第22回厚生科学審議会がん登録部会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和5年3月8日(水)9:00~12:00

場所

オンライン開催

議題

  1. (1)全国がん登録及び院内がん登録における課題について【公開】
  2. (2)新規申出の全国がん登録情報の提供について【非公開】

議事

議事内容
○原澤推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第22回「厚生科学審議会がん登録部会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の原澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の検討会につきましてはYouTubeにおいて配信をしておりますので、その点御承知おきいただければと思います。
 委員の皆様方におかれましては、参加中、基本的にはマイクをミュートにしていただき、御発言の際には挙手ボタンで挙手をいただきまして、こちらからもしくは部会長から御指名がございましたら、初めにお名前をおっしゃっていただいてから御意見、御発言いただくようにお願いを申し上げます。
 それでは、まず初めに、事務局から委員の変更について御報告させていただきます。
 本年1月まで読売新聞東京本社編集局医療部編集委員の本田麻由美委員に委員として御参加いただいておりましたが、改めまして、今回より産経新聞社論説委員の佐藤好美様に委員として御参加いただくことになりましたので、佐藤様から一言御挨拶をいただければと思います。佐藤委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤好美です。勉強をしながら真摯に参加していきたいと思います。よろしくお願いします。
○原澤推進官 佐藤委員、ありがとうございます。
 それでは、続きまして、委員の出欠状況について御報告させていただきます。本日は、小俣智子委員、名越澄子委員、中村康彦委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、祖父江友孝委員からは途中からの出席とのこと、黒瀨巌委員、亀井美和子委員からはそれぞれ途中退席なさるという御連絡を頂戴しております。
 以上まとめまして、本日のがん登録部会における委員及び議事に関係のある臨時委員定数14名に対しまして、現在11名が御参加いただいております。がん登録部会における委員及び議事に関係のある臨時委員のうち過半数8名以上が出席しておりますので、厚生科学審議会令にある議事運営に必要な委員及び議事に関係のある臨時委員の過半数を満たしていることを御報告申し上げます。
 また、本日、参考人として、国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターのセンター長、東尚弘参考人、国立がん研究センターがん対策研究所国際政策研究部部長、松田智大参考人に御出席をいただいておりますので、あわせて御報告させていただきます。
 最後に、健康局長でございますが、本日、公務のため欠席とさせていただきます。御了承ください。
 それでは、以後の進行は辻部会長にお願いしたいと思います。部会長、どうぞよろしくお願いいたします。
○辻部会長 皆さん、おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。
 まずは事務局から資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料は委員の皆様方に事前にメールでお送りさせていただいておりますが、厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。
 議事次第、資料1及び参考資料1から14がございますので御確認ください。
 なお、参考資料10から14は非公開資料となっております。
 資料の不足、落丁等がございましたら事務局までお申し出ください。
 事務局からは以上です。
 それでは、辻部会長、議題をよろしくお願いします。
○辻部会長 それでは、資料等に問題なければ議事に入りたいと思いますが、皆様、よろしいでしょうか。
 それでは、議題「全国がん登録及び院内がん登録における課題について」に入りたいと思います。
 現行のがん登録等の推進に関する法律における課題につきまして、参考資料4「がん登録部会における議題の整理」にまとめておりますように、令和3年12月9日の第18回厚生科学審議会がん登録部会から御議論いただいております。本日は、特に御議論いただきたい課題といたしまして、「全国がん登録情報等の国外提供に係るルールの明確化」ということを取り上げてございます。まず事務局から資料1の御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。資料1「全国がん登録情報等の国外提供に係るルールの明確化」について御説明いたします。
 資料2枚目を御覧ください。本日御議論いただく課題は、令和3年12月9日開催の第18会厚生科学審議会がん登録部会でお示しした参考資料4、全国がん登録及び院内がん登録における課題一覧のうち、課題2「全国がん登録情報等の利用及び提供について」の全国がん登録情報等の国外提供に係るルールの明確化でございます。前回のがん登録部会での議論を踏まえて、今回の課題を設定しております。
 まず、がん登録情報の国外提供は、国際比較などに用いることで我が国のがん対策の推進への貢献が期待される中、今後、現状提供が可能な主体以外の主体への提供が求められることが想定されます。その場合においても、情報の厳格な保護のためには、安全管理措置の実効性を担保する措置を講ずる等の対応が求められると考えられます。
 ここで改めて、現行のがん登録推進法における厚生労働大臣による全国がん登録情報等の提供に係る規定について確認しますと、大きく分けて、第17条第1項にある国のがん対策の企画立案等に必要な調査研究のための利用等の場合と、第21条第3項の非匿名化、第4項の匿名化情報におけるその他の調査研究のための利用等の場合がございます。
 全国がん登録情報等の国外提供については、がん登録推進法等において明確な規定がなく、令和3年9月29日、第17回厚生科学審議会がん登録部会において、現行法における当面の運用として、法第17条第1項第2号に基づく申出について、一定の要件を満たす場合に国外提供を可能とする対応案を提示し、了承を得たところです。
 具体的には、第17条第1項第2号に該当する委託を受けた者等が外国政府または日本が加盟している国際機関等の公的機関であって、かつ、委託等を行う国の行政機関もしくは独立行政法人が提供依頼申出者となり共同で責任を負う場合について、国外提供が可能と整理しています。
 一方で、国外にある第三者を直接の提供依頼申出者とする申出については、がん登録推進法に基づく安全管理措置等の実効性の担保について懸念があることから、現時点では提供不可とされ、引き続き慎重な検討が、求められているところです。
 課題をまとめます。がん登録推進法施行前である2015年まで地域がん登録の実施時に行われていた国際共同研究や国際機関へのデータ提供の機会が制限され、全国がん登録情報の十分な活用ができていないという指摘がございます。令和3年9月29日の第17回がん登録部会において、現行法における当面の運用として、一定の要件を満たす場合に了承を得た法第17条第1項第2号に基づく申出以外の利用や、国外にある第三者を直接の提供依頼申出者とする利用等は、がん登録推進法に基づく安全管理措置等の実効性の担保について懸念があることから、現時点では提供を不可としており、我が国のがん対策の一層の充実と情報の厳格な保護の観点から、適切な国外提供の在り方について引き続きの検討が求められています。
 諸外国のがん登録情報の取扱いについて当課調べでまとめております。ここに挙げた5か国においては、一定の条件の下、がん登録情報の国外提供が可能となっております。アメリカでは、地域によって適用法令は異なりますが、基本的に国外の研究者を含め、誰でもプラットフォーム上で利用申請が可能となっています。フランスとスウェーデンは、EUの一般データ保護規則の下、欧州委員会によって適切な個人情報の保護が図られている国に提供可能です。スイスは、スイスのがん登録法の下、国際協力が利用目的に明記され、匿名化された形式で外国の機関及び国際機関に伝達することができるとされています。イギリスはデータ保護法の下、ケースごとに審議され、国外提供の可否が検討されます。加えて、諸外国のがん登録情報を我が国で使用したことがあるか、国立がん研究センターの研究者に照会したところ、タイ、ベトナム、インドネシア、アメリカ、オランダのがん登録情報の提供を受けた実績があると回答があったところでございます。
 事務局から、がん登録情報の国外提供の考え方について項目ごとに考え方を整理しましたので提案します。
 1つ目の利用目的は、国際比較等の観点から我が国のがん対策に資すると認められる場合のみ、提供可能としてはいかがでしょうか。がん登録情報の利用が我が国のがん対策の推進に寄与すると考えられ、それが国際比較や複数国での共同研究である必要性が認められる場合には、国外提供も可能とする考え方です。
 2つ目の提供依頼申出者は、国内にある者のみとして、国外の利用者単独による申出は不可とし、国外提供は国内の申出者との共同責任の下、国外の利用者が利用する場合のみに限定してはいかがでしょうか。がん医療の質の向上等による国のがん対策の一層の充実に資することが目的であるため、国内研究者が体制に組み込まれていないような国内に申出者が不在である海外の研究を可とする根拠が乏しいです。また、国外の利用者に対し、厚労省が直接実行力をもって安全管理措置の是正に係る措置を講ずることが容易ではない点からも、国外の利用者を申出者とする利用は認めづらいところです。
