医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議(第7回)の議事録

日時

令和5年3月17日(金) 16:00~18:00

場所

AP虎ノ門11F C+Dルーム
(東京都港区西新橋1-6-15 (NS虎ノ門ビル))

議題

1.(1)医療用医薬品の安定供給について
2.(2)その他
  1.  

議事

議事内容
○山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第7回「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中、御参集をいただき、誠にありがとうございます。
 厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の山本でございます。よろしくお願いいたします。
 本日の会議につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、一般傍聴は制限させていただき、報道関係者の皆様に限り傍聴可としております。カメラ撮りは冒頭のみとさせていただいておりますので、御理解、御協力をお願いいたします。
 それでは、まず会議の初めに、構成員の先生方の御出欠について御報告いたします。
 本日、14名の構成員が会場での参加、関構成員、土屋構成員、平川構成員の3名がオンラインでの御参加で、全構成員17名の皆様の御出席をいただいております。
 以降の議事運営につきましては、座長にお願いしたいと思います。
 清田座長、よろしくお願いいたします。
○清田座長 清田でございます。
 それでは、まず最初に事務局から資料の確認と議事進行における留意点に関する御説明をお願いいたします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 本日の会議資料を確認させていただきます。
 会場におられる構成員の皆様には、議事次第、座席表、本日御説明する資料としまして、資料1から資料5までを御用意しております。
 資料1から資料3は、当省より御説明する資料、資料4-1、資料4-2については、それぞれ日本製薬団体連合会と日本ジェネリック製薬業界より御説明いただく資料、資料5に再度当省より御説明させていただく資料という構成となっております。
 参考資料1から参考資料10についても別に配付させていただいております。
 不足等ございましたら、事務局までお知らせいただければと存じます。
 次に、議事に入る前に、本日の会議の進め方の留意点をお知らせいたします。
 オンラインで参加の先生におかれましては、御発言時以外はマイクをミュートにしていただき、御発言がある際にはチャット機能等を使っていただき、また、会場での御参加の先生は、手を挙げるなどをしてお知らせくださいますよう、お願いいたします。
 御発言いただく際には、マイクを御利用いただき、発言の最初にお名前をお知らせいただいた上で御発言をお願いします。御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますよう、お願いいたします。
 会議中、マイクの調子が悪くなるなど、ほかの出席者にとって聞き取りづらい状況が続く場合には、音声の代わりにメッセージで御意見等を記入いただくことがありますので、事務局または座長からお願いさせていただくことがございます。
 その他、システムの動作不良などございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局まで御連絡をお願いいたします。
 また、事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局からメールで御連絡いたしますので、御確認をお願いいたします。御理解、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 なお、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 以上でございます。
○清田座長 それでは、議事に入りたいと思います。
 本日の議事進行につきまして、資料のボリュームも多いことではございますので、厚労省の説明内容と業界の説明内容に関する内容も多く含まれておりますので、資料1から資料3-1まで厚労省から、資料3-2について厚生労働科学研究に係る内容の御報告を坂巻構成員から、資料4-1と資料4-2については、業界から御説明をお願いすることにいたします。
 それらの御説明の内容について、まとめて質疑応答の時間を取らせていただきます。
 最後に今後の予定につきまして、厚労省より御説明いただき、議事は終了となります。
 それでは、初めに、厚労省より資料1から資料3-1まで、御説明をお願いいたします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。
 まずは資料の構成について御説明させていただきます。
 お配りしております資料1につきましては、医薬品安定供給に係るこれまでの取組等について。
 資料2については、サプライチェーン強靱化に係る取組について。
 資料3については、医薬品供給情報共有の在り方について、それぞれ資料にまとめてございます。
 それでは、順番に御説明をさせていただきます。
 資料1、医薬品の安定供給に関する最近の状況を御覧ください。
 2ページ目以降はこれまでの議論でございます。本日は1年ぶりの開催でございますので、前回までの議論について、おさらいをさせていただいております。
 3ページは、以前からお示しをさせていただいている資料でございまして、大きく三つ、供給不安を予防するための取組、真ん中、供給不安の兆候をいち早く捕捉し、早期対応につなげるための取組、下は実際に供給不安に陥った際の対応と3段階に分けて取組を進めることとしておりました。
 4ページでございます。前回の会議でいただいている御意見について、改めて御紹介をさせていただいております。
 一番上の供給不安の予防につきましては、安定確保医薬品について供給リスクを評価し、薬価上の措置が必要な成分を特定すべきではないか、また、医薬品の安定確保に向けた目標及び達成時期を明確にするべきではないかといった御意見をいただいておりました。
 真ん中の監視、早期対応につきましては、自己点検について、未実施の企業には期限を定めて実施させるべきではないか、また、出荷調整の解消予定日を明確にするなど、現場が把握できるようにするべきではないかといった御意見がございます。
 下の供給不安の対応につきましては、海外で実施されている供給情報の一元化について、国内でも検討するべきではないかといった御意見をいただいておりました。
 5ページでございます。これまでの検討状況と対応の方向性でございます。
 大きく三つに分けておりまして、左側の潜在的な供給不安の調査、真ん中の脆弱なサプライチェーン構造の対策、右側、関係者間の情報共有、連携強化、こういった予防・監視・対応の観点で課題の解決を目指すということで議論を整理させていただいております。
 6ページからは、現在の供給不安の現状につきまして、データで御紹介をさせていただいております。
 7ページを御覧ください。こちらは様々な会議で使用させていただいた資料でございますけれども、現在の安定供給の状況につきまして、昨年8月末時点でアンケート調査を実施しました結果をお示ししております。
 左上の赤囲みの部分でお示ししておりますとおり、医療用医薬品全体のうち28%の品目で出荷停止、または限定出荷が発生している状況でございます。特に右から2番目のとおり、後発品につきましては41%に上っている状況です。
 こちらにつきましては、下の灰色の部分がさらに1年前、一昨年の8月末時点のデータでございますが、これに比べても状況は悪化している状況でございます。
 8ページでございます。こちらは別の観点のデータでございますが、行政処分の事例の一覧でございまして、医薬品の製造業者に対する製造管理、品質管理の観点からの行政処分の事例の一覧でございます。
 一昨年の小林化工の事案から始まりまして、様々な企業に対して行政処分が行われております。昨年の安定確保会議以降も、一番下にございますように、複数の企業において行政処分が実施されている状況でございます。
 9ページからは、私どもで実施しております供給不足の報告の受付のデータをまとめた資料でございます。
 製販業者に対しましては、私どもが発出しております事務連絡におきまして、供給不足、限定出荷や供給停止が発生した場合には、当課へ速やかに報告をいただくように指導を行っておりまして、その指導に基づきまして受け付けたものを集計した結果でございます。
 3行目にございますとおり、令和4年度、昨年の4月から今年の1月末までの約10か月間の間に1,991件の報告を受け付けておりまして、そちらを集計した結果でございます。
 左から安定確保医薬品か、そうではないかで分類した結果、4分の3程度が安定確保医薬品以外の医薬品でありました。
 真ん中は剤形別でございますが、内用剤が多くを占めております。
 右側、後発品か、先発品かで区別をしますと、後発品が多くを占めている結果でございました。
 10ページでございます。供給不安の内訳でございますけれども、出荷状況で見ますと、出荷状況Aの青の部分ですが、通常に比べて通常どおりに出荷できているものが多数を占めています。
 真ん中は出荷状況の理由でございますけれども、限定出荷や出荷停止が行われている理由としては、需要の増加に伴うものが多いという傾向でございました。
 右側は出荷状況改善の見込みが分かっているかどうかでございますが、改善の時期が分かっているものが4分の1程度、それ以外は未定という状況でございました。
 11ページは、別の情報でございますが、私どもから事務連絡の発出等で個別の医薬品の供給不安に対して対応、周知等を行ったものの事例を挙げさせていただいております。
 上は不妊治療薬です。昨年4月から不妊治療が保険適用になったことに伴いまして、需要が急増し、使用する医薬品の供給不安が発生したものです。
 真ん中は高カロリー輸液製剤について、製造に必要なヘリウムガスの不足によって支障が生じたものです。
 下はスキサメトニウム注射剤です。こちらは精神神経科の電撃療法に用いられる医薬品でございますけれども、そちらへの優先使用等を依頼したものでございます。
 12ページでございます。こちらも個別の医薬品に対する協力のお願いでございますけれども、全て解熱鎮痛剤に関するものでございまして、昨年のコロナウイルスの感染拡大に伴いまして、治療に用いるアセトアミノフェン等の解熱鎮痛薬の需要が非常に高まったことから、五月雨ではございますが、様々な協力のお願いを周知させていただいたものでございます。
 13ページでございます。別のお話でございますけれども、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会、私どもが開催しております別の検討会のご案内でございます。
 安定供給実現という言葉が検討会のタイトルに入っておりますけれども、検討会の目的としましては、本関係者会議とは少し異なる目的となっておりまして、こちらにございますように、医薬品等の流通や薬価制度、産業構造の検証など、いわゆる産業政策の観点から幅広い議論を行っていただくことを目的に開催しているものでございます。
 次のページに開催実績を記載しておりますけれども、昨年の夏から開催をさせていただいておりまして、一番下の欄外に記載してございますが、今年の4月、来月の末頃をめどに検討会の取りまとめをいただく予定としております。
 取りまとめ結果につきましては、改めまして次回以降、関係者会議にも御報告をさせていただきたいと考えております。
 15ページ、16ページにつきましては、有識者検討会でいただいております主な御意見ですとか、論点について、御紹介をさせていただいております。こちらは御参考として御覧いただければと思います。
 17ページには、別の情報を記載させていただいておりまして、令和5年度、この4月から施行されます薬価改定の概要について、お知らせをさせていただいております。
