第30回肝炎対策推進協議会 議事録

健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

日時

令和5年2月10日(金)10:00~12:00

場所

オンライン開催

出席者

委員
  • 泉 並木(武蔵野赤十字病院長)
  • 出田 妙子(薬害肝炎原告団)
  • 伊藤 悦郎(健康保険組合連合会常務理事)
  • 今村 英仁(公益社団法人日本医師会常任理事)
  • 及川 綾子(薬害肝炎原告団)
  • 及川 勝(全国中小企業団体中央会常務理事)
  • 大久保 暁子(日本労働組合総連合会労働条件局長)
  • 考藤 達哉(国立研究開発法人国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター長、肝炎情報センター長)
  • 小池 和彦(公立学校共済組合関東中央病院長)
  • 郡山 千早(鹿児島大学大学院医歯学域医学系医歯学総合研究科疫学・予防医学教授)
  • 後藤 千代美(日本肝臓病患者団体協議会)
  • 坂上 博(読売新聞調査研究本部主任研究員)
  • 鹿野 さゆり(全国B型肝炎訴訟東京原告団)
  • 清古 愛弓(葛飾区健康部長兼葛飾区保健所長)
  • 辰巳 創史(全国B型肝炎訴訟大阪原告団)
  • 日浅 陽一(愛媛大学大学院医学系研究科教授)
  • 村松 正道(国立感染症研究所ウイルス第二部長)
  • 山﨑 喜彦(日本肝臓病患者団体協議会)
  • 山下 輝夫(兵庫県保健医療部長)
  • 米澤 敦子(日本肝臓病患者団体協議会代表幹事)

参考人
  • 建石 良介(東京大学大学院医学系研究科 消化器内科 講師)  

議題

  1. (1)会長選任及び会長代理の指名
  2. (2)令和5年度肝炎対策予算案について
  3. (3)肝炎対策の国及び各自治体の取組状況について
  4. (4)研究報告について
  5. (5)患者委員からの要望
  6. (6)その他
     

