2023年2月28日第6回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会」議事録

日時

令和5年2月28日(火)10:00~12:00

場所

オンラインによる開催

出席者

【構成員】

議題


(1)強度行動障害を有する者の「予防的支援」に関する実践報告
(2)評価基準の在り方について
(3)報告書目次(案)について
(4)その他
 

議事

議事内容
2023-2-28 第6回強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会
 
○稲田室長補佐 それでは、定刻となりましたので、これより第6回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 本会議は、資料、議事ともに原則公開としており、議事録については、後日、厚生労働省のホームページに掲載予定となっております。
 また、本会議は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、報道関係者及び一般の方の傍聴は御遠慮いただき、代わりに会議の模様をYouTubeによるライブ配信にて公開しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日の構成員の出席状況でございますが、今回は、構成員全員に御出席をいただいております。
 なお、渡邊構成員につきましては、11時頃に中座予定となっております。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 配付資料にございますとおり、議事次第、開催要綱、資料1から資料3、参考資料1となっております。不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 それでは、カメラ等の撮影は、ここまでとさせていただきます。御退室のほうをお願いいたします。
(報道関係者退室)
○稲田室長補佐 それでは、以降の議事進行につきましては、市川座長にお願いしたいと思います。
 市川座長、どうぞよろしくお願いいたします。
○市川座長 おはようございます。皆様、よろしくお願いいたします。
 本日は、評価基準の在り方について検討をしてまいります。議論に先立って、本検討会で構成員の皆様より、強度行動障害の予防的な支援について多数の御意見をいただいているところもあり、児童期からの予防的支援に取り組まれているNPO法人たんとの飯島尚高氏に、予防的な支援の取組を御報告いただきたいと考えております。
 また、本検討会では、議論の内容を取りまとめた報告書を作成することになっております。その報告書の目次案についても、構成員の皆様の御意見を伺いたいと思っております。
 そのため、本日は事務局からの資料説明の後、予防的支援の報告、評価基準の在り方の検討、報告書目次案の検討の流れで進めたいと思います。
 では、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○松崎専門官 事務局でございます。資料について御説明させていただきます。
 資料1については「評価基準の在り方についての主な検討事項(案)」。
 続きまして、本日の議論のテーマとなる強度行動障害を有する者の評価基準の在り方に関する検討事項(案)を。
 資料2につきましては、この後、報告いただきます予防的支援の報告に関する資料となります。
 資料3につきましては、本検討会での議論の内容をまとめた報告書の目次案となります。
 参考資料につきまして、参考資料1は、令和4年度障害者総合福祉推進事業と、支援困難度の高い行動障害者の地域での受入れ促進に向けた支援体制の促進等に関する調査研究で実施した事業所調査の速報値の資料となります。
 事務局からは、以上です。
○市川座長 それでは、議事に入りたいと思います。
 強度行動障害の予防的な支援についての報告を、NPO法人たんとの飯島様にお願いしたいと思います。
 飯島様、よろしくお願いします。
○飯島先生 皆様、おはようございます。よろしくお願いします。このような場を設けさせていただいて、誠にありがとうございます。
 それでは、画面のほうを共有させていただきたいと思います。
 まず、私どもの今回いただきました議題の中で、予防的な支援ということでお話をさせていただくわけですが、限られた時間でお話をさせていただきますので、その中で、ちょっとダイジェストのような話になってしまうところもあるかと思いますが、御了承いただきたいと思います。
 まず、私どものNPO法人たんとの簡単な紹介をさせていただきたいと思いますが、まず、最初に1999年に別の法人として立ち上がっていましたが、2004年に独立をさせていただきまして、佐久市を拠点に事業を展開してまいりました。主に行動障害のお子さんから成人の方に向けて、行動援護を中心とした、居宅、在宅の方たちに対するサービスを中心としていますので、主に放課後ですとか、成人の方の作業所が終わった後、もしくは週末の余暇活動を中心に、事業展開をさせていただいております。現在も佐久のほうでは、そのサービスを継続させていただいています。
 2019年に、この後に紹介をさせていただきますが、青木村のほうで、児童発達支援と保育所等訪問、放課後等デイサービスの3事業をスタートして、従業員は、現在、約17名、時間アルバイトも含めてですが、事業を実施しております。
 その中で、まず、佐久で事業を展開していく中で、この資料につきましては、強度行動障害支援者養成研修であるとか、別の研修でも出させていただいておりますが、手をつなぐ育成会連合会のほうで集計をしていただいたデータを基に作られた表になりますが、中学生、高校生、思春期のお子さんが非常に行動障害で大変であるというデータがありますが、私どもの事業も、主に佐久の事業所では、最初に御相談を受けている方に関しましては、この年齢が非常に多くいらっしゃいます。特に困った状態になってから、私どもの事業所に相談が上がってくるというケースがほとんどになっておりまして、そこから、何か行動を整えていくとか、生活を豊かにしていくというところでは、非常に大変な支援の工夫であるとか、御家族を含め協力体制が必要な中で、なかなか思いどおりにならないというところが、ずっと課題になっていたところがあります。
 その中で、研修の中でもよくお話が出てくるところではありますが、やはり行動が落ち着かなくなってしまう1つの要因としては、生活環境であるとか、本人の特性に基づいた支援が提供できていないというところが一番の原因かなというところが、明らかになってきているところではあるのですが、なかなかそこが進んでいかない、もしくは、御家族のほうの御理解であったりとか、通われている事業所等の理解がなかなか進まないために、私たちが頑張るだけでは、なかなかその方の生活環境というのが改善できていないというジレンマを抱えながらサービスを提供していく中で、予防的な支援というものが非常に大事であろうというところに行き着いてきている経緯があります。
 この辺につきましては、皆様におかれましても検討されている内容だと思いますので、まず、今回、予防的な支援というところで、必要なところでは、アセスメントというものが、1つのポイントになってくるかなというところが見えてきました。
 その中でも、本人がどのような環境で落ち着いて生活できるかということと、まずは、コミュニケーション、やり取りがどのような手法で行うことによって有効的にお互いに理解し合えるかというところが、1つのポイントになってくるかなと思っています。
 その中でアセスメントをしながら、穏やかな、生活を取り戻していくために工夫をさせていただくというところなのですが、まず、私どももサービスを提供していく中では、先ほど申しましたとおり、余暇活動の支援がほとんどになってくるので、私たちが提供しているサービスの中では、そんなに大きな問題とかは出ないとしても、御家庭であるとか、日中活動されている場所では、やはり課題行動が頻発しているというところが、今後の生活というところでは、どのようにしたらいいかというところが、まず最初に、早期療育といいますか、早い段階での療育が必要だなと物すごく感じた例が1つありますので、そこをお話ししてから、児童期の療育のお話、私たちの事例を御紹介していきたいなと思います。
 まず、私どもが関わっていたある1人の方が、特別支援学校を卒業後、就労継続B型に通所をするという話になりました。偶然、当時、ほかの作業所とかを、就労Bを探したり、生活介護の検討もされてきていたのですが、御家族のほうが生活介護と就労Bを併設している事業所で通いたいという希望がありました。
 理由としては、本人が仕事が嫌になってしまったら、ちょっと休めるような場所がほしいと、仕事だけではなくて、本人のやりたいことを少し伸ばしていただけるような事業所がいいということでお話が来たのですが、学校のほうが、なかなかそのような場所を見つけるところができなくて、偶然なのですが、当法人が独自にやっております支援コンサルティングに入っている事業所はどうですかということで紹介をさせていただいて、本当に卒業する4か月ぐらい前に、やっと就職先といいますか、卒業先が見つかったというケースになりますが、学校の現場実習ということで、ふだんだとスケジュールを組んで現場実習を長い期間かけてやるのですが、急遽決まったというところで、急ぎ足で現場実習を重ねたというところも1つの原因かなとは思うのですが、先生が付き添って現場実習をされているときには、さほどその事業所では問題がなく、作業とかにも取り組めたり、休憩時間も過ごすことができていました。
 先生も、特にこのお子さんは、視覚支援とかを使わなくても、言葉が分かるので大丈夫ですということでお話をいただいたのですが、このお話は、もう10年以上の前の話なので、今の支援学校の先生たちのスキルと全く違うかなと思うところもあるのですが、なかなかその当時、行動障害のお子さんに対しての支援というのが、学校の中でも、いろいろな手法が入り乱れていて、うまくいっていないのかなというところが見え隠れはしていたのですが、学校では特に問題がないということで、そのまま卒業されて就労Bの事業所に通うようになりました。
