第52回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省

健康局 予防接種担当参事官室

日時

令和5年2月8日(水)10:00~12:00

場所

中央合同庁舎5号館専用第21会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

議題

(1)新型コロナワクチンの今後の接種の在り方について
(2)組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(9価HPVワクチン)について
(3)その他

議事

議事内容
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、定刻となりましたので、第52回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の議事は、公開です。また、前回と同様、議事の様子をユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しているユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議の冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
続きまして、部会の委員に改選がございましたので、御報告させていただきます。川俣委員、中山委員が本部会を退任され、2名の委員が新たに就任されましたので、御紹介いたします。
伊東亜矢子委員です。
○伊東委員 伊東でございます。よろしくお願いいたします。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 清元秀泰委員です。
○清元委員 姫路市長の清元でございます。どうかよろしくお願いいたします。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 よろしくお願いします。
続きまして、本日の委員の出欠状況について、御報告いたします。
神谷委員から、遅れて参加される旨の連絡をいただいております。
現在、委員12名のうち、11名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
続きまして、本日の資料の確認です。本部会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元のタブレット端末で閲覧する方式で実施いたします。番号01の議事次第及び委員名簿から番号14の利益相反関係書類までを用意しております。資料の不足等、御不明な点がございましたら、事務局にお申し出ください。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。
(カメラ退室)
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 それでは、ここからの進行につきましては、脇田部会長にお願いいたします。
よろしくお願いします。
○脇田部会長 皆様、おはようございます。
また、新しい委員の先生方、どうぞよろしくお願いいたします。
最初に、事務局から、審議参加に関する遵守事項についての報告をよろしくお願いいたします。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 ありがとうございます。事務局です。
審議参加の取扱いについて、御報告いたします。本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告いただきました。各委員及び参考人からの申告内容については、番号14の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日は、議事内容に関し、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますよう、よろしくお願いいたします。
事務局からは、以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入ってまいります。
今日は、2点あります。新型コロナワクチンとパピローマワクチンです。多分議事が大変だと思いますので、皆様、迅速な会議の進行に御協力をよろしくお願いいたします。
最初の議題、新型コロナワクチンについてであります。
本日は、前回御議論いただきましたが、取りまとめの事務局案を提出されていますので、基本方針部会における取りまとめも具体的に議論していきたいと思っております。
事務局から、まず、最新の知見について御説明していただいた後に、参考人の高橋先生、都築先生からも資料を提出いただいていますので、説明いただきます。その後、事務局から取りまとめ案について再度説明していただいて、議論を進めてまいります。
まずは、事務局から、新しい知見などの説明をお願いいたします。資料1の関係ですね。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
資料1を用いまして、最新の知見などについて、説明をさせていただきます。
まず、資料1の最初のページについては、定例のとおり、新型コロナワクチン、新型コロナウイルス感染症についての資料でございます。
3ページ、新型コロナウイルス感染症の国内発生動向。
4ページ、系統の置き換わり。
5ページ、ワクチンの接種状況。
6ページについては、全国の新規陽性者数とワクチン接種率の推移でございます。
8ページ以降、本日の論点に係る知見等でございます。
9ページから、新型コロナウイルス感染症、コロナワクチンのこれまでの経緯についてでございます。
10ページ、これまでと同様の資料でございますが、新型コロナワクチン接種に関するこれまでの検討の経緯でございます。
11ページ、コロナウイルス感染症の新規陽性者数、重症者数、死亡者数の推移でございます。
12ページ以降、ワクチンの有効性等に係る新たな知見でございます。
まず、13ページ、オミクロン株対応2価ワクチン追加接種のBA.5、XBB/XBB1.5系統に対する有効性のデータでございます。XBB/XBB1.5系統に対し、18~49歳で48%、50~64歳で38%、65歳以上で42%の有効性を認めてございます。
14ページ、オミクロン株対応2価ワクチン追加接種の有効性、重症化予防効果でございます。オミクロン株対応2価ワクチンで61.8%、従来型ワクチンで24.9%の入院に対する予防効果のデータでございます。
15ページ、新型コロナワクチンの入院予防効果、従来ワクチンの死亡予防効果でございます。これは、比較的長い期間でのフォローデータということで、御紹介させていただきます。従来型ワクチンが主体でございますが、3回目接種後12~14か月で52.3%、入院予防効果を認めております。死亡予防効果につきましては、3回目接種後、40週間以降で56.9%を認めてございます。
16ページにつきましては、ハイブリッド免疫の有効性、メタアナリシスでございます。1・2回目接種または最終感染後12か月の入院または重症化予防効果は97.4%、再感染予防効果が41%、これはハイブリッド免疫による予防効果でございます。ハイブリッド免疫による3回目接種または最終感染後6か月の入院または重症化予防効果は95.3%、再感染予防効果は46.5%でございました。
17ページにつきましては、ノババックスの免疫原性のデータでございます。
18ページ以降、諸外国の状況でございます。
19ページ、米国及び英国でございます。米国については、2ページ後に詳細がございます。英国につきまして、前回も口頭で御説明させていただきましたけれども、1月25日付のJCVIの推奨でございます。新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高い者に対して、2023年秋に追加接種が提供される。より少数の人々には、2023年の春にも追加接種が提供される。16~49歳の臨床的高リスクではない者への追加接種、3回目接種は2022年秋の接種キャンペーンに合わせて終了すべきとされてございます。
20ページについては、カナダ、フランス、ドイツ等の状況でございます。カナダで、発表がございます。イスラエルでも、政府からの発信という形で方針が示されてございます。
21ページ、1月26日に行われました米国FDAの諮問委員会の概要でございます。上のところに書いてございますけれども、FDAは会議後に声明を発表することがありますが、現時点で未発表でございます。下の※のところに書いてございますが、こちらについては、会議を傍聴し、予防接種担当参事官室で作成した資料になってございます。議題1としまして、新型コロナワクチン接種スケジュールを、原則、年1回、ハイリスク者は年複数回ということで提案がありまして、おおむね了承。議題2、ワクチンの株について、議題2-1、現在のワクチンの簡素化、追加接種に加え、初回接種にもオミクロン株対応2価ワクチンを用いることについて議論が行われ、こちらについては全会一致で可決ということでございます。議題2-2、1年に1回の定期的な株選定についての提案があり、定期的な株選定はおおむね了承されたものの、頻度が1年に1回でよいのかを断定するには情報が必要といったまとめでございました。
事務局からの説明は、以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、高橋参考人から提出いただいた資料について、御説明いただきます。前回も御説明いただきましたけれども、免疫学に関わる追加の御説明であります。
それでは、高橋先生、よろしくお願いします。資料3であります。
○高橋参考人 よろしくお願いします。
感染研、治療薬・ワクチン開発研究センターの高橋です。
資料3を使って、御説明させていただきます。こちらの資料ですが、昨年3月の予防接種・ワクチン分科会で使った資料を一部改変させていただいています。少し前のデータとなることを御了承ください。
まず、こちらの資料を使って、RNAワクチン、単価ワクチンを3回目まで接種しますと、抗体を中心とした液性免疫が成熟を起こすという現象について、御説明させていただきます。今回、左が海外のデータで、右が国内のデータとなっています。左の海外のデータは、ファイザー社製のワクチン接種のデータでありますが、この赤で囲った左のrecent vaxが2回接種後の中和抗体のデータとなりまして、このWTと書いた従来株に対する中和抗体に比べて、オミクロンBA.1に対する抗体は100分の1以下という状態になっています。ただ、3回目接種を行ったこの右側のbooster vaxというデータを御覧いただきますと、その差は4分の1というところで差が縮まっていることが御覧いただけるかと思います。このように、3回目接種を行うことで液性免疫の成熟が起こり、オミクロン株への交差性も増加したと現在は解釈されております。右側の国内のデータにつきましても、基本的に同じようなデータでありますので、説明は割愛させていただきます。
続きまして、2ページ目を御覧ください。次の資料を併せて、3回目接種まででTリンパ球の応答が頭打ちになっているという現象について御説明させていただきます。こちらの資料も、前回の本基本方針分科会で使わせていただいた資料を一部改変しております。こちらの海外のデータでありますけれども、モデルナ社製のワクチン、赤色で示したものと、ファイザー社製のワクチン、青色で示したもの、2回接種を行って、リンパ球数をフォローアップしたデータとなっております。このCD4のTリンパ球とCD8のTリンパ球、いずれも同じようなデータでありますが、この2回接種前後のT2、T3という数値を比較していただきますと、それほど大きく数に変化は認められないことが確認されております。
