第5回職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会(議事録)

日時

令和5年1月17日(火)10:00~12:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省専用第15会議室)

議事

○小森地域就労支援室室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会 第5回職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会」を開催いたします。皆様方におかれましては、本日はお忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。
本日の作業部会につきましては、こちらの会場とZoomを使ったオンラインで開催いたします。開催にあたりまして簡単ではありますが、オンラインについて操作方法のポイントを御説明させていただきます。作業部会の進行中は皆様方のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際には、サービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックし、主査の許可があった後に、マイクをオンにして、聴覚・視覚障害者の方々への情報保障という観点から、お名前を名乗っていただいてから御発言をお願いいたします。会議進行中、トラブルがありましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡をお願いいたします。通信遮断等が生じた場合については一時休憩とさせていただくこともありますので、ご容赦くださいますようお願いいたします。なお、本作業部会は御希望の方に傍聴いただいておりますので、あらかじめ御了承ください。
続いて、資料の確認をいたします。本日の資料は、議事次第と、各団体から御提出いただきました資料1-1~6-2までです。それでは、議事に入りたいと思います。以後の進行は、小川主査にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○小川主査 皆様、おはようございます。小川でございます。本日もよろしくお願いいたします。本日の議題は、(1)が「関係団体からのヒアリング」、(2)が「その他」となっております。
それでは、議題(1)について、まずは事務局から進め方について説明をお願いしたいと思います。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森と申します。本日の関係団体からのヒアリングについて御説明いたします。当作業部会につきましては、昨年4月から職場適応援助者の育成・確保について、構成員の皆様に御議論いただいてきたところです。その中で、今回は関係団体の皆様にヒアリングを行い、ジョブコーチによる支援に対して幅広く御意見、御要望を頂戴したいと考えております。本日は、6団体の皆様にヒアリングをさせていただきます。各団体のお名前については、議事次第を御覧いただければと思います。本日は限られた時間とはなりますが、ヒアリングは各団体、質疑応答を含めて約17分を予定しております。冒頭の10分間で各団体から御説明いただき、その後の7分間に構成員の皆様から御意見、御質問等を頂くという形で進めてまいります。大変恐縮ではありますが、発表いただく団体の皆様方におかれましては、作業部会の運営上、発表時間の10分を守って頂くようお願いいたします。残り3分と、10間経過した際に、事務局がベルを鳴らしますので、発表に当たっての目安としていただければ幸いです。事務局からの説明は以上です。
○小川主査 それでは、関係団体からのヒアリングを開始いたします。ただいま補佐から説明がありましたように、進行がかなりタイトになっておりますので御協力をよろしくお願いいたします。それでは、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会の皆様、お願いいたします。
○辻様 日本難病・疾病団体協議会(JPA)の常務理事をしております辻と申します。どうぞよろしくお願いいたします。画面を共有いたします。今回、このような機会を頂きましてありがとうございます。初めに、難病も8年前に障害者の対象になりましたので、JPAについて若干説明できればと思っております。
スモンという病気がキノホルムの薬害と分かって、1972年に難病対策要綱が定められてから、日本の難病対策がスタートされたと言われております。その後、いろいろな患者会がまとまりをつくりながら、2005年に日本難病・疾病団体協議会(JPA)としてまとまり、現在は大人と子供の難病団体が100あり、約20万人が加盟・準加盟しております。最近の難病法の改正への取組をはじめ、各県の難病連や個別疾患団体等では解決できない課題への対応ということで、国会請願や政府への要請・提言、また交流、連携、発信活動を行っています。国会請願は8年連続と書いてあるのですが、すみません、7年です。申し訳ございません、訂正いたします。7年連続で、衆参両院で採択されております。また、厚生労働省からの補助を受けて「難病患者サポート事業」として、相談室や研修会、あるいはフォーラムや国際連携の推進など、他の支援団体とも連携して協働して行っております。
難病についてですが、難病法の下では、原因不明で、治療法がなく、希少であること、そして長期の療養を必要とするものという4要件を必要としております。更に、医療費助成の対象となる指定難病については、患者数が一定の人数(人口の0.1%程度)に達しないことを要件としており、その他客観的な診断基準が確立していることが要件となっております。指定難病は現在338あり、一定程度の重症の患者や、軽症ですが医療費が一定以上のものが助成の対象となっており、自己負担が通常3割のところが2割、月額の自己負担上限が所得や症状によって区分されているという状況です。
少し前(2017年度末)の資料で、難病対策委員会で使われた資料ですが、疾患群別の受給者数はこのようになっており、平成2年度末では約100万人が対象となっております。人数の多い疾患としては、潰瘍性大腸炎をはじめ、このような形になっています。申し訳ございません。「累計」と書いてありますが、これは「類型」の間違いです。類型ですが、Aが単一の遺伝子性疾患、Cが環境因子等の遺伝要素以外にも、いろいろな単一遺伝子が関わっているもので多因子性疾患、BはAとCの混在ということで、これもいろいろあるということです。特徴としては、大変疾患が多様であり、更に個人によっても症状が大変多様であるのが難病の特徴です。
平成25年に、障害者総合支援法によって難病等が障害者の範囲に加えられ、指定難病のほかにも30ほどの疾患が支援法の対象として指定されております。支援法に定める雇用支援施策のほかにも、特定求職者雇用開発助成金や、難病患者就職サポーターというような難病患者対象の支援施策が利用できるようになっております。
しかしながら、これは1つ目のキースライドになるのですが、手帳の所持率は半分ほどと推測されておりますので法定雇用率など強い配慮の対象外となって、病気を開示するメリットが非常に少ないと。逆に、会社側の理解も進んでいないので、病気の開示がデメリットになる場合が多く、JEEDの調査では職場に自分の病気を開示していない、報告していない方が3分の1以上いるというのが現状です。JPAでも患者向けにアンケートを取っておりますが、こちらでも手帳を持っている方は45%という形になっております。
こちらが2つ目のキースライドになりますが、それらの患者が職場でどのような就労サポートを受けているかを聞いたところ、例えば障害者雇用の制度については「知らなかった、あるいは知っていたが利用できなかった」という方が、約3分の2程度。それからジョブコーチなどもここに入ると思うのですが、専門的な支援サービスに至っては「知らなかった、あるいは知っていたが利用できなかった」が7割以上という状況です。そして半数以上の方が「会社や上司、同僚の理解や配慮が活用された」と答えており、社内での個別対応に頼っている状況が見てとれます。さらに、これを手帳の有無で分析していきますと、支援制度や支援サービスの値が更にグッと下がるという形で、ほとんど利用できていない状況かと思っております。
就労に役立ったところを個別に具体的に聞いてみますと、91件集まりました。このように会社側の個別配慮等が多くなっており、残念ながら公的制度、公的支援機関はほとんど上がってこない。ジョブコーチも、テキスト分析のほうにも上がってこない状況でした。逆に困ったことを聞きますと、テキスト分析を見ていただくと分かるように、病気のことを伝えづらい、伝えにくい、求めづらい、非常に扱いづらいというように、非常に悲しいテキストが並ぶ状況です。
参考までに有効だったサポートを逆に聞いてみますと、就職活動の所なので17件と少なくなってしまっているのですが、ハローワークというワードが強く出ておりますが、ナカポツセンターなどのワードは出てこなかったという状況です。別の資料で、患者アンケートではなくて患者団体アンケートも取っているのですが、こちらの設問の中で、就労支援機関や施策に対しての意見を聞いておりますが、やはり厳しい意見が多いです。特に2ページ目になりますが、支援機関の周知に関する意見や、就労支援機関との連携に関する意見の中には、なかなかうまくいっていないという意見が多くありました。「難病患者の就労について全般」の抜粋になりますが、参考になる部分を上げておりますので、是非、目を通していただければと思っております。
