第14回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)

日時

令和5年3月9日(木) 15:00~18:00

開催方法

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議事

議事内容
○原澤推進官 事務局でございます。
 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第14回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員の皆様、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の原澤です。よろしくお願いいたします。
 まず、委員の先生方の出席状況の確認でございます。本日、杉山委員より御欠席との御連絡を頂戴しております。そのほか、全ての委員に御出席をいただいております。
 また、参考人につきましては、時間の関係上、御紹介は割愛させていただきますので、参考資料1の「委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。
 参考人の先生方におかれましては、御発表もしくは御発言時のみ画像をオンにしていただくよう御協力をお願い申し上げます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載してございます。議事次第、資料1から資料4までございますので、御確認をお願いいたします。
 また、本委員会はYouTubeにて配信をしておりますので、その点も御承知おきください。
 冒頭の事務局からの御説明は以上でございます。
 これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 委員長の中釜です。先生方、本日もよろしくお願いいたします。
 それでは、早速ですが、議題(1)の「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」、厚生労働省医政局研究開発政策課の医療イノベーション推進室より資料1-1、資料1-2の説明をお願いいたします。
○市村室長 よろしくお願いいたします。厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室長の市村です。
 資料1-1を御覧ください。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目ですが、政府方針などについてはこれまでと同様ですので、割愛をさせていただきます。
 3ページ目を御覧ください。本日は本年度最後の専門委員会となりますので、令和4年度の最終報告と令和5年度の方針案についてお示しします。
 次のページを御覧ください。4ページ目から7ページ目までは既存の資料となりますので、割愛させていただきます。
 8ページ目を御覧ください。がん領域のAMED研究班の進捗のアップデートとなります。令和5年2月20日時点でエキスパートパネル実施例が1,163症例となりました。そのうち、Actionableな変異の検出が641例で、約55%に検出されております。その中で、既存の検査では検出できないがんに関与するゲノム異常の検出が143例、全ゲノム解析の結果が診断に有用であった症例が51例、合わせて194例、約30%が全ゲノム解析の意義があったことになります。今後これらの成果を基に出口戦略の加速による創薬の促進や患者還元の拡大が期待されるところです。
 次のページを御覧ください。9ページ目、10ページ目は難病領域の概要となっております。特に前回から変更はありません。
 11ページ目を御覧ください。こちらが令和5年度の全ゲノム解析等の実施体制案となります。これまでどおり専門委員会が全ゲノム解析等の推進に関する最高意思決定機関となり、今年度に発足予定の事業実施準備室が厚生労働科学研究とAMED研究を取りまとめて、事業実施組織の発足に向けた具体的な体制整備を進めていきたいと考えております。
 それぞれの役割については、次のスライドで表にまとめております。
12ページ目を御覧ください。こちらが令和5年度の「全ゲノム解析等実行計画」に係る役割分担の表となります。改めて簡単に説明させていただきますと、専門委員会は方針の決定・指示を行う最高意思決定機関、準備室は事業実施組織発足に向けた体制整備を具体的に行う実動部隊、厚生労働科学研究は引き続き専門的事項の検討等を行い、準備室、専門委員会に調査結果を提供していただき、AMED研究事業は全ゲノム解析等の実施を準備室と連携して行っていただきたいと考えております。コンソーシアムにつきましては、研究・創薬等が活性化される環境の整備として、別途説明予定となっておる資料1-2の方針に従って準備室内で発足支援をしていく予定となっております。
 13ページ目を御覧ください。こちらが全ゲノム解析等の実施体制における関係性についてとなっております。基本的には専門委員会が最高意思決定機関として全体のガバナンスを発揮できるように整理されております。コンソーシアムにつきましては、資料1-2で詳細を説明させていただきますので、割愛させていただきたいと思います。
 14ページ目を御覧ください。令和5年度の中釜班の研究体制案となります。最終研究年度となりますので、これまでの総まとめをしていただきつつ、引き続き専門的事項についての検討を行い、検討内容については事業実施準備室に共有をしていただきたいと考えております。また、準備室ワーキングは、準備室と一体となって体制整備を進めていただきたいと考えております。
 15ページ目を御覧ください。難病については特に変更はありません。
 16ページ目を御覧ください。最後に、令和5年度の「全ゲノム解析等実行計画」に係る実施体制のまとめとなります。令和5年度からは準備室が本格始動いたします。準備室は専門委員会の方針に従い、AMED研究班に方針を示し、密に連携しながら、事業実施組織発足に向けた具体的な体制整備を進めます。準備室には、ボード、必要な事業部門、必要に応じて開催される諮問委員会、また、中立的な審査を行う利活用審査委員会を設置します。準備室には、最高責任者に相当する職位として準備室長を設置いたします。準備室には、産業界やアカデミアを含む幅広い分野から成る外部有識者と準備室長で構成されるボードを設置し、ボードは、法人形態にかかわらず専門委員会の方針に基づき、専門的事項について適宜諮問委員会の助言を受けながら、全ての事業内容を決定・変更等する権限を有する最高意思決定機関といたします。また、準備室長は、ボードに最高経営責任者として参画し、事業の実施状況の報告や事業内容の改善・変更等についても提案し、実行し、また、各部門長を選定し、ボードの承認の下、任命する役割を担います。そして、その準備室長の人選につきましては、本国家プロジェクトについて十分な経験と実績が必要であり、厚生労働省としましては、中釜先生に準備室長に就任していただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 以上で資料1-1の説明を終わりにいたします。
 続きまして、資料1-2を御覧ください。
 資料1-2「「全ゲノム解析等実行計画」に係るコンソーシアムに求められる機能等について(案)」について説明させていただきます。
 本資料は、準備室においてコンソーシアム発足支援を行うに際しての指標として作成いたしました。コンソーシアムに求められる機能等として5つのポイントを挙げ、それぞれについて「検討の視点」と「対応方針案」を提示させていただいております。
 2ページ目を御覧ください。まず1つ目は「オープンかつフェアに利用できる体制」についてです。「検討の視点」としましては、全ゲノム解析等の成果を広く患者に還元するためには、蓄積された全ゲノム解析等のデータを用いた研究・創薬等が活性化される環境の整備が重要であること。また、コンソーシアムは、産業界やアカデミアなどの利用者視点を有し、国内外の研究機関及び企業の研究者が、集約した全ゲノム解析等の情報をオープンかつフェアに利用できる体制とすべきであると考えております。この「検討の視点」に対応する「対応方針案」としましては、3つ考えております。1つ目は、製薬企業をはじめとし、医療産業、非医療産業にかかわらず、またベンチャー企業を含む多くの企業が参画できるような組織とすべきではないか、また、企業による人的、技術的、経済的協力に応じて、データの利活用にインセンティブを設けるべきではないか、そしてアカデミアについては、全ゲノム解析等に係るデータを共有し、幅広いデータ利活用の権限を付与する対価として、領域別に専門家によるグループを設置し、高度な横断的解析等によって新たに指摘された変異等の知見についての臨床的意義、病理学的意義の協議をその役割とすべきではないか、と考えております。
 2つ目は「機微情報・個人情報管理」についてです。「検討の視点」としましては、コンソーシアムは、アカデミア・企業の機微情報を取り扱うため、コンソーシアム全体の情報保護・管理やサイバー攻撃への対策を含めた安全性等の対策を徹底すべきである、とし、その視点に対応する「対応方針案」としましては、2つ挙げさせていただいております。1つ目は、コンソーシアムは、組織単位での入会審査、その所属研究者の登録、共同研究に係る調整などを自立して行い、コンソーシアム参加者からのみ事業実施組織への利活用申請を可能とすることで、基本的なデータアクセスの安全性を担保すること、2つ目は、コンソーシアムは、参加アカデミア・企業と秘密保持契約を結ぶとともに、違反者に対しては厳格な対応を取るとし、そしてまた、国民に対しては、情報管理を徹底していることを示すとしております。
 3つ目は「ガバナンス」についてです。「検討の視点」としましては、コンソーシアムは、自立しつつも、この専門委員会によるガバナンスを効かせることで、透明性の高い、利用者及び国民に信頼される組織であるべきと考えております。それに対する「対応方針案」としましては、コンソーシアムは、運営を自立的に行いつつも、事業計画については、専門委員会の承認を必要とし、構成員・代表者の選任・解任等については専門委員会に速やかに報告することとすると提案させていただいております。
 4つ目は、患者・市民参画及びELSIについてです。「検討の視点」としましては、コンソーシアムは、広く国民や社会に対して継続的に情報発信を行うとともに、患者・市民の視点を取り入れ、ELSI等に対応する必要があるとし、その視点に基づきまして「対応方針案」としては2つ、コンソーシアムは、国民向けの情報発信・周知活動を実施するとともに、患者・市民を構成員とし、患者・市民の視点を取り入れること、コンソーシアムは、ELSIに係る専門性を備えた人材を構成員とし、ELSIの視点を取り入れること、としています。
 最後、5つ目は「人材育成」です。「検討の視点」としましては、コンソーシアムは、その活動を通して、生命情報学、医療情報、情報セキュリティ、臨床遺伝学、ハイパフォーマンスコンピューティング、クラウドコンピューティング、AI等、様々な専門性を備えた人材の育成の場である必要がある、です。その視点に対応した「対応方針案」としましては、事業実施組織の支援の下、民間企業や大学、大学院等と連携し、データ解析や情報基盤の設計・構築、データ管理、情報セキュリティ対策、AI開発等に加え、各種最先端の情報科学に係る研究等を可能とすべきではないかと考えております。
 これらの「検討の視点」と「対応方針案」を踏まえて、準備室においてコンソーシアム発足支援を行っていただきたいと考えております。
 私からは以上となります。
○中釜委員長 説明をありがとうございました。
 それでは、資料1-1、1-2まとめてですが、説明につきまして、御質問、御意見はございますでしょうか。
 宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 ありがとうございます。
 資料1-1の8ページ目ですが、令和4年度の計画では全体で2,000症例を解析する予定ということで経費がついているのだと思いますが、令和5年の2月20日の時点においては1,163例がエキスパートパネル実施ということで、半分ちょっとぐらいしかできていないというのは、これは計画がちゃんと実行されていないとこの資料からは見えてしまって、単純にいろいろな外の経費を受けてプロジェクトをやってきた私の経験からすると返金を求められるレベルのものだと考えますが、これはどういうことなのでしょうか。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 この点についてお願いいたします。
○原澤推進官 事務局でございます。御指摘いただき、ありがとうございます。
 今の御指摘は資料1-1の8ページ目が該当するかと思いますが、先生御指摘のとおり、おっしゃっていただいた内容については、その解析自体は一定程度できている状態でございますが、エキスパートパネルの実施までに至っているものが令和5年2月20日の時点ではお示しの1,163症例であるということで、順次エキスパートパネルを実施し、患者さんへの還元に向けて取り組んでいくというところであろうかと思います。他方で、おっしゃっていただいたように、そのように御理解される可能性もあるということが御指摘のことだと思いますので、そういった点にも配慮しつつ、きちんと実態が正確に伝わるように説明に努めていきたいと考えております。
○宮野委員 状況は分かりましたが、令和4年度に2,000例を解析ということでお金がついているわけで、あと3月は残り僅かですが、その間に2,000例を達成できる見込みはあるのでしょうか。
○中釜委員長 お願いいたします。
○原澤推進官 事務局でございます。ありがとうございます。
 AMEDの研究事業における解析の進捗状況等については、後ほど資料2でも御説明を追加させていただければと思いますので、そちらも併せて御覧いただければと思います。
○宮野委員 では、これは2月20日のデータですが、1月に何例このエキスパートパネルが実施されたのか、追加されたところ。それと、これは「6医療機関が追加され」ということですけれども、最初の予定を達成している機関、達成していない機関ということは私どもは知らされていませんけれども、どうなっているのでしょうか。例えば私がやっているところとして分かっているのは、国がんやがん研有明などがあるかと思いますが、それらの達成状況がどうなっているのか知りたいと思います。要は、どこがサボっているかを明らかにしたいのです。
○中釜委員長 今の御指摘について説明をお願いできますか。
○原澤推進官 事務局でございます。ありがとうございます。
 御指摘の点の詳細については、後ほど資料2で現在の進捗状況について御説明があろうかと思いますので、そちらでまた御意見、御議論等をいただければと思います。
○宮野委員 では、具体的に数値が出てくるということで認識しておいてよろしいですか。
○中釜委員長 資料2の中で具体的な数値を提示させていただき、改めて宮野委員からその数字を踏まえて御意見をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○宮野委員 こういった数値を達成していくというのは、マネジメントの問題だと思うのです。昔、この場におられる中村先生がJSNPのプロジェクトをやっていたときには、毎週どれくらい出てきたと3チームに分けてそれを全部報告させて、そして、2年の間でしたけれども、きちんとJSNPを達成したのですけれども、そういうマネジメントはやっておられるのでしょうか。
○中釜委員長 今の御指摘についてお答えできますでしょうか。
 がん課、お願いいたします。
○原澤推進官 事務局でございます。
 私どもとしては、AMEDの研究事業として実施していただいているので、AMEDにおいて定期的に進捗状況について確認をしていただいていると理解をしています。ですから、そちらの進捗状況等について、後ほど資料2の内容も踏まえつつ、また御議論いただければと思っております。
○宮野委員 厚労省としては認識をしていたということでよろしいのですか。
○中谷課長 中谷がん・疾病対策課長でございます。
 AMEDの毎月の進捗確認会議には厚労省も参加をして、我々も即時共有をいただいて、数の進捗は認識しております。今年度の2,000例につきましては、年度末までに2,000症例を確実に出検はしていただくということで我々としては認識をしております。
 以上です。
○宮野委員 分かりました。1月に何例追加されたのか、2月に何例追加されたのか、そういう実績に基づいて3月に達成できる見込みになるのかどうかの御説明を後でお願いいたします。そうでなければ、これは税金の無駄遣いというか、税金を使って半分しかやっていないということですので、この全ゲノム解析等に関わるプロジェクト、厚労省のプロジェクトについて、一般の国民からしますと不信感を持たれても仕方がない数値であるという認識をお持ちになっていただければと思って、こういう発言をしたところです。このプロジェクトは非常に大切なことですので、この数値も達成できないままお金だけが流れていっていて、何に使われているか分からないということですと、普通に一般庶民の一人として考えますと、お金の不正な利用がされているのではないだろうかとか、この重要度について意識のない機関が参加しているのではないかと思わざるを得ません。
 以上です。
 もう一つ、資料1-2のところで、これまでずっと気にはなっていたのですが、全体を通してかもしれませんが、「全ゲノム等」という言葉があって、この「等」に含まれるものが何かという、私はここには「臨床情報」がくっきりと入るべきものだと認識しているのですが、ゲノム情報だけを出してもそれは基本的には臨床的価値のない、患者さんに返す価値のないごみみたいなものなわけです。そこで重要なのが臨床情報だと私は認識しているのですけれども、そこを記述で「ゲノム情報等(臨床情報を含む)」というような表現にしておいていただけると、国民は多少安心するのではないかと思います。このままでは単にゲノムのシークエンスをしてそれを見せるだけの話と思われる可能性があるので、多少心配いたしました。
