2022年3月9日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 プログラム医療機器調査会 議事録

日時

令和4年3月9日(水)14:00~

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール14A

出席者

出席委員(13名)五十音順

 (注)◎座長 ○座長代理
 
 他参考人2名
 

欠席委員(0名)

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  関野秀人(医療機器審査管理課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
  •  高橋未明(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当))  他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは、定刻の14時になりましたので、これよりプログラム医療機器調査会を始めさせていただきたいと思います。
 私は、医療機器審査管理課長の関野でございます。冒頭の事務的な連絡を含めまして、私のほうで担わせていただきたいと思います。
 まず、先生方におかれましては、13名の委員で構成している調査会でございますけれども、本日も、お時間を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。
 御案内のとおり、現地参加のオンサイトでの開催とともに、できる限りの先生方に御参加いただきたく、リモートでの御出席もということで、本日もハイブリッドで開催させていただきます。
 まず、本日の調査会の出欠状況について報告させていただきます。現時点で、オンサイトで御出席いただいている先生方が4名、リモートで出席いただいております先生方が7名いらっしゃいます。あらかじめ出席と御案内いただいていますが、大島先生におかれましては、間もなくログインしていただけるのではないかと思っております。また、松尾先生に関しましては、15時過ぎにリモートで入られるという御連絡をいただいておりまして、その後、15時半ぐらいまでの時間でございますが、お時間を頂戴して御出席いただけるということで、感謝を申し上げたいと思います。そして、今出席いただいている先生のうち、橋本先生と三村先生におかれましては、15時ぐらいをめどに御退室と伺っております。このような結果、開会の現時点とそれぞれの審議事項の時間帯で、恐らく先生の出入りはございますが、ともに定足数を達しておりますので、本日の調査会は成立しておりますことをまずは報告させていただきます。
 次に、本日の審議の関係で参考人の先生方に御出席いただいております。
 まず、議題1の関係で、国立研究開発法人国立循環器病研究センターの豊田一則先生に御出席いただく予定としてございます。リモートでの参加になります。
 議題2の関係で、国際医療福祉大学医学部の松本哲哉先生に参考人として御出席いただく予定としております。
 次に、調査会を開始する前に、事務局より、所属の先生方の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。
 薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されてございます。
 今回、全ての委員の先生方にあらかじめ薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、これにつきましても報告をさせていただきます。
 先生方におかれましては、会議開催の都度、こういった形で書面を御提出いただいておりまして、御負担をおかけするところでございますが、引き続き御理解と御協力のほどお願いしたいと思います。
 次に、事務局より、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明をいたします。
 よろしくお願いします。
○事務局 事務局でございます。
 本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明いたします。
 平成13年1月23日付の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日全ての議題については、医療機器の承認審査等に関するものであり、企業情報に関する内容が含まれるため、非公開といたします。
 これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。
 会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表のみを紙でお配りしております。
 また、ウェブにて御参加されている調査員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料1~3、及び、昨日メールにて追加送付しました、各議題品目の専門協議委員リスト、資料4及び資料5をお手元に御用意ください。
 タブレットの操作について御不明点等がございましたら、お近くの事務局員までお声がけいただければと思います。
 次に、ウェブ会議で御参加されている調査員の先生方へ注意事項を御説明いたします。審議中は、マイクミュートでお願いいたします。御発言される際は、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手いただき、座長から指名された後に、マイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に、御発言いただきますようお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで一報いただければと思います。
 続いて、本調査会の利益相反について御報告いたします。
 資料5「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。
 まず、1ページ目にCureApp HT 高血圧治療アプリについて、2ページ目にnodocaについてとございますので、必要に応じて御覧ください。
 本日の審議事項に関する競合企業として、資料5に示す企業について、調査員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の審議不参加の基準に基づき、審議に参加できない調査員はいらっしゃいません。また、同規程第13条の議決不参加の基準に基づき、議決に参加できない調査員の先生もいらっしゃいませんでした。
 以上、報告いたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは、以上になります。
 ここまでで、リモートの先生方、音声等で聞きにくい等がございましたら、お申しつけいただければと思いますが、大丈夫そうであれば、この後の進行につきまして荒井座長にお渡しいたします。
 よろしくお願いいたします。
○荒井座長 よろしくお願いいたします。
 まず、ここまでの事務局からの説明につきまして、何か御質問等はございますでしょうか。
○豊田参考人 豊田でございます。
 昨日送っていただいた追加資料4~6は、私の勘違いでなければ、受け取っていないように思うのですけれども、これはメールでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
 申し訳ございません。参考人の先生にはお送りしておりませんでした。一方で、審議に影響はないので、御安心ください。
 よろしくお願いいたします。
○豊田参考人 分かりました。
○荒井座長 そのほか、何か、御質問、御確認いただきたいことはございますか。
 よろしいですか。
 よろしければ、これから議題に入りたいと思います。
 まず、議題1です。医療機器「CureApp HT 高血圧治療アプリ」の高度管理医療機器、管理医療機器または一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品または特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否並びに使用成績評価の要否を始めさせていただきます。
 本議題につきましては、先ほどお話がありました、豊田一則先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から、説明をお願いします。
○事務局 議題1につきまして、事務局より御説明いたします。
 本議題では、医療機器CureApp HT 高血圧治療アプリの、高度管理医療機器、管理医療機器または一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品または特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いいたします。
 まずは、本品の承認に伴い新設を予定しております一般的名称の案について御説明いたします。
 お手元の資料1-2を先に御覧ください。
 既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対しては、調査会の御意見を聞いて、新たに一般的名称を新設することになります。今回、CureApp HT 高血圧治療アプリに対応して新設を予定する一般的名称は「高血圧症治療補助プログラム」でございます。
 定義は、そちらにお示ししておりますとおりですが、「行動変容を促すこと等により、高血圧症の治療の一部として行われる生活習慣の指導等を補助する医療機器プログラム。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」としてございます。
 本品は、クラスⅡ、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。
 また、本品は保守点検を行う必要のない医療機器であり、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えてございます。
 一般的名称の新設に関する説明は、以上になります。
 続きまして、審議品目及び審査の概要につきまして、総合機構から御説明させていただきます。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。
 資料は、資料1、医療機器CureApp HT 高血圧治療アプリの製造販売承認の可否等についてという資料を御覧いただきたいと思います。
 本審査に当たり、帝京大学河野雄平先生、社会医療法人製鉄八幡記念病院土橋卓也先生、国立研究開発法人国立循環器病研究センター豊田一則先生の3名の専門委員の先生から御意見を頂戴いたしました。
 それでは、審査報告書を用いて審査概要を説明いたします。御覧になっていただいていますファイルですと、下に緑色の文字で3/410と書いてあるところからが審査報告書になります。以降は、審査報告書本体下の黒色のページ番号及び左に記載の行番号を用いて説明させていただきます。