続いて、3ページ目を御覧ください。続きまして、3回目接種前後のTリンパ球数の変化を示しているデータとなります。RNAワクチンを2回接種し、半年経過した方、11名のデータと、3回目接種を行って約4週間後のデータ、13名の方からもデータが示されております。このスパイクIgG抗体価に関しましては、3回接種で非常に数値が大きく増加することに対し、インターフェロンγという液性因子を出すTリンパ球の数に関しましては、CVT2からBVに関してはほとんど数が増加しないということで、3回ワクチン接種前後でTリンパ球数に大きな変化はないということで、頭打ちになっているとこの論文でも説明されております。
私からの説明は、以上となります。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、ここで高橋先生への御質問を受けようと思いますが、皆様から何か御質問はございますでしょうか。いかがですか。
高橋先生、最後のページのところで、インターフェロンγのTリンパ球数で、CVというところからCVT2で下がってきているように見えるのですけれども、CVは初回の免疫ですかね。初回より下がると。
○高橋参考人 これは、多分2回後のピーク時からになりますけれども、確かに数は減っているのですけれども、2分の1以内です。通常、低下すると言う場合には、10分の1とか、そういった場合は大きく低下すると解釈されております。
○脇田部会長 あまり差はないと。
○高橋参考人 はい。
○脇田部会長 分かりました。
坂元先生、宮入先生の順番でお願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
高橋先生、御説明をありがとうございました。
このTリンパ球数が3回接種してもそんなに上がらないということは、体内で飽和状態に達してしまうということなのでしょうか。
Tリンパ球の減衰は、実際はどのぐらいの期間までいわゆる一定量が保たれるのか。
この2点に関して、お教えいただければと思います。
○高橋参考人 ありがとうございました。
まず、この数が飽和されているかどうかという点につきまして、少なくとも末梢血に存在しているTリンパ球の数に関しては飽和していると解釈されております。ただ、気道局所でどうなるかという点については、まだ十分なエビデンスがない状況かと思います。
フォローアップの期間に関しましては、前回のこちらの基本方針部会でも関連するデータを御紹介させていただきましたが、3回ワクチン接種後、半年まではほぼ一定でありまして、感染者にはなりますけれども、感染後、1年まではほぼ一定数が保たれているというデータがございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
宮入先生、お願いします。
○宮入委員 浜松医科大学の宮入です。
高橋先生、ありがとうございます。
抗体が持つ臨床的な意義、T細胞が持つ臨床的な意義を、例えば、発症防止効果あるいは重症化防止効果に結びつけて教えていただけますでしょうか。
○高橋参考人 ありがとうございます。
なかなかそこを結びつけたデータが十分に得られていないことが現状ではないかと思うのですけれども、動物モデル等でのデータと発症あるいは重症化予防効果との相関性という観点も絡めてコメントをさせていただきますと、このTリンパ球に関しましては、それが存在している時点では予防効果を直接発揮できない。ウイルスにさらされて活性化して、感染細胞を除去できるような細胞に変化して、初めて予防効果を発揮できるということで、ウイルスに感染してから予防効果を発揮するまで数日のタイムラグが生じることになります。より時間がかかったフェーズでの予防効果、特に重症化予防効果等により効果を発揮しやすいと、免疫的には、今、考えられているところでございます。一方、抗体に関しましては、感染時に事前に存在していることでウイルスそのものにいち早く結合して予防効果を発揮できるようなタイプになりますので、感染予防効果も含めた、より前のところにも発揮しやすいと解釈されています。
○宮入委員 ありがとうございます。
○脇田部会長 白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
このデータをいただいて、どのように一般的な解釈をしたらいいのかなと思ったのですけれども、一般の方々は全年齢も考えると、大体3回接種までをされている方が、多いなと思います。基本的な免疫を、初回免疫と追加接種によって、感染予防効果というよりは重症化予防になるかもしれませんけれども、3回接種をした人は持っているという評価になるのであれば、改めてそういうことを自治体からも言えるかなとは思うのですが、そういう解釈をしてもよろしいのでしょうか。
○高橋参考人 少なくとも免疫はしっかりと獲得されていて、長期的に維持されているということは、これらのエビデンスをもって言うことは可能となるかと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
もう一つは、中和抗体価の成熟というところがあるので、3回をやることによって幅広いウイルス株に対応できる抗体が獲得できるということだと思いました。
そのほかは、いかがでしょうか。
坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 高橋先生、先ほど聞き忘れたのですけれども、厚生労働省からの説明の中に、UKの最新のデータで、3回目接種後、いわゆる10か月以上たっても死亡予防効果が56~57%あったように思うのですが、これは、先ほど先生から御説明があったTリンパ球の長期免疫記憶と関係があると理解してよろしいのでしょうか。
よろしくお願いします。
○高橋参考人 ありがとうございます。
現時点で、ワクチン3回目接種後、UKのスタディーは長期間のフォローアップをして免疫を調べたというエビデンスがないところではあるのですけれども、この状況でもTリンパ球が維持されていると。感染者ではそのようなことが起こっていますので、その可能性は高いと現時点では予想されるわけでありますけれども、Tリンパ球数が十分数維持されていると。抗体も減衰はしていくのですが、こちらは感染者のエビデンスになりますけれども、検出限界以下になることはあまりない、低いレベルで維持されているということも確認されておりますので、その低いレベルで維持されている抗体とTリンパ球数にて予防効果が発揮されていると考えることは可能かと思います。
○坂元委員 ありがとうございます。
○小林座長 ありがとうございました。
よろしいですか。
それでは、次に進ませていただきます。
次に、都築参考人から提出いただいた資料4でございます。御説明をお願いしたいと思います。新型コロナウイルス感染症の重症化リスクについて、都築先生、よろしくお願いいたします。
○都築参考人 御紹介をありがとうございます。国立国際医療研究センターの都築と申します。
資料4に基づきまして、御説明させていただきます。
全国レジストリ、COVIREGI-JPというレジストリデータですけれども、こちらに登録されているオミクロン株の症例につきまして、重症化・死亡に関連するリスク因子の検討ということで解析させていただきました。
2枚目を見ていただいて、症例の定義なのですけれども、まず、データとしては、2月1日に取得した最新のデータを用いております。入院日が、2022年1月1日以降、全ての患者について株情報が出てきているわけではありませんので、オミクロンがメインになった昨年1月以降にしております。いろいろと細かい除外条件を記載しているのですけれども、要は、明らかにオミクロン株でないと分かるものは除外したと考えていただければと思います。今回の重症化の定義は、入院中に酸素投与がされたこととしております。
次のページに行っていただいて、予防接種歴に関して、3回以上接種を完了している患者をいわゆる論文で言うところのFull immunized、免疫がきちんとついているとみなしております。最終接種日から2週間経過していない者は、最終接種は無効と判断しております。誠に恐縮なのですけれども、接種日が不明な患者も非常に多くて、接種日が不明な場合は月末という扱いにしまして、接種月が不明なものは12月接種という扱いにして、コンサバティブな解析にしております。先ほどのページで申し上げたように、接種日が完全に不明なものは除外しております。
次のページに行きまして、全体の患者は1万人強がおりまして、こちらが記述統計になるのですが、重症化したかしないかで層別化しますと、両群の年齢層がかなり異なっておりまして、直接比較して物を言うのは難しいかなという印象です。入院中、酸素投与の必要がなかった方は60歳未満が中央値であるのに対して、入院中に酸素が必要な方は80歳程度となっております。
次のページに行っていただきまして、65歳以上にこれを限定しますと、ある程度、見えてくるのかなというところです。65歳以上に限りますと、男性であること、心疾患が背景にある、脳血管疾患、慢性肺疾患がある場合など、これは重症化のリスク因子と見えてまいります。ADLが不良な場合などもリスク因子と考えられると思います。
次のページに行っていただければと思います。さらに、いわゆる超高齢者、80歳以上に限定しましても、同様の傾向が見られます。80歳以上でも、やはり男性であることや心疾患や脳血管疾患や慢性肺疾患はリスクファクターと言えると思います。ADLが不良であると重症化しやすいということは言えると思います。
さらに、次のページに行っていただきまして、多変量ロジスティック回帰による重症化のリスク因子を探索的に検索したものになります。左側の図を御覧いただければと思います。点線がオッズ比1のところになりますので、右側に偏っているもるのがリスク因子になります。大体重症化しやすい因子はおおむね既報などで明らかになってはいますので、ほとんど投入した変数が有意にはなってしまうのですけれども、やはり高齢であることや男性、心疾患、脳血管疾患、慢性肺疾患といった記述疫学でも差が出るような項目が有意に重症化のリスク因子であることが言えると思います。あとは、認知症や長期療養施設に入所しているということも明らかなリスク因子ということでした。ワクチンの3回以上の接種を終えている方は重症化しにくいということは言えました。
さらに、次のページに行っていただいて、こちらは入院中の死亡のリスク因子を探索したものになるのですけれども、高齢であることがリスク因子であって、男性であることや心疾患、基本的な傾向としては、重症化と同じような因子が関連していると言えると思います。ただ、入院中の全死亡であって、必ずしも新型コロナ感染症によって死んだかどうかまではレジストリのデータからは分からないところがありますので、そこは注意する必要があります。その影響もあって、腫瘍関連、固形腫瘍、血液腫瘍といったところが有意に出ていますが、こちらなどは、原疾患で死んだのか、本当に新型コロナでお亡くなりになったのかまでは、分からないというところがあると思います。
さらに、次のページに行っていただきまして、こちらは傾向スコアによるマッチングです。マッチングで条件をそろえて、特定の因子がどの程度死亡に寄与しているかというところですが、こちらは、認知症です。こちらの解析結果は、以前、アドバイザリーボードで発表したものをさらにデータを増やして改定したものになるのですけれども、その際には認知症はリスク因子ではなかったので、改めてやり直してみました。背景因子をそろえますと、こちらの左の図が背景因子を調節したという証拠なのですけれども、調節する前は赤の三角のようなばらつきがあったものが、調整後は青丸のように、ばらつきが少ない分、左に寄っているというものが調整したところになります。調整しますと、マッチ後で、各群1,500例程度いたのですけれども、死亡例でほとんど差がなく、認知症が明らかな死亡のリスクとは言えないという状況でした。
