2022年12月2日 第5回厚生労働省統計改革検討会 議事録

日時

令和4年12月2日(金)14時00分~15時53分

場所

オンライン会議

出席者

<構成員(五十音順、敬称略)>

議題

(1)厚生労働省統計改革ビジョン2019の進捗状況等について
(2)厚生労働省統計改革工程表(案)について
(3)その他

議事

 

○牧野参事官
 御参加予定でまだお見えでない先生がいらっしゃるのですが、定刻になりましたので、ただいまから第5回厚生労働省統計改革検討会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただきましてありがとうございます。なお、美添委員からは御欠席の御連絡を頂いております。
 会議の開催に当たりまして、小林厚生労働審議官から御挨拶をさせていただきます。

○小林厚生労働審議官
 厚生労働審議官の小林でございます。本日は、お忙しい中検討会にお集まりいただきありがとうございます。
 本日は、厚生労働省統計改革ビジョン2019と、その工程表に沿った取組の進捗状況を御報告申し上げたいと思います。また、前回の検討会でも申し上げましたように、今般事務局のほうで新たな統計改革の工程表案を作成いたしましたので、これにつきましても御意見を賜りたいと思っております。
 現在の工程表ですけれども、毎月勤労統計問題への深い反省に立ちまして、先生方に取りまとめをお願いした厚生労働省統計改革ビジョン2019の付属文書として、厚生労働省として進めるべき統計改革の取組を網羅するものであるわけですけれども、先般、国土交通省の事案を受けまして、総務省統計委員会から建議がなされており、これを踏まえ、各府省において更なる取組が求められているところです。
 そこで、工程表の網羅性というのを保ちつつ、引き続き統計改革の取組の全体を御覧いただけるよう、新たな工程表案につきましては、厚生労働省統計改革ビジョン2019に基づいて引き続き取り組むべき事項のほか、総務省統計委員会が本年8月に「公的統計の総合的な品質向上に向けて」というものを取りまとめておりますが、これにおける取組も盛り込んでおります。厚生労働省の統計改革の取組につきましては、今後とも皆様の御意見を賜りながら着実に進めてまいりたいと思っておりますので、本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

○牧野参事官
 続きまして、前回会議後、事務局に異動がありましたので、御紹介をさせていただきます。まず、岸本政策統括官です。

○岸本統括官
 政策統括官岸本と申します。よろしくお願いいたします。

○牧野参事官
 次に、藤井統計企画調整室長です。

○藤井室長(統計企画調整官)
 統計企画調整室長の藤井です。どうぞよろしくお願いいたします。

○牧野参事官
 私は企画調整担当参事官の牧野と申します。よろしくお願いします。
 続いて、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第に書いてありますとおり、資料1が統計改革ビジョン連絡会議開催実績について、資料2が厚生労働省統計改革ビジョン2019工程表の進捗状況について、資料3が今回お諮りする工程表(案)についてです。それから、参考資料を4つお付けしていますが、お手元にありますでしょうか。大丈夫でしょうか。それでは、以降の進行は小峰座長にお願いいたします。

○小峰座長
 委員の皆様方には、この統計改革検討会に御参加いただき大変ありがとうございます。それでは、議事次第に沿って進めたいと思います。
 まず、議題1として、「厚生労働省統計改革ビジョン2019の進捗状況等について」ということで、事務局より説明をお願いいたします。

○戸田企画官
 では、資料1から御説明いたします。これまでも、この検討会において御説明させていただいておりますように、統計改革を進めるに当たって、5つのグループを設けており、その関係者の間で情報共有をさせていただくということで、統計改革ビジョン連絡会議というものを省内で開催しております。構成員はこちらに書いてありますように、政策統括官部局の政策統括官をはじめ、政策立案総括審議官に統計改革の進捗をご報告しつつ、グループ間で情報を共有するという目的で進めています。第25回の3月以降、今年は3回開催しているところです。
 それでは、資料2について具体的な進捗状況について御報告させていただければと思います。

○藤井室長(統計企画調整官)
 それでは、資料2「厚生労働省統計ビジョン2019工程表の進捗状況(フォローアップ)について」を御覧ください。資料をおめくりいただきまして、4ページです。ガイドラインの作成とPDCAサイクルの着実な実施です。ここでは、標準ガイドライン関係、PDCAによる点検・評価、統計作成プロセス診断、コンプライアンスチェックの取組についてまとめています。
 まず、①の標準ガイドライン関係ですが、令和2年度にマニュアル作成の基礎となる厚生労働省の標準的なガイドラインとチェックリストを作成し、令和3年度よりガイドラインに基づく業務遂行、チェックリストに基づく点検・フォローアップを行うこととしておりましたが、厚生労働省の毎月勤労統計調査の不適切事案を踏まえて、政府全体としても再発防止に取り組む必要があることから、総務省、内閣官房から品質保証に関するガイドライン等が各種作成されておりまして、このガイドラインについて改訂が行われる予定であり、令和2年に策定しました厚生労働省の標準的なガイドラインについても見直しを行う予定としていたところですが、この改訂作業については、令和3年度より後ろ倒しになったことから、令和3年度に実施する予定であったチェックリストに基づく点検等については、一部実施できなかった部分もありました。この未実施の部分については、後ほど御説明いたします工程表に盛り込んで取り組むこととしています。令和3年度の下半期から令和4年度上半期につきましては、基幹統計調査に関して、プロセスごとにマニュアルが整備されているかという整備状況の確認を行っております。ここでは総務省の指示に基づく一斉点検として行ったものですが、前回、毎月勤労統計調査の事案が発生した際に行われた一斉点検よりは、マニュアルの整備状況は進んでいるという状況です。
 次に、②PDCAによる点検・評価です。PDCAによる点検・評価は、令和2年度から令和6年度までの5年間で、厚生労働省で実施をしている約90の統計調査について、計画的に点検確認を行うこととしております。令和3年度は6調査について確認を行い、調査計画と齟齬があった場合には、調査計画の変更時に反映させて総務省への承認申請を行うということで、点検結果の活用を行っています。同様に、令和4年度は23調査について実施予定でして、上半期には7調査について作業が完了しているという状況です。
 ③の統計作成プロセス診断についてですが、これは総務省から派遣される統計監理官という役職の方が行う点検作業でして、令和3年度には国民生活基礎調査と毎月勤労統計調査の2調査について試行的に実施いたしました。総務省の診断結果については、各調査担当にそれぞれフィードバックをされています。
 ④のコンプライアンスチェックについてですが、プロセス診断とかぶってしまいますが、国民生活基礎調査と毎月勤労統計調査の2調査について実施しております。点検結果につきましては、毎月勤労統計調査について、調査員の指導の参考となるという内容であったことから、都道府県に対して情報提供をしております。
 なお、本日御欠席の美添委員より、コンプライアンスチェックの点検結果はホームページ等で見ることができるのかという御質問を事前に頂いております。コンプライアンスチェックにつきましては、今現在、試行という形で実施しているということもあり、公表は行っていません。令和3年度、4年度につきましては試行という形で実施をしておりまして、この結果を踏まえ、令和5年度からの本格実施に向けて、実施要領や実施計画を作成をする予定になっていますので、公表についても検討することとしております。
 続きまして、今年度の下半期の予定についてです。資料の5ページを御覧ください。標準ガイドライン関係では、上半期の基幹統計調査に続きまして、一般統計調査、約80本の一般統計調査がありますが、この調査についてマニュアルの整備状況の確認という作業を行っております。また、今年8月に取りまとめられた総務省の統計委員会建議の中で、業務マニュアルの基礎となる統計作成ガイドブックというものを、令和5年度前半までに総務省が作成し、各府省がそれを踏まえて業務マニュアルを整備することとされていますので、厚労省におきましても、総務省が作成いたします統計作成ガイドブックを踏まえて、令和2年度に策定をした厚生労働省統計標準ガイドラインの見直しを行うこととしております。
 次に、PDCAによる点検・評価です。令和4年度には点検する23本の調査のうち7本が既に終了しておりますので、残りの16調査について点検作業を実施することとしています。
 コンプライアンスチェックにつきましては、今年度も試行実施ということになりますが、事業所を対象とする調査、世帯を対象とする調査、それぞれから1調査ずつを対象として実施するとともに、令和5年度からの本格実施に向けて、実施要領と実施計画の策定を行うこととしております。
 最後にその他としておりますが、今年の8月に取りまとめられた統計委員会の建議において、誤りの発見時の対応ルール等の見直しを行い、再計算によるデータの復元に必要な書類等を永年保証するというようなことが求められており、これにつきましては現在、総務省、内閣官房でルールの見直しが行われる予定ですので、これらを待って対応する予定です。ガイドラインの作成とPDCAサイクルの着実な実施については以上になります。
 続きまして、資料の7ページを御覧ください。情報システムの適正化について御説明いたします。情報システムの適正化については、政策統括官の中で実施をしております統計調査の審査、集計を行う際に用いる厚生労働省の統計処理システムと毎月勤労統計調査に分けて記載をしております。
 私からは厚生労働省統計処理システムについて御説明をいたします。厚生労働省統計情報処理システムにつきましては、令和7年1月の機器等の更新を目標に、次期システムの仕様をどのようにしていくのかという調査研究を実施しております。具体的には、令和2年度に調査研究事業といたしまして、実機を用いた概念実証として、実際の動作環境を整備した中で、プログラム言語の動作保証、実行結果の同一性確保という検証を行っております。検証結果といたしましては、厚生労働省が独自に開発した言語に限らず、文字コード変更等に伴うプログラムの修正が必要、職員作成プログラムのノンプログラミング化や他の言語の移行に向けての仕様等の整備が必要、独自言語の移行だけではなく文字コード変更等の影響は改修工修が大きく、過去のデータ修正を行うための環境は極力現行システムと同じ環境であることが望ましい、こういうような結果が出ています。
 この結果を踏まえ、次期システムの仕様書の作成に係る調達支援及び工程管理支援業務を令和4年度に実施すべく調達手続を行っておりましたが、入札の結果、応札者がなく不調となってしまったため、次期システムの導入時期につきましては、当初令和7年1月からとしていたものを令和8年1月にと、1年間後ろ倒しするというスケジュールの見直しを行っております。令和4年度に不調となりました工程管理支援の調達手続を実施することといたしました。
 続きまして、8ページを御覧ください。これは令和4年度下半期の取組になりますが、今御説明をいたしました調達不調を踏まえまして、不調の原因がどこにあったかということを確認したところ、受託の始まる4月から着手し、翌年度の予算要求が始まる6月頃までに要件定義書や見積書の作成をすることが求められておりましたが、受託業者といたしましては、スケジュール的に厳しいということで応札できなかったという意見がありましたため、これらの意見を踏まえ、仕様書の要件の見直しを行い、12月23日を予定しておりますが、この入札に向けて、現在手続を進めているところです。
 また、職員作成プログラムのノンプログラミングツール化に向けた整備等は、次のシステムの稼動が令和8年1月に延期されたことから、システム開発が始まる6年後までに実施することとしております。システムの適正化については以上になります。

