2023年2月7日 第13回政策評価に関する有識者会議 医療・衛生WG 議事録

日時

令和5年2月7日(火)14:00~16:00

場所

オンライン開催

出席者

印南座長、井深委員、大西委員、佐藤委員、田宮委員、宮﨑委員

議事

 

○室長補佐
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第13回政策評価に関する有識者会議医療・衛生ワーキンググループ」を開催いたします。政策評価の担当をしております肥沼でございます。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様におかれましては、オンラインでの会議開催に御協力いただきまして、誠にありがとうございます。今回はオンラインでの開催となりますので、御不便をおかけすることもあるかと存じますが、会議途中で不都合等が生じた場合には、WEBEXのチャット機能又はお電話にて事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 本日の会議では、事前に委員の皆様にお送りしました会議資料を使って議事を進めさせていただきます。会議中は、御自身が御発言される場合以外はマイクをオフにして、音声をミュートの状態にしていただくとともに、ビデオ等は停止いただくようお願いいたします。御発言の御希望がある場合には、WEBEXの「挙手」のアイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局にお知らせください。事務局にて御発言の希望を確認した後に、発言者を座長が御指名いたしますので、座長からの御指名を受けましたら、ミュートを解除して御発言ください。それに合わせて御自身の映像を表示される場合には、「ビデオを開始」をクリックいただければ、映像が表示されます。御発言が終わりましたら、再度マイクをミュートにすることをお忘れなくお願いいたします。
 また、令和4年12月1日付けで異動がありまして、当室に参事官として石塚が着任いたしました。会議に先立ちまして、参事官の石塚から御挨拶申し上げます。
 
○調査分析・評価担当参事官
 本日はお忙しいところ、御参集いただきましてありがとうございます。昨年12月から山田の後任として参りました石塚と申します。よろしくお願いいたします。
 
○室長補佐
 それでは、議事を早速進めたいと思いますので、本日の議事進行につきましては、座長の印南先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○印南座長
 本日は議事次第にありますように、令和5年度実施施策に係る政策評価の事前分析表(案)を中心に、委員の皆様に御議論いただきます。それでは、本日の議論の具体的進め方について、事務局より説明をお願いします。
 
○室長補佐
 それでは、本日の議事の進行につきまして、事務局より御説明させていただきます。本日は、令和5年度事前分析表(案)のうち、令和6年の夏に実績評価を行うもの、つまり、令和6年の8月頃に実績評価を行う施策で、そのうち医療・衛生ワーキングにおいて評価書を御議論いただく施策目標について、御意見を頂きたいと考えております。具体的には、議事次第に記載されている4つの施策目標について御議論いただきます。テーマによって多少時間は異なりますが、まず担当課より10分程度で説明を行い、その後15分程度で御議論を頂く形で進めたいと思います。なお、会議資料の「概要(事前分析表のポイント)」の中に、事前分析表の確認すべき主な事項をまとめておりますので、こちらも適宜御参考いただいた上で、委員の皆様から御意見を頂ければ幸いです。事務局からは以上でございます。
 
○印南座長
 それでは、1つ目のテーマ、施策番号Ⅰ(1)-6-2「適正な移植医療を推進すること」について、担当課から10分程度で説明をお願いします。
 
○健康局
 健康局の移植医療対策推進室長でございます。それでは、資料1-1に沿って御説明をいたします。
 1ページ目に概要をまとめておりますので、移植医療の現状がどういう状況になっているのかということから簡単に説明したいと思います。3ページ目、4ページ目辺りですけれども、基本的に移植には大きく分けて、臓器を提供する臓器移植と、血液のがんの白血病等の患者さんに対して造血幹細胞を移植する造血幹細胞移植の2種類があります。いずれも国民の方々に御理解をしていただくことが大事ということで、ここに書いてありますように、各種パンフレット、あるいはカード等を作成して、普及啓発に努めているという現状です。
 4ページ目ですが、1つ目の臓器移植は、亡くなられた方の臓器を病気の方に移植をしますが、誰から誰に移植をするということのあっせんを日本臓器移植ネットワークという所が、大臣から許可を受け、ここが一義的にあっせんをしているという状況です。
 その臓器提供はどのぐらいあるのかということが、5ページ目です。平成10年から法律にのっとって臓器移植が進んでおりますが、おおむね100例ぐらいの方々の臓器を頂いて、いろいろな臓器を病気で待っている方々に提供しているという現状です。累計は896名という状況で、コロナの影響で令和2年、3年は件数が減ってきていますが、令和4年度、今年度にはもう既にコロナ前と同等の水準です。この棒グラフは12月末現在ですから、あと3か月分ありますので、おおむね令和元年の頃の水準に今年度は戻るのではないかなと考えています。
 6ページ目です。臓器が提供される件数は100件で、それぞれの臓器がどのように使われているのかということで、腎臓、肺、肝臓、心臓、膵臓、小腸と、こういった臓器を実際にあっせんをして、医学的に優先度の高い方々に提供しています。腎臓はお一人に2つあるので、腎臓は件数が多いという状況になりますが、おおむねこういう状況にあります。
 7ページ目です。亡くなった方の臓器を摘出して日本全国に搬送するのですが、どこでも臓器提供ができるかというと、そうではありません。真ん中に書いてありますが、日本全国で合計908の医療機関において、そこで亡くなられた方に臓器提供の意思があるときには、それを医療側で判断、家族によく説明した上で、臓器を頂くというような状況になっています。
 一方で、右側の円グラフですが、908の施設の中でも、実際に体制が整っている所と整っていない所があります。半分ぐらいの施設で整っている、半分ぐらいの所で整っていません。この分母である908というのは、大学病院であったり、各種学会の指定の施設であったり、外形的に指定されているだけですので、その中身は様々です。この臓器提供につきましては、脳死の方々の臓器を頂くことが多いので、脳死の場合には脳死判定ということで、お医者さんがお二人必要で、2回に分けて脳死を確実に判定をして、なおかつその脳死が適切なのか、判定は適切なのかということを倫理的にも、病院の中できちっと検証するような体制が整っていなければ、脳死と判断して臓器を提供するところに至らないということで、そういった体制がきちんと整っているのが半分ぐらいです。一方で左側の円グラフですが、実際に整っている所でも、経験があるかというと必ずしもそうではなくて、経験がある所とない所がある。これは、対象となる患者さんがその医療機関で亡くなられるかどうかということにも起因しますが、現状はこういう状況にあります。
 こういった施設を少しでも増やしていこうということで、8ページで、予算を活用させていただいて、いわゆる908の施設の中で、少しでも体制を整えてもらおうということです。先ほど申し上げましたように、脳死の判定等を含めて、院内でいろいろなマニュアルをきちんと策定して、確実に間違いなく脳死の判定ができて、倫理的に検証ができるのかとか、そういったことをやっていただけるような準備に係る予算ということで、この事業をやっています。右のグラフにありますように、合計で110程度の施設に毎年予算をお渡ししているわけですが、実際にその中で摘出に至ったのが65施設、残りの46施設はまだ経験がないという状況です。それを更に進めていきたいと考えています。
 続きまして9ページ目です。医療側の体制はそういう形で整えている、整えつつありますが、国民に対してどう理解をしていただけるのかという取組も必要です。実際にその臓器提供意思表示というのは、免許証だったり、マイナンバーカードだったり、その裏を見ていただくと小さい字で、どの臓器を提供するのか可能なものについては丸を付けるという欄もありますが、そういったところで意思表示をしていただくように、我々としては普及啓発を進めています。実際にここの棒グラフにありますが、調査でいうと、全体で10%ぐらいの方々が臓器提供をしようという意思表示で、免許証や保険証に丸を付けていただいているという現状です。一方で、やはり不安感、抵抗感、怖いということもあって、なかなか臓器提供の意思表示ができないという御意見もありますので、臓器提供、臓器移植が患者さんのために役に立つものだということも含めて、広く普及啓発をしていく必要があると考えています。
 10ページに具体を少し書かせていただいていますが、毎年10月に臓器移植普及推進月間、いわゆるグリーンリボンということでキャンペーンを毎年開催し、ここにもありますけれども、国民大会という形で、いろいろな県で、毎年違う所でやると。現地のメディアに比較的大きく取り上げていただけることも多いので、そういったことで推進を図っています。併せて学校からいろいろ問合せもあって、いろいろな啓発媒体が欲しいと、小学校の先生方からも個別にお話もありますので、そういったものを対応させていただいています。
 続きまして、2つ目の移植ということで、造血幹細胞移植について御説明します。これは最初に申し上げましたように、白血病だったり、血液のがんの方々は、血液のがん細胞をまず化学療法や放射線治療でしっかり死滅させた上で、正常な造血幹細胞をほかの方から頂いて移植し、その人の血液細胞を回復させる治療について、11ページに書かせていただきました。
 我々の一番の問題意識というのは、少しページが飛びますが、15ページを御覧ください。ACの広告等でいろいろ普及啓発をしているところですが、骨髄バンクがあります。骨髄バンクについては、若い頃から患者さんのために骨髄を提供するということで、あらかじめ登録をしていただいて、血液の型、HLA型が合った方とマッチングをして、登録をして、いつか患者さんが出てくれば電話連絡が、日本骨髄バンクという所から連絡が来て、実際に骨髄を提供すると、こういう仕組みになっているわけです。実際にあらかじめ登録をしていただいているドナーの方々の年齢推移を左側に示していますが、平成24年度には39歳がピークだった山が、その10年後には右側に、高年齢のほうに推移していくのが見て取れると思います。基本的に55歳までの方の骨髄しか、年を取ると治療上なかなか使いにくいということがあるので、課題としては若い方々の登録をあらかじめしていただいて、若い方々の骨髄を使える体制を作ることが大事かなと考えています。我々の政策的なミッションは、そういうところで普及啓発を進めています。
 一番最後のページ、17ページですが、先ほどの臓器移植と同様に、各種パンフレット、あるいは推進月間等も同じく10月に設定し、特に大学生などに出前でキャンペーンをして登録をしていただく取組を進めています。私からの説明は以上です。
 
