2023年2月27日 第9回目安制度の在り方に関する全員協議会 議事録

日時

令和5年2月27日(月)  15:15~17:15

場所

厚生労働省労働基準局専用第14会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階)

出席者

公益代表委員
 藤村会長、鹿住委員、権丈委員、小西委員、中窪委員
労働者代表委員
 伊藤委員、古賀委員、永井委員、仁平委員、平野委員、水崎委員
使用者代表委員
 池田委員、大下委員、佐久間委員、志賀委員、新田委員、堀内委員
事務局
 鈴木労働基準局長、青山大臣官房審議官、岡賃金課長、友住主任中央賃金指導官、
 古長調査官、長山賃金課長補佐、青野賃金課長補佐

議題

  1. (1)目安制度の在り方について
  2. (2)その他

議事

○藤村会長 
 それでは、第9回目安制度の在り方に関する全員協議会を開催いたします。本日は、所用により松浦委員は御欠席です。鹿住委員、小西委員、池田委員には、オンラインで御参加いただいております。
 まずは、議題1「目安制度の在り方について」の資料のうち、前回も議論になりましたが、ランク区分の数とか、各都道府県の各ランクへの振り分けの考え方に関する資料について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○青野賃金課長補佐 
 事務局です。それでは、資料について御説明します。資料No.1は、議論すべきものとして御意見をいただいた事項(再整理)で、これまでの全員協議会でお示ししたものです。本日は、このうちの(2)地方最低賃金審議会における審議に関する事項である、ランク制度の在り方(ランク区分の見直しを含む)について、引き続き御議論いただきたいと思います。資料No.2は、前回までの全員協議会でいただいた御意見です。適宜御参照ください。資料No.3の1~4ページでお示しする案1~10の振り分け案につきましては、前回もお示しした4ランクの場合と3ランクの場合の振り分け案です。3、5ページの案11-1~案12-2が、今回新たに追加した振り分け案です。前回の全員協議会でいただいた御意見のうち、東京と沖縄の総合指数の差が縮小していることを踏まえて、ランク数を4から3に減らすことも検討すべき、現在のランクにおいては適用労働者数に偏りがあることを踏まえて適用労働者数も加味することが適切である、3ランクとする場合は適用労働者数で3つに分けるより、どこかのランクで半分以上を占めるよう設定するという考え方もあるのではないかといった意見を踏まえて、3ランクの場合については追加で5案をお示ししています。
 大きく分けますと、案11-1、案11-2、案11-3は、Bランクに適用労働者数の半数以上を振り分ける案、案12-1と案12-2は、Aランクに適用労働者数の半分以上を振り分ける案としています。
 また、具体の振り分け案として、案11-1は適用労働者数を3:6:1に近い割合としつつ、特にBとCの間は総合指数の差が比較的開いているところで区分しています。Aランクに振り分けられる都府県は、特に生活保護との乖離解消のために最低賃金の引上げが行われており、現在の最低賃金額の水準は高く、愛知県等と比べて直近の最低賃金額にも差があります。案11-2は、適用労働者数を4:5:1に近い割合としつつ、AとBの間も、総合指数の差が比較的開いているところで区分しています。案11-1との違いは、愛知県をAランクとするか否かという点のみですが、この案11-2の場合は、愛知県と千葉県の間の総合指数の差が2.7と大きく、愛知県の経済実態は、どちらかといえば千葉県以降の県より、その他のAランクの都府県と近いと考えて区分する案です。案11-3は、適用労働者数を3:5:2に近い割合にしつつ、特にBとCの間は総合指数の差が比較的開いているところで区分しています。案11-1との違いは、BとCの間を徳島・福島の間としている点ですが、ここも、総合指数の差が一定開いているところを踏まえて区分しています。
 案12-1は、適用労働者数を5:4:1に近い割合、案12-2は適用労働者数を6:3:1に近い割合としつつ、AとBの間、BとCの間は総合指数の差が比較的開いているところで区分しています。案12-1は、AランクとBランクの間で最定賃金の逆転現象が生じることはありません。案12-2は、滋賀と栃木の間は総合指数の差のみならず、最定賃金額も一定の差があると考えられます。また、6ページは前回もお出しした資料に、案11-1~12-2までを追加したものです。これらも踏まえ、案1~10までも含めて、ランクの区分の数及び振り分け案について御議論をお願いいたします。一旦、資料の説明は以上といたします。
 
○藤村会長 
 さあ、どうしましょう。どちらからいきますか。まずは労側からいきますか。どうぞ。
 
○伊藤委員 
 労側としては、ランク制度に関する基本的スタンスとして、まずは格差是正の第一歩としてランク数を3つに減少させるべきだと考えております。その上で、3ランクをベースにランクの振り分けを考えるに際し、適用労働者数を加味することについては異論ありません。どのように適用労働者数を勘案するかという点については、やはり加重平均1,000円の達成に向けて、これまで労働者の多いAランクに大きな数字を付けざるを得なかった課題への対応として、Aランクに労働者が偏重しない形とすることが妥当ではないかと考えております。
 一方で、ここに示されております案8や案9のように、半数以上の県を一番下のCランクに位置付けるという案では、格差是正の観点から逆行するものだと思っておりますので、下位ランク、すなわちCランクを過度に増やすことは適当ではないと考えております。まずは労側として、こうした認識を持っていることをお伝えいたします。私からは以上です。
 
