第6回健康・医療・介護情報利活用検討会医療情報ネットワークの基盤に関するWG議事録

日時

令和4年1月27日(金)13:00~15:00

場所

Web開催
(事務局のみTKP新橋カンファレンスセンターカンファレンスルーム15B)

出席者

構成員(五十音順、敬称略)
伊藤 悦郎
大道 道大
高倉 弘喜
中島 直樹(主査)
長島 公之
古川 裕子
松田 晋哉
松村 泰志 
山口 武之 
横尾 俊彦 ※途中参加
渡邊 大記 
代理出席(五十音順、敬称略)
岡田 英樹 代理人
川村 弘 代理人
桝井 千裕 代理人
オブザーバー(敬称略)
厚生労働省保険局
デジタル庁
社会保険診療報酬支払基金
国民健康保険中央会

議題

  1. (1)全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○髙田専門官 事務局でございます。定刻になりましたので、ただいまより、第6回「健康・医療・介護情報利活用検討会 医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループ」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、本ワーキンググループに御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日は新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とし、報道関係者や傍聴希望者に関しては事前に御案内しましたYouTubeから傍聴しております。また、正確な議事録作成や御意見を承ったときの御意見等の整理を事務局等で行うために録画させていただきますことも御承知おきください。
 会議中、御発言の際は「手を挙げるボタン」をクリックし、中島主査の指名を受けてから、マイクのミュートを解除し御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
 次に、本日の構成員の出欠状況について申し上げます。
 本日は、宍戸構成員、船橋構成員、宮田構成員、横尾構成員より御欠席の御連絡をいただいております。
 また、岡﨑構成員の代理として川村参考人、木倉構成員の代理として桝井参考人、齋藤構成員の代理として岡田参考人に御出席いただいております。
 次に、資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、資料1-1から資料1-4及び参考資料1、2の計7点を事前にメールで送付しておりますので、ウェブ会議の画面上見えにくいときなどございましたら、当該資料をお手元で御確認ください。
 事務局からは以上となります。
 それでは、以降の議事進行につきまして、中島主査にお願いいたします。
○中島主査 それでは、よろしくお願いいたします。
 前回第5回が11月の末でしたので、約2か月ぶりの開催となります。それでは、早速始めたいと思います。議事(1)「全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤について」の中で、まずは資料1-1「本日の議題について」及び資料1-2「同意取得等の仕組みに関して」について、事務局から説明をお願いします。
○髙田専門官 では、事務局より御説明いたします。資料1-1「本日の議題について」に関して御説明させていただきます。
 こちらの基盤ワーキングの背景とスケジュール感について再度御説明させていただきます。データヘルス改革に関する工程表の中の「医療機関間における情報共有を可能にするための電子カルテ情報等の標準化」、この中の矢羽根で2021年、2022年度にわたって「全国的に電子カルテ情報を閲覧可能するための基盤のあり方をIT室(デジタル庁)とともに調査検討し、結論を得る」というところに関して、御議論いただいているところでございます。こちらのほうの内容を踏まえまして、2023年度以降、左記を踏まえたシステムの課題整理・開発につなげていくといったところで進めております。
 次のスライドですが、前回提示させていただきました実装方法に関するスライドとなっております。まずは左上のところを見ていただきまして、3文書6情報に関しましてやり取りを整理する。特に診療情報提供書、退院サマリーに関してきっちり進めていくというところで、前回御説明させていただいているところでございます。
 まず、①の青い線に従いまして、左下のほうから医療機関等から電子カルテ情報の登録を行う。そういった情報を電子カルテ情報交換サービス(仮称)に保存し、そちらから右側に行きまして紹介先の医療機関等のほうで本人同意、こちらは黙示の同意も含まれておりますが、そういったところで確認をできるように整理をしていくといった点。
 もう一点、前回お示しさせていただきましたのが②のラインです。6情報に関しましては、オンライン資格確認等システムを通しまして全国の医療機関等で本人同意の下、閲覧することができる仕組み。また、マイナポータルを通して患者本人が閲覧できる仕組みに関して御議論させていただいているという状況でございます。
 次のスライドです。そういった議論を進めていく上で、各重要論点に関しましてヒアリングを進めているところでございます。本日、この中の大きな方向性に関して御議論いただきたいというところで、本日の議題のほうを設定させていただいております。
 こちらが本日の議題でございます。議題に関して大きく2つございまして、1つは同意取得等の仕組みに関して。こちらは前回海外事例なども参考にしてはどうかという御意見もいただいておりますので、そういった内容も踏まえまして、今回大きな方向性に関して御議論いただけたらと思っております。
 また、コードに関する整理の方向性について。こちらは前回、第6回の基盤ワーキングにおいてコードに関する整理のほうも行うとしておりますので、今回の議題として上げさせていただいている状況でございます。
 また、前回第5回の御意見と対応方針についてですが、こちらは参考資料としてつけさせていただいております。その中で幾つか聞かれていることに関して3点ほど御紹介させていただきます。
 まず、PUSH、PULLの考え方に関しましては、費用も含めて次回考え方などを提示していきたいと考えております。
 次に、基盤ワーキングでどういった内容まで議論するかという話の中で、医療DXの関係性に関して御質問いただいておりました。医療DXに関しましても念頭に置いて議論を進めさせていただいているところではございますが、まずは3文書6情報に関して基盤を進めていくという観点で進めたいと考えております。
 最後に、処方情報の取扱いに関しても御質問いただいていたのですけれども、そちらのほうに関しましては、電子処方箋のほうも踏まえましてどのように進めていくのかを整理したいと考えております。
 以上で本日の議題についての説明とさせていただきます。
○中島主査 ここで一旦切って、もし御意見があればと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。松村先生、よろしくお願いします。
○松村構成員 1つだけ確認させていただきます。前回にも確認をお願いしたのですが、結局、今回のワーキングで議論しているのは、いわゆる情報交換システムに関することという理解でいいのでしょうか。これとは別に、いわゆるパーソナル・ヘルス・レコードのような別の仕組みについては別のところで議論されていて、もし本ワーキングが交換システムの議論をするということであれば、交換システムからPHRに送ることを前提にしているということと理解していたらいいでしょうか。
○中島主査 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○田中参事官 今、御指摘いただいた点については、御理解いただいている内容で相違はございません。基本的に本ワーキンググループは主に交換システムに関することを御議論いただく場としております。また、今日の資料にもございますが、その交換システムからパーソナル・ヘルス・レコードにどのようにデータを共有するかということも、その中のフォーカスを当てる部分として含まれているということでございます。
○松村構成員 ありがとうございます。
○中島主査 ほかにありませんか。それでは、事務局、説明を続けてよろしくお願いします。
○髙田専門官 ありがとうございます。
 では、資料1-2「同意取得等の仕組みに関して」として説明させていただきます。
 こちらは前回も提示させていただきました各重要論点との関係性の中のどの部分に関係するかに関してでございますが、「本人同意の仕組みについて」といったところとともに、「患者への伝達方法について」という点。また、下段のほうに行きまして、「医療機関等における電子カルテ情報の閲覧について」「電子カルテ情報等を患者本人が自ら確認するための仕組みについて」といったところに関しまして、同意の仕組みとセットで考える必要があると考えております。
 次のスライドですが、同意取得に関して整理するに当たり、大きく2つに分けて整理を進めていきたいと考えております。1つは医療機関等から電子カルテ情報交換サービスのほうへ電子カルテ情報を保存することに関する同意。こちらは情報をアップロードする際の同意といった形で解釈していただけたらと思うのですが、そういった点に関してまず1点。次に、電子カルテ情報交換サービスから全国の医療機関等で電子カルテ情報を閲覧する、こちらは「一次利用」とも書かせていただいておりますが、そちらに関する同意の2つに分けて整理を進めていきたいと考えております。
 次のスライドですが、海外ではどのように同意を取得しているのかに関して整理をさせていただいたスライドとなっております。こちらは各国の法体制や運営主体、共通基盤に関しまして、背景が異なる中ではございますが、下段の1番、2番として、先ほどの情報の保存に関する同意、情報の一次利用に関する同意がどのようになされているのかに関して整理させていただいております。
 御確認いただけますように、1番に関しましては同意なしであるとかオプトアウトで運用されている国が多い一方で、情報の一次利用、閲覧に関する同意に関しましては、同意取得の仕組みを取っている国が多いという状況でした。