○印南座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御意見、御質問等があればお願いいたします。大西先生、お願いします。
 
○大西委員
 御説明ありがとうございました。まず、臓器提供に関する達成目標、測定指標等について概要を御説明いただきました。参考指標の設定はされていますが、基本的には達成目標で、何というか、非常に大きいところのアウトカム、アウトプット双方を測定指標で設定されているように、この表を見た限りでは印象を受けました。
 アウトカムはなかなか難しいかもしれませんが、アウトカム、アウトプット双方に関わるのかもしれませんが、例えば、最終的な臓器提供者数やシステムへの登録者数よりも、もう少し手前の学校や職場等、運転免許更新の機会における普及啓発の施策のようなものについて、何か実績数、啓発活動の事例数等、そういった形で大きな戦略目標だけでなく戦術目標的な測定指標の設定の在り方というものが考えられないのかというのが、この施策目標を見た限りでの印象です。
 その戦術目標的な指標がもう少し考えられないのかというのは、このアウトプットに関しても同じことが言えます。例えば、院外研修の受講者数等、そういった目先のやっている感だけの施策目標では、逆に話がミクロすぎて具体的な最終的な政策効果とのつながりは見えにくくなってしまうのかもしれないですが、ただ、さはさりながら、臓器提供者と提供体制を整えている施設双方で、もう少し目先の目標をクリアしていくような施策目標の設定の在り方を考えられても良いのではないかと、今回の施策目標を拝見して感じたところです。その点について所管課として何らかのお考えがあれば、お伺いできたらと思います。
 
○健康局
 おっしゃるとおり、この目標、指標については非常に大きな目標となっています。ただ、例えば、医療機関、施設数ということで申し上げると、研修だけをやっている、あるいは受けている方々は、臓器移植の歴史も四半世紀になりましたので相当程度いらっしゃるのですが、そこだけやってもなかなかうまく施設数増加等に結びつきません。
 これは参考指標になっていますが、実際に、そういった院内整備に係るような事業に参加している施設数等は、その中に研修等も包含されていますので、そういったところからスタートアップとしては1つ大事かなということです。参考指標という位置付けは微妙ではありますが、一応、それが目先の目標ということで、既に移植を提供していただいている医療機関ともシェアしながら、自分の周りの医療機関にも声を掛けていただき、こういった施設を1つでも増やしていくことを各地域でも取り組んでいただいておりますので、これが非常に目先の、先生がおっしゃるところの指標かなと考えております。
 
○印南座長
 よろしいですか。
 
○大西委員
 ありがとうございます。同じような視点の特定指標や参考指標の設定の在り方を、臓器提供者のドナー側の意思決定への働き掛けに関しても、何らかの測定指標なり、参考指標なりの設定の在り方みたいなものをお考えいただければと思います。やはり、このようなことが万が一自分の身に起こった場合、きちんと家族と話しておくこと自体にかなり心理的なハードルがあるという実情も、自分の家族のことを考えてもあるのではないかと個人的には推測しているところもあります。
 
○健康局
 おっしゃるとおりだと思います。先ほど私が説明した医療機関側は把握しやすいのですが、国民の理解や同意の取得についての把握は非常に難しいのです。おっしゃるとおり難しいからこそ、足元の目標を何に置くかというのは非常に大事な視点であり、我々も悩ましいところも実はあるのですが、ここは我々としても考えていきたいと思っております。
 
○印南座長
 ほか、いかがでしょうか。佐藤先生、お願いします。
 
○佐藤委員
 産経新聞の佐藤です。大西先生の御意見にほぼ賛成なのですが、やはり臓器提供者数は多分結果だと思うので、これを目標に掲げるのはどうなのだろうという感じがいたしました。2の脳死下臓器提供体制を整えている施設数は、主観を聞いています。施設自身ができると思えることはすごく大事なことだと思うのですが、何ができないと思っていたことが何ができるに変わったのか、例えば、脳死判定のマニュアルができたとか院内マニュアル作成などが具体的に出ていましたが、例えば、これらが実施した幾つの施設でできたか等は、目先の目標として立てられるような気がしました。数値目標があったうえで、できると思えた施設が幾つになったというような、もっと手前の目標値があるといいと思いました。
 それからもう1つは、右側の普及啓発のところですが、若者に向けた普及啓発を目的としているので、目標にも若者に特化した目標が欲しいような気がしました。以上です。
 
○健康局
 臓器のほうは先生と同じような御意見だと思いますので、きちんと考えていきたいと思います。また、骨髄バンクについてもおっしゃるとおり、はっきり言ってターゲットは若年層ということは明確ですので、そこも含めて少し我々も政策を推進する上で指標等を含めて考えていきたいと思います。
 
○印南座長
 井深先生、お願いします。
 
○井深委員
 この達成目標1の部分で、アウトプットとして脳死下の臓器提供体制を整えている施設数というのは非常に重要な指標だと思います。同時に、この現状の背景部分を拝見していると、この脳死下での臓器提供体制を整えている施設数は順調に増加傾向にあるということで、これは好ましいことだと思います。ただ、そちらが進んでいるにもかかわらず、臓器提供者数は伸び悩んでいるという現状がここから読み取れるわけですが、その院内での体制整備が進んでいるにもかかわらず、臓器提供者数が伸び悩んでいるという理由にアプローチしていくことが非常に重要なのかなと思います。
 その原因がそもそもどこにあるのか、この提供者数が少ないことに起因するのであれば、もちろん、そこが重要だと思いますが、それ以外にも何か原因があるようでしたら、その原因にアプローチしていることを表す測定指標というものも含めて検討していくことも十分にあり得ると思ったのですが、その点についてお聞かせいただけますでしょうか。
 
○健康局
 これはなかなか指標化というのは悩ましいと思っていたのですが、私も同じ問題意識です。現場の先生に幾つかお伺いすると、臓器提供というのは、多くは救急の現場で行われますが、蘇生等、一旦治療をして、その後、どこかのタイミングで脳死になるであろう患者さん、御家族に対して、もう難しいので臓器提供という選択肢がありますよと救急医が家族に説明しなければいけないということで、救急の中でのマインドをどのタイミングで変えるのかは非常に難しいというのは救急の先生方からよくお話を聞きます。命を救おうという行為から脳死を認めるという行為にシフトさせるわけです。そのようなところは別というか、臓器提供の意味付けについて救急医の先生方によく理解していただくことがまず大事です。
 もう一点は、御本人が臓器提供の意思を持っていても御家族が反対ということもあります。そうすると臓器提供に至らないということで、なかなか溝を埋められない理由は数多あると思いますが、医療側と患者あるいは家族側と双方にそれぞれの理由があるのではないかと思います。ここの指標にもありますが、双方の取組を進めることが提供数を増やすことの近道であり、正攻法であろうと考えており、大きなこの二本柱で進めています。
 
○印南座長
 よろしいでしょうか。
 
○井深委員
 ありがとうございます。この指標については、そのとおりでよく理解しているのですが、今、おっしゃったような重要な問題点が何かの形で測定できるような方向性についても、すぐにではなくても、長期的に検討していただければ良いのかなと思いました。ありがとうございます。
 
