第45回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録(2023年3月30日)

日時

令和5年3月30日(木)10:00~11:30

場所

Web会議
航空会館 501会議室(5階)
東京都港区新橋1-18-1

議題

  1. 1.第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度に向けた見直しについて
  2. 2.第3期後期高齢者支援金の加算・減算制度に向けた見直しについて

議事

議事内容
○大山主査 厚生労働省、事務局でございます。
それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第45回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催させていただきます。構成員の皆様におかれましては、年度末の大変御多忙極まる中、貴重なお時間を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。議事に入るまでの間、進行を務めさせていただきます厚生労働省保険局保険課の大山と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
まず議事に入ります前に、構成員の出欠状況について御報告申し上げます。本日、御欠席は、国民健康保険中央会、池田構成員、そして代理で植松様に御参加いただいております。植松様、どうぞよろしくお願いいたします。また、全国後期高齢者医療広域連合協議会、太田構成員が御欠席ということで、代理の鈴木様にお入りいただいております。鈴木様、どうぞよろしくお願いいたします。次に、全国市長会、岡﨑構成員が御欠席と伺っております。代理で川村様、どうぞよろしくお願いいたします。そして、日本労働組合総連合会、小林構成員の代理で鈴鹿様にお入りいただいております。鈴鹿様、どうぞよろしくお願いいたします。また、全国知事会、長崎構成員は御欠席、代理なしということで伺っているところでございます。
続いて、本日の検討会は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とさせていただいております。発言の仕方などを冒頭に御説明させていただきます。会議中、御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言いただくようお願いします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきますので、よろしくお願いいたします。
なお、新型コロナウイルス感染防止のため、傍聴は報道機関関係者のみとさせていただいておりますので、お含みおきください。
次に、資料の確認をさせていただきます。議事次第、資料1、資料2、参考資料1、参考資料2になります。不足等あれば、お申しつけいただきますようお願いいたします。
それでは、以降の進行を津下座長にお願いさせていただきます。報道関係者の皆様、会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力よろしくお願いいたします。
それでは、津下座長、よろしくお願いいたします。
○津下座長 皆さん、おはようございます。ただいまから、「保険者による健診・保健指導等に関する検討会 第45回」を始めたいと思います。昨日、第4期の特定健診の見直しの検討会がありまして、いよいよ令和6年度に向けて進んでいるところだと思います。
本日のこの検討会の議題でございますけれども、議事としまして、第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度に向けた見直しについて、またその効果検証についてということでございます。
それでは、まず第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度に向けた見直しについて、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○大山主査 津下座長、ありがとうございます。
それでは、議事1つ目、第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度に向けた見直しについて、御説明をさせていただきます。
資料1、第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度に向けた見直しをお手元に御用意いただけますでしょうか。資料は画面投影もさせていただきますので、どちらか御確認いただきながら聞いていただければと思います。
それでは、1枚めくっていただきまして、アジェンダの説明でございます。0から4までございまして、一度こちらを全て御説明させていただいたあと皆様から御意見をいただきたいと思っておりますので、少し長くなりますが、こちらの説明にお付き合いいただければ幸いでございます。
まず、冒頭、ワーキングにおける検討の概要を大局的にお話しさせていただきます。そのあとに、1番、加算の基準、2番、加算の除外の基準、3番、減算の基準について、詳細に御説明をさせていただき、最後に同時に進行させていただきます好事例の横展開の施策について、今後の論点を方向性とともにお話をさせていただきたいと思います。
それでは、早速ではございますが、3ページ目をご覧ください。こちらは、後期高齢者支援金の加算・減算制度検討ワーキングに関する御説明でございます。皆様に御出席いただいております本検討会の下に紐づくワーキンググループでございまして、被用者保険者のインセンティブ制度である加減算制度の内容について、見直しや検討をするワーキンググループでございます。構成といたしましては、健康保険組合及び共済組合を代表とする者及び関係団体の代表者、そして学識経験者の計16名をお迎えし、議論をさせていただいております。今回の令和6年度から始まります第4期後期高齢者支援金加算・減算制度の見直しに向けましては、全体で15回目になります8月30日から、今年の1月31日まで5回にわたる議論をさせていただきまして、それぞれの議論の経緯は右側に記載のとおりでございます。
資料4ページ目をご覧ください。その上で、後期高齢者支援金の加算・減算制度の制度概要を上段に、見直しの概要を下段に記載させていただいております。非常におさらいのような話になってしまいますが、制度の概要といたしましては、加減算制度は、各保険者の特定健診・保健指導の実施率等により、その保険者の後期高齢者支援金の額に対し、一定の率を加算または減算を行う制度でございます。現行の制度が2018年から2023年度の第3期と呼んでおりますが、この第3期制度から特定健診・保健指導の実施状況だけではなく、例えば糖尿病の重症化予防、がん健診や歯科健診の実施状況、後発医薬品の使用促進の取組など、そういった保険者の保健事業の取組を総合的に評価し、予防・健康づくりや医療費適正化に取り組む保険者のインセンティブをより重視する仕組みに、2018年度から見直しをさせていただいているというものでございます。
中段の図をご覧ください。上段が加算基準、下段が減算の基準の概要でございます。加算につきましては、支援金の増額というペナルティ的な要素の部分でございますが、こちらは法定の義務である特定健診・保健指導の実施率が相対的に低い場合に適用され、支援金の一部が加算されるというものでございます。他方で、支援金の減算につきましては、今申し上げさせていただいたとおり、特定健診・保健指導と特定保健指導以外の総合的な保健事業の取組状況を評価し、決定をするものでございます。
下段に第4期からの見直しの概要を記載させていただいておりますが、続くスライドのところで詳細を御説明させていただきますので、そのまま資料6ページ目までお進みください。今ほど皆様にお示しをいたしました資料の再掲でございまして、見直しの概要部分は赤枠で記載させていただいております。こちらは、加算対象となる実施率の基準は、過去の実績を踏まえて、毎年度設定されるように見直しがされました。これによって、全体の実施率の伸びに連動した実態に即した基準値の設定というものが可能となりまして、相対的に特定健診・保健指導の取組が遅れている保険者の実施率底上げを期待することができるような内容になっていると考えております。
7ページ目をご覧ください。ここからは文字ばかりで恐縮でございますが、わかりやすく御説明させていただきます。加算基準の考え方、つまりこの実施率未満になったら加算の対象となるという場合の考え方については、大きく2つの考え方を用いております。それが絶対値、相対値の考え方でございます。
絶対値につきましては、(1)のとおり、全保険者目標を達成できているかどうか。つまり、特定健診70%以上、特定保健指導45%以上でございます。皆様御承知のとおり、事業主健診の一部を特定健診にかえることができます被用者保険者においては、特定健診の実施率の平均値というのは70%を超える水準を維持しておりますが、特定保健指導45%を基準値にすると、それは多くの保険者の皆様が加算対象となることになります。
その上で相対値の考え方を(2)番に記載させていただいています。こちらは、保険者種別の目標達成に向けて、保険者種別ごとに実施率の平均値を大きく下回っていなければ、加算の適用を免れられるというものでございます。この実施率の平均値を大きく下回っていないということは、さらに続く行のところに記載させていただいておりますが、支援金年度の前年度の実施率が、保険者種別ごとの実施率の平均値から1つ標準偏差を引いた値以上になっていれば、加算から免れられるというものでございます。
