第3回救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 災害等緊急時医療・周産期医療等対策室

日時

令和5年2月27日(月)
15:00~17:00

場所

主婦会館プラザエフ カトレア

議事

下記のとおり

2023-2-27 第3回救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会
 
○土屋専門官 ただいまから、第3回「救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会」を開催させていただきます。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
 本来であれば、構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿と座席表の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
 今回の検討会につきましては、今般の新型コロナウイルス感染拡大防止の観点を踏まえて、公開の検討会として実施、従前どおり、資料や議事録については厚労省ホームページで公開、ただし、傍聴については、事前に御希望があった報道の方については、体調不良がないことをあらかじめ御申告いただいた場合に認め、それ以外の一般の方の傍聴はなし、ユーチューブライブ配信ありといった形での開催とさせていただくこととしております。構成員の皆様におかれては、あらかじめこの点について御了承ください。
 今回は、会場にお越しいただいた構成員の方とオンラインで参加される構成員の方がいらっしゃいます。会場には、淺香構成員、植田構成員、遠藤構成員、加納構成員、深澤構成員が参加されており、井本構成員、細川構成員には、オンラインで御参加いただいております。本日は、大橋構成員から欠席との御連絡をいただいております。
 また、オブザーバーとして、総務省消防庁救急企画室救急専門官の飯田専門官、内閣府地方創生推進事務局の林田参事官補佐にオンラインで御出席いただいております。
 まず、御発言の方法から確認させていただきます。オンライン参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際は、Zoom画面の下部にございますリアクションボタン、または、参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックし、指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにし、「手を挙げる」を解除していただきますようお願いします。「手を挙げる」ボタンがない場合は、代わりに画面に向かって手を挙げていただくなど、表明をお願いいたします。
 続きまして、お手元の資料を御確認ください。議事次第、出席者名簿、座席表のほか、資料1、参考資料1~4をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
 報道の方におかれましては、厚労省ホームページより資料のダウンロードをお願いいたします。
 報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(カメラ退室)
○土屋専門官 それでは、遠藤座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんにちは。本日も、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に移りたいと思います。
 本日の議題は、「令和4年度の本検討会のとりまとめ(案)について」でございます。
 資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。
 事務局、よろしくお願いします。
○土屋専門官 事務局でございます。
 資料1について、御説明を差し上げます。「令和4年度の本検討会のとりまとめ(案)」でございます。
 1ページ目を御覧ください。本検討会の背景と論点です。まず、背景です。令和2年3月に「救急救命士の資質活用に向けた環境の整備に関する議論の整理」が取りまとめられました。高齢化の進展により救急医療のニーズが今後さらに高まると予想される中、対応の基本的方向性として、マル1、救急外来における看護師の配置状況や業務実態の調査研究を行い、その結果を踏まえ、救急外来等への看護師の配置等、必要な措置を行う、マル2、救急救命士が救急医療の現場においてその資質を活用できるように、救急救命士法の改正を含め、具体的な議論を進めるとされました。取りまとめを踏まえまして、救急外来における医師・看護師等の配置状況や業務実態の調査研究として、令和2年度に厚生労働科学特別研究「救急外来における医師・看護師等の勤務実態把握のための調査研究」を実施いたしました。また、病院前から延長して救急外来までにおいても、医師の指示の下、救急救命士による救急救命処置の実施を可能とする、救急救命士法改正を含む医療法等改正法案が令和3年5月21日に成立、同月の28日に公布されました。令和4年3月10日の第53回国家戦略特別区域諮問会議において、重度傷病者の生命の危機を回避することを目的とした救急救命処置の範囲の拡大について、全国的な実施に当たってさらなる検討を要すると救急救命処置検討委員会で判断された処置を対象として、国家戦略特別区域において先行的な実証を実施し得るものを検討の上、同区域で先行的な実施を開始することについて、2022年度中に一定の結論を得るとされました。本検討会では、以上を踏まえまして、病院前から医療機関内に至る救急医療を一体的に議論するため、救急医療を担う多職種が参画し、今後の超高齢化・人口急減を見据え、今後とも質の高い救急医療を確保するため、救急現場における医療関係職種の業務の在り方を検討することといたしました。論点としましては、マル1、救急外来における多職種の連携・配置についてどのように考えるか、マル2、救急救命士法改正の効果の検証を行っていくことについてどのように考えるか、マル3、救急救命処置への追加・除外・見直しに向けて、厚生労働科学研究班等による研究の追加もしくは厚生労働省の検討会等による審査によるさらなる検討が必要と判断された処置について、国家戦略特別区域における先行的な実証を実施し得るもの、また、実証を開始することについてどのように考えるかでございます。
 2ページを御覧ください。論点のマル1、救急外来における多職種の連携・配置について。
 次の3ページになります。マル1、救急医療における多職種の連携・配置について、論点に関する研究の概要をお示ししております。令和2年度厚生労働科学特別研究「救急外来における医師・看護師等の勤務実態把握のための調査研究」について、研究代表者の任先生から御発表いただきました。まず、専門性の高い看護師の配置について。専門看護師・認定看護師・特定行為研修修了者、トリアージ担当看護職員、看護補助者の配置の有無は、救急車の受入台数及び応需率との相関が見られたが、有意に相関が見られた項目のほぼ全てにおいて、医療機関の病床数との相関が見られた。二次救急病院においては、専門看護師・認定看護師・特定行為研修修了者の配置の有無と救急車受入台数に相関が見られ、それぞれの救急車受入台数の中央値は1,613台と980台であった。二次救急を実施していない三次救急医療機関においては、専門看護師・認定看護師・特定行為研修修了者、看護補助者の配置の有無と、救急車受入台数に相関が見られたが、病床数との相関は見られなかった。専門性の高い看護師の配置により、医師から看護師への業務分担が推進できる可能性が示唆された。看護師を含めた職種の業務分担について。3件の施設の看護師を対象として実施したタイムスタディの結果、どの病院においても、全ての勤務帯において、連絡・調整等に30~50%と多くの時間を費やしていた。