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第6回化学物質管理に係る専門家検討会 議事録
労働基準局安全衛生部化学物質対策課
日時
令和5年1月30日(月) 14:00~17:00
場所
TKP新橋カンファレンスセンター カンファレンスルーム16A
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング16階)
(東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング16階)
議題
- (1) 発がん性物質に対する濃度基準値の設定について
- (2) 濃度基準値の検討(対象物質別の測定・分析手法の有無の確認を含む。)
- (3) 令和4年度報告書(案)
- (4) その他
議事
○環境改善室長 本日は、大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
定刻になりましたので、第6回化学物質管理に係る専門家検討会を開催いたします。
私は、本日、座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます化学物質対策課環境改善室の平川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、前半の約2時間は濃度基準値に関する事項について検討することとしていますので、開催要綱別紙の構成員名簿のうち、全般に関する事項、毒性に関する事項の欄に掲載の先生方に参集いただいております。
また、16時からめどの後半約1時間では、今年度の報告書案を検討することとしており、ばく露防止対策に関する事項欄に掲載の先生方にも加わっていただくこととしております。
まず、本日の構成員の出席状況についてでございますが、本日の前半は、14名の構成員に御出席いただいており、後半からは3名の構成員が加わり、17名の構成員に御出席いただくこととなっております。
なお、本日は会場参加とオンライン参加の併用で開催させていただいており、17名の出席者のうち2名がオンラインでの参加となっております。うち1名は、オンラインで後ほど入室されるということで伺っております。
会場とオンラインの併用での開催でございますので、会場参加の皆様は、御発言の際に必ずマイクを使用していただきますようお願いいたします。オンライン参加の先生におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがありますので、御発言される場合を除きましてマイクをミュートに設定していただきますよう、よろしくお願いいたします。
また、御発言の際には、あらかじめチャットで御発言の旨を入れていただくか、またはお名前を名乗っていただき、座長の指名を受けてから御発言いただきますよう、お願いいたします。
なお、議事録を作成し、後日公表いたしますので、御承知おきください。
本日の会議は公開としており、一般傍聴者につきましてはウェブでの音声配信のみとさせていただいております。
それでは、城内座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○城内座長 ありがとうございます。皆様、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
では、まず、事務局から資料確認をお願いいたします。
○環境改善室長 かしこまりました。では、資料の確認をさせていただきます。
資料でございますが、議事次第と配付資料一覧、資料は資料1から資料5まで、参考資料は参考資料1から参考資料6までを御用意いたしております。
本日の資料は、タブレットに格納しておりますが、議事次第と検討対象物質の一覧の資料2、資料4-1、4-2は印刷資料として紙の資料も配付いたしております。
会場にお越しの皆様方におかれましては、資料などに抜けはございませんでしょうか。ございましたら、事務局までお申しつけください。
オンラインで参加いただいている先生方にも資料を事前に送付させていただいておりますが、何かございましたら事務局までお知らせください。
なお、濃度基準値の検討に使用する一次文献は、著作権の関係があるため、委員限りの資料としています。
資料の確認は以上でございます。
なお、本日の資料は、厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しております。傍聴の方は、そちらを御覧いただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○城内座長 それでは、本日の議題に入ります。
本日の審議の進め方ですが、議題1と2については、現在のメンバーで御審議いただき、休憩を挟んで、3名のメンバーに御参画いただきまして、議題3と4を御審議いただきます。
まず、議題の1、発がん性物質に対する濃度基準値の設定についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長 それでは、私から資料1を御説明させていただきます。こちらは、発がん性物質に対して濃度基準値を設定することについて、どのように考えるか、文献のレビューなどを行ったものでございます。
2ページ目でございますが、まず、米国のACGIHにおける発がん性物質のばく露限度についての考え方でございます。
ACGIHにつきましては、発がん性物質について、5つのカテゴリーに分類した上で、発がん性物質へのばく露は、最小限とすべきとしております。
分類でございますが、まず、A1が、ヒトへの発がん性が確認されたもの。A2が、発がん性の疑いがあるもの。A3が、動物への発がん性が確認されたもので、ヒトへの関連性が不明なもの。A4は、発がん性があるものとして分類できないもの。A5は、発がん性の疑いがないものという順番になってございます。
ACGIHでは、発がん性物質のばく露限度の設定につきましては、A1に分類されている物質であっても、ばく露限度が設定されているものがございます。また、設定されていないものもございます。この設定の有無の考え方については明示的な記載はございません。それから、A2以下につきましては、基本的に、ばく露限度が設定されているという形でございます。
ACGIHでは、A1に分類されている発がん性物質で、ばく露限度が設定されていないものについては、発がん性物質への全てのばく露を最大限なくすように適切な設備対応が必要としております。A1の発がん性物質で、ばく露限度が設定されているもの、それからA2、A3に分類されている発がん性物質につきましては、ばく露限度を下回って、可能な限り低いレベルとなるように、慎重な管理を行うべき、そういった記載がございます。
それから、英国安全衛生庁(HSE)につきましては、発がん性物質に関する記載がほとんどございませんで、唯一、精錬作業においては、発がん性または変異原性が知られている幾つかの空気中の汚染物質については、ばく露限度が設定されているといった記載があるだけでございます。
その上で、HSEのCOSHH規則において、遺伝毒性や発がん性のおそれがある物質については、合理的に実現可能な範囲内で可能な限りばく露を低減することが規定されているという記載がございます。
それから、ドイツのDFGでございますけれども、職場の最大濃度におきましては、発がん性を5つのカテゴリーに分類して、最大濃度を定めている物質が発がん性物質に該当する場合に、発がん性のカテゴリーを付記している形になっております。
カテゴリー1というのは、ヒトに関する疫学調査に基づいて、ヒトに対する発がん性があって、がんのリスクに寄与することが推定されるものとなっております。
カテゴリー2は、主として動物に関する調査に基づいて、ヒトに対する発がん性があって、発がんリスクに寄与すると考えられているもの。
カテゴリー3は、情報の不足で結論が出せないもの。
カテゴリー4は、ヒトや動物に対する発がん性のおそれがあるが、最大濃度を設定しているというもので、こちらについては、最大濃度以下のばく露であれば、非遺伝毒性が主な要因で、遺伝毒性がない、または少ないということで、最大濃度の設定を行っております。
カテゴリー5は、ヒトや動物に対して発がん性のおそれがあるが、限度値を設定しているものでございまして、こちらにつきましては遺伝毒性が主な要因でありますけれども、最大濃度以下のばく露であれば、ヒトへの発がんリスクへの寄与が非常に少ないという整理となってございます。
それから、DFGでは、カテゴリー1と2の物質については、明確な発がんリスクがあるため、安全な濃度の範囲を設定することができないとして、職場の最大濃度を設定しないということを明記してございます。これらの物質を産業目的で使用する場合は、目的に照らして適切で十分な精度を持つ評価方法によって、空気中の濃度を定期的に評価すること、それから、労働者に対して特別な医学的調査、これは代謝物の検査のようなものをすべきであるという記載がございます。
それから、カテゴリー3の物質については、遺伝毒性がないか、遺伝毒性があってもそれが主な影響ではない場合に限って、最大濃度を設定するとしてございまして、こちらにつきましても健康調査を実施しなければならないという記載がございます。
カテゴリー4と5の物質は、発がん性の効力(potency)の評価を行うための情報が十分にあるもので、発がんリスクへの寄与がない、または非常に小さいものということで最大濃度を設定したという整理となってございます。
それから、第2の関係法令のところでございますが、作業環境評価基準に基づきます管理濃度におきましては、発がん性が確認されている特別管理物質の中にも、管理濃度を設定しているものがございます。こちらにつきましては、原則として、発がん性の情報が十分でなく、かつ、確定的影響(慢性毒性等)に対する無毒性量等が文献で明らかになっていることを確認されたものについては、設定をしているという整理になってございます。
それから、第3の考察でございます。
こちらにつきまして、(1)から(4)は、先ほど申し上げましたことのサマリーになっておりますので省略いたしまして、(5)でございます。以上を踏まえますと、各基準策定機関は、ヒトへの発がん性の確からしさの分類に応じて、ヒトへの発がん性が明確な場合は、安全な閾値が設定できないという理由から、限度の設定を行っていない、そういった動きがあるということでございます。そのような物質については、事業者に対して、ばく露を最小化することを強く求めております。
一方で、各基準策定機関では、ヒトへの発がん性が明確でない物質については、非がんの疾病を対象に、安全な閾値として、限度を定めているということでございますが、こういった場合については、遺伝毒性がない、または、あったとしても非常に少ない、かつ、発がんリスクへの寄与が小さいということを理由に挙げております。
こういうことを踏まえますと、濃度基準値の設定におきましては、主としてヒトにおける証拠によって、ヒトに対する発がん性が知られている物質、GHS分類で言うところの発がん性区分1Aに分類される物質につきましては、発がんが確率的影響であることから、長期的な健康影響が発生しない安全な閾値である濃度基準値を設定することは困難であると考えてございます。
この場合、濃度基準値を設定しないことで、安全な物質であるという誤解が発生しないように、検討結果において安全な閾値が設定できない物質であることを明示するべきである。さらに、例えば、濃度基準値に関する技術上の指針にこれら物質の一覧を掲載する等によって、事業者に対して、これら物質については、最大限の努力によってばく露を最小限とする必要があることの周知を図る必要があると考えてございます。
それから、発がん性区分1Bに分類される物質につきましては、発がん性の証拠の強さの観点から、恐らく発がん性があるということでございまして、発がん性が明確になっているとまでは言えないということでございますが、この場合、ヒトに対する生殖細胞変異原性(遺伝毒性)が明らかでない、または十分に小さい、かつ発がんリスクへの寄与がない、または小さいことを評価できる物質であって、非がん疾病について、無毒性量等が明らかなものについては、濃度基準値を定めるべきだということでございます。
ただ、こちらの判断につきましては、個別の物質ごとに、発がんが見つかった濃度のレベル、あるいは遺伝毒性等に関する根拠文献の評価によって判断されるべきであると考えてございます。
それから、発がん性区分2に分類される物質につきましては、発がん性が分類できない物質でございますので、非がん疾病について、無毒性量等が明らかなものについては、濃度基準値を定めるべきだと。ただし、遺伝毒性で区分1に区分されている物質につきましては、個別の判断が必要であると考えているところでございます。
説明は以上でございます。
○城内座長 ありがとうございました。今の事務局からの説明について、何か御質問や御意見あればお願いいたします。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 最後のほうの(8)辺りで遺伝毒性の話が問題になっておりまして、GHSの分類クラスによる生殖細胞変異原性のところを括弧して遺伝毒性と書いてありますけれども、正確には、生殖細胞変異原性と遺伝毒性は若干意味が違うところがあると思いますので、実際はどの辺りを考えるかというところが問題になってくると思います。
生殖細胞変異原性の有無を調べるときには、当然、遺伝毒性をチェックして、どういう状況で陽性の結果があるかというところを見ていますので、生殖細胞変異原性の判断をするときに調べた遺伝毒性データなどから、閾値がないと考えられるものという考え方が本来の考え方かなという気がいたしますので、表現は難しいかもしれませんけれども、公表するときには、少し書きぶりを考えていただければと思います。
以上でございます。
○化学物質対策課長 分かりました。書きぶりはちょっと検討させていただきます。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次の議題に移りたいと思います。
続きまして、議題2、濃度基準値の検討です。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官 事務局、福田から御説明いたします。
議題2での審議の進め方ですが、まず、資料3-1と資料4-1によりまして、第4回と第5回で継続審議となりました2物質の濃度基準値と4物質の測定法を再審議いただきたいと思います。その後に、資料3-2と資料4-2によりまして、今回新規検討対象物質の濃度基準値の御審議をお願いいたします。
本日、新規に濃度基準値の検討を予定している物質は33物質となっております。今回も前回同様、物質数が多く、時間の都合もありますので、8から9物質ごとに事務局の福田と辻村の2名が交代で御説明さしあげたいと思います。
また、その後、構成員の先生方から事前にいただきました御質問、御意見などを事務局から別途御説明いたします。その御質問、御意見を踏まえていただいた上で、個別物質ごとに御議論いただければと思います。
なお、検討に必要な一次文献印刷版が必要な場合におかれましては、事務局までお知らせいただきたいと思います。座席のほうまでお持ちいたします。
以上です。
○城内座長 それでは、第4回と第5回の検討会で再審議となった2物質の濃度基準値の説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官 引き続き、事務局、福田から御説明いたします。
濃度基準値は、しょう脳と臭素がそれぞれ第4回と第5回で継続審議となっております。
しょう脳につきましては、第4回検討会におきまして、根拠としている文献からは短時間ばく露限界値を3ppmとする明確な根拠がないとして、再審議、再検討となっております。
その後、一次文献を精査いたしましたところ、短時間ばく露限界値を3ppmとする明確な根拠がやはり認められなかったということで、短時間ばく露限界値は提案せずに、時間加重平均値の2ppmのみを提案することとしたいと考えております。
なお、測定法につきましては、前回までの審議におきまして、資料4-1のとおり、承認をいただいたものと思っております。
続きまして、臭素ですが、第5回検討会において、根拠としている文献からは時間加重平均を0.1ppmとする明確な根拠がないとして再審議、再検討となっております。
一次文献を精査しましたところ、時間加重平均を0.1ppmとする明確な根拠が認められませんでしたので、時間加重平均は提案せずに、短時間ばく露限界値の0.2ppmのみを提案させていただきたいと思います。
こちらの測定法につきましても、前回までの審議におきまして、資料4-1のとおり、承認いただいたと認識しております。
2物質についての説明は以上となります。
○城内座長 濃度基準値について、何か御質問や御意見があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
○有害性調査機関査察官 事務局、福田です。委員の皆様方のお手元には資料を置かせていただいておりますけれども、事前に評価書のほうの提案の御意見をいただいております。
現行は、有症者のばく露レベルは記載されていない。以上のことより、この知見での気中濃度を超えない12mg/㎥=2ppmを濃度基準値(時間加重平均)として提案するとしておりますが、こちらについては、有症者のばく露レベルは記載されていない。著者は上記の知見に基づき労働者のばく露濃度を2ppm以下にすることを提言している。以上のことより、12mg/㎥=2ppmを濃度基準値(時間加重平均)として提案するというように御意見いただいていますので、御指摘のとおり、そのように修正したいと思います。
すみません、説明がちょっと漏れていました。
○城内座長 そのほか御意見、御質問等ございませんでしょうか。
ないようですので、では、第4回と第5回の検討会で再審議となった4物質の測定法の説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官 続きまして、測定法で再審議となりました4物質の説明をいたします。
物質につきましては、資料4-1を御覧いただければと思います。4物質、テトラフルオロエチレン、トリエチルアミン、2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテル、2-クロロ-1,3-ブタジエンの4種類となります。いずれも、第5回検討会で再審議、継続審議となったものとなります。
まず、テトラフルオロエチレンにつきましては、一般的な捕集分析方法が提案できない場合にセンサーや検知管を採用できるかどうかなど、測定方法を検討中でございまして、こちらについてはまだ結論が出ず、次年度以降に再審議をお願いしたいと思います。
続きまして、トリエチルアミンでございますが、検量線の直線性、脱着率ともに悪く、測定法が確立しておりませんが、半導体センサーなどが使用可能かもしれないので、フル検証も必要になってくるということで、今現在、測定方法を検討中でして、これも次年度以降に再審議とさせていただきたいと思います。
続きまして、2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテル(フェニルグリシジルエーテル)ですが、こちらは測定の感度的には問題ありませんが、脱着率と添加回収率の検証が必要となっておりまして、現在、測定方法を検討中ということで、こちらも次年度以降に再審議とさせていただきたいと思います。
続きまして、2-クロロ-1,3-ブタジエン(クロロプレン)ですが、こちらは低濃度では感度が足りない可能性があるほか、脱着率が50%程度で低いので、感度や脱着率の検証が必要となりまして、これもまた、現在、測定方法を検討中です。そのため、次年度以降に再審議とさせていただきたいと思います。
なお、資料2のNo.64のN-(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン(ジエチレントリアミン)が、測定法は再審議とされておりますけれども、濃度基準値が、第5回検討会において、十分な文献データがないことを理由といたしまして、設定できないという結論になりましたので、今回の再審議の対象とはさせていただいておりません。
以上となります。
○城内座長 ありがとうございます。測定法について、何か御質問や御意見があれば、お願いいたします。次年度以降に再審議ですね。
○有害性調査機関査察官 いずれも。
○城内座長 よろしいでしょうか。
では、次の議題に移りたいと思います。
今回、新規に検討する物質について、物質数が多いため、まずは前半16物質の検討を行い、後半17物質の検討を行いたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官 続きまして、新たな33物質の御審議をお願いしたいと思います。資料3-2と4-2を御用意いただければと思います。
まず事務局からは、まとめて16物質について概要を御説明いたします。私から、メチルヒドラジンからビフェニルまで、その後、辻村から、1,2,3-トリクロロプロパンから1-アリルオキシン-2,3-エポキシプロパンまでの8物質ずつを御説明いたします。
それでは、資料3-2のメチルヒドラジンのページと資料4-2のメチルヒドラジンの部分を御覧いただきたいと思います。
まず、メチルヒドラジンです。こちらは、詳細調査は不要ということで、初期調査のほうで検討しております。提案につきましては、時間加重平均が0.01ppm。その根拠としましては、論文については、根拠論文等の欄にありますとおり、1文献となっております。提案理由につきましては、コメント欄のとおりで、その他のコメントとしましては、併せて御確認いただきたいと思います。
測定法につきましては、資料4-2のメチルヒドラジンのところを御確認いただきたいと思います。こちらにつきましては、備考欄にございますとおり、ペンディングということで、要再検討としております。
続きまして、アニリンです。こちらは詳細調査となっております。時間加重平均は2ppmを提案しておりまして、最大ばく露、短時間ばく露はございません。時間加重平均の根拠としましては、濃度基準値の設定として採用した根拠論文とその理由欄に記載させていただいております。また、濃度基準値の提案の理由につきましては、濃度基準値の提案の理由欄に記載させていただいていまして、その他のコメントは、併せて御確認いただければと思います。
測定法につきましては、資料4-2のほうを御覧いただければと思いますが、備考欄は特にございませんで、特に問題なく測定ができるという、測定法の総合評価としては○となっております。
続きまして、N-メチルカルバミン酸 1-ナフチル(別名カルバリル)でございます。こちらについては初期調査となっておりまして、時間加重平均は0.5mg/㎥を提案したいと思います。根拠論文としましては、根拠論文欄の2文献のとおりでございまして、その提案理由につきましては、コメント欄のとおりでございます。その他のコメント欄も併せて御確認いただければと思います。
測定法については、資料4-2の御確認いただきたいと思います。こちらについても、特に条件、留意点もなく、測定法の総合評価は○とされております。
続きまして、クロロエタンです。こちらについても初期調査となりまして、濃度基準、時間加重平均は100ppmを提案したいと思います。根拠論文につきましては、根拠論文等の欄の3文献で、提案理由としましては、コメント欄のとおりとなります。その他のコメントにつきましても併せて御確認いただければと思います。
クロロエタンの測定法につきましては、資料4-2の御確認いただきたいと思います。総合評価としましては○とされていまして、備考欄には特に記載がございません。
続きまして、2-ブロモプロパンになります。こちらは初期調査ということで、時間加重平均は、発がん性の関係で、設定できないということで提案させていただきたいと思います。根拠論文につきましては、根拠論文等の欄の2文献で、提案理由としましては、コメント欄のとおりとなっております。
測定法につきましては、提案、設定できないということにはなっておりますが、総合評価の欄は○で、備考欄の記載は特にございません。
続きまして、メタクリル酸になります。こちらについては詳細調査になります。提案としましては、時間加重平均として2ppmを提案したいと思います。追加で収集した根拠論文等の有無としましては有で、濃度基準値の設定として採用した根拠論文については、そちらの欄のとおりとなります。また、濃度基準値の提案の理由は、記載のとおりとなりますので、御確認いただければと思います。
測定法につきましては、総合評価欄は○となっておりまして、備考欄は特に記載はございません。
続きまして、メタクリル酸メチルです。こちらにつきましては初期調査となっておりまして、提案する濃度基準値は、時間加重平均の2ppmとしたいと考えております。根拠論文等につきましては、根拠論文等の欄にございますとおり2文献で、提案理由としましては、コメント欄に記載のとおりとなっております。
測定法につきましては、総合評価として○となっておりまして、備考欄に特に記載はございません。
続きまして、ビフェニルでございます。こちらは詳細調査になります。提案する濃度基準値につきましては、時間加重平均として3mg/㎥としたいと考えております。詳細調査につきまして追加で収集した根拠論文の有無等は有としまして、その論文等は、その下の採用した根拠論文とその理由ということになります。濃度基準値を提案した理由につきましては、その下の濃度基準値の提案の理由の欄を御確認いただければと思います。その他のコメントの欄につきましては、併せて御確認いただければと思います。
測定法につきましては、総合評価欄としては○としております。ただし、備考欄には、ビフェニルは固体であるが、捕集はガスが対象となっている。固体が存在する場合は、ガラス繊維ろ紙を前段に置くのが望ましいとされております。
まず前半8物質は以上で、これから辻村に交代します。
○化学物質評価室係員 事務局の辻村です。これから、1,2,3-トリクロロプロパンからの8物質を御説明いたします。
まず、1,2,3-トリクロロプロパンです。こちらは詳細調査で、濃度基準値は設定できないとしております。根拠論文としては4つございまして、提案理由としましては、こちらの欄に記載のとおり、比較的低濃度での発がんの知見が認められていることから、濃度基準値は設定できないとしております。測定方法についてですが、総合評価○で、備考は特にございません。
続きまして、ジエチルケトンです。こちらは詳細調査で、濃度基準値が短時間ばく露限界値300ppmを提案いたします。根拠論文は2つで、提案理由は欄に記載のとおりです。その他のコメントはございません。測定方法についてですが、総合評価○、備考は特にございません。
続きまして、アクリル酸メチルです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均2ppmを提案いたします。根拠論文は1つで、提案理由はコメントに記載のとおりです。その他のコメントも併せて御確認ください。測定法ですが、総合評価○、備考は特にございません。
続いて、テトラエチルチウラムジスルフィド(別名ジスルフィラム)です。こちらは詳細調査で、濃度基準値は8時間加重平均2mg/㎥を提案いたします。こちら、単位に抜けがございます。正しくはmg/㎥です。根拠論文は1つで、提案理由は欄に記載のとおりです。その他のコメント欄も併せて御確認ください。測定方法ですが、総合評価○で、備考は特にございません。
続いて、フルフラールです。こちらは詳細調査としておりまして、濃度基準値は8時間加重平均0.2ppmを提案いたします。根拠論文は3つで、提案理由は欄に記載のとおりです。その他のコメントも併せて御覧ください。測定方法ですが、総合評価○、備考がございますので、併せて御確認ください。
続きまして、ニトロベンゼンです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均0.1ppmを提案いたします。根拠論文は2つで、提案理由はコメント欄のとおりです。その他のコメントも併せて御覧ください。測定方法ですが、総合評価○、備考も併せて御確認ください。
続きまして、フェニルヒドラジンです。こちらは初期調査で、濃度基準値は設定できないとしております。根拠論文は2つで、コメント欄のとおり、比較的低濃度のばく露による発がんが認められていることから、8時間加重平均は設定できないとしております。その他のコメントはございません。測定方法ですが、総合評価○、備考も併せて御確認ください。
続いて、前半最後の物質、1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパンです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均1ppmを提案いたします。根拠論文は1つで、提案理由はコメントのとおりです。その他のコメントも併せて御覧ください。測定方法についてですが、総合評価○、備考も併せて御確認ください。
前半の16物質についての説明は以上です。
○化学物質評価室長 続きまして、委員限り資料としてお配りしております資料があります。横長の表です。あらかじめ御質問や御意見をいただいておりますので、まずは事務局からそれらの御意見などに対する回答をいたします。
まず、資料3-2の7ページ目の物質のクロロエタンです。これは、コメント欄の1行目の後ろのほうから、(=抗酸化剤グルタチオン量の低下、つまり生体内抗酸化力が低下)とありますが、不要な説明であり、削除してはどうかという意見をいただいております。御指摘のとおり、この部分は削除いたします。
続きまして、11ページ目のメタクリル酸です。この物質につきましては、関連情報が全て考慮されているわけではないと考察しております。本評価にして参照されたデータは業界の専門家グループによって幾つか公表された報告書で以前に評価されており、化学的に正当化されないものと考えておりますという意見をいただいており、御意見の根拠となる論文をいただいておりますが、これは非公表の論文でございます。非公表の論文について提出いただければ、再度、詳細調査をすることも可能なのですが、この委員会で非公表の論文についてどういった扱いをするのか、要は検討材料とするのか、しないのかということを決めておりませんので、その部分は事務局で整理して、詳細調査にするかどうかというのを考えたいと思います。
続きまして、13ページ目のメタクリル酸メチルです。これにつきましては3つ意見をいただいておりまして、理由はそれぞれ異なるのですが、結論といたしまして、初期調査で終わるのではなく、詳細調査に行ってほしいといった理由でした。2ページ目の一番最初の意見のところで、そういったことが書いてあります。上から5行目のところにありますように、第4回化学物質管理に係る会議におきまして、初期調査と詳細調査のルールを御説明いたしましたので、そのルールにのっとって詳細調査としてはいかがかという意見です。事務局といたしましては、詳細調査に移行すべきものだと考えております。
続きまして、17ページ目の1,2,3-トリクロロプロパンです。文献4の発行年が未記載なので、記載してくださいという意見をいただいております。事務局で調べたところ、1993年が発行年でしたので、後ほど追記いたします。
前半16物質につきまして、いただいた意見は以上となります。
