2022年12月9日 第6回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ 議事録

政策統括官付参事官付統計企画調整室

日時

令和4年12月9日(金) 15:00~15:38

場所

オンライン会議

出席者

構成員(五十音順、敬称略、◎:主査)
  •  稲葉 由之
  •  風神 佐知子
  • ◎加藤 久和
  •  高橋 陽子
  •  樋田 勉
構成員以外の関係者
  •  西郷 浩(早稲田大学政治経済学術院教授)
  •  眞子 武久 (東京都総務局統計部人口統計課)
事務局
  •  岸本政策統括官
  •  田中政策立案総括審議官
  •  牧野参事官(企画調整担当)
  •  井嶋労働施策情報分析官
  •  藤井統計企画調整室長
  •  渡邉審査解析室長
  •  前原雇用・賃金福祉統計室長補佐

議題

  1. 1 季節調整法について
  2. 2 その他

議事

議事内容

○藤井統計企画調整室長
 皆さん、こんにちは。本日はよろしくお願いいたします。定刻前ですが、皆様おそろいのようですので、ただいまから、「第6回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループ」を開催します。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日の出席状況ですが、「全ての委員が御出席」でございます。また、本日は審議協力者としまして早稲田大学政治経済学術院教授の西郷先生、それから、東京都総務局統計部人口統計課の眞子課長様に御出席いただいております。以降の進行につきましては、加藤主査にお願いいたします。よろしくお願いします。
 