議事

議事内容
○岡野肝炎対策推進室長 定刻となりましたので、ただいまより第30回「肝炎対策推進協議会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
私は厚生労働省健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室長の岡野でございます。冒頭の議事進行を担当させていただきます。
本日の協議会は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、委員の皆様におかれましてはオンラインで御出席いただくとともに、傍聴される方やメディアの方に対してはYouTube配信という形式の開催方法で実施させていただきます。
本日は委員の皆様にウェブ上で御参加をいただいております。接続状況により画像・音声が乱れる場合がございますので、あらかじめ御承知おきいただきますようお願い申し上げます。
本日の会議の進行に当たりまして、委員の皆様にお願いがございます。会議中ですけれども、基本的にはビデオをオフに、マイクはミュートにしていただくようお願いします。
御発言を希望される方におかれましては、その際にビデオをオンにしてください。その後、会長より指名されましたら、ミュートを解除して御発言をお願いします。御発言の際にはお名前を名乗っていただいて、可能な限りゆっくり御発言いただければ幸いでございます。
より多くの委員の方に御発言の機会を確保するため、できる限り簡潔に御発言をいただきたいと存じます。
操作などの御質問がある場合は、事務局までお問合せをいただければと思います。
続きまして、本日は協議会委員の改選後、初めての開催となります。ですので、委員の皆様の御紹介をさせていただきたく存じますけれども、お手元の名簿の配付にて代えさせていただきます。今、画面上に映させていただいているものになります。
今回、新規に御参画いただきます3名の委員の方におかれましては、恐縮でございますけれども、一言ずつ簡単に自己紹介をお願いできればと存じます。
まずお1人目でございますけれども、健康保険組合連合会常務理事の伊藤悦郎委員、よろしくお願いいたします。
○伊藤委員 伊藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございます。
続きまして、お2人目でございますけれども、公益社団法人日本医師会常任理事の今村英仁委員、よろしくお願いいたします。
○今村委員 すみません、ミュートになっていて声が。今村です。どうかよろしくお願いします。
○岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございます。
最後の御紹介となりますが、兵庫県保健医療部長の山下輝夫委員、お願いいたします。
○山下委員 皆様、おはようございます。兵庫県の保健医療部長、山下でございます。このたび全国衛生部長会を代表して本協議会に参画させていただくこととなりました。甚だ微力ではございますが、少しでも会の推進に協力できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございます。
続きまして、本日の委員の出席状況について申し上げます。
本日は、大久保暁子委員、郡山千早委員から御都合により欠席であるとの御連絡をいただいております。20名のうち18名の委員に御出席をいただいております。
また参考人として東京大学大学院医学系研究科消化器内科の建石良介先生に御出席いただいております。
定足数に達しておりますので、本日の協議会、会議は成立いたしますことを御報告いたします。
続きまして、本日の資料について確認させていただきます。議事次第はこちらになります。次に委員名簿、先ほど御参照いただいたものでございます。あとは座席表、配付資料一覧、資料が1から6まで、それ以外に参考資料と題しまして参考資料1から9を御用意させていただいてございます。資料の不備等ございましたらお申しつけください。
ここまでのところで接続状況の不具合や操作方法等で質問がございましたら、併せてお申しつけください。
ただいま、健康局長の佐原が到着いたしましたので、御挨拶させていただきます。よろしくお願いします。
○佐原健康局長 皆様、おはようございます。厚生労働省健康局長の佐原でございます。
委員の皆様におかれましては、御多忙のところを本協議会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
また日頃より肝炎対策の推進に御支援と御協力を賜り、厚くお礼を申し上げます。
本日の協議会は10月の委員改選後、最初の開催となります。17名の委員の皆様に引き続き委員への御就任をお受けいただき、新たに3名の方に御就任いただくことになりました。御就任いただきました皆様には心よりお礼申し上げます。ありがとうございます。
さて、我が国におきましては、平成22年に肝炎対策基本法が施行されまして、平成23年に肝炎対策基本指針が策定されました。
肝炎対策基本法におきまして、肝炎対策基本指針は少なくとも5年ごとに検討を加え、必要があると認めるときには変更することとされておりまして、昨年3月には本協議会で御意見をいただきました内容を踏まえて、二度目の改正をいたしました。
引き続き基本指針に基づき、肝疾患治療の促進、肝炎ウイルス検査の促進、肝炎医療の体制整備、普及啓発、研究開発の5つの柱からなる肝炎総合対策の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
本日の会議では、国及び地方公共団体などにおける肝炎対策の取組状況について事務局から御報告をいたしますとともに、建石参考人、考藤委員より研究報告をいただくこととしております。
委員の皆様にはそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜り、活発に御議論いただくことをお願いしまして、簡単ではありますけれども、私からの冒頭の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
○岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございました。
佐原局長はこの後、別の公務のため途中退席させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
そうしましたら、議事に入らせていただきたいと思います。
まず議題「(1)会長選任及び会長代理の指名」でございます。
参考資料3を御覧ください。肝炎対策推進協議会令でございますが、第2条におきまして「協議会に、会長を置き、委員の互選により選任する」と規定されてございます。この規定に基づきまして、委員の互選により会長を選任いただきたいと思いますが、どなたか御推薦はございますでしょうか。発言される方はビデオをオンにしていただきますようお願いいたします。
考藤委員、お願いいたします。
○考藤委員 これまで会長を務めてこられました経緯を踏まえまして、小池和彦委員を会長として推薦したいと思います。
○岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございます。
ただいま考藤委員から、会長に小池委員を御推薦いただきましたが、その他御異議などございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございます。
そうしましたら、御承認いただきましたので、小池委員に本協議会の会長をお願いしたいと存じます。
小池委員、この後の議事進行をよろしくお願いします。
○小池会長 前期に引き続きまして会長を務めさせていただくことになりました小池でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今日はあいにくの天気ですが、こういうときにはテレワークもいいものだと思います。
それでは、まず初めに会長代理の指名について申し上げたいと思います。先ほども御覧いただきましたが、参考資料3の肝炎対策推進協議会令を御覧ください。その第2条第3項において「会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する」と規定されております。本規定に基づきまして、泉委員を会長代理に指名したいと思います。泉委員、よろしくお願いいたします。
○泉委員 ただいま会長代理の御指名をいただきました泉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○小池会長 泉先生、ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。
本日の協議会では、事務局より国及び自治体における肝炎対策の取組状況について御説明をいただきます。また、考藤委員及び建石参考人より研究成果の御発表をいただくこととしております。
それでは、まず議題「(2)令和5年度肝炎対策予算案について」、議題「(3)肝炎対策の国及び各自治体の取組状況について」、併せて事務局から資料の御説明をお願いしたいと思います。
なお、本日の協議会の開催に当たりまして、患者を代表されています委員の皆様より要望書をあらかじめ頂戴しております。事務局からの説明の前に、まずは要望書の内容について委員から御発言はございますでしょうか。
米澤さんですか。それでは、お願いします。
○米澤委員 日肝協の米澤です。
昨年改定された基本指針について、患者委員7名から2点要望がありますので、担当部局から御説明いただければと思います。
1点目は指針第9(3)肝炎医療の均てん化についてです。私たち患者は、地域によってまだ医療格差が生じているとみんな感じています。肝炎医療の均てん化を実現するための施策の全体像と具体策、特に肝炎医療が十分でない地域への対策、また全国拠点病院連絡協議会等での意見交換について、その目指すところと実施状況を教えていただきたいと思います。
2点目ですが、指針第1(5)肝炎患者等の人権の尊重に関する取組についてです。私たちが日々受ける相談には、以前と変わらず社会の偏見や差別に悩む患者の声が上がっています。肝炎患者等に対する偏見や差別を解消するための施策の全体像と具体策について、国としてどのように取り組んでいくのか、また厚労省の担う役割や、特に他省庁の関与が必要であるならば、省庁間での調整はどこが担うのかという視点で御説明いただければと思います。
以上です。
○小池会長 米澤委員、どうもありがとうございました。
それでは、今、いただきました要望書の内容を踏まえながら、事務局よりこの議題2、議題3の説明をしていただくということでよろしいですね。
では、事務局からよろしくお願いいたします。
○岡野肝炎対策推進室長 事務局でございます。
そうしましたら、ただいまの要望書を踏まえまして、資料を説明させていただきます。
本日の協議会におきましては、基本指針に定められた取組の状況について、国は定期的に報告すると基本指針においてもされていますので、こうしたことも踏まえまして、国及び地方自治体における肝炎対策の取組状況について御報告させていただきまして、今後の肝炎対策の進め方などにつきまして御議論いただければと考えてございます。
先ほど患者委員からいただきました御要望も踏まえて、御報告させていただきたいと考えております。資料が多くなってございます。細かな点に関して少々省略させていただく部分もあろうかと思いますが、適宜御参照いただければと存じます。
そうしましたら、まず資料1「令和5年度肝炎対策予算案について」を御覧ください。
現在、国会において審議中ではございますけれども、令和5年度の政府予算案について御説明いたします。
肝炎対策につきましては、肝炎対策基本指針に基づきまして、肝硬変・肝がんへの移行者を減らすことを目標として、1、肝疾患治療の促進、2、肝炎ウイルス検査と重症化予防の推進、3、肝疾患診療連携体制の強化、4、普及啓発、5、研究の推進の5つを柱に推進するため、令和5年度予算案におきましては、一番上のところですが、総額170億円を計上してございます。
1つ目の肝疾患治療の促進につきましては、肝炎治療の医療費助成及び肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業を合わせて86億円となってございます。昨年度より2億円の減額となっております点につきましては、C型肝炎について、根治薬であるインターフェロンフリーによりウイルス排除が可能となったことから、患者数が減少していることによるものであり、実態に応じて必要な予算を確保してまいります。
2つ目でございます肝炎ウイルス検査と重症化予防の推進に39億円、その下の3つ目の地域における肝疾患診療連携体制の強化に5億円、4つ目の国民に対する正しい知識の普及に2億円、5つ目の研究の推進につきましては38億円となってございます。
予算案についての御報告は以上でございます。
続きまして、資料2を御覧ください。「肝炎対策の国及び各自治体の取組状況について」を御説明申し上げます。
表紙と、次が目次と続きまして、3ページを御覧ください。まず肝炎について概要をまとめてございますが、B型肝炎及びC型肝炎のキャリア数につきまして、合わせて200~250万人と推計してございます。
右下に円グラフがございます。肝がんの原因内訳でございますけれども、C型肝炎ウイルスが45.6%、B型肝炎ウイルスが13.3%、その他のアルコール性や非アルコール性脂肪性肝炎が41.1%となってございます。B型・C型肝炎ウイルスが原因による肝がんが合わせて約59%というところでございます。
次に4ページを御覧ください。B型肝炎・C型肝炎について患者数や治療法等をまとめた資料となります。
次に5ページですけれども、肝炎ウイルスの感染から肝がんに至るまでの病態の進行に応じた施策を記載した資料でございます。