○城内座長 ありがとうございました。それでは、事前にいただいた御質問、御意見やそれに対する事務局回答を踏まえまして、1物質ごとに議論していきたいと思います。
最初の物質がメチルヒドラジンですね。これについては、時間加重平均が0.1ppmとなっていますが、分析法のほうがペンディングになっていますけれども、これの扱いはどうなりますか。
○有害性調査機関査察官 測定法は引き続き検討事項ということになりますので、濃度基準値だけを御審議いただければと思います。
○城内座長 これについて御意見等ございますでしょうか。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員 一番右の備考欄を見る限りだと、DNPHカートリッジでアルデヒド、ケトンを除去しながら捕集すればというのがあるので、ここが確立すれば、分析法は確立できると考えていいのですか。疑問形でお尋ねしますが、確度としては非常に高いと思うのです。
○城内座長 小野委員、お願いします。
○小野委員 この方法といいますか、基本的に、アルデヒドやケトンと空気中でも反応はしているはずなのです。ただ、サンプリングした後に、目的物質の濃度は低いけれども、アルデヒドやケトンがあるという状態でサンプリングを続けていると、一部の試料がロスするということがあると思います。ですから、確実に目的物質が存在している短時間、短時間といっても5分とか10分ではなくて、1時間ぐらいとか、そういった形で測定をすれば、できないことはないのかなと思います。現場でこの状況を検証したこともございませんし、あくまでも実験するときは、ろ紙の上に目的物質の純物質を載せます。その後、空気を吸引したときにロスがあるかないかという評価の仕方をしておりますので、現実にうまくいくかどうかについては保証はないのですけれども、おっしゃるように、〇として測定してみる。それから、自分たちのところで評価をしてみるという形で使うことは可能かと思います。
以上です。
○城内座長 ありがとうございました。それでは、メチルヒドラジンについて、時間加重平均は0.01ppmにいたしますけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。
続きまして、アニリン、時間加重平均2ppmでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのようにしたいと思います。
○尾崎委員 ちょっと教えてください。全体の流れということでちょっとお伺いしたいのですが、資料4-2のところで、その他コメントなり、その右の標的健康影響のところで、「発がん性」という言葉がちらほら散見されるのですけれども、それと追加で収集した論文の有無というところの関係性というのですか、この辺にちりばめられていると、このところで有、無というのが決まってくるのか、そこら辺の関係性がよく分からなくなってしまったのですけれども。
○城内座長 それは、先ほど一番最初に事務局から説明したところと関係するところですね。では、事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 アニリンにつきましては、GHSの発がん性区分は区分2になっておりますので、先ほど御説明したものになると、生殖細胞変異原性が区分1でなければ、原則として策定するということになりますので、こちらは濃度基準値を定めるという整理になるかと。間違えました。大変申し訳ありません。2021年の発がん性区分は1Bでございました。1Bでございますので、個別の判断として、こちらにつきましては定めるという御提案をいただいておりますので、こちらは個別判断として定めるという整理でございます。
○尾崎委員 分かりました。ありがとうございます。
○城内座長 よろしいですね。では、アニリンまでよろしいということで、次に、N-メチルカルバミン酸 1-ナフチルについて、時間加重平均が0.5mg/㎥ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのようにしたいと思います。
その次、クロロエタンについて、時間加重平均が100ppmということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのようにしたいと思います。
続きまして、2-ブロモプロパン、これは設定できないということです。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、次に参ります。メタクリル酸及びメタクリル酸メチルについては、それぞれ詳細調査等で要検討ということになりました。それでよろしいでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員 今の非公表文献をどうするかというお話の方針がちゃんと決まっていないので、それをどうするかというのを決めなくてはいけないと思うのですけれども、これは多分ハウスデータで、恐らくどこかの会社がやったやつで、我々が入手できなかった文献だということになろうかと思います。それに関して、業界団体のほうは当然情報を持っていらっしゃると思いますけれども、それの扱いをどうするかというのをまず決めてからやらないと、これは問題解決しないと思うので、そこら辺を決めてから、非公表文献でも企業のほうから、あるいは、それを雑誌に投稿していただくのが一番いいのですけれども、多分それはなかなかやらないだろうと、今までの経験から思いますので、企業から提供していただいたときに、どれをどう扱うかというのを最初に決めてからやらないといけないなと思っております。
○化学物質対策課長 今回、一般論として非公開情報をどのように取り扱うということを、今この瞬間、議論するのはちょっと情報量が不足しておりまして、来年度以降、こちらをどのように取り扱うかということについても含めて、ペンディングという形にさせていただいて、いただいたデータが、まず中身の精査をするのと、公表をどこまでできるのかという交渉も含めて行った上で、詳細調査に移行するのか、それともこのままの数字で決めるのかというところも含めて、来年度以降、審議をさせていただきたいと考えてございます。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前委員 議論する立場として、ここに幾つかコメントがありますけれども、例えば疫学論文、Marezさん。
○化学物質対策課長 こっちはメチルのほうです。
○大前委員 今、両方やっているのですよね。この方の論文を信用できないということで却下しているということが書いてあるのですけれども、何が信用できなかったのかということも含めて、将来的に情報をいただかないと、我々は判断できないので、もしその未公開情報を使うとなった場合は、そこまでの情報をいただかないと困ります。
○城内座長 この件に関して、ほかにコメント等ございませんでしょうか。
(「なし」の声あり)
ありがとうございます。それでは、また、将来的に再度審議をするということで、次に進みたいと思います。
ビフェニルですが、時間加重平均3mg/㎥ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。それでは、そのように決定したいと思います。
次に、1,2,3-トリクロロプロパンですが、これは設定できないということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
続きまして、ジエチルケトン、これは短時間ばく露で300ppmということでいかがでしょうか。はい。
○宮内委員 私もこれは300でいいと思うのですが、ちょっと教えていただきたいとおもいます。臭気の話になりますけれども、閾値としていろいろなデータがあるのですけれども、アメリカでは0.85ぐらいとかなり低く設定されていて、呼吸刺激の閾値は400というのは確かにそのとおりなのかもしれませんけれども、臭気強度を考えると300は100倍以上のため、多分高いと思うのです。
そうすると、簡単に300ということで本当にいいのかなと思いました。ジエチルケトンの臭気に関しては考慮していないということでいいとしても、ほかの物質の中にも臭気閾値が低いものが結構あるので、お伺いしたかったのです。
○城内座長 事務局から何かございますか。
○化学物質対策課長 臭気は、記載ぶりはいろいろあるのですけれども、文献の中で臭気が出てくるのは、大体、不定愁訴だったりとか、そういう形で評価されることが多いのですが、今回これについては、そういった記載がなくて、眼の刺激性と呼吸刺激性ということになっておりますので、文献上、そのような臭気に基づく影響みたいなのが明確に書いていないということを踏まえて、こちらの提案になっていると認識しております。
○城内座長 宮内委員、よろしいでしょうか。
○宮内委員 了解しました。
○城内座長 そのほか御意見等。大前委員、お願いします。
○大前委員 すみません、今気がついたので、文言を直してほしいのですけれども、理由の下から3行目、眼刺激性の閾値は約700ppm、その次に呼吸刺激性とあるのですが、これは呼吸刺激性ではなくて、気道抵抗の増大というように直してください。
○宮内委員 それなら意味が分かります。了解いたしました。
○城内座長 ありがとうございます。それでは、ジエチルケトンは短時間ばく露限界が300ppmということにしたいと思います。
続きまして、アクリル酸メチルは、時間加重平均が2ppmですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、テトラエチルチウラムジスルフィドですけれども、時間加重平均が2mg/㎥ということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、フルフラール、時間加重平均0.2ppmですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、意見がないようですので、そのように決定したいと思います。
次、ニトロベンゼン、時間加重平均が0.1ppmということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、フェニルヒドラジン、設定できないでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
続きまして、1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパンですが、時間加重平均が1ppmでいかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、後半の17物質の検討を行います。事務局から説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官 続きまして、後半17物質ということで、まず、アクロレインからアクリル酸エチルまでの9物質について福田から、続きまして、ヒドラジンから過酸化水素までの8物質について辻村から説明いたします。
まず、資料3-2の33ページ、アクロレインのページを開いていただければと思います。
アクロレインにつきましては、初期調査でございまして、最大ばく露濃度、Ceilingとしまして0.1ppmを提案したいと思います。根拠論文等につきましては2文献、提案理由としましてはコメント欄のとおりとさせていただいております。その他のコメント欄につきましても、併せて御確認いただければと思います。
資料4-2のほうを御覧いただきたいと思います。アクロレインのところです。アクロレインにつきましては、事務局の確認不足がございまして、実は、これまでのリスク評価事業の中では、こちらに記載のとおりの内容で、実際、メーカーの特注品を使って測定法を確立していたという状況なのですが、委託事業の報告とは別に、報告いただいた後に、受託業者から、実際、市販品が出ているという情報をいただいております。そちらにつきましては、また安衛研と御相談させていただいて、確認作業を取りながら、資料3-2は修正させていただきたいと考えておりますが、この後の個別の物質の審議のときに、もしよろしければ、小野先生からコメント等をいただきたいと思います。
続きまして、塩化アリルでございます。塩化アリルにつきましては詳細調査になりまして、時間加重平均1ppmを提案したいと思います。根拠論文につきましては1文献で、濃度基準値の提案の理由につきましては、記載の欄を御確認いただければと思います。その他のコメント欄についても、併せて御確認いただきたいと思います。測定法につきましては、総合評価は○、備考欄に特に記載はございません。
続きまして、エチレンクロロヒドリンです。こちらについては詳細調査となりまして、時間加重平均2ppmを提案させていただきたいと思います。根拠論文としましては4文献で、提案理由としましては、濃度基準値の提案の理由欄を御確認いただければと思います。その他のコメント欄も、併せて御確認ください。測定法につきましては、資料4-2になりますが、総合評価欄につきましては○となっておりまして、備考欄には特に記載はございません。
続きまして、エチレングリコールになります。こちらは詳細調査になりまして、時間加重平均を10ppm、短時間ばく露限界値を蒸気として50ppm、もしくはミストとして10mg/㎥を提案させていただきたいと思います。根拠論文としましては、評価書に記載の5文献となっております。提案理由としましては、濃度基準値の提案の理由の欄を御確認いただければと思います。その他のコメントは特にございません。測定法につきましては、資料4-2のほうを御確認いただきたいと思います。総合評価欄につきましては○、備考欄については記載のとおりとなっております。
続きまして、ジエタノールアミンとなります。こちらは詳細調査になります。時間加重平均1mg/㎥を提案させていただきたいと思います。根拠文献としましては2文献、提案理由としましては、濃度基準値の提案の理由の欄を御確認いただければと思います。その他のコメント欄には特に記載はございません。測定法、資料4-2になりますが、総合評価は○としておりまして、備考欄につきましては、誘導体化法なので、技術を要するという条件が記載されております。
続きまして、ジフェニルアミンです。ジフェニルアミンにつきましては初期調査となりまして、時間加重平均5mg/㎥を提案させていただきたいと思います。根拠文献としましては1文献、提案理由としましては、コメント欄を御確認いただきたいと思います。その他のコメント欄についても、併せて御確認ください。ジフェニルアミンの測定法になりますが、資料4-2を御覧いただきたいと思います。総合評価欄につきましては○ということで、備考欄については記載のとおりとなっております。
誘導体化法なので、技術を要するという条件が記載されております。
続きまして、ヒドロキノンとなります。ヒドロキノンにつきましては初期調査となりまして、時間加重平均1mg/㎥を提案させていただきたいと思います。根拠文献としましては4文献、提案理由としては、コメント欄を記載のとおりとなっております。その他のコメント欄のほうも併せて御確認いただきたいと思います。測定法につきましては、総合評価が○、備考欄には、ガス捕集の方法を検討すべきとしております。
続きまして、テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)になります。こちらについては初期調査となりまして、時間加重平均が0.2mg/㎥で、根拠論文は1文献となっております。提案理由につきましては、コメント欄のとおりとなります。その他のコメント欄には特に記載はございません。測定法につきまして、総合評価が○で、備考欄には特に記載はございません。
続きまして、私のほうの最後になりますが、アクリル酸エチルです。初期調査となりまして、時間加重平均2ppmを提案させていただきたいと思います。根拠論文としましては1文献、提案理由としては、コメント欄のとおりとなっております。その他のコメント欄には特に記載はございません。測定法につきましては、総合評価が○、備考欄については特に記載はしておりません。
それでは、続きまして、辻村から説明をいたします。
○化学物質評価室係員 続きまして、事務局、辻村から、ヒドラジンから8物質の御説明をいたします。
まず、ヒドラジンです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均0.01ppmを提案いたします。根拠論文は4つで、提案理由はコメントに記載のとおりです。その他のコメントも併せて御覧ください。測定方法ですが、総合評価○、備考欄も併せて御確認ください。
続きまして、2,3-エポキシ-1-プロパノールです。こちらは詳細調査で、濃度基準値は設定できないとしております。根拠論文は2つで、濃度基準値の提案理由のとおり、発がん性試験における最小投与量で発がんが認められていることから、濃度基準値は設定できないとしております。測定方法ですが、総合評価○、備考にcis体の測定は難しいと記載がございます。
続いて、四ホウ酸ナトリウムです。こちらは初期調査結果で、濃度基準値は時間加重平均、1mg/㎥、総粉じん、または0.11mgホウ素/㎥、短時間ばく露限界値、6.6mg/㎥、総粉じん、または0.75mgホウ素/㎥を提案いたします。根拠論文は2つで、提案理由はコメントに記載のとおりです。その他のコメントはございません。測定法についてですが、総合評価は○で、備考欄は特にございません。
続きまして、カーボンブラックです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均3mg/㎥吸引性粒子を提案いたします。根拠論文は2つで、提案理由はコメント欄に記載のとおりです。その他のコメントも併せて御確認ください。測定方法ですが、総合評価○、備考欄も併せて御確認ください。
続いて、ニッケルです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均1mg/㎥を提案いたします。根拠論文は4つで、提案理由はコメントに記載のとおりです。その他のコメントも併せて御覧ください。測定方法ですが、総合評価○、備考欄は特にございません。
続いて、タリウムです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均0.02mg/㎥を提案いたします。根拠論文は3つで、提案理由はコメント欄のとおりです。その他のコメントはございません。測定方法ですが、総合評価○、備考欄は特にございません。
続いて、金属インジウムです。こちらは詳細調査で、濃度基準値は設定できないとしております。根拠論文は3つで、濃度基準値の提案の理由のとおり、ばく露と生体影響にかかる知見に乏しいことから、濃度基準値は設定できないと判断しております。測定方法ですが、総合評価、P、ペンディングとさせていただいております。
続いて、最後の物質になります。過酸化水素です。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均0.5ppmを提案いたします。根拠論文は3つで、提案理由はコメントのとおりです。その他のコメントはございません。測定方法ですが、総合評価、ペンディング。備考のとおり、安全かつ定量性のよい分析法を探索中ということで、ペンディングとさせていただいております。
物質についての説明は以上です。
○化学物質評価室長 続きまして、事前にいただきました御質問、御意見の御説明と、それに対する回答を説明いたします。横長の資料の3ページ目を御覧ください。
資料3-2の39ページ目のエチレングリコール、これは事務局からなのですけれども、濃度基準値が2種類の単位、蒸気とミストで提案されておりますが、ミストのばく露につきましては空港での不凍液の噴霧など極めて限定的な場面となると考えております。また、インハラブル粒子の測定が難しいため、濃度基準値といたしましては、蒸気の基準を定めてはどうかと考えております。
続きまして、4ページ目で、資料3-2の55ページ目の四ホウ酸ナトリウム(十水和物)(別名ホウ砂)につきまして、先ほどと同じように、これも事務局からの提案なのですけれども、濃度基準値の案につきましては、総粉じんとホウ素に換算した両方の数字が示されております。根拠文献がホウ素となっておりますので、できればホウ素として測定して、基準値はホウ素としたいと考えております。これにつきまして御議論いただければと思います。
続きまして、57ページ目、カーボンブラックです。一番下のその他コメントのところの、1行目の後ろのほうから、測定方法等について検討が必要と。結論は得られているのでしょうかという意見がございました。これにつきましては、日本ではインハラブル粒子を測定できる分粒装置が普及しておりませんので、レスピラブル粒子を採用してはどうかと考えております。
続きまして、59ページ目のニッケルです。これはコメントのところの上から6行目、「では、米国のバリアー工場で粉上」となっておりますので、「上」を「状」に直します。すみません、誤字でした。
事前にいただいた質問、意見は以上です。
○城内座長 ありがとうございました。それでは、事前にいただいた御質問、御意見やそれに対する事務局回答を踏まえ、1物質ごとに議論していきたいと思います。
最初、アクロレインですね。最大ばく露濃度で0.1ppmでよろしいでしょうか。あと、分析方法については、小野委員から何かコメントはありますでしょうか。
○小野委員 私も、この測定法を調べたときに、特注品の情報までしか実は取得していなかったのですけれども、よくよく調べますと、柴田科学さんが、捕集剤というところに書いたTEMPOという物質なのですけれども、これの添着量を変えて、より安定的に測定できる方法として、市販の捕集剤が出ているということが分かりましたので、この試料は一番新しい情報に差し替えて提出するのがよろしいかと思います。
以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
それでは、アクロレインは、最大ばく露濃度で0.1ppmにしたいと思います。
続きまして、塩化アリル、時間加重平均で1ppmでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、エチレンクロロヒドリン、時間加重平均で2ppmでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、エチレングリコール、時間加重平均で10ppm、蒸気、それから短時間ばく露濃度で50ppm、蒸気、10mg/㎥、ミストですが、いかがでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 こちらは、先ほどちょっと御説明させていただきましたが、基本的にこのエチレングリコールは融点はマイナス13度ということで非常に低いのですが、蒸気圧が6か7Paで物すごく低いということで、基本的に揮発しないというものでございまして、そういったものですので不凍液によく使われているわけですけれども、こちらで実際に疫学的に認められているのは、モントリオール空港で冬季に滑走路に噴霧しているという極めてまれな例でございます。それ以外、もちろんヒトのボランティアにあえてエアロゾルをばく露されているというケースはございますが、基本的に日本の実態において、こういった使用方法といいましょうか、実際に不凍液として噴霧する実態があるというのは把握していないということと、測定がインハラブルというのも難しいということもございますので、こちらは2つ御提案いただいていますけれども、時間加重で10ppm、それからSTELとしては50ppmのほうで基準は策定させていただいて、仮にミストを使う場合には10mg/㎥を参考として管理してくださいというのを、通達などでお示ししたいと考えてございます。
○城内座長 よろしいでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野委員 小野でございます。エチレングリコールの今の説明は大変よく分かりました。
使用の実態なのですけれども、実は今、塗装の水性塗料のスプレー塗装、スプレー塗装といっても粘度が高いのですけれども、そういった塗料にエチレングリコールが入っている状況もございますので、そういう場合には、先ほどおっしゃったような、状況に応じてミストの値を使うべきであるということに適合するかと思います。
以上です。
○城内座長 そのほかございませんでしょうか。
(「なし」の声あり)
では、エチレングリコールについては、先ほどの提案のとおりで決定したいと思います。
続きまして、ジエタノールアミン、時間加重平均で1mg/㎥ですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、ジフェニルアミン、時間加重平均で5mg/㎥ということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、ヒドロキノン、時間加重平均で1mg/㎥ということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、テトラメチルチウラムジスルフィド、時間加重平均で0.2mg/㎥ということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、アクリル酸エチル、時間加重平均で2ppmということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、ヒドラジン、時間加重平均で0.01ppmですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、2,3-エポキシ-1-プロパノール、これは設定できないでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、設定しないということで、次に移ります。
四ホウ酸ナトリウム(十水和物)について、時間加重平均が1mg/㎥、総粉じん、または0.11mgホウ素/㎥ということですが、これについていかがでしょうか。ごめんなさい、まだありました。短時間ばく露が6.6mg/㎥、総粉じん、または0.75mgホウ素/㎥もあります。いかがでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 こちらにつきましては、コメント欄にございますように、四ホウ酸アニオンは水中で加水分解されてホウ酸となる。したがって、ホウ酸及び四ホウ酸ナトリウムの全身影響は、ホウ素含有量によって評価可能ということでございます。
また、ばく露の下のほうを見ていただくと分かりますが、ホウ砂の鉱山、あるいはホウ砂を含んだ粉じん、そういったもののばく露ということになってきますので、全身影響についてはホウ素の含有量によって評価は可能ということであると、根拠としてはホウ素ということでございますので、ホウ素としての濃度のほうで設定するのが妥当ではないかと考えてございます。
また、こういったものは、作業環境測定の関係で管理濃度でもいわゆる元素名を指定して、何とかとして、例えば溶接ヒュームはマンガンとして幾らとか、そういった規定も通常行っているところでございますので、こちらにつきましては、ホウ素として0.11mg/㎥、それから短時間で0.75mg/㎥という形で基準としては設定したいと考えております。いかがでしょうか。
○城内座長 鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋委員 今、課長から御説明があった、影響が元素だから、元素として濃度を設定するというのはいいと思うのですけれども、現実に、このばく露の形態が、ホウ砂と名前からあるように、そういう大きな粒子が飛び交っているようなところでやる場合は、基準値は元素でやったとしても、何をサンプリングして、それで測るかということに関しては、やはり別途明記して、括弧して総粉じんと書いた、総粉じんなのか、インハラブル粒子なのか、どちらかを明記して、その上でホウ素を評価して、そのホウ素の濃度はこうであるというようにしないと、多分、測る側としては、どう測ればいいか分からないという事態になるのではないかと思います。
○化学物質対策課長 御指摘ありがとうございます。文献にございますように、全て総粉じんで評価しておりますので、総粉じんとしてサンプリングして、ホウ素として評価するという形でさせていただきたいと思います。
○鷹屋委員 分かりました。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前委員 数字の0.11というのは、今までのあれですと丸めているので、0.11というのはあまりない数字だから、下1桁は切ってもいいのではないですか。
○化学物質対策課長 6.6というのもあります。
○大前委員 6.6は6か、そこら辺、今までと整合性がちょっとないので、考えていただいて。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。後ほど検討させていただきますが、有効数字2桁ぐらいで、2桁目をどこで数字を丸めているかというところですけれども、2桁目が1というのは確かに見当たらないようではございますが、全体の並びを検討させていただきますが、うまく整理できない場合は、このままの数字を使わせていただく可能性がございますので、御了承いただきたいと思います。
○城内座長 ということです。数字について、大きく動くことはないと思いますが、事務局に一任するということで皆さんよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、暫定的になりますけれども、この数字で先に進みたいと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、カーボンブラック、時間加重平均、吸引性粉じんとして3mg/㎥ということですが、これでいかがでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野委員 恐らくというか前に見た記憶では、インハラブルとレスピラブルの両方の値がACGIHにはあったと思います。有害性からいくと、溶けない粉じんですので、レスピラブルでいいのかなと思うのですが、カーボンブラックの使われ方の大半は顆粒状になっていますので、割と大きいものが飛んでいると思います。レスピラブルで取ろうとすると、カスケードインパクターなどで取っていくと、衝突の際にインハラブルが壊れて、下段にどんどん小さな粒子が落ちていくという形がありますので、ちょっと衝撃があると壊れるということを考えると、レスピラブルで取ってもそんなに過小評価にはならないと思います。
あと、サンプラーの使いやすさを考えると、レスピラブル、吸入性粉じんのサンプラーでもいいのではないかと私は思います。逆にインハラブルのサンプラーを使うと、とても大きなものがどんと入ってきてしまうということもありますので、どうしてもそちらの数字を残したいということでしたら、総粉じんでもあまり変わらないのかなと。極端に大きいものが、インハラブルとどちらが入るかということにもなるのですけれども、これまで伝統的に海外でもレスピラブルを使っていたということを考えると、私はレスピラブルでもいいのかなと思います。