 3つ目の国外の利用者は、提供された情報について、その漏えい、滅失及び毀損の防止その他の適切な管理のために必要な措置を講じていることを前提としてはいかがでしょうか。具体的には、国民の権利利益の保護の観点から、日本と同等の水準の個人情報の保護に関する制度を有している外国にあることや、データの取扱いについてがん登録推進法に定められた基準に適合する体制を整備していること等を個別に確認することを想定しています。
 加えて、国際がん研究機関(IARC)のような日本が加盟する国際機関やその下部組織でがん対策に係る者か、または、日本以外の外国政府等からがん登録情報等の提供を受けている、または受ける見込みが確実であり、また、国際的ながん研究で相当の実績を持つ者のいずれかに該当する者であることを提案します。さらに、研究成果または提供状況について一定期間等ごとに公表されることを提案します。
 4つ目の提供可能な情報の範囲は、顕名情報は提供不可とし、匿名化を行った情報を、必要な範囲に限り提供を行うこととしてはいかがでしょうか。また、目的が達成可能な場合は集計形式での提供も検討してはいかがでしょうか。顕名情報の国外提供は地域がん登録時代を含めて実績がございませんし、顕名情報が必須となる事情が想定しづらいため、個人情報その他の国民利益保護の観点から不可としてはいかがでしょうか。
 また、匿名化情報については、現行法においても、当該がんに係る調査研究に必要な限度でとされていますが、国外利用においては特に慎重な判断を行い、集計値の提供でも目的が十分に達成可能な場合は集計値での提供も検討してはいかがでしょうか。
 参考として、がん登録推進法における匿名化の例をお示しします。がん登録推進法における匿名化の加工基準は、運用上原則、個人情報保護法における匿名加工と同等の加工基準によるとされています。ただし、がん登録法における匿名化がなされているかの判断が困難な場合には、がん登録部会の意見を聞いた上で個別に判断されています。
 ここで、国外提供可能な匿名化された情報のイメージとして、国際がん研究機関(IARC)に提供した個票形式の全国がん登録情報例をお示しします。全国がん登録で収集する26項目に登録されている情報のうち、一部を加工・抽出して提供した実際の個票がこちらになります。
 5つ目の安全管理措置について、がん登録推進法等に基づく安全管理措置が国内の提供依頼申出者及び国外の利用者により遵守されるような実効性を担保するための措置を検討してはいかがでしょうか。
 国内の提供依頼申出者が国外での利用における安全管理についても共同で責任を負うことを利用規約等で明確にするとともに、国外の利用者についても安全管理措置が遵守されるよう、実効性担保のための措置について検討してはいかがでしょうか。
 また、国外の利用者ががん登録推進法に基づく安全管理措置等について十分に理解、実施できるよう、国内の提供依頼申出者が責任を持って説明やフォローアップ等の対応を行うことを利用規約等で明確にすることも検討されます。
 提供依頼申出者に対して、国外の利用場所における安全管理体制や利用場所で適用される個人情報保護法制、または規約等について、審査等において必要な説明を求めることも提案します。
 6つ目の利用の周知について、国外提供に当たっては、研究ホームページ等でがん登録情報の利用について周知するよう求めてはいかがでしょうか。匿名化された情報のみの提供となるため、同意の取得は必要ありませんが、日本語記載の研究ホームページ等のような一般の市民が確認できる場所でがん登録情報の利用を公開し、適切な情報公開を行うことを提案します。
 7つ目の審査について、提供の可否の判断に当たっては、審議会等において個別具体的に審査を行うこととしてはいかがでしょうか。国外提供については一定の要件を設けた上で利用目的、利用の形式、提供依頼申出者及び国外の利用者の体制、安全管理に係る事項等を個別具体的に審査することを提案します。
 8つ目のその他として、国外の利用者にも安全管理措置等が遵守されるよう、実効性を担保する措置を講ずべきではないでしょうか。国外の利用者についても、知り得た情報を不当な目的で使用したり、安全管理措置のがん登録推進法の規定に違反した場合について、実効性を担保する措置を講ずることを提案します。
 事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
 ただいま御説明のありました資料1につきまして、委員の皆様から御意見、御質問をいただきたいと思います。資料の8枚目以降にありますがん登録情報の国外提供の考え方ということで、3ページにまとめていただきましたけれども、その項目ごとに御議論いただきたいと思います。
 まず最初に、利用目的につきまして、御意見いただけますでしょうか。
 大木先生。
○大木委員 大木です。利用目的についてですが、日本は世界に誇る保健医療の先進国だと私は思っております。国際的なリーダーとして牽引していくという使命もあると考えており、最初の期待されることの中にも国際的な対策の牽引ということが述べられているように、これは本当に重要なことだと思っています。
 我が国のがん対策の推進に寄与するというのはもちろんのことですが、それだけではなく、「世界のがん対策にも寄与する」というような国際的な視点を入れていただくことはいかがでしょうか。方向性として提案したいと思っています。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 では、松本委員、お願いします。
○松本委員 ありがとうございます。松本でございます。スライドの3ページの期待されることの一つとして、地域特異な希少がん等の観察に基づく、がん罹患のメカニズムの解明ということが挙げられています。現在、国外提供がされていないことによって、この点においてどういうデメリットがあるのかということ、これは参考人にお尋ねするのがよいのかなとも思います。がん登録推進法の基本理念の中に、国民への還元ということが明確にされています。私たち患者・家族、特に希少がんの患者にとってはこういったデータを利用することによって益を得ることというのは大変大きな期待があるものですので、希少がん等の情報について、どういう益が期待されるのか。そして、今、国外提供がされていない中で、どういう益を失うおそれがあるのかについて、参考人の方からお話をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○辻部会長 それでは、これにつきまして、本日、参考人で東先生、それから松田先生にお越しいただいています。松田先生からどうぞ。
○松田参考人 国立がん研究センターの松田と申します。よろしくお願いいたします。
 今、松本委員からお話があった希少がんについては、日本と台湾、韓国、タイ等で希少がんの国際標準分類に基づいてがん統計データを比較するような研究も進めて、公表もしているのですけれども、1か所にデータをまとめるということができなかったので、各国で同じやり方でやろうという合意の下で、同じソフトを使って計算した結果を見せ合う、持ち寄るというような形での国際共同研究を実施いたしました。これで科学的に問題があるかと言われると、そこで完全に何か物事ができないというわけではないのですけれども、やはり個別データを交換し合って、1か所に集めて精度管理を実施するですとか、同じやり方で計算をしたといっても、科学的な研究者の視点で見ると、果たして同じやり方でやれたのかどうかという不安もありますし、また、何か追加でこういう解析をしてみようということが共同研究者の間であった場合にも、一々新しいプログラムを全員に配布して同じやり方でやるということになって、やはり迅速性ですとか、それから厳密に言ったときの比較可能性の信頼性というところで不安が残るという状況です。ですので、それが国際共同研究という形で海外に情報を提供できて、例えば日タイ韓ですとかベトナムということで、韓国が主体となって何かデータ解析をするという形になれば、今までのやっていたペースをよりスピードアップできますし、それから、生存解析等は1か所に集めてモデリングをすることによって、各国でやった解析を持ち寄るよりは、より緻密に、より正確な国際共同研究、希少がんの統計の国際比較もできますので、今全くできていないという状況ではないのですけれども、スピードアップと信頼性の向上という点ではすごくこれが必要だなと感じております。
 以上です。
○辻部会長 松本委員、いかがでしょうか。
○松本委員 ありがとうございました。
○辻部会長 ほかにどなたかございますか。ございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、これは事務局の御提案いただいた国際比較の観点ということと、もう一つは、我が国のがん対策の推進に寄与するような複数国での共同研究ということも含めて利用目的とするということでいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 それでは、2つ目の提供依頼申出者について、いかがでしょうか。これは資料の8ページにございますけれども、申出者は国内にある者のみとしてはどうかということになりますが、いかがでしょうか。委員の皆様から御質問、御意見はございますでしょうか。
 坂元委員、手が挙がっていますね。お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。この申出者が国内にいるということは何を意味するかというと、例えば申出者が2年間海外留学をしたときとか、海外に長期滞在せざるを得ないときの取扱いとか、国内にあるという者が日本人ではなく外国人の場合にどうかとか、その辺の基準について、もし何か分かればお教えいただきたいと思います。