 そうしましたら、やはり先生がついていたりとか、特別な環境だったというところもあるのだと思うのですが、就労Bに通い始めてからしばらくして、やはり行動が落ち着かなくなってきたという傾向が見られました。
 そこから、改めて私のほうに、その方の支援コンサルを依頼されまして、行動の観察をさせていただいたりとか、カンファレンスを行いながら再構造化といいますか、本人に合ったスケジュールの提示の仕方であるとか、作業の流れというものを組み立て直し、大体約半年ぐらいをかけて、何とかその方か作業をしながら、休憩時間とかも1人で活動できるような環境を整えて、現在に至っているという現状になります。
 このような状況を踏まえ、学校の前に、もっと早い段階で御家族のほうの理解であるとか、学校や生活する環境の中で、本人がどのようなコミュニケーションとか、理解の仕方をすることによって落ち着くのだということを、早い段階から知っていただくことによって、この方の生活が大きく変わるなというのを実感した一例になります。
 その中で、早期発見、早期療育というものを、私どもの事業所としても展開をしたかったのですが、実は佐久市という、やはり市という大きなコミュニティの中では、例えば、現在やっている児童発達支援とかを立ち上げた場合、希望者が多過ぎてしまって、なかなか小集団での、もしくは個別での療育というものに限界があるなと思っていて、以前から思っていたのが、一中学校の通学区単位での事業所の展開というものをやってみたくて、ずっとそのような場所ができないかということで、佐久市周辺の市町村を含め、場所をずっと探していたのですが、なかなかそのような場所とか、事業を展開していくというところに、たんとという事業所が、そもそも20年以上やっていた流れで、佐久市周辺の半径20キロ圏内の中の利用者がいるので、なかなか範囲を限定したところでのサービス提供というものに事業所としての課題があり、なかなか事業展開ができなくて足踏みをしていた状況があります。
 その中で、青木村が当時、奥田健次先生の定期コンサルを受けているという経緯がありまして、村の中で早期発見、早期療育を展開したいのだけれども、何かいい事業所はないかということで探しているところに、偶然、お話をいただきまして、村という小さなコミュニティの中で、早期発見、早期療育の事業に参画できるということで、お話に乗っかっていく流れで青木村に、佐久の事業所としては、直線距離で20キロぐらい離れているので、大分離れたところにあるのですけれども、そちらのほうで事業展開をまず行ってみようということで、青木村のほうに事業所を展開しました。
 青木村の取り組みとしては、村の子は村で育てるということで、インクルーシブ教育を中心とした展開を望んでいたので、その中に私ども参画させていただいて、現在に至っています。
 その中で、まず、最初に事業に入ってすぐのところなのですが、保育園とか小学校にも、私ども養育が入れない段階で、入り始めたところのちょうど1年生のお子さんになるのですけれども、保育園から小学校に上がったときに、時間割に合わせて行動をするということがなかなか理解できなくて、学校内でも飛び出しであるとか、授業に参加できないということが続いていて、本来であれば特別支援学校に通うことが望ましいのではないかということで、教育委員会のほうから話が出ていたお子さんではあるのですが、御家族の強い希望で地域の学校に通われるということで、特別支援学級のほうに所属をしていたのですが、やはり先生のほうも、ほかの生徒さんを見ながら、この子にマンツーマンにつくというのはとても難しくて、困り果てていたというところで、教育委員会と私どものほうで協力をさせていただいて、まず支援学級の中で構造化をしながら、スケジュールを組み立てて、学校のカリキュラムに合わせるというよりは、その子独自のカリキュラムを組み立てて、自立課題であるとか、プリント課題を増やしながら、徐々にというか段階的に学校のスケジュールに合わせていきましょうということで取り組みをしていて、今、約2年になります。
 このお子さんに関しましては、1年経った辺りから、次第に学校のスケジュールとかにも入れるようになってきて、今、ちょうど2年を過ぎたところで、来年度3年生になっていくのですが、学校の約半分ぐらいの活動に原級のクラスに入りながら、難しいところだけ支援級に通うということがだんだん実現するようになってきたというケースです。
 その中で、小学校だけではなくて、やはり保育園もしくは未就園のお子さんに対して療育をやっていく仕組みをつくりましょうということで、保育園のほうにも入らせていただくことができるように、今、なっています。
 今、保育園のほうで、先生たちから、ちょっと課題が出てきてしまっているお子さんが出てくると、保育園のほうから相談が上がってきます。私どもが定期的に訪問をしているので、そのときに、お子さんの行動観察をさせていただいて、必要と感じた場合は教育委員会と連携して、村に専従の心理士さんがいるので、すぐに発達検査をかけていただきます。
 その結果を基に、御家族とお話をして、御家族が療育を希望される場合は、すぐに療育のほうを開始できる体制が整ってきています。
 現在、村営の保育園が1つと、あと無認可の保育園が1つあるのですけれども、今、村営のほうの保育園には、定期的に入ることができていて、今は、そのお子さんたちは基本的に保育園のほうに通園をしていただいていますが、そこから小集団の療育を週1回、あと毎週木曜日に、私と教育委員会のほうの心理士が行動観察をしながら、必要に応じて先生たちとカンファレンスをすると。
 それ以外に、年長のお子さんを、今、中心にしていますが、そのお子さんに関しましては、小学校に上がっていくことを想定して、30分から40分、1人で自立課題とかをしながら、机上課題に取り組むという取り組みを、今、お昼寝の前に個別療育ということで実施をさせていただいています。
 今、保育園の中では、約12名のお子さんが療育を受けていただいておりまして、各学年に療育を対象としているお子さんがいる状況です。
 その中で出てきた課題が、今度、未就園のお子さんに関しても、保育園に上がっていくに当たって療育を提供したいということで、現在、2歳児のクラスも設けさせていただいておりまして、未就園のお子さんに関しましては、週1回、多いときは週2回ぐらい実施していますが、個別で療育をさせていただきながら、後半のほう、今ちょうど2月、3月になりますが、この辺りから、来年度一緒に入っていくお子さんと一緒に活動する場を増やしていったりとか、あとは保育園のほうと連携をしながら、保育園の中でどのようなスケジュールの提示とか、コミュニケーション、絵カードとか、そういったものを使いながらどうやったらやり取りができるかということを、支援会議を行いながらチームで、体制づくりをしています。
 主にこの流れが、今、でき上がってきておりまして、未就園から保育園、そこから小学校という流れができています。
 それで、特別支援学級の中から退級するお子さんも中には出てきているという状況がつくれています。
 ただ、その中で、やはり小学校の中でもやりきれなかった、保育園の中では療育し切れなかったお子さんに関しましては、学校のほうの5時間目を使いながら、学校のほうに訪問させていただいて、お箸の使い方であるとか、指先とか、そういった先生たちが少し不得意とされている部分に関しましては、私たちのほうでフォローをしながら、定期的に状況を確認しつつ、療育支援をしているというようなお子さんを、今、小学校3年生までという限定でやっていますが、実施をしているという状況になります。
 このような取組をすることによって、成人期において一時的に療育とかが終わったとしても、また成人になったときに課題が、もしくは思春期のときの課題が出てきたときに、御家族のほうも理解が早く進むと思いますし、お子さんが成人になられたときも、落ち着いた生活に早い段階から取り組めるのではないかなと思って、このような実施をしている状況になります。
 すみません、ちょっと時間を超過してしまいましたが、以上、私のほうの実践報告になります。ありがとうございました。
○市川座長 飯島様、ありがとうございました。
 この報告につきまして、構成員の皆様から聞きたいようなところ、あるいは疑問な点などがありましたら、お受けしたいと思いますが、挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 田中さん、お願いします。
○田中構成員 全国手をつなぐ育成会連合会の田中です。
 飯島さん、ありがとうございました。最初のお話では、佐久では難しくて、小さな単位での自治体での対応を探していて青木村にたどり着いたということでした。実際やってみて、青木村で実現できた部分を、佐久で難しかった事情と重ねると、何がうまくいった要因なのを、お聞かせいただければと思います。
 基本的には、私自身も基礎的自治体で、いろいろな展開がされることが、まずは住民サービスとして重要だと思っておりますので、そのような視点で何か示唆になることがあれば教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○飯島先生 ありがとうございます。
 青木村と佐久での一番の大きな違いというところでは、やはり対象とするお子さんの数が圧倒的に違うかなというところが1つと思っています。
 村という単位というよりは、先ほども申しましたとおり、1つの中学校の通学範囲でやることによって、一番のメリットとしては、やはり早い段階での対応ができるということと、小集団での個別療育を展開していくことで、密なやり取りというのが小学校であったりとか、中学校も限られた数の中で、先生たちとやり取りが柔軟にできていくというところが大きな違いかなと思っております。
