第10回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の議事録

日時

令和5年3月17日(金) 10:00~13:00

場所

AP虎ノ門 C+Dルーム
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル(日本酒造虎ノ門ビル))

議題

  1. (1)医薬品の安定供給について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催させていただきます。
 初めに、構成員の先生方の御出欠について御報告いたします。
 本日、9名の構成員の先生方が会場での御参加、井上構成員、小黒構成員、堀構成員がオンラインでの御出席との御連絡をいただいてございます。
 また、私どもの城審議官でございますけれども、本日、国会対応のため欠席とさせていただいております。
 なお、本日におきましても、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ユーチューブ配信形式による公開にて行わせていただきます。
 次に、本日の会議資料を御確認させていただきます。
 会場におられる構成員の皆様方のお手元には、本日の議事次第のほか、資料1、参考1として開催要綱、参考2として構成員名簿を配付させていただいてございます。
 過不足等ございましたら、お申しつけください。
 それでは、以降の議事進行につきましては、遠藤座長にお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、おはようございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。
 カメラの頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきたいと思いますので、マスコミの皆様におかれましては、御退室をお願いしたいと思います。
 傍聴につきましては、会場外でのユーチューブで引き続きお願いしたいと思います。
(報道関係者退室)
○遠藤座長 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日の議題でございますけれども、「1.医薬品の安定供給について」ということで、1回やっておりますので、その次の第2回目になります。主に薬価制度との関係がポイントになると思います。
 それでは、事務局から資料が提出されておりますので、説明をお願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、事務局より資料の御説明をさせていただきます。
 資料1を御覧ください。
 2ページ目でございます。こちらは毎回お示ししております医薬品のライフサイクル全体図でございまして、今回は一番下の赤い部分のとおり、安定供給に関しまして、薬価制度や薬価差に関する議論を行うこととしております。
 3ページでは、こちらも毎回お示ししております、以前におまとめいただいております論点でございます。前回の第9回では(2)のマル1後発品企業を対象に産業構造やビジネスモデル上の課題について御議論いただいておりますが、今回は赤い囲みのとおり、マル2薬価制度を起因とする課題と(3)薬価差について、御議論をいただきたいと考えております。
 4ページでございます。これまでの検討会での主な御意見の抜粋をさせていただいております。こちらは御参考として御覧いただければと思います。
 5ページでは、前回のビジネスモデル上の課題につきまして、御議論の際の主な御意見を記載させていただいております。今回のテーマは、同じ安定供給を目的としたものでございますので、こちらも御参考として御覧いただければと思います。
 6ページ目以降は、一つ目のテーマでございます医薬品の安定供給に関する薬価制度上の課題についてでございます。
 7ページでございます。現在の薬価制度におきましては、安定供給確保の観点から、薬価が下がって不採算になってしまうことを防ぐための制度としまして、三つの制度が導入されておりますので、そちらを一覧表としてお示ししております。
 導入された順番で記載をしておりますが、最初の最低薬価につきましては、剤形ごとに最低限の供給コストとして設定されているもので、最低薬価以下には薬価が下がらないルールとなっております。
 真ん中の不採算品再算定につきましては、不採算、赤字となった品目につきまして、原価計算の結果を踏まえて、薬価の引上げを行うものです。
 下の基礎的医薬品については、薬価収載から25年以上経過した品目につきまして、薬価の維持を行うものでございます。
 下の二つにつきましては、真ん中に○をつけておりますとおり、医療上の必要性が高いもののみを対象としております。
 8ページでございます。三つの制度の位置づけや関係性につきまして、縦軸を保健医療上の必要性、横軸を薬価収載期間を取りまして、イメージ図をお示ししております。
 先ほどのとおり、不採算品再算定と基礎的医薬品の二つにつきましては、医療上の必要性の高い医薬品を対象としておりますので、上のほうに、また、基礎的医薬品につきましては、薬価収載後25年を経過していることが要件となりますので、右のほうに位置づけております。
 青い最低薬価につきましては、医療上の必要性や収載年数の要件はないため、広く位置づけられている形にしております。
 9ページでございます。まず最低薬価制度についての個別の御説明でございます。
 一つ目のポツにございますように、剤形ごとにかかる最低限の供給コストを確保することを目的としておりまして、成分にかかわらず、剤形ごとに最低薬価が設定されております。
 下の表が具体的な最低薬価のリストでございますが、左側が日本薬局方収載医薬品の場合の薬価、右側がそれ以外のリストとなっております。
 三つ目のポツにございますように、日本薬局方医薬品については、医療現場で汎用され、医療上の必要性が高いことから、その他の医薬品よりも高い価格とされております。
 下の青い四角に記載をしておりますけれども、最低薬価につきましては、全ての剤形について設定されているわけではなく、生薬であるエキス剤、塗布剤、点鼻剤、点耳剤、眼軟膏につきましては、現在も最低薬価が設定されていない状況でございます。
 10ページと11ページには、最低薬価のこれまでの変遷をまとめさせていただいております。
 明確に制度化がされる以前、昭和56年頃から内用薬と注射薬について最低薬価が設定されておりまして、その後、消費者物価指数の変動や消費税導入などを踏まえまして、最低薬価の見直しが順次行われております。併せて少しずつ剤形の追加も行われてきております。
 12ページには、参考情報としまして、日本薬局方に関する解説を記載してございます。
 日本薬局方は、医薬品医療機器法に基づく医薬品の規格基準書でございまして、試験方法などの共通の基準のほか、医療上重要な医薬品等について、医薬品ごとの規格基準も収載されております。
 13ページからは、二つ目の制度でございます不採算品再算定に関する御説明を記載してございます。
 製造販売に要する原価等が著しく上昇したと認められるもの、つまり原価が薬価を上回って不採算となっている医薬品につきまして、原価計算方式で算定される額を踏まえて薬価の引上げを行う制度でございます。
 原価計算を行う際の営業利益率は、二つ目のポツのとおり、原則として100分の5を上限とされております。
 また、下のイの部分の括弧書きにございますように、同一規格の類似薬がある場合には、その全てが不採算となっていることが要件となっております。
 最後のポツでございますが、安全対策上の必要性により製造方法の変更が行った場合で緊急性がある場合には、薬価改定だけではなく、期中にも臨時の改定ができることとされております。
 下には不採算品再算定を行った品目数の実績の表を記載しております。
 14ページでございます。不採算品再算定の変遷をお示ししておりまして、大きくは変わっておりませんが、一番下の平成22年の太字の部分に記載しておりますとおり、以前は後発品の不採算品再算定を行う際に、先発品も含めて不採算である必要があったところ、後発医薬品のみの再算定が可能となるよう、平成22年にルールが改められております。
 15ページからは、基礎的医薬品について記載をしております。
 基礎的医薬品は、マル1のイ、ロ、ハ、ニの全てに該当する製品が指定されることとされております。過去に不採算再算定が適用された品目、抗菌薬や抗ウイルス薬、医療用麻薬、生薬など、医療上の必要性の高い医薬品であること、医療上の位置づけが確立し、広く医療現場で使用されていることが明らかなものであること、薬価収載の日から25年を経過しているもの、平均乖離率が全ての品目の平均乖離率以下であることの四つの要件が求められております。
 また、安定確保医薬品のカテゴリーAの品目につきましては、マル2の要件を満たすことで、基礎的医薬品として指定を受けることができますが、下の太字部分のとおり、週最後25年経過していることや乖離率が平均乖離率以下であることなど、同じような要件が求められております。
 下には、平成28年以降の基礎的医薬品の指定数の推移をグラフとしておりまして、票の右下にございますように、令和4年度時点では、約1,100品目が基礎的医薬品として指定されております。
 16ページは、基礎的医薬品の制度の経緯についてでございます。
 中医協の指摘の欄にございますように、医療現場での使用実績があり、医療上必要性の高い医薬品の安定供給のためとして、下の対応の方向性の欄のとおり、不採算や最低薬価になる前に薬価を下支えする制度として導入が検討されたものでございます。
 17ページには、25年以上という要件についての御説明をしております。
 下の図は、平成27年の中医協に提出された資料でございまして、平成12年から平成24年の間に不採算品再算定が行われた品目について、収載から何年後に不採算となっているかを集計したグラフとなっております。
 平均では、収載後40年ほどたっている品目が多い結果でございますが、グラフの下の端を見ますと、早いものでは25年程度から不採算となる品目が発生していることや、薬価収載から25年以上経過すると、薬価が半減するケースが多いことなどから、薬価収載後25年を要件とすることとされたものでございます。
 18ページには、医療上の位置づけが確立し、広く医療現場で使用されている医薬品を選定する点で類似していると考えられる基礎的医薬品、安定確保医薬品、日本薬局方について、一覧としたものを参考情報としておつけしております。
 実際にはそれぞれのリストの目的ですとか、品目選定の考え方が異なりますので、実際に収載される品目は異なっている形となっております。
 19ページでございます。今、御説明してまいりました基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価につきまして、改めて整理をさせていただいております。
 上の四角囲みの1ポツ目にございますように、医薬品の価値は、現状の制度では市場実勢価格に基づく薬価改定によって評価がなされることとされております。
 その上で二つ目のポツのとおり、保険医療上の必要性が高いものにつきましては、安定供給を図る観点から特例的に薬価を維持、または引き上げる制度が基礎的医薬品や不採算品再算定という形で導入されています。
 三つ目にありますように、それ以外の品目につきましては、最低薬価によって最低限の供給コストが確保されている。このように考えることができるとしております。
 次のページでございます。以上を踏まえまして、論点をまとめさせていただいております。
 前提としまして、医薬品の安定供給に関しましては、前回御議論いただきました後発品産業のビジネスモデルや産業構造全体の在り方の見直しが必要であり、それを前提にした上で、以下の論点が考えられるとさせていただいております。
 基礎的医薬品に関しましては、医療現場において長期間にわたり広く使用され、有効性・安全性が確立されているものを対象とする観点から設けられている薬価収載後25年以上という要件の在り方について、どう考えるか。
 不採算品再算定につきましては、2年に一度の制度適用の場合、その間の原料等のコスト増の薬価への反映に時間を要するが、制度適用の頻度等について、どう考えるか。
 最低薬価につきましては、先ほどの御説明のとおり、最低薬価が設定されていない剤形について、どう考えるかとさせていただいていております。
 なお、※で記載をしておりますとおり、これらの制度の前提となります薬価の下落、流通実態等に関する議論につきましては、この後の後半の資料で御説明、議論をすることとさせていただいております。
 また、これまでの検討会で議論をいただいてまいりましたイノベーションの推進なども課題となっておりますので、これらの制度の見直しにつきましては、医療保険財政のバランスを確保する観点から、優先順位の考慮に留意が必要と記載させていただいております。
 以上が一つ目のテーマの御説明でございます。
 続きまして、二つ目のテーマ、流通に関する諸課題、薬価差等について、21ページ以降で御紹介をさせていただきます。
 22ページを御覧ください。こちらのページからは、まずこれまでの薬価基準制度の経緯、歴史の振り返りをさせていただいております。
 初めに、昭和26年から開始されましたバルクライン方式についての御説明でございます。
 バルクライン方式は、医薬品全体の取引量を安いほうから高いほうまで並べて、80%の数量をカバーする点の価格を薬価として設定するもので、当時は取引の約20%は正常な取引が行われていない実態を踏まえて、80%の数量をカバーできる範囲とされておりました。その後、昭和28年には基準が90%に、さらに昭和58年からは81%バルクライン方式が導入されてございます。
 23ページでございますけれども、平成4年からは加重平均値一定価格幅方式、通称R幅方式が導入されております。
 R幅方式は、下の背景の欄にございますように、実勢価格のより適切な反映、価格の不自然なばらつきの一層の是正、算定方式の簡素化などを図ることを目的としまして、先ほどのバルクライン方式に代わる形で導入がされております。
 具体的には薬価調査結果の加重平均値をベースとしつつ、下線部分にございますように、加重平均値そのものでは、医療上必要性の高い小包装の医薬品など、取引条件が不利な品目の安定的購入の面で支障を生ずることが懸念されるとして、卸売価格の加重平均値に一定の合理的な価格幅、R幅を加えた価格を薬価とする制度でございました。