そして、その下に、各保険者が特定健診・保健指導に取り組む年度の前年度中には、加算の対象となる基準値を示すため、以下のとおり要件を示したと記載させていただいておりまして、下段の箱の最下段でございますが、保険者種別ごとの支援金年度の4年前の実施率の平均から4年前の実施率の標準偏差を引き、それ以上であることというふうにされました。
言葉、文字だけではわかりづらいと思いますので、8ページ目で詳細を御説明させていただきます。こちらは「20YY年度」というふうに記載をさせていただいておりますが、具体的に、2024年度で御説明をさせていただきます。2024年度の支援金の場合、一番右側の箱が2024ということになりますが、2024年度支援金の評価においては、2023年度の特定健診・保健指導、つまり黄色い点線の箱で囲わせていただいた部分の実施率を評価させていただくことになります。この2023年度の取組が始まる前に加算の基準値を保険者の皆様にお示しをしなければなりませんので、おのずと2022年度には、厚生労働省が基準値を計算し、お示しするという行為が必要となります。ただし、2022年度に厚生労働省の手元にある直近の最新のデータは、さらに2年さかのぼりまして2020年度、つまり青い点線の枠で囲わせていただきました特定健診・保健指導の実施率のデータを用いて計算することとなります。つまり、取組の前に基準値をお示しし、毎年計算をするというこの仕組みを導入するためには、支援金年度の4年前の実施率の平均値と標準偏差を使うということが最も合理的だという判断を、ワーキングの中でさせていただいたというところでございます。
では、具体的にどのような数字になるのかを、下表のとおり説明させていただきます。こちらは、2024年度支援金における基準を2020年度の実績で計算した結果でございます。単一健保だけ紹介をさせていただきますと、特定健診の2020年度実施率平均値は79.9%でございます。また、標準偏差は8.2%、その差は71.7%でございますが、冒頭申し上げた全保険者目標70%の水準を超えておりますので、この場合、70%が加算の基準値という考え方となります。
他方で、特定保健指導につきましては、平均値が34.1%、標準偏差が22.7%、その差は11.4%となりますが、こちらは冒頭申し上げた全保険者の目標値45%には及んでおりませんので、この場合は45%を基準値とすることなく、11.4%を加算の基準値とするというその考え方でございます。共済組合、総合健保につきましても、その下に記載のとおりでございます。
それでは、9ページ目をご覧ください。こちらは、さまざまな情報を記載させていただいておりますが、端的に申し上げますと、加算率と加算率ごとの区間の設定に関する御説明です。上段の箱の1行目のとおり、加算対象保険者が明確な目標を持って努力をするということを促すという観点から、加算対象の基準値未満の各層の設定、そして各層ごとの加算率の設定というのは、あらかじめ固定をしておくことが効果的という議論をさせていただきました。そのため下の表のとおり青い点線で記載をさせていただいておりますが、加算の基準値未満のところの内訳をあらかじめ固定し、お示しをするというような、そういった内容とさせていただいていることを御説明する資料でございます。また、赤いところが2024年から2026年の新たな支援金の加算率の設定の基準でございますが、その横に2023年度、つまり現行の最終年度の基準をお示ししております。制度を前進させていく加算によって底上げを図っていくという観点から、2023年度の基準である加算率よりも多少引き締めをかけているというような見直しも施しているところでございます。
これら私のほうで御説明させていただいた説明のまとめが、10ページ目でございます。こちらを皆様からオーソライズをいただいた暁には、保険者の皆様にお示しをする資料として御確認いただければと思います。上段が特定健診、下段が特定保健指導、白いセルになっている部分は固定されているところでございますが、黄色く塗られた部分につきましては、毎年毎年その年度の4年前の実施率の分布を使いまして計算をし、毎年、保険者の皆様にお示しをさせていただく想定を持っているところでございます。
加算の基準についての御説明は以上となります。
それでは、11ページ目以降で、加算の除外の基準について、御説明をさせていただきます。12ページ目をご覧ください。こちらは加算の除外の基準、その名のとおり加算に該当した場合でも、要件を満たせばそのあと除外をされるといった基準でございます。こちらにつきましては、もともと4つの基準がございまして、要件①と記載させていただいているところから御説明いたします。
要件①、こちらは災害やその他特別な事情によって特定健診・保健指導ができなかった場合。
要件②、特定健診の対象者が1,000人未満という、いわゆる小規模の保険者の特定保健指導実施率のぶれを勘案するものでございます。
要件③は、この記載の2行目あたりからでございますが、当該保険者の責めに帰することができない事由が発生した場合。つまり保険者の責任のない事由の発生によって、特定健診・保健指導の実施率に影響があった場合に勘案するものでございます。
そして、要件④でございますが、中断のあたりから読み上げますと、加入者の健康の保持増進のために必要な事業の実施状況が十分だと判断される場合に、勘案するというものでございます。
結論から申し上げまして、要件②、小規模の基準、要件④、加入者の健康の保持増進の実施状況がどうかというところ。この②と④を、見直しをさせていただきました。
13ページ目をご覧ください。2つ見直しをさせていただいたうちの1つ、要件②でございます。こちらは小規模というふうに申し上げましたが、そもそも健診対象者が少ないような場合、特定健診を平均的に実施したとしても、特定保健指導対象となる方1人ひとりの割合が大きくなり、そのぶれが大きくなります。また、特定保健指導については、対象者の利用拒否や保険者の責めに帰さない途中脱落などがございますので、結果として、保険者がコントロールできないぶれが発生する可能性がございます。そういった小規模保険者につきましては、特定健診が平均的に実施できていれば、特定保健指導の加算対象になったとしても、それを勘案するというものでございます。また、この小規模という定義は、特定保健指導終了者が10名程度見込まれるのが期待される値を特定健診対象者の数まで割り戻して計算をしたところ、当時1,000名というふうに結果が得られましたので1,000名とうふうにしておりますが、赤字記載のとおり平成22年度という10年以上前のデータを使っていることが現状でございますので、下段の箱のとおり、直近年度である令和2年度における各種データを用いて再度計算をさせていただきました結果、約500名と計算されましたので、現行の1,000人未満から500人未満に見直しをさせていただいたという内容でございます。
次に、14ページ目をご覧ください。こちらは加算の除外基準④の見直しでございます。先ほど申し上げました加入者の健康の保持増進の取組の実施状況が十分だった場合ということでございますが、いわゆる保険者の努力の度合いを評価し勘案するという制度でございますが、こちらにつきましては、現状、法定外義務以外のところの努力値を勘案するというような内容になっております。この保険者の努力値を勘案するという前提に立ち戻りまして、ワーキングでは案1、案2を両案議論させていただきました。
案1は、特定健診・保健指導実施率の上昇幅が一定以上であるということでございます。例えば特定健診・保健指導0%の保険者が存在したときに、その保険者が翌年5%とした場合では、5%でも加算対象であることには変わりはございません。ただし、0%から5%まで引き伸ばすというのは全体の実施率の伸び率よりも高いところでございますので、そういった「特定健診・保健指導の伸びに対して保険者の努力値が認められれば勘案する」というのが、案1でございます。
次に、案2は、「法定の義務である特定健診・保健指導の実施率が低調であったとしても、特定健診・保健指導以外に高齢者医療費の適正化に資する取組を行っている保険者の努力値を勘案する」というものでございまして、案1と対極的なところは、法定の義務外のところの評価をさせていただくというところでございます。ちなみに、案2が現行の指標を踏襲したものでございまして、結論、案2を最終的には採用するというふうになりました。
議論の経緯といたしましては、案1につきましては、それはそれで成り立つ仕組みと考えておりましたが、特定健診・保健指導実施率が上昇すれば、先ほど申し上げたとおり段階的に加算率が低減されていくような仕組みを導入しておりますので、この時点で加算対象保険者の明確な目標をもって努力することを促すという観点には、一定応えているというふうに判断をいたしました。
また、案2は、現行の制度を踏襲したものでございますが、現行の制度をベースに、現在も取り組んでいただいている保険者の取組の連続性・継続性を担保していくという観点から、案2をこのまま引き続き実施していき、その案2の中の基準である評価指標については、減算の基準とともに見直しをすると、そういった方向性を持ったところでございます。
それでは、15ページ目をご覧ください。こちらはさまざまいろいろ書かせていただいておりますが、端的に御説明をいたしますと、加算除外要件④の先ほどの基準は、特定健診・保健指導の実施率が一定以上の実施率、つまりそれなりに高い、ぎりぎり加算対象になってしまったような保険者の努力値を勘案するものでございますが、それを我々は「一定以上の実施率」と表現しております。この一定以上の実施率につきましては、制度を前進させていくという観点から、少し引き上げをしてはどうかという議論をさせていただきましたが、特定健診につきましては、現在の全保険者目標70%にかなり接近しておりますので、引き上げようがないので据え置きというふうにしております。ただし、特定保健指導につきましては、全保険者目標に対して伸びしろがまだある状況でございますので、緑色の矢印のところから赤い色の矢印まで一定以上の実施率というものを引き上げたという話でございます。