 ですので、市が駄目で村がいいというわけではなくて、市であっても中学校とか小さな範囲での実施ができることによって、やはり療育というものは、質の高いものが提供できるのではないかと思っているところが現状です。
○田中構成員 ありがとうございました。よく分かりました。
○市川座長 続きまして、松上構成員、お願いします。
○松上構成員 松上です。
 すばらしい実践を聞かせていただいて、ありがとうございます。
 私の法人は、本部が大阪の高槻市にあるのですけれども、20年前から大阪府の発達障害者支援事業を受けて、そのときに大阪府と協議して、まず、取り組みの中心を早期診断、早期療育体制をつくるということで、6つの大阪府の健康福祉圏域に専門療育機関を1か所置いて、それで専門療育しながら機関支援をするというのは、先ほどもおっしゃっていたインクルーシブ教育ベースで、それを子供さんたちが地域の中で、療育で獲得した支援スキルを、要は地域の中で、子供の生活世界が広がる中で、どう般化していくかということが重要なので、その辺では、機関連携を通して、地域の中で子供さんが自主的に活動できるような、般化をするような取り組みをされているというのは、非常に重要だと思いますし、こういうことが将来にわたるきめ細かな御支援につながっていくのではないかなと思うのです。
 課題については、どうなのですか、特に教育等の連携については、2年前から専門療育の拠点が発達支援拠点という機能に変わって、学校連携もしています。学校へ行くと、やはり学校としても様々な課題があるわけですね。福祉サイドではなかなか理解できないことが多々あるので、その辺を理解しながらどう連携するかということが、本当に重要になってくると思うのですけれども、課題はどの辺ですかね、特に移行支援とかは非常に重要だと思うのです。その辺については、どうですか、お聞かせいただければありがたいです。
○飯島先生 課題は、やはりこのようなコミュニティの規模であっても、特に、村だからというところも一つあるかなとは思うのですが、今、松上さんがおっしゃられたようなセンター機能というものが、この村の中にはありません。
 隣に上田市という、今日も参加されています、橋詰さんがいらっしゃる地域のほうにセンターがあるのですが、やはりそちらに関しましては、重症身心のお子さんであるとか、そういったお子さんが非常に増えてきている傾向があり、受入れがなかなかできないということで、今年度に関しましても、先ほどちょっとお話にも出しました、2歳児のお子さんで、本当は療育センターに通わせたいお子さんが1名いらっしゃるのですが、受入れができないということで、来年度、形的にはなるのですが、うちのほうで何とか預かりながら毎日療育を提供しながら、保育園に移行していくという取組をやっていくのですが、やはり一番の課題としては、重症心身障害のお子さんも含めですが、行動障害でも激しいお子さんだと、なかなか地域の保育園であるとか小学校に入れたいという気持ちがあっても、なかなか本人が適用できないために、特別支援学校であるとか、専門の療育センターに通いたいという状況になっても、実は、そのコミュニティの中にそういった機関がないということが一番の課題になっているので、今後については、そことの連携をどのように持っていくかというところが一つだと思います。
 あとは、特別支援学校も、実はこの辺だと、近くだと車で20分から30分かかってしまう場所にあるので、気軽に地域交流というものがなかなかできないというところを考えていくと、よくこの辺のお母さんもおっしゃいますが、一度行ったらもう帰ってこられないみたいな、そうすると、地域で暮らしているのだけれども、地域のお子さんとの交流は一切ないと、もしくは大人になっても、その地域でただ暮らしているだけということになってしまうと、御家族としては、なかなか不本意だというところがあるので、どのように地域とのやり取りを円滑にやっていくかというところが、今後の課題になっていくかなと思っています。
 以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
 続きまして、福島構成員、お願いします。
○福島構成員 飯島さん、ありがとうございました。
 村の子は村で育てるという言葉が非常に印象的でした。ありがとうございました。
 私からは、その仕組みについて、ちょっと質問をしたいと思っています。たんとキッズあおきさんは、いわゆる民間の専門的な事業所という位置づけかと思いますけれども、このように自治体と協力する上で、例えば、行政であるとか、教育委員会などと、いろいろな契約とか、例えば、委託契約とか、そういう契約みたいな仕組みで行っているのかということと、もう一つは、地域の課題を地域の中で話し合う、いわゆる会議とか協議会とか、そういう機会があるかと、その2点だけ教えてください。
○飯島先生 ありがとうございます。
 まず、ふだんの療育の支援に関しましては、現状あるサービスを使って行っているのですけれども、そこにつながる前のお子さんに関しましては、現在は保健師のほうの3歳児健診とかにおいては、無料で発達診断を受けられますという仕組みをつくっているのですけれども、なかなかお母さんがそこにつながってこないという経緯があります。
 その中で、やはり気になるお子さんを、どうしても私たちのほうの目で見てほしいということで教育委員会のほうから依頼がありまして、教育委員会のほうから独自に契約を結ばせていただいていて、対象になっていないお子さんに関しては、そちらの契約の中で、お子さんを行動観察させていただくと。そこから必要であれば、教育委員会もしくは保育園のほう、もっと言えば、小学校とかそういう教育機関のほうからお話をしていただいて、私どもにつなげていただくということがあります。
 すみません、福島さん、あともう一つは何でしたか。
○福島構成員 この事業について、話し合いをするような会議とか、協議会みたいな場があるかどうか、お願いします。
○飯島先生 もう一つは、3か月に一度、教育委員会が主催で、ちょこっと連絡会というような名称で話し合いを設けさせていただいていて、そこには、保、小、中と私どもと、保健師さんと、あと地域にある児童クラブの責任者が集まって情報共有をするという場をつくっています。
 その中で、気になるお子さんであるとか、不登校のお子さんとかそこに関しては障害だけではなくて、お子さん全体ということで見させていただいて、その中で、もし療育が必要であれば、こちらにつなげていく話が出たりとか、逆にうちから療育が終了して、児童センターにお願いするという場合も、そこでお話をしておいてスムーズなつながりというのを、今、行っているところです。
○福島構成員 ありがとうございました。
○市川座長 続きまして、井上構成員、お願いします。
○井上構成員 ありがとうございます。鳥取大学の井上といいます。
 有用な情報をありがとうございます。特に早期対応に関しては、質問というよりは提案なのですけれども、育成会の先ほどのグラフのデータというのは、私たちの研究グループが入らせていただいて、提示させていただいたものですが、あれを詳しく分析しますと、やはり1歳から3歳の間の、特にステレオタイプな行動が非常に顕著に出るのが早期の兆候。
 それから、睡眠障害と食べることですね、食行動、それから多動性みたいなところ、興奮性みたいなところ、そういったところが、自閉症や知的障害のあるお子さんでも、かなり強めに出てくるお子さんが、やはり強度行動障害の兆候を示しやすいというデータが出ています。
 ですので、例えば保健師さん、入園段階の以前のところで、例えば、親御さんが、子供さんが寝つけないのですと言われたときに、適切なアドバイスというのが、お子さんが眠れないのは当たり前ですよみたいなアドバイスを受けて、非常に育児が大変だったというエピソードもあると思うのです。
 そういった対応が、医療との連携の中でもされていくことがすごく重要なのかなと思います。これは感想です。
 質問は2点です。保育園に在園しておられて、たんとさんのほうに通っておられると思うのですけれども、保育園での行動問題に対してのアセスメントと、それから、保育所に対するアドバイスとかコンサルテーションですね、それをどういうふうに保育所等訪問という事業で、うまくされていたのか、ほかの事業を使われたのかということですね。
 もう一点は、保育所での問題行動とともに、親御さんに対する支援です。保育所でのトラブルが重なると、やはり周りの親御さんに対して、例えば、たたいてしまったり、かみついてしまったりした場合に、また、園からプレッシャーがあって謝らなくてはいけないとか、親のしつけの問題みたいにされてしまって、やはりうまくいかないとか、それから、たたいてくる子には、たたき返すみたいな誤った養育をしてしまっている親御さんがいたり、非常に心理的にも、あるいは知識的にも支援が必要な場合が多いと思うのですけれども、幼児期の特に親御さんへの支援に対して、この2点に対して少し補足していただけるとありがたいです。
○飯島先生 ありがとうございます。アドバイス等も参考にさせていただきたいと思います。
 それで、今、在園されているお子さんに対してのアセスメントに関しましては、私どもが療育に入る予定のお子さんに関しては、アセスメントをする時間を2日間ほど取らせていただいて、その中で必要な項目、インフォーマルなアセスメントになってしまうと思うのですけれども、それを実施しながら苦手な部分と得意な部分というのを明確にした上で、指導計画を立てています。
 それで、先生たちに対するアドバイスに関しては、対象児に関しては保育所等訪問を使いながら、今、毎週木曜日に基本的には保育園のほうに伺わせていただいて、午前中行動観察をして、午後お昼寝の時間を使ってカンファレンスを行っているので、定期的に保育園のほうで、今日は、ちょっとこのクラスが気になるので見てくださいというようにいただくので、そのクラスに訪問させていただいて、様子を見てアドバイスをさせていただきながら、先生たちと、分からないことがあれば、毎週伺っているので、そこで先生たち個別の相談を受けたりということをやらせていただいているという状況です。