○加藤主査
 よろしくお願いいたします。皆様、本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。それでは、議事を進めてまいりたいと思います。本日の議題ですが、「1.季節調整法について」、「2.その他」となっています。なお、本日のワーキンググループは16時までを予定していますが、予定時間を若干過ぎる可能性もあるかと思います。そのような場合、御予定がある方は御退席いただいても結構でございます。
 まず、議事1の「季節調整法について」です。季節調整法を検討することについては、第4回ワーキンググループにおいて了承されております。今回、季節調整法の検討を進めていくに当たり、事務局のほうで今後の進め方や具体的な検証内容の案などの資料を準備していただきました。それでは、事務局から御説明をお願いします。よろしくお願いいたします。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 資料の説明をさせていただきます。資料の1ページを御覧ください。毎月勤労統計調査における季節調整値についてです。毎月勤労統計調査では、毎月、季節調整値とその前月比を公表しています。
 右下の表にありますように、賃金指数、労働時間指数、雇用指数及び入・離職率の系列について季節調整値を作成していますが、原則として産業は大分類・中分類別に、また、事業所規模5人以上及び事業所規模30人以上の別に作成することから、その組合せでおよそ1000系列を作成しているところです。ただし、公表の取扱いは系列ごとに異なっていて、調査産業計事業所規模5人以上の賃金指数、労働時間指数及び雇用指数、並びに製造業事業所規模5人以上の所定外労働時間指数などの6系列を毎月の速報及び確報の公表資料に掲載しています。さらに、これらの6系列を含む調査産業計及び製造業の32系列については、長期時系列表ということでExcelファイルとしてe-Statに掲載しています。その他の系列を使う場合には、e-Statに掲載した指数原表のExcelファイルや、長期時系列データをまとめて収録したCSVファイルを利用することになります。また、季節調整値の改訂は原則として1月分の結果速報公表時に、前年の1月分から12月分の数値をそれぞれの系列に追加した上で再計算を行っています。
 左下に、景気判断の指標としてよく用いられてきた製造業事業所規模5人以上の所定外労働時間指数のグラフを掲載しています。原数値は月の日数や長期休暇のある月の影響を受けジグザグした動きをしていますが、季節調整値は滑らかな動きに見えます。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年4月~6月にかけては一旦大きく落ち込み、そこから戻る動きをしており、その前後の年とは異なる動きをしていることが分かります。
 2ページを御覧ください。毎月勤労統計調査における季節調整法の適用状況について御説明いたします。毎月勤労統計調査では、平成12年1月分の公表から、X-12-ARIMAというアメリカセンサス局で作成した季節調整プログラムを使用して、季節調整を実施しております。X-12-ARIMAは季節調整の様々な計算オプションを設定することができ、それまで用いていたX-11という計算手法との継続性を重視して、X-11デフォルトというオプションを適用しています。
 3ページを御覧ください。総務省において季節調整法の適用に当たっての統計基準が告示として定められており、それに従って各省が総務省に報告したものが取りまとめられています。前の2ページの表は総務省のホームページから抜粋したものです。3ページの1にありますように、季節調整法を適用する場合は、手法の適切性について国際的に一般的な評価を受けている手法を継続的に使用すると定められており、X-12-ARIMAが例示されているところです。
 2の公表事項のうち、(1)の各項に定められた項目は、前2ページのようにまとめられて総務省のホームページに公開されており、オプション等の設定内容に重大な変更があるとき、変更の影響を併せて公表するものとされています。
 3にありますように、手法を変更した場合、あらかじめ、変更内容、変更理由及び変更の影響を公表するものとされています。今回の手法の検討は、形式的にはX-12-ARIMAの中のオプション変更の検討になると思いますが、事実上はX-11からX-12-ARIMAへの手法の変更に相当するものになるのではないかと考えていまして、実際に変更する場合には3に準じた対応が必要だと思っているところです。本ワーキングの検討に当たりましても妥当性を判断いただくために、変更の内容、変更理由及び変更の影響をお示ししたいと考えています。
 4ページを御覧ください。ここではX-11とX-12-ARIMAの違いを御説明するために、まず移動平均法によって季節調整を行う場合の計算の考え方を御説明したいと思います。X-11もX-12-ARIMAのいずれも移動平均法が季節調整の基本となっています。前提としまして月次の時系列データ、ここではO(オー)としていますが、これが趨勢循環要素、季節要素、不規則要素の積で表わされるように分解されるといたします。趨勢循環要素は一定の周期で増減する要素です。また、不規則要素は時系列分析においてホワイトノイズとも呼ばれるもので、平均が0(ゼロ)となるような不規則な挙動を取る要素です。ここに記載している手順は、このようなとき原系列(O)から季節要素を除いた系列を計算する手順を示したものです。ここでのポイントは、STEP1で時系列方向の移動平均を取り、不規則要素の平均が0となる性質を使って趨勢循環要素を求め、STEP3で特定月の前後数年の移動平均、すなわち縦の移動平均を使って季節要素の系列を求めている点です。
 5ページを御覧ください。X-12-ARIMAプログラムの概要を記載しています。X-12-ARIMAは3つのパートから構成され、X-11と比べると前に事前調整パート、後ろに事後診断パートが追加された形になっています。左下の図にありますように、パート丸1の部分は更に2つの機能に分けられます。1つ目は、原系列についてARIMAモデルと異常値や曜日変動成分等の変数を使って回帰分析を行い、ARIMAモデルで表現できる部分と異常値や曜日変動成分等の回帰変数で表現できる部分に分解します。2つ目は、ARIMAモデルで表現できる部分を使って将来の予測値を推計する機能です。次のパート丸2の所で、原系列のARIMAモデルで表現できる部分にARIMAモデルで推計した予測値を加えた系列を作りまして、それに対してX-11による季節調整計算を行います。最後のパート丸3は、季節調整法というよりは利用者を支援する機能を提供するパートです。統計的手法により季節性が過不足なく除去されているか。また、安定性に関する指標を計算するなどの機能が提供されており、利用者が行わなければならないモデルの選択や変数の検討を助けてくれます。