○井嶋分析官
 続きまして、毎月勤労システムについて御説明いたします。7ページの下側です。全国集計の移行ですが、令和2年度にプログラムの検討をしまして、令和3年度に、COBOLプログラムを中心としたものから、汎用性が高く、容易に改修が可能なプログラムということで、C++とVBAによる集計プログラムの開発を実施いたしました。
 8ページです。令和4年度につきましては、COBOLで集計した結果表と、C++とVBAで集計したプログラムを並行で運用してできた統計表を比べるという作業を実施しております。差異が生じた場合について、外部事業者に運用支援を委託して、検証して、差異があれば修正をするという処理を現在行っています。令和5年1月の集計から、新しいC++とVBAへの集計プログラムに移行したいと考えて作業を進めているところです。
 その下のデジタル技術の活用ですが、毎月勤労統計調査につきましては、政府統計共同利用システムのオンライン調査システムを使っております。オンライン調査を推進する観点から、このオンライン調査システムのほうで機能強化の検討をしているとのことですので、その連携強化をするために、電子調査票の仕様などの検討を進めているところです。毎月勤労統計システムについては以上です。

○藤井室長(統計企画調整官)
 続きまして、組織改革・研修の拡充等について御説明いたします。資料の11ページを御覧ください。組織改革・体制整備につきましては、令和3年度より、政府全体の新たな取組である統計アナリスト、アナリスト補の育成に着手しております。これは経験年数などの一定の受講要件を満たした職員で、総務省統計研究研修所が実施する所定の研修を受講し修了した職員について認定されるものですが、令和3年度下半期から4年度上半期までに、アナリストが2名、アナリスト補が7名、それぞれ認定されております。
 また、人材育成・研修の充実につきましては、「厚生労働省における統計の人材育成基本方針」という研修方針に基づき、計画的に研修を実施しております。特にこのビジョンを策定した令和元年からは、全職員を対象とした研修、統計調査所管課室長を対象とした研修、指定職職員を対象とした研修など、役職別の研修を新たに追加して実施しております。
 次に、人材プロファイルについてですが、これは現在、政策統括官組織内で統計業務に携わっている職員について整備を始めており、職務経験と研修の受講状況を反映させております。
 下の令和4年度下半期の取組ですが、下半期においても同様の取組を行うこととしております。組織改革・体制整備の2つ目のポツに「誤りの発見、報告及び対応を適切に行った職員への人事評価方策の検討」ということを追加しておりますが、これは統計委員会の建議に盛り込まれた取組になっておりますので、下半期の取組として追加しております。
 本日御欠席の美添委員より、ここについても事前に質問を頂いております。9名のアナリスト、アナリスト補は統計関連業務に就いているのか、厚生労働省としてはもっといてもいいと思うが、今後どのように育成していくのかという内容でした。
 既にアナリスト等の認定を受けた9名のうち、現在実際に統計業務に就いているのは8名となっております。また、今後の育成につきましては、政府全体として、令和8年度までに整備をしていくという目標を掲げられておりますが、厚生労働省につきましては、政策統括官組織内の統計関係業務を担当する各部屋にアナリスト1名の計10名、それからアナリスト補については、統計調査ごとに1名配置の計34名ということで、令和8年度までに育成していきたいと考えております。これらにつきましては、それぞれ統計人材プロファイルを活用し、個人の適性も勘案しつつ、育成・配置について検討することとしております。組織改革・研修の拡充等については以上でございます。

○渡邉室長(審査解析官)
 続いて、データの利活用・一元的な保存の推進に係る進捗状況を説明いたします。最初に、令和3年度下期及び令和4年度上期の取組内容について、資料の15ページを御覧いただければと思います。
 二次的利用の促進に関してですが、基本的には令和2年に実施した厚生労働省データ利活用検討会で取りまとめた利活用促進策を踏まえて進めているところです。まず、利活用の実績について確認したいと思います。本年9月に統計法第55条に基づく統計法の施行状況、こちらは総務省から公表されているものでして、この数値を引用しますが、厚生労働省の調査票情報の提供実績については、令和3年度において公的機関等宛てが1,012件、その他(研究者等)宛てが131件となっており、いずれも増加傾向となっております。また、申請1件当たりの平均審査日数ですが、令和3年度においては47日となり、こちらも前年から改善しております。なお、17ページに過去4年間の推移を掲載しております。
 次に、オンサイト施設について、現在、利用可能な施設数は全国で18施設となっているところですが、厚生労働統計に関しては、現在、賃金構造基本統計調査や人口動態調査など、所管12統計が利用可能となっております。前回の検討会時点より新たに5つの統計を追加しているところです。また、賃金構造基本統計調査の匿名データについては、3月26日の統計委員会において、作成方法を諮問、即日答申を受けております。これを基に現在、平成28年、29年、令和元年の3か年分の作成作業に着手し、令和5年からの提供を目途に取り組んでいるところです。
 続いて、行政記録情報の活用についてです。令和4年介護サービス施設・事業所調査において、介護保険法に基づく事業者からの介護サービス情報の報告・公表制度の情報から、調査に必要な情報を抽出し、あらかじめ調査票に印字して配布するプレプリントを実施しております。こちらは回答者の負担軽減に係る取組ということになります。また、統計調査間の連結やマッチングキーについて、これまでは事業所統計における法人番号の整備を進めてきましたが、これ以外にも連結を進めることで利用可能性が広がるものがないか、利用者からのヒアリングを行っているところです。
 最後に、毎月勤労統計調査において、都道府県が実施する地方調査について、調査票情報の長期保存が可能となるよう、当省において調査票情報を記録した磁気媒体を一元的・長期的に保存するよう、令和3年11月19日に調査規則を改正しております。
 続いて、令和4年度下期の取組について、資料の16ページを御覧いただければと思います。まず、二次的利用の促進として、調査票情報の利用に関するリーフレットを作成し、厚生労働省のホームページに掲載しております。リーフレットについては18ページ以降にその抜粋を掲載しております。併せて厚生労働省のホームページの改善も図ったところです。オンサイト施設への調査票情報の追加登録については、利用者の利便性が高まるよう、引き続き計画的に進めることとしております。
 行政調査の活用についてですが、雇用保険・職業訓練等の行政記録情報を活用し、EBPMの推進に係る若手・中堅プロジェクトチームが、求職者支援訓練の効果検証に係る分析を進めております。また、統計調査間の連結やマッチングキーに係るヒアリングについても、引き続き実施しております。私からは以上です。