 赤囲みにございますけれども、今回、令和5年度改定につきましては、いわゆる中間年改定でございますので、通常ですと、不採算品再算定は実施しない形になっておりますが、今回は冒頭にございますように、急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するということを目的としまして、不採算品再算定を臨時特例的に実施することとされております。薬価の面でも安定供給に対応するための取組がなされているという御紹介でございます。
 18ページ以降は参考資料としまして、前回の関係者会議までの資料をおつけしておりますので、こちらも御参考として御覧いただければと思います。
 続きまして、資料2-1の御紹介でございます。資料2シリーズは、サプライチェーン強靱化に関する資料でございます。
 2ページ目でございます。諸外国のサプライチェーン強靱化の動向としまして、現状として米国、欧州の状況について、御紹介をさせていただいております。
 詳しくは割愛をさせていただきますが、米国、欧州共にサプライチェーン強靱化に向けた動きを国家レベルで進めておりまして、例えば米国ですと、官民コンソーシアムを立ち上げて、重要医薬品を特定し、原薬の国内生産を進めるための経済的な支援を実施していることです。
 下の欧州も同様にHMAとEMAの共同のタスクフォースを立ち上げて、平時の対策につきまして、2022年から2025年までのロードマップを策定して、取組を進めていると聞いております。
 3ページ目以降、日本における取組について、改めて御紹介をさせていただいております。前回の会議までに御紹介している内容の繰り返しとなります。
 下の取組にございますとおり、平成25年には後発医薬品のロードマップにおきまして、原材料の調達経路の複数化の推奨を開始したことを皮切りに、次のポツでございますが、抗菌薬の国内生産を進めるための医薬品安定供給支援事業を令和2年度から実施、3番目には安定確保医薬品の選定を令和3年度に実施をしております。
 4ページには、安定確保医薬品の概要について、こちらも御案内の内容ですが、お示しをしております。
 一番下にございますとおり、506成分を令和3年3月に選定をいただいております。
 安定確保医薬品につきましては、5ページでございますけれども、サプライチェーン強靱化に向けた取組を実施しております。
 まずサプライチェーンの分析としまして、安定確保医薬品のカテゴリーAとカテゴリーB、カテゴリーCに分けまして、それぞれサプライチェーンの分析をさせていただいております。
 さらにその下、サプライチェーン強靱化の支援ということで、この後、御紹介をさせていただきますが、特定重要物資としての指定を実施しております。
 カテゴリーAの品目に対する御説明でございます。
 資料の7ページを御覧ください。次の資料で経済安全保障推進法に関しまして、詳しく御紹介をしておりますが、経済安全保障推進法に基づき特定重要物資の指定を行うためのサプライチェーン調査としまして、下にございます法第48条の調査を実施しております。
 その結果を8ページにお示ししております。概要のみをお示ししておりますが、カテゴリーAの成分を製造販売するメーカーに対する調査を実施しまして、左にございますように、複数ソース化、海外依存はどうか、供給途絶の蓋然性といった項目で分析をさせていただいて、評価をしております。
 その結果を右にお示ししておりますが、安定確保医薬品カテゴリーAの21成分のうち、経済安全保障推進法に定める四つの要件に該当するものとして、抗菌薬4成分を選定しております。詳しくは次の資料で御紹介をさせていただきます。
 次のページから、もう一つのカテゴリーB、カテゴリーCの調査について、御紹介をしております。
 10ページにつきましては、調査の内容についてお示しをしておりまして、こちらは法律に基づく調査ではなく、私どもからの外部委託での調査事業を実施しております。
 カテゴリーB、カテゴリーCの全485成分を対象に製造販売するメーカー220社に対して調査を行い、同様に供給リスクについて分析をしております。
 その結果の概略のみを11ページにお示ししております。供給リスクについて各種分析を行いまして、それを数値化、スコアリングすることで、成分ごとに分析をしまして、0点から100点までの供給リスクスコアをつけております。
 その結果、灰色の部分のとおり、多くの品目については、比較的供給リスクは小さいものでございましたが、一部の品目につきましては、ピンク色の部分のとおり、供給リスクが比較的高いものも出てきております。これらにつきましては、より掘り下げた詳細な分析を実施しております。
 全体のカテゴリーB、カテゴリーCの調査結果につきましては、今月末まで結果の取りまとめを実施しておりますので、詳細につきましては、次回の安定確保会議において御紹介をさせていただきたいと考えております。本日は、その概要の御紹介をさせていただきます。
 12ページでございます。先ほどのカテゴリーAの品目と同様に複数ソース化ができているか、海外への依存状況がどうか、品質及び製造管理の状況がどうかといった形で分析、分類をしたものでございます。
 さらに13ページにおきましては、バイオ医薬品と低分子医薬品で製造、あるいは供給リスクに違いがございましたので、その結果をまとめさせていただいております。
 中国、インドの2か国への依存の状況がどうかという形で分類したものがこちらでございまして、上から原薬、中間体、原薬の原料という形で分析しております。
 その結果、低分子医薬品につきましては、中国、インドへの依存度が高い一方で、バイオ医薬品については、その依存度が低いという傾向が現れております。
 14ページでございます。こちらでは原薬から製剤工程におきまして、それぞれで複数ソース化ができているかという観点で分類をしております。
 その結果、原薬につきましては、点線部分で囲っておりますけれども、バイオ医薬品は特定企業への依存度が高い。つまり製造工程の複数ソース化ができていないという傾向が結果から得られております。
 15ページでございますけれども、国内で実施しております製造工程について分析したものでございます。
 低分子医薬品とバイオ医薬品では、国内で製造している工程の傾向が異なっておりまして、点線で囲っている部分でございますけれども、バイオ医薬品につきましては、最終包装以降のみ、パッケージングのみを国内で実施しているケースが半数でございました。
 一方で、上の低分子医薬品につきましては、水色の部分が多くなっておりまして、原薬を輸入して、製剤化のみを国内で実施しているものが半数程度に上っておりました。
 次のページでございます。こちらは今回のアンケート調査ではないのですが、薬事工業生産動態統計、工業統計でも同様の分析をさせていただいておりまして、こちらの結果からもバイオ医薬品の輸入が多く、50%を超えている状況です。成分数が過半数を輸入している品目まで含めますと、約9割の品目が輸入に頼っている状況でございました。
 それらをまとめた資料を17ページにお示ししております。
 上の太字に記載しておりますけれども、低分子医薬品は、大量生産が容易で、生産の規模の優位性が働くことで、中国やインドをはじめとした大規模な工場への集約化が進んでいます。
 一方で、右側のバイオ医薬品につきましては、高度な技術と工程管理が必要ということで、製造については、欧米を中心とした製薬企業やCMOに集中している状況がございました。
 その結果としまして、下の日本の状況の部分にございますが、バイオ医薬品につきましては、今回、調査しましたカテゴリーB、カテゴリーCの製品については、バイオ医薬品の半数がパッケージングのみを国内で実施している、製造工程を海外に依存している状況でございました。その結果、急速に輸入が増加して、大幅な輸入超過となっていることがデータから得られております。
 資料2-1につきましては、以上でございます。
 続いて、資料2-2でございます。同じサプライチェーン強靱化のお話でございますが、取組の一つとしまして、経済安全保障推進法の御紹介でございます。
 3ページでございます。こちらは経済安全保障推進法の全体像をお示ししておりまして、サプライチェーン強靱化、インフラの確保、先端的な重要技術の開発支援、特許法と四つございまして、今回、医薬品につきましては、一番上のサプライチェーンの強靱化の対象としております。
 4ページでございますけれども、経済安全保障推進法の仕組みでございます。
 右上の特定重要物資の政令指定をしまして、その後、左下の(3)安定供給確保取組方針を各省庁が定め、下にございますが、それに従って各企業が取組計画を作成し、大臣の認定を受ける形で手続が進むこととされております。
 5ページには、特定重要物資の指定要件を並べておりまして、法律上で四つの要件を満たすもののみが特定重要物資に指定できる形になってございます。
 6ページは、既に御案内の内容でございますけれども、抗菌薬、特にβラクタム系抗菌薬についての重要性について記載をしております。
 三つ目の○にございますように、以前の2019年に製造上のトラブルから中国からの原薬の供給が途絶し、実際に手術の延期がなされるなどの深刻な事例が発生したものでございます。
 これを踏まえながら、7ページでございますけれども、今回、特定重要物資の指定ということで、左側の安定確保医薬品カテゴリーAからカテゴリーCのうち、カテゴリーAの21成分を対象に調査分析を行いまして、右側にございますように、海外1か国、具体的には中国に原材料の供給を依存していること、過去に途絶事例があることを踏まえまして、先ほどの四つの要件を満たすものとして、βラクタム系抗菌薬の4成分を指定させていただくこととしたものでございます。
 8ページは、βラクタム系抗菌薬の詳しい御説明、9ページは、過去の供給不安事案の御案内でございますので、こちらは割愛させていただきます。
 10ページでございます。サプライチェーン強靱化に関する制度の概要ということで、現在の状況についてでございます。
 右側の四角にございますように、昨年12月にこちらにございます11の物資を特定重要物資として指定がなされております。一番上に抗菌性物質製剤とありまして、いわゆる抗菌薬が挙げられておりますが、それ以外にも肥料ですとか、航空機部品、半導体等、様々な物資が指定されております。
 現在では、真ん中にございます各事業者で取組計画を作成している段階でございまして、今後、取組計画が提出され次第、審査等を行いまして、大臣による認定に進んでいく状況でございます。
 11ページでございます。こちらには経済安全保障推進法に基づく抗菌薬の製造支援の目標を上げております。
 上の四角囲みの二つ目の●にございますように、2030年までにβラクタム系抗菌薬について、供給途絶時、海外から原料等が入ってこなくなった状況であっても、国内で必要な量を切れ目なく国内生産できる体制を整備することとしております。
 12ページは、参考としまして、昨年の10月に閣議決定をされました物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策の中でも、抗菌薬を含む各物資の安定供給が重要である旨が言及されております。
 13ページは、予算についての御紹介でございまして、右肩にございますように、令和4年度の第二次補正予算におきまして、553億円の予算を計上しております。こちらで基金を造成しまして、基金を取り崩す形で、先ほどの2030年までに各企業の製造の支援を行っていくこととしております。
 14ページ以降は、今、御紹介しました経済安全保障推進法に基づく製造の支援が来年度から始まることになりますが、今年度までは、15ページに挙げております医薬品安定供給支援事業という形で、私どもから直接支援をさせていただいておりました。そちらの御紹介でございます。
 具体的には16ページにこれまでの支援の実績を記載しております。令和2年度の第一次補正予算から始まりまして、第一次公募から直近の第四次公募まで、各企業に対しての製造支援を行っております。