 (次のスライド)前回、半年程度の情報をPUSH型で運用してはどうかとこちらのほうから提案もさせていただいておりますので、そういったPUSH型を採用されている諸外国の同意取得方法がどのような形であったかを整理した表となっております。まず、上段のほうを確認いただきまして、「①アカウント開設」、こちらはセンター側の、こちらで言う電子カルテ情報交換サービス(仮称)のほうにアカウントを開設することに関して、同意をどのように取っているのかというところをこの列で整理させていただいております。「②医療情報のアップロード」といった点で、情報の保存に関する内容。「③医療情報のアクセス・取得」というところで、以前のスライドで言う閲覧するというところに関して、どのように同意を取っているのか。最後に「④医療情報の非表示設定」といったところで、医療情報によって細かく設定できるような仕組みがあるのかどうかということに関して、調査のほうを整理させていただきました。
 こちらを御確認いただきますと、①②に関しましては、やはりオプトアウトとか同意なしで運用されている国が多い。一方で、③閲覧に関しましては、都度同意とか、ある程度の内容に関して包括的に同意を取るという形で進めている国が多いという状況でした。④に関しましては、そういった仕組みがある国もあったという状況と理解しております。
 (次のスライド)次に、同意の取り方と同時に本人同意の取得タイミングに関しても、こちらで現在想定しているフローを基に整理させていただいております。大きく3点あると考えておりまして、顔認証付きカードリーダーを使用するとき、診察時、また、マイナポータルの仕組みを用いるタイミングというところで整理をしているところでございます。
 左側のほうから、医療機関を受診された際に資格確認をし、診察し、医師のほうで文書作成・登録をされ、会計をする。そして病院のほうを移動しまして、右側に移りまして、紹介先の医療機関のほうでまた資格確認をし、文書情報を取り込み、閲覧・診察につなげるといったフローの中で、どういった同意取得のタイミングがあるのかということに関して整理しております。
 まず、紹介元の医療機関で資格確認をする際、顔認証付きカードリーダーを使用する際に、画面のほうに「同意をします」とか、そういった選択肢を選ぶようなところで同意のタイミングが1つあると考えております。
 次に、医師が検査結果を説明するときなど、そういった診察時や検査結果を説明する際に同意を得るタイミングもあると考えております。
 また、紹介先受診のところに線を引いているところでございますが、マイナポータルの仕組み等で患者さんが各自のスマホなどから同意を得るといったタイミングもあるのかというふうに整理しておりまして、そちらのほうはデジタル庁とともに検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、閲覧に関しまして、紹介先の医療機関の資格確認の際にも顔認証付きカードリーダーを使用する際に、閲覧に関する同意を得るタイミングがあるのかとも考えております。
 (次のスライド)では、現在日本ではそういった同意取得の仕組みがどのように運用されているのかに関しまして、地域医療情報連携ネットワークにおける同意取得の実情に関して、スライド1枚に整理させていただいております。まず、患者の同意方法に関して、①から⑤の回答のほうを262の回答を得ているところでございます。ほとんどの施設で①から④の方法を取っており、⑤のその他の方式に関しては7.6%という状況でございました。①から④の方法に関しまして、右側のほうで御説明させていただきます。
 ①に関しましては、全ての施設ごとに同意を得ているということで、被参照施設でも同意書を作成し、職員のほうが地連端末に登録する。そして、各医療機関、A施設、B施設に受診される際にも同意書を提示することで、ひもづけ後、閲覧が可能になる。一方で、例えばC施設に行かれるときに同意書を持参していなければ閲覧はできない。そういった形で運用されているのが45.8%でございます。
 ②はそちらのほうを少し簡素にした形となっておりまして、被参照施設で同意済みの証明カードのようなものを発行し、そちらを提示すれば各施設でひもづけ後、閲覧が可能になるといった仕組み。そういったものを用いられているところが31.3%という状況でした。
 ③に関しましては、施設ごとに情報連携の可否を指定しておくということで、こちらは被参照施設のA施設、B施設、C施設のチェックをつける欄がございまして、A施設やB施設に関してはチェックがついていると確認いただきまして、A施設、B施設では閲覧ができる。一方で、C施設に関してはチェックがついていない状況であれば閲覧はできないといった形で同意を取っているところが30.2%でした。
 ④に関しましては、そちらの単位が施設単位ではなく医師単位でチェックをつける。そういった運用をされているところが20.2%という結果となりました。
 一方で、こういったところをヒアリングしている際に、同意取得の負担などの御意見もいただいているところでございます。
 (次のスライド)最後のスライドは、そういった同意取得の仕組みに関して整理させていただき、御提案させていただいているスライドとなっております。
 整理の仕方としまして、同意の取り方は、大きく同意なしとかオプトアウト、包括同意、都度同意などの取り方がある。同意を取るタイミングとしては、顔認証付きカードリーダーを使用する際や診察時、マイナポータルの仕組みなど、そういったタイミングがあると考えております。
 こちらを踏まえまして今回提案させていただいておりますのが、国民が自身の意思で閲覧・利用され得る情報を管理できることを担保した上で、地域医療情報連携ネットワークでの実情とか、海外における同意取得の仕組み、また、先行して議論されている電子処方箋の仕組み等を踏まえた上で、国民への周知とセットとする形で、同意の煩雑さなどを考慮する形で、なるべく現場、特に患者さんの負担を軽減する方向で整理を進めてはどうかと考えております。
 以上で資料1-2の説明とさせていただきます。
○中島主査 ありがとうございます。
 ただいまの御説明に対して質問、コメントなどがありましたら、ぜひお願いします。日本医師会、長島先生、よろしくお願いします。
○長島構成員 長島でございます。
 私は、栃木県で平成25年から「とちまるネット」という地域医療連携ネットワークにずっと携わっておりますので、その経験を踏まえて発言させていただければと思います。
 まず、事務局への質問ですけれども、海外の仕組みの中で、特に医療機関から基盤にアップロードする。日本で言うと医療機関から共有サービス、交換サービスのところへアップロードするところに関して何か法律上の整備がされているのか。例えば同意が不要だとかオプトアウトでいいということが、法律上、そこのところはそれでいいのだというふうに整備されているのかどうかということを教えていただければと思います。日本におきましてもそこのところをきちんと法律上整備して、例えば一々同意は取らなくてもいいとか、オプトアウトでもいいのだというところをしっかりと整備していただくと、医療現場の負担が大きく減るし、国民の不安も減るのではないかと思います。
 2つ目が、患者さんの同意を取るときに、海外では電子的な手段を使っているのか。つまり、日本においてはカードリーダーの画面において本人同意を取得するという形を取り得るのですけれども、海外でもそのような電子的な手法を取っているのかということです。
 3つ目が、都度同意を確認している場合はいいのですが、包括で取った場合に同意の撤回の機会を与えなければいけませんけれども、同意撤回について何か仕組みがあるのかということを教えていただければと思います。
 以上が質問です。
 一方、先ほど申し上げました地連の経験を踏まえて申し上げさせていただきますと、7ページのところで患者の同意方法ということで幾つかの方法が示されておりますが、私の知っている範囲では、各地連が開始が古ければ古いほどより厳密な同意の取り方をしていると思っています。特に当初はまだ初めということもあるので、よりしっかりと厳密に同意を取ろうという方向だったと思います。その後、次第に例えば包括とかそういう方向へ進んできた。
 7ページの左下のところで、第三者性によって、共通ルール化とか院内掲示とか口頭というものを示されておりますが、そこのところへ対応しているところはまだ少ないのだと考えております。
 一方、しっかりとした文書を渡して説明して同意を取るというのが医療現場でかなり負担にはなっているというのも事実です。その場合、このようなカードリーダーという電子的な仕組みがなかったので、やはり紙でやるしかないということがあって、これはかなり負担になっていますが、こういうカードリーダーのような電子的な仕組みがあれば、それを使わせていただくとかなり負担が減ると考えています。
 一方、一々毎回毎回同意を確認するというのは患者さんにとっても負担になるということなので、1回同意をした場合、次は変更しないという選択肢があって、変更する場合だけ選べばいいという形で、なるべく患者さんの負担を減らすという試みがあったほうがいいのではないかと思います。
 一方、ここで共有される医療情報の内容については、例えば全国でよく使われているID-LinkとかHumanBridgeという仕組みは、基本的には電子カルテのほぼ全ての情報の共有がシステムとしては可能であるが、各地域連携ネットワークでうちの地連で共有する情報はここまでにしましょうと決めている、あるいは医療機関によってうちのところではこれだけを提供しますという形で決めているという形が多いのではないかと思っています。
 私からは以上です。
○中島主査 ありがとうございます。
 最初に申し上げたらよかったのですけれども、たくさんの御質問が予測されますので、ある程度まとめてお答えいただきたいと思います。
 今、長島先生から海外のことについてたくさんの質問がありましたので、ほかに海外事例についての質問がある方はおられますか。
○横尾構成員 横尾です。
