第8回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和4年12月22日(木)10:00~

場所

厚生労働省専用22~24会議室

議題

1.(1)フリーディスカッション(論点1関係)
2.(2)その他
 

議事

議事内容
○船井安全課長補佐 皆様、おはようございます。全員おそろいですので、ただいまより第8回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を開催いたします。本検討会は、会議の資料及び議事録につきましては原則公開ですが、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので御協力をよろしくお願いいたします。
 本日は鹿野委員、清水委員、高山委員、出口委員、三柴委員がオンラインでの参加となっております。
 それでは、以降の議事進行については土橋座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 よろしくお願いいたします。前回の検討会では、これまでの議論やヒアリングを通しまして、関係団体の皆様からお聞きした実態を踏まえて、事務局が整理した論点整理に基づいてフリーディスカッションを行っていただきました。これまで論点1~3まで、大きく分けて3つの論点がありましたが、今回は前回までの議論を踏まえて、論点1について、事務局が整理した資料を基に議論を行わせていただくことを予定しております。
 それでは、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。
○船井安全課長補佐 資料の確認ですが、お手元にお配りさせていただいている資料の1枚目に次第があります。裏をめくっていただくと配布資料一覧です。今回、資料本体としては2種類、資料1と2、参考資料として、いつもお配りしている検討会の要綱があります。資料1は表だけの一枚紙、資料2については、ホッチキス留めのパワーポイントの資料になっております。もし、欠落しているものがありましたら、手を挙げていただければ、係りの者がお届けしますので、よろしくお願いいたします。
○土橋座長 よろしいでしょうか。それでは、議題1として、論点1に関する討議を行いたいと思います。論点1については資料2になりますが、(1)~(5)までの観点に分かれておりますので、それぞれ順に御議論いただきたいと思っております。
 それでは、議論に先立ち、事務局から資料説明をお願いいたします。
○船井安全課長補佐 よろしくお願いいたします。まず、資料1について御説明させていただきます。資料1については、新しく作った資料ですが、これまでヒアリングやフリーディスカッションを通じて、委員の皆様から非常に多方面にわたる御議論を頂いてまいりました。頂いた御意見や御議論の中には、実は私どもが所管している労働安全衛生法の枠組みを越えるような議論というのもありました。これから頂いた意見を踏まえて、どういうように形として取りまとめていくのかという議論を深めていただくに際しまして、これまでの議論を踏まえた対策の検討に当たってということで、安衛法の枠組みや、最近、判断が出された最高裁判決などを踏まえて、頂いた御意見や御議論をどういう形でまとめていくのかというのを、事務局のほうで1つの案としてまとめさせていただいたものです。順に説明させていただきます。
 まず、資料の上のほうにある安衛法の規制体系と最高裁の判断という部分です。1つ目の○にあるように、労働安全衛生法は、労働災害の防止というものを主眼としておりまして、基本的には労使関係、雇用の関係に着目した規制が多いですが、中には雇用の関係のみを前提としたものではない規制も、例えば特定業種の統括管理や危険な機械、化学物質などの流通規制、機械のリース業者に対する規制、こういったものが幾つか存在するわけです。ただ、※の所に書いてあるように、あくまでも、これは労働災害防止のための必要な事項として、労使関係だけではクリアできない部分を、周辺環境も含めて規制しているもので、労働者以外の人、個人事業者も含めてですが、そういった方々を普遍的に保護対象にしているというものではないということを御理解いただきたい。
2つ目の○ですが、そういう形で進めてきた法制について、先般、出された建設アスベスト訴訟の最高裁判決においては、石綿の規制根拠となっている安衛法の22条は、労働者だけではなく労働者と同じ場所で働く労働者以外の人も保護する趣旨だという判断が示されています。これについても、安衛法全体が普遍的に労働者以外の人をカバーするわけではなくて、22条で規制しているような労働者等が同じような場所で働く場合は、保護をする趣旨であるということで判断が示されたというものです。これを踏まえて、今回の議論をどういう形にまとめていくかというのを、1つの案としてお示しております。
 右にポンチ絵みたいなものが入っておりますが、実際に、個人事業者が働くケースというのを大きく分けると、右側の上下の絵にあるように、事業場の中において事業者が管理するような作業場所において、労働者と同じ作業場所で作業をするケース、もう1つは事業場の外で、別の作業場所において仕事の注文を受けて、個人事業者の方が作業をするようなケース。大きく分けると、この2つになるのではないかという思います。
上のほうのケースについては、労働者と同じ場所で就労をするわけですので、労働者以外の方であっても、同じ安全衛生水準で働いていただくことが必要であろうということで、そのために、誰が何をするかというところについては、①として、作業場所を管理する事業者さんが、その場所で就労する方の保護というのを労働者であろうと、なかろうとしていただくというのが1つ。
②の部分ですが、これは労働者と同じ場所で働く方、個人事業者や出入りの業者さん、作業に従事する方というのが、自分の安全性の確保に加えて、同じ場所で働く、ほかの人の安全衛生、害が及ばないように必要な事項というのをやっていただくということが必要ではないかと、この整理については、正に、最高裁判決で示された判断に整合したものではないかと思っております。
 一方、2つ目の下のほうですが、個人事業者は労働者と異なる場所で働く場合は、放っておいていいかというと、そうではなくて、やはり労働者と同じ安全衛生水準で働いていただく必要があるのだろうということです。
 では、誰が何をするかという部分で、1点目について、これは労働者と同じ場所で働いていて、それを事業者が管理しているというわけではないので、まずは、基本的には、個人事業者自らが作業に伴う安全衛生や、御自身の心身の健康というのを確保していただく必要があるのではないか。安衛法の枠組みではこういうことが存在していませんでしたので、新たな観点ということになります。したがって、法の枠組みを越えてしまうということなので、まずはガイドラインなどで推奨してやっていくということが必要なのではないかというように考えております。
 一方、②のほうですが、仕事を注文した方が、その注文した仕事の内容が、例えば、作業場所や作業方法というのが特定されてしまうような場合もあるといったものが、個人事業者の安全衛生に影響を及ぼす場合もあります。そういった場合については、①の自己管理だけではなくて、注文内容に応じた措置というのを、注文者の方が講じていただくことも必要なのではないかと。これは、安衛法の既存の枠組みで、発注者や注文者の方にいろいろなことをお願いしているという枠組みが既にありますので、そういったものの、場合によっては拡充も必要かもしれませんが、十分対応できるのでは思っております。
これら以外にも、既存の安衛法の枠組みで、統括管理の対象拡大や機械設備、建物の管理権限を持った方に対する措置の拡大、それらをうまく進めるためのガイドラインの策定といった、いろいろな手法で対応できるのではないかなと考えております。今、申し上げたような枠組みや立て付けの中で、これから御説明させていただく論点を実現していくために、御議論を深めていただければと思っております。
 続いて、資料2です。1枚めくっていただき、これは何度もお配りしているピンクで四角を囲った論点1の関係です。これまでも、各論点について資料をお配りしてきたのですが、前回の検討会で、いきなり論点がポンと出てきていて、なぜそのような論点になったのか、実態や検討会における議論の経緯がちょっと分かりにくいということを御指摘いただいたので、それが分かるような形で、各項目について検討の経緯や、それを踏まえた検討の方向性の案ということで資料を再構成いたしました。ただ、個々の論点については、中身について変わっていないものもあれば、議論を踏まえて追加したものもありますので、赤字で変更箇所を表示しております。
 まず、1点目の(1)の検討の基礎となる災害の実態の深掘りという所ですが、これは業務上災害の報告です。こちらについては、当初、事務局案で出していた論点というのは、個人事業者自身に報告を義務付けて、それを関係団体などがバックアップしていくという仕組みはどうかという資料を出させていただきましたが、議論を重ねる中で、なかなか被災した個人事業者自身に、病院のベッドの上から出していただくというのも実行性がないでしょうし、仮に、亡くなってしまった場合、団体に加入していない場合というのは、把握できなくなってしまうのではないかというような御意見もありました。諸外国の例も踏まえ、又は先ほどの資料1でもお示しした、ある作業場所を管理する方は、しっかりとその安全を確保するという立て付けをするということも踏まえれば、その場所を管理する事業者の方に、労働者以外の方の分も出していただくということがいいのではないかということで、赤字で書いております。例えば、建設現場であれば元方事業者さん、工場であれば、工場を管理する事業者さんといった方々は、労働者以外の部分についても把握をして提出していただく。