加算の除外の基準につきましては、説明は以上となります。
それでは、減算の基準について16ページ目以降で御説明をさせていただきたいと思います。
資料17ページ目をご覧ください。こちらは冒頭に掲載をさせていただきました資料の再掲で、減算の見直しのところを青枠で記載させていただいております。こちらは、各保険者の取組が、公平かつ客観的に評価されるよう、データヘルス計画の共通評価指標の一部を減算の指標に取り入れていくこと。そして、NDBによって集計が可能なアウトカム、アウトプットの定量指標に基づく成果を導入したということでございます。また、減算になるための要件は、最小限かつ必須のものに限定し、それ以外の要素はこれまでの各保険者の取組を加点方式で評価をし、上位から下位までグラデーションで評価をしていくような見直しをさせていただいたところでございますが、詳細につきまして、スライドで御説明をさせていただきます。
まず、18ページ目でございます。減算の基準を皆様と議論させていただく前に、保険者のヒアリングによって、現在の指標の課題や論点を整理させていただき、右側で方向性を皆様とまとめさせていただきました。
左側の赤字の記載のとおり、例えば現状は取組の有無を自己報告に基づく評価をしていただくような指標になっておりますが、こちらが取組内容に対して客観性を重視した評価ができていないのではないか、その結果、公平性を損ねているのではないか、そういった論点をいただいております。
また、評価項目についても、どういった事業をしているかというような切り口の評価をしておりますが、本来的には、疾患別の取組内容、例えば重症化予防をしているか、早期発見、予防、ポピュレーションアプローチ、そういったところをしているかというような疾患別の取組の評価をすべきではないかというところをいただいております。
そして、減算の要件。現行は少し幅広めに減算の要件を設定しておりますが、取組内容が実質的に指定されている結果、保険者としての創意工夫の余地がないのではないか。そして、指定されている結果、続く赤字でございますが、財政的に豊かな健保とそうではない健保では、その達成の難易度に大きな乖離があるのではないか、そういった論点をいただいております。
方向性は、ほぼその裏返しではございますが、評価方法については、定量的な指標を導入できるところは導入してはどうか。
評価項目につきましては、疾患別の取組を評価するような要素を取り入れてはどうか。また、なるべく国が集計できるものについては、NDB等を活用して、保険者ごとの数値を出し、その相対値を用いてはどうかというところ。
そして、減算対象となる要件については、国が中長期的にみて各保険者が必ず達成すべき取組、例えば法定の義務、国が目標値を掲げているもの、政府方針に掲げられているような取組を推進するための体制整備など、そういったものに限定してはどうか。そして、それ以外は加点要素として上位から下位までグラデーションで評価をしてはどうかというところでございます。
この方向性を皆様と目線を合わせさせていただいたときに、19ページ目以降で、それでは定量的な指標はどのようなものが使えるかということを議論させていただきました。こちらの19ページは、健康保険組合で2021年度ごろから、データヘルス計画の中間評価や見直しに際して、個々の保健事業を個別に評価する個別の指標とは別に、健保横断で共通的に用いてはどうかという共通の評価指標というものを導入させていただきました。真ん中の太字のとおり、最初は非常にベーシックな5種を導入させていただきました。
しかし、20ページ目のスライドのとおり、左上の列を見ていただきたいのですが、共通評価指標分類として、生活習慣病対策としての予防・早期発見、生活習慣病対策としての早期治療・重症化予防、そして、がん対策、歯科疾患対策、上手な医療のかかり方という5つの疾患別の切り口ごとに、右側のとおりアウトプット、アウトカムに紐づくような、そういった指標23個を今は導入しているところでございます。
これらの指標のそれぞれの取組の意義につきましては、21、22ページ目で記載をさせていただいておりまして、参考で掲載をさせていただきましたので、御参照いただければ幸いでございます。このような指標などを使ってはどうかという論点でございます。
また、ほかにも何かという議論をさせていただいたときに、23ページ目の議論がございました。こちらは、健康スコアリングレポートという、厚生労働省、経済産業省、日本健康会議の3者が合同で行い、健康保険組合、国家公務員共済、地方公務員共済の全ての組合に対して、加入者の生活習慣リスク、健康状況リスク、医療費情報等のレポートを見える化するような形で提供し、事業主と保険者のコラボヘルスを推進するような施策を記載させていただきました。24ページ目に参考資料を載せさせていただいておりますが、その中に、生活習慣におけるリスク保有者の割合、つまり喫煙、運動、食事、飲酒、睡眠の5種に関して、健康スコアリングレポートで指標として計算させていただいております。
例えば運動に関する指標につきましては、特定健診の質問票上、3つの質問がございますが、この3つ中2以上を「はい」と答えた方が適切な運動習慣を有する者というふうに定義づけ、その方の割合がどのくらいいるか、そして全体に対してどのくらいの順位に自分たちがいるかということをお示しするものでございます。こちらにつきましては、第4期の減算基準におけるポピュレーションアプローチに関する定量的な評価指標として用いることができるのではないか、そういった論点で皆様と議論をさせていただきました。
24ページ、25ページ目と続きます。次に、25ページ目でございますが、こちらは政府方針に掲げられている取組を推進するための体制整備項目でございます。まず定量評価をすることは難しいところではございますが、PHRの推進やコラボヘルスの推進というのは、保健事業の取組を推進していく上で非常に重要な土台だと思っております。こういった内容につきましては、定量評価をすることはできませんが、アクティビティ評価、つまり取組を実施しているかどうかということを評価するという観点で減算の指標に入れてはどうかと、そういった議論をさせていただいたものでございます。
次に、26ページ目をご覧いただけますでしょうか。こちらは、今私が申し上げたことのまとめでございます。上段でございますが、減算の基準につきましては、共通評価指標に基づくアウトプット・アウトカムの定量評価を入れてはどうかというところ。ただし、上から3段目のとおり、第3期現行制度を通じた現在の各保険者の取組や現在の実施体制の状況、そういったところの連続性及び継続性が損なわれないよう配慮する必要があるという御指摘をいただいておりました。ごもっともでございますので、最終的には4段目のとおり、第4期の減算基準及び評価項目につきましては、現行の総合評価項目をベースとして共通評価指標や健康スコアリングレポートの評価指標を評価項目の中に取り入れていくという方向性を、皆様と目線を合わさせていただきました。
そして、中段でございますが、繰り返しとなりますが、「PHRの体制整備」、「コラボヘルスの体制整備」につきましては、アクティビティ評価として残してはどうかというところ、導入してはどうかというところでございます。
そして、最後に減算になるための要件でございますが、減算は、最小限に要件を絞り、それ以外は加点項目とするというその方向性に従い、全部で200点満点となりますが、この総合評価指標の中で、合計点数で上位20%、そして4つまで絞った必須項目を満たしているかどうかということを減算の要件にしてはどうかということで、皆様と議論をさせていただきました。
それでは、長くなりましたが、最後に、その見直しをさせていただいた指標1つひとつに対して簡潔に御説明をさせていただきますので、27ページ目をご覧ください。こちらは、特定健診・特定保健指導の実施の状況などを評価する項目でございますが、グレー塗りをさせていただいたところのとおり、特定保健指導の対象者の割合の減少幅というものがございました。こちらは、服薬に移行して特定保健指導の対象から外れる方の人数などが入っているというところや、メタボ対策として指標にもっとふさわしいものがあるのではないか、そういった議論をさせていただき、肥満解消率という指標を置くことによって、こちらの指標につきましては廃止ということをさせていただいております。肥満解消率につきましては、服薬の有無にかかわらず腹囲やBMIで特定保健指導の対象になる方を分母として算定し、翌年、腹囲、BMIで肥満を解消しているという方々がどれくらいいるかということを指標として設定させていただいているところでございます。
関連して、大項目2の見直しも御説明させていただきます。こちらにつきまして、指標の⑤をご覧ください。肥満につきましては、腹囲、BMIだけでなく、高血圧、脂質異常症、糖尿病等に関連する血圧、血糖、脂質の状況なども重視することが重要と考えております。こちらにつきましては、3疾患の状態コントロール割合として、例えば高血圧に関する血圧の指標が特定保健指導対象値以上受診勧奨値未満の方々を予備軍と定義づけ、この予備軍の方々が、翌年も予備軍にとどまっているかどうか、もしくは正常群に解消しているかどうか。言いかえれば、疾患群に移行せずにコントロールできているかどうかということを、指標として評価をするということを導入させていただいたところでございます。