次のページに行っていただきまして、今度は長期療養施設に入所している方の場合です。同じように、背景因子を調節しまして、両群をそろえて、同程度の患者数、1,500弱をすることになったのですけれども、長期療養施設に入所している方に118人の死亡例があったのに対して、被入所の場合は84例と明らかな差があるということで、長期療養施設に入所しているような方は死亡のリスクも高いということが言えるかと思います。
最後に、考察のページになりますが、多変量解析の結果では、高齢や男性であること、心疾患などの原疾患、これまで既報で重症化や死亡のリスクとして挙げられてきたものが有意であることは変わりませんでした。健康スコアマッチングで背景因子を調節しますと、認知症は明らかなリスク因子ではないのですけれども、長期療養型施設に入所しておられる患者さんは明らかに重症化や死亡の高リスクと考えられました。ただし、今回の結果は、入院患者のみを扱ったデータであること、ワクチン接種の正確な時期が不明な患者が多いこと、また、調節し切れない背景因子がほかにもあるということには留意をする必要があるかと思います。
私からの説明は、以上です。ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
都築先生から御説明いただきましたけれども、ただいまの御説明に、委員の先生方から何か御質問はありますでしょうか。
中野先生、お願いします。
○中野委員 川崎医大の中野でございます。
都築先生、どうもありがとうございます。
リスク因子のことを御検討いただいたということで、ワクチンに関しましては、3回以上の接種で大体0.7ぐらい減少しているという解析が分かったと思うのですが、お尋ね申し上げたいのは、この患者さんたちが全て1回目の新型コロナ罹患だったのか、あるいは、複数回罹患した方がいらっしゃったのか。オミクロン株が流行して既に罹患歴がある方も結構増えてきておりまして、ワクチンで免疫をつけることが軽症化につながるのであれば、罹患はどれぐらい作用するのか。今後、ワクチンを継続していくに当たって、どんな方々にワクチンを打っていただきたいかというメッセージにもつながるかなと思って、御質問させていただきました。分かる範囲で結構ですので、もし少しでもコメントをいただければうれしいです。
○都築参考人 御質問をありがとうございます。
誠に鋭い指摘と申しますか、おっしゃるとおりで、確かに既感染の患者さんも何割かおられます。すみません。正確な数を把握しておりません。確かに、おっしゃるとおり、ワクチンの効果を推定するという意味では、既感染というものを調節するべきかと思います。今後、そういった辺りも調節した報告をできればと思います。よろしくお願いいたします。
○中野委員 ありがとうございます。
○小林座長 ありがとうございます。
清元委員、お願いします。
○清元委員 御説明をありがとうございました。
現場で保健所からの個々の個票とかを見ていて、今回の解析にあるように、原疾患にあってかなり死亡のリスクが高いということは実感しているのですけれども、逆に、施設療養中の死亡の方や入院療養中で亡くなる方なのですけれども、入院とかをして、重症化をして死亡という形になると思うのですけれども、大体の日数とかで、現行は2類ですから、レジストリをしてしまうと、原疾患のがんで死んだのにコロナの死亡にカウントをされているように思うのですけれども、原疾患やウイルスそのものの影響があるのかないのか分からないような状況なのですけれども、入院日数とか、ワクチンとかで死亡までの日数に影響を与えているとか、そういうことは分からないのでしょうか。
○都築参考人 御質問をありがとうございます。
結論から申し上げますと、可能と思います。ただ、それに向けて、入院日数以外の要素を調整した上で、ワクチンが3回接種完了している者とそうでない者と分ければ、ある程度、ワクチンの入院日数に関する影響は見えてくると思うのですけれども、今回、その結果を用意しておりません。即答は難しいかと感じます。
○清元委員 1つ、考え方として、今後、5類になっていくと、今みたいに全数を把握していく必要がなくなって、今も実際にそうですけれども、結局、より実態が見えにくくなってくるといいますか、入院して、調子が悪いから検査をしてみたらコロナの陽性でしたみたいな感じで、今でしたら、がんでインフルエンザの陽性になっている人を病棟で診ることと同じような形の臨床的な見方になってくる場合に、今後はこういう一つのデータとしてワクチンをどうやって投与していくかということを審議する中で、どれぐらい疾患寄与度が高いのかということが分からなくなってくるかと思いました。原疾患の影響や寄与度がもっと分かればいいなといつも思っておりますけれども、また教えていただければと思います。
以上です。
○都築参考人 貴重な御意見をありがとうございます。かなり症例数も増えてまいりましたので、例えば、担がん患者に絞っての解析等も将来的には可能になるかと思いますので、そういった知見も将来的にお届けできればと思います。
○脇田部会長 坂元委員、お願いします。
○坂元委員 御説明をどうもありがとうございました。
これは長期療養施設に入ってくる人のほうが有意にリスクが高いということは、高齢者などでもいろいろな状態の人が入っているからという理解でよろしいのでしょうか。お教えください。
○都築参考人 御質問をありがとうございます。
そこは若干難しいところでして、先ほど申し上げたように、類似の解析を以前のアドバイザリーボードで御説明したことがあったのですけれども、そのときは、長期療養施設に入所していること自体というよりも、ADLが低下していることの影響が強いという印象がありました。今回、そこまで詳細な解析を行っていないのですけれども、そのADLに関連する項目を幾つか評価して、ADLが悪化している方とほかの因子を調節して解析しますと、ADLが悪化していることが重症化や死亡にとって悪影響が強いという結果でしたので、今回も基本的には変わらないと思います。施設に入所している方というよりも、やはりADLの低下している方が施設におられることが多く、結果として予後も悪くなっているということではないかと考えているのですが、分かりやすい一つの目安として、施設に入っておられる方は結果としてADLは低下しているので、投与を優先考慮するよい対象になり得るのかなと考えた次第です。
○坂元委員 ありがとうございます。
○小林座長 ありがとうございます。
今のポイントは私も重要だと思っていて、つまり、途中の解析でも、ADLが重症化リスクが高いというデータがあったと思うのですけれども、施設に入所していること自体がリスク因子なのか、それともADLが悪いことが最もリスク因子としては重要なのかというところをまたお示ししていただけるといいかなと思いました。
白井委員、お願いします。
○白井委員 ありがとうございます。白井です。
ワクチンの回数で見てみますと、3回接種、4回接種で、全年齢だと、P値で見ると有意差があるようなのですが、65歳以上や80歳以上になると、4回以上はあまり有意差がないように見えているのですけれども、3回以上と4回以上の差は、重症化にとってはどのように言えるのかなと思ったのですが、何か御説明いただければありがたいです。
○都築参考人 御質問をありがとうございます。
御指摘のとおりで、3回接種までに比べると、4回目の利益は明確には見えづらいのかなという印象があるのですけれども、それを言おうとすると、接種してからの日数をもうちょっと真剣に調整した解析が必要かなと思っております。接種から月日が経過すれば抗体価が下がっていくことは自明の理なので、今回、接種日が不完全な方が多い現状で、最終接種から何か月ぐらいたっての感染なのかというところまでそろえることは難しい現状があります。もしかすると、接種日までをしっかり考慮して調整した結果、3回接種と4回以上接種を比べた結果、あからさまな有効性があるのかないのかということがもうちょっと見えるのかなと思うのですけれども、現状、そこまでお出しすることは難しいかなと考えた次第です。
説明になっていれば、幸いです。
○白井委員 ありがとうございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
少し時間も押していますので、先に進めさせていただきます。
高橋先生、都築先生、どうもありがとうございました。
次に、事務局から、取りまとめについて御説明をしていただきます。
よろしくお願いします。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
前回までの御議論を踏まえまして、事務局から、取りまとめの案という形で資料2-1、資料2-2については参考資料でございます。基本的に本日のものを含めて分科会に資料として提出させていただいたものを、資料2-1の最後のところに、参考資料の何ページという形でお示ししながら、参考資料としてまとめてございます。
資料2-1に基づきまして、「2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針について」、基本方針部会の取りまとめの案ということで説明させていただきます。
1ページ目、1.背景でございます。こちらは、今までも御説明したところでございますので、割愛させていただきます。2.現在得られている知見等についてでございます。(1)コロナウイルス感染症の疫学的状況及び変異についてでございます。1丸目については、変異株の状況。2丸目でございますが、感染症の流行周期はいまだ明らかではない、ただ、年に複数回の感染拡大が見られますが、年末年始において比較的多くの死亡者数等を伴う感染拡大が見られる。(2)オミクロン株対応2価ワクチンを接種した場合の免疫原性及び免疫の基礎的な知見についてでございます。1丸目、免疫原性についての報告でございます。1つ目の矢羽根、従来株も含めて幅広い株に対して中和抗体価が上昇する一方で、オミクロン株対応2価ワクチン接種後、オミクロン株に対して期待していたほど中和抗体価が上昇しないというデータがございます。
おめくりいただきまして、次のところ、1行目からですが、従来型ワクチンの接種でも、交差免疫の獲得によると考えられるオミクロン株に対する中和抗体価の上昇が見られますが、オミクロン株対応2価ワクチン接種したほうがオミクロン株に対してより高く中和抗体価が上昇するとの報告も見られます。4行目、免疫記憶の持続期間についてでございます。記憶リンパ球が維持されているといった報告がございます。それから、9行目、免疫刷り込みと呼ばれる現象についてでございます。詳細については、記載のとおりでございます。14行目からの丸につきましては、これらの免疫学的な知見の不明確な点について記載をさせていただいております。20行目から、ワクチンの有効性に関する疫学的知見についてでございます。まず、1丸目、従来型ワクチンの有効性については、長期の追跡データが報告されてございます。23行目、入院予防効果、6か月程度あるいは1年程度といった効果の持続、26行目、死亡予防効果について、40週間以上、いずれも一定程度保たれたということが報告されてございます。最後の28行目、オミクロン株対応2価ワクチンの有効性について、発症予防効果及び死亡予防効果、重症化予防効果などが報告されていますが、効果の持続期間については不明確でございます。