 6ページを御覧ください。X-11では12か月分のデータを追加して再計算を行うと、それまでの季節調整値が大きく変わってしまうということがあります。このような改訂により数値が大きく変化することについて安定性に課題があると言われています。その原因として左下に記載がありますように、X-11では2つの課題が指摘されています。1つ目は、X-11で移動平均を使っていると御説明しましたが、時系列データの端点では将来のデータがないために片側の平均しか取れないことによるものです。2つ目は、時系列データに、ある時点で異常な変動が含まれている場合、移動平均を取っていることから、その影響が前後に引き延ばされてしまうことで不自然な動きとなってしまうことです。
 このような課題に対してX-12-ARIMAでは、ARIMAモデルを使って原系列の予測値を作成することで、データの端点でも移動平均について将来を含めて取ることが可能となります。また、回帰計算により異常値や曜日変動の影響をあらかじめ除去することで、季節調整値が不安定になることを防ぐ工夫がなされています。これまで御説明してきましたように、X-12-ARIMAでは事前調整を用いたほうが安定性の高い手法になると考えられます。
 ほかの統計調査による季節調整法の適用状況を、次の7ページで見てみたいと思います。真ん中の表の所に、総務省のホームページに掲載されている季節調整を実施している25の統計について、どのような適用状況になっているかをまとめています。事前調整を行っているものがほとんどですが、4統計は主要系列について事前調整を行い、その他はX-11のみとなっています。私どもが所管している厚生労働省の2統計については、今のところ事前調整を行っていないという状況です。適用の開始時期を見ますと、それぞれの統計において随時、検討が行われてきたことが分かります。
 8ページです。参考としてREGARIMAモデルの一般型を数式で記載しています。ARIMAモデルは、ここに記載しました(p d q)と(P D Q)の2組の変数で表わされて、これらの6つの変数を決めることでARIMAモデルが決定されます。ほかの統計の例などを見ますと、先にd、それからD、この階差の部分ですけれども、これについては原系列やその階差を取った系列の自己相関のグラフなどを使って決定し、p(P)とq(Q)はそれぞれ0、1、2の数字の組合せの81通りを全て計算して、その中からAICの値などを参照して適切なものを選ぶという手法を取っているようなものが見られました。
 9ページです。もう1つのREGARIMAモデル決定に必要な要素となる回帰変数について御説明します。季節変動から除くべきものとして、ここでは異常値、曜日変動、閏年の変動を取り上げています。異常値は制度変更や経済環境の変化による通常とは異なる動きと言うことができます。例えば、消費税の税率の変化やリーマンショックなどの影響が挙げられます。直近で言えば、新型コロナウイルス感染症の影響を異常値として取り扱うか否かが問題となります。異常値としては、このX-12-ARIMAでは下の図のように4つのパターンを設定できるような機能があります。
 10ページを御覧ください。今後のワーキンググループでの季節調整法の議論の進め方についてです。今まで季節調整について御説明してまいりました。今回の一番大きな検討課題は、X-12-ARIMAの事前調整パートを導入するか否かです。そのため検証内容(案)丸1の所に記載していますように、現行のX-11による移動平均パートのみを適用した場合と、事前調整を行った上でX-11の移動平均パートを適用した場合の季節調整値の変化を見て、安定性が向上するかどうかを検証したいと思います。
 丸2に記載していますように、そのためにはARIMAモデルや異常値の設定を行う必要があります。どのように適切にモデルを設定することができるのかについて他統計が先行事例となるかと思いますので、どのようなやり方をしているのかを参考に検討を進めたいと思っています。
 丸3に記載しているのは実務面で検討したい内容です。冒頭に述べましたように、毎月勤労統計調査ではおよそ1000系列の季節調整値を作成しており、公表資料としては6系列のみ使用しています。事前調整を導入した場合には、ARIMAモデルの見直しや異常値の取扱いについて定期的に見直す必要も出てきますので、それらの手順や見直し頻度などについても検討を行い、委員の皆様の御意見を賜りたいと思っています。課題の一例を申し上げますと、これまでの季節調整の改訂作業は12月分の結果が出てから翌年の1月分の集計作業までの間に行ってきましたが、12月分から1月分にかけては調査対象のローテーションを実施するなど作業が立て込んでおり、決して余裕がある状況ではございません。この間に約1000系列のモデルの検証や異常値の吟味を行うことが、実際に可能なのかどうかという課題があります。
 ただいま御説明したような内容を検討し検証を進めてまいりたいと思いますが、今回、委員の皆様から御意見や御指摘を頂ければ、それを含めまして事務局において今後の作業を進めたいと考えています。そして、次回以降のワーキングにおいて事務局が作業を行い、事前調整を行った季節調整値の試算値などの検証結果をお示しした上で、X-12-ARIMAの事前調整パートの導入の可否などについて御議論いただきたいと考えています。
 最後に、検証環境の御説明をさせていただきます。X-12-ARIMAのプログラムも作成されてから年月がたっていまして、作成元の米国センサス局のホームページ上では既に公開が終了していますが、その後継プログラムであるX-13-ARIMA-SEATSが提供されています。11ページにその内容について記載していますので御覧ください。5ページにX-12-ARIMAの構成図をお示ししていましたが、11ページの図で示していますように、X-11の移動平均ではなく、季節調整の計算にSEATSを使うことができるようになっています。ここで季節調整の計算にX-11による移動平均を選べば、X-13-ARIMA-SEATSというのは、X-12-ARIMAを改良した上位バージョンになっていると考えることができます。
 現在、厚生労働省で利用しているX-12-ARIMAは、統計処理サーバー上の複数のプログラムを通じて結果ファイルを作成するようにカスタマイズしているために、様々な検証を行おうとすると、その設定ファイルをいちいち修正するなどの手間が掛かってしまいますので、基本的な検証につきましては外部に委託して、このX-13-ARIMA-SEATSを使って行いたいと考えているところです。
 説明は以上になります。御審議、よろしくお願いいたします。
 
