第11回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の議事録

日時

令和5年4月4日(火) 14:00~17:00

場所

AP虎ノ門 Aルーム
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル(日本酒造虎ノ門ビル))

議題

  1. (1)積み残しの論点等について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 それでは、定刻より少し前でございますけれども、皆さん、おそろいでございますので、ただいまから「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催させていただきます。
 初めに、構成員の先生方の御出欠について御報告いたします。
 本日、10名の構成員の先生方が会場での御参加、井上構成員、菅原構成員から御欠席との御連絡をいただいてございます。
 なお、前回同様、本会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ユーチューブ配信形式による公開にて行わせていただきます。
 次に、本日の会議資料について御確認をさせていただきます。
 会場におられる構成員の皆様方のお手元には、本日の議事次第のほか、資料1、参考1として開催要綱、参考2として構成員名簿を御用意させていただいてございます。
 不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
 それでは、以降の議事進行につきましては、遠藤座長にお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事に入りたいと思いますけれども、マスコミのカメラの頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただければと思います。マスコミの皆様におかれましては、御退室の後の傍聴につきましては、会場外でのユーチューブで御覧になれますので、どうぞよろしくお願いします。
(報道関係者退室)
○遠藤座長 それでは、議題の1に進みたいと思います。
 議題の1「積み残しの論点等について」、事務局から関連の資料を説明していただければと思います。よろしくお願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、事務局より資料の御説明をさせていただきます。資料1を御覧ください。
 資料1の2ページ目には、全体の構成をお示ししております。本日は、これまでの検討会におきまして、先生方より御質問、御指摘をいただいたり、事務局からの説明ができておりませんでした積み残しの事項につきまして、御説明が1点。
 2点目は、患者会からのヒアリングの結果の御報告をさせてだきます。
 3点目は、以前から論点として挙げておりました、マクロ的な視点からの総薬剤費の在り方についてでございます。
 4点目は、これまでの御議論の整理と、順番に御説明をしてまいります。
 次の3ページ目より、まずは積み残しの事項について、御説明をさせていただきます。
 4ページ目でございます。
 こちらは、前回も御紹介をさせていただきました、日本薬局方の補足説明でございます。
 冒頭に記載のとおり、日本薬局方は、規格基準書として作成されておりますが、具体的な活用事例としましては、共通の規格基準や試験の規格を設定することで、医薬品の開発や審査を効率的に進めてコスト縮減に活用されるほか、不純物の残留規制など、医薬品全体に適用される試験を規定することにより、全体の品質向上を図ることとされております。
 この日本薬局方につきまして、課題となる事項も報告されておりまして、下の灰色の四角の部分でございますが、海外の薬局方でございます米国薬局方、それから欧州の薬局方、それらと一部の規格が異なっていることによりまして、安定供給に支障を生じた事例も一部報告されております。
 これも踏まえまして、下の下線部分に記載をしておりますが、現在進められております、日米欧の3つの薬局方に関する国際的な会議を通じまして、日米欧のそれぞれの薬局方の国際調和、ハーモナイズについて、より一層推進していく必要があるとしております。
 続いて、5ページでございます。
 こちらは、これまでの事務局からの説明で触れられておりませんでした、後発医薬品の全規格取りそろえに関する指導についてでございます。
 上の四角にございますように、先発品から後発品に切り替える際に、必要な規格がないといった理由で後発品が使用できないことがないように、後発品の規格を先発品にそろえるということを求めております。
 具体的には、下の図のように赤い錠剤で示しております先発品が、例えば5mg、10mg、20mg、3種類発売されている場合については、対応する後発品につきましても、右下のように3種類全てそろえることを求めておりまして、左側のとおり、例えば、あまり数が出ないといった理由で、一部の規格の製剤を発売しないということは認めていない状況でございます。
 次の6ページには、この企画そろえの制度導入の経緯について記載をしております。
 1つ目のポツのとおり、平成18年度薬価制度改革の際に、規格そろえを求めることが中医協で議論され、次のポツですが、平成18年の通知において、原則として後発品の薬価収載に当たっては、先発品と同じ規格を求めること。また、医療上不要と考えられる規格がある場合には、個別に判断を行うということが指導されております。
 さらに、その下の四角には、規格そろえの課題について記載をしておりまして、1つ目のポツについては、需要が少なく販売数量が低い規格につきましては、技術上少量生産が困難で、一定量の製造が必要となるということから、一定量の廃棄が発生してしまい、結果として赤字品目となってしまうケースがあること。
 一方で、下のポツにございますように、非汎用規格であっても、医療現場からは供給が求められているといった課題をお示ししております。
 次の7ページでございます。
 こちらからは、別のテーマでございまして、後発薬品の価格の問題でございます。
 7ページは、以前の検討会でもお示ししております資料で、後発医薬品の収載時の価格が、先発薬品の5割または4割で設定されることを記載しております。
 次の8ページでございます。
 一方で、後発品の薬価改定が行われる際につきましては、特別なルールが導入されておりまして、先発品のように品目ごとに価格を設定するのではなく、同じ規格の後発品を価格帯別、具体的には、最高価格の50%と30%をボーダーとしまして、3つのグループに分けまして、それぞれの区分の中で、市場実勢価を加重平均して、価格帯を集約し、グループごとに統一の薬価とするという制度が導入されております。
 次の9ページには、この3価格帯のルールの特別な運用を記載しておりまして、例えば、個別の品目に着目した場合には、薬価改定の際に、1つ上のグループに変更になって薬価が引き上がるようなケースが生じた場合には、価格が上がらないように元の価格帯に含めること。
 また、右側でございますが、グループ単位で見た際に、上の区分から降りてきた品目の影響で、平均値が引き上がってグループ全体の薬価が高くなるというケースでは、改定前薬価が加重平均値より低い品目のみで、別途、加重平均を行うということで、こちらも薬価が引き上がることを防止するようなルールが設けられております。
 次の10ページでございます。
 この3価格帯制の経緯と課題について記載をしてございます。
 経緯としましては、中医協におきまして、後発品の価格帯が多く、制度が複雑になっているということが指摘、議論されまして、平成26年度の薬価制度改革で3価格帯ルールが導入されております。
 下に課題を記載してございますが、1つ目の○ですが、ほかのメーカーの品目の市場実勢価と合わせて、加重平均が行われて薬価が決まることになるため、企業にとっては予見性に乏しい制度となっている点。
 もう一つの○につきましては、安売りをせずに適正な価格で販売している企業にとっては、ほかのメーカーに引きずられて薬価が下がり、逆に安売りをしている企業にとっては、加重平均によって高い価格が維持される傾向がございますので、不公平な制度となっているという指摘がございます。
 次の11ページでございます。
 こちらは、また別のテーマでございまして、先発品企業から後発品企業への製造の引き継ぎに関するルールでございます。
 以前に検討会の中で御指摘をいただいておりましたが、適切にお答えができておりませんでしたので、補足の御説明をさせていただきます。
 長期収載品を販売する先発企業が撤退する場合、その品目の引き継ぎに関して大きく2つのルールがございます。
 まず、表の上側の先発品企業から後発品企業への承継についてですが、こちらの場合は、医薬品医療機器法に基づき、製造販売承認の権利自体を他社に譲渡するケースでございますが、この場合は右側にございますように、承認申請資料や市販後の情報など、社内の非公開情報も含めて、承継先の企業に情報を提供することが求められております。
 一方で、下側のG1品目の撤退に伴う後発品企業の増産につきましては、G1品目として長期収載品の撤退が行われる際に、その分の増産に応じた、後発品企業に対しましては、右側にございますように、審査報告書や添付文書などの公表済みの情報を適切に保管しておくことが求められてございます。
 続きまして、次の12ページでございます。
 こちらも以前に御質問をいただいた内容でございますが、先発品と後発品のコスト構造の違いについて記載をしております。
 左側が先発品企業、右側が後発品企業で、それぞれの原価及び費用を1とした場合のコストの割合を、各社の決算データなどから集計したものでございまして、御覧のとおり、右側の後発品企業は先発企業に比べまして、製造原価が占める割合が高いという傾向となっております。
 右側には、先発品と後発の両方を扱う同一の企業内で、新薬と後発品を比べた場合の表も掲載しておりますが、こちらでも同様の傾向となってございます。
 続きまして、13ページでございます。
 こちらも、また別のテーマになりまして、こちらは医薬品卸における価格交渉の状況についての資料でございまして、前回、お示しした資料を一部修正したものでございます。
 前回の御説明のとおり、20店舗以上のチェーン薬局ですとか、200床以上有する病院の取引は、ほかの取引先と比較して総価取引の割合が高く、この総価取引においては、後発品や長期収載品が値引きの調整として使用されるため、乖離率が高くなっていると考えられること、この点は前回と同様でございます。
 加えまして、表の一番右下の部分でございますが、いわゆる価格交渉代行業者を通じた取引が11.7%、約1割に上っているというデータも併せてお示ししております。
 この価格交渉代行業者に関する資料を、次の14ページにお示ししております。
 価格交渉代行とは、医薬品の価格交渉の際に、医療機関や薬局に代わって医薬品卸と価格交渉を行うことを指しておりまして、共同購入を行うボランタリーチェーンの本部が行うケースや、医療機関等の経営改善の支援の一環として、コンサルタント業者が行っているケースもあるとされております。
 この価格交渉代行のメリットとしては、下にございますが、利用する医療機関や薬局側としては、直接価格交渉行う負担がなくなること、共同購入により購入規模が大きくなることで、その分、価格値下げ交渉が可能となること。
 卸側としては、価格交渉の相手が限定されることから、契約手続の効率化が図れるといったメリットがあるとされております。
 一方でデメリットとしましては、卸側としては、値下げの圧力が高まること。成功報酬を得るためにベンチマーク等を利用して、強硬に値下げ交渉が行われる場合もあること。医薬品の特性や地域的要素を考慮しない一律の価格となる場合があることなどを挙げております。
 これらの課題に対しましては、厚生労働省としては、価格交渉代行を行っていると考えられる企業等に対して、流通改善ガイドラインの周知を行っているところでございます。
 続きまして、15ページでございます。
 こちらからは、以前に小黒構成員より御指摘いただきました、医薬品のユーザーである患者の意見も聞いたほうがよいのではないかという御指摘をいただいたことを踏まえまして、2つの患者会から、本検討会のテーマであります、革新的医薬品の早期導入等につきましてお話を伺いまして、その結果を資料としてまとめさせていただきました。そちらを御報告させていただきます。
 まず、16ページからは1つ目の団体、一般社団法人日本希少がん患者会ネットワークからの御意見でございます。
 1ポツ目、海外でファストトラック、ブレークスルーセラピーなどの指定を受けている医療上の必要性の高い医薬品であって、日本国内では開発情報がない未承認薬の割合が増加しているということを危惧しているとしまして、その主な要因を3点記載していただいております。
 1点目、マル1は薬価制度の問題で、海外の新興バイオファーマにとっては、薬価が海外よりも低くなってしまうこと、薬価の予見可能性が低いことが要因だとされております。
 2点目は薬事制度の問題で、日本人データが必要とされること、日本語対応が必要であること、また、オーファンドラッグ指定制度が使いづらいのではないかといった御指摘もございました。
 3点目の課題は、疾患ごとの患者数が分からないことで、患者数を調べて海外にオープンにするといった取組が考えられるとしております。
 また、次のポツですが、患者会では、大手製薬メーカーとのつき合いがあるものの、ベンチャー企業とはつながりがなく、情報が入ってこない傾向にあること。
 次のポツは、治験の推進に関してで、被験者のリクルーティングにつきまして、治験の情報を公開することが重要である一方で、日本で公開されておりますデータベース、jRCTでの検索が可能だが、分かりづらいといった御指摘がございました。
 そのほか、交通費やパネル検査費用の負担の問題、それから、分散型知見への期待などについてコメントがございました。
 最後のポツ、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議、こちらにつきましては、取り扱う医薬品の要件のうち、欧米ガイドラインに記載されているものを満たすものは、海外だと、ジェネリック医薬品に相当するような古い医薬品が中心となってしまい、海外でも新しい医薬品、これを使えるようにできるシステムが日本にはなく、公知申請もできないため、現在は志の高い医師が自らデータを集めて申請してもらっている状況であると、こういった御指摘がございました。
 続きまして、17ページでございます。
 行政に求められることとしましては、ワクチン開発と同様に、革新的医薬品を生み出せる国家支援、患者数の少ない希少がん治療であってもビジネスになるような薬価の設定、患者への情報提供の拡充、オーファンドラッグ制度の改善などについて御指摘をいただいております。
 真ん中、医薬品の安定供給に関しましては、リスクマネジメントの実現に向けた厚生労働省の指導の強化、バイオ医薬品の国内製造力の強化、輸入ができない、保存期間の短い医薬品の海外製造からの脱却などについて指摘をいただいております。
 さらに下の四角でございますが、ドラッグロス解消への具体策としましては、国際共同治験を推進するため、日本固有の規制の緩和や、症例の集積による開発費用の低減、ベンチャー企業勧誘のためのインセンティブなどの御提案をいただいております。
 次の18ページは、日本希少がん患者会ネットワークの概要を示しておりますが、こちらの御説明は、割愛させていただきます。
 続きまして、19ページからは、もう一つの団体でございます。日本難病・疾病団体協議会(JPA)からのヒアリング結果でございます。
 まず、ドラッグロスに関しましては、1ポツ目、先ほどの希少がん患者会と同様に、ドラッグロスにつながる懸念があること。
 また、2ポツ目のとおり、難病には根治治療がなく、新薬開発、特に再生医療、遺伝子治療などの新しいモダリティの分野における期待が寄せられていること。
 現時点では、ドラッグロスの具体的な事例の情報は寄せられていないが、今後、難病の領域でドラッグロスが発生する可能性が高いこと。
 特に、例えば潰瘍性大腸炎のように、難病の中でも比較的患者数が多い分野では、治験や開発が進んでいるが、多くの難病の治療は対症療法のみで、進行を遅らせる薬も少ない状況であることなどについてコメントがございました。
 また、3つ目ですが、難病は鑑別診断が難しいケースもあり、診断技術の観点でも、日本に遅れがあるとすれば遺憾であるということ。