 
○印南座長
 それでは、宮﨑委員、お願いします。
 
○宮﨑委員
 宮﨑です。聞こえますでしょうか。意見としては、最初の大西委員の繰り返しになるかもしれませんが、アウトカム指標ももちろん大事ではあると思いますが、この場合、やはりどのような取組がそこに影響を与え、アウトカムに影響を与えるのかという、そこの方策をもっとクリアにしなければいけないのではないかと感じます。
 ですので、せっかくターゲットを絞り込まれ、幾つかの取組計画も立てられているのですから、その中のどれがアウトカム指標に影響を与えるのか、そこの因果関係をもう少しクリアにしていくためにも、あえてプロセス指標というべきか、アウトプット指標というべきか、それぞれの取組にどれぐらいの人が参加したのかというような、アウトカムに何が影響を与えるのかの指標設定が私は必要なのではないかと思います。
 特に、絶対的に不足しているのは、国民の方たちへの普及と啓発だと思います。やはり本日お示ししていただいた資料も、私は「ああ、そうなのか」という、いろいろなデータがありましたし、やはり、このようなことの普及啓発をもっとしっかりやっていくこと、それをどれぐらいやったのか、アウトカムにどれぐらい影響を及ぼしたのかを見ていくという、アウトカム指標も究極大事ですが、それだけでは足りないのではないかというのが意見です。
 
○健康局
 なかなかアウトカム指標だけですと、ゴールが遠いということだと思います。足元で何をすれば、そこのゴールに辿り着くのかというところの因数分解を少しするべきではないのかという御意見だと思います。我々としても、それは政策を進める中で重要な視点だと思いますので、どのような形でできるか検討してまいりたいと思います。
 
○印南座長
 私からよろしいですか。臓器移植の意思表示のデフォルトを変更するつもりはないのでしょうか。つまり、今はオプトインですよね。明示的に移植の意思を示さないと。それに対してものすごく抵抗があるわけです。だから、他国でやっているように、逆転して基本的にOKで拒否するのも自由ですが、それはオプトアウトしてもらうというようにデフォルト変換するのが、画期的に解決するかどうかは分かりませんが、いろいろなデータを聞いていると、そのような国でもそんなに劇的に増えたわけではないみたいなことも示されていますが、余りにも日本の少ない現状を変更するきっかけにはなるのではないかと思います。それができない理由は何なのでしょうかというのが私の質問です。
 
○健康局
 実は、我々も非常に毎回それが悩ましい点で、やはり、そのオプトイン、オプトアウトの考え方というのは、各国によって今随分状況は違っています。実は、この臓器移植法ができたときに、脳死の考え方について日本の国内で非常に議論があったところです。「そもそも脳死は人の死なのか」ということで、これは議員立法で法律ができましたが、党の縛りを越えて、縛りを外して、それぞれの議員の先生方が投票したぐらい非常に倫理的なところの根幹だと思います。
 今なお、現状としても「脳死が人の死なのか」というところの臓器移植の一番最初の部分ですが、そこでもまだまだいろいろな御意見があるというのが、私がここの担当になって感じているところです。もちろん、おっしゃったように、オプトイン、オプトアウト問題というのは非常にあり、それは先ほどのアウトカムに極めて大きく、他国を見ると影響するのは分かっていますが、その国民性がどの程度許されるのかということもございますので、普及啓発をする中で、そういったものも少しずつ前に進んでいくことができれば、先ほどの同意のところが比較的簡単に取りやすくなることはあるかなと思っています。答えになっておらず、すみません。
 
○印南座長
 状況は分かりますので。もう1ついいですか。パンフレットと書いてあるのですが、パンフレットの中身を結構問題にすべきではないかと思います。というのは、最近、行動経済学や行動インサイトの分野で、同じパンフレットでも単にメリットを強調するだけでなく損失を回避することを強調したほうが効果が上がるなど、いろいろな知見が出ています。それはまだ取り入れる価値があるというか、一部の方から反発を受けるかもしれません。このような損失回避型はどちらかというと恫喝に近い形になるので。あとは、確かな知識ではありませんが、この臓器提供の意思表示をしていると、災害時等に優先的に受給できるのでしたか。それは私の勘違いですか。
 
○健康局
 それはないと思います。
 
○印南座長
 ないですか。
 
○健康局
 ただ、おっしゃったように、やはり普及啓発もパンフレットの中身が重要だというのは、非常に我々も同感です。良いことだけをつらつら並べても、なかなかうまくいきませんので、今、実際に研究班でどのようにして普及啓発をしていくのが良いのか研究をして、実際にやっていただいているので、そういったことを取り入れながらやっていきたいと思います。
 
○印南座長
 特に、私の聞いた話では、腎臓移植は平均14年間も待っていらっしゃいます。その間に亡くなってしまっています。そのような事実があり、余り日本人は好きではありませんが、どこか露骨に1回出してみるというのはいかがでしょうか。貴重な命が失われているわけですから。
 
○健康局
 実際に臓器を待っている方がこれだけいるのだということは、かつて我々は数字で結構出していたようですが、ただ、数字を出すだけではやはり響かないのです。そこに光を当てて普及啓発をすることは国民的な関心を高める意味でも非常に重要なことだと思いますので、進めていきたいと思います。
 
○印南座長
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。それでは、次のテーマに移りたいと思います。続いて、施策番号Ⅰ(1)-7-3「医薬品の適正使用を推進すること」について、担当課から10分程度で説明をお願いします。
 
○医薬・生活衛生局
 医薬・生活衛生局の総務課長の衣笠と申します。よろしくお願いします。資料を用いて御説明させていただきます。
 「概要(事前分析表のポイント)」を御覧ください。1ページをお開きください。まず、施策目標3、医薬品の適正使用を推進することですが、現状の御説明です。1は薬剤師と薬局の概況です。約6.1万の薬局があり、そこに19万人の薬剤師が従事しています。病院・診療所に常駐する薬剤師はそれぞれ5.6万人と0.6万人、店舗当たりの薬剤師数は1人又は2人の薬局が多い、また、いわゆる門前薬局が多いというデータがございます。
 2は薬局ビジョンへの対応状況です。こちらの薬局ビジョンは平成27年10月に策定されたもので、今申し上げた門前薬局のようなものが乱立していて、患者の服薬情報の一元的な把握ができていないのではないか、医薬分業の効果を国民が実感できていないのではないかという問題意識を背景にして、患者本意の医薬分業の実現に向けて作成されたものです。
 このビジョンにおいてはかぎ括弧で書いてありますが、2025年までに全ての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指すことが目標にされています。かかりつけ薬局としての機能を持つことで、医薬品の適正使用の推進が期待できるのではないかということで、これを基軸として、その後の施策は進められています。具体的には下にポツで書いていますが、モデル事業の実施や、薬機法の改正による認定薬局制度の創設、調剤後の継続的な服薬指導の義務化、診療報酬改定関連での措置なども講じてきています。
 3は薬剤師の業務と資質の向上です。薬剤師の需給ですが、薬剤師は過剰になるということで、数は十分に揃ってきているので、次は質ということになります。「一方で」と書いておりますが、業務の質の向上に向け、医療安全を確保しつつ、調剤業務の効率化・高度化の方策等を検討ということで、業務の質の向上が1つの方向性です。
 4は薬局薬剤師DXです。電子処方箋システムをはじめとする医薬情報基盤が整いつつありますので、こうしたデジタル技術への対応が必須です。先ほど、調剤業務の効率化・高度化が今後の1つの方向性であると申し上げましたが、そうしたところに持っていくためには、デジタル技術を活用することで業務の効率化を進め、また、業務の効率化で空いた労力を対人業務の充実につなげることが期待されます。我々としては、デジタル技術への対応も大事な部分ではないかと考えています。1から4は、昨今のいろいろな動向を記載しております。特に3に電子処方箋システムを書いていますが、1月から全国的な基盤としてシステムの運用が開始され、今後参加施設が増加していく局面に入っていきますけれども、そういった動きもあります。
 こうした1から4に掲げたような現状を踏まえ、規制改革などの動向も背景として、薬局薬剤師ワーキンググループで、更に議論が行われています。こちらは参考資料として後ろのほうに付けております。作成経緯で書いておりますが、地域医療を担う一員としての期待が高まっていることや、ICT等の技術が発展して取り巻く環境が変化していることなどを踏まえ、下の「基本的な考え方」のとおり、対人業務の更なる充実を図っていく、ICT化への対応を図る、地域における役割ということで、地域での必要なサービスを地域の薬局全体で提供する、こういったことを基本的な考え方として進めるものとし、昨今の状況を踏まえてバージョンアップさせた施策の方向性も取りまとめています。
 資料の1ページにお戻りください。こういったことを背景としながら、課題1としては、処方箋受付時以外の対人業務、セルフケアやセルフメディケーションの支援等の健康サポート業務等の更なる充実が大きな課題としています。課題2としては、ITリテラシーの向上です。そうした下で、達成目標1としてかかりつけ薬剤師・薬局の推進、達成目標2として電子処方箋の普及としており、これらを大きな目標としているところです。
 達成目標1、2を踏まえた細かな数値目標ですが、資料2-2の事前分析表の2ページを御覧ください。まず、達成目標1について、地域連携薬局の数です。こちらの右のほうで測定指標の選定理由に書いておりますが、外来受診時だけではなくて在宅医療の対応や入退院時を含めて、他の医療提供施設との服薬情報の一元的・継続的な情報連携に対応できる薬局、これを地域連携薬局として認定する制度が薬機法の改正で創設され、令和3年8月1日から開始されております。こちらを目標として定めており、令和3年度比で令和6年度に50%増加させるという前提で目標値を組んでおります。
 2番は健康サポート薬局です。選定理由にありますが、これは地域連携薬局と違う角度での薬局で、かかりつけの薬剤師・薬局としての機能に加えて、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援するという、健康の維持・増進のサポートを行う薬局です。この薬局である旨を表示・公表できる制度が平成28年から実施され、こちらも指標として採用しており、令和3年度と比べて令和6年度には30%増加の設定としております。その下に健康サポート薬局の関連の指標として3に書いていますが、国・都道府県による健康サポート薬局の周知活動の実施回数、健康サポート薬局を活用した施策を行った都道府県数といった、健康サポート薬局の周知に関係するようなものも数値目標としています。
 達成目標の2については、次のページを御覧ください。オンライン資格確認システムを導入した施設における電子処方箋システムの導入状況です。選定理由に書いておりますが、オンライン資格確認の基盤を活用した重複投薬の回避にも資する電子処方箋の仕組みということで、オンライン資格確認システムの中で電子処方箋は上乗せで動くシステムです。1月に運用が開始されていますので、この数値目標を掲げています。閣議決定の中で、令和6年度末においてオンライン資格確認システムを導入した施設のうちおおむね全ての医療機関と薬局での導入を支援するというように書いておりますので、それを目標として採用しています。それに向けた過渡的な目標もございますが、ここはいろいろな状況を見ながら、必要に応じて見直しや検討をしていく数字です。現時点ではこのような目標にしています。
 6については、上はアウトカムですが下はアウトプットで、似ているような形ではありますが、医療機関等向けポータルサイトでの電子処方箋利用申請完了施設数を設定しているところです。事務方からの説明は以上です。
 