○加藤主査
 どうも御説明、ありがとうございました。それでは御質問を含めて、委員の皆様から自由に御意見、コメント等を頂ければと思います。どなたからでもどうぞ、よろしくお願いいたします。
 
○稲葉構成員
 稲葉です。私からは2点ほど意見と質問を申し上げます。1点目は意見です。このモデルの採用に当たって、曜日変動の調整について、日本型の祝日を設定したものも検討に含めていただきたくお願いいたします。祝日に稼働しない工場は多いと思いますので、総実労働時間の指数などへの影響が大きいのではないかと考えます。また、2021年度はオリンピックの関係で、祝日が夏に移動しております。そういったものの影響がどのくらいあるのかということに問題意識を持っております。是非、曜日変動の調整として、日本型の祝日を考慮したものについて検討していただきたいというのが1点目です。
 2点目は、先ほど御説明がありましたが、ARIMAモデルの選択基準についてです。ARIMAモデルの次数の決定については、先ほどの御説明ではAICを参考にして決定するということでしたが、ほかの選択基準も検討するのかどうかについてお伺いしたいと思います。AICの値に基づくならば、ARの部分、すなわち自己回帰の次数が変化するか否かといったところに興味があります。
 また、設定内容の見直しの頻度は、余り多くないほうがいいのではないかと考えておりますが、他の公表されている経済指数などにおいて、どのような変更を行っているのか、いわゆる設定の見直しの頻度といったものが分かりましたら、それらの情報についても教えていただきたいと思います。
 私からは、曜日変動の調整について検討していただきたいという点と、ARIMAモデルの次数決定についてお伺いしたい点があるという2点でした。以上です。よろしくお願いいたします。
 
○加藤主査
 もし、事務局のほうでお答えができれば、よろしくお願いいたします。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 御指摘と御質問、ありがとうございます。日本型のカレンダーについても、それを取り入れるとどのような影響があるのかというのは、1つの試算としてやってみたいと考えております。それから、次数の決定のところですけれども、ほかの例などを見ますと、AICと安定性の指標の2つを見ているものが多いようです。ただ、そこは試行錯誤的にやっているようで、明確にどちらを優先するかというところは、ちょっとやってみながら考えたいと思っております。それも試算という形でお示しできればと思っております。
 ほかの所のモデルの検討、改訂の状況などは、我々も運用上、一番関心のあるところです。ほかの所でどのようにやっているか、ヒアリングなどできる所があれば、そこの情報もまとめてお示しできるかと思っております。以上です。
 
○稲葉構成員
 ありがとうございました。
 
○加藤主査
 ほかにいかがでしょうか。風神先生、よろしくお願いいたします。
 
○風神構成員
 私からは2点、コメントあるいは質問です。1点目としては、今後、いろいろなレベルを設定して検証するということがありました。この中で、資料の5ページにあった丸3の事後診断パートにおいて、診断の結果次第ではREGARIMAモデルにおけるモデル化の方法や移動変数項等を変更して、妥当になるまで繰り返すという点があります。そこも人の判断によるものであるならば、それをどう判断するかによってどの程度安定性や時間が変わってくるのかということも、もし可能であるならばお見せいただければと思いました。
 2点目としては、使用者の点から言いますと、毎月勤労統計調査と併せて、ほかの労働力調査や動向調査などと比較して、ほかの統計でも同じような変動が見られるかというのを確認することが度々行われます。それが経済の実態によって起こっているものなのか、推定の仕方によって変化が出ているかというのが重要な点になるかと思います。ですから、できるだけほかの推計と同じように比較できるようになるという点が、使う側、ユーザー側から見たら利便性が高いのではないかと思いました。以上です。
 