 現在の進捗状況を17ページにお示ししておりまして、シオノギファーマ、ニプロファーマ、MeijiSeikaファルマにおきまして、それぞれ製造拠点の設備の増強ですとか、実験等の構築、試験設備の構築などの作業を進めているところでございます。
 最後の18ページは、補足でございますけれども、今、御紹介してまいりました製造設備の支援以外にも、必要な抗菌薬等の備蓄の支援も実施をしておりまして、備蓄に必要な倉庫、医薬品の保管設備の支援、そちらの増強につきましても、来年度以降も私どもの直接の補助事業として実施していく予定としておりますので、その御紹介でございます。
 資料2-2は以上でございます。
 続いて、資料3-1でございます。ここはまたお話が変わりまして、医薬品の供給情報の共有でございます。
 2ページ目でございます。冒頭に御紹介しましたとおり、今、供給不安が続いていることを踏まえまして、医薬品の供給の状況、どの品目が通常出荷できているか、限定出荷しているかといった供給情報の共有につきまして、現在は日本製薬団体連合会で3か月に1回の調査を実施しております。
 こちらにつきまして、より迅速かつ頻回の調査及び情報提供ができるようにすることを目的としまして、来年度予算によりまして、下の2に記載しておりますとおり、現状の3か月から毎月1回に頻度を向上して、公表を行っていきます。
 あわせて、また以降でございますけれども、調査項目や公表情報の拡充など、現場のニーズも踏まえながら、改善を行っていくことを予定しております。
 3ページ目でございますけれども、別のお話でございます。現在は先ほどの緊急調査事業も含めまして、医薬品の供給情報の提供はいわゆる行政指導で行っているところでございますけれども、昨年の臨時国会で成立しました感染症法等の改正におきまして、法令に基づく医薬品等の供給情報の提供ができるようになりましたので、そちらの御紹介のスライドでございます。
 この二つを合わせまして、今後の流れにつきまして御紹介しておりますのは、4ページでございます。先ほど申し上げましたとおり、現在は日薬連による調査で3か月に1回、全体的な供給状況の調査、公表を行っておりますが、来年度は毎月の調査、公表を行っていくこととしております。
 その中で情報提供の改善等をしていくこととしておりまして、さらにこの後、坂巻先生から御紹介をいただきますが、今年度、厚生労働科学研究の中でも、供給情報の提供につきまして、現場のニーズ等を調査いただいております。それらの結果を踏まえまして、再来年度からの感染症法・医療法の施行に向けて、各種施行準備を進めていきたいと考えております。
 どのように施行していくかという点につきましては、黄色い四角で記載しておりますが、こちらの安定確保会議にも御報告を次回以降の回でさせていただきたいと考えております。
 長くなりまして恐縮でございます。資料3-1までの事務局からの御紹介は以上でございます。
○清田座長 御説明ありがとうございます。
 続きまして、坂巻構成員に行っていただきました厚生労働科学研究につきまして、資料3-2に沿って御説明いただきたいと思います。
 坂巻先生、お願いいたします。
○坂巻構成員 坂巻でございます。御報告の機会をありがとうございます。
 資料3-2を御覧ください。
 表紙にございますタイトルで、「供給情報を医療従事者等へ適切に提供するための情報システムの構築に向けた研究」を令和4年度の厚生労働科学研究特別事業で実施しております。
 時間の関係で早口、やや駆け足の御説明になりますことをお許しください。
 2ページ目に研究組織がございます。御覧いただきますように、多くの調査協力組織に御協力いただきましたことを、この場を借りて御礼申し上げたいと思います。
 3ページ目は、研究の全体像でございますが、今、事務局からお話がございましたけれども、海外では情報提供サイトがありますが、今後、日本でこういった情報サイトを構築する際にどのようなニーズがあるのか、また、製薬企業がどういったデータを提供可能なのか、こういったことを調査することを目的にしております。
 図の右にございますように、この研究では、医薬品と医療機器の両方について調査しております。今日御報告するのは、医薬品だけの御報告をさせていただきます。
 4ページに調査結果の概要を示しております。
 薬剤師調査に関しましては、病院薬剤師から347件、薬局薬剤師から2,362件の回収となっております。
 医師調査に関しましては、現在実施中です。
 製薬企業に関しましては、日薬連を通しまして、全体では178社です。
 医薬品卸に関しましては、卸連会員の中で45社を対象に行いまして、重複がございますが、件数としては36件の回収になります。
 5ページ目が薬剤師調査における医薬品の供給不足の状況になります。
 ジェネリック医薬品とジェネリック医薬品以外、長期収載品と先発品を合わせてジェネリック医薬品以外とまとめておりますけれども、御覧いただきまして、特に緑のところを比較すると分かりますように、ジェネリック医薬品における供給不足が多いような結果でございます。
 6ページ目は、薬剤師と企業で、特に限定出荷等についての状況を比較しております。
 企業に関しましては右のグラフで、いわゆる先発系が含まれますけれども、製薬協加盟企業、JGA加盟企業、いずれにも加盟していない会社という三つのグループで集計しております。
 本日の資料では企業についてはお示ししておりませんけれども、いずれにも加盟していない、グラフでは非加盟企業となっているものに関しては、主にジェネリック医薬品を扱っていて、小さい会社が中心になっております。
 企業で見ますと、JGA加盟会社で供給不足や限定出荷等を起こしているのが多くなっております。
 左では薬剤師で、ジェネリック及びジェネリック以外という形で集計しておりますが、企業が報告する数に比べると、多くの数で供給不足が生じています。
 さらに卸に関しては、複数社の製品が対象になりますので、100件以上が約8割という大きな数になっております。
 下の7ページは、供給情報の入手になります。
 今回、薬剤師の方の調査結果になりますけれども、どういったところから情報を入手しているのか。一方、企業と卸に関しては、グラフでいいますと、青と緑のところが相当しますけれども、薬剤師に対して情報提供をしていることをグラフで示しております。
 例えば一番左のところでは、病院薬剤師と薬局薬剤師をそれぞれに分けて、メーカーからの情報を利用している割合をグラフで示しております。次の青いグラフについては、企業の加盟組織別に情報提供をしている形でグラフを示しております。
 全体を通して見ますと、薬剤師に関しては、卸からの情報を利用している割合が非常に多いです。
 一方、右はメーカーや卸以外の団体からの情報という形で示しておりますけれども、マル5のJGA企業については情報提供していて、業界団体を通して情報提供しているという割合が増えておりますが、こちらのJGAは、昨年、新たにサイトをつくったことに起因していると考えることができると思います。
 8ページですけれども、供給不足の情報について、どのくらいのタイミングで提供してほしいかというところを、薬剤師と企業で比較しております。
 結論だけ申し上げますと、1週間から2週間以内で、これをリアルタイムと言っていいか分からないのですけれども、7割ぐらいの薬剤師は2週間以内、比較的リアルタイムに供給不足が起きたときに情報提供してほしいといった結果だと考えることができます。
 9ページは、供給情報が不足していることで、日常業務にどんな問題が生じているのかということを質問したものでございます。
 上から見ていきますと、適正な発注であるとか、発注が困難であるとか、次に同一患者で商品の変更をしなければいけない、こういった日常的な発注の問題、医療における問題、それぞれの問題を感じる割合が増えてきております。
 10ページになりますけれども、供給不足が十分ではないことでどんな問題が起きているのかということです。
 次の納品がいつになるか分からない、当該製品での供給不足はいつ解消するのか分からない、こういった供給情報のステータスに関する不満が上位に来ております。いずれにしても、ジェネリック医薬品について、こういった問題が多いという回答が多かったことが分かります。
 11ページですけれども、同じように医薬品卸さんにも、メーカーからの情報にどんな問題があるかということについて聞いております。
 医薬品卸に関しては、メーカーからの情報を受けて、利用する側であると同時に、受けた情報を医療関係者に提供するという二つの立場があるわけですけれども、その中でメーカーの情報にはどういった問題があるかということを調べております。
 右に書いてございますけれども、予想される供給不足の解消時期、こういった流通に関する情報が不十分であることが上位に来ております。
 12ページ目は、供給情報提供によって製薬企業がどんなことを課題で困っているのかということをまとめたものでございます。
 こちらはいずれもJGA加盟会社が課題で大変困っているという回答が多くなっておりますけれども、とりわけ多いものを見ますと、医療関係者への周知、取引先への周知、医療関係者からの問合せの対応、こういったことが公的な情報システムで対応できるのかどうか、今後、検討することが必要だと思います。
 13ページ以降は、実際に提供している情報についても、薬剤師のニーズと実際に提供している状況について、それぞれグラフでお示ししております。
 下の一番左だけ説明を加えてございますけれども、オレンジのところは、薬剤師がこの情報について必須であると感じた割合を示しております。
 青と緑に関しては、それぞれの製薬企業と卸が情報提供しているものと書いております。
 これで必須かどうかということと、実際の情報の提供についての乖離がどのくらいあるかを検討しております。
 代替薬情報は、割と乖離が多かったところですけれども、薬剤師に関しては、比較的ニーズが高くて、これについてはメーカーではなくて、卸さんが情報提供しているところで比較して見ることができます。
 14ページ目ですけれども、こちらも前のページからの続きになります。当該企業の製品のシェアがどのくらいなのかに関しては、ここが一番乖離の多かった部分になります。
 15ページは、供給不足がなぜ起きたのかの理由についての情報がどのくらい必要なのか、企業からどのくらい情報を提供しているかを見ております。
 供給不足については、薬剤師のニーズが比較的高い一方で、企業からの情報提供については一部少ない。原材料の不足に関しては、製薬企業からの提供割合も比較的差があるところでございました。
 16ページは、供給不足の理由ですけれども、特に下は卸との比較で、流通のトラブルについて情報を提供しているかどうか、薬剤師が情報を必要としているかどうかを見ております。薬剤師のニーズに比べると、卸の情報提供が多くなっていたことになります。
 17ページ目は、もし公的供給情報が構築された場合、どんなところに懸念があるのかというところについて、お示ししているのは3ポイントだけなのですけれども、比較できるということで、三つの項目だけを調べております。
 特に懸念されるところが多かったのは、代替薬に需要が集中することでの代替薬の供給不足につながりかねないのではないかというところが一番大きな懸念点として示されました。
 18ページ目は、システムに求める機能ですけれども、ここは御覧いただくところでとどめたいと思うのですが、特に一番下の12番で、グラフでは左上になりますが、患者など閲覧制限をする必要があるかを質問に入れていますけれども、それほど全体的には多くなかったという印象になります。一番多かったものは、医薬品卸の60%で、あとの回答者は半数以下になります。
 19ページですけれども、そもそもこういった公的サイトが必要かということに対して、全体としては6割ぐらいが必要、必要がなく不要が4割弱になり、これを多いと見るか、少ないと見るかですけれども、薬剤師の方は7割ぐらいが必要という形になりました。
 基本的には公的サイトですので、厚労省か、PMDAかということで見ていきますと、大きな問題かどうかは分かりませんけれども、薬剤師の方はPMDAのほうが多いです。恐らく日常的にPMDAのサイトを見ていることがあるのだろうと思います。企業、卸の方は、厚労省のほうが多いという結果でございました。