すみません、あと、追加というか、測定法のところで、後ろに備考があるのですけれども、カーボンブラック100%粉じんなのか、それとも一般粉じんも入っているのかと。それをまとめた形で測定する方法をここでは採用しています。わざわざカーボンブラックだけを分けて難しい測定法を使わずに、重さで全体的な管理をしようという形になっていますので、もともと若干過大評価になっていますので、レスピラブルにすることで若干過小評価になるというところで、本当にそれでプラスマイナスが合うのかどうか分かりませんけれども、重さでレスピラブルでよいと思います。
どうしてもカーボンブラックを測りたいという方は、難しい測定法がありますので、そちらでカーボンブラックをきっちり測定していただいてもよろしいかと思います。
以上です。
○城内座長 事務局からお願いします。
○化学物質対策課長 小野委員、コメントありがとうございました。確認ですが、レスピラブルとすると、こちらのその他コメントに書いてございますように、0.3mg/㎥の数字を使うという理解でよろしいでしょうか。上のコメントの文献の、北米のカーボンブラックで、レスピラブル0.3mg/㎥だったというエビデンスを使っているということになると思いますが。
○小野委員 これの書き方の意味がちょっと分からないのですけれども、12.5mg-year/㎥ですよね。0.3というのは、カーボンブラックの有害性から考えると、低過ぎるような気がします。カーボンブラック0.3で抑えるというのは結構厳しいと思うのですけれども。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 これは多分、その前の論文が、40年ばく露でもってということなので、mg-year/㎥を40で割ったのがそのときのいわゆる気中濃度ということで、12.5を40で割って0.3にしているという計算が基だったと思います。
○小野委員 たとえレスピラブルであっても、0.3というのは、カーボンブラック工場の状況とかを見ると、とても管理できる数字ではないような気がします。ですから、この数字を使うとすると、インハラブルにしても10倍になるということは一般的に考えてないと思うので、今、判断停止しています。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 北米のカーボンブラック工場で、総粉じんであると、先ほどの宮川先生の御指摘のように、多分、45.9mgを40で割って1.1mgとか、総粉じんではそういう数字があります。あとは、インハラブルの平均で0.7とかそういった形で、こちらはちょっとインハラブルになってはいるというところにはなります。エビデンス的にはですね。
先ほど小野委員からもございましたように、インハラブルは日本では測定がかなり難しい、測定方法が普及していないということですので、やるとすると、総粉じんかレスピラブルになると思うのですけれども。
○城内座長 さあ、どうしましょうかね。
○尾崎委員 私の業界の方からも、測定方法等について検討が必要なのではという意見や、検討結果は得られているのか、という質問も出ています。数字のところを見てどうのこうのと多分言われていないと思うのですけれども、やはり分析方法のところに曖昧さが残るということで、ちょっと不安に感じている会社もおられるということだけ、コメントさせていただきます。
○化学物質対策課長 測定法につきましては、総粉じんかレスピラブルであれば測定方法自体は確立していますので、あまりそこに疑義はないのですが、どちらかというと、今ちょっと御議論いただいているのは、どの数字を使うかというところだと思います。
では、再検討にして、1文献、これを見るとfigureとかもあるみたいで、多分、外挿か何かしているみたいなので、その辺をもう一回きちんと見て、基準値については再検討するということでよろしいでしょうか。
本日のコンセンサスとしては、できればレスピラブルでやると。駄目なら総粉じんと。それで基準値はつくっていくということで、再検討とさせていただきたいと思います。
○城内座長 では、カーボンブラックについては再検討ということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
続きまして、ニッケル(金属ニッケル)で、時間加重平均が1mg/㎥ということですが、これについてはいかがでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員 表現の方法なのですけれども、金属ニッケルだけにしてはいかがでしょうか。ニッケルと先に書いてしまうと、いろいろな化合物がありますので、この後、金属インジウムがさっき出てきましたけれども、あれも金属インジウムということで、金属インジウムとインジウム化合物を分けたという意図があると思うのです。だから、このニッケルも、金属ニッケルとニッケル化合物を分けなくてはいけないという意図だと思うので。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。ニッケルカルボニルとニッケル化合物については、実は既に特化物になっておりますので、これは御指摘のとおり、純粋な金属ニッケルを想定しておりますので、そのような表記にさせていただきたいと思います。
○城内座長 鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋委員 今の件の質問なのですけれども、そういう場合は、合金は入らないということなのですか。混合物としてニッケルは入っているということになりますよね。合金が混合物なのか化合物かというのはなかなか、ものによってちょっと微妙なところもありますけれども、金属ニッケルとすると、ケミカルにはニッケルの単体だけを示す。今までの内容だと、例えば化合物だって、仕切り値以上入っていればということですよね。仕切り値以上入っているというのであれば、合金も入るわけで、その場合は何の言い方が正しいのか。金属ニッケルではないような気がするので、化学的に誤解のない言い方を少し考えないといけないのかなという気はします。
○化学物質評価室長補佐 すみません、事務局ですけれども、安衛法上、通常、合金については、法令上は混合物扱いとしております。化学的にはまた若干違うところもあるかと思いますので、そこの扱いは。
○鷹屋委員 すみません、では、単純には、大前先生のおっしゃるように、誤解がないように、金属ニッケルとした上で、補足として、例えば合金成分も含むとか、そのようにしたほうが明確になるかなという気がします。法令上の表現との整合性はちょっと分かりませんけれども。
○化学物質対策課長 分かりました。合金をどう表現するかはちょっとペンディングにさせていただいて、金属ニッケルという表記にして、混合物として合金を含むみたいな、解釈を示すような形でちょっと検討させていただきます。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 ニッケルの合金では、基本的にあまり毒性が問題とならないようなものもあるように思いますが、その辺りがちょっと気になったところでございますが、いかがでしょうか。例えばステンレスの、あれはニッケルが入っていますよね。そういうのを加工するときに粉じんが飛ぶときに、そこの粉じんの中のニッケルも測らなければいけないのかというようなことが、ちょっと気にはなりました。
○化学物質対策課長 コメントありがとうございます。合金に対する取扱いをちょっと整理させていただいて、いずれにしても、表記上は金属ニッケルとさせていただいて、先ほどの宮川委員からの御指摘も踏まえて、合金についてどういう適用をするかということは明確にしたいと思います。
○城内座長 では、ここは金属ニッケルとして、1mg/㎥で決定してよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。では、次に、タリウムについてですが、時間加重平均が0.02mg/㎥でよろしいでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員 0.02でいいのですけれども、分析の方法ですが、これはICP-MSですよね。ICP発光でも、多分、この濃度のタリウムは分析できると記憶にあるのですが。ただ、この濃度が大分下がって0.02になったため、分析できるというデータは持ち合わせていないのですけれども。実は測定機関として粉じん分析の登録をしているところはかなりの機関がICP-MSを持っているはずなのでしょうけれども、実際はそんなに持っていないと思います。今回はなるべく汎用な方法で公表する、または報告書として出すと伺っています。今の段階で確実なところの分析方法を出すというところは理解していました。ただ、取りあえず今回報告書はこれで出すけれども、今後、新たにもう少し簡易的な方法が確立したならば、そういうものにどんどんバージョンを替えていくのかを、一度お伺いしたいと思っていました。
以上です。
○城内座長 事務局からありますか。
○化学物質対策課長 測定方法につきましては、技術上の指針でお示しする予定にしてございます。技術上の指針の本文に出てくるのは、まさにここに書いてある程度で、ろ過捕集法ICP-MSという記載ぶりに多分なると思います。
あくまでこれは標準的な方法としてお示ししますので、ほかの方法でやってはいけないという作業環境測定のような縛りのついた形でお示しはしないという予定でございます。
それから、それ以上により詳しい情報につきましては、現在検討しておりますけれども、労働安全衛生総合研究所、あるいは中央労働災害防止協会、そういったところから何らかのテクニカルなドキュメントを開示するとか、そういったことは考えてございます。
小野委員、何か補足がございましたら。
○小野委員 課長のおっしゃるとおりだと思います。遵法でこの測定で必ずこの濃度以下であることという書きぶりではないと思いますので、あくまでも測定できる方法というものを示しております。
ただ、御自身たちでもう少し長い時間サンプリングすれば十分発光でいけるよとか、そういったデータをきちんとお持ちでしたら、ほかの方法で分析することは構わないのではないかと私も考えております。
以上です。
○城内座長 宮内委員、よろしいでしょうか。
○宮内委員 了解しました。ただ、私が言ったのは、発光はNIOSHなどのメソッドにも出ているため、探せばかなり分かると思うのですけれども、重要なことは、今後、こういう方法はあくまでも標準として出しているので、今、課長がおっしゃったように、さらにいい方法があれば、それは特に否定するものではないという文章を最終的に報告書のどこかに入れていただければ、非常に分かりやすいかなと思いました。
以上です。
○城内座長 ありがとうございました。では、タリウムについての時間加重平均は0.02mg/㎥ということにしたいと思います。
続きまして、金属インジウムについては設定できないということですが、これでよろしいでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員 設定できないで私は異議ないのですけれども、インジウム化合物という形で今、特化物になっていますよね。その中で、金属インジウムは除くことが明確になっているのですけれども、ITO等のガイドラインの中で、ITOの工程で金属インジウムを使う場合は、インジウム化合物と同様に取り扱ってくださいと書いてあると思うのです。多分、使っている人たち、メーカーの人たちもそういう形で取扱いしているのですよね。
そうすると、今回これが特に設定できないという形になったときに、そういう通達というのは廃止になるのか、もしくは、それは残るのかというのは、現状では特に決まっていないと思うのですけれども、疑問に思ったので、もし分かれば教えていただけないかなと思いました。
○化学物質対策課長 その通達がどういう記載ぶりになっているか、ちょっと今直ちにお答えできませんが、恐らくですけれども、予防原則的に定めている通達だと思いますので、直ちに廃止するということは多分ないと思いますけれども、また精査させていただきます。
○宮内委員 了解いたしました。
○城内座長 では、金属インジウムについては設定できないということにしたいと思います。
続きまして、最後ですが、過酸化水素については時間加重平均が0.5ppmですが、いかがでしょうか。これは分析法はペンディングですね。
○小野委員 ポーラログラフィー、水銀を使う方法が提案されていたり、あと、特殊な化合物での反応捕集とか、それはドイツなのですけれども、幾つかないわけでないのですが、日本で使いやすそうなものがうまく引っかかってこないようですので、もう少し探索する必要があると考えおります。
○城内座長 ありがとうございます。そのほかコメント等ございませんでしょうか。
では、過酸化水素の時間加重平均については0.5ppmということにしたいと思います。
これで、本日予定の全ての物質の濃度基準値の審議が終わりましたけれども、最終結果について、事務局でまとめていらっしゃれば、お願いします。大前委員、お願いします。
○大前委員 1点、この幾つかの中で、NOAELとNOAEC、あるいはLOAELとLOAECという文字が出てきます。これはグロッサリーのほうに載っかっていないので、どちらかに統一したほうがいい。NOAELとNOAECは同じ意味ですし、LOAELとLOAECは同じ意味なので。
○化学物質対策課長 統一するとすれば、やはりNOAEL、「L」のほうですよね。
○大前委員 NOAELです。
○化学物質対策課長 分かりました。統一させていただきます。
○城内座長 宮内委員、お願いします。
○宮内委員 アクロレインのところで、頂いた資料は最大ばく露濃度で0.1ppmなのですけれども、これは短時間ばく露限界値ではなくて、最大ということで、よろしかったでしょうか。測定するときに、最大値がなかなか取れなければ短時間ばく露限界値で評価すべきという話もあったと思うのですけれども。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。こちらは、根拠論文の中に、1.2ppmで5分以内に過度な刺激症状を知覚したと、明示的に書いてあるので、15分間のSTELではちょっと不十分ではないかということで、これは最大ばく露でやむを得ないとは考えてございます。
ただ、適用につきましては、もともと、中間取りまとめでございましたように、最大ばく露を義務づけるというのは、自動的に、連続測定を義務づけることになりますので、これについては難しいということでございますので、最大ばく露につきましては基準値に明確に書いた上で、努力義務といいましょうか、できるだけ連続測定をして、いかなるときにも超えないようにしてくださいと。駄目な場合は、15分間測定で管理してくださいというような形の記載にする予定でございます。
○宮内委員 ありがとうございます。了解しました。
○化学物質評価室長補佐 では、事務局から審議いただいた結果の確認をさせていただきます。資料4-1と4-2に沿って確認させていただきます。
まず資料4-1でございますけれども、しょう脳は、最大短時間ばく露のところは削除して、了承ということでございます。
それから、テトラフルオロエチレンからクロロプレンまでの4物質につきましては、測定法が引き続き検討中ということで、次年度以降、再審議とさせていただきます。
それから、臭素につきましては、時間加重平均を削除して、短時間ばく露濃度だけで了承ということになっております。
続きまして、資料4-2のほう、こちらは変更があったり、あるいは再審議となったところだけ確認させていただきます。
まず1ページ目のメチルヒドラジン、こちらは測定法がペンディングとなっておりますので、来年度、再審議とさせていただきます。
続きまして、2ページ目へ行きまして、メタクリル酸、それからメタクリル酸メチル、この2物質につきましては、濃度基準値について文献等をもう一度精査の上、来年度、再審議とさせていただきます。
続いて、4ページ目へ参りまして、最後のエチレンクロロヒドリン、これは御了承いただいたのですが、時間加重平均2ppm、資料4-2の表のほうに抜けておりましたので、資料3-2のとおり、こちらは2ppmということで了承いただいたということでございます。
続いて、5ページ目、エチレングリコールですが、最大短時間ばく露濃度の欄は、STEL、50ppm、蒸気のほうで了承いただいたということで、ただし、ミストとして使うような場合については、その下の値のほう、こういった形を通達等で示すことを検討させていただきます。
続きまして、飛びまして7ページ目、一番上、四ホウ酸ナトリウム(十水和物)(ホウ砂)です。これは2種類の形で提案いただいておりましたけれども、いずれもホウ素として0.1mg/㎥、またはホウ素として短時間、STEL、0.75mg/㎥ということで御了承いただいております。ただし、この2桁まで書くかどうか、丸めをどうするかについては整理をした上で、最終的に決定させていただきたいと思います。
続いて、カーボンブラックについては、濃度基準値、再審議ということで、次年度、再度検討させていただきます。
続いて、ニッケルについては、金属ニッケルということを明確にするということと、合金の法令上の取扱い等については、厚労省のほうで整理をさせていただきます。値自体はこの値で了承いただいております。
続いて、金属インジウム、これは濃度基準値、設定できないということで、設定しないのですけれども、測定法のほうもペンディングのままということになっております。
最後、8ページ目、過酸化水素、こちらも測定法がペンディングということで、来年度以降、再審議とさせていただきます。
以上でございます。
○城内座長 前半の御議論ありがとうございました。後半に入る前に、10分間の休憩をしたいと思います。16時から始めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(暫時休憩)
○城内座長 皆様、よろしいでしょうか。議事を再開いたします。ここからは、新たに3人の委員に御参加いただいておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議題の3、令和4年度報告書案です。事務局から別紙1から3の説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長 私から、資料5でございますけれども、報告書案の後ろに、別紙というのがついてございまして、そちらから御説明させていただきます。別紙は3つございまして、混合物への濃度基準値の適用に関する文献レビュー、濃度基準値の単位に関する文献、発がん性物質に対する濃度基準値の設定に関する文献ということでございます。この3つの文献レビューにつきましては、既に毒性の関係の皆様方には、前回、今回で御説明しているものでございますが、今回御参加いただいたお三方につきましては、これをまだ御説明しておりませんので、まずこれを簡単に御説明させていただくという趣旨でございます。
まず別紙1でございますけれども、混合物への濃度基準値の適用に関する文献ということでございます。
こちらは、濃度基準値を適用するときに、混合物があったとき、どのようにするかを整理したものでございます。
ACGIHにおきましては、混合物によって、複数の化学物質に同時にばく露し、または順番にばく露することで、相互作用があるということを明記しておりまして、その相互作用にも複数あって、まず、複合的な作用が単一の物質による影響の合算と同じ場合は相加効果、単一物質による影響の合算より大きい場合は相乗効果、逆に、単一物質による影響の合算より小さい場合は拮抗作用ということですが、ACGIHとしては、同様の毒性影響を同様の臓器に生じさせる場合につきましては、複合的な影響を考慮すべきとして、原則として相加効果を考慮すべきということで、いわゆる相加式を使っています。こちらにつきましては、8時間ばく露限度のみならず、STELにつきましても使うべきだという整理をしております。
英国安全衛生庁(HSE)につきましても、同様の見解を示しているところでございますが、その適用につきましては、若干慎重でございまして、リスクの増加が同時に生ずる場合に限って行うべきであって、不適切な状況まで拡大すべきではないといった記載をした上で、相加的な相互作用があると信じるに足る理由がある場合は、相加式を用いて評価するという記載になっております。
ドイツにつきましては、より慎重でございまして、複数の物質のばく露による健康影響の相互作用があるのを認めつつ、特定の物質の混合物についての個別の毒性の検討によってのみ設定可能であるということで、混合物への最大濃度を計算によって算定することは控えるというスタンスとなってございます。
関係法令につきましては、御案内のとおり、作業環境測定基準の有機溶剤につきましては、相加効果があるとして、相加式を使った評価をして、それに基づいた結果で管理区分を行っているということでございます。
考察でございますけれども、(1)から(4)までは、先ほどの説明のサマリーでございます。
(5)でございますけれども、以上を踏まえますと、混合物に含まれる複数の化学物質が、同一の毒性作用機序によって同一の標的臓器に作用する場合は、相互作用によって、相加効果や相乗効果があることにつきまして、一致した見解となっているわけでございますけれども、個別の物質を相加式で一律に行うことについては、十分な科学的根拠があるとまでは言えず、各機関で判断が分かれているということでございます。
こういったことを踏まえまして、濃度基準値の適用におきましては、同一の毒性作用機序によって同一の標的臓器に作用することが明らかな場合、こういった組合せについては、その相互作用を考慮すべきという趣旨から、相加式を使うように努めるべきであるという形の記載をするという整理でございます。
続きまして、別紙2、濃度基準値の単位に関する文献でございます。
こちらは、測定する物質が粒子状なのか蒸気なのか、あるいは、その両方存在する場合どうするのかということでございます。
ACGIHにおきましては、インハラブル粒子と蒸気(IFV)という注記をつけております。飽和蒸気圧のTLV-TWAに対する比が0.1から10までの物質について、こういったものをつけておりまして、この場合につきましては、原則として、粒子と蒸気を両方測定すべきであるといった整理をしてございます。ただ、単位としては、よりよく使われる、ppmかmg/㎥、どちらかの記載になってございます。
英国安全衛生庁は、IFVについて明確な規制はございません。
ドイツにつきましても、蒸気とエアロゾルの両方の混合が発生し得る判断をしておりますけれども、その判断基準としては、蒸気圧が100Pa未満で0.001Paを超える物質となっておりまして、沸点が180℃から350℃ぐらいまでに該当するような物質についてやっているということでございます。こういった物質につきましては、ppmとmg/㎥の両方を併記しているということでございます。
管理濃度につきましては、ppmかmg/㎥のどちらかの単位を採用しておりまして、2つの単位の併記はしておりません。最もばく露しやすい状態が蒸気か粒子かを判断した上で、どちらかを選択しておりますけれども、作業環境測定基準の中に、蒸気を捕集できる方法と粒子を捕集できる方法を併記している物質もございまして、先ほど言ったIFVのようなものにつきましては、いわゆる相補補修法によって両方捕集することが実務で行われているところでございます。
続きまして、考察でございます。こちらも(5)まで飛びますけれども、蒸気とエアロゾル粒子が同時に存在する物質については、濃度の過小評価を避けるために、蒸気と粒子の両者を捕集する必要がある。こちらの影響につきましては、濃度基準値が飽和蒸気圧と比較して相対的に小さいほど大きくなるということでございますので、原則として、飽和蒸気圧の濃度基準値に対する比、飽和蒸気圧を濃度基準値で割ったものですね、これが0.1から10までの物質とすべきだというまとめにしてございます。ただし、作業実態において、粒子や蒸気によるばく露が想定される物質については、これ以外でも両方捕集すべきであるということでございます。
こちらの単位につきましては、複数の単位の基準値があることによる測定及び分析の混乱を避けるため、管理濃度と同様に、ppmかmg/㎥、どちらかを選択するということでございます。さらに、技術上の指針で定める予定の個別物質ごとの標準的な測定方法において、こういった物質については、蒸気と粒子の両方を捕集すべきであることを明記するということでございます。
また、ppmからmg/㎥への換算式もお示しする予定でございます。
続きまして、別紙3、発がん性物質に対する濃度基準値の設定に関する文献ということでございます。
こちらにつきましては、発がん性物質に対して濃度基準値をどのような考え方で設定しているのかをレビューしたものでございます。
ACGIHにつきましては、カテゴリーがA1からA5までございます。A1は発がん性が確認されたもの、それから、疑いがあるもの、動物への発がん性、そういった感じで、1から5まで下がっていく形になってございまして、A1に分類されている発がん性物質につきましては、ばく露限度を設定しているものといないものがございます。それから、A2以下は、原則として、ばく露限度が設定されているということでございまして、A1に分類されている発がん性物質で、ばく露限度が設定されていないものについては、全てのばく露を最大限なくすような適切な設備対応が必要だといった記載がございます。
HSEは、特段、それに関する記載はないということでございます。
続きまして、3番のドイツでございます。ドイツにつきましても、カテゴリー1から5までございます。このうち、カテゴリー1、ヒトに関する疫学調査に基づいて、ヒトに対する発がん性があって、がんのリスクに寄与するもの、カテゴリー2、主として動物に関する調査に基づいて、ヒトに対する発がん性があるもの、この2つにつきましては、明確な発がん性リスクがあるので、安全な濃度の範囲を設定できないとして、職場の最大濃度は設定しないということが明確に書いてございます。
この場合につきましては、適切で十分な精度を持つ評価方法によって、空気中の濃度を定期的に評価する、また、特別な医学的調査をすべきだとしております。
カテゴリー3につきましては、遺伝毒性がないか、遺伝毒性があってもそれが主な影響ではない場合に限り、最大濃度を設定する。
カテゴリー4と5につきましては、基本的に設定するという整理になってございます。
関係法令でございます。管理濃度につきましては、発がん性が確認されている特別管理物質の中にも、管理濃度が設定されている物質がございますが、こちらは発がん性の情報が十分でなく、かつ、確定的影響に対する無毒性量が文献で明らかになっているものについて設定したということでございます。
それから、考察は、また飛ばしまして、(5)でございますけれども、以上を踏まえますと、各策定機関では、ヒトへの発がん性の確からしさの分類を踏まえて、ヒトへの発がん性が明確な場合は、安全な閾値が設定できないという理由で、限度の設定を行っていないと。
一方、ヒトへの発がん性が明確でない物質については、非がんの疾病を対象に、安全な閾値としての限度を定めている。そういったときには、遺伝毒性がない、もしくは、あったとしても非常に少ない、あるいは、発がんリスクへの寄与が小さいことを前提にしております。
こういったものを踏まえますと、濃度基準値におきましては、GHS分類で発がん性が知られている物質である1Aにつきましては、長期的な健康影響が発生しない安全な閾値である濃度基準値を設定することは困難ということでございます。ただ、これによって、濃度基準値を定めていないものが安全な物質であるという誤解を発生させないように、濃度基準値に対する技術上の指針などにこういった物質の一覧を示して、ばく露を最小限とする必要があるということでございます。
それから、発がん性物質区分の1Bに関しましては、個別に発がんが見つかったばく露のレベル、遺伝毒性等の根拠文献の評価によって、濃度基準値を定めるかどうかを判断すると。
発がん性区分2につきましては、原則として定めますが、遺伝毒性等が区分1に区分されている物質につきましては、個別の評価が必要であるという整理でございます。
以上でございます。
○城内座長 ありがとうございました。報告書案については後で議論いたしますが、今の別紙について御質問等ありましたらお願いいたします。保利委員、お願いします。
○保利委員 考察はいいと思うのですけれども、このレビューの中に日本産業衛生学会の考え方は入っていないようなのですが、これはどうしてですか。
○化学物質対策課長 基本的に、濃度基準値というのは法令上で定めて運用している国のものを使っているということで、日本ではまだ濃度基準値がなかったということでございますので、産衛学会は直接は使っておりません。
○城内座長 そのほか。山室委員、お願いします。
○山室委員 混合物の適用のところで、毒性機序と標的臓器、両方を見て判断するということになると思うのですけれども、これは誰が判断するのかというところで、化学物質管理者は多分無理でしょうし、化学物質専門家の方でもかなり難しいのではないかと思うのです。そうすると、このように書かれても、事実上、相加的な数字の取扱いができないように思いますけれども、何かその辺のお考えはありますでしょうか。
○化学物質対策課長 こちらについては、御指摘のとおり、かなり難しいという毒性の先生方からの御感想もいただいておりまして、これとこれのペアがというのを具体的に示すのは、現時点では難しいとはなってございます。
ただ、個別の事業場で特定の物質を大量に使っているような場合は、それなりにエビデンスがある場合もございますので、そういった場合は自発的にやっていただくということを想定してございます。
○城内座長 そのほかございませんでしょうか。
私から1つ希望なのですけれども、現在議論している濃度基準値を定める物質は、GHSの分類で1Aだけにしましょうというのは、それでいいと思うのですが、大臣告示でがん原性物質は区分の1Aと1Bを含みましょうと確かなっていて、なおかつ、今まで運用してきた特別管理物質というのもあるので、その辺の意味づけ、運用の仕方をちゃんとしないと、結構混乱があるかなと思うので、文章上、分かりやすく説明していただければいいなという私の希望ですので、よろしくお願いいたします。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。1Bにつきましては、個別の判断という御説明しかならないのですけれども、そういったことを明確にしたいと思います。
○城内座長 ありがとうございます。
続きまして、報告書案の本文を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
○化学物質対策課長 それでは、資料5を御説明させていただきます。
1ページめくっていただきますと、目次がございますので、まず全体の構成を御説明させていただきます。
Ⅰは、検討の趣旨及び経緯ということでございまして、こちらは中間取りまとめでございましたが、検討の趣旨、検討事項、検討の経緯、構成員名簿ということでございます。
それから、Ⅱが濃度基準値の設定ということで、本体部分になりますが、まず第1で、濃度基準値の適用について整理してございます。1は、中間取りまとめで整理した事項についてまとめておりまして、それ以外に、新たに検討しました、混合物への濃度基準値の適用、それから、濃度基準値の単位について整理してございます。
