第123回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和5年1月18日(水)10:00~12:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省職業安定局第1会議室)

議事

○山川分科会長 おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから第123回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところ御参集いただき、誠にありがとうございます。
本日は、小原委員、中川委員、東矢委員、小西委員が御欠席とのことです。影山委員におかれましては、途中から御参加の予定とお伺いしております。また、小西委員の代理といたしまして、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会常務理事兼事務局長の菊地通雄様にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
本日の分科会は、会場とZoomによるオンラインでの開催となります。会場には、新田委員、冨高委員にお越しいただいております。
では、開催に当たりまして、事務局から説明があります。
○冨安障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課の冨安です。本日もZoomを使ったオンライン会議となっています。開催に当たって、簡単ではありますが、操作方法のポイントを御説明いたします。
本日、分科会の進行中は皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックして、分科会長から許可のあった後に、マイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。会議進行中、トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしている電話番号まで御連絡を頂きますようお願いいたします。なお、通信遮断等が生じた場合には、一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。
○山川分科会長 それでは、議事に入ります。カメラの頭撮りはここまでとなっておりますので、了解をお願いいたします。
では、本日の議題は、(1)が障害者雇用率について(案)(諮問)、(2)が今後の検討項目とスケジュールについて、(3)が障害者雇用対策基本方針の改正について、(4)が精神障害者の算定特例の延長について、(5)が法改正に伴う令和5年度施行分の省令・告示案について、(6)がその他となっております。
では、議題1について事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。資料1、枝番1から5を通じまして御説明を申し上げます。まず資料1-1です。令和5年度からの障害者雇用率の設定等についてです。法定雇用率については、障害者雇用促進法に基づいて、労働者(失業者を含む)に対する対象障害者である労働者(失業者を含む)の割合を基準として、少なくとも5年ごとに、その割合の推移を勘案しながら設定するとされているところです。今般、資料1-2に基づき算定をし、令和5年度からの障害者雇用率につきましては2.7%とさせていただきたいと考えております。ただし、雇入れに係る計画的な対応が可能となるように、引上げにつきましては、令和5年度においては現行の法定雇用率に据置きとして2.3%、令和6年度から2.5%、令和8年度から2.7%と、段階的に0.2ポイントずつ引き上げて、最終的な2.7%に向かって取り組んでいくということにさせていただきたいと考えております。国及び地方公共団体等につきましては、3.0%(教育委員会2.9%)とした上で、段階的な引上げに係る対応は、民間と同様とさせていただきたいと考えております。
次に、除外率の引下げ時期についてです。除外率については、昨年6月にお取りまとめいただきました本分科会の意見書において10ポイントの引下げ、その引下げの時期については、雇用率の引上げの施行時期と重ならないようにということでしたので、これらを踏まえて、令和7年4月とさせていただきたいと考えております。
併せて、資料1-3です。法定雇用率の算定のタイミングで、納付金額等を算定し直しています。まず単位調整額の算定です。これらにつきましては、ハローワーク等を通じて特別費用調査等を実施して、障害者の雇入れに掛かるコストの平均を出し、それに基づきまして、それぞれ設定をしております。納付金になります調整基礎額については、雇用率達成まで雇入れをした場合に、1人に掛かる平均的なコスト、単位調整金の額については、雇用率を超えて雇い入れていただく障害者の雇入れのコストの平均ということで算定されたものに基づいて、規定をしております。
その結果ですが、調整基礎額、つまり納付金の額については49,494円で、現行の5万円とほぼイコールということですので、ここは据置きということにさせていただきます。単位調整額については、調整金の額になりますが、29,532円で、これは現行は27,000円ですので、開きが2,000円以上あるということです。これまでにも2,000円以上の格差がある場合にはそこに向けて引き上げるということをしておりますので、今般、29,000円に引き上げさせていただきたいと思っております。
資料1-4です。調整金額等を算定した考え方に基づき、かつ、報奨金、調整金の性質を踏まえ、報奨金額についても算定し直しておりますが、結果的には21,741円ということですので、これも現行の21,000円に据置きとさせていただきたいと考えております。
ただいま御説明した中身で諮問させていただきたいと思っておりますが、資料1-5として諮問文、政令・省令の案の要綱を付けております。確認の意味で、要綱に基づきまして御説明申し上げます。まず、政令案要綱です。第一の一として、法定雇用率の設定をしております。障害者雇用率を民間にあっては100分の2.7、国及び地方公共団体、教育委員会については記載のとおりです。二として、単位調整額、調整金額になるものですが、29,000円に変えさせていただきます。それから、三の基準雇用率、これは納付金額算定のための率ですが、現在、当分の間として、法定雇用率と一致しておりますので、100分の2.7と規定させていただいております。四については、公務部門の除外率設定機関に係る除外率で、今般、民間と同様に10ポイント引下げということで、一律に引き下げております。
3ページ目を御覧ください。第二の身体障害者補助犬法施行令の一部改正です。ここについては、補助犬の利用を拒んではならない事業主の規定については、雇用率に連動して、雇用の義務が発生する事業所において規定をしておりますので、今回2.7%に引き上げることをもちまして、37.5人以上の労働者を雇用している事業主とするということです。第三が施行期日等です。一として、今般の2.7%及びプラス0.3ポイントの公務の法定雇用率については、令和6年4月1日施行とするとしております。ただし、第一の二、つまり調整金額については、令和5年4月1日、併せて、公務の除外率等については、令和7年4月1日施行としております。
その上で、二として経過措置を置いております。段階引上げの部分です。1として、令和8年3月31日までの間において、国及び地方公共団体については100分の2.8、都道府県等教育委員会については100分の2.7、民間については100分の2.5、特殊法人については100分の2.8としております。第1段階目の引上げについて、令和7年度末までの取扱いを、ここに規定しており、令和7年度末までは2.5%として、令和8年4月から2.7%に引き上げることを規定しております。併せて、2の身体障害者補助犬法の部分についても、同様に段階的な引上げを反映して、対象となる事業主を規定しております。
次のページが省令案要綱になっております。省令案のほうには民間の除外率の規定を置いており、これらについても一律に10ポイント引き下げるという措置を規定しております。第二ですが、雇用の義務に係る事業主に対し、雇用状況の報告をしなければならないという規定があります。これについても、雇用率の設定変更に合わせて、それらの対象の事業主の規模を書いてございます。第三から施行期日ということですが、同様な形で、除外率については令和7年4月1日ということです。併せて、第二については、令和6年4月からと規定をしております。それから、報告をしなければならない事業主の規模についても、段階的な施行について経過措置として記載をしております。説明は以上です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。本件につきましては、ただいまも説明がありましたように、本日付けで、厚生労働大臣から労働政策審議会宛てに、「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令及び身体障害者補助犬法施行令の一部を改正する政令案要綱」及び「障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問がなされたところです。当分科会としては、本件について議論を行い、検討の結果を労働政策審議会に報告させていただきます。
それでは、質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら、手を挙げていただくか、オンライン参加の皆様は「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、こちらで指名させていただいた後に、視覚・聴覚障害者の方々への情報保障の観点から、お名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。それでは、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。新田委員、どうぞ。