 R幅は、中医協において取引条件の差異等による合理的な価格幅とされつつも、右下に表がございますとおり、最初は15%から始まりまして、順次縮小が行われてきております。
 24ページでございます。こちらが現在も運用されております市場実勢価格加重平均調整幅方式、通称調整幅方式でございます。
 こちらは平成12年から導入されておりまして、先ほどのR幅方式と同様に卸売価格の加重平均値をベースとしながら、消費税を加え、さらに調整幅として2%を加える方式でございます。
 背景の欄にございますように、R幅方式について、個々の取引や銘柄により大きな薬価差が発生する可能性があるとされ、可能な限り不合理な薬価差を解消するという観点及び薬価の適正化、薬剤費の効率化を図る観点から、R幅方式に代わり、調整幅方式が導入されたものでございます。
 調整幅は、中医協において薬剤流通安定のために必要な経費とされているところでございます。
 三つ目のポツにございますように、従来のR幅方式に含まれているとされた薬剤管理コストは、基本方針におきまして、医療機関における薬剤管理コストの評価については、既存の診療報酬との整合性を図りつつ、薬価改定ルールの見直しと並行して、その必要性、具体的方法について、さらに検討するとされておりましたが、その後、結論は出ていない状況でございます。
 25ページでございます。今、大きく三つの方法により薬価基準制度が適用されてきた旨を御紹介させていただきましたが、その背景で流通の実態における出来事と諸課題をまとめた資料とさせていただいております。
 まずバルクライン方式が運用されていた時代でございますけれども、当初は成分名での統一限定収載方式が運用されておりましたが、大きな薬価差が発生したことから、昭和53年からはメーカーや品目別に薬価を収載する銘柄別薬価収載方式に変更されまして、その結果、薬価の大幅な値下げが始まったとされております。
 その下の川上取引の欄に参りまして、当時の医薬品の卸業者は、メーカーの系列の企業が多く、メーカーごとに多数の卸が乱立していた状況でございました。その結果、値引補償制度による販売促進が行われ、具体的には卸が逆ざやで販売した場合には、仕入れ価格の再交渉を行って、卸の利益を補償することが行われておりました。
 値引補償制度は、その後、独占禁止法で上問題とされまして、代わって卸が医療機関や薬局と交渉して納入価を決定する仕切価制に移行しております。
 一番下でございます。一方、川下側の動きとしましては、値引補償制度の廃止以降、各卸がメーカー系列から独立して価格交渉を担うようになるとともに、いわゆる総価山買い方式の総価取引や仮納入といった取引慣習が広がっていくこととなっております。
 26ページに参りまして、R幅方式に移行した後のお話でございますが、メーカーは、卸に対してリベートやアローアンスで医薬品の販売を促進しつつ、川下では、総価取引や未妥結仮納入などが常態化している状況でございました。
 さらに下の2000年以降の調整幅方式に移ってからは、川上では、メーカーの仕切り価が高い水準で推移して、平成15年以降は、資料中では、仕切り価が納入価よりも「低く」とございますが、「高く」の誤りでございますので、修正させていただきます。申し訳ございません。仕切り価が納入価よりも高い、いわゆる逆ざやとなる一次売差マイナスが発生し、その利益はリベートやアローアンスで補填されるという構造となっております。
 下の川下でございますけれども、薬局のシェアが伸びるとともに、共同購入や価格交渉代行を通した、いわゆるバイイングパワーを利用した値引交渉が行われるようになる中で、下の制度改正の欄に記載しておりますとおり、卸業者は整理統合され、その数を減らしてきている状況でございます。
 現在の加重平均値の薬価改定では、理論的には半分の取引が逆ざやになることになりますが、そうなっていないのは、卸が赤字受注を受け取っている面もございまして、その結果、卸業者が販売管理費を縮小するなど、経営努力を続けて、何とか利益を出している状況となっております。
 27ページからは、今、御説明してまいりました内容に関連するデータをお示しております。
 27ページは、医療用医薬品の販売先別の推移でございます。
 黄色い線の医薬分業率が高まるにつれて、赤い部分の薬局への納入額の割合が増加している状況でございます。
 28ページでございます。さらに背景となるデータとしまして、薬局数の推移等をお示ししております。
 左側の薬局数は年々増加傾向、右側の同一法人の店舗数の推移で見ますと、法人経営の20店舗以上の薬局、いわゆるチェーン薬局が増加傾向となっております。
 29ページですが、先ほど御説明いたしました卸の経営状況のグラフでございます。
 近年の総売上高は横ばいでございますが、販売管理費と利益率は低下傾向にございまして、直近の営業利益率は0.53%となっております。
 営業利益率を比較したものが30ページでございます。
 令和2年度実績での比較としまして、卸売業界全体の平均利益率が紺色の部分のとおり2.0%であるのに対して、医薬品の卸売業では0.35と低い水準となっております。
 31ページでございます。ここでは過去の報告書等における薬価差に関する記述を抜粋して御紹介しております。
 一番上の平成2年の医薬品流通近代化協議会、流近協の報告からの抜粋でございますが、当時の考え方として、建前においては、購入価格イコール請求価格であり、薬価差の存在は想定しない。しかしながら、薬価基準を公定している一方、市場における取引は自由なため、メーカー及び卸売業者の過当競争体質と販売姿勢、医療機関のバイイングパワーの強さにも起因し、医療機関が薬価基準価格よりも安く購入して薬価差が出るという実情にあり、また、流通の実態から見れば、購入数量、支払い方法などの取引条件の差異によりか格差が生じるのは当然であるとされておりました。
 真ん中の平成3年の中医協の建議では、先ほどのR幅方式を導入する際の説明としまして、取引条件の差異に起因して、取引価格に一定の価格の幅が生ずることは、経済原則上当然であるが、加重平均値そのものを薬価とすることは、医療上必要性の高い小包装医薬品等取引条件の不利な品目の安定的購入の面で支障が生ずることが懸念されるので、加重平均値そのものではなく、一定の合理的な価値幅を加えた数値をもって薬価とすることが適切とされておりました。
 さらに下の平成11年の中医協の報告でございますが、調整幅方式の導入に当たりまして、実費保障という現在のR幅方式の基本的な思想とは異なる医療機関の平均的な購入価格の保障という新たな思想に基づき、現行の長期収載品に係るR幅の水準による取引実態も勘案しつつ、卸と医療機関との間の安定供給の確保に配慮した現行のR幅方式に代わる新たな薬価改定ルールを早急に検討するとされておりました。
 32ページでございます。こちらはこれまでの検討会での主な御意見を掲載しています。
 薬価差の大小は、競合の多寡、地域、購入規模、医療機関や保険薬局などの取引先の属性など、様々な要因によって発生していること、薬価差が実態として医療機関や薬局の経営原資となっていること、取引条件の差によって販売価格にばらつきが発生する中で、公定価格として薬価が設定されていることによって、薬価差が生まれるという構造がある。新薬と後発品など、取引条件や商品特性が異なる製品を全て同じ薬価改定ルールで扱っていることに無理があるのではないかといった御指摘をこれまでいただいているところでございます。
 これらの情報をまとめる形で、下の四角囲みのとおり、薬価差に関する考え方を整理させていただいております。
 統一的な償還価格(薬価)が定められている中で、取引は市場における自由取引に委ねられていることから、現行の市場実勢価格方式の下では、制度的に一定の薬価差は想定されているものと考えられる。
 その際、薬価差が発生する原因としては、マル1の取引条件の違いから必然的に発生するもの、マル2の薬価差を得ることを目的とした値下げ交渉や販路拡大のための値下げ販売により発生するものと、大きく2点が存在すると考えられるとしております。
 さらにその上で許容される合理的な薬価差を超えて、過度な薬価差が発生している場合には、適切な市場流通の確保の観点から、一定の是正を求めていくことは考えられると整理しております。
 33ページからは、関連する資料を再度掲載してございます。
 33ページは、販売先別の乖離率の比較としまして、各年度の全販売先の乖離率を100とした場合の指数として表しております。
 医薬分業の進展に伴いまして、医薬品の販売先が医療機関から薬局へ移行するとともに、薬局の乖離率が総体的に大きくなっております。
 34ページでは、同じ傾向を薬価差という比率ではなく、実際の薬価差の額で比較したものでございます。
 灰色の部分のとおり、薬価差額全体のうち薬局が占める割合が6割を超えておりまして、近年は横ばい傾向となっております。
 35ページでございます。こちらは同じく乖離率や薬価差額につきまして、医療機関や薬局の規模別に比較をしたものでございます。
 いずれも灰色の20店舗以上の調剤チェーンや200床以上の病院が相対的に高く、同じ薬局や医療機関といった販売先の区分の中でも、施設によって差が大きいことが考えられる結果となってございます。
 36ページでございますが、こちらは医薬品のカテゴリー別の乖離率の比較を行ったものでございます。
 いずれの販売先でも、灰色の線のとおり、後発品の乖離率の指数が一番高く、オレンジ色の長期収載品の乖離率が上昇傾向にございました。
 37ページと38ページは、主要薬効群別の乖離率の推移となっております。
 各年度での販売数量の多い順に10位までの薬効群を掲載しておりますが、大きな変化は見られておりません。消化性潰瘍薬や生活習慣病薬など、販売数量や品目数が多いグループは、乖離率が高い傾向にございました。
 39ページを御覧ください。こちらも以前の検討会でお示ししている資料でございますが、卸売における価格交渉の状況をお示ししております。
 右側の表の赤い四角囲みの部分のとおり、20店舗以上のチェーン薬局や200床以上を有する病院の取引は、ほかの取引先と比較して、総価取引の割合が高い傾向にございます。
 40ページでございます。こちらは前半に紹介いたしました最低薬価の対象品目やそのうちの安定確保医薬品などにおける乖離率の状況を示しておりますが、最低薬価が適用された品目やそのうちの安定確保医薬品であっても、平均乖離率が高い傾向が確認されております。
 下の表でございます。日本薬局方医薬品の乖離率は低い傾向でございましたが、そのうち最低薬価のものは乖離率が高くなる傾向がございました。
 41ページも同様の資料でございまして、全体の中から安定確保医薬品のみを抜粋した形で乖離率をまとめております。
 内用薬につきましては、ほかの剤形と比較して、全体に対しても乖離率が高い傾向となってございました。
 42ページでございます。これまでのデータを踏まえた分析の結果としまして、2点の課題を整理させていただいております。
 1点目は、取引先別に医薬品のカテゴリーにより乖離率に偏在が発生していることでございまして、取引先としては、医薬分業の進展とともに卸の取引先が医療機関から薬局へとシフトし、ほかの取引先と比較して、大きな乖離率が発生していると考えられることです。この検討に当たっては、個別の施設によって乖離率に大きな差があると思われることに留意すべき必要があることを記載させていただいております。
 医薬品のカテゴリー別につきましても、後発品や長期収載品は、総価取引の値引きの調整弁として価格が大きく下がる傾向にございまして、乖離率が大きくなっていることが想定されるとしております。
 課題の2点目でございます。最低薬価や安定確保品につきましては、医療上の必要性等が考慮されずに総価取引における調整弁として扱われ、これによって乖離率が大きくなっている状況にあることが想定される点でございます。
 43ページでございます。こちらでは別の論点としまして、調整幅に関する整理を行っております。
 現在の調整幅の2%につきましては、中医協におきまして、薬剤流通安定のために必要な経費とされておりますが、その根拠や詳細などについては、明確とはなっておりません。一方で、薬価は全国一律価格となっておりますので、市場原理下で発生する配送効率の地域差等による価格のばらつきにつきましては、調整幅が吸収しているという説明がなされてまいりました。
 2.でございますが、近年は、オーファンドラッグや再生医療等製品など、患者や使用される医療機関等が限定されることによって、配送効率によるばらつきが少ない医薬品ですとか、逆に後発品のように幅広く使用されることでばらつきが大きくなるものなど、製品が多様化していること、また、全国グループの薬局等による一括購入など、ばらつきが考慮されない取引も出てくるなど、取引自体も多様化してきております。
 44ページでは、これまでの検討会のヒアリングにおいて、団体等から薬価差に関する提案があったものについて、抜粋をしております。
 上の日本製薬団体連合会からは、薬価差が生じる要因や薬価差が果たしている役割、品目カテゴリーを踏まえ、欧州の仕組みを参考としつつ、我が国特有の仕組みを構築する必要があるとの御指摘があり、くすり未来塾からは、購入価償還の段階的な導入などに関する提案、デロイトトーマツからは、適切な水準を超えた薬価差の還元などの提案をいただいておりました。
 最後のページでございます。これまでの資料を踏まえまして、論点をまとめさせていただいております。
 薬価差につきましては、現行の医薬品の流通取引において、薬価差の発生が避けられない一方で、取引先の違いによって薬価差の偏在が生じている。同一地域であっても、取引先や購入規模など、取引条件の違いがあるとしても、納入価に過度な差が生じるような取引について、どのように改善をしていくべきか。
 二つ目のポツは、医薬品をカテゴリー別に見た場合、長期収載品や後発品における乖離率が高くなる傾向があり、これがメーカーや卸の経営に悪影響を及ぼしていると考えられる。現行の流通取引においては、総価取引(単品契約総価取引含む)が主流となっているが、これらの医薬品は総価取引における値引きの調整に使われていることが多いものと考えられる。また、薬価調査のたびに高い乖離率を示している安定確保医薬品があるが、これも総価取引における調整に使われることで、医薬品の価値が無視された過度な値引きがされているおそれがある。このような弊害がある取引について、どのように改善をしていくべきかとしております。