 それともう一点、ガバナンスの点について、前回か前々回か中村先生からガバナンスがなっていないのではないかという話を私は個人的に聞いたりしたのですが、この委員会の後だったかと思うのですけれども、それがちゃんと組み込まれたという認識でよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 まず、市村室長、お願いいたします。
○市村室長 医療イノベーション推進室長の市村です。宮野先生、御指摘ありがとうございます。
 1点目のご意見である「等」については、臨床情報やオミックス情報画像情報、病理情報等、様々な情報が入ると認識しております。逆にそういったものが入らないとデータとしての意味が乏しいというのも御指摘のとおりと考えておりますので、その点が分かりやすくなるような修文をさせていただきたいと思っております。
○宮野委員 ありがとうございます。
○市村室長 2点目、前回中村祐輔先生に御指摘いただいたガバナンスの点に関しまして、今回資料1-1にまとめさせていただきまして、この全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会が、本取組の最高意思決定機関としてのガバナンスを発揮することを再度整理しております。資料の13ページにまとめております。
○宮野委員 分かりました。
 あと、事業実施準備のための組織をつくりますということで、国会の議論を聞いておりますと、動画で出ているものでしたけれども、丸川珠代議員が厚労大臣にこの事業実施準備室の体制の進捗はどうなのかという質問をされたと認識しております。それに対して、厚労大臣はきちんとやっていきますと御返答されていたかと思いますが、それを全委員及び参加している者たちでシェアしていっていただければと思います。要望です。
 以上です。
○市村室長 宮野先生、御指摘ありがとうございます。
 宮野先生のおっしゃるとおり、国会でも厚労大臣から答弁させていただいておりますので、この「全ゲノム解析等実行計画」に係る準備室及びその事業実施組織発足に向けた取組をしっかりと進めていきたいと考えております。
○宮野委員 ありがとうございます。
 以上です。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 最初に御指摘の解析数に関して、後ほど資料2で説明させていただくと思うのですけれども、少し追加で申し上げますと、まず2,000症例を解析するというところが当初の目標であり、それを踏まえて患者さんへの還元の段階でエキスパートパネルにかけることになっています。エキスパートパネルは患者さんへ返すタイミングなどがあるので、2,000症例に関してはまずは解析を終えるというところが当面のこの事業計画の目標であります。もちろん御指摘のようにできるだけ早く患者さんに還元する必要があるということは班員全員で共有しており、その点を踏まえた説明が資料2でなされていますので、資料2の説明をお聞きの上でまた御質問いただければと思いますが、宮野委員、それでよろしいでしょうか。
○宮野委員 この数字だけを見たときに、表に出たときに大きな誤解を生じる、誤解か不正があると国民は認識すると思いますので、その辺り、この重要なプロジェクトがこけてしまわないようにぜひ配慮していただけたらと思います。単純にあの文章を見ますと、2,000例のエキスパートパネルをやって患者さんに返すというように国民は思います。しかし、中釜先生がおっしゃったように現実はそうではないのだよということは、明確に報告すべきことではないかと思います。
 以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございました。
 ほかに御意見はございますでしょうか。
 それでは、水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 ありがとうございました。
 資料1-2のほうですけれども、コンソーシアムの機能がかなり具体的に書かれて分かりやすくなったと思います。2ページの対応方針の上の○の3つ目くらいのところで「多くの企業が参画」という言葉があり、下のほうの2.の対応方針のところの最初の○ですけれども、「コンソーシアムは、組織単位での入会」や「コンソーシアム参加者」という、「参加」「参画」あるいは「会に入る」といった言葉が使われているのですけれども、「参画」は曖昧な感じがします。すなわち、コンソーシアムを運営するような立場で入っているような人たちと、いわゆる利用者、そこにあるデータや事業実施主体で解析して得られた結果、成果を活用したいという人たちとの区別がついていないような感じがいたしますので、検討していただいて、分かりやすくしていただいたほうがいいのではないかと思います。
 それが1つ目と、2つ目は1.の○の一番下のところでしょうか。「アカデミアについては」というところですけれども、いろいろな権限が与えられているので、それに対する対価として役割を与えるという文章があるのですけれども、対価ということは、要するに、かなり経済的なイメージが強い感じがします。Genomics Englandなどで話を聞いたときも、企業の方々に対してもすぐにお金を求めたりはしないで、もちろん料金は払うわけですけれども、それは成果が問題で、この事業によって創薬等の成果が得られて、それがやがて社会に還元するというような説明をしたりしていると思いますので、もうちょっとよい言葉で表現したらよいのではないかと思います。お金に関わるような言葉として「対価」という言葉が、しかも、アカデミアのところに出てきていますので、ぜひそこは少し考えていただきたいと思います。
 関連するのですけれども、3番目なのですが、その対価の後の文章ですね。前にお話ししたことがあるのがそのまま残っているのですけれども、「領域別に専門家による」云々とありまして、最後「協議をその役割とする」とあるのですけれども、これは「高度な横断的解析等によって新たに指摘された変異等の知見についての協議」で、これはまさにエキスパートパネル等で議論して得られる成果であって、それについての臨床的意義や病理学的意義の協議をすることがコンソーシアムの役割というのは極めて妙な、これを考えると実際に何をやるのかが分からないような文章になっていますので、ここのところはぜひ分かりやすい文章にして、もう少し抽象的でよいと思いますので、格調の高い内容にしていただくとよいのではないかと思いました。
 追加があと2~3あるのですけれども、3ページ目に移っていただきまして、「5.人材育成」のところで、コンソーシアムも人材育成を行うというように書いてありまして、3行ありますけれども、非常に広範な領域の人材育成をすることになっています。これは事業実施組織のところにも人材育成のチームというか部門ができていて、こういうことをやるようになっていると思いますので、全くかぶさると思います。したがいまして、対応方針に書いてあるいろいろな研究をやるというのはよいと思うのですけれども、人材育成につきましては、事業実施組織と重複しないようによく考えて行わないといけないと思いますので、ここのところも少し分かりやすい表現にしていただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 以上4点について、イノベ室の市村室長、お願いいたします。
○市村室長 水澤先生、御指摘ありがとうございます。
 1つ目と2つ目のワーディングにつきましては、御指摘のとおりですので、適切な表現への修正を検討したいと思います。
 3つ目の表現ぶりについては、おそらくがん領域と難病領域において、エキスパートパネルの位置づけが多少異なることも関連していると思いますので、この辺りも加味して、また御相談をさせていただきたいと思います。具体的な修文については、がん課、難病課と相談しながら修文案を考えさせていただきたいと思います。
 4つ目の御指摘の、コンソーシアムの人材育成が事業実施組織と重複しないようにということにつきましても、しっかりと対応してまいりたいと思います。表現ぶりにつきましては、どうするかはまた御相談をさせていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。
○水澤委員 よろしくお願いします。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 ほかに御質問はございますか。
 まず、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 中村です。
 市村さんがさらっと紹介されましたけれども、準備室長に中釜先生がなられるということで、私は大賛成なのですけれども、もう少しいつ誰がどんな過程を経て決めたのか、あるいは専門委員会でオーソライズされるなら、ここでオーソライズしているほうが私はいいと思うのですけれども、これはもう決定事項という理解でよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 市村室長、お願いいたします。
○市村室長 我々としては、中釜先生が準備室長に最適であると判断をさせていただきましたので、この専門委員会において先生方にも御検討いただき、よろしければ専門委員会での承認を得たという形で進めさせていただきたいと考えております。その後の人事発令等についてはJHの中で行うことになるため、その発令前に、厚生労働省としても中釜先生の準備室長としての承認を行う予定でおります。
○中村委員 私はさっきも言いましたように賛成ですけれども、中釜先生は委員長なので言いにくいかもしれませんけれども、私は適任だともちろん思います。専門委員会と実施組織の関係を考えれば、まず専門委員会においてちゃんと諮って中釜先生にお願いする形を取ったほうがいいと思います。中釜先生には失礼ですけれどもね。内容に関しては、細かい点はいろいろありますけれども、4月に実施組織の準備室がちゃんとできるというので、そこでもう一度細かい点はもんでもらえればいいと思います。私が口を挟むような案件かどうか分かりませんけれども、ちゃんとオーソライズすることは大事ですので、中釜先生は言いにくいですけれども、すみません。
○中釜委員長 重要な御指摘かと思います。よろしいでしょうか。
 ほかに御質問はございますか。
 それでは、上野委員、お願いいたします。
○上野委員 資料1-2、コンソーシアムに関する部分なのですけれども、2ページ目「2.機微情報・個人情報管理」のところで、理解のために伺いたいのですけれども、「検討の視点」のところで、コンソーシアムは、アカデミア・企業の機微情報を取り扱うのでということが書いてありまして、対応の方針のほうに秘密保持契約を結んで違反者には対応を取るといったことが書いてあるのですが、コンソーシアムが扱う想定のアカデミア・企業の機微情報というのは、コンソーシアムの中で参加者であるアカデミアや企業さんの秘密情報や機微情報が共有されるというようなイメージなのでしょうか。どういった情報を取り扱う想定で、どういう情報フローになるのか、理解を確認させていただきたいのです。
○中釜委員長 御指摘の点について、市村室長、お願いいたします。
○市村室長 御指摘ありがとうございます。
 ここでいう機微情報というのは、アカデミアや企業がどういった研究をしたいかだとか、どういう情報を取り扱っているだとか、そういった研究開発に際して他社あるいは同業の他のアカデミアに知られたくないような情報、あるいはそのアカデミアや企業のいわゆる個人情報に当たるような部分について、しっかりとした情報管理や安全性の対策をすべきであるということを示しております。
○上野委員 そうしますと、この対策に書いてある秘密保持契約を結んで違反者に厳格な対応ということですが、これはコンソーシアムと例えば参加者A社が秘密保持契約を結んで、参加者Aが違反したらAに対して厳格な対応を取るというイメージでさらっと読んでしまったのですが、そのA社が違反した場合に限らず誰かが秘密を、例えばコンソーシアムの運営の方でも誰でも、誰かが違反したらそれに対して対応するという趣旨で書かれているということでいいのでしょうか。例えば参加者が自分の会社の秘密にしておきたい計画を自分で漏らすことはあまり考えられないと思うのです。
○市村室長 コンソーシアムの内部の要は、秘密を知り得る者が、同業他社等に漏らしてはいけないということが、おそらくメインになってくると考えております。
○上野委員 さらっと読んだときに誰が何の情報をどうしたときにというものが少し分かりにくいように感じましたので、その指摘です。
○市村室長 ありがとうございます。ぜひ先生にまた修文案を御相談させてください。
○上野委員 はい。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 重要な機微な情報がどういうフローで流れていくのか、具体的にそのところでのセキュアな環境をどう担保するのかという御指摘かと理解しましたので、ぜひイノベ室、御検討をお願いいたします。
 ほかに。
 それでは、葛西参考人、お願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
 何点かあるのですが、資料1-1というかここで言うのが適切なのか難しいのですが、今回の報告もそうなのですが、全体を通してなのでしょうけれども、いわゆるGenomics Englandや諸外国でやっているようなアニュアルレポートと比べると、かなり予実が分かりにくいと思います。簡単に言うと、例えばGenomics Englandのアニュアルレポートですと、幾らお金を使ったのか、それはどこからお金、歳入がどこからあったのか、歳入という言葉が適切かどうかは難しいですが、Genomics Englandの場合は民間企業なので、ただ、ファンドなのです。ですから、ファンドの資金元はどこでどういうもので成り立っているか、半分ぐらいは国費なのですけれども、それに対してGenomics Englandは例えばコホートをつくるのに幾ら使ったとか、細かなR&Dに幾ら使ったなど明確に予実がはっきりしています。もう一個が、私も改めてよく見たのですけれども、これは宮野先生が最初におっしゃっていましたけれども、結局それで解析をできているという、第1版で解析した1万9200症例との関係はどうなっているのかとか、その解析の結果はまさに臨床情報とセットだとするならば臨床情報を取れている件数は幾つなのかという、数字での予実は明確にかなりオープンに書かれているのですね。それが達成できているのかできていないのか、それによってペナルティー云々ということではないのですけれども、そういうアニュアルレポート型のものをまず欲しいと多くの方は感じると思います。
 もう一つが、研究班のことなのですけれども、私も一部サポートするようなところもあるので、これがいい悪いということではないのですが、研究班というくくりがざっくりしていまして、いわゆる遺伝子を扱って解析をしていますという人と、インフラストラクチャーやシステムをつくっていますという全く違うベクトルの研究行為が行われているのです。それがAMED研究と厚労科研研究というように違うスキームで切れているので、研究班は一体全体いつまでに何を達成するという予実でいうところの予定がよく分からなくなると思うのです。取りあえず専門委員会に従うというのですけれども、専門委員会はいきなりプロジェクト管理しませんので、プロジェクト管理として見たときに、一体全体各研究班の中でやるゴールセットと、いつまでに何が達成していないとまずはよくないのかが合理的には全く書かれていなくて、単純に専門委員会の指示に従うとなっているのですけれども、専門委員会で例えばアーンドバリューですね。プロジェクトでいうところのシステムなどですと、いつまでに何がアーンドしたのかを明確に管理していくべきなのですが、そういう情報がないので、一体全体何が管理されたのか全く分からない状態で単純に指示に従うと言われても、私はどちらかというと指示をサポートするような参考人なのですけれども、指示者である専門委員も困ってしまうでしょうし、研究班の先生方もいつまでに何をやればいいのですかという、それがどのぐらいの合理性で動かなければいけないものかは分からなくなると思うのです。そういったことを具体的に書かないと、研究班という言い方で今までやってきているのですけれども、それは少しざっくりしているのではないかと感じています。
 私はまず一旦ここで以上にしたいと思います。
○中釜委員長 今の御指摘に関しては、がん課のほうで対応できますか。
○原澤推進官 がん・疾病対策課でございます。御指摘いただき、ありがとうございます。
 現時点における資料において、葛西参考人から御指摘いただいたようないつまでに何を達成してという具体的なロードマップといいましょうか、そういったところが示し切れておらず、それの達成状況が明確になりにくいのではないかという御指摘だと思いますが、資料の構成として、先ほど来申し上げているように資料2でAMEDの研究の実態の進捗について別に書いてあるというところもあって、より一層構成として分かりにくくなっていることもあろうかと思います。この辺りは、事務局として今後どのように整理していくのがよいか、検討してまいりたいと思います。全体のロードマップのつくり方については、イノベーション推進室ともよく連携して検討してまいりたいと考えてございます。
 私から一旦以上でございます。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。十分でないかもしれませんけれども、本日の説明、または今後の説明で解決できる部分、あるいは未解決の部分があれば改めて御質問いただければと思いますが、葛西参考人、それでよろしいでしょうか。