 ただ、それが十分かというと、なかなか難しいところもあったりとかしますが、例えば、必要なところは、例えば、専門の検査とかが必要であれば、STさんのほうにつなげるとか、そういったアドバイスも併せてさせていただいております。
 あと、一番は、やはり親に対する支援というところも、一つの課題になっているかなと思うのですけれども、私どもが直接親御さんとお話をするというのは、やはり、療育の支援を受けているお子さんというのが基本的になってくるので、それ以外で相談を受けているお子さんに関しましては、現状としましては、私どもの話、出てきたケースに対して、先ほどたたいてしまうとかという話とかが出てきたときも、保育士のほうから相談が上がってくれば、そこに対して私たちがアドバイスをして、保育士のほうから面談を持っていただくという仕組みになっていますが、行動障害が現れていて、まだ療育のほうを受けていないお子さんに関しましては、私のほうが、青木を含め、上田とかの圏域の中の支援センターの中で、療育コーディネーターと連携をさせていただいていますので、そちらのほうの制度を使って御家庭のほうに訪問したりとかということを、できるような体制はつくっていますが、今のところ、青木村に関しては、そこまでの困難ケースというのはないので、実施はしていないのですけれども、隣の上田市さんとかにおかれましては、そういった形で訪問をさせていただいて、お母さんたちと直接お話をさせていただくということを行っています。
 以上です。
○市川座長 ありがとうございます。
 続きまして、會田構成員、お願いします。
○會田構成員 ありがとうございます。
 肥前精神医療センターの會田と申します。きめ細やかな実践報告をありがとうございました。
 医療との連携でちょっとお伺いしたいのですけれども、現状、青木村さんでは、小児科とか児童精神科医の医療機関がどの時点で関わっているのかということと、もう一つは、一般的な予防的支援というところを考えたときに、どう医療が関わっていったらいいかというのを、飯島さんの御意見をお伺いしたいのですけれども、いかがでしょうか。
○飯島先生 ありがとうございます。
 医療との連携は、やはり私たちもすごく重要だと思っています。ただ、早い段階で療育に入るところの中では、やはりお母さんたちが、医療受診というものに物すごい抵抗感を持たれているところがありますので、今、青木村の中では、まず療育を始めるに当たっては、医療受診は行わずに、心理士のほうが見立てを立てて意見書を出すというところで福祉サービスの方につなげていると。
 その中で、お母さんと私たちが話をしたり、お子さんの変化を見ていく中で、どうしても収まらない部分とかが出てくるときに、お母さんと話をさせていただいて、ここは、ちょっと医療受診をしていただいて、先生たちとお話をしながら、将来、もしかしたらお薬が必要になるかもしれませんというお話をさせていただきながら、お母さんたちに恐怖心を与えないような支援というものを大切にしながら、今、関わっているという段階になります。
○市川座長 ありがとうございました。
 今、挙手されている構成員は、ほかにいらっしゃらないと思いますけれども、どなたかございますか、よろしいですか。
 橋詰構成、お願いします。
○橋詰構成員 飯島さん、ありがとうございました。自分の圏域の実践を御報告いただいて、まずは感謝を申し上げたいなと思っています。
 委員の皆さんにもお伝えしたいのですけれども、今の福祉制度の中の福祉計画は、児童発達支援センターの設置は、圏域に1か所というような目標になっているのですけれども、それではどうやっても子供たちの発達支援は届かないというところがあって、前の前の第5期計画の頃から、福祉計画は、圏域の中では、実は市町村が集まって、4市町村が集まっての自立支援協議会の仕組みになっていまして、その中での議論では、自分たちの市町村の中に必ず児童発達支援センターを1個つくりましょうという目標を掲げてきています。
 そういう部分では、青木村さんも、独自に遠隔で、本当に通所するというのもお時間がかかる中で、それが届けられるかというと、やはり御家族とか、そういった負担が非常に大きいというところで、要は建物も含めて事業をどういう、青木村さんとして実践するかという、ほかの市町村さんもそうなのですけれども、そういったところもかなり本気に考えていただいて、そこにただ実践してもらえる方たちが、どこにいるのかというところも非常に大きな課題かなと思っています。
 そんなことで、今日の実践が、やはり私たちの圏域の中から報告していただいたものが、やはり全国的なモデルになってくるかなということと、井島さん、今日はかなり御謙遜されていますけれども、大人の施設さんにも、結構行動障害の方たちがいらして、飯島さんの実践を見ながら、施設さんのほうにも応援に入っていただいているという報告も、私たちは受けていますので、そんなことも付け加えさせていただいて、感謝の言葉にしたいなと思っています。
 最後に一つだけ、お母さんたちのフォローですけれども、青木村さんも私たちの基幹センターのエリアなので、私たちの基幹の中にも障害児の担当をする相談支援専門員が、固定の専任で数人います。
 そういった方と、中学に上がっていくというステージが上がってく中で、当然、地域の特別支援学校に行ったりという状況があるので、この段階である程度情報とか、知り合いになっていって、成長する過程で一緒に伴走していければいいかなというところでは、一緒に連携を取らせていただいているという状況になっているかなと思っています。
 とにかくお礼という形で、本当に今日はありがとうございました。
 以上でございます。
○市川座長 ありがとうございました。
 ほかにはございませんでしょうか。
 では、座長代理、お願いします。
○日詰座長代理 日詰です。飯島さん、ありがとうございました。
 資料の8ページのところにもあったのですが、コンサルとかに入って提案をするのだけれども、そのとおりにやってくれないというか、未実施ということはたくさんあって、先ほど福島構成員が言われたように、地域でどのように横のつながりをつくっているのかという話があったと思います。
 それが難しいですねという感想が1個と、提案してもなかなか実施してくれないというときに、飯島さんだったら、どんなアプローチを考えますかと、すみません、それだけ教えてください。
 以上です。
○飯島先生 ありがとうございます。
 支援コンサルといっても、私は、そんなにらんらんとやっているわけではないところもあるのですけれども、なかなか難しいかなと感じています。事業所によっては、まず僕たちが、外部が入るということに抵抗感を示されている事業者さんは少なくないかなと思っています。
 御家族が望まれても、なかなか支援のアドバイスというところでは、初めて入ったときには、アウェイ感があります。
 ただ、その中で1か月試しに言われたとおりにやってみてくださいとお願いをし、僕はかなり低姿勢で入っていくもので、いけないのかもしれないですけれども、そこでやっていただいた結果がつながってきたときに、初めて次につながっていくかなというところがあります。
 先ほど言った青木村の保育園も最初はそうで、なかなか最初は、先生たちは、外部がちょろちょろされるのはすごく嫌だって言われたのですけれども、今は、いつ行っても逆に質問されたり相談されるという関係性ができてくるので、そこに行くまでが物すごく時間がかかってくるかなと思いますが、諦めずに入るというところかなと私は思っています。
 もう一つは、無料で入っていくとなると、なかなか継続はしないのですけれども、やはり事業所として、お金を払ってお願いをしているというところになってくると、やはり上の人たちの意識が変わってくるので、お金を払っているのだから、ちゃんとやりなさいと、お金が全てではないと思うのですけれども、やはり上から言われると、下のほうは従うというところが、最終的に、いい結果につながっていくというのがあるかなと思いますので、その辺の位置づけも大事になってくるかなと思っています。
 以上です。
○日詰座長代理 ありがとうございました。
○市川座長 ありがとうございます。
 それでは、飯島様、どうもありがとうございました。飯島様におかれては、これにて御退室いただければと思います。
○飯島先生 ありがとうございました。
(飯島先生 退室)
○市川座長 それでは、続きまして、議事の2、評価基準の在り方について検討をしていきたいと思います。
 では、事務局から資料説明をお願いします。
○松崎専門官 事務局でする
 それでは、資料1によって御説明いたします。
 資料1の最初のスライドにつきましては、第1回でお示ししました論点のスライドの再掲となります。
 本日は、支援対象者の評価基準の在り方について、適切な支援を行う観点から、どのように考えるかということで御議論をいただきます。
 続きまして、2ページ目でございますが「強度行動障害が特に強い状態に有る者に対する評価の在り方について」という課題設定をしています。
 検討の視点の例といたしましては、家庭や施設・事業所において支援が困難となる、特に支援が必要な状態の強度行動障害を有する者の状態像について、どのように考えるか。
 特に支援が必要な状態の者を判定する評価の在り方について、どのように考えるか。
 特に支援が必要な状態の者のサービスの受入れ拡大を推進する観点から、どのような対応が考えられるか。
 その他「行動関連項目」による評価の課題と対応について、どのように考えるかとさせていただいています。
 この件に関連いたしまして、参考資料1として、今年実施をしています調査研究事業について、速報値になりますが、御報告いたします。
 参考資料1を御覧ください。
 1枚めくっていただきまして、こちらは、先ほど申し上げましたように、現在実施しています支援困難度の高い強度行動障害者の地域での受入れ支援に向けた支援体制の促進等に関する調査研究のうち、事業所調査の速報値となります。
 こちらは、あくまで速報値であり、今後、変更があり得ます。