第2が、濃度基準値の設定の進め方でございまして、まず1が、年度ごとに濃度基準値の候補物質をどういったものにしているのか。それから、濃度基準値の検討の進め方、これは具体的には、労働安全衛生総合研究所の専門家検討会で御提案いただいたものを、こちらで審議するというやり方をするということが書いてございます。それから、特別則が適用される物質への濃度基準値の考え方、こちらは、原則として、特別規則が適用される物質については、濃度基準値は設定しないということでございます。それから、発がん性物質についての濃度基準値の設定の考え方につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。
第3が、令和4年度の濃度基準値の検討結果の一覧でございまして、1が物質ごとの濃度基準値の案及び測定方法、2が濃度基準値を設定しなかった物質とその理由、3が令和5年度以降に再度審議する物質とその理由ということでございまして、この1、2、3を合計する118物質になるということでございます。
それから、Ⅲがその他ということでございますが、こちらは前回御説明させていただきました、がん原性物質の範囲につきまして、報告書に載せているところでございます。
それから、別表の1以降は、表となっておりまして、別紙につきましては、1から3が先ほど御説明した内容でございまして、別表の4につきましては、御審議いただきました個別物質ごとの初期調査結果、あるいは詳細調査結果をそのまま添付する予定でございます。
続きまして、順番に御説明させていただきます。
まず、Ⅰの検討の趣旨及び経緯でございますが、1の検討の趣旨、2の検討事項につきましては、もう既に定められているものでございまして、検討経緯につきましては、淡々と日時がまとめてあるだけでございます。それから、構成員名簿もそのままでございます。
Ⅱが、濃度基準値ということでございます。
第1が濃度基準値の適用で、1が中間取りまとめで整理した内容でございます。中間取りまとめにおいては、労働者のばく露が濃度基準値以下であることを確認するための測定等の方法について、次に掲げる事項について検討結果を示したということで、労働者のばく露の最小化と濃度基準値の法令上の位置づけの整理、確認測定の対象者の選定、実施時期の考え方、ばく露低減措置の考え方の整理をしております。
それから、短時間濃度基準値の設定と運用。
それから、確認測定における試料採取時間等。
それから、リスクアセスメントにおける試料採取場所及び評価。
それから、確認測定とリスクアセスメントのための違い。
最後に、上記事項について、技術上の指針で示すということをまとめているところでございます。
2が混合物への濃度基準値の適用ということで、先ほど御説明した内容の考察部分を抜粋してございます。
3は濃度基準値の単位ということで、こちらも考察部分を抜粋してございます。
第2は、濃度基準値の検討の進め方ということでございます。
まず、リストに年度ごとの濃度基準値の候補物質を示しておりますけれども、こちらにつきましては、まずあり方検討会で設定方法と年度ごとの設定物質数が示されておりますので、その基本的な考え方に基づいて整理し直しているということでございます。
令和4年度につきましては、リスク評価の対象物質を行うと。
令和5年度につきましては、吸入に関するACGIHが勧告している8時間時間加重濃度、かつ測定・分析方法があるものということでございますが、このうちDFG MAKや日本産業衛生学会で許容濃度が定められていて、ACGIHと値が一致するもの、あるいは、一致しないですけれども、ある程度、DFG MAKなどもばく露限度が定められていて、比較可能なものをまとめて、160物質を令和5年度に行う予定です。
それから、令和6年度は、ACGIHのみが定められているもの、あるいは、8時間ばく露基準はないけれども、短時間ばく露だけがある、あるいは天井値だけがあるといったものが20物質、それから、ACGIHはないけれども、DFG MAKがあるものが55物質ということでございまして、各機関によってあったりなかったりするようなものを、令和6年度にする予定でございます。
令和7年度以降につきましては、吸入に関する職業性ばく露限度があるのですけれども、測定・分析方法が公な文献で設定されていない390物質ということでございまして、こちらにつきましては、ACGIHのTWAがあるのが255、TWAはないけれども、STELまたはCがあるのが25、DFG MAKがあるものが110ということでございまして、これを測定の開発を行いながらやっていく予定でございます。
それから、2の濃度基準値の検討の進め方でございます。
まず、労働安全衛生総合研究所におきまして専門家会議で文献調査等を行って、濃度基準値の提案値を含めた報告書を作成していただきます。そちらにつきましては、基本的に、有害性に関する一次文献に基づいて、初期調査と詳細調査の2段階で検討していただいて、初期調査の情報では提案値を決定できない場合は、詳細調査を行うということでございます。この濃度基準値の提案値及びその根拠論文について、本検討会で妥当性を検討して、濃度基準値を決定するというプロセスが記載してございます。
続きまして、3、特別規則が適用される物質への濃度基準値設定の考え方ということでございます。幾つかの場合分けで書いてございますけれども、総体的にまとめますと、いわゆる特別則の適用を受ける物質につきましては、濃度基準値は設定しないということでございます。
それから、4の発がん性物質への濃度基準値設定の考え方につきましては、先ほど御説明したものの考察部分を抜粋してございます。
続きまして、12ページ、第3で、令和4年度の濃度基準値の検討結果、それから、濃度基準値を設定しなかった物質とその理由、令和5年度以降に再度検討する物質とその理由が表で示されてございます。
それから、Ⅲのその他でございますが、こちらはがん原性物質の範囲ということで、前回御説明した内容がまとまっております。
以降、別表でございまして、15ページからが、別表1-1ということで、令和4年度の候補物質でございます。
19ページが別表1-2といたしまして、令和5年度の設定対象物質でございます。
25ページからが別表1-3として、令和6年度の対象物質のリストでございます。
32ページが別表2でございまして、ここから、先ほど御議論いただきましたように、物質別の濃度基準値の提案値、それから捕集法、分析法が載っております。それから、それぞれの備考欄につきましても全部載せるということでございまして、今回は前回まで承認いただいたものがここに載っておりますけれども、本日御承認いただいたものにつきましても、こちらに追加する予定でございます。
45ページまで飛びますけれども、別表3でございまして、濃度基準値を設定しなかった物質とその理由でございます。設定しなかった理由は、十分な文献データがなかったためというのが1つ。それから、特別則による規制物質であるためというのがございます。それから、本日御議論いただきましたように、発がん性物質であって、安全な閾値が設定できないものというのを明記してございまして、現時点で4つほどございます。本日もまた増えておりますけれども、こちらにつきましては、技術上の指針などで、発がん性があるので安全な閾値を設定しなかったものにつきましては表形式でお示しして、安全なものではない、きちんとばく露対策が必要であるということを明確にする予定でございます。
それから、別表4が、令和5年度以降に再審議するものでございまして、ここに書いていないものとしては、先ほどのもので、測定、あるいは再度新しい文献をやらなければいけないものは先送りになっておりますが、それ以前の問題として、こちらに提出されていないものがございまして、それが、まず安衛研における専門家会議の確認において、いわゆる基準策定機関において、現在、新しい濃度基準値のレビューをしているようなものがございますので、そういったものにつきましては、来年度送りにしております。
それから、安衛研における専門家会議で文献収集中と申しますのは、先ほどの話もございますが、いわゆる非公開文献とかがあって、一次文献の入手に困難を来しているものでございます。こちらにつきましては、引き続き収集の努力をするということでございます。
こちらはそのようなリストになってございます。こちらの表を3つ足しますと、118物質になる予定でございます。
それから、別紙目次がございまして、先ほど御説明しました別紙1、2、3がございます。その後に、別紙4といたしまして、個別物質の調査結果でございまして、本日お配りした資料で申しますと、資料3-1とか3-2がざっと並ぶという形になるということでございます。これは全ての物質について載せますので、かなり大きいページになりますけれども、対外的に設定の根拠を示すということで、全て掲載する予定でございます。
説明は以上でございます。
○城内座長 ありがとうございました。全部説明していただきましたけれども、いろいろ御意見、時間いっぱいいただきたいと思いますが、今の事務局からの説明について何か御質問や御意見等、よろしくお願いいたします。最川委員、お願いいたします。
○最川委員 全国建設業協会、最川です。先ほどからずっと意見がいろいろ出ている中で、報告書の10ページの発がん性物質の濃度基準値の考え方の(3)の中に、区分1Aが濃度基準値を設定できないという形で書かれていて、安全性が確保できるわけではないということなのですけれども、区分1Aで、なおかつ、非がん性疾病もある物質も今回設定していないわけですよね。本当はそれが一番危ない物質で、この部分の閾値が設定できない物質であることとだけしか書かれていない。本来そこがまずあって、私は、発がん性の区分1Aについては、濃度基準値は決められなくても、非がん性疾病に関しては、濃度基準値は決められるのではないかと思っています。そこは逆に決めたほうが、責任範疇がどうか分からないのですけれども、発がん性の危険性が分かっているにもかかわらず、濃度基準値を決めないということが、今回はしようがないにしても、今後ずっと決めないのかというのはちょっと思っていまして、発がん性物質1Aに対して、どうやってその化学物質の危険性を知らせるのかというところが一番大事だと思っているので、そこはしっかり書くべきではないかなと思います。
以上です。
○城内座長 事務局からお願いします。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。濃度基準値の設定は、長期的な健康影響を発生しない安全な閾値であるという整理になっておりますので、発がんしてしまうということになると、それが担保できないということになりますので、発がん性がはっきりしている、明確になっている1Aについて、仮に非がんの閾値が分かっていたとしても、がんになってしまうという意味において、長期的な健康が、安全な閾値という意味では難しいということで、設定しないということでございます。
ただ、設定しないことで、これが安全な物質ではないかと誤解されないようにするための工夫は、御指摘のとおりでございまして、現時点では、こちらにも書いてございますけれども、濃度基準値に対する技術上の指針を出しますので、そこで、発がん性物質なので設定しなかった物質の一覧をお示しして、これについては濃度基準値は設定しないのだけれども、危ないものだから、ばく露を最小限にする必要があるというのを明示的に書こうとは思っておりまして、そういった形で周知を図っていこうと考えてございます。
○最川委員 ありがとうございます。今、発がん性に関しては、1A、1Bに関しては健康診断の記録30年ですとか、作業記録の保存も義務づけられたわけです。建設業の中でも、1Aの物質は結構あるのです。その作業記録を取りました。健康診断も取りました。では、どうすればいいのかということで、この書き方としては最小限。最小限というのは、言うのは簡単なのですけれども、例えばマスクをやりましたと作業記録に書いたとしても、いや、最小限ではないだろうと後づけで責任を取らされるというか、何をやっても最小限にしていなかったと言えてしまうのです。証拠だけを残されて、これから教える立場として、1Aについて何をすればいいのかというのは、最小限にしろというだけで、マスクを使ったから安全なのだというか、それを本当に使わせていいのかという議論になってしまうと思うのです。それが設定できないのだったら売ってはいけないと私は思っているのですけれども、そこが中途半端になって、使う人側が全部責任を取らされるような法律になってしまっているというのが、一番気になるところなのです。
特にトンネル塵肺などは、そういう工法でやるということが決められてやった中で、後々、塵肺になったから、そういう訴訟がずっと続いたわけです。これがほかの化学物質に関しても、今後ずっとそういうことが起こり得る中で、マスクをさせたからといって、最小限の対策をしていたのかと言えないわけですよね。濃度基準値を守っていましたということが言えればいいのかもしれないですけれども、そこが決められていないというのは、ちょっと納得いかないところなのですが、いかがでしょうか。
○化学物質対策課長 御指摘のとおり、数字がぴちっとあって、それ以下だったらというのは確かに、要するに、基準値というのは安全な使用を保証するものですので、そういったものができるだけできるように、1Bのものについても、定められるものについては定めていくという姿勢は必要ではないかと思っております。
どうしても1Aのように定められないものについては、最大限というところにはなりますけれども、ある意味、合理的に実現可能な範囲でやりましたということを、逆に記録に残していただいて、それを保存していただくという形になろうかなとは思っております。具体的には、きちんとしたマスクをつけさせましたとか、そういったことを記録に残して、将来に備えるという形になるのではないかとは思っております。
○城内座長 よろしいでしょうか。はい。
○最川委員 そういう形でやるのですけれども、指定防護係数とかそういうものがはっきり出ない中で結局やるので、では全部送気マスクを使うのかみたいな話になりかねないので、ある程度分かった時点というのですか、発がん性が、やはり記録とか健康診断とかやっていますので、複数名出たみたいなときには、はっきり決めるべきではないかなというのはあるので、発がん性に関して設定する、例えば使用禁止にするとか、そういうことが分かった時点で知らせるようなシステムがあるべきではないかなと思いますので、今後検討をよろしくお願いします。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今の点に少し関係するのですけれども、安衛法の第3条に、法令の定めを守るだけではなく、労働者の健康と安全に配慮するようにしなければという文言がありますよね。つまり、法律でこう決めたけれども、そこだけやっておけばいいのではないということが書かれていまして、これは非常に重要だと思います。濃度基準値がこう書いてあるから、そこだけやっていたのだということで、必ずしも安全配慮義務が完全に満たされたとならない可能性があると思うのです。個別のケースはいろいろ難しいことがあると思うのですけれども、この辺りを考えると、濃度基準値の意味を世の中に知ってもらうときに、ここだけ守れば大丈夫ですよというような言い方にならないような工夫が若干必要ではないかという気がしております。
その辺は非常に難しいところかもしれませんけれども、世の中の方に、国がお墨つきをつけているのだ、これだけやれば十分なのだと考えられると、後々いろいろ別なことが分かってくる場合もありますし、あくまでも現在の集まった情報によると、こういうことが目安になるということであると思うのですけれども、絶対安全だよ、これで十分だという形に捉えないような周知の仕方が求められるような気がいたしますので、一言つけ加えさせていただきます。
以上です。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。武林委員、お願いします。
○武林委員 2つあります。まず1つ目は、今の点に関連するのですが、別表3についてです。別表3は、先ほどの御説明で、幾つかのタイプのものが交ざっていると思いますが、今の議論を考えると、今回の作業の中で発がん性を確認して数字を定めないものは、かなりメッセージが違っていて、データが十分ではないという話と、データがきちんとあって、評価をして、発がん性があるので数字を出さなかったというのは違うので、別にすべきではないかと思います。
その上で、表をつくると、別表2が中心になるので、多くの人が別表2を見たときに、ここに載っていないということで何もないということは、これまでの経験でも必ずありますので、可能であるなら、別表2の中に、やはり発がん性の別表3の物質の名前は入れて、そこにどう記載するかというのは工夫するにしても、発がん性があって、as low as possibleと書くのが一番いいと思いますが、少なくともマークをつけて、別表で、これは発がんだということが分かるように一覧の中に入れておかないと、結局、机上の空論で、そこが見られないということがありますので、そういう表のつくり方をしたほうがいいのではないかというのが1点目です。まずこの点についていかがでしょうか。
○化学物質対策課長 まず、別表3、別表4に分けるというのは、可能かと思います。
あと、別表2の中に入れるのも、この報告書の中では可能なのですけれども、告示で示すときは、厚生労働大臣が定める基準ということになりますので、定めたものだけ基準に示すという形になってしまって、その中に定めなかったものを交ぜるのはちょっと難しいという状態にはなりますので、そこは技術上の基準でまた別の一覧をつくって示すようなことはあるのかなと思っております。
○武林委員 一番大事なのは、実際に施行された後に、現場で使うときに何を参照するかということだと思うのですけれども、そのときに一覧性の中に2つのものが交ざって入っていないと、もちろん法令上の扱いはよく分かるのですけれども、それを工夫していただいて、やはりみんなが見るデータベースがあって、それは国が管理しているものがあって、そこに行ったときに、同じレベルで物質が載っていないと、ここに載っていないから使っていいのだというような議論に必ずなると思うのです。そこを十分工夫するような、法令上の告示をどう扱うかということとは別に、やはり現実にみんなが使えるものにしていただきたいというのが1点目です。これは、今、回答というよりも、ぜひ工夫をお願いしたい。
2点目ですが、報告書の7ページ以降の、濃度基準値の検討の進め方を先ほど御説明いただきました。特に8ページからの濃度基準値の検討の進め方というパートが、今後の作業にも関わるところなのでちょっと確認です。8ページの下のほうの参考というところは、多分手順を示しているのだと思いますが、参考の(1)初期調査のマル1「根拠論文の信頼性が高く」と書いてあるところの後に、「その根拠論文による数値が諸機関の職業性ばく露限界値と矛盾しない場合」と書いてある、この意味がよく分からないのです。この文章は要らないのではないかと思いますが、この文章の意図はどういうことを指しているのでしょうか。
○化学物質対策課長 こちらは、マル2の裏書きでございまして、複数の根拠論文の結論に矛盾があるなど、複数の評価が必要な場合は、詳細調査に移行するので、そういったものがないという記載だと思いますので。
○武林委員 根拠論文の信頼性が高いことがあれば、すぐその後、NOAELとUFに基づいて、濃度基準値を決定するというのが普通の流れであって、ほかの機関と矛盾があるとかないとかということはあまり関係ない作業をしているのではないかと推測したのですが。
○化学物質対策課長 そうですね。御指摘のとおり、諸機関との比較というのは、現時点でもやっておりませんので、記載ぶりはちょっと変えたいと思いますけれども、要するに、複数の信頼できる根拠論文があって、数字が違うときはどうするかというところが趣旨でございますので、そういった記載に直したいと思います。
○武林委員 要するに、複数の根拠論文があって、どの数字を取るかということ自身が多分作業なので、諸機関の数字と出てきた瞬間に、どういう推定をしているのかというのが、何となく理解しにくくなるので、本当に作業に沿った形で示したほうがいいのではないかと。
○化学物質対策課長 そうですね。御指摘のとおり、諸機関の職業性ばく露を別に比較しているわけではなくて、あくまで複数の根拠論文の比較をしていますので、この諸機関という記載は削除して、複数の根拠論文という形にしたいと思います。
○武林委員 もう一点よろしいでしょうか。その後、今日御説明いただいた、発がん物質の考え方のところにも関わるのですが、結局、作業していますと、恐らく、初期評価の段階で、発がん性をどう評価するかということが極めて重要になってくると思うのです。
今日、前半のところで宮川委員が御質問された、GHSの生殖変異原性の話があると思いますが、やはり遺伝毒性とは違うものを指していると思うのです。一方で、今日の先ほどの審議の中でも、遺伝毒性があることによって数字を設定しないものが出てきていることを考えると、特に来年度以降の作業の中では、初期調査の段階で遺伝毒性をきちんと評価するという文言を入れておかないと、何となく矛盾しますし、その遺伝毒性のデータとして何を使うのかということもある程度、GHSのものだけでは不足であるというのが多分、宮川先生の趣旨だと思いますし、実際そうだと思うのです。そこのところを来年度の作業としてどうするかも含めて、ここの書きぶりはきちんとしておく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○化学物質対策課長 遺伝毒性なども踏まえて、個別判断ということになっておりますので、書きぶりとしては、こういう形になるのだろうとは思っておりますが、要は、プロセスをかちかちと書いていっても、物質によって、十分にある文献とそうではない文献とかいろいろありますので、プロトコルをあまりがっちり決めないような形にはしたいと思っております。
○武林委員 とにかく、後ろを読んでも、結局、先ほど宮川先生が指摘された、生殖細胞変異原性(遺伝毒性)という極めて曖昧な表現だけが出てきて、むしろ、後に戻ってくると、そこが極めて重要で、数字を設定するかしないかの根拠にかなりなっていることを考えると、今の課長のお話はよく分かりますけれども、そこはもう少し明確にしたほうが、評価の透明性という観点ではいいのではないかという趣旨です。
以上です。
○城内座長 そのほか御意見等ございますでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員 ばく露基準値をずっとやってきましたけれども、これも暫定値に過ぎないのです。何か新しい情報が出てくれば、当然どんどん変わっていくというタイプの数字です。したがって、大臣告示が出た後も、数字は変わる可能性がある。例えば管理濃度などもどんどん数字が変わっていったというような歴史もありますので、今回のばく露基準値が将来改定される可能性があるようなことは、どこかで入れておかないと、というか、むしろ改定するような作業をしなければいけない物質が今回もたくさんあると思うので、そこら辺は報告書の中に明示したほうがよろしいのではないかと思います。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。津田委員、お願いいたします。
○津田委員 帝京大学の津田でございます。8ページ目の2の(2)の最後の部分です。測定方法または有効な呼吸用保護具がない場合はということで、今回、別表3には決めなかった理由として呼吸用保護具は入っておりませんけれども、この有効な呼吸用保護具というのは何を想定されたのかというのがまず1点です。送気マスクを使えば全ては解決という先ほどの最川委員の御意見ではないですけれども、「有効な」という部分。
もう一つは、今年度は経皮吸収というものは検討せず、呼吸用保護具だけにというのが最初のときの議論にあったかと思います。今年度のものも経皮吸収が多いものもございますけれども、この報告書の中で、今年度は経皮吸収が抜いてあるので、次年度以降はその部分も必要であるという文言がどこかに入るとよいなと思うのですが、いかがでしょうか。
○化学物質対策課長 有効な呼吸用保護具につきましては、御指摘のとおり、最後の手段としてエアラインがあるということなので、個別具体的にそれぞれの物質について呼吸用保護具があるかどうかという検討はしないでいいだろうということで、やっていない整理にしてございます。
それから、経皮につきましては、現在、労働安全衛生総合研究所で、皮膚から吸収されて健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな物質というのが、保護具の着用義務が課されております。その明らかな物質をどのように選択するかというところは、今検討していただいておりますので、そちらの検討結果につきましては、こちらの検討会のほうにまたお示しして、コメントをいただくなどのことは現在考えてございます。
ただ、それを濃度基準値とするかどうかというのはまたちょっと別、通常、ACGIHなどは、いわゆるスキンノーテーションというのをつけているのですけれども、そのような形にするのか、現在考えているのは、保護具が必要な物質ということで、むしろ別の形で一覧を示すと。なぜそうするかというと、OELがこの濃度基準値を定めるのは時間がかかりますので、その間、経皮の対応をしないというわけにはいかないということで、そこは切り離していこうかなと現時点では考えてございます。
○津田委員 承知しました。今年度は経皮をやらずにというのが、中間取りまとめの辺りにたしか書いてあったかなと思うので、この報告書の5ページの第1の1のところに、今回は経皮は入れていないということを一文書き加えていただけるとよろしいかなと思います。
以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 2点あるのですけれども、まず1点目は細かいことで、9ページのイの中ほどの下線部で、他の物質と同様、GHSに基づく裾切り値と整合させること云々と書いてありますが、ここで言うGHSの裾切り値というのは、JIS、GHSによって、SDSをつくらなければいけない基準として一覧が示されている濃度と私は読んだのですけれども、別な見方をしてしまうと、混合物として有害性ありなしを判断するときの基準というと、若干違うものが出てきますので、SDS情報をきちんと使ってくださいという意味では、SDSをつくらなければいけないという一覧の示されている濃度のことを言っているということでよろしいでしょうか。これは質問になります。
もう一点は、先ほどから保護具のことが出てきているので、若干の心配は、呼吸用保護具については、女性則のほうで、第3管理区分では使用できないといっている物質があるので、今回発表する物質の中に女性則の対象の26物質があるのであれば、そういうものについては、とにかく呼吸用保護具をすればいいのだというわけにはいかないというところが、世の中に広報するときにはどこかで伝わるようなことを頭に入れておいていただければと思います。
以上でございます。
○化学物質対策課長 9ページのGHSの裾切り値というのは、まさにSDSの裾切り値ということで、リスクアセスメント対象物の裾切り値と同じイメージでございます。
女性則は、現時点では、特別則で規定されている物質になっておりますので、今回はそういう意味では入ってこない整理になっております。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
今、宮川委員から質問があった、GHSに基づく裾切り値というのが簡単ではなくて、JISともまた違って、JISに準じてつくっていいのですよというのとちょっと違ってくるところが多分出てくるので、それはGHSが走って、JISができたときから、ちょっと矛盾を抱えているようなところがあるので、少し面倒くさいかなと思いますが、今議論はちょっとできないのでしませんけれども、検討が必要になるかもしれません。
そのほか何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。御意見が出尽くしたようですので、本日の御意見を踏まえた修正版を事務局から各委員に確認していただきたいと思います。その際、本日の前半で審議した濃度基準値等についても盛り込んでいただきます。
その上で、令和4年度報告書としての確定は、私に一任していただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。
本日の議題は以上となります。構成員の皆様、長時間の御議論ありがとうございました。
それでは、最後に、その他ということですが、事務局から何かありますでしょうか。
○環境改善室長 それでは、今年度は最後の化学物質管理に係る専門家検討会でございました。その閉会に当たりまして、本来は安全衛生部長の美濃から御挨拶すべきところではございますが、次の予定があり既に退席しておりますので、代わりまして、安井課長から一言御挨拶を申し上げます。
○化学物質対策課長 本来でございましたら、部長の美濃から御挨拶すべきところでございますが、よんどころのない公務と重なっておりますので、私のほうで代わって御挨拶をさせていただきます。
皆様方におかれましては、平素より労働安全衛生対策の推進、とりわけ化学物質管理の推進に多大な御尽力をいただきまして、この場を借りまして厚く御礼を申し上げます。
先生方には、大変お忙しい中、昨年9月1日の第1回から本日の第6回までにわたりまして、労働者に健康障害を生ずるおそれのある化学物質のばく露の上限となる濃度基準値、それから、これらの化学物質へのばく露の程度が濃度基準値以下であることを確認する測定方法、その評価方法などにつきまして、専門的な観点から御審議いただきました。
特に濃度基準値につきましては、12月15日の第4回から本日の第6回までの約1か月半で、非常にたくさんの化学物質を精力的に御審議いただきまして、厚く御礼を申し上げます。
この間、先生方には、膨大な量の資料、あるいは文献を御確認いただくとともに、検討会の場では、それぞれのお立場で丁寧な忌憚のない御意見、御議論をいただきました。
その結果といたしまして、予定しておりました本年度検討対象物質118物質のうち多くのものの濃度基準値の検討が無事に終了いたしまして、報告書として取りまとめることができました。これも一重に先生方の検討会への御協力のたまものであると考えておりまして、重ねて御礼を申し上げます。
さて、本年度の検討会はこちらで一旦終わりというわけでございますけれども、次年度につきましては、今年度積み残した化学物質約30物質に加えまして、約160物質の濃度基準値、それらの物質の測定方法の検討を引き続き予定しているところでございます。
先生方におかれましては、引き続き、この検討会でのご審議に御協力を賜りまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見、御議論をいただきたいと考えてございます。次年度におきましても、どうぞよろしくお願い申し上げます。
簡単ではございますが、こちらをもちまして私からの閉会の挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。
○城内座長 ありがとうございました。
そのほか、事務局から何かありますでしょうか。
○環境改善室長 本日の議題は以上でございます。
なお、本日の議事録でございますが、後日、構成員の皆様に御確認いただいた上で公開させていただきます。
