第8回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の議事録

日時

令和5年1月26日(木) 15:00~18:00

場所

AP新橋 Dルーム
(東京都港区新橋1-12-9 新橋プレイス)
 

議題

  • (1)令和5年度薬価改定の内容について
  • (2)革新的医薬品の迅速な導入について
  • (3)その他

議事

議事内容
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」を開催させていただきます。
 初めに、構成員の先生方の御出欠について御報告いたします。
 本日、10名の構成員の先生方が会場での御参加。
 井上構成員、小黒構成員がオンラインでの御出席との御連絡をいただいてございます。
 なお、前回までと同様に、本会議は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、YouTube配信形式による公開にて行わせていただきます。
 次に、本日の会議資料の確認をさせていただきます。
 会場におられる構成員の皆様のお手元には、本日の議事次第のほか、資料1~2、参考1として開催要項、参考2として構成名簿を御用意してございます。御不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。
 それでは、以降の議事進行につきましては、遠藤座長にお願いいたします。
○遠藤座長 皆さんこんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議題に入りたいと思います。
 「議題1 令和5年度薬価改定の内容について」、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、事務局より、本日の議論の前に、昨年末に中医協で決定されました来年度(令和5年度)の薬価改定の概要につきまして、御紹介をさせていただきます。
 資料1をおめくりいただきまして、2ページ目を御覧ください。こちらが令和5年度の薬価改定の概要を記載いたしました骨子の抜粋でございます。
 まず、全体の改定につきましては、「1.対象品目及び改定方式」にございますとおり、前回の中間年改定であります令和3年度改定と同様に、平均乖離率(7.0%)の0.625倍を超える品目を対象とするとされまして、具体的には、乖離率4.375%を超える品目を対象として改定が行われることとされました。
 また、その下の2.の個別の算定ルールに関しましては、「(3)不採算品再算定」にございますように、急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、前回の中間年改定では実施しておりませんでした不採算品再算定について、別途実施しました物価高騰等の影響による不採算品目の状況に関する調査結果に基づきまして、臨時・特例的に全品を対象に適用することとされております。
 また、「(4)新薬創出・適応外薬解消等促進加算」に関しましては、イノベーションに配慮する観点から、加算額を臨時・特例的に増額し、従前の薬価と遜色ない水準とする対応を行うこととされております。
 具体的には、新薬創出等加算の対象品目でも、企業要件によって薬価が100%戻らない品目がございますが、これらに対しまして、改定前後の差額の95%分を価格に上乗せする措置を行うこととされております。
 また、(7)新薬創出等加算の累積額控除及び長期収載品に関する算定ルールについては、令和5年度改定において適用しないこととされ、その上で、次回の令和6年度改定において、「国民皆保険の持続可能性」と「イノベーションの推進」を両立する観点から、新薬創出等加算や長期収載品に関する薬価算定ルールの見直しに向けた検討を行うとされております。
 最後に、一番下の「3 その他」でございますが、こちらに記載のとおり、近年の革新的新薬に係る日本への導入の状況や後発医薬品を中心とした安定供給上の課題を踏まえ、これまでの薬価制度改革の検証も行いつつ、「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」での議論も踏まえ、先ほどの第2 2.(7)の点も含め、令和6年度薬価制度改革に向けて検討を行うと記載されておりまして、次回の令和6年度改定に向けて、本検討会での議論も踏まえて、検討を行っていく旨が記載されております。
 次の3ページ以降は、関連する資料を参考として掲載しております。以前の検討会で類似の資料を御紹介しておりますが、3ページ目は、9月に実施いたしました、物価高騰や為替変動等による影響を受けて不採算となっている品目の数や、その分類を示したグラフ。
 4ページには、不採算となった原因や薬効分類別の内訳をお示ししております。
 資料1に関する御説明は、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、これについて何か御質問等ございますでしょうか。中間年度改定について中医協で議論をして、このように決めたということでございます。当検討会での議論の中身についても、中医協でも一部報告をしたということもあります。何か御質問等ございますでしょうか。
 よろしゅうございますか。中間年度改定ですから、大きな変更はなく、令和6年度の改定において、当検討会の議論等々も踏まえて、幅広めの議論をされるということです。
 よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのは御報告事項でございます。
 それでは、議題の2に移りたいと思います。「革新的な医薬品の迅速な導入について」、これも事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 それでは、事務局より資料2に基づきまして御説明をさせていただきます。資料2をおめくりいただきまして、2ページ目を御覧ください。
 こちらは、前回までの検討会でもお示ししております「医薬品のライフサイクル及び課題」の図でございますが、今回は、このうち、長期収載品、下の「課題」の欄では、後発品への置き換えについてテーマとさせていただいております。
 次の3ページも同様でございまして、現行の薬価算定ルールの中ですと、長期収載品の薬価改定(Z2、G1、G2)のルールが該当することとなります。
 4ページは、以前に、検討会でまとめていただいております「論点」の抜粋でございます。赤囲みの部分のとおり、今回は、長期収載品のカテゴリーや製造方法等の実態を踏まえつつ、先発企業が長期収載品から収益を得る構造から脱却し、新薬の研究開発への再投資を促進するための方策について、どのような取組が必要かという論点について取り扱うこととしております。
 次の5ページからが今回の資料の本体の目次でございまして、最初の1.では、長期収載品に関連しまして、先発企業のビジネスモデルの現状について御説明をいたします。続いて、2.は長期収載品からの置換えに関するこれまでの取組。3.目は、これまでの取組の成果と課題について記載をしておりまして、その順番で御説明をしてまいります。
 次の6ページ以降が長期収載品に係る現状を御説明しております。
 7ページでございます。こちらは、これまでの検討会でも同様の図をお示ししておりますが、先発企業の望ましいビジネスモデルを図示したものでございまして、開発した新薬について、特許期間中にできるだけ研究開発投資の回収を行いつつ、特許が切れた後は、後発品への置換えを進め、後発品企業に安定供給の役割を譲りつつ、自らは新たな革新的医薬品の開発に再投資を行うという形が望ましいという考え方から、従来から長期収載品への置換えが進められてまいりました。
 8ページを御覧ください。こちらは、以前の検討会でもお示ししている資料でございますが、長期収載品の現状のデータでございまして、左が数量、右が金額ベースで薬剤費の長期収載品の割合をそれぞれ示したものでございます。左側が2017年、右側が2019年となっておりまして、比較すると、それぞれ減少傾向にございますが、2019年のデータでも、長期収載品の薬剤費の割合が1.8兆円占めているとされております。
 続いて、9ページを御覧ください。こちらは、企業ごとに売上全体に対する長期収載品の売上比率によって分類したグラフとなっておりまして、長期収載品を扱っている企業は全部で120社ある中で、多くの企業(青い部分)75社は、長期収載品の割合が25%未満である一方、赤い印をつけている部分でございますが、長期収載品の売上が50%以上となる企業が約2割を占めているという結果が得られております。
 次の10ページも同様のグラフとなっておりまして、こちらは新薬創出等加算品目を取り扱う企業を母数としまして、同様の集計を行った結果、長期収載品の売上が50%以上となる企業が約1割を占める結果となっております。
 次の11ページには、参考資料としまして、先発企業全体のうち、新薬創出等加算品目を扱う企業の割合を示しておりまして、およそ半数程度となっております。
 次の12ページもさらに詳細な企業分布をお示ししておりまして、薬価基準収載医薬品(医療用医薬品)を扱う企業の329社の内数としまして、新薬を扱う企業は163社、新薬を扱わないものの長期収載品を扱う企業が19社、それ以外が147社となっております。
 続いて、13ページを御覧ください。こちらは、長期収載品のシェアを国際比較したものでございまして、左側が数量、右側が金額のシェアとなっております。赤い線の部分が日本でございますけれども、ほかの国に比べて日本は比較的高い傾向にあることがお分かりいただけるかと思います。
 次の14ページは、これを裏返したデータとなりますが、後発品のシェアにつきまして、同じように、数量・金額ベースで国際比較したデータをお示ししており、こちらは逆に日本は低い傾向となっております。
 ここまでが現状に関する御説明でございまして、次の15ページからが、長期収載品の置換えのためのこれまでの取組について御説明する資料となります。
 16ページには全体像を記載させていただいております。左側に記載しておりますとおり、長期収載品から後発品への置換えに関しましては、平成19年の「経済財政改革の基本方針」において30%という目標を定めて以降、順次、目標を高く修正しながら、後発医薬品の使用促進を図ってまいりました。そのための取組としましては、右側に記載しておりますとおり、企業を対象に、この後御説明いたします薬価制度において、長期収載品に依存したビジネスモデルからの転換を促すとともに、もう一つは、下でございますけれども、医療提供者や患者を対象として、後発医薬品促進体制加算等のインセンティブを設けたり、普及啓発を行うなどの大きな2つの面で取組を進めてまいりました。
 次の17ページを御覧いただければと思います。こちらは、先ほど申し上げたうち、企業に対する取組としまして、長期収載品に対する薬価上の措置をまとめたものでございまして、いわゆるZ2、G1、G2ルールがございまして、そちらの変遷についてまとめた資料でございます。
 まず、表の一番上にございます平成14年に、先発品薬価が特許期間終了後もあまり下がっていないことが問題視されまして、ある程度の価格の引下げを行うべきではないかという観点から、特許期間終了後の最初の薬価改定時に一定割合の薬価引下げを行うという、いわゆるZルールが導入されております。
 その後、平成18年には引下げ幅の拡大、平成20年には引下げ幅の緩和が行われるなど、少しずつ制度が修正されながらまいりまして、一番下の平成26年には、今申し上げましたZルールに代わりまして、新たなルールとしてZ2が導入されております。特許期間終了後に、一度だけ特例的な薬価の引下げが行われるという制度が従来でございましたが、このZ2では、後発医薬品が発売されてから5年を経過しても置換えが進まない長期収載品に対して、薬価改定のたびに、毎回、薬価の引下げを行うという制度に変更されております。
 次のページに参りまして、その続きでございますけれども、平成28年には、Z2の対象範囲となります医薬品が拡大されまして、その後、平成30年には、さらに新たなルールとして、G1/G2ルールが導入されております。これは、後発医薬品が収載されて5年が経過しますと、Z2が適用されますが、さらに5年を経過した品目につきましては、後発医薬品への置換え率に応じまして、G1またはG2ルールを適用して、さらに、薬価の引下げスピードを加速して、後発医薬品への転換を進める制度として導入されたものでございます。
 次の19ページには、関連の参考資料として、Z2ルールが導入された当時の中医協の資料を掲載しております。導入時のZ2ルールは、後発医薬品収載後5年が経過しても、置換え率が60%未満の品目を対象に薬価の引下げを行うというルールとして導入されましたが、これは吹き出しに記載しておりますとおり、当時の後発品の使用促進のためのロードマップにおきまして、5年後の平成30年度末までに60%以上とするという使用促進の目標が定められていたことを参考に、同様に定められたものでございました。
 次の20ページには、現在のZ2、G1、G2ルールの概要をお示ししております。簡単に申し上げますと、左側から、先発品の特許期間を終了して後発品が発売され、5年が経過しますと、Z2ルールが発動して薬価の追加引下げが開始され、さらに5年が経過して10年後となりますと、後発医薬品の置換え率が高い、つまり、先発品のシェアが低くなっている医薬品はG1ルールが適用され、段階的に薬価が引き下げられながら、最終的には後発品並びの薬価となります。一方、置換えが進んでいない長期収載品につきましては、G2ルールが適用されまして、徐々に薬価の引下げが行われることとなります。
 ほかにも様々な特例が設けられておりまして、先ほども御説明したとおり、長年にわたり少しずつ制度が修正または追加されてきたという経緯もございまして、現在では複雑な制度となっております。
 続いて、21ページでございます。こちらは、長期収載品に係る海外の制度について御紹介をしております。このうち、真ん中のフランスにつきましては、先ほど御説明しましたZ2ルールと似たような、同様の制度が導入されております。
 続いて、22ページでございます。このページからは、企業のビジネスモデルの転換ではなく、医療関係者も含めた様々な後発品の関係者を対象に行われている使用促進策につきまして、御説明をさせていただきます。この表にございますとおり、左側の安定供給、品質等の信頼性確保の観点では、各メーカーに対して安定供給について指導を行うとともに、「ジェネリック医薬品品質情報検討会」による品質の確認などが行われ、また、「真ん中の情報提供・環境整備」の観点では、「後発医薬品品質情報」の発行とか、都道府県単位での使用促進協議会による取組、また、右側の医療保険制度上の観点からは、それぞれのステークホルダーに対して様々な取組が行われております。