大項目1の③、大項目2の⑤、こういったところで、総合的に特定健診・保健指導、及びそれ以外の保健事業の効果を検証していきたいと考えているところでございます。
また、補足でございますが、②の医療機関への受診勧奨基準において速やかに受診を要する者の医療機関受診率ということで、こちらは医療機関受診の判定値以上の方々がどれぐらい医療機関を受診しているかということを保険者の皆様にデータを抽出し、みずから集計し、報告をいただいておりましたが、こちらにつきましては、NDBによる集計が可能となりましたので、第4期からは国が集計をし、評価をさせていただくという方向性に切りかえさせていただくものでございます。
次に、29ページ目、大項目3をご覧ください。こちらの大項目3は、もともと予防・健康づくりの体制整備をしているかどうかというような項目でございましたが、現状、①のとおり、わかりやすく健診結果を提供しているかどうか、②保険者共同でデータの分析などをしているかという指標がございましたが、①はほぼ全ての組合の皆様に取り組んでいただいているところでございますので、指標としては卒業したということで廃止をしております。②につきましては、共同で分析をする必要のない体力があるところの組合の評価方法にはなりませんので、こちらにつきましても指標としては卒業したという観点で廃止をしております。
そのかわりに、先ほど申し上げましたPHRの体制整備、コラボヘルスの体制整備、そしてもともと大項目7にございました退職後の市町村国保や後期に移行していく方々に対する健康管理の働きかけという体制整備項目がございましたので、これら3つの指標をこの大項目3に迎えまして、予防・健康づくりの体制整備の評価項目として運用していきたいというものでございます。
それでは、次のページをご覧ください。大項目4でございます。こちらは、後発医薬品の使用促進、加入者の適正服薬を促す取組の実施状況を評価するものでございますが、大きく変わった点は②番でございます。こちらは、後発医薬品の使用割合につきましては、基準値を達成しているかどうかということを評価指標としておりましたが、基準値につきましては現行75%としておりました。ただし、国が策定する医療費適正化計画の基準値が80%であることや、現状、健保、共済においては、平均が80%に接近している、ほぼ超えているような状況でございますので、基準値を80%に見直しをさせていただいたものでございます。ただし、上段真ん中の太字のとおり、昨今の国内の後発医薬品の供給が不安定になる等の他律的な不測の事態が発生した場合には、その年度に関しては、この評価を、補正をかけるとか、全く評価をしないようにするとか、そういった勘案を講じることは必要だということを御指摘いただき、そのとおりだと感じておりますので、こういったところは、その年その年で判断をさせていただきたいと考えているところでございます。
次に、大項目5、31ページ目をご覧ください。こちらに関しましては、結論から申し上げると、指標としては変更等はしていないところでございます。理由といたしましては、こちらは「がん健診」や「歯科健診」に関する取組状況を見るところでございますが、これら取組は、保険者の取組として推進することを求められている、期待されている部分がございますので、引き続きこの指標の中において推進をさせていただきたいと思っておりますが、NDB等による統一的な集計ができないため、指標内容につきましては、現行は据え置かせていただくというところを置いているところでございます。
ただし、①のがん検診の実施状況、⑥の予防接種の実施状況に関するものにつきましては、上段の箱の中に記載のとおり、単一健保、総合、共済、全ての保険者種別において取組が飽和に近い状況でございます。今後もこの水準が維持されるということであれば、第4期制度の中間見直しのタイミングで評価内容を前進させるように見直しをすることを検討したいと思っておりまして、現状はその論点を出させていただくのみというふうにさせていただきました。
それでは、最後に大項目6、32ページ目について御説明をさせていただきます。こちらにつきましては、加入者に向けた予防・健康づくり働きかけをしているかどうか。つまり、ポピュレーションアプローチに関する指標でございます。例えば運動習慣改善に関する②の指標がございますが、現行は運動習慣改善の事業を行っていて、行っている場合にはその効果検証をしているかどうかということを「はい」か「いいえ」で自己申告していただいたものを評価する指標でございましたが、これは取組の深さや、どれくらいの加入者をカバーしているかという、その取組の進行ぐあいというものを評価するものではございませんでしたので、先ほど申し上げた客観性や公平性に欠けるのではないか、そういった議論の中から、定量的な指標に移行していくことを検討しております。
その最終的な結果として、②から⑥に続く、運動、食生活、睡眠、飲酒、喫煙に関しては、先ほど御説明いたしました健康スコアリングレポートにおける適切な生活習慣を有する者の割合を指標に使うということをワーキングの中で取りまとめさせていただいた次第でございます。その基準におきましては、各生活習慣の適切な習慣を有する者が保険者種別ごとの平均を超えているかどうかというところからスタートしていきたいと考えております。ただし、この業種・業態によっては、平均を目指すことが難しいような業種・業態もあろうかと思います。そういったところの対策といたしまして、平均を超えていなくても少しでも改善をしていれば点数が取れるような、そういった指標に見直しをさせていただきました。さらに、基準も超えていない、改善もしていない、ただし、その改善に向けて取組はしっかりと進めていこうとしている保険者の取組を全く評価しないというのは、それは違和感がございますので、①のとおり、少ない点数ではございますが、取組を実施している場合には、各習慣ごとに1点の点数が取れるような、そういった構成に見直しをさせていただいたところでございます。
大項目6に関する見直しにつきましては以上でございます。
長くなりましたが、大項目7について簡単に御説明いたしますので33ページをご覧ください。これはもう端的に申し上げますと、この中の指標を大項目3に吸収するような形で移行させておりますので、全て廃止にさせていただいたというものでございます。
長くなりましたが、好事例の横展開に関する御説明を最後に御紹介させていただきまして、説明を終了させていただきます。こちらは、この加減算制度の議論をさせていただく中で、この制度を通じて、保険者による各種保健事業の取組を促進してまいりましたが、現状はその取組内容を評価するだけの仕組みになっております。第4期制度から、アウトプット・アウトカムの定量的な指標が取り入れられていく方向性も踏まえまして、各保険者の好取組を厚生労働省が収集し、抽出されたナレッジやノウハウを保険者の皆様に参考にされやすい形で横展開をしていくことを通じて、単なるインセンティブ制度に留まらない「成長と分配を促す循環型の制度」を目指していきたいということを考えております。
その上で今後に向けた論点だけ現状はお示しをさせていただきますが、真ん中の黒丸のとおり、減算対象の中でも上位の保険者の先進的取組を紹介することはもちろんのこと、それ以外にも、例えば新たに減算対象に入った新興保険者の取組、もしくは前年度において加算対象ではございますが、翌年から努力をして免れた発展途上の保険者の取組のノウハウ、ナレッジ等、そういったものを上位から下位まで広くナレッジを抽出しまして、参考にされやすい形で横展開をしていきたいと、そういった論点を御説明させていただくものです。詳細につきましては、今後、厚生労働省の中で検討させていただき、またワーキングや検討会の場で御披露させていただきたいと思っているところでございます。
また、その議論をワーキングの中でさせていただきましたが、36ページ目に記載のとおり、構成員の皆様からさまざまな御助言、御指導をいただいたところでございますので、こういった論点を本検討会の資料にしたためまして、こういったことに留意をしながら、厚生労働省のほうで一度考えさせていただきたいというものでございまして、意見の御紹介というところの位置づけでございます。
大変長くなりましたが、資料1に関する御説明、事務局からは以上でございます。
○津下座長 ありがとうございました。資料1に基づきまして、第4期令和6年度からの加算減算制度の見直しについて、ワーキングで5回にわたり議論をした結果を取りまとめたものを御説明いただきました。
第1点のポイントとしては加算の基準について、具体的な目標を持って保険者さんが頑張っていただけるような仕組みにすること、それから実施状況に応じて、その基準を見直していくことなどについて、御説明がありました。
また、加算除外基準、減算基準については、保険者の取組を評価するインセンティブに関する指標の考え方として、第3期からいろいろな総合的な指標が入ったのですけれども、次期からはNDBを活用して客観的に保険者の取組状況や健康状態を把握し評価をするという仕組みにシフトしていくというようなことの御説明がありました。
以上の説明について、御質問、御意見がございましたら、時間の関係もありますのでお1人3分程度で御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
今回の見直し案は、ワーキンググループでの私どもの意見を反映していただいており、異論はございません。
加算基準については、加算率と加算率ごとの特定健診・保健指導の実施率の区間が固定されたことで、健保組合は前もって目標値を明確に定めることができて、実施計画や予算をスムーズに立てられることになりますので評価をしております。
加算除外基準については、健診・保健指導以外の医療費適正化に資する取組が、一定程度行われていることを要件に残していただいており、事業の継続性の担保の観点からも評価したいと思います。