タイムスタディにおける連絡・調整の業務項目については、医療機関の機能によって差があるものの、看護情報の共有・申し送り、看護職員間の報告・連絡・相談が多く、その詳細は医療安全において重要な内容であった。多くの病院で看護職員及び医師以外の職種が対応する体制がなく、看護職員や医師が専門性を要しないものも含め、幅広い業務を担っていることが明らかになった。病棟に欠員が発生した場合の補充に救急外来の人員が充てられる状況があり、人員確保の課題が生じていることが語られた。今後、救急医療のニーズがさらに高まると予想される中で、救急医療提供体制を整備することが不可欠であり、専門性の高い看護師等の配置により、医師から看護師への業務分担が推進できる可能性を考慮した上で、医師・看護師の体制だけではなく、医師・看護師以外の多職種の体制を含めた救急外来における各職種の業務分担や効率化について、引き続き検討していく必要がある。調査の在り方について。全国調査における研究の限界として、欠損データの存在、サンプルサイズが足りないことによる検出力不足、2変量の関連については交絡因子を組み入れた解析をしていないことが挙げられ、今後、救急外来における各職種の業務分担や業務の効率化との因果関係について、調査や検討が必要である。
 4ページを御覧ください。各構成員からいただいた御意見です。専門性の高い看護師の配置について。救急外来は、シフト勤務で、専門性の高い看護が求められている。救急外来以外のところから看護職が集められて、その集められた人員で業務に対応する状況は、非効率である。救急外来におけるチーム医療、多職種連携をより強化していくためには、改めて看護師の体制づくりも重要である。救急外来に看護師が何人必要かについてはこれからの検討となるが、必要であることは事実で、特に定数の配置が求められている。救急医療の現場は、医学的知識、看護学的知識、家族背景の情報など、様々な情報を把握した上で細かな調整を行っており、そういった部分でタスク・シフトを進めていくことが望ましい。看護師を含めた多職種の業務分担について。看護職に負担をかけるような業務が増えていく医療界の仕組みに問題がある。救急医療の中では、看護配置を決めたとしても、基本的な構造が変わらない限り、看護職の負担は変わらない。上手に他職種へ業務を移管するような方法を取り、医師・看護師以外の多職種の業務分担や効率化から議論するほうがいい。タイムスタディでは、看護師でなければできない処置の割合が非常に少なく、多くを占める連絡・調整等の中でも、半分ぐらいは看護師でないといけないものもあると推測されるが、全体を見ると、多くは救急救命士や事務職員ができる仕事である。多職種が協働することで、救急外来の看護師の労務がより軽減されることを明確に示したデータである。救急外来におけるタスクシェア・シフティングの余地は多い。調査の在り方について。検討会で示された調査結果で示されたのは相関関係であり、ビフォー・アフターを見るような因果関係と、なぜこうなったのかを示すような設計の調査、エビデンスが、配置基準の議論には必要ではないか。重要なのは救急外来の機能を考えることであり、多職種が連携することで、質の向上や効率化、負担軽減といった本来の目的を目指して、引き続き検討すべき。実際に救急外来に専門性の高い看護師を配置することによってどのように成果につながっていくかが重要である。以上のような御意見をいただきました。
 5ページを御覧ください。いただいた御意見を踏まえた今後の方向性です。救急外来における看護師の配置については、専門性の高い看護師の配置やトリアージナースの配置、救急搬送看護体制加算の有無等と、救急車やウォークインの受入れとの相関が示唆された。一方で、病床数といった病院の規模に左右される部分が大きく、因果関係が明らかではないため、基準とすることについては慎重に検討する。救急外来の機能向上のため、多職種へのタスク・シフト/シェアを含め、救急外来に携わる多職種の業務分担や効率化を進める。今後のスケジュールについて、令和4~6年度の厚生労働行政推進調査事業費補助金「地域医療構想を踏まえた救急医療体制の充実に関する研究」において、救命救急センターの充実段階評価について、看護師の配置に関する項目を含めて、引き続き検討を行う。
 次に、論点のマル2についてです。
 7ページを御覧ください。マル2の救急救命士法の改正による効果の検証についてです。論点に関する研究の概要を、令和4年度厚生労働科学研究「地域医療構想を踏まえた救急医療体制の充実に関する研究」の研究代表者であります横田先生より御発表いただきました。令和3年度の救命救急センター長に対してのアンケート調査。救急救命士を雇用している救命センターは回答した174施設のうち59施設、雇用していないと回答したのは114施設であった。医師の働き方改革を進める際に救命救急センターで勤務する救急救命士の雇用は重要だと回答した施設は回答した177施設のうち84施設、重要ではないと回答した施設は23施設、どちらとも言えないと回答した施設は70施設であった。救急救命士を雇用している施設とそうでない施設に分けると、救急救命士を既に雇用している施設では59施設のうち43施設、雇用していない施設では114施設のうち38施設が重要と回答しており、救急救命士を既に雇用している施設において救急救命士の雇用の重要性が高く認識・評価されていた。救急救命士法改正の影響に関する調査案。2021年10月、救急救命士法が改正され、これまで医療機関に到着するまでの搬送当初に限られていた救急救命士の業務の場が、医療機関に到着後、傷病者が入院するまでの間にまで拡大された。救急医療機関で働く医師等の過重労働・人手不足の軽減、救急医療機関の機能の強化・充実が目的であったが、法改正によってどの程度の効果があったかは明らかでないことから、全国の救命救急センターに対して、救急救命士の雇用状況と負担軽減、救急受入実績等を調査する。調査対象としては、全国300施設の救命救急センターのセンター長、看護師長として、マル1、雇用状況と負担軽減、マル2、救急受入実績等、マル3、院内体制の整備状況について、調査を行う。具体的には、マル1については、救急救命士の雇用状況、法改正の影響についての認識、全体としての負担軽減の有無の状況、負担軽減の具体的対象、マル2については、年間受入救急搬送人員数の変化、搬送要請に対する応需率の変化、病床稼働率の変化、マル3については、救急救命処置の実施の整備状況、院内救命士を雇用する上での制度的・実務的な課題・期待について調査します。
 8ページを御覧ください。マル2につきまして、各構成員からいただいた御意見です。高齢者救急は二次救急医療機関が主体であり、救急救命士が活躍する現場は二次救急も含まれる。救命救急センターだけではなく、二次救急医療機関にも調査すべきである。ようやく新しい制度がスタートした段階であり、救急現場における医師・看護師から救急救命士へのタスク・シフトは進んでいる最中である。アンケート結果によって、何を得るかということに関して、いろいろな面でのプラス効果がはっきりと出てきた時点で評価をすべきである。救急救命処置以外の、専門性を要しない様々な業務を看護師と共有することでも、救急救命士が活躍でき、救急の次の患者さんの搬送が早くなる等の成果がある。救急救命処置を実施することでの成果のみならず、それ以外の業務についても、実際に行っている内容とその効果を見るべきである。調査はやや時期尚早ではあるが、調査をするのであれば、法改正によって可能になった業務と看護の補助業務として法改正以前から既に実施されていた業務が両方あるため、慎重に評価すべきである。