次回の日程でございますが、本日の検討会をもって本年度の化学物質管理に係る専門家検討会は一旦終了し、次回は次年度の開催を予定しております。
議題は引き続き濃度基準値の検討となりますが、次回の濃度基準値の検討は、今年度からの積み残しと詳細調査により評価するものを予定しております。
構成員名簿のうち全般に関する事項、毒性に関する事項の欄の先生方に御参集いただきます。
次年度に入りましたら、日程調整をさせていただき、開催日時、場所が決まりましたら、改めて御連絡させていただきます。
以上でございます。
○城内座長 ありがとうございました。以上で本日の化学物質管理に係る専門家検討会を閉会とさせていただきます。本当にありがとうございました。
定刻になりましたので、第6回化学物質管理に係る専門家検討会を開催いたします。
私は、本日、座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます化学物質対策課環境改善室の平川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、前半の約2時間は濃度基準値に関する事項について検討することとしていますので、開催要綱別紙の構成員名簿のうち、全般に関する事項、毒性に関する事項の欄に掲載の先生方に参集いただいております。
また、16時からめどの後半約1時間では、今年度の報告書案を検討することとしており、ばく露防止対策に関する事項欄に掲載の先生方にも加わっていただくこととしております。
まず、本日の構成員の出席状況についてでございますが、本日の前半は、14名の構成員に御出席いただいており、後半からは3名の構成員が加わり、17名の構成員に御出席いただくこととなっております。
なお、本日は会場参加とオンライン参加の併用で開催させていただいており、17名の出席者のうち2名がオンラインでの参加となっております。うち1名は、オンラインで後ほど入室されるということで伺っております。
会場とオンラインの併用での開催でございますので、会場参加の皆様は、御発言の際に必ずマイクを使用していただきますようお願いいたします。オンライン参加の先生におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがありますので、御発言される場合を除きましてマイクをミュートに設定していただきますよう、よろしくお願いいたします。
また、御発言の際には、あらかじめチャットで御発言の旨を入れていただくか、またはお名前を名乗っていただき、座長の指名を受けてから御発言いただきますよう、お願いいたします。
なお、議事録を作成し、後日公表いたしますので、御承知おきください。
本日の会議は公開としており、一般傍聴者につきましてはウェブでの音声配信のみとさせていただいております。
それでは、城内座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○城内座長 ありがとうございます。皆様、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
では、まず、事務局から資料確認をお願いいたします。
○環境改善室長 かしこまりました。では、資料の確認をさせていただきます。
資料でございますが、議事次第と配付資料一覧、資料は資料1から資料5まで、参考資料は参考資料1から参考資料6までを御用意いたしております。
本日の資料は、タブレットに格納しておりますが、議事次第と検討対象物質の一覧の資料2、資料4-1、4-2は印刷資料として紙の資料も配付いたしております。
会場にお越しの皆様方におかれましては、資料などに抜けはございませんでしょうか。ございましたら、事務局までお申しつけください。
オンラインで参加いただいている先生方にも資料を事前に送付させていただいておりますが、何かございましたら事務局までお知らせください。
なお、濃度基準値の検討に使用する一次文献は、著作権の関係があるため、委員限りの資料としています。
資料の確認は以上でございます。
なお、本日の資料は、厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しております。傍聴の方は、そちらを御覧いただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○城内座長 それでは、本日の議題に入ります。
本日の審議の進め方ですが、議題1と2については、現在のメンバーで御審議いただき、休憩を挟んで、3名のメンバーに御参画いただきまして、議題3と4を御審議いただきます。
まず、議題の1、発がん性物質に対する濃度基準値の設定についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長 それでは、私から資料1を御説明させていただきます。こちらは、発がん性物質に対して濃度基準値を設定することについて、どのように考えるか、文献のレビューなどを行ったものでございます。
2ページ目でございますが、まず、米国のACGIHにおける発がん性物質のばく露限度についての考え方でございます。
ACGIHにつきましては、発がん性物質について、5つのカテゴリーに分類した上で、発がん性物質へのばく露は、最小限とすべきとしております。
分類でございますが、まず、A1が、ヒトへの発がん性が確認されたもの。A2が、発がん性の疑いがあるもの。A3が、動物への発がん性が確認されたもので、ヒトへの関連性が不明なもの。A4は、発がん性があるものとして分類できないもの。A5は、発がん性の疑いがないものという順番になってございます。
ACGIHでは、発がん性物質のばく露限度の設定につきましては、A1に分類されている物質であっても、ばく露限度が設定されているものがございます。また、設定されていないものもございます。この設定の有無の考え方については明示的な記載はございません。それから、A2以下につきましては、基本的に、ばく露限度が設定されているという形でございます。
ACGIHでは、A1に分類されている発がん性物質で、ばく露限度が設定されていないものについては、発がん性物質への全てのばく露を最大限なくすように適切な設備対応が必要としております。A1の発がん性物質で、ばく露限度が設定されているもの、それからA2、A3に分類されている発がん性物質につきましては、ばく露限度を下回って、可能な限り低いレベルとなるように、慎重な管理を行うべき、そういった記載がございます。
それから、英国安全衛生庁(HSE)につきましては、発がん性物質に関する記載がほとんどございませんで、唯一、精錬作業においては、発がん性または変異原性が知られている幾つかの空気中の汚染物質については、ばく露限度が設定されているといった記載があるだけでございます。
その上で、HSEのCOSHH規則において、遺伝毒性や発がん性のおそれがある物質については、合理的に実現可能な範囲内で可能な限りばく露を低減することが規定されているという記載がございます。
それから、ドイツのDFGでございますけれども、職場の最大濃度におきましては、発がん性を5つのカテゴリーに分類して、最大濃度を定めている物質が発がん性物質に該当する場合に、発がん性のカテゴリーを付記している形になっております。
カテゴリー1というのは、ヒトに関する疫学調査に基づいて、ヒトに対する発がん性があって、がんのリスクに寄与することが推定されるものとなっております。
カテゴリー2は、主として動物に関する調査に基づいて、ヒトに対する発がん性があって、発がんリスクに寄与すると考えられているもの。
カテゴリー3は、情報の不足で結論が出せないもの。
カテゴリー4は、ヒトや動物に対する発がん性のおそれがあるが、最大濃度を設定しているというもので、こちらについては、最大濃度以下のばく露であれば、非遺伝毒性が主な要因で、遺伝毒性がない、または少ないということで、最大濃度の設定を行っております。
カテゴリー5は、ヒトや動物に対して発がん性のおそれがあるが、限度値を設定しているものでございまして、こちらにつきましては遺伝毒性が主な要因でありますけれども、最大濃度以下のばく露であれば、ヒトへの発がんリスクへの寄与が非常に少ないという整理となってございます。
それから、DFGでは、カテゴリー1と2の物質については、明確な発がんリスクがあるため、安全な濃度の範囲を設定することができないとして、職場の最大濃度を設定しないということを明記してございます。これらの物質を産業目的で使用する場合は、目的に照らして適切で十分な精度を持つ評価方法によって、空気中の濃度を定期的に評価すること、それから、労働者に対して特別な医学的調査、これは代謝物の検査のようなものをすべきであるという記載がございます。
それから、カテゴリー3の物質については、遺伝毒性がないか、遺伝毒性があってもそれが主な影響ではない場合に限って、最大濃度を設定するとしてございまして、こちらにつきましても健康調査を実施しなければならないという記載がございます。
カテゴリー4と5の物質は、発がん性の効力(potency)の評価を行うための情報が十分にあるもので、発がんリスクへの寄与がない、または非常に小さいものということで最大濃度を設定したという整理となってございます。
それから、第2の関係法令のところでございますが、作業環境評価基準に基づきます管理濃度におきましては、発がん性が確認されている特別管理物質の中にも、管理濃度を設定しているものがございます。こちらにつきましては、原則として、発がん性の情報が十分でなく、かつ、確定的影響(慢性毒性等)に対する無毒性量等が文献で明らかになっていることを確認されたものについては、設定をしているという整理になってございます。
それから、第3の考察でございます。
こちらにつきまして、(1)から(4)は、先ほど申し上げましたことのサマリーになっておりますので省略いたしまして、(5)でございます。以上を踏まえますと、各基準策定機関は、ヒトへの発がん性の確からしさの分類に応じて、ヒトへの発がん性が明確な場合は、安全な閾値が設定できないという理由から、限度の設定を行っていない、そういった動きがあるということでございます。そのような物質については、事業者に対して、ばく露を最小化することを強く求めております。
一方で、各基準策定機関では、ヒトへの発がん性が明確でない物質については、非がんの疾病を対象に、安全な閾値として、限度を定めているということでございますが、こういった場合については、遺伝毒性がない、または、あったとしても非常に少ない、かつ、発がんリスクへの寄与が小さいということを理由に挙げております。
こういうことを踏まえますと、濃度基準値の設定におきましては、主としてヒトにおける証拠によって、ヒトに対する発がん性が知られている物質、GHS分類で言うところの発がん性区分1Aに分類される物質につきましては、発がんが確率的影響であることから、長期的な健康影響が発生しない安全な閾値である濃度基準値を設定することは困難であると考えてございます。
この場合、濃度基準値を設定しないことで、安全な物質であるという誤解が発生しないように、検討結果において安全な閾値が設定できない物質であることを明示するべきである。さらに、例えば、濃度基準値に関する技術上の指針にこれら物質の一覧を掲載する等によって、事業者に対して、これら物質については、最大限の努力によってばく露を最小限とする必要があることの周知を図る必要があると考えてございます。
それから、発がん性区分1Bに分類される物質につきましては、発がん性の証拠の強さの観点から、恐らく発がん性があるということでございまして、発がん性が明確になっているとまでは言えないということでございますが、この場合、ヒトに対する生殖細胞変異原性(遺伝毒性)が明らかでない、または十分に小さい、かつ発がんリスクへの寄与がない、または小さいことを評価できる物質であって、非がん疾病について、無毒性量等が明らかなものについては、濃度基準値を定めるべきだということでございます。
ただ、こちらの判断につきましては、個別の物質ごとに、発がんが見つかった濃度のレベル、あるいは遺伝毒性等に関する根拠文献の評価によって判断されるべきであると考えてございます。
それから、発がん性区分2に分類される物質につきましては、発がん性が分類できない物質でございますので、非がん疾病について、無毒性量等が明らかなものについては、濃度基準値を定めるべきだと。ただし、遺伝毒性で区分1に区分されている物質につきましては、個別の判断が必要であると考えているところでございます。
説明は以上でございます。
○城内座長 ありがとうございました。今の事務局からの説明について、何か御質問や御意見あればお願いいたします。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 最後のほうの(8)辺りで遺伝毒性の話が問題になっておりまして、GHSの分類クラスによる生殖細胞変異原性のところを括弧して遺伝毒性と書いてありますけれども、正確には、生殖細胞変異原性と遺伝毒性は若干意味が違うところがあると思いますので、実際はどの辺りを考えるかというところが問題になってくると思います。
生殖細胞変異原性の有無を調べるときには、当然、遺伝毒性をチェックして、どういう状況で陽性の結果があるかというところを見ていますので、生殖細胞変異原性の判断をするときに調べた遺伝毒性データなどから、閾値がないと考えられるものという考え方が本来の考え方かなという気がいたしますので、表現は難しいかもしれませんけれども、公表するときには、少し書きぶりを考えていただければと思います。
以上でございます。
○化学物質対策課長 分かりました。書きぶりはちょっと検討させていただきます。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次の議題に移りたいと思います。
続きまして、議題2、濃度基準値の検討です。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官 事務局、福田から御説明いたします。
議題2での審議の進め方ですが、まず、資料3-1と資料4-1によりまして、第4回と第5回で継続審議となりました2物質の濃度基準値と4物質の測定法を再審議いただきたいと思います。その後に、資料3-2と資料4-2によりまして、今回新規検討対象物質の濃度基準値の御審議をお願いいたします。
本日、新規に濃度基準値の検討を予定している物質は33物質となっております。今回も前回同様、物質数が多く、時間の都合もありますので、8から9物質ごとに事務局の福田と辻村の2名が交代で御説明さしあげたいと思います。
また、その後、構成員の先生方から事前にいただきました御質問、御意見などを事務局から別途御説明いたします。その御質問、御意見を踏まえていただいた上で、個別物質ごとに御議論いただければと思います。
なお、検討に必要な一次文献印刷版が必要な場合におかれましては、事務局までお知らせいただきたいと思います。座席のほうまでお持ちいたします。
以上です。
○城内座長 それでは、第4回と第5回の検討会で再審議となった2物質の濃度基準値の説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官 引き続き、事務局、福田から御説明いたします。
濃度基準値は、しょう脳と臭素がそれぞれ第4回と第5回で継続審議となっております。
しょう脳につきましては、第4回検討会におきまして、根拠としている文献からは短時間ばく露限界値を3ppmとする明確な根拠がないとして、再審議、再検討となっております。
その後、一次文献を精査いたしましたところ、短時間ばく露限界値を3ppmとする明確な根拠がやはり認められなかったということで、短時間ばく露限界値は提案せずに、時間加重平均値の2ppmのみを提案することとしたいと考えております。
なお、測定法につきましては、前回までの審議におきまして、資料4-1のとおり、承認をいただいたものと思っております。
続きまして、臭素ですが、第5回検討会において、根拠としている文献からは時間加重平均を0.1ppmとする明確な根拠がないとして再審議、再検討となっております。
一次文献を精査しましたところ、時間加重平均を0.1ppmとする明確な根拠が認められませんでしたので、時間加重平均は提案せずに、短時間ばく露限界値の0.2ppmのみを提案させていただきたいと思います。
こちらの測定法につきましても、前回までの審議におきまして、資料4-1のとおり、承認いただいたと認識しております。
2物質についての説明は以上となります。
○城内座長 濃度基準値について、何か御質問や御意見があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
○有害性調査機関査察官 事務局、福田です。委員の皆様方のお手元には資料を置かせていただいておりますけれども、事前に評価書のほうの提案の御意見をいただいております。
現行は、有症者のばく露レベルは記載されていない。以上のことより、この知見での気中濃度を超えない12mg/㎥=2ppmを濃度基準値(時間加重平均)として提案するとしておりますが、こちらについては、有症者のばく露レベルは記載されていない。著者は上記の知見に基づき労働者のばく露濃度を2ppm以下にすることを提言している。以上のことより、12mg/㎥=2ppmを濃度基準値(時間加重平均)として提案するというように御意見いただいていますので、御指摘のとおり、そのように修正したいと思います。
すみません、説明がちょっと漏れていました。
○城内座長 そのほか御意見、御質問等ございませんでしょうか。
ないようですので、では、第4回と第5回の検討会で再審議となった4物質の測定法の説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官 続きまして、測定法で再審議となりました4物質の説明をいたします。
物質につきましては、資料4-1を御覧いただければと思います。4物質、テトラフルオロエチレン、トリエチルアミン、2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテル、2-クロロ-1,3-ブタジエンの4種類となります。いずれも、第5回検討会で再審議、継続審議となったものとなります。
まず、テトラフルオロエチレンにつきましては、一般的な捕集分析方法が提案できない場合にセンサーや検知管を採用できるかどうかなど、測定方法を検討中でございまして、こちらについてはまだ結論が出ず、次年度以降に再審議をお願いしたいと思います。
続きまして、トリエチルアミンでございますが、検量線の直線性、脱着率ともに悪く、測定法が確立しておりませんが、半導体センサーなどが使用可能かもしれないので、フル検証も必要になってくるということで、今現在、測定方法を検討中でして、これも次年度以降に再審議とさせていただきたいと思います。
続きまして、2,3-エポキシプロピル=フェニルエーテル(フェニルグリシジルエーテル)ですが、こちらは測定の感度的には問題ありませんが、脱着率と添加回収率の検証が必要となっておりまして、現在、測定方法を検討中ということで、こちらも次年度以降に再審議とさせていただきたいと思います。
続きまして、2-クロロ-1,3-ブタジエン(クロロプレン)ですが、こちらは低濃度では感度が足りない可能性があるほか、脱着率が50%程度で低いので、感度や脱着率の検証が必要となりまして、これもまた、現在、測定方法を検討中です。そのため、次年度以降に再審議とさせていただきたいと思います。
なお、資料2のNo.64のN-(2-アミノエチル)-1,2-エタンジアミン(ジエチレントリアミン)が、測定法は再審議とされておりますけれども、濃度基準値が、第5回検討会において、十分な文献データがないことを理由といたしまして、設定できないという結論になりましたので、今回の再審議の対象とはさせていただいておりません。
以上となります。
○城内座長 ありがとうございます。測定法について、何か御質問や御意見があれば、お願いいたします。次年度以降に再審議ですね。
○有害性調査機関査察官 いずれも。
○城内座長 よろしいでしょうか。
では、次の議題に移りたいと思います。
今回、新規に検討する物質について、物質数が多いため、まずは前半16物質の検討を行い、後半17物質の検討を行いたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官 続きまして、新たな33物質の御審議をお願いしたいと思います。資料3-2と4-2を御用意いただければと思います。
まず事務局からは、まとめて16物質について概要を御説明いたします。私から、メチルヒドラジンからビフェニルまで、その後、辻村から、1,2,3-トリクロロプロパンから1-アリルオキシン-2,3-エポキシプロパンまでの8物質ずつを御説明いたします。
それでは、資料3-2のメチルヒドラジンのページと資料4-2のメチルヒドラジンの部分を御覧いただきたいと思います。
まず、メチルヒドラジンです。こちらは、詳細調査は不要ということで、初期調査のほうで検討しております。提案につきましては、時間加重平均が0.01ppm。その根拠としましては、論文については、根拠論文等の欄にありますとおり、1文献となっております。提案理由につきましては、コメント欄のとおりで、その他のコメントとしましては、併せて御確認いただきたいと思います。
測定法につきましては、資料4-2のメチルヒドラジンのところを御確認いただきたいと思います。こちらにつきましては、備考欄にございますとおり、ペンディングということで、要再検討としております。
続きまして、アニリンです。こちらは詳細調査となっております。時間加重平均は2ppmを提案しておりまして、最大ばく露、短時間ばく露はございません。時間加重平均の根拠としましては、濃度基準値の設定として採用した根拠論文とその理由欄に記載させていただいております。また、濃度基準値の提案の理由につきましては、濃度基準値の提案の理由欄に記載させていただいていまして、その他のコメントは、併せて御確認いただければと思います。
測定法につきましては、資料4-2のほうを御覧いただければと思いますが、備考欄は特にございませんで、特に問題なく測定ができるという、測定法の総合評価としては○となっております。
続きまして、N-メチルカルバミン酸 1-ナフチル(別名カルバリル)でございます。こちらについては初期調査となっておりまして、時間加重平均は0.5mg/㎥を提案したいと思います。根拠論文としましては、根拠論文欄の2文献のとおりでございまして、その提案理由につきましては、コメント欄のとおりでございます。その他のコメント欄も併せて御確認いただければと思います。
測定法については、資料4-2の御確認いただきたいと思います。こちらについても、特に条件、留意点もなく、測定法の総合評価は○とされております。
続きまして、クロロエタンです。こちらについても初期調査となりまして、濃度基準、時間加重平均は100ppmを提案したいと思います。根拠論文につきましては、根拠論文等の欄の3文献で、提案理由としましては、コメント欄のとおりとなります。その他のコメントにつきましても併せて御確認いただければと思います。
クロロエタンの測定法につきましては、資料4-2の御確認いただきたいと思います。総合評価としましては○とされていまして、備考欄には特に記載がございません。
続きまして、2-ブロモプロパンになります。こちらは初期調査ということで、時間加重平均は、発がん性の関係で、設定できないということで提案させていただきたいと思います。根拠論文につきましては、根拠論文等の欄の2文献で、提案理由としましては、コメント欄のとおりとなっております。
測定法につきましては、提案、設定できないということにはなっておりますが、総合評価の欄は○で、備考欄の記載は特にございません。
続きまして、メタクリル酸になります。こちらについては詳細調査になります。提案としましては、時間加重平均として2ppmを提案したいと思います。追加で収集した根拠論文等の有無としましては有で、濃度基準値の設定として採用した根拠論文については、そちらの欄のとおりとなります。また、濃度基準値の提案の理由は、記載のとおりとなりますので、御確認いただければと思います。
測定法につきましては、総合評価欄は○となっておりまして、備考欄は特に記載はございません。
続きまして、メタクリル酸メチルです。こちらにつきましては初期調査となっておりまして、提案する濃度基準値は、時間加重平均の2ppmとしたいと考えております。根拠論文等につきましては、根拠論文等の欄にございますとおり2文献で、提案理由としましては、コメント欄に記載のとおりとなっております。
測定法につきましては、総合評価として○となっておりまして、備考欄に特に記載はございません。
続きまして、ビフェニルでございます。こちらは詳細調査になります。提案する濃度基準値につきましては、時間加重平均として3mg/㎥としたいと考えております。詳細調査につきまして追加で収集した根拠論文の有無等は有としまして、その論文等は、その下の採用した根拠論文とその理由ということになります。濃度基準値を提案した理由につきましては、その下の濃度基準値の提案の理由の欄を御確認いただければと思います。その他のコメントの欄につきましては、併せて御確認いただければと思います。
測定法につきましては、総合評価欄としては○としております。ただし、備考欄には、ビフェニルは固体であるが、捕集はガスが対象となっている。固体が存在する場合は、ガラス繊維ろ紙を前段に置くのが望ましいとされております。
まず前半8物質は以上で、これから辻村に交代します。
○化学物質評価室係員 事務局の辻村です。これから、1,2,3-トリクロロプロパンからの8物質を御説明いたします。
まず、1,2,3-トリクロロプロパンです。こちらは詳細調査で、濃度基準値は設定できないとしております。根拠論文としては4つございまして、提案理由としましては、こちらの欄に記載のとおり、比較的低濃度での発がんの知見が認められていることから、濃度基準値は設定できないとしております。測定方法についてですが、総合評価○で、備考は特にございません。
続きまして、ジエチルケトンです。こちらは詳細調査で、濃度基準値が短時間ばく露限界値300ppmを提案いたします。根拠論文は2つで、提案理由は欄に記載のとおりです。その他のコメントはございません。測定方法についてですが、総合評価○、備考は特にございません。
続きまして、アクリル酸メチルです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均2ppmを提案いたします。根拠論文は1つで、提案理由はコメントに記載のとおりです。その他のコメントも併せて御確認ください。測定法ですが、総合評価○、備考は特にございません。
続いて、テトラエチルチウラムジスルフィド(別名ジスルフィラム)です。こちらは詳細調査で、濃度基準値は8時間加重平均2mg/㎥を提案いたします。こちら、単位に抜けがございます。正しくはmg/㎥です。根拠論文は1つで、提案理由は欄に記載のとおりです。その他のコメント欄も併せて御確認ください。測定方法ですが、総合評価○で、備考は特にございません。
続いて、フルフラールです。こちらは詳細調査としておりまして、濃度基準値は8時間加重平均0.2ppmを提案いたします。根拠論文は3つで、提案理由は欄に記載のとおりです。その他のコメントも併せて御覧ください。測定方法ですが、総合評価○、備考がございますので、併せて御確認ください。
続きまして、ニトロベンゼンです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均0.1ppmを提案いたします。根拠論文は2つで、提案理由はコメント欄のとおりです。その他のコメントも併せて御覧ください。測定方法ですが、総合評価○、備考も併せて御確認ください。
続きまして、フェニルヒドラジンです。こちらは初期調査で、濃度基準値は設定できないとしております。根拠論文は2つで、コメント欄のとおり、比較的低濃度のばく露による発がんが認められていることから、8時間加重平均は設定できないとしております。その他のコメントはございません。測定方法ですが、総合評価○、備考も併せて御確認ください。
続いて、前半最後の物質、1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパンです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均1ppmを提案いたします。根拠論文は1つで、提案理由はコメントのとおりです。その他のコメントも併せて御覧ください。測定方法についてですが、総合評価○、備考も併せて御確認ください。
前半の16物質についての説明は以上です。
○化学物質評価室長 続きまして、委員限り資料としてお配りしております資料があります。横長の表です。あらかじめ御質問や御意見をいただいておりますので、まずは事務局からそれらの御意見などに対する回答をいたします。
まず、資料3-2の7ページ目の物質のクロロエタンです。これは、コメント欄の1行目の後ろのほうから、(=抗酸化剤グルタチオン量の低下、つまり生体内抗酸化力が低下)とありますが、不要な説明であり、削除してはどうかという意見をいただいております。御指摘のとおり、この部分は削除いたします。
続きまして、11ページ目のメタクリル酸です。この物質につきましては、関連情報が全て考慮されているわけではないと考察しております。本評価にして参照されたデータは業界の専門家グループによって幾つか公表された報告書で以前に評価されており、化学的に正当化されないものと考えておりますという意見をいただいており、御意見の根拠となる論文をいただいておりますが、これは非公表の論文でございます。非公表の論文について提出いただければ、再度、詳細調査をすることも可能なのですが、この委員会で非公表の論文についてどういった扱いをするのか、要は検討材料とするのか、しないのかということを決めておりませんので、その部分は事務局で整理して、詳細調査にするかどうかというのを考えたいと思います。
続きまして、13ページ目のメタクリル酸メチルです。これにつきましては3つ意見をいただいておりまして、理由はそれぞれ異なるのですが、結論といたしまして、初期調査で終わるのではなく、詳細調査に行ってほしいといった理由でした。2ページ目の一番最初の意見のところで、そういったことが書いてあります。上から5行目のところにありますように、第4回化学物質管理に係る会議におきまして、初期調査と詳細調査のルールを御説明いたしましたので、そのルールにのっとって詳細調査としてはいかがかという意見です。事務局といたしましては、詳細調査に移行すべきものだと考えております。
続きまして、17ページ目の1,2,3-トリクロロプロパンです。文献4の発行年が未記載なので、記載してくださいという意見をいただいております。事務局で調べたところ、1993年が発行年でしたので、後ほど追記いたします。
前半16物質につきまして、いただいた意見は以上となります。
○城内座長 ありがとうございました。それでは、事前にいただいた御質問、御意見やそれに対する事務局回答を踏まえまして、1物質ごとに議論していきたいと思います。
最初の物質がメチルヒドラジンですね。これについては、時間加重平均が0.1ppmとなっていますが、分析法のほうがペンディングになっていますけれども、これの扱いはどうなりますか。
○有害性調査機関査察官 測定法は引き続き検討事項ということになりますので、濃度基準値だけを御審議いただければと思います。