○辻部会長 では、事務局から御返答をお願いできますか。
○事務局 事務局でございます。最初の日本の方が留学に行って不在になるというケース等について、物理的にその方が国内にいらっしゃらなくなりますので、その場合は利用不可。日本の方であっても、海外にいる場合には直接がん情報を使うということは考えておりませんので、その場合は利用不可とします。そして、日本にいる外国の方について、こちらは利用可能と考えております。利用については国籍問わず、国内にいる者であれば提供依頼申出者となり得るということで整理しております。
 以上です。
○辻部会長 坂元委員、いかがでしょうか。
○坂元委員 結構です。ただ、国内にいるといったのも、短期滞在とかは駄目で、やはり一定の在留資格というものの基準はある程度必要だと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○辻部会長 事務局、お願いします。
○事務局 ありがとうございます。その点について、海外の方で日本にいる場合、どれぐらいそのまま日本にいらっしゃる方であれば認められるか等については、また検討させていただきたいと思います。貴重な御指摘をありがとうございます。
○坂元委員 ありがとうございます。結構でございます。
○辻部会長 ありがとうございます。では、白井委員、お願いします。
○白井委員 よろしくお願いします。枚方市保健所の白井です。私も同様なところが疑問だったのですけれども、国籍を問わないであるとか、居住がどうなのかということで御回答いただいたのは、御検討いただくということで分かりました。
 また、国内にある者というのが、個人を問わないというか、個人なのか、団体または機関としてなのかということについて、具体的にどのような想定かをお聞かせいただきたいのと、国内にあるといっても、先ほどの御説明では、例えば海外にいる日本の方は申請ができないといったような状況かもしれないのですけれども、ただ、実際に申請については足を運んで紙ベースで申請するのかとか、そういう状況では将来的にはないのではないかと思いますので、そういった場合にオンラインでの申請とか、そういうことを想定はしないのでしょうかと思いましたので、意見として申し上げたいと思います。
○辻部会長 ありがとうございます。
 では、事務局、いかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。提供依頼申出者を国内にある者とした最大の背景としては、オンラインか紙かという申出申請の様式にフォーカスしたわけではなく、あくまで安全管理措置をしっかりと講じていて、しかるべきときに事務局ないし提供者からコミュニケーションが取れる状況にあるべきであるということが考え方の背景にございますので、そういった安全管理の点を考えますと、国内にいる者が適切であると考えております。
 以上です。
○辻部会長 白井委員、いかがでしょうか。
○白井委員 分かりました。連絡がいろいろと円滑に取れるような状況にあることの前提ということで理解しました。ありがとうございます。
 あと、組織とか個人ということについてはいかがでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。国内にある者というところは、組織も含む考え方と我々は整理しております。
 以上です。
○白井委員 ありがとうございます。
○辻部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。お願いします。
○石井委員 中央大学の石井です。申出者を国内にある者のみとするという点ですが、これは是正措置を求める場合ですとか、厚生労働省が何かしらの執行をするときの相手というのは、あくまで国内の者を対象としていて、国外に法令を適用することは考えていらっしゃらないという理解でしょうか。
○辻部会長 では、事務局、お願いします。
○事務局 事務局です。すみません。ちょっと音声が分かりにくかったのですけれども、もう一度お願いしてもいいでしょうか。
○石井委員 是正措置の話ですが、厚生労働省ないしは場合によっては一般法に基づいて個人情報保護委員会が出てくる場合があるかもしれないのですが、執行の対象ですね。実効性を持って是正措置を求める相手というのは、国内の利用者のみになるのか、あるいは国外にも法令を適用することを想定されているのかについてお聞きできればと思います。
○事務局 事務局です。ありがとうございます。
 まず、国内の者に対して実効性を持ってそういったものを適用しようと考えておりますが、体制として国外の者にもそういった規定が適用できるように今後体制を構築していきたいと考えております。まずは国内の者に確実に適用できるようにと考えております。
○石井委員 是正措置の内容はどういう内容になるのですか。提供も今後は認めないというようにするのか、安全管理措置を講じるように、国内の事業者を通じて国外の者に求めていくのか、あるいはおっしゃったように国外の者に直接安全管理措置を講じるように、国外にもこれを適用できるようにするのかというのは、具体的な措置はどういう方法になるのでしょうか。
○事務局 事務局でございます。石井委員、ありがとうございます。具体的にどういった措置を講じていくかというところは、また今後、詳細に詰めていきたいと思いますが、逆に石井委員からもしこういった措置を講じておくべきという基本的な考え方がございましたら、御提案いただけますと幸いです。
○石井委員 個人情報保護法上は助言ですとか指導の仕組みがあるほか、勧告ですとか命令という措置を講じることができるようになっていますので、やり方としては同じような方法になるのかなと思いますが、国外の例えばGDPRとかですと、国外提供については監督機関が外国への提供をさせないように、提供停止を求めていったりするような仕組みもあったりしますので、その辺りの国外の制度を御参考にしてみるというのも方法としてはあるとは思います。ただ、一回出てしまったものについては回収しても意味がないですし、その辺はやむを得ない点がどうしても出てきてしまうということかと思います。
○辻部会長 これについてはもう少し具体的なところを今後詰めていくというところで事務局にお願いしたいと思います。石井先生、大変貴重な御意見をありがとうございました。
 では、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 この中の国外の利用者のところに国際がん研究機関(IARC)等というふうになっているのですが、国際がん研究機関というのは加盟国がアジアだと日本、韓国と非常に限られているのですが、これは松田先生への質問なのですが、この加盟というのは非常に難しいのか、かなりハードルがあるのか、一定の倫理規程とかを設けていないと加入できないとか、もしお分かりになれば、松田先生、お教え願えれば幸いに存じます。
○辻部会長 松田先生、お願いします。
○松田参考人 IARCへの加入自体は、特に何か個人情報保護についての審査があるわけではなく、国としてIARCに加盟申請をして、それなりにお金を加盟費といいますか、会費を払わなければいけないので、その辺りでなかなか東南アジアの国等は二の足を踏んでいるのかなと思います。中国が既に昨年加盟いたしました。
○辻部会長 坂元委員、よろしいですか。
○坂元委員 ありがとうございます。
○辻部会長 では、天野委員、お願いします。
○天野委員 ありがとうございます。私も国外の利用者についての確認で、細かいところで念のための確認です。文言だけの確認ですが、「日本と同等の水準の個人情報の保護に関する制度を有している外国にあることや」という部分がございます。これと同様の議論がほかの領域になりますが全ゲノム解析に関する国外情報提供でも論点として挙がっていたと記憶しておりまして、その際に、こういった文言があることによって、EUもしくは英国といった特定の国に限局されてしまう可能性があるということで、そちらのほうでも改めて議論されていることがあるかと思うのですが、この文言があることによって特定の国に限定されてしまう。例えば具体的な国名で言えば、アメリカなどの非常にがん対策上、がん研究上有益な国に対して情報提供ができなくなる可能性があるのかということについて、念のため確認をさせてください。
○辻部会長 これは既に国外の利用者、次の項目に入っていますけれども、事務局からお答えをお願いします。
○事務局 ありがとうございます。今、天野委員に御指摘いただいた部分につきましては、こちらはあくまで国外の利用者の例として挙げたところでございまして、必ずしも日本と同等の水準の個人情報の保護に関する制度を有している外国でなければいけないという部分ではございません。この辺り、どういった国に提供できるか等については、個別の審査も含めて検討していくところと現状では整理しております。
 以上です。
○辻部会長 天野委員、いかがでしょうか。
○天野委員 承知いたしました。ありがとうございました。
○辻部会長 では、山本委員、お願いします。
○山本(隆)委員 国内と書かれているのですけれども、国内の意味というのは、やはり行政権が及ぶといいますか、がん登録に関しての指導が及ぶ範囲という意味だと思うのですけれども、そうすると国内であってそれが及ばない場所も、例えば大使館の中とか米軍基地の中とかあり得ると思うのです。したがって、これは国内という書き方が正しいのか、あるいは国内法が及ぶ範囲という書き方が正しいのか、いかがでしょうか。事務局または石井先生にお聞きしてもいいかと思うのですけれども。
○辻部会長 では、まず事務局、お願いします。
○事務局 事務局です。山本委員、ありがとうございます。御指摘を踏まえて事務局でもその点については精査してまいります。
 以上です。
○辻部会長 では、石井委員、何かございますか。