○葛西参考人 資料2を見てもそう思っているので、資料2も含めて全部ですね。ですから、Genomics Englandのアニュアルレポートをよく読んでいただければ分かるのですけれども、どこを見ても予実が分かりにくいですというか明確になっていないですと言いたいので、それは今後見直すように検討いただければ結構だと思いますというだけです。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
 市村室長、お願いします。
○市村室長 葛西先生、御指摘ありがとうございます。
 将来的に事業実施組織ができれば、Genomics England同様のハイクオリティーなプロジェクトマネジメントができると思うのですけれども、まずはその前段階としてこれから立ち上げようとしている準備室が、全体の資料1-1の11ページ目にありますように、厚労科研とAMED研究の全体を取りまとめるプロジェクトマネジャーの位置づけとして活動し、令和5年度以降は進めてまいりたいと考えております。
○葛西参考人 それは全くそのほうがいいと思うので、その中の内容を細かく検討いただければ結構だというだけです。
○中釜委員長 続きまして、栗原委員、お願いできますか。
○栗原委員 ありがとうございます。
 今回の全体のガバナンスについては、およそこういうバランスではないかと思いましたので、違和感はありません。
 コンソーシアムと、そこに参加または入会する人たちと、実施組織との関係について確認させていただきたいのですけれども、資料1-1の16ページ、令和5年度の体制において、まだ準備室の段階ですがいずれ実施組織になっていくイメージと、右下のほうに産業界、アカデミアで産学のコンソーシアムができるイメージがあります。このコンソーシアムへの入会がデータ利活用の大前提になっています。コンソーシアムはオープンに利用できる環境が存在しますが、各アカデミアや各企業、産業が実際のデータを利活用する際には、このコンソーシアムを通じて利活用の申請をするのではなく、個別の主体が利活用の申請を実施組織に直接するということで、その申請情報はコンソーシアムとは分離されていると理解しているのですけれども、それでよろしかったでしょうか。
○中釜委員長 今の御指摘について、イノベ室。
○市村室長 栗原先生、御指摘ありがとうございます。
 具体詳細な研究計画の中身を、コンソーシアムの関係者を通さずに利活用審査委員会に直接出すのかどうかについて、また、それに付随する細かいルール等については、まさに今後コンソーシアムの準備を進めるに際して詰めていく必要があると考えております。
○中釜委員長 重要な御指摘かと思います。コンソーシアムのメンバーがその申請の中身を見られる環境にあるのか、そこをどうコントロールするかという御指摘かと思います。その点も十分に重要な視点と思いますので、産業界、アカデミアが参画しやすい形を検討していただければと思います。
 今の回答でよろしいですか。
○栗原委員 検討課題だということは分かりました。逆にまだ決まっていないということですけれども、その建付けによってコンソーシアムの在り方が大分変わると思いますので、そこは十分配慮頂きたいと思います。個別企業の守秘義務と、コンソーシアムでの共同研究など、そこが果たす役割がうまく機能し、他方必要な守秘性が保たれるように建付けを考えていただきたいと思います。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございました。
 それでは、宮野委員、お願いできますか。
○宮野委員 非常に短いことですが、先ほど中村委員から中釜先生が準備室に就かれるということのお話で、それは大変結構なことだけれどもということでしたけれども、ガバナンスを効かせると前回言っておきながら、まさにこれがガバナンスが効いていない典型的な事例ではないかと私は思いました。私は個人的には中釜先生になっていただくのが最適だと考えている人間であるのですが、この場で中釜先生に着任していただくことが最適だということを委員全体で決めておく必要があるのではないかと思いました。また、厚労省はガバナンスの仕組みをちゃんとつくったわけですから、それに従ってやっていっていただきたいと感じたところです。
 以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
 イノベ室、お願いいたします。
○市村室長 宮野先生、御指摘ありがとうございます。
 一段落ついた段階で最終的に全委員の先生方の御承認を得たいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 そのような対応をさせていただきます。
 ほかに。
 上野参考人、お願いいたします。
○上野参考人 ありがとうございます。製薬協の上野です。
 私もコンソーシアムについて1つ要望したいのですが、今回コンソーシアムの機能についていろいろまとめられて随分分かるようになってきたのですけれども、この研究や創薬等が活性化される仕組みづくりが重要、まさにその点はそうだと思います。ただ、こういったものを利活用する仕方や必要なルールというのは、産業界とアカデミアは異なると思うのです。したがって、それを最初から一緒に議論するのではなくて、産業界は産業界、アカデミアはアカデミアでこういったものを利活用するのにどういった仕組みが必要なのかをしっかり議論する場が必要で、そういったものをそれぞれ双方見たときにそごがないようにより調和されるような全体像をつくるというのがコンソーシアム全体の役割だと思います。これまでアカデミアフォーラム、産業フォーラムというくくりがあったのですけれども、それが今回なくなってコンソーシアム一つにまとまったのですが、コンソーシアム自身は非常にいいことだと思うのですけれども、産業界は産業界でのそういうルールなり運用の在り方を議論する場、アカデミアはアカデミアで議論する場をつくるということもぜひ明記していただきたい、それを実現していただきたいという要望でございます。よろしくお願いします。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
 今の御指摘に関して、市村室長、お願いいたします。
○市村室長 イノベ室の市村です。御指摘ありがとうございます。
 この後、準備室ワーキングの発表において、具体的な議論の場については御提案させていただきますので、御指摘の点についてはしっかりと考えていきたいと考えております。
○上野参考人 よろしくお願いします。ありがとうございます。
○中釜委員長 ほかに。
 葛西参考人、手が挙がっていますが、御質問でしょうか。
○葛西参考人 もう一個だけ簡単に、今のコンソーシアムについてなのですが、コンソーシアムの立ち位置としては、恐らくパートナーシップの関係だと思うのです。リサーチ&パートナーシップという言い方になると思うのですけれども、言わば自立的に動くのですが、特にGenomics Englandでもどこでもそうなのですけれども、リサーチ&パートナーシップに対してアカデミアとして参加する、ライフサイエンスとして参加するとなっているので、パートナーシップという位置なのだということをどこかで分かりやすく書かないと、お金も含めてどのようにこのコンソーシアムは回していくのかが分からなくなるかと思ったというだけです。それだけです。
○中釜委員長 今の御指摘について、現時点でイノベ室、お願いします。
○市村室長 葛西先生、御指摘ありがとうございます。
 準備室ワーキングのほうでこの後に発表があると思いますけれども、コンソーシアム発足に際しては、委員会を設置していきたいと思いますので、それも含めて議論していきたいと思っております。
○葛西参考人 以上です。
○中釜委員長 ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
○市村室長 そうしましたら、先ほど私がさらっとお話してしまったことなのですけれども、準備室長につきましては中釜先生にお願いしたいと考えておりますが、皆さん、御承認いただけますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○市村室長 ありがとうございます。
 専門委員の先生方全員に御了承いただいたということで、中釜先生に準備室長をお願いしたいと考えております。引き続きよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいま専門委員の先生方から準備室長として御承認いただきましたので、所信表明を簡単にさせていただきます。この専門委員会の中でこれまで議論してきたように、これまでAMEDの研究班の研究事業として事業実施組織、および準備室の設立に必要なコンテンツについてきちんと研究ベースでやってきました。今後、専門委員会の御指摘のように研究班の成果をいかに事業体へ持っていくかという仕組みをつくるところが準備室の役割だと考えています。先ほどの説明の中にも、事業準備室は事業実施組織の発足に向けた具体的な体制整備を行うとされています。今日専門委員の多くの先生方が御指摘のように、具体的な進捗管理をし、かつ、利活用できる基盤をつくり、さらには同時にそれを患者還元する医療機関との具体的な連携、その間の情報のセキュアな管理体制など、まさに専門委員会で御指摘の点をより具体的な立てつけとして準備室の中でどのように作り上げていくのかということになります。その過程において、専門委員会の中で先生方の御意見を受けながら準備室として対応していきたいと思いますので、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、議題(2)に進めさせていただきます。AMEDの土師課長より資料2「全ゲノム解析等に係るAMED研究について」の説明をお願いしたいと思います。
○土師参考人 AMEDの土師でございます。
 AMED研究の進捗状況につきまして、前回報告から1か月となりますけれども、報告いたします。なお、御指摘を受けまして、適切な記載内容につきましては、今後検討してまいりたく存じます。
 2ページ目でございます。毎回お示ししております研究概要でございます。全ゲノムシークエンスの解析計画数は、A班はR3年度に1,500症例、R4年度に2,000症例、B班はR3年度分として8,400症例でございます。
 3ページ目でございます。まず、A班の状況でございます。R3年度分につきましては、1,500症例から1例の同意撤回がありましたが、データベース構築の観点でまとめますと、ホールゲノムシークエンスがFASTQデータ受領数、データ確定数ともにほぼ完了いたしております。現在R3年度分のRNAシークエンス及び、先ほど御指摘がありましたけれども、R4年度分のホールゲノムシークエンス及びRNA-seqの解析を継続しております。FASTQデータがデータセンターに格納された数として、今、600という数をお示しさせていただいておりますけれども、研究班から解析のために出検された数は、前回1月20日の時点では約1,500でございましたけれども、今回2月20日の時点では約1,900に増加しております。ですから、1か月で約350例から400例程度増加しているのが現状でございます。現在シークエンスを行うベンダーにおいて解析が進められておりまして、今年度中に計画どおりの研究費が執行されまして、完了する予定という報告を受けております。データセンターにデータが格納されますと、ここの600という数字も2,000に近づいていくということになります。
 4ページ目は、B班の状況でございます。こちらはホールゲノムシークエンスはほぼ完了いたしまして、RNA-seqは約80%の達成率となってございます。先ほどのA班とこちらのB班ともに、各班の進捗状況の詳細は表のとおりでございまして、各班のデータのQC等の詳細につきましては、後ほど厚労科研のワーキンググループより御説明いただくこととなってございます。
 続きまして、5ページ目でございます。臨床情報のEDC入力に関する進捗状況です。前回にもお話しいたしましたけれども、A班、B班ともに施設の状況に応じてEDCシステムに直接入力する方法、あるいは一旦エクセルシートに情報を集約いたしましてEDCに流し込む方法によりまして、臨床情報の基本項目及び全項目の入力を進めてございます。予後などの臨床情報で未確定な情報につきましては、2023年3月1日時点の情報を入力することとしており、3月1日時点の状況をまとめてございます。臨床情報の基本項目、全項目の入力数が少ない研究班におきましては、現在EDCに流し込むべくエクセルフォーマットの準備を継続しておりまして、その完了症例数が表にお示ししております数値として蓄積されてきております。
 続きまして、6ページ目でございます。エキスパートパネルの状況です。こちらも先ほど御指摘がございましたけれども、エキスパートパネルの実施数、各班の状況が最上段に書いてございます。3つの研究班でそれぞれ20例から75例程度の増加が認められておりまして、全体ではこの1か月間で160例程度のエキスパートパネルの実施数の増加となってございます。下のほうには、ホールゲノムシークエンスを用いたエキスパートパネルにより得られた成果として具体を記載させていただいておりますが、先ほどの厚労省の資料とも併せて御覧いただければと存じます。
 続きまして、C班の状況です。7ページ目にございますけれども、マル1からマル6のそれぞれの6つのチームにおきまして、それぞれのチームにおけます進捗状況の概要を8ページ目と9ページ目に記載してございます。
 8ページ目でございますけれども、集中管理チームにおきましては、サンプル輸送・処理プロトコルの作成については、処理プロトコル及びNGS解析SOPのドラフトが完成し、会議を開催してSOPの確定作業を実施中でございます。ゲノム解析チームにおきましては、ゲノムデータ解析について約1万症例の解析が終了いたしました。臨床情報チームにおきましては、Web APIを用いたデータ収集体制につきまして、3病院へのDDCプロトタイプ導入のシステム検証方法について検討を開始しております。
 9ページ目でございますけれども、データ共有チームでは、患者レポート作成との連携におきまして、そのリソースについて設計・構築を進めており、クラウドアカウントとの連携作業を実施し、API接続テストまで完了いたしております。出口戦略チームにおきましては、ENSEMBLE試験において36例を症例登録しております。乳がんのNAC観察研究では、研究体制について院内及び臨床試験グループのWJOGと詳細を調整中でございます。
 最後の10ページ目は、今年度のスケジュールでございます。
 AMEDからは以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、資料2の説明につきまして、御質問、御意見はございますでしょうか。
 宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 今日はとてもいろいろ気になることが多くてすみません。3ページ目ですが、ゲノムのRNAシークエンスやゲノムのシークエンスというのは外注してお金を払えば入ってくることなのですが、臨床情報に関して、後のほうでも出てきましたが、全く入れていないようなところもあるようで、一般国民としての発言と聞いていただければと思うのですけれども、何か自分たちの利害のために隠蔽しているのではないかという感想を一般国民だと持つのではないかという懸念を私は持ちました。
 5ページ目の情報ですが、角南班が0、ほかのところも含めてですが、あまりにも少ないのではないか。これで進捗が更新中とは書いておりますけれども、どうなるのだろうというのが心配です。これはAMEDですから委託になっているのだと思いますけれども、委託でこんな感じのことを平気でやっていると、私の昔の経験ですけれども、会計監査が入っても不思議ではない状態にこのプロジェクトはあるのではないかと、その一端がここに見えるように思いました。
 7ページ目、C班で、私はこのデータ共有・研究支援システムというところは極めて重要だと思っているのですけれども、レポート作成のシステム及びデータ共有のシステムには一体どれくらいのお金が使われて、どのクオリティーのものができているのかが全然説明されていなくて、私は極めて不満です。ですから、まず、厚労省、AMEDになるかと思いますが、報告していただきたいのは、一体幾らお金がレポート作成に使われ、データ共有にどれくらいのお金が使われ、どのクオリティーのものができているのか。金額は分かるかと思いますので、これは国がんに行っているものと東大医科研に行っているものがあるかと思いますが、私は実際に現地へ行かせていただいて、現物を見て、そのクオリティーを拝見させていただければと思っております。よろしいでしょうか。まず、金額がもし分かりましたらおっしゃっていただければ、令和3年度、令和4年度について、資料でどこかにあるのかもしれませんが、葛西参考人がおっしゃったように、幾らお金が入ってどんなものが出てきたかがこの文章からでは全然見えないように隠蔽されているのではないかと私は感じているところです。失礼なことをいっぱい言っているようで、すみません。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 まずはAMEDから今の御質問に対して御回答をいただけますでしょうか。
○土師参考人 AMEDでございます。宮野先生、御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 隠蔽と受け取られないように、私どもも研究進捗をきっちり管理いたしまして、しっかりした成果が出るように進めてまいりたいと思います。