 23ページは、関連する資料としまして、先ほども出てまいりました平成25年に策定されました「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」の概要をお示ししております。先ほどの数値目標の設定以外にも、こちらにございますように、安定供給・品質に対する信頼性の確保、関係者への情報提供の充実、使用促進に係る環境整備、医療保険制度上の事故、そして、全体の実施状況のモニタリングと、多角的な取組の実施が記載されております。
 次の24ページは、様々な取組のうち、診療報酬上の手当てにつきましてまとめた資料でございます。一番上の平成14年に、処方箋料において、後発医薬品を含む処方を行った倍に加算、同じように、薬局においても、後発医薬品を調剤すると加算が、それぞれ行われる制度が導入されたことを皮切りとしまして、後発医薬品を処方・調剤するための体制加算なども順次導入され、また、真ん中の「その他」の欄にございますが、後発品への切替えが行いやすくなるように、処方箋様式が変更されるなど、様々な取組が順次実施されてきております。
 その次の25ページにも続きを記載しておりまして、近年でも、加算のめり張りをつける形で制度の見直しが行われております。
 次の26ページ、27ページは、直近の令和4年度診療報酬改定における後発品関連の加算の拡充について、詳細資料をお示ししておりますが、こちらの詳細につきましては、説明は割愛させていただければと思います。
 ここまでの資料が、これまでの取組の御紹介でございまして、次の28ページからが取組の成果と課題についてまとめさせていただいております。
 29ページを御覧ください。こちらは、近年の後発品の発売直後の数量ベースのシェアの推移を表したグラフでございまして、横軸が時系列、縦が後発品のシェアとなっております。それぞれの線が、同時に発売された後発品のシェアの平均を表しておりまして、御覧いただいて分かりますとおり、発売後、速やかに後発品のシェアが高くなっておりまして、ばらつきはありますが、おおむね1年を経過しますと、おおよそ60%のシェアとなっている傾向となっております。
 次の30ページには、先ほども御紹介しましたG2ルール導入当時の資料を再掲しております。当時は、5年間でシェア60%という目標が定められておりましたが、その目安に比べますと、先ほど御紹介したグラフのとおり、現在の後発医薬品のシェアの伸びは早くなっていることがうかがわれるかと思います。
 次の31ページの資料も、同様に、先ほどのG1/G2ルール、Z2ルールの再掲をさせていただいております。
 続いて、32ページのグラフでございますが、こちらは後発医薬品の数量シェアのグラフでございまして、御案内のとおり、直近では、数量シェアの目標である80%に近づいているという状況となっております。
 一方で、次の33ページのグラフでございますが、金額シェアで見ますと、徐々に増加しているものの、2021年のデータでも41%と低い傾向で、こちらはさらなる改善の余地があるかと考えられます。
 次の34ページを御覧ください。こちらでは、この後の資料の構成に当たりまして、大きく3つの切り口を設定させていただいております。1つ目は、後発品の使用促進のための取組の対象者ごとの分析、2つ目は、薬効・剤形といった医薬品の特性ごとの分類、3つ目は、比較的薬価が高く、また、長期収載品における金額ベースの割合が増加しておりますバイオシミラーにつきまして、個別に切り口とさせていただいております。この後のページは、この3つの切り口に沿って資料を構成させていただいております。
 次の35ページを御覧ください。こちらは、医療機関における後発医薬品の採用状況に関するアンケート調査結果でございまして、赤枠の部分が、後発医薬品があるものは積極的に採用する、青い部分は薬の種類によって後発医薬品を積極的に採用、それぞれの割合が高くなっておりまして、全体としては、後発品が積極的に使用されている状況となっております。
 一方で次の36ページでございますが、後発品ではなく先発品(長期収載品)の使用を指定する場合の理由について質問した検討結果でございまして、医療機関では、患者からの希望があるからという回答が最も多く、後発医薬品の品質や効果・副作用に疑問があるからという理由も多くなっておりました。右側のグラフは、患者に対する調査結果でございまして、同様に、効き目や副作用に不安があるから、報道等でジェネリック医薬品に関してよい情報を聞かないからといった理由も多くなっておりました。
 次の37ページは、同様の質問を保険薬局にしたものでございまして、こちらも医療機関と同様に、全体的に、積極的に後発医薬品の説明をして調剤をするように取り組んでいただいているという回答が得られておりますが、さらに、その次の38ページでは、後発品を積極的に調剤しない場合の理由を挙げておりまして、こちらも医療機関と同様に、患者が先発医薬品を希望するからが最も多く、次に、後発品の安定供給に不安があるからという回答が次点となっておりました。また、右側の患者が希望しない理由の調査でございますが、後発医薬品に対する不信感があること、使い慣れている等の理由によって、過去に使用経験のある医薬品を希望するからといった理由が多く報告されております。
 次の39ページは、先ほどの資料の再掲でございますが、こういった後発医薬品に対する不安などを解消するため、情報提供、普及啓発等の取組を進めているところでございます。
 続いて、40ページでございます。2つ目の切り口としまして、後発医薬品への置換えが難しい理由について、薬効・剤形といった医薬品の特性において、大きく3つのグループに分けることができるのではないかと検討をいたしました。まず、1つ目のAのグループですが、製造方法や原料が特殊であることにより、そもそも後発医薬品の開発・製造が難しく、後発品メーカーの経営判断として、後発品が発売されていないもの。続いて、2つ目のBは、医療上の必要性によって、後発品ではなく、長期収載品の使用が選択されているもの。そして、3つ目のCは、例えば外用剤の使い心地など、有効性や安全性といった医療上の必要性以外の観点での付加価値によって患者が長期収載品の使用を選択しているものとしておりまして、大きくこのような3つのグルーピングができるのではないかと仮定させていただきました。
 次の41ページは、今、御説明したグループのうち、グループAのそもそも後発医薬品が販売されていない製品に関する資料でございます。こちらは、薬効分類ごとに、後発医薬品が販売されていない先発品がどれくらいあるかということを割合で示した資料でございます。下の円グラフの水色の部分のとおり、96%、大半の薬効分類におきましては、後発品が上市されていない先発品が20%未満となっておりまして、逆に申し上げれば、ほとんどの薬効分類においては、ほとんどの先発品に対して後発品が発売されているという状況になっております。
 一方で上の表には、後発品が上市されていない品目割合が多い薬効分類を挙げておりますが、泌尿器官用剤とか、抗ハンセン病剤、駆虫剤など、特殊な成分を使用していたり、特殊な疾患を対象としているなど、使用が限定的な薬剤が多い傾向となっております。こちらのページは、内用剤(飲み薬)を対象とした資料でございますが、次の42ページには、注射剤についても同様にまとめておりまして、放射性医薬品とか、抗原虫剤など、こちらも同様に、特殊な医薬品が多い傾向となっております。
 次の43ページには、製造方法が特殊な事例の一つとして、輸液製剤を挙げさせていただいております。一般的な、例えば錠剤等の薬剤に対しまして、輸液の場合は、専用かつ大規模な製造設備が必要となりまして、製造に当たって投資コストが高く、3年に当たってもハードルが高いという形となっております。
 続いて44ページも同様の事例でございまして、こちらは血漿分画製剤でございます。この血漿分画製剤につきましても、専用の特殊な製造設備が必要となりまして、製造工程が多段階で大規模になることから設備への投資コストが高くなっております。また、献血で集められた血液原料が必要となりますので、その購入についても参入のハードルになると考えられます。
 次の45ページからは、先ほどの3つの分類のうち、グループBとし、後発品が発売されていても、その置換えが進まない事例についての資料となります。45ページは、医薬品の主要な薬効分類ごとの置換え率を示しておりまして、点線が全体平均の約80%を示しておりますが、それに対して、赤囲みをしております代謝性医薬品や精神神経用剤、注射薬や外用薬など、医薬品の種別によって置換え率に差が出ております。
 次の46ページには、その典型例としまして、抗てんかん薬の事例を挙げさせていただいております。こちらは、学会が作成しております「てんかん診療ガイドライン」の抜粋でございますが、てんかん薬については、先発医薬品と後発医薬品との切り替えに当たって、一部の患者で発作の再発や悪化が報告されていることを踏まえまして、先発医薬品で発作が抑制されている場合には、後発医薬品を含む他剤への切り替えを行わないことが推奨されております。こちらは、長期収載品の使用がガイドラインにおいて推奨されている事例でございますが、ほかにも、医療上の必要性から長期収載品が使用されるケースはあると考えておりまして、次の47ページには、医師に対して、処方箋における後発品への変更不可の欄にチェックをされているケースについて、その理由を尋ねたアンケート調査結果でございますが、後発品によって副作用が発現した、また、効果に差が出たため先発品に戻したケースなどが、個別の報告として挙げられております。
 また、次の48ページには、同様に、薬局に対して、後発品を調剤しにくい理由を質問した結果を記載しておりますが、こちらでも、効能に差があるため、後発品に変更してから発作が起こるようになったためといった、医療上の必要性をうかがわせる回答が得られております。また、使用感に違いがあるためといった患者の意向を反映した回答も多くなっております。
 次の49ページは、剤形別のアンケートの結果でございまして、後発品を積極的に調剤していない、また、調剤しにくい剤形について質問したものでございまして、特にないという回答が最も多く、次いで外用剤が多いという結果となっておりまして、その中でも、特に貼付剤が多い傾向にございました。
 また、次の50ページには、外用剤の後発品を調剤しにくい理由を挙げておりまして、製剤の使用感が違うからという理由が最も多くなっておりました。
 さらに、次の51ページには、患者に対して後発品を希望しない理由を聞いた結果を示しておりますが、このうち、その他の部分の個別回答の中でも、湿布、貼付剤につきましては、貼り心地が違うと、それを理由として挙げる回答が得られております。
 この貼付剤につきましては、次の52ページに製造工程の概要をお示ししておりますが、医薬品の有効成分のほか、支持体、いわゆる貼付剤の剤形そのものの部分でございますけれども、その支持体などの設計によって、実際に肌に貼った際の使用感やはがれにくさなどが異なっており、各社がそれぞれ工夫を行うことにより、個別の付加価値が発生していると考えております。
 また、同様の事例としまして、53ページには点眼剤の事例も掲載しております。こちらも、防腐剤を低減することにより、安全性の向上やコンタクトレンズ装着時でも使用可能としたり、あるいは、添加剤の成分を見直すことによって、目に入れたときの使用感を改善するなど、こちらも製剤設計上の工夫が行われております。
 続いて、54ページでございます。ここからは3つ目の切り口として、バイオシミラーに関する資料を掲載させていただいております。まず、基本的な情報としまして、「バイオ医薬品」の説明をしておりまして、遺伝子組換え技術や細胞培養技術等のいわゆるバイオテクノロジーを応用して、微生物や細胞を活用して、ホルモンや抗体などのたんぱく質を製造するものをバイオ医薬品と呼んでおります。下の図のように、化学合成ではなく、微生物や細胞を培養することで分子量の多い有効成分を製造することが特徴となります。
 次の55ページには、そのバイオ医薬品のうち、「バイオ後続品(バイオシミラー)」と呼ばれることが多いですが、こちらの説明を記載しておりまして、国内で既に承認されているバイオ医薬品と同等・同質の有効性、安全性を有することが治験によって確認された医薬品とされておりまして、下に、通常のバイオ後続品と後発医薬品との比較を記載しております。後発品の場合は、有効成分が全く同じものですが、バイオ後続品の場合は先発品と有効成分がわずかに異なるため、有効性・安全性が先行品とほぼ同じとなっておりまして、承認申請に当たっては、治験も必要となるため、後発医薬品比べて開発費用は高くなっております。
 次の56ページには、バイオ医薬品に関するデータをお示ししておりまして、薬価収載されている医療用医薬品の品目数が2万品目以上ある中で、先発品も含めたバイオ医薬品の数は約500品目と少なく、さらに、その中でバイオシミラーは100品目程度となっております。また、バイオシミラーを製造販売する企業は20社ございますが、このうち国内で製造を行っている企業は3社の19品目と限られている状況となっております。
 次の57ページには、バイオシミラーの売上割合などをお示ししております。まず、左上が長期収載品の売上高の推移でございまして、近年は、長期収載品の売上自体が全体的に減少傾向となっておりますが、そのうち、赤色のバイオ医薬品の売上は伸びており、占める割合も増加傾向となっております。また、右側は、医療用医薬品全体の売上額の推移ですが、こちらも徐々にバイオ医薬品の売上の割合が高まっており、今後も、特許切れの品目が出てくることを考えますと、長期収載品のバイオ医薬品の割合は今後も高まっていくことが想定されます。
 一方、下のグラフは、後発医薬品とバイオシミラーの売上の推移ですが、バイオシミラーの比率は高くなりつつあるものの、全体の割合に対しては、依然低い状況でございまして、今後は、バイオシミラーへの置換えを進めていく必要がございます。
 続いて、58ページを御覧ください。こちらは、バイオシミラーの各成分の置換え率について、1年ごとのNDBデータを用いて、時系列で表したグラフでございます。御覧いただきましたとおり、品目によって置換え状況が大きく異なる傾向となっておりまして、一番右側の2020年度の結果で上位となっておりますフィルグラスチム、エポエチンアルファ、リツキシマブなどは、DPCや人工透析などの包括評価の下で使用される割合が高い薬品となっております。