 調査対象は、行動関連項目の合計点がおおむね20点以上の利用者を1人以上受け入れていると思われる事業所ということになります。
 基本的には、こういった特に支援が難しい利用者を受け入れている事業所ということになります。
 調査期間は、令和4年11月から令和5年1月です。有効回答事業所は36事業所となっています。
 事業所票有効回答数は36事業所、利用者票有効回答数は663人です。
 強度行動障害の有無にかかわらず事業所の利用者悉皆の数値となります。ただし、一部事業所はユニット単位等で回答をされています。
 職員票の有効回答数は674人です。利用者票の利用者を支援する職員の悉皆の数値となります。
 タイムスタディ票の有効回答数は、128人です。事業所票を回答した事業所の利用者のうち、関連項目の合計点数が10点以上の4人分について、任意の7日間での調査をしたものとなります。
 ただし、一部事業所は2~3人分となっています。
 下段の左側の表については、事業所票の36事業所の状況になります。
 右側の上の段の表は、利用者票の回答における利用者663人の行動関連項目合計点の状況です。
 最大値は20点以上が多く、最低値は10点以上が要件になっている事業以外は0点となっています。
 右側の下の欄の表は、タイムスタディ票の回答における対象利用者の行動関連項目合計点数の状況です。
 行動関連項目の合計点10点以上の利用者のうち、数値の高いもの2名と、低いもの2名を選出して実施したものです。
 ただし、今回の調査の趣旨から調査対象を以下の2点に絞った上で分析をしています。
 行動関連項目が最も高い利用者の値が18点以上であること。行動関連項目が高い利用者と低い利用者の差が5点以上あること。その結果、集計対象は16事業所となっています。
 次のスライドに参ります。
 こちらは、利用者票に回答いただいた663人の利用者支援の状況をまとめたものになります。
 上の段です。自傷・他害行為を行う利用者のほうが行動関連項目の点数が高いという結果になっていますが、左側の表は、過去に重大な利用者自身を傷つける行為、異食、自傷、突発的な行動、過食、はんすうなどの有無と行動関連項目との関係になります。こういった行動上の課題がある方は、非常に点数が高くなっていることが分かります。
 また、右側の表は、過去に他者を巻き込む行動、大声・奇声、他害、不適切な行動などの有無と、行動関連項目との関係になりますが、同様に、こういった行動上の課題がある方は、非常に点数が高くなっていることが分かります。
 次に、下の段になります。
 人員体制シフト、特定職員の配置や、配置ができない、複数配置に影響が出る利用者のほうが行動関連項目の点数が高いという結果になっております。
 左側の表は、上記行動に伴い、人員体制シフトに影響が出る程度に特定の職員を配置せざるを得ない、または、特定の職員の配置ができない状況の有無と、行動関連項目との関係となっています。
 上記行動というのは、先ほどの自傷行為、他害行為、または、その両方を指しますが、強度行動障害を有する利用者への支援においては、特定の職員しか対応できない、または、その逆の特定の職員からの対応を拒否してしまうような場面があり、これが現場の支援体制を組み立てる上で、非常に現場を圧迫するようなことがあります。
 そういう行動を示す方のうち、このような対応が必要な利用者の行動関連項目の点数は、非常に高くなっていることが分かります。
 また、右側の表は、上記行動に伴い、人員体制シフトに影響が出る程度に複数の職員を配置せざるを得ない状況の有無と行動関連項目との関係ということで、同様に複数職員による対応が必要になる場面があり、これも現場では、非常に対応が厳しくなるのですが、自傷行為や加害行為のある利用者の中で、そのような支援が必要な方の点数も、非常に高くなっていることが分かります。
 次のスライドに参ります。
 続いて、タイムスタディ調査の結果になります。
 こちらは、事業所票を回答した事業所の利用者のうち、行動関連項目の合計点10点以上の利用者のうち、点数の高い方2名と低い方2名を選出して、任意の7日間の支援時間について調査した結果になります。
 基本的に、どの利用者も現行の制度上、強度行動障害者と位置づけられている10点以上の方への支援の状況というところになります。
 上の段、直接支援のうち、職員が高いストレスを感じている支援に従事する時間について、行動関連項目の点数が高い利用者と低い利用者を比較しています。
 職員が高いストレスを感じている支援に従事する時間が長い結果となった事業所は、集計対象事業所のうち半数以上である16事業所中10事業所であったという結果です。
 これは、点数が高い利用者①及び②への支援時間が低い利用者①、②のいずれよりも長い事業所という条件を設定して、条件に合致している事業所が10事業所であったということです。
 そして、その逆、つまり点数が低い利用者、①及び②への支援時間が高い利用者①、②のいずれよりも長い事業所というのはなかったということになります。
 少し分かりにくいかもしれませんが、もちろん同一の事業所内での強度行動障害と言われる状態にある利用者の間における、ある7日間の比較になりますので、点数の低い利用者に対しても高ストレスの業務が発生する状況はあったと思われるところですが、条件不一致の事業所が1つもないということは、総じて点数の高い利用者に対しては、高いストレスのかかる業務時間が長くなっているということが言えるかと思います。
 次に、下の段の同様の条件での結果ですが、こちらは、1人または複数人の職員が対応する時間について見ていくと、集計対象の16事業所のうち8事業所で条件に合致していたという結果です。
 そして、その逆の条件不一致の事業所はなかったということです。
 こちらも任意の7日間の結果で、条件合致したものということで、調査上の限界はありますが、条件不一致の事業所はなかったということですので、点数の高い利用者に対しては、このようなマンツーマンや複数の支援者による対応が必要になる場面が多くなるということが言えるかと思います。
 長くなりましたが、調査結果の速報についての資料の御説明は、以上となります。
○市川座長 ありがとうございました。
 それでは、強度行動障害、特に強い状態にある者に対する評価の在り方について、構成員の皆様から御意見を伺いたいと思います。御意見のある方は、Zoomの挙手の機能を使って意思表示をいただきたいと思います。
 いかがでしょうか。
 すみません、私の画面が、挙手が見られない状況なので、最初に手を挙げた方、松上構成員、お願いします。
○松上構成員 よろしいですか。
○市川座長 松上構成員、すみません、渡邊構成員が、この後、御用事があるそうなので。
○松上構成員 そうしたら、どうぞ、渡邊さんから。
○市川座長 どうぞ、渡邊構成員。
○渡邊構成員 申し訳ありません、大変失礼しました。札幌市の渡邊です。
 先ほどの早期支援のところの感想も含めて、少しお話をさせていただきます。
 まず、早期支援の重要性は高いということで、先ほどお話をいただきました。障害児通所支援などと集団での支援と、それから、家庭生活における支援も必要だというところですけれども、実態としては、通所支援がメインで、家庭支援のところの対応が難しいのではないかと感じております。
 札幌市でも、1歳6か月健診ですとか、3歳児健診で発達の状況を保健師が確認して、状況に応じて児童発達支援などにつなげるような対応もしているのですけれども、そこで難しいのが、どのような状態のお子さんを予防的な支援に結びつけたらいいのかという気づき、見立てが難しいというところ。あと、保護者の方の理解を得るところが難しいといったところがあろうかと思っております。
 あとは、予防的な支援につなげるに当たっても、そういった予防的支援ができる事業所がどれだけあるかというところが難しい。
 あとは、前回の検討事項でもありますけれども、児童期からのアセスメント、継続的な関わりをどのように行っていくかという課題が、やはりあるなと思ってお話をお伺いしておりました。
 それで、今回の論点に当たって、評価の在り方とか、評価の課題について、今、行政の立場として評価の在り方については、あまり現場のほうでは、大きく困っていることはない。というのは、評価の項目については、もしかしたら、この後、各委員から御意見があろうかと思いますけれども、客観的な指標、基準を用いて、それを点数化する、当てはめていく、それを基に決定するということは、サービスを決定する側としては、客観的なものがあって把握できるので、それは分かりやすい手法だと思っております。
 ただ、評価に当たって、報酬とも関わりますけれども、今は10点以上で重度加算の対象となっていますけれども、先ほど参考資料で御説明をいただきましたように、10点ぎりぎりの人と、もっと点数が高い人では、やはり必要な支援の度合いというものが大きく関わってきますので、手厚い支援を実施していく上では、今の10点という区切りだけではなくて、もっとめり張りをつけて、より支援が必要な人に対しては、報酬面で反映できるような、そういった基準があってもいいのではないかと考えております。
 ただ、報酬だけで人材がカバーできるかというところは、難しいと思うのですけれども、そちらについても検討が必要ではないかと思っております。
 すみません、ちょっとこの後、予定がありますので、ここで失礼させていただきますけれども、私からは以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
 では、お待たせしました、松上構成員、どうぞ。
○松上構成員 全自者協の松上です。
 私は、論点③の「(1)『行動関連項目』による評価の課題と対応」について関連項目の評価の課題と対応について、お願いをしたいと思いますけれども、関連項目、要するに点数評価をする行動障害が、どのように変わってきたかということについて、市町村それから評価する人が十分理解していないところがあるのですね。