 9ページを御覧ください。いただいた御意見を踏まえた今後の方向性です。救急救命士法の改正による効果の検証については、令和3年度の調査では、既に救急救命士を雇用している医療機関において、雇用の重要性が高く認識・評価されていることが明らかになったが、今後も引き続き、救急救命士の雇用状況と、医師等の負担軽減、救急医療に係る実績について調査していく。令和4年度の調査研究においては、救命センターに限らず、全国の二次救急医療機関も対象とし、法改正によって実施可能となった救急救命処置による効果と専門性を有しない業務による効果を両面から調査・分析を行う。調査結果を踏まえ、医療機関に所属する救急救命士の効率的な業務の在り方について検討を行う。今後のスケジュールですけれども、令和4年度厚生労働行政推進調査事業費補助金「地域医療構想を踏まえた救急医療体制の充実に関する研究」において、救急救命士法の改正による効果について調査・分析を行い、救急医療における救急救命士を含めた多職種連携の在り方を引き続き議論する。
 続いて、論点のマル3、救急救命処置の国家戦略特別区域における先行的な実証についてです。
 11ページを御覧ください。既存の資料にはなりますけれども、第53回国家戦略特別区域諮問会議の資料5、追加の規制改革事項等の抜粋になります。重度傷病者の生命の危機を回避することを目的とした救急救命処置の範囲の拡大について、全国的な実施に当たってさらなる検討を要すると救急救命処置検討委員会で判断された処置を対象として、国家戦略特別区域において先行的な認証を実施し得るものを検討の上、同区域で先行的な実証を開始することについて、2022年度中に一定の結論を得るとされたところでございます。現在カテゴリーIIとされている処置は、マル1からマル4までございます。マル1、心肺停止に対するアドレナリンの投与等の包括指示化、マル2、アナフィラキシーに対するアドレナリンの筋肉内投与、マル3、気管切開チューブの事故抜去時にチューブの再挿入、マル4、自動式人工呼吸器による人工呼吸です。国家戦略特別区域において先行的な実証を実施し得るかどうか、同区域で先行的な実証を開始するかどうかを本検討会で検討し、今年度中に一定の結論を得ることとしております。
 12ページを御覧ください。論点に関する研究の概要です。令和4年度厚生労働科学研究「救急救命士が行う業務の質の向上に資する研究」として、坂本先生に御発表いただきました。マル1、乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液等の包括指示化については、効果と安全性を評価するために実証を行ってはどうか。ただし、実証に当たっては、十分な症例数を確保することや上記で検討するMC体制を十分に確保した地域で実施する必要がある。マル2、アナフィラキシーに対するアドレナリンの筋肉内投与。効果と安全性を検証するため、実証が必要ではないか。ただし、臨床研究から救急救命士が一定程度適切に判断できるという結果を得た上で、実証に進む必要がある。また、ヒューマンエラーの防止策として、医師の具体的指示を要する特定行為と位置づけることやMC等の体制を構築した上で実施する必要がある。マル3、気管切開チューブの事故抜去時にチューブの再挿入。気管切開チューブの再挿入については、頻度などを考慮すると、一部の地域で実証研究的に実施することはなじまないのではないか。マル4、自動式人工呼吸器による人工呼吸。既に救急隊員が実施可能な応急処置として位置づけられており、より高度な医療行為を実施できる救急救命士の処置としても含めることが適当と考えられ、実証は必要ないのではないか。
 次の13ページを御覧ください。各構成員からいただいた御意見です。まず、処置全体に関するものです。該当する4処置については、現行の処置の範囲を考えると、できるだけ認めるべき。救急救命士に指示をする側の体制を確保するため、安全性を保つ、ヒューマンエラーを回避するような観点で、その両面からしっかりとしたMC体制が必要である。病院前の救急医療の進歩には、救急救命処置について、限定の解除等が当然必要である。救命率の向上には、こういったことを鋭意進めて、国民の医療のために役立てていただきたい。ただし、研究の発表の中にもあったとおり、国民が納得できるような救急救命士の講習のプログラムを、実技を含めて、組み立てる必要がある。総論として、今すぐに実証というよりは、様々な実証を進めるため、懸念事項を検証していく緻密なステップが必要である。迅速な処置を有する状況が救命の現場で起こっていることも一定の認識はしているため、救急救命士の病院内における医師の包括的指示についての整理を含め、丁寧な検証を先にしていただきたい。救急現場からの要望では、エコーを検討してくれないかという内容のほか、例えば、静脈路確保のラインから採血ができない、乳酸リンゲル液以外の薬液を使えない等、救急救命士を雇ったがいろいろな問題が多くてタスク・シフトにならないといった意見も聞かれているため、早急に救急救命処置の検討委員会もしくは同等の検討の場を準備すべき。以上のような御意見をいただきました。
 各構成員からいただいた御意見、マル2です。個別の処置に関するものです。14ページを御覧ください。マル1、心肺停止に対するアドレナリンの投与等の包括指示化。早期アドレナリン投与の効果についてのエビデンスの観点からも、医師の具体的指示が必要な特定行為の指定を解除し、医師の包括的指示が必要な処置とすることが望ましい。医師の具体的指示が必要な特定の処置から包括的指示が必要な処置へ切り替える内容であれば、検証して、しっかりと確認して進めていくべきである。包括的指示化に関しては、医師の包括的な指示の下ではあるが、実施の判断を一定程度現場に委ねるため、必ずその判断が適切だったかという事後検証体制の強化が必要である。マル2、アナフィラキシーに対するアドレナリンの筋肉内投与。アナフィラキシーを判断するための必要な知識の不足、判断を補助する観察カードの完成度が低い等の課題があるため、効果と安全性を検証するための実証研究が必要である。アナフィラキシーに関しては、MC体制の問題、判断力の問題があり、議論する必要があるが、助けなければいけない人を一人でも助けるという処置は、非常に有効だという判断で、逐次対応すべきである。エピペンに比較して、バイアル製剤・シリンジ製剤は、吸い上げ、用量の厳密な指示を受けて投与するといった投与方法も含めて、難易度がある。マル3、気管切開チューブの事故抜去時にチューブの再挿入。在宅療法中の限られた状況の中で生じる事例で必要な処置である。比較的難易度が低い処置であり、現行の救急救命処置である「在宅療法継続中の傷病者の処置の維持」に含まれる。マル4、自動式人工呼吸器による人工呼吸。消防庁の告示を背景に現に多くの地域で行われているものと考慮すると、救急救命処置として追加して整理をすることが望ましい。以上のような御意見をいただきました。
 次に、15ページを御覧ください。いただいた御意見を踏まえた今後の方向性について。4措置それぞれについては、以下のように対応する。マル1、心肺停止に対するアドレナリンの投与等の包括指示化。医師の包括的指示の下に実施される救急救命処置として追加を検討するに当たって、安全性を確保する観点から、厚生労働科学研究班において、救急救命士の講習プログラム、事後検証体制の強化を含め、必要なMC体制を引き続き検討し、体制が整備された地域で、実証実験を実施する。実証実験に使用する特区制度は、国家戦略特区と構造改革特区のうち、十分な症例数を確保する観点から適切な枠組みを選択する。マル2、アナフィラキシーに対するアドレナリンの筋肉内投与。医師の具体的指示の下に実施される救急救命措置として追加を検討するに当たって、安全性を確保する観点から、厚生労働科学研究班において、救急救命士の講習プログラム、必要なMC体制、アナフィラキシーの判断の精緻化、投与方法を引き続き検討し、臨床研究から救急救命士が一定程度アドレナリンの適応を適切に判断できるという結果を得た上で、体制が整備された地域で、実証実験を実施する。実証実験に使用する特区制度は、国家戦略特区と構造改革特区のうち、十分な症例数を確保する観点から適切な枠組みを選択する。マル3、気管切開チューブの事故抜去時にチューブの再挿入。医師の指示の下に実施される救急救命処置として追加を検討するに当たって、実証実験は実施しない。