戻りまして、企業側のアンケートも当方では行っております。対象は約2,700名おりましたが、先ほど申し上げたように難病への理解が少ない場合も考えられましたので、実際に難病患者の雇用に関わっている方、あるいは支援に関わっている方をスクリーニングしたところ、約100名の方がいらっしゃいました。逆に言うと、4%しかいらっしゃらなかったというのが正しいかもしれません。それらの方に、どういった支援があれば難病患者の就労が促進されるのかを選んでいただき、12個ぐらい用意いたしました。ジョブコーチなどは3番目の項目に当たるかと思いますが、「一番大事なものは何か」と聞きますと、人事の担当の方らしく、一番目に「助成制度・補助金の拡充」が上がってきています。「支援機関や第三者による定期的な定着フォロー」は下位のほうにあります。2番目に大事なものを聞きますと、ここでも「助成制度・補助金」が一番目に上がってくるのですが、障害者雇用率への参入やトライアル雇用の制度など、制度的な要求も出てくるのですが、「支援機関や第三者による定期的な定着フォロー」というのは、まだ下位にあり、全体的にも下位にあるのですが、3番目に大事なものになると第3位に上がってくるのです。4位になると3番目、5位になると大切なものの一番上にくるということで、ずっと下のものもたくさんあるので、非常に特徴的かなと思っております。要するに、潜在的に定着フォローへの期待は高いのですが、多分それ以前の問題が大きくて出てこないのではないかと思っております。このことが、ジョブコーチ制度の整備・推進だけではなく、難病患者の場合は他の課題の解決とともに進めることが肝要なのかなということが見えてくるかと思います。
先の国会で総合支援法や難病法が改正されました。そして、難病相談支援センターが、就労に関する支援を行うものと連携主体が明記されることになっています。このように、他の施策との推進の連携も図りながら、ジョブコーチの推進を考えるべきかなと、難病患者の場合は思っております。活用がされていないのですが、やり方によっては十分活躍の場があるのではないかというのが感想です。
最後に、こちらは資料には入れていないのですが、私の個人的な意見というか、感想です。1点目は、ジョブコーチだけを整備・推進しても、難病の場合はなかなか効果が薄いかなと思っております。例えば難病相談支援センターとの連携、治療と仕事の両立支援、トライアル雇用や特定求職者助成金などの推進・改善を並行して進めていくことで、会社に病気を開示できる環境が進めば、ジョブコーチの皆さんが難病患者に接することも多くなって活躍の場が広がるのではないかと思っております。縦割りで難しい部分があるとは思うのですが、使う原資は税金ですので、是非、効果が高まるようにお願いしたいと思っております。
2点目は、難病は非常に多様です。基本的なところはシラバスにしっかり入れていただくということで大変有り難く思っております。実際には難病について、専門性を高めた方をつくって、経験を積んでいただく方法もよいのではないかなと思っております。その上で、支援センターや難病患者就職サポーターとしっかり連携していっていただければと思っております。
3点目は、実は難病の場合は就労途中に発症する例が非常に多いです。40、50代で発症すると。それから潰瘍性大腸炎ですと、20代の発症が非常に多くなってきます。この場合、特に企業型の方が力を発揮するようにも思うのです。このため、企業型の方の教育ももちろんなのですが、実は企業内での役職や職性との関係性も大事かなと思っております。例えば、今、企画されている上級の方のほうが、例えば管理職が望ましいとか、福祉や医療の資格要件よりも現実の社内的な所での職性が意義や効果を伴うようにも思います。また資格であれば、両立支援コーディネーターの資格を持ってみるのも面白いというか、効果的ではないかと思っております。
最後に、地方では訪問型がどうしても多くなると思うのですが、使用者側の難病への理解が進んでいないので、よりアプローチを使用者側にもとっていただく時間をとっていただきたいと思っております。そういう意味では、活動の中身をしっかり確認したいと思っております。訪問型の方には難易度が高いかとも思いますので、実際の活動内容が難病患者に対して企業型や配置型の方と差が出ていないか、それから移動時間が助成金の中に入っておりますので、移動時間と活動時間の内訳で差がないかという辺りも、是非教えていただきたいと思っております。
難病の発症を理由に退職する例を多く聞きます。これが一番辛い問題です。ジョブコーチの方の活躍で、これらの退職が、何よりも減るのではないかと期待しております。現状ではなかなかジョブコーチという言葉が、難病患者や患者自身の社員や患者団体からまだ聞こえてはこないのですが、先ほどのようなことで活躍の場は非常に広がると思っておりますので、是非とも他の施策と同時に推進していただければと思います。発表は以上となります。どうもありがとうございました。
○小川主査 ありがとうございました。それでは質疑の時間が3分程度になりますが、構成員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。構成員の皆様からはないようですが、事務局から、何かありますか。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。発表をどうもありがとうございました。私からお聞きしたい点で、ジョブコーチの周知が利用できる制度ということで、なかなか患者の皆様に行き届いていないということですが。例えば、周知の方法として、ハローワークや難病支援センターなどを通じて、我々も周知させていただいているのですが、ほかに何か効果的な周知方法などがあれば教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○辻様 難病患者が利用するというか、活用したい所としては、ハローワークというのはすごく挙がってくるのです。もちろん支援センターも挙がってくるのですが、支援センターなどはそういう話があれば、ナカポツセンターにつないでいただいていると思うのです。ナカポツセンターにつないでいる所と、つないでいない所、それからハローワークにつないでいる所とつないでいない所があるので、周知先は今のままでも十分いいと思うのですが、しっかりと連携できているのかを確認していただければと思っております。支援センターによっては、ナカポツセンターではなくて、支援センター内で悩んでいる所もあるようですので、是非そのようにしていただければと思っております。
あとは、医療費助成の更新の窓口等で年に一度、必ず更新しますので、こういう制度があってジョブコーチもありますよということを、保健所等で告知していけるのであれば、これは全員に行き渡りますので効果的かなと思っています。
○小森地域就労支援室室長補佐 ありがとうございます。
○小川主査 ありがとうございました。それでは時間ですので、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会の皆様、ありがとうございました。
進行についてですが、改めて7分の段階で1回、残り3分ということで1鈴を、それから10分の所で2鈴、発表については時間終了ですと。その後、17分の段階で3鈴と。これで質疑応答を含めて持ち時間は終了ですということをお知らせいたしますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。それでは、次に一般財団法人全日本ろうあ連盟の皆様、お願いいたします。
○藤平様 一般財団法人全日本ろうあ連盟、福祉労働委員会副委員長の藤平と申します。本日、発表する時間をいただきましたけれども、私と渡部の二人で担当したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
皆さんも御承知のとおり、聞こえない、聞こえにくい者たちの職場定着というのは、なかなか難しいところがございます。その理由といたしまして、情報・コミュニケーション障害、また、そういった環境の中で関係を作れないという部分もございます。そういった意味で、なかなか同じ職場に定着ができないということがございます。ジョブコーチでは、そこを養成するというのが非常に大事な部分だと思います。要望としましては全部で3点ございます。
1点目は「手話言語のできるジョブコーチの育成」で、これは大変重要な課題です。まるいちとして、ジョブコーチの条件の中に「手話言語ができること」を位置付けることが重要です。手話言語ができる、かつ、カリキュラムを経て、聞こえない者たちのコミュニケーション特性などをしっかりと学習していただきたいと考えております。また、上級ジョブコーチの育成につきまして、こういったところでも育成段階の中で、育成をする立場でいる以上、その人たちのほうにも、カリキュラムとしての手話言語については、聞こえない者のコミュニケーションの特性についてといったものをしっかりと位置付けて必須にしていただく。また、当事者の話を聞くことも必須にしていただきたいと思います。加えて、渡部のほうから申し上げます。
○渡部様 渡部と申します。今、藤平から話がありましたように、1番目の課題について、ジョブコーチの育成ですが、こちらも新しいカリキュラムを見せていただきましたときに、各障害者の方々の特性を理解できるような十分な時間を取っていただきたいと思います。特に聴覚障害者の場合は、手話を言語としている方々、また、中途失聴の方々で筆談を主とされている方々など、様々な障害の内容で、コミュニケーション手段が変わってくることもあります。それから障害特性もありますので、是非、ジョブコーチのカリキュラムの中で、当事者御本人に来ていただいてお話を聞く機会があればいいなと。この中で、可能であればというところがあったものですから、とても気になりました。やはり、ジョブコーチになって初めて行った職場で、初めてその障害の方に会うというのは、やはり大変なことだと思います。是非、事前のジョブコーチ研修の中で当事者に会っていただいて、御本人からお話を聞いていただく機会を設けていただきたいと思います。