 ゲノムシークエンス等につきましては、先ほども述べましたけれども、ベンダーに既に出検はかなり終了しております。現在そちらで解析が粛々と進んでいると聞いてございますので、年度末には計画を達成できるように進められていると聞いてございます。
 EDCの入力につきまして、臨床情報につきまして入力が遅れているところ、確かに御指摘のとおりございます。角南班も全項目では0となってございますけれども、基本項目については入れていただいているところでございまして、いろいろな業務が立て込んでいらっしゃるのかもしれませんけれども、今年度中には完了いただくと聞いてございます。あと、直接EDCに入力できない御施設様におきましては、エクセルシートに一旦集約して、そこから取り込むというプロセスにしておりますので、現在そこをたくさん進めていただいている研究班が多くございまして、そこからEDCに流し込まれますと、この臨床情報の収納数は増えていくと聞いておりますし、また、それも全て今年度中に終了いただくと研究班からは伺っているところでございます。
 最後に御質問いただきましたC班のデータ共有チームの予算ですけれども、これは井元先生、いらっしゃいますでしょうか。
○中釜委員長 井元先生、この点について何か御発言はございますか。
○井元参考人 井元です。正確な金額が必要でしょうか。ちょっとお待ちください。
 ちなみに、正確な金額をここで申し上げてよろしいでしょうかということはAMEDにて御確認いただければと思うのですが、よろしいですか。
○中釜委員長 AMED、この金額についての開示はよろしいですか。
○土師参考人 後ほど個別に回答させていただくことでよろしいでしょうか。
○宮野委員 なぜ個別にしないといけないのですか。先ほど葛西参考人からお話が出ましたように、どれだけのお金が使われて、どれだけのものが出たかをこの文書は明らかにしていないのです。そこが問題だと葛西参考人は御指摘になったわけで、それを後ほど何とかということは大きなプロジェクトとしてはあり得ないものだと思います。
 もし可能でしたら、井元参考人から大ざっぱな数字でよろしいのですけれども、伺えるものがあれば。
○井元参考人 まず、令和4年度に関して、先ほどAMEDからお示しいただいた各研究チームの区分で金額は私のほうで分かります。これは申し上げてよろしいですか。
 上から、集中管理システム、これは8000万円です。ゲノム解析・クラウド基盤・監視システムの構築は2億6923万円、臨床情報収集システムが1億5115万3000円で、レポート作成システムの構築が1億769万2000円、データ共有及び研究支援システムが7692万3000円、出口戦略は総額で1億2330万7000円です。
○中釜委員長 大枠の規模感は御理解いただけましたでしょうか。
○宮野委員 分かりました。
○井元参考人 令和3年度については、臨床情報収集チームは令和4年度からの活動ですので、令和3年度はこのチームには配分されていません。医科学研究所と国立がん研究センターで6億5000万円の直接経費をほぼ半々に分けて、医科研でゲノム解析、国がんで臨床情報収集及びレポート作成が行われている状況でございました。
○宮野委員 分かりました。
 かなりの金額がこういう情報システムに使われている認識を持ちました。もし可能でしたら、井元参考人から伺いたいのですけれども、満足な状況でしょうか。
○井元参考人 それは出来上がったクオリティーでしょうか。それとも金額でしょうか。
○宮野委員 金額とクオリティーはちゃんとバランスが取れているかという意味です。
○井元参考人 なるほど。目指すべきものに対して十分な金額かというと、それはもう少しというところかと思います。今、使われている金額に対して出来上がったものがそれ相当のクオリティーなのかについては、令和4年度分に関してはもう少し時間がありますので、最終報告書をそれぞれ作成されて評価されることになると思っております。
○宮野委員 分かりました。
 これは基本的にはどこかの会社に外注して、そして、それを納めさせるというものですか。それとも、このお金を請け負ったところが自分の組織の中でコードを書いたりしているのでしょうか。経費の使用状況ですね。
○井元参考人 それに関しては、外注で進めている部分が多いですが、全て委任する形ではうまく進みませんので、研究費を受けている研究者と共につくっているという状況という表現が正確なところかと思います。
○宮野委員 大変失礼な言い方になりますけれども、現地を訪問させていただいて見せていただくということを本年度中にさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○井元参考人 私のほうはもちろん構いません。
○宮野委員 ありがとうございます。
 それと、データを収集するシステム、これは請け負ったのはどこなのでしたか。
○井元参考人 データを収集するというのは、ゲノムのデータですか。
○宮野委員 令和4年度から始まったという、私のおぼろげな記憶ですと大阪公大と国立国際医療センターが請け負ったのではないかと思います。
○井元参考人 そのとおりです。
○宮野委員 そうすると、今、私の頭では別に動いていると思うのですけれども、国がんを中心としてデータを収集するところと一緒にマージするということは想定内と考えてよろしいのですか。これは井元先生がお答えになれることかどうかは分かりませんが、そうしないと、ただ独立に何かやりましたということで、本来のお金の適切な使い方になっていないような気がするのです。
○井元参考人 国立国際医療研究センターの美代先生と大阪工大の新谷先生を中心とするチームですけれども、令和4年度に実施いただいているのは、自動収集の仕組み作り、それから、FHIR準拠のデータベースに統合していく仕組みです。一方、令和3年度から臨床情報収集は始まっております。国立がん研究センターが契約しているクラウド上に設置されたEDCを用いて臨床情報を収集していくシステムです。先ほどAMEDから報告がありました臨床情報の数はそのシステムにて収集されたデータ数になっています。自動収集に関してはこれから始まるものですが、この2つの仕組みは令和4年度から始まった自動収集のほうに統合されていくべきだと考えております。
○宮野委員 分かりました。
 もう一つ、レポート作成の責任者とデータ共有の責任者は、どこかの資料に前に出ていたのだと思うのですけれども、どなたですか。
○井元参考人 先ほどの資料にありましたとおり、レポート作成は国立がん研究センターの間野先生、データ共有システムは国立がん研究センターの白石先生です。
○宮野委員 間野先生、白石先生ですか。では、そのお二人のところに訪問させていただいて、実態がどのようになっているのか、経費に見合うものなのかを調べさせていただきたいと思います。重要なところで、データの利活用ができなければこれは単に研究遊びにすぎないので、そこをきちんと見ていきたいと思っております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 現地の視察に関しては、AMEDも対応いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
○土師参考人 承知いたしました。
○中釜委員長 よろしくお願いいたします。
 それでは、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 議論はいろいろあると思うのですけれども、AMEDから必要なデータを出していただいて、それで議論を続けたほうがいいと思いますので、このままいろいろなことをやっていても、結果的に我々には誰が何をやったかがはっきり見えていないので、そこを整理した上でもう一度議論していただくほうが、ほかにもいろいろとあると思いますので、この議論はこの辺りで打ち切ってほかに移っていただくほうが、時間もかなり押している気がするので。
○宮野委員 すみません。
○中村委員 いえいえ。私が言うべきことではないですけれども、データもなくていろいろ言っていても先に進まないので、AMEDからはもっとオープンにいろいろなデータを出していただくようにお願いして次に進むほうがいいと思いますので、よろしくお願いします。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
 AMEDも対応をお願いいたします。
 また、これは準備室の中で各研究班の成果をいかに取りまとめて、それを見える形にしていく準備室の構築にも関わる話かとお聞きしましたので、御意見を受けて対応を進めていければと思います。ありがとうございます。
 葛西参考人、お願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
 私は今までの成果ということではなくて、令和4年度の目標と来年以降の目標のことも含めてなのですが、システムとして、これは御提案なのですけれども、ページでいうと7ページですね。C班の集中管理システム、ゲノム解析・クラウド基盤、臨床情報の活用、データ共有、出口戦略という書き方になっていらっしゃると思うのです。これだけだといきなり産業コンソーシアムも含めて利活用は難しいのではないかというのが私が感じているところで、まず、医療の分野がゼロトラストセキュリティアーキテクチャーになってきています。もう少し分かりやすく言うと、HPKIを配付したり、言わば電子証明書を活用して専門的には認証・認可というのですが、入り口から産業コンソーシアムで利用する人に至るまで全て一気通貫で誰が使ってどのように使われていったかが管理できるように、これは別に全ゲノムに限らず日本全体の医療DXの政府の基本方針がそうなっています。そうなったときに、実はここでいう集中管理や臨床情報、データ共有が、そういった電子証明書ベースでのシステム設計には恐らくなっていないと感じています。ですから、提案としては、まず集中管理システムは検体を管理しているだけですので、「検体管理システム」というのが正確な表現ではないでしょうか。
 細かく言うと、その後、検体の情報以外に臨床情報と遺伝子情報、ゲノム情報をひもづけるデータの管理も必要になってきます。かつそれがだんだん産業コンソーシアムに行くと、もしかするとマルチオミックス的なことを考えていかなければいけないというデータ提供ですね。こちらは民間の産業コンソーシアム側でどういうプラットフォームを構築していただいて、そこに向けて今度この準備室でつくろうとしておる全体の全ゲノム解析プラットフォームのシステムとインターオペラブルな要件を示さないと、単純にAPIだけ渡しても使えないと。イギリスの場合は仮想ブラウザを使って提供しているのですが、実は技術的には仮想ブラウザやシンクライアントよりも、今、スマートクライアントみたいないわゆるゼロトラストでのクライアントの考え方に変わってきているので、そういう一気通貫でのシステム設計、それが本当の集中管理プラットフォームだと思います。
 もう一個足りていないのが、ネットワークです。純粋なインフラストラクチャーの設計はまだできていないかと思っています。そういったところが細かく抜けていまして、臨床情報も臨床情報のFHIRをためておくリポジトリが必要になって、データ共有から出るエキスパートパネルの方に出すデータベースがあり、出口戦略としてのコホートに提供する提供プラットフォーム部分があるので、データリポジトリの配置が全て抜けているのです。ですから、そういったものを含めて総合的にシステム設計を見直した上で、いま一度足りていないところを早急につくらないとまずいのではないかと。これだけだと完全な部分最適になるかと感じていまして、専門的で申し訳ないのですが、重要なことなので指摘をいたしました。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 システムの管理、情報系の充実、その辺りは具体的にどのような構築にするかに関わってくるかと思いますので、検討をよろしくお願いいたします。御指摘ありがとうございました。
 ほかには。
 宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 今の葛西参考人のお話が非常に的を射たことで、お金がばらばらに配分されていて、ばらばらに使われていて、全然インフラも含めてユニファイされる方向になっていないというのが私の懸念、葛西さんの懸念と同じだということを申し添えたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 ほか、よろしいでしょうか。貴重な重要な御意見をありがとうございました。
 中村委員、お願いいたします。
○中村委員 簡単に一言、先ほどAMEDの説明の中に忙しくて間に合わないという発言がありましたけれども、揚げ足取りのようなことはしたくないですけれども、この事業を受ける以上、責任を持って自分の委託されたことをこなすというのは当たり前のことで、今、忙しいから遅れているというのは言い訳として通用しないと思いますので、そこはAMEDでもちゃんと委託事業がどのように進んでいるかをウオッチしていただいて、忙しいからできないという言い訳はこの場ではしてほしくないと思いますので、よろしくお願いします。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 私もその表現は気になっていましたので、確認させていただきたいと思います。
 それでは、少し進捗が遅れていますが、ここで一旦休憩を入れたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、5分の休憩を入れさせていただきますので、5分後にお戻りいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
(休  憩)
 
○中釜委員長 それでは、再開させていただきます。
 続きまして、議題(3)の「全ゲノム解析等に係る厚生労働科学研究について」、これはワーキンググループ長に説明をお願いしたいと思います。時間の都合上、各ワーキングループの方々の説明、発表をお聞きした後、まとめてお話ししたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、そのようにさせていただきます。
 では、最初に患者還元ワーキンググループからの御発表をお願いいたします。
○河野参考人 患者還元ワーキンググループ長の河野です。
 スライド4をお願いいたします。こちら、厚生労働省から御指示いただいております検討内容でございます。ここに書いてありますように、令和4年度、右にありますような検討を行っております。上から2つ目、3つ目に関しては、この後に述べさせていただきます。また、そのほかの案件に関しましては、解析・データセンターのワーキング、準備室ワーキングともに検討しておりますので、そちらのワーキングから報告をお願いいたしたく思います。
 次、お願いします。まず、前回からの議論となっておりますけれども、今回全ゲノム解析にがんゲノム医療連携病院が加わることについての要件ということでございますけれども、全体の前提といたしまして、赤い文字で書いておりますけれども、こちらのガイドラインを理解している医療機関の参画をお願いするということで、こちらは連携病院に限らずということになってございます。このようなことを具体的に文章として書かせていただいております。また、下の要件、こちらは前回のものと同じで、右上に追加の手順なども書かせていただいておりますが、1点、赤枠の部分ですけれども、情報セキュリティの責任者を明確にするということを今回新たに加えさせていただいております。こちらの理由書をもちまして、右上にあります追加の手順に従って各AMEDの代表のグループから申請をしていただきたいと思っております。
 次、お願いします。(2)でありますけれども、こちらも前回議論したものでありまして、前回と同様でありますが、具体的に運用を開始するということでよいのではないかと考えます。また(3)が次年度の検討に続いていきますけれども、先ほど来説明があります事業実施組織で最終的には統括的に全ゲノムの解析が行われることを見据えまして、まずは下の例がありますけれども、二次的所見の取扱いあるいは共通プロトコルやICFの策定、また、まだ開始されていない前向きでの造血器腫瘍の患者還元について、このようなことを実際に専門家やあるいは実績のある臨床医、そして、これまでのAMEDの全ゲノム事業のA班、B班の先生方を加えた拡大の患者還元ワーキンググループを次年度作成いたしまして、事業実施組織での統一的な実施に向けた課題の整理と対応方針の検討を行いたいと思っております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 続きまして、解析・データセンターワーキングループの御発表をお願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。解析・データセンターワーキングからの報告をさせていただきます。
 次、お願いします。こちらのスライドは令和4年度の解析・データセンターワーキングでの実際に行った検討を載せております。本日はこの検討内容の中からデータベース構築での短鎖全ゲノムシークエンスデータのQCの取りまとめ、(後述)と書いてある部分について前回は約8,600症例分で報告しましたが、研究班ごとのQCの結果について取りまとめが進んでまいりましたので、報告させていただきます。また、QC3として、QC1とQC2を取りまとめたQCの方針についてお話しさせていただこうと思っています。
 次、お願いいたします。このスライドは、QC体制のまとめとなり参考情報です。
 次、お願いいたします。このスライドはそれぞれのQCの基準を示しています。QC1での基準は数値で定められておりますが、QC2は項目のみで数値基準は設けておりません。全体の分布を見て、その分布から外れる検体について検討していくことになっております。