安全性を確保する観点から、厚生労働科学研究班において、救急救命士の講習プログラム、必要なMC体制を引き続き検討の上、「在宅療法継続中の傷病者の処置の維持」として、救急救命処置への追加に向け、引き続き議論する。マル4、自動式人工呼吸器による人工呼吸。医師の指示の下に実施される救急救命処置として追加を検討するに当たって、実証実験は実施しない。総務省消防庁での整理等を踏まえて、安全性を確保する観点から、厚生労働科学研究班において、救急救命士の講習プログラム、必要なMC体制を引き続き検討の上、救急救命処置への追加に向け、引き続き議論する。法改正により、病院前の実施を前提としてきた救急救命処置の病院内での運用における課題が見えてきたことや、救急医療の質の向上に向けて、規制改革等において救急救命処置の範囲の拡大についての要望があることから、来年度以降、本検討会または本検討会のワーキンググループとして、医師の指示の下に救急救命士が実施する救急救命処置に関する事項について検討を行う。今後のスケジュールについてです。内閣府の特区制度の枠組みを用いて、マル1については、令和5年度以降、体制を整備した上で、実証実験を実施する。マル2については、令和5年度以降の臨床研究の結果を踏まえ、体制を整備した上で、実証実験を実施する。本検討会または本検討会のワーキンググループとして、医師の指示の下に救急救命士が実施する救急救命処置を議論する場を設置し、安全性、必要性、難易度、必要となる教育体制等について検討を行う。
 事務局からの説明は、以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ただいまのように、これまでの発表あるいは御意見をまとめた形のまとめ案が事務局から提出されました。
 本日は、これについて、御意見、御質問等をいただくことになっておりますが、本日御欠席の大橋構成員より意見書が出されておりますので、これについても事務局から御紹介いただければと思います。
 よろしくお願いします。
○土屋専門官 事務局でございます。
 参考資料4を御覧ください。大橋構成員からの意見書を御紹介させていただきます。
 救急医療での看護師の配置基準を設けるべきか否かという議題についてですが、配置基準は全国で一律にしなければいけないのでしょうか。仮に基準を定めるとしても、地域性、病院の規模などを鑑みながら、各救急医療現場に即した配置基準を設けるということが考えられるのではないでしょうか。
 看護師を対象としたタイムスタディにおいて、連絡・調整等に多くの時間が費やされていたという調査結果が出ていました。連絡・調整等の内容のうち、コンピューター入力、記録などは、マイナ保険証といったITによる情報共有が進むことで、近い将来、時間が短縮される可能性もあると考えます。配置基準の検討に当たっては、そういった展望も踏まえるべきではないでしょうか。
 看護師の負担軽減のためには、潜在看護師の活用についても議論していくべきではないでしょうか。
 救急医療は、医師、看護師、救急救命士のほか、臨床検査技師の方々などで構成されるチーム医療であると理解しております。本検討会では、看護師と救急救命士の職域の話が主にされているように思いますが、さらにチーム医療についての議論を進めていくべきではないでしょうか。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、このまとめ案につきまして、御意見、御質問等をいただければと思います。特段区分はいたしませんので、どこから議論をしていただいても結構でございます。いかがでございましょうか。
 それでは、深澤構成員、お願いいたします。
○深澤構成員 まず、救急医療の多職種の連携について、一言お話をさせていただきたいと思っております。今回、看護師さんの配置基準等々についていろいろと論じられているところですが、私も元は一般の病院で勤めており、救急医療の現場で、看護師さんの活躍や業務負担は、頭が下がる思いで見ておりました。その意味では、看護師さんだけに負担がかかる医療のシステムが大きな問題なのかなと考えております。今回のまとめでは、専門性の高い看護師さんが配置されている施設は救急車の応需率が高いという報告がありますが、その中で、病床数などに左右されているという報告もあり、配置基準の制定については、まだ検討の余地があるのではないかと考えているところです。大橋構成員から提出していただいた意見書の一番最後のポツに述べられているように、医師、看護師、救急救命士、さらには多くの職種のチーム医療を上手に活用してタスク・シフト/シェアを実現していくことを論じることが重要ではないかと考えております。私はチーム医療推進協議会からの推薦という形で参加をさせていただいておりますが、私の出自は臨床検査技師であり、臨床検査技師に関しては救急医療に関連する認定資格も数多くございます。例えば臨床検査同学院で実施をしている緊急臨床検査士というものに関しては、9,000名ぐらいの臨床検査技師が認定されています。また、臨床救急医学会とタイアップした私どもの技師会が認定している救急検査技師も500名ぐらいが認定されておりましす。その意味では、そのような認定資格保有者の方々を上手に活用することによって救急医療の現場の負担が軽減できるのではないかと考えています。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。御意見として承りました。
 ほかにございますでしょうか。
 加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 ありがとうございます。
 深澤構成員がおっしゃっていることに重なるかと思いますが、まずは、看護師さんの定数の配置を検討するということは分かります。しかし、今回出てきました任先生の科研のデータを見ましても、資料でいきますと参考資料2の29ページのスライドになるかと思いますが、今まで看護師さんにかなり現場で負担をかけていたことは事実でしょうが、多くの内容は、他職種の人と入替えができる、つまり代行ができる内容ではないかと思っています。それらを含めて、しっかりと検討してからのことになるのではないかと思っております。
 ちょっと気になるところなのですが、今回の資料1の3ページのスライドになりますが、下からの4つ目の丸、「多くの病院で看護職員及び医師以外の職種が対応する体制がなく」と書かれているわけです。間違いなのか意図的に書かれているのかは分からないのですが、本来、医師の包括的、また、具体的な指示の下に、全ての職種が動くわけなので、記載事項の内容は順番として医師を前に並べて書かれるべきだと思いますが、ここが逆になった理由があるのなら、それを教えていただきたいと思います。
○遠藤座長 まず、事務局、よろしくお願いします。
○中村室長 事務局でございます。
 加納構成員、御指摘をありがとうございます。
 こちらは、基本的に任先生から御発表いただいた資料のまとめのところから引っ張ってきたものでございまして、参考資料2の33ページの結論をそのままこちらの取りまとめのところに記載させていただいたことによって、そのような記載になっているものでございます。資料のつくり方としまして、もともとの発表資料を活用させていただいたところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 加納構成員。
○加納構成員 了解しました。そういうことであれば、こういう形になったということは分かります。ほかのところがみんな医師・看護師という順番でずっと記載されていますので、なぜかということでお聞きしました。