 4つ目のポツは、国内メーカーも、海外の売上げのほうが大きくなっており、ますます日本から離れていくことを懸念されていると。
 また、新薬の開発に必要な収益の柱について、長期収載品に頼っていたり、せっかく新薬を出しても、それが収益の柱になりにくい構造になることを危惧しているといった御指摘がございました。
 また、最後のポツですが、医薬品業界は様々な規制の中にあり、ほかの業界の常識が通じにくく、例えば、ドラッグロス問題に対しても、各主体がばらばらに対応するパッチワークのような対応になっている印象があるとしまして、患者会も含めて関係者全員で考える場をつくる必要があるといった御指摘をいただいております。
 次の20ページに参りまして、ベンチャー支援に関しましては、例えば、特定の疾患の研究者の方が研究室を飛び出して会社を立ち上げられて、その疾患の患者会と情報交換などを行っているという事例は、複数聞いているということ。
 ベンチャー企業を正しく育てて、そして、正しく患者に還元する仕組みについて、行政からも支援をいただきたいとの御指摘がございました。
 また、その下の患者会の取り組みに関しましては、製薬会社や研究者との協働の取り組みの進み具合などについては、学会による診療ガイドラインの策定に参加する事例ですとか、指定難病認定に向けて学会と協働するなど、患者会によって大きく違いがある状況であると。
 一方で、個人情報保護ですとか、患者会の高齢化等を前にちゅうちょする患者会や、利益相反が気になる患者会もあるといった御指摘がございました。
 また、患者会の役員などが、行政や研究機関の審議会などへ参加する事例も増えてきており、人材の育成が課題であるが、業界や行政はよいユーザーを育てる意識が希薄で、また、患者会はボランティアベースであって、自力での育成には無理があるといった御指摘もございました。
 最後のポツですが、先ほどの希少がんの患者会と同様に、知見情報の入手が困難であること、jRCTの情報では一般の患者には分かりにくいと、疾患名など、分かりやすい情報で検索や表示ができるようにするなど、患者がより分かりやすく知見情報を知ることができるようにすべきといった御意見をいただいております。
 次の21ページには、同様に、日本難病疾病団体協議会の概要を参考としてお示ししております。
 続きまして、22ページからは、マクロ的な視点での総薬剤費の在り方についてでございまして、23ページには、以前の検討会でまとめております論点のうち、今回のテーマに関係します全体的課題の論点につきまして、赤囲みで記載をしてございます。
 また、次の24ページからは、関係する資料を並べておりまして、まず、24ページは、日本と諸外国の薬剤費に関するデータを時系列で並べたものでございます。
 下の棒グラフが薬剤費の額、上の折れ線グラフが各国の薬剤費とGDPの比率を表しておりまして、比率で見ますと、日本は比較的高い傾向となってございます。
 また、次の25ページにつきましては、以前の検討会でも資料としてお示ししております、日本国内の医療費、薬剤費の推移でございまして、薬剤費は、およそ10兆円前後、医療費に占める薬剤費の割合は21%前後で推移しておりまして、平均乖離率も近年では7%から8%で推移している状況でございます。
 次の26ページからは、薬剤費に関する過去の議論の御紹介をしておりまして、こちらは、令和元年の経済財政諮問会議決定において決定されました改革工程表の抜粋でございまして、この中でも薬剤自己負担の引上げについて議論を行うこととされております。
 次の27ページには、薬剤自己負担に関する議論としまして、スイッチOTC化された医療用医薬品に関する保険償還の在り方の議論について記載をしております。
 こちらは、医療保険部会での主な意見を抜粋して、記載をさせていただいております。
 次の28ページもその続きでございまして、平成29年から令和2年にかけての医療保険部会での意見を記載させていただいております。
 さらに29ページでございます。こちらは、参考としまして過去に行われておりました薬剤一部負担制度の概要をお示ししております。
 医療保険の定率負担のほかに、表に記載をしたような形で、交付される薬剤の種類や数に応じて一定額の負担を求めるという制度が、平成9年から平成15年までの間に導入されておりましたので、そちらの御紹介でございます。
 さらに次の30ページでは、直近の財政審議会の資料でございまして、こちらでも同様の議論としまして、医療保険制度の持続可能性を確保するためとして、マル1OTC類似医薬品等の保険給付範囲からの除外、マル2薬剤費等に応じた保険給付範囲の縮小について、それぞれ検討すべきとされております。
 31ページは、関連する資料としまして、数字を示しております。
 左側の医療用医薬品の市場規模が全体として約10.4兆円ある中で、右側にございますように、OTC医薬品で代替可能とされている品目の規模が、おおよそ3300億円程度ということで記載をさせていただいております。
 次の32ページでございます。こちらは、別の観点としまして、革新的な医薬品がもたらす価値について記載をさせていただいております。
 上の四角囲みにございますように、コスト、国民の負担に見合った医療を提供するという意味におきましては、医療費の最適化を進めることは重要。
 一方で、右下に例として挙げておりますが、C型肝炎治療薬の登場により肝炎患者が減少するような場合など、大きな外部性も存在するということから、こうした医療の社会的価値、これを正当に評価する形で行われる必要があるとさせていただいております。
 続いて、33ページにおきましては、薬剤費の議論につきまして、これまでのヒアリングでいただいております御意見を御紹介しております。
 新時代戦略研究所からの御意見としまして、中長期的な経済成長率に見合った薬剤費成長を担保するという御提案をいただいております。
 これに対しまして、下の四角のとおり、検討会の中で御意見をいただいておりまして、国内によい医薬品を導入するためには、研究開発コストなどの応分の負担をするべきではないか。
 また、少なくともGDPに沿った形での成長を担保するべき。
 また、海外ではGDP比を上回った成長をしており、総額が収まるのか疑問。世界市場から比べれば明らかに見劣りするのではないかといった御意見をいただいております。
 続いて、34ページ、35ページにつきましては、この御提案に関係する資料、以前の検討会でも示しているものと同じものを参考としてつけさせていただいております。
 36ページは、この論点につきましてまとめておりまして、医療保険制度の持続可能性を確保しつつ、足元で顕在化している医薬品を取り巻く大きな課題に対処するという観点から、今後の薬剤費の在り方についてどう考えるかとさせていただいております。
 最後に、4番目のテーマでございますが「主な意見の整理(論点)」でございます。38ページを御覧いただければと思います。
 こちらでは、前回までに御議論いただきました様々なテーマにつきまして、一覧として記載をさせていただいております。
 本日は、これらのテーマにつきまして御確認をいただきつつ、あるいは記載しているテーマに関連しまして、意見やコメントができていなかった点、追加で議論しておくべき点などがございましたら、本日の最後の議論の際に、御発言、御指摘をお願いしたいと考えております。それらの御意見、御指摘等を踏まえまして、次回以降、取りまとめの作成に向けて作業したいと考えております。
 最後のページには、論点を記載しておりますが、その他、革新的な医薬品の迅速導入や安定供給に関し、本検討会で取り上げるべき課題等はあるかとさせていただいているところでございます。
 長くなりまして申し訳ございません。事務局からの資料の御説明は、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、皆様から御意見、御質問等をいただきたいと思いますけれども、少し分けて御議論いただければと思います。
 まず、最初は皆様からの宿題返しというような性格が強かった1番の積み残している論点、それと2番の患者会のヒアリング結果についてと、21ページまでの範囲で御意見、御質問等をいただければと思いますけれども、いかがでございましょう。
 香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 ありがとうございます。
 そろそろまとめに入っているので、少し細かいことも含めて発言をしたいと思います。
 いただいた資料に沿ってお話をしたいと思うのですが、これは最後の論点とも関係するのですが、後発品の話は、安定供給の話に直接関わる話ですし、議論の中でかなりいろいろな論点が出てきたところなので既収載医薬品の薬価改定方式と併せて、1つ論点として立てる必要があるのではないかと思っていて、そのことに関連して申し上げます。
 まず、最初の規格そろえの話ですけれども、これは以前からお話ししていることと同じことなのですが、要は当該薬効成分について、全体として必要な数量と必要な規格が提供されていることが必要だと考えるということだと思うのですが、今のやり方は全てのメーカーに全ての規格をそろえて生産をすることを求めている。御指摘にもありますけれども、共同開発をこのときにセットで認めたわけですね。セットで認めた理由は、恐らくこれ(全規格揃え)があったからだと思うのですけれども、共同開発で何が起こったか。前回からの議論でもありましたが、実は安定供給に資しているのという問題があるのではないか。
 つまり、個別メーカーの対応ではなく、それぞれの薬効群の市場規模なりを考えて、それぞれの中で、全体としてどうやって安定供給を図るかというふうに考え方を変えないといけないように思います。これは、議論した方がいいのではないか。つまり全体として確保されていればいいのではないかということではないかと思います。
 次に、後発品の薬価算定の話なのですが、これは聞けば聞くほど、こういう言い方をすると恐縮ですが、どこが市場実勢価格で値段を決めているのかという気がします。
 冒頭で、かつては先発品と同じ金額で参入できたので、特許切れのすぐ後はむちゃくちゃな薬価差が出るので、すごい買いたたきが起こるということがあったので、初手の参入価格は2分の1でということになったのだろうと思うのですが、もう既にこの段階で後発品の価格は公定で決めているわけですね。
 かつ、市場実勢に任せれば価格はばらけるに決まっているわけで、薬価制度がそういう競争のさせ方をしているわけですから、参入も自由に認めて、とやるのですからばらけるに決まっている。そのばらけるものを3段階に集める。集め方もルールがあるわけではなくて、結構恣意的に集めていて、個別品目によって価格が上がったり下がったりする。そうすると、絶対上がらないように別途調整をするという、これはまた非常に恣意的な操作をやっている。入り口の仕掛けがそうなっていることで、これがまた市場の競争や価格形成をゆがめる形になっている。
 そういうことで考えていくと、一番下の価格帯のところは、統一名収載にして価格の下支えをやる、そうすることで長期にわたって安定的に供給するような仕組みを考えてもいいのではないか。20年も30年も現場で使っている抗菌剤みたいなものは、それはそれでいいと思うのです。やはりこれも、言ってみれば、現行薬価制度の中でパッチワークのような対応をやったことの結果でもある。こういうところも基本的に見直さないと、合理性がないという意味でも、メーカー側にとって全く予見可能性がないという意味でも、極めて恣意的な感じがします。
 あとは質問ですけれども、11ページの先発品企業から後発品企業への製造引継ぎなのですけれども、いわゆるAGというのは、この上のものがAGということになるのですかね。定義上はそういうことになるのかな、そこら辺の整理を教えていただきたいと思います。
 あと、これも質問ですけれども、先発品と後発品のコスト構造の違いというところで、販管費というのがこれだけあるのですけれども、販管費の中身とは何ですか。例えば、先発品でいうと、MRということですかね、先発品と後発品とで差がこれだけあるというのは、多分、それのことだと思うのですけれども、製造原価が同じと考えて相似形のグラフにすると、後発品の薬価は大体半分ぐらいになるのかなと、そんな気がします。
 それと、これは一番大きいコメントなのですけれども、13ページのところなのですが、先ほど総価の説明がありましたが、これは、もう少しきちんと議論したほうがいいのではないかと思います。
 というのは、下のほうで、総価交渉というのは、全品目一律値引きで交渉が行われて、個別単価を卸が割り振っているみたいなことが書いてあるのですけれども、実際の取引の中で、一体どういう交渉が行われているのかということを、もう少しつまびらかにする必要があるのではないか。
 というのは、私の知る限り、これは聞いた話ですけれども、通常医薬品の取引は、ボリュームを決めないで取引をしているのが一般的であると。つまり、価格、要するに値引き率だけで交渉していて、ボリュームというのを見ない。契約上ボリュームを決めないで交渉している。一応、暗黙の前年度のボリュームというのがあって、そこが想定されているわけですけれども、それを前提に全体として、どれくらいの薬価差益が出るかというのを額で押さえて、それで総価を決めて、個別単価を決めていくと。
 そうすると、何が起こるかというと、事後的に、割と大きめな薬価差を想定していたような薬があまり使われない、例えば新薬が出てそちらに使用がシフトする。そうすると、全体として想定した薬価差が出ないということになる。そもそもボリュームについて契約をしていないので、言わば事後的に価格を調整して、価格を事後的に変える。あるいは薬が余ったりすると、引き取らせる。通常であれば、値段というは、ボリュームとのセットで決まるわけですね。たくさん買うところは安くなるのだからという議論があるのですけれども、実際は、そうなっていなくて、ボリュームというのを決めない交渉をしている。
 そうなると、これも質問ですけれども、総価取引と単品総価とは何が違うのですか。実は、今の話が関係してくるのだと思うのですけれども、つまり、現実にほかの商品と比べて、相当特殊な取引が行われていて、そのゆがみが、いろいろな形であちこちに出ている。総価といいますが、総価と単品総価というのは、多分意味が違うのではないかと思うのです。
そのことを頭に置いて、交渉代行業者というのを考えると、ボリュームがない中で、価格だけで、つまり薬価差だけで交渉して契約をしているという取引実態の中で交渉代行業者がいる。そうすると、この人たちは、結局、自分の成果報酬のことも考えれば、要するに薬価差だけで交渉代行をすることになる。
 総価取引と代行業者。この組み合わせで現場で何が起こるかということを考えると、やはり、この問題は、きちんと実態を踏まえて詰めてやる必要があるのではないかという気がします。
 価格交渉の代行のところは、ここにも書いてありますけれども、彼らは成功報酬で動いているわけですから、成功報酬というのは、要するにどれだけ薬価差が出たかで決まる。薬価差の歩合で報酬が決まるわけですから、ボリュームを決めない薬価差だけの取引慣行を前提に、こういうことをやればどうなるか。
 代行そのものは、多分法律上どうかという議論があって、駄目だと言えるかどうかという話はあるのですが、一方で、卸が共同すると、公取に捕まるわけですけれども、買うほうが談合しても、別に公取には捕まらないという、よく分からない構造になっている。この辺も少し考える必要があるのではないか。
これはここの議論というよりは、流対協の議論なのかもしれませんけれども、こういった問題を含めて、後発品については、かなりいろいろな問題が出ている。産業構造の問題とかも関係してくる。すぐに結論が出る問題ではないでしょうから、論点としてというか、あるいは問題提起としてという取りまとめにしかならないのかもしれませんが、少し大きく、きちんと論点として立てて議論する必要があるような気がしますし、流通の問題も、今、申し上げたようなこともこれあり、単に流通だけの問題ということではないような気がするので、少し深堀ができる論点を整理していただければと思います。
 患者会のヒアリングについては、一々ごもっともだという気がするので、これは、きちんと踏まえた報告書の中に盛り込んでいただければと思います。
 すみません、長くなりましたが、以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局にお尋ねがありました。それから、お尋ねの回答以外にも、何かコメントがあれば、いただければと思います。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