 次のページです。ただ、その場合、報告者と報告対象者というのが指揮命令関係や雇用関係にもないわけですので、労働者死傷病報告のように、罰則付きで報告を担保するということはちょっと難しいのではないかと、なので、報告義務は罰則の対象にはしないで、把握可能な範囲で報告を徹底していく、求めていくということがいいのではないかということです。
こういう形で、少し論点を修正させていただきました。これに伴い、新たに出てくる問題としては、一番下の赤い○ですが、被災した作業場を管理する事業者がいない場合、例えば、道路上で交通事故に遭ってしまったような場合については、誰が出せばいいのかという話があります。また、そういうものまで本当に報告を求める必要があるのかという御議論もあると思います。そういった観点で議論いただければと思います。
 続いて、業務上災害の分析等についてです。こちらについては論点の修正もありませんし、委員の皆様からも特に議論もありませんでした。
 続いて、(2)の個人事業者自身による措置やその実行性を確保するための仕組みです。こちらについては、若干論点を修正していて、2つに切り分けているのですが、この論点というのは、もともと建設アスベスト訴訟の判決を踏まえて、労働安全法第22条に関連した省令改正を行った際に、新たに事業者に義務付けた措置というのが幾つかあります。例えば、立入禁止や、ある場所における飲食の禁止というようなものを定めているといったものについては、禁止した結果、労働者や労働者以外の作業に従事する者というのは、そこに立ち入ってはならない、飲食してはならないという反射的な義務を負っております。この反射的な義務の部分が、労働者は法律に基づく罰則付きの規定なのですが、それ以外の人については、法律上の根拠がない実施省令となってしまっていて、罰則がないのです。ここら辺のアンバランスを見直したらいいのではないのかというのが1点です。
 もう1つは、例えば、保護具を着用する必要があるといったような周知を事業者に義務付けたものがあります。この周知について、個人事業者については、反射的な義務というのは前回の改正では手当てをしていない。これは指揮命令関係にもないので、事業者が保護具を付けさせるということはなかなか難しいでしょうという話と、あと、周知を受けた結果について、一義的に措置が決まるわけではないので、個人事業者に罰則付きで義務付けるのは難しいでしょうという議論があったわけです。
 そういったことも踏まえると、次の5ページです。1点目は、立入禁止措置が義務付けられているものについては、労働者と同じように罰則付きでやっていただくことが必要なのではないかということ、あと、保護具や作業方法の周知のようなものについては、なかなか反射的義務も設けられないという中で、一足飛びの罰則というのは難しいということで、具体的な措置の明確化であるとか、個人事業者に対しても、周知した結果に応じてしっかりやってくださいということを、促すということがいいのではないかということです。
 続いて7ページ、機械等に係る安全の確保です。こちらについては、論点の修正は特にありません。検討の議論の中で、実際に個人事業者の方が被災しているのは、その機械の問題というよりも作業方法の問題ではないかというような御指摘もあったのですが、ただ、1つ言えるのは、機械の不備や機械の構造上の欠陥というのは、誰が使っても、やはりその機械の災害リスクというのは同じだと思いますので、逆に、労働者が使う場合と、そうではない場合とで差を設けているというのは合理的ではないということで、論点についてはこのままとさせていただいております。
 8ページの安全衛生教育、健康診断の関係です。こちらについては、これまでの議論の経過で、非常に重要で、しっかりやるべきだという議論であったというように承知しております。ただ前回、特に委員の方から強調されたのが、個人事業者の方が教育を受けようとしたときに、教育コストも自分持ち、さらに、場合によってはお仕事を休んで受けないといけないということなので、二重の苦が生ずることもあるといったことを踏まえて、9ページ、一番下に赤字で追加したものが、この教育や健診について、個人事業者の経費負担も含めてなかなか難しい部分もあるので、注文者に対して、そういう仕事を請け負わせるに当たっては、受講や受診のための費用も必要なのだということについて、周知広報等によって理解を促していってはどうかということを追加させていただきました。
 10ページです。業種・業態特有の課題として、建設業、造船業及び製造業における混在作業現場における連絡調整という点です。これは、前回から特に変えておりません。混在対象というのは条文上、元方事業者の労働者と関係請負人の労働者ということで、労働者同士の混在しか条文上は対応していないような形になっておりまして、こういうものについては、実態に合わせて見直しを行う必要があるのではないかと、端的に言えば、個人事業者が混在するような場合についても、しっかりとカバーする必要があるということを明確化してはどうかということです。
 (3)番の個人事業者以外も含めた災害防止のための注文者(発注者)による措置ということです。こちらについても、建設業や運輸業の関係に非常に強い問題意識を検討会の中でも御議論いただきました。これを踏まえて、論点を大きく変えるわけではないのですが、安衛法3条第3項という既存の規定がありまして、これが字面だけ読むと、建設工事に限定されているような記載になっていて、ここが、解釈上はそうではないのですが、それ以外の部分もしっかりカバーしているというのを明確化するべきではないかということです。
 12ページにあるように、無理な工期の設定や、当初予定をしていなかった条件の後付発注といったようなことも、この3条第3項の安全衛生を損なうような条件を付さないようにするという中に含まれる内容だということを明確化してはどうかということです。
 13ページです。注文者が仕事に及ぼす影響に応じた措置内容の明確化という部分についても、特に論点は修正しておりません。一口に注文者と言っても、請け負わせる際の影響力の違いというのは千差万別なので、それに対応した内容を求めていってはどうかということです。
 14ページです。措置を講ずべき者の明確化ということですが、これは一部修正しておりますが、ちょっと分かりにくい表現だったので、表現を適正化したというように捉えていただければと思います。一口に、注文者(発注者)と言っても、先ほど言ったように、いろいろと影響力が違いますし、問題となっている事象を解決するためには、必ずしも契約相手である直近上位の発注者に言っても問題が解決しないということもあるのです。なので、誰に言うかというのをちゃんと見極めて、その権限を持っている者に対して措置を求めることが必要だということを明確化してはどうかと、ちょっと抽象的で分かりにくいと思いましたので、想定されるケースとして、直近上位の注文者で対応可能なケースと、それではなかなか難しいケースということで、ちょっと事例を追記しております。
 続いて15ページ、注文者が個人の場合における措置についてです。こちらについても、特段変更はありません。個人だと、発注に伴う安全衛生の問題をなかなか御理解いただけない部分もあるという御指摘もありましたので、ちゃんと意識啓発を図っていこうということです。
 16ページ、注文者等による安全上の指示についても、特に修正はありません。これは検討会の中で出た意見で、なかなか現場で安全上は必要な指示というのは、関係請負人や請負人の労働者に対して、元請さんが直接やろうとしても、偽装請負の指揮命令というように捉えられてしまうので、手控えているということがありましたので、そういうことがないように、安全上の指示と指揮命令の関係というのを分かりやすく整理してはどうかということです。
 17ページです。建設業、造船業、製造業以外の業種の混在作業場所における連絡調整ということです。これは、建設業や造船業、製造業というのは、統括管理、若しくはそれに準じた措置というのがきちんと整理されているのですが、それ以外の業種における混在、そういった実態があるのであれば、同じような、若しくは建設業などに準じたものも求めていく必要があるのかないのか。あとは、この混在というのが、その業種の中での混在というのを現行の安衛法の統括管理では対象にしているのですが、実は、業種をまたがるような混在というのもあるという部分について、どう対応していくのか。論点の中身は大きく変えていないのですが、①と②、分かりやすいように2つに分けております。
 1個目については業種拡大です。具体的に想定されるケースとしては、例えば、港湾や大規模な物流センターにおける運送関係の重層請負という問題もあるということ、あと、業種が異なる仕事に従事する方による混在というのについては、製造現場において工場の生産ラインで働く人と、その工場に荷物を搬入した運送の方が混在してしまうということもある。製造工場に、部分的な改修工事で建設業の方が入ってきたり、機械のメンテが入ってくるというようなケースもあると、似たようなケースは建設現場などでも起こり得るというようなところです。
 19ページですが、これは業種・業態特有の課題ということで、請け負った作業ごとに作業場所が異なることへの対応ということなのですが、これは運送業の関係で御議論いただいて、検討の経緯の所に御指摘を頂いたと書いてあります。それを踏まえて立てた論点なのですが、これについては、ちょっと冷静に見てみますと、必ずしも運送業限定の話ではないのではないかと、出張型の建設工事や、出張をして機器をメンテナンスするというような場合でも、例えば、行った場所で、屋上にある機械設備をメンテしろと言われたのだけれども、4階までは上がれるけれども、そこから屋上に上がる内階段がなくて、外のハシゴを無理に上って落ちたみたいな事例などもあったりしますので、発注ごとに作業場所が違うというようなことがあるので、そういったものを、あらかじめきちんとコミュニケーションを取って、どんな内容なのかというのを明確化していく。これは運輸業に限った話ではないので、もう少し幅広い対象で議論してはどうかということです。