○藤村会長 
 分かりました。使用者側、いかがですか。新田さん、どうぞ。
 
○新田委員 
 資料の御説明をありがとうございます。ランク数を4にするか3にするかということはありますが、前回、藤村会長から3ランクにすることを踏まえて検討してはどうかという御発言がありましたので、3ランクを念頭におきながら今回の案を見せていただいております。今し方、労側からも御意見がありましたように、今回は適用労働者という新たな観点も入れながら、かつ、総合指数に加えて、ランク間での金額の逆転現象をできる限り減らすことにも配慮しながら、最終的には総合的に勘案してランクをどのように設定するのか、引き続き議論を進めていければということで、本日、この場に臨んでいると認識しております。
 そういった観点からすれば、この案について、引き続き議論を深めさせていただければと思います。
 
○藤村会長 
 佐久間さん、どうぞ。
 
○佐久間委員 
 前々回、藤村先生からの御提案があり、3ランクの可能性について協議をしてまいりました。もし、3ランクということになれば、4ランクがずっと続いてきたので、繰り返しになりますが3ランクにする位置付けとメリットは、先生の御意見のほかにも、きちんと根拠を示していただきたいなと思います。やはりランクというのは、その層によって経済指標などで見て近い所をまとめたということになりますので、今回それが3つになるということは大きな変化だと思います。その辺りは十分検討していただきたいし、報告にも盛り込む必要があるのではないかと思います。
 あと、数については人口比、労働者人口の比率は重要ですし、Aランクなどに多すぎてしまうと、そこに引っ張られてしまいますので、やはりバランスは非常に重要なものだと思っています。あとは経済規模、最賃の額に余り格差があるようでは困ってしまいますので、それを勘案しながら再度、皆さんと協議をしていきたいと思っています。以上です。
 
○藤村会長 
 労側はどうですか。水崎さん、どうぞ。
 
○水崎委員 
 ランクの振り分けを考える上で、適用労働者数を勘案するというお話がありますが、適用労働者数を勘案してランクを振り分けていくことを考えるに当たっては、AとB、BとCの間に区分けの線を入れる部分について、何らか丁寧なロジック、皆さんに説明のしやすいロジックをきちんと組むべきだと考えています。単純に適用労働者数を勘案したというだけでは、特にAとB、BとCの区切りになる道府県の納得はなかなか得られないのではないかと考えます。そう考えたときに、これは従前からずっと使っている総合指数というものは、一定の重要な要素になるのではないかと感じています。事務局の案では、今回は特に、案11のように、Aランクに愛知が入るか、入らないかというのが1つの論点になるかと思います。この点、ランク振り分けのもう1つの考え方として、ランク間の金額の逆転現象を回避することが挙げられていますが、こちらに関しては少し根拠が薄いのではないかと感じています。例えばAランクでいえば、今、愛知の話をしましたが、愛知は総合指数で見ると埼玉よりも総合指数は高いのですが、地域別最低賃金の金額という意味でいうと、埼玉より1円低いのが今の実態です。この愛知と埼玉の金額差は、もともと平成27年以降ずっと同額だったところから、令和2年度の「目安示さず」のときに、埼玉が地方審議の結果1円上積みをしたところから、この1円の差が出ていると認識をしています。もちろん、埼玉がそのときに1円上積みをしたことには敬意を表したいと思いますが、ランクの区分けをするに当たって、単年度の上積みを勘案するのかというのは少し疑問を感じるところがあります。
 一方で、両者の総合指数の差を見ると、愛知と埼玉は非常に大きな差がありますし、むしろ愛知は、大阪と総合指数が非常に接近していると見ています。こうした点からすると、ランク間の金額の逆転現象の回避をランクの振り分けのロジックの中に強く入れるのは、少し納得性が得られないのではないかと感じています。そうであるならば、まずは都道府県ごとの総合指数の差に注目したランクの区分けを付けていったほうが説明をしやすいのではないかと感じています。以上です。
 
○藤村会長 
 そのほか、いかがでしょうか。新田さん、どうぞ。
 
○新田委員 
 今の意見に関連して申し上げます。これまでにおいて私が申し上げているのは、総合指数を軽視するということではなく、総合指数に加えて、適用労働者数や金額にも着目してはどうかということです。それも過度に考慮するということではなく、様々な考慮要素として取り上げた上で、ランクの線引きを考えてはどうかということを申し上げてきたつもりです。
 というのは、これは共通認識と思うのですが、これまでは総合指数を並べて、比較的間隔が空いた所に線を引くということでやってきましたが、そうすると、それが各地域の実態と合っているのかどうかという問題があります。先ほど愛知を例に出されましたが、過去にデータで示されておりましたとおり、最賃法が改正されたときの例の生活保護との乖離解消のときに、愛知はその要素では上がらなかったのです。そのためにAランクの中で金額が比較的据え置かれてきました。一方で、当時Bランクであった埼玉が上がってきて、こういう状態になりましたので、金額を見るときは過去の経緯も踏まえていく必要があるのかと思っております。
 申し上げたいのは、今回せっかく議論して、特にランクの数も、このランク制度発足以来、初めて変更しようという方向を念頭におきながら、皆さんで議論している中で、総合指数も十分踏まえながら、そこに新たな要素を加味した上で、もちろん100%納得のいく理由は付けづらいと思いますが、従前の総合指数の間が空いているからというよりは、少しでも納得性が高められるようなランクの線引きについて、関係者の合意形成がこの場でできればと思っていますので、その点を繰り返し申し上げておきたいと思います。私からは以上です。
 