○中島主査 先に手を挙げている方がおられますけれども、横尾先生以外にはおられないですね。古川先生、海外事例ですか。
 すみません。古川先生も海外事例なので、では、先に古川先生、よろしくお願いします。
○古川構成員 COMLの古川と申します。海外事例について2点質問させていただきます。
 1点目、オプトアウトの方法ですが、オプトアウトにもいろいろな方法があり、病院ごとにホームページに掲載する等あると思うのですが、現場の負担や、サービスの標準化を考えると、共通の方法が望ましいと考えます。海外のオプトアウトはどういった方法が取られているのでしょうか。
 もう一点は、医療情報のアクセスの範囲ですが、海外の事例を拝見すると、ある程度範囲を限定して設定できると書いてあるので、海外においては、患者が開示の範囲を設定できるというふうに捉えてよろしいのでしょうか。この2点になります。
○中島主査 ありがとうございます。
 それでは、横尾先生も御質問、よろしくお願いします。
○横尾構成員 ありがとうございます。
 まず、御礼を申し上げたいのは、この短期間の間にこれだけ多数の国々の事例を調べていただいて、本当にありがとうございました。感心しました。
 併せて、今、この会議でも話題になっているタイミングとかやり方とかについては、それぞれの国でしっかり議論して、準備もして、そしてトライアル・アンド・エラーもしながら今日に至っていると思うのです。だから、そういう中で注目すべき点や参考になる点があるならば、そこに焦点を当てて、より詳しいスペックや内容、やり方みたいなものもフォローされたら、我々の参考にもなるし、日本の今後のデジタル社会での本人同意の在り方についても参考になりますので、ぜひそういった視点からも、もっと突っ込んだ調査をしてみてもいいのではないかな、いやすべきであろうと思っているところです。
 大事なのは、ほかの先生も多分関心をお持ちだと思いますけれども、毎回毎回、同意を取るのが大変ではないかというところがありますので、そこはその個人の選択として峻別する方法もあるのかなと思うのです。すなわち、こういった情報については、ある状況下では本人の同意がなくても、いわゆるパブリックへの有効活用で使っていいよというふうにするのか、それともいかなる状況でも一つ一つプライベートに個々人の同意を取るべきなのかというようなことがあると思います。
 併せて考えるべきだと思うのが、非常時の場合の対応のことです。つまり、災害のとき、緊急時のとき、そういったときには同意を取る暇がなく、仮に暇があっても、即時有効な方法があるとも考え難いものです。ルール上、厚生労働省でもそこは別扱いだとお考えだと思うのですが、それはそれで明らかにして方向性とかを示して、国民の皆さんに分かるようにすることもとても大切だと思います。そうしないと、命を守る意味、あるいは健康を守る意味でも、同意の有無や同意取得の問題で対応が滞り、折角の思いやりある対応や対策がストップしても意味がありませんので、ぜひそういったことも想定しながら、今後ご検討いただきたいと思っています。
 以上です。
○中島主査 ありがとうございます。少し質問がたまりましたので、ここで事務局からお答えいただきたいと思います。事務局、よろしくお願いします。
○髙田専門官 ありがとうございます。
 まず、長島構成員から法令上の整備に関して御質問いただいたと認識しております。フィンランド、デンマーク、台湾などではこういった同意なしの形でアカウント開設や医療情報アップロードなどがされているという整理をさせていただいております。フィンランドやデンマークではそういった法令上の整備がされているという認識でございます。台湾に関しましては現段階では情報を持ち合わせていないという状況になっております。
 そちらに関しまして、電子処方箋の仕組みなど、日本で先行されているような分野もございますので、そういったところと併せて方法のほうは議論させていただきたいなと考えております。
 電子的な手段を使っているのかという点に関しましては、アプリなどを使っている国などもあると認識しておりますので、そういったところで電子的な手段を使っている国もあったというふうな理解でございます。
 古川様に御質問いただきました同意撤回、オプトアウトの方法などに関しましては、現段階でそういった観点からはまだ整理が進んでいるところではございませんが、国によって様々な方法があったと理解しているところでございます。
 横尾構成員に御指摘いただきました災害時に関してですが、こちらのほうを整理していく上で、アップロードに関する同意と閲覧に関する同意に関しましても、災害時のことも意識してこういった仕組みに関して考えていかないといけないと理解しております。
 以上でございます。
○中島主査 海外に関することはお答えいただきましたけれども、それ以外に日本のことでも御質問があったと思いますが、いかがですか。
 長島先生、最後の御質問は何でしたか。
○長島構成員 長島です。
 質問というよりは、地連の状況がもう少しいろいろな状況があるのですよという背景を説明させていただきました。
○中島主査 ありがとうございます。
 御質問をされた方、よろしいですか。
 それでは、続いて、日本歯科医師会理事の山口先生、よろしくお願いします。
○山口構成員 日本歯科医師会の山口です。
 質問というよりコメントということです。今回、同意の取得の仕組みの方向性ということで、資料の8ページにも整理されていますけれども、「国民への周知(仕組みの理解)」と記載されていますが、どのような情報が保存され、どのように使われているかということを患者さんや国民がしっかりと理解していただくような周知を行うことが肝要で、通り一遍の周知ではなくて、そういった理解を得られるような周知の方法が必要だと考えています。
 そうしたことを前提として、一連の業務フローであるとか医療情報の流れの中で、オン資の医療情報であるとか電子処方箋における同意などもありますので、患者さんや医療機関の負担を軽減するために包括同意、場合によっては黙示の同意ということもあり得ると考えています。
 ただし、どのような情報をやり取りするかということが極めて重要で、非常に重要な情報であればその都度同意が必要だと思いますし、そういったことによって同意の取得方法も変えることが必要だと考えています。
 今後医療情報の共有、交換を拡充する場合には、今、限定的な情報だけが議論されていますけれども、これを拡充するときには、今、議論しているような同意の仕組みが「ざる」にならないように、先ほども話がありましたが、適宜交換する情報のコントロールであるとか同意の在り方についても議論をお願いしたいと考えています。
 以上です。
○中島主査 ありがとうございます。
 それでは、続いて、渡邊先生、よろしくお願いします。
○渡邊構成員 渡邊です。よろしくお願いします。
 私からも質問とコメント等と、お願いです。質問のほうですが、スライド6で流れが記載されているわけですが、この中で顔認証付きカードリーダーでの同意のところですけれども、これは今後、来年度で示されているような在宅等の中でも必要になってくる同意かと思いますので、ここに関してはモバイル等による同意の取得等も視野に入っているのかという部分が1点です。
 同意を取るタイミングとその内容ですけれども、6のスライドの一番左、一番最初にマイナンバーカードによる同意を得るときですが、このときはまだ医師から患者等に説明等もなされていない中で同意を得るということになりますので、患者さんにとっては何を同意しているのかが分からない可能性があります。また診療のところでも同意を取ると書かれていますけれども、これはドクター等から説明があった時に、どういう方法で同意を取るのかという部分の整理も必要なのかなと思います。
 またマイナポータルでの仕組みというのは今後大変重要になってくるかと思います。マイナポータルの中では情報を選択して同意をする部分であったり、もしくは1回同意をしたものの解除に関してマイナポで操作できるような機能を考えていかれるのかという部分も確認をさせていただければと思います。
 最後に1点、お願いですけれども、今後電磁的な文書や情報のやり取りという部分に関しては、医師、薬剤師間でも必要になりますので、この辺はスライド、最後の8ページ等にも調剤や、他にも薬局の活字を入れておいていただければなと思います。最後はお願いでございます。
 以上です。
○中島主査 ありがとうございます。
 この図、タイミングに対する御質問はほかにありませんか。
○高倉構成員 すみません。高倉も関連しますので、よろしいでしょうか。
○中島主査 では、高倉先生、先にお願いします。
○高倉構成員 すみません。割り込んで申し訳ありません。
 この図のところで同じく気になっているのが、関連するのですけれども、オンライン診療とかで例えばD to P with Dとか、紹介元、紹介先の関係が1対1で決まる場合と、どこでもいいから紹介してくださいというパターンとか、いろいろ出てくると思いますので、いろんなパターンに対応できるようにしていただきたいと考えています。
 以上です。
○中島主査 ありがとうございます。
 続いて、松村先生、お願いします。
○松村構成員 先ほど質問したことに関わるわけですが、海外の事例として示されているのはほとんどがEHR、PHRの事例であって、私は海外において純粋に情報交換システムというのを運用しているというのはあまり聞いたことがありません。この資料によると、アメリカの事例が純粋な意味での交換システムであって、それ以外はEHR、PHRだと思うのです。
 先ほど、それがあったので質問したのですけれども、情報交換システムについて議論するのですという話であると、今まで皆さんはほぼEHRに対する要件をおっしゃっていたように思うので、ちょっと話が食い違ってしまっていると思うのです。なので、今回どこの範囲を議論しようとしているのかをもう一回明確にしていただきたいというのが1つお願いです。
 私からのコメントですが、この2つがどう違うかということも踏まえて説明させていただきます。まず交換システム、つまり、相手先を指定して、Aの医療機関の先生がBの医療機関の先生に情報をこの交換システムを使って送るという場合です。それが一番典型的な例だと思うのですけれども、その場合には基本的に患者さんがそのことを知らないでいることは考えにくいので、少なくとも口頭での同意は得られているという状況ですから、システム的にも、わざわざ同意を得ているかどうかの確認をせずに送れるようにするのが適切ではないかなと思うのです。