3ページ目の3行目からについては、ハイブリッド免疫、二次感染予防効果についての記載でございます。7行目からの諸外国状況については、詳細は参考資料にまとめてございますが、説明は割愛させていただきます。13行目からは、知見等から得られる考察でございます。まず、(1)期待できる効果及び目的についてでございます。新型コロナワクチンについては、発症予防効果や感染予防効果には持続期間等の限界がある一方で、重症化予防効果は比較的持続しまして、疾病負荷を軽減するという公衆衛生の観点からも、重症者を減らすことが第一の目的であると考えられます。18行目、ただし、一時的であっても流行時に発症者を減らすことは流行を小さくするという公衆衛生上の意義があることに留意する必要がございます。21行目からは、接種の対象者についてでございます。22行目、重症者を減らすことを第一の目的と考えるのであれば、高齢者等、重症化リスクが高い者を第一に接種の対象者となると考えられます。24行目、重症化リスクが高くない方についてでございます。イ)とロ)に分けてございますが、イ)につきましては、医療従事者等でございますが、重症化リスクが高い者と頻繁に接触する者とそうでない者に分けられます。重症化リスクが高くない健常者であっても一定の割合で重症化する者が生じていること、健常人における有効性の持続期間等の十分なデータが得られていない現状においては、重症化リスクが高くない方においても接種の機会を提供することが必要であると。
その中でも、イ)重症化リスクを有する者と頻回に接触する者につきましては、次のページにかけて、従来型ワクチンの知見において、一時的であっても感染予防効果と二次感染予防効果がある。これは特に感染拡大期においては間接的に重症化リスクが高い方を保護する効果が期待されるため、接種を期待することがより重要と考えられるとしてございます。4ページ目の(3)接種のスケジュールについてでございます。まず、1丸目、考え方1、感染症の流行を考慮する方法、考え方2、有効性の持続期間を考慮する方法があると考えております。13行目、感染症の流行を考慮する考え方1につきまして、疫学的状況を考慮すれば、少なくとも年末年始には接種の有効性を発揮する必要がある。考え方2について、有効性は経時的に低下することが示されています。疫学的知見からは、従来型ワクチンであっても、オミクロン株の流行下において、入院予防効果、重症化予防効果については、最低6か月、報告によっては1年程度、死亡予防報告については、40週間以上、一定程度、保たれたと報告されてございます。現在用いているオミクロン株対応2価ワクチンも含めて、流行株に対応したワクチンであれば、これらは従来型ワクチンをオミクロン株流効下で実施した際の持続期間よりもより改善するといった可能性がございます。次の丸、免疫学的な知見から免疫記憶は半年以上の長期に持続することが示唆されてございます。最後の丸、22行目から、まとめてございます。考え方1であれば、秋冬に有効性を発揮する必要があるものの、考え方2に関する知見からは、接種後1年程度が経過すると有効性の十分な持続が見込めないものと考えられます。今回の2価ワクチンは、昨年秋から開始しているため、現時点では毎年秋冬に接種を行うこととすることが妥当。ただし、特に重症化リスクが高い方及び健常者のうち重症化リスクが高い者と頻繁に接触する者につきましては、秋冬を待たずに追加で接種することも念頭に、知見等を注視するべきであると考えております。
(4)使用するワクチンについてでございます。考え方1、流行株への特異的な免疫を獲得する方法、考え方2、幅広い抗原への免疫を獲得する方法がございます。11行目でございますが、現在使用しているオミクロン株対応2価ワクチンは、考え方2により、オミクロン株と従来株の成分を含んでございます。現時点においては、変異の予見性が低いという状況でございますので、考え方2に基づくことが妥当と考えてございます。14行目、現在従来型ワクチンを用いているワクチンについて、オミクロン株対応2価ワクチンに早急に切り替えていくことが望ましい。17行目、変異に関する知見が今後蓄積された場合には、仮に流行する株の予測が一定程度可能となれば、考え方1を取り入れていき、流行株に特異的な免疫のみを獲得するための接種を選択することも可能。最後、4.2023年度以降の接種の方針、結論の部分でございます。まず、(1)2023年度、来年度の接種についてでございます。これまでの考察を踏まえまして、重症者を減らすことを第一の目的とし、重症化リスクが高い者をまずは対象としますが、それ以外の全ての者に対しても接種の機会を確保することが望ましい。小児及び乳幼児につきましては、現時点で従来型ワクチンしか使用はできませんが、接種できる期間が短かったことから、当面、現在の接種を行うべきであると。最後の行、秋冬に次の接種を行うべき。
重症化リスクが高い者、健常人であっても重症化リスクの高い者に頻回に接触する者については、さらに追加して行う接種の必要性に留意する必要がございます。使用するワクチンについてでございます。4行目、2023年の秋冬に使用するワクチンについて検討を進め、2023年度早期に結論を得るべきであると。7行目、さらに、再来年度、2024年度以降の接種について、スケジュールについては、今回の考察を踏まえまして、2023年度に行った接種と同様のスケジュールで行うことを基本としますが、対象者については、重症化リスクの高くない者について新たに得られるデータ等も踏まえまして、2023年中をめどに公費負担に基づく接種継続の必要性を検討すべきとしてございます。最後の丸、薬事承認等を踏まえまして、利用可能となったワクチンについて接種に使用するかどうかについては、引き続き、順次検討を行う必要があるとしてございます。
これらの主な論点につきまして、資料1に、事務局として議論のためにまとめをつくってございます。
資料1の24ページを御覧ください。まず、使用するワクチンについて、考え方1、流行株への特異的な免疫を獲得する方法、考え方2、幅広い抗原への免疫を獲得する方法、それぞれにつきまして、これまでの接種により確認された関連する事実、想定される科学的解釈と評価の案を作成してございます。
25ページ、接種スケジュールに係る考慮要素の比較でございます。考え方1、感染症の流行を考慮、考え方2、有効性の持続期間を考慮というところでございますが、過去に実施した接種とその際の考え方をまとめてございます。
最後、26ページ目につきましては、小児・乳幼児につきまして、取りまとめの案でも触れさせていただきましたが、次、それ以外の年齢層に比べ、接種できる期間が短い等の状況があるというところを説明する資料になってございます。
事務局からの説明は、以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
これまでの議論を踏まえて、事務局から、2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の考え方をまとめていただきました。できれば、今日、この考え方について、皆様の意見をいただいてまとめていきたいと考えております。ただいま御説明のありましたところ、資料2-1について、主に御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
伊藤委員。
○伊藤委員 ありがとうございます。
コホート調査の追加接種の感染予防効果とか、この前に提案させていただきました医療従事者を含めたエッセンシャルワーカーへの接種機会の提起をいただきまして、ありがとうございました。現在いただいたことに関して、おおむね賛成させていただきたいと思います。
発言は、以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
そのほかの先生方は、いかがでしょうか。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
これまでに厚生労働省から御説明があった学術的資料とこの取りまとめは整合性が取れているかと思います。これは学術的な問題ではないのですが、市町村としても、年に1回目安は、制度上、非常にやりやすい。それを、今回、学術的ないろいろなデータで裏づけられたと思います。もちろん、場合によっては、高齢者や免疫不全者は臨機応変に対応しなければいけないということはもっともだと思いますので、それがしっかり生かされているということを考えますと、私は極めて妥当なまとめではないかと思っております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
白井委員、お願いします。
○白井委員 ありがとうございます。白井です。
いつ接種したらいいのか、どのように期間を考えるかといったところで、まとめていただきまして、ありがとうございました。
現場でいうと、保健所の対応のいろいろな忙しさとか、患者さんの増え方ということを、今までの経験から言いますと、秋冬、9月、10月、11月は、割と患者さんが少なかった時期だったのですね。その次の12月、1月に向けてということで、秋冬に接種をすることは妥当かと思いますが、予防の持続効果としては、6か月程度、10か月、1年という見通しが出ていますので、その辺の加減を考えて、どこにしたらいいのかということを、接種を希望する方にも分かりやすく説明できるようにしたいと思っています。
また、流行の時期はなかなか難しいとは思うのですけれども、今までも、内閣府のシンクタンクなどでかなり予想していただいたところもあると思いますので、その辺なども参考にしていただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
釜萢委員、お願いいたします。
○釜萢委員 今日お示しいただいた資料2-1の内容は、エビデンスも踏まえて、エビデンスといっても、全てがあるわけではない中で、得られた内容を非常によく整理して、方針を決められたということで、この内容は大変適切・妥当だと感じます。したがいまして、この方向に賛成を申し上げたいと思います。
その上で、質問です。年に1回の接種で秋冬という方向は妥当だと思いますが、その中で、今日の資料の5ページから6ページで、重症化リスクが高い者はもとより健常人であっても重症化リスクの高い者に頻回に接触する者にはさらに追加して行う接種の必要性に留意という件については、今後、どこでどのように検討していくのかということは、もしある程度の方向性が決まっていれば、お示ししていただきたい。
今後、この接種を行う場合に、今回のコロナのワクチンでは、集団接種の会場をかなり準備して短期間で接種希望者に速やかに対応するということが行われたのですが、これは、今後、どのようにやれば、接種の必要な人に十分な接種が短期間に終わるかどうかという辺りの検討がありましたら、教えていただきたいと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
御質問はまた後でまとめてお答えいただくことにしたいと思います。
先に、さらにコメントをいただきます。
清元委員、お願いします。
○清元委員 住民の命を守る立場から、妥当な方針を示していただいたと思います。秋冬ということは、特にリスクの高い高齢者とかは、今、地域においてもインフルエンザの予防接種の助成とかを行っておりますので、このまま同時接種が可能であれば、住民に対しての利便性では、年齢である程度決めていただく等、住民の命を守る立場からいくと、コロナばかりというわけではなくて、その他のがん検診とかにかなり人員を割かれておりますので、医療機関ごとに実施しても十分に対応できるようなシステムを伴っていただければ、非常にいい方向性だと思っています。例えば、妊婦さんとか、一たび感染すると、なかなか医療機関にも大変負担がかかるようなところは、現行の5類にあるインフルエンザと同じように、我々が財源とかを確保できれば、その費用についてもある程度出しやすくなってくる。今後、段階的に5類になっても、初年度、次々年度、さらに3年度という形でどういう流行になっていくのか分かりませんけれども、少子化に対応するのであれば、有料化という議論も財務省から出ていますけれども、妊婦さんに対するコロナワクチンは、産婦人科において接種する場合は応援させてもらうとか、枝葉の部分でもかなり協力しやすくなっている方針だと思いますので、私は、こちらを支持して、ぜひ進めていただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
