2023年2月28日 第13回政策評価に関する有識者会議 福祉・年金WG議事録

日時

令和5年2月28日(金)13:59~15:53

場所

オンライン開催

出席者

菊池座長、岩崎委員、新保委員、平野委員、藤森委員

議事

議事内容

○事務局
 それでは、少し定刻より早いのですが、全員おそろいになりましたので、ただいまから第13回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WGを開催いたします。委員の皆様におきましては、オンラインでの会議参加に御協力いただき感謝申し上げます。今回はオンラインでの開催となりましたので、御不便を掛けることもあるかと思いますが、会議途中で不都合等がございましたら、WEBEXのチャット機能又は電話等にて、こちらの事務局まで御連絡をお願いいたします。
 本日の会議ですが、事前に皆様にお送りしております会議資料を使って議事を進行いたします。会議中でございますが、御自身が御発言される場合以外はマイクをオフにしていただき、音声をミュートにしていただくようにお願いいたします。御発言の希望がある場合ですが、WEBEXの「挙手」アイコン又は画像を通しまして、御発言の希望がある旨の御連絡をお願いいたします。事務局にて御発言の希望を確認した後、発言者について座長から指名いたしますので、座長から指名を受けましたらミュートを解除していただいて、御発言をお願いいたします。発言に合わせて御自身の映像を表示される場合ですが、「ビデオ開始」をクリックしていただくと、皆様の画面及び会場のモニター上に表示されるようになりますので、御協力をお願いいたします。御発言が終わりましたら、再度マイクをミュートにしていただくとともに、ビデオも停止していただくようにお願いいたします。
 この度、令和4年12月1日付けで異動がありましたので、参事官の石塚から一言、御挨拶を申し上げます。

○石塚参事官
 昨年12月から、前任の山田の後任としてまいりました石塚と申します。よろしくお願いいたします。今日は、お忙しいところ御参集いただきありがとうございます。今回、テーマは3つですが、少し重めの課題もありますので、皆さんの積極的な御指摘等を頂ければと考えております。よろしくお願いいたします。

○事務局
 それでは、本日の議事進行については、座長の菊池先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○菊池座長
 皆様、大変お忙しい中御参加いただき、本日も誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日は議事次第にありますように、「令和5年度実施施策に係る政策評価の事前分析表(案)について」を中心に、皆様に御議論いただきたいと思っております。それでは早速ですが、本日の議論の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局
 本日は令和5年度事前分析表(案)のうち、令和6年度に実績評価を行うもの、つまり令和6年夏に開催する本WGにおいて評価書を御議論いただく施策目標について、御意見を頂くことを予定しております。具体的には、議事次第に記載しております3つの施策目標について御議論いただきます。テーマによって多少時間が異なりますが、まず担当課より15分程度で説明を行っていただき、その後、20分程度御議論いただく時間を予定しております。なお、会議資料の「概要(事前分析表のポイント)」の中に、事前分析表の「確認すべき主な事項」をまとめておりますので、こちらも適宜御参考いただいた上で、委員の皆様から御意見を頂ければ幸いです。事務局からは以上です。

○菊池座長
 今日はテーマが3つとなっております。時間は比較的余裕を持たせることができるかと思いますが、先ほど石塚参事官からお話がありましたように、割と重めのテーマが複数ございますので、どうか忌憚のない御質問等を頂ければと思っております。
 それでは、まず1つ目のテーマ、施策番号Ⅶ-1-1「生活保護制度を適正に実施すること」について、担当課から15分程度で説明をお願いいたします。

