2023年2月14日 第2回中央職業能力開発促進協議会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和5年2月14日(火) 10:30~12:30

場所

中央合同庁舎第5号館 専用第14会議室

議題

(1)令和4年度第1回地域職業能力開発促進協議会における協議状況について
(2)令和5年度全国職業訓練実施計画(案)について
(3)今後の人材ニーズに関する関係省庁からの報告
(4)公的職業訓練効果検証ワーキンググループの進め方について
(5)その他

 

議事

○藤村座長 皆さん、おはようございます。ただいまから「第2回中央職業能力開発促進協議会」を開催させていただきます。構成員の皆様においては、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の協議会は、対面形式・オンライン形式を組み合わせて開催いたします。また、傍聴を希望される方々には全て公開としております。本協議会冒頭の撮影を御希望の方は、人材開発統括官からの開会挨拶までとさせていただきます。挨拶終了後は、感染防止の観点から、別途、低層棟の3階に傍聴会場を用意しておりますので、そちらで傍聴いただくようお願いいたします。
 まずは委員の交代がありましたので御紹介させていただきます。今回から、日本労働組合総連合会より山脇義光労働法制局長に御参加いただくこととなっております。山脇委員、どうぞよろしくお願いいたします。
○山脇構成員 よろしくお願いします。
○藤村座長 本日は、委員全員が御出席となっています。政府からは、厚生労働省に加え、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省及び国土交通省が出席、オブザーバーとして2団体に出席していただいております。
 まず初めに、奈尾人材開発統括官から挨拶がございます。
○奈尾人材開発統括官 人材開発統括官の奈尾です。皆様方におかれましては、日頃から人材開発行政の推進に当たり、格別の御協力を頂いていることに、まずもって感謝申し上げます。
 さて、政府においては、成長と分配の好循環による「新しい資本主義」の中で「人への投資」を抜本的に強化することが打ち出されております。また、デジタル推進人材の育成については、昨年末に「デジタル田園都市国家構想総合戦略」が策定され、改めてデジタル推進人材を2026年度までに政府全体で累計230万人を育成するということが宣言されております。こうした中、職業訓練についても、人材ニーズを適切に反映するとともに、求職者、労働者の多様な属性等を踏まえた精度の高い職業訓練を提供することが求められております。
 昨年9月に開催した第1回中央職業能力開発促進協議会においては、職業訓練の実施状況等を分析し、来年度の全国職業訓練実施計画の策定方針を協議いただきました。これを踏まえ、本日は、令和5年度の全国職業訓練実施計画の具体的な策定について協議をお願いすることとしております。
 また、後ほど御報告いたしますが、昨年10から11月にかけて、全国47都道府県において開催された地域職業能力開発促進協議会では、職業訓練の実施状況から就職率等に課題のある分野とその解決策について協議いたしました。また、地域の今後の産業展開を踏まえた人材ニーズの報告や、独自に構成員を招聘するといった工夫により、地域ごとに特色のある議論があったものと承知しております。
 地域職業能力開発促進協議会では、今後、地域ごとにニーズや特色をいかした職業訓練実施計画を策定いたします。この計画では、令和5年度の職業訓練の実施計画を設定することに加え、後ほど総務省から御説明いただきますが、特別交付税措置の対象となる事業について、地域職業能力開発促進協議会での協議を経て、地域職業訓練実施計画に位置付けられたものが対象となることになっております。これらの検討に資するよう、本日の協議内容や全国職業訓練実施計画については、速やかに情報共有することとしております。
 本日は、皆様方に積極的な意見交換をお願いいたしまして、私からの挨拶とさせていただきます。本日もよろしくお願いいたします。
○藤村座長 どうもありがとうございます。それでは、議題に入る前に、本日の注意事項について、事務局より説明をお願いします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 皆様、おはようございます。訓練企画室の鶴谷と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、報道関係者の皆様方については、撮影はここまでとなります。いらっしゃいましたら低層棟のほうにお移りください。
 事務局から事務練絡をさせていただきます。構成員の皆様におかれましては、御発言を希望される場合は、会場内の方は挙手で、オンラインで参加の方はZoomの「手を挙げる」機能により意思表示していただきまして、座長から御指名された後に、御発言をお願いいたします。また、オンライン参加の方におかれましては、Zoom接続、音声等に問題が生じたときは事前に送付したマニュアルに沿って、その旨をチャット機能か、メール又は電話で御連絡をお願いします。
○藤村座長 では、議事に入りたいと思います。まずは、議題(1)令和4年度第1回地域職業能力開発促進協議会における協議状況について、事務局から説明をお願いします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。それでは、皆様、お手元の資料の中から、資料1、通し番号の1ページをお願いいたします。
昨年改正した職業能力開発促進法により設置されることになった地域職業能力開発促進協議会は、令和4年10月から11月にかけて全都道府県において開催いたしました。この協議会においては、来年度の職業訓練実施計画の策定に向けて、主な協議内容として3つの点について話合いがなされました。1つ目が、職業訓練の実施状況、実績です。2点目が、地域の人材ニーズです。そして3番目として、その他関連の情報について情報共有させていただきました。
 また、今回の地域協議会については、関係機関の多数の皆様に御参画いただいております。例えば、リカレント教育を実施される大学や短大の皆様に28地域において参画いただきました。そのほかにも、産学官による人材育成・確保を進める共同体の関係者の皆様からも、情報共有いただいたところです。
 それでは、資料1の別添1を御覧ください。まず1番目ですが、地域の職業訓練の実績、実施状況について話合いがなされております。基本的には、離職者訓練について、就職率などから分野別に課題を把握して、その対応策について御議論いただきました。総じて多かったのは、応募倍率が低いということで介護分野についての話合いや、就職率が低いということでIT分野について意見交換がなされたところが多かったです。
 ただ、地域によっては、違う分野などについて意見交換がなされましたので、特徴的なところだけ御紹介させていただきます。まず、富山においては、応募倍率が低い分野として、製造分野や建設関連分野について取り上げられ、対応策としては、ハローワークでの受講勧奨の強化が提案されております。石川においては、実績が少なかったということで求職者支援訓練の基礎コースについて意見が出されております。兵庫においては、主要産業である製造分野について定員充足に問題があるということで意見がなされております。
 一般的に取り上げられやすい分野について話合いがなされても対応策については、それぞれの地域で異なっておりましたので、具体例として2つ取り上げさせていただいております。まず奈良については、IT分野について就職率が低いということで取り上げていますが、対応策といたしましては、県内の受入れ企業が少ないと考えられることから事業主への働き掛けが必要ではないかなどの意見が出されております。熊本については、就職率が高いけれども、応募倍率が低い分野として、介護・医療・福祉分野を取り上げていますが、その対応策として、例えば職種に対する理解やイメージアップが必要ではないかということで、そのための説明会なども開催してはどうかというような御意見がありました。
 3ページ、別添2を御覧ください。協議内容の2番目として、地域の人材ニーズについての話合いがなされております。全国的には、デジタル分野について取り上げられるところが多かったです。ただ、それ以外のところを取り上げる都道府県もありましたので、特徴的なところだけをかい摘んで御説明いたします。
 まず、宮城では、ITについて話合いがなされております。首都圏からのIT企業が積極的に進出されている状況の中、地元の中小企業でも、採用意欲が高く、人材確保に懸念があるとのことで、対応策としては、県内企業のデジタル化に向けて、離職者訓練や在職者訓練でもデジタル分野の充実化を図っていくべきではないかといった話合いがなされております。大阪では、将来の大阪万博を見据え、建設や運輸などの人材不足で苦慮しているとのことで、そういった人材不足分野での話合いがなされておりました。
 山口や福岡では、デジタル分野ではない分野についても取り上げられております。例えば、山口は観光関連産業、福岡は介護・医療・福祉分野、製造分野、旅行・観光分野、建設関連分野などの人手不足感について話合いがなされており、対応策としては、人手不足感が大きい分野の訓練について、労働市場のミスマッチの解消に向けて、仕事の魅力を伝えられるような働きかけを強化していこうといった意見が出されております。
 別添3です。その他地域によっては様々な分析をいたしまして、その結果について情報共有させていただいております。今回は幾つかの労働局において、調査した結果を御報告させていただきました。例えば2番目の栃木においては、県内企業を対象とした「ハロートレーニングに関するアンケート調査」をされており、その中で「従業員を採用するために必要と思う職業訓練」について確認したところ、「パソコン」が最多の答えとなっております。一番下の香川ですが、今度は逆側で、ハローワーク窓口で求職者の方々にアンケート調査をしたところ、希望される訓練の種類としては、水準は様々ですが、パソコン関係を挙げられる方が多かったということです。