 初めに、本品の概要を説明いたします。審査報告書、6ページを御覧ください。黒色の文字で6ページでございます。2行目、審議品目の概要に示しますとおり、本品は本態性高血圧症の患者に対して使用されるプログラムです。患者のスマートフォン等にインストールして使用される患者アプリケーションと、医師が診療の際にデータ閲覧するために使用する医師用アプリケーションから構成されます。以降、それぞれを、「患者アプリ」、「医師アプリ」と言います。患者アプリの機能の概要を表1に示しております。患者アプリでは、まず、患者に対し、高血圧診療に関する知識の習得をさせ、次に、生活習慣の修正に係る行動の実践を促し、最後に、取り組みやすい行動を中心に習慣化を促します。医師アプリは、患者アプリで取得した情報を医師と共有し、診療所の参考となる情報を提供します。なお、8行目に示しますように、本品は医師の指導の下で使用されるものです。長期にわたり医師の診療を受けていない患者に対しては、患者アプリが使用できなくなるよう管理されています。
 次に、開発の経緯について説明いたします。審査報告書、7ページの29行目、開発の経緯を御覧ください。本態性高血圧症に対する治療には、薬物療法と非薬物療法があります。このうち本品のコンセプトである生活習慣の修正は非薬物療法に含まれておりますが、薬物療法の有無にかかわらず、全ての患者に適用されます。
 審査報告書、8ページの4行目から示しておりますが、生活習慣の修正が抱える課題として、限られた外来時間で指導しているため必ずしも実践につながっていないことや、長期にわたり生活習慣の修正を維持することが困難であることが挙げられています。一方で、外来診療以外の時間の医師等によるリアルタイムな指導は物理的に困難です。このような背景から、外来時間外に医師に代わり生活習慣の修正に関する情報提供や指導を行うことを目的に、患者アプリが開発されました。また、外来時間外のデータを収集し、より効果的な指導を促すことを目的に、医師アプリが開発されました。なお、本品の海外における使用状況ですが、同ページの19行目に示しておりますとおり、海外における承認及び許可はございません。
 本品の非臨床試験については、審査報告書、8ページから9ページに示しておりますが、特段の問題は認められませんでした。
 続きまして、臨床試験成績について説明いたします。審査報告書の12ページを御覧ください。10行目の項に示しますように、本申請において本邦で行われた臨床試験成績が提出されました。本治験は、本品の有効性及び安全性を検証するために実施されました多施設共同並行群間比較試験です。16行目に示しますとおり、本治験は、20歳以上65歳未満の、降圧薬治療を受けていない、Ⅰ度またはⅡ度の本態性高血圧患者のうち、生活習慣の修正を行うことで降圧効果を十分に期待できる患者を対象に実施されました。
 本治験のフローについて説明いたします。審査報告書の14ページ、図2を御覧ください。本治験では、対照群、すなわち、高血圧治療ガイドラインに準拠した生活指導のみを行う群と、介入群、すなわち、高血圧治療ガイドラインに準拠した生活指導とともに本品を使用した群、この2つの群について降圧効果を比較する試験として実施されました。本治験の主要評価は、登録から12週時点で行いました。また、12週時点における血圧のコントロール状況に応じ薬物療法を追加した上で、さらに12週間のフォローアップの評価がなされました。
 主要評価項目は、登録から12週時点における24時間自由行動下血圧測定、以下「ABPM」と言いますが、ABPMにより測定された、24時間の収縮期血圧、SBPの平均値の変化量です。ここで、ABPMについて補足させていただきます。ABPMは、携帯可能なカフ式の血圧計を装着して生活し、長時間の血圧を観血的に測定する方法です。本試験では、終日30分ごとで測定されました。家庭血圧や診察室血圧と異なり、日中のストレスなどによる短期の日内変動の影響も加味された血圧値が測定されるものとなっております。副次評価項目は、そのほかのABPMや、家庭血圧、診察室血圧といった血圧に関する指標、体重・減塩に関する指標、また、患者アプリの使用率等が設定されました。
 続きまして、臨床試験の結果について説明いたします。審査報告書、16ページの3行目、(3)試験結果を御覧ください。主要評価項目である12週時点におけるABPMの24時間のSBPの変化量は、介入群で4.9mmHg、対照群で2.5mmHgの血圧降下でした。また、変化量の群間差の推定値は2.4mmHgであり、介入群のほうが有意に高い降圧効果を示しました。副次評価項目については、16行目以降に概要を示しております。図4から図15に示しますように、ABPM、家庭血圧及び診察室血圧において、介入群のほうが高い降圧となる傾向がありました。
 また、審査報告書の23ページの表4に管理率及び有効率の結果を示しております。ここで、管理率とは、測定日直近の1週間の平均の家庭血圧が目標に収まっていた人の割合と定義されていました。この管理率については、特に介入群のほうが高くなる傾向が見られました。
 続きまして、本治験で確認された有害事象と不具合について説明いたします。審査報告書の24ページを御覧ください。本治験において報告された有害事象を表6に、また、不具合を次のページの表7及び表8に示しております。本治験中に発現した全ての有害事象と本品との因果関係は否定されています。また、患者の健康被害のおそれがある不具合もございませんでした。
 ここからは、総合機構における審査の概要について説明いたします。審査における主な論点は、4点です。審査報告書の25ページの5行目、総合機構における審査の概要より御説明いたします。
 まず、1点目の論点、本品の臨床的位置づけについてです。本治験では、生活習慣の修正の指導が必要な本態性高血圧患者に対して、本品を標準治療に上乗せして使用することで標準治療よりも高い降圧効果が得られることが示されました。一方で、14行目以降に示しますように、本治験において、申請者が期待するような薬剤の減少・低用量化や診察回数の減少については、評価するデザインとはなっておりませんでした。以上より、本品を治療の補助を目的としたものと位置づけることが適切と判断いたしました。
 次に、2点目の論点、本品の有効性及び安全性についてです。審査報告書の26ページの17行目を御覧ください。この論点については、効果量と長期効果の2つの観点で考察いたしました。まず、効果量についてです。主要評価項目から得られた群間差2.4mmHgですが、この降圧量は、脳心血管発症リスク、死亡リスクともに10%程度の改善に関連すると説明されており、意義のある群間差と考えます。また、先ほど表4で示しましたように介入群のほうが管理率が高かったことに着目いたしますと、本品には、より多くの患者に生活習慣の改善を遵守させる効果が期待できると考えました。加えて、本品による作用は○○○○○○○によるものであること、医師の指導の下で治療補助の位置づけで使用されることから、患者に対する特段のリスクは想定されません。以上より、本品の臨床的な有用性は示されていると判断いたしました。
 次に、長期効果についてです。審査報告書の27ページの2行目より説明いたします。本治験における登録後12週から24週における血圧の変化量を示したものが、表9から表12です。表9の一番上の結果から分かりますように、12週から24週のABPMで24時間のSBPの変化量の群間差は、主要評価項目である12週時点と比べると小さい傾向にあり、長期においても標準治療より高い効果を得続けられるかという点については不明と考えます。ただし、12週時点では高い降圧効果を得ていたことを踏まえますと、本品の使用により、生活習慣の修正で得られる効果を早期に発揮した後に、少なくとも標準治療と同等程度には降圧効果を維持できると考えます。本品のリスクも勘案し、長期の使用を制限する必要はないと判断いたしました。
 次に、3点目の論点、本品の適応対象についてです。審査報告書の28ページの26行目より説明いたします。申請者は、本品の適応対象を7歳以上のⅢ度高血圧を含む本態性高血圧患者として申請しました。したがって、本治験の対象と比較し、Ⅲ度高血圧、高齢者及び小児の患者が差分となります。これらの患者の取扱いについて、それぞれ、次のように考察いたしました。
 まず、Ⅲ度高血圧の患者です。審査報告書の30ページの3行目より説明いたします。本治験のデータからは、Ⅲ度高血圧患者に対する有効性の検証はできていないと考えます。一方で、本治験において、成人患者に対し生活習慣の修正を有意義に補助したことを踏まえますと、本治験の対象と同様の生活習慣の修正が行われるⅢ度高血圧の患者に対しても一定の降圧効果は期待できると考えます。一方、Ⅲ度高血圧患者の中には、過度な運動の制限や直ちに薬物による介入を要する患者も存在します。特に後者は、本品の使用により標準治療を遅延させることがリスクとなります。これに対しては、標準的な治療を実施した上で本品を指導するよう、添付文書により医師向けに注意喚起がなされる予定です。以上から、一定の効果は期待でき、かつ、リスクも許容可能と判断し、Ⅲ度高血圧患者も適応に含めることは可能と判断いたしました。
 次に、高齢者についてです。審査報告書の31ページの18行目より説明いたします。こちらも、Ⅲ度高血圧の患者と同様に、治験のデータからは有効性に関する検証はできないと考えます。しかしながら、同様の指導がなされることを踏まえれば、本品により、生活習慣の修正が補助され、一定の降圧効果も期待できます。また、高齢者の場合、認知機能の低下によるアプリの提示内容の理解度の低下が懸念されます。これに対しては、認知機能を確認した上で本品を使用するよう、医師向けに注意喚起がなされる予定です。以上より、高齢の高血圧患者も適応に含めることは可能と判断いたしました。
 最後に、小児についてです。審査報告書の32ページの27行目より説明いたします。小児の高血圧患者は、その診断基準や目標食塩摂取量などが、成人の診療状況とは大きく異なります。また、本品は、成人を対象とした設計仕様となっていることから、小児に対しても本治験と同様に生活習慣の修正が補助されるかは全く不明です。以上を踏まえ、小児は適応から除外し、成人を本品の適応とすることが適切と判断しました。
 最後の論点である本品の有効性を維持するための方策について、説明させていただきます。お戻りいただきまして、審査報告書の10ページの9行目を御覧ください。本品の患者アプリは、高血圧治療に係る知識の提供のほか、行動実践や継続を促すことを意図しています。患者アプリの出力内容のどのような要素が患者の行動変容に影響しているか特定することは難しく、メッセージやインターフェースの変更の影響を臨床評価なしに判断することは困難です。一方で、時代の変遷とともに提示内容が陳腐化したり、また、感染症パンデミック等の外的要因により生活様式が変化した場合には、治験時と同様に行動変容が促されなくなる可能性があります。このため、時代背景や生活様式に合わせインターフェース等の調整をタイムリーに行うことも重要と考えます。ここで、23行目より3点でまとめておりますように、本品の対象疾患、臨床的位置づけ、介入の機序を考慮しますと、臨床的位置づけなどを変えない単なるインターフェースの変更については、医師の指導の下での使用が徹底される限り、許容できないリスクは生じないと考えます。むしろ、時代背景等に合わせてインターフェース等を調整していくことが本品の有効性を維持していくためには重要と考えます。以上を踏まえ、本品については、市販後の有効性が維持されていることを年次報告することを条件に、インターフェースに関する変更を市販前の審査を要さない軽微変更届で認めることといたしました。
 最後に、本品の使用成績評価の要否について説明いたします。審査報告書の32ページのト項を御覧ください。総合機構は、本治験により本品の有効性が評価されたこと、また、安全性上の懸念も大きくないことから、使用成績評価の指定は不要と判断いたしました。