○社会・援護局
 よろしくお願いいたします。社会・援護局保護課保護事業室長の河合と申します。お願いいたします。それでは、資料1-1の生活保護制度を適正に実施することについて御説明させていただければと思います。お手元に資料1-1と資料1-2を御用意ください。
 まず、資料1-1です。1ページの上部を御覧ください。青い枠に囲まれている部分ですが、基本目標と題しておりまして、そこに記載のとおり、「ナショナル・ミニマムを保障し、社会変化に対応した福祉サービスを提供するとともに、自立した生活の実現や安心の確保等を図ること」、これが大きな目標となっております。その中で、生活保護制度における施策目標としては、赤字の部分ですが、「生活保護制度を適正に実施すること」とされております。
 この目標達成のためには、被保護者の自立支援というものがキーワードになっております。具体的に申し上げると、特にその下の2つです。就労支援というのが1つ目、もう1つは医療扶助の適正化でして、この2つが必要であると考えております。
 順を追って、就労支援のほうから御説明いたします。今、御覧いただいている1ページの左側、就労支援についてですが、具体的には3ページを御覧ください。「生活保護受給者に対する就労支援施策について」でございます。生活保護を受ける被保護者に対する就労支援施策ですが、就労に向けた困難度に応じて、段階的な施策を現在講じているところです。まず、福祉事務所にいるケースワーカーによる支援によりまして、必要に応じて個々人に応じた支援につないでいるという状況です。
 就労がなかなか難しい、就労に至るまで長い距離が必要であるといった方に対しては、被保護者の就労準備支援事業なるものを実施しており、日常生活習慣の改善として、例えば朝きちんと時間どおりに起きるといったような、生活リズムを作っていくといったところから支援を始めているものです。今、御説明しているのは、左側の図の一番右の上から3つ目の四角の被保護者就労準備支援事業の所です。
 就労に向けてもう一歩進んだ方については、そこから1つ下、被保護者就労支援事業を実施しており、こちらでは就労に関する相談・助言、個別の求人開拓とかハローワークへの同行支援等を行っております。更にもう一段階進んだ形、就労までの段階的な支援施策として、大分就労に近付いてきている方々については、生活保護受給者等就労自立促進事業といったものを実施しております。
 こういった流れを踏まえて、1ページに戻っていただき、左側を御覧ください。まず、就労支援における現状です。ただいま御説明させていただいたとおり、被保護者就労支援事業等の活用により、就労可能な被保護者については多く就労していただいているところでして、自立にまで至っておりますが、引き続きこういった取組は推進していく必要があります。次のポツの「一方で」という所ですが、被保護者の中には、対人関係に課題を抱える方とか、就労の経験が少ない方等、日常生活、社会生活の面での課題を抱えており、就労による自立に一定程度の時間を要する方も存在しております。
 こういったものを踏まえて、1段下ですが、課題を2つ挙げております。課題の1つ目の部分ですが、これまで年末に策定している改革工程表のKPIとして設定してきた就労支援事業等に参加可能な者の事業参加率、就労支援事業等を通じた就労・増収率、「その他の世帯」の就労率、この3つの指標について、新型コロナウイルス感染症等も影響しており、昨年までの過去3年間で、実績値が目標達成に至らなかったというところが1つ課題として挙げられると思っております。これについては、コロナの影響で評価が行えるものではなかったと我々としては分析しておりますので、今後3年間についても再度指標として設定したいと考えており、引き続き先ほど申し上げたような事業の進捗を図り、被保護者の就労支援事業等への参加を促していきたいと考えております。そのため、達成目標1ですが、就労支援事業等の実施によって、就労等につなげ、保護脱却を支援といったことを達成目標として掲げております。
 具体的な測定指標としては、もう一段下の四角囲みになっている所に3つ書いております。アウトプット1項目とアウトカム2項目です。まず、アウトプット項目ですが、被保護者就労支援事業等に参加可能な方々の事業参加率の目標値というものを、令和7年度に65%とすることを1つ目として考えております。2つ目については、就労支援事業等に参加した方々のうち、就労した者、就労により収入が増加した者の割合を、同じく令和7年度に50%とすること、3つ目としては、「その他の世帯」でして、これは高齢者世帯とか障害者世帯、母子世帯以外の世帯を指しているもので、一般的に稼動世帯と言われている部分なのですが、この「その他の世帯」の就労率について、同じく令和7年度に45%とすることを考えております。
 続いて、就労支援における課題2です。1ページを御覧ください。先ほど申し上げたとおり、対人関係に課題を抱える方や就労の経験が少ない方は、日常生活とか社会生活の面で課題を抱えており、就労による自立に一定程度の時間を要する方に特化した自立支援の取組を更に強化していくといったことが必要と考えております。これについては、達成目標2に関わってくる部分ですが、日常生活自立とか社会生活自立、アセスメントを丁寧に実施しつつ、被保護者の多様な課題の解決に向けて、徐々に自立支援を行っていく取組を強化していく必要があると考えておりますので、現状実施している被保護者就労準備支援事業等を活用した自立支援の取組強化を行っていきたいと考えております。そこで、達成目標2ですが、自立支援の取組強化というものを達成目標の2つ目に掲げております。
 それを踏まえて、具体的な測定指標については、その下に2つ御用意しております。両者ともアウトカム指標として考えております。1つ目が、4と書いてある所ですが、被保護者就労支援事業等の活用によって、日常生活の課題がある者の状態像が改善した者の割合を、令和7年度に26%とするということです。もう1つが、5と書いてある所ですけれども、被保護者就労支援事業等の活用により、社会生活の課題がある者の状態像が改善した者の割合を、同じく令和7年度に28%とするといったことをアウトカム指標として考えております。就労支援については以上です。
 続いて、1ページの右側のほうの医療扶助を御説明いたします。現状なのですが、医療扶助の部分で2つのポツが書いてあります。1つ目のポツを御覧ください。生活保護負担金においては、令和4年度当初予算では約3.7兆円ということで、そのうち約半分を医療扶助費が占めているといった状況です。一方、これまでよく言われていた頻回受診対策とか、後発医薬品使用の原則化といった適正対策も進めてきており、これらについては、対策を講じることによって一定の成果が見られております。まずは、これらの取組について御説明させていただきたいと思います。
 5ページをお願いいたします。「頻回受診の適正化について(概要)」と書かれたスライドです。頻回受診の適正化の対応については、福祉事務所において受診回数の基準に該当する者を抽出した上で、主治医訪問とか嘱託医との協議によって、この人は頻回受診であろうといった方々を抽出させていただき、実際にお宅に訪問していただいた上で指導するであるとか、医療機関受診への保健師の同行等といったものを行っております。これが頻回受診の指導対象者の抽出と、それに関する指導の内容です。
 こういったことを踏まえて、1ページの右側の課題3を御覧ください。今ほど御説明させていただいた適正受診指導の取組により、受診行動が改善する者が見られる一方で、これらの指導を行っても改善に至らない場合とか、一定期間を経過した後、受診回数が増加してしまう場合があるといったこともございます。このため、頻回受診に係る適正受診指導の取組の徹底・強化を引き続き行うことが必要と考えており、達成目標3の部分ですが、適正受診指導の取組の徹底・強化による改善者数の向上というものを達成目標として掲げております。
 具体的な測定指標としては1つでして、6と書いてある所です。頻回受診指導による改善者数割合、アウトカムですが、こちらを設定しております。その目標値について、令和6年度に直近で実績値が固まっている令和2年度との比較で、2割以上向上させることを考えております。
 お手元に資料1-2という細かいExcelのものがあると思いますが、5ページを御覧ください。こちらですが、少し修正させていただきたい部分があります。5ページの達成目標3と書いてある所ですが、項目として「頻回受診者に対する適正受診指導による改善者数割合(アウトカム)」と書いてある部分ですが、年度ごとの目標値に誤りの記載がありましたので、恐縮ですが、まずは口頭でお伝えさせていただきます。現状、令和5年度の所に、改善者の割合の目標値として58.8%と記載されておりますが、令和6年度の目標値として記載すべきところを、令和5年度の数値として記載してしまいました。正しくは、令和6年度の目標値として58.8%とさせていただければと思います。
 考え方としては、令和2年度の実績値、同じ令和2年度の下を御覧いただくと49.0%と書いてあります。この実績値の2割向上ということでして、49に1.2を掛けていただいて58.8%、これを令和6年度に達成することを目標とさせていただきたいと思っております。したがって、令和3年度から令和5年度の部分についても数値がずれてきますので、後ほど新しい数値をお伝えさせていただければと思います。大変申し訳ございません。
 その上で、資料1-1に戻っていただいて、4ページを御覧ください。「生活保護における後発医薬品の使用促進の取組」と書かれたスライドです。現状、後発医薬品の使用促進の取組がどうなっているのかという部分を御説明いたします。平成30年に生活保護法が改正されて、同年10月から後発医薬品使用の原則化が施行されたところです。その上で、令和3年度の医療扶助における後発医薬品の使用割合については、同じスライドの真ん中の右側の棒グラフですが、濃い青で生活保護と書いてある棒の上に87.7と書いてありますが、これが令和3年度の実績でして、政府目標として掲げている使用割合80%といった目標は既に達成しております。これについて、原則化前の平成30年度との比較をすると、同じ棒グラフの平成30年度の濃い青のグラフの上を御覧いただくと77.6%となっております。これが令和3年度には87.7%ということで、10.1ポイント増加しており、この部分については着実に取組が進んでいるという状況です。
 今後についても、この流れを止めることなく、後発医薬品の使用促進を図る必要があると考えておりますので、これを踏まえて、1ページに戻っていただいて、達成目標4、後発医薬品使用促進の取組強化というのを1として書かせていただいております。また、2ということで、後発医薬品の使用割合の向上を達成目標4の2つ目として掲げております。
 この2つに対応するものとして、具体的な測定指標としては、その下の7と8の2つです。まず1つ目、7と書いてある所ですが、医療扶助の適正化に向けた自治体における後発医薬品使用促進計画の策定率といったものを設定しており、目標値として毎年度100%とすることをアウトプット指標として設定したいと考えております。これについては、後発医薬品の使用促進ということで、政府目標の8割を切っている自治体があった場合、どうしたら80%以上になるかというものを計画として出していただくことをやっており、その策定率を指標に置いているということです。
 続いて8の部分です。測定指標の2つ目として、後発医薬品の使用割合を設定しております。こちらについては、目標値として毎年度全ての都道府県で80%以上とすることをアウトカム指標として設定したいと考えております。今ほど説明した後発医薬品の使用割合の目標値については、昨年度までは全国ベースで80%以上と設定していましたが、取組が進んできた状況を踏まえて、より取組を進めるために、全ての都道府県において80%以上とするように見直しをしているところです。これらの目標達成に向けて、医療扶助適正化の取組の更なる推進を図っていきたいと考えております。長くなりましたが、説明としては以上です。ありがとうございます。

○菊池座長
 ありがとうございました。今の御説明につきまして、御質問、その他がありましたらお願いいたします。平野委員、お願いします。

○平野委員
 御報告ありがとうございました。課題2についてです。こちらの指標については、両方ともアウトカムということで、日常生活と社会生活の改善というのは、どこまで区別できるのかというのは大変難しい指標だという印象を持っています。できれば、ここはアウトプットというか、このことに対する何らかの条件整備というか、そういうものに該当するような指標はあったほうがいいのではないかというように考えております。例えば、鍵を握る就労支援員の数、これは被保護者世帯の比率のようなものも必要かもしれませんが、何かそういうものに関連する指標もあったほうがよろしいのではないかとも思います。
 もう1つは意見になりますが、現在、国のほうでも、日常生活自立支援事業の就労準備との関連が議論されていると思います。今の段階で、どのようにそういう指標を検討できるかというのはなかなか難しいかなと思うのですが、保護を受給するに至る経路というか、例えば生活困窮者自立支援のほうの就労準備を受けていて、悪化して保護にかかるというような場合に、就労準備支援の連携のようなものや、本来は利用は難しいのだけれども、両方を一体的に考えていくという議論が今後進むだろうとも考えますので、今、指標化というのは難しいのかもしれませんけれども、そういった経路のようなものをデータ的に取り得るのかどうかも含めてなのですが、保護を比較的短期で廃止になって、困窮のほうか、又はそれの就労準備を支えるみたいな関係もあろうかと思います。そういう経路に関しての指標化のようなものも可能なのかどうか、これは直接反映できるかどうかは分かりませんけれども、そういうものもデータ的に取れれば、興味深い施策改善につながるのではないかと思っています。以上です。

○菊池座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○社会・援護局
 平野先生、ありがとうございます。まず、1つ目の日常生活・社会生活自立の関係で、アウトプットの指標があってもいいのではないかといった御提案を頂きました。おっしゃるとおり、状態像について、もともとの事業をやる前の状態と、やった後というか、大体年度ごとに数字を自治体から報告していただこうと考えているのですが、客観的に、この状態からこの状態になったというのを見るのが難しい部分であるというのは、確かに御指摘のとおりだと思います。なので、客観的な数値の部分で、先生から就労支援の数といった形で御提案いただきましたが、そういったものが可能かどうかは相談したいと思います。
 もう1つ頂いた就労準備の部分です。困窮と保護の一体的な実施というところは、社会保障審議会の困窮保護部会でも大きな議論となっておりまして、昨年の12月に中間取りまとめをさせていただいたところです。いかに困窮制度と保護制度をシームレスに結んでいくのか、保護を卒業された方をもう一度保護のほうに戻さないようにどのように支えていくのかという視点は、非常に大事であるという議論がなされてきたところです。いつ頃、この事業が施行になるかというタイミングにもよる部分はあるかと思いますが、今頂いたアドバイスも踏まえて、このタイミングでの設定ができるかどうかは難しいかもしれませんけれども、後々の部分として考えていきたいと思っております。

○菊池座長
 今の後段の部分、施策目標との関係でどういう指標を立てられるかということもあるかもしれませんね、生活保護制度の適正実施という。そうすると、この目標の立て方自体、立て付けが施策の進展に伴って合わなくなってきているという、そういう問題もあるかもしれないですね。