 5ページを御覧ください。別添4です。先ほど申し上げましたとおり、今回の地域協議会においては、様々な関係機関の方々に御参画いただいて情報共有したところです。例えば、リカレント教育を実施する大学などにも御参画いただきました。福島においては、公立の会津大学から、県内就職・起業のできる方向けの育成を目指す「女性のためのITキャリアアップ塾」の取組を説明していただいて、情報共有したと伺っております。
 一番下のコンソーシアムの関係ですが、これは産学官が一緒に、人材確保、人材育成について取り組んでいく共同体です。大阪においては、蓄電池関連のコンソーシアムを形成しており、近畿経済産業局から、今後の予定について御報告いただいているところです。熊本については、半導体のコンソーシアムがあり、今後の取組のほかに、熊本県から例えば県立技術短期大学において新学科を設置するという今後の予定を御説明いただいたと伺っております。御説明は以上です。
○藤村座長 どうもありがとうございました。ここから質疑に入りたいと思います。関口構成員ですね、どうぞお願いします。
○関口構成員 全国専修学校各種学校総連合会委員長の関口でございます。資料1の概要の所についてです。2つ目の見出しの「地域独自に招聘した参加者」ですが、リカレント教育を実施する大学等の参画ということですけれども、確認をさせていただきますと、専門学校のほうには声が掛かっていないということでした。それぞれの県の専各学校協会は、地域協議会の構成員にはなっているということですけれど、これはやはり個別の声掛けということであれば、専門学校にも声を掛けていただきたい。大変ユニークな講座等々もございますし、様々な長期高度人材育成コースとか、求職者支援訓練とか、その他、専門実践教育訓練も含めまして、リカレントは全体として、厚く取り組んでいるところでもありますので、やはり専門学校のほうに声が掛からないというのは片手落ちではないかと思います。専門学校のうちの文部科学大臣が認定しました企業との連携を認定要件とする職業実践専門課程は、大体4割弱がその課程に認められていますけれども、これについて特別交付税の支援が25都道府県において、令和4年度から出発して、これは段々増える傾向にあります。
 その背景としましては、やはり認定要件が企業との連携ということですので、そのような地場産業というか、そこへの就職や関係性が深いことを、各地域の認識の下に、全国知事会が強く要望して、この交付税が成り立っているような事情もございます。リカレント教育に向けて、専門学校が大きく伸び出しているという機運というものもございますので、是非、個別の学校への声掛けもお願いしたいなと思います。よろしくお願いいたします。
○藤村座長 どうもありがとうございます。今の点はいかがですか。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。おっしゃるとおり、今回は、各種学校、専門学校の連合会の皆さまには、既に協議会の構成員として御参画いただいております。今回は個別にリカレント教育を実施している大学や短大、それから高専の皆さまに御参画いただけませんかというように公募はさせていただいたのですけれども、そこには専門学校、各種学校が入っていないような状況でしたので、次回の協議会からは、その周知の対象として、各種学校、専門学校も含めるようにしたいと思っております。御意見ありがとうございました。
○藤村座長 ありがとうございます。そのほかに、いかがでしょうか。河島構成員、どうぞ。
○河島構成員 ありがとうございます。京都府の河島でございます。今、地域職業能力開発促進協議会の各府県の取組、優良事例について御紹介いただきましたが、京都から会議に出席しておりまして、京都の名前がなく肩身の狭い思いがいたしますので、ここで少し地元の紹介をさせていただけたらと思っております。
全体的な実施状況については、今御説明があったように、やはりIT、デジタル系の訓練は人気が高い、しかしながら、うまく就職につながらないということです。それから、介護分野は訓練生の募集に対して非常に苦労するのですけれども、ここは非常にうまく就職につながっている、これは前回のこの協議会でもお話のあったところで、全く京都でも当てはまるのかなと思っているところです。
 次に、地域職業能力開発促進協議会には今回から新たに2人のメンバーを招聘させていただきました。お一人は職業紹介事業者の方で、その方の話としましては、いわゆる民間の職業紹介事業の状況においては、未経験者であってもITの仕事に挑戦したいという方が増えています。それから、やはり女性の方々は事務系の職種を非常に希望されていて、ここはなかなか底堅いところがあるなと。それに対して、いわゆる出口の受手側である求人者側は、やはり公的職業訓練について、どの程度の訓練が実施されているかという中身の理解が十分できていないという現状があって、求人者側に対してもしっかりとした職業訓練の周知が必要ではないかといった御意見を頂きました。
 それから、もう一人は、先ほどお話がありましたように、リカレント教育に携わっております京都女子大学から副学長にお入りいただきました。この大学自体は4月から、いわゆるデジタルの関係の新しい学部を新設するというエポック的なタイミングでもあり、先ほどのお話とも重なりますけれども、ITあるいはデジタル人材に関しても関心が高まる中で、特に、文系女子のためのDX入門という講座をされて非常に応募倍率が高かったと。それから、在職の方に対しては、スキルアップ、そして仕事を探している方に対しては、就職にうまくつながるような好事例を御紹介いただいたところです。
 最後に一点ですが、去年の7月から雇用保険受給資格者が雇用保険制度を使って受講できる訓練に、求職者支援訓練が加わったところですけれども、それに伴い、都道府県実施の委託訓練の運営に少なからず影響が出ているところがありまして、ここについては今後、京都の地域職業能力開発促進協議会においても是正策について議論をしていこうという形になりましたので、併せて御報告させていただきます。ありがとうございます。
○藤村座長 どうもありがとうございました。佐久間構成員、どうぞ。
○佐久間構成員 全国中央会の佐久間でございます。ありがとうございます。各県の御報告を拝聴しまして、正に今はITの関係が非常に重要視されていますけれども、宮城県の内容に記載されている「ITを使った業務のマネジメントができる人材」がニーズになっているということが根本なのだろうと思います。また、静岡県ではプログラマーや、SEの育成、基本的にITスキルのある人材を育成して、一般企業のIT化を推進しようとするのか、マネジメントについてもカリキュラム化して訓練を受ける人材育成か、IT化の推進のための人材育成なのか、目的を明確にする必要がある。これが正に、全体の目標とこれからの方向性なのかという気がしております。
 在職者、そして求職者訓練については、すでに職業に就いていながら職業訓練を受ける方とまだ働いてない方、それぞれについて就業する目的というのがあると思うのですけれども、企業にしてみれば、どうしても即戦力が、今の時代、ITの活用については特に欲しいと。そしてその人材は、SE的な人材か、プログラマーとしての要素なのか、企業によってそれぞれ違うと思うのですけれども、この訓練・講習でそれだけの受講をしてきて、職業訓練をしたことによって、企業が望んでいるレベルまでいっているのかどうか。もちろん企業に入ってから、つぎのステップアップに向けて企業で鍛えていかなければならないことはあると思うのですが、その辺が職業訓練を通しただけで、この人材がどのぐらいのレベルなのかが分かりにくいところがあると思います。生産性の数字は個別企業ごとにはだしにくいと思うのですけれども、いわゆる全要素生産性に属するというのとなりますが、一つの項目になると思います。各企業では、人材を入れたことによってどれだけ業務が効率化されたか、すぐには出ないかもしれませんけれども、そういう資料を作るべきだと思うのです。全体とすれば、そういう数値は取りにくいと思うのですが、企業が求める人材というのは、やはり即戦力であり、そこの中で位置づけられるもの、これはIT人材で位置付けられるのを、どのように養成して、それを受け入れているかということがあるので、その辺の受け入れる実際のレベルとか、その辺が分かるようにしていただくと非常に有り難いです。少し難しいかもしれませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。
○藤村座長 ありがとうございます。IT人材と言っても非常に幅が広くて、企業側が求めている人材と、求職者側が考えるIT人材がしばしば解離している場合がありますね。それもあって就職になかなか結び付かないところがあるように思います。オンライン参加の北村構成員と平田構成員から手が挙がっていますので、まずは北村構成員から、お願いいたします。
○北村構成員 恐れ入ります。今日急遽、Webで入りまして、すみません。会場に行けなくて失礼いたします。北村でございます、どうぞよろしくお願い申し上げます。各地方の地域のほうは、それぞれ様々な工夫があって、また、その方向性とか対策が具体的になっているところ、また、この後に参考資料が付いておりましたが、それを見させていただくと、特徴が出てきたということで、多分、実施の後の年度計画の締めとか、そうしたところの報告の中でも、特徴を少し整理いただくとか、そんなことができれば大変有り難いと思っております。
 それから好事例と言いますか、良いところの、こんな方法とか、工夫をしたところ、また逆に、失敗したことの事例とか、そういうものをちょっと特徴的に出していただけると大変有り難いと思っています。