 要は、そもそも合理的な配慮、障害特性に応じた人も含めたら合理的な環境の提供によって、現在の状態像があるわけで、そういうことをしない場合に、行動障害の状況がどうなのかという評価をするということになっているのですね。
 そこが評価されないで、一生懸命改善しますね、改善した点数で評価するというところが随分あるのです。この評価というのは、どれだけの支援をしているかということだと思うのですね。行動改善に向けた、どれだけの対応をしているかということだと、そこが理解されていない。
 私の法人では、大阪府で、人材の育成を圏域ごとに拠点をつくって、拠点施設への支援をしているのですけれども、そのときにどういうような支援をしているかという評価をつけるようにしているのです。
 ですから、行動関連についての評価とともに、その人についてどんな評価をしているか、具体的に言うと、標準的支援ですね、強度行動障害支援者養成研修における標準的支援をどの程度具体的にしているかというようなことも同時に評価する。
 それから、研修をどのぐらいしているのか、その人に対しての機関連携はどうか、それから職員の対応はどの程度なのかみたいなところを同時に評価して、その結果、こうなのだというようなことにすると、支援の課題も見えてくると思うのです。
 それを見て、例えば、調査だけではなくて、アセスメントが不足していたら、それは、こういう機関でアセスメントをしたらどうですかみたいな、あるいはコンサルテーションを受けられませんかみたいな御提案もできたりすると、評価がもっと支援につながっていくというか、そういう視点を入れないと駄目だと思うのです。どんな支援をしているかということ、それを通して、支援者も振り返りができますね。そういうような観点を入れれば、どうかなと、そういう私の意見です。
 以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
 続きまして、福島構成員、お願いします。
○福島構成員 ありがとうございます。
 先ほど御説明いただいた参考資料の数値にあるように、やはり、実際に現場で支援をしていると、行動関連項目が10点の人と、10点台後半や20点を超える、ハイスコアの方たちの支援では、支援の内容や支援に係る様々な取り組みが違ってくると思います。
 例えば、ハイスコアの方たちを支援するには、アセスメントをする力が非常に必要であったり、困難な行動に対する支援を組み立てられる力であったり、継続的に支援改善していく、PDCAを行っていくマネジメント力などが必要となってきます。
 そのためには、強度行動障害支援の現場に、経験やスキルのあるスタッフの配置や育成が欠かせません。
 そのような経験やスキルのあるスタッフを配置するには、それに見合う人件費が当然必要となってきますし、強度行動障害支援者養成研修はもとより、難しい行動に対応できる力をつけるための様々な研修を受ける費用や、また、外部からのコンサルテーションも非常に有効だと思われますので、そのための費用等もかかってくるのが、事業所側の実情でもあります。
 また、評価とは若干違いますけれども、ハイスコアの方たちを受け入れていると、例えば個室の確保が必要になったり、その人に合わせた改修が必要になったり、支援に必要な備品をそろえたりすることも多く、建物や備品にかかる費用も大きな負担となっております。
 点数が高い方について、現在は重度障害者支援加算で、強度行動障害のある方たちの支援について評価されていますが、この加算は人員の加配が必要となっていて、加算分は、ほぼ人件費になっているのが実情です。
 できれば、今後評価について見直していただく上で、今、述べたような現場に実際かかる費用をしっかり充当できるような加算につながるような在り方を検討していただければと思っております。
 以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
 続いて、井上構成員、お願いします。
○井上構成員 鳥取大学の井上です。ありがとうございます。
 最初にPwCさんの調査についてのコメントなのですけれども、やはり、10点以上というところを大ざっぱに捉えるのではなく、この調査からは、やはり20点以上というところ、例えばですけれども、そういったところが、支援が非常に大きく増加するターニングポイントなのかなと思っています。
 ですので、今後、さらにどこをラインにするかは検討をする必要があると思うのですが、10点以上という一からげではなくて、幾つかの段階を設定するということに対しては非常に重要なポイントだと思っています。
 もう一点ですが、あの調査から明らかになることは、同じ20点以上でも事業所によってかなり負担が違っているということなのですね。この負担が、事業所ごとに違うということに対しては、同じように重篤なのですが、点数が違うとは何なのかということについては、速報値ですからあれなのですけれども、もう少し掘り下げて分析する必要があるかと思います。例えば、研修を受けている人がいるとか、スーパービジョンを受けている事業所だとか、していないとか、アセスメントがなされているとか。
 そういったことが明らかになりますと、先ほど松上委員からの提案にありましたように、強度行動障害の支援を行う上で、例えば、段階的に点数を設定したとして、やはり必須項目として加算を受ける場合に、研修を受けていることで加算をするのではなくて、研修を受けていることが前提になって、例えばスーパービジョンを受けている、研修を受けている、機能的なアセスメントをしている、環境調整をしている、望ましい行動へ導いているとか、幾つかの基準の必須項目をつくって、それを実施しているかどうかで加算がつくというようなことが非常に重要なのかなと思っています。
 もう一点ですが、現状の評価で、昨年度私も鳥取県で調査をしたときに、ある市町村では極端に多くて、ある市町村では極端に強度行動障害の方が、人口比としては少ないのですね、多分評定者によってかなりばらつきがあると思います。
 実際に支援の評定をする市町村と、それから実際の現場で同じ項目を評定すると、現場と、要するに認定したときとの差が出てくるのですね。家庭でやると家庭でも差が出てくると思います。
 ですので、複数場面での評価をした上で、点数ごとの傾斜配分、あとは必須項目を設定して、それをやっているかどうかということで、やはり評価と、そこにひもづく加算や支援をつけていくということが必要なのではないかなと思いました。
○市川座長 ありがとうございました。
 続きまして、樋口構成員、お願いします。
○樋口構成員 日本知福の樋口です。
 御説明いただいた調査は、日本知福協の全国の実態調査とも、おおむね重なる結果だと感じています。
 日本知福の特別委員会が実施した全国調査で、9万4887人の方が対象で、そのうち2万6160人が、強度行動障害の認定に該当されていたという結果であったわけですけれども、そのうち、行動連項目の詳細が把握できた利用者は1万3587人でした。内訳は10点から14点が51.6%、約半数です。15点から19点が37.6%と、20点から24点が11.0%という結果でした。
 また、虐待とも関わる身体拘束についても、調査をしています。
 その中で、特に自分の意思で開けることができない居室等に隔離するという項目では、1万3587人の中で498名の方が、そうした対応を受けているという結果でした。そのうちのパーセンテージを示したものですけれども、10点から14点、15点から19点、20点から24点という3グループに分けて比較しました。
 10点から14点の人のうち2.4%が居室等施錠の対応を受けていました。15から19点で4.34%、20から24点の人が7.19%という結果でした。
 これだけではかれるものでもないですけれども、やはり本来あってはならない居室の施錠ということが、行動関連項目点数の高い方ほど、より多くそういう被害に遭っているという実態が把握できたのではないかと思います。
 以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
 続きまして、田中構成員、お願いします。
○田中構成員 全国手をつなぐ育成会の田中です。
 この行動関連項目に関しては、制度の生い立ちからすると、移動支援として位置づいた行動援護の判定基準として生まれたという背景がありますので、基本的には外出時の支援において、いろいろ気遣わなければいけないことについて、チェックするというようなことが主でしたので、今、制度が変遷して、重度訪問介護が活用できるようになる背景のときに、行動援護も居宅内で対応できると。ここで既につまずいている自治体が多くて、まだ外出時の移動支援のサービス提供だけだと位置づけているところもあるので、それは課題なのです。居宅内において行動援護が使えるようになったときに、暮らしの場で困る出来事については、判定基準にあまり盛り込まれていないことに齟齬があるのではないかと思っています。
 例えば、昼夜逆転してしまう睡眠障害がある方の対応などは、この行動関連項目からは拾えませんので、今回のPwCの調査においても、そういった方たちが点数の中には含まれていません。大変な人に加算をということなので、一律に点数で刻んで仕分けるということではなくて、必要なアセスメントを行い対象者を見いだすことが大切だと思います。皆さんからもお話がありましたけれども、既存のサービスが成り立つことがまず大事ですので、判定基準の変更は重要ですが、慎重であるべきと考えます。サービスに容易につながれない人が、例えば1,000人から1,500人ぐらいいると。そして、辛うじて支援によって支えている人が、5,000人から8,000人いるというような捉え方で、今後の必要な加算などを考えていくということを検討していただくのがいいかなと思っています。