 以上を踏まえ、総合機構は、審査報告書の35ページの27行目に記載の使用目的とし、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本プログラム医療機器調査会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、使用成績評価の指定は不要と判断いたしました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 総合機構からの説明は、以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井座長 ありがとうございます。
 それではまず、参考人として御参加いただいています豊田先生から、追加の御発言をお願いできますでしょうか。
 豊田先生、お願いいたします。
○豊田参考人 既に御説明いただいた内容ばかりではございますが、もう一度、私なりにまとめて今回のアプリのことをお話しいたします。1~2分で終わります。
 高血圧は、脳卒中や心臓血管疾患やこれらによる死亡の最大の危険因子です。脳卒中や心臓血管疾患の発症予防、再発予防のために、適切な降圧治療が強く勧められるわけです。
 高血圧診療においては、降圧薬による治療と同等以上に生活習慣の修正が重要です。本来、生活習慣の修正こそ優先されるべきであります。その修正すべき生活習慣とは何かというと、減塩などの食事内容の改善や、減量、運動、お酒を控えること、睡眠、ストレス管理、禁煙などを指します。
 生活習慣の修正は、医師や医療従事者が個々の患者に適した目標を設定して進めることが本来は望ましいと思います。しかしながら、実際には、外来の診療時間内に十分な指導を行いにくく、結果として管理不十分な状態が起こり得ます。高血圧患者の降圧目標は、従来は140/90mmHg未満が推奨され、近年では、多くの場合、もっと厳しい130/80mmHg未満が推奨されるようになりましたが、その反面で治療を受けている我が国の高血圧患者のうち140/90mmHgを達成している方も半数程度しかいらっしゃいません。その原因の一つに、様々な背景で不十分な血圧管理が継続されることを医師が黙認している、臨床イナーシャも指摘されます。より多くの患者がより適切な降圧目標を達成するには、生活習慣の修正、降圧薬治療、両面を強化すべきと思います。特に生活習慣の修正には、患者自身や家族の積極的な治療参加が必要です。
 近年、デジタル通信や解析技術の進歩を背景に、治療用アプリの実用化が世界で進んでおります。治療用アプリとは、障害や疾患の治療、管理のために、高品質のソフトウエアプログラムを通じて、医学的エビデンスに基づく治療的介入を患者に提供するものです。厳格な臨床試験の結果を基に、規制当局の承認を得て、社会実装されています。治療用アプリによる介入は、患者個々に最適な生活習慣の管理や重症化予防等への効果が期待されます。我が国でも、2014年の法改正を契機にプログラムが医療機器として規制対象となり、生活習慣病への新たな治療介入としてこの治療用アプリの開発が進められております。
 このような背景に基づいて、今回、我が国初の高血圧治療のための医療機器プログラムが開発されました。適応は本態性高血圧患者で、ガイドラインが推奨する各種の生活習慣の修正を個別化した形で提供して、医師の治療を補助することを目的としております。これは、スマートフォンなどの汎用ITモバイル機器にインストールして用いる患者用アプリ、医師用アプリ、その両方から構成されております。患者は家庭血圧とともに日々の降圧に資する行動の実践状況を入力して、医師は診察時にそれを閲覧しつつ適切なアドバイスを提供します。これによって、高血圧治療に必要な降圧目標の設定、生活改善とその習慣化の進捗を患者と医師が共有しながら治療を進めることが特徴です。これを用いた患者とコントロール群の患者を比較した、国内で行われた無作為化比較試験では、先ほど、御説明がありましたように、治療介入群が12週間後に(ABPM24時間で)
2.4mmHg、早朝家庭血圧で見ると4.3mmHg、それぞれコントロール分よりもより低い収縮期血圧値を達成しています。4.3mmHg血圧を下げることで、あるいは、(ABPM)24時間で2.4mmHg下げることで、従来の脳心血管・心不全のイベントリスクを10%前後下げること、これは多くの論文のメタ解析などを基に計算して、いずれからでも似たような値が出てまいります。
 私は、現在、日本高血圧学会の理事を務めておりますけれども、本学会におきましてもこの機器の導入が高血圧診療に大いに益すると考えておりますので、機器が、正しく、安全にというか、有効に使用できるための適正治療指針を、現在、高血圧学会のメンバーで作成中でございます。間もなく完成する予定でございます。
 以上です。
○荒井座長 豊田先生、ありがとうございました。
 それでは、調査員の皆様から、御意見、御質問等はいかがでしょうか。
 清水先生、お願いいたします。
○清水委員 東京農工大学の清水と申します。
 幾つか御質問あるいはコメントがございますので、よろしくお願いします。
 まず、今回のアプリは、標準治療の上に、追加、アドオンということで、リスクに関してそれほど大きくないと理解をいたしました。
 まず、1つ目なのですが、日本語を十分理解しない外国人がアプリを利用することも考えられると思うのですが、その辺りについてはどのようになっておりましたでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構より、御説明いたします。
 御質問をありがとうございました。
 本品は、日本語で患者アプリの内容を提示いたしますので、日本語を全く解さないような外国人の方に対しては使用は困難と考えております。そのような患者さんの治療の中では、お医者さんと患者さん本人の本品の内容の理解度等も含めて使えるか使えないかというところは検討していただくことになると考えております。
 以上です。
○清水委員 別紙を見ますと、割といろいろな文章があって、お医者さんがこの表現を全て理解されていれば患者さんがこれを理解できるかできないかが分かるかと思うのですが、お医者さんもどういう表現があるかということを理解した上で適切に判断されるとよいと思いました。
 3ページ目の承認条件のところで、承認後1年を経過することと書いてあるのですが、この1年という根拠について、何かお考えがあれば、よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構より、御説明いたします。
現状、申請者に年間どれぐらいの変更がありそうかというところをお伺いしたところ、もちろん状況によりますけれども、年に○○○○程度を想定しているということを伺っております。○○○○程度の変更をウォッチしていくということであれば、1年ごとの確認でもある程度必要なモニタリングはできるのかなと考えておりました。
 以上です。
○清水委員 今おっしゃった変更は、治療方針には影響を与えない、例えば、文章の変更とか、そういう理解でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。御理解のとおりです。ありがとうございます。
○清水委員 分かりました。
 ほかのDTx承認でもこういう何回の変更に対して経過を見ていくかということは非常に重要なポイントかと思いますので、こういう情報を蓄積されて、ほかの今後のことに備えるということをされるといいかと思いました。
 続けて、ちょっとページが飛ぶのですが、25ページ目の不具合について確認がございます。不具合の内訳でペアリング不良等が書いてあるのですが、この結果、データが欠損したかあるいは何らかの方法でリカバリーしてそのまま使われたかによって、上の表7の理解の仕方もやや変わるかと思うのですが、この表8の不具合によってデータは最終的には入力されているのでしょうか。それとも、されていないものもあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 基本的には入力されたと聞いております。ペアリング不良が非常に多かったところがありますけれども、これは血圧計とスマートフォンのペアリングを指しておりますけれども、これができなかった場合には手入力で対応できるということを確認しておりまして、基本的には全てのデータが入力されていたと聞いております。それ以外の不良についても、再起動等をすることによって解消はできていると聞いています。
 以上です。
○清水委員 御説明をありがとうございます。
 そうしますと、最終的には行動変容には影響が出なかったと理解いたしました。
 もし分かれば、OSの違いによってこの不具合の内訳が変わっていれば、教えてください。これは、データがあればお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 申し訳ございません。OSごとに今回の不具合の影響があったかというところについては、データを持ち合わせておりません。ただ、非臨床試験においては、Android OS、iOS、いずれのものでも試験はされていまして、どちらでも適切に動くというところまでは確認されております。
 以上です。
○清水委員 御説明をありがとうございます。
 ちょっと論点はそれるかもしれないのですが、一般論としましては、こういうDTxはデータの信憑性の担保が問題になったりします。つまり、患者さんではない方が入れる、あるいは、患者さんが入れた場合にも誤入力をするとか、そういうものについても、今回、何か知見等あるいは対策等がありましたら、なければこれは非常に難しい問題ですので今後の課題ということにはなるかと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問をありがとうございます。
 おっしゃるとおり、虚偽の入力等をされてしまった場合には、御想像のとおり、正しく本品は使われないということになると思います。ただ、それ自身は、本品の使用というよりは、高血圧診療全体に関わる一般的なお話と理解できると思います。すなわち、普段の血圧値の記録を患者さんが虚偽で記載してしまえば診療自体が破綻してしまうというところもありますので、本品の使用の有無にかかわらず、そういった信頼関係を結びながら適切に治療していただくことは前提になると考えております。
 一方で、DTxの効果に対してこういった正しく入力するところをどうするかということは一般的には大切な問題だと思いますので、ここについてどう対応できるかについては、今後、我々としても検討していきたいと思っております。
 以上です。
○清水委員 ありがとうございます。
長期効果についてのお話をいただいているのですが、これは基本的には承認条件から外れた話で、例えば、1年とか、5年とか、10年で効果が期待できるということは、なかなか難しいとは思うのですが、文章の中に長期の使用を否定する必要はないと書いてあって、確かに否定する必要はないかと思うのですが、それでも長期使用に関して何らかのデータ収集をして、どうなっているかということを明らかにされるといいのではないかと、今回、1年ごとの報告があると伺っていますので、そういうものを利用できないかと考えたのですが、この辺りはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 御理解のとおり、今回の臨床試験からは、本品の、24週、半年以上先の効果は見て取れないということが実態だと思います。今回の市販後のデータ収集は、長期効果を見ることが目的ではございませんけれども、データが集まってくるというところも踏まえて、今後、こういったDTx製品についてどのようなことができるかということは前向きに検討してみたいと考えております。