それと、上級ジョブコーチの話も出ていたのですが、より高度な、スーパーバイザー的なものも入ってくると思いますので、各障害に、より特化した学習を入れていただきたいと思います。特に、コミュニケーション手段ということで言いますと、コミュニケーションの障害であるがゆえに、企業の中でなかなか話が通じなかったり行き違ったりすることがあって、退職になってしまう方々も多くいます。ジョブコーチに関してのお願いですけれども、やはり御本人ときちんとコミュニケーションが取れるような手段を取ってやっていただきたいと思いますので、こちらの1番の所に加えて、話をさせていただきました。では、藤平に返します。よろしくお願いいたします。
○藤平様 続いて2番目の課題としては、ジョブコーチ活用時のコミュニケーション上の障壁の解消ということです。こちらについてもお願いしたいと思っております。これは、例えば聞こえない、聞こえにくい者たちにとって「分かったか」と問うと、「分かった」と答えやすくなってしまっている環境があります。この理由は、私たちは聾学校で教員から「分かったか」と言われたときに、「分からない」と答えると怒られてしまうというような教育上の環境がずっとありましたので、こういった中で、社会に出て分かったかと聞かれたときに、分からないと答えにくい環境があります。コミュニケーションの特性であるこういった状況を理解していただきまして、手話通訳、要約筆記、コミュニケーションツール等で様々な制度を使っていただきたいと思っております。渡部から補足があります。
○渡部様 すみません。2番目の所ですけれども、先ほども難病の協会の方からお話がありましたように、ジョブコーチということが、まだまだ仕事を探している方々に普及されていないというか、理解されていないところもあるのかと思います。こちらも含めて職業安定所等で職業紹介をした場合、採用に至った場合に、こういうジョブコーチの制度があるということを、窓口で、御本人及び紹介をされた企業のほうにお伝えしていただいて、活用に関しては、パンフレット等をお渡しいただくような形でお願いできればと思います。なかなか職業センターのジョブコーチさん、東京の場合ですけれども、お願いしてもお忙しくて、時間がかかって何か月後という場合もあるのですが、東京の場合は東京ジョブコーチという助成制度もありますが、なかなかすぐにお願いをすることができない。それから、しばらく定着ということで動いていて、御本人のみで動いていたけれども、やはり四苦八苦して、ハローワークに御相談に行かれたときに、じゃあ、ジョブコーチという話になって始められる方もいらっしゃるかと思うのですが、問題が起こってから、ジョブコーチが入っても、なかなかうまくできない例もたくさんあります。
やはり、そこで障害が何なのか、何が問題なのかということは、カウンセラーの方と御相談していただけていると思いますが、会社のほうに御理解いただくこともなかなか難しいので、ジョブコーチのほうから会社のほうに聴覚障害者の理解をしていただくような講座を提案していただくと、障害にとってどういう障害なのか、そして、例えば手話の講座をするような場合であれば、是非御本人が、当事者の方が手話講習会の講師、手話を教える指導員になっていただいて、職員さん同士でコミュニケーションを取っていただくような形で進めていただくことを是非進めていただきたいと思うのです。やはり1番に戻りますけれども、育成の段階からきちんと各障害に向かい合ってできるようなジョブコーチさんを育成していただくようにお願いしたいと思います。では、また藤平に移ります。よろしくお願いします。
○藤平様 藤平です。3番目の課題です。自治体のほうで「意思疎通支援事業」というのをやっております。これは、生命の維持や生活という範囲がありますけれども、こういった中で職業現場において意思疎通支援事業を活用するのは、なかなか難しいという現状があります。障害の中で「聴覚障害の特性の理解・支援」ができるような配慮、そして、積極的な普及ということを、こちらの事業にはお願いしたいと思っております。では、ここで渡部からお願いします。
○渡部様 すみません。続きます。2番の所で少し話し忘れてしまったのですけれども、やはり聴覚障害者の退職理由ですけれども、コミュニケーションがうまくいかなかったので退職ということも多々データで出ていると思います。今の段階で、コロナ禍になって、どういう退職理由になっているかという調査の結果がまだ分からないのですけれども、コミュニケーションが取れていれば、お互いにうまくいくということもあるかと思いますので、是非そこも含めて、聴覚障害者特性の理解と支援というところで、ジョブコーチさんが、なかなか手話を覚えるのは大変だと思います。手話は難しいし、各自によって、地方によって手話も違うので大変だと思うのですが、そういう場合に関しましては、手話通訳の活用、又は要約筆記さんの活用を是非お願いしたいと思います。筆談も、ただ書けばいい、思ったことを書けばいいということだと、なかなか筆談では通じないのですね。筆談のテクニックもあると思います。要約筆記、筆談のテクニックということも含めて、是非ジョブコーチさんの育成の中に含めていただければありがたいと思いますので、プログラムを作成するときに、今後は是非、含めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○藤平様 それでは、全日本ろうあ連盟からは以上となります。ジョブコーチには手話通訳、要約筆記、こちらのほうの理解をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○小川主査 ただいまの発表について、構成員の皆様から御質問や御意見がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。青野構成員、お願いします。
○青野構成員 青野です。よろしくお願いいたします。本日、お話をお聞きして非常によく理解ができました。そして、ジョブコーチが各障害の特性に精通していて、技術を身につけていくことが非常に重要だと思っています。一方で、ジョブコーチ養成研修の中だけで、手話について受講したとしても、引き続き学習していかないと身についていかないと思うのです。今、手話を勉強しようとしたときに非常に機会が限られていると思っていて、企業側と連携して、定期的に講師を派遣していただくとか、そのような仕組みがあればいいのかなと思いました。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。そのほかには、いかがでしょうか。お願いします。
○藤平様 藤平です。大変いい御質問、御意見ありがとうございました。私ども、全日本ろうあ連盟の加盟団体が全国47都道府県にあります。また、全国的に聴覚障害者の情報提供施設も、それぞれの自治体で設けております。そういう組織を使って手話講座などをやっておりますので、民間の企業から御依頼していただく形で聴覚障害者が働きやすい環境の中で働けるように、しっかりと社員にも手話を普及していただく仕組みというものを作っていければいいと思っておりますので、この辺りも御協力いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○青野構成員 ありがとうございます。
○小川主査 そのほかは、いかがでしょうか。先ほどの難病・疾病のこととも関連して、障害特性の理解の所に、もう少し時間を割くことが必要ではないかという御意見が、2つの団体から御示唆いただいたと思います。現状として、障害特性の理解で、かなり多くの内容を扱わなければならない現状もあるかと思うのですが、その辺のカリキュラムの組み方や現状について、JEEDの石井構成員、若しくは養成研修機関の若尾構成員から御発言いただければと思うのですが、いかがでしょうか。では若尾構成員、お願いします。
○若尾構成員 貴重な御意見をありがとうございました。養成研修を実施している機関としては、今は大体1時間から2時間、1つの障害特性について時間を設けている状況です。シラバスの中身を見ていくと、1つの障害特性、知的障害や精神障害、身体障害という大きな枠の所から細かいシラバスの中身ができ上がっているのですけれども、これを末端まで広げていくとなると、恐らく数にすれば、現実的に養成の時間数もかなり必要になってくるだろうと思いました。それから、私も実際に、実務でジョブコーチの派遣のときに聴覚障害の方の支援・管理をさせていただいた経験があるのですけれども、通訳の方を付けさせていただく支援をやらせていただいたときにも、地域によって使われている言語が違うことを、そのときに初めてお伺いしたのです。それを研修の中で拾っていくことが現実的ではないだろうと思うと、何か、ジョブコーチの派遣制度の中に、例えば、採用していただく企業側にインセンティブがあって、かつ、それが広げられるような仕組みというものが養成と合わせてできるとよろしいのではないかと感じたところです。すみません、以上です。
○小川主査 ありがとうございます。JEEDの石井さん、お願いします。
○石井構成員 JEEDの職業リハビリテーション部研修課の石井です。貴重な御提言をありがとうございます。カリキュラムについては、先ほど若尾構成員からもお話がありましたように、限られた時間の中でという制約がありますが、JEEDにおいては、養成研修、上級研修としての支援スキル向上研修のほかに、各地域センターにおいて、研修を修了された方を対象にしたサポート研修というものを行っております。その中で、センターによっては、聴覚障害の方の特性等をテーマに研修を行ったり、聴覚障害の方の事例等を踏まえて、必要な支援について検討する機会等を設けております。そういった形での地域レベルの対応もさせていただいております。なお、上級研修のJCスキル向上研修では、主に精神や発達の方の特性を中心に講義を組み立てているのですが、今後の見直しの中で聴覚障害や視覚障害の方の特性等についての内容についても検討していきたいと思っております。以上です。