 閲覧する側も、郵送の場合は、患者さんの同意がなくても封を開くことができるわけですから、それと同じようにしようとするのであれば、同意なくても開けるようにしないといけないと思うのです。もしそうならないのであれば、今と同じようにファクスの運用であるとか、郵送による紹介状のやり取りというのはなくならないと思うのです。紹介状のやり取りを電子的にやることが目的なのであれば、同意の考え方もそれに合わせるべきだというのが私の考えです。
 一方、EHRとしてやろうということであれば、基本的にどういう情報、データが医療機関側から投げられているのかを患者さん自身が知らないということはあり得るわけですから、その点が検討すべき点として1つあります。見る側も、結局、どのタイミングでどの患者さんの情報を見るかの指定がないと、下手をすると医療機関という権限を使って自分が興味のある患者さんの情報を盗み見してしまうということも起こり得るわけですから、それは絶対に防がないといけないということになります。ですので、閲覧のほうの限定をする仕掛けはどうしても必要なので、それをまず同意を得るということでもって、特に電子的に同意を得る手続があれば、簡単に、目的の医療機関しか見ることができない制限ができるメリットがあると思うのです。
 送る側は、海外の事例と同じことで、こういうシステムを日本で運用するのだということをしっかり説明して国民的なコンセンサスを得てしまえば、毎回毎回同意を得るのは非常に冗長で負荷が大きいので、それはなしにして、ただ、どうしてもそういうことには自分は参加したくないという人の権利を保障するという意味で、オプトアウトができたほうが倫理的には良いと考えます。
 ということで、EHRを考えるのか、いわゆる純粋に交換システムということを考えるのかでそこの考え方が変わるので、もう少しそこの議論の観点を明確にしていただきたいというのがお願いです。
○中島主査 ありがとうございます。
 EHRの定義なのですけれども、今、言われたEHRというのは、ウェブ閲覧で、ほかの病院からそれを見に行くという意味での、そういうEHRという意味で言われているのですか。
○松村構成員 そうです。明確に定義をすると、まず医療機関側から送るとき、どの患者さんに対して送るのかとか、どの範囲を送るのかということの制限の有無で区別したらいいと思うのです。いわゆる電子紹介状、情報交換システムの場合は、特定の患者さんで特定の状況の時だけ送りますね。ところが、EHRの場合は、場合によっては全ての患者さんをあるときからずっと送り続けるということになるわけです。そこが明確に違うので、もし患者さんによらず全部の情報を、もちろん、全部と言っても限定された情報ですけれども、発生すれば都度その交換システムのほうに投げてしまうということであれば、これはEHRと考えるべきだと思うのです。そこの違いがあるということです。
○中島主査 分かりました。
 先ほどの山口委員と今の松村委員の御質問がありましたけれども、御回答いただけますか。
○髙田専門官 事務局でございます。
 まず、先ほど議論させていただいております3文書6情報の今回の基盤ワーキングでの議論というところでございますが、医療機関間における情報共有を可能にするための電子カルテ情報との標準化という中に、今回緑の線で示させていただいております全国の医療機関等でも閲覧できる仕組みというところに関しましては、6情報のほうのやり取りをするというところで現在考えているところでございますので、もちろん紹介状のような運用と6情報の運用は分けて同意取得に関しても整理していかなくてはいけないと考えておりますが、今回のターゲットとしましては、どちらもお話の議論としてはさせていただいているという認識ではございます。
○松村構成員 いやいや、その種類のことを言っているわけではないです。どの患者さんに対して送るのかということを言っています。
○髙田専門官 患者単位で同意を取る。
○松村構成員 紹介状というのは、目的があったときに送るのですね。その患者さんが別の医療機関に行かれるので、その患者さんに関する情報をその医療機関に対して送ります。EHR的な運用というのは、そういうことなしに全ての情報をEHRのほうに投げるという運用なのです。ここは明確に違うので、どちらですかという質問です。情報の種類のことは言っていません。
○中島主査 私から少しコメントさせていただきますと、今回は3文書6情報ということなので、情報交換サービスについて議論するべきだろうと思うのです。全て発生するたびにEHRにためているということではないと。これは松村先生もおっしゃっているとおりなので、そのように理解しています。
 長島先生どうぞ。
○長島構成員 長島です。
 今の点で御質問させていただきたいのですけれども、3文書6情報の中でも診療情報提供書というのは全く違う扱いが必要になるかと思っています。これはそもそもある特定の明確な医療機関に対して送るものなので、基本的にはいわゆる信書のようなものだと。ほかのところが見るということをそもそも想定していないものだということですから、ほかの2文書6情報とは全く違うものなので、そこの扱いは当然変えなければいけないだろうと思いますので、そこをどういうふうに違った扱いをするのかということはきちんと議論をするべきかと思います。
 もう一つは、いわゆる地域医療ネットワークの場合は、基本的には一次利用。その患者さんを複数の医療機関で実際に連携して診るということが前提なので、患者さんにとっても目的とかメリットは非常に明確です。一方、今回の交換システムの中で特に医療機関からサービスにアップロードするところの時点では、まだ自分のものがどこで使われるかも分からない。あるいは使われないかもしれない。なので、そこのところはほかのところと全然違うので、最初に申しましたけれども、そこのところは例えば同意不要、あるいはオプトアウトにするにしても、法令上それで問題ないという整備がどうしても必要になるのだろうと思います。そこは地連とは全く違うところ。サービスへアップロードするというところに関しては、例えばそのために医療現場に非常に負担がかかってしまうとか、そこで責任が生じるということがあってはならないし、国民・患者に不安が生じることもいけないので、そこは法令上どうしても整備が必要ではないかと考える。
 電子処方箋というのも全く別で、これは明確な目的があるわけなので、それと一緒に考えはいけないと思っています。
 以上です。
○中島主査 ありがとうございます。
 最初に御質問いただきました渡邊先生には少しお待ちいただかないといけないのですが、今の松村先生と長島先生のお話に関してですけれども、今、この仕組みを通じて延々とEHRのようにデータを蓄積するということは、今までのワーキンググループの中でも議論はされておらず、数か月とかの期間は決まってはいませんけれども、一定の期間にデータを残してとなれば、データを交換することを目的に出力するということになるのではないかと思うのです。
 もちろん、診療情報提供書というのははなから交換することが当然なのですけれども、退院サマリーにしても、あるいは6情報にしても、これは誰かがその期間の間で持っていく、あるいはPHRから患者さん自身がPHRに保存する。そして一定期間でそのデータはそこからは削除されるということが基本なので、電子カルテのデータ交換の仕組みであるということは、これまでの御説明の中では明確ではないかなと思っています。ですから、今までの議論の中では、直接これがEHRになるということではないというふうに私は理解しております。
 これらを含めて、まず事務局にお答えいただけますか。
 渡邊先生、すみません。最初の質問が後回しになってしまっておりますけれども。
○田中参事官 ありがとうございます。
 本日の資料の「本日の議題について」というところで、もともとデータヘルス改革に関する工程表の中では、医療機関間における情報共有を可能にするための標準化という枠組みの中で、まさに閲覧可能というふうに書いてあるのですが、このワーキンググループやこのワーキンググループの前の医療等情報利活用ワーキンググループなどの議論を踏まえると、中島先生からお話しいただいたように、まずは医療機関同士の中でやり取りをする機会の多い文書から始めますと。それは医療機関間で文書をやり取りする、つまり、交換する、送るということを前提にこちらの議論が始まったと承知をしています。
 その上で、この議論が始まったときにも整備を進めてきたオンライン資格確認のシステムや、マイナポータルを通じた国民の皆様の自分自身の医療情報を確認できる仕組みが確実に整備される中で、この情報交換システムで医療機関間でやり取りされる情報の中で、御本人が閲覧することが御本人の健康維持・増進に寄与する、そういう情報がもともと含まれているという認識でございますので、そういったものも御本人が閲覧できる仕組みにまで拡充をしていくべきではないかというところをこの数回のワーキンググループで御議論いただいたと考えています。
 本日の諸外国のデータに関する比較というところの全体がEHRの仕組みになっているというところは、そのとおりでございますが、どういう形でどんな情報を基盤にアップロードしているのか、もしくは共有しているのかという前提がないと、同意の部分についての理解がなかなか難しいかなということで、このような表のつくり方になっておりまして、その辺りが少し混乱を招いたというところかなと思っておりますので、その点についてはもう少し分かりやすい資料の御提示の仕方があったかなと思っていますが、今、申し上げたような観点で今、御議論いただいているのはまさに交換サービスを土台にしているというところでございます。
 お答えになっているでしょうか。
○中島主査 ありがとうございます。
 長島先生、今の件に関してですか。