 三つ目のポツは、とりわけ最低薬価が適用される医薬品においては、改定前薬価まで薬価が戻る仕組みがあることで、総価取引の調整に使われている実態があると考えられるが、このような不合理な取引について、どのように改善していくべきか。
 下の調整幅についてでございます。調整幅は、地域差等による価格のばらつきを調整する機能を有するものと考えられている。これは必然的に発生する薬価差を吸収する役割を持つものであるが、近年、配送場所が限定される医薬品や汎用性が高く全国に配送される医薬品の増加、全国にあるグループ店舗の本部一括購入などによって、地域差等による価格のばらつきに在り方に変化が生じている実態を踏まえ、従前から一律2%とされている調整幅の意義をどのように考えるべきかとさせていただいております。
 46ページ目以降は、参考資料として関連する資料、データ等をお示ししておりますので、必要に応じて御参照いただければと思います。
 長くなりまして申し訳ございません。事務局からの資料の御説明は以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの提出資料に関連して、御質問、御意見等をいただければと思いますけれども、ちょうどテーマが二つに分かれておりますので、議論もこのテーマに合わせて二つに分けたいと思います。
 したがいまして、まず前半では、20ページまでになりましょうか、そこまでを議論していただきたいと思います。その後、後半部分を議論していただければと思います。
 それでは、御意見、御質問等はございますでしょうか。
 大変興味深い資料も提出されていたと個人的には思っておるのですけれども、何かあれば、ぜひお願いします。香取構成員、お願いします。
○香取構成員 幾つかあるのですけれども、最初の質問なのですが、最低薬価、不採算品再算定、基礎的医薬品、局方とあります。こういうふうに書いてあるのですけれども、そもそも何のためにあるかということを考えると、最低薬価、あるいは基礎的医薬品の考え方は、果たして全体として整合性が取れているのかということが非常に気になります。
要は医療上非常に基礎的な医薬品で汎用性がある。つまり一般的に使われている薬なので、そういったものについては、確実に医療現場に提供できるようにする。そのための措置としてやるということになっているわけです。
 そうすると、ファーマコピア、局方があります。局方はまさに基礎的医薬品についてリストアップをしている、ということで考えるとすると、不採算品再算定は別の考え方でやっているのでしょうけれども、要は基礎的医薬品で安定的に確保されるべき医薬品をリスト化するのであれば、例えば局方なら局方に一元化すればいいのではないか。いろいろなカテゴリーがあって、重複があったり、こちらには当てはまったり、あちらには当てはまらなかったりというのは、制度としても分かりにくいですし、物の考え方も非常に整理されていない気がします。
 こういうカテゴリーがあるのであれば、つまりこのカテゴリーの医薬品は安定供給、確実にそれぞれの医療現場に提供できることを最優先に供給と価格設定をします、ということになる。価格設定するのは、製造と流通を安定的に保障するという意味だと思うので、そうだとすれば、そういう交通整理がなされるべきなのではないかというのが1点です。
 もう一つは、剤形別に決めている最低価格というのですけれども、どういう意味なのですか。その薬の中身がどうであろうと、薬効がどうであろうと、要は錠剤だったら1錠10円ですという決め方です。何の価格をセットしているのですか。製造コストということですね。薬としての価値がどうかということではなくて、世の中で紙1枚つくるのには幾らかかるので、紙代は幾らみたいな話です。
 何年前に決めたか知りませんけれども、薬効に関係なくスリの形状ごとに最低薬価を決めることが果たして合理的かということと、もしこれが製造コスト、中身に関係がないコストということだとするならば、例えば製造技術が進歩すれば、コストは下がるはずです。あるいは1,000錠を打錠できる機械が3,000錠の打錠ができるようになりましたとなると、コストが変わっていくことになるので、剤形で最低コストを決めるという決め方自体、20世紀的というか、19世紀的というか、そもそも価格を決めるのであれば、先ほど言った安定供給なり何なりという考え方から価格を決める、そういうことになっていくのではないか。
 基礎的医薬品を決めるのであれば、エッセンシャルドラッグのリストをきちんとつくって、それが安定供給できるような価格の設定の仕方をします。そのときにほとんど価値に関係がない単なる物の製造コストで最低薬価が決まっているというのは、いい加減見直したほうがいいのではないかという感じがします。
 ついでに言えば、局方というのは、医薬品の検定であるとか、品質の確保のためにいろいろな検査方法なども規定されているわけですけれども、今や化学品ではない薬がどんどん増えていく中で、そういったものについても、いろいろ考え直していかなければいけないのではないか。打錠の技術だって進歩しているのでしょうから、単に50回回して溶けるかとか、100回回して溶けるかとか、そういうことではなくなってきたような気がするので、全体として基礎的医薬品に関しては、もうちょっときちんと交通整理をして、本来の目的に沿ってリストアップするなり、価格を決めるなりというルールを決めていくことになるのだろうと思います。
 さらに言えば、後のテーマに関係しますけれども、基礎的医薬品については安定供給を重視して最低価格を決めると考えるのであれば、その品目はそもそも納入価償還にすればいいのではないかと思います。そもそも薬価差は、取引価格と納入価格が違うから起こるわけで、安定供給をきちんと確保することを考えるのであれば、このカテゴリーの薬については納入価償還としてしまえば、総価取引の問題とか、調整弁で使われるといった問題などはなくなっていくので、この手の安定供給が重要だという薬については、製造・流通・償還を一気通貫で考える。そもそも医薬品についてはいろいろな形にカテゴライズする中で、分けて考える整理をしたほうがいい気がします。そこはお考えいただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 前半は現行の制度に関する御質問で、後半には提案があったわけでありますが、特に前半の御質問、最低価格を決める諸制度のそれぞれが合理性を持ってできたのでしょうけれども、非常に混乱するので、その辺の整合性について教えてほしい、あるいは検討するべきだというお話でありましたし、さらには剤形ごとに最低価格を決める根拠は何かという話でありましたので、基本的に保険局が決めている話だったと思いますけれども、回答の可能な範囲でお願いしたいと思います。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございました。
 基本的に香取構成員から御指摘をまとめていただいたとおりだと我々も考えておりますが、正直申し上げると、かなり古い仕組みもあるので、当時の経緯について、我々は完全に把握できていないところでございます。
 19ページに一定のこういうことで整理されるのではないかということで書かせていただきましたけれども、今、香取構成員から御指摘があったことと基本的には同じ考え方でございますが、一つには、保険医療上の必要性が高いか、低いかというところで線引きをしています。高い医薬品については、基礎的医薬品なり、不採算品再算定という形で、言わば特例的に薬価を維持とか、引き上げたりという仕組みを導入していることではないか。
 一方で、最低薬価は一番古いわけでございますけれども、正直に言うと、はっきりした明確な整理は難しいのですが、何を基準に価格を決めているかというと、先ほど香取構成員がおっしゃっていたように、製造コストに基づいて、実際の最低薬価を決めているのだろうと思っております。
 そうであるならば、御指摘にありましたように、製造方法が合理化されれば、製造コストが下がるので、そういう意味でいくと、実際に価格自体がある意味大きく揺れ動いていくことになるので、はっきり言って、今のこの時代に製造コストベースでの最低薬価のものは、そもそもどうあるべきかということについては、確かに考えなければいけないポイントなのではないかと思っているところではございます。
 いずれにしても、今日の議論も踏まえまして、直ちにどこまでできるかというところはございますけれども、大きな方向性、あるべき論として、こういった薬価を下支えする仕組みについての在り方については、我々でもよくよく整理した上で考えていきたいと思いますし、検討会の報告書の中では、一定のあるべき論についてもお示しできればと考えてございます。
 あわせまして、後段にありました納入価償還の話については、後半の流通も絡めた話だと思いますので、くすり未来塾から提案をされていたと思いますけれども、方向性として選択肢として考えられると思っておりますが、それについては、後段での御議論をいただければと思います。
 先ほどの局方のところで追加をお願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 ありがとうございます。
 日本薬局方についてのそもそもの基本的な御説明につきましては、参考資料として12ページに、香取先生から御指摘いただきました類似の制度との比較という意味では、18ページに参考資料をおつけしてございます。
 先ほどの御説明、あるいは御指摘の中でもいただきましたように、医療上の位置づけが確立して、広く医療現場で使用されているものを指定するという考え方の観点では、基礎的医薬品、安定確保医薬品、日本薬局方に類似するところがあるのは、まさに御指摘のとおりだと考えております。
 一方で、日本薬局方につきましては、説明が不足している部分がございましたが、薬機法に基づき、基本的には品質確保を目的に作成されております規格基準集でございまして、実際の医薬品の製造や品質管理に当たっての細かい技術的な規格を定めたものでございますので、品目の選定等に当たっての手続等も基礎的医薬品、安定確保医薬品と大きく異なる部分もございますので、実質的には対象となる品目の整合性、あるいは統一は難しい面もあるかとは思いますけれども、御指摘を踏まえて担当する部局との意見交換等をさせていただきまして、協力できる点がないかというところは、確認させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 香取構成員、いかがでしょうか。
○香取構成員 局方は5年に一度見直しています。そうであれば、確かに専門的な人が集まって議論しているので、あれかもしれませんけれども、もともと基礎的医薬品を決めて、品質を確保するための規格基準と試験方法を規定しています。そういう意味でいうと、試験方法の規定のところが現場的に意味があるのはそのとおりなのですけれども、薬事行政と保健行政、それから、現実に局方もそうですが、ここでは公衆衛生上の確保と書いてあるわけですけれども、現実に科学技術が進歩する中で基礎的な薬品を決め、そういう薬については品質を確保し、それを確保するための基準をつくるという考え方に立っているとするならば、どういう言い方をすればいいか分かりませんけれども、学者の議論でやっているわけではなくて、現実に世の中に役に立つものとして局方を考えているとするならば、それとの整合性が取れる形で、局方品というものを意味のあるものとして位置づけて、おっしゃるようにそれに包摂できないものもあるでしょうから、それはそれとして位置づけるという、全体として整合性が取れたものの考え方を示すことは、局方自体を意味のあるものにしていく意味も含めて、医薬局ともよく相談をしていただいたほうがいいのではないかと思います。
○遠藤座長 事務局、どうぞ。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございました。
 御指摘を踏まえて、医薬局ともやり取りをさせていただきたいと思いますけれども、併せまして、局方につきましては、本日、参考としてお示しさせていただいているのですが、そもそも原薬確保に当たって、局方自体の存在がある意味ボトルネックになっているところの課題もありますので、次回の積み残しの課題の中でも、局方については、もう一回取り扱わせていただきたいと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
 ほかに御意見はございますか。坂巻構成員、お願いいたします。
○坂巻構成員 坂巻でございます。発言の機会をありがとうございます。
 今の議論に関して整理しますと、前半のパートは、薬価の下支えになりまして、この後、本題のそもそもなぜ薬価が下がるのかということになると思うのですけれども、そうはいっても、基礎的医薬品や最低薬価とか、あるいは安定確保医薬品、こういったものを定義しておきながら、なぜ薬価が下がるのかというところが大きな問題なのかと思いますので、かなり関係はしていると思います。
 それはそれとして、今、香取構成員から話がありましたけれども、基礎的医薬品だとか、安定確保医薬品の定義に関しては、18ページ、19ページでありますが、例えば基礎的医薬品、安定確保医薬品を見たときに、医療上の位置づけが確立し、あるいは安定確保医薬品に関しては、医療上不可欠であって、確かに安定確保医薬品の医療上不可欠であることは、学会から提案されていますけれども、基礎的医薬品の医療上の位置づけはどうやって定義したのか、分かりにくさがありますので、ここは整理すべきなのだろうと感じます。
 最低薬価に関しては、エキス剤等々がありますけれども、資料にはないのですが、確かに剤形というか、薬の種類によって最低薬価(原価)はかなり違ってきます。具体的に言いますと、バイオ医薬品が全く出てきていませんけれども、いつも私はバイオシミラーの話ばかりしますが、バイオシミラーも製造の仕方が全く違いますので、最低薬価はかなり違ってくると思います。そういったバイオシミラーに関しては、違う視点で、原価の根拠に基づいて、最低薬価の議論も必要なのだろうと思います。
 そういったところで、基礎的医薬品やほかのカテゴリーとの整合性をもう少し議論したほうがいいのではないかということと、最低薬価についての考え方、剤形によってということは考えてもいいと思います。