 一方で、置換え率が低い状況が続いております医薬品、ベバシズマブやインフリキシマブ、ソマトロピンなどは、特定難病などの公費助成の対象となる疾患に使用される医薬品となっております。
 次の59ページには、これらのバイオシミラーの使用促進策の事例としまして、診療報酬上の加算を記載しておりまして、外来化学療法実施時にバイオ後続品の説明と使用を行った場合には加算が行えるといった制度が導入されております。
 次の60ページでございますが、先ほどのグラフでお示ししておりましたとおり、品目ごとの置換え状況にばらつきが生じている点につきまして、こちらは坂巻構成員の研究報告書から抜粋をさせていただいておりますが、希少疾病や難病の治療に用いられるバイオ医薬品も多く、高額療養費制度や特定疾患の医療費公費負担等により、先行バイオ医薬品からバイオシミラーに切り替えるインセンティブが働かないことがあると、こういった御指摘をいただいているところでございます。
 次に61ページからは、今度は、別の観点での資料を掲載しております。こちらは、財務省の貿易統計から作成されましたバイオ関連医薬品の輸出入額を示したグラフでございますが、御覧のとおり、現状では大幅な輸入超過となっておりまして、現在もその幅が拡大し続けている状況でございます。
 62ページには、バイオ医薬品のCMO関連市場に関するデータを記載しております。CMOといいますのは、一番下に細かい字で恐縮ですが、用語解説を記載しておりますが、ほかの企業から受託をして、医薬品の製造を代行する製造専門の企業のことを指しておりまして、製造に加えて、開発も併せて受託する場合には、CDMOと呼ばれております。このCMO、またCDMOにつきまして、特にバイオ分野での製造受託の市場は左のグラフのとおり、世界的に高い成長が見込まれておりまして、今後も拡大が予想されております。一方で、右の円グラフのとおり、グローバルで見ますと、日本企業の中でのバイオCMO企業は限定的となってしまっている状況でございます。
 次の63ページには、ニーズに関する調査結果を記載しておりまして、各医薬品メーカーへのアンケート調査の結果、赤枠のとおり、CMO、外部業者にバイオ医薬品の製造を委託する場合には、国内の製造所が望ましいとする回答が多く得られております。
 続いて64ページでございます。こちらは、少し前の後発医薬品の資料と同様に、バイオシミラーの場合で、医療機関に対して積極的なバイオシミラーを採用していない理由について尋ねたアンケート調査結果でございまして、いずれもバイオシミラーの品質や有効性・安全性に疑問があるからとする回答が比較的多くございました。
 次の65ページも、同様に、こちらは薬局にアンケート調査を実施した結果の資料でございまして、品質や有効性、安全性に疑問があるから、患者への普及啓発が不足しているからといった回答が多い傾向にございました。
 このバイオシミラーの使用促進に関しましては、次の66ページにございますとおり、「経済財政運営と改革の基本方針」や、「新しい資本主義のグランドデザイン」におきまして、今年度中に目標値を設定し、来年度以降に具体的な方策を検討していく旨が明記をされております。
 最後の67ページでございます。これまでの資料をまとめる形で論点を記載させていただいております。
 まず、長期収載品からのビジネスモデル転換を促す取組につきましては、現在も、長期収載品が一定程度のシェアを占めていることや、近年の後発品への置換えに関する期間に要する期間が短くなっていることを踏まえ、長期収載品から後発品への置換えについて、どのように進めるべきと考えるか。
 後発品への置換えを進めるに当たっては、供給問題があることに十分配慮する必要があり、後発品製造企業の製造体制を充実させなければならないが、どのような取組が必要か。こちらにつきましては、後発医薬品を中心とした安定供給の問題につきましては、次回以降の検討会で議論することとしておりますので、その際に御議論いただく予定としております。
 次に、長期収載品売上に依存する先発企業について、革新的医薬品の研究開発のほか、どのようなビジネスモデルへの転換が考えられるか。
 併せて、患者の選択により使用されているものなどがある中で、長期収載品の医療上の必要性がどの程度あるかについて分析し、課題を整理すべきではないかとさせていただいております。
 また、もう一つのテーマとしまして、バイオシミラーにつきましては、「経済財政運営と改革の基本方針2022」や「新しい資本主義のグランドデザイン」を踏まえ、バイオシミラーの普及に向けた目標値の設定について早急な検討を進めていくべきではないか。
 併せて、バイオ医薬品の国内製造体制の状況にも留意しつつ、バイオシミラーの利用促進のための具体的な方策の検討を着実に実施していくべきではないかとさせていただいております。
 残りのページは、参考資料をおつけしておりますので、必要に応じて御参照いただければと思います。
 長くなりまして申し訳ございません。事務局からの資料2に関する御説明は、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 丁寧な説明をありがとうございます。初めて目にするような資料もありました。
 それでは、早速、御意見・御質問等をいただきたいと思いますけれども、お話にありましたように、このバイオシミラーの問題と長期収載品に収益を依存するビジネスモデルを展開する取組に関する問題、これはどちらかというとバイオ薬と言うよりも従来薬をベースの議論のようにも考えられますので、一応分けて議論をしていきたいと思います。
 それでは、1つ目の論点ということで、長期収載品からのビジネスモデル転換を促す取組についてということで、事務局からも一応案が出されております。これらも踏まえまして、御意見等をいただければと思いますが、御質問でも結構でございますので、時間は結構たっぷりありますので、じっくり議論していきたいと思います。いかがでございましょうか。
 成川構成員、お願いいたします。
○成川構成員 ありがとうございます。成川です。長期収載品の関連で種々の資料を御準備いただいて、ありがとうございます。
 コメントというか、資料に関する質問ですけれども、13ページで、長期収載品のシェアの国際比較を出していただきました。これは、以前、私からもリクエストをさせていただいたことでありまして、御対応をありがとうございました。
 ここで言う長期収載品は、各国で比較可能な中で、定義は一致しているという理解をしてよろしいかと思っているのですけれども、このときのパーセントと、8ページの日本での薬価調査のパーセントは、これは大分違うので、恐らく13ページのものは、分母が、長期収載品が出ている薬剤か何かが分母になっているという理解でよろしいのかどうかということと。
 あとは、アメリカが、数量シェアはすごい低いのですが、金額シェアはそれなりにあって、この辺をどう考えたらいいのかなというのがちょっと分からなくて、質問をさせていただきます。
 以上です。お願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。重要な資料上の課題です。
○坂巻構成員 ちょっと説明をよろしいでしょうか。
○遠藤座長 坂巻構成員。
○坂巻構成員 今の御質問に関してですけれども、資料の出典がロードマップとなっておりますけれども、私、こちらの構成員であることと、それから、一番最初に、ジェネリック医薬品の目標値設定、当初は60%だったわけですけれども、そのときに、私、中医協の参考人で、その目標値設定でちょっと発言をした経緯がございますけれども、いずれにしても、これは、当時はIMS、現在はIQVIAと言っていますけれども、IQVIAのデータを使っております。IQVIAの医薬品の範囲、特許切れ市場の定義が日本の想定と違っております。
 ですから、ジェネリック医薬品に関しては、日本の薬価調査のデータで見ますと、大体80%を若干切るぐらいですけれども、今日いただいた資料の中で見ていただいて分かりますように、IQVIAのデータでは、まだ6割程度なのですね。かなり乖離がございます。これは、細かいところの定義はきちんと記憶しておりませんけれども、定義が違うということで、この数字の違いについては理解していただければと思います。
 併せて、米国において、金額シェアが伸びているところがございますが、こちらは、御案内のとおり、米国では価格を自由に変えることができます。例えば、ある製品の中で、特許が切れてジェネリックが出ると、そこで価格競争が激しく起きるわけですね。その結果として、ジェネリック医薬品が撤退してしまうことがあります。撤退した結果どうなるかというと、残った先発品、長期収載品の価格が大きく伸びる。数年前に、業界誌に出ていたときの極端な例ですと、ある抗生物質の値段が400倍に上がったということもございました。ですから、こういった自由価格で値段が決まるということで、金額シェアに関して凸凹するといったことがございます。
 すみません。事務局に代わりまして、私が対処させていただきました。
○遠藤座長 ありがとうございました。ロードマップの作成に関与された坂巻構成員からコメントをいただきました。そういう理解でよろしいわけですね。
○坂巻構成員 はい。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、何かありますか。今ので大体十分ですか。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 今、坂巻構成員から御説明があったとおりだと思っているのですけれども、お話ございましたように、IQVIAのほうと薬価調査のほうで、具体的にどういう定義が違うのかと、今すぐは持ち合わせがないのですけれども、それについては確認して、別途、御報告させていただきたいと思います。
○遠藤座長 成川構成員、よろしゅうございますね。
 ほかにいかがでございましょう。
 三村構成員、お願いします。
○三村構成員 従来型の医薬品における後発医薬品問題ということで、私が、以前、長期収載品の中にも非常に貴重な薬があるのではないか、あるいは、必然的に残っている薬があるのではないかということを質問いたしました。それについて、非常に丁寧な分析をしていただきました。
 一つ印象として分かりましたのは、それは国際比較上どうかということもあるのですが、難病性の薬とか、非常に市場規模が小さいところとか、あるいは特殊な要素がある例えば特殊な製造工程とか設備が必要であるとか、あるいは、先ほど血漿分画製剤の話もいただきましたけれども、原材料においても特別の規制があるとか、あるいはその治療の安全性とか信頼性の観点から使われ続けている薬がある。恐らくそれらが理由としてかなり残っているのではないかと思います。
 そういうふうに考えますと、基本的には長期収載品を後発薬に転換させるのは、それは大きな政策の柱としてはこれからも続けられるのだろうと思いますけれども、そういったような特別な意味を持った薬に関しては、一般的な長期収載品に対する、ある意味でG1、G2ルールも含めて、そういったものに載せていくことが適当なのかどうか、それについてもう少し慎重に区分して扱っていく必要があるだろうと思います。それが、基本的に供給安定という今回の大きな検討会のテーマにも関連するという感じがいたします。
 それから、今回のところ、実はこれから後、後発薬の問題が出てくるのですけれども、一つの見方としては、今までの薬価の対応、基本的には診療報酬体系と薬価の設定の両方から攻めていっていただいているわけですが、既に薬価は下がり過ぎているのではないかという見方もあるかもしれない。そうすると、それをどう考えるか。恐らくこれが次回のテーマに関係すると思いますけれども、不採算品目が大量に出ているという状況をどう考えるかということが非常に大きなテーマになってまいります。
 そうしますと、先ほどの中医協の資料にもあったのですけれども、ここまで後発薬を推進する、あるいは転換させるという政策を推進していただいて、数量シェアとしてはほぼ80%まで来たというこの段階においては、その政策の効果と、それから生まれたひずみについて、一度検証していく必要があるのではないかと思います。それが恐らくこの有識者検討会が開かれた大きな理由であると思いますけれども、ちょうどその時期に来ているような感じがいたします。
 それから、国際比較の視点は本当に重要で、これまで日本の医療政策とか、こういった医薬品の政策において、常に一つの指標として使われてきたということですけれども、ただ、ある関係者の方から、ヨーロッパにおいても、後発薬の供給不安問題が深刻である、あるいは日本以上に深刻であるというようなお話も伺っております。そうなりますと、数値の整合性とともに、それぞれの国における状況、特にEUはそれぞれの国の事情が違うとともに、一つの巨大な統一市場をつくり上げていますので、それと日本との違いを踏まえた上での慎重な検討が必要ではないかと思います。
 ただ、今回の一般の長期収載品に関して、これだけ非常にきめ細かい整理をしていただいたことに関しては、お礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
○遠藤座長 大変貴重な御意見、ありがとうございました。
 そのほか、どんな意見でも結構でございます。
 それでは、坂巻構成員、ちょっとだけ早かったので、お願いします。
○坂巻構成員 大変よく精査していただいて、ありがとうございました。長くならないようにしたいと思います。
 前半の論点に関しましては、ビジネスモデルの転換ですけれども、内容をよく読みますと、長期収載品の薬価をどうするかという議論、今、三村構成員からもお話がありました。それから、2つ目はジェネリックの使用促進で、産業構造の転換というところでは、具体的に何があるのかなと、ちょっと分からなかったのですけれども、私が、8月31日でしたか、第1回のこの前の会議体の一番最初の会議のときにちょっと指摘させていただきましたけれども、いわゆるオーソライズド・ジェネリック、AGの問題、これは形を変えた先発企業の長期収載品ではないかということを御指摘申し上げました。その点では、今日の資料にAGの問題が入ってなかったことについてやや残念なものがございます。AGに関して、今後どのようなことを議論する御予定かということについて、まず質問としてお伺いしたいと思います。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございます。