○社会・援護局
 先生、ありがとうございます。すみません、そこの部分について、頭から抜けておりました。確かに、施策目標の部分としての生活保護制度を適正に実施することという部分とは、場合が違うのかなということかもしれません。簡単なことを言って申し訳ございません。

○菊池座長
 今、河合室長がおっしゃったように、施策としてはそこまで来ているわけで、それに施策目標が追い付いていないということだとすると、目標自体を、5年間なら5年間というのがありますけれども、全くそれが変えられないものかどうかというのは、また別の議論だと思います。ほかにいかがでしょうか。藤森委員、お願いいたします。

○藤森委員
 藤森です。御説明ありがとうございました。3点御質問させていただけたらと思います。まず1つは、施策目標として「生活保護制度を適正に実施する」と掲げられている一方で、ここで取り上げられているのが、就労支援と医療扶助という形になっております。なぜ就労支援と医療扶助なのかというところの説明が不足しているのではないかと感じました。居住支援も、高校生に対する支援も重要性があって、それぞれ課題等もあるのではないかと思います。そこが就労支援と医療扶助だけでいいのかと思っております。
 もう1つ加えると、コロナ禍において生活保護の支給件数はそれほど伸びておりません。生活保護の一歩手前の制度である生活困窮者自立支援制度があったから低くて済んだのかもしれませんが、そこの分析はどうなのかということです。2020年度の夏に、「生活保護の受給は国民の権利なのです」ということを、厚生労働省のほうで国民に啓発されており、とても重要だと思いました。もしスティグマを持ってなかなか利用できない方がいらっしゃったということであれば、啓発活動を強化していくことも、施策としてはあり得るかもしれません。その点も含めて、なぜ就労支援と医療扶助なのかというところの御説明を頂ければと思います。
 2点目です。今、平野先生がおっしゃったことに関連しますが、A3の資料の1ページ目の「施策の実現のための課題」の2です。こちらで、対人関係に課題を抱える方や就労の経験の少ない者に対して、自立支援の取組を強化していく必要があると書かれています。自立支援を行っていく取組を強化していく必要があると書かれるには、何か課題があるからこのようになっているのだと思うのですが、その課題は一体何なのかということを、ここでは指摘していったほうがよろしいのではないかと思っております。
 3点目です。同じくA3の資料の2ページ、達成目標1の所です。目標を見ますと、目標値が令和7年度に65%で、令和3年度、令和4年度、令和5年度も65%という数字になっております。令和2年度の実績値が48.7%であるならば、いきなり65%にしていくよりも、48.7%と65%の差分を均等割りにして目標を上げていったほうが現実的ではないかと思いましたので、その点についてどうかというところです。
 これが最後になりますが、6ページの達成目標4の指標8になりますが、こちらは先ほど御説明がありましたが、「毎年度、全ての都道府県で使用割合を80%以上とすることを目標としている」と書かれているので、毎年度80%という目標は全国の数字を示しているのかなとも思いました。もし全ての都道府県で80%以上とすることを目標にするのであるならば、例えば令和元年度、あるいは令和2年度、令和3年度の実績値で、80%を割り込んでいる都道府県は何パーセントかということを示して、それをゼロに近付けていくという目標の設定の仕方のほうが妥当ではないかと思いました。以上です。

○菊池座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○社会・援護局
 藤森先生、ありがとうございます。まず、適正実施という部分で、就労支援と医療扶助の2つでよいのかという部分です。先生がおっしゃるとおり、生活保護の中には子供の支援ですとか、大きな施策というものはこのほかにも多々ございます。先生に言っていただいたとおり、生活保護は権利であるといったようなお話で、スティグマのような形で、どうしても生活保護は権利ということは頭の中にありながらも、そこに行き着くところがハードルが高いといったような話も審議会の中でも大きな話としてございました。そこの部分については、どのような方法ができるかというか、こういうことは審議会の中でも検討することになっております。
 その上でですが、コロナ禍の部分で、住居確保給付金の話もおっしゃっていただきました。確かに、この部分があったがゆえに、生活保護の部分に行き着かなくてよかったという一定の効果もあったというように我々としても分析しているところです。その上で、就労支援と医療扶助という部分を挙げたことについて、私としても説明が足りなかったのかもしれませんが、まず就労支援の部分は、どうしても生活保護というものを受給されている方については、何かしらの形で、自分の持てる力を使いながら、その部分から卒業していただくということを考えたときの達成の大きなものとして、施策としては就労支援がどうしても外せないのかなということが、1つここで挙げさせていただいたものです。
 ただ、御説明いたしましたとおり、誰もが経済的な自立を果たせる方ばかりではなくて、障害を抱えていたり、就労まで行き着けない方もいらっしゃいますので、そういった意味において、自立へ日常生活の部分から立て直していく、社会生活の部分から立て直していくといったことを、この就労支援の中には、大きくこの2つの部分があると思っていまして、ここは1つ大きな柱とさせていただきました。
 もう1つは医療扶助の部分です。こちらは先生にも御指摘いただいたとおり、国費から医療扶助費は出されているものでして、その面から見ますと頻回受診の問題とか、御説明させていただいたように後発医薬品を使うべきとか、生活保護受給者に対する見方の部分に関わってくる話が大きい部分があるのですが、必要な医療はきちんと受けていただきながらも、そこの必要な部分を適正化させていくことが、社会的にもすごく注目されている部分ではございます。いろいろある中で、この2つを選んだ理由としては、今、私が拙い言葉で申し上げたようなことを踏まえて、今回はこの2つにさせていただいたというのが、1つの回答かなと考えております。
 2つ目の対人関係の自立支援の課題の部分ですが、先ほどお答えしたことにつながってきているかもしれませんので飛ばさせていただいて、もし足りなかったら御指摘いただきたいと思います。
 もう1つが達成目標の1の65%の部分です。A3の資料の2枚目の1つ目の部分です。令和2年度、令和元年度も見ていただきますと、コロナの関係で事業の参加率が52.1%から48.7%まで落ちてしまっている部分がございます。令和3年度までに65%としたいということで、もともと設定した数字なのですが、そこの部分を令和7年度までに65%ということで、横滑りという形にさせていただきました。なので、できれば刻んだ形での設定というものもあるのかなと思いましたが、ここの部分はエビデンスの部分というか、今後の部分について、もう少しきちんとした形でやっていければというようには思っているのですが、実際問題として、令和元年度、令和2年度の部分で実績が出ていないものですから、そこの部分は65%で、令和3年度、令和4年度、令和5年度というように置かせていただいたというところが実情です。
 それと、医療扶助の関係で80%以上ということで、6ページの測定指標8の御指摘でした。80%以上の都道府県を100%という目標値の取り方はあり得るのかなと考えています。ただ、これは生活保護だけではなくて、生活保護だけではない医療全体の数値も見ながら設定している部分がありますので、平仄を取りながら検討させていただきたいと考えております。足りていなかったら御指摘ください。

○菊池座長
 いかがでしょうか。

○藤森委員
 一番初めのなぜ就労支援と医療扶助なのかというところなのですが、この両方が大事なことは言うまでもないですし、約半分を医療扶助が占めていますので、ここを挙げることは問題ないのですけれども、就労について、例えば教育にしても関わるわけだし、住宅の部分も非常に重要で、家がなければ働くことはできないわけでして、ここの指標等も実は必要ではないかと思っています。そこの検討はしなくてもいいのだろうかとは思っています。もちろん、全てを入れることはできないから選んでいくのだと思うのですが、居住支援や教育のほうも重要になってきていますので、そのような点を検討したらどうかと思いました。それからスティグマの問題はやはりあると思いますので、この点も御検討いただく必要があると思ったところが1点目です。
 それから、3点目に申し上げた2ページの所、65%まで一気に持っていくということは、これはコロナ禍だから可能性があるという理解でよろしいのでしょうか。コロナ禍で下がったのだけれども、コロナ禍が回復していく中では、65%という高い目標を掲げてもやっていけるという見込みがあっての数字であるならば、これは指標1だけではなくて、指標3も同じような形で示されておりますが、そうであれば、それはそれでよろしいかと思います。
 また、3点目の最後に申し上げた点は、御検討いただければと思っております。以上です。

○菊池座長
 最後に藤森委員が御指摘になったように、コロナ禍があったとしても、先ほどの説明を伺っていると、やる気が余りないというように聞こえかねないというか。今、これだけの数値、令和元年度、令和2年度、令和3年度で、これをどう引き上げていくのか、そのための戦略というか、どういう根拠で、どのように積み上げていくのかということがないと、65%なり、50%なり、45%なりにいかないわけで、いきなり65%というのは、あまり考えていないのではないかと言われても仕方ないようにも思います。
 そのためには、現状分析があって、課題の設定があって、その課題の設定について、先ほど藤森委員が課題2の所で、これだけでいいのか、もっと掘り下げた課題設定が必要ではないかという御指摘だったと思いますが、掘り下げた課題があってこその目標設定で、そこが足りないというか、そういう御指摘だと思うのです。すみませんが、数字は考えてください。よろしいでしょうか。

