第31回政策評価に関する有識者会議 議事録

日時

令和5年3月27日(月)13:00~15:04

場所

オンライン開催

出席者

菊池座長、井深委員、岩佐委員、岩崎委員、印南委員、大西委員、玄田委員、佐藤委員、新保委員、田宮委員、新田委員、藤森委員、松浦委員、皆川委員、村上委員

議事

 

○室長補佐
 ただいまから、第31回政策評価に関する有識者会議を開催いたします。政策評価の担当をしております肥沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 委員の皆様におかれましては、オンラインでの会議開催に御協力いただきまして、御礼申し上げます。今回はオンラインでの開催となりましたので、御不便をかけることもあるかと思いますが、会議途中で不都合等が生じた場合にはWEBEXのチャット機能又は電話にて事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 また本日は、宮﨑委員及び平野委員におかれましては御都合がつかず、会議を御欠席となりました。また田宮委員は、30分程度遅れての御参加となります。
 本日の会議に当たり御注意いただきたい点を申し上げます。本日の会議では、事前に委員の皆様にお送りしました会議資料を使って議事を進めさせていただきます。会議中は、御自身が御発言される場合以外は、マイクをOFFにして、音声をミュート状態にしていただくとともに、ビデオは停止状態にしていただくようお願いいたします。御発言の希望がある場合には、WEBEXの「挙手」アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局に御連絡ください。事務局にて御発言の希望を確認した後、発言者を座長が指名いたしますので、座長からの御指名を受けましたらミュートを解除し、御発言ください。発言に合わせて御自身の映像を表示される場合には、「ビデオを開始」をクリックいただければ、皆様の画面及び会場のモニター上に映像が表示されます。御発言が終わりましたら再度マイクをミュートにするとともに、ビデオも停止していただくようお願いいたします。
それでは議事を進めたいと思いますので、本日の議事進行につきましては、座長の菊池先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
 皆さんこんにちは。期末の大変お忙しい中、御出席いただきましてどうもありがとうございます。本日は、全体会議でございます。議事次第にありますように、議事(1)~(8)まで、多岐にわたって論点がございます。委員の皆様に御議論いただきたいと思います。それでは、本日の議論の具体的な進め方について事務局から御説明をお願いいたします。
 
○室長補佐
 本日の議論の進め方について御説明いたします。座長から御発言がありましたとおり、本日の議事は多岐にわたりますことから、会議運営の効率性の観点から、議事(1)~(5)までをまとめて御議論いただくこととしたいと思います。その後、議事(6)以降を御議論いただきます。委員の皆様からの御議論に先立ち、議事内容について事務局より御説明いたしますので、その後に委員の皆様に御議論、御発言を頂ければと思います。事務局からは以上でございます。
 
○菊池座長
 それでは早速、議事(1)~(5)までまとめて事務局から御説明をお願いいたします。
 
○室長補佐
 それでは事務局より、議事(1)~(5)につきまして、資料をもとに御説明したいと思います。お手元に資料1から順に御用意いただけますでしょうか。
まず資料1は、御報告内容となります。総務省の政策評価審議会において、昨年12月21日付けで答申が出されました。こちらは政策評価について、今後の改善についての答申ということになります。具体的には、4ページ「2.具体的方策」という所に、(1)効果検証の取組の推進という記載がございます。こちらで記載しております内容を簡単に御説明いたしますと、政策評価が今後の政策立案に活かされるというようにという観点から、政策の見直し・改善を適切に行うためには、立案段階で政策目的に照らして事前の想定を明確にすること、すなわち、立案の段階から効果検証を念頭において、政策の見直し・改善を行うこと。また、その結果を踏まえて適時に効果検証を行い、軌道修正をしていくことが必要だということが書かれております。また、その過程において、デジタル技術の進展を踏まえ、納得できる根拠・データを活用・取得できるようにしていかなければならないといったことが書かれております。
このような御指摘につきまして、厚労省に当てはめて考えてみますと、今年度より策定しております概要で、現状分析、またその結果を踏まえた課題の設定を以前よりも精緻に行うようにしており、新しく活用できるデータ等が増えてまいりますことから、既存のデータにとらわれず、新しいデータも活用しながら、現状分析を更に充実させていきたいと考えております。資料1については以上でございます。
 続きまして、資料2-1と資料2-2を御用意ください。こちらは、厚生労働省で定めております政策評価に関する五か年計画でございます。今は第5期計画の途中で、令和4年度から令和8年度を計画期間とする第5期の計画期間中でございます。令和5年度は期中でございますので、マイナーチェンジということで、具体的には16ページ以降に付いている別紙の部分について改定を行う予定です。具体的な改正点は、資料2-2を御覧ください。資料2-2に政策体系新旧対照表がございます。こちらの4ページ、基本目標Ⅵの部分です。施策大目標1の赤字の部分が修正の箇所でございます。「労働者」と記載しておりましたところ、「非正規雇用労働者を含め全ての労働者」ということで、意味するところは変わりませんが、非正規雇用労働者に関するキャリア形成の機会というものの重要性が指摘されておりますので、こちらを明記するという形で修正したいと考えております。
 続きまして、同じく4ページの下段です。子ども・子育て関係につきましては、御承知のとおり、この4月1日からこども家庭庁に移管されますので、こちらの関連する施策は厚労省の政策体系から削除という形になります。ただし、この施策大目標2の中の配偶者による暴力被害等の部分につきましては、今後、5ページの中段の右側の所、1-4「困難な問題を抱える女性への更なる支援体制の充実」という所に移管したいと考えております。御承知のとおり、昨年5月19日に議員立法により、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が成立し、令和6年4月1日に施行が予定されているところでございますので、DV被害だけでなく、困難な問題を抱える女性への支援について、1つ新たに柱立てをしたいと考えております。
 続きまして、5ページの下から2番目、障害児支援の関係については、こども家庭庁に移管されますので、こちらも削除という形になります。
 6ページ以降は、条ずれということになります。こちらにつきましては以上でございます。続きまして資料3に移らせていただきたいと思います。
 資料3につきましては、こちらも厚生労働省で定めているものですが、基本計画の下に実施計画、実施要領を毎年度定めております。こちらの実施計画につきまして、本文の修正部分は基本的に全て時点修正となっております。中身の修正としては、別紙1と別紙2が新しく付けているものです。別紙1につきましては、令和5年度に評価を行う施策、またその評価方式を記載しております。こちら、それぞれの施策の横に○が付いている施策について、令和6年の夏にその実績を評価するという形で予定しております。これは、昨年6月に各WGにおかれまして、事前分析表にて目標等々の設定を御確認いただいた施策になっております。別紙2につきましては、追って資料9で御説明いたしますので、こちらの場では割愛させていただきます。
 続きまして、実施要領のうち、改正の内容がある部分、資料4について御説明させていただきたいと思います。こちらは事前分析表の記載要領で、実際に担当部局が事前分析表を作成する際に、こちらの記載要領を見て作成するというものになります。変更点としては、4ページをおめくりください。下段の22の※6に、「また、」ということで新たな記載を追加しております。御承知のとおり、経済財政諮問会議等でも、各種施策について工程表を作成してKPIを設定しておりますが、工程表のKPIとして設定されている内容であっても、直近の実績値を踏まえると、そのKPIの水準よりも高い水準を目指すことができるようなものについては、直近の実績値を踏まえた目標水準の設定をお願いしたいということで、ある意味当然のことですが、原局のほうが迷いなくそのような目標水準を設定できるように後押ししたいと考えております。こちらについて、内容の面の修正は以上でございます。
 次に、資料5に移らせていただきます。資料5につきましては、資料5、6、7に共通しますが、今年度開催しましたWGについての御報告になります。まず資料5、A3の横長の資料ですが、こちらは令和4年6月及び令和4年8月に開催した3WG、すなわち合計6WGで出された個別の御意見につきまして、事務局で議事録を基に御発言内容から御指摘内容を拾って、担当部局に現状、対応状況等を照会したものになります。こちらにつきまして、御意見等々をお受けしますが、やや細かい内容になりますので、こちらについては可能であれば書面にて会議開催後に御意見を頂ければ幸いでございます。
表紙の部分、全体として6WGで150個の御意見が出ました。「対応」と区分しているものは約6割、「引き続き検討」が10%程度、「対応困難」が14%程度、「事実関係の照会等」が16.4%という形で整理させていただいております。この区分分けが適切ではないのではないかといったような御意見等々もあるかと思いますが、そちらについても、会議終了後に書面にて御意見を頂ければ幸いでございます。
 残り2つの資料です。資料6を御覧ください。こちらも、今年度から新たに評価書の概要として、ロジックモデルを作成することといしました。こちらにつきましては、委員の皆様から同じような御指摘を何度もいただかないように、原局向けに、今後、インストラクションとしてお示しすることを念頭に置いております。
 具体的には、1ページ目です。こちらは福祉・年金WGで8月に御議論いただいた施策、公的年金制度を構築し、適正な事業運営を図ることという施策でございました。こちらの現状分析を見ていただくとお分かりのとおり、制度改正の内容を記載しており、施策を取りまく現状について、データから読み取れる傾向等々が記載されておりませんので、こういったようなところは今後修正の必要があると考えております。また、現状分析がデータに基づく分析になっていないがゆえに、課題や達成目標の設定が施策目標とほぼ同じような文言になってしまっている状況が見受けられます。
 例えば、3ページです。こちらは労働WGで御議論いただいたもので、技能実習制度の関係でございます。こちらもよくある御指摘でございましたが、施策目標名と達成目標名がイコールになっているという御指摘が多くありました。こちらは現状分析の部分につきましては、比較的細かに分析できていたのですが、その現状分析が課題までは活かせているというところだったのですが、そこの達成目標になかなかブレイクダウンできていなかったことで、上から下に行くにしたがって課題設定や課題を踏まえた目標設定がきちんとできているかというところを、改めて考える必要があるのではないかということでございます。
 続きまして、4ページです。こちらも達成目標の部分、福祉・介護人材の養成確保ですが、達成目標1~3を御覧いただくと、特に達成目標1及び2で、総合的な介護人材確保対策の実施、外国人介護人材の活用の適切な推進ということで、総合的な何々の実施、適切な何々の推進という達成目標を掲げることが、ほかの施策でも非常に多いですが、この場合には総合的な対策に含まれる内容を適切に要素ごとにブレイクダウンした目標の設定をしていただきたいということ。また、適切な推進といった場合にも、適切な推進のために具体的に現時点でどのような課題があるのかを現状分析していただいた上で、適切な推進をブレイクダウンした目標設定をしていただきたいということを御議論いただきました。
 5ページです。同じように、医療・衛生WGで御議論いただいた内容の中で、例えば、「3.看護職員等の確保」で、現状では領域別の偏在について言及があり、課題にも領域別の偏在について記載があるのですが、目標の所になると量的確保のみが記載されることによって、測定指標として全体の就業看護職員数のみになってしまっている。課題として記載した内容が、達成目標や指標まできちんと反映しきれているかどうかも、今後細やかに確認していかなければならないということで、主に原局向けに、優良事例というよりは、御指摘をいただいた点を中心にまとめさせていただき、こういう点があるとちょっとよろしくないので、気をつけて作成しましょうということを、事務局としても、原局に対してサポートしていきたいと考えております。
 最後に、資料7を御覧ください。こちらは、昨月2月に開催いたしました各WGにおける御議論になります。それぞれの施策に関しまして、御所属のWG以外についても御意見があるかと思いますが、そちらについては、追って会議終了後に事務局まで書面にて御意見を提出いただければと思います。こちらで御説明しますのは、ほかのWGにも共通する課題を御紹介させていただきます。
時間の関係で全ての御紹介が難しいのですが、例えば1ページの施策目標Ⅰ-6-2の1では、測定指標とて、最終的な目標としてのアウトカム、この場合、移植医療でしたので、移植医療の件数という最終的なアウトカムだけではなく、足下での取組、アウトカムに至るまでにどのような取組があるのかを明らかにするためにも、アウトプットの指標を設定するべきという御指摘がございました。また一方で、その下のⅠ-7-3の2では、アウトプット指標だけでなく、適切なアウトカム指標も設定するべき。その場合には、先ほど申し上げた工程表で設定されているKPIだけではなく、NDBデータ等々を活用したアウトカムの設定等も検討すべしという御指摘をいただきました。
 次に、2ページです。こちらの施策目標Ⅲ-5-1の1につきましては、適切な課題設定のためにも、現状分析でお示しする部分につきましては、特に取組が進んでいない部分の属性、業種や事業所規模等を明らかにして、ターゲット層を明確にする。また、そのターゲット層に対してどのような取組をし、どのような効果があるのかを、データを用いて示すべきであるといった御指摘を受けました。また2として、現在の政策評価の政策体系の立て方が制度別になっておりますので、所管課で、「これは所管外なので」という答えが散見されることがございますが、今後どのような分野との連携が必要かという観点も含めて回答するようにという御指摘もいただきました。また、施策目標Ⅴ-4-1につきましては、前例や連続性の観点も重要だが、現時点における状況を適切に分析することが必要である。それゆえに、平時における制度と緊急時における制度の役割が異なる場合には、過去の緊急時における対応等々も踏まえ、適切な効果検証ができるよう目標設定をするべきという御指摘をいただきました。
 最後に、3ページを御覧ください。福祉・年金WGで御指摘いただいた内容につきましては、簡単に御説明しますと、例えばⅦ-3-1で、事務作業の実施主体がどこであるかにかかわらず、国民目線の施策の進捗状況を把握すべき。実際に、福祉施策では都道府県や市町村が実施主体になっている場合が多いですが、そのような場合であっても、都道府県格差をどのように国民目線で捉え、それを評価していくのかという観点で、御指摘をいただきました。
このような点を御指摘いただきましたので、共有させていただきます。事務局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御報告、御説明につきまして、御意見、御質問などございましたらお願いいたします。挙手機能を使ってお示しいただければと思います。会場に佐藤委員がお越しですので、もし何かあれば私のほうに合図を頂ければと思います。いかがでしょうか。田宮委員、お願いします。
 
