2022年8月17日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和4年8月17日(水)14:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

(注)◎部会長

欠席委員(5名)五十音順

 (注)○部会長代理

行政機関出席者
  • 八神敦雄(医薬・生活衛生局長)
  • 中山智紀(医療機器審査管理課長)
  • 山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
  • 池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
  • 高橋未明(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催いたします。
 委員の先生方におかれましては、御多用の中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本会議はウェブ会議形式にて開催いたします。また、本部会ではウェブ会議の様子をユーチューブにおいてライブ配信しておりますので、御了承願います。
 本日の委員の出欠状況について御報告いたします。現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、16名の委員に御出席いただいております。1名が遅れて参加されますので、最終的には17名になる予定です。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。
 議事に入る前に、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、この規定には該当しない旨の御申告をいただいている状況でございます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面の御提出をいただいておりまして御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、事務局から説明いたします。
○事務局 事務局でございます。本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日予定している全ての議題について、公開といたします。
 また、委員の先生の皆様におかれましては、タブレットの操作について、不明点等がございましたら、お近くの事務局員までお声がけいただければと思います。
 次に、ウェブ会議で御参加される委員の先生方へ注意事項を御説明させていただきます。審議中はマイクをミュート、通信環境等に支障がない限りカメラはオンでお願いいたします。御発言いただきます際には、右下のリアクションから手挙げ機能を御利用いただき、座長に指名されましたら、画面の左下にあるマイクのボタンを押していただき、部会長から指名された後に、マイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に、御発言いただきますようお願いいたします。また接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りいたしました事務局の連絡先まで御一報いただければと思います。
 次に、本日御出席の委員の方々につきまして、議題1の影響企業とされた製造販売業者からの、過去3年度における寄附金・契約金の受け取り状況を御報告いたします。資料2の「影響企業リスト」を御覧ください。影響企業については、事前にリストを各委員にお送りして確認をいただいておりますが、後藤委員より、富士レビオ株式会社より50万円超え500万円以下のお受取の御申告をいただいております。本議題につきましては、薬事分科会審議参加規程第18条において、申告対象期間中の受取額を自己申告し、申告書を厚生労働省ホームページにて公表することで、全ての委員は審議・議決に加わることができるとされておりますので、追ってホームページで公表させていただきます。
 以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行につきましては、荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、ここまでの事務局からの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 よろしければ、これより議題に入らせていただきます。本日は御説明ありましたように、審議事項の議題1のみとなります。
 それでは、部会における議題1「新型コロナウイルス抗原簡易検査キットに係る一般用検査薬ガイドライン(案)について」です。それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 始めに、本日御審議いただきますガイドライン(案)の作成の経緯について、御説明させていただきます。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策本部より、8月10日に開催された厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおける議論について、御説明いたします。
 その後、医政局医薬産業振興・医療情報企画課より、新型コロナウイルス抗原簡易検査キットの需要と供給の現状について、御説明いたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症対策本部、お願いいたします。
○事務局 それでは、新型コロナウイルス感染症対策本部の松岡より説明させていただきます。
 本日、当日配布資料1を作成させていただいております。そちらをメインでお話をさせていただきます。
 アドバイザリーボードにおけるこれまでの議論でございます。令和4年8月10日のアドバイザリーボードにおきまして、休日・夜間や在宅でも抗原定性検査キットを容易に入手できるようにしてほしいという国民の期待に応えるため、医療現場への供給を優先することを前提として、OTC化に向けて具体的な検討を進めたいという方向性について事務局より御説明を申し上げ、その確認がなされております。
 その会以前に、過去のアドバイザリーボードでございますけれども、昨年の12月22日におきまして、適切な受療行動につなげる仕組みの必要性や、研究用のキットとの差別化の必要性に関する御意見があったところでございます。こちらにつきましては、当日配布資料3の8月10日のアドバイザリーボード資料のPDFの最後のページに、12月22日の議論の議事概要を抜粋して付けておりますので、御参照いただければと思います。
 抗原定性検査キットの供給・流通についてということで、アドバイザリーボードにおいても報告させていただいたわけでございますが、抗原定性検査キットは、この1か月程度、医療現場や市中の薬局で手に入りにくいということがございました。厚生労働省といたしましては、これまで下の三つのポツにあるような取組を講じておりまして、引き続き、供給・流通の改善に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