○社会・援護局
 ありがとうございます。今、御指摘いただきましたので、65%の部分は先ほどおっしゃっていただいたとおり、コロナ禍の部分が大きいと思っております。平成30年度の実績は参考1に書いておりますが、57%程度ということですので、難しい数字ではないのかなと思いますが、今の菊池先生の御指摘も踏まえて、どういう段階を踏んでという考え方もあるのかなと思いますので、中で相談したいと思います。

○菊池座長
 ありがとうございます。新保委員、お願いします。

○新保委員
 ありがとうございます。政策を行って、ユーザーの状況がより良くなるということよりも、就労率とか頻回受診とか、外部の目でKPI等が問われ、それに応えて保護行政を、一生懸命実施するものの、現実の被保護者の実態と、求められているものに乖離があるので、現場と被保護者だけが頑張らなければいけなくなってしまうという、そういうしんどさのようなものを強く感じました。
 まず、就労支援のところですが、達成目標を保護脱却と置いているのですけれども、2019年の「生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会報告書」の概要によれば、被保護者の高年齢化、障害が疑われる者、就労経験が乏しく引きこもりなど就労に向けた課題を多く抱える者の割合が増加している現状を踏まえて、就労収入を得て保護から脱却する就労支援ではなくて、一般就労だけではなく、多様な働き方を通じて生活を豊かにするための就労支援の充実を図るという目標、見通しを立てています。方向性も示されており、短期的な対応として何をやっていくか、アウトプットになるような提案が報告されています。
 例えば、就労準備支援事業について、生活困窮者自立支援制度との一体的な実施の推奨や障害福祉事業所の活用等による実施自治体の拡大が短期的な対応になっているのですが、平野先生がおっしゃったような方向性が報告書の中に入っているのです。
 現状を踏まえた取組の方針と、何をアウトプットやアウトカムにするのかということは、コロナの前だったので、とてもこれに取り組むどころではなかったと思うのですが、すでに出されているので、ここに示されているような実質的な目標設定と対応をされていくと、取組がよりよくなっていくと思います。
 頻回受診のほうも、「医療扶助に関する検討会」の報告書の中に、頻回受診者の中には精神疾患や認知症の影響から、療養上の指示事項の理解が難しいとか、社会的孤立や精神的不安に起因する場合も多いというような評価もなされています。頻回受診の適正受診指導の取組徹底・強化による改善者数を目標に設定するのか、それとも、平成30年度の改正で法定事業になっている健康管理支援事業の実施拡大の観点から、アウトプットの目標値を設定するとか、その中にもちろん頻回受診も入ってくるのですが、無理のない目標設定をして、きちんと実績を上げていくということをされていったらと思った次第です。意見です。以上です。

○菊池座長
 ありがとうございます。何かコメントはございますか。

○社会・援護局
 今、御指摘いただいた見直しの検討会も、医療扶助の関係もそうですし、就労支援の関係もそうですが、これからの制度の、恒久制度等も含めた制度の見直しをやっていく上で、もう少し設定の部分の考え方ですとか、指標の部分について工夫ができないか、もう一回相談してみたいと思います。どうもありがとうございます。

○菊池座長
 ほかにはいかがでしょうか。岩崎委員、お願いします。

○岩崎委員
 御説明ありがとうございます。私は、先生方がおっしゃっていたことと同じことがすごく気になりました。一番大きな目標の所に、「ナショナル・ミニマムを保障し、社会変化に対応した福祉サービスを提供するとともに、自立した生活の実現や安心の確保等を図ること」と書かれているのですが、それに対して、先ほど来先生方もおっしゃっていますが、日本の生活保護の捕捉率がものすごく低いというようなことはよく言われるのですけれども、もちろん申請主義ということも承知はしているのですが、共生社会を実現するということも施策の大目標として掲げられておられるわけで、一人一人が地域とともに生活していくということを実現するといったときに、本当に皆さんにこの生活保護の制度というものが抵抗なく活用できるぐらい普及しているのか、そういうことを是非実態把握していただきたいなと思うのです。
 捕捉率が低いと言われていますが、私が探した範囲で、公できっちりとそういうものを調査されているような資料が見付けられなかったので、もしそういうものがあるのでしたら教えていただきたいのですが、実態を調査するとともに、何でそのように低いのかということ、これも巷でいろいろなことが言われていますが、そういうことを明確にしていただけるような、そのような指標も是非御検討いただきたいと思いました。これが1つです。
 あと、就労支援の達成目標1の所で、就労支援の事業への参加率とか、実際に働けたかどうか、どれだけ増収したかということを示されておられるのですが、そのことに限ったことではないといったらそうなのですが、都道府県の格差が非常に大きいというデータも、厚労省から公表されたものにも載っております。
 実際に卒論でやった学生がいて、それは東京都内の何箇所かの福祉事務所を調査させてもらったというものでしたが、それでもやっていることに違いがあるのです。だから、どういうことがなされていて、どのように各都道府県や福祉事務所でやっているのかなと疑問を感じたというか、その格差がどこから生まれてきているのかということをきちんと把握できたらいいのになと思いました。だから、全国を均一化して何パーセントという指標に、国の施策目標の達成率はそうなってくるのだと思うのですけれども、それぞれのデータに関して余りにも格差が大きいといったものはどのように考えていくのかということを教えてもらえたらと思います。これは非常に難しいことだから、それを全て是正できたら、いろいろな領域でも助かるわけですけれども、なかなか難しいものだということは私も承知した上で申し上げております。
 もう1つなのですが、1ページ目の施策実現のための課題2という所に、アセスメントを丁寧にしてという、そういった保護を受けている方たちのいろいろな状況を丁寧に見ていこうではないかという、大変すばらしいことを書かれていると思うのですが、それを具体的に実現していくためにどのようにしていくのかといったときに、本日お配りいただいたものの中にもいろいろなことが書かれています。生活保護業務をもうちょっと効率化していくとか、あるいは住居施設への支援の委託とか、いろいろな所の手を借りながら、生活保護のワーカーさんたちにかかっている負担を軽減したり、ある程度専門性というところで、周囲にも助けてもらえるようなこととかが3ページに書かれているように思います。思うのですが、生活保護のワーカーさんが被保護者に向き合って、丁寧な支援をしていくといったときに、これも従来言われていることですが、どうしても専門性が問われてくることがあると思うのです。
 ですので、いろいろな所で専門性ということが壁になって、支援が難しくなっているところがあるという指摘もあると思います。例えば令和3年度の財務省の予算執行調査の総括調査表などでも、長期入院が解消していくことについて、生活保護のケースワーカーさんだけが頑張っても難しいということが長々と書かれていたりもしますが、その辺も踏まえて、実際に生活保護のほうで掲げた目標を実現していくために、関わる人材をどのように考えて、この施策目標等の実現をされていかれるのかということを、お分かりの範囲で教えていただければと思います。以上です。

○菊池座長
 なかなか幅の広い質問だと思いますが、できる範囲でお願いします。

○社会・援護局
 岩崎先生、ありがとうございます。大きく3つ頂いたと思います。1つ目の捕捉率の部分ですが、先生もおっしゃったとおり、申請主義ということがありますので、そういった数字はない部分があるのですが、それに代わるものとして、生活保護基準以下の世帯がどれだけいる中で、実際に保護を受けている方々の世帯率がどれぐらいあるかといった数字については、直近では平成30年に公表しています。そういったものが必要であれば、事務局を通じてお伝えさせていただければと思います。
 2つ目です。就労支援の部分で、都道府県間の格差が大きいといったことについては、先生がおっしゃったとおり、これは就労支援に限らず、いろいろな事業においても、それぞれの自治体のリソースの部分で大分差が付く部分もあろうかと思っています。そこについて、まずできることとしては、法定化を図っていくことは1つやり方としてはあると思っております。今回の就労支援の事業の中においても、今、予算事業となっているものを法定化させていくといったような流れを考えている部分もございます。それから、法定化すれば財源が付いてくることになりますので、そういった意味での平準化がなされていく1つのやり方なのだと思います。
 もう1つは、やり方が分からないといった部分についても、格差が生じている部分というのは、人材のことも含めてですが、どのようにそこを埋めていくかということについては、我々として都道府県を通じて把握した好事例のようなものを横展開させていきながら、それに向かっていくことが1つの方法としてあろうかと思っています。そういった組合せの中でやらせていただきたいと考えております。
 3点目のアセスメントの部分ですとか、ケースワーカーの専門性、人材の育成についてはどうするのかといった部分ですが、非常に大きなテーマだと思っております。施策評価との関係においては、業務を効率化させていった上で必要な専門性を上げていくことが重要だと思いますので、そういったことがなされていくような形にしたいと思っています。先生がおっしゃったように、業務の効率化を進めていきながら、より専門的なことができるような時間を作り上げていくということが大きな課題かと考えております。