○石井委員 ありがとうございます。個人情報保護法の中にも外国への影響に関する規定がありますので、それに沿った解釈になると思いますが、一般論としては、日本国内の領土に効力が及ぶという一般的な法令にも適用されるような国内・国外の規律と同じ意味だというように捉えています。
○辻部会長 では、有賀委員、お願いします。
○有賀委員 ありがとうございます。有賀でございます。
 今までは国内のパートナーとしては国の行政機関もしくは独立行政法人であると5枚目のスライドに記載されています。そのように実行してきたと思います。これが今回、8枚目のスライドのとおり、申出者は国内にある者のみと条件が広くなったと理解しています。このとき、申出者は国内にある者のみであれば、必ずしも共同研究者であるとは読み込めません。例えば国外でこの申請を希望している者が日本に、国内の申出者、共同研究者が特にいないので紹介をしてほしい。つまり、共同研究ではなく、申出のためのパートナーとして国内にある者の紹介を希望してきた場合にどのように考えていくか。今回、利用目的が国際比較とうたわれるならば、あくまでもこれは国内の共同研究者と理解できるのですが、そこを確認させていただければと思います。
○辻部会長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局です。有賀委員の御指摘の点については、その点も踏まえて事務局で整理していきたいと思っております。
 以上です。
○辻部会長 石井委員、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。先ほどの御質問は外国ですけれども、個人情報保護法上は本邦の域外にある国または地域となっていますので、文言上はそういうふうに定められているということについて補足させていただきました。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
 それでは、まとめさせていただきますけれども、基本的には事務局提案の申出者は国内にある者のみというところでよろしいかと思うのですが、一つ整理としては、これは国籍ではなくて、日本国内にいるかいないかということで、外国人が日本にいる場合は申出可能、日本人が外国にいるときは申出ができないということで、国籍を問わず、居住が国内外の別によるということで解釈をするということです。国内にある者については共同研究者にするかどうか、それから、国内の定義については今後詳細を詰めていただくということなのですが、いずれにしても、最終的にはあらゆる申出、申請は、このがん登録部会で個別に審査されますので、そこのところをお含みおきいただきながら全体のところを合意していただければということでお願いしたいと思います。
 では、その次ですが、3つ目の国外の利用者についてはいかがでしょうか。
 石井委員、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。こちらの考え方は、個人情報保護法の外国にある第三者への提供の中でも、基準適合体制に即した取扱いを行うという、その考え方に基づいて御整理されているというように受け止めております。私は個人情報保護法に則した整理をしていただいているという認識ではありますが、問題は、日本と同等の水準の個人情報の保護に関する制度というのが何を示しているのかということと、データの取扱いについて、がん登録推進法に定められた基準という、その基準が明確とは言えないのではないかというところが課題としてはあると思いますので、ここの基準をどう詰めていくかというところが、日本と同等の水準といったときの水準のレベルですとか内容、それから、がん登録推進法に定められた基準とありますので、その基準を定めないといけないと思いますので、そこをいかに詰められるかによるのだと思います。
 以上です。
○辻部会長 今、お二人の方から手が挙がっていますので、お二人の御意見をいただいてから事務局あるいは全体で討論したいと思います。まず、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。産経新聞の佐藤です。マル2の以下のいずれかに該当するものであること、のところで気になった部分があるので発言させていただきます。2ポツのほうなのですけれども、外国政府等からがん登録情報等の提供を受けているなどと要件が書いてあるのですけれども、組織がどのような組織であるかというのは書かれていません。例えば医療機関、研究機関等なのか、あるいは企業、NDBデータは企業が使えるようになりましたけれども、そこまで含むのかどうか。書かなくていいのか、書かないのであればこの要件についてもう少し明確化する必要があるのではないかということをちょっと疑問に感じました。
 以上です。よろしくお願いします。
○辻部会長 ありがとうございます。
 では、大木委員、お願いします。
○大木委員 大木です。私も同じ点の質問です。国外の利用者のマル2の2つ目の外国政府等からがん登録情報等の提供を受けている又は受ける見込みが確実という文章ですが、これはこの前の5大陸のがん罹患とか、CONCORDの生存率研究のような世界中のデータを集めるイメージですけれども、例えば2国間であったりするような研究についても適用されるか、解釈もできるのかといった辺りをお尋ねしたいと思います。
 以上です。
○辻部会長 松田参考人、お願いします。
○松田参考人 参考人としてデータ利用の観点からなのですが、先ほどの天野委員の御指摘とも関連するのですけれども、マル1の部分で、日本と同等の水準のというところがある文章ですが、日本と同等の水準があるところでいえば、国内の利用者と同じように判断していただき、そうでない国については個別判断で安全が確保できれば利用できるというように、できれば審査の簡略化というか、GDPR下にあるような国との共同研究であれば、特にフロアの写真を撮って送るとか、すごく厳密な安全管理の審査をしなくても大丈夫だというような規定に設定していただけたら、利用者としては非常にありがたいと思っております。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。ただいま3名の委員と1名の参考人から御意見をいただきました。これにつきまして、事務局からいかがでしょうか。
○事務局 事務局です。石井委員からいただきました日本と同等の水準の個人情報の保護に関する制度を有しているところの判断、そして、がん登録推進法に定められた基準という部分の明確化について、また事務局のほうで整理していきたいと思っております。
 そして、佐藤委員からいただきました国外の利用者の範囲の部分です日本以外の外国政府等からという部分について、こちらも明示するメリット、デメリット、明示しないメリット、デメリット、その点も踏まえてまた精査していきたいと思っております。
 大木委員から御指摘の2国間での共同利用という部分につきましても、さらに詰めていきたいと思っております。
 松田参考人からの御指摘は、国外の利用者についての考え方というところで少し視点をいただいたと認識しておりますので、貴重な御意見を承りましたというところでお返事させていただきます。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 委員の皆様からほかに御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、私のほうでまとめさせていただきますが、基本的には、マル1、マル2、マル3について大筋としてはこれで了解いただいたということでまとめたいと思います。一方、この規準ですね。日本と同等の水準の個人情報の保護、あるいはがん登録推進法に定められた基準についてはまだ明示されておりませんので、今後、事務局でまた具体化していただくということ。それから、2国間の利用ですとか国内の申出者についても、まだ若干検討を要するところがありますので、その辺りを今後どこまで具体化するかということも含めて、事務局からまた御提案いただきまして再度詰めていくということで、国外の利用者に書かれているマル1、マル2、マル3については、大筋としては認めるということでよろしゅうございますでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、お認めいただいたということで、4つ目に移りたいと思います。提供可能な情報の範囲について、いかがでしょうか。
○原澤推進官 部会長、事務局から1点よろしいでしょうか。
○辻部会長 どうぞ。
○原澤推進官 おまとめいただきありがとうございます。今の1/3のページの点で種々御意見を頂戴して、部会長がおっしゃっていただいたように今後詰めていくということだと理解しています。その上で、先ほど先生方から、この点はどういうふうに今後整理するのかと御発言いただいた内容のうち、最後に松田参考人がおっしゃっていただいたように、こういう観点で、こういうふうにしてほしいので、こういう整理にしたほうがいいのではないかという御意見がおありであれば、追加で御発言を委員の先生方からもいただければと思った次第です。例えば佐藤委員が御発言いただいた主体組織をこういう範囲に、こういう趣旨で整理していくといいんじゃないかですとか、大木委員からも先ほどおっしゃっていただいた、少し規模の小さい2国間の研究でも提供できるようにするべきではないかとか、その趣旨があまりはっきりしない御質問でもあったかと思ったので、もしそういった趣旨の補足があれば、今後の議論の参考に大変なるのでいただけたらと思った次第です。差し出がましくてすみません。