減算の共通評価指標についても、保険者の努力だけではアウトカムの成果が出にくい項目もございます。このため現行制度を通じた各保険者の取組あるいは実施体制の連続性、継続性が損なわれないように配慮いただき、一定程度アクティビティ評価を残していただいているということについても、評価をしております。
○津下座長 ありがとうございました。健保連さんには、多面的に御意見をいただき、ディスカッションを重ねてまいりました。ワーキングには私も参加させていただきましたけれども、そのような議論ができたことを感謝しております。
ほかにいかがでしょうか。茂松構成員、お願いいたします。
○茂松構成員 ありがとうございます。
まず初めに、丁寧な御説明をありがとうございました。
28ページのところに、第4期の減算基準、大項目2のところで、NDB集計で、3疾患、高血圧、糖尿病、脂質異常の状態のコントロール割合ということであるのですが、最近、糖尿病ではスティグマとアドボカシー活動というのが非常に強くなってきまして、あまり糖尿病を強く評価していくと、逆に治療に患者さんがかなり増えてくるのではないかということが言われていると思うので、そこのところの考え方をどうするかということであります。
それともう1つは、32ページでありますが、加入者に向けた予防・健康づくりの働きかけということで、運動習慣とか、生活習慣のところの改善、睡眠、飲酒、これは健康経営の考え方から非常に重要でありますが、やはり保険者の規模によって格差が非常に広がっているという中で、こういうことが本当に公平に決められるのかなということを気にしております。
もう1つは後発医薬品の進んでの使用でありますが、今、後発医薬品の不安定供給が非常に問題になっておりますので、一定程度後発医薬品は出てまいりましたので、これもどうなのかなということをちょっと疑問として思いましたので発言させていただきました。
以上であります。
○津下座長 ありがとうございます。茂松構成員がおっしゃいましたように、これは保険者としての評価指標なのですけれども、例えば疾患のある人とか、スティグマ、偏見につながらないような取組が非常に重要だという御指摘、これからのアクションにどうつなげていくかという御示唆だと思います。
今3つの点がありましたけれども、事務局、いかがでしょうか。
○大山主査 厚生労働省保険局、事務局でございます。
茂松構成員、御意見いただきましてありがとうございました。順にお答えさせていただきます。
まず高血圧、糖尿病、脂質異常の状態のコントロール割合のところでございますが、新たな指標としては導入をいたしましたが、例えばかかりつけ医との連携であったりとか、医療機関との連携等、保険者の取組で完結しない領域のものもございますので、これを保険者の取組として強く評価をしていくことは、乱暴に進めてはいけないと考えているところでございます。その証左といたしまして、指標としては導入をしておりますが、肥満解消率のようなその他の指標と一体で運用していくという観点があることや、配点を抑え試行的にスモールスタートしていくといった観点がございます。また、これら新たに追加した指標については、無作為に進められることがないように、保険者の皆様に丁寧に説明をしていきながら、この実施状況を確認していきたいと考えているところでございますので、そういった御指摘をいただき、本当にありがたいところでございます。
また、予防・健康づくりに関する加入者の働きかけでございますが、おっしゃっていただいたとおりと感じているところでございます。例えば単一と総合では実施の取組の深さが変わってしまうことや、業種、業態によっては喫煙率の取組が難しいとか、そういったところが非常に様々あるかと思います。なので、まずは基準について、単一、総合、共済の保険者種別ごとの平均を超えているかどうか、その種別ごとに平均値を超えているかどうかということを評価するような内容にしております。また、平均を目指すことすら難しい業種、業態のところについては、少しでも改善をしているか。具体的に申し上げますと、0.5%以上改善していれば最低である1点は取れるようなそういった構成にしておりますので、こういった中で少しでも働きかけを強めていただきたいと、そういったメッセージを発信していきたいと思っております。
また、後発医薬品につきましても、おっしゃるとおりでございまして、保険者の皆様が取り組めないような状況も想定されますので、こちらにつきまして、ワーキングの中での構成員の皆様方と議論をしっかりと丁寧にさせていただき、年度によって評価を勘案するような見直しを、都度都度かけさせていただきたいと思っているところでございます。
事務局からは以上でございます。
○津下座長 ありがとうございます。
私から1つだけ申し上げたいのは、これは保険者が、例えば受診勧奨をして医療機関を受診されるわけですけれども、そのあとに治療を中断しないように、医師、医療機関とかも、このような制度に呼応して患者さんが継続的に治療を続けていただけるような、そういう支援をお願いしたいと感じているところでございます。保険者は、この目標で頑張られるのですけれども、そこを一緒になって医療機関、専門職、さまざまな方が取り組んでいけるような社会づくりが必要なのではないかなと感じました。医師会のほうでも、ぜひ御協力をお願いしたいなと思います。
○茂松構成員 はい。津下先生、ありがとうございます。
先ほどちょっと1つ言い忘れたのですが、産業医、産業保健師との連携なのですが、最近、産業医の健康の説明とか相談があまりできていなくて、かなり無理して働いている方がかなり増えているということをお聞きしております。この辺のことも、本当にこれが廃止になっておりますけれども、この辺もちょっと注意が必要ではないかなと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
○津下座長 ありがとうございました。
それでは、山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 ありがとうございます。日本歯科医師会の山本です。
大枠については了承したところでございますが、31ページの大項目5に関する点でございますけれども、歯科健診あるいは歯科のいわゆる受診勧奨あるいは保健指導といったところです。これは、保険者の報告ということでアクティビティ評価のほうに入っているわけなのですが、例えば質問項目13が歯科の質問でございますけれども、そこにチェックのついた方についての数字というのは、人数として割合が出ると思うので、その辺を保険者から報告をしていただくことによって、そのアウトプット・アウトカムの定量評価というふうな形にできるのではないかと考えておりますので、次期の見直しの時期に、そういったようなことをお願いできればと思います。
それからもう1点なのですが、この配点については、これから今後の議論になるのか、その辺についてだけちょっと教えていただきたいと思います。
以上です。
○津下座長 事務局よりお願いいたします。
○大山主査 貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。がんや歯科に関する評価も、定量的に、客観的にしていきたいという思いは事務局としてもございますので、こちらにつきましては、省内とも連携し、また皆様からの御意見をいただきながら検討させていただきたいと思いますので、引き続き御指導、御助言をいただきたいと思っております。
点数につきましては、現状、ここで表示をさせていただいているものを最終案とさせていただいております。ただし、例えば取組が飽和しているものについては、指標として見直しをするときに配点を見直すとか、その配点の見直しによって余剰点が生まれた場合には、ほかの指標に配分をするのかとか、そういったものは今後の中間見直しのタイミング等にも検討させていただきたいと思いますが、現状は今お示ししているものがこの制度の最終的な点数案というふうに御理解いただけますと幸いでございます。
○山本構成員 ありがとうございました。わかりました。
○津下座長 ありがとうございました。となると、令和6年度から当面は3年間程度というか。
○大山主査 はい、そうです。現行の第3期制度をほぼ踏襲していて、例えば大項目5は現行制度と変わっておりませんので、その取組の推移などを見ながら、また3年間の間に進捗を確認し、3年後ぐらいにはもう一回見直しをするということになろうかと思っております。以上でございます。
○津下座長 よろしいでしょうか。その際に、13番の質問をどう扱うかなどについても、データをもとに議論ができればいいなというふうに思っております。ありがとうございました。
それでは、中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。協会けんぽの中島です。1点要望がございます。
まずは、この加算・減算の取りまとめ、大変お疲れさまでございました。大変丁寧に、かゆいところまで手が届くように基準をつくられたということで、大変感銘を受けております。
この加算・減算基準というのは、国として、各保険者にお願いをする保健事業の各論部分の方向性を詳細にお示しいただいたものだと、我々は受けとめています。各保険者が健康づくりを実施するときには、こういう方向性でそれぞれの各論部分を実施していただきたいという話だと思っています。そういう意味では、今後、各保険者は、データヘルス計画を策定することになっておりますし、各都道府県においては、医療費適正化計画を策定していくということになっております。当然のことながら、データヘルス計画というのは、各保険者が自分たちの保健事業についての6年計画をつくるということでありますし、都道府県の策定する医療費適正化計画というのは、保険者の保健事業というものが大きな柱の1つとして掲げられるということです。そういう意味では、現在、データヘルス計画策定の手引きの作成に向けた検討が進められておりますし、医療費適正化計画においても、都道府県に対して基本方針が示されるという段取りになっています。