 それから前回申し上げたのですが、比較的若年層の方で、パソコンの所有がないというようなことで、そういったものの貸出しや支給など、いろいろなことができると思っていますので、そんな工夫のところを是非、今回のところを見ていても、リテラシーの問題もあって、まずパソコンを支給するとか、貸し出すことができればと思っていますので、その辺の工夫も是非いただければと思う次第です。大変ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
○藤村座長 ありがとうございます。では平田構成員、お願いします。
○平田構成員 感想を申し上げたいと思います。資料番号の別添1の2ページ、熊本の事例の「方針・意見」の所です。福祉・介護職の参入を促すことで、イメージアップということなのですが、実質が伴わないイメージアップだと参入にはつながらないのではないかなと思います。つながったとしても、結局ミスマッチになってしまうのではないかという感想を持ちましたので、念のために申し上げておきます。
○藤村座長 どうもありがとうございます。そのほかに、ございますでしょうか。山脇構成員、どうぞ。
○山脇構成員 連合の山脇でございます。今回から参画させていただきます。労働者保護、あるいは求職者保護の立場から参画してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
私からは、3点ほど発言させていただきたいと思います。まず1点目は、各地域で実施した効果が高かった訓練について全国内で共有してもらうことについて。こうしたことを通じて、全体的な訓練の質の向上につなげていただきたいと思います。
 次に、デジタル化への対応です。先ほど他の先生の御発言とも重なりますが、デジタル化と一口に言っても、企業ごとに求められるスキルの種類やレベル感、あるいはデジタル化の目的自体もかなり異なるものと考えます。政府は今年度「デジタル推進人材」に予算を付けていますが、想定されるレベルはかなり高度なものではないかと思います。高度なデジタル人材の育成のみならず、標準的なレベルのIT技術も含めつつ、地域あるいは労働者の様々なニーズの把握や効果検証を行っていただいた上で、訓練コースの設定をお願いしたいと思います。
 最後に、地域独自で招聘した参加者の中に社会福祉協議会が記載されていますが、各地域の事例には記載はありません。介護などの人材不足分野への訓練の必要性を踏まえれば、求職者支援訓練などの重要な訓練もありますので、今後、好事例の蓄積をお願いしたいと思います。
○藤村座長 どうもありがとうございました。そのほか、ございますでしょうか。よろしいですか。今、いただいた御意見を、是非、事務局でもいかしていただいて、特に、山脇構成員が最後におっしゃったように好事例を全国展開していくというのは、とても必要なことだと思っております。
 では次に、議題(2)令和5年度全国職業訓練実施計画(案)についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 それでは、議題(2)令和5年度全国職業訓練実施計画(案)の説明をさせていただきます。案自体は資料2-1ですが、資料2-2、通し番号の13ページを御覧ください。訓練実施計画を策定いただく前に実績等について振り返りたいと思います。
 第1回の協議会でもお示しした令和3年度の実績に関してです。前回の中央協議会でお示しした実績については速報値でしたが、今回は確報値による令和3年度の離職者向けの公的職業訓練の実績です。13ページは、離職者訓練を全てまとめたもので、14ページからは、各分野別訓練をお示ししたものです。公共職業訓練のうち、委託訓練と求職者支援訓練が14ページ、施設内訓練状況が15ページです。このうち、14ページの委託訓練と求職者支援訓練は、訓練の分野別に見て、応募倍率や就職率の高い低いについて分析して、皆様にも御意見いただいたと思います。数字は、若干変わっていますが、傾向としては大体同じです。IT分野については、委託訓練、求職者支援訓練ともに応募倍率が高いところは同じです。就職率は低くはありませんが、あまり高くない状況です。一方で、介護・医療・福祉分野については、応募倍率があまり高くはありませんが、就職率はどちらの訓練でも高いということは変わっておりません。また、受講者数に関して多かったものを見ますと、営業・販売・事務分野のほかに、IT分野や介護・医療・福祉分野が挙げられます。
 続いて、資料2-3、通し番号の16ページを御覧ください。こちらも第1回中央協議会にお示ししたものとほぼ同じですが、来年度の予算に関するものです。9月の協議会のときは、概算要求の段階でしたが、今回は予算案の段階でお示しいたします。数字に関しては、少し変わってはおりますが大体同じような規模感で、予算全体では1,162億円、訓練規模では41万人程度となっております。
 最後に、資料2-4、通し番号で18ページを御覧ください。こちらは、第1回中央職業能力開発促進協議会にお示しした資料そのものです。先ほど御覧いただきました令和3年度の実績と当時の計画を比較しながら、どういった分野に課題があり、どのような解決をしていくべきかということで、方針案を御提示いたしました。
 順番に申し上げますと、5つあります。まず1つ目は、実績からの分析として、応募倍率が低い分野である介護・医療・福祉分野については、少しでも応募していただくべく改善を図るべきというような方針案を提示いたしました。2つ目として、応募倍率は高いが就職率が低い分野として、IT分野やデザイン分野をあげました。こちらについては、求人ニーズに即した訓練内容になっているか、就職支援策は十分かといった検討が必要との方針案でした。
次は、計画と実績との違いからということで、3つ目として、求職者支援訓練の基礎コースについて、令和3年度計画では認定規模の5割としていましたが、実績は2割しかなかった点です。それから4つ目として、委託訓練については計画数と実績の乖離があるということで、その改善策を方針案に掲げました。最後は、人材ニーズということで、デジタル人材が質・量とも不足、都市圏偏在について、課題として掲げ、職業訓練のデジタル分野への重点化が必要という方針案を御提示したところです。
 これを踏まえ、今回、「令和5年度の全国職業訓練実施計画(案)」をご提案いたします。資料2-1、通し番号の6ページに戻ってください。ここからが、今回、御議論いただきたい訓練実施計画(案)です。6ページの「第1」は、訓練実施計画の目的となっておりますので、ここは割愛いたします。その下の第2ですが、ここは計画を策定するに当たり、前提となる労働市場の動向等です。最初に、雇用失業情勢について書いております。7ページですが、最近の経済状況等の進展について書いております。例えば、デジタル分野に関する動向等を記載しています。第2の2に、足下の職業訓練の実施状況について記載しております。令和4年度の4月~12月の状況ですが、離職者に対する公共職業訓練については、昨年の同期と比べて4%程度の減少ですが、ほぼ同じぐらいです。求職者支援訓練については、前年の同期と比べて37%以上の上昇となっておりますので、離職者に対しての職業訓練自体は全体として3%ぐらいの増加となっております。それから、在職者訓練についても、昨年の同期と比べて116.2%であり、離職者訓練、在職者訓練ともに増加傾向にあります。
 第3ですが、今回の訓練実施計画については、先ほど申し上げました第1回協議会でお示しした方針案の5つのポイントを中心に据えるために、ここに明確に記載したところです。7ページの下からが先ほど申し上げました5つの課題について記載しております。8ページの上には、その解決策について記載しております。例えば、①介護分野については、応募倍率が低いという課題を掲げておりますので、解決策として、日程の検討だけでなく受講勧奨の強化を実施することを方針として掲げております。②IT分野等については、就職率があまり良くないということですので、求人ニーズに即した訓練内容か、十分な就職支援策かを検討した上で、運用を見直すことを考えております。③は求職者支援訓練の基礎コースですが、こちらについては実態を踏まえた計画を策定することとしております。④は委託訓練ですが、こちらも計画と実績の乖離の解消に努めたいと考えております。⑤は職業訓練のデジタル分野への重点化を明記しております。
 第4からは、今ほど申し上げた方針について具体的に訓練の設定に反映させ、来年度、実際にどのように訓練を実施していくのか、対象者の数や内容について記載しております。第4の1の(1)離職者に対する公共職業訓練ですが、対象者数について、国の施設内訓練は、対象者数が2万4,000人、目標が就職率82.5%です。委託訓練については、対象者数が12万1,074人で、目標は就職率75%としております。(1)のイから、職業訓練の内容、職業訓練を設定する上での留意事項等です。まず、①訓練の内容については官民の役割分担について記載しており、その次に、国の施設内訓練については、ものづくり分野で実施することを明記いたしました。
 続いて、9ページの②分野に応じた訓練コースの設定等のところが、先ほどの第3の5つの課題と、その対応策について具体的に記載したものです。まず1つ目のポツは、デジタル分野の重点化についてです。例えば、ITやWEBデザイン関連の資格取得を目指すコース等には、委託費の上乗せをするなどによって訓練コースの設定を推進したいと考えております。
 2つ目のポツ及び3つ目のポツについては、IT分野、デザイン分野の就職率が低かったことに対する具体的な対応策です。就職率向上のため、求人ニーズに即した訓練コースの設定を促進し、ハローワークと連携した就職支援を実施することを考えております。