○辻部会長 ありがとうございます。では、まず佐藤委員から手が挙がっています。よろしくお願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。事務局が御指摘になったとおり、組織の名称を例えば研究機関、医療機関等、あるいは企業などと書くことのメリット、デメリットは当然あると思います。ですので、要件のほうをきちんと書くというやり方もあるものと思います。要件を書くのもなかなか難しいとは思うのですけれども、例えばという形で示すことも有効だと思いますので、「国際的ながん研究で相当の実績を持つこと」というのは事例が挙がっておりますけれども、あるいは、しかるべき研究雑誌に論文投稿の実績があるものと書くとか、そのような実際に個別に審議をする際に参考にする要素を例示として挙げることはあり得ると思いました。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 では、大木委員、お願いします。
○大木委員 大木です。ありがとうございます。国際研究というのは、5大陸のがん罹患やCONCORD研究以外にも幾つもあると思っています。それらは実際の研究の実情をよく把握した上で決めていくべきかと思っております。2国間というのは一つの例ですし、もしかしたら今後新しい、自分のところでがん登録のデータでやってみたものをほかの国で当てはめてみるとか、そういう研究なども私の考えの及ばないところであるかもしれません。そういった可能性についても考えていただき一概に全部世界中集めなければ駄目とはならないほうが良いと思って、そういう方向性で発言いたしました。
○辻部会長 ありがとうございます。
 ほかの委員の皆様から何か御提案を含めてコメントはございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局、この辺のところでよろしいですか。
○原澤推進官 ありがとうございます。お時間いただいてすみません。
○辻部会長 ありがとうございます。
 では、4つ目に移らせていただきます。提供可能な情報の範囲について、皆さん、いかがでしょうか。事務局提案としては、顕名情報は提供不可、匿名化を行ったものについて必要な範囲に限って提供を行うと。集計形式での提供も検討してはどうかといった御提案をいただきましたが、これにつきましてはいかがでしょうか。
 石井委員からまずお願いします。
○石井委員 ありがとうございます。事務局提案の匿名情報を前提とされる文章ですけれども、個人情報保護法上は、これは顕名情報を前提に外国への第三者提供の仕組みが設けられているのですが、がん登録推進法は匿名化を前提とされるということであれば、個人情報保護法よりもかなり上乗せした形になってくるという理解です。他方、現行のがん登録推進法の17条に基づく提供が法の見直し後に残るのかどうかという課題もありますし、個人情報保護法においても、国外の第三者提供の場合でも、公衆衛生ですとか学術研究のところの整理などが必要になってくると思いますので、この上乗せをすることで現行のがん登録推進法の運用にどういう影響が生じるのかということと、個人情報保護法と比べてもかなり制約的な運用になりそうだなというふうに思っていて、その辺の関係をどういうふうに捉えていくかという辺りは少し詰めて検討してみる必要があるのかなと思います。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。今、手が挙がっている先生方も多分関係するのかなと思いますので、祖父江先生と大木先生から御意見いただいた上で事務局にお願いしたいと思います。では、まず祖父江委員からお願いします。
○祖父江委員 祖父江です。途中から参加しているので、やや議論を飛ばしているかもしれませんが、匿名化を行った情報というこの記述なのですけれども、次の10ページの説明によると、がん登録推進法における匿名化を行った情報というのが、運用上、原則、個人情報保護法における匿名加工情報と同等の加工基準とされていると言っておられますが、私の認識では、いろいろな運用は仮名加工情報と同等の加工基準ということで運用されていると私は認識しています。この点をちょっと確認したいと思います。
○辻部会長 続きまして、大木委員、お願いします。
○大木委員 大木です。私のほうは、顕名情報は提供不可ということですけれども、以前から顕名、匿名、それからデータの仮名加工情報や匿名加工情報について、皆さんの定義というか考え方が少し異なっているのではないかということを危惧しております。顕名情報というのは、全部名前や住所を一通り書いたリストみたいな、資料で言いますと11枚目の上の段のようなイメージを皆さん持たれているのかもしれないですけれども、実際に顕名でデータをどこかに提出するということはあり得ないと思っています。過去にも地域がん登録でもありませんでしたし、全国がん登録でも名前や住所がついたものをそのまま提供することはないと考えています。
 そういう意味では顕名情報が海外に渡ることはないのですけれども、一方で、データを照合するために個人情報と合わせることがあります。それは研究利用の場合、同意を取った人の個人情報と照合するという意味なのですけれども、その中で得られたデータを個人が特定できないようにして海外と共同研究するというのはありと考えています。
 うまく伝えられないのですけれども、匿名情報とか顕名情報、あと、最初の住所や名前が入っているものは生データとか収集データといった定義をきちんと整理していただくことが必要ではないかと思っております。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。今、3名の方から御意見、御質問いただきましたが、若干性質が違う部分もありますので、石井委員の御質問、御意見に対しましては厚労省の事務局のほうから、そして、祖父江委員と大木委員の御意見、御質問については、恐れ入りますが東参考人からまとめていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○事務局 事務局です。ありがとうございます。石井委員からの御指摘に関しましては、そちらの御指摘を踏まえてまた精査していきたいと思っております。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 では、東参考人、いかがでしょうか。
○東参考人 東です。まず最初の祖父江委員のお話から申し上げますと、現状の運用というのが仮名加工情報の運用なのか、匿名加工情報の運用なのかということについては、一概にどちらというふうに言えないと思っています。できるだけ匿名加工情報に近い形で考えようというふうにしてはおりますが、完全にそのようになっているとは言い難いと。特に資料の中で基準が1号、2号、3号、4号、5号とありますけれども、1号、2号、3号、4号のうちの特異な情報を削除するかということに関してなのですが、匿名加工情報というためには、特異な情報は削除しないといけないわけですけれども、現在それは研究目的に照らして考えることになっていますので、個別に判断ということで、特にしない場合も多いです。匿名加工情報に近づけようということは考えていますけれども、結果的にはそうなってはいない。仮名加工に近いかもしれないというようなところもありますが、現状、仮名加工というふうに明確に何か対応表を残すということはしておりませんので、また、仮名加工であるとも言えないと思います。なので、ちょっとこれは匿名加工情報に近いですけれども、そのものではないということだけ申し上げたいと思います。
 次に、大木委員のお話でありました、実際に生データとして提供を受けた後に個人識別情報を削除したものをどういうふうに扱うのかということに関しては、海外に限らず国内であっても今のところは同様の扱いと。提供情報は提供情報という扱いになってしまっています。我々、窓口組織としてそれがいいことだとは思っていませんけれども、現状としてはそうせざるを得ないのではないかと考えて、そういうふうに聞かれたら回答していると、厳格に考えてくださいというふうに言っています。
 これを今後、運用を変えるのか、法律を変えるのか、これについては十分検討の余地があると思いますし、そこに国外提供の場合ということも含めて考えるというのはあってもいいことだとは思います。
 以上です。
○辻部会長 祖父江委員、いかがですか。
○祖父江委員 はっきりしているのは、個人情報保護法における仮名加工情報と匿名加工情報の関係は、仮名加工情報のほうが緩い、多くを含むものであって、匿名加工情報のほうがより厳しい加工基準である。これは明確だと思います。匿名化を行った情報というのが、匿名加工情報だけに限られることは避けたいということです。それしか国外提供できないということを避けたい。だから、仮名加工情報も含むということをここに明記していただきたいということであります。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 亀井委員、お願いします。
○亀井委員 日本薬剤師会の亀井です。ちょっとずれた質問になってしまうかもしれませんけれども、今提供できるデータの範囲というところで議論しているわけですが、例えば匿名加工情報はもちろん基のデータにたどれないわけですし、あとは集計表となりますと、かなりこれはそのリスクというか、そういったものがないわけですけれども、そういうデータの提供できるものが何かというのがあって、誰に提供できるのかという話にはるのではないでしょうか。先ほどの申出者のことですとか利用者のことを議論したしたが、提供できるデータごとに提供できる対象も変わってくるのかと思ったのですけれども、そういった議論はされていたのでしょうか。それか、まずは申出者とか国外の利用者というところを決めないと、データの範囲というのが議論できないということなのでしょうか。
○辻部会長 これについては事務局、いかがですか。