○長島構成員 はい。交換ということになると、基本的には主に1対1、つまり、情報をアップロードする医療機関としては、それが閲覧できる医療機関が分かる、あるいは指定できるということが前提になる。ただし、今回のやつだと、患者さんがそこのところの同意はするけれども、情報をアップロードする医療機関のところは、そこのコントロール権はないということになってしまうので、これは交換ということにはならないと思ってしまいますが、そこはどうなっているのでしょうか。
○田中参事官 コントロール権を誰が持つかで交換というふうになるか、ならないかが決まっているのかどうかというのは、私の中では分からない部分もあるのですが、基本的にはこの医療情報、つまり、医療機関が全て紹介状の宛先が決まっているというわけではないというのは、先ほど先生の中からも御指摘があったかと思うのですけれども、必ずこの医療機関に行きますと明示して、患者さんと医師の間で全ての事例について決まっているわけではない中で、自分の診療情報提供書を提供する医療機関を一定程度、患者さんがここに行くので、ここで診てもよいというふうにコントロールできることは、その交換サービスにならないということには当たらないと思うのですが。
○中島主査 長島先生。
○長島構成員 保険診療上は、情報提供先の医療機関と医師が同定されていないといけないということになっています。
○田中参事官 すみません。それは大変失礼いたしました。
○中島主査 今、紹介先受診をしたときにはマイナンバーカードによる資格確認となっていますけれども、例えば同時にトークンを発行して、つまり、電子的でもいいですし、紙でもいいのですが、どこかの医療機関に持っていって、その病院でしか開けられないようにしておくことによって、この上に一定の仕組みをつくることは可能だろうというふうには思いました。
 すみません。先ほどの渡邊先生からの御質問が未回答だったのですけれども、よろしいですか。
○田中参事官 3つほど御質問があったかと思うのですが、1つは、今後オンライン資格確認等システムが訪問看護などにも広がる中で、今回のこの同意の仕組みなどもモバイルを活用するなど、視野に入っているかということでございますが、その点については、現在取組を進めている保険局とも連携をして進めさせていただきたいと思っています。
 また、マイナポータルでの同意についても、デジタル庁のほうと既にお話し合いはさせていただいておりますが、明確に今、こちらのほうでお答えするのが難しいところはありますが、連携は進めているところでございます。
 最後の部分については御要望だったと思っているのですが、音声がちょっと途切れてしまって、最後のページのところに御追加をというお話だったのでしょうか。薬剤師も含めてというところは聞き取れたのですが。
○中島主査 渡邊先生、いかがでしょうか。私も実は一瞬聞き取れなかったのですけれども。
○田中参事官 申し訳ございません。
○渡邊構成員 すみません。薬局の記載に関しては、スライド6等にも記載を足してほしいという要望です。質問の3つ目というのは、同意を取るタイミングです。例えば文書発行等も、スライド6の一番左側で同意を取るときというのは診療の前ですので、どのタイミングで何の同意を取るかというのは整理しておかないと患者には理解できない。かつ、こういう文書情報等を提供するとき、診療場で同意を取るのであれば、同意の取り方を別のものにしなければならない等の整理も要るので、どのタイミングで何の同意を取るか、どんな方法で取るかという部分に関しては整理が必要ではないかということが3つ目の質問です。
○中島主査 いかがでしょうか。
○髙田専門官 ありがとうございます。事務局でございます。
 今の御質問に関しまして、同意のタイミングで、初めのカードリーダー使用時の同意の内容に関して御質問いただいたと理解しております。こちらは、先ほどの図で申しますと、医療情報のアップロードに関する同意であれば、事前に患者さんがその仕組みをしっかり理解していることが前提ではございますが、診察の前の段階でもそういった同意というところを確認することは可能なのかなと理解しておりますので、先ほどおっしゃっていただきましたように、同意の内容によってこれから詳細を整理させていただきたいと考えております。
 整理していくときの方向性として、今回御議論いただいている中で、負担をなるべく現場、特に患者さんの負担を軽減するような方向などを検討していきたいというところで、大きな方向性は今回御相談させていただいているという認識でございます。
○中島主査 ありがとうございます。
 よろしいですか。
 あと一方だけ、伊藤構成員、よろしくお願いします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
 私からは別の観点になりますけれども、患者・国民の視点から意見を申し上げたいと思います。今し方、同意の関係につきまして各先生の間で非常に活発な御議論がされていたわけですが、こういったことは実際の患者さんあるいは国民がこういった内容だということをしっかり理解しておりませんと、こういったルールがしっかり活用されないのではないかと感じてございます。ぜひともそういった部分で国民への周知、あるいは患者さんへこういったものが何のために、どういうメリットがあるのか、しっかり周知をした上で導入をしていただきたいと思います。そういったことがこのシステムが実際に活用されるためには必須ではないかと感じてございます。
 もう一点はこういった同意の中身についてでございます。同意の取り方について現在御議論がされているわけですが、国民あるいは患者の立場でいきますと、どういった事柄について自分は同意をしているのか、あるいは同意をしていないのかという事柄について、自分でしっかり全体像が見えるような形で本人が確認できるようにお願いをしたいと思ってございます。
 本件についてはこの中身ですけれども、このほかにもいろいろな電子的な形の部分につきまして同意の取得というものがなされておりますので、ぜひともトータルで自分がどういう形で自分の情報が閲覧できるようになっているのか、そういったことを分かるようにしていただきたいと思いますし、こういった医療関係でございますので、患者の立場で見て、今までは同意していなくてもこの場では同意をするといった状況も十二分に考えられますので、そういった観点も含めて同意の変更ができるような部分についてしっかり御検討いただければと思います。
 私からは以上です。
○中島主査 ありがとうございます。重要な視点と思いました。
 長島委員、お願いします。
○長島構成員 まさに今の患者さんの御理解と同意のタイミングというのは密接に関係しているかと思います。そもそも受診前であれば、医療情報をほかの医療機関と交換する必要性があるかどうか、医師もまだ判断できていない。したがって、患者さんもその必要性を理解できません。診察の結果、これはほかの医療機関と医療情報を交換する必要性があると医師が判断すれば、患者さんのその必要性、有用性を説明し、そこで同意をいただく。そこですぐに登録できるという仕組みでないと、現実的にはうまく動かないと思います。あるいは患者さんの御理解が得られないと思うので、このタイミングが、最初の受付のところでもできるけれども、診察時、場合によっては診察後、会計のときにもできるというような仕組みになっていないと、患者さんの御理解、あるいは利便性というところで非常に困るのではないかと思います。
 以上です。
○中島主査 ありがとうございました。
 事務局から何かコメントありますか。
○髙田専門官 ありがとうございます。事務局でございます。
 先ほど2点御指摘いただいたと理解しております。1点、国民の周知に関してといったところで、もちろんそちらに関しましてもしっかりとこちらのほうでも検討してまいりたいと考えております。
 一方で、先ほど長島構成員からも御指摘いただきました使用用途などに関して、しっかりと意識して整理していくことも必要と考えております。前回のこちらの基盤ワーキングのほうでは、救急や災害時などに使うというところも念頭に置きながら、まずはPUSH型というところを御提示させていただいたと記憶しております。そういったときに例えば情報がアップロードされていなければ使えないというところを、例えば国民への周知も含めてしっかりしていくというところも同時に考えていく中で、それによって、先ほど提示させていただきましたように、現場の負担がすごく増大になってしまうというところでは、こういった仕組みがなかなかうまくいかないのかなと考えておりますので、そういったところのバランスを考えながら、今回いただいた御意見を基に整理してまいりたいと考えております。
 もう一点、同意の中身に関してというところで、全体像が見える形でという御意見をいただいたと思っております。そちらに関しましては、どういった形で確認できるのか、仕組みに関して、今回デジタル庁さんなどとともに議論を進めているところもございますので、そういった詳細に関しても、どういったことが可能なのかという議論を通して検討してまいりたいと思っております。
○中島主査 ありがとうございます。
 私から1つだけ。この2文書6情報というのは、基本的にはHL7 FHIRで出していくということがほぼ決まっていますけれども、OAuthという仕組みがFHIRにもありまして、これは先ほど言ったトークンです。一つはトークンも含めてこれから考慮していただくと、トークンを渡すということ自体が同意ということにもみなされますので、簡便になっていいかなと思っています。つまり、長島先生が先ほど言われましたように、紙の時代よりもどんどんややこしくなっていっては患者さんも困るし、医療者も負担が増えてしまうということがありますので、できる限り簡便な、紙の時代から大きくかけ離れない、それでいてちゃんと同意を取る方法を、今、せっかく新しく変えるわけですから模索していただきたいなと思います。よろしくお願いします。
 松村先生、そろそろ次の話題に行きたいのですが、短くよろしくお願いします。
○松村構成員 1点だけ。今の紙の運用では同意は取っていないということをまず確認させてください。紹介状のやり取りで、改めて何か同意を取るということは。
○田中参事官 しておらず、基本は黙示の同意と承知をしています。
○松村構成員 はい。電子的にやるときにわざわざ同意を取るということは、何に対する同意を取るかということをもう少ししっかりと明確にしないと議論にならないということです。
