第180回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和5年3月14日(火) 10:00~12:00

場所

厚生労働省 職業安定局第1会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階)

議事

議事内容
○尾崎補佐 定刻になりましたので、開催に先立ちまして事務連絡となります。
 本日は、こちらの会場とオンラインの併用で開催しております。部会中は、オンラインの方は、基本的にカメラはオンで、マイクはオフでお願いいたします。発言される際には、会場の方は挙手、オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を御使用いただきまして、部会長から指名があった後に、御発言をお願いいたします。
 なお、本日も傍聴は別会場にて、オンラインで行っております。
 進行に関する説明は、以上となります。
 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ただいまより第180回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 本日の出欠状況ですけれども、公益代表の水島委員、労働者代表の佐藤委員が御欠席となっております。
 また、使用者代表の段委員が、所用により、途中で御退席と伺っております。
 それでは、頭撮りは、ここまでということにさせていただければと思います。
(カメラ退室)
○守島部会長 それでは、議題1に入りたいと思います。
 議題1は「求職者支援制度について」でございます。
 まず、資料について事務局より御説明をお願いいたします。
○平川室長 訓練受講支援室長の平川でございます。資料の1-1を御覧いただければと思います。1ページを御覧ください。
 求職者支援制度につきましては、前回の雇用保険部会におきまして、特例措置の利用状況をお示しいたしまして、令和5年度以降の制度の在り方について御議論をいただいたところでございます。
 御意見といたしまして、最初の○の上から3行目、コロナ特例につきまして、訓練対象者の就職やスキルアップ等につながっているかという観点から検証を行い、実効性の高いものについては、延長や見直しを検討してはどうか。
 それから、2番目の○の6行目でございます。支援を必要とする人に支援が届いているのか、制度利用者が訓練を受けることで、よりよい条件の職場への再就職や職場定着につながっているのかという視点での制度全体の効果検証が非常に重要。
 それから、下から3行目でございます。今後の議論に資するデータの提供をお願いしたいといったような御意見をいただいたところでございます。
 こういった御意見を踏まえまして、本日は、制度の利用状況や就職効果の分析、特例措置の利用状況等をお示しした上で、それらを踏まえた特例措置終了後の制度の在り方についての見直し案を御提示させていただきますので、それに基づきまして御議論をいただければと思っております。
 続いて、4ページを御覧ください。
 まず、求職者支援制度の利用状況でございます。令和元年度から4年度にかけましては、ハローワークの新規求職者数が横ばいであったのに対しまして、訓練受講者数、給付金受給者数等も一貫して増加をしてございます。
 続いて、5ページでございます。
 どういった方が求職者支援訓練を受講しておられるかといったデータでございます。求職者支援訓練の受講状況を年齢別で見てまいりますと、訓練受講者の方は、ハローワークの新規求職者と比べて若年層の割合が高くなっておりまして、若年層が訓練を積極的に受講している様子がうかがえるかと思います。
 また、女性につきましては、30代から50代の受講者の割合が高くなっておりまして、こちらは、出産育児等を機に、一旦労働市場から退出した女性が再就職を目指す際に訓練を受講しているといったような様子がうかがえるところでございます。
 続いて、6ページでございます。
 訓練受講者の就職状況でございますけれども、就職状況につきましては、訓練終了後、3か月以内の就職率は63.1%となってございます。そのうち3分の2ほどが、雇用保険適用就職をされております。
 男女別に見ますと、左下のグラフですが、就職率は女性のほうが高くなっておりますけれども、右下のグラフ、雇用保険適用就職した割合は、男性のほうが高くなっているという状況にございます。
 続いて、7ページでございます。
 訓練受講者の正社員就職の状況でございます。
 訓練受講後に雇用保険適用就職した方の雇用形態を見てみますと、正社員として就職した方が最も多い状況となってございます。
 また、訓練受講者のうち男性は8割弱、女性は6割強が正社員として就職を希望しておられますけれども、このうち正社員として就職した割合は、男女とも2割弱といったこととなってございます。
 続いて、8ページでございます。
 訓練受講者が、どういった産業に就職しているかといった状況でございます。訓練受講者の就職先の産業を、ハローワーク求職者全体の就職先の産業と比較したものでございます。
 情報通信業、それから、学術研究、専門・技術サービス業等といった、比較的賃金の高い産業への就職が、訓練受講者については多くなっているという状況でございます。
 続きまして、求職者支援訓練による入職への効果と、それから、就業継続への効果の分析につきまして、恐縮ですが、別の資料で御説明をしたいと思います。
 資料1-2のほうを御覧いただければと思います。こちらの4ページを御覧ください。
 分析手法としましては、傾向スコアマッチング法を用いております。
 職業訓練の効果分析につきましては、訓練受講者と非受講者では、そもそもの職業能力ですとか、意欲の違いなどの差が含まれておりますので、訓練の純粋な効果を把握することが難しいという面がございます。
 このため、性別学歴、それから職業経験など、属性が人によって近いのか、遠いのかを計算いたしまして、訓練受講者と同じような属性を持つ人々を訓練非受講者から選んで比較する手法、傾向スコアマッチング法を用いて分析を行ったものでございます。
 続きまして5ページでございます。
 こちらが、求職者支援訓練の入職への効果というものでございます。訓練受講者と非受講者のそれぞれにつきまして、前職を離職した日からの経過日数に応じまして、無業者の割合の推移を見たものでございます。
 青い線が訓練受講者、赤い線が非受講者のグループでございます。
 こちらは、求職申込みから間もないうちは、訓練受講グループは、訓練を受講している関係で、就職者が増えてこない傾向にございますけれども、訓練を終えてから徐々に就職をする方が増えてまいりまして、途中で非受講のグループの就職率と逆転いたしまして、非受講者の方の再就職の割合を上回っていくという結果になってございます。
 続きまして9ページを御覧ください。
 こちらは、就業継続への効果でございます。
 雇用保険が適用される働き方で、転職してステップアップすることも重要であるという観点から、入職してからどの程度の期間、雇用保険が適用される仕事を継続しているかを見ているものでございます。
 入職後3年間、1,095日ですけれども、このうち、雇用保険が適用される仕事に何日間就いていたかという度数分布のグラフになってございます。
 結果でございますけれども、訓練受講の有無にかかわらず、大半の方は、3年間のうち多くの期間において、雇用保険が適用される仕事に就いてございました。