○飯島推進官
 続いて、同じ資料2の21ページから、EBPMの実践を通じた統計の利活用の促進について説明いたします。資料の22ページを御覧ください。EBPMについては大きく分けて、EBPMの実践と省内若手・中堅プロジェクトチームの2点がございます。
 まず、EBPMの実践です。当省では、毎年度EBPMの取組方針を作成し、各種政策プロセスにおいてEBPMの取組を進めておりますが、その中でも、特に予算プロセスを中心にEBPMの実践に取り組んでおります。こちらについては、後ほど資料で御説明いたします。
 次に、EBPMよろず相談ですが、当省ではEBPMの実践事業に限らず、省内全ての事業のEBPMを支援することを目的として、令和元年7月からよろず相談窓口を設置しております。相談内容としては、ロジックモデルの作成方法や事業の効果検証方法などの相談で、令和3年度は19件、令和4年度は9月末現在で11件の相談を受け付けており、民間事業者の専門的な知見を活用し、相談に対応しております。そのほか、EBPMの基礎研修、応用研修、さらに実践担当者研修なども実施しております。
 それでは、ここから先は別添の資料で御説明したいと思います。資料の24ページを御覧ください。「令和4年度のEBPMの実践について(取組方針)」という資料となります。当省では、令和2年度から予算プロセスとEBPMの一体的な取組を実施しており、本年度は令和5年度予算要求事業のうち、1億円以上の新規事業、モデル事業及び大幅見直し事業に加え、部局単位でこれらに該当する事業が1つもないという場合には、最も要求額の大きい事業を原則対象として、全ての事業で最低1事業以上はロジックモデルを作成し、概算要求に係る会計課説明等において活用しているところです。
 25ページを御覧ください。こちらの資料は、令和4年度以降の予算プロセスにおけるEBPMの取組サイクルの全体像です。本年度は、6月に各部局からロジックモデルを提出していただき、事務局で点検し、ブラッシュアップした後、各部局において会計課説明で活用し、9月以降は財務省説明においても活用しております。また、本年度はこれらの事業の中から重点フォローアップ事業を既に選定しております。この重点フォローアップ事業のロジックモデルについては、年明けの令和5年1月に厚生労働省のホームページで公表することとしております。また、今後選定される効果検証対象事業については、リサーチデザインを作成した上で事業を実施し、事業実施後の令和6年度に効果検証を行うという仕組みとなっております。
 次に、有識者によるEBPMの実施状況の検証について御説明いたします。26ページを御覧ください。当省では、令和2年度から有識者検証会を設置しており、本年度は9月に第1回を開催しております。検証事項としては、各部局から提出されたロジックモデルの点検・助言・効果検証方法等の精度向上に係る検証や、次年度のEBPMの実践に向けた検証などを行っております。こちらは、東京大学の田中隆一教授を座長として、ほか3名の構成員の方に御参加いただいております。年度内にあと2回開催し、審議結果を取りまとめる予定としております。なお、昨年度までの検証結果については、当省のホームページで公表しておりまして、検証結果を次年度のEBPMの実践に反映しながら取り組んでいます。
 続いて、27ページを御覧ください。若手・中堅プロジェクトチームの関係です。当省では、省内職員が統計データに係る分析手法を習得できるようにするため、有志による若手・中堅プロジェクトチームを設置しており、公募によって構成員を入れ替えながら、分析テーマごとに分析を進めております。このうち、令和3年12月に時間外労働の上限規制、令和4年4月に生活困窮者自立支援制度の分析レポートを公表しております。令和4年度においても、現在43名のメンバーが参加しており、分析結果が出たものから公表していく予定としております。
 また、本チーム活動の一環として、令和2年度から労働政策研究・研修機構と連携し、EBPMセミナーを開催しております。本年度は9月に「非正規雇用と同一労働同一賃金」をテーマに、労働政策研究・研修機構の研究者の研究報告や若手チームの分析結果などを報告し、御議論いただいたところです。
 28ページを御覧ください。先ほど申しました若手・中堅プロジェクトチームによる時間外労働の上限規制の分析レポートの概要です。本分析レポートは、平成31年4月に時間外労働の上限規制が大企業に導入されたことにより、時間外労働への影響が見られるかについて、回帰不連続デザインで分析した結果となっております。
 29ページを御覧ください。生活困窮者自立支援制度の各事業が就労者数の増加に与える影響について、重回帰分析を用いて検証したものとなります。当省のホームページに詳細なレポートを掲載しております。当省としては、EBPMを普及させるためには人材育成が重要と考えておりますので、今後とも若手職員を中心としてデータの分析手法などを習得していただき、人材育成に取り組んでいきたいと考えております。説明は以上となります。

○小峰座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの厚生労働省からの説明について、委員の皆様から御意見、御質問等があればお願いいたします。どなたからでも結構です。では、梶木先生、どうぞ。

○梶木委員
 5ページのコンプライアンスチェックはいろいろな方法があるかと思いますが、どういう方法で実施をされていて、特に不適切な取り扱いというものが発見されなかったということなのでしょうか。

○藤井室長(統計企画調整官)
 御質問ありがとうございます。コンプライアンスチェックの結果についてですが、昨年度は国民生活基礎調査、これは世帯を対象とする調査になっていまして、それから毎月勤労統計調査、これは事業所を対象とする調査になっていますが、その調査対象になった方に対して郵送でアンケートを送付して、実際調査の記載を行ったかどうか、どういうところに苦労があったかというようなところの確認作業を行っています。
 事例として申し上げますと、毎月勤労統計調査については、実際調査票を記入しましたかという質問に対して記入していないという例があったのですが、これは事業所を対象とする調査でして、実際はその大元となる企業のほうで一括して記入をしていたということで、事業所では作成をしなかったのですが、企業のほうで実施をしていたということや、社労士に記入をお願いしていたというようなことが事例としてありました。ただ、これはその事業所がお願いをして、そちらに記入いただいたということになりますので、特に不適切な対応ではなかったという結論になっています。以上です。

○梶木委員
 今、おっしゃったやり方は、いわば調査の反面調査みたいな感じですよね。関係する部署や、あるいは職員の方々の意識も含めたコンプライアンスチェックはされないのでしょうか。

○藤井室長(統計企画調整官)
 先ほども御説明の中で申し上げたのですが、ただいま試行という形でやったこともありますので、今後そういうところ、例えば調査経由機関と申しまして、都道府県を経由して事業所に配っているようなものもありますが、そういう都道府県等の経由機関についても、確認を行うということを試みとして行いたいと考えています。

○梶木委員
 ありがとうございました。

○小峰座長
 では、次に中室先生、お願いいたします。

○中室委員
 発言の機会を頂きまして、どうもありがとうございます。慶應大学の中室と申します。私からは2つほどありまして、1つは統計のチェックを進める意味でも、二次利用を促進していただいているということは非常によいことだと思っています。その申請に係る審査の日数も段々短くなってきているということで、これもすばらしいことかなと思うのですが、とはいえ、審査に係る期間がやはり40、50日掛かるということで、これは審査期間ということですから、実際に審査が始まってから手元に届くまでの間ということまで含めて考えると、私のこれまでの感覚からすると半年ぐらいは掛かっているのかなというような感じがあります。
 これがどうしてここまで長くなるのかということを考えると、二次利用で個票の情報を出すときに、必要最低限の情報に絞らなくてはいけないという観点から、利用者ごとに、この情報が必要で、この情報は必要ではないというふうに分けて申請をしているのだと思うのです。そうすると、申請がきたときにカスタマイズしなければいけないという問題が、利用者側にも厚生労働省側にもあって、そのことによって、申請から実際にデータが開示されるまでに、すごい長い時間が掛かるということなのではないかなと思うのです。
 この問題を解決するために、基本的には申請があったときに全部まとめて情報を出しますというふうにして、例えばすごく機微な情報、生年月日でいうところの生年月日の日のほうや細かい住所情報など、そういうものを出すときには、何らかもう1段階の審査があるということであってもいいと思いますが、そうではない限りにおいては、そのまま全部出してしまうというほうが、ずっとスピードが短くなるのではないかなというふうに思います。厚労省側の手間も省けるし、間違いも省けるのではないかなと思うので、その点を検討していただきたいなと思ったのが1点目です。
 もう1点は、この効果検証において様々な成果が出てきているところを見ますと、この数年間で大きな進歩があったのではないかなというふうに思います。こういうことをやるためには、やはり事後的に評価をするというだけではなくて、事前にきちんと情報を取っていかなくてはいけないということがあると思うので、スケジュールがとても大切なのではないかなと思います。通常の概算要求ですと、予定が立てられるからとてもよくて、今回の取組サイクルの図表の中に書いてあるようなスケジュールに従って進められると思いますが、今のように補正みたいな話が出てきたときに、全くスケジュールを立てることができなくて、こういうことがうまくいくのかどうかということが心配になるのですが、補正などにおける取組について何かありましたら、是非教えていただきたいと思います。以上です。

○渡邉室長(審査解析官)
 では最初に、二次的利用の部分について私からお答えしたいと思います。まず、審査日数が非常に長いというお話がありました。グラフを見ていただくと分かるのですが、令和元年度においては統計法の改正がありまして、様式の変更などもあって、審査日数が非常に長くなっています。その後は職員が様式に慣れたという面もありますし、いろいろ効率的に行うような工夫も行ってきたということで、大分短縮はされてきているのではないかと思っています。
 それから、日数がある程度必要になる理由として、審査が厳格であるということ、特に必要最低限の調査項目を提供するということがあるのではないかということで、その点についてお話があったかと思います。こちらについては、統計法令の基準に従って行っていますので、ガイドラインや法令に関してはどうしても総務省の意見を伺う必要が出てくるかと思いますが、特にこの必要最低限という部分に関しては、我々のほうで総務省の方と話している限りでいうと、統計調査の国民への信頼の基礎としまして、統計調査の被調査者の秘密保護というものがあり、これを根拠として、やはり厳格な審査が必要だというふうに伺っているところです。
 一方で総務省においては、現在、統計調査に関する5か年の政府計画である基本計画の議論が進められているところで、例えばリモートアクセス方式の導入といった検討も進めるといったことが提示されており、引き続き利活用の促進に向けた取組は進められているものと理解しているところです。厚労省としても、こういった検討会の御意見なども総務省と共有しながら、例えばその審査の効率化や提供、手続の簡素化といった観点も含めまして、よりよい仕組みとなるように総務省と議論を進めていきたいなと考えているところです。以上です。