 以上です。
○清水委員 最後の質問となります。
 中断やロックがあり得るということだったのですが、その後の再開の基準、誰がどういう判断で再開をするかはどうなっているかということについて、御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 これは、医師の診療、要は、診察を受けなくなった場合には、本品だけで治療してしまわないように使用が止まるという仕組みになっております。一方で、一回中断した方がもう一度お医者さんにかかっていただければ、「管理下」という言葉で審査報告書は書かれておりますけれども、再度管理下に入ったとなりますので、治療再開がなされると聞いております。
 以上です。
○清水委員 分かりました。 私からは、以上です。どうもありがとうございました。
○荒井座長 ありがとうございます。それでは、ほかの方々から、御質問、御意見はいかがでしょうか。
 橋本先生、どうぞお願いいたします。
○橋本委員 日本医師会の橋本でございます。
 ちょっと時間が押してしまったので、幾つかあったのですが、簡単に2つだけ、質問と意見を申し上げます。
 まず、1つ目は質問ですが、これ群間差が2.4mmHgですよね。私も血圧を毎日測っておりますけれども、1日5ないし10mmHgくらいの変化は日常差として出るわけでありまして、果たしてこの2.4mmHgは本当に臨床的に差があるのかというところは、内科の先生方は通常統計的にということをおっしゃいますけれども、実際にこれが果たして効果があると言えるのかどうかというところは疑問かなと私は思っております。
 26ページには、この2.4mmHgが脳血管病の死亡リスクの10%の低下云々とかと書いてありますけれども、引用文献がタイトルしか書いていなくて、果たして出典がピアレビューのジャーナルなのかちゃんとしたジャーナルなのかということが全然分かりません。そのほかに、先ほど豊田参考人がそのほかにもそういうエビデンスは出ているとおっしゃいましたけれども、そこら辺をきちんと示していただかないと、専門家でない我々としてはにわかに信用することはできないのですが、その点はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構より、御説明いたします。
 御質問いただきまして、ありがとうございました。
 まず、おわびを申し上げます。出典のタイトルしか書いていなかったところは誤植でございまして、こちらについては、改めて記載を修正させていただきたいと思っております。これは「Hypertension Research」と呼ばれるジャーナルの中で出てきている論文でございますので、しっかりとした論文であるとは確認しております。
 2.4mmHgの差が日内変動の範囲内ではないかというところは、1つ、今回の主要評価項目が、「ABPM」と呼ばれます、1日ずっと測り続けてモニターした結果の平均値というところに、少し差があるところでございます。おっしゃるとおり、日内でも血圧の変動はございますので、朝測ったときと夜測ったときでは差が出てくる。これはいわゆる家庭血圧と呼ばれるものだとは思いますけれども、ABPMはその日内変動も含めて1日の平均としてどの程度変わったかということが見えるような指標となっております。すなわち、1日当たりの平均として、2.4mmHg、有意差をもって下げたというところで、インパクトのある数字であると考えております。
 もしよろしければ、豊田先生からABPMの2.4mmHgについて補足いただけますと、助かります。
○豊田参考人 ありがとうございます。
 まず、論文の出典なのですけれども、今説明があった「Hypertension Research」云々というのは、幾つかの論文の資料を基に自治医科大学の苅尾教授がまとめられた総説論文でありまして、その中で特に苅尾教授が参考にされていた論文はAHAのサーキュレーションに載っておりました。これ自体が8,341人でしたかね。その論文で、これの特徴はグローバルの人たちとアジアの人たちで検討し分けていたものではなかったかと思うのですが、いずれにせよ、サーキュレーションであったと思います。
 それから、私が先ほどの説明でほかにも幾つかの論文で同じようなことが言えますよと申しましたのは、私の説明の資料共有をしていただけますか。
○橋本委員 すみません、私は時間がありません。そのことについて豊田先生のお考えはよく分かりましたので。
○豊田参考人 時間がないですね。簡単に申します。口頭で申し上げますが、文献に関しましては、「The Lancet」や「Hypertension Research」のかなりメジャーなジャーナルで1万例を超えるメタ解析の結果が出ておりますので、科学的に正しいと思います。
 もう一つの血圧は、測り方によって2~3ぐらいすぐ変わるではないかという御質問がございましたけれども、先ほど厚労省の説明があったように、ABPMで24時間の血圧を平均して2点何ぼということですから、バイチャンスで2ぐらい変わったというものとは大分意味が違うと思います。そういったデータをまた多数例でまとめておりますので、2.4は意味があると思います。
 臨床の実感として2~3下げることにどれぐらい意味があるのかということが多分大事だろうと思うのですけれども、先ほども言いましたけれども、1回きりや1日だけ2~3下がることはそれほど意味がないと思いますが、恒常的に、毎日、朝も晩も3ずつ一定に下がるということがあったら、これはさっきから言っていますメタ解析などでも証明されるように、実際、5~15%ぐらいの割合で心血管疾患が減ると思いますし、特に心血管疾患の中に日本人が一番多くかかって一番ダメージが強いものは脳卒中ですけれども、脳卒中は血圧の下降とイベントの起こり方が非常にきれいに比例しますので、脳卒中10%の減少はあり得ると思います。
 どうもすみません。駆け足で申し訳ないです。
○橋本委員 分かりました。ありがとうございます。
 もう一つ、厚労省に申入れといいますか、意見ですが、この機能は「高血圧治療アプリ」という名前がついておりますが、これは決して認められないということが我々日本医師会の中で検討した結果でございます。これはあくまで高血圧治療補助アプリでありまして、決して治療アプリではないと。報告書の中にも書いてありましたけれども、患者がこれを見てこれのみで治療になるんだと誤解するということはPMDAも言っていることでありますし、これは決して治療アプリではなくて治療補助アプリであるということは厳重に申入れをしておきたいと思います。
 すみません。もう時間がありませんので、失礼いたします。
○荒井座長 橋本先生、ありがとうございます。
 今の補助アプリではないかというご意見は、私も実は後で伺おうと思っておりましたので、先生の退席後もこのことは議論しておきます。
○橋本委員 よろしくお願いします。
○荒井座長 今橋本先生が御指摘になった補助ではないかということについて、コメントはあるでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 総合機構から、御説明させていただきます。
 御指摘はごもっともと思います。審査の中で、使用目的に「補助」をつけることと同時に販売名にも「治療補助アプリ」とするべきではないかという議論はございました。ただ、結論としては、販売名に関しては「治療アプリ」と現在はなっております。その背景として、使用目的をしっかり補助と明記したという点と、医師の指導の下での使用を徹底させるために、管理下から外れた場合には使わない、すなわち、医師とともにしか使えないようにするところを大事にしましたので、これが果たされたことによって「治療アプリ」とすることでも許容できるのではないかということで、今回の結論になっておりました。
 ただ、今いただいた御指摘もございますので、改めて検討させていただきたいと思っております。
 以上です。
○荒井座長 いろいろと御意見があると思いますが、先に、今日、この場で、まずは、御参加の委員の方々から、今の「補助」という言葉は入れるべきではないかという御意見につきまして、御意見はいかがでしょうか。
 どうぞお願いします。
○鷲尾委員 産業技術総合研究所の鷲尾です。
 御説明をありがとうございます。
 今の橋本先生のお話にありましたように、診断支援などの場合も必ず診断「支援」とつきますよね。今回だけ「治療アプリ」と切ってしまうと、ここから先、そういう治療というところをしていかれるという意味でのお考えなのかどうかというところで、御英断なら私はそれで全然いいと思っております。
 以上です。
○荒井座長 いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構より、御説明させていただきます。
 御指摘をありがとうございます。
 おっしゃるとおり、基本的には、診断支援あるいは診断補助という言葉で販売名はなっていたかと思います。
 一方で、こういった治療アプリの前例は、本邦ではもう一品目ございます。添付資料を御覧になれる方は、添付資料の7ページ、緑のページです。少し説明は続けさせていただきますけれども、こちらに禁煙治療の前例の品目がございまして、これも同CureApp社からの申請で、こちらでも治療アプリとなっておりました。この製品も同じように使用目的は「補助」とついておりますけれども、医師の指導の下、禁煙治療を実施されることを前提にこのようになっていたことを踏まえて、今回の結論となっておりました。ただ、少しインパクトや位置づけも大分変わってくる製品というところも理解しておりますので、いただいた御指摘については、申請者とも協議して変えることを検討していただきたいと考えております。
○荒井座長 ありがとうございます。
 このプログラム機器に関する議論は始まったばかりですから、前例主義でいかれると具合が悪いというか、今こそ考えなくてはいけない重要な御指摘だと思います。
 委員の方々から御意見がなければ、今御指摘いただいた、補助アプリか、支援か、要するに、「治療アプリ」そのものの名前ではなくて、サポートなのだということがきちんと分かる名称に変えるということに関して、PMDAからはもう一度検討するという御返事をいただいておりますが、それでよろしいでしょうか。それとも、もっと強硬に、こちらの委員の方々から「これは変えなければ駄目だ」とか。今日、ここで最終的に決定になりますよね。いかがですか。
 北澤先生、どうぞお願いいたします。
○北澤委員 今の補助なのかどうなのかということとは別の件だったのですけれども。
○荒井座長 ちょっとお待ちください。まず、補助の件を片づけましょう。
 課長、お願いいたします。
○医療機器審査管理課長 機器課長、関野です。
 既にPMDAからも検討という言い方で回答させていただいていますが、その意図は変える方向でということですので、先生方からあえてこれを断定的に変えるようにというところまで御意見をいただかなくても、支援ないし補助といった形で、一般的名称と使用目的はもともとそういった内容ですので、販売名だけで独り歩きするのもどうかと思いますので、むしろ混乱を来さないように販売名を変える方向で考えたいと思います。
○荒井座長 ありがとうございます。
 関野課長から今のお話がありましたので、これはそういう方向で検討していただくということで、この場はまとめさせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは、北澤先生、ごめんなさい。どうぞ。