 ただし、10ページを御覧いただきますと、訓練受講の有無によりまして、就業継続についての差は見られなかったといった統計的な分析の結果ということになってございます。
 続きまして、また、資料1-1に戻っていただきまして、10ページを御覧いただければと思います。
 求職者支援制度につきましては、コロナ禍におきまして、離職を余儀なくされた非正規雇用労働者等に対する支援を強化するために、本年度末までの特例措置を導入したところでございます。
 現在、コロナによる雇用情勢への影響も緩和されてきておりますけれども、今般、コロナ特例終了後の制度の在り方につきまして、これまでに実施した特例措置の効果についても確認した上で、継続すべきものがないかという観点、また、現時点で把握しているその他の課題に、どのように対応するかという観点から、見直し案を作成してございます。
 求職者支援制度全体につきましては、必要な人に届くものになっているか、効果の上がるものになっているかというのは、当然、これからも引き続き不断に検証していくことが必要だと考えてございますけれども、今回は、コロナ特例の項目を中心に、今後の在り方について御検討いただきたいと思っております。
 11ページ以降が、特例措置の利用状況や、ハローワークでの調査、各種データ等を踏まえた見直し案でございます。
 まず、11ページの本人収入要件でございますけれども、もともと月8万円以下という条件でございましたところ、特例措置としてシフト制で働く方などについては、月12万円以下ということで緩和してございます。この特例措置の利用状況は、1.4%と低調にとどまっております。
 背景といたしましては、1つには、働きながら訓練を実行しており、かつ、一定以上収入のある方がそれほど多くなったかということ。
 もう一つは、特例措置の導入後、緊急事態宣言などの経済社会活動への制限が緩和されてきたことがあると考えてございます。
 見直し案として、こういった状況を踏まえまして、本人収入要件の特例措置については、今年度末で終了することとしてはどうかというものでございます。
 続きまして13ページを御覧ください。
 世帯収入要件につきましては、月25万円以下という要件を、特例措置として月40万円以下に引き上げたところでございます。
 次の14ページを御覧いただきますと、左のほうに参考という表がございます。この月25万円以下という金額でございますけれども、人事院が家計調査等を基に算出いたしました標準生計費を勘案して設定してございます。
 この中には税金ですとか、社会保障費等といった非消費支出は含まれておりません。
 一方で、右の図3のグラフを見ていただきますと、これらの非消費支出は、平成23年の制度創設時から令和4年にかけまして、3割程度増加しておりまして、直近では月7万円程度の負担になってございます。
 この特例措置の利用状況は9.5%ということで、一定程度利用されていると考えてございますけれども、例えば、左上の図1のとおり、本特例措置は、女性の利用割合が高く、一方、訓練受講者につきましては、右上の図2のとおり、女性の伸び率が高くなっているようなことを踏まえますと、本特例措置は、受講者数の増に一定程度寄与したのではないかと考えてございます。
 そういった中で見直し案でございます。13ページに、恐縮ですが戻っていただきまして、下の緑の箱でございますけれども、本制度を必要とする方の受講促進の観点から、先ほど申し上げました負担の実態を踏まえまして、この要件につきまして、月25万円以下から月30万円以下に引き上げてはどうかという見直し案でございます。
 続きまして15ページを御覧ください。
 こちらは、出席要件でございます。求職者支援制度につきましては、訓練プログラムを全て受講することが就職に結びつくという観点から、原則として1日でも欠席したら、給付金は不支給とする取扱いとしておりますけれども、一方で、病気などでやむを得ず欠席せざるを得ない場合は、訓練実施日の2割までは欠席を認めるという扱いとしております。
 本特例措置につきましては、仕事のために訓練を欠席する場合は、病気の場合などと同様に、やむを得ない欠席として取り扱うというものでございます。
 本特例措置は、例えば、シフト労働者の方などが、急にシフトが入った等により、本来予定されていた訓練日に、訓練を受講できなくなる場合を想定したものなどでございますけれども、利用状況は0.2%にとどまっております。
 こういった状況も踏まえまして、本年度末で、この特例措置については、終了してはどうかというのが見直し案であります。
 続いて、16ページを御覧ください。
 こちらも出席要件の特例措置でございますけれども、こちらは、やむを得ない理由以外の理由で欠席をした場合に、訓練実施日の2割まで欠席を認める一方で、欠席日の給付金を日割りで減額するという特例でございます。
 本特例措置の利用状況は26.1%ということで、一定程度活用されていると考えてございます。
 これにつきまして、訓練受講希望者の中に、1日でも欠席すると不支給となるという本来の要件が、受講促進の大きな妨げになっている方もいらっしゃるのではないかという観点から、ハローワークのほうで調査を行いました。
 それにつきまして、17ページを御覧いただきたいと思います。
 まず、求職者支援訓練には、就労経験の少ない方を対象にした基礎コースが設定されておりますけれども、こういった就労経験の少ない方、つまり、訓練受講が有効であると考えられる方が、必ずしも訓練受講を希望しないという声が以前からあるところでございます。
 図1が調査の結果になります。就労経験の少ない方について、訓練受講につながらなかった理由についての調査をハローワークの職員に行いました。
 ハローワーク職員のこれまでの相談の中で、こういった方たちが訓練を受講しない理由として、遅刻、欠席せずに訓練に通い続ける自信がないという理由が、最も多かったと答えた職員の割合は約3割となってございます。
 それから、真ん中の下の表1を御覧ください。
 育児・介護中の方の表でございます。育児・介護中の方につきましては、訓練受講者のうち、育児・介護中の方が占める割合は10.8%となっておりまして、ハローワーク求職者における割合16.6%より低くなってございます。
 こういった育児・介護中の方の訓練受講が低調な理由について、ハローワークで、先ほどと同様の調査を行ったのが図2でございます。
 突発的な事情で訓練を休まざるを得ないことが想定され、訓練について行けなくなる、給付金がもらえなくなるといった不安があるためという理由が最も多いと回答した職員が、2割強ありました。
 表の2を見ていただきますと、実際の給付金の受給状況を見ましても、育児・介護中の方が訓練受講中に給付金を受給した回数というのは、それ以外の方の回数を下回っているところでございます。
 そういったことで、前のページで恐縮ですが、16ページの下の緑の箱を御覧ください。
 以上のようなことから、訓練受講に配慮が必要な方の受講促進の観点から、基礎コース受講者及び育児・介護中の方に限った上で、現行の特例措置を恒久化してはどうかという見直し案でございます。
 続きまして18ページを御覧ください。
 給付金の支給要件としましては、金融資産等要件、300万円以下、現住所以外に土地・建物を所有していないといったものがございますけれども、こちらにつきましては、この要件が原因で、訓練を受講しにくいといったような要望は、特にハローワークのほうからはございませんでしたので、本要件については、特例措置は実施していないところでございます。