 2つ飛びまして下から2つ目のポツです。介護・医療・福祉分野については、応募倍率が低かったことに対する対応策です。応募・受講しやすい募集・訓練日程を検討した上で実施するとともに、訓練コースの内容や効果を踏まえた受講勧奨を実施することを考えております。最後のポツは、委託訓練の関係で、実績と計画との乖離がありましたので、計画数を踏まえて、十分な訓練機会の確保に努めると掲げております。
③対象者に応じた訓練コースの設定等ですが、特別な配慮が必要な方々に対する対応策について具体的に書いております。
 (2)求職者支援訓練です。求職者支援訓練の対象者数は4万9,591人で、その方々に訓練機会を提供するために、認定規模の上限は7万844人と考えております。目標については雇用保険適用就職率になりますが、基礎コースは58%、実践コースは63%です。
 次の10ページを御覧ください。イが、職業訓練の内容と職業訓練を設定する上での留意事項です。このうち、①職業訓練の内容等の最初のポツです。課題による改善策、方針の中に、求職者支援訓練の基礎コースに関して、計画よりも少なかったというお話がありました。そのため、来年度の訓練においては、基礎コースを認定規模の40%程度、実践コースを認定規模の60%程度にすることを考えております。10ページの下の②分野に応じた訓練コースの設定等に関しては、先ほどの離職者に対する公共職業訓練とほぼ同じです。
 続いて、11ページを御覧ください。③対象者に応じた訓練コースの設定です。こちらも先ほどと同様に、いろいろな事情を抱えた方がいらっしゃいますので、その方に応じた訓練の設定を推進することとしております。
11ページの中ほど、第4の2の在職者に対する公共職業訓練です。(1)対象者数は、公共職業訓練の在職者訓練については6万4,000人、生産性向上性支援訓練については4万5,500人と考えております。(2)職業訓練の内容等です。まず、在職者訓練については、高度なものづくり訓練を実施することにしており、そのほかに生産性向上人材育成支援センターにおいては、事業主に対する相談等と一貫して訓練を実施することとしております。それから、ものづくり分野の訓練にしてもDX等に対応した訓練コースの開発・充実を図っていくこととしております。
 続いて、11ページの下、第4の3の学卒者に対する公共職業訓練です。対象者数が5,800人、目標は就職率95%です。訓練の内容については、高度なものづくり人材を養成するものですが、特に、DX等に対応した訓練コースの充実を図ることとしております。
 最後に、12ページ、第4の4の障害者に対する公共職業訓練です。(1)対象者数及び目標ですが、施設内訓練については、対象者数が2,930人、目標は就職率70%で、委託訓練については、対象者数が3,380人、目標は就職率55%と考えております。(2)職業訓練の内容ですが、職業能力開発校においては、精神障害者をはじめとする職業訓練上特別な支援を要する障害者を重点的に受け入れて、個々の方々の障害に応じた訓練を一層推進することとしております。以上です。
○藤村座長 ありがとうございました。では、令和5年度の訓練実施計画について御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。関口構成員、どうぞ。
○関口構成員 8ページの第4の「計画期間中の公的職業訓練の対象者数等」で始まる、1.離職者に対する職業訓練のイの①の2つ目のポツで、「国の施設内訓練については、民間教育訓練機関では実施できないものづくり分野において実施する」という所ですが、官民の役割分担というようなお話がありました。これと関連して、11ページの「在職者に対する公共職業訓練等」の(2)の職業訓練の内容等という所は、実は令和4年度の計画の所と書きぶりが随分変わっています。令和4年度のほうでは、8ページの記載と同様の「都道府県又は民間教育訓練機関において実施することが困難なものを実施するものとする」という記載がありましたが、令和5年度ではその記載がありません。
 ものづくり分野の所に書きぶりが集中しているということで、それをもって、ここで繰り返して官民の分担の話についての中期的なものを外されたかと思うのですが、やはり、この点は留意事項としては大変重要な観点であり、私どもの立場からのこだわりがあります。現実に民業圧迫的な部分についてはいつも訴えさせていただいていますので、ここの記載については、やはり令和4年度と同様に、ここにも繰り返し記載していただきたいと考えます。
○藤村座長 今の点はいかがでしょうか。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 御意見ありがとうございます。おっしゃるとおり、今回の職業訓練実施計画はこれまでよりも短縮しております。在職者訓練については、ものづくりを特化するということも書いてありますので、その部分の記載は削除したのですが、もし皆様の協議の結果、入れるほうがよいということであれば記載いたしますので、皆様の御意見を伺いたいと思います。
○藤村座長 要は、民業圧迫はするなということですよね。民間でやっているものに対して、わざわざ官の立場からそこに付け加える必要はないのではないかと。それを明記してほしいという御意見ですね。そこは、皆さん、いかがですか。よろしいですか。
では、そこは追記していただくということで、いかがでしょうか。
○須摩構成員 JEEDの須摩です。私どもも、各施設で訓練を実施する際には、各都道府県ごとに地方運営協議会を実施しております。その中で、下部組織になっている訓練計画専門部会の委員の方々に、民間と競合していないかという確認をした上で実施している状況ですので、私どもとすると、そちらの記載はいかほどでも対応可能と考えております。
○藤村座長 分かりました。今の御意見は、記載することについては別に反対はしないということですね。そのほかに、よろしいでしょうか。では、今の点をお願いいたします。北村構成員、どうぞ。
○北村構成員 資料2-2の都道府県別の公共職業訓練ですが、特に私どもの担当している業界の中でも医療事務分野や介護福祉分野は、多分この就職率のとおりですが、私どもで見ますと、ここ数年の比較対象で、トレンドをどのように見るかということを見ておりますので、是非その辺りのデータを開示いただきたいと。ただ、予算的に単年度というシステムがあると思いますので、トレンドを見ることが必要だと思いますし、これからDX分野も多分こういった形での変化を、その都度してまいりますので、こういった見方があるのだなと思っている次第です。
 2つ目は、実施計画案はコンパクトで分かりやすくなりました。8ページの課題の解消の所の目標を書いていただいて、また10、11ページの具体的な案となっています。ただ、②就職支援を強化する、③計画を策定する、④乖離の解消に努めると、確かにそういうことなのですが、具体的にその事例や方法など、こんなことができればなということを、別添などの形で、これをこなすときの方法などを書いていただくと、もっと推進しやすくなっていって形になっていくのではないかと。ここの下に具体例が欲しいなという、勝手な要望です。
 それから9ページの分野については、受講勧奨など、具体的に書いていただきましてありがとうございます。最後の所で目標の設定の比率なのですが、民間で考えると9割とか、85%以上を目指していくのですが、そこの部分では10ページ目の基礎コース、実践コースを出していただきありがとうございます。是非、そういう形での比率の所も見極めていただくことがあると思います。
 最後に、障害者の公共訓練も、とても就職率が難しいところで、個別性がありすぎると思います。それから、日頃動ける範囲はいろいろあると思います。そこも比率的には少し気になりやするのですが、そこも精度を上げていただくことと、実際に就職率も期待していますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。今の北村構成員の御意見は、この案をこのように書き変えてほしいというよりも、もう少し補強するような参考資料なりを付け加えてもらいたいと、私は理解したのですが、北村構成員、それでよろしいですか。
○北村構成員 そのとおりです。どうぞよろしくお願いします。
○藤村座長 はい、分かりました。そのほか、いかがでしょうか。佐久間構成員、どうぞ。
○佐久間構成員 実施計画の作成、ありがとうございました。基本的には、このスタンスでよろしいのではないかと思います。変更していただきたいということではないのですが、7ページの3行目に、「一人ひとりの労働生産性を高めていることが必要不可欠であり、そのためには、職業能力開発への投資を推進していくことが重要である」との記載があります。これは一般論というか総論的には、正にこの書き方は重要ですし、この書き方しかないなと思うのです。実際にこれを変更していただきたいということではないのですが、一人ひとりの労働生産性を高めていくためには、職業能力開発への投資をどのようにやっていけば高まるのだということを、まずは明記して、具体的に示していただくと良いなと思います。ただ、これはちょっと難しいところなので、この表記は一般論、総論的な内容でよろしいのではないかと思います。
 それから、直近の公共職業訓練をめぐる状況ということで、この在職者訓練等の就職率や受講者数が載っています。JEEDの取組みを擁護するわけではないのですが、実際に在職者訓練等で、厚生労働省から定められた目標がすごく高いのですよ。いつも120%でないと一番上のランクにこないとか、「それでも、かつ」という表現が付いて、非常に大変だなと。100%を超えていれば、そのほかの要素はあるかもしれないですが、これで十分ではないかと思うのですが、目標がすごく高いなという印象を受けました。これも変更していただきたいということではありません。