○北澤委員 今回、アプリの審査報告書を読ませていただいて気づいたのですけれども、こういった類いのものは、今までの医師の方が使う医療機器と違って、それを使う患者側の要因が結構大きいものなのだなということに気がつきました。例えば、審査報告書の16ページ、表3の患者背景として、身長とか、BMIとか、既往疾患とか、そういうものは書いてあるのですけれども、肝心の、使った患者さんが、このアプリを使いこなせるのか、内容を理解できるのかといった、いわゆるヘルスリテラシーに関する記載がなくて、どういう人だったらこのアプリを使えるのか、いま一つよく理解できませんでした。誰でも字が読めればスマホのアプリを使いこなせるわけではないので、これからは、患者側の要因を臨床試験の企画の段階から考えて、審査報告書にも記載できるようにしていただきたいということが要望です。
 もう一つ、事前に事務局にこのアプリの使い勝手や使ってみた満足度を調べていたのかと御質問したところ、審査報告書の23ページ、表5で、アプリの利用が結構できていたという回答があったのですけれども、自ら能動的に治験に参加した患者さんと一般の高血圧患者さんとは違うのではないかと思います。これもできればですけれども、そのアプリを使ってどう思ったかとか、このアプリが気に入ったかとか、あるいは、やってみて面白いと思ったかとか、そういった患者の使い勝手、つまり、使いやすいかとか、意味がよく分かるとか、そういったことを調べて、審査、評価の一環にできるようにしていただけたらと思っております。
 以上です。
○荒井座長 ありがとうございます。
 これは非常に貴重な御意見ですよね。対照群も50歳ぐらいで比較的若いのですが、実際に使う方はもう少し高齢の方もおられると思いますので。
 さっき僕が飛ばしてしまいましたけれども、清水先生から御指摘いただいた情報の蓄積の問題、打ち込んだデータの信憑性のことは結構難しいかと思いますし、長期使用についても幾つか御指摘いただきました。プログラム機器、特に生活変容アプリに関してはどれも宿題になってしまうところだと思いますが、ぜひこの辺は貴重な御意見として御検討ください。お願いいたします。
 どうぞ。
○プログラム医療機器審査室長 PMDAの岡﨑です。
 北澤先生、皆様、貴重な御意見をありがとうございました。
 御案内のとおり、DTxのアプリに関しては、様々な開発が進んでいるところでございます。私どもで相談を幾つかお受けしている例もありますし、これから走っていくものもあるかと思いますけれども、ヘルスリテラシーの件も含めまして、必要な助言・指導等を行ってまいりたいと思っております。
 以上です。
○荒井座長 ありがとうございます。どうぞ。
○佐久間座長代理 佐久間でございます。
 今の点は非常に重要なポイントで、非臨床の中でユーザビリティーをチェックするという項目がございます。そこをしっかりやることが重要なのだろうと思います。私が関連した家庭用の医療機器とかをやったときに、誰が使うのか、認識能力がどのぐらいあるのか、そこをチェックしろといったことを書いたように記憶しております。今、ちょうど行動変容のものも出したところで、これは非常に難しいところがあって、例えば、同じ色を見せても文化背景によって感じ方が違うのですね。そういうことも含めて、その辺りは、ある意味で、今、ちょうどそういうところをまとめてきているところかと思いますので、そういうことを参考にしながら進めていくこと、これは非常に新しいものなのですが、一方で、例えば、これで新しい規制要件ということではなくて、現在あるユーザビリティーのフレームワークの中でしっかりその項目立てをしてチェックしていくことがいいのではないかと思いました。
 以上です。
○荒井座長 ありがとうございます。これも貴重な御意見だと思います。
 横井先生、どうぞ。
○横井委員 ありがとうございます。
 2点あるのですが、1点目は、清水委員からもありましたが、かなり頻回になるのか分かりませんが、状況に合わせてソフトウエアの内容が変わっていくというお話があったかと思います。もちろん学会のガイドラインや医学的な知見もどんどん変わっていって、患者さんへの情報提供は変わってくると思うのですが、変わったということをどのように臨床家に伝えるのか、臨床家も、アプリがどう言ったのか、どう言うのかと、変わったことを理解できていないと多分齟齬が発生するのではないかと思うので、その点の情報提供をどうするのかということと、審査報告の御説明をいただいたときに、不具合や有害事象でそれほど問題になるようなものはなかったということではありましたが、添付文書では全く記載がないのですけれども、この辺はどんなふうに考えたらいいのかを教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 総合機構より、御説明いたします。
 まず、1点目の変更があった際の臨床現場への伝え方については、申し訳ございませんが、申請者側に確認する必要があると思います。少なくとも、御指摘のとおり、変わっているというところは理解しながら使っていただく必要はあると思いますので、この点については、申請者に適切な資材を準備するように検討していただこうと思っております。
 2点目の添付文書における不具合について、現在、添付文書の中では、不具合・有害事象という項目が臨床成績の直上に記載がございまして、報告されていないとなっております。健康被害につながるようなものはなかったという趣旨で記載させていただいておりました。
 以上でございます。
○荒井座長 よろしいですか。
○横井委員 最初の1点目に関しては、多分ほかの委員の方々も見られているとおり、すごく膨大なこのアルゴリズムに対して、どこが変わったかということを追うのは非常に難しいと思うので、それをどう説明するかということがこれからポイントになるだろうと思いましたので、また御検討いただければと。
 不具合に関しては、これだと全くないようにしか見えないので、記載を御検討いただいたほうがいいのではないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 この点についても、ちゃんと事実に基づいた内容にするよう記載を検討していただこうと思います。
○横井委員 重大な健康被害につながるような不具合はなかったとか、実際にペアリングの不具合とかは多々発生しているわけですから、その辺を踏まえて、ただ、もちろん不必要にあおる必要はないとは思うのですが、適切な記載を御検討いただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。そのように対応させていただきます。
○荒井座長 そのほかに御意見はありますでしょうか。どうぞ、佐久間先生。
○佐久間座長代理 今の点で、今、ちょうどパブコメが入っていますけれども、厚労と経産さんと一緒にやっている次世代チームでこの件を議論していまして、いわゆる医学界の中で標準的にこういう行動をしたほうがいいよねということが決まっている標準的なものに対して、それをやりやすくするという意味でのアプリケーション、多分、今回はこういうものです。そこのところはそれをやりやすくする部分ともどもとのロジックを切り分けて考えていくことが必要で、多分そのやりやすくするところにもともとの趣旨が狂ってしまうようなことが出るのかどうか、どのように判断するかは難しいのですが、そういう視点があると思います。
 一方で、医学の進歩がありますから、もともとやるべきだったということが変わってくる。そういうことが出てきたときはしっかりとこれを変えていくといったこと。
 3つ目は、議論したのですけれども、こういうデジタル機器固有の新しいやり方はまた考え方が変わってきますので、その辺りを少し整理して対応していくことがいいのかなということを議論いたしましたので、参考までに申し上げました。
 以上です。
○荒井座長 ありがとうございます。本当に難しいですね。御意見はいかがでしょうか。
 もし、ないようでしたら、私からちょっとあります。これは冒頭でお話しいただきましたが、海外ではこの類いのアプリの承認はないのですよね。そういうご説明だったように思いますが、これは確認です。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 高血圧治療のアプリという意味では、海外ではございませんし、本品も認可は得ていないということになります。一方で、糖尿病ですと、ございます。
○荒井座長 糖尿病はありますね。
 ですから、ある種、皆保険制度の日本ならではなのかなと感じたのですが、私はそれだからどうこうということを申し上げたいのではなく、今日、ここで審議するに当たっては、こういうアプリは、海外では、まだ始めていない、承認したものがなく、それを本邦で初めて承認するにあたっての議論をここでしているという状況についての認識です。いいいろいろな意見をいただきましたが、さっき僕も一言言いましたけれども、黎明期というか、始まったばかりのところですから、前例でこの前にこういうものがあるからそれに倣おうということではなく、場合によってはここで転換するという柔軟性を持って対応していかなければいけないと感じました次第です。これはコメントです。
 そのほか、委員の方々、何か御意見はございますでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、ほかに御意見がなければ、議決に進ませていただきたいと思います。
 名称は「補助」でいいですね。一般的名称が「高血圧症治療補助プログラム」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。毎度ウェブの方々を確認しなくてはいけないのですが、よろしいでしょうか。
 医療機器「CureApp HT 高血圧治療アプリ」の名称は今後御検討いただくということで、高血圧治療むにゃむにゃのアプリについて、本調査会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品並びに特定生物由来製品として指定しないということでよろしいでしょうか。また、使用成績評価の指定は不要としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 御異議がないようですので、このように議決させていただきます。
 また、プログラム医療機器調査会設置要綱第5条第2項に基づきまして、この議決を医療機器・体外診断薬部会の議決とさせていただきます。
 本件は、部会並びに分科会にて報告を予定しております。それでは、これで議題1を終了いたします。
 豊田先生、どうもありがとうございました。
○豊田参考人 どうもありがとうございました。失礼します。
(豊田参考人退室)
○荒井座長 次に、松本先生に入ってもらうのかな。ちょっとお待ちくださいね。
(松本参考人入室)
○事務局 事務局でございます。松本先生、ウェブ参加いたしました。
○松本参考人 よろしくお願いいたします。
○荒井座長 よろしくお願いいたします。
 それでは、議題2を始めさせていただきます。医療機器「nodoca」の高度管理医療機器、管理医療機器または一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品または特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否並びに使用成績評価の要否を始めさせていただきます。
 本議題につきましては、今ウェブに入っていただきました松本哲哉先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題2につきまして、事務局より御説明いたします。