宮入委員、お願いします。
○宮入委員 私も、御提示いただいた方向性について、賛成であります。その上で、先ほど釜萢先生から挙がった、さらなる追加接種の時期や方向についての検討はどこでどうするのかということを明示していただきたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
次が、磯部委員ですね。お願いします。
○磯部委員 磯部です。
私も、秋冬に1回、専門の先生方、それぞれに理由があるということであれば、そうなのだろうと思います。繰り返しになります。釜萢先生がおっしゃったように、今後、さらに追加なりの接種の時期とか、今回の取りまとめに表れていないことは一体どこでどう決まるのかということをもう少し伺いたいという発言です。例えば、今後、5類に移行していくというときに、果たして予防接種法上の位置づけはどうなっていくのかとか、特例の接種、臨時の位置づけのまま、公費でやるというスキームをどう維持するのかという議論は、一体どこでするのでしょうか。さらには、副反応情報とか、いろいろな安全性に関しての検証も進めながらやっていくのですよねということなどを、一応確認しておきたいという発言です。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
伊東亜矢子委員、お願いします。
○伊東委員 伊東でございます。
本日は、初めて参加させていただいているので、既にこういったところは議論されているのかもしれないのですが、私も、基本的におまとめいただいた方針で賛成でございます。重症化リスクが高い者あるいはそういう者と頻回あるいは頻繁に接触する者、こういった「高い」とか「頻繁に」という辺りの定義といいますか、どういった内容にするかということは、今後の議論で定めていくということになるのか。そこをお聞かせいただけたらと思いまして、発言いたしました。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
池田委員、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
現時点でのエビデンスあるいは専門家の先生方の御意見などを踏まえて、今回の方針については、妥当だと思います。
その上で、既にほかの先生からも御指摘があるところもございますが、1つは、これはまだ決まっていないこともあるということと、今後、恐らくいろいろなデータが蓄積されると、2023年度についてであっても変更の可能性はあるのかなと思いますので、要するに、現時点での方針であることと、今後、またエビデンスに基づいて変更の可能性があることは、最後の「4.2023年度以降の接種の方針について」の中にも分かるように御記載いただくといいかと思いました。
もう一点、2024年度以降の接種についてのところには、公費負担に基づく接種継続の必要性を検討と書いてあるのですが、2023年度のところには、私の理解では、これは公費負担に基づく接種に関しての話だと思うので、そうだとすれば、例えば、2023年度の接種のところも、それ以外の全ての者に対しても公費負担に基づく接種の機会を確保することが望ましいということを明記いただくと、より分かりやすいのかなと思いました。
私の認識がもし間違っていたら、そこは訂正していただきたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
今日資料2-1でお示しいただいた接種の方針についてという考え方は、前回の議論も踏まえて非常に練っていただいてあって、私はこの内容に異論はございません。
複数の委員の先生がおっしゃられた、現場での実施をどうするか、いつの時期にどうするかということは、きっとこれから決めていかなければならないと思います。これは、より有効で少しでも安全という方法に基づいて、なおかつ、現場で実施可能で国民の皆様に受け入れていただきやすいような予防接種制度になるといいなと思っています。
1つ、私のコメントといたしましては、本日の資料2-1の5ページ、14行に書いていただいてあることでございます。現在追加免疫で使っている2価のオミクロン株対応ワクチンを使うと。米国のFDAも、1月末の会議で、初回免疫にもこれを使う方針で、薬事承認ももちろんあってという前提が今日の資料にも書いていただいてあると思います。恐らく、私たちは、感染症を捉えるとき、先ほどの都築先生の質問でも申し上げたことなのですが、ワクチンで免疫もつきますし、自然界にその病原体もいて、変異していて、いろいろな形で存在している中、私たちは暮らしているわけですよね。そうすると、初回免疫にもコロナワクチンを使うということは、世界でもまだそんなに進んでいないことなので、これは本質的にどういったワクチンを使うかということに関わることですから、ぜひ世界の状況にアップデートをしつつ、一番いい方法を取れるようにしていけるといいと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
皆さん、一通り、御意見を言っていただいたと思います。私も考えていたこともあるのですけれども、皆さんにおっしゃっていただいたので、これで取りあえず区切りとさせていただきます。
いろいろと御質問がありました。特に6ページ、追加の接種です。重症化リスクの高い人やそういった高い人に接触するような人に対しての追加の接種の必要性をどこでどう検討するか、現場での接種をどのような方法で行うのか、「頻繁に」の定義をどうするのか、今の高齢者や重症化リスクのある人に接触することの定義、池田先生のコメントで2023年度中にも変更の可能性があることあるいは公費に関する話、事務局からコメントをいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
釜萢委員、清元委員、宮入委員、磯部委員、池田委員から今後どういうふうに検討するのかということを御指摘いただいたかと思います。
まず、こちらについての事務局の考えを説明させていただきますと、今まで新型コロナワクチンについては特例臨時接種ということで、日々移り変わるエビデンスの中で迅速に意思決定なさる必要があるということで、制度的なことについて、技術的なことも含めて分科会で御議論していただいていたところでございます。
ただ、今回の御議論につきましては、やはり技術的なところを整理する必要があると。今後の影響が非常に大きいので、大きな論点ということで、技術的なところを整理する必要があるということで、基本方針部会で御議論いただいたというところでございます。そういう意味では、今回の取りまとめについては、あくまで技術的なところをどういうふうな方針で行くのかというところを整理したというものでございます。
今後、どういった制度、それから、より詳細な制度につきましては、こちらの取りまとめの分科会に報告させていただきまして、そちらで事務局としても提案をさせていただきながら御議論にいただきたいと考えてございます。
また、秋冬の前に行う接種についてでございますが、こちらについて、現状、技術的にはこういった形になるというところでございますけれども、今後、またエビデンスですとか所要の動きなどがあると思います。そちらも含めて、御指摘がございましたが、やはりどういうふうにするのかというところは発信していかないといけないと。もう少し確度のあった形で発信していきないと考えておりますので、こちらについては、五月雨にはなりますけれども、データなどを踏まえて分科会で最終的にもう少し確度の高い形での発信ができるように御議論いただきたいと考えているところでございます。
それから、磯部委員からは安全性についての御指摘もありましたけれども、こちらについては、従前の役割分担というところでは、安全性については副反応検討部会で御議論いただき、また、有効性、接種の計画などを含めて総合的に分科会で御議論いただくという立てつけかと思います。
今後の新型コロナワクチンについても同様、副反応検討部会でも何人かの先生には御尽力いただいていますが、御議論を続けていただきながら、安全性についてモニタリングしながら接種を進めていければと考えているところでございます。
それから、伊東委員から御質問いただきました重症化リスクについてでございますが、本日、都築参考人から御発表いただきましたけれども、実際に重症化リスクというのをどういうふうに考えるかというのは、様々なデータがあるところではございます。ただ、現実的には、接種の制度というところを考える上では、ある程度決めていかないと運用ができないというところでございます。
事務局の資料としまして、参考資料になりますが、28ページにこれまでの議論で定めた重症化リスクというのがあります。制度を決めていく上では、これまでの経緯、それから、本日御発表いただいたような最新のエビデンスなども踏まえて最終的に決定していく必要があると思いまして、それについては分科会で引き続き御議論いただければと考えているところでございます。
それから、池田先生から公費負担のところにつきまして整合性がないのではないかと受け止めておりますが、こちらについては検討させていただきたいと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
伊東委員から御指摘の、重症化リスクもそうなのですけれども、頻繁にというところが日常的にと受け止めるということなのか、あるいは職業的にとか、家庭の中でとか、そういったところはまた検討するということでしょうかということと、最後に中野先生から御指摘があった2価ワクチンの初回免疫への使い方のところも、お話があったとおり、薬事承認もありますし、諸外国の動向等も見ながらそこは考えていくというところでよろしいですか。
○渡邊予防接種担当参事官室室長補佐 どういうワクチンを使うかということにつきましては、こちらについて予見可能性というところを書かせていただきましたが、諸外国状況等も踏まえ、あと、使用できるワクチン等も踏まえ、御議論していただきたいと考えているところでございます。
○脇田部会長 そういうところで、事務局からレスポンスをいただきましたが、委員の皆様、いかがでしょうか。さらに追加の御質問、御意見等があれば。
いかがでしょうか。大体よろしいですか。
そうしましたら、今の皆様の御意見を踏まえて、主には資料2-1に詳しく示していただいた今後の2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針については、方向性にも賛成という意見が多かったと思いますので、修正するべきところがあるかどうかというところは、あまりなかったように思うのですけれども、事務局とまた相談させていただいてと思います。
そういう形で、この基本方針部会として、今回御提案いただいた資料2-1の接種の方針について、我々の結論とするというところでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田部会長 ありがとうございます。
そうしましたら、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、次の議題に進ませていただきます。議題2、組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(9価HPVワクチン)についてというところであります。
本ワクチンは、昨年の10月、11月のこの審議会におきまして御議論いただきました。本年の4月から定期接種化されることになりました。この4月からの定期接種化に向けて、交互接種の考え方など、具体的に整理が必要な幾つかの論点がありますので、まずそちらを事務局から説明していただきます。その上で、参考人として御参加いただいております日本産科婦人科学会常任理事の宮城悦子先生から、エキスパートオピニオンとしてHPVワクチンの交互接種について御意見をいただいた上で、さらに議論をしたいと思っております。