○藤村会長 
 資料3で、4ページと5ページが、3ランクにした場合にどこで切るかですが、今、いろいろな指標を出していただいています。案としては全部で10個あります。10個全部を対象にというのは、なかなか議論しにくいので、私からの提案としては、5ページの案の11-1~12-2までの5つの案を念頭に置いて議論をしてはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。よろしいですか。ということで、5ページの案11-1~案12-2の5つの案の中で、どれが最も実態に合い、なおかつ説得力があり、これならいいよねと言ってもらえるかどうかですね。新田さん、どうぞ。
 
○新田委員 
 確認ですが、案11-1~12-2を検討してはどうかという提案について、もちろん絞ることについて何ら異論はありません。ただ、この案はそれぞれいろいろな所にランクの線が引いてあります。そこについては、まだ微修正というか、これで確定ということではなくて、この案の中で例えば11の幾つで、このランクの引き方はここがいいのではないかというような、多分ここから副次的な案も出てくると思うのです。そういった所は、まだこれから議論の余地はあるという理解でよろしいでしょうか。
 
○藤村会長 
 私はそのように思っています。ランクごとの労働者数を重視するのであれば、これだというのがあると思うのです。重視の仕方をどのようにもっていくかは、また比率を4対5対1とか、4対3というのはあり得ると思いますが。先ほど来、労働者数だけではないという話も出てきて、一応これまで使ってきた総合指数も併せて見ながらというのが、なぜこのように変えたかを説明するときには必要な情報でしょうと。その辺りで、何かいいアイディアはないですか。
 
○中窪委員 
 前回、一応3ランクで考えたらどうかと発言した手前、私の考えるところを述べさせていただきます。今まで4であったものを3にして、できるだけ格差が拡大しないようにしようという点は一致できると思うのですが、それをどのように配分するかについては、いろんな考え方がありえます。3つにするときに根本的に発想を変えて、新しい方針でやるというのもあると思うのですが、他方で、4つを3つにすれば、それぞれ1つのランクの幅が大きくなって数が増えるだろうというのもナチュラルな考え方といえるでしょう。
 それから言うと、一番最後の案12-2は、Aが結構増えて、BとCと3分割に近い感じになっている。これも一つあり得ると思うのですが、ただ見ていると、やはりAが多すぎて、何かそぐわないなあと、率直な感覚として思うところがあります。適用労働者の数もさらに大きくなりますし、都道府県の数の点でも、今までよりもぐんとAが多くなりすぎだろうと思います。
 他方で、Aを一番絞った11-1や11-3で、東京、神奈川、大阪だけにするのは、そこでうまく切れて、数字もそれなりに説明がつくのであれば、もちろんあり得ると思います。まあ、愛知をどうするかは問題ですが、3つ又は4つにすれば、適用労働者数からしても結構コンパクトになって、意味があると思うのです。ただ、Aランクとして元々はこういう所だけだったのに、千葉が入り、埼玉が入りとなってきた今までの経緯から見て、何かここでグンとまた絞るのも少し厳しすぎるかなという感じが正直、私はします。つまり、Aというランクが、日本の中でも非常に特別の所だけになってしまい、それ以外の所と、ある意味逆に格差が広がってしまう印象を与えかねないなというのがあります。この東京、神奈川、大阪、愛知だけではない、もう少し下の所も合わせてAに包摂できるようなものであれば、今はAに入っている所からの移行という意味でもスムーズになるのではないかという感じがいたします。
 兵庫との逆転をどうするか、京都はどうするのかなど、いろいろ問題はあると思いますが、数的にはAをもう少し増やして、千葉、埼玉辺りまで含められるような感じでいいのかもしれません。余り論理的ではありませんが、今までの経緯との軟着陸という意味で少し考えてもいいのかなという気がいたしました。
 BとCについても、またどこで区切るか、いろいろな考え方があると思いますが、まずは上を決めて、その後、下をどのように区切るかという話になるのだと思います。感覚的な話で申し訳ありませんが、感想として述べさせていただきました。
 
○藤村会長 
 いかがですか。大下委員、どうぞ。
 
○大下委員 
 4つを3つにするとなると、均等にするのか、どこかをメインにするのかという考え方ができるのかなと思っています。案11と案12は、均等ではない方になると思うのですが、案11の真ん中にボリュームゾーンを置いて、そこに着目をしながら、目安の審議も進めていくのが、私としてはひとつ考えられるのかなと思う一方で、今、中窪先生がおっしゃったようなことも確かにそうかなと思います。
 ただ、Aランクにこれまでと同じぐらい、あるいはそれ以上の適用労働者数を配分してしまうと、結局、これまでと余り変わってこないのかなと思います。仮に、なるべく現状から劇的な変化をしないということであったとしても、少なくとも新しいAランクとBランクの適用労働者数は、同等か又は少しでもBランクが多いような状況をつくるほうが望ましいのではないかと、私としては考えています。
 