 申し上げたいことは、今回のコロナ禍でも、救急現場では、アルファ、デルタの頃には、まだPCR検査等が進んでいなかったので、放射線技師の先生方と連携をしながら、CTを撮って実際に鑑別しなければいけなかった。デルタ、オミクロン等になってきましても、本当に臨床検査技師の先生方との連携は救急現場でありましたので、この議論をするに当たって、多職種の連携・配置をしっかりと議論していくことは非常に大事だと思います。そういう意味で、今回の検討会の推移は、こういう形で、まずはスタート地点かなと認識しております。今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 救急救命士の方々の活躍に関しましては、まさしくこれからのことですから、いろいろな形で、先ほどの多職種の連携も含めた形で活躍が期待できるところでありますので、しっかりと安全性を考慮した上で、処置の内容も含めて、この検討会でやるのかどうか分かりませんが、しっかりと理屈に合った形での展開をお願いしたいと思っております。
 よろしくお願いします。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、淺香構成員、お願いいたします。
○淺香構成員 私からは、今回、このような形で、多職種を通して、救急外来、救命医療の中が見直されたということは大変うれしく思っております。看護のところも、今回、定数云々ということでお話はしておりますけれども、患者さんにとってベストなことをしていくために、どれだけの人たちと協力できるかということはとても大事なことです。先ほど深澤先生からもお話がありましたが、私も、臨床救急医学会というところで、救急認定の検査技師さん、薬剤師さん、放射線技師さん等々、そういった方々の認証制度をつくってきたほうですので、そういった方々が、これだけの力を持ちながらも、なぜ今まで現場で一緒に同じ場を共有できなかったか、看護師のみならず、そこに何らかのそれぞれの職種が抱える課題があると思います。ぜひともそういったところに焦点を当てていただき、本当の意味でのチーム医療が実現できることを期待しております。
 そういった中で、そうは言うものの、毎日、救急の診療場面は動いております。任先生の調査に関しては、幾つかの課題がまだありましたが、フリーコメントの中に現場の看護師の「早くどうにかしてほしい」という思いは強くあったかと思います。多分、数が何人いたらいいのかということは、本当に皆さんもおっしゃるとおり、まだ検討の余地があるところだと思いますが、看護師と医師が今はどうにか回しているという事実があります。私も、現場の管理者をしていまして、本当はそこに看護師を置きたいけれども、施設基準がない中であると、どうしても基準があるところに配置せざるを得ないといった、苦肉の判断をしております。そういったことを考えたときに、何人ということはまだこれからの検討課題であったとしても、そこに看護師が必要であるということ、多職種の中の一つだと思いますが、ぜひともそこに必要性があるということをどこかに明示していただき、数云々ということはこれからまた検討していくべきところかと思いますので、今の事実としてそこに必要性があるということを、ぜひとも今回の3回の検討の結果として表示していただければありがたいと思っております。
 慎重に検討をということで方向性を示していただきましたので、事務局の皆様方には、慎重にどのように検討していくか、これからどうすべきかということ、もう少ししっかりと調査をしなければいけないこともあると思いますし、どのような形でそれをしていくのかという具体的な道筋を御提示いただけますとありがたいと思っております。
 最後に1点なのですけれども、看護においては、看護師の配置について、先ほど申し上げた形で、救急外来のところに実際に看護師がいるんだということは、感覚ではなくて、実際に、日本看護協会とか、調査をされていたところがありますので、数字ではなく、実際にいるというところについて、私は具体的な数字とかはよく分からないので、後で井本先生に御発言いただければと思いますが、そういった実態調査の結果が出ているというところを最後に申し上げたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 御意見あるいは御要望をということでのお話を承りました。
 それでは、植田構成員、どうぞ。
○植田構成員 ありがとうございます。
 救急救命士の立場からお話しさせていただきますが、皆様、構成員の方々がおっしゃってくれたように、救急救命士は非常に期待されていて、うれしく思います。非常に多くの求人もいただいていると伺っています。ただ、救急救命士ができる医行為は33項目しかなくて、非常に心苦しいところもありますし、もっと増えていけば皆さんのためになるのかなとは思っておりますが、今できることをとにかくやろうと救急救命士は思っていると思います。
 多職種連携の資料にもありますように、医行為以外のところで、記録の入力や電話の対応などは救急救命士でも可能かと思っておりますし、今医療機関で働いている救急救命士もそういった医行為以外のところで活躍されていると伺っておりますので、ぜひチームの中に入れていただいて上手に回していただければと思います。
 意見として、お願いいたします。
○遠藤座長 重要な御指摘をありがとうございました。
 それでは、井本構成員がお手を挙げておられますので、井本構成員、お願いいたします。
○井本構成員 ありがとうございます。日本看護協会、井本でございます。
 先ほど、淺香構成員から少し日本看護協会も発言してくださいということがありましたので、今回の検討会は当然任先生の研究結果に基づいて議論がされてきましたが、本会の調査について少し触れて御報告させていただきたいと思っております。
 日本看護協会は、例年、病院看護実態調査を実施しておりまして、2021年に救急外来における人員の配置状況を、実態というところに限定はされますが、調査しておりました。そのときに御回答いただいた施設の中で、救急告示をしておられる病院からの回答では、任先生の研究と同様に、定点観察というか、ポイントでどれぐらいの人が救急外来におられるかを示したもので、1人以上はどの病院も看護師を配置されている実態が示されておりました。本会としては、この会議の初回の折から、当然、多職種連携、多職種配置という概念も必要ですが、医師・看護師で救急外来の多くの業務を担っている実態から、看護師たちが今回のタスク・シフトの中でも役割発揮を求められていて、それをしっかりと担っていけるよう、充実段階評価も含めて、医療法上の配置標準等についても実態に即した記載や措置をお願いしたいと発言してきたところです。
 先ほどの御意見に関して、少し補足をさせていただきました。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、細川構成員、お願いいたします。
○細川構成員 お疲れさまです。
 全体で発言させていただきたいと思います。今回の取りまとめに関して、まず、多職種の連携は、日本医師会としても、働き方改革云々からいきますと、多職種の方々に関して、ぜひ大いに一緒に仕事をやっていきたい。ただ、救急外来におけるというものが論点の1になっております。論点の2が救急救命士法の改正という形になっています。論点の3が特区と、これを見ていきますと、救急外来でどんどん救急救命士さんがいろいろなことをできるようになるんだよと、具体的指示や包括的指示ということも書いてありますが、例えば、アドレナリンの筋肉内投与、アドレナリン自身も、14ページ、バイアル製剤・シリンジ製剤、吸い上げ等に関しても、大変危惧するところでございます。もっと慎重にやっていただかないと、命を救うためにということから始まっているはずなのですけれども、多職種連携の下に、医師法17条の規定を踏まえれば、救急救命処置は医師の具体的指示が基本となるべきところ、そうなってはいけないということで、危惧しておるわけでございます。日本医師会としては、どこの部分でもですけれども、「医師の指導の下に」もしくは「医師の指示の下に」という言葉が必ず入ってきていただかなければと、これに関して、内容的には我々自身も反対するものではないのですけれども、あまりにも「医師の具体的指示の下に」という言葉が減っているのではないかと危惧しているのです。そこら辺は御意見をいただきたいのですけれども、皆さん、いかがお考えでしょうか。よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 まず、事務局、コメントをお願いいたします。