 一つ目は、特定の製造販売業者や特定の製品の使用に偏ることがないよう、発注元に対して、納入可能な製品への発注に変更を促してまいりました。二つ目には、キットが円滑に流通して入手しやすくなるように、製造販売業者と大手卸を調整いたしまして、流通在庫を一定程度確保することも行ってまいりました。最後に、今後の需要増にも備え、製造販売業者に対しては更なる増産の要請を実施しているところでございます。
 今日の議題にございますように、OTC化について御議論いただくわけでございますが、OTC化がなされた場合、医療現場に供給を優先することを前提とするということで、アドバイザリーボードで話をしているわけでございますが、優先供給につきましては、あくまでも医療機関向けを最優先としつつ、検査の優先付けに沿った供給を行ってまいりたいと考えております。これにつきましては、また後ほどお話をさせていただきます。
 個人が購入した抗原定性検査キットを使って陽性となった場合の対応でございます。体調が気になる場合等にセルフチェックとして抗原定性検査キットが使用され、陽性の場合には適切に医療機関を受診していただきたいと考えているところです。
 これに関連しまして、いわゆる発熱外来でございますが、診療・検査医療機関が非常に大変な状況になっていることもあり、陽性者については、この受診に代えて、医師が配置された健康フォローアップセンター等に登録し、健康観察を受けることができる体制の整備を現在全国で進めているところであります。OTC化がなされた場合、購入したキットでの自己検査の結果が陽性の方に対しましては、医師が配置された健康フォローアップセンター等へ登録していただくことを想定しております。この健康フォローアップセンター等につきましては、既に半数以上の自治体が実施しておりまして、ほかの自治体も導入に向け調整している状況でございます。
 次に、当日配布資料4でございます。これは厚生労働省モニター調査というものでございまして、抗原検査キットの使用について、450人のモニターにネットで調査をしたものです。回答者は313名でございました。この結果をかいつまんで御報告いたします。
 この母集団の中で、抗原定性検査キットを実際に使ったことがある方は4分の1でした。使われた場所は、民間検査機関や勤務場所、薬局で購入して自宅で使うという方々でした。
 いわゆる研究用と言われる承認されていないキットがございますが、検査キットには医療用と研究用という2種類が流通していることを知っておられた方が4割ぐらいおられるということです。また、そのことを知っている方の中で、このような研究用のキットは性能が確認されておらず使用すべきではないということを知っている方は3分の2おられました。
 最後のページの(5)です。薬局がキットを販売するときに、購入者に対して検査方法を説明することを求めておりますが、偽陰性の可能性があるため、症状がある場合には受診することを説明するように求めています。この対応についてどのように考えますかということで、キットを購入するときには説明を受ける必要があると考えておられる方が3分の2、残りの方のほとんどが2回目以降は使用説明書があれば不要であるが説明は必要であるということを考えておられるという結果でございました。
 このような結果もあり、研究用と医療用との区別がついていない方も、まだ居られるということが分かる結果でございました。
 私からは以上でございます。
○医療機器審査管理課長 引き続きお願いいたします。
○事務局 引き続き、医薬産業振興・医療情報企画課医療機器政策室長の鶴田です。
 当日配布資料2の2枚目の資料に基づいて御説明をさせていただきます。「抗原定性検査キットOTC化に伴う供給の優先付け」についてというスライドになります。
 直近の値は8月8日時点ですけれども、メーカー在庫が1.5億あります。ただ、今、キットを取り扱っているメーカーが国内に20社ありますけれども、メーカーの中で在庫の状況がかなり偏在しているという状況です。20社のうちの4社、具体的にはマルコム社、シーメンス社、MBL社、タカラバイオ社につきましては、各社1,000万以上のメーカー在庫を抱えているといった状況となっております。この4社につきましては、4大卸とも協力をしまして卸の抱える流通在庫もかなり増やしておりますので、薬局の方々、医療機関の方々、キットを必要とする方々が、この4社のキットが必要であるということで発注をかけた場合は、4大卸の方から速やかにキットが提供できるといった状態を整えているところであります。
 今後でありますけれども、供給の優先付けをこちらのスライドで整理をさせていただいております。まず、メーカーに対しましては、国から医療用としての供給を最優先にするように要請することを考えております。OTCに関しましては、在庫に余裕がある製品を中心にOTCとして供給していただきたいことを、メーカーに対しても働きかけをしたいと考えております。
 また、次の医薬品卸売事業者等のところですけれども、卸につきましては、医療機関、自治体、薬局などから発注があった場合には、優先付けをして対応していただきたいことを、要請したいと考えております。優先順位の1番目が医療機関、優先順位の2番目が自治体、優先順位の3番目が薬局等と考えております。こういった要請をすることによって、医療用の検査キットが確実に現場に届くように対応していきたいと考えているところです。
 私からの説明は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございました。今日の議論の背景になる二つのポイントについて、感染対策本部と医薬産業振興・医療情報企画課から説明をいただきました。ただいまの背景についての説明につきまして、何か御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局の方で、いよいよ本題のこのガイドラインについての説明をお願いいたします。
○事務局 それでは医薬・生活衛生局医療機器審査管理課より、本日御審議いただく議題1、「新型コロナウイルス抗原定性検査キットに係る一般用検査薬ガイドライン(案)」について御説明をさせていただきます。資料1-1を御覧ください。
 まず、1ポツ目の「経緯」についてです。新型コロナ抗原定性検査キットについては、より入手しやすくし、家庭等で体調が気になる場合等にセルフチェックとして、自ら検査を実施できるようにするため、こちらに記載しております事務連絡において、医療用の抗原検査キットについては薬局での販売が可能となっている状況でございます。
 一方で、OTC化については、令和3年12月22日の規制改革推進会議で決定されました「当面の規制改革の実施事項」において、OTC化を検討することが盛り込まれました。
 これを受けまして、令和4年8月10日の厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、ネット販売等を可能にする、いわゆるOTC化について議論が行われましたが、先ほど御説明があったとおり、医療現場への供給を優先することを前提として、OTC化に向けて具体的に検討を進める方向性について確認されたところでございます。