次に6ページを御覧ください。こちらは肝がんの年齢調整死亡率を都道府県ごとに表した資料でございます。左上に平成25年から令和3年までの年齢調整死亡率の平均値を記載してございますが、年々次第に下がってきているというところで、平成25年に人口10万対6であったところ、令和3年は3.7でございます。
次に7ページでございます。ここからは都道府県の肝炎対策に係る計画等につきまして御説明を申し上げます。
8ページを御覧ください。こちらは都道府県の肝炎対策に係る計画や目標の策定状況につきまして、都道府県にアンケート調査を行った結果でございます。全ての都道府県において肝炎対策に係る計画や目標を策定していただいております。各都道府県が策定した主な計画、目標につきましては別途参考資料4という形でまとめてございます。個別の計画の御説明は割愛させていただきますが、後ほど御覧いただければと存じます。
9ページを御覧ください。肝炎対策協議会の開催状況を調べたものでございます。括弧内が令和2年度の数字でございますけれども、依然として新型コロナウイルス感染症の影響等がうかがわれる状況となってございます。さはさりながら肝炎対策協議会を開催される都道府県が増加している状況でございます。
10ページを御覧ください。こちらは都道府県の肝炎対策協議会の構成メンバーでございます。拠点病院関係者につきましては全ての都道府県で構成メンバーとなっております。また医師会、専門医療機関、肝臓専門医、肝炎患者や患者団体につきましても多くの都道府県で構成メンバーとなっているところでございます。
次に11ページでございます。各肝炎対策協議会の主な議題でございます。肝炎に関する計画・目標や予算、実績報告が多くなってございます。また肝炎医療コーディネーターについても昨年度より多くの協議会において取り上げていただいております。
12ページ以降は肝炎ウイルス検査について御説明申し上げます。
13ページを御覧ください。地方自治体の肝炎ウイルス検査の受検者数でございます。地方自治体の肝炎ウイルス検査の受検者数は、令和2年度は全体でB型肝炎が82万9,499人、C型肝炎が82万4,554人となってございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等により減少したのではないかと考えてございます。
新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言を踏まえた各種健診等の対応につきましては、肝炎ウイルス検査は基本指針においてできる限り早期に受検するとともに、検査結果に応じた受診等の行動につながるようにすることが重要であるといった旨を御留意いただくよう周知しているところでございます。引き続き受検促進について取組を進めてまいります。
14ページを御覧ください。地方自治体の肝炎ウイルス検査の陽性率の推移を記載してございます。B型肝炎ウイルスは上の青のほうですけれども、こちらが0.53%、C型肝炎ウイルスについては0.23%となっておりまして、いずれの検査におきましても陽性率は減少してございます。
15ページを御覧ください。B型肝炎ウイルス検査の受検者数を都道府県別にグラフで数値を示してございます。
次の16ページは、今、お示ししました都道府県別の受検者数につきまして、特定感染症検査等事業、健康増進事業の事業別に内訳を示したものでございます。
続く17ページ18ページは同様にC型肝炎ウイルス検査について都道府県別の受検者数を示したものと、さらには事業別の内訳を示したものでございます。
続きまして、19ページでございます。19ページと20ページをまとめて御説明しますが、こちらが今、御紹介しましたB型肝炎・C型肝炎ウイルス検査の受検者数を20歳以上の人口比で見たものでございます。
次に21ページを御覧ください。こちらは都道府県、保健所設置市、特別区において特定感染症検査等事業として実施しております肝炎ウイルス検査の実施状況でございます。
次に22ページを御覧ください。今度は市区町村の健康増進事業における肝炎ウイルス検査の実施状況でございます。資料にございますとおり、1,653の市区町村で肝炎ウイルス検査を実施していただいてございます。引き続き各市区町村の検査体制の整備をお願いしたいと考えております。
続きまして、23ページから24ページでございますが、こちらは各自治体における肝炎ウイルス検査の周知方法でございます。健康増進事業におきましては、特に個別の案内や勧奨の実施が多くなっているところでございます。
続きまして、25ページから26ページでございます。こちらは利便性を高める取組について記載してございます。特に他の検査と同時検査の取組が多くなっているところでございます。
27ページを御覧ください。こちらは職域検査促進事業の概要と実施状況でございます。職域への啓発活動を実施していただいてございますが、令和3年度につきましては15の都道府県、7つの保健所設置市で事業を実施していただいてございます。
28ページからは重症化予防の推進について御説明を申し上げます。
29ページを御覧ください。肝炎患者等の重症化予防推進事業の流れについて記載してございます。肝炎ウイルスの陽性者を早期に発見するためには、まず肝炎ウイルス検査を行っていただいて、陽性者の方については御本人の同意の下でフォローアップを実施しています。
次の30ページでございますけれども、初回精密検査費用助成と定期検査費用助成制度の内容をまとめてございます。
次に31ページは重症化予防推進事業の実施状況でございますけれども、先ほど御紹介しました初回精密検査、定期検査につきましては自治体における単独事業、こちらは北海道になりますけれども、これも含めますと、令和3年度より全ての都道府県で実施されているところでございます。
次に32ページを御覧ください。初回精密検査費用助成の都道府県別の受給者数でございます。令和3年度は全体で870人でございます。
次に33ページは直近3年間の初回精密検査費用の都道府県ごとの実績を記載してございます。
34ページ35ページは、今度は定期検査費用助成について、34ページが都道府県別の受給者数、35ページに同じく直近3年間の実績をお示ししてございます。
続きまして、36ページは初回精密検査の勧奨方法。
さらに続けて、37ページは初回精密検査の後、受療が必要となった方に対する勧奨方法でございます。
次に38ページでございます。昨年3月に改定されました肝炎対策基本指針におきましても、肝炎ウイルスに感染しているものの自覚のない者が多数存在すると推定されること、あるいは精密検査や肝炎医療を適切に受診していない肝炎ウイルス検査結果が陽性である者が多数に上ることなど肝炎医療を必要とする者に適切に肝炎医療を提供していくためには、いまだ解決すべき課題が多いといった御指摘があったところでございます。より丁寧な普及啓発を行う必要があると指針にも規定されたところでございます。
肝炎ウイルス検査の受検体制を整備して、受検勧奨を行うとともに、検査結果が陽性である方に対しては、C型肝炎は高い確率でウイルス排除が可能であること、B型肝炎もウイルス抑制が可能であることの理解を促進しつつ、早期受診のメリット等をしっかり説明するなど、適切な受診を促進するために厚生労働省肝炎対策推進室といたしましてもリーフレットを作成して、各自治体に対しても周知依頼をさせていただいております。各自治体におきましても、漫画による周知など工夫した取組を行っていただいております。引き続き受診、受療促進の周知に努めてまいりたいと思います。
39ページを御覧ください。母子保健法施行規則第7条で、厚生労働省令で様式が定められた省令様式がありますが、そのほかにも日常生活上の注意や乳幼児の養育に必要な情報などを示した面を別に設けることとされておりまして、いわゆる母子手帳の任意様式と言われているものですけれども、この様式において妊産婦健康診査における肝炎ウイルス検査の結果の確認方法ですとか、支援制度や相談先等の情報を充実するために内容の改訂をすることといたしております。こちらは2023年4月以降本公開となりますので、併せて御紹介させていただきます。
40ページからは肝疾患治療の促進についてでございます。
41ページを御覧ください。左側に肝炎治療特別促進事業の概要がございまして、右側に医療費助成の受給者証交付件数を記載してございます。
インターフェロンフリー治療、色で申しますと水色にしていますが、こちらは近年は減少してございまして、令和3年度につきましては1万1,780件でございました。
次に濃い青色のインターフェロンにつきましては、令和3年度は173件。
赤色で示しております核酸アナログ製剤治療につきましては8万8,637件でございます。
続きまして、42ページでございます。今、申し上げましたそれぞれの治療につきまして、都道府県別の受給者数をまとめたものでございます。
次に43ページでございます。患者数に対して核酸アナログ製剤治療助成の受給者の割合を都道府県別に示したものでございます。これまで平成27年の治療患者数に対して、直近年度の医療費助成の受給者数の割合をお示ししてございましたが、比較するものの時点が異なる、そういったものを対比していたということで、実情を適切に把握することができていないのではないかといったような御指摘もいただいておったところでございます。
今回はNDBデータを基に算出した直近の平成30年の患者数に対して、同じ時点の平成30年の受給者数の割合を比較したものをお示ししてございます。
この算出によりますと、核酸アナログにつきましては、全国平均は98.6%でございます。
次に44ページでございますけれども、同様にインターフェロンフリー治療につきましても算出いたしまして、インターフェロンフリー治療の助成受給者の割合は、全国平均は73%でございます。
45ページからは肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業につきまして御説明申し上げます。
46ページを御覧ください。この事業の概要でございます。こちらの事業ですけれども、医療費の負担軽減を図りつつ、患者から臨床データの収集等を行いまして、診療ガイドラインの作成など、治療研究を促進するための支援ということで、年収約370万円以下の方々を対象に、助成要件を満たした月の自己負担額が1万円となるように助成するもので、平成30年12月から都道府県を実施主体として開始しているものでございます。
令和3年4月には分子標的薬を用いた化学療法による外来医療を助成対象に追加いたしております。また高額療養費の限度額を超えた月数要件を4月から3月に短縮する見直しを行ったところでございます。
また、右下の赤枠のところですけれども、令和4年度からは手術による根治的な治療が困難な長径4センチメートル以上の肝細胞がんに対する粒子線治療が実は保険適用となって、入院でこの治療を行う場合には既に助成対象としてございますが、実態を伺いますと外来でも実施されていることが分かってきましたので、令和5年度からは外来の対象医療にも粒子線治療を追加することとしてございます。
次に47ページを御覧ください。令和3年度までの新規認定患者数、助成件数の実績をお示ししております。助成要件の見直しを行った令和3年度につきましては月別の実績もお示ししてございます。外来の医療費については償還払いとなってございまして、都道府県への償還請求の時期でありますとか、都道府県での審査支払い状況におきまして追加報告が生じる可能性がございますので、令和5年1月31日までに都道府県から報告のあった件数を暫定値として集計したものでございます。
左下の赤枠で囲っておりますR3計、令和3年度の合計の件数を御覧いただきますと、助成件数は令和2年度の約3倍の3,366件となってございまして、その約半数1,778件が外来医療への助成となってございます。
次に48ページでございます。令和3年度の助成件数を都道府県別にグラフで数値を示したものでございます。人口規模を考慮せずに、単純に件数を並べただけのものではございますけれども、広島県、東京都、熊本県、大阪府、石川県といった自治体で実績が多くなってございます。
49ページを御覧ください。昨年8月に都道府県経由で全国71か所の肝疾患診療連携拠点病院における令和3年度の助成件数を調査したのですけれども、助成件数全体の約半数が71の拠点病院における実績でございました。拠点病院では事業の利用に熱心に取り組んでいただいておりまして、件数の多い自治体では拠点病院の件数も多い傾向にございます。ただ、拠点病院の間でも実績にばらつきがありますほか、全国に1,400か所ほどあります拠点病院以外の指定医療機関でも取組がなかなか進んでいないという現状が見えてございます。
実績が増えております拠点病院の取組を具体的に伺ってみますと、病院内の関係者や患者に対して制度の周知が十分されている、あるいは医療従事者、医療事務担当者、肝炎医療コーディネーターなどの関係者がそれぞれの役割を分担して連携して、対象患者の抽出から情報提供、申請サポート、場合によっては申請後のフォローアップの仕組みを構築している、こういった共通点が見えてまいりました。
肝がん・重度肝硬変の治療におきましても、医療の均てん化が重要と考えてございまして、こうした拠点病院の好事例は拠点病院が集まります連絡協議会などの場でも共有させていただいております。今後も好事例の横展開によりまして、医療機関の取組を支援してまいりたいと考えております。
50ページでございますけれども、今の事業周知用のポスター等の御紹介になります。引き続き本事業による支援を必要とされている方々が助成を受けられるよう、周知も含めて取り組んでまいりたいと考えております。
次に51ページからは肝疾患診療体制の整備について御説明申し上げます。
52ページを御覧ください。肝疾患診療連携拠点病院につきましては各都道府県に原則1か所以上選定して、肝疾患専門医療機関は2次医療圏に少なくとも1か所以上確保することが望ましいとしてございまして、資料の中ほどぐらいからありますとおり、診療所、病院等々それぞれの役割に応じて、肝疾患の診療連携体制を各地域において構築しているところでございます。