○中村室長 事務局でございます。
 細川構成員、御質問いただきまして、ありがとうございます。
 まず、医師の指示の下にということでございますけれども、現状、救急救命士の処置、実施できる行為は、全て医師の指示の下でなければできないものとなっております。今回、カテゴリーIIというかつての検討会でまとめられた4つの処置におきまして、今回の方向性については、15ページのマル1とマル2につきまして今後実証に進むという提案をさせていただいているところではございますけれども、こちらにつきましても、医師の指示の下で行うということについては、大原則でございます。原則を曲げていくということについては、一切考えているところではございません。医療機関内で行う際、救急車の中で行う際におきましても、全て医師の指示があってこそ救急救命士は処置をすることができるという整理とさせていただくということでございます。今後、実証を進めるに当たりましても、先生の御懸念など、誤解が生じることがないようにしっかりとそちらを示していきたいと考えているところでございます。
 事務局からは、まず、以上でございます。
○遠藤座長 細川構成員、どうぞ。お願いします。
○細川構成員 ありがとうございます。
 今のお言葉で理解できましたけれども、「包括的指示」という言葉が幾つか出てきています。例えば、「医師の指示の下」の前に準備をされるわけでございまして、それについても、清潔・不潔から始まって、シリンジ、ボスミン、アドレナリンですけれども、正しく吸うにはかなりのトレーニングをされなければいけないわけで、エピペンぐらいだったらいいかもしれませんけれども、吸い間違えたとか、ヒューマンエラーのことなのですけれども、現場ではそれによって医療訴訟が行われることもあります。救急救命士を救うという意味でも、包括的指示をどんどんやっていいのかというと、我々医師会としては、これは慎重にならなければいけないのではないかと、ここら辺の文言についてというか、ここら辺の行為については、かなり検討していただかないといけないのではないかと思っておりますが、その辺のことに関しても厚労省の方々の御意見をいただきたいと思っております。
○遠藤座長 了解いたしました。
 事務局、コメントをお願いします。
○中村室長 細川構成員、御指摘をありがとうございます。
 15ページに記載しております、まさに先生から御指摘いただきましたアナフィラキシーに対するアドレナリンの筋肉内投与は、マル2として記載させていただいているところでございます。このマル2の筋肉内投与の文章は「医師の具体的指示の下に実施される救急救命処置として追加を検討するにあたって」ということで記載をさせていただいております。アドレナリンの筋肉内投与を行うに当たりましては、医師から、直接的、具体的にどのような処置を行うかということをはっきりと明示していただいた上で行うものを想定しているところでございます。ただ、こちらは、実際に追加するかどうかという話というよりも、まず、現場での実証をどのような形で行うか。坂本先生が一旦アナフィラキシーというものを救急救命士がある程度的確に判断できるかどうかという臨床研究を令和5年度に行った上でと、そちらの今後のスケジュールについて、マル2について「令和5年度以降の臨床研究の結果を踏まえ」という記載をさせていただいているのは、その判断のところについて、実証を、実際に患者さんに打つという手前の段階を、まずは臨床研究で見て、その上で実際の現場の実証に進むということ、さらに、実証に進むに当たっても医師の具体的な指示が必ず必要なものとして実証を進めるということを想定しているということです。
 先生から御指摘がございました、バイアルから吸うことで事故が起こる可能性があるのではないかということについては、全く先生の御指摘のとおりだと考えておりますので、エピペンという形で量を間違えないようなやり方がよりいいのではないかということは、今、研究班の中でも話をしているところでございます。御指摘の懸念をまさに解決できるような非常に慎重なやり方を進めていきたいなと、こちらとしては考えているところでございます。
○細川構成員 ありがとうございます。
 もう一言、言わせていただいてよろしいでしょうか。
○遠藤座長 結構です。
○細川構成員 14ページのマル1とマル2、要は、マル1に関しては、本当に心停止の患者さん、使う薬は、今、アナフィラキシーと言っていただいたのですけれども、心停止に関してもやはりアドレナリンを使います。ここら辺を混同されては大変困るわけでございます。ここのマル1に関しては、包括的指示の処置へ切り替えるという言葉も出てきているのですね。アナフィラキシーに関しては、どちらにしても医師の指示の下にということなのですけれども、「包括的指示」という言葉が大変引っかかりますので、具体的な指示の範疇はまだ出ていけないのではないかと強く思っております。その辺に関して、もう一言、いただければありがたいです。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○中村室長 細川構成員、御指摘をありがとうございます。
 まず、マル1とマル2、同じアドレナリンを使用するということで、こちらを混同しないようにという御指摘はごもっともでございまして、それぞれ対象とする患者さんが全く違うし、投与方法も全く異なるもの、ただ、使う薬剤の名前が同じであるということで、こちらを混同しないようにということは、おっしゃるとおりですので、十分に気をつけさせていただきたいと思っております。
 「包括的指示」でございますけれども、まず、現状の説明をさせていただきますと、現状は、救急車内において、救急救命士は、心肺停止の患者さんに対しまして、医師に電話をして、直接的に具体的な指示を受けることによって、心肺停止の患者さんにアドレナリンの静脈内投与を行うという整理でございました。今回の実証に進めるというものにつきましては、救急車内は一刻を争うということがございますので、事前に指示を受けておいたような形で、その場での電話ではない形でやるのはどうかということを実証していくことを考えていたところでございます。ただ、先生に最初に御懸念いただきましたような、救急外来において果たしてどうかということにつきましては、救急外来と救急車内は、医師が現場にいるかいないかということについて大きな違いがございます。指示の形も具体的指示や包括的指示という在り方が救急車内とは異なっておりまして、今回、法改正で救急外来で救急救命士が働けるようになった際の指示の在り方は、臨床救急医学会から出していただいているガイドラインの中でも、医師からの直接的指示を行うということで示しているのです。救急車内では包括的指示だったものとしても、救急外来では直接的な指示という形でガイドライン上は示しているところでございます。今回の実証を行うに当たりましても、もともと想定しているものは、病院前、救急車内での行為を想定しておりましたので、先生がおっしゃったような救急外来においてどのような形をするかということも丁寧に整理をしまして、混同が起きないような形を十分留意した上で、進めていきたいと考えているところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 細川構成員、いかがでしょうか。
○細川構成員 ありがとうございます。
 そこのことを確認して、病院前と救急外来は全く違うんだということを皆さんに分かっていただき、今回の救急救命士の改正、救急処置の改正に関しても、必ずそこに線を引いていただくように御理解いただき、現場の救急救命士の方々が困惑もしくは理解を間違えてしまったりするようなことが絶対にないように、ぜひお願いします。