 最後の20ページ、21ページは考察でございますが、こちらはまだ未定稿ということと、今まで御説明したことと重複しますので、割愛します。
 ざっくりまとめてみますと、メーカーからの出荷情報よりも、薬剤師としては、この薬が入るのか、こういった流通の問題に関してのニーズが高いことと、先ほど事務局から来年度は毎月企業調査を行うということですけれども、こちらの情報サイトに関しましては、リアルタイムでの情報のニーズがあるのではないか、そういったことが考えられると思います。
 早口になりましたけれども、私からは以上でございます。
○清田座長 御説明ありがとうございます。
 続きまして、業界の取組について、資料4-1に沿って御説明をいただきたいと思います。
 日本製薬団体連合会の土屋構成員、資料の御説明をお願いいたします。
○土屋構成員 日薬連安定確保委員会の土屋でございます。
 本日はウェブで失礼いたします。
 本日は、このような発表の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、資料に基づきまして、当委員会の安定供給に関する取組について、御紹介をさせていただきます。
 本日お話しさせていただきます内容は、こちらの二つです。一つ目は、医薬品のサプライチェーンの強化。二つ目は、医薬品の供給状況の見える化の推進について紹介します。
 次、お願いします。一つ目の医薬品サプライチェーン強化の取組でございます。当委員会では、関係者会議で取りまとめていただきました今後の取組に対応する形で、右側の四角囲みにしておりますが、サプライチェーンの強化に関する取組を実施しているところでございます。
 次、お願いいたします。詳細は御説明いたしませんが、ここに記載しておりますとおり、今、当局が実施しております安定確保医薬品に関してのサプライチェーン強化の調査や取組に関して協力を進めている状況でございます。
 次、お願いします。安定供給に係る自己点検チェックリストに関する取組についてご説明します。
 資料に記載しておりますように、日薬連が取り組みました自己点検チェックリストの策定の背景につきましては、2018年頃に一部抗菌薬におきまして供給不安が発生し、安定供給を確保するためのリスク評価を行う自己点検の重要性が顕在したものでありますので、その中で業界共通の基準がなかったことが背景としてございます。そのため、2019年4月に業界として自己点検チェックリストを作成し、日薬連の参加団体に周知させていただいたところでございます。
 次、お願いします。自己点検につきましては、前回の1年前の関係者会議でも御報告をさせていただきましたが、業界で策定いたしました自己点検チェックリストを周知した後、チェックリストの活用状況について調査したところでございます。
 調査結果では、安定確保医薬品のカテゴリーAの製販を持つ企業においても、実施率は76%でありまして、全ての企業が当リストを活用した自己点検を行っている状態ではないことが分かりました。
 ただし、自己点検を未実施と回答した会社の多くは、自社独自のマニュアルを用いて自己点検を実施しておりましたが、当初の目的でございます安定供給に係る業界共通の物差しを使っての自己点検の実施ではないため、当委員会としましては、自己点検が定着していない事態を深刻に受け止めていたところでございます。
 この点につきましては、前回の関係者会議におきましても、構成員の先生方から自己点検チェックリストの活用の周知徹底、定着が求められたところでございます。そのため、当委員会といたしまして、再度確認し、見直しをしたところでございます。
 次、お願いいたします。前回の関係者会議におきまして、構成員の先生方からいただきました御指摘について、左側にまとめております。
 これに対しまして、右側で当委員会の対応について記載しております。基本的には当委員会といたしましては、自己点検チェックリストについて、大きく見直しを行ったところでございます。
 次、お願いいたします。今回、自己点検チェックリストについて、見直しの検討に際しての主なポイントをここに示したものです。
 当チェック項目は、2018年に発生しました原薬の供給不安を受けて作成されたものであるため、どちらかというと安定供給確保において原薬の調達リスクに特化したものでございました。そのため、昨今の製造所の品質問題やいろいろなカントリーリスク等の状況を含んでおりませんので、これが自己点検の定着に影響したのではないかと考えました。
 原薬調達リスクに偏った形ではなく、昨今の品質問題の状況を踏まえて、2022年1月に項目を見直し、それを再度加盟団体宛てに周知をしているところでございます。
 次、お願いいたします。発出しました日薬連通知ですが、詳細は見にくくて恐縮でございますが、自己点検チェックリストの項目見直しのほか、ここには右側に書いてありますような各社へ盛り込んで周知徹底しているところでございます。
 詳細な通知は、今日の参考資料10として添付しておりますので、御覧いただければと思います。
 今回、通知いたしました自己点検チェックリストの実施状況の確認については、今年の8月以降に加盟団体に対して活用調査を実施しようと検討しているところでございます。
 次、お願いいたします。最後により効果的な自己点検とするために定期的な確認の徹底により、業界全体で問題が顕在化する前の発見を推進していきたいと考えているところでございます。
 次、お願いいたします。2点目としまして、医薬品の供給状況の見える化の推進に関する取組について、御説明をさせていただきます。
 次、お願いいたします。供給状況の見える化を進めることにつきましては、メーカーにおきましては、供給不安の解消の一助になりますし、また、医療関係者、薬局の先生方にも供給実態を明らかにすることが、日薬連として重要なものであると認識して取り組んでいるところでございます。
 また、供給状況に関する用語や考え方を定義・統一化し、さらに情報の見える化として全体の供給状況を数量的に把握する年に1回の調査や個別医薬品の状況を公表するための3か月に一度の定期的な調査も、当局と連携して実施しているところでございます。
 次、お願いします。この資料につきましては、先ほど山本室長から御説明をさせていただいていますので、詳細は御説明しませんが、一昨年、昨年と毎年8月末の時点に供給状況について、数量的に把握する全体調査を実行しているところでございます。
 右側に書いてございますが、出荷停止品目数が昨年末の結果よりも増加している状況でございまして、中身を分析しますと、そのうちの65%は行政処分を受けた企業によるものでありまして、それらの製品の供給が滞ることにより、医薬品全体に影響を与えると推察しているところでございます。
 この調査では、医薬品全体の数量的なものは把握できるのですが、個々の銘柄の医薬品の状態まで調査分析ができていないため、それらが課題であると当委員会は認識していたところでございます。
 次、お願いいたします。そういう中で、こちらにお示ししましたとおり、もう一つ別の調査を3か月ごとに個々の銘柄別の供給状況を調査して、その結果を日薬連のホームページに公表しているものです。3か月に1回です。
 当初、調査対象を限定して実施しておりましたが、先ほど説明いたしました課題の対応としまして、昨年11月時点の調査から全ての医療用医薬品を対象として調査を行って公表しております。
 今後、全体調査を定期的な調査に一本化しまして、全医薬品の個別の供給状況を公開するべく、取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次、お願いします。この資料につきましては、少し見えづらくて恐縮です。先ほど御説明しました調査した結果、個別医薬品の供給状況について、私ども日薬連のウェブサイトにおいて御覧のような形で公表しているところでございます。
 先ほども申し上げましたが、これらの情報を公開することで、供給側におきましては、限定出荷の解除促進の一助にしてほしいこと、それから、供給側におかれましては、今、供給不安の解消の一助にしていただければと考えているところでございます。
 次、お願いいたします。これら見える化を活用した対応状況の事例を御紹介させていただきます。
 先ほどお話ししましたとおり、メーカー側に対しては、限定出荷解除の促進を促しているところです。これまでは成分規格の個々の供給状況が見えず、各社限定出荷の解除に踏み切れないケースがございました。昨年12月には、こちらの表の例のように、成分規格全体として通常出荷となる可能性のある成分規格233をリストアップ化しまして、該当の製販業者に対して限定出荷解除の検討を日薬連から一助にしてほしいということを通知しているところでございます。
 次、お願いいたします。その結果、233成分規格のうち、2か月後には29成分規格で全ての品目が通常出荷のステータスに変化しまして、77成分規格で限定出荷の品目数が減少した事例です。。
 次、お願いいたします。最後に供給状況の見える化に関する課題と今後の対応について、御説明させていただきます。
 課題としては、ここに記載のとおりでございます。
 これらの対応としまして、より詳細な分析を行うため、先ほど山本室長から御説明がありましたが、2023年4月より調査項目を追加しまして、情報収集を拡大していきたいと思っておりますし、よりタイムリーな情報提供を実現するべく、現在の3か月に1回を1か月に1回の頻度の調査として向上させます。
 あわせて、日薬連参加団体、企業に対しまして、継続して調査への協力、適切な回答を徹底してまいりたいと考えております。
 このように取組の強化の継続をしていくことで、少しでも医薬品の供給不安が解消するように、業界としては進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
○清田座長 ありがとうございました。
 それでは、日本ジェネリック製薬協会の寺島構成員、資料の御説明をお願いいたします。
○寺島構成員 日本ジェネリック製薬協会の寺島です。
 ジェネリック製薬協会では、安定供給の支障の発端となりましたジェネリック企業の不祥事事件の問題を是正し、信頼回復に向けた取組を令和4年度に行ってまいりました。
 2ページ目をお願いいたします。具体的には2ページに書きました1~5、即ち、コンプライアンス・ガバナンス・リスクマネジメントの強化、品質を最優先する体制の強化、安定確保への取組、積極的な情報の提供と開示、その他・協会活動の充実及び国との連携等について、行ってまいりました。
 3ページ目を御覧ください。協会のリスクマネジメントとして、1~5を実施するためにリスクの特定・対策の策定を行い、対策の実施を実際に行って、その状況、結果がどういうものか、それから分かったことに対してどう対策を加えるかというPDCAのサイクルを回してまいりました。
 4ページ目をお願いいたします。令和4年度の主な取組として、具体的に1番から5番の項目を上げております。
 6ページ目のコンプライアンス・ガバナンス・リスクマネジメントの強化です。
 各社の内部通報制度、体制の充実支援、各社におけるコンプライアンス強化の徹底をしてまいりました。これは経営トップ自らが現場に行って、品質に問題を起こしていないかということの把握を徹底しました。これを令和3年度から継続して行っております。
 各社のコンプライアンスにおける強化の徹底を毎年2回実施して、2022年度も7月と2月に実施しております。
 内部制度の充実、体制支援を行い、各社において公益通報の制度を整備し、対応が遅れている企業に対してサポートを行っております。
 同時にリスクマネジメントの体制の強化、外部弁護士による経営層の講習等を行ってまいりました。
 ジェネリック製薬協会では、品質を最優先する体制について、令和4年度に関しては、特に取組を行っております。
 8ページ目を御覧ください。ここには問題発生した小林化工、日医工についての例を挙げておりますが、この問題に関しては、根本原因は法令遵守意識の欠如、その結果として管理体制の不備が指摘されております。
 まず原薬の取り違い、OOSの不適切処理等は、承認書と製造実体の自主点検を実施することとしました。また、不適切事例については、GMPの現状調査と不備事項の改善を実施してまいりました。