 その上で質問させていただきたいのですけれども、後半に関係するところですが、例えば不採算品再算定とであるとか、最低薬価について、下支えしているのに、実際に価格が下がってしまうものがあるわけです。そのデータについて確認したいのですけれども、13ページ、15ページは、それぞれ対象となった品目数が出ていますが、あるいはその後の42ページでも下がってしまうものがあるという記載があるのだけれども、実際に再算定を受けたものが下がってしまうものはどのくらいあるのか。本来はなぜそんなことが起きているのか、メーカーや卸としてはどうなのかということを、この後で議論していきたいのですけれども、そこら辺をもう一度数字として確認したいことが一つです。
 不採算品再算定に関しては、13ページに定義が書いてありますけれども、例えば今回は特例だったと思うのですが、同じ成分でありながら、価格が維持されたものと引上げがあったものにばらつきがあったと理解しておりますけれども、不採算品再算定の根拠の数字がどのぐらいの信憑性があるのか、データから出されたものはどのくらい信頼できるのかについて、問題意識を持っていますので、その点について、定義と現状がどうだったのかということについての数字を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、御質問もありましたし、あるいはお考えも示されましたので、それについてのコメントを含めても結構でございますので、よろしくお願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。
 1点目に御質問いただきました不採算品再算定が行われた品目等につきまして、さらに薬価が下がっているような事例がどの程度あるのかという御指摘でございますけれども、今、データとしてお示しすることは難しいのですが、実際に不採算品再算定が行われた後も、薬価が再度下がってしまうケースがあること自体は、私どもは把握をしているところでございますが、実際にどれくらいの割合なのか、数字なのかというところは、今、データとして持ち合わせておりませんので、御説明することが難しい状況でございます。
 2点目の不採算品再算定を行う場合の根拠のデータというのは、企業側からの申請されるデータの信頼性のお話ということでよろしいでしょうか。
○坂巻構成員 そうです。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 承知いたしました。
 不採算品再算定を行う場合には、資料中でも少し触れさせていただきましたが、原価計算方式で、原価の計算結果を企業から申請いただくこととしていますけれども、その方法につきましては、新薬の原価計算の際に用いるやり方と同じ方法で、各種伝票ですとか、帳票なども求めつつ、製造に当たってどれくらいのコストがかかっているかということを企業から資料として提出していただきまして、それを確認する形で実施しております。
○坂巻構成員 新薬の原価算定方式では、開示度によって加算の割合に差がついたりしますけれども、ジェネリックに関しては問題ないと理解してよろしいわけですか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 新薬では、開示度によっての差をつけるというルールはございますけれども、不採算品再算定の際の適用につきましては、開示度に応じたルールはない状況でございます。
○坂巻構成員 追加の質問なのですけれども、こういった薬価の下支えのものに関しては、基本的にジェネリックの場合、3価格帯というルールがありますが、3価格帯の一番下のものとか、3価格帯になってしまっているものもあるのでしょうか。最終的には安いところに全部集約されてしまっているということでよろしいのですか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 今の御指摘は、例えば3価格帯に分かれていた製品があったとして、不採算品再算定を行った後のお話ということですね。不採算品再算定を行った後につきましては、基本的に薬価としては統一される形となります。
○遠藤座長 坂巻構成員、よろしいですか。
○坂巻構成員 ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 三村構成員、お願いいたします。
○三村構成員 御説明ありがとうございました。大変よく整理していただきまして、よく理解できたような感じがいたします。
 一つはっきりしましたのは、最低薬価は基本的に性格が違うこと、局方品との関連ということが大変よく分かりました。そうしますと、明らかに基礎的医薬品が非常に大きなウエートを占め、これが明らかに今回の制度改革の焦点だと思います。
 基本的に必要性が高い医薬品について、それが供給不安を起こし得る可能性に対して対応するということであると思いますけれども、それと同時に安定確保医薬品との関連性が非常に大事になって、安定確保医薬品について、どういう制度にするかということはまだ明確ではないのですけれども、この二つをうまくどのように組み合わせていくのか。
 非常に重要性が高い医薬品という定義は同じですが、安定確保医薬品についてちょっと違うことは、医療用上の重要性に加えてサプライチェーン分断リスクという問題が出てきて、安定確保医薬品に関しては、国の経済安全保障法制の対象になります。そこには国内での生産体制、供給体制の整備という政策的な対応もあるということも入ってきます。いずれにせよ、今回、基礎的医薬品と安定確保医薬品が同様に非常に重要な制度であることを明確に位置づけていただく。そして、定義をしっかりしていただくことが大きいのではないかと思います。
 そのことを踏まえてということなのですが、そうしますと、今回、議論に出ております25年ルールは基本的には意味がないと思います。それに併せて、現在、薬価が非常に下がっているのならば、それを例えば修正する上において、不採算品再算定という方法論が使われるということで、この二つを組み合わせていけばいいと思います。
 基礎的医薬品プラス安定確保医薬品は、一つのきちんとしたジャンルとして制度化し、それに対して薬価を修正する方法として、不採算品再算定がそれを支えるというような設定があるという感じがいたします。そうすると、2年に一度の改定ルールも基本的に修正すべきで、常に機動的に行われるべきだと思います。
さらにそこのところで、先ほど何度かお話がございましたけれども、なぜさらに薬価が下がるのか。大幅な乖離率が生じるのかということなのですが、ここの定義が重要であって、これだけ重要な医薬品を、通常の価格交渉の中に入れてはいけない。ですから、このことをしっかりとアナウンスしていただいて、きちんとルール化をされていけば、卸と医療機関、薬局との間で、価格交渉が行われることは、恐らくあり得ない感じがします。もちろん指定された品目の実態が制度に合うかどうか、あるいはコスト構造が変わってきますから、それについての見直しルールも常に入れておけばいいと思います。
 また供給をどうするかということですが、これは香取構成員がおっしゃいました、例えば購入価償還という方法もあれば、そこについて基本的にきちんとした実費という考え方、あるいは実物流コストの考え方を入れていくとか。もう少し詳しく制度設計することで、どれが適正かという感じが見えてくるような気がいたします。
 今回、基礎的医薬品は非常に重要であり、この制度をより充実させ、今、もう一つの焦点になっています安定確保医薬品との関係性をどういうふうにきちんと整合させるかという制度設計をしていただければ、流通側も助かりますし、供給安定につながると考えております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局からコメントをお願いいたします。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 貴重な御意見をありがとうございました。
 特に基礎的医薬品の25年ルールの点について、必ずしも明確ではないところはあるのですけれども、構成員の先生方に御意見を賜れればと思っていることがございまして、そもそもとして一定期間の市場流通を前提とすることについてどう考えるか。25という数字よりは、一定の期間で市場に流されていることについて、今、要件に入れているわけですけれども、それについてどう考えるかということについて、ぜひ御意見をいただきたいと思います。
 私の個人的な考え方も含めてということですけれども、もとより今の薬価算定は市場実勢価格方式です。先ほども御説明しましたように、市場実勢価格方式によって、すなわち、市場においての医薬品の価値をある程度見定めた上で、それに基づいて薬価を変えるというルールで動いていると承知しております。
 今回、基礎的医薬品については、そういったルールの言わば例外的な措置として、薬価自体を下げない、維持する仕組みを入れていることは、逆に言えば、ある程度医薬品の価値について、長年にわたって市場に流されることによって確定されています。なので、これ以上、市場の取引の中で決まった価格に基づいて、薬価自体を動かす必要性がないことを前提としているのかと思っていました。
 逆に言うと、そうだとすると、基礎的な要件として、25という数字が正しいかどうかは別にして、一定の期間で市場に流されていることは、要件として考えることが必要なのではないかと個人的に思っていたりするのですけれども、そこについては、構成員の皆様方から御意見を賜れればということが一つです。
 その上でもう一つ、乖離率が全体の平均以下の要件も入れています。これも私の考えですけれども、当時の想定として、今、申し上げたように、一定程度の価値が市場の中で確定しているという品目については、仮に市場に流したとしても、そんなに大きな乖離幅は存在しないのではないかということを前提に、こういった要件を入れていることなのではないか。
 ただ、先ほども御覧いただいたように、むしろ逆にそのほうが乖離幅は大きくなってしまっている実態もあるので、当初の想定していたようには、必ずしも実態として動いていないという課題が見えてきていることだろうと思うのですけれども、そういうことではないかと思われるのですが、明確にそこの資料が残っているわけではないのですけれども、その点について、構成員の先生方から御意見を賜れればと思いますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 三村構成員の御意見に対しては、今のような御質問という形での切り返しですけれども、三村構成員、よろしいですか。
○三村構成員 大変貴重な視点だと思います。ただ、薬剤についての特性とか、状況も変わりますので、医療現場で安定的に評価されているようなもので、例えば、安定確保医薬品においては、医療現場で特に重要な医薬品を挙げてくださいと各学会にお願いして選定しています。そういうような評価がある意味で固まっているものという定義でもいいのではないかと思います。25年と設定することが機動性を失わせている感じがいたします。
 こういった医薬品については、価格はほとんど変動しないので、そこに乖離率の要件を入れることによって、制度として使いづらくなりますし、おっしゃるとおり、後の議論になりますが、総価取引的なものの中で価格引下げの手段になっている流れからは、完全に分断するという考え方でいいのではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 ただいまの安藤課長の問いかけへの答えでも結構ですし、そうではない御意見であっても構いませんけれども、いかがでございましょうか。成川構成員、お願いいたします。
○成川構成員 ありがとうございます。
 今の御質問に直接ではないのですけれども、それも交えて意見を言わせてください。今日の御説明で最低薬価、基礎的医薬品、不採算品再算定の経緯を含めて、明確に私も頭の中の整理ができました。ありがとうございました。
 それぞれのルールでは、特に最低薬価と基礎的医薬品については、薬価の下落を未然に防ぐというか、下支えをする意味では、一定の役割を果たしてきていることを再認識しました。
 一方で、後半の議論にも少しかぶってしまうのですけれども、理論的には幾ら安売りされても、薬価は元に戻るのがルールですから、そこは総価取引の値引きの調整面になってしまっていることは事実だと思います。そういう意味でも逆の面からの弊害というか、言い方を変えると、流通の場で基礎的医薬品としての価値が考慮されていないのは残念でありまして、対策を考えないといけないというのが一つの感想です。
 事務局に細かい質問が2点あるのですけれども、一つ目は、今、25年の話がございましたが、今回、新しくできた安定確保医薬品の特にカテゴリーAで、25年というのが引っかかって対象にならなかったものがどれくらいあるのか、イメージが分かれば、教えていただきたいことです。
 二つ目は、不採算品再算定なのですけれども、純粋に原料のコストが上がったことが適用の主な原因となったケースと、薬価がじわじわと下がって、気づいたら不採算品になったというケースが理論的にはあると思っていて、その見分けがつくのかどうかとか、あるいは両者がどれくらいの割合なのか、もしヒントが分かれば、教えていただきたいと思っております。
 以上です。お願いします。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 事務局、御質問も出ておりますので、お願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。御質問ありがとうございます。
 今、成川構成員に御質問をいただいた大きく2点でございますけれども、申し訳ございません。すぐにお答えできるデータを持ち合わせていない状況でございますので、改めまして確認の上、共有をさせていただきたいと思います。
○遠藤座長 成川構成員、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。
 ほかにございますか。坂巻構成員、お願いいたします。
○坂巻構成員 たびたびの発言、恐縮です。
 そもそも価格の下支えすべき医薬品は何なのかというところの整理なのだろうと思います。先ほども言いましたけれども、医療上の位置づけ、安定確保医薬品に関しても、安定確保医薬品は、正確に言いますと506品目が全て安定確保医薬品で、今回、薬価の下支えの対象になっているのがカテゴリーAになるわけです。