 AGにつきまして、従前、坂巻構成員から御指摘いただいていることについては、我々も問題意識を持っておりますし、長期収載品ということで、今回の資料に載せておりませんが、次回以降、後発医薬品の安定供給について議論いたしますので、その中で、AGについて、そもそもとしてAGの定義が今ない状況ですので、どういう状況にあるかという現状も含めて、そこから資料をちょっと用意させていただいて、御議論いただきたいと考えてございます。
○坂巻構成員 分かりました。ありがとうございます。
○遠藤座長 坂巻構成員、よろしいですか。
○坂巻構成員 はい。次回、ぜひよろしくお願いします。
 2番目に、ジェネリックの使用促進に関してですけれども、診療報酬改定の検証結果に関する特別調査の資料を引用されております。実は、私、こちらも委員もしておりまして、ちょっと別のことも踏まえて私なりの解釈をしますと、恐らくジェネリックの普及に関してはかなりばらつきがあるわけですけれども、そのばらつきに関しては、恐らく大きく4つの要因といいますか、ポイントがあると思います。まず1つが、資料の35ページにございますけれども、施設の要因、例えばクリニック、診療所では比較的使用が進まない。これは恐らくジェネリックと先発両方在庫を持ちたくないということがあるのだと思います。これは1つ目。恐らくあまり大きな問題ではないというか、診療報酬上どういうふうにカバーするかということがあると思います。
 2番目は患者要因です。この資料の中でも、先発品がいいとか、患者さんが先発品に対する不信感があるということはあるわけですけれども、現実問題として大きいのは、やはり自己負担の問題です。特にお年寄りで、その負担割合が低い、あるいはその子供さんで、地域で医療費が免除されているようなところにおいては、ジェネリックの置換え割合が低いというようなことがございます。ですから、患者に関しても、論点としては、こういった患者さんによってジェネリックがあまり使われない集団に対して、自己負担の在り方、こういったことについて議論すべきではないかということは申し上げられるのではないかと思います。
 それから、45ページにございますけれども、薬剤要因。これは、向精神薬であったり、いわゆる抗悪性腫瘍薬であったり、それから、貼付薬、貼り薬ですね。こういったものに関して使用が進まない。こういったものについて、もう少しきめ細かい診療報酬上の措置をすべきではないかということが言えるのではないかと思います。
 それから、4番目に、これは資料にないのですけれども、一番大きな問題は地域差ですね。特に大都市である東京と大阪、神奈川、こういったところでジェネリックが普及しない。こういったところの原因をどういうふうに分析して、その解決に結びつけるか、こういったことをもう少し分析しながら、最終的にはロードマップ、あるいは今日の参考資料に入っていますけれども、次期の医療費適正化計画に具体的にどのようにそれを織り込んでいくのか、そういったことが論点になるのだろうと思います。
 私のこのパートに関する発言は、以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございます。これまでも随分議論されていたけれども、解決されていないような課題も含めて御指摘をいただいたと思います。患者自己負担の問題などは医療保険部会でも毎回議論をされている一つのテーマでありましたし、地域差の問題も指摘はされていますけれども、薬価基準制度とか診療報酬・調剤報酬は全国一律が前提になっているので、なかなか地域差の調整が難しいという政策上の問題点もあって、なかなかあれなのですけれども、そういうことも含めて、我々は議論していきたいと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。香取構成員どうぞ。
○香取構成員 先ほど三村先生がおっしゃったことが恐らく一番重要なことなのではないかという気がします。後発品の代替率が80%になっているというのをどういうふうに理解するかということですね。代替率100%があるのかどうか分かりませんけれども、現実に今残っている20%、それは何が残っているのかという話をすると、そもそも様々な理由で後発品が参入して来ない、あるいは非常に困難な分野がある、という現実がある。また、患者の選択ということも起こっている。そうだとすると、そもそも何のために後発品の割合を上げるという議論をしてきたのかということを考えれば、今や必要以上に無理をしてこれ以上後発品の比率を上げていく必要があるのか、ということなのだろうと思うのですね。80%という今の数字をどう評価するかということです。まだ代替可能な部分がある、だからもっと進めるべきだと考えるのか。当初考えてきた医療費の適正化等々の観点からすれば、一定のゴールに到達していると考えるのか、多分そこの判断だと思うのですね。
 もし、ゴールに到達していると考えるのであれば、次のことを考えなければならない。次の課題は何か、ということです。そうすると、先ほどのオーソライズド・ジェネリックの問題とか、あるいは今日も出ていますけれども、バイオシミラーの問題。バイオシミラーはそもそも製造工程が全く違うので、既存の後発品メーカーでははっきり言って対応できないわけですよね。実際、今バイオシミラーを日本でつくっているのは2社というお話で、日本に入っているのはみんな輸入ということですから、それでいいのかという問題になってくる。これはどちらかといえば産業政策の問題です。そうやって考えると、今まで後発品使用促進ということで進めてきましたが、このままこの政策を続けるのか、ちょっと考えるべき段階にあるような気が私はするので、ちょっとそういう視点で議論をしたほうがいいのではないかと思います。
 そのことで言うと、この場で議論するかどうかはよく分からないのですけれども、診療報酬上、確か資料にもありましたよね、後発品の代替について、調剤の段階で様々な点数がついていますよね。後発品をたくさん出すと体制加算がつくとか、「後発品がありますが、どうですか」とその患者に聞くと点数がつくとか。それはそれで今まで効果を持ってきたものだと思うのですが、そのやり方で達成できる目標はほぼ達成しつつあるわけですよね。
 だとすると、それで総額幾らの診療報酬料がついているかついているか分かりませんけれども、引き続きそういうものをつけ続けるのだろうか。80%を達成したというところから次の目標を考えるときに、今の診療(調剤)報酬の中には役割が終わったものはあるのではないか。あるいは、いろいろな形で現場の選択ということで調剤報酬をつけてきましたけれども、先ほどの例で言えば、患者の選択がこういう形で残っているのだとすると、そこに指導の点数をつけても恐らく効果はない、空振りになるだけだと思うのです。私自身の薬局での経験からしてもそうなので、そういうところも視野に入れて見直す。ある意味診療報酬の適正化の一つのアイテムになるのではないかという気がしますので、そこはこれからも議論していきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 重要なご指摘ですね。後発品使用促進のため政策誘導として診療報酬・調剤報酬もいろいろな角度から加算をどんどんつけていったわけです。まさに物すごいアクセルを踏んだということで、一方で、そんなにつけたので、ジェネリックはトータルで見ると、そんなに自己負担は安くないのではないかという議論が出てきたぐらいです、加算がついているわけですから。ということで、ジェネリックそのものの値段をさらに引き下げるべきだという議論になっていくわけです。実際、薬価は引き下げられて行ったわけですけれども、今後もそういうやり方でいいのかどうかということですね。もう後発品使用割合は行くところまで行っているので、原則は、患者さんが自由に選択できるということですから、そこはもう自由にしているわけですが、そこ、つまり後発品使用促進の政策誘導をどうするかということなのですね。
 そこで自己負担を考えるという議論が出てきているわけですが、医療保険部会で薬剤の種類によって自己負担率を変えるという議論が出てきたときに、要するに、長期収載品とか特定の薬剤について、自己負担を引き上げるという仕掛け、これは給付率を変えなくても、場合によっては選定療養の対象にするとか、考え方は幾らでもできるのです。そこでよく言われた議論は、例えば長期収載品を高い自己負担をつけると、患者さんは、特許中の薬、いわゆる新薬を処方してくれと医師に頼み、医師も同じような効能があれば新薬を処方するという形になって、実際に新薬のほうが自己負担は安くなるということになりますと、結局、長期収載品からジェネリックへの転換ではなく、新薬への転換が起きて、それは新薬のマーケットを大きくして、新薬の研究開発を促進するという目的からは合目的なのかもしれませんけれども、薬剤費を抑えるという点からしてみると、むしろ逆なのですね。そこら辺はどうするべきかという議論でいつも議論になっている。そのあたりも含めてどう考えるかということだと思いますね。重要なご指摘だと思います。
 事務局、香取構成員がおっしゃっていたことに、何かコメントはありますか。特段なければ結構です。
 よろしいですか。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 はい。
○遠藤座長 では、今後の議論ということにさせていただきます。
 ほかにいかがでございますか。
 では、三浦構成員どうぞ。
○三浦構成員 三浦でございます。資料をいつもありがとうございます。
 今、香取構成員がおっしゃったみたいに、80%がどういう目標かというのが大きなテーマであるので、それは考える必要があると思うのですが、坂巻先生がおっしゃったみたいに、患者問題がやはりすごい大きなポイントで、自己負担も、私もすごいあるかと思ったのですけれども、多分、普及啓発はされていると思うのですけれども、その中で、最近の流行りの言葉で言うとエビデンスですけれども、エビデンスベースが必要な感じがありまして、本当に普通考えますと、どちらがいいかという話になりますと、やはり安いわけですよね。そうすると、普通、合理的に判断すると、一般的には高いものはいい商品ではないか、安いものは悪い商品ではないかと。価格は品質の指標の一つになりますから、多分、ジェネリックは悪いのではないかという話になりますし、あとは、さっきのメディアの話がいっぱいありますけれども、本当にいろいろなところで副作用が起こったとか、やはりこっちのほうがいいとか、コーティング剤が違うとか、山ほど情報がありますので、そういった意味では多分ジェネリックのほうが悪いのではないかと普通の消費者は合理的に判断しますし、その一方で、ジェネリックのほうがいいという情報はゼロなのですね。
 そういうふうに考えるという話もありますし、あと、素材に関して考えますと、実際、国外の材料などを使っていまして、これは食品などでも全部同じですけれども、やはり国産はいい。その一方で、海外のものは信用できないというのが一般の消費者の話なものですから、そういったところでは、どの要因を考えても、どう考えてもジェネリックのほうが悪いと合理的に判断しそうな感じがありまして、その一方で、安いからどうするかというコストパフォーマンスの話ですが、さっきの80%ぐらいで収まってきて、なかなか上がらないみたいな状況を考えると、多分、私の周りとか知り合いでもそうですけれども、お金がある人というか、お金を払ってもいいという人とか、病気が重い人は少しでもいいものをという話になって、ジェネリックは普及しない。
 何か感覚的に恐縮ですけれども、2割というのはそういう人たちではないかという感じがしまして、そういった人たちに対してはエビデンスがすごい必要で、なぜ安いかということに関しましては、普通一般的に考えると、そういった国外の素材を使っているので安いとかという話もあるわけですけれども、一般的な競争戦略の話は、恐縮ですけれども、下位のメーカーなものですから、研究開発費は全然ないわけですよね。少ないわけでして。したがって、安くなるということをきちんと伝える必要がある。素材が安いというだけではなくて、研究開発費が低いので安いという話とか、あと、PMDAとかやられているわけですよね、生物学的同等性実験とかそういったもので、もう本当に変わらないと。したがって、素材が違うかもしれないし、研究開発投資費も違うかもしれないけれども、本当に統計学的に全然同じだということを伝えていただく必要があるような感じがしまして、そういった意味では、本当になぜ安いかということを明確に言って、ただ、効能が同じだということを、単に成分が同じというだけではなくて、本当にそういった統計的な実験をきちんとしていて、調査しているということはしっかり伝えていただく必要があるのではないかなという感じがしまして。
 そういった意味では、最近の指標者は全部そうですけれども、すごい細かく見ていまして、そういった意味では事実を提示していただくのがすごい重要で、そういったところからやっていただく必要があるかなと思いまして。あと、坂巻先生もおっしゃったみたいに、多分、ターゲットによって大分違う感じがありまして、そういったジェネリックに行く人と行かない人、それを分類して調査するなどをしながら、どこにアプローチしていくといいか。全般的な話ではなくて、そういった何か分けていくことも何か必要かなという感じがしました。
 以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 小黒先生がオンラインで手を挙げておられますが、ちょっと私一言言わせていただきますと、ジェネリックの話が出ていますが、ジェネリックを使用促進していくことについては、もう少しきめ細かく議論したらどうかという御意見が多かったように思います。
 本日は、ジェネリックを今後さらに使用促進することを課題にしているわけではないと私は理解しています。今回は、長期収載品に頼っている先発品メーカーが新薬開発にシフトするようにするにはどうすればいいかという議論なので、その中の1つに、もちろんジェネリックを今まで以上にもっとシェアを増やすべきだという考え方もありますけれども、それ以外にもあるわけでありまして、つまり長期収載品はあまり売れなくするという、あるいは利益が出なくするというそういうことですから、1つは自己負担の問題が先ほど出てきたわけです。もう一つは、長期収載品の価格の特例引下げをずっとZ2以降やってきているわけなので、置換えが進まないから価格をもっと下げるというのも長期収載品の利益率を下げることになります。ですから、このZ2他の特例引下げをどう考えていくかということも1つ重要な課題ですので、多面的に御意見をいただければと思います。ジェネリックの問題だけではないということだと思います。
 それでは、お待たせしました。小黒構成員お願いいたします。