 本議題では、医療機器「nodoca」の、高度管理医療機器、管理医療機器または一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品または特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いいたします。
 まずは、本品の承認に伴い新設を予定している一般的名称の案について御説明いたします。
 お手元の資料2-2を御覧ください。
 既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対しては、部会の御意見を聞いて、新たに一般的名称を新設することになります。
 今回「nodoca」に対して新設を予定する一般的名称は「内視鏡用疾患特徴所見検出支援プログラム」でございます。
 定義は、「内視鏡画像から得られた画像情報やその他の診療情報等をさらに処理して診断等のために使用するプログラム。疾患に特徴的な臨床所見を検出する機能を有する。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」としております。
 本品は、クラスⅡ、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。
 また、本品は保守点検を行う必要のない医療機器であり、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。
 一般的名称の新設に関する説明は、以上となります。
 次に、審議品目及び審査の概要につきまして、総合機構から御説明いたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、総合機構より説明いたします。
 資料2、「nodoca」の資料を御覧ください。
 本審査に当たり、国際医療福祉大学医学部感染症学講座主任教授の松本哲哉先生、川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦先生、以上2名の先生の御意見をいただきました。
 それでは、審査報告書を用いて審査の概要を御説明いたします。以降、緑のページ番号3/193、審査報告書本体下、中央に記載の黒色のページ番号、及び、審査報告書本体左、行番号を用いて御説明いたします。
 初めに、本品の概要を御説明いたします。審査報告書の6ページの1行目、審議品目の概要を御覧ください。本品は、インフルエンザ様症状を呈しインフルエンザウイルスに感染した疑いのある患者を対象とし、使用者が入力した問診情報と咽頭撮影用カメラにより撮影された咽頭画像の情報を併せて解析することでインフルエンザウイルス感染症に特徴的な所見や症状を検出するシステムです。本品による解析結果は、インフルエンザウイルス感染症診断の補助に用いられます。
 本品には、コンソールシステムとクラウドシステムの2つのタイプがあります。審査報告書、7ページの図2を御覧ください。コンソールシステムは、カメラ、カメラスタンド、コンソール等から構成されます。一方、クラウドシステムは、コンソールシステムと同じカメラ、カメラスタンド、クラウドシステム用ソフトウエアなどから構成されます。表示及び解析に使用されるプログラムの内容は、いずれのシステムにおいても同一です。
 本品を使用した検査全体の流れを説明いたします。使用者は、審査報告書の8ページの表2に示す26項目の問診情報を入力し、同ページの図3に示す既届出品のカメラ用舌圧子をカメラ先端に装着した状態で、カメラを患者の口腔内に挿入し、患者の咽頭後壁の画像を撮影します。
 カメラから取得された咽頭後壁の画像データ及び入力した問診情報は、審査報告書、9ページの図4に示すように、医療機関内に設置されたコンソール、または、医療機関内もしくは外部機関に設置されたサーバーに送信されます。解析結果は、コンソールシステムではコンソールに表示され、クラウドシステムでは端末用ソフトウエアがインストールされた汎用タブレットPCに表示されます。本品に搭載されている解析ソフトウエアは、同ページの表3に示す臨床研究で収集された患者データを深層学習することにより構築されました。学習したデータは、同ページの表4に示すとおり、PCR法検査結果、○○○○○○○及び○○○○○の有無に偏重が生じないよう考慮し抽出された、○○○○○症例、○○○○○○枚の画像データが採用されています。
 解析結果は、審査報告書の10ページの図6にお示しするとおり、インフルエンザ感染症に特徴的な咽頭所見・症状の有無について、「検出あり」、「検出なし」として使用者側に提示されます。また、解析不能であった場合には、再度撮影を促すアラートが表示されます。なお、本品は市販後の追加学習による性能向上が意図された製品ではありません。
 次に、開発の経緯を御説明いたします。審査報告書の11ページの9行目、開発の経緯を御覧ください。本邦におけるインフルエンザウイルス感染の診断は、臨床症状の観察やイムノクロマト法を用いた体外診断用医薬品である一般的名称「インフルエンザウイルスキット」等を用いた検査結果から総合的に診断を行うことが一般的な診断方法です。以降、体外診断用医薬品であるインフルエンザウイルスキットを「イムノクロマト法検査」と言います。イムノクロマト法検査は、90%以上の高い特異度を示すとされております。一方、イムノクロマト法検査で陽性の判定を得るには一定の抗原量が必要であり、イムノクロマト法検査の感度は高くないことが知られています。また、イムノクロマト法検査を実施するための検体採取では、粘液採取用綿棒の鼻咽頭への挿入による患者のくしゃみ反射やせき反射に起因する医療従事者の飛沫暴露のリスクがあります。加えて、綿棒挿入による患者への侵襲性そのものが鼻出血の原因になることもあります。近年、インフルエンザウイルス感染症に固有の咽頭後壁リンパ濾胞の形状等の有無を確認することにより、発熱から12時間以内、最短で発症後1時間での早期診断が可能であること、及び、イムノクロマト法検査よりも優れた感度、特異度で、インフルエンザウイルス感染を診断することが可能であることが報告されています。以上を踏まえ、申請者はAI技術を用いた咽頭部の画像解析により、インフルエンザウイルス感染症に特徴的な所見を検出し、より低侵襲にインフルエンザウイルス感染症の診断を補助する本品を開発するに至りました。
 次に、非臨床試験について御説明いたします。非臨床試験成績につきましては、審査報告書の12ページから13ページに記載しております。審査の結果、これらの非臨床試験については、特段の問題は認められませんでした。
 次に、本品の臨床試験成績について、御説明いたします。審査報告書の17ページ、表5、本臨床試験の概略を御覧ください。本品の有効性及び安全性を評価するための臨床試験成績として、本品の前世代品を用いた、国内11施設、708例を対象に実施された臨床試験成績が提出されました。以降、この臨床試験を「本臨床試験」と言います。本臨床試験は、インフルエンザ様症状を呈する患者を対象に、本邦にて実施された非盲検多施設共同試験です。試験方法は、インフルエンザ様症状を呈する患者に対して、本品による検査、イムノクロマト法検査、PCR法検査の3つの検査を実施し、当該検査結果を比較します。安全性評価は登録症例708例から2例を除外した706例にて実施され、有効性評価は登録症例から36例を除いた672例により解析されました。
 各症例の内訳及び中止の理由は、審査報告書の18ページ、図7に示すとおりです。本臨床試験の有効性主要評価項目はPCR法検査に対する治験機器を用いた検査のインフルエンザ罹患判定における感度と特異度と設定し、性能目標として95%信頼区間下限値の感度が○○%、特異度が○○%と設定されました。
 本臨床試験の主要評価項目における成績は、審査報告書の20ページ、表7にお示ししていますとおり、感度の95%信頼区間下限値が○○○○%、特異度が○○○○%であり、特異度については仮説の検証ができました。一方で、感度については仮説を検証することができませんでした。
 次に、安全性評価項目について御説明いたします。審査報告書の22ページ、表13を御覧ください。安全性評価項目における有害事象は、706例中12例で認められ、発現率は1.7%でした。発生した有害事象の全てが空嘔吐またはえずきであり、その重症度は全て軽度なものでした。申請者は、本臨床試験の結果を踏まえて、プログラムの変更等の改良を行いました。改良点の主な内容につきましては、審査報告書の23ページ、表16のとおりです。
 申請者は、本申請品である改良品の性能を確認することを目的に追加試験を実施しました。追加試験について御説明いたしますので、審査報告書の24ページ、表17になります。追加試験の概略を御覧ください。追加試験は、本臨床試験で収集された有効性解析集団のうち、改良により本品では解析不能データとなった13例を除いた659例を用いて実施されました。追加試験のプロトコルの主要評価項目は、本臨床試験と同様とされました。追加試験における主要有効性評価項目の評価結果は、同ページ、表18に示すとおり、95%信頼区間下限値の感度70.7%、特異度85.5%であり、感度、特異度、いずれにおいても設定した性能目標を達成し、仮説が検証されました。
 一方で、副次評価項目であるイムノクロマト法検査と比較した場合の本品のインフルエンザ罹患判定における感度の非劣性につきましては、審査報告書の25ページ、表19に示すとおり、偽陰性は95%信頼区間の上限27.3%、陽性一致率の95%信頼区間の下限値が72.7%であり、仮説を検証することはできませんでした。以上が、主な結果となります。
 次に、総合機構における審査の概要について御説明いたします。審査における主な論点は、2点です。
 1つ目の論点は、本品の有効性、安全性の評価についてです。審査報告書の26ページの8行目、本品の有効性及び安全性についてを御覧ください。総合機構は、主に、試験デザインの妥当性、治験機器の改良の妥当性、追加試験にて評価することの妥当性、他の感染症との鑑別性能の4つの観点から評価を行いました。試験デザインの妥当性について、同ページ、11行目を御覧ください。総合機構は、PCR法検査をゴールドスタンダードとすることに関しては、体外診断用医薬品の性能評価においても一般的に採用されている評価方法であり、特段の問題はないと考えました。また、性能目標を基礎研究や文献に基づき設定したことの妥当性について、適切な基礎研究及び文献が示されており、加えて、副次評価項目においても、イムノクロマト法検査と比較する項目を設定し、総合的な評価を行う試験デザインとされていることから、試験デザインについて特段の問題はないと考えました。
 次に、治験機器の改良に関する妥当性についてです。審査報告書の27ページの16行目を御覧ください。総合機構は、本臨床試験成績を○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○製品○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○状態としたこと、及び、本臨床試験データの管理において○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○を担保できるような開発プロセスとしていたことから、本臨床試験結果に基づく意図的な製品改良ができない状況であったと考え、本改良は問題ないと判断いたしました。次に、追加試験成績から本品の有効性を評価することの妥当性について、同ページの30行目を御覧ください。申請者から、本臨床試験以外の患者データとして、臨床研究にて収集された本臨床試験とは別の患者データを用いた試験成績が提示されました。