○小川主査 ありがとうございました。それでは時間になりましたので、ただいま頂いた意見については障害特性の所を、ジョブコーチ(職場適応援助者)養成研修、それから上級研修、また中間にある幾つかのフォローアップ研修のようなもので、どのように障害種とか、それぞれの深みをうまくカバーしていくのかについて今後の検討の参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、続いて一般社団法人日本発達障害ネットワークの皆様、お願いいたします。
○三澤様 日本発達障害ネットワークの三澤です。本日、このような意見を提示する機会を与えていただきましてありがとうございました。当ネットワークは、当事者団体を中心として、職能団体や学術団体等で構成される団体であります。本日は、「ジョブコーチに求める役割・支援等」について、意見を述べさせていただきます。
ジョブコーチは、障害者の就労移行・定着支援において重要な役割があり、障害者雇用を促進していく上で重要な位置付けであると認識しております。当作業部会で目標としている「個人及び地域間格差を無くす方向」について、大いに賛同し期待をしております。
発達障害について、当団体では、障害特性を理解した上で「個々の特性を活かせる支援」と「職場環境の調整及び整備」を進めるということについて特に留意をしてほしいと考えております。そこで、具体的な提案を以下に述べさせていただきます。
まず、「ジョブコーチの役割、職域、支援のあり方」の再検討ということで、広義のジョブコーチとなるものの要件に、既存の専門資格を有効活用する視点を加えてみてはどうかという御提案です。狭義のジョブコーチに加えて上級ジョブコーチを設け、このようなスキルアップできる仕組みは、ジョブコーチの人材育成においては非常に意義のあることだと認識しております。
また、この上級ジョブコーチにおいては、ジョブコーチ支援、全体のマネージメント及び助言・指導ができる高度なスキルが求められているようにも思います。そのため、本研修体系において求められる知識・技術を補完できる既存の専門資格を有している者を、この上級ジョブコーチの位置付けとして登用することを検討してはどうかということです。例えば、福祉専門職や雇用専門職などの領域に関する高度な専門人材を登用することは、実践の質の向上にもつながるのではないかと考えております。
また、ジョブコーチの職域(業務範囲)を明確にしてはどうかという提案です。現場では発達障害が関わる労使間交渉、例えば賃金交渉や合理的配慮の獲得交渉など、このようなことに関与する場合、本来のジョブコーチの業務範囲を超えて調整をするケースもあるかと思います。こういった意味で、現場では業務範囲の明確化が必要ではないかという意見もあり、お聞きしております。
ジョブコーチが対応する業務や、社労士や弁護士などの専門家に依頼する業務などをもう少し整理したガイドライン等を示し、ジョブコーチ自身の立場を明確化して、守るような環境整備を進めていってはどうかということです。このガイドラインに示された業務範囲に沿ってカリキュラムを構成することで、ジョブコーチが業務に取り組む上で経験する現実的なトラブルの対処方法の習得もできるのではないかと考えております。
また、「ジョブコーチの養成研修体系及び内容の充実や、他機関・他職種連携の強化」についてです。研修内容については、「就労の継続」ということが主眼となりますが、「就労の継続」以外の視点も是非、研修内容に追加をしてほしいということです。ジョブコーチも、発達障害者やその家族も就労継続を目的として、ややもすると疲弊してしまうケースがあります。カリキュラム案の12.15の科目内容において、障害者の「長期的なライフステージを見据えた上でのメンタルヘルスの視点」等にも触れていただいてはどうかということです。
併せまして、研修運営に当たり、医療専門職を登用することを考えてはどうかということです。昨今の就労支援においては、発達障害や高次脳機能障害を含む精神障害者の就労系障害福祉サービスの利用と並行して医療的支援を受けるケースがあります。そのため、他機関・他職種連携を強化するためには、医療機関等の実情について情報を共有することが必須になることを踏まえ、医療専門職等を研修会の講師等に登用してはどうかという御提案です。簡単ではございますが、以上、日本発達障害ネットワークからの本研修に当たっての意見ということで御提示させていただきました。以上です。どうもありがとうございました。
○小川主査 ありがとうございました。それでは、ただいまの御発表について構成員の皆様から御質問、御意見などありましたら、お願いいたします。
それでは、私のほうから、構成員の方の御意見も伺いたいのですが、2点目の「ジョブコーチの職域(業務範囲)を明確にすること」という所で、例えば、ジョブコーチが労使間の交渉等の調整に当たらなければならないことがあったとき、今回の御意見では、やはり、やや役割範囲を超えていてジョブコーチが困ることもあるのではないか。したがって、ジョブコーチの役割範囲について一定の枠組みというものを研修の中で示して、ジョブコーチが中心となって行うべきこと、それから関係の専門職を活用すべきこと、これについて、もう少し整理をする必要があるのではないかという御意見だと理解いたしました。
こういったことについて、現場ではどうかということについて、ジョブコーチの現場経験豊富な木村構成員、國﨑構成員、何か現状について御意見がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。國﨑構成員、いかがですか。
○國﨑構成員 訪問型職場適応援助を実践しています國﨑順子です。今、頂いたお話の中で、本当に、この枠組みのところを、本来はジョブコーチの範囲ではないことの御相談になるのだろうと思われることも、実際にはどれくらいあったかなと思いながら伺っていました。訪問援助の中で、御本人への支援、それから企業への助言というところで言いますと、継続的に長い相談の中では、正に専門家につないでいく必要もあって、きちんと整理してやっていかないといけないと本当に思います。
 ただ、日々の訪問の中で突発して起きたことに対しての延長上で、そこの中でトラブルになりがちなことということが発生した場合には、一旦、何がしかのアドバイスと、それと一旦持ち帰ることで、まずは冷静に、その話の内容を整理するということが、現場で今やっているぎりぎりのところかなと思っております。おっしゃるように、その辺りは日々、研さんをしているつもりですが、本当の専門家ではないというところでは本当に、その辺りが明確になっていくことで、逆に私どもの業務範囲としてのお伝えできること、それから、ここから先はどのようにつなぐべきかという助言にもつながることが、企業と御本人にとってはいいことなのかと。
一番は、先ほどのお話の中でもありましたように、長く働いていくライフステージとして考えていったときに、無用なトラブルといいますか、お互いに大事なことを伝える、話をするということは非常に大事なのですが、トラブルの形に持っていってしまうと、逆に戻りにくくなるというところもありますので、本当にちょっとそこは、この場でうまく説明ができないのですが、大事なことだと思って今、伺っていたところです。きちんとしたお話になっておりませんで、すみません。よろしくお願いします。
○小川主査 ありがとうございました。そのほか、この件についてはよろしいでしょうか。木村構成員、お願いします。
○木村構成員 福島の木村です。私は、ナカポツセンターでジョブコーチのほうを、今は管理をしている状況ではあるのですが、実際の支援の場では、やはり労務に関するところは、かなり御相談いただくことが非常に多いなという印象があります。
その中で、全部のナカポツセンターが行っているというわけではないと思うのですが、私の所のセンターとしては、ナカポツ事業の経費の中で、アドバイザー事業というものをうまく活用させていただいて、地域の社労士さんに労務管理の部分について助言を頂いたり、講義を頂いたりということで職員のスキルも向上することと、あとは知識を得ていくということをしています。なので、そういったことをジョブコーチだけが分かっている状況ではなく、就労に関わるナカポツセンター自体もしっかりと修得できるような仕組みがあるといいなということを、お話を聞いて非常に考えました。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。ただいまのポイント以外でも結構ですので、何か皆様からございますか。青野構成員、お願いします。
○青野構成員 青野です。三澤様の御意見の中で、1番目の所の基礎資格のある方に上級ジョブコーチに進んでもらうという点について非常に賛同しております。こういった仕組みを持つことで、ジョブコーチの提供するサービスの質を担保することができるのではないかと感じております。これまでの作業部会でも、私も同じようなことを発言させていただいたかなと思うのですけれども、非常に賛同しておりますということをお伝えさせていただきます。
○三澤様 ありがとうございます。議長、追加の発言、よろしいでしょうか。単に有資格者ということだけではなく、実際に就労支援事業所等々にも専門職がいて、かなりつなぎの支援を行っているという実態もあり、そういった意味では、単に資格を有した者というだけではなく、こういった就労支援に長けた人材、経験豊富な方が、そこに入ることによって充実するという仕組み、構造ができ上がると非常によろしいのではないかというところの補足です。ありがとうございました。
○小川主査 ありがとうございます。青野構成員、よろしいですか。
○青野構成員 はい、大丈夫です。ありがとうございます。
○小川主査 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。若尾構成員、お願いします。