○田中参事官 承知いたしました。
○中島主査 恐らくマイナンバーカードがさらに普及して、HPKIも普及してネットワークが基盤化されるとなると、そこまで何重にもやらなくても、もう少し簡素なやり方でもできるのかなと私も思いました。よろしくお願いします。
 それでは、ただいま委員の方からいただいた御意見を踏まえて、今の件に関しましては、事務局においてもう一度検討していただきます。同意取得の仕組みの整理については、主査である私に御一任いただくということにさせていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○中島主査 では、よろしくお願いします。
 では、次に資料1-3「コードに関する整理の方向性について」に基づいて事務局から説明をお願いします。
○髙田専門官 よろしくお願いいたします。
 では、資料1-3「コードに関する整理の方向性について」、説明させていただきます。
 まず、コードがどういった部分に使われているのかに関して、イメージ図のほうを提示させていただいております。こちらは、ふだんの診療で使われている紙で運用されている診療情報提供書のイメージを左のほうにお示ししております。こういった診療情報提供書の中には、患者情報、傷病名、検査情報や処方情報、薬剤禁忌などの6情報に関する情報が記載されております。
 右側のほうに行きまして、FHIR形式で運用されている診療情報提供書のイメージといったところで、システムの中ではどういったものがやり取りされているのかということに関して提示させていただいております。検査情報の中に「code」と書いてあるところがございますけれども、まずこういったコードに関して、例えば検査値をやり取りする際には、数値とこういったcodeの記載をセットでやり取りするというところを考えております。そういったことによって、この方法で測定した数値であれば、例えば当院の数値と比較できる。一方で、全く違う方法で検査がされているのであれば、そういった数値は参考にならないなど、そういった情報がこういったコードの中に含まれていると認識しております。
 病名であれば、例えばこういったコードで病気の名前を管理されている。一方で、こういったやり取りをする際に、病院によって使われているコードが違った場合というのは、そういった情報がやり取りできないといった状況となってしまいます。
 そのような世界観に関してどのように議論をしてきたかという点でございますけれども、こちらは第4回健康・医療・介護情報利活用検討会医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループにおきまして、データに格納する標準コードの普及などに関しても図って、進めてはどうかというところを提案させていただいております。
 下の図のほうに参りまして、医療機関Aの中に「電子カルテ情報」と書いてございますが、こういった中では医療機関ごとのコードを使っていたとしても、右上のほうに矢印でつないでおりますデータ交換サービスといったところとやり取りする際には、コード変換表などに基づいて、標準化されたコードを用いてやり取りする必要があるといった世界観で提示させていただいていたところでございます。
 では、どのようなコードを用いるかということに関して、過去に提案させていただいた内容をこれから3枚のスライドで説明させていただきます。
 こちらは第6回健康・医療・介護情報利活用検討会第5回医療等情報利活用ワーキンググループの資料4、令和2年12月に提示させていただいたものですが、標準化を進めている電子カルテ情報のデータコードについては、原則厚生労働省標準規格として採用されているコードを用いることとしてはどうかと提案させていただきまして、傷病名に関しましては、例えばDPCなどでも使われているICD-10コードや、病名管理番号などを用いてはどうか。また、アレルギー情報や薬剤禁忌情報などに関しましては、厚生労働省の標準規格で採用されているコードがないことから、まずはテキストデータで扱ってはどうか。
 また、感染症情報や救急時に有用な検査情報、生活習慣病関連の検査情報に関しては、JLACコードを用いてはどうかといったところを提案させていただいていたところでございます。
 こちらは第3回基盤ワーキンググループ、令和4年1月に提示させていただいた資料ですが、同様の記載のほうをさせていただいているところでございます。
 こちらは第5回の基盤ワーキンググループのほうで提示させていただいた資料でございますが、傷病名などに関しましては、患者本人及び通常時の全国の医療機関等が閲覧できる仕組みという枠組みの中で、こういったものに関して考えていく必要があると。また、アレルギー情報、テキストデータとかJLACコードに関しても記載をさせていただいているところでございます。
 こういった点を踏まえましてコード整理の方向性に関して整理させていただいたスライドでございます。まず目的に関しては、異なる医療機関からの電子カルテ情報を医療従事者間で比較できるような形で活用できることを可能とする。また、患者にとって理解しやすい形でマイナポータルで表示するなどというところを目的としまして、標準コードのほうを整理させていただけたらと思っております。
 右側に関しましては、現在マスタ更新などをしていただいていますMEDISより、ヒアリングを用いて整理させていただいた内容となっております。ユーザー要望や告示・診療報酬改定等の情報収集を行い、各種専門委員会・作業班に向けて資料作成、審議を行っていただきまして、そちらをマスタへ反映し、公表しているといった流れで維持管理体制のほうをしていただいていると認識しております。
 こういった観点を踏まえまして今回提案させていただいておりますのが下の赤枠となっております。医療従事者間の情報共有や患者の理解が円滑に進むよう、現場の負担等を踏まえまして、まずは救急・生活習慣病に関するコード等に絞った上で、将来的に確実にその他の必要なコード等を含め実装できるよう今後の維持管理体制についても整理してはどうかというところで、今回提案させていただきたく存じます。
 以上で資料1-3の説明とさせていただきます。
○中島主査 御説明ありがとうございました。
 今の件について御質問、コメントありませんか。長島構成員、よろしくお願いします。
○長島構成員 長島です。
 電子カルテ情報の標準化というのが今後進むことになっておりますし、一方、診療報酬改定DXということで、そちらのほうの標準化が進むとなると、そちらの標準化と一体的に、あるいはきちんと整合性を持って進めていただかないと、電子カルテのベンダー、あるいはそれを導入する医療現場にも余計な負担、その都度新たな改修の業務負担、費用負担が生じてしまいますので、そこと一体的に進めていただく必要があります。今回お示しの案は一体的に進めるという案だということでよろしいのでしょうか。
○中島主査 いかがでしょうか。
○田中参事官 御意見ありがとうございます。
 我々のほうでは今までの議論を踏まえて、電子カルテ情報の標準化は、こちらに記載のあるような現場の負担も踏まえて、ある程度コードを絞った上でやっていきますと。先生の御指摘のお話は、医療DXの中で診療報酬DXとこの標準化を一体的に進めるべきということでございます。こちらのほうは、診療報酬DXの実装等も踏まえれば、我々としては足元から、このコードの標準化はできるところからやっていくというのが重要だと思っています。その上で、診療報酬の体系とか必要なコードと電子カルテの標準化を進めるべきコードをどのように整合性を持って一致させていくのか、もしくは変換するのか、もしくは同一にするのか、そういった議論は保険局等とも今後議論していく予定としております。
○中島主査 ありがとうございます。
 どうぞ。
○長島構成員 長島です。
 ここのところをきちんと最初に整合性を持って、あるいは一体的に進めないと、後で非常に現場に大きな負担がかかってしまいますので、最初からしっかりと一体的に進めていただきたいと思います。一体的にまだできないというのであれば、ここは慌てるべきではないと思います。
 以上です。
○中島主査 ありがとうございます。
 松村先生、よろしくお願いします。
○松村構成員 今日は一貫して同じことを言いたいのですけれども、もし目的が診療情報の交換システム、いわゆる電子紹介状のようなシステムを目指すのだということであれば、実はコードの標準化というのは要らないと思うのです。要するに人が読めたらいいわけですから、別にコードをそれに添えてもほとんど役に立たないということになります。もっと極端なことを言えば、それぞれ電子カルテで運用しているところは、PDFで紹介状を出力することができるようになっていますので、そのPDFを、FHIRのバイナリーリソースとして送るという方法でも別に運用上は問題がないはずというふうに思うのです。これが一番現実的な方法です。
 そうでなくて、こうやって個々の情報に標準コードをつけましょうというのは、その先にEHR、PHRを目指そうとしているからこういう話になるのだと思うのです。それを切り離してここだけがぽんと出てくることに非常に違和感を覚えるわけです。
 まず、そこの点について、どういうお考えでコードの標準化までここでやってしまおうという議論をされているのか。つまり、交換システムの先につながるところが「医療機関等」と書いてあるのだけれども、医療機関等の「等」の中にはEHR、PHRのプラットフォームもあるのだということを想定して議論しているのであれば、非常にリーズナブルな議論だと思うのです。そこを明確にしていただく必要があるのではないかなと思うのです。
○中島主査 もう一方、日本歯科医師会の山口先生から御質問をいただいてからお答えいただきましょうか。
○山口構成員 歯科医師会の山口です。
 資料の7ページに幾つかのコードを付与することということが書いてあって、さらに7ページに「救急・生活習慣病に関するコード等に絞った上で」ということで、コードのテクニカルなことがよく分からないのですけれども、5ページのコードの中からさらに絞ったコードを実装するという形なのでしょうか。