では、まず事務局から本日の資料の説明をよろしくお願いいたします。
○小畠予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
2ページ目、本日の議論の流れをお示しいたします。
まず、9価HPVワクチンの定期接種化について、本審議会におけるこれまでの議論のまとめを御紹介し、定期化に向けて残っている論点について、具体的には交互接種となる場合の具体的な考え方と、規定の接種を完了している場合の考え方について御議論いただきたいと考えております。
4ページを御覧ください。
まず、これまでの議論のまとめを御紹介いたします。こちらは昨年11月の予防接種・ワクチン分科会の資料の抜粋ですが、9価ワクチンについて本審議会の結論をまとめております。この結論に基づき、分科会で諮問を行い、本年1月には関係法令の公布が進んでおり、4月からの定期接種化に向けて順調に準備が進んでいるところでございます。
この中で、(3)の交互接種については、こちらに記載しておりますように、大きな方向性は決まっているものの、具体的に考え方を整理する必要があると考えております。
また、現在3回となっている規定の接種を完了している場合についても、あらかじめ考え方を整理する必要がございます。
5ページ目からは残りの論点についての整理となります。
6ページ目、ただいま御説明をした残っている論点について記載をしております。
1.交互接種の具体的な考え方について。2価・4価ワクチンとの交互接種となる場合について、想定される具体的な場合と考え方を整理しておく必要がある。特に2価ワクチンとの交互接種について、4価及び9価ワクチンと予防接種実施規則上の接種の方法が異なるため、交互接種となる場合の接種間隔についてあらかじめ整理しておく必要がある。
2.規定の定期接種を完了している場合について。交互接種を含め、定期接種において規定の接種回数を完了している場合の対応について整理しておく必要があると考えております。
7ページ目からは、交互接種となる場合の具体的な考え方についてです。
8ページ目、11月の本審議会の資料ですが、青枠内のような整理を基に、赤枠内の内容でお諮りした結果、同じ種類のHPVワクチンで接種を完了することを原則とするが、交互接種における安全性と免疫原性が一定程度明らかになっていることや、海外での交互接種に関する取扱いを踏まえ、既に2価あるいは4価HPVワクチンを用いて定期接種の一部を終了した者がこれの接種を行う場合には、適切な情報提供に基づき、医師と被接種者等がよく相談した上で、9価HPVワクチンを選択しても差し支えないこととするという結論をいただきました。
9ページ目、交互接種についてWHOの最新のポジションペーパーのものとなります。11月の審議会の際には2017年のものを掲載しておりましたが、昨年末、改めてWHOから最新のものが出されております。内容としては2017年とほぼ同様ではございますが、こちらに記載のように、HPVワクチンはそれぞれ異なった特性をもち、内容と適応も異なり、複数のワクチンが使用できる状況下においては、複数回の接種スケジュールで使用する際、全て同じワクチンで接種するよう努力がなされるべきである。しかしながら、前回の接種の種類が不明もしくは入手不能である場合、いずれかの種類のワクチンでスケジュールを完了させることが可能であるとされております。
10ページ目からのスライドが今回お諮りしたい内容のメインとなります。
まず、こちらのスライドでは交互接種の考え方について整理をしております。昨年11月の本審議会において交互接種について出された結論が上段の記載でございます。
最初の下線部に「2価または4価HPVワクチンを用いて規定の回数の一部を完了した者が、9がHPVワクチンにより残りの回数の接種を行う交互接種」とございますが、これをイメージにしたものが中段の図になります。つまり、交互接種としましては、1回目、2回目が2価または4価、3回目が9価となるパターン、または1回目が2価または4価、残りの2回目、3回目が9価となるこの2パターンが想定されることになります。
接種に当たる自治体や医療機関などが判断に困らないように、改めてこのように具体的に例示をした上で、赤枠の内容についてお諮りをいたします。
2価または4価ワクチンで接種を開始した者が、9価ワクチンで残りの接種を完了する場合について、交互接種として許容してはどうか。
加えて、上段の後半の下線部にも関連して、接種する医療機関において、交互接種に関する十分な説明を行った上で実施することとしてはどうか。この情報提供に関する部分につきましては、11月の本審議会でも、説明を行う接種医に対して行政としても何らかの情報を示すべきといった御意見をいただいたところですが、※2として記載をしておりますように、4月からの定期化に向けて準備を進めておりますワクチンのリーフレットの中で、医療従事者向けのものにつきまして交互接種の記載を追加して、説明に御活用いただくといったことを想定しております。
11ページ目を御覧いただきまして、こちらは交互接種における接種間隔の考え方の整理です。
こちらで図示しているように、2価と4価、9価で予防接種法上の接種方法が少し異なっております。予防接種実施要領上の標準的な接種間隔としては、2価が0、1、6か月、4価、9価が0、2、6月となっております。そのスケジュールで接種できない場合の最低間隔の規定、実施規則及び添付文書上の用法・用量としましては赤字でお示しのとおりで、2価が1回目から最低1か月以上で2回目、2回目から2か月半以上空けて3回目となっている一方で、4、9価の1回目から2回目の最低間隔は1か月で2価と同様ですが、2回目から3回目の最低間隔は3か月となっております。
異なる接種間隔での取扱いとなると混乱を招くため、基本的には9価に合わせた接種間隔とする。つまり、1回目と2回目の間隔は最低1か月、2回目と3回目の間隔は最低3か月としておけば、予防接種法や添付文書の方法から外れない接種が可能となります。
繰り返しになりますが、赤枠の部分、2価または4価ワクチンで接種を開始した者が、令和5年4月以降、定期接種として9価ワクチンで接種完了する場合、9価の接種方法に合わせ、1回目と2回目の最短の間隔を1か月、2回目と3回目の最短の間隔を3か月空けて接種することとしてはどうかということについてお諮りしたいと考えております。
12ページ目からは、規定の接種回数を完了した場合の考え方の整理となります。
過去に2価、4価を接種したことのある方が改めて9価ワクチンを3回接種するなど、規定の接種回数を超えて接種することに対してどのように考えるか。公費対象のみならず、健康被害救済等も含めた定期接種の対象とするかどうかという点の整理です。
13ページ目でございますけれども、規定の接種回数は、現状ではどのワクチンの種類も日本においては3回となっておりますが、諸外国でも規定の回数を完了することとされておりまして、それを超えた接種について、特に安全性の点で十分なエビデンスは得られておりません。
参考にCDCのACIPの見解を記載しておりますが、ここでも過去に4価または2価HPVワクチンで一連の接種を完了した方への9価HPVワクチンの追加接種は勧めていない。また、下方、4価または2価HPVワクチンで接種を開始して、9価HPVワクチンで残りの1回または2回の接種を行い、一連の接種を完了した方への9価HPVワクチンの追加接種は勧めていないとなっております。
このことから、交互接種の場合も含め、規定の接種回数を完了させることとし、接種完了者における追加の接種については予防接種法上の定期接種には位置づけないこととしてはどうか。ただし、キャッチアップ接種において、過去の接種歴が不明な場合については、接種医師と被接種者等との相談の上で初回接種から開始することは妨げないこととするということをお諮りしたいと思います。
14ページ目、こちらはキャッチアップ接種の議論の際に本審議会でお示しした資料となりますが、諸外国でも先ほどのCDCの見解と同様で、規定の回数を完了させることとされております。
事務局の説明としては以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、日本産婦人科学会常任理事の宮城悦子先生より、資料6の御説明をお願いいたします。
○宮城参考人 日本産科婦人科学会で子宮頸がん予防の特任理事をしております、横浜市立大学産婦人科の宮城です。
本日は、産婦人科医の立場から発言をさせていただく機会をいただき、大変ありがとうございました。
資料に沿って説明させていただきます。
まず、WHOが掲げている全世界的な公衆衛生上の問題としての子宮頸がんの排除ということで、この排除はEliminationということで、撲滅、eradicationとは違って、各地域ですとか国ごとの政策により子宮頸がんを減らしていけるという概念であります。
そのためには、WHOが掲げているのは、90%の女子が15歳までに規定のHPVワクチン接種を受けること、70%の女性が35歳と45歳の2回でもいいので、確実性の高い、感度の高い検診を受けること、90%の疾患に罹患した患者さんが適切な治療やケアを受けられるということを掲げており、これはSDGsの2030年の目標にもなっております。
日本の状況を見てみますと、今回の2023年度からの9価HPVワクチンの定期接種により、この90%を目指すということが期待されます。
検診については、確実性の高くて間隔を空けられるということは、従来の細胞診ではなく、HPV検査によるプラスマイナスの判定を指していると考えられ、このことについては、今、各関連団体が協議をしているところであります。
また、日本は国民皆保険、診療、がん診療の均てん化によって、この90%の病変を有する方のケアというのは達成されていると考えます。
次に、3種類のHPVワクチンを並べてみますと、9価のワクチンというのは従来の4価と全くというか、一部重なっておりますけれども、L1の抗原の組成が違いますので、異なるワクチンであるという認識も必要だと思います。
そして、多くの国では免疫を獲得しやすい9~14歳は2回接種となっています。
最近の動きとしては、低所得国では、特に若い方では、1回でもいいのでより多くの女性にHPVワクチンを投与することの重要性がうたわれております。
次に、2価と4価のHPVワクチンの定期接種と交互接種についてですけれども、これはカナダのデータですが、4回のHPVワクチンを1回打った後に、かなり年数を開けてから9価を1回接種した場合の抗体価の増加の倍率を示しています。お示ししますように、オレンジの部分で追加となります5価についても、非常に高い抗体価の増加率が示されておりますが、このオレンジの部分についてはまだ長期データがないということで、同じワクチンで接種するほうが効果としてはエビデンスがあるということになっております。
その次が、9価を2回接種した男性、女性と、先ほどの4価を打った後に年月を空けてから9価のHPVワクチンの交互接種を行った抗体価の比較ですが、少なくとも6/11/16/18の4つのジェノタイプについては抗体価の上昇は同等であるということが示されており、効果も担保されると考えられます。
しかし、ここで大事なことは、やはり20歳以上で性交渉のある女性というのは頸がんの検診が大変重要であるということを、どの診療科で接種を行う場合でも必ず伝えていただきたいと思います。
次に、先ほどのEliminationのWHOのストラテジーで、先進国は多分WHOの予測を前倒してそれを達成しようとしています。特にオーストラリアはHPVワクチン接種が男女で進んでいる国ですけれども、このようにモデリングとして、9価のHPVワクチンを対象者が全員接種した場合でも、女性の10万人当たりの子宮頸がんの罹患率も死亡率も著しく低下しますが、さらに、オーストラリアでは5年ごとにHPV検査を行うことで、このように罹患も死亡も限りなくゼロに近づけていくというモデリングをしております。