 続いて20ページ、(4)ですが、発注者以外の災害原因となるリスクを生み出す者等による措置ということで、こちらについては、検討会の2回目と3回目辺りに出した災害事例などを見ていただくと、実際、作業を行っていた発注者側の連絡の不備や、特に運送業の関係などでは、陸災防さんからもヒアリングをした中で御指摘をされておりましたが、荷役災害の中でも荷主事業場での災害が多いとか、荷主事業場で作業をする際の問題点なども御指摘を頂いておりました。こういった問題に対応する方法として、既存の安衛法の枠組みにおいては、こういった混在みたいな話や機械設備に着目した話、機器を誰かに使わせる場合や建物を誰かに使わせる場合という規制は既に存在します。これは、22ページの所に具体的な条文が書いてありますが、こういったものをうまく活用できないかと。活用するに当たって、これらの条文というのが、最後の目的の部分が労働者の労働災害を防止するためというように書いてあるので、これはちょっと個人事業者までカバーできていないのではないかという問題が1つ。これを手当する必要があるのではないか。それ以外は、これは結構対象物が政令に限定されていたり、具体的な実施事項が省令で限定されていたりするので、これを拡大する必要があるのかどうかと。
 21ページの論点に戻り、今、言ったようなことも整理して、各条文ごとに問題意識を整理して書き直しております。例えば、建築物の関係で言いますと、これは政令で用途が限定されていて、工場と事務所しか対象になっていないのですが、実際、災害の事例などをみると、荷の配送先の店舗のバックヤードで、建物の不備があってけがをしたというような災害事例もありますので、こういったものも対象に入れるということも考えてはどうかということです。
 23ページです。プラットフォーマー対策ですが、これまでも議論いただきましたが、プラットフォーマーと一口に言っても、いろいろプラットフォーマーの関与の在り方というのは千差万別ですので、やはり、その影響力や関与の度合に応じて、やっていただくことも変わってくるのではないかということで、まずは、安衛法第3条第3項、先ほど出てきたものですが、こういった考え方というのが、プラットフォーマーと個人事業者の間にも、プラットフォーマーの果たす役割に応じては適用されることがあるのだということを、解釈であったりガイドラインで明確化していってはどうかということです。
 最後の(5)です。支援のあり方です。これは特に中身は変えておりません。支援が必要だというのは、皆様から御意見を頂いたとおりです。部分的に、IT業界においては、業種・職種別の団体だけではなく、仲介業者さんというのが結構大きな役割を示していて、発注者との協議や条件設定など、役割を担うということだったので、それを追記したり、最後の25ページで言うと、相談窓口と言っても、多分、委員の皆様はイメージが湧かないかなと思いましたので、例えば、私どもがやっているメンタルの関係の「こころの耳」のサイトの運用状況や、「フリーランス・トラブル110番」というのがありますが、そういったものの実績なども、ちょっと追記をさせていただいて、こういったもの以外にも、どんなチャンネルを作れば効率的・効果的かという観点も追記しております。ちょっと長くなりましたが、資料の説明は以上です。
○土橋座長 説明ありがとうございました。それでは資料に基づき御議論いただきたいと思います。まず資料1について御質問、御意見がありましたらお受けいたします。いかがでしょうか。中村委員、お願いします。
○中村参集者 今回いろいろと説明をお聞きしていて、これまでの議論を踏まえて、大分よく分かるようになってきたと思っています。1ページの図について言うと、実際に私の場合はどうしても発注者に近い立場になるのですが、この事業場と分けていただいたのは、ある意味で非常に分かりやすいような気がいたします。なぜかというと、事業場で災害が起きた場合は、仮にそれが個人事業者で起きたとしても社会はどう見るかというと、その事業者がやったという報道になってしまいます。そういう意味では、こういう形で事業者がその作業場の中で起きるものについては責任を持つという形をとっていただくのは、管理上も非常によく分かるし、逆に事業者自身がしっかりとその労働者の環境に対する配慮をしない限りは安全上の問題が解決できないので、このように作業場を区分していただくのは大変いいように思います。
 それから、この中で少し先のことに触れますと、報告義務はどうするかということがありました。例えば同一作業場の中で起きた事故については、ISO45001番などで、仮に関連の業者が起こした事故であってもそれは報告対象になっているので、そういう意味で特に違和感なく聞いておりました。そういう意味では、今回この1のまとめの所で作業場所を指定しながら話をしていただいたことは、大変分かりやすいと思います。
○土橋座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。本多委員、お願いします。
○本多参集者 日建連の本多です。資料1について簡単に申し述べたいと思います。これまで建設業の立場で諸々申し上げてきましたが、資料1、2を含めて一定の内容を考慮いただき、作っていただいたことには感謝しております。8回の検討会になりましたので、恐らくこれから取りまとめに入られて、具体的なものが来年になったら出てくるのかと思います。場合によっては、具体的な省令改正の案なども出てくるかもしれませんので、それに先だってこれまで申し述べたことと結構繰り返しになりますが、私どもから3点改めてまた申し上げたいと思います。
 1つ目は検討の方向性です。検討会の開催要領には、労働者以外の者も含めた業務上の災害防止を図ることが目的であると明記されておりますが、これまでの議論では、個人事業者等の災害発生状況や稼働状況等を踏まえた検討が不十分なように感じられます。例えば建設現場のことで恐縮ですが、一人親方が請け負う業務は自ら完成することができる範囲に限られているため、一定の工数にほぼ限定されています。また建設業の場合には、個人事業者等が被災する災害の多くは、木造家屋建築工事や小規模な設備工事で発生しております。個人事業者等が稼働していない作業や被災していない作業について、省令改正を含む過剰とまでは申しませんが多用することは極力避けるべきであり、省令改正の必要性を議論する際には候補となった業務について、個別具体的な検討を行う必要があると思います。
 なお建設現場における災害防止については、厚労省の通達やガイドラインがこれまで大きな役割を果たしております。省令改正のみに焦点が当たりがちではありますが、資料にもありますが通達やガイドラインの活用についても、積極的に検討していただきたいと思います。
 2つ目は、本来の目的であります個人事業者等が被災する災害を減少するためのポイントです。個人事業者等が被災した災害事例を見ますと、不適切な作業方法に起因する災害が目立っているために、適正で安全な作業が行われるようにするため、個人事業者等の資質を高める教育について検討していく必要があると思います。個人事業者等は、基本的に自らの判断で業務を遂行していることを忘れてはならないと感じております。個人事業者等が単独で作業を行っていく際に被災している場合が多いため、災害防止策について十分な知識を付与するための教育も重要であると思います。これは資料2でも書かれているとおりです。労働者に義務付けられている特別教育については、個人事業者等に対しても同等の義務を課すことを、検討すべきだと思っています。
 それから一般的な安全教育については、法令で個人事業者等に受講を強制することにはある意味無理があるために、行政指導により安全教育の受講を勧奨し、行政や関連業界が連携して個人事業者等を支援していくことが望ましいと考えます。また、先般厚労省が設置した墜落災害の対策に関する実務者会合において、私ども建設業界出身の委員も賛同して、本足場を原則とすることを省令に明記するなど、墜落防止対策を強化するための諸施策が報告書に盛り込まれたばかりで、省令改正の効果などを見極める必要があるため、そうした事情についても加味した検討を行っていくべきだと思います。
 3つ目は、最高裁判決の射程の距離です。本質的なところで恐縮ですが、改めて申し上げます。厚労省が作成された資料によると、注文者が注文した仕事に係る作業場所や作業方法が個人事業者の安全衛生に影響を及ぼす場合には、安衛法の既存の枠組み、発注者、注文者対策で対応するという考え方は、最高裁判決で示された判断に整合するかのような表現があるため、最高裁判決を理由として安衛法第22条以外を根拠とする省令についても、改正が必要であると誤解されないことを危惧しております。私どもが認識しているのは、最高裁は労働者以外の者が行う全ての作業について、労働者と同等の保護措置を講ずる必要があると判断されているわけではないと思います。有害性と危険性は別個のものであるという共通認識の下で資料が作成されているとは思っておりますが、有害性に係る最高裁判決に伴う措置は今年の4月に行われた11の省令改正で、基本的に解決していると考えるべきだと思います。最高裁判決が、本検討会の方向性に影響を与えることがないようにという前提で議論を進めていただくことを期待しております。
 私どものこれまで発言したことで恐縮ですが、説明したいことは以上の3点です。建設業の立場は1産業にすぎませんが、個人事業者、一人親方等で70万人とも100万人とも言われておりますし、事業者は50万社です。1産業とはいえ、大きな影響が出てくる可能性がありますので、あえて申し上げた次第です。私どもの発言の根拠は、あくまでも建設というか、現場の実態、実情、それから頂戴しました個人事業者等の災害の内容を分析した上で申し上げているつもりですので、根拠のある話だとは思ってお話をさせていただいております。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。鈴木委員、お願いします。