○事務局 事務局です。こちらは検討すべき項目を順に整理して、御議論いただいていますけれども、先に紹介した条件を満たしたら次の要件を確認していくというような順位制は特になくて、こういった項目を総合して検討するというところで考えています。国外の利用者がこの人で限定していて、その中でこういった情報の提供ができるとかいう考え方ではなくて、あくまでそれぞれ独立した一要件として最終的に審議するということでございますので、その辺りは国外の利用者でしたり、提供依頼申出者でしたり、今議論している提供可能な情報の範囲というものはそれぞれで確認していくということでお考えいただければと思っております。
 以上です。
○辻部会長 亀井委員、いかがでしょうか。
○亀井委員 ありがとうございます。集計表で提供できるレベルのものであればどう利用されるのかというのがあっての利用者の議論になるのではないかとちょっと気になりましたので、質問させていただきました。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。利用の仕方はそれぞれの申請案件とか研究、あるいは調査の内容によってそれに依存するかなと思いますので、そういった意味でも個別審査になってきますので、どうぞよろしくお願いします。
 では、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。今のやり取りで大体整理されたかなと思うのですけれども、研究をする上で生年月日と転帰とがんの種類というのは必須の情報だと思うのですけれども、例えば生年月日が分かって、死亡日が分かって、まれながんであることが分かると、おおむね特定できるということもあるのだと思うのです。
 一方で、冒頭でもお話があったように、研究を進める上では必須の情報ということもあると思いますので、恐らくその辺りについては、どのような機関、どのような組織、どのような研究者から申請があったのかどうかということも含めて、国内での体制も含めて判断するというような理解でよろしいのでしょうか。
○辻部会長 事務局、これについてはお願いできますか。
○事務局 事務局です。ありがとうございます。佐藤委員がお示しいただいた考え方のとおりで個別の審査を進めていきたいと考えております。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。
 それでは、まとめてみたいと思うのですが、これは個別に難しいところがあるのですが、大筋としては匿名化情報というところが認められたのかなと思います。ただ、石井委員から御指摘がありましたように、個人情報保護法とがん登録推進法との整合性の問題でありますとか、あるいは祖父江委員からお話のありました、仮名加工情報と匿名加工情報は違うので、どちらかというと仮名加工情報のほうがいいのではないかというような御議論もありましたので、大筋としてはこの方向でいいと思うのですけれども、その辺の細部についてさらに詳細をまとめていくということでよろしいでしょうか。それでお願いいたしたいと思います。
 それでは、5つ目の安全管理措置について御議論いただきたいのですが、本日欠席された小俣委員から御意見をいただいていますので、まず最初に事務局から御紹介をお願いします。
○事務局 事務局です。小俣委員からは、少数例の取扱いにつきまして、匿名化とはいえ安全性に懸念がございます。国内・国外問わず、全国がん登録情報の利用においては、たとえ集計値で公表したとしても、場合によって個人を特定できる状況となり得ること、その結果として、意図しなくても個人の権利が侵害される可能性が発生することがあり、海外への提供の場合にも相当な配慮が必要と考えます。トラブル時等の問合せ及び相談窓口の設置が国民の安心につながると思いますと御意見いただいております。
 事務局からは以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。この問合せ相談窓口の設置というのは非常に重要な御提案かなと私も思いました。
 では、皆様から何かございますか。家原委員、お願いします。
○家原委員 家原でございます。ありがとうございます。今、小俣委員からもございましたが、一方で希少がんにつきましては、症例数が非常に少ない、各国によって異なるということもございます。以前この場で、10以下と記載するのか、5以下と記載するのかという議論がございましたが、そのような規定を設けることを想定されているのでしょうか。私としましては、希少がんにつきましては実数表示もあり得るのではないかと考えておりますが、その辺り、どういうふうに国際協力の中で公表していくかについて方向性をお聞かせいただければと思います。
○辻部会長 ありがとうございます。確かに希少がんだからこそ国際共同研究が必要になってくるというところで、重要であり、かつまた安全をどういうふうに担保するかというところは重要になりますので、これにつきまして、事務局あるいは東参考人からいただければと思います。
 松田参考人、お願いします。
○松田参考人 すみません。私は今の御意見への回答ではなくて別件でのコメントです。
○辻部会長 では、まずこれにつきまして、事務局あるいは東参考人、いかがでしょうか。
○事務局 事務局でございます。貴重な御意見をありがとうございます。こちらは現在考えておりますのは、国内での今の運用と同等で、最小集計値での公表というもの、原則、今ですと10例未満秘匿化というルールがございますけれども、学術的な意義と個人識別のリスクという部分のバランスをもって最後は審議会で確認するという運用を行っております。希少がん、先ほど来御指摘いただいていますように、地域ごとの実数値での報告等が利用目的である部分もありますので、その辺りはまた個別の審議で公表について確認していくというように現状考えております。
 以上です。
○辻部会長 家原委員、いかがでしょうか。
○家原委員 個別審議ということで承知いたしました。実数を出すということが重要な場合もございますので、また検討いただければと思います。
○辻部会長 東先生、何かございますか。
○東参考人 東です。具体個別事例については御審議いただくということでいいと思うのですけれども、1点だけ指摘させていただきたいのは、少数例については、確かに希少がんだと少数例を出すのが大事ということも言われますけれども、基本的に純粋に統計的に少数例というのはたまたまである可能性が高いですので、1例、2例、3例というのは、もう一回取ってみたら全然違う値がまた出てくるという可能性はとてもあると思います。なので、科学的にどこまで意味があるのかと。要するに統計的な安定性のない数字を出すことにどこまで意味があるのかということについても、同時に検討しながら安全性とバランスを取るということが大事だと思います。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。確かに先生がおっしゃるとおりだと思います。実際の審査に当たっては、その辺も含めての個別の議論になろうかなと思います。
 では、松田先生、どうぞ。
○松田参考人 安全管理措置の部分なのか、どこで発言しようかと思っていたのですが、今、安全管理措置を外国の利用者に担保するに当たって、外国の利用者が誓約書をウェットな直筆のサインで紙に書いて提出するというのが前回のCI5のときに求められました。これについて、国内利用もそうなのですけれども、実際にそういったものがいわゆる契約をするに当たっての法的効力を発する書類のように、がん登録のデータ利用で必要なのかどうかというところについて議論していただいた上で、我々ユーザーとしては、そういったものがなく、PDFの画像でオーケーであるとか、私としては、データを利用するに当たって法を違反するようなことがあった場合に、そのサインがあったかどうかということが実際に義務だったり罰則を負うことと関連しているのかどうかということについて、法的な議論になるのかもしれないですけれども、あまり関係ないのではないかなという意見を持っておりますので、できればそういったサインを、全体的に自分がこの計画だとか利用者に載っていることを周知していないのに載せられているとかいうことはよろしくないと思いますし、特に外国の方は、がん登録推進法の概念ですとかデータの利用規定について理解しているかどうかということを確認しましたという意味でのチェックは必要かと思うのですが、いわゆる大きなものを買うときの契約書だとか、物件を借りる契約書のように判こを押したりサインをしたりするものを提出することがないような方向に進めていただけると、データ利用の促進になると思います。
 あと、似たような観点で言いますと、研究計画書の倫理審査を求められておりまして、これについても先ほどのデータがいわゆる個人情報保護法下の匿名化データなのかどうかというところにも関わるとは思うのですけれども、特に外国の機関と共同研究する場合に、前回のCI5のときには国がんで一括での研究計画書の倫理審査を通しましたが、外国機関を含めての一括の審査というのはできないので、向こうは向こうでやるという形になります。これが多国間のものになると、それぞれの機関でまた倫理審査を通すという話になりまして、そもそもの国内の利用も含めてなのですけれども、研究計画書を倫理審査に通すということを、ただ単純に個人情報保護法下で匿名化か、匿名化じゃないかというところにこだわって、今後倫理審査が必ず必要であるという方針を貫くと、国際共同研究の利活用の推進というところにも関わってくるので、これもぜひ御検討いただいて、なくていいという方向にユーザーとしてはしていただきたいなと思っております。
 以上2点です。
○辻部会長 ありがとうございました。今の松田参考人のお話としては、国外の利用者が安全管理に関するサインをするかどうかですね。
○松田参考人 そうですね。提出しなければいけないというのを廃止してほしいという話です。
○辻部会長 それから、国内の研究機関での倫理審査をなしにしてほしい。