○小黒構成員 ありがとうございます。
 今の話とも関係するのですけれども、ちょっとジェネリックの話に戻ってしまって申し訳ないのですが、長期収載品の話もありますけれども、要するに長期収載品を後発品に移行させるという話との関係で、51ページ目の患者調査が結構気になっていまして、たしか菅原先生が別に実証分析で研究されているものですと、年齢別とかいろいろな属性別に見ていくと、結構年配の方々がジェネリックを使われるのを回避されているとかいうような話もあったと思うのですけれども、ちょっと間違っていたら、菅原先生訂正していただきたいのですけれども。どういうような要因で患者側が選択しているのかということについて、何かこの検討会はどちらかというと財政的側面とか供給者側の側面に結構偏っていると思いますので、患者側のもうちょっと細かい話とかを、先発品のところの新しい新薬開発も含めて、聴くような場をつくっていただくことは可能なのでしょうか。そのほうがいいのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。もしくは、その細かいデータをもう少し患者側の供給した側でどういうニーズを持っているかと見ていただくというのも1つあると思うのですが。ジェネリックの話もそうですし、長期収載品の話もそうですし、イノベーティブな医薬品の開発のところにも関係してくると思うのですけれども、事務局のほうで、今後のスケジュールについて何かお考えをお聞かせいただければと思います。
○遠藤座長 何かございますか。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございます。
 患者側の状況が非常に重要だということの問題認識については、我々も同じ問題意識を持っているところでございますけれども、ちょっと具体的にどういう方法でその患者側のデータを取るか、まずは、本日出させていただいている資料はかなり限定的でございますので、先ほど菅原先生の調査もございましたけれども、そういった調査の中で、お求めがあった患者側の状況が把握できるものがないかというところについて、事務局で探してみて、その結果について御報告させていただきたいと思います。
 正直申し上げると、これは物理的な問題ですけれども、スケジュール的に、ヒアリングを入れていくということは、時間的にかなり難しいところもございますので、まずは、今申し上げたような既存の調査の中で、小黒構成員が言っていることについて答えられるものがないかということについて、事務局で探させていただきたいと思います。
○小黒構成員 可能であれば1時間くらいでも。なぜかというと、ちょっと繰り返しになるのですけれども、財政の論理とか供給者側にかなり偏っている感じがしまして。例えば長期収載品をジェネリックのほうに移行するとしても、実際に患者側や患者団体がどう考えているのかとか、団体や組織は幾つかでもいいと思うのですけれども、2つか3つぐらいでも、1時間の枠内で我々が聴ける場を設けることは難しいのでしょうか。
○遠藤座長 今のようなものが、特に患者固有の問題になりますので、年齢によっても使い慣れている薬を持っている人と持っていない人、あるいは高齢者は自己負担が少ない、あるいはジェネリックの話で、購入する地域によってもともと差があるという様々な問題があるので、恐らく相当数のデータを入れて調整しないとその議論はなかなかできないかなという感じがして、またヒアリングに誰を呼んだかによって非常に大きなインパクトがついてしまうということもあるので、恐らくは、時間的制約の問題も含めて、既存の調査結果の中で、それにある程度類するような結果が読めるものをいろいろ調べて出してもらうというのが現実的なのではないかと思うのですけれども、いかがですか、小黒先生、それではまだ不満で。
○小黒構成員 不満というか、前回のイノベーティブ医薬品の議論もそうですけれども、GISTの問題とかで開発されてない薬や日本で上市されていない医薬品とかもありますので、そういったところで、実際、患者がどう考えているのかとか、公的医療保険制度の中で、医薬品が取り込まれて収載されているわけですけれども、最終的には、国民のための制度だと思いますので、特に実際の薬を使うのは患者側ですよね。例えば癌患者の団体とかを含め、その人たちがどう考えているのかというのを全くヒアリングせずに議論を進めていくというのが本当に適切なのかどうかというのがずっと疑問に思っていまして。これは可能であればということですけれども。
○遠藤座長 大事な御指摘だと思います。ただ、どこにフォーカスを絞ってヒアリングをするかを決めなくてはなりません。ジェネリックの選択の話なのか、企業にどういう薬をつくってほしいのか、特定の疾患の患者会であれば、できるだけ自分たちと関係する薬を開発してほしいという要望は強いわけですし、どういうテーマで、どなたをお呼びするのかというようなことが重要なので、どこまでできるかということも含めて、ちょっと事務局と相談をさせていただきたいと思います。それが難しければ、何か代替的な方法があり得るかどうかということも考えてやらせていただきたいと思いますよ。よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。
 川原構成員、どうぞ。
○川原構成員 分かりやすい資料の提示、ありがとうございました。
 今、お話をお聞きしていて、ステークホルダーが4つあると思いました。まず1点目は先発企業、後発企業、医療提供者そして、患者、この4つのステークホルダーがあると感じました。まず、先発企業については、徐々に後発薬並みの価格に持っていくことで撤退を促して、それによってなるべく経営資源を先発開発に特化していただくという形で考えられている。2つ目の医療提供者については、各種加算することによって後発薬になるべくシフトするようにという政策を取られていると解釈いたしました。あと、3番目の患者ですけれども、これも皆様から自己負担がどうなのかというお話がありましたが、健保法の附則をどのようにクリアするのかという問題もあるでしょうし、あと、通常の低分子薬よりもバイオシミラーのほうが、一品当たりの単価は高いと思いますので、この自己負担をどうするのかというところを考えていかなければならないと思いました。坂巻構成員のおっしゃるように、高額療養費も絡んでくると思った次第です。
あと、最後、後発企業ですけれども、この後発企業も実際に置換えが進んでいない品目、どのような品目が本当に進んでいないのか、製造ラインの特殊性等の特殊要因があるものについて進まないのは分かるのですけれども、そうではないもので長期収載品の品目に後発企業が参入していないという品目等があれば、そういうところに対して何らかのインセンティブを設ける必要があると思っております。そういうインセンティブを与えることによって、後発企業も長期収載品に入っていくことになり、きちんとG1、G2を適用していくということも考えていかなければならないと思いました。
 それと、長期収載品のみの企業について今後どのようにしていく、どのような部分で活躍していただくのかといった部分では、それこそ後発品を扱う企業になっていただくとか、もしくはバイオシミラーだけではなくて、CMOという形など長期収載品を今まで扱っていた企業が撤退後に、このような活躍の道があるのだといったところを示していく。そのためのインセンティブを設けるといったあたりも考えていく必要があると思いました。
 以上でございます。
○遠藤座長 整理をしていただきまして、ありがとうございました。
 健保法の附則という、自己負担3割を超えられないというもの、それについては、選定療養費とすることによって実質的に超えてしまっているという動きもあるわけですけれども、そういうような仕掛けが必要かどうかということですね。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、芦田構成員お願いいたします。
○芦田構成員 まず事務局の皆さん、いつもながら膨大で詳細な資料を作成していただきまして、ありがとうございます。
 今のお話に関係するのですけれども、資料にもありますように、後発品の促進が始まってから20年以上経ちます。その間に、新薬を開発製造している製薬企業の中で、既にビジネスモデルの転換が行われてきていると思います。企業によっては新薬開発に特化して、他社と合併を行ったり、欧米のスタートアップを買収したりして、新薬開発力を強化している会社があります。また、既に保有している長期収載品を売却している、もしくは長期収載品の事業そのものを売却している製薬企業もあります。さらに、先ほどもお話がありましたけれども、もともとバイオ医薬品を扱っていなかった先発メーカーの中には、バイオシミラーの事業に参入した企業があります。これは海外の企業との提携をベースにされています。
 一方、この20年間に、結果として何もしてこなかった企業もあるのだと思います。そのような企業についてどうするかということを議論する必要があるのかなというのが、まず、私の率直な意見です。既にいろいろな事例が出てきています。先ほど御発言ありましたように、後発品を扱うような企業になる、もしくは、バイオシミラーを扱う、もしくは、CMOやCDMOへの業態転換が考えられます。これは転換というだけではなくて、兼業のような形で進めるというやり方もあると思います。そのような方向性があると思います。いずれもそのような事例がありますし、国内でも事例が出ています。あとは、それぞれの企業の経営者がどのように判断するかというのが最も重要なことかなと私は思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 事務局から何かコメントはありますか。
 特段ありませんか。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 はい。
○遠藤座長 では、御意見として承りました。
 それでは、先ほどお名前も出ましたので、調査をされたということもありますので、菅原構成員お願いいたします。
○菅原構成員 ありがとうございます。
 我が国においては、長期収載品がほかの国に比べて多いという現状をどのように考えるのかということを私もずっと考えていたのですけれども、資料の例えば9枚目ですかね。長期収載品を扱う全企業のうち長期収載品の売上比率が50%を超えているものが20%ぐらいあるという現状、それから、10枚目のスライドで、新薬創出加算を持っている企業ということで、画期的なものも開発しているけれども、その売上は50%が長期収載品になっている企業というのも10社あるということで、ある意味では長期収載品を売り続けて、ある程度売上を立てないといけないような、恐らく投資回収ができないような現状が、我が国の製薬企業の実態なのかなと思いました。
令和3年の調査で、特に12枚目のスライドでは、新薬を取り扱わず、長期収載品のみを取り扱う企業が19社あるのですけれども、これは一体どういう状況なのか。これはワンショットの一時点での調査なので、恐らくそれまでは新薬だったけれども、たまたま特許が切れてしまって、新薬がなくなって長期収載品だけになっているという、多分そういう状況だとは思うのです。要は、長期収載品だけに頼る状況がどの程度継続しているのか。あるいは、ピーク時売上の早期化というのが最近言われていますけれども、どれだけ今、日本で新薬メーカーと言われるところがピーク時売上時点で、どの程度自分たちの投資を回収できているのかということが少し分かると、解決の糸口が分かるような気がするのです。恐らく今日の資料が示しているところは、一言で言えば、ある程度「ゾロ新」と言ったら今は問題があるかもしれませんけれども、画期的な新薬の開発ではなかなか難しい企業がまだ半数ぐらいあって、そこのメーカーは、一応特許期間中はそこそこの利益を上げつつも、十分な回収もできず、長期収載品をある程度売り続けているというのが我が国の状況なのではないかと見ていて感じました。
 ですので、長期収載品依存から、なるべく画期的な新薬開発メーカーへの移行を促すという観点からすると、長期収載品にどのぐらいの期間、依存といいますか、その収益の上がっている期間というのでしょうか。あるいは、上市のピーク時の売上高がどのぐらいのところに各メーカーが来ているのかということを、併せて見せていただけるといいのかなと感じました。
 とりあえず、以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 事務局、今のことについて。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 大変重要な御指摘だと認識しました。本日は、そういう意味では表層的データになってしまっているので、もう一歩突っ込んで、今まさに菅原構成員御指摘のように、長期収載品を扱っている期間とか、どこまで取れるかというのはありますけれども、もう少し深掘りした形でデータがどこまで取れるかということについて、我々のほうで整理させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。非常に大切な御指摘をいただきました。適宜、対応していただきたいと思います。
 では、お待たせしました。堀構成員どうぞ。
○堀構成員 非常に詳細なデータをいただきまして、本当にありがとうございます。大変勉強になりました。
 先発企業のあるべきビジネスモデルの7ページ、これは、ここにいらっしゃる皆さんは、将来的にもこういうビジネスモデルに移行するのがよいと考えているのが前提となっていますが、もし、そこが違うとなると、話の前提が違うので確認が必要かと。
 仮に前提だとすると、長期収載品に依存せず、高い創薬力をもてるようにする。かつ特許期間中はある程度価格が維持されるけれども、特許期間が終わったら、後発品にうまく置き換える。後発品の売上もそれなりにあるが、先発メーカーは新薬創出に向けて進めていくのがあるべきモデルとして、平成29年に挙げられているという理解でよろしいですか。現実にそれを行うために何をしてきたかというと、先ほど川原さんが、ステークホルダーごとの取組をまとめてくださいましたが、薬価、診療報酬のインセンティブ、患者の視点でどのようにしてきたのかを整理をしていただいた通りかと思います。
 薬価については、Zルールの「このZという意味は何なのですか」と、実は以前、厚生労働省の方に聞いたことがありますが、これが「最後のZ」という意味だったとか。ところが、それがZで終わらず、Z2になって、時間を経て、それがG1、G2というふうになってきている。恐らく、これからの新しいモダリティとかを考えてくると、今までのやり方はちょっと限界も来ているのではないかなと。ただ一方で、今日お示しになった細かいデータを見ますと、一律にジェネリック、後発品と言っても、それぞれ違いがあり、代替品の有無、あるいは医療上の必要性、あるいは使用感の良し悪し、どちらかというとアメニティに近いような要素があるのではないかなと感じました。