 次、お願いいたします。QC2ではマッピング率、重複率、インサート長、読み取り深度、それぞれの項目についてリファレンスゲノムにデータをアライメントした後のデータを用いて品質を確認するものになっております。
 次、お願いいたします。まず、マップ率ですが、これは全体9,699症例、NormalとTumorに分けたマップ率の結果になりますが、この次のスライドで班別に分けております。
 次、お願いいたします。図の中のaからiが各班に対応し、右上にaからiと班の対応を書いております。少し見にくくて申し訳ございません。左の図が正常検体のマッピング率、右側が腫瘍検体のマッピング率でございます。図の下に書いてある数字は、各班においてマッピング率が99%未満になっている症例の割合となっています。正常検体でe班、これは南谷班の血液腫瘍になります。血液腫瘍の正常検体は、31.9%がマッピング率99%未満となっております。この部分に関しては、班長の南谷先生と詳細に内容を確認いたしました。その結果として、正常検体で唾液の検体はマッピング率が低いことがあるということが分かっております。また、マッピング率が低い原因についても、バクテリアゲノムが読まれていることがあると分かっております。口腔内に存在するバクテリアの感染が見られるのではないかと推察されます。一方、ヒトリファレンスゲノムにアライメントされたリードについては、そのクオリティーはほぼ問題ないことが確認されております。従って、この結果から我々が学ぶべきことは、正常検体として唾液から採った検体で、バクテリア感染があるような患者さんについては、バクテリア由来のリードが混じる可能性があり、もう少し厚いDepthで読むことで十分な量のハイクオリティーなデータが得られるのではないか、ということであろうと思います。
 次、お願いいたします。重複率に関しては、このスライドは正常検体と腫瘍検体別の結果となり、班ごとに分けた結果が次のスライドです。次をお願いいたします。班ごとの重複率ですが、重複率が30%以上の症例の割合を一番下に書いております。おおむねどこの班の重複率が高かったかということはなく、それほど大きな差はございません。ただし、受託会社によって傾向はあろうかと思っております。
 次をお願いいたします。次はインサート長の分布になります。
 次のスライドをお願いいたします。これが班ごとに分けたインサート長の分布です。インサート長に関しましては、前回も少し報告しましたが、現在解析班で作成中のSOPでは350ベースと550ベースという2パターンが示されています。受託会社によって、もしくは班ごとにこのインサート長は契約時に設定するべきものだと思いますので、契約時のインサート長と実際のデータがどうなっていたかを照合して評価するべきであろうと思っております。
 次、お願いいたします。次は読み取り深度です。このスライドは全体ですが、次のスライドをお願いいたします。これが班ごとの読み取り深度、つまりアライメントした後のbamにおける読み取り深度でございます。先ほど血液腫瘍においてはマッピング率が低くなっている症例があるとお伝えしました。その影響があり正常検体において読み取り深度が少々浅くなっている検体がございます。アライメントされたリードに関しましては先ほども申し上げたとおり特に問題がないものでしたので、シークエンスリード数を多めに設定しておくことが、この問題を解決する一つの方法であろうと思っております。
 このDepthが、QC1では正常検体が30x以上、腫瘍検体では120x以上というものが基準でした。つまり、FASTQでの重複を除いたDepthになります。一方、アライメントを行いますと、それ以外にクオリティーの低いリードなどはアライメントされませんので、よりDepthは浅くなる傾向にあります。このスライドでは、QC1の基準に0.8を乗じて24xと96x未満の症例の割合を示しております。血液の正常検体で少々高くありますけれども、ほかの研究班においてはそれほど多くの検体がこの基準を下回ることはなかったという結論です。
 この0.8を乗じた理由ですが、次のスライドをお願いいたします。これはQC1とQC2のDepthの変化率を見ているものになります。これは班ごとではなく全体で分布を見ていますが、NとTで、ヒストグラムにしたものが次のスライドになります。これで大体お分かりかと思いますが、比を取ると、大体0.8から0.9の間にピークがあります。つまり、QC1とQC2のdepthの関係として、平均的にQC1のdepthに0.8を乗じたdepthがQC2で得られるdepthのある意味予測値となります。この理由によって0.8を乗じてそのdepth未満の検体の割合を確認したのが先ほどのスライドでした。
 次をお願いいたします。ただいま説明しましたQC1とQC2のdepthの変化率を研究班別にまとめたものが、このボックスプロットになっています。血液腫瘍の幾つかの検体で、このdepthの比が非常に小さくなっている症例があることが分かります。これらは先ほどのマッピング率が低かった症例と完全に一致します。
 次をお願いいたします。これが最後のスライドとなります。説明の後半で説明しましたdepthの変化率などはQC3の項目の一つと考えておりますが、このスライドにてQC3における検討項目の案を提示いたします。こういう項目について、今後該当する症例のDNA、RNAサンプルの品質、出検時の情報、試薬の情報などについてまとめていく計画です。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 続きまして、ELSIワーキング長の横野参考人、御説明をお願いいたします。
○横野参考人 では、次、お願いいたします。ELSIワーキングでの今年度実施した主な概要、内容については、以下のとおりです。本日はこのうちモデル文案の改定について、それから、一番下の項目にありますPPIイベントの実施について御報告させていただきたいと思います。ELSIワーキングでは、計7回外部の方も交えたワーキング会合を開催し、様々な立場から御意見をいただきながら、本年度の検討を進めてまいりました。
 次、お願いします。こちらは前回お示ししたもので、昨年12月に国立がん研究センターで「患者・市民パネル」検討会という形でPPIのイベントを実施させていただきました。
 次、お願いいたします。その際に、アンケートとグループディスカッションを行っています。そこで様々な有益な示唆に富んだ御意見をいただいておりますので、内容を御紹介したいと思います。アンケートでは右上にお示ししたような項目を確認させていただいていますが、そのうち太字の項目については同じ方に検討会の前後で回答をいただいており、変化が見られる部分もあります。なお、今回50名ほどの方に御参加いただきましたが、8割以上の方が御自身ががんと診断された経験をお持ちの方でした。
 以下のスライドでは、詳しいアンケートの内容等についてもできる限り含めております。資料として見ていただければと思いますが、その中からかいつまんで結果を御紹介したいと思います。
 次、お願いいたします。こちらはゲノム医療に関連する用語の認知度ですが、過去に同様の一般市民を対象にした調査が様々行われていますが、そういったものと比べてかなり認知度が高かったという結果となっております。高い関心をお持ちの方に多く御参加いただいたと考えております。
 次、お願いいたします。こちらに関しては申し訳ありません。見出しに不備がございまして、患者・市民参画活動への協力ではなく、全ゲノム解析研究そのものへの参画意向となっております。御参加いただいた方の中では、前後で検討会後のほうが参加意向がより高くなった、割合が増したという変化がございました。
 次、お願いいたします。こちらは患者・市民参画活動は様々なものが想定されますが、どのような活動であれば協力できそうかを伺ったものです。広報・周知活動への協力や関連政策へのコメント、フィードバック、患者・市民向けの説明文書や情報提供資料の査読などが上位となりました。
 次、お願いいたします。患者・市民参画活動に関する自由記述での意見もいただいています。積極的に参加したいという意向とともに、そのための支援や環境整備が必要であるといった指摘もございました。
 次、お願いいたします。次は全ゲノム解析研究、それから、患者・市民参画活動についての協力意向が検討会の前後で変化があったかどうかに関してです。いずれも積極的な方向に変化した方のほうが消極的な方向に変化した方よりも多くいらっしゃいました。
 次、お願いいたします。次はゲノム情報の活用に関してどういったことに多くの方が関心を持っているかということで、御自身の病気に関することだけでなく将来的な医学や医療の発展への活用に期待を寄せている方が多くのいらっしゃることが分かったと言っていいかと思います。そのほかに下に自由記述でいただいた御意見を記載していますが、非常に踏み込んだ御指摘もいただいているところです。
 次、お願いいたします。ゲノム情報の活用に関する不安については、実は検討後のほうが不安があるという回答が多くなっています。これは検討会の冒頭にレクチャーをして、どういった所見が得られ得るのかということについての詳しい説明等があったことの影響もあるかと思います。全ゲノム解析の現状等についてより理解を深めていただいた結果、リスクについても理解を深めていただいたと考えております。一方で、研究そのものへの参加意向に関しては検討会後のほうが高くなっておりますので、リスクについても把握した上で参加をしたいと考えてくださっている方がいらっしゃるということだと考えております。
 ここからは自由記述のところを主にまとめたものになりますので、私からポイントのみ御紹介させていただきたいと思います。まず、不安に関してなのですが、これまでも書かれてきたような個人情報の漏えいやさらにそれが悪用される可能性への不安、あるいは解析結果により治療薬がないことや将来の病気のリスクが分かった場合の不安といったものが多く挙げられています。
 次、お願いいたします。不安に対する対応についてですけれども、今、掲げたような不安について、ゲノム研究そのものについても知らないことや知らない方が多いので、不安を生じさせないような情報提供やコミュニケーション、それから、リテラシーを上げるための活動が重要であるという御意見、それから、PPI活動についても、PPI活動そのものの意義を伝えていくことが重要だという御意見をいただいたと考えております。また、先ほどもありましたが、解析によって得られた結果が不安を生じさせるようなものであった場合に、これに対するフォローアップが重要だという御意見も多くいただいているところです。それ以外の部分については、この資料を御参照いただければと思っております。このような形で得られた結果をここで共有させていただくこと自体も、PPI活動の意義を共有するという点で重要だと思っております。
 次に、別添資料で文案の見直しについて御説明させていただきたく思います。別添資料をお願いいたします。
 以前第1版を御承認いただきましたモデル文案について、難病での文案、体制班の議論やAMEDでの議論など、また「実行計画2022」での計画の明確化を踏まえて改定を行う必要があると考えております。
 目次が次のページにございますが、このうち「研究により得られた所見の取扱い」という真ん中の部分は変更がございません。それより前の部分ですね。「試料・情報の取扱い」までの部分に関しましても、細かな表現、語句の整備が、あるいは実行計画2022を受けた記述の拡充といった点が中心となっていますため、説明については割愛させていただきたいと思います。
 具体的な内容に関して見ていただきたいのは、7ページ以降のところになります。この画面上ではどこを修正したのか分かりづらい形になっているのですが、難病でのICF案、それから、AMEDでの共通説明文案の議論を反映しまして、「データの適正な利用のための取り組み」というところについて、それから、前回いただいた外国への提供に関する議論を反映した形の修正案を作成しております。
 まず「データの適正な利用のための取り組み」の1つ目のパラグラフの後半のところですけれども、審査でどういった観点を重視するのかということで「審査に当たっては、データの利用目的や利用範囲、個人情報の保護体制が適正であるかを厳正に確認し、利用が認められた後も利用状況を監督します。国内からの利用、国外からの利用にかかわらず同様です」という記述を追加しております。
 その次の行ですけれども、個人の同定が禁止されるということが実行計画2022の中に明記をされましたので、それを受けた記述を追加しております。解析結果等を個別にお知らせする必要がある場合を除き、データ利用者における個人の同定は禁止されますという記載を追加しております。
 情報公開に関して、このページの一番下のところにありますが、「「全ゲノム解析等実行計画」ではデータの利活用に関する状況についてできる限り情報を公開し、透明性の確保に努めます。試料・データの利活用状況や新たな研究への利用については」、これは今後準備室等ができた後に具体的な情報公開の方法を記載することになると思いますが、「***にてお知らせする予定です」という文言を、これは文言の調整という範囲であるかと思いますが、追加をしています。
 では、次のところをお願いいたします。次の「誰がどのようにしてデータを利用するか」に関してですけれども、ここは難病やAMEDのモデル文案と合致するような形の記載にしております。2パラグラフ目のところですけれども、「「全ゲノム解析等実行計画」では、国内外の健康・医療に関する研究および開発に携わる研究機関・研究者や企業がデータを共有して研究および開発に活用するための仕組みを構築します。この仕組みを通して、国内外の研究機関・医療機関、企業」に「および承認審査機関」を追加しております。「健康・医療に関する研究」、それから「薬事申請」を追加しており、「薬事申請を含む医薬品等の開発、科学的なエビデンスに基づく予防等、またこれらの研究開発に関わる人材の育成や保健医療政策の検討を行う目的で」データを利用しますということを明記させていただいています。人材の育成に関しては、先ほども御議論があったところだと考えております。保健医療政策の検討についても、これまで既に第1版の文案の中でもこの事業全体の目的としては記載があったところですけれども、この部分にデータ利活用の目的として追記をさせていただいています。
 それから、このページの一番下のところですけれども、データの利活用審査についても記述を追加しております。「データを利用する機関や利用目的は、申請に応じて審査を行ない、十分なセキュリティを整備し適切な取り扱いができること等を確認した上で決定されます」と。その上で、提供先については現時点では具体的には特定されないということの説明を追加しております。「今の時点では具体的な利用機関やその所在国をお伝えできないことをご了承ください」ということで、ここは個人情報保護法に基づいた記載を追加しております。経済安全保障上の観点など様々な具体的な審査における観点は、利活用ポリシーやその運用の中で反映させていく形になると考えております。
 最後ですけれども、「事業実施組織への移管について」、次のページをお願いいたします。これは新しく追加した項目で、基本的には難病での文案の記載に従った内容を追加しております。令和7年度以降事業実施組織が創設されることとデータが移管されること、その事業実施組織がデータの管理や利活用審査などを担うということを追記しております。
 知財の帰属については、難病の文案と合わせた記載に変更をしております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、一旦ここで切りまして、これまで3つのワーキンググループからの発表がありましたが、これまでのところで御質問、御意見はございますでしょうか。
 中村委員、お願いいたします。
○中村委員 井元先生、どうもありがとうございました。非常に有用なデータであると思います。
 今後のゲノム医療のことを考えると、QCをどう取るのかというのは非常に重要な観点で、多少ばらつきはありますけれども、おおむねいい線を行っていると思いますが、高品質のデータが得られない症例はどんな症例なのかを検討していただければ、これからのゲノム医療にとって非常に大事ですので、QC、機関ごとのばらつきは分かりましたけれども、悪い結果が出たサンプルは何が違うのか、生の組織のほうがいいのか、ホルマリンでもいいのかということを含めて、お手数をおかけしますけれども、比較していただければ助かると思います。
 もう一点は、今のDepthが本当に必要なのかどうかというのは、バリアントのアレルフリークエンシーによって違ってくると思うのですけれども、組織ごとに本当にもっと少なくてもいいような組織があるのかどうか、あるいは個人ごとに見るとバリアントアレルフリークエンシーがばらばらなので、あまりどこどこのがんだからDepthを下げていいという結論にならないのかということも含めて、本当に専門的にいろいろなことを見て経費を下げていくことも重要ですので、どこどこのがんであればDepthはもっと下げてもいいという結果になれば非常にコスト的にも助かります。それでいろいろなことができると思いますので、違った見方でいろいろなことができると思いますので、それを検討していただいて、急ぎませんので、次かその次かで、このがんだとバリアントアレルフリークエンシーは高いのか低いのかという情報もできましたら御提供いただければと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の御指摘について、井元先生、簡単にお答えできますか。
○井元参考人 大変重要な宿題をいただいたと思っております。