 続きまして、2ポツ目のガイドラインに係る「概要」でございます。体外診断用医薬品の一般用検査薬への転用につきましては、今回の資料の参考資料2としてお付けしております「一般原則」にのっとって、一般用検査薬として取り扱う際の使用上の注意、使用方法、性能等を盛り込んだ評価の指針、すなわちガイドライン(案)を作成いたしまして、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会でその妥当性を議論することとしております。
 今般、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードで、上記の方向性が確認されたことを受けまして、通常であれば業界からガイドライン(案)の提案がなされるものですが、手続としては例外的に、厚生労働省医療機器審査管理課でガイドラインの(案)を作成いたしましたので、その妥当性について御審議をお願いしたいと考えております。
 最後に「その他」です。本部会で了承されたガイドライン(案)につきましては、ガイドラインとして速やかに通知する予定でおります。なお、当該一般用検査薬のリスク区分、いわゆる第1類、第2類、第3類のうちどれに該当するかにつきましては、当該使用者に提供すべき情報等を踏まえ、医薬品等安全対策部会において議論することとしております。資料1-1についての説明は以上でございます。
 続けて、ガイドライン(案)について御説明をいたします。資料の1-2を御覧ください。
 本ガイドライン(案)については、冒頭に記載しているとおり、新型コロナウイルス抗原定性検査キットに係る一般用検査薬の製造販売に当たって、満たすべき条件をまとめたものでございます。また、今回OTC化されるものについては、基本的には既に医療用の検査キットとして承認されたものをそのまま一般用にスイッチすることを想定しておりますので、薬局で特例的に販売されている医療用の検査キットについて設けられている各要件を参考に作成しております。
 それでは、内容に入ってまいります。1ポツ目の「一般的名称」については、「一般用SARSコロナウイルス抗原キット」としております。なお、こちらは医療用の一般的名称に「一般用」を付したものでございます。
 2ポツ目の「定義」については、「生体由来の試料を用いて、SARSコロナウイルス抗原の検出を目的としたキット。使用者が自ら検体を採取し、SARS-CoV-2感染疑いの判定補助として使用されるもの。」としております。
 3ポツ目の「使用目的」については、記載のとおりでございますが、検体種を「鼻腔ぬぐい液又は唾液」としております。これは、薬局で販売されている医療用の検査キットは「鼻咽頭ぬぐい液」も検体として承認されているのですが、販売の際には侵襲性が低い「鼻腔ぬぐい液」を検体とすると説明しておりますので、一般利用の承認の際には「鼻腔ぬぐい液又は唾液」に限ることとしております。
 4ポツ目の「測定方法」については、記載のとおりでございます。
 5ポツ目の「検出感度」については、繰り返しになりますが、今回OTC化されるものは、基本的には既に医療用の検査キットとして承認されたものをそのまま一般用にスイッチすることを想定しておりますので、医療用の検査キットと同等の検出性能を有することとしております。
 6ポツ目の「安定性」については、記載のとおりです。
 7ポツ目及び8ポツ目についてですが、本ガイドラインを通知するに当たって、別紙として、添付文書の例、販売時の使用者への情報提供等を目的とした説明資料等の例を付けておりまして、各製造販売業者に対して、このひな形に基づいて自社製品の添付文書等を作成することを求めております。こちらの内容については、4ページ以降で改めて御説明いたします。
 最後に9ポツ目の「備考」についてです。まず、医療用の検査キットの中には、承認時に条件が課せられたものがありますが、今回OTC化されるものは、基本的に既に医療用の検査キットとして承認されたものをそのまま一般用にスイッチすることを想定しておりますので、承認時に臨床性能に係る承認条件が付されていない、又は満たしたものを、対象とすることにしました。また、医療用の検査キットの中には、新型コロナウイルスと同時にインフルエンザウイルス等の別の抗原を検査できるものがございますが、今回は新型コロナウイルスのみに限定した措置として、同時にこれらの抗原も検出可能なものについては、対象外とすることにしました。最後に、綿棒を用いる必要がある製品については、滅菌綿棒を同梱又は配布することとしております。
 続きまして、別紙1に記載されているのは、判定方法の例示でございます。
 別紙2は、添付文書の例でございます。冒頭に記載しております「新型コロナウイルス抗原検査の使用について」ですが、当該検査キットの使用者の範囲を記載しております。まずは原則として、「体調が気になる場合等のセルフチェックとして本キットを使用し、陽性の場合には適切に医療機関を受診してください。」としつつ、「陰性の場合でも、偽陰性(過って陰性と判定されること)の可能性も考慮し、症状がある場合には医療機関を受診してください。症状がない場合であっても、引き続き、外出時のマスク着用、手指消毒等の基本的な感染対策を続けてください。」としております。
 ただし、日々感染状況が変化している中、またそれに伴う行政の方針も変化し得るものであるため、※印として下に二つ追記しております。
 まず一つ目の※印ですが、例えば、現在、有症状者が自ら検査した結果を医師のいるフォローアップセンター等に登録し、必要なケアにつなげる、「発熱外来自己検査」が各自治体において進められています。OTC製品が流通した場合においても、有症状者が適切に検査を実施し検査結果を登録する場合には、フォローアップセンターを活用することが可能と考えております。このような状況は自治体によって異なるため、このような注釈を入れさせていただきました。また、このような内容について、販売者がどのような点に留意して使用者に説明するかについては、別途通知を発出することを考えております。
 次に、二つ目の※印ですが、濃厚接触者の待機期間の取扱いについては、令和4年3月16日にコロナ本部から別途事務連絡が発出されておりまして、その中で、待機解除の判断に薬事承認された検査キットを用いることが示されております。そのほか、厚生労働省から出された最新の情報に基づいて、当該検査キットを活用することを妨げないようにする観点から、このような注釈を入れることにしております。
 その下、「新型コロナウイルス抗原の有無がわかるしくみ(測定の原理)」については、記載のとおりでございます。
 「使用上の注意」として、「してはいけないこと」「相談すること」に加えて「廃棄に関する注意」を記載しております。
 ページをめくっていただきまして、「使用目的」は、ガイドラインに記載されている内容と同じものです。
 以降の説明は割愛させていただきますが、「使用方法」にあっては、各社が自社製品の特性に応じた検査の仕方を検体種ごとに例示することを記載しており、各社で工夫して図示することとしております。
 続きまして、別紙3-1から3-3に示す、各種説明資料の例でございます。これまでのOTC化の際にも、同様の説明資料を用意してきておりましたので、今回もこれに倣い用意しております。これらの資料は、基本的には、添付文書にある情報をその説明の目的に応じ抜粋して記載するとともに、説明を受ける者が理解しやすいように表現を工夫しているものでございます。
