指示しておりますので、御指摘の点についても対応させていただけるかと考えております。
○清田部会長 島田美樹先生、よろしいでしょうか。
○島田(美)委員 ありがとうございます。
○清田部会長 それでは、石井先生、御質問があるようです。どうぞ。
○石井委員 審査報告書の21ページの下の方に、中和抗体などの出現について、製造販売後、情報が得られた場合には医療現場に提供する必要があるという記載がございますが、積極的に抗薬物抗体や、特に中和抗体などを製造販売業者の方で調査する計画があるのか教えていただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 お答えいたします。現時点では、ADAや中和抗体の発現が疑われる場合に、当該検体に対して製造販売業者が検査等を行うという体制を整えているとは聞いておりませんが、製造販売後の調査の中で、効果減弱等の状況が明らかになってきた段階で、改めて製造販売後の対応について申請者に検討させたいと考えております。
○石井委員 分かりました。
○清田部会長 宗林先生、御質問お願いします。
○宗林委員 1点質問させてください。このお薬は注射薬ですが、16週の所で、反応がなかったらやめて、反応があればそのまま続けると理解しました。そして、1年ぐらいたったときの寛解、寛解という言葉が使われていますので、症状を抑えるというよりも、炎症などを抑えることによって寛解にもってくることができる治療薬という意味にも取ったのですが、その後、寛解した後は、治療を続けていくという前提のものなのでしょうか。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 治療的な寛解が得られた際に、治療を継続するかどうかという御質問と理解いたしました。関節リウマチの治療については、国内外の診療ガイドラインにおいて、治療の中断等検討できるのであれば、それを目指すことも視野に入れられていると理解しております。
○宗林委員 ということは、一旦、症状がなくなっても、そのまま4週に一遍ずつ注射薬を続けていく前提のお薬ということでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本剤は症状を緩和させる薬剤であり、疾患そのものを完治させる薬剤ではないため、寛解を維持する上で、投与は継続されるものではないかなと考えております。
○宗林委員 分かりました。それで長期投与になるということなのですね。了解しました。ありがとうございました。
○清田部会長 よろしいですか。何かちょっと回答がクリアカットではなかったような気がするのですが、長期投与もできるという理解でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 ご理解のとおりです。
○清田部会長 では、そのように理解していただけますか。
○宗林委員 寛解にもってきてしまって、症状を抑えることはできるけれども、治療を終了するということではないという意味ですよね、この寛解というのは。ですので、治療自体は、寛解状態を維持するために注射薬は打っていくと御説明があったと理解しましたが。
○医薬品医療機器総合機構 ご理解のとおりです。
○清田部会長 よろしいですか。
○宗林委員 はい。 
○清田部会長 ほかに御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ないようです。それでは、議決に入ります。川上委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題2に移ります。審議事項議題2、医薬品スペビゴ点滴静注450mgについてです。議題2について、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、スペビゴ点滴静注450mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページは、各ページの下段に45分の幾つに記載されております数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるスペソリマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン-36受容体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、今般、広範囲にわたる無菌性膿疱を特徴とする好中球性の炎症性皮膚疾患である膿疱性乾癬における急性症状に係る効能・効果で製造販売承認申請がなされました。以降、膿疱性乾癬をGPPと略します。本申請の専門委員として、資料No.16に記載されております9名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。なお、審査報告書39ページ、「10.その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。有効性につきまして、審査報告書25ページの表28を御覧ください。ここには、急速に広がる痛みを伴う突発性の皮膚症状及び高熱、極度の倦怠感などの全身症状等の急性症状が認められるGPP患者を対象とした国際共同試験である1368-0013試験の有効性の結果を示しております。主要評価項目とされた8日目に、肉眼で確認可能な膿疱が認められない被験者の割合であるGPPGA膿疱サブスコア(0)達成率について、プラセボ群と本剤群との対比較で統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました。また、審査報告書29~31ページの表32~35には、先ほどの1368-0013試験における主要評価項目以外の有効性に係る結果を示しており、いずれの評価項目においても、おおむね本剤群でプラセボ群を上回る傾向が認められております。以上の結果を踏まえ、急性症状が認められるGPP患者に対する本剤の有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性につきまして、審査報告書33ページの表38に、本剤の臨床試験における安全性の概要を、審査報告書34ページの表39には、本剤の臨床試験において認められた主な有害事象を示しております。本剤投与時には薬理作用等から想定される感染症等の発現リスクがあるものの、GPPの治療に精通した医師の下で使用する等の適切な安全対策を実施することにより、本剤の安全性は許容可能と考えております。以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤は、いずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。御質問がないようでございますので、議決に入りたいと思います。南委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくものといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題3に移ります。