○新田委員 使用者側、経団連の新田です。あらかじめ、やや長く発言することを御容赦いただければと思います。ただいま、資料1-1等々、厚生労働省案の御提案を承りました。正直申し上げて、非常に衝撃を持って受け止めております。特に、法定雇用率2.7%という数値については、法定の算定式によるものとは言え、このまま受け入れることはできないことを、まず申し上げておきたいと思います。
皆様方、御承知のとおり、この法定雇用率は、平成25年4月以降、約8年掛けて、これまでに0.5ポイント引き上げられてきたところであります。それに対して、今回のこの厚生労働省案は、令和8年4月までという実質4年間、たった半分の期間で、大幅な引上げがされるという内容になっております。前回の平成30年の引上げのときには、精神障害のある方の雇用義務化もあり、激変緩和措置が取られたと承知しております。今回はそれを超える大幅な引上げであることから、前回以上に激変緩和措置を講ずるべき必要性があると強く認識をしています。加えて、今回は除外率の一律10ポイント引下げも予定されております。この点につきましては、昨年この分科会で取りまとめた意見書に基づいての内容と承知をしております。ただ、この除外率の引下げと、今回の大幅な法定雇用率引上げのダブルの影響を受けるということについては、やはり御配慮をお願いしたいと思います。
加えて、法定雇用率の達成企業割合について申し上げたいと思います。2017年度の50.0%を除けば、達成企業の割合が5割を下回っている状態がずっと続いております。こうした中での法定雇用率の引上げ、しかも、かつてない大幅な引上げということは、通常、目標の数値設定の仕方としてはあり得ないのではないかと考えているところです。
皆さんも御承知のとおり、現在、企業で雇用される障害者の方々の人数は、着実に増え、過去最高を更新しており、障害者雇用は進展してきています。そうした中、企業においては、身体障害のある社員の方がどんどん高齢化していっていることに加え、ほかの障害特性の方に比べて職場定着率が低い精神障害のある方への支援やマネジメント、人員配置の見直しが必要という課題もあります。更に、コロナ禍により働き方、業務の見直しが行われ、これまで障害者の方に担っていただいていた業務がなくなっているという厳しい現実があります。こういった様々な課題を抱えている中で、企業は懸命に、正に歯を食い縛って障害者雇用に取り組んでおります。
こうした状況で、法定雇用率の引上げに対応していくことを考えた場合に、やはり企業は自社の状況や地域の労働市場の動向なども踏まえながら、現実的な採用計画を策定し、長期間にわたって、じっくりと取り組んでいく必要があると考えております。そうでなければ、実際に雇用する企業の現場が更に疲弊して、実効性のある採用活動や職場定着、そして我々が昨年まとめた意見書の中で目指していくべきとした、雇用の質の向上は実現できないと考えております。加えて、短期間のうちに大幅な法定雇用率の引上げが行われますと、雇用率達成が優先されてしまい、雇用の質ではなく雇用の数が優先されます。そうしますと、かねてよりこの分科会でも議論になっております、いわゆる雇用率ビジネスを助長することになってしまい、我々が目指している方向性と逆行するのではないかということを強く懸念しております。結果として、障害者の雇用の質を重視していくという障害者雇用促進法の改正の趣旨にも逆行するだけではなくて、これまで積極的に障害者雇用に取り組んできた企業ほど、かえって意欲が低下することが非常に強く懸念され、今後の障害者雇用政策に重大な影響を及ぼすのではないかと強く懸念しております。
こうした理由から、私たち使用者側は、是非、厚生労働省案に対して修正をお願いしたいと思っております。具体的には、法定雇用率の引上げに関して、2.7%という数値について是非引下げを御検討いただきたいと思います。加えて、厚生労働省案の中でも2段階の引上げということで、既に御配慮いただいているのは十分認識しておりますが、やはり2回目の引上げについては、できるだけ後ろ倒ししてほしいと思います。具体的には、今回、令和8年4月となっておりますが、1年の後ろ倒し、令和9年4月への後ろ倒しを御検討いただきたいと思います。加えて、企業に対する支援策の強化もお願いいたします。
それと、もう1つ、次々期の見直しに当たって、法定雇用率を議論する前に、雇用率制度等の見直しについての検討を早期に始めることのお約束を、是非頂きたいと思っております。これから議論する部分で、企業に対する支援策として助成金の新設、拡充は予定されていると承知しておりますが、今後施行される調整金の減額等の措置の見直し、具体的には、調整金の減額率の引下げや支給対象人数の引上げといったことも御検討いただきたいと思っております。また、次々期に向けた制度の見直しについては、例えば算定式について、A型事業所で就労されている障害者の方々を対象から外すこと、あるいは、雇用率算定について、就労困難性に関する指標の開発を前提とした上で、対象とする障害者の在り方について検討すること、また、手帳を返還した場合のカウントの仕方をどうするのかといったことについても議論していければと思っております。更に、法定雇用率達成事業の割合について、50%を下回る状況が常態化している場合に、法定雇用率の引上げをどうするのかということについても、是非、検討していただきたいと考えております。今回、算定に基づいて示された法定雇用率ということですが、やはり示された数値についてこの審議会でしっかりと議論をして、できれば実態にかなったものにしていく、それが、我々審議会の役割だとも強く認識しています。
縷々申し上げましたが、是非ほかの委員の方々にも御理解、共感をしていただき、厚生労働省案の修正を強くお願いしたいと思っております。長くなりましたが、私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。いろいろ多くの内容の御意見を頂きました。取りあえずは、委員の皆様方から御意見を伺っていきたいと思います。では、清田委員、お願いします。
○清田委員 日本商工会議所の清田です。ただいまの新田委員の発言とも一部重複しますが、意見として発言したいと思います。
今回の引上げにつきましては、法定に定められた算式に基づく改定結果とは言え、厳しいものと受け止めております。御案内のとおり、中小企業を取り巻く環境は、人手不足、原材料、エネルギーコストの高騰に、賃上げ圧力も伴い、非常に厳しい状況にあります。こうした中で、障害者雇用をしっかり進めていくためには、単に数を増やす、採用するだけではなく、障害者の方が、企業の中で人手不足や経営課題の解決に資する戦力として、しっかりと活躍できる環境を整えていくのが必要だと考えます。新たな業務の選定や、また、ハード面でも執務スペースの見直しなど、自社の特性にマッチした障害者を丁寧に探していくことも重要だと思っております。
今回の引上げに関しまして、お示しいただいた事務局案では、除外率の引下げも含めて、段階的な対応となるように考慮いただいていることも理解しております。また、令和6年以降に、支援策の創設も御検討いただいているというところで、大いに期待はしておりますが、こうした支援の成果が表れるには一定の期間が必要になってこようかと思います。これらを踏まえて、質の高い障害者雇用につなげていくためには、できる限り準備に期間を頂きたいと思っております。可能な範囲で引上げとなる時期を更に後ろ倒しできないか、御検討お願いできればと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では続きまして、山内委員、お願いします。
○山内委員 使用者側委員の山内です。先ほどからお二人の委員さんからお話いただいたとおり、今回の雇用率の見直し、除外率の見直しは、企業にとっては非常にインパクトの大きな内容ですので、意見としては全く同感です。ただ、少し具体的に数値を持って皆さん方と考えさせていただければと思って、意見を申し上げたいと思います。
資料3-1は、いわゆる法改正に伴う今回の見直しのポイントが幾つか書いてございますが、私はこの分科会で議論したことが表現されていて非常にいいなと思っております。中でも、ポツの1つ目、雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化、ポツの4つ目、障害者雇用の質の向上。ここで何度もお話したとおり、我々企業としては、雇用と併せて定着ということに非常に重きをもって対応しております。
それで、やはり我々が不思議だと思うことですが、私が調べた限りで少し古い資料になるかもしれませんが、障害者の定着率という数字が、2017年高障機構さんの調査で出ておりました。一般企業に勤められた入社後1年経過時点の定着率は58.4%、すみません、新しい数字があったら直してください、私が調べたのは、この58.4%でした。同じく入社後1年経過時、これは厚生労働省さんが2019年に公表されていますが、大学卒の方の定着率が88.4%、短大卒82.2%、高校卒83.2%。この数字の差は一体何だろうと考えるべきではないかなと、我々はすごく重く受け止めております。やはり、何がこういう数字に影響しているのかと言うと、なかなかマッチングがうまくいっていないとか、会社に来ても働きがいを感じないとか、いろいろな課題が多分あるのだろうと思っております。
元に戻りますと、この見直しのポイントの質の向上の第一は、定着率を上げていくことだと考えております。我々のグループ会社の特例子会社さんがあるのですが、そこの定着率は、同じ数字で比較しますと、去年は87.3%。まだ大卒には届かない数字ではありますが、ここをやはり高めていく努力を引き続きやっていかなければいけない。例えば、アビリンピックの全国大会に毎年選抜して出て、受賞するしないは別として、そこにやりがいを感じるなど、そういったモチベーションを上げていくことを図っていきたいと考えています。