 そこは整理しなければいけないのですけれども、例えば安定確保医薬品のカテゴリー分類の中で、使用患者数であるとか、サプライチェーンの状況などが18ページに書かれています。実は使用患者数に関しては、どちらかというと、患者数が多いものがカテゴリーの上に来ます。ところが、製薬企業側で見ると、希少疾患であったり、患者数が少ない物のほうがむしろ安定確保というか、原価が上がってきてしまって、安定確保のリスクが高まることがあります。例えば価格の下支えすべき医薬品の中には、患者数が少なくて、一方で、安定確保が必要であるようなものも考える必要があるのではないか。
 サプライチェーンの状況は、このようにくくっていますけれども、実際にどういうカテゴリー分類をしているかというと、製造方法が特殊であることが含まれています。つまり原料原薬の供給先が限られていることに加えて、製造が難しいようなものです。これもコストが上がってくるわけです。そういったものも価格の下支えをすべき対象品目として考えたほうがいいのではないか。一方で、25年の根拠があまりにもないですし、もう一度、一から価格の下支えをすべき薬はどういうものなのかということについて、整理をしたほうがいいと思います。これが一つ目です。
 価格の下支えという考え方の中で薬価を維持するという考え方もあるのですけれども、一方で、市場実勢価が下がってしまうのであれば、例えば価格を下支えする薬については、流通の仕方です。これまでも少し議論がありましたけれども、こういった薬に関しては、公定マージンを限定的に導入するとか、そういった考え方もあるのではないかと思います。その結果として、価格が維持されます。この考え方も整理しておく必要があると思っております。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 御意見、御提案でありましたけれども、事務局、コメントはありますか。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 貴重な御意見だと思います。ありがとうございました。
 先ほどの三村構成員からの御指摘も踏まえまして、1回、ここは初心ではないですけれども、価格を支えるべき品目はどういうものなのか、そういう視点であるべき論として、我々でも検討をさらにさせていただきたいと思います。
 そういった中で実勢価が下がってしまうものについては、先ほど香取構成員からもございましたけれども、別の仕組みを含めて考えるべきではないかという御指摘だと思いまして、後半の部分の議論とも関わりますけれども、それについてもどういった形があり得るのかというところについては、検討させていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 前半の議論は大体よろしゅうございますか。事務局から出されている論点が20ページにありまして、ここには幾つかの論点が示されておりますけれども、既に皆様方の御発言の中でこれに該当するものもあったと思いますが、事務局の案ですので、皆様方は根本的な制度の話をされておられますが、事務局の案は現行制度の修正を考えた視点から書かれておりますので、ダイレクトに合うお答えは、御発言の中にはなかったわけですけれども、なくても結構なのですが、もしコメントがあれば、次の議論に移る前にいただければと思いますけれども、いかがでございましょうか。香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 1点だけ細かい話ですが、今回、特例で特定のカテゴリーについて、全てのメーカーが不採算でなくても、不採算になったものについて個別に薬価を上げることをやりましたから、要するに薬価がばらけたわけです。これはテクニカルな話ではあるのですけれども、ある意味本質的な話でもあって、当該品目について、全てのメーカーが全部不採算でないと対象にしないとなっているのですが、これには二つの議論があって、一つ目は、何のためにやっているかというと、先ほどからあるように安定的に確保されることです。流通を含め、薬の特性を含め云々ということなのですけれども、もう一方で、当然ながらメーカーによって技術力の差というか、企業の規模の差もあるので、不採算になるところもあるし、この薬価でもやっていける、というところは実際あるわけです。
 そう考えると、全てのメーカーが不採算になっているかどうかというのが問題なのではなくて、一定の供給が確保できる価格は何か。厳しいことを言うようですけれども、一定の生産量が確保できて、安定的に確保できるという価格帯がセットできるのであれば、つまりその価格で必要なボリュームと安定的な供給が確保できる、ということが業界全体としてというか、マーケット全体として確保できるのであれば、それでつくれないメーカーはふるい落としてもいいわけです。
 そこで無理につくらせることをやる必要はないわけなので、そうすると、最低価格を決めるときの決め方も、みんなが倒れたら上げてあげますという今のやり方は、本来の目的からすると、整合的ではないのではないか。細かいようですけれども、最終的な目的が何かを踏まえて、どういう設定の仕方をするかということを考えたほうがよくて、安定供給確保も同じ話で、一社しかメーカーがないとか、ある程度特殊なものであれば、当該メーカーのことを考えればいいわけですけれども、一定数のメーカーが参入しているような製品の場合には、今のやり方だと本来の趣旨から乖離しているというか、乱暴なやり方のような気がします。
○遠藤座長 ありがとうございます。御提案として承りました。
 ほかにございますか。菅原構成員、お願いいたします。
○菅原構成員 詳細な御説明をありがとうございました。
 私も非常に概略的なコメントになるのですけれども、例えば最低薬価のお話がございました。剤形ごとにかかる最低限の供給コストを確保する目的だと思いますが、剤形ごとというのは、果たして今の実態に即して供給コストの確保につながっているのか、もう一度検討したほうがいいと思います。各々の剤形は同じだったとしても、供給コストのばらつきはあると考えますので、そういった意味で、当初の目的を達成するために、剤形ごとでどのぐらいばらつきがあるのかは、もう一回精査することが必要と考えました。
 あと、最低薬価が算定されていないものに関して、注意書きと問題意識の中にありましたけれども、逆の質問になってしまいますが、なぜこの部分の点鼻剤だとか、眼軟膏がずっと最低薬価から外れてきたのかというところの経緯が理解しづらい。資料では、逆にどう思うかと書かれているのですけれども、歴史的になぜこれだけ残っているのかということを確認できるようであれば、させていただきたいと思います。
 13枚目のスライドになりますけれども、不採算品の算定のルールが書かれております。その中でまず大前提として「原価等が著しく上昇したと認められるもの等について」と書かれております。逆に言うと、原価が上昇しなければ、基本的には不採算品の算定品目は発動されないという前提と考えていいのかどうかをまず確認した上で、さらに原価が上がっていて、その下のところに「薬価が著しく低額である」とあるので、この二重のクロスの条件が該当する場合に不採算算定が発動されると私自身は読んだのですけれども、それで理解がいいのかどうか。
 ここで問題になるのは「著しく上昇した」とか「著しく低額である」という書きぶりなのですけれども、ここのルールがどのように運用されているのか非常に気になっていて、ここの辺りがきちっとルール化されていればいいのですけれども、それが明示されていないのであれば、今後きちっと明示化したほうがいいのではないかというのが私の意見です。
 例えば資料は違いますけれども、先ほどの10枚目、11枚目のスライドを見ますと、横に消費者物価指数が書かれております。あくまでも最低薬価の変遷の数値でございますけれども、どういうときに再算定というか、そのような制度が発動されたのかということを見ていただくと、基本的には消費税対応があったときには、ほぼ対応されているわけですけれども、それ以外、消費者物価指数とか、原材料価格を参考としてという形で、言い方は適切ではないかもしれませんが、割とアドホックに改定をおこなってきていて、消費者物価指数が何%、何ポイント上がったときにそれが実施されたのかという点は、ここから傾向的には見えづらいと思います。
 先ほどの話に戻りますけれども、このように制度が幾つかあるわけですが、大枠としてどういう状況が起こったときに発動するといったルール化、あるいは内規があれば、それでいいのですけれども、それをきちんと説明されたほうがいい気がしました。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、お答えできるものがあれば、お願いいたします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 御質問ありがとうございます。
 最低薬価について、一部の剤形について最低薬価が設定されていない剤形が残っているのはなぜかという御質問につきましては、明確なところまではお答えが難しいのですけれども、先ほどの資料の中でも御紹介をさせていただきましたとおり、10ページ、11ページでの最低薬価の変遷として、当初は内用薬、注射剤のみで最低薬価が設定されていたところ、順次剤形が追加されてきた形で、ただ、一部の剤形が残ってしまっている状況であることまでしか御紹介ができない状況でございます。
 もう一点、不採算品再算定につきまして、13ページの記載の中で原価等が著しく上昇したと認められるものでなければならないのかという点につきましては、「原価等が著しく上昇したと認められるもの等」とさせていただいておりまして、実際の運用としましては、原価が著しく上昇したもの以外のものでも、製品の状況を踏まえて、個別に判断をさせていただいていると承知をしております。
 ただ、御質問いただきましたどれくらいの程度であればといったような、程度といいますか、基準的な数字的なものというのは、恐縮でございますけれども、明確になっていない状況でございます。
 以上でございます。
○遠藤座長 菅原構成員、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、もう一つ大きなテーマ、薬価差益に関するものがございますので、そちらの議論に移らせていただきまして、その中で必要であれば、最低薬価の話も議論させていただければと思います。
 いかがでございましょうか。ページから申し上げますと、21ページ以降です。流通に関する諸課題ということで、薬価差益が中心課題でありますが、これについて御意見等をいただければと思います。坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 最初は発言しにくいと思いましたので、私もアイスブレークです。
 まだよく分かっていないところがあるのですけれども、そもそも薬価差はどうして発生するのか、いまだに理解できていないところがありまして、31ページ、32ページに書いてあるのですけれども、上限が決まっていて、薬価差益を得たいから、交渉して値段を下げるのか、これが原因であって、あと、ここに書かれている資料というのは、例えば地域差は市場実勢価がばらつくことが理由ではあるのだけれども、これが薬価差の発生の原因とはちょっと違うような気がしています。
 そういう意味で、なぜ薬価差が生ずるかということをもう一回考えた場合、製薬企業としては、いろいろな形で価格を維持するために納入価を薬価の下で設定しているわけですけれども、私が感じている先入観かもしれませんけれども、医薬品卸というか、医薬品流通の在り方自体、非常に近代化されていないところに原因があるということを今日の資料の中で感じてきた部分があります。
 25ページと26ページでしたか、流通に関する変遷と諸課題をまとめてあるわけですけれども、お話を伺っていると、昔あった値引補償制度の理念が全く変わっていなくて、これを補うような形でリベートやアローアンスみたいなものが導入されています。本来、メーカーとしては価格を維持しようとしているのだけれども、リベート、アローアンスという、我々部外者から見ると、訳の分からない仕組みで薬価が下がってしまって、卸の契約が成り立っている仕組みです。はっきり言えば、前近代的な価格形成、流通の仕組みが理念として残っています。
 ほかにも販社の存在であるとか、ずっと長い間の流通の近代化では、本当に申し訳ない言い方ですけれども、厚労省として医薬品流通の近代化をすべきことのメッセージに弱いところがあったのではないか。いろいろな制度の議論がこれから出てくると思うのですが、一番最初に今の医薬品流通の在り方の前近代性について、もう一回考え直さなければいけないのではないかと思っています。
 これも話がそれてしまいますけれども、これまでも製造側の多品種少量製造の課題について話がありましたが、医薬品以外では多品種少量は一般的で、これまでも話をしてきました。そういう意味では、例えば100円均一ショップとか、こういったものを見ていけば、多品種少量流通は当たり前の話であって、医薬品においても流通の近代化と併せて卸が多品種少量流通をちゃんと行う。この中には価格形成もあるわけで、そういったことがちゃんとできる形をつくり、近代化することによって、例えば総価取引は是正されるとか、そういったことにつながってくるのではないかと思います。話が雑駁ですけれども、流通の近代化ということと価格形成、行き過ぎた薬価差の是正とは恐らく切り離せないのではないかと考えております。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 御意見でありました。近代化が重要だという視点では、恐らく反論はないのでしょうが、具体的にどうするかという議論が重要だと思います。
 流通の議論をされておられる先生方、今の坂巻構成員の発言について、御意見等はございますか。三村構成員、お願いします。
○三村構成員 近代化がどうのこうのというのは、ある意味で日本の流通の永遠の課題でございまして、卸が仲介することによって、そういった局面があるのは、ある意味必然的なところがあります。
 ただ、今の多品種少量とか、あるいは非常に大きな品ぞろえという形の中で、日用雑貨などでは基本的には効率的な流通システムが出来上がっていて、医療用医薬品ではなぜそれが難しいのかということです。
 恐らく制度の要因があって、数百万円するような高額な薬と、10円、20円の薬が一緒の制度体系の中に入っています。日用雑貨などでは、基本的にあり得ない構造ということです。ですから、商品特性に合わせての供給体系が整理されていない中で、全て一元的な制度の中に含まれて、最終的には平均乖離率というメルクマールの中で動いていくことによって、非常に流通に大きな負荷がかかっています。その中で、医薬品卸は供給安定のためによく頑張ってこられたと思っています。