○菊池座長
 ありがとうございます。私から1点、藤森委員がおっしゃっていた達成目標4の都道府県ごとの使用割合に変更、これは大変いいことだと思いますが、その前提として、都道府県の格差という課題があるわけですよね。課題があって、そういった都道府県ごとに見ていくという、そこをきちんと書き込んでおいたほうがいいと思います。その上で、年度途中であっても追加で新たな指標を加えることはできると思うので、そういう形で検討されたらどうかなと思います。あくまで、課題があっての達成目標という、そういう関係にあるということです。
 よろしいでしょうか。それでは、様々な御意見等が出ましたので、担当課におかれましては、それらを踏まえ、事前分析表への反映をお願いできればと思います。どうもありがとうございました。次のテーマに移りたいと思います。
 続きまして、施策番号Ⅶ-3-1「戦傷病者、戦没者遺族等への援護、戦没者の遺骨の収集等を行うこと」につきまして、担当課から15分程度で御説明をお願いします。

○社会・援護局
 社会・援護局援護企画課長でございます。よろしくお願いいたします。資料2-1「概要(事前分析表のポイント)」に基づき御説明させていただきます。まず、1ページに概要が出ておりますが、施策目標としては戦傷病者、戦没者遺族等への援護、戦没者の遺骨の収集等を行うことというものでございます。現状につきまして、大きく5つの柱に分けておりますので、それぞれについて順を追って御説明いたします。
 1ページの左側の1、戦傷病者、戦没者遺族等への援護ということです。現状といたしましては、軍人軍属等のうち公務傷病等により障害の状態となった方、あるいは亡くなられた軍人軍属等の遺族に対して、国家補償の精神に基づき援護を行うという現状がございます。
 資料の3ページを御覧ください。この具体的な施策の1つとして、戦傷病者戦没者遺族等援護法、援護法とよく言いますが、それに基づく支援ということで、今申し上げましたように、国と雇用関係やこれに類似する特別の関係にあった軍人や軍属や準軍属の方が、公務等により負傷・り病又は死亡されたことに対して、国が国家補償の精神に基づき補償するというもので、具体的には3ページ目の下半分にありますが、障害年金、遺族年金などの年金を支給しております。この年金をひっくるめて援護年金と申しております。
 また、次の4ページ目には特別給付金等の概要があります。今申し上げました援護年金とは別に、特別の立場にある方に対して給付金を出しているということで、4つの青枠がありますが、左上から戦没者等の妻、右に戦傷病者等の妻、左下に戦没者の父母等の特別給付金というのがありまして、左上の戦没者等の妻で例示しますと、夫を戦争で失われた妻の方の特別の経済的困難、あるいは精神的痛苦といったことに対して、国として特別の慰藉を行うための給付金を出しているというものでございます。
 また右下に、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金というものがありますが、これは戦後何十周年といった機会を捉えて、軍人軍属等の御遺族の方に対して、国として弔慰を表すために記名国債という形でお出しをしているものでございます。
 1ページにお戻りください。課題1としましては、請求者が高齢化する中で、迅速な裁定が必要ということです。援護年金の受給者の平均年齢は92.2歳ぐらいになっているということで、非常に高齢化しておりますので、そういった請求がありました場合に、速やかに裁定することが必要ということです。達成目標の1といたしまして、今申し上げました援護年金や弔慰金の請求に対して、迅速かつ適切に裁定を行うということで、そのための測定指標といたしまして、請求の受付後6か月以内に裁定を行った件数の割合ということで、具体的には91%以上という目標数値を設定しております。
 2番目は次世代への継承ということです。これにつきましては、資料の5ページを御覧ください。まず、1つが昭和館です。戦中や戦後の国民生活上の労苦を次世代に伝えるための国の施設ということで、平成11年3月に開設し、実物資料の展示等を行っております。日本遺族会に運営を委託しており、基礎情報や予算額は御覧のとおりです。入館状況につきましては、施設の開設以来約645万人の方にお入りいただきまして、今はコロナで人数が減っているのですが、コロナ前であれば、例えば令和元年度は約35万人の方に入館いただいていた施設でございます。
 6ページを御覧ください。しょうけい館というものを載せております。こちらは、戦傷病者やその家族の方の御労苦を次世代に伝えていくために、平成18年に開設した施設でございます。今は株式会社ムラヤマという民間団体に運営を委託しております。一番下の入館状況ですが、開館以来、約175万人の方にお入りいただいており、コロナ前の状況であれば、令和元年ですと約12万人の方にお入りいただいております。
 1ページ目にお戻りください。今申し上げました国民生活の労苦などを伝える役割としての昭和館やしょうけい館ということなのですが、課題2として先の大戦の記憶を確実に次世代へ伝えていくという、戦後77年を既に経過しておりますので、先の大戦の記憶が風化するという懸念があるわけでございます。達成目標2としまして、昭和館、しょうけい館の一層の充実、そのための測定指標としましては、昭和館、しょうけい館の累計入館者数というのを設定しております。それぞれの施設につきまして、令和7年度、これは戦後80周年という年なのですが、80周年にいくまでの累計入館者数を、昭和館では785万人、しょうけい館では244万人という数値を設定しております。その数値の根拠といたしましては、直近の、今は80周年が目の前ですが、その前の70周年、70周年の前10年間の累計入館者数をもとに、同じだけの人数が70年から80年までの10年間にお入りいただくことを目標としている、そういう考え方でございます。
 3番目は遺骨収集事業や慰霊巡拝等の推進です。戦没者の遺骨収集の推進に関する法律というものがありまして、そちらの中で、遺骨収集は国の責務として実施をしております。平成28年度から令和6年度までを集中実施期間と法律で定められておりまして、それにのっとって実施をしております。また、その御遺骨につきましては、DNA鑑定などを行うことにより、身元が特定されましたら、御遺族にお返ししておりますし、どうしても身元が特定できないということであれば、千鳥ヶ淵戦没者墓苑に納骨しております。また、この遺骨収集事業を補完する位置付けとして、慰霊巡拝というものを行っております。
 課題としては、いまだ多くの戦没者の御遺骨が収集されていないということで、資料の7ページなのですが、上に概要とありまして、先の大戦の海外の戦没者の概数約240万人のうち、今現在で収容されている御遺骨の概数が約128万柱となっております。差し引き112万柱となるのですが、海に沈んでいる海没遺骨や中国をはじめとする相手国事情により収容が困難な御遺骨というものが、それぞれここに書いてあるだけございますので、それらを差し引いた約59万柱が、まだ今の時点において未収容となっている最大の御遺骨の数ということになっております。
 1ページ目にお戻りください。課題3として、今申し上げましたように、いまだ多くの御遺骨が収集されていないということで、達成目標の3といたしましては、遺骨収集事業と慰霊巡拝等の着実な実施、そのための測定指標といたしまして、まず慰霊巡拝参加者のうち満足したと答えた方の割合、この慰霊巡拝というのは、戦没者の御遺族の慰藉を行うことが非常に大きな目的となっておりますので、その事業に参加していただき、満足されたとお答えいただいた方の割合を87%、これは直近の3年間の平均数値ですが、それを目標値として設定しております。
 また、5番目として、御遺骨が残されている諸地域に職員等を派遣した回数ということです。要するに、現地に行って御遺骨の収集をしないことには、当然我が国には戻ってこないわけですので、こういった測定指標を設定しております。これはコロナ前の平成29年から令和元年の派遣回数、年間の平均派遣回数である85回というものを目標にしております。
 4番目が中国残留邦人等への支援です。中国残留邦人等の方々は非常に高齢化していまして、後期高齢者に平均年齢が達しておりますが、高齢化に伴い、当然ながら医療や介護サービスの利用が増えてまいります。一方で、中国残留邦人の方々は長年中国で暮らされていたので、生活習慣の違いや言葉の問題というものがございます。そういった中で、こういった方々の自立を支援するために、自立支援通訳や自立指導員、いろんな相談に乗っていただくこうした指導員の方々の派遣などを実施しております。
 課題4としては、中国残留邦人等の高齢化への対応です。達成目標の4として、言葉の問題を抱え高齢化が進む中国残留邦人の方々の自立支援の充実ということで、そのための測定指標といたしましては、6番目にあります自立支援通訳派遣事業での通訳派遣の実績、7番目として、自立指導員派遣事業での指導員の派遣実績というものを目標として設定しております。この6番と7番につきましては、それぞれ前年度の実績に支援を受けておられる世帯数の増減率を掛け合わせたものを、その年の目標数値という形で設定をしております。
 最後の5番目の柱が、旧陸海軍関係の恩給進達等の事務です。まず、1つ目が軍歴調査の関係です。旧軍人軍属の方の軍歴というのは、恩給の請求や共済の退職年金、あるいは叙勲の際に、その軍歴が必要になるということで、旧陸海軍の人事記録を厚生労働省なり各都道府県が引き継いでおりますが、これらの資料を用いて軍歴証明書を発行、交付しております。また、恩給進達事務とありますが、その軍人軍族あるいは御遺族の方の恩給請求について、都道府県から恩給請求書の送付を私ども厚生労働省が受け、私どもが持っております資料を用いて審査を行い、裁定庁である総務省への進達をしております。それから、抑留者関係資料の調査ということで、旧ソ連の抑留者の関係につきまして、ロシア政府から平成3年度以降、名簿の提供を受けておりますが、提供を受けた名簿につきまして、日本側、我々が持っております資料と照合を行い、抑留中死亡者の方の特定ができましたら、それを御遺族の方に調査をしてお知らせするということをやっております。こういったことを、旧陸海軍関係の資料を引き継いだ我々が行っているところでございます。課題としましては、これもそうなのですが、対象となる方々の高齢化が進む中で、事務処理を非常に迅速に行わなければいけないということがございます。
 達成目標の5番目として、抑留者関係資料の入手や照合の充実、あるいは履歴証明や恩給進達、関係遺族への御通知を可能な限り迅速に行うということです。そのための測定指標として、8番目が履歴証明を発行後3か月以内に処理した割合、9番目に恩給請求書受付後1か月以内に総務省に進達した割合、10番目に提供された抑留者に関する資料のうち、前年度中に翻訳・解析した方につきまして日本側資料との突合調査が終了した割合ということをそれぞれ設定しておりまして、目標値はそれぞれ100%と設定しております。
 なお、8番や9番の3か月以内、1.5か月以内というものは何かと申し上げると、これは行政手続法に基づく標準処理期間をそのまま期間として設定しておりますが、対象者が高齢化していることと、その資料の関係できっちりと確認をしていくことがなかなか難しい中、この100%というものを目標値に設定し、ここ何年かはそれでできているということでございます。早口の説明で恐縮でしたが、説明は以上でございます。