○中釜委員長 続きまして、宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 中村先生のお話と重なるのですけれども、13ページの腫瘍のマップ率のところで、血液腫瘍の南谷先生のところの説明はあったのですが、もうお一方、角南班の腫瘍のマップ率がよくないというのがあって、その説明はなかったのですね。それはどうしてなのでしょうか。
○中釜委員長 井元先生、お願いいたします。
○井元参考人 13ページ、角南班ですか。
○宮野委員 角南班、左から3番目になっている。
○井元参考人 腫瘍のほうでしょうか。
○宮野委員 腫瘍のほうです。
○井元参考人 前向き症例の腫瘍については、がん種の情報が我々には伝わっていないことがありますが、腫瘍でマップ率を下げる原因として考えられるものは、例えばウイルス感染を伴うがんにおいてHPVやHBVなどは影響はあるだろうと思っております。まだ腫瘍のほうは深く検討できていませんので、研究班の先生方と検討したいと思っております。
○宮野委員 分かりました。
 井元先生のところにはデータは来ているわけですね。
○井元参考人 そうです。
○宮野委員 分かりました。
 それと、この前の資料なのですけれども、EDC入力に関する進捗状況のところで角南班が0と書いてあって、この2つを見ると班長としての資質を疑ってしまったというのが私の素直な気持ちです。
 以上です。コメントは要りません。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。その辺もAMEDでしっかりと管理いただければと思います。
 ほかに。
 神里委員、お願いいたします。
○神里委員 ありがとうございます。
 横野先生にコメントなのですけれども、ICFをおまとめいただきまして、アップデートしていただきまして、ありがとうございます。その中で、今回のがんの領域のみならず難病のほうもということだと思うのですが、9ページの知財の帰属というところがありますけれども、この知財の帰属について帰属しないということは必要な事項であるとともに、企業さん等がいろいろな関わりをして開発をしていくわけですから、知財以外で製品の販売による利潤などいろいろな形があることを踏まえて、もう少しここは幅広に書いてはいかがかと思ったのですけれども、どうでしょうか。
○横野参考人 御指摘ありがとうございます。
 もし実際に参画される企業の側から具体的な御提案等があれば、そちらを伺って拡充していきたいと思っておりますし、また、今後のコンソーシアムの中でもそういった御議論はあるかと思いますので、そこでのポリシーとも整合させるような記述にしていく必要があると思っております。
○神里委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
 続きまして、河野参考人、御発言はございますか。
○河野参考人 先ほど宮野先生からスライド13の御指摘があったと思うのですけれども、井元先生、データが見にくいところもあったのかと思うのですけれども、出していただくことはできますでしょうか。グラフから見ると確かに腫瘍検体でもかなりマップ率が低いような印象を一見与えるのですが、縦軸が大きく違っておりまして、正常検体のほうの血液、こちらは移植あるいは口腔粘膜からのDNAなどいろいろな条件があるのだと思いますが、一方、腫瘍は基本的には99%以上を超えておりますので、正常のマップ率とはグラフの縦軸がそろっていないので見にくかったのかということを補足させていただきたいと思います。
○中釜委員長 よろしいですか。
 検体間での差がどこに起因するのかということに関してはデータをまた詳細に解析いただければと思いますが、井元先生、よろしいでしょうか。お願いいたします。
 続きまして、水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 ありがとうございます。
 私はICFというか、資料3の別添について少し御質問とコメントがあります。前回の難病領域のものも取り込んでいただいて、大変ありがとうございます。8ページ目に「誰がどのようにしてデータを利用するか」というところでマル1とマル2があるのですけれども、マル1のほうはこの研究の参画者とマル2のほうは上記以外での非参画者という区分になっていまして、これまでのいろいろな議論ですとアカデミアと産業界という区分になっているかと思うのです。アカデミアのほうは無償で企業のほうは有償という構図があったと思うのですけれども、今回はマル2で拝見しますと、1行目でしょうか。有償であると。そこには2行目ですけれども、研究機関、アカデミアも入っていて、そのような区分になっているかと思います。これは言われてみればそうかもしれないのですけれども、混乱するのではないかということが一つあって、もし可能であればほかと同じようなアカデミアと企業という区分で書いていただいたほうが、令和5年度からの計画はもう本格解析をにらんで、できるだけそれに近づける体制だと思うのでよいかと思ったのですけれども、この点はいかがでしょうか。理由がありますでしょうか。
○中釜委員長 今の御指摘に対して、横野参考人、お願いします。
○横野参考人 この点に関しては、以前からこちらの専門委員会でも御承認いただいた整理でこのようになっていると考えております。
○水澤委員 そうすると、どこかこの有償、無償についてそごが出てきてしまうかもしれませんね。
○横野参考人 そこはいま一度確認をさせていただきたいと思いますが、以前からその点の枠組みについては変更がないと私たちのほうでは認識をしております。ただ、確認をさせていただきたいというのと、コンソーシアムとしてどういう形にするのかということとデータ利活用における整理はどうするのかということはまた違った部分はあるかと思っておりますので、いま一度確認させていただきたいと思います。
○水澤委員 先ほどコンソーシアムのところでいろいろ意見があって、私も申し上げましたけれども、あそこの利用者といわゆる参画者というか、職員の方との区別がよく分からないような書きぶりだったと思いますので、そこのところも再検討してくださることになったと思いますので、この点、はっきりさせていただくとよいかと思いました。
 もう一点は9ページ目なのですけれども、私のバージョンが古いかもしれませんが、第3パラグラフの最後のほうにどの国の研究者に対しても利用してもらえると。そのときに「その国の法令に沿って作成された」云々となっているのですけれども、これはその国の法令と我が国の法令というか、それも入る。そういう理解でよろしいでしょうか。
○横野参考人 基本的にはその国では最低限その国の法令に沿ったガイドラインが作成されていて、それに従った利活用がされているというところまでは一般的なこととして述べられるとは考えております。ただ、それが我が国の法制度等と合致しているかどうかというのはまた別の問題として確認をしなければならない問題で、それは同等であることを前提とすべきかどうかということ自体が一つのポリシーになるかと思っております。
○水澤委員 同等ということではないのですが、常識的に当然ですけれども、我が国というか、ここで決めるルールには従ってもらうと。それとともに、当然その国のルールにも従ってもらうという、どのように書くかは別としてそれは正しいでしょうか。
○横野参考人 これは直接実行計画そのものの仕組みの中で提供するわけではなく、公的データベースに提供した後、そのデータベースから提供されることになりますので、100%実行計画の側でその先の利活用をコントロールできるものではないと理解しております。
○水澤委員 なるほど。十分に理解できないのですけれども、なかなか難しい問題だと感じました。
○横野参考人 そのため、広めに書いてあるというところがございます。
○水澤委員 ありがとうございます。読んだときにそこが分かりやすいとよいかと思いました。
 最後なのですけれども、5ページ目で、これは「研究により得られた所見の取扱い」ということなのですけれども、2番がいわゆる二次的所見ということになるかと思います。先ほどのAMEDの成果でも大分二次的所見が見つかっているというデータが出ていましたけれども、これは前回の難病のところでも議論になりましたけれども、比較的淡々とというか、本当にシンプルに書いていただいたと思うのですけれども、あのときに議論があったように、二次所見については一次所見よりももっと難しい側面がありますので、ディスクレーマー的なものをきちんと書いておいていただいたほうが研究者としては安心して対応できるかと思いました。よろしく御検討をお願いします。
 以上です。
○横野参考人 今年度、実際の医療機関での説明状況についての実態調査をしておりまして、そういったところでもその辺りに関する課題意識も把握されていますので、来年度、またその調査も踏まえて拡充していきたいと考えております。ありがとうございます。
○水澤委員 よろしくお願いします。
○中釜委員長 では、宮野委員、先にお願いいたします。
○宮野委員 先ほどの水澤先生のお話を伺っていて、EUではEU CommissionがEuropean Health Data Spaceという医療データについての構想を去年出しておられますけれども、そういったものは今回の改定案に影響はあったのでしょうか。
○横野参考人 直接の影響はありません。ただ、その辺りについて情報収集はしております。EHDSに関しましても現状では案の段階ですし、EU内での越境でのデータ利活用ということですので、状況については注視していきたいと考えております。
○宮野委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 それでは、上野参考人、お願いいたします。
○上野参考人 ありがとうございます。
 私も資料3の別添の資料について2点ほど確認並びに要望なのですが、7ページ目の冒頭に「「全ゲノム解析等実行計画」におけるデータの利用」と書いてあるのですが、その下を見ますと試料についても記載されているのですけれども、実際に我々製薬企業が活用したいと思っているのは、データと頂いた試料を使っての創薬研究を念頭に置いておりまして、ここに「データの利用」とは書いてあるのですけれども、試料も利用できるという理解でよろしいでしょうかということの確認です。
○中釜委員長 この点について、横野参考人、お願いします。
○横野参考人 実行計画の中でもがんの領域の試料の利用については記載があるところでして、ただ、現状として試料そのもののメタ情報に関しては集中管理をするということなのですけれども、試料そのものにどのようにアクセスをするかに関しては、まだ具体的に決まっていない部分が多くあると理解をしておりますので、現時点では具体的な記載が入れられないでいるというところが実情です。
○上野参考人 リコンタクトの体制も重要と考えておりますので、引き続き御検討をよろしくお願いいたします。
 2点目は、今日はがん領域についてのお話で、そこでは国内だけではなくて海外での利用も含めて検討いただいて、非常に我々としてもありがたいと思っています。一方、前回は私の代わりに製薬協から森専務理事が出させていただいたのですが、そこでは難病については国外、海外での利用についてはできないという議論だったと聞いておりまして、改めて難病においても海外での利用ができるように検討をお願いしたい。といいますのも、難病あるいは特に希少疾患の場合は患者数が少ない中で、海外も含めてデータを活用して創薬をすることが重要だと思いますので、それが難病あるいは希少疾患の創薬をより加速化するのに重要だと思いますので、改めてその点の御検討をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 検体の実際の利活用については、提供者の不利益も考慮してということだと思いますが、水澤委員、何かこの点について御発言はございますか。
○水澤委員 別のことで手を挙げていたのですけれども、ちょうど今、その話題になったと思いますので、これは厚労省あるいは別の委員からもお話があるかもしれませんけれども、患者さんのお気持ちとして少し抵抗があるということを私はお聞きしました。我々がいろいろ議論をしてこっちにする、あっちにするという問題の前の部分だと思います。したがいまして、それを2段階と申しましょうか、まずは非常にセキュリティが高いとか、そういうことをよく分かっていただいた上で、御納得いただけたらそのように発展的にできるのではないかと私も期待しております。今、私の心情としてはそういったところです。よろしいでしょうか。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 御指摘の点は、利活用を促進するという観点も踏まえながら検討していただければと思います。
 ほか、よろしいでしょうか。
 水澤委員、お願いいたします。
○水澤委員 これはマイナーなタイプ的な問題なのですけれども、別添資料の3ページの「(1)試料」のパラグラフの1行目と2行目で、私の資料はもしかしたら古いかもしれないので、直っていればよいのですけれども、ここに「タンパク質や」とありまして、「DNA」云々と続き、その次にまた「たんぱく質」と出てきます。読んでみても意味がなかなか通じないので、もしかしたら間違いではないかと思います。見ていただければと思いました。
 2つ目が、これも今のことにもちょっと関係しますかね。8ページ目の誰がどのようにしてデータをというところの大きなパラグラフの最初のほうの後で「国内での研究開発を促進することが期待されます」で文が終わっていると思います。その前の説明は全部「国内外」という形になっていますので、これも国内だけではなくて恐らく外国のいろいろな方々も利活用される可能性はありますので、「国内外」でも別に悪くないと思いました。
 以上です。
○中釜委員長 御指摘をありがとうございました。
 横野参考人、よろしいでしょうか。
○横野参考人 ありがとうございます。
 前者については、追記をしたときの編集ミスですので、修正させていただきます。
 後者については、AMED文案と整合させたところでございます。整合の関係も含めて確認させていただきたいと思います。
○水澤委員 よろしくお願いします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、事業実施準備室のワーキンググループからの発表をお願いいたします。
○青木参考人 準備室ワーキンググループの青木です。よろしくお願いいたします。
 次のスライドをお願いいたします。令和4年度に行った準備室ワーキンググループの総括報告です。がん領域と難病領域が連携いたしまして、それから、厚生労働省イノベーション推進室とも連携して検討を行ってまいりました。準備室発足に係る事項としては、論点整理やマスタープラン、活動計画の作成、それから、令和7年度に目指す組織図案や令和5年度の青写真、コンソーシアム構築に関する計画、解析・データセンターの現状調査などを行ってまいりました。データ利活用に関しては、患者還元ワーキンググループと連携して、現在先生方に見ていただいておりますデータ利活用ポリシー案の作成、データ利活用のシステムの構築などを行ってまいりました。PPIに関しましては、ELSIワーキンググループと連携してJHのホームページに準備室ワーキンググループのウェブサイトを構築して情報発信を始めたということと、がんと難病の合同会議として情報発信の在り方やPPIの計画を検討してまいりました。人材育成に関しましては、まだ調査中ですが、遺伝カウンセリングやAIを活用できる人材育成案の作成のための調査を行っております。
 次、お願いします。準備室、それから、事業実施組織構築に関する進捗状況について御説明させていただきたいと思います。
 次、お願いいたします。前回の第13回の専門委員会で御指摘いただいた点は、コンソーシアムの発足に関して、事業の実施組織及び準備室の検討よりもコンソーシアムが先に自立することに関しては懸念が示されたと思います。そこも含めまして、コンソーシアムをどのように作っていくかについて、本日また案を提示させていただきます。さらに、この事業実施組織に対して具体的な検討を進める必要があること、目指す将来像、それから、人員や予算規模ですね。それから、解析・データセンターの将来像についても不透明であったので、示してほしいという御意見があったかと思われます。コンソーシアムにつきましても、事業実施組織とコンソーシアムの関係とその役割を整理すること、それから、患者・市民の声を取り入れながら活動する必要があるといった御指摘をいただきました。今回は事業実施組織及び準備室に関しましては、目指す将来の姿や令和7年度までの達成目標、コンソーシアムをどのようにつくっていくかということも含めた事業実施組織やコンソーシアム、解析・データセンター等の活動計画、人員規模、人員要件について。解析・データセンターに関しましては、まだ検討が途中ということでありますので、詳しい基本計画はお示しできないのですが、今後対応を検討すべき重要な論点などについてお示ししたいと思います。
 次、お願いいたします。これは準備室ワーキンググループからの将来の姿という形で示したものになります。スライド左側が事業実施組織設立1~2年といったところで、年間1万人くらいのゲノム解析が行われることをイメージしております。将来的には例えばがんのステージIII・IVを中心とした患者さん、あるいは難病患者・家族などを含めて、年間30~40万人くらいの全ゲノム解析を行うようになる。それによって、適切かつ有効な診断・治療を提供できたり、患者さんの病勢変化や再発などの転帰を正確に予測できる、あるいは、発症予測が可能となったり、高危険群を対象に予防あるいは早期治療が実施できるのではないかと考えております。そして、これらの集積されたゲノム情報や臨床情報を用いて、日本がアジアにおける創薬の要になっていく、そのようなことが期待されるかと思います。