 今回、商品特性に合わせて価格改定の新しいルールをつくっていただくという話があります。あるいはバイオも、オーファンドラッグも含めて、それらに合わせた流通経路をつくっていただく。そうなると、当然メーカー、卸の行動も変わります。
 さらにこれも非常にいい流れなのですが、基礎的医薬品をきちんとした制度として設定して、一般的な総価取引の中に入れないということになりますと、これも流通が非常に整備されていきます。流通近代化は、これまで取引の近代化ということでやってきたのですが、この後、制度が整備されますと、情報システム基盤とか、あるいは物流基盤をきちっとしたプラットフォームとして構築していく方向性が出てきます。その方向性を強く出していただくと、恐らく流通の在り方は変わってくると思います。
 もう一つだけ、ここの議論は香取構成員のほうがお詳しいかもしれないのですが、ある意味で残された議論があります。現行薬価制度に関しては、医療機関に過剰な薬価差が発生しないようにということを前提として、今の薬価制度が構築されました。医療機関に対しては、基本的に診療報酬で対応する形が打ち出されましたが、あの当時におきましては、医薬分業が進展していなかったところでありますから、薬局に対してどういった償還方式が適当なのか、あるいは薬局のあり方が一体どうなるかということについて、議論がないままで進んできた感じがいたします。
 それが混沌とした中で、最初に資料を出していただきましたけれども、一部において、非常に大きな薬価差が偏在する状況があります。これは何らかの形で対応していく必要があるのですが、私の印象としては、その前に、オーファンドラッグについて、新創品について、基礎的医薬品について、しっかりと制度体系をつくっていただいたくことで、それに向けての新しい供給体制、あるいはそれに向けての取引の在り方がしっかりと決まってくるのではないかと考えております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 坂巻構成員の質問にお答えするものでありながら、非常に重要な視点を御指摘いただきました。
○三村構成員 近代化をしていないということについては、否定はしませんが、なぜ近代化が進まなかったかということについての私の説明でございます。
○遠藤座長 よく分かりました。ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。三浦構成員、お願いいたします。
○三浦構成員 御指名ありがとうございました。
 坂巻先生がおっしゃったように、薬価差が何かという話なのですけれども、それに関しましては、資料の32ページにありますが、その下、薬価差についての考え方のマル1、マル2がございますけれども、私の考えとしましては、マル1以前がありまして、取引条件の違いから発生する以前に、薬価差は小売マージンだと思います。
 この間、マーケティングのある知り合いの先生と話していましても、薬価差は小売マージンであるという話で、小売は仕事をしているわけですから、そこは市場取引なわけです。メーカー、卸、小売までは市場取引ですから、そこは市場取引で経済活動、営業活動をしているので、在庫費用とか、リスク管理をしているわけです。したがって、大きさのバイイングパワーの問題とか、地域差の問題以前に、薬価差はあるはずだというのが私の認識でございます。そういった意味では、まずゼロのところで薬価差、小売マージンはあるのが市場取引では前提だということで、マーケティングの研究者は基本的にそう考えるのではないかと思います。
 ただ、その次の問題としましては、もっと少なくてもいいということが基本的な考え方でして、実際に営業活動などをされているわけですけれども、プロモーションは全くされていないわけです。普通のOTCとか、一般食品とか、商品を売る場合には、単に在庫指定管理をしているわけではなくて、売るためにいろいろなポップ広告をつけるとか、営業活動をしているわけでして、そういった意味では、医療用医薬品の場合には営業が物すごく少ないわけです。そういう意味で考えますと、マージンはもっと少なくていいことが一つあります。
 もう一つの大きなポイントというのは、最終価格が変わりません。決定的な感じがあるわけですけれども、薬価の場合には最終価格が変わらないわけですから、物すごい薬価差、小売マージンが取れるわけです。その一方で、一般商品の場合には、値引きのセールをやったりするとか、そういったことをよくやりますので、最終価格は下がるわけです。したがって、小売マージンはすごく減るのが一般的なのですが、その点、医療用医薬品の場合には減らないのが決定的でして、そのように考えますと、一般商品に比べますと、小売マージン、薬価差のことだと考えておりますけれども、小売マージンは少なくて当然ではないかと理論的には考えられる感じがあります。
 そういうことに基づきまして、最後の論点に移らせていただきますけれども、45ページのところですが、1番で薬局とか、診療所、病院によって変わってくるものは何かという話なのですけれども、そこで先ほどの話では少なくてしかるべきと言ってもいいかと思うのですが、小売マージンを物すごく取っています。この間もお話をさせていただきましたけれども、ある新聞では、大手ドラッグの調剤部門の粗利、小売マージン、まさに薬価差なのですが、平均が30で、38~39ということですから、一般商品に比べてはるかに高い薬価差、小売マージンが取られているわけですけれども、それが多い感じがいたします。
 そこで、普通の商品との違いなのですが、普通の商品でも、OTCでも、一般食品でもバイイングパワーが強い。大手チェーンが納入価を下げさせるのは、当然の経済原則なわけですから、そこまでは全く問題ないのですけれども、医療用医薬品の場合には、最後が一定というのが決定的でして、大手小売などがバイイングパワーに基づいて納入価を下げさせるわけですけれども、その結果、大手小売が何をするかというと、販売価格を下げるのです。それでセールをします。バイイングパワーによってすごく安く買い取れるわけですから、コストがすごく少なくて済むわけですので、消費者に受けるように安く売るわけです。
 そうすることによって、小売マージンが圧縮されるわけですけれども、その一方で、医療用医薬品の場合には、薬価が決まっているわけですから、買いたたいて安く売るのではなくて、高いままなわけです。それは物すごく膨大というのは失礼ですけれども、大きなマージンを取られる感じがありまして、そのように考えますと、一般商品の大手チェーンの場合には、消費者還元をある意味しているわけです。買いたたくのだけれども、消費者には安く提供するセールをやるわけですが、その一方で、医療用医薬品の場合には、買いたたいて安くされないわけです。
 ちょうどここにありますデロイトさんの話と考え方がすごく近かったのですけれども、そこで目安幅という話をされていますが、それが薬価差の理論値という話で、目安幅はどういうものかというと、薬価差の理論値という話でして、小売マージンというのは、全ての産業であるのは当たり前なのですけれども、薬価差はそういったプロモーション費用はかからないとか、最終価格が決定している違いがあるとデロイトさんも考えられていたと思うのですが、小売マージンをどうするべきかというのは、理論値を考える必要があると言われていまして、私もそんな感じがしまして、デロイトさんの場合には、理論値を決めて、ある程度であったら、それ以上は国に還元という話がありまして、先ほどの話で買いたたいてという言葉が悪いことを使い過ぎておりますけれども、一般消費者に還元するわけですが、医療用医薬品では、国に還元していただいたら、最終的に国民に戻るわけですから、そういったこともあり得そうな感じがしますが、薬価差があるのは当然なわけですけれども、少しでも低くてもいい感じがあります。
 ただ、そうすると、前からもお話をさせていただいていますが、薬局の方のお話も聞く必要がある感じもしまして、先ほど坂巻先生もおっしゃっていましたけれども、地域差によって変わることは、基本的には薬価差とは関係がないというか、直接には関係がないと思っておりまして、地域差は卸マージンの話なのです。卸マージンに影響する話で、小売マージンである薬価差には関係ない話なわけでして、卸さんはそういった資料をたくさん出していただくことによって、すごく考えるヒントをいただいているわけですけれども、同じように薬局の方などにお話を伺うと、単なる在庫だけではなくて、地域医療に対する貢献でいろいろな活動をされているとか、いろいろな費用が掛かっている可能性もあるわけです。
 そのように考えますと、単にもっと少なくてもいいというだけではなくて、実際にお話を伺うと、いろいろなことをされている可能性がありまして、そういったところから話を伺えれば、薬価差をどのぐらい減らすかみたいな話になってしまっている感じがあるわけですけれども、そんな話が聞けますし、減らされるのは企業経営にとって物すごく大変なことですから、御意見もあるかと思いますので、薬局の方の御意見もいただければいいという感じがしております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 三村構成員、お願いいたします。
○三村構成員 一つだけ、最初に医薬分業が始まったときに、医薬分業の制度上の位置づけと非処方元と処方元との関係をどうするかという議論が整理できた感じがいたします。三浦先生の御意見を伺いまして、価格交渉の実態のことをおっしゃっているのだと思います。ただ、そこに大きな勘違いがあります。つまり薬局は小売ビジネスではないということです。
 薬機法上は小売業として規定されておりません。ただ、薬局として経営されている中に調剤機能があります。そして、その調剤機能が制度の対象であり、薬価体系の中に入っていると思っております。ドラッグストアの中に調剤コーナーがある場合、そこが基本的に薬価制度の対象になります。そこと全体が一緒になって議論されていますから、あたかも薬局が小売業であるかのように勘違いされている感じがいたします。
 小売業は何かというと、要するに仕入れと販売を通して小売マージンを獲得し経営する。基本的に自己リスクで仕入れすることによって収益を得るビジネスです。そこに生まれるものがマージンです。ただ、基本的にここが一番難しいのですけれども、薬局は非処方元であり、処方箋は外からやってきます。それに対して基本的に調剤をし、お客さんに薬を渡すという機能があります。薬価が一定なのは、社会保険制度の下において、国民がすべて一律で公平な医療を受けられ、薬が得られることが前提とされているためであり、ここに価格競争を入れないことが制度の条件だと思います。
 ただ、これは薬局の先生方に伺っても、多くの方がそのことをよく理解されているのですが、組織がだんだん拡大して、購買部門の方と、調剤とか医療の現場の方との間で、必ずしも意識が同じではなくなってきています。それがこのような形で問題を広げているのではないかと思います。
 そうしますと、薬価は実購入価で対応するべきという考え方もありえたのですが、ただし、自由な経済活動のもとで、民間の力を入れながら、制度をフレキシブルに動かしていくために、ここの中に実勢価主義というか、ある意味で囲い込まれた競争原理を入れたのだと考えております。そこのところはきちんと整理しておかないと、議論を混乱させるというよりも、むしろそのように考えている方が増えてきている可能性があるとすれば、非常に危ないことだと思っております。
 私の意見ですが、薬局は小売業ではありません。小売業と言った途端に薬局の本来の機能が見えてこなくなります。薬局という形態は、小売業的なものも含めてやっていらっしゃいますが、調剤に関しては、明らかに公的医療サービスの一環を担っており、それに対しての調剤報酬があると思います。
 以上です。
○遠藤座長 三浦構成員、お願いいたします。
○三浦構成員 三村先生から正確に言っていただいたのですけれども、一般の小売業はかなり違うところがありまして、そういった意味で考えるべきところは、メーカー、卸は完全に市場取引です。卸、薬局のところまでは市場取引なのですが、薬局から消費者には市場取引ではないわけです。そういった意味では、普通の小売とは全く違うところがありますので、そこをどう考えるかということがすごく重要で、三村先生がおっしゃるように、調剤が中心だったわけですけれども、その中で薬局をどう捉えるかということで、三村先生のように小売業ではないという話もありますし、半分ぐらいは関わっているような感じも感覚的には半分という感じがしたわけですが、その議論があると思いまして、そういった意味では、三村先生のような流通の御専門の方の意見はすごく重要です。
 私の感覚としては、薬局の方がどのように思っているかみたいな、もちろん間違って思っていらっしゃる方とか、しっかり真剣に考えていらっしゃる方もいらっしゃると思いますので、薬局の方の意見を参考にして、それをどう変えるかという意味でもあるという感じがしました。そういった意味で、私はマーケティングの視点から簡単に小売業と言ってしまいましたけれども、そんな単純ではないので、しっかり考える必要があると思っております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ただいまのお二人の議論に関連しても結構ですし、そうでなくても結構です。香取構成員、どうぞ。
○香取構成員 今日の資料は、非常によくできた資料だと思っていて、薬価の問題を議論するときのパースペクティブがよく見えてきているのではないかという気がします。
 先ほど三浦先生がおっしゃったことの繰り返しになるのですが、今の流通の形がなぜ出てきたのか、つまり今の流通の形を規定しているものが何かということは、薬価制度、バルクラインに始まり、Rゾーンになり、今の調整幅になる過程の中で、川上、川下で、言わば制度の中でつくられてきた様々な流通の形が見えてきているのではないか。
 総価の問題がありましたけれども、結局、総価は薬価の改定方式を変える中で生まれてきたものです。以前にもお話をしましたが、こういう取引の形態は、同じような多品種少量の市場ではほとんどないわけです。普通はちゃんと単品で取引されていて、それが最終小売価格に反映するという形で取引が行われているはずで、一般用医薬品はそうなっているはずです。