○飯島推進官
 まず、予算スキームで、今年度ですと新規事業は1億円以上、モデル事業、大幅見直し事業など、一定の対象となるものについて予算要求段階から手厚くロジックモデルの作成支援などを行っており、これは普及の1つのきっかけとして進めておりますが、これら選ばれた事業が年度途中で補正になった場合に関しては、特に補正だから対象外にするということではなく、同じくこの3年スキームで手厚く支援していくということに変わりはありません。
 ただ、これとは全く関係なく、当該年度に補正で実施する事業については、このスキームには入らないため、通常のEBPM研修や、あるいはよろず相談窓口を設けていますので、そういったものを活用しながら進めていただくこととしており、引き続き政策部局を支援しながら取り組んでいきたいというふうに考えております。以上です。

○小峰座長
 中室先生、よろしいでしょうか。

○中室委員
 ありがとうございます。今の説明で大変よく分かったのですが、私としては、データの開示までに掛かる日数について、過去と比べると随分短くなってきているというところは大変よく理解していまして、総務省も含めて、各省の皆様の御尽力には大変感謝しているところなのですが、先日も実は規制改革会議で、このデータの開示に掛かる日数が余りにも長いということがまた話題になりました。例えばレセプトデータなどでは、今、申請が許可されてから実際に出てくるまでに平均的に330日掛かるというような話があります。海外と比較すると、やはりかなり長いのです。統計に関しても、日本国内では短くなってきているのですが、海外では例えば出生票などの個票データは、研究者に対しては2日で開示されるそうで、やはり海外と比較すると、大分いろいろなことがビハインドしているのではないかということがとても気になっています。もちろん、コンフィデンシャリティというものはすごく大事だと思いますが、利活用を進めるという観点から、大胆な発想の転換が必要ではなないかというふうに思うこともありますので、総務省との議論が必要な部分があるということは我々もよく承知しているのですが、是非引き続き議論を進めていただければというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○小峰座長
 ありがとうございます。ちょっと私からも追加ですが、今の必要最小限なものに限るという縛りが相当、統計全般の全体に掛かる縛りとして効いているので、それが制約要因になっているという話をよく聞くのですが、総務省のほうでは、この件について前向きなのか、それとも余りこの点を変える気はないのか、その辺の感じはどうなのでしょうか。

○渡邉室長(審査解析官)
 そこはちょっとはっきりとしたことは申し上げられないところなのですが、先ほど申しましたとおり、次期基本計画の議論などでは審査の標準化などについて検討するといったことは盛り込まれていますので、何らかの検討を行う必要があるということは理解されているのではないかと考えています。

○戸田企画官
 補足でもう1点なのですが、データ利活用の件で、ご指摘のような御意見があるということは承知していて、総務省としても、もう1つ方策としてはオンサイト施設を設置して、その中では特に必要最低限の項目に限らず、調査票情報を施設の中では全て活用できるというようなことをやっています。中室先生の御指摘のように、DVDに焼いてデータを配布するのは昔ながらの方法であると思いますし、オンサイト施設というところでは、クラウドの技術を使っているわけですので、そうしたITの技術を活用するということも進めております。厚生労働省としてもオンサイト施設のほうにいろいろ調査票情報を登録させていただいて、そちらのほうでも利用者の方に多く使っていただくというようなことを目指しているところです。

○小峰座長
 ありがとうございます。神林先生が先ほど手を挙げておられましたね。どうぞ。

○神林委員
 ありがとうございます。二次利用の話題になっていますので、そこをまず聞いておきたいと思います。この図なのですが、調査票情報の提供実績というのは、実はほとんどは部内というか公的機関、政府内で使うために二次利用されていると思いますが、これを含めた平均審査日数の数字なのでしょうかということが1つです。
 政府内であれば、やはり47日掛かるということになると、国会答弁などでこれを使いたいというときに全く対応できないということになると思うので、ここは少しきちんとしたほうがよいのかなと、つまりもっと早くしないといけないという意識を持ったほうがよいのかなと思いました。
 もう1つは、オンサイト利用に関しての現状というのがうまく説明できていないような形になっていると思います。こういう形でオンサイト利用を促進しますという宣言はされていると思うのですが、現在のところ、オンサイト利用の実績というのはどの程度になっているのか。あと、将来的にこのオンサイト利用というものをどのように推進していくように考えているのか。特に政府関係、先ほどの33条第1項を使う33条申請にオンサイトというのは想定されていないと思いますが、そういう場合、今までの磁気媒体による提供を33条1項、オンサイトを33条2項というふうに使い分けるような形を考えているのか。オンサイトに関して、厚生労働省としてはどのように利用しようとしているのかということを、もう少しはっきりと書いたほうがよいと思います。その点について、今のお考えを簡単にお聞かせいただければと思います。

○渡邉室長(審査解析官)
 まず、審査日数の基準についての御質問ですが、こちらについては公的機関等を含めますと、第1項と第2項の両方含めて平均して47日となっています。それぞれで見ますと、公的機関等に関しては平均が42日、その他研究者等が55日となっていまして、その違いの主なところですが、研究者等からの申請によりますと、1つの申請で複数の統計を申請するとか、あるいはかなり長期にわたる年数を申請するといったものがありまして、そういったちょっと時間の掛かる案件が足を引っ張る形で長くなっている形になっています。

○神林委員
 そうすると、この数字の読み方なのですが、提供実績というのは件数で1,012と131、例えば令和3年度はそうなっていますが、例えば統計yearで基準化すると、実は研究者のほうは5個の統計10年分で、例えば50個という形でウエイトを掛けて計算をすると、大分近い数字になるというか、むしろ大きくなるぐらいをお考えですか。

○渡邉室長(審査解析官)
 統計の件数については、こちらは施行状況報告の数字を引用しているのですが、これは延べの数字になっています。例えば、申請1件当たりで複数の統計を申請されれば、2や3といった形になっていると。

○神林委員
 年数は1個ということですね。

○渡邉室長(審査解析官)
 年数は申請1件当たりになります。

○神林委員
 なるほど。そうしたら、研究者の側の統計の数が多いというわけではないですね。

○渡邉室長(審査解析官)
 そういうわけではないです。圧倒的に公的機関、特に都道府県などが多くなっています。

○神林委員
 そうすると、平均の10日の差というのは余り説明できないような気がするのですが、そんなことはないですか。

○渡邉室長(審査解析官)
 平均の10日の差は、先ほど申しましたとおり、申請1件当たりですので、1つの申請で複数の例えば統計を申請されるとすれば、その分長くなってしまうという。

○神林委員
 なるほど。そうしたら、ここの提供実績の所ですが、申請件数という数字も手元にあったら出しておいてくれると分かりやすいかなと思います。

○渡邉室長(審査解析官)
 例えば中央値で見ますと、公的機関等に関しては38日で、研究者等の場合は39日ですから、1日しか違いがないのです。

○神林委員
 ということは、非常に長く掛かるものが少数あるということですね。

○渡邉室長(審査解析官)
 そうです。

○神林委員
 恐らく、研究者サイドから見るとそれが問題なのです。少数であったとしても、全部手続は同じですので、異常に長く掛かるものというのはおかしいというふうに、そこがきちんと何でそうなるのか開示をして、研究者サイドで工夫が必要なのであれば、そういう工夫が必要だということを教えていただいて、こちらで共有するということもできるでしょうし、ですので、すごく異常に長いのが少数あるので、もしかしたら自分たちなのかもしれないのですが、そういうものがあるので平均が長くなっていますというのであれば、そこをちゃんとシュートするように情報を出していただくと有り難いと思います。
 あとは繰り返しになりますが、図を書くときはできれば単位はそろえるというふうにしていただくと分かりやすいと思います。一方で本数、一方で件数となると、どういうふうに対応していいか分からなくなりますのでお願いします。