○藤村会長 
 はい、分かりました。いかがですか。水崎さん、どうぞ。
 
○水崎委員 
 私も、適用労働者数を勘案するという議論が始まってからは、やはりAランクとBランクの労働者数を、ある程度同じぐらいにしないと、過去と余り変わらないような状況となり、結局、額差が広がってしまうという意識があります。ここでいうと、案11の切り方で愛知を入れるか入れないかは別ですが、Aランクは40%ぐらいなのかなという感覚を、個人的にはもっています。以上です。
 
○藤村会長 
 大下委員、どうぞ。
 
○大下委員 
 先ほどの補足です。今の水崎委員のお考えも、ひとつあるかなと思います。例えばAランクから適用労働者数の割合で45%、90%、100%となる線で分ける考え方。旧Aランクの適用労働者数をある程度維持しながらということであれば、Aランク45%、Bランクも45%、Cランクが10%というような考え方もできるのではないかなとも思います。
 
○藤村会長 
 中窪さんが先ほどおっしゃった点は、今までAランクだったのに、うちはBランクに落ちたとなったときの、その県の感覚ですよね。それは何かあるなという感じはします。これはA、B、Cではなくて、別のランクの名前にするというのもあり得るのですが。でも、それも何か姑息な手段だなという気もしますし。大下委員がおっしゃった45、45、10という、適用労働者数にこだわるのであれば、そういう分け方もできるということです。
 意見が出ないと前に進まないのですが。どうでしょうか。伊藤さん、どうぞ。
 
○伊藤委員 
 案11-1~案12-2を見比べる中で、それから中窪先生がおっしゃったことも踏まえたうえで意見を述べます。いずれにしても、これまでよりもAランクの数が増えるということは、やはり我々が当初から主張している地域間額差の拡大の要因がまた増えるということになりはしないかという点を懸念しております。そうした意味では、Aランクを過度に増やすことは避けるべきではないか。逆にCランクが増えるということも最小限にしたいという気持ちがあります。
 
○藤村会長 
 これは兵庫と埼玉がひっくり返ってというか、兵庫が上にあるのは、兵庫のほうが総合指数が高いからですよね。しかし、現状の最低賃金の金額は、埼玉のほうが高いということですね。新田さん、どうぞ。
 
○新田委員 
 中窪先生の発言で、ほぼ収れんされているのかなと思って、余り発言することがなくなってしまったのですが、今回、適用労働者数をある程度考えていこう、特にAに過度に偏っているところを何とかしたいという問題意識がすごくあって、そこを出発点に今回の検討を進めていく中で、案11~案12-2まで示されています。
 そうしたときに、正に先ほど中窪先生がおっしゃったとおり、案12は、Aのボリュームがむしろ増えてしまっています。一方で、案11は、現行のAよりは適用労働者数の比率でいえば、減るけれども、県数が減って、そこは何かしらの激変緩和措置のようなことも考える必要があるのではないかと思っています。
 よく考えると、先ほど大下委員もおっしゃったとおり、また労側からも意見があったとおり、ある程度Aの現状も意識しながら、どこに線を引くのかを考えていくというやり方もあるのかなという気がいたします。Aランクの線が決まった上でほとんど決まってくるのかなという気がしております。
 
○藤村会長 
 例えば、案12-1を見ていただいて、ここは京都と茨城の間で線が引いてあります。もともとのAランクという点では、埼玉までというか、もともとのAランクをいかしながらBを厚くしていくということでいうと、兵庫をBのままにしておいて、埼玉はAランクのままと。そのようにすると、パーセンテージでいうと恐らく45ぐらいで収まるのでしょうか。兵庫と埼玉をひっくり返して、そこで線を引くというのもあり得る選択肢です。
 つまり、従来のAランクは、そこはそこで維持した上で、真ん中をもう少し、Bランクの所を大きくしていくような線の引き方もあり得るということですね。
 
○仁平委員 
 そもそもの話になってしまいますが、これまで3ランクにしようという議論もここまでしたことがないものですから、正にいろいろな意見があるのだなということを改めて確認できるのかなという気がしました。
 今日の皆さんの御意見などを踏まえると、新田委員も言われていましたが、この5つの案のどれかということではなくて、更に調整が必要なのではないかと感じています。特に目安全協は全会一致で物事を決めるルールであり、ここまで深く3ランクにしようという議論をすることは初めてです。そういう意味では、きちんと調整していただいたほうがいいのだろうと思っています。労使それぞれが一歩ずつ妥協する部分もあったりしてもいいとは思うのですが、これまでの議論も踏まえつつ、事務局には合意形成に向けて、是非とも汗をかいてもらいたいという思いです。
 
○藤村会長 
 では、もう少し、今、私が出した案や、そのほかの考え方もあると思いますので、この案11~12をベースにしつつ、更にバージョンがあり得ると思いますから、事務局として、それを検討していただくということで、3ランクでまとめていこうというのは合意ができていると思うのです。それをどのような分け方にするかについては、継続して、もう少し議論をしようということで、よろしいでしょうか。
 今日は、もう1つ議題があります。最後の報告書をどのように作っていくかということです。事務局から説明をお願いいたします。
 