○田宮委員
 ありがとうございます。たくさんの内容、特に政策評価においてとても重要な点をまとめていただいて、ありがとうございます。伺って一番申し上げたいと思ったことは、これはもう法律がこうなったから仕方ないことなのですけれども、こども家庭庁ができて、子どもを総合的に評価して政策を進めていくのはとてもいいことだと思うのですが、それによって、厚労省から子どもの部分の政策の評価がすべてこども家庭庁にいってしまうということを今回気が付きました。やはり今まで厚労省さんでいろいろやってこられた部分ですし、あと、障害児の部分もそうなるのですけれども、やはり子どもから大人へのリエゾン、特に障害児の場合も、小児科の領域から大人の領域へとか、そのつなぎの部分が大事です。それから厚労省行政全体の中での子どもの位置付けもとても重要だと思います。法律によって評価の軸からは外れてしまっても、同時に何かをやるとか、共有をしていくことなどが必要ではないかなと思いました。
 
○菊池座長
 ほかにもございますか。おありでしたらまとめてお願いできればと思います。
 
○田宮委員
 そうですか。ありがとうございます。そうしましたらもう1つあるのですけれども、ひきこもりの話とかはこれからでしたか。
 
○菊池座長
 ただいま説明のあった議題についてです。
 
○田宮委員
 そうですよね。それではまずここまでで結構です。
 
○菊池座長
 事務局から何かありますか。
 
○室長補佐
 今、御指摘いただいた内容ですが、こども家庭庁が創設されることによりまして、子ども関係施策がこども家庭庁に移管されることによって、厚労省の政策評価から外れてしまうという点は、若干、やむを得ない部分ではあるのですが、そうは言いましても、田宮先生御指摘のとおり、厚労省で実施している施策といいますのは、子ども関係施策との関係も非常に強いものがございます。実際、職員もこども家庭庁に出向するというような形で創設されると聞いておりますので、今後も子ども関係施策との連携ですとか、また評価の面でも、こども家庭庁でどのような評価が行われるのか、そういう点につきましてはフォローしていきたいと考えております。以上でございます。
 
○田宮委員
 ありがとうございます。お願いします。
 
○菊池座長
 大変貴重な重要な御指摘をいただきました。例えば障害児施策がこども家庭庁に移管されて、政策評価の項目も移りましたけれども、では障害者施策としてどうなのかという話になりますと、トータルでその評価ができなくなるのかというような問題もありますので、ただいまの田宮先生の御指摘、全体にわたって留意する必要があると思っています。ありがとうございます。それでは印南委員、お願いします。
 
○印南委員
 質問です。あちこちでアジャイル型政策形成が議論されていると思うのです。この中にはそういう言葉が見当たらないのですが、それはどうしてなのかなということです。それからアジャイル型政策形成がうたわれている領域については、政策評価はアジャイルにやるのかという、非常に素朴な質問なのですが、お答えいただければ幸いです。
 
○菊池座長
 事務局のほうでいかがでしょうか。
 
○室長補佐
 御指摘ありがとうございます。アジャイル型の政策評価というものは、主に行革事務局のほうで御提言いただいているような内容なのですが、今回の総務省の政策評価の提言、答申につきましては、行革事務局と一緒に検討を行いまして、考え方として臨機応変に現状を分析し、それを政策評価に活かしていこうという発想でございます。ですので、使っているワーディングが違うというだけで、理念としては資料1の中に、「柔軟に」とか「機動的に」というような言葉が入っております。
 例えば1ページ目の部分に、先生方にお送りした資料では黄色いマーカーをさせていただいているかと思うのですけれども、1ページ目の「1.目的」という所の4行目の「デジタル時代にふさわしい政策形成・評価の在り方に関する提言」というもの、こちらはアジャイル型の政策評価というものを念頭に置いておりまして、社会経済の急速な変化に対応できる行政を実現するためには、政策の効果等を適時に把握・検証し、機動的かつ柔軟に政策の軌道修正ができるようなアプローチが重要ということを書いておりまして、政策評価のほうでもアジャイル型の政策評価というものを目指しているというところに変わりはございません。その文言が使われていないというだけでございます。説明になっているでしょうか。
 
○印南委員
 ありがとうございます。言葉が明示的に出ていないということですね。
 
○室長補佐
 そうでございます。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。確かに社会保障におけるDXの推進というのは、昨年末の全世代型社会保障構築会議でも大きな柱として、前面に押し出された政策推進の柱になっていると思うので、そういうのが出てこない、できていないのではないかという、そこは追い付いてないようにも見えるのですが、そういうことはないのですかね。その辺、私から事務局にお聞きするのも変なのかもしれないですが。
 
○室長補佐
 基本計画が5か年の基本計画になりまして、5か年の中では基本的に余り大きな変更をしないということは、連続性の観点から考えていましたので、直近で大きな制度変更に向けた検討等がなされているものはなかなか今の政策体系のほうには入り込んできていないというような御指摘かと思います。そちらにつきましては、実際、法律が通ったとか、そういうときに、適時・適切に反影していきたいと考えております。
 
○菊池座長
 それは期の途中であってもということになりますかね。
 
○室長補佐
 そうですね。基本的には、これまでは期の途中では余り大きな変更をしないということがございましたが、そこは先生方の御指摘なり御意見を踏まえて、今後、検討してまいりたいと思います。
 
○菊池座長
 オンライン資格確認などという大変大きな制度改正が今進んでいるところでございますので、その点は適宜、必要なものは期の途中でも取り込んでいくという。
 
○室長補佐
 はい。個別施策のほうには取り込んでいきたいというふうに考えておりまして、実際にオンライン資格確認は個別の施策の目標の中には取り込んでいるという形にはなっております。
 
○菊池座長
 失礼しました。
 
○室長補佐
 はい。
 
○菊池座長
 印南委員、すみません、ちょっとこちらでやり取りしてしまいましたが、よろしいでしょうか。ほかに何か。
 
○印南委員
 ありがとうございます。趣旨は同じです。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。事務局からございましたように、個別の項目についてお尋ね等があるかもしれませんが、それは個別にまた事務局のほうにお寄せいただけましたら、対応させていただきます。これは皆さんで共有したほうがいいということがあれば、また追ってでもそのようにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、特段ございませんようでしたら、次の議題にまいりたいと存じます。議事(6)の「分野横断的に実施している政策の評価書」について、御説明をお願いいたします。
 