○渡邉室長(審査解析官)
 オンサイトの今後の方針については、次の工程表の資料のほうに一応記載していますので、そちらのほうで説明させていただければと思います。

○神林委員
 実績については、どうでしょう。

○渡邉室長(審査解析官)
 実績については延べの数字になりますが、18件ということになります。

○神林委員
 令和3年度ですか。

○渡邉室長(審査解析官)
 過去4年間で18件ということになります。

○神林委員
 過去4年間で18件。

○渡邉室長(審査解析官)
 令和元年から提供を始めまして、令和4年11月まで計算すると18件になります。

○神林委員
 それは是非、資料の中に入れておいてください。

○渡邉室長(審査解析官)
 分かりました。

○神林委員
 ありがとうございます。

○小峰座長
 では次、川口先生、お願いいたします。

○川口委員
 御指名いただきましてありがとうございます。二次利用の件でして、15ページ目になるのですが、話題になっていたように、審査日数は、一部かもしれないですが、非常に長いケースがあるということで、恐らくそういう長くなっているものをピックアップすると全変数を出さない、必要最小限のものしか出さないという審査のところで、実質的には時間は長くなっているのかなという感覚があります。ですので、やはりどういうふうな経緯で非常に長いものが出てきて、平均値を押し上げているのかということを精査していただくというのは、必要なことかなというふうに思いました。
 それと、オンサイトで解決していくという方針なのですが、東京大学のほうでもオンサイトの施設の受入れを始めまして、私自身も担当させていただいているのですが、意外と利用されているのです。ただ、それはオンサイトでないと利用できない方々が利用しているということであって、必ずしもそれが100%の回答ということではないと思います。
 オンサイトは、実際に東京大学の場合だと東京大学に来ないと利用できないのです。それで、オンサイトを運営するに当たっては、オンサイトで利用者がいる間には職員を付けて監視をしていないといけないのです。ですので、開所時間を延ばすということに対して、非常にコストが掛かっていまして、それを大学側のコストでやっているというような形になっていまして、この開所時間を延ばすということが極めて難しいという問題があります。かつ、今回のコロナのようなケースを考えますと、実際にその場所に来ないと使えないということが非常に大きな足かせになる可能性があると思っていまして、今後、疫病ケースもあるでしょうし、大規模な災害等が起こって、統計分析がそういうときこそ大事になるというのは、今回のコロナのケースでよく分かったと思うのですが、実際にその場所に行って統計分析をしないといけないということが、明らかに今後足かせになってくると思うのです。
 そういったことも考えていただいて、オンサイトというものに完全にコミットしたような形で問題を解決していくというのは非常にリスキーな選択かなと思います。ですので、厚生労働省さんは厚生労働省さんで、総務省さんとは違うスタンスというものがあってもよいのかなというふうにも思いますので、御検討いただければよろしいかなというふうに思います。
 それと、下のほうの行政記録情報の活用に関してなのですが、この行政情報の活用で統計分析をするというのは世界各国で非常に進んでいまして、実際にGRIDというプロジェクトがあります。Global Repository of Income Dynamicsというプロジェクトがありまして、こちらのほうは行政情報を使って、正に所得のダイナミクスを捉えるというパネルデータの特性をいかした追跡を行うというプロジェクトなのですが、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、メキシコ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、イギリス、アメリカ、13か国が参加しているのですが、なぜここに日本が入っていないのかということを重く考えていただきたいというふうに思います。ですので、なぜこれら13か国、先進国とは必ずしも言えない国々、日本よりも1人当たりのGDPが低い国々も入っているわけですが、なぜ日本がそれらの国に比べてできないのかということに関しては、やはりよく考えていただきたいと思います。これによって明らかになることは非常に多いですので、御検討いただければというふうに思います。以上です。

○渡邉室長(審査解析官)
 それでは、先にオンサイトのところから発言させていただきたいと思いますが、先ほどの繰り返しになってしまうのですが、総務省のほうでも現在、次期基本計画の検討、議論が進められていまして、これは調査票情報の適正管理や秘密の保護というものを前提としたことにはなるのでしょうが、リモートアクセス方式の導入などに向けた検討というものも一応書かれていますので、総務省のほうでも引き続き利活用の促進に向けた取組というのは、検討は進められているものと理解しているところです。厚労省としては、こちらも繰り返しになりますが、今回の議論も踏まえまして、こういった議論もあったということは共有しつつ、審査の効率化や手続の簡素化といった観点も含めまして、今後総務省とともに考えていきたいと思っています。以上です。

○小峰座長
 神林先生、どうぞ。

○神林委員
 二次利用の話はいいですかね。座長、そのほかの話題に移ってしまって、いいですか。

○小峰座長
 はい。

○神林委員
 2点あるのですが、1点目はこの全体のレポートの書き方で、注意をしてこういう情報も入れてほしいということがあります。それは結果です。何かをしましたという事実をこのレポートではずっと書いてあるのですが、その結果どうなったのかということについても是非載せてください。例えば最初、冒頭ですが、4ページ目の統計作成プロセス診断の所に、調査担当へフィードバックをしましたというふうに書いてあります。これはやらなければいけないことなのですが、フィードバックをして何が起こったのかということまでを書いていただきたいと思います。そうしないと、これをどう評価していいかということが分からなくなります。これはあちこちに結構いっぱいあります。こういうことをしましたということだけが書いてあって、その結果どうなったのかということが書いていないということが、ままありますので、それは是非注意をして、その結果どうなったのかということも含めて、この種のレポートを作っていただきたいと思います。
 もう1つ大きいのが、人材育成の話なのですが、EBPMの若手・中堅プロジェクトチームなのですが、これと先ほどの統計人材のプロファイルとの関係というのは、かなり密接に関係していると思いますが、そうなると、その若手グループの人たちが統計データアナリストの講座を受けているのかどうか、それが人事上どのように評価されているのかということも含めて解説をしていただければなというふうに思います。ですので、ちょっと構成の座りが悪いように私は思いました。EBPMの実践した統計の利活用の推進というのは、EBPMの話と若手・中堅プロジェクトチームの話と、2つのある程度異なるものが入っていて、後者のほうというのは統計人材プロファイルのほうと密接に関係していますので、ちょっと順番を考えてレポートを書いていただければなと思います。質問と意見です。以上です。

○戸田企画官
 ありがとうございます。今の2つの御質問は私から回答させていただきたいと思います。1点目の資料の構成については正におっしゃるとおりで、我々のほうでも少し検討させていただきつつ、その結果どうなったかということは、この検討会の中でも御報告していきたいと考えています。
 2点目ですが、前提を最初にお話させていただくと、EBPMは若手チームに関しては主に政策部局においてデータを利活用する職員が参加するという、いわば統計ユーザーの人材育成という話でして、その一方で、統計人材プロファイルにおいては、統計を作成する統計メーカーとしての過去の統計作成業務に携わった経験やアナリストなどのそういった資格を取得されているかというふうにまとめているものでして、2つは今のところそれほど連動しているものではないというところは先に申し上げておきたいと思います。
 その上で、政府においては、統計は作成するというメーカーとしての役割と、ユーザーとしてその統計を利用して、例えばEBPMを推進をするとか、政策を立案するといった観点が2つありますので、それらを両輪としながら進めていきたいと考えています。

○神林委員
 それは両立というよりは、もう少し一体化したほうがよいのではないかと思います。これは自分たちが書いたレポートの中でも書いてあると思いますが、使うことによってどう作るかということが分かる側面があるというのは、統計作成のときによく言われることです。これを両立というような形で、それはそれ、これはこれで、並行してやりますという話になりますと、その両者が有機的に交わらないので、両方の例えばルールが違ってくるなどということは、まま起こってくるのではないかと思います。
 先ほどの政府統計の申請の際に、33条1項と33条2項の中で、33条1項というのが非常に多く用いられていて、先ほどの中堅・若手グループもその33条1項の中に入ってしまっているはずなのですが、それが、ただ単純にメーカー側からするとユーザーの1人だというふうに認識されていることを、あの図は如実に表しているのかなと思います。
 ですので、統計を部内で利用するということを特別視する必要はないと思いますが、使いながら作るということを考えるという、あるいは作りながら使うということを考えるという側面とEBPMというものをうまく交わらせて実行していっていただければなと思います。これは意見です。

○小峰座長
 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。川口先生、どうぞ。

○川口委員
 EBPMのことで質問なのですが、いろいろ省内でやって実践するというのは非常によいことだと思うのですが、やはり表に出すということ、例えば最後のほうの時間外労働の話とか、具体的に例が載っているのですが、これを外に出してこういう結果を厚生労働省は出しましたということになるのではあれば、ディスカッションペーパーみたいな形で、しっかりとした論文の形で、データをどういうふうに作成しているのかとか、どういうデータの取扱いをしているのかとか、推定の手法はどういう手法を使っているのかとか、細かいことまで開示した上で、外に対して説明していく必要があるのかなと思います。
 例えばなのですが、日本銀行の場合はこういうレポートなどに使う図表でも大体バックグラウンドのペーパーがあって、それがディスカッションペーパーという形で公開されているわけです。それが、最終的には学術論文として一般的な査読誌に掲載されるというサイクルが出来上がっていると思うのです。やはりそこまで説明責任を果たしていただかないと、統計分析の結果がポトンと出てきて、それが一体どう作られているのかということについての知識が余り外部に対して開かれていないという話になると、信頼性という部分で、信頼できないと言っているわけでは全くないのですが、しっかりやっていらっしゃると思うのですが、ここの部分をしっかり説明することで、信頼性をより増すような努力をしていただければ有り難いと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

○戸田企画官
 御質問ありがとうございます。ディスカッションペーパーという形式ではないのですが、レポートという形で厚生労働省のホームページに公表しておりまして、先生が御指摘のように、データの取扱いですとか、どういった手法でこういったグラフを書いているとか、推定をしているといったことは示していますので、先生には後ほどリンクとか御案内いたしますので、是非御覧いただいて、御意見等を頂ければと思います。
 また、神林先生の先ほどの御意見について、1つこちらからも申し上げたいこととしては、EBPMについては、特に統計改革を起源としてスタートしている経緯がございますので、使いながらデータをメーカーの立場からもよくしていくところは、おっしゃるとおりかと思います。まだ、そういったところまで省内ではできていないのが現実ですので、先生の御意見を踏まえてしっかり進めてまいりたいと考えております。以上です。