 まず、1つ目の御質問で、11ページの先発企業から後発企業への引継ぎに関する点でございまして、AGがどこに含まれるのかという御質問でございますが、AGにつきましては、別ということになります。AGの場合は、先発品の承認はそのままに、同じデータを使いつつ、別の後発医薬品を承認申請するというのが、Authorized Generic、AGでございますので、この両方のカテゴリーには含まれず、別の扱いということになると考えております。
 もう一点、12ページに関しまして、販管費です。特に先発品企業の販管費には、どういった費用が含まれるのかということでございますけれども、この点につきましては、まさに御指摘いただきましたとおり、MRの活動費用、いわゆる情報提供活動の費用などが、この中に含まれるということになります。
 以上でございます。
○香取構成員 すみません、そうすると、例えば先発品から後発品に完全承継したものと、AGは何が違うのですか、つくっているメーカーが違うということですかね。
 だけれども、例えば、移すときに、それこそ工場ごと渡したりもするわけですね。そうすると、確かに会社は変わりますけれども、物としては同じものが登場することになるので、AGの定義というのが非常に曖昧というか、そもそもそういう概念は要るのかという気がします。これは私の感想ですけれども、御検討ください。
○遠藤座長 審議官、どうぞ。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 AGの定義はそもそもないのですが、実態として先発品のデータをそのまま使って、子会社だったりしますが、同じ製品をジェネリックとして製造している場合と、そうではなくて、権利を取得しつつ別にデータを取得してやっている場合とございます。
 そのままのデータで、いわゆる小分けみたいな形で販売をしているようなものもあれば、こういう形とは違い、
別会社の別工場で製造するようなケースもあります。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 すみません、資料の説明が不足しておりまして大変恐縮なのですけれども、補足をさせていただきますと、この承継につきましては、承認自体はそのままという位置づけになりますので、先発品企業から後発品企業に承認を移した場合でも、品目自体は先発品のままという扱いになります。ですので、上のパターンの場合ですと、後発品企業が先発品を製造販売するという形になります。
 Authorized Genericの場合は、後発品として承認を取り直す形になりますので、後発品という扱いになるところでございます。
○遠藤座長 安藤課長、どうぞ。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 もう一点、今、御質問、御意見がありました、流通に関するところでございます。資料で言いますと、13ページ、14ページでございます。
 香取構成員からは、まさに実際の価格交渉ということを踏まえた御意見があったと承知しておりますけれども、我々のほうでもいろいろ聞いてみたところ、もともと医療用医薬品というのは薬価がございますので、そう意味では、いわゆる値引き率だけで価格交渉というのが、実際問題としてできてしまっているケースがあると承知してございます。
 そういった中で、まさに御指摘がありましたように、一方で予定数量が、当初予定したものから大きく乖離したことに伴って、当初期待していた、いわゆる薬価差が必ずしも得られない場合に、それを埋めるための単価の変更というものが再び行われるということも、流通現場の実態としてはあるやに伺っているところでございます。
 この問題につきましては、もちろん我々としましても課題としてしっかり受け止めさせていただいて、今後、作成いたします報告書の中にも問題提起はさせていただきたいと思いますけれども、その上で、本日、三村構成員もここにいらっしゃいますけれども、実際に、まさに流通の課題だと思いますので、流改懇という場がありますから、その流改懇の中で、もう少し実態把握を我々の方でもさせていただいた上で、問題提起をさせていただき、関係者の方々と議論をさせていただきたいと考えてございます。
○遠藤座長 香取構成員、大体よろしゅうございますか。
○香取構成員 繰り返しになりますが、その流通の実態を前提に価格代行業者が、成功報酬で交渉の代行すると何が起こるか。
 結局、ボリュームとか、取引条件で交渉しているわけではなくて、単に薬価だけで交渉するということになる。そうなれば、何が起こるかといえば、ここにもありますが、単純にベンチマークを持ってきて、それでたたくということになるわけですね。
 そうすると、それがいけないと言えるのか、というか、例えばの話禁止してもなくならない、代行とか、共同購入自体は禁止できないので、これは、そもそもの価格形成というか、薬価制度そのものに起因する部分というのがかなりあって、そういう薬価制度になっているから実態としてそういうものが生まれる、と考えないといけないのではないか。とすると、やはり今の薬価の改定方式をきちんと根っこから見直すということをしないと、きれいにならないということになるのではないか。もちろん、流通当事者の振る舞いというか、コンプライアンスというか、卸側にも問題があるでしょうし、医療機関にも問題があるわけですが、この問題はかなり根深い問題だと思うので、ここでやる議論ではないのかもしれませんが、やはりきっちりやらないといけないと思うので、ぜひよろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、ほかにいかがでございましょう。
 それでは、成川構成員、お願いいたします。
○成川構成員 ありがとうございます。成川です。
 医薬品の安定供給について1点、それから患者会ヒアリングについて1点コメントを述べさせていただきます。
 まず、安定供給、後発品が主ですけれども、私自身の認識としては、後発品の安定供給とか、あるいはビジネスモデルというのは、後発品の薬価の初期の値づけの問題よりも、その後の改定の影響のほうが大きいのではないかという認識をしています。
 そういう意味で、本日御紹介いただいた3価格帯というルールは、もともと医療従事者から、同じ後発品なのに多くの価格があって説明ができないとか、そういう議論があって設けられたと認識をしています。そういう背景があったことは認識をしつつも、将来、後発品の数とか企業の数が集約されてくるのであれば、銘柄ごとの算定に戻すというような大きな流れを考えるべきなのではないかと思っています。
 あるいは、既に現時点でも、例えば、後発品企業の中でも、いわゆる優良企業といいますか、そういった企業の製品に対して銘柄で改定をするという選択肢などもあるのかなと思っておりますので、意見として述べさせていただきました。それが1点です。
 2点目が、患者会のヒアリングについて御報告をいただいて、ありがとうございました。
 これは、薬事制度的なものについてのコメントになってしまうのですけれども、以前の企業の方からのヒアリングのときにも、日本のオーファンドラッグ制度、そこについていろいろ改善の御要望がありまして、ここに来る前に指定の件数を調べていましたら、アメリカが制度の歴史も一番古いのですけれども、今までオーファンドラッグは6,500件ぐらい指定をされています。
 片や日本は10分の1の600件弱ぐらいです。EUというのは、日本よりも後からオーファンドラッグの制度をつくっているのですけれども、既に2,000件ぐらい指定をされているということでありまして、単に指定の数だけで議論はできないかもしれないのですけれども、いずれしても、せっかくある制度なので、もう少し門戸を広げる、あるいは指定のタイミングを早めるという、運用の問題かもしれないのですけれども、そういったことをやると、やはり企業の方々にとっても少し明るい材料になるのかなと思っておりました。
 それと類似した話で、小児の医薬品ですね、それについてもオーファンドラッグと似たようなことになるのですけれども、さらに小児の場合は、特にお子さんを対象の臨床試験というのは、なかなかやりにくいというのは、もう御案内のとおりでございますし、あとは小児用の特殊な製剤をつくったり、シロップ剤とか顆粒剤とか、そういう剤形的なコストもかかるということもあるので、なかなか世に出したとしても採算が取れないという状況でございます。
 日本でも小児医薬品の開発を促すために、薬事的なルールで再審査期間、先発データ保護期間を延ばしたり、あるいは薬価での小児の加算の制度を設けたり、最近ですと法律改正をして、特定用途医薬品指定制度というものもつくって、小児医薬品の開発を促す努力はしているのですけれども、なかなか十分には活用されていないというのが認識ございます。
 ですので、そこはもう少し強いインセンティブといいますか、あるいは強制力といいますか、ということを考えないと、やはり小児医薬品の領域でも日本に薬が入ってこないという状況が、さらに拡大するのではないかなと思っておりますので、その辺り少し優遇措置というか、対外的に新しいインセンティブというか、少しアピールするようなことも含めて、何か施策を考えたほうがいいのではないかなというのが意見です。
 以上です。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 特にジェネリックについては、薬価改定の問題点の御指摘あるいはオーファンドラッグや小児の医薬品については薬事の問題、さらには、恐らく薬価の問題もあるかと思いますけれども、御指摘をいただきました。
 何か事務局、コメントはございますか。私はなるほどと思ってお聞きしましたけれども、よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、小黒構成員、お願いします。
○小黒構成員 ありがとうございます。
 私は患者会のところだけ、コメントをさせていただければと思います。
 ヒアリングをいただきましてありがとうございます。ヒアリングしていただいたところで、改めて再認識したのですけれども、例えば、19ページ目のところのJPAの日本難病・疾病団体協議会のお話です。そもそも、この有識者検討会の名前が医薬品の迅速、安定もあるのですけれども、迅速・安定供給の実現に向けた総合対策となっています。
 ネックになっているものを、患者会の方々もよく理解されているのかなと思いました。例えば、ここに書いてありますけれども、そもそもメーカーというのは、新製品、新薬を出していかないと衰退して生き残れないものであり、収益の柱がなければ、次の投資ができないというような話、あるいは、検討会でも出ていましたけれども、難病ではまだないという話ですが、ドラッグロスが発生する可能性が高いと言われているということを彼もよく認識しているということだと思います。
 16ページ目のところも、これは、日本希少がん患者会ネットワークのほうですが、やはり幾つか要因はあるのだけれども、最初のところに薬価制度の問題を挙げていて、これが、薬価の予見性が低いことや、改定により薬価が下がっていることが要因だと思うと、はっきり言われているということですので、この辺は、全部薬価制度だけの問題ではないと思いますが、ここをちゃんと対応していかないと、迅速に医薬品が必要な人に届かないということを彼らも認識しているということではないかと思います。
 これは質問なのですけれども、疾患ごとの患者数が分からないことというのが挙げられているのですが、これは、私が思うには、アメリカとか、ほかの国ではある程度データが出ていると思うのですが、日本だと十分なデータが出ていないということなのでしょうか。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 御指摘ありがとうございます。
 御指摘のとおりでございまして、当然疾患の種類にもよるとは考えられるのですが、今回ヒアリングをさせていただきました希少がんですとか、難病の患者さんの場合ですと、マイナーな疾患になればなるほど、情報が少なく、患者数の把握も難しい。
 その結果として、企業が参入する場合に、売上げがどの程度見込めるのか、投資可能性がどのようになるのかというところが、企業側からすると、見込みが立ちにくいといった点を御指摘いただいているものと考えております。
○小黒構成員 そういう意味では、19ページ目のところで、患者側も含めて関係者全員で考える場を急いでつくる必要がある、今でも幾つかの審議会とか、そういうところに患者の代表者の方が入られたりするというのはあると思うのですけれども、やはり制度の質をより高めて、財源も限られている中ですけれども、グレードアップしていくためには、もう少し違った仕組みを考えていく必要があるのではないかと改めて実感しました。
 今日のテーマではないかもしれませんけれども、その辺も今後検討していく必要があるのかなと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 私から確認ですが、希少疾患の患者数というのは、基本的には学会ベースで集約が行われているという理解ですかね。少なくとも厚労省は、特段定期的にそれを集めているということはやっておるのですか、やっていないですね、やるとすれば学会に聞いているということではないかと、よく分からないのですけれども、患者数の主体がどこにあるのかということ。がんなどは、もう登録制度になっていますから、これは問題ないのですけれども、希少疾患の場合はどうなっているか。
 どうぞ。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 私が把握している限りで申し上げますと、いわゆる助成制度があるものについては、その助成金を通じて患者数が把握できているところもありますけれども、ただ、全ての難病が、いわゆる助成の対象になっているわけではございませんので、そういったものから外れてしまうと、今、先生がおっしゃったように、学会ベースで患者数を把握するか、あるいは全く情報がないかと、そういう形になっていると承知しております。
 この会議でも、まさにベンチャーのヒアリングを行ったときに、同じ課題が指摘されてございますけれども、部分的には、もちろん把握できているところもあるのですが、全く手つかずというところもありまして、そういったところは、患者会とか、今、小黒構成員からも御指摘いただきましたけれども、そういったところとの関係性を深めることによって、もう少し情報を取るとか、何らかの工夫が要るのだろうと我々も考えているところでございます。
○小黒構成員 そういう意味では、先ほど成川先生からも、オーファンドラッグ指定の話がありましたけれども、単に指定をするだけではなくて、資料の17ページのところにもありますけれども、価値に見合った薬価をどうつくっていくのかとか、その辺も含めた、総合的に対応していくことが求められているのかと思います。
○遠藤座長 あと、患者会の話が出ましたので、私の知っている限りのコメントをさせていただきますと、確かに小黒構成員がおっしゃるように、各審議会、検討会に患者会の方が委員として入るべきです。実際、委員となっているケースが非常に増えております。大きな医療系の審議会には必ず入っていると言っても間違いないです。ただ問題は、その患者会の属性でありまして、特定の疾患に関する患者会というのはたくさんあるわけです。例えば、典型的なのは、がんの患者会ですけれども、がんはがん対策が重要な疾病対策としてあり、がん対策専門の検討会があります。そこには、がんの患者会から委員として入っていらして大きな影響力を持っています。しかし、特定の疾患を対象とした会議はあまりありません。まして希少疾患対策を論ずる常設の会議体はありません。例えば、中医協とか医療部会とか医療保険部会というのは特定の疾患に偏らず医療全般のことを論じます。このような会議体で、果たして特定疾患の患者会の人たちの意見というのが、多くの一般的な患者さんの代表意見になるとは限りません。その審議会が求めるテーマに対しても患者を代表して適切な御意見がいただけるか、という問題もあるのです。
 したがいまして、結果的には、そういう審議会に出てくる患者会の方々は、はば広く、患者の立場で医療に述べるみたいなことをやっている団体の方になる傾向があります。老人会などもその一つです。希少疾患の患者さんは、その会議の議論の中でその特定疾患について論ずる場合は参考人として呼ばれることはあっても、委員として参加するのは少ないように思います。私もいろいろな審議会に出ていますので、このような印象を持ったものですから、一言コメントをさせていただきました。