○鈴木参集者 経団連の鈴木から、総論的なことを一言コメントさせていただきたいと思います。これまでの議論では、個人事業者等の方々の災害を何とか防ごうという共通の思いで進めてきていますが、各論に入りますと個別の論点で意見が対立するところも見られる印象があります。これまで本多委員から御指摘があった個人事業者等の災害の状況をしっかり踏まえて議論を深めるべきだということ。また、省令改正以外の方法も含めて議論を行うべきであるということ。広範囲な業種・業態を対象に議論をしていることから、例えばワーキングチームのようなものを使って、専門的な検討の場を設けることがあってもよいのではないか。いずれももっともな指摘だと感じました。
 重要なことは、現場の実態に即して議論を深めることだと思っています。今回、厚労省の事務局にいただいた資料の中に、一部事例を踏まえて細かく書いていただいたことは、議論を深める上で大変よいことだと思っております。これからも関係団体の声を十分踏まえていただき、かつ個別具体的な個人事業者等の災害の状況、どうすれば本当に災害は減っていくのかという視点を共有しながら、関係者が納得のいく議論の進め方を是非改めてお願いしたいと思います。私からは以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。インターネットのほうで三柴委員、お願いします。
○三柴参集者 大きく2点申し上げたいのですが。まず、個人事業者等を対象にどうやって災害を減らしていくかといったときに、責任論になると確かに立場によって言うことが分かれてきてしまうのですが、データの取り方については個々の災害について収集することも大事なのだけれども、それにもまして分析の部分が大事だろうと思います。ですので縷々申し上げるように、リスク管理の権限、情報を持つ方についてはリスク管理権者といいますが、個人事業者に一般的に生じる災害の傾向を分析して、そしてそれを行政に届け出るというような仕組みが考えられないかということが、1つ申し上げたい点です。
 それとの関連で、建設業界や経営者団体に対して申し上げたい、あるいはお尋ねしたいのですが。例えばこれまでに紹介した海外の事情や今後を考えたときに、産業はかなり急スピードで変わっていくわけですが、要するに現場発信というだけの発想でいいのでしょうか。お話を伺っていると、特にゼネコンさん中心に、かなり対策をやっておられるから規制は不要だと、あるいは緩くていいというお話かと思いますが。逆にやっているのだったら規制されてもいいのではないかとも思うのですが、そこはどうなのでしょうか。私も業界のお立場は理解するつもりなのですが、余り立場で言われると、かえって理解が及びにくくなる部分があると感じています。
 大きな論点の2つ目は、今回は最高裁の判決を1つのきっかけとして調整も可能なラインということを考えて、物や場所、作業方法といったところにまずは着眼して、今までの規制を拡大する方向で議論をしていると理解しているのです。正に今後のことをきちんと考えていくと、労災の防止効果、業務上災害の防止効果を考えていくと、やはり事業者というものの定義自体を考える、あるいは今後考えるヒントは提供しておかなければいけないのかなと思っています。今の事業者の定義は、事業を営んでいて人を雇用ないし使用するということになっておりますが、後半の部分は本来安全衛生に影響を与える、要するに正にリスクを生み出したり管理する権限、情報を持っているということになると思います。ですから、そこはある程度労働安全衛生の政策から、先鞭を付けていかないといけないのではないかと思っています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。特に2点目について、何か御発言はありますか。よろしいですか。
○鈴木参集者 もし補足があれば本多委員にいただきたいと思うのですが、。本多委員の御存じの所は、恐らく大企業というところもあり、建設業界に限らず中小零細企業も少なからずある中で、不安全行動に伴って個人事業者等の災害が発生している実態があると。その分析をしたときに、本人の意識改革みたいなところにもフォーカスを当てるべきという議論がこれまでもあったと思います。そのときに、行政が今までどのような周知活動を行い、どのような効果があったのか、効果が得られなかったものは何かという検証がない中で、いきなり議論をすることについては、違和感があるということはお伝えしたいと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。関連してありますか。
○本多参集者 鈴木委員、どうもありがとうございます。先ほど幾つか質問がありましたので、私の話せる範囲でお話はしたいと思います。この会合には日建連という建設業の立場で出ておりますので、その立場で話すのはお許しいただきたいとは思っております。ただし、個人的な意見で言っているわけではないですし、それから今のことだけを見据えて言っているわけではありません。若干、四面楚歌的な感じはありますが、これは現実を踏まえて言っている話です。
 実際にきちんとしたことをやっているから、規制がされてもいいのではないかという話がありましたが、それも一理あるとは思いますが、規制で罰則付きの省令改正をやって本当に効果があればよろしいのですが、効果は少なくとも建設業の現場では見られないと思います。ですから、きちんとした議論をして実態を踏まえて、効果があるものについてテーブルに乗せていくという進め方でお願いしたいということです。何でもかんでも反対しているわけではなく、そもそも改めるべきことや、納得できることにはもちろん積極的に賛同いたしますが、実情にそぐわないとか無意味なことや形だけの改正については、賛同することができないということを申し上げている次第です。
○土橋座長 Webからお二人手が挙がっていますので、まず出口委員、お願いします。
○出口参集者 出口です。よろしくお願いいたします。先ほどの日建連の本多委員、鈴木委員の発言は、私としては賛同いたします。資料の御説明、作成ありがとうございます。その中で資料の2に飛んでしまうのですが、例えば資料2の3ページ、この業務上災害の報告という所で、「事業者が管理する作業場において、個人事業者が休業を伴う業務上災害に被災した場合には、当該作業場を管理する事業者(建設現場であれば元方事業者、工場内であれば工場を管理する事業者、店舗内であれば当該店舗を管理する事業者)に、労働者死傷病報告と同等の内容を労働基準監督署に報告させることを義務付けてはどうか」という記載があり、建設業であれば元方事業者という提案、方向性を示していただいています。これに関しては、元方事業者が各個人事業者の管理の提出を義務付けられるのは、非常に難しいのではないかと考えています。やはり、一番円滑にこの提出する作業が進んでいくには、個人事業者と直接契約される直近の事業者ではないのかと考えております。
 また、個人事業者等が自ら元請けとして工事を施工したり、単独で作業を行う場合もあることから、個人事業者等の所属企業や団体が仮に報告できるようにすべきであると考えていますが、各業種によって非常に異なる作業体系があります。その仕組み自体は業種によって現状を認識し、詳細な検討をすべきであると考えております。
 先に本多委員、鈴木委員からお話があったと思うのですが、特に省令改正という形で進んでいく方向の流れもあるような感じがするのですが、やはりこの省令改正では、個人事業者等の災害を防止できるとは、効果があるようには考えられないと。やはり本質的な部分に着目して対策を講じていかなければ、逆になぜ省令改正したのかを大きく問われるのではないでしょうか。先ほど、実際実態がやっているから規制されてもいい、しかしそれは今まで建設業という業態の中で積み上げられてきた慣習的なものもあります。それ自身も細かくそれが本当に適正なのか、それが規制に該当していくようなものなのかということも、建設業に特化した、例えばワーキングチームなどを立ち上げて、専門的な検討が行われるようなスキームの整備をすることが望ましいのではないかなと考えています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。鹿野委員、お願いします。
○鹿野参集者 まず今回の資料全体についてですが、前回発言させていただいた所も恐らくは汲んでいただいて、非常に分かりやすい資料を出していただきました。そのことについて御礼を申し上げたいと思います。
 意見ですが、特に資料1については、基本的には先ほど三柴委員がおっしゃったことに賛成です。最高裁の判決の直接の射程となっているような部分については既に法改正がなされたということなのでしょうが、今回の検討は、その考え方の延長線上にあるような問題について、今後どうあるべきかを検討しているものと認識しています。そのときに、やはり三柴委員もおっしゃっていたように、海外のいろいろな取組等を見て、それも参考にしながら今後の日本のあり方を考えてみることが有益だと思います。日本でも、働き方がいろいろと多様化しておりますし、その中で特に安全衛生について考えた場合には、リスクを生み出しているもの、あるいはリスクの管理可能性があるものに、一定の安全衛生上の災害防止のための役割を担ってもらうというような方向で検討をすることが、適切なのではないかと考えています。
 今回の資料1の一番下の②に書いてありますが、注文者が注文した仕事に係る作業場所や作業方法が個人事業者の安全衛生に影響を及ぼすと考えられる場合という、割と柔軟な書き方がされているので、ものすごく広くこれに該当して規制が及ぶのではないかという御心配、御懸念を持っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、基本的な発想としては、私の思うところでは、やはりリスクを発生させる、あるいはリスクの管理可能性があるところについて、それに応じた一定の役割を担ってもらうということだと思います。業態がいろいろと違うというような御指摘もありました。具体的にそれぞれの業態でどこまでの義務付けをやるのか、あるいはもう少しソフトな形にするのかということなどについては、それぞれの業態で違いが生ずるかもしれませんし、可能性がないようなことを無理矢理押し付けるというような発想にはならないと思いますが、それはその具体化において検討すればよろしいかと思っています。