○城内座長 これについて御意見等ございますでしょうか。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員 一番右の備考欄を見る限りだと、DNPHカートリッジでアルデヒド、ケトンを除去しながら捕集すればというのがあるので、ここが確立すれば、分析法は確立できると考えていいのですか。疑問形でお尋ねしますが、確度としては非常に高いと思うのです。
○城内座長 小野委員、お願いします。
○小野委員 この方法といいますか、基本的に、アルデヒドやケトンと空気中でも反応はしているはずなのです。ただ、サンプリングした後に、目的物質の濃度は低いけれども、アルデヒドやケトンがあるという状態でサンプリングを続けていると、一部の試料がロスするということがあると思います。ですから、確実に目的物質が存在している短時間、短時間といっても5分とか10分ではなくて、1時間ぐらいとか、そういった形で測定をすれば、できないことはないのかなと思います。現場でこの状況を検証したこともございませんし、あくまでも実験するときは、ろ紙の上に目的物質の純物質を載せます。その後、空気を吸引したときにロスがあるかないかという評価の仕方をしておりますので、現実にうまくいくかどうかについては保証はないのですけれども、おっしゃるように、〇として測定してみる。それから、自分たちのところで評価をしてみるという形で使うことは可能かと思います。
以上です。
○城内座長 ありがとうございました。それでは、メチルヒドラジンについて、時間加重平均は0.01ppmにいたしますけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。
続きまして、アニリン、時間加重平均2ppmでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのようにしたいと思います。
○尾崎委員 ちょっと教えてください。全体の流れということでちょっとお伺いしたいのですが、資料4-2のところで、その他コメントなり、その右の標的健康影響のところで、「発がん性」という言葉がちらほら散見されるのですけれども、それと追加で収集した論文の有無というところの関係性というのですか、この辺にちりばめられていると、このところで有、無というのが決まってくるのか、そこら辺の関係性がよく分からなくなってしまったのですけれども。
○城内座長 それは、先ほど一番最初に事務局から説明したところと関係するところですね。では、事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 アニリンにつきましては、GHSの発がん性区分は区分2になっておりますので、先ほど御説明したものになると、生殖細胞変異原性が区分1でなければ、原則として策定するということになりますので、こちらは濃度基準値を定めるという整理になるかと。間違えました。大変申し訳ありません。2021年の発がん性区分は1Bでございました。1Bでございますので、個別の判断として、こちらにつきましては定めるという御提案をいただいておりますので、こちらは個別判断として定めるという整理でございます。
○尾崎委員 分かりました。ありがとうございます。
○城内座長 よろしいですね。では、アニリンまでよろしいということで、次に、N-メチルカルバミン酸 1-ナフチルについて、時間加重平均が0.5mg/㎥ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのようにしたいと思います。
その次、クロロエタンについて、時間加重平均が100ppmということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのようにしたいと思います。
続きまして、2-ブロモプロパン、これは設定できないということです。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、次に参ります。メタクリル酸及びメタクリル酸メチルについては、それぞれ詳細調査等で要検討ということになりました。それでよろしいでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員 今の非公表文献をどうするかというお話の方針がちゃんと決まっていないので、それをどうするかというのを決めなくてはいけないと思うのですけれども、これは多分ハウスデータで、恐らくどこかの会社がやったやつで、我々が入手できなかった文献だということになろうかと思います。それに関して、業界団体のほうは当然情報を持っていらっしゃると思いますけれども、それの扱いをどうするかというのをまず決めてからやらないと、これは問題解決しないと思うので、そこら辺を決めてから、非公表文献でも企業のほうから、あるいは、それを雑誌に投稿していただくのが一番いいのですけれども、多分それはなかなかやらないだろうと、今までの経験から思いますので、企業から提供していただいたときに、どれをどう扱うかというのを最初に決めてからやらないといけないなと思っております。
○化学物質対策課長 今回、一般論として非公開情報をどのように取り扱うということを、今この瞬間、議論するのはちょっと情報量が不足しておりまして、来年度以降、こちらをどのように取り扱うかということについても含めて、ペンディングという形にさせていただいて、いただいたデータが、まず中身の精査をするのと、公表をどこまでできるのかという交渉も含めて行った上で、詳細調査に移行するのか、それともこのままの数字で決めるのかというところも含めて、来年度以降、審議をさせていただきたいと考えてございます。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前委員 議論する立場として、ここに幾つかコメントがありますけれども、例えば疫学論文、Marezさん。
○化学物質対策課長 こっちはメチルのほうです。
○大前委員 今、両方やっているのですよね。この方の論文を信用できないということで却下しているということが書いてあるのですけれども、何が信用できなかったのかということも含めて、将来的に情報をいただかないと、我々は判断できないので、もしその未公開情報を使うとなった場合は、そこまでの情報をいただかないと困ります。
○城内座長 この件に関して、ほかにコメント等ございませんでしょうか。
(「なし」の声あり)
ありがとうございます。それでは、また、将来的に再度審議をするということで、次に進みたいと思います。
ビフェニルですが、時間加重平均3mg/㎥ということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。それでは、そのように決定したいと思います。
次に、1,2,3-トリクロロプロパンですが、これは設定できないということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
続きまして、ジエチルケトン、これは短時間ばく露で300ppmということでいかがでしょうか。はい。
○宮内委員 私もこれは300でいいと思うのですが、ちょっと教えていただきたいとおもいます。臭気の話になりますけれども、閾値としていろいろなデータがあるのですけれども、アメリカでは0.85ぐらいとかなり低く設定されていて、呼吸刺激の閾値は400というのは確かにそのとおりなのかもしれませんけれども、臭気強度を考えると300は100倍以上のため、多分高いと思うのです。
そうすると、簡単に300ということで本当にいいのかなと思いました。ジエチルケトンの臭気に関しては考慮していないということでいいとしても、ほかの物質の中にも臭気閾値が低いものが結構あるので、お伺いしたかったのです。
○城内座長 事務局から何かございますか。
○化学物質対策課長 臭気は、記載ぶりはいろいろあるのですけれども、文献の中で臭気が出てくるのは、大体、不定愁訴だったりとか、そういう形で評価されることが多いのですが、今回これについては、そういった記載がなくて、眼の刺激性と呼吸刺激性ということになっておりますので、文献上、そのような臭気に基づく影響みたいなのが明確に書いていないということを踏まえて、こちらの提案になっていると認識しております。
○城内座長 宮内委員、よろしいでしょうか。
○宮内委員 了解しました。
○城内座長 そのほか御意見等。大前委員、お願いします。
○大前委員 すみません、今気がついたので、文言を直してほしいのですけれども、理由の下から3行目、眼刺激性の閾値は約700ppm、その次に呼吸刺激性とあるのですが、これは呼吸刺激性ではなくて、気道抵抗の増大というように直してください。
○宮内委員 それなら意味が分かります。了解いたしました。
○城内座長 ありがとうございます。それでは、ジエチルケトンは短時間ばく露限界が300ppmということにしたいと思います。
続きまして、アクリル酸メチルは、時間加重平均が2ppmですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、テトラエチルチウラムジスルフィドですけれども、時間加重平均が2mg/㎥ということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、フルフラール、時間加重平均0.2ppmですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、意見がないようですので、そのように決定したいと思います。
次、ニトロベンゼン、時間加重平均が0.1ppmということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、フェニルヒドラジン、設定できないでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
続きまして、1-アリルオキシ-2,3-エポキシプロパンですが、時間加重平均が1ppmでいかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、後半の17物質の検討を行います。事務局から説明をお願いいたします。
○有害性調査機関査察官 続きまして、後半17物質ということで、まず、アクロレインからアクリル酸エチルまでの9物質について福田から、続きまして、ヒドラジンから過酸化水素までの8物質について辻村から説明いたします。
まず、資料3-2の33ページ、アクロレインのページを開いていただければと思います。
アクロレインにつきましては、初期調査でございまして、最大ばく露濃度、Ceilingとしまして0.1ppmを提案したいと思います。根拠論文等につきましては2文献、提案理由としましてはコメント欄のとおりとさせていただいております。その他のコメント欄につきましても、併せて御確認いただければと思います。
資料4-2のほうを御覧いただきたいと思います。アクロレインのところです。アクロレインにつきましては、事務局の確認不足がございまして、実は、これまでのリスク評価事業の中では、こちらに記載のとおりの内容で、実際、メーカーの特注品を使って測定法を確立していたという状況なのですが、委託事業の報告とは別に、報告いただいた後に、受託業者から、実際、市販品が出ているという情報をいただいております。そちらにつきましては、また安衛研と御相談させていただいて、確認作業を取りながら、資料3-2は修正させていただきたいと考えておりますが、この後の個別の物質の審議のときに、もしよろしければ、小野先生からコメント等をいただきたいと思います。
続きまして、塩化アリルでございます。塩化アリルにつきましては詳細調査になりまして、時間加重平均1ppmを提案したいと思います。根拠論文につきましては1文献で、濃度基準値の提案の理由につきましては、記載の欄を御確認いただければと思います。その他のコメント欄についても、併せて御確認いただきたいと思います。測定法につきましては、総合評価は○、備考欄に特に記載はございません。
続きまして、エチレンクロロヒドリンです。こちらについては詳細調査となりまして、時間加重平均2ppmを提案させていただきたいと思います。根拠論文としましては4文献で、提案理由としましては、濃度基準値の提案の理由欄を御確認いただければと思います。その他のコメント欄も、併せて御確認ください。測定法につきましては、資料4-2になりますが、総合評価欄につきましては○となっておりまして、備考欄には特に記載はございません。
続きまして、エチレングリコールになります。こちらは詳細調査になりまして、時間加重平均を10ppm、短時間ばく露限界値を蒸気として50ppm、もしくはミストとして10mg/㎥を提案させていただきたいと思います。根拠論文としましては、評価書に記載の5文献となっております。提案理由としましては、濃度基準値の提案の理由の欄を御確認いただければと思います。その他のコメントは特にございません。測定法につきましては、資料4-2のほうを御確認いただきたいと思います。総合評価欄につきましては○、備考欄については記載のとおりとなっております。
続きまして、ジエタノールアミンとなります。こちらは詳細調査になります。時間加重平均1mg/㎥を提案させていただきたいと思います。根拠文献としましては2文献、提案理由としましては、濃度基準値の提案の理由の欄を御確認いただければと思います。その他のコメント欄には特に記載はございません。測定法、資料4-2になりますが、総合評価は○としておりまして、備考欄につきましては、誘導体化法なので、技術を要するという条件が記載されております。
続きまして、ジフェニルアミンです。ジフェニルアミンにつきましては初期調査となりまして、時間加重平均5mg/㎥を提案させていただきたいと思います。根拠文献としましては1文献、提案理由としましては、コメント欄を御確認いただきたいと思います。その他のコメント欄についても、併せて御確認ください。ジフェニルアミンの測定法になりますが、資料4-2を御覧いただきたいと思います。総合評価欄につきましては○ということで、備考欄については記載のとおりとなっております。
誘導体化法なので、技術を要するという条件が記載されております。
続きまして、ヒドロキノンとなります。ヒドロキノンにつきましては初期調査となりまして、時間加重平均1mg/㎥を提案させていただきたいと思います。根拠文献としましては4文献、提案理由としては、コメント欄を記載のとおりとなっております。その他のコメント欄のほうも併せて御確認いただきたいと思います。測定法につきましては、総合評価が○、備考欄には、ガス捕集の方法を検討すべきとしております。
続きまして、テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)になります。こちらについては初期調査となりまして、時間加重平均が0.2mg/㎥で、根拠論文は1文献となっております。提案理由につきましては、コメント欄のとおりとなります。その他のコメント欄には特に記載はございません。測定法につきまして、総合評価が○で、備考欄には特に記載はございません。
続きまして、私のほうの最後になりますが、アクリル酸エチルです。初期調査となりまして、時間加重平均2ppmを提案させていただきたいと思います。根拠論文としましては1文献、提案理由としては、コメント欄のとおりとなっております。その他のコメント欄には特に記載はございません。測定法につきましては、総合評価が○、備考欄については特に記載はしておりません。
それでは、続きまして、辻村から説明をいたします。
○化学物質評価室係員 続きまして、事務局、辻村から、ヒドラジンから8物質の御説明をいたします。
まず、ヒドラジンです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均0.01ppmを提案いたします。根拠論文は4つで、提案理由はコメントに記載のとおりです。その他のコメントも併せて御覧ください。測定方法ですが、総合評価○、備考欄も併せて御確認ください。
続きまして、2,3-エポキシ-1-プロパノールです。こちらは詳細調査で、濃度基準値は設定できないとしております。根拠論文は2つで、濃度基準値の提案理由のとおり、発がん性試験における最小投与量で発がんが認められていることから、濃度基準値は設定できないとしております。測定方法ですが、総合評価○、備考にcis体の測定は難しいと記載がございます。
続いて、四ホウ酸ナトリウムです。こちらは初期調査結果で、濃度基準値は時間加重平均、1mg/㎥、総粉じん、または0.11mgホウ素/㎥、短時間ばく露限界値、6.6mg/㎥、総粉じん、または0.75mgホウ素/㎥を提案いたします。根拠論文は2つで、提案理由はコメントに記載のとおりです。その他のコメントはございません。測定法についてですが、総合評価は○で、備考欄は特にございません。
続きまして、カーボンブラックです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均3mg/㎥吸引性粒子を提案いたします。根拠論文は2つで、提案理由はコメント欄に記載のとおりです。その他のコメントも併せて御確認ください。測定方法ですが、総合評価○、備考欄も併せて御確認ください。
続いて、ニッケルです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均1mg/㎥を提案いたします。根拠論文は4つで、提案理由はコメントに記載のとおりです。その他のコメントも併せて御覧ください。測定方法ですが、総合評価○、備考欄は特にございません。
続いて、タリウムです。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均0.02mg/㎥を提案いたします。根拠論文は3つで、提案理由はコメント欄のとおりです。その他のコメントはございません。測定方法ですが、総合評価○、備考欄は特にございません。
続いて、金属インジウムです。こちらは詳細調査で、濃度基準値は設定できないとしております。根拠論文は3つで、濃度基準値の提案の理由のとおり、ばく露と生体影響にかかる知見に乏しいことから、濃度基準値は設定できないと判断しております。測定方法ですが、総合評価、P、ペンディングとさせていただいております。
続いて、最後の物質になります。過酸化水素です。こちらは初期調査で、濃度基準値は8時間加重平均0.5ppmを提案いたします。根拠論文は3つで、提案理由はコメントのとおりです。その他のコメントはございません。測定方法ですが、総合評価、ペンディング。備考のとおり、安全かつ定量性のよい分析法を探索中ということで、ペンディングとさせていただいております。
物質についての説明は以上です。
○化学物質評価室長 続きまして、事前にいただきました御質問、御意見の御説明と、それに対する回答を説明いたします。横長の資料の3ページ目を御覧ください。
資料3-2の39ページ目のエチレングリコール、これは事務局からなのですけれども、濃度基準値が2種類の単位、蒸気とミストで提案されておりますが、ミストのばく露につきましては空港での不凍液の噴霧など極めて限定的な場面となると考えております。また、インハラブル粒子の測定が難しいため、濃度基準値といたしましては、蒸気の基準を定めてはどうかと考えております。
続きまして、4ページ目で、資料3-2の55ページ目の四ホウ酸ナトリウム(十水和物)(別名ホウ砂)につきまして、先ほどと同じように、これも事務局からの提案なのですけれども、濃度基準値の案につきましては、総粉じんとホウ素に換算した両方の数字が示されております。根拠文献がホウ素となっておりますので、できればホウ素として測定して、基準値はホウ素としたいと考えております。これにつきまして御議論いただければと思います。
続きまして、57ページ目、カーボンブラックです。一番下のその他コメントのところの、1行目の後ろのほうから、測定方法等について検討が必要と。結論は得られているのでしょうかという意見がございました。これにつきましては、日本ではインハラブル粒子を測定できる分粒装置が普及しておりませんので、レスピラブル粒子を採用してはどうかと考えております。
続きまして、59ページ目のニッケルです。これはコメントのところの上から6行目、「では、米国のバリアー工場で粉上」となっておりますので、「上」を「状」に直します。すみません、誤字でした。
事前にいただいた質問、意見は以上です。
○城内座長 ありがとうございました。それでは、事前にいただいた御質問、御意見やそれに対する事務局回答を踏まえ、1物質ごとに議論していきたいと思います。
最初、アクロレインですね。最大ばく露濃度で0.1ppmでよろしいでしょうか。あと、分析方法については、小野委員から何かコメントはありますでしょうか。
○小野委員 私も、この測定法を調べたときに、特注品の情報までしか実は取得していなかったのですけれども、よくよく調べますと、柴田科学さんが、捕集剤というところに書いたTEMPOという物質なのですけれども、これの添着量を変えて、より安定的に測定できる方法として、市販の捕集剤が出ているということが分かりましたので、この試料は一番新しい情報に差し替えて提出するのがよろしいかと思います。
以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
それでは、アクロレインは、最大ばく露濃度で0.1ppmにしたいと思います。
続きまして、塩化アリル、時間加重平均で1ppmでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、エチレンクロロヒドリン、時間加重平均で2ppmでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、エチレングリコール、時間加重平均で10ppm、蒸気、それから短時間ばく露濃度で50ppm、蒸気、10mg/㎥、ミストですが、いかがでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 こちらは、先ほどちょっと御説明させていただきましたが、基本的にこのエチレングリコールは融点はマイナス13度ということで非常に低いのですが、蒸気圧が6か7Paで物すごく低いということで、基本的に揮発しないというものでございまして、そういったものですので不凍液によく使われているわけですけれども、こちらで実際に疫学的に認められているのは、モントリオール空港で冬季に滑走路に噴霧しているという極めてまれな例でございます。それ以外、もちろんヒトのボランティアにあえてエアロゾルをばく露されているというケースはございますが、基本的に日本の実態において、こういった使用方法といいましょうか、実際に不凍液として噴霧する実態があるというのは把握していないということと、測定がインハラブルというのも難しいということもございますので、こちらは2つ御提案いただいていますけれども、時間加重で10ppm、それからSTELとしては50ppmのほうで基準は策定させていただいて、仮にミストを使う場合には10mg/㎥を参考として管理してくださいというのを、通達などでお示ししたいと考えてございます。
○城内座長 よろしいでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野委員 小野でございます。エチレングリコールの今の説明は大変よく分かりました。
使用の実態なのですけれども、実は今、塗装の水性塗料のスプレー塗装、スプレー塗装といっても粘度が高いのですけれども、そういった塗料にエチレングリコールが入っている状況もございますので、そういう場合には、先ほどおっしゃったような、状況に応じてミストの値を使うべきであるということに適合するかと思います。
以上です。
○城内座長 そのほかございませんでしょうか。
(「なし」の声あり)
では、エチレングリコールについては、先ほどの提案のとおりで決定したいと思います。
続きまして、ジエタノールアミン、時間加重平均で1mg/㎥ですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、ジフェニルアミン、時間加重平均で5mg/㎥ということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、ヒドロキノン、時間加重平均で1mg/㎥ということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、テトラメチルチウラムジスルフィド、時間加重平均で0.2mg/㎥ということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、アクリル酸エチル、時間加重平均で2ppmということですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、ヒドラジン、時間加重平均で0.01ppmですが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、そのように決定したいと思います。
続きまして、2,3-エポキシ-1-プロパノール、これは設定できないでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、設定しないということで、次に移ります。
四ホウ酸ナトリウム(十水和物)について、時間加重平均が1mg/㎥、総粉じん、または0.11mgホウ素/㎥ということですが、これについていかがでしょうか。ごめんなさい、まだありました。短時間ばく露が6.6mg/㎥、総粉じん、または0.75mgホウ素/㎥もあります。いかがでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 こちらにつきましては、コメント欄にございますように、四ホウ酸アニオンは水中で加水分解されてホウ酸となる。したがって、ホウ酸及び四ホウ酸ナトリウムの全身影響は、ホウ素含有量によって評価可能ということでございます。
また、ばく露の下のほうを見ていただくと分かりますが、ホウ砂の鉱山、あるいはホウ砂を含んだ粉じん、そういったもののばく露ということになってきますので、全身影響についてはホウ素の含有量によって評価は可能ということであると、根拠としてはホウ素ということでございますので、ホウ素としての濃度のほうで設定するのが妥当ではないかと考えてございます。
また、こういったものは、作業環境測定の関係で管理濃度でもいわゆる元素名を指定して、何とかとして、例えば溶接ヒュームはマンガンとして幾らとか、そういった規定も通常行っているところでございますので、こちらにつきましては、ホウ素として0.11mg/㎥、それから短時間で0.75mg/㎥という形で基準としては設定したいと考えております。いかがでしょうか。
○城内座長 鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋委員 今、課長から御説明があった、影響が元素だから、元素として濃度を設定するというのはいいと思うのですけれども、現実に、このばく露の形態が、ホウ砂と名前からあるように、そういう大きな粒子が飛び交っているようなところでやる場合は、基準値は元素でやったとしても、何をサンプリングして、それで測るかということに関しては、やはり別途明記して、括弧して総粉じんと書いた、総粉じんなのか、インハラブル粒子なのか、どちらかを明記して、その上でホウ素を評価して、そのホウ素の濃度はこうであるというようにしないと、多分、測る側としては、どう測ればいいか分からないという事態になるのではないかと思います。
○化学物質対策課長 御指摘ありがとうございます。文献にございますように、全て総粉じんで評価しておりますので、総粉じんとしてサンプリングして、ホウ素として評価するという形でさせていただきたいと思います。
○鷹屋委員 分かりました。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前委員 数字の0.11というのは、今までのあれですと丸めているので、0.11というのはあまりない数字だから、下1桁は切ってもいいのではないですか。
○化学物質対策課長 6.6というのもあります。
○大前委員 6.6は6か、そこら辺、今までと整合性がちょっとないので、考えていただいて。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。後ほど検討させていただきますが、有効数字2桁ぐらいで、2桁目をどこで数字を丸めているかというところですけれども、2桁目が1というのは確かに見当たらないようではございますが、全体の並びを検討させていただきますが、うまく整理できない場合は、このままの数字を使わせていただく可能性がございますので、御了承いただきたいと思います。
○城内座長 ということです。数字について、大きく動くことはないと思いますが、事務局に一任するということで皆さんよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、暫定的になりますけれども、この数字で先に進みたいと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、カーボンブラック、時間加重平均、吸引性粉じんとして3mg/㎥ということですが、これでいかがでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野委員 恐らくというか前に見た記憶では、インハラブルとレスピラブルの両方の値がACGIHにはあったと思います。有害性からいくと、溶けない粉じんですので、レスピラブルでいいのかなと思うのですが、カーボンブラックの使われ方の大半は顆粒状になっていますので、割と大きいものが飛んでいると思います。レスピラブルで取ろうとすると、カスケードインパクターなどで取っていくと、衝突の際にインハラブルが壊れて、下段にどんどん小さな粒子が落ちていくという形がありますので、ちょっと衝撃があると壊れるということを考えると、レスピラブルで取ってもそんなに過小評価にはならないと思います。
あと、サンプラーの使いやすさを考えると、レスピラブル、吸入性粉じんのサンプラーでもいいのではないかと私は思います。逆にインハラブルのサンプラーを使うと、とても大きなものがどんと入ってきてしまうということもありますので、どうしてもそちらの数字を残したいということでしたら、総粉じんでもあまり変わらないのかなと。極端に大きいものが、インハラブルとどちらが入るかということにもなるのですけれども、これまで伝統的に海外でもレスピラブルを使っていたということを考えると、私はレスピラブルでもいいのかなと思います。
すみません、あと、追加というか、測定法のところで、後ろに備考があるのですけれども、カーボンブラック100%粉じんなのか、それとも一般粉じんも入っているのかと。それをまとめた形で測定する方法をここでは採用しています。わざわざカーボンブラックだけを分けて難しい測定法を使わずに、重さで全体的な管理をしようという形になっていますので、もともと若干過大評価になっていますので、レスピラブルにすることで若干過小評価になるというところで、本当にそれでプラスマイナスが合うのかどうか分かりませんけれども、重さでレスピラブルでよいと思います。
どうしてもカーボンブラックを測りたいという方は、難しい測定法がありますので、そちらでカーボンブラックをきっちり測定していただいてもよろしいかと思います。