 法令遵守意識の欠如に関しては、品質文化、クオリティーカルチャーに関するアンケートを行い、また、管理体制については、外部からの御指摘もありましたように、各社が適切に製造所を管理しているのかが不明であるということでしたので、監査体制について統一的な基準で各会員会社がやっているかどうかを念頭に検討してまいりました。
 その他、GMP相談窓口等を開設し、安全管理に関しても手順の標準化を支援してまいりました。
 まず最初に挙げました承認書と製造実体の自主点検に関しては、9ページに記載しております。会員企業数38社、点検品目7,749という結果で、現在、点検は終了し、当局と相談しながら解消を進めております。
 10ページ目を御覧ください。品質を最優先する体制の強化。ここに記載の調査報告書とは、日医工事案で報告された問題点であり、外部弁護士による調査機関によって項目が挙げられております。その項目全てに関して、会員会社38社、61製造所に関して調査を行いました。
 10ページ目の表の一番上のアを御覧ください。手順に関して設問数が10、回答件数610というのは、10掛ける61ということで610です。そのうち課題と思われたものが47ということで、改善すべき項目が令和3年6月末には挙げられました。
 順次業界内で自主的に指導等を行いまして、令和4年9月末には、全ての項目に関して一通りの改善を見ることとなりました。
 11ページ目を御覧ください。品質を最優先する体制の強化としまして、各工場のGMPの遵守状況に関して、きちんと評価できているかということを外部の機関を通じて底上げをしようと考えました。
 基本的には工場のGMPの状況を外部機関に全部見て回っていただくことは短時間では不可能です。したがって、各製造販売業者38社の本社機能が適切に工場を監査するので、その監査の基準が統一できるかを考えました。
 ここに書いてありますように、ジェネリック製薬協会品質委員会において重点項目を決定しまして、それをGQP、製造販売業者に連絡をします。
 具体的には外部機関のNPO-QAセンターに依頼しまして、NPO-QAセンターが適切と考えている方法論に基づいて、製造販売業者が実際にやっているかどうかをチェックしていただく。それが同行支援、製造所監査ということで、GQPが実施するGMPの調査内容が適切かどうかを実際に評価していただきます。それに基づいて、指摘事項等が適切かどうかをフォローアップしまして、意見を集約し、最後にはジェネリック製薬協会の中で統一的に基準を定めるという方法論でございます。現在、この方法論が決まりまして、2023年に順番に工場を見ていく予定にしております。
 12ページを御覧ください。ここでは品質文化醸成の取組、GMP相談体制の充実、安全管理体制の充実になります。
 先ほど簡単に述べましたが、13ページ目をお願いいたします。それぞれの項目に関して、左側のGE薬協では、品質委員会、総責会議、GMP相談体制、公益通報体制を整備しまして、それぞれ会員企業の総責、あるいは自主点検、内部通報体制等を指導し、協力をしながら厚労省、PMDA、外部機関と共に取り組んでおります。
 次のページをお願いします。安定確保への取組です。
 15ページ目です。これは日薬連の方からの報告もありましたが、JGAでは、各社の供給状況の一元的な把握に向けた取組として、各社が製造販売を行っている製品の供給について、協会の医療関係者向けサイトで令和4年9月に公表しております。これではまだまだ不十分であるということで、上部団体であります日薬連さんと連携しまして、よりよいデータベースの構築を検討中と、先ほど御紹介があったと思います。
 16ページは、実際のJGAのサイトでございます。
 17ページ目以降については、積極的な情報開示です。ジェネリック医薬品に関する情報提供がまだまだ不十分ということで、積極的な情報開示を取り組んでまいりました。
 特に19ページに書いておりますが、特設サイトを設けまして、いろいろな取組に関して紹介をさせていただいております。
 最後になります。信頼回復に向けた主な取組として、今後は日薬連さんと協力しまして、供給不安に対する取組、毎月の調査に協力してまいりたいと思っております。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
 それでは、ここからお時間の許す限り、質疑応答の時間とします。構成員の先生方の御質問は、どこの部分でも結構ですので、御質問、御意見をいただきたいと思いますが、まず御自身のお名前をおっしゃっていただいて、資料ナンバーどこどこの部分の御質問、あるいは御意見だという形で御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 いっぱいあり過ぎて、どこから御質問いただくか分からないぐらいです。順番を追って御質問を承ろうかと思います。よろしいでしょうか。
 まず資料1、医薬品の安定供給に関する最近の状況に関しまして、御意見、御質問はございますでしょうか。川上先生、どうぞ。
○川上構成員 資料1の7ページ目です。安定供給確保に関するアンケート調査の概要があります。これをどのように考えられているか、分析されているかということを伺いたいのです。例えば、昨年8月末の全体概要で見ると、全く同じ方法での調査ではないので1年前は参考だと思うのですが、少なくとも品目数から見ると供給状況が悪化しています。3,100品目ぐらいだったものが4,200品目と、調査期間の1年間では何の取組もしていないわけではないのに、悪化しているような背景はどう分析しているのか、今後は少しでも減っていくのかどうかが、現場サイドとしては気になりました。
 また、カテゴリー別を見ていくと、今は、ジェネリック品が品目数と流通量ともに多く、問題があったメーカーはジェネリック専業メーカーなので、どうしてもジェネリックの問題だと捉えがちなのですけれども、実際には先発品でも、自社事情での限定出荷あるいは出荷停止になっている品目も一定の割合はあるので、これについては、どのように考えられているのか。
 医薬品全体としては、先発メーカーでも新薬が自社事情で供給できず、例えば抗がん剤による標準治療が新規患者での治療で途絶えてしまった事例もあるので、この辺りをジェネリックだけの問題ではなく捉えているか、差支えがなければ、コメントをいただければと思います。
 以上です。
○清田座長 山本室長からお願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 御質問ありがとうございます。事務局でございます。
 1点目の御質問でございます。7ページのアンケート調査結果の一昨年の8月末時点のデータから昨年8月末時点で悪化している点について、どう分析といいますか、理由を考えているかという点でございますけれども、様々な要因が絡んでいると考えられますので、それを一概に特定することは難しいと考えております。
 大きな原因としましては、一昨年の8月の時点から昨年の8月の間にも一部の企業での薬機法違反による行政処分とそれに伴う出荷停止、さらにそれによる限定出荷が広がったということが影響としては大きいと考えております。この点について、この後、日薬連さんから追加の補足等ございましたら、お願いしたいと思います。
 また、後発品だけではなく、先発でも自社都合による出荷停止等があるのではないかという点については、まさに御指摘のとおりだと考えておりまして、個別事例で見ますと、先発品や長期収載品においても、自社都合、製造トラブルですとか、何らかの事情での出荷停止は発生していると考えております。
 ただ、先ほど申し上げましたとおり、全体で見ますと、後発品企業等による行政処分の影響が大きく、全体で見たときに小さく見えてしまっているかもしれませんけれども、先生から御指摘をいただきましたように、個別で見ますと、先発品、長期収載品によるものも一定数存在していて、それによって医療等への影響が発生していると考えております。
○清田座長 どうぞ。
○川上構成員 例えば後発品メーカーに対する行政処分の影響であれば、一通り処分は終わり、今後は問題となる事例が出てこないことであれば、改善していくと思いますし、まだ行政的なチェックが途中の段階で、今後も問題となるメーカーが出てくる可能性があるのであれば、まだ改善しないのかとも捉えるのですが、今後の見通しなどが分かれば、お願いします。
○清田座長 とても大事なことです。
 どうぞ。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 お答えになっていないかもしれないのですけれども、1点ありますのは、行政処分を受けた企業につきましては、業務停止処分の期間が空けたとしても、製造方法の承認書との齟齬などが残っておりますので、それを解決するためには、例えば製造方法の変更について、製剤開発や技術開発等も進めなければならないケースもありますので、業務停止処分の期間が空けたからといって、製造している品目が全て問題なく出荷できるようになるのではなくて、1品目ずつ技術的な点検ですとか、変更等の手続、作業が必要となるということで、それらに時間がかかっていて、まだ出荷が再開できていない品目があると理解をしております。
 一方で、そのほかの企業において、今後、同様の違反が発見されたり、行政処分の可能性につきましては、私からコメントをすることは難しく、当然ながらないことを我々としても願っておりますし、管理を徹底していただきたいと考えております。
○清田座長 そのうちよくなるだろうけれども、見通しが立たないというところでよろしいかと思いますが、寺島構成員、いかがですか。
○寺島構成員 ジェネリック製薬協会の寺島でございます。
 日薬連さんにもフォローしていただきたいのですけれども、悪化している原因の一つの中には、既に販売中止とか、薬価削除の品目もこの中に含まれているので、実際には流通していない、もう流通しませんというものも入っている可能性があります。
 JGA各社及びジェネリックの業界の皆さんは、処分された以外のメーカーさんは、それぞれ増産をかけているので、この数字自体が驚きの数字になります。同じぐらいの数字である可能性はあると思いました。しかし、増えているというのは、実際には流通に出ていないものも含めて出荷停止、限定出荷が入っている可能性があると思います。
 今後、新しい指標では、そこら辺もはっきり分かるようにされていると理解しておりますが、日薬連さん、いかがでしょうか。
○清田座長 どうぞ。
○土屋構成員 日薬連の土屋でございます。ありがとうございます。
 先ほど日薬連から御説明させていただきました資料の13ページを見ていただければと思います。そこに昨年と今年の悪化した要因の当委員会としての推察といいますか、分析をしたコメントをつけさせていただいております。
 先ほども山本室長からも御説明がありましたとおり、いろいろな複合的要因がある中で、どうしても目立ったものは、出荷停止の品目が前回の743品目から1,099品目も増えていることも要因としてありますし、二つ目のところにつきましては、行政処分を受けた企業が出荷停止になりまして、その影響を被ることによって、他の成分の商品で供給のカバーに向けて開発しようとしているのですけれども、そこで過剰な注文が入ってしまって、通常の出荷ができなくなり、限定出荷になってしまう。そういったドミノ倒し的なところになりまして、前回よりも全体的に悪化してしまったという形で分析しております。
 また、先ほど出荷停止のところにつきましては、基本的に今回は1,099品目ということで、前回の743から増えているので、出荷停止した要因分析は必要だろうと思っております。この中には、例えば何らかのトラブルによって出荷停止のケースもありますし、先ほど寺島構成員からお話がありましたとおり、薬価削除の手続に入っている品目等もあると思いますので、ここの部分については、次回の調査から出荷停止の要因分析のところでしっかりアンケートを取って、分析を進めていきたいと考えているところでございます。