 それから、9ページの求職者訓練の所です。雇用保険二事業の関係で、求職者支援訓練も、失業されても失業手当等が出なくて、難しい方をフォローしていこうということで、制度改正等の条件が緩やかになってきていると思うのです。この辺りも、年度を重ねる度に、訓練の効果というか、これでどういう成果があったのかというのは、この事業だけではなく、広く二事業の関係もあると思うのですが。こういう訓練を受けたことによって、どれだけ効果があるのか。単に受けてよかったとか、それだけのものではないと思うのですが、何かそのような効果測定のようなものができればよろしいのではないかと思います。
 最後に12ページの障害者の関係です。障害者雇用分科会でも雇用率の検討をされており、来年の4月ぐらいから2.5%になってくると思います。現在、民間では2.3%ですが、この1年間を通して来年の4月に間に合うでもないのですが、こういうニーズも絶対出てきますので、是非この障害者の訓練も充実して行っていただければと考えています。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。今の佐久間構成員の御意見も、別にここをこう変えろという話ではないですね。堀構成員、どうぞ。
○堀構成員 労働政策研修機構の堀です。北村構成員もおっしゃっておられましたが、今回の実施計画はすごくコンパクトになって読みやすくなり、とてもよいのではないかと感じています。質問ですが、今回の就職率は、雇用保険適用の就職者割合を全体として就職率として使っておられるのかと推測するのですが、例えばIT系やデザイン系で、フリーランスなど、雇用保険適用になりづらいような仕事であるがゆえに、就職率が低いのだろうかなど、いろいろと雇用保険適用就職率というだけではなかなか図れない部分もあるようにも感じております。
 以前は関連分野の就職率などもお出しになっていたと思いますので、この就職率だけではなくて、個別具体的な政策を検討する際に他の就職率も指標として考慮していただけると大変参考になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。では、質問にお答えください。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 質問ありがとうございます。まず目標で掲げている就職率ですが、求職者支援訓練だけは雇用保険に適用されているかどうかも含めて判断した上での就職率で、ほかのものについては雇用保険適用の有無に関連しない就職率です。ただ、1日だけ就職したといったものは就職とはみなさず、それなりに安定した雇用かどうか雇用期間をみて判断した上で、就職率としてカウントしている状況です。
 それから関連分野への就職に関してですが、おっしゃるとおり、それについても数字を把握可能ですが、今は実績として精査しておりません。今後、そういうものも検討し発表できものは発表していけるようにしたいと考えております。以上です。
○藤村座長 堀構成員、よろしいですか。
○堀構成員 ありがとうございました。
○藤村座長 そのほかの御意見をお願いいたします。河島構成員、どうぞ。
○河島構成員 この実施計画を実行させていただく自治体の立場から何点か意見を申し上げます。全体としては非常にまとまっていて、すばらしい実施計画案になっているかなと思いました。具体的なことを何点か申しますと、資料8ページの医療・介後・福祉分野の課題解決策の部分で、「訓練コースの内容や効果を踏まえた受講勧奨を強化する」という表現があります。一般的にはこのような表現にならざるを得ないのかなと思いますが、様々な形で受講勧奨をした上で、なお今の状況になっているところで、現場では非常に苦労しておりますので、この辺りは具体的に何か秘策があるのか、是非御教授いただきたいと思いました。
 それから、これについて今年度どうのこうのという話ではないのですが、説明の中でもありましたとおり、資料7ページの令和4年4月から12月の訓練状況の所で、離職者の委託訓練は対前年を下回っていて求訓の方は増えていると。これは先ほどの話と重なりますが、現場サイドからすると、7月以降の制度改正に伴って少し混乱をしています。こういった状況を全国的に見極めていただいて、必要があれば改善に努めていただくような形でお願いできればと思っております。
 最後ですが、何人かの委員もおっしゃっていましたように、障害者訓練については社会参加も含めて、しっかり取り組んでいかないといけないと思います。ただ、やはり一人一人の特性がありますし、コストも非常に掛かってまいります。それをうまく実行していただく事業者もおりますので、そこはしっかりとインセンティブが働くような形で、委託料などの単価の見直しなども随時していただきながら実効性ある取組になっていけば良いかなと思いますので、よろしくお願い申し上げます。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。今、質問が出た点について、事務局としてはいかがでしょうか。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 今、京都府さんから頂いた御意見、御質問にお答えいたします。まず、介護・福祉分野の秘策ですが、おっしゃるとおりで、そもそも介護分野なりの仕事に魅力を感じていただかないと、こちらの分野について就職したい、訓練を受けたいというようなお話は出てこないかなと思います。ハローワークでは、厚生労働省の社会・援護部局と一緒にパッケージ事業をやっております。福祉分野や介護分野に少しでも興味がありそうな方に向けて仕事の魅力を発信し、速やかなる就職支援や、もしも自信がないなという方については職業訓練を受けてみませんかという声掛けをしっかりさせていただき、介護分野の職業訓練になるべく受講勧奨をしていくようなことをしております。
 それから、訓練に関しては、訓練期間中に企業実習なども組み込んだ訓練コースもあります。そういった訓練を増やすことによって、自信がない方でも訓練中に介護の現場が見られるのなら参加してみようかなというようなインセンティブが働いて参加いただくことができ、さらに実際に仕事の体験などをしてみれば就職にもつながりやすくなるというような取組もしております。これが1点目に関してです。
 それから2点目に、委託訓練の受講者数が減少し求職者支援訓練の受講者数が増加したということです。これまで雇用保険の受給者の方々については、委託訓練を受講される場合は訓練期間中に雇用保険を受給しつつ、延長給付もあるということになっていましたが、求職者支援訓練については、同じような取り扱いにはなっておらず、求職者支援訓練を受けても例えば雇用保険を延長して受けられるというような措置はなかったのですが、昨年の7月からは求職者支援訓練でも委託訓練と同じ取扱いをするようになりました。
 これは、なぜかといいますと、例えば雇用保険を受給される方が訓練を受けたいと思っても、地方によっては、ちょうど良い機会に自分が受講したい委託訓練ははないが、求職者支援訓練だとあるということがありました。求職者支援訓練を受講しても委託訓練のような取扱いをしてもらえないということで、訓練機会を逃しているようなことがあったのです。受講したいと思われる方に、希望してしていただいたときに希望の訓練を受講いただけるように、どちらの訓練でも同じ取扱いをするとしたのが、昨年7月からの取組です。このため、昨年7月からは雇用保険受給者の方でも自由にどちらの訓練でも受けられるようになったので、相対的に委託訓練が少し減ってしまい、これまでは求職者支援訓練を受講できなかった方ができるようになったので、求職者支援訓練が増えてしまったということです。
 今回は、その前の年と比べると増減が出てしまったのですが、今後は少し波も穏やかになってきますし、委託訓練の中には訓練日程の設定の仕方などが弾力的でないところもありますので、その辺りは少し弾力的に実施するような取組などをしていただくことによって増減が少なっててくるのかなと考えております。
以上です。
○藤村座長 障害者の所からはいかがですか。
○菊地人材開発統括官付特別支援室長 障害者訓練担当の障害者特別支援室の菊地と申します。先ほどお話いただきました障害者委託訓練に掛かる訓練実施機関に対する委託料について、インセンティブをもてるような単価設定をということですが。確かに、障害者の訓練は、実際に定員数が少ない中で、少ない人数で訓練をやっているので、実際に払われる金額も少なく、インセンティブはなかなか働きにくいなというのは我々も感じています。ですので、やはり予算の制約がある中で、その中身を可能な限り見直せるように検討を進めていきたいなと思っております。以上です。
○藤村座長 法定雇用率が上がってきて、これからは精神障害の方々を積極的に採用していく必要があると。ただ、精神障害者の皆さんは非常に個性があるというか、それぞれいろんな状況ですので、これにきめ細かく対応していくのは、それはそれで手間が掛かると。しかし、やっていかなければいけない分野だと私も思っております。
 そのほかに、御質問、御意見はありますか。清田構成員、どうぞ。
○清田構成員 日本商工会議所の清田です。特段、この計画に対して、修正等をお願いするものではありません。意見として申し上げます。
 私どもが、去年、全国の中小企業に対して、どういう研修や訓練を従業員に対して実施していますかというアンケートを取りました。中小企業の約75%は、「OJTを実施」していて、それ以外に「外部主催の研修セミナーなどを受講させている」というのが57%でした。一方で、「国や自治体が実施している公共職業訓練を受講している、させている」が8.7%と、若干少ない数値でありました。先ほど民間等の棲み分けという話もあり、そうした点も重要かと思いますが、非常に内容の良い訓練を公共職業訓練の中で行っているので、是非もう少し利用が進むことを期待したいと思っております。そのために何が必要なのか、どういう周知をしたら良いのかというダイレクトなアイディア、意見が持ててはいないのですが、全国の取組なども参考にしていただきながら、より良い周知の方法や利用促進の方法などがあれば、是非とも横展開を図っていただきたいと思っております。