 そうすると、最終価格を公定している中で、こういった薬価の改定方式を採用し、個別の取引について一定のものがあることの中で生まれてきたものだし、昔の値引き補償の形を建値制・仕切り制に切り替えてとなったのですけれども、結局、調整幅をする中でリベートやアローアンスで動いているのは、言ってみれば、ある意味元に戻っている形になっているとすると、今の流通の形を近代化していく、きれいにしていくことを議論するときには、前提となっている取引の形を規定している今の薬価制度を変えない限りは、本質的には物事は変わらないのではないか。
 後で分かったら教えてほしいのですけれども、バルクラインとR幅は基本的な物の考え方が違うわけです。これは明らかです。バルクラインというのは、そもそもほとんど全ての90%の医療機関が安定的に納入できることを前提に設定しているので、薬価差は別に出てもいいという考え方です。薬価差は収入として医療経済実態調査でカウントして調整するという考え方があったわけですけれども、R幅になったときにその考え方が変わっているわけです。
 R幅と調整幅は、私には何が違うのか分からないのですけれども、説明の仕方が違っているだけで、やっていることも、考え方も同じような気がするのですが、なぜ15%のものが2%にできるのか、いまいちよく分からないのです。前にも資料に出てきましたが、これだけ厳しい薬価改定をしてきても、現実の乖離幅は7%から8%ぐらいで、それ以上下がってきていないことを考えると、市場実態との考えの関係で言えば、乖離幅の説明というのはありますけれども、今の2%はかなり無理があるのではないかという気がいたします。
 もう一つは、今日の資料によく出ていますけれども、取引先によって乖離幅が違っています。薬効群別にも違っています。薬効群もそれぞれの市場規模であるとか、算入している企業の数、剤形、取引の形も違っている。つまり医薬品市場というのは、一律の市場ではありません。それぞれに取引条件も違っているし、医療上のニーズも違っている医薬品の市場が束になっているようなものです。それを乖離率は幾つという形で改定をするというやり方をしているから、総価という取引の形が生まれる、と言うことなのではないか。そう考えるのであれば、先ほどにも話がありましたが、医薬品のカテゴリーによって、薬価の決め方なり、流通の形を規定している様々なルールをもうちょっときめ細かく考えていくことが必要なことが分かるのではないか。
 以前も意見として申し上げましたが、薬価差は経営原資になっているという議論があるのですが、果たしてそれは本当かという気がするのです。バルクラインの時代などは、膨大な薬価差があって、それが現実に医療機関の大きな収入になり、取引上の誘因にもなっていたわけですけれども、27ページの納入額の割合を見ると、診療所は今や全体の15%しかありません。病院もこれだけ下がっていて、圧倒的に納入先が薬局になっています。
 34ページを見ると、今や薬価差、の3分の2は薬局で発生しています。しかも納入先別に見ても薬局のほうが乖離率は大きい。かつて処方権のある医療機関が薬価差のあることが処方誘因になって、薬漬けの医療が起こるとか、そういう問題が言われてきたわけですが、今は薬局に薬価差が出ています。
 しかも、今、三浦先生から話があったように、薬局には処方権がないわけです。医療機関が行った処方に基づいて薬を出していて、その行為、つまり調剤行為に対しては処方箋料という形で報酬がついている。その意味でいうと、いかなる意味において薬価差益が合理化できるかというのは議論する必要がある。もちろん薬局の方に話を聞くこともしたらいいと思うのですけれども、さらに言えば、様々な取引代行業者、交渉代行業者みたいな人も生まれていて、医療機関、医療法人とは違い、薬局は基本的に営利法人ですから、言ってみれば、違う原理で物事が動いている世界があります。
 そういうことから考えると、これだけ医薬分業が進んで、今までのルールの中で薬局がこれだけの薬価差を取っている現実があり、かつ先ほどのお話ではないですけれども、経営原資ということでいうのであれば、調剤薬局の収支構造はどういう構造になっているのか、営業利益がどこで出ているのかみたいなことも見てみたいという気がしますし、全体として問題状況が変わっている。世の中の人は、薬価差は基本的に医療機関に出ていて、薬漬け医療の問題にも関わっていると思っているのですけれども、今はそうなっていないことから考えると、薬価差の問題を経営原資とか、そういう視点で捉えて、薬価差の存在を必要悪というか、何と言うか分かりませんけれども、存在しているものを合理的だと考えながら議論するような議論の仕方は、やめたほうがいいのではないかという気がします。流通を改善していく意味でも、保険局的な視点で薬価差の問題をどのように保険財政上考えるかという意味でも、いろいろな意味でかなり根本的に物事を考え直したほうがいいことがそろそろ明らかになってきたのではないか。
 薬局もいろいろな形で、バイイングパワーを強くするということで、チェーン薬局ができたり、ボランタリーチェーンができたりという形で交渉力を上げてきているわけですけれども、そういう形の取引がこの分野で行われることを医療政策上、あるいは医療保険政策上、薬事行政上、是とするのかどうか。そういうことが問われることになっているという気がするので、根本的なところからいろいろと議論したほうがいいのではないかと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 私から質問させていただいてよろしいですか。非常に重要な御指摘をいただいていると思うのですが、香取構成員、御指摘の基本的なお考えについては、納得のいくところが大きいのですが、香取構成員がおっしゃっていることに対しては、具体的にどういう政策が有効であるのか、腹案等々があれば、お聞かせいただきたいと思います。
○香取構成員 こういう場でお話しするのはいいかどうか分かりませんが、これだけ新薬、後発品、長期収載品のそれぞれにマーケットの構造が違っていて、薬価差の出方も違っていて、乖離率の出方も違っています。薬効群別にもこれだけ違っていて、かつ主要な薬効群が疾病構造の変化によって動いているわけですから、一律に乖離率を決めて、それで改定をするやり方ではなくて、カテゴリー別にある程度薬価の決め方などを変えていく。先ほどの基礎的医薬品とか、安定供給医薬品については、別の形にする。
 価格支持の仕方はいろいろあって、それこそ実費償還にする形にして、実費償還プラス管理コストで償還する、とやれば薬価差そのものが出なくなるので、そこで薬価交渉をする必要もないですし、かつ高止まりをすることが問題になるのであれば、そういう薬ではないもの、安定確保医薬品はそういうものですから、そういう医薬品だけ別カテゴリーにすればいい。新薬と後発品も違うということだと思います。薬局に発生している薬価差については、経営の問題だという主張もあるでしょうから議論が難しいとは思うのですが、公定価格を維持しながら薬局の薬価差問題を考えるのであれば、いろいろと議論がありますけれども、先ほどの三浦先生の話ではないですけれども、薬局に関しては、別の形で償還させる方法を考えるべきだと思います。
 基本的に処方権がない人たちで、調剤報酬が別についていることから考えれば、本来、そこは実費コストとしての医薬品の管理コストであるとか、そういうものを除けば、薬価差を求めて、そこから収益を得ることを容認する理由はないはずなのです。薬価そのものを変えると、一物二価になって、現金問屋などが暗躍し始めますから、公定価格を決めるというルールを決めた以上は、価格そのものを別建てにすることは難しいので、別の形で償還させるようなルール、薬価制度の外側になるのでしょうけれども、そういうことを考える。調剤報酬を削ると、調剤コストはそれとしてきちんと調剤行為の対価として支払われるべきもの、コストを見ないといけないものなので、調剤コストをいじることよりは、薬別の形で一定のルールを外側から入れる、いろいろなサブシステムを入れ込んでいくことで、全体を透明化することが要ることになるのではないか。
 私の個人的な感想ですが、そういうことは考えたほうがいいのではないかと思います。
○遠藤座長 ある程度具体的なイメージがあると、議論もしやすいと思ったものですから、お答えづらいお答えをいただきました。ありがとうございました。
 菅原構成員、どうぞ。
○菅原構成員 ありがとうございます。
 この検討会は、直面している喫緊の課題への対応と中長期的に考えるという話が冒頭にありましたけれども、45枚目のスライドでは、今回、事務局から今後の対応の方向性の論点をまとめていただいております。特に薬価差の2番目と3番目のポツでございますが、先ほどの前半の議論でもございましたが、安定確保医薬品、あるいは最低薬価が適用される医薬品が、現在は総価取引の中で調整弁として結果的に値段が下げられており、しかも制度的にまたその価格が元に戻るわけですから、制度のそもそもの趣旨が大幅に歪められている印象を強く持っております。
 特に安定確保医薬品とか、先ほどありました最低薬価適用医薬品ですが、課長からも必ずしも原価の上昇がなくても、値段の改定がされるという御説明がありました。仮にそうだとすると、調整弁として価格が下がったことで、また価格を元に戻すということが仮に行われているとするなら、ここの部分に関しては今、メスを入れなければいけないと私自身は思いました。
 どういうことをやるかという話になりますけれども、これに関しましては、調整幅の話とも関わりますが、こういった医薬品がそもそもの総価取引の調整弁にならないような対応をしなければいけないわけです。そういったことを行政指導で、例えば医療機関や調剤薬局に対してできればいいですけれども、その実効性が難しいという話になるのであれば、私は納入価償還というか、実費償還という話もあると思います。そうすると、基本的には薬価差はなくなりますけれども、逆に言うと、患者さんにとっては負担が変わる話になりますから、我が国のユニバーサルサービスというか、同じ値段で公平なサービスという点からすると、批判が出る可能性があると思います。
 私としては、個人的にクローバックとか、公定マージンをこういった医薬品に導入することで、患者さんに対する負担の公平性を確保しながら、不要な値引きが起こらないような仕組みを考えていく方向性があるのではないかと思いました。
 43枚目のスライドの調整幅についてですけれども、こちらについても事務局から方向性の論点が出ております。先ほど複数の構成員、あるいは香取構成員からもお話がございましたけれども、私も基本的な問題意識としては、一律2%という調整幅がそもそもの考え方、位置づけの中身について、疑問を持たれるような状況になってきているのではないかと思います。
 43枚目の調整幅の考え方の位置づけでございますが、基本的には市場原理下での配送効率の地域差による価格のばらつきの吸収と言われてきたわけです。逆に言いますと、43枚目のスライドの右下を見ると、現実にはこういう形で各都道県別、あるいは地域別の配送コストの差が明確に把握できているわけございます。
 そういうことを考えますと、一律で全部やることが妥当なのか。今まではそういうものは把握しにくいという話であれば、そういう話もあったのかもしれません。けれども、こういった形でコスト把握がある程度できるのであれば、実態に合わせた形での調整幅のつけ方を考えるべきではないかと思います。
 そういった場合には、幾つかの方法論があるかと思いますが、例えば地域差指数のようなものを考えて、そのことによってR幅に変更を加えていく。あるいは先ほど来ご指摘のあるように、薬効や剤形で配送コストは随分変わってきます。2番目の実態と課題の中に書いてありますけれども、オーファンとか、再生医療等製品というのは、配送する場所が固定されますから、ここについてはばらつきを考える必要はありません。
 一方、後発品はかなりばらつきがあるので、今、言ったように、持っていきづらいものとか、特定の地域に関しては特段の配慮が必要だと思います。そういった形で、現実の技術的な進歩もございますので、地域差指数、薬効、剤形別、不採算の地域をもう少し把握した上で、実態に合わせた形でのR幅の考え方を整理されてはどうかというのが私の意見でございます。
 以上でございます。
○遠藤座長 菅原構成員、ありがとうございました。非常に具体的であり、かつ分かりやすい御説明だったと思います。
 ほかにいかがでございましょうか。川原構成員、どうぞ。
○川原構成員 薬価差の背景について、厚生労働省の資料でよく理解できました。ありがとうございました。
 私からは、医療機関の経営の観点から少しお話をさせていただきたいと思います。先ほど香取先生からも処方権のない調剤薬局について主にお話があったと思いますけれども、処方権のある病院についての経営状況を我々は理解しておく必要があると思っております。
 第4回のときにもお話をしましたけれども、医療経済実態調査の一般病院の集計1の医薬品の構成比率が12.8%、それに対して今回の全体の乖離率の平均ではありますが、7%をかけ合わせると、0.9%になるといった状況でございます。売上げの約1%が薬価差とみなせるところでございます。
 病院全体の損益差額なのですけれども、国公立も入れますとマイナスの6.9%、医療法人に限って見ますとプラスの0.1%という結果になっております。非常に低い利益率の中で1%がなくなった場合には、経営に大きな影響が及ぶことはあるのではないかと思っております。
 今のことは医療経済実態調査上の話ではあるのですけれども、今般のコロナ禍で医療機関の経営は大分影響を受けていると感じています。特に病院については2局化している状況でございます。コロナ患者を受け入れている病院と、単科病院などの制約があって、コロナ患者を受け入れることができなかった病院とで経営状況が2局化しております。
 そのような状況下で、病院団体の調査によりますと、外来患者数はコロナ前と同じような状況に戻ってきていますけれども、入院患者数については、戻ってきていないという調査結果も出てきております。このような状況下で考えますと、コロナの補助金等で黒字を確保している病院であっても、受診抑制が今後も続くのではないかという懸念があります。
 あと、病院給食ですとか、電気代といった物価高騰の影響が及んでおります。クラスターが発生した都度、大きな損失が発生しているという状況に医療機関はあります。従来、診療報酬がきちんと手当てされていなかったことによって、低い利益率、もしくは赤字の状況にある病院が多いといったところでございます。非営利である病院において、薬価差が経営に対して非常に大きな影響があるといったところは言えるのではないかと思っております。