 続きまして19ページを御覧ください。
 特例措置で訓練対象者として、離転職せずに働きながらスキルアップに取り組もうとする方を追加いたしました。
 この特例措置の利用状況は32件ということで、大変少なかったところでございます。
 ただし、次の20ページを御覧いただきますと、こちらは能力開発基本調査の数字になりますけれども、まず、上の表1でございます。正社員以外の方につきましても、9割弱の方が、向上させたい能力、スキルがあると回答されて、その割合も年々増加しております。
 また、真ん中の図1でございますが、向上させたい能力として、ITの一般的な知識、能力、それから職種特有の実践的な能力など、職業訓練で身につけられるスキル習得へのニーズが高いという状況がございます。
 一方で、左下のグラフになりますが、正社員以外の方が、実際に自己啓発を行った割合、それから右のグラフですが、会社から費用補助を受けた割合が低いという結果になってございます。
 恐縮ですが、前のページの19ページの下の緑の箱を御覧ください。こういった状況も踏まえまして、非正規雇用労働者等の主体的なスキルアップを促進し、成長分野を支える人材を確保する観点から、働きながらスキルアップを目指す方を、訓練対象者に追加することとしてはどうかという見直し案でございます。
 それから、行ったり来たりして恐縮でございます、21ページを御覧ください。
 職業訓練受講給付金の給付内容でございますけれども、職業訓練受講給付金としては、月10万円の職業訓練受講手当のほかに、通所手当と寄宿手当を支給してございます。
 支給の仕組みといたしましては、支給要件を満たして月10万円の受講手当を受給できる方については、必要な方について、通所手当、こちらは訓練実施施設までの交通費になりますけれども、その通所手当、それから寄宿手当が合わせて支給されます。
 受講手当を受給できない方については、通所手当等は支給されないという仕組みになってございます。
 22ページを御覧いただきますと、この通所手当の実態といたしまして、全国の平均支給額は1万数百円程度でございますけれども、地域によって平均支給額にばらつきがございます。
 また、個々に見た場合に、交通費の負担が多くなるケースといたしまして、この事例というところに書いてございますけれども、例えば、訓練実施施設が県の中心部や県外などの遠方にある場合ですとか、あとは電車やバスを組み合わせたり、有料の特急や高速バスを使う必要がある場合などに負担が大きくなるケースもございます。
 また、自動車で通う場合においても、駐車場代、ガソリン代の負担がかかるといったようなケースがございまして、全国のハローワークにおきまして、訓練期間中に毎月数万円の交通費がかかることが負担となって、受講を断念するというケースが発生してございます。
 こういった状況を踏まえまして、下の緑の箱でございますけれども、10万円の受講給付金の対象とならない方のうち、収入が一定額以下の方、具体的には、本人収入が月12万円以下、世帯収入34万円以下の方につきましては、通所手当のみを支給することとしてはどうかという見直し案でございます。
 御説明は、以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、本件について、御質問、御意見等がありましたら、お受けしたいと思います。どなたからでも、どうぞ御自由に。
 では、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 前回の雇用保険部会では、労働側より、「支援を必要とする人に支援が届いているのか」という視点や、「よりよい条件の職場への採取職や、職場定着につながっているのか」という視点が重要ではないかと申し上げました。
 今回の検証は、特例措置の見直しに限定したものであると思いますが、「支援を必要とする人に支援が届いているのか」という視点では、提示された案は、前回よりも各種データやアンケート結果などの根拠を一定踏まえているものと受け止めていますが、一方で、受講者数は年間目標の5万人には及ばない状況であり、今回見直しを行わない支給要件・給付内容の設定の妥当性や、利用促進に向けた周知の在り方については、引き続き適切な検証・見直しを行う必要があると思います。
 また、「よりよい条件の職場への再就職や職場定着につながっているのか」という視点では、資料1-2に入職と就業継続の効果検証結果が示されています。この中で、入職後3年間の就業継続効果が見られなかったことや、正社員の就職希望者が、正社員として就職した割合が低かったことなどの課題が明らかになったと思います。この結果を踏まえた制度の改善の検討についても、他の分科会と連携し、議論していくべきだと考えます。
 最後に、従来から申し上げているとおり、雇用保険受給資格のない方たちを対象とする求職者支援制度は、本来であれば、全額一般会計で実施すべきであり、財源の在り方を含め、検討することが必要です。限りある雇用保険財源で、より効果的な制度運用がなされるよう、引き続き議論していきたいと考えます。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 では、続いて、酒井委員、お願いいたします。
○酒井委員 今回の求職者支援制度の時限措置の見直しですが、雇調金の特例措置が完全に終了する中で、今後、一時的にでも求職者が増えるなどの可能性を考えると、全てを元に戻すということではなくて、必要なものに関して残したということに関しては、評価できるものだと思います。
 ですので、基本的にこの見直し案で結構かと、個人的には思っておりますが、その上で少し思うところを述べさせていただきたいと思います。
 先ほどからも出ておりますけれども、本当に支援を必要としている人に支援が届いているのかという観点から検証を行うべきとの意見が、この雇用保険部会でも出ていたわけです。
 裏を返せば、例えば、必ずしも喫緊性の高くない人が受給しているのではないかと、そういった可能性についても検証といったことが必要だったのではないかと思うところです。
 その意味では、今回、お示しいただいたデータは、非常に丁寧なものだったと評価しておりますけれども、一方で、若干隔靴掻痒の感もあるのではないか、正直申し上げると、ちょっと踏み込みが足りない部分もあったかと感じているところです。
 ですから、検証ということは非常に難しいことではあると承知しておりますけれども、今後はこういったことに関して、より踏み込んだ検証を望みたいと考えております。
 2点目ですが、今回、仕事による訓練の欠席ということに関して、2割まで認めるという特例措置を廃止する方向ということで、実際に、利用状況は非常に少なかったということでした。そもそもこの措置、コロナ禍のシフトの急激な変動に対応をした措置と理解しておりますけれども、一方で、求職者支援制度というものを、今後、働いている人にもその利用を広げていくという観点からは、この特例措置に関しては、場合によっては残すという選択肢もあったのではないかと、ちょっと考えるところです。
 ですので、今回は、これで結構ですけれども、今後、そういったニーズがないのかということも含めて、今後の継続的な議論を期待したいところです。
 3点目は、非常に細かいところで恐縮なのですけれども、資料1-2に、求職者支援制度の効果分析ということで、非常に精緻な分析が示されました。