 そういうことですから、資料1については、表現が「影響を及ぼすと考えられる場合」ということでいいのかについて、若干の検討の余地があるのかもしれませんが、基本的な考え方としては賛成です。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。三柴委員、お願いします。
○三柴参集者 先ほど経団連と建設業界から、多様な御発言をいただきました。検証が必要、要は一歩一歩現場を踏まえてという御発言、よく分かります。業界に慣行があって、それによって安全を達成してきた面についても敬意を持っています。一方で、もし検証とおっしゃるのであれば、この委員会の中でも相手の発言を踏まえた発言をお願いしたいと思います。
 例えば災害の分析を行っているということでしたが、行政からも私からも例えば特別加入者についてのデータであったり、それから訴訟化した一定数のデータであったり、監督指導のデータに基づく発言であったり、国外のデータは出しているわけです。それについて全く発言を変えられずに、要するに同じことをおっしゃるとすると、ちょっとどうかなと思ってしまいます。
 それから、災害は何より分析の仕方次第なので、これは管理に問題があったのか、本人の責任なのかは見方次第の部分があるわけです。そこについては、どうお考えなのかと。もっと言うならば、安全衛生規制の歴史というのは、例えば危害防止基準を作るときもリスクを予想して定型化して規制してきたわけです。ですので、全部具体的な裏付けをといっていたら、一歩も先に進まないことになってしまうわけです。つまり、業界団体さんに対してお尋ねしたいのは、お立場でものをおっしゃるのもよく分かりますし、いいのですが、要するに安全衛生というのは産業の後追いでいいのですか。要するに戦略的展開というのは一切考えられないのでしょうか。そこは本当に気になっているところで、産業の伸展とともに災害の防止を真剣に考える1人として、ちょっとそこは気になっています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。さらに御発言ありますか。田久委員、お願いします。
○田久参集者 今発言を聞いており、私自身としては三柴委員や鹿野委員が言うようなことは、私も全体とすると賛成です。個人事業主の観点がグレーであり続けていることが、今もまだあるのではないかとは思っています。特に建設でいきますと、やはり一人親方というのはグレー的な扱いがかなり大きく、いざ事故が起こった際にそういった議論になってきているなというのがありました。ですから、基本的にはここで示されているように、事業場での管理が一番分かりやすいということは感じています。
 届出の関係も含めると、直近の人が理解するのが分かりやすいというのはそのとおりですが、建設でいうと統括管理をしなければいけないから、その直近がもし出したとしても、事業場で最高責任者がしっかりそこを把握すべきものだとは思うのです。そうしなければ、全体の安全という立場からすると、その対策、若しくは措置が進められることはないのだろうなと考えています。この間、それは大きな現場ということですから、もう一つは私たちの仲間も含めたり、これからそういったフリーランスの方も含めた所で、大現場で大きく人がいるということではなくて、個人個人でやっているような所も安全の措置に関していうと、個人任せはなかなか難しいと思っています。ですから、これは業界というよりも行政的な支援は強めていただきながら、大手現場と同等の安全対策がしっかり取れるようにしていくことが大事だし、私たちはそれを求めて建設労働組合としては進めてきましたから、そういった点で今後そういった人たちが様々な業界内に増えていくということであれば、一番そういった経験を進めてきた建設産業の両方の立場からきちんと見て、ほかの産業でも検討していただくことが大事かなと。
 もう一つは、この間、建設でいうなら国交省、厚労省との連携もありましたが、業界によってはそういったものがないと、そういった関連する省庁がないということであれば、こういった安全対策の措置をきちんと進めていくという観点、ガイドラインでやっていくなどと書いてありますから、そういった点も含めれば、是非そのような所所の関連省庁をこの機にしっかり決めて、そして本当に個人事業主やその現場で働く労働者、働く人が安心して安全に働けるような状況を作っていくことをここで示すことが、私は重要かなと思っています。そういった点では、今回こういった報告を分かりやすくまとめていただいたかなと思っていますので、是非その観点で進めていただければと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。資料にもありますが結構本質的な問題ですので、もう少し続けます。森委員、お願いします。
○森参集者 まずは立場を申し上げておくと、私も三柴委員等の今の御意見、前向きにやっていくということに賛成です。一方で、もう一点違う論点で、本多委員から危険源と有害要因は別だという発言がありました。私は、これは一体的に取り上げるのが当然だと思っています。
 例えばリスクアセスメントという概念からすると、一方で、アスベストのようなものは慢性ばく露、既に一定のばく露があることを前提に管理をしていく形になるので、同じ有害要因でも危険源とは別の形で扱わないといけませんが、同じ有害要因であっても急性中毒になるようなものでは、突然発生する状態というのは、ある意味危険源と同じです。逆も然りという事例があるわけですから、これを2つ分けて考えるべきではないと思います。有害要因について最高裁判決が示された以上、当然危険源に関しても同じようなことが発生はするという今回の検討会の議論は、然るべきだと私は考えております。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。山脇委員、お願いします。
○山脇参集者 基本的には三柴先生、鹿野先生のご発言の趣旨に賛同する立場です。
 その上で、今回の検討会において多様な背景を持つ方々がどこかで合意しなければならないという観点からすれば、最高裁判決で示された内容を拡充することについては、基本的には理解します。ただし、この資料1の②で「安衛法の既存の枠組みで対応」とされている点については、本当に既存の枠組みで対応できるのかどうか、※の「上記以外にも~」の記載を含めて検討が必要であり、資料2の中で詳しく論議していく必要があると思っています。
 また、本来であれば事業者概念について正面から議論していくのが筋だと思います。仮に本検討会においても結論を得ることが難しくても、今後に向けて、課題として整理しておく必要があるのではないかと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。ほかに御発言はありますか。本多委員、お願いします。
○本多参集者 反論するというわけではなくて、普通の意見として聞いていただきたいのですが。こういう議論について前向きに進めていくことについては、どなたも賛成だと思います。私も長年安全の業務に携わってきて、その重要性は十分認識しております。ビジネス以前に安全は大前提ですし、これから建設業でいうと、この建設業が発展していくためには、安全・安心な形で働けるような環境をつくるのが当たり前ですので、それを十分踏まえた上でいろいろ話したつもりですので、そこは誤解のないようにしていただければと思います。
 それから、有害性と危険性は別個の議論ということですが、それが一体であることはよく分かります。危ういということでは有害性も危険性も同じですが、有害性について一旦省令が改正されて、今進められようとしていますが、危険性について、もっとしっかり地に着いた議論をして進めましょうということを申し上げている次第です。机上の空論ではなくて、地に足が着いた形で議論を踏まえてやっていくことが、とても大事だということを申し上げている次第です。一見、今日のこの検討会が建設業がやり玉になっているような感じがしますが、実は建設業に問題があるのではないのです。それ以外の所に課題があるということをよく分かっていただいて、そちらの議論に集中することが重要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○土橋座長 御発言ございますか。特に個人事業者のほうから今は出ておりますが、安全を保つということを目標にしているようです。建設業につきましても、かなりある意味では業界の様々な規制というのは、どちらかというと多いと私も認識しておりますので、そういった意味では一番多くやっていて、逆にそういうものをもっとほかの部分にも、展開すべきではないかということで、そういった意味でも前向きな議論ができればとは思っております。
 資料1については何か御発言はございますでしょうか。よろしければ資料2にまいりたいと思います。(1)から(5)まであります。まず資料2の(1)につきまして、御質問、御意見等ございましたらお願いします。
○鈴木参集者 御説明ありがとうございました。私から3ページから4ページにかけて、業務上災害の報告についてコメントさせていただきたいと思います。今回、事務局から示していただいた検討の方向性の案では、「事業者が管理する作業場所において、個人事業者が休業を伴う業務上災害に被災した場合には、当該作業場所を管理する事業者に、労働者死傷病報告と同等の内容を労動基準監督署に報告させることを義務付けてはどうか」という記載があります。まず、この報告をさせることで、個人事業者等の被災状況を把握して、災害防止につなげていく取組というのは、大変重要だと思っております。その上で、私はこの報告主体として、今回の資料で示された作業場所を管理する事業者ではなく、前回の資料で示された個人事業者本人が適当ではないかと考えております。