○印南座長
 ただいまの説明について、御意見あるいは御質問があればお願いいたします。
 
○田宮委員
 政策目標に、まず医薬品の適正使用の推進を挙げて、それに向けていろいろなことをされているのはよく分かるのですが、指標が全部アウトプットで、4番目にアウトカムは書いてありますが、これが本当にアウトカムなのか。健康サポート薬局を活用した施策を行った都道府県数はアウトカムなのでしょうか。もう少しダイレクトに適正使用ができていることに迫るものがあってもいいのではないかということが1点目です。
 今、こういう評価にNDBの分析などはどのようになっているのかということを感じていました。ナショナルデータベースでレセプトを使うと、特に医薬品などは全部分かるので、ポリファーマシー、何点以上の薬の処方という、その基準はいろいろとありますが、不適切な薬の使用の組合せとか、いろいろな基準がある程度出てきているので、それをレセプトで分析すれば、できることはできるのです。簡単ではないですが、指標としてはある程度の方向は出せます。かかりつけ薬剤師がいたら処方が変更される率が高いという結果も一部で出ていますし、そういうことをダイレクトに評価する方法もあります。今すぐでなくても、データはあるので省内で検討されて、そちらに少しは舵を切ってもいいのではないかと思いました。これが1つです。アウトプットはあってもアウトカムがないかなと思いました。
 もう1つが、「現状」の3番目です。薬剤師の業務・資質向上というのはすごく大事なのですが、私がいつも思っているのは、薬学部の授業のカリキュラムが地域包括ケアとか、公衆衛生とか、地域医療というところがすごく少ないという課題です。これは皆様に直接申し上げることではないのかもしれないのですが、化学薬品の構造なども大事ですけれども、地域に根差した教育の体制作りはとても重要かなと思います。看護とか医学部というのは、そういうことは大分できているのですが、薬学部はまだまだと考えています。その辺は指標とは別ですが、政策としては大事なのではないかと思っております。以上の2点です。
 
○医薬・生活衛生局
 もう少しダイレクトなアウトカムを設定できないのかという御指摘については、我々ももう少し良い指標はないかと考えてはいるのですが、難しいということもありまして、このようなことにさせていただいております。改革行程表でも、同じような指標を使っています。ただし、ご指摘のようなNDBを使った分析などの余地はないのかという問題意識はありますので、今後、そういったことも内部で検討していきたいと考えています。
 業務の質の向上ということですが、薬学部での教育については、コアカリキュラムの見直しなども進められる中で、そういった意見もあるものと考えておりますので、御指摘を踏まえつつ、文科省とも連携しながら、政策に取り組んでいきたいと考えております。我々としては、地域包括ケアも大事だということを念頭に置いて、2025年という地域包括ケアで掲げられている目標に合わせるような形で、2025年に全てかかりつけ機能を持つのだということが薬局ビジョンの中でも示されています。我々としても地域での役割は重要だというのは同じ考え方ですので、御指摘を踏まえながら検討していきたいと思います。
 
○田宮委員
 ありがとうございました。
 
○印南座長
 佐藤先生、お願いします。
 
○佐藤委員
 産経新聞の佐藤です。薬局の役割を対物から対人に移していくことを目的としているのであれば、今は測定指標にはどれも外形的な目標が出ているのですが、対物から対人に移ったのかどうかが分かる目標があるといいと思いました。
 地域連携薬局の仕組みは評価しますが、全ての所が訪問をやっているわけではないと思いますし、会営薬局的な役割も持つことになっていたと思いますけれども、多くの役割のリストの中から指標を挙げて、どれだけの所が訪問薬剤をやっているか、というような質に着目した指標が挙がらないかなと思いました。
 併せて、2、3、4と健康サポート薬局についての指標が挙がっているのですが、このときの法律改正で、地域連携薬局と一緒に専門医療機関連携薬局というのができたと思うのです。専門医療機関連携薬局で、病院と薬局との薬薬連携がどのぐらいできているかというような指標もあるとよいと思います。
 右側の電子処方箋関連で言えば、5と6について、何が違うのかがよく分かりませんでした。是非ここで、例えばオンライン資格確認を使った疑義照会がどのぐらいできたのかというような、中身に迫る指標があるといいと思いました。
 
○医薬・生活衛生局
 地域連携薬局ですが、在宅医療に取り組んでいること自体が要件になっております。事前に「在宅医療をどのぐらいやっているのか」という御質問があったので用意しておりますが、普通の薬局込みで3万弱ぐらいがレセプトで在宅訪問対応調剤を行っていて、全体の半分弱ぐらいで実績があります。頻度はまちまちですので当然取組の程度は違いますが、そういった状況になります。専門医療機関連携薬局の在り方については、かかりつけという文脈で記載するのかどうかという話がありますが、いずれにしてもまだ数が少なくて、もう少し実態を見定めながら取り組んでいきたいと考えており、御指摘も踏まえながら、施策などを検討していきたいと思います。
 電子処方箋について、5と6の違いですが、電子処方箋管理サービスを運営しているのは社会保険診療報酬支払基金で、このサービスを利用するときにはそこに利用登録申請をするのですが、その意味で、利用申請は電子処方箋の参加施設になる1つのプロセスとなります。ただし、これだけで終わりではなく、きちんとシステム改修などが終わって、現場の体制を整えて、初めて処方箋を発行するなり受けることができるようになりますので、それがアウトカムで、そういう意味でアウトプットは、まず利用登録、アウトカムが実際にどのぐらいが参画しているのかということで設定させていただいています。
 
○佐藤委員
 地域連携薬局は全て訪問をやっているということで、大変失礼いたしました。発言の趣旨としては、地域連携薬局にしてもオンラインの資格確認にしても、是非それによって質がいかに上がったかが分かるような指標があるといいという趣旨で申し上げました。よろしくお願いします。
 