○菊池座長
 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等がございましたらお願いいたします。藤森委員、お願いします。

○藤森委員
 1点御質問させてください。1ページの達成目標の測定指標1の所ですけれども、受給者の方々は高齢化が進んでいて、早期に行わなくてはいけないと思いますが、6か月以内に裁定を行った件数の割合が、令和元年度から令和3年度に掛けて低下傾向があります。件数を見ると31件が分母で24件が分子なので、随分ぶれる数字になっているのかもしれませんが、低下傾向の理由を御説明いただければと思いました。よろしくお願いします。

○菊池座長
 よろしくお願いします。

○社会・援護局
 今、御質問いただいた裁定を行った件数の割合の低下傾向ということなのですけれども、やはり対象者の高齢化ということが進んでおりまして、援護年金というのは、先ほど御説明しましたように、公務傷病、あるいは公務による死亡ということが援護年金の支給の要件となっておりますので、負傷や死亡の原因の公務性というのを、今この時点で、戦後78年が近いこの時点で確認することの以前と比べての相対的な困難さ、こういったところが1つ原因としてあるのではないかというふうに思っております。その辺が、やはり今、非常に難しいということだと思います。

○藤森委員
 ありがとうございます。

○菊池座長
 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょう。ございませんでしょうか。よろしいですか。すみません、私から1点ですが、達成目標1の所ですけれども、目標91%以上、指標の1です。手元資料を拝見すると、特別弔慰金請求受付処理状況、令和4年1月末現在で見ると、都道府県、これは特別弔慰金ですが、都道府県別の未処理率に大きな差があるのです。茨城、神奈川、山梨が10%台で、三重県が34.3%、沖縄が24.7%、片や0%台という所もあるのですよね。要するに何が課題かということで、課題1として、「請求者が高齢化する中で迅速な裁定、時効失権の防止」と書いてあるのですが、これは課題ではなくて、目標ではないでしょうか。目標を達成する前提として何が課題かといってこの数字を見ると、なぜ都道府県でこんなにも差があるのかという。だとすると、むしろ10%とか30%、そこにターゲットを絞って改善していくという、それが全体としての改善につながるという、この数字だけを見るとそう感じられるのですが、どうなのでしょう。そういう理解でいいのかということと、そうだとすると、課題の設定、それから達成目標の設定、そして指標の設定についても工夫が必要なのではないかと感じたのですが、いかがでしょうか。

○社会・援護局 
 今の座長からの御指摘でございますけれども、特別弔慰金の関係は都道府県別の事務処理のスピードに非常に差があるというのを我々も認識をしていまして、実は今回設定をしております援護年金と弔慰金、この弔慰金というのは特別弔慰金ではなく、援護法に基づく弔慰金のことでして、これは実は国が直接裁定をしているものでございます。片や、今、座長が御指摘になった特別弔慰金の関係は都道府県が裁定をしているものなのです。それで、実は都道府県ごとに事務処理のスピードに差があるというのは我々も認識をしておりまして、そこはできる限り差がなくなるように、例えば迅速な都道府県の事務処理の仕方と横展開をするとか、遅い所はなぜ遅いのかというところを都道府県からヒアリングをして、それに対して我々のほうで改善点が見いだせれば、それに対して指導という言い方は語弊がありますけれども、御指摘させてもらったりとか、そういうことをしております。一応、現状はそういうことです。

○菊池座長
 それが都道府県の所管というか、事務だから、国の政策目標として立てるのは違うだろうと、そういう判断ですか。

○社会・援護局
 はい、そういうことで、ここは国が裁定している、国が直接やっているものを目標数値のとして設定している、そういうことです。

○菊池座長
 なるほど、分かりました。よく分かりましたが、国民の目から、国民目線で見た場合に、戦傷病者、戦没者遺族等への援護施策が順調にいっているかと見たときに、やはりそこは課題と映るわけですよね。それを国の施策目標の設定として触れないでいいのかというのは、こちらの運営側の課題でもあるかなと思うのですけれども、どうなのでしょう。所管課だけに問いただしても、ルールの在り方にも関わってくるので、今日は時間もありますし、政策評価官室としても課題として受け止めていただけますか。

○石塚参事官
 ありがとうございます。今の課題についても、部局とも話をしていきたいというふうに考えております。ありがとうございます。

○菊池座長
 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。それでは、ただいまの議論を踏まえて、事前分析表への反映を必要に応じてお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。それでは、次のテーマに移らせていただきたいと思います。
 続いて、施策目標Ⅹ-1-2「高齢者の在宅生活に必要な生活支援・介護予防サービスを提供するとともに、生活機能の維持向上によって虚弱を防ぎ元気で豊かな老後生活を支援すること」について、担当課から15分程度で御説明をお願いいたします。