以上です。
○城内座長 事務局からお願いします。
○化学物質対策課長 小野委員、コメントありがとうございました。確認ですが、レスピラブルとすると、こちらのその他コメントに書いてございますように、0.3mg/㎥の数字を使うという理解でよろしいでしょうか。上のコメントの文献の、北米のカーボンブラックで、レスピラブル0.3mg/㎥だったというエビデンスを使っているということになると思いますが。
○小野委員 これの書き方の意味がちょっと分からないのですけれども、12.5mg-year/㎥ですよね。0.3というのは、カーボンブラックの有害性から考えると、低過ぎるような気がします。カーボンブラック0.3で抑えるというのは結構厳しいと思うのですけれども。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 これは多分、その前の論文が、40年ばく露でもってということなので、mg-year/㎥を40で割ったのがそのときのいわゆる気中濃度ということで、12.5を40で割って0.3にしているという計算が基だったと思います。
○小野委員 たとえレスピラブルであっても、0.3というのは、カーボンブラック工場の状況とかを見ると、とても管理できる数字ではないような気がします。ですから、この数字を使うとすると、インハラブルにしても10倍になるということは一般的に考えてないと思うので、今、判断停止しています。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 北米のカーボンブラック工場で、総粉じんであると、先ほどの宮川先生の御指摘のように、多分、45.9mgを40で割って1.1mgとか、総粉じんではそういう数字があります。あとは、インハラブルの平均で0.7とかそういった形で、こちらはちょっとインハラブルになってはいるというところにはなります。エビデンス的にはですね。
先ほど小野委員からもございましたように、インハラブルは日本では測定がかなり難しい、測定方法が普及していないということですので、やるとすると、総粉じんかレスピラブルになると思うのですけれども。
○城内座長 さあ、どうしましょうかね。
○尾崎委員 私の業界の方からも、測定方法等について検討が必要なのではという意見や、検討結果は得られているのか、という質問も出ています。数字のところを見てどうのこうのと多分言われていないと思うのですけれども、やはり分析方法のところに曖昧さが残るということで、ちょっと不安に感じている会社もおられるということだけ、コメントさせていただきます。
○化学物質対策課長 測定法につきましては、総粉じんかレスピラブルであれば測定方法自体は確立していますので、あまりそこに疑義はないのですが、どちらかというと、今ちょっと御議論いただいているのは、どの数字を使うかというところだと思います。
では、再検討にして、1文献、これを見るとfigureとかもあるみたいで、多分、外挿か何かしているみたいなので、その辺をもう一回きちんと見て、基準値については再検討するということでよろしいでしょうか。
本日のコンセンサスとしては、できればレスピラブルでやると。駄目なら総粉じんと。それで基準値はつくっていくということで、再検討とさせていただきたいと思います。
○城内座長 では、カーボンブラックについては再検討ということにしたいと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
続きまして、ニッケル(金属ニッケル)で、時間加重平均が1mg/㎥ということですが、これについてはいかがでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員 表現の方法なのですけれども、金属ニッケルだけにしてはいかがでしょうか。ニッケルと先に書いてしまうと、いろいろな化合物がありますので、この後、金属インジウムがさっき出てきましたけれども、あれも金属インジウムということで、金属インジウムとインジウム化合物を分けたという意図があると思うのです。だから、このニッケルも、金属ニッケルとニッケル化合物を分けなくてはいけないという意図だと思うので。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。ニッケルカルボニルとニッケル化合物については、実は既に特化物になっておりますので、これは御指摘のとおり、純粋な金属ニッケルを想定しておりますので、そのような表記にさせていただきたいと思います。
○城内座長 鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋委員 今の件の質問なのですけれども、そういう場合は、合金は入らないということなのですか。混合物としてニッケルは入っているということになりますよね。合金が混合物なのか化合物かというのはなかなか、ものによってちょっと微妙なところもありますけれども、金属ニッケルとすると、ケミカルにはニッケルの単体だけを示す。今までの内容だと、例えば化合物だって、仕切り値以上入っていればということですよね。仕切り値以上入っているというのであれば、合金も入るわけで、その場合は何の言い方が正しいのか。金属ニッケルではないような気がするので、化学的に誤解のない言い方を少し考えないといけないのかなという気はします。
○化学物質評価室長補佐 すみません、事務局ですけれども、安衛法上、通常、合金については、法令上は混合物扱いとしております。化学的にはまた若干違うところもあるかと思いますので、そこの扱いは。
○鷹屋委員 すみません、では、単純には、大前先生のおっしゃるように、誤解がないように、金属ニッケルとした上で、補足として、例えば合金成分も含むとか、そのようにしたほうが明確になるかなという気がします。法令上の表現との整合性はちょっと分かりませんけれども。
○化学物質対策課長 分かりました。合金をどう表現するかはちょっとペンディングにさせていただいて、金属ニッケルという表記にして、混合物として合金を含むみたいな、解釈を示すような形でちょっと検討させていただきます。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 ニッケルの合金では、基本的にあまり毒性が問題とならないようなものもあるように思いますが、その辺りがちょっと気になったところでございますが、いかがでしょうか。例えばステンレスの、あれはニッケルが入っていますよね。そういうのを加工するときに粉じんが飛ぶときに、そこの粉じんの中のニッケルも測らなければいけないのかというようなことが、ちょっと気にはなりました。
○化学物質対策課長 コメントありがとうございます。合金に対する取扱いをちょっと整理させていただいて、いずれにしても、表記上は金属ニッケルとさせていただいて、先ほどの宮川委員からの御指摘も踏まえて、合金についてどういう適用をするかということは明確にしたいと思います。
○城内座長 では、ここは金属ニッケルとして、1mg/㎥で決定してよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。では、次に、タリウムについてですが、時間加重平均が0.02mg/㎥でよろしいでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員 0.02でいいのですけれども、分析の方法ですが、これはICP-MSですよね。ICP発光でも、多分、この濃度のタリウムは分析できると記憶にあるのですが。ただ、この濃度が大分下がって0.02になったため、分析できるというデータは持ち合わせていないのですけれども。実は測定機関として粉じん分析の登録をしているところはかなりの機関がICP-MSを持っているはずなのでしょうけれども、実際はそんなに持っていないと思います。今回はなるべく汎用な方法で公表する、または報告書として出すと伺っています。今の段階で確実なところの分析方法を出すというところは理解していました。ただ、取りあえず今回報告書はこれで出すけれども、今後、新たにもう少し簡易的な方法が確立したならば、そういうものにどんどんバージョンを替えていくのかを、一度お伺いしたいと思っていました。
以上です。
○城内座長 事務局からありますか。
○化学物質対策課長 測定方法につきましては、技術上の指針でお示しする予定にしてございます。技術上の指針の本文に出てくるのは、まさにここに書いてある程度で、ろ過捕集法ICP-MSという記載ぶりに多分なると思います。
あくまでこれは標準的な方法としてお示ししますので、ほかの方法でやってはいけないという作業環境測定のような縛りのついた形でお示しはしないという予定でございます。
それから、それ以上により詳しい情報につきましては、現在検討しておりますけれども、労働安全衛生総合研究所、あるいは中央労働災害防止協会、そういったところから何らかのテクニカルなドキュメントを開示するとか、そういったことは考えてございます。
小野委員、何か補足がございましたら。
○小野委員 課長のおっしゃるとおりだと思います。遵法でこの測定で必ずこの濃度以下であることという書きぶりではないと思いますので、あくまでも測定できる方法というものを示しております。
ただ、御自身たちでもう少し長い時間サンプリングすれば十分発光でいけるよとか、そういったデータをきちんとお持ちでしたら、ほかの方法で分析することは構わないのではないかと私も考えております。
以上です。
○城内座長 宮内委員、よろしいでしょうか。
○宮内委員 了解しました。ただ、私が言ったのは、発光はNIOSHなどのメソッドにも出ているため、探せばかなり分かると思うのですけれども、重要なことは、今後、こういう方法はあくまでも標準として出しているので、今、課長がおっしゃったように、さらにいい方法があれば、それは特に否定するものではないという文章を最終的に報告書のどこかに入れていただければ、非常に分かりやすいかなと思いました。
以上です。
○城内座長 ありがとうございました。では、タリウムについての時間加重平均は0.02mg/㎥ということにしたいと思います。
続きまして、金属インジウムについては設定できないということですが、これでよろしいでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員 設定できないで私は異議ないのですけれども、インジウム化合物という形で今、特化物になっていますよね。その中で、金属インジウムは除くことが明確になっているのですけれども、ITO等のガイドラインの中で、ITOの工程で金属インジウムを使う場合は、インジウム化合物と同様に取り扱ってくださいと書いてあると思うのです。多分、使っている人たち、メーカーの人たちもそういう形で取扱いしているのですよね。
そうすると、今回これが特に設定できないという形になったときに、そういう通達というのは廃止になるのか、もしくは、それは残るのかというのは、現状では特に決まっていないと思うのですけれども、疑問に思ったので、もし分かれば教えていただけないかなと思いました。
○化学物質対策課長 その通達がどういう記載ぶりになっているか、ちょっと今直ちにお答えできませんが、恐らくですけれども、予防原則的に定めている通達だと思いますので、直ちに廃止するということは多分ないと思いますけれども、また精査させていただきます。
○宮内委員 了解いたしました。
○城内座長 では、金属インジウムについては設定できないということにしたいと思います。
続きまして、最後ですが、過酸化水素については時間加重平均が0.5ppmですが、いかがでしょうか。これは分析法はペンディングですね。
○小野委員 ポーラログラフィー、水銀を使う方法が提案されていたり、あと、特殊な化合物での反応捕集とか、それはドイツなのですけれども、幾つかないわけでないのですが、日本で使いやすそうなものがうまく引っかかってこないようですので、もう少し探索する必要があると考えおります。
○城内座長 ありがとうございます。そのほかコメント等ございませんでしょうか。
では、過酸化水素の時間加重平均については0.5ppmということにしたいと思います。
これで、本日予定の全ての物質の濃度基準値の審議が終わりましたけれども、最終結果について、事務局でまとめていらっしゃれば、お願いします。大前委員、お願いします。
○大前委員 1点、この幾つかの中で、NOAELとNOAEC、あるいはLOAELとLOAECという文字が出てきます。これはグロッサリーのほうに載っかっていないので、どちらかに統一したほうがいい。NOAELとNOAECは同じ意味ですし、LOAELとLOAECは同じ意味なので。
○化学物質対策課長 統一するとすれば、やはりNOAEL、「L」のほうですよね。
○大前委員 NOAELです。
○化学物質対策課長 分かりました。統一させていただきます。
○城内座長 宮内委員、お願いします。
○宮内委員 アクロレインのところで、頂いた資料は最大ばく露濃度で0.1ppmなのですけれども、これは短時間ばく露限界値ではなくて、最大ということで、よろしかったでしょうか。測定するときに、最大値がなかなか取れなければ短時間ばく露限界値で評価すべきという話もあったと思うのですけれども。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。こちらは、根拠論文の中に、1.2ppmで5分以内に過度な刺激症状を知覚したと、明示的に書いてあるので、15分間のSTELではちょっと不十分ではないかということで、これは最大ばく露でやむを得ないとは考えてございます。
ただ、適用につきましては、もともと、中間取りまとめでございましたように、最大ばく露を義務づけるというのは、自動的に、連続測定を義務づけることになりますので、これについては難しいということでございますので、最大ばく露につきましては基準値に明確に書いた上で、努力義務といいましょうか、できるだけ連続測定をして、いかなるときにも超えないようにしてくださいと。駄目な場合は、15分間測定で管理してくださいというような形の記載にする予定でございます。
○宮内委員 ありがとうございます。了解しました。
○化学物質評価室長補佐 では、事務局から審議いただいた結果の確認をさせていただきます。資料4-1と4-2に沿って確認させていただきます。
まず資料4-1でございますけれども、しょう脳は、最大短時間ばく露のところは削除して、了承ということでございます。
それから、テトラフルオロエチレンからクロロプレンまでの4物質につきましては、測定法が引き続き検討中ということで、次年度以降、再審議とさせていただきます。
それから、臭素につきましては、時間加重平均を削除して、短時間ばく露濃度だけで了承ということになっております。
続きまして、資料4-2のほう、こちらは変更があったり、あるいは再審議となったところだけ確認させていただきます。
まず1ページ目のメチルヒドラジン、こちらは測定法がペンディングとなっておりますので、来年度、再審議とさせていただきます。
続きまして、2ページ目へ行きまして、メタクリル酸、それからメタクリル酸メチル、この2物質につきましては、濃度基準値について文献等をもう一度精査の上、来年度、再審議とさせていただきます。
続いて、4ページ目へ参りまして、最後のエチレンクロロヒドリン、これは御了承いただいたのですが、時間加重平均2ppm、資料4-2の表のほうに抜けておりましたので、資料3-2のとおり、こちらは2ppmということで了承いただいたということでございます。
続いて、5ページ目、エチレングリコールですが、最大短時間ばく露濃度の欄は、STEL、50ppm、蒸気のほうで了承いただいたということで、ただし、ミストとして使うような場合については、その下の値のほう、こういった形を通達等で示すことを検討させていただきます。
続きまして、飛びまして7ページ目、一番上、四ホウ酸ナトリウム(十水和物)(ホウ砂)です。これは2種類の形で提案いただいておりましたけれども、いずれもホウ素として0.1mg/㎥、またはホウ素として短時間、STEL、0.75mg/㎥ということで御了承いただいております。ただし、この2桁まで書くかどうか、丸めをどうするかについては整理をした上で、最終的に決定させていただきたいと思います。
続いて、カーボンブラックについては、濃度基準値、再審議ということで、次年度、再度検討させていただきます。
続いて、ニッケルについては、金属ニッケルということを明確にするということと、合金の法令上の取扱い等については、厚労省のほうで整理をさせていただきます。値自体はこの値で了承いただいております。
続いて、金属インジウム、これは濃度基準値、設定できないということで、設定しないのですけれども、測定法のほうもペンディングのままということになっております。
最後、8ページ目、過酸化水素、こちらも測定法がペンディングということで、来年度以降、再審議とさせていただきます。
以上でございます。
○城内座長 前半の御議論ありがとうございました。後半に入る前に、10分間の休憩をしたいと思います。16時から始めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(暫時休憩)
○城内座長 皆様、よろしいでしょうか。議事を再開いたします。ここからは、新たに3人の委員に御参加いただいておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議題の3、令和4年度報告書案です。事務局から別紙1から3の説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長 私から、資料5でございますけれども、報告書案の後ろに、別紙というのがついてございまして、そちらから御説明させていただきます。別紙は3つございまして、混合物への濃度基準値の適用に関する文献レビュー、濃度基準値の単位に関する文献、発がん性物質に対する濃度基準値の設定に関する文献ということでございます。この3つの文献レビューにつきましては、既に毒性の関係の皆様方には、前回、今回で御説明しているものでございますが、今回御参加いただいたお三方につきましては、これをまだ御説明しておりませんので、まずこれを簡単に御説明させていただくという趣旨でございます。
まず別紙1でございますけれども、混合物への濃度基準値の適用に関する文献ということでございます。
こちらは、濃度基準値を適用するときに、混合物があったとき、どのようにするかを整理したものでございます。
ACGIHにおきましては、混合物によって、複数の化学物質に同時にばく露し、または順番にばく露することで、相互作用があるということを明記しておりまして、その相互作用にも複数あって、まず、複合的な作用が単一の物質による影響の合算と同じ場合は相加効果、単一物質による影響の合算より大きい場合は相乗効果、逆に、単一物質による影響の合算より小さい場合は拮抗作用ということですが、ACGIHとしては、同様の毒性影響を同様の臓器に生じさせる場合につきましては、複合的な影響を考慮すべきとして、原則として相加効果を考慮すべきということで、いわゆる相加式を使っています。こちらにつきましては、8時間ばく露限度のみならず、STELにつきましても使うべきだという整理をしております。
英国安全衛生庁(HSE)につきましても、同様の見解を示しているところでございますが、その適用につきましては、若干慎重でございまして、リスクの増加が同時に生ずる場合に限って行うべきであって、不適切な状況まで拡大すべきではないといった記載をした上で、相加的な相互作用があると信じるに足る理由がある場合は、相加式を用いて評価するという記載になっております。
ドイツにつきましては、より慎重でございまして、複数の物質のばく露による健康影響の相互作用があるのを認めつつ、特定の物質の混合物についての個別の毒性の検討によってのみ設定可能であるということで、混合物への最大濃度を計算によって算定することは控えるというスタンスとなってございます。
関係法令につきましては、御案内のとおり、作業環境測定基準の有機溶剤につきましては、相加効果があるとして、相加式を使った評価をして、それに基づいた結果で管理区分を行っているということでございます。
考察でございますけれども、(1)から(4)までは、先ほどの説明のサマリーでございます。
(5)でございますけれども、以上を踏まえますと、混合物に含まれる複数の化学物質が、同一の毒性作用機序によって同一の標的臓器に作用する場合は、相互作用によって、相加効果や相乗効果があることにつきまして、一致した見解となっているわけでございますけれども、個別の物質を相加式で一律に行うことについては、十分な科学的根拠があるとまでは言えず、各機関で判断が分かれているということでございます。
こういったことを踏まえまして、濃度基準値の適用におきましては、同一の毒性作用機序によって同一の標的臓器に作用することが明らかな場合、こういった組合せについては、その相互作用を考慮すべきという趣旨から、相加式を使うように努めるべきであるという形の記載をするという整理でございます。
続きまして、別紙2、濃度基準値の単位に関する文献でございます。
こちらは、測定する物質が粒子状なのか蒸気なのか、あるいは、その両方存在する場合どうするのかということでございます。
ACGIHにおきましては、インハラブル粒子と蒸気(IFV)という注記をつけております。飽和蒸気圧のTLV-TWAに対する比が0.1から10までの物質について、こういったものをつけておりまして、この場合につきましては、原則として、粒子と蒸気を両方測定すべきであるといった整理をしてございます。ただ、単位としては、よりよく使われる、ppmかmg/㎥、どちらかの記載になってございます。
英国安全衛生庁は、IFVについて明確な規制はございません。
ドイツにつきましても、蒸気とエアロゾルの両方の混合が発生し得る判断をしておりますけれども、その判断基準としては、蒸気圧が100Pa未満で0.001Paを超える物質となっておりまして、沸点が180℃から350℃ぐらいまでに該当するような物質についてやっているということでございます。こういった物質につきましては、ppmとmg/㎥の両方を併記しているということでございます。
管理濃度につきましては、ppmかmg/㎥のどちらかの単位を採用しておりまして、2つの単位の併記はしておりません。最もばく露しやすい状態が蒸気か粒子かを判断した上で、どちらかを選択しておりますけれども、作業環境測定基準の中に、蒸気を捕集できる方法と粒子を捕集できる方法を併記している物質もございまして、先ほど言ったIFVのようなものにつきましては、いわゆる相補補修法によって両方捕集することが実務で行われているところでございます。
続きまして、考察でございます。こちらも(5)まで飛びますけれども、蒸気とエアロゾル粒子が同時に存在する物質については、濃度の過小評価を避けるために、蒸気と粒子の両者を捕集する必要がある。こちらの影響につきましては、濃度基準値が飽和蒸気圧と比較して相対的に小さいほど大きくなるということでございますので、原則として、飽和蒸気圧の濃度基準値に対する比、飽和蒸気圧を濃度基準値で割ったものですね、これが0.1から10までの物質とすべきだというまとめにしてございます。ただし、作業実態において、粒子や蒸気によるばく露が想定される物質については、これ以外でも両方捕集すべきであるということでございます。
こちらの単位につきましては、複数の単位の基準値があることによる測定及び分析の混乱を避けるため、管理濃度と同様に、ppmかmg/㎥、どちらかを選択するということでございます。さらに、技術上の指針で定める予定の個別物質ごとの標準的な測定方法において、こういった物質については、蒸気と粒子の両方を捕集すべきであることを明記するということでございます。
また、ppmからmg/㎥への換算式もお示しする予定でございます。
続きまして、別紙3、発がん性物質に対する濃度基準値の設定に関する文献ということでございます。
こちらにつきましては、発がん性物質に対して濃度基準値をどのような考え方で設定しているのかをレビューしたものでございます。
ACGIHにつきましては、カテゴリーがA1からA5までございます。A1は発がん性が確認されたもの、それから、疑いがあるもの、動物への発がん性、そういった感じで、1から5まで下がっていく形になってございまして、A1に分類されている発がん性物質につきましては、ばく露限度を設定しているものといないものがございます。それから、A2以下は、原則として、ばく露限度が設定されているということでございまして、A1に分類されている発がん性物質で、ばく露限度が設定されていないものについては、全てのばく露を最大限なくすような適切な設備対応が必要だといった記載がございます。
HSEは、特段、それに関する記載はないということでございます。
続きまして、3番のドイツでございます。ドイツにつきましても、カテゴリー1から5までございます。このうち、カテゴリー1、ヒトに関する疫学調査に基づいて、ヒトに対する発がん性があって、がんのリスクに寄与するもの、カテゴリー2、主として動物に関する調査に基づいて、ヒトに対する発がん性があるもの、この2つにつきましては、明確な発がん性リスクがあるので、安全な濃度の範囲を設定できないとして、職場の最大濃度は設定しないということが明確に書いてございます。
この場合につきましては、適切で十分な精度を持つ評価方法によって、空気中の濃度を定期的に評価する、また、特別な医学的調査をすべきだとしております。
カテゴリー3につきましては、遺伝毒性がないか、遺伝毒性があってもそれが主な影響ではない場合に限り、最大濃度を設定する。
カテゴリー4と5につきましては、基本的に設定するという整理になってございます。
関係法令でございます。管理濃度につきましては、発がん性が確認されている特別管理物質の中にも、管理濃度が設定されている物質がございますが、こちらは発がん性の情報が十分でなく、かつ、確定的影響に対する無毒性量が文献で明らかになっているものについて設定したということでございます。
それから、考察は、また飛ばしまして、(5)でございますけれども、以上を踏まえますと、各策定機関では、ヒトへの発がん性の確からしさの分類を踏まえて、ヒトへの発がん性が明確な場合は、安全な閾値が設定できないという理由で、限度の設定を行っていないと。
一方、ヒトへの発がん性が明確でない物質については、非がんの疾病を対象に、安全な閾値としての限度を定めている。そういったときには、遺伝毒性がない、もしくは、あったとしても非常に少ない、あるいは、発がんリスクへの寄与が小さいことを前提にしております。
こういったものを踏まえますと、濃度基準値におきましては、GHS分類で発がん性が知られている物質である1Aにつきましては、長期的な健康影響が発生しない安全な閾値である濃度基準値を設定することは困難ということでございます。ただ、これによって、濃度基準値を定めていないものが安全な物質であるという誤解を発生させないように、濃度基準値に対する技術上の指針などにこういった物質の一覧を示して、ばく露を最小限とする必要があるということでございます。
それから、発がん性物質区分の1Bに関しましては、個別に発がんが見つかったばく露のレベル、遺伝毒性等の根拠文献の評価によって、濃度基準値を定めるかどうかを判断すると。
発がん性区分2につきましては、原則として定めますが、遺伝毒性等が区分1に区分されている物質につきましては、個別の評価が必要であるという整理でございます。
以上でございます。
○城内座長 ありがとうございました。報告書案については後で議論いたしますが、今の別紙について御質問等ありましたらお願いいたします。保利委員、お願いします。
○保利委員 考察はいいと思うのですけれども、このレビューの中に日本産業衛生学会の考え方は入っていないようなのですが、これはどうしてですか。
○化学物質対策課長 基本的に、濃度基準値というのは法令上で定めて運用している国のものを使っているということで、日本ではまだ濃度基準値がなかったということでございますので、産衛学会は直接は使っておりません。
○城内座長 そのほか。山室委員、お願いします。
○山室委員 混合物の適用のところで、毒性機序と標的臓器、両方を見て判断するということになると思うのですけれども、これは誰が判断するのかというところで、化学物質管理者は多分無理でしょうし、化学物質専門家の方でもかなり難しいのではないかと思うのです。そうすると、このように書かれても、事実上、相加的な数字の取扱いができないように思いますけれども、何かその辺のお考えはありますでしょうか。
○化学物質対策課長 こちらについては、御指摘のとおり、かなり難しいという毒性の先生方からの御感想もいただいておりまして、これとこれのペアがというのを具体的に示すのは、現時点では難しいとはなってございます。
ただ、個別の事業場で特定の物質を大量に使っているような場合は、それなりにエビデンスがある場合もございますので、そういった場合は自発的にやっていただくということを想定してございます。
○城内座長 そのほかございませんでしょうか。
私から1つ希望なのですけれども、現在議論している濃度基準値を定める物質は、GHSの分類で1Aだけにしましょうというのは、それでいいと思うのですが、大臣告示でがん原性物質は区分の1Aと1Bを含みましょうと確かなっていて、なおかつ、今まで運用してきた特別管理物質というのもあるので、その辺の意味づけ、運用の仕方をちゃんとしないと、結構混乱があるかなと思うので、文章上、分かりやすく説明していただければいいなという私の希望ですので、よろしくお願いいたします。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。1Bにつきましては、個別の判断という御説明しかならないのですけれども、そういったことを明確にしたいと思います。
○城内座長 ありがとうございます。
続きまして、報告書案の本文を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
○化学物質対策課長 それでは、資料5を御説明させていただきます。
1ページめくっていただきますと、目次がございますので、まず全体の構成を御説明させていただきます。
Ⅰは、検討の趣旨及び経緯ということでございまして、こちらは中間取りまとめでございましたが、検討の趣旨、検討事項、検討の経緯、構成員名簿ということでございます。
それから、Ⅱが濃度基準値の設定ということで、本体部分になりますが、まず第1で、濃度基準値の適用について整理してございます。1は、中間取りまとめで整理した事項についてまとめておりまして、それ以外に、新たに検討しました、混合物への濃度基準値の適用、それから、濃度基準値の単位について整理してございます。
第2が、濃度基準値の設定の進め方でございまして、まず1が、年度ごとに濃度基準値の候補物質をどういったものにしているのか。それから、濃度基準値の検討の進め方、これは具体的には、労働安全衛生総合研究所の専門家検討会で御提案いただいたものを、こちらで審議するというやり方をするということが書いてございます。それから、特別則が適用される物質への濃度基準値の考え方、こちらは、原則として、特別規則が適用される物質については、濃度基準値は設定しないということでございます。それから、発がん性物質についての濃度基準値の設定の考え方につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。