少し長くなりましたが、私どものグループ会社全体で国内11万人おりますので、今回の2.7%の引上げ、0.4%分を数字に換算すると440人、その採用をこの数年間で行わなければいけない。これは法律で決まった内容ですので、実施していかなければいけないのですが、実を言うと、企業にはもう1つあります。障害者の方々の年齢構成ですが、実は60歳以上が100人、55歳以上が330人おります。この方々がいずれ定年を迎えられたら、その方々に代わる人たちを採用していかなければいけない。また、多くの方々が身体障害を抱えられている方なのですが、一方で、我々は精神障害、知的障害の方への雇用も広げていかなければいけない。必ずしも仕事が同じ仕事で継続するということができない。これらの状況を踏まえると、かなり力を入れて採用活動をしていく、あるいは、定着を図っていく努力をしていかなければいけないというのが、今回お示しいただいた数字を受け止めた企業側の意見ということを御理解いただければと思います。少し長くなりまして、申し訳ありません。私からは以上になります。
○山川分科会長 ありがとうございました。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 企業側の鈴木と申します。山内委員から今お話を頂いたことと私も同意見になるのですが、私どもの企業でも、例年、2.3%、それから今後の雇用率を高めていくところを見据えて、マッチングを行いながら、いかに職場で活躍できる方を雇用していくかというところを模索している状況でございます。いろいろな方から今お話がございましたとおり、入社をして、採用してというところだけではなく、やはり、一人一人が働いていく上で、仕事をすることをしっかりと自分自身の人生の一つとして捉えていただいて、自分自身が会社に貢献をしているであったり、ビジネスに貢献しているという思いを持てるような環境を作っていくというところを併せて行っていかないといけないと考えながら進めているところでございます。
そうした中で、弊社の中でも職場の方々の理解を得ることがとても難しいところだと思っています。自分自身の仕事をやりながら、やはりしっかりとサポート体制を整えていかないと、なかなかそういった環境を作っていくことがやりきれないというところもあります。今、山内委員からありましたとおり、企業の運用性規模でいきますと、弊社で見ると、単体で2.7%到達まで100名を超える増員をしていくというところを考えますと、その人数に職場に入っていただくだけでは、なかなか一人一人のやりがいを担保しきれないところがございます。少し準備期間を長めにいただきながら、少しずつ理解も得ていくような形を推進してまいりたいと考えておりますので、どうぞ御検討いただければと思っております。私からは以上でございます。
○山川分科会長 ありがとうございました。山口委員、お願いします。
○山口委員 おはようございます。使用者代表、愛知県中央会の山口です。先ほどの経団連の新田委員とか山内委員の発言された内容は、人を多く雇っている大企業にとっては、2013年に2%、2018年4月に2.2%、2021年3月からは2.3%へと段階的に引き上げられ、ようやくその人数を達成したかと思うとまた引き上げられるのは容易ではないという気持ちは、十分理解できます。法定雇用率の計算式は、現在の人口や障害者数から決定されるため、比率自体はやむを得ないところです。しかし、計算式の分母である人口減少により、常用労働者プラス失業者が少なくなり、一方、障害者の数が一定あるいは増加して、その比率は徐々に高まる傾向にあります。中小企業においても、法定雇用率がまず2.5%に引き上げられることによって、雇用義務の生じる企業の従業員規模が43.5人から更に40人となると、新たに届出の義務や雇用義務が生じる企業が増えて、経済社会の要請に対応し賃上げや雇用を増やせば、それだけ負担も高まってしまいます。
政府、行政の雇用率は民間より高くなっているものの、その差は0.3%です。障害者にとっても、行政公務に就職できるのは、安心感やステータスにもなると思いますので、民間の数値に1%は雇用率を上乗せするとともに、1年の有期、期間限定では雇わず、正規に職員、無期職員として雇っていただきたいと考えます。
なお、新たな助成金の創設についても御努力いただいていると思いますが、相談、外部のコンサル等の費用は、ほかの助成金でも社労士の先生方に相談する補助金はありますので、企業の障害者に対する賃金補填が可能な助成金をお願いしたいと思います。私の意見は以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 日本視覚障害者団体連合の竹下です。今、事業主の方々のお話をお聞きして、この間の企業の努力によって障害者の雇用が大きく前進してきたことは感謝申し上げたいと同時に、もう1つ、やはり考えるべきことは、障害者自身が働きたいという希望を持ったときに、言わばその人たちのほとんどが就職できる環境を作ることが、僕は究極の目標だと思うのです。それはある意味では理想論にすぎないと言われるかもしれませんが、その1つの最低限の手法として、法定雇用率の設定という形で障害者の雇用を実現していくという流れが、この法の趣旨あるいは目的だと思うのです。障害者雇用促進法のその趣旨、理念に沿って、この間の雇用率が徐々に引き上げられてきたことは、我々障害者にとって非常に有り難い、日本の環境が大きく改善している姿を見ることができているのだろうと思っております。
そして、先ほどから事務局案という言い方をされている方がおられたかと思うのですけれども、これは、言わば正に法律に基づいた算定によってはじき出された、現時点における障害者雇用の最低実現したい目標としての法定雇用率で、計算上あるいは法律の規定に基づいて2.7という算定された数字が出てきているのだろうと理解しています。それであれば、本来は令和5年4月やあるいは熟慮期間を経た令和6年4月から2.7%に、0.4%を直ちに引き上げるべきだろうと率直に思うのですけれども、皆さんがおっしゃるように、激変緩和と言いますか、あるいは、企業の努力を継続的にお願いするという意味からも、段階的にということは、けだしやむを得ないのかなと。法律に基づいたものは2.7%で、それを緩和する形で出された事務局案が、令和6年と令和8年の段階的な引上げという形、これ自身は、法律に基づくというよりは、正に事務局の緩和策として出てきたものだと理解しています。
実は、私がもっと強く本当は言いたいのは、除外率の引下げの問題です。これはこれまでの審議会でも何度も申し上げてきたことですけれども、本来は廃止すると決めておきながら、ずっとそれが遅れているわけです。本来はもっともっと加速度的に廃止に向けて除外率を下げていくべきところでありますが、言わば激変緩和の意味で10%ずつということが昨年に審議されたわけで、それも、一応10%下げるけれども、この案では令和7年でしたか、だから、今からまだまだ2年先になるわけですよね。やっと2年先に10%下げるというような、そこもまた事務局案としての緩和策なのですね。これを更に後ろへ倒すということになるなら、では、5年後の見直しというのはどうなるのだろうと。令和10年の時点で、再度、法定雇用率の見直しがあるわけですが、それとのバランスから言っても、これ以上後ろにいくということは、現実的には、これ以上後ろ倒しをすること自身が、令和10年の次の見直しということを考えたら、あり得ないのではないだろうかと。だから、これが最低限というか、最大限というか、この場合の言葉の使い方が分かりませんが、緩和策ではないのかなと受け止めますので、是非、御理解いただきたいというのが我々障害者団体からのお願いであります。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。次に、長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 おはようございます、福島大学の長谷川です。よろしくお願いします。私からは、まず質問を3点させていただいて、お答えいただいてから意見を述べさせていただきます。質問の1つ目ですけれども、資料1-2で失業障害者数を示していただいておりますけれども、その人数はどのようなデータから算出されたのかを、まずお聞きしたいです。
2点目は、A型事業所の利用者を雇用義務制度の対象としていくかどうかを今後議論していく上で聞いておきたいことなのですけれども、A型利用者の方の人数が、どの程度、資料1-2の計算式に影響していて、その結果、法定雇用率がどの程度引き上げられているのかを教えてください。
3点目に、これは確認ですが、資料1-5で、補助犬の使用を拒んではならない事業主を雇用義務制度の対象事業主とするというお話で、それは身体障害者補助犬法などからつながっていて、そういう書きぶりになるとは思うのですが、ただ、補助犬の使用を拒むのが、たとえ従業員数30人規模の事業主であったとしても、これは障害者雇用促進法上の差別禁止規定には違反するという理解で大丈夫でしょうか。以上3点、よろしくお願いします。
○山川分科会長 質問がございましたので、事務局からいかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。まず1点目、資料1-2の失業障害者数の算定の仕方の御質問がございました。この件につきましては、今回、ハローワークの求職者数の令和3年平均を用いて20時間未満の者を除いた数値を使っております。その上で、ハローワーク経由の就職だけではございませんので、調査などでハローワーク経由の就職割合を出しているもの等を使いまして、割り戻してその数を導き出しております。