 ただ、このような将来に至るに当たっては様々な課題がありまして、それは下のほうのカラムに書いてありますが、何より全ゲノム解析が有用な疾患群、どういう疾患に全ゲノム解析が有用ということを特定する必要がありますし、必要な計算環境、データストレージ、セキュリティシステムの設計・開発が必要かと思われます。また、全ゲノム解析に対応できるような医療機関を拡充する必要がありますし、国民・社会との協働による理解・認知の向上も必要かと思われます。
 次、お願いいたします。これは令和5年度、6年度、7年度に、事業実施準備室、それから、事業実施組織が達成する目標としてこのようなことが挙げられるのではないかということを示したものです。例えば組織全体として、令和5年度には長期的な事業戦略や事業計画を策定する、それから、運営プロセスの策定や人員を確保する、そして、法人形態を決定するということが挙げられるかと思います。患者還元では、同意管理体制や解析結果レポート基準の作成や品質管理体制の構築。解析・データセンターに関しましては、基本構想を検討する部分と、現在がんと難病の間でそれぞれ解析・データセンターがあるわけですけれども、この両者をいかに連携したり、統合したり、あるいは将来どのように移行していくかといった計画をつくる、また、各機能・システムの構築を継続的に実施することが必要かと思われます。データ利活用に関しましても、限定的ではあるかもしれませんが、実際の患者さんを用いたデータ利活用を開始するといったことが目標かと思われます。
 次、お願いいたします。コンソーシアムに関しましては、後ほどまた述べますが、事業実施組織とコンソーシアムの連携体制案を策定したり、コンソーシアムの活動計画、内部の組織体制・運営プロセス案を策定する、それから、法人登記なども来年度中に行ってはいかがかということであります。ELSI・PPIに関しましては、継続的な情報発信・周知活動や、準備室のウェブページが必要になると思われますので、それを作成し、運用すること。それから、参加者パネルの試験的運用といったことが達成目標かと考えられます。
 次、お願いいたします。これは前回令和5年度発足時点で事業実施準備室の青写真として示させていただいたものですが、その中でも赤で書いてあるところが前回と変わっているところです。前回は「コンソーシアム支援チーム」が左から3つ目のカラムのところに書いてありましたけれども、支援するのはコンソーシアムだけではありませんので、「利活用支援チーム」と名前を変えております。一番大きな違いは、この事業実施組織の準備室の中にコンソーシアム設置支援委員会というものをつくって、この中でコンソーシアムの活動計画、運営体制、会則なども決めたり、事業実施準備室あるいは事業実施組織との関係を整理する、このような形で、要は、卵が成熟してひよこになるといったところで自立していただくという形でいかがかと思っております。その際、患者・市民、産業界、アカデミアの3者から要望を集めることが重要かと思います。
 次、お願いいたします。これは同じようなことを言っておりますけれども、下のほうのカラムに書いてありますように、コンソーシアムは、初期は事業実施準備室内のコンソーシアム設置支援委員会というところで検討する。そこで組織体制と活動計画、連携方針などを策定して独立する方針でいかがかということであります。前回の専門委員会では、患者・市民に対する活動もやってほしいという要望がありましたので、コンソーシアムの中ではELSI・PPI検討チームをつくって検討する案となっています。
 次、お願いいたします。この次の3枚に関しましては、令和5年度の活動計画として具体的にこのような活動計画として行っていってはどうかということが示されております。組織全体として、まず、目指す組織の姿を策定すること。そこには正式な組織の名称を策定することが含まれます。また、人員・予算の確保に向けた計画を策定するといったことが必要と思われますし、実際に準備室の主要メンバーや運営メンバーなどを決定したり、人材獲得に向けた計画を策定することが必要かと思われます。患者還元に関しましては、データ・検体提供を担う医療機関の審査・承認の仕組みの構築といったことや、同意の管理体制、それから、解析結果レポート基準の作成や品質管理体制の構築、このようなものが必要かと思われます。
 次のスライドをお願いいたします。解析・データセンターに関しましては、現在AMEDのC班で個別のシステムとして開発が進んでいるといったところでありますけれども、その個別システムの要件を定義するとともに、そのシステム全体の基本構想も決めていって、優先度の高いシステムから開発に着手するといった形が必要かと思われます。また、この解析・データセンターは専門性が高いところでもありますので、その事業実施組織の中で担う業務の定義や実際にどのくらいの人員や予算が必要かといったことの計画の策定が必要かと思います。データ利活用に関しましては、来年度にポリシーを策定し、利活用審査委員会を立ち上げて、倫理的な問題を解決しつつ、実際、一部の利活用を実現してまいりたいと思っております。
 次のスライドをお願いいたします。コンソーシアムに関しましては、先ほど申しましたように、コンソーシアムの設置支援委員会を準備室の中にまずつくりまして、そこでまずスタートアップメンバーを固めて、主体的に討議・検討していただき、その活動計画ですとか、内部の運用体制、会則、それから、ガバナンスの体制案なども含めた外部組織との連携、このようなことを決めて、今年の末くらいには正式に発足という形ではいかがかということであります。ELSI・PPIに関しましては、ウェブページの構築、今後の広報計画を策定するといったことや、今後のELSI上の課題の洗い出しといったことが必要かと思われます。
 次、お願いいたします。これは、事業実施準備室令和5年度と、それから、実際に事業の実施組織ができた令和7年度の末あたりで、これくらいの人員規模が必要ではないかということを示したものであります。事業実施組織としては、令和7年度くらいには120~140人くらいの人員規模が必要ではないかと考えております。これは例えば患者還元支援部門ではどのような活動を行うか、医療機関との連携などの活動を行うのにこれくらいの人数が必要であろうということを積算して出てきた数字となっております。解析・データセンター運営部門は、60~70と一番多いですが、半分くらいは外部に委託する形かと思っております。このような形で出てきた数字は、Genomics Englandが1万人ぐらいのゲノム解析を行ったときの配分や人数の規模と大体同等でありました。
 次、お願いいたします。これから3枚に関しましては、各チームのリーダーやメンバーに求められる要件について示しております。来年度令和5年度になりますと、実際に準備室のメンバー、リーダーを選任していく必要がありますので、その要件としてこのような形ではいかがかということであります。全チームに共通しているのは、適切な業務遂行ができるエフォートを割くことが可能であるということです。この赤字で書いてあるのがリーダーに求める要件になりまして、患者還元支援チームでは、がん・難病領域の臨床の経験があるとか、医療機関との連携によるデータ・検体の収集、データの解析、解析結果の評価、結果を患者さんへ還元するまでの一連のプロセスに精通していることなど、このような要件があったほうがよいのではないかというところです。利活用支援チームでは、学位を持っているとか、ゲノム解析研究の経験を持っていることなど。産業側でも、ゲノム創薬に経験を持つような企業に属していて、そのような経験やアカデミア側と協働した経験を持っていることが必要かと思われます。
 次、お願いいたします。解析・データセンターは、より専門的な人材が必要かと思われますので、シークエンス解析、解析ソフトウエアの開発や医療情報収集に関する開発、医療情報によるコホート研究やデータサイエンスの経験を持つ。プロジェクト統括、それから、データエンジニアリング、インフラシステム、システムエンジニア、サービスデザイナー、セキュリティエンジニア、ITカスタマーサポート、このような様々な専門性を持った方々が必要ではないかと思われます。
 次、お願いいたします。IT・情報基盤・セキュリティチームに関しましては、ITインフラ整備と情報セキュリティ体制の構築を調整するような業務に従事した経験が必要かと思われます。ELSIに関しましては、研究的な要素が含まれますので、ELSI・PPI領域の研究経験があること、そして、ゲノムを活用した医療事業において、ELSIの観点に関する研究に精通していることが必要かと思われます。総務チームにおきましては、これまで経営企画や事業統括、あるいは準備室ワーキンググループなどで部門間の調整などに従事した経験を持っていることが必要かと思われます。
 次、お願いいたします。次は解析・データセンターの姿です。現在、解析・データセンターの基本構想を検討いたしており、まだ基本構想の計画ができていないので、本日はお示しできる状態ではないのですが、我々としてはこの解析・データセンター構築上の主な論点として、真ん中のカラムにあるような4点が重要ではないかと考えております。事業実施組織の設立に際し、解析・データセンターの運営権限をどのように位置づけるか。それから、将来的にはクラウドに移行することになりますけれども、オンプレミスとクラウドをどのように併用するか、そして、クラウドへ移行するようなデータや機能の範囲をどうするか。それから、解析・データセンターの構築・保守・運用の実務について、どの程度内部で担って、どの程度外部のITベンダーに委託すべきか。それから、がんと難病のほうでデータや検体の流れがやや異なっているところがありますので、それぞれどのように連携したり、統合したりできるか。このような観点かと思っております。
 次、お願いいたします。これは令和7年度に目指す解析・データセンターの概略図ということで、マル1として書いてあるのは、事業実施組織の解析・データセンター運営部門がこの解析・データセンターを管理・運営するのがよいだろうということを示しています。一部はITベンダーに委託するということはマル3として書いております。マル2は解析・データセンターの中身ということになりますが、現在この基本構想に関しましては、AMED研究班、井元先生の解析・データワーキンググループ、あるいはこの後葛西参与にも加わっていただきながら設計していく予定です。
 次のスライドをお願いいたします。我々が考えるシステムとデータ連携の将来像ということで、医療機関としては、e-コンセントシステムと電子カルテが連携する。事業実施組織としては、患者用のプラットフォーム、それから、集中管理システム、ゲノム情報や臨床情報のデータベース、利活用システムがそれぞれ連携します。両者で、同意や検体のID番号、それから、実際の検体やゲノム情報、臨床情報、そして、患者さんへの還元用のレポートがやり取りされると。このようなシステムとデータの連携の将来像を考えております。
 準備室ワーキンググループからは以上です。
○中釜委員長 御説明ありがとうございました。
 それでは、今の準備室ワーキンググループの説明につきまして、何か御質問、御意見はございますでしょうか。
 宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 P46などに、患者還元、利活用のところで「試験的利活用」という言葉が出てきていて、前回ここで細胞株を用いてデータを取っていくということが書いてあったのですが、今回はそれが書いておられないということは、細胞株を使ったデータ取得はしないというように理解しましたが、それでよろしいでしょうか。
○中釜委員長 お願いいたします。
○青木参考人 細胞株を使った全ゲノムデータを用いてデータの共有システムの使い勝手を見ていただくという計画に関しては、変わっておりません。
○宮野委員 そうしますと、患者還元ワーキンググループと連携してやっていくということがうたわれていましたけれども、そこでは既に出ているわけで、そこの中でシステムの試験的な利活用をやっていきながらシステムをよくしていくというのが真っ当なやり方であって、細胞株を使ってやることにお金を使うことは私は全く意味のないことだと考えています。また、実際に出てくるデータについては、米国のBroad InstituteやSanger Instituteなど、細胞株を使ったデータを全部全世界に公開しているので、そういったデータがないというわけでもなく、私は細胞株を使ってという言葉がなくなったことについて、試験的データ利活用の裏側に細胞株を使ってやるということを隠したのだと認識しました。非常に不快です。
○中釜委員長 イノベ室、市村室長。
○市村室長 イノベ室の市村です。
 補足させていただきますが、この令和5年度からの計画としては、細胞株はもう使う予定はございません。細胞株のデータを使用した理由としては、令和4年度のシステムのチェックが目的であり、令和5年度以降は細胞株のデータを使うことは考えておりません。
○宮野委員 分かりました。
 青木先生、今、説明を受けましたが、そういう認識でよろしいですか。
○中釜委員長 青木先生、お願いします。
○青木参考人 はい。そのとおりです。
○宮野委員 細胞株を使ってというところにお金は使わないということで理解しましたが。
○青木参考人 試験的データ利活用の眼目は、共有システムの使い勝手を見ていただくということです。
○宮野委員 だから、使い勝手を見ていくためには、実際の臨床の現場でどのようなことが起こっているかを見ながらシステムを改良していくこと、問題点が何かを見つけていくこと、それが一番重要なことだと私は認識していますので、市村先生が説明されましたように、令和5年度は細胞株を使ってやっていくことはないということで了解しました。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 ほかに。
 中村委員、お願いいたします。
○中村委員 この専門委員会が始まったときから臨床データをどう集めるのかが大きな課題で、どこかのサーバーに置くのか、クラウドを使うのか、一旦データベースを作ってから移せばいいと言われていますけれども、コスト的に見てこんな非効率なものはないので、これだけ時代が急速に移り変わる中で、臨床情報をクラウドに集めてくるというのはだんだん行うことが可能なレベルになってきたと思います。実際、実施組織にデータを移管して皆さんに使っていただくのであれば、それを前提にクラウドにどうするのかを考えたほうが、一旦ためてまた移すというよりは時間的なロスがあるかないか分かりませんけれども、世の中の動きを捉えてどうするのかを考えていかないと、データを移すにしてもまた税金が要るわけですから、無責任と言うと怒られますけれども、臨床情報をどう集めるのか、それをどう構造化していくのかということはだんだん可能になってきています。葛西さんが手を挙げておられるので葛西さんからもコメントがあると思いますけれども、これはこうするのだという方針を決めて、あっちにためてこっちに移すという議論ではなくて、専門家の方々に集まっていただいて、クラウドにデータをどう集めていくのかを臨床情報を自動的に集めることも含めて至急検討していただくのがいいと思います。中釜先生が実施組織の準備室長になられるので、ぜひそこは決断するしかないと思うので、それを決めて実行していただくことを願っています。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 1点だけ、これは私から青木先生にも確認です。臨床情報を集める段階でゲノム情報等に基づいて臨床情報を使って意義づけ、臨床的意義を検証するフェーズなどが必要なのではないかと思っていて、それがきちんと検証できた上で利活用できるクラウドに移行するというステップがあるのかと私自身は理解していたのですけれども、その辺りは青木先生、中村先生、どういう理解ですか。
○中村委員 私は専門家ではないですけれども、例えばChatGPTの世界を見ても分かるように、知識を集積して本当に即時に対応できるような人工知能も開発されている中で、いつまでも今までのやり方を踏襲するというのではなくて、今、起こっている変化は連続性のものではなくて、全く違うフェーズに一気に移っていくという形で世の中が変わっていますので、最先端の技術を想定しながらいろいろなことをやっていくというのは大事だと思います。大阪のある病院はランサムウエアでいろいろありましたけれども、バックアップデータをクラウドに集めるという方向で動いています。世の中の変化を捉えて次のことを考えていったほうがいいと思いますし、今、普通のコンピューターでできることがクラウドでできないとは思えないので、ぜひその方向で、これは葛西さんから意見をいただくのがいいかもしれませんけれども、私は実感としてそう感じています。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
 私の考え方が古いかもしれませんので、その辺りの臨床的な妥当性をどのように、クラウドでできるということであればその方向で検討するというように理解しました。
 青木先生、何か追加で御発言はございますか。
○青木参考人 ありがとうございます。
 将来的にクラウドに行くというのは自明のことだと思うのですが、令和7年度までの段階で、あるいは事業実施組織ができるところでどのような形にするかということに関しては、現在がんと難病側の解析・データセンターの先生方にも集まっていただいて基本的なところを検討し始めているところですので、またその検討結果が明らかになってきたところでお示ししたいと思います。
○中釜委員長 それでは、葛西参考人、この点についてコメントいただけますでしょうか。
○葛西参考人 ありがとうございます。