○小黒構成員 もう、これでおしまいにしますけれども、この検討会自体の目的が、やはり医薬品の迅速かつ安定供給と、これは誰のためのものなのかというのを考えたときに、供給者サイドではなくて、財政的な制約も当然あるので、それも重要なのですけれども、国民であり患者であり、その人たちも立場も含め、横断的に見た場合に、どういうところがネックになっているのか。
○遠藤座長 極めて重要な御指摘だと思います。
 したがいまして、なかなか先ほど言った理由で、直接審議会などには参加できないような声をいかにうまく吸収していくか、そういう仕組みづくりは大変重要だと思いますので、御検討をいただければと思います。
 ほかにいかがでございましょうか、堀構成員、お願いします。
○堀構成員 2点あるのですが、1点目は、今、報告のあった患者会のことなのですけれども、この2団体は、どういう理由で選定したのかというのを教えていただきたいというのが、まず第1点です。
 なぜかというと、今、代表性の話もありましたけれども、患者、国民の意見を反映させるというのは、私は非常に大賛成ですけれども、この2団体を選ばれたのは、先ほど小黒さんがおっしゃったように、安定供給、安定確保というところで関係しそうな疾患の患者団体、ユーザーというよりは、共同開発のパートナーというような意味で選定されているように感じましたがその解釈でよろしいですか。そうでなければ、ほかにも普通に患者会としてはもっとほかにもいろいろな種類があると思います。あと、全体として日本にどれくらいの患者団体があって、ほかの国と比べてどういう特徴があるのか教えていただけますか。このヒアリングの資料の中にも書いてありましたけれども、自分たち自身もユーザーとして、なかなか育って、うまくできていないみたいなことが書かれていたと思います。つまり、患者会の選定理由と代表性が保たれているかどうかというのと、現状がどうなっているのか、もし何かデータがあれば、いただければと思うのですが、可能でしょうか。これが、まず1点目。
 もう一つは、積み残しの論点についてです。先にお話しもありましたが、積み残しの論点については、これは香取委員がおっしゃったこととも関係するのですけれども、一個一個を見ると、たしか日本薬局方についても問題があると思いますし、国際調和、グローバル調和すべきであるとか、あと全規格取りそろえる必要があるという話もその通りだと思います。これを一つ一つ議論していくと、総合対策に関する有識者検討会は、来月か今月で終わるのかと思いますが、総合対策として検討するゴールもあるでしょうし、どんどん問題が増えていってしまうと、総合対策の解決の議論もできなくなるのではないかと。検討会としての優先順位といいますか、この総合対策の検討会でしか見られないところを優先していく必要があるように思うのですが、その見通しのようなものが、もし、事務局のほうにあるのでしたら教えていただければと思いました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 では、事務局、よろしくお願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 御質問ありがとうございます。
 まず、1点目でございますが、患者会の選定理由につきましては、様々な理由で選定させていただいているのですが、大きくは、まず、限られた時間で、このヒアリングをさせていただくことになったことがございまして、その中でできるだけ多くの幅広い御意見をいただきたいということで、今回選定させていただきました2つの患者会、いずれも個別の小さい患者会の集まりの連合体的な組織でございまして、この希少がん患者会ネットワークの下には、それぞれの希少がんの種類ごとに患者会がいらっしゃると。難病のほうも同じように、個別の難病の患者会の集まりということで、両方とも非常に幅広い多くの患者さんが、このネットワークの下にいらっしゃるという組織を選ばせていただいたというのが1点でございます。
 また、希少がん、難病いずれも、それぞれの疾患ごとに見れば患者数が少ない傾向にあるということで、ドラッグロス、ドラッグラグの影響を受けていらっしゃる可能性が比較的高いのではないかということも考慮させていただいた次第でございます。
 また、海外との比較の中で、日本の患者会がどのぐらいの規模があってという全体的な情報につきまして、今、手元に情報がないものですから、お答えができない状態でございます。申し訳ございません。
○遠藤座長 あと、もう一点ですね。
 安藤課長、どうぞ。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 2点目の件についてでございます。
 まず、本日は、個別の課題が大量に出てきてしまって大変恐縮でございますが、ある意味、前回までのところで大きな枠組みとしての課題については、様々御御意見をいただいているという認識でありまして、前回までの間に、委員の方々からも様々御指摘をいただいたことについて、まとめの全体の中に入らなかったものについて、個別に御提示させていただいて、御意見をいただいているというのが整理でございます。
 その上で、当然のことながら、この検討会だけで全て物が決まるということではなく、大きな方向性については、まさにここで御検討いただきたいと思っておりますけれども、その上で、それぞれ、ある意味政策を決める場というのは、また別途出てきますので、これは、薬事ですとか薬価ですとか、それに応じていろいろ分かれてきますけれども、そういったところで最終的には、政策としてどう具体化するかということについては決まっていくのだろうと、私としては考えているところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 堀構成員、よろしいですか。
○堀構成員 はい、要は、総合対策というのと、個別の具体的な縦割りで行う対策というのは、多分違うと思っていたので、先ほど流改懇の話ありましたけれども、これについてはこちらで議論をする、でも、ここでしかできないものは何かというところが、この検討会で最終的に出せると解釈してよろしいということでしょうか。
○遠藤座長 安藤課長、どうぞ。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 すみません、やや語弊があったかもしれません。横串的に、まさに先ほど、小黒構成員もおっしゃっていましたけれども、特に先発品、革新的新薬の迅速導入をどうするか、あと、後発品を中心として安定供給をどうするかと、この2つの課題というものがまさに、今、足元で顕在化していて、これに対しては、それぞれ各論で議論していてもなかなか解決策は出ないので、総合的にここの場では検討をいただくことが必要だろうということで、今日まで様々な課題について御議論をいただいてきたという整理でございます。
 そこで、この2つの命題に対する大きな解決の方向性というものについて、次回以降、検討会の報告書という形で、一定の取りまとめを行っていただいた上で、先ほど申し上げましたように、実際の個々の政策においては、それぞれまた司がございますので、その場でも改めて議論をいただくと、そういう段取りで考えているところでございます。
○堀構成員 分かりました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、お待たせいたしました、三浦構成員、どうぞ。
○三浦構成員 三浦でございます。どうもありがとうございます。
 今、流改懇のお話もあったのですけれども、13ページに単品単価、香取先生の先ほどのお話もあったのですが、三村先生の座長の下、単品単価を目指して、流通ガイドラインでやっているわけですけれども、若干分かりにくい感じもあったみたいですけれども、そこに書いていますように、交渉段階と妥結段階というのがございまして、先ほど香取先生が言われたのが、割と大きなチェーンなどでやられていると思うのですけれども、今年10%引きだったら、来年も10%にしてくれとか、12にしてくれとか、そういった総価でまとめて交渉するのですけれども、最終的には、妥結段階では単品になるのですね。
 したがって、13ページの表で申しますとマル3番とかマル4番です。つまり交渉は、総価でまとめて10%引きとか、適当な話で恐縮ですけれども、パーセントはいろいろあると思いますが、ただ、最終的には、単品単価に落としていくので、そういった意味では、多分卸さんは物すごく大変だと思うのですけれども、交渉は全体で幾らにしてくれという話になって、最終的には未妥結減産制度とかいろいろありますので、最終的には完全に落とすという感じで、マル3番、マル4番にすると。
 したがって、交渉は全体でやるのですけれども、最終的な妥結は、単品単価というか、単品で決まるということで、それを単品総価と言われているようですが、単品総価は、順番が逆で恐縮ですけれども、総価で交渉して単品で妥結する単品総価というのが多くて、そこで割と大手チェーン、ここに書いていますように20店舗以上とか、多くのところが、かなり高い小売マージンというか、薬価差というか、三村先生がおっしゃったみたいに、薬局は小売業ではないとすると、小売段階のマージンと言うと、より正確かと思いますけれども、多く取られている状況があるかと思います。
 その関わりで、次の価格交渉代行業者の話が出てくるわけですが、この点に関しましては、2点、考えていただければありがたいなと思いましたのが、価格交渉代行の問題点として、値下げ圧力という話があるわけですが、これは価格交渉代行業者に限った話ではなくて、大手調剤チェーンですとか、調剤部門を持っている大手チェーンも全く同じことをやっておりまして、バイイング・パワーに基づいて価格交渉をして、安く買いたたく、言葉は悪いですけれども、されていまして、そういった意味では、価格代行業者だけではなくて、あと、医療機関のコンサルをする会社があるわけですけれども、そういった会社だけではなくて、大手のチェーンも同じようにバイイング・パワーでやられているわけです。
 ただ、ここまで私の感覚としましては、基本的には、もちろん最後が薬価という話があるわけですけれども、バイイング・パワーでやるというのは、全ての業界である話のわけですけれども、問題点は何かというと、前回申し上げましたように、やはり薬価差、小売段階のマージンを取り過ぎていらっしゃるわけですね。
 それに関しましては、本当にデロイトさんとか、くすり未来塾さんが言われたみたいな話で、それをどう圧縮するかというのを考えていく必要があるかと思います。
 もう一点は、やはり総価交渉、先ほどの言葉でいうと、単品総価という話なのですけれども、それに関しましては、1回目のときにも申し上げましたが、価格交渉代行業者大手が5つぐらいありますけれども、その1つは、単品単価でやっているわけですね。
 したがって、バイイング・パワーを使っているのはよくないかもしれませんけれども、単品単価をやって、流通近代化をやっているという意味では、多分、いい会社だと思いますし、あと、大手の調剤チェーンでも、中には、単品単価をやられている会社があるわけですね。
 そのように考えますと、バイイング・パワーに物を言わせてやっていることに関しましては、薬価をどうするかという議論を進めていくことが必要ですけれども、その一方で、その薬価差をたくさん取るということを、さらに大きくさせている単品総価交渉というのが問題点のわけですので、単品単価をやっている会社、この間も、ちょうど成川先生もおっしゃっていたわけですけれども、インセンティブとか、ディスインセンティブみたいな話で、そういったことをしていただくことが必要ではないかという感じがしております。
 そういった意味では、価格代行業者だけではなくて、大手調剤チェーンとか、調剤部門のあるドラッグチェーンなども、そういったバイイング・パワーを使っているわけですが、やはり単品単価ではないというところが、流通ガイドラインに合っていないという問題点がありますので、そういったことをしていくことが必要ではないかと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 特段、事務局からのレスポンスは不要ですね、御意見として承りました。ありがとうございます。
 それでは、三村構成員、お願いいたします。
○三村構成員 ありがとうございます。
 課長のほうから、最終的には、流改懇で議論が必要だということでありましたので、そのことを踏まえて、今後、詳細につきましては、さらに取引改善と、基本的にガイドラインをさらに厳格化する形の中で進めていただきたいと思います。
 ただ、この場でぜひお願いしたいのは、なぜこのような、ある意味で曖昧な流通取引が温存されてきたのか、それは、現行の薬価制度の在り方にも相当に原因があると思っております。
 その結果、今回の検討会におきましては、やはり特許薬と非特許薬あるいは新創品とその他については、それぞれに適合するように薬価改定方式を変えるということ。あるいは、その方向性を基本的に議論していただいておりますし、後発薬につきましても、基礎的医薬品とか、安定確保医薬品という大変重要性の高い品目については、従来的な価格交渉から外すべきだということも議論していただいております。
 さらに、後発薬全体をどうするかということは、残された課題として大きいと思うのですけれども、先ほどお話がございましたように、全規格取りそろえというと、例えば、最初先発企業1社であったものが、15社ぐらいになって、全規格取りそろえとなると、品目数が膨大になっている。そして、その中で、恐らく実際には供給されていない品目もあるかもしれない。
 ですから、私は、後発薬につきましては、全体として品目数の適正化、もちろんそれぞれの分野におきましても、状況が相当違うと思いますから、それに合わせた形でもう少しきめ細かい対応をやっていただく必要があるのではないかと思っております。
 後発薬の問題は、正直言いまして、非常に情報が少なくて、卸さんから話を聞いてもよく分からないところがあるのですけれども、非常に重要な医薬品であるとともに、非常に問題がいろいろ複雑であるという感じがいたしますので、これを含めまして、やはり検討が必要であるという形の中で、今回、報告書の中に入れていただければいいのではないかと思っております。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 関連して、坂巻構成員、お願いします。
○坂巻構成員 発言の機会をありがとうございます。
 残された論点で、幾つあるか分からないですけれども、少し多めに発見するかと思いますけれども、お許しください。
 まず、日本薬局方なのですけれども、私も薬学部卒業で、卒業してから40年ぐらい薬局方の中身を見ていないのですけれども、これは質問というか、恐らく準備できていないと思うので、言いっぱなしで結構なのですけれども、薬局方の中に、バイオ医薬品、生物学的製剤というのは、どういう扱いになっていますでしょうか、あまり薬局方は、生物学的製剤はなじまないようなイメージをかつては持っていたのですけれども、何でこんなことを質問するかというと、例によってバイオシミラーなのですけれども、やはりバイオシミラーの開発に関して、欧米を見ますと、かなりバイオシミラーの開発について簡便化しようと、そういった議論が進んでいます。例えば、アメリカですと、バイオシミラー・ユーザー・フィー・アクトでしたか、BsUFAでしたか、そのような法律があって、その中でバイオシミラーの開発を簡便化しようと、こういった議論があります。
 ですから、中身はどうかなというのを本当は聞きたいところなのですけれども、準備ができていないと思いますので、バイオシミラーも視野に入れた国際的な標準化について考えてほしいということで、まず、1点目でございます。
 それから、2番目の全規格ぞろえですけれども、これも何回もお話がありましたけれども、当初、先発品が、後発品からの市場防衛があるために、無駄にいっぱい規格をつくって、また、厚労省がそれを全部そろえろというようなことをしてきたわけですね。
 現状どうなっているか、これも調べたらいいと思うのですけれども、現状、ジェネリック医薬品を中心に供給不足が起きています。そうすると、ある規格のもの、例えば、10mgの錠剤がないと、それに対して、例えば5mgを2つ出すとか、あるいは20mgを割って渡すという形で、現状では、この規格ぞろえが、むしろ供給不足に対するバッファーになっている部分もございます。
 恐らくジェネリックメーカーに行くと、今、規格ぞろえは、そんなに大きな問題ではないという答えが返ってくると思うのです。これと、やはり同じ問題は、バイオシミラーであって、バイオシミラーに関しては、やはり、この規格ぞろえが非常に重荷になっている。
 一方で、注射薬に関しては、返品が利きませんので、無駄に不良在庫になるリスクもありますので、ここは、バイオシミラーのことも踏まえて、全規格ぞろえに関しては、見直しをしたほうがいいと思います。