○印南座長
 ほかにいかがでしょうか。私からですが、適正使用ということなので、適正使用に関する現状が出ていないと言うか、例えば単純に疑義照会の数の推移とか、それを目標化するという意味ではなくて、そのうち処方修正に至った数、その比率がどのように推移しているのかというのは、タイトルからすると当然あるべき資料ではないかと思いました。
 
○医薬・生活衛生局
 疑義照会なり何なり、薬局の働き掛けでどれだけ修正されているかという数字ですが、電子処方箋が入ると重複投薬や併用禁忌のアラートもなされますし、その前後の状況を見られる面がありますので、そういったことの中で、どれだけ把握ができるのかということになると思います。現時点ですぐには難しい面もあります。
 
○印南座長
 宮﨑先生、井深先生の順にお願いします。
 
○宮﨑委員
 指標というより質問になると思います。国としては、かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局というものを今後推進していきたいという理解でよろしいのですよね。これからは地域包括ケアの時代ですから、地域内でそうしたケアをトータル的に受けられるというのは、方向性としては私もそのとおりだと思うのですが、ただ、これまでの構造が、病院ではないとしても診療所付近に薬局の多くが設置されているので、割と診療科目に近い薬剤を準備している薬局が、近場の薬局だと多いのかなと思って、これがかかりつけとなったときに、多様な専門性が薬剤師に求められると思うのです。内科的な問題から、眼科とか、そうしたものも含めてということです。
 だから、薬剤師が扱う範囲が非常に広範囲になるのではないかということを少し懸念したのですが、一方で、高度ながんの治療に関する服薬指導のような、高度な専門機能を持つ薬局も存在して、併せて地域連携薬局というものも存在すると、幾らかカバーできる施策はあるのかなとは思うのですが、かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局となると、すごくカバーする範囲とか専門性が多様化するのかなと。そこら辺は、薬剤師や薬局をサポートする体制というのは、どのようになっているのでしょうか。
 
○医薬・生活衛生局
 予算事業の資料を付けておりまして、その中でも話が少し出てきています。例えば脳卒中とかがんといった疾患に対応した服薬指導のガイドラインのようなものを作るとか、そういったことの中で、専門的な一定の対応ができるような環境も整備していこうとか、先ほどおっしゃったような専門医療機関連携薬局との連携も1つの手法でもありますし、薬学教育のカリキュラムの見直しも専門性につながるところで、そちらも文科省と連携しての見直しは行っています。
 そのほか、現場の病院業務を経験したほうが、より病院と連携できるような専門性が上がるのではないかなどの話もある中で、卒後研修のようなことも何かできないのかという話も出ており、総合的に対応していければと考えています。ここでずばっと言い切るようなものとなっておらず、答えになっているかどうかわかりませんが、そうした組合せの中で対応しているという状況です。
 
○宮﨑委員
 方向性としては、かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局だと思います。だけれども、これまで以上に高度な能力が薬剤師に求められるかなというところで、またいろいろ考えていただければと思いました。
 
○印南座長
 井深先生、お願いします。
 
○井深委員
 先生方のコメントと被る点もあるのですが、医薬品の適正使用の推進という大きな施策目標と、かかりつけ薬剤師・薬局の推進というのは必ずしも。かかりつけ薬剤師・薬局の推進を通じて医薬品の適正使用を推進という方向性だと思いますが、そういった医薬品の適正使用を推進するという指標は、達成目標とずれているという感覚を受けました。
 それから、課題1と達成目標1のかかりつけ薬剤師と薬局の推進についてなのですが、今の話にもありましたが、かかりつけ薬剤師とか薬局というのが、具体的に何をしてくれる所なのか、幅広い内容を扱うということから、そういう問題が起きるのだと思うのですが、分かりにくいところがあるのかなと思いました。ですので、こういう目標の測定をする場合に、かかりつけ薬剤師や薬局の推進の効果をダイレクトに測れるようなアウトカム指標を、引き続き模索していただけないかと考えています。地域連携薬局や健康サポート薬局で行われている具体的な取組があると思うのですが、そういう取組の件数とか利用状況も何らかの形で測るなど、そういったことを参考指標として導入できないのかなと考えました。
 2点目は質問です。電子処方箋の普及です。達成目標として電子処方箋の普及は非常に重要だと思っていて、それ自体はいいと思いますが、課題との関係性が分かりにくいと思っています。課題としては、薬剤師のITリテラシーの普及やDX活用事例の共有が挙げられていて、その達成目標として電子処方箋の普及が挙げられているのは、電子処方箋の普及をすることを通じて、こういうリテラシーの向上などを図るというような意味合いなのでしょうか。
 
○医薬・生活衛生局
 電子処方箋については、ご指摘のとおり電子処方箋の普及自体が直接的にITリテラシーの向上につながるのではなくて、ITリテラシーを発揮するような前提となる基盤の整備といった意味合いになると思います。そういう意味で、まずこの電子処方箋が普及する中で、これに連動して電子版のおくすり手帳なども整備されるとか、そういった環境が整備されて、その上でリテラシーを発揮されるようなことが起こってくると考えております。大前提として、そういった基盤を整備したいという目標になります。
 
○井深委員
 オンライン資格確認システムと電子処方箋のシステムの導入というのは非常に重要なので、目標値についても、前向きな、積極的な目標値を定めて、その達成に向けて取組を進めていただければなと思っております。よろしくお願いいたします。
 
○印南座長
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、担当課におかれましては、本日の御意見等を踏まえて、事前分析表への反映をお願いいたします。ありがとうございました。
 続きまして、施策番号Ⅰ(1)-11-2「生活習慣の改善等により健康寿命の延伸等を図ること」について、担当課から10分程度で説明をお願いします。
 
○健康局
 健康課でございます。どうぞよろしくお願いします。施策目標は、生活習慣の改善等により健康寿命の延伸等を図ることです。政策としては、健康日本21(第二次)を進めており、そこに掲げている基本的な方向性を、概要の現状1~5に並べているとおり5本柱となっております。この中で一番の中核的な方向性である目標が1の「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」です。目標と同様になりますが、健康寿命の延伸と健康格差の縮小を図っていくということになります。健康寿命につきましては、上段のように平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加を達成しているという意味で、健康日本21(第二次)は、評価委員会でも良い評価を頂いている状況です。いわゆる不健康期間が短縮されています。
 一方で、下段の健康格差ですが、都道府県ごとに健康寿命を並べてみると、最も長い県と短い県との差が女性では広がっています。あるいは標準偏差で見ても女性のほうは格差縮小とは言えない状況ですので、引き続き課題がある状況です。そして、この健康寿命の延伸を果たしていくために、生活習慣病の発症予防と重症化予防を進めていく必要があります。
 2の「生活習慣病の発病予防と重症化予防の徹底」についてです。がんや循環器はほかの施策目標で扱っていますので、ここでは糖尿病を取り上げております。糖尿病につきましては一番下段にあるように、血糖コントロール不良者の割合は2009年に比べ2019年では改善されていますが、その他の指標は大きく変わっていない状況です。引き続き対策が求められている状況です。そして、今後のことを考えますと、懸念点、潜在リスクがあると思っております。例えば3の「社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上」は、必要な機能の維持・向上についてですが、ここでは次世代の健康、いわゆる子どもの健康を取り上げております。運動やスポーツの習慣の割合が直近3~4年では横ばい又は悪化している状況です。また、肥満傾向にある子どもの割合は増加しております。
 少し飛んで、5の「栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善」にいろいろな生活習慣を並べていますが、上段の栄養・食生活にあるように、20~60歳代男性の肥満者割合が2013年から2019年では増加傾向です。下の身体活動・運動についても、平均歩数とか成人の運動習慣者の割合が横ばいないし減少傾向で、十分な取組は進んでいないと思われるところです。
 もちろんこれらは個人で、1人で取り組んでいくわけにはいきませんので、周りのみんなで一緒に取り組んでいく、あるいはそのための社会環境の整備が大事になってくるということです。次に、4の「健康を支え、守るための社会環境の整備」についてです。上段にあるように、企業・団体・自治体の健康づくりに取り組む、その支援をする関係機関に手を挙げていただいて参画を求めていくというものであります。それから、先ほど健康格差の内容がありましたが、都道府県の取組の状況です。その下段、この格差対策に取り組む都道府県の数を増やしていくということについて、今のところ進んでいる状況ですが、引き続きこうした環境整備を図っていく必要があると考えております。課題としては、引き続き個人の行動変容を促す仕掛けとして、ナッジ理論などを取り入れながら、ターゲットに応じた効果的な介入方法の検討、実施を進めていきたいと思っております。健康寿命を順調に延伸していますが、引き続き予断を許さない状況にあると思っており、取組を続けてまいりたいと考えております。健康課からは以上です。
 