 もう一点、在職者訓練について、これも意見です。今後、企業の生産性を高めていかなければいけないという命題がある中で、これは別の調査で、東京23区だけを対象にした調査なのですが、中小企業のイノベーション活動への取組状況に関する調査を行い、「イノベーション活動に取り組んでいる」が約73%程度ありました。そのイノベーションを紐解くと、プロセスのイノベーションなのか、製品開発を行うようなプロダクトのイノベーションなのかというところですが、「プロセスのイノベーションに取り組んでいる」が約7割でした。企業としても、そういう形で何らかの生産性向上への取組を行っていて、意欲もあるという結果です。
 ただし、企業それぞれによって、いろいろな取組み方や課題、どういう経営支援が必要なのかは異なると思いますが、少なくとも、その中で人材育成はキーになってくるかと思います。したがいまして、こういった企業の生産性を高めていくために、どういう人材育成・訓練が必要なのかという視点を重視していただければと思っております。
 その中で、JEEDさんなどが行っていらっしゃる生産性向上支援訓練などはオーダーメイドでも対応していますので、是非こういう生産性向上をキーとして、かつ企業のニーズに即した訓練を充実していただきながら、かつ、利用も促進していただければと思っております。意見です。
○藤村座長 ありがとうございました。そのほかにありますか。山脇構成員、どうぞ。
○山脇構成員 今回の計画案については、エビデンスをもとに重点化して記載されており、大変分かりやすいものになっていると思います。今後、本計画に沿って、適切に職業訓練が実施されることを期待いたします。そうした観点から、今計画の内容や趣旨が関係機関や関係者等に周知徹底されることが重要だと思いますので、行政として周知の強化をお願いしたいというのが1点目です。
 また、訓練にとどまらず、受講された方がその後に安定的な就労につながることが重要だと思います。マッチング機能強化の観点から、就労支援策の充実も併せて、関係各局が連携をとりながら適切に実施していただきたいということを要望として申し上げます。
 最後に、本協議会の所掌外ということは十分承知しておりますが、予算の面についても発言させていただきます。先ほど事務局から、5年間で1兆円規模の予算を人への投資として政府として確保していくという説明がありました。行政、民間を問わず、日本の能力開発投資は国際的に見て低い水準にあることは御承知のとおりかと思います。今回、リスキリングを中心に人への投資ということがうたわれておりますが、リスキリングに限らず、今回議論されている能力開発訓練に係る予算の拡充に向けて、是非とも関係各省連携のもとに取り組んでいただきたい旨の要望を申し上げます。以上です。
○藤村座長 ありがとうございます。須摩構成員、どうぞ。
○須摩構成員 JEEDの須摩です。先ほども佐久間委員、清田委員から、在職者に関する職業訓練について御意見があったかと思います。JEEDとしても、在職者に対する職業訓練、人材育成の重要性を認識しております。先ほど、周知も必要だという話も伺いました。厚生労働省から当機構に、各都道府県の施設に生産性センターを設置することと、そこに人を付けて企業に対する相談・援助に当たるという形で予算化していただいています。確かに、現場に伺いますと、やはり生産性を高めなければいけない、DXに対応していかなければいけないけれども、一体何をすれば良いのだろうかという相談ということで、JEEDとしても対応を始めておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
○藤村座長 ありがとうございました。上市構成員、どうぞ。
○上市構成員 政府においても賃金の引き上げに取り組んでいただいておりますが、職業紹介事業においても求人賃金の引き上げに取り組んでいただきますように求人者にもお願いをしています。
 訓練によって生産性が上がると、それに見合う賃金の引き上げにつなげていただいて、訓練の成果をみる指標として就職率が標準的ですが、それに加えて、訓練の前と訓練の後で賃金面にどのような変化があったのか、例えばアンケート調査などをできれば、そういうものを使って訓練の成果をみる指標の一つとして付け加えていただけると良いなと思います。これは要望です。よろしくお願いいたします。
○藤村座長 ありがとうございます。そろそろ時間も押してきておりますので、議題(2)については、議論としては以上で終了いたします。先ほど関口構成員から、11ページの2の(2)の辺りで、官民の分業をしっかりやっていくというのを付け加えてほしいという趣旨の御発言がありました。取りまとめの際に、そこは生かしていきたいと思います。具体的な文言については、座長一任ということでお願いいたします。よろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○藤村座長 ありがとうございます。では、次に議題(3)今後の人材ニーズに関する関係省庁からの報告について、総務省、文部科学省、経済産業省からそれぞれ報告を頂き、意見交換をいたします。3つまとめて報告いただいた後で、意見交換といたします。まずは、総務省からお願いいたします。
○総務省石川自治財政局調整課長補佐 総務省の石川でございます。資料3-1に基づきまして、地域におけるリスキリングの推進に関する地方財政措置について説明させていただきます。20ページです。「人への投資」は政府の重要課題で、これから各省庁からも報告がございますが、政府は、人への投資パッケージを5年間で1兆円へ拡充するなど、リスキリングへの支援を強化する方針です。また、地方におきましても、経営者等の機運醸成や企業へのアウトリーチ支援など、地域に必要な人材確保のためのリスキリング支援の取組も徐々に広がっているというところです。
 こうした状況を踏まえまして、先ほど、冒頭に人材開発統括官からも御紹介がございましたけれども、厚労省の協議会の枠組み、取組と連携いたしまして、地域におけるリスキリングの推進に関する地方財政措置を講じることといたしました。
 赤枠の部分ですが、具体的には、地域に必要な人材確保のために、中小企業、農林水産、介護等の分野が中心になるかと思いますが、デジタル・グリーン等成長分野に関するリスキリングの推進に資する経営者等の意識改革・理解促進、リスキリングの推進サポート等及び従業員の理解促進・リスキリング支援に要する経費につきまして、地方公共団体が「地域職業訓練実施計画」に基づき、地方単独事業として実施する場合に新たに特別交付税措置を講じることとしております。そのほかに、地方大学との連携とか、地方公務員に対する人材確保・育成の取組についても、このパッケージで取組みを進めることとしております。
 続いて、21ページです。地方団体におかれましては、各地域の協議会で連携いたしまして、地域の人材への投資の推進に一層積極的に取り組んでいただきたいと考えております。このページですけれども、総務省から、各都道府県・指定都市の財政担当課宛てに送付している文書を参考までに添付しております。各都道府県の人材開発主管部局においては、財政担当課ともよく連携して取り組んでいただければと思います。
 22ページは、地域におけるリスキリングの推進に関する地方財政措置に関する概要です。令和5年1月25日に、厚労省のほうから各都道府県の人材開発主管部局長宛てに送付いただいております。こちらの通知についても、よく御参照いただければと思います。
 今般の地財措置に関して、厚労省にも、総務省にも、自治体のほうから幾つか問合せを頂いているところです。例えば、デジタル・グリーン等成長分野に関するリスキリングの推進ということですが、地財措置の対象となる業種がデジタル・グリーン等に限るというわけではありません。どの業種においても、セミナー等の事業の内容が成長分野であれば対象になり得るということです。デジタル・グリーンが中心になると想定しているところではありますが、地域で成長分野と考えられるものは範囲に入ってくるということです。
 また、国との役割分担と各地域の実情に応じて、きめ細やかな取組を推進するという観点から、地方が全額を自治体で支出する地方単独事業を対象とすることとしております。また、こちらは国の取組との役割分担というようなところはありますけれども、ハローワーク等で対象とされている離職者・求職者等を対象とする事業や、広く一般の方を想定する対象が不明瞭な事業というよりも、22ページの①~③にありますように経営者等や、これは商工団体の経営指導員のように経営者を支援する者も含まれますけれども、在職者の方を対象とする事業を想定しております。
 また、対象事業例ですが、考え方としては、国の「人への投資」の取組につながっていくような、つないでいくような事業を対象とする方向で考えております。対象事業例にありますように、経営者向けセミナーの開催とか、リスキリングの関係の協議会を設置するもの。また、リスキリング支援に関する理解促進などの事業も考えられますし、②にありますように、実際の各中小企業にアプローチしていくものとか、リスキリング推進人材を育成するといったことも考えられます。また、③にありますように、在職者従業員向けの短期のセミナーや講座、また資格試験のサポートといったことも考えられるかと思います。
 これらはあくまでも一例ですが、ハード事業とか、国の事業のように賃金助成というところは、対象外としております。ただし、以上のようなソフト事業であれば柔軟に検討いただけるというものです。各地域で工夫された取組も始まっているようです。新分野でもありますし、スピード感も求められる分野ですので、施策の検討にあたりましては、自治体間、また団体の支部間の連携や情報交換も有効だと思います。中央協議会の構成員の皆様におかれましても、各労働局、また各自治体、そして、各支部等の関係の団体にも共有いただきまして、各地域の実情に応じた取組の推進に御協力をどうぞよろしくお願いいたします。私からは以上でございます。