○室長補佐
 それでは、事務局より資料8-1及び資料8-2を用いて御説明いたします。まず、資料8-1の1ページです。令和4年度より分野横断的に実施している政策についての評価書を試行的に作成することとした背景について、簡単に御説明させていただきます。
1ページは、昨年の3月にこの有識者会議にお示しした資料です。こちらでは、「近年では、複合的な課題を抱える対象者層に対して、複数の施策が連携してアプローチするケースが増加」と書かせていただいています。先ほども御説明したとおり、施策評価の範囲を決めている政策体系の立て方は、これまで制度単位で設定しておりましたので、評価もどうしても制度単位になってしまうということがありましたが、第5期基本計画期間では、試行的に、複数の施策目標にまたがる分野横断的な課題の進捗状況を把握し、評価したいと考えております。
 次の2ページです。このような政策の評価に当たり、令和4年度は、まずは就職氷河期世代への支援をテーマとして取り上げたいと考えております。こちらのテーマ決定時において、令和4年度までに集中取組期間が終わるということがありましたので、このテーマを選定させていただきました。ただ、実際のところ、この集中取組期間は第1ステージとなり、令和5年度からは2年間延長されることになりました。こちらが第2ステージと位置付けられ、正規の雇用者を30万人増やすことを目指しております。
 また、就職氷河期世代の施策は、1ページの右側に厚労省関係を列記させていただきましたが、個別の施策の実施状況や今後の取組については、内閣官房の担当課室にて各施策の実施状況等を幅広く取りまとめていると承知しております。そこで、厚生労働省で実施している就職氷河期世代支援施策のうち、こちらの会議では、特に地域の複数の機関が連携して支援を行う際のポイントを考えてみたいと問題設定をしました。
 具体的には、複数機関が連携した効果的な支援として、下の灰色の枠囲みに書いてあるとおり、当事者目線で見ると、困っている当事者がどこに聞けばよいのか分からない、またはたらい回しになるといった状況を回避したりなど、状況や状態の変化に合わせた必要な支援を受けられること。また他機関への橋渡しがスムーズに行われること。また、右肩上がりの変化ばかりではないと考えておりますので、必要に応じた定着の支援等ができること。こういったことが必要になるかと思います。
 そのために関係機関に求められることとしては、各機関の役割を明確にし、お互いがその役割を認識すること、また、他機関へのリファーを行いやすい関係の構築、当事者間で御本人の状況・状態を共有し、どのような支援をどこで行うのかを共有すること等、これらが恒常的にワークするようなスキーム作りを考えてみたいと思っております。
 次に3ページです。このような中で、各就職氷河期支援施策の中で実施している施策は非常に多岐にわたりますが、今申し上げた施策同士の関係性に着目すると、必ずしもこの連携という観点で関わるような施策が全てではないと考えております。例えば、ひきこもり支援のように個々人の状況に合わせた息の長い支援を行う施策は、定量的な評価だけでは捉えきれない部分もありますし、サポステで行われている利用者への支援も、こちらも定量的評価だけでは必ずしも施策の進捗状況等を把握できないのではないかという問題意識から、具体的に好事例と呼ばれている所、サポステにおいては横浜、身近な基礎自治体におけるひきこもり支援については北上市、それぞれの事例を取り上げながら考えていきたいと思っております。
 具体的な内容は資料8-2で御説明させていただきます。資料8-2をお手元に御用意ください。1ページ、評価対象です。就職氷河期世代への支援を記載しております。厚生労働省で実施している就職氷河期世代への支援については、雇用や福祉など分野横断的に様々な施策が講じられています。時間の関係から、全て読み上げることはしません。少し説明を割愛させていただきます。
 次に2つ目の○です。今回、具体的には、サポステにおける就職氷河期世代の方への無業者支援と、身近な基礎自治体におけるひきこもり支援を取り上げたいと考えております。これら2つを取り上げる理由については、先ほどの御説明で代替させていただきます。
 続きまして2ページ、「2.本評価書の目的」の部分は、先ほどの御説明と重複いたしますので割愛させていただきます。「3.施策を取り巻く現状」として、中高年のひきこもり数の推計等を御紹介させていただきます。平成30年度に内閣府が行った調査によると、満40歳から満64歳までのひきこもりの方の推計数は61.3万人、またひきこもりの状態になってから7年以上経過した方は5割を占め、長期に及んでいる傾向が見受けられます。下の(2)の江戸川区が令和3年度に行った調査でも、同様な傾向が見受けられます。
 一方で、3ページ、当事者が必要と考えるものについて、「何も必要ない、今のままでよい」といった方はひきこもりの年数が増えるにつれて増加傾向にあることが分かります。平成27年度に内閣府が行った調査によりましても、関係機関への相談の有無については、いずれの年齢層でも半数以上が「ない」といった状況が見受けられます。
 (3)として、就職氷河期世代の就労状況について、内閣府の分析を引用しております。こちらは就職氷河期世代について前後の世代との比較をしております。就職氷河期世代については、大学の新卒の就業状況は平年比で約10ポイント程度低下している状況です。この氷河期世代は、男性については20歳代後半から就業率が上昇し、30歳代以降になるとその前の2世代との差がかなり少なくなり、ほぼ同水準になっていきます。女性については、2世代前に比べ、社会参加や婚姻による退職の減少等の背景があり、30歳前後では10ポイント程度の増加があり、以降は低下が見られない形になります。正規雇用比率については、男性では前の2世代に比べて30歳前後で10ポイント程度低く、40歳代前後になって前2世代に並ぶような動きになっています。
 4ページです。このように就職氷河期世代に学卒者であった方については、卒業後からの期間の長短や雇用形態の違いはありながらも、就労している方の割合は一定の改善傾向が見られるが、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行ったこともあるので、不本意ながら不安定な仕事に就かれている、無業の状態にあるなどの様々な課題に直面している方もいらっしゃいます。また、一度も就職の機会を得られなかった方やひきこもりの状態にある方は、特に難しい問題を複数抱えていらっしゃる可能性があります。
 その下、「4.施策の概要」です。まず、サポステにおける支援の概要について簡単に御説明いたします。サポステといいますのは、働くこと等に悩みを抱えている、年齢は15~49歳の方を対象にしています。従来は15歳から39歳でしたものを、令和2年度から全てのサポステ177か所において49歳まで引き上げています。
 その下、身近な基礎自治体におけるひきこもり支援について御説明しますと、ひきこもりに特化した専門的な相談窓口は、都道府県又は指定都市に「ひきこもり地域支援センター」というものを設置しています。それが、平成30年以降、身近な基礎自治体である市町村に、認意事業ではありますが、「ひきこもりサポート事業」というものを開始してきています。令和3年度では、166の自治体が実施しております。
 その下、具体的に、今回、取材をしてきましたそれぞれの好事例について御説明いたします。5ページの一番下段、「5-1 よこはまサポートステーションにおける就職氷河期世代への支援」について御説明いたします。まず(1)運営体制です。こちらは「特定非営利活動法人ユースポート横濱」が受託者となり運営されています。職員数は常勤が23名、相談件数が1か月当たり約900件、年間で1万件を超えております。氷河期世代向けのモデル事業やプログラム事業等を実施された経験があることが、5、6ページに記載されています。
 お時間の関係で少し飛び、7ページです。具体的な支援の特徴を担当者から聞いてまいりました。こちらのよこサポさんでは、全ての利用者の方に対して1対1の担当者制を取られていることです。また、初回の面談で、利用者の抱える悩み等に対して支援員が時間を掛けて状況をある程度聞き取り、どのような制度や機関を利用していくのかも踏まえ、出口を見据えた支援方針を共有されているとお話をお聞きしました。また、他機関から紹介を受ける場合には、御本人ではなく、可能な限り他機関の担当者の方から御連絡を受けるようにしている。その際に、お伺いした内容によって、サポステ以外の利用が望ましいという場合には、御本人がたらい回しにならないように適切に別な機関を御紹介しているとお伺いしました。
 7ページの3の所、こちらが少しポイントになるかと思います。担当者制による支援の流れです。よこサポさんでは、支援のカウンターパートとなられるのはよこサポの担当者で、利用者様が必要なときに必要な支援を受けられるように、よこサポのそれぞれの担当者が必要な支援をコーディネートするということでした。そのために、利用者がサービスを利用する度にそれぞれの窓口に行って、自分のこれまでの経緯を説明するなどの行為を何度もしなければならないといったようなことはない、たらい回しにより利用者が出口に向けたステップを中断することがない取組をされていると伺ってまいりました。
 次の8ページの1ポツの所、ここがややポイントとなっております。利用者にとって、担当者がいわゆる地域のハブ機能を果たしてくれる存在となっており、地域の関係者が集まって行う「合同ケース会議」という形での連携体制は取っていないが、よこサポがハブ機能を果すことで地域の関係機関との連携ができているという御説明でした。また、そのために、地域の関係機関によこサポの役割を紹介するといった取組は、4の所で実施しているとのことでした。
このような取組を実施するために、(4)人材確保・養成の所で、このような理念を共に実現していく職員の採用に際しては、相応の知識・経験・スキルのある方を常勤として雇用しているということでして、常勤として雇用した後も、職員のスキルアップ等を目的に、月1回をめどに職員が全て参加した全体会議を開催し、個々の職員のアセスメント相談スキルの向上を図っているということです。