 私からは、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。重要な御指摘だったと思います。
 お待たせしました。井本構成員、どうぞ。
○井本構成員 ありがとうございます。
 日本看護協会、井本でございます。
 今細川構成員が御意見をされたところ、中村室長に御回答いただいたところについて、本会も同じような意見を持っておりました。第2回のときに意見をさせていただきましたが、病院前と病院の中の議論を区別して議論されないと現場が混乱するということです。一昨年の法改正による正確な評価、整理がされないまま、救急救命処置の拡大の議論を行うことには、本会は賛成できない旨、お話ししたところです。救命処置なので、必要に迫られて、慎重な議論の上で、それでもなお実施するということであれば、先ほど、しっかり丁寧に検証した上でということがありましたけれども、かなり丁寧に御議論いただいた上で進めるべきではないかと思います。特に、病院前と病院内での実施については、分けて御議論いただかないとならないのではないかと考えているところでございます。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 植田構成員、どうぞ。
○植田構成員 ありがとうございます。
 お二方が懸念されていたことは、私たち救急救命士も非常に深く考えております。今考えていることは、病院前と医療機関の中の救急救命士がどのように活躍するかというところをしっかりと個々が認識する必要があろうかと思います。
 今検討されていた病院前でのアドレナリン投与等の包括化で、医療安全に関して、私も1つ懸念しているところがございます。御意見をいただければと思うのですけれども、今日は総務省の飯田専門官がオブザーバーでいらっしゃっているかと思いますが、第2回の坂本先生の説明のときに、こういった説明がありました。薬剤投与の手順、ヒューマンエラーの防止策の策定をしていく必要があるということです。エピペンに比較して、先ほどから出ています、バイアルの製剤を使う、吸い上げ等をする行為については、救急救命士の養成課程の中でも詳しく教育されておりません。こういったところはこれから勉強していく必要があろうかと思いますので、現時点では、バイアル等を使うのではなくて、救急車の中にエピペンを搭載して、それを使ったほうがより安全かと思っています。
 これに補足して、先ほど、細川構成員からもありましたが、包括指示については慎重に考える必要があります。包括化になれば、実施する判断は、一定程度、現場に委ねることになろうかと思います。包括指示になった場合、薬剤の誤投与などにつながるヒューマンエラーを回避するために考えたほうがいいことが幾つかあります。あまり問題にされていませんが、薬剤を取り扱う医療従事者としてはあまりないかと思うのですけれども、消防機関の救急救命士は、現場で薬剤のダブルチェックができないことが多くあります。その理由として、救急車への配置人数は、現在、総務省消防庁の救急業務実施基準によって、救急隊3人のうち1名以上を救急車に乗せるという努力目標にとどまっています。全国の救急隊の救急救命士1名以上の乗車率は大体99.5%と高い水準を占めているのですが、一方で、地域によっては、2人以上の乗車はまだ多くありません。このような現状でありますので、養成課程の中のシミュレーションの中でも、ダブルチェックという概念があまり取り込まれていない状況なのです。このような問題についても、今後、話が出るかと思いますが、ワーキンググループの中でそういった医療安全に対する体制についてもしっかりと議論をしていかないと、何かヒューマンエラーが起こるのではないかという懸念をしているところです。
 よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 それでは、事務局、お願いします。
○中村室長 事務局から、回答させていただきます。
 実証に進むに当たっての体制の確保につきましては、まさに先生がおっしゃるような懸念とかをどのように回避するかということが非常に重要だと考えております。内閣府の特区制度の枠組みを用いて実証するに当たって、まさにその実証のために、例えば、倫理的な観点からどうするのか、体制としてどうするのか、メディカルコントロール協議会の体制をどうするのかということについては、それをしっかりとまずは検証して、体制を決めた上で、進めるということが必要だと思っております。この後、例えば、令和5年度からすぐに始めるといったことではなく、まさに消防の現状の体制として実施可能にするためにどうするかと。特に、今、バイアル製剤を吸い上げることが危険だということについては、まさにこちらの研究班の中などでも話が出ております。特に、エピペンであれば、患者さん御自身が処方されて持っている場合には、今も救急救命士は打つことができる、実際にその使い方も既に養成課程の中で学んでいるものであるということですので、そういった観点で、どういう実証ができるかということを、まず、令和5年度以降、しっかりと検討をします。その上で、実証に進むというような過程で進んでいきたいと、内閣府、消防庁とも、一緒に検討しながら、考えていきたいと思っております。
○遠藤座長 植田構成員、よろしゅうございますか。
○植田構成員 ありがとうございます。
 安心しました。安全に進めていただければと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。
 ほかにいかがでございましょうか。
 それでは、深澤構成員。
○深澤構成員 別の話題でもよろしいでしょうか。
○遠藤座長 結構です。
○深澤構成員 先ほど来から、救急救命士さんの業務の拡大という話がされているところです。もちろん、救急医療の現場においての救急救命士さんの活躍については、私たちも奨励したいと思っているところですが、今回の資料1の13ページに、植田構成員から、救命救急士が医療現場でエコーを実施させていただくことを検討してほしいというお話があったという気がいたします。そもそも、医療現場には、超音波検査を行うことができる職種としては、私たち臨床検査技師、診療放射線技師が、存在していると思っております。救急救命士さんの役割を増やすのではなく、先ほどからお話をさせていただいているとおり、上手に多職種を活用して救急医療を回していくことが重要かと私は思っております。また、静脈路を確保した上で、採血を実施したいと希望しているというお話でございますが、令和3年10月1日に、私たち臨床検査技師に関しては、静脈路を確保した上で検査の採血を行うということが法改正をされているところです。もちろん、診療放射線技師や臨床工学技士も、静脈路の確保については今回のタスク・シフト/シェアの関係で法改正の項目に入っているわけで、そのような多くの多職種を活用することによって救急医療の現場をもう少し上手に回していけるのではないかと考えています救急救命士さんの活躍だけに光を当てるのではなく、多職種を上手に利用して質の高い救急医療を目指すべきといった検討を進めていただければいいと思っております。チーム医療の中で私がこのような発言をするのは大変恐縮ですが、救命救急士の超音波の検査実施、静脈路確保のラインからの採血に関しては、慎重な対応をお願いしたいと思っております。
○遠藤座長 ありがとうございました。御意見として、承りました。
 ほかにございますか。
 加納構成員、どうぞ。
○加納構成員 2回目になりますが、すみません。
 先ほどの最後のところ、救急救命士の処置、病院前または院内におけるいろいろな形での拡大ということはあるのですが、最終的には、まさしく「救急救命士」の「救命」、救命率が一番大事になってくるかと思います。それに関しましても、ぜひ今後も検証していただくようにすれば、こういうことをやったことによって救命率が上がったのか下がったのか、早く病院へ連れていったほうがよかったという結果になると、また逆転した結果になってしまいますので、そういったことを含めた検証をぜひともお願いします。拡大等に関しては、積極的に進めることは必要だと思っているのですが、最終的な答えは救命率ではないかと思っています。そういう検証もぜひともお願いしたいと思います。