それから、2点目の算定の中でのA型事業所の利用者数です。今、手元に精緻な数字はございませんが、7万~8万人だったと思いますので、0.1ポイント弱ぐらいの要素になってくるのではないかと思います。もし必要でございましたら、後ほど先生のほうに個別に御提供申し上げたいと思います。
3点目ですが、この補助犬法の規定の中において、事業主に対してその利用を拒んではならない、その規模について規定がありますが、補助犬法の中でそれに反した場合、特段、罰則等もございません。一般的な差別禁止のものに該当するかどうかは、当分科会で申し上げることではないかと思っております。以上です。
○山川分科会長 長谷川委員、いかがでしょうか。御意見がありましたら、それも含めてお願いします。
○長谷川委員 ありがとうございます。補助犬の話は、従業員の補助犬の使用を事業主が拒んだ場合には、補助犬法とは別に障害者雇用促進法上も、障害を理由とする差別に該当するという理解でいいのですねということです。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺でございます。そういうことであれば、そのとおりでございます。
○長谷川委員 はい、分かりました、ありがとうございます。では、意見を述べさせていただきます。私自身も、今回の2.7%という数字は非常に驚きを持って伺いました。事業主の方々が非常に大変になるというのは、本当に理解するところです。ただ、除外率とのダブルの影響があるという点については、やはり除外率の引下げをこれまでずっと後ろ倒しにしてきたことのツケが、今、回ってきているのではないかと感じておりまして、今一緒にそれをされると困るというのはわかるんですけれども、そのような状況を生み出したのは、これまでの事業主側の対応もあったのではないかと思います。
使用者側の御提案として、令和8年4月という、2.7%に引き上げる時期をなるべく後ろ倒ししてほしいという要望についても理解はするものの、やはり結局後ろ倒しにすることによって、そのときに、また大変な思いをするのではないでしょうか。次の5年後の見直しもあるので、その影響があったときに、どういう対応をするのだろうかというのは、使用者側としてどう思っていらっしゃるのかというのは聞きたいと思っています。ですので、余り後ろ倒しにせずに、法律に基づいて制度を回していく、施行していくのがいいのではないかとは思います。ただ、この分科会には4者いますけれども、義務を負っているのは使用者側だけで、その使用者が一番大変な思いをしていらっしゃるというのは理解するところです。そうだとすると、法律に定められていることを私たちがここの分科会でゆがめることはできないですが、法律自体を見直していくというのは、今後の議論としてはしていかなければいけないだろうと思っています。現在、雇用されている障害者の人数をほぼ唯一の基準として、雇用義務制度は成り立っているわけですけれども、その枠組み自体を考え直すときに来ているかもしれないと思っています。
また、雇用されている障害者というのが、知的障害者の一部を除くと、基本的には就労上いかなる困難を抱えているかという点は、余り考慮されないまま、障害者の範囲が決まっているところだと思いますので、やはり就労困難者がどの程度あるかということも踏まえた上で、雇用義務の対象を考えていくのか、それとも、そもそも雇用義務制度自体を見直していくのかというのは議論する必要があると思います。いずれにせよ、今の制度の根本的な見直しが必要とされている、そういう時期に来ているのかなと感じています。ただ、雇用義務制度がないと、使用者は障害者を雇用しないのではないかという心配もあるのです。ですから、その辺りも今後議論したい、する必要があると、今回の2.7%という数字を見て、より強く思うようになりました。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。続きまして、倉知委員、お願いします。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。よろしくお願いします。使用者側委員の方々の意見は、私は心情的にはよく分かります。ただ、法律で決まっていることなので、これはもうやるしかないなと思います。だから、どのように2.7%に上げていくのかというところの議論だと思うのですが、5年ごとに法定雇用率を検証することを考えると、この事務局案は一番最適なのかなとは思いました。長谷川委員がおっしゃったように、除外率のことというのは、やはり今までしてこなかったツケが回ってきているということなので、ここで除外率のことは話すべきではないのではないかなと、お話を聞いて感じました。そもそも、障害者雇用はしたくないということが前提にある。そこが、やはりこういう大きな問題になってきているし、雇用率代行ビジネスということが出てきているのも、そもそもそこが根底にあるのかなというのを、私は話を聞いて感じました。
しかし、そうではない企業の方もたくさんいるのを私は知っていますので、これから、支援機関による更なる企業の支援というのを、やはりもっと強化していかないといけないし、企業と支援機関が本当に協力して障害者雇用を進めていく、企業にだけ任せるのではないということは、これからもっとやっていかなくてはいけないと思っています。まだまだ福祉の団体で働ける方がたくさんとどまっている、その方々を企業の戦力にしていくことは、もっとできる余地はたくさんあるな、それを進めていかなければならないなということを、今回の法定雇用率が上がるというところで、より感じました。
未達成企業の割合が半数にいっていないということも、確かにそのとおりだと思います。ただ、法定雇用率が上がってきても、未達成雇用率の企業の割合はそう変わっていない。ということは、長谷川委員もおっしゃっていたように、やはり法定雇用率があることで障害者雇用は進んでいく。法定雇用率が上がることで、更に障害者雇用が進んでいくということは、これはもうはっきりした数字が出ているのではないかなと思っています。ですから、法定雇用率の上昇が障害者雇用を牽引しているというのは事実であると思います。
ただ、使用者側委員の方もおっしゃっていたように、今、障害者雇用の評価は、法定雇用率という数だけなのです。ですから、障害者雇用評価の在り方について、量だけではない評価の仕方を検討することは賛成です。それは、法そのものをどう考えていくのかということですので。ただ、これはこれから考えていかなければいけないことで、今の法律の中でやるべきことはやらざるを得ないのではないかなと考えています。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、大谷委員、お願いします。
○大谷委員 お世話になります。育成会の大谷です。よろしくお願いします。皆さんの意見には、ほとんど両者の思いが出ているなという感じがしました。確かに、私どもは、障害のある家族として、その意見として述べさせていただくのですが、働くということは本人たちにとってはとても大きなことであるということ、ただ、その中で、雇用率というものでやっと地域に出れているという現実もあるということも、ちょっと踏まえていただきたい。
今、学校の就学前に検査が行われます、テストがあります。その中で、約10人に1人は何らかがあると言われるようになってきている現実もあるということ。すると、先々、その人たちがどう働いていくのかな、では、現在の雇用率で足りるのかなという。学校サイドも、その子供たちに合わせた教育をやることによって、地域で暮らせるようなシステムを、今、作ろうとはしているのですが、なかなかそこまでまだ進んでいないのも現実です。ですので、働く職場はどんどん減ってくる、その中で、障害のある方は増えてくるという、逆のバージョンがこれからどんどん進んでくる中で、この雇用率もしっかり考えていかないといけない部分にあるのかなと思います。
それと、知的面で言いますと、本当に、一般就労しているのは数パーセントです。そこのところも少し皆さんの中でも考えていただきたいと。雇用されるほうも、意味はものすごく理解できます。障害のある方を働かせるということについては、難しい問題もかなりあるということも理解はしております。ただ、そのような部分についても、各種団体さん、うちもそうなのですが、理解していただくためのいろいろな講座をやったりしております。是非ともそういうものを使っていただいて、企業の方々も、職員に理解をしていただくことで雇用率につなげていただく。また、働きやすい環境も作りやすくなると思うのです。
極端な話を言いますと、生まれてから死ぬまで障害は付いてきます。そういうことも考えますと、どこで働くか。うちの子はB型事業所です。B型事業所も生活介護におります。ということは働かないのです。何をやっているかと言ったら、ダンボールを集めたりとか、空き缶を潰したりとか、それで年間数千円を頂いている。でも、これも働いている1つです。今、皆さんが議論されているのは最低賃金の枠です。ですから、そういうこともあって、やはり雇用率というのは、せめて働ける人たち、働こうという立場というものを考えていただいて、是非とも。大変だと思います、本当に1%上がれば何百人という雇用をされなければ駄目ということも理解しますので。ただ、これだけでは先々は立ち行かないという、本当に、働かない人がいっぱい出てくることになりますので、是非とも、企業の方からも、大変な部分であるけれども理解していただいて、それに向けて、障害団体を巻き込んでいただいて、雇用率のアップに向けていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。以上で終わります。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、下屋敷委員、お願いします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。皆さんがおっしゃっていたとおりなのですが、雇用率の算定のルールの取り組みというのは、やはり、きちっと筋は筋で通していったほうがいいかなという感じを強く持ちますので、先ほど言った、雇用率の引上げの時期等については、事務局案で私は当然いいのではないかなと思って聞いていました。少なくとも令和8年度中には2.7%というものを示すべきではないのでしょうか。