 この分析に関して、私は非常に感銘を受けるところなのですけれども、一点、この分析に用いられている傾向スコアマッチングという手法は、観察可能な属性のみをコントロールした手法ということで、現在では、いわゆる通常の最小二乗法による推定結果とほぼ変わらないというコンセンサスができつつあるものです。
 ですので、求職者の意欲といった、通常は観察できないようなものに関しては、コントロールしていない手法だと私は理解しています。分析は分析としていいのですけれども、何かこの傾向スコアマッチングを用いたことによって、因果関係の意味で求職者支援制度の効果を分析したのだというような誤解を招かないような注意、留保が必要なのではないかと思いました。
 私からは、以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 続きまして、大谷委員、お願いいたします。
○大谷委員 ありがとうございます。全国中央会の大谷です。
 求職者支援訓練につきまして、本制度の重要性は全く変わりがないと考えておりますので、私のほうは、事務局案に異論はございませんけれども、2点ほど発言させていただければと思っております。
 1つ目は、先ほども話がありましたけれども、財政面でございます。現在、雇用保険制度で実施しておりますけれども、制度創設時と違いまして、雇用保険財政は非常に厳しい状況でございます。
 また、受講者数は、年々増加しているところでもありますので、安定した財源を確保できるように御検討いただきたいと思っております。
 2つ目は、求職者支援訓練を受講されている就労意欲の高い方が、訓練を欠席したことで、訓練について行けなくなるということで、断念されてしまうことがないようにフォローいただきたいという要望でございます。
 中小企業は、御存じのとおり、慢性的な人手不足でございますので、ハローワークとの連携を、引き続き強化いただき、訓練受講者が就職につながるよう、御支援方、お願いいたします。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 今回の対応案は、雇用情勢の持ち直しや支出の実態、利用状況、効果などを踏まえたものと理解しております。その中でも、育児・介護中の者に対する出席要件の緩和について、多様な人材の受講促進という観点からは、有効な見直しと考えております。今回の緩和の効果や利用状況については、引き続き注視していただき、必要があれば見直しを検討するべきと思っております。
 最後に、財源の問題について御指摘いろいろありましたが、その在り方について、引き続き検討していくべきと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
 では、雇用保険課長。
○尾田課長 雇用保険課長でございます。
 冨髙委員、大谷委員、平田委員から求職者支援制度の財源につきまして、御指摘をいただきました。
 この求職者支援制度の財源につきましては、現在、一般会計と失業等給付の労使の皆様からいただいた保険料で運営しているところでございまして、この財源の在り方につきましては、引き続き、この制度の検証・検討と併せまして、今後、引き続き検討していきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
○守島部会長 どうぞ。
○平川室長 効果の検証につきまして、皆様から御意見をいただきました。今後の検証につきましては、取り組んでまいります。
 特に、訓練受講者が増えているかという量的な側面、それから、よい労働条件のところに就職できているかという質的な側面、それから、事業そのものが効果的に実施されているのかといったことにつきまして、周知をきちんと、どのようにされているかといったことも含めまして、適切に検証を行って、必要な見直しに取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見とか、御質問とかございませんでしょうか。
 ありがとうございます。
 様々な御意見をいただきましたけれども、求職者支援制度の今後の在り方につきましては、雇用保険部会といたしましては、事務局から御説明のあった原案のとおりとすることとしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 事務局におかれましては、本日、御意見が大分出たのですけれども、委員からいただいた御意見、御指摘を今後の求職者支援制度の検証・検討に当たっては、十分に踏まえた形で対応するようにお願いいたしたいと思います。
 その上で、原案のとおり対応することについて、異議はございませんでしたので、事務局において、省令改正作業を進めていただきたいと思います。
 それでは、議題1については、以上とさせていただきます。
 次の議題です。議題2「雇用保険制度研究会における議論の状況について」でございます。
 資料について、まず、事務局より御説明をお願いいたします。
○尾崎補佐 事務局でございます。資料の2を御覧いただければと思います。
 雇用保険制度における議論について、この資料に基づきまして御説明いたします。
 まず、1ページ目を御覧いただければと思います。
 雇用保険制度研究会の概要ということで、左下に赤い枠囲みがございますけれども、第6回を2月28日に開催いたしまして、この中で基本手当や教育訓練給付について取り扱ったところでございます。
 いずれも昨年1月に雇用保険部会の報告の中で、令和4年度に検証を行うとされておりまして、そちらも念頭に置いて御議論いただいたところでございます。
 まず、基本手当の関係でございますが、2ページ目を御覧いただければと思います。
 こちらは制度の主な考え方ということで、青い囲みの給付水準の右側のところを御覧いただければと思います。
 まず、1ポツ目でございますが、給付率については、低所得者に対しては十分な保護を図るとともに、高所得者に対しては、再就職意欲を阻害しないように設定されているというものになります。
 2ポツ目の賃金日額の上下限についても同様の考え方でございます。
 3つ目の所定給付日数に関しましては、再就職の難易度に応じて決められているということでございます。
 続いて、3ページ目を御覧いただければと思います。
 こちらは、制度の概要ということで、上に計算式ございますけれども、基本手当日額、つまり失業給付ですけれども、こちらは、賃金日額に給付率を掛けて出すものとなっております。
 上の表ですが、賃金日額には、年齢別に上下限がございまして、また、下の表ですけれども、給付率は賃金日額に応じて50%から80%となっております。
 続いて、4ページを御覧いただければと思います。
 こちらは、賃金日額の下限額についての資料になります。
 上の四角囲みの1ポツ目を御覧いただければと思いますが、賃金日額の上下限については、毎年度の毎月勤労統計調査の賃金上昇率に応じて自動改定を行っております。
 平成29年の改正で、こちらの下限額については、最賃日額を下回らないようにルール化されているところでございます。
 下の表の赤字のところを御覧いただければと思いますが、最近は、最低賃金の上昇率が高いということもございまして、令和2年8月以降は、下限額は最低賃金の日額と同じとなっております。
 続いて、5ページ目を御覧いただければと思います。
 こちらのグラフですけれども、横軸に離職前の賃金日額を取りまして、縦軸に再就職時賃金と基本手当日額を取っております。
 比較してみますと、再就職時賃金のほうが基本手当よりも高くなっております。