今後、データヘルス計画策定の手引き、医療費適正化計画策定に当たっての基本方針と、この加算・減算で示された心構え、各論の方向性がしっかりと整合性がとれたものとして示されていくということが大変重要と思っておりますので、事務局におかれては、連携、整合性、総合性にぜひとも留意をいただければと思います。
以上です。
○津下座長 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○大山主査 中島構成員、御意見いただきましてありがとうございました。
医療費適正化計画、データヘルス計画、また健康日本21等の各種施策や制度計画と整合をとっていくということは、まさにおっしゃるとおりだと思っておりますので、本日も、医療費適正化対策推進室の堤が同席をさせていただいておりますが、省内でしっかりと連携をして進めていきたいと思っておりますので、どうぞ、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。
○津下座長 貴重な御指摘と思います。令和6年度、多くの計画が同時改定になりますので、省内、また委員の皆様もかなり重複して、といいますか、お互いに情報を確認しながら進めているところではないかと思います。これから個別保険者への説明の段に、本当に迷わないように、きちんと示していくことが重要かと思いました。
ほかにいかがでしょうか。岩崎構成員、お願いいたします。
○岩崎構成員 ありがとうございます。
詳細にまとめていただきまして、どうもありがとうございます。大変わかりやすく、具体性を持って次のステップへ進むものかなという印象を持ちました。
1つちょっと御質問ですけれども、以前、大項目7という形で被用者保険固有の取組の実施状況というのが、今回、大項目3という形で、より発展的解消というような形で、体制整備の中に盛り込まれる形でという御説明があったかと思いますけれども、だいぶいろいろなことが進んでいる中でということですので特段こだわるわけではございませんけれども、今、現場レベルで申し上げますと、いわゆる法令が異なる中で、保険者さんと、産業医、産業保健師等の活用をしながら現場で回しているところも多数あるかなと思っておりまして、それが後退しないようなイメージがあるとよろしいのかなと思っております。もちろんさまざまやることが今増えているところでございますので、保険者さん、事業者さんによって、それぞれの状況があるものですから、なかなか一律のというのは難しい点もあるかと思いますけれども、ちょっとその辺の見解というか。あわせまして今、産業保健のあり方の検討会が基準局のほうで進んでいるかと思いますけれども、その辺との、安全衛生部との連携状況について、どのようになっておられるかということについて、見解をちょっと教えていただければと思っております。
○津下座長 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○大山主査 厚生労働省、事務局でございます。
御意見いただきまして、ありがとうございます。また、御指摘のところは異論のないところでございます。
現在の状況を御説明させていただきますと、まず、こちらのコラボヘルスに関するような体制整備項目というのは、実際に事業主と保険者が連携をできているかというところまでを評価すると、御指摘のとおり、事業主の体力であったりとか保険者の体力によって公平に判断できない可能性、業種・業態によるもの、そして構成によるものの違いによって公平に判断できない場合がございますので、現状のコラボヘルスの取組の内容につきましては、例えば事業主に保険者が働きかけているかどうかという行為そのものを評価するようなものにしておりますので、これが保険者や事業主の単なる負担にならないようなものにしたいと思っているところでございまして、そこは念頭に置かせていただいております。
また、産業保健と医療保険者による保健事業のあり方、連携の仕方というのは、まさに基準局のほうで検討を進めているところでございまして、こちらには、各種、この検討会の構成員の皆様にお入りいただいているところかと思います。こちらにつきましても、丁寧に整理をしていきながら、その中で整理された項目というのはこの加減算制度の中に反映していくということも考え得ると思っておりますが、現在は検討中の状況でございますので、乱暴にここに入れるようなことや、また他方で後退させるようなこととかのないように、慎重に議論させていきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○津下座長 岩崎構成員、よろしいでしょうか。
○岩崎構成員 ありがとうございます。先ほども、全体としてこれまでの流れをいいところを継続しつつ、発展していくという大きな流れがあるということは認識いたしましたので、今の御説明で承知いたしました。ありがとうございます。
○津下座長 これは同時改定のいいところかもしれません。お互いに協議しながら進めていくという面と、ほかの部局が先走って決めて書くことが難しいという状況も実際にあるのかなと感じたところでございます。いろいろ出そろったときに整合性がとれているなというような受けとめになること、情報発信の仕方なども重要かなと感じました。ありがとうございました。
それでは、武藤構成員、お願いいたします。
○武藤構成員 武藤です。健診機関としての立場からちょっとだけ。
些細なことなのですけれども、28ページの大項目2の②の医療機関の受診率で、これは大変大事なことだと思っております。今回第4期になって、割と軽い受診勧奨判定値の方は、まずは薬ではなくて、医療機関で指導をまずしてもらいましょうというような流れになっていたと思います。実際、我々健診機関、特に人間ドックなんかですと、それぐらいの値の方は、当日に指導をして、また次回の健診で経過を見ましょうということで終わったりすることも結構多くあります。それからあと、産業保健の現場でそのぐらいの値の方ですと、1回産業医が指導をして、次回の健診で経過を見ましょうということです。つまり、保険診療せずにしっかり医師から指導が入ることも多いので、受診はしているけれども、保険診療にはなっていないので、多少評価が下がることもあるかなというふうに思っております。
あとちょっと質問なのですけれども、このNDBでわかるという保険診療の受診率ですけれども、これはほかの特定健診とは関係ない疾患との区別はできるのかどうかということをちょっと事務局にお伺いしたいと思います。お願いします。
○津下座長 2点で、1つは受診勧奨の基準値ですね。受診勧奨判定値をそのまま使うのかどうかという御指摘ではないかと思います。
○大山主査 受診勧奨基準値そのままというよりかは、これは標準的な健診・保健指導プログラムのフィードバック文例集の中で、速やかに医療機関の受診を要する者の基準値というものを定めておりまして、ここに該当する方が分母に算定されるというふうな形になっております。では、受診をしているかどうかというその分子の判定でございますが、これは特定健診の中で服薬をしているとか病院へ行っていることがわかるような情報があれば、それを分子に算定するということはもちろんのこと、高血圧、糖尿病、脂質異常症に関連する病気もしくはその疑いで受診をしたことがある、レセプトのICD10コードの主病、副病コードの算定からわかるようなものにつきましては、NDBから集計をいたしまして、そこを分子にも算定するということです。特定健診の結果とレセプトの結果を併用して取りにいくというふうに考えているところです。その点でいくと、1点目の保険診療ではないけれども、受診をしているというところは、一部漏れてしまうようなところもございますが、まずはその推移などを確認しながら、その後の運用についても検討していきたいと考えているところでございます。
御指摘については異論がないところでございまして、御意見いただきましてありがとうございます。
○津下座長 ありがとうございます。
ちょっと先走った話ですけれども、資料2の最後のほうに、19ページですね、大項目に医療機関への受診勧奨基準において速やかに受診を要する者の医療機関受診率について、収縮期血圧であれば160以上とか、拡張期は100以上とか、そういうような数字が上がっております。収縮期血圧が142、受診勧奨判定値だけれども、どうしようかという方は、分母にはならない、入っていないということです。これは標準的なプログラムのフィードバック文例集に示された「すぐに受診勧奨を行う」範囲となっており、無理がないラインで示すのかなと思っておりますが、武藤先生、いかがでしょうか。
○武藤構成員 わかりました。結構です。ありがとうございます。
○津下座長 医療機関で「え、どうして来たの?」と言われることもあります。血圧142ぐらいで、医療機関へ行ったときには下がっているとか、いろいろなことがあります。ただ、160以上ですと、すぐに受診を勧めるというのが普通だろうということにもなりますし、これはまさに標準的なプログラムと一致するということで、このような算定式も詳細に検討しているということになりますので、よろしくお願いいたします。
ほかによろしいでしょうか。大体予定していたお時間ともなってまいりましたので、御意見につきましては、今、事務局より御報告されましたワーキングの取りまとめについて、構成員の皆様、御承認いただけますでしょうか。