続きまして、53ページでございます。肝炎対策基本指針においても、国及び肝炎情報センターは都道府県間での肝炎医療の均てん化に資するように、その実施状況に鑑み、適切な情報提供や助言を地方公共団体、拠点病院等に対して行うとともに、さらに必要な意見交換を行う旨を規定されたところでございます。肝炎対策推進室といたしましても、肝炎対策に係る課題の把握や肝がん事業の助成実績の向上に向けた対応を検討するために、関係者との意見交換会を昨年度来実施いたしてございます。
米澤委員、及川委員におかれましては、1の石川県における意見交換会に御出席いただいております。ありがとうございます。
率直な議論をするために、この意見交換会でございますけれども、内容の公開を前提としてございませんが、先ほど患者委員から都道府県・拠点病院等関係者との間での意見交換について、対象都道府県、日時、出席者、意見交換の内容等を説明するよう御要望もいただいてございますので、こちらの53ページの資料のとおり実績をまとめさせていただいたところでございます。
次に54ページを御覧ください。今、申しました意見交換会につきましては今後も実施したいと考えてございまして、その趣旨を引き継ぎまして、令和5年度以降は肝炎情報センター戦略的強化事業の中に地域における肝炎対策の評価・連携体制構築支援事業として位置づけたいと考えてございます。
肝炎医療の均てん化を図るために、肝炎情報センターが都道府県における肝炎対策の実施状況を把握して、指標を基にした評価を行うとともに、都道府県が肝疾患診療連携拠点病院や地域の医療機関等との連携対策を構築するための支援を行う予定でございます。
続きまして、55ページを御覧ください。拠点病院等連絡協議会の開催状況でございます。拠点病院等連絡協議会につきましても新型コロナウイルス感染の状況を注視しつつ、昨年度より多く開催していただいたところでございます。
56ページをお願いいたします。拠点病院等連絡協議会の構成メンバーでございますが、今年度の調査から回答項目に肝炎患者・患者団体関係者を別に設けました。6つの自治体で構成員に加わっていただいております。
57ページは主な議題について結果を記載してございます。
続きまして、58ページをお願いします。令和3年度の肝疾患診療連携拠点病院と専門医療機関の選定状況でございます。拠点病院は全国で71か所、全ての都道府県で選定されてございます。専門医療機関につきましても全国で3,226か所が選定されてございます。
59ページをお願いいたします。都道府県において専門医療機関を指定しているところでございますが、指定要件につきましては、全ての都道府県で厚生労働省が通知に掲げている全ての要件を満たしていると回答していただいております。
次に60ページでございます。ここからは肝炎医療コーディネーターについての資料でございます。肝炎医療コーディネーターについては、基本指針の中で「肝炎医療コーディネーターの基本的な役割や活動内容等について、国が示す考え方を踏まえ、都道府県等においてこれらを明確にした上で育成を進めることが重要である」とされておりまして、肝炎医療コーディネーターの基本的な役割や活動内容等につきましては、国が考え方を示すことになってございます。
これを踏まえまして平成29年に通知を発出しておるのですけれども、今般、昨年の基本指針の改定に伴って、通知を一部改正いたしました。60ページがその概要を示したものですけれども、主な観点としての1つ目が肝炎医療コーディネーター養成後の活躍の推進に取り組むこと、2つ目が患者コーディネータ-の役割について理解するとともに、患者やその家族等の話を直接聞く機会を設けること、こういったことを積極的に検討をお願いしたい旨を規定してございます。さらに最後の3つ目としては、肝炎医療コーディネーターが習得する事項として、改めて肝炎患者等に関する支援制度を独立して明記して、各種制度の理解を深めていただくこと、また肝炎患者等の人権の尊重に関する事項を習得していただくことを規定いたしてございます。
通知については参考資料としても用意してございますので、御覧いただければと思います。
61ページを御覧ください。今、申しました肝炎医療コーディネーターにつきましては、改正した通知に基づいて、引き続き養成及び活用の推進について取組をお願いしたいと考えてございます。
62ページをお願いいたします。肝炎医療コーディネーターの養成数でございます。47都道府県全てで養成が行われておりまして、上の枠囲みの中ですけれども、令和3年度は2万8,434名が養成されてございます。
63ページをお願いします。こちらはコーディネーターの職種をグラフにしたものでございます。養成数増加によって全体的に数値が増加しておりまして、特に調剤薬局薬剤師、管理栄養士が増加しております。
次に64ページをお願いします。コーディネーターの肝炎患者等の参画状況でございますけれども、こちらは本年度の調査から新たに調査項目として設けた事項でございます。27の都道府県において計176名の肝炎患者等がコーディネーターとして養成されてございます。主な活動内容としては右側ですけれども、普及啓発が多くございました。
次に65ページをお願いします。肝炎医療コーディネーターの養成等に関してまとめたものでございますが、養成研修の内容についてはコーディネーターに期待される役割、心構え、あるいは各都道府県の肝炎対策について取り上げている自治体が増加してございます。
養成研修の内容につきましては、新たに拠点病院との連携の状況について調査項目を設けましたところ、全ての都道府県において研修の内容については拠点病院に相談や連携して検討しているとの回答でございました。
また資料の下段には養成研修の開催方法につきましてまとめてございます。
続きまして、66ページでございます。こちらは肝炎医療コーディネーターの認定等に関してまとめたものでございます。
続けて、67ページでございますけれども、こちらは肝炎医療コーディネーターの技能向上と活動支援について、さらに68ページをお願いします。こちらは活動場所と活動割合についてまとめたものでございますので、御参照いただければと思います。
69ページからは、今度は普及啓発につきまして御説明申し上げます。
70ページをお願いいたします。こちらは都道府県における普及啓発の実施状況を記載してございます。主にリーフレットを作成して啓発に取り組んでいただいております。
71ページをお願いいたします。肝炎総合対策推進国民運動事業の概要を示してございます。こちらは「知って、肝炎プロジェクト」という通称で呼んでおります事業でございますけれども、歌手・俳優でいらっしゃいます杉良太郎さんを健康行政特別参与といたしまして、多くの著名人の方々に特別大使、広報大使、スペシャルサポーターとして肝炎対策の普及啓発に御協力いただいてございます。
72ページを御覧ください。この「知って、肝炎プロジェクト」におきましては、これまで知事等を訪問して、肝炎対策の取組強化を要請するなどの取組を行ってまいりました。これまで40の都道府県に伺っております。
次に73ページからは令和4年度のプロジェクトの活動内容について御報告させていただきます。
74ページを御覧ください。令和4年度は啓発ポスター・リーフレットを作成して、各自治体、拠点病院、関係機関に配布して、御活用いただいてございます。また啓発動画につきましても広報に活用いただいているところでございます。
75ページをお願いいたします。例年7月28日の日本肝炎デーに合わせて啓発イベントを開催してございます。今年度、令和4年度は肝炎対策事業功労者として伍代夏子さん、瀬川瑛子さん、EXILE、AKB48の4組の方々を厚生労働大臣から表彰させていただきました。
76ページをお願いいたします。「知って、肝炎プロジェクト」は、平成28年度から自治体と連携して集中広報県を指定して、集中的な広報活動を行ってまいりました。今年度からはさらにこれを発展して、積極的に広報を実施したい自治体を後押しするための取組を行ってございます。
その各地のイベントの一部を紹介させていただきます。これを「積極的広報地域」と私どもは呼んでございますが、熊本市の取組が76ページでございます。拠点病院と連携した街頭キャンペーンの実施ですとか、日本消化器病学会九州支部例会においてトークイベントを実施してございます。
77ページを御覧ください。京都府の取組でございます。京都府では地元のサッカーチーム京都サンガF.C.と連携したイベントの実施、ラジオ番組での啓発、徳光和夫さんによる知事訪問も実施しております。
78ページを御覧ください。愛知県岡崎市です。市長との対談や秋祭りでのステージイベント、ケーブルテレビでの広報を実施いたしました。
79ページをお願いします。そのほかにも各地のイベント等に出向いて、著名人から肝炎ウイルス検査の重要性を呼びかけていただくなどの様々な活動を展開してございます。
80ページを御覧ください。妊産婦や子育て世代を対象に啓発するために、ベネッセが運営する「たまひよ」という情報メディアがあるのですけれども、そちらと連携いたしまして、考藤先生にも御協力をいただいて、ウェブや雑誌におけるタイアップ型記事広告の展開、トークイベント等も実施してございます。
以上が「知って、肝炎プロジェクト」の活動についての御紹介でございました。引き続き各世代や地域の取組に応じた啓発を実施したいと考えてございます。
次に81ページを御覧いただければと思います。患者団体から御要望のありました2点目、肝炎患者等の人権の尊重に関する取組について、基本指針の改正の議論、患者団体から御意見をいただいた「肝炎患者等の人権を尊重するためにどのようにふるまうべきかを考え、学ぶことが重要である」といった観点につきましては、法務省と文部科学省が刊行している「令和4年版人権教育・啓発白書」にもその文言を記載していただいたところでございます。この赤枠で囲ったところでございます。引き続き連携して肝炎患者等の人権尊重に向けて取り組んでまいります。
82ページを御覧ください。厚生労働省における具体的な取組といたしましては、厚生労働科学研究においても肝炎ウイルス感染者に対する偏見や差別の解消のために、肝炎患者を対象としたアンケート調査でありますとか、患者団体に寄せられた相談事例の解析を行いまして、これらを基にホームページやソーシャルメディアにおいて発信するとともに、公開シンポジウムを行う等の取組を行っております。こういったものを引き続き続けていきたいと考えてございます。
83ページをお願いいたします。集団予防接種による感染被害を含むB型肝炎についての正しい知識の普及を図ることを目的に、中学校向けのB型肝炎教育に関する副読本「B型肝炎いのちの教育」を全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団の皆様の御協力の下で作成いたしました。こちらの副読本につきましては、文部科学省とも連携して、全国の中学校3年生の教員に配付して、さらには生徒分の配付を希望する学校に対しても希望部数の送付を行っています。
この副読本を用いた授業の実施に当たっては、患者団体の皆様による講義、いわゆる患者講義でございますけれども、その派遣につきましても希望する学校に対して派遣を実施しているところでございます。
84ページでございますけれども、今、申しました患者講義につきましては、令和4年度の実績として7県の中学校で実施して、さらに今年度中に8校での実施を予定しているところでございます。
85ページ以降が先ほど申しました副読本の御紹介になります。
86ページを御覧ください。この副読本につきましては厚生労働省のホームページにも掲載しているところでありまして、中学校以外の場でも御活用いただくように周知を図って、B型肝炎に対する正しい知識の普及啓発に努めてまいります。
88ページからは研究開発につきまして御説明申し上げます。
89ページをお願いいたします。こちらは肝炎対策における研究事業の位置づけについてお示ししてございます。肝炎対策基本法に基づいて策定されました基本指針を基に、研究についても方向性を定めた「肝炎研究10カ年戦略」は平成23年に策定されてございます。半分より下のところにございますが、令和3年度に見直しをいたしまして、昨年5月20日に「肝炎研究推進戦略」として新たに策定されてございます。こうしたものに基づいて研究開発を進めているところでございます。
90ページを御覧ください。今、申しました昨年5月に策定されました「肝炎研究推進戦略」の概要でございます。世界保健機関WHOが公衆衛生上の脅威として肝炎ウイルスの排除達成を2030年までの目標として掲げていることも踏まえまして、令和4年度からの肝炎研究の方向性を提示したものでございます。下のところですけれども、戦略目標としては、B型肝炎については核酸アナログ製剤治療による累積5年のHBs抗原陰性化率を現状の約3%から5%まで改善すること、C型肝炎についてはC型慢性肝炎、代償性肝硬変におけるSVR率を現状の約95%以上から100%まで改善させること、こういったことを数値目標として掲げているところでございます。
91ページをお願いいたします。こちらは厚生労働科学研究の政策研究における政策課題の一覧となってございます。御参照いただければと思います。
続きまして、92ページでございます。今度はAMEDで実施しております肝炎等克服実用化研究事業についてお示ししてございます。上のほうの肝炎の予防、診断、治療に係る技術の向上及び医薬品の開発等の研究を推進する肝炎等克服緊急対策研究事業として56課題、下のほうですけれども、B型肝炎の新規治療薬の開発・実用化を目指した研究を推進するB型肝炎創薬実用化研究事業がございます。
すみません、長くなりましたけれども、資料2についての説明は以上でございます。
引き続きC型肝炎特別措置法に基づく給付金の請求について御説明させていただきます。
○渡邊医薬品副作用被害対策室長 失礼いたします。C型肝炎特別措置法の担当をしております医薬・生活衛生局の副作用被害対策室長でございます。よろしくお願いいたします。