 この考え方ですが、失業給付のほうが、仮に再就職時賃金を上回るというようなことになりますと、再就職の意欲を阻害するということにもなりかねないということになりますけれども、平均的に見まして、そういった逆転現象というのは起こっていないということを示すものになります。
 続いて、6ページ目を御覧いただければと思いますが、今度は5ページ目の平均ではなくて、個人で見た場合に、どれぐらい失業給付と再就職時賃金の逆転が起こっているかというものを見たものになります。
 左下の全年齢で見てみますと、23.3%の方が、失業給付のほうが再就職賃金よりも高いということになっております。年齢別に見ますと、60歳以上で40%の方が逆転しているということでございます。
 ただ、留意事項といたしまして、下の注書きにございますとおり、所定外賃金の関係で、この割合、やや高めに出ているというところは、御留意いただければと思います。
 7ページ目を御覧いただければと思いますが、こちらは、基本手当の所定給付日数でございます。
 所定給付日数は、こちらにございますとおり、倒産、解雇といった離職理由あるいは年齢、さらには被保険者期間に応じて長短が決まっているという仕組みになっております。
 続いて、8ページ目を御覧いただければと思います。
 なかなか所定給付日数の検証は難しいところではあるのですけれども、参考になる資料といたしまして、雇用保険の受給者に限らず、労働市場全体で転職される方の離職期間の分布というものを見たものになります。
 一番上に合計とございまして、こちらの水色のところに40.9%でございます。つまり、離職期間が15日未満で、ほとんど離職期間なく転職される方は40.9%となっております。
 右のほうに黄色の四角囲みがございまして、所定給付日数、最短で90日になっていますけれども、離職期間3か月未満の方の割合を見たものになります。
 合計で見ますと、67.5%ということで、この割合は、年齢によっては違ってきているものになります。
 続いて、9ページ目を御覧いただければと思います。
 今度は、先ほどの8ページのものを離職理由別に見たものでございます。
 下から2つ目に赤い枠囲みがございますけれども、会社都合、つまり解雇等で離職された方に関しては、3か月未満で転職される方が54.7%と少なくなっております。つまり離職期間が長くなっているということになります。
 そのほかに、離職期間が長いグループといたしましては、青色の枠囲みの結婚、出産、育児といった一旦労働市場から退出されたと思われるグループを除きますと、大体7割から8割程度が離職期間3か月未満で転職されているというのが実態でございます。
 続いて、10ページ目を御覧いただければと思います。
 こちらは、基本手当の受給資格者に対しまして、早期再就職の意向を聞いたアンケート調査の結果になります。
 離職理由別に見てみますと、表の左側に一刻も早く就職したいという方がございますけれども、こちらは、倒産あるいは会社都合の方に多くなっております。
 一方で、表の右側ですけれども、じっくり仕事を探したいとか、あるいは受給が終了した後に就職したいと考えられている方は、定年期間満了あるいは自己都合というようなところで、やや多くなっているという傾向がございます。
 続いて、11ページ目以降を御覧いただければと思いますが、こちらは、基本手当の給付制限の関係の資料になります。
 上の四角囲みですが、自己都合離職者の方に関しましては、原則で2か月間の給付制限が設けられているところでございます。
 下に給付制限の考え方がございまして、まず、1ポツ目ですけれども、雇用保険では、解雇や倒産といった自らの意思によらない失業に対して給付するということが基本になっております。
 2ポツ目の1ですけれども、自らの意思によって離職する、つまり、自ら保険事故を起こすような方と、そうでないような方を同じように扱いますと、基本手当受給目的の離職というのを助長しかねないということ、さらには2ですけれども、解雇等で急に収入が途絶えた方とは、生活保障の必要性が異なるということで、この給付制限制度というのが設けられているところでございます。
 12ページを御覧いただければと思いますが、自己都合離職者数の年度別の推移でございます。
 赤い囲みですけれども、近年は、雇用保険の自己都合離職者は70万人程度ということで、受給資格決定を受けた方の約50%程度が自己都合ということになります。
 13ページを御覧いただければと思いますが、こちらは、自己都合離職者の月別の推移になります。
 令和2年10月に給付制限期間を3か月から2か月に短縮したところでございますが、その前後で傾向に大きな変化というのは見られないところでございます。
 続いて、14ページでございますけれども、こちらは、自己都合離職者の再就職までの期間別の分布でございます。
 この棒グラフの上のほうが、令和元年の4月から5月に受給資格決定された方ですので、給付制限3か月のときのもの、下が令和3年4月から5月ですので、給付制限は2か月となっておりまして、したがいまして、再就職までの分布を見ますと、赤いラインの給付制限中に再就職というのが、当然ながら左にシフトしているということでございます。
 ここで着目いただきたいのは、点々と赤い丸で囲っている部分なのですけれども、給付制限1か月未満の方が10.4%から9.0%、さらに1か月から2か月の方が13.0%から10.6%に減少しております。
 考えられる原因は2つございまして、上の四角囲みの2ポツ目になります。
 まず、1点目は給付制限が短くなったので、基本手当の受給開始まで再就職を待とうかという受給行動が引き起こされた可能性がある一方で、2点目は、単純に、コロナ禍で早期再就職が難しくなったというだけの可能性もございまして、ここは、引き続き検証が必要なところかなと考えてございます。
 続いて、15ページを御覧いただければと思いますが、いわゆる循環離職と呼ばれるような、繰り返し離職されている方の状況はどうかという資料になります。
 上の表が、令和2年10月、給付制限が2か月に短縮した後に、自己都合された方のうち、さらに令和4年9月末ということですので、2年以内に再度自己都合離職された方の割合を示したものでして、大体1%となっております。
 下の表ですけれども、平成29年10月の給付制限3か月時代と比べましても、同じように1%程度ですので、そのときとは変わっておりません。ただ、施行から2年強しか経っておりませんので、引き続き、こちらも検証が必要なところかと考えてございます。
 続きまして、16ページと17ページですけれども、研究会における御意見でございまして、こちらは、資料のとおりでございますので、個別の御紹介については割愛させていただければと思います。
 続いて、18ページまで飛んでいただきまして、ここからが教育訓練給付の関係でございます。
 概要ということで、上の四角囲みになりますけれども、労働者の主体的な能力開発を支援するために、雇用保険被保険者または離職後1年以内の者が、厚労大臣が指定する教育訓練を受講した場合に費用の一部を支給するという仕組みになっておりまして、専門実践・特定一般・一般の3類型ございます。
 19ページを御覧いただければと思いますが、こちらは、一般・特定一般の就職率に関するデータでございます。
 一般と特定一般の受給者で離職者について見てみますと、雇用保険の適用就職率は、大体どちらも65%程度、右側の正社員就職率については、35%前後となってございます。