○老健局
 老健局の推進課長でございます。令和5年度の事前分析表、施策目標Ⅹ-1-2です。まず、1枚紙の御説明をいたします。基本目標と施策大目標は御覧のとおりです。施策目標2として、高齢者の在宅生活に必要な生活支援・介護予防サービスを提供することと、生活機能の維持向上によって虚弱を防ぎ、元気で豊かな老後生活を支援するという目標に向かって、私どもがどんなことをしているのかということを御説明申し上げます。
 概要です。御案内のことも多いかと思いますが、1ポツにあるように、高齢者を取り巻く状況については、65歳以上の高齢者数が2042年にピークを迎える見込みでして、要介護認定率及び一人当たりの介護給付費が特に高い85歳以上の人口は、2035年頃まで一貫して増加するほか、私どもの審議会でも御指摘があるところでありますが、認知症高齢者の増加、あるいは65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加していくといったことや、高齢者の生活機能が75歳以上で急速に低下することになるので、身の回りの動作等は維持されていても、買物や外出等の生活行為といったことができなくなる傾向にあるということです。
 そのため、2ですが、日常生活支援や介護予防、あるいはフレイル対策というものをしっかりと進めていく必要があると考えておりますが、ここにもあるように、高齢者の在宅生活を支えるために、介護事業者だけではなくて、ボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人あるいは協同組合など、地域には様々な主体がいらっしゃるわけですので、こういった多様な事業主体による重層的な生活支援・介護予防サービスといったものの構築に取り組んでいるということです。そういった大きな方向性の中で、この下半分ですが、2-1、2-2、3として大きな施策があるということです。
 まず、2-1についてですが、介護保険法に基づく地域支援事業というものの中に、介護予防・日常生活支援総合事業がありまして、この枠組みを使って、今申し上げたような仕組みあるいはサービスを下支えしていくということです。
 5ページから概要がありますが、取り分け5ページ目です。趣旨としては、申し上げたとおりの趣旨ですが、介護保険財政の財源構成を右下に総合事業とほかの事業のものを書いてあります。保険料あるいは公費を使わせていただきながら、左側の(1)介護予防・日常生活支援総合事業というものが、予算額としては、公費として1,935億円ということで、提供されております。この中には1にあるように、訪問型サービスや通所型サービス、あるいは、しっかりと利用者さんや高齢者の状況を把握するという意味での介護予防ケアマネジメントといったサービスもあります。この1については、要支援者プラスチェックリスト該当者が対象であって、少しフレイルが進んだ方をスクリーニングしてサービスにつなげていくというものです。2の一般介護予防事業は、広く65歳以上の方々を対象にして、例えばウの地域介護予防活動支援事業、いわゆる通いの場に高齢者の方に来ていただいて、体操などをしていただくとともに、介護予防の観点から把握をして見守りをしていくといった事業でして、この2の中で提供されているといった構成になっています。
 1ページに戻りまして、こういったサービスですが、従前相当サービスといって、専門職が主に提供するサービスを指していますが、こういったものを実施している市町村は、訪問型で1,607、通所型で1,611ということです。この総合事業については、こういった専門職だけではなくて、地域の方々が主体的に様々な活動をするという柔軟性を持った枠組みですが、この従前相当サービス以外の、今申し上げたような柔軟な多様なサービスといったものが、なかなか伸び悩んでいるというところが課題ではないかなというように思います。また、次のポツにあるように、先ほど申し上げた通いの場の数や参加率といったものも、令和元年度までは増加傾向にあったわけですが、やはり新型コロナウイルス感染症の影響により減少しているというのは、現状として否めないというような状況です。
 課題1ですが、そういった状況にありますが、高齢化や単身世帯等の増加に伴い、増加・多様化する生活支援のニーズに、地域の実情に応じて対応する必要があるのだろうということです。また、生活環境の調整や、地域の中に生きがい・役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど、様々なバランスの取れたアプローチが重要というように考えております。
 達成目標1ということで、そういった観点から、こういった生活支援サービスが利用できる体制を市町村が整備するということですし、この通いの場を充実させていくということで、一番下の四角枠ですが、多様なサービス等を実施している事業者数というものはアウトプットとしてあり得るのかなと思っています。また、通いの場の参加率についても、先ほど申し上げたような状況ではありますが、引き続きアウトプットの指標にできればと思っています。それが大きな柱の1つ目です。
 真ん中の2-2、関係者間の連携です。これは包括的支援事業というものですが、ここのポツにあるように、地域ケア会議、これは介護保険法に基づいて、専門職が個々の方の状況あるいはサービスの方向性などを多職種連携でアセスメントするというような機能と、あとは地域における介護予防の課題などについて抽出して施策につなげていくということと両面ありますが、こういった地域ケア会議は、関係者の目線合わせをするという観点から非常に重要というように考えています。これを市町村が実施するということで、介護保険法上は努力義務となっているわけですが、全国97.6%の市町村で開催されており、年12回以上開催している地域包括支援センターは約2割というような状況です。
 また、先ほどの生活支援あるいは介護予防サービスにも通じるところですが、そういったサービスを作り出していく、あるいは地域にある様々な取組を見える化していくということ、あるいは関係者のネットワークを作るというのが、この地域づくりにおいて極めて重要だと思っています。これは必ずしも高齢者の活動だけではなくて、障害のある方、子供、生活困窮と様々な活動があるわけですが、そういった壁を取り払って、様々な活動をネットワーキングするといったことを行う生活支援コーディネーターを地域支援事業の中で置くことができるということで、これは消費税財源を用いて置かれているものです。これを第1層と申していますが、市町村区域で97.3%、第2層が日常生活圏域、これは中学校区域ですが、72.6%で配置されているという状況になります。
 課題としては、その下ですが、関係者の連携により、個別ケース課題解決から地域課題の発見、その解決に向けた取組までつなげていく必要があるということです。設置は大分進んできたのですが、そこの活動というものについては、今後、広く活性化していく必要があるというのが課題かなというように思っています。
 達成目標です。生活支援コーディネーターが、様々な主体、民生委員やNPO、民間企業、そういった方々を集めて協議体を作ることになっておりますが、そういった多様な関係主体の定期的な情報共有や連携・協働による取組を推進していくということが必要です。また、地域ケア会議の開催頻度や検討件数を一定数確保して、個別の課題の積み重ねから地域の課題把握・検討・解決とつなげていくことが必要と考えております。そういった観点から、一番下ですが、個別ケースを扱った地域ケア会議の開催回数というものがアウトプットになり得ますし、地域課題を検討する地域ケア会議の開催市町村数、生活支援コーディネーターの配置人数、協議体の数といったものがアウトプットになり得ると考えているところです。
 大きな柱として、介護予防の関係は以上ですが、そのほかに予防・健康づくりという観点から、健康局を中心に、もちろん連携しておりますが、やらせていただいておりますので、健康局のほうから御説明申し上げます。

○健康局
 健康局でございます。3番の予防・健康づくりですが、こちらは健康増進法の下、予防・健康づくりということで国民の健康づくり運動、通称「健康日本21」として進めております。この中で、健康寿命の延伸というものを大目標としているので、当然これが介護予防等々に貢献できるのではないかと考えております。
 実績ですが、健康寿命は約10年間で男性は2.26歳、女性は1.76歳増加しています。参考までに平均寿命を申し上げますと、男性1.86歳、女性1.15歳と、平均寿命よりも健康寿命の伸びが上回っているという状況です。健康寿命と申しますのは、いわゆる健康上の問題で日常生活が制限されない期間ですので、元気にピンピンと過ごしていただく期間です。高齢者と考えますと、重要なのはフレイルではないかと考えています。フレイル予防で考えますと、やはり運動と栄養が2つの重大なポイントだと思っています。資料3-2の6ページ目を御覧いただくと、その運動と栄養の目標として、運動に関しては日常生活の中での歩数、栄養に関しては、やせの問題がフレイルに影響する場合があるので、BMIが20以下の方を対象に減らしていくというような運動をさせていただきまして、運動と要因からフレイル予防を進めた上で、健康寿命を延伸していくというような取組を健康増進の下で進めているという状況です。説明としては以上です。ありがとうございます。

○菊池座長
 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等お願いいたします。平野委員、お願いします。

○平野委員
 私のほうからは、最初のほうの2-2の課題2を中心に質問と意見を述べたいと思います。よろしくお願いいたします。今日の御説明の中にもあったと思いますが、両方とも設置についてはそれなりに進んできたと。しかし、その中の活動内容について、特に恐らく協議体や生活支援コーディネーターのことをおっしゃったのではないかと思いますけれども、一定の課題が残っているという御説明だったと思います。仮にそう考えた場合、指標としては相変わらず配置人数や協議体の数というものにとどまっているものですから、今後の課題ということで、ちょっと意見を申し上げたいと思います。
 それで、資料のパワーポイントの10ページ、恐らく今までも私も見てたのかなと思いますけれども、ちょっと興味深い点で申し上げますと、これは地域ケア会議の絵が中心になってまして、右の生活支援体制整備の所から、そこだけに限っているわけではないのですが、双方向の矢印が出ていますよね。ここで地域ケア会議とこの協議体づくりを同じ課題に並べているということの意味は、先ほどの御説明の中にもあったかと思うのですけれども、地域ケア会議の中で明らかになってきた課題を地域展開する場合に、協議体が活用できるという場合もあるでしょうし、それから協議体で出てきた課題を地域ケア会議という専門家が受け止めていくという、この双方向のことがこの図で非常に明確にされているのかなという感じは持ちました。
 そういう意味で、例えばその両方ともを地域包括支援センターで受託している場合も当然あるとは思いますが、いずれにしても、この間の連携ということを何とか今後の活動を活性化させていく上で、指標になるようなものをその中から見いだせないのかなということを、今日の御説明の中で、あるいはこの図の中で印象を持ちました。
 実際にそれを指標として出すのはなかなか難しいとは思いますけれども、先ほど最初に触れましたように、やはり地域ケア会議においても、かなり設置数は高いわけですし、それなりのことも進んでおります。もちろん、第2層協議体の設置の数はまだまだということもあるかとは思いますが、いずれにしても今後の改善ということを考えた場合に、この両者のつながりのようなものについて、何らかの計測方法はないのかというのが私の質問内容です。以上です。