はい。ありがとうございます。皆様、うなずいていただいておりますので、それでは本内容を令和6年度から開始する第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度として取り扱うということにします。事務局には、今後、厚生労働省ホームページへの制度内容を掲載することや、説明会を通じた周知を行う等、保険者の理解促進に努めていただきますようお願いします。
ということで、この議題、令和6年度第4期の後期高齢者支援金の加算・減算制度の見直しの内容がこれで確定したということでございます。構成員の皆様、御承認いただきましてありがとうございます。
それでは、次に、そのほか配付された参考資料等を事務局より御説明があれば、よろしくお願いいたします。
○大山主査 津下座長、ありがとうございます。厚生労働省、事務局でございます。
皆様、制度に関する御了承をいただきまして、まことにありがとうございます。
説明を割愛してしまいましたが、資料2につきましては、これは加減算制度第4期そのものを説明する資料として御用意をさせていただいたものでございまして、この資料等をホームページに掲載をしたり、保険者の皆様への説明の場で用いらせていただくような想定を持っておるところでございますので、この資料をさらに今後もわかりやすく、そして丁寧にお伝えできるように、厚生労働省としても努めていきたいと思っておりますので、引き続き御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、次に参考資料1、参考資料2に関する御説明をさせていただきたいと思いますので、皆様、お手元に御準備いただけますでしょうか。
参考資料1、第3期後期高齢者支援金の加算・減算制度の効果検証及び保険者ヒアリングでございます。先ほど制度の説明、変更内容の説明の中で、保険者ヒアリングをさせていただいたことや、効果検証などをさせていただいたことを説明させていただきましたが、加減算制度がどのような効果を一定発揮しているかどうかというところの検証を事務局としてもしておりますので、その内容について御紹介をさせていただきたいというところでございます。
資料を3ページまでめくっていただきまして、検証の1つ目、第3期加算・減算制度が特定健診・保健指導実施率に与えた影響というところから御説明いたします。この3番目につきましては、表題はこのようになっておりますが、結論から端的に申し上げますと、特定健診・保健指導というのは、制度発足から堅調に右肩上がりになっていて、直近はコロナの影響等もあり足踏みするようなところもございましたが、現行は平均的に少しずつ少しずつ上がってきているというような、そういった現状を御説明させていただいている資料でございます。
その上で、4ページ目以降で具体的な検証でございますが、この資料というのは、加算対象となるその実施率の区間においての保険者の数の推移を追ったものでございます。赤枠に記載をさせていただいているところが特にそうでございますが、例えば区間2、単一でいけば45%以上57.5%の特定健診実施率の組合は、2018年度支援金においては30組合ございました。前提として、この30組合は18年度支援金の基準においては加算対象の実施率の層ではございませんので実際に加算にはなっていないのですけれども、翌年以降ここにとどまり続けると加算になってしまうというレイヤーでございます。ここについて、翌年に関しましては17組合、その翌年はさらに10組合というふうに、大きく減少しているということを御説明するものでございます。
同様に、5ページ目をご覧ください。今のは特定健診でございますが、特に保険者の努力値が反映されやすい特定保健指導に関しましても分析をしております。区間3と区間4のように確認をしております。例えば区間3は、単一健保であれば2.75~5.5%の層、総合健保等であれば1.5%~2.5%の層でございます。2018年度は105組合というなかなか多めの組合がここに該当しておりましたが、ここに来年もとどまり続ければ加算になってしまうという層から、この105組合は41組合まで減少しております。同様に区間4につきましては、2019年度支援金においては、ここは加算対象の区間ではございませんが、翌年にとどまり続けると加算対象になってしまうというところも、145組合から76組合ということで、半分ぐらい減っているというような、そういったものでございます。
続きまして、6ページ目をご覧ください。今のは保険者の数を追跡したものでございますが、より具体的に当該保険者がそのあとどうなったかという保険者単位で追跡をしている分析でございます。例えば特定健診の区間2でございますが、先ほど御説明のとおり、2018年度支援金というのは30組合が該当しておりましたが、その30組合がそれぞれ翌年はどこに分布しているかを追ったものでございます。まず区間1、区間2にとどまりつづけている組合は11組合ということで、およそ3分の1まで減っております。それ以外にも、区間3や、区間4、区間5、もしくは区間6まで大きくジャンプアップしているような、そういった組合もいるということをお示しするものでございます。
より顕著に効果があらわれているのが特定保健指導でございます。7ページ目をご覧いただけますでしょうか。先ほど申し上げた区間3、区間4に関する推移を保険者単位で、保険者ごとに、保険組合単位で追ったものでございますが、例えば特定保健指導の区間3は、2.75~5.5の層が先ほど105組合いると申し上げましたが、この組合は区間1、区間2にむしろ下がってしまう組合はございましたが、それはわずか8組合、とどまる組合は10組合というようなそういった状況でございまして、それ以外には、その1つ上の区間に38組合、さらにその1つ上の区間に45組合というふうに、大きく保健指導の取組状況を伸ばしているような組合がございます。これは、区間4においても、同じように言えるのではないかと検証しているところでございます。
それらまとめにつきまして、8ページ目に記載をさせていただいておりますが、2018~2020年度支援金において加算対象の特定健診・保健指導実施率の区間に該当する保険者というのは、年度の経過とともに減少傾向がみられております。つらつらと文字を書かせていただきました。各検証においても、半数以上の組合が1つ上の区間や、さらにその上の区間に移行するような動きを見せております。最下段のほうにまとめを記載させていただいておりますが、第3期の加算・減算制度、特に加算につきましては特定保健指導実施率が低調の保険者に加算を免れるための努力を促進し、特定保健指導実施率の底上げに一定程度寄与したものではないかと考えているところでございます。冒頭にも申し上げましたとおり、特定健診・保健指導の実施率を評価し、例えば減算の原資を確保するための加算というような意向は毛頭ないところでございまして、特定健診・保健指導の実施率を底上げていくといった付託に応えられるような制度に、今回も見直しをさせていただきましたし、今後も見直しをしていきたいと考えているところでございます。
こういった効果検証や保険者ヒアリング等を実施させていただいたところでございますが、参考資料2をご覧ください。ワーキングの中においても、現行の加算・減算制度の内容を見直すだけではなく根本的な議論が必要なのではないかと、そういったコメントも一部いただいているところでございますので、御紹介させていただきます。
例えば健康保険組合連合会、河本構成員は、ワーキングの中でも構成員をしていただき、検討会の中でも構成員として就任いただいております。まず冒頭のこのワーキングの5回の中の最初の回の中で、現行の加減算制度について、抜本的な見直しが必要だということ、また効果検証が必要だということを御意見いただいております。また、その加減算制度の仕組みが、特定健診・保健指導の実施率の向上に真に寄与しているかの検証とか、加算がインセンティブ改革という名のもとに加算対象保険者から減算の原資を徴収することが目的になっていないかということ、そういった方向性になっていないかということを整理する、検証するということが必要だということを御指摘いただいたところでございます。
またワーキングの最後にも、加減算制度のあり方について、「現行の健保組合と共済組合のみが支援金の加算減算制度の内容がある」ということや、「その他の保険者インセンティブとの比較」をして、よいところを検証しあうとか、そういったことを幅広に議論する必要があるのではないかということを御指摘されておりました。親会の中でも御報告をしていただきたいということで、今、現状、このように御報告をさせていただいているところでございます。
また、本検討会の座長である津下先生からも、こういった各保険者インセンティブに関するあり方に関して議論などが必要なのではないかと、そういった提起をいただいているところでございます。この内容について、事務局として今回報告を差し上げるものでございます。
事務局からの説明としては以上でございますが、こちらのコメントの当事者でございます河本構成員、何か補足等があればいただければと思いますが、よろしいでしょうか。
○河本構成員 ありがとうございます。
繰り返しになりますが、保険者インセンティブ制度については、国が推進する医療費適正化や予防・健康づくりの中でインセンティブの付与を通じて、特定健診・保健指導の実施率の引き上げ、保険者による保健事業の取組を推進するための施策であると認識をしております。
現状において、健保と共済のみがインセンティブ制度で加算という考え方を用いており、特定健診・保健指導の実施率が低調な場合には、後期高齢者支援金が増額されるというペナルティが科されています。
一方で、市町村国保の保険者努力支援制度の場合は、取組が低調な場合には国からの交付金が減額される制度であり、協会けんぽの場合には、インセンティブの原資を全支部から均一に徴収する制度であることから、ペナルティという感じではなくインセンティブであり、制度の建てつけも異なると理解をしております。