1ページを御覧ください。C型肝炎救済特別措置法ですけれども、いわゆる薬剤C型肝炎の被害者の方々への給付金の支給を定めた法律でございます。昨年12月に臨時国会におきましてこの法律の改正がされておりまして、公布・施行されましたので御報告申し上げます。
今回の改正点は大きく2点ございます。
一番上の枠囲みを御覧いただきますと、一番下の行になりますが、この法律の給付金の請求期限であります令和10年1月17日までということで5年間延長されております。これが1点目です。
2点目としまして、下から4行目を見ていただきますと、給付金の給付内容は症状に応じまして4000万円、2000万円、1200万円と定めておりました。この中でC型肝炎で劇症肝炎にかかられてお亡くなりになる方々については従来1200万円という規定で解釈しておりましたが、同じ死亡という被害に着目しますと、慢性肝炎から悪くなられてお亡くなりになる方と同じであろうというような議論が国会でございまして、今回4000万円のところに引上げされております。この点を赤字で記載させていただきました。
続きまして、2ページを御覧いただきますと、この給付金を受けていただくためには裁判を提訴していただく必要がございまして、左側が提訴の状況でございます。赤い棒グラフを見ていただきますと、提訴期限が5年ごとに参るわけですが、平成24年、29年、それから今回の令和4年度ということで、提訴期限の年は少し提訴が多くなる状況でございますが、先ほど申し上げたようにあと5年延長されているという状況でございます。
和解された累計について右側の青い折れ線グラフを御覧いただきますと、今年の1月末時点で2,517名となっております。
最後に3ページでございますが、今回改正もございましたので、引き続き周知・広報にしっかりと務めまして、被害者の方々に給付金の件が届きますように取り組んでいきたいと考えております。
説明は以上でございます。ありがとうございます。
○小池会長 ありがとうございました。
ただいまの御報告に関しまして、御意見、御質問がございましたらよろしくお願いいたします。
米澤委員、お願いします。
○米澤委員 先ほど冒頭で患者からの要望書を説明させていただきました。今の岡野室長の取組状況の説明の中で御回答があったと捉えているのですが、1点確認したいことがございます。私たちの要望の2点目の肝炎患者等の人権の尊重に関する取組というところで、御回答があったのが81ページでこういった啓発に関して他省庁、法務省とか文科省等々と連携を取ってということだったと思います。確認なのですが、省庁間での調整はどこが担うかという部分においては厚労省という理解でよろしいでしょうか。
○岡野肝炎対策推進室長 事務局でございます。お答えさせていただきます。
要望の2点目につきましては、今、米澤委員からもお話がありましたように、81ページの資料もそうですし、やはり人権の尊重に関する取組はいろいろな取組を通じて達成していくべきものだと考えてございます。その前の普及啓発もそうですし、患者講義を含めた様々な普及啓発、あるいは正しい知識の普及啓発からスタートして、最終的に正しく振る舞えるようにというところを目指しているということで、こうした取組の積み重ねの上に達成していければと考えてございます。
省庁間の調整につきましても、肝炎対策を出発点として普及啓発あるいは人権の尊重に関する取組を進めていくという点に関しましては、厚生労働省で調整を担っていきたいと考えてございます。
○米澤委員 ありがとうございました。
○小池会長 よろしいですか。
先ほど清古委員がオンにされているようですね。お願いいたします。
○清古委員 資料2の21ページを出していただきたいと思うのですけれども、よろしいでしょうか。都道府県などの肝炎ウイルス検査の実施状況の令和3年度の特定感染症検査等事業になります。これにつきましては、今回コロナもありまして保健所での実施が難しい場所がありました。委託医療機関という形で委託しているところも大分多いかと思うのですが、多分保健所と両方でやっているところと保健所でしかやっていない県とか市があったのではないかと思っております。保健所でしか受けられない場合については、40歳以上の場合はもう一つの健康増進事業で医療機関で受けられると思うのですが、若い方でなかなか受ける機会が少ない場合があったのではないかと思いまして、できましたらどこの県とか市が保健所だけでやっているかを示していただいて、各県とか保健所設置市に情報提供していただけると、ほかの県は委託しているけれどもうちは保健所だけでやっているとか、その辺が見える化できるのではないかと思っております。なるべく委託医療機関でやるところを増やしていただいたほうがいいのではないかと思っております。
どこに行ったら検査を受けられるかという情報を、先ほど肝炎医療の全国ナビゲートがあると御説明がありましたけれども、そういった全国の情報がナビゲートされているのかどうかについても教えていただきたいと思います。
以上でございます。
○小池会長 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございました。保健所のみでやっている市町村、自治体という形では今回資料でお示しさせていただいてございませんが、今後ウイルス検査の実施体制のさらなるお願いをしてまいる過程でそういったところの分析も進めて、逆に委託医療機関でやってうまくいっているようなケースもあると思いますので、そういったところの様子を見せていただきながら、引き続き周知・広報に努めていきたいと思っています。どのようにお示しするかというところも含めて検討させていただきたいと思います。
2点目の件についてですけれども、もう一回2点目の御質問をお願いしてよろしいでしょうか。失礼いたしました。
○小池会長 清古委員、もう一回2点目の質問を。
○清古委員 最後の資料で肝炎医療の全国ナビゲートがあるという説明がありまして、治療とかを受けるにはどこの医療機関があるという情報が全国的に一元化されているとお聞きしたのですが、こうした検査もどこで受けたらいいかとか、どこが窓口かというのも全国のナビゲーションがあるのか、分かったら教えていただきたいという質問でございます。
○岡野肝炎対策推進室長 大変失礼いたしました。ナビゲーションですけれども、先ほどの肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業等のところでも御紹介いたしましたが、肝炎検査を受けられる医療機関も掲載してございまして、今、既に全国の2万8000件以上を掲載してございます。こちらはホームページで確認いただけるようになってございます。
○小池会長 よろしいでしょうか。
先ほど及川委員が手を挙げておられたので、どうぞ、及川委員。
○及川(綾)委員 薬剤肝炎原告団の及川と申します。
C型肝炎特別措置法のことで先ほど御説明がありましたが、患者の思いということでお話しさせてください。
期限が延長されるということで少しほっとしているのですけれども、特定の血液製剤でC型肝炎に感染したであろう方でまだ救済されていない方が75%もいます。救済されている方は25%にしか過ぎない状況です。自分がC型肝炎であることに気づいていない方もたくさんおりますし、全国の弁護団事務所に連日問合せもたくさん来ております。厚労省による病院調査も大分進んで来ていると伺っていますが、カルテ等の確認作業や、その先の告知に関してはまだまだ不十分です。厚労省あげて、被害者救済のために広報等を頑張っていただきたいと思っております。
以上です。
○小池会長 事務局から何かコメントはありますか。
○渡邊医薬品副作用被害対策室長 副作用被害対策室長ですが、御指摘をどうもありがとうございます。医療機関調査、告知を努力していかないといけないというのは非常に御指摘のとおりで、私どももしっかりと認識しておりますので、引き続きよく情報交換させていただきながら進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○及川(綾)委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○小池会長 あとは鹿野委員ですね。
○鹿野委員 全国B型肝炎訴訟東京原告団の鹿野と申します。
43ページのグラフなのですが、核酸アナログ製剤治療助成受給者の割合を示しているのですが、医薬品の処方有無を基に集計しているとなっているのですけれども、割合が100%を超えて120%ぐらいのところも多々ありますので、これは意味がよく分からないので教えていただきたいのです。よろしくお願いいたします。
○岡野肝炎対策推進室長 事務局でございます。
こちらなのですけれども、ちょっと説明が舌足らずでございました。失礼いたしました。分母に取っておりますのはNDBデータ、レセプトデータで肝炎治療患者数、肝炎治療を行っている患者を拾ったものでございます。ですので※2の下にも書いてございますけれども、都道府県別の患者数は医療機関所在地を基に集計していまして、複数の都道府県の医療機関を受診している患者は複数の都道府県で計上されていることがございます。そういう意味でレセプトの情報ですので、例えば東京都と千葉県で受けた場合は両方にカウントされていたりすることがございます。分子と分母がこのデータを取ったとしても完全に1対1対応していないのはおっしゃるとおりでございまして、そういう意味ではこの割合が絶対的な割合を示すのかというと必ずしもそうではないのだろうと思います。この数値も、今後例えば経年的にこういったものの変化を見ていくことで評価し得るものかと考えているところでございます。
○鹿野委員 分かりました。ありがとうございます。
○小池会長 ほかにいかがでしょうか。
辰巳委員。
○辰巳委員 B型肝炎訴訟原告団の辰巳です。
資料2の48ページの肝がん・重度肝硬変の助成件数のグラフなのですけれども、これも広島県が305と突出して多くて、280万人弱くらいの同じ人口規模の茨城県と比べても10倍近い数字になっていて、ほかは熊本とか佐賀とかもかなり多い数字、石川もそうなっていて、これを見ると対象者がいないわけではなくて、やり方次第ですごく助成の対象はいらっしゃる、助成につながっているということが分かるのです。
他方で秋田とか三重だとか奈良、和歌山、徳島、沖縄もゼロで、1桁 ないしゼロの県もかなりあって、49ページに助成につながっているところの拠点病院を具体的に幾つか上げていただいているのですが、こういったやり方をこのページの下で好事例の横展開によって医療機関の取組を支援していくと書いていただいて、上にいろいろなやり方が書いていますけれども、このやり方については具体的なやり方、実際どうやっているのかをぜひ拠点病院連絡会議の意見交換会で情報提供していただきたいなと。あとで建石先生の報告でも具体的なやり方について出てくるかなと思うのですけれども、ぜひ情報提供するときは具体的にこういうピックアップの仕方をして、こういう医療従事者ないし事務方が関わってということを事細かに情報提供いただけたら、ほかの病院にもすごく参考になるのではないかなと思います。
○岡野肝炎対策推進室長 事務局でございます。
ありがとうございます。まさにおっしゃるとおりだと私どもも考えてございまして、ここで御紹介した好事例も、ブロックごとに毎年拠点病院や自治体に集まっていただいて情報交換会の場を設けておるのですけれども、昨年その場で特に肝がん事業について取り組んでいる病院等が御発表いただいた内容から私どもが抽出して資料にしたものでございます。その発表の中では各病院のかなり個別具体な取組まで御発表いただいているところでございまして、そういった取組を引き続き続けていきたいと考えているところでございます。
○辰巳委員 ありがとうございます。
○小池会長 坂上委員。
○坂上委員 読売新聞の坂上といいます。よろしくお願いします。
C型肝炎の救済法の改正について教えてください。劇症肝炎で亡くなられた方の給付金が1200万円から4000万円に引き上げられたと聞きましたけれども、既に1200万円で和解してしまった方に対しては、どのような対応を取るのでしょうか。改正後と改正前で、給付金の公平性という面ではどうなっているのか気になったので教えてください。
○渡邊医薬品副作用被害対策室長 お答えさせていただきます。
今の御指摘ですが、改正前の規定の時代に提訴されている方もいらっしゃいます。時期によりまして1200万円、4000万円ということですと公平性を失しますので、既に1200万円を受け取られた方には差額の2800万円をお支払いするということで、法律上、経過措置の手当てがされております。
以上です。
○坂上委員 分かりました。安心しました。ありがとうございます。
○小池会長 あとはいかがでしょうか。よろしいですか。
及川委員、追加質問ですか。
○及川(綾)委員 すみません、別の質問です。
資料の59ページのことでお願いしたいと思います。専門医療機関が全ての都道府県で指定要件を満たしたというお話がさっき御説明でございました。なかなか全部そろうというのはないと思いますので、これはすばらしいことだと思います。ただ要件を満たしているかを定期的に把握しているかどうかという質問に対しては半分以下になっている状況ですので、この良い状況を続けていただきたいというのが希望でございます。
以上です。
○小池会長 事務局は何かコメントはございますか。
○岡野肝炎対策推進室長 ありがとうございます。私どももこういった調査を続けたり、都道府県への働きかけを続けることで、おっしゃるように要件を満たし続けることが大事だと考えてございますので、引き続き都道府県と連携して進めてまいりたいと思ってございます。
○小池会長 それでは、山﨑委員。時間がないので最後の質問といたします。
○山﨑委員 日肝協の山﨑です。
資料2の52ページの肝炎対策における肝疾患診療連携拠点病院の位置づけの中での肝疾患専門医療機関について質問します。令和4年4月の時点で肝疾患専門医療機関が2次医療圏に1か所以上を基本として全国で約3,700施設あると説明されているのですが、いまだ2次医療圏に肝疾患専門医療機関がない地域が存在して、地域住民が高度な肝炎医療を受けられない現状があります。肝疾患専門医療機関が1か所もない2次医療圏が全国でどのくらいあるのか、数を把握しておられるならば教えていただきたいと思います。