○川口委員
 すみません、よろしいでしょうか。今、戸田さんからお答えいただいた、このEBPMの分析レポートというのは、ひょっとすると13ページぐらいのレポートということになるのでしょうか。

○戸田企画官
 はい、そのとおりです。

○川口委員
 そうですか。もう少し詳しく学術論文の形態としてお書きいただいたほうがよろしいかなと思いましたので、感想を伝えさせていただきます。

○小峰座長
 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。

○神林委員
 すみません、13ページの論文というのはどれですか。

○小峰座長
 川口さんは、ホームページを御覧になっているわけですね。

○川口委員
 はい、Googleで。

○神林委員
 13ページではないのですね。

○小峰座長
 今、出ている資料ではない。

○神林委員
 すみません。

○川口委員
 すみません、リンクをお送りするのがいいのかなと思うのですが。

○神林委員
 いえ、自分で調べます。ありがとうございます。

○川口委員
 すみません、ありがとうございます。

○小峰座長
 ほかはいかがでしょうか。

○吉川委員
 吉川ですが、ちょっとだけよろしいでしょうか。

○小峰座長
 どうぞ。

○吉川委員
 私は今回のこの改革の紙に対するコメントは特にありませんで、大変大雑把な感想のようなものになって恐縮なのですが、私自身は20年くらい前に統計法の改正の辺りから統計改革に携わったのですが、大きな流れは、先ほど川口先生がちらっとおっしゃったのですが、最近のコロナのことで改めて統計というのは大事という、ここに集まられた方はそうしたことはもうシェアされているということなのだろうと思いますが、20年くらい前、そういうことは必ずしも共有されていなくて、ディテールには入りませんが、国際的に見ると、ほかの国でいろいろな理由で統計改革が進む中で、日本が極めて立ち遅れていたことがあるわけです。それで、要は統計はやはり大事だと、それから統計の基本的なコンセプトや何かについても考え直そうということで、御存じのとおり、統計法も改革され、統計委員会もできてというのが、20年くらい前、16、17年前だったのです。
 残念ながら、その後期待が裏切られたということなのです。二次利用をはじめ、委員の先生方がおっしゃったことは私もなるほどと伺って、基本的にはセカンドしているのですが、大元の問題というのは、まずは厚労省の方々に認識していただきたいのは、当たり前のことなのですが、統計が大事ということです。それを言えば、それはもう分かってると、だから改革をやってるんだと、そういうことなのでしょうが、繰り返しになりますが、16、17年前にスタートした改革というのが、実は残念ながら裏切られたということなのです。それで、今回また改めて改革ということになってきて、技術的な問題はいろいろあると思うのですが、国全体としてやはり統計というのは大事だと。これがないと、国全体が回らないという認識を、厚労省だけではなくて、政府全体が共有することだと思っています。
 重要な統計を扱っていらっしゃる厚労省のほうでも、私が今言ったことは当たり前すぎるようなことを発言しているなともちろん私も自覚していますが、その当たり前のことが、繰り返しになりますが、残念ながら実態として政府全体で共有されていなかったということなので、今回は是非とも改革を実のあるものにしていただきたいというお願いです。以上です。

○小峰座長
 吉川先生、ありがとうございました。ほかに何か御意見はございますでしょうか。もしないようでしたら、次の議題も関係しますので、またそこで御意見があれば言っていただくことにして、次の議題に移りたいと思います。説明をお願いいたします。

○戸田企画官
 それでは、議題2「厚生労働省統計改革工程表(案)について」ということで御説明いたします。資料3の1ページを御覧ください。途中まで統計改革の進捗状況について御議論いただきましたが、その基となるのは、3年前に策定させていただいた統計改革ビジョン2019と、それに伴う工程表というところです。この工程表は、以前も御説明したように、おおむね令和3年度までの工程を示しているもので、令和4年度以降も引き続き進める事項もあることから、新たな工程表を作る状況ということです。その後、委員の皆様に再任をお願いをした際に申し上げたことですが、今年の年初に国交省の事案が発生いたしまして、この国交省の事案を踏まえて、政府全体として新たな取組も進めていこうといった内容もありましたので、本来であれば、令和3年度末にこうした案をお示しするところでしたが、その後、政府の動向を踏まえて、新たに工程表を作成させていただいたところです。
 こちらの工程表についての基本的な考え方について申し上げると、これまで御議論いただいた統計改革の取組については、引き続き進めていくこと、そして残された課題というものがありますので、基本的には以前の工程表の構成と同じ5つの柱、5つのグループというものを堅持して進めているところです。また、これから御説明する残された取組等について、おおむね令和8年度で終了する見込みでして、この統計改革をいつまでやるのかとは議論があるかと思いますが、我々としては、令和8年度をめどに、こうした取組を終了させていただきたいというところで、令和8年度までの工程表とさせていただいているところです。
 2ページ目以降については、各グループの担当から御説明させていただきます。

○藤井室長(統計企画調整官)
 それでは、資料の2ページです。ガイドラインの作成とPDCAサイクルの着実な実施についてです。(1)で取組内容としておりますが、ここではガイドラインの作成、PDCAの実施、調査実施機関との連携ということで、3つの点が挙げられておりますが、これについては特に今までと大きな変更はありません。
 (2)スケジュールについてです。ここでは前回から大きく内容を変更しているので、その点について御説明をさせていただきます。まず、①標準ガイドライン・業務マニュアル等に基づく業務遂行の1本目の矢羽の所では、今年8月の統計委員会建議を踏まえて、総務省が令和5年度前半までに整備する予定の統計作成ガイドブックというものを踏まえて、厚生労働省で令和2年度に作成した厚生労働省統計標準ガイドラインの見直しを行い、業務マニュアルの整備を行うとともに、PDCAの点検結果やコンプライアンスチェックの実施結果もマニュアルのほうに取り込んでいこうということとしております。2本目の矢羽の中にありますが、業務マニュアルに記載されていない例外措置や記載された以外の対応というのも追加しておりますが、これについては、先ほど申し上げた統計委員会の建議に盛り込まれた内容となっておりますので、今回追記をしております。
 3ページです。②PDCAサイクルに基づいた点検・評価等ですが、これまでの点検作業というものは、総務大臣の承認を得た調査計画の内容と実行上に齟齬がないかという観点で確認作業を行ってまいりましたが、今回の建議の内容を踏まえて、今後は調査計画の内容確認のほかに、業務マニュアル等の記載内容の確認や遅延調査票の取扱い、ルールにのっとった文書の取扱い等についても点検の対象とするとされましたので、これについて追記をしております。コンプライアンスチェックについては、今年度まで試行的に実施をした内容を踏まえて、令和5年度から本格的な実施に向けて取り込んでいくということにしております。
 4ページです。情報システムの適正化についてですが、先ほどの進捗状況でも御説明をしておりますが、令和3年度の調達手続が不調になったということから、次期システムの更新時期を令和8年1月に変更しております。令和8年1月から運用が開始できるよう、所要の手続を行っていくということです。また、不調に終わった工程管理支援の手続については、今月12月23日の開札という予定で作業が進んでおります。それから、次期システムの運用開始が令和8年1月になっておりますが、今現在、厚生労働省統計処理システムとは別で稼働している毎月勤労統計システムの見直しのところでも、令和8年以降は同じサーバー上で稼働するようなことを検討していくということで考えております。
 5ページです。組織改革・研修の拡充等ですが、ここではデータアナリスト・アナリスト補の育成が政府の取組として令和3年度から実施されておりますので、これを追記しております。また、品質を優先する組織文化や風通しのよい職場環境を形成するとともに、誤りの発見・報告の対応を適切に行った職員を積極的に評価する取組が統計委員会の建議に盛り込まれておりますので、これについても追記をしております。人材育成・研修の充実については、受講者アンケート等を踏まえた見直しを行いつつ、レベル別の研修や役職別研修というのを引き続き実施することとしております。統計人材プロファイルについても、人員配置や人材育成に資するよう整備を行うこととしております。以上です。

○渡邉室長(審査解析官)
 続いて、データ利活用・一元的な保存の推進について御説明いたします。資料は6ページです。まず、タイトルの下の部分ですが、こちらは統計改革ビジョンを踏まえた記述内容となっておりまして、基本的には、磁気媒体だけではなく、オンサイト施設や匿名データなど、多様な形で利活用を促進することを目標としております。
 次の(1)取組内容に関しては、(2)のスケジュールと併せて御説明させていただきますが、基本的には令和2年度のデータ利活用検討会で取りまとめた利活用促進策を進めることとあります。まず、個票データの二次利用に係る手続の効率化、情報提供の充実としまして、リーフレットの作成やホームページの改善など、手続に関する支援体制の充実検討を進めてまいります。次に、個票データのオンサイト施設への登録の充実ですが、主な基幹統計の直近10年分、人数の高い一般統計の登録などを進めていきたいと考えております。また、匿名データの作成・提供については、事業所調査に係る匿名データとして、令和4年から作成に着手した賃金構造基本統計調査の匿名データについて、令和5年度から提供を開始いたします。
 続いて、行政記録情報の活用等ですが、届出情報を活用したプレプリントの導入として、先ほども申し上げましたが、令和4年度に介護サービス施設事業所調査で事業者数のプレプリントを実施しております。今後も、これを機に行政記録の活用が進むよう努めてまいります。また、統計の連結やマッチングキーについて、利用者ヒアリングの結果得られたニーズ等を踏まえて今後の対応を検討してまいります。以上です。