 一番大きな課題は、この検討会に関しては、私たの育成会から、サービスにつながれない人がいるということをお伝えしておりますけれども、サービスにつながらないどころか、本人の存在が把握できていないという方たちも少なからずいるということがあります。サービス等利用計画の計画相談をもって、サービスにつながらないと計画相談が立てられないという状況に関しては、地域移行や地域定着を提供する地域相談、これの地域定着のほうを強調して、本人と家族の安否確認をまずするというような視点で相談員が訪れて、計画相談を立てるようにしてはどうでしょうか?そして、この立てた計画相談は、本人の状態が、たとえ病院に入っていたり、いろいろな状況で福祉サービスと直接つながらなくなっていても、本人の安否を確認するという視点でずっと把握しモニタリングし続けるということが必要だと思っております。
 ですので、行動関連項目に関しては、今はこの基準が中心になっておりますので、急に変えることは難しいと思いますが、アセスメントを重ねていくことで、例えば、先ほどお伝えしたような、欠けている項目に関して盛り込んでいきながら、少しずつ改良をしていくというようなことをお願いしつつ、点数にあまり縛られないで、状態像がアセスメントによって浮かび上がってくると思いますので、それに見合うサービス提供に必要な加算をお願いします。またかさん内容については単に人の配置だけの加算とせず必要な忌避に使えるような加算となるような工夫をしていただければと思っております。
 私からは、以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
 では、會田構成員、お願いします。
○會田構成員 ありがとうございます。肥前精神医療センターの會田です。
 医療の面からは、この論点③の(1)と(2)両方に関わると思うのですけれども、PwCさんの速報値も参考にはしながらも、医療で考えたときに、なかなか行動関連項目の点数のみでは、医療必要度をはかれないというところがあるかなと思います。
 例えば、行動関連項目の中の「自らを傷つける行為」(自傷)ことに関しても、同じ2点であっても、失明するほどの顔面事象がある方であるとか、あるいは他害に関しても、一度でもかなり重大な他害を事業所さんでしてしまわれた方というのは、実は、入院につながっている事例が多いのではないかなと思います。
 あと先ほど田中構成員が言われたような、睡眠障害が顕著な方も、地域で宿泊を伴うサービスが利用できずに、入院を利用せざるを得ないという方がいらっしゃるかと思います。
 あと、ほかにも行動関連項目の中には、てんかんの合併が含まれていますが、それ以外の身体合併症が行動障害と共にある方についても、やはり医療必要度が高いのではないかなと思います。
 そう考えますと、やはり地域の中で、入院患者さんも含めた実態調査、ニーズ調査というのが各地域で行われる必要があるのではないかなというのが1つあります。
 もう一つは、先ほど田中構成員が言われたことと通じるかと思うのですが、入院して終わりではなく、入院された患者さんにおいても、相談支援を継続して考えていただく。それが、退院支援にもつながるのではないかなと、医療の側から考えております。
 以前の先行研究でも、アンケートが返ってきた中だけでも、精神科病院の2年以上の知的発達障害の入院患者さんが、千人弱おられるというデータがありましたので、そういうところからも、医療の側から判断基準、評価基準についても付け加えて意見を述べさせていただきました。
 以上です。
○市川座長 ありがとうございます。
 それでは、橋詰構成員、お願いします。
○橋詰構成員 日本相談支援専門員協会の橋詰です。どうぞよろしくお願いします。
 幾つか重複する場面もあるので、その部分については、少し割愛をさせていただきたいと思いますが、まず、2番目の判定評価の在り方についてですけれども、皆さんからも幾つか意見が出ていたかと思うのですが、これは、実際には障害支援区分認定調査の調査員のスキルというのがかなり重要になってくるかなと思っています。それについては、市町村独自で、直営で調査をしているところもあれば、私どものように、市町村から委託を受けて調査員をするという状況もありますが、行動障害のこの類型に該当するような方たちというのは、行動障害類型の調査項目も同時に持参していきながら、実は調査の中に埋もれているのですね。
 そうすると、一連の介護保険の調査のような形でずっと続いていく中で、要するにチェックをするような機能が調査だと思うのですけれども、実際にはこの調査をした後に、どう支援を組み立てていただくかという視点と、今、当事者として向かい合わせていただいている、その調査対象者の方が、家庭の生活であるとか、それから学校であるとか、施設の中とかという状況の中で、どんな支援状況になっているのかということもしっかり勘案させていただきながら調査をするとなると、現状の調査員のスキルよりもプラスアルファをした、少しスキルの高い調査員を対象者の調査員にするということも、少し勘案していただくことも必要なのではないかなと思っています。
 一方で、先ほど田中構成員さんからもお話がありましたように、埋もれている障害者の方たちの、この行動障害に該当する方たちが、実際に福祉サービスを使われていないと、市町村は、調査依頼はまずかけてこないという状況がありますので、実際に自分たちの市町村の中で、調査をするというところの対象リストにしっかり載せていくという状況がないと、このままの状況になってしまうかなと思うと、実際にどういう生活状況なのかなということもつかんでいただくための調査対象者にしていただくということも、少し提案させていただければありがたいかなと思います。
 それから、3つ目のサービスの受入れの拡大のところについては、ハード面、人的配置の問題と、負担の問題も幾つかお話が出ていましたけれども、少なからず現状で支援していただいている支援場所については、それなりの工夫の改修とか、増床とかというところがないと、なかなか受入れが難しいということで、かなり法人さんの自助努力でやっていただいている部分が多いかなと思いますし、意外とグループホームみたいな状況になると、結構、家賃設定を高く設定していかないと、運営上難しいとなると、利用者さんの負担も非常に大きいのかなと思うと、現状のグループホームの家賃補助みたいな制度も、実態に合っているのかなということも感じている部分があります。
 そんな部分では、ハード面の整備を進めていく中で、どんな単価設定になっていくのかなとか、加算の要件をどうしていくのかなということも、勘案していただくということも1つでしょうし、一方では、人的配置をしていくという中で、どうしてもやはり、かなり重度な方たちについては、個別の支援対象にしていくという状況しか、対象者の支援ができないという中で、人員配置等を整えていただいたりすると、やはり、小集団で支援していただいている状況と、もう本当に環境設定をして、いろいろな刺激を遮断して、個別支援の中でやっていただいているという状況の方たちの人的配置は、かなり大きな差が出てきているのではないかなと思っていますので、その方が、個別の支援対象の時間帯がどの程度必要なのかというところも、少し見ていただく中で人的配置のメーカーさん等のことも考えていただいたらありがたいかなと思います。
 最後に、全体を通じてですけれども、今回の調査結果のほうでも、なかなか人数も少ないですし、事業所も少ないので、柔道包括支援の支給決定がやはりなかなかなされていかない現状もあるかと思いますけれども、これについては、市町村が、この支給決定をするという理解と、それから事業所が、このサービスを使うという、やはり周知と制度の難しさというのがあるのかなと思っています。
 そんな中では、実際に、この重度包括支援の支給決定を受けて支援をしていただいているという事業者さんのお話の中でも、やはり個別支援の体制整備をどうつくっていくかといったときに、ここから抜けていく支援を目指してはいるのですけれども、入り口としては、どうしても一対一の支援で応援をさせていただかないと、まずは落ち着いた支援環境を整えたりすることができないという状況が、私たちの圏域の実践でも見えていますので、ぜひその重度包括支援の支給決定、イコールになりますけれども、個別支援の支援体制がどうやって整えられるのかというところを背景に御検討いただいたらありがたいかなと思います。
 以上でございます。
○市川座長 ありがとうございました。
 ほかに構成員の方で、樋口構成員。
○樋口構成員 評価項目についてですが、以前の評価スケールの中では、対応困難という項目があって、それだけで5点という評価項目がありました。先ほどの話にもあったように、深刻な自傷行為のあるケースを私たちの法人でも経験しています。自傷行為がやまず、失明されました。そういう重大な行為に対する評価の重みづけというか、そこはやはり検討すべきだと思いますし、そういう項目があって、その一点だけでもマンツーマンの対応をせざるを得ないというケースがあるわけですから、そういう個別の評価ということにつながるようなことにもなりますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
○市川座長 ありがとうございました。
 ほかには、では、日詰座長代理。
○日詰座長代理 日詰です。
 新たな意見というわけではないのですが、この問題、幾つかのテーマに分けて考えていったほうがいいかなと思っています。
 1つは、今回お示しいただいたデータは、点数が高いほうが、やはり現場も大変だと、それを確認できたという点では、非常に有用なデータだと思っています。
 ただ、その中で、先ほどの睡眠の話ですとか、頻度が低くても大変な自傷、他害があるとか、病院も含めてとか、今漏れているデータの評価についてどう考えるのかというのが1つあると思います。
 それから、2つ目が、先ほど田中構成員も言われていたのですが、そもそもこの調査を受けていない、受けられない、受けない方たちが地域の中にたくさんいるということについて、その方たちも、サービスに関わらないけれども、強度行動障害の状態にあって支援を必要としているという意味では重要なので、その人たちにどう関わるのかという問題もある。