 続いて、20ページでございますけれども、特定一般の受給者のうち、在職者に限っては、これはアンケート調査を見たものになります。
 グラフの右を御覧いただければと思いますが、受講後に賃金が増加した方は26.3%となっております。
 21ページ以降が、専門実践教育訓練の関係でございます。
 上側が専門実践訓練給付金とございまして、こちらは、訓練費用の一部を支給するものでございます。
 下側の教育訓練支援給付金に関しては、訓練期間中の支援として基本手当日額の80%を支給するものでございます。
 22ページを御覧いただければと思います。
 雇用保険の部会報告の中では、指定講座の偏りなどについても御指摘がございましたけれども、赤枠の部分を御覧いただければと思います。
 こちらは、課程類型ごとに、現在ある講座数のうち指定されているものの割合を見たものというものになります。例えば、下から2つ目に、第6類型、第四次産業革命スキルという、AIとか、あるいはIT関係の講座がございますけれども、指定講座としては、100とあまり多くないところではございますが、全体に占める割合としては、85%と高くなってございます。
 23ページを御覧いただければと思います。
 こちらは、専門実践の指定講座のうち、夜間、土日、さらにはオンライン講座の数の推移でございます。
 部会の報告でも、これらを増やしていくべきというような記載もございましたけれども、特にピンクのオンラインのところに関しては、コロナ禍で大きく伸びてございます。
 24ページが、専門実践の受給者の受講内容を見たものになります。
 介護福祉士、社会福祉士といった福祉系あるいはキャリアコンサルタントが多くなっておりますが、真ん中辺りにございます、第四次産業革命スキルの講座も、数は少ないながらも伸びているということでございます。
 25ページを御覧いただければと思いますが、こちらは、専門実践の受給者のうち離職者の就職率等を見たものでございます。
 一番左の合計の部分ですけれども、雇用保険の適用の就職率が7割、正社員就職率が4割と、一般・特定一般と比較すると高くなってございます。
 目標資格別に見ますと、赤枠の看護師とか、あるいは第四次産業スキルの関係が全体よりも高くなっているところでございます。
 続いて、26ページを御覧いただければと思いますが、教育訓練支援給付金のほうの受講内容でございます。
 看護師と准看護師で、赤枠の全体の4割以上となっておりまして、全体といたしましては、訓練期間が長い方というのが多くなってございます。
 27ページが、支援給付金受給者の就職率に関する資料でございます。
 青が支援給付金の受給者でございまして、黄色が支援給付金を受けていない専門実践の受給者の数値となっております。
 支援給付金の受給者のほうが、就職率が高くなっておりますけれども、理由としては、45歳未満に限定されているということも考えられますので、黄色の受けていない方に関して45歳未満でそろえたものというのが緑になります。
 こちらで見ましても、支援給付金の受給者の就職率というのが高くなっていることが分かるかと思います。
 28ページを御覧いただければと思いますが、専門実践の離職者に関しまして、受講後の賃金の変化ということで、賃金が増加した方が赤枠の47.9%となっております。
 続いて、29ページが在職者に関する賃金の変化ということで、赤で書いていますとおり、賃金増加は39.7%の方がなっております。
 最後に30ページでございますけれども、前職非正規雇用だった方が、正規雇用に転換した割合ということで、右上にございますとおり、55.8%の方が正規転換しているというものになります。
 最後に、31ページに関しまして、教育訓練給付に関する御意見ですけれども、こちらも個別の御紹介は割愛させていただければと思います。
 資料の説明は、以上になります。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、本件について、御質問、御意見等がありましたら、お伺いしたいと思います。
 では、小林委員、お願いいたします。
○小林委員 ありがとうございます。
 私のほうから2点、意見させていただきます。
 雇い止めによる離職者についての所定給付日数を、特定受給資格者と同等とする限定措置に関連しまして、参考資料1の43ページには、雇い止めによる離職者の基本手当の支給終了までの就職割合が56.1%で、特定受給資格者の67.8%をも下回っているというデータが示されています。この内容を見ると、現行の措置を継続することが望ましいのではないかと思っています。
 また、先月、「労働移動を円滑化するため、自己都合で離職した場合の失業給付の在り方を見直す」という趣旨の首相の発言もありましたが、資料2の14ページに「コロナ禍で再就職までに時間を要した可能性もあり、さらなる検証が必要」と記載のとおり、適切な検証結果も踏まえ検討いただきたいと思っております。
 雇用保険全般に言えることだと思いますが、資料の2の2ページの冒頭にも記載がございますとおり、基本手当につきましては、労働者が失業または雇用継続が困難となった際に、生活や雇用の安定を図るためのものであり、労働移動を促進させるために制度の見直しを行うものではないと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。
 では、平田委員、お願いです。
○平田委員 ありがとうございます。
 丁寧な御説明、ありがとうございました。改めて制度をめぐる現状を考えてみますと、財政の再建や人手不足、成長産業への円滑な労働移動など、様々な課題が山積していると認識しております。今後は、研究会での議論も活用して、制度の目的や給付水準、財源など制度の在り方について、多角的な視点から当部会において議論していくことが極めて重要と思っております。
 それから、1つ単純な質問です。この研究会は、一回りして、これで終了という理解でよいのか教えていただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。
 お答えになりますか、では、課長、お願いします。
○尾田課長 雇用保険課でございます。
 今の平田委員からの御質問でございますけれども、この研究会につきましては、先ほどの資料2の1ページ目にありますとおり、基本手当、教育訓練給付、求職者支援制度、非正規雇用労働者に対する支援策、育児休業給付とその財源の在り方、その他ということで、こういったことを検討事項に設定して開催しております。
 今後につきましては、一通りこういった検討事項の検証を終えた段階で、一定のまとめということで考えたいと思いますが、今までの検討で足りない点があるかどうかということを確認しつつ、研究会を運営していきたいと思っております。
 もう一点、先ほど小林委員からございました、参考資料1の43ページの雇い止め離職者の特定理由離職者のうち、雇い止めで離職された方の再就職状況でございます。
 こちらの資料につきましては、真ん中の四角囲みでは、受給期間中に就職した方の割合ということで、直近ですと、平成元年度の56%というデータを出しております。
 この数値をどう評価するかということで、上の枠囲みの参考では、特定受給資格者との比較を出しておりますが、ここの分析につきましては、そもそもの所定給付日数の長さの違いとか、そういったところをコントロールできていないところもございますので、引き続き、我々としても、今後、検証を皆様方とともに続けてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