○印南座長 
 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御質問や御意見のある方はお願いいたします。佐藤さん、お願いします。
 
○佐藤委員
 産経新聞の佐藤です。すごく多くの目標値が挙がっていて、最終目標はこれらを上げることですけれども、実際に、そのために行った事業が奏効したのかどうかを測るのが政策目標だと思うのです。そうすると、この最終目標を達成するために、予算が後ろの資料2に出ていましたけれども、例えばこの中のどれがどういう働きをしたのか、その結果何が上がったとか、上がらなかったとかという、最終目標と予算の中間で指標を作る必要があるのではないかと思いました。測定指標はすごくたくさん挙がっているのですが、どれもとても大きい指標で、これと事業との因果関係がよく分からなかったので、全部を上げる必要はないと思いますので、もう少し抽出して行った事業の成果が分かる目標を立てることが必要なのではないかという気がいたしました。
 
○印南座長
 ありがとうございます。何かありますか。
 
○健康局
 ありがとうございます。御指摘の内容はごもっともであると思うのですが、大変難しい課題かと承知しております。いろいろな交絡因子の関係性がある中で、大体アウトカム的なものを指標として挙げていますが、そこの因果関係までを、それに近いものとして設定するのは非常に難しいと思っております。実は健康日本21は、端的に言えば普及啓発運動を中心にしたものであり、資料の最後のほうに示しています各予算事業もメインはそうしたものになっております。そのため、今後も分析手法は考えなければいけないのかもしれませんが、現時点では正直、困難かと思っている次第です。
 
○印南座長
 ほかの先生方は御意見、御質問等はいかがでしょうか。田宮先生、お願いします。
 
○田宮委員
 ここは複合的なので難しいところかとは思うのですけれども、健康格差のために取り組んでいる数という、5番ですが、これは具体的に言うとどういう対策をしているのか、よく分からなかったのです。数として出せるのですか。どのように出すのですか。
 
○健康局
 すみません、健康格差に取り組む都道府県の数のことですか。
 
○田宮委員
 自治体数です。
 
○健康局
 自治体数、都道府県の数ですね、47分のという形になりまして。
 
○佐藤委員
 健康格差対策とはすごく広いと思うのです。これに取り組んでいるという基準は、どのようなイメージなのでしょうか。
 
○健康局
 一応、こちらから確認している事項は、都道府県において管内市町村の健康に関する指標や生活習慣の状況の格差に関して、まずはその実態をきちんと把握しているのかどうか。把握をしていると答えた自治体、都道府県に対して、それに向けた対策について検討しているのかということです。対策と言いますと、今申し上げました普及啓発や何らかの介入的なものが想定されますが、そこまでは細かく求めていない状況ですが、そのような形で掌握しております。
 
○佐藤委員
 都道府県や市町村の実態、格差がいかにあるかを分かっているかということでもまずはありとするということですか。
 
○健康局
 はい、まずは格差の把握に関して聞いております。更にその取組を進めているかどうかも確認させていただいているところです。
 
○佐藤委員
 まず把握することが大事なのはよく分かりますけれども、対策に取り組む、とまであるので、まずは把握して、もう一歩何か基準があってもいいのかなという気がいたしました。難しいと思いますけれども、指標がきちんと出るのかなとか、全体的にどのように調査するのかと思ったりしました。ごめんなさい、これで終わりにしようと思ったのですが、平均歩数とか習慣的にしている子供のスポーツの割合とかは、何か統計としてきちんとした数字が出るのでしょうか。
 
○健康局
 はい、基本的にこの辺の指標は国民健康・栄養調査で調査しておりまして、特に大規模調査が4年に1回あるので、かなり詳細に把握する形になっています。要は長期プランですので、追いかけられるものをしっかり位置付けて把握するという意味合いです。
 
○佐藤委員
 ちょっとサンプリングが少ないですけれども、調査が基調になっているのはよく分かっております。はい、分かりました、ありがとうございます。
 
○印南座長
 ほかにいかがでしょうか。私から質問をいいですか。この資料の3ページの右下に、都道府県格差の縮小とあって、この格差縮小を目標に挙げればこれが出てくるのは素直に分かりますけれども、これを見ると短い県は伸び悩んでいて、良い県がガーンと伸びているのですね。そうすると、格差が拡大していますよね。これ自体はそんなに悪いことではないかもしれなくて、むしろ伸びない県の伸びない原因が何で、格差と言っているけれども、この格差だけ見るのはちょっとトリッキーで、平均とか分布を見ないと余り意味がないのではないですか。うまくいっているのにうまく見えないような図を出しているのかもしれないし、それはいかがですか。
 
○健康局
 これはもう10何年前の担当に伺いたいと思いながら、おっしゃるとおり、最長県と最短県の差で比較していますので、結構入れ替わりもあり、数の同じ都道府県が上に下にペタッと張り付いて、常に維持しているわけではなく、そこはもう少し冷静に見なければいけないと思っています。実は今、令和6年度からの新しいプランの検討をしており、こうしたシングルなものだけで求めるのではなく、もう少し集団で都道府県の上位幾ら、下位幾らという形で捉えるという議論もしていただいているところです。格差というとどこで捉えるのか難しい問題でありますが、都道府県で捉える場合にはそのような工夫で今後考えたいと思っているところです。とりあえず今設定されたものについては一応、最長県、最短県を見るしかないと思っています。先ほど少し説明しましたが、標準偏差でも併せて見ており、それで見ても女性のほうは格差縮小とは言えない状況と評価しているところです。
 
○印南座長
 ついでに言うと、ここでは日常生活に制限がない期間ということで捉えていますけれども、ほかにもありますよね。健康寿命の捉え方は2種類ぐらいあると思うのですけれども、併せてそちらも一緒にやると、もう少し精密な議論になるのではないかと思うのです。
 
○健康局
 ありがとうございます、今後の検討課題としたいと思います。かつて厚労科研で設定された日常生活に制限のないものを、正に国民健康・栄養調査で項目として挙げて、それを統計の中でずっと取っているという継続性もありますので、そこはベースにしながら、今みたいな御意見等を今後の検討課題としたいと思います。
 
○印南座長
 ほかの先生方はいかがですか、よろしいでしょうか。大西先生、お願いします。
 
 
○大西委員
 分析表の測定指標の7、糖尿病の数字の見方についての質問です。この糖尿病の有病者数は、1型と2型の両方を合わせた合計の数になるのでしょうか。
 
○健康局
 はい、さようでございます、合わせたものとなっております。
 
○大西委員
 そうすると、内訳まではこの指標の数字だけを見ても明らかにはならないということになるのですかね。
 
○健康局
 はい、そもそも調査は内訳を取っていないので、ここは全体の傾向として捉えるしかないと思っております。
 
○大西委員
 私も疾患に関する知識は専門外ですのでないですけれども、1型と2型だと生活習慣と発病とか重症化との関連性が違ってくるのではないかと、特に1型に関しては先天的な要因に基づく部分が大きいように、素人目にも理解しています。この政策評価の中でそこまで踏み込んで評価するのは難しいのかもしれないですけれども、1型と2型それぞれに合わせた国民の生活習慣とか、QOLとの関係での発症予防とか、重症化予防はちょっと違ったロジックになってくるのではないかというように思うのです。そこら辺の把握も必要なのではないかというのが、この分析表を見た限りでの感想になります。
 
○健康局
 糖尿病ですけれども、ご指摘のとおり1型、2型とあり、1型は生活習慣病ではないので、もし生活習慣で捉えるのであれば2型をターゲットにすべきという御趣旨だろうと思っております。割合としては、1型は1%ぐらいです。そういう中で、調査として細かく取りづらい状況でもあり、全体の傾向として捉えていければ、おおむね指標としては成立するということで整理しております。
 
○印南座長
 よろしいですか。田宮先生、どうぞ。
 
○田宮委員
 今のことに関係して、これもどうやって捉えるのですか。国民生活・栄養調査とかNDBとか、いろいろ方法があると思うのですけれども。
 
○健康局
 これも国民健康・栄養調査です。
 
○田宮委員
 1型の数が少ないのは本当にそうですけれども、これも有病率になってきますとNDBとか、いろいろ組合せで大分明らかにする方法もできているので、その辺も考えられてもいいのではないでしょうか。都道府県の差とか市町村までいくと、国民栄養調査だとそこまで見れないので、やはりサンプル数の大きいNDBの活用は、先ほども申し上げましたけれども、御検討いただければ、特に指標として使えるのではないかなと思っています。
 