 それから、薬価算定に関して、これは、既に成川委員からお話があったので、繰り返しになりますけれども、これも実は、私は中医協に参考人で出ていたときに導入された仕組みで、今からこういうことを言うと、怒られてしまいますけれども、そもそもジェネリック医薬品の品目数が多過ぎるから集約するための方策として、薬価を3価格帯にする。誰が考えたって、これで品目数が減ることになるのだろうかという疑問を感じますね。
 大きな問題は、品目数がどうかということよりも、先ほど来お話があるように、これによって流通がゆがんでしまった部分があるわけです。
 ですから、堀委員からこの場でしか議論できないというお話がありましたけれども、まさに、これは薬価制度が流通に影響を与えた大きな問題ですので、この場で議論すべきことだと思います。
 結論的には、先ほど成川委員からお話がありましたように、今後、特定の企業についての評価をするということを考えれば、3価格帯に関しては見直して、銘柄別に戻すべきだろうと、私は考えております。
 それから、11ページ目の製造引継ぎについてなのですけれども、一応、これもルールとしては、このとおりだと思うのですけれども、実態としては、各社によってかなりデータの引継ぎについての状況にばらつきがあると、私は聞いています。実際、何社か聞いて、そういう話は聞いていますので、ここは、実態がどうなっているかということをきちんと把握した上で、例えば、厚労科研などを使って、情報の引継ぎについてのガイドラインを設定するということを提案していただければと考えています。
 最後のところの価格交渉の話なのですけれども、価格交渉代行業者の話だけではなくて、これは、私、1回目というか、前の会議体の8月末のときにお話ししましたけれども、代行業者だけではなくて、今、価格の形成が非常に不透明化していて、例えば、メーカーが直接価格交渉をしていると、これは、データとしては、まだ公表できない段階だと思うのですけれども、実際に、産情課の調査で、企業がどのぐらい直接交渉をしているかということの調査を行っています。まだ、結果は公表できない段階ですけれども、ジェネリックメーカーに関しては、かなり価格交渉を直接やっているわけですね。
 こういったことが価格形成にどういう影響を与えているのか、これは、まさに最初に香取委員からお話がありましたけれども、もう少しきちんと流通の状況について把握することが必要だろうと思います。
 その上で、何でこんな交渉が起こるのか、つまり、ヨーロッパでは基本的に量と価格交渉なのです。価格を決めて量も決める。これが一般的に交渉であるのは、香取委員からも御指摘のとおりなのだけれども、日本は価格だけ決めている。何でこんなことをしているかというと、要するに、これまでは、どれぐらい供給するか、供給量に関して裏づけがあろうがなかろうが、とにかく日本全体では薬が足りなくなるということは起きないから、価格だけの交渉で成り立ってきたわけです。
 その結果、先ほど申し上げましたけれども、メーカーは本当に供給できるかどうかは関係なく、仮に供給できなくなったら、ほかの会社が供給してくれるからということで、値段だけを決めてきたという仕組みだったわけです。
 だけれども、今、起きていることの問題があるからではないのだけれども、やはり供給量に関して、きちんと裏づけを示すことが必要だろうと思います。
 ですから、少し話がそれてしまいましたけれども、この価格交渉の話だけではなくて、企業がどのくらいの供給力を持っているかということについて、きちんと情報を出させるという仕組みが必要だろうと思います。
 かつ、今、ジェネリックメーカーに関しては、これまでの会議の場でも出ています、非上場企業が多い、あるいは実際にジェネリック医薬品販売している会社も、恐らく3分の2以上は、JGAにも製薬協にも加盟していないという中で、情報提供をきちんと行っているかどうかも分からない。
 そういった企業も含めて、供給量に関するキャパシティー、あるいは供給状況について、きちんと報告させる仕組みというものが必要だろうと思います。
 場合によっては、そういった取り組みについて、薬価交渉で評価したらどうかということで、先ほどの話に戻るわけですけれども、そんな形で流通、それから、薬価制度ということについての改革ということを検討する必要があると考えております。
 すみません、少し長くなりましたけれども、以上でございます。
○遠藤座長 貴重な御意見をありがとうございました。
 事務局は、何かコメントはありますか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 ありがとうございます。
 1点目に御指摘いただきました、薬局方でのバイオ医薬品の取扱いにつきましては、すみません、御指摘いただきましたとおり、明確というか、直接的なお答えは、今、持ち合わせていないのですが、御指摘いただいているように、バイオシミラーの品目自体が、薬局方の中で、医薬品各条の中で、化成品と同じように記載がされている形にはなっていないと思われるのですが、製剤総則などの共通の規格や試験方法の中で、バイオシミラーに関連する記載も一部入っていると思いますが、詳細につきましては、すみません、御指摘いただきましたとおり、確認をさせていただきたいと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
 ほかに大体よろしゅうございますか。
 それでは、もしあれば、また最後に総合的に御議論いただければと思いますので、2番目の議題に移りたいと思います。
 3ポツの「マクロ的な視点からの総薬剤費の在り方」についてということで、ページ数でいうと、23ページから36ページになりますけれども、これについて、御意見、御質問等をいただければと思いますが、いかがでございましょう。
 では、坂巻構成員、口火を切っていただきまして、ありがとうございます。
○坂巻構成員 そもそも確認で、24ページですけれども、薬剤費の比較、諸外国の例が出ていますけれども、これは何を比較しているのかなというのを、一応確認したいと思うのですが、下のほうに医療経済研究機構の報告書ということで、恐らく成川委員が、こちらの委員にもなっているので、もしくは詳しく御存じだと思いますけれども、恐らくこれは外来薬剤費だけですね。そうではないですか、もしそうだとすると、今は特に高い薬価がつくようなバイオ医薬品などは、入院というか、病院の中で使われる薬が中心ですので、やや比較の資料としては不適切かなという感じがします。後ほど、成川先生から補足をいただければと思います。
 その上で、もう一つ、単純に全薬剤費だけの比較でいいかというか、実はそれも難しい話なのですけれども、本当に繰り返しで、私はバイオ医薬品の話ばっかりしているのですけれども、どういう薬が、今、開発の中心になっていて、それが薬剤費にどう影響しているかということも見たほうがいいのかなというのは考えています。
 事務局からかつて出た資料については、バイオ医薬品の金額があまり海外のデータについて、ちゃんと計算されていたかどうか記憶がないのですけれども、割と最近、今年の1月にIQVIAが報告したレポートですと、アメリカのバイオ医薬品の市場、全医薬品市場のうちのバイオ医薬品のシェアが、たしか46%です。ヨーロッパについては、昨年の12月に報告書が出ていますけれども、イギリス、スイスを除いての集計ですけれども36%。日本はどのくらいかというと、これは、私がIQVIAのデータで論文に書いていますけれども20%です。
 つまり、日本は薬剤費の多寡も議論すべきだけれども、常日頃言っていますように、バイオ医薬品の開発力が弱いのです。だから薬価制度に問題がないとか、もちろん、バイオ医薬品の価格水準も比べた上で、日本の薬価が低いから20%でとどまっているというようなことも議論しなければいけないのですけれども、薬剤費に対してどういうものが影響しているのかということを考える必要もあるのではないかというのが1つ目です。
 それから、いきなり細かい話になってしまうのですけれども、せっかくOTCの資料が入っていて、これもかつてこの会で発言させていただきましたので、もう一回同じことを申し上げますけれども、やはり薬剤費をどういった上限設定するかということは、様々な議論があるとしても、OTCに置き換えることができるのであれば、OTCの使用促進というのはあってもいいだろうと思います。
 ただ、保険でカバーする範囲との議論と、あまり組み合わせるべきではなくて、28ページにあるように、そもそも国民の選択する範囲を広げるという形から、セルフメディケーションを広げていくという議論が必要なのだろうと。
 もう一つは、薬医療用医薬品として承認され、使用されて時間が経って、有効性・安全性について一定の情報が得られて評価が固まっているものに関しては、OTCとして使うこともできるようにする、そういった形で産業を振興するという考え方もあるのではないかと思います。
 最後は、OTCの点ですけれども、とりあえず口火を切るということで、私のほうからは、以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 この分野は、結構、突っ込みどころの多いところのはずなので、いろいろ御意見が出るかなと思ったのですけれども、口火を切っていただきましてありがとうございます。
 事務局から何かコメントをいただくことはありますか、坂巻構成員、よろしいですか、御意見だけで。
○坂巻構成員 薬剤費の内訳、外来だけではないかというところだけ、確認をお願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。
 24ページの下のほうに、すみません、小さい字で記載しておりまして、非常に見づらくて恐縮なのですけれども、御指摘いただきましたように、フランスのデータ、灰色の部分につきましては、この薬剤費の中は、外来薬剤費のみでの計上となっておりまして、逆にそのほかの分につきましては、外来以外の分も含まれていると。
 一方で、OTCですとか医療以外の部分で使われている薬剤費については、こちらは含まれていないということで、医療の中で使われている薬剤費を、基本的には集計しているものと理解をしております。
 御指摘いただいたように、そういう意味では、直接比較が難しいデータも含まれているという状況でございます。
○遠藤座長 よろしいですか。
 一部は外来だけということですけれども、となると包括の部分は、どう算定されていますか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 御指摘ありがとうございます。
 包括につきましては、こちらも申し訳ございません、日本の部分については、入っていないということになります。
○遠藤座長 海外は入っている、それはよく分からないということですね。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 すみません、詳細につきましては、申し訳ございません。
○遠藤座長 分かりました。ありがとうございます。
 どうぞ。
○坂巻構成員 これまで、INESさんなどから提出されたものに比べると、日本の薬剤費は結構高いように見えるわけですが、そこは、やはりデータソースの違いということでしかないのですかね。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 申し訳ございません、事務局でございます。
 すみません、御指摘の理由、背景、原因のところにつきましては、申し訳ございません、今、お答えできる情報を持ち合わせておりませんので、可能な範囲で、御指摘について確認をさせていただきたいと思います。
○遠藤座長 まず、よろしいですか、今のお答えで、坂巻構成員。
○坂巻構成員 もうこれ以上は。
○遠藤座長 分かりました。
 では、香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 今のセクション、表題が「マクロ的視点からの総薬剤費の在り方」と書いてあるのです。
 それで、今議論になっている24ページの表なのですけれども、これは一体何を議論してほしくて出しているのですか。
 というのも、ここにDPCが入っているとか入っていないとか、入院医療費が入っているとか入っていないとか、そういう議論があるのですけれども、いずれにしても、いわゆる薬剤費なるものをGDPと比較するというのは、何を議論したくてやっているのかというのがよく分からない。
 つまり、産業としての医薬品産業が国民経済の中でどれくらいの規模があるのか、というのであれば、薬剤費ではなくて、医薬品産業全体の産業規模を示して、それがGDPに対して何ぼかと、こういう議論に多分なるのだろうし、それこそ、次のページにあるように、保険で給付されている医療費の中で薬剤費がどれくらいになるのかというのであれば、それはそういう見方ができるような資料の示し方になるのでしょうし、個別の医薬品の価格とか、あるいは消費量というのを見るのであれば、それはそういう見方ができる資料の示し方をするということになるのだろうと思うのですけれども、ここの数字は保険の薬剤費ですよね。保険の薬剤費をGDPと比べるというのは、一体の何の議論をしているのかという気がします。正直言ってこの表を見せられて議論しろと言われても、これで高いの低いのと言われても、もっと言ってしまえば、日本はGDPが伸びていないわけですからね、全然、この20年間。そうすると、分母のGDPがどうなっているかということとも関係するわけで、GDPと薬剤費を比較するのであれば、まず、GDPと医療費を比較して、それから医療費の中での薬剤費と比較して、となるのだろうと思うのですが、いずれにしてもよく分からない。
 もう一つは、全体としてマクロの総薬剤費の議論をするということだとすると、例えば、自己負担がどうかという議論は、マクロの薬剤費との関係でどういう論点になるのか、というのがよく分からない。
 それから、市場規模の話が出てきて、あと、OTCの話であるとか、そういうのを議論するというのは、要するに保険の中で償還する薬はどの範囲にするかという話で、財政審みたいなことから言えば、スイッチOTCが出ているものは、基本的には市場で買えるので、それを保険で給付する必要はないと、そもそも保険で給付しなくてはいけない医療用医薬品なのだったら、そもそもOTCにならないはずだし、自分で買える薬なのだったら、買えばいいではないかと、こういう話になるのだと思うのですね。
 それはそれで1つの大きな論点だと思いますが、あと、例えば、新薬の値決めの問題で、こういうモダリティをどう考えるのだ、という論点も入っているのですけれども、こういった論点が、マクロの視点からの総薬剤費の在り方ということなのだろうか。これでは議論のしようがないと思うのですが。
○遠藤座長 それでは、事務局からお考えをお聞きしますけれども、私、24ページが、なぜつくられたのかよく分かりませんが、恐らく議論とすれば、GDPの伸び率に薬剤費を合わせるという、そういう議論がここでも出ましたので、そういう意味で、GDPに占める薬剤費は、国際比較をしたらどうなのかという、参考資料として出されているのだろうと、このように思ったわけですけれども、事務局は、どう考えたのかは、詳細をお聞きしたいと思いますが、いかがでございましょう。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 御指摘ありがとうございます。
 申し訳ありません、このグラフにつきましては、以前の検討会での御指摘も踏まえまして、各国で医療に用いられる薬剤費が経済規模に比して、どの程度なのかということを1つの目安としてお示しするということで、データとして収集して作成したものでございます。
 1点は、今、遠藤座長のほうからも御指摘をいただきました、GDPに対する比率での議論が、これまでの検討会の中でも御提案、御議論をいただいたということもありまして、それを踏まえて作成したものでございます。
 少しデータとして不足といいますか、分かりづらい点がありましたことは、御容赦いただければと思います。申しわけございません。
○遠藤座長 それでは、事務局からお考えをお聞きしますけれども、私、24ページが、なぜつくられたのかよく分かりませんが、恐らく議論とすれば、GDPの伸び率に薬剤費を合わせるという、そういう議論がここでも出ましたので、そういう意味で、GDPに占める薬剤費は、国際比較をしたらどうなのかという、参考資料として出されているのだろうと、このように思ったわけですけれども、事務局は、どう考えたのかは、詳細をお聞きしたいと思いますが、いかがでございましょう。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 御指摘ありがとうございます。