これから、HPVワクチンの接種が成功している多くの国では、このような実際のデータが出てくることが予想されます。
次に、スウェーデンからのHPVワクチンの接種と、特に30歳以下、AYA世代と言われるような世代で既に浸潤子宮頸がんの発生が減ってきた。このデータは、WHOのストラテジーをより全ての国で促進する大きな原動力になると考えております。
当初予想されていた70%から60%程度の子宮頸がんを抑制するという予測より、はるかに定期接種によって高い効果が得られる。これは、88%の減少を定期接種できちんとされた方は達成したということで、クロスプロテクションもかなり長期に効くのではないかという間接的な証拠にもなると思います。
また、イングランドやデンマークからも同様のデータが出ておりますが、3か国からやはり定期接種の世代での接種のほうがより効果的であるということは一致しております。
また、キャッチアップ接種の効果は、国の助成の程度ですとかいろいろな状況によって異なりますので、日本独自でしっかり前向きのデータを示す必要があると考えております。
米国のことを少し紹介いたしますと、米国では2006年から2価、4価のHPVワクチンが承認され、定期接種としては4価が推奨されてきました。そして、2015年からは9価のHPVワクチンを男女で承認し、11歳から12歳で定期接種をしております。
この世代が交互接種が多くされている世代と思いますが、この年代の子宮頸がん予防に関するデータはまだ出てはおりませんが、既にごく最近発表された疫学的な統計から、米国では、4価ワクチンの定期接種によって既に20歳から24歳の子宮頸がんが劇的に減少しているというデータが示されております。
また、最後のスライドですけれども、米国においてはHPV関連がん、男性での口腔がん、咽頭がんの問題が非常にクローズアップされ、女性の子宮頸がんよりも男性のHPV感染による口腔・咽頭がんの数が増えているという問題があり、男女での区別のない9価のHPVワクチンの接種が受け入れられております。
日本でも頭頸部外科の先生方からお話を聞きますと、中咽頭がんの男性の若年者での増加の懸念があるということで、近い将来、男女区別なく9価のHPVワクチンの定期接種が実現され、特に若い方たちでは2回接種が実現することを願っております。
私からの発表は以上になります。
○脇田部会長 宮城先生、どうもありがとうございました。
ただいま、宮城先生からは交互接種の考え方を含めて、9価ワクチンについて、あるいは欧米の状況についていろいろ御説明をいただきました。大変参考になる御発表をいただきました。どうもありがとうございました。
それで、御質問はまた後ほどまとめていただきますけれども、事務局からの資料のほうでは、9価ワクチンと交互接種の考え方についてが10ページ、そして、交互接種における接種間隔については11ページ、最後の定期接種における規定の接種回数を完了した場合についての考え方が13ページというところで、論点を示していただきました。
今の宮城先生からの御説明も踏まえまして、各論点について御議論いただければと思いますので、委員の先生方から御質問も含めて御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
では、順番に参ります。池田先生、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
今、宮城先生から御説明いただいて、9価ワクチンが日本でも非常に期待ができるというようなことを感じたところでございますが、伺いたいのは、交互接種に関しまして、1回目ないし1回目、2回目は2価、4価を接種した方でも、3回目なり2回目を9価ワクチンで交互接種で行うことは、安全性の点では問題ないと理解いたしましたが、有効性の観点からいきまして、むしろ積極的に2回目ないし3回目は9価を打ったほうがいいのか。つまり、交互接種のほうをお勧めしたほうがいいのか、それともこれはどちらでもいいということなのか、あるいは逆にエビデンス的には従来のものを使ったほうがよりよいと考えたほうがいいのか、臨床的な観点からはどのように今御説明いただいたデータを解釈したらいいのかということを教えていただきたいです。
○脇田部会長 ありがとうございます。
ちょっと御意見をいただいてからまた宮城先生にお伺いしたいと思いますが、宮入委員、お願いします。
○宮入委員 今の御質問と同じですが、クロスプロテクションの話がありましたが、4価のワクチンを打つことによって16、18以外のがんも防げた。それがどの程度で、9価でカバーされ得るものもどれくらいカバーされたのかということについて、宮城先生にお伺いできればと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
清元委員、お願いします。
○清元委員 ありがとうございます。
私は、交互接種とか、ここでももともと日本がHPVワクチンの接種普及が非常に低いという状況なので、AYA世代とかのがん化とかというのは割と中長期的な観点も必要かもしれないので、そんなに早期にアウトカムを示せるかどうかというのは微妙かも分からないのですけれども、先行各国の観点からいったら、打ってもらうことがやはり住民の命に関してというか、我が国の進むべき方向としても重要かなと思っているので、私はどんどん推奨してもらいたいという立場なのですが、その中で、今回コロナのワクチンもそうなのですけれども、HPVワクチンの接種を、基本的に打ち直しとかも推奨している立場のいわゆる中核市の市長として、ワクチン反対派という人たちが業務妨害みたいな形で結構来られるというのも非常に多いと思うのです。多分各保健所でも、コロナのワクチンを早く打てという依頼もあれば、ワクチン反対派が集団で押しかけてくるようなこともございました。
特にHPVワクチンについては、過去、一部のマスコミを扇動したりとか科研費のデータ捏造とかも含めて様々衆目を集めやすいところにおいて、OECD加盟国の中でこんなに非常に低い接種率は医師としても恥ずかしいなと思うときもあります。ぜひ産婦人科の専門であるとかそういった部分だけでなく、特に身体科という点について精神科とかのサポートとか、もっとワクチンに対する正しい知識、先ほどの宮城先生のスライドの中にあったようにWHOのこういう目標とかといったことももっと開示していく。
私は特に交互接種で懸念するのは、ワクチン反対派は、ワクチンの危険性が分かっているから変えようとしているとか、私はこのシルガード9に変わっていくことがより包括的に対応できるからいい方向だと、これがグローバルスタンダードなのですよという方向で論調をつくってもらいたいのですけれども、ワクチン反対派などは欠陥ワクチンを隠すために途中で変え始めたとかそういうことをまた言ってきそうだなと、つい担当を統括する立場として思ってしまうので、例えば女性の健康を守るとか、男女共同参画とか、そういった観点からのワクチンの接種体制に対するサポートはあるのだろうかということをお聞きしたいと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
4月から9価ワクチンの定期化が決まったわけなのですけれども、今、現場でというか、自治体の中では、そうだったらもうちょっと待ったらいいのではないかというまた打ち控えも懸念するところなのですが、むしろスウェーデンの状況などもお示しいただきましたけれども、4価ワクチンをできるだけ若年でという形でデータが出ていますので、できる範囲で2月、3月の間でも待たないということをぜひ後押ししていただきたいとは思っています。
また、このHPVワクチンの副反応どうのというよりも前に、導入するときに性感染症としての立場を考えると、どのように今、性教育を接種の年齢の人たちにしていくかが課題なのだと思うのですが、できるだけ若い年齢でということで、諸外国についても小学校の若い年齢で男女ということもありますので、将来的にというか今からでもだと思うのですが、自分の体を守るために、相手の体を守るためにということの性教育との兼ね合いでの感染症教育だと思うのですが、このワクチンとの関連ということでリテラシーなどについても御意見をいただければありがたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
伊東委員、お願いいたします。
○伊東委員 伊東でございます。
お尋ねしたい点が1点と意見が1点でございます。まず、先ほど池田先生からも交互接種に関する有効性についてお尋ねをいただいているのですが、併せて頂いている資料のWHOのポジションペーパーなども拝見しますと、基本的には同じワクチンでということが推奨されているように読めて、安全性の観点でもこの交互接種ということについて懸念が仮にあるとすれば、意見になりますが、その点の説明をきちんと患者さんにはお伝えすべきかと思っています。今、医療従事者向けのリーフレットは御準備される御想定になっているかと思いますが、患者さん向けのものも準備することもいかがかと思っております。意見とお尋ねでございます。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 この中で交互接種に関して、もしかすると後で釜萢先生もおっしゃると思うのですが、接種される先生と相談の上と言われると、先生が非常に困る場合があるのではないかという気がします。なぜかというと、この9価のワクチンに関しては、現在、川崎市でもいつ打てるのだという問合せがかなり来て、非常に人気が高まっているという言い方は変なのですけれども、相当希望者が出てくるだろうと思います。そこで接種される先生とよく相談してくださいというのは、場合によると混乱が起こる可能性があるかもしれないと思います。
あとは、先ほど姫路の清元市長さんがおっしゃった反対派というのはいろいろなところにいるのかと思うのですが、川崎市の場合、幸いにも勧奨接種を開始する1年前からもう事実上の勧奨接種を始めてしまったのです。これはそれまではパンフレットを配っていたのですけれども、市民の方からパンフレットを配るのならば予診票を送れと言われたので、1年前から既に予診票を送ってしまって、勧奨接種が開始される前からかなりの数が実際に接種を受けているという意味で、幸い川崎市ではあまり騒ぎにはなっていないのですが、そういう反対があることも聞いております。そういう中で先生に相談してくださいというのが果たして現場の先生にとっていいのかどうかも考えていかないと、先生にとっては負担かと思う次第でございます。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 釜萢です。
坂元先生から御指摘があった点は私も非常に大事だと思っておりますが、日本医師会にもたくさん会員から問合せがあります。その中でお答えをする内容としては、白井先生から先ほどお話があったように、なるべく低い年齢で接種をすべきであって、現状では2価、4価ありますけれども、大部分は4価を使っているので、4価のワクチンを積極的に打ちたいという希望があったら、それを積極的に打つと。その後、その回数を、それはその人のこれまでの接種歴によって回数はいろいろですから、それ以降、今年の4月以降に9価が使えるようになればそれを選択することは考えてもよいが、少なくとも接種しようと思っている人を4月以降まで待つべきだということは申し上げるべきではないだろうとお話をしているところです。ただ、これについては医療機関における医師の判断に少し幅がありますので、みんな私の申し上げたとおり同意していただいているわけではないのですけれども、お尋ねに対してはそのようにお答えすることにしております。
今日のお示しいただいた内容は非常に分かりやすいですし、この方向で私はぜひ進めていくべきだろうと思っています。その中で、今後の課題として、これは指摘事項になりますが、4月以降、今度は9価のワクチンが利用できるようになった場合に、これはいずれ2回接種の検討が始まるだろうと思いますので、それは粛々としていって、方向性をきちんと決めていく必要があると思います。