 3つ目、最後ですが、これは、松上構成員、井上構成員もおっしゃっていた、どういう支援を行っているのか、これは、多分、きちんとした支援を広めていくためにはとても重要な視点でしょうし、今やっている職員のモチベーションという意味でも、ぜひ変えていかなければいけないところなので、それは、行動関連項目と別に、先ほど井上構成員からも提案がありましたが、現場での実施内容のチェックみたいなものは、改めてつくらなければいけないのかなと思っています。
 以上、3点、少し課題の多いテーマかなと思いますが、それぞれきちんと掘り下げて考えていかなければいけないテーマだと思っていました。
 以上です。
○市川座長 どうもありがとうございました。
 井上構成員、どうぞ。
○井上構成員 すみません、2回目の発言で申し訳ないです。
 日詰構成員の御発言にちょっと付け加えることと、評価に関してなのですけれども、やはり今の行動関連項目というのは、スクリーニング的なものだと思うのです。ですので、高い点数が出てくるという場合には、やはり多層的な評価をしていくことが必要で、行動障害の特徴としては、複数の場面で確認するということが非常に重要だと思うのです。例えば、あるところで非常に抑制的な対応をしていると、そこでは出ないけれども、それ以外のところでは非常に強く出てしまうということもあろうかと思います。
 ですので、家庭場面、それから日中、子供さんたち、あるいは対象者の方たちが支援を受けている場所での評価、そのように複数場面での評価をしていく必要がありますし、今日、話題で出なかった成人向けにつくられたもののように思います。
 例えば、子供さんだと、強度行動障害の出方というのが、前半のお話ですと、やはり睡眠障害だとか、ほかの出やすい部分があります。ですので、児童に関しては、少し項目を変えて、より支援に引っかかりやすくするというか、そういったような、大人と子供の項目が全く同じということに関しても、今後議論が必要なのではないかと思っています。
 ありがとうございました。
○市川座長 ほかには、ございませんか。
 それでは、次の議事に入りたいと思います。
 議事「(3)報告書目次(案)について」となります。事務局より、説明をお願いいたします。
○松崎専門官 事務局です。
 資料3であります。本検討会の報告書につきましては、これまでの議論の内容も踏まえ、現時点での目次案を作成しております。この報告書の目次案につきまして、本日、御議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○市川座長 それでは、今、事務局のほうから出てきました報告書の目次案について、構成員の皆様から御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、福島構成員、お願いします。
○福島構成員 ありがとうございます。
 報告書の構成につきましては、事務局のほうでしっかりと練られた内容だと思いますので、異論はございません。
 最後「おわりに」というところがありますけれども、今回の検討会でたくさんの話が出ましたけれども、この報告書の中でしっかりまとめられることと、今後も継続して検討が必要なことも含まれていると思いますので、ぜひ、こういう検討会が今後継続されて、いろんな課題を長期的に議論し、進めていく必要があるということも含めて記載していただければありがたいと思います。
 以上です。
○市川座長 ありがとうございました。
 それでは、樋口構成員、お願いします。
○樋口構成員 強度行動障害支援をめぐって、深刻な権利侵害というものが起こっているわけですね。こういう権利擁護という視点はどうでしょうかね。やはり、この点は相当重要視して、行動障害のある人ほど虐待の被害に遭っているという現実に対して、何かこの検討会で、そのことに対して注意喚起するというか、そういうようなことも必要ではないかなと、私は思います。
 以上です。
○市川座長 では、井上構成員、どうぞ。
○井上構成員 今回、少し議論になったのですけれども、やはり強度行動障害に関して、アセスメントの問題というのが非常に、どの範囲の人たちがどれぐらいいて、どういう支援が必要なのか、それを考える上では、やはり、先ほども少し話題になったのですけれども、アセスメントの問題というのは非常に大きいと思うのです。3のところに、やはり補助項目でもいいので、アセスメントについてというのが入ったほうがいいのではないかなと思います。
 以上です。
○市川座長 続いて、田中構成員、お願いします。
○田中構成員 育成会の田中です。
 この項目立てについては、特に異論はございません。そして、先ほどの福島委員の意見にも賛同する立場で、今後の継続、どのタイミングでというのはなかなか難しいと思いますけれども、課題積み残しに対して、本検討会を継続し検討を引き続き行っていく必要があるというようなまとめをしていただくとありがたいなと思っています。
 それと、第1回目に相談支援専門員協会の委員からのお話があったと思うのですが、強度行動障害という表現が、私たち育成会の親御さんからは、うちの子に強度というのをかぶせるのは忍びないというようなお話があります。強度がついた背景には、施策的な対応にフォーカスを当てると言った部分もあると聞いています。施策的な目的で強度行動障害と位置づけたのであれば、強度の後に、括弧書きで重点対応とか重点対策と、人につくのではなくて制度につくようなイメージで表現していただくと、少し意味合いが変わるかと思います。特に本人にかぶせられていると思っている御家族にとっては、少し気が休まるのかなと思っております。その辺の用語の整理のことも「おわりに」の積み残しの課題でもいいのでとりあげていただければ、思っております。
 以上です。
○市川座長 続きまして、樋口構成員、お願いします。
○樋口構成員 田中さんの御意見に全く同感です。お気づきのことだと思うのですけれども、日本知的障害者福祉協会としては、著しい行動障害という言葉が適切かどうかは別としても、強度行動障害という言葉に非常に抵抗があります。
 加えて言うなら、手順書という言葉についても見直す必要があるのではないかtp個人的には感じます。この辺りも検討会の最後にお話ししようと思ったことなのですけれども、ぜひそうした言葉にも慎重であってほしいと思います。
 以上です。
○市川座長 続きまして、橋詰構成員、お願いします。
○橋詰構成員 報告書の項目については、大きく御意見はございませんが、ざっと見させていただいて、確かに今後進めていくべき報告書の中には、国の施策であるとかというところが盛り込まれているかなと思うのですけれども、実際には今日の報告のとおり、一自治体というか、市町村ごとにもしっかり、そういった方たちがいらして、その方たちは把握して、支援をしていくというところでは、各自治体の中の役割というのも明確にしていただく必要があるかなと。
 それは、当然、福祉計画にも反映していただくような形で、メッセージという形でも結構ですので、自治体の中でどんな仕組みをつくっていってほしいというようなものも、ぜひ報告書の中には入れ込んでいただけたらうれしいかなと思います。
 以上です。
○市川座長 會田構成員、どうぞ。
○會田構成員 ありがとうございます。肥前精神医療センターの會田です。
 医療に関しても3の(6)のところで「医療との連携体制の構築」というのを入れていただいています。ありがとうございます。
 医療におきましては、標準的な支援方法が広がるどころか、まだ、医療教育の中で、強度行動障害の知識の共有ですとか、研修すらも本当にごく一部でしか行われていないという課題がありますので、補助項目としてなのか、項目の中でのメッセージが適切なのか分かりませんけれども、医療における専門研修の拡大というのを一言入れていただくといいのかなと思いました。
 以上です。
○市川座長 続いて、福島構成員、お願いします。
○福島構成員 ありがとうございます。
 報告書の中にどのように記載していただくかというのは、ちょっと私もはっきり整理できていませんが、この検討会の目的の地域支援体制の整備に関連することで、1つ申し上げさせていただきたいと思います。
 地域の支援体制を整理する方法として、先日あるフォーラムで行政の方から聞いた説明がとても参考になると思いました。それは、次の市町村の障害福祉計画に、強度行動障害の支援体制づくりを位置づけると、その計画の実現のために、事業者が地域の強度行動障害支援に関するネットワークに参画することや、強度行動障害支援に関する研修への参加に協力することを、指定や指定更新を条件にすることができるという内容であったと思います。
 地域の行政、事業者が一緒になって取り組むためには、非常にいい方法だと思いましたので、ぜひ推進していただきたいと思いました。
 以上です。
○市川座長 ありがとうございます。
 ほかには、いらっしゃいますか。
 私は、あまり発言しないようにと思っているのだけれども、先ほどの飯島さんの話を伺っていると、特に子供の頃は、やはり教育との関係が重要だと思うのです。先ほど教育委員会との連携ということが出てきたのですけれども、やはり医療も大切なのだけれども、教育も何らかの形で入れたほうがいいのかなと思いました。
 先ほど、田中構成員からも話がありましたけれども、私自身も、やはり強度行動障害という言葉は、変えたほうがいいのかなと思っていますし、この検討会でも何回か出ていると思いますので、説明するよりは、もっと聞いたら分かりやすいようにされたらどうなのかなと思っております。
 また、よろしくお願いします。
 ほかには、ございませんか。
 それでは、この後につきましては、事務局のほうからお願いいたします。
○稲田室長補佐 事務局でございます。
 これにて本日の議事は、全て終了となります。次回の検討会の日程でございますが、3月13日、月曜日の10時から12時で報告書の素案について議論をする予定となっておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、皆様、本日はお忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
○市川座長 どうも御苦労さまでございました。