審議事項議題3、医薬品フィラジル皮下注30mgシリンジにつきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料No.3、フィラジル皮下注30mgシリンジの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、資料に添付されている審査報告書に沿って、機構より説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、各ページの下段に26分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるイカチバント酢酸塩は、ブラジキニンB2受容体に対する競合的拮抗作用を有する合成デカペプチドであり、本邦では、本剤は2018年に遺伝性血管性浮腫の急性発作に対する効能・効果で、成人に係る用法・用量で承認されています。今般、小児の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。以後、遺伝性血管性浮腫はHAEと略させていただきます。なお、本剤は、2014年5月に開催された当部会で御審議いただき、遺伝性血管性浮腫の急性発作を予定する効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されております。本申請の専門委員として、資料No.16に記載されている5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に御説明いたします。なお、審査報告書22ページ、「10.その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜、御参照ください。
 本申請では、日本人小児HAE患者を対象としたTAK-667-3001試験、以降、3001試験と略します。また、海外小児HAE患者を対象としたHGT-FIR-086試験、以降、086試験と略します。この成績が提出されました。有効性につきまして、審査報告書14ページの表13を御覧ください。3001試験及び086試験における治験担当医師の評価による症状スコアを用いた発作症状緩和までの時間、発作症状が最小になるまでの時間等の結果は、既承認の成人HAE患者を対象とした治験の結果と、概ね同様の傾向でした。HAEの遺伝的特性、病態生理、自然経過及び疾患経過について、国内外及び成人と小児で明らかな違いは認められておらず、また、無治療の場合の発作症状は1~5日程度持続し、その後、自然に消失するとされていることを踏まえると、臨床試験における検討例数が限られておりますが、得られた結果から、本剤の小児HAE患者に対する有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性について、審査報告書16ページを御覧ください。国内外の小児HAE患者及び既承認の成人HAE患者を対象とした臨床試験において認められた注射部位反応を表16、注射部位反応以外の主な有害事象を表17に、それぞれお示しております。成人HAE患者における安全性プロファイルと比較して小児HAE患者において、新たな懸念は示唆されておらず、成人HAE患者に対する安全対策と同様の安全対策を講じることで、小児においても本剤投与時の安全性リスクは管理可能と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本剤の小児用量の追加を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品ではあるものの、成人に対する用法・用量が承認されており、再審査期間の残余期間が6年を超えることから、再審査期間は既に付与されている再審査期間の期限である令和10年9月20日までとすることが適当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御質問を承りたいと思います。御質問はございますでしょうか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。川上委員、松下委員、南委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題4に移ります。審議事項議題4、医薬品リムパーザ錠100mg及び150mgについてです。山本委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして議題4の審議の間、会議から御退室いただき、待機していただくことといたします。山本委員は御退室をお願いいたします。
○山本委員 了解いたしました。
山本委員退室
○清田部会長 議題4につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料No.4、医薬品リムパーザ錠100mgほかの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明させていただきます。以降の審査報告書のページ数は、各ページの35分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるオラパリブは、DNA修復に関与するポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)の機能を阻害することによって、腫瘍細胞のDNAに2本鎖切断を蓄積させ、細胞死を誘導することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。現在、本剤は、がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がん等の効能・効果で承認されています。今般、本剤はBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の乳がんにおける術後薬物療法を効能・効果として承認申請されました。
 なお、本剤は、令和3年11月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されています。令和4年4月時点において、本剤はBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の乳がんにおける術後薬物療法に係る効能・効果で、米国のみで承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料17にございますとおり4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として国際共同第III相試験であるOlympiA試験が提出されました。