それから、精神疾患が五大疾病に入ったのは一番遅いのですが、今は数的に一番トップにきているわけです。それだけ、ストレス社会の中で、たくさんの人が、多分、以前は国民の30人に1人でしたが、もう20人に1人ぐらいの方が精神疾患という、今、そういう日本の社会になってきているわけです。そういう中で、やはり、企業側の方も言ったとおり、質的労働環境をどう上げていくかということがすごく大事なので、そちらのほうの優先も考えなければいけないし、公務部門での短時間雇用のモデル的な取組をやはりすべきではないかなと思いました。
それから、精神障害の場合は、地域医療のほうに国策として少しずつ動き出しています。病院から退院して、あるいは、デイケアからリカバリーをしていく人は結構多いのです。その人たちを迎え入れるという姿勢は、やはりすごく大事ではないのかと思いました。
それから、発達障害については、家族相談などをやっていると、中途で不採用になり、コミュニケーションの自信がなくなってしまい、引きこもってしまってというケースが多いです。ですから、そこは、いろいろな質のフォローの仕方によって、雇用の推進が可能ではないのかなと思っております。いずれルールはルールということで、少なくとも引上げについては8年度中には是非やっていただきたいと思いました。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、冨高委員、お願いします。
○冨高委員 労働側委員の冨高でございます。今回示された雇用率につきましては、過去最大の引上げ幅となりますので、企業に少なからず影響があることは、一定理解しておりますが、法定雇用率は、障害者雇用促進法に基づく算定式によって算出されるものであり、企業に対する一定の配慮や必要な支援は行いつつ、法定雇用率の達成に向けて、計画どおりに取り組むべきで、事務局が示した内容は適当と考えます。ただし、障害者雇用にいては、雇用率の達成だけではなく、雇用の質の確保も非常に重要であるため、先般の改正法の趣旨を踏まえ、企業の主体的な取組を基本として、各種助成金の拡充や支援人材の活用促進、ノウハウの支援など、国によるより一層の支援の強化を改めてお願い申し上げたいと思います。
また、雇用率の引上げにより、雇用率の未達成企業が更に増加する懸念もあると考えています。障害者雇用ゼロ企業の低減に向けた引き続きの取組に加えて、全般的な障害者雇用の促進を図る支援をお願いしたいと思います。
関連して、昨今、議論になっている雇用率のみを目的とした障害者雇用代行ビジネスについては、その実態把握をしっかり進めていただきたいと考えております。ノーマライゼーションの実現に向け、もし不適切な事案があるようであれば、監督行政との連携の下、厚生労働省として適切な対応をお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見はいかがでしょうか。それでは、途中参加の御予定ですが、影山委員から書面で御意見が提出されております。読み上げさせていただきます。
厚労省の案は穏当の提案だと思われ、賛成である。以下、1~4はその理由、5は意見・要望である。1.「令和4年度障害者白書」に掲載されている障害者数の時系列データの最終年は2016年若しくは2017年であるが、増加傾向にある。現在がその推移の延長上にあるのであれば、法定雇用率が上がることは予見でき、各社において対応策を考えることができた可能性がある。2.制度の性質上、次の改定もにらんで改定を進める必要があるが、一挙に引き上げるのではなく、0.2%ずつ引き上げるという緩和措置が取られている。3.除外率の引下げも時期をずらして実施される。4.企業の取組をサポートするための助成制度も実施される。
5.ただ、課題も感じられる。緩和措置や助成制度があったとしても、企業の中には負担感があり、法定雇用率の引上げに反対の声が上がる可能性がある。企業に対しては一層の配慮が必要である。配慮の方向としては、企業に対する支援制度の充実が考えられる。ただし、納付金や調整金といった単純なインセンティブメカニズムが通用する時代ではない。つまり、負担感は、マル1 障害者の戦力化のノウハウが形成しにくいことに加え、マル2 企業が、健常者の労働生産性改善など、障害者雇用によるシナジー効果を想定しておらず、そのような効果がどれほどかを評価していないことによって生まれている可能性がある。障害者が戦力になったりシナジー効果を生んだりすることが分かれば、障害者雇用は、ワークエンゲージメントが注目される現代において、重要な人的資源管理策の一環になり、消極的ではいられないはずである。戦力化については、障害者の能力評価やそれに基づくマッチング、戦力化ノウハウのアドバイスなど行う制度が功を奏する可能性はある。しかし、シナジー効果については、国連が発行したSDG Impact Standardsにあるような、社会課題への取組の経営的意味を考える視点と評価ノウハウが必要である。その視点とノウハウを形成してもらう支援制度が別途必要と思われる。以上。
これが影山委員の御意見でございます。それでは、事務局から何かございますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。1点の確認とその補足の説明をさせていただければと思います。まず1点目です。何人かの委員の方からも御指摘がありましたが、使用者側から2.7%という数値について引下げというような御意見がありました。この点につきまして改めて確認させていただきますが、本件法定雇用率につきましては、先ほど数名の委員から御指摘があったように、法律の中におきまして、労働者の総数に対する対象障害者の総数、この割合を基準として設定するとありまして、資料1-2でお示ししたような基準の算定式に基づきまして、2.7%と導き出された率自体が法定雇用率となります。これは法定でありますので、ここについては引下げなどの対応はできないと。先ほどちょっと御紹介があった平成30年4月に行われました激変緩和措置につきましては、25年改正の際に法律の附則を受けまして、この基準として設定するというところを、割合に基づいて、対象障害者の雇用の状況、その他の事情を勘案して設定すると読み替えを行っておりましたので、2.42%という算定式から導き出された率につきまして、2.3%として設定したという経緯があります。今回、そのような対応は想定しておりませんので、2.7%ということで御理解を頂きたいということです。
その際に、先ほど説明を割愛してしまったのですが、資料1-2を改めて御覧いただければと思います。今回、各委員からも支援策の拡充をという御意見を賜わりました。今回、先般成立させていただきました障害者雇用促進法に基づきまして、令和6年4月から新たに、雇入れから一連の雇用管理に対する伴走型のきめ細かな支援ということでの助成金を創設いたします。これにつきましては、法施行後すぐにでも、こういったことを担えるような事業所を地域において確保していくという動きを取っていきたいと思っております。また、2月以降の議論になりますが、助成金等の拡充策、併せまして、いろんな企業様へのヒアリングの結果も踏まえましての検討を進めておりますので、この辺りも是非御議論させていただきたいと思っております。このほかとして、既に先行的に労働局等に指示をした内容ですとか、来年度の要求におきまして支援策の拡充なども仕組んでおりますので、こういったことも併せてやってまいりたいと思います。
加えまして、先ほど採用と定着に向けてというところでの御指摘については、ハローワークにおきましても、アセスメントの強化というところでマッチングの精度を高め、戦力化というところに対して、企業に対する支援をしていきます。また、障害者総合支援法のほうで創設されます就労選択支援なども、福祉の機関も含めての障害者それぞれの能力、適性に見合った支援やサービスに結び付けるようなことが実現していくものと思っております。この辺り、福祉・雇用の連携を更に強化して、企業で活躍できる方たちに対して、しっかりと福祉の方から送り出していただくというようなことも含めまして、企業の皆様方の採用、定着に向けての取組を積極的に支援してまいりたいと考えているところであります。
そのようなことも踏まえまして、2.7%に向けまして各企業の取組が円滑に進むように、今回、段階的な施行ということです。資料1-1にお示しましたようなスケジュール感、この施行に向けての段階的な引上げに対しての水準と時期につきまして、実質的にはお諮りをしているということですので、ここも踏まえての御審議をお願いしたいというふうに思っております。以上です。
○山川分科会長 ただいまの事業主向けの支援は、資料1-1の2枚目に書いてあることでございます。
皆様から様々な御意見を頂きました。いずれも、それぞれの立場からの非常に真摯な御意見であったというふうに感じております。議論全体の状況としては、令和5年度からの障害者雇用率に関してですけれども、障害者雇用率を段階的であれ2.7%まで引き上げていくこと、それが法律に基づく計算式によっているということについては、おおむね御了解を頂いたのではないかと思います。他方で、障害者雇用率制度について、昨年の当分科会の意見書あるいは本日の御意見等を踏まえますと、次期の障害者雇用率の設定、あるいは、今後の将来的な制度改正に向けての早期の検討の開始の必要性という意見も出されたところでございます。また、先ほどの2.7%の引上げ時期については、段階的な引上げに当たって、できる限り後ろ倒しをしてほしいとの意見も出されたところでございます。