第3が、令和4年度の濃度基準値の検討結果の一覧でございまして、1が物質ごとの濃度基準値の案及び測定方法、2が濃度基準値を設定しなかった物質とその理由、3が令和5年度以降に再度審議する物質とその理由ということでございまして、この1、2、3を合計する118物質になるということでございます。
それから、Ⅲがその他ということでございますが、こちらは前回御説明させていただきました、がん原性物質の範囲につきまして、報告書に載せているところでございます。
それから、別表の1以降は、表となっておりまして、別紙につきましては、1から3が先ほど御説明した内容でございまして、別表の4につきましては、御審議いただきました個別物質ごとの初期調査結果、あるいは詳細調査結果をそのまま添付する予定でございます。
続きまして、順番に御説明させていただきます。
まず、Ⅰの検討の趣旨及び経緯でございますが、1の検討の趣旨、2の検討事項につきましては、もう既に定められているものでございまして、検討経緯につきましては、淡々と日時がまとめてあるだけでございます。それから、構成員名簿もそのままでございます。
Ⅱが、濃度基準値ということでございます。
第1が濃度基準値の適用で、1が中間取りまとめで整理した内容でございます。中間取りまとめにおいては、労働者のばく露が濃度基準値以下であることを確認するための測定等の方法について、次に掲げる事項について検討結果を示したということで、労働者のばく露の最小化と濃度基準値の法令上の位置づけの整理、確認測定の対象者の選定、実施時期の考え方、ばく露低減措置の考え方の整理をしております。
それから、短時間濃度基準値の設定と運用。
それから、確認測定における試料採取時間等。
それから、リスクアセスメントにおける試料採取場所及び評価。
それから、確認測定とリスクアセスメントのための違い。
最後に、上記事項について、技術上の指針で示すということをまとめているところでございます。
2が混合物への濃度基準値の適用ということで、先ほど御説明した内容の考察部分を抜粋してございます。
3は濃度基準値の単位ということで、こちらも考察部分を抜粋してございます。
第2は、濃度基準値の検討の進め方ということでございます。
まず、リストに年度ごとの濃度基準値の候補物質を示しておりますけれども、こちらにつきましては、まずあり方検討会で設定方法と年度ごとの設定物質数が示されておりますので、その基本的な考え方に基づいて整理し直しているということでございます。
令和4年度につきましては、リスク評価の対象物質を行うと。
令和5年度につきましては、吸入に関するACGIHが勧告している8時間時間加重濃度、かつ測定・分析方法があるものということでございますが、このうちDFG MAKや日本産業衛生学会で許容濃度が定められていて、ACGIHと値が一致するもの、あるいは、一致しないですけれども、ある程度、DFG MAKなどもばく露限度が定められていて、比較可能なものをまとめて、160物質を令和5年度に行う予定です。
それから、令和6年度は、ACGIHのみが定められているもの、あるいは、8時間ばく露基準はないけれども、短時間ばく露だけがある、あるいは天井値だけがあるといったものが20物質、それから、ACGIHはないけれども、DFG MAKがあるものが55物質ということでございまして、各機関によってあったりなかったりするようなものを、令和6年度にする予定でございます。
令和7年度以降につきましては、吸入に関する職業性ばく露限度があるのですけれども、測定・分析方法が公な文献で設定されていない390物質ということでございまして、こちらにつきましては、ACGIHのTWAがあるのが255、TWAはないけれども、STELまたはCがあるのが25、DFG MAKがあるものが110ということでございまして、これを測定の開発を行いながらやっていく予定でございます。
それから、2の濃度基準値の検討の進め方でございます。
まず、労働安全衛生総合研究所におきまして専門家会議で文献調査等を行って、濃度基準値の提案値を含めた報告書を作成していただきます。そちらにつきましては、基本的に、有害性に関する一次文献に基づいて、初期調査と詳細調査の2段階で検討していただいて、初期調査の情報では提案値を決定できない場合は、詳細調査を行うということでございます。この濃度基準値の提案値及びその根拠論文について、本検討会で妥当性を検討して、濃度基準値を決定するというプロセスが記載してございます。
続きまして、3、特別規則が適用される物質への濃度基準値設定の考え方ということでございます。幾つかの場合分けで書いてございますけれども、総体的にまとめますと、いわゆる特別則の適用を受ける物質につきましては、濃度基準値は設定しないということでございます。
それから、4の発がん性物質への濃度基準値設定の考え方につきましては、先ほど御説明したものの考察部分を抜粋してございます。
続きまして、12ページ、第3で、令和4年度の濃度基準値の検討結果、それから、濃度基準値を設定しなかった物質とその理由、令和5年度以降に再度検討する物質とその理由が表で示されてございます。
それから、Ⅲのその他でございますが、こちらはがん原性物質の範囲ということで、前回御説明した内容がまとまっております。
以降、別表でございまして、15ページからが、別表1-1ということで、令和4年度の候補物質でございます。
19ページが別表1-2といたしまして、令和5年度の設定対象物質でございます。
25ページからが別表1-3として、令和6年度の対象物質のリストでございます。
32ページが別表2でございまして、ここから、先ほど御議論いただきましたように、物質別の濃度基準値の提案値、それから捕集法、分析法が載っております。それから、それぞれの備考欄につきましても全部載せるということでございまして、今回は前回まで承認いただいたものがここに載っておりますけれども、本日御承認いただいたものにつきましても、こちらに追加する予定でございます。
45ページまで飛びますけれども、別表3でございまして、濃度基準値を設定しなかった物質とその理由でございます。設定しなかった理由は、十分な文献データがなかったためというのが1つ。それから、特別則による規制物質であるためというのがございます。それから、本日御議論いただきましたように、発がん性物質であって、安全な閾値が設定できないものというのを明記してございまして、現時点で4つほどございます。本日もまた増えておりますけれども、こちらにつきましては、技術上の指針などで、発がん性があるので安全な閾値を設定しなかったものにつきましては表形式でお示しして、安全なものではない、きちんとばく露対策が必要であるということを明確にする予定でございます。
それから、別表4が、令和5年度以降に再審議するものでございまして、ここに書いていないものとしては、先ほどのもので、測定、あるいは再度新しい文献をやらなければいけないものは先送りになっておりますが、それ以前の問題として、こちらに提出されていないものがございまして、それが、まず安衛研における専門家会議の確認において、いわゆる基準策定機関において、現在、新しい濃度基準値のレビューをしているようなものがございますので、そういったものにつきましては、来年度送りにしております。
それから、安衛研における専門家会議で文献収集中と申しますのは、先ほどの話もございますが、いわゆる非公開文献とかがあって、一次文献の入手に困難を来しているものでございます。こちらにつきましては、引き続き収集の努力をするということでございます。
こちらはそのようなリストになってございます。こちらの表を3つ足しますと、118物質になる予定でございます。
それから、別紙目次がございまして、先ほど御説明しました別紙1、2、3がございます。その後に、別紙4といたしまして、個別物質の調査結果でございまして、本日お配りした資料で申しますと、資料3-1とか3-2がざっと並ぶという形になるということでございます。これは全ての物質について載せますので、かなり大きいページになりますけれども、対外的に設定の根拠を示すということで、全て掲載する予定でございます。
説明は以上でございます。
○城内座長 ありがとうございました。全部説明していただきましたけれども、いろいろ御意見、時間いっぱいいただきたいと思いますが、今の事務局からの説明について何か御質問や御意見等、よろしくお願いいたします。最川委員、お願いいたします。
○最川委員 全国建設業協会、最川です。先ほどからずっと意見がいろいろ出ている中で、報告書の10ページの発がん性物質の濃度基準値の考え方の(3)の中に、区分1Aが濃度基準値を設定できないという形で書かれていて、安全性が確保できるわけではないということなのですけれども、区分1Aで、なおかつ、非がん性疾病もある物質も今回設定していないわけですよね。本当はそれが一番危ない物質で、この部分の閾値が設定できない物質であることとだけしか書かれていない。本来そこがまずあって、私は、発がん性の区分1Aについては、濃度基準値は決められなくても、非がん性疾病に関しては、濃度基準値は決められるのではないかと思っています。そこは逆に決めたほうが、責任範疇がどうか分からないのですけれども、発がん性の危険性が分かっているにもかかわらず、濃度基準値を決めないということが、今回はしようがないにしても、今後ずっと決めないのかというのはちょっと思っていまして、発がん性物質1Aに対して、どうやってその化学物質の危険性を知らせるのかというところが一番大事だと思っているので、そこはしっかり書くべきではないかなと思います。
以上です。
○城内座長 事務局からお願いします。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。濃度基準値の設定は、長期的な健康影響を発生しない安全な閾値であるという整理になっておりますので、発がんしてしまうということになると、それが担保できないということになりますので、発がん性がはっきりしている、明確になっている1Aについて、仮に非がんの閾値が分かっていたとしても、がんになってしまうという意味において、長期的な健康が、安全な閾値という意味では難しいということで、設定しないということでございます。
ただ、設定しないことで、これが安全な物質ではないかと誤解されないようにするための工夫は、御指摘のとおりでございまして、現時点では、こちらにも書いてございますけれども、濃度基準値に対する技術上の指針を出しますので、そこで、発がん性物質なので設定しなかった物質の一覧をお示しして、これについては濃度基準値は設定しないのだけれども、危ないものだから、ばく露を最小限にする必要があるというのを明示的に書こうとは思っておりまして、そういった形で周知を図っていこうと考えてございます。
○最川委員 ありがとうございます。今、発がん性に関しては、1A、1Bに関しては健康診断の記録30年ですとか、作業記録の保存も義務づけられたわけです。建設業の中でも、1Aの物質は結構あるのです。その作業記録を取りました。健康診断も取りました。では、どうすればいいのかということで、この書き方としては最小限。最小限というのは、言うのは簡単なのですけれども、例えばマスクをやりましたと作業記録に書いたとしても、いや、最小限ではないだろうと後づけで責任を取らされるというか、何をやっても最小限にしていなかったと言えてしまうのです。証拠だけを残されて、これから教える立場として、1Aについて何をすればいいのかというのは、最小限にしろというだけで、マスクを使ったから安全なのだというか、それを本当に使わせていいのかという議論になってしまうと思うのです。それが設定できないのだったら売ってはいけないと私は思っているのですけれども、そこが中途半端になって、使う人側が全部責任を取らされるような法律になってしまっているというのが、一番気になるところなのです。
特にトンネル塵肺などは、そういう工法でやるということが決められてやった中で、後々、塵肺になったから、そういう訴訟がずっと続いたわけです。これがほかの化学物質に関しても、今後ずっとそういうことが起こり得る中で、マスクをさせたからといって、最小限の対策をしていたのかと言えないわけですよね。濃度基準値を守っていましたということが言えればいいのかもしれないですけれども、そこが決められていないというのは、ちょっと納得いかないところなのですが、いかがでしょうか。
○化学物質対策課長 御指摘のとおり、数字がぴちっとあって、それ以下だったらというのは確かに、要するに、基準値というのは安全な使用を保証するものですので、そういったものができるだけできるように、1Bのものについても、定められるものについては定めていくという姿勢は必要ではないかと思っております。
どうしても1Aのように定められないものについては、最大限というところにはなりますけれども、ある意味、合理的に実現可能な範囲でやりましたということを、逆に記録に残していただいて、それを保存していただくという形になろうかなとは思っております。具体的には、きちんとしたマスクをつけさせましたとか、そういったことを記録に残して、将来に備えるという形になるのではないかとは思っております。
○城内座長 よろしいでしょうか。はい。
○最川委員 そういう形でやるのですけれども、指定防護係数とかそういうものがはっきり出ない中で結局やるので、では全部送気マスクを使うのかみたいな話になりかねないので、ある程度分かった時点というのですか、発がん性が、やはり記録とか健康診断とかやっていますので、複数名出たみたいなときには、はっきり決めるべきではないかなというのはあるので、発がん性に関して設定する、例えば使用禁止にするとか、そういうことが分かった時点で知らせるようなシステムがあるべきではないかなと思いますので、今後検討をよろしくお願いします。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今の点に少し関係するのですけれども、安衛法の第3条に、法令の定めを守るだけではなく、労働者の健康と安全に配慮するようにしなければという文言がありますよね。つまり、法律でこう決めたけれども、そこだけやっておけばいいのではないということが書かれていまして、これは非常に重要だと思います。濃度基準値がこう書いてあるから、そこだけやっていたのだということで、必ずしも安全配慮義務が完全に満たされたとならない可能性があると思うのです。個別のケースはいろいろ難しいことがあると思うのですけれども、この辺りを考えると、濃度基準値の意味を世の中に知ってもらうときに、ここだけ守れば大丈夫ですよというような言い方にならないような工夫が若干必要ではないかという気がしております。
その辺は非常に難しいところかもしれませんけれども、世の中の方に、国がお墨つきをつけているのだ、これだけやれば十分なのだと考えられると、後々いろいろ別なことが分かってくる場合もありますし、あくまでも現在の集まった情報によると、こういうことが目安になるということであると思うのですけれども、絶対安全だよ、これで十分だという形に捉えないような周知の仕方が求められるような気がいたしますので、一言つけ加えさせていただきます。
以上です。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。武林委員、お願いします。
○武林委員 2つあります。まず1つ目は、今の点に関連するのですが、別表3についてです。別表3は、先ほどの御説明で、幾つかのタイプのものが交ざっていると思いますが、今の議論を考えると、今回の作業の中で発がん性を確認して数字を定めないものは、かなりメッセージが違っていて、データが十分ではないという話と、データがきちんとあって、評価をして、発がん性があるので数字を出さなかったというのは違うので、別にすべきではないかと思います。
その上で、表をつくると、別表2が中心になるので、多くの人が別表2を見たときに、ここに載っていないということで何もないということは、これまでの経験でも必ずありますので、可能であるなら、別表2の中に、やはり発がん性の別表3の物質の名前は入れて、そこにどう記載するかというのは工夫するにしても、発がん性があって、as low as possibleと書くのが一番いいと思いますが、少なくともマークをつけて、別表で、これは発がんだということが分かるように一覧の中に入れておかないと、結局、机上の空論で、そこが見られないということがありますので、そういう表のつくり方をしたほうがいいのではないかというのが1点目です。まずこの点についていかがでしょうか。
○化学物質対策課長 まず、別表3、別表4に分けるというのは、可能かと思います。
あと、別表2の中に入れるのも、この報告書の中では可能なのですけれども、告示で示すときは、厚生労働大臣が定める基準ということになりますので、定めたものだけ基準に示すという形になってしまって、その中に定めなかったものを交ぜるのはちょっと難しいという状態にはなりますので、そこは技術上の基準でまた別の一覧をつくって示すようなことはあるのかなと思っております。
○武林委員 一番大事なのは、実際に施行された後に、現場で使うときに何を参照するかということだと思うのですけれども、そのときに一覧性の中に2つのものが交ざって入っていないと、もちろん法令上の扱いはよく分かるのですけれども、それを工夫していただいて、やはりみんなが見るデータベースがあって、それは国が管理しているものがあって、そこに行ったときに、同じレベルで物質が載っていないと、ここに載っていないから使っていいのだというような議論に必ずなると思うのです。そこを十分工夫するような、法令上の告示をどう扱うかということとは別に、やはり現実にみんなが使えるものにしていただきたいというのが1点目です。これは、今、回答というよりも、ぜひ工夫をお願いしたい。
2点目ですが、報告書の7ページ以降の、濃度基準値の検討の進め方を先ほど御説明いただきました。特に8ページからの濃度基準値の検討の進め方というパートが、今後の作業にも関わるところなのでちょっと確認です。8ページの下のほうの参考というところは、多分手順を示しているのだと思いますが、参考の(1)初期調査のマル1「根拠論文の信頼性が高く」と書いてあるところの後に、「その根拠論文による数値が諸機関の職業性ばく露限界値と矛盾しない場合」と書いてある、この意味がよく分からないのです。この文章は要らないのではないかと思いますが、この文章の意図はどういうことを指しているのでしょうか。
○化学物質対策課長 こちらは、マル2の裏書きでございまして、複数の根拠論文の結論に矛盾があるなど、複数の評価が必要な場合は、詳細調査に移行するので、そういったものがないという記載だと思いますので。
○武林委員 根拠論文の信頼性が高いことがあれば、すぐその後、NOAELとUFに基づいて、濃度基準値を決定するというのが普通の流れであって、ほかの機関と矛盾があるとかないとかということはあまり関係ない作業をしているのではないかと推測したのですが。
○化学物質対策課長 そうですね。御指摘のとおり、諸機関との比較というのは、現時点でもやっておりませんので、記載ぶりはちょっと変えたいと思いますけれども、要するに、複数の信頼できる根拠論文があって、数字が違うときはどうするかというところが趣旨でございますので、そういった記載に直したいと思います。
○武林委員 要するに、複数の根拠論文があって、どの数字を取るかということ自身が多分作業なので、諸機関の数字と出てきた瞬間に、どういう推定をしているのかというのが、何となく理解しにくくなるので、本当に作業に沿った形で示したほうがいいのではないかと。
○化学物質対策課長 そうですね。御指摘のとおり、諸機関の職業性ばく露を別に比較しているわけではなくて、あくまで複数の根拠論文の比較をしていますので、この諸機関という記載は削除して、複数の根拠論文という形にしたいと思います。
○武林委員 もう一点よろしいでしょうか。その後、今日御説明いただいた、発がん物質の考え方のところにも関わるのですが、結局、作業していますと、恐らく、初期評価の段階で、発がん性をどう評価するかということが極めて重要になってくると思うのです。
今日、前半のところで宮川委員が御質問された、GHSの生殖変異原性の話があると思いますが、やはり遺伝毒性とは違うものを指していると思うのです。一方で、今日の先ほどの審議の中でも、遺伝毒性があることによって数字を設定しないものが出てきていることを考えると、特に来年度以降の作業の中では、初期調査の段階で遺伝毒性をきちんと評価するという文言を入れておかないと、何となく矛盾しますし、その遺伝毒性のデータとして何を使うのかということもある程度、GHSのものだけでは不足であるというのが多分、宮川先生の趣旨だと思いますし、実際そうだと思うのです。そこのところを来年度の作業としてどうするかも含めて、ここの書きぶりはきちんとしておく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○化学物質対策課長 遺伝毒性なども踏まえて、個別判断ということになっておりますので、書きぶりとしては、こういう形になるのだろうとは思っておりますが、要は、プロセスをかちかちと書いていっても、物質によって、十分にある文献とそうではない文献とかいろいろありますので、プロトコルをあまりがっちり決めないような形にはしたいと思っております。
○武林委員 とにかく、後ろを読んでも、結局、先ほど宮川先生が指摘された、生殖細胞変異原性(遺伝毒性)という極めて曖昧な表現だけが出てきて、むしろ、後に戻ってくると、そこが極めて重要で、数字を設定するかしないかの根拠にかなりなっていることを考えると、今の課長のお話はよく分かりますけれども、そこはもう少し明確にしたほうが、評価の透明性という観点ではいいのではないかという趣旨です。
以上です。
○城内座長 そのほか御意見等ございますでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前委員 ばく露基準値をずっとやってきましたけれども、これも暫定値に過ぎないのです。何か新しい情報が出てくれば、当然どんどん変わっていくというタイプの数字です。したがって、大臣告示が出た後も、数字は変わる可能性がある。例えば管理濃度などもどんどん数字が変わっていったというような歴史もありますので、今回のばく露基準値が将来改定される可能性があるようなことは、どこかで入れておかないと、というか、むしろ改定するような作業をしなければいけない物質が今回もたくさんあると思うので、そこら辺は報告書の中に明示したほうがよろしいのではないかと思います。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。津田委員、お願いいたします。
○津田委員 帝京大学の津田でございます。8ページ目の2の(2)の最後の部分です。測定方法または有効な呼吸用保護具がない場合はということで、今回、別表3には決めなかった理由として呼吸用保護具は入っておりませんけれども、この有効な呼吸用保護具というのは何を想定されたのかというのがまず1点です。送気マスクを使えば全ては解決という先ほどの最川委員の御意見ではないですけれども、「有効な」という部分。
もう一つは、今年度は経皮吸収というものは検討せず、呼吸用保護具だけにというのが最初のときの議論にあったかと思います。今年度のものも経皮吸収が多いものもございますけれども、この報告書の中で、今年度は経皮吸収が抜いてあるので、次年度以降はその部分も必要であるという文言がどこかに入るとよいなと思うのですが、いかがでしょうか。
○化学物質対策課長 有効な呼吸用保護具につきましては、御指摘のとおり、最後の手段としてエアラインがあるということなので、個別具体的にそれぞれの物質について呼吸用保護具があるかどうかという検討はしないでいいだろうということで、やっていない整理にしてございます。
それから、経皮につきましては、現在、労働安全衛生総合研究所で、皮膚から吸収されて健康障害を生ずるおそれがあることが明らかな物質というのが、保護具の着用義務が課されております。その明らかな物質をどのように選択するかというところは、今検討していただいておりますので、そちらの検討結果につきましては、こちらの検討会のほうにまたお示しして、コメントをいただくなどのことは現在考えてございます。
ただ、それを濃度基準値とするかどうかというのはまたちょっと別、通常、ACGIHなどは、いわゆるスキンノーテーションというのをつけているのですけれども、そのような形にするのか、現在考えているのは、保護具が必要な物質ということで、むしろ別の形で一覧を示すと。なぜそうするかというと、OELがこの濃度基準値を定めるのは時間がかかりますので、その間、経皮の対応をしないというわけにはいかないということで、そこは切り離していこうかなと現時点では考えてございます。
○津田委員 承知しました。今年度は経皮をやらずにというのが、中間取りまとめの辺りにたしか書いてあったかなと思うので、この報告書の5ページの第1の1のところに、今回は経皮は入れていないということを一文書き加えていただけるとよろしいかなと思います。
以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 2点あるのですけれども、まず1点目は細かいことで、9ページのイの中ほどの下線部で、他の物質と同様、GHSに基づく裾切り値と整合させること云々と書いてありますが、ここで言うGHSの裾切り値というのは、JIS、GHSによって、SDSをつくらなければいけない基準として一覧が示されている濃度と私は読んだのですけれども、別な見方をしてしまうと、混合物として有害性ありなしを判断するときの基準というと、若干違うものが出てきますので、SDS情報をきちんと使ってくださいという意味では、SDSをつくらなければいけないという一覧の示されている濃度のことを言っているということでよろしいでしょうか。これは質問になります。
もう一点は、先ほどから保護具のことが出てきているので、若干の心配は、呼吸用保護具については、女性則のほうで、第3管理区分では使用できないといっている物質があるので、今回発表する物質の中に女性則の対象の26物質があるのであれば、そういうものについては、とにかく呼吸用保護具をすればいいのだというわけにはいかないというところが、世の中に広報するときにはどこかで伝わるようなことを頭に入れておいていただければと思います。
以上でございます。
○化学物質対策課長 9ページのGHSの裾切り値というのは、まさにSDSの裾切り値ということで、リスクアセスメント対象物の裾切り値と同じイメージでございます。
女性則は、現時点では、特別則で規定されている物質になっておりますので、今回はそういう意味では入ってこない整理になっております。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
今、宮川委員から質問があった、GHSに基づく裾切り値というのが簡単ではなくて、JISともまた違って、JISに準じてつくっていいのですよというのとちょっと違ってくるところが多分出てくるので、それはGHSが走って、JISができたときから、ちょっと矛盾を抱えているようなところがあるので、少し面倒くさいかなと思いますが、今議論はちょっとできないのでしませんけれども、検討が必要になるかもしれません。
そのほか何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。御意見が出尽くしたようですので、本日の御意見を踏まえた修正版を事務局から各委員に確認していただきたいと思います。その際、本日の前半で審議した濃度基準値等についても盛り込んでいただきます。
その上で、令和4年度報告書としての確定は、私に一任していただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございます。
本日の議題は以上となります。構成員の皆様、長時間の御議論ありがとうございました。
それでは、最後に、その他ということですが、事務局から何かありますでしょうか。
○環境改善室長 それでは、今年度は最後の化学物質管理に係る専門家検討会でございました。その閉会に当たりまして、本来は安全衛生部長の美濃から御挨拶すべきところではございますが、次の予定があり既に退席しておりますので、代わりまして、安井課長から一言御挨拶を申し上げます。
○化学物質対策課長 本来でございましたら、部長の美濃から御挨拶すべきところでございますが、よんどころのない公務と重なっておりますので、私のほうで代わって御挨拶をさせていただきます。
皆様方におかれましては、平素より労働安全衛生対策の推進、とりわけ化学物質管理の推進に多大な御尽力をいただきまして、この場を借りまして厚く御礼を申し上げます。
先生方には、大変お忙しい中、昨年9月1日の第1回から本日の第6回までにわたりまして、労働者に健康障害を生ずるおそれのある化学物質のばく露の上限となる濃度基準値、それから、これらの化学物質へのばく露の程度が濃度基準値以下であることを確認する測定方法、その評価方法などにつきまして、専門的な観点から御審議いただきました。
特に濃度基準値につきましては、12月15日の第4回から本日の第6回までの約1か月半で、非常にたくさんの化学物質を精力的に御審議いただきまして、厚く御礼を申し上げます。
この間、先生方には、膨大な量の資料、あるいは文献を御確認いただくとともに、検討会の場では、それぞれのお立場で丁寧な忌憚のない御意見、御議論をいただきました。
その結果といたしまして、予定しておりました本年度検討対象物質118物質のうち多くのものの濃度基準値の検討が無事に終了いたしまして、報告書として取りまとめることができました。これも一重に先生方の検討会への御協力のたまものであると考えておりまして、重ねて御礼を申し上げます。
さて、本年度の検討会はこちらで一旦終わりというわけでございますけれども、次年度につきましては、今年度積み残した化学物質約30物質に加えまして、約160物質の濃度基準値、それらの物質の測定方法の検討を引き続き予定しているところでございます。
先生方におかれましては、引き続き、この検討会でのご審議に御協力を賜りまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見、御議論をいただきたいと考えてございます。次年度におきましても、どうぞよろしくお願い申し上げます。
簡単ではございますが、こちらをもちまして私からの閉会の挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。
○城内座長 ありがとうございました。
そのほか、事務局から何かありますでしょうか。
○環境改善室長 本日の議題は以上でございます。
なお、本日の議事録でございますが、後日、構成員の皆様に御確認いただいた上で公開させていただきます。
次回の日程でございますが、本日の検討会をもって本年度の化学物質管理に係る専門家検討会は一旦終了し、次回は次年度の開催を予定しております。
議題は引き続き濃度基準値の検討となりますが、次回の濃度基準値の検討は、今年度からの積み残しと詳細調査により評価するものを予定しております。
構成員名簿のうち全般に関する事項、毒性に関する事項の欄の先生方に御参集いただきます。
次年度に入りましたら、日程調整をさせていただき、開催日時、場所が決まりましたら、改めて御連絡させていただきます。
以上でございます。
○城内座長 ありがとうございました。以上で本日の化学物質管理に係る専門家検討会を閉会とさせていただきます。本当にありがとうございました。