○藤村座長 ありがとうございました。続きまして、文部科学省、お願いいたします。
○文部科学省神山総合教育政策局生涯学習推進課長 文部科学省でございます。文部科学省のほうでは、23ページからの資料を用意しております。文部科学省では、専門学校や大学等のリカレント教育を担当しております。リカレント教育という言葉については、職業を辞めて大学などで受けるものがリカレント教育ではないかとお考えの方もいらっしゃると思いますけれども、文部科学省では非常に広い意味で使っております。社会人になった後、再び学校等で学ぶものは、広くリカレント教育と、いわゆるリスキリングとか、職業に就いたまま学ぶものも含めて、リカレント教育というように言っておりますので、非常に広い意味だと、リスキリングなども含むものだということでお考えいただければと思います。
 また、専門学校とか、大学とかは、それぞれ特色をいかして、先ほど申し上げたような広い意味でのリカレント教育に取り組んでおります。そういう意味では、今日の議論にもありましたように、官民で役割分担をするというのはもちろんですし、大学とか専門学校もそれぞれの特色をいかして取り組んでおりますので、職業訓練とうまく役割分担をしていくということが非常に重要ではなかろうかと。それによって、個々人の幅広いニーズに応えていくということが、非常に重要ではなかろうかと思っております。
 その意味で、役割分担をしながらニーズに応えていくという意味では相互の連携をしていくことが重要かなと思っておりますので、この協議会にお呼びいただいたことも非常に有り難いと思っております。また地域の協議会に、大学を呼んでいただいたことも御紹介がありましたし、今日の議論でも、専門学校も呼んでいただくような方向性ということですので、私のほうから、これからの連携に資するように、残りの時間で、若干、施策について御説明させていただきたいと思っております。
 今、画面に出ております24ページが、リカレント教育についてです。これは大学向けのものですが、Aの所にあるようなデジタル・グリーン分野を中心にしたプログラム開発ということで支援しているものです。今年から、特にCやDの所にありますように、大学院レベルというものにも支援することを始めておりますので、先ほど申し上げたように、様々なニーズに応えられるようにということでやっております。大学は、これらをプログラム開発するときには、左下のイメージ図にありますように、企業や自治体のニーズなども聞くようにということを言っておりますので、そういったところで、皆さま方の御協力をいただければと考えております。
 次ページをお願いします。そうした上で、大学とか個々に支援をするだけではなくて、地域単位で地元のニーズ等にリカレント教育が応えていくために、プラットフォーム構築をしようということで、大学のコンソーシアムとか、自治体などに委託をする形で、産官学、更には金融機関も含めて連携して、左下のほうにありますように、ニーズの調査とか、あるいはマッチングについては、ある程度、1個1個の学校でやるということではないほうが効率的であろうということもありますので、そうしたものを支援すると、プラットフォームの形でやれる体制をつくるということを全国10か所程度でやりたいと思っております。こちらにつきましても、正に連携を支援するものですので、関係機関、あるいは企業において御協力いただければと考えております。
 飛びまして、次は27ページです。こちらが連携をしていく際に必要になってくる情報発信のサイトとして、大学や専門学校の社会人向けのプログラムを検索できる「マナパス」というポータルサイトを文部科学省が委託して運営しております。左上の枠囲みにありますように、昨年12月に「企業向け講座検索ページ」というのを新たに作りました。通常は、もともとは、個人が自分の学びたいプログラムを検索するためのものだったのですが、それだけではなくて、企業側からも自分の所の従業員向けのものがないか、あるいは企業の意向を踏まえてカスタマイズするオーダーメイドに対応してくれるような大学や専門学校がないかという検索をかけられるようなページも用意しておりますので、是非、そちらも御活用いただければと。直接、今、皆さん方の所で職業訓練などを受けている方々が、すぐに利用するかどうか分かりませんけれども、生涯にわたって様々な学びが必要とされる、あるいは、より深い学びが必要となったときのために、「マナパス」という検索サイトの存在も認知いただけるとよいかなと思っておりますので、周知とか、活用もお願いできればと思っております。右上のほうにありますように、「マナパス」自体も、「job tag」とか、他のサイトのリンクなども張ってありますので、そういった意味でも御活用いただければと考えております。私からは、以上でございます。
○藤村座長 ありがとうございました。次は経済産業省です。お願いいたします。
○経済産業省商務情報政策局情報技術利用促進課平山デジタル人材政策企画調官 経済産業省の平山でございます。経産省からは、「デジタルスキル標準」について紹介させていただきます。デジタルスキル標準の背景ですけれども、昨年、「デジタル田園都市国家構想基本方針」が示され、そこでは、デジタル推進人材として5種類の人材が示されております。具体的には、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティということで、こうした人材を5年間で230万人育成していくという政府目標が示されたところです。
 また、デジタル田園都市国家構想基本方針の中では、デジタル人材育成プラットフォームの構築ということと、これらの人材に対応した形でのスキル標準を整理することが示されております。これを踏まえて、デジタルスキル標準を経産省のほうで策定をいたしました。昨年末にデジタルスキル標準(DSS)ということで公開しております。このスキル標準を個人の学習や、企業の人材確保・育成の指針として使っていただきたいというところです。
 内容の御紹介ですけれども、資料3ページの中段に、赤色の部分で表現しておりますが、デジタルスキル標準は、全てのビジネスパーソンに関する「DXリテラシー標準」と、DXを推進する人材に関する「DX推進スキル標準」の2つのパートによって構成しております。左側のDXリテラシー標準は、DXにおいてビジネスパーソンに求められるマインド・スタンスや知識・スキル(Why、What、How)という形で整理しており、それぞれの行動例や学習項目例を提示しております。右側の5角形の絵ですけれども、DX推進スキル標準は、DX推進に必要な5つの人材類型と、各類型間の連携、役割(ロール)、必要なスキルと重要度を定義し、各スキルの学習項目例というものを提示しております。DX推進スキル標準の内容についての御紹介は、参考として次のページに、5つの人材類型について、更にDX推進において担う責任という観点から、15のロールを定義しております。
 次に、スキルですけれども、これらの5つの人材類型については、共通で必要となるスキルの項目を一覧的にまとめたものを、「共通スキル項目」という形で整理しております。更に、それぞれのロールごとに、どういったスキルが、どの程度重要なのかということについて、真ん中辺りの所で、a、b、またグレーで濃く表現しているのが重要なものであるという形で表現しております。例えば、データサイエンティストのロールで、データサイエンスプロフェッショナルの例ですが、こういった形で、どういうスキルが、このロールについてはどのように重要なのかということについて示しており、こういったものを個人のスキル習得など、例えば育成トレーニングの1つの指針として使っていただくということを期待しております。
 最後に、こういったスキル標準の活用について、組織・企業、個人、研修事業者のそれぞれの立場からのスキル標準の活用イメージをお示ししております。以上がデジタルスキル標準についての御紹介と説明となります。私からは以上です。
○藤村座長 ありがとうございました。少々時間が押しておりますけれども、何か御質問があれば、よろしいでしょうか。各省がそれぞれ、人への投資ということで、いろいろな施策をこれから打とうとしておられまして、ばらばらにやっていたのではあまり意味がないということで、是非、連携してやっていただければと思っております。
 次は、議題(4)公的職業訓練効果検証ワーキンググループの進め方について、事務局から説明をお願いいたします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 次の議題の効果検証について御説明させていただきます。資料4、36ページを御覧ください。地域職業能力開発促進協議会においては、各地域で職業訓練の個別具体的な効果について検証していくこととしております。
 具体的には、ワーキンググループを作りまして、職業訓練の効果を把握・検証し、訓練カリキュラムの改善へとつなげていくものです。ワーキンググループについては、メンバーといたしまして、地域協議会の構成員の中から都道府県労働局、都道府県の方、そして高齢・障害・求職者雇用支援機構のメンバーの方々に入っていただいて構成することにしております。
 検証の手法につきましては、訓練受講された方等々に対するヒアリングと、その結果を分析、検証して、改善促進策(案)を検討することとしております。具体的には、資料4の下側のスケジュールの所を御覧いただきたいと思います。まず、地域職業能力開発促進協議会におきまして、今年2、3月に第2回目の協議会が開催されますので、その中で検証対象とする訓練の分野は何が良いのかということを選定いただきます。例えばIT分野が良いとか、介護分野が良いとか、そういうものを決めていただきます。