障害者雇用率につきましては、これも法律上のことですけれども、障害者雇用促進法において少なくとも5年ごとに設定するということになっております。私としましては、令和5年度からの雇用率について、頂いた御意見を踏まえるとした上で、まだ意見に開きはありますけれども、御意見を集約して、労働政策審議会への報告を本日まとめたいと思っておりますが、いかがでしょうか。新田委員、どうぞ。
○新田委員 使用者側、経団連の新田でございます。今しがた分科会長がおっしゃった、取りまとめの方向で御検討いただくということについては、異論ございません。ただ、今回出された法定雇用率2.7%について補足で申し上げると、先ほど来の私の発言は、少なくともこの法定雇用率制度自体を廃止するとか、そういうことでは全くありません。法定の算定式で出た数字ということも十分理解しております。さはさりながら、非常に衝撃的な数字であるということから、一定の配慮をお願いできないかという趣旨で申し上げたところであります。それに関して、先ほど小野寺課長から、法で定めたものということで今回は引下げはできないということでございました。そういうことであるならば、やはり、先ほど申し上げた、少なくとも2回目の引上げの時期については後ろ倒しを強くお願いしたい。また、使用者側だけではなく、各側の委員からも御意見がありましたように、次々期の法定雇用率の見直しの議論の前にしっかりと制度見直しの議論を行うということについて、文書等に明記する、確約を是非お願いしたいということを、再度申し上げておきたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、非常に様々な御意見を頂きました。本日、報告をまとめるという観点から、私のほうで事務局に指示をいたしまして、報告文案について、本日、頂いた意見を踏まえたものを準備させていただければと思います。その点で、本審議会を一旦中断させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。では、再開の際にはお声掛けいたしますが、中断している間は、オンライン参加の皆様、マイクをオフにするように御留意をお願いいたします。それでは、暫時中断いたします。ちょっと退席させていただきます。
                                     (中断)
○山川分科会長 大変お待たせいたしました。再開いたします。中断中、報告文案を考えましたので、記載内容を含めて御確認を頂きたいと思います。画面に表示を、また、配布をお願いいたします。
                             (報告文案を画面に表示)
○山川分科会長 事務局から読み上げていただけますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長小野寺です。お示ししております案文です。記以下について読み上げます。1.厚生労働省は、当分科会において昨年6月17日に取りまとめた今後の障害者雇用施策の充実強化について等を踏まえ、障害者雇用率制度について、次期の障害者雇用率の設定や今後の制度改正に向けて、早期に検討を開始するべきである。2.上記の意見を厚生労働省が最大限尊重することを前提に、厚生労働省案はおおむね妥当と認める。ただし、障害者の雇用の促進等に関する法律施行令及び身体障害者補助犬法施行令の一部を改正する政令案要綱第三の二の経過措置を、令和8年6月30日に修正すべきである。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。以上の報告文案によって、労働政策審議会会長宛てに報告したいと考えておりますが、よろしいでしょうか。御意見がありましたら、同様の方法でお願いします。新田委員、どうぞ。
○新田委員 使用者側、経団連の新田です。修正を検討いただき、まずは御礼を申し上げます。ただ、法定雇用率について2.7%という点は変わらないということで、内容的には多くの企業にとって非常に厳しいとは考えております。一方で、様々な意見がある中で、今回は山川分科会長の御判断で出された修正案ということを、非常に重く受け止めております。したがって、誠に苦渋の選択ですが、こちらの修正案でやむなしと申し上げます。
その上で、法定雇用率引上げによって今後どのような影響が生じてくるのかを、この分科会においても、しっかりと見据えていくことが必要だと思っております。したがって、令和5年4月の1回目の引上げ、そして今般示された令和8年6月のタイミングにおいて、どのような形で影響があるのか、状況の確認ができるように、厚生労働省においては情報の収集等をお願いしたいと思っております。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。倉知委員、お願いします。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。1番で、「障害者雇用率制度について」ということに限定されているのですが、そうではなくて、質のことも含めて、障害者雇用の評価の在り方について検討をするという広がりを持たせられないかなと思った次第です。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。今、倉知委員がおっしゃった1の所は、意見を伺って私もそう思いました。この書きぶりですと、差別禁止規定や合理的配慮は入ってこないと思いますので、その辺りも入るような表現のほうがいいのではないかと思います。
私がお伺いしたかったのは2の所です。経過措置を延ばすという判断をされたと思うのですが、そういった判断に至った理由を教えておいていただきたいです。先ほどいろいろな御意見があった中で、事務局案のままでいくべきだという意見もそれなりにあったかと思いますが、そうではなくて、そのような内容でいこうと分科会長の山川先生が判断された理由を、少し説明していただきたいなと思います。
○山川分科会長 ありがとうございます。私のほうで、このような文案が妥当だと考えた理由は、ここは皆さん御了解のとおり、法律に基づく算定の2.7%自体はもう変わらないという前提で、企業への影響を考慮してほしいという強い意見が出されましたが、そのことについては、ほかの立場の委員の皆様方からも、一定の配慮が必要だという御了解を頂いたということです。その限りで、時期的な点については、正に先ほどどなたかから御意見がありましたが、審議会で行政的に決められることであるということを踏まえて、しかし、余り長く経過措置をとるのも次期の雇用率設定なども近づいてきますし、また、制度の議論などをすることになると、そんなに延ばすわけにはいかないということで、私としては令和8年6月30日と考えました。事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。分科会長のおっしゃるとおりです。若干、事務的なスケジュール感で補足をいたしますと、各委員からも御指摘があったかと思いますが、次々期の令和10年4月からの法定雇用率の議論自体は、令和8年の夏か秋ぐらいに既にスタートするというのが通常のスケジュール感です。ですので、少なくとも令和8年12月とか8年度末というのは、次の議論が始まっていながら、設定した雇用率に到達していないというのはいかがなものかとも思いますので、事務局案として御提案した4月に限りなく近い形での7月ということで設定をしました。そうすることによって、より企業の皆様に、少し長い視野の中において、計画的に雇用の質を追求していただくことも含めて取組を進めていただけるのではないかということで、修正の案に至ったということです。以上です。
○山川分科会長 長谷川委員、何かありますか。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。よく分かりました。御説明ありがとうございます。
○山川分科会長 もう1つ、先ほど倉知委員から御提案のあった点です。意識としては、障害者雇用率制度そのものというか、関連する諸制度も含めてという認識でおりましたが、そのことを明確化するために、表現上の訂正ですが、「障害者雇用率制度等について」と広めに修正するということでよろしいでしょうか。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。結構です。
○山川分科会長 今のお話は、今後の制度改正の意味でも広めに捉えられることが可能であろうと。議論としては、いろいろな関連することに及ぶと思いますので。ありがとうございます。冨高委員、どうぞ。
○冨高委員 労働側委員の冨高でございます。改めて示された報告文案の「障害者雇用率制度」に関しては、次期雇用率を議論する前に、雇用率制度における課題を整理していただく必要性があると認識しております。そのことを踏まえれば、修正の内容で良いと考えます。
また、経過措置の延長については、冒頭、スケジュールどおりにと申し上げましたが、先ほどの使用者側委員からの強い要望等も一定理解できるところです。ただし、今回、経過措置を先延ばしするのであれば、段階的に引き上げられる雇用率を計画的かつ着実に達成することが重要だと考えますので、雇用の質の確保を含め、事業主の責務を適切に履行いただきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。特にほかに御意見がないようでしたら、示しました文案のとおり報告させていただきます。今後、労働政策審議会会長宛てに報告した後に、労働政策審議会会長から厚生労働大臣に答申するという運びになります。ありがとうございました。