 実際に、職員の方が就職氷河期世代の方への支援の中で気づかれた内容等をお伺いしてきたところが(5)以降です。こちらが8、9ページに続く部分なのですが、40代の氷河期世代の方がサポステ利用に至る契機の1つとして、本人を取り巻く環境の変化があると伺いました。御本人が意図せずして環境変化に直面して来所される場合があるとのことです。また、就労のブランク期間が長くなればなるほど、就労に向けた担当者との面談の初期の段階においては出口が正規雇用しか設定できない場合があるということで、例えば、親御さんが「働く」といった場合に「正社員」という認識が強く、その考えがそのまま支援対象者である氷河期世代の利用者にも引き継がれてしまっている場合があるということで、このような場合には、まず御本人の認識の変化を促すことも必要だというお話も聞かれました。
 また、もう1つ下の○です。御本人自身ではなく、御家族に関する問題も同時に発生している場合もあるということ。ただ、それが支援の対象であることを知る機会が乏しく、どこに相談すればいいか分からない、適切な支援を受けるためにかなり大きな労力・時間を要する、また御本人が現状に対して問題があると認識されてない場合も多いと、お伺いしました。
 10ページです。以下は、よこサポさんが考える現状での課題をお伺いしてまいりました。こちらは、よこサポさんの目線からになりますが、委託事業の課題について、まずおっしゃっていたのが、信頼関係を築いた支援員が交代することがきっかけで支援の中断を招くおそれがあること。また、利用者が複合的な課題を抱えている場合が多いので、制度の狭間を埋める幅広い支援が重要であるということで、こちらのユースポート横濱さんでは、サポステ支援と生活困窮者自立支援を一体的に運用する必要があると考えられていること。ただし、いずれも国や横浜市からの委託事業として競争入札により受託者を選定するがゆえに、受託期間を超えての中長期的な事業運営の展望を立てるのが難しいといったお話が聞かれました。また、職員の待遇の部分についても、もう少し高い給与を提示したほうが採用は楽になるというお話も聞かれました。職員のスキルアップについても、財政上の制約から、なかなか支援をすることが難しいといったことが聞かれました。
 最後に、就職氷河期世代への支援の効果の評価についてお話がありました。「正規雇用者を30万人増加させること」が就職氷河期世代への支援の目標として政府として打ち出されているのは承知しているが、サポステでの支援の現状は、短期間で正規雇用に結び付くことが少ないので、そこばかりが強調されてしまうことにやや違和感があるというお話をされていました。
続きまして、5-2の「北上市におけるひきこもり支援」の現状について、簡単に御説明させていただきます。北上市の現状の部分は割愛させていただきます。具体的には、12ページの(2)「北上市におけるひきこもり支援」を御覧ください。北上市では、それまでひきこもりという問題がなかったわけではなく、各支援の現場では対象世帯をアセスメントする中でひきこもりの問題を把握はされていたのですが、それに特化した支援を開始したのが平成29年度からでした。
 具体的な取組としては、支援者間の情報共有、常設の居場所、アウトリーチ機能というものを充実させようと考え、市の関係部局や社会福祉協議会等がメンバーとなり、関係機関が相互に連携するためのプラットフォームを令和2年8月に設立したとのことです。それが、13ページの上段の図になっています。
 居場所機能については、相談窓口という形ではやや心理的なハードルがあり、ひきこもりの当事者や御家族が訪れにくいということで、町中にコミュニティスペースのような形で居場所を設けることを考え、従前よりそのような取組を独自に実施していた団体に委託をして実施しているとのことです。また、能動的な支援であるアウトリーチについては、社会福祉協議会への委託を行っているということです。
 ひきこもり相談事業の状況等については割愛させていただきます。続いて、14ページの1つ目の○の途中の所、地域包括ケアセンター等の他の行政分野に関する機関が、ひきこもり当事者を把握する端緒になり得るものですので、社協ではアウトリーチ支援の情報を発信して、潜在的な支援対象者を把握する仕組みづくりを行っているとのことです。また、当事者だけではなく、御家族への支援が非常に重要であること、地元での自治体への相談はなかなか関係性が近しいこともあり、相談しにくいという声があるそうなので、市町村での広域的な支援体制を整えることも検討されているそうです。
 14ページの一番下、市の御担当の方がおっしゃるには、プラットフォームの立ち上げに際し重要な点は、構成員の負担に配慮することだということです。関係機関が多くなると、各機関でどのようなことをしているのか、担当者が誰なのかさえなかなか分からない場合があるので、まずは御担当者が他の機関の役割を把握していただくことを主眼に置いて始めたそうです。このようにお互い顔見知りになるだけで、関係機関の自発的な取組として、相談・リファーが円滑になる効果があったというお話をお伺いしました。ですので、ネットワーク協議会では、そこで個別ケースを解決するというより、すぐに連絡できる関係作り、情報共有して有益な意見を聴取する場として機能していると考えられていると伺いました。
 続きまして、アウトリーチ支援の所の一番下の○です。アウトリーチ支援について、現場の社協の方の課題としておっしゃられていたのが、保健師などの専門職種との連携のお話がありました。実際に配置されるだけではなく、同行できる体制、市の保健師との連携がより円滑に行われるようなことなどを望まれており、こういったことがあると、例えば、障害者手帳の申請が必要なケースを迅速に支援につなげることができるといったお話がありました。
 また、北上市でもひきこもり支援の評価等について目標設定をしているということです。16ページの上段、「北上市総合計画2021~2030アクションプラン」において、居場所の延べ利用者数やアウトリーチの訪問・出張面談件数などを目標に掲げてらっしゃいますが、御担当者様としても、ひきこもりの方の家庭環境等が様々で、御本人や御家族の御意向も様々ですので、ケースの終結をどこに置くのかが難しいといったお話が聞かれました。
 また、3つ目の○で、目に見える定量的な成果が出るまでに時間がかかるので、支援現場とかけ離れた目標設定をすることは、支援者に対するエンパワメントの観点からもマイナスの影響を与えるということで、当事者に様々な選択肢を用意することが大事だと考えているが、それをどのようにアウトカム設定していけばいいのか、どのように評価していけばいいのか、そのようなことに苦慮されているというお話を伺いました。
 17ページの「6.事例から見える課題と方向性」を御覧ください。こちらは、関係機関の連携等による就職氷河期世代支援の質的向上のところで、よこサポの事例では、担当者制、北上市の事例では、関係機関からなるプラットフォームを構築することにより、ひきこもりや就職氷河期世代の無業者に対する支援を行われているということです。関係機関の連携方法はそれぞれ異なりますが、各地域において、既存の地域資源や支援機関の有無等、地域資源の量的・質的状況を踏まえ、効果的・効率的な支援とそのような支援が持続的に実施されていくスキームを地域ごとに検討していく必要があると考えます。そのために、厚労省では、各地域でこのような取組が行われるように、体制整備に一層取り組んでいく必要があるのではないかと考えております。
 次の18ページ、「施策の評価」についてです。正規雇用者30万人という目標設定については、もちろん有益なものではあるのですが、一方で、よこサポや北上市の事例のように、これまで長い期間、社会資源につながることができないでいたような方の中には、短期間での就労や短期間での正規雇用が非常に難しい場合もあるので、就業以外の選択肢を狭めてしまうことが適切ではない場合があります。
 そこで、評価の軸として、困窮者自立制度における状態像の変化、自立意欲の向上・改善、社会参加機会の増加、孤立の解消、生活習慣の改善等の、支援対象者の状態の変化に着目して支援の効果を評価する。このように氷河期世代についても、就労への移行だけではなく、支援対象者の状態像の変化に着目した評価を補足的にでも活用することができないかと考えました。
 また、18ページの一番下、支援者自身への支援や支援者の育成についても必要だということで、19ページです。よこサポにおいても北上市においても、支援者への支援が課題になっておりました。実際に支援対象者となるような方は様々な複合的な問題を抱えている方が多く、必然的に支援を行う職員に求められる知識や経験のレベルが高くなります。そのため、支援者が幅広い資質を向上すること、複数の資格を取得できるようなこと、また研修機会や財政支援も含めた個々の支援者への能力開発支援が必要ではないかと考えました。こうした就職氷河期世代の支援者の資質の向上や、実施市町村への支援に係る取組に着目した評価も、アウトカムではなくアウトプット型ではありますが、少しできるのではないかと考えました。
 また、19ページの「居場所」づくりですが、こちらはなかなか効果を数量的に捉えることが難しいですが、当事者や家族にとって、居場所づくりは非常に満足度が高いといった部分がありますので、こちらをより積極的に評価することはできないか、また家族に注目したアプローチも今後考えられないかなども、ここで指摘させていただいております。
 また、プロセス評価という形になりますが、19~20ページに、成果が出るまでにある程度の時間がかかりますので、まずは当事者を訪問し連絡する、また関係機関に連絡をするなどの関係作りについて、そのプロセス自体に着目した評価指標を設定することができないかとも考えました。
 最後に、事業の継続性について、簡単にですが記載をさせていただいています。どうしても民間委託による事業実施となると、的確な事業運営能力を備えた方を受託者として幅広く競争入札により選定する必要がありますので、必然的に受託者が変更となる可能性があります。そこについては、やはり委託事業の継続性について御指摘や改善を求められることが多いですが、そこは、実際に単年度から2年間に拡大した例もありますが、まだ2年間だけでは少し不安だというお声が聞かれています。また、現在のこのような委託事業のスキーム上はやむを得ない部分ですが、やはり当事者の観点から見ますと、事業に関わる関係者又は関係機関が問題意識を共有し、利用者の視点に立った制度設計なり、今後の運用なりを検討することが求められるのではないかと考えました。簡単ではありますが、以上です。
 