 審査報告書の28ページ、表21に示したとおり、感度○○○○%、特異度○○○○%であり、追加試験の成績である感度が76%、特異度が88.1%と同等の性能であることが認められたことから、本品の改良が本臨床試験結果のみに最適化されたものでないと判断いたしました。次に、他の感染症との鑑別性能について、同ページの18行目を御覧ください。総合機構は、咽頭後壁にリンパ濾胞が発現するインフルエンザウイルス以外の感染症の種類及びそれらの感染症に対する本品の鑑別性能について、咽頭後壁にリンパ濾胞が発生する感染症として、コロナウイルス、RSウイルス等が考えられるとの申請者の説明を受け、それらの感染症に対する本品の鑑別性能に関する説明を申請者に求めました。申請者は、追加試験においては、リンパ濾胞が発生する他の感染症患者も組み入れられている可能性がある状況で実施された感度と特異度の性能目標を達成していること、及び、本品は問診情報によりインフルエンザウイルス感染時の特徴的な所見を考慮し当該状況を含めて判定解析を行うことから、鑑別性能は問題ないと説明しました。
 加えて、審査報告書の29ページ、表22にお示ししていますとおり、本臨床試験実施時に採取された検体659例のうち、113例について、特異性試験が実施されました。この特異性試験結果では、陰性一致率88%という結果であり、一定程度の特異度は認められました。総合機構は、他の感染症の咽頭画像情報を得ることが現状では難しく、現時点で本品の鑑別性能を十分に検討することには限界があることを考慮し、申請者の説明は妥当と考えました。ただし、本臨床試験のプロトコルは、コロナウイルスと鑑別性能を評価することを意図した設計とはなっておらず、新型コロナウイルスの変異株などの鑑別性能については十分な検証が行われていないため、注意事項等情報に、リンパ濾胞の異常は他の感染症でも認められる場合があり、現時点で本品はそれらの感染症との鑑別を十分に行える知見を有していないこと、及び、他の感染症の疑いを否定できない場合、他の検査を必要に応じ実施することの注意喚起をすることといたしました。
 次に、審査報告書の30ページの8行目にお示ししている論点の2つ目、本品による検査の臨床的位置づけについてを御覧ください。本品は、直接的にインフルエンザウイルスを観察しているものではなく、イムノクロマト法検査とは異なる検査です。また、さきに述べたように、追加試験の副次評価項目に設定した本品とイムノクロマト法検査の感度の非劣性が示されなかったことから、総合機構は、申請者が考えるイムノクロマト法検査の代替という位置づけが適切ではなく、解析結果はあくまでインフルエンザウイルス感染症に特徴的な咽頭所見・症状の検出であると考えました。このことから、臨床的位置づけは、医師が臨床所見を観察する際の参考情報を医師に提供することで、医師が実施する診断の補助をする一つのツールとすることが適切であると考えました。そのため、総合機構は、臨床現場において本品による解析結果がイムノクロマト法検査による検査結果と同義であると誤解されることがないよう、使用目的を変更することとしました。なお、診断の際には、本品の解析結果のみならず、その他の臨床症状を含め医師が総合的に診断を行う必要があることから、注意事項等情報にその旨を注意喚起することといたしました。加えて、本品の原理上、インフルエンザウイルス感染症の発症経過時間に伴い本品の感度は異なる可能性が示唆されたため、判定の際には留意する旨を注意事項等情報に記載することといたしました。
 最後に、本品の使用成績評価の要否について御説明いたします。審査報告書の32ページの9行目、総合機構における審査の概要を御覧ください。総合機構は、本品の安全性については、非臨床試験をはじめ、臨床試験で懸念される有害事象が確認されていないこと、及び、本品の想定されるリスクは極めて低いことから、使用成績評価で得られる情報により新たに安全性の懸念が特定される可能性は低いと考えました。また、本臨床試験は、通常診療で本品の使用が想定される患者が組み入れられ、実臨床下に近い状況で実施されており、追加試験はこの患者検体を用いて実施されていることから、本品の対象患者に対する有効性は追加試験において評価されたと考えました。総合機構は、専門協議の議論も踏まえ、新たに評価すべき事項は想定されないことから、使用成績評価を行う必要性は低いと考え、使用成績評価の指定は不要と判断いたしました。
 以上の審査に基づき、審査報告書の33ページ、35行目の使用目的とし、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本プログラム医療機器調査会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、使用成績評価の指定は不要と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 総合機構からの説明は、以上です。
 御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井座長 ありがとうございました。
 まず、参考人として御参加いただいている松本先生から、追加の御発言をいただけますでしょうか。
○松本参考人 松本でございます。よろしくお願いいたします。
 今回審査にかけられている製品につきましては、インフルエンザの補助的診断という位置づけになろうかと思います。追加試験で得られた結果、本製品の感度が76%、特異度が88.1%なので、まずまずの結果ではあると思います。○○○○○○○○○○○○%になりますので、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
 ただ、インフルエンザの迅速診断キットの欠点は、感染早期の時点ではまだウイルスの抗原量が増えていないため偽陰性となることです。臨床的にはインフルエンザの可能性が高い場合でも、抗原検査キットが陰性だと医師によって判断が分かれる場合があります。例えば、臨床的にはインフルエンザの可能性が高いから、タミフルなどのインフルエンザ薬を処方するという先生もおられますし、検査が陰性なのでインフルエンザと確定できないので、改めてもう一度検査を受けに来てくださいと言われる先生もいます。インフルエンザの治療薬は発症から48時間以内でないと有効でないので、外来に再度来ていただくにしても、処方に間に合わせるのはなかなか難しいと思います。そういう意味では、nodocaは発症してから早いタイミングでの陽性率は高いので、補助診断として利用できるのではないかと考えております。
 差し当たって、私からの説明は以上です。
○荒井座長 松本先生、ありがとうございます。それでは、委員の方々から、御質問、御意見はございますでしょうか。
 どうぞ。
○鷲尾委員 産総研の鷲尾です。説明をありがとうございます。
 2つございまして、まず、一般的名称、定義の案の中で、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由のところなのですが、ポツの1個目は入力が違うというお話だと思うのですが、参考として挙げていただいている診断支援のプログラムの2つの定義文等を考えますと、入力も違うのですけれども、どちらかというと出力として臨床所見が出るというところにこの一般的名称の設立・創設の意義があるのではないかと思っておりまして、その辺をちょっと御説明いただければと思います。
○事務局 ありがとうございます。事務局から、御回答いたします。
 まず、参考として挙げております病変検出用内視鏡画像診断支援プログラムにつきましては、内視鏡画像から病変の部位診断を行うものになります。下の疾患鑑別用内視鏡画像診断支援プログラムも、内視鏡画像から病変の良悪性やどういった疾患であるかという質的診断を提示するものになっております。
 今回のものに関しましては、咽頭画像が解析の主体にはなっておりますものの、臨床情報も同時に入力して、画像だけではなく臨床情報を総合して解析し結果を提示するところにおきまして入力させる情報に違いがあるというところで、一般的名称を分けることといたしました。
○鷲尾委員 そうしますと、その臨床所見は、画像で、例えば、挙げていただいている病変候補の検知や良悪性の鑑別と変わらないと。
○事務局 まず、画像といたしましては、咽頭画像を見ております。部位診断であるのか質的診断であるのかは明確ではございませんが、その他の診療情報等が、本品の場合ですと、年齢、性別であったり、受診時やピーク時の体温であったり、発症日時であったりといった診療上の病歴のようなものを補助情報として入力させますので、そちらがあるかないかというものが違います。下で提示しております既存のものは、そういった臨床情報は一切なく、画像だけで判定するものになっております。
○鷲尾委員 ありがとうございます。
 今の御説明ですと創設しないで一般的名称の病変検出の定義文を変えればよさそうにも聞こえてしまうのですが、そういうものではないということですね。
○事務局 診療情報を加味することは差分があると認識いたしました。
○鷲尾委員 その診療情報を定義文の中に入れるという改変をすることも同じような意味のように思ったということです。
○事務局 一般的名称として、その品目の同一性が損なわれると判断いたしました。
○鷲尾委員 分かりました。
 この中で「や」と書いてある、定義文の案の「画像情報や」というものは、アンドということで、画像情報に必ず診療情報なり診断情報がくっつくということでよろしいのですか。それとも、画像だけでも臨床所見を出すものはこの中に含まれるのですか。
○事務局 基本的には、画像情報だけではないものを主体とする方針でございます。
○鷲尾委員 そうすると、「等」ですかね。
○事務局 「や」の部分が、「等」というか、「及び」といいますか、「及び」という形に修正をさせていただければと思います。
○鷲尾委員 私がごり押しをしているわけではなくて、ほかの方々が読んだときに、新規に創設されるということは、要するに、いわゆる空き箱というか、箱をつくることになりますので、そのどっちの箱に入れたらいいか困らない状況をつくっていただければということで、今、質問をさせていただきました。
 もう一個、よろしいですか。
○荒井座長 今のところは最終的な答えをいただきたいのだけれども、新しい箱のほうは。
○事務局 臨床情報も含めたものになります。
○荒井座長 臨床情報も含めた場合にはそちらのほうに行くし、画像情報だけであれば前の箱のほうに入るという解釈でいいのですか。
○事務局 画像情報にいたしましても、部位診断なのか質的診断なのかという意味では、本品ではどちらでもないというところがありますので、そういう観点でも既存の箱の2つとは少し性質が違います。
○荒井座長 そういうことでよろしいですか。
○鷲尾委員 ありがとうございます。
○荒井座長 ありがとうございます。先生、続けて、どうぞ。
○鷲尾委員 続けて、もう一つ。僕も古いので、CADeからの話を引っ張ってしまうのですけれども、今回、審査報告書の10ページ、下の図6、解析結果の表示例なのですけれども、初期のCADeの場合は、先生がぽちぽちと画面を押して、さあ、正解をどうぞといったときに、ソフトウエアから「ここがおかしいですよ」という提示の仕方をさせていたと思います。それは結構古いので、今回、こういう「検出あり」というものは、先生が画像上でいじらなくても出てくるものなのか、それとも、ぱっと出てくるものなのか、その順番を教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 まずは、総合機構から回答させていただきます。