 先ほど御説明もありました先発品の限定出荷の部分につきましては、おっしゃるとおり、先発品におきましても、基本的には何らかのトラブルで数は比率として低いのですが、決して後発品だけの問題として捉えておりませんし、先ほど申し上げましたとおり、例えば出荷停止になりますと、後発品に限らず、先発品、あるいは長期収載品も同じような形で出荷調整、いわゆる限定出荷になってしまうケースもありますので、基本的には後発品に限らず、医療用医薬品全体として捉えて取り組んでいかなければならないと思っております。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 川上構成員、よろしいでしょうか。
○川上構成員 ありがとうございました。
○清田座長 ほかに御質問はございますか。宮川構成員、お願いします。
○宮川構成員 御説明ありがとうございました。
 日薬連の方に御説明いただきましたが、なぜそういうことが起こっているのか、そこを聞きたいのです。出荷停止して、そして、過剰な注文があったというけれども、それだけで事は起こりますか。私は、それだけで事は起こっていないと思います。その分析を教えていただきたい。何年もたっているので、今、分析中ですというのはおかしいはずです。
 日薬連も答えが分かっているのだったら、答えを言ってください。私は業界の人間ではないので、当事者からしっかりとしたお答えをしていただかないと、この問題はずっと続く話になるわけです。いかがでしょうか。
○清田座長 土屋構成員、お答えできますでしょうか。
○土屋構成員 ありがとうございます。
 なかなか難しい状況で、このような供給不安、供給不足を起こしているところについて、なぜ起こったかというところが、本質的な部分だと思います。それは複合的な課題があると思いますが、最初の発端としましては、抗菌薬のように、原料をどこかの国に依存しているケース、また、もう一つは、先ほどからお話がありましたように、GMP絡みの違反による品質問題、そこから端を発して、全体的にそれを一生懸命各社でカバーしようとしているのですけれども、供給不足がカバーできず、さらにカバーすることによって、医療関係者の皆さんに供給不安をあおってしまって、様々な限定出荷に広がっていると認識しているところです。本質的に何が原因かというのは、なかなか難しいところがございます。
○宮川構成員 宮川です。
 それはおかしいのではないですか。端を発したということについては、どこでも端発しているのです。長期的にこのようなことが起きているのは、業界の構造的な問題ではないのですかということを私は申し上げているのです。業界の構造状態というのは、どういう形となっているのかということをお聞きしたいのです。
○清田座長 どうぞ。
○伊豆津構成員 国立衛研薬品部の伊豆津です。
 今、少数の会社ですけれども、問題を起こした会社の原因を調べていくと、製品の開発の際にきちっと開発をしてこなかった。いわゆる物でいうと、設計図であり、工場で大きなレベルでつくるところをきちっとつくり込んでこなかった。それは現場に行ってもつくることができないから、いろんな形での不正が起こってきたと考えています。
 もともとの開発の水準というのが、会社によってかなり違っていたということを考えています。問題が起こった会社では、そこがかなり軽視されていたということが大きな原因です。今、いろいろなところを直して、製造側をかなり改善しているのですけれども、つくっても規格を満たさないものができてしまう。なので、出荷ができないということです。それでたくさんのものが出荷停止で止まっているのだと、私たちは考えています。
○宮川構成員 それは共同開発という問題なのですか。それとも委受託の問題なのですか。
○伊豆津構成員 委受託、共同開発というよりは、会社ごとに、申請の前、申請から実用のところの生産に移る際に、いろいろな検討を行っていくのが通常なのですけれども、そこの部分をしっかりとやられている会社、それから、必ずしもそうでないところがあるということです。
○宮川構成員 なぜそういうばらつきが出るのですか。一つの薬が開発されて出ていくときに、それがばらばらに出るということ、複数の会社から出ることは分かりますけれども、複数の会社でそれほどまでに差が出るということが、問題ではないかという話を私はしています。
○伊豆津構成員 以前は、工場でうまく調整してつくればよかった時代があった。20年、30年前まではそうでした。それがここ20年ぐらいで、製造の方法、GMPの部分が変わってきまして、最初に決めたことをしっかりやりましょう。そうすれば、世界中どこでもきっちりしたものがつくれるでしょうという形にどんどん変わってきた。その中で、昔はやらなくてもよかったものが、今はやらないと、後のところで、こういった大きな問題が起こってしまうということになっています。
○宮川構成員 今のほうが悪いということになってしまいますね。
○伊豆津構成員 今のほうが悪いということではありません。
○宮川構成員 諸外国の企業の場合と日本の企業の場合、どのようにそれを考えたほうがいいのか。日本特有のことなのか、それとも全世界共通の話なのか、どういうふうに考えたらいいのですか。そうでなければ、安定供給というのは、どこを基準にして、私たちが切り込んでいかなければいけないのかが分からないわけです。何年かかっても同じ議論をしなければいけないのだったら、様子見のような議論をしているのではなくて、どこから切り込んだらよいのかという根本的なところ、何が原因なのかということを言わなければいけないのに、ただ物事を分析したり、それから、資料を集めてみたり、そういう状態の会議となっていることがもったいないのです。これだけの人が集まっていて、考えようとしている。そうしたら、何が問題だということにすぱっと切り込まなければいけないのに、その切り込み方が少ないわけです。だから、もったいないと思ったのです。本当に何が問題なのでしょうか。
○清田座長 処方箋は何かということですね。
○伊豆津構成員 いわゆる私たちの世界でいう、クオリティー・バイ・デザインという考え方があります。開発のところからしっかり一段階一段階見て、それで最終製品のつくり方まで持っていく。その方法というのは、かなり多くのジェネリックメーカーでももう使われているところなのですけれども、そこを軽視した会社が問題を起こした。これからはそこの部分は大幅に改善していくものだと思います。ですから、すぐに全体の流通が開始されるわけではないのですけれども、基礎のところが今どんどん改善されているところですので、将来は大きくよくなるものだと考えています。
○宮川構成員 そうしたら、今、それをできない会社は、本来は失格だと言っていいのですか。
○伊豆津構成員 そういう部分はあったかもしれません。
○宮川構成員 本当は薬をつくってはいけない会社が入っているということですか。
○伊豆津構成員 会社全体であるかどうかは別として、そういった製品があったことは事実だと考えています。
○宮川構成員 そうすると、業界を再編するしかないという形になってしまうのか、きちんとした会社でなければ薬を造ってはいけないというような、ルールを造っていかなければいけないのか、どこかでそういうことをやらないといけないと思います。それは短期的な取組もあるでしょうし、長期的なことはこれまでにも分かっています。短期的にどこに取り組んでいって、集中させていくのかということ、それから、そこだけの問題なのか、そこをお聞きしたかったのです。やはりこれはすごく大切なことだと思うので、最初からそこに切り込んでいかないと、ただただ分析だけで終わってしまう。ですから、厚労省に言っても答えは出てきません。
○清田座長 厚労省の方にまとめていただくのがいいのではないかと思います。よろしいですか。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 城でございます。
 私から業界についてよしあしを言うつもりはないのですが、多分、今、おっしゃったように、個別の製品、個別の企業でいけば、そういった原因もあったし、品質管理そもそもの意識が低かったということもあって、これは、今、別途検討会がございますが、そこでもそういう指摘がありますし、実際、そういう問題を考えています。
 もう一つは、ジェネリックに限って申し上げれば、製造力というか、供給力が、業界の構造として厳しいものが多い。少量多品種の製造をしているということを業界の特性としてよく言っておりますが、これが限界に来ているのではないかという指摘もございました。やはり切替えのときに事故が起きる、それから、釜が小さいので、少量で出していく、こういったことが問題となります。
 ですので、長期的に品質管理をきちんとやって出していくということと、ここの処方箋はまだ我々もありませんので、今、整理をしていますが、供給力を上げてちゃんと量を出してもらう、それから、ちゃんと供給できるように原薬の確保をしてもらう、こういったところがちゃんとできる規模、もしくは体質、そういった力のある企業をきちんとつくるのか、育てるのか、分かりませんが、何かしらしなければならないと思います。今、そういった検討をしているところでございます。
○清田座長 どうぞ。
○坂巻構成員 坂巻でございます。
 伊豆津先生のお話を伺っていて驚いた部分があるのですが、要するに製薬企業、製造業、製販業として、設計図どおりにつくることができない、あるいは設計図どおりにやっているはずなのだけれども、品質がそれを満たさない企業があり得ると私には聞こえました。
 これは今のキャパシティーのお話などとは全く別で、恐らく医薬局の御担当の方に確認をしなければいけないと思うのですけれども、そういう企業を製販業、あるいは製造業として残しておいていいのでしょうか。その問題だと思います。医薬局の方に御意見を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○清田座長 どうぞ。
○藤井課長補佐 監視指導・麻薬対策課の藤井と申します。
 前提としまして、きちんとルールどおりに製造していくというのは、必ず必要なことだと思っておりますので、残していくといいますか、そういう事例があってはいけないというのが前提だと思っております。
 当然ですけれども、我々はこれまで自治体やここにいらっしゃる業界団体の皆様と連携して対応を行ってきた部分がありまして、例えば製造業者に対しましては、法令遵守の体制を求めるとか、あるいは行政としましても、無通告の立入りを強化したり、調査員の質の向上、こういったものを進めてきたところでございます。引き続き、我々はこういった取組にしっかり努めていって、そういった企業が出ないようにしていくということが必要だと考えております。
○清田座長 この辺でよろしいでしょうか。松本先生、どうぞ。
○松本構成員 私が状況を詳しく把握できているのは抗菌薬だけですが、まずセファゾリンに関しては、海外への依存度が高かったことが主な原因と考えられます。ただし、なぜ海外に製造を依存せざるを得なかったかといいますと、基本的に薬価が下がり過ぎていて、収益を出すことが難しかったので、製造コストが安かった中国などに依存せざるを得なかったということだと思います。
 このような背景を考えますと、ジェネリック医薬品に関しても、企業がそれなりに収益を生み出して、通常のやり方で薬を作れるのであれば、指摘されているような問題は起こらなかったのだとは思うのですが、なるべく低い製造コストが要求され、さらにたくさんの種類の薬をつくらなければいけないというところに追い込まれてしまいますと、当然ながら、余力がない企業は無理をせざるを得ませんので、結局、ルールを無視したりということが起こってきたのではないかと思っております。
 問題を起こした企業をかばうつもりは全くないのですが、基準をクリアした良質の薬の製造を求めるのであれば、それに見合ったお金は支払わなければいけないと思います。現在のようにあまりにも安い薬価の設定であれば、薬の製造はかなり厳しい状況に追い込まれてしまいます。実際に私たち日本化学療法学会のところには、オリジナルの薬をつくっている企業でさえも、収益が出せない、あるいは赤字になるので製造をやめさせてくださいという相談が頻回に来ております。つまり、今の薬価の設定では国が企業に求めているルールの遵守と、良質の薬を安定に供給することを求めること自体に無理があるのではないかと思います。高齢化社会が進み、さらに医療費が高くなる状況で医療費を抑制しなければいけないのは理解できるのですが、極端に薬価を低く抑えると、このような問題は当然起こり得ると思います。継続的に薬剤の安定供給を支えていくためには必要な代償は払わなければいけませんので、改めて薬価ということについても御検討いただければと思います。