○菊池座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○老健局
 御指摘ありがとうございます。推進課長でございます。御指摘いただいたとおり、地域包括支援センターと生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーター、あるいは協議体というものが、個別の事案にしても、地域課題にしても、密に連携していくということは極めて重要な課題でして、そういった観点から双方向の矢印が出ているということです。
 御指摘いただいたとおり、生活支援コーディネーターの多くは地域包括支援センターに配置されているという実態もありますので、そういった実態も踏まえて、この情報連携ということを指標とすることがいいのかどうかも含めて、正直私もどういったことがあり得るのか、単にこの設置状況だけで政策を図るというのは不十分であるだろうとは思うものの、一方でこの内容的な、図る評価軸というのは何なのだろうかということについては、現在は答えを持ち合わせてはおりません。引き続き、御指摘も踏まえて、あるいは先生方の御意見を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

○菊池座長
 平野委員、いかがでしょうか。

○平野委員
 是非その辺りを何らかの形でデータ化していただいて、今後の改善指標を国のほうから提示していただけるといいかなと考えております。よろしくお願いいたします。

○菊池座長
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。藤森委員、お願いします。

○藤森委員
 私のほうからは、まず資料3-2、3ページの達成目標1に関しまして、指標1の目標値が挙げられていますが基本的には「前年度以上」となっています。年度ごとの目標値の数字は恐らく全国レベルの数字ではないかと思いますけれども、「地域の事情に応じたサービス基盤の整備」を目標値の設定の根拠として書いていますので、もう少し地域の実情に合わせた目標の設定ができないのかなと思いました。
 例えば、単身世帯や要支援以上の高齢者の割合と、それから単身の要支援以上の高齢者一人当たりの事業者数といったところをクロスさせて、それを自治体の規模別に見ていくだとか、ここをちょっと工夫しないと難しいところだと思います。地域の実情に応じた整備状況が示せるような数字になればいいなと思いましたので、御検討いただければと思います。
 それから、先ほど平野先生から御指摘がありました達成目標2について、4ページの達成目標2の目標値が「前年度以上」となっておりますが、私も同じように、自治体ごとの違いも随分とあるのではないかと思っております。先ほどポイントとして示していただいた概要の11ページを見ますと、一番下のグラフにおいて、「地域包括支援センターが実施した地域ケア会議の開催件数」が12回以上の所が2割以上ありますが、一方で0回という所が9.1%と1割程度あります。この部分を底上げをしていくというのは、指標になり得るのではないかなと思いました。御検討いただければと思います。以上です。

○菊池座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○老健局
 貴重な御示唆を頂きましてありがとうございます。総合事業につきましては、活性化の観点から、しっかりと進捗状況をどのように把握するのかも含めて検討していく必要があると考えております。また、この総合事業を使ったサービスあるいは取組だけではなくて、地域においては自治会の活動や様々な活動もありますので、そういったことも含めて、どのように地域における活動、取組として評価していくのかも含めて検討していきたいと思います。ありがとうございます。

○菊池座長
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。新保委員、いかがでしょうか。

○新保委員
 ありがとうございます。いずれも本当に重要な取組だと思うのですけれども、例えば3の予防・健康づくりの達成目標の8と9、日常生活における歩数や低栄養傾向の高齢者割合なのですが、これは全国の取組状況で達成度を見ていくのか、それとも地域ごとの在り方のようなもので見ていくのか、その辺りはいかがでしょうか。

○健康局
 健康課でございます。これは健康日本21という取組の中で行っておりますので、まずは日本全体、全国の数字で見ております。その上で、詳細な分析で都道府県のデータを、データの信頼性が担保可能な範囲において、見られる範囲では見ようとは思っておりますが、まずは全国ということで運動としてはやっております。

○新保委員
 ありがとうございます。

○菊池座長
 よろしいでしょうか。岩崎委員、いかがでしょうか。

○岩崎委員
 御説明ありがとうございます。私のほうからは具体的には特にはないのですが、私は障害者領域の研究者であり、実践者でもあるのですけれども、共生型のサービスなどはできてきているのですが、実際は余り、活用といいますか、事業者の人たちが余り進んでやっていただけるという状況がなかったりとか、高齢者のほうも本当にいろんな意味で整ってきてますけれども、高齢になってきた障害者なども、そこにいい意味で一緒にうまく参画できるような、本当に多様なサービスがより一層充実してくれたらいいなと思いました。意見です。以上です。

○菊池座長
 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。ございませんようでしたら、幾つか御意見を頂きましたので、担当課として、それらを踏まえた事前分析表の反映が可能かどうか御検討いただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、本日予定しておりました議事は終了いたしました。多くの有意義な御意見、御質問を頂きましてありがとうございます。本日は肥沼さんが御不在ということでしたが、事務局がつつがなく進行してくださって無事に終えることができました。どうもありがとうございます。それでは、事務局から本日の議論の取扱いについて御説明をお願いいたします。

○事務局
 本日頂いた御意見等の取扱いですが、まずは事前分析表の記載に関する指摘につきましては、担当課におきまして必要な修正をいたします。その後、政策立案・評価担当参事官室で取りまとめ、総務省への通知及び厚生労働省ホームページでの公表を進めさせていただきます。取りまとまりましたら、皆様のほうに最終版のほうを送付したいと考えております。本日の会議の場で伝えられなかった御意見等がございましたら、3月7日、来週の火曜日までに、事務局のほうまで御連絡を頂ければ対応いたします。説明は以上となります。

○菊池座長
 何か追加でありましたら、遠慮なく事務局までお寄せいただければと思います。お願いいたします。それでは、これをもちまして本日の会議は終了させていただきます。どうもありがとうございました。

会議後の提出意見
座長の指示のとおり、会議時間の制約により、会議の場で発言できなかった意見については、事務局宛に提出されることとなっていたところ。新保委員より意見提出があったことから、議事録として以下のとおり公表する。

  1. 生活保護の適正実施について

    「適正実施」は、まさに、基本目標Ⅶの「ナショナルミニマムを保障し、社会変化に対応した福祉サービスを提供するとともに、自立した生活の実現や安心の確保等を図ること」に対する、適正な実施を意味していると考える。
    他の複数の委員から発言があったとおり、必要な人が生活保護制度にアクセスできているか(捕捉率の確認)ということも、重要な課題である。
  2. 就労支援について
    会議の場でも発言したが、「生活保護における就労支援に関する研究会報告書」(2019年)にて、就労支援の課題について一定の整理がなされており、アウトプット、アウトカムの指標となる内容も盛り込まれている。
    https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000486660.pdf
    https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syakai_521848.html
    現在の達成目標1は、KPIや世論を意識しているものと思われるが、実態は「就労による保護脱却できるような状態像の被保護者は多くはない」状況にあり、多様な就労をすすめる流れにあると上記報告書でも整理している。
    現在のような達成目標を掲げてしまうことで、被保護者と現場は、できないことを無理にすすめることになる。
    「生活保護受給者」であることを明かしてしまうと企業が採用しないというような外的要因もある。
    現状をふまえて多様な就労をすすめる方針に則った達成目標を掲げることが重要でないか。
  3. 医療扶助について
    医療扶助についても、「医療扶助に関する見直しに向けた整理」が2022年に検討会により出されている。
    https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000985853.pdf
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12335.html
    頻回受診については、WGの場で伝えたように、「頻回受診指導を受けた者のうち、指導後も改善に至らない者(以下「頻回未改善者」という。)が約半数いる状況が続いている。頻回未改善者の中には、精神疾患や認知症等の影響から療養上の指示事項の理解が難しい場合や、社会的孤立や精神的不安に起因する場合も多いと考えられ、こうした未改善者に対する実効性のある更なる対策が求められる。」(上記P12)とされている。
    保護課の努力だけで改善できない諸状況があるものと考察しており、更なる対策の検討が求められている中で、これを目標としてしまうことには、2と同様に無理があるのではないかと考える。
     むしろ、平成30年度の法改正で法定化された「健康管理支援事業」については、以下のような現状と課題がまとめられており、このような現状と課題をふまえた課題設定が必要ではないか。
    https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/000948315.pdf
  4. その他
    会議の場でも発言したが、生活保護行政は、一般市民の制度に関する正しい理解が必ずしも得られないなかで、「働けるのに働いていない」「医療を必要以上に利用する」というような眼差しの中で、KPIが設定されたり、頻回受診指導が求められたりしていることを感じている。こうした誤解が、必要な人が必要な時に制度を利用する妨げとなり、医療や支援がかなり必要になるまで悪化して、ようやく制度につながるというような状況をもたらす。力を失った状況にある人々への支援や医療は、長期化し、より時間と費用がかかるものとなる。
    本人自身が自分自身の生活をよりよくすることに資する自立支援を、早期に適切に実施していくことは、生活保護制度の目的を達成するとともに、予算を適切に用いることにつながると考える。
    保護課では、検討会、研究会の検討に資する様々な調査を実施し、実態把握につとめてきた。それをふまえて、政策評価の目標設定を、現状に即したものにする必要があることを痛感している。