 有効性について、審査報告書8ページの表2及び9ページの図1を御覧ください。術前又は術後化学療法歴のある生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で、再発高リスクの乳がん患者を対象としたOlympiA試験において、主要評価項目とされた浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)について、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました。以上より、術前又は術後化学療法歴のある生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で、再発高リスクの乳がん患者に対する本剤の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書13ページの7.R.3、安全性についての項を御覧ください。本剤投与時において注意すべき有害事象は、既承認の効能・効果に対する審査時等に注意が必要と判断された事象と同様であり、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られていること等から、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。以上のような審査の結果、機構は、BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法を効能・効果として本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年と設定することが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、事前に渡辺委員より御意見を頂いており、概要を述べさせていただきます。「リムパーザの乳がんの適応判定の補助を目的とした医療機器としてBRACAnalysis診断システムが承認されていることは承知しております。しかし、医療現場では遺伝性乳がんの可能性がある場合、BRCA変異以外の遺伝子変異も検査できる遺伝子パネル検査が主流となっています。当該検査についても、リムパーザの適応判定の補助を目的とした医療機器として使用できるようにならないでしょうか。」との御意見を頂いております。
 遺伝子パネル検査を本剤の適応判定の補助に用いるためには、遺伝子パネル検査の製造販売業者からの承認申請が必要になると考えます。承認申請がなされれば、審査において当該検査の臨床性能を評価した上で承認の可否が判断されるものと考えます。現状、技術的な観点からは、本剤の乳がんへの適応判定に際しての臨床性能が確認されたパネル検査は本邦で承認されておらず、本剤の適応判定を行う上では、本剤の乳がんの適応判定の補助を目的として承認された医療機器である、Myriad社のBRACAnalysis診断システムを用いることが適切と考えております。事前に頂いたコメントに対する回答は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは渡辺先生、今の御回答に対してはいかがでしょうか。
○渡辺委員 おっしゃることは分かっているのですが、要は機構として、厚労省としては企業が申請すればそれなりの手順を踏んで、承認することはやぶさかではないということなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりでございます。
○渡辺委員 そういうことをこだわるのは、国際的にはBRCA1/2だけを、乳がんに関して遺伝子検査の検査方法だというようにしている国は日本と、韓国ですら、もっと別のパネル検査も使われるようになっているので、是非企業側に、もし申請する意欲があるのだったらウエルカムですというメッセージを送っていただければ、我々、臨床医ももうちょっと広い視点から、乳がん、その他の遺伝子変異の疾患に対する新たな薬剤の取組ができるのではないかなと思いますので、この点、是非御検討ください。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。これは機構の方でしょうか、事務局になるのでしょうか。
○事務局 事務局でございます。もちろん承認申請することは、常に可能だと思っておりますし、必要であれば製造販売業者の方からの相談も、常に乗りたいと思っておりますので、対応していきたいと思っております。以上です。
○清田部会長 渡辺先生、そのようにお尻をたたくようにお願いしたいと思います。
○渡辺委員 公平にお尻をたたくようにしたいと思います。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいですか。それでは議決に入りたいと思います。南委員、横幕委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、ロビーで待機されています山本委員をお呼びください。
山本委員入室
○清田部会長 続きまして、報告事項に移ります。報告事項議題1~6及びその他事項議題2につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項議題1、医薬品タグリッソ錠についてです。資料No.7を御覧ください。本剤は、上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼのリン酸化を阻害するオシメルチニブメシル酸塩を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在はEGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺がんを効能・効果として承認されております。
 今般、アストラゼネカ株式会社から、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題2、キイトルーダ点滴静注100mgについてです。資料No.8を御覧ください。本剤は、PD-L1に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるペムブロリズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は悪性黒色腫等を効能・効果として承認されております。
 今般、MSD株式会社から、腎細胞がんにおける術後補助療法の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題3、資料No.9、バイクロット配合静注用についてです。本剤は、乾燥濃縮人血液凝固第X因子加活性化第VII因子製剤であり、血液凝固第VII因子又は第IX因子に対するインヒビターを保有する患者の出血抑制として、出血時投与に係る効能・効果及び用法・用量で承認されております。
 今般、KMバイオロジクス株式会社から、既承認の出血時投与に加えて、定期的な投与に係る効能・効果及び用法・用量を追加するための一部変更の申請がなされました。定期的な投与の追加に際し、効能・効果は出血抑制から出血傾向の抑制に変更され、用法・用量には、体重1kg当たり1回60~120μgを、1~2日おき投与するといった内容が追加されております。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題4、医薬品エプクルーサ配合錠、資料No.10です。エプクルーサ配合錠は、ソホスブビル及びベルパタスビルを有効成分とする抗ウイルス剤であり、現在は前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善及びC型代非償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果として承認されております。