 第1に、業務上災害が発生した場合、その状況を最も良く把握しているのは本人だということ以上に、作業場所を管理する事業者が現場にいるとは限らないということと、全ての業界が、例えば元方事業者の責任で管理する体制のような長い歴史を持っているわけでもないということ。第2に、個人事業者が従業員を雇用している場合、当該従業員の業務災害は、被災した作業場所にかかわらず、個人事業者が労働基準監督署に報告することになっております。個人事業者本人が被災した場合のみ、場所を管理する事業者へ報告主体が変わるということについて、違和感を覚えるところです。
 第3に、作業場所を管理する事業者に報告させると仮になった場合、ここは御議論があるかもしれませんが、発注者・受注者間の力関係というようなことがある中で、次の受注への影響を心配して、個人事業者が被災状況を事業者に報告しない、申告しない事態も考えなければならないのではないかと思っております。したがいまして、個人事業者本人による報告を原則としつつ、先ほど事務局からも御指摘があったようなケース、例えば被災した個人事業者が入院したり、死亡したりするなど物理的に報告が困難な場合は、作業場所を管理する事業者、あるいは個人事業者が加入する団体等が、報告を代行できるの仕組みとすることが適当ではないかと考えているところです。以上です。
○土橋座長 報告者についての御意見を頂きました。ほかにいかがでしょうか。
○山脇参集者 私は3ページの「事業者の管理する作業場」について、報告義務を事業者に課すという方向性については、賛成の立場です。
 その上で、事業者が管理する作業場だけでよいのかどうかという点では、4ページの「被災した作業場所を管理する事業者がいない場合」を含めて、労働者と同様に広く報告を課すことも検討すべきではないでしょうか。先ほど鈴木委員からは事務局案は整合性が取れていないのではないかという趣旨の発言がありましたが、むしろ個人事業者を労働者の取り扱いと合わせることで整合性を取るという考え方もあるのではないかと思います。
 次に、4ページの上の1つ目の○では、事業者が被災労働者と雇用関係がないことを背景として、罰則の対象としないという考え方が示されていますが、果たして罰則の対象とせずに実効性が担保できるのか、考えていかなければならないと思います。ここに記載されているような罰則の方策に限定せず、例えば事業者に対して罰則を課した上で、事業者が必要な措置を取っていたにもかかわらず、個人事業主が必要な対策を行わなかった結果として、事故報告ができなかった場合には、免責されるような規定を設けることも選択肢ではないかと考えます。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。Webのほうで三柴委員お願いします。
○三柴参集者 これこそ地に足の着いた対策を講じるための要点であろうと思いますけれども、先ほども申し上げたように、基本的にはリスク管理権限を持つ方が報告を行うべきという考えであります。フリーランス等に、個人事業者等に、安全衛生を及ばそうと思えば、誰に報告義務を課したとしても、完全は期しえないはずなんです。なので、オーストラリアのように連帯責任という考え方もあり得るわけですが、正に実態を踏まえるならば、管理権限者にまずは課すべきだろうと。そうすると行政の提案のように、元方等が入口になるだろうと思うということ。それから、さりとて完全なデータの補足が無理だというのはよく分かりますので、集団ストレスチェックのときに個別のチェックと合わせて、集団分析という枠組みを作ったわけですが、むしろその集団分析に当たるもののほうが重要ではないかというように申し上げたいわけです。要するに個人事業者等の災害というのはどういう傾向なのかということをリスク管理者がしっかりつかんで、それを行政に報告する過程で、自らも実効性のある対策に気づいていく、認識していくということかなと思っております。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○中村参集者 私は先ほども申し上げたように、この事業者は実際上のリスク管理はできるという立場でものを見ております。そういう意味で考えますと、その事業者が管理できる中で起きた事故については、その事業者はちゃんと報告せよというのは、私は当然だと思うし、逆にその事業場で起きた場合は、仮にその個人事業主が事故に遭ったとしても、社会はそれを事業場で起きた事故として評価すると思います。出た場合に、どこまで管理できるかということで、この3ページ目の下の緑の所は、私は重要だと思うのですが、その次のページの所で、被災した作業場所を管理する事業者がいない場合どうするかというのは、逆に今度は事業者の立場からいうと、自分がリスク管理できない所で起きた災害に対して、果たしてそこまで義務付けられるのは逆にどうかというと思います。そういう意味では自分が管理できる所だったらそれは事業者の責任、そういう意味で先ほど同一の場所という場所の限定、資料1に書かれたのは、私は非常に意味があると思って聞いておりました。以上でございます。
○土橋座長 ありがとうございます。ほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは続きまして、資料2の(2)です。こちらについて御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
○本多参集者 この内容については、具体的なものが見えてこないとなかなか真剣な議論ができないと思うのですが、今、感じるところで1点お話をしたいと思います。具体的なということでありますので、それ以前のところで、安衛法の第25条を根拠とする省令は、災害発生の逼迫、急迫した危険があるときの作業中止又は作業場からの退避等を規定しているものであり、そのような場合の危険は、労働者と労働者以外の者で差異はないでしょうから、個人事業主も対象とすることに異論は全くございません。
 一方で安衛則等に規定する立入禁止措置については、有害性に起因する立入禁止措置と異なり、単純に個人事業者等も対象とする改正を行うにはなじまない条文が、幾つかあるということを申し上げざるを得ません。例えば、車両系建設機械との接触防止のための立入禁止を規定した安衛則の第158条は、運転中の車両系建設機械と労働者等との接触を防止するための規制であり、個人事業者等が車両系建設機会の運転を行っている場合における、運転者自身の危険を防止するための規制ではございません。更に同条には、誘導者を配置し、誘導を行った場合の適用除外規定が設けられており、立入禁止措置を講じなくてもよい場合が当然あり得ることになります。また、物体の落下による危険防止について規定している安衛則の537条は、防護のため安全ネット設備を設けて、立入区域を設定する等の当該危険を防止するための措置を講じなければならないと定めておりまして、立入区域の設定は例示された措置の1つに過ぎません。省令改正は機械的に行うのではなくて、改正の必要性がある条文に限定していくといった方向性については、理解が進んでいると感じますけれども、具体的な条文について、構成要件を確認しつつ、個人事業者の災害防止を図るための有効性や必要性について、個別に検討していく必要があるということを繰り返し申し上げさせていただきます。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。
○山脇参集者 5ページの「検討の方向性の案」の下から2行目に、「個人事業者等に保護具を使用させることまで事業者の義務とはいえないとする判決の考え方も踏まえ」と記載をされていますが、最高裁の判決はこのようなことまで判断をしているのでしょうか。私の理解では、その判決は行政が行った施策に関して、国家賠償責任法上の違法性があるかどうかを判断したに過ぎないのではないか、つまり、国が労働安全衛生に関して、取るべき責務の適否を判断した判決ではないのではないかと理解をしています。事業者等に保護具を使用させることが事業者の義務とは言えないということまで、実際判示をしていたのかどうか、改めて事務局の見解を伺いたいと思います。
 そのこととは別に、「検討の方向性の案」について意見を申し上げます。前回の検討会においては、中村先生からは事業者に保護具を使用させる義務を課してはどうかという提起もありましたし、私からは従事させないという措置を取ってはどうかと話をさせていただきました。事務局から提起のあった周知義務を含め、これらの事例のいずれを取るのか、あるいはそれらを組み合わせるのかについて、個人事業者の労働災害を防止する観点から、最もふさわしい施策は何なのかということを、この検討会においてしっかりと比較・検討するべきではないかと考えています。
 また、前回に検討会で鈴木委員から、私の提起した「させない措置」が、現行法上に同様の規定があるのかといった御指摘を頂いたと記載があります。安衛法の第29条が既に元方事業者に対して同様の趣旨の責任を課しており、リスクの重大性や責任の所在、管理のしやすさなどから、新たに事業者に対して、「させない措置」等を義務付けること自体は検討に値するものと考えていると考えています。
 なお、仮に当該措置を導入した場合、当該措置を講じていないこと以外の理由によって、個人事業者が仕事から排除されることのようなことは、あってはならないと考えています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございます。質問について、事務局お願いします。
○中村産業保健支援室長 最高裁判決について御質問がありましたので御説明させていただきますと、今回の最高裁の判決は、判決文そのものに全てが書かれているわけではないのですが、最高裁が採用した高裁の判決、それから採用していない高裁の判決、いろいろあるのですが、採用した高裁の判決の中に、裁判所の考え方がいろいろと説明をされておりまして、その中に保護具を一人親方等に使用させることまで事業者の責任であったということまでは言えないという考え方が示されているということです。
○土橋座長 そのほか、発言ございますでしょうか。