 申し訳ありません、このグラフにつきましては、以前の検討会での御指摘も踏まえまして、各国で医療に用いられる薬剤費が経済規模に比して、どの程度なのかということを1つの目安としてお示しするということで、データとして収集して作成したものでございます。
 1点は、今、遠藤座長のほうからも御指摘をいただきました、GDPに対する比率での議論が、これまでの検討会の中でも御提案、御議論をいただいたということもありまして、それを踏まえて作成したものでございます。
 少しデータとして不足といいますか、分かりづらい点がありましたことは、御容赦いただければと思います。申しわけございません。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 まず、香取構成員、よろしゅうございますか。
○香取構成員 そこは、私、前から言っているのですけれども、GDPとの関係で、保険の薬剤費の範囲を議論するというのは、真ん中に医療費というのが挟まっているので、その議論を抜きにこの議論をするというのは、いかがなものかという気がします。医療費そのものの規模かどうかという、それは国によって保険給付の範囲も違っていますし、アメリカなどというのは、御案内のように、総医療費と公的医療費は倍ぐらい違うわけですから、薬剤費がでかいといっても、別に公的財政負担ということで言えば関係ないわけなので、産業規模として考えるのであれば、産業規模として考えるということになるのだろうと思うので、この議論は途中が抜けていると思います。
○遠藤座長 香取構成員、大変重要な御指摘をされたと思います。つまり、薬剤費とGDPとの関係を言うのであるならば、医療費とGDPの関係というものを抜きにした議論はできないので、薬剤費だけを取り上げる議論というのは、若干片手落ちではないかと、そういう御指摘だと理解いたします。ありがとうございました。
 小黒構成員、お待たせしました。
○小黒構成員 ありがとうございます。
 今後、取りまとめをしていくに当たって、38ページ目のところですけれども、先ほども患者会のほうからも話が出ておりましたが、やはり迅速な革新的な医薬品の供給をどうしていくのかというところ。
 1ポツでも挙げられていますけれども、まず、上市した段階で、収載時の薬価をどうするのか、価値に見合った薬価をどうつけていくのかという話も含めてです。
 もう一つ、その下にありますけれども、新薬創出加算制度とか市場拡大再算定の在り方みたいな話も、この有識者検討会で出ていたわけですけれども、安定供給も、当然、今の円安の中とか、いろいろ資源価格が高騰している中でどうするのかと。
 いずれも、もし抜本的に対応しようとすれば、それなりの財源が必要だということになるのだと思います。
 しかしながら、今、毎年の薬価改定であったりとか、中間年改定も含めて、非常に厳しい環境下にありますので、前もこの検討会でありましたけれども、2015年以降は、薬剤費は横ばいか、もしくはマイナス成長になっているというような話もございました。
 ですので、ぜひ財源について、きちんと在り方について取り上げていただきたいというのが、1つ要望です。
 その中で、私もこの資料を見ていて、唐突感があってよく分からなかったのですけれども、自己負担の話とかも出ていますね。
 当然自己負担を見直せば、財源も出るのだと思うのですけれども、先ほども申し上げましたように、この検討会のテーマというのは、ドラッグラグとかドラッグロスとかの問題に対して、日本の製薬企業の研究開発能力などを高めていくことを目指していたと。そのために新薬の創出加算などを含めて、いろいろな薬価上の支援を積み増すということにあるのだと思います。
 ですけれども、こちらの資料の31ページですか、毎年薬価改定もしていますけれども、方向性としては、財源を例えば長期収載品みたいなところの薬価の見直しで出すというところも、結構、念頭としてはターゲットになっている部分もあるのだと思うのですけれども、当然ボリュームとして1.9兆円ぐらいしかありませんので、やはりこの検討会として中長期的に考えた場合に、やはりここだけを財源にするというのは、結構難しいのではないかと思います。
 また、これは財務省との関係で、よくOTC類似薬のところで、対象範囲を見直したりとか、そこの自己負担を引き上げる話も出てくるわけですけれども、それも限界があり難しいと思うので、1つあるとすれば、この資料にも出ていましたけれども、これは平成9年のときのもので、これは何で廃止になったのか、私は分かっていないのですが、ごめんなさい、私も専門家でなぜ廃止になったのか、実は十分認識していなかったのですけれども、例えば薬剤費には定額負担みたいなもの、数百円みたいなものを入れていくというのが、それなりの財源を確保できると思いますから、あり得るのではないかなと、1つ思います。
 もう一つは、やはり裏側の財源をどうするかという話はあるのですけれども、経済成長率と連動した形で薬剤費を伸ばしていくということをしないと、例えば、先ほど申し上げましたけれども、価値に見合った薬価をつける話であるとか、市場拡大再算定の見直しというのは、相当難しいのではないかと思います。
 ですので、これはすぐにできるという話ではないと思いますが、中長期的には必ず実現していくということを考えていく必要があるのかなと。
 ただ、気をつけなければいけないのは、今、足元で薬剤費の動きを見ると、結構伸びてるのだと思います。
 これは、コロナの関係の治療薬とかいろいろな影響が出ていると思いますけれども、こことの関係もあるので、実際、IQVIAのレポートとかを見ますと、分解すれば、基本的にはコロナの影響のところを除けば、横ばいか、もしくはマイナス成長に近い形で推移しているということは読み取れるわけですけれども、でも、そこの情報について、多くの人たちがきちんと認識しているというわけではないですので、やはり巡航速度に戻ると言った時点で、その辺を見据えながら改革をしていくという視点も重要かなと思います。
 そういう点も含めまして、可能であればですけれども、報告書のほうで、財源は重要だということを念頭に置いていただきながら、これは、例えばなのですけれども、私の意見ですが、こういう文書を残すことはできないかという提案でございます。
 財政との調和をきちんと図りながら、少なくとも、香取先生はいろいろおっしゃられていますけれども、何でGDPなのかという話はありますが、少なくとも中長期的な経済成長率に沿うように、総薬剤費を最低限伸ばしていくというような仕組みの検討を行うべきという文書を残せないか、御提案させていただきます。
○遠藤座長 お考えが述べられました。これまでの議論でいうと、先ほどの香取構成員の話もありましたように、GDPと薬剤費を関連するのであるならば、GDPと医療費の問題というものも同列に扱わなければ適切ではないのではないかと、こういうような御意見もあったかと思います。
 今のことについて、何か御意見ございますか。それから、報告書への文書でございますけれども、それも含めて、お考えをいただければと思いますが。
 香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 今の話、38ページの論点整理のところなのですけれども、この意見の整理は、報告書の言ってみれば骨子になるということだろうと思うので申し上げました。
○遠藤座長 すみません、もう38ページまで入っていますね、皆さんは、申し訳ない。
○香取構成員 何か入っているみたいなので。
○遠藤座長 どうしますか、一緒にやってしまいましょう、だから、全部ですね。どうぞ。
○香取構成員 すみません、そうだとすると、全体通して申し上げることにします。
申し訳ないのですけれども、ちゃんと整理したほうがいいと思うのですね。まず、論点には幾つかのディメンジョンがあって、まず新薬周りの話というのが1個あって、そこは新薬の導入の話と開発の話、そして新薬の値決めの話というのがありますね。
 もう一つのテーマは、後発品ですよね。安定供給という切り口もあるのですけれども、安定供給というのは、今日も議論がありましたけれども、これは基本的には後発品の話で、ここには、どこにも後発品という言葉が出てこないのですけれども、後発品というのは1つ大きなテーマ、さっき三村先生もおっしゃいましたけれども、後発品の話というのは、産業構造の話もあり、それから安定供給との関係で言えば、薬価の話もあり、品質の問題もあり、流通の問題もあります。流通については、新薬も後発品も流通の話がありますが基本的には薬価改定のやり方、算定ではなく改定に関わる話なので、これまたかなりの部分は後発品に関わる話です。
 ですので、やはり大きな柱、小柱というのを整理して、バイオシミラーとかオーソライズド・ジェネリックというのは、確かにこれはこれでテーマなのですけれども、これは、こういう並びで立てる話ではなくて、全体の仕上がりの報告書の立てつけを考えれば、もう少し柱立てを整理して、大きい柱、小さい柱を整理する必要があって、その中で、流通というのは、こういった大きなテーマを踏まえて、いわば横串で議論する問題として出てくる。
 流通の中に薬価差の是正と書いてありますけれども、今日の議論でもあったように、薬価差の是正を流通の問題として考える、という設定の仕方自体、少し違うのではないか。この検討会での議論はそうだったと思うのですけれども、調整幅の問題も、調整幅それ自体の議論もさることながら、流通の中で考えれば、これは安定供給にも関わる話でもある。ここの論点は、そういう整理の仕方をしたほうがいいのではないかというのが1つ。
 もう一つは、この検討会の中で方向性とか、考え方が整理して出せるものと、例えば流改懇に、この議論はしてほしい、あるいはこの議論は中医協で球を投げる、というのがあると思います。ある程度ここで方向性が出せるものと、問題提起をしてそれぞれの専門部会で議論してもらう形で投げるテーマ、さらには、本来こういう場で議論するべきだけれども、十分に議論が詰まっていないので、言ってみれば、積み残し、この会議は、5月以降おやりになるのかどうか存じ上げませんけれども、こういう場で引き続き議論すべき問題、つまり問題は整理できたけれども、議論としては詰まっていない問題、そのように全体を整理して、自分のところである程度方向性を出すもの、こういうことで議論してもらいたいということでそれぞれのところへ投げるもの、あと自分たちで宿題として残すもの、という整理をするのではないか。
 これだけ幅広い、今まで出ていなかったような論点も含めて議論をしたわけなので、整理すべきものは整理し、方向性を出すものは出し、ほかのところに投げるものはある程度ピン留めをして投げ、自分の宿題は自分の宿題でと、少し役人的で申し訳ないですけれども、そういう整理をしたほうがいいのではないか。
 もう一つ、別の話になりますが、先ほどの小黒先生のお話ですけれども、例えば、この先日本のGDPがどうなるかということは分かりませんけれども、GDPの伸びの範囲内でいう議論は、要するにGDPがどうなるかに関わらず医薬品産業の規模をその規模にするということを意味することになります。そのこと自体、それでいいのかという議論があると思います。全体として医療費がGDPを少しずつ上回りながら伸びてきたトレンドがあり、OECDも言ってますが、そのトレンドはまだ当分の間続いていく。そんな中で、諸外国の医薬品産業の規模を見ると、それをさらに上回って伸びている、言ってみれば、成長産業と言っていいのか分かりませんけれども、先進国にとって医薬品産業というのはそういう産業だということです。そう考えると、GDPの範囲内という言い方は、少なくともそこまでは成長を認めようという、そういう御趣旨でおっしゃっているのだと思うのですけれども、果たしてそういう意味になるかどうかというのがあって、これを「最低限ここまでは認める」というのは、それはそれで言い方だと思うのですけれども、そもそも、然り而して医薬品産業の規模はかくあるべしという理屈が必要ではないでしょうか。そこをお考えいただいて、物の言い方は少し考えたほうがいいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 小黒構成員、何かありますか。
○小黒構成員 単に補足なのですけれども、これは、財政学者とかも何人か医療費の長期推計みたいのを独自にやっている先生方もいらっしゃいますけれども、厚生労働省自身も、例えば医師の需給推計みたいなもので、今日は、菅原先生はいらっしゃいませんけれども、例えば2035年とか2038年ぐらいになってくると、医師も超過供給になってくると。
 何でこんな話をしているかというと、この場ではあれですけれども、政治的に、例えば最低限、今、香取先生がおっしゃられた話なのですけれども、少なくともGDP並みに薬剤費を伸ばす、これの重要性というのは、今、足元では薬剤費は既にゼロ成長、特許品ですら、マイナス成長になってきてしまっている。
 では、診療報酬本体はどうかというと、まだ違うわけですね。ただ、地域別に見れば、当然、高齢者も減り始めているエリアがあるので、違うわけですけれども、ただマクロで見ると、まだ伸びているというのは、データ上、これは出ているデータ自身がそうなっていますから、ただ、例えば2040年とか2050年になってくると、どうなのかという話もあるわけですね。
 35ページのところが、そういう意味では、結構重要だと思うのです。これを財務省がどういう意味で出しているかというのもあるのですけれども、基本的には、財政統制が念頭にあるとはいえども、ここで財務省がほしがっているのは財政的予見性であって、財務省も少なくとも足元で薬剤費がどうなっているかということについて、ある程度分かっていると。
 にもかかわらず、この下線で引いてあるような形で、ある一定程度の伸びであれば、許容すると、はっきり財政審に書いているということもありますので、何が言いたいかというと、先ほどの香取先生にお答えする1つのメッセージとしては、まだ、診療報酬本体と薬剤では環境が違っていて、薬剤費については、少なくともまだ財政当局と、いろいろなところを含めて、交渉できる余地が出てきているというところなのではないかなと。
 私は、診療報酬本体について、この議論をするというのは、かなりまだ現状は難しいと思っています。もっと時間が経ったときに、高齢者も、要するに医療費総額も、高齢化によって増える分と、人口減少でマクロで押し下がる分と2つあるわけですけれども、如実な形で医療費全体が、本当に総額が下がってきたら、そのときは、最低限GDP並みで伸ばすという話も出てくるのだと思いますけれども、現状では、やはり難しいのかなと思います。
○遠藤座長 少し確認をさせていただけますか、そうすると、具体的には、薬の改定率をGDPの伸び率以上にすると、そういう理解でよろしいわけですか。実際は、改定率は一定の仮定の下に計算されたものであって、実際の薬剤費の伸び率は、事後的な調整をしなくてはいけない話になってしまいます。
○小黒構成員 意味合いとしては、あまり細かい話をするとあれですけれども、それは、また別途検討会で、先ほど香取先生がおっしゃられたように、検討会を立ち上げていただいてやったほうがいいと思うのですが、この資料の34ページの右上みたいな形で、現状では、数量成長よりも薬価改定のほうが深くなってしまっているので、これをある程度合意された成長率をベースにしながら薬価改定を調整するというのが、ここのシンクタンクの提案だと思うのですけれども、そういうイメージなのかなと思います。
○遠藤座長 分かりました。そういう御意見だということは、意見として承りました。
 今の話に関連してもいいですし、そうではなくても結構です。ここの論点全部で結構です。それから、私、香取構成員に非常に賛同いたしますのは、私も全くそう思っておりました。まだ、事務局としては構成を明らかにしておりませんので、一応論点だけを羅列したという状況なのですが、そうは言っても、これまでの議論の中でかなり強弱ありましたし、それから、同じウエイトで示してはいけないようなものもありますので、そのうち、その辺の構成もしっかりしていただきたいと思います。そのうちといっても、あと2回しかないので、2回かどうか知りませんが、それぐらいなので、事務局、その辺も含めて御回答をいただきたいと。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 今、座長のほうから補足をいただきましたけれども、先ほどありました38ページについては、すみません、骨子という形で出したわけではございませんので、これまでの検討会で残したところについて、本日はいろいろ御意見をいただきたいと思いましたので、これまで、ここの場で検討した順番で、これは書いただけのものでございます。