 以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 寺島さん、どうぞ。
○寺島構成員 ジェネリック製薬協会の寺島でございます。
 宮川先生のコメントはごもっともです。坂巻先生も言われましたけれども、とんでもない会社がいたら、当然処分すべきでしょう、それは当たり前です。
 そもそもこの関係者会議の発端となっているセファゾリンの話は、海外のメーカーの原薬にちょっと問題があったということで、入らなくなったのです。しかし、その後の安定供給問題の発端となった日医工等の業界の不祥事、これは根本的にはガバナンスの不足、トップは現場がそんなことをやっているとは知らない、知っていても是正しなかった、その二つの問題点がありました。ここをまず修正することが必要だということで、JGAでは、一昨年度から取り組んでまいりました。
 もう一つ、承認されたとおりにできるかどうか。当然それについても問題点が顕在化しまして、承認書の点検を行い、今後も承認書の点検を定期的に行います。2016年のときに血液製剤の関係で問題が起こりました。あのときに、先発も含めて、全会社で一斉に点検をやっております。そこできちんとやっているところはよかったのですけれども、恐らく今回問題になっているようなところは、そこでやり切っていなかった可能性があると思います。そういうものに関して、再度点検しました。微細なところ、2016年点検後に変更があったところ、薬事手続きしたものの不十分だったところ、それも含めて、きちんと点検をし直し、きちんとした品質のものがつくれるような体制を業界ではつくっていく。それが患者様に対する医薬品メーカーの使命だと思っております。
 かつ不祥事を起こした会社の製造数量というのは、業界の医薬品の中の10%程度です。それに対して、後発メーカーは10%ぐらい増産をしています。そうすると、普通は足りると思うのです。10%の部分がなくなって、10%増産すれば、大体は足りるはずなのですが、それに対して、業界を中心とした情報発信が不足しているので、使われる方々が今までと同じように順調に入ってこない、どうなっているのか、足りているのか足りていないのか分からないから、どうしても少しずつ多く発注されると思うのです。そうすると、今までぎりぎりのところで回していたものも実際にありますので、それが10%ぎりぎりのところで間に合っているはずなのに、皆さんがちょっとずつ多く発注をかけていくと、途端に足りなくなっていくということが考えられます。
 これが原因ではないかと思いますので、まずは品質を維持する体制をきちんとする。それから、ほぼ足りていると思われるのだったら、その情報をきちんと皆さんに共有できるようにする。ある1社が欠品したとしても、それは全体の何%ぐらいだから、よその会社が何%増産すれば足りるのです、そういうことをきちんと分かるようにすれば、こういう供給不安が助長されるようなことはなくなるのではないかと思っております。
 寺島からは以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
 どうぞ。
○安部構成員 長くは話しませんが、品質の保持というのは、確実に行っていただかなければなりません。業界団体の方々も様々な努力はするのでしょうけれども、日本は厚生労働省、もしくは都道府県による監視指導が行われているわけでありますし、そこでしっかりとチェックをする仕組みがあるわけでありますから、そこをしっかりやっていくことが非常に重要なポイントだと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
 厚労省側からは、それに対してありますか。どうぞ。
○藤井課長補佐 監視指導・麻薬対策課の藤井でございます。
 御指摘のとおりかと思いまして、先ほども少し申し上げましたけれども、我々としましても、無通告の立入りを強化しておりますし、調査員の質の向上、あるいは都道府県も含めまして、教育を進めておりますので、御指摘のとおり、我々も進めていきたいと思います。
○清田座長 ありがとうございます。
○安部構成員 過去の反省も含めて、しっかりやっていただきたいと思います。
○藤井課長補佐 かしこまりました。
○清田座長 川上先生、どうぞ。
○川上構成員 承認後の立入検査も重要だと思うのですけれども、例えば薬機法に基づいて製造販売を承認する段階で、そのメーカーがきちんと製造できるかをしっかり見抜いた上で承認を出すという、最初の段階も大事なように思うのですが、それについてはいかがでしょうか。
○清田座長 いかがでしょうか。山本さん、どうぞ。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 医薬産業振興・医療情報企画課の山本でございます。
 後発医薬品の収載に当たりましては、長期間、安定的に製造ができることをお約束いただいた上で収載することを現在の運用では前提としております。
 その上で、最近の取組としましては、これは医薬局の取組になってしまうのですけれども、承認時にも製造所の査察を実施しておりまして、その際に必要な生産体制が整っているか、特に、今般の不祥事の問題になりました人員体制が適切に確保されているかという点につきましても、承認前の製造所の査察において確認をするといった取組も現在進められていると聞いております。
○清田座長 ありがとうございます。
 時間が足りなくなりそうなので、次のサプライチェーンに関しての御質問、御意見がございましたら、承りたいと思います。平川先生、御質問があるようですけれども、どうぞ。
○平川構成員 ありがとうございます。日精協の平川です。
 先ほどの話もそうなのですが、皆保険制度を維持するために原資をずっと薬価に求めてきて、そして、今度、ジェネリックにまたその原資を求めてきて、ジェネリックについては業界に丸投げしてきたということで、結局、今のような状況が起こっている。これは政策のミスではないかと私は思っています。
 今回のサプライチェーンについても、まとめ方によるのでしょうけれども、例えば資料2-1の15ページ、低分子医薬品とバイオ医薬品の比較が出ていますが、バイオ医薬品はいわゆるファイザーとか、モデルナのワクチンのことです。新しい薬が外国から入ってくるのは当たり前で、バイオは国内生産が非常に少ないから、バイオに目を行かせるようなまとめ方をしている。これは意図的なものを感じまして、必要なのは低分子薬、今、使われている薬がかなり不足しているわけですから、この辺について、もう少しきちんとした政策を政治が組むべきだと思うのですけれども、行政的にはこの辺どういうふうに、バイオ製品をこれほど捉えるのか、政策的な意図があるのかどうか教えてほしいです。
○清田座長 どなたがお答えになりますか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 恐れ入ります。医薬産業振興・医療情報企画課の山本でございます。
 こちらにつきましては、同じ資料2-1の17ページでまとめさせていただいておりますとおり、バイオ医薬品に特化したお話ではなく、低分子医薬品とバイオ医薬品でそれぞれ海外依存の状況がございますが、海外依存の背景、内容が異なっているということを御説明させていただきたく、資料として構成させていただいておりました。
 繰り返しになってしまいますが、低分子医薬品については、大量生産の背景で中国やインドへの集約化が進んでおりまして、原薬については、輸入が大きいという状況です。一方で、バイオ医薬品については、逆に欧米を中心とした別の海外製造所への依存が進んでいるという、それぞれの背景の違いがございましたので、それらを踏まえて、今後のサプライチェーン強靱化が必要ということで、御説明をさせていただいた次第でございます。
○清田座長 どうぞ。
○平川構成員 バイオを強調されているような雰囲気があるので、それが気になったことと、我々の精神科の領域の患者さんたちは、例えばてんかんなどの人は、薬がなくなったらひっくり返ってしまうのです。統合失調症などもやっと薬を飲むようになって、社会生活をしている人たちが破綻してしまうということで、薬がないと大変なことが起こる。それがジェネリックに変わっていって、その薬が供給されないとなると、大変迷惑をしているのです。
 松本先生が先ほどおっしゃっていましたけれども、現場はきちんとしたお薬を供給していただく必要があります。例えばジェネリックは、薬屋さんに行くと、同じ種類でもいろんな値段のジェネリックがあって、患者さんがどれを選んでいいか分からないぐらいある。どれがいいのですかと私も相談を受けるのですけれども、そんなことではなくて、きちんとしたものを少ない数で出すということも、政策として重要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○清田座長 答えようがないと思いますけれども、いかがでしょうか。お願いします。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 城でございます。
 御指摘のとおりだと、我々もそう考えるに至ってはいます。ジェネリックの当初といいますか、ジェネリックを推奨してきた時期は、供給力を上げるという趣旨だと思いますが、企業にもできるだけ入っていただくという方針で、様々な企業にそういった形でやっていただいたということがあります。
 それからしばらくして、10年ぐらい前だと思いますが、やはり多過ぎる。しかも、当時は、名前もそれぞれにつけていたので、どれがどの成分か分からないから、どれが何のジェネリックか分からないという状況が発生をいたしました。それを受けて、少なくとも成分名プラス屋号で表示をするといった改善等を図ってきたということがあります。ただ、それでも多い。
 それから、実際、それぞれが小口の供給になっているものも結構あるということで、現場で患者さんがこの成分のこの屋号のものを買って、次に薬局でまた同じものを入れてくれと言って発注したら来ない、といったことが起きました。そういうことがないようにということでやってきましたし、今、我々が検討している産業そのものの在り方を考えるほうでも出ているのですが、同じ成分で出てくる銘柄数が多過ぎること、逆に言うと、多数の企業がそういった供給をしていることが、やはり実際の現場の患者さんに御迷惑をかけている、供給力を落としているのではないかという問題意識はございます。それをどのように解決するかということは、まだこれからということでございますが、そういう認識でございます。
○清田座長 認識はされているようですので、今後の対策を待ちたいと思いますが、平川先生、よろしいでしょうか。
○平川構成員 ありがとうございます。
○清田座長 サプライチェーンに関しまして、ほかにございますか。どうぞ。
○寺島構成員 ジェネリック製薬協会の寺島でございます。
 現在、ジェネリック業界の製造原価というのは、徐々に上がってきております。現実的にいうと、65%前後まで上がってきています。ということは、粗利で35%、薬価が毎年10%前後落ちると、35%の粗利のうちの10%が飛んでいきます。毎年飛んでいくということは、3年たったら利益がなくなりますという状況です。今まではもうちょっと製造原価が低かったので、ある程度耐えられてきました。今後これが続くと、さすがに厳しくなるという状況になってきて、必要とされる患者さんが少数の場合、製造数量も少なくなってきます。そうなると、原価がどんどん上がっていって、逆にそれを安定的に供給するのは、赤字になって、苦しくなるという状況も発生しかねないというところがあって、そこは非常に危機感を持っております。
 何とかそれを回避するため、新しいジェネリック(再審査期間が終わって、特許も切れたもの)を導入することによって、ある程度の利益を取り、赤字品のほうに回すということをやっておりますが、徐々にそれが難しくなってきております。今後、御指摘があったような状況を回避する、安定的に供給するためには、皆様の御議論がかなり必要だと思っております。