時間がかなり迫っておりますが、次に議題2について、事務局から簡単に説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。資料2に基づき、今後の法施行に向けての年度内の審議会での検討のスケジュール案について説明いたします。本日5つの議題を用意しておりますが、本日説明いたします基本方針に修正を加えたものを、また2月以降、改めて、説明いたします。また、公務関係ですが、障害者活躍推進計画作成指針について説明いたします。2月の会は2回ほど設定を予定しておりますが、ここでのメインの議論としては、調整金・報奨金の調整措置について、意見書等において取りまとめていただいた中身を踏まえた上で、最新のデータなども踏まえて、御意見を賜りたいと思っております。併せて、ここでの財源の見込みも立てた上での助成金の新設の内容、それから、各企業へのヒアリング結果も踏まえ、既存助成金の拡充について案をお示しして、御意見を賜りたいと思っております。加えて、週所定労働時間10時間以上20時間未満の特定短時間労働者の実雇用率算定についての確認です。これらを経まして、2月中までに意見書等あるいは法律の内容を踏まえた上での内容の確定を行っていった上で、3月以降、順次関係する諮問をさせていただきたいというものです。
以下、法改正の中身、附帯決議について参考までに添付しております。資料2については以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。スケジュールについて、御質問、御意見はありますか。ありましたら、先ほどと同様の方法でお願いいたします。よろしいでしょうか。今後、まだいろいろとプロセスを経るということになります。では、議題2については以上です。議題3について、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。議題3については、資料3-1、資料3-2を用意しておりますが、資料3-1に基づき説明いたします。本体は分量が大変多くなっており、修正箇所は赤字が入っておりますので、御確認を頂きたいと思います。
今回、法律に基づいて、障害者雇用対策基本方針について、現在、運用期間が平成30年度から令和4年度までの5年間とされておりますものを、障害者雇用促進法改正もありましたので、期間についても令和5年度から令和9年度までの5年間の指針ということで、新たに定めるものです。
現行の柱立てを書いてありますが、1から4については、法律上にもこういった事項をということでの規定があります。はじめにとして、方針の目的、狙い、運営期間などが書いてあります。今回は特に狙いの部分について、前々回の改正から前回改正に至るまで、あるいは前回改正の総括、及びそこから生じてきた課題を踏まえた今回の法改正の流れを追記しております。併せて、運営期間について、令和5年度から令和9年度までの5年間と明記しております。
第2以降については、見直しのポイントに書いてあるような、障害者雇用促進法改正の中身を踏まえた見直しです。今回、特に雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化などを追記しましたので、その辺りも踏まえての能力開発、在職者に対しての訓練などを通じた雇用の質の向上といった要素を、改めて記載しております。また、リハビリテーション措置に対しての総合的な施策の基本については、新たな展開としてテレワークなどの部分を追記するなどしております。併せて、全般、そして事業主に対しての雇用管理の事項については、特に特定短時間労働として労働時間を10時間に引下げたり、精神障害に係る20時間の特例の延長などもしておりますので、こういった処遇に対して、御本人の希望、能力に応じた形で労働時間を延ばしていくなど、適切な対応をするようにといったことも重ねて書いております。それ以外にも、雇用率、除外率の見直しも踏まえた上での追記を行っております。
以上、大まかな見直しのポイントになりますので、詳細、文言修正等については、本日の当分科会終了後においても、書面で頂戴することをもって、次回に修正をかけた上でまた御説明をしたいと考えております。説明は以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。障害者雇用対策基本方針ということで、重要な文章でもありますし、詳細なものですので、今日だけでというわけにはいきませんので、次回、改めてということになります。今、課長から説明がありましたように、もし文章等について訂正の御提案がありましたら、別途メール等で御連絡いただければと思います。今の段階で御質問、御意見等はありますか。倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。改正法新案、よく分かりました。1点だけなのですが、昨年、障害者権利条約について国連勧告があったと思うのですが、この辺りについて全く触れていないのはどうかなと。この辺りについても、少し触れておいたほうがいいのではないかと思いました。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。今、倉知委員から御指摘のありました権利条約関係については、改めて一番最後の13になりますが、「障害者権利条約やその実施状況を踏まえ、雇用の分野における障害者の差別の禁止や合理的配慮等の更なる推進を図るとともに、国際協力を推進する」ということで、今般の対応を踏まえた上での修正をしておりますので、御理解を頂ければと思います。
○山川分科会長 倉知委員、何かありますか。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。これは分かったのですが、何か余りにもあっさりしているので、もう少し何かないかなと思った次第です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では、事務局でまた何か御検討いただけますか。内田委員、お願いします。
○内田委員 労働側の内田です。私からは2点要望を述べさせていただきます。まず、障害者のテレワークの推進についてです。これまでも述べてきたとおり、労働時間管理の徹底や、在宅勤務による社内での孤立化を深めないためのコミュニケーションの促進についても、基本方針に明記して頂きたいと思います。また、技術革新も踏まえた新たな業務、支援機器の開発や普及などとともに、デジタル化に対応した職業訓練の実施についても、追記を頂くようお願い致します。
つぎに、コンサルティングの質の担保についてです。障害者雇用ゼロ企業等への民間事業者によるコンサルティング支援についても、コンサルティングの質の担保が重要な旨、以前にも述べましたが、その旨も基本方針に記載を頂きたいと思います。併せて、地域によっては、コンサルティングを行う事業者が少ないという場合もあるため、民間事業者とのマッチングのサポート支援についても、対応をお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。これらの点についても、事務局で改めて検討をお願いします。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 日本視覚障害者団体連合の竹下です。時間がないので、内容についての意見は文書で出したいと思います。今、課長がおっしゃった、次回に検討するので、それまでに意見のある人は文書でということでしたが、その文書はいつまでというような期限はありますか。質問で終わります。以上です。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。竹下委員、ありがとうございます。次回が2月の上旬を予定しておりますので、少なくとも1週間以内ぐらいに頂けますと助かります。御協力を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。
○山川分科会長 竹下委員、よろしいでしょうか。
○竹下委員 日本視覚障害者団体連合の竹下です。了解いたしました。
○山川分科会長 進行に御協力いただき、ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。では、また改めて御意見を伺った上で、もう一度、御審議を頂く予定です。
続いて、議題4と5について、一括で議題といたします。事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。資料4と資料5に基づいて御説明申し上げます。まず、資料4ですが、精神障害者の算定特例の延長について(案)としております。本件については、週所定労働時間20時間以上30時間未満、手帳取得から、あるいは雇入れから3年以内の方を、0.5ではなく1カウントとするという特例措置について、令和5年度以降の取扱いを御検討、取りまとめいただき、当分科会意見書としては、これを延長する、その際に3年要件を外すという形での報告になっておりました。
これらを踏まえ、事務局案を提示しております。算定特例については、令和5年4月1日から、いわゆる週所定労働時間20時間以上30時間未満の短時間労働者等について、当分の間、1人としてカウントするとさせていただきたいと思っております。この当分の間は、2のほうに書いておりますとおり、週所定労働時間20~時間以上30時間未満の方は本来0.5とするところを、ダブルカウントとして、実質「重度」みなしとしての1カウントという形になっております。この点について、今、高齢・障害・求職者雇用支援機構、JEEDで、令和6年度末までに、精神障害者の等級疾患と就業状況との関連に関しての調査研究をやっており、これを取りまとめます。この結果も参考にし、精神障害者の「重度」の取扱いをどうしていくのかについて、一定の整理をした上で、併せもって特例の措置について、改めて検討することをもって、特例的な取扱いとさせていただきたいと考えております。
資料5です。これについては、在宅就業障害者支援制度、LLPの全国展開に関するものです。1にありますように、在宅就業団体の登録要件の緩和、今回、当分科会意見書等の中において、登録要件を緩和することをもって、在宅就労団体を増やして、そういった働き方を支援していくという方向でとりまとめいただきました。一定の提出に当たっての書類の簡素化をもって、団体の御負担を減らそうということです。その中においての実態を確認する調査において足りるもの、登録申請時点において不要とすることができるものについては、今回、これを簡略化するということです。それから、登録要件の緩和についても、専任を削るという対応をいたしますので、これらに伴う必要な様式(告示)の改正を行わせていただきたいというものです。