○加藤主査
 いかがでしょうか。もし、事務局のほうでお答えができればお願いいたします。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 診断パートのところでは、今はいろいろな指標が出てくるかと思います。例えば、いろいろな検証のt値なども出てくるので、どういう形でお示しできるかというのは検討させていただきたいと思います。多分、こういう計算をしたらこうなりましたという結果だけではなく、途中経過のようなものも示してほしいという趣旨だと思いますので、どのような形でできるかも併せて検討したいと思います。
 それから、利用者にどういう形でこういうことをやっていますということをお示しするかということですけれども、先ほどの総務省の告示でもありましたように、やり方を変えたときは、影響なども出しなさいとなっていますので、これも他省庁の例などを見ながら、できるだけ情報提供をしていきたいと思っております。以上です。
 
○風神構成員
 2点目のほうは、情報提供もそうですし、できる限りそろっているほうが使いやすいかと思いました。検証内容のほうも次回見せていただけるということで、非常に有り難く思っております。ありがとうございます。
 
○加藤主査
 ほかにいかがでしょうか。お願いいたします。
 
○樋田構成員
 御説明、ありがとうございました。常用雇用指数や賃金指数の動きを見ると、2020年の5月を中心に相対的に大きな下落など、前年までとは違った数値の動きが見られます。このような動きに対応するためには、REGARIMAのようなより柔軟な利用ができる方法は有用と思います。X-12は、X-11に比べて利用者の分析の負担がかなり増えることが予想されます。他統計の状況や公表されている論文等を参考にし、どのような対応ができるのか慎重に進めていただきたいと思います。
 また、X-12に変更する場合には、どのようなスペックで季節調整をするのかが、外部から分かるように、スペックファイルを公表する方向で検討をお願いできればと思います。以上です。
 
○加藤主査
 もし、事務局のほうから何かコメントやお考えがあればお願いいたします。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 これまでいろいろな景気変動の場面があったわけですけれども、今回の新型コロナの影響というのは、それなりに大きなものがあると考えております。それを機会に、できるだけ適正な手法を取っていきたいと思っております。
 スペックファイルについては、基本的には全て公開する方向だと思っております。1000系列公開するということになると、なかなか大変だと思うのですけれども、公開するつもりでおります。
 
○樋田構成員
 ありがとうございます。確かに1000系列は大変だと思いますので、主要な系列については、公開するということでお願いできればと思います。以上です。
 
○加藤主査
 ほかにいかがでしょうか。高橋先生、お願いいたします。
 
○高橋構成員
 今の点です。確かに1000系列は多いと感じるのですけれども、幾つぐらいの系列を残すと配慮が及ぶという理想的なもの、どのぐらい削ると配慮することができるかという、理想的な数字を教えていただけたらと思います。以上です。
 
○加藤主査
 いかがでしょうか。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 理想的な数字というのはなかなか難しいのですけれども、利用者がいらっしゃる系列については、基本的に適用すべきだと思っております。どこまで使われているかというのは優先順位を付けて、あとはその作業に割ける時間との兼合いで決まってくるかというように、事務局としては考えているところです。
 