○松田参考人 国内も含めてです。これを機に国内外併せて両方とも御検討いただきたいなと思います。
○辻部会長 なるほど。これにつきまして、何か皆さんから御意見ございますか。
○事務局 事務局です。松田参考人から御指摘いただいた1点目のサインという部分を具体例として出していただきましたけれども、一般化させると、規定する安全管理措置における縛りが実効性を持って果たして本当に意義があるものなのかどうかという部分と、運用上の実用性とのバランスを取っての検討という部分での御意見と捉えておりますので、この辺りも精査していく中で、また整理していきたいと思います。
 2つ目の倫理審査については、基本的に研究実施時には倫理審査を通すということを考えておりますけれども、また事務局でも精査していきたいと思っております。
 以上です。
○辻部会長 ほかの委員の皆様から何かこれにつきまして御意見ございますか。
 大木委員、どうぞ。
○大木委員 大木です。少し関連するかもしれないのですけれども、海外の国際研究に利用促進するためにも、がん登録推進法や安全管理マニュアルとか利用規約などを英語に訳すのを正式に国としてやっていただくと、より良いかと思います。研究者は法律の専門ではないので、見よう見まねで訳すよりは、一つ決まったものがあったほうがさらに利用が促進されると考えました。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。大変貴重な御意見だと思います。我々法律の専門家じゃない者が英訳したり、あるいは同じ条文を外国語に訳したときに誰が訳したかで言葉がずれるというのはあまり好ましいことではないので、確かに先生がおっしゃるように、このような国外提供を認めるのであれば、やはり国として、国が定めるかどこかは分からないですけれども、一つの形、定型的な文章は必要かなと私も賛成いたします。
 ほかに皆様から御意見ございますか。よろしいですか。
 それでは、まとめてみたいと思うのですが、安全管理措置につきましては、事務局提案にありますように、実効性を担保するための措置を検討するということについてはお認めいただけたかなと思います。その一方で、国外の利用者あるいは利用機関がサインをすべきか、倫理審査が必要かということについては、もう少しこれから議論を続けていくということ。それからもう一つ、実効性を担保する上でもがん登録推進法の条文でありますとかマニュアルを、国もしくはどこかの機関で代表的なものとして英訳することが必要なのではないかということは貴重な御意見として残しておきたいと思います。どうもありがとうございました。
 では、次に、6つ目の利用の周知について御意見いただきたいと思います。これにつきましては、黒瀨委員が9時49分に本日の参加者全員にチャットでメッセージを残されているのですが、それを読み上げますと、利用の周知に関して、匿名化した情報とはいえ、情報提供いただく国民、患者に御理解いただけるように十分に丁寧な説明をお願いいたします。ホームページに掲載して終わりということでは、十分丁寧とは言えないのではないかと危惧しますという御意見があったということを改めてお伝えいたしたいと思います。
 その上で、皆さんから御質問、御意見いただきたいと思います。いかがでしょうか。
 家原委員。
○家原委員 家原でございます。利用の周知についてでございますが、ここに研究ホームページ(日本語)等と書いてございますが、この中には日本語での国際共同の研究成果や提供状況を義務づけるという意味でございましょうか。もしそうであれば、具体的に研究成果もというふうに記載すべきではないかと思いましたので、発言いたしました。
○辻部会長 ありがとうございます。
 では、引き続き、松本委員、お願いします。
○松本委員 ありがとうございます。松本でございます。全国がん登録の情報利用ということについて、今も一般の国民、患者・家族を含む国民には十分な理解が進んでいない面もあるかと思います。また、これが国外に提供されるということになりますと、一層不安を覚えるということも想定されます。ただ、先ほどから伺っていますように、海外、国外に提供することによって私たちが得られる益というものがあるわけですので、そういったこともしっかり書いて、なぜこの提供が必要なのか、それによってどういうことがもたらされるのかということが私たち国民にもしっかり分かるような記載も必要と思いますので、そのことをお願い申し上げます。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 では、白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。研究ホームページ(日本語)等と書いてあるのですけれども、このホームページのサイトがどこを使うのかということについて、一般の市民が確認できる場所ということについては、厚生労働省なのかとは思いますけれども、審議会についてもなかなか一般の人がすぐたどり着けるようなところになっているかというと、そうではないと思います。しかも、これは国外提供の情報提供に限らないですけれども、どこのホームページを使うかということについても、また、黒瀨委員の御意見のようにホームページに限らずといった方法も御検討いただければと思います。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 では、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。ちょっと思いつきのような発言で恐縮なのですけれども、利用の周知とともに、利用後の周知があってもいいのではないかと思いました。実績、成果の公表についてはもっと前のほうで書かれていましたけれども、一般の方向けに利用によってこのような成果が得られましたということが、ホームページでも結構ですので、少し分かりやすい形で成果が得られたことを周知できるといいと思います。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 では、有賀委員、お願いします。
○有賀委員 ありがとうございます。有賀でございます。最近やはり治療されている患者さんの状況を見ていますと、必ずしも日本語だけではなく、日本語はあまり分からないけれども、家族が代弁してくれたり、あと、日本語はしゃべれるけれども、読めない、漢字が難しい方々もいらっしゃいます。ですから、研究ホームページも日本語だけとせず、多言語に対応できるような切替えシステムを用いることも検討していただけるとよいと思います。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。
 では、現時点で事務局からこれにつきまして何かお答えはございますか。
○事務局 ありがとうございます。家原委員にいただいた研究成果も明記してはどうかという部分と、佐藤委員からいただいた利用後の周知についてもという部分については貴重な御意見と思いますので、こちらの記載についてはまた検討していきたいと思っております。
 松本委員からの国外提供の益が分かるような記載という部分も重要な項目と考えておりますので、引き続き検討していきます。
 白井委員については、国外提供のみならずというところで、こういった情報へのアクセスという部分でもっと利用しやすい、皆さんが分かりやすいようなところでの情報提供という貴重な御指摘をいただきました。御意見を承ります。
 有賀委員からは、多言語システムへの切替えという観点についていただきましたので、こちらは実効性も含めて、御意見を承って検討してまいりたいと思います。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、これについてまとめたいと思いますが、この利用の周知は、特に国外提供だけではなくて国内提供でも共通する話かなと思うのですけれども、今、委員の皆様から御意見いただきまして、また、事務局からも肯定的な御対応をいただきましたけれども、その研究成果を明記すること、その成果がどのように役立つのか、あるいは国外にデータ提供することによってどのような利益が国民にあるのかといったことについて、分かりやすくホームページあるいはその他の媒体を使って国民に周知を図っていくことを、これまで以上に積極的にしていくことが重要だと思います。特に国外提供ということも考えますと、多言語システムも活用していくということについて、今後、これは厚労省だけではなくて研究の申請者も検討していただかなければいけないということですが、そのようなことを今後付記するということでよろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 それでは、7つ目になります。審査について、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。これは提供の可否の判断は審議会等において個別具体的に審査するということで、これまでの議論の内容を反映しているかなと思います。
 石井委員、お願いします。
○石井委員 どこでコメントさせていただくのがいいのか迷っていたところなのですけれども、安全管理措置、審査、その他全体に関わるかもしれないのですが、再提供を認めるか否かですね。これは匿名化の情報を前提とするかによっても変わってくると思いますが、再提供、移転先からさらに提供されてしまうことを制限することを前提とするのか、それを提供の条件とするのかということは、個人情報保護法の領域ですと割と大きな論点にはなりますので、そこは論点の一つなのかなと思いました。利用規約で縛るですとか、契約で縛るという方法は当然ありますし、それがきちんと担保されているかを審査のところで国内の提供する申出者においてきちんと外国の提供先の安全管理体制、再提供などをされていないかを確認するように義務づけるとか、幾つかいろいろ方法はありそうですが、再提供のところは一つ課題として挙げていただいてもいいのかなとは思いました。