 その意味で、当然のことながら報告書については、先ほど香取構成員からもありました、まさに我々も同じようなことを考えてはいるのですけれども、課題ベース、あるいは時間軸というのも考えなくてはいけませんし、それから、先ほどの堀構成員とのフリーの質問とも関係いたしますが、そもそもこの検討会の粒度も違いますので、そういう意味で、ある程度具体的な方向性まで書けるものと、それから別の議論の場に、要するに課題を明確にした上で、その上でそこに投げるというものもあるでしょうし、あるいは、別の場を設けて検討しなければいけないという課題もあると認識しております。
 その点は、1回整理をさせていただいて、すみません、これは次回になってしまうのですけれども、次回の段階で、報告書の素案という形で、また改めて御議論をいただきたいと考えてございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、川原構成員、どうぞ。
○川原構成員 ありがとうございます。
 38ページの論点について、1点だけ述べさせていただきたいと思います。
 原薬の調達について、論点として扱わなくてよいのかどうかというところの確認でございます。
 本日、日本薬局方の課題について御説明がありました。
 それと第9回、2月15日のときにも、原薬調達への影響といった形で後発品メーカーの方から御説明もありましたし、厚生労働省の論点としてもありました。
 あと、経済安全保障上の観点で見ても、特定の国からの原薬の調達に偏っている部分もあることからすると、製造工程は整っていても、原薬がないと実際問題、薬の製造はできないので、いかに原薬調達の障害を減らして、原薬確保に資する施策を取っていくのかといった辺りについて、解決をすぐに示せる問題ではないと思うのですけれども、宿題として、もしくは課題として掲げておいたほうがいいのではないのかなと思うのですが、いかがでしょうか。よろしく御検討いただければと思います。
○遠藤座長 何かコメントはございますか。御意見として承りましたが、どうぞ。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 大変重要な課題であると考えてございます。我々の資料の出し方は、若干不足のところがあったかもしれません。原薬の部分についてはですね、もし、ありましたら、そこは精査させていただいて、次回素案を出すのと併せて、必要があれば、補足的な資料についてもお出ししたいと思います。ありがとうございます。
○遠藤座長 ほかにございますか。
 それでは、芦田構成員、お願いいたします。
○芦田構成員 ありがとうございます。
 私も38ページのこれまでの意見の整理についてコメントさせていただきます。2番目に革新的な医薬品の迅速な導入のビジネスモデル上の課題というところがあります。ここは大きく分けると、まず短期的には、海外の、特にアメリカを中心とした、エマージング・バイオファーマからの新薬の導入ということが課題だろうと思います。短期的には、それが大きな課題であって、それが本日の資料に示されている患者会の意見にもあったドラッグラグやドラッグロスを生んでいるということかと思います。
 一方、資料に書かれている、創薬ベンチャー支援やエコシステム構築等々は、短期的というよりはむしろ中長期的な視点で取り組むべき、国内の創薬力の強化だったり、開発の強化ということだろうと思います。
 ですので、この2番目の論点は、短期的課題と中長期的課題の二つに分けて議論する必要があると思います。資料に記載されている項目だけですと、海外からの早期の導入、ドラッグラグやドラッグロスの解消というところが、抜け落ちているように思いましたので、指摘させていただきました。
○遠藤座長 ありがとうございます。御意見として承りました。よろしゅうございますね。
 ほかにいかがでしょうか、では、坂巻構成員からどうぞ。
○坂巻構成員 そもそもですけれども、医療費の捉え方なのですけれども、御専門の方の前であれですけれども、例えば、ILO基準だと、これは給付額なのですね。それからOECD基準は支出額、今までデータで出てきているのは、24ページの資料は、よく分からないところがありますけれども、いずれにしても保険制度の中で支出されている、あるいは給付されている金額の話と、それから産業育成の話の薬というか、医療材の市場規模と分けて考えなくてはいけない話だと思うのですよ。
 例えば、再生医療なとば、例えば経産省的な発言になりますけれども、自由診療で行っている部分も結構あるわけですね。そういったところを伸ばすというのは、これは給付額に出てこない話だから、そこは議論をするときに、きちんと整理しないと。大変失礼ですけれども、先ほど座長が、GDPの伸びに合わせて薬価改定の改定率を上げるのかというな、やや、私からすると乱暴に聞こえるような議論が出てきてしまうと思います。そこは、やはり何の話をしているのかというところを整理した上で、それに合わせたデータを持って提出していただく必要があるかなと思います。
○遠藤座長 私は、それをしろと言っているではなくて、そういうイメージですかということをお聞きしたということなので、医薬品を生産する場合は、公的医療保障外のものも当然あるわけですから、だから産業政策の議論と、公的医療保険の中でどれだけ薬剤費に配分されているかというのは、基本的な目的が違う話になりますので、そこを明確にする必要があるということですね。
 それでは、お待たせしました、三村構成員、お願いいたします。
○三村構成員 実は、私も同じ意見でございます。それで正直言いまして、GDPをベースとした、基本的にそれにスライドさせるという考え方は、医薬品産業が巡航速度を回復したときには、恐らくあり得るかなと思います。ただ、今の医薬品業界が抱えている問題は、危機的であって、このまま行きますと、本当にジリ貧なのではないかという感じさえしております。
 そういう状況からすると、今、やはりどうやって産業基盤を強化するか、それから両方の課題がございますけれども、新薬開発のところとサプライチェーンの強靱化のところと、この2つの非常に大きな課題がある。
 そうしますと、薬価制度をまず修正することによって解決できるところと、それを踏まえて、さらに医薬品産業基盤強化の国の政策としてきちんと対応するべきことが、相当あるのではないかと。それを常にやり続けるということではないかもしれませんが、まずは、その課題が大きいということを、今回の報告書の中の大きな柱として、やはり提示していただくことが重要ではないかと思います
 やはり何よりも、産業政策的視点が今まで国になかったということが、今回の一番大きな問題でありますから、当然財政上の課題とともに、産業政策としての課題も、この二つをある意味でバランスを取りながら議論していくということが重要になると思います。まず、まさに巡航速度に戻すために何をするべきか、そしてその後で、さっき小黒先生がおっしゃったような形で、あるいは全体をどのようにコントロールしていくかという議論がある。そういうのを組み合わせていく必要があるという形で整理していただければいいのではないかと思います。
 私は、坂巻先生と同じ意見でございます。
○遠藤座長 私もそのように思います。
 以前に申し上げましたけれども、やはり薬価というのは、非常に製薬産業にとって見れば重要なのですけれども、これは、あくまでも川下戦略の話でありまして、いかにしてその産業を育成していくかという川上戦略は、薬価政策と関連はあっても、もっと別な政策も多々ある話でありますので、当然そういうことも議論するために、その専門家の先生も今回はいらっしゃるということでもありますので、その両にらみの議論も当然必要になってくるということだと思います。ありがとうございます。
 それでは、先ほど堀委員が手を挙げておられました。お願いします。
○堀委員 これまでの意見の整理のところにも関係しますし、その前の資料のところにも関係するのですが、先ほど香取委員もおっしゃっていましたが、資料の見せ方というか、この順番で私自身も少し戸惑うところがありまして、多分この検討会で今までやってきたことというのは、革新的な医薬品の迅速導入をする上で、どういう課題があるか、あるいは、後発品を中心とした薬品の安定供給、しかも長期収載品の中にもいろいろな種類があるということが、この研究会でも明らかになりましたけれども、それを一律ではなくて、どういうふうに見るかというお話があったと思います。
 それを解決するためには、今、三村先生がおっしゃったように、産業政策的な視点と、あと、実際的には、薬価改定もそうですけれども、社会保障の自然増の部分のかなりのところが、薬価から財源になっている、これは間違いのない事実なので、薬価制度だけで解決できるかというと、やはり財政的な制約条件もゼロではないと思うのです。
 ただ、今回この資料の見せ方が若干唐突というか、GDP対比薬剤費の資料があって、その次に薬剤自己負担と出てきたので、どういう趣旨なのかなと。薬剤自己負担だけで、財源となる負担が全部賄えるわけでは多分ないでしょうし、その後の資料で、ほかのシンクタンクの意見であるとか、財政審の委員の意見とかがあるのですが、全体としての資料間の関係性がどういうものなのかが、多分わからないため、検討すべき論点が見えにくいので、唐突な感じがします。
 また、恐らく重要なことは、革新的医薬品を迅速導入するためにも、後発品を安定供給するためにも、産業政策をまず見直すところは見直す、必要な制度を見直すところは見直す。ただ、将来的な人口構成とかを見ると、医療費そのものもそうですけれども、日本の医療保障としてもどういうふうに財政的にも持続可能にしていくかという視点も、同時に重要だと思いますので、この論点のところにも、これらを実現するには産業政策的な視点と、あと社会保障の財政持続可能性の視点という両方のところを記載するというのがいいのではないかなと、個人的には思っています。
 なお、財源と考えますと、自己負担もちろんあると思いますけれども、自己負担だけではなくて様々な検討をする余地があると思いますし、ここに書いてあることも、それぞれ多分一つ一つ見ると、意味のあるものがあると思うのですが、必ずしも整合性が取れていないものもありますので、多分整理ができていないところもあると思いますので、もう少し整理をする必要があるのではないかなと思っています。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 先ほど来、自己負担の話も若干出てきていますが、あまり自己負担についての議論はなかったかと思いますけれども、何か御意見はございますか。自己負担問題は医療保険部会でずっと議論してきた話で、私が部会長をやっている頃も、大きな議論となった。特にスイッチOTCは、自己負担率を高めるべきであると、物によっては保険から外せという議論もあったわけなのですが、それに対して、そうなると、むしろ自己負担が少ない高い新薬の処方が行われると、新薬シフトになって、公的な薬剤費はむしろ増えてしまうのではないかと、こういうような意見があって、結論が出ないのです。
 多分、それを回避するためには、何か診療報酬上、そう簡単にシフトできないような仕組みを合わせ技で作らなければいけないのかもしれませんが、それをやると、今度は診療の自由度に対する制約か、という問題も出てくるので、なかなか難しい課題です。スイッチOTCだけではなく、もちろん、フランスのように薬効別に自己負担率を変えるべきだという議論はしょっちゅう出てきていました。それについても結論が出ていないと、医療保険部会マターではありますけれども、そういうことが議論されてきたのですが、何かお考えはございますか。
○小黒構成員 コメントなのですけれども、先ほどを言ったように、平成9年に導入された薬剤費の定額負担、これがなぜ廃止されたのかと、私は、実は分かっていないので教えていただきたいというのがあるのですが、3割負担の導入が原因でしょうか。
○遠藤座長 一応、それを調べておいていただけますか、事務局。
○小黒構成員 ですけれども、結局、財政学者としての視点として見た場合に、OTCのところを、例えば、外すとかというのはありますか、そこは、自己負担を上げるとかというのもありますね。ありますけれども、あと長期収載品のところで捻出するみたいな話とかもありますけれども、31ページのところでもう既に出ているみたいに、確かに1回やればワンショットで3000億円ぐらい出るわけですよ、マックスでやれば、ですけれども、やはり限界があるというか、ですので、繰り返しなりますけれども、やはり薬剤費そのものをどのようにコントロールしていくのかというところをしないと、パッチワーク的な対応で財源が捻出されることによって、結局行き詰まってしまうということにならざるを得ないのかなと思います。
 ですので、その議論から、もし総合対策という意味では、やはり逃げないできちんと議論をしていただきたいというか、もう数回しかないですので難しいのですけれども、全体としてその財源をどういうふうに確保していくのか、同時に総薬剤費をどういうふうにコントロールしていくのかというところの議論というのは、やはりちゃんと続けていただきたいなと思います。
○遠藤座長 御意見として承りました。
 ほかにございますか。
 では、香取構成員。
○香取構成員 要は、現状をどう認識するかというところだと思います。私の理解は、前にこの会議でも申し上げましたが、要は現状医療費はGDPを上回って伸びているわけですね。
 財務省の考え方は、医療費は基本的にはGDPの範囲内、あるいは予算統制の範囲内に収めるということになっていて、そこの調整弁として薬価改定が行われている。
 ですので、市場実勢価格とか、実態に合わせてと言っていますけれども、現実には改定すれば必ず薬価が下がるような制度的な仕組みをつくって、その仕組みの中で市場で競争させて財源を出して薬価を下げると。今回も0.625という、誰がどこで決めたのか知りませんけれども数字を出して、一定の財源を出している。
 つまり、今、薬価制度であるとか、製薬産業というか薬が置かれている状況というのは、そういう状況にあるというのが基本的な認識だと、私は思っています。将来的に巡航速度になったらきちんとGDPに見合った薬剤費を確保しろと、それはそうだと思いますが、今の足元は、医療費がGDPを上回って伸びる部分を薬価で落としているわけですから、薬剤費がGDPの伸びに見合って伸びることはない。そもそもGDPの伸び以下になるようにやっている、という現実がある。議論の出発点はそこだと思いますね。
 そのことを報告書に書くかどうかというのは少し議論がありますが、医薬品産業が置かれている状況というのはそういうことで、そういう中で薬価制度はこういう形で仕組まれているし、いろいろな細かい薬価に関するルール、先ほどの3段階もそうだし、後発品の値決めの問題もそうだし、全てそういう形、とも連れの問題もそうですけれども、全てそういう形で制度が仕組まれているというのが、基本認識だと思うのですね。
 報告書の中では、個別の問題を書いてくのだと思いますけれども、大きな視点から置かれている問題状況を見る、ということで考えれば、そこがまずあると。
 その意味で、薬価を財源出しの調整弁に使うというのは、基本的にやめていただきたいというのを、本当は言わないといけない。そこをどう書くのか、省内どういう御調整されるか分かりませんけれども、多分そういうことなのだろうと。もちろん、中長期的に医療費も薬剤費もコントロールしなくてはいけないことはそのとおりなので、そういう視点はあるのですけれども、足元、この業界が置かれている状況というのはどういうことなのか。どういうことが毎年の改定の中で起こっているかというのは、なかなか言えないのかもしれませんけれども、そこを言って、やるべきことはこういうことと、役所的に言えば、医薬局なり、医政局でやるべきことも、もちろんあるので、それはそれでちゃんとやって、その上で保険局に物申すという、多分そういう議論の仕方になるような気がします。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 しっかり議事録には残っておりますし、ユーチューブで放映されております。
 ほかに、いかがでございましょう。
 それでは、成川構成員、お願いいたします。
○成川構成員 ありがとうございます。
 1点だけ、最後の論点のところの一番上の革新的な医薬品の迅速な導入という点ですけれども、これについて、先ほど芦田先生もおっしゃったように、短期的な対応と長期的な対応と両方を見据えるということは、とても重要だと私も思います。