○中村参集者 この議論は前回、私は周知義務程度では弱いのではないかと言っていたことの反映だと思います。私は先ほどから言っているように、その事業場の管理できるところの中で、事故が起きたものについては、そのリスクを管理できる者が、それなりの責任を持っていることは、逆に言えばそれだけのことに責任を持つ以上は、もっと強くきちんと実際働く人に対して、ちゃんと指示をしてもいいのではないかという趣旨で前回申し上げました。そういう意味ではこの資料の真ん中の所で前回言ったことをきちんと書いていただいているので有り難いと思います。
 もう1つ全く別な意味で、労働安全管理の立場からいうと、同じ職場の中で働いている者に対して、一方には義務を課し、一方にはそれは裁量だというのは、やはりなじまないような気がするので、同じ職場である以上は、同じような安全上の措置を講じていただきたいと前回申し上げました。今回はそのようになっているので、書き方としてはこの辺が限界だなと思いながら読んでおりました。
○土橋座長 ありがとうございました。そのほか発言ございますでしょうか。ではよろしいでしょうか。それでは資料2(3)に関して御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
 特になければ次の論点、資料2(4)に関しまして御質問御意見がございましたらお願いしたいと思います。山脇委員お願いします。
○山脇参集者 20ページからの「措置を講ずべき者の明確化」について、今回21ページに新たに赤字で追記された、個人事業者等も対象とするということが、保護の対象とすることを明確にすることとしてはどうかという点に、賛成だということを申し上げておきたいと思います。
 もう1点は、23ページのプラットフォーマーに関する検討の方向性の案についてです。「まずは」から始まる文書では、やれるところからやりましょうという趣旨なっていると理解していますが、前回も申し上げたとおり、プラットフォーマーの中には実質的に作業の安全衛生に影響を及ぼす立場にある者もいるので、そういった者に対しては注文者に求めているのと類似の義務を課す、あるいは安全で衛生的な作業の遂行に関する措置を講じていない個人事業者を作業に従事させてはならないというような規定を設けることによって、リスクに応じた対応をそれぞれ図ってはどうかということです。単なる配慮だけではやはり実効性は確保できないのではないかと思っています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。森委員。
○森参集者 緑の一番上で注文者に対して個人事業者に対する教育・健診等に関する情報提供というところで、特殊健康診断に関する情報提供もこれに含まれるのだと思います。そのことをきちんと書いていただいてありがとうございます。この件につきまして、先ほどの保護具に関しては「周知すべき内容を明確化するとともに」というように、何を周知しなければいけないかという範囲も、何らかの形でガイドラインで示していただくような書き振りにしていただいておりますが、特殊健診についても同様の対応が必要かと思います。むしろこちらのほうがどのぐらいのばく露があって、どのような特殊健診が必要なのかという、より具体的な情報がないと個人事業者は特殊健診の選択すらできないという状態なので、特殊健診についても「必要な情報を明確化するとともに」といったような要素を入れていただければと思いました。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。
○中村参集者 ちょっと戻ってすみません、18ページの所で、関連する作業者の混在作業のことでいろいろ書いてあるのだけれども、通常の例えば個人事業者に対してではなくて、関係関係請負人が労働者を使用する場合は段取り調整とかそういうところを、かなり明確に元方指針で書いていると思うのですけれども、ここでは個人事業者はこの場合どういう立場になるのでしょうか。ちょっと質問なのですけれども。
○土橋座長 18ページに関して質問ということですが、事務局いかがでしょうか。
○船井安全課長補佐 上の①のほうですかね、元方指針ということだったので製造業の元方指針の話だと思うのですけれども、もともとこの30条の2に基づいて製造現場での混在作業というのを想定していた際には、前の論点(2)の所でも出てきたように、元方事業者の労働者と、関係請負人の労働者の混在ということだったので、余りはっきりと一人親方、関係請負人の方が個人事業者であった場合というのがカバーできていなかった、想定していなかったということがあります。
○中村参集者 そう理解していました。
○船井安全課長補佐 それを今回は個人事業者であっても混在対象に入れましょうという話になる。そうなりますと当然元方指針の中でも、1人で作業する個人事業者の混在についてもちゃんと考慮して連絡調整等をやりましょうという形で、手当てをするという形になろうかなと思います。
○中村参集者 分かりました。そういう意味では今度の場合は、これからの混在作業の中で、こういう個人事業主もある程度段取り調整、連絡調整の中に加えていくという考え方。
○船井安全課長補佐 そうですね、(2)の所で書き換えたのはそのつもりでして、実際の現場ではそういうふうにやられていると思うのですね。あなたは個人事業者だから、混在していても関係ないですよという運用は、恐らくされていないと思うので、その実態に合ったような形でしっかりできるような作りにしたいなと思っています。
○中村参集者 分かりました、ありがとうございます。
○土橋座長 それでは(4)につきましてほかにありますでしょうか。清水委員お願いします。
○清水参集者 20ページの所で納品に行く所で、いろいろな作業があるのですけれども、そこが機材を使ったりということで、建築物貸与者あるいは機械貸与者の作業する施設が問題があったり、それによって労災が起きたりということで法人の事業主も個人の事業主も、事故に巻き込まれるという可能性が大いにあって、そこの責任を明確に建築物貸与者なのか、機械貸与者にしていくというのは、義務付けだけではなくて法的なものを盛り込んでいただくというのが必要かなと思っています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは資料2(5)につきまして、御質問、御意見ございましたらお願いいたします。中村委員お願いします。
○中村参集者 (5)はこれまで私がこの委員会の中で言ってきたことを、丁寧に記載していただいてありがとうございます。私は実はコンビナートの人材育成教育の団体を今主催しています。そこの場でこういう何が問題なのかと言うと、それぞれの人の支払能力がない人に対して、どういう形で実際の安全教育をやっていくか、これが大きな課題になっています。というのはその人達にお金を出せと言ってもなかなか出てこないのが実態であるし、じゃあそれが元方が負担せよと言ってもいいのかというところもちょっと疑問だったので、こういうふうに書いていただくことについて非常に有難く思います。
 それで1つだけ私の提案と言ったら変なのですけれども、ちょっとここに途中で書いていただいたように、必ずしも元方だけではなくて、その個人事業主が働いている地元の地方自治体からも何らかの支援があるようなことを、もっと明確に書いてもらったほうが分かりやすいのではないか。そうすれば実際に個人事業主が教育を受けるときに、何らかの補助金が地方自治体等から出てくることになればいいのではないかなと思っています。
 現実に今私のやっている所では、関係している市の中でそういうことを検討しようと言っていただいています。そういう意味では個人事業主その他を非常に広く保護する意味で、単にそれを事業主とか元方だけの支援は、それはもちろん必要なのだけれども、それとともにということで書いていただければ有難いなと思って見ていました。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。森委員お願いします。
○森参集者 最後の赤で示されている所は、極めて重要なことかと思っています。私たちは中小企業の安全衛生、特に健康管理等をサポートしようとすると、彼らは資源が少ないので労務のことはどこどこ、安全衛生はどこどこ、お金のことはどこどこと、別々に相談窓口があるということが極めて、相談窓口に到達する際に困難な状況を生じさせています。
 要は、ここには「業所管官庁などが連携して」とありますが、中小企業の経営者がどこに普段相談をしているのだろうかということを、もう一度確認をしていただき、これは業界団体なのかもしれませんが、そこを通して様々な情報が行く、または相談窓口につながるといった配慮を是非していただくといいのかなと思いました。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。田久委員お願いします。
○田久参集者 今、森委員が言われたことをそのとおりだと思いますし、実際にアスベストの問題でいくと、環境省、厚労省、国交省とばらばらで、現場に行けば監督署に出して、自治体に出してというこういう大変な作業。または住民がどこに相談に行くというところでも、自治体に行くべきなのか、監督署に行くべきなのかということがあったと聞いていて、その中で川崎市などではアスベスト課というものを作ったことによって、アスベスト全ていろいろな問題、体の問題、それと建設のそういったアスベストの使われている問題、そういった様々な部分ということも含めて、健康問題も含めて相談ができるようなことがあったということであれば、やはり個人事業者の相談先、先ほど森委員が言われたように、やはり1つに中小零細事業主でありますから、1つここに相談すれば解決できるということは、やはりきちんと考えて、ここに電話をすれば一通り相談、ここに行ってくださいではなくてそういうふうにしていただきたいなというのは、改めてお願いしたいというか、そういう方向で議論をしていただければと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。山脇委員お願いします。