 まず別紙3-1についてですが、これはタイトルにもあるとおり、販売者向けすなわち薬局・販売店用の解説書でございまして、専門的な情報も記載されているほか、添付文書で説明されている内容の背景事情に係る情報についても、「解説」として追記させていただいております。
 次の別紙3-2についてですが、これもタイトルにあるとおり、使用者がインターネットを介して、主に使用方法に係る情報を得たい場合に確認する資料を想定しておりまして、添付文書に説明されている情報のうち、使い方に関する情報を前面に記載するように意識しているほか、できるだけ簡易な表現を用いて記載しております。
 最後の別紙の3-3についてですが、販売者すなわち薬局・販売店が、使用者に当該キットを説明する際に用いる説明資材です。一般用検査キットの箱の中に同封されている添付文書を取り出して説明することはできませんので、冒頭に「ご使用前に添付文書をよく読んでお使いください。」としつつも、使用者に対し、添付文書で説明されている最低限の情報を用いて、説明する際に手際よく説明できるように、項目の順番も意識して記載しております。ガイドラインに関する説明は以上でございます。
 続けて、資料の1-3を御覧ください。こちらは、ガイドラインを発出する通知の概要でございます。通知のタイトルは「一般用新型コロナウイルス抗原定性検査キットに係る製造販売承認申請の取扱いについて」としておりまして、ガイドラインには記載しきれない、承認申請に当たって遵守すべき事項を記載することにしています。
 まず一つ目の矢羽根については、至極当然ですが、通知別添のガイドラインを満たす必要があること。
 二つ目の矢羽根については、販売名は一般用のものと医療用のものとでは異なるものとすること。
 三つ目の矢羽根については、承認申請に当たっての申請区分、さらにどういった資料を添付しなければならないかを規定しておりまして、今回OTC化されるものについては、基本的には既に医療用の検査キットとして承認されたものをそのまま一般用にスイッチすることを想定しておりますので、申請区分の中で最も添付資料をディスカウントできる「承認基準品目」で申請することとしました。
 最後に四つ目の矢羽根については、三つ目とも関連しているのですが、今回OTC化されるものは、基本的には医療用の検査キットとして既に承認されたものをそのままスイッチすることを想定してはいるものの、スイッチではないすなわちダイレクトに一般用検査キットとして承認申請をすることを妨げているわけではありませんので、その場合の申請区分を示しております。この場合、「承認基準外品目」すなわち医療用の新規申請と同等の添付資料を要求するとともに、臨床性能試験成績の提出を必須とすることにしました。
 長くなりましたが、説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。お聞きのように、今日の部会では、冒頭で御説明いただいた二つの背景をバックグラウンドとして、今御説明いただいたような形で、OTC化に向けてのガイドラインの案を示していただいて、この案が妥当かどうかをこの部会で審議させていただくわけです。先ほどお話がありましたように、この部会で了承された場合には、これが速やかに実際に公示されると御理解いただければよろしいかと思います。
 まず、今示していただきましたガイドライン、あるいはその前の背景について委員の方々から御質問、御意見はいかがでしょうか。高松委員、どうぞ。
○高松委員 日本薬剤師会の高松です。丁寧な御説明ありがとうございました。国民のニーズもあると思うのですが、基本的に今回このような形でOTC化するに当たっては、やはり公衆衛生上の必要性があったものとも考えております。感染拡大防止、それから、現在発熱外来や医療機関の負担軽減という意味合いもすごくあると思いますので、OTC化に向けてこのような内容で進めていただくことに関して異論はございません。
 ただ、承認した後のことで懸念事項がありますので、私どもの考えを述べさせていただきます。
 まず、医療用としての余剰分を一般用に持ってこられるということなのですが、医療用として確保できない状況にならないようにコントロールしていただきたいというのが一つあります。OTC化されたときには、やはり国民のニーズが急激に増えてしまう可能性がありますし、逆にOTC化されたものの、すぐOTCの商品が欠品することも考えられなくもないのです。必要時に必要とされる方のところに届けるため、検査キットが適切に届く体制を確保する必要があるので、そこのところをぜひよろしくお願いいたします。
 また、OTC化された場合に、検査目的で販売する医薬品ですので、単に販売しておしまいということではいけないと思います。きちんと、利用される方々の状況を見て、適切に説明を実施し、検査結果においても、薬剤師がしっかり責任を持って対応するという形を取っていただきたいと考えております。
 あと、品質の担保です。今年のようにかなり気温が高い状況のときに、配送段階で品質がきちんと保たれるかを懸念しております。一部の配送業者でよく見られる配送のように、ぽんとそのまま置いていかれるいわゆる置き配となる状態というのは好ましくない、避けなくてはいけないと思っておりますので、その辺を私は危惧しております。
 品質の問題もありますけれども、何より適正に使っていただく必要があるので、丁寧な使用説明、その後のフォローアップ、必要に応じて医療機関につなげなくてはいけないことを考えますと、この後の議論になろうかとは思いますが、操作方法によっては健康被害等も考えられますので、私どもとしては、今のリスク分類の中では第1類にしていただくのがいいと考えております。
 ということで、今、緊急の状態で必要とされる方のところに届けていくためには、このようなOTC化の議論は進めていただいて構わないと思っておりますが、適切に提供できる形を取っていただきたいというのが私どもの意見でございます。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。高松委員から何点か御指摘をいただきましたが、事務局の方から、例えば配送の環境といったことも含めて、回答というか発言はありますか。事務局、どうでしょう。
○医療機器審査管理課長 事務局です。まず、配送に関しましては、基本的にはOTC医薬品については室温で配送しなければならないとなっていまして、通常2℃~30℃の間で管理がされることが前提条件となっています。したがいまして、配送の中でその温度を超えるような配送がされてはいけませんので、そこについては適切な管理をしっかり求めることで対応していきたいと考えています。
 2番目と4番目の第1類というところと関係するかもしれませんけれども、基本的にはコロナ検査キットにつきましては、その測定原理をしっかり理解して、例えば、陰性が出たとしても偽陰性の場合があるといったことをしっかり理解して、その情報を利用者に分かりやすく説明できるといった専門的な知識をしっかり有する者が対応すべきだと、厚労省としては考えています。この辺りにつきましては、本日この後に開かれる安全対策に係る調査会においての議論も含めて対応していただくことになると思いますので、その辺りの御意見があるということは、ここに安全対策課長も同席しておりますので、それを踏まえた上で対応させていただくことになるのかなと思っています。