 全てをアメニティとは言わないですけれども、使用感などは企業側の付加価値をつけるための努力として、非常に前向きなものと思うのですけれども、そこについて本当に保険で見るものなのかなとも。先ほど保険外療養費の話とか、自己負担の話、あるいは高額療養費等の自己負担の上限の話とかもありました。例えば、今日は湿布の話とかも出てきましたけれども、貼付剤として本当にどこまで見るのかというのはちょっと検討する余地はあるのではないかなと思います。一方で、代替が不可能な、あるいは特殊性の高い輸液のようなものに関してはどういうふうにするのかとか、そのカテゴリーごとに、同じ後発品と言っても分けて考えなければいけないと思いました。
ちょっと、G1とG2の切替えについて資料20ページの「現在の制度」について質問があります。薬価というところでは、切替え状況で段階的に下がっていくのは特に問題はないのかもしれないのですが、実際、G1とG2の品目と、それから、成分的にどれくらい置換えられているのか、実際の割合はどうなっているかと、もし資料がありましたら教えていただきたいというのと。
 それから、ちょっと気になったのですけれども、35ページの診療所も後発医薬品に関しては、薬によっては後発品を積極的に採用とはなっているのですけれども、無回答が42.5%もあるので、使用している場所にかなり特殊性があるのでは。先ほど同じ後発品といってもカテゴリーごとに見るべきではないかとお話ししましたけれども、そのカテゴリーでどういう診療所とか、どういう医療機関で使われているのかというのを見ると、もう少し細かいところが分かるのではないかなと。無回答が42.5%は結構大きいのでなぜかと、個人的には思ったというのがあります。
 それから、後発品の数量目的の60%も達成している状況で、金額の部分は課題があるにしても、この先どうしていくのかというところで、最初に坂巻構成員が言ったような患者の負担のところは、検討をしていく必要があるのではないかなと思いました。
 とりあえず、今のところは以上です。
○遠藤座長 事務局から答えられることについては、お願いいたしたいと思います。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 事務局でございます。
 堀構成員から御質問いただきました、G1、G2ルールが適用されている品目の数でございますけれども、こちらは令和4年度薬価改定が行われた時点での数でございますが、G1ルールが適用されている品目は267品目、G2ルールが適用されている品目は192品目となっております。
 以上でございます。
○遠藤座長 堀構成員。
○堀構成員 ありがとうございます。
 これは、どちらでも基本的にはよいのかもしれませんし、G1であっても、G2であっても、それぞれの特性があるのかと。が、厚生労働省の皆さんとしてはなるべくG1を増やしていくとか、あるいは、どうしてもG1にならないものもあると思うのですけれども、その状況についてどのように考えているのか意見をいただければと思います。現状認識としてこうなっているというだけであれば、それでも大丈夫です。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 ありがとうございます。事務局でございます。
 こちらの資料でも細かくて分かりづらいのですが、G1、G2のそれぞれの分類につきましては、後発品に置換え率が高いものはG1ルールが適用され、一定程度まで進んでいない置換え率が低い品目はG2ルールが適用されるという形になりますので、基本的には、長期収載品から後発品への置換えを進めていくという考え方に立てば、できるだけG1ルールが適用される品目を増やしていくことを目指していくということになるかと思います。
○堀構成員 そうですね。ということは、それでもG2がそれなりにまだ残っているというのは、本日お示しされたような、後ろにあるような資料の構造的な要因があるのかなと思った次第です。
 以上です。
○遠藤座長 ほかにございますでしょうか。
 それでは、三村構成員。
○三村構成員 本日の大きなテーマが、長期収載品を扱っているメーカーにおけるビジネスモデルをどう考えるかという話であったということでありますので、私も一言コメントさせていただきたいのですが、私は、先ほどの芦田構成員がおっしゃったことに賛成です。
 ただ、1つ言えるのは、国内市場だけを対象としてビジネスモデルを考えてよいときと、それから、前回も、ベンチャービジネスとか、今回、後で、バイオシミラーの話があるのですが、いずれも基本的には、国際競争力という議論が非常に大きいときとは状況は異なる。そうすると、新薬創出ということに簡単に移行できるわけではないかもしれない。その壁が高いということも前回のお話からも承っております。
 そうしますと、後発薬促進に関してもいろいろな御意見がありますから、これについては粛々と進めていただきたいと思うのですが、今、長期収載品がある程度残っているメーカーがどうするかというのは、ある意味ではこれは経営者の判断であるし、逆に言えば、制度が変わることによって経営判断も変わるだろうと思います。
 それから、もう一つ言いますと、企業は売上規模だけでなく、収益基盤がないと投資できません。その点では恐らくオーソライズド・ジェネリックもそうだと思うのですが、残している可能性はある。そういうことを含めて、特にメーカーに関しては、国際的な市場における競争力の観点も必要だということを含めた上で、検討したほうがいいと思います。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。実態、まさにそういうことだと思いますので、ありがとうございました。
 それでは、成川構成員、お待たせしました。
○成川構成員 ありがとうございます。コメントと質問です。
 まず1つはコメントですけれども、ジェネリックが好まれない理由というか、今日の資料では、ジェネリックについてネガティブな印象を持つようなアンケートの結果が出ていると思うのです。これは、要するに、ジェネリックを採用しない方に聞いたからこういう答えが来ているわけで、逆に言うと、ジェネリックの中にも、例えば味とか使用感を工夫して、逆に好まれているものもあるということだけ、ちょっとコメントをさせていただきたいと思います。
 質問というか、今日の議題の長期収載品に依存している企業をどうするかという話ですけれども、そこは、そういう企業も恐らくは革新的医薬品を開発したいと思っていろいろ努力はされているのだと思うのですが、結果的にそういう薬が長く出てきてないというのが事実かなと思うので、そこは結果で判断せざるを得ないのではないかなと私自身も思います。
 今のルールのG1、G2ルールは2018年に導入されたわけですが、これは、後発品が出てから10年後ぐらいを見て、そこから下がってないものを強制的に引き下げるという制度です。この制度はこのまま放っておいても、今後もっと影響が大きく出てきて、要するに、長期収載品に依存している企業にそこからの撤退が促されるようなことを期待していいのか。あるいは、もう効果はほぼマックスに出ていて、何か新しい制度なりをつくらないと、これ以上長期収載品は減っていかないという理解をしていいのか、その辺の時間感覚がちょっと僕は分からなかったので、もし分かれば、事務局の方、教えていただきたいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 これはどうですか。分かる範囲で結構ですので、事務局どうぞ。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。
 成川構成員に御指摘いただきましたように、G1、G2が導入されてから、まだ年数が大きくはたっていないという状況でございまして、20ページのG1、G2ルールの図で申し上げますと、例えばG1品目で申し上げれば、G1ルールが適用されてから6年経過しますと、長期収載品が同じ価格まで下がるという形になっておりますが、1倍のところまで到達している品目は現状ではまだない状況で、これから出てくるという形でございますので、このルールが完全にはまだ適用され切っているという状況ではないということを考えますと、これからも、この制度の効果はもう少し高まってくることは想定されるかと思います。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 成川構成員、よろしいでしょうか。
○成川構成員 分かりました。難しい質問をして、すみませんでした。よく分かりました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 それでは、オンラインで井上構成員がお手を挙げておられますので、井上先生よろしくお願いします。
○井上構成員 井上でございます。御発言の機会をいただいて、ありがとうございます。
 最初、私は門外漢のところがあって発言をちょっと控えていた部分があります。なぜかというと、今日の資料の7ページのあるべきビジネスモデルが出ていまして、正直言って、ちょっと違和感があります。企業にこのビジネスモデルに沿ってビジネスをしなさいというのは、この業界の何か一つの象徴的なことなのかもしれませんけれども、こういうことは企業が独自に考え、差別化すべきものなので、これを実現する政策を検討しましょうというのは、正直なところ、驚きを持ったところがあります。
 後発薬に置換えは、財政的なところもあり、また、患者、使用者にとってもできるだけ多くメリットがあるということで進めてきたもので、そのこと自体は事業環境として所与のものとして、企業はその事業環境の下で、長期的にどういうような持続的成長を図るかというところは、企業独自の工夫のところであるべき。ここを政策的にあまり介入する必要はないのではないか。その意味では、芦田構成員、そのほかの構成員の先生方もおっしゃられていましたけれども、長期収載品ビジネスにとどまり新薬創出のほうに行けないということは、こう言ってしまってはあれですが、ある意味でその企業の実力でありまして、そういうところにこそ新規のベンチャー企業が参入する余地が大きく広がっていくということでその余地をつぶすような介入をするべきではないと思います。
 ですから、こうした後発品に依存している企業をどうするかということは、その企業自身が考えることで、こうした企業が何か不当に競争状態でゆがめられているということでなければ、ここで考える必要はないのではないか。むしろ、新たな新薬をしっかり開発できるベンチャーをいかに出していくかの環境整備が重要だろうと。そういう創薬ベンチャーが次々に出てきて既存の製薬メーカーを脅かせば、既存企業の後発品に依存するというビジネスモデルそのものが持続可能でないということが分かってくるわけですから、むしろ、それによって新陳代謝、もしくは、長期収載品に依存している企業そのものが危機感をもって特許期間中に開発により注力するという正の循環が生まれてくると思います。そうした競争環境を整備するほうが、市場競争状態をより高く保ち、新陳代謝を促進するという意味で政策として望ましいのではないかと考えました。
 私、この議論をするのに、十分な知識を持っておりませんので、やや暴論かもしれませんが、そのように感じた次第です。
 もう一つ、私、これも門外漢なので、今インターネットで、いわゆる後発薬と先発薬、後発薬と長期収載品のリストは、これは厚生労働省のリストを見ているのですが、これは、素人が見たら全く分からないものと思います。消費者の側から見て、どの薬に信頼性があるかをこの膨大なリストを見て判断するのは非常に難しいと。こうした消費者が個々の薬の比較評価を出来ないために何か独占市場みたいな市場がそれぞれの薬にできていて、患者側が一度特定の薬を使い始めると、そこから離れられないことも問題の根源にあるのではないか。製薬会社と消費者の間の著しい情報の非対称性がある、または、不確実性の回避が消費者の側はありますので、これは解消するに足る十分な情報提供が行政側からないと、一度使い始めたものに慣れてしまい、そこから動くことに対するチェンジングコストが非常に大きくなっているというのが現状ではないか。これは、情報の提供の仕方そのものに少し問題があるのではないかという感じもいたしました。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。
 事務局から何かコメントはありますか。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 ないです。
○遠藤座長 では、重要な御指摘をいただいたと受け止めさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、菅原構成員、お待たせいたしました。
○菅原構成員 発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 ここでの根源的な問題だとは思わないのですけれども、恐らく大事なのではないかなと考え一言申し上げたいと思います。根本的に、薬というのは物と同時に情報が適切に伝えられて、きちんとした使用ができるというものですので、医療従事者とか患者さんに対する情報提供がきちんとなされることが基本だと思います。そういった意味で、今日のテーマである長期収載品から後発品へなるべく早期に移行してほしい。あるいは、長期収載品に依存しているメーカーが、なるべく新薬の開発に専心してほしいということは、大方針としてそうなのですけれども、でも実態としては、長期収載品メーカー、すなわち、それは新薬を開発したメーカーが、その薬剤に関する情報提供に非常に大きな役割をこれまで果たしてきたことは事実であります。この長期収載品から後発品への移行の中で、その情報の受け渡し、その利用のされているような様々な安全情報は当然ですけれども、そういうものがきちんと後発医薬品メーカーが引き継いで提供されていくような話が一方でないと、国民目線から言うと、今のこの議論は若干不安だなと考えました。
 この話は昔からあって、後発医薬品の利用促進の議論のところで、実は、新薬の開発メーカーからは、それはいいけれども、実際にその情報の提供のところは大丈夫なのか。自分たちが結構なコストを払ってやっているのだということを随分前から耳にしていたものですから、現状はどうなっているかは少し話が違ってきているかもしれませんけれども、一方でちょっと考えておかなければいけないかなと思いましたので発言をさせていただきました。