○健康局
 はい、ありがとうございます。貴重な御意見ではありますが、ここでの糖尿病は、実は治療中でない方も含めた形で広く見ようとしております。
 
○田宮委員
 それも大事ですね。
 
○健康局
 そうした中で、これは推計でありまして、どこまで厳密性を求めるかというところはあるかと思います。もちろん国として示しながらも、都道府県で実際にプランを立ててやっていただく分には、ナショナルデータベースなどを用いていただくことを妨げるものではございません。そこまで縛っているものではないですが、国の統計を使いながら追いかけるものとしては、そうした一定の考え方で整理をしております。
 
○田宮委員
 はい、分かりました。
 
○印南座長
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、担当課におかれましては本日の議論を踏まえて、事前分析表への反映をお願いします。ありがとうございました。
 
○健康局
 ありがとうございました。
 
○印南座長
 続きまして、施策番号Ⅰ(1)-12-1「平時から情報収集を行うとともに、国民の健康等に重大な影響を及ぼす緊急事態の際の情報集約や意思決定を迅速に実施する体制を整備すること」について、担当課から10分程度で説明をお願いします。
 
○大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室
 私は、厚生労働省大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室長の安濟と申します。よろしくお願いします。資料に沿って御説明いたします。こちらの施策ですが、当室の担当が1と3になっておりまして、私からは1と3の説明を差し上げます。2については、健康局から説明するという形を取ります。
 資料の1ページを御覧ください。こちらの基本目標ですが、安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること。施策大目標12が、健康危機管理・災害対応力を強化すること。施策目標1、平時から情報収集を行うとともに、国民の健康等に重大な影響を及ぼす緊急事態の際の情報集約や意思決定を迅速に実施する体制を整備することとなっております。当室では、危機管理の初動対応を行っております。その初動対応を整備するために必要な施策を行っている状況です。
 1、国の健康危機管理体制です。健康危機管理と申しますのは、医薬品、食中毒、感染症、飲料水、その他何らかの原因により生じる国民の生命、健康の安全を脅かす事態を健康危機と呼んで、そちらに対する対応の整備をしております。平時については、関係部局や試験研究機関、科研などでも何かしらそういったものを察知した場合は、情報収集を行うことにしております。海外からも情報収集を行っております。例えば、エボラのアウトブレイクがあったとか、コロナの初動のときには、そういった情報も収集しておりました。
 有事が発生した場合には、緊急の会議を開催するとか、対策本部を作る必要があるのかとか、あとは必要に応じて現地に職員を派遣する必要があるのか、そういったことに対応します。そういった対応をするために、医薬品、食中毒、感染症、飲料水、その他何らかの原因により生じる国民の生命、健康を脅かす事態に対して、迅速かつ適切に対応するために体制整備が必要になってくると。そういった何かしらの兆候があることを速やかに察知するのが達成目標1です。そうした場として、健康危機管理調整会議という会議がありますので、そういった場で情報共有された議題数をアウトプットの指標にしております。それが細かいエクセル表では、前年度以上を目標としている状況です。続いて2番をお願いします。
 
○健康局
 健康局です。資料の1ページを御覧ください。自治体においても、健康危機管理の体制を整備することは非常に重要となっております。そういったことを踏まえて、地域の健康危機管理の拠点となるのが保健所等となります。今般、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、感染症対策における保健所等の役割の重要性が改めて認識されたところです。
 そういった中、その体制の強化を更に図るため、また感染症の業務に従事する保健師等の増員に係る地方財政措置が行われたり、またIHEATの方の確保が進められているところです。そういった中、感染症や災害、そのような健康危機における対応、それぞれの個別の業務だけではなく、保健所全体のマネジメント等の支援を行うことができる人材の養成が重要と考えております。また、感染症や災害に限らず、平時より健康危機管理に関する体制の整備や、広域的な連携体制の整備が求められると考えております。そういったことから、地域における健康危機管理体制の確保を図ることを目標として、今般、国が実施する研修、健康危機に関する感染症、災害等含めた研修の受講者、保健所が実施する地域に根ざした健康危機管理に関する研修の受講者を、合わせてアウトプットにさせていただき、しっかりした健康危機管理への対応を、自治体とともに体制整備を進めてまいりたいと考えております。2番の説明は以上です。
 
○大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室
 続きまして3、気候変動に伴う災害の激甚化・頻発化を御覧ください。当室では、災害対応の初動を行っております。近年、大雨・短時間強雨等が頻発をしておりまして、豪雨による被害が生じております。日本海溝・千島海溝周辺地震や、南海トラフ、首都圏直下型地震といった地震の発生の可能性も指摘されております。災害の発生時には、初動の対応を行うとともに、被災都道府県に対して、保健医療福祉調整本部や保健所の指揮調整のために、災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)の応援派遣の調整などを行っております。
 こういった地震や自然災害に対して迅速な災害対応を実施するために平時からの備えが必要で、災害に対する事前の訓練、シミュレーションを行うということから、地方厚生局職員向けと厚生労働省本省向けの訓練を行い、その実施回数をアウトプット指標として設定しております。以下、資料の3ページ以降に参考資料として、近年の健康危機、災害の事例、危機管理の体制のイメージ図等を記載しております。この危機管理の部分については、何かアウトカム指標ができるのか、私も考えてみたのですが、死者数を減らすとか、それもなかなか難しいような気もしますので、先生方からも是非御指導、御鞭撻いただければと思っております。以上です。
 
○印南座長
 ただいまの説明について、御質問や御意見がありましたら、委員の先生方、お願いいたします。
 
○宮﨑委員
 私からお尋ねとコメントをしたいのは、2番の自治体の健康危機管理体制という部分です。確かにマネジメントを担う人材をどうしていったらいいかという課題抽出がされていて、そのとおりだと思います。いわゆる危機管理全般は保健所だと思いますが、災害になりますと、災害対策基本法で、基礎自治体である市町村の責務が大きくなるわけです。その中で、命と健康を守るマネジメントを行う人材が非常に手薄になっている現状が、これまでの災害を見ていて感じているところです。その具体的な保健所及び市町村を含めて命を守ることを含めたマネジメントになると、統括的な役割を担う保健師になると思うのです。この人材は既に厚労省からの通知分で、こういう人材を配置することとなっていますが、都道府県及び1,700幾つある市町村の配置数、配置割合を見ますと、極めて格差が大きいのです。全く配置していない自治体、市町村から潤沢に配置している都道府県もあるということで、災害が起こったときには都道府県の本庁と保健所、各自治体との連携が非常に重要となると思うのです。
 その連携の窓口が統括的役割を担う保健師、健康や命を守る部分についてですが、そういう人が配置されていないという、その格差が極めて大きいことは私は非常に問題だと思っています。このことに対して言及が全くないかと言いますと、保健所のマネジメントを担う人については触れてはいるのですが、もう少し踏み込んで、マネジメントを各自治体で担う人も含めて、私はむしろこれはアウトカム指標に、そういう人材の配置をしていくべきではないかと。研修はいいですが、しかしこれは参考指標かと思いまして、そういう人材をきちんと配置しているかを指標にしてもらいたいということが1つあります。
 もう一点は、アウトカム指標になるかと思うのは、やはり、健康危機管理マニュアルですが、いざ健康危機が起こったときに、どう対応するのかというマニュアルが作られていないと。もちろん、都道府県のレベルでは作っていますが、都道府県型の保健所や、保健所設置市型の保健所は作られているとは思いますが、やはり市民の健康を守る最前線である市町村では作られていない。こういう危機管理マニュアル、あるいは災害時保健活動マニュアルが作られていない。その辺も私は、迅速に連携したり活動推進を図る上で、とても重要ではないかと思います。そういった辺りの問題認識はいかがですかということと、指標になりませんかということで御意見を伺えたらと思います。2点お願いします。
 
○健康局
 健康局健康課です。先生から御指摘いただいた点は非常に重要なことだと思います。特に統括保健師については、健康危機の対応の中で重要な役割を担ってくるという形になると考えております。現在、全ての市町村で配置できていない所もあるかと思いますが、そういったことも踏まえて、今後の指標として記載することが望ましいかということについては、こちらで引き取って検討させていただければと思います。
 
○宮﨑委員
 途中で音声が余りはっきりしていなくて、最後、検討しますというところは聞き取れたのですが、その理解でよろしいのですか。
 
○健康局
 大変失礼しました。非常に重要な御指摘だと理解しておりますので、引き続き、検討させていただければと思います。
 
○宮﨑委員
 よろしくお願いします。
 
○健康局
 また、御指摘いただいた災害時のマニュアルについても、非常に重要なところと思っております。こちらについても、私のほうで直ちにマニュアルの作成についてお答えすることはできませんが、そういったところを踏まえて、引き続き検討させていただければと思います。
 