 医療用の確保という点は、何かコメントがあればお願いします。
○事務局 医療機器政策室長です。供給の件について御質問いただきましたので回答させていただきます。先ほどの資料で御説明させていただきましたように、医療用の供給をしっかりと確保することが何よりも重要な点になりますので、先ほどお示ししたフローで、メーカー、卸に働きかけをしながら、しっかりと対応していきたいと考えております。また、今回OTC化が認められた場合にも、一般の方々が購入できる環境を整えることがとても大事になりますので、メーカーに対しても、国としてしっかり増産要請をして、そういったニーズに応えられるように対応していきたいと考えております。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。高松委員、よろしいでしょうか。
○高松委員 ありがとうございました。現在、地域で必要なときにすぐに提供できる体制は薬局でもとっているのですが、そういう環境にない方々に対しては、インターネット販売も一つの方策かと思います。ただ、即時というのであれば、やはり品物が途切れずに薬局ですぐに販売できる体制を整えなくてはいけない。少なくとも1日遅れでも、必要な方に届けられる体制を整えなくてはいけないということも考えております。御説明ありがとうございました。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 北澤です。検査キットのOTC化やガイドラインについて、特に異論があるわけではないのですけれども、医療を受ける消費者の立場で、お願い事といいますか希望が何点かありますので述べさせていただきたいと思います。
 まず1点目なのですけれども、今でもAmazonとかネット販売で、研究用の検査キットが幾らでも買える状況になっています。ネットのレビューを見ると、特に研究用か医療用かを区別せずに、使ってみてこうだったとかああだったとか書いてあります。OTC化するに当たっては、研究用と医療用で、そもそもどう違うのかとか、性能を比較したらどうだったのかについて、ぜひ情報提供をしていただきたいと思っております。それが1点目です。
 2点目は、やはりネット販売に関することなのですけれども、おととしはマスクが大変不足してお店で手に入らなかったり、ネットでも驚くような価格で販売されたり、それをメルカリで転売したりということがありました。今回、抗原検査キットについても、そういった異常な販売にならないように、どうにか工夫していただきたいと思っております。
 3点目は、言わずもがなのことかもしれないのですけれども、OTC化してネットで検査キットが買えるようになると、御自宅で検査をしてみて陽性だったら医療につなげていくというお話でしたけれども、症状が特になければ、事実上、家の中でじっとしていて、そのうち自然に治ってそのままにしておくという方も出てくると思います。厚労省も最近議論されていると報道などで伺っていますけれども、感染者の全数調査が事実上難しいというか、そこまでしなくてもいいのではないかということになってくるのではと個人的には思っております。以上です。
○荒井部会長 北澤委員、ありがとうございます。一つ一つが結構重い御指摘と思われます。これまでも手に入るような状況が生じていたわけで、「研究用を駆逐する」という表現は適切ではないかもしれませんが、OTC化された場合に、この辺に混乱というかミックスされるような状況が一時的に出てくる可能性があるという御指摘について、事務局からこの点についての回答、意見をいただけますか。
○事務局 コロナ本部の松岡でございます。先ほどおっしゃられたように、研究用と医療用が混在するような状況になる可能性はあると思っております。現在も医療用キットというのは薬局において販売されておりまして、それがなかなか手に入らないから研究用を買いましたという方々も多分おられるのだろうなと思う次第であります。
 私ども厚生労働省は、消費者庁と協力しまして、研究用があまり感染管理には適さないのだということについて周知等を行ってまいりました。今回OTC化がなされるという場合におきましては、広報もしくは啓発といっていいのかもしれませんが、そのようなことを強めないといけないと思っております。OTC化することが決まりました段階で、また私どもの方で消費者庁と一緒になって啓発などを行ってまいりたいと思っております。
○荒井部会長 ありがとうございます。どうぞ。
○医療機器審査管理課長 機器課長の中山です。もう一つ、薬機法上の話として申し上げますと、研究用と今回のOTCについて、その販売方法でしっかり区別できるような指導というのもしっかりしていきたいと考えているというところが一つ。
 あと、転売の御指摘がありましたけれども、マスクの場合と今回の場合で異なる点は、薬機法上、法律上の規定が適用でき得るということで、転売をやった場合には、許可を取っていない販売者がやるという意味で、薬機法で取り締まることもできるといったところがありますので、そういったところでしっかり対応はしていきたいと考えているという状況です。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。あと、北澤委員に指摘いただいた3番目のポイント、「自分で調べて陽性が出た、しかし症状が軽いので病院には行かない」という状況が起こるであろうことは十分に想定できます。国内全体における全数調査の必要性についてはこの部会でできるわけではありませんが、日本全国のコロナにかかられる患者さんの動向調査の結果にはこのOTC化の影響が及ぶと思われます。事務局の方でも、その点についての影響はかなり出るだろうということを、アドバイザリーボードの会議等々に情報共有をしていただきたいと思います。
 今、清水委員と永井委員から手を挙げていただいているのですけれども、清水委員、お願いいたします。
○清水委員 農工大の清水です。一つ教えてください。ガイドライン(案)の5の「検出感度」についてなのですが、一般には感度と特異度の両方をもって検査法の性能を評価するのが一般的だと思いますが、ここで感度のみ、陽性を正しく陽性とする性能についてのみ注目されている理由について、教えていただけますでしょうか。
 現在のものは医療用として既に承認されているものを想定されているということではありましたが、これから一般用キットとしても申請することもあり得るということですので、念のためお伺いいたします。
○事務局 事務局から回答させていただきます。こちらに書いてあるのは検出感度のみなのですけれども、先生がおっしゃられたそれ以外の点も含めて、機構の承認審査の中では確認しておりますので、そういったところも含め総合的に評価しているという状況でございます。
○清水委員 ガイドラインとしてこの文面だけを見たときに、例えば感度が高ければよいということであれば、思い切って感度側に性能を振ることもあり得ると思いますが、その辺については特にガイドラインとしては記載する必要がないという理解でよろしいでしょうか。