○若尾構成員 私もジョブコーチの派遣事業を行っている一つの団体として、ジョブコーチが何でもできればいいということではなく、地域の様々な資源について会得している者が必ずその組織の中にいるわけなので、それがしっかり必要なニーズのところに必要な資源を合わせていくということが大事だと思っていますし、今、構成員の木村さんからもお話があったように、就業・生活支援センターも、やっぱり全く同じだと私は思っています。中にいるスタッフが、その専門性を高めていくということは当然やるのですが、そこにプラスで、社会にある資源をどういうふうに活用していくかということが、やはり大事だと思っております。
リスクという言葉が正しいかどうかは分かりませんが、これをどのように社会で配分していくことができるのかといった視点も大事だと思っていますので、ジョブコーチには、そういうエッセンスがあれば非常によろしいのではないかと思いました。ありがとうございます。
○小川主査 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ディスカッションの中では、既存の専門資格の有効活用、それからジョブコーチの職域のところで、意外と労使間交渉にジョブコーチが直面することもあって、私もちょっと発言させていただきますと、実際に、ここについてジョブコーチが取り扱うべきかどうなのかということについても基礎知識が必要だと思いますので、やはり労働法に関する基礎知識、それに直面したときにジョブコーチがどこまで対応して、関係機関あるいは関係者、一体どなたにどのようなルートで協力していただいたらいいのかというところについては、関係機関との連携という項目もありますが、福祉サービスや医療機関との連携というところに比較的重点が置かれがちですので、そういったことについても今後、カリキュラムの中で取り扱っていくことも必要なのではないかなという気付きを頂きました。ありがとうございました。それでは、そろそろ時間かと思いますので、日本発達障害ネットワークの皆様、ありがとうございました。
それでは、続きまして一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会の皆様、お願いいたします。
○松﨑様 全国手をつなぐ育成会連合会の松﨑です。よろしくお願いいたします。今日は会長の久保に代わりまして私、松﨑のほうでお話をさせていただきます。私の立場は、全国手をつなぐ事業所協議会と申しまして、育成会とともに歩んでおります全国の事業所600か所ほどで結成している育成会連合会に加盟する団体です。育成会連合会自体は、知的障害の方たちを中心とした親たちが全国各地で作ってきた運動ですので、全国都道府県それぞれに「手をつなぐ親の会」があって、その全国組織として、我々は動いています。我々事業所協議会のほうも、全国にある事業所をまとめた団体として、事業所運営の視点から育成会の中で協力しているというような立場をとっております。今回につきましても、私の立場は、事業所運営をしている皆さんの声として、本日、発言させていただくことにしております。
育成会連合会では、共生社会の実現を目指して、就労についても非常に重要視しております。その観点で申しますと、まずは今の全国からの事業者も含めた声を取り上げていくと、障害者の雇用と福祉施策の連携が、まず根底に、もっと進まなければいけないと考えています。就労したらそれっきりという状態が福祉現場で起きていますので、これはちょっと困ったなという話で、今回のジョブコーチの話にしても、今、皆様から現実的なお話がたくさん出ましたけども、それはもう、そのとおりです。ただ、やはりジョブコーチそのものが、どこまで現実の雇用の中で活躍できているかというと、まだまだ少なくて、我々の参加している事業所関連から上がってくる声を聞きますと、やはり多くの場合、まずは特別支援学校の先生たちが、知的の人たちの場合には、3年間は間違いなく後を見ていくような状態で、先生たちはとてもよく動いています。
それから、就労支援関係の事業所のほうからいえば、そこから出した場合も、まずはジョブコーチさんに頼るより、そこの職員たちが一所懸命かけ回っているというのが現実です。そういう意味では、ジョブコーチということのアピールをもっともっとして、しかも身分の安定がもっと図られないと難しいのかなと、我々は見ております。実際に現場からたくさんの声が今回も私のほうに上がってきたのですが、やはり先ほどから話題に出ておりますように、ジョブコーチの様々なことに対応する能力とか、質とか、そういうところの問題がたくさん言われております。これを資格制度も含めて、きちんとしたものにしていただいて、研修を整えていくというお話の中で進むのかなと考えております。
そういう意味では、この作業部会に期待しているところですが、例えば先ほども少し、どなたからか出ましたけれども、実は東京都では、東京都独自の「東京ジョブコーチ職場定着支援事業」というのをやっております。これは実は、私ども育成会の「東京都手をつなぐ育成会」が委託を受けてやっております。ここの事業では、ジョブコーチの皆さんは80人おります。これに対して、6人のコーディネーターが都の委託を受けて、コーディネートしながら全体を取り仕切っているということです。人材の確保が問題なのですが、先ほどから、やはり専門性の高い人というお話が出ておりますけれども、現実に我々、事業をしている者の観点からみると、今の少子・高齢化で人手不足の時代に、障害福祉事業にどれだけの人が来てくれるのかを考えると、現実的には惨憺たる状態です。そんなに簡単に有能な若い人たちが、今のような条件で来てくれるはずがないと考えられております。そういう意味では、この東京ジョブコーチ制度で、80人いるジョブコーチの皆さんの平均年齢は60代です。多くは、社会的な経験があり、企業でも働いた経験のある人たちに参加してもらっておりまして、高齢者の活用って簡単に言ったらいけないと思いますけれども、経験のある高齢の方たちに今たくさん参加してもらっています。更にいうと、80名のうち70名は女性です。そういう意味では、何か一応、第1回の人生を定年等で終わった方々も含めてですね、我々の事業に活用できないかというところを少し考えていただけると有り難いかなという気がするところです。
次に申し上げたいのは、これも全体的なことになりますけど、雇用率の引き上げによって、就労数はどんどん上がっております。これ自体はとても喜ばしいことと思っており、社会に出て働く障害者が増えていくこと自体はとても素晴らしいことなのですが、さて、その先のという問題になってくるわけですね。全国の特別支援学校の就職率は、今どれぐらいあるかというと、全国的にも、ほぼ3割近い人たちが企業就労になっております。東京に至っては、5割に近い人が企業就労です。かつてと比べたら、とてつもない率になっているかなと思っておりますけれども、問題は先ほども申し上げましたように、その後の問題ですね、雇用にいってしまうと、そこでプツンと福祉から切れていくというところが最大の問題になっています。先生たちも、もう悲鳴をあげていますので、我々は、そこを何とかしたいなと常に考えているところです。
ただ、実際の雇用率が上がったといっても、知的障害の人たちが現場でどんな条件下に置かれているかというと、まだまだ改善の余地はたくさんあって、この辺を何とか克服しないといけないというのが我々の本当の課題です。
特に、今回申し上げたいのは、資料にも書き出しておきましたけれども、こういう問題についての障害者代行サービスとか、雇用代行ビジネスが起きており、これには困ったなという感想を抱いております。本来、雇用率ということで雇ってもらうということは、障害のある方たちの特性を十分に生かした仕事として、普通の方と同じように職業人としてのあり方をそこで探っていくということだと思うのですが、この代行ビジネスにおいては、我々が調べたところ、一切合財を請負って、企業には何の苦労もしなくてもいいから、私のところに任せれば雇用率達成になりますということが行われているわけです。あとやっていくと、本当に困ったことになりますけれども、障害をもったお子さんの親たちの中には、企業名を付けなくても、一応それで就職になりますから、それでいいという、安定していればそれでいいという人たちも出てきて、何か本質から外れたところで、お互いに何か手を結ぶみたいな変な話が起きているなと思って、これは困ったなと思っています。本来の障害者雇用ではないことが進むような制度自体が問題かなと思っています。そういう意味では、今ここに来て、就労支援のA型、B型、就労移行支援を含めて、もう少しジョブコーチの制度も取り入れながら、雇用と福祉の連携というのを本当に図っていく、それがないと解決しないかなと、そんなようなことを考えております。
代行ビジネスにつきましては、資料を皆さんにお渡しされているかと思いますが、私どもが出しております広報誌「手をつなぐ」という全国誌があるのですが、その11月号で特集しておりますので、是非また読んでいただければと思っています。以上でございます。雇用のテーマにおける福祉との連携を本当に願っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○小川主査 ありがとうございました。それでは、構成員の皆様から、御質問や御意見がありましたらお願いいたします。それでは、事務局からお願いします。
○小森地域就労支援室室長補佐 障害者雇用対策課の小森です。御説明、どうもありがとうございました。私から一点お聞きしたいのは、後段のほうで御説明のありました障害者雇用ビジネスの関係で、資料を拝見いたしますと、「職場適応援助者が代行ビジネスに使われる事例も起きています」という記載があるのですが、この点を、もう少し具体的にお聞きできると有難いのですが、お願いできますでしょうか。