○菊池座長
 ただいまの説明に基づきまして、御意見、御質問等ありましたらお願いします。最初に確認ですが、これは「評価書」となっていますが、案ではなくて、評価書としても確定しているのですか。
 
○室長補佐
 案段階です。
 
○菊池座長
 資料8-1の3ページには、この議論を経て最終的な評価書として取りまとめるとありますが。
 
○室長補佐
 そのとおりです。最終的に、6月ぐらいを目途に取りまとめることを目標としております。
 
○菊池座長
 ここで皆様から御意見を頂いて、評価書としてまとめるという趣旨ですか。
 
○室長補佐
 おっしゃるとおりです。
 
○菊池座長
 そういうことでございます。この点は、本日のメインの議題になると思いますので、皆様から忌憚のない御意見等をいただければと思います。会場の委員から何かありますか。佐藤委員、何かありましたらお願いします。
 
○佐藤委員
 大変充実した資料と御説明をありがとうございました。ひきこもりに関しては、私もいろいろな地域で取組を見ましたが、アプローチが既存の制度から外れてしまうようなところがあって、どの担当が手を伸ばせばいいか分からないということ感じられましたので、各担当部署が複合的にサービス提供できることが大事であると思います。いろいろなやり方があって、どのやり方も正しいというか、やはり、力のある所が主導権を持っていくものなので、その地域、地域で力のある人がリーダーシップを持ってやっていて、地域によっていろいろなやり方になるのですが、それでいい、ということだと思います。
 そうしますと、多くの行政では縦割りになっているものが、横につながることが極めて重要であって、例えば、社会援護局系の取組、障害系の取組、高齢系の取組、子ども系の取組、医療の精神系の取組、それらがそれぞれうまく連携できるかどうかが重要です。連携できると何がいいかと言いますと、別の系統のサービスが使えるのはもちろんですが、支えられる側だと思われている人が、実は支え手に回れることが結構あって、それがとても良い効果を生んだりするのです。そういう別系統が重なる「のりしろ」と言いますか、接点の部分を数えられるような評価ができるといいと思ったところです。取りあえずそこまでです。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。事務局から何かありますか。
 
○室長補佐
 御指摘ありがとうございます。ひきこもりの関係も、先生のおっしゃるとおり、何が正解というのが、私どもが見てきた限りではなかなか一義的に定義できないだろうと思います。地域によってそれぞれいろいろなやり方があるということだと思います。いずれにしても、ひきこもりを発見する端緒となるいろいろな部分があると思うのです。地域包括だったり、お子さんが引きこもっている場合には母子関係であったりとか、あとは必要になる支援が障害であったりということで、およそ社会保障総出で関係があるような部分で、1つの部分で連携ができると、他の行政分野でも連携が必要になるので、1つの部分でネットワークができれば、それはほかの部分でも応用ができるということがあります。おっしゃるとおり、実際に支えられる側が支え手になれるということももちろんあると思います。そこは今なかなか評価指標にできていない部分なので、そういうところも国としての政策評価、評価指標になると、なかなか何がいいというのは難しいのですが、まずはうまく循環していって、支え手であり、支えられるという、正に地域共生社会の理念、そういったようなものができていくといいのかなと考えております。地域共生社会で、重層的な支援体制の整備などを今後やっていく中で、今、評価指標を検討しているような段階かと思いますが、そういうものの検討が深まるといいのかなと感じております。お答えになっているでしょうか。
 
○佐藤委員
 1つ言い忘れたのですが、あとは民間の組織をきっちり組み込んで一緒にやっていくことがとても大事です。こども家庭庁でも、子ども支援のネットワークを作るときに、民間のNPO法人などを組み込んでやっていきますが、やはり、地域の中で何かをすることにおいて、民間組織は圧倒的に強いというか、圧倒的にバリエーションを持っていて、参加する場が増えるという良さがありますので、NPO法人などとどのぐらい連携したかとか、あるいは社協の事業所とどのぐらい連携したかとか、そういう実際に出て行ける場と連携できることはとても重要だと思います。
 
○室長補佐
 おっしゃるとおり、NPO法人というものが、今後、もしかしたら大きな活躍が期待されている部分なのかもしれないと少し考えております。全ての地域に同じような力を持ったNPO法人があるとは限らないので、そこはなかなか難しいのですが、サービスの実施提供主体となり得るようなNPO法人、受け皿を育てていく。そのようなことができると、大きなNPO法人さんが頑張っている横浜のような仕組みが、ほかの部分でもできるようになると、より良いのかなと。そのやり方というのは、地域の規模によって様々ですので、それがどうあるのかは議論があると思いますが、そういうような民間の主体を育てる。また、北上市の社協では、民生委員さんを活用されているというお話をされていたのですが、どうしても社協だけで情報を集められないので、日々、お宅で変わった様子が見られるかということを、民生委員さんを通じて集めることを積極的にやっているというお話があって、民生委員さんのなり手が少なくて、今非常に厳しい状況なので、そこをもう少し頑張っていくことも考えられるかなと感じました。以上です。
 
○菊池座長
 いかがですか。田宮委員、よろしくお願いします。
 
○田宮委員
 横串を差して総合的に見ることは前から重要だと思っていて、実際に今やっていただいていて、いろいろな気付きや明るさを感じました。
 2つありまして、評価の視点ということが出ましたが、これはそれぞれいろいろな政策がある中、やはり当事者の満足度もとても大事かと思います。私は介護者のことをいろいろ研究していることもあって、イギリスの政策を見てきたときに、Adult Social Care Outcomes Frameworkというのがあるのですが、ソーシャルケアに対して、どのぐらいの人が満足しているか。特に、私が調べてきた介護者については、一人一人がニーズに応じた支援を何らか受けているか、いないかというのを、行政区画ごとに数字にサーベイをして、それを公表しているのです。横串を差したトータルな人の支援という評価には、そういう方法もあるのではないかと思いました。当事者目線で、施策の縦割りではなく、こういう評価はイギリスにも例があるので、そう思いました。
 今申し上げた、家族のことを前から思っているのですが、今回のひきこもりのことも、やはり家族も非常に大きく関係しているのです。これは評価の方法というよりは、施策の対象としてですが、介護について言いますと、介護者支援というのは、介護の社会化というので、家族というよりは、日本はまずは社会が見ましょうという風潮がとても強くなってきて、今までのように家族に頼ることはやめようということで、大きく転換をしました。それはとても良かったのですが、それによって、家族を対象にした施策がなかなか今設定されていないところにあるので、家族について、このような横断型の話をするときには出てくる問題かと思っています。是非、家族のサーベイみたいなこともやっていただけたらと思います。
 特に最近、ヤングケアラーのことは大分話題になってきて、どうやって見つけるかということも課題になっています。ヤングケアラーをどうやって見つけるか、とても良い事例として、私は医療に関わっているので思ったのは、診療報酬で入院時のインテイクをするときに、入院患者さんにお聞きするシートの中に、「ヤングケアラーによってケアされていますか」、「あなたの家族の中にはケアをしている若い人がいますか」、「あなた自身がそうですか」、そういう質問を1個入れているのです。入院というエピソードをもとに潜在化した社会ニーズを見つけるような仕組みが、診療報酬、医療の仕組みの中でできているのは非常に良い事例かなと思います。このように本当にニーズを持っている人が地域の中で埋もれてしまう可能性に対しても目を向けて、総合的な評価をしながら政策を進めていくということも非常に重要で、今日はこのきっかけを作っていただいている気がして、とてもうれしく思ったとともに、私の知っている具体事例を挙げさせていただきました。ありがとうございます。
 
○菊池座長
 貴重な御指摘、ありがとうございます。事務局から、いかがですか。
 
○室長補佐
 御指摘ありがとうございます。まず、イギリスの調査というものは、当事者の満足度をほぼ行政区画ごとにということですので、全国でやられているのかとお話をお伺いしていました。日本でこのような調査があるのかどうかも含めて、2点目のお話とやや重複するかと思いましたが、ケアに当たる人の満足度とか、そういう方への目線というものが、なかなか足りていないということが、今回の取材でも見えてきましたので、まず、ヤングケアラーをどういうふうに見つけるかというのは、診療報酬の中に組み込んで見つけるというやり方があるというので、新しく調査をしなくても、既存のスキームの中を少し変更することで、支援対象者が見つかるということだと思いますので、どういう発想で、それぞれの制度で今やっている所にそういう仕掛けができるのかというのは、原局とともにフィードバックしていきたい。また、行政区画ごとにそういうようなデータが集まれば、今後の評価指標にも活用でき得るものなのかとお伺いしました。
 家族支援は、ヤングケアラーの場面だけではなく、認知症の関係や、全部の厚労行政に関わるような分野の問題ですので、是非、そういったような視点を評価にも、また施策にも活かしていければいいと思います。
 総務省が12月に出された答申は、最初に御紹介した答申の中でも、現状分析をするために必要なデータを集めるということが、今後、総務省がこの答申を踏まえて改定を予定している政策評価の基本方針という中に、恐らく書き込まれると把握しております。ですので、政府としても、施策の現状分析や課題設定にはこれまで以上に力を入れなければいけませんので、そういった新たな御知見を活かしていければと考えております。御指摘ありがとうございました。
 
○田宮委員
 今、総務省の話が出ましたが、公的統計で、いろいろなものを含んでいるもの、国民生活基礎調査などもありますので、そういうものと連携しながらやるといいかと思います。新たな調査をやらなくても分かる点があると思いますので、よろしくお願いします。
 
○室長補佐
 ありがとうございます。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。それでは、村上委員お願いします。
 
○村上委員
 大変丁寧な御説明、資料の作成もありがとうございました。拝見していて、就職氷河期世代の皆さん方の状況は様々であるために、当事者の希望などを踏まえて、就労なのか、あるいは社会参加なのかというところで、個々人の目標をどこに設定していけばいいのか、またそのために必要な支援は何なのかということなど、アセスメントが大変重要であるということを改めて認識した評価書だったと思います。
 その上で、評価書について少しコメントをさせていただきます。評価書の中では、補助的な指標についての言及などもされており、評価の視点は就労、効率性だけではないのではないかという問題意識があると思います。このことは、評価の方法だけではなくて、政策の目的や目標、そのための政策手法の在り方そのものの問題にも関わるのではないかと思っております。そういった観点からの記述も必要ではないかと感じたところです。
 また、評価書の20ページで、継続的な支援のための人材の確保ということも記載していただいています。この点、以前から審議会などでも申し上げてきております通り、入札方式については、複数年契約ということで改善もされておりますが、安定的に継続的に支援していくということであれば、更なる改善が必要ではないかと感じているところです。
 また、関係機関全体が連携したチーム支援として適切なアセスメントを行える体制や、支援のプロセスを構築するためには、政策としてどのようなスキームを使っていけばいいのかということも求められるのではないかと思います。さらに、支援は地方自治体が行っていくわけですが、地方自治体や、NPOの皆さん方のニーズに合致したような交付金になっているのかということなどについても、今後、検討していくことも必要ではないかと感じております。以上です。
 