○青野賃金課長補佐 
 事務局です。資料No.4、中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告(案)について御説明いたします。まず前文についてです。前文の記載は、これまでの報告と同様に、全員協議会の議論を開始した経緯と時期、主にどのような課題について御議論いただいたかを記載しております。課題については、資料No.1の柱立てである①中央最低賃金審議会における目安審議の在り方、②地方最低賃金審議会における審議に関する事項、③中央最低賃金審議会における目安審議に用いる参考資料としています。本文は、この3つの課題に沿った項目立てとしております。また、目安制度の原点に立ち返って鋭意検討を重ねた旨も、平成29年全員協議会報告と同様に記載しております。
 1の「中央最低賃金審議会における目安審議の在り方について」です。(1)最低賃金のあるべき水準については、今回の全員協議会で検討いただいた経緯及び意見をまとめています。具体的には、「議論の中では、持続的かつ安定的に最低賃金を引き上げるために、少なくとも賃金決定の当事者である労使がいる場において、労使で合意した上であるべき水準を設定し、毎年の目安審議では、その目標を意識しながら最低賃金法第9条第2項の3要素踏まえた引上げ額を議論することが建設的ではないかとの意見があった。一方、全国加重平均1,000円より更に高い額が提示され続けると、経営者としては先が見えずに厳しいという意見があった。また、あるべき水準を定めた場合には、経済や雇用の情勢の予見可能性が必ずしも高い状況ではない中で、毎年の審議会での3要素のデータに基づく自由闊達な審議を縛ることになるのではないかという意見もあった」としています。その上で、あるべき水準を定めること及び定める場合の水準については、意見の一致に至りませんでしたが、引き続き最低賃金の決定水準等を踏まえながら、労使で議論を続けることが適当であるとしております。
 また、なお書きとして、「あるべき水準の検討に当たり、諸外国における最低賃金の金額及び目標水準やその決め方との比較をすることも考えられるが、比較の際には各国と適用労働者の範囲や減額措置の内容が異なることも踏まえることが必要である」という意見があったことも記載しております。
 次に、(2)政府方針への配意の在り方についてです。まず、1パラグラフ目にある目安審議において、①法の原則、②目安制度、③時々の事情を総合的に勘案している旨は、平成29年全員協議会報告に引き続き記載しております。さらに、今回の全員協議会でも御指摘のあった「時々の事情に含まれる政府方針への配意に関して、地方最低賃金審議会の一部の委員において、政府方針ありきの議論ではないかという認識があることへの対応については、これまでの全員協議会でも指摘があった」旨を明記しております。
 その上で、昨年夏以降に全員協議会を再開して以降、委員の皆様から繰り返し強調いただいている「令和4年度の目安審議のように、目安額に対する納得感をできるだけ高めるために、最低賃金法第9条第2項の3要素のデータに基づき労使で丁寧に議論を積み重ねて目安を導くことが非常に重要」であること、「今後の目安審議においても徹底すべきであること」を合意された事項として記載しております。
 また、「中央最低賃金審議会における目安審議においては、公労使三者構成で議論した上で決定することが重要であり、政府方針が中央最低賃金審議会や地方最低賃金審議会の毎年の審議を過度に縛るようなことがあってはならないこと」や、「政府が、賃金水準あるいは最低賃金の在り方について、広く意見を聞いて一定の方向性を示すこと自体は否定しないが、政府方針を決定する際には、公労使がそろった会議体で、現状のデータや先行きの見通しを示すデータ等を踏まえて、時間をかけて議論されることが望ましい」ことについても、労使で認識を共通している点として記載しております。
 続いて、(3)議事の公開についてです。昨年12月2日の全員協議会での御議論を踏まえ、2パラグラフ目にあるとおり、「議論の透明性の確保と率直な意見交換を阻害しないという2つの観点を踏まえ、公労使三者が集まって議論を行う部分については、公開することが適当」としています。
 また、次のパラグラフにあるとおり、「議事の公開が議論になるのは、目安審議における議論のプロセスが見えづらいものであると外部から受け止められていることが原因であると考えられる。この問題への対応としては、目安審議の報告書において最低賃金法第9条第2項の3要素に基づく議論の結果を丁寧に記載し、地方最低賃金審議会を含む目安審議の議論を注視する者に対して議論のプロセスをできるだけ分かりやすく示すことで、審議の透明性や納得性を高めることも重要」という御意見なども記載しております。
 次に、2の「地方最低賃金審議会における審議に関する事項について」の(1)目安の位置付けについてです。ここでは、目安制度の必要性について、今回の全員協議会での御議論の結果、確認いただいた内容を記載しております。読み上げますと、「目安は、地方最低賃金審議会が審議を進めるに当たって、全国的なバランスを配慮するという観点から参考にするものとして、その必要性について異論はなかった。その上で、目安が地方最低賃金審議会の審議決定を拘束するものではないということを改めて確認した。また、この趣旨が、地方最低賃金審議会の各委員にも確実に伝わるよう、都道府県労働局への周知方法についても検討することを事務局に対し要望する」としています。
 (2)ランク制度の在り方(ランク区分の見直しを含む)についてです。まず、①ランク制度の必要性については、今回の全員協議会でも、ランク制度を維持することは妥当という前提で御議論いただいておりますので、その旨記載しております。②指標の見直しについては、19指標に基づき各ランクへの振り分けを行うことについて合意されたとし、その上で、昨年12月16日に御議論いただいたことを踏まえて、1世帯1月当たりの消費支出(単身世帯)について、当該指標は調査対象月の一部の世帯の支出の動向の影響を受けやすいことを踏まえ、数値の安定性を図るために、単身世帯のみならず2人以上世帯の結果も加えるとともに、平均世帯人員の平方根で除した数値を用いることとする旨を記載しております。別紙1として、「ランク区分の見直しの基礎とした諸指標の状況」を、別紙2として、今般の総合指数をまとめておりますので、適宜御参照ください。また②指標の見直しの3パラグラフ目は、平成29年全員協議会報告を踏襲して記載しております。
 次に、③新しい総合指数に基づくランク区分及び各都道府県の各ランクへの振り分けについては、ランク数及びランクの振り分け方について本日及び次回も御議論いただくものであるため、現時点ではPとさせていただいております。
 (3)発効日についてです。これまでの全員協議会での御意見を踏まえ、1パラグラフ目にあるとおり、「改定後の最低賃金額の発効日については、法令上特定の日付が定められているわけではないが、地方最低賃金審議会において、10月1日など10月のできるだけ早い時期でなければならないと認識している場合も見受けられるため、改めて、発効日とは審議の結果で決まるものであること、発効の時点を規定する最低賃金法第14条第2項においても発効日は公労使で議論して決定できるとされていることについて、地方最低賃金審議会の委員に周知することが適当である」と記載しております。また、発効日を前倒しすべき、後ろ倒しすべきという意見双方があった旨を2パラグラフ目に記載しております。最後に、「地方最低賃金審議会で十分に議論を尽くした上で準備期間を設けることができるよう、中央最低賃金審議会としても配慮することが必要である」という御意見も記載しております。
 3の「中央最低賃金審議会における目安審議に用いる参考資料について」の(1)現在の主要統計資料の過不足やデータ取得時点の確認、新規のデータ取得が不可となった参考資料の見直し等についてです。2月8日の全員協議会で、事務局より提案させていただき、異論ないという御意見をいただいた見直し内容を記載しております。最後のパラグラフに、「引き続き、最低賃金の水準や影響、最低賃金法第9条第2項の3要素の状況などについて様々な検討及び評価を行うための参考資料の一層の整備・充実に向けて検討することが必要である」旨も明記しております。
 (2)賃金改定状況調査については、これまでいただいた御意見も記載しております。また、賃金改定状況調査の集計方法等について、見直しに係る御意見が特段なかったことから、当面は現行の方法を維持することが適当としております。また合意事項として、2パラグラフの2行目に、第4表③を令和5年度以降の目安審議で提出することを記載しております。(3)その他参考資料の在り方についてでは、2段落目にあるように、「地方最低賃金審議会の自主性を発揮できるよう、都道府県別の参考資料の充実についても検討すべき」という今回の全員協議会の御意見を記載しております。
 4の「今後の見直しについて」です。ここでは、今後の見直しの時期について記載しております。目安制度の在り方については、平成7年の全員協議会報告で、今後、概ね5年ごとに見直しを行うことが適当であると記載されています。次回の目安制度の在り方に関する見直しの際には、概ね5年ごとに見直しを行い、令和10年度を目途に、当該見直しの結果に基づいて目安審議を行うことが適当である旨を記載しております。以上です。
 