○松﨑様 これは、今回に当たって幾つか事業所等に聞き取りや、事業所を利用したときに出てきたうちの1つなのです。まず1つは、先ほど申しました、東京独自のジョブコーチ制度の中で、一度起きています。就職した先で、いろいろ問題があるのでということで、声が掛けられたのは企業側ではなく、働いている側の本人の担当者からだったと思います。そこで、そんなお話を聞きまして、企業側にいろいろ伺ったところ、こちらに来て支援をしてほしいと、代行ビジネス側から言われまして、よく分からなかったジョブコーチの方は、そこに行って、支援をし始めてしまったという事例が1つあります。
いってみれば、「ちょっと待て」ということも言えますので、これは本当に、東京ジョブコーチ制度の中のジョブコーチがする仕事なのかということで、結局、続くことにはなりませんが、やはり放っておくと、代行ビジネスをやっている会社が、今ここで話されているようなノウハウを持ってやっているわけでも何でもありませんので。しかも、代行ビジネスの現場にいる職員の皆さんは、もっと知識のない方たちですから、平気で使えそうなものは何でも使うという声が掛かるということのようです。これは他の県からも1件だけ、似たようなことがあったと聞いておりますので、放っておくと、そういうことが起きるかと思っております。
○小川主査 ありがとうございます。そのほかは、いかがでしょうか。
それでは、私から1点ですが、東京ジョブコーチと国の制度との2つの違いというか、国のジョブコーチ制度では、支援の対象者数、支援者数が、特に訪問型の場合、減少傾向にあることは、これまでの検討の中で明らかになっていますが、東京ジョブコーチの場合には、いかがでしょうか。何か情報がありましたら、お願いいたします。
○松﨑様 東京ジョブコーチでは、80人の方がほとんど動いている状態です。ですから、利用が非常に高い状態です。もう少したくさんやってほしいという要望が出ているようです。実は、東京ジョブコーチにはちょっとした仕掛けがありまして、これは立場上は「しごと財団」に応募して採用された有償ボランティアなのです。もちろん、1日に4時間以上の方は、1日に1万6,000円、それ以下であれば8,000円の報酬が出ているのですが、あくまでも立場は雇用ではなく有償ボランティアとしてです。実は、「しごと財団」に所属する皆さんが派遣されて、それを東京ジョブコーチ制度の委託を受けた我々のほうで、コーディネーターを付けて、全体支援にしているという、ちょっとしたからくりかと思いますが、そのような内容です。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。景山様、お願いします。
○景山構成員 利用へのビジネスのほうを見させていただきました。私どもは本当に小さな会社で、そういった雇用率等には、一切、関わりなくずっとやってまいりました。そこにこそ、ある意味、強みがあるのかなと。雇用率を金で買うような、そういった一部の企業ではなく、日本の中には、本当に中小の企業が数多くいらっしゃいますので、そういった所が、いかに障害者雇用を進めていけるかと、そういったところで、ジョブコーチがどれだけ活躍できるのか、企業内ジョブコーチを持つことが、どんなに自社にとってプラスになってくるのかというような形でジョブコーチを養成していけたらと、本当に強く思うところです。どうも、貴重なお話をありがとうございました。
○小川主査 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。事務局のほうも、よろしいでしょうか。
○小森地域就労支援室室長補佐 大丈夫です。
○小川主査 それでは、全国手をつなぐ育成会連合会の皆様、ありがとうございました。
続きまして、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会の皆様、お願いいたします。
○小幡様 全国精神保健福祉会連合会事務局長の小幡です。本日はお招きいただきまして、ありがとうございました。当会でまとめたものについては、一部、公開しない感想の資料も構成員の皆様には配られているものもあるかと思いますが、それも含めて御報告したいと思います。
ジョブコーチの養成研修をこれまでに受けられている方も含めて、実際にジョブコーチとして現場で働いているかというと、その経験を発揮する立場で動かれている方が全員ではないわけです。これから新たなプログラムを含めて評価していく際に、実際にこの養成研修が現場にどれぐらい波及するか、また人材が配置されていくのか。資格取得をしていくことの要件の中には、実際に働くことも含めて定められていることがあるかと思うので、やろうと思っていたけれどできていないのかは、この後で述べる報酬などの問題とも兼ね合いがあるのではないかと思います。研修を作っている本作業部会の皆さんや厚生労働省の皆さんたちだけではなく、実際に現場で働いている人たちが、その後、どうして職に付けていないのかについても、是非、今一度、踏み込んでいただけると有意義になるのではないかと感じています。
ジョブコーチを専従でやることで、業務を展開していくというときには、やはり、その財源となっている報酬は後から発生して、受理します。まっさらな状態でやるよりは、一定の法人や、いろいろな事業が展開してきている中で人が配置されて動くことが多いかと思います。新規にジョブコーチの業務を展開してくことを想定した場合に、既存の所だけでの配置に陥ってしまうのではないか、インセンティブも含めて新たな展開もできるような仕掛けを作らないと、人材の充足はできないのではないかと考えております。
そういった意味では、今回の議論の中にもありますが、訪問時間による報酬については、上限が1万6,000円で、一定時間の短いほうは8,000円が基本になっています。時間縛りの中の業務内容も、どこまで見るのかについて、移動時間も含めたところでやられるとなってきたときには、実際の現場にいる時間で何ができているのか。もしかして支援の濃淡ができてしまうのではないか。もちろん、移動時間も含めてやってほしいのですが、実際にどの程度、現場で、本人と職場の調整を含めた上での本来のジョブコーチとしての役割を担えているのかという評価を見ていくのも必要かと思っております。
実際には、ジョブコーチは現場でやったことだけではなく、それらに付随する煩雑な、いろいろな事務処理作業や調整という、本来の業務には定められていないことも背景として抱え込みながら仕事を作り込んでいかないと、うまくジョイントできないことがあります。その手間を考えると、やはり、業務量と報酬を含めたところと、実際にやった分だけの成果に結び付けるところでの乖離がある。そのために、業務を展開していくには、なかなか一ジョブコーチだけの役割だけでは回りの評価が見えないところがあります。今回、上級ジョブコーチや、いろいろな位置づけが出てくると思うのですが、細かいコーディネートだけではなく、今、持っているジョブコーチの役割がバーンアウトしないように、その人自身の自信にもつなげていくということもあっていいのではないかと思っております。そういったことも含めて、いろいろな調整をして情報共有などしていくことについても、必要経費として、助成金を付けていくことも必要なのではないかと思います。
職場定着支援との関わりで言えば、半年後から利用できる福祉の就労移行支援事業所で行っているような、職場定着支援に当たるアフターフォローの期間をどういうふうに活用していくのかということや、今回のナチュラルサポートになっていくために、精神のところで言いますと、先ほどの発達障害とも少し関連がありました、医療サイドとの連携みたいなことが、福祉と医療ではよく言われます。雇用のところでも求められてくることがあると思います。ただ、医療関係が入ったときの連携を見たときに、どちらかというと医療サイドのヒエラルキーの中に取り込まれてしまうところも実際にはあると思います。そういったことを、ジョブコーチが躊躇なく、きちんと調整できていけるような、アフターフォローの方法を提供できるということについても検討いただければと思います。
福祉サービスとジョブコーチのところで、就労移行のサービスとの使い勝手で、当事者の方が職場定着していく中で、どういうふうに選択をしていくのかというところでは、ジョブコーチ自体の役割や経験値、ほかの方が実際に支援を受けた感想を、当事者の方にも共有いただけるような場が必要ではないかと思っております。
また、企業側には、やはり、認知度がまだまだ低いということが部会の中でも検討されていると思います。このジョブコーチをきちんと導入していくことを、企業と本人を含めて、まず乗り越えないと利用が始まらない。でも実際には、もう就職は始まってしまっているというタイムラグをどういうふうに圧縮していくのかというところでの認知度を高める。また、支援計画を立てるというところに踏み込んでもらえるように、組み立てをしていくことが求められるのではないかと思っております。
ジョブコーチでなければできない支援は、こういう魅力があるのだということを、どういうふうに打ち出すのか、分かりやすく明示できるのかは、利用する本人、企業、家族や他の支援者で共通の言語になるようなものを持っていただけると助かります。
そういった意味では、ジョブコーチの支援は、企業側にとっては社員の代わりにジョブコーチが来たときに任せていろいろ作業をやってもらうことのように認識されてしまうことが現実的にはまだ多いわけです。本来のジョブコーチ支援とはこういうものなのですよということを本当に理解するまで、ジョブコーチ側から丁寧に話をしていただくこと。とりわけ、入口の部分というよりは、本来の、横並びで当事者の方が働く、同じ現場の人たちに、そこが伝わることの確保をしていただくことが必要だと思っております。
ナチュラルサポートについては先ほど触れましたが、基本的には、精神疾患を持っている方は、短時間労働の方も増えてくるかと思います。制度的にその辺も整えられてきていますが、就労時間の長短での違いを、今後の支援していく中で配慮しなければいけないことがあるのだとすれば、そこについても整理していく必要性があると感じております。