それから、接種の開始時期について、今はもう決まっているわけですけれども、接種を推奨する開始時期について、いずれこれをもう少し引き下げる検討がなされてよいのではないかと思います。
それから、男女ともに接種をする、これも早い時期に行うという検討も、当然予算の問題があるのでそこはクリアしなければなりませんが、今日、宮城先生からお示しいただいた一番最後のスライドにも非常に諸外国においてこれだけよいデータが出ているということは、我が国でもなるべくいろいろな困難を克服して早く導入するべきだと思います。男女ともという方向をぜひ検討しなければならないと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございます。
伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
産科婦人科学会のスタンスを御説明いただきありがとうございました。現在9価ワクチンの2回接種の審査が進んでいる中で、WHOで発展途上国では1回でもいいという話が出ていたりもされるのですけれども、そういった中で学会として今後どういう接種方法のリコメンデーションをされるのか、お話をいただけることがあれば伺っておくほうが今後委員会としての見通しを立てる上でもいいのかと思いますし、釜萢先生もおっしゃったとおり、14歳以下と15歳以上でどうも接種回数が違うという議論をされている中で、分かりやすいワクチンの接種制度をつくるという意味で考えていかなければいけないのかと思っているところです。
提示をされている接種間隔の話なのですけれども、これは2回と3回との接種間隔というか、1回と2回との接種間隔に関して1か月以上ということは、これは通常のことで2か月と書かれているのを1か月以上であれば特に問題がないので、事故を少なくするとか、接種の機会を多くするという意味で1か月以上とすることには賛成をするのですけれども、それは薬事法上問題がないかどうかの確認だけさせてください。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そうしましたら、取りあえずここで一区切りとさせていただいて、宮城先生への御質問も幾つかいただきました。交互接種の有効性等を踏まえて交互接種を勧めるのか、それとも同じワクチンをお勧めするのかというところですね。宮入先生からはクロスプロテクションのところ、白井先生からは性教育、リテラシーといったところでしょうか。
宮城先生、もしお答えになれる範囲でお答えいただければと思いますが、その後、事務局にまたお伺いします。
○宮城参考人 本日はいろいろこれから私たちが考えていかなければいけない問題に対しての御示唆を多数いただきましたこと、感謝申し上げます。
まず、今日の一番のテーマであります交互接種については、カナダのグラフを示しましたが、このオレンジの追加になる5つのジェノタイプの長期の本当に疾病予防に対する効果が出てくるのは、まだ5年ぐらい先になるかと思います。ですから、もし例えば交互接種を強く推奨した方が将来この5つのタイプによる子宮頸がんになってしまったときに、自分がなったのはそのせいと思ってしまう可能性もあるので、今のところは同じワクチンでということで積極的に置き換えることを推奨しないということなのだと私は理解しております。ただ、推定で見ますと、恐らくは効果はあるだろうぐらいは言えるのですが、今、確実に言えるのは、交互接種をしても4つのジェノタイプは大丈夫だよということしか明確なエビデンスはないと思われます。
また、クロスプロテクションについては、実は日本でも8割ぐらいの接種率の集団がありまして、その方たちが子宮頸がんの検診を受ける世代に入ってまいりました。そうしますと、著しく高度の前がん病変がもうほぼゼロに近いところまで減っているという研究のデータも出ており、国際的にも6割、7割と予想されていたのが、8割ぐらい予防効果があったということがあるので、これは間接的には長期にクロスプロテクションはあるのだろうとは思いますが、またこれからそういう成人の方たちの抗体価の細かな分析とかがありましたら、厚生労働省の方にも紹介していただきたいと考えております。
もう一つ、どのように患者さんに伝えるかということなのですが、これは刺し控えという問題がありましたが、もう今日2月まで来ておりますので、あと2か月でありますから、1回目を接種する方は9価でより新しい進化したワクチンがいいとは思うのですけれども、既に接種を早く始めたいという方は性交渉を開始するというような個人的な状況が絡んでくると思います。ですから、きちんとそういうところを相談して、あなたは4月まで待たないで、せっかく今日来てくれたから従来のワクチンから始めましょうという説明はあっていいと思います。実際、きちんと知識を持っていれば、ちゃんとHPVワクチンの接種が終わるまで性交渉はしないというところまで教育できればベストなのですけれども、なかなか国民にHPVワクチンのことについてきちんとした知識が行き渡っていないという問題が付随してくると思っています。
反対派に対する問題なのですけれども、現在、副反応については非常にガードが固くなっており、因果関係が分からなくてもきちんとした機能性身体症状、あるいはISRRに対しての対応ができるシステムになっておりますので、そこをきちんとお話しして接種することが大事だと思います。どの国でもワクチンに対する反対グループはあります。特に新しいワクチンを導入するときには必ずあると思いますが、最も大切なのは、国の方針がぶれないことだと思います。ですから、国と地方行政、ワクチン接種を担当される方、そして、アカデミアが一体となって子宮頸がんの患者さんを減らしていくという強い意志が一番重要と考えております。
全部お答えできていないかもしれませんが、一旦ここでお戻しいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
最後に伊藤委員から学会としての推奨はどうですかというお話があったのですが、その点はどうでしょうか。
○宮城参考人 「WHOですとかアメリカのアドバイザリーボードでは、同じワクチンで基本的には接種すると推奨されています。一方で長期のデータは出ていないけれども、多くの国で多くの方が交互接種をしていますが、それに伴う安全性の懸念は今のところ報告がないのでどうされますか?」という話と、そこで「追加の5種類の長期のデータはまだ出ていないのですよ」というお話をきちんとすることは最低限必要と思っています。最後に選択するのは御本人にはなるということではないでしょうか。
以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
そうしましたら、委員の皆様からさらにいただいた御意見、御質問に対して、事務局からお答えできることをお願いできますか。
○小畠予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
初めに、清元委員から御質問をいただきました接種に関するサポート体制でございますけれども、こちらは専門的な知見であったり経験が必要になる場合もありますので、協力医療機関を指定しておりまして、また、それを束ねる意味でブロック拠点病院も指定をして、そういったところで密に連携を取っていただきながら診療をサポートするという事業を行っております。
また、伊東亜矢子委員から御質問がございました患者向けのリーフレットがあるのかという点でございますけれども、こちらは既に患者さん向けに作成をしておりまして、また4月からの9価の定期接種化に向けて改定を進めておるところでございます。
坂元委員から御質問がありました現場の医師の判断、現場の方が困る可能性があるという御指摘はごもっともかと思います。こちらも様々な情報提供の形を考えつつ、医療機関向けのリーフレットでございますが、こちらに情報をいかにして盛り込んでいくかといったところで検討させていただきたいと存じます。
釜萢委員から御質問がありました接種の開始年齢を引き下げるといったところでございますが、現在2回接種についても議論をしている中で、そういった議論が終わっていくと年齢引下げの議論にも進む可能性がございますので、こちらも引き続き検討させていただきたいと存じます。
また、男性接種に関しましては、現在ワクチン小委員会で議論をしておるところでございますので、こちらも議論を続けさせていただきたいと思います。
伊藤澄信委員から御質問のございました最低の接種間隔1回目から2回目の1か月、こちらも薬事上認められておるものになります。添付文書の用法に関する注意の欄に記載がございます。
以上でございます。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
委員の皆様からさらに追加の御質問、御意見はございますか。
宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
本日の論点2点については賛成の立場であります。その上で、規定の回数を終了した場合に、なおかつそこで9価のワクチンをそれでも打ちたいという方がいた場合には、これは定期接種外になると思いますが、薬事法上接種が可能なのか、任意接種として接種が可能なのかどうかについてお伺いしたいです。
○脇田部会長 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○小畠予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
おっしゃるように定期接種ではないという扱いにはなるのですけれども、薬事上は接種可能でございます。
○脇田部会長 ということですね。
そのほか、いかがですか。大丈夫でしょうか。
今日、3つの論点がありましたので、その点を少しお話しさせていただきますけれども、まず、交互接種の具体的な考え方ですけれども、こちらは2価あるいは4価ワクチンで接種を開始した者が9価ワクチンで残りの接種を完了する場合には交互接種として許容するということ、そして、交互接種となる場合には指定する医療機関において十分に説明の上で実施すること。
2番目の論点、交互接種となる場合の接種間隔についてですけれども、こちらは2価あるいは4価ワクチンで接種を開始した者が定期接種として9価ワクチンで接種を完了する場合、9価の接種方法に合わせて1回目、2回目の間隔は1か月以上、2回目と3回目の間隔は3か月以上空けて接種をすること。
3番目の論点ですね。規定の接種を完了している場合の考え方についてですけれども、交互接種の場合を含めて規定の接種回数を完了させることとして、接種完了者における追加の接種については予防接種法上の定期接種には位置づけないと。先ほど宮入先生が御確認されたところであります。
この3つの論点について、皆様からお認めいただけますでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、今のところで我々の結論として御了承いただいたものとさせていただきます。
事務局におかれましては、この結論、それから、今日いただいた御意見を踏まえまして、必要な事務手続に入っていただきたいと思っております。
議事は以上だったと思いますが、そのほか、事務局から何かございますか。よろしいですか。
先生方からもよろしいですか。
それでは、事務局にお返ししたいと思います。
○萩森予防接種担当参事官室室長補佐 事務局でございます。
本日も活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。
事務局からは以上でございます。
○脇田部会長 皆様、今日も活発な御議論をありがとうございました。また次回よろしくお願いします。これで終了いたします。