○再生医療等製品審査管理室長 事務局からお答えさせていただきます。ここの「検出感度」のところで、検出感度しか書いていないという御指摘はそのとおりかと思いますけれども、今回、基本的に既に医療用として承認されたものを一般用として転用するということでございますので、検出感度あるいは特異度も含めて一定程度確保されたものを医療用として承認しています。それと同じものを一般用として承認するということですので、ガイドライン上ここに明記はされておりませんけれども、医療用と異なる製品を一般用として転用するということであれば、改めて審査をすることになりますので、検出感度のみを強調した製品を出すことは今回の対応の中ではできないということで御理解いただければと思います。
○清水委員 分かりました。
○荒井部会長 荒井ですけれども、今日、このガイドラインの最終的なチェックをさせていただいているわけですが、清水委員の御意見があった特異度に関しては、事務局の方は文言として触れる必要はないという判断でしょうか。
○医療機器審査管理課長 事務局です。この「検出感度」という表題が適切ではないのかもしれないのですけれども、結局この中で求めているのは、感度と特異度も含め、検出性能ということで規定しているということで、それも「医療用と同等のもの」になっているので、こういった項目として整理してきたというこれまでの経緯があったので、そういった形で書いていますけれども、あくまで特異度も含めて見ているという整理になるかと思います。
○荒井部会長 了解しました。最終的な文言をどうするかという表現形に関しては、今の説明で十分理解はできるのですけれども、そこのところについては御検討いただくということで次に進めたいと思いますけれども、よろしいですか。
○清水委員 はい。よろしくお願いします。
○荒井部会長 清水委員、ありがとうございます。永井委員、お待たせしました。どうぞ。
○永井委員 私も今の診断のところが気になっています。まず医療用と同等の検出性能を有するといっても、医療の場合は咽頭ぬぐい液から採取することが多いと思うのですが、これは鼻腔または唾液ということで、大分感度が落ちる可能性があり、同等の検出性能を有するというのはどういう意味か分かりにくく感じました。
 あと説明資料で、販売者あるいは患者さん向けで、これはセルフチェックで、自分で病気の診断をしてはいけないと書いてあるのですが、これが広く流通したときに、果たして皆さんはその区別がつくのか。検査キットで陰性だったから大丈夫となっていくのではないかと思い、もう少し説明を追加したほうがよいように感じました。先ほどの感度、特異度、あるいは陽性、陰性、的中率といったものの情報も、ある程度は分かりやすい形で書かないと、分からなくなってしまうのではないかという気がしました。以上です。
○荒井部会長 永井委員、ありがとうございます。事務局、今の御指摘に対して、いかがでしょうか。
○医療機器審査管理課長 事務局の機器課長です。医療用と同等という場合に、鼻咽頭のものとOTCとしての鼻腔が同等という意味ではなくて、あくまで鼻腔の承認条件を満たしてしっかり性能も確認されているものが医療用でありますので、それと同じ性能を有するものをOTCの対象とするといった整理をしております。
 もう一つ、セルフチェックで検査結果が陰性だった場合という話ですけれども、ここについては、基本的には、今、お示しした利用者向けの説明資料を用いて説明いたしますが、さらに、しっかり留意して説明しなければいけないことについては、販売者に対してこういったことに留意して説明しなければいけないよといった形で、こちらとしては更に通知を発出することを考えておりますので、使われる方が誤解を生じないような形で、薬剤師の方にも大いに関与していただいて、使用者に必要な情報をしっかり伝えることを徹底するということで対応していきたいと思っております。
○荒井部会長 荒井です。今、永井委員から御指摘いただいた最初の点で、検体で何を使うかというのは、普通の方がやるとすると、なるべく簡単に唾液だけでいってしまうという形になりかねないと思うのですが、その辺の違いに関しての説明というのは含まれていたでしょうか。キットの性能が同じということは御説明いただきましたけれども、検体によって結果に誤差が出てくる可能性があるという辺りのことは、どこか説明に入っているのでしょうか。いかがですか。
○医療機器審査管理課長 検体種によっての差かと思いますけれども、基本的には、同等という範囲の中で性能があると認められるものを機構としては承認して差し支えないということで審査していると思いますので、どの程度の差という情報は、今のところ手元には持ち合わせていないという状況です。
○荒井部会長 今、これをお答えいただくのは無理かもしれませんが、OTC化されて一般の方が手に入れた場合に、どこから検体を取ってくるかというのはかなり大きな問題で、もちろんあまり深いところの咽頭を探って事故が起こってもいけませんが、あまりつらくない方法をとるのが通常でしょうから、そこのところに関しての説明には配慮していただきたいと思います。多分、永井委員の御意見もその点についての御指摘ではないかと思います。
○永井委員 そのとおりです。
○荒井部会長 どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 機構でございます。もう既に承認されているもので、検体種をどこから取るのかというのが決まっておりますので、それに基づきまして審査をして、一般用にスイッチできるものについてスイッチしていると考えておりますので、そこは明確に患者の皆さんにお示しすることができるのだろうと考えておりますので、そのような形でOTC化を進めていきたいと思っております。以上です。
○荒井部会長 なるほど。ありがとうございます。永井委員、よろしいでしょうか。
○永井委員 結構です。
○荒井部会長 ありがとうございます。高松委員、どうぞ。
○高松委員 日本薬剤師会の高松です。今の永井委員の御発言にも関連するのですが、FDAが家庭用COVID-19抗原検査で陰性となった場合の複数回使用の必要性を8月11日にコメント発表しておりまして、やはり偽陰性の可能性があるということで、感染初期に症状がない場合には家庭用検査薬で検出できない可能性があるから、繰り返しまたは連続しての使用の必要性を示したというコメントも出ております。この際、1回分だけ買うというよりも複数回分購入しておくことを推奨する旨も出ておりましたので、御紹介させていただきます。
○荒井部会長 高松委員、ありがとうございます。事務局、今の御指摘に対して、いかがでしょうか。
○医療機器審査管理課長 その情報については確認させていただいて、何か対応すべきかどうかということは検討したいと思います。
○荒井部会長 高松委員、よろしいですか。一応確認をいただくということで。
○高松委員 結構です。8月11日のFDAのSafety Communicationでございます。