○藤村会長 
 どうもありがとうございました。ただいまの報告(案)について、まだ確定できていない部分もありますが、御意見を承りたいと思います。いかがでしょうか。平野さん、どうぞ。
 
○平野委員 
 ランク制度の在り方に関連し、少し発言をしたいと思います。労側から既に発言しているのですが、ランク逆転の目安が論理的にもあり得、常にAランクが最も高い目安額となるものではないといった趣旨を是非、報告の中に入れていただきたいと思います。これまでの実績としては、下位ランクが上位ランクを上回る目安を出してこなかった状況があります。4ランク制を3ランクに見直すだろう今回のタイミングで、下位ランクが上位ランクを上回る目安が理論的にありうることを報告書にきちんと記して確認していくことは、意味が大きいのではないかと考えます。このことによって、今後、中賃の目安審議において様々な選択肢が取りやすくなりますし、そのあと実際に地方に説明していくときに足掛かりにもなるのではないかと思い発言しました。
 
○藤村会長 
 今の御発言を平たく言うと、仮にA、B、Cという3つのランクになったときに、目安を示す場合、AがB、Cより必ず高くなるというものではないですよという、そういうことですか。
 
○平野委員 
 そういったこともあり得るということを報告書に記載していただきたいということです。当然、制度上あり得るのですが、これまではなかったというのが実態だったので、そういったことを、言葉としては申し上げたとおりでなくてもいいのですが、入れていただきたいという意見です。
 
○藤村会長 
 入れるとすると、3ページ~4ページ辺り。
 
〇平野委員
 事務局にお任せします。
 
○岡賃金課長 
 ランク区分と振り分けのところが、まだ今日はPとなっております。今のお話もランク区分の見直しに伴うものでございますので、また、このPになっている部分の文章を入れる際に、どういった入れ方が可能かどうかというのは少し検討していきたいと思います。
 