さらに肝炎医療の均てん化を推進する観点から、肝疾患専門医療機関が1か所もない2次医療圏の早期の解消と現状において、少しでも高度な肝炎医療を提供できる体制を構築されるために具体的にどのように取り組まれようとされているのかをお聞きしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
以上です。
○小池会長 それでは、事務局からお願いいたします。
○岡野肝炎対策推進室長 お答えいたします。各2次医療圏に専門医療機関が充足しているかというところは、すみません、今、手元に情報がないのでその点はお答えできないのですが、これは当然2次医療圏に1か所以上医療機関をということを私どもはお願いしております。具体的にどのように進めていくかという点でございますけれども、先ほど申しましたようなまず地域のネットワークをつくるに当たっては、絵にありますとおり拠点病院を中心に専門医療機関等とネットワークを形成しながらというところでございます。そのためにも年に1回ブロック会議等を開催したり、あるいは拠点病院が集まる連絡会議の場で引き続き地域のネットワークづくりへのお願いもさせていただいてございますし、先ほど説明の中でも補足させていただきましたが、こういった地域のネットワークづくりをさらに進めていくに当たって、令和5年度から肝炎情報センター戦略的強化事業を拡充することを考えてございます。こうした事業を通じて地域のネットワークづくりをさらに推進していきたいと考えてございます。
○小池会長 よろしいでしょうか。
またデータについては後でお調べいただくということで、事務局にお願いしておきたいと思います。
○山﨑委員 よろしいでしょうか、ごめんなさい、時間がない中で申し訳ありません。
そういう専門医療機関がない2次医療圏に例えば専門医療機関から専門医を派遣していただいたり、何かそういう地域でも専門的な肝炎医療が受けられるような対応も今後体制をつくっていただきますようにお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○小池会長 ありがとうございます。
米澤委員、御質問ですか。
○米澤委員 先生、すみません。お礼だけ。60ページの「『肝炎医療コーディネーターの養成及び活用について』の一部改正について」の部分ですが、患者コーディネーターの役割への理解ということで、基本的な患者コーディネーターの役割を後の資料で非常に詳しく明確にしてくださったことは大変ありがたく、ここでお礼を申し上げたいと思っています。私たちは、これまで長い間患者会活動で行ってきたことがここで日の目を見たと思っています。ありがとうございました。
○小池会長 ありがとうございます。
それでは、たくさんの御意見、御質問をいただきました。どうもありがとうございました。
時間も10分ほど遅れておりますので、次の議題4に移りたいと思います。「研究報告について」、まず最初に東京大学大学院医学系研究科消化器内科の建石良介参考人から研究成果の御発表をいただきます。資料4を御覧ください。
では、建石先生、よろしくお願いいたします。
○建石参考人 小池先生、御紹介ありがとうございます。東大の建石と申します。東大病院で肝硬変・肝がんの診療を行っております。
このたびは肝がん・重度肝硬変の治療に係るガイドラインの作成等に資する研究について発表させていただきます。
背景ですが、先ほど来ございますように、平成30年度に始まった肝炎ウイルスによる肝がん・重度肝硬変治療研究促進事業を背景にこの研究班は構成されました。
こちらが同事業のフレームワークなのですが、一見してお分かりになりますように非常に込み入った内容になっております。患者さんを中心に考えましても、御覧いただいて分かりますように、臨床調査個人票であるとか、参加者証の提示が必要になっておりますし、また保険者に対して申請等を行って医療費の助成を受けるというようなスキームになっております。
本研究班の目的は3本ありまして、1番目にこの支援制度の利用効率を向上させること、2番目に研究対象の患者データをできるだけ多く収集する、このためレジストリを構成いたしました。それから、これらのデータから明らかになった医療ニーズ及びエビデンスを基に新たな診療ガイドラインを改良・改訂することを目的とするとしています。
研究者の構成はこちらに示すとおりです。小池会長を研究代表者といたしまして、本日御出席の泉委員、考藤委員、肝がん研究会の内科側を代表しまして工藤先生、外科側の代表として久保先生、NCDデータベースを代表して宮田先生、肝がん診療ガイドラインの委員長である長谷川先生、そして肝疾患診療センター等を代表されて江口先生、肝硬変のガイドラインの委員長である吉治先生、加えまして今年度からは国立国際医療研究センターの國土典宏先生に御参画いただいております。
まず支援制度の利用効率を向上させる取組といたしまして、先ほど来御説明がありますように、本制度が、今までは4月高額医療を超えた月がないと助成できなかったものを3月に減らしたことと、後ほど申しますけれども、現在、肝がんの診療が外来における分子標的薬あるいは免疫チェックポイント阻害剤が進行肝がんにおいては中心となってきており、またこれらの診療は非常に高額な医療費を要するものですので、こちらに対しても助成の範囲を広げていただいたことがございます。
ただ、この助成の範囲に該当する患者さんを拾い上げる業務が非常に大変でございまして、こちらは泉先生の御発表からお借りしたものですけれども、まず医療費を算定する医事課、治療内容や病名を把握するための外来あるいは化学療法室の看護師さん、それから非課税所帯かどうかを判定するケースワーカー・医事課、また医事課なのですけれども、それらを抽出した上で医師にフィードバックし、認定を行っていただいています。武蔵野赤十字病院ではこの仕組みがうまくワークしておりまして、たくさんの患者さんが認定を受けていらっしゃることは先ほどの資料でもお示しになったとおりだと思います。このように多職種が連携し合いながら、武蔵野赤十字病院では該当患者さんのピックアップに努めていらっしゃいます。
こちらの発表資料にはモザイクをかけさせていただきましたけれども、実際に具体的な主治医の先生方等もリストアップされておりまして、最終的には主治医の先生からこの制度の御案内をするのですけれども、効率よく御案内いただけるような仕組みになっております。
また江口班員はこの制度の普及のために動画をつくっていただいておりまして、2021年4月から見直しに係る動画も新たに作成していただき、現在、42都道府県に配付していただいております。
また具体的な取組としましてこういう手帳をつくっていただいて、これらの患者さんは大分高齢化が進んでおりますので、持ち運びに便利なようにとか、あるいは忘れないようにというような工夫をしていただきまして御活用いただいております。このような手帳をつくって制度の普及・活用に御利用いただいているところであります。
この後でまた詳しく御説明いただけると思いますけれども、本日御出席の考藤委員には肝ナビを用いた広報活動を行っていただいておりまして、こちらにお示ししますように、ホームページアクセス数は経年的に増加の一途をたどっております。指定医療機関に関しましては、もうそれを満たすような機関は飽和状態だとは思いますけれども、このように1,484の指定医療機関を募集いただいております。
またこの後の御発表であると思いますけれども、肝炎医療指標等の分析において、右側のグラフにあります赤いラインで示します肝がん・重度肝硬変研究支援事業につきましても指標の向上が認められるということを御発表いただいています。
2番目の研究対象の患者データをできるだけ多く収集する取組に関しまして、患者さん、あるいは主治医の先生方にはこのような臨床調査個人票を記入していただきまして、都道府県を介して我々の元に送られてまいります。こちらはまず1つ目のデータとしまして私どものほうで集計し、分析しております。
ただ、1つ難点と申しますか、都道府県によっては全ての調査票を遅滞なくお送りいただけていないところもあるようでして、先ほどの御発表にありますような件数と比べますと、我々のところに送られてくるのがやや少ない印象を持っております。
2021年の制度改正に伴って急激に申請数が増えていることが、御覧いただいてお分かりいただけると思います。
こちらは都道府県別の登録件数ですけれども、例えば東京都などはもっとたくさん助成を活用していただいているようですけれども、我々のところに送っていただける件数が少ないということで、こちらは要望を出しております。
カテゴリーごとの登録件数についてこちらにお示しします。当事業はB型あるいはC型肝炎をお持ちの方が対象になっているわけですけれども、B型は核酸アナログ、C型はDAA、インターフェロンフリー等の薬剤によりまして、肝硬変あるいは非代償性肝硬変になる方は減少してきております。一方で肝がんになる方は依然多数を占めておりますので、この助成制度を御利用されている方もやはり肝がんがかなり多いことがお分かりになると思います。
またこれらの臨床調査個人票はB型・C型肝炎の方あるいはこの助成制度をお受けになる方だけですので、我が国全体の肝がん・肝硬変の実態調査を行うべく、ナショナルクリニカルデータベースという外科系がもともとつくられた我が国最大の臓器別がん登録のプラットフォームを利用しまして、データの収集を行っております。
この基となりましたのは、日本肝癌研究会の「全国原発性肝癌追跡調査報告」です。私もこの追跡調査委員として調査報告に参画しておりますけれども、これは初発の肝がんの患者さんを対象とした全国レジストリと呼ばれる患者登録データベースでありまして、大体年間1万人くらいの患者さんが登録されており、肝がん全体の約25%程度を把握しているものと思われます。こちらから多数の論文を出版しておりまして、これが肝がん診療ガイドラインのエビデンスとなって、診療のガイダンス、質の向上に役立てられております。
ただ、御存じのように肝がんは再発を繰り返すがんでありまして、例えば胃がんとか大腸がんのように初発のステージが患者さんの予後を大きく左右するものに比べますと、複数回の治療が非常に予後にとって重要となってまいります。
また先ほど来ございます肝硬変の患者さんに関しては、このような全国レジストリがございませんでしたので、この研究班を立ち上げるに当たって両輪のレジストリを作成することといたしました。具体的には初回の診断情報に加えまして、頻回の入院を要する患者さんの入院ごとの情報も収集するような仕組みになっております。
2018年4月から登録を開始しまして、今年の1月31日に今年度分については締めましたけれども、御覧いただいて分かりますように、ようやく5年分のデータが集まってきたところです。このようなレジストリは、期間が長ければ長いほど、データの量が多ければ多いほど、カバーする範囲が広ければ広いほど質が高いエビデンスを提供できますので、今後もこの活動を続けていきたいと考えています。
具体的な年度ごとの登録件数ですけれども、御覧いただいて分かりますように、青いバーが実際の患者さんの頭数に該当します。赤いバーがこれらの患者さんが複数回入院されるわけですので、これらの患者さんが入院された件数が表されております。昨年度の集計ではこれまでに2万7000人の患者さんについて5万1000回の入院のデータを収集しております。また速報値ですけれども、2022年度も2021年度とほぼ同じ数の情報を収集いたしました。
この内訳ですけれども、先ほどの支援事業と同様でして、やはり肝がんの入院が多くなっております。
これらのエビデンスです。これからどんどん出していきたいと思いますが、まず最初にステージごとの治療法の分布を明らかにいたしました。
これは複数回入院に関してこのようなエビデンスが出たのは初めてでございまして、日本消化器病学会の欧文誌に投稿しまして、受理されております。
また昨年の米国肝臓学会で、複数回入院における治療法が、治療回数が増えるに従ってどのような感じになってくるかということについても発表しておりまして、黄色いバーでありますのがシステミックセラピー、具体的には薬物療法、抗がん剤等による治療法ですけれども、これらの患者さんの割合が実際再発を繰り返すごとに増えていくことを報告しております。
また肝硬変に関しましてもエビデンスを収集しておりまして、バソプレシンV2阻害剤といいまして、これは入院で導入しないといけない利尿剤なのですけれども、我が国で認められている利尿剤の使用頻度は、入院回数が増えるごとに増加しているということも分かっておりますので、こちらをフィードバックして、肝硬変のガイドラインに今後活用していただきたいと考えております。
最初のまとめですけれども、再発・再燃を特徴とする肝がん・非代償性肝硬変の診療実態について、患者ごとの複数回入院の情報を集約できるデータベースが構築されつつあります。現在、5年分を構築いたしました。2022年、今年度ですけれども、予後調査も実施しておりますので、これらに加えて生存率等の解析を今後行っていく予定であります。
現在、進行肝がんの診療は外来診療に移行しつつあります。手術やアブレーションといった入院治療を必要とするデータだけでは外来診療について収集することが困難でありますので、同じNCDのデータベースのプラットフォームを用いて分子標的薬のデータ収集を先ほど御説明しました国立国際医療センターの國土先生が始めていらっしゃいます。実際このデータベースの設計は私が担当させていただきましたので、こちらと今年度からは連携することによって、外来診療を主体とする分子標的薬、高額診療になりますけれども、こちらの実態把握も今後行っていける予定となっております。
5年分集まったところで、まだ試作段階ではありますけれども、それぞれの班員の先生方にも様々な解析を試みていただいております。