 では、続きまして、中窪委員、お願いいたします。
○中窪委員 ありがとうございます。
 雇用保険というのは、本当に制度が複雑かつ広範で、なかなか検証というのは難しいと思うのですけれども、そういう中で一つ一つ制度を丁寧に分析しながら検討されているなあと思いました。重要な機会ですので、大変期待をしております。
 言うまでもないことですけれども、検証と言っても、先ほどもありましたように、コロナの影響なのか、制度改正の影響なのか、それ自体、本当に難しい判断になります。専門家の皆さんですから、そこはもう当然ご理解いただいていると思いますけれども、なかなか簡単には言えない部分もあるということは、ぜひ、マスコミ等に伝えるときも、きちんとニュアンスを理解してもらうようにお願いしたいと思っております。
 それから、失業という保険事故そのものが、短なる事実ではない、本人の意思にも関わる部分がありますので、そこをどう制度設計するかというのは、非常に難しい部分があると思います。その意味で、個人的に興味がありますのは、今日は、就業促進給付については出ませんでしたけれども、再就職手当が、それによって早期の再就職を誘導しようと、まさに経済的なインセンティブを使っているわけですけれども、実際にどれだけ効果があるのだろうかという点です。以前、アメリカの研究者と話したときに、日本では、そんな制度があるそうだが、どのくらい効果があるのかと聞かれ、多分あるのではないですかぐらいしか言えませんでした。もし、その辺りで有益な示唆が得られれば、ありがたいなと思っております。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、課長、お願いいたします。
○尾田課長 中窪委員、御指摘ありがとうございます。
 再就職手当につきましては、研究会でも、今後、検証が必要という御意見を酒井委員等からいただいたところでございまして、今後、我々もそういう点に留意してまいりたいと思っております。
 また、諸外国でもあまり例がない制度でございますので、この効果というものは、そういう意味でも、我々としても、引き続き留意してまいりたいと思っています。御指摘ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、御意見、御質問等ございますでしょうか。
 大丈夫ですかね。それでは、議題2については、以上とさせていただきます。
 では、次の議題に移りたいと思います。
 議題3は「その他」でございますけれども、まず、初めに、失業認定オンライン化について、事務局より御説明をいただきたいと思います。
○尾崎補佐 それでは、資料3を御覧いただければと思います。失業認定のオンライン化についての実施状況を御報告させていただければと思います。
 まず、1ページ目ですけれども、本件の各種決定の抜粋でございます。
 一番下の枠囲みが直近でございまして、昨年12月に規制改革の中間答申が出ております。そのうちaの部分を御覧いただければと思いますが、厚生労働省は、雇用保険制度の失業認定について、2行目でございますが、市町村取次ぎの対象者などに対して、遅くとも今年4月からデジタル技術を活用した取組を順次実施し、速やかに効果検証を行うとございます。
 2ページ目を御覧いただければと思いますが、これも受けまして、市町村取次ぎによる失業認定の見直しについて、試行実施を行っている概要でございます。
 これは、実は前々回の雇用保険部会でも御説明した資料と、ほとんど同じなのですけれども、1点異なるのが、右下に青い文字で記載されている部分でございます。
 先ほどの雇用保険制度研究会での議論なども踏まえまして、市町村役場だけではなく、本人の希望があれば、自宅からのオンライン面談についても、試行実施をしていきたいと考えてございます。
 次に、3ページ目を御覧いただければと思います。
 この市町村取次ぎの試行実施についても段階的に行っておりまして、スケジュールを示した資料でございます。
 上側が、今年1月から実施中の内容でございます。
 対象地域は、大島などの3つの離島で、試行内容といたしましては、市町村役場に設置されております、既存のテレビ会議システムを活用するものとなっております。
 したがいまして、1月からの分については、失業認定に当たって、市町村役場への来庁が必須という形になっております。
 下側が、今年の4月から、来月からですけれども、実施予定のZoomを活用した試行実施の内容になります。
 こちらは、市町村役場への来庁だけではなくて、自宅からのオンライン面談も可能なものとなってございます。
 対象地域といたしましては、市町村取次ぎの対象の52市町村のうち、自治体の協力が得られた市町村ということで、7労働局、41市町村において実施する予定となってございます。
 最後に4ページ目でございますけれども、このうち1月からの分の施行状況の御報告でございます。
 まず、オンライン認定の実績といたしましては、1月からの2か月間、3月1日までで、12件となってございます。
 オンライン認定に係る所要時間といたしましては、オンライン面談時間のみであれば、5分、10分ということで、通常の来所と同程度でございますけれども、面談の日程調整に時間や手間を要しているところでございます。
 続いて、オンライン認定のメリットでございますが、認定日当日中に、審査や入金が完了するというものですけれども、これは、市町村取次ぎ特有なものであると思います。
 続いて、現時点の主な課題といたしましては、2点ございまして、1点目は、オンライン面談とハローワークの窓口業務が両立できる体制整備ということでございます。
 ※印の後ろのほうでございますけれども、市町村取次ぎの場合は、これまでは、窓口業務が落ち着いてから書類審査ができたということでございますけれども、オンライン面談ですと、その場で行うことが必要でございまして、そのような体制整備が必要でございます。
 2点目ですけれども、オンライン面談の日程調整の効率化ということで、現在は手作業で日程調整を行っているところでございますけれども、この状況を改善すべく、今後、予約受付システムの導入を検討しているところでございます。
 最後に、4月からの施行に見込まれる課題でございますけれども、新たにZoomを用いて実施いたしますので、失業認定申告書の審査あるいは接続不良等のトラブルの増加も見込まれるところでございます。今後も、引き続き、この部会で状況を御報告しつつ進めていきたいと考えてございます。
 事務局からの説明は、以上になります。
○守島部会長 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に関しまして、御質問、御意見等がありましたら、お伺いしたいと思います。
 では、冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
 今までも申し上げているとおり、将来的なオンラインの活用自体は否定するつもりは全くありませんが、失業認定と職業相談、再就職支援への影響、適切な失業認定の実施など課題も多いと思います。求職者は当然として、失業認定に携わる労働者も影響を受けますので、双方の声を踏まえ慎重に検討していただくべきことを改めて申し上げておきます。