 中村先生のおっしゃる懸念はそのとおりでございまして、結構難しいのが、今、私が不安なのは、もう既に集めている臨床情報も、もちろんオンプレミスにあったものをそんなにコストを使わずにクラウドに載せ替えることができる場合の技術もあるのですけれども、実は現状のシステムが何の製品でどういう構造で入れているかとか、さらに問題のコードですね。コードはすごく複雑なのですが、インターナルコードがあるので、そういったコードもちゃんと標準化されたものを使っていない場合に何が起きるかというと、組んだものをクラウドに載せ替えるときに全部一からデータを入れ替えるという困難が起きるのです。今の医療分野のシステムは全てこの問題が起きていて、それであるならば、自動収集がいきなりできないにしても、最初から自動収集を見越したクラウドデータベースにためておいて、おいおいFHIRや標準的なAPIを使って自動収集する仕組みが上等なのですけれども、多くの方はオンプレミスで1回つくったらそのままクラウドリフトというのですね。クラウドに載せることができるのですが、それはクラウドを使うコスト効果は全くなくて、本来はクラウドシフトという方法ですね。クラウドにネーティブな方法というのですけれども、クラウドをそのまま使うやり方を使わないとコストは絶対に高くなるので、そこは注意が必要ですし、場合によっては私も御助言できると思います。
○中釜委員長 重要な御指摘をありがとうございました。
 青木先生、よろしいでしょうか。
○青木参考人 御助言、どうぞよろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ほかに。
 それでは、葛西参考人、お願いいたします。
○葛西参考人 指されてしまったので、私はそのことを言いたかったのではないのですけれども、簡単に別のことをちょっとだけ言いたいと思います。事業実施組織の要件のところで、54ページ目ですかね。利活用支援チームのところの要件なのですが、Genomics Englandはパートナーシップを取っている組織でございまして、パートナーシップとは何ですかというと、いわゆるファンドであったり、資金管理という要素があります。あと、研究ポートフォリオの管理をしなくてはいけないのですが、これだと研究者だけになっているのです。Genomics Englandのボードメンバーはどうなっているかというと、会計士がいて、研究ポートフォリオマネジャーがいて、さらに科学ポートフォリオマネジャーがいるのです。そういったポートフォリオとファンドの管理ができる人がこれだと入れなくなるので、それは別にちゃんと設定をしないといけないと。もう一個が、患者の方も実は患者代表の方が入っています。ですから、利活用支援チーム自体が、今、見ているとJ-CSIPボードに近い形になるようなので、そこだけ見直していただきたいと言いたかっただけです。別の話だったのですが、すみません。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 青木参考人、よろしいでしょうか。
○青木参考人 御指摘ありがとうございます。そこら辺も含めて見直したいと思います。
○中釜委員長 続きまして、森正樹委員、お願いいたします。
○森(正)委員 ありがとうございます。
 今、葛西先生がおっしゃったことを実はお尋ねしたかったのですけれども、要するに、運営の資金管理に詳しい人をどんな形でどういう待遇で入れるかということは、ぜひ勘案しておかないといけないかと思いました。令和5年度の状況と令和7年度の状況を示していただいたので、規模感がおおよそ理解はできたのですけれども、令和5年度には30人前後、令和7年度には120~130人前後というお話だったと思いますけれども、これはどの項目も例えば情報管理、データの収集を含めてそれなりの専門性が必要なところが多くて、そういったところは特に民間企業も非常に欲しがっている人材だと思います。ですから、例えば30人という規模で始めるにしても結構大変だと思うのです。各領域1人とか数名から始めるのでしょうけれども、それを2年のうちに令和7年度には120人に持っていくというのは、それが可能かと言われると難しいのではないかというのがあります。
 それに付随して、そういう専門性を民間企業と争う形になれば、それなりの待遇、そして、それなりの経費が必要になると思います。そういった意味で運営資金を管理する人というか、考える人はどうしても必要ではないかと。あるいは組織全体で考えるのかもしれませんけれども、そういったところの懸念がありましたのでお聞きしました。まずはそこのところでコメントいただければと思います。
○中釜委員長 今の御指摘に関して、青木参考人、どうでしょうか。
○青木参考人 ありがとうございます。
 人数を大体示したのですけれども、本当にどうやってこの人たちを集めてくるかというのは次の非常に大きな課題でありまして、この事業実施組織の法人形態が決まって、どのような形になるか、予算規模がどうなるか、それによって人をリクルートする形が重要になってくるかと思います。人をOJTで育てるといったこともあるかもしれませんけれども、外部からも探してこなくてはいけないところで、ここのところは非常に重要な課題だと思っています。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○森(正)委員 分かりました。ありがとうございます。
 それと、そもそも論になるかもしれませんけれども、サンプルを集めるところはかなり均てん化が行いやすいというか、行いつつあるところだと思うのですけれども、臨床データのところは、臨床データをどう集めてどうするかというのはもちろん既にやられてはいると思うのですけれども、これを全国の将来的に参加する施設にきちんと同じレベルでやってもらうための工夫なりあるいは教育なりが絶対に必要だと思うのですけれども、今の運営とはあまり関係ないかもしれませんけれども、その辺、どのようになっているか教えてもらえればと思います。
○中釜委員長 御指摘の点について、青木参考人、お願いいたします。
○青木参考人 ありがとうございます。
 臨床情報の収集も非常に重要な課題だと思っておりますが、今のところ、具体的にどのように均てん化していくかという計画についても令和5年度に準備室で検討していくことになるかと思います。
○中釜委員長 今の御回答でよろしいでしょうか。
○森(正)委員 分かりました。ありがとうございます。
○中釜委員長 続きまして、松原委員、お願いいたします。
○松原委員 準備室のワーキンググループについて、人員や具体的な要件について今回初めて具体的に示していただいて、どうもありがとうございました。
 それに関して人のリクルート、先ほど森委員からも御質問がありましたけれども、本当に大丈夫なのかという懸念を持っておりますので、付言させていただきます。この専門委員会自体ががんを中心に議論が進んできたということがございます。がんの領域は研究者の数も多いし層も厚いということで、いろいろな方をリクルートできるかもしれませんが、それに比べて難病領域、特に希少難病に関しては非常に層が薄いです。例えば5年の経験、10年の経験といった人をそのままリクルートすることは本当にできるのかどうか、とても心配しております。実際にもしそういう人がいたら私の勤めている施設ですぐに常勤で採用したいくらいです。そういった人をリクルートできるのか、何か見込みを持っていらっしゃるかどうかをお聞きしたいということが1つ目。
 2つ目としては、リクルートに関して、準備室ワーキンググループで例えば給与体系などの条件をはっきりと決めて準備していかないとなかなか人が呼べないのではないかと思います。その辺りについて見込みを教えていただきたいと思います。
 3つ目ですが、希少難病の全ゲノム解析はほかの病気とかなり違ったところがあります。多くの症例をまとめてバルクでいろいろなデータを解析するのではなくて、一例一例をなめるように見ていく、場合によっては1つの症例だけで何か月もかかり切りになってありとあらゆることを見ていくという場合もあります。そういった非常に特殊な研究領域の部分がありますので、人のリクルートに関して難しいということであれば、準備室ワーキンググループの中だけで動くのではなくて、既存の大学や研究所など、いろいろな施設と密接に連携していくほうがいいのではないかと思います。その辺りの現在の見通しについてもお聞かせいただければと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 では、御指摘の3点について、青木先生、現時点で答えられる範囲でお願いいたします。
○青木参考人 ありがとうございます。
 リクルートの問題は先ほど申しましたように非常に重要だと理解しております。特に今回は冒頭におっしゃっていただいたようにがん側が多いのですけれども、我々は、検討は必ず難病側の徳永先生も一緒に入っていただいて検討しておりまして、今後もがんと難病側と両方に配慮してそれぞれリクルートもしていく必要があるかとは認識しております。
 実際にどのようにリクルートするかということに関しましては、難しい問題ですけれども、先ほどおっしゃっていただいたように、まず、既存の組織の方々にある程度エフォートを割いていただく形から始まっていって、次第に法人形態などが決まって、予算などが決まって、そうすると、ある程度給与体系なども明らかになってくると思いますので、そのような形でよりよい人たちを集めてくるということを現在は考えております。
○中釜委員長 今の段階で今の回答でよろしいでしょうか。重要な御指摘点だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、神里委員、お願いいたします。
○神里委員 ありがとうございます。
 私からELSI・PPIの点なのですけれども、令和5年度において国民や社会に対する情報発信・周知活動の計画を策定していくということが書かれています。それについてコメントさせてください。先ほど横野先生からも御提示があったアンケートがありましたけれども、あそこでも大学での利用についてはかなり支持が高いのですけれども、一方で、製薬企業となると先ほどのも30ポイントぐらい下がっていて、我々がやったアンケートでも同様の結果が出ているし、また、ほかのアンケートでも同様の結果が出ています。今回は製薬企業のみならず医薬産業界外の企業やベンチャー企業さんも参画して、これからデータを利活用して創薬等に向けて動いていくプロジェクトでありますので、企業さんの参画が必須である意義がしっかりと国民に伝わることが重要かと思っていますし、そこにおいては国民・社会が抱える不安について我々はどうやって解決していきますという発信も重要かと思っています。ですから、かなり積極的に情報発信をしていただければと考えています。
 また、今後企業さん等々がそのデータを使っていく段になったときには、その企業さんに向けてこのデータが患者さんから頂いたとても貴重なデータであることをきっちりと認識していただけるような、そっち向きの情報発信も必要かと思いますので、両輪の情報発信をお願いできればと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 今の御指摘に関して、横野参考人、御発言はございますか。
○横野参考人 神里先生、ありがとうございます。
 御指摘のとおりかと思っております。特に先端的な研究の実態自体が医療界でも十分知られていないところがあるように思っておりまして、その辺りも含めて情報発信をしていくような体制が取れるようにしていきたいと思っております。
○中釜委員長 よろしくお願いいたします。
 最後、中村委員、お願いいたします。
○中村委員 簡単に、さっき青木先生が予算に応じて人を雇うのを考えると言われましたけれども、逆で、今から始めるのですから、実際に1万人/年の解析規模で動かしていくときにどれぐらいのコンピューティングが必要で、どれぐらいの人が必要かを積み上げて、ぜひ厚労省にお願いしていただいて、動く形で予算を積み上げて人も雇うのが必要で、中途半端に終わると組織ができたけれども実効性がないということになってしまいますので、その点はしっかりと計画を練っていただいて、必要な予算と必要な人員を積み上げていただきたいと思いますので、ぜひ中釜先生には頑張っていただきたいと思います。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 青木先生、ぜひその視点で計画をお願いいたします。
○青木参考人 大変重要な御指摘をありがとうございます。
 実際はこのような人材で、この作業をするため、この活動をするためにはこういう職位の人たちが必要だろうということは積み上げておりまして、このくらいの予算が必要なのではないかということは厚労省と一緒に積算している状況です。また厚労省とも進めていきたいと思っております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 中村委員、追加発言はありますでしょうか。
○中村委員 結構です。4月以降は中釜先生が責任者ですので、ぜひよろしくお願いします。
○中釜委員長 承知しました。
 ほかにございませんでしょうか。
 それでは、議題(4)に移らせていただきます。「その他」について、資料4の「がんの全ゲノム解析に関する人材育成推進事業について」、がん・疾病対策課より説明をお願いいたします。
○中原課長補佐 がん・疾病対策課の中原です。
 お時間が過ぎておりますので、簡潔に説明させていただきます。がん・疾病対策課では、令和3年度からがんの全ゲノム解析に関する人材育成推進事業を行っておりまして、今年度の活動状況について御報告させていただきます。
 次のページをおめくりください。こちらの事業は「全ゲノム解析等実行計画(第1版)」において全ゲノム解析等に必要人材の一つとされている医学的知識を有するバイオインフォマティシャン等の育成を図ることを主な目的としまして、「ゲノム医療」「バイオインフォマティクス」「臨床医」等の多様な専門領域の委員による検討会をまず立ち上げまして、検討会での議論と方向づけを受けて、テキストの作成・編集、研修会を行っているものでございます。
 テキストは入門編、応用編と、また、令和4年度からは実践編の3段階に分かれております。令和4年度は入門編をオンデマンドで配信いたしまして、受講者数が1,295名、そのうち479名の方が修了されました。応用編につきましては、今年度から解析の実務は必要ないのだけれどもプロセスを理解したいという「体験コース」と、実際に解析してみたいという方向けに実習を行う「解析集中コース」に分かれまして、体験コースはオンデマンド配信をしまして1,295名の方に受講していただき、226名の方が修了いたしました。解析集中コースにつきましては、実際に会場で実習を行う形で34名の方に御参加いただきました。さらに、令和4年度からの実践編として、実際のデータ解釈を行って意思決定の実務を学ぶケーススタディーとして、これは主に遺伝カウンセラーの方に御参加いただいたのですけれども、2回会場でのグループスタディーを行わせていただきまして、35名の方に御参加いただきました。研究内容は、受講者の方におおむね好評でして、これは単年度事業として行っておりますが、来年度も行う予定で事業者の公募を実施したところでございます。
 以上です。
○中釜委員長 それでは、ただいまの説明に関して、何か御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、最後に全体を通して何か御質問、追加の御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。特にございませんね。
 本日も非常に多くの意見をいただきました。御指摘のように、本日いただいた意見を踏まえながらこれまで研究班としてやってきたことをいかに事業体に持っていくかが準備室の責務と思います。うまくコンテンツを積み上げていきながら、今日御指摘いただきました専門委員会の先生方の御意見を踏まえてより優れたシステムをつくっていくことが責務と理解しています。
 同時に、令和5年度以降も研究班は続きますので、研究班における各コンテンツの研究成果をいかにこの事業体として組み込めるか、そういう作業でお互いの研究班の連携を深めて、さらには研究班と事業準備室の連携で、最終的に研究成果をいかに事業実施組織に持っていくかという大きな使命だと理解します。
 それから、データの提示の仕方については、より詳細な具体的なデータの可視化あるいは進捗状況の可視化が必要だということは多くの委員からお聞きしましたので、その点については検討させていただきたいと思います。
 AMEDからお願いいたします。
○土師参考人 手短に、先ほどのAMEDの報告におきまして、EDC入力の状況説明として多忙という発言をいたしましたけれども、これはAMEDの推察でございまして、研究者の先生からそのような説明を受けているわけではございません。誤解を招く説明につきまして、おわびして訂正させていただきたく存じます。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 追加の説明をありがとうございました。
 ほか、よろしいでしょうか。
 それでは、繰り返しますけれども、全体に関してはおおむね御賛同いただいたということで理解いたしましたが、御指摘の点を踏まえながら、さらに微修正をして先生方の御意見を反映させながら、この事業を進めていきたいと思います。
 それでは、以上をもちまして本委員会を終了したいと思います。
 追加の意見等がございましたら、適宜事務局までお寄せいただければと思います。皆様にはスムーズな議事進行に御協力いただき、ありがとうございました。
 では、最後、事務局からお願いいたします。
○原澤推進官 事務局でございます。
 次回の専門委員会の日程調整につきましては、後ほど事務担当より連絡があるかと思いますので、専門委員の先生方におかれましては、引き続き御回答のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了したいと思います。本日はどうも長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。失礼いたします。