 歯科のほうでも病名コードというのは、ICD-10に準じて歯科病名を追加したものを標準歯科病名マスタであるとか、歯の部位を示すための標準歯式コードといったものがあるので、その辺が標準化されると私たちも非常に使いやすくなるし、歯科の場合は電子カルテがこれから始まっていくので、今のうちにある程度の明確なことを示しておいていただけると助かるなということです。
 以上です。
○中島主査 ありがとうございます。
 2つの御質問です。事務局、いかがでしょうか。
○髙田専門官 事務局でございます。ありがとうございます。
 先ほど松村構成員から御指摘がありました目的に関してですが、そちらは先ほど中島主査から整理していただいたのと同じ認識でして、今回医療機関間に情報共有を可能とするための電子カルテ情報等の標準化というところを、まずデータヘルス改革に関する工程表の中で進めているという認識でございまして、その中でも前回も提示させていただきました②のラインで、6情報に関しては全国の医療機関等で確認できる仕組みを考えるといったところは、前回同意いただいたのかなというふうには考えております。
 その中で、使い方としては、救急などに関しましても意識をしながら、どういった期間どのように運用するのか。前回は半年程度をまずはPUSH型で示してはどうかというところを提示させていただいたところもございますので、そういったことも今回の議論の中で、電子紹介状以外にも含めて御議論いただけたらと考えているところでございます。
○中島主査 もう一つのお答えもよろしくお願いします。山口構成員から歯科に関してもということがあったと思いますが。
○髙田専門官 ありがとうございます。
 そちらに関しましては、第6回健康・医療・介護情報利活用検討会第5回医療等情報利活用ワーキンググループにおきまして、救急時に有用な検査情報及び生活習慣病関連の検査情報といったところで提示させていただいている内容がございます。例えば感染症であればこういった検査とか、救急に関して、生化学検査の中でもこういった検査をというところを過去に提示させていただいているところがございますので、まずそのコードに関してしっかりと現場でも運用できるようにというところを意識した形で、「まずは救急・生活習慣病に関するコード等に絞った上で」と表現させていただいているところでございます。
 以上です。
○中島主査 ありがとうございます。
 松村先生、どうぞ。
○松村構成員 今の回答が私の質問とは全然食い違っていると思うので、もう一度考えていただきたいと思います。私はコードを付与しないといけない理由を聞いていたので、情報を見えることが目的であれば、別にコードを振る必要はない。基本的にコードを振る必要があるというのは、データをアップデートする必要がある場合です。要するに、過去に入れたデータをさらに上書きしてアップデートするような情報のときには、必ずコードが必要になります。あるいは医療機関側でそのデータを取り込んで、自分たちの電子カルテにまた反映させたい、自分たちの電子カルテの情報を更新したいという場合には、確かにコードを振る必要があります。例えば検査の情報であるとか薬の情報とかで、もしそれを表にして時系列で見たいということを満たすためには、やはり同一検査項目、同一薬剤であるということをシステムが認識する必要があるので、コードを振る必要があります。そのうちのどれをやりたいからコードを標準化するのですということがないと、情報交換システムの中でコードを標準化する目的がもう一つはっきりしないということを指摘したいと思います。
 そうは言いながら、やはりEHR、PHRをやってほしいというのが、私が期待しているところであります。前回も申し上げましたが、この中の禁忌、アレルギー情報を共有するというのは、医療安全上極めて大事な仕組みになってくると思います。というのは、現在各医療機関で患者さんに薬の副作用が発生したとしても、それはその患者さんが次に受診される医療機関に伝えたい情報なのですが、それを正確に伝えているとは思えないのです。なので、また同じことが起こってしまうリスクがあって、そういう情報をしっかり共有できるような基盤を作れば、医療安全上すばらしいことになるので、ここを非常に期待しているのです。
 そうすると、その情報を各医療機関側がどこかのクラウド上のサーバーに対して送信してデータをアップデートし、いろいろな医療機関から送られたデータを合算した情報になっていって初めてそうなりますので、当然アレルギー情報に対して、項目についての標準コードが必要になってきます。アレルギー情報に関してはテキストと書いてあるので、確かに交換システムとして、A医療機関からB医療機関にこういうアレルギーがあったのですということを伝えるのだったら十分なのだけれども、今、申し上げたことまでやろうとすると全く不十分だということになります。
○中島主査 松村先生、先ほどのコメントも含めて、その先にはEHRを見ているということ、それから工程表の中でも明らかにEHR的な文言になっていることから、恐らく松村先生と同じお考えで、先ほど長島先生が言われたように、初期から標準化を進めないといけない、それまでは急ぐべきでないというお言葉がありましたけれども、先生が今おっしゃられているように、EHR、PHRを見据えた話だろうと。ただ、今はまだ決まっていないといいますか、予算も限られているので、最初は交換システム、3文書6情報という言葉から始めているので、こういう形にしかならないのですが、フェーズの問題ではないかなと思うのですけれども。
○松村構成員 そうなのかもしれないですけれども、論理的に矛盾した議論をしているということを私は指摘しているのです。前にも申し上げたとおり、ここでやりますと明言できないのだったら明言できないでいいと思うのだけれども、そういうことを想定しているという表現ぐらいはできると思うのです。でないと、この議論は成り立たないのですね。
○中島主査 そうですね。
 事務局、いかがでしょうか。
○髙田専門官 事務局でございます。
 本日、こちらの資料のほうでも御説明させていただきましたところもございますが、情報をやり取りする際に、よりその精度を高めるためというところもあるのかなと理解しております。例えばアルブミンの値というところで、ここで3.5というデータをやり取りしたとして、そういった数値がどのように出されたものなのか、どういった試薬を用いてとか、どういった方法で測定されたものかとか、そういったことの情報とともにやり取りをすることで、最後のスライドにもございますが、目的として異なる医療機関からの電子カルテ情報を医療従事者間でやり取りして活用するということにつながっていくのかなとも思っておりますので、まずコードに関しての議論が一定程度必要というところに関しては、我々はそのように認識しているという状況かなと思っております。
 また、医療DXなども踏まえた上で、今回念頭に置いた上でこういった議論を進めているというところで、まさに先ほど中島主査の言っていただいた背景もございますので、そういった観点も考慮して御議論のほうを進めていただけたらと思っております。
 以上です。
○松村構成員 今の説明では、皆さんが労してハウスコードと標準コードとの対応テーブルを作ってもらうことを説明するにはちょっと不十分だと思うのです。
○中島主査 どうぞ。
○田中参事官 EHR、PHRを踏まえて検討するという方向性については、次回のワーキンググループ等でも明示をさせていただきたいと思います。その上で、どういう目的でこのコードを標準化するのかといったときに、我々は今回この仕組みを、先ほども国民に対して分かりやすい周知をというお話があったかと思うのですが、国民がこういう情報をまさにPHRで使うことでよりよくなったなと。もしくは医療者がこういうデータを活用して診療すると自分の診療の質が上がったなと実感できるような、そういう仕組みにしたいと思っています。
 そのために、例えば時系列でデータを表示することというのは、患者さんにとってもメリットがあると思いますし、医師が、異なる医療機関のデータを判断するときも、正しくそのデータを読み取るための仕組みとしてコードの標準化が必要という考えで、コードの標準化について取組を進めたいということでお示しをさせていただいております。
 まずは電子カルテの共有からスタートし、医療DXの議論の中で生じてきているのは事実でございますが、大きな方向性としては、EHR、PHRでの活用も踏まえこの電子カルテ情報交換サービス(仮称)をつくっていくということを明示させていただくということでよろしいでしょうか。
○松村構成員 それがあればいいと思います。
○中島主査 ありがとうございます。
 山口構成員、よろしくお願いします。
○山口構成員 コードを大分絞るということで、私も少し中途半端な感じになるかなという気はしていますけれども、いろんなハードルがあって、議論の取っかかりとしては、コードを絞っていくことは仕方ないかなと思っています。
 もう一回確認ですが、ここの標準規格のコードを実装しない場合は、全てほかのことはテキストデータとして扱うようになるのかということが1つ。それから、繰り返しですけれども、今後の電子カルテの議論の中で歯科の標準規格も議論の俎上に上げていただきたいということを要望しておきます。
 以上です。
○中島主査 ありがとうございます。
 私から最後のスライドを使って少しコメントなのですが、こういう標準コードをつけて出力するという場合には、世の中の流れとして大きくコーディングと病院の中でのマッピングというのがあると思うのです。ここに書いてあるマスタ更新の流れというのは、マスタを公表しているわけですからコーディングのほうではないかなと思うのです。病院の中の話ではないですね。これは正しいですか。これは病院の中の話ですか。
○田中参事官 病院の中ではないです。先生がおっしゃるように、コーディングの話です。