このような違いについて健保組合から不満の声が出ておりますが、各インセンティブ制度の目的が医療費適正化であるので、各制度が特定健診・保健指導の実施率の向上に真に寄与しているかということを検証し、今後のインセンティブ制度のあり方に関して保険者横断での議論が必要ではないかと考えています。これが、ワーキングでも申し上げた趣旨でございます。
○大山主査 事務局でございます。堤室長、お願いいたします。
○堤医療費適正化対策推進室長 保険局医療介護連携政策課医療費適正化対策推進室でございます。
平成29年度以前における医療保険者のインセンティブの仕組みに関しては、特定健診・保健指導の実施率を評価指標としておりまして、後期高齢者支援金の加減算を行ってきておりました。当時の仕組みは、今この保険者による健診・保健指導等に関する検討会における議論も踏まえまして、その後、協会けんぽや市町村国保等については後期高齢者支援金の加減算制度の対象から外すこととなっておりまして、それぞれの制度において、幅広く保険者の事業に対するインセンティブの仕組みとして運用していただいているものと承知しております。保険者種別ごとに適用されるインセンティブの仕組みや評価指標の違いは、保険者としての特性等の違いに基づいているものだと承知しております。現在の各インセンティブ制度の公平な比較や統一的な効果検証というのを画一的に行うことは困難だと思っておりまして、各保険者のインセンティブ制度は、制度ごとにそのあり方を考えていただくべきものと考えております。
加減算制度のあり方に関しましては、保険課から再度の説明をいただければと思います。
○原田保険課長 保険課長でございます。
ただいま河本構成員から御指摘いただいた点は、加減算制度の関係でございます。ただいま大山からも御説明させていただきましたけれども、効果検証の結果を御紹介させていただきました。我々といたしましても、加減算制度の足元の取組というのを推進していくという観点では、やはり一定の効果は出しているのではないかと考えてございます。
一方で、全保険者目標との関係で言いますと、やはりまだ取組は途上の段階にあるのかなと考えてございます。そうした意味で、加算が取組の底上げという趣旨で進められてございますけれども、一方で、将来的にこの取組が十分に進んだという段階になれば、この仕組み自体をどうするのかという話というのは、議論も出てくるのだろうと考えてございます。
一方で、現在、今足元を見ますと、特定健診・保健指導につきましては、第4期に向けた実施計画の策定の方向性が取りまとめられていると承知しておりますし、被用者保険者の中で見ましても、令和6年度から始まります第3期データヘルス計画に向けた見直しの方向性が、別の検討会ではございますけれども、取りまとめられてございます。そして、本日、加減算制度の第4期に向けて、皆様に取りまとめていただいたという段階でございます。
こうした中でございますので、まずは引き続き足元の取組、こうしたものを着実に進めるということ、また令和6年度以降に始まる新たな取組というものを推進していきながら、こうした結果が、効果検証にも引き続き取り組んでいくということになると思いますけれども、こうした取組の進捗状況を見つつ、加減算の仕組みというところがございますけれども、保険者の皆様を初めとする関係者の方々と、また議論の場を設けることを考えていきたいと考えてございます。
以上でございます。
○津下座長 ありがとうございました。
河本構成員、いかがでしょうか。
○河本構成員 議論の場の設定については感謝をいたします。インセンティブ制度については、その財源がなぜ後期高齢者支援金なのかということも含めて、あり方の議論をお願いしたいと思います。また、必要に応じて議論は公開で行っていただきたいと思います。
ご提案の進め方は一歩前進と思いますが、津下座長にもこの参考資料の中でコメントをいただいておりますけれども、特定健診・保健指導実施率が低調な場合に、罰則金の徴収と、支給額の減少とでの違いがあり、各保険制度の保険者の担当者間で実施率向上への危機感が大きく異なると思います。実施率の底上げのために、それぞれの保険者インセンティブ制度が機能しているかを医療費適正化計画のPDCAを回す観点からも、国として明確に示すべきであり、各保険制度での議論ではなくて、制度全体としての議論が必要ではないかと認識します。
○津下座長 ありがとうございました。
今、河本構成員より私のワーキングでのコメントを御紹介いただいたのですけれども。いろいろなインセンティブ制度の中で、どういうやり方が最も有効であるかとか、その保険者の特性に合ったものかということの議論が必要なのだろうということと思います。今回もヒアリングの中で、加算対象になりそうだ、なった保険者が、非常に頑張られて実施率を上げてきているということがありました。
一方で、国保の保険者努力支援制度においては、点数が高いところは比較的公表される傾向にあるのですが、低い自治体はあまりそこに関心がなかったりというようなこともありました。危機感の伝え方については、ペナルティというのは、かなり影響が大きいのだなということを感じたりしています。ただ、保険者の皆様が納得できる形で、どう進めていくかということの議論は、非常に重要だと思っております。加算は、保険者さんの努力もありますけれども、加入者個人に対して、健診・保健指導などが個人に届くということが非常に重要なので、たまたま所属した保険者の取組の違いで健診や保健指導の機会が得られない加入者がいるとしたら、そこは保険者さんに頑張っていただくような取組も強化すべきかなというふうにも思います。
一方で、現在進行中のマイナポータルの関係で、どんどん個人でも健診のデータを把握できるとか、健診を受けていないということが医療機関でも把握できるとか、制度がどんどん変わっていきつつあるところでもございますので、そのような情勢も踏まえながら、よりよい制度について、引き続き御検討いただくようお願いします。
協会けんぽさん、中島構成員、いらっしゃいますか。実施率が低いところに対しての協会けんぽさんとしての取組というのは、何か特徴的なことというのはございますでしょうか。いきなり振って申しわけないです。
○中島構成員 協会けんぽの保険料率については、都道府県支部ごとに、年齢、所得を補正した上で医療費の水準に連動するという形で保険料率を決めており、約1.18%の差が、新潟支部と佐賀支部の間で生じています。こういった保険料率の格差を縮小すべく、特定健診・保健指導の推進、ジェネリック医薬品の使用促進を実施しています。
協会けんぽの中でも、加減算制度と同様の仕組みを導入すべきという国からの御指示もあり、別途インセンティブ制度という形で、新たに制度を設けて、共通の原資をそれぞれ保険料収入からプールをして、それを、健診・保健指導等を熱心に実施している支部に再配分するという形にしています。ただ、この仕組みについては、支部の中から、既に保険料率の差が生じているのに、インセンティブ制度で更なる加算・減算が行われるというのは二重のペナルティなのではないかといった御意見も寄せられています。これに対して、そうは言うものの、健康づくりを協会けんぽとして実施していかなければならないということで御納得をいただいて、インセンティブ制度を運用し、見直しも行い、この検討会においても報告をさせていただいてきたというところです。こうした事情の中で、協会けんぽとしても、各支部の取組について、インセンティブ制度という形で促進を図らせていただいているところでございます。
以上でございます。
○津下座長 どうもありがとうございました。詳細に御説明いただきまして、ありがとうございました。協会けんぽさんは、全国の、単一なので、その中でのガバナンスというか、そういう形で対応されているということが理解できました。また引き続きの情報提供をよろしくお願いいたします。
ワーキングのときにも議論になったのですけれども、加算対象保険者の中で、先ほど資料の中で、7ページなのですけれども、右側にシフトしていく、加算対象になってどんどん頑張って上がっていく保険者が多い。これは一方すごく重要なことなのですけれども、毎年加算対象になってしまっている保険者さん、そこから上がりにくい保険者さんもあります。これに対してどのようにしていくのか。このような保険者に対する支援とか、実態調査とか、いろいろなことが必要なのではないかという意見がワーキングの中でも出ていたことは申し添えたいと思います。保険者が取り組みやすい環境をつくっていくということが非常に重要でありますので、さらに検討を進めていき、いつも加算ということにならないようにどうしたらいいのかということも、1つ論点なのかなと感じたところでございます。
よろしいでしょうか。ほかに、この制度全体についての御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。
加算・減算制度というのは、特定健診・保健指導実施率を上げていき、1人ひとりに健康づくりを促していく重要な機会を増やしていくという制度ではありますが、一方では、河本構成員がおっしゃられたように、ペナルティ的な要素を含んでいて、その運用が非常に難しい制度でもあるのかなと感じております。この制度がよりよく運営されることを期待しまして、本日の会議をこれで閉じたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○大山主査 ありがとうございます。
○津下座長 それでは、本日、これにて閉会とさせていただきます。
お忙しい中、御参集いただき、活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
〔了〕