○飯島推進官
 続いて、7ページからEBPMの実践を通じた統計の利活用の促進について御説明いたします。まず、大きな目標として、一連の政策プロセスにおいて、EBPMの基本的な考え方による取組が自然と行われるよう定着を進め、政府部内・部外における政策議論を通じて、政策の質の向上につなげるということです。こちらは、内閣官房行政改革推進本部事務局が昨年6月に作成したEBPM課題検討ワーキング取りまとめにも同様の記載があり、政府全体のEBPMの将来像とされております。また、同ワーキンググループ取りまとめではロードマップが示されており、予算プロセスにおいて、新規事業等を中心にロジックとエビデンスを検討する取組が定着していることなどが令和6年度頃に目指す姿とされております。
 これらを踏まえ、当省の取組内容について御説明いたします。(1)の取組内容を御覧ください。当省としては、引き続き省を挙げてEBPMを実践すること、EBPM研修を実施すること、省内有志による若手・中堅プロジェクトチームの構成員を段階的に拡充し、職員の分析能力を向上していくこととしております。
 具体的には(2)のスケジュールを御覧ください。1つ目はEBPMの実践の関係です。まず、各種政策プロセスにおけるEBPMの取組の実施については、スケジュールの後半に記載している先ほど御説明したEBPMのよろず相談の活用あるいはEBPMの研修、さらに若手・中堅プロジェクトチームを通じた人材育成などを通じて、各種政策プロセスにおいてEBPMの考え方による取組が自然と行われることを目指すものです。
 次に、予算事業における実践については、こちらは本年5月に行政改革推進会議のアジャイル型政策形成評価の在り方に関するワーキンググループの提言がまとめられておりまして、この中で評価関連作業の一元化として、原則として全ての予算事業を対象とする行政事業レビューシートをプラットホームとして、EBPM的観点から様式の見直しを行い、意思決定プロセスに活用していくといった方針が示されております。これを踏まえて、行政事業レビューシートを活用したEBPMの実践として、順次、対象事業を拡大していくことを計画しております。また、EBPMの考え方を普及・浸透させるため、新規事業等については、私どもEBPM推進部局において、政策部局担当者に対して、予算要求の段階からロジックモデルの作成や効果検証手法等について支援し、事業実施や、その後の効果検証までの3年を1つのサイクルとして、フォローアップをしながら取り組むという現在のスキームについて、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
 これらを進めることと並行して、外部有識者によるEBPMの実施状況の検証を実施します。こちらも先ほど御説明しましたが、令和2年度から有識者検証会という形で既に実施しておりまして、毎年度3回程度開催し、検証結果の取りまとめを公表するとともに、その検証結果を次年度の実践に反映しながら進めていきたいと考えております。
 そのほか、EBPMのよろず相談窓口での対応に引き続き取り組むとともに、研修についても毎年度内容を見直し、より分かりやすい内容に充実させながら進めていきたいと考えております。
 次に、省内若手・中堅プロジェクトチームについてです。こちらについても、引き続き公募等によって、チーム構成員を入れ替えて、段階的に構成員やチーム活動の経験者を拡充しながら分析結果を公表し、人材を育成していきたいと考えております。また、労働政策研究・研修機構との連携についても、EBPMセミナーなど通じて、引き続き連携して取り組んでいきたいと考えております。説明は以上です。

○小峰座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの厚生労働省の統計改革工程表につきまして、何か御意見や御質問があればお願いいたします。梶木さん、どうぞ。

○梶木委員
 4ページですけれども、このシステム見直しによって、システム全体の構造は厚労省の基本的な全体を統括システムがあって、その下にこれから開発する統計処理システムがぶら下がって、更にその下に各部局で運用している集計システムがくっ付くと、こういう感じ、イメージなのかということが1つです。
 これまで各部局が違ったソフトを使って運用してきたために、それがそのまま下にぶら下がるとなると、運用がうまくいくのかどうかというのが2点目の質問です。以上です。

○藤井室長(統計企画調整官)
 御質問ありがとうございます。先ほどの厚生労働省の統計処理システムと毎勤処理システムの関係で申し上げますと、今現在サーバは一緒なのですけれども、運用が別々になっているということになりますので、それを令和8年度以降、運用を一緒にしていくという形になっております。
 それと、それ以外の各部局で持っておりますシステムにつきましては、この統計処理システムと別になっておりまして、それについては、今後は特に統合の予定というのは現在は考えてございません。以上でございます。

○梶木委員
 はい。

○小峰座長
 神林さん、どうぞ。

○神林委員
 今の点を確認しておきたいのですけれども、ここでいう統計の範囲なのですが、いわゆる政府統計の調査統計だけに関わるということなのでしょうか。行政統計も入るのでしょうか。

○藤井室長(統計企画調整官)
 御質問ありがとうございます。この厚生労働省統計処理システムにつきましては、私どもの政策統括官組織で行っております統計、それから加工統計、業務統計についてもシステム上の対象になっておりまして、それらの集計プログラム等々は、このシステムの中で稼動しているという状況でございます。

○神林委員
 分かりました。そうすると、業務統計については、業務に関するシステムはこの中には入っていないのですよね。

○藤井室長(統計企画調整官)
 はい、業務に関するシステムは別になっておりまして、例えば今、稼動しています業務統計としては社会医療診療行為別統計と申しまして、レセプト情報を集計したものになっておりますけれども、これはレセプトデータを頂いてきて、この処理システム上で稼動しているという状況になっておりますので、レセプトを収集するシステムとは別のものになっております。

○神林委員
 レセプトのクローンが来るということですか、こちらに。

○藤井室長(統計企画調整官)
 必要なレセプトを抽出いただいて、そのデータを頂いてくるというイメージになっております。

○神林委員
 なるほど。では、ある程度集計されていないローデータが、このシステムに格納されるというイメージでいいのでしょうか。

○藤井室長(統計企画調整官)
 はい、そのデータをこちらで集計していくという形になっております。

○神林委員
 分かりました。ありがとうございます。そうすると、それは厚生系だけではなくて労働系も、例えば雇用保険システムも行政統計の1つになると思うのですけれども、ちょっと正式名称を忘れてしまいましたが、ハローワークと雇用保険、それもデータがこの中に入るという理解でいいのですか。

○藤井室長(統計企画調整官)
 雇用保険につきましては、雇用保険システムのほうで集計処理を行っておりますので、こちらのほうにはデータはまいりません。

○神林委員
 そこは何か線引きがあるということですね。

○藤井室長(統計企画調整官)
 そうですね。もともと収集するシステムの中で、集計が可能なものについては、そちらで集計をしていただいているという御説明になるのかなと思います。

○神林委員
 将来的に、それもこちらのほうに統合するということはお考えになっていないのですか。同じ行政統計ですが。

○藤井室長(統計企画調整官)
 システムの大きさが全く異なりますので、こちらについて一緒にするということは、今の時点では考えてございません。

○神林委員
 分かりました。それでは、その点については明示していただいたほうがいいと思いますので、ここからここまでの範囲についてはこのシステムでカバーする、ここは従来システムで稼動するというようなことは明示をしておいていただいたほうがいいかなと思います。システムに関しては以上です。

○小峰座長
 ほかはいかがでしょうか。神林さん、システム以外でも何かありますか。

○神林委員
 はい。この文章の性格についてまだ理解ができていないので、その点を確かめたいのですけれども、前回作った工程表というのは、令和3年度までの工程表でしたよね。

○戸田企画官
 はい、そのとおりです。

○神林委員
 そうですね。なので、令和4年度、つまり今年の4月1日には失効していて、今現在は工程表はない状態ですよね。

○戸田企画官
 この検討会の中で、今年度の工程がきちんと固まっているというものではないのですけれども、統計改革として進めている事項というのはございます。工程表としてはまだ確定はしていませんが、統計改革は進んでいるという、そういった状況です。

○神林委員
 そこは多分明確にしておいたほうがよくて、工程表自体は3月末で期限が切れているのだけれども、諸般の事情でそれを実質的に延長してやっている訳ですよね、今。なので、この令和4年度の中の工程表の改定というところの中身についてもう少し明確に、工程表の中身を改定しているだけではなくて、工程表そのものを実行しているわけなので、現在も。前回、3月末で切れたものについて、どういう手続を踏んだのか、よく分かっていないのですけれども、自動的に延長するような形で現在実行していて、それが来たるべき「令和4年○月」と書いてあるのですけれども、その○に数字が入ると、そこで新工程表に切り替わるという、そういう理解でよろしいですか。

○戸田企画官
 はい、そのとおりでございます。御意見ありがとうございます。

○神林委員
 分かりました。では、それはそのようになっているのだということを明確にしたほうがよいかなと思います。文章の性格上ですね。
 あと、もう一点確かめたいのが、標準ガイドラインとコンプライアンスチェックとの関係なのですけれども、標準ガイドラインはもう作り始めているのですか。まだ作っていないのでしょうか。