○山脇参集者 よろしければちょっと戻らせていただいていいでしょうか。
○土橋座長 結構ですよ、どうぞ。
○山脇参集者 先ほど(2)の所で発言が漏れてしまった点があるので、2点ほど申し上げます。
1点目は8~9ページの安全衛生教育および、健康診断受診に関してです。9ページでは、対策の方向性の案として、一番最後に経費のことについても触れられています。ここは大変重要な話だと思っています。当然のことながら、周知するだけでは実効性は担保できませんので、周知するにしてもその中身が大変重要だと思っています。
 これらに係る経費について、発注時の費用としてしっかりと価格転嫁できるのだということまで含めて周知するということがなければ、実効性は確保できません。その点を含めて促していくという方向を明確にしていくべきと考えます。
 もう1点は18~19ページの連絡調整の関係です。こちらでは第30条と第30条の2ということで一括して記載されているところですが、私は参加していなかった第2回の検討会の議論を改めて確認したところ、やはり死亡事故例を見ても作業間の連絡調整がしっかりと行われてさえいれば、防げた死亡事故が少なくなかったのだろうということがよく分かりました。
 このうち第30条自体を業種を問わず全体に適用するというのは当然難しいかもしれません。他方、第30条の2の第1項に関して通達では、具体的な手法として、段取りの把握、段取りの調整、請負人への指示ということが記載されています。これらの内容であれば、混在作業の必要がある業種においては、業種の如何を問わず当たり前にやるべきではないかと思います。したがって、第30条の2については混在作業の必要がある全ての業種に適用拡大することも含めて検討してはどうかということを提案したいと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。多少時間があります、全体通しまして何かありましたら御発言いただけます。いかがでしょうか。鈴木委員お願いします。
○鈴木参集者 ありがとうございます。ただいま山脇委員からの御指摘の点は、重要だと思います。全業種で段取りの把握、調整、請負人への指示といったご提案ですが、繰り返しで恐縮ですけれども、業種・業態によって大分状況が違うと思いますので、業種・業態ごとにどのような対策が必要なのか、必要でないのか、あるいは独自のものが必要なのか、深掘りの議論をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。大木委員お願いします。
○大木参集者 今の話ですけれども、いろいろな業種のヒアリングをしまして、建設業とは全く違うなという思いがしますので、それに関連してやはり建設業に関して混在だとか統括管理という、職種に関連して深掘りする委員会をやるのか、そういったことが必要だと思っています。
 また個人事業主に対する支援の仕方ですけれども、この検討会が始まったときに、この場では補償のことは議論しないということだったのですけれども、やはり特別加入の加入率が非常に半分しかないとか、労災保険は個人負担全くなしでしますけれども、個人事業主は自己負担しなくてはいけない。その辺の費用も含めた議論の場があってもいいかなと。
 それが災害の報告にしても、個人事業主は多少のことだったら次の仕事が取れなくなるから、報告しないということになる。しかも補償もされないとなると、正しいデータも出てこないのではないか。補償も関連した議論した場所が必要だと、そんなふうに思っています。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。ほかいかがでしょうか。中村委員お願いします。
○中村参集者 私は今回の議論をずっと聞いていて思ったのは、個人事業主と言ってもいろいろな業態があって難しいと思う中で、今回の厚労省のまとめを見ていて思ったのは、一体作業場所はどうなっているのかということで1つの区分をしようとされたということ。それからもう1つ今日読んでいて確かにそうだなと思うのは、誰がそこの場のリスク管理ができるか、その2つの視点を持って個人事業主といういろいろな業種があるのだけれど、工夫して大枠の議論をまとめたらいいのではないかと思って聞いていました。
 そういう意味で場所を指定するということ、つまりその場所というのは管理が及ぶ範囲かそうでないかということ、その中でも特にリスク管理が誰が主体を持って管理できるかということ。その辺をしっかりやっていただければ、たくさんの業種があるのだけれど、大枠のことはできるように思って聞いていました。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。Webの三柴委員お願いします。
○三柴参集者 今回の検討での1つのポイントは、これまで安全衛生対策が再発防止を力点に半ば継ぎ接ぎ的に行われてきた。しかし最高裁判決も出たところで、またいろいろなマクロ的な変化があるところで、対策の普遍性を求めるということは1つあると思います。地に足の着いた議論と、戦略的普遍性と両にらみでいかないといけないと思っていまして、業種・業態に応じた災害分析と対策の検討においては、前回申し上げましたように場所とか有害物とか設備とか作業方法とか、そういう切り口で例えば新しい業態・業種が出てきたとしても対応できるようにしていく必要があるだろうというのが1点です。
 それから個人事業者等の保護というと、漏れが生じること自体はもう避けられないと思うのですが、1つ漏れが生じるリスクはやはり縦割りの行政の仕組みがあると思います。例えば自治体がインキュベーションセンターみたいなものを作っていますけれども、これは積極的にベンチャーを展開していこうというようなフリーランスを支援するという趣旨だと思いますけれども、例えばそういうところに行ったらワンストップサービス的にいろいろなサービスを受けられる。フリーランスの儲け方から、社会保障への加入の仕方から、いろいろな情報を得られるというところ。そこには両立支援において省庁連携で連名で文書が発布されたというのと同じように、行政の横のつながりというのも非常に重要になってくると思いますので、手順は踏むにしてもそういう方向も検討されていいかなとおもっています。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。そのほかございますでしょうか。本多委員お願いします。
○本多参集者 日建連の本多です。過去の数回の所でいろいろな業界の方々からヒアリングが行われて、本当に業種によって全く異なるというのは皆さんがおっしゃる通りです。そういう中で、本当になんとかしなければいけないことがたくさんあるのは私も同感でありますし、皆さんも同じだと思います。そんな中で方法論として、総合的あるいは一般論としてそういう方を救うということで、法規制でやっていくのも一つの方法なのでしょうけれども、それに至らない段階のところもたくさんあって、仮にですけれども省令改正ありきということでの議論だと、何の実行も伴わないと思いますので、やはり議論の進め方としては丁寧に進めていただいて、守れないことを法規制しても意味がありませんし、そういうところで是非とも実行性のあるというところで、ガイドラインとか通達とかいうところをまず中心に考えて、いろんなものについて個別の状況を考えて、この際必要であればテーブルに乗せていくという進め方が一番いいのではないかと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。それでは青木委員。
○青木参集者 住団連の青木です。事業者の規制強化とか義務化、更には罰則等、こういったものがある程度増えてくるのは、場合によってはやむを得ない項目もあるかとは思うのですが、ただ中には罰則が強化されたとしても、やはり先ほどからいろいろ御意見がありましたように、それによって労災が減るわけではないというものも結構あると思います。
 そういった効果があるかないかということも踏まえながら、その辺りは決めていただきたいと思うのと、それからやはりもしそういった義務化であるだとか、そういったものが仮に事業者側にいろいろ求められるということであれば、同時に個人事業者に対しても同様にそれに対して呼応するような義務化というものも必要だと思います。
 やはり労働者と違って単純に事業者に守られるだけの立場とはちょっと違いますので、それをやはりセットで考えていただきたいと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは多方面から様々な御意見をいただき、ありがとうございました。本日の議論につきましては事務局において整理をお願いします。それでは最後になりますが、その他として事務局から何かございますか。
○船井安全課長補佐 本日は御議論ありがとうございました。これまでの議論を踏まえて修正しました論点につきましても、まだ一方向ではなくて複数の観点が示されるなど、引き続きオプションを示して議論を深めていただく必要があると感じました。次回に向けてそういった点につきましても整理をしたいと思いますが、今日は十分時間を取って議論していただいたつもりではありますけれども、そういう取りまとめに当たりましては、個別の委員の方に御相談させていただく機会もあると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 あと連絡事項としましては、正式には後日改めて御案内させていただきますが、次回は年明け2月13日月曜日、午後の時間帯に開催させていただくことを予定していますので、よろしくお願いします。また本日の議事録につきましては、参集者の皆様に御確認をいただいた上で公表することとしたいと思います。以上です。
○土橋座長 本日は長時間にわたりまして活発な御議論をいただき、ありがとうございました。それでは以上で第8回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を閉会いたします。どうもありがとうございました。