 ワーキンググループにつきましては、5年度の上半期に、まず各地域協議会において設置していただき、先ほど申し上げました分野のうち、実際に行われた訓練の中から3コース以上を選定していただきます。3コースそれぞれにつきまして、訓練を受講された方、その方を実際に訓練後に採用された企業、それから、訓練を実施された実施機関、この三者に対して、ワーキンググループのメンバーからヒアリングを行います。ヒアリングの結果をそれぞれワーキンググループで整理していただきまして、その中から、是非とも普及すべきものが他にないかとか、ここは改善したほうが良いのではないかというようなものを拾い上げて、改善促進策(案)を検討いただきます。その結果を来年度の下半期、10月頃に開催します地域協議会で御報告いただいて、その結果を、その次の年の計画の策定に反映していくというように考えております。
 地域協議会の結果は、中央協議会のほうにも御報告いただくことになっておりますので、スケジュール感としては、ワーキンググループの結果については、令和5年度の下半期に開催する中央協議会で御報告できるのではないかと思っております。
 受講者の方々から、役に立った訓練、例えば訓練の中身はこのようなものですとか、採用された企業から、このスキルを持った方は、うちに就職していただいて、すごく役に立っているというような声を頂くことによって、訓練を少しずつ改善していくことができるのかなと考えております。以上です。
○藤村座長 ありがとうございました。ただいまの資料4につきまして、御質問と御意見を頂きたいと思います。関口構成員、どうぞ。
○関口構成員 大変良いことだと思うのですけれども、検証の視点というか、そういうことで少し伺いたいのですが。訓練コースにもよると思いますけれども、その効果を見るときに、長期の訓練というか、そういう場合には、委員の方からもお話がありましたが、その職に就いて安定的にキャリア形成していけるようなことなのか、そういうように効果をみるとすれば、少し長いタームでどうだったのかということを見るという視点も必要になってくると。短期の場合と長期の場合の効果の見方というのは違ってくると思いますけれども、この辺については何か、つまり、キャリア形成みたいな形で数年をみるというような、そのような視点も入っているのかどうか。これは今後、とても重要ではないかと思いますので、教えてください。
○藤村座長 いかがでしょうか。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。おっしゃる視点については、継続的に見ていくことかと思いますけれども、あとは短期と長期の比較というような視点かと思います。これから始まる取組ですので、そこまで詳しくは、本省から労働局には伝えておりません。訓練を実施していただく視点として、例えば、修了者の方々には、訓練した中身のうち、就職にすごく役立ったもの、あるいは習ったけれども、役に立っていないもの。雇われた企業に対しても、修了者の方が就職してくれたことが今の会社にすごく役立っている。逆に、ここをもっと習ってきてくれれば、もっとよかったなというような声を頂くことを、まずは前提にして、労働局のほうには指示させていただいております。ただ、あくまでも第1回目のものですので、この取組については、中央協議会のほうに集約いたしまして、また横展開していきますので、その中で、こういった取組を、更にしたほうが改善につながるのではないかといった皆様からのお声を頂きながら、ヒアリングの項目を変えたり、ヒアリングの視点を変えたり、していきたいと考えております。ありがとうございます。
○藤村座長 そのほかにございますでしょうか。どうぞ、山脇構成員。
○山脇構成員 今、他の構成員からも御指摘があった点、私も大変重要な視点だと考えています。個人ごとに経年的に、どういう職歴だったのかを追跡して調べることができれば、一番望ましい形だと思いますので、パネルで追跡調査することも、検討の俎上には上げておいていただけないかと思います。以上です。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 ありがとうございます。今、山脇構成員から、個人ごとにパネルで追うということについて御意見がございましたけれども、是非、テイクノートさせていただきまして、今後のワーキンググループの改善につなげていけたらと考えております。御意見ありがとうございました。
○藤村座長 ありがとうございます。そのほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。こういう形で検証していくことはとても大事なので、いろいろな視点で今後、進めていっていただきたいと思います。
 それでは、最後の議題です。議事次第(5)の「その他」となっておりますが、職業能力の開発及び促進の向上に資する取組の紹介として、厚生労働省から説明をお願いいたします。
○厚生労働省鈴井人材開発統括官付政策企画室長 政策企画室の鈴井でございます。私からは、大きく2点です。税制改正関係と来年度の新規事業の関係について御説明させていただきます。1点目、税制改正関係につきましては、資料5-1、通し番号37ページを御覧ください。令和5年度税制改正大綱に含まれる内容(令和5年度税制改正により創設を予定)です。まず、2番の「制度の概要」を御覧ください。前提として、現行制度においても、給与所得者が職務の遂行に直接必要な技術又は知識の習得のための研修の受講費用等の「特定支出」をした場合、その合計額が「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超えるときは、その超える部分を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができるとされています。現行の特定支出控除の手続においては、この「特定支出」が「職務に関連するものである」ということについて、給与等の支払者の証明、つまり、会社からの証明を受ける必要があるところなのですが、今回創設を予定している特例により、赤い字の所ですが、給与所得者が厚生労働大臣が指定する教育訓練給付指定講座を受講した場合には、給与等の支払者の代わりにキャリアコンサルタントが証明を行うことを認めるという内容です。こちらの税制改正を通じて、個人の学び・学び直しが促進されることを期待しております。今後、地域の協議会を含めて、周知に努めてまいりたいと思います。
 2点目は、資料5-2、通し番号38ページです。受講者の特性に対応した教育訓練手法の構築・普及促進事業です。令和5年度新規事業として、予算案に計上されており、令和5年度から令和6年度までの2か年事業とすることを想定しております。まず上の枠ですが、事業の目的です。昨年度、人への投資に関して、民間からの提案募集を行ったところ、「女性非正規雇用労働者向けの伴走支援を付したIT人材育成プログラムの実施」「中高年ホワイトカラーのセカンドキャリアに向けたマインドリセット等の実施」「管理職向けの人材マネジメント研修の実施」など多数の提案があったところです。こうした幅広いニーズに対応した訓練を実現するために、受講者の特性に対応した特色ある教育訓練手法を構築し、その後の試行、トライアルを実施し、更に普及する方策についても、民間から募集し、その構築、試行、普及をその提案者に行っていただくという事業を実施するものです。
 スキームとしては、左下の図ですが、受講者の特性に対応した教育訓練手法の構築を希望する団体から提案を受けて、左下の(実施団体等)と書いてある丸囲みの所ですが、その提案を受けて、コンテスト方式で審査、選定し、採択された提案について、厚労省から委託することになります。
 この事業の成果物、つまり新たな教育訓練手法になりますけれども、これらのうち、有用なものにつきましては、地域の職業能力開発促進協議会の場を通じ、職業訓練メニューにも反映させて普及させていくことを想定しております。具体的には、成果物が出来てから地域の協議会の皆様に御協力いただくということになりますけれども、事業実施前に、こちらで御紹介させていただいた次第です。
 なお、昨年6月に取りまとめました「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」について、経営者や労働者に広く周知等を行い、日本全体に学び・学び直しの風土の定着を図りたいという、こちらの機運醸成のための周知の予算も本事業に、併せて計上しております。引き続き、よろしくお願いいたします。以上でございます。
○藤村座長 ありがとうございました。ただいまの説明、あるいは、これまでの議論全体を通して、何か御質問、御意見がありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。
どうもありがとうございました。本日の議題は以上でございます。これをもちまして、「第2回中央職業能力開発促進協議会」を終了いたします。では、事務局にお返しします。
○鶴谷人材開発統括官付訓練企画室長 藤村座長、ありがとうございました。また、本日御参加の皆様におかれましては、長時間ありがとうございました。本日の御意見を踏まえまして、全国職業訓練実施計画につきましては、修正の上、策定させていただきたいと思います。
 また、本日の議事につきましては、構成員の皆様の御確認を経た後、資料とともに厚生労働省ホームページで公開することとし、併せて、本日の資料と協議内容は地域で開催される協議会でも情報共有させていただきます。
 次回の開催につきましては、本年9月頃を予定しており、別途、事務局から御連絡させていただきます。
 また、オンライン参加の皆様、今日は音声の不都合がございまして大変申し訳ございませんでした。本当に恐縮でございます。それでは、皆様、ありがとうございました。