 今般、ギリアド・サイエンシズ株式会社から、前治療歴のないC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変患者を本剤の投与対象に加える一部変更の申請がなされました。本申請によって効能・効果は、C型慢性肝炎、C型代償性肝硬変又はC型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善となります。また、追加される患者に対する用法・用量は、既承認のC型非代償性肝硬変患者と同一のものになっております。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項議題5、医薬品ポライビー点滴静注用30mg及び140mgについて、資料No.11を御覧ください。本剤は、ヒトCD79bを標的とするヒト化モノクローナル抗体と、微小間重合阻害作用を有するモノメチルアウリスタチンEを、リンカーを介して結合させた抗体薬物複合体です。現在は、再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を効能・効果として承認されております。
 今般、中外製薬株式会社から、未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に係る効能・効果及び用法・用量を追加する一部変更の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 報告品目のキイトルーダの件に関しまして、最適使用推進ガイドラインの変更がございますので、併せて御紹介させていただきます。資料No.13-1を御覧ください。キイトルーダの腎細胞がんに係る最適使用推進ガイドラインは既に作成されておりますが、本議題に関する一部変更に伴いまして、一部改正を行うものでございます。主な変更箇所にグレーのハイライトを付しております。記載の形式は、これまでに作成しているガイドラインと同様ですが、効能・効果や用法・用量については3ページの枠内に記載したとおりで、その後、臨床成績について今回審査された内容を追加しております。それから、一部変更の審査の内容を踏まえた本剤の投与対象に関する内容と投与に際して留意すべき事項については、18ページ以降に記載しております。以上でございます。
 最後の報告事項として、再審査についてですが、報告事項の議題6について御説明いたします。資料No.12を御覧ください。今回の再審査の対象となったのはゾレア皮下注です。これらの品目につきましては、製造販売後調査等に基づいて再審査申請が行われ、機構における審査の結果、承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量とも承認事項について、変更の必要がないカテゴリー1と判定されております。以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問を承ります。いかがでしょうか。
○南委員 南ですけれども、一つ確認させてください。資料No.11のポラツズマブベドチンですけれども、しっかりと第III相試験で有効性が示されていますので、承認で全然問題ないと思うのですが、この試験のプロトコルでは、血液毒性の予防のためにG-CSFを全例に予防投与することが求められています。安全を担保する観点からG-CSFに使用に関して、何らかの注意喚起が必要と感じるのですが、添付文書を見ても書いてなさそうです。例えば臨床試験の項目でそれを書くとか、あるいは、せめて資材を通じて、しっかり情報提供してもらう必要があるように考えますが、いかがでしょうか。
○清田部会長 機構はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。G-CSF製剤を使用していた患者さんについて、詳細は確認いたしますけれども、全例ではなかったと思うのですが、臨床試験の使用状況を確認しまして、今回、医療適正使用ガイドもございますので、そちらでの情報提供について検討させていただきたいと思います。以上でございます。
○南委員 プロトコルにしっかりとリクワイアと書いてありましたので、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、報告事項議題1~6及びその他事項議題2につきましては御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項に移ります。その他事項議題1、議題2につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項議題1、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、事務局より御説明いたします。資料No.13、公知申請事前評価報告書のファイルをお開きください。
 今回、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断され、本部会に御報告する品目が、1品目2効能ございます。アセトアミノフェンの関節リウマチと術後疼痛の効能・効果の追加に関して、一般社団法人日本リウマチ学会、公益社団法人日本麻酔科学会から要望がなされたものです。関節リウマチ及び術後疼痛をまとめて、関節リウマチの報告書を用いて御説明させていただきます。21ページをお開きください。8.効能・効果及び用法・用量等の記載の妥当性についてを御覧ください。いずれの効能に関しても、海外の承認状況、国内外での臨床試験成績、教科書及び診療ガイドラインの記載内容等を踏まえて、本剤の術後疼痛及び関節リウマチに対する有効性・安全性は、医学薬学上公知と考えられました。また、効能・効果の記載につきましては、各種効能を追加していくのではなく、各種疾患及び症状における鎮痛と改めることについて議論がなされました。
 こちらについては、次ページの2段落目を御覧ください。本薬が国際的にも標準的な鎮痛薬と位置付けられていることからも、検討会にて個別の疾患を列挙することを削除して、「各種疾患及び症状における鎮痛」と記載を整理することが適切と考え、整備したものです。
 また、用法・用量につきましても、2効能とも国内における既承認の用法・用量と同一であり、欧米6か国での既承認用量とも同様であることから、本剤の用法・用量は医学薬学上公知とすることが妥当とされました。以上より検討会議では、アセトアミノフェンの関節リウマチ及び術後疼痛に対する本薬の有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると判断されました。
 続けて、その他事項議題2も併せて御報告いたします。資料No.14-2~4により、最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定について説明させていただきます。キイトルーダ点滴静注及びイミフィンジ点滴静注の製造販売承認事項一部変更承認申請、並びに抗PD-1抗体であるリブタヨ点滴静注の製造販売承認申請がなされており、最適使用推進ガイドラインの作成対象の医薬品として選定しております。今後、関係学会等にガイドライン(案)の検討依頼を行い、対象医薬品の承認について審議等を行う部会等において、改めてこのガイドライン(案)を御説明することになります。説明は以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、その他事項議題1、議題2につきましては、御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は8月29日(月)の午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。本日は、これで終了とさせていただきます。お疲れさまでした。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 松倉(内線2746)