 以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 御指摘重要ですね。特許情報だけ使えても、その他諸々の販売をするときに使った様々な有用なデータみたいなものはジェネリックメーカーには行ってないわけですよね。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 御指摘いただきまして、ありがとうございます。
 今、菅原構成員から御指摘いただきましたように、当然ながら、先発企業には、後発企業のほうでは持っていない開発時のデータから、市販後の副作用情報等の安全性データも含めまして、後発品企業には持っていないような有効性・安全性等の様々なデータを持っているのは御指摘のとおりでございまして、また、仮に後発品企業に置き換わったときに、それらの引継ぎが行われない懸念があるのではないかという御指摘をいただいていると、業界内でもいただいているということは御指摘のとおりかと思います。
 その状況がどう変わっているのか。何か改善ができているのか等につきましては、すみません、今、ちょっと情報を持ち合わせておりませんので、御指摘を踏まえて、確認等をさせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 関連で、坂巻構成員がお手を挙げておられますので、お願いします。
○坂巻構成員 ありがとうございます。
 今の点につきましては、資料20ページでしょうか。「現在の制度」の中で、G1、G2の中で、最終的には、長期収載品とジェネリックが同一価格になるところがあるわけですけれども、そのときに先発品が撤退した場合、その情報を引き継ぐジェネリック企業に関して、薬価上の優遇措置を与える仕組みがあります。確かに、それがうまくいくのかということに対する批判、懸念は、この制度が導入されたときからございました。その当時からも議論があるわけですけれども、そういったことをうまくいくための仕組みとして、例えば医薬品の安全性情報とかというものに関しては、パブリックドメインにするのだと。そういった議論もありました。その議論については、確かに進んでない部分がありますが、一応の仕組みとしては、ジェネリック企業が情報をきちんと受け継ぐ仕組みがあるということは理解しておくべきだと思います。
 そもそもの長期収載品のビジネスモデルに関する議論に戻りたいと思うのですけれども、平成25~26年に、私は中医協の参考人として、ジェネリック医薬品の使用促進に絡む議論に参加したことがございますけれども、その当時もジェネリック医薬品に対する拒否感があるわけですけれども、財政の観点から言えば、では、いっそのこと長期収載品とジェネリック医薬品の価格を一緒にしたらいいのではないかと、こういう話がありました。
 これに対する反論が3つあるいは4つあったわけですね。4つ目から言いますと、ジェネリック医薬品側からすると、長期収載品とジェネリック医薬品の価格を一緒にしたら、ジェネリック医薬品が売れなくなってしまうと。これは反対ですね。
 残りの3つが先発側の話ですけれども、まず、一番大きな理由は、要するに、新薬開発が非常にきつくなる、高い。ですから、その新薬開発のリスクを長期収載品から得られる利益で賄っているというのは、これまでの先発医薬品の当時のビジネスモデルだったわけです。だけれども、それで言うと、長期収載品に依存するから新薬出ないでしょうということで、ずっと長期収載品依存から脱却しましょうということで、様々な製薬産業の産業ビジョンであったり、あるいは、医薬品産業強化総合戦略であったり、そういう厚生労働省を中心としたいろいろなビジョンの中で、長期収載品依存から脱却しましょうということで、長期収載品の価格を下げるということが政策的に導入されてきたわけです。
 こうした長期収載品に依存した開発モデル、ビジネスモデルにまた戻るのですかという議論に私は今日聞こえてしまっています。私は、まず、そもそも長期収載品に依存せずに、常に新薬を出してきて、それで、新薬から利益を得て、また、次の新薬の開発に投資していく。こういうビジネスモデルに転換できない会社は、いずれ撤退してもらうのもしようがない。あるいは、別の業態、例えばジェネリック企業に変わるというような、そういった議論がこれまでなされてきたと考えています。
 次の2つ目ですけれども、例えばドラッグ・リポジショニング、こういったものも一つの先発企業の助けになるのではないかという話があります。確かに、ドラッグ・リポジショニングのための開発コストはかかりますよね。でも、それは長期収載品から利益を得るのではなくて、ドラッグ・リポジショニングによって開発された新しい適応症に対して、適切な薬価をつけることが大切なのではないかという議論ではないでしょうか。そこも、長期収載品依存の議論として、価格をやや高めに設定することについては、違和感を感じます。
 3つ目は、これは先ほど三浦構成員からお話がありましたけれども、そもそも先発医薬品、長期収載品のほうが、製造コストがかかるのだと。原薬・原料の値段が高い、あるいは、そこでの人件費がかかるという議論がありました。ここは、事務局に資料の提出をお願いしたいのですけれども、それは事実でしょうか。私が知る限りにおいては、先発企業、長期収載品の原材料価格が高いなどということはないと思います。世界中で特許が切れた市場においては、先発企業においても、長期収載品においても、価格引下げのために海外からの原料調達を行っています。そして、製造においても、製造コストのより安い海外に製造拠点を移しています。長期収載品が、今、一体どこでつくられているのかということについて、事務局から資料の提出を求めたいと思います。
 少なくともロードマップの調査においては、原材料については、ジェネリックと同じように海外依存は結構ございます。そもそも、わざわざ安い値段をつけて、安い原材料を買って、その結果、ジェネリック医薬品が安かろう悪かろうということについて、どういうエビデンスがあるのか。実は、医療関係者の中に、いまだに安かろう悪かろうということをおっしゃる方がいますけれども、そういった人たちは実際に長期収載品がどのような形でつくられているかということについて、ほとんど知識がなく、マスコミの受け売りであったり、あるいは思い込みだけであったり、そういったことを言っている。そういったことが、ひいては、患者の不信感を招いているという現状にあると、私は思っています。
 最後は、ジェネリック医薬品のコストの問題になってしまいましたけれども、少なくとも長期収載品が原材料、コストに対して、先発薬はジェネリック医薬品よりも高い値段だから、長期収載品の値段を高く設定するという議論については、私は誤りだということは指摘しておきたいと思います。
 発言の機会をありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 関連で、もし必要があれば。
 では、次のテーマに行きたいので、三浦構成員、手短にお願いします。
 事務局におかれましては、先ほどの関連のデータがもしあれば。
○三浦構成員 1点いいですか。
 坂巻先生、原材料価格が高いわけではなくて、開発費ですよね。トップメーカーは、開発費、製品開発に物すごいお金がかかるので、それで高くなって、原材料は、先生がおっしゃったみたいに、もちろんいろいろな安いところから取ってきていますので、原材料費に関しましては、長期収載品もジェネリックもそんなに変わらない可能性が高くて、開発が高いので、それがオンされるので、価格が高いと申し上げたつもりです。
 以上、私の意見です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
○三浦構成員 原材料費は、先生がおっしゃるとおりだと思います。
○遠藤座長 まだ御意見等あるかと思いますけれども、もう一つ大きなテーマがあって、まだ手つかずであります。今後増えてくるであろう高額なバイオ医薬品、したがいまして、バイオシミラーは大変重要なわけですけれども、これをどうするのかということで、少し議論いただきたいと思います。いかがでございましょうか。御質問でも結構でございます。
 では、坂巻構成員お願いします。
○坂巻構成員 前半のパートでも少しお話が出てきましたけれども、一番の問題は、国内でバイオシミラーが製造あるいは開発されてないということなのですね。日本が製造していることもそうですけれども、イノベーティブなバイオ医薬品の特許が切れた後に、バイオシミラーを開発しようという意思決定をして、自ら開発するという会社自体が非常に少ないわけです。ですから、そこは大きな問題なわけですけれども、結局、この状況が続くと、現在でも、国内でバイオシミラーは開発されていませんし、製造も非常に少ないですけれども、今後、いろいろな多くのバイオ医薬品の特許が切れた後も、バイオシミラーが日本で全然開発されないというような状況になってきます。
 1つ例を申し上げますと、フィルグラスチムというものがございます。フィルグラスチムに関しては、今、一般名ベースでは3つ製品が出ていますけれども、既に3つの会社が撤退しているという状況になってきています。なぜ、これが撤退したのかということについて、各企業は理由を明らかにしていませんけれども、いずれにしても、自分の会社でその開発・製造してないのですね。つまり、元の技術を持っている会社に対してロイヤリティを払う。あるいはCMOを使えば、CMOに対する使用料というか、お金も発生する。ですから、化学合成の薬に比べると、バイオシミラーは非常に原価が高い可能性があります。ところが、売り方に関しては、はっきり言いますと、ジェネリックと同じような不健全な競争の下で価格競争をして、値段がどんどん下がってきますけれども、化学合成ほど弾力性がないから、すぐに利益がなくなって、撤退せざるを得ない。こういう市場でもあるわけですね。
 ですから、バイオシミラーに関して、使用促進をこれから議論しなければいけないけれども、その前に、安定して日本においてバイオシミラーがどのように開発される仕組みをつくるのか。あるいは製造に関しても、自分のところで製造するための製造設備投資が非常にリスクが高いのであれば、CMO、CDMOを使うことは重要ですけれども、日本において、CMO、CDMOは、実績が全くございません。コストも高いです。ですから、例えば、幾つかの日本でもベンチャー的なところが、今、バイオ医薬品のCMOに参入してきていまけれども、そういったところで、もし仮に製造しても、PMDAが承認しませんというようなことが起きてしまうわけです。
 ですから、CMOに関して、例えば承認に関して何らかの措置を取るとか、優遇措置と言うのは語弊があるのですけれども、国内におけるCMOを使うための仕組みづくりを考える。極端に言えば、国そのものがCMOをつくる、運営するというようなことも考えてもいいと思います。まず、産業政策に関して、今後どのようにバイオシミラーの開発を促すかということについて、この議論を進めていくことが必要だと思います。
 2番目に、使用促進の話ですけれども、先ほどジェネリックの普及の中で、患者負担の話もありましたけれども、これも少しもお話が出てしまっていますけれども、バイオシミラーが進まない要点に関しては、患者の負担がほとんどないところであったり、それから物によっては逆転現象、つまり、先行品を使うほうがむしろ安くなってしまうというようなこともございますが、こういったことについて、既にかなり議論されてきていますけれども、バイオシミラーあるいはジェネリックもそうですけれども、高額薬剤等の患者負担の在り方について議論をする必要があると思います。
 それから、バイオシミラーに関して、今日の資料の中でも、不信感があるというアンケートの結果が出ていますけれども、不信感の前に、バイオシミラーって何か。もっと前を言えば、バイオ医薬品そのものについても、その理解がかなり乏しいのですよね。これは別の調査でも明らかになっています。ですから、バイオシミラーについて、もっと国が普及啓発活動に力を入れる必要があると思います。正直言いますと、ジェネリック医薬品に関しては、厚生労働省のホームページで、「ジェネリック医薬品とは」ということの解説のページがありますけれども、バイオシミラーに関する解説のページは厚生労働省にはないのですよね。それも、厚生労働省がもっとバイオシミラーの普及啓発に対して力を入れていくべきだと思います。
 私からは以上でございます。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。バイオシミラーについて御研究をされておられますので、非常に見識のあるお話を最初に承れたと思います。
 ほかにいかがでございましょうか。あるいは、今のことに対して事務局、何かありますか。事務局が全然説明してないところについて。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 まさに、坂巻構成員御指摘のとおりだと思います。製造の問題、高額薬剤への対応の話、普及啓発と、大きく3点の御指摘をいただきました。
 本日の資料の中でもお示ししておりますけれども、このシミラーにつきましては、そもそもとして、どういう目標設定をするかということについて、年度末までに目標設定をするという話になっております。当然のことながら、目標だけ設定すれば自動的に達成するっていうわけではございませんので、併せて、どういう対策を打っていくかということが重要だと思っております。
 ですので、ここの検討会での議論も当然踏まえながら、さらに、実際に行うべき対策、特に国として力を入れるべきところについてしっかりとまとめた上で、それも併せて、目標設定で打ち出していきたいと思っております。その際に、非常に御参考になる御意見だったと認識しております。
○遠藤座長 坂巻構成員、お願いします。
○坂巻構成員 すみません、1点申し上げるのを忘れました。
 前半で、AGの話をしましたけれども、バイオ医薬品についても、バイオAGといいますか、バイオジェネリックというものがございます。これも先ほど安藤課長から、AGについては定義がないというお話がございましたけれども、バイオシミラーとバイオジェネリックに関しては、薬事法のその区分できちんと定義ができています。ですから、これは定義がある上で、バイオジェネリックの薬価はどうあるべきなのかということについては、これもぜひ議論をしていただきたいと思います。