 我々の連合の傘下の組合員にも、失業認定に携わる労働者の方がいらっしゃいます。4ページに、オンライン認定に係る所要時間は、オンラインの面談時間のみであれば、通常の失業認定と同程度であると書いてありますが、実際には、面談時間のみで比べても、通常より要する時間は長くなっているという話も聞いています。また、日程調整だけではなくて、データ登録の事後処理にも比較的時間がかかっている現状もあるようですので、そういった実態も踏まえた検証をお願いします。
 今後、Zoomを活用して自宅からのオンライン面談も試行するということですが、テレビ会議システムよりも接続不良の発生頻度が高まることも想定されますし、職員からは、窓口業務との両立について懸念の声が寄せられています。
 そういった中で、オンラインの活用を検討するに当たって、2点お願いしたいことがあります。
 1点目は、試行の条件についてです。資料によると、新たなシステムの開発を検討中ということですが、やはりトライアルで使っているシステムと、実装の場合に用いるものが違えば、あまり検証の意味はありません。システム面以外も含めて、試行が効果的なものとなるように、その条件には十分に留意をしていただきたいと思っています。
 2点目は、検討のスケジュールについてです。現在、予定されている試行については、再就職への影響なども含めて、効果検証を通じて課題を把握し、その課題解決を図りながら丁寧に検討を進めていただきたいと思っています。デジタル化の流れの中で、求職者のニーズや現場の声を十分に把握していただいた上で、拙速に検討が進むことのないように、丁寧な対応をお願いします。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、御意見、御質問等ございますでしょうか。
 では、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 デジタル技術の活用という要請があって、オンライン化を図っていく方向性については、異論ありません。他方、失業認定というプロセスは、極めて重要なものと認識しておりますので、試行的に実施していく中で浮かび上がってくる課題は着実に解決していき、要請に応える形で対象を広げていくことに期待しております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、御質問、御意見等ございますでしょうか。
 大丈夫ですかね。
 では、課長。
○尾田課長 雇用保険課でございます。
 冨髙委員、平田委員から御指摘をいただきました。
 私どもといたしましても、この失業認定のオンライン化というのは、ハローワークが雇用保険あるいは職業紹介における使命を果たしながら、いかにサービスを向上させていくかということが本質だと思っており、そうした視点にしっかりと立ちながら、職員、求職者双方にとって利益のある形で、よく実態を把握し声を聞きながら進めてまいりたいと思いますので、引き続き、この部会でも、随時御議論をいただければと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、御質問等ございますでしょうか。
 それでは、本件につきましては、これで終了とさせていただきまして、次に「新型コロナウイルス感染症関連の特例措置(雇用保険関係)について」に移りたいと思います。
 まず、事務局より御説明をお願いいたします。
○尾崎補佐 それでは、資料4を御覧いただければと思います。
 雇用保険制度におけるコロナ関連の特例措置の関係でございます。
 これまで、雇用保険部会の中でも休業支援金等の制度について御議論いただいてきたところですけれども、今回は、そのほかの運用上の取扱いについて御報告するものでございます。
 1ページ目を御覧いただければと思います。
 上の四角囲みでございますけれども、今般、特段の事情がない限り、令和5年5月8日から新型コロナウイルス感染症について、感染症法上5類の感染症に位置づけられるということも踏まえまして、雇用保険における各種の運用上の特例についても通常の運用に移行したいと考えてございます。
 具体的な特例といたしまして、例といたしまして4つ挙げてございますけれども、まず、例1の特例という部分を御覧いただければと思います。
 本人の職場で感染者が発生したこと、または本人や同居の家族が、基礎疾患を有する等の理由で、監査拡大防止のために自己都合離職した場合には、これは、解雇・倒産と同じような形で特定受給資格者として取り扱っている特例がございます。
 そのほかでございますが、左下の例2でございます。失業認定の関係ですが、特例といたしまして、本人または同居の親族が、基礎疾患を有する、あるいは高齢・妊婦の場合、郵送での証明認定というのは可能となっておりますし、感染防止の観点から認定日の変更も可能となっているところでございます。
 そのほかの特例といたしまして、例3にございますとおり、本人や同居の家族等が感染した場合の受給期間の延長、あるいは例4にございますとおり、新型コロナの影響で、事業所の休業が継続した場合や、あるいはシフトが減少した場合の特例というところもございますけれども、いずれも通常の運用の範囲で、可能な限りの対応をしていきたいと考えてございます。
 事務局からは、以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見等あったらお受けしたいと思います。
 まず、平田委員、お願いいたします。
○平田委員 
 御説明ありがとうございました。この特例措置の取扱いとして例が4つ示されている中で、ただし書きがついているものは、通常制度へ移行後の運用における配慮があると理解しています。大々的に周知する話ではないと思いますが、必要な人のところに、きちんと行き届くようにしたほうがよいと思っております。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 続きまして、三島委員、お願いいたします。
○三島委員 ありがとうございます。
 国公連合の三島と申します。説明ありがとうございました。
 先ほどの御意見と同じようなものになりますけれども、雇調金の特例や、休業支援金をはじめとした、この特例制度などの給付については、通常制度に戻す方向で議論がなされておりますので、本件もその延長線上にあるものと認識をしております。
 例1から例4の矢印で示されているように、通常制度に戻った後も、引き続き、同様の運用が続く場合もありますので、変更の内容と併せて、丁寧な周知をお願いいたします。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに、御意見、御質問等ございますでしょうか。
 では、課長、お願いいたします。
○尾田課長 雇用保険課でございます。御意見ありがとうございます。
 私どもといたしましては、本日、この件につきまして御了解をいただけましたら、速やかに、切替えに当たりまして混乱が生じないように、しっかりと現場に浸透させまして、周知もしっかりしていきたいと思っております。また、御指摘のございました配慮につきましても、十分留意してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御意見等ございませんでしょうか。
 大丈夫ですかね。それでは、議題3につきましては、以上とさせていただきたいと思います。
 以上で本日予定されている議題は、全て終了いたしましたので、本日の部会は、これで終了いたしたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。