 以上です。
○清田座長 そういう情報は広く周知させているのですか。国民にそういう情報をしっかり伝えていただいて、だから、薬価がこれだけ要るという順番でいかないといけないのではないですか。
○寺島構成員 おっしゃるとおりだと思います。それについては、後発品メーカーとしても、きちんと国民の皆様に情報発信して、だから、こういうふうになるのですということを提言して、きちんと理解をいただくように努めたいと思っております。
○清田座長 例えば抗菌薬に関しては、日本化学療法学会がこれは危ないから、ぜひ薬価を上げてやってくれという要望書をどんどん出しているのです。ですから、関連学会との協力は必須だと思っていますけれども、この点につきましては、どんな対策をされているのですか。
○寺島構成員 業界活動として、個別品目のこれが本当に危ないからということを、学会に対してきちんとお願いできていない状況だと思っております。これについては、今後、努力させていただきます。
○清田座長 多分各学会にそういう窓口がございますので、ぜひアプローチされるといいのではないかと思います。
○寺島構成員 ありがとうございます。
○清田座長 ほかに御意見はございますでしょうか。どうぞ。
○安部構成員 資料2-1のところでよろしいでしょうか。
○清田座長 どうぞ。
○安部構成員 経済安全保障推進法における特定重要物質4種類、これは御説明いただいたので分かります。また、カテゴリーAの残り17は、引き算すれば、どの成分かというのは分かるのですが、11ページで、カテゴリーBとカテゴリーCの中で、レベル3、レベル4のマトリックス表示があります。これについては、特定物質には該当しないまでも、この中の成分、ピンクのところの成分が何であるかが分からないので、医療提供に関する影響も見えないところであります。これにつきましては、実際の医療現場、学会等に当該成分をしっかり明示して、意見を聞いて、どのような対応をするか。カテゴリーAの17成分も含めて、どういう取扱いにするかということは議論すべきだと思います。
○清田座長 これは先ほどちょっと御紹介があったと思いますけれども、次の会議までには明示していただけるという理解でしたが、それでよろしいのですか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 ありがとうございます。
 先ほども申し上げましたとおり、この調査結果については、次回の検討会でより詳細な御報告をさせていただきます。その際に、御指摘も踏まえた資料の作成をさせていただきたいと考えております。
○清田座長 ちょっと待っていただければと思います。
 どうぞ。
○坂巻構成員 先ほど薬価の話がありましたが、今日の午前中にも関連する会議があったのですが、そこで言わなかったことを申し上げますと、何で今までこういった薬価の引下げが行われてきたのかというと、大型の先発品の特許が切れて、そこでジェネリックが出る。常に新陳代謝的に新しいジェネリックが出ることによって、ジェネリックメーカーとしては、薬価が下がってしまっても、新しいジェネリックで何とか息が続く。こういったビジネスモデルを継続してきたわけです。ところが、大型のジェネリック医薬品がなかなか出にくいというのが今の状況になっています。そういう中で、これまでのような販売姿勢だと、各企業が経営的に成り立たないというのが今の状況なのです。
 一方で、はっきり申し上げますけれども、薬局の側も薬価を一部経営原資にしているのではないかという意見があります。あるいは診療報酬の改定における財源になっているところもあるのではないか。こういったことで、ジェネリックメーカーだけの問題ではなくて、薬局経営であったり、診療報酬改定における医療費のコントロールの材料としても使われてきたのだけれども、先ほどJGAの構成員の方からお話がありましたが、今後はそんなことではやっていけない。ジェネリックメーカーは存続ができなくなってしまうということで、ジェネリックメーカーだけではなくて、例えば関係する薬局であったり、中医協の方だったり、そういった方々も今までのジェネリックの薬価引下げの仕組みというのは、持続しないということを理解する必要があるのだろうと思います。
 一方で、何で薬価が下がってきたのかということを考えた場合、これもお聞きしたいところでありますけれども、製薬企業、特にジェネリック企業や卸の方たちが何で薬価が下がる仕組みを維持しているのか。自分たちの流通の仕組みであったり、企業の価格形成の仕組みについて、どのように襟を正すのかということについて、いわゆる説明が十分ではないということを強く感じている部分があります。その点について、もしお時間があれば、お答えいただければと思っております。
○清田座長 それはどういう形がよろしいか。国民にアナウンスするに当たって、知らない方が多いと思いますけれども、どうお考えですか。こうしたらいいのではないかという御提案はありますか。
○坂巻構成員 企業から御提案をいただければと私は思っています。
○清田座長 企業の方、どうですか。お願いします。
○土屋構成員 日薬連の土屋でございます。
 坂巻構成員、ありがとうございます。
 今、おっしゃられるとおりで、薬価が毎年下がり、業界として流通改善についてどのように考えるかというところでございますが、確かに流通施策、価格施策というのは、自由取引の中で各社の考え方がありますけれども、今、流通改善に向けて、業界、当局、卸さんも含めまして、流通改善のガイドラインというものがありますので、流通ガイドラインに基づきまして、業界としても取り組まないといけないと思っているところでございます。抽象的で申し訳ないです。
○清田座長 抽象的ですけれども、いかがですか。
○寺島構成員 ジェネリック製薬協会、寺島でございます。
 まず卸さんから各医療機関、薬局に対しては、単品単価取引というものが進んでおります。卸対メーカーにおいては、単品単価取引というよりは、トータルでリベート及びアローアンスが何%となってしまいます。そうしますと、先発から後発に変えたとき、従来どおりの利益幅を卸さん、あるいは薬局さんが期待します。まず先発にもある程度薬価差があります。それが一部経営にも使われます。それをジェネリックに変えたときに、同じぐらいの額を要求されると、100%の先発薬価だったものがそのジェネリック薬価は、50%、40%になります。そのとき、同じ薬価差でもその率は、例えば先発品では10%だったものが後発品では20%になります。ということで、毎回、実勢価格でいくと、同じだけの額を、卸さん、薬局さん、医療機関さんに提供しようとすると、今までの率の倍ぐらいの率で、薬価が下がっているとみなされて、同じ10円でも、薬価がパーセントとしては2倍になるという形になって、どんどん加速的に、薬価が安くなればなるほど、下がっていくスピードが速くなっていくという現象が実際には行っております。それが最低薬価までいき、原価に対して、若干利益があるものもあるし、マイナスになるものもあります。そういうところで問題が起こっているのではないかと思っています。
○清田座長 ありがとうございます。ノーソリューションというか、よくなりそうもありません。
 安部さんなどはどう考えていますか。どこかで誰かがもうけなければならないです。それを誰がどう取るのかという話です。これは国民には分からない、患者さんは理解できていないです。でも、患者さんまで届くときに、商売なのだから、どこかで誰かが利益を求めなければならない。何か策はありますか。
○安部構成員 薬局も規模などによって、例えば私の薬局などは積極的な価格交渉はせず、ほぼ卸さんが持ってきてくださった見積りで買っているような状況でありますが、そういった意味では、状況によって、違っているところは多分にあるということだと思います。
 あとは、薬局の中で少し厳しいのは、ジェネリックに切り替える場合でも、ジェネリックの在庫だけ持っていればいいというわけではないのです。先発品もジェネリックも持っている必要があるので、ジェネリックに切り替えを実施するときには、二重に在庫を持つような形になりますので、そういったところで、薬局の在庫負担、廃棄負担が大きくなっており、一定の損耗廃棄なところについてはリスクとなる。過剰な薬価差益は、日本薬剤師会としては求めておりませんけれども、一定の市場価格と薬価の中の自然な差は、おのずと発生しているのだろうと理解しております。
○清田座長 薬局によってたたき方が違うということですね。
○安部構成員 小さい薬局などは、交渉するマンパワーもほぼないのではないでしょうか。
○清田座長 薬剤師会でオープンにする方法はできないのですか。たたき方がすごいとか、そういうことはできないのですか。
○安部構成員 それは個別の薬局とか、現在は共同購入などという形態もありますので、そこも含めてどのようなものなのか、卸さんがよく御存じなのではないかと思います。
○清田座長 根が深そうなので、宿題ということでお願いしたいと思います。
 次に行きます。資料2-2はよろしいですか。経済安全保障です。
 もうお時間になってしまいました。今日はファイナルの結論を出すわけではありません。ですから、皆さんに議論の材料を提供してくださいまして、私も荒っぽい質問をしましたけれども、次回は建設的な議論をするのに御提案を考えてきていただきたいです。当然厚労省側も常に考えていただいています。
 どうぞ。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 この議論は尽きないところだと我々も考えてございます。冒頭に宮川先生がおっしゃいましたけれども、まさに構造問題であると認識しておりますし、さらに企業だけの問題ではなくて、後発医薬品の使用促進を進めてきたのは政府ですから、そういう意味で、我々も拙速でいなかったところに真摯に向き合って、政策としてどう考えていくかということを真正面から受け止めなければいけない問題であると思っております。
 そういう視点で、今、資料の中でも御紹介をさせていただきましたけれども、それを様々な角度から検討会を回しておりまして、何とか4月の末に報告をまとめた上で、説明の中でも申し上げさせていただいたとおり、この会議の場でも御紹介をさせていただきたいと思っておりますから、本日の議論の続きは、それを御覧いただきながら、改めてやらせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○清田座長 ありがとうございます。
 最後に厚労省より今後の予定について、資料5に沿って御説明いただきたいと思います。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 資料5、対応スケジュール(案)について、御覧いただければと思います。
 2ページ目でございます。これまでの取組ですとか、現状を踏まえまして、大きく四つの観点、供給リスクに応じた対応、供給リスク監視の強化、安定確保のためのインセンティブ、供給情報の共有と連携、こういった観点に留意しながら、今後の対策を進めてはどうかということで、考え方を整理させていただいております。
 3ページ目でございます。こちらに今後のスケジュールについて、案をお示しさせていただいております。
 先ほど課長からもお話がありましたが、2行目にありますとおり、来月末で医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の取りまとめをいただく予定としておりまして、別途御紹介させていただきましたサプライチェーン調査結果の最終的な取りまとめも含めまして、できましたら、その下、5月から6月に日程調整をさせていただきまして、次回の関係者会議を開催させていただきたいと考えております。
 また、令和5年度中に再来年度の改正医療法等に基づく情報提供の在り方等につきましても、御報告するために年度内に再度の会議の開催をさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
 トンネルの先の明かりがかすかに見えたかどうかというところです。今日は、皆様、ありがとうございました。