○荒井部会長 確かに御指摘のとおり、臨床現場でも本当に、複数回やって後で陽性が判明することはたくさんありますので、ちょっと考えておいたほうがいいかもしれません。そのほか、委員の方々から御意見いかがでしょうか。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 宮川です。今まで各委員からいろいろな御質問があり、清水委員からもありましたが、手技の部分は非常に大きいと思います。この手技というのは、きちんとした感度とか精度というのが先ほど機構のお話になったように担保されているのかどうかが問題です。ところが、その手技がまちまちであったり不十分であったりしたときの感度や精度に関しては言及していません。OTC化したときの問題点というのはそこにあると思います。ですから、ガイドラインの書き込みはこれでは不十分です。このままでは十分に使用者に伝わらないところがありますので、それは書き込みを十分にしないと、このガイドラインは問題であるということは、皆さんが読んでのとおりであります。
 それから、実際にその前提となったのは、アドバイザリーボードの12月22日の審議の中でありました。その中で各委員もいろいろな懸念を示されております。その中で、検体が正しく採れているかどうか、採った検体の検査の手順が正確に行われるかどうかが問題であるとか、先ほども問題が出ましたけれども、実験用と差別していくという仕組みは大事であろうということも書いてあります。そういうことが12月22日に提出されていて、8月の審議でそのような話があったというところなのですが、8月の段階ではそういう問題点が議論がされて了解されたというか不明です。この中に書いてある諸問題に関しては、そういう意味では現段階で全て処理されていないと考えます。
 先ほど、コロナ本部の松岡様からお話がありましたように、キットの中で研究用と医療用が並立しているわけですけれども、そういう意味でOTC化された、それが医療用として世の中に出るということであれば、研究用というものは世の中でなくさなければならない。その手続がしっかりと並行して行われるのかどうか。その検証がされてなければ、OTC化の意味がないはずなのですがどうでしょうか。それに関してもアドバイザリーボードはそのようなことも懸念されているということで、12月から今の8月の中で8か月間行われていますけれども、その進展がないのです。問題提起されたのは12月です。今、8月という段階で8か月たってもこの懸念が払拭されていなければ、OTC化に対しては本来すべきではないと考えます。
 話は戻しまして、先ほどの感度と精度のところですけれども、実際に唾液と鼻腔、鼻咽頭の三つの段階で確かに全部違いがあります。全てのキットの中で、検出の感度、特異度も全て違いがあります。違いがあるのはデータもあります。このことに関しては機構は全部御存じだと思います。それは数値化して出ているので、その中で医療用の中でもかなり差があります。ですから、実際の医療の場面では、ある程度情報を知っているので、この製品が欲しいとか、この会社のものが欲しいということがあって集中してしまう。しかしながら、それ以外のものが医療用でも許されている。感度も特異度も低く、さらにまちまちなものが今度OTC化して出てくるので、さらに問題は複雑化しているのだと私たちは思わなくてはいけないなと思います。
 もう一つは感染検体です。もし陽性になった方の感染の検体はどのように破棄するのでしょうか。これは問題だと思います。それが2回も3回でもされる方がいますが、その検体の処理の仕方はこのガイドラインの中にも更なる十分な書き込みが必要です。
 それから一番問題なのは、ガイドラインの中で、最後の段階で、インターネットでうんぬんというところがあります。いろいろな中で、インターネットに関しては、どのようにこれを医療につなげていくのか。受診方法の相談等についてという形ですけれども、「まずはかかりつけ医等の地域で身近な医療機関に電話等で相談してください。」と書いてあります。今、発熱外来で朝から晩まで電話が鳴り続けて、2本あった電話回線がパンク状態であるという医療機関はたくさんあります。こういうことがここに書いてあるわけですけれども、どのようにこれは対処したらいいのでしょうか。こういうことをガイドラインに平然と書いてあるのですが、こういう書き込みも不十分であるし、書き直していただきたいところです。
 そのような形で、まだガイドラインとしては不十分なところが残っているのではないかなと思いますので、ぜひそこを検討していただきたいなと思っております。
 なお、一番重要なことは、当日配布資料2のところですけれども、とにかくOTC化に伴って供給の優先順位ですが、先ほどもいろいろな質問がありましたけれども、検査キットが少なくて研究用が出回っているというお話がコロナ本部からありましたけれども、そうであれば、現状ではまだ医療機関等を含めて、市民の皆さんに適切な医療用のキットが十分ないという証明になるわけです。であるならば、しっかりとした形で優先順位の1位2位というところで、しっかりとした医療用のものが配られなければならない。それが前提でOTC化を進めるというのでは分かりますけれども、そういう前提がないがしろにされて、OTC化が進められるのは本来的ではない。
 先ほどの言葉からすると、もう一回繰り返しますが、研究用のキットが世にあるのは、医療用のキットが足りないからだというのは、先ほどお話にありました。ということは、医療用のキットがまだ十分に末端にないということで、先ほどいろいろな御説明があって、たくさんの御努力をいただいて、これからキットを医療機関、自治体、薬局等に配られるそうですので、それがしっかりとした安定供給ができた約束の上でOTC化がされるのであれば分かりますけれども、そうでなければこのOTC化は意味がないと考えますが、いかがでしょうか。座長、お願いします。
○荒井部会長 宮川委員、ありがとうございます。かなり複数の重いところを御指摘いただきましたが、事務局の方から、回答というか意見はありますでしょうか。いかがでしょうか。
○医療機器審査管理課長 それでは、事務局からお答えします。まず一つ目に、手技の部分が大きいということで、書き込みが足りないのではないかといった御指摘があったかと思っています。まず、添付文書の例として挙げさせていただいた部分につきましては、ここの「使用方法」のところで、箇条書きのような形になっていますけれども、ここの部分はまさにOTCを販売する各社で、この記載に沿った形で工夫して図示などもして追加した上で分かりやすく整えていただくという部分ですので、そこの部分をきちんと記載を増やす、あるいは図示することによって、分かりやすく伝わるようにということで工夫をしていただくということを、業者にはしっかり伝えたいと思っているところであります。
 二つ目に、研究用で出回っているというところに関しては、後ほど本部の方からもお答えいただきたいと思っています。
 あと、医療用でも性能に差があるという御指摘もいただいています。確かに、そのような部分はあるかと思いますけれども、基本的には、今回、性能の部分について承認条件が残っているものについては、まだ不十分だということで、そういったものをしっかり解除されたものだけはOTC化の対象としてもいいという措置をするつもりです。先生の御指摘に全て答えられていないかもしれませんけれども、そのような形で対応することが今の段階ではできることかなと思っています。