○宮﨑委員
 よろしくお願いします。
 
○印南座長
 それでは、大西先生、お願いします。
 
○大西委員
 御説明ありがとうございました。今の宮﨑委員の意見に関連する内容になるかと思います。現状の2とか3に関連して、自治体における健康危機管理体制や気候変動に伴う災害の激甚化に対応できるような保健・医療・福祉体制を確立できる人材の給源として、行政保健師だけではなくて、民間の企業・団体あるいは医療機関に所属している産業保健師なり保健師などが、保健所の危機管理業務を一部受託するような体制を、この保健所がちょうど減ってきた中で、感染症の拡大が直撃した状況に対応する上では必要ではないかという指摘が、コロナの拡大の1年目、2年目頃には、その辺りに関する専門的な知見をお持ちの有識者から出されていたように記憶しております。そういう観点から、例えばIHEAT要員なり、DHEAT要員なり、民間と連携した保健の要員確保みたいな対応が取られている自治体がどれぐらいあるかという指標がもしあれば、それは形の違ったアウトカム指標の1つになり得るのではないかと思いました。以上です。
 
○印南座長
 よろしいですか。
 
○健康局
 重要な御指摘ありがとうございます。御指摘いただいたとおり、保健所の体制については、民間と協力して体制を作っていくことは非常に重要だと思っております。特に、今回のIHEATについては、これは自治体職員ではなく、民間職員の方のうち、保健所の支援を表明していただいた方をIHEAT要員として保健所を支援するような形で位置付けております。こちらについては、自治体で今後、感染症法に基づく予防計画等で、配置について計画的に整備を進めているところです。そちらについては、感染症法の整備で対応させていただきたいと思っております。
 
○印南座長
 大西先生、よろしいですか。それでは、田宮先生、お願いします。
 
○田宮委員
 音声が途切れ途切れになっていて、今のお答えの中に入っていたのかもしれませんが、今、そちらから提示いただいている資料の中で、1ページの下の指標が、健康危機管理調整会議で情報を共有された課題数となっています。今のお話もそうですし、平時から情報収集を行うことが、スライド1の一番上の施策目標で赤く書いてあります。平時から情報収集を行って、災害になったときに迅速に対応することが重要で、感染症法の改正とともに、保健師の増加とか、いろいろな施策が取られていますので、1つはそういうことも含んだ指標、もう既に議論になっていると思いますが、そここそ今は大事なので、御検討いただくということだったと思います。それと、健康危機管理調整会議の位置付けについて質問です。これは、例えば資料4の5ページの図を見ますと、省内の会議になるのですか。
 
○大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室
 そうです。省内の会議です。省外でも一部感染研とか災害医療センターとか、その辺の方々も入っております。
 
○田宮委員
 現場の保健所とか、左側に関係省庁と書いてありますが、これも上のほうの話でしょうが、先ほどの都道府県の命令系統とか、やはり現場でどんなことが起きているかということが、健康危機管理調整会議の中で、普段からの情報収集になればいいかと思います。急に連携しようとしても駄目だよということです。平時から計画的に保健所も含めたいろいろな体制整備が今重要になっていると思いますので、そういうことも踏まえて、この会議だけでいいのかなというのが1つです。
 それから、課題の数というのがちょっと気になって、課題について1個でもあれば課題1になると思うと、指標として、平時にきちんと、どういうふうな命令系統で、どうなったらどう動くみたいな、やはりディープにきちんと議論しなければいけないこともあると思います。ですから、その場合は1つの課題に対して、すごく時間をかけて、定例的にやっていただきたいのです。この大事な指標は、今までの先生方からの御発言も含めて、もう少し検討いただけると有り難いです。
 
○大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室
 ただ、健康危機管理調整会議の中で上がってくる課題というのは、例えば、研究などで、ここはちょっと気になるなとか、そういうところもうちのほうに情報提供が来ます。こういう兆候があるのだけれどもと、具体的な例をなかなか申し上げにくいのですが、今、非常に良い例があるのですが申し上げられないのですが、情報が上がってきて、そのリスクをより外向けに周知しないといけないのかとか、そういったところもリスクアセスメントをするという会議の位置付けになっています。議題のところがあやふやということは確かにおっしゃるとおりで、もう少し議題のところを何かクリアにできる方法はないか検討できればと考えております。以上です。
 
○田宮委員
 そうすると、都道府県の状況もここで把握できるようになっていますか。
 
○大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室
 そういう会議ではなく、あくまで、こういう話があって、このリスクはと。余りかっちりした会議ではないのです。
 
○田宮委員
 都道府県や保健所とか、いろいろな所を含めた体制作りが求められていると思いますので、何かそんな会議もまず重要ですが、現場がどうなって、どういう体制を組んでいるのかを確認するとか、そんなプロセスもどこかで是非、体制作りのために御検討いただければと思います。
 
○大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室
 それはまた別の会議になるかと思います。それは健康危機とか、そういう所で議題にしてやるのか、それとももう少し違う体制でやるのかというのは、もう少し検討したほうがいいのではないかと思います。
 
○田宮委員
 そうですね。目標に「平時から情報収集を行うとともに」と書いてありますから、そこがスムーズにできて、いざとなったときの命令系統につながるようなしくみと評価指標を考えていただきたいと思います。そうすると多分、今のと別のことだと思います。おっしゃっていた健康危機管理調整会議とは目的が違うかと思います。平時からの情報収集、いざとなったときにどう動けるか。そういうことの会議とか動きとか、何かを定例化してやっていただくということが非常に重要かと思います。この指標だけでは、目標に達するのには少し足りないのではないかという思いがあります。これはこれでいいですが、別のものを御検討いただければと思います。
 
○大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室
 そうしますと、健康危機管理当室というよりは、各それぞれの部局ごとに当てたほうがいいのではないかと思います。私たちは省全体の取りまとめというか、初動対応という形になっていますので、その辺はまた中でも検討させていただければと思います。
 
○田宮委員
 そうですね。急にやっても難しいというのは、すごく学んだところなので、どこの担当なのかは本当によく御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
○印南座長
 よろしいですか。それでは佐藤先生、お願いします。
 
○佐藤委員
 私は、今、田宮先生がおっしゃられたことと全く同じことを思ったのです。最初に読んだときに、1の健康危機管理調整会議で情報共有された議題数というのを見て、えっ、議題数が多いことが良いことなのか、と思ったのです。しかし、今、御説明を聞いて、そうか、と思ったのは、医療安全のインシデントレポートは数が多い方が気づきがあるとして評価されますが、それと同じで、なるべくたくさん見つけて、そのリスクを共有することを目的としているのだなと理解しました。
 そうしますと、これは書き方の問題だと思います。この書き方だと、会議の議題が多かったかどうか、と読めてしまいますので、もう少し趣旨が分かるように書いていただくのがいいと思いました。出ている評価は会議の数や受講者数などの外形的な数値で、確かに連携ができているかどうかを指標にするのは非常に難しいと思いますが、連携がワークする仕掛けになっているかどうかを指標にすると、もう少し手元感が出るのかと思いました。先ほど別の先生からも出ましたが、例えば、IHEATがすぐにワークするようになっているのかとか、DHEATがすぐに動けるようになっているのかとか、そういう指標を作ると、もう少し連携が見える化されてくるのかなという気がしました。すみません、思いつきみたいな発言で失礼いたしました。
 
○印南座長
 いかがですか。
 
○大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策室
 議題1のほうは、書き方が悪かったみたいなので、よく中で検討したいと思います。ありがとうございます。
 
○印南座長
 先生方、ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、事前分析表への反映をお願いいたします。どうもありがとうございました。
 本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。本日は熱心かつ有意義な御審議を頂きまして、ありがとうございます。それでは、事務局より本日の議論の取扱いについて説明をお願いします。
 
○室長補佐
 本日頂いた御意見等の取扱いについては、まず事前分析表の記載に関する種々の御指摘については、担当課において必要な修正を検討いただくようにいたします。その後、当室で取りまとめて、今年の9月頃になると思いますが、総務省への通知、また、厚生労働省のホームページでの公表という手続を進めさせていただきます。取りまとめ結果については、皆様にも最終版をお送りいたします。また、お時間の都合上、本日この場の会議でお伝えできなかった御意見等がありましたら、2月14日(火)までに事務局まで御連絡いただければ、会議での御発言と同様に取り扱わせていただきます。説明は以上です。ありがとうございます。
 
○印南座長
 これをもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。