○菊池座長
 事務局、いかがですか。
 
○室長補佐
 まず、それぞれの政策目的に関する記述というのが確かに少し抜けている部分もありましたので、例えば、18ページの所で、それぞれサポステとひきこもりの支援で補助的な指標というお話を具体的にということで書かせていただいております。ここに具体的に、それぞれの政策目的の部分も少し加筆したいと考えております。
 また、2点目に御指摘いただいた複数年契約については、財政の単年度主義という原則がありますので、なかなか難しいとは承知しておりますが、そのような御指摘があるということは、我々も、担当部局も認識しております。もしかしたら後で担当部局から補助的な説明があるかもしれません。
 3点目に移ります。正にアセスメントを行える体制作りとか、関係者が連携できる体制作りの構築というところは、非常に大事な部分ですが、実際、それがなかなか簡単ではないがゆえに、好事例と呼ばれるものが恐らく存在するのだと思うのです。みんなができれば好事例とは余りならないと思いますので、できない所があるからこそ、好事例というものが展開されているような状況だと思いますので、今回取材させていただいたような比較的好事例と呼ばれるような所からお伺いした課題に対して、今の政策なり、制度なり、それぞれの取組なりが、必要十分なのかというところは、今回の評価書なり取材結果等々は担当部局と共有しておりますので、それぞれの部局において検討が進むことを期待したいと考えております。原局から補足がありましたらお願いします。
 
○菊池座長
 その前に、担当部局の方が来ておられるのであれば、今日、どういった方が来ておられるのか、紹介していただけますか。
 
○人材開発統括官(佐藤補佐)
 人材開発統括官で、サポステ事業を担当している室長補佐の佐藤です。どうぞよろしくお願いします。
 
○社会・援護局(北尾補佐)
 厚生労働省社会・援護局において、ひきこもり支援の担当をしている課長補佐の北尾です。よろしくお願いします。
 
○菊池座長
 ということで、原局も来ていただいていますので、必要に応じて御指名していただいても結構です。何かありますか。特にないですか。村上委員、よろしいですか。
 
○村上委員
 はい、結構です。ありがとうございます。
 
○菊池座長
 それでは、藤森委員、お願いします。
 
○藤森委員
 本日はありがとうございます。生活困窮の分野でひきこもり支援について関心があり、御提示いただいたひきこもり、就職氷河期方々のテーマについて、政策評価はどのようにあるべきか、悩んできたところがあります。これを今回取り上げていただいてうれしく思います。
 1つの問題点は、先ほど言われた分野横断的にどう対応していくのかということとともに、時間軸の話があるように感じております。就職氷河期の方々で、正社員30万人という目標自体が非常に遠い目標のように思われます。働くという状況までいくためには、住居の問題、病気の問題、何よりも本人の意欲の問題がありまして、ここにいくまでがなかなか難しい。先ほど御紹介いただいたように、ひきこもりの方で7年以上引きこもっている方が約5割いらっしゃるなど、年数が長く、その分支援に時間がかかるという実態があります。
また、そもそも「現状のままでいいのだ」という、ご本人の課題に対する認識が乏しい場合もあって、専門家につながったとしても、「二度と専門家は連れてくるな」と言われたりする。この背景には、御本人は今のままひきこもっていたいと思っているところに、専門家が課題解決に向かおうとするので、本人の気持ちやニーズに寄り添っていない部分があるように思います。そういうことも現場では生じているように聞いております。
この問題は孤立や孤独の問題とかなりリンクしているように思いますので、つながり続ける支援をして、当事者と信頼関係を作っていくことをまずはやらなければいけないと思います。それには、かなり時間が掛かる面があるように思います。例えば、生活困窮者支援をやられている方がおっしゃっていましたが、ホームレスの方に「シェルターに来ませんか」と声を掛けても、「放っておいてくれ」と断わられることが多いといいます。その後も、「声を掛け、断わられる」という状況がずっと続く。でも、声を掛けることは、信頼の水がダムの中でたまっていくようなところがあって、ある閾値を超えると、「お前がそこまで言うのだったらシェルターへ行ってやろうか」という返答になっていくそうです。一方、声を掛けて信頼の水がたまっていくのはなかなか見えにくいので、そこを政策評価としてどうやっていくのかということが、課題なのだろうと思います。
 つまり、つながり続けること自体をいかに支援していくのかということがあります。先ほど御報告にありました訪問の件数というのは、1つの指標になりうるものだと思います。課題の解決というのではなくて、支援のプロセスを評価していくことはとても重要なところだと思います。伴走型支援という言い方をしますが、伴走型支援にどうやって財政的な支援等をしていくのか、それをいかに広げていくのかというところは、これからの検討の課題だろうと思っております。
 支援する方々にとっても、課題解決が難しい案件も多いので、課題解決だけを目標にするとバーンアウトしてしまうこともあります。それを防ぐためにも、つながり続けること自体も目標にすることが重要になると思います。それを政策としてどう評価していくのか。ここをもう少し深く掘り下げていく必要があるのではないかと思います。以上です。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。根源的な問いかけというか、お話でもあると思いますが、事務局、いかがですか。
 
○室長補佐
 御指摘ありがとうございます。就職氷河期世代の支援プログラムの中では、一応、前段階として「現状より良い処遇、そもそも働くことや社会参加を促す中で」とは書いてあるのですが、その後ろの「就職氷河期世代の正規雇用者を30万人増加させることを目指す」というところがフォーカスされまして、社会参加を促すことも就職氷河期世代支援プログラムの中でうたわれてはいるのですが、やはり正規雇用30万人というところが大きく目立っているので、特にひきこもり関係やサポステでの支援をされている方というところは、バーンアウトの問題があると、今回取材対象にお声掛けしても感じました。
 先生がおっしゃるとおり、特にひきこもりの方々は、支援を求めていない方もいらっしゃるのです。ただ、客観的な状況として、今、支援を必要とされていない場合であっても、例えば、親御さんが急に亡くなられて、親御さんの年金収入がなくなった場合、途端に生活困窮の制度に入ってしまうということもあると。ですので、つながり続けて、その人が実際に困ったときに、すぐに福祉の制度につなげていくために、社協さんは断られながらもつながり続けるきっかけを見つけて、当事者にアプローチすることを続けているということですので、アウトカムをこれだと設定するのがなかなか難しい分野なので、まずはプロセス指標という形で、訪問や実際に声を掛けた中で、そのプロセスがたまっていけば、声を掛けた中で、実際にその人が困ったときに制度につながった例がどのぐらいあったかを、もう少し評価してあげるようになる、現場の方々に対して、もう少し現場の方がやる気を失わないような評価指標を作れるといいかなと考えております。御指摘ありがとうございます。
 
○菊池座長
 よろしいですか。
 
○藤森委員
 はい。是非、お願いいたします。
 
○菊池座長
 それでは、新保委員、お願いします。
 
○新保委員
 今回の分野横断的な政策評価は、支援を包括的に進めていこうという流れがある中で大変意義のあることで、今後もこうした形の評価を進めていくことが大事だと思いました。それが1点目です。
 2点目は、藤森委員の御意見と重なるのですが、ひきこもりの状態にあって、孤独、孤立の状態にある方を、支援機関がまずキャッチしたということそのものが、意義があることだと思います。どれだけそのような状態の方を支援機関がキャッチしたかという、プロセスのところもきちんと評価していくといいのではないかと思いました。
 18ページの所で、生活困窮者自立支援制度における状態像の変化の評価方法について取り上げて、記載していただいていますが、正にこれは社会参加の機会の増加の状況や、孤立の解消の状態像の変化を見ていこうとしておりまして、こうした評価がどんどんなされていくことも必要ではないかと思いました。これが2つ目です。
 3つ目は、これも田宮委員がおっしゃっていたことと重なりますが、当事者による評価をもっと進めていただくことで、当事者が望む対応なり支援というものは何なのかということの把握につながっていきます。当事者が望む支援がきちんと実施できているかを把握することは、次の取組の目標設定にもつながっていくと思いますので、是非、そうした視点の評価も着手していっていただきたいと思います。以上です。
 
○菊池座長
 どうもありがとうございました。事務局から、お願いします。
 
○室長補佐
 御意見、ありがとうございます。まず、先生がおっしゃるとおり、先ほども議論がありましたが、支援機関がそういった対象者からの情報、対象者を見つけるということが、すごく難しい分野ではあると思います。だからこそ、アウトリーチが必要だと言われています。アウトリーチというのは、たくさんできる、量をかせげるようなものではないので、すごく難しい部分ではあるのですが、支援機関がそういう対象者を見つけ、継続的にフォローできていること自体を評価するために必要なデータが今取れているのかどうかという点も含めて、担当部局とともに、この評価書の取りまとめに当たって意見交換をしていきたいと思います。
 また、状態像の変化を、そもそも評価指標に補助的に活用することについても、関係部局とともに検討していきたいと思います。
 また、田宮先生からも御指摘がありましたが、当事者がどのぐらい満足されているのかというのは、どう測ればいいのか難しい分野なのかもしれません。と言いますのも、当事者自身が変化を望んでいないという調査結果も一部には出ていますので、そこをどう解きほぐして、どのように満足度を測ったらいいのかというところから、まずは検討したほうがいいのかと思います。当事者御自身が、「今のままでいいのです」と答えるようなことが、調査結果を紹介したパラグラフでも出ておりましたので、当事者が本当に望むことをどのように調査したらいいのかも含めて、今後検討が必要かと思います。それがある程度データとしてまとまってから、評価指標として使えると考えました。以上です。
 
○菊池座長
 新保委員、よろしいですか。
 
○新保委員
 ありがとうございました。
 
○菊池座長
 ほかにはいかがですか。松浦委員、お願いします。
 
○松浦委員
 聞き取り調査も実施するなど、とても丁寧に調べていただいた報告書案だと思います。ありがとうございました。私からは1点だけ、今回、就職氷河期世代に焦点を当てた分野横断的な評価ということですが、提示された課題や論点は、厚生労働行政のほかのテーマにも汎用性がある内容だと思います。こうした政策評価を今後活かしていく上で、ここで出てきた課題や論点、さらには解決策が汎用性の高いものであり、厚生労働行政全般に意義があるものだということを、報告書案の中に記載いただけると、こうした分野横断的な評価を継続的にやるべきということを、より御理解いただきやすいのではないかと思います。私からは以上です。
 