○加藤主査
 私からも3点ほどよろしいでしょうか。1つは樋田先生の御質問にも近いのですけれども、最初のREGARIMAのところではAICも使うしSBICも使う。いろいろなものを使うにしても、やはり年によってモデルが随分変わってくる可能性があります。特にラグ次数が随分変わってくる可能性があるのではないかと思います。そうなってくると、これは非常に人手が掛かってきます。事後評価だけではなくて事前のところが、めちゃくちゃ時間も掛かってくるのではないかという気がしております。そういったことをやっていると1000系列の問題も含めて、果たして本当に厚労省の中だけでやっていけるのかどうか、この点もお考えがあればというのが1点目です。
 2つ目は、異常値の話がありましたけれども、今回のコロナの話の場合、これをどう捉えるかというのは非常に難しいかと思います。短期的な影響なのか長期的な影響なのかというのは、もうちょっと時間がたたないと、時系列的な変化は完全に分からないところもあるかと思うのです。ですから、すぐにやらなければいけないことと、さらに、コロナの影響をほかの統計ではどのような形で考えているかということが必要ではないかというのが2つ目です。
 3つ目はコメントに近いのですが、さすがにX-11だけではなかなか難しい。X-12、あるいは何とするかだと思います。実際にはX-13でやっていくのですが、これはSEATSではなくてX-11を前提としてやっていかないと、継続はないのではないかと思うのです。もし、その点のお考えのようなものがあれば、教えていただければと思います。私のほうから質問すべきかどうかは分かりませんが、もしあれば3点ほど教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 最初のモデルを選定するときの指標については、まだそこの知見がないと言いますか、手探りでやっているような状況ですので、いろいろな文献を見ながら、あるいは先生方にも御指導いただきながら進めていきたいと思っております。いろいろなことをやってみたいとは思っているのですけれども、どれが一番いいかというのは、なかなかすぐには分からないのではないかと。これからやっていきたいと思っております。
 X-11を前提とするかというのは、日本の官庁の統計では、まだX-11しかないと思っておりますので、先陣を切ってSEATSに手を延ばすというのは。まだ遅れている状況なので、まずは追いつくことが先かと思っておりますから、更に先の検討事項かと思っております。
 コロナの影響についてはおっしゃるとおりで、実は異常値が出たときに、すぐにそれを判断するというのは、なかなかできないと思っております。その後にも検討していく場面が出てくると思います。とは言いながらも、季節調整のオプションを変えるのは年に1回の季節調整値の更新の時なので、1年の間に分析をしていくことにより、その次の更新の時に結果がまた変わるということもあるかと思います。ほかの所で少し聞いた限りでは、今回のコロナについては、かなり慎重に検討したようですけれども、通常の年はそこまではしていないようです。手が足りないというお話もお聞きしておりますので、経済の状況に合わせてどの程度の検討を要するかというのは、大分変わってくるというのが今思っているところです。お答えになっていたかどうかですけれども、今はこのような状況です。
 
○加藤主査
 季節調整というのは、人手が掛かることではないかと思いますので、本当に大変かと思います。どうもありがとうございました。私のほうから発言してしまってすみません。ほかに何か御質問、コメントがありましたらどうぞ。
 
○西郷先生
 西郷です。御説明、どうもありがとうございました。加藤先生の質問と、ほとんど同じです。私も今回のパンデミックの影響が、季節調整などにどういうように影響するのかということに関しては、かなり難しいかと思っております。恐らく、中心的な位置と同時に、季節性そのものにも影響を与えている可能性があるので、それをどういうように選り分けるかというのは、もうちょっと時間がたてば分かるかもしれませんが、それが起こっている最中に見分けるというのは、なかなか難しいような気がします。
 申し上げたいのは、技術的なことについて他の省庁と意見交換をする場というのが、今はオフィシャルにはないような状況になってしまっています。総務省あるいは経済産業省など、このパンデミックに対して季節調整という観点から、ほかの省でどういう対応が行われているかということについて、非公式にでも意見交換をしていただきたいという希望を述べさせていただきます。以上です。
 
○加藤主査
 とても大事な御指摘ではないかと思います。事務局、いかがでしょうか。
 
○井嶋労働施策情報分析官
 今、我々厚生労働省の中で、季節調整でX-12-ARIMAを適用しているものもあり、そちらのほうにもいろいろと話を聞いたりしましたが、やはりほかの省庁のほうが先に導入しておりますので、そちらの経験なりをお聞きして、今回の検証にも取り入れていきたいと思います。ありがとうございます。
 
○加藤主査
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは今の御意見等を含めて、事務局のほうで御検討いただければと思います。
 次に、議事2として「その他」となっております。事務局のほうから何かありますか。
 
○藤井統計企画調整室長
 事務局からは特にありません。
 
○加藤主査
 先ほどの季節調整やほかのも含めて、全体を通して御質問、御意見等があればお願いできればと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。それでは、本日の議題はこれで全て終了です。事務局のほうにお返しさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 
○藤井統計企画調整室長
 委員の皆様、本日はお忙しい中、御出席いただきありがとうございました。これをもちまして、第6回毎月勤労統計調査の改善に関するワーキンググループを閉会させていただきます。
 
 
(了)
 

照会先

政策統括官付参事官付統計企画調整室

電話:03-5253-1111(内線7373)