例えば外科系委員であります長谷川先生には、2回3回と切除される患者さんの実態調査について、今、調べていただいております。御覧いただいて分かりますように、5年分集めたと申しましても、例えば3年たってから切除して、2020年に切除して、まだ3回再発されている方は少のうございますので、まだ3回再発はそれほど多くないのですけれども、このようにそれぞれのプロファイルについて解析しております。今年度のデータが集まりますと、さらにここに生存調査が入ってまいりますので、これらから再発の再切除例の実態について御発表いただく予定としております。
また工藤委員は、先ほど来ありますように最近進歩が著しい免疫チェックポイント阻害剤ですが、大変高い効果を示しているわけですけれども、これらによって従来は進行肝がんと診断された場合は根治的治療を受けることは困難だったわけですけれども、その中に根治的治療にたどり着ける患者さんたちが出てきているということで、彼らはこれをABC、アテゾリズマブ・ベバシズマブ・コンビネーションの略でABC-Conversionと名づけていらっしゃいますけれども、それによっていずれお薬が必要なくなって、臨床的治癒が得られるような患者さんも増えていくのではないかということで、これらの戦略について御発表いただいております。
また吉治委員は、慢性肝疾患において昨今は肥満が問題になっておりますが、一方でアルコールの問題も根深く残っておりまして、依存症の方が少なからずいらっしゃる実態を明らかにされておりまして、今後この辺りの啓発活動、またガイドラインへの反映をしていただく予定であります。
まとめになりますけれども、レジストリを基盤としてエビデンスを創出し、肝がん・肝硬変のガイドライン改訂を通じて、我が国の肝硬変診療の向上に寄与していきたいと考えております。
御清聴ありがとうございました。
○小池会長 建石参考人、どうもありがとうございました。肝がん・肝硬変のレジストリ研究といいますか、結果的に研究を進めるうちに肝がんの治療も様変わりしてきている、薬物治療の占める割合が増えてきている、そのようなことを今年度の時点でお話しいただきました。
何か御質問や御意見がございましたらお願いいたします。
山﨑委員、どうぞ。
○山﨑委員 日肝協の山﨑です。
御発表ありがとうございました。資料4の37ページの治療回数と治療法の表の読み取り方について質問します。治療法が切除のところでは、1回目の3,628の数字は全て患者の治療法が切除であり、2回目の220という数字は、1回目も切除であった患者が2回目も切除を行った数と、1回目は切除以外の治療を行った患者が2回目に切除を行った数の両方が含まれた数と読み取ればいいのでしょうか。3回目以降や他の治療法の数についても同様に読み取ればいいのでしょうか。読み取り方について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○建石参考人 御質問ありがとうございます。御指摘のとおり、2回目の切除というのは、1回目が例えば穿刺療法であった方も含まれております。そういう意味ではこれらの複数回の組合せはもっと多数になるわけですけれども、実際の内訳としましては、ちょっと細かい数字は失念いたしましたけれども、2回目の切除の方のほとんどが1回目も切除であると認識しております。
○山﨑委員 ありがとうございました。
○小池会長 ほかに御質問やコメント等がございましたらお願いいたします。
よろしいですか。
では、ちょうど10分遅れで、時間を守っていただきましたので、次に移らせていただきます。
続きまして、考藤達哉委員から研究成果の御発表をお願いします。資料5を御覧ください。
では、考藤先生、よろしくお願いします。
○考藤委員 小池先生、ありがとうございます。国立国際医療研究センターの考藤です。
それでは、私たちの政策研究班の指標の調査結果につきまして御報告させていただきます。
今日はもちろん肝炎政策についての会でありますので、いろいろと肝炎室からも御紹介がありましたけれども、そもそも私たちの研究班がなぜ指標の作成と調査を行っているかということをまず最初に御説明いたします。
こちらは肝炎の総合政策を図示したものでありますけれども、やはり我が国において肝硬変・肝がんによる死亡者の数を減らす、これが目標になりますけれども、この最終的な目標を達成するためにはそこに至る幾つかのステップが重要で、それぞれのステップを確実に、効果的に行い、次のステップを踏んでいくという連携が非常に重要であることは論をまたないわけであります。
この流れを例えば具体的に考えてみますと、ウイルス肝炎検査の受検があり、あるいは陽性者を実際に肝臓専門医につないで、治療の有無を評価し、適切な治療を行うといった流れが必要でありますし、治療後のフォローも重要であります。加えて様々な肝炎制度設計がされておりますので、それを必要な方に適切に御利用いただく、これが非常に重要になってまいります。
これまで各都道府県が自治体の施策としてそれぞれの数値目標を設定しながら目標を掲げて実施してきた流れがありますけれども、そもそも全国的に統一されたこういった尺度がないことがありまして、政策を俯瞰的に評価し、必要なところをあぶり出して提言を行い、改善につなげる、このためにはある程度統一した尺度が必要であることから、6年前になりますけれども、私が研究班を拝命いたしまして、指標の作成を肝炎事業、さらには肝炎医療について行いました。加えて拠点病院も重要な役割を果たしておりますので、拠点病院の事業指標も行いました。
私たちはそういった指標の作成と調査を行いつつ、同時に日本の肝炎の政策のすばらしいところを世界にアピールする必要があるという思いから、英語論文の作成も積極的に行ってまいりました。最初に肝炎政策について基本法を中心としたレビューアーティクルを作成し、これを発表いたしました。こちらは大変多くサイテーションいただいております。
指標の考え方になりますけれども、肝炎医療指標を作成するときにがんにおきましてクリニカルインディケーター、いわゆる医療指標が既に検討されていましたので、それを参考にしながら肝炎医療に関しては作成いたしました。様々な事業におきましてもこの指標は運用されておりまして、考え方の基本としては分母と分子を設定し、それを数値表現として扱う。つまり達成度が低いものはゼロ、全てうまくいっているものが1.0ということで、ゼロから1の間の数値によってその事業あるいは医療の評価を行うという考え方になります。
具体的に一例を示しますと、例えば自治体のフォローアップ事業に関する指標の1つとして、一番下に示しておりますが、指標値をどのように設定するかということでありますけれども、ある都道府県の全部の市町村の数を分母に取りまして、その中でフォローアップ事業を実施している市町村を分子に取りますと、その都道府県におけるフォローアップ事業の実施状況が数値化できる、このような考え方になります。
今日はここに掲げた我々の研究班、先行研究班を合わせて計6年間の活動になりますけれども、全てを説明させていただく時間はございませんので、肝炎医療指標、拠点病院と専門医療機関における指標の推移、自治体医療指標の推移、それから臨床的な肝硬変の移行率の評価指標の検討、さらに国民調査、最後に啓発事業に関する取組の点に関しまして御紹介したいと思います。
こちらはスキームになりますので割愛させていただきます。
肝炎政策において、私が所属している肝炎情報センターは先ほど来お話がありましたとおり、全国の診療拠点病院と連携しながら肝炎医療、肝炎事業を進めていく立場にあります。それを振り返りまして、やはりこのような形でレビューとして報告させていただきました。
まず最初に肝炎医療指標の策定と調査過程についてこのスライドでお示しいたします。2017年度に指標班として立ち上がりまして、デルファイ法によってコンセンサスを得ることによって肝炎医療指標を策定し、その後、継続評価をしております。指標の検討委員会を立ち上げまして、こちらには患者団体の方々にも入っていただきまして、外部委員として御意見を頂戴しながら、適切な肝炎医療指標を作成していったという経過がございます。最終的に計5年間の調査結果ということで、先日指標調査の結果の報告会もさせていただきまして、様々な御意見をいただきました。
ベースとなりましたワークシートの一例をここにお示しいたしますけれども、肝炎医療は様々な医療の内容があるわけなのですが、やはりベースラインとしてよりどころにしたのが診療ガイドラインあるいは厚労省からの通知等を基に肝炎医療指標を分母と分子で規定しまして、外部評価委員、内部班員の評点を5段階でつけまして、評点の高いものからさらに検討を加えて文言の修正を行ってきたというのが肝炎医療指標の作成方法になります。
肝炎医療指標は全部で5つのカテゴリーにありまして、最終的に29指標の経年調査を行いました。調査対象はまず最初に拠点病院71施設になります。調査期間は下記に示しているとおりであります。
具体的な肝炎医療指標の内容に関しましてはお手元に資料としてお渡ししておりますので、そちらを御覧いただきたいと思います。
加えて、今日先ほど来話題になっております肝疾患の専門医療機関、これは全国に3,000以上あるというのは非常に多い施設になるわけなのですが、こちらでも多くの肝炎患者さんが診療を受けておられるという実態があります。ただ、専門医療機関の中にも1次医療機関から3次医療機関まで含まれておりまして、それぞれ診療における温度差がございます。やはりこちらの実態を調査する必要があるということで、私たちの研究班ではまず全てを取り扱うことは難しいので、パイロット調査ということで10の都道府県を対象にした調査を、簡易版を用いて行いました。
こちらが肝炎医療指標の調査方法になります。こちらも手元のスライドで御覧いただきたいと思います。
結果に移ります。まず拠点病院を対象にした肝炎ウイルス指標の代表例だけお示ししますけれども、左がB型肝炎、右がC型肝炎であります。一番下にそれぞれの肝炎ウイルス指標の説明が書いてあります。まず左のB型肝炎の肝炎医療指標を見ていただきますと、0.8を一応の合格点といいますか、基準以上の肝炎診療として定義しておりますけれども、ほぼ全てのB型肝炎に関する診療指標は合格点を達成していることが言えます。右側のC型肝炎の指標を見ていただきますと、初年度一番低い指標値であったのが2回目の治療の前のHCVの耐性変異検査の実施状況でありました。こちらは経年的に改善傾向を認めておりまして、最新のデータではまだ0.8を切っておりますけれども、ほかの肝炎医療指標を見ていただくと、2021年はコロナの影響で少し低下しておりますけれども、2022年にまた回復しているという傾向が見て取れます。
こちらは、全ての肝炎医療指標を算定いたしまして、全体の指数として評価いたしましたブロックごとの成績表ということになります。レーダーチャートに入れまして、外側に突になっているほど実施状況がいいと読んでいただければと思いますけれども、各ブロックにおきまして、それぞれ少し出ているところ、あるいは引っ込んでいるところがあることはお分かりいただけるかと思います。
これは全て均一にしまして、左に経年的なレーダーチャート、一番右に最新の、2022年度のブロック別の肝炎診療の全体指数ということで出しておりますけれども、やはり2021年度少し内側に入っておりまして、肝炎医療全体がコロナの影響を少し受けたということが見て取れるのですが、右側を見ていただきますときれいなダイヤモンドになっておりますので、ほぼ均てん化された肝炎医療がブロックにかかわらず実施できていることがお分かりいただけるかと思います。
専門医療機関に対しては、先ほど申し上げましたように対象自治体数が10で、計50強の施設の調査をパイロット的に行いました。上段を見ていただきますと1次2次3次の医療機関が含まれておりますけれども、どうしてもそのような調査方法の縛りがありましたので、1次医療機関のデータがこの調査では十分反映されていないことは御理解いただきたいと思います。上段の右はウイルス肝炎治療の延べ患者数で、大変多くの患者さんが専門医療機関にかかっておられることが分かります。その中でやはり院内連携指標が非常に効率的な肝炎医療を実施するために重要になってまいります。電カルのアラートシステムあるいは個別の紹介システムがあるかどうかという調査になりますが、約半数強の専門医療機関でそういったシステムが整っていることが分かりましたけれども、逆に考えますと、まだ半分弱の専門医療機関ではこのような院内連携の体制がまだ十分でき上がっていないことが見て取れました。
肝炎医療指標調査に併せまして診療連携指標の調査も行いました。こちらはB型肝炎・C型肝炎別に紹介率、逆紹介率、診療連携率ということで、このように分母と分子を設定しまして、計4年間の調査を行いました。
上段に紹介率、逆紹介率、下段に診療連携率を示していますけれども、やはり見てお分かりのとおり2021年はコロナの影響を恐らく受けて紹介、逆紹介が低下しておりますし、診療連携率に関してはあまり伸びていっていないという実情がお分かりいただけるかと思います。下段の右には診療連携に関する意識ということで聞いておりますけれども、ちゃんとそれを意識されて診療されていることが分かる一方で、あまりしていないところの結果が多かったのがかかりつけ医との診療連携ということで、専門医とかかりつけ医の診療連携が専門医療機関においても非常に1つ課題になっているのかなと思います。
次に自治体事業指標の調査結果です。細かな指標の分母と分子に関しましてはお手元の資料で御覧いただきたいと思います。
こちらもつい先日自治体事業指標のインディケーターとして、これも英語論文に発表いたしました。何とか海外の人からもこのようなことの取組を分かっていただきたいという思いからであります。
まず最初に重症化予防推進事業の実施状況ということで、ドットといいますか、丸とか四角の表記がそれぞれの都道府県の成績になります。それを全ての年度ごとに分布を見るとこのような形になるということで御理解いただきたいと思います。左側が初回精密検査費用助成、右が定期検査費用助成で、こちらは2017年から2019年の3年度版の経緯ということで見ておりますけれども、初回精密に関してはあまり変化がない。ただ、定期検査費用助成は、この3年間では右肩上がりであるということが分かります。つまり実施が進んでいるということであります。