○藤村会長 
 佐久間さん、どうぞ。
 
○佐久間委員 
 ありがとうございます。私も、このPになっているランク制度のところなのですが、やはり今回の報告というのは、先ほども申し上げたのですが、ランク数が4から3に変更されることになると初めてのことになります。ですから、今までの4から3になったという議論があって、どのような要因があったから変更する必要がある点のほかに、今回初めての試みの報告であるので、なかなか文章として経緯、必要性など、入れにくいかもしれないのですが、昭和53年からずっと4ランクできて、そのときに47にするかとか、それから使用者側からランクは5つ程度が望ましいと意見が出たとか、そこの中で4にしましょうということになって、それがずっときて、平成7年とか、前回の全員協議会でも4のままで、ランク間については経済指標の数値が間隔が空いている所で区切るとか、その点でもよろしいと思うのですが、そういう経緯を、まず踏まえて記載していただきたいと私は思います。
 全員協議会報告は、報告書なので、今回の議論のとりまとめだけで過去の全員協議会は過去の議事録や報告を全部見てくださいということだったらいいのですが、地域に説明する、企業に説明するという際に、前回の全員協議会では、どのような理由でランク制が決まったのかということは、今回のこの報告を見ながら経緯を見ていきますから、詳細に書いていただきたいなと思います。
 あとは、藤村先生の御意見、それから中窪先生の御意見からも、4ランクから3ランクへの意見のエキスを取っていただいて、このランクのPになる部分ですが、ここに説明を入れていただきたいと思います。
 それから、もう一点、発効日の関係ですが、記載いただいた表現で、私はよろしいと思います。ありがとうございます。前倒しという言葉が入っており、その後、使用者側が主張している後ろ倒し、の理由も入れていただいております。本当は、もう少し、数日の後ろ倒しの意味ではなく、月単位での後ろ倒しなど、完全に後ろ倒しということを入れていただきたいなという思いもあるのです。しかし、後ろ倒しするべきという意見があったということを入れていただいていますから、後ろ倒しの意見もきちんと入れていただいたということで、ここは納得していきます。ありがとうございます。
 
○藤村会長 
 その他、新田さん、どうぞ。
 
○新田委員 
 まず、先ほどの労側の平野委員からの御発言部分については、確かにこれまでは、同額はありましたが、下位のランクが上位のランクの目安額を上回ったことがなかったという事実は十分認識しております。しかし、理論上はそういうことはあり得ると認識していますので、実際の文章の入れ方については、事務局に知恵を絞っていただいて、適切な部分に事実関係として記述していただければと思います。
 その間で、事実関係ということを申し上げると、佐久間委員からありました発効日の後ろ倒しをしてほしいという点について、かねてから使用者側が言っている理由の中で、できれば入れていただきたいのは、就業調整の話です。最近、様々な企業の方から伺う話では、支給している賃金の金額が上がっていることによって何が起きているかというと、今まで12月に起こっていた就業調整がどんどん前倒しされていて、11月、10月となってきて、年末の忙しいときに就業調整、いわゆる年収の壁の問題が起きているとのことです。そのため、発効日の後ろ倒しも必要ではないかと考えています。これは、労側と合意できる部分ではないと思っていますので、使用者側の意見の部分で、就業調整という問題も近年、非常にクローズアップされていることについて、入れ方は事務局のほうで工夫していただいて、事実関係として入れていただければと考えています。私からは以上です。
 
○藤村会長 
 永井さん、どうぞ。
 
○永井委員 
 ありがとうございます。今、発効日に関連して就業調整のお話がありましたので、労側の私からも発言させていただきたいと思います。
 新田委員の御指摘のとおり、就業調整の問題は我々も非常に重たいものと感じております。現場では最低賃金が上がると、もっと言えば、賃上げがあると働けなくなるといったような、残念ながらややもすると最低賃金や賃上げを悪者とするような声もあるというのは私どもも把握しているところです。ただ、そもそも最低賃金近傍で働いて生計を立てている方のことを考えれば、最低賃金は上げていかなければならないものですし、税と社会保障制度が原因で、最低賃金の引上げが阻害されるというようなことはあってはならないと、これは常日頃から思っております。働き方に中立的な税・社会保障制度のあり方については、この場で結論が出るものではないのですが、中賃としても問題意識を持った上で、中賃とは別の然るべき場でしっかり議論されるべきということも、併せて発信していただきたいと思っております。
 その上で、発効日との関係でいえば、労働側としては、就業調整があるから発効日を後ろ倒しという考えはありません。むしろ、10月1日よりも早期に発効するということで、労働者も使用者も年末の働き方や要因計画も立てやすくなるだろうという考えであることも申し伝えたいと思います。以上です。
 
○藤村会長 
 今、日本で雇われて働いている人が約5,600万人ぐらいですか。そのうち約37%が非正規雇用労働者で、非正規雇用労働者のうち、いわゆるパートタイム労働者が約5割弱でしょうか。その約5割弱の人たちの中で、就業調整をしているという人が約2割いらっしゃいます。掛け合わせていくと、大体何千、何万人ぐらいと出てくるのですが、やはり特に小売業では、そういう方が多くて、正に年末の12月の忙しいときに休まれてしまうと、使用者としては困るという状況があります。やはり、これは社会保険、労働保険、社会保障制度との関係があって、どうするかは非常に大きな問題ですね。だから、ここでは決められない部分なのですが、ただ、最低賃金を上げていくということは必要で、日本経済にとっても重要です。しかし、それによって働くことを制限せざるを得ない人たちが出てきているという事実があり、別の制度の話ではありますが、そこを変えていく必要があるという意見が出ています。報告書の中にその点を盛り込めるかどうか、事務局としては、どうですか。
 