先ほど東京ジョブコーチのお話がありました。もちろん、その制度の利用があってもいいのですが、一般に、ここで言われているジョブコーチと、例えば東京ジョブコーチは、利用者サイドからすると、何が違うのか、どこがどうなのか、一緒なのかが分かりにくいところがあります。いろいろな地域によって、ジョブコーチと似たような動きがあるような所も存在するのであれば、もう少し、ここで協議されているジョブコーチと、その周辺に類似して携わる所についても、一定程度、ジョブコーチ自身が知っておいた上で関わりを持っていくことが必要なのではないかと考えております。
専任ジョブコーチを配置できるように財源を確保していくことや、そのシステムが機能することで、ここで新たな研修プログラム等が活きてくると思っております。是非、机上に配布している、その後の利用者や事業所の感想も参考にしていただきまして、更に御検討を深めていただければと思っております。多くの場合は、利用してみてよかったということと、逆に、やはり人と人とのマッチングなので、必ずしもこのジョブコーチさんがいいということで選択できるわけでもないなどがあります。しかし今後、増えていく中では、マッチングがうまくいかないときに、柔軟に変更ができるとか、一人の人がずっと継続でやる場合や、グループで交代でやる場合などがあります。御本人の意向をどこまで反映できるかは、新たなプログラムに盛り込まれている面接等も通じて継続して実施されている中で、その都度、確認頂けるようなチャンスがあるといいのかなと思いました。簡単ですが、以上をもって、当会からのヒアリング発言といたします。ありがとうございました。
○小川主査 はい、全国精神保健福祉会連合会の皆様、ありがとうございました。それでは構成員の皆様から御質問、御意見をお願いします。青野構成員、お願いします。
○青野構成員 青野です。よろしくお願いします。この分野で優秀な人材を確保していくために、処遇を上げていくということは非常に重要だと思っているのですけれども、一方で、私は企業で働いている中で、ジョブコーチたちの処遇を上げてくださいというお話をして、現状で通るかというと簡単ではないと思うのです。それは、やはりジョブコーチが有しているスキルが、その他の企業の中で働くその他の専門家と比べると、明確でなかったり成果が分かりづらいからではないかと思っています。
加えて、所属しているジョブコーチが自分たちのスキルがこういうもので、こういう成果を上げられるのですという説明が、この養成研修を受けてできるようになっているかというと、残念ながらそうではないと思っています、現時点での話ですが。
ただ感覚的に、やはり障害者活躍推進は非常に難しい分野で、ジョブコーチの皆さんがいなければ更に進まなかったことだと思っています。感覚的に、かつ、みんなができることではないことをジョブコーチのメンバーがやっていてというところが感覚的にあるものを、実績とか実学にしていかないといけないと考えて、私たちの会社では、当期、正に小幡様がおっしゃったような共通言語、私たちジョブコーチだとか、会社の中の専門人材が共通言語を持って、自分たちの成果とか手法を説明できるようになる為に外部の研修を取り入れて、最近は一定の成果を見せる方法というのを最近は研究していて実践するようにしています。
なので、この養成研修、少なくとも上級ジョブコーチの養成研修が終わったときには、受講者の皆さんが自分たちのスキルはこういうもので、こういう支援をできる人たちなのですと。加えて、成果をきちんと明確に提示できるような人材になっていくことが重要なのではないかと思います。
対人支援なので、一定の成果を上げても、こういうところもあるのでこういうところを直してくださいとか、良くしてくださいみたいなことで、対応範囲がどんどん広がっていってしまうということもあると思っているのです。なので、今回の支援はここが範囲なのですよというターゲットをきちんと決めて成果を明示していくというような手法も、少なくとも上級ジョブコーチの養成研修の内容を固めていくときには、そういう視点も盛り込めるといいのかなと、お話を聞きながら思いました。以上です。
○小川主査 ありがとうございます。井口構成員、挙手いただいているのですか。
○井口構成員 障害者職業総合センターの井口です。ジョブコーチの現状について非常に分かりやすく御説明いただきましてありがとうございました。特に、私が賛同する部分は、就労系障害福祉サービスとジョブコーチの連動を、今後、具体的に検討する必要があるのではないかというところです。
質問ではなく、特にそういう点について、この作業部会の中で、私も議論をしていきたいと考えています。感想ですが、以上です。
○小川主査 ありがとうございました。それでは時間になりましたので、一旦、区切らせていただきたいと思います。全国精神保健福祉会連合会の皆様、ありがとうございました。
○小幡様 ありがとうございました。
○小川主査 続きまして、日本視覚障害者団体連合の皆様、お願いいたします。
○工藤様 日本視覚障害者団体連合の工藤です。どうぞよろしくお願いします。本日、このような場を与えていただきましてありがとうございます。日視連のほうからは、3人が発言したいと思います。まず、竹下会長から、よろしくお願いします。
○竹下様 日視連の竹下です。視覚障害者に対する職場支援としてのジョブコーチが広がっていないことが非常に残念でなりません。これまでにJEEDの報告を見ていても、養成が進んでいるとは言えませんし、派遣をした実績も、数えられるほどの非常に少ない数字でしかありません。
それはなぜかと言えば、一言でいうと、ジョブコーチの養成ができていないからに尽きるわけです。しかも、ごくわずかなジョブコーチも、東京を中心にした中心部にしかいないために、各地域で支援が受けられないという実情があります。ところが、視覚障害者が事務系を中心に一般就労をする場合に、ジョブコーチによる専門的な職場での対応を十分に実現する、ジョブコーチの援助を受けて業務が十分に遂行できるような環境づくりをする、これができるかできていないかによって、その障害者の就労の質が根本的に変わってくるということが、皆さんに是非、お伝えしたいことです。是非そういうことを分かっていただくことをお願いして、私の冒頭での発言を終わります。
○工藤様 続いて、視覚障害の実際のジョブコーチはどういうものなのかを知っていただくために、視覚障害者就労生涯学習支援センターの井上英子さんに、実施例を発表していただきたいと思いますので、井上先生、よろしくお願いします。
○井上様 井上です、よろしくお願いいたします。これから画面の共有をさせていただきます。視覚障害者のジョブコーチをさせていただいています。一昨年度は、33事業所44名の方、支援回数は339回でした。新人10名、継続就労34名、これは特出した支援回数だと思います。逆に言えば、ジョブコーチが足りないとも言えます。
視覚障害者の支援として、作業効率を上げる、職域を広げる、画面読上げソフトと、キーによるパソコン操作法やオフィスの機器をどのように利用するかを御説明します。また、安全確保や環境を理解するために、オリエンテーションなどを行います。具体的には視覚障害者の方々へ、これから御覧にいれる業務システムの構成、処理の流れを伝え、キーではどのように操作するか、音声ではどのように読み上げるかを伝えます。視覚障害の方々にこれらを理解していただき、業務として確立していきます。
周囲の方々へは業務システムがマウスでしか操作できないことがあるとか、情報が文字ではなく画像で貼り付けられていて読上げないことがあるなどを御理解いただきます。つまり、周囲の方々やシステムの担当者に、視覚に起因する困難か、データやシステムに起因する困難かを切り分けられるようにしていただきます。
では、その事例です。「勤怠管理」、これはテーブルになっています。ファイルの共有、情報共有、チャット、ビデオ会議などを用います。これは書類の提出や承認を行うシステムです。老人福祉施設向けシステムでは「ほのぼのNEXT」のようなシステムが利用され、今リモートで在宅での作業ができるように支援しています。グループウェアdesknet’s NEO、これは入社10年を迎えた方が、資料を作れない、カレンダーに日程を入れられない、会議室の予約ができないなどの問題を抱えていた事例です。これはその手順です。
食品包装資材会社の方に、当初の通勤、事務所のオリエンテーション、また商品データの分析方法、点字ディスプレイ装置へのデータ転送などの支援を行いました。つまり視覚障害者のジョブコーチは、基本的に視力障害、視力や視野の知識、疾病の知識、点字や白杖歩行、ガイドの方法などの知識が必要です。再支援の際には、食品関連の法に関する情報提供、「サイボウズ ガルーン」の利用法。再々支援のときには、先ほどのdesknet’s NEOの利用法などを行い、現在は大変活躍されています。
書籍販売会社では、アルバイト雇用管理、社会保険・雇用保険の申込み、健康診断データなどの入力、そして、こちらもサイボウズの利用法、組織表、名簿の拡大版などを作って支援をしました。現在は契約社員から正社員となり、衛生管理者資格を取得して委員会のメンバーになっています。
こちらは転職の事例です。当初は衣料製造販売会社で売掛金の集計を行いました。そして、グループ会社に転籍し、ここでは入札情報検索システムで工事情報を検索して報告するというお仕事をしました。このお仕事により、道路工事等の請負会社に転職できております。この3回とも支援をさせていただきました。実際のお仕事の場面です。
では、視覚障害者が業務で必要とされる能力としては、やはり視覚の障害の説明、パソコン、支援機器の説明、単独歩行ができるということ、そして何よりもパソコン、オフィスソフト、チャット、ポータルサイト、e-ラーニングの対応ができること。更に、現在ではGoogleアプリ、Microsoft365アプリが使えること。そしてコミュニケーション能力、電話対応スキルなどが必要とされます。