 現実に、バイオジェネリックに関して、1品目が薬価収載されていて、これも中医協においては特例的な値段のつけ方だよという形で値段がついていますが、その後、中医協で全く議論がなされていませんので、こちらの検討会から、ぜひバイオジェネリックの薬価の在り方についての意見をまとめていただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。では、事務局よろしく。
○安藤医薬産業振興・医療情報企画課長 先ほど申し上げましたように、AGにつきまして、これはバイオAGも含めまして、次回、まさにこの場で御検討いただきたいと思っておりますので、その際に、今、御指摘の点についても論点とさせていただきたいと思います。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
 ほかにいかがでございましょう。
 それでは、芦田構成員お願いいたします。
○芦田構成員 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 バイオシミラーの普及促進について、啓発活動がより必要だという、今の坂巻先生の御意見には賛成します。
 資料の中にも、病院や診療所、それから、保険薬局の意見として、バイオシミラーの品質とか、有効性・安全性に疑問があるというのがございました。これは、なぜ処方しないのかということですので、そういう意見が出てくるのかなという見方もありますが、それは、病院などの理解不足がやはり一つの要因ではないかなと思っています。したがって、厚生労働省をはじめとしたところの啓発不足が要因としてあるのではないかなと思います。
 信頼性ということに関して言いますと、バイオシミラーは御案内のとおり、実際に開発して販売しているのは、いわゆる先発品メーカーです。国内の大手製薬企業や外資系の大手製薬企業が開発をされています。
 また、バイオシミラーは、資料にもありましたけれども、治験を行った上で承認を得ています。その意味では、いわゆる低分子の後発品とは、承認までのプロセスも違うわけです。その点を、医療関係者や患者さんが、どこまで理解されているのかということについて少し疑問を感じるところです。まだまだ啓発を行う余地があるのだろうと思います。
 それからもう一つは、バイオ医薬品はほぼ注射剤だと思いますので、全てではないと思いますが、基本的には病院や診療所で投与されるものだと理解をしています。そうすると、バイオシミラーへの置換えを促進するには、患者さんへの啓発活動はもちろん重要だと思いますけれども、それよりも医師や病院に対する啓発活動のほうが重要だと思います。
 59ページの「バイオ後続品に係る情報提供の評価」ということで、点数がつくようになりましたけれども、これはいつからですか。2020年だったですか。
 質問のポイントは、これがいつからかということ。それから、置換えについて58ページのグラフがありますけれども、こういった点数がつくようになった、病院に対するインセンティブをつけたことの効果がまだ測れてないという理解でいいのかというところをお聞きしたいところです。
 
 以上です。
○遠藤座長 ちょっと調べていますので。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 事務局でございます。
 今、一部確認させていただいているところでございますが、59ページに記載しております、加算が大きく3つございますけれども、紺色で太字とさせていただいております下の2つ。外来腫瘍化学療法診療料と外来化学療法加算の2つにつきましては、これは令和4年度の診療報酬改定で導入されたものでございます。一番上の在宅自己注射管理指導料、こちらにつきましては、以前の診療報酬改定で導入されたものでございますけれども、いつの導入かについては、今、確認をしているところでございます。いずれにしても、それほど前のものではございませんので、御指摘いただいたとおり、これらの加算制度の導入の効果につきましては、現在も確認をしているところでございます。
○芦田構成員 分かりました。そういう意味では、この点数が加算されるようになったことの効果は、今後現れてくることを期待しているという理解でよろしいですね。
 もう一つの質問ですけれども、例えば外来化学療法加算とか腫瘍化学療法加算についても、これは新しいバイオシミラーが出てくるたびに、品目としては追加されていくという理解でよろしいでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お願いします。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 基本的には、そのような考え方で運用されていくものと理解をしております。
○芦田構成員 ありがとうございます。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 すみません。追加でございます。
 先ほど確認中と申し上げました一番上の在宅自己注射管理指導料、こちらにつきましては、令和2年度、1つ前の改定の際に導入された制度でございました。失礼いたしました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 坂巻構成員、お願いいたします。
○坂巻構成員 今、答えてもらったとおりです。
 その前のグラフに関しても、私がつくりましたけれども、2020年に関しては、令和2年度のデータですので、ですから、在宅自己注射のところの影響は入っているということで御理解いただければと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。
 それでは、菅原構成員お願いいたします。
○菅原構成員 ありがとうございます。
 既に御発言の構成員と話がかぶる部分もあるのですけれども、グローバルな開発状況を見ますと、このバイオ医薬品の新薬に占める割合がどんどん増えてきております。しかも一般論として、値段は非常に高額なものが多いということで、この使い方を我が国としてどのように考えていくのか、非常に大事な問題だと認識をしております。先ほど来、御説明もありましたけれども、バイオシミラー、バイオ後続品、あるいは、この場合で言うと、バイオセイムと言ってもいいのかなと思うのですけれども、製造に非常にこれまでよりも投資コストがかさむと。しかも、その回収の見込みも小ロットでなかなか立ちづらいとなってくると、多分、多くの企業に参入を求める、あるいは参入を促していくことは、産業構造的にも、産業政策的にもなかなか難しいのかなと感じます。
 初期投資、サンクコストが非常に大きい場合には、一般的な産業組織論で言いますと、原価計算をベースに公正報酬率規制のような形で、ある程度参入企業を絞ってしまって、その中でコストをどれぐらい低減していくかというのが、多分一つの大きなポイントになると思います。今、バイオ産業の製造コストの問題はあまり明らかになっていませんので、どれぐらいのロットを造っていくと確実に費用が低減するものなのか、あるいは範囲の経済性が働くものなのか、このあたりをもう少し丁寧に検証していただく。そういうものがある程度働いてくるのだと。しかも投資コストがかなり大きいのだという話になってくると、繰り返しになりますけれども、自由な参入を促すよりは、むしろある程度オリジナルの企業、これをバイオセイムという形で集約してしまって、そこにある程度原価計算プラスアルファのような形でリターン、報酬を返すというやり方もあるのではないかということ。私もずっと考えていたわけではないのですけれども、今日の話を伺って、費用逓減の観点からそういった考え方も一つあるのかなと思いました。いずれにしましても、製造の費用構造についての情報を少し掘り下げる必要があるのではないかなと感じました。
 それから、もう一点、既に60枚目のスライドに書いてあるとおりですけれども、そもそも使われる疾患治療がかなり高額になるもの、あるいは、この薬剤そのものの単価が高いものが多いものですから、当然、高額療養費だとか公費負担医療になってしまうと、患者さんには切り替えるメリットがほとんど働かない。切り替えて助かるのは、これは財政負担の側で、保険者であったり、当然、国全体の話になるわけですので、ここは患者さんに促すというよりは、先ほど芦田構成員のご発言にもありましたけれども、医療従事者の方々にお願いをするか、あるいは、その行動そのものをガイドラインとか規制という形で縛ってしまうと。こういうケースについては、基本的にはバイオシミラー、バイオセイムを使うことという形でやる以外にはないのではないかなというのが、私の意見でございます。
 以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 ほかにございますか。
 あるいは、ただいまの菅原構成員のコメントに対する御意見でも結構です。
 香取構成員、お願いします。
○香取構成員 冒頭の発言でもちょっと申し上げたのですが、今、菅原先生がおっしゃったように、今までの低分子薬の世界での産業構造で考えてきたような、後発品のメーカーは安定供給を考えて、とか、より低廉な価格で速やかに参入して全体としての薬剤費を下げて、ということには、この世界はならない気がするのですよね。
もちろん、今のところ、バイオは、まだまだ非常に特殊な薬剤であったり、公費負担の対象疾患対応のものであったり、ある特殊な分野、特定の分野のものが多いわけですけれども、いずれ、そのうちほとんどの低分子薬に取って代わることになるでしょう。そういうことになるんだとすると、先々のことを考えれば今と同じ構造の問題が生じる。そもそも高い薬ですから、できれば、後発的にシミラーでの代替の世代交代を考えたい。
 ところが、今、日本の国内でつくれているメーカーがそもそもない。その能力がある、あるいは、育ててという言い方もあれですけれども、ありそうなメーカーがあるかというと、多分そうでもない。ということから考えると、この話はこっちから考えるのではなくて、そもそもバイオ医薬品についての研究開発、製造、CMOなども含めその体制をどうするかというのを先に考えないといけないのではないか。バイオシミラーの値段をどうするかとか、どうやって使用促進するかといっても、今の段階のままだと、輸入に頼るということになるわけですね。
 そうすると、当面、海外市場で先発品と後発品がどうなっているかということに依拠した形で価格体系をつくりながら参入というか導入していくという形になっていくと思うので、こうやって資料をつくっていただいて、初期加算が150がどうだと議論しているのですけれども、こんなことより、もうちょっと産業政策的な視点で、全体のバイオ薬品の製造、研究開発、製造、パイプラインをどうつくっていくのか、これはそもそも新薬メーカーについても全く同じ問題になるのですけれども、それと同じように、シミラーについても、産業政策的な視点で、シミラーができるメーカーをどうやって国内で育てるのかということを先に議論しないと、何となく出口がないというか、物事が動かないような気がします。
 以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
 恐らく、今回は必ずしも、まさにこういう資料を出して、だから、国内の産業基盤を整えるべきだという産業政策的な議論をするべきだという結論の一つのお考えも出てくることも、一つの結論だと理解をしておりますので、大変適切な御意見をいただけたと思っております。
 ほかに。
 堀構成員、手を挙げておられましたね。
○堀構成員 ちょっと確認というか、教えていただきたいのですけれども、バイオ医薬品の産業を育てていくという視点と、バイオシミラーの産業を育てていくのと、何が一番大きな違いなのかというのを教えていただけますか。
○遠藤座長 それでは、審議官。
○城医薬産業振興・医療情報審議官 これを導入した時期に経済課にいたこともございまして、私からお話をするのがいいかもしれません。
 基本的には、従来の化学合成品の製造とバイオの製造は、根本的に技術が違います。ですので、その投資を国内の製薬企業が始めた時期も、当時、化学合成品で相当稼げていたこともあって出遅れたというのがございます。ですので、バイオ医薬品を製造できるような技術力を育てるというのを、我が国でもしっかりやるべしというのがございました。
 その技術を育てることと、そして、それがヒトに適応して、実際に開発をして、医薬品としてきちんとできるかいうこと、まさに医薬品の開発をすること、両方を一遍にやるのは相当厳しいので、まずはシミラーで、医薬品として成分として確定しているものについて、製造技術を磨いてもらう、手をかける。そして、それを、さらに技術を磨いて、新薬の開発ができるように育てていただくということを当時は考えていたということがございます。ですので、同じ流れの中での段階と、シミラーもできる、先発も、先行品もつくれるという企業を育てたいというのは、当時の考え方であったということを御紹介させていただきます。
○堀構成員 ありがとうございます。
 ということは、当時は、バイオシミラーがつくれるようになると、将来的にはバイオ医薬品もチャレンジできるような環境になっていくということですね。理解できました。
○遠藤座長 ほかに何かございますか。
 よろしゅうございますか。
 坂巻構成員、お願いいたします。
○坂巻構成員 先ほどの長期収載品のところで言い忘れたのですが、この会議体の目的かどうかは分からないですけれども、医薬品のライフサイクルを見た場合、長期収載品の中から、さらにそのスイッチOTC化というようなことの議論も考えるべきではないかとちょっと思います。すみません、この会議体の議論の本題か外れるかもしれませんけれども、また、財政のところでも少し議論したいと思います。
○遠藤座長 ぜひ、よろしくお願いいたします。
 ほかに言い忘れたという方はいらっしゃいますか。
 よろしゅうございますか。
 それでは、本日は長時間、活発なディスカッション、どうもありがとうございました。
 それでは、一応用意した案件は以上でございます。
 事務局、何かありますか。
○山本ベンチャー等支援戦略室長 次回の第9回検討会につきましては、2月15日に開催予定でございます。詳細につきましては、厚生労働省事務局よりメールにて御連絡をさせていただく予定でございます。
 また、本日の検討会の議事録は、後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としております。
 事務局からの連絡事項は、以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、本日の検討会終了させていただきたいと思います。
 どうも、長時間ありがとうございました。