 それから、周知のところですけれども、個人情報保護法上も相当措置を実施しているかどうか、それに関して情報提供するというような規定があったりしますので、提供先における個人情報保護制度がどうなっているかですとか、提供先の外国の名称ですとか、提供先が実施している措置がどういう措置かとか、その辺りの透明性も必要ではないかなと思います。
 以上です。
○辻部会長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局です。ありがとうございます。1点目の再提供については、目的外利用に利用されていくことの防止という部分もあると思いますので、こちらは精査して検討してまいりたいと思います。
 2点目の提供先における個人情報保護の措置についてどのように確認していくかという部分につきましても、また検討というところでございますが、石井委員、例えばこういった来る申請において、その国が適切に個人情報保護体制を取っているかどうかを確認する上では、今お墨付きが得られているEU、イギリス以外の国でという場合に関して、どこがどのように判断していくことが考えられるでしょうか。
○石井委員 実際に提供先の制度がどうなっているかですとか、具体的にどういう体制を、個別の提供においては提供先の保護措置というのは、提供する側において契約で縛るですとか、一定程度義務を課すことはできると思いますが、制度とか、あと、あまりこの領域では論点にならないのかもしれませんけれども、研究先の国がガバメントアクセスを行うような国であるような場合には注意したほうがいいとか、ある程度その辺りの共通する懸念事項というのはあると思いますので、その辺は個別の申出者がどう評価するかというよりかは、厚生労働省様のほうで御判断いただく。ある程度サポートしながら安全な提供先に提供していくということを担保していただく方法は御検討いただいたほうがいいのかなと思ったりしているところです。お答えになっているかどうか分かりませんけれども、差し当たり以上でよろしいですか。
○辻部会長 事務局、よろしいですか。
○事務局 ありがとうございます。
○辻部会長 では、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元です。1点この提供の可否なのですが、提供してしまってから問題が生じた場合の取消しというのもこの審査の中には含まれるのでしょうか。その場合の取消し基準ですが、相手に提供してしまったデータを回収するのか、例えば相手に廃棄を求めるのか。そういうものまで含めてこの審査に関してお教えいただければと思います。
○辻部会長 事務局、お願いします。
○事務局 事務局です。次の項目のその他の部分で、安全管理の実効性を担保する措置を講ずるべきではないかという部分で、そういった利用停止、利用取消しの基準等を考えていけたらと思っております。個別審査でどのように取消しをすべきなのか、そういった罰則のようなものを個別審査ごとに変えるのではなくて、ある程度一定の基準を設けた上で、こういった個別審査というのは入っていくべきではないかと現状考えております。
 以上です。
○辻部会長 坂元委員、いかがでしょうか。
○坂元委員 結構です。ありがとうございます。
○辻部会長 石井委員、手が挙がっていますが。
○石井委員 申し上げるのを失念していたことがありましたので補足させていただきたいのですけれども、先ほど事務局のほうからEUという表現が出てきたかと思いますが、十分性の制度というのは現状でいうと日本において相互認定になっていますが、これですとあくまで個人情報保護法においてという制限がかかってしまいますので、がん登録推進法のほうで同じような考え方を取ろうとするならば、がん登録推進法の中で個情法と似たような規定を設けて認定するみたいな話になっていくように思いますので、そうなると話が広がってしまいそうだなと。EUからの十分性の対象にがん登録推進法が入っているわけではないという、その辺は切り分けた上で、あくまで相当措置、基準適合体制がいかに取られているかというところに絞ってといいますか、軸足を置いて整理いただくほうが混乱せずに済むかなと思います。
 以上です。
○辻部会長 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局です。石井委員の御提案いただきました点を踏まえて精査していきたいと思っております。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、まとめさせていただきますが、提供の可否の判断に当たっては、審議会等において個別具体的に審査を行うということについては皆様お認めいただいたかと思いますが、よろしいでしょうか。その上で、安全な提供先をどう判断するかなど、細部にわたる御議論をいただきました。また、実際に安全管理措置が遵守されなかった場合の取消し等についても御意見いただきましたので、今後そのような具体的な手続について詳細に御検討いただきたいということでまとめたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 では、最後、その他に行きます。国外の利用者にも安全管理措置が遵守されるように、実効性を担保する措置を講ずべきではないかということにつきまして、皆様から御意見をいただきたいと思います。
 家原委員、お願いします。
○家原委員 家原でございます。先ほどのお話にも通じますが、初回の提供の可否については審査という体制になりましたが、その後の情報保持期間を通じての管理状況はどういう体制で確認、フォローされる、もしくは審査される方針で考えておられますでしょうか。お聞かせいただければと思います。
○辻部会長 事務局、何かございますか。
○事務局 ありがとうございます。適切に情報を扱えているかどうかというところのフォローアップについては、前回、がん登録部会でCI5への提供を認めたときにも条件つきというところで適宜提供依頼申出者からの進捗、または情報の管理状況を事務局に共有するというようなものをつけておりましたので、そのフォローアップ体制については審議会で、がん登録部会で要件をつけるという考え方が一つ。あとは最初に安全管理措置の部分でルールとして設けておくという考え方もございますので、この辺り、双方の考え方を踏まえて、また整理してまいりたいと思っております。
 以上です。
○辻部会長 家原委員、いかがでしょうか。
○家原委員 承知いたしました。イメージとしては、これから考えるということなのですが、例えば報告書のようなものを研究終了後に提出するのかとか、そういったことも含めて御検討をいただければと思いました。
 以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございます。私も全く同感ですが、これは国外提供に限らない話であって、国内提供でも同様なフォローアップ体制をきちんとこれから検討しなければいけないということで承りました。どうもありがとうございます。
 では、石井委員、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。御参考までにですが、個人情報保護法上、個人情報取扱い事業者が基準適合体制を整備している外国の第三者に個人データを提供した場合に、定期的にその措置がきちんと講じられているかを確認しなければならないというルールがありまして、その定期的というのが年に1回程度あるいはそれ以上というようになっていると。こうした措置が個人情報保護法上もルールとしてありますので、それががん登録推進法の今の議論ですとフォローアップをどうするかという論点とつながってくるのかなというふうに思います。国内の申出者に定期的な確認義務を設けた上で、審査会でこれを確認していくというようなプロセスになるのか、その辺も事務局のほうで今後御検討いただければと思います。
 以上です。
○辻部会長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○事務局 事務局です。石井委員に御提案いただいた部分を踏まえて、また検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
 以上です。
○辻部会長 そもそも国内でも倫理委員会の承認の下に我々は研究しているわけですけれども、これは毎年1回、定期的に進捗状況を報告するようになっており、その上で継続が認められていますので、そういったことも含めて制度的につくっていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、その他につきまして、まとめさせていただきますが、事務局提案のとおりお認めするということですけれども、特に今日議論があったのは利用期間中のフォローアップですね。きちんと利用期間中に安全管理措置が実際に守られているのかどうかということについて、定期的にチェックをするということ。これは個人情報保護法にも定められている話ですので、そことの整合性も考えながら具体的な措置について明示していくという形でまとめていきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 では、資料1に関しては以上とさせていただきます。
 それでは、ここで次の議題に入る前に10分間の休憩をいただきたいと思います。これより先は非公開の議事となりますので、YouTubeは切断させていただきます。10分後、10時50分になりますが、委員の皆様におかれましては、またお集まりいただきますよろしくお願いいたします。
 では、休憩に入ります。

 
 

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線 3825、3826)