 それで、特に短期的なところについてのコメントですけれども、非科学的なコメントも含めてですけれども、やはり2015年以降薬剤費が伸びていないという、それは事実だと思うのです。要するに、少し日本の将来、特に医薬品の市場も含めて暗いイメージが大分蔓延してしまっていて、事実に基づくものが多いので、それはやむを得ないのですけれども、そういう意味ですと、ぜひこういう検討会で少し明るいイメージというか、明るい材料を打ち出すようなことをしたいなと思っています。
 具体的にどうするというのは、また、今後、例えば中医協とかでも議論をしていくのだと思うのですけれども、すごく単純な提案を申し上げれば、例えば、欧米からそれほど遅れることなく、日本で上市したものについては、加算をするとか、すごく単純な話ですけれども、あるいは日本で先に上市して、外国平均価格調整を受けられなかったものについて後から外国で上市されて、高い額がつけば、引上げの調整をするとか、特に産業界の方が聞いて、シンプルで前向きなメッセージを出せるようなもの打ち出していくと、少し雰囲気も変わってくるのかなと思っております。
 あまりサイエンス的なことではなくて申し訳ないのですけれども、コメントをさせていただきました。
○遠藤座長 私も実は全く同意見でありまして、薬価算定において、我が国で最初に上市した場合に高い薬価をつけるという制度はあるのですけれども、それが必ずしも十二分に効果を持っているようには思えません。たとえば非常に高い価格をつけるが、それをずっと維持しないで、例えば5年間は有効だけれども、5年から先は加算率を、順次下げていくとか。あるいは最初に上市した薬や2番手ぐらいまでは高い加算をつけるなどということも考えられますね。
 最初に上市した医薬品に高い薬価をつけるという仕組みは、今でもあるのですけれども、より強固にしていくことによって、ドラッグラグを縮小させるインセンティブになると思うのです。これは、大きな制度改革をしなくても、今の薬価基準制度の中での議論でできそうな気がするのですが、そういうこともあり得るのかなと、今、そのお話をされましたので、私も似たようなことを考えているということを申し上げました。
 ほかに何かございますか。
 それでは、三浦構成員、どうぞ。
○三浦構成員 私も香取先生のおっしゃるとおりだという感じがしまして、本当に薬価改定が財源の調整弁になっていまして、その結果、結局、薬価が毎年下がると。したがって、本当に製薬協の皆さんとか、皆さんがおっしゃっているみたいに、やはり値段が下がってくるので、従って外国の企業が日本でやらないとなっていまして、そういう意味では、本当にいろいろな要因の関係を考えますと、本当に薬価を下げることによって、財源出しの調整弁にされていると、香取先生がおっしゃったところが、やはり一番の根本で、そこからいろいろな悪い状況が続いているような感じがいたしましたので、そういったところでやっていただければありがたいなという感じがいたしました。
 あと、1点だけなのですが、これは個人的な意見にすぎないのですけれども、やはり薬剤費というのは、薬価掛ける薬量のわけですね。薬価の議論だけで薬量の議論はなかなか難しいのかもしれませんけれども、ちょうど成川先生と厚労科研で2年前にやらせていただいた、2000人弱の20代が80代の消費者調査とかをやったのですけれども、医薬品の医療費がすごく伸びているので落とすかみたいな話になると、77%ぐらいの人が、やはりジェネリックを使ったほうがいいという話なのですが、2番が46%だったのですけれども、やはりお医者さんの処方する量を減らしていただくみたいな、もちろん簡単にはいかない話かと思いますし、私、祖父は2人とも医者だったのですが、そんなことを言ったら、何を言っているのだおまえと言われたと思うのですが、多分、何か御意見があると思うのですね。
 そういった意味では、簡単にはいかない話だと思いまして、お医者様が決めていらっしゃるわけですけれども、その辺に関して何かいろいろな御意見とかを伺う機会があってもいいかなという感じでした。これは一消費者の意見で、すみません。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 ほかに、堀構成員、どうぞ。
○堀構成員 先ほど遠藤先生のほうから、薬剤の一部負担制度についてどう思うかという話があったので、少し意見を述べたいのですけれども、今回の見せ方の中では、違和感を正直感じるのですが、今までの検討会で出てきた議論の中で、一部負担の見直しの議論も出てきたと思います。やはり、後発品の中にもいろいろな種類があるし、新薬といっても一律ではなく新薬の中にもいろいろあるというのはあったと思うのですね。異なる薬の種類、様々な性質が違うものを一律に同じ3割であるとか、負担上限の設定の話もありましたが、現状の負担の在り方でいいのか、あるいは保険給付の範囲をどうするのかというのを議論したほうがいいのではないかということも、記憶では前半の検討会の議論の中でも出ていたと思います。今回の流れのマクロの中の話で出てきましたが、自己負担の在り方については、ミクロの資源配分という意味でも、患者の負担の在り方を見直すというのは検討の価値がある重要な視点ではないかと。
 以上です。
○遠藤座長 医療保険部会でも、そういう議論を随分されたわけですが、スイッチOTCについては、先ほどのようなことが懸念されたということでありますし、フランス型のように、薬効によって負担率を変えるという議論も、多分、諮問会議からのあれもあったと思うのですけれども、その議論で議論をいたしました。
 やはり難しいのは、何割と決めるカテゴライズですね。そこが、なかなか社会的合意が得られるかどうか、フランスのように抗がん剤だったら100%保険給付と、ビタミン剤だったらば100%自己負担と、こう分かれるわけですけれども、そこを新たにやるとすれば、どういうふうに決めていくのかみたいな議論もあったかと思いますし、その他もろもろ、3割増ということに対してどう考えるかという附帯決議の制約問題などがあって、なかなか議論がそれ以上進まなかったと。でも、大変重要な御指摘なのです。
 どうぞ、お願いします。
○小黒構成員 先ほどの香取先生の御発言に触発されてなのですけれども、繰り返しになって申し訳ないのですけれども、35ページの資料はすごく重要だと思っていまして、真にイノベーティブな医薬品等については、薬価を一定期間維持するとしつつ、事前の財政規律としてと書いていますけれども、薬剤費の給付の伸び率が経済成長率と乖離しないといった薬剤費総額にかかるルールを設けと、その下に書いてあることが、薬価改定率の調整に当たって、現行水準の調整幅の水準を調整したことが考えられるとか、あとは安定的に保障された医薬品市場の伸びの中でこそ、というように書いてあるので、これに対する、表現はあれだと思うのですけれども、報告書の中に、何らかの回答みたいなものを盛り込んだほうが個人的にはいいのではないかなと、政府の中での対話になると思うのですけれども、その辺も少し御検討いただければと思います。ここまでボールを投げていただいているのに、ボールを返さないという手はないのかなと思います。
○遠藤座長 御意見として受けたまりました。
 ちなみに、この35ページは、基本的には薬剤費の適正化の文脈の中での政策という理解。
○小黒構成員 これは多分、私、もはや財務省の官僚ではないので、何とも申し上げられないのですが、ただ、財務省の立場では、例えば、ここで挙げられているような全然違うテーマとして、もともと上市した段階での薬価のつけ方であるとか、市場拡大再算定とか、ジェネリックとかそういった薬の安定供給の問題についても、一定程度は認識はしているのだと思うのです。
 ですけれども、あくまでも、やはりそれは厚生労働省の所管の問題であるので、財政当局としては、そこまでは申し上げることはできないということだと思います。
 最大限ぎりぎりの範囲で、メッセージとして、例えば、こういう適正化という話を使って、我々にボールを投げていると私は理解しています。
○遠藤座長 分かりました。ありがとうございます。御意見として承りました。
 ほかにございますか。
 まだあるかもしれませんが、私が考えていること、これはインフラの問題なのですけれども、情報インフラについて、1つ発言させていただきたいと思います。
 早い話が、薬剤費の把握なのです。薬剤費の把握について、これまで提出されていた資料のほとんどが、外資系の情報コンサルタント会社が、個々の製薬メーカーや卸から収集したデータを使って医療費を出しているのですね、マクロの医療費も含めて、そういう状況にあると。
 これは、なぜかというと、日本では診療報酬の動向を分析すれば、ほとんどの医療費の配分が分かるのですけれども、先ほど来申し上げているように包括化が進んできたものですから、包括されている部分のどれだけが薬剤費に回っているのか分からない。この資料を見ても、包括化が進む過程においては、右肩下がりに医療費に占める薬剤費の割合が低下してきているわけです。
 このように公的医療保険の中でどのぐらいのお金が薬剤に回っているのかというのが分からなくなってきています。そこで、外資系のコンサルタント企業が提供しているデータを使ってやっているわけです。日本の薬剤費が伸びていないということも、そのデータに基づいて言っているのです。
 その信頼性そのものを問題にするわけではありませんけれども、ただ、そもそも国民医療費の4分の1近くを占めるものの議論をするときに、外資企業が提供しているデータ、しかもこの企業は、最大のクライアントは製薬業界です。そういうことを考えると、公平性とか利益相反の問題で何か問題がないだろうか、我々は、これが正しい数値なのか検証できないのです。それで国家の政策を決めているのです。これは、私、非常に不思議に思うのです。
 ですので、これはそう考えますと、同じようなことを、国が主導して医薬品の販売に関するデータを集めて、それなりのデータベースをつくるという作業をしていく必要が絶対あるのだろうと思います。
 そのことは、正しいマクロの薬剤費を把握するということだけではなくて、この会議の中でも出てきましたように、在庫の状況を把握して、安定供給の問題を把握することも、できるはずです。それから、薬価基準制度は頻繁に変更されます。変え過ぎだと批判が出ているぐらいなのです。しかし、その変更の影響、政策効果をどうやって調べるかというと、現状ではなかなか難しいわけです。
 診療報酬本体のほうは、中医協の中に結果検証部会というのがあって、必ず診療報酬を変えると、それがどう影響したかというのを調べます。それは診療報酬の件数の変化を追えば、すぐ分かるわけです。
 一方、薬価改定については、なかなかそれができないということで、政策効果も適切に評価できないという状態にあるかなと思います。
 さらには、薬価調査を基本的には、ITを使ってデジタル化して情報収集すべきだと思います。国が主導して、メーカーとか卸とかの、販売流通データですね、価格と数量を把握するということを、ぜひ進めていくべきではないかなと。そうしないと、国家の政策を民間の企業からデータをいただいて行うということを今後もずっと続けてくのか、という感じがいたします。
 ということもありまして、そのような仕組みをぜひつくっていただきたいと、これは私の個人的な意見でありますので、皆様がそんなものは駄目だと言われれば、それまでなのですけれども、意見として申し上げさせていただきました。
 以上でございます。
 ほかに何かございますか。
 坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 今の座長の御提案は、非常に重要だと思います。ぜひ、そういった仕組みを実現していただければと思います。
 一方で、やはり海外と比較するときに、海外も同じようにデータがないのです。実は私、2000年から医療経済研究機構におりまして、そのときの第1回保険大臣会合で、OECD加盟国は共通の基準で医療支出を推計しようと。その基準がシステム・ヘルス・アカウントという名前がついています。
 一応、これに沿って、日本の医療支出の推計を私が医療経済研究機構にいるときに行ってきました。
 せっかくOECDの会合に出ていましたので、私自身、薬が専門ですから、各国どういう薬剤支出の推計の方法をしているかということを、OECDの加盟国の担当者にアンケート調査をさせてもらいました。
 そうすると、結局、各国まちまちなのですよ。国によっては、先ほどからの、固有名詞を本当は言ってはいけないですね、外資系のコンサルティング会社のデータを使っている国もあります。あるいは国によっては、今、座長がおっしゃったように独自のデータベースを持っている国もあります。
 ですから、なかなか海外との比較はできないというところの課題が残ってしまいますが、少なくとも日本において政策的な議論をするときに、国が独自のデータを持っていないというのは、これは非常に問題ですので、ぜひとも実現する方向で、この報告書にも入れていくべきだと考えます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 確かに国際比較というのは、基準が同じでないので大変難しいです。社会保障費そのものを比較するのも、かつてはILO方式というので集計していたのを、今はOECD方式で再集計して国際比較するようになりました。私が所長をやっておりました社会保障人口問題研究所では、日本の社会保障費に関する統計は、ILO方式に準じた形で公表されていますから、それをOECD方式に作り直す作業をしておりましたので、このように国際的に調和を取った統計というのは、なかなか難しいわけです。さすがに社会保障費みたいな巨額なものは、共通物差しで比較しようという動きはありますけれども、医療費を厳密に統一の基準にしようというモチベーションはどこの国もないですから、国際比較の上で問題があるというのは、まさに坂巻構成員がおっしゃったとおりのことだと思います。
 ただ国内のいろいろな政策評価をする意味では大変重要だと思います。例えば、私は先ほど言った外資系のコンサルタント会社のご好意でデータをいただいて、ジェネリックはどこで使われているかという論文を書かせていただいたことがあります。それは、医療機関と薬局で購入した薬剤費の中でジェネリックの割合を出して、それを病院の設置者とか規模別に、どこが一番ジェネリックを使っているかというのを出させていただいた論文なのですけれども、あれはまさに、その企業から提供されたデータがなければできなかったものです。国からは、都道府県別でジェネリックの割合というのは出ていましたが。細かいものは出ていなかったものですから、大変有効に使わせてもらいました。だから、あのようなデータベースを国がつくると、それを使って、様々なことが多分分かってくると思いますので、ぜひつくられることを希望したいと思います。
 以上でございます。
 ほかに何か御意見はございますか。
 よろしゅうございますか。ありがとうございます。今日は、非常にそういう意味では重要な御指摘があったと思います。
 事務局に少しお聞きしますが、今後どういう段取りになりますか、残りも少ない形になりますけれども、その流れ、言える範囲で結構ですので。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございました。
 先ほども申し上げさせていただきましたけれども、まだ、積み残っているところは多々あると思いますが、一旦、次回の検討会で、これまでの議論を我々のほうで整理いたしまして、本日の御意見も踏まえて整理いたしまして、この検討会の報告書の素案という形で提示をさせていただきたいと思います。
 そこで、また、様々な御意見というのはあると思いますので、それを検討会の報告書の中に反映いたしまして、次々回で、でき得れば、この検討会の取りまとめという形で進めさせていただきたいと、現時点でそう考えているところでございます。また、日程等につきましては、御連絡を差し上げたいと思いますけれども。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
 そういう段取りであるということでございます。
 それでは、本日の検討会は、これにて終了したいと思います。よろしゅうございますか。
 では、事務局から日程について御連絡をお願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 次回の第12回検討会につきましては、4月27日に開催予定でございます。詳細につきましては、厚生労働省事務局より、メール等にて御連絡をさせていただく予定でございます。
 また、本日の検討会の議事録は、後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としております。
 事務局からの連絡事項は、以上でございます。
○遠藤座長 それでは、これにて終了したいと思います。
 どうも