○藤井室長(統計企画調整官)
 標準ガイドラインにつきましては令和2年に一度作っておりまして、それから総務省が作成する政府方針等を踏まえ見直しを行うということで、令和3年度から取り組むとしていたのですけれども、全体の作業スケジュールが後ろ倒しになったことから、標準ガイドラインというものもそれにあわせてスケジュールを変更したという状況になっております。

○神林委員
 そうすると、2ページに書いてある標準ガイドラインとの関係というのは、これは旧と言ってもいいのかな。今ある標準ガイドラインにコンプライアンスチェックを反映させるという意味ですか。

○藤井室長(統計企画調整官)
 そうですね、コンプライアンスチェックでいろいろ課題等が発見された場合に、それは標準ガイドラインに基づいて作成されますマニュアルのほうに反映をしていくというイメージでございます。

○神林委員
 マニュアルなのですね。分かりました。ありがとうございます。ここはそう書いたほうがいいと思います。標準ガイドラインに反映するわけではなくて、標準ガイドラインに従って作成するマニュアルに反映するということですね。

○藤井室長(統計企画調整官)
 はい、ありがとうございます。

○神林委員
 お願いします。そのコンプライアンスチェックからマニュアルへの反映というのは、令和5年度以降本格実施ということで、4年の間に全ての統計について一巡させるという速度で考えていると捉えてよろしいのでしょうか。

○藤井室長(統計企画調整官)
 コンプライアンスチェックにつきましては、実際は令和8年度で終わりということではなく、ずっと続けていくことになりますけれども、実際に令和8年度までに全部の統計について確認できるかと言われますと、90近い統計がございますので、そこについては今の時点で全てを終えるということは考えておりません。

○神林委員
 どの程度時間が掛かりますか。これはマニュアルの作成とすごく関係していると思うのですけれど、現状、現場からの意見をマニュアルに反映させるルートがしっかりしていないというのが統計改革の中で言われていることだと思います。その1つのルートというのが、このコンプライアンスチェックなのですけれども、それが令和8年まで一巡しないということになると、ここで作られるマニュアルというのは、余り現場の声が反映されていないマニュアルができてしまうということになると思うのですが、なるべく早くそれを一巡するということはお考えになっていただけないでしょうか。

○藤井室長(統計企画調整官)
 御意見ありがとうございます。そういう点も含めて、コンプライアンスチェックの実施についても計画していきたいと思います。ありがとうございます。

○神林委員
 分かりました。では、私からは以上です。

○小峰座長
 ほかはいかがでしょうか。

○神林委員
 では、連続して申し訳ないですけれど、誰かが二次利用の話をするかと思ったのですけれど、よろしいですか。オンサイトの件なのですが、この6ページの書き方ですと、「主な基幹統計調査の直近10年分、ニーズの高い一般統計調査の登録等」というのが来年度までに済んで、その後に「利用実績等を踏まえつつ」というふうに書いてあるのですけれども、これは直近10年分に限るのはどうしてでしょう。

○渡邉室長(審査解析官)
 こちらについては、まずは10年分という考え方で取り組んでおりまして、例えば長期の利用ニーズの高い人口動態調査などが20年分とか、それ以上の取組も適宜進めていきたいと考えております。

○神林委員
 基本的に全部登録するというのに宣言されないですか。無理ですか。

○渡邉室長(審査解析官)
 なかなか業務の問題などもありますし、それから利活用ニーズはそもそも少ないものまで全て登録するのかという問題もありますので、まずは取り組めるところから進めていきたいと考えているところです。

○神林委員
 そういう意味では10年は短いと思います。今から計算すると10年というのは2010年代ですよね。分析等々する上では、もう2010年代をベンチマークにするということは結構危険で、2000年代であるとか1990年代、データがあるのであれば、そこまで比較対象にするというのが常識的になってきているのではないかと思います。ですので、ここは直近10年というのはちょっと短すぎると思います。ですので、できればデータがある限り格納するという方向で私は意見を言いたいと思います。

○渡邉室長(審査解析官)
 御意見ありがとうございました。御意見を踏まえて、更に検討していきたいと思います。

○神林委員
 お願いします。

○小峰座長
 ほかはいかがでしょうか。川口さん、どうぞ。

○川口委員
 御指名ありがとうございます。6ページのデータの利活用・一元的な保存の推進についての質問なのですけれども、個票データの一層の有効活用ということが書いている中に、この個票データというときには、政府統計の個票のことだけを指しているのか、あるいは行政情報も含まれているのか、どちらの形になるというふうに理解すればよろしいでしょうか。

○渡邉室長(審査解析官)
 この①の個票データ、どちらを。

○川口委員
 もっと上の、一番上の青い帯の所です。「第3章1.(1)個票データの一層の有効活用に向けた統計の推進」、これに関しては政府統計の個票データの二次利用ということになりますかね。

○渡邉室長(審査解析官)
 これは行政記録情報の活用等も含めた形ということになります。

○川口委員
 分かりました。そうすると、この②に、行政記録情報の活用等に関しては、例えばプレプリントの検討・導入みたいな話が書いてあって、それはもちろんやるのがよろしいと思うのですけれども、それで「連携やマッチングキーについてニーズの把握」というのがあって、二次利用の話というのが、この段階では全く入っていないわけですね。先ほど申し上げたGRIDでは、13か国は既に行政記録情報の二次利用の枠組みを作っていて、研究目的での利用に提供するというような形になっています。これは2026年までの計画ということで、次の5年間でも検討しないということなのか、あるいはそこに書いていただくというのを検討していただくことはできないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○戸田企画官
 それは私から回答させていただいてもよろしいでしょうか。前回の検討会においても、川口先生から行政記録情報の第三者提供について御意見いただいたというところでございますけれども、我々で検討した結果、行政記録情報に関しても、第三者提供をする場合は利用者の方々に対して情報の厳格な管理等をお願いすることが発生しますので、公的統計における統計法と同じようにどうしても法的根拠が必要だというふうに考えているのが、厚生労働省のスタンスということでございます。
 そういう観点から、この臨時国会においても諸々のデータベースを第三者提供できるような形にすべく、法改正しているところでして、今後の法改正のスケジュールがなかなか不透明で立てにくいというところがございますので、今回はやむなくこの工程表には記載できていないという状況でございます。

○川口委員
 承知しました。続いて質問させてください。分かったら教えていただきたいのですが、財務省では税の情報や通関の情報、こういったものについてマイクロデータを利用できる枠組みを財務総研のほうで作って、研究者が利用できるような体制を作っていると思うのですけれども、彼らの取組というのは法改正を伴うようなものだったという理解でよろしいのでしょうか。ほかの省庁のケースですけれども、もしかしたら御参考になさっているのかなとも思うので、お伺いします。

○戸田企画官
 よろしいでしょうか。行政記録情報の活用というところは重要なことだと考えておりますので、我々としても国税庁の動きについては情報交換等させていただいているところでございます。国税庁の取組の特徴としては、研究者の方々で利用したい方に応募していただいて、国税庁なり財務総研なりが認めた研究に対しては、その方々を非常勤の国家公務員に任命して、国家公務員法に基づく守秘義務の中で分析していただくというところでございます。
 利用に関しても、いわゆるオンサイト施設のようなものを国税庁なり財務総研なりが作って、そういった所に行って分析していただいているというような状況でございまして、これも1つの考え方ではございますけれども、守秘義務も結んでいただいて活用いただくことは、データ利活用の観点から1つ検討すべきような状況なのではないかと考えてございます。

○川口委員
 ありがとうございます。恐らく財務省や国税庁の先行事例というのは参考になると思うので、是非御検討いただければと思います。お願いします。

○小峰座長
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、幾つか御意見を頂きまして、今日提出した資料について修正が必要になると思いますので、これについては事務局で検討して、意見をお寄せいただいた先生方にも御相談をして、その上で、座長である私に御一任を頂いて修正していくということでよろしいでしょうか。では、そういうことで進めさせていただきます。どうもありがとうございました。
 これで予定しておりました議事は全て終わったのですが、全体を通して何か御意見等あればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特段ないようですので、最後に事務局より連絡事項等があればお願いいたします。

○牧野参事官
 皆様、本日はお忙しい中御出席いただきまして、貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。先ほど座長からもお話がありましたとおり、工程表(案)につきましては、事務局のほうで修正の検討を行いまして、改めて委員の先生方にも御相談の上、座長に御了承いただきましたら、ホームページに掲載するという形で公表したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それから資料2ですが、進捗状況についても神林先生から記載内容について御指摘いただいたのですけれども、これにつきましては次回の進捗状況報告から反映させていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

○神林委員
 座長に一任します。

○牧野参事官
 では、座長とも御相談させていただきます。また、本日の議事録につきましては、事務局から後日、委員の皆様へ御確認させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。次回の日程につきましては改めて調整させていただきます。以上となります。

○小峰座長
 本日は活発な御議論を頂きまして、大変ありがとうございました。それでは、これをもちまして、第5回の厚生労働省統計改革検討会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
 

照会先

政策統括官付参事官付統計・情報総務室企画法令係 小野、藤田

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