令和4年度 厚生労働行政モニター会議 議事要旨

会議の概要

日時

令和5年1月18日(水) 14:00~15:30

開催方法

オンライン開催

出席者

厚生労働行政モニター 11名
厚生労働省 5名
 労働基準局安全衛生部労働衛生課治療と仕事の両立支援室 佐伯補佐、柳田主査
 健康局難病対策課移植医療対策推進室 山口係長、板原係員
 大臣官房総務課広報室 石黒補佐

議題

1.治療と仕事の両立について
2.臓器移植について

議事要旨

1.治療と仕事の両立について

(厚生労働省から、治療と仕事の両立支援が必要となった背景や、厚生労働省における取り組みについて、資料に沿って説明。)
治療と仕事の両立支援の施策についての認知度や効果的な周知方法についてご意見をお伺いしたい。


【モニターから出た主な意見】
・どうやって病気を周りの人間に知らせて、理解を得るのかという問題がある。病気であることを周りに知らせにくい・公表しにくいということもあるし、一方で知らせてくれないと周りは配慮できない。また企業として病気で休まれるのは仕事に偏りが生じるので迷惑だということもある。一人一人の意識をどうやって底上げしていくかということを考えている。

・20年前にがんを患ったが、当時は職場の理解が得られなかった。最近になって仕事と治療の両立という流れが出てきて、だんだん周囲の見る目も変わってきたと感じる。

・電車内の中吊りポスターで漫画のキャラクターを使って病気になっている部下の両立支援をしていこうという内容のものがあったと記憶しているが、あれはよかったと思う。

・保健師として働いているが、「ちりょうさ」も「治療と仕事の両立支援ナビ」も目にした記憶がなく、まだ浸透していないと感じた。

・労働者として考えたときに、病気になったら休みが取れるか、また職場として休みを取らせてあげられるかということは実情として難しいと思う。ある程度国の補償などが必要なのではないか。

・自分は特定疾患患者として、普通に働いてはいるが、定期的に、病状に変化がなくても平日休みを取って通院しないといけないので、オンラインで病状を伝えたら薬を出してもらえるような制度を進めていただければと思う。 あと、疾患名にインパクトがあるようで、転職活動をした際に病気の件を伝えたら内定を取り消されたということがあったので、啓蒙活動を意識していただければと思う。

 

【モニターから出た主な質問と厚生労働省の回答】
(質問)
ガイドラインには精神疾患そのものはスコープには入っていないのか。
(厚生労働省回答)
精神疾患については、個別の状況にもよるが、障害者雇用支援の施策と重なる部分があり、そちらの方がご本人、企業ともに施策の支援メニューが多いということもあるので、こちらは二次予防というか、精神疾患に陥らないような防止策が重要と考えており、ガイドラインには留意事項としてメンタル面の配慮を掲載している。

(質問)
育児や介護の休業などについては、法律で就業規則に規定することとなっていると思うが、治療と仕事の両立についても同様の規定ができないのか。
(厚生労働省回答)
治療と仕事の両立については、休暇を弾力的に取れるような社内の制度を実現していただくことのメリットを周知・啓発している段階であり、事業主に一定の義務を課すところまで至っていない。

2.臓器移植について

(厚生労働省から、臓器移植法に基づく臓器移植制度やその現状、普及啓発に関する現状等について資料に沿って説明。)
臓器提供について理解を深めていただくには、また臓器提供の意思表示につなげていくためには、どのような普及啓発活動が効果的なのかということについてご意見を伺いたい。


【モニターから出た主な意見】
・運転免許更新時や、マイナンバー発行時、臓器提供の啓蒙活動を徹底し、強制でなくともその際に書いていただくのが手っ取り早いと思う。マイナンバーの交付の際は、結構待ち時間があるので、その際に臓器移植について専門知識を持った方に説明していただくとか、動画を見ていただくなどした上で、同意いただければ意思表示していただいたらどうかと思う。

・臓器提供が進まない理由として考えるのが、特に若い方は知らない・知識がないことにあると思う。新聞・雑誌は読まなくても、YouTubeは見るので、タレントなどを使って、臓器提供をした方や移植を受けた方の声などを伝えていったらよいと思う。

・YouTubeなど、SNSの広告を使うと見る人も多いと思うので効果的なのではないかと思う。

・意思表示をしない理由の一つとして、健康保険証や運転免許証、マイナンバーカードなど、中高生の時に学校で説明を受けてからに実際に手にして意思表示できるようになるまでに間が開いてしまうので、説明を受けたときには意志を固めていても、間が開くことで意思表示しなくなってしまうということがあるのではないか。マイナンパーカードは今何歳でも交付されるので、マイナンバーカードを学校で啓発するときに、臓器提供の意思表示もできることを同時に啓発したらよいと思う。

・意思表示しやすくなるために、信頼できる情報、主に行政機関の情報になると思うが、それにアクセスしやすくすることも大切だと思う。若者向けのページを作るとか、免許証やマイナンバーカードの意思表示欄に、情報サイトのQRコードを掲載するなどしたらよいのではないか。

・臓器提供について考える機会が少ないと思うので、情報を各自で調べさせるよりも、ターゲット、内容を絞った広告などにより、行政側から積極的に情報を与えた方がいいのではないか。

・中学3年生でいきなりこういう難しい問題を突きつけられて考えろと言われても難しいと思うので、今は多様性やSDGsや性教育など様々な問題について小さい頃から絵本などで親しむ機会があり、それで親子が語り合うことで親の教育にもなっている側面もあるので、小さい頃から絵本などで臓器移植について親子で話せる状況が作れるといいと思う。

・今の子供たちは長い動画はスキップしてしまうので、5秒や10秒のもっと短い動画を広告で挟むとか、病院の待合や食堂の並ぶところなどに音声のない動画のQRコードを貼っておいて、気軽に動画を見られる機会があるといいと思う。

・移植医療は若い人たちの協力も重要であると思うが、そのためにどこが問題なのか、どういうことが必要になるのか、例えば若い方が臓器提供しないのは親が反対するからなのか、本当に病院で全部丁寧な説明を受けた上で臓器提供しないという判断になっているのか、といったフォーカルポイントがわかりにくい。どこが問題なのか突き詰められれば、そこにターゲットを絞ったアプローチができると思う。


【モニターから出た主な質問と厚生労働省の回答】
(質問)
リーフレット配布は中学3年生だけでよいのか。可能であれば1年生から配布できないのか。また説明する教員側の研修のようなものも必要だと思う。 同調圧力の強い国なので、移植について啓蒙するにしても、移植することが正義であるかのような説明になってしまうとそれはそれで問題かと思う。
(厚生労働省回答)
・予算の問題もあって数が限られており、現在中学3年生向けとして配布しているところであるが、カリキュラムに応じて他の学年でもご活用いただきたく、個別のご要望にも対応させていただいている。
・教える側への対応というところでは、臓器移植ネットワークで、説明用のパンフレットを作成し、先ほどのリーフレットに合わせてお送りしているほか、出前授業もご案内している。
・意思表示については、「提供したい」「提供したくない」どちらの意思も尊重されるべきであるので、先ほどのパンフレットにもどちらの意見も尊重されますよということは明記しており、どちらであってもはっきり意思表示していただくことが大事であると考えて啓発活動を行っている。