 意見です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ほかにはございますか。
 植田構成員、どうぞ。
○植田構成員 何度もすみません。
 今、加納先生からもありましたけれども、そういった事後検証をする場と新しく何の処置が拡大できるかという議論をする場所を提供していただきたいという話は、私からもさせていただいたところです。その中にはもちろん専門分野の方やアカデミアの方に入っていただく必要があるかとは思いますけれども、救急救命処置が医師の指示の下で実施されるということは変わらないということです。最終的には医師がどういった指示を出すかということになるかと思うのですけれども、現場で実施する側の救急救命士の意見も重要かと思っています。本来であれば、職能団体のような団体が救急救命士の総意をまとめて提出するのがよいかとは思うのですけれども、残念ながらこのような団体が今は機能していない状況で、私自身も、今回、日本臨床救急医学会の評議員としてここで発言させていただいていますが、これが救急救命士の本意かと言われると、そうではないということになります。現在、どうすれば救急救命士の意見を吸い上げてまとめられるかと考えているのですけれども、特に消防機関の救急救命士は地方公務員でありますので、そのような団体に所属するということに非常に抵抗を感じているということがあります。ちなみに、医療機関で働いている民間の救急救命士については、民間救命士統括体制認定機構の中のネットワークに所属している会員からいろいろな意見を吸い上げることは可能です。もし可能であれば、ワーキンググループの中に救急救命士のみのワーキンググループをつくっていただいて、医療機関、消防機関、民間の救急救命士、それぞれでどういったものが必要かという議論の場をつくっていただければと思います。もちろん、その救急救命士の意見を基にして、医師・看護師の意見もいただけるといったワーキンググループになればいいかと思っていますが、皆さんの御意見をいただければと思います。お願いします。
○遠藤座長 御意見をというのは、事務局へということですかね。
 事務局、どうぞお願いいたします。
○中村室長 植田構成員、ありがとうございます。
 今回の資料1、今後の救命処置につきましては、本検討会または本検討会のワーキンググループとして検討する議論の場を設置するということで、今後の対応として記載させていただいているところでございます。今、おっしゃったように、まず、現場で実際に働いている方の意見も取り入れて検討することは非常に大事だと思っております。一方で、今、救急救命士のみという言い方をされたのですけれども、恐らく、まさにほかの関係者の方々との情報の共有も含めて、いろいろな関係性がございますので、救急救命士だけでという部分は、検討の形としてはあまりよろしくないのかなと、印象としては、感じております。今回、ワーキンググループとして検討する際にも、まさに関係者の御意見を、当然、現場の救急救命士の方も含めて、しっかりとその御意見をいただけるような形にしてワーキングなどでこれから検討していくほうがよろしいかなと感じたところでございます。
○遠藤座長 植田構成員、何かありますか。
○植田構成員 先ほども言いましたが、民間の救急救命士の意見はある程度吸い上げることができますが、消防機関の救急救命士、現場で働いている方々がどう感じているか、何を希望しているかというところは、しっかりと吸い上げていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 御要望として、承りました。ありがとうございます。
 ほかに何かございますか。
 それでは、淺香構成員、お願いいたします。
○淺香構成員 とても勉強になる皆様の多職種の在り方への御発言、ありがとうございます。
 これからの多職種連携を考えていくときに、先ほど深澤先生からもありましたけれども、それぞれの職種が入っていくやり方には多分いろいろな形があるのだと思うのですが、うまく連携していくに当たっては、先ほど植田先生がおっしゃったように、もう少し現場レベルのところで少し突っ込んだ話ができるワーキングは、看護職の立場からも、ぜひともお願いしたいと思うところであります。
 それと同時に、例えば、今の現場を見ていますと、看護職は一通りいろいろなことをしてはおりますけれども、エコーができる技師さんに来てもらいたいという思いがあったときに、現状の中で技師さんを呼べるかというと、もっとほかに多くの仕事を抱えていらっしゃる、エコーのためだけでは無理だとすると、改めて、救急診療の場の業務をどのように再構成できるのかといったレベルで、もう一度、救急の診療の在り方、業務の在り方を見直す中で、どこがどのような形でできるのかということを検討していければと思います。
 地域によって、大分人の配置のバランスが違います。今、救急において地域差は拭えない事実でありますし、多分これから先々もそう大きくは変わらないのではないかと思ったときに、そういった辺りの特性も踏まえた中で検討していかないと、都内の状況が地域で使えるかというと決してそうではありませんので、そういったことも含めた多職種連携の在り方も検討できればありがたいと思っております。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 重要な御指摘をいろいろと承っておりますけれども、ほかに何かございますか。大体よろしゅうございますか。
 それでは、一通り、御意見を承ったということでございます。
 本日、事務局から、このまとめ案が出されております。いろいろと、御意見、御質問あるいは御要望もございました。その中で、このまとめの内容を修文する必要があるという御要望も中にはございましたし、あるいは、暗にこの修文を要求されているということもあるのかもしれません。また、ここに書かなくても、今後の運用の中で反映してもらいたいという御要望もあったかと思います。そういう意味で、このまとめ案と皆様からいただいた御意見をベースに、私と事務局で調整をしながら、このまとめ案に反映させるもの、あるいは、今後の運用上の問題でまとめ案には反映させる必要はないようなもの、議事録に残るという意味合いのもの、いろいろとあるかと思いますので、調整をさせていただいて、このまとめ案の扱いを座長一任という形とさせていただいたらどうかと、今、私は思っているところですけれども、そういう対応でよろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局と私とで相談をしながら進めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。このまとめ案につきましては、そのような対応にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、事務局、何かございますか。
○土屋専門官 事務局でございます。
 本日は、一般傍聴の制限をしていることから、議事録につきまして、可能な限り速やかに公表できるよう、事務局としても校正作業を進めてまいります。構成員の皆様におかれても、御多忙中とは存じますが、御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 今後につきましては、事務局より改めて連絡させていただきます。
 以上です。
○遠藤座長 それでは、これをもちまして、本日の検討会を終了させていただきたいと思います。
 長時間、どうもありがとうございました。

照会先

医政局地域医療計画課

災害等緊急時医療・周産期医療等対策室
病院前医療対策専門官 土屋(2597)