 まず、この使用方法なのですけれども、画像を撮影しまして、その後、判定する判定ボタンというものがありまして、その判定ボタンを押しますと、この図6の解析結果が表示される形になります。
○鷲尾委員 ありがとうございます。
 そうすると、要は、画面上に所見があるかどうかということではなくて、先生がクリックをするという行為のみで出るということですね。
○医薬品医療機器総合機構 御見解のとおりです。
○鷲尾委員 分かりました。ありがとうございます。
○荒井座長 僕が説明する立場ではないのですけれども、ここがAIの怖いところというか、ブラックボックスなのですよね。結局、画像が読み込んだものとその他臨床情報を得て、答えはとスイッチを押すといきなりこれが出てくるということで、その途中の過程が見えないという理解でいいのですよね。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構から、回答させていただきます。
 御見解のとおりです。
○荒井座長 そういうことです。清水先生、お願いいたします。
○清水委員 清水です。
 2つほど、質問がございます。
 黒の文字で10ページ、再度撮影を促すアラートが表示されるというところなのですが、このアラートの頻度、最終的に撮影ができなかったという不具合がどの程度あったかについて、教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 アラートにつきましては、もともと最初の臨床試験でやられたデータが672例ありまして、そのうち13例の画像が解析できなくてはじかれてしまったものになります。追加試験が659例でやられたという形になります。ですので、13例がはじかれたということになりまして、そうすると、2%ぐらいの割合でこのアラートが臨床上は出たという結果が臨床試験から示されたかと考えています。
 お答えになっていますでしょうか。
○清水委員 確認ですが、最終的に撮影できなかったものと何回か試してみて最終的に撮影できて判定ができたものは違う気もするのですが、その2%は何度やってもアラートが出続けたということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 AIが判定できなければアラートが鳴るという仕組みになっておりますので、その割合は定かでないのですけれども、それぐらいの割合で出ることが考えられるということはこの試験成績から言えるのではないかと考えています。
○清水委員 分かりました。どこかに2%の割合でそういう不具合が出ることは示されていると考えてよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 具体的にそういった情報は書かれていないのですけれども、13例が除外されたというところから今の回答をさせていただいています。
○清水委員 分かりました。1個、追加でコメントなのですが、図5が判定となっているのですが、これは目的からいうと所見の抽出かと思いますので、出力で陽性・陰性の判定という診断に近いものが出てくることに違和感を覚えました。これはコメントです。必要に応じて直していただければと思いました。
 もう一つ、27ページの治験機器の改良に関する妥当性は、一度やってみてうまくいかなかったので改良というステップは当然あり得るかと思うのですが、その際にテストデータを何回使うかということはAIの研究においては重要な問題だったりするわけなのですが、その回数について教えていただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
 今回の改良したときの追加試験に用いたデータに関しては、1回のデータを再利用しているという形になります。
○清水委員 分かりました。テストデータリユースというか、再利用の問題は、単に開発者をデータから遠ざけるだけでは解決しないような問題もありますので、今回は1回ということであれば恐らく問題はないのだと思うのですが、非常に重要な件ですので、この回数等も含めて、再利用に関してはデータを収集されて、今後の審査等のために知見を収集されることをお勧めいたします。
 私からは、以上です。
○荒井座長 佐久間先生、先にどうぞ。
○佐久間座長代理 今の確認ですけれども、清水先生の御懸念は学習プロセスにテストデータが入ったかどうかということですか。
○清水委員 それは明確に分かれているのですけれども、テストデータを何度も使うと、例えば、10回使ってその中で一番よかったものを選ぶということをやりたくなるのですけれども、それをやってしまうとテストデータが汚染されてバイアスがかかってしまうのですね。それで、通常は再利用するにしても1回あるいは数回という限定が必要なのですが、それが適切に守られているかどうかについて質問しました。
○佐久間座長代理 分かりました。そういう点ですね。了解です。
○荒井座長 ありがとうございます。
 もうお一人、梅津先生、よろしいでしょうか。お願いいたします。
○梅津委員 手短にやります。
 添付文書について、コメントというか、質問があります。このシステムがコンソールとクラウドから成っていることはよく分かるのですが、添付文書を見ると、クラウドとコンソールがそれぞれ分かれていて、内容のほぼ9割以上が同じことを書いてあるのですね。添付文書というのは、元来、あまり長いと、みんな、読まないと言っては失礼なのですが、そんな気がするので、ちょっと工夫して、何かうまくまとまるのではないかと思いながら聞いていました。この辺りでもしも分かりやすくなるなら御検討いただければと思って、コメントをいたしました。
 以上です。
○荒井座長 ありがとうございます。レスポンスをお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構から、回答させていただきます。
 まず、購入者によって様々なタイプがクラウドシステムにありまして、そういった観点から様々に記載方法は考えていきたいと考えています。またそれも申請者と相談しまして、改定等ができれば、相談して進めさせていただければと考えています。
○梅津委員 とにかく使う人に分かりやすくなればそれで結構でございますので、そちらであとは相談してやっていただければと思います。
 以上です。
○荒井座長 よろしいですか。梅津先生は、遠慮がちに、「読むのが当たり前」という前提でお話しになりましたが、実際問題、読めるボリュームにすることはすごく大事な作業なので、御検討ください。お願します。
 そのほかに、御意見はいかがですか。
 松本先生、私から1つだけ。実際問題、臨床現場ではものすごく便利だと思うのですが、特に早期の場合ですと、これで陽性だったら、特に特異度が高いので、事実上は結構処方してしまうという方向に動いてしまうかと思うのですが、臨床現場ではいかがなものなのでしょうか。そんな方向に動くであろうということで、先生のお考えでは、許容してもしょうがないだろうというお考えでしょうか。
○松本参考人 ありがとうございます。
 どちらかというと、ある程度時間がたって、24時間以上たっている方に関しては、例えば、抗原キット陽性を優先する、ただ、それよりもタイミングが早くて、この人は多分通常はやっても出ないのではないかと思うような人にはこちらのnodocaを優先して使うというやり方のほうが、感度も上げられますし、有用な使い方ではないかと思います。
○荒井座長 ありがとうございます。
 そのほかに、委員の方々から、御質問、御意見等はございませんでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 特にございませんでしたら、議決に入らせていただきたいと思います。
 一般的名称「内視鏡用疾患特徴所見検出支援プログラム」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。
 御異議がないようです。
 それでは、医療機器のnodocaにつきまして、本調査会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品並びに特定生物由来製品としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価の指定は不要としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 御異議がないようですので、このように議決させていただきます。
 また、先ほどと同じになりますけれども、プログラム医療機器調査会設置要綱第5条第2項に基づきまして、この議決を医療機器・体外診断薬部会の議決とさせていただきます。
 本件は、部会並びに分科会にて報告を予定しております。
 それでは、これで議題2を終了いたします。
 松本先生、どうもありがとうございました。
○松本参考人 ありがとうございました。失礼いたします。
(松本参考人退室)
○荒井座長 それでは、議題3、調査会報告品目に入らせていただきます。
 事務局から、説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
 資料3、横向きの資料を御覧ください。
 令和3年7月1日から令和4年1月末までの7か月間に承認された品目のうち、クラスⅣのプログラム医療機器、臨床評価が必要なクラスⅢのプログラム医療機器など、本調査会への報告対象となっている品目の概要を記載しております。
 今回、臨床試験の試験成績に関する資料が添付されたプログラム医療機器として、お示ししている1品目が該当しております。
 こちらの報告品目につきましては、事前送付をもって報告とさせていただき、詳細な説明は割愛させていただきます。
 以上でございます。
○荒井座長 ありがとうございます。特に御意見や質問も来ていないのですね。
 何か御意見とかはございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、特に御意見がないようですので、これで議題3を終了させていただきます。
 本日の議題は以上ですけれども、事務局から、報告、連絡事項はございますか。
○医療機器審査管理課長 機器課長でございます。
 ちょうど今、2時間というきっかりの時間になりまして、本日も円滑な御審議をどうもありがとうございました。
 連絡といたしましては、次回の予定になるのですが、現時点では夏頃を予定しておりますので、また改めて日程確認と御案内をさせていただくということで対応させていただきたいと思います。
 以上でございます。
○荒井座長 ありがとうございます。
 このプログラムの調査会も、これで複数回になりました。途中でも申しましたけれども、いろいろとやっているうちに、あれに気がつきこれに気がつきという部分が多々あると思います。繰り返しになりますけれども、ぜひその辺はフレキシブルにいろいろな意見を出していただきながら、できるだけいい検討の場にしていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これをもちまして本日のプログラム医療機器調査会を閉会とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
 
( 了 )
備考
本調査会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。