 あと、どのように破棄するかという点についても、記載が足りないのではないかという御指摘がございました。ここに関しては、12ページになりますけれども、患者向けの説明資料で、「廃棄に関して注意すること」ということで記載はあるということですけれども、ここの記載を、例えば下の「新型コロナウイルスなどの感染症対策としてのご家庭でのマスク等の捨て方」でインターネットのURLを示していますけれども、さらに、この中に文章として引用するなり、もう少し拡充すべきということがあれば、そういったことを加える形で対応したいと今のところは考えます。
 あと、インターネットで不適切な記載があるのではないかというところですけれども、ここについては確かに御指摘は受け止めさせていただかなければいけないので、11ページの3-2ですけれども、必ずしもインターネットでこういった情報を出さなければいけないというのは、すぐには必須ではなくて、あくまで製販業者の方が使用者の方に向けて製販業者のインターネットを通じて見られるようにしておくという位置付けで、まずは必須ではなくて、あくまでここの使用者向けの説明資料でしっかり薬剤師などの方々を介していただいて、正しい情報をしっかり伝えるということが一義的ですので、ここの部分については、もう少し記載を見直すこととして、一旦、インターネットを通じた情報提供の部分については保留させていただいてもいいのかなと。もう少しきちんと整理した上で、先生にも御確認いただいて、載せられるようなものになったら業者に示すという形にするということも一つあり得るかなと考えています。私からは以上です。
○荒井部会長 事務局の方から、ほかに追加はありますか。
○事務局 コロナ本部でございます。研究用キットに関しての御指摘がございました。研究用キットに関しましては、これを自ら陽性かどうかという判断のために用いることは全く不適切であるということで我々も考えておりまして、これまでも、消費者庁と連携をして、これはそうした目的で使われるべきものではないということ、あるいは業者に対する行政指導などを行う取組も行ってまいりました。こうした取組につきましては、引き続きしっかりと取り組んで、研究用キットが業者から言えば抜け道的に売られたり、あるいは国民の皆様の側からしたら誤解をして使われることのないように、できる限りの取組をしてまいりますし、むしろOTC化を踏まえてしっかりやっていくことが大事だと思いますので、そこは医療用ではないために法的な限界があるので難しさは正直あるのですが、できる限りの取組をしっかりしてまいりたいと思います。我々は消費者庁とも連携して、これまで以上に取り組んでまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。今の言葉は非常に重いので、ぜひ消費者庁と連携を取りながら、研究用が世の中に出ていること自体がおかしいので、OTC化するのであれば、それがなくなることが前提だということをしっかりとお考えいただいて、速やかにそういう行動をとっていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。
○荒井部会長 ありがとうございます。お気付きと思います。今日、実は1時間の会議の予定がもう既に10分ほど超過しております。委員の方々もいろいろ御都合があるかと思いますけれども、もう少しお付き合いください。小西委員、いかがでしょうか。
○小西委員 様々な御意見をいただいて、確かにクリアしないといけないことがたくさんあるのはよく分かりましたけれども、やはり一番大事なことは、早くOTC化を進めて、国民の皆さんの期待に応えることではないかと思っております。できるだけ早く、一般の方々にこの検査キットが出回るようにしていただきたいです。この審議会でストップすることのないように、早くクリアして、できるだけ早くたくさん供給を促して、一般に出回ることが一番大事かなと思っているので、どうぞよろしくお願いします。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、ほかに特に追加の御意見がなければ、議決ということになりますが、今日様々な御意見をいただいて、その中には先ほどの事務局から返答にもありましたように、見直さなくてはいけない、あるいは検討しますという部分もあり、このままガイドラインの(案)を取りましょうというような議決はできません。
 ただ、小西委員から最後に御発言がありましたように、この全体の方向、なるべくすぐ市民の皆さんに手が届くところに持っていこうという方向性に関して、「この部会はそれを妨げようとする意図はない」ということは言って良いかと理解しております。
 ただ、幾つかの重要な御指摘をいただきましたので、部会の議決としては、「基本的な大きな方針としてはこれいいでしょう、ガイドラインを作りましょう。ただ、今日御指摘いただいた点については、きちんと検討あるいは修正を加えていただき、その上で改めて委員の方々に修正なりなんなりをお示しいただいて、最終的に部会として認めさせていただく」という方向でまとめたいと思いますが、事務局はそれでよろしいでしょうか。
○医療機器審査管理課長 機器課長ですけれども、修正案については至急確認をいただいて、最終的には座長一任という形を取っていただけないかというのがこちらの希望でございます。
○荒井部会長 座長一任というと私には重いですね。どうでしょうか。委員の方々、そういう形で御承認いただけますか。
 確かに迅速に対応しなくてはいけない場面ですので、言葉は悪いのですが、この部会でもたついてしまうとか、止まってしまうことは絶対避けたいと思います。場合によっては御専門の領域に関して私の方から助言をいただくことがあるかもしれませんが、その上で、最終的には部会長として私の方でガイドライン(案)の(案)を外す最終バージョンを認めさせていただくという手続でよろしいでしょうか。委員の方々から特に反対はございませんか。
 ありがとうございます。それでは、その方向で進めさせていただきたいと思います。
 今日は議題が一つだけで、これで議題についての議論は以上なのですけれども、特に御発言はなくてよろしいでしょうか。課長さんの方も今のまとめ方でよろしいですか。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、本日の議題は以上です。事務局よりその他連絡事項はございますでしょうか。お願いいたします。
○医療機器審査管理課長 先生方におかれましては、本日、御多忙の中、医療機器・体外診断薬部会に御参加いただきまして誠にありがとうございます。次回の部会は、また後日メールで御連絡させていただきたいと思っています。連絡事項は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。今日の内容は大変急ぎのものでしたし、御議論いただいた上に私の不手際もあり時間が延びてしまい申し訳ございません。
 ただ、ここから先、9月以降の部会も結構重いテーマが続々と出てくるようです。委員の方々にはお手数をおかけしますが、引き続き御援助いただければと考えております。よろしくお願いいたします。
 それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていきます。どうも長時間ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 高畑(内線4226)