○中島主査 コーディングについては、確かにタイミングがちょっと遅いとか、いろいろな話がありますけれども、コードはしっかりと公表されているのです。問題なのはマッピングが院内でできないことなのです。マッピングをするインセンティブが今までなかったし、その作業が慣れていなかった。ほとんどの病院はマッピングをしていない結果になっていると。そこが今、多くのデータ二次利用をしているプロジェクトで苦しんでいるところで、いかにしたら病院の中でコーディングされた標準コードを院内のローカルコードとマッピングするかというところが、これから考えるべきものだろうと思います。恐らく何らかのインセンティブをつけるとか、あるいは有料でもいいからそれをやってくれるような外部機関をつくるとか、何らかやらないといけないと思っております。
 高倉先生から手が挙がっておりますので、最後に高倉先生からよろしいですか。
○高倉構成員 高倉です。
 まさに関連するお話なのでちょうどいいなと思ったのですけれども、遡って申し訳ないのですが、資料1-1の2ページ目に、異なる電子カルテシステムやPHR、もろもろのデータ交換の仕組みを検討して、2022年度にこれをつくって、2023年から対応可能なところから順次情報共有という線表が書かれているにもかかわらず、今、この議論があるのが本当によいのかというのがすごく気になりましたというのが1つ。
 恐らくAPIを誰かがつくらなければいけないという話になるのですが、これは全然つくられていないのか、今、取りかかっているところなのか、それはどちらなのでしょうか。2つ質問がございます。
 以上です。
○中島主査 事務局からよろしいですか。
○田中参事官 1点目の2ページのデータヘルス改革の工程表の部分についての御質問ですが、これを作成した当時は、対応可能なところから順次情報共有というところについては、地域医療連携ネットワーク、今日一部ヒアリングなども含んでお話をさせていただいている各地域の取組についての記載になっておりまして、国が何かをつくって提供するということを指して書いているものでは基本的にはないということです。
 お話のあったAPIをつくられているのかということは、地域ごとでは既に取組が進んでいると認識をしておりますが、全国的な基盤にはまだなっていないというような解釈で記載がされています。
○高倉構成員 僕はIT寄りの人間なのでこういう言い方をさせていただくのですけれども、地域医療連携のためのAPIをつくって、今回の枠組みのためにAPIをつくってという話になると、医療機関側もしくは保険者側からすると、同じことを繰り返されているような印象があって、非常に効率が悪いなというのがあります。
 もう一つが、院内の伝達システムのコードと例えばFHIRとのマッピングが1対1にできるのか。自分たちもいろいろとマッピングをやるのですが、大体例外処理ですごく苦労するのですけれども、例外処理がどれぐらいあるのかという見積もりがない感じがしていて、本当にこのまま進むのかというのはすごい不安があります。これはコメントです。
 以上です。
○中島主査 ありがとうございます。
 電子カルテのFHIRとのマッピングは、一番先頭に走っているようなベンダーでも今、ちょうどそれをやっているようなところで、先生がおっしゃるように、これからなかなか大きな課題があるのではないかなと思っています。
 長島先生から手が挙がっていますが、では、最後に長島先生から。
○長島構成員 まさに今の点に関連してですけれども、そういう形で今後、電子カルテの機能の標準化も含めて、電子カルテの大幅な改修とかいうものがどんどん進んでいくので、そのときに全体として一体的にやらないと、まずここのところをやったと。また違うことになってしまったら大変負担になってしまうので、だから一体的に考えてくださいと。単純なコーディングだけの話ではないですねと。将来的な電子カルテ全体像の中にこれをどう位置づけるのですか、そこをはっきりさせてくださいと。そして一体的に進めてくださいということをお願いいたします。
○中島主査 最後と言いましたけれども、今日まだ御発言されていない松田先生からお手が挙がっているので、よろしくお願いします。
○松田構成員 松田でございます。
 今までの議論に少し関係するのですが、日本の電子カルテというのは、いわゆる診療報酬とのひもづけも考えて複雑につくり込まれていて、諸外国の電子カルテのシステムに比べると、そもそも仕組みが物すごく複雑なのです。この複雑な診療報酬のルールに縛られて電子カルテのほうもつくられているので、このままこの話を進めていくとかなり厳しい問題に直面することになるだろうと思います。そういう意味では、すごく大きな話になってしまうのですが、診療報酬仕組みそのものの構造とか規定ルールの簡素化を考えていかないと、この問題は簡単には解決しないと考えています。
 以上です。
○中島主査 貴重な御意見ありがとうございました。
 事務局から何かコメントなどありませんか。
○田中参事官 先ほどもお伝えしたように、いろいろ新たな課題とか新たな取組が進む中で、先生方の御指摘の点は、医薬局、保険局、医政局共に認識をしているところでございますので、診療報酬DXの中の取組とこの電子カルテ情報の標準化、それから標準的な電子カルテそのものの検討というところは一体的に進めるような形で取りまとめをしていきたいと思います。
○中島主査 ありがとうございます。
 ただいま多くの構成員の方々から意見をいただきましたので、事務局において検討させていただきます。方向性の修正案については、主査である私に御一任いただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○中島主査 ありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。
 それでは、次に、資料1-4「今後の進め方について」に基づいて事務局から説明をお願いします。
○髙田専門官 では、資料1-4の説明に移らせていただきます。こちらのスライドは、今年度に整理する内容としまして、前回もお示しさせていただいた内容でございますし、当初の矢羽根にも書かせていただいている内容ではございますが、データヘルス改革工程表に記載のあるR4年度中に整理する内容として、以下のようなものが挙げられております。
 そういったものを踏まえまして、今回全国的に電子カルテ情報を閲覧可能とするための基盤の在り方の技術な要件・詳細等に関しましては、今回の大きな枠組み、方向性などの議論を踏まえましてヒアリングのほうを進めさせていただきまして、次回の基盤ワーキンググループのほうでとりまとめ案を提示しまして、来年度以降のシステムの課題整理とか、そういったところにつなげさせていただけたらと思っております。
 以上でございます。
○中島主査 ありがとうございました。
 それでは、今後の進め方の件、あるいは全体を通じて何か御意見があればと思いますけれども、いかがでしょうか。伊藤構成員、よろしくお願いします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
 次回とりまとめの案を御提示いただけるということでございますが、前回も申し上げましたが、確かに技術的な要件ということも非常に大事なのですけれども、今後の進め方を考えていく上では、どのくらいの利用頻度があって、どのような効果が具体的に上がりそうなのかとか、あるいはそれを達成するためにかかるコストみたいなものもぜひとも加えていただいて、今後の進め方に正しい方向性が出るような形でお願いしたいと思います。
 もう一つ、運用開始時期についてでございますが、今までどちらかというと基盤が整ったのでサービスインしますという形が多かったのですけれども、実は患者あるいは国民の立場からいきますと、使えるところと使えないところが非常に分かりづらい状況が多々ございます。我々としてもしっかり国民・患者に使えるものだということを周知し、できればサービスインのタイミングでしっかりと周知の中でそのメリットを感じていただきたいと感じてございます。これから検討されると思いますが、運用開始時期につきましては、利用者がしっかり利用できるような環境が整った中でサービスインしていただくようにお願いしたいと思います。
 私からは以上です。
○中島主査 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。
○髙田専門官 事務局でございます。ありがとうございます。
 前回にも御指摘いただいておりました利用頻度や、どのような効果、コストなどに関しましては現在整理中でございます。そちらのほうは次回とりまとめ案の中で御提示させていただくことも検討させていただけたらと思っております。
 以上でございます。
○田中参事官 サービスインの時期につきましては、オンライン資格確認の仕組みや電子処方箋の仕組みが実際に始まっても使えるところがあまりないとか、そういう背景の御発言というふうに承知をしておりますが、一方で、電子カルテについては、各病院における更新時期とか、現場の実際に対応できるところに幅があるということは必要になっていますので、例えば電子処方箋であれば、こういうところでは使えますよということは厚労省からもお示しをしていると承知しておりますので、そういった国民への周知については一定程度の工夫をさせていただきたいと思う一方で、そのシステムについては、医療機関で、はい、皆さん、更新ですというわけにはいかないという点については一定程度の御理解をいただければと思います。
○中島主査 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 では、以上で本日用意した議題は終了となります。ほかに御意見がなければ、本日はこれまでとさせていただきます。
 それでは、事務局からそのほかに何かありますか。
○髙田専門官 ありがとうございます。
 本日も活発な御議論をいただきましてありがとうございました。
 議事録につきまして可能な限り速やかに公表できるよう、事務局として校正作業を進めてまいります。委員の皆様におかれても、御多忙中とは存じますが、御協力いただけますようお願い申し上げます。
 次回のワーキンググループの日程につきましては、改めて御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
○中島主査 それでは、本日はこれで閉会とします。大変寒い日が全国的に続いておりますので、どうかお気をください。それでは、活発な御議論ありがとうございました。これで終わります。