○岡賃金課長 
 ありがとうございます。今、この就業調整の問題、全世代型社会保障構築会議でも議論が行われているところでございます。そちらの担当とも相談して考えてみたいと思います。
 
○藤村会長 
 分かりました。新田さん、どうぞ。
 
○新田委員 
 今の発言に関して、事実としてこういう問題があって、働き方に対して中立な制度を考えていこうという中で、使側の我々も、労側のほうも、それを認識していることを事実として書き込もうということです。我々としても、その中身や制度について何か言うわけではないです。我々としては、所得税や社会保障の問題によって就業調整が生じていて、せっかく最低賃金を引き上げていっても、実質の賃金、年収が上がらないことが問題だと認識しています。しかも、それは本人が望んでいないかもしれない。だから、アプローチの仕方は違うかもしれませんが、労使双方に共通している問題意識をここに書き込むことについて、その担当部局と調整が必要だということは、ちょっと違うのではないかという気がします。ただ、同じ厚生労働省の中で担当している部局があるので、仁義を切らないわけにもいかないというところは承知、理解をしますが、できるだけ前向きな調整をしていただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 
○岡賃金課長 
 はい、承知いたしました。
 
○藤村会長 
 そのほかに、何か別の所についてでも結構ですが、いかがでしょうか。せっかくネットで入っていらっしゃる方々が全く発言しないというのは、寂しいですよね。池田さん、どうですか。
 
○池田委員 
 黙っていたわけではないのですが、御指名どうもありがとうございます。先程来お話の出ている就業調整の部分は、私ども労働集約型産業としても切実な問題ですので、色々な所で議論をしていきたいと思っています。ここはその改善の話をする場ではないというのは重々承知しておりますが、労使ともども意見が出たということで、是非、意見があったということを残しておきたいと感じました。ありがとうございます。以上です。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。鹿住委員は、いかがですか。何かございますか。
 
○鹿住委員 
 ありがとうございます。今の就業調整もそうなのですが、前々回で話題に出たこともあるかと思うのですが、コンビニエンスストア等のロイヤリティーが、地域で全く一緒なのですよ。そうすると、どうしても最低賃金の高い都市部は、最低賃金ぎりぎりの時給しか出せないということで、最近はコンビニエンスストアに行っても、日本人ではなくて大体外国人の方がレジにいらっしゃるということが多いと思うのですが、募集されている賃金は、ほぼ最低賃金に近いというか、ほぼそうなのですね。そういう人件費を上げましょうと、それはすごくいいのですが、やはりロイヤリティーの割合が一緒ですと、どうしても都市部の人件費コストの高い所は、人件費のほうに回すことができないと。他のコストももちろんありますので、というような状況もあります。これは特殊な業種のことかもしれませんが、先の就業調整と同様に、上げたくても上げられないという、要するに中小企業が賃金を上げられる環境を整えましょうという意味では、そういうロイヤリティーが、人件費にかかわらず全国一律というようなところも、ちょっと見直しが必要というような観点で必要なのかなと思います。以上です。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。小西委員、いかがですか。
 
○小西委員 
 小西です。御指名、どうもありがとうございます。私からは、もう各委員の先生方がおっしゃられたとおりというふうに考えております。報告書の最後の取りまとめに向けて、事務局の方におかれては大変かもしれませんが、更に、どうぞよろしくお願いいたしますということです。私からは以上です。
 
○藤村会長 
 どうもありがとうございます。権丈さん、何か言いますか。
 
○権丈委員 
 ありがとうございます。私は先ほどの就業調整の話を伺っていて、大きな問題として、皆さんが認識されているなと思いました。併せて、昨年10月に被用者保険の適用拡大が行われたことで、より議論が活発化していると認識しております。そうした中で、賃上げも、被用者保険の適用拡大も労働者にとって大切なことになりますので、書くとしても、十分注意して、この就業調整を促すような書き方にならないようにすべきだと考えています。また、被用者保険の適用拡大は将来の給付につながるものであるとともに、契約によりあらかじめ決まっている賃金、労働時間をベースにしているので、その基準は所得税の場合とは違います。そういったところも踏まえて、十分注意して書き、最賃の引上げ等にマイナスにならないような形で進めていきたいと思いました。ありがとうございます。
 
○藤村会長 
 ありがとうございます。そのほかに、御意見はいかがですか。もう出尽くしましたか。
 分かりました。今日はランクの区分をどうするかということで、ちょっと1歩進んだかなという気がいたします。今後、更に修正案、新しい案も考えながら、皆さんと一緒に一番よい形にしていきたいと思います。次回も、ランク区分の数、振り分け方、全員協議会報告(案)の修正案について御議論していただくということになると思います。
 では、次回の開催日程について事務局から。事務局で別途、調整をお願いするということですね。分かりました。
 それでは、以上をもちまして、本日の全員協議会を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。