2点目が、LLPの全国展開に際し、障害者雇用促進法上の省令にもLLPを追加するということです。併せまして、現行の国家戦略特区と同等の取扱いといたしまして、要件としての中小企業者にのみ限定を掛けていくことと、解散の事由が生じた場合の措置についても、同じように定めさせていただくものです。上記に伴い、関係規定の削除や必要な様式(告示)の改正を行わせていただくものです。これらについても、併せて3月以降、改めて諮問させていただくものですので、内容についてお諮りをしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、議題4、5について、質疑、応答に入りたいと思います。御質問、御意見がありましたら、先ほどと同様にお名前を名乗って御発言をお願いします。御質問、御意見等はありますか。門﨑委員、お願いします。
○門﨑委員 労働側の門﨑です。議題5について、意見を述べたいと思います。
まず、在宅就業団体の登録要件について。管理者の専任要件の緩和になりますが、不適切な運営や業務管理などが行われることがないように、適宜、実態把握を行い、不適切な事案があった場合には、適切な指導をお願いしたいと思います。
また、以前にも申し上げましたが、生活できる報酬若しくは災害補償、失職補償等の観点から、雇用に移行していくことが望ましいことからも、就業者の雇用への移行ニーズを適宜把握し、適切なアセスメントや企業とのマッチングの充実により、一般就労を促進するよう併せてお願いしたいと思います。
最後に、LLPについてです。中小企業の障害者雇用を促進する1つの手法認識しておりますが、本来であれば、個々の企業において取り組むことが基本だと考えます。意見書でも記載されていますが、LLPに参画する特定事業主間での取組に濃淡が生じないように、計画達成に向けた支援、また、そこで働く障害者の職場定着を図るために、丁寧な支援とフォローアップなどの取組をお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。下屋敷委員、お願いします。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。今の課長の話で、精神の「重度」の調査研究というお話でしたが、これは具体的にどういう調査手法というか、どういうものをやろうと考えていらっしゃるのか、その概要だけでも教えていただければと思いました。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。事務局から何かありますか。よろしいですか。
○小野寺障害者雇用対策課長 ありがとうございます。事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。下屋敷委員からの御質問ですが、JEEDで今行っております調査ですが、「重度」ということではなく、まず今の手帳上の等級でしたり、あるいは疾患別に、その方の就労の状況をクロス集計などを通じて精査していくことかと思っております。その上で、精神障害の個人の方、お雇いになっている企業の皆さん、そして支援機関も含めましてのヒアリングでしたり調査を行っていると認識しております。以上です。
○山川分科会長 よろしいでしょうか。
○下屋敷委員 全国精神保健福祉会連合会の下屋敷です。了解です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では、山口委員、お願いします。
○山口委員 使用者代表の愛知県中央会の山口です。質問ですが、資料5の2ページの4つ目の○に、在宅就業支援団体の登録のために必要な「在宅就業障害者の人数」の要件を10人から5人に引き下げることが書いてありますが、これでどのような影響が想定されるのか、具体的に教えてください。
○山川分科会長 事務局からいかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局、障害者雇用対策課長の小野寺です。この影響がどうであるかは、精緻のところまで把握しきれておりませんが、この検討をする際に、在宅の団体等にヒアリングなりお話をお伺いする中においては、実際に10人以上の方を確保した上で登録ということになるわけですが、運営に当たって実質的に稼働していらっしゃるのは、実は数人であったり、その数人が戦力となってそこの運営がなされているという状況もありましたので、この制度自体が実態に合った形に今回の改正でなっていくのではないかと考えているところです。以上です。
○山川分科会長 山口委員、何かありますか。
○山口委員 ありがとうございました。結構です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では、長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。資料4の精神障害者の算定特例の延長についてです。この延長について、「当分の間」というのは、少なくとも令和4年度末までの調査研究を踏まえて、また考えるということなので、その調査の終了時、あるいはそこから検討が終了するまでということで、「当分の間」というのはすごく便利な言葉だとは思うのですが、それほど長い期間を想定しているものではないことを、まず1つ確認しておきたいと思います。
その上で、延長によって、長時間、30時間以上の勤務を希望するにもかかわらず、短時間に留め置かれる人が出ないようにという配慮をされると思うのですが、逆に30時間以上働いている人が20時間から30時間に労働時間を短くされないような配慮等も必要になってくるのだろうと思いますので、その辺りも周知していただければと思います。よろしくお願いします。
○山川分科会長 では、その点、事務局でよろしくお願いします。大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 育成会の大谷です。お世話になります。LLPの今後の課題についてですが、障害者雇用を行っている部分を補うという形でやっていただくのは、とても結構な部分はあるのですが、それに対して、常に同じ状況が続いていくことを想定しているのか、又は、雇用してない中小企業に対して、そこが先々において障害者雇用に向けて取り組むのか、その辺のことをはっきりとしていただきたいという気持ちがあります。と言いますのは、現在、この間共同通信社から発表があったような状況もあるということも踏まえていくと、そういうことも今後出てくる可能性もゼロではないと思われますので、是非ともそういう部分も含めて、また、何年後にどのような形態に持っていくのかという趣旨も踏まえていただきたいと思います。
ただ、そこで働く障害のある方たちにとっては、雇用率、できる場所が増えるということも考えられますので、上手に進めていただければいいのかと思います。よろしくお願いします。
○山川分科会長 ありがとうございます。運用、今後の実態把握という御要望と受け止めました。この点も事務局でよろしくお願いします。ほかは何かありますか。運用及び今後の進め方等について、御意見、御要望を頂きましたが、方向性としては御了解いただいたと理解しています。では、ほかにありませんでしたら、議題4、5については、以上とさせていただきたいと思います。
では、議題6について、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 議題のその他でして、1点共有です。参考資料3にお付けしておりますが、年末に発表いたしました「令和4年障害者雇用状況の集計結果」です。障害者本人、それから企業の皆様方の御努力があって、また更に過去最高更新ということで、障害者雇用者数については61万人強、実雇用率についても2.25%ということでした。法定雇用率達成企業の割合についても、1.3ポイント上昇し、48.3%ということです。特に雇用者数については、御承知のとおり、精神障害者の伸びが全体の中でも極めて大きく、対前年度比11.9%増ということでした。
今回、特に御紹介しておきたいのは、資料で申し上げますと、21ページに掲載をしておりますが、当分科会でもかねてから竹下委員より御提案がありました、身体障害者の部位別の状況についてです。障害者雇用状況の報告様式を変更いたしまして、昨年6月1日の報告から部位別の状況を把握いたしております。今回初めてですので時系列の評価はできませんが、こういった動きがスタートしたことを御紹介します。事務局としては以上です。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、こちらについても質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら、同様の方法でお名前をおっしゃって御発言をお願いします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御質問、御意見がないようでしたら、本日予定されていた議論は、これで終了となります。時間の関係で進行に御協力いただきまして、また、大変真摯な御審議を頂きまして、大変ありがとうございました。では、障害者雇用分科会、本日は終了とさせていただきたいと思います。事務局から連絡事項がありましたお願いします。
○冨安障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課の冨安です。次回の日程ですが、2月上旬の開催を予定しております。詳細は、また改めて事務局より御連絡いたします。以上です。
○山川分科会長 それでは、これで終了します。お忙しい中、大変ありがとうございました。