では、そういう視覚障害の方と共に働く周囲の方々の配慮です。見えない、見えにくいことを理解していただく、手書きの文字の読み取り、所定欄への書き込み、パソコンのトラブルのときにはサポートをする。そして、画面読上げソフトがどのようなものかを理解する。情報アクセシビリティや環境の変化、在宅就労勤務の環境整備などに御配慮いただきたいと思っています。
私どもは周囲の方々やシステム担当者に視覚障害の勉強会を開催したり、過去の業務事例を御紹介して理解を深めていただくことをしております。
最後に大きな問題は、私どもが申請している助成金は1か月20万前後で、助成金の申請期間が6か月ごとということです。ここから組織としての運営がなかなか難しいという状況にあることを御理解いただきたいと思っています。以上です。
○工藤様 再び、工藤です。私からは意見書の4、取るべき対策及び提言・要望です。それを中心に述べたいと思います。意見書全文は、是非、後ほどお読みいただけたらと思います。
その前に、なぜ井上先生に登場いただいたかということです。今のお話で分かるように、単に視覚障害の特性だけではなくて、やはりICTスキルの高度なエンジニアとしての資質、そういうものを備えた専門家であるということです。東京障害者職業センターの視覚障害者に対するジョブコーチ件数は、全体の3分の2弱は視覚障害者が占めていると聞いています。ということは、実際にはかなりニーズがあるということです。このような非常に数少ないジョブコーチに頼っているというのが視覚障害者の実態です。
私の本題に入る前に、意見書の中の「参考資料 視覚障害者の雇用を取り巻く情勢」というところに、過去の2つの報告書について紹介しています。平成24年と26年に、地域の障害者の就労支援の在り方に関する研究会報告書というのが出ています。この中でジョブコーチの役割の重要性が述べられているわけなのですが、私たちが重要だと受け止めていることは、これまで二度にわたって、視覚障害者や聴覚障害者に対応できるジョブコーチの必要性が指摘されていたにもかかわらず、国は十分な検討、ないしはその対策を取ってこなかったということを指摘したいと思います。
また、これらの報告書では、ジョブコーチの養成に当たって数を増やすだけではなくて、質の確保と実際の活動の促進を図ること、また地域の専門家、ジョブコーチだけでは対応できなくても地域の専門家と組むということも、その中で提言されております。
今回の私どもの意見書は、今の不十分な問題点や課題、それを解決するための、ある意味では抜本的な具体的な提言であり、要望となっています。今回、私どもが結論的に一番言いたいことは、「4.取るべき対策及び提言・要望」の所で、5つを挙げています。1つ目は、ジョブコーチが少ないなら少ないなりに、一人のジョブコーチが広域をカバーできるような支援体制にしてほしいということ。2つ目は、視覚障害者に対する支援は、視覚障害者に精通した専門家と正にコンビネーションを組んで活動するというようにしてほしい。そのためには、今活用できるのは、雇用管理サポーター、それを積極的に活用してジョブコーチと組み合わせてほしいということです。それから3番目です。視覚障害者当事者がジョブコーチ等の専門家として活躍することを推進してほしいということです。それから4つ目は、これは助成金の活用です。これは提言の3.課題の整理の(3)の所に、納付金と助成金の関係を書いていますけれども、もっと納付金を助成金に活用してほしいということです。今日も、いろいろな方から意見が出ていましたけれども、やはり専門家の報酬を見直してやってほしいということです。ちょっと前に戻りますけれども、東京障害者職業センターでは、一日に3回の企業をジョブコーチしないといけない場合もある、それだけのニーズがある。それでも、報酬としては本当に微々たるものです。8千円の2倍、1万6千円にしかならないということです。それから、最後の5つ目です。これはジョブコーチの「雇い入れ時」となっていますけれども、実際に困っている視覚障害者と会って面接してお話を伺うと、雇い入れてから2年目、3年目、4年目、それぞれのところで、やはり困難を抱えていて、ジョブコーチをほしいという声があるのです。職業センターとしては、それはできないことはないと言います。ただ、そういうことが周知されていない。ということで、過去にジョブコーチを受けた障害者の実情、数も把握している地域障害者職業センターが、定期的にそういう人たちの状況を調査して、プッシュアップ型のジョブコーチ支援ができるようにしてほしいということです。
私たちからは以上5つの要望、提言を出したいと思います。今後、障害者の雇用が進むに伴い、障害特性にきちんと対応できるジョブコーチの養成と配置・確保が本当に必要になってくると思います。以上です。
○小川主査 ありがとうございました。時間が限られておりますが、構成員の方から、何か御質問、御意見がございましたら。若尾構成員、お願いします。
○若尾構成員 すみません、1点だけ御質問させていただければと思います。御提言いただいている内容の(1)番なのですが、一人のジョブコーチが広域をカバーできるような支援体制というのは、具体的にどのぐらいの広域の範囲を想定されているかというのを教えていただければと思います。
○工藤様 視覚障害に限って言うと、多分、全国ですね。それだけ、やはり地域にないということです。ある意味では、例えば関東近県とか、中部、近畿圏とか、そういうエリアごとに考えてもいいと思うのです。
○竹下様 竹下ですけれども、質問ありがとうございます。井上さんに答えてもらったらいいかもしれませんけれども、現実に井上さんには、九州まで飛んでいただいていたりするわけです。そうしないと対応できていないという実情を知っていただけるとありがたいと思います。
○工藤様 井上先生の前に、ごめんなさい、ちょっと補足しますけれども、ジョブコーチとしては多分、それはできないのだと思うのです。どうぞ、井上先生。
○井上様 雇用管理サポートとして、例えば沖縄などに行かせていただいています。そしてジョブコーチとしては、近県をオンラインでさせていただくことがあります。いろいろな手法が考えられると思います。
○小川主査 若尾構成員、よろしいですか。
○若尾構成員 ありがとうございました。
○小川主査 それでは、ほかにもあるかもしれませんけれども、時間になりましたので一旦、区切らせていただきたいと思います。全体を通して何か、厚労省、事務局のほうからございますか。よろしいでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局として途中からお聞きしているので、すみません、申し訳ありませんでした。最後の2団体のお話もお聞きしましたし、各構成員からの御質問なども踏まえて、今後の作業部会において形づくっていく育成と確保という観点において、反映させていけるものについては積極的に取り入れて対応してまいりたいと思います。本日は大変ありがとうございました。
○小川主査 それでは、皆様から多数の御意見を頂きました。大変有意義な時間を持てたかと思います。やはり障害特性について、さまざまな障害種の団体の方から、より深めていく必要性、専門性を持っていく必要性についての御指摘があったかと思います。他方で、ジョブコーチ養成研修の時間をどんどん拡大するというわけにもいかない現状もありますので、やはり上級ジョブコーチ等との関連で、カリキュラムの中でどのように対応していくのかということについては、幅と深みについてなかなか難しい点もありますが、今後の課題になっていくかと思います。
それから、福祉サービスと職場適応援助者助成金の関連、使いにくさ、あるいはその仕組みの問題についても御指摘がありましたので、この辺も今後の検討課題かと思います。それからジョブコーチとは何かという根本的なところについて、もう少し言語化していく必要性というのも、専門性を明確にしてからこそ、その助成金の額とか報酬のところも関連させて要求していけるのではないかという御意見もありました。
言語化・理論化については、この作業部会等でも何回も議論されているところですけれども、今後も深めていく必要があるかなと思っています。今後、上級ジョブコーチについての検討にも入っていきますので、そういったところでも議論ができればと思います。
今日は多数の御意見をありがとうございました。また、構成員の方々からも御質問、御意見を頂きましてありがとうございました。一旦、事務局にお返しします。
○小森地域就労支援室室長補佐 本日の議論としては以上となりますけれども、次回の日程ですが、第6回については2月を予定しております。各構成員の皆様方につきましては、日程の調整の御連絡を後ほど差し上げたいと思います。2月の第6回につきましては、今回の議論を踏まえて、上級ジョブコーチの職務の範囲であったり、その要件をもう少し深めていきたいと思います。
また3月の第7回につきましては、中間取りまとめということで、これまで4月から議論してきましたジョブコーチ養成研修のカリキュラムであったり、助成金、また上級ジョブコーチに関して一定の方向性を取りまとめていきたいと考えています。なお、3月の日程についても、後ほど調整をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。事務局からは以上です。
○小川主査 すみません、私が議題2の「その他」というようにきちんと振らなかったのですけれども、その内容についてお話いただいたということでよろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは本日の議論は終了となりますので、「第5回職場適応援助者の育成確保に関する作業部会」を以上で終了とさせていただきます。連絡事項も含めて、以上で終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。