○菊池座長
 事務局から、いかがですか。
 
○室長補佐
 御指摘、ありがとうございます。実は我々も氷河期世代に着目し、特にその中のひきこもり支援とサポステ支援に着目して、実際、現場も見ながら評価書を取りまとめていく中で、実はこれはネットワークとか、ほかの孤立・孤独とか、様々な分野でも同じようなことが求められていて、もしこれが解決できれば、ほかの分野にも応用でき活用できる課題なのかではないかと感じたところです。
 厚労行政の全体へということまで書いてしまっていいのか若干の躊躇がありましたので、今、松浦先生からのお声を頂いて、書くことが許されるのであれば、是非、そのようなことも最後に書かせていただければ幸いです。御指摘ありがとうございます。
 
○菊池座長
 ほかにはいかがですか。よろしいですか。今、委員から様々な御意見を頂きましたので、それも踏まえて、最終的な取りまとめを行っていただきたいと思います。
 最初に佐藤委員からお話がありましたが、多分、これは地域によっていろいろなパターン、いろいろなアプローチがあって、就職氷河期世代については、この事業を使ってやっている所ももちろんある一方で、今回もそういう所を取り上げたのだろうと思いますが、もっと一般的な孤独・孤立対策とか、包括的支援体制の整備とか、重層事業とか、自治体の考え方や地域のリソースによって、いろいろな形で取り組まれているので、そういったものを踏まえた形で書かないと、こういう切り口自体が1つの縦割り、就職氷河期世代のこの事業を使うとこうなります、皆さんこれを使えます、というようになり、そうなるとまた政策評価から1つの縦割的なものを提示するようなことになっても、ちょっとおかしな話になってしまいますので、そこは注意していただくといいのではないかというのが、私の感想でした。全体的に取りまとまったものは、皆さんにも共有いただけるということでよろしいですね。
 
○室長補佐
 今回御指摘いただいた点も含めて、また、今、菊池座長から、そもそもどういうような既存のスキームを使って連携するかによって、やり方が異なるというのは、正におっしゃるとおりで、横浜であれば、サポステという切り口からみんなが連携しており、それはある程度サポステをやっている所が、今までの知見とかもあって、それなりに力があるということから、サポステを中心とした連携というのがあります。一方で北上では、立ち上げというところで社協さんを使いながらやっています。どの事業を使うかというところで、本当に様々なので、そういう入りの部分については少し注釈を設けないと、あたかもサポステとか、北上の事例が好事例ですよ、これが目指すべき方向ですよと見えないように、あくまで地域資源の状況に応じてというところが分かるように、記載ぶりを少し注意しながらまとめたいと思っています。いろいろ至らない点があって、本当に恐縮ですが、皆様からいただいた御指摘を可能な限り反映して、原局とも相談しながら、これが今後の政策形成にも活かされるようになるといいなと思って、これを取りまとめたいと思います。御指摘ありがとうございました。
 
○菊池座長
 よろしくお願いします。それでは、次は議事(7)「令和5年度に評価を行う分野横断的な政策(案)」について、御説明をお願いします。
 
○室長補佐
 続いて、資料9を基に、事務局より「令和5年度に評価を行う分野横断的な政策(案)」について、御説明したいと思います。先ほど、今年度は就職氷河期世代というところに着目して、分野横断的な施策の取組状況の評価を行いましたが、このような取組は第5期基本計画内で毎年度、1テーマずつ行っていきたいと考えております。その中で、次年度については、具体的には資料9に書いております、障害者の就労支援のための雇用施策と福祉施策の連携強化です。御承知のとおり、これについては、昨年の臨時国会で就労支援の関係についての連携強化を内容に含めた法律案が成立しており、今後、各種取組が施行されていくといった状況です。今、そのような施策のほうで連携が始まっておりますので、評価でそれをどのように反映していくのかというところに着目をしながら、検討をしたいと考えております。
 具体的には、今、福祉と雇用と書いておりますが、当然、医療の分野の連携も必要になってくるかと思います。それぞれ施策としては、施策目標が分かれている状況で、今それぞれ立てられている施策目標における測定指標を御紹介しますと、雇用ではハローワークにおける就職件数、こちらはアウトカム、また障害者雇用率達成企業割合、精神障害者雇用トータルサポーターの相談支援を終了した者のうち、就職に向けた次の段階、こちらは就職、職業紹介、職業訓練、職場適応訓練へのあっせんを含みますが、その段階へ移行した者の割合、トータルサポーターの相談支援を終了し、就職に向けた次の段階へ移行した者のうち、実際に就職した方の割合、こういったものが雇用では指標として掲げられています。
 また、福祉では、一般就労への移行者数、B型の平均工賃月額、就労定着支援の利用者数、就労定着支援事業所ごとの就労定着率といったものをそれぞれ指標としておりますが、今後、この新しい連携の取組を推進していく中で、どのような着眼点で評価をしていけばよいのか、またどのような評価指標があり得るのかといったことを検討していきたいと思います。簡単ではありますが、以上です。よろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
 ただいまの説明について、御意見、御質問等あれば、お願いいたします。新田委員、お願いします。
 
○新田委員
 経団連の新田です。資料作成並びに御説明ありがとうございました。令和5年度に評価を行う分野横断的な政策ということで、障害者の就労支援のための雇用施策と社会福祉施策の連携強化を御提案いただいたと承知しております。ただ、資料9の1ページ目の背景などをお読みいただくとお分かりのように、雇用分野と社会福祉分野で別々にやっていた障害者施策について、今後は連携を強化していこうということで、先般、検討会議において検討が進められて、その結果を報告書としてまとめ、今度はそれぞれの部会並びに分科会において改正法案として整理をして、それが昨年末にまとまり、今、正に改正法が施行される状況だと承知をしております。
 したがって、何を申し上げたいかというと、このテーマを取り上げること自体については反対しませんが、タイミングとしては時期尚早だと感じております。検討会の中では様々な議論がありました。私は検討会並びに障害者雇用分科会の委員をやっていますので、当事者である立場で申し上げますと、正にこれから連携して、いろいろなことをやっていくところなのです。検討会の中でも必ずしも議論が全部着地をしているわけではなくて、まだまだ検討課題も非常に残っていると私は理解をしております。そうした中で、それぞれ連携をしながら、あるいは一部はそれぞれの雇用、社会福祉の分野で、今回の連携についての意識を念頭に置きながら取り組んでいこうと、正にこれから始める段階にあるのです。ここで扱うのはそれをどう評価するかということであることは承知をしておりますが、少なくとももう1年度は後でよいのではないかというのが私の意見です。
 関係部局との調整や受け止めなどがもしあればお聞かせいただきたいのと、私は一部当事者でもありますので、率直な考えを申し述べさせていただきました。私からは以上です。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。私も障害者部会の委員ですので、新田委員のお考えは共感するところが非常にあります。そういう中で、あえて5年度に取り上げるという趣旨の所を、もう少し御説明いただくとよろしいのかなと思いますが、いかがでしょうか。
 
○室長補佐
 これから正に施行されていくというところで、時期尚早ではないかという御指摘かと思います。そこについては、確かにこれから施行されていくので、今、なぜというのがあるかと思うのですが、これから施行されていくのでちょうど制度変更のタイミングですので、ビフォー・アフターを見ていくにはちょうどいい時期なのかもしれません。実際に、アフターの部分の新しい評価指標、新しい実績が出るのは、それより後になるかと思います。ですが、何をもって評価するのかというところを考えておかないと、どういう指標を取ったらいいのかがなかなか見えてこないのかなと。要するに、評価をする上での効果分析のスキームを決定しておくことも非常に重要ではないかと思いましたので、制度変更があったこのタイミングで、どうやってこの施策の連携状況を評価したらいいのかを、併せて検討したいと考えた次第です。いかがでしょうか。
 
○菊池座長
 いかがでしょうか。
 
○新田委員
 御説明ありがとうございました。そういうお考えも確かに理解はできますが、そうであったとしても、やはり、これから実施する施策の評価を検討するというのは、私としては早いのではないかという気がすごくいたします。先ほどの議題であった令和4年度の評価の対象は、就職氷河期に関する施策でした。これは令和2年度から政府が3年間集中的に取り組むということでやってきている中で、令和4年度が来て評価を行ったと承知をしています。こちらも私は一定程度関わっていますので、状況をよく承知をしております。こちらについては、分野横断的に今の段階で評価することに、何ら違和感はありません。
障害者に関しては、評価をどうするかを現段階で議論することについてまでは否定しませんが、ただ、令和5年度の評価を、これをもって行うことは、少し違うのではないかという気がいたします。そうは言っても、最終的な扱いはもちろん座長にお任せいたします。ただ、私としては、どういう評価をするのかを議論することは有益だと思いますが、令和5年度の分野横断的な評価でこの障害者の雇用と社会福祉の部分を取り上げることについては、異論があるということは申し上げておきたいと思います。私からは以上です。
 
○菊池座長
 貴重な御指摘をありがとうございます。田宮委員から手が挙がっていますので、どうぞ。
 
○田宮委員
 今の議論は、とても双方のお立場のことがよく分かるとは思うのですが、ビフォー・アフターという言葉が出ましたが、今はどういう課題があって、どういう状況であり、そして法律が変わって施策が変わったらこうなったということをきちんと見ていくためには、評価軸をある程度最初に決めておいて、それから最初の状況のアセスメントもしておくことはやはり必要なのではないかと思います。
 決して最初からいい数字が出るわけではないですし、議論することは異論ないとおっしゃっていただいたので、最初からギリギリ何か成果を出すということでなくて、どういう軸でやっていくかの議論をきちんとして、そのデータがきちんと取れるような仕組みをつくっていくこと、それを来年度どこまでするかはまたの議論ですが、アクションを1つ進めてもいいのではないかというように伺っています。以上です。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。ほかの委員からも御意見がありましたら、是非お願いいたします。佐藤委員、どうぞ。
 