 過度な値引きは、何らかの制約があってしかるべきだと思うのですけれども、今までもメーカーですとか、卸の利益という話がありましたが、医療機関の特に病院等における利益水準も考慮に入れながら、議論を進めていく必要があるのではないかと思っております。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。医療機関の立場から見た薬価差益の意味合いということを、現実のデータをベースにお話をいただいたと思います。
 ほかにいかがでございましょうか。坂巻構成員、どうぞ。
○坂巻構成員 今までの話の繰り返しで恐縮なのですけれども、薬局に関しては、小売マージンという言葉は正しくないのですが、何らかの形で薬価差益が出ていることは事実だと思います。薬局に対して処方権がありません。
 ただし、調剤における裁量権はあります。特に特許切れ医薬品に関しては、処方箋の変更不可にチェックがなければ、どのジェネリックを使うかということについては、薬局で決めることができるわけです。場合によっては、最も薬価差益の大きいジェネリックを採用して調剤することで、言い方は悪いですけれども、薬価差益分を稼いでいます。
 これは経営原資なのかどうかというと、現実的に薬局においては経営原資だと思います。今までの香取構成員や川原構成員のお話というのは、病院の話は確かにそのとおりで、経営原資にするには薬価差益分はかなり縮小してしまっているのだけれども、薬局に関しては、問題が続いているのではないかというのは、現実の認識としてそんなに間違っていないと思っています。
 そういう意味では、先ほど三村構成員からお話がありましたけれども、薬局における特許切れ医薬品に関する償還の仕方というのは、別に考えてもいいのだろうということで、具体的にどうしたらいいのかは分からないところはあるのですが、別の議論が必要なのだろうと思います。
 もう一つ、相変わらず分からないことは、調整幅なのですけれども、調整幅は一体どこに行ってしまうのか。先ほど来からお話がありますが、卸のコストは発生しているのは確かなのだけれども、最終的にはジェネリック市場で言えば、薬局の薬価差益に戻ってしまっています。コストがかかっているはずなのに、卸のところには還元されていないという問題もあるので、結局、調整幅を議論するときに価格維持の仕組みとして議論しても、流通の仕組みを改善するには本質的な議論ではないような気もします。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。ただいま坂巻構成員が御発言された内容に関することでも結構でございます。三浦構成員が早かったので、お願いします。
○三浦構成員 三村先生が御専門なのですけれども、例年、基本的には乖離率で薬価が下がっていくわけですが、それを下げさせないための一つの手段なわけですので、卸にとってもメリットがあり、メーカーにとってもメリットがあり、薬局にとってもメリットがあるものですから、卸の地域差だけでやるのは、論理的には分かりにくい感じがありました。
 あと一点だけです。流通近代化みたいなお話がありましたけれども、三村先生もおっしゃるみたいに、医薬品流通はかなり違うわけですが、先ほどの議論とは別でいうと、総価取引は決定的な感じがありまして、単品単価は当たり前なのです。全て業界でも単品単価は当たり前の中で、単品総価が残っています。総価取引が残っているのは決定的な問題でして、できないかという話があるわけですけれども、大手の医薬品卸というのは、OTCでは完全に単品単価をやっているわけです。
 そういった意味では、能力があって、実際に数年前に成川先生と一緒に厚労科研をやらせていただきましたけれども、そのときに卸何十社と薬局何十社に質問票で調査をしたわけですが、そのときにも卸としては単品単価ができることは9割以上なのですけれども、その一方で、薬局側はやりたくないという感じがすごくあって、システムをつくるのが面倒くさいとか、利益が減るみたいな話もありまして、卸としてはできるのですけれども、薬局としてはやらないという状況があります。
 そのように考えると、流通近代化という意味では、そこもすごく大きなポイントで、香取先生ほかからお話がありました基礎的医薬品に関しましては、納入価償還とか、実費償還みたいなお話がありましたけれども、そういうことをするためには、単品ごとにやる必要がありまして、卸まではできると言っているわけですから、薬局の方には努力していただいて、もちろん実費費用がかかるとか、情報化システムの構築費用がかかるとしたら、その補助なども必要かもしれないのですけれども、そうすることによって、医薬品流通は、普通の流通業界とはかなり違った状況があり、単品単価ではないところが決定的なところで、それがいろいろな新制度や新政策をやるときの障害になっている可能性が高いですので、単品単価を政策的に進めることをやっていただくことも必要です。
 私の意見でもあるのですが、以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 三村構成員、お待たせをいたしました。
○三村構成員 ありがとうございます。
 調整幅の議論で、今、坂巻先生がおっしゃった一つの疑問とか、明らかに全体で薄くかけていることの問題です。それが結果として余計に価格体系とか、交渉が非常に曖昧化していると思います。
 調整幅ということになりましたら、私は菅原先生の御意見が非常に参考になると思います。きちんとした物流コストとか、そういったものに対応する費用です。特に最近では、過疎地であるとか、物流効率が悪いところに対してどうするかという議論は当然出てきますので、その辺りをきちんと整理しながら、それに対して特別に補填するためのものが用意されることを整理していけば、調整幅の意義がもっと生きるのではないかと思います。もともと供給安定のためという言葉をもう少し具体的に、より実践的につなげていくような方向性で整理されればよろしいのではないかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。成川構成員、お願いいたします。
○成川構成員 私自身は、今の薬価制度というか、市場競争は是と考える立場におりますが、これは市場競争が適正に行われているという前提なのです。そこには流通のいろいろなゆがみがあるので、必ずしもうまくいっていない部分があることは分かるのですけれども、そこの適正な競争で生まれた薬価差を改定によって国民に還元をするというサイクルが回っていると理解します。
 ベースの競争がきちんとなされる上で基本となることは、単品単価の取引だと思っております。今日の39ページの資料を見ると、金額ベースだと53%が単品単価取引をしているという結果が出ていて、施設ごとに見ると、大規模チェーン薬局は20%ということです。私自身、単品単価取引というものは物理的に無理なのではないかと思っていた時期もあったのですけれども、やればできるというか、関係者が理解して努力すればできるのだというものであれば、それを促すようなインセンティブなり、逆に総価取引のディスインセンティブなりを考えるすべはあると思っています。かつて未妥結減算をやりました。ですから、それができるのか分かりませんけれども、そういった形で少し政策誘導をすることを考えてもいいのかと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。非常に具体的な御提案をいただけたと思います。
 ほかにございますか。
 事務局として今までの話をお聞きして、コメントがあれば、一言お願いできればと思います。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 非常に貴重な御指摘をありがとうございました。制度論的な具体的な議論も本日はかなりいただいたと思っておりまして、どう整理していくかというところについては、非常に悩ましいところはあるのですけれども、1回きちんと整理してみたいと思います。
 あわせて、どうしても流通だけでは整理し切れないところがあって、前回も議論をいただきましたけれども、そもそもとして後発品を典型に、ある意味製造能力もままならない中で、多くの品目が実際に市場に出ているもので、そちらの製造側の課題も併せて同時に考えていかなければいけない問題だと思っておりますので、いずれにしましても、全体をそういう視点で整理させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかによろしゅうございますか。どうぞ。
○香取構成員 先ほど聞いたRゾーンと調整幅は何が違うのですかということはどうでしょうか。説明できたらしてください。
○遠藤座長 R幅と調整幅ですが、どなたでしょうか。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございました。
 正直申し上げて、明確にこれが違うという過去の文献はあさってもないのですけれども、過去の中医協での整理を踏まえると、R幅のときと今の実勢価の方式の大きな違いは、当時はいわゆる購入価格に対する保障という意味で、その前のバルクと同じように、いわゆる実費保障という考え方を取っていたのがR幅のときです。
 ただ、それについて大きな転換と資料上に書いてありますけれども、今の実勢価方式になったときに、あくまで医療機関における平均的な購入価の保障という形で考えを切り替えていることは大前提としてあります。実際にやっていることという意味でいくと、Rが調整幅になっているだけなので、外形的には同じではあります。
 察するに恐らくR幅のときには、実際に保障することによって、バルクでやってきたときと同じように、合理的な範囲での取引を前提としておりますけれども、その範囲の価格差については、一定程度保障しています。調整幅になってから、そこの部分の考え方が若干変わっているのだろうと思ってはいるのですけれども、明確にはそういうことになっていないところがあります。
○遠藤座長 香取構成員、そういうことです。実質的には同じことをやっています。
○香取構成員 そういうことは、R幅が2%ということは、その値段では買えないというか、買っていない薬局なり何なりが一定割合存在するのは、別にそれでいいという考え方ということですか。バルクの時代のできるだけ多くの人が買え流用に、要するに逆ざやが起こらないようにする、R幅はその考え方がまだ残っていたけれども、今やそうは考えていない、ということでしょうか。
 もしそうだとすると、そこに絵が出ていますけれども、一定割合以上の人は買えなくてもいいということですか。逆ざやの人、つまり調整幅以上の価格で買っていた人は買えなくなっては困る、となるわけだから、2%という幅をつけることは、言ってみれば、取引上の価格をそこまで引き下げるという効果、つまり必ず改定したら薬価が下がる、という効果を持っていることになります。
 そう考えると、市場実勢価格主義と言いながら、市場での価格形成を歪めている制度だし、現実の乖離幅が何度やっても7とか、8以上に下がらない現実の中で、2という調整幅に何の合理性があるのだろうかという気がしてしまいます。私の感想です。
 以上です。
○遠藤座長 それは御意見として承りました。
 ほかにございますか。芦田構成員、お願いいたします。
○芦田構成員 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 意見というよりは、今日の資料と皆様方の議論をお聞きした上で、全般について感想じみた話を申し上げます。今の薬価制度により様々な課題が生じていることを改めて認識いたしました。今の薬価制度は、基本的に薬価が実勢価格により下がる構造になっておりますので、社会保障費の薬剤費の伸びを抑える効果はあります。しかし、その一方で、以前から議論されているように、新薬開発における日本の市場の魅力度が下がるとともに、本日議論があったように、必要な医薬品の価格をある意味下げ過ぎて、供給不安を生じさせているのだと思います。
 今日の資料にも歴史的な経緯が記されておりましたけれども、その解決方法として、これまでも例えば、新薬であれば新薬創出加算を設けたり、安定供給のためには本日御説明のあった制度などが、ある意味付加的に設けられています。全般的な印象として、パッチワークで対応している感じがあります。
 私は以前の検討会で革新的新薬については、特許期間中の薬価は維持すべきという意見を述べております。本日御議論があった例えば基礎的医薬品についても、そもそも赤字にならないような仕組みを考える必要があるのではないかと思いました。
 例えば先ほども御発言がありましたように、公定マージンのようなものを設けることも一つの方法かと思います。実際にこれまでの検討会でも複数回の御紹介がありましたように、ヨーロッパで取られているような方法も一つの参考になるのではないかと思いました。
 その議論をしていくと、恐らく薬剤費の総額についてどう考えるかということが論点となります。この検討会でも既に論点として出されておりますけれども、マクロな視点から薬剤費の伸びをどのように考えていくかというコンセンサスが必要であることを改めて認識したところであります。
○遠藤座長 御意見として承りました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 本日は3時間を予定しておりましたけれども、若干時間がございますが、非常に重要な御指摘をいただけたと思います。事務局としましては、ただいまの御発言等々を整理して、次回以降の議論に資する資料をつくっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、よろしゅうございますか。オンラインでもお手を挙げている方はいらっしゃいませんか。
 それでは、これをもちまして、本日の会議は終了したいと思いますけれども、事務局、何かありますか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 次回の第11回検討会につきましては、4月4日に開催予定でございます。詳細につきましては、厚生労働省事務局より構成員の先生方にメール等にて御連絡をさせていただく予定でございます。
 本日の検討会の議事録は、後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としております。事務局からの連絡事項は以上でございます。
○遠藤座長 それでは、長時間、どうもありがとうございました。これをもちまして、終了したいと思います。失礼します。