続きまして、初回精密の検査費用助成受給率、フォローアップ実施市町村数、定期検査費用助成受給率になります。こちらは4年間のデータをお示ししますけれども、初回精密に関しましては2020年若干低下しているということで、初めて低下になってしまっているところがあります。フォローアップの実施市町村も17から18年にかけて若干低下、その後は一定ということが分かります。定期検査費用助成は先ほど申し上げたとおりなのですが、最新のところは少し低下傾向にあるかなというデータでありました。
続きまして、B型肝炎の核酸アナログ製剤の治療助成受給率、右がインターフェロンフリー治療の助成受給率になります。B型肝炎の核酸アナログは一度始まりますとやめる方はほぼいらっしゃいませんので、だんだん積み上がってくるような形になるわけなのですが、2020年度は若干低下傾向にあることは見て取れます。一方でインターフェロンフリー治療の助成受給率は経年的にどんどん下がってきているということで、こちらはC型肝炎に対する治療がほぼほぼ行き届いてきている結果ではないかなと思います。
自治体事業調査の最後の1つのデータとして肝炎医療コーディネーターの配置状況調査の指数をお示しします。左から拠点病院、専門医療機関、保健所、市町村の担当部署になりますけれども、それぞれの部署に少なくとも1人の肝炎医療コーディネーターの方がいらっしゃったら、それは1と算定しております。経年的にコーディネーターの配置がどんどん進んできていて、右肩上がりに増加していることが見て取れます。あえて言いますと、市町村の肝炎担当部署はそれ以外の実施場所に比べると全体的に数値が低いわけですから、こちらの配置をもっと進めていく必要があろうかと思います。
こちらは指標の数値を使った相関解析になります。少し読み取りにくいデータにはなりますけれども、肝がん死亡率との相関を見た場合に、やはり様々な指数の多い少ないといったものが都道府県でのこういった肝炎事業の取組の熱心さを少し反映しているというような解釈が成り立つかなと考えております。
続きまして、肝臓の病態推移の評価指標を作成するということで、全国どちらの病院でもできる方法として血液検査を用いたAPRI/FIB-4という指数がありますけれども、これが肝臓の病気を全体的に、経年的に評価できるのかといった観点から、2つの方法で臨床研究として実施いたしました。
こちらも論文になって、報告させていただきました。
最後に、国民調査、ウイルス肝炎受検率の意識調査になりますけれども、田中先生の疫学研究班と合同で、計3回の全国規模の調査を行っております。こちらのスライドに示しているとおり、認識受検・非認識受検に分けた受検率を算定し、そういった受検率の推移を評価しております。最新の国民調査では、これに加えまして認識受検・非認識受検の特徴あるいはかかりつけ医から専門医の紹介状況、ウイルス肝炎検査で陽性になった方の肝臓専門医の受検状況についても深掘りの調査を行いました。
まず受検率の推移になります。一番下に2011年、一番上に2020年の調査結果を、左側にB型、右側にC型の結果としてお示ししております。濃いブルーが認識受検、薄いブルーが非認識受検ということで、これを足した数値を検査受検経験率、ウイルス肝炎検査を受けた方の率になりますけれども、これを評価しております。2011年、例えばC型肝炎で見ますと、検査受検経験率が48%。それが2020年度調査では59%ということで、約12ポイントの上昇が見て取れます。この上昇はいろいろな肝炎政策の推進の成果かなと思っています。
それを年代別、地域別に見たグラフになります。これを見てみますと、B型・C型ともに、赤枠で示したところですが、60歳代に認識して検査を受けていった方がたくさん含まれていることが分かります。この60歳代はウイルス肝炎の陽性率の高い世代でもありますので、必要なところにある程度十分なウイルス肝炎検査ができてきたということかなと思います。
認識して、ウイルス肝炎が陽性であると分かった後で要精密検査という指示が出たときにどうするかということの意識調査を行っております。こちらは年代別にその結果を分けて示しておりますけれども、興味深いのは若者の世代、20代や30代は家族・友人に相談する、あるいはインターネットで情報収集すると、非常に実情を反映していると思いますけれども、かかりつけ医を受診し相談するという左の下のところになりますけれども、こちらは全体で47%いらっしゃったわけなのですが、見てみますと60代以上の高齢者にそういったかかりつけ医を信頼して相談する方が非常に多かったことが分かりました。
実際に肝炎ウイルス検査の結果、陽性であった152人の方のその後の行動のフローを調査してみますと、医療機関を受診したという方が約9割いらっしゃって、最初にかかりつけ医を受診した方がそのうちの半数であったということです。その後、かかりつけ医から肝臓専門医に紹介のあった方がそのうちの約半数で、これを見ますと肝臓専門医にきちんと紹介された方は、こちらのかかりつけ医が肝臓専門医だった方も加えますと、かなりの部分がきちんと紹介されてきたのかなと思いますし、もう少し言うならば、かかりつけ医の重要性がこの調査の結果から裏づけられたことが分かります。
肝炎ウイルス検査を受けたと答えられた方で、なぜ受けたか、受けたことを覚えていたかという理由を深掘りで聞いてみますと、この赤枠のところになりますけれども、御自身が健康に関する意識が高いから、あるいは2段目になりますけれども、いろいろな方法あるいはニュースによって情報がきちんと届いた方、こういった方々が御自分がウイルス肝炎検査を受けたことをきちんと覚えていらっしゃったというデータが取れました。ということは、やはりきちんと情報を伝達して、その人にとって実感できるような内容を伝えていく必要があるだろうという情報伝達の重要性が改めて浮き彫りになったと思います。
そこで私たちの研究班では、特に若い世代を中心にアプローチするために、遊びを取り入れて肝炎に関する知識を学んでいただくための資材、通称「肝炎すごろく」と呼んでおりますけれども、こちらの開発を行いました。すごろく形式でサイコロを振りながらゴールを目指すわけなのですが、ゲーム性を加えまして、各こまの指示を果たすことによって、肝臓にとってためになる行動を学んでいただく、あるいはクイズ形式によって肝炎にまつわるいろいろな情報を学んでいただくということで、ゲームの中で肝炎医療コーディネーターの役割あるいはその重要性についても併せて学んでいただくようなつくりにしています。
こちらは全国の拠点病院に配って、現在、指標調査を行いまして、加えて一般の人を対象にして、実際に「肝炎すごろく」で遊んでいただきまして、その前と後とで実際に知識がどれくらい定着したかといった調査を行いました。対象は311人です。いろいろな世代に関して調査ができまして、遊ぶ前と後とでこのように点数がいずれの世代においても改善した。特に小中学生でも学びの効果が得られたということは、このような遊びを通した学び方が1つ肝炎の現場においても重要であろうということが確認できたわけです。
まとめになります。今回肝炎医療、自治体事業の指標を中心にその結果を御紹介いたしました。こういった指標の経年調査が極めて重要であると私たちは考えておりまして、それによって肝炎の総合政策の推進を俯瞰的あるいは都道府県別に評価し、改善のポイントを見ていくことができるだろうということで、引き続き行っていきたいと思います。
以上になります。どうもありがとうございました。
○小池会長 考藤先生、どうもありがとうございました。大変貴重なデータをお示しいただいたと思っております。
時間も限られておりますけれども、ただいまの御説明に関しまして御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
出田委員ですね、お願いします。
○出田委員 考藤先生、御報告ありがとうございました。今後、先生の御研究が肝炎対策に活用されることを期待しております。
そこで質問ですけれども、提言はいつ頃出される予定ですか。また項目ごとの提言は出していただけるのでしょうか。お尋ねいたします。お願いいたします。
○考藤委員 御質問ありがとうございます。私たちもこういった調査の結果、改善点をできるだけ提案したいという最終的な目標で活動しておりますので、提言をまとめてしかるべきところに見ていただくことが大変重要だと考えています。少し触れましたが、先日指標の報告会を行いまして、各医療調査の結果から研究班として何を言っていくかということを少しまとめております。その報告会のときに外部委員の方々も含めまして様々な御意見を頂戴しまして、現在、提言内容、表現の仕方あるいはデータの返し方といったところを検討し始めているところですので、おっしゃるとおり提言をしかるべきところに見ていただくことが非常に重要だと考えておりますので、そのように進めてまいります。
○出田委員 ありがとうございました。大変期待しております。よろしくお願いいたします。
○小池会長 ありがとうございました。
ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。
よろしいですか。時間も過ぎておりますので、では考藤先生、どうもありがとうございました。
それでは、全体を通して何か御意見がございましたらお願いいたします。もしくはないようでしたら事務局から。
○岡野肝炎対策推進室長 事務局からよろしいでしょうか。
最後の連絡に入る前に、時間も過ぎているところをすみません。山﨑委員から御質問をいただいたデータに関するところを補足させていただければと思います。2次医療圏で専門医療機関がないところは何か所かというお話でございました。結論から申しますと、全国で7か所なのですけれども、データにつきまして詳細な資料を、参考資料5として今回の資料2のバックデータをまとめさせていただいております。後ほど御確認いただければと思いますが、今、申し上げた2次医療圏の専門医療機関につきましても、その中の5枚目辺りに専門医療機関に関する質問事項がまとまっていまして、今、申し上げた県別の2次医療圏の指定のない地域があると答えたところが7都道府県ございまして、その脇に具体的な地域名でありますとか、指定されていない理由も書いてございますので、御確認いただければと思います。
以上でございます。
○小池会長 参考資料5の5枚目辺りですね。そういうことでございますので、後で確認をいただければと思います。
それでは、特になければ。ありますか。
○出田委員 私たち薬害肝炎原告団は今回要求書を提出しております。C型肝炎患者の立場から出しておりますので、ぜひ参考資料9を委員の皆様方、お読みいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
○小池会長 山﨑委員も何かありますか。
○山﨑委員 今、報告をありがとうございました。全国で7か所というかなり限定された状況ですので、何とか7か所が全て埋まるように、また御尽力いただけたらありがたいと思います。
それから、時間が過ぎていて申し訳ないのですけれども、資料の提供の在り方について事務局にお願いがあります。本日の協議会のために膨大な資料を作成されて、各委員に提供されるのは大変御苦労があるかと思いますけれども、本日の開催が10時で、資料の提供があったのが前々日8日の19時頃であったと思います。資料が提供された後にデータを項目ごとにダウンロードし、印刷するにもすごく時間がかかりました。またその資料を読み解くのにも相当な時間がかかりました。この状況は私だけではなくて、全ての委員が同様だったと思います。様々な事情があって早く資料を提供できないのかもしれませんけれども、次回からはもう1日でも少し早く資料を提供していただければありがたいと思います。御検討をよろしくお願いします。
以上です。
○小池会長 米澤委員。
○米澤委員 時間のないところを申し訳ありません。例年協議会は年2回ですけれども、今年度は1回限りでした。2回分を今日1回でぎゅっと凝縮したために、先生方の非常に貴重な御報告がたくさんあったのですが、議論を深めることができず、大変残念に思っています。来年度は2回にしていただけるかどうか伺いたいのです。
○小池会長 事務局、いかがでしょうか。
○岡野肝炎対策推進室長 協議会開催に当たって議題もございまして、用意させていただくものもございますので、また、委員の皆様の状況も踏まえ、調整させていただいた上で開催回数を含め検討させていただきたいと思います。
○小池会長 よろしゅうございますか。
○米澤委員 ありがとうございました。
○小池会長 いいですか、及川委員、何かございますか。マイクがミュートになっています。マイクがオフになっています。
○及川(綾)委員 時間がない中、申し訳ございません。米澤委員の意見と同意見なのですけれども、重要なことがたくさんある中でほとんど議論ができない状態であったことがとても残念です。今後スケジュールについて十分考えていただきたいという要望です。よろしくお願いいたします。
○小池会長 ありがとうございました。
それでは、議事を終了といたしまして、事務局から連絡事項等がございましたらよろしくお願いいたします。
○岡野肝炎対策推進室長 本日は長時間にわたりまして御審議いただきありがとうございました。今ほど御要望もございましたが、次回の開催日程につきましては、また事務局にて調整させていただいた上で御連絡させていただきたいと思います。
以上でございます。
○小池会長 それでは、これにて閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。失礼いたします。
 

照会先

健康局がん・疾病対策課肝炎対策推進室

室長補佐 野沢 彰紀
係長     有賀 裕子(内線2948)

(直通) 03(3595)2103
(代表) 03(5253)1111