○佐藤委員
 私も田宮先生の意見に賛成いたします。これから先、評価が政策にも影響していくことを目指すとすれば、政策を打つ段階で、何を評価目標にして、どういう政策を打っていくのかというアプローチを考えなければいけないとすれば、過渡期のやり方ではあるかもしれませんが、今、評価の指標を考えながらやっていくことも、一つあり得るのかなと思いました。政策評価自体も考えながら進んでいるようなところがあるので、性急に結論を求めるのではなく、政策立案側と一緒に考えていくことができるといいかなと思いました。以上です。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。村上委員、どうぞ。
 
○村上委員
 障害者雇用と福祉政策の関係について、この間、労政審において議論を重ねてまいりましたので、「もうやるのか」という感想を初めは抱いたところでした。しかし、先ほどの就職氷河期世代の対策などのように好事例の共有などの面もありますので、今後何が必要なのかを明らかにすることを含めると、こういったテーマを掲げて実施していくことも有益なのではないかと思っております。
 その際、連携強化を進める上で課題となっているA型事業所から一般就労への移行であるとか、障害をお持ちの方の能力開発、能力発揮の課題などについても着目してはどうかと考えております。また併せて、処遇がどうなっているのかということについても評価をしていただくと、今後のより具体的な政策展開に当たって、有益な情報も明らかになってくるのではないかと思います。以上です。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。新田委員、どうぞ。
 
○新田委員
 度々の発言、申し訳ございません。皆さんの意見をお聞きして、もちろん先ほど申し上げたとおり、最終的には座長に一任させていただきたいと思います。ただ、繰り返しで非常に僭越ですが、恐らく現時点で障害者に関する評価を行っていくと、初めから諦めているわけではないのですが、障害者雇用は今、非常に難しい局面を迎えていると理解をしており、そうした中でなかなか評価として上がっていかないということは、ある程度想定できるのではないかという気がしております。今後、評価の進め方や実際に評価が出てきたときに、数値や水準などについては、そもそも始めたばかりということを前提に置きながら、共通の理解の下で意見交換をさせてもらえればと思います。数値だけを見て、全然取組が進んでいないではないかということになってしまい、障害者雇用や障害者福祉に取り組んでいる人たちがやる気を失うことのないように、そういった観点についても是非御配慮いただきたいというのが、私の一番の問題意識であり、懸念ですので、その点を是非共有させていただきたいと思います。私からは以上です。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。事務局から何かありますか。
 
○室長補佐
 今、新田委員から御発言があった点や、ほかの先生方から御発言があった内容を聞いていて、政策評価というものをどのような射程範囲で捉えるかということに思いが至りました。政策評価というと、今までの政策評価はある施策やある分野横断の施策の状況について、その進捗状況がある種うまくいっているかどうか、マル、バツ、サンカクを付けるというような印象を受けると思うのですが、政策評価というものは評価が単体として存在するのではなくて、ある種、課題の発見であり、どのように評価すればその現状をうまく捉まえられるのか、連携の状況をうまく捉まえられるのかを検討することも、政策評価の一つの重要な局面、フェーズだと思うのです。
 ですので、実際に評価結果だけに力点を置くのは、我々としても、当然、法施行直後ですので、そこまで念頭においていないというのが正直なところです。どちらかというと、これは制度が先に連携していく中で、今、評価がそれぞれの施策に分かれているような段階なので、それを一体的に評価していく上で、どのようなデータを取ったらいいのかということなどを、是非、皆様方に御議論いただくための素材をつくりたいと考えております。
 先ほど、ヤングケアラーをどう発見するのかという話の中で、既存のスキームの中でこのようなやり方があるというお話が、田宮先生からもあったかと思います。どのようなデータが必要になるのかというところも含めて、適切な評価のための前提としての検討をこの場でさせていただきたいということで、氷河期世代の評価とは若干異なる評価書を作るイメージでおります。ですので、もちろんこの取組は始まったばかりなので、では実際連携が進んだ所が幾つあるかというとすごく少なくなるのは想定の範囲内で、それをどうこうということではない所にフォーカスを当てたいと考えております。実際に原局が、今後、各種評価書を作っていく上で、原局が指標を考える上の参考材料になればよいなという思いで、評価書を取りまとめたいと考えております。うまく説明できていないかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
 実は私も事前にこのテーマを伺ったときに、正直違和感がありました。私も障害者部会、その前段階の検討会、それからWGに関わっていましたので、やっと法律ができ、その施行段階で、なぜ今これを取り上げるのかというのは、新田委員と同様の違和感を持ったのは事実です。多くの委員から御指摘がありましたように、これまでここで取りまとめられたまとめ方というか、施策の中身について、ここはよかったとか、ここは足りないのではないかというのは、それは少し難しいのではないか、そういう取り上げ方はできないと思います。やはり、そこは所管の部局があって、審議会があって、様々な専門家が集まって議論した結果が取りまとめになり、法案になり、それが国会で成立したという段階ですので。
 ただ、先ほど多くの委員からもありましたが、ここではそうではなくて、評価軸の在り方とか作り方、さらに評価指標の取り方について、早い段階から関わっていくという意味合いであれば、意義はあるのかなというふうに私は思い直したのです。ですので、新田委員の御懸念は共有するところですが、評価という視点からこの段階で少しやってみるという、まだこの手法も令和4年度から始まったばかりですので、まずはトライしてみるという形でお認めいただければなと思っているところでございます。
 ただ、その場合でも、事務局から説明はあったのですが、私が政策評価の意義として理解しているものの1つは、やはり厚生労働省として、これから政策として進めたいということを、政策評価の中で、ある意味で先取りして方向付けを示していくというのも、政策評価の1つの意義であるというのは、この会議で以前、政策評価の専門家の先生方に教わってきたことでもあるのです。そういう面では、厚生労働省の中の所管課、所管部局と、こちらの政策評価官室、それぞれの思いがあって、こう進めたいというのがあって、これは正に縦割りの極地であります。ですので、正にここは政策統括官室であるわけなので、十分に所管課とすり合わせて、ここで、こういう観点から評価していったほうがいいのではないかといういろいろ御意見を頂いた上で、これでやってくださいというのではなくて、やはり中身にも関わってきますし、これからの政策の方向性にも関わってくるので、そこは本当にしっかりと所管課と調整をしていただかないといけないと思うのです。
 そういうことを踏まえた上で、この分野の評価軸、評価指標の在り方を考えてみようという、そういう取り組みをしていこうということで、長くなって恐縮ですが、お認めいただければと思うのです。私自身は、そういうところで何とか自分自身の落ち着き所を見つけたところでもあるのですが、いかがでしょうか。異論などありませんか。よろしいでしょうか。玄田委員、どうぞ。
 
○玄田委員
 御提案ありがとうございました。結論でいえば、座長の御提案に賛成いたします。本日の障害者雇用の議論は、極めて今後につながる重要なものであったと思いますので、今日何が論点であったのかを一度おまとめいただいて、やはりここで扱う評価とは何かというのは、また別途時間を掛けて御議論いただくような時間なども検討いただければと思います。私からは以上です。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。そうですね、今日のこの議論は整理していただいて、それをお示しいただいて、それを踏まえて今後進めていく形でさせていただければと思っております。ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、令和5年度の分野横断的な施策として、障害者就労支援のための雇用施策と福祉施策の連携強化を取り上げることとさせていただきます。今後の手続、プロセスについては、事務局のほうでお願いいたします。この議題はここまでといたします。
 以上、本日予定しておりました議事は終了いたしました。多くの御意見を頂き、どうもありがとうございます。このオンラインの会議というものも、便利なようで便利でないと思っておりますが、今後の進め方についてはちょうど社会的にも節目でもありますので、事務局で会議の持ち方についてはお考えいただきたいと思います。それでは、事務局から本日の議論の取扱いについて御説明をお願いいたします。
 
○室長補佐
 皆様、本日は長時間にわたる熱心な御議論、本当にありがとうございました。まずは本日の御議論を踏まえ、令和5年度の政策評価の取組を引き続き進めさせていただきたいと思います。また、氷河期世代の関係で議論いただいた分野横断的に実施している施策の評価については、本日いただいた様々な御意見・御指摘を踏まえ、担当課とも相談の上、評価書として必要な修正を行い、省内の手続を経た上で、6月を目途に総務省への通知、また厚生労働省のホームページでの公表手続を進めたいと思います。併せて、皆様にも最終版を送付いたします。
 また、お時間の都合の上で、本日の会議の場で御発言できなかった点等がありましたら、3月31日(金)までに事務局まで御連絡ください。また、最後の議題、資料9については、非常に多くの御指摘、御示唆を頂いたかと思います。恐らく資料9の我々の示し方が、ややターゲットというか、どういう方向性で今回の分野横断の施策の評価をしたいのかという射程範囲が明確ではなかったことによって、法施行後間もないものを取り扱うのに、なぜここなのかということがきちんと説明できていなかったのかなと反省しております。本日いただいた御指摘を踏まえ、内容をもう少し精査して取りまとめの上、先生方に御相談させていただきたいと考えております。大変失礼いたしました。
 最後になりますが、本年度も委員の皆様方におかれましては、様々な施策について御議論いただき、また多くの御指摘を頂き、誠にありがとうございました。本日の会議や、またこれまでのWGでの御意見等を今後の政策評価に活かせるよう、事務局として一層の取組を進めてまいります。次年度も、どうぞ御指導のほどよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。ありがとうございました。
 
○菊池座長
 それでは、これをもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
【会議後の提出意見】
座長の指示のとおり、会議時間の制約により、会議の場で発言できなかった意見については、事務局宛に提出されることとなっていたところ。村上委員より意見提出があったことから、議事録として以下のとおり公表する。
 
(資料5について)
○ 項目番号34の「意見等内容」欄の「指標11」は「指標10」ではないか。
○ 項目番号50、124及び130の「WG開催後の対応状況」欄の対応区分の記載の記載は以下のように修正すべきではないか。
 ・項目50:斜線→対応
 ・項目124:斜線→対応
 ・項目130:斜線→対応困難